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2005/04/26 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第15号
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2005/04/26 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第15号

#1
第162回国会 法務委員会 第15号
平成十七年四月二十六日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     中川 雅治君     関谷 勝嗣君
     林 久美子君     江田 五月君
     浜田 昌良君     浜四津敏子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       法務省刑事局長  大林  宏君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       法務省保護局長  麻生 光洋君
       外務大臣官房審
       議官       丸山 純一君
       厚生労働大臣官
       房審議官     大槻 勝啓君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、林久美子君、浜田昌良君及び中川雅治君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君、浜四津敏子君及び関谷勝嗣君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省保護局長麻生光洋君、外務大臣官房審議官丸山純一君及び厚生労働大臣官房審議官大槻勝啓君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(渡辺孝男君) 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○山東昭子君 自民党の山東昭子でございます。
 質問に入る前に、尼崎での列車事故で想像を絶する多くの死傷者が出たことは驚きと悲しみで一杯でございます。亡くなられた方にはお悔やみを申し上げ、そして、けがをされた方は一刻も早い御回復をお祈りをしております。
 それでは質問に入ります。
 まず最初に、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案を制定する必要性について大臣にお伺いいたします。
#7
○国務大臣(南野知惠子君) お答えいたします前に、大変な事故が起こってしまいました。犠牲になられた方やその御遺族、おけがをされた方々につきましては本当に心からお見舞い申し上げます。現時点におきましてもはっきりとした原因はまだ分かっていないとのことでございますが、政府といたしましても、内閣府に情報対策室が設置されております。今後、同所を基点に被害者の救護や原因究明等に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 お尋ねの件でございますが、監獄法は約百年前に施行されて以来、実質的な改正がされることなく今日に至っておりますために、被収容者の権利義務や職員の権限、これが明確に規定されていないほか、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰の実現という行刑の理念に基づく処遇方法が定めていないなど、極めて不十分なものとなっております。そのために、刑事施設の適正な管理運営を図るとともに、受刑者等の人権を尊重しつつ、適切な処遇を行うために必要な事項等を定める法案を提出するものでございます。
 国民が安心して暮らせる安全な社会を構成することが喫緊の課題となっている中で、受刑者の真の改善更生を図り、社会復帰を促進するための処遇を充実させるためにも必要な法案であると考えております。
#8
○山東昭子君 以前から考えていたんでございますけれども、刑務所の建物や受刑者の制服が白やグレーと無彩色なんですね。人間にとって色彩による心理状態の変化や精神的な影響は大きいと思うんでございますけれども、この点について、当局としてはどんなお考えでしょうか。
#9
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 刑務所の建物や、それから衣類等についてお答え申し上げます。
 刑務所の建物は拘禁施設という性質上、高い外塀で囲まれまして、周辺地域から隔絶したイメージや圧迫感を与えてしまう場合が多いことは否めないところでございまして、しかし、刑務所を新たに整備するに際しましては、周辺地域の町並みや環境と調和の取れた明るく近代的な庁舎等の建物とすることに加えまして、威圧感や圧迫感を極力感じさせないような外塀のデザインや色彩の採用にも配慮しているところでございます。
 それから、今委員が言及なさいました受刑者の衣類等についてでございますが、その色が受刑生活に与える影響を科学的に分析したことはございませんが、一般的に暗いイメージがあると言われているのは事実でございます。そこで、現在、色彩心理学等の専門家に意見を求め、その仕様等の変更を検討しているところでございます。
#10
○山東昭子君 このたびの予算編成では、我々は刑事施設の改善を図る働き掛けをいたしましたけれども、例えば刑務所の壁の色をダークグリーンから上部はぼかしにするとか、外部の塀にギャラリーを設け受刑者の絵を飾るなどの工夫をしてもらい、刑事施設が迷惑施設にならぬよう地域に溶け込む努力をするべきではないかと思っております。
 それから、作業についてお伺いしたいと思います。
 受刑者の社会復帰を促進するためには、職業訓練を充実させるべきであると考えますけれども、何か具体的な方策がおありでしょうか。
#11
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、職業訓練の充実は受刑者の円滑な社会復帰を図る上で極めて重要であると認識しておりまして、この法案におきましても第七十三条第一項におきまして、「作業は、できる限り、受刑者の勤労意欲を高め、これに職業上有用な知識及び技能を習得させるように実施するものとする。」とした上で、その第二項で、「受刑者に職業に関する免許若しくは資格を取得させ、又は職業に必要な知識及び技能を習得させる必要がある場合において、相当と認めるときは、」職業訓練を作業として実施する旨定められているところでありまして、今後この趣旨に即してその一層の充実に努めてまいりたいと思います。
 その具体的な方策でございますが、社会のニーズに即し、社会復帰に向けた有効な職業訓練種目を設定することが必要と考えられますので、現在、雇用情勢を調査するなど、適宜訓練種目の見直しを図り、本年度はホームヘルパー科職業訓練を既に実施している女子刑務所に加え、男子の刑務所においても開設する予定としておりますほか、点字翻訳科職業訓練を新たに開設するなどの方策を講じておりますが、今後とも、雇用情勢の動向等を踏まえ、受刑者の希望等を考慮しつつ、円滑な社会復帰につながるような職業訓練の充実拡大に努めてまいりたいと考えております。
#12
○山東昭子君 訓練につきましては、本当に社会で生かせる内容になっているのかどうかちょっと疑問ではございますけれども、とにかく出所後の職業につなげていく必要があると思いますけれども、受刑者の希望を聞くなどの配慮が必要であると考えますけれども、この辺はいかがでございましょうか。
#13
○政府参考人(横田尤孝君) 御指摘のとおり、職業訓練につきましては、その実を上げるためには受刑者の希望をも考慮しつつ実施することが有意義であると考えております。
 本法案では、第六十一条第四項の規定におきまして、矯正処遇の目的並びにその基本的な内容及び方法となる処遇要領を定める際に、必要に応じて受刑者の希望を参酌することとされているところでございまして、その適正な運用に努めてまいりますほか、職業訓練の種目の選定等に当たりましても、受刑者に対する調査を実施するなどいたしまして、その結果も考慮しながら充実に努めてまいりたいと考えております。
#14
○山東昭子君 職業訓練を拡充するには、法務省だけではなく、厚生労働省との連携が重要だと思いますけれども、厚生労働省は現在どのようなことで刑務所等での職業訓練に協力をしているのか、そして今後これをどのように拡充していくつもりなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#15
○政府参考人(大槻勝啓君) お答え申し上げます。
 刑務所出所者の社会復帰の促進、生活の安定というのは誠に重要であるというふうに認識をいたしております。特に、就職をして自立を目指そうという方につきましては、厚生労働省といたしましても、刑務所、少年院及び更生保護機関と連携をいたしまして、こういった機関から情報提供を受けまして、きめ細かな職業相談、これは服役中におきましても職業相談をするといったこともしておるわけでございます。そういったことを通じまして就職の実現に向けて努力をしたいというふうに考えておるところでございます。
 職業訓練についてというお尋ねもございました。当然ながら雇用情勢、地域の雇用情勢等の中で、できるだけ就職に結び付くような職業訓練ということが大事だと思いますので、そういった面につきましては、刑務所そしてハローワーク等が現地におきましても連携を更に深めていくということが必要であろうと考えております。
#16
○山東昭子君 次に、この法案での重要なポイントになろうかと思いますけれども、受刑者を刑事施設の外の事業所に通勤させて作業を行わせる制度、外部通勤作業や、受刑者に刑事施設から外出したり外泊することを認める制度、これが新たに導入されておりますけれども、このような制度を導入する意義は何でございましょうか。
#17
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 外部通勤作業、先生がお話しになられました外出、外泊までということでございますが、受刑者に自律心と責任感に基づく自主的行動の規制を行わせることによりまして、円滑な社会復帰を図る制度であると思っております。その上、これらの制度は、一般社会の中で正しい人間関係を築く方法を学ばせる効果があるほか、刑事施設内における作業に就くことによっては取得できない技能を取得させたり、又は家族関係の維持修復を図り、釈放後の生活のための準備をすることなどができる点においても、受刑者の円滑な社会復帰に有効な処遇方法であると考えております。
 このように、外部通勤作業、外出、外泊は、社会内の処遇の利点を期待できる制度でもあります。受刑者の円滑な社会復帰に有意義なものであると考えておるところです。
#18
○山東昭子君 受刑者に外部通勤作業や外出、外泊を認める要件として、仮釈放を許すことができる期間を経過したこととされていますけれども、その理由はなぜでしょうか。
#19
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 受刑者に外部通勤作業や外出、外泊を認める上で、仮釈放を許すために必要な期間を経過したことを要件といたしましたのは、外部通勤作業や外出、外泊がその現実の対応において一時的にせよ実質的に受刑者を拘禁から解くものである以上、それが自由刑の執行の範囲内にあるものとして許容され、一般国民感情の承認を得るために必要な条件と考えられるからであります。さらに、実務上の観点からも、外部通勤作業等の対象者としての適格性の判断には、単に科学的な診断技法による人格調査のみならず、相当な期間の行動観察、処遇状況の検討を要すると考えるからでございます。
 なお、外部通勤作業等が許されるためには、このほかに、自律心と責任感が信頼するに足りる者でなければならないと考えるため、開放的施設において処遇を受けていることなども要件としており、さらに、これらの要件を満たす受刑者であれば常に外部通勤作業等が認められる、許されるものではなく、円滑な社会復帰を図るため必要がある場合に許可することができるものとしているところでございます。
#20
○山東昭子君 私もアメリカのシンシン刑務所というのを視察に行ったことがございましたけれども、あちらは非常に、模範囚に限って大学に通わせたり、あるいは土曜、日曜には非常にスポーツを自由に楽しんでというような感じで、大変開放されたような感じがいたしましたし、また、出所した人物にアパートの管理人の職業を与えたりというようなことで、ちょっと日本ではなかなか考えられないような思いがいたしましたけれども、まあ日本の土壌ではなかなか納得できないこともあろうかと思います。
 外部通勤作業あるいは外出又は外泊中の受刑者は、その間、刑事施設や保護関係機関などの監督を全く離れることになるんでしょうか。我が国では一人殺したぐらいではほとんど死刑にならないくらい罪の甘い国でございますけれども、凶悪犯が増えた今日、例えば受刑者逮捕につながる通報者への報復やあるいは家族や一般人とのトラブルなど、本当にそのようなことをして大丈夫なのか、国民の一人として非常に大きな不安があるのですが、法務省の見解をお聞かせ願いたいと思います。
#21
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 外部通勤作業、外出、外泊には刑事施設の職員が同行せず、更生保護機関の職員等による監督も予定しておりません。
 他方、この法案では、外部通勤作業等の対象となる受刑者は、その自律心と責任感を信頼するに足り、現にその自律的行動に期待した処遇を受けている者に限定されます。その上、外部通勤作業等の実施に当たりましては、受刑者が遵守すべき事項が定められ、これに違反した場合には懲罰を科すことができることとしております。さらに、運用上も、刑事施設の長は外部通勤作業等を行う受刑者に対して適切な指導等を行うこととなるのでありまして、対象となった受刑者がその間に不適切な行動に及ぶおそれは極めて少ないものと考えるところでございます。
 外部通勤作業や外出、外泊の運用には特に国民の方々の理解が不可欠であると考えているところでございまして、御指摘のような不安を抱かせないためにも、ただいま申し上げましたところに従って十分な配慮を尽くしてまいりたいと考えております。
#22
○山東昭子君 受刑者の遵守すべき事柄というのは具体的にはどのような項目があるんでしょうか、お聞かせ願いたいと思います。
#23
○政府参考人(横田尤孝君) 今申し上げました外部通勤それから外出、外泊に当たっての遵守すべき事項、これは特別遵守事項というふうに呼んでいますけれども、これは七十五条の四項、五項、それから八十五条二項にございます。それから、それ以外に一般的な遵守事項というのを今度の法案は詳細に定めておりまして、これは五十一条でございます。
 ここによりますと、「刑事施設の長は、受刑者が遵守すべき事項を定める。」と。そして、「遵守事項は、次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。」として十一ほど挙げておりますが、幾つか申し上げますと、「犯罪行為をしてはならないこと。」、「他人に対し、粗野若しくは乱暴な言動をし、又は迷惑を及ぼす行為をしてはならないこと。」、「自身を傷つける行為をしてはならないこと。」、「刑事施設の職員の職務の執行を妨げる行為をしてはならないこと。」等々でございます。詳細に定めてございます。
#24
○山東昭子君 とにかく、国民としては、こうした新しい試みというもの、受刑者の人権というようなことに関しては非常に前進であろうと思いますけれども、やはり一般国民から見ると、やはり大きな不安を与えかねないということでございます。ですから、これに関しては常に見守っていくという姿勢、これについてはどういう機関といいましょうか、何やら機関を設けてそのチェックをする、あるいは内容についていろいろ見守る点についてどんなことを考えておられるんでしょうか。
#25
○政府参考人(横田尤孝君) 刑務所が国民に理解され、支えられる刑務所でありたい、またあるべきである、あらねばならないというのが今回の法案の根底にある考え方であります。
 やはり、そのためにはやはり国民に見える形の行刑じゃなきゃならないということでございまして、その一つといたしまして、第七条に刑事施設視察委員会というものを設置することを定めてございます。
 この視察委員会の委員会のメンバーが、刑事施設の視察をしたりあるいは被収容者との面接の実施をしたり、そして必要な事柄につきましてはその意見を提出いただいてそれに対する措置をするという枠組みを考えておりまして、そのような形で国民の皆さんの目がこの行刑運営に届くように、そしてそれが生かされるようにということをこの法案では考えております。
#26
○山東昭子君 そうしますと、外出の時期であるとか外泊に関して、その受刑者の起こした犯罪の被害者などには一切連絡は、どのような形になっているんでしょうか。しないんでしょうか、それとも一応はするんでしょうか。
#27
○政府参考人(横田尤孝君) 今のお尋ねのことは、これは今回の法案の範囲内のことではないかと思いますけれども、一般的にこの犯罪の被害者がどうなるかということについて言えば、これは普通の、普通のというとおかしいんですけれども、一般の刑事事件が発生した場合の被害者に対する対応ということになりますので、被害者のある犯罪でありますならば当然その被害者に対して所要の情報が伝えることは、これはあり得るというふうに思っています。
#28
○山東昭子君 とにかく、こうした新しい試みを法として制定をするわけですから、やはり国民から見て、ほら、やっぱりこんなことをするからこんな新たな犯罪が起きたではないかというようなことを言われないように、きちっとした体制といいましょうか、環境づくりをしていただきたいなと思っております。
 続きまして、刑務所出所者の職業を実現することは再犯抑制のために極めて重要なことだと考えられますが、事業主としては、犯罪前歴があると積極的に雇用しにくいという事情もあると思われますので、厚生労働省としても出所者を雇用する事業主には奨励金を出すことを検討すべきだと思うんでございますけれども、いかがでございましょうか。
#29
○政府参考人(大槻勝啓君) 刑務所を出所された方を雇い入れました事業主に対する助成金制度の活用あるいは創設ということについてのお尋ねでございますけれども、考えてみますと、刑務所を出所されました方、これは個々人によりまして就職が困難であるという事情は様々であろうかと思われます。したがいまして、一律に雇入れ助成などの対象とすることでこの問題が解決できるのかどうかという点につきましては検討を要する点があるだろうと思うわけでございます。
 また、雇入れ助成等の運用に当たりましては、支給対象となる事業主に対しまして求職者の方が刑務所出所者であるといったことの情報を提供していく必要が生じるわけでございますけれども、この点につきましては、そういった方々のプライバシーの保護の観点から慎重に検討する点もあるであろうというふうに考えるわけでございます。
 そういったことから難しい面があると考えますけれども、御指摘の点も留意しつつ、今後、関係機関とも連携しまして、多角的な面からこの点、研究課題としてまいりたいというふうに考えております。
#30
○山東昭子君 とにかく、出所者が再び犯罪を犯さないということが大切なわけで、そのための保護観察ということは非常に大切であろうと思うんでございますが、その保護観察処遇の第一線に立つ保護司の活動は非常に並大抵ではないと見聞きいたしておりますけれども、保護司を十分に確保していくためにはどのようにしたらよいとお考えでございましょうか
#31
○国務大臣(南野知惠子君) 本当に先生御指摘いただきました点は大変重要な課題でもございます。そして、保護司の方は無給のボランティアで保護観察の困難な活動に日夜従事していただいているということについては、頭の下がる思いでございます。犯罪や非行のない安全で安心な地域社会の実現のためにも多大な貢献をしていただいているということの感謝でございます。
 しかしながら、最近、保護観察事件が複雑そして困難化しているということも、地域社会の変動、国民の意識の変化等を受けまして、保護司の方々の活動はますます困難になってきているという実情でございます。このような状況の中で保護司の活動を支援するという観点から、保護観察処遇に必要な知識、技術を身に付けていただくために、保護司研修会を一層充実させてまいりたいと思っております。
 また、保護司に適任者を得ることも困難になっている実情にございますので、各界各層から保護司の適任者を得ることができますよう、地方公共団体、教育、福祉の地域の関係機関、団体と連携して、保護司にふさわしい候補者を開拓する方策を鋭意検討してまいりたいと考えているところでございます。
 加えまして、保護司の諸活動について広く社会に知っていただくことが何よりも重要と考えておりますので、保護司活動の積極的な広報にも一層努力してまいりたいと思っているところでございます。
#32
○山東昭子君 保護司の方々、いろんな場所でお目に掛かることが多いんですけれども、大変その地域の中で立派な方が多いんですけれども、まあ出所した人から見ますと、余り立派な方のお話ばっかり聞いていても、本当にどうなのかなという気がするんですね。そして、中にはそういう人たちをなめ切ってしまうというようなケースもあるような気がいたしまして、要領よく接しておけばまあ間違いないというような出所者もいるやの話を聞いております。
 そこで、どういう形で今までお選びになっているのか存じませんけれども、余り立派な方ではなく、かといって刑務所に元入っていたという人はちょっと別にいたしまして、少々やっぱりワルというんでしょうか、何やらやっぱりたくましく生きてきた、そういうような人も保護司に選んだ方が、すごみがあって非常にある意味では説得力があってよろしいんじゃないかと私は考えるんでございますけれども、保護司の選び方というものについて今後どのように検討されていくのか、お伺いしたいと思っております。
#33
○政府参考人(麻生光洋君) ただいま大臣の方から概要を御説明申し上げたところでございますけれども、先生御指摘のとおり、いろんな方々の中から保護司の方をお選びすることが重要であると思っております。
 一応と申しますか、保護司法に保護司に選べる方の条件というのが三条で決まっておりまして、人格、行動について、社会的信望を有すること、職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること、生活が安定していること、健康で活動力を有すること、このような積極的な要件が決まっております。
 こういうことも踏まえまして、なるべく多くの方から選べるように、先ほど申しましたように、地方公共団体でありますとか地元のPTAでありますとか、いろんなところから御推薦をいただいて、その中から先生がおっしゃったたくましい方と申しますか、そのような方も含めて、より適格な方々を保護司になっていただけるように努めてまいりたいと思っております。
#34
○山東昭子君 国民が安心して暮らせる安全な社会をつくるために、この法案の制定を含め、行刑改革を進めることは最重要課題だと考えますけれども、今後どのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか。法務大臣の決意をお伺いしたいと思います。
#35
○国務大臣(南野知惠子君) 私は、国民が安心して暮らせる社会、それを再生するという喫緊の課題を実現しますためにも、行刑改革を遂げ、また、受刑者の真の改善更生を図るための処遇を充実させることが是非とも必要であると考えております。こうした処遇を実現するためには、御審議いただいておりますこの法案が必要不可欠であろうかなと思っております。
 もちろん、受刑者の処遇を適切なものとして行刑改革の成果を上げるためには、法律を制定するだけで足りるものではないと。今、保護司さんの方々のお話もございましたが、いろいろな方々のお力をかりなければいけないというふうにも思っております。この法律に従いました適切な運用を努めることも必要であります。そのためには、その運用状況をよく見極めながら、必要に応じて見直しをするということも含めなければならないのかなと、適切に対処していかなければならないと思っております。
 現在、刑事施設を取り巻く情勢は、先生御存じのとおり、過剰収容などで極めて厳しいものがございます。国民に理解され、支えられる施設を目指して、不退転の決意で本法案の成立を始めとする行刑運営全般の改革に取り組んでまいりたいと存じております。
#36
○山東昭子君 もちろん、その受刑者の人権あるいはいろいろな刑事施設の改善ということも考えていかなければなりませんけれども、そこに働く刑務官、職員の人たちも、いろんな形でのストレスも多々あろうかと存じます。そういう人たちのいろいろな働きやすい環境といいましょうか、そういうものも含めて、とにかく国民から見て安心できる安全な刑事体制というんでしょうか、刑事施設、そういう法務関係の体制づくりになお一層努力をしていただくことを期待をいたしまして、私の質問、ちょっと時間が早く終わりましたけれども、この辺で終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#37
○簗瀬進君 おはようございます。
 ちょっと資料を取りに部屋に戻っておりまして、予想外の早いペースで終わりまして多少焦っております。早くなった時間をプレゼントしていただきたいとお願いをしたんですけれども駄目なようでございますので、しっかりと議論をさしていただきたいと思います。
 質問通告とは若干順番が変わりまして、最初、美祢刑務所の話から行かせていただければと思っております。
 刑事施設法が改正をされる、そしてそれと同時に、初めての刑務所PFIということで、民間との協力の下に新しい刑務所をつくると。いずれにしても、監獄法の大改正が一方にあり、一方においては刑務所の新しいPFI手法が取り入れられるその出発点となると。非常にそういう意味では今年は刑事司法にとっても極めて重要な年なのかなと。でありますから、刑事施設法の審議とこのPFIの問題を重ね合わせて議論をするということは私は大変重要なのかなと、こういうふうに思っております。
 そんな観点で、まずお聞かせをいただきたいのは、入札の結果はいかがでございましたか。
#38
○政府参考人(横田尤孝君) お尋ねのように、現在法務省は、我が国初となる刑務所、PFI方式による刑務所をつくるということで、その手続、準備を進めているところでございます。
 今委員御指摘の、その山口県美祢市にまず第一号のPFI刑務所をつくることとしておりますけれども、これにつきましては今月二十二日、つまり先週の金曜日でございますけれども、入札の開札を実施いたしました。入札参加のありました三つのグループの中から、美祢セコムグループを落札者として決定いたしました。
 この落札者の選定でございますが、総合評価落札方式というものを採用しておりまして、これは事業提案の内容と、それから入札価格を総合的に評価するという、そういう方式の入札でございます。
 以上でございます。
#39
○簗瀬進君 今、総合評価落札方式と、こういうふうな御説明でございましたが、具体的に競り合ったグループ名を明らかにしてください。
#40
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 ほかに二つのグループがございまして、もう一つは、これは私ども呼んでいるグループ名ですけれども、NTTデータ・宇部興産グループ、それからもう一つが大林組グループでございます。
#41
○簗瀬進君 結局、言うならば情報産業であるNTT、それから警備産業であるセコム、そして建設産業、まあゼネコンでも有名な大林と、この三つのグループがそれぞれ入札の大きなグループを形成しておったということ自体も、ちょっと時代を象徴するような感じがいたします。
 さらに、私の立場から言わせていただけば、最終的にセコムという警備関係がこれを落としたということもある意味で何かを暗示しているのかなと、こういうふうな気もするわけでございますが、現実に今総合評価方式とおっしゃいましたが、具体的に総合評価方式というのはどういうふうな内容ですか。
#42
○政府参考人(横田尤孝君) ちょっと申し上げます。
 この総合評価方式といいますのは、今申し上げましたように、事業提案の内容とそれから入札価格、両方を評価するということで、提案の内容ですけれども、これはハードの部分ですね、建物なら建物の構造、それから、何といいますか、設計内容、そういったものとか、それから実際に今度はソフトの面として警備をどのように行うかとか、あるいは処遇に係る部分があれば、それについてどんなことを具体的にやっていくかというようなことを様々な提案をいただいて、それにつきましてこの事業者の選定委員会という、これは建築であるとか教育であるとか、いろいろ様々な分野での専門家の方々にお願いをした選定委員会というものを設けておりまして、この方々にそれらの事業者から出されました提案内容を評価をしていただくと、点数を付けていただくというやり方をいたしました。
 それによって、まず内容の点の評価がありまして、それでもう一方では入札価格の問題でありますけれども、これを全体的にそれぞれのグループがそれならば幾らでこれを行うかということで価格を入れます。これは普通の建築土木などに行われる入札と同じですけれども、その価格とその両方、その価格を提案内容評価の得点で割るということをするんですね。それによって得点の高いもの、一番高いものが落札者に決定するという、そういうやり方でございます。ちょっと、お分かりになりましたでしょうか。
#43
○簗瀬進君 まあ端的に言えば、いわゆる内容的な評価の部分と、全体的な価額の部分と、それぞれ出させていただきまして、評価はその委員会でやると。結果として出たものを、予算で評価を割るという形でありますから、という形になるだろうと思うんですね。それが総合評価の意味でありますから、一億円で何点の評価が付いたのかと、こういうふうな形に私は最終的になるのかなと、こういうふうに思っております。
 それを前提にいたしまして、まずそれぞれの三つのグループの価額が幾らぐらいであったのかということを明らかにしてください。
#44
○政府参考人(横田尤孝君) それぞれのグループが出されました入札価格につきましては明らかにできませんので、御了解いただきたいと思います。
 ただ、落札した美祢セコムグループの価格は四百九十三億円であったということ、これは明らかにできます。
#45
○簗瀬進君 評価についての結果はどうだったですか、三グループについて。
#46
○政府参考人(横田尤孝君) まず、その提案内容につきましては、セコムは第二位でございました。そして、価格で一位であって、総合的にいうと、セコムが落札をしたということでございます。
#47
○簗瀬進君 私の手元には専門研究者からのメールが来ておりまして、評価について何点と、最終的にそういう点数が出たと、こういうふうに私のメールには来ておりますが、いかがでしょうか。
 評価委員会は最終的に決定をして、何点という総合評価を点数で表したんではないんでしょうか。
#48
○政府参考人(横田尤孝君) 現在公表しておりませんが、来月辺り公表をする予定でおります。まだ現時点では、先生がどういうあれで入手なさったのか知りませんけれども、私どもとしては公表しておりません。
#49
○簗瀬進君 公表をするというよりも、もう決定はしてしまったんでしょう。だから、決定の根拠については国会に明らかにするのは当たり前じゃないですか、それは。決定していないから公表しないというのは分かるんですよ。順番、全く逆さまじゃないの、それは。──ちょっと止めてくださいよ、これ。ちょっと止めてください。
#50
○委員長(渡辺孝男君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#51
○委員長(渡辺孝男君) 速記を起こしてください。
#52
○政府参考人(横田尤孝君) 大林グループが提案審査内容の得点が四百二十八点でございます。それから、美祢セコムグループが四百二十三点、それからNTTデータグループが三百九十点でございます。
#53
○簗瀬進君 私の手元に来ているメールと全く同じ点数でございます。
 それから、先ほどセコムグループについては四百九十三億円とおっしゃいましたけれども、私のところに来ているメールは四百九十二億円になっています。ほかの二グループも出ております。幾らですか。
#54
○政府参考人(横田尤孝君) 先ほど申し上げたのは約でございまして、セコムグループが四百九十二億七千万円でございます。
#55
○簗瀬進君 ほかの二グループ。
#56
○政府参考人(横田尤孝君) 大林組グループが約五百十六億円でございます。それから、NTTデータグループが約五百三十五億円、四捨五入した場合ですけれども、五億円でございます。
#57
○簗瀬進君 私どものところに御報告ございまして、それは皆さんのお手元にも行っていると思いますけれども、一枚紙です。結果しか書いてありません。また、もう一枚紙のはポンチ絵でございまして、ICタグでやりますよとか、集中管理をしますよとか、そういう話なんです。
 これは言うならば、後で質問をいたしますけれども、公権力関係におけるPFIとしては初めてということなんですよ。それに対して、議員の我々に対する、特に法務委員の我々に対するその結果報告、これは余りにもお粗末じゃないですか。
 今のような、決定は例えば総合評価方式でやりましたとか、三グループについては、いわゆる入札の価額が幾らで、そして、それとは同時に刑務所の内容についての手法について、それの評価が何点で、それを総合的に評価したらこういう考え方でここに落としましたと、こういうふうに説明をするのが正しい説明であり、初めてのPFIの一番スタートとして行うべき最も望ましいやり方、適切なやり方なんではないのかなと思うんですが、いかがですか。
 これは法務大臣、どうですか、今のやり取り聞いて。法務大臣の御自身のお考えを聞かせてください。
#58
○国務大臣(南野知惠子君) いろいろな透明性は高めていかなければならないと思いますが、そういう問題点について、私もまだ正確なディーテルまではお伺いしておりませんので、時期がいつか来るのかなというふうにも思っておりました。
#59
○簗瀬進君 大臣、そんな無責任なことでよろしいんですか。もう結果出ちゃっているんですよ。出ているんだけれども、どういう根拠でこの結果が出たのかということについては大臣知らないと今おっしゃったんですよ。そんな無責任なことで法務行政やれるんですか。
#60
○国務大臣(南野知惠子君) 知らないということではなく、逐次報告は受けておりますので、その点で進めさせていただいております。
#61
○簗瀬進君 今の金額や評価、それぞれの三グループ、そういうことを具体的に聞いていたんですか。知っていたんですか。
#62
○国務大臣(南野知惠子君) それを最初申し上げましたディーテルという内容に私は思っているんですが、その分野についてはちょっとまだお伺いしていなかったところでございます。
#63
○簗瀬進君 そういうのはディーテルじゃなくて、正にそれによって決める一番肝心な事実でしょう。これ、ディーテルじゃありませんよ。これをディーテルと言う法務大臣、これ入札というか、PFIを一番最初に導入をした法務大臣として極めてこれ歴史的に残る無責任な発言だとお思いになりませんか。
#64
○国務大臣(南野知惠子君) そういう点であれば撤回させていただきたいと思いますが、誠心誠意、美祢の問題については現地視察などもしながら頑張っているところでございまして、今事務方から御報告しましたことについてもう一度精査したいという、精査というか、確認したいというふうにも思っております。
#65
○簗瀬進君 この問題についてはそんなに、いわゆる入札の決定に至る基本的な数字をディーテルと言い切ってしまったと、これは私は大変な不穏当、あるいは法務大臣としての資格を全く喪失をした答弁だと、こういうふうに私は思っておりますので、ただ、これでどうと、ここで止めるなんというようなことはいたしませんけれども、押さえておきますから、それは。
 その次に、もう一回矯正局長にお尋ねしたいんです。
 総合評価方式で、先ほど評価が出ました価額、ようやく私の質問で明らかにしてくれた。それを公表しないで来月やるという、そういうふうなお話だったけれども、何でそういうふうにずらすんですか。ずらす根拠というのは何なんですか。
#66
○政府参考人(横田尤孝君) これは公表の方法の問題がございまして、ホームページに載せる予定であると。広く国民の方に全員に知っていただくためにホームページに載せる予定だと、法務省のですね。それを載せるのが来月になるであろうということを申し上げたわけで、この結果につきましては開札をした当日、公にしております。
#67
○簗瀬進君 そういうふうに言うべきなんですよ。開札にしたときに公になっているんだから、先ほどみたいにここで言えませんなんというようなことを言うのは国会軽視以外の何物でもないじゃないですか。
 入札の結果について、もう一般の国民には知らせておきながら、国会で答弁ができないというのはどういうことなんですか、それは。陳謝しなさい。
#68
○政府参考人(横田尤孝君) 当日公表いたしましたのは、これは直接的にはプレスでございますけれども、このセコムグループが選定されたという事実を公表したわけでございまして、金額そのものにつきましてはその時点では公表してございませんで、明らかにいたしましたのはこの時点でございます。
#69
○簗瀬進君 どうも何か答弁が、だから金額はその時点でも、落としたのはセコムですよということだけが明らかになっていて、価額とかそれから評価とか、先ほど点数何点とか、あるいは金額幾らと御答弁していただいたんだけれども、それはまだ全然表に出ていないということだったんですか。どうなんですか。今、もう表に出ているような言い方したから私は陳謝しなさいとちょっと怒ったんだけれども、いかがなんですか。
#70
○政府参考人(横田尤孝君) 申し訳ありません。度々不正確で。
 セコムの落札価格については公表していますけれども、それ以外につきましては、先ほど申し上げましたように、まだ公表してございませんでしたので、ただいま答弁したのが初めてといいますか、それになります。あくまでも、落札した事実と、それから落札した価格について公表したということで、それ以上についてはしていないということでございます。
#71
○簗瀬進君 次の質問に移らせていただきまして、その総合評価の結果として、結果としてどういうふうにしたのかというと、セコムグループが四百九十二億円で、結果として価額の点ではセコムグループが一番低いんです。評価、いわゆる内容的な評価の部分では第二位なんです。評価が第二位で、価額が一番低いということでセコムグループになったというのは、どういうふうな選考の考え方でそうなったんですか。
#72
○政府参考人(横田尤孝君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、価格ですね、入札価格を提案の点数、評価点数ですけれども、得点と言いますけれども、これで割った金額、金額といいますか点数ですね、それによって、つまり、提案内容とそれから価格と両方を総合的に見て、そして順位を決するという、そういうやり方でございます。
#73
○簗瀬進君 どうも私の手元に来ているメールの方が極めて分かりやすいんで、今のお話と結果は同じなんだけれども、こういうことだと思うんですよ。
 大林グループが五百十六億円で評価が四百二十八点。そうすると、四百二十八点を予算五百十六億円で割りますと、一億円当たり〇・八三九点という、そういう点数が出るんです。それから、セコムグループ、評価四百二十三、予算四百九十三億円。四百九十三億円を分母にして評価四百二十三を割ると、一億円当たりの点数が〇・八五九点。NTTデータグループ、評価三百九十点を予算五百三十五億円で割ると、一億円当たり〇・七三〇点。結果として、一億円当たり一番高いのが〇・八五九点だと、それがセコムグループだと、こういうふうな形になってセコムグループに落ちたんじゃないんですか。
#74
○政府参考人(横田尤孝君) 私がこういうお答えをして失礼ですけれども、おっしゃるとおりでございます。
#75
○簗瀬進君 極めて、余りきちんとした質問通告していなかったんでこういうふうなやり取りになってしまって私も恐縮はしているんですけれども、結果として、一億円当たりの点数が何点だったのかということで、一番点数が高いことになったのがセコムグループだからセコムグループに落としましたと、こういうことのようなんです。
 だから、一般の、私が言わんとしているのは、その入札手続に不明朗な点があったんじゃないとか談合があったんじゃないかとか、そういうことを言おうとしているんではないんです。結果として、この総合評価方式の結果、一億円当たり何点と、こういう形でやったために、結果としてどういうことかといえば、これ、金額を低くした方が点数上がるんですよ。
 だから、言うならば、安かろう良かろうというふうな、安かろう悪かろうという両方の言葉があるけれども、一億円の金額の中でというふうな形でやったんで、結果としてはやっぱり警備重視で安く上げればよいということになってしまうんではないのかな、これを私は懸念をするんですね。いかがですか。
#76
○政府参考人(横田尤孝君) おっしゃるように安かろう悪かろうであっては困るわけで、正にその安かろう悪かろうを防ぐために提案内容につきましても考慮するという、そういう、つまり極端なことを言えば、そういうソフトの面まで含めてもやはり価格だけで勝負するという、そういう入札の仕方だってあるわけですけれども、それでは困ると。そこで提案内容を評価するという一つの合理的、現在取られている合理的な考え方とされているこの総合評価方式を取ったということでございます。
#77
○簗瀬進君 総合評価方式の意味は分かるんですけれども、結果としてやっぱり点数を上げようとすれば価額を抑えるという形になるんですよ。その価額を抑えようとする、そういう価額の中には人件費も当然入ってきます。でありますから、その人件費を削減をして、そして極めて人間を簡素にしながら管理をきつくしていく、その手法としてICタグによる集中管理と、こういうようなものが導入されたんじゃないんですか。
 だから、ある意味では、セコムグループの商品というのは正に価額を低くし、その価額を下げるポイントがICタグの導入と、こういうふうに分析をすることができるんではないのかなと思うんですけど、いかがですか。
#78
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。
 確かに、ICタグの利用ということが今回入っていたわけです。ただ、これはPFI第一号の美祢につくる刑務所、私ども、これは仮称ですけれども、美祢社会復帰促進センターというふうに呼んでおりますけれども、そこでは受刑者の自主性、自律性を涵養して、より円滑な社会復帰を可能ならしめるために、受刑者が所内を移動する際には原則として刑務官は付き添わないということにしております。これが現在の、在来のと言うとあれですけれども、刑務所と違うところでございます。位置情報把握システムは、その代替措置として導入するものでございます。
 一つにはやっぱり受刑者の自由な行動ということがプラスとしてあるわけですし、それからもう一つは、おっしゃるように、それはなるべく人を少なくて、そして効率的に運営ができるということはございますけれども、それによってその監視の質を下げるとか警備の質を下げるとか、そういう趣旨では決してございません。
#79
○簗瀬進君 私の懸念は、矯正局長にも、また大臣にもお分かりになっていただけると思うんですけれども、確かに、この刑務所のPFIという手法は、これはある意味では時代の流れかもしれませんけれども、そういう中でちょっとそのコントロールを間違えますと、善かれと思ってやったことが全く逆の結果になってくるということに私はなりかねない、そういう危険性いつも持っているんではないのかな、こういうふうに思うんですね。
 そこで、これはできれば大臣にお尋ねをしたいんですけれども、この前、当委員会ではありませんでしたけれども、これ内閣委員会でしたか、内閣委員会で議論をされたいわゆる特区法案ですね、この刑務所PFI。この刑務所という特別権力関係にある中でPFIというようなものが導入されるということで、正にこういう厳しい権力関係の中で民間を導入するという、そういう動きが例えば駐車違反の取締り等の問題から、昨年辺りから入ってきているわけでありますけれども、どういう原理原則をもって委託したらいいんだろうかというふうな一つの原則をきちんとしておかなければならないんではないのかなと、とするならば、どういう原則をお考えになっているんだろうかと。
 確かに、ここで一から十までの例示があるわけでありますけれども、この例示の中で例えば境界領域が出てきた場合に判断をしなければならない。そういう判断をする際の指導理念といいますか、そういうようなものをどういうふうにお考えになっているんだろうかということをまず一つ問わせていただきたいし、また第二番目に、この一から十までの様々な問題の中で境界例が必ず出てくるだろうと思うんです。そこでトラブルが、いわゆる受刑者とそれからPFIの、それをやっている受託者の間でトラブルがあった場合に、今回の刑事施設法で例えば様々な不満を解消するための新しい施策ができておりますけれども、それがどういうふうな形で刑事施設法とこのPFIの刑務所が絡んでくるのかな。特に、そういう受刑者に対する問題とか、あるいは人権侵害の事案があった場合に、PFIの中で刑事施設法というのはどういうふうな形でかぶってくるのかなと、この辺についての御説明がいただければと思います。二問。
#80
○国務大臣(南野知惠子君) まず、私からお答えさせていただいて、足りない分、また追加する分がございましたら事務方の方でお願いしたいと思っておりますが。
 行刑施設では幅広い事務を行っております。その大半が権力的な事務であるということはもう我々承知しているところでございますが、監獄法ではこれらについては行刑施設の長や刑務官により処理することが前提とされております。とりわけ、武器や戒具の使用又は懲罰、それから信書の発受の許否等の処分等の権力的な事務に当たっては、これは被収容者の身体や財産、これを直接侵害する実力行使や、被収容者に対して直接に義務を課し、又は権利を制限する処分等を伴うものであることから、行刑施設の長や刑務官以外の者にこれらの事務の処理を委託することはできないと考えております。これは、我々の専門的な立場の中で展開するものであるというふうに思っております。
 もっとも、例えば、健康診断や職業訓練の実施、又は所持品等の検査、収容監視、それから信書の検査補助又は留置物の保管など、これは処分等に当たる事務の準備行為又はその執行として行われる事実行為に当たっては、事務の権限をこれまでどおり行刑施設の長や刑務官に保留させつつ、一定の法的制約の下にその権限行使を補助するものとして委託するということ、これは可能になってくるというふうに思っております。すなわち、法律に委託の根拠規定を設けるとともに、事務の円滑かつ適正な実施を確保するための担保措置を併せて講じることによりまして、民間委託は可能になるというふうに考えております。
 このような整理の下に、本国会に提出いたしました構造改革特別区域法の一部を改正する法律案に行刑施設の事務の民間委託に関する規定を盛り込んだところでございます。
 また、事務処理の判断基準をどのように明らかにするのかということの御質問でございますけれども、同法案では、事務を委託する行刑施設の長は民間事業者に対し委託する事務の実施基準を示す旨規定されておりますので、事務の円滑かつ適正な処理がなされるよう、具体的な事務の内容に応じた適切な基準を策定させることとしたいと考えております。
#81
○簗瀬進君 大変、もう結構です。時間がなくなってまいりましたので、また別の機会にこの問題は譲らさせていただくことにいたしまして、もう一つ、これは刑事施設法と直接は関係はないんですけれども、最近の新聞の報道で犯罪者の不当利益の問題について報道がされております。それについて若干の御質問をさせていただければと。
 これも検討中というふうなことだと思いますけれども、御案内の山口組の旧五菱会系のやみ金融問題ですね。もう大変な不当利益が、しかも海外に流れていると。スイスに五十五億円ぐらい、また香港には更に三十億円ぐらいでしょうか、そして日本にも少し残っておると。
 今年の一月から二月にかけて三つの判決があったんだけれども、検察の方は追徴を、合わせて八億円以上の追徴を要求しているんだけれども、全部この追徴は第一審の判決では否定をされていると。こういうふうな状況でございまして、これはもう御案内のとおり、組織犯罪処罰法、組犯法と言われているもので、やがてその被害者から返還請求が来ることが予想されるものについては没収、追徴をしてはならないと、こういうふうな形になっておりますので裁判所の判決としてはやむを得ぬところかなと、こういうふうに思うんですけれども、結果として、そのまま放置をいたしておきますと、犯罪者は、やがてはこのようなお金は戻ってくることになってしまう。
 しかも、被害者の方がじゃ返還請求できるかといいますと、例えば暴力団相手に裁判を起こすというふうな形になる。これはもう大変な圧迫感がある中での訴え提起ということでございますので、そうは簡単にはいかない。だから、被害弁護団の皆さんが一生懸命やっておるんですけれども、被害者で、何十万人という被害者の中で、現在、二千人弱ぐらいしか原告団には入っていない、こういうふうな状況でございます。
 こういうふうな事態を放置していていいんだろうかということについて、まず大臣の一般的なお考えを聞かせていただければと思います。端的で結構です。
#82
○国務大臣(南野知惠子君) いろいろな出来事がございました。この件につきましても、関係省庁と協議をしながら検討を進めているところでございます。
#83
○簗瀬進君 検討を進めているということなんだけれども、現実に何かの特別な法的な手当て、あるいは一般的な手当て、立法等の動きを大臣としてやっていくというお考えはないんですか。
#84
○国務大臣(南野知惠子君) 法整備の問題点もございますけれども、最終的にはそういった資金の配分の可否がいろいろなところで明らかになるというような、他国の銀行等いろいろな細かいものがはっきりするようなことになってきた段階で判断すべきものであるというふうにも思っております。
#85
○簗瀬進君 外国の対応がはっきりとしないと対応できないということなんですか。
#86
○国務大臣(南野知惠子君) そのようないろいろな情報をいただきまして、そしてそれを現時点で、これはこうするよということについては今申し上げられない、そのような情報の収集も必要であろうと思っております。
#87
○簗瀬進君 十二分という時間なんでちょっとこちらも焦っているんですけれども、スイスの方は対応してもいいようなもう向こうの国内措置をやったというじゃないですか。我が国がどうするのかが今問われているんですよ。どうですか、大臣。
#88
○国務大臣(南野知惠子君) スイス政府が没収しました資金、資産につきましては、現在、その配分を受けることが可能であるかどうかということにつきまして、外務省を始めとする関係省庁が協議しながら検討を進めているところでございます。という意味で検討を進めていると申し上げました。
 委員御質問の法制度の要否やその在り方につきましては、これは最終的にはスイスからの資産の配分、今申し上げましたそういった可否等が明らかになった段階で判断すべきものと考えております。
 現時点では確定的なお話を、お答えをすることは困難であるということの御理解を今いただいたところでございますが、なお、以上を前提といたしまして御指摘のような財産の分配がスイス政府からあったと仮定して申し上げますと、これを国内の被害者に分配する制度を設けるに当たっては、例えば被害者に分配を行う主体をだれにするのか、分配を受ける者の範囲など配分基準をどのように定めるのか、あるいは被害者が犯人に対して持つ民事上の権利との関係をどのように考えるのかといった点のほかに、申請や又は審査手続など、実態、手続、両面について十分に検討する必要があると思われております。
 法務省といたしましても、今後のスイス政府との協議の状況等をも踏まえつつ、引き続き検討をいたしていく所存でございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
#89
○簗瀬進君 大変、大臣の方でようやく検討の中身について若干お触れになっていただいたんで結構だと思うんですが、もう一部の新聞では中身について随分示唆的なこと出ているんですよ。
 例えば読売新聞では、返還財産を一定期間、歳入とせずに国が預かる、被害者への分配が終了した後、残った分を国庫などに入れる、被害者や被害額の認定は、破産管財人などと同様、弁護士が関与する形にする、こんな三点の具体的な中身が出ているんですけれども、そこら辺御検討になっているということなんですか。これは局長でいいです。
#90
○政府参考人(大林宏君) 今のスイス政府の没収金につきましては、私ども、まず返していただくと。それがどのぐらいになるかということは分かりませんけれども、これは外務省等と御相談いたしまして、外交交渉によってまず返していただくことがそれが原資になりますので大事かなと。その場合に、まずネックとなるのが、相互主義という形になるわけですけれども、日本において国内法でそのような手当てがしていないために今の制度では国庫に入ってしまうと。それでは何のために返したか分からないという問題がございます。まず、ですから私どもとして第一に相互主義をどのように手当てするかということが第一段階だと考えております。
 それから第二段階としては、今も御指摘ありましたように、どのように分配していくかというのは非常にいろんな問題がございます。ただ、これは組織犯罪の防止ということと同時に、被害者対策という面では非常に大事なことであると私たちも認識しております。ですから、私たちとしてもできるだけのこの法制化については努力したいと、このように考えております。
#91
○簗瀬進君 もう一つ、特別法的な対応で、この五菱会絡みのみの立法にするということではあるんですけれども、様々な不特定多数の被害者が出てくると、これは犯罪ももちろんでありますけれども、その他のことについてもあり得るわけです。もうちょっと幅広に検討をなさって、一般法的な取組に広げていった方がいいんではないのかなと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
#92
○政府参考人(大林宏君) 今の御指摘は、私どももそのとおりだと考えております。
 まず、当面の問題として原資の問題があるために、まず相互主義を考えておりますけれども、今度はその没収物に対する分配の問題は、これはもう一般的な問題でございます。ですから、御指摘のとおり、そういう観点で手当てしなきゃならないということは、私たちもそのように考えております。
#93
○簗瀬進君 十二分までというふうな時間でございまして、あっちゃこっちゃしましたけれども、とにかく大臣にお願いをしたいのは、新しい制度をつくっていくということは非常に重要なことでもありますけれども、様々に意図しない結果が出てしまうということもあるわけでございまして、どうかその辺はしっかりと役所のコントロールをしていただいて、いい制度をつくっていただけるようお願いを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#94
○木庭健太郎君 今日は、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案の質問でございます。一回目でございますし、総括的な質疑を行いたいと思っております。
 今回の受刑者のこの処遇法案というのは、監獄法の制定から見れば百年ぶりの実質改正だということでございます。改正内容そのものは評価できる点が多いと思っております。また、百年前にこの監獄法が制定された際という、その内容そのものは世界的にも見て極めて水準が高いものだったと、こう言われているんですが、その後百年間でございます。そういう意味では、この実質改正が長きにわたってなかったということにつきましては、人権保障から考えれば本当に十分だったんだろうかということがやっぱり議論の一つの観点なんだろうと思います。ある意味では遅きに失したというようなことも言われる面もあるんではなかろうかと思います。
 まず、この点についての御説明、見解について伺っておきたいと思います。
#95
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 この法案提出に至ったことについてでございますけれども、法務省といたしましては、監獄法の全面的な改正が必要だと考えまして、昭和五十七年から三たび、三度にわたりまして刑事施設法案を国会に提出してまいりましたが、いわゆる代用監獄の制度に関する意見の隔たりがございましたことなどから成立を見ずに現在に至ったということでございます。そのために、今委員が御指摘になったようなことも含めまして、様々な問題が生じていたところでございまして、何としてもこの喫緊の課題である行刑改革を遂げるためにはこの法案の早期の成立が必要だと考えておりまして、その成立を目指して全力で取り組まなければならないというふうに考えているところであります。
#96
○木庭健太郎君 もう一つは、是が非でも今回この法案を出して改正をしなければならないという理由の一つは、これはやっぱり、内閣府も社会意識に関する世論調査をやっておりますが、結果を見てみますと、やはり今国民が一番求めているのは景気、雇用、これも大事な問題ですけれども、それよりもやっぱり治安の悪化という問題について一番関心を抱いているという、言わばこの治安という問題が大きな一つの国民の関心になっているというところから、一つはこの法案の問題も大きくクローズアップされているんではなかろうかと思いますが、この点についても法務大臣の感想を伺っておきたいと思います。
#97
○国務大臣(南野知惠子君) 本当、先生御指摘のとおりでございます。我が国の治安の現状につきましては大変憂慮すべき状況にあるということを認識いたしております。刑法犯の認知件数は、平成十五年、十六年と二年連続で前年比で減少したとはいえ、依然として戦後最高の水準にとどまっている上、凶悪重大な殺傷事犯や外国人犯罪も続発しており、国民の多くが治安悪化に対して強い不安感を抱いております。
 この法案では、受刑者に対しまして、犯罪の責任を自覚していただき、健康な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識及び生活態度を習得させるため必要な改善指導を行うものとしており、受刑者には改善指導を受けることを義務付けるなどとしているところであります。
 こうした矯正処遇の充実を通しまして、受刑者の再犯の防止を図りつつ、安心、安全な社会の構成を実現することが国民の治安に対する不安、それを取り除くことにつながるものと確信いたしております。
#98
○木庭健太郎君 それとともに、この法案を出す前のいわゆる行刑改革会議におきまして、国民に理解され、支えられる刑務所というような言葉を用いられております。今大臣からも御答弁ありましたが、刑務所の在り方、つまり何をするところかと。受刑者がその中できちんと教育もされ、社会復帰できるようなというような点もあります。ただ、国民にとってみれば、そういう刑務所の在り方とは一体何だろうと、いろんな意味で疑問に思っている点も多いと思うんですが、一体国民にどういう刑務所に対する理解と支持を得ようとなさっているのか、見解をこれも伺っておきたいと思います。
#99
○大臣政務官(富田茂之君) 委員御指摘のとおり、行刑改革会議の提言におきましては、国民に理解され、支えられる刑務所を目指すべきであるとされております。行刑改革を実現し、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰を図るためには、刑事施設が世間から孤立したものであってはならず、被収容者のプライバシーに十分な配慮をしつつも、できる限り行刑運営の実情を明らかにして、その透明性を高める必要があるというふうに考えております。
 こうした観点から、これまでも広報のための施設見学の機会を設けたり、マスコミに対しまして刑事施設における処遇に関する情報を定期的に公表するなどして、積極的な広報に努めているところであります。
 さらに、本法案におきましては、刑事施設の運営の実情を把握した上、刑事施設の長に対し国民の健全な常識を反映した意見を述べてもらう仕組みとして、各刑事施設に第三者から成る刑事施設視察委員会を創設することとしており、これによりまして行刑運営の透明性を確保し、こうした仕組みをも活用しつつ、国民の理解と支持を得られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
#100
○木庭健太郎君 今お答えを一部いただいたような気もするんですけれども、治安の維持との関連性の問題で、衆議院の審議の参考人質疑だったと思いますが、江川紹子さんは「私の視点」という記事の中で「刑務所は治安の最後の砦」という言葉を使っておられて、これはもう一人、これは元刑務官の浜井浩一、今、龍谷大学の教授でございますが、刑務所が治安のとりでではなくて福祉の最後のとりでとして重要な役割を果たしていると、こんなことをおっしゃっておるわけでございます。
 国民の率直な感情からいえば、受刑者の処遇改善のために国の予算を使うことになるわけですよね。これ、本当にそんなことでいいのかという素朴な疑問もあると思うんです。その受刑者の処遇改善であるとか刑事施設の改善、これが本当に国民のために役に立つのかどうかという視点を考えるならば、言わばそういうことをやることによって治安の維持回復にもつながるのだというようなことを、これは国民に理解してもらわなければ、このやることの意味とのつながりからいっても、これなかなか理解を得られないんじゃないかなと思うんです。
 富田政務官、広報という意味でいろいろお話もいただきましたが、こういうやっぱり国民のそういう意味での理解を得るために更にどういう点を進めるべきだと考えていらっしゃるか、更に御答弁をいただいておきたいと思います。
#101
○大臣政務官(富田茂之君) もう本当に委員御指摘のとおりだと思います。
 受刑者の処遇により、一人でも多くの者が人間としての誇りや自信を取り戻し、健全な状態で社会復帰を遂げ、再犯に至ることがなければ、結果としてそれが治安の維持回復に寄与するものと考えておりますが、そのためには、より有効適切な処遇体制の整備に努める必要があり、受刑者処遇あるいは刑事施設の改善が急務となっているものと考えております。
 このような観点から、今回の法改正は受刑者処遇の充実を図るものとなっておりますが、その実現のためには、人的、物的体制の整備はもとより、民間の方々の協力も不可欠であることから、委員御指摘のとおり、国民の一層の理解を得ることは極めて重要な点であるというふうに考えております。
 現在、行刑改革会議提言を受けまして、国民に理解され、支えられる刑務所を実現するために、法改正を待たずとも直ちに実施できる方策としまして、各矯正管区におきまして、それぞれの管内矯正施設に係る処遇情報を定期的に公表しておりますほか、広報を目的とした施設見学の機会を設けるなどして行刑運営の実情を積極的に広報しているところでありますが、今後とも更にこれらの方策を促進するなどし、その際には、行刑の適切な運営が社会の治安の維持回復に貢献していることについて国民から一層の理解が得られるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
#102
○木庭健太郎君 是非御努力をいただきたい点だと思っております。
 それから今日はもう一つ、性犯罪の再発防止策という問題でもちょっとお伺いしておきたいと思います。
 先日、この問題、奈良の事件について公判があったばかりでございます。この法案そのものも、性犯罪の再発防止というのが重要な柱の一つだというふうに理解をしておりますが、現在、施設内で行われている指導の内容、効果と、本法律案によって何が改善されるのかについてお伺いもしたいし、ただ心配するのは、刑務所内で特定の者に対してこのような指導を行ってしまうと、今度はその者が犯した犯罪が明らかになってしまうというようなことで懸念する声も実際にあるわけで、その辺も含めて対策がどうなるのか、お伺いしておきたいと思います。
#103
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 性犯罪を犯した受刑者に対しましては、現在、一部の行刑施設におきまして性犯罪防止に関する処遇類型別指導を実施しております。
 具体的な内容は施設ごとに異なりますが、一こま約一時間の指導を月一回から四回の頻度で四単元から十二単元を実施いたしまして、内容としては、講義、VTR視聴、集団討議、カウンセリング、グループワークなどを組み合わせて行っております。
 終了時のアンケートの結果などによりますと、被害者の苦しみや自分の犯した罪の重大さを認識できるようになったなどの感想が見られるなど、相応の効果を上げているというふうに承知しております。
 しかしながら、これらの指導は法律上の根拠が明確ではなかったことから、受刑者に対して受講を強力に働き掛けることが困難な状況にあり、また、指導プログラムにつきましても各施設が試行錯誤の上で実施しているものでございまして、統一的、標準的なプログラムが存在していないなど、十分とは言い難い点がございました。
 本法案におきましては、受刑者に必要な改善指導等を受けることを義務付け、性犯罪を犯した受刑者に対しても必要な改善指導を受けるよう強力に働き掛けることが可能になるようにしているところでございます。
 また、法案の趣旨に即しまして、性犯罪防止のための指導を内容的に充実させるために、精神医学、心理学等の専門家の協力を得て科学的、体系的なプログラムを策定することとしておりまして、そのための第一回の会合を本月二十八日、つまり明後日でございますけれども、開催する予定としております。
 一方、御指摘のように、集団指導の場合には、同じ罪名の者同士がグループで話し合うことで自己の問題性に対する認識が深まるという効果がある一方、特定の罪名の者につきましては、自分の罪名をほかの受刑者に知られることに抵抗があり、処遇類型別指導に対して拒否的になるといったことが考えられます。
 この点に関しまして、現在でも処遇類型の名称につきましてほかの受刑者に分からないような記号を使う、例えば、一群、二群というような言い方をしたり、あるいはAコース、Bコースというような言い方をしたり、そのような工夫をしております。また、同一の処遇類型別指導に編入されている者に対しましては、互いに出席者や発言内容を秘密にし合うよう約束させるなどの配慮をしているところでございまして、今後とも、処遇の実施面における有効な方策を検討してまいりたいと考えております。
#104
○木庭健太郎君 今お話があったように、二十八日ですか、第一回目のこのプログラム研究会の会合があるということでございますが、これ具体的に、話せる範囲内でメンバーとか内容とか、そしていつまでにこれをまとめ上げようとなさっているのかその見通し、その辺についてもお話を併せて伺いたいと思います。
#105
○政府参考人(横田尤孝君) ただいま申し上げました性犯罪者処遇プログラム研究会というもののでございますけれども、これは、今申し上げましたように、あさって第一回開催する予定でございますが、この研究会には精神医学や心理学、犯罪学などの専門の方々八人の出席をお願いしているところでございます。
 研究の進め方等に関してでございますが、第一回の研究会におきまして、これはこの委員の、研究会の専門家の方々の御意見を伺いながらでございますけれども、進め方については第一回の会合で具体的に検討することになります。
 しかし、おおむね私どもの考えといたしましては、六月までに矯正及び保護における性犯罪者処遇の現状の説明や川越少年刑務所における処遇類型別指導の実情視察などを行った上で、七月以降に、メンバーの指導を得ながら、矯正及び保護のワーキンググループにおいてそれぞれ指導プログラムを本年中に開発、策定する予定としております。この策定の方法といたしましては、メンバーの指導を得ながらと申し上げましたけれども、これは、それぞれ実務家とそれから専門家が一緒になって具体的に進めて、試行錯誤しながらプログラムを練り上げていくという、そういうやり方を考えております。
#106
○木庭健太郎君 先ほども話があったように、一つの統一的なものがないことで今非常に困っている面もありますし、まあ慌てて変なものができても困りますが、できるだけ早い段階でこういうプログラムを作り上げる必要があると思いますので、精力的な審議をお願いをしておきたいと、このように思うわけでございます。
 そして、刑事施設内でこういった指導をすることも大事なんですけれども、その出所後の問題、この対応も重要と考えられるんですが、例えば薬物であるとか、酒の問題であるみたいなことになると断酒の問題ですよね。これはそれぞれ民間の団体もあるし、そういうのと出た方との交流の問題もあるんでしょうが、これ性犯罪者の問題になるとどう考えていけばいいのかと。現在の体制、そして行政としての取組、何か考えられるのか、保護局長から御答弁をいただいておきたいと思います。
#107
○政府参考人(麻生光洋君) 社会内処遇におきましても、民間の関係者の皆様方との連携が重要であると考えております。
 そこで、性犯罪者の関係でございますが、性犯罪者につきましても自助グループというのはございます。現在におきましても、保護観察対象者が自助グループに参加している例もあると承知いたしております。ただ、先生が御指摘になりました断酒会でありますとかあるいは薬物関係のダルクというような関係の自助グループと比較いたしますと、歴史も浅く数も少ないと、こういうのが実情でございます。
 そこで、私どもといたしましては、今矯正局長の方から御説明がありましたように、処遇プログラムをこれから研究開発するわけでございますし、それから法務総合研究所では性犯罪者に対します多角的な研究を行うことといたしております。それらを踏まえまして、今後も様々な自助グループ等、更生保護を支援していただける民間の皆様方と連携して犯罪者の更生に貢献してまいりたいと考えております。
#108
○木庭健太郎君 それとともに、この性犯罪者の出所者情報の提供という問題が、これもマスコミにも報道され、大きな論点になっているようでございます。
 警察庁とも協議を進められ、ある程度の方向性は出ていると思いますが、その対応策、提供の対象、内容について確認をしておきたいんですけれども、被害者が十二歳以下の者に限るという話もあっておりますが、その理由をお伺いしたいし、やっぱりその被害者が成人の場合も含めて、十三歳以上の事件について対象外ということの理由も、これも聞きたい部分、国民がこれ納得できるのかどうかという点も非常に疑問な面もありますが、この辺も含めて御答弁をいただいておきたいと思います。
#109
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 警察庁から、本年六月一日を期して、十三歳未満の子供を対象とした強姦や強制わいせつ等の暴力的性犯罪を犯した受刑者について法務省から出所情報の提供を受けたいという要請がございましたので、法務省といたしましては、受刑者の改善更生に配慮しつつ、再犯を防止するための取組に積極的に協力するという観点からこの要請に応じるべく準備を進めておりまして、現在、具体的な運用方法について最終的な協議を行っているところでございます。
 情報提供の対象を十三歳未満の子供を対象とした暴力的性犯罪とすることにつきましては、警察庁からこのように聞いております。子供を対象とする暴力的性犯罪につきましては、子供は犯罪の回避能力が低い、それから子供は特に心身に受けるダメージが大きい、保護者など地域社会に与える不安が大きいことから、その未然防止が特に求められているところ、その対策として特に前歴者による再犯の防止を図ることが有効であることから、これらの罪に係る受刑者について法務省から出所情報の提供を受け、前歴者の出所後の動向の把握に努めたいという、こういう警察庁からの御説明がございました。
 なお、十三歳未満の子供を対象とした暴力的性犯罪以外の犯罪につきましても、まずは警察においてどの範囲の情報をどのように活用するのかの検討がなされた上で、必要な情報が有効かつ適切な方法で提供されるよう、現在、警察との間で協議を進めているところでございます。
#110
○木庭健太郎君 そうすると、法務省そのものの、この十二歳の問題については、法務省そのものの考えというのは何か表明されているんですか、法務省そのもの。
#111
○政府参考人(横田尤孝君) これは委員も御案内かと思いますけれども、そもそもこの出所情報の提供の問題は、警察庁の方から申入れがございまして、私どもといたしましては、現行法の下でそれに応ずることが可能かどうか、応ずるとしてどの範囲が可能なのかといった、そういう形で進んできておりますので、私どもといたしましては、警察庁の方の御提案を受けて、そしてそれについて応ずることが相当かどうか、できるのかどうか、相当かどうかという、そういう判断の仕方をいたしておりますので、法務省として先にこうだああだという考え方は特に取っておりません。
#112
○木庭健太郎君 大事な問題なので、是非これの協議を詰めた上で、これも結論を出すようにお願いをしておきたいと思います。
 もう一点だけお聞きしておきたいと思います。これは、受刑者の移送制度の問題でございます。
 大臣にお尋ねをしたいんですけれども、この受刑者移送制度に関連する研究というのは一応終了したというふうに伺っておりますが、当該国の犯罪者が多いにもかかわらず犯罪人移送条約の締結されていない国、特にこれはどこかといえば、外国人受刑者の多くを占めている中国等との交渉過程の問題でございます。これがどうなっているのかお聞きしたいんです。
 特に中国との関係、非常に厳しい状況にあるわけでございますが、これは平成十五年十二月と思いますが、犯罪対策閣僚会議により策定された犯罪に強い社会の実現のための行動計画においてもこの日中間における受刑者移送条約の早期締結が盛り込まれているとたしか思いました。多少ともこれは過剰収容の緩和につながることが期待される以上、中国、そして特にアジア各国とのこの移送条約の締結のため一層の努力が必要だと考えておりますが、法務大臣の見解を伺って、今日の質問を終わりたいと思います。
#113
○国務大臣(南野知惠子君) 受刑者移送につきましては、我々も心配しているところでございますが、外国におきまして受刑している者の改善更生及び円滑な社会復帰を促進するという刑事政策的意義にかんがみますと、できる限り多くの国との間で実施することが望ましいというふうには思っております。
 先生お尋ねの中国との問題でございますが、我が国の刑務所に収容する外国人受刑者のうち多数を占める中国につきましては、昨年十二月、外交ルートを通じまして日中間での受刑者移送条約の必要性につき中国側に提起いたしました。これに対しまして中国側は、同条約の必要性に理解を示しつつも、同条約は他国の裁判結果を自国内で受け入れた上で自国民に対して刑を執行するという問題を含んでいるとして、慎重な姿勢を示しておられます。
 政府としましては、日中間での刑事司法分野での協力を更に進める必要があると考えておりまして、中国の受刑者移送制度と刑事司法制度全般に係る調査研究を更に行いまして、関係省庁間で連絡を取りながら、受刑者移送条約の締結に向け、引き続き努力していきたいと考えているところでございます。
 さらにまた、受刑者移送条約の締結に向けてその後も引き続き検討しているところでございますが、本年三月にも、再度、外交ルートを通じまして同条約の締結につき中国側に打診したところでございますので、その成果を見守りたいと思っております。──済みません、中国以外……
#114
○委員長(渡辺孝男君) 漏れた。
#115
○国務大臣(南野知惠子君) はい。
 先生が御質問されました中国以外のアジアの諸国ということであろうかと思います。
 これにつきましては、中国以外のアジアの諸国につきましても、先ほど申し上げましたとおり、受刑者移送を行うことは意義があると考えております。法務省といたしましては、欧州評議会の受刑者移送条約による受刑者移送の実績、それと成果等を見極めながら、外務省とも連携を取りながら、他のアジア諸国との受刑者移送についても検討を進めたいと考えております。
#116
○木庭健太郎君 終わります。
#117
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 最初に、この行刑改革の理念についてお聞きをいたします。
 衆議院での議事録などを読んでおりますと、受刑者への人権の配慮が再犯を増やして治安悪化に結び付くかのような議論が、一部ではありますけれども、ありました。
 そこで、まず大臣にお聞きをするんですが、こういう受刑者への人権の配慮が治安悪化に結び付くというような議論について、大臣はどういう認識でいらっしゃるでしょうか。
#118
○国務大臣(南野知惠子君) 法案におきましては、書籍などの閲覧又は宗教上の行為、面会及び信書の発受など、受刑者に権利として保障されている行為を明らかにするということが必要であると思いますが、それとともに、受刑者の刑事施設における生活に関しまして物品の給与と医療等に関する規定を設けておりますけれども、これは、受刑者としての地位に照らしながら、やはり保障されるべき権利等の範囲を明らかにしたものであろうかと思います。殊更に良い待遇を行うこととするものではありません。こうした人権への配慮が治安悪化につながるとは認識しておりません。
 むしろ、この法案は、刑務作業、改善指導、教科指導の矯正処遇を行うことといたしまして、受刑者にはこれを受けることを義務付けていこうと思っております。これらの処遇を通じまして受刑者の改善更生及び社会復帰を促進することにより、国民が安心して暮らせる安全な社会の再生に寄与するもの、まあ私の言葉で言えば、すてきな人生を再度リボーンするというようなところに矯正という問題を持っていきたいと思っております。
#119
○井上哲士君 行刑改革会議の提言は、刑務所がつらいところであればあるほど受刑者が二度と帰りたくないということで再犯防止につながるなんという考え方ではおよそないわけですね。大変共感を呼んで読んだくだりがあるんですが、提言の中で、真の意味で、罪を犯した者を改善更生させ、円滑な社会復帰を果たさせるためには、それぞれの受刑者が、単に刑務所に戻りたくないという思いから罪を犯すことを思いとどまるのではなく、人間としての誇りや自信を取り戻し、自発的、自律的に改善更生及び社会復帰の意欲を持つことが大切だと、こうした上で、こういう処遇をしてこそ、職員に自らの職務への本来の使命感と充実感を与えるんだと、こういうくだりがあって、私は大変共感を持って読んだんですが、この方向というのがこの法案の基本的な理念だということで、大臣、確認してよろしいでしょうか。
#120
○国務大臣(南野知惠子君) そのような意味では、法案は御指摘の提言に沿うものであると考えております。
 この法案におきましては、受刑者処遇の原則として、その者の資質及び環境に応じまして、その自覚に訴え、また改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図るということを旨といたしております。
 こうした法案の定める処遇は、受刑者に人間としての誇りや自信を取り戻される処遇にほかならないと考えております。
#121
○井上哲士君 そうしますと、この法案の題名なんですが、現行の監獄法は非常に監獄内の保安と秩序に重点を置いた施設管理法だという批判がありました。それを新しい理念の下での転換を図るというわけですが、どうも法案の名前は刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案ということで、施設管理法的な側面が強いなと私は思うんですが、例えば、法案の名前も受刑者の処遇等に関する法律案とするべきだったと思うんですが、いかがでしょうか。
#122
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 御指摘のとおり、法案は受刑者の人権を尊重しつつ、受刑者を真の意味で改善させ社会復帰させるための処遇の方法を定めておりますが、他方で、刑事施設視察委員会や実地監査に関する規定など、言わば処遇の前提となる刑事施設の基本及びその管理運営に関する事項についても種々の規定を置いているところでございます。そのため、法案の名称は刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律としたものでございまして、もとより、このことは何ら受刑者の処遇に関する規定の意義を軽視したりするものではございません。
#123
○井上哲士君 より行刑改革の理念を生かすためには順番を逆にしてもよかったんではないかという気もいたしますけれども。
 更に聞きますが、名古屋刑務所事件などが大きな問題になったときに、この行刑運営の実情に関する中間報告が平成十五年三月三十一日に出されました。この時点では、いわゆる処遇の中でも担当制の問題というのをかなり強く指摘をしておりまして、担当制による処遇の限界だと、こういう指摘までされておりました。ところが、行刑改革会議の提言などを読んでおりますと、かなりこの点ではトーンダウンをしたと思うんですが、法案でも特段の規定はされておらぬわけですけれども、この担当制の見直しを中心としたこの処遇の改善ということはどのように考えられているんでしょうか。
#124
○政府参考人(横田尤孝君) お答え申し上げます。
 いわゆる担当制とは、各工場を担当する職員が受け持つ受刑者を個別指導しながら集団を管理する処遇体制でございまして、これにつきましては、受刑者の心情を把握し、個別的な相談を実施するなどして、職員と受刑者との人間関係を基盤とした処遇を可能とする一方、担当職員の裁量が大きく、恣意的に運用されるおそれがあるなどの問題がございまして、当局といたしましても、その弊害を防ぐための措置を講じる必要があるというふうに認識しております。
 そのため、各種協議会等におきまして、担当職員に任せきりにするのではなく、組織として担当職員をバックアップする体制を整えるよう指導しておりますほか、行刑施設の心理技官を増配置いたしまして積極的に処遇に関与させることにより、担当職員をサポートさせたり、受刑者の心情安定や所内生活適応上の問題解決を目的とした民間カウンセラーの導入を図ったり、あるいは担当職員を複数配置するなどの対応を進めるなどしてその弊害の防止に努めているところでございます。
#125
○井上哲士君 提言などを読んでおりますと、過剰収容の下では機能しなくなったというような表現があるわけですけれども、そうしますと、過剰収容が解消されればまた担当制に戻るのかと、こんな感じもするわけですが、そういうことではない、根本的な問題だとしてこれは組織的な対応を今後していくと、こういう理解でよろしいんでしょうか。
#126
○政府参考人(横田尤孝君) おっしゃるとおりでございまして、ただ、もう一方言いますと、その過剰収容が将来的に緩和あるいは解消されましたときに担当制がなくなるかということにつきましては、現時点ではそのようなことは申し上げているわけではございませんで、やはり担当制そのもののやっぱり弊害ということもある一方で、これ委員も御指摘のように、行刑改革提言でもその有用性というものにつきましても評価があるわけでございますので、その弊害を防ぎ、そしてその良さを生かす方法、これは過剰収容であろうとそれからなかろうと、これについてはやっぱりずっと私どもは検討しながら実践していかなければならないというふうに考えております。
#127
○井上哲士君 次に、この施設管理法としての側面が表れるのが面会、信書、書籍閲覧などの権利制約の要件の部分だと思うんですが、例えば四十七条などは、刑事施設の長が禁止をすることができる要件として、「刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。」、「矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。」と、こういうふうにしておりますけれども、非常に広い範囲だと思うんですね。
 この点では、最高裁が昭和五十八年六月二十二日に判決で判示をしておりますけれども、監獄の規律及び秩序の維持上放置することができない程度の障害を生ずる相当の蓋然性があると認められる場合と、こうしているわけですが、この要件とこの規定は同じだと考えてよろしいんでしょうか。
#128
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 法案におきまして、受刑者の面会及び信書の発受を制約する要件として、刑事施設の規律及び秩序を害するおそれがあることを規定しておりますのは、受刑者が安全で秩序ある共同生活と適切な処遇環境を確保するために刑事施設の規則及び秩序が適正に維持されることが必要であるということによるものでございます。
 御指摘の判例でございますが、これは未決拘禁者の新聞記事等の閲読の自由の制限に関するものでございまして、受刑者の面会及び信書の発受の制限の要件について直ちに妥当するものとも考えられませんが、いずれにいたしましても、この法案における面会及び信書の発受を制約する要件に該当するためには、刑事施設の長において、単に抽象的な懸念を抱いているという程度では足りず、個々のケースの事情に即して、合理的な根拠をもっておそれがあると認められなければならない上、法案では、規律、秩序を維持するためとる措置は、「被収容者の収容を確保し、並びにその処遇のための適切な環境及びその安全かつ平穏な共同生活を維持するため必要な限度を超えてはならない。」とする比例原則を明記しておりまして、制約が必要な限度を超えて行われないよう配慮しているところでございます。過度に受刑者の権利を制約することはないものと考えております。
#129
○井上哲士君 そうすれば、例えばおそれがある場合ではなくて、例えばおそれが明らかな場合とか、より制限的な規定にするべきではないかと思うんですが、この点いかがでしょうか。
#130
○政府参考人(横田尤孝君) ただいま申し上げましたように、この現行の規定でこれはもうはっきりと必要な限度を超えてはならないとなっているわけでございますので、これによって支障が生ずることはないというふうに私どもは考えております。
#131
○井上哲士君 この規定で刑事施設の長による恣意的な運用がなされないようにするという必要があると思うんですが、そのためには、例えば権利制約をした場合に、その理由を記載した書面などを受刑者に交付すると、こういうことも必要かと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
#132
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 受刑者の面会及び信書の発受につきましては、この法案による不服申立てをすることができることとされております。受刑者が不服申立てをする機会を奪うことにならないよう、受刑者に対し面会又は信書の発受を制限した旨を告知することを予定しております。
 しかしながら、そのような制限をした理由につきましては、例えば制限した面会又は信書の発受の相手方等が判明してしまうと矯正処遇の適切な実施に支障を生ずる場合など、これを告知することが適当でない場合もありまして、その可否及び方法につきましては個々の事情に即して適切に対応することになるというふうに考えております。
 なお、受刑者に理由を告知しなくても制限をした旨を告知する以上、受刑者としては不服申立てをすることができ、そのような不服申立てがされた場合には、矯正管区の長又は法務大臣において、刑事施設が保管している制限の理由に関する記録を含めて職権で調査を実施することになるわけでありまして、信書の発受等の制限について濫用されないようチェックすることが可能であると考えております。
#133
○井上哲士君 その点でいいますと、新しくつくられる刑事施設視察委員会の役割は非常に大事だと思うんですが、例えば、こういう権利制約をした場合の理由の書類であるとか、それから不服審査をした中身であるとか、また場合によってはプライバシーに配慮する形でのカルテであるとか、こういうものはこの新しくつくられる視察委員会が見ることはできるんでしょうか。
#134
○政府参考人(横田尤孝君) お答えします。
 刑事施設視察委員会は、刑事施設の全般的な運営に関して、その実情を的確に把握した上で国民の常識を反映した意見を述べていただく仕組みでございまして、個別具体的な被収容者の権利の救済を図るためのものではないことから、基本的には、ある特定の被収容者がどのような不服申立てをしたかとか、どのような医療措置を受けたかなどの情報を委員会に提供することは想定しておりません。
 しかし、例えば、不服申立てを受けた法務大臣において、刑事施設の長のどのような処分について取消しの判断をしたかを把握するための情報や、刑事施設で一般的にどのような医療措置がとられているのかを把握するために必要なカルテの情報につきましては、刑事施設視察委員会が刑事施設の運営について意見を述べるために必要な情報である場合もあり、このような場合には、刑事施設の長は委員会の求めに応じて必要な範囲と方法で情報を提供することとなると考えております。
#135
○井上哲士君 時間ですので終わりますが、この問題、引き続き質問をさせていただきます。
 終わります。
#136
○委員長(渡辺孝男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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