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2005/06/28 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第26号
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2005/06/28 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第26号

#1
第162回国会 法務委員会 第26号
平成十七年六月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 六月二十三日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     前川 清成君
     峰崎 直樹君     松岡  徹君
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     大久保 勉君
 六月二十八日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     野村 哲郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                野村 哲郎君
                大久保 勉君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       金融庁総務企画
       局審議官     振角 秀行君
       金融庁総務企画
       局審議官     鈴木 勝康君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○会社法案(内閣提出、衆議院送付)
○会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、尾立源幸君及び峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として前川清成君及び松岡徹君が選任されました。
 また、昨二十七日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として大久保勉君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融庁総務企画局審議官振角秀行君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君及び法務省民事局長寺田逸郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(渡辺孝男君) 会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○簗瀬進君 一千条になんなんとする大法案、会社法案がいよいよ大詰めの議論ということでよろしいかなと思っております。
 しかしながら、六月二十日付けの日経新聞、ごらんになっていただければと思うんですけれども、「「疑似外国会社」火種なお」という、こういうふうな記事が出ております。米欧は外国証券排除と批判と、「法務省は収拾懸命「該当せず」明言」と、こういうふうな見出しが躍っておりまして、今日も関係者も随分傍聴に来ていただいているようでございます。
 それで、まず金融庁にお尋ねしたいんですが、時間も限られておりますので端的に答えていただければと思うんですけれども、いわゆる外国証券といいますか、外資系証券会社の現状について簡単にチェックをさせてください。
 登記上の本店が海外にある、あるいはいわゆる海外の法律を準拠して設立をされたと、言うならば外国証券会社と言われているものが我が国にどれくらいの数があるかと。そして、その営業比率、証券会社の場合は代金決済をいたしますので、株の売買代金、そしていわゆる取扱いの件数と、こういうようなものがあるわけでございますけれども、この代金あるいは売買の件数というそういう観点の中で、国内外の営業比率がどの程度それらの外国証券会社になっているのかと。あるいは、先ほど登記上の本店が海外にというふうに言いましたけれども、外国証券会社という前提としては、当然それは会社設立の準拠法が海外法であって、我が国に支店があるか本店があるかというふうな、こういうことになるわけでございますよね。そういう状況でいってみますと、外国証券会社の内外の店舗設置状況等々についてのお手持ちの資料があれば、分かっている限度で御報告いただきたいと思います。
#7
○政府参考人(鈴木勝康君) 最初に、登記上の本店が海外にあります外国証券会社につきまして、数でございますが、現在四十社でございます。
 それから、二点目のお尋ねで、営業状況がどうなっているかという点ですけれども、まず御参考までに外国の証券会社全社の日本支店におきます活動状況ですが、東京証券取引所におきます取引状況、これは平成十七年の三月期ベースですが、売買高、これは約百五十七兆円ありまして、百五十七兆円ありまして、シェアとしては四割強、それから売買株数は約千三百億株ありまして、シェアとしては約三割強。
 で、お尋ね、御関心は海外の株式売買がどうなっているか、それが分からないと比較が分からないんですが、海外におきます売買株式の状況は法定報告事項となっていないので金融庁としては数値を把握していませんけれども、把握できる中で一つ総収入金額というのがありますので、外国証券会社全体の、本社における全体の総収入金額の合計と日本支店全社の総収入金額の合計、この比率がどうなっているかという点において、日本の全社の総収入金額が全世界の、本社の全体の総収入金額に占める割合、ほぼ四分の三でございます。
 それから、支店の状況どうかということでございますけれども、今申し上げましたように、外国証券会社、これ四十社現段階であるわけですけれども、日本に有する支店数、これは四十支店でございまして、それから海外に有する支店、これは百三十五支店でございます。したがって、日本と諸外国を合計しますと百七十五支店でございますので、それが日本におけるウエートとしては、約二割強ぐらいが日本にある支店ということでございます。
 以上でございます。
#8
○簗瀬進君 次に、今度の会社法案によりまして九百七十九条一項という、九百七十九条二項の方ですね、八百二十一条一項の規定に違反して取引をしたいわゆる擬似外国会社については継続取引はできないと、こういうふうな規定を置いたわけで、それに対して違反をして取引をした者も前項と同様ということでございますので、会社設立の登録免許税の額に相当する過料の処分を受けると、こういうふうなことになっておるわけでございます。
 そういうことで、金融庁の方でもしお分かりいただければ、これらの外国証券会社の設立の際の登録免許税がどの程度の金額になるのか等についての御説明をいただければ有り難いんですけれども、いかがでしょうか。
#9
○政府参考人(鈴木勝康君) 済みません、委員お尋ねの件でございますが、その件につきましては我々把握しておりません。数字を承知しておりませんので、御理解願いたいと思います。
#10
○簗瀬進君 登録免許税についての一般的な決めは御存じですよね、当然。これはどうですか。
#11
○政府参考人(鈴木勝康君) これ、税務当局が御答弁されることだと思うんですが、一般的な私の、これ違っているかどうか分かりませんが、知識としましては、資本金の千分のたしか七ぐらいじゃないかと思っております。恐縮でございますが。
#12
○簗瀬進君 同じ質問ですけれども、これ過料を今度の会社法になって新設をしたわけですよね、八百二十一条一項についての。この過料を新設をする際に、当然どの程度の過料の金額になるのかなと御検討はしただろうと思いますので、これ法務省、局長でいいです。
#13
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、この規定は、今回八百二十一条の一項で継続的に取引をしてはならないという新たな行為規範を設けまして、それに対する違反の制裁として設けたものであります。実際の額は、今金融庁の方からも御答弁なさいましたけれども、株式会社であれば資本金の額の千分の七ということになるわけであります。
 ちなみに、合同会社の場合も率そのものは同じでございますが、最低は十五万円、合同会社の場合には最低が六万円ということであろうと承知しております。
#14
○簗瀬進君 再び金融庁に戻しますけれども、外国証券会社の資本金の額については大体の把握はなさっておるだろうと思いますんで。
#15
○政府参考人(鈴木勝康君) 大変恐縮でございます、現在、手元に資料ございません。それで、恐縮でございます、ちょっとチェックをさせていただきまして、もしよろしければ後刻御報告といいますか、現在、今持っていないものですから、恐縮でございます、どうも済みません。
#16
○簗瀬進君 これ、相当巨額な過料を科されることになるんじゃないのという、そういう指摘は質問の打合せの際に私、しておきましたので本当は答えていただきたいんですけれども、これは民事局の方で出ますか。
#17
○政府参考人(寺田逸郎君) 特定のジャンルの会社の資本金というのは私ども承知しておりません。
#18
○簗瀬進君 もう時間も限られておりますので、だから、資本金の〇・七%という形になりますとかなりの金額になるんですよね、これ、うなずいていらっしゃいますけれどもね。大体、外国証券会社として日本に出てくるわけですから、大きいところも小さいところもあるだろうと思いますけれども、大きいところはかなりの資本金額、それの千分の七という、〇・七%ですから、これはもう相当巨額ですよ。これが科されるかどうかというふうなことでの先ほどの火種といいますか、懸念があるので、この部分は立法者としても相当しっかりと踏まえた形で対応していただきたいなと思っております。
 質問は次に移しますけれども、私は、実は外国証券業者に関する法律というようなものの制定過程についての議事録等をちょっと見させていただきました。昭和四十六年のことでございまして、当時の大蔵大臣は福田赳夫さん、それから大蔵政務次官が中川一郎さんと、そして証券局長が、大蔵省証券局長であった志場喜徳郎さんという方でございましょうか。
 この昭和四十六年当時の議事録等を見させていただきますと、様々な事情で、例えば証券市場を取り巻く国際化の趨勢とか、ぼつぼつ我が国証券会社の海外進出も次第に増大をしていると、だから日本も受けろと、こういうふうな話もあったと思います。我が国資本市場の健全な発展に資するためにもと、等々の目的で、今までいわゆる外国証券の日本進出を認めてこなかったそういう政策を一大転換をする。しかし、外国にあっては、例えば証券業と銀行業が一体で行われている国が相当多かったんだけれども、日本はまだその時点では証券と金融の合体というようなものは認めていないと。また、外国為替の様々な制約というようなものがあって、本店自体を日本にどんと持ってくるということについての一つの障壁もあったと。こういうふうな状況の中で苦肉の策としてどうもこの外国証券業に関する法律というのはできたんじゃないか。
 議事録を見てみますと、当時あった現行商法についての質問やら答弁に触れた部分というのは皆無なんですよ。ということは、これ容易に想像できるのは、言うならば、金融市場のそういう政策的な目的に対応するために、現行商法の擬似外国会社の規定等についても余りきっちりとした検討やらそれについての対応をせずに、なし崩し的に外国証券業法というこの法律を作っちゃったんじゃないのかな。だから、その時点から、一種の法の世界に、会社法の世界とそれから外国証券業法の世界という、異次元空間というようなものをつくっちゃったんじゃないのかな。その時点できちんとした議論をしておけば、今もって現在のこの新会社法を作る際も火種が残るというふうな形での不十分な立法にならずに済んだんではないのかなと思っているんですけれども、当時の立法状況についての、何といいますか、状況について御説明できるものがあれば、簡単で結構ですから、金融庁にちょっと聞いてみたいなと思っています。どうですか。
#19
○政府参考人(振角秀行君) それでは、お答えさせていただきたいと思います。
 基本的には、先生がおっしゃったような背景等に基づきまして、外国証券業者に関する法律というのは昭和四十六年に制定されたところでございます。
 若干繰り返しになるかもしれませんが、簡単に申し上げますと、この当時におきましては、日本の資本市場の国際化が顕著に進展しまして、日本の証券会社もかなり海外に進出するようになっておりまして、日本経済の国際化がかなり進捗しているというような状況にございました。このような状況下におきまして、資本市場の国際化として、五回にわたりまして、昭和四十二年から四十八年にわたって資本の自由化というのが行われております。
 それで、このような状況におきまして、当時の当局の判断としましては、外国の証券会社が我が国に支店を設けて証券業を営む規定が設けられていないことは国際的に見て望ましくなく、また証券市場の国際化に即応する法的措置が必要と考えられたことから、この外証法の一条の「目的」に書いてあるわけでございますけれども、外国証券業者が国内の支店において証券業を営むことができる道を開き、その営業活動に適正な規制を加えることにより、資本市場の健全な発展及び投資者の保護に資することということを目的としてその法律が制定されたところでございます。
 この法律の制定の際には、確かに議事録等には明確に商法四百八十二条との応答はないということであるかと思いますけれども、当然、進出してくる際には外国証券会社は商法四百八十二条を含む日本の法律に従うことが前提という上での立法ということになっておりますので、そこについては整合性は図られていたというふうに思っているところでございます。
#20
○簗瀬進君 時間がありませんので、この三番の八百二十一条の解釈の細かなところはちょっと省略をさせていただきまして、一番ポイントになるのは、いわゆるこの八百二十一条というそういう条文を作りました。ところが、その中に、取引を継続をすることができないという現行商法にない新しい行為規範を設けたと。それもあるんですけれども、言うならば、「日本において事業を行うことを主たる目的とする」という、この「主たる目的とする」というこの解釈になってくるわけですよ。
 先ほど金融庁からお話があったように、もう現在の日本の証券市場ではいわゆる外国証券会社の皆さんが、売買高で四〇%、それから件数で三〇%以上でしたか、非常にそういう意味で大変な重い存在を持っているわけでありますけれども、その内外の総収入比較のレベルでいってみますと、日本が七五%、四分の三で海外が四分の一と、こういう状況ですよ。正にこの「主たる目的」という、「日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社」と、この「主たる目的」というこれに当然該当をするのかなという、そういう解釈上の疑念を呼んでもこれはやむを得ないような条文を作っちゃったんですね。
 私は、その主たるというようなものを、例えば本委員会の六月九日の会議録、これはお隣の木庭さんの質問で民事局長答えているんだけれども、「基本的にはこの日本における事業がその外国会社の存立に必要不可欠であるということを前提に設立された外国会社である」と、また、「実際には、普通の言葉で表現いたしますと、専ら日本において事業を行うことを目的として設立した外国会社」と、こういうふうに、言うならば「主たる目的」を更に制限的に解釈をするような、そういう御答弁をしているんだけれども、だけれども、総収入の七五%が日本だというのは、正に外国会社の存立にとって日本での営業活動が必要不可欠であると、こういう条件にどんぴしゃり当たっちゃうんですよね。これを当たらないというふうに言えるんでしょうか、大臣。
#21
○国務大臣(南野知惠子君) 日本におきまして事業を行うことを主たる目的とすると、こういうことは、日本における事業規模の方が外国における事業規模よりも大きいと、単なる比較的な意味ではなく、その中には脱法的なものを許さないという法の趣旨を考慮をいたしますと、日本における事業がその会社の存立、それにとりまして核心であり必要不可欠なものとされているというふうな意味で取ることができるわけでございます。
 専らという言葉も先生お話しになられました。専らと主たるということの意義の違いについても、先生の御指摘のとおり、主たると専らとは本来の日本語としての意味は同じではないというふうに思います。しかし、もっとも、例えば外国会社が日本における事業を行わなくても外国で事業を行うことによりこれは十分存続することができるような場合には、日本において事業を行うことを主たる目的としていると言うことは、これはできないわけでございますので、実際に外国でも事業を行っている外国会社のほとんどは擬似外国会社には該当しないものと考えられますし、専ら日本において事業を行う目的である場合には主たる目的に明らかに該当をするというふうに思います。
#22
○簗瀬進君 今、御答弁の中にもいろいろと問題の部分があると思います。
 確かに、注釈会社法というようなものがありまして、商法のコンメンタールとしてもう大変権威のあるものでございまして、その旧版が四百八十二条についてこういうふうな、これは岡本さんという学者が書いているんですけれども、いわゆる「本条の趣旨」、昔の、この会社法の前の四百八十二条の趣旨として、我が国法律の適用を避くるがため故意に外国においてこの種の会社の設立を生ずべきこと必然なりとして詐欺的設立による擬似外国会社を規制することにあると、こういうふうに言っております。
 でありますから、大臣の御答弁というようなものも、いわゆる詐欺的設立による本当に悪い目的で法人制度を悪用しようと、こういうふうなことについてのしっかりとした我が国としての法制度上の対応をしておこうと、こういう趣旨であることは間違いないと思います。それは私も認めます。
 ただ、日本語としてはおかしいけれどもとおっしゃられた。私は、法律というのはどこの国の言葉なんですか。これ日本語で書いて、まずは日本の人に読んでいただいて、そして、だれが読んでも同じように、また区々たる時代の状況によって簡単に変わらないような一種の法的な安定性、そういう意味での明快性とか安定性とかというようなものを持っているのが法律の本質であるんですよ。
 法とは言葉なんですよ。その言葉を区々たる解釈で、例えば主たるを専らにしましたとか、あるいは今申し上げたような法文には書かれていない歴史をたどれば初めて出てくるような詐欺的云々のそういうふうな話、そういうのはみんな法律の言葉の中には書いていないんですよ。
 だから、これ、本委員会で議論になったように、いつまでたっても司法リスク、裁判官のその言葉の解釈の中では変わり得るという、そういう法的な不安な部分というか不安定な部分は残してしまう立法をするんですよ。こんなことで、私、立法者としていいんだろうかと、これをずっと追及を我が会派の皆さんもしてきたんだと。
 今日お配りをいたしてありますこの「擬似外国会社について」というペーパーがございます。先ほど理事会で出典が明らかになっていないということが問題になったというふうに御指摘いただきましたけれども、実はこの擬似外国会社というのは、私どもの民主党の中で政策の部門会議があります。そこで法務省の担当官が出されたペーパーなんです。これをお認めになっていただけますか、まず出典を明らかにするという意味で。これは民事局長で結構です。イエスかノーかで結構です。
#23
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、民主党の部門会議で私どもから提出させていただいたものだろうと思います。
#24
○簗瀬進君 これをごらんになっていただきたいんですけれども、第五項なんですよね。こういうふうに書いてある。「そこで、法務省としては、参議院の審議等を通じて、会社法案八百二十一条の」、今申し上げた部分、「「日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社」の解釈を明らかにすることにより」ということで、その解釈を明らかにする中身が書いてあるんです。二重かぎ括弧で、「(「もっぱら日本において事業を行うことを目的として設立した外国会社」と解釈する)、これまで日本で問題なく活動してきた多くの外国会社が、「自分は擬似外国会社ではない」という主張をすることができるようにすることで、外国会社の不安を払拭する予定である。」と、こういうふうな文章が書いてある。
 これは、私は法案を出そうとしているそういう法務省の文章としては、実は信じらんないような文章だと思うんですよ。もう最初から解釈を区々に変えていかないと通用しないような法律であるということを立法者自身が認めているじゃないですか。こういうようなものを立法としてほうり込んできて、我々に審議をし、そして審議の中で大臣御自身も日本語として読んだときは問題あるかもしれませんがというふうな、そういうものを立法として出してくるということ自体すごく問題じゃないですか。しかも、法務省ですよ、法律の、立法のプロ、法律の総本山、そこがこんないい加減な法律出してきていいんですか。立法者としておかしくありませんか、大臣。
#25
○国務大臣(南野知惠子君) 今御提示いただきましたこの資料によりますと、日本で営業活動を実際に行っている外国会社が会社法案八百二十一条について不安を覚えると願い出たことから、当省におきましてその不安を払拭するための対応策を明らかにしたものであります。
 現在の商法の四百八十二条又は会社法案の新しい方の八百二十一条、これは同じものでありますし、元のよりもっと緩和された中身になっているということは先生も御案内のとおりでございますが、この資料の二の段落にも書いてありますとおり、当省は外国会社等からのヒヤリング等により、外国会社が現行の商法四百八十二条や会社法案八百二十一条に関して誤解していることが外国会社の不安の原因となっている、これをうかがえましたので、これらの規定の解釈を明らかにすることにより外国会社の不安を払拭するのが妥当であると考えた、ここに一つの理由がございます。
 先生は、会社法案八百二十一条の解釈をしますよりも条文の文言を修正すべきであるとの御指摘をされましたけれども、外国会社が擬似外国会社に該当すれば、現行の商法四百八十二条によりまして法人格が否定されることになりますので、会社法案の文言をどうするかということ以前に、外国会社においてどのような会社が商法四百八十二条に該当するかどうかを判断できるようにしなければならないということがございます。その不安を払拭することができませんと。
 そこで、当省、法務省といたしましては、まず商法四百八十二条と会社法案八百二十一条の共通項である擬似外国会社の解釈、これを明らかにすることが先決であると考えましてこの資料を作成したものでございます。
#26
○簗瀬進君 まあ、時間も本当に限られておりまして残念なんですけれども、一問一答的なやり取りもできませんので、最後に大臣に三点まとめて聞かせていただきたいと思います。端的にお答えください。三十一分までしか僕の時間ないんですよ。
 ということで、まず第一点。私どもは、この大変不安を呼び、もう当初から立法者が解釈に疑義を自分たちが持たれてもしようがないというようなことを自認しているようなこういう欠陥法律は削除すべきですよ。第一点、削除すべきであると思うが、どうか。
 それから第二点。これは、国会というのは多勢に無勢という、それは多数決ですからね。そういうことで削除、仮にできなかったとしても、第二点として、やっぱりこれは見直しの検討をすべきじゃないですか、見直し。見直しの検討をしっかりとしてほしい。また、私は、その見直しの中には、いわゆる、昔と違うんですから、海外からもどんどんどんどん、また日本も海外にどんどん出ていく、国際的な法人がどんどんどんどん海を渡る、相互に渡っていく、そういう時代に、どうもやっぱり我が国の外国会社法制というようなものは非常に不十分だと思うんですね。だから、見直しをした上で、外国会社法制につながるようなしっかりとした法整備、外国会社関係の法整備をもう一回やっぱり作っていくべきなんじゃないんでしょうか。見直し、それから外国会社法制の法整備をするかどうかというのが第二点目。
 それから第三点。そして、その上で、大変な不安を呼んでいるということはまだ間違いないんですよ。リスクはあります。先ほど言ったように、どんなに皆さんが解釈でこうだとか、あるいは運用でこうするとかというふうに言っても、最終的には裁判所の個々の裁判官がどう判断をするかという司法リスクが残っちゃうんですね。だから、そういうことが残らないように、やはりもう一回、この解釈、運用の指針について法務省としてはどう考えているのか、これをしっかりとやっぱり傍聴に来ていらっしゃる皆さんの目の前で明快な御答弁をいただきたい。三番目、これが。解釈、運用の明快な指針を出してほしい、三番目。
 この一、二、三点、端的にお答えください。
 以上です。
#27
○国務大臣(南野知惠子君) 先生のお問い合わせの一問目でございます。会社法案八百二十一条の趣旨は、我が国の会社法制の脱法行為を防止するというものでございますから、八百二十一条を削除してしまうと、専ら日本国内でしか事業を行うつもりがない者が、外国法人を利用するだけで我が国の会社法制の規定をすべて無視することができることになってしまいます。これでは取引先などの債権者や株主の保護を図ることはできませんので、八百二十一条を削除することは甚だ不適当だというふうに考えております。
 さらに、二点の見直しということでございますが、日本経済における外国会社の役割は、これは重要なものであると考えております。会社法によります外国会社に対する影響等を視察、観察しながら、今後とも、外国会社に関する法制度の整備の必要性ということに検討してまいりたいというふうに思っております。
 それから三問目でございます。先生御指摘の点は、これは法務省としても非常に重要な問題であるということを認識いたしております。これまで御答弁させていただきました、又は御質問にもありました、それらの結果を担当者によります法案解説に記載することなどを通じまして、会社法案八百二十一条につきまして、法務省として本日の答弁のとおり解釈を採用する旨を明らかにすることとしたいと思っております。また、必要がございますれば、各法務局、地方法務局に対する通達におきましても、法務省として、会社法案八百二十一条について、法務省として本日の答弁のとおりの解釈を取っている旨を明らかにすることも検討したいというふうに思っております。
 以上でございます。
    ─────────────
#28
○委員長(渡辺孝男君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として野村哲郎君が選任されました。
    ─────────────
#29
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 この会社法案、政府、参考人合わせて七回目、質問に立つことになりました。この間の質疑を通じまして、取締役の権限を強めて経営の自由度を高めるならば、それにふさわしく取締役の責任を強化をすること、また、証券市場の規律を高めて監視体制を抜本的に強化することが必要だということを質問をしてまいりました。今日はその上で、さらに、情報開示の必要性について質問をいたします。
 まず、大臣にお聞きをいたします。
 西武やコクドの問題、それからカネボウの粉飾決算など、様々な企業不祥事が相次いでおります。こういう不祥事を防止をする上で、企業がその社会的責任を果たしていく上で、コーポレートガバナンスの確立、それから経営の透明性の確立というのは非常に大事であります。また、いったん不祥事を起こした場合に、その再発を防止するという点で、不祥事対策について営業報告書に記載するなど、こういう対策も必要かと思いますが、こういう情報開示の拡大についての大臣の所見、そして、今回の会社法案でどういう手当てがされているのか、まず答弁をお願いします。
#30
○国務大臣(南野知惠子君) 先生にも度々御質問いただき、ありがとうございました。
 企業活動の透明性の確保ということについての御質問でございますが、そのためにも取締役が会社の不祥事に対しまして適切な対応策を取ることは重要なことであると認識いたしております。取締役が会社の不祥事に対しまして適切な対応策を取るということを確保するための手段といたしましては、実際の会社の運営の在り方が大切であるということは、これは言うまでもございません。先生御指摘のとおり、対応策を開示することもまた重要な手段の一つであると考えております。
 会社法案におきましては、このような観点から、事業報告などにおける開示事項を充実させていきたいと考えております。事業報告に記載する具体的事項は法務省令で規定されることになりますが、国会におきます審議やパブリックコメントの結果なども踏まえました上で、例えば内部統制システムの内容などを事業報告を通じて開示させること、これらを考えております。
#31
○井上哲士君 こういう不祥事対策として重要なのが経営者の監督機関たる取締役の構成であります。特に、社外取締役は経営者同士のなれ合いを防ぐために大変重要でありますけれども、これまでの会社法制においては、社外取締役といいましても、親会社、関連企業の役職員が就任することも可能でありまして、独立性に疑問があるということは様々指摘もされてまいりました。例えば、最近、グループの上場会社全体が委員会等設置会社に移行した日立グループの場合は、企業内上場会社十六社で、社外取締役の数の平均が二・八人、そのうち親会社の取締役は二・二人ということになるわけですね。
 今回の法案でもこの点の改善はされてないわけですが、法務省として、真に独立性を持った社外取締役の必要性ということについての認識はいかがでしょうか。
#32
○政府参考人(寺田逸郎君) 元々、取締役会と株主全体の関係を考えまして、取締役会の中に社外取締役を置くべきだという御主張はかねてからあるわけでありまして、そういうことについて、非常にヨーロッパ、アメリカ諸国の中には強い規制を持っている国もあるわけであります。
 一般論として申し上げれば、確かに取締役の業務の執行の監視役としてある種の客観的視点を有する外部者を置くというのは、それはそれ自体としては望ましいわけでありますし、その意味で独立性が非常に高い取締役、社外取締役を置くというのは非常に望まれるところであるという面があることは、これはおっしゃるとおりであります。
 ただ、逆にしかし、取締役というのは会社全体の運営を決めるという側面もあるわけでありまして、その意味でいうと、やはり経営能力みたいなものも当然のことながら必要でありまして、その企業の業務内容や経営というものにどの程度精通するか、あるいは、一般的にそういうことにどういうぐらい精通するかということを抜きに、単に独立しているということだけで評価をできるものではないという側面も、これは反面としてあるわけであります。
 加えまして、我が国の法制度では、ガバナンスの確保の趣旨として、社外取締役に限らず、半数以上の社外監査役を構成員とする監査役会等の制度もございますので、こういう制度の存在というのも併せて考えなければならないわけであります。
 したがいまして、一般論として、独立性の高い社外取締役の有用論というのは、これは確かに一定の理由があることだろうというふうに考えているわけでございますけれども、それぞれの企業においてどこまで独立性が高く社外的でなければいけないかという、一律に決めるのはなかなか難しいということがございます。
 殊に、現段階、我が国における現段階をどういう段階であるかと見るかといいますと、この議論が始まりましてからまだ多少歴史が浅いというところも否定できません。社外取締役そのものが平成十三年の立法によって設けられたもので、平成十四年の五月に施行されたばかりでありまして、そういう意味から、もう少しこの社外取締役の現在の在り方というものの実際の運用状況、あるいは企業の方々の受け取られ方というものを十分に見極めた上で、更にどういう在り方が適当かということを検討していく、こういうプロセスになるんではなかろうかと私どもは考えているわけでございます。
#33
○井上哲士君 確かに、一律に現段階で基準を決めるのがどうなのかというのは議論はあるでしょう。しかし問題は、株主が選任権を行使するに当たって、総会に提案をされている社外取締役の独立性というものをきちんと判断できるだけの情報が開示をされているのかということだと思うんですね。例えば、この社外取締役候補が当該会社とどういう取引関係にあるのかということについても、多くの総会では僅少とか、この程度の情報しか提供されないわけで、この社外取締役の独立性、客観性を判断をするだけの情報が欠いているということがいろいろ指摘をされているわけですね。
 こういう社外取締役の独立性に関する情報の開示を広げていくということの重要性についてはどういう認識でしょうか。
#34
○政府参考人(寺田逸郎君) これは、今申し上げたとおり、法律で一律に決める条件というのはなかなか難しいところがございますので、やはりそれぞれの会社でそれぞれの会社に見合った社外性あるいは独立性というものを判断なされるということが重要であります。その意味では、今議員がおっしゃったようなこの社外取締役の選任に当たっての開示、情報開示というのが大変に重要だろうという考えでおります。
 会社法案の三百一条で、参考書類に係る省令において社外取締役に関する開示事項を定めるということを予定をいたしておりますが、ここには独立性に関する事項を含めて開示させるという方向で今検討をしているところでございます。
 具体的に申し上げますと、社外取締役としての独立性のポイントといたしまして、親会社、関連会社、主要な取引先の業務執行者かどうか、あるいは取締役業務以外の業務の委託関係がどのようなものであるか、あるいは過去のその会社における活動状況、あるいはほかの会社における活動状況、社外取締役としてどの程度経験があるかというようなことを含めまして、十分に分かるということはそれぞれの会社で御判断になる部分もございますけれども、一定の水準というのはこれでもって保っていただきたいということで省令を決めるというつもりでおります。もちろん、これは最終的にはパブリックコメントにかける事項でございます。
#35
○井上哲士君 あのエンロン事件を契機にアメリカでも社外取締役の独立性が議論になりまして、その実態が問われるようになっております。今、省令でということもありましたけれども、例えば、先ほど言いました、社外取締役候補が所属する会社と当該会社の取引なども、具体的には割合なども示すなども含めて、踏み込んだ情報開示が必要だと思います。
 もう一つ情報開示で重要なのが大企業の取締役の個別報酬の問題ですが、現状がどうなっているのか、それから諸外国の実態、イギリスやアメリカどうなっているか、併せてお答えいただきたいと思います。
#36
○政府参考人(寺田逸郎君) 取締役の報酬についての現在の規定ぶりでございますが、現在の商法では、取締役の報酬開示について、それぞれ取締役別の報酬を開示するということを義務付けてはおりません。営業報告書による取締役の報酬開示も責任限定に関する定款の定めや契約を締結する場合のみでございまして、これらは商法施行規則の中で決まっているわけでございますけれども、結局のところは総額が分かるということになるわけでございます。ただし、ストックオプションによる報酬プランというのは個別の開示ということになっております。
 また、実務が実際どうなっているかでございますけれども、個別に開示している例は極めてまれだということに私どもは承知をいたしております。企業の関係者にお伺いいたしますと、やはりプライバシーの保護とかほかの会社との比較を避けたいというような考慮があるようでございます。新聞報道によりましても、全員を開示するのは全く、一社もないという状況に現在はなっているところでございます。
 ところで、外国でございますが、アメリカでありますとかイギリスはこの点についてもう少し開示を進めるという立場を取っておられまして、アメリカにおいては、SECのレギュレーションにおいて、役員の報酬につきましては、直近の事業年度中に最高執行役員、CEOであった者、報酬額の十万ドルを超える上位の四名などについて個別の報酬開示の義務付けをいたしております。
 また、イギリスにおきましても、八五年の会社法の附則において、取締役の受領した報酬の総額、ストックオプションの金額、それから長期インセンティブ計画の下で受領した金額の合計額が二十万ポンド、約三千万円でございますが、これを超える最も高額な報酬を受けた取締役については個別の開示をしておりますし、上場規則においてもう少し進んだ開示を求めているところもございます。
 なお、フランスとかドイツにおきましては、それぞれの商法典ないしは法律において規制を置いているところでございますが、フランスにおいては、取締役の構成員に対する報酬額と子会社の報酬額を個別に株主総会に提出する報告書に記載することの義務付けが行われておりますし、ドイツにおいては、これに対しまして報酬開示というのは義務付けていないという、こういうことになっているようでございます。
#37
○井上哲士君 今回の会社法案で株主が取締役を評価できますのは、選任、解任、報酬の決定ということに限られるわけです。特に、選任に当たっての個別報酬という問題は非常に重要な情報の一つであるわけですね。全体としての、最初に申し上げましたけれども、経営の自由度などを高めていくという点からいいますと、取締役の責任の強化、またコーポレートガバナンスという観点から、一定規模以上の会社などについてはこういう個別報酬の開示も何らかの義務付けをするべきではないかと考えますけれども、この点最後お聞きをいたします。
#38
○政府参考人(寺田逸郎君) 先ほども申しましたとおり、この点を含めて情報開示というのは非常に重要な問題であるという意識は持っているところでございます。
 ただ、この報酬の問題につきましては、先ほど実務界の反応ということで申し上げましたとおり、それぞれの取締役のプライバシーの問題あるいはほかの会社との比較の問題等がありまして、なかなか実務界からは消極的な姿勢も一定程度示されているところでございまして、現時点ではなかなかこのメリット、デメリットを総合勘案してもう少し進むべきだということを一律に言えるというのはなかなか難しいところでございます。
 もちろん、一定規模の会社、一定規模以上の会社について様々な規制が考えられますし、あるいはまた上場、非上場という仕切りにおいても考えられることがあり得なくはないだろうというふうにも思っておりますけれども、これはまたそれぞれその個別の問題もあろうと思いますので、いろいろと検討はしてまいりたいと考えております。
 なお、会社法案の下においては、四百三十五条の二項に基づく省令におきまして、報酬開示を強化するという観点から、事業報告によって直接開示することを義務付けた上で、社外取締役等の報酬についての分離開示あるいは任意の個別報酬開示にも対応した規定を整備してまいりたいと、こういうふうには思っております。
#39
○井上哲士君 終わります。
#40
○委員長(渡辺孝男君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 会社法案の修正について千葉景子君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。千葉景子君。
#41
○千葉景子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、会社法案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 以下、その趣旨について御説明申し上げます。
 第一は、擬似外国会社についてです。
 会社法案の第八百二十一条は、「日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続してすることができない。」、この「規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。」と規定しております。
 この条文をめぐって、親会社を外国に持ち日本で営業している外資系証券会社を始めとする外国企業が擬似外国会社と認識され、日本で営業できなくなるとの懸念が広まっています。条文に従えば、擬似外国会社と認定されれば、取引先への債務弁済責任は法人とともに従業員個人が負うことになってしまいます。
 法務省や金融庁は、現行の商法で認められ既に日本で活動している会社は擬似外国会社に当たらないと答弁していますが、擬似外国会社に当たるかどうかを最終的に判断するのは裁判所であり、司法リスクが残ってしまいます。
 こうしたことから、外国企業が日本での営業をちゅうちょし、撤退を余儀なくされるばかりでなく、新たな企業の日本進出を阻んでしまうおそれがあります。
 また、近年我が国では、資産担保証券の発行を通じた資金調達が盛んになってきており、資産の保有や証券の発行を行う主体として外国に特別目的会社、SPCを設置する金融取引スキームが多く見られます。我が国の資産担保証券市場が膨らんでおり、擬似外国会社の取引を排除する規定を設けることでこうした金融取引スキームの大幅な組替えが必要になり、とりわけ中小企業への融資に支障を来すことが懸念されます。
 したがって、本修正案では、擬似外国会社に関する疑念が残る第八百二十一条を削除することといたしました。
 第二は、過料についてです。
 会社法案第九百七十九条は、第八百二十一条第一項の規定に違反して取引した者に対し、会社の設立の登録免許税の額に相当する過料に処することを規定しておりますが、さきに申し述べたとおり、擬似外国会社に関する規定を削除いたしますので、過料に処する規定も削除いたします。
 以上が民主党・新緑風会の修正案の提案理由でございます。
 委員各位の御賛同を求め、修正案の趣旨説明を終わります。
#42
○委員長(渡辺孝男君) これより両案及び修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#43
○井上哲士君 日本共産党を代表して、会社法案に反対の討論を行います。
 反対の第一は、本法案が取締役会の経営の自由度を高める一方で、その責任を軽減し、会社経営に対する監視機能を弱体化するものだからであります。
 会社法案では、資本配当規制など様々の規制を一層緩和するとともに、取締役会の決議のみで行える簡易再編行為の要件を緩和し、配当の決定権を株主総会から取締役会に移すなど、経営の自由度を大幅に高めています。ところが、これまで無過失責任だった取締役等の責任を過失責任とするなど、経営者責任、監視機能は弱体化しています。
 経営者の責任強化、経営の透明性拡大など、牽制手段の強化なしに経営の自由を一方的に拡大することは、違法配当、粉飾決算など不正行為の温床になりかねません。JR西日本の事故、コクド・西武鉄道問題など、企業犯罪が頻発する今日において、経営者の責任強化と透明性を高め、労働者、国民による監視、監督の強化こそ求められているのであります。
 第二は、本法案が企業再編を大幅に自由化しますが、企業グループとして責任を負う法整備のないまま企業再編の自由だけを拡大すれば、債権者、労働者などの保護が不十分になるからです。
 欧米では、企業グループは一体で活動する以上、企業グループで責任を取るということが当然ですが、日本ではそれがないため、企業再編によって経営の失敗を労働者、債権者、地域に押し付けるということが横行しており、本法案によって拍車が掛かることは明らかです。
 今日では一体として活動する企業グループには実態に即して責任を取らせる企業結合法制の整備が不可欠ですが、会社法案では完全に見送られました。
 第三は、有限会社制度の廃止が中小企業に新たな負担をもたらすだけでなく、中小企業経営者や国民の間に混乱を招くおそれがあるからです。
 有限会社制度の廃止は、計算書類の報告義務などの中小企業に新たな負担をもたらすことになります。中小非公開会社と大規模公開会社という実態が相当違う企業を別々の会社形態で規制してきたのは当然です。会社法案における株式会社のように、自由度があり過ぎて中小企業が会社運営上で違法か否かの線引きの判断に悩む制度は、中小企業を対象とする会社制度としてふさわしくありません。また、一般国民にとって、名前を見ればどんな会社か分かるということは経済生活を行う上で重要と考えます。
 なお、会社法案八百二十一条について法務省の解釈と条文に乖離があるのは事実ですが、擬似外国会社による会社法の脱法行為を防ぐこと自身は必要であり、八百二十一条を削除する民主党修正案には賛成はできません。
 以上申し上げまして、討論といたします。
#44
○大久保勉君 私は、民主党・新緑風会を代表して、民主党・新緑風会提出の会社法案に対する修正案に賛成する立場で討論を行います。
 会社法案の第八百二十一条は、日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社を擬似外国会社と定義し、日本国内で継続して営業できないと規定しています。
 参議院における法案審議の中で、この条文が日本で活動する外資系証券会社等に多大な影響を与えるということが明らかになりました。
 日本で活動する外資系証券会社の大半がケイマン諸島や香港等に登記上の会社本店を置き、ほとんどの営業活動を日本支店が行っています。条文を文字どおり読めば、これらの会社は擬似外国会社に当たり、営業を続けられないと解釈され、日本撤退を迫られるとの懸念が広まるのは当たり前のことであります。
 法務省や金融庁は、現行法の商法で認められ既に日本で活動している会社は擬似外国会社に当たらない可能性が高いと説明していますが、擬似外国会社に当たるかどうかは最終的に判断するのは裁判所であり、擬似外国会社と認定され取引相手から契約の無効を訴えられる等の訴訟リスクは否定できません。
 擬似外国会社と認定されないように新しく日本国内に株式会社を設立しようとしても、資産を移転する際の消費税やその他の税の負担、既存取引の切替えなど多大なコストが発生し、日本撤退を選択せざるを得なくなるおそれがあります。これでは、海外企業の日本進出を促進しようとする政府の方針に逆行すると取られないでしょうか。今月十日にロンドンで行われた日米財務相会談の中で米国側が擬似外国会社について懸念を表明し、日本政府に何らかの対応を求めていますが、こうした指摘を真摯に受け止めるべきであります。
 政府は、擬似外国会社による商取引の規制は課税逃れを目的にした外国での会社設立を防止するための条文であると説明しましたが、脱法行為を防止するには税務上で規制することが適当であると考えます。
 また、擬似外国会社に当たる懸念があるのは外資系企業ばかりではありません。近年、我が国では、資産担保等の発行を通じた資金調達が盛んになってきており、資産の保有や証券の発行を行う主体として外国に特別目的会社を設置する金融取引スキームが多く見られます。平成十四年度における日本の資産担保証券市場は八兆円を超えたと言われており、擬似外国会社の取引を排除する規定を設けることでこうした金融取引スキームの大幅な組替えが必要となり、とりわけ中小企業への融資に支障を来すことが懸念されます。
 政府は、現行の商法で認められ、既に日本で活動している会社は擬似外国会社に当たらないと説明していますが、法律はだれが読んでも意味が明確に分かるのが本来の姿で、それを国会答弁や政省令で補足することは容認できませんし、問題をあいまいにしたままでは国際的な理解も得られません。
 こうした理由から、擬似外国会社に関する懸念による無用の混乱を引き起こさないためには、擬似外国会社に関する条文を削除することが最善の策であると考えます。
 委員各位の御理解、御賛同をお願いして、私の賛成討論を終わります。
#45
○委員長(渡辺孝男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより会社法案について採決に入ります。
 まず、千葉君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#46
○委員長(渡辺孝男君) 少数と認めます。よって、千葉君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#47
○委員長(渡辺孝男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#48
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました会社法案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    会社法案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 本法が、我が国の経済社会において会社が果たす役割の重要性にかんがみ、その利用者の視点に立った規律の見直し、経営の機動性及び柔軟性の向上、経営の健全性の確保等の観点から、会社に係る様々な制度を抜本的かつ体系的に見直し、企業の多様なニーズへの対応を可能とした趣旨を踏まえ、各会社において、それぞれの実情に即した適切な管理運営の在り方を選択することができるよう、本法の内容の周知徹底を図ることをはじめとして、適切な措置を講ずること。
 二 株主総会の招集地に関する規定の変更については、株主総会が株主の権利行使の重要な一局面であることにかんがみ、その招集に当たって、株主の利便性を損なう恣意的な招集地の決定がされることがないよう、株主総会の招集通知の記載事項の在り方等について適切な措置を講ずること。
 三 会社に対する取締役の責任を原則として過失責任に再編成することに伴い、会社財産の流出を防止し、株主や会社債権者を保護するという観点から、会社内部で適正なコーポレートガバナンスが確保されるよう、周知徹底に努めるとともに、今後の状況を見ながら、必要に応じ、会社に対する取締役の責任の在り方について見直しを行うこと。
 四 破産手続開始の決定を受け復権していない者を取締役として選任することを許容することについては、そのような者に再度の経済的再生の機会を与えるという目的について十分な理解が得られるよう、その趣旨の周知徹底に努めること。
 五 株主による取締役の直接の監視機能として、定期的に取締役の改選手続を行うことが重要であることにかんがみ、取締役の任期の在り方については、今後の実務の運用状況を踏まえ、必要に応じ、その見直しを検討すること。
 六 拒否権付株式等、経営者の保身に濫用される可能性のある種類株式の発行については、その実態を見ながら、必要に応じ、これを制限するなどの法的措置も含め、検討を行うこと。
 七 企業再編の自由化及び規制緩和に伴い、企業グループや親子会社など企業結合を利用した事業展開が広く利用される中で、それぞれの会社の株主その他の利害関係者の利益が損なわれることのないよう、情報開示制度の一層の充実を図るほか、親子会社関係に係る取締役等の責任の在り方等、いわゆる企業結合法制について、検討を行うこと。
 八 株主代表訴訟の制度が、株主全体の利益の確保及び会社のコンプライアンスの維持に資するものであることにかんがみ、今回の見直しにより、この趣旨がより一層実効的に実現されるよう、制度の運用状況を注視し、必要があれば、当事者適格の見直しなど、更なる制度の改善について、検討を行うこと。
 九 類似商号規制の廃止については、その運用状況を注視し、必要があれば、既存の商号に対する簡易な救済制度の創設を含め、対応措置を検討すること。
 十 会社設立時の出資額規制の撤廃については、企業家のモラル低下、会社形態を悪用したペーパーカンパニーの濫立、会社設立後の活動資金不足などの問題が生じることのないよう注視し、必要があれば、対応措置を検討すること。
 十一 会計参与制度の創設については、会計参与が主として中小会社における計算の適正の確保に資する任意設置の機関として設けられた趣旨を踏まえて、制度の周知徹底に努めること。
 十二 有限会社制度が廃止されることに伴い、既存の有限会社が新しい株式会社や新たに創設される合同会社等に移行するに当たり、不利益を被らないよう配慮し、必要に応じ、適切な措置を講ずること。
 十三 合同会社制度については、今後の利用状況を観察し、株式会社の計算等に係る規制を逃れるために株式会社から合同会社への組織変更等が顕在化した場合は、必要に応じ、その計算に関する制度の在り方について、見直しを検討すること。
 十四 合同会社に対する課税については、会社の利用状況、運用実態等を踏まえ、必要があれば、対応措置を検討すること。
 十五 外国会社による我が国への投資が、我が国経済に対してこれまで果たしてきた役割の重要性及び当該役割が今後も引き続き不可欠なものとして期待される点にかんがみ、会社法第八百二十一条に関して、その法的確実性を担保するために、次の諸点について、適切な措置を講ずること。
  1 同条は、外国会社を利用した日本の会社法制の脱法行為を禁止する趣旨の規定であり、既存の外国会社及び今後の我が国に対する外国会社を通じた投資に何ら悪影響を与えるものではないことについて、周知徹底を図ること。
  2 同条は、外国の事業体に対し、特定の形態を制限し又は要求する趣旨のものではないことについて、周知徹底を図ること。
 十六 会社法第八百二十一条については、本法施行後における外国会社に与える影響を踏まえ、必要に応じ、見直しを検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#49
○委員長(渡辺孝男君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#50
○委員長(渡辺孝男君) 多数と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、南野法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。南野法務大臣。
#51
○国務大臣(南野知惠子君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#52
○委員長(渡辺孝男君) 次に、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#53
○委員長(渡辺孝男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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