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2005/08/04 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第28号
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2005/08/04 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 法務委員会 第28号

#1
第162回国会 法務委員会 第28号
平成十七年八月四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 八月三日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     岸  信夫君
     陣内 孝雄君     田村耕太郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                岸  信夫君
                山東 昭子君
                関谷 勝嗣君
                田村耕太郎君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   衆議院議員
       法務委員長代理  平沢 勝栄君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大谷 直人君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 英明君
   政府参考人
       警察庁交通局長  矢代 隆義君
       法務大臣官房司
       法法制部長    倉吉  敬君
       法務省民事局長  寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  大林  宏君
       法務省保護局長  麻生 光洋君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (入国管理政策に関する件)
 (総合法律支援の実施及び体制の整備に関する
 件)
 (更生保護の在り方に関する件)
 (犯罪被害者に対する捜査資料等の開示に関す
 る件)
○出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅
 券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する
 法律案(衆議院提出)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨三日、尾辻秀久君及び陣内孝雄君が委員を辞任され、その補欠として岸信夫君及び田村耕太郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に警察庁交通局長矢代隆義君、法務大臣官房司法法制部長倉吉敬君、法務省民事局長寺田逸郎君、法務省刑事局長大林宏君及び法務省保護局長麻生光洋君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(渡辺孝男君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○簗瀬進君 いよいよ通常国会も本当に大詰めを迎えております。大変様々な、特に大きな解散等の動きもあるんではないのかなとの話もございまして、皆さん緊張を高めている中で、やっぱり法務というのは国の基本法制にかかわる話でもございます。
 今日は、締めくくりということで大変貴重な一時間の時間をいただきましたので、前向きな質問といいますか、建設的な政策提言あるいは今後の司法行政という、この国の根幹にかかわる基本的な問題への取組について、法務大臣の御見解を様々に聞かせていただければと思っておる次第でございます。
 まず、本日、この質疑の後にいわゆる台湾のビザなし渡航の話がございます。ちょっとこれ急遽質問に付け加えさせていただきまして、今、実は一分前にちょっと耳打ちをした話でございますので、若干慌てさせて恐縮なんですけれども。
 ビザなし渡航ということで、私ども民主党も衆議院では賛成をしたわけでございますが、実は、政令で指定されたいわゆるロ号というところには、台湾だけではございませんで、台湾及びガザ、それからヨルダン西岸地域と、これらのいわゆるパレスチナの関係の地域が入っております。
 法文を見ますとロ号というふうな形になっておりますので、台湾のみならず、言うならばビザなし渡航を今後も恒久化するというこの法律、これがロ号の中に含まれているパレスチナ関連にも適用されるのかなどうなのかなと、こういうふうな疑問を持っておるんですけれども、この点はいかがでございましょうか、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。これ、入管局長で結構です。(発言する者あり)ああ、そうかそうか。失礼いたしました。
#7
○国務大臣(南野知惠子君) お尋ねの方が違ったのかなと思っておりましたが。
 政令で定めることでございますので、台湾のみとさせていただいております。
#8
○簗瀬進君 たしか、法文ではロ号という形で、そこに台湾のみという、そういう文章は入っていなかったと思うんですけれども、そこは、取扱いはそれで正しいんでしょうか。
#9
○国務大臣(南野知惠子君) 後でこれは提出される資料だと思いますけれども、出入国管理及び難民認定第二条の五号ロに該当する、先生がおっしゃっているこの該当に当たるわけですが、旅券を所持する外国人であって、観光その他の目的で本邦に短期滞在しようとする者のうち政令で定めるものが本邦に上陸しようとする場合においては、同法第六条第一項本文の規定にかかわらず、その旅券には日本国領事官等の査証を要しないものとすることと書かれております。
#10
○簗瀬進君 当該の政令があると思いますので、その政令をちょっと確認させてください。政令の具体的な中身。
#11
○国務大臣(南野知惠子君) これを見せていただいておりますが、政令はまだ定めておりませんので、この法案を通していただいて、これから定めようとするものであります。
#12
○簗瀬進君 じゃ、まあ政令は新たに定めると。
 たしか、現行の政令でロ号というようなものの中には台湾とパレスチナと両方入っておりますけれども、台湾のみというようなことでよろしいんですね。はい。そのような政令を定めるということで確認をさせていただきたいと思うんですが、大臣、よろしいですね、それで。
#13
○国務大臣(南野知惠子君) はい、そのとおりでございます。
#14
○簗瀬進君 ちょっと通告が遅れて恐縮をいたしておりますが、しっかりと御答弁をいただきましてありがとうございました。
 それでは、本題に入ります。
 私は、いわゆる民主党のネクスト法務大臣として、総選挙があった場合のマニフェストの作成等にも今入っているわけでございますが、その一つの大きな柱といたしましてリーガルセーフティーネット、すなわち司法的に弱い立場の者が泣き寝入りをしない、そういう社会をしっかりとつくろうと、これを一つの大きな柱にしたいと思っております。ちょっと横文字風に言うと、いわゆるセーフティーネットを法的な制度の中でしっかりと張っていこうと、そういう意味でリーガルセーフティーネットと。
 なぜそのような提案をしようかなということを考えているかといいますと、言うならば市場主義経済が非常に強くどんどんどんどん流れておりますし、小泉政権になりまして更にそのことが加速をされようといたしております。言うならば、私ども非常に今危機感を持っておるのは、大変中流意識が日本の社会で多かったというのが過去の時代になろうといたしておりまして、富める者と貧しき者という、そういう二極分解という、そういう傾向がとうとうとこの国の社会を覆っているんではないのかな、このような危機感を持っております。
 そういう危機感の中で、結果として、司法的な救済に頼ろうとしてもなかなか、例えば訴訟費用、弁護士費用等の問題、あるいは立証をする際の証拠を集めるそういう能力の問題等々で司法アクセスが、これもまた非常にアクセスしやすい人とアクセスが難しい人と、非常に二極分解をしている。そういう中で様々なリーガルセーフティーネットというようなものをしっかりと張っていくということを、非常に重要な社会の安定といいますか国民の安心といいますか、それを担保するためには絶対に必要な措置だと思っております。
 そういう意味で、今後とも、まずこのリーガルセーフティーネットというようなものをしっかりと更に密度を高めてこの国の社会に張り巡らしていくといった、そういう大きな政策を展開をしていくべきなんではないのかなと考えておりますけれども、大臣の御所見をまず伺いたいなと思います。
#15
○国務大臣(南野知惠子君) 生きていく上ではセーフティーネットというのは一番大切なものでございますが、更にもっと大切なのは先生が今お話しになられるリーガルセーフティーネット、これではなかろうかなというふうにも思っております。
 先生がおっしゃっておられる常々のお話の中に、事前規制型から、そういう社会から事後チェック型の社会へということをおっしゃっておられております。そういうものも大きな形として私たちは経済情勢の変化等に伴いながら移行しておりますことを、この法による紛争の解決、それが一層重要になってくる問題だというふうにも思っております。
 そこで、国民が、先ほど先生もお話しになられました、地域的な不公平があっては駄目よ、経済的な問題、資財に、資質に乏しい者も全部一様に公平にしなければならないというのが司法の世界であろうというふうに思っておりますので、そういう方々に対しても障害なく、だれでも質の高い充実した法的サービスが受けられるようにすると、そういう意味で法的な紛争解決に役立つ情報の提供が受けられるようにすることが最も大切なことではなかろうかと、先生おっしゃるとおりだと思っております。
#16
○簗瀬進君 日本司法支援センターがいよいよ具体的にスタートをしようといたしているわけでございまして、そういう意味合いにおいては司法アクセス向上のために果たすべきこの司法支援センターの役割というのは極めて重要だと思っております。
 大臣とのやり取り思い返しますと、一番最初に私質問をしたときに、いわゆる司法アクセスというところにポイントを絞りまして、我が国の人口一万人当たりの第一審訴訟件数というようなものの比較を、昨年の十月か十一月か忘れましたけれども、第一回目の質問でそんな話題を出させていただきました。そのときに指摘をした数字そのままでございますけれども、もう一回思い返してみますと、人口一万人当たりの第一審訴訟件数、フランスでは二百七十件、ドイツでは百八十件、そして日本は三十七件というふうなことで、フランスと比較をいたしますとほぼ十分の一ぐらい、ドイツと比較をいたしても六分の一ぐらいと、こういうふうに非常に人口一万人当たりの訴訟件数が極めて我が国の場合は低い。
 また、法律扶助制度の比較もそのときさせていただきました。繰り返しになりますけれども、例えば年間の扶助件数は、日本が三万件に対して、例えばドイツ、フランス、イギリスを見ますと、いずれも三十万件を超えていると。やっぱり、件数的に言うと一対十の比較でございます。
 また、国庫負担という形で見ましても、独仏英の中では一番この法律扶助にお金を使っているのはイギリスでございまして、イギリスでは年間千八百億円、ところが日本は現時点では三十億円と、こういうふうなことでかなり見劣りがするなと、こういうふうな状況でございます。
 そういう中で司法支援センターがいよいよスタートをしようとしているわけでありますけれども、若干その際に、昨年の四月、そしてそれに続いてこれは五月だったでしょうか、衆参で総合法律支援法制についての議論がございまして、附帯決議が付いております。これをちょっと、これもまた細かな通告をしてなかったんですけれども、附帯決議ということで、当然支援センターのお話をする場合はこの附帯決議も認識の中にあるだろうと思いますので、細かな数字ですから大臣じゃなくても結構なんですけれども、まず、衆議院の附帯決議で第一号に十全の財政措置をしていただきたいと、こういうふうな附帯決議がございました。また、参議院についても同じように十全の財政措置をこの法律支援センターにと、こういう附帯決議があったわけでございますが、この財政支援措置について、現実にどのような対応がされ、また今後どうされようとしているのかということについて御答弁をいただければと思います。
#17
○政府参考人(倉吉敬君) 現在、日本司法支援センターの設立に向けまして、十八年度の概算要求の準備、積み上げ作業を行っているところでございます。これから八月末の概算要求に向けましての積み上げということですので、今具体的な数字をどうこうというのは難しい段階にございますけれども、まず日本司法支援センターの業務、一番重要だと思っております情報提供業務を始めといたしまして、国選弁護、それから法律扶助、被害者救済等多岐にわたります。そうした事業を遂行していく上で必要な費用を確保しなければなりません。
 それから、全国の地方裁判所所在地に少なくとも事務所を設けていくと、少なくとも五十か所以上ということになりますが、それから司法過疎地域の事務所等も含めまして、そういった事務所も維持していく。そして、その人件費、物件費を整備していく。さらには、そうした管理部門についてのコンピューターシステムを始めといたしまして、それから情報提供センター、情報提供業務につきましても一定のコンピューターシステムが必要だと思っておりますが、そういうシステムに要する経費等々必要なものを積み上げて、鋭意これを確保できるように努力を続けているところでございます。
#18
○簗瀬進君 大臣、やはりこの司法支援センター、私は大変、先ほどのリーガルセーフティーネットを高めていくというための施策のやっぱり根幹にはこの制度が位置付けられることなのではないのかなと。それから、先ほど、法律扶助についての我が国の国庫がまだまだ極めて低いよと、こういうような御指摘もさせていただきました。あわせて、司法支援センターについての予算措置、とても私は十分だとは思えないんですけれども、大臣の御所見をいただければと思います。
#19
○国務大臣(南野知惠子君) 財政の問題は我が国の大きな課題の一つとなっております。それをどのように使用させていただくかという形でございまして、この司法の問題につきましても、前回も大変苦慮させていただき、いろいろと刑務所等のことにも力を尽くさせていただきました。今回はこの司法支援センターが、大きな目玉にしていかなければならないというような覚悟で、予算その他についても当たっていきたいというふうに思っておるところでございます。
#20
○簗瀬進君 是非とも、本当にうつろな目玉じゃなくて実のある大きな目玉にしていただきたいなと、こういうふうに思うんですけれども。
 今御答弁の中で、全国の地裁所在地を中心にしてというふうなお話がございましたが、これは、県によっては地裁の所在地が非常に大きな県の面積でなかなかアクセスがしづらいというところがあるわけですよ。そういう意味で、各まず地方公共団体との連携というようなものが非常に重要になってくるんですけれども、この総合法律支援法を見ますと国中心の書き方になっておりまして、地方公共団体についての位置付けがもう一つ法律の中では明らかとなっていないわけでございます。
 これについての地方公共団体に対する取組、これを今後どのようになさろうとしているのか、御答弁いただければと思います。
#21
○政府参考人(倉吉敬君) 御指摘のとおり、日本司法支援センター、全国に事務所を設けまして、その地域の実情に応じた情報提供業務等を行うということが一番大事なところでございます。
 現在、支援センターの設立に向けて、ただいま御指摘ありましたように、中央レベルでは日本弁護士連合会、日本司法書士会連合会、財団法人法律扶助協会等の関係団体と協議を重ねつつ準備作業を行っておりますが、もちろん地方レベルでも行っておりまして、地域に密着した業務にふさわしい、そういった組織にしなければいけないということで、現在、地域の実情を支援センターの設立準備作業に的確に反映させるとともに、地方の関係機関等の支援を受けることが必要な作業、これを円滑に遂行するために、各地で司法を支えている方々に依頼いたしまして地方準備会という組織を設けております。この組織を中心に、さらに地方公共団体のいろいろな相談窓口とか、それからその地域で活躍しているNPOの方々とか、いろんな方がおられますが、そういう方を集めまして地方協議会というものも適宜開いておりまして、これでさらに地域との連携、それから地方公共団体の連携を密接に深めていこうとしているところでございます。
#22
○簗瀬進君 同じくこのときの参議院の附帯決議の三号にはこのような記載がございます。民事法律扶助事業の資力要件等の見直しを含めた利用者負担の在り方及び対象者・対象事件の拡充について検討を行うように努めると。これ、我が参議院が付けた附帯決議の第三号でございます。これについての検討状況について御報告ください。
#23
○政府参考人(倉吉敬君) その点につきましても法律扶助協会等からも御要望があるところでございまして、鋭意様々な角度から見ておりますが、この財政負担との関係がございます。資力がある人に対してそれじゃできるかということになりますと、これも税金の負担ということになりますので、非常に様々な方面から、様々な角度から検討してまいらなければなりませんが、鋭意、どういう形でより実質的にできるかというところで検討しているところでございます。
 で、日本司法支援センターになりますと、今度は人的、物的な組織が、その法律扶助だけではございませんで、国選弁護、様々なところを一元的に一つの組織でやれることになります。そこで、その組織の運営費というものはかなり効率化されるはずだと。そういうことで、全体としては法律扶助についても実質的によりこれまで以上に充実したものができるのではないかと、今そのように考えて検討を進めているところでございます。
#24
○簗瀬進君 昨年も聞いたことでありますけれども、大臣、先ほどの法律扶助制度の比較で、我が国の国庫負担がイギリスやフランス、ドイツ等と比べると極めて少ないと。こういう数字を出させていただいた。イギリス千八百億円で、日本三十億というのは、これはかなりショッキングな数字ですよ。それから、ドイツ、フランスはそんなには多くはないんですけれども、ドイツが三百六十三億、フランスが百八十二億と。ここら辺と比較しても、やっぱりドイツのこれは十二分の一、フランスの六分の一と、こういうふうな感じでございまして、ちょっと、やっぱりこれはリーガルセーフティーネットを張り巡らすための基本的な資金ベースとしては余りに国庫の負担が低過ぎるのではないのかなと思っております。
 確かに、前回聞いたときも、いや、努力して少しずつ上がっていますと、こういうふうな御答弁でございましたけれども、これ、少しずつではちょっと済まない数字なんではないのかなと思うんですけれども、さらにこの法律扶助についての今後の予算措置等のお考えがあればお示しいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(南野知惠子君) 先生の御意向も体しながら、一番大切な課題として今取り組んでいこうと法務省も考えておりますので、いろいろな形で検討させていただきたいと思っております。
 そして、ちなみにですが、今日、これは八月四日、第二回の委員長たちの準備会を開催する予定にもなっております。付け加えさせていただきます。
#26
○簗瀬進君 それから、同じくこの附帯決議の四号で司法過疎の問題が取り上げられております。
 この日本司法支援センターが、弁護士、弁護士法人及び司法書士その他の隣接法律専門職者の司法過疎を解消するための対策を積極的に進めるために云々と、真に必要な地域における事務所の設置、過疎地への巡回、利用者の利便性を十分考慮した業務運営ができるよう配慮することと、こういうふうなこれ宿題があったわけでございますけれども。
 この司法過疎、確かに私も弁護士開業しているのは県庁所在地でやっておりまして、なかなか遠いところには弁護士さんも少ない、あるいは法律関係の司法書士さんとか、そのほかの人も少ない、そういうところたくさんあるだろうと思うんですね。そういう司法過疎問題、これに対しては現在の取組状況はどうなっているのか、司法支援センターと関連をするところで御説明をいただければと思います。
#27
○政府参考人(倉吉敬君) 司法過疎地域、裁判所の支部単位で考えて弁護士さんが一人もいない、あるいは一人しかいないというところでカウントしているところで、この司法過疎地域について充実した司法サービスをどれだけ行えるかというのは大きな課題でございます。日本司法支援センターが設立された一つの動機の一つにもなっておりまして、もちろんこれが業務内容として司法過疎地域の事務所というのが掲げられているわけでございます。
 先ほども答弁申し上げたとおりでございますが、今、概算要求の準備をしているところでございまして、ある程度の数、司法過疎と言えるところで、しかも事件数があって、そして、例えば弁護士さんの多いところから距離的にどれくらいの距離があるだろうかと、そういったことも勘案しながら、どういうところに置けるかということを検討して、できるだけ積み上げてまいりたいと思っているところでございます。
#28
○簗瀬進君 いずれにしても、司法支援センター、非常に広範な分野があるわけでございまして、その位置付けとしては、先ほど来何度も言葉使いますけれども、リーガルセーフティーネットの根幹に位置付けられる大変基本的なそういう組織なんだと。これがしっかりとするかしないかによって司法に対する国民のアクセスというようなものが全く変わってくるわけでございまして、そういう意味で、重要な位置付けを今後ともしっかりと持ちながらこの司法支援センターの充実に努めていただきたいなと思っております。
 次に、このリーガルセーフティーネットの二番目の問題として、いわゆるこれも司法改革の積み残しテーマがあるわけでございます。すなわち行政訴訟の問題でございます。
 行政訴訟については、これも従前、私、質問させていただいたことがありますが、御案内の改正行政訴訟法が、改正行訴法が今年から施行になっているわけでございまして、その中では、原告適格とか義務付け訴訟とか差止め訴訟、確認訴訟、仮の救済等でそれなりの改正が行われたと、このように評価をしているところではございますけれども、例えば、やっぱり突っ込みが非常に足りないんではないのかなと、こういうふうに思っております。
 国民主権というそういう憲法の大きな基本原則をある意味で実質化するためには、もう積極的な国民の行政へのアプローチ、これが必要でありますけれども、例えば、今も行政訴訟法の基本というのは、むしろ行政が行ったことについては最初から適法性を推定をして、そしてそれに言うならば文句を言う方が立証責任を負った形で云々というふうな、そういう取組になると非常にこれは困るわけでございまして、その基本の部分をやはり直していかなければならないんではないのかなと、こういうふうに思っております。
 例えば、質問の第一番目、原告適格についてなんですけれども、第二番目、団体訴訟と実は原告適格というのは裏腹の関係にもあるわけなんですが、原告適格については、行政事件訴訟法、行訴法の九条の二項に改正が行われているわけでございます。ところが、九条の一項、これについては、基本的にそれは維持されておりまして、九条一項に言う法律上の利益を有する者に限って原告適格を認めると。だから、行政処分が行われた、あるいは行政上の裁決の取消しを求める、そういう場合にはこの法律上の利益を有する者が、その者に限ってこれを提起することができると。こういう形で、基本的に行政に対して言うならば文句を言おうと、チェックをしようという人は法律上の利益を有する者でなければならないと、こういう、九条の一項が一番出発点に置いてあります。
 これについて学者の間でも様々な御議論があるんでしょうけれども、その御議論を受けて第二項の方で、法律上の利益を有するというふうなことを様々にもう広く考えなさいと、そういう趣旨で二項の改正が行われたと私は理解をするんですけれども、この改正も全く無意味だとは申し上げませんけれども、願わくばその法律上の利益という、そういう概念というようなものを前提にして行政訴訟を考えていく。だから、法律上の利益という確たるものがある人に限って行政訴訟を起こすことができて、それ以外の人はできないよと、こういうふうな建前を九条一項に取っている。
 この部分はやっぱり根本的に改めていかないと、行政に対する市民の側のチェックは広まっていかないんではないのかなと、こういうふうに思っておるんですけれども、今の考え方に対して、ちょっと専門的でございますので大臣じゃなくても結構でございますけれども、第二項の運用状況等も含めて御説明をいただければと思います。
#29
○政府参考人(寺田逸郎君) 今御指摘ありました点は、実はこの行政訴訟法の見直しをする際に最も根本的な問題の一つとして取り上げられたところでありまして、司法制度改革の枠内でこの議論をした際も、委員御自身でも御指摘になられましたように、論じられる学者の先生方の間にも、まあニュアンスの差ということもありますけれども、より根本的には考え方の差ということで随分御議論もあったところでございます。
 それで、まずその運用状況から申しますと、先ほどおっしゃられましたように、四月一日からこの新しい行政事件訴訟法の改正法が施行されておりますので、まだ具体的に原告適格がどう広がったか、これが事件数あるいは国民の救済にどう具体的に反映したかということを検証するまでには至っておりません。
 私どもとしては、その運用状況を慎重に見定めていきたいというふうに考えておりますが、その文言にとらわれず、行政実体法の趣旨というものをよく考えてこの原告適格の具体的な法律上の利益というものを考えていきなさいということは、これまでも最高裁の判決の流れとしては、方向性としては一つ出ていたところでありますけれども、それを言わば到達点を更に一歩進めた形で条文化したものでございますので、今の行政訴訟法の法律上の利益という枠の中では相当に踏み込んだ改正だというような評価をおおむねいただいているところでございます。なお効果を見定めてまいりたいと思います。
 それ以後のお話になりますが、そもそも論になるわけでございまして、この法律上の利益というものを基準にして行政事件訴訟法の中での訴えの当事者適格の問題を考えていくかどうかということでございます。もちろん、こういう枠を一切外したということがおよそ考えられないわけではありません。しかしながら、これは相当に司法の根幹にかかわる話になってまいります。
 現在の司法というのは、やはり法律上の争訟で具体的な事件について裁くということになります。それを具体的な権利救済というように普通は解しているわけであります。そういたしますと、国民の間に、ある行政の例えば許認可があった際に、だれでもこれに対して行政のチェックという形でその違法性を争えるかということになりますと、これはまあ申し上げるまでもなく、まあ民衆訴訟という言い方が可能かどうか分かりませんが、完全な国民による行政のチェックという形で司法を利用するということになるわけでございます。
 その方御自身の権利救済というのは非常に国民の一人の立場ということでございまして、具体的な利益としては、ゼロではないのかもしれませんけれども、非常に希薄だということになるわけでありまして、そこまでして司法の機能を高めて、逆に行政の方はそういうチェックの仕方を受けるというのがいいのかどうかというのは、これは機能論としては大変大きな憲法上の問題にまで踏み込んだ問題だろうと思いますので、そこはまた一つ段階を異にする議論というのが必要なのかなというふうに考えているわけでございます。
#30
○簗瀬進君 今、はしなくも答弁の中にありました民衆訴訟、これは学者によっては国民訴訟等の言われ方をすることあるんですけれども、質問要旨の四番目に決算手続等についての市民の側のチェックという、こういう質問がございますね。そこのところでまたやらせていただきたいと思っておりますけれども。
 その前に、原告適格のほか、それと、ある意味では原告適格を非常に広範に認められれば吸収できるんだけれどもというようなところで、いわゆる団体訴訟の話が出てくるわけでございます。このことについてちょっと御質問をさせていただければなと思っております。
 最近の世相を見てみますと、消費者に直接様々な健康被害やらいろいろな関係を持つような消費者問題というのが非常に増えている。あるいは、環境問題も非常に様々なものが出ている。例えば、今回のあのリフォーム詐欺なんかもそういう部類に入るかもしれません。リフォーム詐欺なんかの場合はもうちょっと、当事者の数がそんなに多いという感じではないので、団体訴訟という類型からはちょっと外れるのかなという感じもいたしますけれども。
 いずれにしても、消費者団体とか環境保護団体、そういう団体が、個人個人の利益も多少は絡んでいるけれども、そういう当事者が非常に多いということで、一つ一つの訴額からいってみれば極めて小さいかもしれないが、あるいは算定が難しいかもしれないけれども、全体的にトータルをすると非常な問題だとか、そういう様々な多数当事者の団体が絡んだそういう事件が増えているわけでございます。
 こういう意味で、このときの行政訴訟法のやっぱり積み残しの課題の一つとして、団体訴訟を正面から認める部分がなかったと若干残念な感じを持っておりますけれども、個別法規の中でこういう団体訴訟の導入の方向性を求めている、そういう動きもあると聞いておりまして、そういう個別的なところで団体訴訟を認めていくというようなこともあっていいのかなと思っておりますけれども、その辺についての現在の全体的な動きどうなっておるのか、ちょっと御説明いただければと思います。
#31
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、かなり広範囲にわたりましてある種の法律問題が生じた場合の解決方法というのは幾つかあるわけでありまして、それ、訴訟手続上どういう形でそれが裁判所に持ってこられるのが合理的であるかということについては様々な考えがございます。
 一つは、ある種の方がこれを代表しておやりになる、あるいは全体の方がグループとしておやりになる、中にはアメリカのようにクラスアクションという形でこういう問題を解決しているところもあるわけでございます。
 それで、その一つとしてヨーロッパの国の一部には団体訴訟という考え方がありまして、ある種の利益を代表する団体がそういう共通の問題を抱えている方を代表してこれを裁判所に持ち込む。その場合の原告がだれになるかということは、これは様々な考え方がございますけれども、一応団体がその場合には当事者になるということで法律構成されていることが多いように思います。
 ただ、その場合にはいろいろな問題がございます。一体どういう団体がそういう言わば原告として裁判所に自ら訴訟を起こす資格を設けるかを、一体だれがどう決めるかという問題がまず非常に大きな問題としてございます。それから、その団体が起こせる訴訟の範囲というものも決めなきゃなりませんし、判決が起きた場合のその判決の効力というのを一体どういう形で、どういう方の範囲でそれが及ぶかということを、これはまた訴訟手続上も非常に大きな問題であります。
 そういうことについて一連の検討をしなきゃならないわけでございますけれども、それはおよそ一般に法律問題についてそういうことが可能かどうかという検討をすることにいたしますと、これは相当広範囲、根本的な問題になりますので、我が国といたしましては、現在内閣府の方で、消費者行政ということを基点にいたしまして、ある種の消費者の抱える共通の問題について団体に訴訟の当事者となる資格を認めるという制度を御検討されておられて、その検討も今最終段階にあるというように伺っております。
 私どもも、これは訴訟手続上非常に重要な問題でございますので、この検討にも参加をいたしております。こういう検討の中にあっては、消費者団体のある種の資格を認められる団体が、ある種の消費者のお抱えになる問題について裁判所に差止めを求めるというようなことが今検討をされているところだと承知しているところでございます。
 このように、比較的こういう団体にそういう立場、権限を与えることが全体として効果的だということが共通の理解が得られやすい分野もあるわけでございまして、そういうことを一つ一つ検討して、ある種のカテゴリーについてこういう仕組みというのを設けていくというのが我が国の現状からすると非常に効果的、効率的ではないかと私どもも考えているわけでございまして、消費者に限らず、そのような分野の認識というのが共通のものとして高まっていく場合には、私どもも今後ともそのような動きに十分に御協力を申し上げて、裁判について、全体的に効果的な救済が図れるような仕組みというものについて考えていきたいという、このように考えているところでございます。
#32
○簗瀬進君 三番目に、私は、やはり庶民にとっては税金の問題というのは極めて密接なんですね。税金について、どうもおかしいなと、自分に対する課税処分がどうも納得できないというふうな場合には、言うならば、現在はまず国税不服審判という制度があるわけでございます。若干質問の趣旨とはずれて恐縮なんですけれども、御答弁いただければと思うんですが。
 どうも実態見ますと、現在ある国税不服審判所というようなもの、これは、第三者機関といううたい文句はありながら、どうも審判官の大半を見ますと、国税庁の関係者がそこに来ていると。言うならば、国税庁が課税処分をし、不服申立てをしたらまた国税庁の関係者がそこにいたと、こういうふうな仕組みになっておりまして、その中で審判手続が行われるということになりますと、どうもやはり本当の意味での国民の納得というのはいただけないんではないのかなと。
 私は、そういう意味では、処分庁から独立した統一的な行政不服審判所等を設置をする必要がこの点ではあるんではないのかなと思っておりますけれども、これもリーガルセーフティーネットを高めるための一つの施策としてお考えになったらどうかなと思いますが、いかがでございましょうか。
#33
○政府参考人(寺田逸郎君) 納税についての不服というのは、各国においても行政に対する不服のうちの主な部分を占めているところでございまして、ヨーロッパでは非常に行政訴訟の数が多いということが言われていますけれども、その多くが実はこの納税関係の訴訟であるというように言われているところでございます。我が国は、それは比較的訴訟という形で出てくることは少ないわけでございますけれども、その理由の一つが、我が国においては不服審判その他でスクリーニングがされているということが一つ言われているわけでございます。
 ただ、他方、そのスクリーニングというのが果たして適正公正に行われているかということは前からいろいろ御議論があるところでございまして、司法制度改革の中でも、こういう行政不服審判あるいは不服申立てについての制度というのが果たしてうまく機能しているかどうかという問題意識をお示しになった方もおいでになったわけでございます。
 元々、行政改革の中でも、この行政不服審判の在り方についてはもう少しトータルに国として共通の基盤を持ってはどうかという問題意識が投げ掛けられておりまして、それが司法制度改革においても引き継がれたわけでございますけれども、しかし、司法制度改革においては、この行政訴訟の問題についての検討というのが中心になったために、その問題は比較的、検討というのが余り深まらなかったということが残念ながらあったわけでございます。
 それで、今後そういう行政不服審判についても、したがいまして大きな課題の一つだということは認識はいたしております。ただ、これを全体的にどういう形での組織をもって行うか、あるいはその組織の中の構成をどうするかということは、これはなかなか一様には考えにくい面もございます。それぞれに専門性はあるわけでございまして、中には十分に機能しているものも決して少なくはないわけでございます。そういう中で、果たして全体に共通のものをつくるのが、組織として考えるのか、あるいはもう少しスタンダードみたいな別のようなものとして考えるのか、様々なお考えがあろうかと思います。
 政府全体としては、この検討というのは相当今後慎重にやっていかなきゃならないものでございますので、現在のところは具体的な動きを持つには至っておりませんけれども、今申し上げたような経緯からいたしますと、一つの問題という認識は持っているところでございます。
#34
○簗瀬進君 もう一つ、この司法に対してのチェックで会計検査という機能があるわけでございます。やはり国民の素朴な感情からいってみると、どうも行政は無駄遣いしているんではないのかと。しかも、会計検査院という存在はあるけれども、例えば現行の会計検査院法の三十五条ということで、審査請求の規定があるんですけれども、ここでは利害関係人という縛りがありまして、一般的におかしいなと思ったその疑問を直接的にぶつける制度というのはこの会計検査院関係からではなかなか出てこない、こういうのがあるわけです。私は、そういう意味で、地方公共団体では住民監査請求と住民訴訟があると、こういうこともあるんで、これは国レベルでも国民監査請求と国民訴訟というようなものがあってもいいんではないのかなと、こういうふうに思うんですね。
 ただそれは、簡単にそれは、何でもかんでも裁判所に持ち込むのはいかがなものかと、先ほど寺田さんの御答弁の中でもそういう趣旨はありました。そのことを理解しないわけではありません。でありますから、裁判に行くその手前に様々な、例えばオンブズマンの制度をつくるとか、あるいはオンブズマンの制度と行政監察局みたいなものをつくった上で、事前にこなしていただいた上で、最終的に国民監査やら国民訴訟と、こういう制度設計をするということで、国民の、例えば今度の談合問題でも、談合があったかないかで、いわゆる予定価格が九八%から、問題がチェックされた後だと七割、八割に落ちるというふうな、そういう状況がもう常態化するというような形になっているわけでございまして、そういう意味では、国民の素朴な疑問にしっかりと答えていく、最終的にはそれについて司法が支えていく、こういうふうな趣旨で国民訴訟的な制度というようなものを私は構想をしていく時期に来ているんではないのかなと、こういうふうに思います。
 そういう意味で、ちょっとかなり大胆な提案かもしれませんけれども、御答弁をいただければなと思いますけれども。もしよければ、大きな話なんで、大臣、お答えいただければと思いますが。
#35
○国務大臣(南野知惠子君) ありがとうございます。
 先生がおっしゃっておられる国とお金という問題点の中にこれも入ってくるのかなと思っておりますが、国の支出に対する司法のチェックの在り方という大きな課題を今先生提起されたのかなと思っております。昨年の行政事件訴訟法の改正に至ります議論の中におきましても重要な論点の一つとして取り上げられていると、これはもうそのとおりでございます。
 そのための方策といたしましては、具体的に、国の支出の適法性を国民の訴えに基づいて裁判所が審査するという新たな訴訟制度を設けることも議論の対象になりましたということのお話もございました。そのような制度の創設につきましては、司法権の本質と裁判所の役割、また財政に関する国会の権限との関係ということにおきまして、会計検査院の憲法上の位置付け、またその他の憲法上の問題点を生ずるという可能性もありますことから、御指摘のような司法による国の支出のチェックということにつきましては慎重に検討させていただきたいというふうに思っております。
#36
○簗瀬進君 最後が慎重になっちゃったんで非常に残念なんですけれども、是非前向きに考えていただければなと私は思っております。
 その次に、様々なこの行政訴訟法の改正の積み残しの課題がいろいろと指摘をされております。私の手元に「自由と正義」の二〇〇四年十二月号というようなものがありまして、これは我々、今後の行政訴訟の新しい取組をする、新しい宿題がずっと書いてあるなと思って、これに沿いながらの質問もしているわけなんですけれども、その中に、弁護士費用の片面的敗訴者負担制度の導入と。昨年のいわゆる敗訴者の訴訟費用負担、これは最終的には廃案という形になったんで、あれとは全く趣旨が違っておりますので誤解のないようにしていただければと思うんですけれども、いわゆる弱者が勝った場合に弁護士報酬を相手方から回収できるという片面的、片面ですね、片面的敗訴者負担という、こういう法律がアメリカ、自由競争の権化、市場経済のメッカと、こういうふうに言われているアメリカでは相当、実にこういう司法的弱者を救済をしようというかなり細かな制度をつくっているということをやっぱり我々は認識をしておいた方がいいんではないのかなと思っております。
 これは専門家の、テンプル大学ジャパンというところのマシュー・ウィルソンという準教授の方が、これは弁護士会が行ったシンポジウムの中で指摘をいたしておりますけれども、このような司法弱者が勝った場合にのみということになるわけですが、その場合に弁護士報酬を相手方から回収できると。逆に、司法強者というふうなことでいうと、司法強者が勝った場合には司法弱者にその負担を求めることはないと、こういうふうないわゆる片面的敗訴者負担、これが連邦で、アメリカの連邦法で約二百個ある、それからアメリカ五十州の議会でもこのような片面的敗訴者負担の法律を約四千個実際に作っていると、こういうふうな指摘がございます。なるほどなと思いました。
 ちょっと時間がもう迫ってまいりましたので、このマシュー教授、マシュー準教授が紹介をしているフロリダ州の法律がございます。例えば、この彼が紹介しているのは九つのパターンがありますけれども、例えばこういうのがあります。陪審サービスに関する法律。陪審となったことにより解雇された被用者は雇用者に対する訴訟の弁護士報酬を回収できると、こういう明文の規定をフロリダ州は置いております。また、独占企業・独占禁止法で、フロリダ州独占禁止法違反による損害と救済措置を求める訴訟における勝訴原告は、合理的弁護士報酬、これを、合理的弁護士報酬を三倍にした損害額を請求できると、そこまでの規定も置いてありますし、例えば差別禁止に関する法律で、差別禁止にかかわる州法に違反して差別された個人は合理的な弁護士報酬を回収することができる等の規定もフロリダ州では置いてあります。
 保険契約とか、それから不動産売買とか、フランチャイズ、あるいは自動車のフランチャイズ、消費者の債務取立て、不公正な取引慣行に関する法律等々、言うならば、かなり法的にあるいは経済的に優位に立っている人、それから劣位に立っている人、優位に立っている企業、劣位に立っている人と、こういう関係に置かれた場合にはこの訴訟費用の片面的な敗訴者負担というのを劣位の者にのみ適用をすると、こういう細かな規定をこのフロリダ州に置いているという、こういう報告があるんですね。
 私は、これは大いに参考になるんではないのかなと、こういうふうに思っておりまして、正にそういう意味では、リーガルセーフティーネットをしっかりと張っていく、そのためのもう一つの柱としてこの片面的敗訴者負担についての検討を始めていただきたい、このように思うんですけれども、大臣の御所見をちょっといただければと思います。
#37
○国務大臣(南野知惠子君) 我が国にとっては大変難しい問題で、これから検討しなければならないことではないかなとは思っておりますけれども、今先生が御説明いただいたその州での在り方ということについては、本当にアクセスさせていただける国民にとっては幸せな法律ではあろうかなというふうに思っております。
 まず、我が国は、最初に、司法支援センターをしっかりと立ち上げて、そこから開かれた司法というところに持っていくことによって国民の考えがもっと昇華されてくるならば、いい形でこれを取り入れる日も来るのではないかなと、そのように思っておりますが、今はしっかりと検討させていただく段階かなと思っております。
#38
○簗瀬進君 しっかりと検討してください。後で何かの機会に報告は求めたいと思っておりますので、しっかりと御検討いただきたいなと思っております。
 時間も本当に残されたところわずかになってまいりまして、裁判員に関する現在の取組の状況について随分質問通告したんですけれども、これほとんどできなくなってしまいましたので、別の機会に譲らせていただきたいと思います。
 それで、一つだけ、やはりこのリーガルセーフティーネットの関係で、これも前向きの議論ということで御答弁いただければと思うんですけれども。現在検討中、七月二十一日付けの委員会でも質問がございました、言うならば、五菱会絡みのいわゆる犯罪利益を被害者に返して、それを国も積極的に関与をしていこうと、こういうふうな検討をするようにと、そういう法制審に対する諮問をなさったと、こういうふうな質問が七月二十一日付けの委員会で同僚議員からなされておりました。
 時間も限られておりますので、私は、これは非常に国として新しい、少額ではあるけれども、被害者多数の場合に、場合によっては国が関与する形でいわゆる被害回復に手をかしていく、そういう意味の大きな新しい公共関与の中でリーガルセーフティーネットを高めていく、そういう制度につながっていく可能性を持っているんではないのかなと思っております。
 でありますから、現時点での検討というのは、これは犯罪収益で没収、追徴というふうな、そういう規定の中で検察官がそれに絡んでいくと、こういうふうな制度スキームのようでございますけれども、それを先ほど指摘をしたようにもっと敷衍をいたしまして、民事事件、刑事事件、これに全体的に適用できるような、民事でもかつては、例えば豊田商法等の被害者がたくさんあって、個々の弁護士さんのある意味で大変ボランティアの中で被害救済が行われていくという、そういうことがありました。当然それは限度があります。不十分になってまいります。
 そういう段階で、いわゆる国あるいは公共がそれに絡んでいくと、公共セクターがそれに絡んでいくと、こういうスキームは、私は、今回の刑事の検討を出発点にして、広く民事その他の事件にも適用可能なそういう新たなスキームとして、それを目指して制度をつくっていったらいいんではないのかなと、こういうふうに思っております。
 そういう意味での積極的な提言と、それに対する考え方といいますか、取組の姿勢をそれぞれ、刑事局長と、それと締めとして大臣のお言葉としていただいて、質問を終わりにしたいと思います。
#39
○政府参考人(大林宏君) 今御指摘の諮問の点につきましては、今御指摘のとおり犯罪収益を、損害賠償がなかなかしにくいような状況にある被害者の方々については、没収、追徴の手続を取った上で、それを検察官が分配して、そしてまたその中では弁護士さんのお手伝いもいただき、それをできるだけ被害者に還元したいと、こういう趣旨でございます。
 今までにはある面ではなかったスキームでございますし、また、今まで、従来議論されていたものは、起訴された事件について被害者に分配すると。ところが、今回の問題は、起訴されていない問題についても、一連の被害者についてできるだけ広く救済していこうという発想がございまして、そういう面では、御指摘のとおり被害者に対して広く、何といいますか、救済手続を広げていこう、また強化していこうというスキームだと思います。
 今議論が始まったばかりでございますけれども、できるだけその調査審議を得て御答申をいただいて、できるだけ速やかに法案を提出できるよう努力したいと、このように考えております。
#40
○国務大臣(南野知惠子君) 今、簗瀬先生がおっしゃられたその問題点については、本当に優しい心で司法をごらんになっていらっしゃるというふうに思っておりますけれども、大変制度を導入するということについては難しいということになるのかなと思っております。慎重な検討が必要であるというふうにも考えておりますので、民事訴訟制度につきましては、被害者の方々の損害を回復するように、そのためにも、利用する場合を含めまして、今後とも使い勝手のいい制度となるよう必要な見直しを検討してまいりたいと思っております。
#41
○簗瀬進君 終わります。
#42
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、更生保護の問題でお聞きをいたします。
 再犯を防ぎ、社会復帰を果たすという点で更生保護が非常に大事だということを私、何度も取り上げてまいりました。今、そして一方で、その実効性に対する注目ということも社会的に非常に広がっております。
 三月の質疑の際には、今この更生保護というのが、保護司の皆さんにボランティアの責務を超えるようなことまでお願いをしていることになっているんではないかということも申し上げまして、制度の在り方にも踏み込んだ検討が必要なんではないかということも申し上げてまいりました。
 そうしますと、先日、更生保護のあり方を考える有識者会議というのが設置をされたわけでありますけれども、その趣旨についてまず大臣にお聞きをします。
#43
○国務大臣(南野知惠子君) その趣旨につきましては、治安の回復が、これが大きな社会問題となっております今日でございますが、保護観察対象者によります重大再犯事件が相次いだことを契機といたしまして、保護観察の実効性に国民の厳しい目が向けられているのが現実であろうかと思っております。
 このような状況に対しまして、国民の期待にこたえる更生保護というものを実現するためには、幅広い観点から更生保護制度全般について検証する必要が生じてまいりました。そこで、様々な分野の有識者から構成されます会議を立ち上げまして、更生保護の在り方について議論していただくことにしたものでございます。
#44
○井上哲士君 座長には野沢前大臣が座られる大変重厚な会議だなという感じがするんですが、今後どういうスケジュールで検討がされて、何らかの提言などが考えられているんだと思うんですけども、その点、局長からお願いをいたします。
#45
○政府参考人(麻生光洋君) 第一回目の会議は七月二十日に開催されました。今後、毎月一回程度開催し、来年五月には最終的な提言をいただく予定にしております。
 なお、速やかな対応を求められている部分もございますので、本年中に一回、中間的な報告をいただくことをお願いしております。
 それから、第二回目の会議は今月の二十三日に予定しておりますけれども、保護司を始めとした更生保護関係者等からのヒアリングや意見交換が行われる予定でございます。
 今後、保護観察所等の関係施設の視察等も行っていただいて議論をしていただきたいと思っております。
#46
○井上哲士君 何らかの結論をまとめられるのはいつごろで、どのような形をお考えなんでしょうか。
#47
○政府参考人(麻生光洋君) 先ほど申しましたように、来年の五月までに最終的な提言をいただくことをお願いしております。
#48
○井上哲士君 第一回目の会議の議事概要もいただきましたけども、例えば、刑事司法の一環である以上は国の仕事であるが、それにしては保護観察官の数が少な過ぎる、国は安全を安く買い過ぎていないかなどの発言も出されたようであります。一方で、もうこの保護司の制度というのは限界なので全部国だけでやったらどうかというようなことも、この会議ではないけども、言われることがございます。
 私は、この制度は非常に日本の独特の大変すばらしい制度だと思っております。かつて野沢大臣は宝と言われましたし、南野大臣は金の卵ならぬ金の鶏だということを言われたこともございました。
 やはり、これまでの保護司の皆さんの活動を評価をしつつ、これからも力も発揮してもらいながら、一方でやっぱり国が果たすべき責任をしっかりしていくと、こういう方向性で議論をしていくと、こういうことで考えてよろしいでしょうか。
#49
○国務大臣(南野知惠子君) 概略は先生のおっしゃるとおりでございますが、我が国の保護観察と、又は保護観察官と民間のボランティア、これで地域の実情に精通しております保護司の方が、それぞれの特性を生かして処遇に当たっておられることが我が国の最大の特徴であろうというふうに思っております。
 無報酬の保護司が地域社会で犯罪者の改善更生を支えるという本制度は、十分に機能し成果を上げており、民間によります刑事司法への参加という意味でも極めて大きな意義を持っているものと理解いたしております。こうした保護司の方々の御労苦に対し、本当に頭の下がる思いでもう一杯であるところでございます。
 有識者会議の委員の皆様方にはこのような現状を御説明申し上げて、昨今の社会情勢の変化や現在の治安情勢等を踏まえながら、官民共同体制の在り方を含む更生保護制度の全般について十分に御論議いただけるものと思っておりますが、日本のすてきな制度はちゃんと継続していくように図りたいと思っております。
#50
○井上哲士君 実は、平成十二年の十一月の二十八日に、当時、矯正保護審議会の提言が出ておりまして、二十一世紀における更生保護の在り方というものが出されております。私も何回か委員会でこれを取り上げたわけですけども、この中でも、例えば更生保護官署における人材確保と育成であるとか保護司制度の充実強化、そして更生保護基本法の制定の検討などいろいろなことが提言をされておりますが、残念ながらなかなか実現のできていないものが多いわけですね。ですから、五年前の話なんですが、提言自体は、やはり絵にかいたもちになってはならないと思うんです。
 そういう点で、この前回の答申が必ずしも全面実行されていない、そこの問題、どこにネックがあったと大臣はお考えでしょうか。
#51
○国務大臣(南野知惠子君) ネックを探すのは大変難しいこと、いろいろな問題が関連していると思いますので、それを一本だけに絞ることは難しいと思っておりますけれども、矯正保護審議会からの御提言、これは非常に多岐にわたる内容のものでありました。
 その実現のため鋭意努力を重ねてまいりましたけれども、例えばどういうことかと申しますと、更生保護事業法等を一部改正して、更生保護施設を処遇施設として明確化するということの実現は、これは図らせていただきました。また、必要な保護観察官の確保など人的体制の充実にも努めてまいりましたが、これはまあ現在の状況にとってみれば、これはまだまだ問題点があることかなというふうにも思っており、課題が残されていると思っております。
 しかし、中長期的な検討を要する課題もありますし、なお、実現されていないものもあるということの先生の御指摘でございますが、今後は有識者会議におきます議論を、これを見守りながら、引き続き矯正保護審議会の提言の実現にも鋭意努力し、検討してまいりたいと思っております。
#52
○井上哲士君 必要な制度的改善をするとともに、やはりこの分野は予算であり体制というものが非常に大事だと思います。で、やっぱりそれをしっかり獲得していくということになりますと、法務省全体の中での位置付けもそうでありますし、政府の中でこの重要性を全体のものにしていく必要があると思うんですね。
 今、法務省を見ますと、刑事局長も矯正局長も元保護局長出身ということになっているわけでありまして、省全体としては保護の重要性というのは大変理解をされていることなんだと思うんです。その点で、しっかりやっぱりその部分を獲得をしていく。特に、来年提言が出て、それから場合によっては法制化という、それ待ちではなくて、現に今年から例えば新しい心神喪失者の制度なども始まっているわけでありますし、その重要性が広がっていることから考えれば、今年の概算要求からしっかりこの予算と体制、とりわけ保護観察官の確保ということについてはしっかり取り組んでいただく必要があると思うんですが、その点での決意をお伺いしたいと思います。
#53
○国務大臣(南野知惠子君) 本当にこの分野については、このたびはしっかりと予算を取っていきたい、マンパワーのこともございますし、いろいろ課題がありますので、しっかりと頑張っていきたいというふうに思っております。
 また、有識者会議におきましては、保護観察制度の問題点と改善策、それから民官共同体制の在り方を始め、様々な事項について御議論をいただき、先ほど事務当局からも御説明させていただきましたとおり、年内に中間報告をいただき、そして来年の五月までに最終的な御提言をいただけるようお願いいたしております。
 しかし、保護観察対象者の再犯防止対策を強化するなど、更生保護において緊急に取り組むことが、これが求められております課題でもございます。そのために、保護観察の体制の整備を充実することが必要でございますので、そういう意味でも、有識者会議の提言を待つことなく、できるところから、できるものがあればやっていきたい、先生の御提言のような形で我々も取り組んでいきたいというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、安全で安心な社会を実現する上で更生保護制度が果たす役割は本当に重要でございますので、その充実強化に向けて真剣に取り組んでいきたいと思っております。
#54
○井上哲士君 もう一点、今度は被害者保護という観点から何点かお尋ねをいたします。
 犯罪被害者の皆さんや関係者から、刑事資料を閲覧したいという要求が非常に強いわけですね。損害賠償請求のための場合もありますし、一体どういう事件だったのかという真相を知りたいという要望もあります。
 で、犯罪被害者保護法などによりまして、起訴された場合、公判記録については、限定的でありますけれども被害者が謄写できるようなことにもなりました。ただ、一方で、公判に出てこなかった資料、それから起訴されてない事件の記録については、その閲覧は法的に保障されているとは言えない現状だと思います。
 交通事故被害者の方にお話を聞く機会がありましたけれども、真実を明らかにしたいということで民事訴訟を提起しようと思っても、当時の状況が分からない、加害者や関係者が当時どういう証言していたかも分からない、それから目撃者探しも非常に困難だと、いろんな苦労があるわけで、実況見分調書とか供述調書、目撃者情報など、この開示を積極的に行うべきだと思うんですけれども、この点、刑事局長いかがでしょうか。
#55
○政府参考人(大林宏君) 不起訴事件記録につきましては、関係者のプライバシーを保護し、又は捜査、公判に対する不当な影響を防止するため、刑事訴訟法第四十七条により原則として公開を禁じられていますが、同条ただし書により、公益上の必要その他の事由があって相当と認められる場合はこの限りではないとされているところでございます。
 他方、犯罪被害者の保護の必要性にかんがみ、平成十二年の法務省刑事局長通知により、当該証拠が代替性に乏しく、その証拠なくしては立証が困難であるという事情が認められる実況見分調書等の客観的証拠については、被害者等から開示の求めがある場合であって、損害賠償請求権等の権利を行使するため必要があるときは、相当と認められる範囲で開示することといたしました。
 また、供述調書につきましては、平成十六年の刑事局長通知により、民事裁判所から文書送付嘱託がなされており、かつ、その内容が重要な争点に関するもので、当該民事訴訟において必要不可欠なものであるなど、一定の要件が認められる場合に開示することといたしました。
 いずれにいたしましても、不起訴事件記録の開示の問題につきましては、捜査、公判への支障や関係者のプライバシー等への侵害のおそれ等に対する配慮も不可欠なところでございまして、その上で被害者保護の観点からどのような対応が可能か更に検討してまいりたいと、このように考えております。
#56
○井上哲士君 二つの通達、とりわけ平成十六年の通達などは前進だと思っております。ただ、運用上も内容上もまだまだ十分とは言えないと思うんですね。
 で、交通事故調書の開示を求める会という被害者の関係の団体がありますけれども、アンケートを取られておりまして、中間結果が出ております。これ見ますと、現在でもやはり供述調書類の開示はほとんどなされていないし、しかも不開示の理由が説明があったのは八%にすぎないということになっております。
 また、現場の検察官や警察官が被害者に対する配慮からいろんな情報を提供することはできるわけですが、非常に対応がばらばらだと。例えば、目撃者の有無や目撃者供述内容、その提供があったのは、警察からは二四%、検察からは一五%というのがこのアンケートの結果であります。
 事故ごとに対応が変わるというのは、それはあるとは思うんですが、どうも現場の担当者、まあ良い担当者に当たれば一定の対応があるけれども、そうでなければなかなか難しいという、こういうばらばらな状況があるということを関係者からお聞きをするわけですが、こういう実態をどのように認識をされているのか、これ警察庁の方にお聞きをしたいと思います。
#57
○政府参考人(矢代隆義君) お答えいたします。
 交通事故の関係書類も、刑事訴訟法第四十七条の規定からこれは外部に示すことは控えておるわけでございますが、個別的、具体的なケースに応じまして、この四十七条の趣旨を踏まえまして、被害者の心情への配慮あるいは被害回復の必要性等の事情を考慮しつつ、事故の概要や捜査状況についての説明については努めておるわけでございます。
 ただ、この説明でございますが、この説明時の捜査の進展状況がどの程度の段階かということによって説明がどの程度可能かが異なってまいりますし、また現場の状況、目撃状況等から原因が明白な事故についてはある程度説明できるわけですが、そうでない事故については説明が困難な場合もあり得るということでございます。
 いずれにいたしましても、警察といたしましては、被害者の心情に配慮した適切な対応に努めてまいるよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
#58
○井上哲士君 先ほど紹介したアンケートでは、遺族、被害者の二次被害についても出ておりまして、事故の情報を知らされないことからくるストレス、それから、そのためによる家族間の葛藤なども相当あるということが出ているわけでありまして、これはしっかり徹底をしていただきたいと思います。
 もう一つ、その通達の内容の問題にかかわって、法務省、お聞きしますけれども、通達では、供述調書について、原則として民事裁判所からの文書送付嘱託による場合に限定すべきというふうにしております。ただ、民事訴訟ができるかどうかという判断をしたい場合、それからその訴訟準備の必要性、それからとにかく事件の真実を知りたいんだと、こういう場合もありまして、提訴前にこの不起訴記録を閲覧したいという要求も非常に強いわけです。
 法務省も去年の通達で十分だという立場ではないんだと思うんですが、こういう提訴前の不起訴記録の閲覧の要求に対してどのような検討がなされているんでしょうか。
#59
○政府参考人(大林宏君) 先ほど御説明しましたように、実況見分調書等の客観的証拠につきましては民事訴訟の提起前であっても弾力的に開示する運用を行っているところであり、これらの証拠を見ることで民事訴訟を提起するか否かの検討をしていただけるものと考えております。
 今御指摘の供述調書につきましては、客観的証拠と比べ一般的に代替性に乏しいとは認め難く、また関係者の名誉、プライバシーを侵害するおそれ等が否定できないなど、広く開示するということは適当ではないと考えられますので、民事裁判所から文書送付嘱託がある場合に限定しておるところでございます。
 ただ、私どもとしても、被害者保護という点で、御指摘のあるように、事件の実態を知りたいということについて私どももいろいろな申入れを受けております。なかなか、例えば先ほど申し上げた刑事局長通知みたいな一律的な形ではそこは触れられない部分もございますけれども、私どもも会同あるいは研修等において、不起訴理由についてなるべくその理解を得るように被害者の方々に説明するように申し上げているところでございまして、そういう被害者との接触を通じて、できるだけその事件の実態について御援助できるところはしたいというふうに考えております。
 この問題は、先ほど申し上げたように、捜査、公判あるいは関係人のプライバシー等の問題があって非常に難しい点はございますけれども、更に検討を進めてまいりたいと、このように思っております。
#60
○井上哲士君 終わります。
#61
○委員長(渡辺孝男君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
#62
○委員長(渡辺孝男君) 出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律案を議題といたします。
 まず、提出者衆議院法務委員長代理平沢勝栄君から趣旨説明を聴取いたします。平沢勝栄君。
#63
○衆議院議員(平沢勝栄君) ただいま議題となりました法律案につきまして、趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 我が国では、二〇一〇年までに訪日外国人旅行者数を一千万人にするという目標を掲げ、観光立国行動計画を推進するとともに、ビジット・ジャパン・キャンペーンなどの施策を官民一体となって実施しているところであります。
 また、訪日旅行者数で上位を占める台湾からの来訪促進が重要であることにかんがみ、本年三月二十五日から愛知県において開催されている二千五年日本国際博覧会、いわゆる愛・地球博に併せて、現行の出入国管理及び難民認定法では措置することのできない台湾居住者に対する査証免除措置等を内容とする二千五年日本国際博覧会への外国人観光旅客の来訪の促進に関する法律が制定され、所要の政令が整備されておりますが、同法は、愛・地球博の終了日である本年九月二十五日限り、効力を失うこととなっております。
 本法律案は、これまで台湾居住者について査証免除措置を継続することに問題が生じていないこと、また、国際交流の進展に伴い、観光その他の目的で本邦に短期間滞在しようとする外国人の上陸手続の円滑化が重要であることにかんがみ、上陸の申請に係る特例措置を定める必要があることから、愛・地球博終了以降も、現行入管法では措置することのできない地域について査証免除措置を継続して実施することを可能とするものであります。
 以上が本法律案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#64
○委員長(渡辺孝男君) これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロの旅券を所持する外国人の上陸申請の特例に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#65
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#66
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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