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2005/05/12 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第18号
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2005/05/12 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第18号

#1
第162回国会 法務委員会 第18号
平成十七年五月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   衆議院議員
       修正案提出者   津川 祥吾君
       修正案提出者   山内おさむ君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       長        安藤 隆春君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       法務省保護局長  麻生 光洋君
       法務省人権擁護
       局長       小西 秀宣君
       厚生労働省職業
       安定局次長    高橋  満君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房長安藤隆春君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省保護局長麻生光洋君、法務省人権擁護局長小西秀宣君及び厚生労働省職業安定局次長高橋満君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(渡辺孝男君) 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○松村龍二君 自民党の松村でございます。質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。
 当法務委員会は、この刑事施設関連法案につきまして審議をしておりますが、衆議院に負けない充実した審議をしているんじゃないかなというふうに思います。従来、こういう理事の立場に立っておりますと、衆議院が三時間使えば、参議院はまあ二の時間を使えば一応その委員の数を比例的に考えてもまあやったというようなことが言われるわけですけれども、この法務委員会に限りましてはそういうことはもう一切考えないで、もうおなか一杯審議をしておると、こういう状況でございます。
 それから、特に今週火曜日は参考人から意見を聴取したわけですが、午前と午後二回に分けて六人から意見を伺うと。学者から、日弁連から、また山本譲司さんという刑務所に最近服役してこられたかつての仲間からもお話伺ったというふうなことで、精神病の先生もおり、大変充実した審議をしてきているんじゃないかなというふうに思います。
 その中で、私は、今週火曜日、非常に印象的に聞いた話は、山本譲司さんと浜井という先生のお話では、二、三割の、刑務所の中に収容している二、三割の方は身体又は知的障害のような状況の人だと。それで、社会に出ても十分に対応してもらえないと。そういう中で犯罪も犯して入ってきたんで、刑期が満期になって社会へ出ていくことが怖いと。中が一番安心できるというような話を聞いたのが、したがいまして、今の刑務所が現在の日本の社会福祉の一つの最終的な安堵の福祉の場所であるというふうなお話がございました。
 それから、もう一つ印象的だったのは、刑務所に入っているうちに気が萎えてくると。刑務官にイエスマンにならないと生きていけない社会で長い間時間を過ごしていると、社会に出ても気が萎えて、社会復帰の気力が奪われると、こんな話もございました。
 また、刑務官の中には、被害者の立場に立って、単にその時期を刑務所で過ごしていればいいという扱いではなくて、社会に成り代わって正義を実現しないといかぬということで、刑務官が受刑者を懲らしめるというような大変な正義感を持って当たっているという方もおられると。まあ、そのことが直ちにどう、改善せぬといかぬかという話にはなりませんけれども、大変印象深かったわけでございます。
 そこで、私は、この三十分間の中で、刑務所内の処遇と社会へ出てからの処遇との連携を強化する必要があるんじゃないかと。本法案によって受刑者に対する矯正処遇の充実が図られることとなるわけですが、受刑者の社会復帰を促進し、その改善更生を実現するために、出所後の社会内処遇の充実も重要ではないかと、このことがこの法案の審議に当たっても重要ではないかと、こういうふうに思います。
 そこで、まずお伺いしますけれども、先ほどの私の話に関連しまして、刑務所を出た後、生活保護を受けるためには定住してないといかぬ。定住するためには保証人がアパートを借りるにしても必要で、それらが得られないので生活保護を受けられない。あるいは、高齢者が社会に満期になって出ても、なかなか特養などは待っている人が多いんで入れないというような話もあったわけですが、これは局長で結構ですけれども、満期になって出た方のうち生活保護を受けている方はどれぐらいあるのか、そういう問題が、そこに問題点がないのか、通告してなかったですけれども、教えていただきたいと思います。
#6
○政府参考人(横田尤孝君) お尋ねでございますが、この受刑者が出た後にどういう状況になっているかにつきましては、以前、再犯の問題いろいろ問題になったときに、やはり出た後の予後はどうなっているのかという御質問にもお答えしたことに関連するんですが、なかなか出た後に追跡的に調査をするということはいろんな意味で問題が少なくないということもございまして、一般的な形でその後どうなったかについて特に私ども調査もしておりませんし、したがって把握しておりませんので、お尋ねの出所後に生活保護を受けているのかどうか、どのくらいそれがいるかということにつきましても、私ども正確なデータというものを持ち合わせてございません。
#7
○松村龍二君 今局長にまず伺ったんですが、大臣に、この社会へ出た後の処遇についてどのように基本的にお考えになっているのか、お伺いいたします。
#8
○国務大臣(南野知惠子君) 受刑者の改善処遇又は再生という問題につきましては、円滑な社会内復帰を図るということにとりまして、先生の御指摘のとおり、矯正と保護の連携を緊密にしながら、施設内処遇から社会内処遇への円滑な移行を図ることが必要であるというふうに思っていることは当然でございます。
 このような観点から、保護観察所では、受刑者が矯正施設に入所した時点から、矯正施設との間で受刑者に関する情報を共有しながら、釈放後の生活環境を調整し、実施しているところであります。また、受刑者が仮釈放となってからは、受刑中に把握された問題点またその特性を踏まえた保護観察処遇ということも行っております。
 今後とも、矯正と保護との連絡を密にしながら、受刑者の改善更生と円滑な社会復帰を図ることに努めていきたいというふうに思っております。
#9
○松村龍二君 先般質問しましたときに大臣は、奄美大島、俊寛が島流しになった奄美大島、また東京の真南のあれ、八丈島ですか、にもおられたこともあるし、入れ墨の研究をしておられるというんで、後ろのまじめな秘書の方もびっくりしたような顔をしておられましたけれども、非常に法務大臣にふさわしい御経歴とお考えを持っておられるんだなと前に力強く感じたわけですが、先ほどの生活保護を受ける者とかそういうことについても、大臣、御関心をお持ちいただきたいと思います。
 それでは、順次質問いたしますが、仮出獄が許される者は年間何人ぐらいいるのか、お伺いします。
#10
○政府参考人(麻生光洋君) 仮集計値ではございますが、平成十六年におきまして矯正施設を仮釈放によりまして出所した受刑者の数は一万六千六百九十人となっておりまして、同年中に矯正施設を出所した受刑者の総数に占める仮釈放者の割合は五六・五%となっております。
 なお、仮釈放者の数は、平成七年は一万二千百三十八人でありまして、その後一貫して増加しておりますが、仮釈放者の出所受刑者総数に占める割合は、多少の増減はございますが、おおむね五六%から五八%で推移いたしております。
#11
○松村龍二君 仮出獄後は保護観察を受けるという話でございますが、これは効果を上げているのかどうか、お伺いします。また、満期釈放となった者と再犯率に違いがあるのか。また、その前にどのような場合に仮出獄が許され、その後のアフターケアの枠組みはどのようになっているのか、お伺いします。
#12
○政府参考人(麻生光洋君) まず、仮出獄が許される条件の方からお答えいたします。
 仮釈放の許可につきましては、刑法第二十八条の規定におきまして、一定の刑期を経過した者について改悛の情があるときに行政官庁の処分によって許すことができるとされております。
 これを受けまして、犯罪者予防更生法の規定によりまして、その行政官庁として地方更生保護委員会が、本人の人格、在所中の行状、職業の知識、入所前の生活方法、家族関係その他の事項を調査して審理をし、仮釈放の許否の決定をいたすこととなっております。
 その後のアフターケアでございますけれども、仮釈放が許されました場合は残刑期間を保護観察に付されることになりまして、保護観察官と保護司が共同いたしましてその者の生活状況を的確に把握するように努め、保護観察期間中の遵守事項を遵守するように指導監督するとともに、生活基盤の確立に向けての様々な相談や就職支援などの具体的な援助をその必要性に応じて個別的に行い、社会復帰の支援と再犯の防止に努めております。
 次に、再犯率、それから効果があるかと、こういうお尋ねでございますけれども、再犯率につきましては、平成十三年に矯正施設から出所した受刑者について、出所後三年が経過したまでに矯正施設に再入した者の割合は、仮釈放者が約二三%、満期釈放者が約四四%となっておりまして、仮釈放者の再入所率は満期釈放者に比較して低くなっております。
 また、平成十六年に保護観察を終了した仮釈放者について、仮釈放中に再犯により刑事処分を受けた者の割合を見ますと、約一%となっております。
 その効果の点でございますけれども、個別の事案を見ますと、先ごろのような重大再犯を犯す事例もございますので、私どもといたしましてはなお努力しなければならないものと考えておりますけれども、全体の数字といたしましては先ほど申し上げたような数字になっておりますので、保護観察は相応の効果が上がっているものと考えております。
 今後とも、保護観察の充実強化に努めまして、仮釈放者の更生を援助し、再犯を防止してまいりたいと考えております。
#13
○松村龍二君 ただいま効果が上がっているという話がございましたが、先ほどの話のように、知的、身体的障害の方は満期までお勤めになると。あるいは非常に悪質だから満期までいたという人が社会へ出たときに再犯を犯す率と、優秀だから仮釈放という場合で社会復帰ということもあろうかと思いますので、それは先ほどの数字だけで効果が上がっているとも言えない面もあるのではないかなと指摘させていただきます。
 保護司は五万人いるようですが、どのように仮出獄後の保護観察の担当を決めているのか、お伺いします。
#14
○政府参考人(麻生光洋君) 仮出獄になった者の担当の保護司を決めるに当たりましては、本人が起こしました犯罪の内容、それから本人及び保護司の年齢、性別、経歴、それから本人宅と保護司宅との距離等を考慮いたしまして、適任と思われる保護司を選定いたしております。
#15
○松村龍二君 保護司の問題につきましては、与野党の各委員の方々から昨年から何回も質問も行われているわけですが、保護観察は保護観察官と保護司が共同体制で行うこととされておりますが、両者はどのような役割を担い、その中で、保護司が行う環境調整という難しい言葉ですが、保護司が行う環境調整と保護観察の具体的な内容はどうなっているのか、お伺いします。
#16
○政府参考人(麻生光洋君) 先生御指摘のとおり、我が国の保護観察は、国家公務員であります保護観察官と、民間ボランティアであります地域の事情に精通していらっしゃる保護司がそれぞれの特徴を生かして処遇に当たっておるわけでございます。
 その役割分担でございますが、具体的には、保護観察官は心理学、教育学、社会学などの専門的知識を生かしまして、本人の問題性を把握し、処遇の方針を策定し、それぞれの事案に適任と思われる保護司に担当を依頼いたしております。保護司は、保護観察官の作りました処遇の方針に基づきまして矯正施設入所中から本人の受入れ環境を調整いたしまして、保護観察におきましては毎月本人を保護司の自宅に訪問させて面接をいたしましたり、保護観察を受けている者の家庭訪問を行うとともに、その家族とも面接をするなどのきめ細かい指導を行いましてその立ち直りを助けております。また保護観察官は、保護司からの報告や相談を受け、必要に応じて保護観察官自らが直接本人と面接し、指導するなどいたしておるところでございます。
#17
○松村龍二君 保護観察を保護司と保護観察官が共同して行っているということですが、事件を担当している保護観察官は何人いるのか、お伺いします。
#18
○政府参考人(麻生光洋君) 平成十七年度に保護観察所に置かれております保護観察官の定員は約一千名でございます。これらの保護観察官の共同体制によりまして保護観察を行っているわけでございますけれども、このうち、管理職などを除きまして第一線で実際の保護観察事件の処理に当たっている保護観察官は約六百三十人でございます。
#19
○松村龍二君 この質問をするに当たりまして、私は、我が地元の保護観察、保護司の体制等についてちょっと伺ってみたんですけれども、私の県は全国で最も小規模の保護観察所の一つで、職員は所長以下十一人いると。しかし、事件を担当する保護観察官は事実上三人だと。人口八十万ですけれども、保護観察官は三人であると。それで、せっかくの機会だから増員するように大臣に質問してやろうかと言いましたら、ちょっと何か口ごもっておりましたけれども、あと二人ぐらい欲しいなということを言っておりました。
 それで、次から保護司の質問に入るわけですけれども、保護司につきましては、現在、我が県は四百二十一人おりまして、充足率が九五%。七十六歳まで勤めることができるということで、ここ一、二年前にその定年が決められたようですが、今まで会長をやっていた人は、十三年ぐらい会長をやって、今、自分が辞める後には後任を探して、保護司が探して埋めるような伝統的気風があるので、我が県は一応充足していますというような話でございました。七十六歳で辞めさせられるということについて何か不満げな、まだまだ元気なのにというようなお話でございました。
 それで、保護司はどういう活動をしているかということを伺いましたところ、昨年七月、我が県で集中豪雨があったわけですが、堤防も決壊いたしまして、福井市内に濁流が流れ込んだわけです。その濁流によりまして、福井市の保護司も十七名の方が罹災しましたけれども、床上浸水という程度だったんですが、そんな中でも、保護観察中の者を担当する保護司は、自宅のことを後において速やかにその者の安否の確認に赴き、励ましと生活指導を行い、動揺等のないように努めましたという、大変、昔風の日本人といいますか、責任感旺盛な方が保護司を務めておられるなというふうなことを感じた次第であります。
 また、ついでに申し上げますと、地域の祭りやイベントなどの折に保護観察中の者が他の仲間と集団で騒いで地域の迷惑にならないように、仮出所の人間の保護という保護観察というよりも、少年の刑務所へ入る前の保護観察というのを受け持っている例が多いようですけれども、集団で騒いで地域の迷惑にならないように、当日を面接日に当てて指導して祭りに行かぬようにしたり、保護司が複数で巡回するなどして抑止に配慮していると。
 こういう昼夜を分かたない保護司の不断の努力については広く社会の認識を得たいところでありますが、同時に、ボランティアであり、ささやかな実費弁償しかもらっていない。保護観察事件を一件担当して月三千円、何件もお預かりしている方で月二万円から三万円の実費をいただいておるというような状況でありまして、全く保護司の善意を頼りにしておるという感があるわけであります。
 そこで、御質問をするわけですが、我が国の社会内処遇がこのように保護司に支えられているのはなぜか、お伺いします。
#20
○政府参考人(麻生光洋君) これは多分歴史的なものではないかと思われるわけですけれども、先生も御存じと思いますが、明治二十一年に金原明善という人が、我が国最初の更生保護施設であります静岡県出獄人保護会社というものを設立いたしました。で、静岡県下に約千七百人の保護委員というものを委嘱したことがございます。これが現行の保護司制度の先駆と言われておりまして、以後、各地で出獄者の保護を行う民間団体が相次いで設立されるなどいたしまして、民間篤志家の自発的な慈善事業として発展してまいりました。その後、現在の保護司の前身でございます司法保護委員というものが昭和十四年に法制度化されたわけでございますけれども、戦後、犯罪者予防更生法、保護司法が制定されまして、現行の保護司制度に引き継がれたわけでございます。
 我が国の社会内処遇が保護司さんによって支えられているのは、このような歴史的経緯によるものではないかと考えております。
#21
○松村龍二君 本年二月二十二日に、法務省におきます再犯防止のための緊急的対策という四本柱の対策を立てられたわけです。性犯罪者についての多角的調査研究、保護観察等の充実強化、就労支援、受刑者出所情報の共有と、警察との共有というような四つの緊急的対策を立てられたわけですが、保護観察所ではどのような対策を実行してきておるか、お伺いします。
#22
○政府参考人(麻生光洋君) 今御指摘がございましたように、二月二十二日に再犯防止のための緊急的対策を発表させていただきました。そのうちの更生保護の分野に関するものについて御説明いたします。
 まず、社会内処遇の充実強化の関係でございますけれども、本年度中をめどに、社会内における性犯罪者に対する再犯防止プログラムを策定いたしまして、策定後、性犯罪仮釈放者等に対しまして、その者にふさわしい処遇プログラムを受けることを遵守事項として定め、これを守るよう指導することといたしておりまして、四月二十八日に、矯正局と保護局の合同で性犯罪者処遇プログラム研究会というものを立ち上げました。ここで処遇プログラムの開発を進めておるわけでございます。
 また、この二月二十二日の緊急的対策の発表の前でございますが、保護局では、本年の一月から、性犯罪者の処遇に関しまして、保護観察官の直接的関与の強化を図るとともに、保護観察官や保護司に対しまして性犯罪者処遇に関する研修を実施するなどいたしまして、処遇の充実に努めているところでございます。
 さらに、本年三月には、保護局から、仮釈放中の所在不明者に対する所在調査の充実強化を指示いたしました。保護観察所においては、仮出獄中の者が所在不明にならないように指導を強化するとともに、所在不明となったことが判明した場合には迅速に所在調査を開始し、早期の所在発見に努めるなどいたしております。
 第二に、犯罪者の更生のための社会の支援体制の強化を図るための措置の関係でございますが、これにつきましては、協力雇用主をより一層増やすことなどによりまして就労先の確保に努めておるところでございます。
 第三に、受刑者の出所後の所在等に関する情報の取扱いの関係でございますが、十三歳の子供を対象とした強姦や強制わいせつ等の性犯罪を犯した出所者につきまして、対象者の改善更生に配慮しつつ、本年六月をめどに、当該性犯罪者、犯罪受刑者の出所後の所在等に関する情報を警察に提供することとし、準備を進めているところでございます。
 なお、十三歳未満の子供を対象とした暴力的性犯罪以外の犯罪につきましても、当省が持っております出所情報で犯罪の取締りに必要なものにつきましては、再犯を防止するための取組に積極的に協力するとの観点から、警察に対し提供する方向で協議を進めているところでございます。
 保護局といたしましては、安全で安心して暮らせる社会の実現を願う国民の声にこたえるため、保護観察中の者の再犯防止、改善更生を図るという責務を再認識いたしまして、引き続き再犯防止策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
#23
○松村龍二君 最後に、大臣にお伺いしますが、行き場のない刑務所出所者の自立のためには、更生保護施設において効果的な処遇を実施するだけの体制を整備する必要があるということは先般も指摘されております。また、刑務所からの出所者の増加が見込まれることから、更生保護施設を拡充する必要があるんではないか。全国百一か所あるけれども、民間の施設であると。これだけの時代になりますと、官が、官から民へと言いますが、民から官へということも必要なものは必要だろうというふうに思いますが、更生保護施設を官で準備するというようなことも必要ではないかというふうに思いますが。
 こういう問題を含めまして、保護司や更生保護施設に対する所見と今後の社会内処遇の充実への取組、先ほど申しました増員の問題について努力いただいておりますけれども、保護観察官も保護司と一対八〇というふうなことで、保護司が扱えない難しい問題を保護観察官自身で動き回るにも人数が足りないと。福井県も、二人とは言いませんが、一人だけでも増員を図っていただきたい。また、検事についても福井県は五人しかいなくて、検事正と次席検事、それで、一人故障がありますと、二人で事件処理と公判廷の維持もやっておると、こんな状況でございます。
 犯罪、少年犯罪等が非常に広がっていく中で、今後ともますますその御尽力を賜りたいというふうに思いますが、最後に大臣の御意見をお伺いします。
#24
○国務大臣(南野知惠子君) 先生から福井県の御陳情をいただいたわけでございますが、これは全国、全県下でもニーズがあるのかなというふうに思っております。
 福井県におけます保護観察の方が三人おられる。その三人の方々は本当に充実したお仕事をしていただけているんだろうなと思っております。七十六歳での退職が御不満ということであれば、またその退職後もいろいろと我々のこの行政についてお仕事をしていただきたいな、温かい心で見守っていただきたいなとも思っております。また、保護司の方も、水害にもかかわらず本職を全うしていただけるということは、大変福井県の方々は心が温かいのかなというふうにも思っておりますが、一般論を申しますと、昨今の社会情勢また犯罪情勢を反映いたしまして、保護司の方々に行っていただいている活動は本当に困難の度を増しているというふうに思っております。物心両面にわたりましてますます多大な社会貢献をお願いしているのが実情であろうかなと。保護司の皆様方には本当に、どの県に対してもですが、心から感謝の気持ちで一杯でございます。こうした保護司の方々の御苦労に少しでも報いることができるように、法務省といたしましても様々な努力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。
 さらに、更生保護施設につきましては、昨今、高齢者又は病弱者などの処遇に特別な配慮を要する入所者が増加してきております。その処遇機能の強化が求められているところでございます。他方、現在のすべての更生保護施設は民間の更生保護法人によって運営されており、その脆弱な経営基盤の改善、さらに厳しい勤務条件の施設職員の待遇改善、これも大きな課題となっております。更生保護施設の重要性と、それから日夜御苦労の多いその仕事に思いをいたしまして、更生保護施設の運営基盤の強化と処遇機能の充実に努めてまいりたいと考えております。
 また、保護観察所につきましては、急激な犯罪情勢の悪化によりまして処遇困難な事案が増加してきております。しかしながら、善意の保護司の方又は更生保護施設にこれ以上過度の負担をお願いすることは適当ではないということも考えております。支援体制をこれまで以上に充実させる必要が極めて高く、今後、鋭意そのことについて努力してまいりたいと思っております。
#25
○松岡徹君 民主党の松岡徹でございます。
 前回に引き続きまして、私の方で幾つか御質問させていただきたいと思います。
 前回の法務委員会で参考人質疑がありました。私もそこで幾つかの参考人の意見に大変な思いといいますか、共有するところがたくさんありまして、特に、この法改正は百年ぶりの監獄法の法改正、その趣旨が、正に権利と義務があいまいであったと、そして矯正行政や行刑施設の役割というものが今まで以上に重要な役割を担ってきていると。そういう意味では、先行している部分はありますけれども、それらの権利義務の関係、あるいは被収容者、受刑者の人たちの人権を尊重した処遇改善をしていこうと、こういうことでありまして、これは、取りも直さず、この法改正によって効果として、最大の効果としてねらうべき意義は正に再犯の防止でありますし、再入所、再犯を防止していく、そのことが社会の犯罪増加に対する対応といいますか答えといいますか、責務であるということだと思うんですね。そのことは、その趣旨自身は私も賛成でありますけれども。
 ただ、さきの参考人の中で、特に藤本参考人がおっしゃっていました。何度も再犯、再入所を繰り返す受刑者がいた。しかし、その担当の担当官には心を開いていた。しかし、もう二度とするなという決意で社会へ出て行っても、受け入れるべき社会がなくて、そして、担当官との約束を果たすために、再入所あるいは再犯しないというために取った道は自殺であったということを言われていました。大変なショックを私も受けました。これがいつごろのことなのかというのはちょっと忘れましたけれども、いずれにしても、せっかく行刑施設でそういう心を改めるという受刑者の矯正をやっていたにもかかわらず、一方の受け入れるべき社会が整っていないという問題も大きな問題としてあると思うんですね。
 そういう意味では、今回の問題、特に改正の中にもありますけれども、公開といいますか、というものが新しく出ております。監視委員会が設置されると。すなわち、社会と刑務所、行刑施設との関係というものをより開かれたものにして、今の社会に、これまでのようなイメージというものを改善をして、理解をしてもらうと。そして、受け入れるべき社会が公正にその人たちを受け入れていくというようなものにしていこうということで、そういう監視委員会が設置されるということについても私は大いに評価をしたいというふうに思っています。その趣旨が貫かれるような監視委員会の運営というものになるように、是非とも心を砕いていただきたいというふうに思っています。
 そこで、もう一つの、一方の問題でありますが、そういった事例は特異な事例であるかもしれませんが、しかし、今の、今までの行刑施設の中で、その処遇やあるいは待遇にかかわって、特に権利と義務を明確にしていこうというところがあります。その権利のところ、受刑者の権利のところをどういうふうに明確にしていくのかということが極めて大事な課題であります。そのことは矯正行政にとっても大事な意義を持っていますし、同時に、社会に開かれた行刑施設の在り方を理解してもらうためにも大事な課題であります。
 しかし、これまで、ここのところで、この権利が実は今までの行刑施設の対応といいますか位置付けといいますか、そういった中で恣意的に行われていく、あるいは様々な弊害を生んできたという事実があると思うんですね。そういったものをどう改善するということになっているのかという視点で、残りのところを是非とも聞かせていただきたいと思うんですね。
 私は、その中で特に医療の問題、医療体制であります。医療体制のところで、特に参考人のところからもいろいろ意見がございました。刑務所医療の現状について、特に受刑者、被収容者の中から非常に不満の声が、アンケートやそういったデータの中から出てきているというふうに聞いております。例えば、その原因は何なのかと。なぜこういった不満が受刑者や被収容者の中から、医療の問題で、刑務所医療の問題で不満があるのかということを是非とも明らかにしていきたいと思うんですね。
 それで、この行刑改革会議がありますが、そこで受刑者に対するアンケートをやりました。そこで、診察を受けるまでに時間が非常に掛かったと。あるいは医師の、医師の診断を受けられなかったというものの不満とかというものがあります。そういう意味では、なぜそういった状態があるのかという一つの原因に、医師不足あるいは医療スタッフの不足というふうに指摘されているというふうに思うんですが、こういう受刑者のアンケートについて、この実態は、含めて、どうなっているのか、ちょっと考え方をお聞かせ願いたいと思うんです。
#26
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 今先生御指摘のようなアンケートの結果が出ているということは私どもももちろん承知しております。
 いわゆる名古屋刑務所の事案を契機としましてこの行刑というものが全般的にあらゆる観点から見直しをされたわけですけれども、その中におきまして大きな問題とされましたのが、やはり矯正医療が不十分ではないかと、その充実を図るべきであるということでございました。この点も私どもは大きな課題であるというふうに認識しております。
 おっしゃるように、この医師の不足ということがまた矯正が抱えている課題の中のうち最も大きいものであるというふうなこともまた事実でございます。私どもは、そうした課題があることは十分認識しつつ、これらの解消に向かってこれまで鋭意努めてきたつもりでございますけれども、今後とも、この新法の改正を機に、更にあらゆる面で医療の充実について努めてまいりたいと考えております。
#27
○松岡徹君 以前、ここ近いうちに新聞でも話題になりましたけれども、矯正施設の医師の名義貸しというのがありました。すなわち、医師が実際には行刑施設に存在していないのに名義だけ貸していたという事件がありましたですね。
 やっぱり、なぜそんな事態になってしまうのかということなんですね。刑務所医療の在り方というものをやっぱりしっかりと考え方を打ち出すべきだというふうに思うんですね。特に、被収容者の側からすれば、正に名義貸しというような事件があるように、実際の医師に診察を受けられなかったというような、当然アンケートに出るというのは結果なんですね、これは。原因なんです。
 したがって、なぜそういうことが起きるのか、なぜ名義貸しのような事態になるのかというのは参考人の意見の中にも幾つかありました。そこにヒントといいますか、というのを我々も感じるんです。やっぱり、行刑施設の医療というものを、刑務所を医療施設にする、していくというのはおのずと限界があるのではないかというふうな意見もありますね。すなわち、行刑施設の役割と医療と分けるべきではないかという議論も当然あると思うんですね。そのことが今回の法改正の中にはちょっと映ってないなというふうな気がするんです。
 例えば、受刑者や被収容者に対する医療を保障していくというのは、これ例えば行刑改革会議の提言の中でもありますが、医療、「矯正医療の在り方」のところで「矯正医療の基本的視点」と、「医療水準」のところで指摘しています。「国は、基本的に、一般社会の医療水準と同程度の医療を提供する義務を負い、」というふうに提言の中にはうたわれていますね。そのことが今回の改革案の中にはちょっと映っていないというふうに思うんですが、どういうふうに理解すればいいですかね、それは。
#28
○政府参考人(横田尤孝君) ちょっと私どもはこの行刑改革会議の提言にある部分につきましては、この法案の第三十三条においてその提言に即したといいますか、それの実現に向けた条項を置いたというふうに理解しております。
 この三十三条は、ごらんのとおりでございますけれども、「刑事施設においては、受刑者の心身の状況を把握することに努め、受刑者の健康及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるもの」というふうな規定を置きまして、以下、それの具体的実現に向けて規定を置いているということでございます。
#29
○松岡徹君 ここではね。だから、一般医療の水準と同等のものを備えていかなくてはならないと言っているんです。この間のもそうですけれども、例えば医療の中身というものがそれぞれで違いますね。この間参考人の黒田参考人が言っているように、精神疾患に罹患している収容者についてどうするのかとかいういろいろな様々な問題がありますが、それはちょっと後ほど、後で聞きたいと思いますけれども。
 ここで言っている最初に、一つは、受刑者の不満のところで、医師の診断を受けられなかった、あるいは十分な医療を受けられなかったというものがあります。中には、明らかに仮病だとか、それを使って役務をサボるとか、様々な口実に利用する、悪用するということがあることは事実だと思います。しかし、提言の中にもありますように、少なくとも本人が医療を受けたいという申出をした場合、それを最低やっぱり対応するという仕方にならなくてはならないんではないかというように思うんですね。
 これは先ほど言ったように、今までの権利義務のところでしっかりと明示されていなかったために様々な現場で問題が生じてくるということなんですね。今回の場合でも幾つかのことがありますね。例えば担当の医師に収容者が具合が悪いから診てほしいと言った場合、担当者がいや仮病やろうと言って診せなかったと、医師の診察を受けさせなかったというようなことによって様々なことが起きていますね。そういったことが恣意的に、要するに担当者の職員の段階で恣意的な判断としてされてしまうということがあってはならないんですね。それは職員の義務のところ、職権のところも含めてしっかりとしなかったら駄目なんですね。今回の法案で少なくとも受刑者が医療を受けたいという申出があれば受けさせることができるとかいうような条文にはなっていないんです。結局、この今回の法改正の法案の中にはその辺の恣意的に対応してしまうというような余地を残しているというふうに思うんですね。
 ですから、そういったものを排除していくためにも、少なくとも受刑者の人たちが受けたいと言ったときには少なくとも受けるようにしなくてはならないというような条文改正にすべきではないかというように思うんですけれども、どうですか。
#30
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 委員が今例としておっしゃったような、担当者の恣意によって必要な医療が受けられたり受けられなかったりするということがあってはならないこと、これはもう当然でございます。私どもの考え方といたしましては、この三十九条、法案の三十九条に「刑事施設の長は、受刑者が次の各号のいずれかに該当する場合には、速やかに、刑事施設の職員である医師等による診療を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする。」と、こう規定してございます。この「執るものとする。」というのは、これは義務規定でございまして、執らなければならないということでございますので、先生の御懸念のようなことはないと考えております。
#31
○松岡徹君 そういうふうに読めないんですね。読めないからしっかりと、少なくともそれには対応をすべき義務を負うと。要するに義務、提言の中には義務のことを書いているんですね。「被収容者が医師による診療を望んだ場合には、合理的な時間内にこれを提供する責任を負う」という行刑改革会議の提言があるんですね。正に責任なんですね。ですから、その辺を明確にした法文に訂正していくべきだというふうに思うんですね。
 それで対応できるということには私は決してならないと思うんですけれども、大臣、どない思われます。
#32
○国務大臣(南野知惠子君) 十分に検討しながらその条文に載せていることであろうかというふうに思っておりますので、その三十九条につきましてしっかりと検討して、それが実行できるように、あと運用の面でしっかりしていきたいと思っております。
#33
○松岡徹君 運用でしっかりしたいということですけれども、できる限り法文でしなくてはならないと思うんです。私は、今までのことがすべて悪いとか言っているんではなくて、むしろ責務といいますか、職員の側の責務とかあるいは権利というのをはっきりさせようということの趣旨ですから、そのことをはっきりしなくてはならないと思うんですね。そういう意味で明記をしていく、できればしていただきたいというように思うんです。実際のところ様々な、すべてではないと思いますよ、すべてではないですが、そういった事象が生まれてくるんですね。ですから、そういったことがないようにしなくてはならないというふうに思いますし、担当職員が恣意的に対応してしまうというような余地を残さないようにしなくてはならないというふうに思います。そのことは逆に担当職員の職務を軽減させていくということにもつながっていくんではないかというふうに思っています。
 そこで、精神障害といいますか、精神病に罹患された被収容者への対応なんですけれども、さきの参考人の、黒田参考人の方から資料をいただきました。その中に、受刑者の一一%余りが何らかの精神障害を有しているというふうに言っています。そして、専門的医療処遇を要すると分類されている精神障害者も約五百人、〇・七九%ですけれどもおるというふうに言われています。
 これに対する対応というものが非常に遅れているんではないか、あるいは不備だということが指摘をされています。特に今、そもそもこの司法精神医療の土壌というのがないですから、入院治療を要するような重症の精神障害者、精神病に罹患している被拘禁者の受皿といいますか、そういったものが、保安設備を備えた病院というものがそもそも存在をしないという、そういう指摘がございました。それについてはどう思われます。
#34
○政府参考人(横田尤孝君) 先ほども触れましたが、矯正医療全般についてその充実を一層図らなければならないというふうに思いますが、その中におきまして、精神障害につきましても、今先生御指摘のように、近年大変精神障害を有する受刑者が増加の傾向にございます。
 ちょっと、ちなみに数字だけ申し上げてみますけれども、平成十二年の数でいいますと四千八百三十一人受刑者、精神障害ありとなっておりましたが、それが五年前、平成十二年です。平成十五年には六千七百二十四、それが平成十六年には七千百六十七でございます。比率の中でも今約一一、二%の受刑者、精神障害ありというふうなことを言われております。
 私どもは、この精神障害の充実について必要性はあること十分承知しておりまして、例えば平成十七年度におきましては、非常勤の精神科医師十二名、それから非常勤の作業療法士四名と、十六年度でいいますと精神科医師が六名ということで、そういう増員を認めていただくなど鋭意人の面で努力しておりますし、今後その他の面につきましても、できるだけこの精神医療の充実について努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#35
○松岡徹君 参考人はこう言っているんですね。この人が刑務所に送られてくること自体がおかしいと。刑務所に送られてきてできる治療というのはすなわち根治療法ではないと、すなわち対症療法だと言われているんですね。ですから、根治療法じゃないですから回復の見込みが非常に少ないというふうに言われています。
 特に、精神病に、精神障害に罹患されている障害者の中でも回復可能な症状のことと、非常に重症の精神障害に罹患されていることとあるんですね。重症の障害、精神障害の場合は大変難しいと思いますが、回復見込みのある場合、刑務所に送り込んでそこで対応するということはおのずと限界があると言われています。そういう意味では、そのことを考えると、刑務所、行刑施設を病院化するのかということを考えると、おのずと当然限界がありますから、やっぱりそういう別の保安設備を整えた施設というものが将来必要になってくるんではないかというふうに思うんですね。
 そのことは大臣、どう思われます。やっぱり、僕自身もやっぱり必要になってくるんではないかというふうに思うんですけれどもね。いかがですか。
#36
○国務大臣(南野知惠子君) 先生がおっしゃるように一番大切な部分だろうと思いますが、今いろいろな県に対しまして、いわゆる触法精神の方々のベッドが欲しいという要望は今いたしておりますが、それがなかなか今は難しい。じゃ、何をどう考えたらいいかということを厚労省関係の方々とも検討しながらやっておりますので、是非先生の地域においても御協力いただけるとうれしいと、逆に陳情したいところでございます。
#37
○松岡徹君 それともう一つ、被拘禁者といいますか受刑者の中に例えばHIV感染者の方がいらっしゃいますね。
 かつてHIV感染の問題で、二〇〇三年の十一月に、要するにHIV感染症の受刑者の方に対する、刑務所内で、行刑施設内での対応で非常に差別的な待遇があったというふうなことが聞かれています。例えばどんなことがあったのかというと、HIV感染者の方がおると、要するにその行刑施設の職員が、その方が使う食器は全部そのままほったらかしなんですね、次の食事もまたそれで使えと、こうやるんですね。彼自身のおるところに消毒液を常に置いていたり、ビニールの手袋を置いて彼の肌に付くものについては対応すると。こういった間違ったことをやったり、当然彼自身は独居房にずっと入れられているんですね。そういう意味では、入浴も含めて極めて非常に差別的な待遇がされていた。
 それに対して、その当時、法務省の矯正局保安課長名あるいは矯正局の医療分類課長の名前で通達が出されています。HIVに関する基本的な事項として、HIVに感染しても健康状態が良好である者は通常人と変わらない日常生活を送ることが可能であるということ、だからそういう差別的な待遇をするなということについて出しているんですね。
 そういったことが改善されたのかどうか、徹底されているのかどうか、その後ですね。これは平成十五年の十月ですから、十月のことです、まだ二年たっていませんが、状況はどうですか。
#38
○政府参考人(横田尤孝君) HIVのことについてお尋ねでございます。
 その前にちょっと、前の質問についてちょっと付加させてほしいんですが、精神障害者の医療の問題なんですが、御案内のように、行刑、矯正といいますのはやはり刑の執行機関ということでございますので、その枠組みの中で精神障害を有する受刑者の治療を行い、そして健全な状態で社会復帰させるということになります。したがいまして、軽微、比較的軽い者につきましては、これは人によっては通常の作業をさせながらということももちろんございますし、しかし重度の者につきましては、これは各地、各地というよりも、全国、日本に、国内で四か所ほど医療刑務所という、これは医療専門の言ってみれば病院、刑務所が病院といいますか、そういう形態の刑務所がございまして、そこは委員おっしゃったような保安上の設備等も備えた、しかし実質はもう病院というそういうものがございますので、そこで治療をいたしておりますので、ちょっと付け加えさせていただきます。
 それから、HIVのことについて、お尋ねについてお答え申し上げます。
 委員御指摘のように、平成十五年に京都拘置所におきましてHIVに感染している被収容者に対しまして適切を欠いた処置をしたということがございまして、これは大変残念なこと、遺憾なことであったというふうに思っております。これもまた委員御指摘のように、私どもはこういった事案が発生したことも踏まえまして、平成十五年十月の通知におきまして、各矯正施設にマニュアルを作るように、そして適切に対応するようにということを指示しておりますし、それから、同じくそのころに、これもまた指示いたしまして、職員に対してこのHIV感染症に対する医学的な知識、対処方法などについて研修を行うようにということでこれも指示いたしまして、これも各地で実行しております。
 何といってもこれは、いわゆる京都拘置所の事案というのは、HIVに対する基礎的なというか、基本的な知識を欠いていたと。そして、それからもう一つ、その基本的な知識を欠いていたことに伴う偏見があったということ、これはもう最大の原因でございましたので、これを払拭しなければならないと。例えば、私どもは、そういった措置を当時から早速取りましたし、これについては現在も実行しております。
#39
○松岡徹君 そんなことはないかもしれませんが、やはり全体として見れば、先ほど言いました精神障害者の受刑者に対する対応をどうするかという問題は極めて大事な課題であります。あるいは、HIV感染症に罹患した受刑者の方に対してどういうような対応をするのか。それぞれ医療の対応というのは非常に大事な観点なんですね。正にそれが責任であるというふうになればなおさらのこと、どこまで矯正局、矯正行政として、あるいは行刑施設の中でそれを全うしていくことがどこまでできるのかということが極めて大事になってくるんですね。
 私は、先ほども言いましたけれども、その医療を、刑務所をより高度の医療、要するに、一般的には他の一般社会の医療水準と同等のものを刑務所内でも保障していこうと。当然、精神障害者の、障害に罹患している受刑者に対してもそういう対応をしていかなけりゃならないということは当然の課題だと思うんですね。今すぐできるかどうかは別にして、課題になってきていますね。あるいは、HIVもそうです。HIV感染者の、感染の受刑者の人たちが発病すればどうするのかという問題が出てきます。
 そういう意味では、様々なことを、そういった医療的なものを法務省が全部対応するのかと。すなわち、行刑施設でするのかということにはおのずと限界があると思うんです。すなわち、厚生労働省は当然そこにかかわってくるべきだというように思うんですね。すなわち、厚生労働省の方でこの医療の課題について対応していくというふうに考えていくべきだというふうに思うんですが、いかがですか。
#40
○政府参考人(横田尤孝君) 矯正医療を厚生労働省に移管してはいかがかという、そういう御意見があることは私どもも承知しております。この点につきましては、もうこれ先生既に御案内のことと思いますけれども、行刑改革会議におきましてもこの点はやはりその議論の対象とされました。そこでそれについての提言も出ております。
 その提言でありますように、この矯正医療の厚生労働省への移管につきましては、我が国の国立病院は、医療政策上、特定の医療政策に特化した医療を行うものとされ、その数も少ないため、すべての行刑施設への対応は困難であると思われる上、現在でも地域によっては医師不足が深刻化している状況から、厚生労働省に移管したからといって必ずしも医師の確保が容易になるとは考えられないと。
 また、受刑者の日常生活全般が行刑施設の管理の下に行われておりまして、受刑者の健康管理や医療のこともこの一環として行刑施設の責任の下に提供することが適当だろうという、適当であるというふうに考えております。もちろん、行刑施設の医療の充実を図るためには厚生労働省始め関係機関の御協力を得る必要があると考えておりまして、これまで厚生労働省、文部科学省、医師会などとの関係省庁等連絡会議を開催するなどしておりまして、今後とも行刑施設の医療の充実に努めてまいりたいと考えております。
#41
○松岡徹君 今度、PFI方式で山口で新しい行刑施設の建設が始まります。そこで、民間ができるところは民間にと、今までと同じキャッチフレーズでやられるんですね。民間でできるところと言いながら、同時に公が、官が本来すべき責務を放棄してしまうということになってはならないというふうに思うんですね。
 今回のPFI事業でありますが、そこで、その中で、すなわちその医療のところについては、このPFI事業者と市民病院に全面的にゆだねるのかどうかなんですね。これはどう、どういうような計画ですか。
#42
○政府参考人(横田尤孝君) 委員御指摘のそのPFIのことは、山口県美祢市に現在整備を進めておりますいわゆるPFI刑務所のことを指しておられているというふうに理解しておりますけれども、ここにおきましては、刑務所内の診療所の管理を、美祢市立病院という公的医療機関ございますけれども、そこに委託をして、そしてそこのお医者さんに、そこに刑務所内に診療所を、そこのお医者さんに受刑者に対する診療を行ってもらうという、そういうシステムを考えております。
 もちろん、これは医療法上、それから監獄法の問題ございまして、現在のままではそれはできませんので、そういった国が行刑施設内に開設した診療所の管理を公的な医療機関に委託すること、それから、その公的機関に対する、失礼、ごめんなさい、そういった公的機関に委託する根拠規定というものを設けなきゃなりませんので、それにつきましては現在、今国会に、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案というものにその規定を入れまして、現在御審議いただいているというところでございます。
#43
○松岡徹君 今、山口の美祢市でPFI事業をやって、その医療は地元の市民病院にゆだねていこうというこれ取組始まっているんですよ。
 私は、別にこれは、これは駄目だと言っているんじゃないですよ、駄目だと言っているんじゃないんですよ。ここでそういうような取組が始まっているなら、なぜそういった考え方を今出せないのかということを言っているんです。
 要するに、刑務所の中で、刑務所医療を刑務所内ですべて完結しようということについてはおのずと限界があるということは分かっているんですから、しかし、それに対応していくべき需要といいますかニーズがあるわけですから。やっぱり今回のPFIでそういったことを先駆的にやろうというふうな取組されているなら、全体の機能として、今回法改正ですから、機能としてその医療については厚生労働省と連携を取って、むしろ厚生労働省にむしろ多くを、医療の中身は多くはそこにゆだねると、そして保安設備とかそういったものを矯正行政がしっかりと担っていくというようなことができないのかどうかなんです。
 これは、やっぱり実際にこれやろうとしているんですから、そうでしょう。一方でできないと言いながら一方でやっているでしょう、これ。これは矛盾です、分かりにくいです。どういうふうに理解したらいいのか。
 我々は、その医療のそういう状況を考えると分けていくべきだというふうに、厚生労働行政として担っていくべきだというふうに思うんですけれども、大臣はどう思われます。今すぐどうのこうのじゃないですよ。しかし、そのことがしっかりうたわれていくという、体系として、法改正ですから体系としてうたわれていくべきだというふうに思うんですけれども、大臣の見解をちょっと。
#44
○国務大臣(南野知惠子君) 法律の中にそれを盛り込むという以前に、今、美祢の方で試してみようという形で、いい形で展開されれば、それをまた法的な形の中で守っていくようにすればもっと効率が良くなるのではないかなと思っておりますので、美祢でせっかくそういう第一号が誕生しますので、それを見守りながら、更にいい形で展開していくように我々も後押ししていきたいというふうに思っております。
#45
○松岡徹君 ちょっとやっぱり立て方が違うんですね。苦しいのはよく分かりますが、こういう改正時期だからこそ、しかも百年ぶりの、百年に近いぶりの法改正でやろうと、しかも権利義務をはっきりさせていこうというふうに言っているときに、そこに目を背けているんではないかというような気がします。
 実験をして、要するに、私、実験ではないと思うんですよ。やる以上は山口のこのPFIも成功させなくてはならないんですよ。ですから、それがしっかりと、基本的な姿勢が明らかにならない段階で、実験の結果駄目でしたというわけにはいきませんから、そのことをしっかりと、大臣も今おっしゃっていただきました。非常に苦しいと思いますが、趣旨はよく理解していただいていると思うんですね。そのことを是非とも反映していただきたいというふうに今思っています。
 時間の関係がありますので次に行きたいと思いますが、もう一つは、今回の法改正のところで不服審査、不服申立て制度というのがございます。今までの議論もあったと思うんですが、幾つか私の方からも質問をしたいというふうに思っています。
 今回は二審制というふうに規定しようとしています。具体的に、受刑者が不満あるいは人権侵害があった場合にどういうふうな手続になるのか、手順でその不服申立てをだれにどうしようとしているのかということでありまして、どのような、その場合どのような救済措置がとられるのか、その辺だけちょっと一遍聞かせていただきます。
#46
○政府参考人(横田尤孝君) この不服申立てにつきましては、法案の第十二章、第十二章におきまして定めておりまして、その百十二条以下で審査の申請について制度を設けております。
 ここに書いてございますように審査の、新設した二つ、一つは審査の申請、それからもう一つは再審査の申請でございまして、審査の申請は、受刑者がその刑事施設の長の措置に不満があるときには矯正管区の長に審査の申請をすると。矯正管区の長は、これに対しまして審査をいたしまして、そして調査をいたしまして、裁決をいたします。それに対して不服がある者につきましては、今度は再審査の申請を法務大臣にすると。法務大臣は、これについて調査をして、裁決をするという仕組みになっております。
#47
○松岡徹君 仕組みは分かりますけれども、要するに三十日以内にという期日がありますね。それが、管区の長に対して不服の申立てをすると。その後また日にちがあるんですね。法務大臣にまで行ける二審制なんです。ところが、その刑務所内で自らの処遇に対する不服を申し立てるときに、実際のところはもう懲罰に掛かったりとかいろいろあるんです。
 この鴨下参考人の方も指摘しておりました。すなわち、こんな短い期間で、あるいは対応で実際の救済の効果になるのかどうかというふうに言われていますね。それについては十分効果が上がると思っていますか。
#48
○政府参考人(横田尤孝君) ちょっと私、聞き違いだったら失礼なんですが、鴨下参考人は、裁決までの期間が長過ぎるからこれでは救済として十分ではないんじゃないのかという御趣旨のような御意見だったというふうに理解してよろしゅうございましょうか。──はい。
 この点につきましてですが、法案では、審査の申請及び事実の申告について、行刑改革会議の提言でも指摘されましたように、適正かつ迅速な処理を確保するという観点から、矯正管区の長及び法務大臣に対する二審制といたしまして、そしてまた裁決の努力期間を定めることにしたものでございます。裁決期間につきましては、受刑者から申し立てられた不服の内容について適切な調査を行い、これに対する判断を行うのに要する現実的な期間を考慮して規定したものでございまして、この期間内に処理すればいいというものではなく、事案の性質にも応じて、可能な限り迅速に処理することに努めたいと考えております。
 ちなみに、同じようなこういう行政機関の処分に対する不服申立ての制度として行政不服審査法がございますが、御案内と思いますけれども、これとの比較でちょっと申し上げたいんですが、行政不服審査法では、申請期間が、審査請求が六十日以内、再審査請求が三十日以内ですけれども、この法案では審査の申請は三十日以内になっております。それから、裁決期間でございますが、行政不服審査法はこの裁決期間の定めがございません。この法律、法案では、できる限り九十日以内、これは審査、再審査ともにですね、という規定を置いてございまして、私どもは、これはもちろん努力規定でございますので、事案に応じて、先ほど繰り返しになりますけれども、迅速な処理、迅速適正な処理を図るように努めてまいりたいと考えております。
#49
○松岡徹君 その辺のところと、もう一つは救済の、私自身もそうですけれども、その提言の中にもありましたように、行刑改革会議の提言の中にもありましたように、その処遇改善あるいは処遇に対する不服の申立て、救済という機能が今回二審制という形で整えられるということなんですね。
 問題は、その処遇、だれに救済してもらうのかということがあるんですね。本来、処遇に不満を持つその処遇をしているのはだれかといえば、矯正局なんですよ、でしょう、刑務所の職員とか、待遇ですからね。それで、助けてくれというて申立てをするのはそれをしている責任者なんですね。それに対してまた不満があったら、またそのあれなんです。これがいいのかどうかという問題がありますね。すなわち、そこに内部の問題として正しく伝わってこない、あるいは、まあまあ伝わるような手続とかいうものを整えておられますけれども、しっかりと処遇が、対応がし切れないんではないかということがこれは言われます。すなわち、客観性というものが大事なんですね。
 この提言の中にもありますけれども、第三者機関の必要性というのがありますね。提言でも、独立した人権救済機関ができるまで暫定的かつ事実上の措置として、救済制度の中で行政施設不服審査会というものが言われています。これが正に第三者、すなわち救済を求めていく受刑者の人たちの相手になると。本来、これだと思うんですね。
 日常処遇している者が、その処遇の内容を不満と思っている人はその処遇をしている相手のところにまた不服審査するというのは、ちょっと形としてはおかしいんですね。やっぱり第三者機関が客観的に対応していくということの体制を整えるのが一番だというふうに思っていますけれども、この行政施設不服審査会についてはどう考えておられるのか、ちょっと聞かせてください。
#50
○政府参考人(横田尤孝君) 委員が今御指摘くださいましたように、行刑改革会議の提言におきまして、この行刑施設不服審査会というものが出されております。私どもは、この提言に従いまして、現在、この行政不服審査会、もう仮称でございますけれども、それの設置について鋭意手続、準備を進めているというところでございます。
#51
○松岡徹君 準備を進める。
#52
○政府参考人(横田尤孝君) はい。
#53
○松岡徹君 その準備なんですけれども、これはすなわち暫定なんですか。その準備を進めるというのは、行刑改革会議の提言では、要するに独立した人権救済機関が設置されるまで暫定的かつ事実上の措置というふうに言われています、そういうふうに受け止めればいいんですか。
#54
○政府参考人(横田尤孝君) おっしゃるとおり、独立性を有する人権救済機関が設置されるまでの間の暫定的、事実上の措置ということでございますので、私どももそういう趣旨で準備を進めているところでございます。
#55
○松岡徹君 それは今回の法改正の法文の中には書かれていませんね。それはいつごろ、どこでされていくんですか、検討を、今検討されているということですから。
#56
○政府参考人(横田尤孝君) 法案に規定しておりませんのは、これは繰り返しになりますけれども、あくまでも、その暫定的かつ事実上の機関という提言もそうでございますし、私どももそういう機関というふうに考えておりますので、そのようになったわけでございます。
 これは今準備中ということでございますけれども、できるだけ早期にこれは立ち上げたいというふうに考えております。
#57
○松岡徹君 できるだけ早期にという日はないんですね。何月何日とかいうて、いう日はあるんですけれども、大体、できるだけという日はない、時間はないんで、いつごろ考えられているんですか。
#58
○政府参考人(横田尤孝君) ちょっと私の先ほどの答弁、ちょっと訂正をさせていただきます。
 御案内のように、人権救済機関ができるかできないかは、その見通しの問題もありますので、若干その辺りをにらみながらということありますので、そういったものをにらみながらできるだけ早期にというか、状況を見ながら、これは必ずつくらなきゃならないというふうに思っていますので、準備をしているということでございます。
#59
○松岡徹君 周りの方が聞け聞け言うてますから聞きますけれども、人権救済機関がどうなるかということについてはむしろ私らの方が気になっておりまして、教えてほしい、いつごろできるのかと、思うんですよ。それ、矯正局長に聞いたって答えられぬと思いますけれども、大臣、いつごろできるんですかね。
#60
○国務大臣(南野知惠子君) 法務省といたしましては、できるだけ早急にということを考えているわけでございます。
 いつまでというのは、それに、今与党で検討されております人権問題に関する懇話会、これがどのように方針決定をするのか、それを踏まえまして我々といたしましては早期に提出すべく努力していくということでございますので、どのようになっているかというのは、もう私、時間を追いながらウオッチングしているところでございますので、その旨を御了解いただきたいと思っております。
#61
○松岡徹君 南野大臣の思いというのは分かります。答えにくいところもあるかもしれませんが、ただ、この救済法の今与党の中で議論されているやつは、実は滝副大臣もそうですけれども、前回、二〇〇二年に国会へ出されて、で、一昨年の衆議院解散と同時に自然廃案になったんです。それは当然、そのときに参議院の法務委員会が先議で、こちら、参議院の法務委員会に付託されたんですね。そこで二回の委員会が開かれて質疑と参考人の議論もされておりました。まあそれでずっと、そういう経過がありましてね。
 私は満更、法務委員会として、まあ大臣として、この問題については出てくるのを待っているという答弁ではなくて、先ほど言ったように、行刑改革会議の提言から見れば当然、その本格的な救済機関が設置されるというまでの暫定期間をこの行刑施設不服審査会というような対応でしていこうというふうになっているんですから、いつできるんだと言うて、むしろ大臣の方から、我々のこれにとっても大事だから、大事なことだから、いつできるんだと、さっさと早くやってくれと言うて与党に働き掛けるべきではないですか。どうです。
#62
○国務大臣(南野知惠子君) その会議は滝副大臣も御出席しておられますし、私も周りの方からは問い掛けております。でも、それが正式なテーブルの上にのるのらないということは、これは別でございますので、鋭意努力しているところでございます。
#63
○松岡徹君 最近の新聞記事見ましたら、与党の方で作った案に対して、また反対の人たちの意見のまとめる案を今月中に作っていうことで、まあ今月は難しいというような新聞記事が載っておりました。この法律が、元々出されたやつは、また今回も提案されようとしている法案も、大きな修正はないんですね、廃案になったときの修正でね。あるとすれば、メディア規制の部分を若干凍結しようとかいうふうなことはあるかもしれませんが、そのときは一切こういった反対の議論はなかったんですね。
 人権の定義があいまいだと、私たちもそない思います。原案は人権の定義が本当にあいまいだと思います。何が人権で、そして人権侵害とは何なのかという定義をしなくてはならないと思います。我々自身は、人権の定義、そこで言われるべき人権の定義は、憲法に書かれている人権と、そして日本政府が批准した国際人権条約に書かれている、位置付けられている人権が人権の定義だと私たちは思います。そういうふうに明確にしていけば済む話なんですね。
 一方で、国籍条項の問題も出ております。人権擁護委員の選任に国籍条項を付けるべきだという意見が出ていますが、決してそうではないと思うんですね。この人権救済のための機関を設置するというのは、国籍によってどうのこうのではないんですね。恣意的に、人権擁護委員機関が恣意的になるんではないかというふうなことありますが、実際の今の人権擁護委員でも、北朝鮮籍の人たちが人権擁護委員になった人もおりますし、帰化した人たちとかいう人もおります。そういう意味では、そういう人権に国境はないんで国籍は付けるべきではないというふうに私たちは思いますし、ましてやそういったことを、委員が、そういった崇高な理念を持った法案が、法律が、救済機関が恣意的に使われるということはあり得ないだろうというふうに、また、あってはならないというふうに思います。ただ、そういうふうに思うんで、ただ、そのことはまだ与党の中では煮詰まってないということですから、是非ともしっかりと煮詰めてほしいと思うんですが。
 今質問しましたように、刑事施設不服審査会の設置が、本来の人権救済機関ができるまでの暫定としてやっていこうというときに、いつできるかどうか、こういう状態ですからいつできるかどうか分かりませんが、しかし一日も早くつくってほしいと。今回のこの法改正にとっても大事なことですから、是非とも、大臣も、先ほど言ったように、働き掛けをしたいということをおっしゃっていただきましたから、是非とも働き掛けをお願いをしたい。
 そして同時に、いつできるかというのを、私はそれをにらむ必要はないと思うんです、とにかく今できていないんですから。一日も早く刑事施設不服審査会というものをスタートさせるべきだというふうに思うんですけれども、それはいかがですか。
#64
○政府参考人(横田尤孝君) ただいまの委員の御意見も十分考慮しながら適切に対処してまいります。
#65
○松岡徹君 この刑事施設不服審査会というものができなければ、もう私は例えば、もっと時間、もう時間がありませんのでこの辺で終わりたいと思いますけれども、この人権救済機関ができれば、人権救済手続がここで対応していこうといったときにどういう流れになるのか、どういう手続になるのかというのも、本当は併せてその構想を聞きたいんです。ですけれども、まだそれは、救済機関ができていませんからそれは今言えることではないかもしれませんが、しかし、それまでの間の刑事施設の不服審査会については、やっぱり一日も早く体制を整えていくべきだというふうに思うんですね。
 私は、前にもありましたけれども、南野大臣は、今までのこの間の不服、まあ大臣情願、大臣に対する情願は年々増えていっていると言われています。二〇〇三年とか二〇〇四年等々でどんどん増えていっている。大臣は目を通しているとおっしゃっていましたけれども、やっぱり限界があると思うんです。大臣は一人ですから、すべての、六千を超えるような情願の内容を一々点検するわけにはいかないでしょう。しかも、その情願の相手を処遇をしている側の責任者のところに行くというのはやっぱりおかしい。やっぱり第三者に行ってやるべきだというふうに思いますから、この審査会を一日も早く設置をすべきだというふうに思いますけれども、大臣のその決意といいますか、考え方を示していただいて、質問を終わりたいと思います。
#66
○国務大臣(南野知惠子君) 先生のそのお考え、それについては同感という感じを持っておりますので、受刑の方々の不服というものがなおざりにならないように我々はしっかり受け止めていきたい。そういう意味で、なるべく早くというところで本日はお許しいただきたいと思っております。
#67
○松岡徹君 終わります。
#68
○江田五月君 刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案質疑も、衆参通じ、最終場面になってきているかと思います。もちろん、まだ今日で終わりというんじゃないんだけど、衆参を全部通じて最終場面になってきて、これまでいろんな形の質疑もありましたのでなるべく重複しないようにと思っておりますが、いろんな仕事が次から次で準備の方が十分できているかどうか分かりません。幾つかの点を質問させていただきます。
 この法律案については、これは私どもも非常にこれは重要な、そしてある意味で画期的な、時代を画する、そういう法律案だというように把握をしておりまして、参議院段階では、私たち民主党のネクストキャビネットというのをつくっておりますが、南野大臣のカウンターパート、ネクスト法務大臣が簗瀬進さんでございまして、本会議での質疑に立っていただきました。
 その中で簗瀬さんは、このたびの法案は明治四十一年施行の監獄法の大改正であり、実に数えて九十七年ぶりの歴史的な大改革だと、しかし率直に言わせていただくと、骨太の理念や哲学がどうも伝わってまいりません、さらには、この国の二十一世紀の刑事司法の姿をどのように構想すべきかといったグランドデザインが見えてこないのですと、こういう厳しい視点を維持をしながら質疑をいたしました。ただ、厳しい視点といってもこんな言い方もしていまして、小泉改革の一般的な特徴をずばり申し上げれば、有名無実、すなわち改革という虚名のみが躍り無内容ということだと思いますが、ちょっと飛んで、私は今回の刑事司法改革をごまかしの改革にしては絶対ほしくないのであります、こう言って期待を掛けながら、しかし野党としての批判的な見地を維持しながら質問しているんです。そういう気持ちを是非御理解をいただきたいと思っております。
 実は昨日、長く行刑の関係に携わって非常に鋭い視点から問題提起をされている弁護士さんとお会いをしまして、そうするとこういうことを言われるんですね。今回のこの行刑改革というのは確かにこれは本物の感じがすると。保護局、矯正局、この役所の皆さんの気持ちもどうもかなり変わってきているような気がする。思えば、長く行刑の改革は必要だと、監獄法改正しなきゃいけないというのはこれはみんなのテーマではあった。しかし、いろんな事情で、私どももすぐ素直にそれはそうです、いいですねと言うわけにいかないいろんな事情もありましたが、今回ここへ来て名古屋刑務所の事件ということがありました。あの事件についてもいろんな見方ありますが、ああいう事件があって、そしてこれまでの刑務所の中のやり方、これは医療の問題にも焦点が当たった、あるいは戒護や規律の問題にも焦点が当たった、国民的にも大変大きな関心も呼んだ、そしていよいよ財政当局もこれは何とかしなきゃいけないという理解も得るようになってきた。こうやっていろんな状況がぐっとここへ煮詰まってきて、そして今回の法案ということになった。そのことを、仏作って魂入れないんじゃなくて、本当に魂を入れなきゃいけない。今、魂を入れるためのいろんな基盤というのも整ってきているので、それを是非生かしていかなきゃならぬ。
 こういうときに、南野法務大臣がこういう行刑行政というものの最高責任者として立っておられるというのは、私はこれはもう本当にある意味では南野さんうらやましくてしようがないという感じがするんですが、大変光栄に思っていただきたい。思っていただきたいけれども、それはそれだけの責任を果たさなきゃいけないという重要なことであって、決して、いや毎日うれしいという話じゃないんで、むしろ逆に、その責任感に身も心も震わせていただかなきゃならぬという思いでおるわけであります。
 そういうことを考えながら質問を今日いたしますが、時間の関係もありまして、冒頭、今日は修正案提出者、衆議院の方から来ていただいておりますので、そちらにまず質問をいたします。
 今、ずっといろんな動きが凝集してここへ来たと。その動きを取りまとめながら法案という形で出してくるのは、これは政府であります。それを議院内閣制という下でバックアップしているのは与党であります。しかし、政府と与党だけで今回の法案作ろうとしているんじゃないんですね。参議院の方に来たのは、正にこれは野党といっても全野党というわけにはいかなかったんだと思いますが、民主党も一緒になって修正案を提出して、与党、自公と民主党の共同提案で修正をして、これを議決をして参議院の方に持ってこられておると。その意味では、ますます国会の中でもある種の大きな結集というのが行刑改革ということについてできてきているということだと思います。
 そこで、修正案提出者に伺います。
 こういうプロセスの中で恐らく修正協議というのも大変だっただろうと思うんですね。その修正協議の経過、いかに大変であったか、どんなことを議論したのか、こんなことを、これ全部述べていたらもうそれだけで時間終わりますが、簡単に御紹介いただき、思いのたけをひとつ述べていただきたいと思います。
#69
○衆議院議員(山内おさむ君) 修正案の提出者を代表して答弁をさせていただきます。
 先ほども江田議員がおっしゃいましたように、九十七年ぶりの改正ということでこの法案の審議ということになっているんですが、私たちは、約百年ぶりに作り上げるんだから全く新しい法律を作りたいなという思いが最初にございました。
 そのときに、まず、じゃ私たちでどういうことを勉強していこうかと思いましたが、そのときに、性犯罪者の事件というのが結構世間の耳目を集めたものですから、まず性犯罪者についての矯正プログラムを作り上げている刑務所はどこなんだろうかといいましたら、約八十近くある刑務施設の中でたった十三しかないということで、まずそのことに驚いたんですけれども、とにかく民主党の議員で手分けをして十三か所の施設には必ず行こうということで三、四名ずつのチームで十三か所を見させていただきました。指導に当たっておられます刑務官と一緒になって、あるべき矯正プログラムというものも議論をさせていただいたつもりでございます。
 そういうようなことをしながら修正協議に臨んだんですが、修正協議に応じたくないという方々がおられまして困りました。その方々はまず何を言われるかというと、治安を重視する、治安を重視するということは治安を乱した人に対しては厳罰をもって臨む、厳罰をもって臨むためには刑務所でホテル暮らしのようないい暮らしをさせるべきではない、そういう方がおられまして、まずその方々を説得するのが大変でしたね。
 それからもう一つは、行刑改革会議の提言。これはほとんど網羅されているのが政府の政府案なので、これ以上にどこを修正あるいは追加したらいいのかと。そういう十分な法案として出ているので修正の必要がないと言う人たちに修正の必要を迫る、これも大変苦労がございましたが、参議院でも参考人をたくさん呼ばれたと聞いておりますけれども、衆議院におきましても法務委員会でジャーナリストの江川紹子さんなど、この方は特にオウムで犯罪被害者の立場に立って積極的に発言をされた方でして、犯罪被害者について保護していこうと、権利を擁護していこうというと、やっぱりどうしても事件を起こした人たちに対しては厳しい見方になると、そういうような人だと思って私たちも法務委員会にお呼びしたんですが、あの方が最初におっしゃったことで非常に印象があるのは、いつかは受刑者は社会に戻ってくるんですという発言だったんですね。
 これ、やっぱりはっとしまして、やっぱりそういう人たちがまた施設から社会に帰ってきて一般人と同じ生活をするわけですから、その人たちが施設に入って悪くなったり改善されないで出てくる人を私たちは待つのか、施設に入って多少なりとも良くなる、あるいは改善更生した姿になって社会に戻ってこられる、そういう人たちを私たちは待つのか、どちらを待つのかという問題意識を持って修正案の議論をさせていただいたつもりでございます。
#70
○江田五月君 政府はもちろん最善と思う、政府がですね、政府が最善と思う法案をこれは出してこられるわけです。しかし、立法府は国会ですから、国会は更にそれを、与野党、もちろん時には対決もしながら、しかしよりいいものに更にしていこうと努力をするのは当たり前の話で、この立法府というところで与党、野党が合意をして、更にいいものということで修正して法律として仕上げると。こういう歴史的な大改革の法案がそういう形で今、最終段階に来ておるというのは、私は立法府が正に機能しているという意味で非常に重要なことではないかと思っております。大変、本当に衆議院での修正案提出者の皆さんの御努力には敬意を表します。
 そこで、四項目あるんですが、その一つ一つについて聞く時間的なゆとりもありませんし、また大体もう読めば文言上明らかでございますが、一つ、「検討」のところがありますよね。五年以内に施行状況に検討を加え、必要があると認めるときは結果に基づいて所要の措置を講ずると。
 これは、もう書いてあることでいえばもうそのとおりで、それに何も足さない、何も引かないということではありますが、しかし、恐らく修正の話合いの中で、こんなことがあるよ、あんなことがあるよと、それを一体どうするか、修正をしてはどうですかというようなことが幾つか具体的にそのポイントとして挙がって、その議論の結果、文言としてはこういうことだけれども、こういうことについて五年後しっかりと見直してみようというようなポイントがあるのではないかと思うんですね。
 これは立法過程の中に隠れてしまうものでありますから、あえてここでこの文言に表れていなくても、五年後、見直しのときに十分点検してみる、そういうことが含まれているんだというポイントがあれば、具体的にどういう点を重視して見直すべきだと考えておられるか。例えば、単独室の問題、運動時間の問題、電話や外出の問題などを挙げてお答えをいただければ、これは五年後の見直しのときに大変参考になると、この会議録にしっかり残しておきたいという趣旨でお尋ねをいたします。お答えください。
#71
○衆議院議員(山内おさむ君) 法文の中には書き込めなかったんですが、附帯決議を作成、衆議院の段階で附帯決議を作成するときに随分政府と議論した論点がございます。
 一つには、単独室を原則とすると。つまり、昼は集団で作業をしたり、みんなでもう立ち直っていこうなと議論をすると。しかし、夜は独り、部屋で自分の犯してきたこと、あるいは家族のこと、仕事のこと、そういうものを反省、内省をしながら独りで考えていこうと。そういう点について法文で書き込みたかったんですけれども、できなかった。
 それから、運動時間を一日一時間は最低保障してくださいと、そういうことも私たちの方で政府にお願いをしたんですけれども、法文には書き込めないということで残念ながら附帯決議に落とした点がございます。
 その論点については、いずれも今の刑務所が過剰であるということと、それからそういう施設を全国に造っていくにはとても財政的に持てないというようなことが理由だったんですが、やはりそういう論点が、反論があったとしてもつくり上げるべきだということで、私たちはまずこの点について強く主張したいと思っております。
#72
○江田五月君 規律の緩和でいろんな優遇措置、そして今回、処遇がずっと、例えば私物の制限もだんだん緩和していくとか、自分の金でいろんなものを買ってもいいようにしていくとか、更に進んで、状況によって電話を掛けること、あるいは場合によっては外出、外泊、そういうことまで認めるようになっているわけですが、そういうことも恐らく実際にはちょっとずつしか進まない。いや、ナメクジよりもっと遅いぐらい。
 しかし、それはやっぱり五年後にちゃんと見直して、もっとどんどん進めることができたんではないかといったことも見直しの中に入ってくるのではないかと思いますが、いかがですか。
#73
○衆議院議員(津川祥吾君) まず、見直し規定を入れたこと自体ですが、まず、そもそも、先ほど先生からも御指摘がございましたが、これまで何度も見直し、法律の改正、修正は試みられてきたにもかかわらず、ここまで大変遅れてしまったという思いがございます。ここを非常に、これ今後の改善を促していかなければならないという部分がございますので、今先生御指摘のとおり、五年後の見直しというものは正にその見直しを促すという部分がございます。
 さらに若干御答弁させていただきますが、そもそも、今回も委員会を設置をして、そこから意見を述べていただくという部分がございます。その意見について公表していただくというものが原案にございましたが、さらに、それに対して施設の長が講じた内容も公表するというふうに修正をさせていただいたわけでございますが、これなども、正にどういった対応を取ったのかということも公表し、国民の皆様方にも監視をしていただき、そしてその効果についても当然のことながら国民全体の議論を促していく中でこの改善を促していきたい、早い段階での改善を促していきたいと。
 こういった思いを持って修正をさせていただいたということを加えさせていただきたいと思います。
#74
○江田五月君 修正案提出者の皆さん、ありがとうございました。どうぞ衆議院の方でお仕事をしっかりやってください。
 さて、それでは今度は政府の方に伺いますが、今も修正案提出者からありました、刑を受けた者、この受刑というのがホテル住まいみたいなことではいかぬと、しかし、いずれは社会に戻ってくる。そのときにほんのちょっとでも、いや大いにできればもちろんいいんですが、ほんのちょっとでもより自分自身でしっかりと社会に適応しながら生きていく、そういう力を増した形で戻ってきてほしいという、そういう思いというのはこれはやはり当然あると思うんですよね。悪いことをしたんだから思い切り苦しめ、懲らしめてやろうというだけではやっぱり駄目で、私は、そういう意味で考えると、法務省の方から出してきた、いただいたペーパーで感激をした言葉を書いてあるものに出会いました。
 これは、今回の法案ではなくて、構造改革特区の改正で、美祢刑務所をPFI事業で造ろうというそのペーパーの中に、何を目的としているか、良質な人材の再生、再犯率ゼロを目指してと、こう書いてあるんですね。正にそのとおりなんですが、しかし、現実にはそれは、刑務所で良質な人材の再生なんてまあよく言うわと、再犯率ゼロなんて、そんなことを目指していってとてもできるわけないという、そういう、現実を見るとそういう非常にこの打ちひしがれた気持ちになるような現実があると。しかし、そうじゃないんだと。そういう悲惨な現実があっても、その中で仕事をする者が悲惨な現実だからというんでそれにもう押しつぶされておったんじゃ、それはいい行政なんてできるわけない。やっぱりそういう状況であるからこそ、そこに何か理想の光が当たる、こういうものを目指そうというものがないと奮い立たないですよね、そこでやっているその刑務官の皆さんも受刑者の皆さんも。
 そこで、良質な人材の再生、再犯率ゼロを目指してというのは正にこれを掲げるんだと。それはいつそれができるか、まあ数値目標を言えなどと言われるとなかなか難しい。だけれども、やっぱりそういう目標を掲げるんだという、これは非常に大切だなと思いながら、まさかこの構造改革特区の法案の担当者だけが勝手に書いたものではなかろうと。これは今法務省全体、あるいは矯正保護行政全体に携わっている皆さんの思いをここへ書かれているんだと思うんですが、いかがですか、大臣。
#75
○国務大臣(南野知惠子君) ここに掲げております良質な人材の再生、この問題点につきましては、刑務所に入られる方は良質だと思っていない方が多いですよね。でも、我々が目的としている刑務所というのは、そこで矯正処遇をしたり、その人が次の、いわゆる社会に帰っていくときには良質な人として帰っていっていただきたいという心が私は矯正処遇の中にあると思います。
 そのことを例えて申すならば、赤ちゃんが生まれる。胎児の立場になれば、母親はすべての環境なんです。その母親のすべての環境をどのように整えるかということは行刑の場をどう整えるかと。その中ではぐくまれる、それは何か月、何年か人々によって違うと思いますけれども、その人たちがその場所で、いわゆる母の胎内の中でしっかりと育成されて生まれてくるとき、それは新しい心でリボーンしていただきたいと、それが私の心であります。
 これがいつかなうかどうか分かりません。でも目的を持つことは、これは必要なことであり、みんなでその方向に向かっていけば、ここには与党も野党もないと思います。人間としてどうするかというのが一番大切なことであろうかと思っておりますので、行刑に携わる者、母の環境をつくる気持ちですばらしい子供の誕生を目指して我々はやっていくということでございますので、この気持ちはそれになっていると私は思っております。
#76
○江田五月君 この言葉も、しかしよくよく読めばいろんな批判もあるかとも思うんですよ。人間というのを良質と悪質と分けるのでいいのかとか、そういう批判も出てくるんですが、それはちょっとのみ込んでおいて、ここへ理想を掲げているということを重視をしていきたい。正に南野法務大臣、刑務所というのは母胎、つきへんに台の胎、そういう思い、それも一つの見識だろうと思いますが、現実はしかし苦しいですよ。それはもう刑務官の今の状況など、私どもも参考人にも来ていただいて、山本譲司さんが刑務所の中の実態について赤裸々な話もされました。現実は苦しい。しかし、その苦しい現実の中に何か一筋の光がなきゃいけないということだろうと思うんですね。
 そこで、先ほどもちょっと申し上げましたが、今こうして抜本改革というものになってきた。これは、私は行刑に携わる多くの皆さんの思いがそれなりにやっぱりここへ凝集してきたんだろうと。それにはやっぱり行刑に携わる皆さんの大変なチーム全体を動かしていく努力というのがあっただろうと思いますし、これからもなきゃならぬと思うんですが、これは、したがって大臣よりも横田局長に、そういうチーム全体を動かす局長としてどういう苦労があって、今日、刑務官全体がどういう状況になってきているか、その辺りのこの苦労話といいますか、今どういう決意でおられるかというのを伺っておきます。
#77
○政府参考人(横田尤孝君) まずもって、江田先生が最終段階とおっしゃってくださいましたけれども、本当にそれが最終段階でありますことを祈っておりますし、ここまで来れましたことに対して心から感謝申し上げます。
 先ほども答弁の中で繰り返しましたけれども、この監獄法の改正といいますのは、いわゆる名古屋刑務所事案が一つのきっかけではございましたけれども、もっと以前から、これは矯正というよりも、法務省あるいはもう国としての大きな課題でございました。それがようやくこれは実現をするということに近づいてきたということに対して、私どもはこれが入口だと、いよいよこれから本当の行刑改革なんだという心構えでおります。
 私が矯正を預かることになりまして一番感じましたことは、やはりこの矯正を支えている方々の熱意と誇りといいますか、本当に大変な仕事を一生懸命やっているということをこの年になって目の当たりにして見まして、これは本当に大きな感動であり感銘でありまして、やっぱりこれはこの人たちの苦労が報いられるような、そして受刑者が本当に真の改善更生、社会復帰ができるようなそういう仕組みを作らなきゃいけないというふうに私は思いました。
 これは法律を作った上で、先ほどもありましたけれども、仏作って魂入れずではいけませんわけで、正にこれから法律ができましたら、それの運用に当たって私ども矯正職員一丸となって、そして国民の皆様の声を聞きながらこれを実行してまいりたいと。これからが本当の始まりなんだという決意でございます。
 以上です。
#78
○江田五月君 これからが始まり、行刑職員は本当に一丸となってこの良質な人材を再生していく、再犯率ゼロを目指す、そういう思いを共有して頑張っていただかなきゃいかぬと、そのためにこの修正のところで、刑務官の質の向上、被収容者の人権に関する理解を深めさせる、また被収容者の処遇を適正かつ効率的に行うために必要な知識及び技能を習得させる、向上のために必要な研修、訓練を行うと、こういうものを立法府として皆さんに求めているわけですから、是非これはもうこたえていただきたいと思います。
 さて、もうちょっと、どういいますか、基本的なことを伺っておきたいと思うんですが、良質な人材の再生のために行刑施設の条件を改革していく、良くしていくと、要するに。いや、行刑施設なんだから、これはもう犯罪を犯したらとんでもない目に遭うぞという状態をつくっておくことがいいんだと、ノミでもシラミでも南京虫でもどんどんわかした方がいいんだという、それは違いますよね。やっぱりそうじゃなくて、行刑施設のこの居住環境にしても、あるいは労働環境にしても、もちろんホテルに住んで毎日夜は酒盛りでという、それがいいわけじゃ当然ありません、当然ありません。しかし、その行刑施設で受刑を受けていく期間に、ちょっとでも自分自身に誇りを取り戻して、自分自身の生きる自信というのをちょっとでも増して、さらに、人の関係の中で自分をちゃんと律していく、そのスキルがちょっとでも増していくと、そういうふうにしていくためにはやっぱりそこに一定のいい環境がなければ、それにふさわしいですよ、もちろん、いい環境がなければできないと思うんですね。
 そこのところを、実は私は先日あるグループで東京拘置所に行ってみました。あそこは御存じのとおり長い歴史のある行刑施設ですが、本当に全く新しく今造り替えておる最中で、新しいからということもありますが、非常にいい、少なくとも管理棟は非常にいいことになっていると。そのときにある若い人、まあある意味でいえば、社会で今まで失敗をしたというようなことをそれほど経験していない人から、どうして一体受刑者のためにこんなに国民の税金使っていいもの造らなきゃいけないのかよく理解できないんですがと言われて、たちまち答えに窮して、いや、まあ、ここは未決の人のところだからと、無罪の推定があるからと答えたんだけれども、本当はそうじゃないんで、本当はもっと根本的な答えをちゃんとしなきゃいけないんだと思うんですが。
 そこで法務大臣、ごく普通の人たちに刑務所というのがいいものになっていく必要はあるんだということを納得させるに、法務大臣としてどういう言い方をされますか。是非これを伺っておきたいと思います。
#79
○国務大臣(南野知惠子君) 受刑者の方々の処遇の在り方ということで、今先生からお問い合わせがございました。
 刑務所で、受刑所で自分の罪を悔い改めるということの必要性ということは、これは分かるわけでございます。その環境をどうするかということでございますが、そこに入っておられる方々は人間であります。罪を憎んで人を憎まず、その精神の環境をどう整えるかということが我々にとっては大切なことである。だからといってって、先生がおっしゃったように、もう一度入ってきたいような、そういう環境ということは社会がどのように見るだろうかということとの関連をしなければならない。社会に出ておられる方は、その日食べるか食べないかで生活している人もいるわけです。そういう人たちが真っ当に社会のルールを背負いながら仕事をしている、生きている。その人たちとどう見合わせていくかということは、これ大きな課題になってくるだろうと思います。
 そういう意味では、処遇の在り方、行刑改革会議の提言ということは、受刑者が真の意味で改善更生をすると、そして社会の復帰するためにその処遇において受刑者の人間性が十分に尊重されるということが不可欠であると思っております。行刑施設内において受刑者の人権がないがしろにされる、これももってのほかであろうかというふうに思います。人権も尊重するということの基本的な考えは持っていかなければいけないと思っております。私としましては、こういう点に皆さんたちと一緒になって今取り組んでいるわけでございまして、最も重要な考え方の一つであろうと思っております。
 もちろん刑の執行である以上、受刑者の処遇は犯罪の責任を自覚するということに足りる環境であるというふうにも思っております。受刑者の改善更生をさせるためには人間としての誇りを持つ。先生もおっしゃいました。誇りを持ちながら自信を回復させるということが必要であろうかと思っております。人間、受刑者も一人の人間としてどのように回復していくかということが、私は今、受刑所、いわゆる矯正行政の場でそれを母親と例えたわけであります。そのすばらしい環境に恵まれながら、どのように自分が発見できるか、次の人生を発見できるかというところの環境を整えなければいけない。そのときに、本当に寒い、もう凍えるようなところで自分は考えられるか、暑いところで考えられるかと、不衛生なところで考えられるか、ノミ、シラミにかかれながら自分が反省できるかということを考えたときには、常識的な環境があるだろうと思います。
#80
○江田五月君 特に、最近、これは参考人質疑の中で聞いた話なんですけれども、ターミナルケア、つまり人が終末期を迎えたときにどういうふうに安らかに人生を終わりにさせるかということですよね。これが刑務所の中で重要性が増してきていると。
 つまり、社会というのは、やっぱりお互いの支え合いのシステムですね。その支え合いの社会のシステムが劣化をしてきて、ちゃんと支え合うことができない人たちがこぼれて、そして最後は刑務所というところに来て、そこで人生の終えんを迎えるというような、そういう不幸な事態というのが随分起きてきているというんですね。
 これは私たちにいろんなことを教えていると思うんですが、そういう社会というのは一人一人の人間の人生の集合ですから、その最後のところが刑務所になるというのは、これ客観的事実としてそういうことが起きているわけですから、こうしたことも本当に真剣に取り組んで、人間の尊厳、尊厳を維持しながら終末期を迎える、それが刑務所になってしまうという、これはやっぱり不幸ですよね。一つ一つの事件を見ると、なぜそこへ至ったかというと、私はやっぱり不幸の連鎖でずっと来ていると。刑務所がもうその連鎖にもう一つ不幸の輪っかを付け加えるんじゃ、それはどうにもならない。やっぱりそこで不幸の連鎖を断ち切るという、そういう思いを是非持っていただきたい。そのために、幸福の連鎖じゃ困りますが、やっぱり刑務所の環境というものは改善をする必要があるんだという確信を持っていただきたいと思います。
 さてそこで、そうだとすると、やはり単独室原則とか一時間運動制、こんなことはやっぱり理想としてちゃんと掲げていなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、先日来、法務大臣、これはもう今の実態を見るととても行刑担当者にそのことを命ずることはできないので法文に書かなかったと言われます。しかし、行刑担当者に命ずるんじゃないんで、正に法務大臣に命ずるという思いでそのことを書かれるということをやってはどうかと思うんですが、いかがですか。
#81
○国務大臣(南野知惠子君) 先生がおっしゃるように、これも法律に書くということの難しさがあると。これはもう江田先生、もう大先輩であり、もうベテランであり、私なんか足下にも及ばないもう人間でありますけれども、法律に一遍書く、これは全部守らなければいけないという形になり、今四十七都道府県にそれができるかということが私にとっては大変つらいことであります。本当に書くなら、一時間なんてけち臭いこと言わず、二十四時間の間に何時間でもできるよと書きたいところでありますけれども、それは及びません。
 そういう意味で、各所、刑務所、刑務所ごとに、自分たちの所管ごとに、これはフレキシビリティーを持たせております。そして、現に一時間以上やっているところもあります。そういうことを考えるならば、そこにフレキシビリティーを持たせる、その所管、所管の人間性を持って展開されることが、一時間ぽっきりで切るよりも、もっと人間らしい処遇の仕方ができるのではないかなと思っております。
#82
○江田五月君 今の、例えば房はやっぱり単独室が望ましいとか、あるいは一日一時間ぐらいは運動できるのが望ましいという、そういう理想はお持ちだと、これは確認していいですね。
#83
○国務大臣(南野知惠子君) はい。それは当然持っております。
 今は独居生活で成長してきた子供たちがその場に行くわけでございます。昔は一人のお部屋に入れられることは悲しい、苦しい、耐えられないことだと思っていましたけれども、今は大勢の中で生活することが耐えられないことになってきております。そういう環境の変化ということもあり得ると思いますので、そういうことについては十分考えております。
 それから、先ほど先生がおっしゃいました高齢者の問題につきましても、中においてもやっぱり高齢者の増加ということがあります。そういうことについてどのように考えなきゃいけないかという、高齢者の介護の問題なども出てくるのではないかなというふうにも思っておりますし、その独居に与えてあげたい人がそうでないというのは、やはり再犯を防止する、また犯罪を犯すことを防止するということに力を入れていくことがいいのではないだろうか。
 今、独居室が取れないから、刑務所ばっかり造ればいいという問題ではない。そこら辺で御質問があって、見通しはどれくらいかと大分つつかれましたけれども、そういうことじゃなく、その見通しは立たないんです。立たない方向に持っていきたいんです。そういうことも御了解いただきたいと思います。
#84
○江田五月君 次に、処遇の関係のことをちょっと伺っておきたいんですが、今回処遇が随分改善をされる、いろんな制限の緩和といったことがある、優遇措置といったこともある。それは全く賛成なんですが、なんですが、しかし、これもやはり、何でしたっけ、のみとはさみは使いようでしたかね、使いようでどうにでもなっちゃうんですね。
 先日の参考人質疑の中で山本譲司さんが、担当制というものの中ではどうしたって刑務官の裁量が大きくなる、担当者とそれから受刑者との間で、とんでもない担当者に当たったらもう受刑者の方はいたたまれないよと。そのときにこういう、ニンジンのえさをぶら下げられて、そら、はいつくばれとかなんとかといって、人間としての尊厳を根限り失う。もう犬や猫のようになれば、そうするとこういう処遇の改善などが行われるというようなことでは、これは駄目ですよね。
 やっぱりそうじゃないんで、そうしますと、この処遇の改善というものが一方でありながら、しかし、その担当制は担当制でずっと維持していくとすれば、その担当制の中にもっとやっぱり一定のメスが入るような格好が要るんではないかと。例えば、こういう処遇改善も、単なる担当者の裁量ではなくて、そこに一定のルールをちゃんと置くと。こういうことがあれば、より処遇がいい処遇になりますよと。それも、減点主義じゃなくて、減点主義というのはいつもこう見ているわけですから、その自分の担当者を。そうじゃなくて、プラス思考でやっていくというようなこともあるかもしれません。そういうルール化。それからチェック化、他人の目ですね。担当者だけじゃやっぱり駄目で、他人の目がそこへ入っていく。それともう一つは、今の不服審査会とかあるいは視察委員会とか、そういうレビュー。
 この三つぐらい、私、ぱらっと今考えただけなんですが、が必要かと思うんですが、この処遇の改善について、そうした私の問題提起にどうお答えになりますか。大臣、大臣。大臣に。
#85
○国務大臣(南野知惠子君) 私がお話しした後、またフォローしていただけばいいというふうに思います。
#86
○江田五月君 必要なら言います。
#87
○国務大臣(南野知惠子君) 今、先生のお話、これはもう全くそのとおりだと思います。やはり任せっきりという、何のそこにマニュアルもない、何もそこに目的もない、ルールもないという任せっきりは、これはどうにもならない形であろうと思います。その中にどういうルールを作っていくかということは、お互い、基準は、最低基準なら最低基準、これが望ましい基準なら望ましい基準、いろいろな基準の取り方があると思います。それを施行した後でどう評価するかというのは、その所内所内でもできるし、又は担当がしていかなければならないと思っております。
 何か追加することがあれば。
#88
○江田五月君 私の方で聞きましょう。
 局長、何か追加することがあれば。
#89
○政府参考人(横田尤孝君) いや、大臣の答弁に付け加えることは特にございませんけれども。
 担当制につきましては、もう江田委員十分御承知のように、行刑改革会議でも十分御検討いただきましたし、その御提言もいただいたところでございまして、やはり担当制は担当制でやはりいいものがあるわけで、これは日本の行刑をずっと支えてきたものでありますし、それは十分な意義があったわけですが、しかし、その一方で、何か間のいろんなこともあったこともあるんでしょうけれども、問題が生じてきたのもまた事実。そこで、提言も言っておりますように、やはりそのいい点は残すと、基本的な形は残すと。そして、そのいい点は残しつつも、しかしやっぱり改めるべきは改めるべきだということだと思います。それは、先ほど先生おっしゃったようなことも含めて、今後行刑を行っていく上でいろんな工夫をまたしていきたいというふうに考えていること、そのことだけちょっと一言、まあ蛇足ですけれども。
#90
○江田五月君 是非そこは本当に考えていただきたいと思うんですね。南野大臣は、刑務所というところを母親のおなかの中と例えられましたが、その自分の胎内に授かった子供というのは自分の自由にしていいものじゃないんですよ。これは授かっているわけですから、預かっているんですから、これを大事に考えていかなきゃいけないんで、親と子の関係は一つの例えですが、やっぱり、やっぱり最近は子供も子どもの権利条約とか簡単じゃありませんからね、そこはよく理解をしておいていただきたいと思います。
 不服審査会について。これは今、松岡委員の方からもお尋ねにいろいろあったことでありますが、事実上の制度としておつくりになって、人権救済制度ができればそっちへ移行していくという、そういうお話なんですが、私はこの不服審査会というのは極めて面白い試みだと思うんですね。行政不服審査法理論というものは、行政機構の中で行政の過ち、過ちというのは違法の場合もある、不当の場合もある。裁判所へ行ったら違法しかないんですが、行政手続の中でやるわけですから不当のことでもいいと、そういうものを改めていこうと。それで、申立て権を与える形でそういう行政を改めるきっかけを行政処分の相手方に与えて、でやっていくというわけですから、正に行政の中のシステムなんですね。
 行政の中のシステムで、行政不服審査法上でいえば、法務大臣がそういう不服を審査するときは再審査請求という形になるわけですが、再審査請求のときに外部の人間の意見を聞くと、しかもそれは内部の人間はその中に入っちゃいけないというそういう不服審査会をつくってやるというのは、従来の行政不服審査理論ではあり得ない話なんですが、それをあえてここで試みるというのは、非常にこれは面白い、面白いと言っちゃいけませんが、重要な試みでありまして、そういう認識をお持ちであるかどうか。いかがですか、大臣。
#91
○国務大臣(南野知惠子君) いや、先生からお問い合わせあるまでもなく、それは大切なことだというふうに思っております。多くの方の意見をいただきながら、どのようにその問題を解決していくかということは、これ大切なことだと思います。
#92
○江田五月君 行政というものが最近だんだん開かれてきているわけで、例えばパブリックコメントのこともあるでしょう。あるいは会議体をリアルタイム公開といったこともあるでしょう。そういう一連の行政のその体質改善の中でも、これは不服審査についてこういうシステムをつくってみるということは大変貴重なことで、これは大事にひとつしていただきたいと。
 いつごろつくるのなどという話は今あったので、これはもう是非やっていただきたいと思いますが、同時に、行刑改革会議の提言では人権救済制度ができたらそっちへ移行するということになっていますが、しかしこれ違うんですね。人権救済の方は人権に光を当ててこれをチェックをしていく。だけど、この行政不服審査の中でのチェックというのは人権だけじゃないんですよ。例えば、何があるかなと思っていろいろ考えて、余りいい案、いいものが出てこないんですけれども、私物を預かっていた、それが何かの事故で壊れてしまったと。人権侵害というようなことではない、まあちょっとした間違いで私物が壊れた。しかし、行政の手続の中では、いやそれはもうちょっと、人の物を預かっているんだから、ちゃんと壊れないようにしておかなきゃというようなことがある。
 こういうことは行政不服審査の手続の中では処理されるけれども、人権救済手続の中では処理されないというようなことがあるから、そうするとこの不服審査というものをやってみて、例えば五年の見直しのときに、いや、これはまあ人権救済制度はできているけれども、この手続は残しておいたら面白いねと、なかなかいい役割を果たしているねというようなことがあり得ると思うんですが、その辺の、どう言いますか、フレキシビリティー、これをお持ちだと、お持ちになるべきだと思いますが、いかがですか。
#93
○国務大臣(南野知惠子君) 情願というような問題の中にもいろいろな中身がございます。一律にこれだけ、これだけと、こういうカテゴリーだけに分けられる問題ではない。いろいろな悩み、不服というのが出てまいりますが、そういうことについてもこの委員会ではいろいろな方の意見を聞こうとしておりますので、その大切さというのは、一応施行されると思います、施行していく中でしっかりと受け止めていってみて、それがどのような行く末になるのかということはその後にまた検討したいと思っております。
#94
○江田五月君 その後にまた検討したいという今の答弁を受け止めておきます。
 次に、教科指導とか改善指導について伺います。
 従来の監獄法の中では、そういう受刑者に対する指導というもの、これを受刑者が受ける義務と、こうしたものが書かれていなかった。それはやはり違うんじゃないかということで今回改めてこういう規定を置いて、これまでの受刑の、少なくとも法律の建前からいったら受刑の概念が大きく変わることではないかと思います。しかし、現実には、馬に水を飲ませようと思っても、泉にまで連れていくことはできても飲む気にさせなければ飲まない。だから、教科指導、改善指導といったものをしっかり受け止めて、それを受ける、そういう動機付けをいかにして受刑者につくっていくかというのは非常に重要だと思いますが、そういう観点からの教科指導、改善指導に取り組むノウハウといいますか、ソフトといいますかプログラム、これは一体今どこで作っておられるんでしょうかね。これは局長の方がいいのかな。
#95
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 おっしゃるように、今回の法案では指導について、処遇についていわゆる義務付けがなされます。義務付けをすることがまた一つの動機付けになるだろうということがあるわけですけれども、幾ら義務付けたところで、やはり今委員おっしゃったように、水のあるところまで連れていっても飲ませることはなかなか難しい。これはもう相手は人間ですから、ましてや、大変難しいことであります。そのためにはどうしたらいいかということはいろいろあると思いますけれども、やっぱりその一つには、こうしたこれから私どもが行います改善指導、教科指導、新法による改善指導、教科指導というものをよりよく充実させて、そしてその実績を重ねていくこと、これもまた水を飲ませる上で大変大事なことではないかなというふうに思っています。
 そんな意味で、私どもは、これからどんなふうにして効果的に行うようにしたらいいかということを考えておりまして、これは若干ちょっと時間をいただきまして御説明させていただきます。
 一般論ですけれども、受刑者の改善更生の意欲を喚起し、社会生活に適応する能力を育成するという効果を十分に上げるためには、まず受刑者自身が犯罪の責任を自覚し、自発的な意思に基づいて矯正処遇プログラムを受けるようにすることが必要であると。入所時の指導の段階から、円滑な社会復帰のためには所定のプログラムを受講することが不可欠であり、義務であることを十分に指導していくことを考えております。
 プログラムの内容でございますけれども、受刑者自らがその立ち直りについて考えるものとすることが肝要であります。このような観点から、既に矯正局におきましては、昨年、薬物事犯受刑者に対する教育処遇や被害者の視点を取り入れた教育について有識者の方々とともに研究会を開催し、受刑者自らがその問題について考える内容を盛り込むことを検討してまいりました。
 例えば、薬物事犯者向けのプログラムでは、これまで主として実施されてまいりました講義形式による教育に加えまして、受刑者が自分の薬物乱用の経験や影響等について自主的に話し合うことを通じて薬物依存から離脱する困難さを理解すると同時に、今後薬物に手を出さずに生活していくための具体的な方法を考えるグループワークを充実させることや、それからダルクなどの民間自助団体の協力を得まして薬物依存からの離脱に成功された方々と交流させ、また釈放後にダルクなどが実施するプログラムへの参加を動機付けることなど、どのようにしたら立ち直れるかを受刑者自らが考え、釈放後の具体的な行動に結び付けられるような、そういう内容を含んだ標準的なプログラムの策定に向けて現在取り組んでいるところでございます。
 それから、目下、性犯罪の再犯防止が大きな社会的な問題になっておりますけれども、それを目指したプログラムにつきましても、再犯防止についてのプログラムにつきましても、精神医学、心理学等の専門家の協力を得て効果的な処遇内容とするよう科学的、体系的なプログラムの策定作業を進めておりまして、先般、第一回目の性犯罪者処遇プログラム研究会を開催したところでございます。今後、メンバーの御指導を得ながら、本年度中に性犯罪者処遇プログラムを開発、策定する予定としております。
 さらに、効果的な処遇を実現するためには、指導する職員の専門性や能力の向上が不可欠であると考えております。行刑施設で教育的処遇を担当する職員につきましては、矯正研修所において効果的な矯正処遇を行うための専門的知識や技能の向上を目的とした行刑施設教育活動充実化研修という名称の研修がございますけれども、そういったものを含めた必要な研修を実施しております。
 今後はこれらの研修を一層活発に実施するほか、研修参加者の担当者に対する伝達研修というものを一層徹底実施させまして、担当者全員がその内容を確実に周知し専門性がより向上するよう努めますとともに、必要に応じて矯正研修所や矯正管区の専門的知識のある職員が施設に赴いて指導することも検討してまいります。
 このように、矯正局におきましては、局としての立場から基本的、統一的なプログラムの策定というものを試みておりますけれども、これは管区あるいは現場の施設、そして矯正研修所といったものを含めた矯正全体として取り組むべきものととらえておりまして、その努力を続けてまいります。
#96
○江田五月君 義務にしたと。そこで、おまえ義務だから、この義務を果たさなかったら懲罰だぞなどなどというようなやり方ではこれは駄目なんで、義務にしたということは、つまり受刑者のために義務にしているわけですから、そこを履き違えないように頭の切替えでやっていただきたい。
 だんだん時間が気になりますが、出口の問題。
 私は、実はもう今をさかのぼる何十年前か、修習生、司法修習生のときに刑事裁判の修習でたまたま死刑事案に出会いまして、死刑の判決というものを練習ですから書いてみたんですけれども、その事案というのは刑務所から出てきた人がすぐまた次に殺人をしたという事案で、しかし、なぜすぐ殺人を犯したか、もちろん本人悪いんですよ、到底それは弁解できるような弁解があるわけじゃないんですが、しかしやっぱり出所後の受入れ体制がもうちょっと何とかなっていればというようなことを痛感をしたんですね。
 昨日、法務省の若い人と話しておって、刑余者という言葉を皆さん知っているかと言うと、刑余者という言葉をも知らないというのでちょっとびっくりしたんですけれども、出てからの更生保護施設であったり保護観察所のことであったり、あるいは社会一般であったり、仕事の関係であったり、厚生労働省とのことであったり、一杯山ほど問題があるんですが、一つだけ、こういうことをやっていると、北欧で、聞きました。
 つまり、刑務所の中に収容されている人たちに釈放の日がだんだん近づいてくると外出をさせる。外出して自分で仕事を探してこさせる。どこかいい仕事先があると、もちろん仕事先は、おまえ今どこに住んでいるのなんか言いますよね。そうすると、いや、刑務所にいますというんじゃ、なかなかそれはオーケーと言わないだろうから、そこは若干あるいは経歴詐称風のことを言うかもしれない。で、うまく決まった。採用担当者がこの人間はと見込んで採用することになった。となるとどうするかというと、刑務所の職員が今度一緒に、その受刑者と一緒にその雇用主のところに行くんだそうです。そして、いや、ありがとうございます、実はこれこれこういうことでこの人間は今こうなんですが、しかし是非出所後は雇ってくださいねと言うと、そう言われると、いやそれは知らなかった、もうあんた辞めてもらうとは言えないというんですね。それは、人事担当者としては、この人間と見込んだのにその目が狂っているということになるからね。
 そういうようなことまでひとつ考えてはいかがかと。今すぐこの法律でどうしろということにはならないでしょうけれども、ハローワーク大変だと思いますよ。しかし、それは刑を受けていない人間だってそう簡単に仕事がないのに、刑を受けた人間が何でそう仕事があるもんかと言っちゃおしまいで、やっぱり刑を受けた人間が出て仕事がないと、あるいは住む家もなくて生活保護も受けられないと。そうすると、これもまた再犯するしかしようがなくなって、社会的なコストでいうと、そういうものを止めるというのは一番まず最初にやらなきゃならぬことじゃないかと思いますが、ちょっと今のような提案について感想があればお答えください。
#97
○国務大臣(南野知惠子君) 本当、生きていくためには仕事がなければ生きていけないと、そこら辺が一番大きなポイントになってくるだろうと思います。
 そういう意味で、このたびの改正の法案におきましては、外出もできる、外泊もできるというポイントを置いてございます。じゃ、何のために外出するのかといったときに、やはり仕事を探しに行くという条件がそこに、本人の自覚があり、本人の目的があり、本人がそうしたいという行動であるならば、それは許されていいものだろうというふうに思いますし、その本人の歩く道がしっかりと確保されることが我々の仕事であろうかと思っております。
#98
○江田五月君 時間がほぼなくなりましたが、最後に警察庁に伺います。
 この今回の法律案というのは、これは刑事施設を対象にしていて、留置施設の方は全く現状どおりで、そこへ何も加えないということで、またこれは、留置施設は今後いろいろ議論していかなきゃならぬと思います。代用監獄というものがいいのか悪いのかといった議論、難しい議論がありますが。
 そんな中で一つ気になるのが、百四十七条でしたかね、留置場に対する警察庁長官の巡察という規定がある。この規定は、これによって留置場というものを警察庁所管に置こうと考えたり、あるいはこういう規定を置くことによって留置場というものを、従来の状況に何かを加えてこれを固定化さしたりと、そういうような意図はこれはありませんよね、確認ですが。
#99
○政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。
 本法案は、御案内のとおり、受刑者処遇を中心としました内容としておりますので、代用監獄制度については取りあえず現状を維持するということで各種規定が置かれているわけでございまして、代用監獄制度を含む未決拘禁者の処遇等に関しましては今後引き続き検討を行うこととしておりまして、本法案の規定がその議論に影響を及ぼすことはないというふうに我々は考えております。
 結論的に言って、委員御指摘のとおり、この規定によって何ら現状を変更するものではございません。
#100
○江田五月君 しっかりひとつ行刑施設の改革に取り組んでください。
 終わります。
#101
○委員長(渡辺孝男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十三分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#102
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#103
○木庭健太郎君 午後の質疑でございます。
 午前中も議論があっておりましたが、この法案につきましては、審議を重ねほぼ大詰めの段階を迎えてきていると指摘がございましたが、先日は、午前、午後、参考人にお話をお聞きしたり、本当に貴重な意見を伺いながら、一つの方向性も示しながら審議ができていると思っております。これまで何回か議論をさせていただきましたが、もう少し議論をさせていただきたい点について今日は質問をさせていただきたいと思っております。
 これも午前中から議論をしましたが、この行刑改革会議の提言で、今後行うべき改革についての処方せんが様々示されたわけでございますが、その中で、これも、一体刑務所というのが国民にどう理解されているかということが極めて大事であって、ある意味では国民の健全な常識を施設の運営に反映させるべきということ、そのためには国民に刑務所運営の実情をしっかり理解してもらうことが必要であると、こういうことが提言の中でなされているわけでございまして、前々回の委員会でございましたが、国民の理解を得るためにどのような努力をすべきなのかということをお尋ねしたところ、政務官の方から、その中で大事なのは新たに新設される刑事施設視察委員会、これが大事だということの言及をなさっていただいたわけでございます。
 この刑事施設視察委員会というのは現行の制度にないものでございまして、まず、このようなものを新たに設置しようという趣旨について、改めて原点から法務大臣に伺っておきたいと思います。
#104
○国務大臣(南野知惠子君) 刑事施設視察委員会は、行刑改革会議の提言におきまして、第三者から成る委員会を設け、委員による刑事施設の視察や被収容者との面接などを通じまして刑事施設の運営の実情を的確に把握していただいた上、刑事施設の長に対し刑事施設の運営に関する意見を述べていただく仕組みが必要であるとされましたことを受けて設置するものでございます。
 刑事施設視察委員会を新設することによりまして、ともすれば閉鎖的になりがちな行刑運営につきましても、やはり透明性を確保するという大きな前提に立ちまして、更にその改善向上にも資することができるということを期待いたしまして、そのように考えております。
#105
○木庭健太郎君 そうすると、この刑事施設視察委員会はどのような人たちが委員になるかというのがとても大事な問題になってくると思うんですが、この人選の問題、これ一回議論もいたしておりますが、どのようにこれを行って人選を行うのか、これはまたいつまでにというか、法案成立すればすぐおやりになるのかどうかも含めて、どういう形でやっていかれるのか、いつまでにやるのか、法務当局に見解を伺っておきたいと思います。
#106
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 行刑改革会議の提言におきましては、委員には地域の市民だけでなく、弁護士等の法律関係者、医師、地方公共団体の職員等を含めることが望ましいとされているところでございまして、これらの方々にでき得る限り、可能な限り参加していただくことができるようにするとともに、公私の団体から推薦を得るなどの方法を取ることによりまして、選任方法が恣意的なものとならない仕組みとしたいと考えております。
 いつまでにかということでございますが、これは法案、法律が成立しまして、そして施行されれば当然に行われることになります。
#107
○木庭健太郎君 ちょっとイメージがわきにくいんですけれども、そういう人たちも含めて大体総人数でこれくらいの規模になってこんな形になると、イメージ的にちょっと浮かびにくいんですけれども、どんな形にされようと、全体像としてですね。
#108
○政府参考人(横田尤孝君) 法案の第八条で「組織等」という規定ございまして、委員十人以内で組織するということ、そして任期は一年とする、非常勤とする、この委員会の組織及び運営に関し必要な事項は法務省令で定めるということになっておりまして、具体的には、これから法律成立しましたら、当然この八条の五項に従いまして法務省令で内容を定めますので、その段階でまた具体的に検討してやってまいります。
#109
○木庭健太郎君 これは前回の委員会で参考人質疑をしたんですけれども、その際に藤本参考人から、この刑事施設視察委員会について、アメリカのミシガン州というところは、これプリズンオンブズマン、受刑者の訴訟という問題、これ訴訟も扱うんですよね、この施設視察委員会が。これが、訴訟が殺到してしまって最近この制度をやめてしまったという話をされておりました。この刑事施設視察委員会、単なる第三者機関と位置付けるか、それから刑務所に対するいわゆるアドバイザーとして単に刑務所側のアドバイザーとなるのか、それとも苦情も受け入れるようなアメリカ型とするのかで随分これ形が違ってくるというような問題指摘をされておったわけでございます。
 日本の場合、どうされるのか。法案を見ればある程度見えてはくるんですけれども、例えば日本における刑事施設視察委員会、受刑者が書面あるいは委員との面接の際に申し出た不服の処理、これくらいはやることは予定はしていないのかどうか含めて、御答弁をいただきたいと思います。
#110
○政府参考人(横田尤孝君) 刑事施設視察委員会は、施設運営について、その実情を把握した上で刑事施設の長に対して国民の常識を反映した意見を述べていただくという仕組みでございまして、個別の事案について受刑者の権利利益の救済を図るための不服申立て制度とは異なりますことから、刑事施設視察委員会が被収容者の不服を処理することは予定しておりません。
 なお、行刑改革会議の提言におきましても、刑事施設視察委員会は、「個別事案の救済を図ることを目的とするものではなく、行刑施設の長に意見を述べることなどによって、行刑施設の運営全般の向上に寄与することを目的としており、その点で、個別事案の救済を目的とした「人権救済のための制度の整備」とは異なる意義を有するものである。」というふうにされております。
 したがいまして、この刑事施設視察委員会の委員が被収容者と面接をしたときにそういう不服のようなものが申し出られたということがございました場合、あるいは書面によって出たということがございました場合に、そこでこの委員会において不服処理ということはございませんが、ただ、そういった意見があれば、それをまたこの第七条に定めているような、その運営に関し意見を述べることになっておりますので、そういった意見の中にまた反映されるということは、これはあり得ることだというふうに思っております。
 それで、不服はまた別の手続もちろんございますので、そちらの方で処理をされていくと、その手続に乗って処理をされていくことになると思いますが。
#111
○木庭健太郎君 初めてやる制度でございますから、私も法務省が今考えているような考え方でのスタートでいいんだろうと思いますが、そのやった中でいろんな対応はまた出てくるんだろうと、このようにも考えておりますし、また、本当に国民の理解を得るためということであるならば、この刑事施設視察委員会だけでなくて、やっぱり刑務所の実情、そういう中身について国民自体が知れるような形、私たちも今回この法案の審議に当たって幾つかの場所、福島そして府中と中を見させていただいたんですけれども、やはり現場を見ることが理解を深める一番の要因であることも事実でございまして、本当に国民に理解を得るというんであれば、どういう方法を取るのか、やり方は考えなければならないとは思いますが、国民の目にも直接この中の実情なり、そういうものを見ていただく場というのをつくる必要があるんではなかろうかとも考えますが、この点についての御見解も伺っておきたいと思います。
#112
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 従来、被収容者のプライバシー保護などの観点から、この刑務所の参観ということがありますけれども、その参観の目的は学術研究その他正当な理由に基づくものであるかどうか、慎重に検討してその許否を判断しておりましたけれども、現在、行刑改革会議の提言を受けまして、国民に理解され、支えられる刑務所を実現するために、法改正を待たずとも直ちに実施できる方策、これいろいろございましたけれども、その中の一つに、各施設において、被収容者のプライバシーに配慮しつつ、少なくとも年一回、施設側から適宜希望者を募って広報を目的とする施設見学会というものを実施するなど、積極的な国民の参観の受入れに今取り組んでおります。かなりの数の方がこれまでこの参観に加わっております。
 例えば数字申し上げますと、平成十六年四月から去年の末までの間に、七十四施設で、これは全部の施設ですけれども、千八百十回、延べ人員、参観延べ人員が約四万四千九百人の方が参観していらっしゃいます。それから、施設見学会という、広報が主ですけれども、それにつきましても六十八の施設におきまして百七十六回、見学された延べ人員が約一万六千四百人という相当数に上っておりまして、今後とも、私どもといたしましては、国民に理解され、支えられる刑務所を実現するための一つの方策として、広く国民に刑務所の実情、施設の運営状況について知っていただきたいというふうに努めてまいりたいと思っております。
#113
○木庭健太郎君 それから、不服申立て制度についても、これも午前中から議論があっておりました。
 この不服申立て制度、やはり十分に機能するためには何が大事かということで、行刑改革会議の提言では、とにかく被収容者が萎縮することなくどうやって不服の申立てができるようにするべきであるかという中で、この不服申立て書等については、被収容者が自ら封をすることなど施設の職員に内容を知られることなく申立てをすることができる環境を整えるべきである、これは私の提言じゃなくて会議の提言でございます。こういったことを言っているわけであって、じゃ、実際このことをどうするかという問題なんですね。
 今回の法案の一番大きな柱も、一つは受刑者の人権という問題を真っ正面から取り上げたというのが一番大きな法改正の問題でもございますし、どうやってそういった不服申立ての仕組みを整えることが、もうこれ極めて大事なことになってくると思うんですけれども、じゃ、その提言の指摘するとおり、不服申立ての実効性確保のために秘密保持という問題、どうやって確保するのかと。具体的にどのような配慮をするつもりなのか、政務官に伺っておきたいと思います。
#114
○大臣政務官(富田茂之君) この法案の第百二十四条では、刑事施設の長は、受刑者が不服申立ての内容を職員に秘密にすることができるように必要な措置を講じなければならないというふうに、行刑改革会議の提言を受けまして規定しております。
 具体的には、今先生御指摘のように、受刑者が不服申立ての書面を提出する際に本人自らに封をさせ、施設の職員はこれを開封して内容を見てはならないこととする。また、一挙に不服申立ての書面は書けないでしょうから、何日かかけて書くというときに、作業に出ている間に刑務所の職員の方で居室を検査等いたします。その場合にも秘密が保持できるように、作成途中の不服申立ての書面を保管するための封筒を貸与し、職員による居室の検査等の際にも不服申立ての書面は見てはならない、こういったことを職員に徹底させるなどの措置を講じたいというふうに考えております。
#115
○木庭健太郎君 それから、例えば受刑者の中には文字が書けないような人もいるかもしれないわけであって、こういう人たち、一体どうやってこの不服申立てという問題に合致するのかなと。こういう人たちにどんな対応をすればいいのかとか、例えば実際に府中見させていただいて、まあそれだけと決め付けるわけにはいかないんですけれども、いわゆる精神障害の問題とか、それからこの前、これは山本譲司さんが来られて言っていたんですけれども、知恵遅れの問題とか、ある意味では受刑者って様々な問題を抱えていると。まあ、まともにこうやって対応できる人はいいと思うんですけれども、そうじゃない場合、一番典型的なのは文字書けないというようなケースですよね。こういう場合に一体何か措置をとりようがあるのかどうか、この辺、お考えがあればお聞かせ願いたいと思います。
#116
○大臣政務官(富田茂之君) 書面主義を取っておりますので今先生御指摘のような問題が出ると思うんですが、文字が書けない者が不服申立ての書面の作成を希望する場合には職員が代書をすることとし、このことは収容開始時の不服申立て制度についての告知に含めたいというように考えております。
 また、書面を職員が代書をする場合には、当然のことながら代書をした職員が代書によって知り得た内容を他に漏らすことを禁ずるなどの措置を講ずることとなります。なお、このような措置は現行法の情願についても講じられており、実際に情願書を自ら筆記できない者からも情願の申立てがなされております。
 精神障害とかのお話がありましたけれども、アメリカの方では、弁護士なんかもそうですけれども、発達障害のお子さんとかそういう方が成人になられたときにどういうふうな対応をしているのかというのを弁護士は、こういう刑務所職員たちにはきちんと勉強して、一般の方とちょっと違う場合にどういう対応を取ったらいいのかというようなことも相当教育されているようですので、こういった点も法務省としては研究する必要があるというふうに思っております。
#117
○木庭健太郎君 今お話が出た弁護士との問題なんですよね。つまり、多分その不服申立てとかいろんなことと関連して弁護士との面会ということは起こり得ることだろうと思うんですよ。受刑者の方が訴訟の提起含めて弁護士と面会して相談したいことがあったとして、でもその面会にその施設の職員が例えば立ち会って内容を聞いたのでは、これは話したいことも話せないわけであって、この辺どうするかという問題なんですね。
 確かに法案では、受刑者が自己に対する刑事施設の長の措置などに関し弁護士法に規定する職務を遂行する弁護士と面会する場合には職員を立ち会わせることができないとしております。これは九十条ただし書ですね。ただ、それだけでは、でも配慮が足りないんじゃないかという意見も実際にございます。自己に対する刑事施設の長の措置に、その他の自己が受けた処遇に関する業務に限らず、弁護士の職務の遂行として面会する場合に、原則として面会の立会いをしないこととすべきではないかというような具体的な意見もあるわけでございまして、この点について局長の意見、当局の意見を伺っておきたいと思います。
#118
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 受刑者の面会につきましては、刑事施設の規律及び秩序の維持、矯正処遇の適切な実施その他の理由から職員による立会いなどをする必要がある場合があり、法案ではこのような必要があると認める場合には職員による立会い等をすることができることとしております。
 他方、法案は、受刑者が自己が受けた処遇について救済等を求めるため弁護士等と面会する場合には、立会い等をする必要があっても原則として立会い等をすることができないこととしている、これは委員御指摘のとおりです。これは、そのような場合には、受刑者が面会において、一方当事者である刑事施設の職員に知られることなく弁護士等に対して救済等を求めるための相談等ができるようにすべきであるということに配慮したものでございます。これに対しまして、受刑者が例えば離婚手続や貸金の返還請求訴訟の相談のために弁護士と面会するような場合には、刑事施設の職員に知られないようにすべき要請は必ずしも大きくないことから、そのような場合にまで立会い等をする必要があるときであっても立会い等をしてはならないとすることは適当ではないと考えられます。もとより、受刑者と弁護士との面会につきましては、面会の相手方が弁護士であること及び面会の要件を十分に踏まえて立会い等の必要性を判断することとなります。
 以上です。
#119
○木庭健太郎君 それと、今回の法案の中で一番特徴的なことは、受刑者の行動制限の緩和ということに取り組んでいる点だと思っております。
 つまり、社会復帰へ行く途中の過程で、様々にそういった行動制限を緩和していくことによって社会行動へつなげていこうというような形でいろいろなことがなされようとしております。法第六十五条を見ましても、受刑者の行動の自由を緩和し、最終的には、居室にかぎを掛けず、高い塀もないといった開放的な施設にも収容するといったことが定められているわけでございます。
 確かに役立つことは分かりますが、逆のことも考えなければならないんではないかな。つまり、その結果暴動や逃走などの事故が起きるようでは、ある意味では付近の人を含めて国民が安心できないという問題もある。この辺をどんなふうにしてマッチさせるのかというのが大事な点だと思いますし、具体的にお聞きしておきたいんですけれども、例えば、法案の生活及び行動に関する制限の緩和、これは具体的にはどのようなことを想定されておられるのか、そして、この制限を緩和することによって規律、秩序の維持というのが不十分になるおそれはないのかということを含めて、御答弁いただきたいと思います。
#120
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 刑事施設の規律及び秩序を維持するための受刑者の生活及び行動に関する制限の緩和でございますが、これは様々なものがあると考えます。例えば、居室や所持品等に対する検査の頻度を少なくしたり、それから職員による戒護の程度を弱めたり、居室や工場など受刑者が生活する場所の全部又は一部を施錠しなかったりするほか、最も制限が緩和された場合としては外壁、外の壁ですね、外壁や窓の鉄格子などを設けなかったりすることなどが考えられると思います。
 こうした制限の緩和は、矯正処遇の目的を達成する見込みが高まるに従って行うものでありまして、その運用におきましては、受刑者の資質のほか、矯正処遇への取組状況や生活態度などを踏まえ、その自律性と責任感を信頼できる程度について、自律性と責任感を信頼できる程度について的確に判断し、その程度に応じて行うものでございまして、これによって刑事施設の規律の維持が不十分となるおそれはないものと考えております。
#121
○木庭健太郎君 そういう意味では、例えば今開放的施設という言葉がございましたが、現在でも開放的施設で処遇を実施しているのであれば、具体的にそれはどんなふうな状況でどんなふうになっているのかということもイメージとして浮かべるために伺っておきたいし、実際にその開放的施設における処遇の対象になる人というのはどんな受刑者の方たちを予定、想定されているのかと。そういったことについての、また地域住民の理解というのは本当どうなのかなということもございますので、併せてその点、御答弁をいただきたいと思います。
#122
○政府参考人(横田尤孝君) 開放処遇についてお尋ねでございますが、現在もこのいわゆる開放的処遇というものを行っている施設がございます。一番典型的なものは、委員も御存じかと思いますが、いわゆる交通刑務所というものがありまして、市原刑務所とか加古川刑務所とか、交通事犯者、交通事犯受刑者の拘禁、処遇を行っているところがあります。それから、農場を持っている網走刑務所では、大きな農場がございますけれども、そこで同様に開放的処遇というふうなことを行っております。
 開放的処遇というのはどういうことかといいますと、前提なんですが、これは拘禁を確保するための施錠などの物理的な設備、それから職員による監視を緩和いたしまして、規律及び秩序の維持を受刑者の自律心と責任感に基づく自主的行動規制に部分的にゆだねることによって、可能な限り一般社会生活に近似した環境の中で円滑な社会復帰に資する自発性及び自律性を涵養しようとする処遇方法でありまして、先ほど申し上げましたように、現在は交通事犯受刑者を収容する行刑施設、それから農耕作業を実施する作業場などで実施されておりまして、例えば市原刑務所などでは、いわゆる居室にかぎが掛かっておりません。それから鉄格子のない刑務所としてよく言われているところでございますが、そのようなものでございます。今申し上げましたように、そういったところは食堂、工場にも施錠しませんし、それから戒護のための物的設備がある区域では戒護職員を付けないとか、そういったことをしております。
 法案では、受刑者の自発性及び自律性を涵養するため、収容を確保するため通常必要とされる設備又は措置の一部を設けず、又は講じない開放施設において受刑者の処遇を行うことを認めることとしておりますが、受刑者の処遇は、自由の剥奪を本質とする自由刑の執行として行われるものでございますから、このような処遇はその自律心と責任感が信頼するに足りると判断される者に限定して実施しなければなりませんし、このような趣旨から、法案では、その対象者は改善更生の意欲や社会生活に適応する能力が特に高いと認められる者に限定することとしております。現在の開放的施設における処遇もまた同様の考え方でやっております。
 運用に当たりましては、受刑者の資質や心情の確実な把握に努めてその対象者を適切に選定いたしますとともに、逃走等の事故防止を図るために必要な措置を的確に講じることはもとより、地域の住民の方々に対しましては、参観等を通じて開放的施設の意義、実情について理解を深めていただくことなどによって、その不安を払拭していきたいと考えております。
#123
○木庭健太郎君 何か言葉が難しいですよね。だから、具体的にその受刑者の中、どんな人なのかと言われても、一般の人分かりにくいなという感じがするんですよ。だから、実際におやりになられるときはもう少し分かりやすくしてあげないと外の人は安心できない。
 更にお聞きしますけれども、今回はまたこれにもっと自由度の高い、例えば外部通勤作業であるとか外出、外泊ですか、受刑者を職員の同行なしに施設に出す制度みたいなことを定めていらっしゃるわけでしょう。だから、こういったことも考えるともうちょっとどういう、それは役立つことは分かる、今後のためにそういう制度を導入するのも分かる。でも、具体的にはどんな人たちがどの程度の段階、どうなっているのかというのが見えないと、外の人は安心できないんじゃないかなという気も逆にするんですけれども、じゃ、ちなみにじゃ外部通勤作業、外出、外泊の問題についてはどういう人たちを、どのような受刑者を認めようとしているのか、今度はちょっと分かりやすく答弁していただけます。
#124
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 先ほども言っておりますけれども、結局、その自律心と責任感が信頼するに足りるものであるとか、それから更生意欲が認められるとか、社会生活に適応する能力が特に高いという、難しいと言われますと、大変これを更にかみ砕いて分かりやすくというのはなかなか難しい。要するにそれは、決して逃げたりするような可能性がない人とかいうこと、それから本当にまじめに立ち直ろうとして一生懸命やっている人だとか、とにかくこれはまじめな人なんですよと、逃げたりはしませんと、悪いこともしないような人たちですよという、簡単に言うとそういうことなんで、それは開放的処遇におきましても、それからいわゆる通勤作業、それから外出、外泊についても全く同様のことでございまして、それ以上なかなか、どのように御説明申し上げたら木庭先生の御納得を得られるか、ちょっと考え込んでしまうんですが。
 いずれにいたしましても、私どもは、この制度の趣旨に十分即して、そして、この制度によって例えば何らかの不祥事故が発生すればこれはもう制度そのものが危うくなるわけでございますので、そこの辺りはきちんと見極めて、そして本当にそういう開放的処遇、あるいは外部通勤作業であるとか外出、外泊をすることによって本当に真の改善更生、社会復帰ができる、正にそれをしたことによって更に促進されるような、そういう人を選んでまいりたいということで御了承いただきたいと思いますが。
#125
○木庭健太郎君 じゃ、例えば私が言うなら、刑が例えば三年の方がいらっしゃったと。二年間きちんとした形でお勤めになられ、ある意味では仮釈放してもいい状況にあるような方と。そうすれば、こんな状況でその人、こういう事故も一件もなく見事に勤め上げと、何かそういう少し中身があった方がいいような気がいたします。まあ、それはそれとして、是非そういう努力をしていただいて、せっかくつくる制度ですから、おっしゃるように事故があったりして駄目になったりしたりいろんなことがあったらこれは困るわけであって、つくる制度を活用していただきたいと、このようにも考えておりますし。
 ともかくもうこの法案の審議、もう一回ぐらいやるような形もあるかもしれませんが、与党としては質問、これ最後でございますので、ともかくこの行刑改革をやろうとしたこの法案、ともかく安全、安心という意味でも、一つのこの法案が成立することは大きな意味もあると思っておりますし、その成果を上げるためにも今後どのように、法案の制定含め、行刑改革の推進、国民が安心して暮らせる社会づくり、こういったことも含んで、法務大臣の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
#126
○国務大臣(南野知惠子君) 私は、国民が安心して暮らせる安全な社会を再生するということは本当に喫緊の課題であろうかと思っております。行刑改革を遂げまして、受刑者の真の改善更生を図るための処遇を充実することが是非とも必要であろうかと思っております。
 こうした処遇を実現するためには、今、ただいま御審議をいただいております法案がやはり必要不可欠であろうというふうに思っております。もちろん、受刑者の処遇を適切なものといたしまして、行刑改革の成果を上げますためにも、法律を制定するだけで足りるものではない。その後のことも大変なことであり、この法律に伴った適切な運用に努めることが必要であろうと思っております。国民に分かりやすくというのもその一つであろうかと思いますが、現在、行刑施設を取り巻く情勢は、御存じのように、過剰収容など極めて厳しいものがございます。国民に理解され、支えられる施設、それを目指しながら、不退転の決意で本法案の成立を始めとする行刑運営全般の改革に取り組んでまいりたいと思っております。
#127
○木庭健太郎君 終わります。
#128
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、外部交通の問題でお聞きをいたします。
 これまで外部交通を始めとした行刑施設の運営は、多くが訓令や通達で行われておりまして、施設長の裁量が非常に大きいという点での弊害等も指摘をされてまいりました。法改正に伴って、こうした訓令や通達というようなものは全面的に見直すのかどうか。それから、こうした訓令、通達が最近までは公表されていなかったわけですけれども、新しくつくられるものについては最初から公表すべきだと思いますけれども、その点、二点、まずお願いします。
#129
○政府参考人(横田尤孝君) まず最初の訓令、通達の見直しでございますが、これは、法律成立いたしましたときはそれの施行に必要なものでございますので、全面的に見直してまいります。
 それから、公表の問題でございますけれども、この外部交通に関する訓令、通達、現在、矯正行政関係の訓令・通達集は一般の方も購入することができるようになっておりまして、これらが法改正に伴いまして見直しをされた場合におきましても同様の取扱いを続けてまいりたいと考えております。
#130
○井上哲士君 これまでは所長の裁量に多くゆだねていた外部交通が、新法では八十八条で留意規定というのも置かれておりますけれども、面接とか通信、これが受刑者の権利として確立をこの法によってされたと、こういうふうに聞いてよろしいでしょうか。
#131
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 受刑者の外部交通につきまして、現行法は恩恵的、制限的にのみ認められるものとしております。これに対しまして、この法案におきましては、外部交通について、自由刑が社会からの隔離である以上、ある程度制限されることは当然であるものの、適正な外部交通が受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に資するものであることなどを踏まえまして、受刑者の面会は、その相手方が親族、それから重大な利害に係る用務の処理のため面会が必要な者及び改善更生に資すると認められる者である場合にはこれを許さなければならないこととし、また、受刑者の信書の発受は、これを制限することができる旨の規定がある場合以外はこれを制限してはならないこととするなどしているところでございまして、こうした範囲内では制限できないという意味では、権利として認めることになると思います。
#132
○井上哲士君 受刑者の権利としてかなり広がったわけですね。
 そこでお聞きするんですが、受刑者の中には冤罪を主張して再審を求めていらっしゃる方も少なくありません。そういう皆さんにいわゆる支援団体の皆さんが面会を求めても、これまでは所長の裁量で認めてこられなかったわけですけれども、今ありましたようなこの八十九条の一項の規定又は、一項二号ですね、それから二項などの規定によってこういう冤罪を主張している受刑者の支援団体の皆さんの面会というのも認められることになっていくのかどうか、この点いかがでしょうか。
#133
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 この冤罪を主張する受刑者の支援者と、こういう言ってみれば一くくりのような言い方になりますけれども、そういった方々には様々な方がいらっしゃいまして、結局その法案の定める面会を許す要件に当たるか否かは個別具体的に判断することになると思います。したがいまして、そうした支援者につきまして、法案の定める要件に当たるか否かを一概に、つまり冤罪を主張する受刑者の支援者であるからどうだということはなかなかお答えすることはできないと考えます。
#134
○井上哲士君 条件に合えば可能になっていくんだろうというふうにお聞きをいたしました。
 そこで次に、いわゆる就労支援の問題についてお聞きをいたします。
 再犯を防いで社会復帰を促していくという点で非常に就労支援が重要だというのは、今日の朝からの議論でもいろいろお話がありました。先日の新聞の報道では、仮出所者の雇用に再犯防止のために助成金を出せるように法務省として検討し、厚労省とも一緒に協議しているというような報道もございました。
 就労支援という場合には、法務省だけではできないことも相当多いかと思うんですが、この点で他省との協議も含めてどのような対策を講じようとされているのか、まずお願いします。
#135
○政府参考人(麻生光洋君) 御指摘のとおり、刑務所の出所者等の就労確保の問題は、本人の改善更生を図り、本人の社会復帰を図り、ひいては再犯を防止するために大変重要なことであると認識いたしております。
 そこで、私どもといたしましては、従来から行っておりますけれども、公共職業安定所等と保護観察所や更生保護施設等との協議会を更に強化いたしましたり、あるいは犯罪前歴を承知の上で雇用をしていただく協力雇用主を拡大するなどいたしまして、刑務所出所者等に対するよりきめ細かな就労支援や就労先の一層の確保に努めてまいりたいと考えています。
 また、委員御指摘のありました就労先を効果的に確保していくための方策につきましては、刑務所出所者につきましては、ともすれば社会から排除され就労機会が制約されている、こういう状況がございますので、私どもとしても重要な課題と認識いたしております。今後、関係省庁との連携を強化していく必要があるものと考えております。
#136
○井上哲士君 そこで、厚労省にお聞きをするんですが、この報道でもありました特定求職者雇用開発助成金制度の問題です。私たちもいろんなお話を聞きますけれども、協力雇用主の方は全くのボランティアで、経済的利益は何もなしに出所者の方の就職を受け入れていらっしゃるわけですけれども、なかなか厳しい経済情勢の下で、なかなか雇用主の方もなかなか引き受け切れないというようなこともいろんな、お聞きをしているわけで、この分野に対する支援というのは非常に大事だと思うんですね。
 現状では高齢者とか障害者にとどまっているわけですが、この助成金制度に出所者の方も加えて支援をするべきだと考えるんですけれども、いかがでしょうか。
#137
○政府参考人(高橋満君) お答え申し上げます。
 今御指摘のとおり、就職困難者、特に高齢者でありますとか障害者でありますとか等々、こうした就職困難者の雇入れにかかわる助成制度として特定求職者雇用開発助成金制度というものがあるわけでございますが、この助成金制度に刑務所を出所した方々を対象にできないだろうかと、こういう御指摘があることは私どもも承知をいたしております。
 ただ、刑務所を出所されました方々、個々人、様々実は就職が困難な事情というものは区々異なっておるわけでございます。そういう中で、刑務所を出所された方という観点から一律に雇入れの助成の対象にしていくことによって問題が解決できるかどうか、ここはかなり検討を要するだろうというふうに思います。もちろん出所をされた方が例えば高齢者である、あるいは障害者である等々の場合は、当然にこれはこの助成金の対象になってくるわけでございます。
 それから、いま一点、この助成金制度を運用していくに当たりましては、支給対象となります事業主の方に求職者が刑務所を出所をされた方であると、こういうことを始めとした様々な情報を提供していく必要があるわけでございます。そうしました場合、プライバシーの保護という観点からどうなんだろうかと、相当やはり慎重に検討していく必要があるんじゃないかというふうに思っておるわけでございまして、そういう観点から申し上げますと、なかなか難しい困難な点があろうというふうに思っております。
 いずれにしましても、今申し上げましたような様々な問題点、これらも十分踏まえながら、今後関係機関とも連携して多角的な面から研究課題とさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
#138
○井上哲士君 就職困難な事情は様々だと言われました。様々な事情があるけれども困難という事実には変わりないんですね。ですから、これはやっぱり支援をするべきだと思います。
 それから、プライバシーの問題言われましたけれども、現に今協力雇用主というものを法務省が組織をしているわけで、その人たちはその人が出所者ということを知った上で雇用をされているわけですから、そこに対する支援、何ら現行のでも問題はないわけで、私は十分にこれは可能だと思うんですね。朝の議論でもありましたように、保護司さんにしましてもこの協力雇用主の方にしましても、非常に大事なところを民間ボランティアの皆さんにゆだねているということが大変問題だと思うんですね。
 お聞きしますと、この助成金制度の平成十六年度の予算がほぼ五百億円で実際の執行は二百四十億ぐらいだとお聞きしたんです。半分は使ってないんですね。更生保護の予算全部で百九十二億なんです。これ上回る金額が使われなかったと。別に制度をねじ曲げてまでお金あるんやから使えって言う気はないんですけれども、私は本来の制度の趣旨からいっても、最もやっぱり就職困難な方ですから、この助成金という制度はもっと温かい気持ちで見直していただきたいと思うんですね。
 もう一点、雇用保険の問題もあります。
 基本手当の受給期間が離職後一年以内となっておりますけれども、刑務所へ入るまではちゃんと働いていて保険金も、掛金も納めていたという方が、出所して受給を受けようと思っても一年以上たっておりますと受けることができないという問題もあるわけですね。刑務所に入っている間は、これはもう働こうにも働けなかったわけでありますから、せめてこの期間の分だけは受給期間を延長するようにして、やっぱり新しい出発点に立った方にしっかり就労のための援助をするというふうにするべきだと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
#139
○政府参考人(高橋満君) お答えいたします。
 雇用保険の基本手当でございますが、言うまでもないわけでございますが、これも、基本手当は失業をされた方々ができるだけ早期に再就職を果たしていただく、そのための求職活動を容易にするものとして、そういう目的で支給をいたしているものでございまして、今御指摘のとおり、雇用保険法第二十条の規定によりまして、基本手当にかかわります受給期間は離職後一年間を原則といたしておるわけでございます。ただし、この一年の期間内に妊娠、出産、育児等、真にやむを得ない事情によりまして引き続き三十日以上職業に就くことができない期間がある場合、これはこれらを勘案して最大四年間まで延長することが可能であるわけでございます。
 こういうような制度的な枠組みになっておるわけでございまして、今のこの受給資格は満たすけれども受給期間が刑務所に入所をしていたことによって原則一年というこの期間が経過をしてしまうということになりますと、基本手当の支給ということはできないということになっております。
 この刑務所に入所をしておるというこの事情というものをやはり考えますと、自らの責任によりまして職業に就くことができない状態になったものだというふうにも考えられるわけでございまして、先ほど申し上げましたやむを得ない事情による受給期間の延長とはやはり事情が異なる。そういう意味では、この期間につきまして延長するということは困難であろうかというふうに思っております。
 私ども、刑務所の出所者の方々につきまして、やはり仕事を通じて生活の安定を図っていくということは大変大事なことでございます。そういう意味では、刑務所等の機関との連携を十分密にしながら、釈放前からの求職登録を行い、また職業相談を行いまして、出所後の職業紹介に努力をする中で就職支援に努めていきたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
#140
○井上哲士君 刑期中にいろんな期間が過ぎてしまうという点でいいますと、運転免許の問題も一緒なんですね。この就職活動をする上で運転免許というのは非常に大事なわけですけれども、刑期中に更新期間が過ぎてしまって、出所後の取得が非常に困難で求職活動にも支障を来すということがある下で、この点では出所後の就労支援という観点から対策を取っておられると承知していますけれども、これはどういう中身でしょうか。
#141
○政府参考人(横田尤孝君) お答えいたします。
 現行の道路交通法令によりますと、法令により身柄を拘束されている者につきまして、運転免許証が失効してから三年が経過した場合には、出所後免許を再取得する際に試験の免除が認められず、適性試験、技能試験及び筆記試験のすべてを受験しなければならなくなっております。
 このような場合、運転免許証の失効により出所後の就労先の確保が困難になるほか、被収容者の中には、所持金も少なく、身元引受関係が不良で家族から経済的援助を得られない者も少なくないことから、このような者が出所後すべての試験を再受験しなければならないとすれば、本人の改善更生及び円滑な社会復帰の妨げとなることが予想されます。
 このため、当局におきましては、行刑施設内で運転免許試験、ただしこれは技能試験及び筆記試験は免除されますので適性試験のみになりますけれども、これを実施することにつきまして警察庁、各都道府県警察と協議いたしました結果、これまで一部の行刑施設において施設内での運転免許試験の実施をしております。
 今後、さらに各都道府県警察と協議を進め、残りの行刑施設でも施設内での運転免許試験の実施を図っていきたいと考えております。
#142
○井上哲士君 自分の責任によって刑務所に入って期間が過ぎてしまっているという点では同じなんですね。しかし、運転免許の場合は警察とも相談をしてそれを可能にしていると。なぜそれができて、雇用保険の場合は自分の責任だからといってこの期間延長というのができないのか、私はちょっと納得いかないんですけれども、厚労省、もう一回いかがでしょうか。
#143
○政府参考人(高橋満君) 雇用保険の基本手当の受給、基本手当にかかわる趣旨、目的、先ほどお答えしたとおりでございまして、失業状態にあるということが大きな要件になってございます。
 この失業状態にあるということをもう少し具体的に申し上げますと、労働の意思、能力を有するにもかかわらず職業に就くことができない、もう少し具体的に申し上げますと、求職活動を行っておりまして直ちに就職できる状態である場合に支給されると、こういうことでございまして、刑務所出所者、刑務所に入所をしている最中におきましてはなかなかすぐには就職できる状態にはないわけでございますし、先ほど申し上げましたように、その刑務所に入るということの背景、事情が本人の責任によるものであるというようなこと等を考えますと、なかなか制度の趣旨を曲げてまで対象にしていくということにはならないだろうというふうに思っております。
#144
○井上哲士君 いや、制度の趣旨からいっても出すべきだと言っているんですね。この失業、雇用保険というのは、例えば自分の責任で勤めている会社に損害を与えて首になったとしてももらえるんですね。その会社の人たちも保険料を払っているわけですよ。この人本人も保険料を払っているんです。仲間に迷惑掛けたからあいつには雇用保険を出さないということじゃなくて、どんな人であっても失業状態になったらちゃんと支給をして、そして憲法に定められた働く権利というのを擁護していくという、こういう土台になっているわけですね。
 今おっしゃったように、刑務所にある間というのは、幾ら就職活動をしようともできないという状況になっているわけです。逆に、例えば同じ有罪になっても執行猶予が付いて刑務所へ入らなかった人はこの制度は利用できるわけですね。ですから、これは同じ有罪を受けて、新しい人生をスタートしようとしたときに、片方の人はもらえて、そして、刑期を終えて罪を償った人が新しい出発をするときにもらえないというのは、余りにも私は矛盾をしていると思うんですね。別に、もっとこの金額を増やせとか支給日数を増やせと言っているんじゃないんです。働けなかった時間だけは時計を止めるべきだと、そして新しい出発を支援をするべきだという、こういう制度は私は絶対必要だと思うんです。
 是非これはしっかり検討いただきたいし、最後、大臣、やはりこういう受刑者の社会復帰というのは、法務省だけでできることは限られていると思います。この犯罪に強い社会の実現のための行動計画、改めて見ましたけれども、この中、三十六ページありますけれども、一行だけ、薬物事犯者、精神障害者、生活困窮者の処遇に関し、医療機関、福祉機関と連携を強化すると、こうあるだけなんですね。
 今、この就労支援というものの重要性というのは非常に浮き彫りになっている中で、更に他省庁にも働き掛けるなど大臣としてのイニシアチブを発揮していただきたいと思うんですけれども、その点の決意をお伺いして、質問を終わります。
#145
○国務大臣(南野知惠子君) 刑を終えて出ていかれる方、本当にこれからの自分の再人生をスタートされる方でございますし、いろいろな環境を整えてあげなきゃいけないという問題点も発生してくるだろうと思っております。これから先の検討、いろいろとしていきたいというふうに思っております。
 よその省庁にも働き掛けてということでございます。特に、雇用の問題につきましては、それもお話はさせていただこうと思っております。
#146
○井上哲士君 終わります。
#147
○委員長(渡辺孝男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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