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2005/03/10 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第2号
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2005/03/10 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第2号

#1
第162回国会 法務委員会 第2号
平成十七年三月十日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     松岡  徹君     蓮   舫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                前川 清成君
                簗瀬  進君
                蓮   舫君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       警察庁刑事局長  岡田  薫君
       金融庁総務企画
       局審議官     振角 秀行君
       法務大臣官房司
       法法制部長    倉吉  敬君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  大林  宏君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       法務省保護局長  麻生 光洋君
       法務省人権擁護
       局長       小西 秀宣君
       法務省入国管理
       局長       三浦 正晴君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (法務行政の基本方針に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に警察庁刑事局長岡田薫君、金融庁総務企画局審議官振角秀行君、法務大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省保護局長麻生光洋君、法務省人権擁護局長小西秀宣君及び法務省入国管理局長三浦正晴君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(渡辺孝男君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○松村龍二君 自民党の松村委員でありますが、いよいよ通常国会も始まりまして、先般の所信におきまして、大臣所信において大臣から、現下の法務行政、法務のいろいろな課題についてたくさんの法案も準備しておるというようなことでございます。我々もしっかりこの法案の審議をいたしまして現下の国民のニーズにこたえたいというふうに思う次第でございます。
 大臣の所信に対する質問の一番バッターといたしまして、自民党を代表いたしまして質問をさせていただきます。
 通告してあります順番を変えまして、会社法案の問題についてまずお聞きしたいと思うんですが、今日の日本経済新聞にも、二面に大きく、会社法案足踏みと、外資警戒、自民に慎重論と、閣議決定はずれ込むのかと、こんな記事がございます。それから、自民商法小委員長の塩崎恭久氏に聞くと、経済活性化に必要であると、敵対的買収の防衛策も整備と。この一行に法務省の態度は尽きるんではないかなというふうに思うわけですが。
 今、BSEに関係する牛肉の輸入についてアメリカから圧力が加わっておるというふうな話もあるわけでございます。それから、先般来、日米の間においては日米構造協議というようなことで協議をしておりますけれども、これも日米構造協議と言うと聞こえがいいんですけれども、英語の原文はストラクチュラル・インペディメンツ・イニシアチブということで、構造障害イニシアチブと。アメリカが主導権を取って日本にある構造障害を次々と壊していくと、こういう会議である。それを聞こえがいいように日米構造協議ということでやっているわけですが。
 その中で、毎年、年次改革要望書というものが、アメリカ政府が日本政府に対しまして要望書を提示するということで、そういう中でグローバルスタンダードと。良く言えばグローバルスタンダード、悪く言えばアメリカが日本に進出しやすいようにいろいろな日本にある障害をなくするようにといったこと。これを、日本政府もこたえまして、もちろん日本の利益ということを考えながら対応してきたものと信じますけれども。
 そういう中にたまたま今度の会社法の改正があるわけでありまして、これについて、どのような経緯で検討が進められてきたものか、また会社法案の概要はどのようなものかと、また会社法案はどのような視点に立って立案しているのか、法務大臣政務官にお伺いいたします。
#6
○大臣政務官(富田茂之君) おはようございます。よろしくお願いいたします。
 今、会社法案はどのような経緯で検討されたかという最初の御質問でございますが、会社法制に関する現行の商法、有限会社法等はいまだ片仮名の文語体で表記されており、利用者に分かりやすい平仮名の口語体による表記に改めるべきであるという指摘がかねてよりなされていたところでございます。また、会社法制に関する重要な規定が幾つかの法律に散在しておりまして、利用者にとって分かりにくいものになっているという御指摘もされておりました。さらに、会社法制につきましては、近時、議員立法によるものも含め短期間に多数回にわたる改正が積み重ねられておりまして、その全体的な整合性を図り現代社会により一層対応したものに改善するために、改めて体系的にその全面的な見直しを行う必要があるとの指摘が強まっておりました。
 このような指摘を踏まえまして、平成十四年二月、法務大臣から法制審議会に対しまして会社法制の見直しについて諮問がされ、同審議会は、これを受けまして、会社法現代関係部会を設置いたしました。同部会は、同年九月から調査、審議を開始し、平成十五年十月には会社法制の現代化に関する要綱試案を取りまとめ、これを公表するとともに、パブリックコメント手続に付して広く国民の意見を求めました。その後、同部会では、パブリックコメントの結果も踏まえて更に審議を進め、昨年十二月には会社法制の現代化に関する要綱案を決定し、これが本年二月に開催された法制審議会において会社法制の現代化に関する要綱として決定されて法務大臣に答申されるに至りました。会社法案はこの要綱に基づいて立案されたものでございます。
 次に、先生の方から、どのような視点に立って立案しているかという御質問がございました。
 この点につきまして、会社法案を立案するに当たりましては、まず、利用者の視点に立った規律の見直しを行うという観点から、会社法制の最大の利用者である中小企業にとって使いやすい規律とすべく、有限会社の株式会社への統合、最低資本金制度の撤廃等を行っております。次に、会社経営の機動性、柔軟性の向上も重要な視点であります。この視点から、合併等の組織再編成に関する手続の整備等を行っております。さらに、会社経営の健全性の確保も会社法案における重要な視点であり、この視点から、大会社における内部統制システムの構築の義務化等を行うこととしております。
 もう一点御質問がございました。
 失礼しました、概要を抜かしてしまいました。会社法案の概要はどのようなものかという点がございました。
 会社法案は、商法第二編、有限会社法等の各規定を現代的な表記に改めた上で、分かりやすく再編成して新たな法典を創設するとともに、最近の社会経済情勢の変化への対応等の観点から、会社に係る各種の制度の在り方について体系的かつ抜本的な見直しを行うことを内容とするものであります。
 見直しの内容といたしましては、具体的に、有限会社の株式会社への統合、最低資本金制度の撤廃、合併等の組織再編成に関する手続の整備、大会社における内部統制システムの構築の義務化、有限責任社員のみで構成される新たな会社類型の新設等が含まれております。
 以上でございます。
#7
○松村龍二君 非常にこの会社法というのは難しいといいますか、私らは日ごろ全く関係ありませんので法律も見たことがないような具合ですけれども、ライブドアの事件がありまして、株を買い取ることによって会社を乗っ取るというふうなことが今国民の最大の関心事、またどうなるのかといってみんなが見ているところでございます。
 今度、商法、会社法の改正が会社の形を変えるということで、また、合併の際の対価は、従来は従前の会社の株で、存続する会社の株で対価払うというようなことになっていたのが、現金でも、あるいは親会社の株でもいいと。
 それで、現在の株が日米の間で非常に価値が違う。もうアメリカでは、最大限株の価額が伸び切って高値を保っておる。ところが、日本の場合は、企業の形態も違って、株が非常に実力以下に安値で存続しておると。そういうような状況から、今度のような法改正を認めると、海外の会社から乗っ取られることになるんではないかという心配。
 また、別の意味では、私もこれ言うと口が順調に発言できないんですが、ポイズンピルとか黄金株とか何か対抗する手段が今度の会社法改正で取れるようになるんだというようなことで、経済産業省も前から非常に敵対的買収に対して対抗する手段をつくっておかないといかぬという立場ではありますけれども、今度の会社法改正についてはそれで大丈夫、いいんではないかというような考えも基本的には持っておられると。しかし、そういう外国の企業に日本の会社を乗っ取るようなことを与えるようなものであるということについては、何らかのまた歯止めというか、そういうものも必要であるというような考えも持っておるんです。
 先般、予算委員会の視察でトヨタに、名古屋のトヨタに、愛知県のトヨタに視察に行ったわけですが、トヨタという会社も、七兆円ぐらい、六兆円ぐらいですか、のお金を準備してトヨタの株を買い取れば外国の企業に乗っ取られるような仕組みになっておると。トヨタは、会社としては非常に立派な会社ですけれども、一兆円の経常利益を生むというような立派な会社ですけれども、株という点については実力以下の対応になっておるというような話も聞くわけなんですけれども、その辺の心配について、ちょっと法務政務官、解説をいただきたいと思います。
#8
○大臣政務官(富田茂之君) 松村先生の方から解説をということですが、解説になるかどうか分かりませんが、今の先生の御指摘は、会社法案は外資による乗っ取りがしやすくなる方向で検討されているんではないかという懸念があるという上での御質問だと思いますが、その点について御説明させていただきたいと思います。
 会社法案におきましては、事業の再構築の必要性の高まり等の近時の経済情勢を背景として、合併に際し存続会社の株式以外の財産を消滅会社の株主に交付することを認める、いわゆる合併対価の柔軟化を導入することとしております。先生が先ほど御指摘の親会社の株とか、あるいは現金等でもできるというふうに予定しております。これが外資による乗っ取りに利用されるのではないかとの疑念を生んでいるようであります。
 確かに、合併対価を柔軟化しますと外国株式を対価とする合併も認められることとなります。しかし、合併は会社同士の合意を前提とするものでありますので、外国株式を対価とする合併を認めること自体は敵対的買収が行われる場面とは次元を異にする問題でございます。
 他方で、会社法案では、種類株式や新株予約権の内容を現行法よりも自由に定めることができるものとされております。これにより、敵対的買収への対抗策として、まず公開会社において譲渡制限がされた拒否権付株式を発行することや、また会社が強制的に買収者の有するもののみを消滅させることができる新株予約権を発行すること等もできるようになりますので、会社法案により株主の利益を損なうような乗っ取りはむしろしにくくなるものというふうに考えております。
#9
○松村龍二君 会社法の法案が参りましたときに審議をする時間があるわけでございますので、本日はこの程度にしておきますが、法務大臣にお伺いしますけれども、閣議決定がずれ込むとかいうような記事もあるわけですけれども、そのようなことがあるのか、また、法案を出すときには日本の国益を害しないという確信を持って出していただけるのか、お伺いいたします。
#10
○国務大臣(南野知惠子君) 先生の御懸念がなきように、しっかり努力してまいりたいと思っております。
#11
○松村龍二君 それでは、次の質問に入ってまいります。
 大臣は、冒頭、所信表明におきまして、「今、国民が最も強く望んでいることは、安心、安全な国日本を回復することです。」と述べられまして、治安の回復を最重要課題として挙げておりますが、我が国の治安の現状と、その悪化の原因についてどのように認識しているのか、お伺いいたします。
#12
○国務大臣(南野知惠子君) 日本の治安の現状につきましては、私も本当に憂うべき状況にあると認識いたしております。
 我が国は、かつて女性や老人でも夜道を不安なく歩くことができる社会であったというふうにも思っておりますし、そういう安全な国と考えられておりましたけれども、現状におきましては、先生御指摘のとおり、刑法犯の認知件数は依然として高い水準にございます。凶悪かつ重大な事犯も続発しております。毎日、新聞にそれらが載っているということについては、本当に治安が悪化しているということについての不安感を抱いていることを感じております。
 治安悪化の原因を一概に述べるということはできないかも分かりませんけれども、社会環境の変化や国際化の影響の様々な事情が複雑に絡み合っており、また、家族や地域社会の連帯力が弱まっているのではないかというようなことも一因として考えられるのかなと思っております。
 法務省といたしましては、国民の治安に対する不安を取り除き、安心、安全な国日本の回復を目指していくというところでございます。
#13
○松村龍二君 治安の問題を語るときに、やはり国として信賞必罰と、悪いことをしたらひどいことになるということを国家がきちっと示すということが大切であると思います。お隣の中国にいたしましても、国内においてはそのような厳しいことが行われているのかなというふうにも思うわけですけれども、日本においては、例のオウム真理教の松本智津夫が、松本、長野県の松本においてサリンをまきまして殺傷、人を殺傷したり、あるいは、弁護士一家をさらっていって殺してしまったり、何千人、何万人と乗っている地下鉄にサリンをまきまして、満員の地下鉄にサリンをまいて数千人の傷害者、三十人ですか、死者を出したと。こういう犯罪に対して国家が毅然とした態度が示せない。すなわち、裁判において松本智津夫がいつまでも判決が出ないと、また刑も執行されないということになりますと、少年に対する影響、あるいは国民に対して、悪いことをしたってどうってことないやというような空気を与えるという意味において、松本智津夫の問題は非常に重要な問題であるというふうに認識いたしますが、現在、なぜこのように裁判が遅延しているのか、また、このような問題がどう解決しようとしているのか、法務大臣にお伺いします。
#14
○国務大臣(南野知惠子君) 先生の御指摘の事件は、平成十六年二月二十七日、一審におきまして死刑判決が下されました。これに対し弁護側からの控訴が申し立てられ、現在、控訴審係属中であるということを承知しております。
 具体的事件の裁判の進行につきましては法務大臣として意見を述べることは差し控えさせていただきたいというふうに思いますが、迅速な裁判の実現は我が国の司法制度が実現すべき最も重要な課題の一つであるというふうに存じております。
 御指摘の事件につきましても、類例のない重大事件であり、関係者多数の中、検察当局におきましては審理期間が短縮されますようにあらゆる努力を尽くしてきたものと承知しております。しかし、今後とも引き続き迅速な審理の実現に向けて努力してまいりたいと思っております。
#15
○松村龍二君 次に、大臣はその所信におきまして少年非行が深刻な状況にあると述べておりますが、大変だと、毎日毎日の新聞を見ておりますと大変大変な印象を受けるわけですが、人に言わせると、数字そのものはそう増えているわけでないというふうに言う方もいるわけなんですが、先ほどの大臣の所信、少年非行が深刻な状況にあるというお話はどのような具体的状況を認識されて述べられたのか、お伺いします。
#16
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 先日も、寝屋川市内の小学校で十七歳の少年による小学校教師の殺人事件が発生いたしました。
 少年による刑法犯の検挙人員数、これは昭和五十八年をピークとして、その後減少傾向が続き、最近はおおむね二十万人前後で推移しております。一方、少年の人口は減少し、少年人口千人当たりの検挙人員、いわゆる人口比で見ますと、平成八年以降上昇傾向にありまして、平成十五年には約十五・五人となり、戦後最高値となった昭和五十六年に次ぐ高位水準と、高水準となっております。
 また、殺人、強盗などの凶悪犯の検挙人員につきましては、平成十六年は前年比でかなり減少しているようでありますけれども、平成九年以降高水準で推移してきたものであり、なお予断を許さない現状にあるのかなと思っております。さらに、十四歳未満の触法少年による凶悪重大な事件も発生しております。
 このような状況に照らしてみまして、青少年の状況は深刻であると認識いたしております。
 このような少年非行の現状に適切に対応するため、三月一日、少年法等の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただきました。
#17
○松村龍二君 それでは、昨年、司法制度改革を、我々のこの参議院の法務委員会においても二十本近い法律を通すというふうなことで臨んだわけでありますけれども、その中で総合法律支援制度につきまして、現在、地方公共団体始めとする団体が無料法律相談等の地道な取組を行っているところ、総合法律支援法の成立を契機にこのような取組を縮小してもよいのではないかという考え方を持つところも出てくるのではないかということが懸念されるわけでありますが、総合法律支援制度において、地方公共団体始めとするこれらの諸団体の取組と支援センターの活動との関係につきましてどのように考えているのか、法務大臣の見解をお伺いいたします。
#18
○国務大臣(南野知惠子君) 考えを述べさせていただきます。
 あまねく全国におきましては、法による紛争の解決に必要な情報やサービスの提供が受けられる社会を実現していく上で、地方公共団体を始め、既に様々な取組を行っている組織、団体の役割は重要であるとまず認識させていただいております。
 したがいまして、日本司法支援センター、お尋ねの件でございますが、これらの組織、団体と連携協力しつつ、その取組を補完していくべきものと考えておりますので、その一層の充実を願いこそすれ、支援センターが設けられることにより、その取組の意欲を失わせることがあってはならないというふうに思って、その方向で進めてまいりたいと思っております。
#19
○松村龍二君 次に、裁判員制度の広報啓発についてお伺いいたします。
 先般も、大学時代の同級生が集まった会に行きましたら元判事の同級生がいまして、おい、何で裁判員制度なんて通したんだということで、あんな制度はうまくいかぬというふうな話で、少なくとも控訴審に行ったときにどういうことになるのか考えたことあるかと、こういうようなお話でございまして、えらい議論を吹っ掛けられたわけでございますが、私なりに裁判員制度の意義についてよく説明したところでありますが。
 現在、裁判員制度の広報啓発は、法曹三者が連携協力して行っているというふうに伺っております。しかし、裁判員法の附則では政府全体に対して国民への広報啓発を行うよう求めておりまして、今、郵政民営化問題で評判の悪い政府広報ではありませんけれども、政府広報を利用するなど政府一丸となった取組も重要と考えますが、法務大臣の所見をお伺いいたします。
#20
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に先生がいろいろとお話ししてくださることにより、それがうんと広まっていけばうれしいなと思っております。
 これが施行されるまでにはあと四年ございます。四年しかないというお考えもありますが、あと四年あるという中で我々努力していきたいというふうに思っております。
 先生御指摘のとおり、広く国民への広報啓発を行い、国民が進んで刑事裁判に参加していただけるようにするためには、関係省庁の連携協力がこれは不可欠でございます。そこで、裁判員制度の円滑な導入を図るため、政府全体として取組を進めております。近く、内閣官房の主宰により、法務省始め関係省庁等を集めた連絡会議が設置されるものと承知いたしております。
 法務省といたしましても、全力で取り組んでまいるところでございます。
#21
○松村龍二君 先般、NHKがこの裁判員制度の番組を二日にわたって行っておりまして、なるほど、一般の国民のセンスを加えるということがどのようにいいことかというようなPRも行われていたわけですが、是非成功させていただきたいというふうに思います。
 また、現在、自民党においても、立党五十年という契機に憲法草案を作ってみるということでやっているわけですけれども、そういう新しい憲法草案において国民の司法への参加ということを改めて入れることは必要なのかどうかというような議論も行われているところであります。
 次に、新たな法曹養成制度につきまして、平成十八年から行われる新しい司法試験について、その実施に向けた準備状況はどのようになっているのか、法務大臣政務官にお伺いいたします。
#22
○大臣政務官(富田茂之君) 平成十八年から実施されます新しい司法試験につきましては、司法試験委員会におきまして具体的な出題のイメージや科目の範囲等について法科大学院の教育内容を踏まえた検討が行われ、昨年十一月と十二月に新司法試験のサンプル問題等が公表されました。また、本年八月上旬には模擬試験に当たります新司法試験プレテストを実施することが予定されております。
 今後とも、広く新司法試験に関する十分な情報提供に努め、試験が円滑に実施できるよう準備を進めてまいりたいと考えております。
#23
○松村龍二君 次に、民事問題についてお伺いしますが、不動産登記制度については、かねてから登記所に備え付ける地図の整備が重要な課題となっているものと認識しております。
 意外とずさんな部分があるというようなことでございますが、今回、不動産登記法等の一部を改正する法律によりまして新たに筆界を特定する制度を導入する意義につきまして、法務大臣にお伺いいたします。
#24
○国務大臣(南野知惠子君) 先生御指摘のとおり、登記所に備え付ける地図は、登記簿の記載と相まって、これは各筆の土地の区画及び地番を明確にするという機能を営むものであります。関係省庁と連携を図りつつその整備を推進することが重要な課題であると考えております。
 今回の法改正におきましては、登記された土地と隣地の境、境界、すなわち筆界が不明確な土地につきまして、土地の登記名義人と、登記名義人の申請に基づき、筆界調査委員の意見を踏まえて登記官が筆界を特定する制度を導入するものであると。その成果によりまして登記所備付地図をより正確なものとすることができますし、地図作製の際には筆界が未定とされていた土地の解消にも役立てることができるということでございますので、この制度は登記所に備え付ける地図の整備にも値するものであるというふうに考えております。
#25
○松村龍二君 昨年の法改正の際に、土地家屋調査士が自分たちが一人前に取り扱われるということで非常に感謝しておられた機会がございましたが、資格者制度は法制度に対する国民のアクセスを高め国民の権利を保護するために存続するべきものと考えますが、今回、不動産登記法とともに司法書士法及び土地家屋調査士法を改正する理由について、法務大臣政務官にお伺いいたします。
#26
○大臣政務官(富田茂之君) 今回、司法書士法及び土地家屋調査士法を改正いたします理由は、まず第一に、新たに設けられる筆界特定の手続につきまして代理業務を行うことができる者を明らかにするためでございます。第二に、平成十六年十一月二十六日の司法制度改革推進本部決定に基づきまして、土地家屋調査士による民間紛争解決手続の代理や司法書士による仲裁手続の代理について定めるためです。
 今回の改正によりまして、新たな筆界特定制度や民間紛争解決手続に対する国民のアクセスが高まり、これらの制度の利用を通じ、国民の権利利益の一層の保護が図られることを期待しております。特に、司法書士及び土地家屋調査士がその専門的特性を生かしまして国民の権利利益の保護に新たな役割を果たすことは、専門士業の今後の在り方を示すものとして意義のあることと思っております。
#27
○松村龍二君 次に、奈良や安城の事件を契機に法務省では再犯防止のための今後の取組を決めたと聞いておりますが、その内容について法務大臣にお伺いいたします。
#28
○国務大臣(南野知惠子君) 奈良や安城の件についてのお尋ねでございますが、昨今、幼い子供たちが被害に遭うような痛ましい犯罪が発生しており、御指摘のとおり、法務省といたしましては、国民の皆様の不安な気持ちを受け止めながら、そういう痛ましい事件を少しでも減らしていけるようにという緊急に取り得る対策として次の施策を実施するということにいたしました。
 第一に、性犯罪者に対する適切な対策を講じるための基礎といたしまして、性犯罪者の実態、再犯の状況などに関するデータを把握し、多角的な検討を進めてまいります。
 第二には、具体的な施策でございますが、これには三本の柱を立てております。
 一つ目は、犯罪者に対する処遇の充実強化であります。まず、精神医学、心理学等の専門家の協力を得まして、施設内処遇、社会内処遇両面における科学的、体系的な犯罪防止プログラムを策定するほか、行刑施設におきましては心理技官を活用するとともに、民間カウンセラーの導入、それを行うなど、処遇方法、処遇体制を整備してまいりたいと思っております。
 また、受刑者につきましては、近く提出を予定しております法案におきまして、その者にふさわしい矯正処遇を受けることを義務付けます。保護観察対象者としても教育処遇を受けることを遵守事項として定める運用を進めてまいりたいと思っております。
 二つ目は、犯罪者の社会復帰を円滑に実現するための支援体制の強化でございます。勤労の意欲のある者に職を提供するため、国民の皆様の御理解と御協力をいただきまして、犯罪者の更生に協力していただける雇用主をより多く確保する仕組みを強めてまいりたいと思っております。
 三つ目は、犯罪の取締りを実効的に行うための情報の共有でございます。当省が有している情報でこれに役立つものについては、犯罪者の改善更生にも配慮をしつつ、関係当局に積極的に提供してまいりたいと、そのように思っております。
#29
○松村龍二君 最近何か特にこのような性犯罪者の事件が多くなったようなイメージを持つわけですが、戦後しばらくのころに、関東周辺におきまして強姦殺人事件を繰り返す、大久保と言いましたか、大久保事件というのがございましたが、何十年かに一回そういう記憶が残っているわけですけれども。一方、アメリカにおいては、よく火曜日とか木曜日等のテレビ番組で一時間のドキュメンタリー番組がありまして、私もよく見ているわけですけれども、そういう中において、何十人を殺すと。アメリカは国が大きいのであっちこっちとやりますとなかなか犯人が特定できないというふうなこと、しかし、同じ手口で若い女の子をさらっては殺すというような残虐な事件が非常に多く発生すると。
 これには私なりに観察、想像しますと、日本の住宅事情も変わってきた。昔は、日本は日本家屋に家族みんなで住んでいますと、めったなことができないという家族の監視があったかと思いますが、住宅が孤立して核家族というようなことになってきますとアメリカ的な犯罪ができるようになるというようなことも数々ある原因の中の一つかなとも思うわけですが、このような性犯罪者の矯正処遇というのは並大抵のことではないというふうに思いますが、特に性犯罪者の再犯防止について、行刑施設における矯正教育のプログラムの現状はどうなっているのか。また、今後効果のある新たな教育プログラムは具体的にどのようなことを重視して作成するつもりなのか、法務大臣にお伺いいたします。
#30
○国務大臣(南野知惠子君) 性犯罪者の受刑に対しましては、受刑者に対しまして、これまで一部の行刑施設におきまして性犯罪防止に関する処遇類型別指導を実施しておりましたが、指導を受けた受刑者が少ないということもございます。また、統一的、標準的なプログラムが存在していないなど、十分とは言い難い点があったのかなと思っております。
 今後、近く提出を予定しております法案におきましては、受刑者全般に対しまして、その者にふさわしい矯正処遇を受けることを義務付けるということにいたしたいと思っております。
 そのほか、性犯罪者の再犯防止プログラムにつきましても、先ほど申しましたとおり精神医学、心理学等の精神科の協力をいただきまして、矯正処遇及び保護観察処遇の両面で科学的、体系的な教育方法を策定していくよう、今鋭意努力しているところでございます。
#31
○松村龍二君 法改正をしまして、性犯罪者に限らず、すべての受刑者に対し矯正処遇を受けることを義務付けるとのことでありますが、中には矯正処遇を受けることを拒否する者もいると思われます。実際にすべての者に対し矯正処遇を受けさせることは困難ではないかと考えますが、どのように実効性を確保していくつもりか、法務大臣にお伺いします。
#32
○国務大臣(南野知惠子君) 受刑者に対しましては、改善更生の意欲を喚起しますとともに、社会生活に適応する能力の育成を図るために充実した矯正処遇を実施する必要があります。これを行うことを法律上明確に位置付けることは十分に意義があるものと考えております。義務付けるということでございます。その上で、どのような受刑者に対しいかなる矯正処遇を実施していくことが適切であるかなど、今後その方策を具体的に策定してまいりたいと考えております。
 それから、ちょっと訂正させていただきたいんですが、先ほど私が読み上げましたところに、精神医学、心理医学等の専門家の協力を得てと、専門家が抜けていたのかなと思っておりますので訂正させてください。
#33
○松村龍二君 読み上げではなくて、ね、答弁をいただいた中で。
 次の質問ですが、性犯罪受刑者の出所後の所在等に関する情報を警察に提供するとのことでありますが、情報を提供するのは子供を対象とする性犯罪に限るのか、又は性犯罪受刑者以外の受刑者についても情報を提供することを考えているのか、現在の検討状況を法務大臣政務官にお伺いいたします。
#34
○大臣政務官(富田茂之君) 警察庁から、改めて本年六月一日を期しまして十三歳未満の子供を対象とした強姦や強制わいせつ等の性犯罪を犯した受刑者について法務省から出所情報の提供を受けたいとの要請があり、法務省といたしましては、受刑者の改善更生に配慮しつつ、再犯を防止するための取組に積極的に協力するとの観点から、この要請に応じるべく準備を進めているところでございます。
 また、十三歳未満の子供を対象にした性犯罪以外の犯罪につきましては、今後、まず警察におきましてどの範囲の犯罪を中心に再犯の防止に力点を置こうとするのかの検討がなされた上で、犯罪の再犯率の高さや国民に与える不安感等の点を考慮に入れて内容が決められていくものと考えております。
 警察からの具体的な要請を受けて、更に十分な協議を尽くしてまいりたいと考えております。
#35
○松村龍二君 出所後の所在等に関する情報を警察に対し提供することは、再犯防止には役立つであろうけれども、一方で、刑期を終えて社会に復帰しようとする人のプライバシーや改善更生の観点からは慎重に考えなければならないという指摘も当然にあろうかと思います。この点について法務当局の見解をお伺いいたします。
#36
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 警察庁からは、性犯罪者の再犯を抑止し、新たな被害の発生を防ぐとともに、地域の安全、安心を確保するために、十三歳未満の子供を対象とした強姦や強制わいせつ等の性犯罪を犯した受刑者の出所後の所在等に関する情報を提供してもらいたいと、そういう旨の申出がございまして、法務省といたしましてはこれに応ずるべく準備をしているところでございます。
 委員御指摘のとおり、刑期を終えて社会に復帰しようとする人の個人情報は慎重に取り扱わなければならないものでございますが、出所者の帰住先等の情報を警察に提供いたしました場合、警察におきましては、犯罪者の再犯防止という目的に従って適正に活用されるものと理解しております。また、警察も守秘義務を負っておりますことから、出所者の改善更生という点にも配慮いたしまして、これらの情報については慎重に取り扱われるものと考えております。
 以上です。
#37
○松村龍二君 法務省では仮出獄した性犯罪者に対する保護観察を強化するとのことでありますが、その内容について法務当局にお伺いいたします。
#38
○政府参考人(麻生光洋君) お答えいたします。
 刑務所から仮出獄いたしました者に対しましては、保護観察官と保護司で保護観察の処遇を行っております。そこで、今回お尋ねの性犯罪者の仮出獄者につきましては、その者の再犯を防止するとの観点から、処遇を強化する必要があるものと考えております。
 そこで、保護観察官による直接の面接指導や家庭訪問を積極化するなど、より専門的な知識を持っております保護観察官の直接的関与を強化していくことといたしました。また、保護観察を担当いたします保護観察官及び保護司に対する性犯罪者処遇に関する研修を充実させることといたしております。
 また、先ほど概要を大臣の方から御答弁申し上げましたけれども、平成十七年度中をめどに、矯正、保護両面で科学的、体系的な性犯罪の再犯防止プログラムを策定することといたしておりまして、性犯罪仮出獄者等がふさわしい教育処遇を受けることを遵守事項として定め、これを守るよう指導することといたしております。
 これらの方策を講じることによりまして、性犯罪者に対する保護観察の充実強化に努めてまいる所存でございます。
#39
○松村龍二君 保護観察の充実強化を図るために保護司活動の基盤整備が必要であると思いますが、これは昨年のこの法務委員会においてもいろんな、各党の委員の方々から保護司に対する施策を強めてくれと、そうしなければ、今どき全くのボランティアで、しかも気苦労、危険も伴うような保護司というのは、ただでさえ高齢化してて、少なくなるよということを繰り返し申し上げたわけですが、余り真剣に取り組んでいただかなかったような感じもいたします。
 今年、昨年も委員会の視察等がございまして、保護司の方にお会いしたときにも、我々政治家は一生懸命この保護司に力を入れるからという約束がほごになったような感じをいたしまして、昨年は、恐らく法務当局としますと、まあ刑務所を増設しないといかぬというふうなことで頭が一杯。財務省に対して新たなその予算要求をするというだけの気力、余力がなかったというふうに見ているわけですけれども。
 これだけ保護司活動が大切であると、また世界に冠たるこのような善意に基づく制度をしっかり整備する必要があると思うわけですが、昨年に比較いたしまして今年の予算がどれだけ増えたのかということを含めまして、この保護司活動の基盤強化について法務大臣にお伺いいたします。
#40
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に保護司の方々には大変なお力をいただいていることをまず感謝したいというふうに思っております。
 近時、保護観察事件が本当に複雑それから多様化するというところで、地域社会の変動や国民の意識の変化などを受けまして、保護観察の実施に当たる保護司の活動はこれまでよりも困難になってきているのかなと、そのことを痛感いたしておりますが、保護司活動の基盤強化を図るためには、保護司に一人でも多くの適任者を確保すること、保護司の能力の向上を図ることが何よりも重要な課題でもあろうかなと認識いたしております。
 まず、保護司適任者の確保につきましてはますます困難になっている実情にありますことから、各界各層から保護司の適任者を得るため、地域社会と連携して、保護司にふさわしい候補者を開拓する方策の実施を検討してまいりたいと考えております。
 保護司の能力向上につきましては、保護観察処遇に必要な知識、技術を身に付けていただくための保護司研修を一層強化することといたしております。平成十七年度予算案においても、実費弁償金の充実など、保護司活動に対する支援の強化に努めているところでございます。
 なお、予算につきましては当局から説明させていただきますが、よろしいでしょうか。お願いいたします。
#41
○政府参考人(麻生光洋君) 予算の方につきまして事務当局から説明させていただきます。
 最近の犯罪情勢等の悪化によりまして、保護観察事件及び環境調整事件の数等が増加いたしますとともに、保護司が行う処遇活動が困難化している状況にございます。
 このようなことを踏まえまして、保護司の処遇活動の基盤を強化するため、平成十七年度予算におきましては、予算案におきましては、事件数の増加を踏まえ、踏まえ、補導費、環境調整費及び保護観察所等出頭実費を見直しいたしましたほか、保護司の処遇能力向上のため保護司研修の充実等を図ることといたしまして、保護司実費弁償金に対前年度一億四千三百万円増の四十億三千万円を計上させていただいております。
#42
○松村龍二君 新たな保護司を募集するというようなことにつきまして、政府広報をそれこそ使うとか、今までと違った手法で国民に訴えるというようなことも是非工夫をしていただきたい。
 また、保護観察対象者の改善更正につきまして、就労の確保が重要であるということで、就労支援策について力を入れるとお話がありましたけれども、ただでさえ普通の国民でも就労することが難しいと、不景気といいましょうか、厳しい中において、こういう方に就労を支援するといっても、口で言うのは簡単ですがなかなか難しいと思いますけれども、せっかくその所信を述べられたわけですから、また来年どうなったかお伺いいたしたいというふうに思います。
 次、性犯罪者の調査についてお伺いするわけですが、法務総合研究所は、今後、性犯罪者に対してどのような調査研究を実施するつもりか、また性犯罪者に関する調査研究はいつまでに行うつもりか、お伺いします。
#43
○大臣政務官(富田茂之君) 性犯罪者の実情を多角的に把握するために、性犯罪受刑者の実態に関する調査、性犯罪者の釈放後の再犯の有無等に関する調査、保護観察類型別処遇における性犯罪等対象者に関する調査を行い、また性犯罪者を対象とする処遇プログラムについての海外調査を実施する予定でございます。
 期間でございますが、海外調査以外のものにつきましてはおおむね一年を目途に関係各局で調整を図りながら進めてまいりたいと考えております。
#44
○松村龍二君 犯罪被害者対策についてお伺いしますが、犯罪の被害者がその損害を回復することは必ずしも容易ではございません。
 そこで、例えば犯人が犯罪行為によって被害者から得た財産のようないわゆる犯罪被害財産については、国が犯人から剥奪した上で被害者に返還できるような制度が必要なのではないかと。かつて法務省はそのような意気込みで頑張ったことがあるけれども、そのときは実現できなかったということでございますが、そのような、被害者を救済すると、被害を弁償するというようなことについて国が手助けをするというような制度についてどのようにお考えか、法務省にお伺いします。
#45
○大臣政務官(富田茂之君) 御指摘の犯罪被害財産につきまして、これを没収、追徴して国庫に帰属させることとすると被害者の犯人に対する損害賠償請求権等の実現を困難にすることとなるため、現在の法律では、被害者保護の観点からその没収等はできないこととされております。
 犯罪被害者財産に関する御指摘のような制度につきましては、平成十一年の法制審議会でその導入の是非について議論をされましたが、様々な問題点が指摘され、引き続き検討を継続すべきこととされました。
 法務省といたしましては、その後、外部の有識者を招きまして犯罪被害者のための施策を研究する会を開催しまして、刑事手続を利用した被害の回復を図るための制度を含め、被害者に対する保護、支援の在り方について調査研究をしてきたところでございます。
 犯罪の被害に遭われた方々の経済的な損害の回復を容易にすることは大変重要なことであると考えておりまして、法務省といたしましては、このような点を含め、被害者の保護、支援の充実を図るための施策について、昨年の臨時国会において成立しました犯罪被害者等基本法の定めるところに従い、様々な角度から検討を進め、適切に対処してまいりたいと考えております。
#46
○松村龍二君 最後に、人身取引についてお伺いいたします。
 我が国におきます人身取引の実態について、法務当局にお伺いいたします。
#47
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 入国管理局が実施いたしました実態調査等の結果を御紹介させていただきまして我が国における人身取引の実態について御説明をさせていただきたいと存じます。
 全国の地方入国管理官署におきまして、平成十六年、昨年でございますが、二月、一か月を掛けまして、入国警備官によります違反調査の際に、人身取引の被害の有無などを当事者から聴取したことがございます。
 その結果を集計、分析いたしましたところ、調査対象者は三千五百十七名でございましたが、このうち人身取引の被害者に該当する可能性が高いと認められた方の数は五十三名でございました。国籍別に御紹介申し上げますと、タイの方が三十四名、フィリピンの方が十六名、コロンビアの方が一名などでございます。
 また、都道府県警察から警察庁に対しまして女性又は児童に対する人身取引の事案であるとして報告がされた事案につきまして、平成十二年から平成十五年までの検挙人員を調査いたしましたところ、四年間に検挙された者の数は百六十四名ということでございまして、国籍別で申し上げますと、日本が九十六、タイが二十九、中国、台湾を含めて二十一名ということになっております。
#48
○松村龍二君 我が国におきます人身取引被害者の保護の現状につきまして、大臣の所感をお伺いいたします。
#49
○国務大臣(南野知惠子君) 法務省では、これまでにも、入管行政上、不法滞在者が人身取引の被害者であると判明しました場合には、本人の希望をお聞きし、帰国したいという方には早く帰国できるように配慮をしたり、帰国した場合に生命等の危険があるなどを理由として日本に引き続き滞在したいという方には在留特別許可などを弾力的に運用することに努めてまいりましたが、入管法上特別な定めはありません。あくまで運用上の配慮にとどまっていたという意味では不十分な保護を与えていたと、十分な保護を与えていたとまでは言い切れない面もあったことから、近年、その改善に努めてきたと認識しております。
 今回の法改正によりまして人身取引の被害者の保護に関する規定が設けられますことから、今後、より積極的に在留特別許可の制度を活用してまいりたいと思っております。
#50
○松村龍二君 アメリカから非常に厳しく、日本も、日本は人身取引をしているというふうな指摘がありまして、アメリカもかなりそういうことが行われているというふうに思われるわけで、何をアメリカから指摘を受けるのかなというふうな残念な思いはありますけれども、しかし、ただいまの御説明のように、暴力団その他がそういう外国人の女性を食い物にしておると、そして監禁同様の状況の中で行っているという実態があるとすれば、これはやはり日本も襟を正さないといけないと、こういうふうに思いますが。
 今回の法整備には被害者の保護に関しどのような内容が盛り込まれるのか、法務大臣政務官に最後にお伺いいたします。
#51
○大臣政務官(富田茂之君) 現行の出入国管理及び難民認定法上は、人身取引の被害者が売春等に従事させられるなどした場合でありましても退去強制事由等に該当することになりますが、人身取引の被害に遭い、売春等に従事させられたにもかかわらず退去強制等の対象とされることは不合理であるので、今回の改正案では、そのような場合には退去強制等の対象から除外することとしております。
 また、人身取引の被害者につきましては、出身国に帰国することによって生命等に危険が及ぶおそれがある場合などがあることから、今回の改正案では、人身取引により他人の支配下に置かれたために不法滞在状態に陥った方などについても我が国に滞在できるよう特別に在留を許可することができることなどを法文上明記することとしております。これにより被害者の方が安心して被害の申告ができるようになるものと考えております。
#52
○松村龍二君 以上で私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#53
○簗瀬進君 おはようございます。民主党の、自分で言うのもなんでございますけれども、ネクスト法務大臣ということを仰せ付かっております簗瀬進でございます。
 大臣対決ということで、今度が三度目ということになるだろうと思いますので、与えられた九十分をたっぷりと使いまして、大臣の胸をしっかりとかりて議論をさせていただければと、こういうふうに思っておる次第でございます。
 今度の通常国会はかなり私は、大変重要な法案がこれメジロ押しだと、こういう印象を持っております。
 まず、民事関係では何といっても会社法だと思います。一千条に及ぶこの会社法の新設。商法あるいは有限会社法等、そういうようなものを一千条の会社法に変えていくということでございますが、条文の多さというよりも、これ質問の中でも後で触れさせていただきますけれども、その会社法が成立をされることによって、単なる有限会社という、そういう法人格が変わるとか、そういう個々の細かいこともありますけれども、大きな日本の経済社会の基本を変えることになる。
 結論から申し上げますと、私は、ある意味で非常に準備態勢が整わないままで一挙にアメリカ化していくんではないのかなと、それに対する懸念を非常に持っております。これは後で述べますが、いずれにしても、会社法というのは今後の日本の二十一世紀の経済社会の姿を変えていくという大変な根本的な意味を持った法律だと、こういうふうな認識を大変強く持っておるわけでございます。
 一方で、今度は、明治以来の監獄法を刑事施設法ということで変えていくわけでございますけれども、これも二十一世紀の日本の刑事司法の姿をある意味で根本から変えるきっかけになる、そういう大変重要な意味を持っておるわけでございます。
 さらには、人権擁護法案が今巷間様々なことがささやかれておりますけれども、これも日本の人権状況について大変重要なかかわりを持っている法律でございます。さらには、共謀罪の話がございます。テロ対応ということではございますけれども、この共謀罪がいわゆるもしそのままの形で通るという形になりますと、これもう罪刑法定主義という基本を変えることになりかねない。あるいは、憲法十八条に内心の自由ということがございますけれども、内心は問われないと。ところが、昨今、精神世界にまで様々な法的な舞台の上に乗せていこうという、個々の法律でもそういう動きがございますけれども、意思は外に現れて初めて罪に問うことができるんだと、正にこれは憲法十八条の規定を受けた考え方でございますけれども、それを共謀罪はもしかしたら大いに変えていってしまうのかなと、こういうこともございまして、これも非常に重要な内容を持った法律でございます。
 そういう意味では、非常に慎重にしてかつ充実した審議をしていかなければならないと。そのしょっぱなが参議院においては今日でございますので、細かな議論についてはそれぞれの法案の論議に、その際に譲るといたしまして、今日は基本の部分から大臣と議論をさせていただければと、このように思っておる次第でございます。
 さて、委員の皆様には今日、まずちょっと資料を何枚か配らせていただきますけれども、その一番目に、地元の下野新聞という新聞社がございます。この下野新聞が、昨年、宇都宮で起きました知的障害者、それも重度の知的障害者について誤認逮捕、さらには誤認起訴と、警察も検察も非常に問題のある対応をしたということで、熱心にこのことを追っ掛けておりました。
 その下野新聞の二月二十六日付けに載っておった記事を抜粋をさせていただきまして、簡単に、細かな事実を説明すると時間が掛かってしまいますので、分かりやすく一枚紙にして事実関係を分かっていただくために皆様の前にお配りしてありますので、それを是非ごらんになっていただければと思います。
 時間も限られておりますので、簡単に事実関係を説明させていただきますと、二〇〇四年の八月に宇都宮東署で暴行容疑で無職の男性が逮捕されました。そしてその後に、九月八日に宇都宮の洋菓子店の強盗容疑でその男性が再逮捕されました。これが第一強盗でございます。その次に、十月十二日に別のスーパーの強盗容疑ということで男性が再逮捕されました。これが第二強盗ということでございます。そして、それについて十月二十二日に初公判が行われまして、昨年の十二月七日に第二回公判で結審ということになり、検察側が懲役七年、言うならば、暴行罪が一つ、それから強盗が二罪ということで、まあ懲役七年というのは求刑としては常識的な線かもしれません。しかし、懲役七年でございます。執行猶予がもう付かないというふうな形の大変厳しい求刑であることには変わりございません。
 ところが、十二月二十四日、判決の公判その日でございます。その日に、いわゆる男性が強盗罪二件の無罪を主張をするということになりまして、言うならば、判決言渡しの寸前で、いわゆる強盗一罪、二罪については無罪であるというふうに、全く正反対の供述をいたしました。
 それに対して、検察、裁判所もまあ慌てた対応、真摯ではあったと思いますけれども、慌てた対応になって、結果として、その後、第四回公判というようなことになったわけでございますが、その間に、先ほどの第一強盗、第二強盗については別の人物が逮捕されるという形になりまして、その結果として、二月の十八日にその別な男性を強盗罪で起訴するとともに、地検と県警が捜査ミスを認めて謝罪をして、二月の二十五日に、これも異例なことではございますけれども、宇都宮地検は強盗一罪、二罪については無罪の論告をすると、こういうふうないきさつであったわけでございます。
 多少事実関係の説明が長くなりましたけれども、今日は、まずは検察庁の関係と、それから警察の関係、来ていただいておりますけれども、お手元の時系列の中で、二月の二十三日に地検と県警が、弁護人が自白を誘導した等の違法な捜査を指摘したことに対して、適正な捜査だったと反論をしたと。謝罪をしておきながら、その後、適正な捜査だったと反論をしたと。私にとってはちょっと悪あがきのようにどうもこれは見えてしまうんですけれども、このことについて、本当に適正な捜査だったとお思いになっていらっしゃるんでしょうか。法務省、それから警察庁、それぞれからまずは御答弁いただければと思います。
#54
○政府参考人(岡田薫君) 本件につきましては、結果といたしまして犯人でない者を被疑者と判断をして警察としては逮捕いたしたわけでございますので、その点については大変遺憾なことだと思いますし、申し訳ないことだと思います。
 ただ、捜査をいたして、そのこと自体が適法であったか違法であったかというのは、先生御案内のとおりいろいろな切り口があるのだろうと思いますけれども、県警としては当時の様々な状況を判断してその人が被疑者であるという判断をいたしたものと、このように理解をいたしております。
#55
○政府参考人(大林宏君) 今委員お触れになったとおり、検察では無罪の論告をしたというふうに承知しております。結果としてそのような事態に至ったということは非常に残念でありますし、被告人の方にもお気の毒な結果を生じているというふうに承知しております。
 私どもとしては、今まだ、今日判決と聞いておりますけれども、再発防止の観点から、これからやっぱりどうしてそのようなことになったのか検証していく必要があろうかというふうに考えております。
#56
○簗瀬進君 警察も、法務省・検察も極めて不十分な御答弁だと思いますね。
 まず警察。私は、適法な捜査というのはこれはもう当たり前だと思うんですよ。私が聞いているのは適法か違法かなんという話ではないんです。違法だったということは、これは当然お認めにならない、当たり前。適法な捜査をするというのはこれは当たり前。だから、その適法ということよりも、妥当だったかどうか、適正だったかどうかと。適法性というよりも妥当性の話を聞いているんですよ。捜査としての合理性があったかどうかということの質問なんですよ。それについてちゃんと答えてください。これが第一問、警察に対して。
 それから、刑事局長、今気の毒だったと、そういう表現を使いました。気の毒は、いわゆる逮捕された、誤認逮捕された、誤認起訴されたその方に対しての気の毒ということだろうと思います。それはいいんだけれども、私が聞いているのは、気の毒かどうかということはもう、これはもう当たり前なんです。申し訳ないことをやった、謝るべきなんですよ、もっと大きな声で。その上で、私が質問しているのは、そのような起訴をした、起訴に至るような対応をした現地の検察の取組がどうだったのかということを言っている。気の毒云々の話じゃないんですよ。それについて答えてないじゃないですか。
 この二点、もう一回ちょっと質問させてください。
#57
○政府参考人(岡田薫君) 私どもとしては反省すべきことは多々あると考えておりますので、そういう意味からすれば、不適正な部分があったと御理解いただいて私は構わないと思っています。
#58
○政府参考人(大林宏君) 先ほども申し上げましたとおり、本件について、私たちその経緯を詳細に承知しているわけではございません。ただ、非常に、刑事司法として、このような結果が起こるということは非常に重大なことであり、国民の方の信頼も失う重大な問題であるというふうに私たちは承知しております。
 したがいまして、先ほども申し上げましたけれども、このようなことがなぜ起こったのかと、それから、どうしたら防止できるのかということはやっぱり徹底的に検証する必要があるというふうに考えておりますので、その努力をしたいというふうに考えております。
#59
○簗瀬進君 警察、不適正というふうなことが御答弁の中で出ましたけれども、どこが不適正だったと御認識ですか。
#60
○政府参考人(岡田薫君) 恐らくいろいろな側面があるのだろうと思いますけれども、私ども、まだこの事案もう少し更に詰めて、反省するところをもう少し詰めていかなきゃいけないと思っていますけれども、やはりある意味で、何と申し上げましょうか、弱い立場と申しましょうか、そこら辺の表現が大変難しいところはあろうかと思いますけれども、そういう方を取り調べるときの取調べ方、調べ官の問題とか相手方とか、個々の具体的な状況でなかなか一律には申し上げにくいところもあるわけでございますけれども、そうした相手の立場なりなんなりについて常に念頭に置きながら、より適正な捜査に努めるというのが私どもの務めであろうかと思っております。
 そういう意味で必ずしも適正ではないところがあったと、こういう理解をしているということでございます。
#61
○簗瀬進君 捜査の当初、これは警察、検察、両方に質問したいんですけれども、取調べに当たった皆さんは、知的障害を持った方だなという御認識があったんでしょうか。さらには、その知的障害でも軽度から重度まであるわけです。まず認識があったのかどうか、その上で、その程度がどの程度のものなのかなということを、突っ込んでその部分を確認をするような努力をしたことがあったのかどうか、これは双方に聞かせていただければと思います。
#62
○政府参考人(岡田薫君) お尋ねの件は、かなり具体的な犯罪捜査の中身にかかわることでございますし、事柄の内容上、かなりプライバシーにもかかわるものでございますので、具体的な内容にわたっての答弁は少し差し控えたいと存じますけれども、一般論として申し上げますれば、私どもとしては、知的障害を有している方、そうした人が被疑者となって取調べに当たる場合には、その責任能力の認定についての問題とか、あるいは目的、認定に資するといったことや、取調べ自体を適正に行うという観点から、その障害の有無ですとか内容について慎重に判断しているものというふうに承知をいたしております。
 また、いずれにいたしましても、そうした障害を有している被疑者の取調べに当たりましては、相手方に十分理解してもらえるようなできるだけ平易な言葉を用いたり、あるいは暗示を与えることをないように配慮するなど、その供述の信用性について特段の配慮をすべく指導を行ってきたところでございますけれども、今後ともそうした点を十分踏まえて一層指導を徹底してまいりたいと思っております。
#63
○政府参考人(大林宏君) 被告人の方が知的障害であったのか否か、またその程度がどの程度であったのかということは、ちょっとプライバシーのこともかかわりますので、ちょっとこの場ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
 一般論として申し上げれば、当然供述の信用性や責任能力に影響を及ぼし得る障害の有無についてはやっぱり慎重に捜査すべきものであると、こういうふうに考えております。
#64
○簗瀬進君 この方の知的障害のレベル等については、若干の新聞の記事等を引用させていただきますと、「公判中の被告人質問に、男性はよく聞き取れないくぐもった声で答えた。野口佳子裁判官の質問にも「うん」や「はい」がほとんど。説明するだけの言葉は続かない。 「何か言うことはありますか」。公判終了間際、野口裁判官に促された男性は「ない」とだけ答えた。」と。
 極めて、もうこの受け答えをしただけで相当知的障害の程度も重度であったのかなと、このように我々でも恐らく判断できるだろうと思います。にもかかわらず、その障害のレベルがどの程度であったのかというようなことは捜査段階では確認されていなかったんですか。警察。
#65
○政府参考人(岡田薫君) それなりの確認といいますか、大変繰り返しの答弁みたいになって恐縮でございますけれども、かなりプライバシーにかかわる内容でございますので少しお答えはしにくいんですけれども、捜査をする側としては、相手ともいろいろな、取調べというのは相互に話もするわけでございますし、そのほかの照会等、必要な照会等も一般的には行うものであろうと、このように思っております。
#66
○政府参考人(大林宏君) 繰り返しになりますけれども、供述の信用性あるいは責任能力に影響を及ぼし得る障害の有無等については、それは捜査官としては慎重に捜査すべきものであるというふうに考えております。
#67
○簗瀬進君 そういうべき論で話を進めますと、やっぱり建設的な議論には私はならないんだろうと思うんですよ。
 やっぱり、このようなある意味での失敗があった。失敗は、それはどこにもあります。問題は、その失敗の教訓を将来いかに生かすのかということなんですよ。先ほどの警察の方からの御答弁でも、指導をいたしますと。ただ、指導というのは、言うならば人的なところで指導がよく行われたり、あるいは不十分だったりということに必ず行き着いていくんです。
 でありますから、私は、こういう失敗をした以上は、当然失敗をした者の将来への責任として、マニュアルをきちんと作り、捜査の手順、こういう方に会ったらこういう対応をするんだぞということをきっちりとやっぱり、将来につながるような形でマニュアルをしっかりと整備をして、徹底をするということが一番いいんではないのかなと思うんですが、警察そして検察、それぞれ御答弁いただければと思います。
#68
○政府参考人(岡田薫君) マニュアルという概念がどの範囲を指すのかというのは結構幅の広い概念ではあろうかと思いますけれども、取調べと申しますのは、御案内のとおり事件も大変異なっていますし相手方も異なっていますので、すべてをマニュアル化して行われるものではないと思っております。
 ただしかし、取調べ、例えば取調べということであれば、取調べについてはどういうことを配慮して取り調べるべきか等といったことは、犯罪捜査規範などにもございますし、あるいは各種執務資料と申しますか、現場の資料等でもございます。
#69
○政府参考人(大林宏君) 今回の事件は反省すべきものがあろうかと思います。
 今委員御指摘のことを踏まえて、やっぱり会議とか、それから各種研修もあります。また、一層上司によるそういう部下検察官への指導というものにおいてやはり生かされていかなきゃならないというふうに思います。
 まあ、今おっしゃる知的障害者だけを対象にしたマニュアルというものの作成がいいか悪いかという問題もあろうかと思います。しかし、私どもはやはり現実に生の事件を扱っているわけですから、それは、そういう間違いがあってはならないということは当然のことでありまして、今のような各機会を通じて一層注意するような形を考えていきたいと、このように思っております。(発言する者あり)
#70
○簗瀬進君 今も千葉委員の方から、制度的に考えなければ駄目なのよとあったんですけれども、私もそのとおりだと思うんですね。
 特に私は、検察として、何でこれ第一強盗、第二強盗にまで簡単に起訴というようなところに行ってしまったのかなと。私は、やっぱり一線の大変忙しい、犯罪に対して対処していかなければならない警察とですね、さらに、起訴をするかどうかの最終権限を持っている検察というのは、やっぱり取組が、腰の据え方というようなものが当然違ってしかるべきだと思うんですよ。何となく警察から送ってきたものを自動的に検察の方も起訴してしまうような、そういう惰性の仕事というようなものがここにちょっと感じられるものですから。
 これ以上議論はいたしません。ただ、このような知的障害を持った方というのは、もう極めて、いわゆる相手の言ったことをすぐ反復をしてしまう。そういう意味では、何度も何度も言われると、やっぱり自分の言われた言葉が理解をしていないのかなと、そういうふうにばかにされては嫌だなと思って相手の言葉に乗ってしまう、そういうふうな気持ちがやっぱりあるんですよ。だから、極めてその誘導に乗りやすいんですよね。これをしっかりと制度的に、こういう方に対する取調べが適正に行われるということを考えると、やはり精神科とかあるいはケースワーカーとか、あるいは弁護士会にも当番弁護士制度というようなものがございますので、弁護士会に直ちに連絡をして共同作業を取るとか、そういうふうな新しい取組をお考えになったらいいんではないのかなと思うんですけれども、警察、検察、それぞれ御答弁いただければと。
#71
○政府参考人(岡田薫君) 知的障害を有する人について取調べを行う場合、例えば相手方に十分理解してもらえるように平易な言葉を用いて、暗示を与えることのないような配慮をするとともに、供述の信用性についても十分な裏付けを取るよう、そうした配意をするように指導を行ってきてはおります。
 御指摘の取調べへの精神科医等第三者の立会いの義務化といった制度を導入することについては、取調べの機能を阻害するおそれがあることなどから困難であると考えていますし、今後とも知的、いますけれども、そうした方々の御意見等も伺うことはいろいろあるのだろうと思います。そうしたことを踏まえて、今後ともそうした方への適正な取調べについて一層徹底を図ってまいりたいと思っております。
#72
○政府参考人(大林宏君) 知的障害者等一般に誘導を受けやすい人の取調べに当たりましては、取調べの対象者の特性に配慮した適正な発問を行うとともに、十分な裏付け捜査を行うといった捜査の基本を守ることが重要であると、これは委員御指摘のとおりでございます。
 ただ、取調べにどなたを立ち会わせるかと。おっしゃられる専門家という問題、あるいは弁護士さんという問題がございますけれども、それはまた、他方、取調べの機能の問題もございますし、司法制度改革審議会意見においても、「刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要である」ということが一般論として述べられておりますので、将来的な検討課題であることは私も認識しておりますけれども、なお慎重な検討が必要であると思っております。
#73
○簗瀬進君 余りしつこくやりたくはないんですけれども、これ、暴行罪、強盗二件が入って七年の求刑がされていた方が、判決言渡しの、その判決言渡しの公判のときに、急遽、二罪について、強盗二罪については無罪だったということを言ってこういう形になっているんですよ。もし、その日、様々な状況の中で、このいわゆる強盗が無罪であったというふうな供述が公判廷で出なければ、そのまま七年ですから、間違いなく実刑で相当長期間受刑しなければならなかったということの重みというようなものが私はどうも何か実感としては伝わってこないんですね。
 だから、やっぱりそういう誤った処置によって一人の人間を相当長期間、もう人生を変えてしまうぐらいの拘束状況に置くと、そういう大変緊張したお仕事を皆さんしてもらわなければならないのに、どうもやっぱり取組が真摯さ、あるいは将来に向けての、何といいますか、積極性といいますかね、そういうようなものがちょっと感じられないんですね。
 ここは水掛け論で、もうやりませんけれども、どうかこういうことが絶対起こらないように、また、二度と起こらないような体制をつくる、そのための仕組みをつくる、こういうことで御努力をいただければと思います。
 そこで、最後に大臣にちょっと御所見いただきたいんですけれども、今回も物証なしですよ。やっぱり自白偏重です。その自白も、今申し上げたように、誤導あるいは誘導の結果の自白であったと。正に自白偏重とそれから密室調査、それの弊害が極まれりという、そういうケースだったと思うんです。
 そういう意味では、私ども民主党もかつて議員立法提案をいたしましたが駄目になりました。捜査の可視化と、見えるようにすると。取調べ時のテープの録音とかビデオの撮影、もうアジアの、韓国でもシンガポールでもみんなやっているんですよ。そういうようなものを日本はまだ取り組まれようとしていない。これは大変な後れだと思うんです。監獄法改正もありますけれども、それと同時に、この捜査の中での可視化という形で捜査の誤りをできるだけ少なくしていくという努力をやるべきだと思いませんか。そういう意味では、このテープ録音とかビデオ撮影、そういうようなものを義務化していくべきだと思うんですけれども、大臣の御所見を聞きたい。
#74
○国務大臣(南野知惠子君) 御指摘のような事態が発生したことにつきましては、本当に残念に思っております。今、法務省の考えとしても、もう既にお述べになっておられますが、そういうようなところがございます。また検察としても、やっぱり再発防止、これに万全を期す必要があるということを考えております。
 そういうことから、今先生がお尋ねのビデオの録画、また録音やビデオ撮影を義務化すべきではないかという御意見がございましたが、被疑者を取り調べるときの録音、録画につきましても、これは司法制度改革審議会意見におきまして、これは刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどの理由から将来的な検討課題とされておるところであり、慎重に考えていかなければならないと思っております。
 先生御質問の中で、精神科医を立ち会わせたらどうかというようなお話も今ここでいただきましたけれども、私が、これまた法務大臣の立場を離れてという感じでもお聞きいただければと思いますけれども、この当事者が本当に心を許せる人がだれだったのかな、いつも常に自分のそばにいて自分を、まあ守ってくれると言ったらおかしいですけれども、自分の代弁ができる人は私は身内の人ではないかな、精神科医という人であるのかなと。そこら辺ちょっと私自身も疑問を思っておりますので、どういう方が適切なのかということもこれ考えていかなければならない事柄なのかな。その方がリラックスして質問に答弁できるという、まあ私のことを考えていただいてもいいわけですが、リラックスできる環境というのが一番その当事者にとっても必要なことなのかなと、そのように思っております。
#75
○簗瀬進君 大臣を離れると突然リラックスされるんですけれども、大臣でいるときに私はリラックスをして、正に今ヒューマニズムあふれるお言葉があった。別に、法律の専門家だから法務大臣ができるということではないと思うんですよ。正に人間の痛みが分かる、そういう方が率直な法務行政を執っていただける、これを実は国民は本当望んでいるわけでございまして、精緻な法律の論議を期待しているんでは全くないと思うんです。
 正にそういう意味では、知的障害者の対応という形になりますと、これは今おっしゃられたような福祉との接点というようなもの、これが必ず出てくるんですよね。だから、厚生労働の仕事と実は法務の仕事というのは非常に同じレベルに立ってくるような部分もあるので、正にそういうときこそ法務大臣としてもっとどんどんどんどんリーダーシップを発揮なさった方がいいと思うんですね。そこを私は更に期待して、次の議論に進みたいと思っております。
 先ほど、若干ですね、質問に入る前に、これ質問項目に挙げてなかったんですけれども、今恐らく日本では一番手に入りづらい本、「あなた自身の社会」。私も宇都宮の本屋さんで注文をしたら、第一回目の注文でも届くのが二か月ぐらい先と、第二回目の注文にあなたなりますよと、そうしたら三か月か四か月先になりますからというふうに言われたぐらいに日本の皆さんが買っている。なぜこの本がそれだけ人気を呼んでいるのかというのは、先日、皇太子殿下がインタビューの中で「子ども」というこの本の中にある詩を引用されまして、それで多くの日本の皆さんの心を打っている。
 これ、実はスウェーデンの中学校一年生から三年生までの教科書です。この教科書を、中身をごらんになったことございますか、大臣。
#76
○国務大臣(南野知惠子君) その本の中身は見せていただいたことはないんですけれども、新聞に皇太子殿下が御紹介された詩が載っておりました。その中にもうのめり込んでしまったという感じでございます。
#77
○簗瀬進君 私も全く今の点は大臣と同感なんです。すばらしい詩を、しかも皇太子殿下よくお目に留めて御披露していただいたなと、そういう気持ちを持っているんですけれども。
 それと若干違った視点でこのスウェーデンの教科書を見ますと、私は大変すばらしいなと思う点がございます。というのは、この本の構成なんですね。目次を見ますと、第一章、第二章からずっとあるんですが、皇太子殿下が紹介された本というのは、後ろの方に出てくるんですけれども、第一章に何が出ているかというと、「法律と権利」ということで第一章が始まってまいります。その項目立てを見ますと、「私たちの法律」、それが一。二が「犯罪」、三が「警察」、四が「裁判所」、五が「無益な暴力」、六が「犯罪者更正施設」、これが第一章なんです。中学一年生から始まるということなんで、この第一章のときから、犯罪とは何かとか、あるいは裁判所とは何かとか、警察とは何かということを実にリアルに教えているんですね。第二章には、「あなたと他の人々」ということで、特に女の子と男の子の関係とか、「若者とアルコール」とか、「若者と麻薬」、「建設的な生き方がある」と、こういうのが第二章。それから第三章では、「あなた自身の経済」ということで、家族の経済がどうなっているのか、それが一。「物を買う」というのが二。三が「消費者情報」、四が「クレジットで物を買う」、五は「広告は購買意欲をさそう」。こういう実に生活に密着をしたリアルなことを子供たちにしっかりと教えているんですね。
 私は、これは大変やっぱり、スウェーデンというある意味で私どもの一つのお手本とされる成熟をした国なんですけれども、すばらしい知恵を持って、実に真剣に子供たちに取り組んでいる、向き合っているなと、こういうふうな印象を強く持つわけでございます。
 是非これ大臣も参考にしていただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#78
○国務大臣(南野知惠子君) もう今先生が御紹介していただいたその本、本当に見てみたいなというふうに思っております。
 それと、今私がちょっと浮かんだのは、我が国におきましても今やっと法教育というのが始まったところでございます。そういう意味では、小学生、中学生がそのルールを、自分が生きていくルール、人間であることのルール、男女と共同で作業をしていく、また、家庭をつくる、家族のきずな、そういうルールが本当に理解されていけば、その本と同じように、我が国の国民たちもすてきな大人に成長していくんじゃないかなと。そういう意味では、この法務委員会の我々すべてが努力していって、法教育というところに力を出していきたいなと思っております。
#79
○簗瀬進君 随分長々とイントロを使わせていただいたんですけれども、今日は監獄法改正の議論をしたいと思っておるんです。
 先ほど松村議員からも御質問がございましたけれども、犯罪の動向ということがやっぱりこれからの我が国の刑事司法あるいは社会全体の姿に非常に重要な意味を持っている。ところが、先ほどのやり取りの中でもございましたけれども、治安の悪化等は、これは私も同感でございますけれども、よく言われる検挙率が極めて低くなっている、犯罪が急増をしていると、こういうふうな認識がございますが、実際、本当にそうなんだろうか。これをしっかりと踏み込んでみた上で次に監獄法等の議論に進んでいくべきなのではないのかなと思っておるんです。
 例えばこのスウェーデンの本、非常に面白いなと思ったのは、この本の中で「犯罪」というところがありますけれども、中学校一年生によくここまで教えるなと思うんだが、「犯罪の検挙」というようなもので、そこの部分に書いてあります「届出のあった犯罪の三分の二は、犯人が捕まりません。検挙がそんなにも少ないことの最大の理由は、警察官に時間がないことです。警察官の時間の大半は、重大犯罪の捜査に向けられています。重大犯罪に限ってみれば、検挙件数は大きくなります。」、こういうふうに、実にリアルな形で子供たちにこういう教科書の中で触れられているんですよ。それに負けないような犯罪動向の分析の議論を私たちはしていかなければならないと。
 こういうふうに思いつつ、本当に犯罪は増えているんだろうか、そういうことで、今日、資料の一から八まで、これ、まず資料の一から四までは、これは平成十六年度の犯罪白書をコピーしたものでございます。それから、資料の五、六、これは法務総合研究所が出しております「犯罪被害実態(暗数)調査結果の概要」から取ったものでございます。そして、資料七と八というのは、これはたしか警察庁の生活安全局少年課が出している「少年非行等の概要(平成十六年一〜十二月)」と、ここで出されている資料から取ったものでございます。これをベースにして、犯罪は本当に増えているのかなという議論をさせていただければと思っております。
 資料の一にあるように、よく言われているのは、認知件数が急増していますよ、検挙人員はウナギ登りですよ、こういうふうな話があるんです。
 我々が議論をする場合によく検挙率という数字が出てくるんですけれども、検挙率というのは一体どんな数字ですか。これ、まあどなたでもいいです。
#80
○政府参考人(岡田薫君) 私ども、犯罪はいろんな種類がございまして、刑法犯ですとか特別法犯、交通法犯、大きく分けるとそんな感じになりますけれども、いわゆる刑法犯と言われる犯罪について検挙件数を認知件数で割ったもの、これを検挙率と呼んでおります。
#81
○簗瀬進君 正にお答えになったように、検挙件数を認知件数で割ったものが検挙率と、これはもう当たり前のことなんですが、認知件数ということで、認知という言葉がございますけれども、この認知の中身はどんなものですか。
#82
○政府参考人(岡田薫君) 御案内のことと存じますけれども、一番一般的には、犯罪で害を被った方からこういう被害に遭いましたといった申告ですね。あるいは、殺人事件のようなものですと、申告というよりはむしろ周りの方から、気付いた方からの連絡、そういったものであろうかと。
#83
○簗瀬進君 認知件数の中で申告の数字というようなものがどの程度の率を占めるのか。
#84
○政府参考人(岡田薫君) 申し訳ございません。調べればそういったいろんな区分けができているんですけれども、ちょっと今日は資料を持ってまいりませんで恐縮でございます。
#85
○簗瀬進君 これは別に追及するつもりはございません。大体アバウトで、今までのあれの中で、認知件数と言われている中に申告によるものというのは何割ぐらいございます。大体でいいですよ。
#86
○政府参考人(岡田薫君) 済みません、ちょっとお時間下さい、今資料見ますので。
#87
○簗瀬進君 じゃ、見ている間に別の質問しておきますけれども。
 言うならば、この認知件数というのは、今、後でお答え出てくるだろうと思いますけれども、基本的には申告数なんですね。申告数、申告の数がどの程度多いのかというようなことによって微妙に違ってくると、こういうふうな側面を持っている。
 で、検挙率全体が、例えば平成十四年度の犯罪白書では、認知件数が連続してワースト記録を更新し、検挙率は低下の一途をたどり、ついに戦後初めて二〇%を割ったと。この辺りから非常に検挙率が二〇%を割って大変危機的な状況だと、こういうふうな訴え掛けが随分政治の世界から出てきたような感じがいたします。
 確かに、資料の二を見ますと、非常に検挙率がだあっと下がってくるという、平成十年度辺りからだあっと下がってくるという状況が出ているわけなんですけれども、私は、これは正に検挙率でございますから、検挙率は、先ほど言ったように、母数が認知件数で分子の方が検挙件数ということなんで、分子が増えたのか検挙が増えたのか、その辺の動向によって検挙率というのはもう下がってくる、下がり方等の微妙な影響出るだろうと思うんですけれども、この辺についての見方はどういうような見方をなさっているんですか。
#88
○政府参考人(岡田薫君) 済みません、最初に先ほどの認知のうちの申告といいますか届出の具合ということでございますが、十五年のデータがここにございますけれども、刑法犯、交通業過を除いた総数が二百七十九万、そのうち二百五十四万ほどが被害者、被害関係者からの届出とされています。
 それから、その次の御質問の認知件数と検挙件数の問題でございますけれども、認知件数についてはよく言われますように昭和期の二倍程度になってきている、ここ数年少し下がってきておりますけれども、それぐらいの数字でございますし、検挙件数については横ばいないし、もちろんピーク時に比べれば少し減少と、そういった流れではなかろうかと思います。
#89
○簗瀬進君 すなわち、今のお答えの中から二つのことが導けるんじゃないのかなと。まず第一番目には、検挙率が急落をした原因というのは認知件数の急増であるというのが一つ。それから二つ目には、認知件数の八割以上が申告であると。ということは、すなわち申告が急増をしたと。今まで告げていなかったものが急激に増えてきたと。それに対して警察が対応できないんで検挙率が下がっていると。こういうふうなことになると思うんですね。私はそこが非常に重要な、いわゆる犯罪動向、本当に増えているのか減っているのかということを見極めていくための大きなポイントだと思うんです。
 資料の四をごらんになっていただければ、これは平成十六年度の犯罪白書でございますけれども、そこに下に下手くそな字で書いてあるのはこれは私の字なんですけれども、平成十四年度では全認知件数が三百六十五万件。そのうち、パーセンテージでいってみますと、窃盗が六一%、それから器物損壊が六・三%、交通業過が二三・五%。認知件数の御三家というのはここなんですよ。この認知件数の御三家だけで占めるのが九一%です。正にそういう意味では窃盗、器物損壊、交通業過が非常に認知件数を押し上げる要因になっている。
 じゃ窃盗というようなものがどういうふうにこの認知件数が上がったのかというと、先ほどのお話を併せて言ってみますと、これ交通業過は、これは一〇〇%近い、まあ申告というか、交通事故があった段階でほとんど保険絡みもあって一〇〇%これ認知される話だと思うんですね。窃盗、器物損壊のやっぱり認知件数ががっと、認知じゃない、申告件数が増えてきているというふうなことが認知件数押し上げの一つの要因になっていると、こういうふうに見得るんではないのかなと思うんです。
 次に、資料の五と六を見ていただくと、ここに申告率というようなものが出てまいります。それから、申告率は資料の六、それから被害率というのは資料の五でございます。
 これは、実は法務総合研究所が犯罪被害の実態(暗数)ということの調査結果として出されたものでございますけれども、この暗数調査は何年ぐらい前から始まって、どの程度の頻度で行われているのか、お答えいただけますでしょうか。
#90
○政府参考人(大林宏君) 私の方のちょっと所管ではないんですけれども、私の承知している限りでは、平成十二年に第一回、それから十六年に第二回ということが行われて、まだ間もないような話を聞いております。
#91
○簗瀬進君 二回しか行われてないと。一方で、犯罪白書というのはずっと昔から毎年毎年積み重ねがあるわけでございます。私はこの辺に若干の、犯罪動向を本当の意味で見極めるというふうなところでは、ちょっと体制がこれからもう一つ取組を変えていただかなければならないんではないのかなと。
 先ほど申し上げたように、認知件数の九割近くが申告だと。そうすると、申告の状況というようなものは犯罪によってかなりばらつきがあるんです。資料の六をごらんになっていただければ、これはもう別に資料を見なくても大半の日常経験の中から類推は付くんですけれども、申告率を見てみますと、世帯犯罪と個人犯罪で分かれておりますけれども、一番低いのが何といっても性的暴行です、申告率九・七%。で、一番高いのがバイク盗七二・七%。その次が自動車盗、不法侵入、こういうものでございますけれども、この資料六を見て私などはぴっと頭にくるのは、これは保険が掛かっているかどうかということがまずあるだろうと思うんですよ。自動車だと保険がございますから、申告をするという形になると損害賠償がぱっと出れるようになる。だから、保険が充実をすればするほど申告率が高くなる。窃盗も、いわゆる盗難保険等の普及の中で非常に申告をした方がいいと、こういうような状況が生まれているからこの申告率が高まっていると。こういうふうな動向があるんじゃないのかな。
 こういうふうに考えてみますと、この申告率、あるいはそれと被害率というのは、アンケートの中では被害に遭いましたかというふうな、現実にそういうアンケート調査をしたものが被害率として出てくるんですけれども、この被害率と申告率と認知件数、検挙件数というようなものを総合的に見て判断をしていかなければ本当の意味での犯罪動向というのは見極められないんじゃないのかなと思うんですけれども、刑事局長、いかがですか。
#92
○政府参考人(大林宏君) 委員御指摘のとおりだと思います。
 これは一調査ではございますけれども、今問題にされている暗数というのは、非常にこれは難しい、取上げ方が非常に難しい問題がございます。当然、質問の内容によっても異なるでしょうし、犯罪の形態、私ども法律家にとっても、これが窃盗になるのか強盗の分類になるのかという境目の事案というのは幾らでもあるものでございまして、サンプル数あるいは質問の仕方等にもよりますし、これは一応法総研でやったものでございますけれども、第一義的には警察が捜査を実施しているわけでございまして、やはり警察、法務、やっぱり総合してデータを持ち寄ってもう少し、何といいますか、制度の問題とかいろいろな面で、おっしゃられるような、そういう役に立つといいますか、そういう形にだんだんと更に高めていかなきゃならないものだなというふうに感じております。
#93
○簗瀬進君 大臣にお尋ねをしたいんですけれども、確かに検挙人員は増えていると思います。ただ、認知件数、それから検挙人員の具体的な中身等も詳細に見ていかないと、簡単に犯罪は増えていると、こういうふうな認識を例えば大臣のような大変重い影響力を持った方が社会的にアナウンスするということは、社会全体をそういうふうな形で間違った誘導をする形にもなりかねないと思うんですよ。
 率直な、犯罪動向についての今までの議論を踏まえた上で、現時点で大臣、どんな御認識を持っているのかちょっと聞かせてください。
#94
○国務大臣(南野知惠子君) いろいろなデータが出ております。そこにはもう一度本当に見直さなければいけない、また考え直していかなければならない課題もあるのかなというふうに思っておりますが、そういう問題点については委員御指摘のとおりであろうというふうに思っております。継続的な暗数の調査を始めたばかりであるというのが現時点の立場かなというふうに思いますが、調査方法又は質問内容なども見直し、より良い調査を実施してまいりたいというふうに考えております。
 さらに、先生がお示しの資料六の統計など、一番下の申告ということを見ますと、今比較的女性も申告をするようになってきたという社会の流れもこの中で見えるのかなと、そういうふうに思っておりますので、命にかかわる、その人の一生にかかわるということについては更に重く見ていかなければならないかなと思っております。
#95
○簗瀬進君 今国会では少年法の改正ということになっているわけなんですけれども、その少年法で、少年犯罪が増えていると、触法少年が増えていると、こういうふうなことが言われまして、漠然とその気にさせられているような感じがするんですけれども、現実にどうかといえば、資料七、資料八ごらんになっていただければ分かるように、例えば資料七は、いわゆる刑法に触れた十四歳以上二十歳未満の少年がこの数字なんですけれども、決して電車道のようにだっと上っている数字にはなっていない。しかも、その解説の中の文章を読んでいただければと思うんですが、成人を含めた刑法犯の総検挙人員に占める少年の割合は三四・七%で、前年を三・三ポイント下回り、昭和五十二年以来二十七年ぶりに三五%を下回ったと、これ警察庁もちゃんと書いてあるんですよ。
 それから、二枚目は、これいわゆる、大変ショッキングでセンセーショナルに必ずなるいわゆる十四歳未満の触法少年についての数字でございます。この数字を見ると、むしろ触法少年の補導人員というのは全体的にはなだらかだけれども、少しずつ下がっていると、こういうふうな状況にあるんですね。
 こういう資料を見て、大臣、少年事件は増えていると言い切れるんですか。
#96
○国務大臣(南野知惠子君) 先生の資料を見せていただいてはおりますけれども、我々といたしましては、少年による刑法犯の検挙人員、それは昭和五十八年をピークとして、その後減少傾向が続き、最近はおおむね二十万人前後で推移していると。一方、少年の人口は減少しており、少年人口千人当たりの検挙人員であるいわゆる人口比で見ますと、平成八年以降上昇傾向にあり、平成十五年には約十五・五人となり、戦後最高値となった昭和五十六年に次ぐ高水準であるということでございます。
#97
○簗瀬進君 その辺は見解の相違かもしれません。ただ、今の大臣あるいは法務省の御見解の推移の分析というようなものが少年法の体制をかなり変えてしまうぐらいの立法的な圧力といいますか、そういう背景、事情になるのかなということについては大変私どもも疑問に思っておりますので、この件についてはまた後で議論をさしていただければと思っております。
 以上、かなり時間を掛けまして犯罪動向の今後というふうなことで議論をさせていただきましたけれども、なぜこんな議論をしたのかなというふうなことは、正にこれからの刑事司法をどう考えるのか、極めて基本的な哲学あるいは日本の社会設計をどうしていくのかなというその部分に大変私は絡んでいる議論だと思っております。
 誤解を恐れずにあえて使わせていただきますと、大きな刑事司法の道を進むのか、それとも小さなと言ったらちょっと語弊があり過ぎるんで適正なというふうに言い換えさせていただきますと、適正な刑事司法を目指すのかと、その分岐点が現在なんではないのかなと。そういう中で監獄法が出されて、改正、刑事施設法という形で出されているわけでございます。大きな司法というのは正に、警察官を増員をする、増員をすればそれは一生懸命仕事に取り組む、結果として先ほど来議論いたしております認知件数は増える、検挙件数も上がる。ただし、犯罪が複雑化していく状況であるならば絶対に正比例の形にはならないと思います。認知件数は増え、増員という形で人員も増え、しかし残念ながら検挙率というようなものはそれほど上がらないと、じゃ、これはまた警察官の増員だというふうな形になりますと、増員、認知増、検挙率低下、そして刑務所の収容者増、これがまあ言うならば刑務所の収容人口のスパイラル的な上昇になっていくんじゃないのかな、それが大きな刑事司法だと思います。現に、アメリカなどはやっぱりそういうふうな状況になりつつあるだろうと思うんですよ。
 私は、日本はそうなってはならないなと。むしろ刑務所の教育的な機能というようなものを高める、矯正的な機能を高める。初犯者が非常に増えているわけでありますから、その初犯者がしっかりと立ち直れるような、そういう取組を刑務所にもう一回しっかりとしていただいて、またできるようなそういう体制を整えた上で、正に適正な刑事司法をつくる、大きな刑事司法の道は選ばない、こういうふうな考え方を明らかにしながら監獄法の改正あるいは刑事司法の制度設計に臨んでいくというようなものが大臣の重大な責務だと思うんです。
 ということで、今の大きな刑事司法、それから適正な刑事司法という、こういう考え方についての大臣の御所見をちょっといただければと思います。
#98
○国務大臣(南野知惠子君) 先生が今お話しになられました大きな又は小さなという、そういう考え方についても、これ一理あるのかなというふうに思っておりますけれども、まあ我々としてというか、私の考えとしてちょっと申し述べさせていただくならば、刑事司法の在り方には、今先生がおっしゃったようなことを含めていろいろな御意見があろうかと思っております。御指摘のような再犯の防止とそれから犯罪者の更生、それを効果的に矯正処遇とそれから社会内処遇、それを行っていくということは本当に大切なことだろうというふうに思っており、重要なことだと思っております。
 ただ、国民の安全を脅かす犯罪というのが日々発生しておる今日であります。それを的確に検挙して適正な科刑を実施することもまた重要であろうかなとも思っておりますし、そのための体制整備も不可欠であろうかと思っております。
 お尋ねがこのような意味であれば、大きな刑事司法とそれから小さな刑事司法は決して対立する考えではなく、犯罪が発生した場合に検挙すべきものは迅速に検挙するとともに、再犯を防止するための様々な手だてを講じていくということは当然しなければならないと考えております。
#99
○簗瀬進君 この議論は今後とも続けさせていただくといたしまして、今度の刑事施設法では、今、重大な意義を持つ矯正処遇、これがどういうふうに位置付けられているのか、ちょっと、まあ大体法案の骨格も決まっておるようでございますので、御答弁をいただければと思います。大臣。
#100
○国務大臣(南野知惠子君) まず申し上げたいことは、国民が安心して暮らせる安全な社会を再生するには、受刑者が人間として誇りと自信を取り戻して健全な状態で社会に復帰できるようにすることがこれは重要であると、これは先生も御一緒のお考えであろうと思っております。受刑者がこのように真の改善更生を遂げるためには、その犯した罪を十分に自覚した上で自発的に改善更生及び社会復帰の意欲を持つことが大切であろうと思っておりますし、先生御指摘のとおり、そのために必要な指導を行うことが極めて重要であると考えております。
 提出を予定しております法案におきましては、こうした観点から、受刑者の真の改善更生を図るための処遇、それを充実させるような様々な方策を定めたいと考えております。私の心を申し上げるならば、又は矯正の心というのは、罪を犯した人のリボーンをどう支援していくのかということにあると思っております。さらに、提出を予定しております法案におきましては、矯正処遇は受刑者の資質及び環境に応じ、その自覚に訴え、改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成、それを図ることを理念として行うものと位置付けております。
#101
○簗瀬進君 実は、私ども民主党の法務部門会議では、二月の下旬からスタートいたしまして、全国十三か所の性犯罪を対象とした処遇プログラムを実施しているそういう刑事施設を順次手分けをいたしまして視察をさせていただいております。これはやがて集約をいたしまして、監獄法改正の論議のときにはそれをベースに各委員が議論をするだろうと思うんですけれども、私自身は川越少年刑務所、それから小菅にございます東京拘置所へ行ってまいりました。
 極めて皆さん共通の思いを持ったのは、現場の皆さんは一生懸命やっているという、そういう熱意は本当に伝わってまいります。ただ、まずは専門のスタッフが少ない。例えば、今全国やっておりますけれども、川越少年刑務所では教官が六名で、昨年度の受講者が十六人、百八十人の性犯罪受刑者のうち十六人と。一番数字が多いかなと思われるのは、お隣にいらっしゃる前川委員が視察していただきました奈良少年刑務所、これは百三十八人の性犯罪受刑者のうちで受講者が三十九名。多いところでこの辺なんですよ。一生懸命やろうとしているのは分かるんだけれども、まずスタッフが少な過ぎる。また少ないスタッフがやっているそのメソッドも様々ですね。
 私は小菅と川越へ行ったんですけれども、川越のときはグループカウンセリングなどをやっておりまして、かなり実態に即応したものであるかなと思っておりますけれども、一方で小菅の方は、一生懸命やっておるのは分かるんですけれども、毎回毎回お説教をしてその反省文を書かせると、それを六回連続で作文。言うならば私は作文という名の懲罰を科されているような、そういう気持ちになってしまうような受刑者もあるんではないのかなと。こういうように、様々、スタッフが少なかったりあるいはメソッドが非常に不十分だったり、ここら辺が目に付くところでございます。これは全部をまとめて後で議論させていただきたいと思うんですけれども。
 こういうふうな状況でございますから、是非とも、この専門家の養成を行ったり、処遇方針とか処遇手法、どの程度のスケジュールでこれをやるんだとか、こういうふうなことを所管をする充実した専門の養成機関をかなりしっかりとしたものをつくっていかないと、とても矯正処遇の実を上げるわけにはまいらない。先ほど矯正の心とおっしゃったその心も空念仏に終わってしまう、こういうことになるだろうと思うんです。
 その辺についての、専門機関をどのようにつくっていくのか、あるいは具体的にどういうふうなやり方で矯正を充実をしていくのかということについての御所見を聞かせていただければと思います。
#102
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 まず、委員御指摘のとおり、やはり私どもこれから、今問題になっております性犯罪の問題も含め、また受刑者のうち大変大きな比率を占める薬物事犯者等に対するその教育処遇というのは、現在やっております以上にこれからますます充実させなきゃなりませんし、そのための体制の整備も必要であるというふうに考えております。
 まず、委員がおっしゃいましたこういったその専門職員の養成といいますか、そういうことにつきましてですが、現在の実情を申し上げますと、行刑施設におきまして刑務作業あるいは教育的処遇を担当する職員につきまして、矯正研修所というものが中央にございます。それから各管区に、ブロックごとにそれぞれ支所がありまして教育をしておりますけれども、そういったところで効果的な矯正処遇を行うための専門的知識、それから技術の向上を図るために必要な研修を実施しております。それから、必要に応じましては外部の専門機関の研修なども参加させております。
 それから、矯正プログラムの拡充の問題でございますけれども、専門性を有する職員の活用を始め人的体制の整備などは先ほど申し上げましたようにこれからますます必要になるというふうに考えております。で、昭和十七年度の予算案につきましては、行刑施設における心理技官を六人増員するとともに、二十四施設分の民間カウンセラーの委託経費を計上しているところでございまして、今後、更に引き続き所要の措置が講じられるように努めてまいりたいと思います。
 それから、プログラムの、矯正プログラムの内容で、メソッドとおっしゃった、そのことなんですけれども、既に当局におきましては、昨年、薬物事犯者に対する教育処遇や被害者の視点を取り入れた教育につきまして、有識者の方々とともに研究会を開催しました。そして、これらの有識者の方々から様々な御意見をいただきました。現在、こうした御意見を踏まえて、標準的なプログラムの策定に向けて取り組んでおりますほか、これも委員がごらんになったところ、いろんな、ややばらばらではないかという印象をお持ちになったのかもしれませんけれども、やはりその性犯罪の再犯防止プログラムにつきましても、これは、現状はそれぞれの担当者がいろいろ試行錯誤をしながらやっているという部分がまだございます。しかし、私どもといたしましては、もっとその精神医学とか心理学とか、そういったその専門的な知見を必要と思いますので、そういった専門家の協力を得て科学的、体系的な教育方法を策定していこうということで、現在その準備を進めているというところでございます。
#103
○簗瀬進君 まあ、どうも法務省がいろいろな改革に取り組まれるんですけれども、私から見ますと、非常に、その予算の裏付けがないところで非常に孤独な改革に取り組まされていると、こういうふうな印象が強いんですね。是非ともそういう意味では大臣先頭に立って、やっぱり必要な予算はしっかりと付けていかないと本当の意味でのいい刑事司法改革あるいは社会改革はできないと思いますんで、是非頑張っていただきたいなと、こういうふうに思う次第でございます。
 次に、会社法について、会社法改正というか新会社法案についての質問をさせていただければと思うんですけれども、敵対的買収に対する防衛策としてどんなものが予定されており、それは新会社法の、今までの商法のどこをどういうふうに直す結果としてこの防衛策ができるようになるんだと、こういうふうな解説を非常に分かりやすく端的にしていただければ有り難いんですけどね。
#104
○政府参考人(寺田逸郎君) まず、最初でございますので若干留保させていただきたいわけでございますが、この会社の敵対的買収に対する対抗策といいますのを御説明申し上げる際に、まずその敵対的買収は何かということが問題になりますし、それから対抗策というものを果たして会社法に用意してあるものとして御説明していいかどうかという問題がございます。
 と申しますのは、証取法の世界、証券取引の世界で敵対的か敵対的でないかということを論ずる意味は非常に多くあると思いますし、会社法もまた広い意味ではそうだろうとは思いますが、しかし何が敵対的かということを会社法上定義するということは極めて困難でありますし、また、すべきでもないことなんだろうというふうに一般的にはこれまで考えられてきておるわけでございます。
 したがって、次に申し上げると、その対抗策というものも、元々、会社法上できるいろいろな仕組みというものを利用いたしまして企業の側で元々御工夫されていかれるものであって、まあ極端に申し上げれば、非常に優良な企業で株価が高いから敵対的買収を避けられているということで、それも一つの政策だと言われれば、そう、そのとおりなんであります。
 余り長くなりますんでこのぐらいにさせていただくわけでございますが、ただ、通常どういうものが敵対的買収に対する対抗策だと言われているかと申しますと、これはもうアメリカから入ってきている概念が比較的日本でも論じられているわけでございますけれども、まず一番分かりやすいのは、株式の種類株というものを利用いたしまして一定の株式には絶対的な拒否権というものを与えるというタイプのものがございます。これは現行法でもできます。例えば、会社の合併でありますとか役員の選任について、ある株式を持っている人が他の株式を持っている人よりも別格の地位に立つということを認めるわけでございます。ただ、現行法の二百四条と二百二十二条九項の解釈といたしまして、譲渡制限とこの種類株を組み合わせるということはできないと解されております。すなわち、譲渡制限を掛けるなら全部の株に掛ける、一定の種類株だけ譲渡制限を掛けるということはできないということになります。ということになりますと、せっかく拒否権付きの株式を発行いたしましても、その株式が他に譲渡されるということがあり得るというわけでございます。
 ただ、今回の会社法案の議論の中におきまして、この種類株と譲渡制限付株式というものの組合せということは決しておかしいことではないんではないかという理論的な分析がなされまして、これは何も企業の対抗策としてではなくて一般的な問題として、その種類株のうちのあるものにその譲渡制限を付けるということが可能になるという予定をこの要綱でもお示ししているわけでございます。そういたしますと、これがより有効な防衛策として機能するということになります。
 で、よろしいでしょうか、更に……
#105
○簗瀬進君 じゃ、それぐらいにしましょう、時間がありませんから。
 いわゆる、今のはポイズンピルの一つとしての御説明だったと思うんですね。で、ポイズンピルの二つ目としてよく言われているのがもう一つあって、あと黄金株というようなものの話もあると。
 よく我々は法務省の皆さんから三つぐらいのパターンを説明を受けるんだけれども、非常に、法律のこの部分を変えたからこうなりますと。だけど、こうするために法律をこう変えましたということではないということは分かります。だけども、結果としては、新聞等では、ここが変わったからこれができるようになりますと、こういうふうな形での解説になっているので、極めてそういう意味では分かりづらい御答弁だったと思うんですけれども。
 私が聞きたいのは、今の答弁の中で一つだけ取り上げて言えるのは、今まで譲渡制限を掛ける、株式というのは転々譲渡をするというのが本質的な性格であったはずなんです。だから、譲渡制限というようなものを掛けるについてはオール・オア・ナッシングなんです。全部譲れるか、みんな取締役会の承認を受けるという形での、だから全部譲渡制限にするか全部譲渡無制限にするかという議論で今まで来た。ところが、いわゆる定款が規定をすれば、それは特別決議で定款変更をしなければならないわけだけども、定款の規定からすれば種類株、いろんな種類の株があって、一部には譲渡制限を掛けることができる、ほかは転々譲渡自由だと。こういうふうな形での、かなりいろんなバリエーションのある株式の形を定款ということでどんどんどんどん出せるようになる。で、それを利用した形で様々な対抗策が取れるようになるということでもあるんですけれども、結果として株式の中に様々なバリエーションを定款の決定によってどんどんどんどんつくれるようになりますよと、いろんな条項を株式の中に付けることができますよと、いろんな株が出回る形になる。そういう状況になるということは僕は間違いないと思うんです。
 結果としてどうなるのかというと、私が一番懸念をするのは、いわゆるそういう情報を的確に取ることができ、また、その取った情報によって株のきちんと運用をできるというそういう力を持っている人と一般の投資家、このギャップというようなものはすごく出てしまうんではないのかな、結果として、一般株主というような者が極めて疎外されるような株式市場をつくってしまうんではないのかなということに対する懸念を実は私、持っております。
 今度も、ライブドアとフジの間で様々な熾烈な闘いをやっている。マスコミはその部分だけ非常に集中をして報道をする。しかし、だけれども、株がばあっと増えることによって株価が下がる。そして、それをあれよあれよという間に低い株価にさせられてしまって、じゃ、一般投資家はどうなるのよと。一般投資家の視点というようなものは極めて我々には見えてこない状況で、非常にはざまに置かれちゃっている、こういうことに間違いなくなっていると思うんですよね。だから、それに言うならば今度の会社法改正がある意味で手をかすことになるんではないのかな。
 敵対的買収、それから海外からの日本の企業買収等のいろんな議論もあります。だけれども、私自身は、今度の会社法の改正によって非常にその株式市場というようなもののイメージががらっと変わってしまいまして、結果として機関投資家優位、また一般投資家は非常に片隅に追いやられてしまうと、こういう形の市場をつくってしまうんではないのかな。これを非常に心配をしているんですけれども、大臣あるいはほかでも結構ですが、このような懸念についてはどうでしょうか。
#106
○副大臣(滝実君) 先生の御指摘のことは極めてもっともなことでございまして、基本は、今度の会社法の現代化というのは、一番主張しなきゃいけませんのは、やっぱり企業価値をどうやって高めるかというところから発想されていると思うんです。
 したがって、そういう意味、観点から見ると、例えば今民事局長から一つの例としてポイズンピルの例を申しましたけれども、これは基本的には短期的にやる対抗策なんですね。だから、そういう意味ではまさしく毒薬なんで、そう長い間服用するわけでもありませんし、しょっちゅう服用するわけではない。何となれば、資本の動きというのは、短期的に投資をしてきて、そして利益だけ得たら売り抜けて、あるいは支配者と協議をして利益をもうけたら逃げちゃうと、そういうようなこともあり得るものですから、長い目で見たら企業価値を損なう、そういうような動きがある。それに対して短期的にどう対抗するかというのは、一つの問題として出てきているのが最近のマスコミを中心にして関心を集めていることだろうと思うんです。長い目で見れば、やっぱり企業価値というのはある程度の中長期的にどう確保するかという問題でございますから、そういう意味で見ると、必ずしもそういう対抗要件だけを前提にして物を考えると、これは先生御指摘のような一般の投資家を毒するもの、それは長い目で見て企業価値を高めることにならないと、こういうことだろうと思います。
 したがって、商法の中でそういうようなことを考えて運用していかないといけない問題じゃないかと思いますし、実際問題として商法の中でそういうものを防ぐ仕掛けというのは余りないんですよね。だから、御案内のとおり、今度の問題でも二百八十条ノ十の差止め請求権とか、あるいは、具体的には、金銭的な問題では少数株主は買取り請求権という格好で対抗するとか、そういうものは制度としてはございますけれども、基本的にはどうやって企業価値を高めるかということに腐心、苦心していただかないと、今のような問題が誤解されていく、誤った運用になってしまうということは一番避けなきゃならぬ問題だろうと思っております。
#107
○簗瀬進君 大変お待たせいたしましたが、金融庁、ずっと待っていただいて恐縮をいたしておりますが、いらっしゃいますか。ありがとうございます。
 正に、一般投資家が意外に無視されているんではないのかなと、そういう懸念も持っております。これは確かに買収、敵対的買収に対する防衛策等がいろいろとちょうちょうはっしのやり取りが間違いなくできるようになる。しかし、その機関投資家同士が非常に派手なぶつかり合いをやっているはざまで、一般投資家がどんどんどんどん市場から逃げていくような形になりますと、これは、長い目で見ますと間違いなく日本の市場というようなものは極めて閉鎖的なものになってしまう。そういう観点からも、一般投資家の保護のための市場というようなものをどうつくっていくのか、これは工夫をしなければならないと思うんです。
 その点で金融庁の、今度の会社法を横目で見ながら、市場における一般投資家の保護というようなものをどういう観点で考えていくのか、ちょっと御答弁いただければと思います。
#108
○政府参考人(振角秀行君) お答えさせていただきます。
 先生御指摘のように、証券市場におきましては一般投資家が信頼して市場に参加できるよう、市場の公正性、透明性を確保していくことが非常に重要な課題だというふうに金融庁としても認識しておるところでございます。
 金融庁としても、これまで市場の公正性あるいは透明性を確保するために、証券監視委を中心とする市場監視機能の体制の強化とか、あるいはその利用者保護のための情報提供、相談等の枠組みの充実に努めてきたわけでございますけれども、今通常国会におきましても、今回の事件をかんがみまして、その公開買い付け規制について株主に平等の売却の機会を与えるということで、立会い外取引について、相対取引に類似した取引については公開買い付け規制の対象にするというような法案を今準備しているほか、この商法改正もございますので、今後とも必要に応じて、法務省ともよく連携を取りつつ、一般投資家の十分な保護が図られるよう適切な対応を行ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#109
○簗瀬進君 先ほどの副大臣の御答弁の中でも、正直申し上げるとそういう手段は商法上は意外に少ないんですと、これは率直な御意見だったと思います。御答弁だったと思います。正にそのとおりで、非常に何でもありの株式市場になろうとしているにもかかわらず、実は様々なルールというようなものが、アメリカ等では積み重なったものがたくさんあるわけですよ。そういうようなものは余りない。例えば、TOBのときの三分の一ルールも、実は三分の一という上限を設けていないと、大きなロットでどんどんどんどん鯨が大騒ぎをして周りを泳いでいる小さな小魚がもう市場から飛び出されてしまうような、そういうことにならないようにTOBの場合の限界も三分の一とした。あれは市場の秩序を守るための極めて内在的な、極めて規範性の高い法律のようなものなんですよ。
 ところが、実はその部分も本当に法律のように扱っているかというと、実は違います。ライブドアの問題は実はその辺にも絡んでくる話になるんですけれども、これが一つの例であるように、まだまだ市場のルールというようなものがしっかりと確立をされていない中で、やっぱり事実関係はどんどんどんどん進んで、何でもありのやり放題、そしてある意味で知恵の働く人だけがもうかってしまうというふうな形の市場が急速にできつつあろうとしているわけで、今度の会社法は間違いなくそれにある意味で手をかすんです。
 先ほどの定款で様々なタイプの種類株ができるようになる、それから株式の譲渡制限も一挙にできるようになる、極めて、定款で決めておけば、取締役会で決めれば何でもできる。ところが、取締役会というのがお互いに相互監視の機能を果たすようなそういう取締役会であるかと。日本は違いますよ。しかし、例えばアメリカやヨーロッパにおいては取締役の中でも相互チェックというようなものが利いて、取締役会の決定というのは様々なそういう試練を経た上で出てくるものであって、それなりに社会的な裏付けを持ったものなんです。市場も認めるものなんです。ところが、そうじゃないんです、日本の場合は。まだまだやっぱりカリスマ経営者とかあるいはオーナー経営者がどんと言ったことが決まってしまうような、相互チェックが利かないような取締役会の中で、何でもありの株式市場が今度の会社法を出発点にしてできようとしている。
 私は、これは極めて重大な、ある意味で立法的な決断のはずなんで、是非とも法務大臣、最後に、この重要な経済環境の変化を今度の会社法がするんだと、そういう認識を深めていただいて、しっかりとこの法案をいい方向になるようにしていっていただければなと思っているんですけれども、その決意を聞かせてください。
#110
○国務大臣(南野知惠子君) 先ほど松村先生の方からもお話がございました。
 会社法案は日本の経済活動を支えていっている会社に関する基本的な法律であろうかと思っております。したがいまして、会社法案は日本経済や株式市場にも相当の影響を与えるものであろうと、これは認識いたしております。
 この会社法が日本経済等に良い影響を与えるためには、会社が経済活動を円滑に行うことができるようにしなければならないと。また、その一方で、会社に対する信頼が失われないようにするためには会社経営の健全性を確保しなければならないと。今回の会社法案では、会社が経済活動を円滑に行うことができるように会社の定款による自治の範囲を広げるとともに、一定の規模以上の会社には取締役が違法な行為を行わないように監督する、その体制をつくり義務付けるなど、会社経営の健全性を確保するための工夫も行っている。
 このように、私は、会社法の成立により日本の会社がより強く、より健全になって日本の経済に大変良い影響を与えることになると思いますし、そのような方向にしなければならないと思っておりますので、会社法について先生方の御意見を十分にいただきたいと、そのように思っております。よろしくお願いしたいと思います。
#111
○簗瀬進君 終わります。
#112
○委員長(渡辺孝男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#113
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、松岡徹君が委員を辞任され、その補欠として蓮舫君が選任されました。
    ─────────────
#114
○委員長(渡辺孝男君) 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、法務行政の基本方針に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#115
○木庭健太郎君 午前中にちょっと引き続いて、午前中も皆さんテーマにいたしておりましたが、いわゆる今国会でも重要なテーマの一つであります監獄法、いわゆる監獄法の改正問題についてまず御質問をしたいと思います。
 仮出所中の人が凶悪な事件を起こすというような問題もあり、いろんな意味でいわゆる行刑の問題というのは大きなテーマになっているとも思いますが、法務委員会も、前回の委員会で報告いたしましたが、委員派遣におきまして福島刑務所や更生保護法人等を視察も行かしていただいております。
 したがって、まず刑務所問題についてお伺いをいたしますが、現在、刑務所の過剰収容状況の問題についてでございます。その緩和の見通しと、あわせて、今後どんなふうに緩和していくかということをお尋ねもしたいし、私どもが参りましたのは福島の刑務所でございましたが、やはりこの増設状況、やっておりましたが、本当にこれで間に合うのかなというような気持ちも多く抱いたという委員の感想でございましたし、また、この点に関しては我が国の行刑施設職員一人当たりの収容人数が外国に比べて非常に多いことももう従来から指摘もされております。来年度予算でこの点もどれだけ増員をなさるのか、職員の増員状況等についても併せて伺っておきたいと思います。
#116
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 刑務所などの収容人員は、平成十年以降急激な増加が継続しております。特に、受刑者等の既決の被収容者にありましては、平成十六年末現在で約六万四千九百人、収容率にいたしますと約一一八%でございまして、その収容状況は一段と厳しくなっております。
 これまで過剰収容状態の解消のために刑務所等の収容棟の増築工事等による収容能力の拡大を図ってきたところでございまして、本年度も福島刑務所及び同刑務所の支所を含め、約六千人分の収容能力増強のための工事を行ってきておりますが、それに加えまして、本年度の補正予算及び現在御審議いただいております平成十七年度予算案におきましても、PFI手法を活用した刑務所の整備を含め、刑務所等の収容能力を七千三百人以上増強することとしておりまして、これが完成した暁には過剰収容状態の緩和に大きく役立つものというふうに私ども期待しているところでございます。
 また、職員の増員でございますが、関係各方面の御理解を得まして、平成十七年度予算案におきましては五百三十四人の増員が計上されているところであり、これらの増員の活用によりまして過剰収容による職員負担の軽減を図ることとしております。
 しかしながら、最近の犯罪情勢等からいたしますと、収容人員の増加傾向はなお継続するものと予想されまして、これに伴いまして刑務所等の収容状態は依然として厳しい状態が続くことが推測されますことから、今後とも収容能力の拡充等に努めてまいりたいと考えております。
#117
○木庭健太郎君 その一方で、職員の負担軽減のために業務の民間委託という問題についても取り組んでいるようでございまして、来年度中には現在の三倍となる六百人まで増やすというようなことも報じられておるわけでございますが、この点、どんなふうにお考えなのか。また、民間で本当にいいのかという問題もあると思うんです、業務内容を含めて。そういった点も併せて御説明をいただければと思います。
#118
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 矯正施設における業務の民間委託につきましては、平成十六年度二百十二人であったところ、平成十七年度予算案では六百十七人予定をしておりまして、ただいま委員御指摘のとおり、約三倍の民間委託数となる見込みでございます。
 その業務内容でございますけれども、もとより、こういう民間の方にお願いできるものとそれからできないものと、これは性質上ございます。私ども考えておりますのは、もとより、その公権力の行使にかかわる業務以外の民間に委託できるものについていたすわけでございまして、具体的には、庶務、用度などのいわゆる総務系の業務、それから正門の警備、それから構外の巡回警備、それから差し入れ窓口の受付業務、そして被収容者のカウンセリングといった、そういった業務を今考えているところでございます。
#119
○木庭健太郎君 ですから、その辺はきちんとやっておかないといけないかなと。本来、民間委託という問題で刑務所というのが済むのかなというような正直思いはするんです。
 ただ、先ほども論議になっていましたが、じゃ、刑務所をそんな大きなものにしてしまって、大きな刑務所でいいのかというような問題も起きてくるだろうし、その辺の難しさを感じながらやっていらっしゃると思うんですが、是非その辺はよく業務については見ておいていただきたいなという思いがいたします。
 さらに、この委員会でも随分、私が参加する前でございますが、例の名古屋刑務所の問題、いわゆる受刑者の死傷事件を契機にしていろんなことの論議をいたしましたが、革手錠の問題については、あのとき革手錠については廃止するというようなこととなって、第二種手錠というんですか、が整備されたとのことでございました。
 ただ、この第二種手錠については、これ福島刑務所をお訪ねしたときに当委員会のメンバーが議論したときでございますが、第二手錠については現在はほとんど使用していないと、受刑者が暴れた場合でもこれを使用しないでも済む制圧の仕方などを研究しているというようなこともお聞きしてきたわけでございます。
 これは福島でお聞きしたお話でございまして、じゃ、この第二手錠という問題、他の施設においてはどんなふうなことになっているのかというようなことについて教えていただきたいし、また同様に、その刑務所の中における、福島刑務所での質疑の中でございましたが、行刑改革会議提言において問題となった受刑者のいわゆる軍隊式行進はやめていると、そういう発言もございましたが、こういった点、併せて全国的にどういう状況になっておるのか、教えていただきたいと思います。
#120
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 革手錠でございますが、これにつきましては平成十五年九月末日をもって廃止されております。そして、平成十五年十月からは新たに整備いたしました第二種手錠を使用しております。
 この第二種手錠の導入に当たりましては、矯正研修所及び支所における中間監督者に対する研修や、行動科学的な視点を取り入れた民間プログラムによる職員研修、各施設における第二種手錠の導入研修や、被収容者が暴れた場合でもより適正に対応できるような訓練を実施するなどいたしまして、その使用に当たりましては、保護房収容のみでは暴行等を抑止できず、やむを得ない場合に限り使用するよう改めて指導を徹底いたしました結果、各施設において謙抑的な使用に努めているものと承知しております。そこで、委員先ほどおっしゃいましたような福島刑務所でのような説明があったものと思います。
 これの平成十六年一年間における全行刑施設での使用件数を調べましたところ、約百五十件、これは全部でございます。被収容者の多い大規模施設でも十件程度以下というそういう使用状況にございます。
 それから、いわゆる軍隊的行進の見直し状況についてでございますが、この所内を移動する際の行進につきましては、大きな声で掛け声を上げさせ、手足を必要以上に振らせることなどにより、仮にも軍隊式というそういう印象を抱かれることのないようにと行刑改革会議提言におきましても指摘されたところでございまして、各施設におきまして、受刑者の質や施設の状況に応じ、行進時に受刑者に大きな声で掛け声を上げさせることをやめる、それから腕の振りや足の高さの指定をなくすなどの見直しを進めておりまして、できるだけ自然な歩行とするよう改善を図っているところでございます。
#121
○木庭健太郎君 そのほか、受刑者の教育に関する問題というのは、これからまた新たな法律も出して、その中で議論することになっていくんだろうと思っていますが、一つその中で、今類型型処遇のプログラムの問題、これも午前中少し話が出ていたと思うんですけれども、これどんなふうにしていくのかという難しい面もいろいろあるようでございます。この類型型処遇別プログラムですか、内容等について専門家による研究会を立ち上げる予定もあるというふうにお伺いしておるんですけれども、これらの経過も含めて御説明、現在の範囲内でできるところを伺っておきたいと思います。
#122
○政府参考人(横田尤孝君) 今おっしゃいましたような類型別処遇というものをそれぞれの刑務所におきましてはやっております。これは、今大きな問題になっておりますのは性犯罪の問題でございますけれども、これは薬物の関係であるとか、あるいは暴力団離脱を目的とするもの、あるいは生命尊重を目的とするものと、様々なプログラムが今それぞれの施設において策定されて実行されております。
 特に、今申し上げました中で、この受刑者のうち多くの割合を占めております薬物事犯者に対するものにつきましては、これも充実しなければならないということ、それから被害者の視点、被害者の保護という観点から、被害者の視点を取り入れた教育ということもこれは充実しなければならないということで、昨年、このような薬物事犯者に対するもの、それから被害者の視点を取り入れた教育ということにつきまして有識者の方々とともに研究会を開催して、現在、標準的なプログラムの策定に取り組んでいるという状況でございます。
 それから、最近特に大きな問題になっております性犯罪者の再犯防止でございますが、これにつきましても、科学的、体系的な再犯防止プログラムを策定するために、精神医学、心理学等の専門家の意見をお聞きしながら効果的な教育方法を検討してまいりたいと考えておりまして、現在こういった専門家の御意見を伺うために人選等、具体的な手続、準備を進めているところでございます。
#123
○木庭健太郎君 もう一方で、例の安城市の乳幼児の刺殺事件ですか、これは容疑者が仮出所直後の犯行ということで世間に強い衝撃を与えたわけでございますが、この容疑者の場合、刑務所内では模範囚であるというような報道もあっておりました。
 一般的で結構でございますが、この仮出所の判断においてはどのようなことを考慮されるのか、伺いたいと思います。
#124
○政府参考人(麻生光洋君) お答えいたします。
 仮出獄につきましては、刑法二十八条に規定がございまして、一定の刑期を経過した者につきまして、改悛の状があるときに行政官庁の処分によってこれを許すことができるとされております。
 これを受けまして、犯罪者予防更生法におきまして、地方更生保護委員会が刑法二十八条に言う行政官庁として仮出獄の許可をする権限を有しております。地方更生保護委員会は、本人の人格、それから在監中、すなわち刑務所にいる間の行状、職業の知識、それから入監前、すなわち刑務所に入る前の生活方法、家族関係、その他の関係事項を調査して審理をいたしまして許否の決定をいたします。その際には委員が本人に面接をすることになっております。
 許可の基準といたしましては、仮釈放及び保護観察等に関する規則に規定がございまして、悔悟の情が認められること、更生の意欲が認められること、再犯のおそれがないと認められること及び社会の感情が仮出獄を是認すると認められること、これらを総合的に判断いたしまして、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに許可をするものとされております。
#125
○木庭健太郎君 この問題、大臣に御答弁をいただいておこうと思うんですけれども、結局、彼の、容疑者の場合はどうだったかというと、保護観察中と、それで更生保護会の施設から姿を消していると。ただ、同じように仮出所中にかなりの人数がこのように所在不明になっているということも報道でも見させていただきましたが、そういう状況もあると。
 御存じのとおり、保護観察所がこういう人たちに所在を確認する責任があるとされているんですけれども、なかなかそれがきちんとできていない現状が今あるということでございまして、保護観察所においてどう取り組んでいくのかという問題が大きなテーマになっていると。
 大臣は、ちょうど一か月前です、保護観察の実態を踏まえてきちんと見直しをということで指示を出されたのがちょうど一か月前でございますから、この一か月間どういう状況になってきたのかということを伺っておきたいと思います。
#126
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に一か月って早く過ぎてしまうものでございますが、鋭意努力いたしているところでございます。
 仮出獄者の方が所在不明になった場合には、保護観察所において、親族、知人など本人が立ち回るであろう可能性がある場所を調査するなどいたしましてその所在を発見するように努めております。しかし、所在不明中の仮出獄者のここ数年の推移を見ますと、その数は減少してきているわけでありますが、なお現在も六百名余りの所在不明者がおります。
 さらに、安城市で仮出獄者による大変痛ましい事件が起きました。国民の皆様が大きな不安を抱かれているものと思い、そのお気持ちから見ますと、なおなお努力すべき点があろうかと思っております。
 そこで、このたび改めて対応策の検討を行い、今般、法務省における緊急的対策の一つとしまして、事務当局には立ち回り先に関する事前の情報収集の強化などによる迅速かつ充実した所在調査を徹底すること、警察への協力要請の在り方についてその具体的な方法等を協議することを指示したところでございます。これらの対策を着実に実施し、保護観察所における所在調査の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 なお、所在調査の徹底に関しましては、その具体的方策について近日中に事務当局から全国の保護観察所に指示する予定であり、警察への協力要請につきましても、現在、事務当局におきましてその具体的な手続等についても警察庁と打合せを行っている段階でございます。
#127
○木庭健太郎君 是非、一か月早いんです、確かにたつのは。う少し詰めをいろんな意味で警察庁ともやっていただいて、やはりこういう問題で国民自身に心配を掛けないような、もう一度再徹底、仕組みづくりというのをやっていただきたいと御要望をいたしておきたいと思います。
 今日はもう一つ、不送致余罪という話をお聞きしたいなと思っております。
 私もこれ全然知らないことでございましたが、警察庁さんが平成元年ですか、窃盗事件など余罪容疑を検察庁に送致しないまま警察内部で検挙処理できると定めた通達を全国の都道府県警察に流したと。あるブロック紙でこれ取り上げられておったんですけれども、これが不送致余罪という手続でございまして、重大事件の捜査を優先して事務手続を軽減する意図で導入されたんではないかというような報道がそのときはなされておりました。この通達、警察庁の刑事企画課長名で、余罪事件に係る刑法検挙票の作成についてとして出されたようですが、国民というか、私も知りませんでした。法務省刑事課も何か御存じなかったというような記事になっておりました。
 そこで、まず通達の中身について、対象となるこの不送致余罪とはどういう事件を指して、また、それについてどういう要件を満たせばいわゆる検挙処理という手続を可能となると定めているのか、警察庁に伺っておきたいと思います。
#128
○政府参考人(岡田薫君) お尋ねの件につきましては、いわゆる余罪事件と言われるもののうち、事件送致に必要な捜査までは遂げていないものの、一定の基準を満たしていることを条件に犯罪統計上検挙として処理することとしているものについてのお尋ねだと思います。
 その内容といいますか基準と申しますのは、警察署長が一定の書類、一つには被疑者の自供調書等、答申書といった場合もございます、それから二つには被害届等、そして三つ目には被疑者による犯行と認めるに至ったてんまつ及び送致するに至らなかった理由に係る捜査報告書、こういった書類によって当該事件について被疑者が特定され必要な捜査がなされていることを決裁、確認をしたという基準を満たしたものについて、犯罪や警察活動の実態を分析するとの犯罪統計の目的にかんがみて、これを検挙に当たるとしているところのものでございます。
#129
○木庭健太郎君 その今おっしゃった不送致余罪の手続が取られた事件はこれまでどれくらいあるのか、また、これはいわゆる微罪処分の数と比べてどういうふうになっているのか、教えてください。
#130
○政府参考人(岡田薫君) ちなみに、平成十五年中の不送致余罪事件に係る検挙件数は二十一万三千件余り、そして、他方、同年中の微罪処分の件数については十万五千件余りでございます。
#131
○木庭健太郎君 まあ私が言うのもおかしいですけれども、刑事訴訟法を見る限り、警察官が捜査した事件は原則としてすべて検察官に送致しなければならないとされている、刑事訴訟法二百四十六条。これは警察の捜査が適法に行われたかどうか、一応組織外の法律専門家である検察官がチェックすることで、正に事件というその適正手続を担保することに意義があるというふうに解されるわけです。そのために例外として微罪処分という制度があるわけで、ただ、これも一定の軽微な事件に限られているし、事後的にこれについても検察官への報告などが義務付ける、義務付けあるわけですから、厳格な縛りがあるわけでございます。
 ただ、これに対して、お聞きする限り、この不送致余罪というのは罪名や被害金額などの明確な定めがない上に、検察官のチェックを経ない警察限りでの処置ということになってしまうわけであって、これではどう考えてもやっぱり適正な手続の担保がなくなってしまうし、まあ言い方としては刑事訴訟法などに違反するような疑義も想定されるんではないかと思うのでありますが、これについて警察庁及び法務省の見解を求めておきたいと思います。
#132
○政府参考人(岡田薫君) 御専門の皆様を前に大変恐縮でございますけれども、私どもの理解といたしましては、送致という概念は刑事訴訟法の概念でございます。検挙という概念は必ずしも刑事訴訟法の概念ではなくて、実務上といいますか、社会上の概念としてとらえられているものであろうと思います。それぞれについては、ですから、若干かなり共通した部分もございますが、違うところもあるのだろうという、それがまず前提としてございます。
 そうしたことを踏まえて、刑事訴訟法は、事案の真相を明らかにして刑罰法令を適正かつ迅速に適用、実現するための手続だと。犯罪統計は、犯罪や警察活動の実態の分析、あるいは犯罪及びこれに対する捜査活動を数量的に把握することを目的としているものでございます。
 そうしたことがございまして、余罪事件について適正かつ合理的に処理をする、それは刑事訴訟法上の要素と、それから犯罪統計上の要素と両面あるのだろうと思いますが、それぞれについて違った目的、法律効果がございますので、いささか基準を異にして対応しているということでございます。
#133
○政府参考人(大林宏君) 委員御指摘のとおり、刑事訴訟法第二百四十六条は、司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定めがある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならないと定めておりまして、この規定により送致しなければならないとされる犯罪の捜査をしたときとは、送致を受けた検察官が一応、起訴、不起訴の判断ができる程度に至った場合をいうとされております。
 一方、警察がいわゆる不送致余罪として統計上の処理を行う場合、起訴、不起訴の判断が可能かという観点からではなく、第一次捜査機関として犯人の検挙がなされたか否かの観点に重きを置いているものと思われますので、刑事訴訟法第二百四十六条により事件送致を行う場合とはその程度が異なる場合もあるものと考えられます。
 いずれにいたしましても、警察におけるいわゆる不送致余罪としての処理は、刑事訴訟法第二百四十六条とは目的が異なる統計上の処理であるものと承知しております。
#134
○木庭健太郎君 ただ、なぜこの平成元年にこんな通達を出してこんなことを始めたのかということなんですよね。知る限りは、やっぱりそれまで犯罪の検挙数というのは非常に六〇%前後で高率だったと。戦後初めて五〇%を割ったのが平成元年なんですよ、四六・二%なんですよ。治安の悪化が言われ始めたころなんです。こうした時期にこの通達が出るわけですよ。
 そして、犯罪白書には、検挙数でどうなるかというと、不送致余罪は犯罪白書へ入っていくわけですから、検挙した数にカウントされるわけでしょう。数字を上げるためじゃないかというふうに思われたって仕方ないような面があると私は思うんですが、いかがでしょうか。
#135
○政府参考人(岡田薫君) 御質問の趣旨はよく分かりますといいますか、そういった御意見はあろうかと思います。ただ、いささか誤解があるのではないかという感じがしないでもございません。
 といいますのは、私は、昭和四十七年に警察に入りまして、新宿警察署とか池袋警察署で第一線で勤務をいたしましたけれども、その当時からこうした処理はずっとなされております。むしろ、平成元年に、私どもの理解では、そうした余罪の処理について手続を明確といいますか、基準を明確にしたものと、このように理解をいたしております。
#136
○木庭健太郎君 ただ、そうはおっしゃるんですけれども、そうやって今度は検挙率の問題も変わっていく。そうすると、客観的に犯罪状況というのを本当に分析していくときに、先ほども議論になっていたでしょう、犯罪状況はどうなのかと、事件数がどうだ、検挙数がどうだと。そのときそのとき、結局、統計上の数字とは言われるものの、結局そこで大きな変化が起こっておるんであって、その犯罪統計自体の信頼性に疑問が呈せられるようなことになりはしないかと思うんですが。
 つまり、この不送致余罪の手続と犯罪統計の信頼性、これについて、警察庁もちろんですが、法務省にもお伺いはしておきたいと思います。
#137
○政府参考人(岡田薫君) 申し訳ございません。いささか私ども余り胸を張って言える話ではないんですけれども、検挙率を上げるためという御指摘がございますけれども、現実にはそうした基準を明確にして検挙率は下がっておりまして、まあそれは因果関係はいろいろございますから、それだけの要因というわけではございませんけれども、そうしたことがございます。
 それから、統計の信頼性ということについては、大変私どもとしてはその時々でいろんな仕組みを少しでも良くしたいとは思っていますけれども、そうした変化があること、余り大き過ぎますとそうした問題はあろうかと思います。
 ただ、いずれにしても、そうした要因は若干あるにしても、やはりより適正な実態把握に努めたいというのが根っこにあることだということは御理解いただければ有り難いと存じます。
#138
○政府参考人(大林宏君) 御指摘のとおり、法務省の犯罪白書におきましては、警察庁の統計に基づき検挙人員、検挙件数、検挙率等の統計を掲載しております。検挙件数等の統計資料につきましては、今警察から御説明があったとおり、一定の基準に基づいて作成された統計であると承知しておりまして、法務省としてその信頼性に疑問があるというふうには考えておらないところでございます。
#139
○木庭健太郎君 ところで、法務省刑事局長大林さん、これ、知っていました、この不送致余罪って。こういうのがあって、こういうふうに扱われていると。
 それを取り上げた新聞なんですけれども、最初のこれ法務省のコメント見ると、これだれが話したか知りませんけれども、刑事局刑事課の話では、存在自体を把握していないのでコメントしようがないというのが最初のコメントなんです。
 知っていました、この不送致余罪って、大体。
#140
○政府参考人(大林宏君) 一般論で申し上げますと、検察庁において今、先ほどのような刑訴法の規定によりまして、当然現場におきましては不送致を受けられる、何といいますか、起訴をある程度、先ほど言いました起訴、不起訴という処分を前提としていますので、当然そういう意見の相違があるということによって送致されないという事件があるということはあり得るだろうということは私ども承知しておりましたけれども、今委員御指摘のこの通達そのものは、正直なところ、私は承知しておりませんでした。
#141
○木庭健太郎君 私はそこまで疑っていないんですけれども、新聞によれば、予算との関係でいえば、統計データが常に根拠になると、したがって、やっぱり予算上の問題も考えればこういったものもきちんと、数の問題ですか、出していかなくちゃいけなかったというところがこの通達の出た一つの根拠ではないかというようなことを指摘している方もいらっしゃいました。この点について、どう御反論なさいますか。
#142
○政府参考人(岡田薫君) いろいろな理解の仕方はあるんだろうと思いますけれども、私ども、自分の経験なり仕事のしてきた経緯から見て、こういった運用なり、運用を明確にするというのは、先ほど来私が申し上げている考え方の方が正しいのではないかと自負をいたしております。
 ただ、その統計につきまして、統計の読み方、大変僣越なことを申し上げて恐縮なんですけれども、やはり数字というのは、数字と数字の間にあるもの、行間にあるものというのを含めて読む努力をしないと本当の意味の実態はつかめないんだろうと思います。
 ただ、いずれにいたしましても、犯罪統計という観点からいたしますと、警察は警察統計というのを持っておりますし、検察は検察統計がございます、司法統計は司法統計ということはございます。こうしたものの相互の連関といったことについてもきちっと見ていかないと本当の意味での正しい犯罪実態の把握というのは難しいのではないかと、このように思っています。
#143
○木庭健太郎君 ただ、警察庁にこれだけはきちんとやってもらいたいという点は何かと申し上げますと、この不送致余罪、検挙処理なされた場合、被害者への通知については、内部規定を見る限りは通知するものとすると、こういうふうになされているようでございますが、現実は、通知されたものは少ないようでございます。この新聞社、この記事を取り扱った新聞社の調べによると、通知されたものは四分の一弱にとどまっているというような報道がございました。ここはやはり問題ではないかと思うんです。
 それがつまり何につながっていくかというと、警察内部で処理して勝手にやっていた、そういう結果がこんなことになっているんじゃないかというようなことにもつながっていくと思います。少なくとも、いろんな問題でこういう処理をせざるを得ないし意味があるというものとお考えになるならば、少なくとも、事件を処理したのであれば、一番大事なのは被害者がどう感じ、届け出るときにどんな思いでやっているかということが一番大事なところでございますから、やはりこの点についてはきちんと改めなければならないと思いますし、というより、まず、どうなのか。内部規定でこうやっているけれども、きちんと通知していただいているのかどうかという点を確認するとともに、もしそれが怠っているというのであれば、どう改善する気でいらっしゃるのか、この点についてお伺いしておきたいと思います。
#144
○政府参考人(岡田薫君) 被害者への連絡の問題につきましては、警察では、平成八年に被害者連絡制度というのを導入いたしました。全国的には、殺人、重大な傷害といった身体犯等の被害者またその御遺族を対象として、捜査の進行状況、被疑者の検挙状況等について通知するものでございます。
 これら以外の事件の被害者につきましても、各都道府県は、それぞれの都道府県の実情に応じまして、捜査の進行状況、被疑者を検挙した場合にはその旨と被疑者の氏名、年齢、送致状況等に関する事項を事件担当捜査員から連絡をするというふうにしているものと理解をしております。
 また、警察におきましては、捜査を行うに当たりましては、その事件の被疑者が逮捕されたか、あるいは事件が送致されたかにかかわらず、被害者又はその親族の御心情を理解し、その人格を尊重するように努めてまいりたいと考えているところであります。
 警察庁といたしましては、この制度がより充実されていくように努力いたしますとともに、今後とも、捜査を行うに当たって被害者等の心情を理解した対応をしてまいりたいと思っております。
#145
○木庭健太郎君 ちょっと、調べてみられました、どんなふうになっているか、通知が、こういう通知するものとしているその不送致余罪について。何か数あれば教えてもらいたいし。
#146
○政府参考人(岡田薫君) 私の理解しているところでは、不送致余罪について通知しろ、しない、するなというような基準はないんだろうと思います。恐らく各都道府県警で、先ほど警察庁で示した基準については当然連絡を取るという仕組みを取っておりますが、そのほかのものについては、例えば窃盗の中でも比較的重い、被害が大きいものとか、そういった、それぞれ県で随分基準は違うようでございますが、それを設けて、その捜査の進行状況を通知をするという仕組みと運用がなされているものと理解しております。
#147
○木庭健太郎君 ただ、不送致余罪にしてしまうと、一応そこで検挙で終わりですよね。終わりですよね、事件は。途中じゃないですよね。したがって、終わったのであればそれなりの処置というのは必要なんじゃないですか、その被害者に対して。
#148
○政府参考人(岡田薫君) 大変申し訳ございません。終わりという概念が実は結構複雑でございまして、一応一区切りとは考えておりますけれども、完全に終わりかというと必ずしもそうでもない要素はあるんだろうと思います。
#149
○木庭健太郎君 ちょっと理解できないんで、普通の人にも理解できるように答弁ください。
#150
○政府参考人(岡田薫君) どうも説明がまずくて申し訳ないのかもしれませんけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、事件送致に至るまでの捜査は遂げていないけれども一応そこで判断をする。そうしませんと、やはり犯罪捜査というのは、もちろん厳密な訴訟法上の手続という要素が一面にございますけれども、他方で、いろいろな犯罪が起きていて、それについて全部同じように厳密に、証拠があり得るのなら全部徹底的にやるというのが合理的かというと、必ずしも合理的でない部分がございます。
 そういうことを踏まえて、起訴、不起訴の決定に必要だと、一番典型的なケースは窃盗事案なわけでございますけれども、それについて、全部について証拠を全部確認をして起訴、不起訴の決定をしていただくのは、これはやや口幅ったいんですけれども、検察庁にとっても必ずしも効率的でもないし、私どもとしても全部同じようにするのがいいのか。ある先輩の話によると、一人で百件も二百件も泥棒をやったからといって、それを全部起訴してくれるのはおかしいじゃないかというふうなことを裁判所に指摘されたというようなこともあったようでございます。
 そうした様々なことを考えて、より合理的かつ適正な仕事の仕方ということでこうしたふうになっているものであろうと思います。
#151
○木庭健太郎君 それは分からないではないんですけれども、たとえ百件であろうと二百件であろうと、被害者という方は、そういう目に遭った一人にとってみれば、それはもう我々、これ一緒くたにするような話じゃないんですよね、被害者の側からすれば。処理に関してそういうことをせざるを得ないということは、事件の多さ、いろいろなことから理解できたとしても、対被害者という問題を考えたときにどうなのかというのは、非常に私は今の答弁では疑問に思っております。
 特に、何を言いたいかというと、昨年、犯罪被害者の対策基本法というのも成立させました。これ、何が一番大事だったかというと、被害者の知る権利というのを明記したことがこの法案の一番大きなところなんですよ。大きな事件であろうと小さな事件であろうと、やっぱり事件を受けた人間にとってみればそれは非常に大きな、人生にとってみれば一つの問題なんです。
 したがって、そういう意味でいけば、被害者に対する配慮とかいろんな面を考えて、ちょっとこのやり方がどうなのかということは私は疑問に思っている点もあるということでございまして、もうこれ以上言い合いはしようと思いませんが、法務大臣に、最後、どうなんだろうと。犯罪被害者基本法はここで成立をさせました。その観点から見るならば、私はこのやり方はおかしいと思っておりますが、大臣の御意見を伺っておきたいと思います。
#152
○国務大臣(南野知惠子君) 犯罪被害者基本法は、犯罪被害者等のために施策を総合的かつ計画的に推進し、犯罪被害者等の権利利益を図ることを目的としており、その施行後には、内閣府に設けられる犯罪被害者等施行推進会議において、犯罪被害者等施策推進会議において犯罪被害者等のための施策に関する基本的な計画案が策定されることとなるものと承知しております。
 特に、同法第十八条におきましては、国及び地方公共団体は刑事に関する手続の進捗状況に関する情報の提供等必要な施策を講ずるものとすると定められているところでありまして、法務省といたしましても、この点に留意し、同法の趣旨、目的を踏まえまして、その基本計画の定めるところに従い、他の府省庁とも連携しつつ、制度の整備や運用の充実など更なる施策を推進し、犯罪被害者等の保護、支援を図ってまいりたいと思っております。
#153
○木庭健太郎君 真っ正面から答えてはいただいておりませんが、御意見は御意見として伺っておいて、警察庁にも、是非、やむを得ずこういう一つの仕組み、それはそれで意味があると、こうおっしゃるのであれば、対被害者という問題だけは是非とも見直し、検討をしていただきたいということを強く御要望し、警察庁についてはこれで終わりでございます。どうぞ引き揚げていただいて結構でございます。
 出入国管理についてちょっとお尋ねを今からしていきたいと思います。
 昨年五月に出入国管理難民認定法改正案が成立をいたしまして、不法滞在者対策、難民認定制度の見直し、盛り込まれました。このうち、不法滞在者の対策については、十五年の十二月でしたか、犯罪対策会議で決定された犯罪に強い社会の実現のための行動計画というのに基づいて、二十五万人程度でしたかね、これくらいいると、この不法滞在者、これを五年間で半減させるということについての一番大きな武器になるということでこの法律を成立させたところでございます。
 ただ、今いろんな制度はつくっておりますが、どうなのかなということも正直いろいろございます。出入、まあこれ法施行されまして時間がたっておりますけれども、例えば、じゃ、出国命令制度については昨年十二月の施行後かなりの数の出頭者が出てこられたというふうに聞いておりますが、どの程度の実績になっているか伺っておきたいし、今後どういうふうな見通しを持っていらっしゃるか、また、この成立した法律についての広報活動はどうなっているかということもお伺いをしたいし、不正手段により上陸許可を受けたりしたことが判明した場合のこの在留資格の取消し制度も導入されておりますが、まあいろんな仕組みつくっているんですけれども、それぞれ運用状況についてお知らせ願えればと思います。
#154
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 その前に、ただいまの御質問にお答えをする前に、誠に恐縮でございますが、もしお許しいただけるのであれば、午前中の松村委員からの御質問に対する私の答弁の一部が若干間違いがございましたので、この訂正をさせていただければ有り難いと思って、よろしゅうございますでしょうか。
#155
○木庭健太郎君 どうぞ。
#156
○政府参考人(三浦正晴君) 午前中、松村委員からの御質問で、人身取引の実態について御質問がございまして、それに対しましての警察が検挙した人員について御説明させていただきました。その中で、四年間の総検挙者百六十四名の内訳を申し上げたわけでございますが、その内訳の中の一部でございます、中国、台湾を含めまして二十一名と、こう申し上げたんでございますが、これ正確には台湾が二十一名というのが正確でございまして、ちょっと表現が誤っておりましたので訂正をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 引き続きまして、木庭委員からの御質問についてお答えをさせていただきます。
 御指摘のように、昨年五月に、委員を始めといたしまして皆様方の御尽力を賜りまして改正入管法を成立させていただいたところでございます。
 委員御指摘のとおり、出国命令制度につきましては、昨年の十二月二日からこれが施行されまして運用をしておるところでございます。帰国を希望して全国の地方入国管理官署に出頭してきた外国の方について、人数でございますが、昨年十二月から本年二月末までの三か月で四千九百九十八人の方が出頭してきておりまして、前年同期と比較いたしますと、出頭者が五百三十九人の増加となっております。パーセントにいたしますと一二%の増加でございます。
 次に、この出国命令制度の運用実績についてでございますが、本年二月末までに出国命令書、これは制度による命令書でございます、これを交付された方は三千三百七十四人という数字になっております。
 今後とも、出頭状況等を分析いたしまして将来の出頭予測を行いつつ、併せて不法滞在者の出頭を一層促進させるための広報活動に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、もう一点の御質問でございます在留資格の取消し制度の運用状況についてでございます。
 改正入管法の施行以降二月の末までに、改正法の規定に基づきまして在留資格を取り消した案件が全国で三件ございます。なお、三月二日からは、一定の在留資格につきまして正当な理由なく在留資格に応じた活動を三か月以上行わないで在留をしている外国人に対しましても、二十二条の四、一項第五号の適用が可能になりましたので在留資格の取消しを行うことが可能になったわけでございますので、今後その件数は増加が見込まれるというふうに考えております。
 以上でございます。
#157
○木庭健太郎君 法務省としては、来年度からですか、名古屋の入国管理局にも不法滞在の専門摘発部隊を二部隊新たに設置をして取締りを強化すると。これは名古屋というか中部、外国人の非常に多いところでございますから、そういう体制をまず東京の次は名古屋というふうにされたんだろうと思いますが、これ具体的な内容と予算措置について説明を伺いたいし、また、こういうふうに地方について、今後、名古屋の次どこに設けてというようなことまでお考えなのかどうか、併せて計画を伺っておきたいと思います。
#158
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 名古屋入国管理局の摘発方面隊についてでございますが、不法滞在者の摘発の強化につきましては、平成十七年度の予算案に計上されております増員措置を含めまして六十四人の体制で、これを東海方面と北陸方面をそれぞれ担当する摘発方面隊として構成する予定としております。約二千六百万円の関連経費も計上していただいているところでございます。
 今後の計画についてでございますが、これまでの東京等の状況も踏まえまして、多くの不法滞在者が居住及び稼働していると見られる地域における摘発体制の強化を検討してまいりたいと考えておるところでございます。
#159
○木庭健太郎君 ともかく、その不法滞在という問題は一生懸命取組をしていただきたいと、こう思っておるんですが、ただ一方で、やはり日本に来られて良識ある社会人として生活をされているという者については、この在留特別許可の活用というものは考慮すべき問題だというふうに考えております。やはり、日本はどうしても外国人に厳しい国というようなイメージが非常に強いようですし、そこはやらなくちゃいけない部分だろうと思うんです。
 入管違反事件、事実を争わない場合でも、退去強制手続におけるすべての手続を経る必要がある現行の在留特別許可手続ですね、これについての簡素化の問題、さらに、これ法務大臣の自由裁量とされております。これは、その在留許可の判断基準については法務大臣の自由裁量とされているんですけれども、これについてやっぱり明確化しておく必要があると思うんですが、この点について大臣に伺っておきたいと思います。
#160
○国務大臣(南野知惠子君) 不法滞在者につきましては、入管法の規定に従いまして退去強制手続を取ることになっております。結果によりましては退去強制という強力な処分を行うこともあるという性質上、慎重な手続を取ることにいたしているところですが、御指摘のように、違反事実を争わず在留特別許可を求める事案につきましては、処分の適正性を確保をしながら手続の簡素化を図る方策について慎重に検討していきたいと思っております。
 また、在留特別許可の拒否の判断に当たりましては、個々の事案ごとに在留を希望する理由、また家族の状況、生活状況、その方の素行、内外の諸情勢、その他諸般の事情に加えまして、その外国人に対する人道的な配慮、その必要性と他の不法滞在者に及ぼす影響、これもありますので、そこら辺を含めながら総合的に考慮して決定しているものでございます。
 在留特別許可につきましては、一般的な基準を設けることは困難であると考えておりますが、昨年八月から法務省ホームページにおきまして在留特別許可の事例を公表しているところでございます。今後、事例の公表を重ねていくことによって在留特別許可処分の透明性、それをより一層高めてまいりたいと思っているところでございます。
#161
○木庭健太郎君 頑張ってください、大臣。
 法務大臣のこれ私的諮問機関でございますが、出入国管理政策懇談会、昨年の十二月でございます。少子高齢化が進む中、人口減少への対応として外国人労働者の受入れの一層の推進が重要とする報告書をまとめられたと。法務大臣の諮問機関として受け入れる方が大事なんだと言ったというのは、非常に何か珍しいことでユニークなことだと私は思いましたし、その意味で、報告書、どんなことをポイントで言っているのかと、その辺を是非教えていただきたいし、ともかくこれからいろんな問題で外国人労働者の受入れというのはこれはせざるを得ない状況になると思うと。
 ただ、その中でどんなことをきちんとしていけばいいのかということになっていくんだろうと思いますが、私も今のこの日本の体制の中で、もう二〇〇七年になったら人口が減る国家ですから、もちろん、大臣の担当であります少子化の問題を含めた対応をしていただきたいのはもちろんでございますが、現実に減っていく中でどう労働力を確保し、やっていくかという問題はあるわけでございまして、まずは報告書、出されたやつのポイントについて御説明を伺っておきたいと思います。
#162
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 出入国管理政策懇談会の報告書におきまして御指摘いただきました事項は多岐にわたっております。検討課題とされました主なポイントでございますが、まず専門的、技術的分野の外国人労働者につきましては企業活動の多様化等に対応した円滑な受入れを推進するということ、それから人口減少時代への対応として女性、高齢者の就労機会の拡大のための取組等を推進していく中で、現在では専門的、技術的とは評価されていない分野での外国人労働者の受入れも含めた検討が必要であること、種々の問題が指摘されております留学生、就学生、研修生、技能実習生につきましてはその受入れの適正化のための方策を講じていくこと、不法滞在者の半減に向けた強力な不法滞在者対策を推進し、大幅な縮減を通じた我が国の治安を回復するための取組等を推進していくこと等でございます。
#163
○木庭健太郎君 今おっしゃったように、一番のこれポイントっていうのは、これまでは日本の考え方というのは、専門的、技術的、評価されている分野についてはこれは当然いろんな形で受け入れるということだったんですけれども、今回は評価されていない分野での外国人労働者の受入れも検討する必要があるといったところがこの報告書の皆さんがえっと思ったところなんだろうと思うし、最大のポイントだろうと思っておりますが、ただ、これ本当に難しいのは、安易に受け入れてしまえば国内労働者との摩擦の問題も起きてくると。この辺が一番のポイントになるんですが、大臣、何か御意見があれば伺っておきたいと思います。
#164
○国務大臣(南野知惠子君) 先生御指摘のとおり、現在では専門的、技術的と評価されていない分野の受入れにつきましては、国内の労働市場を始めとして我が国の経済社会に悪影響を及ぼす側面もあると、先生おっしゃられたとおりでございまして、出入国管理政策懇談会の報告書におきましても同様な指摘がされているところでございます。
 したがいまして、今後そのような分野での外国人労働者の受入れについて検討する際には、受入れに伴うプラスの側面とマイナスの側面ありますので、これを十分勘案していく必要があるというふうに考えております。
#165
○木庭健太郎君 二月一日でございますが、この外国人労働者の問題、受入れ拡大を検討することを柱とする第三次出入国管理基本計画の骨子が発表されております。基本計画というのは五年間のたしか指針となるものだと思いますんで、十七年度から五年間になっていくと思います。基本計画、三月中ですかね、決定されるのは。
 当然、そうすると、今大臣おっしゃったように、これまでの報告書の提言を踏まえたものとして拡大の方向でどうやっていくかというようなことになっていくのかどうか、その点も大臣からお聞きしておきたいと思います。
#166
○国務大臣(南野知惠子君) 第三次出入国管理基本計画につきましては、現在、今春の策定をめどに作業を進めておりますけれども、有識者の方々に取りまとめていただきました出入国管理政策懇談会の報告書も十分参考にしながら、引き続き策定作業を進めてまいりたいというふうに思っております。
#167
○木庭健太郎君 あと、今度は例えば日本とフィリピンでございますが、FTAを基本合意、十一月、昨年の十一月でございました。この基本合意の中には労働市場の開放の問題も取り上げられておりまして、これは一部開放でございますが、日本での看護師、介護福祉士の国家試験取得を目指す一定の要件を満たしたフィリピン人候補者の入国を認めることになったとお聞きしておりますが、受入れにかかわる人数、在留資格・期間、現在の交渉での課題について伺っておきたいと思います。
#168
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 現在までの検討の状況でございますが、在留資格につきましては特定活動という資格を検討しておるところでございます。
 在留期間につきましては、最初入ってきて日本の国家試験を受験されるまでの期間がかなりの期間がございますので、その間の在留期間としては一回の許可につき一年というものを想定しておるところでございます。また、看護師の方につきましては入国後三年まで、介護福祉士につきましては入国後四年までの期間更新を認め、それらの期間内に国家資格を取得できない方につきましてはそれ以降の滞在は認めないと、こういうことでフィリピン側と合意しているものと承知しておるところでございます。
 他方で、受け入れます候補者の人数でございますが、現時点ではまだ定まっておりませんで、現在、フィリピン側と協議中であるというふうに承知しております。
 入国管理局といたしましては、フィリピンからの看護師、介護福祉士の円滑な受入れを実現いたしますとともに、この制度が悪用されないようなその防止と、問題が発生した場合の対応についてどのような措置をとることが必要かと、関係省庁とも検討しているところでございます。
#169
○木庭健太郎君 最後に大臣にお伺いをしておきたいと。まだ人身取引の問題はありますが、それはもうちょっとやめにしまして、いわゆる今お話があった、これ、今後FTAの問題進めていくと、マレーシアとかタイとかいろんな国とこのFTAの問題を協議するときに、やはり一つのいつも焦点になってくるのは、この労働市場の開放という問題は必ず一つの大きな焦点になっていくだろうと私は思っております。
 これからそういった問題が本格化していく。そういう中で、法務省としてこういう労働市場の開放問題についてどういう方針の下に交渉に臨もうとされるのか、大臣にこの点についての御意見を伺って、今日の質問を終わりたいと思います。
#170
○国務大臣(南野知惠子君) 昨年の十二月に経済連携促進関係閣僚会議におきまして、今後の経済連携協定の促進についての基本方針、推進についての基本方針が決定されました。政府を挙げてASEAN諸国等との交渉の進展及び早期締結に、早期締結が求められている現状にあります。
 法務省といたしましても、不法就労防止の観点を踏まえながら、専門的、技術的分野の外国人の受入れについては積極的に進める方針の下、この経済連携協定交渉に対応していきたいと思っております。
#171
○木庭健太郎君 終わります。
#172
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、入管難民法にかかわって質問をいたします。
 UNHCRよりマンデート難民の認定を受けたトルコ国籍のクルド人のアハメド・カザンキランさんとその息子さんが一月十八日に退去強制処分でトルコに送還をさせられました。我が国の難民行政は冷たいという国際的な批判を浴びてきたわけですが、それでもUNHCRが認定したマンデート難民についてはこういう強制送還をしたのが今回初めてだということでありますが、これまでなぜこうしたマンデート難民の本国への強制送還を行ってこなかったのか、まずその点、お聞きします。
#173
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 入国管理局といたしましては、これまでも我が国としては難民と認定できないというようなケースがございまして、これについて、そのケースにつきましてUNHCRがマンデートをするというケースはあったわけでございます。こういうケースにつきましては、UNHCRから第三国定住等につきまして具体的な提示があった場合にはこれにできる限り協力するという形で協議をしてきたところでございます。
 ただいま委員御指摘の事案につきましては、正にマンデートがなされ、我が国では難民の認定を不認定にしたと、こういうケースでございますが、このケースにつきましては、UNHCRの方から第三国定住が非常に困難であるというお話を我々承っていたところでありまして、また一方で、我が国の司法手続におきまして、そのケースにおきましては東京高等裁判所で二度にわたりまして難民ではないという明確な判断が示されたという事情がございます。
 訴訟が二度あったわけでございますが、第一次の難民不認定処分の取消し訴訟に関する裁判所の判決は、東京高裁の判決が確定しておりまして、当該の方が難民ではないということが司法上、我が国の司法上確定していたという状況がございます。その後の二次訴訟といいますか、退去強制令書の取消し訴訟におきましても、東京高等裁判所まで同様の判断をいただいたという事情がございます。
 こういう状況の下で送還を実施していたという状況でございますが、今後ともUNHCRから第三国定住について御提示がございますれば、我々としてはできるだけ協力をしてまいる所存でおります。
#174
○井上哲士君 そうすると、UNHCRの姿勢が変わったわけでもない、ケースとしてこれが初めてのケースであったと、こういう理解でいいんですか。
#175
○政府参考人(三浦正晴君) 委員御指摘のケースのような形での送還というのは初めてだというふうに認識しております。
#176
○井上哲士君 いろいろ説明聞きますと、本国での迫害のおそれはないんだというようなことも言われるわけですが、現に送還された父親は警察に一時拘束をされ、息子さんも警察に拘束され、現在はトルコ軍に入隊させられたとお聞きをしているわけです。非常に注目を浴びたケースでもこういうことがあるわけですね。
 昨年、入管法の審議の際に附帯決議も付けまして、強制退去手続等については、家族的結合などの事情に十分配慮し、適切に対処する、それから、UNHCRの解釈、勧告を尊重すべきこと等を政府に求めたわけです。家族を引き離してUNHCRの意向を無視をしたという結果の今回のケースはこの附帯の精神に反していると思います。
 このカザンキランさんの場合も収容された翌日に強制送還をされて、そのほかも、この間マンデート難民の方が、高裁判決が出た直後に収容するとか、いろんな大変、マンデートを受けた方も含めて難民認定を求める外国人に厳しい姿勢が私、続いていると思うんですね。これはあのときの附帯決議の精神と私は反していると思うんですけれども、その点、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#177
○国務大臣(南野知惠子君) 昨年の入管法改正の際に、当委員会におきます附帯決議につきましては、法務省といたしましても、入管行政を行っていく上で、その趣旨を踏まえ、尊重し、適切に対処しているところでございます。また、ノンルフルマンの原則につきましても、難民条約の締結国として当然遵守すべきものと考えております。
#178
○井上哲士君 実態は今申し上げましたようにそうでないことが起きているわけでありますから、これは改めて強く求めておきたいと思います。
 それで、そういう難民申請に対する厳しい姿勢も反映して、入管、入国管理センターの実態というのは非常に悪化をしております。お手元に法務省からいただいた資料で、東日本、西日本、大村のそれぞれ入国管理センターの収容延べ人員と収容人員の資料を出しておりますけれども、それぞれ三つのセンターの二〇〇一年から二〇〇三年、平均収容日数というのはどういうふうになっているでしょうか。
#179
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 東日本センターにつきまして、一人当たりの平均収容日数でございますが、平成十三年から十五年の数値で申し上げますと、平成十三年が三十五・二日、十四年が四十九・六日、平成十五年が四十五・一日と、こういう数字になっております。西日本センターにつきましては、平成十三年が二十六・七日、平成十四年が三十三・〇日、平成十五年が二十九・一日と、こういう数字でございます。
#180
○井上哲士君 大村も。大村。
#181
○政府参考人(三浦正晴君) 失礼しました。
 大村につきまして、同じく十三年から順次申し上げますと、十三年が三十七・一日でございます。平成十四年が四十六・五日、平成十五年が四十三・九日でございます。
#182
○井上哲士君 もう一つ、手元に診療件数というのも資料で出しましたけれども、これを見ますと、東日本が、二〇〇三年で六千二百五十九で、二〇〇一年と比べまして一三%増。西日本は、二〇〇三年が三千六百五十七で横ばい。大村が、二〇〇三年、七千百七十で一〇%増と、こうなっております。
 収容人員、延べ人員は減っているのに、診療件数は増えていると。これは今、先ほど答弁していただきましたけれども、一人当たりの収容日数が増えているということとの関係が見て取れるわけですね。そういう下で、この収容の長期化ということに伴いまして、ストレスなどからくる健康悪化とか、結核などの伝染病ということのおそれも指摘をされております。
 それで、じゃ、管理センターの医療体制がどうなっているのかということで、これも資料をいただきましてお手元に配付をいたしましたけれども、医師、看護婦の配置でいいますと、大村は、常勤医師一人、非常勤一人、看護婦が常勤で二人。東日本は、常勤医師、非常勤それぞれ一人、看護婦が常勤で一人、薬剤師が常勤で一人。西日本は、常勤医師が一人、看護婦が常勤一人と、こういう状況です。
 これ自身大変不十分だと思うんですが、更にいただいて驚きましたのは、医療機器とか健康診断の体制というのが非常に不十分であるし、非常にばらつきがあるわけですね。医療機器でいいますと、大村と東日本にはエックス線の撮影機がありますけれども、西日本にはありません。健康診断を見ますと、大村の場合は入所時検査、胸部エックス線も含めてやっております。東日本は問診だけと。西日本は入所時検査ないんですね。そして、定期健康診断は、大村は六か月ごと、東日本は体重測定のみと、西日本は年に一回ということになっております。東日本は、エックス線の撮影機があるわけですけれども、技師がいないということになっているわけですね。西日本には、さっき言いましたように、もうエックス線の技師がいないと。
 なぜこういうような差ができるのかと思うんです。大村などは比較的健康が良くない人を収容されているのかと思ったりもするんですが、一体どういう理由でこういうばらつきが出てきているのか。少なくとも入所時の検査、それから一定期間ごとのエックス線の検査など定期的なものが必要だと私は思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
#183
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 確かに委員御指摘のとおり、センターによりまして設備が異なっているという点は事実でございます。
 ただ、各収容所、センターのほかに地方入国管理局にも収容所がございますが、こういう収容所に収容された人につきましては、入所時には全員健康状態に関する質問は行っておりまして、もし必要であると認められる者については、速やかに医師による診療を実施しているという実情にございます。
 御指摘のように、西日本センターにおきましてはエックス線の設備がないわけでございますが、ここは、元々、建物の構造上、いわゆるレントゲンの機械が使えるようなところがなかったということでありまして、これは早急に改善しなければいけないと思っておりまして、このレントゲン設備の整備を早急に図るように今検討しているところでございます。
#184
○井上哲士君 西日本センターも東日本センターも私、行ったことありますけれども、西日本センターはたしか平成十一年に新しくできている、最近できた建物なんですね。ですから、構造上ないんじゃなくて、そのときにそういう構造を造らなかったということが問題なわけなんです。
 医師の確保についてはいろんな御苦労をされているのは分かっていますけれども、今の話でいいますと、入所時の問診はしていると。しかし、いただいた資料では西日本は検査はなしということになっていますね。定期健診を東日本の場合は体重測定しかやっていないという、これはなぜですか。ほかは必要があるからやっていると思うんですけれども、東日本に入っている人は必要がないと、こういうことなんですか。
#185
○政府参考人(三浦正晴君) 委員が今ごらんになっている資料ですと確かにそういう記載になっておりますが、定期的に、東日本の場合には定期的なものとしては体重測定を行っているということでございまして、もちろん、それ以外に本人の方から訴えがあった場合には当然適宜適切に医師が対応しているという状況でございます。
#186
○井上哲士君 こういう外国人の方の健康診断なんかをよくやっておられるお医者さんにお話を聞くんですが、外国人の結核感染者というのは非常に多いんだそうです。十人に一人ぐらいに古い結核の影があって、百五十人に一人ぐらいは活動性の結核を持っていると。ですから、七百人ぐらい収容しているとしますと、三、四人の結核患者がいてもおかしくないというのがその方、専門家のお話なわけですね。ですから、言われたからやるんじゃなくて、やっぱり一定の時を区切る、ないしは入所時にエックス線とか血液を含めたきちっとした検査をするということが必要なんですよ。
 この医師のお話を聞きますと、これはもちろん第一義的に収容者の人権問題でありますけれども、職員の問題でもありますし、それから仮放免後の一般市民への感染という可能性もあるわけですから、そういう検査をしなくちゃいけないと。
 厚生労働省なんかに話すると、法務省から相談があれば動けるんだが、そういう相談もないというようなことを言われていたということを私は昨年聞いたんですけれども、厚生労働省などとこういう問題について相談をしたことはあるんでしょうか。
#187
○政府参考人(三浦正晴君) 厚生労働省とは医師の派遣等についていろいろ協議はさせていただいておるところでございます。
#188
○井上哲士君 一般的医師の派遣だけではなくて、健康診断という場合は、いろんな職員、技師、それからエックス線の機械がない場合は検診車というようなこともあるわけですけれども、そういうことも含めた体制について相談をしているのかということです。
#189
○政府参考人(三浦正晴君) 失礼いたしました、先ほど若干言葉足らずでございまして。
 委員御指摘のとおりの状況でやっております。
#190
○井上哲士君 これ、先ほど言いましたように、収容者の人権問題であると同時に職員の問題でもあり、仮放免後の一般市民の問題でもあるわけですね。
 去年の十一月にお医者さんやいろんな皆さんと一緒に法務省に申入れに行った際に、法務省の方も感染症については正直言って私たちも怖いと、職員が安心して働けるようにしなくちゃならないと、こういうことも言われているわけですね。ところが、先ほどありましたように、エックス線については何とかしたいと言われましたけれども、西日本にはないし、体制的にも非常に予算上も厳しいという状況があるわけですね。
 これ、ちょっと大臣にお聞きしますけれども、こういうやはり現状を打開をしなくちゃいけないと思うんですが、必要な予算も付ける、他省とも必要な協力も仰ぎながら解決を図るという点で、決意をお願いをしたいと思います。
#191
○国務大臣(南野知惠子君) 退去強制手続の性質上、原則として収容した上でこれを進めている必要がありますけれども、もとより人権・人道に配慮すべきは当然でありますので、収容を行った場合においても、被収容者には保安上支障がない範囲でできる限りの自由というものも持っていただいておりますが、それに加えて、収容中の外国人が病気になった場合、そのときには必要な医療措置をとることができる体制としているわけではありますけれども、今御指摘がありましたこういう状況ではあります。
 また、年齢や健康状態等も配慮しますならば、必要な場合には仮放免ということも弾力的に考える必要など柔軟に対応していきたいと思っておりますが、今後とも、法にのった手続はもちろんのこと、人権と人道に十分配慮するよう努めてまいりたいと思っております。
 また、収容所の医療の充実、これ予算の獲得ということにつきましては、今後とも更に努めていきたいと思っております。
#192
○井上哲士君 是非、これは正に人道問題でありますので、よろしくお願いしたいと思います。
 ただ、幾ら医療を良くしましても、健康悪化の基本的なやっぱり原因というのは長期収容にあるわけですね。最近、難民認定を求める訴訟をしていても仮放免をしないなど、人権に配慮しているとは言えないような運用が、厳しくなったということをこの長期収容が反映していると思うんです。
 例えば、昨年、難民申請をしていた五歳以下の児童二人を含む家族が一か月間成田の収容施設に収容されるという、ちょっと信じられないようなこともあったわけですね。難民認定の訴訟を行っている場合に、逃亡のおそれがないということを前提に、長期の収容とか、母子、家族の分離がないというように、そういう事態を避けるために、退去強制令書が発付されたとしても収容を原則とするというような、こういう運用はやはり改めるべきだと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
#193
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 ただいま委員御指摘の件につきましては、個別案件でございますので、詳細なお答えは、申し訳ございませんが、控えさせていただきます。
 一般論で申し上げますと、退去強制手続につきましては、ただいま大臣からもお話ございましたように、身柄を収容して進めるというのが手続になっております。幼児を収容するというケースもあり得るわけでございますけれども、このような場合におきましては、身元引受先を探すなど、できるだけ短期間の収容にとどめるように配慮をいたしますとともに、仮放免を弾力的に運用しておるところでございます。
 今後とも、幼児、児童等の収容につきましては、最大限配慮を持って適切な運用をしてまいりたいというふうに考えております。
#194
○井上哲士君 本当に最大限の配慮がされるように強く求めておきます。
 次に、人権擁護法案にかかわって質問をいたします。
 前回廃案になった法案は、国際水準に達していないということで非常に国際的にも批判の声がありました。今、与党の方で二つの点、メディア規制の凍結と五年後の見直しという修正内容が言われておりますけれども、これは実は、前回廃案になった法案を審議しているその最中にも言われていた中身なわけですね。しかし、当時もそれはもう修正に値しないと。きちっと公権力の、人権侵害などを救済できる、真に独立した機関をつくるように出し直せという声がある中であれが廃案になったわけです。それを過去と同じようなまたごくわずかな修正で出してくるというのは、この参議院、この法務委員会での国会審議を全く無視したものだと私は思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。
#195
○国務大臣(南野知惠子君) 報道関係の条項につきましては種々の御議論があることは承知しておりますが、法務省といたしましては、与党人権問題等に関する懇話会、そこで、報道関係条項を凍結し、凍結を解除するには別途法律を要するとの方針を決定されたことを踏まえて検討を行っているところでございます。
#196
○井上哲士君 当時も凍結というのがありましたけれども、結局、凍結というのは解除が前提だと、何も変わらないということへの批判があったわけです。
 これまで、最初から法律の一部を凍結をすると、こういう立法例が何かありましたか。
#197
○政府参考人(小西秀宣君) 一定の条項を凍結した例ということでいいますと、私どもで承知しておりますのは平成四年の法律第七十九号、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律というものが、いわゆるPKFを凍結した例があるということを承知しております。
#198
○井上哲士君 要するに、それぐらいしかないんですね。このときのPKO法の凍結、いわゆるPKF本体業務の凍結というのは、その後、御承知のとおり解除されたわけです。
 ですから、何か与党の議論を報道で見ておりますと、凍結は削除と同じだと、こんな声も出ているということがありましたけれども、あくまでもやっぱり凍結というのは解除の前提にあるわけです。結局、これは保護観察に置くものだという批判もありましたけれども、メディアを行政機関の下に置いて、解除をちらつかせて監視をすると、やはりこういう発想だと思います。
 これはやはり削除をするべきだということを強く申し上げますが、同時に今回、前回の法案もこの報道だけではなくて、国民の言論、表現活動も規制の対象としております。諸外国でいろんなあれありますけれども、行為としての差別的扱いは規制をされますが、こういう言論、表現活動を対象とする例はほとんどありません。先ほどネットでニュースを見ておりますと、今日の自民党の法務部会でも異論が出て了承にならなかったと。その中で、差別の助長や誘発などの定義があいまいだという声も出たということが出ておりました。
 実際この法案では、不当な差別的言動とそれから差別助長行為も制裁を伴う調査や停止勧告、差止め請求訴訟の対象としておりまして、何が差別的かというのは委員会の判断になると、こういう仕組みになっています。これでは広い国民の言論として表現の自由や内心の自由にまで行政が介入をするというおそれがあると思います。もちろん、表現によって他人の人権を侵害していいというものではありません。しかし、これが差別表現だとか差別助長行為だということを行政が判断をして介入をしていくということは、これはやっぱり別物だと思うんですね。
 この問題というのは非常に裁判でも微妙な問題がなっています。一九六九年に、矢田事件といいまして、大阪市教組の支部の役員選挙の際の立候補あいさつ状が差別文書だということで暴力事件になったものがあります。これは、一つは刑事裁判になりました。もう一つは民事裁判になったんです。刑事裁判の方は、この文書が言わば差別文書だと、結果として差別を誘発する文書だと、こういう認定をしました。しかし、民事裁判の方は、そうではないと、こういう認定をしたわけですね。
 ですから、この問題というのは非常に、表現行為というのは送り手と受け手がいますから、送り手の意図や意味したものが受け手がそのとおりに受け取るとは単純に言えませんし、その場の問題もあります。非常に認定は難しいと思うんですね。こういう裁判でも認定が分かれているというこの難しさという問題について、大臣、どうお考えになりますか。
#199
○副大臣(滝実君) 今委員が御指摘の点は、この種の問題としては一番悩ましい問題だろうというふうに思います。それだけに、全くの完全なる司法手続という前に、やっぱりこういう格好で言わば準司法的に、いろいろ話、両者の、訴えた人の話を聞きながら、具体的にどうしたらいいかということも含めてこの人権委員会で扱ってもらうと、こういう趣旨でございますから、言わばこれによって刑罰を科するとか、あるいはもっと補償を求めるとかというよりも前に、そういうような行為を是正してもらうとか、そういうようなことも含めてこの委員会でやってもらうと、こういうふうに考えているわけでございまして、そういう意味では純然たる民事あるいは刑事の手続とは違う機能を持たせたいと。こういうことで、言わばスピーディーな、簡易な救済策と、こういうふうにねらっているわけでございますので、そこのところは今までの手続とはちょっと違うところがあると思います。
#200
○井上哲士君 先ほど言いましたように、具体的行為じゃないんですね、表現ですから。同じことを言っても、その後、本当に、例えば差別助長行為か、差別的言動等か、この判断が難しいから、そこにスピーディーだからといって行政がいった場合にまた新たな逆の人権侵害を巻き起こすことになると。だから、僕は、これについてはやはり厳格な手続における司法というものを中心に少なくとも言論、表現についてはするべきだと思うんです。
 日本は人権、人種差別条約について四条の(a)と(b)、人種的優越又は憎悪に基づくあらゆる思想の流布、人種差別の扇動等については留保しております。なぜ留保したかという外務省の説明がありますけれども、こういう宣伝、思想の流布というのは様々な場面における様々な態様の行為を含む非常に広い概念だと、そのすべてを刑罰法規をもって規制することについては、憲法の保障する集会、結社、表現の自由等を不当に制約することにならないか、文明評論、政治評論等の正当な言論を不当に萎縮させることにならないか、また、これらの概念を刑罰法規の構成要件として用いることについては、罪刑法定主義に反することにならないか、極めて慎重に検討する必要があるということで留保をしているわけですね。
 私は、そういうこれまでの政府のことからいいましても、こういうやはり国民の表現の自由という、表現活動についてはこの法案でのこうした規制の対象にするべきではないと、こういうふうに思っております。
 いずれにしても、一から作り直して、本当に国際水準の人権救済機関として出し直すべきなんだと、小手先の修正で出すことは許されないということを申し上げまして、質問を終わります。
#201
○委員長(渡辺孝男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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