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2005/06/14 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第23号
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2005/06/14 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第23号

#1
第162回国会 法務委員会 第23号
平成十七年六月十四日(火曜日)
   午後二時三十七分開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十日
    辞任         補欠選任
     秋元  司君     尾辻 秀久君
     峰崎 直樹君     松岡  徹君
 六月十三日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     富岡由紀夫君
     前川 清成君     家西  悟君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     家西  悟君     前川 清成君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                富岡由紀夫君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局審議官     振角 秀行君
       金融庁総務企画
       局審議官     鈴木 勝康君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
       財務大臣官房審
       議官       佐々木豊成君
       経済産業大臣官
       房審議官     寺坂 信昭君
       経済産業大臣官
       房審議官     舟木  隆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○会社法案(内閣提出、衆議院送付)
○会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、峰崎直樹君及び秋元司君が委員を辞任され、その補欠として松岡徹君及び尾辻秀久君が選任されました。
 また、昨十三日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として富岡由紀夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局審議官振角秀行君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君、法務省民事局長寺田逸郎君、財務大臣官房審議官佐々木豊成君、経済産業大臣官房審議官寺坂信昭君及び経済産業大臣官房審議官舟木隆君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(渡辺孝男君) 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○前川清成君 民主党の前川清成でございます。
 今日はクールビズということで、ジャスコで買ったシャツとユニクロのズボンでございます。
 大臣、今急いでいらっしゃってお暑いかと思うんですけれども、大臣はクールビズはなさらないんですか。
#7
○国務大臣(南野知惠子君) 中がクールでございます。
#8
○前川清成君 それで、会社法の質問に入りたいんですが、六月十日の日経新聞に日本の富豪初番付というような記事がありました。この記事を見ますと、日本のお金持ちの一位から五位までのうち実は三人がサラ金の社長なんですけれども、これについて、大臣、どのようにお感じになりますでしょうか。
#9
○国務大臣(南野知惠子君) サラ金の社長をどう思うかと問われましても、これは、そのサラ金の方が一般の方とどのようなかかわり合いを持っておられるのかなというようなことが少しは気になりますけれども。
 以上でございます。
#10
○前川清成君 私は、今の質問は、大臣の日本の法制度全体に対する御認識の一端をお伺いしたいと思ってお尋ねをいたしました。
 といいますのも、私が子供のころ、お金持ちといいますと、例えば松下幸之助さんとか本田宗一郎さんとか、社会に有用なものをつくり出して、運とそして健康に恵まれた方がお金持ちになられると。だから、親は子供に対して、大きくなったら松下幸之助さんのようになりなさいと、こういうふうに言いましたし、またそういう伝記も読みました。今は、普通の親が大きくなったら子供にサラ金の社長になれというふうには言えませんし、あるいはサラ金の社長の伝記を読む者もいないと思うんです。私は、少し日本の社会から公正さが失われていると、その公正さが失われている一端は利息制限法を始めとする日本の法制度にあるのではないかなと、こういうふうに思って大臣にまずお尋ねしたんですが、大臣の御見解は特に何もないということで進めさせていただきます。
 それで、この記事の中に、この日経新聞の記事の中に、資産については保有株式の時価から算出したとあります。株式未公開の場合は公開したとして推計した、こういうふうに書かれています。ここの日経新聞にある公開という日本語、あるいは今日の日経新聞の第一面でも「誰のための株式公開か」という記事が出て、見出しが出ています。ここで言う公開という日本語は、先日、木曜日でしたか、大臣がこの委員会でお答えいただいた、株式の譲渡制限を設けていないことではないと思います。
 そこで、大臣があえて今回の会社法案で通常の日本語の使い方とは異なって公開という言葉をお使いになる真意といいますか目的、その辺をお伺いしたいと思います。
#11
○国務大臣(南野知惠子君) 公開会社という言葉は、これは上場会社という意味に用いられることが多くありまして、議員の御引用されました新聞記事についてもそのような意味に用いられているのではないかと推測いたしておりますが、通常用いられている公開会社の意味と会社法案における公開会社の定義とは異なるものであると考えております。
 会社法案における公開会社の定義につきましては、発行株式について譲渡の制限が設けられていない株式会社を表すためにどのような用語がふさわしいか、これを検討した結果、公開会社とするのが最も分かりやすいという判断からそのような定義を置いたものであろうかというふうに思っております。
#12
○前川清成君 大臣、私が今お尋ね申し上げましたのは、最もふさわしい日本語が公開ですかという質問なんです。公開ですとお答えいただいたら、それは問いに対して問いを答えていただくのと同じで、なぜたくさんある日本語の中から、例えば株式の譲渡制限について、譲渡制限会社だとか非譲渡制限会社、いろんな日本語がある中であえて公開という言葉を使われた理由があるんだったらお聞きしたい、そういう質問なんです。
#13
○国務大臣(南野知惠子君) 特に私が理由を申し上げるまでもなく、これは業界の方々が一番最適であると考えてお付けになられた公開という意味だと思います。
#14
○前川清成君 大臣自身も議論がかみ合っていないことは御認識いただけると思うんです。業界の方は公開という言葉を上場という意味でお使いになっている。ところが、法律であえて違う意味を使ってしまうと、公開という意味を通常使われている日本語とは違う意味に使ってしまうと、今度の会社法の提案理由として、平易な日本語、会社法案を平易にするんだと、現代語の、会社法案の提案理由の四行目、分かりやすく現代語、ごめんなさい、会社法案の提案理由の三行目、現代用語の表記にし分かりやすくすると、その意図とは乖離してしまうんではないかという点で今のお尋ねをいたしました。
 次に、現在の商法の二百三十三条で株主総会の招集場所について、総会は定款に別段の定めある場合を除くほか本店の所在地又はこれに隣接する地においてこれを招集することを要すと、こうありますが、この条文自体は今回削除されています。この条文自体はありません。会社法案の二百九十八条の一項の一号で、取締役は株主総会の日時及び場所を定めなければならないと、こういうふうにだけ規定がございます。
 そこでお尋ねするんですが、例えば会社によって株主が住んでおられる場所に一定の特徴があろうかと思います。JR西日本の株主はやっぱりJR西日本の線路のある関西地方に多いと思います。例えば、調べたわけじゃありませんが、西鉄の株主さんは福岡に多いと思います。
 大臣、例えばですけれども、例えばですけれども、JRの西日本の経営陣が、今回の事故について株主総会でいろいろ質問されるのが嫌だなと、株主が来ないように札幌で株主総会を開こうと、こういうふうに決定したとしても、会社法案上は許されるということでよろしいでしょうか。
#15
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案におきましては、株主が招集地の制限を設けたいと思った場合には定款で招集地を制限することができますから、そのような定款の定めがある場合には株主総会の開催地はその定めに従うことになるという意味で限定されることになりますが、そのような定款の定めがない場合であっても、株主が出席しにくい土地又は嫌な土地、そういうものも併せながら、どのように集合地を決めていくかということは、ここで定款の定めがない場合であっても、株主が出席しにくい招集地、殊更選定した場合には、招集手続が著しく不公正な場合として総会決議の取消し事由となり得るということでございます。
#16
○前川清成君 今大臣がおっしゃいました著しく不公正というそのお言葉は、会社法案の、何条でしたっけ、八百三十一条、八百三十一条の一項一号にある、株主総会の招集手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき、これに当たるので、株主総会の取消し事由、取消し訴訟を提起できると、こういうお答えですね。
 そこでお尋ねしたいんですが、それじゃ、例えばJR西日本の定款がないとして、定款に特段の定めがないことを前提にして、例えばJR西日本、本店が大阪にあります、札幌で株主総会を開くことは許されるんですか。あるいは、極端な例として、ケープタウンで開くことは許されるんですか。どこまでの範囲が、どこからが著しく不公正で、どこまでが会社の取締役に任された範囲なのか、お答えいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(南野知惠子君) どのような場所を招集地として選ぶか、又は株主が出席しにくい招集地を殊更選んだことになるかについては、これは個々の会社により異なるものでありますので、一概に言うことはできないと考えております。
#18
○前川清成君 大臣、本店が大阪にある会社で例えば北海道で株主総会を開くとなると普通は株主は出席しづらいですが、大臣が今あえて殊更という日本語をお使いになりましたので、今私が申し上げたような趣旨ではなく、何らかの限定を加える、そういう御答弁かと思います。
 そこでお伺いしたいんですが、例えば大臣がどこかの会社の社長におなりになったとき、私がどこかの会社の社長になったとき、どこかで株主総会を毎年開かなあかんわけですけれども、今のような御答弁であれば、どこで開いたら許されて、どこで開いたら許されないかが分からない。そうなると困りますよね、会社の経営者の皆さんは。
 これまでは、これまでは二百三十三条で、本店の所在地又は隣接する土地ということで一定の基準が与えられていました。この基準に従って株主総会を開いたら、後になって株主総会が取り消されるおそれはありませんでした。ところが、今回、商法の、現行商法の二百三十三条が削除された。大臣がお答えになるように、著しく不公正などというのは言葉では説明できませんと、こうおっしゃってしまわれると、全国にある上場会社の社長さん、上場会社に限りません、全国に何万とある株式会社の社長さんは、一体どこで株主総会を開いたらいいのか、非常にお困りになると思うんです。それでは分かりやすい会社法という理念に反してしまいますので、一定の基準をお示しいただくことが絶対に必要かと思いますが、いかがでしょうか。
#19
○国務大臣(南野知惠子君) 株主の定款の中でお決めになられればいいと思います。
#20
○前川清成君 定款に定めのない場合はどうなるんですか。
#21
○国務大臣(南野知惠子君) 定めたらよろしいんじゃないですか。
#22
○前川清成君 定めていない場合。
#23
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、前川委員の御指摘ももちろん分からないことではないわけでございます。ただ、もう常識的には、現在の本店の所在地あるいはそれを隣接する地というのが基本的に許されているわけでございますから、もし非常に安全にいきたいということであれば、それは現行法と同様のところが取られることになるかと思われます。
 しかし、会社によってはそれ以外の合理的な理由があってその他の地を選びたいというところもあるわけでありまして、それぞれその合理的な理由というのが分かりやすければそれでよろしいわけであります。
 今回は、様々御意見を中小企業の方、大企業の方に伺った中で、やはりこの開催地は自由化してほしいという御意向が非常に強かったものですからこのようにいたしたわけでありまして、このことが非常に当事者にとって混乱を招くということはない、非常に保守的にいくか、あるいは合理的な理由を追求してその地を選ばれるかは、それぞれの会社の御意向によるということになろうかと思います。
#24
○前川清成君 今局長の御答弁の中で、中小企業を中心にして株主総会の開催地を自由にしてほしいという意見があったというふうにおっしゃいましたけれども、それはどのような理由、原因に基づいてそのような意見があったんでしょうか。
#25
○政府参考人(寺田逸郎君) 地域によりましては、私どもが承知している範囲では、株主総会の場所を選ぶのが大変に大変だということがございます。もし、その株主の多数の出席を得ようといたしますと、それなりのホテルあるいは会場というのを確保しなきゃならないわけでございますが、それは都市によっては必ずしも容易ではない。もう少し分かりやすく言ってしまえば、関東近郊の都市でやっても、東京の方が株主総会やりやすいということもあるわけでございます。そういうような場所を選びやすいというところがまず一つございます。
 もう一つは、中小企業の中でごく、むしろ株主総会に出席すべき株主というのは限られていると、それなら何も本社で一々やることはないのであって、その人たちが集まりやすい場所でやらせてほしいという御意向もまた別におありになると。このような、まあそれぞれの会社の規模によってそれをお選びになる理由は違いますけれども、それなりの合理的な理由というのをそれぞれ追求されているわけでございます。
#26
○前川清成君 この問題について最後にお伺いしたいんですが、寺田局長で結構ですが、八百三十一条で言う「著しく不公正なとき。」とはどのような場合を指すのか、定義をお答えください。
#27
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、この株主総会の開催地に限ってみましても、これを規定できれば元々そういうように法律に規定してしまうわけでございますので、完全に規定し切ることができない。まあ、いろいろバリエーションがあって、事実によってそれが不公正に当たる、当たらないというのはむしろ裁判所でお決めいただく必要があると、そういうことでこのような「不公正な」というような非常に抽象的な、かつ幅広い範囲でそれが該当する可能性があるような用語を選んでいるわけでございます。
 そのことによるマイナスはもちろんあるわけでございますけれども……
#28
○前川清成君 もういいです。
#29
○政府参考人(寺田逸郎君) ここはこういう規定の仕方をあえて選んでいるわけでございます。
#30
○前川清成君 会社法案の二百九十八条の一項五号に、前号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項とありますが、この法務省令で定める事項が何かをお尋ねするのではありません。なぜ一項五号で「法務省令で定める事項」として法務省令に委任しているのか、その理由を大臣にお伺いしたいと思います。
#31
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案第二百九十八条第一項第五号によりまして法務省令に委任されている事項は、株主総会を招集する場合において招集者が決めなければならない事項のうちの一部であると。その具体的な内容は、国会における会社法案の……
#32
○前川清成君 内容は聞いていない。
#33
○国務大臣(南野知惠子君) はい。
#34
○前川清成君 今、内容は聞いていないですよ、大臣。
 大臣、僕、今あえて断って、内容はお聞きしませんと。なぜ法務省令に委任するんですか、委任する理由をお答えくださいと言っているんです。そこをお答えください。これ、通告していますよ。(発言する者あり)
#35
○国務大臣(南野知惠子君) これは技術的なことでございますので、事務方で答えさせていただきたいと思います。
#36
○前川清成君 いや、僕は技術的なことは聞いていないんですよ。いや、僕は技術的なことを聞いていません。なぜ法務省令に委任するんですかという根本的なところをお聞きしている。
#37
○国務大臣(南野知惠子君) この問題点は実務上の要請に基づく技術的なことでありますので、そういう技術的な事項としてその具体的な要件が省令に委任されているわけであります。
#38
○前川清成君 大臣、今のお答えは明らかに矛盾していますよね。五号は何も掲げていないんですよ。何も掲げていないのに、どうして技術的なことだって言えるんですか。
#39
○政府参考人(寺田逸郎君) 株主総会を開催する場合に、どのような事項を定めて事前に株主に知らせなきゃならないかということは、これはそれぞれ非常に多様にわたるわけでございます。基本的なことはここで一号から四号で決めているわけでございますけれども、なおそれで必ずしも十分でないことも会社によってはあるわけでございますので、そういうことを法務省令で更に付け加えて示すわけでございますので省令で定めると、こういう格好を取っているわけでございます。
#40
○前川清成君 寺田さんは頭のいい方だから、今あえて論点をぼかされたと思います。
 多様にわたることを、多様にわたることを法務省令で定めるなんかできないでしょう。ここに、二百九十八条の一項に掲げた事項を事前に通知していなかったら株主総会の決議取消事由になるんですよ。明確に決めておく必要があるでしょう。明確に決めておく必要があることを、どうして法務省令に委任するんですかと。株主総会の取消しになるかならないかという大変重要なことだから、四項に続いて、四号に続いて列挙すれば足りるんじゃないですかという質問ですけれども、大臣、いかがですか。
#41
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、ここで決めなければいけないわけであります。そうしないとこれは法律違反になってしまうわけでございますが、その決めるべき事項というのは非常にその、例えば技術の発達によって、時代時代によって変わることがあるわけでございますので、機動的に対応しなきゃならない事項もあるわけでございます。例えば、例を挙げて申し上げると分かる……
#42
○前川清成君 もういいです。いいです、時間がないから。
#43
○政府参考人(寺田逸郎君) そういうわけで、あえて省令で決めているわけでございます。
#44
○前川清成君 三百二十九条の二項についてお伺いします。
 ここも「法務省令で定めるところにより、」という条文がありますが、これも事前に通告していますが、この法務省令で定めるところにという文言は入れる必要はなく、ただ、役員が欠けた場合に備えて補欠の役員を選任することができると、それだけ決めておけば十分ではないでしょうか、大臣。
#45
○国務大臣(南野知惠子君) おっしゃられたのは第三百二十九条の二項でございますね。
 この問題点につきましては、細目的な事項でありますので、これは省令に委任しているということでございます。
#46
○前川清成君 大臣、これ、どの点が細目的なんですか。
#47
○政府参考人(寺田逸郎君) これはもう申し上げるまでもないかもしれませんが、現行法には何ら規定がないところでございます。それで、その規定を設けるに当たりまして、法律上はおっしゃるとおり補欠の役員の選任が可能であって、その選任手続として株主総会の決議が必要であるということを書いてございますが、それだけでは必ずしも十分でないような事項がございます。例えば、選任の効力というのは一体いつまでになるのだろうかということを理解していただかなきゃならないわけでございますので、そのような細かいことにつきまして更に付け加えて省令で定めて、これを守っていただきたいということにする予定でございます。
#48
○前川清成君 大臣、今は法務大臣でいらっしゃいますが、法務大臣であると同時に国会議員でいらっしゃいますので、是非その点肝に銘じてお考えいただきたいんです。今、国会が本来決めるべきことを何から何まで法務省令で定めるという形式になっているので私はいろいろお尋ねしているわけです。その点、是非御留意いただきたいと思うんですが。
 これは、寺田局長、あるかないかで結構です。現行の二百三十七条ノ三に相当する条文は今度あるのかどうか。通告していますよ。あるかないかでいいです。
#49
○政府参考人(寺田逸郎君) 二百三十七条ノ三に相当するものはございます。
#50
○前川清成君 三の二。
#51
○政府参考人(寺田逸郎君) 三の第二。
#52
○前川清成君 二百三十七条ノ三の第二項。
#53
○政府参考人(寺田逸郎君) 第二項に相当するものはございません。
#54
○前川清成君 これ、昨日、質問取りに事前に法務省もいらっしゃいまして、あしたこういう質問するので調べておいてくださいとなっています。
 で、二百三十七条ノ三の二項というのは、株主総会で突然質問されても答えられないこともありますよ、だから調査を要することについては相当の期間前に書面で通知しておいてくださいね、その場合は調査してないということを理由に回答を拒むことはできませんと、そういう条文であります。これは国会でもやっているとおり、現実の株主総会でも、重要な規定であるし、これから、例えば株主の方が株主総会でいきなり質問しても、社長さん、調べてないこと、細かなことだったら答えようありませんから、二百三十七条ノ三の第二項に相当する条文は必要だと思うんですが、どうしてないのか、大臣、お答えください。
#55
○国務大臣(南野知惠子君) 現行商法の二百三十七条ノ三の二の、これですね、二項は、株主が相当の期間前に書面によって株式総会において説明を求める事項を通知したときには、取締役等は調査を要することを理由として説明を拒むことができない旨を定めていると。この規定は、商法二百三十七条ノ三第一項ただし書において、正当な事由がある場合には取締役が株主の求めた事項について説明を要しないこととし、その正当な理由の例示として調査を要するときを決めていることを受けて、その例示に関する解釈について定めているものであると。
 会社法案では、三百十四条に取締役等の株主総会における説明義務についての規定を設け、同条ただし書において説明を拒絶できる場合を規定しておりますけれども、調査を要する場合を定めて、説明を拒絶できる正当な事由がある場合について法務省令の定めに委任しておりますので、法律のレベルにおいて、調査を要する場合の解釈規定である現行商法二百三十七条ノ三第二項に相当する文言は規定しておりませんと。
 なお、この条項の内容、すなわち書面や電磁的方法などによって説明を求める事項を事前に会社に通告、通知した場合には、その内容が調査を要するものであっても説明を拒絶できないということは法務省令で規定する予定であります。
 確かに現行商法は説明を拒絶できる場合の事例として調査を要する場合を掲げておりますが、株主からの質問に対して説明をする場合において調査を要しないということ自体は通常考えられない、そして現行商法二百三十七条ノ三の二項と併せて文字どおり解すると、相当の期間前に書面等で通知をしない株主からの質問事項については調査を要することを理由にすべて説明を拒絶できることにもなりかねず、単に調査を要する場合を例示として挙げるのは適当ではありませんと。そこで、会社法案では、このような不適当な解釈がされることがないよう調査を要する場合を例示から削るとともに、取締役等が正当な理由という抽象的な事由を理由として不当に説明を拒絶することがないように法務省令において拒絶できる理由を具体的に明確化することとしております。
#56
○前川清成君 ちょっと大臣、今のお答えが長かったんで僕も十分理解できなかったんですが、調査を要するから事前に通告しておかないと、調査を要するから事前に通告しておかないと答えられないと代表取締役が回答すること、株主総会において回答することがどの点で不適当なんですか。だって、この国会でも事前に通告しておかないとお答えいただけないでしょう。
#57
○国務大臣(南野知惠子君) そうです。
#58
○前川清成君 ね、じゃ同じことだと思うんですが、どこが株主総会においては不適当なんですか。
#59
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、株主総会というのは年に通常の場合ですと一回しか開かれないわけであります。その場合に、ある質問に対しまして、それは調査を要するということで、ことごとくそれが回答を拒絶できる正当事由だということになりますと甚だ不適当であろうということで、もう少しきめの細かい決め方をしなきゃならないんじゃないかというのが私どもの基本的な考え方でございまして、それで、この正当事由の中に、どういう場合であればもう少し調査を要するということで拒絶できるかということを、現在のスキームよりはもう少し場合を分かって規定しようと、これが基本的なねらいでございます。
#60
○前川清成君 どのように場合を分けて規定するんですか。
#61
○政府参考人(寺田逸郎君) それは今後いろいろな御意見もちょうだいして省令で決めようということでございますけれども、基本的には、ただ調査を要するということのみで正当事由には当たらない、調査を要する場合のいろいろな態様というものをもう少し考えて規定したいと、このように考えております。
#62
○前川清成君 局長の今の答えは、三百十四条、会社法案三百十四条に言う法務省令で定める事項についてはいまだ決定していません、これから調べて決めますと、こういうことですか。
#63
○政府参考人(寺田逸郎君) もちろん、いまだ決定しておりませんで、これは、今後たたき台というものを作りましてパブリックコメントにかけ、これに関係される方を含めて社会的な御意見を伺った上で決めると、こういうつもりでおります。
#64
○前川清成君 そうしたら、内容はまだ決まっていませんけど法務省にすべて任せてくださいという内容で国会に賛成しろと、こうおっしゃっているんですね。
#65
○政府参考人(寺田逸郎君) 今も申し上げたとおり、この点については、従前、調査を要するということで拒絶できるということでございますから、そういう場合が全くなくなってしまうということでないことは今御説明をしたとおりでございますが、調査を要するということのみで全部拒絶の正当事由に当たってしまうという、むしろ株主にとっては不利な状況というのを避けたいというのが私どもの気持ちでございます。
 したがいまして、全部任せろと言うつもりはございませんで、様々御意見をこの国会の御審議の中でもいただいているわけでございますので、そういうものも前提にした上で案を作り、パブリックコメントにかけてそれで決定をしたいと、このように考えているところでございます。
#66
○前川清成君 与党の先生方も、この点どうお感じになられます。法律の内容は、法律の内容はまだ決まっていませんと、ここからは役所が決めますと、でもともかく法案に賛成してくださいという内容なんです。私は、これはちょっと立法府、唯一の立法機関である国会の趣旨にそぐわないんじゃないかなと、このように思います。
 三百十四条は、会社法案三百十四条は現行二百三十七条ノ三、一項と、それでは趣旨は異なっているんですね。
#67
○政府参考人(寺田逸郎君) 私どもの考え方としては、本質的な趣旨は異なっておりません。しかしながら、規定の仕方というものをもう少し工夫したいということでございます。
#68
○前川清成君 現行二百三十七条ノ三は三百十四条と異なっていませんという寺田局長のお答えでしたけれども、大臣、そのとおりで結構ですね。
#69
○国務大臣(南野知惠子君) 基本的には同じと思います。
#70
○前川清成君 これ、法務省の寺田さんは十分分かってお答えになっていると思いますけれども、基本的に違いますよね。現行の二百三十七条ノ三の一項は、その他正当の事由あるときはこの限りにあらずと、こう決めています。だから、正当事由があるかどうかを最終的に決定するのは裁判所ですよね。で、三百十四条は、「その他正当な理由がある場合として法務省令で定める場合」と決めている。裁判所が、この場合には説明できなくても仕方がない、当然だと思っても、法務省令に列挙していなかったらそれは違法な説明義務違反になってしまう。
 最終判断権者が裁判所から法務省に移っているという点で根本的な違いがあるんじゃないんですか、大臣。
#71
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案の三百十四条に関しましては、実質的な改正をしているかどうかにつきましては、法務省令に委任した趣旨が、取締役等が正当な理由という抽象的な事由を理由として不当に説明を拒絶することがないようにすることにあるのですから、少なくとも現行法の実質は維持しておりますし、これに加えて株主の権利をより保護する方向での概念の明確化を図ろうとしているものと言うことができるというふうに思っております。
#72
○前川清成君 違うんですよ、大臣。お答えしているの、論点が違うんです。最終判断が裁判所から法務省に移っているんです。
 大臣が就任以来繰り返し繰り返し強調されている司法改革というのは、役人による事前規制型の社会を改めましょうと、事後チェック型の社会をつくっていきましょうと、こういうことなんですね。今この会社法で行われているのは、事後チェック型、裁判所による最終判断、事後チェック型だった二百三十七条ノ三が「法務省令で定める」となって、事前規制、役人に丸投げに根本的に変わっているんです。そこの方針、立法のやり方が間違っているんじゃないですかと、司法改革と日ごろおっしゃっている大臣の姿勢と矛盾しているんじゃないですかという質問です。いかがですか。
#73
○国務大臣(南野知惠子君) 内容を見てみますと、先生がお比べになられた分についてはそれほどの差異というものはないというふうに思っております。
#74
○前川清成君 いや、それ答えてくださいよ。そんな、質問続けられないですよ、このままじゃ。
#75
○政府参考人(寺田逸郎君) 二つ申し上げたいと思います。
 一つは、おっしゃるとおり、これは最終的にはもちろん裁判所でお決めになる際の一つの根拠となる条文であることは確かでございますけども、例えば損害賠償というような最終的にその……
#76
○前川清成君 聞かれていないことはいいですと。損害賠償なんて聞いていないじゃないですか。
#77
○政府参考人(寺田逸郎君) 最終的に裁判所で典型的に判断されるということ以前に、この規定というのは、株主総会のその場で判断されるということの規定の重要度というのが非常に高いわけであります。つまり、どちらかというと、正に会社の関係者にこそこの規定の名あて人という意味での性格が強いわけでございますので、できるだけはっきり、単に正当事由というだけでなくて、かみ砕いて分かりやすくした方がいいという判断が一つございます。
 もう一つ。ただし、もちろんその場合に、最終的に裁判所がこのような一般条項でもってこの規定の解釈をすることを許さないということは私どもも立法政策上は適当でないと思いますので、省令の中の一項目といたしまして、もちろん最後、包括的に抽象的な規定を置くつもりでおります。
#78
○前川清成君 寺田さんのおっしゃっていることも矛盾しているじゃないですか。三十分ほど前に、私は、株主総会どこでやりますかとお尋ねしました。その関係で、八百三十一条の一項一号の「著しく不公正なとき。」というのはどういう場所ですかと、そうでないと株式会社の社長さん皆お困りになりますよとお尋ねしました。一義的な条文を置くべきでないですかとお尋ねしました。それに対して寺田さんは、そんなことは決めれませんと、裁判所で最終的に決めてもらうんですと、そうおっしゃった。三十分たって、今度は、一義的に決めておかないと困るから法務省で決めるんですと。矛盾しているじゃないですか、おっしゃっていることが、三十分後には。
#79
○政府参考人(寺田逸郎君) 確かに両方とも株主総会の際に決まればいい事項でありまして、明確性は高ければ高いほどいいことは確かでございます。
 しかし、株主総会の場所というのは、基本的にはどこで開催するかということにそれほど当事者の方で悩むバリエーションがあるわけではありません。ある範囲の中で、一体Aがいいのか、Bがいいのか、Cがいいのかということを事前に悩まれる度合いは少ないだろうと。むしろ、当事者が合理性を十分認識されて株主総会の場所をお選びになるんですから、当事者の第一義的な判断権というのを尊重してもいいんではないかというのが私どもの考え方でありますし、また当事者の御要望でもあったわけでございます。
 そういうわけで、こういう言わば株主の保護のための規定とそのような株主総会の場所における非常に例外的な効力を否定する場合の規定というのは分けて考えてよろしいんではないかというのが私どもの考え方でございます。
#80
○前川清成君 三百三十九条の二項、役員の解任について、「正当な理由がある場合」と書いてあります。正当な理由として法務省令が定める場合とは書いていません。ここではどうして法務省令は出てこないんですか。
#81
○国務大臣(南野知惠子君) この会社法案の三百三十九条の二項、これは、取締役等が任期の途中で解任された場合には、原則としてこれによって生じた損害賠償を請求することができるものの、正当な理由がある場合には請求することができない旨を規定しておりますと。この条項は、株主に取締役等の解任の自由を保障する一方、取締役の任期に対する期待を保護し、両者の利益の調和を図ろうとする趣旨の規定であります。
 そして、ここで言う正当な理由というのは、一般に取締役等の職務の遂行上、法令や定款に違反する行為があること、取締役等に心身の故障があること、取締役としての……
#82
○前川清成君 大臣、そんなこと聞いていません。そんなこと聞いていません。聞いていません。ちょっと違うんです。
#83
○国務大臣(南野知惠子君) よろしいですか。はい。
#84
○前川清成君 あのね、大臣、僕、一番最初に、大臣も国会議員でいらっしゃるから、こういう趣旨ですよと、これは野党、民主党にかかわらなく、与党の皆さんにも関係あるんですよと、出題の意図も明示した上でお聞きしているんです。二百三十九条二項の意味を答えてくださいと言っているんじゃないんです。あっちこっちで法務省令で定めるとき、法務省令で定めるときとさんざん出てくるのに、どうして三百三十九条の二項は出てこないんですかという質問です。
 次に、寺田さん、三百八条の一項のただし書、ここで議決権が行使できない場合が書いていますが、この三百八条一項の括弧書きの規定も、子会社に関する二条三号の寺田さんの前回の御答弁に従えば、議決権の四分の一以上を有する云々かんぬんはこれは全くの例示ですよと、結局は経営を実質的に支配することが可能な関係があるかどうか法務省令で決めますと、こういう意味で解釈することになるわけですね。はいかいいえで結構です。
#85
○政府参考人(寺田逸郎君) はいでもいいえでもございませんで、前回も申し上げたとおり、あくまで例示でございますけれども、しかしそこに示された例示というのは基本的な考え方を示す例示になるわけであります。したがいまして、それが柱になるわけでありますけれども、そこから更に若干の付け加えあるいは若干の除外というのがあると、こういうのが、こういう、その際に省令で定めることの非常に大きな機能的な意味であります。
#86
○前川清成君 この会社法案全体で何か所、政令あるいは法務省令で委任しているのか、数をお答えください。
#87
○国務大臣(南野知惠子君) これは、会社における政令、政省令の委任事項の数でございますが、政令委任事項は二十一、省令委任事項は約三百であります。
#88
○前川清成君 約三百というのは、三百より多いんですか、少ないんですか。
#89
○国務大臣(南野知惠子君) 二百九十八でございます。
#90
○前川清成君 どのような場合に、例えば三百十四条のように法務省令に委任すると書いてあって、どのような場合は三百三十九条二項のように法律ですべて定めているのか、お答えください、場合分けを。場合分けの基準を。
#91
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案におきましては、技術的、細目的事項であって法律レベルで規定することが必ずしも適当とは言えない事項について省令に委任しております、政省令に委任しております。例えば株主総会の招集通告を電磁的方法……
#92
○前川清成君 大臣、もう結構です。はい。
#93
○国務大臣(南野知惠子君) いいですか。はい。
#94
○前川清成君 それでは、技術的、細目的事項というのはどういう事項を指すのか、お答えください。
#95
○国務大臣(南野知惠子君) 例えば、株式会社の招集通知を電磁的、株主総会の招集通知を電磁的方法によって行うことについて、株主の承諾を得る方法については技術的事項にわたるということで政令に委任しております。
#96
○前川清成君 いや、大臣、私がお聞きしているのは、技術的、細目的事項というのはどういう事項ですかと、それをお答えいただかないとどんな場合が技術的、細目的事項なのか判断することができませんので、技術的、細目的事項とは何か、お答えください。
#97
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、定義を申し上げますと大変困難なことになるわけでございますけれども、基本的な権利義務の設定、罰則の付加も含めまして、そういうことはこの技術的、細目的事項ではあり得ないわけであります。むしろ、どちらかといいますとその時々の情勢によって変わり得る機動的な規定の仕方が必要なというのが正にこの技術的、細目的事項の特徴となるわけでございます。
#98
○前川清成君 ちょっと寺田局長の御答弁がよく分からなかったんですが、今のお答えは、技術的、細目的事項の定義は答えられない、ただし罰則を定めるようなことは技術的、細目的な事項じゃないと、こういうお答えですか。もう一度はっきり。
#99
○政府参考人(寺田逸郎君) 私は否定的な概念で今申し上げたわけでありますけれども、つまり何が細目的、技術的事項でないかというと、基本的にその規定自体によって罰則を定めることを含めて、権利義務の設定がされるということ、これは技術的、細目的事項ではあり得ないということを申し上げたわけであります。むしろ、機動的な対応が、基本的なことが決まっていた上で決めなきゃいけない事項を技術的、細目的事項と理解をいたしております。
#100
○前川清成君 会社法案の三百四十八条三項四号、ここにおいて取締役の職務を書いています。次の事項については、各取締役に委任することができませんと、こうなっています。四号は、取締役の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備を取締役の職務にしています。法務省令で定める体制の整備が取締役の仕事になります。
 で、会社法案の九百六十条の一項三号、取締役が自己又は第三者の利益を図り又は会社に損害を与える目的でその任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を与えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処すると、まさしく罰則を決めています。
 例えば、ある取締役が会社に損害を与える目的で法務省令に定める体制の整備を行ったとき、いや、怠ったとき、行ったじゃなくて怠ったとき、これは会社法案九百六十条によって十年以下の懲役に処せられてしまう。すると、罰則に関しても、罰則の内容、構成要件についても実は法務省令で決めることになっているんです、この会社法。いかがですか、大臣。
#101
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案の第九百六十条一項は刑法二百四十七条の背任罪の特別規定でございまして、取締役等の役員等が株式会社との信任関係に違背し又は株式会社に財産上の損害を加える行為について刑法上の背任罪よりも重く処罰する趣旨の規定でありまして、この条項で言う任務に背く行為とは事務処理における会社との信任関係に違背する行為を意味しておりますので、今先生がおっしゃったような罰則が付いているという。
#102
○前川清成君 その最後のは何ですか。罰則が、罰則が。
#103
○国務大臣(南野知惠子君) 罰則、先生、今お金おっしゃいましたね、十年以下の懲役若しくはとおっしゃった、そういうものでございます。
#104
○前川清成君 罰則が科せられるんですか、科せられないんですか。どっちですか。
#105
○国務大臣(南野知惠子君) 背任行為をし、当該株式会社に財産上の損害を与えたときは、十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとあります。
#106
○前川清成君 大臣、そのお答えいただいたことは僕も十分分かっていて、その上でお聞きしているんです。大臣今おっしゃったとおり、刑法の特別罪として九百六十条があるわけですよ、大臣。で、それは、大臣がお答えになったとおり、取締役の方が、取締役の方が、大臣、会社との信頼関係に背いて、本来やるべき仕事をやらなくて会社に損害を与えたとき、それは特別背任になりますよというのが九百六十条の条文なんです。
 そこはよく分かっているんですが、三百四十八条の三項四号で、ほかにもあるんですけど、役員、取締役のやる仕事の中身を法務省令で決めているんですよ、法務省令で。すると、その法務省令に定められたことをやらなかったら、大臣おっしゃるように、懲役に処せられるわけです。だから、今、寺田さんは罰則については法務省令で決めていませんと、罰則にかかわるようなことは法務省令では決めていませんとおっしゃるけれども、おっしゃるけれども、正に罰則自体を、こんなことをしたら刑務所へ行かなあきませんよという罰則自体を法務省令で決めているのが三百四十八条の三項四号なんです。ここまでいくと、何が何でもやり過ぎじゃないですかと。国会は法律を決めるというのは、これは中学校で習うことですけれども、それが今守られていないんじゃないんですか、大臣。
#107
○委員長(渡辺孝男君) 寺田民事局長。
#108
○前川清成君 いや、大臣です、こんなこと。こんな大事なことは大臣に、答えてください。
#109
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案の九百六十条におきましては、取締役等が自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的でその任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは十年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰則に処し、又はこれを併科すると、先ほど読んだとおりでございますが、罰則の全部又は一部が省令に委任されているわけではなく、また背任罪における任務懈怠責任の内容につきましては明治以降多数の判例の集積がございまして、その内容の明確性についても問題がないものと考えますので、罪刑法定主義に反するものではないと考えております。罪刑法定主義の、ではない。
#110
○前川清成君 委員長、僕の質問したことに答えてもらってください。そんな明治以来のことなんか聞いていませんから。
#111
○国務大臣(南野知惠子君) はい。でも、読ませてください。
#112
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほど私が申し上げましたことは、罰則にかかわることを決めてはならないということではなくて、罰則それ自体の根拠というものを示す規定というのは省令で委任されているという、そういう状況をつくり出してはならないと言っているわけであります。つまり、法律で全く罰則についての規定はなく、委任を受けたとするその省令でこれこれはこれこれに罰するというようなことは、これは許されないわけであります。
 しかし、ここでは、大臣も今申し上げたとおり、基本的なことを法律で決めている。その基本的なことというのは、正に罰則はこういう場合にこういう付加をするということであります。そういう場合のうちのある一か所が、会社にとってこういうことを取締役はしなきゃいけないということを決めているわけでありまして、そういう例は現行法でも、例えば違法配当を始め幾つかあるわけでありまして、そのこと自体が罪刑法定主義に反するということはないというように私どもは理解をいたしております。
#113
○前川清成君 そんな話をするために今まで三十分もわんわんやってきたんじゃないでしょう、寺田さん。寺田さんに言っていただかなくても僕も知っていますよ。刑罰を法務省令で定めたらあかんって、そんなの憲法に書いていることじゃないですか。そんなことを聞いているんじゃなくて、何が、どこからどこまでは法律で決めるんですか、どこから先は法務省令で決めるんですか、それを答えてくださいと。そうでなかったら、国会が立法府としての機能を果たすことができないでしょうということを申し上げているんです。
 じゃ、それでどこまで決めるんですかというふうにお尋ねしたら、技術的、細目的な事項だとお答えになった。技術的、細目的な事項は何ですかと。それ自体は答えられないけれども、刑罰に関することは決めませんと、そうおっしゃったので、その答えは矛盾していますよというので今一例をお示ししたんです。一例をお示しして、寺田さんの答弁が破綻していることが明らかになった途端、憲法の明文の条文を持ってこられる。そんなことないですよ。
 だから、はっきり答えてください。どういう場合については政令で決める、委任している、どういう場合は法務省令で委任している。そうでなかったら、こんな審議なんかやめて、会社に関することはすべて法務省令で定めると、そうやったらいいじゃないですか。大臣、いかがですか、これ。立法府の存在が今問われているんです。
#114
○国務大臣(南野知惠子君) 今先生方に議論いただいておりますので、これ国会の審議をしていただいているということで私は適切なことだろうと思っておりますが、罰則の一部につきまして政令に委任することは一般的に禁じられているわけではなく、法律による委任の範囲内において、これは政令が定められるなどの条件を満たしている限りにおきましては許されるものと考えております。
#115
○前川清成君 揚げ足は拾いたくないですけれども、寺田さんの御答弁ですからあえて申し上げますけれども、大臣、今大臣は罰則について政令で、政令とおっしゃった。政令に委任することは禁止されてませんと、そうおっしゃいました。それは確かに憲法にそう書いています。
 でも、違うんですよ。今申し上げた三百四十八条の三項四号は省令に任せてあるんです。政令と省令は違うんですよ、明らかに法形式。こんな場合まで法務省令に任せられるんですか。どうして国会で決めないんですか。国会で、大臣おっしゃったとおり今議論しているわけですから、中身の点も含めて国会で議論するのが本来の議会制民主主義じゃないでしょうか。その点はいかがですか。
#116
○国務大臣(南野知惠子君) 私がちょっと言い間違っておりまして、罰則の一部についての政令と読みましたが、これは省令でございます。訂正させていただきます。
#117
○前川清成君 罰則の一部を省令で決めることは許されるんですか。
#118
○国務大臣(南野知惠子君) 罰則の一部について省令に委任することは一般的に禁じられているわけではなく、法令、法律による委任の範囲内において省令が定められるなどの条件を満たしている限りにおきましては許されるものと考えております。
 政省令につきましては、法律からの委任がなければ罰則を設けることができず、また義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができないこととされております。
#119
○前川清成君 大臣、憲法七十三条の六号は、この憲法及び法律の規定を実施するため政令を、政令ですよ、政令を制定すること、ただし、政令には特に法律の委任がある場合を除いては罰則を設けることができないと、こう書いてあって、その反対解釈として、法律で特に委任があったならば政令で罰則を定めることが許されると、こうなっている。省令でという解釈はあるんですか。
 それは法務大臣としておっしゃったんですよね。南野知惠子個人としての御発言じゃないですよね、大臣。
#120
○国務大臣(南野知惠子君) 国家行政組織法第十二条、「各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。」と。「省令には、」、これは三項でありますが、「省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。」ということになっております。
#121
○前川清成君 それじゃ大臣、今のお答えを前提にお尋ねしますけれども、この会社法案においては、法律のどのような委任に基づいて政令に一部委任し、どのような事項について法務省令に委任しているんですか。ちょっと整理してお答えいただけますか。
 どんな場合は法律で決めます、国会が審議して、国会が決めるのはここまでです、政令で定めるのはここまでです、省令で決めるのはここまでですというのをお答えいただかないと、先ほども申し上げました、こんな審議なんかやめてしまって、会社法についてはすべて法務省令で定めるということさえ多数決で許されることになってしまいます。どんな場合が法律、どんな場合が政令、どんな場合が省令なのか、お答えください。
#122
○委員長(渡辺孝男君) 寺田民事局長。
#123
○前川清成君 いや、大臣だって、こんな大事なことは。この法律だけのことじゃないんだから。
#124
○委員長(渡辺孝男君) じゃ、まず、大臣。
#125
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案におきましては、技術的、細目的事項であって、法律レベルで規定することが必ずしも適当とは言えない事項につきましては政省令に委任しているわけでございますが、これらの政省令に委任している各規定におきましては、その委任の趣旨、範囲、政省令で規定すべき事項の例示などが個別的に規定されておりまして、個別的、具体的に委任が行われておりますので問題はないものと解釈して、理解しております。
#126
○前川清成君 本当にもう残念ですが、ロスタイムを過ぎていると思いますのでこれで終わらせていただきますが、これは大臣も国会議員として、与党の先生方も是非お考えいただきたいんです。何から何まで政令で決める、何から何まで法務省令で決めるとなると、国会なんて要らなくなりますから。今、民主主義の在り方自体が問われている、こういう法律の規定の仕方で民主主義の在り方自体が問われているんだということを是非与党の先生方も御認識賜りまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#127
○富岡由紀夫君 民主党の富岡由紀夫と申します。
 ふだんは財政金融委員会にいるもんですから、今日、法務委員会で初めて差し替えで審議をさせていただくんですが、非常に張り詰めた雰囲気の中で質問させていただくので私もやや緊張しておりますが、是非お手柔らかにお願いしたいと思います。
 今回の会社法案の改正の、いろんな項目にわたっていろいろと改正されております。そして、株式会社、有限会社から株式会社に統一されて、株式会社という制度についてかなりいろいろな面で改良が、改正が加えられているというふうに思っております。その中で、やはり一番根本にあって一番重要なものは何かという点についてまずお尋ねしたいと思います。
 会社の経営方針とか、あといろんな再編の問題とか、いろんな利益の配分の状況とか、あといろんな内部監査機構のいろんな問題とか、そういったものがいろいろ会社の中では問題になってくるんですが、最終的にそこをだれに判断を、承認をいただくかというところでございますけれども、そこはやっぱり一番ベースになっているのは株主総会だというふうに思っております。株主総会が健全に機能して初めてこの株式会社制度自体、全体が私は機能するものだというふうに思っています。
 そういう前提でこの分厚い法案も作られているというふうに認識しているんですが、果たして実態はどうなのかという点について、関係省庁の皆さんがどれだけ御理解というか認識していらっしゃるのか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
 事前に通告させていただいておりましたけれども、まず、株式持ち合い制度というのが日本には独特の制度としてございますけれども、ややいろんな持ち合い制度の解消ということで進んではきているんですが、まだまだ持ち合いの状況というのはかなりあるんじゃないかというふうに思っております。この実態についてどのように今とらえていらっしゃるのか、経済産業省さんにまずお尋ねしたいと思います。
#128
○政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。
 株式の持ち合いについての御質問でございますが、民間における調査の結果でございますが、これによりますれば、日本企業におけます持ち合い株式等の安定保有比率は、一九九四年度には四五%でございましたが、二〇〇三年度には二四%と大幅に低下をしてきているという状況でございます。
#129
○富岡由紀夫君 その持ち合いの二四%というあれなんですけれども、持ち合いの定義というのはどういう定義ですか。
#130
○政府参考人(舟木隆君) 持ち合い株式の定義でございますが、この調査を行いました際にこの持ち合い株式をどういうふうにとらえたかと申しますと、二社間で相互に相手方株式を保有していることが確認された株式のことを指しているというふうに理解しております。
#131
○富岡由紀夫君 それでは次に、金融庁にお伺いしたいんですが、法人株主の実態を教えていただきたいと思います。あわせて、お伺いできれば、機関投資家の実態についてお伺いしたいと思います。
#132
○政府参考人(振角秀行君) それではお答えさせていただきたいと思います。
 お尋ねにありました法人株主でございますけれども、これにつきましては、東京証券取引所から公表されている株主分布状況調査というのがございますけれども、それにおきます事業法人等という株主保有比率で見ますと、平成十六年三月末現在の時価ベースで二一・八%となっているところでございます。
 続きまして、機関投資家については、その範囲をどこまでとするかにもよりますけれども、同じ調査によります金融機関を仮に機関投資家としてとらえた場合、その金融機関の株式保有比率で見ますと、同じ平成十六年三月末現在で時価総額ベースで三四・五%となっておるところでございます。
#133
○富岡由紀夫君 機関投資家の方が多いんですか。
#134
○政府参考人(振角秀行君) そうです。
#135
○富岡由紀夫君 機関投資家の中に法人株主があるという……
#136
○政府参考人(振角秀行君) いやいや、違います。
#137
○富岡由紀夫君 そういう認識なんですか。その辺のあれはどういう区分なんですか。
#138
○政府参考人(振角秀行君) それぞれ別でございまして、全体を一〇〇とした場合、機関投資家が三四・五%、そのほかに事業法人等というものが二一・八%となっていると。それで、機関投資家としてはっきり分かりませんので、この場合、金融機関というところでとらえていますが、金融機関が三四・五、事業法人等が二一・八となっているということでございます。
#139
○富岡由紀夫君 ちょっと詳しい内容はまた後でお伺いしたいと思いますが。
 次に、法務省さんにお伺いしたいんですが、安定株主と言われているものがございます。その実態についてお伺いしたいと思いますが、今実態はどのような状況になっているんでしょうか。
#140
○国務大臣(南野知惠子君) 法務省といたしましては、これは上場企業における株主の分布の状況等については特に把握はしておりません。
#141
○富岡由紀夫君 民間の調査機関の結果であればお答えできるということで先日お話ししたときに伺ったんですが、その結果を教えていただきたいんですが。
#142
○政府参考人(寺田逸郎君) これは私どもで必ずしも責任を持ってお出しした数字ではございませんけれども、民間の調査の結果によりますと、安定保有比率は現在、二〇〇三年度は分かっておりますけれども、二四%、十年前は四五%でございましたので、かなり低下しているというように認識いたしております。
#143
○富岡由紀夫君 先週通告させていただいたときに、商事法務のアンケート調査、これについてお答えしていただけるということで私、お願いしていたんですが、安定株主として五〇%以上の会社がこのアンケート調査では何%を占めているのか、そして三〇%以上の安定株主として持っている会社が全体の何%を占めるのか。事前に通告させていただいていたと思うんですが、いかがですか。
#144
○政府参考人(寺田逸郎君) 申し訳ありません。ちょっと連絡の行き違いかもしれませんが、私どもでは承知いたしておりません。
#145
○富岡由紀夫君 これが分からないと次の質問というか、全体の質問構成が成り立たなくなってしまうんですけれども、まあちょっとこれは後でお示ししながらお話をしたいと思います。
 それでは、社員株主というものが株主総会にはあるんですが、これは一体、具体的にどういったものを指すんでしょうか。具体的な何というんですか、社員株主の機能についてお伺いしたいと思います。法務省さんです。お願いします。
#146
○政府参考人(寺田逸郎君) 社員株主は、一般的には、従業員の持ち株団体、グループというようなもので持たれている場合、あるいは会社が一種のストックオプションとして与えている場合、様々ございますので、一種の安定株主として機能しているというように私どもは理解をいたしております。
#147
○富岡由紀夫君 株主総会での役割はどういう機能を果たしていらっしゃるんですか。
#148
○政府参考人(寺田逸郎君) これは様々で、私どもは具体的にそれがどういう機能を果たしているかと申し上げる立場にはございませんが、一般には、会社の経営陣に基本的には同じ立場をお取りになっておられるというように理解をいたしております。
#149
○富岡由紀夫君 それと、これもちょっと事前にお話ししていたんですが、会社側がいろんな議案、株主総会において議案を提案しますけれども、それが一般的に否決される比率、若しくは株主提案が承認される比率というのは実態としてどのぐらいだというふうにとらえていらっしゃるんでしょうか。
#150
○政府参考人(寺田逸郎君) これも詳しくは承知いたしておりませんけれども、ほとんどないという実態であろうかと私どもは推測いたしております。
#151
○富岡由紀夫君 ほとんどないというのは多分正解だと思います。あと、非常にちょっと残念だったのは、実態についてもっと詳しく皆さん御理解していただいているのかなというふうに思ったんですが、余りそうじゃないというのが私の受けた印象です。
 さっき質問しました安定株主の比率でございますけれども、商事法務というところが調査した結果によりますと、五〇%以上の安定株主を持っている企業というのが大体全体の企業の半分、約五〇%以上あるんですね。ほとんどの企業が安定株主をもう持っていると、半分以上の。議決権の五〇%ですよ。ですから、何でももうこれで決定できちゃうということです。さらに、その三〇%ぐらいまで下げると、八割以上の企業が安定株主を持っているというような状況でございます。
 私の知っているある会社では、これは上場もちろん企業でございますけれども、上位五十社の議決権を全部集めると、それだけで全体の議決権の七割、八割簡単に集まってしまうというのが大きな上場企業の中の株主総会の実態でございます。ですから、会社側提案が否決されるなんということはあり得ないんですね。いろんな経営方針を出しても、その経営方針が否決されるなんということはあり得ない、役員が解任されるなんということはまさしくあり得ない、こういう実態でございます。ですから、これはもう株主総会が全く機能していないと言わざるを得ないというふうに思っております。
 後ほど質問させていただきますが、MアンドAの防衛対策について経済産業省さん、何かいろいろ指標を出しましたけれども、大前提となっているのはやっぱり株主総会が機能しているということなんですが、それが機能していないんです。これについて実態を皆さん余りよく御存じない中で今回会社法の改正を行いましたけれども、この形骸化している株主総会を具体的に機能させるにはどのような対策を考えていらっしゃるのか、この法案の改正の中で織り込んでいらっしゃるのか、具体的に法務大臣にお伺いしたいと思います。
#152
○国務大臣(南野知惠子君) 通告をいただいておりませんので、今ここでお話しするとちょっと正確を欠くと思いますので。
#153
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、株主総会というものの機能というのが今非常に重要になるわけでございます。
 今回、この会社法を作るに当たりましては、基本的に、株主総会の権限というのが、二百九十五条でございますが、一切のものにわたるというようにいたしております。また、基本的には取締役会というもので代替せざるを得ないところが大会社についてはあるわけでございますけれども、そのような大会社においてもやはり株主総会というもののチェックというのが大事でございますので、これは取締役を選任するという形で一番機能するわけでございます。
 そこで、取締役の解任の要件というのを、従前は三分の二の特別多数決でございましたけれども、会社の御意向によってはこれを半分、過半数で解任することができるというようにして株主総会における株主の取締役に対する権限の強化というものに努めているわけでございます。
#154
○富岡由紀夫君 大臣に昨日通告した紙をお見せさせていただきたいと思うんですが、形骸化の対策についてお尋ねするということでお話ししていたんですが、答弁、事前に聞いてないということはどういうことなんですか。まずちょっと教えていただきたいと思います。
#155
○委員長(渡辺孝男君) 南野法務大臣、じゃ、答えますか、手違いなら手違いで。南野法務大臣。
#156
○国務大臣(南野知惠子君) 済みません。何か内部でのミスであるのかも分かりませんが、今ちょっと答弁探しております。
#157
○富岡由紀夫君 済みません。先週金曜日ですね、皆さん、部屋に来ていただきまして、この内容については具体的にお答えをいただくようにお願いしています。さっきの法人、安定株主の問題と、あと形骸化対策についての問題、これが前提で議論今しようと思っているんで、それが聞いてないということになると質問ができないんですが、委員長、ちょっと対応をお願いしたいと思うんです。(発言する者あり)
#158
○委員長(渡辺孝男君) じゃ、速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#159
○委員長(渡辺孝男君) 速記を起こしてください。
 それでは、南野法務大臣。
#160
○国務大臣(南野知惠子君) 申し訳ありません。通告を受けていなかったというのはこちらの手違いでございましたので、取り消させていただきたいというふうに思います。
 株式会社の形骸化ということについてのお尋ねで、株主総会の形骸化に関するお尋ねということでよろしゅうございますか。
#161
○富岡由紀夫君 はい。
#162
○国務大臣(南野知惠子君) 株主総会におけます意思の決定やチェック機能は、安定株主、一般株主の区別なく、株主全体の意思が反映されることが重要であります。したがいまして、現時点において安定株主が多数を占めていることがあるということが直ちに株主総会の形骸化につながるとは考えておりませんけれども、株主総会の形骸化の防止は会社法制の重要な課題の一つでありますので、今後とも必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
#163
○富岡由紀夫君 済みません、その本会議での答弁をそのまま読んでいただいて、二度も聞かせていただいてありがとうございます。
 私は、その本会議の答弁を受けて今日質問させていただいております。具体的な中身が国会、本会議での答弁でなかったものですから、今日、具体的にお伺いしたいということで事前に通告を申し上げて、それで法務大臣にいろんな実態を調べてもらって、それを教えてもらった上でそれについての対策をお伺いしたいというふうに思っています。
 先ほどちょっと論点ずれたんですけれども、取締役の解任決議が三分の二から二分の一になったというんですが、これは定款の変更によってまた三分の二に上げたりすることはできるんですか。
#164
○政府参考人(寺田逸郎君) これはその会社がどういう考え方を取るかという定款自治の一環として今回導入したものでございますので、当然のことながら、会社は従前と同じ三分の二を要求するということも定款上できる、そういう定款を作ることもできるということでございます。
#165
○富岡由紀夫君 要は、その一部だけを取り上げて、これが形骸化防止対策になったと、しているんだという答弁はまやかしだと私は思っております。実態は、定款が変更によって今までと同じようにもできるし、そもそもそんなことは問題じゃなくて、さっき言ったように、安定株主がどれだけいて、五割以上の安定株主持っている会社が、半分以上の会社がそういう会社だという中で、今のような議論、たとえ三分の二から二分の一にしたって余り意味ないんですよね。実際に株主総会なんて出てきている定足数というか、その問題を考えると、安定株主比率なんてもっと低くたって会社側提案というのは何でも通ってしまうというのが実態なんです。そういったことも、土台となるところを無視していろんな議論しても何の意味もないというのが私の思いでございます。
 本当に、一般株主が全然、何というんですか軽視されたままで、それが今回の改正で少しは改善されているのかと、その点を私はお尋ねしたいというふうに思っているんです。
 改めてお伺いしますけれども、今後、株主総会の形骸化、要するに安定株主がいて社員株主がいて法人株主がいて、本当に一般投資家の個人株主の権利というものが守られるのか、どのように守っていくつもりなのか、南野法務大臣、そして関係、経済産業省の関係の皆さんにも私はお伺いしたいと思います。本当にMアンドAの防衛策が取締役の保身のために取られるんじゃないか、それが本当にどうやって一般株主軽視につながらないということが言い切れるのか、お伺いしたいと思います。安定株主対策を取らないでそれが本当にできるのか、安定株主対策を根本的にどういうふうに考えているのか、お伺いしたいと思います。
#166
○政府参考人(寺田逸郎君) まず、各省にお尋ねでございますが、私の方からまず最初にお答えさせていただきます。
 この安定株主対策というものを法律のレベルで考えますとなかなか難しい問題があるわけでございます。先ほど申したのも一つでございますけれども、私どもとしては、基本的にはやはり会社の株主の方々に関心を持っていただくというのが第一でございます。そのためには、やはり会社の情報をできるだけ外に出していくというのが一つの方向だろうというふうに考えておりまして、今回、会計に関しまして会計参与を導入いたしましたり、あるいは決算公告を義務付けたりいたしますが、そういう会社の情報開示というものがこの会計の分野に限らず多く行われていくというのが今後の一つの、株主総会あるいは株主の権利の擁護のために必要なことだろうというふうに考えております。
#167
○政府参考人(舟木隆君) お答え申し上げます。
 私どもで企業価値研究会を設置いたしまして買収防衛策について検討をしたわけでございますが、その検討の中で、やはり先ほど申しましたように、持ち合い株式等の安定保有比率、これがこの十年で四五%から二四%に大きく下がっていると、こういったことを背景に、やはり友好的な買収のみならず敵対的な買収も生じるような環境になってきているんではないかという認識を持っておりまして、それで、いわゆる敵対的買収に対します防衛策をどういうふうに取っていくのかという検討をしてきたわけでございます。その際に、やはり先生おっしゃいましたように、株主の意思というのが極めて重要であるという結論に達したところでございます。
 この企業価値研究会のレポートを基に経済産業省と法務省で作りました指針の中にも、この三原則の一つとして企業価値それから株主共同の利益の確保、向上の原則というものを示しておるわけでございます。
 それで、この具体的な防衛策を個々の企業で決める場合にも、やはり株主総会の決議によりこの防衛策を導入するというのをまず具体例として第一に勧めているわけでございます。また、株主総会の決議によらずに取締役会の決議により導入する場合も、株主の意思を、株主の意思が十分に反映されるようないろいろな工夫をするべきであるというふうにしておるところでございまして、この買収防衛策の措置の導入につきましても株主の意思というのが極めて重要であるというふうに考えておるところでございます。
#168
○富岡由紀夫君 済みません、今二つ、お二方からお伺いしたんですけれども、私、本会議でも質問させていただいたんですが、今の株主総会の形骸化対策について情報公開が必要だということで会計参与の導入と決算公告の話いただきましたけれども、これは全くお門違いの話であって、それはどっちかというと閉鎖会社というか譲渡しない会社であって、そっちの問題なんですね。
 それと、今議論しているのは、公開会社、要するに経営者と資本家、投資家が違う会社の場合の今話ししているんですけれども、今言ったのはどっちかというと小規模な投資家と経営者がイコールの会社についての今お話いただいたんで、そういうまやかしの答弁というのは私は本当に納得できないというのがつくづくこの中で思いました。
 具体的な公開会社、株式をちゃんと公開して、要するに具体的に言うと東証一部、二部上場とか大証の上場会社、こういった会社の株主総会の形骸化についてどう考えているのかということをお尋ねしているんです。
 南野法務大臣に、もう私見で結構でございますので、どのように対応を考えたらいいのか教えていただきたいと思います。(発言する者あり)私見じゃいけないんですか、済みません。大臣としてのお考えを的確にお答えいただきたいと思います。
#169
○国務大臣(南野知惠子君) 株式会社が形骸化するということは、これはもう一番いけないことであろうと。もっともっといい形の中で株主が総合的に力を出し合いながら会を盛り上げていくというような、株式会社を盛り上げていくということが一番いいことであろうと思いますけれども、複数の会社が提携するときに信頼関係を築くために株式の持ち合いをすることもございますから、株式の持ち合いがすべて悪いことであるというわけではありませんけれども、経営者の保身のために株主の持ち合いが使われるということであれば、それも企業価値の面から望ましい、いろいろな形を整えながら株主の在り方というものを高めていってほしいと思っております。
#170
○富岡由紀夫君 ちょっとお伺いしたいんですが、株主総会、公開会社、上場会社の株主総会に出席されたことはございますでしょうか。
#171
○国務大臣(南野知惠子君) 行ったことありません。
#172
○富岡由紀夫君 先ほどお答えいただいた寺田さんはいかがですか。
#173
○政府参考人(寺田逸郎君) 私はフィルムで拝見したことはございます。
#174
○富岡由紀夫君 やっぱり、問題となっている安定株主対策というか、株主総会の形骸化について私は今議論させていただいているんですけれども、まず実態を皆さんに知っていただきたいというふうに思っております。しゃんしゃん株主総会がどれほど多いのか。具体的には、議案の決議のされ方、社員株主が異議なしと言う株主総会を実際見てください。そういうのを見ないと、多分議論をしても意味ないと思います。そういった実態を知らないでこういう法律、分厚い法律作っても、全く実態と懸け離れているんですね。
 さっき、経済産業省さん、企業価値研究会の方が研究するに当たってヨーロッパ見てきたというふうにおっしゃっていましたけれども、何を見て来たかというと、もう株主総会の、機能をしているかしていないか、それはもう前提で行っているわけですよね。違うところだけ見ているんですよ。まさしくここに書いてある。どういうレポートをまとめたかというと、株主総会、株主の意見を最大限反映しないといけないと、株主がやっぱり中心になって、やっぱりその企業の利益について株主に問うて、それで判断を仰がなくちゃいけないということになっているんですけれども、その実態のベースのところがそういう状況だということを是非理解した上でレポートを作っていただきたいと思います。こんなに立派ないろんな意見書を出されても、そのベースとなるところがぐちゃぐちゃであれば全く意味を成していないというのが私の実感でございます。
 是非、実務というか、現場をごらんいただいた上でいろいろと対策を練っていただきたいと思います。せっかくこんな分厚い立派な法案を作っているわけですから、そのベースとなるところをちゃんと機能させるような具体的な対策を取っていただかないと、これはもう議論が進まないというのが私の意見でございまして、これ以上お伺いしても多分もう進まないと思うんで、次の質問に行きたいと思います。
 これも、余り言うともう嫌らしくなるんで、どうしようかな、どうしようかと思うんですが、内部統制システムについてのお尋ねをさせていただきたいと思います。
 具体的な内容について、内部統制システムを義務化しておりますが、やはりこれは独立性というか、経営陣に対する独立性が必要だと思うんですが、具体的な内容を、国会の本会議のときにもお答えいただいておりますけれども、具体的内容はお答えいただいておりませんので、改めてこの場で具体的な内容についてどのようにお考えしているのか、お伺いしたいと思います。
#175
○政府参考人(寺田逸郎君) この点は、本会議でのお尋ねに対しまして、現在の委員会等設置会社における省令事項を参考に決めると申し上げました。
 具体的に、じゃ、どういうことになるかと申し上げますと、現在の、例えば委員会等設置会社においては監査委員会の職務の遂行のために必要なものといたしまして定める事項でございますが、実際には監査委員会の職務執行を補佐する使用人というものをどういうように独立させるかということに非常に注意を払っているわけでございまして、例えばその任命や解任については監査委員会の同意を必要とする等の定めが置かれているわけでございます。そういう今回の委員会等設置会社以外の監査役会設置会社においても、このような内部統制システムについて基本的に今委員会等設置会社とパラレルの事項を決めるつもりでおります。
#176
○富岡由紀夫君 今監査委員会のお話ありましたけれども、監査委員会のメンバーの選任の具体的な基準というか、そういうのはあるんですか。監査委員会のメンバーになる、具体的な独立性を何か定めるような基準はいかが、どういう状況でしょう。
#177
○政府参考人(寺田逸郎君) これについても、今の委員会等設置会社においていろいろと定めているところでございます。メンバーの選任そのものについて定めるというよりは、むしろ職務執行を補佐する使用人について定めるというのが今の決め方でございますが、その内部統制システムとしてはそういう決め方になろうかと理解をいたしております。
#178
○富岡由紀夫君 よく分からなかったんですけれども、監査委員会が使用人を決めるというお話なんですが、その監査委員会のメンバーはどういう基準で定められるのかということをお伺いしたいんですが。
#179
○政府参考人(寺田逸郎君) この監査委員会のメンバー自体は、今の委員会等設置会社でも法律レベルで決まっておりますけれども、社外のメンバーが多数を占めるということになっております。
#180
○富岡由紀夫君 その社外の基準というか、あと、取締役とそれは兼任もちろんするわけですか。取締役と兼任してもよろしいんですか。
#181
○政府参考人(寺田逸郎君) 監査委員自体は、これ取締役でございますが、その取締役を今の会社とつながりがない社外の者という者を過半数用意しなきゃいけないという、そういう規定でございます。
#182
○富岡由紀夫君 その社外の基準というのはどういう基準なんですか。
#183
○政府参考人(寺田逸郎君) 新しい社外取締役の定義といたしましては、その会社、株式会社又は子会社の業務執行取締役、執行役支配人その他の支配人ではなくて、過去にそういう使用人となったことがない者をいうということになっております。
#184
○富岡由紀夫君 アメリカのエンロンとかワールドコムでいろんな企業不祥事が起きたんですけれども、そのときにやっぱり社外の規定に、基準の見直しが企業改革法によって行われたんですが、それと比べて今回の改革というのはどういう状況ですか。パラレルな、全く同じ基準なのか、お伺いしたいと思います。
#185
○政府参考人(寺田逸郎君) 私どもが理解している範囲では、アメリカでは例えばその取締役の姻戚関係の者等を排除する等、幅広い者を排除できる、そういう社外取締役の規定だと理解しております。
 私どもも、この社外取締役につきましては、委員会等設置会社を設置いたしました際に導入した概念でございまして、施行後まだ間もないところでございます。もう少しこの実務の運用を見て、しかしながら、それに不都合があればもちろんその範囲をより狭めていく、つまりそうなれない者を広げていくというような方向が考えられるわけでございます。
 ただ、問題は社外取締役をやってくださる方、これについての資質という面もございまして、現状ではなかなか多くの上場会社すべてに、言わば経営の専門家である人で、かつ社外取締役になれる方というものの層が非常に薄いところが実情として指摘されておりますので、そういう面も考慮いたしておりますけれども、しかし、これはやがて改善されるところでございましょうから、そういう状況も見てまた検討したいと、このように考えております。
#186
○富岡由紀夫君 社外取締役についても、是非実態を調査していただきたいというのが私の思いです。
 今の社外取締役とか社外監査役も結局だれが決めているかというところなんですが、結局はその会社の社長が個人的な関係、知り合いを引っ張ってきてやっているわけですね。そこから社外監査料、社外取締役に対する報酬が払われているわけですよ。ですから、本当の意味でのチェックというのは働かないんじゃないかと私は懸念しているわけです。要するに、会社がもとより自分の、社長がもとより自分の意に沿わない人を社外監査役とか社外取締役に入れるわけないんです。それが今の実態なんです。
 ですから、そういう、何ていうんですか、なれ合いでイエスマンばっかり集めていろんな企業統治というか、内部統制システムを作ったといっても全く機能しない。さっきの株主総会が形骸化しているのと一緒で、社外監査役、社外取締役制度が形骸化しているんじゃないかというのが私の思いでございます。そういった実態を把握してチェックしないと、同じような企業不祥事というか、倫理に違反するようないろんな事件がたくさん起きているというのが私は実態だと思います。
 ですから、いろんな法案の改正というか、機構の改正はいいんですけれども、やはりその実態がどういうふうになっているのか、実態をどうやって合わせていくのか、そういった実務の現場を中心になってやっぱり対策を練っていただかないと、何にも先、効果を発揮することができないというふうに思いますので、その点はしっかりととらえていただきたいというふうに思っております。
 時間がなくなりますので、次の質問へ行きます。
 企業結合法制の整備についてお尋ねするということでお話しして、事前に通告をさせていただいておりますが、その中でちょっと具体的な例を出して議論をさせていただきたいと思います。
 UFJ銀行が三菱東京フィナンシャル・グループに対して優先株を発行しました。これは、取締役の選任とかいろんな定款の変更とか企業の再編とか、重要な株主総会での決議事項を拒否権が持てるという、そういう条項の付いた優先株を発行しました。これによってどういうことが起きたかというと、これはもういろんな雑誌の中で、いろんな新聞の中で議論になっておりますけれども、今までUFJ銀行の株主であった人が企業再編、持ち株会社制度によってUFJホールディングスの株主に移行したわけでございますけれども、そのUFJホールディングスでいろんな株主総会で決議をしても、それが三菱東京フィナンシャル・グループが議案を否決してしまえば、全くそのUFJホールディングスの株主総会での決議が意味なくなってしまうという状況が生じているわけでございます。要は、今までUFJ銀行の株主だった人たちは、自分たちの持っていた会社の経営について何にも関与できないというような状況でございます。
 私は、これは公開企業、上場会社の公開企業において株主総会が全く否決されていると、否定されているということになるんじゃないかというふうに思っているんですが、この点について南野法務大臣、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
#187
○国務大臣(南野知惠子君) 先生御指摘のその優先株式の発行に際しては、会社、発行会社である子会社の定款変更が……(発言する者あり)
#188
○委員長(渡辺孝男君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#189
○委員長(渡辺孝男君) 速記を起こしてください。
 南野法務大臣。(発言する者あり)よろしいですか。
#190
○国務大臣(南野知惠子君) じゃ、済みません。
#191
○委員長(渡辺孝男君) じゃ、速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#192
○委員長(渡辺孝男君) 速記を起こしてください。
#193
○国務大臣(南野知惠子君) 拒否権条項が付された種類株式は平成十三年商法改正により導入されたものでありますが、この種類株式は、議決権の過半数を取得することができない少数派の株主が自己の利益を守るために、出資額は少なくても一定の重要な事項については自己の意見を反映させることができる株式を用意するために導入されたと。そして、拒否権条項付き株式はその発行に既存の株主の意欲が十分に反映される制度となっておりますし、少数派株主の保護という観点からも有用な制度であると認識しており、すべての会社に適切かどうかは別として……(発言する者あり)
#194
○委員長(渡辺孝男君) ちょっと静粛に、ちょっと静粛に。
#195
○国務大臣(南野知惠子君) 法律の規定の上でこれに制限を加える必要はないというふうに考えております。(発言する者あり)
#196
○委員長(渡辺孝男君) ちょっと静粛に。
#197
○富岡由紀夫君 お尋ねしたことじゃないことを、次に聞こうとしたことをお答えいただいて驚いているんですけれども、今の話について、回答になってないんで、もう一度お願いいたします。
 具体的に説明すると、親会社の株主は子会社の、何というんですか、やったことに対して何も議決権が持てなくなってしまうということが発生しているわけですね。今回、具体的なさっきお話ししましたけれども、UFJ銀行が三菱に対して優先株を発行したことによって、今までUFJ銀行の株主だった人たちはその親会社の株主に移行したわけですけれども、今まで自分たちのUFJ銀行のいろんな決議したことについて決定権を持っていたわけなんですけれども、三菱銀行が拒否権を持っちゃったわけですから、自分たちで、UFJホールディングスの方でいろんなことを決めても全くそれが拒否されちゃって、何の効果も持ってないと、持たなくなってしまっているというのが実態でございます。
 これで本当に株主総会と言えるのか、もっと言うと、株式会社と言えるのか、本当に疑問だと思うんですが、その点についてどういうお考えを持っているのかということをお尋ねしたわけでございます。
#198
○国務大臣(南野知惠子君) 今お尋ねのそういう種類株式とかいろいろな問題点につきましては、そういう状況にあるというふうにも思っております。
#199
○富岡由紀夫君 答弁になっていないんで、もう一度しっかりとお答えいただきたいと思います。大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。
#200
○国務大臣(南野知惠子君) 今お話しになられたことについて、事務方より答弁させて……。
#201
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、いわゆる黄金株、つまり拒否権付きの種類株というものの性格は非常に難しいところでございまして、これが不特定多数の株主が株主である上場会社において導入されるべきかどうかということについては、これはもう専門家の間でもいろいろ争いがあるところでございまして、現に特定の市場においてはこういうことが不適当であるという市場開設者の方の判断もあり得るところでございます。
 ただ、実際に、この個別の事件について直接コメントすることは避けたいとは思いますけれども、特定の株主がある企業の窮状を救うために非常に特殊な地位に立つ、それによって全体の企業のファイナンスが成り立つという場面において、そういった判断も一つ企業としてはもちろんあり得るというふうに私は考えているわけでございます。
 ただ問題は、親会社がどうかということでございますが、親会社は株主としてその黄金株を導入した際の企業の判断というものについて一定の機能は持っていたわけでございますけれども、それを少数株主が、親会社の少数株主がどう保護されるか、そこのところは今後の課題になろうかというふうに私どもは理解をいたしております。
#202
○富岡由紀夫君 親会社の少数株主だけじゃなくて、親会社の大株主もみんな同じことだと思うんですよね、今の話ですと。これ、具体的な例じゃなくて、そういうことが実際に、具体的な例で挙げましたけれども、実際にそういうことが起きている以上、こういった法整備の、持ち株会社制度の矛盾点、これについて対策を講じないというのはどうなのかということを私は問題提起させていただいているんです。
 そういうことが実際に起きていて、そういう株主が自分たちの株主としての権利が剥奪されたような状況が起きているんです。これが今回、会社法の改正によって手当てされていないんですけれども、その点についてどのようにお考えなのかということをお伺いしているわけでございます。
 改めて、法務大臣、今のような欠陥状況、持ち株会社制度の欠陥状況についてどのようなお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
#203
○国務大臣(南野知惠子君) 企業結合法制の課題については、今後検討を行ってまいりたいと思います。
#204
○富岡由紀夫君 至急お願いしたいと思います。
 結合法制について、さっき話、御回答の中で黄金株の話言われましたので、ちょっとその点お伺いしたいと思うんですが。
 黄金株というのはまさしくそういうことなんですよね。持ち株会社制度だけじゃなくて、この黄金株の存在、これは非常に一般株主が本当に不利益を被る可能性がある極めて危険な種類株主だというふうに思っているんですが、この点について、今のままで、現状でもいいのかどうか、法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。さっき法務大臣から黄金株の話があったから、お尋ねします。
#205
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほども申し上げましたように、この黄金株、つまり拒否権付きの種類株というのは、一つの機能としては有用なところも持っているわけであります。ただし、委員も今御指摘になられたように、一つの副作用というものもあるわけでございまして、なかなかこの使い方の適当なバランスがどうかということについては、専門家の間でもいろんな御意見があるところでございます。
 私どもは、この拒否権付きの種類株を導入した際に、その有用性について合理的な側面というのを十分認識してこの会社法の中にこういうものを入れたわけでございますけれども、その使い方、特に上場会社における使い方については慎重でなければならないところももちろんあろうかということを意識しているわけでございまして、その点はまた関係省庁とも十分御協議申し上げまして、これの使い方の濫用についてはウオッチしてまいりたいというふうに考えております。
#206
○富岡由紀夫君 濫用というか、それも前提、さっきの株主総会でちゃんと機能して、濫用できないようなチェックが働かないとできないというのが私の考えでございますので、総合的に是非とらえていただきたいと思います。
 あと、その企業結合法制に関連して、今これから具体的に整備、検討いただくというお話だったんですけれども、取りあえず親会社の株主が子会社の役員を、そういう黄金株を発行しちゃったとか、そういったことに対して代表訴訟できるようにしないといけないんじゃないかと。せめてそのぐらいは手当てしないといけないと思うんですが、いわゆる多重的代表訴訟でございますけれども、この点についてだけでも早急に手当てを取るべきだと思っているんですが、この点について、先ほど南野法務大臣、結合法制については具体的にこれから検討されるとおっしゃっているんですけれども、その中でのこの多重的代表訴訟についての検討についてどういうお考えを持っているのか、お伺いしたいと思います。
#207
○国務大臣(南野知惠子君) 関連省庁とも検討しながら、その問題についてはまた検討してまいりたいと思っております。
#208
○富岡由紀夫君 もうお時間、時間も迫ってまいりましたので、(発言する者あり)まだまだありますけれども、行きたいと思います。
 これは金融庁さんにもちょっとお伺いしたいんですが、今回のようなUFJホールディングスの株式が今上場されているんですが、これについて一般投資家は、今度UFJホールディングスの株を買おうとしたときに、どういうことをどういうふうにちゃんと注意されているのか。間違って買って、実は買ったけど全く株主総会では議決権が効力を発生しないような株式を売っちゃうことになると思うんですが、その点について、何というんですか、証券市場ではどのようなちゃんと説明義務が果たされているのか、お伺いしたいと思います。金融庁さんにお伺いしたいと思います。
#209
○政府参考人(振角秀行君) お答えいたします。
 基本的には、東証とか市場開設者が株主にいろんな影響が与える事項についてはきちっと開示するように開示規則を定めておりまして、そういうことによりまして開示されているというふうに承知しております。
#210
○富岡由紀夫君 具体的にどういった書面によって開示されているんですか。
#211
○政府参考人(振角秀行君) 済みません、それについては事前に通告いただきましたでしょうか。ちょっと、後日、それは必要があればちょっと御説明に伺いたいと思いますけれども。
#212
○富岡由紀夫君 MアンドAじゃなくて防衛手段の話の中でお話はしたと思うんですが、まあ準備されてないということであれば結構でございますけれども。
 要は、目論見書とかそういった中で説明がしてある話になっていると思うんですが、具体的にそういう黄金株を発行されているということは説明はされていると思うんですが、具体的にそういう議決権がないということまでちゃんと一般投資家に対して説明がされているのかどうか、これを私はお尋ねした次第でございます。その点について、分かる範囲で結構でございますので、お答えいただければと思います。
#213
○政府参考人(振角秀行君) ちょっと今手元に資料がございませんので、ちょっと、至急確認してお答えしたいと思います。
#214
○富岡由紀夫君 次に、経済産業省さんに改めてお伺いいたします。
 やはり同じような事例でベルシステム二四という会社が第三者割当て増資をしまして、そのとき、これもやっぱりいろんな問題が起きました。要は、どういうことかというと、第三者割当て増資をして既存株主の持ち株比率を半分以下にしちゃって、第三者がいきなり筆頭株主、五〇%以上の筆頭株主になったという事例でございます。
 これは裁判になって、著しく不公正なる方法によるものとは認められなかったという形でその発行が認められたわけでございますけれども、これ、一般の中では非常におかしいんじゃないかということで議論になっているところでございますけれども、お伺いしたいのは、これちょっと法務大臣にお伺いしたいんですが、そういった、これからは原則自由になってきて、いろんなことが司法判断にゆだねられることが多くなってくると思うんですが、その司法判断というものが限界というものがないのか、すべて今の法制の中で堪え得るものなのか、MアンドAの防衛に関連してちょっとお伺いしたいと思います。
#215
○政府参考人(寺田逸郎君) 必ずしもちょっと御質問の趣旨を正確に理解しているかどうか分かりませんが、新株予約権あるいは新株の発行による企業防衛といいますのは最終的に争われ得るものでございまして、それは不公正な発行ということになりますと、その差止めを受けるということ等によって、司法判断の場で、司法の場で判断を受けるわけであります。
 その際に、今のスキームがそれで十分かということでございますが、私どもといたしましては、基本的にやはり司法の判断の積み重ねとしてあり得るところを事前に企業の方にいろいろお考えいただく必要があるということで、経済産業省の方でガイドラインを企画されまして、私どもの方と共同で、一定の現在の理論的な到達水準のごく最大公約数的なところをお出ししたところでございまして、やはりそういうものが具体的にないと、企業の方で御判断の上で非常にお迷いになる、実際の企業防衛について機能としては限界があるという、そういう思いからでございます。
 しかしながら、最終的にもちろんそれは司法の場で争われ得るわけで、その場合に不公正な発行という抽象的な概念だけでいいかどうかということは非常に難しいところでございます。しかし、これはこれまでの積み重ねもあり、今後の積み重ねもあり得るところでございますので、そういう司法の判断ということを前提にいろいろ考えてまいりたいと思っております。
#216
○富岡由紀夫君 済みません。ちょっとよく分からなかったんですけれども、経済産業省さんにもお答えいただく予定だったんですけれども、ちょっとお時間がないので、今ので分かったということにします。しますというか、次の質問にさせていただきます。
 決算公告について是非ちょっとお伺いしたいんですが、法務大臣さんに、事前にこれもお伺いしていますが、今まで決算公告についてちゃんとしなかった場合は過料が科せられる、これは本会議でもお答えいただいておりますけれども、百万円以下の過料が過ち料として科せられるというお話があったんですけれども、今までこれ具体的に科せられたことはあるんですか。
#217
○国務大臣(南野知惠子君) 件数ははっきりと、過料でございますね、これは商法違反事件に係る過料の執行の件数、またそのうち決算公告義務違反件数に係る過料の執行の件数については把握しておりませんけれども、過料事件全体の執行の件数としては、平成十四年五万八千四百十八件、平成十五年六万六千五百九十九件というようなことが示されております。
#218
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、決算公告義務違反ということの統計は取られておりませんけれども、東京地裁の商事部、民事八部で商事過料事件全体を統計ございます。これは約それぞれ一万件から数千件の間で推移しておりますが、決算公告の義務違反というのはほとんどないというのが私どもの認識でございます。
#219
○富岡由紀夫君 ほとんどないというふうに私も事前に伺っていたんですが、ゼロだということで伺っておりました。要は、過料ということがこの中でうたわれているんですけれども、これはもう改正する前からうたわれていたんですが、実際にそれが執行されたことは全然ないというような実態でございます。
 今後もそれでいいのかというところが私の質問の趣旨でございまして、要は、最低資本金制度がなくなって、今まで、株式会社では少なくとも一千万円以上の資本金は持っているだろうということで取引の相手方はその会社の信用度の判断にある程度、一千万円以上あるんだということで少しはそれが役に立っていたと思うんですが、これから最低資本金制度がなくなって、取引する相手にとっては、やっぱりその会社の信用度を判断する上で決算公告の重要性というのは非常に高まってくると私は思っております。
 それに対して、こういう状況の変化に対して、過料の執行というか、過料を科す、その適用をこれからはやるようにならないのか、具体的に法務省さんが非訟事件手続法に基づく申立てをする予定はないのか、お伺いしたいと思います。
#220
○国務大臣(南野知惠子君) 決算公告の重要性につきましては、これは現段階においてまだ関係者における認識が十分ではなく、その履行も十全なものではないというふうに承知いたしているところでございますが、したがいまして、このような状況の下では、直ちに決算公告義務違反があれば必ず罰則を掛けるとの扱いをすることは関係者に無用の混乱を生ぜしめるおそれがあると、必ずしも適切ではないというふうに考えますけれども、したがいまして、まずは関係者が決算公告の重要性に対する認識を深めて、各会社が自発的にこれを行うような環境をつくることに努め、その後の状況に応じて決算公告義務を怠る者に対して過料規定の実効性の確保も含めて適切な措置をとるように図ってまいりたいというふうに現時点で考えております。
#221
○富岡由紀夫君 非常に、質問がちょっと十分できなくて残念なんですけれども、以上、これで時間になりましたので、質問は終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#222
○木庭健太郎君 会社法、重要法案でございますし、多くのいろいろな課題があっていろんな点で野党の皆さんからも鋭い質問もいただいておりますし、いろいろ問題点も指摘をいただいておりますが、全体としてはやはり久しぶりにきちんとこの会社法というものが一つの形でまとまったと、この成立へ向けて我々与党は頑張らなくちゃいけないという決意を固めながら質問をやっておきたいと思います。
 個別的事項を少し今日は何点か御質問をさせていただいて、質問にしたいと思います。
 一つは、取締役の問題について今日はお尋ねをしたいと思うんです。現行の商法におきましては、取締役の欠格事由のところで、破産手続開始の決定を受け復権せざる者は取締役になれないと定めておるわけでございます。今回の法案では、この破産者を欠格事由から除外することとなりました。
 昨年、通常国会でございましたが、破産法案が審議された際にも、私自身、これは見直す必要がある旨の指摘をさせていただきましたし、今回ようやくそれが実現の運びになったと私自身は思っているわけでございますが、そこで、まず現行法で破産者が欠格事由とされている理由について局長から伺っておきたいと思います。
#223
○政府参考人(寺田逸郎君) 御指摘のとおり、現行法では欠格事由とされているわけでありますけれども、これは破産財団に係る財産について管理処分権を有しない破産者というものが会社財産を管理、処分する取締役になるというのは問題があると、こういう視点で現行法のようになっているものでございます。
#224
○木庭健太郎君 破産法というのは、破産者の手元に残る財産、つまり自由財産の問題でございますが、この問題についても、法改正によってこの自由財産の範囲を拡張するなど、言わば事業者の再起に配慮した見直しが破産法の中でもこれ既に行われておりますし、もう一つ大きかったのは、昨年の臨時国会でございました。このときには、包括根保証の禁止を盛り込んだ民事改正法の審議が行われた際にも、言わばどう経営者が再挑戦できるかというような必要性がうたわれ、これが一つの大きなテーマになっていたと私は思いますし、その意味で、今回この取締役の問題、欠格事由の見直しというのもそうした再起可能な社会づくりの一環として位置付けられたものではないかと思いますし、そういった意味では意味のある改正だと思いますが、改めてその趣旨と意義について伺っておきたいと思います。
#225
○大臣政務官(富田茂之君) 委員御指摘のとおりでございまして、先日の連合審査の際に、浜田委員だったと思いますが、今の経済情勢、七転び八起きと言われているけれどもイチコロだというような御指摘があって、やっぱりそういった状況はきちんと直していくべきだという御指摘がありました。
 そういった声を受けまして、今回、取締役に関する欠格事由のうち、破産者に関する規定につきましては、破産者に再度の経済的再生の機会をできるだけ早期に与えることが有益である、また、特に破産者が免責決定を得るまでに相当の期間を要する場合が少なくないところ、中小企業におきましては経営者が会社債務を個人保証していたために会社の倒産に伴って破産に至るケースでは、早期に会社の取締役として経済的再生の機会を得させる必要性が大きいことなどにかんがみまして、破産者を欠格事由から外すこととしたものであります。
 なお、破産者であることが欠格事由から除外、除かれるとしましても、取締役の破産により当該取締役がその地位を失うことには変わりはございません。この破産者を取締役に選任するためには改めて株主総会の決議が必要であることから、破産の経緯等に照らしまして取締役の適格性がないというふうに株主が判断する場合にはその者を選任しないということができますので、特に問題は生じないものと考えております。
#226
○木庭健太郎君 もう一つ、この取締役の問題で一つ大きな争点にもなってまとめられた問題が、取締役の任期という問題でございました。
 法案では、委員会設置会社以外の株式会社では原則として二年、委員会設置会社では十年ということにした上で、一年、ごめん、一年とした上で、株式譲渡制限会社については、定款の定めによって十年まで延ばすことができるというふうになっているわけでございまして、これは正に、どう、この株式譲渡制限会社の機関設計におけるこの最大の争点の一つがこの任期の問題だったと私も認識はしております。
 これ、要綱試案の段階からいろんな議論がございました。有限会社の規律に合わせて任期をなくすべきだという意見もあったことも事実でございまして、まずお聞きしておきたいのは、現行の株式会社等におけるこの任期制度の概要及び実態、有限会社については取締役の任期がなかった理由について、まず現状についてお伺いしておきたいと思います。
#227
○政府参考人(寺田逸郎君) まず、現行法制でございますが、株式会社の取締役の任期というのは最長で二年、委員会等設置会社では一年、おっしゃったとおりでございまして、有限会社の取締役の任期には制限ございませんが、実態は株式会社のうち譲渡制限、株式の譲渡制限をしている会社においては株主の変動も頻繁ではないために、実際には株主総会における再任決議というのは非常に形式的、先ほど株主総会の形骸化というお話もございましたけれども、形式的なものとなっていることが多いというように私どもも承知をいたしております。
 有限会社も、実際にもう選任の際に任期を定めないのが一般的であろうというように理解をいたしております。有限会社にそもそもなぜ任期がないかということでございますが、これは有限会社においては社員の地位の譲渡に会社の承諾を必要としていて株主の変動が頻繁でないと、社員間の人的信頼関係が非常に強いという、そういう類型の会社でございますので任期制度を設けず、その代わりとして取締役の解任決議の要件を普通決議として、経営者に問題があれば容易に解任することができると、こういう仕組みを取っているものでございまして、有限会社のどちらかというと閉鎖性ということが理由になっているものと理解をいたしております。
#228
○木庭健太郎君 そういった現状を踏まえてなのかどうか、よく理解はできるとも言い切れないんですけれども。
 とにかくこの要綱試案の段階でこの任期の問題については、取締役会を置く会社、つまり大きな会社ですね、これでは法定の制限を課すということを要綱試案の段階では出しておりましたが、逆に取締役会を置かない会社では任期を定めないと最初の要綱試案ではなっていたようでございます。これが最終的には十年で落ち着いたということに、法案を見ればそのとおりでございますが、その間の議論の経緯についてお伺いしておきたいと思います。
#229
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、今回、有限会社を株式会社に統合するということで、こういう中小企業の取締役の任期がどうなるかということは非常に大きな争点、焦点でございました。それで、一方では、おっしゃるように、この閉鎖的な類型の会社の実態というものを見ると、これはなかなか取締役の任期というものを課すのは難しいんじゃないかという御議論で、試案の段階ではそういう議論が言わば優勢だったわけでございます。
 しかしながら、全くこれについて任期を株式会社でありながら課すことをやめてしまうというのもどうかということが専門家の間にも非常に強い御批判もございまして、そこでどうやったらこれが折り合えるかということについて議論がなされたわけでございます。そこで最終的には、原則的な形態というのは二年にしながらも、しかし非常に長い期間、非常に長い期間であるにしても任期を一応は定めないと、やはりチェックをするという建前に合致しないんではないかという議論に収束したわけでございます。
 では、その非常に長い期間というのは何年かというところでございまして、最終的にはそれを十年としたわけでございますが、これは、十年というのが何が決定的かということはございませんけれども、十年ぐらいであれば中小企業の方々もそうむちゃくちゃな御負担ではないだろうというような意見が中小企業の関係者の間にも出まして、そこで十年で折り合ったということでございます。
#230
○木庭健太郎君 逆に、その株式譲渡制限している会社の場合、これは株主も相当多い会社もある中で、今度はその任期が十年延ばせるということにすること自体は、やはり会社にとってみると今度はガバナンスを弱めるといったような批判も出てくるんだろうと思うんです。
 じゃ、そういったことを考えるならば、逆に今回これを十年ということに延ばせるということにした理由、これも明確にしておいていただきたいと思います。
#231
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、その全く逆のお立場もあるわけでございます。しかし、やはり中小企業の実態を見てこの取締役の任期を二年、四年、五年というような期間に定めるのは大変御負担であると。
 実際に、先ほど有限会社のところで申し上げたところでもございますけれども、株主がそう動かない、考え方もそう動かない中で、そう頻繁に取締役の交代があるわけではないので、そういう意味で無駄な御負担をお掛けするのはどうかということもあったわけでございまして、そこで相当長い期間まで延ばせるということに落ち着いたということになるわけでございます。
#232
○木庭健太郎君 また、この点に関しましてもう一点確認しておきたいのは、休眠会社の整理期間の問題でございます。
 この休眠会社の整理期間についても、改正が併せて行われているというふうに承知をいたしておりますが、これについても、今は現行法では五年でございますが、これが十二年に延長されることになるわけでございまして、これについても理由を明確にしておいていただきたいと思います。
#233
○政府参考人(寺田逸郎君) 現行法では、おっしゃるとおり、この休眠会社の整理期間というのは二年に一度は株式会社に変更登記が取締役に関してされるということを踏まえまして五年ということにされているわけでございます。今度、それが最長十年の取締役の任期ということがあることになりますと、相当その任期の前提にして長い期間でないと休眠していると言えないわけでございますので、この点についていろいろ議論があったわけでございますが、最終的にはその十年をやや超える期間であります十二年ということになったわけでございます。
 この休眠会社の整理につきましては、これまで度々株式会社については整理がされておりまして、有効に機能しております。今後も、期間は長くなりますけれども、一つの会社実態というものを踏まえた法制の在り方として機能させていきたいというふうに考えております。
#234
○木庭健太郎君 まあ取締役の問題、今いろいろ聞かせていただきましたが、もう一つ、今日は特別清算の問題についても整理してお尋ねをしておきたいと思います。
 これは、倒産法制の問題についてはもう平成八年からの課題でございまして、ここからスタートして全体的な見直しをずっとやってまいりまして、破産法そのものは昨年の通常国会で成立をいたしておるわけでございますが、最後に残されたテーマが商法上の特別清算と会社整理の問題だというふうに認識をしておるわけでございますが、この問題につきましても平成十五年の年末から倒産法部会でこの特別清算分科会が設置されて検討されてきたと承知をいたしておりますが、分科会ではいろんな論議なされているようでございますが、この分科会における議論の経緯、概要、これについても御説明をいただいておきたいと思います。
#235
○副大臣(滝実君) 今、特別清算につきましては、委員御指摘のとおり、平成十六年の年明けから倒産部会の下に特別清算分科会が設けられまして、そこで議論をいたしてまいりました。要は、特別清算が余り知られてないと、こういうようなところから出発しているように思います。
 そこで、特別清算を利用できる会社の範囲を、現行の会社は株式会社あるいは株式会社に準拠する相互会社というふうに限定されていますけれども、これをもう少し広げる余地はあるのかどうかとか、そういうようなところから始まっているわけでございますけれども、結論的に申しますと、利用できる会社は現行の範囲内でいいんじゃないだろうかと、そういうようなことでございます。
 それからもう一つは、特別清算開始の申立てでございますけれども、これを、会社に申立て権を認めたらどうかと、こういうような議論もあったわけでございますけれども、現在の個々の清算人に申立て権が認められておりますよね。清算人は従前の取締役がそのまま清算人になり得るわけでございますから、改めて会社に申立て権を認めなくてもいいと、こういうようなことで、この辺のところは現行どおりと、こういうことでございます。
 ただ、少し変わってまいりましたのが、できるだけ広く使ってもらうと、こういう立場から、清算人の行為の適正を確保するための規制ということで、従前の監査委員の制度あるいは債権者集会での決議というものを、これを廃止いたしまして、重要な行為をする場合には裁判所の許可事項というふうに切り替えております。
 それから二点目は、協定の可決要件、これは従前はというか現行は四分の三以上だったんでございますけれども、この新会社法では三分の二ということで、議決権の同意要件を下げております。要するに、特別清算を利用しやすくすると、こういうようなことでこの新会社法に取り入れているというのが実態でございます。
#236
○木庭健太郎君 まあ、今副大臣が見直しのポイントとかちょっと御説明をいただいてしまったんですけれども、特別清算って、なかなか普通の人、分かりにくいんですよ。したがって、この特別清算の利用実態とか問題点とか、そういうのを踏まえて今回こういう点を見直したという、もう副大臣からかなり答弁はございましたが、そういった点もまとめて局長の方から御答弁をいただきたいし、また、まあそこまでにしますか、まず。そこまで説明していただきたいと思います。
#237
○政府参考人(寺田逸郎君) ちょっと一部繰り返しになるわけでございますが、特別清算、これは清算の中で債務超過の疑いがある等の特別の手続になるわけでございますが、まず債権者、清算人、監査役、株主らから裁判所に対して特別清算開始の申立てがされるわけでございます。裁判所によってこの開始の命令がされれば、清算人が裁判所の監督の下で会社の事業を終了させるための事務、債権の取立て、債務の弁済を行うわけでございます。つまり、普通の清算に比べますと裁判所の監督があるという点に特徴があるわけでございます。
 もう一つは、会社は必要に応じまして協定案というのを作成いたしまして、多数決で債権者集会でその決定がなされ、これが確定するとその協定の内容に従いまして債権者の権利が変更されるという、そういう集団的な処理がされるわけでございますが、この協定が成立した場合には、これを実行、清算事務の終了、そういうプロセスになるわけでございます。
 この特別清算の実際の利用でございますけれども、原則として取締役が清算人になること、手続が柔軟であること、費用が比較的安いということで、メリットはあるわけでございますけれども、全体の利用自体は百件単位でございまして、現在のところは年間三百件から三百五十件程度でございます。利用されない理由としては、先ほど副大臣の方から申し上げましたけれども、なかなか内容を理解することが難しくて、運用について余り専門家がいないというところもあろうかというふうに理解をいたしております。
#238
○木庭健太郎君 先ほど副大臣から説明ございましたように、今回はこの協定の可決要件を変えていますね。今までは四分の三以上の同意という、議決権者の、そういうものがあったものを、法案では議決権の総額の三分の二以上ということで、要件がかなり緩和されていますが、これ、緩和されて少しは増える見込みがあると見ていらっしゃるのかどうか、どうでしょうか。
#239
○政府参考人(寺田逸郎君) これは今回の一つの大きなポイントでございます。従前のその議決権の総額の三分の二以上のところを、そもそも出席者の定足数というものを変えているところでございます。それから、議決権の総額の三分の二というところも変えているところでございます。
 それで、改正後の利用見込みでございますが、現時点ではもちろん正確に予測することは困難でございますが、いろいろな倒産手続は、この多数決について緩和することによりまして、ある程度の利用の増加というのが見られるわけでございます。殊に民事再生法においてはそうだったわけでございます。その他の点もございますので一概には申せませんけれども、利用そのものは増加するだろうというように見込んでおります。
#240
○木庭健太郎君 その一方で、会社の整理という会社再建のための制度、いわゆる会社整理というのが今回廃止されることになったわけでございますが、これも、利用の現状と廃止の理由について伺っておきたいと思います。
#241
○政府参考人(寺田逸郎君) 会社の整理でございますけれども、これは支払不能、債務超過のおそれ、あるいはその疑いがある株式会社を再建するための制度でございまして、実際には民事再生法の施行によりまして、それまでは十件から四十件程度あった利用がほとんどなくなってしまったわけでございます。
 この整理の制度は、多数決の原理が採用されておらずに、全員の債権者の同意が必要になるために非常に使いにくいというようなところがございますし、先ほど申したように、民事再生法は法人、個人を問わず利用できると、こういう人気が非常に高い制度でございますので、そういう現状においてなかなかこの会社の整理というものを今後どうしていくかということについて積極的な御意見は見当たらなかったわけでございます。
#242
○木庭健太郎君 今まとめてお伺いしたように、言わば倒産法制の見直しというのが、ある意味では今回のこの会社法によって一段落、今まで、平成八年以降やったやつが終わるということでございますが、倒産法制の見直しはこれで一段落。
 じゃ、今後、取組としてどういったことをやる必要があるのか、法務大臣にこの点をお伺いして、私の質問を終わります。
#243
○国務大臣(南野知惠子君) 法務省におきましては、平成八年から倒産法制の全面的な見直し作業を行っており、平成十一年には民事再生法が、平成十二年には民事再生法等の一部を改正する法律及び外国倒産処理手続の承認援助に関する法律が、また平成十四年には新しい会社更生法が、また平成十六年には新しい破産法が、それぞれ成立し、いずれも既に施行されております。そして、今回の会社法案におきまして、残された課題であります特別清算の見直しと会社の整理の廃止を行っており、御指摘のとおり、これにより一連の倒産法制の見直し作業は当初の目的を遂げることになるものと考えております。
 今後につきましても、破産手続、再生手続、更生手続及び特別清算の手続等の運用状況を注視しつつ、必要に応じて適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
#244
○木庭健太郎君 終わります。
#245
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日はまず、合同会社についてお聞きをいたします。
 最初に大臣に、今回、新たに合同会社を設立をした理由についてお聞きをいたします。
#246
○国務大臣(南野知惠子君) お尋ねの合同会社制度といいますのは、株式会社のように出資の比率に応じて配当等を決めるのではなく、例えば、高い技術を持っている社員に厚く配当をすることができるようにするなど、柔軟な経営が可能な有限責任の法人制度の創設が必要であるという近年のベンチャー企業等からの要請にこたえるために新設するものでございます。
 具体的には、合同会社は、創業段階のベンチャー企業、それから少数の出資者により異なる種類の財産を出資して創設されるジョイントベンチャー、また、資産を証券化、流動化するための特定目的会社、これはPSCと言うようでございますが、SPCと言うようでございますが、これに利用されるものと予想しております。
#247
○井上哲士君 アメリカやイギリスなどのLLC、LLPの成功を見習ったものだと思うんですが、米英でこのLLCなどが非常に爆発的に普及をしたのは、パススルー課税という税制上の優遇措置が最大の理由だと言われております。
 日本経団連も二〇〇〇年の商法改正の提言の中で、このLLCの問題で、「設立された事業体の段階では所得課税を行わず、その損益を出資者の損益と通算する税制の導管としての利点を持つ。」と、こう述べて、このLLC制度の導入を求めております。
 先ほど説明もありましたけれども、実際には合同会社導入の最大の理由というのはパススルー課税であったんじゃないですか。
#248
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、外国におけるこの合同会社、類似のLLC等においては、課税において、今委員の御指摘のように、パススルー課税、つまり構成員自体に課税するということが取られているようでございます。その点を理由にしてこの合同会社、LLC、あるいは組合そのものでありますLLPを支持なさるお考えがあったことは、これは私どもも事実であると承知をいたしております。
 しかしながら、合同会社についての御要望というのはそれだけではございませんで、組合的な規律によって運営され、しかも、有限責任である会社というものについてそれなりのメリットをお感じになられるという御意向でございました。
 実際には、例えば株式会社との比較で申し上げますと、内部規律を定款によりまして非常に自由に設計することができるわけでございます。必ずしも出資額に応ずるということではなく利益の配当がされるというようなことでございます。それから、持ち分譲渡、入社組合員の加入、定款、組合契約の変更というのを全員一致という組合的な規律になるわけでございますので、その当初の出資者の権利というのが非常に強くここで守られるという、そういうメリットもあるわけでございます。
 それは株式会社との比較でございますけれども、他方、じゃ、この会社の制度にせずに、LLP、有限責任事業組合だけあればいいではないかというお考えもあったわけでございますけれども、それに対しては、やはり法人というものにそれなりのメリットはあるということでございまして、そういう様々な議論を経た上で、法制審議会でも、株式会社あるいは有限責任事業組合ではない一つの組織形態、会社形態として合同会社を認めるべきだというお考えにまとまったわけでございます。
#249
○井上哲士君 今、法制審議会でまとまったというお話ですが、実は法制審議会の会社法部会長だった江頭東大教授が経済雑誌で非常に率直に語っておられるんですが、会社法改正の本当のねらいが税制だということが多いのは事実ですと。経済界はどうも財務省には直接物が言えないらしく、法務省に話を持ってくる。法務省に新しい法制をつくらせた上で、新制度ができたから税制もお願いしたいという形にするんですねと。LLCの件でも、経済界としては税制上のパススルーさえできればいいのであって、必ずしも新しい会社類型が必要だったわけではないというふうに江頭さん自身が述べられておるわけですね。
 しかも、先ほどベンチャー企業等の要請と言われましたけれども、それを聞きますと、いわゆる中小企業とかいうふうに類推をするわけですけれども、実際上言いますと、この合同会社、非常に規制が緩い。しかも、法人社員を認めることになっていますから、非常に大企業にとっては便利な制度になっておりまして、結局のところ、大企業同士の共同事業とか大企業が出資しての事業など、専ら大企業の税負担軽減のための制度になるんじゃないかと、こういう懸念があるんですが、いかがでしょうか。
#250
○政府参考人(寺田逸郎君) それは、一つの御懸念としてはそういうこともあり得るかもしれません。これはいろんな形態での利用があるわけでございまして、もちろんすべて正当な、経済にとって望ましい形態が一〇〇%実現できるかどうか分かりません。
 しかし、多くの者はこれを利用して、かなりいい事業形態だという評価もあり得るわけでありまして、例えば少数の出資者によって異なる種類の財産を出資して創設されるジョイントベンチャーというのも先ほども申し上げたわけでございますけれども、そのほかにも大臣も申し上げました資産流動化のSPCにも利用されると。
 こういうときに、上場企業はほかの企業とジョイントベンチャーするかも分からないし、通常の子会社にする場合ももちろんあり得るわけではありますけれども、それ自体として直ちに弊害だとは言えない。まあ、それもいろいろなその事業形態の一つとして有用である場合ももちろん多いわけであります。
 ただ、合同会社を子会社とするということになりますと、おっしゃるとおり、子会社としてのこの合同会社が非常に組織形態としては言わば緩いものでございますので、親会社の監査役がこの子会社である合同会社に対して調査権を有するでありますとか、あるいは合同会社の制度の悪用によって損害を被った者が業務執行者に対して責任を追及することができるでありますとか、あるいは、これは一番極端なケースでありますけれども、債権者からの追及を免れるためにそもそも合同会社をつくって法人格を利用するというようなことがあり得るわけでありますが、それに対しては、社員の債権者に対しまして設立取消しの訴えの提起権を与える、提訴権を与えるという手当てをいたしておりますので、まあ全体といたしましてはこの合同会社の有用性について目配りができ、かつ、問題が生じ得るところについても手当てはされているというように私どもとしては考えているところでございます。
#251
○井上哲士君 この点でも、江頭教授は同じ雑誌の中で、規制が緩いということでむしろ大企業が子会社をつくるのに使われるのではないかという気もします、そういうことのために規制を緩くしたわけではないので困るのですがと、こういうふうに非常に率直に述べられております。
 これまでも、例えば民事再生法などもそうでしたけれども、中小企業向けの制度だということでの説明があったけれども、実際には違う使われ方をしたということはあったわけでありますから、この点は指摘をしておきたいと思うんですね。
 今回の会社法で言いますと、この有限責任の享受を理由に、有限会社相当の会社の透明性を高めるための公告義務を課しております。ところが、この合同会社は有限責任だけれども公告義務がない、最低資本金もない。それから、法務省は、この最低資本金なくしても配当規制があるので債権者保護は図れるという説明をされているわけですが、この配当規制もこの合同会社はないわけですね。
 その有限責任を同様に享受をする株式会社とこれだけの差が生じる理由は一体どこにあるのかと。透明性の高さとか債権者保護のための仕組みが不十分だということであれば社員の責任を株式会社よりも重くすると、こういうことも必要だったと思うんですけれども、この点いかがでしょうか。
#252
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、合同会社には純資産額三百万円という配当規制も掛かっておりませんし、計算書類の公告の制度も義務付けとしてはございません。
 もちろん、合同会社も債権者の保護は必要でございますので、資本金の額をベースとした配当規制というものはございますし、計算書類の開示制度というのはございますが、おっしゃるような先ほどのような規定の適用はないわけであります。この点についても、まあいろいろな議論はあり得るところであろうかと思います。
 しかしながら、株式会社というのは、基本的に多くの者から資金を集めて事業を行うということが前提になっているのに対しまして、この合同会社というのは特定少数の者が資金を出し合って会社を運営する、会社を設立して運営するということでございますので、必ずしも同じような規制でなくても構わないんじゃないかというところからその二つの規制を外しているところでございます。むしろ、この合同会社を御利用いただくためにはそのような規制というのはやや過度になり過ぎるというような意見でございました。
 ただ、こういたしますと、株式会社に対しましてこの合同会社が、特に外部から、債権者等から見ますと少し信用のない会社だということにならざるを得ないわけでございます。その点は確かに否定できないところであります。
 もちろん、こういうことについて、実際には、おっしゃるような合同会社というのを想定されるような利用ではなくて、言わば株式会社にすべきところを合同会社の形態を悪用するというようなケースが目立ちましたら、また私どももこの点については再検討せざるを得ないのではないかというふうにも思うわけでございますが、基本的に念頭に置いている形態からいたしますと、今のような規制ということで必要かつ十分ではないかというふうに思っているところでございます。
#253
○井上哲士君 悪用もあり得るということで答弁になりましたけれども、これは本当に厳しく見ていただきたいと思うんですね。
 先ほど、特定少数のみの資金であるので公告義務等を課してないということが言われたんですが、そうであれば、先日私、質問をいたしましたけれども、今の有限会社程度の規模の会社が今後株式会社を選択した場合に、実際にはごく少数のところから資金を集めてない場合があるわけですから、そういうところにまで公告義務を一律に課すのがいいのかどうかということにもつながっていくわけでありまして、どうも整合性が取れてないような気がいたします。
 次に、最低資本金制度の問題お聞きをしますが、今回廃止をされますが、そうなりますと、有限責任制度を取る株式会社でも資本金一円でもよいとなります。債権者保護が後退をするのではないかという懸念についてはいかがでしょうか。
#254
○政府参考人(寺田逸郎君) 度々この点についてはお尋ねをいただいているところでございます。
 それで、そもそも平成二年に最低資本金制度をつくりました際には、確かにこの点については、有限責任の株式会社においてある程度の規模の資本金というものの言わば外枠を設定しないということになりますと本来の株式会社らしくないという、そういう概念があったことは確かでございます。しかしながら、資本金そのもの、つまりこれはあくまで外枠でありまして、実際にその会社に財産が留保されているかどうかというと、これは別のことでございますので、その点において直ちに債権者保護が図られているということはなかなか現実の問題としても言い難いところがございました。
 そのほかにも、経済産業省のおつくりになりました特例の運用状況等も見まして今度このようにしたわけでございますが、実際に債権者保護というのの重要性というのはもちろん無視できないところであります。むしろ、その点は株式会社の財産状況を外部に対して適切に開示していくということによって担保すべきだというのが今後の方向性だという理解の下に、会計帳簿の作成の適時性、正確性というものを明文化したこと、会計参与を創設したこと、会計監査人の設置範囲というものを今までのように大会社に限定せずに拡大したこと、あるいは先ほど申し上げました計算書類の公告の義務付け、こういう措置で会社の実態というものを知っていただく、それによって債権者の保護を図るというのを基本に据えております。
 また、財産の不当な流出というものを防止するために、先ほどもこれもお話になられました、会社財産の流出、払戻しについては統一的な財源規制を掛けております。この点については、資本金というものに一部意義を認めているところでございます。
 したがいまして、どちらかといいますと、債権者保護については形式面よりも実質面を重視したというように御理解をいただきたいところでございます。
#255
○井上哲士君 平成二年の商法改正のときに、この三百万、一千万という最低資本金制度導入について私どもは反対をいたしました。当時、会社の倒産と会社の資本金との間には具体的な因果関係や関連性はないということも申し上げましたし、最低資本金を一千万円にアップしたところで、それは会社設立時において出資者から払い込まれた金額を示すだけであり、その後引き続いていつもそれだけの資本が会社に留保されているという保証は何もないということを当時私たちは言ったわけですね。
 それに対して法務省の方が、最低資本金の一般的な機能は要するに純資産の維持基準であると、会社債権者の担保となるべき財産を少なくともこれだけは会社に維持していただきたいという意味で債権者保護の制度であると言われて、会社債権者に対する最終的な引き当てであるという見地からは、最低資本金は高ければ高いほどよろしいということまで当時言われていたわけですね。
 百八十度今と私は説明が逆だと思うんですけれども、当時の説明が間違っていた、そういうことを認められるんですか。
#256
○政府参考人(寺田逸郎君) もちろん、会社債権者から見て、資本金の額というのは、それは低いよりは高い方が自分にとってはいい環境だということは一般的には言えるだろうというふうに思います。
 しかし、委員のおっしゃったように、それを設立時に言わば会社をつくる者に対する規制として掛けるということは、当時はそれで、会社というのは、基本的にサイズというのは資本というのがそれを表していたと、事業については非常に大きな資本が要るのが当然だという前提でそういうお考えをお示ししていたところでございますけれども、現在の状況を見ますと、ベンチャー企業を中心といたしまして、あるいはソフトの産業などに見られますように、必ずしも最初に出資する額は大きくなくてもいい、いろんな形で会社が大きくなっていけるというところもあるわけでございますので、そういう現実における事業の形態の変化というのが一つあるわけでございます。
 それからもう一つは、これはもう正直に認めざるを得ないところでございますけれども、やはり考え方の変化というのがあるわけでございまして、委員がおっしゃるように、そういう最低資本金規制的なものを参入規制としてではなくて配当規制という機能に絞り込んだというのは、先ほどの委員の御指摘がむしろ正しかったというように認めるところでございます。
#257
○井上哲士君 やってみて違っていたじゃなくて、当時から、私どもだけじゃありませんで、中小企業団体からも様々な声があったわけですね。この最低資本金制度の猶予期間というのは九五年まで続きました。当時、この猶予期間については延長を求めた、私どもは求めたわけですが、相当程度手当てをしているとか、最低資本金を満たすために努力をした会社とのバランスを考慮する必要があるというような理由で延長は拒否をされたわけですね。やはり、今回説明を百八十度変えてこの制度を廃止するのであれば、それこそ当時、最低資本金を確保するために大変な努力をされた中小企業の皆さんに納得のいく説明がやっぱりないと、これは正にバランスを欠くことになると思います。
 そういう点で、一番最初の質問のときに私、この間の会社法改正というのが大変、言わば付け焼き刃といいましょうか、継ぎはぎ的改正だったということを指摘をしたことがありますけれども、この点でもこの問題が大変浮き彫りになっているということを最後申し上げまして、質問を終わります。
#258
○委員長(渡辺孝男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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