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2005/04/21 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第14号
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2005/04/21 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第14号

#1
第162回国会 法務委員会 第14号
平成十七年四月二十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     前川 清成君     蓮   舫君
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     蓮   舫君     前川 清成君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     関谷 勝嗣君     中川 雅治君
     江田 五月君     林 久美子君
     浜四津敏子君     浜田 昌良君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                中川 雅治君
                林 久美子君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜田 昌良君
                井上 哲士君
   衆議院議員
       修正案提出者   田村 憲久君
       修正案提出者   伴野  豊君
       修正案提出者   漆原 良夫君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       内閣官房内閣参
       事官       鈴木 基久君
       警察庁生活安全
       局長       伊藤 哲朗君
       警察庁刑事局組
       織犯罪対策部長  知念 良博君
       総務省自治財政
       局長       瀧野 欣彌君
       法務大臣官房司
       法法制部長    倉吉  敬君
       法務省刑事局長  大林  宏君
       法務省入国管理
       局長       三浦 正晴君
       厚生労働大臣官
       房審議官     岡島 敦子君
       厚生労働省職業
       安定局次長    高橋  満君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       伍藤 忠春君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○刑法等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 刑法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣官房内閣参事官鈴木基久君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長知念良博君、総務省自治財政局長瀧野欣彌君、法務大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省刑事局長大林宏君、法務省入国管理局長三浦正晴君、厚生労働大臣官房審議官岡島敦子君、厚生労働省職業安定局次長高橋満君及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(渡辺孝男君) 刑法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○荒井正吾君 自由民主党の荒井正吾でございます。引き続き、総括的な質問をさせていただきたいと思います。
 最初の提案理由説明の中で、南野大臣は、近年、我が国でも人身取引やこれに関連する反社会的行為が発生していることがうかがわれるということで立法動機を述べられました。そこで実態についてお聞きしたわけでございますが、私の印象では、うかがわれるという実態は客観的に十分示されなかったように感じております。一方、受入れ大国日本という国際的レッテルが張られたままでございますので、ただ、刑事局長が人身売買を明確に犯罪化することで実態解明に迫りたいという意欲を表明されましたので、それに御期待申し上げて、今後の解明を待ちたいというふうに思っております。犯罪が顕在化してからが治安当局の仕事ということではなくて、犯罪予防も大きな仕事の分野だという、治安当局の仕事の分野だと考えております。潜在的犯罪状況の実態解明というのが重要な仕事であるという認識でそのような質問をさせていただいた次第でございます。
 人間の体でも、人間ドックの技術進歩で、自覚されないがんの状況を小さいうちに切り取るとか、がんになりやすいポリープを切除するとかというような医学の発達がございます。治安の健康状態を定期的にチェックして犯罪化を予防するという国家の技術がもっと開発されるべきじゃないかというふうに考えているところでございます。今後とも、人身取引の実態の客観的データによる把握は重要だと思います。他の犯罪領域でも同じだと思います。
 政府がまとめられました人身取引対策行動計画の大きな二の「人身取引の実態把握の徹底」という中で、入手した取引に関連する情報を集約した上で、これを共有し、被害者の実態把握に努めるという文言がございますが、まあ読み方ですが、これは発見した被害者の把握というふうにも、消極的にも読めるわけでございます。目に見えない、見過ごしている犯罪のポリープを発見する気迫はこの文章からはちょっと、直接的な記述ではないんじゃないかというちょっと不安を持っております。病気発生後の対策だけではなく、事前の対策の記述を直接的に、まあ心で思っていただいてもいいんですけれども、記述があればなおよかったかなというふうに思います。
 行動計画の中で、その中で努めるということですが、いつまでに、どのようにという部分は抜けております。行動計画らしくない記述だと思いますが、その点についてお答えを願いたいと思います。
#6
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 人身取引被害の実態を把握することにつきましては、この問題に関与するすべての関係省庁が取り組むべき課題であるというふうに考えておりますが、入国管理局の立場から若干御説明をさせていただきたいと存じます。
 入国管理局におきましては、人身取引被害者の実態につきまして、昨年二月の約一か月間に退去強制手続を取った者から事情を聴取するなどいたしまして調査を行ってきたわけでございますが、本年の一月からは、全国の地方入国管理官署におきまして人身取引事案の特定を徹底し、その全件を恒常的に報告させて把握するようにしておるところでございます。
 潜在的な被害者も含めた被害者の数量的な実態把握はなかなか困難ではございますが、今後、入国管理局が取り扱う個々の事案につきまして、その解決にとどまらず、関連情報を関係機関等とも緊密に連携して収集し、情報をデータベース化して分析することによりまして、関連する潜在被害者の更なる発見、保護につなげていく努力を行ってまいりたいと考えておるところでございます。
 そのような中で、例えば保護した被害者の供述などの関連情報によりいまだ保護されていない被害者の発見に努めていきたいと考えております。
 なお、把握しました実態につきましては、一年間の件数を集計、分析するなどして、差し支えない範囲で公表することについても検討してまいりたいと考えております。
#7
○荒井正吾君 今のデータベース化というのは大変関心を持って期待を申し上げたいと思います。入国管理局の最近の仕事ぶりは大変ぬきんでている仕事ぶりだというふうにも思っておりますので、是非期待させていただきたいというふうに思います。
 その行動計画の第二に、「ブローカーの実態把握に努める。」というふうに書いてございますが、このような人身取引の犯罪は、一つは、大きな産業のような、ビジネス犯罪のようにも思われます。地縁、人縁の深い個人的な犯罪ではなく、金縁の、お金を目的とした犯罪の構造があるんじゃないかというふうに思います。産業となっている犯罪の構造を解明して、その構造を破壊する治安維持手法というのは一つ近代の市場経済の国家の中では解明し適用していかなきゃいけないんじゃないかというふうにも思います。
 こういう犯罪は、外国人の送金というものが別途あると思います。送金の、これは国際金融の場合の情報は割と取りやすいと思いますので、マネーロンダリングの部局と協調して国際犯罪を防止するというようなこともあろうかと思います。
 そこで、この人身取引犯罪の産業の規模だとかビジネスモデル、ブローカーの行動実態といったような犯罪のマーケットの解明を同時に進めていただけないかというふうに思う次第でございますが、いかがでございましょうか。
#8
○政府参考人(大林宏君) 人身取引につきましては、これまでも売春防止法違反や職業安定法違反等の現行の罰則を適用することによりその捜査、訴追に努めてきたところですが、人身取引そのものの実態解明という観点から申し上げますと、これを直接に処罰する規定がなかったことから、これまで、人身取引に関与している組織の実態や犯行の手口、規模、背景事情等が十分に解明されてきたとは必ずしも言い難い面があったと思われます。
 今回、人身売買罪の罰則を新設することにより、これらの罰則を適用して行われる捜査、訴追の過程を通じて、人身取引の実態の解明が進むことが期待されますし、さらに、これを踏まえて行われる警察等の関係機関との情報交換により、人身取引の実態に関する情報はより正確でその実態の全体像にも迫るものになっていくものと考えております。
 人身取引対策に当たりその実態の解明が重要であることは、委員御指摘のとおりでございます。いつまでにという御質問にお答えすることは困難でございますが、法務省としても、関係機関との緊密な連携の下、実態の解明のための努力を重ねていく所存でございます。
#9
○荒井正吾君 是非御期待申し上げたいと思います。
 それぞれの捜査のときの捜査情報というのは個別の情報ですが、立件情報になると大変集約されて詳細がなかなか来ないというふうにも思われますが、個別の捜査情報をうまくデータベース化していただいて、その犯罪の傾向、その犯罪の巧緻化というようなものも是非追求して、破壊していただきたいというふうに思う次第でございます。是非、警察ともよろしく御協力をお願い申し上げたいと思います。
 被害者保護の御質問をさしていただきたいと思います。
 先日、参考人のお話を伺いました。吉田容子参考人の話でございますと、現行制度下においては婦人相談所は唯一の公的シェルターであるが、そうであるがゆえに、政府は保護を必要とする女性の保護をすべて婦人相談所に押し付けてきた、人的、物的、財政的補強ほとんどないままにとか、大半の婦人相談所は南野大臣がお骨折りされましたDV対策で手一杯だ、人身取引被害者を受け入れる余裕はない、しかも、婦人相談所は衣食住は提供できても医療、カウンセリング、自立支援などに係る独自のプログラムを持てず、予算もない、通訳も常駐しない、これについて本来別の施策と予算が必要であるが、政府の人身取引対策にこれは皆無であるというふうな御指摘がございました。
 政府の唯一の公的シェルターであります婦人相談所はこのように手一杯で受け入れる余裕はないということでございますが、人身取引対策行動計画では、婦人相談所を活用する、「今後とも人身取引被害者保護のために婦人相談所等の活用を図る。」というふうにされているわけでございますが、だれが責任を持ってどのように図るかがこの行動計画には記述されていないわけでございますが、どのように図るつもりであるか、責任のある部局の方にお答えしていただきたいと思います。
#10
○政府参考人(伍藤忠春君) 婦人相談所の問題でございますが、御指摘のありましたとおり、近年、DV被害者への対応などで大変業務が増えていることは事実でございます。こういった観点から、婦人相談員の増員でありますとか一時保護の予算の大幅な増額などを近年図っておりまして、それから心理療法担当職員の配置と、こういった人的な側面でもいろいろ工夫をしてきておるところでございます。
 DV対策で手一杯という御指摘がございましたが、一時保護所の入所状況を見ますと、確かに大都市部では入所率がかなり高いという状況になっておりますが、地方部の、地方の方の保護所は比較的余裕がある。全国平均では五〇%程度だということでございまして、これまで、昨年までいろいろ具体的に要請があった人身取引被害者の保護については支障なく受入れをしておるという状況でございます。
 こういった制度、体制の充実というものは今後とも図ってまいりたいと思いますが、あわせて、質的な面から、婦人相談所職員向けの専門研修の実施でありますとか、こういった人身取引被害者への相談、保護に当たる職員のためのマニュアルといったものを作成するなど、いろいろ工夫をしながら、適切な相談、保護ができる体制の整備にこれからも努めていきたいというふうに考えております。
#11
○荒井正吾君 それでは、行動計画の婦人相談所等の活用というのは、厚生労働省の局で御責任を持たれるというふうに考えてよろしいんですね。
 行動計画の中に、主体の記述がない部分がとても多いんです。だれがしてくれるのかということは、とても大事なのは、行動計画らしくないというふうにほかの部局でも考えております。責任主体と手段が不明確な部分が少なくないと思います。
 例えば、その行動計画の中でございますが、性的搾取を受けていた被害女性等については、女性による対応に心掛けるとともに、医師の診療、心理カウンセラーの派遣等を検討する、就労可能な在留資格を有する人身取引被害者に対する職業相談等を行う、婦人相談所への心理療法担当職員の配置等を行う。具体的な主体がないということで、これ、質問取りに来られた方にだれがするのかと言ったら、政府全体だと言う。政府全体という行政官庁はないんですね。本当に政府全体の人は手を挙げていただきたいというふうに思うぐらいですけど、これ、責任的な行動計画じゃないと思いますね。
 責任主体の明示のない事項は行動計画の内容にふさわしくない、そういう記述が多過ぎるというふうに感じますが、こういう責任主体がない人に質問するのはだれに質問をしていいのかということで思うんですが、ちょっと責任ある人、手を挙げて答えていただきたいと思います。
#12
○政府参考人(鈴木基久君) 内閣官房の人身取引対策関係省庁連絡会議においてこの行動計画を取りまとめさせていただいておりまして、そういう意味で人身取引対策行動計画全体についての責任ということで御答弁させていただきます。
 個別の各種施策については、それぞれ主体として中心となって取り組む省庁はどこかということは、当然政府部内では議論をしておるところでございます。例えば、今御指摘がありましたカウンセリング相談活動等の実施の部分については警察庁において中心的な役割を果たされたり、あるいは婦人相談所への心理療法担当職員の配置等につきましては厚生労働省さん、あるいは就労可能な在留資格を有する人身取引被害者に対する職業相談等についても厚生労働省さんとか、あるいは人身取引被害者の退去強制手続中の法的手続の説明については法務省入管局さんとか、当然のことながら、それぞれの担当部局がそれぞれの職務権限の範囲、事務分掌の範囲内で必要な業務をやっていただいた上で内閣官房において総合調整をするということでございます。
#13
○荒井正吾君 もしせっかくそのように決められていればここに記載して、これを見て何か政府と連携取りたいという人も多いわけでございます。
 あなたに質問いたしますが、こういうふうなのはここで去年の十二月に書かれてなかったですが、改めてホームページで、この項目はこういう部局が対応すると、電話番号たれ彼、担当者何のたれべえというふうに書いていただけませんでしょうか。どうですか。
#14
○政府参考人(鈴木基久君) 関係機関、それから関係の方々への周知あるいは広報の方法については、関係省庁とも相談をいたしまして検討したいと思います。
#15
○荒井正吾君 もし政府でされないならば、国会議員がそうやってこうして質問して情報を取ってこちらのホームページで流すとか、そのぐらいせないかぬ事項かなというぐらいに思う民間の期待の大きい行動計画だと思いますです。まあ、よろしくお願いします。
 そこから同じこと、行動計画の最後に「行動計画の検証・見直し」というのがあるんですが、これもいつまでにだれが責任持って行うか記述がないんですね。これは意向の表明というんじゃないかと思うんですね。行動計画の中に入れられないような記述だと思いますが、いつまでに検証を行うというのは、行動計画じゃないと思うんですね。これはいつまでにされるんですか。
#16
○政府参考人(鈴木基久君) 行動計画の中におきましては、御指摘がありましたとおり、行動計画に盛り込まれた施策について、随時人身取引対策に関する関係省庁連絡会議を開催することにより進捗状況の検証を行い、フォローアップなどを図るということとしております。人身取引対策は内閣の重要課題の一つでございまして、引き続き内閣官房を中心に人身取引対策に関する関係省庁連絡会議の枠組みの中でこのフォローアップ等をいたしてまいりたいというふうに考えておりますが。
 それから、いつごろまでにという御指摘でございますが、現在、正にその行動計画の中の一環といたしまして刑法等の法律改正を御審議いただいておるところでございます。そのほか、また御審議いただかなければいけない法律改正もございます。それから、正に御指摘がございましたとおり、実態の解明の徹底というのも進めていかなければいけないというふうに考えております。そういった法律改正の状況ですとか、あるいは実態解明の状況、それから人身取引の取締りあるいは被害者の保護の状況、こういった行動計画の施策の進捗状況というものも踏まえつつ、その検証、検討というのを継続してまいりたいというふうに考えております。
#17
○荒井正吾君 役所の縦割りでなかなか落ちこぼれている分野だと思いますが、縦割りで官庁残っているのが、この委員会に来るのは厚労省、警察、法務省、それに内閣がかぶさってくると。この四省庁が縦割り四兄弟みたいな感じがする、ちょっと言葉悪くて失礼でございますが。しかし、ここに来るということは何か対策しようというところまで来ているので、それはそれで大きく評価させていただきたいと思うんでございますけれども、従来縦割りで残っていたということは十分謙虚に見詰めながら、今後力強く対策を講じていただきたいというふうに思う次第でございます。
 先日、参考人の一人でおられました武藤かおりさんの話でございますが、民間シェルターの主宰者でございますが、これは厚労省名指しでございますが、行ってもその担当者が分からないと。他人事だと。国の代わりにやっていると自分たちは思っているのに、何か助成金をもらいに来て、お金をもらいに来た人たちかというふうにさんざんだと。それで、参考にだれがそういう対応をしたのかということまで聞いたんですが、そこでは、今日の質問の対応を受けてから改めて必要ならばだれが対応してそういうことになっているのかという事実の実態解明を進めたいというぐらいに思ったんですけれども。
 婦人相談所の、一つは婦人相談所の問題ですが、一時保護委託金は各県の婦人相談所が半分捻出して、その上で初めて国が半分捻出する。そしたら、国の意識がすべてそろっていないと、国の意識がまちまちで、地域によって扱いに差があるというような点と、その民間被害者支援組織への政府の連携と助成、政府の仕事のアウトリーチ、それが外国の組織まで及んだ方がこういう分野はいいじゃないと思うんですが、その担当官庁が分からないと。外国等も絡みますと、国と地方。で、被害者支援の助成をどの省に要求していいか分からないと、先ほどの行動計画の主体の話でございますが。
 被害者支援問題では、中央の担当省庁の責任分担が不確定だというのと、地方公共団体の意欲のばらつきがある。民間の支援組織、外国の支援組織と政府の連携協力体制がまだ未熟じゃないか。政府の行動計画は、まあ意欲は分かるわけですけれども、その行動計画の体系にまだなっていないと、まあ最初のあれですから。だから、そういうことをいろいろるる述べられまして、人身取引被害者支援法というふうな体系を今あった方がいいんじゃないかというようなお話がございました。総合的に取り組む体制が必要じゃないかというふうにも思われるわけでございます。それについてのお答えと。
 さらに、具体的に、民間シェルターというのは、婦人相談所は公的なんですけれども、民間シェルターというのは民間の人に対する政府のアウトリーチといいますか、その協力体制というのは、これは民間がやりたいから助成するというんじゃなしに、政府の仕事を一部まあ肩代わりしてもらうという面もありますので、ある程度規律と助成というものは要ると思いますが、その助成の体制について、これも担当省庁が分からなくて、いやうちがやっていないから答えられないと。やっていないことを質問するのはどこに質問すればいいのかというふうに思ったりするんですが、その二つをお答え願いたいと思います。
#18
○政府参考人(鈴木基久君) まず、私の方からは人身取引対策全体についての包括法、それから支援のための政府の中の包括的な組織についてという御質問でございます。それについてお答えさせていただきたいと思います。
 政府といたしましては、人身取引対策を大変重要な問題だというふうに位置付けておりまして、内閣官房を中心にこの昨年の四月に人身対策の関係省庁連絡会議を設置いたしまして、御案内のとおり、十二月に、早急に講ずべき対策ということで人身取引対策行動計画を取りまとめたところでございます。
 包括的な支援、保護のための法律をというふうな要望がNGOの方等からあるということは承知しておりますが、政府といたしましては、まずその行動計画に掲げました各種の施策をまず実施するということが重要だと考えておりますし、政府の体制といたしましては、内閣官房を中心に、関係省庁がそれぞれ必要な施策を講じまして、この連絡会議で必要な総合調整を図っていくということが適切だというふうに考えております。
#19
○政府参考人(伍藤忠春君) 一時保護委託でございますが、これは御指摘のありましたとおり、本来、公的機関であります婦人保護所の一時保護という機能がございますが、ここで収容し切れないような場合、あるいはいろんな関係からこういう公認、まあ世間からよくこの場所等が公開されているような場所よりも、何といいますか秘匿性があるような、そういったところで保護した方が適当な場合に、本来行政がやるべきものを委託をすると、こういう仕組みでございまして、そういう適切な場合にそういう相手方に対して委託契約を結んで実施をしていただいておるというものでございます。
 基本的には、婦人相談所の一時保護所で実施をするような食事やそのほかの日常生活の提供ということでありますが、こういったことを婦人相談所とよく連携をしながらやっていただくということにしております。
#20
○荒井正吾君 民的なサービスと公的なその目的との融合、そしてその中でNPOとかを活用するというのはいろいろな官庁やっておりますが、厚労省余り進んでいないじゃないかというふうに思うんですけれども。
 今の委託されているのは外形をおっしゃいましたですけれども、じゃ何か所ぐらい、どの程度の予算でどのような活動状況ですか。活動の実態をもう少し詳しく教えてください。
#21
○政府参考人(伍藤忠春君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、人身取引被害者につきましては、昨年まですべて婦人相談所の一時保護所で対応して、要請があったものについてはすべて対応してきておりますので、民間についての一時保護委託のまだ実績はありませんが、そういう仕組みを今年度からつくったということでございまして、その参考にしておりますのが、今までDV被害者というものについては既にそういう枠組みでやってきておるということでございまして、これについてはDV被害者の中には外国人などもかなりおられますが、こういったものにつきましては一時保護委託先というものは婦人保護施設などの普通の施設もございますが、それに加えて民間の施設も約四十か所ぐらいだったと思いますが、かなりの数、一時保護委託をしてきておるところでございます。
#22
○荒井正吾君 この行動計画の民間シェルター等への一時保護委託費、実施の予算要求というのは、どのくらいの予算が付いておりますか。何か所ぐらい予定されているんですか。
#23
○政府参考人(伍藤忠春君) 今年度の予算といたしましては、一時保護委託といたしまして、民間に対する、あるいは民間以外のものも含めて一時保護委託費として一千万円を計上しておるところではございまして、大体のその箇所数、箇所数といいますか人数で申しますと年間二百二、三十名を、過去の実績に基づきまして大体六、七日程度保護しているのが今までの通例でございますから、そういった実績も見ながら、昨年は二十八人が年間の保護実績でございましたが、今年度はそれを二百二、三十名の枠を確保しておるということでございます。
#24
○荒井正吾君 予算を実績主義でやって、何もしていない実績からたくさんやるというのはこれは余り自慢にならないと思いますですね。必要量があって、それに対してどの程度やるかという予算にしないと駄目じゃないかと思いますが、今のお言葉だとちょっと心配ですが。
 そうすると、一千万だと、あと、その行動計画にカウンセリングとかいろいろいいことが書いてあるんですが、余りほとんどできないように思いますが、一時保護ということは民間では、吉田参考人がおっしゃったように、とにかく衣食住を提供するだけだというふうに感じられますが、そういうことですか。
#25
○政府参考人(伍藤忠春君) 衣食住の提供、日常生活をしていただくというのが一時保護の基本的な考えでございますが、カウンセリングとかそういうのが必要な場合には婦人相談所に配置をしておる心理療法の担当職員を派遣するというようなことも可能だと思いますから、そういう有機的な連携をよく図りながら実施をしてまいりたいというふうに思っております。
#26
○荒井正吾君 何か公的なサービスである程度できるという自負心がおありですけれども、していないからこういうことがいろいろ言われるんじゃないかと思います。
 先ほど申しましたように、民間の活用というのが一番後れて、一番というのはちょっと言い過ぎかもしれない、大変後れているような仕組みの官庁じゃないかというふうに思うんですけれども。
 じゃ、婦人相談所は今どのくらいの予算でされているんですか。
#27
○政府参考人(伍藤忠春君) いろんな方々の婦人保護に要する費用として約八億円の年間経費で運営をしております。
#28
○荒井正吾君 国費八億円ということですか。じゃ、まあその半額補助だと倍ぐらいの事業費。そうすると、まあもう少し詳細にその婦人相談所の事業と民間活用の余地というのをもう少し追及したい面、気持ちはありますが、ちょっと改めてということで思います。別途追及させていただきます。
 時間もあれですので、最後といいますか、できれば南野大臣にお伺いしたいんですが、人身取引の受入れ大国と言われてこういう施策もされてきた面がありますが、受入れ大国と言われるのは、日本に就労機会があって外国人の労働マーケットがあるという理由もあろうかと思います。そうすると、外国人労働政策からのアプローチということも必要かというふうに思います。
 八五年に、まあ二十年前でございますが、八十五万人の外国人登録者が二〇〇三年には百九十一万人になった、約二十万人の超過滞在者がいて、二百万人を超す外国人が日本に生活しているというふうに言われております。で、十五年前、九〇年に入管法が改正されまして、ブラジル日系人の日本での労働が飛躍的に増大して、現在二十三万人程度いるということでございます。ブラジル日系人の在留は、身分又は地位による在留許可あるいは雇用契約のない在留許可ということで、そういう言い方すれば、人身取引は在留許可のない公序良俗に反する雇用契約というふうな性格もあるように思いますが。
 ブラジル日系人の話を持ち出すのは、顔の見えない定住化というふうに言われて、教育、住宅、社会保障の扱いに関して問題が発生している。我が国での体系的、統合的な移民政策が不在である。日系人の対応が我が国の今後の外国人受入れにおいて正に試金石になるんじゃないかというふうに問題意識が発生しているわけでございます。
 法務大臣が先般定められた第三次出入国管理基本計画は、従来になく踏み込んだ計画だと多くの方に評価されております。私もそのように思います。しかし、日系人問題については、法務省としての見解、対応方針がまだ十分示されていない。世論、政策の意識がなかなか集中してこない。日本人の配偶者等という在留資格は、偽装結婚によるものもあり、人身取引の一つのパターンともなりかねないというふうにも思います。
 先日、ある会合で、経団連の方の評価ですが、第三次出入国管理基本計画は従来より一歩踏み込んだものだと評価しているが、外国人受入れ問題に係る縦割り行政の是正については従来同様方向性が全く示されていない。まあ、これは法務省だけの計画ですので、縦割りというのはほかの省庁も関係する、特に厚生労働省とも関係する。厚生労働省と法務省が縦割りがなければ大変世の中良くなる分野もいろいろ多いんじゃないかというふうに思うわけでございますが、体系的、統合的な外国人労働政策の確立は人身取引受入れ大国というような不名誉を払拭するためにも必要かと思います。
 それで、南野大臣にお聞きしたいんですが、我が国の外国人の在留、就労、社会保障の適用に係る政策は、まあ法務省だけじゃないと思いますが、どういうふうに責任を持つべきというふうに法務省としては考えておられるのか。また、外国人の労働についての基本政策の確立、主務大臣の明確化、基本法の制定というようなもの、基本的な、体系的な施策の確立ということが必要だと思う次第でございますが、最後に南野大臣にその点を御質問させていただいて、質問を終わりたいと思います。
#29
○国務大臣(南野知惠子君) 我が国に在留されます外国人に対する各種の施策につきましては、これは日本人の場合と同様にその業務を所管する官庁がやっているということでございます、これはもう当然のことでございますが。
 就労ということに関しましては、厚労省だけでなく経産省も農林省も、いろいろな省庁が絡んでまいるというふうに思っております。
 現在の管理について申し上げるならば、法務省が就労支援、又は社会保障の適用については厚生労働省が担当しているということになろうかと思っております。しかし、より良い施策の推進のためには、種々の課題について関係機関が連携して対応していくということが不可欠であろうと認識いたしております。
 法務省といたしましても、今先生がお褒めのお言葉をいただきました第三次出入国管理基本計画におきまして、外国人が住みやすい環境をつくり、進めていくためには、やはり労働、教育、福祉に係る施策が必要になってくると。それらを連携しながら、その方策を検討していく必要があるというところでございます。今後、その方針に沿って検討してまいりたいと思っております。
 さらに、お問い合わせがございました基本法の制定などの先生の御発想でございますが、我が国に入国、在留する外国人に対する施策の推進というのは、日本人の場合と同様に多くの関係機関が連携して取り組むべきであると思っております。このような取組のためには、先生御指摘のような基本政策の確立、それから主務大臣の明確化及び基本法の制定を行うということについても種々議論があろうかなというふうにも思っております。
 いずれにいたしましても、法務省といたしましては、関係機関の連携が不可欠であるという観点から、先般策定いたしました第三次出入国管理基本計画におきましても、厚生労働省等と必要な連携を図りながら施策を検討、推進していくことといたしております。また、今後、この方針に沿って対応してまいりたいと考えております。
 先生が一番最初にお触れになられました健康のチェックというような問題につきましても、この治安が、入国管理の仕事についてお褒めをいただいたわけでございますが、治安の健康状態のチェックということが一番必要であろうかなということは痛感いたしております。
 私が言い間違っておりますところがございました。法務省が就労支援と申し上げた、でなく、これは厚労省でありますので、その点、御訂正させてください。
 以上です。
#30
○荒井正吾君 ありがとうございました。
    ─────────────
#31
○委員長(渡辺孝男君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜四津敏子君及び江田五月君が委員を辞任され、その補欠として浜田昌良君及び林久美子君が選任されました。
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#32
○林久美子君 私は、民主党・新緑風会の林久美子でございます。
 本日は、刑法等の一部を改正する法律案につきまして、先輩議員、そして同僚議員の御配慮によりましてこうして質問に立たせていただく機会をいただきましたこと、まずもって感謝を申し上げます。
 それでは、よろしくお願いいたします。
 今回の改正によりまして、人身受渡し罪、人身買受け罪などを新設をいたしまして、これらの行為を処罰の対象とするなど一定の評価はできるというふうに考えております。しかしながら、肝心な犯罪被害者、すなわち人身取引の被害者の保護についての位置付けやあるいは体制の整備については不十分でございまして、今回の改正で真の意味で被害者の救済や犯罪組織の摘発につながるのかどうか、そういう点につきましてはまだまだ疑問が残るところでございます。
 そこで、本日は医療体制、これは被害者の支援に欠かすことができないと考えますが、この医療体制を中心にお話を伺ってまいりたいと思います。
 では、早速なんですが、私は今月八日に代表質問に立たせていただきました。このときの答弁で、人身取引の被害者に対する医療につきまして、尾辻大臣からは必要となる医療の確保に努めていると御答弁をいただきました。
 今更申し上げるまでもなく、人身取引の被害者の方は、性病の心配をしていたり妊娠のおそれを感じていたり、そしてもちろん精神的にも深い傷を負っていらっしゃるという場合が多く、医師の診察や治療が必要な場合というのも決して少なくはございません。
 そこで、婦人相談所などで保護された被害者への医療についてはどのような体制で現在行っていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
#33
○政府参考人(伍藤忠春君) 婦人相談所におきましては、いろいろな問題を抱えた女性に対しまして、心理的ケアを含めた相談、保護を幅広く行っておるところでございます。
 医療的支援を必要とされる場合の対応でありますが、婦人相談所に置かれております、非常勤が多いわけでありますが、医師の、基本的にそこで行える医師の診療というものも可能な範囲で提供できるということでございますが、本格的な医療ということになりますと、そのいろんな周辺の病院等についての情報提供をして受けていただくと。
 ただ、経済的な問題からなかなか受けにくい者につきましては無料低額診療事業と、これは社会福祉事業の中にそういう一つの類型がございますが、そういった事業を利用していただくというようなことも含めて、できるだけ必要な医療が確保されるように努力をしておるところであります。
#34
○林久美子君 ありがとうございました。
 今三つのケースを御紹介をいただきましたけれども、それでは、被害者というのは着のみ着のままで逃げてこられる場合というのも多いかと思うんですけれども、治療費を持っていない場合、どのように対応していらっしゃるのでしょうか。
#35
○政府参考人(伍藤忠春君) 先ほど申し上げましたように、婦人相談所に置かれておる医師がまず対応する場合がございますので、これはもちろん経済的な負担はありませんが、ここでできる限りの軽度な医療は提供するということでございます。
 ただ、状況に応じまして、医療費がないような方々について更にもう少し高度あるいは中度の医療が必要というような場合には、今申し上げましたような無料低額、できるだけ安い、あるいは無料で医療を受けられるような施設を紹介し、そちらへお連れすると、こういったことで対応するということが基本的な対応だというふうに考えております。
#36
○林久美子君 それでは、この無料低額診療施設というのは全国の各都道府県にあるのでしょうか。
#37
○政府参考人(伍藤忠春君) 無料低額診療事業を行います病院でありますが、これは社会福祉法人でありますとか民法法人、宗教法人、各種ございますが、全国に二百六十二の診療所あるいは病院が存在をしております。
 全国的に設置をされておりますが、こういった医療機関がない都道府県が、現在、青森県を始め全部で六県は存在がしていないという状況でございます。
#38
○林久美子君 青森、秋田、山梨、岐阜、高知、そして沖縄の六県が空白県であるというふうに承知をいたしております。
 このように無料低額診療施設のない、いわゆる空白県にある婦人相談所にいらっしゃる医師の配置状況を調べてみましたところ、すべての六県につきまして非常勤の医師が一人いるだけという状況でございました。
 こうした空白県で治療費を持たない被害者が保護をされ、非常勤の医師がすぐにつかまらない、あるいは緊急の対応が必要である、そういったケースも考えられるわけでございますけれども、こうしたときはどうやって医療をどこで受ければいいんでしょうか。また、そのときの費用負担はどうなるんでしょうか。
#39
○政府参考人(伍藤忠春君) こういったところで今までの、昨年まで保護した人身取引被害者については幾つかの保護した県に聞いてみましたが、そういった事例というものは発生はしていないようでありますが、仮にそういった医療を必要な場合の対応でありますが、非常勤の医師が基本的には対応できればそこで対応するということでありますが、無料低額診療事業、こういうところもないようなケースについて、隣の県まで行くというのもなかなか不可能でありますから、できる限りそういった近隣の医療機関でそういったことに応じていただけるところを探すということも一つの方法ではないかと思いますが、そういったことと含めて、救急医療、どうしても救急の医療が必要というような場合には、救命救急センターである程度の対応をしていただくということも、従来から外国人の医療ということでそういった枠組みもつくっておりますから、そういう救急救命センターを活用するということも一つの方法かと思います。
 いずれにしても、今ある制度をできるだけ活用してやっていくということが基本だと思いますし、それから、お産が必要というような場合については、今助産施設の利用ということが、これは児童福祉法で無料で利用できるような、こういう制度がありますので、これについてはこういう既存の制度を利用して対応するということが可能だと思っております。
#40
○林久美子君 今御答弁の中に、まだそういうケースは発生していないという文言がございましたけれども、今までに発生していないからこれでいいというのではなくてしっかり、政治というのは、行政というのは万が一のときにも対応できるようなシステムを組んでおく必要というのがあるというふうに考えております。
 近隣の病院でそういう場合は対応してもらうこともあり得るというお話でございましたが、例えば骨折をしていらっしゃる方で通院が必要なケース等々もあるかと思うんですけれども、そういう場合のじゃ費用の負担はどうなるんでしょうか。
#41
○政府参考人(伍藤忠春君) 基本的な枠組みは先ほど申し上げましたようなことで、既存の制度を活用していただくということしか今のところないと思いますが、この辺りにつきましては、これから具体的な事例がどういうものが発生してどういう対応が必要かということは、事例、都道府県等の対応も含めて、私どももよく、何というか、事実を把握しながら少し研究をしていく必要があるのかなというふうに思っております。
#42
○林久美子君 私が事前に伺いましたところ、そういう場合は恐らく婦人相談所の方で医療費は賄うと、フォローするということになるというお話も伺っております。
 先ほども荒井委員の方からも御質問ありましたように、婦人相談所というのはなかなか厳しい現状に置かれているということを考えましても、もっとしっかりとした対応をしておく必要があるのではないかということを重ねて申し上げたいと思います。少なくとも、この無料低額診療施設のない空白県などでは婦人相談所に医師を常駐させるとか、何らかの手だてを講じる必要性もあるかと思いますが、その点についてはいかがお考えでしょうか。
#43
○政府参考人(伍藤忠春君) 先ほど申し上げましたとおり、そういった個別の県の対応というものも、その置かれている状況が違いますので、これから、既にDV被害者などでかなり外国人の方も保護したり、あるいは国内の方も保護したりしておりますが、具体的に医療費の問題で特に大変なことになったというような話も、特に私ども今承知しておりませんが、これから婦人相談所の対応ということについてどういうことが可能かどうか、あるいはもう少し何らかの積極的な仕組みとか対応を考える必要があるかどうか、先ほど申し上げましたとおり、これからの事例の積み重ねを見ながら少し研究していく必要があるのかなと考えております。
#44
○林久美子君 是非とも前向きな検討をお願いいたします。
 この無料低額診療、先ほどお話がございましたけれども、これはそもそも医療保険が発達していないころのもので、厚労省が平成十三年七月に出された無料低額診療事業に関する通知では、「社会情勢等の変化に伴い、必要性が薄らいでいるので、抑制を図るものであること。」とされておりまして、国全体としては抑制方針にあるということは承知をいたしております。
 確かに、この事業が法律に位置付けられました昭和二十六年当時に比べますと、この国は豊かにもなったでしょうし、医療保険というのも発達いたしました。しかしながら、今また別の意味で人身取引被害者など生活困難者が存在をしておりまして、また新たにそういう人々を救済するという意味での必要性というのが生じてきているのではないかなというふうに感じております。
 人身取引の被害者は性的にあるいは経済的に搾取をされ、十分な医療すら受けることができないと、そういう現状を見詰めましたときに、無料低額診療の空白県をなくすという必要性もあると考えますが、いかがでしょうか。
 また、アメリカなど先進国におきましては、緊急医療の提供は一般化をいたしております。そうしたことを考えましても、無料低額診療というのはある意味では民間に任せるということになるわけですけれども、民間に任せ切りというのではなくて、人身取引の被害者などの救済の必要な人たちについては国が医療費を負担をするということも検討すべき時期に来ているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#45
○政府参考人(伍藤忠春君) 無料低額診療事業でありますが、これは先ほど言いましたように、社会福祉法に基づく社会福祉事業として、医療機関が自らの負担において生計困難者の医療費の減免を行うと、こういう性格のものでありまして、一律にこの設置を義務付けるとか、なかなか行政が指導してこれを配置をしていくというような、こういう構造になっておらない性格のものでありますので、なかなか一律に指導するということはなかなか困難ではないかなというふうに思っておりますが、先ほどの抑制方針というような通達とは別に、実態としては、微増ではありますが、ここ数年少しずつ増えてきておるというのが実情でございます。
#46
○林久美子君 その空白県をなくすということについてと、あるいは国が医療費を見るということについてのお考えはいかがでしょうか。
#47
○政府参考人(伍藤忠春君) 医療費をどこまで負担をするかということで、これは先ほど来申しておりますように、できる限り既存のこの枠内で、枠組みの中で対応していかざるを得ないと。これは今の、今までの国内の婦人保護事業もそうでありますし、国内のDV被害者に対してもこういった形で提供しておりますので、人身取引被害者というものをどういうふうに位置付けるかという問題とも関連をしてくる問題でありますが、今にわかにこの部分だけを、医療費を国が持って、あるいは公費でもって提供するという仕組みをつくることはなかなか困難かと思いますが、これは、人身取引被害者対策全体をどう考えるかということの中でそういった議論も必要かなという気はいたしますが、私どもとしましては、今の既存のこういう枠内でできる限りの工夫をすると。
 先ほど言いましたように、婦人保護、婦人相談所、個々で対応している場合にどういうふうな個別のこの医療というものについて配慮が必要かということについては、先ほど来言っておりますように、もう少し実情に応じた取扱いが可能かどうか、その辺りも含めて少し検討はしていく必要があるのかなというふうに考えております。
#48
○林久美子君 医療というのは人の命を守る上で欠かすことができない。先ほども申し上げました諸外国の先進国の例を見ましても、積極的な取組を是非お願いをしたいと思います。
 何もこの医療という問題に限らず、非常に今回のこの人身取引につきましてはまだまだ改善をすべき点があるということでございますけれども、実はこの医師の配置にとどまらず、婦人相談所、先ほどから何度も何度もお話に出てまいりましたが、ここで、じゃ実際婦人相談員はどういう現状なのか、それをちょっと調べてみました。
 無料低額診療について空白県があるということを御指摘申し上げましたが、実はこの四月一日現在で、婦人相談所における婦人相談員につきましても空白県がございます。北海道と福岡、婦人相談員いないということですけれども、確認ですが、それでよろしいでしょうか。
#49
○政府参考人(伍藤忠春君) 北海道と福岡県につきましては、婦人相談員が婦人相談所に配置されておりません。
#50
○林久美子君 婦人相談所が今回の行動計画などにおきましても拠点の施設となるわけでございます。そうしたところでしっかりとその人員が配置されていないという状況で、本当に何かあったときに対応はできるのかなというのを不安に感じずにはいられません。医師の問題もそうです。この婦人相談員の問題もそうですけれども、結局は地方に任せっきりになってしまっていると。
 安全という部分で、ナショナルミニマムの観点からも人員配置最低基準みたいなものを設けて、しっかりと受皿を強化をしていくという考えはおありでしょうか。
#51
○政府参考人(伍藤忠春君) 婦人相談員の全体の数につきましては、この四年間ぐらいの間にかなり、一・三倍ぐらいに全体的には増えてきておりますが、御指摘のように、北海道や福岡においては配置をされていないと。婦人相談員というのは、婦人相談所だけではなくて、社会福祉事務所でありますとか、あるいは都道府県の本庁にいたり、いろんな機関に配置をされているわけで、福岡や北海道の場合には、たまたま婦人相談所には配置していないと。
 これは、聞いてみますと、婦人相談所には、婦人相談員というのは非常勤の方が非常に多いんでありますが、むしろ、この相談指導員という、別の呼び方でありますが、常勤の職員が北海道や福岡の場合には婦人相談所に配置をされておるという実情ございまして、そういう方でむしろ体制がある意味では充実を、非常勤よりも充実をした体制を取っておるということから、婦人相談員という名称の方々は婦人相談所に配置をされていないということだというふうに承知をしております。
#52
○林久美子君 それでは、婦人相談員と、事あるごとに婦人相談所の婦人相談員という御答弁が出てくるわけですけれども、それだったら相談指導員でもいいのではないかと。多分、ここら辺のそのすみ分けとか整理はできていないのではないかと。事前にお話を聞いたときにもそういう印象がぬぐい切れなかったということもございます。
 そこら辺はもう一度きちっと整理をしていただいて、しっかりと、婦人相談所を受皿とするのであれば、そこで保護、そして支援できるように検討をすべきであるということを御指摘を申し上げたいと思います。
 もう時間も余りございませんので、それでは最後に法務大臣にお伺いをしたいと思います。
 この医療あるいは婦人相談所の現状をお聞きになられまして、大臣といたしまして、これで本当に被害者たちが救われるのか、まだまだ議論の余地があるのではないか、今後どういうふうに対応していこうと考えていらっしゃるのか、御決意も含めてお答えいただけますでしょうか。
#53
○国務大臣(南野知惠子君) 医療関係のことをお尋ねでございましたので、それは私が今ここで、この立場で申し上げることは大変僣越になろうかというふうに思っております。
 何はともあれ、こういう人身の問題点抱えている人、また過去にはDV法などもしてきた個人といたしましては、そういう問題が充足されることが望ましいというふうには思っております。
 一つ政府といたしまして見解を申し上げるならば、昨年の十二月に策定いたしました人身取引対策行動計画、それにおきましては、総合的、包括的な人身取引対策を講ずることといたしております。その計画に沿って関係省庁が協力しながら諸政策を実行しておりますので、それを充実させていくという方向になろうかなと思います。今後とも引き続きまして、被害者の立場に立ってきめ細かな対応についてもやっていきたいというふうに思っております。
 病院での文言の話がございましたが、病院に来られる方々について、我々、看護職の立場の人たちに聞いたことがあります。これは、DV法との絡み合わせですが、いろいろな言葉を被害者の方々はお持ちでありますので、看護に関する、又は自分の症状を訴えることについて、その国の言葉で何か国語もメモを作ったよと言ってくださった方がいます。例えば、痛みに対して、きりきり痛むのか圧迫するような痛みなのかということによって、これまた診断の一助になりますので、そういう細かい配慮も現場ではしていることを付け加えさせていただきたいと思います。
#54
○林久美子君 どうもありがとうございました。
 今後とも積極的な対応をお願いいたします。
#55
○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。
 先週に引き続いて、最後の機会でございますので、質問をさせていただきますが、ずっと参考人の意見も聞かせていただきまして、いろいろこれまでのやり取りの中で、私自身としても、今回の法改正、その意義というのは非常に大きなものがあるというふうに考えています。一定の評価をしたいというふうに考えるんです。
 人身売買が今まで犯罪として規定されてこなかったということ自身がやっぱりちょっと遅かったなというような気はしますが、いずれにしても、今回、踏み込もうということであります。それは、国際的な期待にもこたえるということにもなるんですが、どうもこの間の議論をしてきましたら、その大事な、予防と、そして処罰と、そして保護という、この三つの大きなポイントの効果が本当にこれで上げられるのかどうかというちょっと疑問があります。そういう視点で幾つか補足という意味で質問をさしていただきたいと思うんですが。
 まずは、例えば処罰のところで、人身買受け罪あるいは売渡し罪、新設されました。本当にこれ新設しただけで、問題は、本当に撲滅にまで、効果を上げるまでにいくのかどうかというのがこれからの大事な課題なんですが、今までの経験ということからしますと、特にこの人身売買というのは、一個人が犯罪を犯すということではなくて、むしろ組織的な、しかも国際的なブローカーというものがおる、それ自身は個人ではなくて組織というようなことが実態が見えるんですが、その数字が明らかでないんですね。日本は受入れ国だというふうに言われて、指摘されて、一体日本のブローカーの数、あるいは特にその組織ですね、というものがどういう実態になっているのか、これをつかんでいるのかどうか、もしつかんでいるとすればその数字をちょっと聞かしていただきたいと思うんですが。特に、その中で、組織を処罰する、摘発するまでいった事例があるのかどうかですね、それもちょっと一遍聞かしていただきたいと思います。
#56
○委員長(渡辺孝男君) お答えはだれがしますか。
#57
○政府参考人(伊藤哲朗君) 人身売買組織の実態についてのお尋ねでございますけれども、その実態というのは、現状、基本的には地下に潜っているといいましょうか、アンダーグラウンドの世界でございますので、私どもといたしましては、事件検挙を通じてこれを解明していくと、実態解明をするということになるわけでございます。
 いろんな意味で昨年も人身事犯の取締りを行ったわけでございますけれども、その中で人身取引事犯の被害者の保護も行いましたし、一方ではブローカーあるいは悪質な雇用者等の検挙も行っておりまして、そうした中でブローカーの検挙というものも相当数行ったという状況でございます。
#58
○松岡徹君 私たちは、人身売買が非常に重大な人権侵害であり犯罪であるということは分かっておるんですが、その実態がなかなか分からない。しかし一方、日本は受入れ国だと言われてきている。そして、そのことが国際的にも批判されている。これに責任ある答えを出していこうということが今回の法改正の大きな責務だと思うんですね。
 そのときに、日本の受入れ国となっているブローカーの組織が、一般的に言うならば、それが暴力団の資金源になっているとか、そういうようなこと言われます。ところが、この実態が全くはっきりしないんですね。それが摘発と、要するに非常に難しいんです、その実態をつかむというのが難しいという事案なんですね、これは。
 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、そういう意味では、一つの、摘発するという、例えばストリップ小屋とかあるいはそういう性風俗のところを摘発する、捜査するということもあるかもしれませんが、一番大事なのは被害者の保護と、そして被害者の証言によってその実態が明らかになっていくというのは極めて重要なウエートを占めていると思うんですね。で、大臣にお聞きしたい。それは、私はそう思うんですけれども、大臣、是非とも被害者からの証言というものが非常に大事になってきます。その被害者が安心して証言できるような環境をどういうふうにつくろうとしているのかというものを、改めて大臣の考え方をお聞かせ願いたいんですけど。
#59
○政府参考人(三浦正晴君) 私の方からまずお答えさせていただきたいと思いますが、被害者の方が安心して関係機関に出頭していただくことがまず肝要であるという、委員御指摘のとおりだと思っております。そのためには、もちろん事前に人身取引の被害者の方は被害者として保護されるのであるということを広く周知するということが必要であろうかと思います。
 また、実際にいろんな関係機関に出頭してきた場合には、入管の立場から申し上げますならば、まず対応する担当官については、ほとんどの方が被害者は女性だというふうに思われますので、女性の被害者の方には女性の担当官が対応するというようなこと、それから、言語の問題が先ほどもちょっと出ましたですが、日本語に通じていないような被害者の方につきましては、その方の母国語の通訳を手当てをして詳細な話をその被害者の方から聞いていくという、こういったことを心掛けているところでございまして、今後ともそういう形で対応してまいりたいというふうに思っております。
#60
○松岡徹君 大臣、なぜそれを言うのかというのは、今入管の局長が答えていただきましたけれども、要するに被害者の証言というのは極めて、組織やブローカーを摘発していく、すなわち今回の法改正の効果を上げていく、そして実態を把握するためにも大事なポイントであるというふうに思うんですね。そういう意味では、いろいろ努力をしていかなあかんし、これからの課題がたくさんあると言われています。今大臣がどのような問題意識を持たれているのかということが聞きたかったんですね。当然、言うまでもなく同じ問題意識だと思いますが。
 そこで、被害者の人たちが、まず入管の局長答えられました、あるいは民間の、参考人で民間のシェルターの方が、民間のところに駆け込んで、そして保護していると。で、彼女は被害者だと、その被害者の申請をするのに一か月以上掛かるという証言も先日の参考人のところでもありました。そういうことからすると、まず被害者が安心して証言できるような環境をどうつくるか、そのときには入管はそうおっしゃいました。それ以外にもたくさんあると思うんですね。
 私は一番大事なのは、その被害者を、私たちの国際的な批判の一つに、日本は被害者を犯罪者扱いしているという指摘ありましたですね。すなわち、それはどんな犯罪かといえば、不法入国、不法就労、不法滞在という対象者として対応してきたんですね。そういう意味では、今回は、今回の法改正で効果を上げていくためにも、特別在留許可の仕方、認定の仕方ですね、これを直ちに出していかなあかんと。安心して被害者が、先ほど言った医療の関係にも対応できる、あるいは証言にもこたえられていくというようなためにも、被害者の被害としての認定と、そして在留許可をどういうように下ろしていくのか、これは是非とも、私はそう思うんですが。
 そこで、被害者であると認定する場合、だれがどのように、どのような方法で認定するのか、それをちょっと聞かしていただきたいと思います。
#61
○国務大臣(南野知惠子君) そのような場合、また人身取引の被害者の認定をいたします場合には、御本人の申出、先生言われたように、それは申し出られるような環境を整えてあげるということが大切ですが、そのように申し出やすい環境をつくり、その申出によりまして入国管理局が、これが独自に調査した結果はもとより、警察等の捜査機関、NGO、出身国の在日公館からも情報の提供を得るなどして、判明した事実を総合的に考慮して判断するというのが建前でございます。
#62
○松岡徹君 建前は分かるんですが、今まで被害者が直接保護されて、言わば入管で発覚するいうのが多いですね。もう一つは、自分の自国の大使館に駆け込んで、あるいは民間のそういう、参考人来ていただいたサーラーの家とか、そういうところに駆け込んで発覚するというのが多いんです。
 今回の改正で、保護するという取組のところで、駆け込み寺としての一つに警察とかということをおっしゃいました。こんなパンフも用意しようということも言われていますけれども。そういう意味では、その認定の仕方なんですね、入管で最後にするかもしれませんが、やっぱりその窓口、駆け込みするところとどうやって連携していくのかというのが非常に大事なんですね。これを迅速にやっぱり対応すべきことだというふうに考えるんですが、それに対応するような対応策というのは考えていられます、今回の法改正に当たって。
#63
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、人身取引の被害者の方が発見されるといいますか、認知される状況というのはいろんなケースがあるかと思われます。刑事事件として捜査が開始されるケースもございましょうし、あと民間のシェルターのようなところに御本人が駆け込むケースもございましょうし、入管にお見えになることもある。そうしますと、それぞれの機関がそれぞれの担当をしてはおりますけれども、相互に情報を交換するということが非常に大事になってくるんだろうと思われます。
 入管で仮に被害者と認定いたしましても、当然その被害者の陰には加害者がおるわけでございますので、捜査の必要もございましょうし、そういったことで我々としては、関係省庁の連絡会議もございますし、それ以外にも、警察と厚生労働省とも個別的にも緊密な連携を取って対処をしていっておりますし、今後もその方針で対処してまいりたいと思っております。
#64
○松岡徹君 やっぱり今までの現状の域を出ていないんですね。そういう意味では私は、今回本当に被害者が被害者として認定されて保護されるのだろうか、そういう効果を上げられるのだろうか、そのことに非常に不十分さを感じます。そのことが不十分であればあるほど、摘発、処罰というところの効果がやっぱり薄くなっていくということなんですね。
 そういう意味で、私は大臣に聞きたいのは、被害者と認定されるためのそういういろんな方法、民間との連携をしていこうということをおっしゃっていました。だから、民間とのあるいはNGOとの連携というのは非常に大事です。ところが、その民間との連携の仕方というのは非常にあいまいですから、今回の施策の中にも、やっぱりしっかりとそのことを踏まえると具体的な施策を、定義付けを、民間との定義付けをしていくべきだと思うんですね。今後の課題になろうかと思いますが、是非ともそれは形として作り上げていただくように要請をしておきたいと思うんです。
 それで、被害者と認定された場合に在留許可を今回は許可しようということになります。この許否の判断は残念ながらまだはっきり明快ではないんですね。すなわち、大臣の裁量権の範囲内でこれが決められるんです。これは非常にあいまいなんです。しかも、全国あちこち被害者が出てくる可能性があります。大臣がその在留許可の許可を下ろす場合の許否の判断基準というのが裁量権の枠内ですから、具体的じゃありません。私は、このあいまいな定義といいますか、許否の、裁量という内容をこの際はっきりすべきではないかというふうに思うんですけれども、当事者の大臣、どない思われます。
#65
○国務大臣(南野知惠子君) 人身取引は本当に重大な人権侵害であるというところに立脚いたし、早急な取組が必要であるという認識の下に政府を挙げて対策に取り組んでいるところであります。
 今回の法改正は、その一環といたしまして、人身取引の被害者は保護の対象であることを明確にするものでございます。したがいまして、被害者として保護することを念頭に、原則として在留特別許可をすることになるものというふうに思います。
#66
○松岡徹君 被害者と認定されれば、もう直ちにイコール特別在留許可が下りるというふうに解釈すればいいんですか。
#67
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 大臣の方からも原則としてというお答えがございましたけれども、今回の法改正の趣旨を踏まえますれば、人身取引の被害者という認定をされた場合には、よほど極端な例外がなければ在留特別許可を付与するというのが法改正の趣旨でございます。
 例えば、余り想定できませんが、被害者の立場にあると同時に、その人身取引問題とはおよそ関係なく重大な殺人事件なり強盗事件などを起こしておったというようなケースですとか、また入管法の退去強制事由の中にございますが、日本の国益を損ねるような、日本の政府を武力で転覆する目的を持っているというようなケースが規定されておるわけですが、そういった例外的なケースはこれまた別な判断があろうかと思いますが、そうでない通常の場合には在留特別許可が付与されるというふうに考えております。
#68
○松岡徹君 余りにも極端な例を言われると、まあ人身売買された人がその国を転覆させるような犯罪に加担するようなことは当然考えられませんけれども、要するに実態とずれているんですね。考えられる可能性といったら何ぼでも限りない無限ですけれども、やっぱり現実をしっかり踏まえて実態に対応していかなくてはならないと言っているんですね。私はそういう意味では、今回の法改正で人身売買が犯罪としてしっかりと規定されて、しかもそれを撲滅目指してやろうというときに、いかに犯罪被害者の、この被害者の救済といいますか、保護というものが大事であるかというのは、効果を上げるためにも大事だという意味で言っているんですね。ですから、今入管局長がおっしゃったように、それは、転覆させるような犯罪とか考えたら可能性はあるかもしれませんけれども、そんな問題ではないんですね。
 ですから、やっぱり在留許可を、やっぱり被害者と認定された場合は無条件にやっぱりやっていくことが大事だと思うんです。それはなぜかといえば、次のことにもなりますが、犯罪ブローカーとかあるいは組織、そういったものを摘発していくためにも、あるいは先ほどのやり取りの中にもありましたように、この人身売買の我が国での全容を解明していくためにも極めて大事な課題でありますから、被害者の方がしっかり安心してその証言ができるということが大事だと思います。
 私は同時に、もう一つは、被害者の人の保護の中に、権利あるいは人権の回復という大事な視点があります。行動計画の中にも人身売買は重大な人権侵害であるというふうに規定されています。彼女らをあるいは彼らを保護するというのは正に人権を回復さしていくという取組なんですね。医療やあるいは様々な保護、救援施策は正にその一つだと思うんです。その中で、被害者の方々が証言と同時に、その犯罪ブローカーや組織を証言の中で正しくしていくという環境をつくって、告発していくということまで当然権利としてはあると思うんです。あるいは認めていくべきだと思うんですね。
 被害者が裁判に訴えていくといった場合、どのような対応、支援策というものを考えておられるのか。
#69
○国務大臣(南野知惠子君) 人身取引の被害者が加害者に対する損害賠償の請求等もこの中身に入っているのかなと思っておりますが、我が国に在留を希望し、その必要が認められる場合には、在留特別許可や在留資格の変更許可等により必要と認められる期間の在留が可能となるのが先ほどの話でございます。
 そういう意味で、自分が受けたい裁判、これがちゃんと的確に情報として与えられるのかというようなお尋ねであったと思いますが、昨年成立いたしました総合法律支援法に基づきまして、これは平成十八年度に日本司法支援センターが設立されるということになりますが、この支援センターにおきまして被害者支援団体などと連携協力しながら、被害者の方々に有益な情報の提供をしてまいりたいというふうに思っております。また、支援センターでは、各地の弁護士会や日弁連の方々と協力しながら、犯罪被害者問題に精通した弁護士の方々を紹介する体制、そういうものを整備することが予定されております。
 人身取引の被害者に対しても、支援センターのこのような業務を通じまして、損害賠償請求とか訴えたい問題という問題を、その風通しを良くするための情報提供ということはしていかなければならないと思っております。
#70
○松岡徹君 被害者の方の人権の回復、これは私は非常に大事な視点だと思うんですね。それを抜いてはならない。
 そのことからすると、実態に見合うということですが、人権の回復の手段の一つとして、自らが被った被害、例えば被害者の方は日本に人身売買で連れてこられたときに、日本のブローカーに身柄が渡ったときにはもう既に三百万とか五百万の借金を知らぬところで負わされているんですね。自ら別にもらったわけでもないのにそういうことを負わされている。すなわち、そういった一つ一つの被害の状況、それに対する訴訟とかあるいは損害賠償とか、そういったもののことを保障していくという、そういう環境を保障するということは大事な被害者保護、支援のポイントだと思うんですね。そういう意味では、今大臣おっしゃったように、司法の支援センターを中心にとおっしゃっていますけれども、例えば訴訟費用とか、あるいはそういった道がありますよということを被害者に丁寧に伝えていくということも大事なんですね。
 被害者の方自身は、駆け込んだときには、警察に駆け込む例というのは非常にもうほとんどないというぐらいです。そういう意味では、なかなか日本の警察やあるいは司法が十分分かっていないし、信頼もされていないという状況であります。丁寧なそういう手続といいますか、そういう支援の方法を考えていかなくてはならないと思うんですけれども、その支援センターでそういう相談に応じるということだけでは十分なフォローにはならないんではないかなというふうに思うんですね。日弁連とかそういったところとしっかりと連携をしてやっていく必要があると思うんですけれども、支援センターだけではまだまだ不十分だと思います。
 先ほど大臣がおっしゃった、民間との連携とか日弁連とかおっしゃっていましたけれども、その場合、当然訴訟費用とかありますが、そういったことの支援も考えておられるのかどうか、ちょっとお聞かせいただけます。
#71
○政府参考人(倉吉敬君) 申し訳ございません。
 総合支援法の中に、支援センターで民事法律扶助事業もやると、こういうことになっておりまして、これはもちろん資力がないという要件が必要になるわけですけれども、それを審査した上で訴訟を追行していく資力がないということであれば、その訴訟費用も立替払をするという前提で、これは現在行われております民事法律扶助と全く同じスキームでございますが、それを日本司法支援センターが引き継いで行うと、こういうことになっております。
#72
○松岡徹君 立替えというのは、非常に被害者の状況からすれば非常に難しいんですね。ですから、やっぱり踏み込んだ支援策というものを考えていかなくてはならないと思うんです。
 先ほどのやり取りの中でもありましたけれども、彼女らが婦人相談所に特別在留で保護されて、その中で例えば訴訟の手続をしていくといった場合、具体的な現実的な姿というのが見えてこないんですね。本当にそれができるのか、あるいは婦人相談所のところにそんな機能があるのかどうか。フォローできる、介添えできるようなことができるのかどうか。そういうことからしてもやっぱり、全体としては今回の法改正の趣旨は理解できるけれども、中身は本当に実が上がるのかという気がします。
 今年の予算を見ましても、データベース化するための予算は六千六百万の予算を組んでいて、厚生労働の婦人相談所のところでは、民間への支援策でわずか一千万なんですね。そういう意味では、まだまだ実態が分かっていないからかもしれませんが、今回のやり取りを考えれば、そのことが少なくとも明らかになってきたんだから、しっかりとそれを踏まえた体制を是非とも取っていただきたいということであります。
 最後になりますけれども、先ほどもありました、問題は、趣旨は理解できるが効果はこのままでは上がらないんではないか。それは正に、無責任とまでは言いませんが、非常にあいまいな推進体制といいますか、そういう状況にあると思うんです。
 私は、先週のやり取りでもさしていただきました。こういうことを考えますと、総合的な、それぞれの省庁の得意分野だけで、私はこれします、私のところはこれしますということではなくて、そういう省庁の都合で対策が決まるんではなくて、この人身取引の被害の実態、被害者の実態というこの実態に即したところからどういうふうな施策を打っていくのかということの発想でいかなくてはならないと思うんです。そういうことからすると、責任ある所管省庁といいますか、窓口といいますか、体制というものが要ると思うんです。
 私も、事前のレクチャーのところで聞かしていただきました。内閣官房がその責任窓口になるのかということからしても、非常にあいまいなんです。しかも、この問題は、この人身売買は重大な人権侵害であるといいながら、この連絡会議の中には男女共同参画室がなぜ入っていないのか、あるいは法務省の人権擁護局がなぜ入っていない、メンバーに入っていないのか、人権という視点が軽視されて、それぞれの所管省庁の都合だけで対策が練られているんではないか。決してそうではないと思いますが、問題は、なぜそうなるのか、そういうふうに受け止められるのかといえば、責任ある省庁がはっきりしていないからだというふうに考えるんです。
 もう一度、やっぱりその責任ある窓口、人身取引の被害あるいは人身取引のこれからの課題について、ここへ行けばすべてが分かるというような組織というものをつくるべきだというふうに思いますし、同時に、そのことは総合的な施策ということから考えると、総合的な法制度というものが必要だと思いますけれども、そのことを大臣にお聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
#73
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に先生のおっしゃることを十分理解させていただき、法務省といたしましても、関係省庁連絡会議を中心としてこれまで以上に関係省庁と緊密に連絡を取りながら、この法案ができました暁にどう運用していくかということには誠心誠意取り組んでいきたいと思っております。
#74
○千葉景子君 私の質疑時間が十一時三十八分までになりましたので、もう事前に申し上げていることをはしょってまいりたいというふうに思っております。
 もう端的に聞かせていただきます。
 一つは、今回の法案の中で外国当局に対する情報提供というのがございます。これについては、先般から問題になっておりますように、難民申請をしているようなそういう方などについて、法務省がクルド難民についてトルコまで行ってそして向こうの当局と一緒に調査をして、家族まで動員して調査をしたりして、非常にその身柄を危うくさせたというようなこともございます。そういう意味で、この外国当局に対する情報提供ということについては、やはりその個人情報、そして被害者とかあるいは難民にかかわる人の保護、こういうことに問題が起こらないようにしていただきたい。それをどう考えているかということ、一点。
 それから、民間業者の旅券の、運送業者の旅券の確認義務というのが今度は入りました。これについても、やはり、まあ窓口というか、確認の際に、それがいたずらに恣意的な運用がされたり、それによってやはり被害者をまた危ういところに追い返しちゃってとんだことになったり、あるいは難民として庇護を求めてこようというような方に、この確認作業によってその庇護を求める権利を阻害するというようなことになったのでは困ります。
 趣旨は、この法案の規定の意図するところは私も分かり、理解をいたしますけれども、やはりそういうこれまで問題になっているような点について十分な配慮と、それからそういうことは決して起こらないということをきちっと大臣にも確認をさせていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#75
○国務大臣(南野知惠子君) 先生御指摘のとおり、外国入国管理当局における情報提供の規定といいますものは、情報提供を行う際の基本的な手続、範囲等を明確にすることにしたものでありますけれども、この規定を新設しても、入国管理局が保有するあらゆる情報を外国入国管理当局に提供できるようになるわけではないということが一つでございます。いずれにしましても、新設する新しい情報提供規定の運用は厳格に行ってまいりたいというふうに考えております。
 さらに、もう一つのお尋ねの難民認定申請者に関連する情報ということでございますが、新設します情報提供規定の運用に当たっては、先生御指摘の点について十分配慮してまいりたいというふうに思っております。
 さらに、運送業者に対する旅券等の確認義務等でございますが、運送業者に課せられました旅券等の確認義務、これは人身取引やテロの未然防止などを目的とするものでございます。実際上も難民の迫害国からの出国を妨げることはないように、また今回の改正により、従前と比べて難民等の権利が不当に害されることはないということを申し上げたいと思っております。
#76
○千葉景子君 次に、先ほど質疑がございましたけれども、被害者としてどう認知をするかという問題がございます。
 認知をされるといたしましても、特在を、裁量ではありますけれども、できる限り速やかに付与するということであろうというふうに思いますが、ただ、私は、その手続の間、やはり場合によっては不法滞在というような形で収容を余儀なくされるというようなことも予測をされます。ただ、やはり収容をされるというようなことになると、せっかく被害者であり保護を受けられる、そういう身でありながらも、一方ではそういう強制的な収容を受けると。非常にこれ矛盾すると思うんですね。
 そういう意味では、その間、その収容手続を取らずして、でき得る限り仮放免を直ちに出すとか、いろいろな手法があると思うんですけれども、私は身柄をやっぱり収容するということはできるだけ避けるべきだというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#77
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、被害者の可能性のある方につきましては、種々、懇切丁寧な対応を心掛けているところでございます。
 そのような中で調査を行うに当たりまして、当然多くの方は不法滞在状態になっていると思われますので、入管法の原則によりまして退去強制手続を取らざるを得ません。また、在留特別許可を付与するためには退去強制手続が前提として不可欠でございます。
 そうしますと、どうしても収容という問題が出てくるわけでございますが、私どもといたしましては、当初から被害者であるということが明らかなような方につきましては、手続上も、事実上収容をしない形で手続を進めるということを考えておりますし、実際にも、そういう状況にある方についてはそのような取扱いを現在でも行っておるところでございます。
#78
○千葉景子君 是非、そこは原則としては収容をしないで速やかな手続を行うということを是非確認をさせていただきたいというふうに思います。
 それで、これはもう荒井議員からも、松岡議員、それから林議員からもそれぞれもう質疑がありまして、私も改めて感ずるんですけれども、一体、今回のこの法改正、そしてまた行動計画も策定されておりますけれども、これまでとどの程度本当に実が上がるんだろうか。
 考えてみると、実態の把握というのがなかなかつかみにくい、そういうこともこの委員会の質疑ではっきりしてまいりましたし、それから、どうやってその被害者を認知していくのかというようなこともなかなか難しいなという、そういう感じもいたします。
 そしてこのシステムも、これも問題にもうされているように、どうも、どこが中核となってリーダーシップを取ってそして全体を動かしていくのかと、こういう体制がやはりいま一つどうもはっきり見えてこない、こういうことでございます。これで本当に実が上がるんだろうか。もうお聞きはいたしません。
 その責任体制も、この行動計画見ても、考えてみると、法務省あり、厚労省あり、内閣府あり、海上保安庁あり、そしてODAなどで外交、外務関係もあり、職業相談とかいうと、これも厚労ですね。そういうこともあり、それから、自治体などがどうやってやっぱり関与して、そして実を上げていくのかと、こういうこともあり、一体これを全体としてどうやって動かしていくのか。本当に私は、この責任体制というのはもう一度改めて考えていただかなければいけないというふうに思います。
 そこで、大臣には、法務省がそれをやるんだという話ではないと思いますけれども、是非それは、政府の一員、国務大臣でもあるわけですので、やっぱり閣議等でこの問題提起をしていただいて、やっぱり人身取引の対策を実効あらしめるためには、そしてこれだけ国際的にも、ちょうど今、IPUのASEANプラス3という東京会議が開かれておりまして、そこでも人身取引というのは非常に大きなテーマになっている。日本のやっぱり行動が注目されるわけですね。
 これをどうやっていくのかというのは、やっぱり政府全体なんでしょうけれども、そこのやっぱり責任をどこがきちっと取っていくのかということを、やっぱり大臣、閣議などで問題提起いただいて、そして体制を取っていただきたい。それは改めて、どうなったかというのはいずれ聞かせていただきたいというふうに思いますので。
 そして、大事なのは、この行動計画とか、あるいは、今回のこのシステムが本当に実効があるのか、あるいは、じゃ今後どうしたらいいのかということをやっぱり的確に検証していく必要があるというふうに思うんですね。ですから、例えば一年ごとにきちっと検証する、そして国会にも報告をいただいたり、あるいは政府内でそれに基づいて新しいまた制度をちゃんと構築をしていく、こういうことが必要だというふうに思います。
 最後に、今言ったように、政府としてどういう責任体制をつくるのか、それに対して、大臣、ちゃんと問題提起していただきますね。それを確認をするのと、それから、その検証についてもきちっと定期的に、一年なら一年ごとにとかそういう検証を行うということも、大臣から是非政府全体に提起をしていただく。この二点、是非、大臣としての御覚悟、聞かせていただいて、終わりにしたいと思います。
#79
○国務大臣(南野知惠子君) 人身取引またそれを撲滅していくということについては全くこの法案で取り上げていくようになりました。人身取引は罪ですよというところまで今この法案でやっていこうとしております。
 それについては、各関連省庁一杯ございますけれども、その省庁と連携を取りながら、やはり一体となって、政府一体となってしていくことであろうかと思いますので、先生がおっしゃられたように、いろいろな形の連携を取りながら、これがうまく展開していくように努力していく一人であろうかなというふうにも思っております。
 そういう意味で、この法案がやっとでき上がろうとしておりますので、それを展開することによってどのような実績ができていくかということが次のまたステップアップにつながっていくだろうと思っております。
#80
○千葉景子君 検証をちゃんとやってくださいね。検証をきちっと行ってください。
#81
○国務大臣(南野知惠子君) それで、このような過程で解明されていく実態につきましては、これに的確に対応をして、有効な取締りや被害者保護のためのより良い方向を目指して検討していこうというふうに思っております。
 検証の問題についても考えていきたいと思っております。
#82
○千葉景子君 終わります。
#83
○木庭健太郎君 本法律案、今日が質疑最後でもございますので、確認の意味も含めて、幾つか質問をさせていただきたいと思っております。
 この法律案は、平成十二年十一月に国連総会において採択された、国際的な重要課題とされる人身取引等の防止、撲滅に向けた人身取引議定書及び密入国議定書の締結に向けての国内整備と位置付けられているわけでございます。
 新設される人身売買罪とか旅券等の不正受交付罪は、正にこの締結に国内法整備ということで直結するわけですけれども、逮捕監禁罪及び未成年者略取誘拐罪の法定刑の引上げなどは、要請している点とは異なるようなものも含まれているわけでございまして、確認の意味で、本法律案の改正事項が両議定書の内容とどのように対応しているのか、確認の意味で御答弁いただきたいと思います。
#84
○政府参考人(大林宏君) まず、人身取引議定書の要請に対応するものとしての例を申し上げますと、刑法に人身売買の罪を新設すること、被略取者引渡し等の行為の処罰規定を整備すること、臓器の摘出の目的を含めた生命若しくは身体に対する加害の目的による略取、誘拐、売買等を犯罪化すること、出入国管理及び難民認定法に人身取引等の定義規定を置き、人身取引等の被害者が在留特別許可等の対象となることを明示することがございます。
 また、密入国議定書の要請に対応するものとしての例を申し上げますと、出入国管理及び難民認定法を改正し、他人の不法入国等を容易にする目的で行う旅券等不正受交付等の罪を新設することがあります。
 さらに、両議定書の要請に対応するものとしての例を申し上げますと、出入国管理及び難民認定法に、運送業者に旅券等の確認を義務付ける規定や外国入国管理当局への情報提供に係る規定を設けることがございます。
 一方、両議定書の直接の要請によるものではない例といたしまして、人身の自由を侵害する犯罪であります略取誘拐や監禁事案の実情にかんがみまして、人が現に所在する国から国外に移送する目的での人の略取等の罪を新設するとともに、逮捕監禁罪や未成年者略取誘拐罪の法定刑を引き上げることとしており、これらの罰則整備が人身取引の撲滅に資するところもあると考えております。
 また、他人を不法入国等させる目的のみならず、自ら不法入国等する目的による旅券等の不正受交付等の罪も新設しておりますが、これは、不正に交付を受けた旅券等が他者に渡る危険性や旅券等が出入国管理に果たす役割の重要性にかんがみ、特に犯罪化することとしたものでございます。
#85
○木庭健太郎君 今お話があったように、この密入国議定書の締結に伴いまして、テロ対策の一環とも兼ね合いあるんですけれども、民間の航空会社などいわゆる輸送業者等に旅券の、旅客の旅券確認義務に関する規定が新設をされておるわけでございますが、今この変造また偽造旅券というものというのはもうどんどんどんどん巧妙化する一方でございます。これを民間業者にもと言われてもどうなのかなという疑問もあるわけでございますが、現在、最近の偽造旅券、変造旅券というものの実態、どんなふうになっているのか、まず御説明をいただいておきたいと思います。
#86
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 我が国の入管当局で把握している状況について御説明させていただきます。
 空港ですとか海港、海の港でございますが、ここにおきます出入国審査におきまして、日々、旅券を始めといたしまして偽変造文書が発見されている実情にございます。昨年中に発見されました数でございますが、約二千七百件に上っております。これを行使した者の国籍を御紹介申し上げますと、中国人が約三一%、タイ人が約二二%、フィリピン人が約一五%、こういった順番になってございます。
 また、これとは別に、我が国を経由して欧米各国などに赴こうとする乗り継ぎ客が空港のトランジットエリア内で偽変造旅券を所持していることが判明して摘発されるというケースが増加しておりまして、こういうケースは昨年は二百六十件余に及んでいる実情にございます。
 最近では特に、従来は旅券の写真の張り替えという方法で偽造された旅券を使うケースが多かったわけでございますが、これとはまた別に、真正な他人の旅券を持ちまして、その他人に成り済まして入ってくるというような事案が数多く発見されている状況にございます。
 入管局におきましては、全国の空港、海港に配備されました高性能の偽変造鑑識機器を引き続き活用してこの偽変造文書の発見に努めておりますほかに、実は、本年四月からタイのバンコク国際空港に偽変造鑑識技術に優れた入管の職員を一名派遣しております。そこにおきまして、他の国からも多く派遣されておるわけでございますが、これらの各国の専門家とまたタイの入管当局とも協力しながら、出発地における偽変造文書の発見や、偽変造文書を使って飛行機に乗ろうとする者を事前に発見するというような形で協力をしているところでございます。
#87
○木庭健太郎君 今回は、民間業者に対しては、今言ったような旅券の確認行為ですか、これをきちんとやらないと、怠ると過料が科されるという厳しい内容になっているわけですよね。ただ、前回質疑のときお聞きしていると、現行のものと余り変わらなくてもいいような話もあるし、ただ、その中で見抜けないようないろんなものもあると思うんですけれども、そういう偽造旅券ですよね。
 実際に、今回法改正するのに合わせて、この実効性を高めるために運送業者の方たちに対してどんなことをしようとしているのか、法務省として。やっぱり研修とかやってやらなくちゃいけないというような思いもあるんですけれども、その辺の御説明をいただいておきたいと思います。
#88
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 委員御指摘の新たな運送業者等に対する旅券の確認義務の規定につきましてでございますが、現在でも、運送業者は一般に運送約款というものを顧客と交わしておりまして、その約款の内容に基づきまして客の旅券等の確認を行っている実情にございます。そういう場合に、仮に偽変造旅券を発見したというケースにつきましては搭乗を拒否するという措置を講じておるところでございます。
 ところで、現在運送業者が行っている確認は、出入国管理当局が行う出国審査というのがございますが、その出国審査の前の段階でございます。いわゆる成田で我々が外国へ行こうとしますとチェックインを最初にいたしますが、その段階における旅券確認というのが中心になっておるわけでございます。また、確認方法や程度につきましてもそれぞれ航空会社で統一的に行われているわけでもございませんので、近年多発しております、先ほどもちょっと御説明申し上げました、出国審査が終わった後に空港の中のトランジットエリアで偽造旅券をブローカーから受け取ったりするケースがございますが、そういったもので偽造旅券等を使って航空機に乗り込むというところのチェックは現在ではできていないという状況にございます。そういうことから、今回の改正では、そのような事案に対応できるように運送業者に旅券の確認をお願いするという規定を置くことにしているわけでございます。
 その確認の内容についてでございますが、委員からの御懸念がございました、確かに一般の航空会社の職員でございますので、入管の専門家とはおのずから知識等、程度に差があることは明らかでございます。今考えておりますのは、通常の航空会社の職員であれば判断することが可能な程度、具体的に申しますと、旅券等に記載されました、本人の生年月日ですとか性別ですとか身体的特徴が記載されておりますが、こういったものがその目の前にいる本人と称する人と一致するかどうかという確認は、これは大体常識的にできるのであろうということ、それからあと、旅券として提示されました文書が一般の航空会社の職員の知識から見て旅券として通用するものであるかどうかといったことなどを確認していただくということになると思っております。
 これにつきましては、搭乗口で短時間に大量のお客さんのものを確認していただくということになりますので、当然ながら、高いレベルのもの、入管職員と同等のものを求めるということは、これは困難だろうというふうに思っております。しかしながら、これが有効に機能しますと非常に効果があるというふうに思っておりますので、まずは入国管理当局におきまして、どういった内容を確認していただくかということについて指針を作成することとしております。この指針に基づきまして、航空会社等の職員の方を対象にした偽変造旅券等の確認方法に関する研修会を随時開催することを計画しているところでございます。
#89
○木庭健太郎君 もう一つは、こういうテロとか国際組織犯罪を水際で食い止めようということで新たなシステムが今年一月から、この事前旅客情報システムですか、乗るお客のお名前を送信してもらって、航空会社から、チェックするというシステムでございます。これ、もう既に機能しているのか、どんな効果あっているのか、簡潔に御説明だけいただいておきたいと思います。
#90
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 本年一月から運用が開始されておるわけでございますが、委員御指摘のとおり、外国から日本に向けて出発する飛行機について、航空会社で乗客の名簿を把握しますので、それを電子データで航空機が日本の空港に到着する前に我が国の入管それから警察、財務ですね、に送っていただくということになります。これによりまして、航空機が到着する前に、我々が要注意人物のリストを持っておりますので、これと事前に対比いたしまして問題のある人物には的確に対処をすると、こういうシステムでございます。現在のところは、これは航空会社の任意の協力の下に行われているという状況でございまして、我が国に乗り入れている航空会社の約三分の一から任意で御協力をいただいているという状況であります。
 入管におきましても、成田空港にこれの情報の分析の専門チームを置いておりまして、全国の空港分を一括でそこで分析をしておりまして、問題があれば各到着空港に連絡をして対処すると、こういう形を取っておるところでございます。
 それで、具体的には、このようなシステムを取ったことによりまして、まあこれは警察の関係でございますが、指名手配の容疑者であることが事前に判明して、日本人でございますが、本名で帰ってきたということで警察が待ち構えて逮捕するというような効果も出ているところでございます。
#91
○木庭健太郎君 さて、今回の法改正、もちろん人身売買という問題に本格的に取り組み始める大事な法改正でございますが、今回の法改正の中で特にこの組織的な逮捕監禁罪の法定刑の上限を上げております。これは、その人身売買罪、先ほどから議論になっておりますが、やはり組織ぐるみで行われる問題であり、これについての一つの効果を上げるための措置だと思いますが、先ほどは明確なお答えをいただけなかったので更に御質問をいたしますが、最近のこの組織的犯罪処罰法の検挙状況、つまりこういった問題に対してどういうことがきちんとできているか、まずお答えをいただいておきたいと思います。
#92
○政府参考人(知念良博君) 組織的犯罪処罰法に規定されておりますマネーロンダリング犯罪につきましては、警察において十二年二月の法施行以来昨年末までに合計百六十四件を検挙しているところであります。
 人身取引などに関連する事件検挙から犯罪収益等の隠匿、収受の具体例を申し上げますが、売春クラブ経営者が売春婦数十名を店内に居住させまして、売春させることを業として得た収益を仮名口座に振り込み入金しまして、これらの収益の収得につき事実を仮装した隠匿事案や、暴力団員が売春クラブ経営者が取得した、得た収益をいわゆるみかじめ料名目で徴収した収受事案などがあります。
 それからまた、起訴前の犯罪収益等の没収保全についてでありますけれども、法施行以来、これも昨年末までに、売春防止法違反やわいせつビデオ販売事件など二十三事件において起訴前の没収保全命令を警察において請求しております。犯罪収益の剥奪に向けて努力をしているところであります。
 以上申し上げましたように、法施行後、適用状況は増加しているところでありまして、引き続きこのようなことで努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#93
○木庭健太郎君 やはりこの人身取引の問題、今マネーロンダリングのお話ありましたが、結局国内だけでなくて国際的にもこれは一つの取組をしない限り検挙又は摘発できない問題でもありますし、国際社会とより一層ある意味では協力して厳しい取締りをしていくことが大事になってくると思いますが、今後どういう取組をしようとなさっているのか、御説明をいただいておきたいと思います。
#94
○政府参考人(伊藤哲朗君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、人身取引事犯は国境をまたぐ犯罪でありますことから、国際社会と連携協力してその取締りを推進していくことはもう極めて重要なことだと考えております。
 警察といたしましては、平成十五年十二月になりますけれども、人身取引に関係する国の在京大使館、国際機関等との間にコンタクトポイントを設けまして、コンタクトポイント会議を開催するなどいたしまして人身取引事犯について緊密に情報交換を行っているところであります。また、このほか、ICPOルートや外交ルートなどを通じまして、外国にある関係機関との間においても情報交換や捜査協力を行いまして人身取引事犯の取締りを推進しております。
 今後とも、こうしたコンタクトポイントを通じた情報交換を更に活発化させるなど、国際社会と連携協力いたしまして人身取引事犯の取締りを積極的に推進してまいりたいと考えております。昨年も、大使館等からの情報によりましてブローカー等の検挙や被害者の保護につながった事例も現実に幾つか見られるところでございます。
#95
○木庭健太郎君 これも今日の議論の焦点になり、前日、参考人の方からも御意見があったわけですが、結局、この法律がうまく機能するにしても、犯罪を摘発するにしても、何が一番大事かといえば、被害者をどうきちんと保護の対象として位置付けられるかということに尽きるわけですよね、本当は。ただ、やはり、犯罪組織からの報復を恐れてみたりいろんなことで、なかなか被害者の皆さんがこれは警察なんかに保護を求めていないという現状もあるわけでございますし、とにかく被害者が自分の言葉で、自分の言葉というのは母国語で気軽に相談できる体制がもう不可欠だということが一番のポイントだと思うんですよ。
 ただ、今回も、この法改正したとしても、摘発から逃げてきたその相手先どこへ行くかといったら、この法律の規定でいくと、それは警察であったり入管、これまでだってこれ敷居高いわけですよね。一体本当に機能するのかどうかというのが本当に懸念されているわけですが、一体これ本当に大丈夫なのかと、まずこの基本を富田政務官に聞きますか。
#96
○大臣政務官(富田茂之君) 確かに、委員御指摘のとおり、不法滞在者でもある被害者が警察や入管に出頭するというのはかなりこれまでは抵抗があったというふうに思います。
 ただ、今回御審議いただいております入管法の改正により、この被害者につきまして、事情によっては退去強制の対象とならないことや、また在留特別許可により保護の対象となり得ることが法律上明記されますので、これまで被害の申告をためらっていた被害者が安心して入国管理局等に出頭して被害の申告ができるようになるのではないかというふうに考えております。この法案が成立した場合には、この点、積極的な広報を行うよう準備してまいりたいというふうに思っております。
#97
○木庭健太郎君 いやいや、まあ法務省としてはそう答えざるを得ないだろうし、ただ現実には、先ほどからこれも議論になっている、一番その相談窓口なり、例えば大使館に駆け込んでいろんなことがあったとしても、まずその次に行く先というのは、どうも婦人相談所になりそうなんですよね、形としては。ただ、これも議論になっているとおり、婦人相談所でのこの一時預かりという問題、なかなか困難な面もあるようで、それはDVで忙しいのかもしれませんが、これからそういった問題も取り組んでいただかなければならないわけであって、そういったところがどうなっているか。地域的にも格差がある問題も指摘されました。
 一体これ、この婦人相談所を今後一時保護施設としてどう充実強化させようとなさっているのか、改めて御答弁をいただいておきたいと思います。
#98
○政府参考人(伍藤忠春君) 先ほど来お答え申し上げておりますが、婦人相談所、昨年まで人身取引被害者と認定された者については受入れをしてきたところでございますので、そのノウハウを蓄積しながら、これから更にいろいろな体制とかそのノウハウの蓄積に努めていきたいというふうに思っております。
 一時保護予算もここ数年拡充してきておりますし、それから心理療法の担当職員と、そういったケアの質を上げるということについても努めてきておりますので、こういった一連の対策をこれからも積極的に実施をしていきたいというふうに思っております。
 それから、専門研修、そういったことについて都道府県が取り組んでおりますが、こういった研修の実施でありますとか、あるいはそういった対応する保護、相談に当たるマニュアルを策定すると、こういったソフトの面でもいろいろ工夫をしながら更に充実に努めていきたいというふうに考えております。
#99
○大臣政務官(富田茂之君) 先ほど、木庭委員の質問の中で、母国語で相談ができるのが大事だという御質問ありました。その点漏れましたのでちょっと御説明させていただきたいんですが。
 人身取引被害者が入国管理局に出頭してきた場合につきまして、東京、横浜、名古屋、大阪、仙台、神戸、広島、福岡等の地方入国管理局には外国語による案内相談を行うインフォメーションセンターがございまして、外国語による対応が可能な相談員が配置されておりますので、一時的には同センターで事情を聞いて、人身取引の被害者である可能性があると判明した時点で担当部署により連絡して対応してまいりたいというふうに考えております。
#100
○木庭健太郎君 ちょうど富田政務官が母国語のお答えをしていただいたので、じゃ、今度は婦人相談所について、母国語でこれどうやるつもりでいらっしゃるのか。それは全国の婦人相談所に、今後これに対応しようと思って全相談所に母国語で対応する人を置くというようなことができるんですか、現実的に。どう現実的に対応されようとなさっているのか、教えていただきたいですね。
#101
○政府参考人(伍藤忠春君) これはどういった国の方々が実際に保護されるかということで、いろんなその時点時点で対応せざるを得ないと思いますが、通訳の雇い上げ経費といったような予算的な措置についてはきちんと対応しておりますので、その地域でいろんな民間団体とかこれまでの実績、やり方をお尋ねしますと、いろんなそういう外国人を受け入れているような団体等と連携をしながら通訳を、必要な通訳を派遣していただくというようなことで、その当該都道府県においていろいろ工夫をしながら通訳の確保に努めておるというふうに承知しておりますので、そういった形で私ども、その地域の現場でいろいろノウハウを蓄積し、それから民間団体とそれからネットワーク、そういったものを常日ごろから形成をすると、そういうことが重要ではないかというふうに思っております。
#102
○木庭健太郎君 そのとおりでね。結局、婦人相談所ではどうしようもなくなって民間シェルターにお願いするわけですよね。民間シェルターはたしか全国二か所、この前参考人で来ていただいてお聞きしましたが、そのいろんな言語で対応できるシェルターがあると。ここでやるしかないわけです、今。ところが、お聞きしていますと、ここに対するお手伝いというか、少しぐらいは国で見てやってもいいのになと思うけども、本当にほとんど見てあげ、年間一千万ですか、予算が。この前来られたその民間団体、年間で自分たちが掛かっている費用はどれぐらいかといったら、二千万だとおっしゃっておりました。一か所でございます、その取組が。
 別に全部を国で見ろとは私は言いません。それは民間で努力するのも必要でしょう。ただ、それと比べてみて、その施策が増えましたよ、一千万ですよと胸張って言うには余りに少な過ぎるんじゃないかという気持ちが私はいたしておりますが、今後、この民間シェルターに対して、まずは、滑り出しはそうなのかもしれません。でも、更に充実するお考えがありやなしや、もう一度御答弁をいただいておきたいと思います。
#103
○政府参考人(伍藤忠春君) これもまあ繰り返しの答弁で恐縮ですが、一千万円というのは実際の実績がまだ、昨年であれば二十八名というようなことでありますので、取りあえず、単価が低いとか額が少ないじゃないかという御批判はあろうかと思いますが、まあ二百数十名分ということで取りあえず一千万というふうに予算上はセットしておりますが、予算の中では、先ほども申し上げましたが、婦人保護事業費八億円の中で、全体の中で十分対応できるような、そういう仕組みになっておりますので、予算的な面ですぐこれが足りないというようなことはないと思いますし、十分弾力的に私どもも運用していきたいというふうに思っております。
#104
○木庭健太郎君 今のお話でいくと、一応一千万組んでいるけども、もし実態として増えてきてそういう費用が掛かるようになれば、その分については増やしていく考えがあるということですか。
#105
○政府参考人(伍藤忠春君) どのぐらい出てくるか分かりませんが、取りあえず二百二十数名分だと思いますが、一千万円というのは今の一時保護委託という形を前提にして計算をしますと、年間それぐらいの一時保護が可能な人数と。仮にこれを上回るような数字になれば、一千万円を超えてもこの婦人保護事業費八億の中で対応できると、こういうことを申し上げたわけでございます。
#106
○木庭健太郎君 そういった点も含めて、それは一時預かりの話なんですよね。是非、ちょっとこの民間シェルターの方たちともう少し話をしてもらいたいんですよ。どんなことで困り、どんなことで実際の費用が掛かっているのか。帰国のためのいろんなことでこの民間の方たちが出歩く交通費共々、いろんなことで本当に御苦労いただいているなという気持ちがいたしました。
 そういった意味では、私は本当にもうちょっとこの民間のお知恵をおかりし、また民間がどんなことをやっているのかを把握した上で、そこに対するもうちょっと強化、助けることの強化というものが必要に、本当にこの法律を機能させるためには要るんじゃないかなということを実感をいたしましたので、是非ともそういった点を取組をお願いをしたいと、このように思っております。
 そして、被害者の帰国支援の問題でございますが、この帰国支援の問題について、この四月から政府はこのIOMと連携して被害者の帰国支援を実施するということが新聞報道されておりましたが、この点、入管局長ですか、少し分かる点があれば御説明をいただいておきたいと思います。
#107
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 IOMにつきましては、先般も参考人でいろいろお話があったと承知しておりますけれども、元々移民、人の移動についての支援をする組織であると承知しておりますが、本年四月からは人身取引の被害者の方につきましても帰国支援として帰国費用の負担などを含む支援を行うようになったというふうに私は承知しておるところでございます。
 ところで、人身取引の被害者の方で帰国を、早期帰国を希望される場合につきましては、私ども入管といたしましては、そのための在留資格がない場合には在留資格を付与した形で、合法的な滞在の状態で帰国をいただくというのが一般的になろうかと思われますけれども、その際にやはり大事なのは、帰ってから後の本人の本国における安全性の確保でございますとか、日本で被害に遭われたその状態をいかにして回復するかということが大きな問題であると思います。
 ただ、入管の権限として、外国にいる方について何かできるということじゃございませんので、そういったケースにつきまして、やはりIOMといった国際機関を始めといたしまして本人の、本国の政府の機関でございますとかNGOの方々と連携をいたしまして、帰国後の状況についても配慮をしていただくということでお願いをしているところでございます。
 IOMとの具体的な連携について若干御説明いたしますと、まず入管で在留特別許可を被害者の方に与えまして、で、被害者が帰国するということになりまして、費用がなければIOMの方で援助がなされるんだろうと思われますが、そのほかにIOMの職員の方が被害者の本国の空港に被害者を出迎えしていただいたり、また、その後安全なシェルターに保護してもらうといったような手配もしていただけるというふうに承知しておりまして、こういったことを更に連携を深めていきたいと思っております。
 以上でございます。
#108
○木庭健太郎君 大臣、是非、厚生労働省は今、尾辻大臣でございます。同じ参議院出身の大臣がたまたまこの問題に取り組む主要官庁にいらっしゃると。是非御協議いただいて、もうずっと議論してきたわけでございますから、是非ともこの法律が実効性あるためには、もう少し主導性を持って様々な、取り組んでいただきたいと思いますが、決意を簡潔に伺って、質問を終わります。
#109
○国務大臣(南野知惠子君) 人身取引は本当に重大な人権侵害でございます。尾辻大臣とも協力しながら、また他の大臣とも、所管関連の大臣とも協力しながら、人身取引対策の行動計画を着実に実施していきたいというふうに思っております。この防止、撲滅及びその被害者の保護を図らなければならないというふうに考えております。
 今回の法律案は、人身取引対策行動計画の一環として人身取引の加害者の的確な処罰又は被害者の保護のための規定を整備するものでありますから、法律として成立させていただければ早急に施行し、その積極的かつ適正な運用によりまして、人身取引の実態解明、加害者の厳正な処罰、被害者の保護に努めるとともに、このような過程で解明されていく実態を踏まえまして、関係省庁との連携を十分図りながら、行動計画が目指す包括的な実効性のある人身取引対策の実現に向けて全力で取り組んでいく所存でございます。
#110
○木庭健太郎君 終わります。
#111
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 法案に入る前に、一点、十九日に最高裁が下しました検察の面会配慮義務の問題での判決について、大臣にお聞きをいたします。
 この十九日の判決では、設備などの面で十分に秘密を保った場を確保できないような場合でも、すぐに会う必要があれば検察官は面会ができるように特別な配慮をすべき義務があると、こういう初めての判断を示しました。今年の秋からは公判前整理手続というものも始まってまいりますし、裁判の迅速化という中でこの弁護側の防御権の保障ということは大変重要な課題であるわけで、これは司法制度改革の大きな課題について最高裁の判断が出されたと私は思っております。
 そういう点で、この判決を受けてどういう対応をしていくのか、そして、やはり根本的にはちゃんと接見の施設をすべての地検につくっていくということが必要かと思っておりますが、そのことも含めて、この判決を受けての対応についてお聞かせ願いたいと思います。
#112
○国務大臣(南野知惠子君) 御指摘の判決は、検察庁に接見のための施設がないという場合であっても、一定の場合は立会人のいる部屋での短時間の接見につき配慮義務がある旨が、これが判示されたものと承知いたしております。
 接見交通権は、身柄を拘束された被疑者が弁護人の援助を受けることができるための重要な権利であり、従来から検察庁においては、捜査の必要との合理的調整を図りつつ、接見交通には十分に配慮してきたと承知しております。
 今後、検察においては、今回の判決の趣旨を踏まえた対応がなされるものと考えております。その接見の面接室というのは今五十庁あります中で二十三庁もうできておりますので、これらについても考慮していくものと考えております。
 以上でございます。
#113
○井上哲士君 これまで十分保障はされてきたという答弁でありましたが、保障はされてなかったというのがこの判決で示されたわけでありますから、今後しっかりとした対応をお願いをしたいと思います。
 そこで、法案に入りますけれども、この間も入管法の人身取引の定義の問題でお聞きしたんですが、もう一点お聞きをしておきます。
 議定書では、手段として「権力の濫用若しくは弱い立場の悪用」というものが含まれておりますけれども、入管法の定義部分を見ますと、この議定書の中身がすぐには読めないわけですけれども、これはどういうふうに反映をされているんでしょうか。
#114
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、権力の濫用といった言葉は今回の改正法の案の中には入ってございませんが、具体的には入管法の改正案の第二条の第七号に定義規定が置かれているわけでございます。これは刑法の改正案の人身売買罪等の規定を参考にして作られているものでございます。結論といたしましては、人身取引議定書における人身取引の概念をすべてこの案でカバーしているものでございます。
 委員御指摘ございましたように、議定書の中には権力の濫用ですとか脆弱な立場に乗ずることといった規定が、内容がございます。これにつきましては、この議定書の作成、交渉の経緯にかんがみまして、両者を併せて、自己の法的若しくは事実上の地位又は被害者との地位の差を利用して不法に有形力を行使し、又は害悪を告知するなどしながら、従う以外に道のない被害者を意のままにすることであると、こういうふうに解されているものと承知しております。そうしますと、この内容からしますと、刑法の略取罪の手段としての暴行、脅迫の概念に含まれるというふうに解されるものでございます。
 したがいまして、この議定書における権力の濫用ですとか脆弱な立場に乗ずることというのは、この改正入管法の第二条第七号の片仮名のイの規定の略取という部分に含まれるというふうに解しているところでございます。
#115
○井上哲士君 次に、退去強制の、関する二十四条についてお聞きをいたしますが、退去強制からの除外ということで、イとヌについては括弧書きで「人身取引等により他人の支配下に置かれている者を除く。」と、こういう規定が入っております。ところが、ロの部分ですね、「在留期間の更新又は変更を受けないで在留期間を経過して本邦に残留する者」にはこういう除外規定は付けられませんでした。
 人身取引の被害者が多くがオーバーステイになっているということは言われているわけでありますが、なぜこの部分については同様に退去強制の対象から外さなかったのか、お答えいただきたいと思います。
#116
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のような不法滞在の状態になっている被害者につきまして、その入管法の二十四条の四号のロというところに退去強制事由が設けられている、一つ設けられておりますが、これに該当しないということにより、人身取引の被害者であってオーバーステイ状態の人が退去強制事由に該当しないということにいたしますと、そもそも在留資格が全くない状態の人について送還もできないと、退去強制の対象になりませんので。したがって、退去強制手続が進みませんと在留特別許可を付与することができないというのが今の入管法の全体の規定でございます。そういう異常な状態を発生させてしまうということになります。在留資格はない、送還もできない、在留特別許可も付与できないという状態で事実上本邦に滞在するというような異常な状態が生ずるということになりますので、そういう観点から退去強制事由からは除外をしないということにしておるものであります。
 もっとも、現実には、被害者の方であるということが判明いたしますれば、当然その退去強制事由に該当して、なおかつ最終的には在留特別許可が付与されると、こういうことになると考えております。
#117
○井上哲士君 そうなりますと、在特がきちっと出るかが問題なわけですが、先ほども原則被害者の場合は出すということがありましたし、よほどのことがなければ出すという意味だということも入管局長からございましたけれども、これは大臣の裁量でありますから、改めて、先ほどあったようなごく特別な例がない限り出すんだということを御確認したいと思います。
#118
○国務大臣(南野知惠子君) 人身取引は、先生御存じのとおり、女性又は児童がその弱い立場のゆえに被害者となることが多うございます。被害者の人格や尊厳を侵害し、その心身の両面に重大な影響を及ぼすものであります。
 今回の入管法の改正案では、人身取引の被害者の置かれている事情を考慮し、人身取引により他人の支配下に置かれたために不法滞在状態に陥った方などについては、我が国に滞在できるよう特別に在留を許可することができることを法律上明記することとしております。したがいまして、このような特別の事情のある方については、人身取引と関連なく重大な犯罪を犯した場合など例外的な場合を除きまして、原則として在留を特別に許可することとなると考えております。
#119
○井上哲士君 在留特別許可が出る場合も大変手続に時間が掛かるということが先日の参考人質疑でも出されました。ある例では四回も入管に通って一か月掛かったというケースも紹介をされておりまして、人を配置したり通訳を配置したり、また交通費の問題とか大変負担になっているということもありましたし、この手続のために残されているという感覚を被害者の方が持つ場合もあるということがあります。
 今回、早期に帰国をしたい希望者についても合法的地位を与えて帰すという趣旨からいいますと、相当短い期間でこの在特を出すということが法の趣旨からいっても必要だと思うんですが、手続上どういう改善がされるんでしょうか。
#120
○政府参考人(三浦正晴君) お答え申し上げます。
 被害者の方が早期に帰国を希望をされるような場合につきましては、可及的速やかに手続を進めるというのが当然のことでありまして、我々も配慮をしておるところでございますけれども、御承知のとおり、在留特別許可までの間にはいろんな手続がございまして、事案の内容によって、一つは被害者であるということの確認に若干時間を要するようなケースもございますし、また出国できる状況になっているか。例えば、帰国費用の手当てができているかどうか。旅券などを持っていない方もかなりおりますので、本国の在日の大使館等から旅券が出されているかというようなことを確認するということで、ある程度の時間が掛かるのはやむを得ないかなと思っております。ただ、委員御指摘ございましたように、手続に一か月掛かったという例も確かにございまして、当局としてはなるべく処理が早期にできるようにということで努力はしておるわけでございます。ケース・バイ・ケースでございます。なお、今後はなお努力をしていかなければいけないと思っております。
 具体的には、段階的な手続が幾つかございますが、こういうものを例えば一度の機会に何段階かの手続を済ましてしまうというようなことも考えていきたいと思います。現実には、事前にある程度被害者であるというような情報が関係機関から入ってきていたような方については、入管で手続を開始してから五日程度で最終的に在留特別許可を付与した例もございますので、こういうものを参考にいたしまして、今後鋭意早期の処理に努めていきたいというふうに思っているところでございます。
#121
○井上哲士君 被害者保護の立場での迅速な手続をお願いをいたします。
 次に、被害者保護の問題なんですが、今日も民間シェルターへの支援の問題が随分出されました。委託費が出されるようになったことは改善なんですが、参考人質疑でも、やはり人身売買の被害者を受け入れますと、通訳の問題もありますし、DVの被害者とは一緒にできないこともあって部屋の確保ということもあります。それから、非常に外国との電話代も掛かるというような、普通のDV被害者にない費用が随分施設の負担になっていると。ですから、委託費だけではなくてこの運営そのものへの助成ということを考える必要があると思うんですが、この点、厚労省、いかがでしょうか。
#122
○政府参考人(伍藤忠春君) 私どもは、今までの婦人保護事業、特に最近DV被害者等について一時保護委託ができるような仕組みを講じておりますので、今回もそれと同様の措置を講ずるということにしたわけでありますが、こういった今までの国内の婦人保護事業の枠内で対応すると、こういうことでありますと、一時保護委託ということを充実をしていくということが、なかなか、そこまでが限界かなというようなことで、そのほかにダイレクトに何らかの補助制度を考えるというのは私どもの今のこの社会保障制度の枠内の体系ではなかなか難しいのかなというようなことで考えております。
#123
○井上哲士君 限界などと言わずに知恵を出していただきたいと思うんですが、都道府県が例えば独自にそういう支援などを行った場合というのは、これは特別交付税の対象になるというふうに考えてよいのでしょうか。
#124
○政府参考人(瀧野欣彌君) 特別交付税についてのお尋ねでございます。
 現在、DVの関係で保護の活動を行います民間団体に対しましては、地方公共団体が補助金を出す場合に特別交付税で措置を講じているところでございます。その場合に、当該民間団体が運営するシェルターで人身売買被害者を保護するケースもあるというふうにも聞いておるところでございますが、そういったシェルターがDV法に基づいたものとして地方公共団体の方が全体として補助している場合には、我々特別交付税の算定におきましては、特別に区別することなく全体を特別交付税の算定の対象としている、そういう状況でございます。
#125
○井上哲士君 地方がやれば対象にするということでありますが、やはり基本的には国が私は具体的な助成をしていく必要があると思うんですね。例えば、少なくとも今度配布されるパンフレットにはNGOの皆さんのホットラインの電話番号も書かれるわけですね。これも参考人のとき言われていましたけれども、多国籍、いろんな国の言葉での受付をしようと思いますと相当の人件費が新たに必要になってくると。相談を受けるだけではこの委託費にもならないわけでありますから、もう専ら持ち出しということになるわけですね。
 例えば、こういう相談受付窓口業務だけでも国から委託をするというような形での助成ができないものかと思うんですけれども、これ、内閣官房、いかがでしょうか。
#126
○政府参考人(鈴木基久君) 人身取引被害者の方々が困っている際に被害を訴えるための二十四時間のコンタクトポイントでございますが、これは人身取引被害者の保護のために非常に有効な手段であるというふうに考えております。
 そういった意味で、政府の中では、警察でございますが、一一〇番で人身取引被害者からの訴えということで対応しておりまして、一一〇番では二十四時間、六十か国以上の言語で対応は可能だということでございまして、政府としては現段階ではこの一一〇番というのが最も有効なホットラインであるというふうに認識しておりまして、先生から御指摘がございましたリーフレットの中でもこの一一〇番の電話番号も併せて皆さんに広報をさしていただくということにしております。そういう意味で、NGOのホットラインに財政的な支援を行うということは想定はいたしておりません。
 ただ、人身取引被害者を適切に保護、支援するためにはNGOの方々と連携協力を図るということは大変重要なことでございますので、今後どういった形で協力ができるかということについては、引き続き関係省庁とともにNGOの方々と意見交換をしてまいりたいというふうに考えております。
#127
○井上哲士君 政府としては一一〇番を位置付けるということですが、被害者の方々には抵抗感もあるわけで、私は、やっぱりNGOのこの窓口というものは大きな柱として位置付けて、是非援助を考えていただきたいと思います。
 もう一点、一時保護について弾力的運用ということが繰り返し言われておるわけですけれども、昨年の八月に厚労省が出されている都道府県への通知を見ますと、「基本的な対応」として「一時保護の実施等の支援を行うこと。」とあるわけですが、人身取引被害者は不法滞在の状態にある者も多いとした上で、「この場合には、あらかじめ人身取引被害者に対し、一時保護はあくまでも一時的な保護であり原則として二週間程度の運用となっていることをよく説明しておくなどして、一時保護の終了が円滑になされるよう心掛けること。」と、こういう通知になっているんですね。
 これだけ見ますと、どうも弾力的な運用が本当にされるんだろうかという心配になってくるわけでありまして、今回在特などが出されるという法改正に伴って、やはりこの趣旨をしっかり徹底をしていくということが必要だと思うんですけれども、この点どうお考えでしょうか。
#128
○政府参考人(伍藤忠春君) 一時保護という概念そのものがそういう短期的なニーズに応じるということで制度化されているものでありますから、その趣旨を通知をしたということでございますが、実績からいっても、今まで短期の滞在保護で終了しているケースが多いわけでありますが、非常に長く掛かるような場合については、これは弾力的に一時保護制度を活用できるというふうに私ども考えておりますし、それから、今回こういう法改正をして新たな人身取引被害者対策という枠組みもできたわけでありますから、こういった趣旨についてはまた自治体にもよく周知をして、このバランスのある運用が図られるように、柔軟な対応が行われるように私ども機会を見ていろいろ周知をしていきたいというふうに考えております。
#129
○井上哲士君 この間、やはり被害者保護についてのきちっとした法体系もつくることが必要だという指摘がなされましたし、私どもも先日、社民党と一緒にそういう提案もいたしました。是非これは検討していただきたいんですが、少なくとも当面、やはり政府としての総合的な窓口をしっかり置くということ、それから、NGOも含めた連絡会を定期的に開催をして、いろんな実行状況などについても即時にやはり改善をしていくということが必要だと思うんですが、どうも私どもが質問をしようと思いましても、随分たらい回しになる。民間の方はもっと大変だと思うんですね。
 少なくとも当面は、内閣官房がしっかりとした窓口として、どこに聞いてくださいとかじゃなくて、やるということも含めまして、定期的な連絡会の開催も含めて、最後に御答弁をいただきたいと思います。
#130
○政府参考人(鈴木基久君) 人身取引の問題につきましては、内閣官房を中心として関係省庁連絡会議で基本的には対応させていただいておるところでございます。人身取引対策行動計画というのも、そういった席上において取りまとめておるところでございます。
 この行動計画に盛り込まれた施策につきましては、各省庁がそれぞれ適切な対策を講じるとともに、関係省庁連絡会議において、NGOとも緊密に連携を図りつつ、情報の共有、必要な調整を行うことが適当であると考えておりまして、引き続き関係省庁連絡会議を中心に適切な対策を講じてまいるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、NGOとの連携でございます。これは、行動計画の策定過程においても、またその策定後においても、こういったNGOの方々からの御意見というのは伺ってきたところでございます。引き続き、関係省庁連絡会議の枠組みにおいて、NGOとも緊密に連携を図ってまいりたいというふうに考えております。
#131
○委員長(渡辺孝男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#132
○委員長(渡辺孝男君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、関谷勝嗣君が委員を辞任され、その補欠として中川雅治君が選任されました。
    ─────────────
#133
○委員長(渡辺孝男君) これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 刑法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#134
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#135
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました刑法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    刑法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 人身売買罪の創設など人身取引の撲滅等を図るための法整備が行われたことを踏まえ、人身取引の処罰の実効性が一層高まるよう、内外の関係機関との連携強化の下に、捜査体制の充実・強化に努めること。
 二 人身取引対策行動計画に掲げる各施策を推進するに当たっては、その実効性を一層高めるため、責任体制を明確にし、政府が一体となって取り組むとともに、被害の実態や対策が国民に十分周知されるよう努めること。
 三 人身取引対策の推進に当たっては、被害実態の正確な把握が極めて重要であることにかんがみ、NGO等の民間団体及び各国大使館等の関係機関と緊密に連携しつつ、積極的かつ継続的に実態調査を行うとともに、各施策についても適宜検証を行い、その結果が効果的に対策に反映されるよう努めること。
 四 外国人被害者に対する情報提供に当たっては、被害者の置かれた状況にかんがみ、周知のための一層の工夫を凝らすこと。
 五 人身取引の被害者が安心して保護や救済を求めることができるよう、警察、入国管理局等に適切な通訳人を確保するとともに、被害者の保護に当たっては、婦人相談所、民間シェルターなどの保護機関と十分協力して行うよう努めること。特に、被害者と接する職員に対しては、人身取引が重大な人権侵害であることを十分認識し、被害者保護を最優先させるなど被害者の視点に立った対応を行うよう、教育、研修を通じて徹底を図ること。
 六 人身取引の被害者の適切な保護が図られるよう、婦人相談所の人的物的体制の拡充に努めるとともに、民間シェルターに対する実態に即した的確な財政上の措置を含め必要な措置について十分に配慮すること。
 七 外国入国管理当局に対する情報提供に当たっては、人身取引の被害者や難民認定申請者等を危険にさらしたり、その個人情報が濫用されることのないよう特に配慮すること。
 八 運送業者による旅券等の確認に当たっては、恣意的な運用がされることのないよう指導の徹底を図ること。
 九 人身取引の被害者保護には、人権に十分配慮した多面的、きめ細やかな対応が求められることから、専門的な保護機関の設置、被害者の生活の保護などを含めた総合的・包括的な法整備について更に検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#136
○委員長(渡辺孝男君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#137
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、南野法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。南野法務大臣。
#138
○国務大臣(南野知惠子君) ただいま可決されました刑法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#139
○委員長(渡辺孝男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任いただきたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#140
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#141
○委員長(渡辺孝男君) 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。南野法務大臣。
#142
○国務大臣(南野知惠子君) 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 現行の監獄法は、明治四十一年に制定されて以来、実質的な改正がされることなく今日に至っているため、被収容者の権利義務関係や職員の権限が明確ではなく、受刑者処遇の内容についても十分な規定が設けられていないなど、今日では極めて不十分なものとなっております。
 他方で、治安情勢の悪化を受けて、国民が安心して暮らせる安全な社会の実現が強く求められている昨今の状況にかんがみますと、受刑者の処遇に当たる行刑の役割は一層重要なものとなっているところであり、行刑改革を遂げ、行刑運営の充実を図ることは喫緊の課題であります。
 この法律案は、このような状況を踏まえて、刑事施設の適正な管理運営を図るとともに、刑事施設に収容されている受刑者等について、その人権を尊重しつつ、適切な処遇を行うため、所要の法整備を行おうとするものであります。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、刑事施設の基本及びその管理運営に関する事項を定めるものであり、刑事施設の運営の透明性を確保するために、刑事施設視察委員会の設置、組織及び権限についても定めることとしております。
 第二は、受刑者の処遇について定めるものであり、次の点などを主な内容としております。
 その一は、受刑者の権利及び義務の範囲を明らかにするとともに、その生活及び行動に制限を加える必要がある場合につき、その根拠及び限界を定めることであります。
 その二は、受刑者に対して、適正な生活条件の保障を図るとともに、医療、運動等その健康の維持のために適切な措置を講ずることであります。
 その三は、受刑者には矯正処遇として作業を行わせるとともに、改善更生及び円滑な社会復帰を図るため必要な指導を行うものとすること、矯正処遇は、受刑者ごとに作成する処遇要領に基づき、必要に応じ、専門的知識及び技術を活用して行うこと、自発性及び自律性を涵養するため、生活や行動に対する制限は、受刑者処遇の目的を達成する見込みが高まるに従い順次緩和されるものとすること、改善更生の意欲を喚起するため、優遇措置を講ずるものとすること、一定の条件を備える受刑者について、円滑な社会復帰を図るため、職員の同行なしに外出及び外泊することを許すことができるものとすること、その他受刑者の改善更生の意欲を喚起し、社会生活に適応する能力の育成を図るための処遇方法を定めることであります。
 その四は、面会、信書の発受等の外部交通についての規定を整備するものであります。
 その五は、一定の刑事施設の長の措置についての審査の申請、身体に対する違法な有形力の行使等についての事実の申告等の不服申立て制度を整備することであります。
 第三は、労役場留置者の処遇、刑事施設に代用される警察留置場に係る規定の整備その他所要の措置を講ずるものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#143
○委員長(渡辺孝男君) 次に、衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員田村憲久君から説明を聴取いたします。衆議院議員田村憲久君。
#144
○衆議院議員(田村憲久君) ただいま議題となりました刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案に対する衆議院における修正部分について、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
 第一は、この法律の目的について、受刑者等の状況に応じた処遇を行う旨の文言を加えるものであります。
 第二は、刑事施設視察委員会の意見の公表について、法務大臣が公表する概要に、委員会の意見を受けて刑事施設の長が講じた措置の内容を加えるものであります。
 第三は、刑務官に対し、被収容者の人権に関する理解を深めさせ、並びに被収容者の処遇を適正かつ効果的に行うために必要な知識及び技能を習得させ、及び向上させるために必要な研修及び訓練を行うものとするとの条項を加えるものであります。
 第四は、政府は、この法律の施行の日から五年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするとの条項を加えるものであります。
 以上が本法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#145
○委員長(渡辺孝男君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終了いたしました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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