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2005/06/23 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第25号
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2005/06/23 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第25号

#1
第162回国会 法務委員会 第25号
平成十七年六月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     魚住 汎英君     尾辻 秀久君
     広野ただし君     松岡  徹君
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     前川 清成君     尾立 源幸君
     松岡  徹君     峰崎 直樹君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                荒井 正吾君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                尾立 源幸君
                峰崎 直樹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       内閣官房内閣参
       事官       小風  茂君
       金融庁総務企画
       局審議官     振角 秀行君
       金融庁総務企画
       局審議官     鈴木 勝康君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
       財務大臣官房審
       議官       佐々木豊成君
       国税庁課税部長  竹田 正樹君
       国土交通省土地
       ・水資源局次長  日尾野興一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○会社法案(内閣提出、衆議院送付)
○会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、広野ただし君及び魚住汎英君が委員を辞任され、その補欠として松岡徹君及び尾辻秀久君が選任されました。
 また、昨二十二日、前川清成君及び松岡徹君が委員を辞任され、その補欠として尾立源幸君及び峰崎直樹君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣官房内閣参事官小風茂君、金融庁総務企画局審議官振角秀行君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君、法務省民事局長寺田逸郎君、財務大臣官房審議官佐々木豊成君、国税庁課税部長竹田正樹君及び国土交通省土地・水資源局次長日尾野興一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(渡辺孝男君) 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。今日は財政金融委員会からやってまいりました。よろしくお願いいたします。
 本日は、会社法案につきまして四十分間お時間をいただいております。私自身、主に三つの点、一つは擬似外国会社の問題、もう一つは有限会社の問題、そしてもう一つは、私自身これまで公認会計士、税理士ということをやってまいりましたので、実務上の個々の問題点につきまして御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、もう議論が大変多くされてきておりますけれども、これまで擬似外国会社に対する規制がどのように現行法ではなっていたのか、まず教えていただきたいと思います。大臣、よろしくお願いいたします。
#7
○国務大臣(南野知惠子君) お尋ねの件でございます擬似外国会社に関しましては、現行商法第四百八十二条に規定が設けられております。現行商法の第四百八十二条は、外国会社を利用した日本の会社法制の脱法、潜脱を防止する観点から、擬似外国会社は日本法に従って設立された会社と同一の規定に従うことを要するというふうな旨を規定いたしております。
 この規定の意味は、判例、多数説によりますと、擬似外国会社は日本法に基づいて再設立しない限り法人格が認められないということでございます。
#8
○尾立源幸君 会社法案におきまして、審議におきまして、これまで擬似外国会社に当たらない例というもの、これは様々な委員会で質疑がありまして、ある程度明らかになってまいりました。
 そこで、逆にどのような会社が今度は擬似外国会社に該当するか、具体的に教えていただきたいんですが、よろしくお願いいたします。
#9
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 会社法案の八百二十一条における擬似外国会社の範囲といいますのは、現行商法四百八十二条における擬似外国会社の範囲と全く同一でございます。条文では、「日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社」と規定されております。ここで「日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社」、これが何が問題とされておりますかと。
 この規定が、外国会社を利用した日本の会社法制の脱法、先ほど申しました潜脱を防止するという趣旨によるものであることを照らして考えますと、専ら日本において事業を行うことを目的として設立された外国会社のようなものがこれに当たると考えられております。例えば、典型的には、ハワイ州で設立した会社でありながら、ハワイ州の本店では全く事業を行わず、日本においてのみ事業を行うことを目的としているような場合がこれに当たると考えられております。
#10
○尾立源幸君 今具体的に御説明いただきました、ハワイ州で設立をされ、専ら日本で営業しているというふうな会社ということでございますが、今正に大臣お読みになりました八百二十一条でございます。もう一度私の方からも読ませていただきますが、日本に本店を置き、また日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続することができないと。分かります。その次に、二項に「前項の規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。」と、このように書いてございますが、それでは具体的に、ハワイ州で設立をされ、日本に本店を置いて営業を行うような会社がどのような規制に服するのか、規制をされるのか、教えていただけますか。
#11
○国務大臣(南野知惠子君) 現行の商法第四百八十二条につきましての判例、また多数説ということによりますと、擬似外国会社は日本法に基づいて再設立しない限り法人格が認められない、これ先ほど申したとおりでございます。しかし、これでは擬似外国会社と取引をした相手との法律関係が安定性を欠いてしまい、適当ではないとの批判がございました。
 そこで、会社法案第八百二十一条では、擬似外国会社に関する現行法の規律の趣旨を維持しながら、法律関係の明確化を図り、また取引の安全を保護するという観点から、擬似外国会社の法人格を否定せず、これを認めるとした上で、二つございますが、擬似外国会社は日本において取引を継続して行うことができないこととし、これに違反して取引を行った者は取引の相手方に対して擬似外国会社と連帯して責任を負うことといたしております。
 具体的には、擬似外国会社を代表して取引を行った者は、取引の相手方から、当該取引に係る債務の弁済を請求されることが考えられるということでございます。
#12
○尾立源幸君 ありがとうございます。
 私がお聞きしたかった点は、実は今正に大臣おっしゃいました、ハワイ州で設立をして日本で専ら営業をするような会社が登記をされた場合どうなるんですかということなんですね。
 今大臣がおっしゃったのは、登記をされて営業をして、何か破産やその他問題が起こったときにこのような連帯責任を負うんだというような規定は分かるんですけれども、そうすると、破産とか何か問題が起こるまでは何ら規定があるにもかかわらず具体的な規制はないのではないかと、私はこのように思いますが、いかがでしょうか。
#13
○政府参考人(寺田逸郎君) これ、具体的にどうなるかということは現実の問題でございますけれども、建前で申しますと、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、擬似外国会社は日本において取引を継続して行うということができないという一項の規定がございますので、その一項の規定に違反すると過料の制裁がございます。したがいまして、そういうことが発覚すれば、それはそういう制裁を受けるということにはなるわけでございます。
#14
○尾立源幸君 その違反して取引を行ったかどうかというそういった認定といいますか、というのはどこがどのようにされるんでしょう。また、過料の規定についてちょっと教えてください。
#15
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、過料の制裁は最終的には裁判所で行うということになるわけでございます。
 そして、これは、どういう機会にこれが発覚するかということでございますけれども、官署がそういうことを発見した場合にそういう手続を取るということになろうかと思います。
#16
○尾立源幸君 今までそのように発見するような、今までも規定もあったと思うんですけれども、違反しているような擬似外国会社を発見するような何か努力をされたんでしょうか。
#17
○政府参考人(寺田逸郎君) これまでは法人格が否定されるということが法律の効果でございました。したがいまして、その法人格があるかないかをめぐって民事の訴訟になったというケースはございます。しかし、これまでは、過料というような制裁を法律上予定をいたしておりませんので、そういうケースは全くございません。
#18
○尾立源幸君 そうすると、この規定に違反して、違反するというか、当初意図があるかないかは分かりませんが、擬似外国会社というものは簡単に設立はできてしまうということでよろしいでしょうか。
#19
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、純粋に日本で活動を行うという会社でも、国によって設立することは極めて容易でございますので、そういうことを妨げる道はないということになろうかと思います。
#20
○尾立源幸君 それで、最後のある意味出口のところ、破産や何か大きな違反をしたとき、そのときだけ制裁の、また過料の対象にすると、そのような法律構成になっているというように考えてよろしいでしょうか。
#21
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、現実には、結局のところ、相手方がその当該外国会社に債権の請求をしていく場合に、その外国会社の実体があれば、これは普通に債権債務の処理がされてしまっているわけであります。ところが、その外国会社が債権を払えないということになった場合に初めて相手方としてはその外国会社の代表取締役個人の責任を追及するということになるわけでございますので、おっしゃるとおり、通常、その会社が何も債権債務関係に問題なく処理が行われているということになりますと、なかなかこの条文自体の適用が問題になっているケースというのはまれ、ほとんどないだろうというように現実問題としては理解せざるを得ないのかなとは思います。
#22
○尾立源幸君 分かりました。
 非常に私たち日本人でもこの条文を理解するのはなかなか大変で、今お聞きしておるところなんですけれども、実際、この法律、会社法を利用するのは日本人に限りません。当然、外国の皆さんもこの会社法を使って新しくビジネスをされるということが予定されております。特に外国証券会社や、またアメリカ政府、そしてEUなども今回のこの条文の解釈をめぐって大変強い懸念を示しておると、そういう声は聞いておりますけれども、これに対しては逆にどのように法務省さんの方では御説明をなされるおつもりなのか、また誤解を払拭される予定なのか、お聞かせいただきたいと思います。
#23
○国務大臣(南野知惠子君) アメリカの政府だとか、それから在日米国商工会議所、又は欧州ビジネス協会などから擬似外国会社の問題についての懸念、これが示されていることは承知いたしております。
 法務省といたしましては、この点につきまして、会社法案第八百二十一条の趣旨が外国会社を利用した日本の会社法制の脱法行為を禁止するという現行商法第四百八十二条と同趣旨のものであること、又は、会社法案第八百二十一条により擬似外国会社とされる会社の範囲、これは商法第四百八十二条において擬似外国会社とされる会社の範囲と全く同一であるということなどにつきまして、これらの関係の方々に数次にわたる説明を申し上げてまいりました。また、懸念の解消にも努めてきておりますということを御報告できるかなと思います。
#24
○尾立源幸君 その結果、疑念が、また誤解が解消されたかどうか、またそれはお答えいただきたいと思うんですが、ちょっと別の角度から私の問題点を指摘をさせていただきたいと思います。
 先ほど財政金融の方から参りましたということ、特に金融関係で非常に私は強い懸念を抱いております。と申しますのも、政府が今一丸となりまして、金融改革プログラムということで、金融サービス立国、我が国は目指しております。御承知のとおりかと思います。その中の一つに、五つ、金融サービス立国を打ち立てるに当たって五つの視点がございまして、その中の一つに国際的に開かれた金融システムの構築と金融行政の国際化ということで、開かれた金融システムというところを私は注目をしております。
 と申しますのも、もう御承知のとおり、日本の金融、資金調達等々におきましてもグローバル化が進んでおりまして、専門用語で恐縮なんですけれども、ABCP、アセットバックCPというようなスキームを使って多くの中小企業が資金調達をしております。日銀の発表によりますと、枠としては二十兆、二十兆の枠を設定しておりまして、現実に三月末に七兆ほど、七兆ほど残高があって、現実に動いております。これは正に今問題となっておりますケイマン等々の会社を使いまして資金調達をしており、もしここで擬似外国会社というような認定がなされますと、中小企業の資金調達に大変なまた混乱を起こしかねないと、こんな問題意識を持っております。
 ですから、私たち民主党、今、是非この条文の削除というものを今求めております。強く求めたいと思いますし、また、その削除が難しいということであるならば、誤解を招かないようなきちっとした附帯決議等々で手当てをしていただきたいと、このように思う次第でございます。
 それでは、次の問題点に移らせていただきたいと思います。
 会社法の中で、今有限会社として設立されたものが今度株式会社へと移行するということになっている。これは選択制で、有限会社とどまるもよし、新しく株式会社になるのもよしと、そういうふうにお聞きしておりますけれども、例えば、有限会社がそのまま有限会社として残る道を選んだ場合に会社更生法の適用があるのかどうか、お聞きしたいと思います。
#25
○国務大臣(南野知惠子君) 先生御指摘のとおり、会社法施行後、既存の有限会社は株式会社となりますので、会社更生法の適用を受けるということになります。
#26
○尾立源幸君 その際、これもまた金融面でございますが、また詳しいことは峰崎委員からの質問があると思いますが、実は、証券化の事業を営む目的で設立されたSPC、スペシャル・パーパス・カンパニーでございますが、の多くは有限会社形態を取っております。そして、その資産のうち、質権や抵当権を設定するんですけれども、これらの担保権はSPCが破産手続又は民事再生手続とは別に行使できるということになっております。これは有限会社の特徴でございます。しかし、もしこのSPCが会社更生法の適用を受けるということになれば、資産流動化や、また証券化取引の債務の償還が遅れる、滞るおそれが生じるというふうに言われております。実際に、債務の償還が遅れますと、証券化取引全体のこの枠組みですね、この格付が下がりまして、予定していた利息よりも例えば高い利息を払わなければ資金調達ができない、そういったことも起こるわけでございます。また、逆もございます。
 そういった意味で、事業に悪影響を与えるのではないかというふうな懸念が各界から今起こっておるんですけれども、法務省さんにお聞きしたいのは、こういった実際のビジネスで有限会社が使われ、今回の法改正に当たってその有限会社のある意味で基盤が揺るぐような状況が起こるわけです。それによってまたビジネスにも影響が出てくる。ここまで検討されたのかどうか、お聞きしたいと思います。
#27
○国務大臣(南野知惠子君) 整備法におきましては、既存の有限会社を株式会社として存続させた上で、有限会社から会社法上の株式会社に変更させるということによってこれは不利益になる事柄について従前と同様の扱いがされるように経過措置を設けております。しかし、会社更生法の適用につきましては、有限会社の再建手段によりまして選択肢を増やすというような点で有限会社にとって有利なものでありますので、特に経過措置を設けてはおりません。
 既存の有限会社につきましては、会社更生法の適用を認めるか否かというような、有限会社全体にとって利益となるか否かという観点から検討を行ったものでございまして、個別の業種について有限会社に会社更生法の適用を認めることが不利益となることがあるか否かという観点からの検討は行っておりません。
#28
○尾立源幸君 それじゃ困るわけでございまして、先ほど申し上げました金融サービス立国を我が国は目指しております。個別の事柄といえば事柄なんですけれども、是非こういう問題点があるということ、当然長い期間審議会やらヒアリング等々でやられているわけでしょうから、どうしてこういう問題点がすぽっと抜けてしまうのかなと。法律を作るに当たってのその辺の仕組みはいかがなんでしょうか。
#29
○政府参考人(寺田逸郎君) これは会社法制は、全体といたしまして現実の会社の在り方に非常に大きな影響を与えるということは当然のことながら私どもも認識をした上で様々な作業を行っているわけでございまして、一般的な会社の形態としてどういうような利用のされ方が現にされているかということについては、様々な御意見等を伺う機会もあったわけでございます。それで、経済団体等にも検討の過程ではいろいろな意見の照会をさせていただいて、そこで改めて私どもも再認識したような事柄もないわけではございません。
 ただ、一般的に申しますと、個別の業種、例えば会社でも、運送業であればどうするか、あるいは航空会社ならどうするかというようなことは、それぞれ基本的には所管官庁の方でいろいろお考えになられたところを私どもと協議をしていただくというのが通常の法案を作成する際のパターンでございます。あるいはまた、消費者保護の観点からどうだということになりますと、これは当然のことながら現在ですと内閣府ということになるわけでございますけれども、そういう所管官庁がやはりおやりになって、そこから御意見をいただくというようになっておりまして、私どもで個別の業界についてどういう問題があるかということを自ら調査するというような仕組みにはなっておりません。
#30
○尾立源幸君 お話を要約いたしますと、金融庁さんが何も言ってこなかったからと、そういうような話でよろしいんでしょうかね。
 いずれにいたしましても、これは金融業界、また今の資金調達、日本の社会におきまして有限会社が使われているというのは、非常にこれはコストの面、また運用の面で便利なわけでございまして、これはもうイロハのイでございまして、金融の世界におきましては。なぜ、そのようなすり合わせが逆にできないのか、またそういった世の中の流れに付いていけないのか、その辺、もう一度お聞かせください。
#31
○政府参考人(寺田逸郎君) 私どもですり合わせを拒んでいるとかいうようなことは毛頭ございませんで、様々な問題があれば、それはもちろん検討はいたすわけでございます。ただ、私どもの方でどういう金融政策をお取りになるか、あるいはどういう運輸政策をお取りになるかというようなことを直接検討する機会もございませんし、また能力もないわけでございますので、それはそれぞれ役所の範囲内でやるというのが、これ政府の現実としては姿でございます。
#32
○尾立源幸君 だからこそ我々の役割があるんだと思います、こういう場があるんだと思います。
 今新たに問題点が幾つか出てきております。擬似外国会社の定義の問題、そしてこういった有限会社の会社更生法を適用されるか否かの問題、明らかになっているわけですから、是非、行政同士で話し合い、また漏れてしまったところはこの国会の場でこうやって指摘しているわけですから、前向きに修正を、又は削除を求めていきたいと思います。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。今度は税制に、ちょっと質問の順番が入れ替わって恐縮なんですけれども、税制に関する部分に移らせていただきたいと思います。
 実は、税の世界でも資本金を基準にいろいろと税制が組み立てられております。例えば、資本金の額によって様々な優遇を受けられたり、又はその逆であったり、そういったふうに資本金はある意味で一定の基準になっておるわけでございますが、これは財務省さんにお聞きをしたいと思いますが、例えば資本金の基準で異なる寄附金税制やまた登録免許税等々を含めましてどんなものがあるのか、ちょっと一例を挙げていただければと思います。
#33
○政府参考人(佐々木豊成君) 資本金を基準とした税制の例でございますけれども、我が国の税制におきまして資本金を基準に税を課す例といたしましては、先ほど御指摘いただきました株式会社の設立の登記に対する登録免許税、これは資本金額に対して比例的に税負担を求めております。また、法人税の寄附金の損金算入限度額の計算におきましても、会社の資本金等の金額にその会社の行う経済活動の規模等を見いだしまして、資本金等の額を基準として損金算入の範囲を決めているものもございます。
 そういう例のほかに、資本金を基準としまして異なる制度を適用する仕組みというのもございます。これも先ほどちょっと御指摘ございましたが、資本金を基準として中小企業に対する政策的な配慮の税制というのが行われておりまして、中小法人の軽減税率の適用、中小企業投資促進税制、交際費等の損金不算入の特例、少額減価償却資産の損金算入の特例などがございます。その対象となる中小企業の範囲を画すための資本金基準というのが用いられております。
#34
○尾立源幸君 このように、大臣、税の世界でいろいろとこの資本金は用いられるわけでございますけれども、私が今回ちょっと取り上げさせていただいたのは、お手元の配付資料にございます、右の方ですね、今財務省さんからもお答えございました寄附金税制の中の一つでございますが、一般寄附金に関する税制ということで、法人が寄附金の損金算入をする際の計算式というのがここに書いてあるものでございます。式を、ちょっと二段になって申し訳ないんですが、所得金額の二・五%プラス資本等の金額の〇・二五%を足したものの二分の一を寄附金の損金算入限度額とすると。経費として落としていいですよと、こういう規定になっておるわけです。
 ここで、御承知のとおり、この限度額を計算するに当たっては所得の金額と資本等の金額の二つの要素がございます。今回、株式会社、これまで一千万だったわけなんですけれども、撤廃されまして、現実的には一円の株式会社というものが設立が可能になると思います。そうなってきますと、この損金算入限度額の計算式の二つ目の要素が意味を成さなくなってくるわけなんですね。
 こういった意味で、これは法務大臣ではございません、財務省さんの方に、どういう調整をされているのか、資本金の撤廃とともに、ちょっとその経過をお聞かせください。
#35
○政府参考人(佐々木豊成君) 資本金の最低資本金制度の規制が撤廃されるということに関連しまして、税制、特に寄附金税制がどのように変わっていくか、どういう相談をしたかということでございますけれども、私どもの理解によりますと、一般寄附金の損金算入限度、この数式で示されております、ここに所得と資本というものが基準になっておりますが、これは、資本等の額がその会社が行う経済活動の規模を一定の範囲で表しているということに基づきましてこういう算出をしておるわけでございます。
 こういう形式的な基準によりますのは、寄附金といいますものが、本来経費性が乏しいから寄附金だと言われておりますが、全く経費性がないかどうか、事業関連性が否定できるのかどうかというのは非常にあいまいなところがございますので、企業の一般の寄附金枠という形でこういう形式的基準を用いて、その資本に経済的活動の規模を見いだして掛けているということでございます。
 ところで、今般の会社法案において最低資本金制度の撤廃が行われますけれども、その資本の位置付け自体が変更されるわけではないと承知しておりまして、今回行われますのは設立時の払込価額規制、これは一千万でなくてもよろしいということだと承知しております。ということで、それは直ちにその寄附金の損金算入限度額の計算を見直さなければならないといった性質のものではないというふうに私どもは理解いたしたところでございます。
 いずれにしましても、こういう寄附金の税制につきましては、先日、政府税制調査会においても議論がされまして、新たな非営利法人に関する税制及び寄附金税制についての基本的考え方というレポートをいただいておりますが、そういうものを踏まえまして今後検討していく必要があるというふうに考えております。
#36
○尾立源幸君 今の御説明にありましたように、この寄附金の損金算入限度額というのはよく分からない計算式なんですね。意味があるのかないのか分からないような計算式でございまして、一方、国や地方公共団体に同じ法人が寄附したら、それは全額経費になる、損金に算入になる。一方、一般の寄附の場合はこういった大変厳しい規制になっておる。この点、我々民主党も、今、公益法人改革の中で、もっと官と民の格差がないようにイコールにしていきたい、こんなことでやっておりますが、税調の方でも是非その意見を取り入れていただきまして、税制改革に生かしていただきたいと、そのように思います。
 次は、会計参与についてお聞きをしたいと思います。
 今回の商法改正の目玉と言われておりますが、会計参与、取締役会と共同して計算書類を作成するということになっております。また、これについて大変重い責任を負わされることになっておりますけれども、ちょっと実務の世界で懸念されることがございまして、その点をちょっとお聞きしたいんです。
 実は、銀行から借入れをするときに、せっかくこの会計参与という人が計算書類、通常では財務諸表といいますが、の信頼性、適正性を担保しているわけでございますから、この人に保証人に、連帯保証人になってもらおうと、銀行からですね、こういうふうに求められるのではないかという、非常に危惧されている方もいますし、逆に、銀行も、あっ、これはいいやと思っている方もいらっしゃるんです。その辺り、大臣、どのようにお考えですか。
#37
○国務大臣(南野知惠子君) 銀行などの金融機関が融資をするに当たりまして、どのような物的担保、人的担保を要求するのかということにつきましては、これは各金融機関の判断ということになりますので、法務省といたしましてはその当否についてお答えすることは難しい面があろうかと思っております。でも、一般論として申し上げるならば、会社法案におきましては、会計参与が任務を懈怠した場合に会社及び第三者に対して責任を負うとされていることと、それから各金融機関が会計参与に人的保証を求めることとの間には論理的なつながりはないものというふうに考えております。
 もっとも、会社法案上、会社及び第三者に対して責任を負うことが規定されている会計参与が計算書類の作成にかかわることによりまして計算書類に対する信頼性が向上するものとこれは思われますので、会計参与が設置されていなければ物的担保又は人的担保が要求されるような事案におきましても、会計参与が設置されていることによりそのような担保を要求されないという事例は、これは生じ得ると思います。
#38
○尾立源幸君 それでは、銀行の監督官庁である金融庁さんにお聞きしたいんですが、正に金融サービス立国ということで使い勝手のいい金融システムということなんですけれども、使い勝手が良くなった代わりに自分が保証人に取られてしまったと、こんなことになったらとんでもない話なんですけれども、この辺りはどのように、そのような、例えば融資の条件として、会計参与に必ず連帯保証になってもらわないと貸しませんよと言われたときはどうすればいいんですか。
#39
○政府参考人(鈴木勝康君) 一般的でございますが、銀行は融資先の財務状況ですとか、それから資金の使途ですとか、返済財源等を的確に把握しまして、そして融資先の技術力ですとか、販売力ですとか、いろいろなことをかんがみまして、こういった情報を適切に審査すると、そしてその融資の実行を決めるものと認識しております。会計参与について、付けているか否かをもって直ちにその融資の実行を決めることにはならないものと考えております。
 銀行が融資に当たって、御指摘の会計参与を含めまして連帯保証を求めるか否か、正に個々の取引状況でございまして、当事者間の合意で定められるものと承知しております。ただ、今御指摘のように、金融庁としては、昨年末に公表しました金融改革プログラム、今御指摘いただきましたけれども、その中でも、不動産担保ですとか保証に過度に依存しない資金調達手法の拡充を掲げておるわけでございまして、事業からのキャッシュフローを重視して、担保、保証に過度に依存しない融資の推進を銀行に繰り返し要請するなどの取組を行ってきているところでございます。
 金融庁としましては、今後とも、御指摘のあった会計参与を保証人とすることに限らず、一般的に保証に過度に依存しないと、これが大切だと思っておりまして、融資、あるいは担保に過度に依存しない融資に対する取組を一層推進してまいりたいと考えております。
#40
○尾立源幸君 是非、そのような過度の保証人を要求するような事例が起こらないように是非御指導いただきたいと思います。
 それではもう一つ、配当についてお伺いをいたします。
 今回の四百五十四条でしょうか、これまで会社の配当は年二回、中間配当と決算での、本決算での期末の配当ということが通常だったと思うんですけれども、今度の法改正におきましては、株主総会の決議がございましたらいつでも剰余金の配当をできると、このような規定になっております。
 これは、今MアンドA等で会社の魅力を高めなければいけない。それは、すなわち配当性向を高めるというのも一つの手だと思うんですが、そういう意味で、どんどんどんどん、ある意味で株式の価値を、魅力を増すために配当を行っていく。当然、そのためには原資が必要でございますから、会社の利益の中からそれを払っていかなきゃいけないわけですけれども、そういたしますと、会社の利益を上げるために労働分配率が下がっていくのではないかと、このような懸念が一方ではございます。
 ただでさえ、今、労働分配率は下がってきております。このような問題意識が、大臣、おありかどうか、またその辺りをちょっとお聞かせください。
#41
○国務大臣(南野知惠子君) まず、先生御指摘なさいました労働分配率というような問題点も含まれているのかなというふうに思いますが、各会社がその経営判断に基づきまして決めるものでございます。これは当然でございますが、その在り方は、一義的には各会社の経営判断にゆだねられている、これもまた当然のことであろうかと思っております。
 他方で、会社法案では、先生御指摘のとおり、剰余金を配当することができる回数につきましては、現在の年二回までとする規制を廃止しておりますけれども、配当することができる金額自体は、これは配当可能利益の範囲内に限られているということでございまして、この点は現行法と変わるところはございません。
 そして、配当可能利益というのは、会社が事業活動を通じて上げた収益から労働者に支払うべき賃金も含めた事業活動に要する費用を差し引いた後の利益の合計額でありますから、会社法案におきまして配当することができる回数を増加させたとしましても、配当可能利益の算出方法についての改正を行っていない以上、先生の御指摘の労働分配率を下げるといった事態は生じないものというふうに思っております。
#42
○尾立源幸君 分かりました。
 それでは次の質問に移らせていただきたいんですけれども、今回、設立に際して手続が簡略になっておることがございます。その手続の中で、発起設立でございますが、募集設立と発起設立がございますが、その発起設立の方で、この場合には、会社の資本金の払込みをした場合に、これまで両設立とも銀行や信託銀行の払込保管証明というものが必要でございました。それが、今回、発起設立に限りそれが不要で残高証明でいいんだというふうな規定になったということでございますが、じゃ、実務上、その残高証明というのは、だれの名義の残高証明をどのように出せば、まあこれは登記資料になるんでしょうけれども、登記の添付資料になるんでしょうが、認められるんでしょうか、教えていただけますか。
#43
○国務大臣(南野知惠子君) 会社法案におきましては、株式会社を発起設立する場合の出資の払込み、これに関しまして、払込取扱銀行等の払込取扱機関を利用する必要もありますけれども、これらの機関による払込金保管証明書の制度を用いることなく、先生おっしゃったように、預金口座の残高証明書等の方法によりまして設立に際して払い込まれた金額の額を、金銭の額を証明することができるようにしていると。
 このように払込金保管証明によらずに払い込まれた金額の額を証明する制度は、既に新事業創設促進法において、いわゆる確認株式会社を設立する手続などで採用されておりますと。払込取扱機関が作成する残高証明書等が確認株式会社の設立などの登記申請の際の添付書面とされております。
 具体的な添付書面としましては、一つ、確認株式会社を代表すべき者が作成した発行価額の全額の払込みを受けたことを証明する旨を記載した書面に加えて、取引証明書等の当該払込取扱機関が作成した書面あるいは当該払込取扱機関における口座の貯金通帳の写し、これのいずれかが必要であると。そういう意味では、後者の書面につきましては、当該口座が発起人のものであり、株式の割当てを受けた者から発行価額に相当する金額が当該口座に入金されたことを確認することができるものであることが必要とされております。
#44
○尾立源幸君 そうしたら、三人の発起人がいた場合に、代表者の通帳でいいと。その中には二人分の振り込みなりなんなりの預け入れが通帳に記載されている、それがあればいいという理解でよろしいんですか。
#45
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、どなたか発起人の口座であれば、それはほかの方の分もカバーするということで扱いとしてはよろしいかと思っております。
#46
○尾立源幸君 以上で質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#47
○峰崎直樹君 私も実は、財政金融委員会から今日法務委員会に差し替えさせていただいて質問させていただきますが。
 実は、今、尾立委員の方からあった、最初、有限会社がなくなる問題で、あるいはこれも実は最近になって分かったわけであります。ですから、やはり一千条近い大変な法案を作るときには、衆議院段階では分からなかった擬似外国会社問題とか、こういう有限会社がなくなって株式会社だけになってしまうと、そのことに伴って実は、実際にそのことによって経済活動をやっておられる方が大変深刻な影響を受ける問題が今出てきているわけであります。その意味で、是非この点について、率直に今日は今後のあるべき方向も含めて議論させていただきたいと思うわけであります。
 そこで、まず、最近SPCを使って、SPCで、有限会社を使って、資産を譲り受ける不動産やあるいは金銭債権の資産流動化と言われているものが、あるいは証券化商品というものが取引が増加をしているというふうに言われています。
 そこで、まず第一番目に、これは多分国土交通省になるんでしょうか、不動産を対象としたノンリコースローン、これは最近非常に増えていると、こういうふうに言われているんですけれども、そういう資産流動化あるいは証券化取引の総額というのは、直近ではどのぐらいの金額になっているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#48
○政府参考人(日尾野興一君) 不動産を対象といたしましたノンリコースローンを含みました証券化の額でございますが、私どもが調査しているところによりますと、平成十六年では、単年度では七兆五千億円ぐらい、それから、平成九年から調査をしているわけでございますが、それの累計という状況では約二十兆円という状況になっているところでございます。
#49
○峰崎直樹君 じゃ、金融庁にお伺いしますが、今度は金銭債権の資産流動化とか証券化とか、これは大体どのぐらいの規模になっているのか、教えていただきたいと思います。
#50
○政府参考人(振角秀行君) お答えしたいと思いますけれども、先生から御指摘がありました金銭債権等の資産の流動化、証券化でございますけれども、この形態としましては、信託を利用したりあるいは匿名組合を利用したり、先生御指摘のSPCを利用したり、個々のものがございますけれども、信託とか匿名組合とかそういうものについては行政庁への届出を要しないということがございまして総額の把握は必ずしも十分できないわけでございますけれども、ある民間会社の調査によりますと、直近の、先ほど国土交通省言われた同じ平成十六年度の証券化商品の発行額は約五兆七千五百億円程度あるというふうに承知しておりますけれども、これらの統計には非公表の、いわゆる私募の案件が含まれていないということに留意する必要があると思っております。
#51
○峰崎直樹君 今、委員の皆さん方もお聞きになって、過去の累積から含めると相当の金額になっている。ただし、もっともこの中にはこのSPCを使っていない、有限会社を使っていないものがある。
 で、恐らく、もし分かれば教えてほしいんですが、分からなければ分からないでいいんですが、この有限会社を使った、まあSPCでですね、土地の資産流動化あるいは証券化と、こういうものを使っているものの金額はどのぐらい、単年度でどのぐらい、そして過去どのぐらいかというのは、これは今回土地だけで結構ですが、不動産だけで結構ですが、それは分かりますでしょうか。
#52
○政府参考人(日尾野興一君) 正確なところは実は私ども分からないわけでございますけれども、J―REITとか、いわゆるそういう株式会社とか有限会社双方を使った、足した数だというふうに御理解を願いたいわけでございます。そういった水準では約単年度で四兆円ぐらいの水準でございます。
 ただ、申し訳ございませんが、株式会社とか有限会社と、その中の詳細を私ども承知していませんので、そこの内訳というのは把握していないというのが現状でございます。
#53
○峰崎直樹君 これは金融庁にお話をしなきゃいけないと思うんですが、今現在、投資サービス法を作っていますけれども、投資サービス法の範囲に実はこういう、国土交通省所管だとか農水省所管だとか、こういうものが実は、今のように実は大変な金額の取引が行われていても、これは証券化されたり、あるいは今SPC使ったりして流動化したり、大変そういうものが広がっているときに、そういうものの範囲に含まれた、全体を含んだ私は金融投資サービス法にしなければ意味がないと思っております。
 これは意見だと思って聞いておいていただきたいと思いますが、恐らく来年あるいは再来年にはこの投資サービス法出てくるんだろうと思いますが、是非そこは、さっきから法務省は、いや、これは金融庁だ、金融庁にこの間ちょっとお伺いしたら、いや、これは法務省だという、どうもボールの投げ合いが行われているような問題が多うございます。その意味で、これは是非、これは我々からすれば、あるいは実際に商売やっていらっしゃる方は、法務省なのか金融庁なのか、ボールの投げ合いをされたんじゃ大変困っちゃうわけですから、是非その点は内閣一体となってやっていただきたいなと思います。
 そこで、今大変大きな影響力を持っている、私も実は昨日ちょっとある証券化をされている方々から聞いた結果、実は去年、〇四年一月から十二月までにその会社で扱ったいわゆる債券化した商品は約一兆円というふうにおっしゃっていました。これは毎年三〇%ぐらいずつ伸びてきていると、こういうようなことで、しかもそれがかなりの部分、今申し上げましたSPCを使って、有限会社を使ってやっているということで、なぜ、じゃ有限会社を使っているんですかというと、この有限会社が持っている性格が極めて使い勝手がいいということなんです。
 私も、有限会社、株式会社と、通常、有限会社というのはちょっと小さな規模の閉鎖会社で余り外にオープンにならない会社だからというふうに思っていたんですけれども、実際は金融の最先端でこのいわゆる有限会社という仕組みを使ってやると、これはケイマンのSPCと同じなんですが、誠にこれが好都合だと。この好都合なことが、このいわゆる会社法改正によって実は好都合でなくなるという弊害が出ているということなんですよ。ですから、これは大変大きい問題じゃないですかと。非常に大きなウエートを占めているわけですから、メリットが失われてしまうということになるわけであります。
 今、尾立委員がお話ししたように、一番その中で何が問題なのかというと、会社更生法の適用になるために、実は、今ありましたように、担保権付債権を有する者は、更生担保権者と言うんですか、更生計画に従わざるを得なくなる。そうなると、管財人が来て、そして調査をして、いろいろ時間が掛かるんです。
 聞いてみると、二つ要因があると思うんですけれども、一つは時間が掛かるということと、それから流動化するためのいろんな安定性が損なわれるということが大変問題だと、こういうふうに言われているわけです。これはゆゆしき問題なので、こういう問題が実はこの会社法設立のときに予見できなかったとしたら、こういう問題が起きてきているとすれば、それに対して何らかの手当てをしなきゃいけないというふうに私どもは考えるんです。
 じゃ、法務省としてはこれをどのように対応しようとしているのか、お答えいただきたいと思うんです。
#54
○国務大臣(南野知惠子君) 有限会社の会社更生法が適用されるためにという、担保権の債権を有する者、それが流動化されているという、いろいろ先生の今御質問でございますけれども、既存の有限会社に会社更生法の適用を認めるということは、有限会社の再建手段についての選択肢を増やすという点で有限会社にとって有利なものですから、特段の問題はないと考えておりますので、この点に関しましては特に救済するということは考えておりません。
 また、仮に会社更生法を適用されることが、資産流動化の仕組みの上で大きな問題となるスキームを構築している場合があるとすれば、特例有限会社から合同会社に組織変更をしていただければ会社更生法の適用を受けることはなくなりますので、特に問題はないものというふうに考えております。
#55
○峰崎直樹君 今おっしゃっていることは、要するに有限会社が、今度、有限会社のままで結構ですが、それはしかし扱いはこれ株式会社になりますよ、株式会社になったんだからいわゆる破産法制の問題も非常に幅広く適用できるんですよとおっしゃっているんですが、この人たちにとっては幅広くじゃないんですよね。幅広くなって、ひょっとしたら、会社更生法が適用されると一番使い勝手が悪くなりますよ、あるいは大変大きなリスクが生じることになりますよと、これが実は問題なんですよということをおっしゃっているので、いやいや、幅広くなりますよと、こうなったらそれはよろしくないわけです。
 そこで、今度はもっと具体的にお聞きしたいと思うんですが、今この有限会社がなくなって、同じようなSPCのスキームが作られなくなるということになるわけですけれども、この対応は今、合同会社でやってくれと、こういう御指摘があったわけですね。そうすると、合同会社を使うということになると、恐らくLLCのことだと思うんですが、LLPは関係ないんですね。ちょっとその確認だけ取っておきます。要するに、使い勝手のいいのはLLCだからLLCを使いなさいと。LLCとLLPと二つ今度できる、カンパニーとパートナーズですから所掌しているのは違うのかもしれませんが、LLCで十分大丈夫だということなんでしょうか。
#56
○政府参考人(寺田逸郎君) 一部の方が大変御懸念になっておられることは、私どもも十分認識をいたしているところでございます。
 それで、今大臣が申し上げましたことは、それは最終的にはそれぞれの企業を営む方がお考えになることではございますが、しかし、おっしゃるように、会社更生法の適用ということがないということがその企業にとっての生命線であるという場合には、それはほかの会社形態を御利用いただくほかないということでございます。
 そのほかの会社形態を利用される場合に、一番、私どもとして、あくまでこれは推測ではございますけれども、合同会社が使いやすいのではないかということで、お尋ねは、それは合同会社ではなくて、有限責任組合であるLLPというのが先ごろ法案としては成立いたしましたが、それでいいのかということでございますけれども、これは、会社の法人格ということが私どもとしてはSPCにとってはかなり重要なことではないかというように推測をいたしておりますので、そういう意味ではLLCの方が使いでというのはよろしいんではないかと思っております。
#57
○峰崎直樹君 いやいや、LLPを、パートナーの方を使えと言っている意味で言っているわけじゃないんです。今、我々が議論するときに、新しい企業形態というときに、これは組合法人、組合でしたよね、ですから、パートナーズですから法人がないというのはよく分かっているわけでありますが、そこ、ちょっと脱線したらまずいので、LLC、LLPの問題について、先にちょっとこういう聞き方をしていきたいと思うんですが。
 今まで、その有限会社というものでSPCをつくっていたところは、従来のいわゆる会社更生法を適用しないメリットを享受していたんだから、これについて、それを引き続き認めるべきじゃないかということに対しては、今申し上げたように、LLCに変わりなさいということでよろしいということで理解していいんですか。その点、まず確認しておきます。
#58
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、一般的な有限会社の立場から考えますと、倒産したときにどういう手続が利用されるかということを自分の権利ということで理解しているということを必ずしも正当かどうかという評価があるわけでございます。私どもとしては、倒産処理ということの選択肢が広がるということがむしろ一般的には望ましいというふうに考えられているところでございますので、その既存の有限会社が特別な形態の株式会社になることによって会社更生法の適用を受ける、もちろん民事再生法の適用も可能なわけでございますけれども、それをおかしいことというように一般的に解することはできないということをまず申し上げているわけであります。
 その上で、しかしどうしてもその点について、それがその企業のこれまでの企業モデルからすると望ましくない、あるいはその適用があっては会社としてやっていけないということになれば、それはほかの会社の、会社更生法の適用がない形態をお選びになるほかないんではないかなと。そのことを私どもとして御推奨申し上げるわけではありませんけれども、そういう道はないわけではないということを申し上げているわけです。
#59
○峰崎直樹君 そうすると、寺田さん、もし悪意のある人間が出てきて、そしてこのいわゆる有限会社だったところに会社更生法の問題をぶつけてきたときに、これ司法関係に入ってまいりますよね。そういうおそれというのは、悪意のある人間というのは当然出てくるわけですよ。そういう危険性も実は増すということはどのように考えられているんですか。
#60
○政府参考人(寺田逸郎君) もちろん、おっしゃったような有限会社をSPCに利用している形態という場面で考えますと、今後新しい法律に切り替わった後、一般債権者が、おっしゃるように非常に限られた場面ではございましょうけれども、それは会社更生法の適用を申請してくるということはあり得ないことではないわけでございます。
 しかし、そのことを私どもとしては、会社の側から見て、従前はそういう会社更生法の適用を受けなかったことを非常に重要な権利として既得権のように理解されるのはちょっといかがかなと思うわけでございまして、ただ、そういうことの重要性ということを理解して会社形態を御利用になっている方もおられることはもちろん否定いたしませんので、そういう方については合同会社という道はあるということを申し上げているわけでございます。
#61
○峰崎直樹君 既得権とかなんとかというよりも、そういうことに使い勝手のいい、有限会社というのがそういう意味では非常に使い勝手のいい会社形態であったと。これは、何も既得権ということではなくて、こういうものが今度の新しい会社法になっていったときには、実はその中に大変困った問題が発生してくることがありますよと。じゃ、それはやはり取り除いてあげるというのが、これは法を施行する側の、法治国家の原則じゃないかな。まして、さっき、なぜ私が国土交通省や金融庁から、証券化商品やあるいは流動化商品に対してその水準がどのぐらいの規模になっているかということをわざわざ言ったのは、日本の経済の中に大きな影響力を与えている。そして、今不動産というのは、かつて不良債権の山だったものが徐々にこれが証券化されたり資産流動化されたりして、日本経済の発展に役に立ち始めているんじゃないですか。
 そういう意味で、こういうところで証券化のスキームを考えたり、あるいは、例えばそのSPCを格付をして、先ほど格付の話がありました。そうすると、あっ、これにやや危険なものが存在、出てくるとすれば、これは証券化をする場合に、あるいは流動化をする場合に、格付会社からすればこれはやはり危険性ありだなという商品になっちゃうわけですよ。一〇〇%安全でないものが出てきたとした場合には、これはやや、これは今までトリプルAだったけれども今度はAしか付けられませんねとか、そういうふうに下がっちゃうんですよ、現実に、市場では。だから、こういうものに対しては何らかの対応が必要ではないでしょうかということを言って、そうすると、いや、じゃ合同会社というものもあるからやってくださいと。
 そこで聞きます。
 合同会社というのは、じゃ、このいわゆる今まで有限会社を使っていたSPCと同じように、使い方とかそういうことについてのきちんとしたガイドラインやいろんな問題点というものはもう整備されているんでしょうか。
#62
○政府参考人(寺田逸郎君) 整備と申しますか、これは新しくできる制度でございますので、必ずしも、もちろんいろんな問題点というのはこれから検討の過程で出てこないわけではございません。
 しかし、私どもといたしましては、この有限会社に仮に代わるものと位置付け得る合同会社については、その機関設計ということが特に流動化スキームに反するというようなことはないんではないかなと思っているわけでございまして、例えば法人格の問題でございますとか、今の機関設計の問題でございますとか、あるいは有限責任制の問題でございますとか様々ございますけれども、本質的には困ることはないんではないかなというふうには思っております。
#63
○峰崎直樹君 じゃ、具体的に聞きます。
 出資者の要件はどうなっているんでしょう。そのLLC、今までの有限会社の出資者の要件と、それから今度のLLCの方ですね、これはどうなっているんでしょう。要件、違いはありますか。
#64
○政府参考人(寺田逸郎君) 出資者ということを特に性格付けを双方ともいたしておりませんので、その点について本質的な変更はございません。
#65
○峰崎直樹君 じゃ、聞きます。
 不動産保有のためだけに使えるかどうか、だけです。
#66
○政府参考人(寺田逸郎君) 差し支えないと思います。
#67
○峰崎直樹君 さらに、それを証券化していくときに、LLCとそれから今のSPCとは、これも差し支えありませんか。
#68
○政府参考人(寺田逸郎君) これもどういう形かによりますけれども、様々な証券化ということを行うについて、双方の間に本質的な利益、利点、あるいは不利な点というものの違いはないというふうに考えております。
#69
○峰崎直樹君 今ちょっとかなり具体的な話をしましたけれども、元々の性格付けをすると、LLCというのは、どちらかというとベンチャービジネスで非常にアクティブなものに適用しようとしている。有限会社というのは、極めて閉鎖的で、停滞的で、停滞的というか静態的なものを使ってやろうとしている。そうすると、このいわゆるつくったときの趣旨の違いというものが本当に、この有限会社のSPCを使って、本当にここは箱だけで結構なんですと、ケイマンSPCと同じように扱っていたものと、このLLPは、LLCが、間違えて済みません、本当に同じものだというふうに、そして使い勝手も同じですよ、様々の面で違いはありませんということは、本当に寺田さん、大丈夫なんですか。そこがはっきりしないと、今実際に事業をやっておられる方は、いや、LLCに変わってくださいと言われても、そう簡単にうまくいくものなのかどうか、大変、彼らは非常に神経使っていますから。そこは大丈夫なんですね。
#70
○政府参考人(寺田逸郎君) 確かに、合同会社というものをなぜ必要とするかということで、今回この制度設計を考えた場合に、ベンチャーということが念頭にあったことは事実であります。それはとりわけ、出資の方法がいろんな形でされる、そのことに対応できるようにということで、非常に出資の形も柔軟な形を許すということになっているわけでありまして、その意味で有限会社よりはより自由度が高いわけであります。
 他方、出資したものの譲渡可能性ということは、これは有限会社と同じく極めて閉鎖的でありまして、基本的には組合形態の全員が承認しなければその持分の譲渡というのはできないわけでございますので、そういう意味では基本的に、イメージとして、おっしゃるとおり、合同会社とこれまでの有限会社というものは違いがございますけれども、機能的に合同会社をこれまでの有限会社のように使うということに本質的なバリアはないという理解をいたしているところでございます。
#71
○峰崎直樹君 ところが、今答弁で、本質的なバリアはない、大丈夫ですと。今までの有限会社を使っていたときの非常に享受していたメリットは、引き続きLLCにおいては、必ずこのメリットは、余りコストを掛けなくて十分、言ってみれば対応し得る仕組みでございますと。これは確約できるわけですね。もう一回だけ確認しておきます。
#72
○政府参考人(寺田逸郎君) 合同会社とこれまでの有限会社が一〇〇%同じではございません。したがって、そのSPCをおつくりになる方がどういう点によりメリットをお感じになっておやりになるかということは、私どもはそっくりそれに成り代わって考えることはできないわけでございますが、ただ、そういう留保をいたした上で、しかし本質的には、これまでの会社更生法の適用内ということを含めまして、機関の在り方、その出資の在り方、そういうことについて本質的な不便な点はないということは申し上げられると申し上げているわけでございます。
#73
○峰崎直樹君 本質的な違いというよりも、これは多分政省令に移したり、もう最近では法律よりも政省令を見ないと本当にこれが担保されているかどうか分からぬことが多いもんですから、実はそういったことの具体的な対応がどうなっていくかということに対する懸念というのは物すごく強いわけです。
 だから、私は、むしろ従前のいわゆる株式会社と有限会社とを分ける資本の額である一千万円、これ一千万円未満の特例有限会社や改正会社法の株式会社にあってはそもそも会社更生法の適用がないというふうにここで、言ってみればこれ会社更生法の方に付けたらいいんでしょうか、いずれにせよ修正を加えたらこれ非常にはっきりするんではないか。これは非常に、要するに新しい未知のLLCなどというものが同じものだと言われても本当にそうかいなと、これ分からないわけですよ、まだ。だから、それよりも、いや、従来のいわゆる有限会社を使っていた人たちに対しては、もう従前の皆さん方に対しては会社更生法は適用しませんよと、この一言が入ればもう本当に安心されるし、市場に対する混乱は与えないんじゃないでしょうかね。寺田さん、どうです、そこへ踏み切られたらどうですか。
#74
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃることも一つのお考えとして否定するものではもちろんございません。ただ、この点は、従前の一千万円であるにせよ何であるにせよ、有限会社の方が株式会社になることによって会社更生法の適用を受けるということを歓迎される関係者の方、つまり外側の債権者の方がおられることもこれもまた否定できないところでございまして、どちらにいたしてもメリット、デメリットは出てくるわけであります。
 私どもの判断では、本筋はやはり会社更生法の適用はする、しかし、当該いろいろ御利用になっている方についてはできるだけの配慮をするということで、もちろん合同会社の使い方については様々ございましょうけれども、今後、金融庁と具体的な点について、いろいろ御不便があればまた御相談をさせていただいたりいたしまして、この問題はそういう個別の解決ということが筋ではなかろうかと考えているところでございます。
#75
○峰崎直樹君 私はやはり、何というんでしょうか、これから金融庁と相談して、恐らくいろいろ業者を集めてこうこうこういうふうにしますということで、そちらの方で解決されようとしているんだと思いますが、先ほど擬似外国会社、八百二十一条も、外国の会社の問題かと思っていたら、実は日本の金融機関がケイマンSPC使って、言ってみればアセットバック、資産担保のCPを出していた。その規模も十兆、二十兆という単位で出して中小企業に影響あったと。捕らえてみれば我が子なりなんですよ。
 その意味で、同じように今度はこの有限会社を使ったそのSPCが、実際上、ある意味では今までこの会社更生法の適用がないという、非常に有利なというかメリットのある仕組みというものがこれなくなってしまうということになると、これもまた非常に大きな影響を持つ。
 どうなんでしょう、一度この法務委員会で、そういう利害を受けている関係者の方々から参考人として一回質疑をされて、私が余り大した知識もないでこうやってしゃべっているよりも、そういう方々から、一体全体今こうなった、擬似外国会社の問題にせよこの有限会社がなくなる問題にせよ、その与える影響、そしてその方々が何を求めているのか、それを我々は一回聞いてそれから審議をしてもらうと、ああ、なるほどこれは修正をしないと、修正をすることが一番早い道だと、これは分かると思うんで、私、法務委員会に属していない人間、今日たまたま法務委員会なんですが、委員長に、是非一度参考人として、この擬似外国会社の影響を受ける方々、さらにはこの有限会社がなくなって新しい新会社法の下で会社更生法の適用を受けざるを得ないそういう方々の、受けたら困る方々の、是非一度参考人の質疑をされるように要求したいと思います。
#76
○委員長(渡辺孝男君) ただいまの案件は、後刻理事会で協議させていただきます。
#77
○峰崎直樹君 そうすると、今度、今は過去の、要するに今までやっていた人たちの問題なんですけれども、これから、じゃ今まで有限会社と同じようなSPCをつくって同じように資産担保証券を作ろうとか、あるいは流動化商品を作ろうというように考えていたら、いよいよこれ、有限会社がなくなっちゃったということになるわけですよね。そうすると、今度つくられる方々は、やっぱり先ほどの恐らく寺田局長の話からすれば、いや、それはもうLLCでやってもらうのが一番いいんですよと、こういう答えでよろしいんでしょうか。
#78
○政府参考人(寺田逸郎君) それはなかなか一般的に申し上げにくいことでございます。私どもが、もしその会社法の適用がないということがその企業の存立にとってバイタルであるということになれば、おっしゃるように合同会社という道がありますということをサジェストさせていただきたいと思いますが、ただ、まあ若干付言させていただきますと、会社更生法の適用のリスクというのが一体どのぐらいあるのかと。つまり、大体は、多くは担保付きの債権を有しているわけでございまして、債権者は、一般債権者が一体どのぐらいあって、そのリスクがあるかということをどう計算されるかいかんだろうと思いますので、私どもが最終的にはもちろんいろいろな道があるということを御説明申し上げるということになろうかと思います。
#79
○峰崎直樹君 今、例えば会社更生法の適用のリスクというものが新しい会社になった場合には生じてくると。生じてくるんですよね。ないから、つまり、ないんならこんな問題は起きてこないんですよ。そのリスクが極めてまれだと、ほとんどないんじゃないか、実態面からしたら大したことないじゃないかというふうに、私なんぞ最初はそう思いました。寺田さんと同じように思ったんだけれども、その現実に証券化をしている人とか格付をやっている人たちの話を聞いてみると、この一%の要するにリスク、あるいは〇・一%でもリスクがあれば、これは格付に影響します。格付に影響してくるということになれば、当然掛かる費用が、コストが余計掛かったりしますよね。先ほど尾立さん言ったとおりですよ。
 だから、そういう意味でいうと、全く何にも、つまり今までの有限会社であったらゼロだったリスクが、ひょっとすると〇・〇〇一%ぐらいあるかもしれないというふうになったそのリスクが実は証券化をされている方々にとっては大きな問題なんだということなんですよ。
 だから我々、実は、今、いやそんなこと言ったって、そんなわいわい騒がなくてもそんなもの大して起きやしませんよとか、まあ、ある意味では擬似外国会社のときもよく似たような議論がありました。まあ、あんまり騒がないでくださいよ、皆さん方は今やっていらっしゃるのはそう認めているんだからと、こういうような意見もあるやに聞いていますけれどもね。
 しかし、私はやはりそういう意味では司法リスク、今言ったように悪意の第三者が出てきて、当然そういうものに何かをすることもあり得るんですよ、これ、市場社会の中においては。だから、そういうことが今まで一〇〇%リスクはなかったところにリスクが新しく入ってくるわけですから、出てくるわけですから、これをやはりリスクがゼロのときに返してあげるというのが私はやはり法治国家、今まで有限会社というものをつくってそういうものを認めていたのに、それが認められなくなったということになった場合には、やはりそこのところに丁寧に対応するというのが絶対に必要だと思うんですよ。どうでしょうか、寺田局長、そこに対して。
#80
○政府参考人(寺田逸郎君) こういう問題に丁寧に対応する必要がないということはもちろん思っておりません。その点に関する峰崎委員の御指摘は大変重要だと考えているわけでございます。
 ただ、新しくこれからおやりになる方のリスクということを考えてみますと、これは国が、やはり全体といたしまして有限会社というものをやめて株式会社に一本化するということの方が、有限会社を残して株式会社と併存させるということよりも全体としてはメリットが大きいということで今回このような判断をするわけでございますので、その点について、本質的に有限会社を残すというような形での問題の解決はやはり適当ではないということが私どもとしては言えるわけでございます。
 そういたしますと、後はこの個別の問題にどれだけおっしゃるように丁寧に対応できるかということでございますので、その点は、この関係者いろいろおいでになりますので、十分御協議を申し上げる用意はあるということを再三申し上げているわけでございます。
#81
○峰崎直樹君 有限会社を残せと言っているんじゃないですよ。だから、有限会社の中にあった会社更生法適用というものが除かれているというこの点を、従前の有限会社に適用されていたこの適用だけは残したらどうですかと、その修正をなさったら、この方々は、あるいは市場はこの法律によって何ら規制を受けないわけですよ。しかし、この新しい、一見すると規制緩和のように見えるけれども、このことが実は新しい規制で、市場がそのことによってディスターブされるんですよ。混乱が出るわけです。だからその混乱は避けてくださいよというのが、私は金融関係をやっている側からすれば必要なことではないかということを言っているんです。
 ですから、私は細かいことは言いませんが、局長、是非答弁の中で、これまで有限会社でこのいわゆる会社更生法を適用することのリスクがなかった方々には、引き続きこのリスクが全く生じないような対応を我々としては保証しますと、ここをちょっと約束していただけませんか。
#82
○政府参考人(寺田逸郎君) 法務省というのはなかなか保証することに消極的なところでございます。立場上大変難しいところでございますが、立案者としては、様々な国会での御審議を参考にした上で十分に関係者の方に御説明を申し上げ、その状況においてベストを、解決策ということを御説明申し上げることは必ずいたします。
 ただ、おっしゃるとおり、新しい株式会社法制の下において一千万円、例えば、おっしゃるように一千万円以下のものについては一切会社法の適用をしないというような解決もこれまた非常に別の意味で難しさがあるということは御理解賜りたいところでございます。
#83
○峰崎直樹君 いや、そういうことを言っているんじゃないんです。だから、先ほど申し上げたように、従前のという、これまでのという意味で限定を要するに付けて、その分野だけでもということなんです。テクニカルなことは別にして、やはり今日恐らく市場関係者の皆さん方は、今日どんな答弁が出てくるかということをやっぱり気にされていると思います、率直に申し上げて。ですから、そういう意味で、そういう方々が、ああ何とか、従前、会社更生法の適用というものがないものから、そのリスクが、法務省の方もきちんとそれは担保しますということを、従来やっていたものは引き続きできるんですと、そしてそういうリスクは全くありませんと、こういうことをやはり私は期待しているんだろうと思うんです。
 ですから、そういう点で、恐らく今やっても、何遍言っても恐らく努力、最大限の努力はしますというところしか出てこないんだろうと思うんですが、是非そういうことを確立していただきたいなということを求めて、またもし何か最後にあれば、これは大臣でも構わないんですが、局長でも、是非そのことを我々に確約をしていただけないかなということを申し上げまして、私、最後の質問をして終わりたいと思います。
#84
○副大臣(滝実君) 今るる民事局長から御説明しているのが立案者としては恐らく最大のあれだと思うんでございますけれども、今、最後に峰崎委員が割と幅広い御意見をおっしゃっていただいたように思います。私もお聞きしておりまして、平成十四年の中間法人法ができ上がってからこの種のものが、有限会社から中間法人に大分進出してきているというようなことも聞いております。
 したがって、そういうようなことを勘案いたしますと、かなりやっぱり実際のこれを担当する人間というのはいろんなリスクを、経済的なリスクもあるし、それから万が一というリスクもあるでしょうから、そういうことを考えながら選択をしてきているなということを思っているわけでございまして、民事局長もそういうことをにらんでの答弁だと思いますので、せいぜい今、峰崎委員がおっしゃったような格好で私どもも対応をさせていただきたいと思っております。
#85
○峰崎直樹君 取りあえず、じゃ、時間ですから終わります。
#86
○簗瀬進君 いや、私も今のやり取りを大変興味深く聞かせていただきました。実は私の質問の中にもいわゆる持分会社の、特に誤認行為についての質問がございまして、流れでございますので、引き続きこの問題を先にやらせていただければなと思っております。
 応用問題として一点、寺田さんの方に確認をさせていただきたいんですけれども、先ほどのSPCの話なんですが、LLC、いわゆる合同会社に、有限会社から合同会社に変更したらどうだというふうな御示唆があったわけでございますけれども、その合同会社ではなくて、これいわゆる有限責任事業組合がSPCの当事者にはなれるんでしょうか。
#87
○政府参考人(寺田逸郎君) 当事者とおっしゃったのでございますか。
#88
○簗瀬進君 当事者というのは、言うならば基本契約を結ぶわけですよね、金融機関と、それからSPCとの間で。そして、アセットバックCPを出していくと、こういうメカニズムですよね。その基本契約を結ぶその当事者にLLPという立場でなれるんでしょうかと、こういう質問です。
#89
○政府参考人(寺田逸郎君) LLP、これは有限責任事業組合でございますが、これは私どもの所管しているところではございませんので確定的なことは申し上げかねますが、ただ、法主体としては組合として一つの法主体でございますので、できないことはないというふうに考えておりますが。
#90
○簗瀬進君 今の議論というのは、結局、百万社以上の有限会社にとってみれば、これからの戦略的に会社形態をどういうふうに変えていくのかと、会社形態を戦略的にどう選択をしていくのかと、こういうふうな議論だろうと思うんですね。例えば、ケイマンSPCにとってみれば、有限会社形態であったならば、今後、株式会社に移行する方向を選ぶのか、あるいは今議論があったように合同会社という方向を選ぶのか、あるいは、今の御答弁によりますと、いわゆるLLPという有限責任事業組合、これの可能性もありと。こういうふうなことでお話を聞かせていただいていいのかなと、こういうふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
#91
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおりだろうと思います。基本的には様々な形での組織変更ということが考えられるわけでございます。
 ただ、私、ちょっと一点、今の有限会社からLLPに組織変更できるかどうか、これはちょっと私ども所管ではございませんが、基本的にはできないのではないかと考えております、そのままではですね。ただ、LLPを別途組織して、そこに事業譲渡をするという格好を取るのではないかと、その場合には、というふうに思います。
#92
○簗瀬進君 私も今の答弁の方が正解だと思いますよ。組合でしょう、基本形態としては、LLPは。という形になりますと、基本契約を結ぶ際には個人が結ぶ形にどうしてもなってしまうので、やっぱりLLPとしてはそのSPCの対象というか、当事者としてはちょっと不適格なのかなと、こういうふうな感じがするんですけれども、いかがでしょうか。
#93
○政府参考人(寺田逸郎君) ちょっと私も正確にSPCのスキームと、あるいはLLPのスキームを理解しているわけではございませんけれども、ただ二つ問題がありまして、一つは、そのSPCたり得るかということについては、これは法人格はございませんけれども、一つの組合形態として法主体が認められている国においてはそれが可能だと。例えば、我が国においては多分可能だろうというふうに思っております。
 問題は、しかし組織変更がLLPへできるかどうか、これはちょっと難しいのではないかな、そのままでは難しいのではないかなと、こうお答え申し上げたところでございます。
#94
○簗瀬進君 それから、これもまた、費用の話で、ちょっと質問通告はしてないんですけれども、法人形態を当然変更する形になるわけですよね。有限会社から例えば合同会社にという形になった場合の手続費用はどのくらいのものとして今度の法案は見込んでいるんでしょうか。
#95
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、そういう組織変更をするという形態が既に法律の中では予定はされておりますが、それに、恐縮でございますが、それにどのぐらいの経費が掛かるかどうか、これはなかなか難しいところでございまして、私どもでその点について試算は、誠に申し訳ありませんが、いたしておりません。
#96
○簗瀬進君 百万社以上の有限会社にとってみれば、強制的に組織形態を変更させられるわけですよ。そういう状況に置かれる人々にとってみれば、有限会社をこれから例えば株式会社にするとか合同会社にするとか、そういうときにどういう手続をして、その手続にどの程度の費用が強制されるのかなということになるわけですから、そこら辺についての説明なしでこの法案を提案をするというのはちょっと極めて乱暴な感じがするんですけれども、いかがでしょうか。
#97
○政府参考人(寺田逸郎君) 手続そのものは、これは現在の七百七十五条以下で決まっておりまして、組織変更計画をいたしまして計画書を作って、それに株主の同意を得て、債権者に通知、催告、公告をして、それで登記をすると、こういうことでございますので、この経費がどのぐらい掛かるかでございますが、登記に掛かる登録免許税というのが多分確実に発生するわけでございますけれども、あとはどのぐらい掛かるかについては全くやりようではないかなという理解でおります。
#98
○簗瀬進君 当然、手続変更をしますと、新しい法人形態として登録するわけですから、その今御答弁があった登録免許税、これは当たり前の話になってくるんですよ。これについては、会社法を大変更することによって、言うならば国策の変更による負担なんですね。これについても登録免許税は要求するんですか。
#99
○政府参考人(寺田逸郎君) この点も多分こうお答えするとおしかりを受けるんでしょうが、税務当局でお決めになることでございますけれども、私どもとしては登録免許税は掛かるという理解でおります。
#100
○簗瀬進君 これも通告外のことで大変恐縮ではあるんですけれども、正に登録、国が新しい法律を作る、それによってこれ変更せざるを得ないわけですよね。それで、にもかかわらず登録免許税はちゃんと取りますよと、これちょっとひどい話なんじゃないんですか。
 そういうことについて、大臣、これは検討はなさってこなかったんですか。だから、国策変更による法人形態変更である以上は登録免許税は例えば減額をしてしかるべきだというふうな、そういう検討はなかったんですか。
#101
○国務大臣(南野知惠子君) 有限会社は特例有限会社として残ることができますので、これ、強制的に合同会社にということではございません。
#102
○簗瀬進君 それはまあ質問の一部にしか答えていないんで、変更する人もたくさんいるわけですよ。それは、会社法のこの新しい成立によってそうなるんですよ。国がそうさせるんですよ。それについて、やっぱりちゃんと登録免許税を取るんですか。
#103
○政府参考人(寺田逸郎君) そこの部分こそ正に政策的な部分でございますので、私どもでお答えすることは、恐縮でございますけれども、差し控えさせていただきたいと思います。
#104
○簗瀬進君 政策的なことだったら大臣でしょう。どうですか。
#105
○国務大臣(南野知惠子君) 関連することは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、政策的な問題とか、それからお金がどうとかということはちょっと所管しておりません。
#106
○簗瀬進君 このような、今、日本の国の法人形態を株式会社と有限会社がある意味で二分しているわけですよ。その半分ある有限会社を株式会社に溶け込ませるというふうな、そういううたい文句で会社法が、我々、説明を受けました。で、それは正に皆さんが出されてこられたこの会社法案の成立によって、有限会社の皆さんは組織変更をある意味で余儀なくされるんですよ。結果として、登録免許税についての手当てが、正にそこは全く考えておりませんなんというのは、これは非常に政治の怠慢以上の何物でもないんじゃないんでしょうかね。大臣、いかがですか。
#107
○国務大臣(南野知惠子君) そのようには思いませんが、有限会社が特例有限会社として存続していく方法もございます。御希望であれば合同会社に変更することもできます。したがいまして、合同会社に変更されようとする場合には、今、課長から御報告申しましたように、手数料といいますか免許登録料ということは要るということであろうかなと思っております。
#108
○政府参考人(寺田逸郎君) ちょっとあるいは説明が誤解を生んだかも分かりませんので少し補足させていただきますと、今回、有限会社というものの制度の廃止によって、非常に特殊な形態ではありますけども株式会社に移行すると、こういう企業にとっては、これは従前のとおり看板は有限会社そのもので構いませんし、それから組織も全く変更することは必要ございませんので、登録免許税も全く掛かりません。
 ただ、おっしゃっておられるのは、先ほど峰崎委員からもお話がありました、あるいは尾立委員からもお話がありました、非常に、その有限会社のうちの一部ではございますけども、かなり多くの商売をされておられると、そういうものの中に、これまでのリスクを計算する上で会社更生法の適用がなかったということを非常に重視されていたとお感じになる方々、こういう方々が今後何らかの形で合同会社その他の会社形態に転換される際に掛かるわけであります。
 この部分については、こういうものが果たして我が国のこういうSPCを育てていく上でどれだけ重要かという政策的な課題でございますので、そういう意味でこれは私どものお答えすべき範囲ではないと。つまり、それはSPCをどう育てていくかという観点から別に、税の特別の軽減その他を考えるのであれば、お考えになるということでございまして、私どもからそれを御答弁申し上げることはできないということを先ほど申し上げたわけでございます。
#109
○簗瀬進君 SPCへのこだわりでお答えになっているようですけれども、これはSPCだけじゃなくて全体のお話をさせていただいておるつもりです。
 正に有限会社という、そういう形態が特例の場合はあるということですけれども、それは特例は特例でございまして、当然有限会社という形態は大きく、株式会社に行くか、合同会社に行くか、あるいはLLPの方に移らざるを得ないかとか、様々に皆さん考えるだろうと思うんですよ。その際の手続の移行形態あるいは掛かる手続費用等についてきちんと整理した資料というのは法務省にあるんですか、ないんですか。
#110
○政府参考人(寺田逸郎君) 一般的に今の有限会社が今後どうなるかということについて整理したものはございますが、実際にその際に、例えば先ほど申したように手続に弁護士さん等の費用も掛かるだろうということなどを念頭に置いた上での経費の試算をしたものはございません。
 私どもといたしましては、ちょっと補足させていただいて恐縮でございますけれども、今の有限会社でやっておられる方々、これは大半の方々は今の有限会社の形態をそのままでやっていかれるだろうというふうに見込んでおります。
 それは、今の有限会社の経営の実態からいたしますと何も変える必要ないとお感じになっておられるに違いない、また、そういうように私どもはこの案を試案として発表した際に様々な方から御意見をいただいた際も、恐らくは今の有限会社はそのまま有限会社のままでいたいだろうからこそ、その経過規定として有限会社のまま残せという規定を置けという御意見があったわけでございますので、それに従いましてこの経過規定を設けているわけでありまして、あくまで、もちろんいろいろな政策判断はございます。従前のままでも有限会社からほかの会社形態に発展していかれようとかという方はおられたわけでございますから、それが新しい株式会社法制になりましたら株式会社に移行されようという方がおられないわけはありません。それは、当然そういう移行のための手続というものは前回もお話ししたとおりあるわけでございますが、それが何といいますか、先ほどのSPCの問題のように、余儀なくされるということによって経費が生ずるという理解は全くしていないところでございます。
#111
○簗瀬進君 それは理解の仕方でございまして、この法律がなかりせばそういうこともなかったわけですから、それを私は余儀なくというふうな表現使ったつもりなんですよ。
 それで、弁護士さんとかそういうもろもろの諸費用じゃないんですよ。まずは、いわゆる組織変更するとなれば、これは当然法人形態を変更をする、新しい新法人についての登記をしなければならない、当然、登録免許税、これはもう当然の話ですよね。この登録免許税がこの会社法案の成立の結果として出てくる。
 いわゆる法人形態の変更による登録免許税についての検討というのは今もってなされていないんですか。
#112
○政府参考人(寺田逸郎君) これはもちろん検討はいたしております。
 それで、私どもの理解では、これは本来なら税務当局からお答えをさせていただくべきことかもしれませんが、私どもからお答えさせていただきますと、資本金額の一千分の一・五、税額が三万円未満のときは三万円ということで理解をいたしております。
#113
○簗瀬進君 今、私も余り、通告しない質問なんで、これ以上追及はいたしませんけれども、やはりこれは新法の成立によって出てくる新たな費用であるということは、これはもう間違いないことなんで、それについて様々ないわゆる配慮というようなものはするのは私は当然だろうと思っておりますんで、これは引き続き御検討いただきたいなと、こういうふうに思う次第でございます。
 それで、今度通告の方に戻りますけども、五百八十八条という規定と五百八十九条という規定がありまして、いわゆる持分会社を見ていったら非常に面白い規定だなと思ったんで、これちょっと質問させていただきたいと思うんですけれども、誤認行為の責任ということなんですよ。
 「合資会社の有限責任社員が自己を無限責任社員であると誤認させる行為をしたときは、」云々と、これが五百八十八条の一項で、五百八十八条の二項というのは、今度は例えば「合同会社の有限責任社員がその責任の限度を誤認させる行為をした」と。だから、言うならば五百八十八条の一項は、有限が自分は無限であるというふうに偽ったというのが一項、それから二項というのは、有限同士がその有限の、有限ですからいわゆる責任限度というのはあるんだけども、その責任限度の幅を誤認させると、こういうふうな誤認の形態を一項と二項で分けて、書き分けているんです。
 ただ、私思ったのは、合同会社、これ有限責任ですよね。その合同会社の社員が、自分は無限責任を持った例えば合名会社の社員であると、それはまあ調べれば分かるはずだということではあるかもしれませんけども、新法制定当初、合名とか合同とか合資とかやたら新しいものが出てきて訳も分からずに取引をしてしまった、その結果として有限が無限を誤認をさせたと、こういうふうな場合もあり得るんじゃないのかな。その場合はどの規定でカバーされるんですか。これ寺田さんに。
#114
○政府参考人(寺田逸郎君) この規定は、元々持分会社の中には無限責任社員と有限責任社員がある場合が主でありますので、そういうことを念頭にできた規定であります。
 それで、ただし合同会社の場合も、株式会社等持分が定型されている場合と違いまして、非常に中の持分割合というものについての分かりにくさというものがありますので、したがって誤認ということをさせやすい環境にある。そういうことで、これを偽った者についてその責任を表示行為に合わせて取らせると、こういう趣旨であります。
 今おっしゃったのは、合同会社の中であたかも無限責任社員であるということを念頭に置いた御質問でございますけれども、そもそも合同会社というのは会社形態としては全員が有限責任社員、有限責任を負うべきメンバーということになるわけでございますので、およそそういうことを誤認させるということが現実の問題として起こり得ないということを私、申し上げているわけではございませんけれども、しかし会社の形態を見ただけでそれを当然無限責任があるということを理解するということがむしろ仕組みとしては例外的な場合であろうと、そのことについてまで手当てを置く必要はない。つまり、これは合同会社という以上は、当然有限責任の方々の集まりだと理解していただかなきゃならないと、そういうことを前提にしているわけでございます。
#115
○簗瀬進君 しかしね、現実としては合同会社が何たるかというのは、それはもうある意味で相当何年もたたなきゃ一般には知れ渡っていかない話なんで、当然あり得る話なんですよ。現実にそれが起こった場合どういうふうに対処するんですか。
#116
○政府参考人(寺田逸郎君) それは会社の中の、いろんな方おいでになりますので、非常に許し難い場合も出てくるだろうということは私どもも決して否定するわけではございません。その場合は、一般の不法行為責任でカバーすべきというふうに考えております。
#117
○簗瀬進君 時間がないので次の質問に移ります。
 法務大臣、今回、今度の会社法案で様々な今までの会社あるいは株式等のイメージがかなり大幅に変えられていくなというふうなものを我々、審議の中で実感をしているわけなんですけれども、二百十四条という規定がございます。これは「株券を発行する旨の定款の定め」と、こういうタイトルが付いていますけれども、この二百十四条で、今までは実は株券の発行というようなものは原則的であると扱われていたんですけれども、むしろ今度の会社法案ではこの原則と例外が逆になって、会社法案では株券を発行するということがむしろ例外になっていると。どうも株式会社というと、これは株券が付き物だと我々は思っておったんだけれども、何でこんなに原則と例外ががらっと変わっちゃうんですかという、こういう疑問を持つんですよ。
 その理由を端的に御説明いただきたい。端的で。質問だけでいいですから。
#118
○国務大臣(南野知惠子君) 端的だと誤解が生じると困りますので、ちょっと御報告を念を入れてさせていただきたい。
 現行商法におきましては、株式会社は株券を発行するのが原則であります。これは先生おっしゃったとおりでございまして、定款の定めにより株式を発行しない株式会社となることもできると。他方、会社法案におきましては、株式会社は株券を発行しないのが原則であり、定款の定めによりまして株券を発行することができることとしております。このように商法と会社法案におきましては株券の発行の有無について原則と例外とがこれ逆になっている、先生御指摘のとおりでございます。
 株式の譲渡が頻繁に行われます上場会社につきましては、社債、株式等の振替に関する法律の施行後は株券を発行しない株式会社となることが予定されていること、さらに、上場会社以外の株式会社につきましては、株式の譲渡が行われることがまれであり、転々流通することを前提として有価証券たる株券を発行する必要性に乏しいことなどを考慮したものでございます。
#119
○簗瀬進君 二百十五条三項に、株券発行会社は株式の分割をしたときは遅滞なく株券を発行しなければならないと、こういう規定があるんですね。これはまずは、来ていただいておると思うんですが、金融庁にお尋ねしたいんですが、これ質問既にございますけれども、株式を大量に分割するというそんなやり方で、ある意味で非常に有利に株式運用を行っている等の話をよく聞くんですけれども、そういう実態はどうなんでしょうか。あるかどうか、中身、簡単に御説明ください。
#120
○政府参考人(振角秀行君) じゃ、金融庁の方からお答えさせていただきたいと思います。
 株式の分割につきましては、商法とか我々が所掌しています証券取引法についてもそれを禁止する規定はございません。ただ、株式分割を利用して、これはまあ重要事実でございますので、インサイダー取引が行われたとかあるいは不正な手段等が行われた場合には証券取引法上の不公正な取引規制が適用されるということで、我々としてはウオッチングしているところでございます。
 あと、具体的には、大幅な株式分割としての事例があるかということでございますけれども、これはライブドアを始めとしましていろんな企業がかつては利用していたことがございます。
 これに関しましては、御指摘のように、株券が発行されるまでの間に株式に係るその需給状況を反映して価格変動がかなり大きくなるという可能性がございましたので、上場市場を監督しております東証におきましては、今年の三月の七日に、株式数が株式分割前の五倍を超えるというような株式分割については、投資家にいろいろ不測の影響を与えるということがございますので、段階的に実施をするとか、いろんな要請をしておるというところでございまして、その後、大幅な株式分割は行われていないという状況にあるということでございます。
#121
○簗瀬進君 まあ、五倍というふうな実態の中でそのようなルールが作られつつあると、こういうふうな御答弁だったと思います。
 それから、時間も限られておりますので、親子会社についてちょっと質問を移らせていただければと思っております。
 今回の会社法の二条にはずっと定義規定が並べられておるんですけれども、その二条の三号と四号で「子会社」、「親会社」と、こういうのがあるんですけれども、ここでもこの委員会で非常に議論になりました法務省令への委任というようなものが出てくるんですね。これからいわゆる親子会社といいますか、企業結合法制が非常に重要になってくると。その一番根本に来るのが、子会社とは何か、親会社とは何かと、こういうふうなことのはずなんだけれども、そこでも法務省令で委任をしちゃっているというのは、これはまた基本的に問題だと思います。
 ただ、この三号、四号では、その委任の趣旨に当たるような一番大本の部分で、「総株主の議決権の過半数」、あるいは「経営を支配している」と、こういうふうな一種のメルクマールが法文の中で書かれていると。全くやみくもに白地的に委任をしているんではないなということは理解はされるんですけれども、その上で、この「議決権の過半数」、あるいは「経営を支配」と、こういうふうなことの具体的な意味、内容について御説明をいただきたいと思います。
#122
○政府参考人(寺田逸郎君) これはまず、元々なぜこういうふうにしたかでございますが、これは形式的に総株主の議決権の過半数だけにしてしまうやり方が一つあるわけでございます。しかし、現行法でも商法の特例法では、既に実質基準で、つまり五〇%か五〇%でないかということだけで決めるんではなくて、やはり実質的に支配がされているかどうかということを最終的なメルクマールにしようというやり方が取られておりまして、今度の会社法案ではその今の特例法のやり方に従おうという、そういう考え方でできているわけでございます。
 それで、「総株主の議決権の過半数」というのは、これはもう読んでそのとおりでございますので、形式的に議決権を数えて過半数に達するということでございますけれども、これはあくまで例示でございまして、最終的には議決権の過半数を有していなくても実質的支配しているもの、あるいは有していても実質的に支配権を有していないものも逆にあるわけでございます。
 それで、具体例を申し上げた方がお分かりになりやすいと思いますのであえて申し上げますが、例えば議決権を五〇%以上持っていても、その当該会社、相手方の会社の方が既に清算手続に入っている、会社更生の適用を受けている、こういうようなものはもはやその子会社として規律する意味がございませんので、こういうものは除くというつもりでおります。
 他方、議決権が五〇%に達しない場合でも、極めて五〇%にまあある程度近いという評価ができる割合を持っていて、しかし他方、その取締役会の構成員を見ましたり、あるいはその会社が結んでいる契約の重要なものを見ましたり、あるいは融資ということを見ましたりした上で、これは実質的に支配しているということになれば、これは逆に親子会社の範疇に加えるという、そういうことを念頭に置いているわけでございます。
 具体的には、今申し上げたようなものをもう少しかみ砕きまして、パブリックコメントにかけた上で省令を定めるつもりでございまして、おっしゃるとおり、実質的支配というものについてのこれまでのある程度の考え方というものを基準にして省令を定めるという意味では全く白紙で定めるつもりはございません。
#123
○簗瀬進君 是非、具体的な経済の実態にもきちんと対応した形で、そしてやがてつくらなければならない企業結合法制の一番根幹の部分に位置付けられる指標としてこの法務省令を定めていくと、こういうふうな気構えでお取り組みをいただきたいと、こういうふうに思う次第でございます。
 それで、内閣府、来ていただいているんで、この質問が導入なんですけれども、いわゆる郵政民営化という形の中で、持ち株会社とそれから四つの事業会社、こういうふうな形になっているんですけれども、もう時間が限られていますのでまとめて答えていただきたいんだけれども、持ち株会社とそれから国の資本関係がどうなるのかと。それから、持ち株会社と四つの事業会社の資本関係がどうなるのかと。さらには、その規模はどのようなものとして、資本金の具体的な金額として想定をされているものがあればそれを答えていただきたい。端的にお願いします。
#124
○政府参考人(小風茂君) お答えさせていただきます。
 郵政民営化関連法案におきましては、民営化により郵政公社の機能を引き継がせるということで、新たに郵便事業株式会社、郵便局株式会社、郵便貯金銀行、郵便保険会社、この四つの事業会社と、お話にありましたこれらの株式会社の持ち株会社として日本郵政株式会社、合わせて五つの株式会社を設立するということを考えております。
 まず、持ち株会社と四つの事業会社の関係でございますけれども、持ち株会社は常時郵便事業会社と郵便局会社の発行済株式の総数を保有していなければならないというふうにしてございます。したがいまして、その持ち株会社は常時これらの会社のすべての議決権を保有するという関係にございます。
 それから、他方、郵便貯金銀行と郵便保険会社につきましては、民営化当初は持ち株会社がすべての株式を保有するということになっておりますが、十年間の移行期間中に両者の株式の全部を段階的に処分しなければならないというふうにされております。したがいまして、その持ち株会社は、民営化当初は郵便貯金銀行と郵便保険会社のすべての議決権を保有しておりますけれども、移行期間終了後には、終了時には議決権を全く保有しない状況になるというような制度設計をしております。
 それから、国と持ち株会社の関係でございますけれども、政府は民営化当初は持ち株会社のすべての株式を保有して、したがいまして、すべての議決権を保有するということになっております。その後、政府は常時持ち株会社の議決権の三分の一超の株式を保有しなければならないということにされておりまして、またその保有義務のない株式につきましてはできる限り早期に処分するように努めるものとされておりますので、政府の保有する議決権につきましては三分の一超になるまで減少していくことになるというような制度設計をしております。
#125
○簗瀬進君 済みません、資本金の規模、想定規模。
#126
○政府参考人(小風茂君) 資本金の規模でございますけれども、これは昨年の秋でございますが、骨格経営試算というものを公表しておりまして、各会社、一応郵便、そのときの骨格経営試算における自己資本金ということで、郵便事業会社は一・六兆円、それから郵便局株式会社は二・一兆円、郵便貯金会社につきましては二・五兆、それから郵便保険会社は一・四兆と、そういうような仮定の計算をしております。一定の前提を置いております。
 持ち株会社につきましては、その各事業会社のそのものが資産になるということでございます。
#127
○簗瀬進君 持ち株会社はその各四つの事業会社の合算額的に考えておきゃいいということですね、はい。
 それで、今、やがて、スタートラインは一〇〇%だけれども、減らしていって、五〇%をやがて割り込むこともあるけれども、三分の一は必ず超えていなければならないと、こういう関係なんですが、こういうその持ち株会社とそれから四事業会社というのは親子会社なんですか。これについては大臣の御認識、聞いておきましょう。法務大臣。
#128
○政府参考人(寺田逸郎君) 今御説明があったことを前提といたしますと、持ち株会社と、事業会社と窓口会社、この二つについて一〇〇%の保有でございますから、これは親子会社であることは全く否定できないところであろうかと思いますが、貯金会社と保険会社につきましては一〇〇%から〇%に移行するわけでございますので、形式的にいいますとその中間のどこからかで親子会社関係が切れることもあり得るわけでございます。ただ、切れたその時点でも、先ほど申し上げましたように、省令の関係で一部入ってくることはあり得るわけでございます。
#129
○簗瀬進君 三分の一持ち株会社の比率が国が下がっても、やはり国がそれぞれの事業会社の親会社であるというのは基本的な関係であるというふうに見ていいわけですね。──いや、ごめんなさい、持ち株会社、ごめんなさい、いや、持ち株会社が親会社であると、こういうことだということですよね。
#130
○政府参考人(寺田逸郎君) 持ち株会社と事業会社の関係ではそのとおりでございます。
#131
○簗瀬進君 それで、国は持ち株会社の基本的な筆頭株主的な存在になるんですけれども、例えばこれはもう再三議論になっているんですけれども、国が株主として、例えば子会社としての郵便事業会社、あるいは郵便局会社、あるいは暫定的ではありますが貯金銀行あるいは保険会社と、こういうそれぞれについての不祥事が起こったような場合にチェックをできるかどうかということなんですよ。
 現時点の一般的な解釈からいいますと、株主代表訴訟を国が起こすとしたら、この郵便事業とか郵便局とかという四つの事業会社に対して株主代表訴訟の対象にすることはできるんですか。これ、大臣。
#132
○国務大臣(南野知惠子君) 株主代表訴訟を提起することができる株主は、現行商法におきましても会社法案におきましても、これにより責任を追及される立場にある者が役員を務めている株式会社の株主に限られておりますので、親会社の株主が子会社の役員に対して代表訴訟を提起することはできないものと理解しております。
#133
○簗瀬進君 一〇〇%の巨大な、一・六兆とか二・一兆とかすごいものがあるんだけれども、国は何も言えないわけですよ、そういう意味では、つくってしまいますとね。この関係でいいんですか、大臣。
#134
○国務大臣(南野知惠子君) いいかどうかという評価について私がコメントする立場にはないと思いますが、これ今皆様方が議論していただいているところでございますので、粛々とその方向に向かっていっているというふうに思っております。
#135
○簗瀬進君 その方向というのは、我々の立場からいえば多段階の株主代表訴訟も認めるべきだという、これが私どもの方向ですよ。その方向を御承認いただけるんでしょうか。
#136
○国務大臣(南野知惠子君) それはちょっと違う立場でありますけれども。
 先生御指摘の多段階代表訴訟は、親会社の株主が子会社や孫会社の取締役の責任を追及することができる株主代表訴訟のことであるというふうに理解いたしております。
 多段階訴訟を認めるべきであるという御指摘をこれまでもいただいておりますけれども、これを認めました場合には、より一層親会社の子会社や孫会社に対する支配力が強固なものとなりますために、子会社等の取締役がその子会社の株主の利益よりも親会社やグループ全体の利益を優先するという行動を取るおそれ、すなわち企業結合法制の議論において問題視されている事態をより深刻なものとするおそれもございます。
 いずれにいたしましても、その導入につきましては様々な角度からなお慎重な検討を要するものと考えております。
#137
○簗瀬進君 もう時間も来ましたので、慎重な検討は結構なんですけれども、特例的にも国の権限をしっかりと、せっかく三分の一以上は常に持っているという形で持ち株会社を国のコントロール下に置こうという、そういう体制の中での民営化なんでしょう。ところが、そういう民営化でありながら、会社法の方では、もう事業会社にすると郵便事業、郵便局、チェックできないんですよ。こんなちぐはぐなやり方は僕はおかしいと思いますね。
 だから、そういう意味では、多段階代表訴訟の検討も、それは慎重ではありながらも、場合によってはこれ認めていく、特例的にも認めていく等々の対応というようなものはこれは可能なんじゃないんでしょうか。これは郵政民営化に限って多段階代表訴訟を容認したらいいんじゃないんですか。どうですか、大臣。
#138
○政府参考人(寺田逸郎君) 郵政事業について会社法制がどうあるべきかということと、その法的な関与はどうあるべきかということは、法制上は、一方は組織法の観点から、他方は行政規制的な観点から様々に考えられますので、問題が、どういう不都合が起きるかによって様々考えられるわけであります。
 その郵便事業というものが適正に行われるかどうかということは、そもそも郵便法で様々な規制が国から掛けられておりまして、郵政民営化後も一定の範囲でそれはそのまま継続されるというふうに私ども理解しておりますので、そういうことが相まって全体として郵便事業がうまくいくというふうにお考えに多分なられるんだろうと、これは私どもから責任を持って申し上げられることではございませんけれども、そういうことでございまして、会社法ももちろんその資金提供者としての立場からのコントロールということを考える面では重要でございますけども、それ以外のところもあるということを一つ御理解いただきたいところでございます。
#139
○簗瀬進君 時間が来ました。終わります。
#140
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日は、取締役の責任の緩和の問題でまず質問をいたします。
 まず、大臣にお聞きしますけども、今回の法案で取締役の責任がかなり緩和をされておりますけども、具体的にはどういうことになるでしょうか。
#141
○国務大臣(南野知惠子君) 現行の商法におきましては無過失責任とされております取締役の責任の中で、会社法案におきまして過失責任としたものの第一は、分配可能額を超える額の剰余金の分配をした場合の取締役の責任ということでございます。
 第二は、株式会社と取締役との間で利益相反取引が行われた場合の取締役の責任であります。もっとも、この点に関しましては、自己のために直接に利益相反取引を行った取締役につきましては無過失責任が維持されております。
 第三は、株主に対する利益供与に関する責任であります。もっとも、この点に関しても衆議院における修正によりまして、利益供与行為に関与した者のうち、行為自体を行った取締役については無過失責任を維持することとなりました。
 第四は、現物出資が行われた場合に、出資された財産の価額が不足した場合の補てん責任ということであります。
 なお、これらの過失責任とした責任に関しましては、無過失であることの立証を取締役が行わなければならないこととされておりますので、責任を追及する者の負担が著しく増加するものではないと思っております。
#142
○井上哲士君 法務省は、今回、この取締役の責任を原則無過失から過失責任に変えるその理由の一つに、委員会等設置会社と、それからそれ以外の会社とのバランスということを挙げておられます。
 衆議院の答弁を見ますと、この委員会等設置会社ができたときに取締役の責任を過失責任にした事情について局長が述べられておりますが、「委員会等設置会社については、いろいろな権限のチェック・アンド・バランスがあるということが何となく前提となって、基本的には過失責任というスキームがとられた」と、こう述べられました。
 「何となく前提」という程度のことでは、当時、果たして立法事実の前提があったんだろうかと思うわけですけども、その点いかがでしょうか。
#143
○政府参考人(寺田逸郎君) この点は、実は今度の会社法案を作るに当たって法制審議会で様々御議論いただいたうちの最も難しい問題の一つでございました。
 元々、委員会等設置会社をつくった際には、おっしゃるとおり基本的に取締役の責任も、それから執行役の責任も過失責任化したわけであります。その際の理由付けといたしまして、取締役の方は取締役会としてどちらかというと監視、チェックということに重点を置いた役割になったから、それで過失責任で足りるのだと言い、執行役の方はいろいろな監視を受けているので過失責任で足りるのだと言いということで、まあそういう仕組みというものが過失の責任化というものを理由付けたんだという説明の仕方がされることが多かったわけであります。
 しかし、法制審議会で改めて様々な御議論をいただいた中では、もちろんその一つの要因といたしまして、当委員会等における附帯決議でバランスを欠くではないかという御指摘のあったこともありましたが、理論的に考えて、果たしてそういう委員会等設置会社における取締役の立場と監査役会設置会社における取締役会の立場に、一方は過失、一方は無過失ということをその監視の行い方の権限の分配のありようによって違うということで本当に理由付けられるだろうかという御議論になったわけであります。
 その上で、そういうことというよりは、むしろ取締役の置かれている立場、あるいはこれを無過失責任化することの意味を様々考えた上で、やはり取締役というのは委任を受けている立場で、原則は過失責任であり、しかし非常にこれは過失責任では具合が悪いと、例えば今回の場合でも直接の実行行為者というものを衆議院の修正を含めて幾つか抜いておりますけども、そういう例外を除いた部分の原則の部分はやはり過失責任というのが本来の在り方ではないかという御議論になったわけでありまして、そういう意味で、私の先ほどの説明は、「何となく」という表現が的確かどうかについてはあるいはおしかりを受けるかもしれませんが、この問題を平成十二年、十三年辺りに御議論をいただいた際には、必ずしも十分なこの問題の性格付けをしないで御説明を申し上げた部分が一部あったのではないかなというところからそういう表現をしたわけであります。
 今回、改めてこの取締役の責任というのを、本来どうあるべきかということを委員会等設置会社と監査役会設置会社との間で双方にまたがって検討した上で、立証責任はあくまで取締役側に、過失がないという側にある、しかしそうした上で過失責任化するのが適当であろうという、こういう判断になったと、その経緯を衆議院でそのように表現して御説明申し上げたわけでございます。
#144
○井上哲士君 今御説明ありましたけれども、当時、委員会等設置会社の取締役の責任を軽減すること自体私どもも反対をしたわけですが、当時は何となくではなくて、実に具体的に説明をされていたわけですね。その理由は取締役の役割の変化ということで説明をされておりました。
 具体的には、例えば違法配当については、執行役は計算書類を作成をすると、そして取締役はそれを監査、承認をするというふうに、執行と監督が分離をされたと、これで説明されていました。そして、この委員会等設置会社における取締役の権限というのは現行法の監査役とほぼ同等になったと。そうすると、その監査役の負っている過失責任に取締役の責任も合わせましたと、こういう説明をされたわけなんですね。
 そこで聞くんですけれども、今回の法案で、この委員会等設置会社以外の取締役の役割、執行と監督を兼ねているというこの役割というのがこの法案で何か変化をしているんでしょうか。
#145
○政府参考人(寺田逸郎君) 役割については変化はございません。
#146
○井上哲士君 にもかかわらず、今回、委員会等設置会社以外の取締役も過失責任に変えるということですから、先ほど述べたような当時の説明と変わってきているということなわけですね。
 それで、実は当時の委員会の議論などのときも、バランスが失するんじゃないかという質問は何人かからされております。それに対して、まだ時期尚早だという答弁を何度かされていますね。委員会等設置会社において取締役の役割が変化をしたということ、そのことによって業務執行行為に従事しないということで会社に損害を与える可能性が非常に減った、そして取締役会による監督体制が格段に強化されると、こういう三つの背景があったから委員会等設置会社については過失責任に転化したと。このような手当てがなされていない通常の会社における取締役の責任について過失責任に変更するというのは時期尚早だと、こういうふうに言われているわけですね。
 そうしますと、今、取締役の役割そのものには変化がないと言われましたけれども、当時時期尚早だと言われたことの関係でいいますと、それ以外の問題で、今度はもう時期が来たと言われるような具体的な手当てがそのほかの分野でもされたと、こういうことでしょうか。
#147
○政府参考人(寺田逸郎君) 大会社については今回も内部統制システム、その義務付け等、監査役会設置会社についても、従前より広げたところはございますが、それ以外のところで仕組みとして取締役会の権限あるいは義務ということで変化をもたらしているところはないわけでございます。むしろ、私どもとしては、この際、両者のバランスということをゼロベースで検討いたしまして、附帯決議の趣旨に沿って様々な点で法制審議会でも御議論いただいたわけであります。
 先ほどの具体的な例に即して申し上げますと、例えば違法配当については今回過失責任化はいたしておりますが、繰延べの税金資産など将来予測を前提とした資産が計上されるようになってきているという環境が一つございます。これについて、取締役がその時点で入手できる資料、最善を尽くしても、あるいは会計監査人もそれを適法だということになりましても、計算書類作成時には判明しなかった事情によって将来の予測が大きく異なると評価せざるを得なくなるという場合、これはその取締役に無過失責任を負わせるというようなことを非常に困難ならしめる事情ということになるわけでございますけれども、そういうことについて可能性としてはより明らかになってきたということは一つございます。
 また、現物出資の過失責任化について申し上げますと、出資された財産の価額が不足した場合に取締役が無過失責任を負うということになりますと、非常に現物出資が行われにくくなっているわけでございまして、そういうことが現物出資が現に行われない非常に大きな事情として指摘されて、このことが合弁事業であるとか、あるいはグループ内の再編などの場合における手段というのを非常に限定している、非常に事態としては窮屈になっているという御指摘はあったわけでございます。
 そういった意味での環境の変化というのはあるわけでございますけれども、御指摘のような取締役の本質的な性格の変化ということがあったわけではございません。
 なお、一言付言させていただきますと、従前も、もちろん取締役の役割について、委員会等設置会社においては監査役会設置会社に比べますとそれはより監視的な立場に置かれることは確かでございますけれども、これらの取締役の立場も、基本的な会社の経営方針、運営、執行方針というようなものは決められるわけでございますので、監査役と全く同等ということではないということをその後私どもとしては考えざるを得ないわけでございまして、そういう意味で、当時の説明をひっくり返すということはもちろんフェアではないことは重々承知はいたしているわけではございますが、その後の法制審議会の御議論では、必ずしも、当時の説明というのは適当かどうかということについて若干の留保があることは確かでございます。
#148
○井上哲士君 今言われた監査役と取締役の役割がイコールでないと、だから過失責任にするべきじゃないということは、私ども当時委員会で申し上げたことなわけですね。それで、結局、当時はいろんな理由付けをされて、そしてこういう条件を、何らかのやっぱり手当てが必要だということを言われながら、それとは別に違う理由を持ち出されて合わせるということになりますと、一体何のための議論かということになってくるわけですね。
 今幾つか、二点ほど環境の変化ということを言われましたけれども、これは衆議院の答弁で、実務運用上様々な支障が無過失責任にしておくことで出ていると言われた、その中身が今の二つの環境の変化という理解でよろしいんでしょうか。
#149
○政府参考人(寺田逸郎君) 代表的な例として、実務界から御指摘をいただいて、法制審議会でもそういう御議論の際の材料として用いたものはその二つでございます。
#150
○井上哲士君 私、二〇〇三年の日本経団連の会社法改正の提言も持っておりますけれども、この中でも取締役の責任の過失責任化という要望が出されております。いろんな形で、経済界からできるだけ責任は軽くしてほしいという要望はある意味当然ながら出てくると思うんですね、株主代表訴訟の問題なんかでも繰り返し出てきたわけですけれども。そういう要望が身勝手なものなのか、それとも経済の実態に沿ってどうなのかということは一つ一つ判断をしなくちゃいけないと思うんです。
 ちょっと違う話ですけれども、例えば独禁法が先日改正をされました。談合の課徴金を大幅に引き上げるという当初の案からいいますと、経済界から随分反対の声が上がって小幅の引上げになりました。ところが実際には、今、橋梁談合で大問題になっていますけれども、日本経団連の副会長をやっているような企業がその談合にも参加をしていたということもあるわけですから、経済界からいろんな要求が出たからといって、はいそうですかと受け入れたのでは、やはりしっかりとしたルールある経済になっていかないと思うんですね。
 この問題でも、一昨日ですかね、長銀の元頭取の違法配当について懲役三年という実刑判決も出ました。粉飾決算と違法配当というのが上場企業にさえ蔓延をしているという今の下で、こういう違法配当に対する取締役の責任が重過ぎるという声にそのままこたえてこういう軽減をするということになりますと、結局、取締役の様々な責任を言わば免罪をしていくというモラルハザードにすらなるんじゃないかという気もするんですが、この点どうでしょうか。
#151
○政府参考人(寺田逸郎君) もちろん、この点について日本経団連を始め幾つかの経済団体から御要望があり、あるいはそういう団体からの正式な要望でなくても関係者の方からいろんな形でそういう意見をお聴きすることはあり、そういう意味で、私どもが大体総じて経済界がこういう御要望を持っておられたということは承知していた、そのことは事実でございます。
 しかし、ごらんいただきましても、立証責任の点を含めまして経済界の御要望が一〇〇%実現できているわけではございません。私ども、経済界の御要望はあくまで一つの要望として承っておるわけでございまして、むしろ法制審議会では、若干経済の実務に疎いと言われる方々も含めまして、理論的な面での検討も様々したわけであります。
 その上で、しかし今回は共通に私どもとしては委員会等設置会社と監査役会設置会社で同じような、本質的には同じような責任の在り方をし、しかし一部は現在よりもむしろ商法特例の適用会社にとっては厳しい立証責任の転換をし、それで全体として制度をつくり上げていくというのがこれからのやり方として正しいという認識の下に法案を作ったわけであります。
 もちろん、今、井上委員が様々おっしゃられたように、今日の社会、資本主義社会において、透明なルールの下でそのルールが実践され、それによって経済活動が行われることは非常に重要であります。そのことで無過失責任化から過失責任化がもし非常に経済活動にとってマイナスだという評価が得られるんだったら、私どもはもちろんそういうことはいたすつもりはございません。
 ただ、公平に考えまして、一定の過失がないのに取締役会、取締役の責任を追及し、その者から賠償を得るというのは経済の実情から見ても余り適当ではないんじゃないかという判断があり、しかし、責任の追及側からすれば相手方に立証責任を負わせるというのは合理的であるということは、一つの合理的な制度として御理解を賜りたいところでございます。
#152
○井上哲士君 委員会等設置会社以外の会社の取締役の実態に変化がないにもかかわらずこういうやり方をするのはおかしいということを申し上げてきたわけでありますが、それでは、これまでの商法そもそもの考え方との関係でお聞きをするわけですけれども、これまでは債権者や株主保護のために資本充実の原則がありました。これに対する取締役の責任が非常に重いと。ですから、直接配当を行う取締役だけでなくて、その執行を監督し決定に参加する取締役にも無過失責任という非常に重い責任を課してきたと。それほど厳格な監督責任、決定責任を負わせるというのが従来の商法の考え方だったと思うんですが、このこと自身を転換をしたと、こういうことでしょうか。
#153
○政府参考人(寺田逸郎君) それはそうではございません。
 元々資本充実というのは、基本的にはその資本金ということで示されている額という、出資された現実の額ということのバランスを考えているわけでございまして、それが現に保たれているかどうかということを最終的に確保するかどうかについては、これは国によって様々な面がございます。
 今申し上げたようなことについて、今の商法は、資本金というのは出資された財産の価額以上には絶対に計上しないという形式的な範囲で理解をしているわけでございまして、それについて、会社が存続する以上常に資本として示された額の財産が会社になければならないということを確保しようという法制もあるわけでございます。これは、ヨーロッパの法制の一部にはそういうことが見られるわけでございまして、それについて徹底した考え方だという評価もあるわけでございますけれども、そもそも、現行の商法もそこまでないわけであります。つまり、もう少し平たく言えば、資本金として示された額が一方であっても、そんな財産が現に会社には全くないということを現行商法も許しているわけでございます。そういう意味で、資本充実についての基本方針というのを今回変更しているわけではございません。
 ただ、資本の充実ということについて、今までのような会社の取締役の責任追及の面で、一つの具体的な在り方というのはこれはやや変わったと受け取られるかもしれません。しかし、例えば現物出資について見ましても、現に会社の取締役が取引をして物を売る、それから相手方からお金をもらう。その場合に、当然のことながら、お金が本来あるべき代金よりも少ない場合もあるわけであります。それについては現行法も過失責任を取っているわけであります。
 これに対して、現物出資のときだけ無過失責任で、この場合は株が出ていくわけでありますけれども、そういうことであると無過失責任であって許し難いというのはややバランスを欠いているというのは前から指摘があったようなところでございまして、そういう意味で、資本充実の根本を変えているわけでございませんで、むしろ一つのいろいろなバランスを考えてその具体的な在り方について責任の仕組みというのを見直したと、こう御理解をいただきたいところでございます。
#154
○井上哲士君 根本は変えないが位置付けが変わってきているというようなお話なのかと思うんですが、結局のところ、債権者保護というものは後退をしていくと思うんですね。
 この今回の会社法では、委員会等設置会社以外も非常に取締役の権限が強化をされております。株主総会の権限とされていた利益配分の決定権などが取締役でできるようになるなどなど、非常に拡大しているわけですね。だから、権限が拡大している以上、責任も重くするということの方が私はむしろ当たり前の考えだと思うんです。
 そういう点でいいましたら、むしろ無過失責任に全体を合わしていくということの方が当然の流れではないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#155
○政府参考人(寺田逸郎君) これは権限を拡大することと、その権限の行使を誤ったときに責任を負う在り方を過失にするか、より重たい無過失にするかということは直接は結び付かないことであろうかというふうに考えております。
 おっしゃるとおり、例えば配当に関して言えば、一定の要件を満たす株式会社について、総会の決議に基づいて取締役会限りで決定することができると、こういう、この意味では取締役の権限というのは増えているわけであります、もちろん定款で定めるという条件はございますけれども。
 その義務が適正に履行されていない場合はしかしどうなるかというと、これは一つは、その取締役の選任、解任という手段もあるわけでありまして、必ずしも全部が全部違法の損害賠償責任を負わせるということにはならないんじゃないかなということで私どもは考えているところでございまして、むしろ責任については、先ほど申したように、それが過失であるべきかどうか、その過失の責任をどっちが負うかということを端的に検討することが望ましいという方針であったわけでございます。
#156
○井上哲士君 この会社法の議論をしている間にも様々な企業不祥事というのが新たに報道もされております。そういう中で、本当に取締役の責任というものをしっかりやはり果たさしていくということは会社法で非常に重要だと思いますし、今回の法案で、先ほど申し上げましたけれども、一層権限拡大をしているというときだからこそ、しっかり責任も重くすることによって、やはり健全なそういう経済行為が行われるという方向にむしろやるべきだということを思っております。
 もう一つテーマがあったんですけれども、区切りですので、ここで終わります。
 ありがとうございました。
#157
○委員長(渡辺孝男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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