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2005/01/26 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 本会議 第3号
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2005/01/26 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 本会議 第3号

#1
第162回国会 本会議 第3号
平成十七年一月二十六日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成十七年一月二十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。草川昭三君。
   〔草川昭三君登壇、拍手〕
#4
○草川昭三君 私は、公明党を代表して、小泉総理の施政方針演説を始めとする政府四演説に対する質問を行います。
 非常に悲しいことに、昨年は国の内外で不幸な災害が続きました。国内では新潟県中越地震や度重なる豪雨、台風により甚大な被害があり、年末にはスマトラ沖地震とインド洋大津波が発生いたしました。被害に遭われた皆様には大変つらい日々をお過ごしのことと存じます。心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。
 さて、最初に私は、経済と財政についてお伺いをいたします。
 まず、経済見通しですが、平成十七年度の政府経済見通しでは、実質GDPが一・六%、名目GDPが一・三%の成長となっています。しかし、ある民間のシンクタンクは、今後の政府の経済政策は国民負担増などの景気を冷やすものが多く、政府経済見通しの達成は困難と指摘をしているところもあります。
 また、企業によっては、実は国内では減収減益、しかしアメリカや中国向けの連結決算で増収増益を確保しているところも少なくありません。今後の世界経済の動向次第では、日本経済の成長も危ういのではないかとの指摘もあります。
 政府の強気の姿勢の根拠としては、不良債権比率の半減目標がほぼ達成され、金融システムが安定し、日本経済の基盤が強固になったこと、また、雇用面では失業率が四%台で推移するなどの改善が見られたことを基調としていると考えますが、今後の経済見通しについての見解をお伺いします。
 日本経済は、民間企業による構造改革の努力と二〇〇二年初めからの景気回復により、企業の収益は改善しました。今後、収益を改善した民間企業が成長分野を見据え、その成果が波及するものと考えます。私は、民間企業の自主的、自律的な努力による足腰の強い景気回復こそが、デフレ脱却に向けた何よりの近道であると考えます。
 政府としても、直接的な財政支出によるものではなく、民間企業の前向きな努力を後押しをする施策を推進することが重要と考えますが、いかがでしょうか。
 同時に、経済成長を持続的なものにするためには消費拡大が不可欠ですが、企業の改善に比べると、家計部門はいまだ回復が遅れています。高収益を上げるトップ企業の賃上げがゼロで企業が低賃金のパートの労働者に支えられているようでは、消費は拡大するわけはありません。バブル期以来高止まりをした労働分配率が企業の競争力を失わせ、その調整の過程であることは分かりますが、そろそろ高収益を上げる企業は、その利益を株主には配当で還元、労働者には賃金アップでこたえ、下請には単価切下げではなくて単価切上げで報いることが必要であることを政府の経済財政運営と構造改革に関する基本方針の中に書き込むべきではないかと私は思いますが、総理の見解を求めるものでございます。
 民間需要主導の持続的な経済成長は財政再建にとって不可欠ですが、持続的な経済成長と財政再建の二兎を追うことは大変困難な道であります。しかしながら、よく比較に出されるように、今から十年前の平成七年度末に国と地方の長期債務残高が四百十兆円程度であったのに対し、平成十七年度末には七百七十四兆円程度と倍増すると見込まれるなど、財政は危機的な状況にあります。このような状況の下では、財政への信認を回復することが持続的な経済成長にも不可欠ではないでしょうか。すなわち、困難ではあっても二兎を追わざるを得ない状況にあることを国民の皆さんにもっと訴えることが大切ではないでしょうか。総理の所見をお伺いする次第です。
 プライマリーバランスについて伺います。
 先日発表されました構造改革と経済財政の中期展望では、二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化を目指すとし、二〇一二年には目標を達成するという試算が示されています。しかしながら、その試算においては、名目GDPが約四%という高い成長率を数年間にわたって維持する姿となっています。このような高度成長が本当に可能なのでしょうか。また、今年は初めて金利が高騰しプライマリーバランスが回復しないとの試算も示されていますが、どちらが現実的な試算なのでしょうか、お答えを願いたいと思います。
 仮に、経済の成長が来年度の政府見通しどおり一・六%前後であった場合、プライマリーバランスの回復は気の遠くなるような話です。プライマリーバランスの回復を実現するためには、単に高い経済成長を期待するのではなく、この際、改めて財政健全化目標を具体的な数字で示し、歳出を切り込む具体的な方針を国民に明示することが必要だと思われますが、総理の見解をお示しください。
 公明党は、一昨年の十月に世界トップレベルの効率的な政府を再構築することを衆議院選挙の公約としました。党内に設置いたしました行革本部やムダゼロ対策推進委員会において様々な検討を行ってまいりました。
 そこで、政府が昨年十二月に決定した今後の行政改革の方針に関連してお伺いをします。
 この中に、政府と政府関係法人のスリム化を目指し、現在約三十三万人いる国家公務員を十七年度から五年間で一〇%以上の定員削減を行うとあります。しかしながら、一方で増員が行われているため、実際に純減する定員はわずかだとの指摘もあります。
 現在の国の財政状況を考えれば、国家公務員の定員削減は大胆かつ抜本的に行う必要があります。そうでなければ、増大する社会福祉等に係る費用のためとはいえ、新たな負担増に対して国民からの理解は到底得られません。
 その意味で、本年夏に策定される定員削減計画は極めて重要であり、後世に残る削減計画にすべきだと考えますが、総理の見解をお伺いをいたします。
 さらに、私は、歳出面においても、実質的な歳出削減を実現するために、本年夏の概算要求時に、各省庁それぞれ五年から七年を掛け二〇%ないし三〇%程度の削減を目標にした人件費を含む歳出削減計画を作成させるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 以上二点に関し、総理の行革に懸ける情熱と決意を国民の前にお示しいただきたいと思います。
 また、平成十七年度予算案では、ODA予算は対前年度三・八%の減額となっています。昨日、青木幹雄自由民主党参議院議員会長から御指摘がありましたように、昨年十一月に取りまとめられた参議院政府開発援助調査派遣報告書については、今後どのように予算に反映していくのか、改めてお伺いをしたいと思います。
 行政の効率化については、国にとどまることなく、地方も含めた官全体で取り組むべきであると私は考えます。
 地方自治体の中には、徒歩で、歩いてですね、通勤する職員にも通勤手当を支払っているケースがあります。例えば、ある自治体では、三キロ未満の歩いて通う通勤者に毎月一律五千七百円を支給しており、また、あるところでは、一キロ未満は四千九百五十円、一キロ以上二キロ未満歩いて役所に通う方には五千七百五十円と、距離に応じて金額を決めているなど、数多くの自治体が歩行手当、歩いて通う手当を支給しています。さらには、空残業ややみ給与まで指摘されるに至っては、国民は全く納得できません。
 新たに策定する地方行革指針については、こういった各種手当についても言及する必要があると思います。国と地方の三位一体の改革については、単に官の中の権限の分配の問題に終わるのではなく、まず国も地方も行政のスリム化を図ることが国民から真に期待をされていることではないでしょうか。御所見をお伺いをいたします。
 行政の無駄を省き、歳出の選択と集中を行うには、成果主義の充実が不可欠であります。
 参議院は、参議院改革協議会の努力によりまして、平成十五年度決算報告が例年より早い昨年十一月十九日に政府より提出され、十二月の予算編成に反映させる道を開きました。
 また、我々公明党の連立参加の際の条件は、行政の無駄排除であり、これが平成十四年の政策評価法の施行につながったものと考えます。しかしながら、この政策評価法の現状は必ずしも有効に機能しているとは言えず、予算編成に活用するにはまだ多くの改善が必要と考えられます。
 財務省の資料によりますと、予算編成に当たって各省より提出をされました政策評価調書は、抽象的であり、また客観性、中立性が担保されていないと指摘されていますが、この指摘は実はここ三年間全く同じものです。総務大臣の諮問機関である政策評価・独立行政法人評価委員会でも、評価制度見直しの論点整理が行われています。
 米国政府においては、それぞれの予算項目ごとに成果目標を定め、その課題解決にどのような役割を果たしたかといったプログラム・アセスメント・レーティング・ツールが試行的に導入されています。我が国も、平成十七年四月には政策評価法の見直し時期を迎えますが、政府は法改正の必要性を考えているのかどうか、また、どのように政策評価法の運用を改善していこうと考えているのか、お尋ねをします。
 会計検査院の在り方について伺います。
 小泉内閣が推進する行財政改革には、歳出の抑制とともに、本院が取り組んでまいりました決算の重視、すなわち予算が適切かつ有効に執行されたかどうかをチェックし、予算編成に反映させることも重要だと考えております。
 昨年、社会保険庁が頻繁に随意契約を結び、不正、不当な業務を繰り返してきた事実が次々と明らかになり、国民から大きな批判を浴びました。社会保険庁自身の問題は当然として、厳しいチェックを行うはずの会計検査院が、なぜこうした実態を見過ごしてきたのか。私は、検査院の検査の在り方についても厳しく問い直さなければならないと考えております。
 ところが、会計検査院にこうした国民の率直な疑問をこの本会議場でただそうとしても、検査院には、国会法第七十二条で委員会への出席を求めることはできますが、本会議、この本会議場への出席を求めることはできないのであります。
 本院は、歴代議長の下、決算審議の充実を図ってまいりました。その結果、一昨年二月に行われた平成十四年度決算の概要説明と代表質疑の本会議から、小泉総理以下全閣僚が出席することになりました。そこで、私は、検査院の検査が厳格かつ公正に行われていることを国民の前に示すためにも、この際、国会法を改正し、会計検査院長の本会議出席を求めるべきだと考えます。
 国会法改正は国会の問題であること、会計検査院は立法、司法に属さず、内閣からも独立した機関となっていますが、あえて総理の見解を聞かせていただきたいと思います。
 また、小泉内閣が推進をする行財政改革を実現するためには、徹底した無駄の排除と効率的な予算の執行が重要と考えますが、検査院の検査はどうあるべきか、併せて御所見を伺いたいと思います。
 最近の防衛庁のシビリアンコントロールの在り方について指摘をしておきたいと思います。
 中期防衛力整備計画の当初の原案には、長距離ミサイルの研究が掲げられていました。これは、相手の発射基地をたたく性格を持つ長距離ミサイルの開発にもつながるものです。我が国が相手国から直接ミサイル攻撃を受けた場合の対応が十分でないとの指摘もありますが、冷戦時代でも政府はその攻撃的性質から、厳に開発を抑制してきたものです。それを、与党内でも十分な議論のないまま、いきなり中期防、中期防衛力整備計画に書き込もうとしたのであります。余りに唐突で、周辺諸国にも大きな緊張を与えるおそれがあるとして、結局削除されました。
 総理は、現在のシビリアンコントロールの在り方についてどう考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
 日米安保体制についても伺います。
 現在、米国は中東から東アジアに至る地域を不安定の弧と呼び、この地域にはいまだ様々な紛争が未解決である一方、米軍の関与は比較的薄く、そのアクセスを強化する必要があるとしています。この地域は資源エネルギーの大半を海外に依存する我が国にとっても重要な海上交通路であり、外交、経済も含めた総合的な安全保障が求められています。新しい日米安保共同宣言やガイドラインの見直しを検討しているとの報道もありますが、総理はこの地域の安定のため、どのように取り組んでいくのか、単に米国の軍事戦略と歩調を合わせるということではなく、我が国の戦略をどう考えているのか、御所見をお聞かせください。
 米国のトランスフォーメーション、再編成問題について伺います。
 私は、この機会を通じ、沖縄を始めとする在日米軍の基地負担の軽減をどう進めるのかといった観点が極めて重要と考えます。まず、米軍再編成問題に対する総理の基本方針と今後のスケジュールについて御答弁願います。
 これに関連して、横田基地の空域、空の問題です、空域問題について伺います。
 現在、横田空域には、米軍が管制を行っているため、在日米軍と協議の上で飛行経路が設定されています。例えば、羽田発伊丹・関空行きは横田空域内を飛行できますが、羽田発の中国・四国地方及び九州北部行きの場合、東京湾上空で高度を上げ、横田空域外の一万九千フィートを飛行せざるを得ない非効率的な運航を強いられております。
 政府は、全国の在日米軍基地を個別に検討し、管轄権協議を行っているようですが、経路を短縮し、利用者の利便性を高めることにつながる横田基地の空域管制問題について、この際、協議事項に含める考えはあるのか、その場合、どのような方針で臨むのか、総理の見解を伺います。
 衆議院における我が党の神崎代表の質問がありましたように、公明党は本年、少子化対策を政治が取り組むべき最重要課題と位置付け、党内に少子社会総合対策本部を設置し、経済的な支援の充実や職場環境の整備など、総合的な支援策を盛り込んだ少子社会トータルプランの策定に向け検討を開始したところであります。
 私は、政府が昨今の急速な少子化の流れを変えるために、昨年六月に決定しました少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的な実施計画として、昨年十二月に子ども・子育て応援プランを決定したことに一定の理解を示すところではありますが、これまでのエンゼルプランとどこがどう違い、このプランの実現によって本当に少子化に歯止めが掛かるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
 介護問題についても伺います。
 公明党は、超高齢化社会を展望し、介護予防の推進を重要課題の一つとして位置付け、介護予防十カ年戦略を策定して、介護保険制度において、軽度の介護が必要な高齢者や介護が必要になるおそれのある方々を対象に新たな介護予防サービスを創設することや、筋力トレーニング、転倒予防などの介護予防サービスの拠点を二〇〇八年度までに全中学校区に整備するなど、具体的な提案をしてまいりました。
 平成十七年度予算案には、高齢者介護サービスの基盤を整備するための地域介護・福祉空間整備等交付金の創設が計上されています。この交付金は、従来の特別養護老人ホーム等の整備に加え、我が党が提案しておりますところの介護予防サービス拠点の整備などを新しく助成対象としており、本交付金により介護予防拠点の整備などが進んでいくことを期待をするものであります。
 しかし、地域間で大きな格差が存在をしている中で、計画的な整備をどのように進めていくのか、あるいは具体的な仕組みが明確でない部分もあるわけであります。例えば、交付金の趣旨は高齢者が住み慣れた地域で生活が続けられるように介護基盤を整備することにあるようですが、過疎の町あり、あるいは人口の移動もある中で、実施する自治体としては、住み慣れた地域をどう想定すればよいのか。
 また、国が補助金を一本化して交付をした交付金を都道府県がどのように配分するのか、その指針はあるのかを明確にしていただきたい。さらに、この交付金制度が、三位一体改革の中でどのような意味を持っているのか、地域における介護・福祉基盤の整備にどういった役割を果たすのか、御答弁を願います。
 次に、昨年合意をいたしました日本とフィリピンの自由貿易協定、FTA交渉に関連して伺います。
 この交渉の中でフィリピン側が重視したのが労働分野でした。最終的に、日本がフィリピン人看護師及び介護士を条件付で受け入れるという、我が国にとって初めてとも言える労働市場の開放を含む合意になりました。そこで重要になるのが日本での生活適応支援です。就労が長期化した場合は、日本社会への定着を図る措置が必要となります。
 合意によりますと、フィリピン人看護師、介護士が日本で働くには、日本語習得や日本の国家試験合格という高いハードルを越えなくてはなりません。資格を取得した人々が安心して働くことができるように、健康保険や年金への加入、子供の教育や住宅の問題など、地方自治体任せになりがちな課題に対して政府が責任を持って措置すべきと考えますが、いかがでしょうか。御答弁を願います。
 少子高齢化に伴い、我が国の労働力人口の減少は目前に迫り、外国人労働者問題は避けて通ることのできない局面を迎えております。言うまでもなく、本問題は国民的合意を得ることが何よりも大切です。この際、政府として、外国人労働者受入れについての本格的な議論を行い、整合性のある方針を示す必要があると考えますが、併せてお答えください。
 国際海洋法裁判所への提訴について伺います。
 近年、我が国の漁船が国連海洋法条約批准国であるロシア当局者に拿捕され、正規の手続を経ないまま長期間抑留をされている事件がしばしば起きております。国連海洋法条約第七十三条二項には、拿捕した船舶や乗組員は合理的な保証金と引換えに直ちに釈放せよとありますが、この規定を無視した明らかな条約違反が行われているのです。同条約の第二百九十二条には、条約違反の行為に対して国際海洋法裁判所に提訴できると規定されています。しかしながら、日本政府はこの制度を過去一度も利用しておりません。
 政府は、我が国の漁船が不当に抑留されている場合、速やかに国際海洋法裁判所に提訴し、乗組員及び船体の早期釈放を求めるべきであります。人命と国民の財産を守る立場から、特に全国の漁業関係者が安心して操業できるように、提訴手続を機敏に行うための体制を政府部内に設ける必要があると思いますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 携帯電話の番号ポータビリティーについてお伺いします。
 携帯電話の利用者が携帯電話会社を変更した場合でも、従来の電話番号をそのまま利用できるのが番号ポータビリティーですが、公明党は、一昨年の九月、全国で一千万人以上の署名を集め、その実現を政府に要望いたしました。
 昨年、総務省は、この問題を検討する研究会の報告を受け、ガイドラインを作成し、平成十八年度のなるべく早い時期に導入されるように事業者間での検討状況をフォローアップし、必要に応じて支援や指導等を行うとしてきましたが、現在までのところ、残念ながら進展がありません。改めて、早期実現に向け、政府の取組をお聞かせ願いたいと思います。
 文化力の向上について伺います。
 芸術や伝統文化が人々を魅了する力、いわゆる文化力は、日本や日本人に対する理解者を世界じゅうに増やし、我が国のイメージを高めるとともに、国際的な協調と連帯に大きく資するものであると考えます。総理は文化芸術の振興に深い理解をお持ちですが、我が国の文化力の向上に対する基本的な姿勢をお伺いいたします。
 また、我が国には、各地にその歴史と伝統に支えられた特色ある文化が数多くあります。このような地域の文化力を活用すれば、地域経済の活性化など大きな成果が見込まれるのではないかと考えます。例えば、昨年の文化財保護法改正により文化財として認められた文化的景観などは、新たな観光資源として大いに期待されています。文化による地域の活性化についての総理のお考えをお伺いします。
 文化力の向上や文化による地域の活性化には、一部の芸術家やボランティアなどが活動、活躍をするだけではなく、国民一人一人が積極的に参加をしていくことが不可欠です。特に、次代を担う子供たちが文化芸術活動を積極的に体験できるようにすることは、教育上も大きな効果があると考えます。そこで、子供たちが文化芸術に親しむための機会を充実することについて総理の御見解をお伺いをします。
 心のケアの問題についてお伺いをします。
 ストレス社会にあって、国民は職場や家庭、学校などあらゆる場において心の不安や不調に直面をしています。また、ここ数年、日常生活のみならず、災害など非常時における心のケアについても改めて認識され、臨床心理士など専門家による援助の必要性が高まっています。このようなことから、平成十六年度補正予算においても、新潟県中越地震で被災をした児童生徒のためのスクールカウンセラー派遣の予算が計上されたところであります。
 臨床心理士という名称は、事件、事故、大きな災害のたびにしばしば耳にするわけですが、この資格を取得するには、大学院での専門課程修了や医療現場などでの臨床経験が前提となる大変難しい試験に合格しなければなりません。現在、我が国には臨床心理士を養成する大学院が百校を超え、資格認定者が約一万人いると聞きます。
 しかしながら、臨床心理士を取り巻く環境は大変厳しく、その専門性が十分に生かされているとは言い難いものがあります。例えば、文部科学省が作ったスクールカウンセラー制度により、多くの臨床心理士が採用されましたが、賃金が低く、これだけで生計を立てることが困難な状況です。
 国民は気軽に相談できる心のケアの専門家を必要としています。私は、平成十四年二月八日のこの参議院本会議でこの問題を取り上げましたが、臨床心理士がその専門性を生かし活動できる場の整備を政府の責任で行うべきであると考えております。そのためには、既存の諸制度との調整が必要となり、改めて総理の強いリーダーシップを求めるものであります。御見解をお伺いいたします。
 最後に、郵政民営化問題についてお尋ねをいたします。
 郵政事業は、一昨年四月から新たな日本郵政公社としてスタートし、生田総裁を民間から迎え、もろもろの改革に取り組み、一定の成果を上げていると承知をしております。一方、政府は、昨年秋、この郵政公社を民営化する郵政民営化方針を閣議決定し、現在、郵政民営化法案を準備していると伺います。
 私は、郵政事業というものが国民の身近なシステムであることから、あくまで利用者の立場からサービスが良くなったという結果をもたらし、国、地方の構造改革につながるものにしなければならないと考えます。その意味で、一昨年の十月、竹中大臣がおっしゃられました郵政民営化の検討に当たってのポイント、すなわち活性化、整合性、利便性、資源活用、配慮のいわゆる五原則は重要な視点であり、法案を作成するに際しては当然尊重されるべきものと考えていますが、間違いないでしょうか。竹中郵政民営化担当大臣にお伺いをいたします。
 さらに、政府は、過日、郵政改革に関する政府・与党協議会を開催し、与党と調整をしていく姿勢を示しましたが、与党の意見に対し真摯に耳を傾け法案化を進められていくのか、また今後どのような方針で与党と調整を進めていくのか、竹中大臣と麻生総務大臣の見解を求めます。
 以上、総理並びに関係閣僚の明快な答弁を求め、私の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 草川議員にお答えいたします。
 いつも与党として協力いただきながら、御叱正、御協力、御支援、ありがとうございます。
 今後の経済見通しについてでございますが、世界経済については、我が国経済に与える影響が極めて大きいものと思っております。特に米国経済、中国経済。その米国及び中国の経済がかなり堅調に拡大しているということについては、日本経済におきましてもプラスであると見込んでおります。
 我が国経済は、現在、一部に弱い動きが見られますが、こうした世界経済の動向を踏まえれば、今後は、生産、設備投資が増加するなど企業部門が引き続き改善することを背景にして、景気回復が雇用や所得環境の改善を通じて家計部門へ波及する動きが強まり、消費が着実に増加すると見込まれることから、引き続き民間需要中心の緩やかな回復を続けるものと見ております。
 民間企業の前向きな努力を後押しする施策ということでございますが、我が国経済は、このところ、公共投資など政府の財政出動に頼ることなく、企業収益の改善、設備投資や個人消費の増加など、いわゆる民間主導で回復してきております。
 政府としては、このような改革の成果を更に地域や中小企業に広げていく必要があると。御指摘のように、個人や企業の挑戦する意欲を引き出すために、構造改革の取組を加速して、直接的な財政支出に頼ることなく、民間主導の持続的な経済成長を図っていきたいと思います。また、デフレ脱却を確実なものとするために、日銀と一体となって政策努力を更に強化してまいります。
 企業収益の改善と家計部門の回復の遅れについてでございますが、企業収益の配分の在り方に関して、基本的には各企業がその事情に応じて適切に対応すべき問題と考えております。しかし、我が国経済の現状を見た場合に、企業収益が大幅に改善するなど企業部門は依然として好調である一方、家計部門については、まだ失業者がなお高水準にあります、賃金が伸び悩んでいるということも事実です、企業部門に比べ改善に遅れが見られるのも事実であり、更なる政策努力が必要であると思っております。
 政府としては、構造改革の取組を引き続き推進することによりまして、景気回復が雇用や所得環境の改善を通じて家計部門へ波及する動きを強めて、民間中心の緩やかな回復を続けられるように経済運営を行ってまいります。こうした認識につきましては、基本方針二〇〇四においてお示ししているところでございます。
 経済成長と財政再建を両立するというその御指摘でございますが、現在の厳しい財政状況の中で経済成長と適切な財政構造の改革を両立するのは極めて難しいことでありますが、この財政の健全化なくして経済成長がないというのも事実だと思います。持続可能な財政の確立に向けた取組を継続して実施することは、将来、国民生活や民間経済活動にとっての面を考えますと、どうしても達成しなきゃならないことであると政府も認識しております。
 これまで、構造改革と経済財政の中期展望等において、財政を着実に健全化しながら民間需要中心の景気回復が実現される道筋を示すとともに、その実現に向け構造改革への取組を行ってきたところであります。引き続き、国民にこのような考え方を理解してもらえるよう努力してまいります。幸いにして、ここのところ、成長なくして改革なしか、改革なくして成長なしとのこの議論においては、大方やはり改革なくして成長なしだなということに理解を示している国民が多いのではないかと思っております。
 財政健全化についてでございますが、政府としては、二〇一〇年代初頭には、政策的支出を新たな借金に頼らずにその年度の税収等で賄えることを目指し、引き続き歳出歳入の両面から財政構造改革を強力に推進することとしております。必要な政策努力を続ければこの目標の達成が視野に入ってくることは、内閣府の試算において今お示ししているところであります。
 具体的には、二〇〇六年度までの間、政府の大きさが二〇〇二年度の水準を上回らない程度とすることを目指し、国、地方が歩調を合わせて歳出改革路線を堅持、強化する、二〇〇六年度までに、国と地方双方が歳出削減努力を積み重ねつつ、必要な行政サービス、歳出水準を見極め、また経済活性化の進展状況及び財政事情を踏まえ、必要な税制上の措置を判断する、二〇〇七年度以降もそれ以前と同程度の財政収支改善努力を行うと同時に民間需要主導の持続的成長を実現する、二〇〇七年度以降の財政収支改善努力に係る歳入歳出を一体とした改革の検討に着手し、二〇〇六年度内にその結論を得ることとしており、こうした財政健全化の取組の中で国民から広く理解を得られるよう努力してまいります。
 国家公務員の定員でございますが、今回の国会審議の中では、公務員の定員削減について厳しく取り組んでいくべきだとの御意見を様々な方からいただいております。政府としても、こうした指摘を十分に参考にさせていただく必要があり、昨年末に決定した、これまでより一段と厳しい、今後五年間で一〇%以上の削減という方針の実現に向け、本年夏に改定する定員削減計画においてはこれまでの削減目標を倍増させます。また、毎年度の定員審査においては、増員は治安など真に必要な部門に限り、できるだけの純減を立てるとともに、政府全体を通じた大胆な定員の再配置を強力に推進するなどの取組を行ってまいります。
 歳出の削減でございますが、政府としては、公明党の御提案も踏まえ、昨年、行政効率化推進計画を取りまとめるなど、行政経費の削減を推進しているところであります。
 人件費を含めた歳出の削減について、現時点で直ちに長期間の削減計画を作成することは相当困難でありますが、二〇一〇年代初頭には、政策的な支出を新たな借金に頼らずにその年度の税収等で賄うことを可能とする目標の実現に向けて、いわゆる「改革と展望」において基礎的財政収支の推移に関する試算を示しつつ、歳出の徹底した見直しを進めてまいります。
 参議院議員派遣の報告書についてどうかということでございます。
 本報告書の内容については、政府としても真摯に受け止めており、ODAの一層の効果的、効率的な実施に役立てていきたいと思います。特に、本報告書において御指摘のあったODA広報の実施による顔の見える援助の推進、事業実施のチェック体制の強化などについて積極的に取り組んでまいります。
 行政のスリム化でございますが、地方行革においては、これまでも地方公共団体に積極的な推進を要請してきました。しかし、なお一部に不適正な給与制度や運用なども見受けられます。先般閣議決定された今後の行政改革の方針を踏まえ、地方公務員給与の適正化の推進を始めとする新たな指針を今年度中に策定し、地方行革の推進に積極的に取り組んでまいります。
 草川議員御指摘の具体的な事案につきましてもよく検討して、関係者にこのようなことについて批判のないような対応を更に伝えるようにいたしたいと思います。
 政策評価制度についてでございますが、昨年度は約一万一千件の政策評価を実施し、その結果については、予算を始めとする政策決定に反映、活用しているところであります。政策評価を更に有効に機能させるには、政策目標の定量化や第三者の知見の活用などにより、政策をより客観的、定量的に評価することが重要であると考えます。このような観点から、国会などの議論も踏まえ、政策評価の質の向上に必要な措置を講じてまいります。
 本会議における会計検査院の取扱いでございますが、国会法を改正して本会議に会計検査院が出席できるようにするという御提案は、これは国会運営の問題として、まず国会で十分に御議論いただくことがいいのではないかと思っております。
 会計検査院の検査の在り方についてですが、会計検査院は、例えば昨年の決算検査報告においても、基本的な会計経理に係る問題に対する指摘に加え、透明性、競争性が十分確保されていないと認められる随意契約が締結されている事態や、資産や資金が有効に管理されていないと認められる事態などについて、幅広く指摘や問題提起をしているところであります。適正かつ効率的な行財政の執行のため、極めて重要な役割を果たしていると思います。
 今後とも、会計検査院が国会と緊密な連携、協調を保ち、更に有効に機能することを期待しております。
 シビリアンコントロールについてでございますが、シビリアンコントロールとは軍事に対する政治の優先を意味するものであると思います。我が国の現行制度においては、国防に関する重要事項については、内閣総理大臣を議長とする安全保障会議の議を経ることとされており、また自衛隊については、法律、予算等について国会の民主的コントロールの下に置かれております。御指摘のような経緯は、ある意味でシビリアンコントロールが実質的に機能しているということを示す一端ではなかろうかとも思えます。
 政府としては、多方面からの御叱正を真摯に受け止め、今後ともシビリアンコントロールが確保されるよう努力してまいります。
 中東から東アジアに至る地域の安定でございますが、この中東から東アジアに至る地域は、従来から我が国と経済的結び付きが強い上、我が国への海上交通路ともなっております。資源、エネルギーの大半を海外に依存する我が国にとって、その安定は極めて重要であります。このため、米国を始めとする国際社会と協力しつつ、イラクやアフガニスタンの復興、中東和平等に積極的に取り組み、この地域の安定化に努めてまいります。
 米軍再編についてですが、在日米軍の兵力構成見直しにつきましては、現在、地域の情勢認識、戦略目標、日米両国の役割、米軍の軍事態勢の見直しについての考え方等の基本的論点について包括的な議論を行っております。御指摘の横田空域の管制の問題も含め、個別の施設・区域に関する議論の内容について現在申し上げることができる段階にはありませんが、いずれにせよ、在日米軍の兵力構成見直しに係る協議においては、抑止力を維持するとともに、地元の過重な負担を軽減する観点から、どのような見直しが可能か、米国と協議を進めてまいります。
 今後、協議の内容を踏まえ具体的結論を出していく必要がありますが、現時点で明確な時間の枠組みが決まっているわけではございません。
 子ども・子育て応援プランでございますが、これまでのプランは保育所の整備など子育てを直接支援する取組を中心に進めてまいりました。少子化の進行に対して、その流れを変える対策の効果が追い付いていないということは率直に言って認めざるを得ないと思います。
 このような状況を踏まえ、昨年末に子ども・子育て応援プランを策定し、従来の待機児童ゼロ作戦に加え、若者の自立から働き方の見直し、児童虐待防止対策など、幅広い取組を進めることとしたところであります。その中で、今後五年間に重点的、計画的に講ずる施策と目標を掲げるとともに、おおむね十年後を展望した目指すべき社会の姿を提示し、その実現に向けた各般にわたる施策を着実に実施してまいります。
 また、新たなプランは、地方公共団体が現在策定している行動計画を踏まえた初めてのプランであります。企業における子育て支援の取組と力を合わせながら、社会全体で少子化対策に取り組んでいく必要があると思います。
 地域介護・福祉空間整備等交付金でございますが、介護が必要になっても高齢者が住み慣れた地域で生活を継続することができるようにするためには、地域の実情に応じたきめ細やかな介護サービスの基盤づくりが重要であります。このため、個別施設ごとに補助する現行の仕組みを改め、特別養護老人ホームなど広域型の施設を都道府県が整備するための交付金、また地域密着型サービス、介護予防拠点など、市町村内の生活圏域で利用されるサービス拠点を整備するための交付金である地域介護・福祉空間整備等交付金を新たに創設することとしております。
 この交付金は、国の基本方針を踏まえつつ、各都道府県、市町村が策定する整備計画に対して一括して交付し、その執行に当たっては各自治体の自由度、裁量性を拡大するものであり、地域の実情に対応した弾力的な運用が行われるものと考えております。
 フィリピン人看護師、介護福祉士の受入れでございますが、フィリピンとの経済連携協定に関しては昨年十一月二十九日に大筋合意に達し、現在、具体的な受入れの枠組みについて両国間で協議が行われております。受入れに際しては、御指摘の健康保険や年金への加入、子供の教育や住宅の問題を含む待遇面での課題が想定されますが、こうした課題への対応について関係機関が連携を図り、安心して働ける環境づくりに努めてまいります。
 外国人労働者の受入れでございますが、現在、外国人労働者の受入れについては、専門的、技術的分野の外国人労働者については受入れをより積極的に推進すること、いわゆる単純労働者の受入れについては十分慎重に対応することが不可欠であることとの方針に基づいて行っているところであります。
 国内労働力人口については、高齢者や若年者、女性等が活躍できる雇用環境の整備により今後十年程度は大幅に減少する状況にはなく、当面、現在の政府方針を変更する必要はないと考えております。しかし、少子高齢社会を迎えた我が国において外国人労働者受入れ問題は重要な課題であり、我が国の社会の在り方にもかかわる問題であることから、幅広い見地から、国民的合意を踏まえ、検討してまいりたいと考えております。
 我が国漁船の不当な抑留問題ですが、ロシア当局による我が国漁船の拿捕事案については、国連海洋法条約を踏まえロシア政府と粘り強く協議を行う等、政府として個々の事案に応じた適切な方法による早期解決に尽力しております。今後とも、国連海洋法条約にのっとり、適切な措置を遅滞なく講じ得るよう関係部局の一層の連携強化を図ってまいります。
 我が国の文化力の向上に対する姿勢でございますが、この文化芸術に対して公明党の皆さん、熱心に取り組んでおられますし、私も生活に文化と芸術は潤いをもたらす重要なものであると思っております。
 それぞれの地域が伝統文化や特色ある文化芸術活動を生かして地域づくりを進めることは、地域経済の活性化はもちろん、観光資源の充実のためにも重要であります。国としても、公明党の提案も含めまして、御協力もあり、世界に誇れる芸術の創造や各種の伝統文化の継承発展、文化芸術による創造的な町づくりの支援などに積極的に取り組んでいるところであり、今後とも文化力で日本を元気にするべく施策の充実に取り組んでまいります。
 子供たちが文化芸術に親しむための機会を充実せよというお尋ねでございます。
 子供の文化芸術体験活動の推進を図ることは、子供の文化芸術を愛する心を育て、感性を豊かにするとともに、豊かな情操を養う上で大変重要と考えております。
 政府としては、芸術家や芸術団体の学校派遣などを通じて、今後とも子供たちが本物の文化芸術にじかに触れ、創造活動に参加する機会の一層の充実に取り組んでまいります。
 臨床心理士の活動の場の整備についてでございますが、子供たちなどの心の問題に適切に対応することは大変重要なことでありまして、心の専門家である臨床心理士の果たす役割は重要であると考えております。
 三年前の通常国会で、私は議員の質問に対して、臨床心理士の養成に努めると答弁いたしました。その後の政策努力の結果等により、平成十六年六月現在、一万名を超える臨床心理士の方々が様々な分野で活躍しており、その活動の場はますます広がっております。
 政府としては、今後も、スクールカウンセラーを学校に配置するスクールカウンセラー活用事業の支援や心のケアの重要性の周知等を通じ、臨床心理士の方々が学校その他、心のケアが必要とされる場においてより活躍できるよう、環境整備に努めてまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(竹中平蔵君) 草川議員から三問御質問をいただきました。
 まず、「改革と展望」の内閣府試算の中期的な名目成長率、それと試算の意味するところについてのお尋ねでございます。
 内閣府の参考試算におきましては、構造改革の推進により実質成長率が堅調に推移する中で、政府、日銀一体となって取り組み、デフレ圧力は徐々に低下していくものというふうに見込んでおります。その結果、物価上昇率も次第に高まっていきますことから、中期的な名目成長率は四%程度になるというシナリオでございます。
 また、今回の参考試算におきましては、「改革と展望」に盛り込まれた改革努力を前提とする言わば基本ケースと、こうした改革努力が行われないような非改革・停滞ケースの比較も一例としてお示しをしております。両試算のうち、「改革と展望」に込められた政策方針を反映した試算はどちらかと。これは言うまでもなく基本ケースでございますが、これを実現するためには、小泉構造改革を緩めることなく進めていかなければならないと考えております。
 政府としましては、こうしたシナリオが実現できますように、引き続きしっかりと経済運営をしていきたいと考えているところでございます。
 次に、郵政民営化関連法案の作成における五原則の尊重についてお尋ねがございました。
 昨年九月に基本方針を閣議決定し、その中で、民営化を進める上での五つの基本原則を踏まえ、民営化を実現することとしております。制度設計、法案作成に当たりましては、御指摘の五原則を十分に踏まえ、これを尊重し、作業を進めていくつもりでございます。
 最後に、郵政民営化法案の作成過程における与党との調整についてお尋ねがございました。
 政府としては、九月に決定しました基本方針に基づいて、現在、制度設計、法案作成を進めております。民営化の実現に当たっては、与党との調整が大変重要であると認識をしており、郵政民営化に関する政府・与党協議会などを通じまして、与党との連絡調整を緊密に行い、与党の御理解と御協力を得られるよう最大限の努力をしてまいります。
 何とぞ、御協力よろしくお願い申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(麻生太郎君) 携帯電話の番号ポータビリティーにつきましてのお尋ねがあっております。
 このポータビリティーにつきましては、昨年五月に公表いたしておりますガイドラインにおきまして、平成十八年度に導入に向けまして着実に準備が進んでおると御理解いただければと存じております。
 具体的には、携帯電話事業者におきまして接続や転送するなどの技術的な、いわゆる実現方式など、また利用手続、その他いろいろ含めまして導入に向けた検討が積極的に今進められておりまして、既に一部交換機のプログラムの開発が始められていると承知をいたしております。
 総務省としては、このポータビリティーが早期に導入できますよう、引き続き事業者の検討状況をチェック、フォローアップいたしますとともに、必要に応じて支援、指導等を行ってまいりたいと思っております。
 郵政民営化について、今後どのような方針で与党と調整を進めていくかとのお尋ねがあっております。
 この郵政民営化につきましては、現在、郵政民営化の基本方針に基づきまして、竹中郵政民営化担当大臣の下、内閣官房におきまして郵政民営化準備室等におきましても詳細な制度設計がされつつあるものと承知いたしております。
 御指摘のとおり、政府といたしましては、国民のためのより良い改革案でなければなりませんので、今月十九日、郵政改革に関する政府・与党協議会を開催いたしまして、与党との調整を開始したところであります。
 私といたしましては、常々申し上げておりますように、いわゆる国民、利用者、また職員、従業員であります、そして国、いずれにとりましても民営化をやった結果プラスとなるようなものでなければならないと思っておりますし、中でもこの民営化された会社が事業としてきちんと成り立つような制度設計でなければならないものだというように考えております。
 今後とも、与党の御意見というものを真摯に耳を傾けるとともに、今御指摘のありましたように、五原則につきましてはこれを尊重しつつ、より良い改革案とするよう与党との調整を進めていく必要があると考えております。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(扇千景君) 藤原正司君。
   〔藤原正司君登壇、拍手〕
#9
○藤原正司君 民主党の藤原でございます。私は、民主党・新緑風会を代表し、政府四演説に対し総理に質問いたします。
 その前に、総理、私は本院に籍を置かしていただいて三年半、一昨日ほど情けなく、腹が立ったことはありません。総理は、我が党の岡田代表の真摯な質問に対し、まともに答弁しようとしないばかりか、議長の異例の注意に対してさえ薄ら笑いを浮かべ、不誠意極まりない態度に終始しました。あれは一体何ですか。議会軽視これに極まれりと言わざるを得ません。議会制民主主義の基本は議論です。どうか我が国の議会制民主主義を、総理、あなたの手で崩壊させないでください。国政の最高責任者としての責任と誠意と、そして元気を持って答弁されることをお願いし、質問に入ります。
 まず、地球温暖化対策について伺います。
 二十一世紀の国際社会が抱える最も大きな課題の一つが、地球温暖化問題であることは論をまたないと思います。それは、この対策の成否に人類の未来が懸かっていると言っても過言ではないからです。
 しかしながら、現在上昇している大気の温暖化ガス濃度を気候に大きな影響を与えないレベルでとどめることは、地球上のすべての国が長期にわたって、しかも不断の努力を行わなければ達成し得ない極めて困難な課題です。
 このような中で、本年いよいよ京都議定書が発効しますが、これは地球温暖化対策の第一歩にすぎません。それは、二〇一〇年に議定書批准国のすべてが温暖化排出ガス削減目標を達成しても、基準年である一九九〇年の世界全体の排出量のわずか二%にすぎず、二〇一〇年の世界全体の排出量は基準年比で三〇%も増加すると考えられるからです。
 対策を実効あらしめるためには、すべての国が参加する枠組みが必要であるということは言うまでもありませんが、まずは削減義務のある議定書批准国が目的を達成することが批准国の責務です。ところが、我が国の場合、基準年に対し六%の削減義務があるにもかかわらず、二〇〇三年時点で逆に八%も増加しています。
 そこで、総理に伺います。
 政府はこのような我が国の現状をどのように認識しておられるのか。そして、温暖化対策第一ステップについてどのような評価をされているのか。さらに、二〇一〇年に削減目標を達成するためには、一四%という大幅な削減目標を、しかも短期に達成しなければなりません。このためには、単なる理念先行型ではなく、技術、国民理解、経済合理性などに裏打ちされた実効性ある対策を講ずることが重要であると考えますが、政府は第二ステップにおいてどんな対策を考えておられるのか、明らかにしていただきたい。
 次に、世界レベルでの温暖化対策について伺います。
 京都議定書批准国の温暖化ガス排出量は、基準年時点で世界全体の四六%にすぎず、議定書離脱の米国、オーストラリアは二五%、途上国が二九%となっています。ところが、二〇一〇年には世界全体の排出量が全体として三〇%増が予測される中で、途上国が全体の排出量の四一%、米国、オーストラリアが二五%、議定書批准国は三四%になると見られています。すなわち、このままの枠組みでは効果は極めて限定的と言わざるを得ないのであります。
 そこで、総理にお伺いします。
 先進国の中で議定書から離脱している国、とりわけ世界の排出量の四分の一近くを排出している米国に対して、日本は批准を強く働き掛けるべきであるにもかかわらず、さきの日米首脳会談においても何ら言及しておりません。米国の離脱は、米国の問題だけではなく、途上国の対応にも影響することは明らかです。この点につき、総理はどのように考え、今後どのように取り組む方針なのか、お答えいただきたい。
 また、世界全体の排出量の今後を考えた場合、二〇三〇年には米国の排出量を上回ることが予測される中国を始め、現在削減義務がない途上国をこのまま枠組みの外に放置することは、温暖化対策の実効性から考えて極めて問題があります。先進国加害者論を始め、様々な利害が対立することは承知をしておりますが、途上国に対する技術や資金面での援助を講じつつ、まずすべての国が参加し得る枠組みづくりが重要であると考えます。
 ポスト議定書の在り方について、政府はどのように考えておられるのか、またどのような役割を果たそうとされているのか、総理のお考え方を明らかにしていただきたい。
 次に、エネルギー問題についてお尋ねします。
 先ほどの地球温暖化問題などから、省エネルギー対策を進めながらも、我が国にとってエネルギーの安定確保は産業活動、国民生活にとって不可欠の要請であり、防衛、食料と並んで国の安全保障にかかわる極めて重要な課題であります。我が国のエネルギー自給率は四%、そのほとんどを海外に依存せざるを得ない状況にあります。
 とりわけ、化石燃料については、産油国の政情が不安定であること、今後二〇三〇年までに世界のエネルギー消費の伸びが約六割と予測される中で、その三分の二を中国などの途上国が占め、しかもそのほとんどを化石燃料に依存せざるを得ない状況にあること、そういうことを考えますと、調達をめぐっては極めて戦略的な対応が必要であります。
 環境の負荷の小さい新エネルギーについても一層その普及に努める必要がありますが、克服すべき課題も多く、また、まだ基幹エネルギーとしての役割を果たす状況には至っておりません。また、今後にわたって基幹エネルギーの役割を果たさなければならない原子力については、安全対策の一層の推進などによって国民の理解と信頼を高めていく必要があり、さらに中長期にわたる我が国のエネルギー安定確保のためにはウラン利用の一層の効率化に向けた着実な政策を進めていく必要があります。
 エネルギー政策は、基本的にぶれないこと、政府がきちんと責任を持って推進することが極めて重要であります。
 そこで、総理に伺います。
 政府は、エネルギー問題の重要性をどのように認識されておられるのか、また、エネルギーの安定確保に対して国の責任をどのように考えておられるのか、さらに、世界のエネルギー需給をめぐる動向、そして我が国の置かれた現状をどう認識されているのか、そしてそれらを踏まえ今後どのようなエネルギー政策を推進されようとするのか、エネルギー供給構造の在り方も含め、総理の明確な答弁を求めます。
 また、国政の重要な柱であるエネルギー政策は、長期的、総合的、戦略的な立案、推進が必要不可欠であります。このためには、国の明確な責任の下、エネルギー政策全般を一元的に所管する組織に改編する必要があると考えます。さらに、原子力に対する安全チェック機能の強化のため、民主党は国家行政組織法第三条による安全規制委員会の設置を求めておりますが、この点も含め、総理の見解を求めます。
 次に、海洋資源問題について質問します。
 東シナ海の日中の大陸棚境界線が画定しない中、中国は既に中間線付近において石油・天然ガス資源の開発に乗り出しています。少なくとも、中国が中間線日本側に複数の鉱区を設定したとの情報があることや、春暁ガス田は契約鉱区及び地下構造が中間線日本側にはみ出している可能性があり、中間線より日本側の資源も採掘されるおそれがあるなどの疑義があり、我が国の海洋権益を守る上で毅然たる対応が必要であります。
 日本と中国の大陸棚の境界線が画定していない以上、係争水域は日本が主張する二百海里線から中国が主張する沖縄トラフまでであることは明らかであり、日本との合意を待たずに強引に同水域内で行ってきた中国の開発は国際法に違反する疑いがあります。
 資源探査等の違反行為を排除するために、他国からの通報内容及び調査状況について公開を義務付けるとともに、違反行為に対しては許可の停止や停船措置などが実施できるよう、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律の改正及び個別の規制法を整備しての厳格な適用を図ることが必要です。
 平成十七年度予算の復活折衝でようやく資源エネルギー庁の三次元物理探査船の建造が認められましたが、日中間の交渉上の不均衡な状況を是正するために、資源調査を早急に進め、試掘・鉱業権の付与等により我が国の資源開発を早急に推進する必要があります。
 また、大陸棚の地形調査については、更なる科学的根拠、学術的なデータの取得とその有効活用を含めて検討していくべきであり、二〇〇九年の大陸棚限界延長申請に向けて、我が国の国益を最大化できるよう不退転の決意と万全の体制で臨むべきです。
 我が国の国益を守る重要な外交交渉において、国家戦略の欠如は極めて致命的です。海洋権益対策閣僚会議などを設置し、官邸が主導して戦略的に外交交渉に当たるとともに、長期的視野に立った海洋・エネルギー戦略を策定すべきであると考えます。戦後、我が国の外交が国の主権について余りにも鈍感で腰が引けていることに対し大きな危惧を抱かざるを得ません。
 以上の提言について、政府はどのような対応をするのか、総理の明快なる答弁を求めます。
 次に、人口減少社会における社会資本整備の在り方について質問します。
 今日、そして近い将来、日本が直面する最も基本的な課題は高齢化と人口減少であります。過去半世紀に五千万人という莫大な人口増加を経験した我が国は、今後半世紀に少なくとも四千万人の急激な人口減少を見ることが確実視されております。我が国は、これに対処することを基軸に、この国の形についての基本政策を抜本的に組み替えることが必要であると考えます。
 私たちは、こうした段階における資本形成の中心は、物、金、情報から人すなわち人的資本へ移行すべきものと考えます。そして、国民のすべて、特に女性、高齢者、子供が最大限の能力を発揮できる条件を整えること、すなわち社会参加型社会への転換が唯一の手段であり、そのことが究極の目的であると考えます。
 これからは、高齢化する国民への公共サービス需要は増大する一方です。また、新たな社会資本整備に回せる公的資源、財源はますます限られ、既存の社会資本ストックの維持管理、更新に必要な財源が増大をしてまいります。今後は、これまでの蓄積を取捨選択しながら、適正な規模と質を備えた社会資本へとスリムアップしていくことが求められているのです。
 ところが、政府の社会資本整備や公共事業に対する考え方は、いまだ人口増加、右肩上がりの経済成長を前提としており、その結果が大幅な財政赤字の拡大とほとんど利用されない社会インフラの増大という結果を招いているのです。
 私は、今こそこれからの人口減少社会を見据えた社会資本整備の在り方を具体的に検討しなければならない時期であると考えます。特に、インフラの維持の問題は深刻です。
 公共投資に対する維持費の割合、総額について現状どのようになっており、将来的にどのようになると考えているのか、総理にお尋ねします。
 さらに、人口減少社会において現在のように重厚長大な社会資本整備を続けることが本当に必要なのか、また可能なのかという問題もあります。この点についての考え方を御答弁願います。
 次に、郵政改革に関してでありますが、私は、郵便事業のユニバーサルサービス確保に焦点を絞って質問をいたします。
 郵便のユニバーサルサービスは、万国郵便条約で定められているものであり、国民の生活に必要不可欠なものであります。しかし、日本は山間地や離島が多く、全国一律のユニバーサルサービスは言うほど簡単ではありません。
 確認のため総理に伺います。
 今通常国会へ提出される法案において、郵便のユニバーサルサービスは明記されるという理解なのでしょうか。また、郵貯、簡保のユニバーサルサービスに関しては法案に明記するのかしないのか、お答えください。
 さらに、政府は、郵便のユニバーサルサービスの義務化に際し、必要に応じて優遇措置を取るとの方針を示しておりますが、どのような措置を取るのか、また、優遇措置についても法案に明記されるのか否か、お伺いします。
 最後に、若者、若年者を取り巻く雇用情勢に関して、小泉内閣の雇用政策についてお伺いします。
 昨今、若年者の雇用情勢悪化が指摘されておりますが、このような状況が現在及び将来にわたって日本の社会全体に与える影響は計り知れないものがあります。将来、仮に景気が回復しても、人件費削減のため、非正規労働者の増加に歯止めが掛かる保証はありません。
 次世代を担う若者の将来や日本企業の長期的な生産性を考慮すれば、正社員として働くことを望んでいる若者を非正規労働者として採用し続けることが決して好ましいことでないことは明らかです。
 問題は、こうしたフリーターとなる人とそうでない人との間に所得格差の拡大とか社会階層の分化といった現象を生み出しているということであります。職業訓練のチャンスもないまま、学校を卒業し、非正規社員として雇われる。仕事をしていても職業能力は蓄積されず、社会保険も不十分で、親と一緒に住まなければ生活もできない。他人からは評価もされず、仕事が継続できるかどうか不確実で、将来の展望が描けない。そして、男性なら結婚相手とみなされない。こうした若者たちが増えれば日本は一体どうなるのでしょう。それこそ日本社会の階層化の進展、希望格差社会の出現そのものであります。
 基本的な学力を身に付け、職業訓練を積めば、仕事を続けることができて家庭を営むこともできる、こうした地道な努力が報われることを実感できる場を公的に作り出すことこそが政治に求められており、ひいては少子化対策にも資すると考えますが、総理の見解をお伺いします。
 また、若年者雇用政策に大きくかかわるのがフルタイム従業員とパートタイム従業員の均等処遇の問題です。現在、失業者が高水準で推移する中、いわゆる非正規従業員の増加に加え、フルタイマーとパートタイマーとの間、正社員と有期雇用社員との賃金格差は拡大する一方であり、放置できない状況にあります。パートの賃金水準の低さは驚くばかりです。二〇〇二年の東京二十三区の最低賃金を月単位にすると十二万三千円余り。これは、最後のセーフティーネットである生活保護と比べても四万円も低い額です。
 総理、総理は最低賃金の所得でバス、トイレ付きアパートの家賃を払い、三食きちんと食べて健康に暮らしていけますか。公労使で知恵を出し合い、最低賃金を引き上げるべきであるとお考えになりませんか。
 民主党は既に、正社員とパート社員などとの間の合理的な理由のない格差を是正し、均等な待遇を実現するパート労働法改正案を国会に提出しております。これは、短時間労働であることを理由として、賃金その他の労働条件について正規社員等と差別することを禁止するものです。一日も早い質疑入りを強く希望するところでありますが、この内容につき、総理の見解を求めます。
 総理、私は、あなたが初めて総理に就任された直後、正に異常とも言える小泉人気の中で行われた平成十三年の参議院選挙を戦ってまいりました。自民党をぶっ壊す、改革なくして成長なし。与党である自民党を仮想敵に見立てて、国民の支持をバックに改革に突き進む小泉総理。まるで、狭い自民党と官僚の壁の間に両手両足を突っ張って改革に向かって登っていく、そんなイメージのあなたに国民は大きな期待をし、拍手を送ったのでしょう。
 しかし、その期待は長続きしませんでした。次々と掲げられる総理の改革は内容のない看板だけ。看板という名さえ取れば、実は与党、官僚に丸投げであることを国民は見抜いたからです。突っ張っているのではない、そのふりをしているだけだと見抜いたからです。
 本当に壁を突っ張らなければ落ちるしかありません。それが現在の小泉内閣の支持率であり、小泉政権に政策実現を期待する数字の激減なのです。
 しかし、本当のあなたの責任は改革の看板倒れにあるのではありません。道路公団や特殊法人改革のように、看板の掛け替えに乗じて巧妙に中身を悪質化させるとともに、真の改革の芽を摘んでしまったところにあることをはっきり申し上げておかなければなりません。
 さらに、国民はもう一つあなたの本質を見抜きました。それは、あなたの政治が弱い立場の人々に余りにも冷たいということです。総理、あなたの改革は、努力をすれば報われる社会ということになるでしょう。しかし、それは強い者の論理であり、恵まれた人だけに通用する論理であります。努力しても報われない人々、努力しようにもその場も条件にも恵まれない人々にこそ政治は光を当てるべきであり、ここにこそ政治本来の役割があるのではありませんか。
 無原則な競争の結果、無機質で死屍累々たる社会をつくることがあなたの改革の目指すものであるならば、さっさとお引き取り願うことを強くお勧めし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 藤原議員にお答えいたします。
 まず最初に、国会審議における私についての御質問でありますが、私はいかなる厳しい批判に対しても誠意を持って答弁をしてまいりました。今までもこの姿勢に変わりはありません。国会は審議の場であります。たとえ意見は異なっても、審議を積み重ねてより良い成果を上げていくのが国会議員の責任ではないでしょうか。自らの審議権を放棄して、議場を退場してしまうというのは誠に残念であります。
 我が国の温室効果ガスの排出量の認識と評価及び第二ステップにおける対策でございますが、我が国の温室効果ガス排出量は京都議定書の削減目標を大きく上回っており、削減目標を実現することは決して容易ではないと認識しております。二〇〇四年までの第一ステップにおける各種対策の進捗状況等を踏まえると、削減目標の実現には現行対策に加えて追加対策が必要であります。
 今後、来月の京都議定書の発効とそれに伴う我が国の責任を踏まえ、各種の温室効果ガスの排出抑制対策、吸収源対策、京都メカニズムの活用など、必要な追加対策を盛り込んだ新しい目標達成計画を早急に策定し、官民挙げてこれを確実に実施していかなければならないと考えております。
 京都議定書の批准に関する米国への働き掛けでございますが、米国に対しては、かねてより、日米首脳会談を始め、様々な場で京都議定書に関する我が国の考え方を申し入れてきております。
 昨年十月に町村外務大臣、昨年十二月には小池環境大臣から、米側に対し京都議定書への参加を求めてきたところであります。政府としては、引き続き米国に対し京都議定書への参加を働き掛けてまいります。
 京都議定書後の枠組みへの取組についてでございますが、地球温暖化対策の実効性を確保するためには、途上国を含むすべての国が参加する共通のルールの構築に努めることが重要です。
 このため、我が国は、京都イニシアティブを中心とした途上国支援を行うとともに、主要排出国の参加を得て、気候変動に対する更なる行動に関する非公式会合を開催するなど、すべての国が参加する枠組みの構築に努めてきています。今後とも、このような積極的な役割を果たしていく考えであります。
 エネルギー問題の重要性とエネルギー政策の在り方、推進体制についてですが、エネルギーの安定供給の確保は、国民生活の安定向上や国民経済の維持発展に欠くことのできない重要な課題であり、国は、エネルギーの安定供給の確保等のため、省エネルギー、資源開発、原子力の推進などエネルギー需給に関する総合的な施策を策定し、これを実施していく責務を負っております。
 世界のエネルギー需要は、今後とも数十年にわたりアジア地域を中心に大幅に増加する見通しであり、政府としては、こうした情勢を踏まえ、省エネルギー対策、原子力の推進等によるエネルギー供給の多様化、資源の自主開発と供給源の多様化等を通じた総合的な資源戦略の展開を進めるとともに、アジア各国との協力関係を構築するなど、需給両面にわたるエネルギー政策を戦略的に推進しているところであります。
 議員御指摘のとおり、エネルギー政策の立案、推進に当たっては、長期的、総合的、戦略的な対応が不可欠であることから、政府は、エネルギー基本計画を閣議決定し、同計画に基づき、経済産業省を中心に関係機関が一体となって施策の推進に総合的に取り組んでいるところであります。
 原子力の安全規制に関する国家行政組織法三条に基づく委員会の設置でございますが、我が国における原子力安全規制は、経済産業省等の規制行政庁が原子力事業者を直接規制し、規制行政庁に対して勧告権も有する内閣府の原子力安全委員会が独自の立場から安全性を確認する体制となっており、現在の体制を今後とも有効に機能させていくことにより、原子力の安全を確保していくこととしております。
 外国による資源探査でございますが、我が国の排他的経済水域及び大陸棚において、他国の船舶が我が国の同意を得ずに資源探査、海洋調査を行った場合には、その都度、現場水域において及び外交ルートを通じて、活動の即時中止及び再発防止を厳重に申し入れています。
 今後とも、そのような活動をより効果的に防止するため、国連海洋法条約及び関連国内法に基づき適切に対応していく考えであります。
 海洋資源開発の推進ですが、我が国は、現在、東シナ海の我が国排他的経済水域内において資源の精細なデータを収集すべく、物理探査を実施中であります。資源開発は、我が国の主体的判断で行うべきものと考えておりますが、現時点では試掘の具体的な計画はなく、鉱業権の付与については現在処分を留保しているところです。
 政府としては、今後とも、我が国の主権的権利等が侵害されることのないよう適切に対応していく考えです。
 大陸棚調査ですが、大陸棚調査は、海底及びその下の天然資源に関する主権の確保という国益に直結する重要課題であり、内閣官房に大陸棚調査対策室を設置し、関係省庁が連携して、政府一丸となって取り組んでおります。
 国連の審査に当たっては、科学的に極めて高度かつ詳細なデータが必要であることから、海底地形の調査や地殻構造の探査等を着実に実施して、申請に必要なデータ等を整備し、期限までに確実に国連へ提出できるよう鋭意取り組んでまいります。
 海洋権益確保のための閣僚会議設置ですが、我が国の海洋をめぐる問題は、国益に直結する重要な課題と認識しており、政府全体として緊密に連携調査していかなきゃなりません。このような観点から、昨年夏に、内閣に大陸棚調査・海洋資源等に関する関係省庁連絡会議を設置し、取組の一層の強化を図りました。今後とも、実効的な政府部内の連携強化を図り、海洋権益の確保に万全を期す考えであります。
 人口減少社会における社会資本整備ですが、今後、社会資本の効果を最大限に発揮するためには、適切な維持管理と更新を行っていくことが必要です。
 維持管理・更新投資が社会資本投資に占める割合については、国土交通省の試算によれば、二〇〇一年度で約五分の一と推計され、二〇〇二年度以降の社会資本投資の伸びがゼロ%であると仮定すると、二〇二五年度には約二分の一になると推計されております。公共投資を毎年削減している現状を踏まえれば、更にその割合が増大すると考えられ、維持管理や更新投資を適切に実施することが一層重要になると認識しております。
 こうした状況の下、今後、社会資本整備を適切に進めていくためには、少子化、高齢化を踏まえた環境整備など、社会経済の状況に適切に対応した社会資本整備を、これまでにも増して投資の重点化、効率化を図りつつ、選択と集中により実施していくことが必要であると考えております。
 郵政民営化については、ユニバーサルサービスは法案に明記されるのか、またどのような優遇措置を取るのかとのお尋ねであります。
 第一に、郵便のユニバーサルサービスについては、郵便事業会社に対し、法律により引き続き提供義務を課すこととしております。また、郵政民営化の基本方針においては、郵便貯金会社及び郵便保険会社にはユニバーサルサービスを義務付けることは盛り込んでおりませんが、両事業の窓口業務は住民のアクセス確保が努力義務となる窓口ネットワーク会社に委託することとしており、窓口の配置については過疎地の拠点維持に配慮することとしております。これらを踏まえて制度設計を進めてまいりたいと考えます。
 第二に、優遇措置については、郵便のユニバーサルサービスを維持するために必要な場合にはこれを設けることとしており、また、信書便事業への参入規制については、当面は現行水準を維持することとしております。これらを踏まえて制度設計を進めてまいりたいと考えております。
 なお、制度設計に当たっては与党とも協議してまいります。
 若年者の雇用問題ですが、フリーターの増加などの若年者問題については、本人にとって技能、知識の蓄積がなされない一方、産業や社会を支える人材の育成が図られず、将来の我が国経済社会に与える影響は重大であると認識しており、次世代育成支援の観点からも重要と考えております。
 このため、昨年十二月に関係五大臣で取りまとめた若者の自立・挑戦のためのアクションプランに基づき、企業実習と一体となった教育訓練を行う日本版デュアルシステムや、短期間の試行雇用を通じた常用雇用を促進する若年者トライアル雇用の推進により、フリーターの安定的な就業を促進するなど、若年者が将来に希望を持ち、職業的自立を図れる社会の実現に取り組んでまいっております。
 最低賃金はパートタイム労働者にも適用されているところであります。地域別最低賃金の額については、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の支払能力の三つの要素を総合的に勘案し、公労使三者構成による各地方最低賃金審議会における慎重な調査審議を経て決定されており、その水準は妥当なものと考えております。
 短時間労働者の処遇改善は重要な課題であると思っております。政府としては、平成十五年八月の改正パートタイム労働指針に基づき、正社員との均衡処遇の確保に努めてまいります。
 なお、民主党がパート労働法の改正案を提出していることは承知しておりますが、法規制の強化については、労使を含めた国民的合意形成を図りつつ対応していくことが必要ではないかと考えております。(拍手)
#11
○議長(扇千景君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#12
○議長(扇千景君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。大野つや子君。
   〔大野つや子君登壇、拍手〕
#13
○大野つや子君 ただいま議題となりました政府四演説に対し、自由民主党を代表して質問をいたします。
 まず、質問に当たり、台風、集中豪雨、新潟中越地方の地震で大きな被害を受けられた皆様方に心からお見舞いを申し上げます。特に中越地震は、生活を支えるライフラインの破壊が、台所を預かる皆様を直撃し、自分のことのように痛みを感じておりました。今なお仮設住宅で厳しい冬を過ごしておられる方がたくさんおられ、誠にお気の毒でなりません。その御心労を思うにつけ、一日も早い復旧・復興を願ってやみません。
 阪神・淡路大震災が十年たった今日でも心身の傷がいえないように、大災害はそれまで営々と築いてきた人生を瞬時に奪います。特に高齢者やお母様方、そして幼いお子さんたちは、将来不安と心に受けたショックが大きく、政府において生活支援や心のケアに万全の対策を講じていただくよう強くお願いいたしたいと思います。
 また、昨年の暮れのスマトラ沖の地震、インド洋の巨大津波においては、日本がいち早く支援を表明し、それが世界に支援の輪を広げることにつながりました。日本のあるべき姿を見た気がいたしました。今後とも日本ができる最大限の支援をしていただくようお願いいたします。
 さて、私は、外交問題、特に中国、ロシアについて、さらに景気の先行き、年金、介護、医療など社会保障、日本の将来を担う子供たちの教育問題について総理にお尋ねしたいと存じます。
 まず、日中関係についてでありますが、私は、中国とのサッカーの試合、アジアカップにおける反日感情の大きさに大変驚きました。また、中国潜水艦領海侵犯事件には強い怒りを覚えられた方もたくさんおられたと思います。両国間にはこのような感情的な対立も見られる一方、経済面に目を転ずれば、昨年の貿易総額は千五百億ドル以上になるなど、大変活発であります。
 北朝鮮の核・拉致問題の解決のためにも、六者会合の議長国でもある中国の協力は不可欠であります。政冷経熱とも呼ばれる日中関係ですが、アジア全体の将来も見据えた対中戦略についても考える時期に来ていると私は思っております。
 相互理解を図る上で必要なことは、中国のことを知る、そして知ってもらう機会を増やすことだと思っております。我が国が、主張すべきことは主張し、行動すべきことは行動するという姿勢に今まで欠けていたことが政冷の要因の一つであり、理解が深まらなかった原因ではなかったかと思っております。胸襟を開き、忌憚のない意見交換を行い、未来を担う若い人たちの交流を強化し、留学、スポーツ、芸術文化などを通じて日本を理解してもらうことが大切です。日中がより親密になるための日本の姿勢、そして中国に求めるものは何か、その点について総理の御所見をお伺いいたします。
 また、日中間で大きな問題の一つに海洋権益の問題があります。
 昨年、中国の調査船が事前通報もなく太平洋上の我が国の排他的経済水域において頻繁に活動しました。こうした違法調査船等の活動を始め、年内にも東シナ海の中間線近くでガス田の生産を開始するとの指摘もあることから、我が国としては毅然たる対処を行うとともに、本格的なガス田開発に打って出るべきです。海洋権益問題については、海洋国家日本としてその確保が国益に直結するという認識を持って国家戦略として取り組む強い意思を示すべきです。
 日本は中国には六兆円ものODA等を供与しており、中国の経済発展に大きく寄与してきました。これからも経済関係を緊密にする必要性が増しますが、このような一方的な中国の姿勢には、先ほど申し上げましたように、言うべきことは言う、そして毅然たる姿勢が重要と考えますが、海洋権益に関する基本方針についてお伺いいたします。
 次に、北方領土問題についてですが、本年は日露通好条約の署名から百五十周年を迎えました。私は、この節目に当たる本年を、我が国の長年の悲願である北方領土返還に向けて大きく歩を進め、後世に評価される一年にしたいと考えております。
 振り返ってみますと、平成五年には、日ロ間で四島の帰属問題を解決することにより平和条約を早期に締結するとの東京宣言が結ばれました。しかし、その後、イルクーツク声明等の合意もありましたが、残念ながら進展を見なかったのが実情です。昨年九月に総理は北方領土を視察され、懸案解決に向けて前向きの姿勢を示されました。これがスタンスだけで終わらないことを祈るばかりです。
 ロシア側は二島返還に固守し、これが原因で今年初めに予定されていた大統領来日が危ぶまれる事態になっていると仄聞しております。三月にはロシア外相が訪日の予定と聞いておりますが、大統領の早期来日を実現し、北方領土返還に道筋を付けていただくようお願いいたします。この点の御決意をお聞かせください。
 次に、我が国の国内の現状に目を向けますと、特に経済状況は決して楽観できる状況にはありません。
 昨年十二月調査の日銀短観では、これまで景気を牽引してきたとされる大企業・製造業の景況判断が今回の景気回復過程で初めて低下しました。生活者の景況感に近いとされる街角景気判断も、五か月連続で低下しています。さらに、昨年七月から九月の実質GDPは前期比、年率で〇・二%にまで成長率が低下してきました。
 これまで日本の景気は、中国、アメリカ経済の好調に支えられ、またIT産業の成長に先導され回復を続けてきたと言われます。しかし、このところの景気は、足踏み状態か、ないしは若干弱くなってきた感じさえあります。
 まず、総理は現在の景気の状態についてどのように判断されておられるのか、御認識をお聞かせください。
 内外で頻繁に発生している台風、地震、津波などの大災害の影響も心配されますし、円高の進展は、輸入コストを上げ、輸出企業の業績を圧迫します。また、原油高の傾向も続いており、国民生活に直接的な影響を与えております。
 ここに来て、ようやく地方経済や中小企業の一部に明るさが見えてきました。この状況を力強いもの、更に持続的なものにするため、金融・財政両面の政策が必要と思いますが、具体的なお考えがあるのか、お伺いしたいと存じます。
 また、来年度の政府の経済見通しについても分かりやすい説明を求めたいと思います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 さて、今年は我が党の立党五十年の節目の年を迎えます。政治は、これから将来の五十年を見据えて、広く国民生活に資する政策を打ち出していくことが重要と考えております。
 新憲法の制定や行財政改革は当然必要でしょう。同様に、私は、さらに長期的な視点から、しっかりした少子化対策が我が党の政策の柱になるべきものと考えています。少子化は、構造の変化、経済成長率の低下、社会保障問題の深刻化、ひいては国力の減退につながる広範でゆゆしき問題です。この問題の改善なくして日本の将来はあり得ないと思います。あらゆる角度から内閣を挙げて取り組んでいただきたいと願っております。
 厚生労働省では、昨年末に、少子化対策を盛り込んだ子ども・子育て応援プランを公表されました。こうしたプランも含め、総理はどのように少子化問題に取り組まれるのか、お伺いいたします。
 社会保障問題を深刻化させているのは少子化や高齢化、経済の低成長といった要因が絡み合っているためであり、それだけに抜本的解決への方策を見いだすのが難しいのです。かつて、総理は、年金問題に関して、政権が替わることで年金制度が変わることがあってはいけないと、野党との政策調整の必要性を説かれました。今や、それは年金問題に限らず社会保障問題全般に言えることであります。
 まず、年金問題についてですが、昨年五月にはいわゆる三党合意が成立し、年金の一元化を含む社会保障制度の全般的見直しに関して与野党で協議を進めることで合意されました。昨年、年金制度改革法の成立によって年金制度は安定的かつ持続可能な体制へ移行することになりましたが、国民の間では依然として年金制度に関する不信感が残っているようです。これには、社会保険庁の業者との癒着など、一連の不祥事に対する不信感、憤りも影響しているでしょう。また、年金資金が無駄な施設の運営などに費やされてきたことも国民の年金制度に対する見方を厳しくさせています。
 総理は、こうした国民の目を十分承知のことと思いますが、与野党での協議において、どのように年金を始め社会保障の全般的な改革の方向性を見いだし、結論を得られるお考えなのか、お伺いいたします。
 特に、その際には、財政事情を勘案しつつ、財源確保の手段として、消費税を含む税制の在り方まで踏み込んで議論し、結論を出さないと国民は納得しないと思います。社会保障の財源をどう確保するのかについても御説明ください。
 年金のほかにも介護保険や医療制度の見直しが進められることになります。介護保険では、施設入居者の食費等の自己負担拡大、要介護認定の厳格化などによる給付総額の抑制が図られるようです。また、介護保険料の徴収対象年齢の拡大については、当面その実現が見送られたようですが、将来的に大きな課題であります。
 さらに、新たな介護者を出さない予防介護の在り方、そして医療制度では混合医療が部分的に解禁されるなど規制緩和が進められていますが、高齢者医療をどう合理化していくのかなどに関してはしっかりと道筋が描けていないと存じます。総理は、介護保険、医療制度のこれからの見直しに関してどのような方向に進められる御認識なのか、お伺いいたします。
 次に、教育問題に関して伺います。
 昔から、「学びて時にこれを習う、また、よろこばしからずや」とか孟母三遷といった戒めが広く知れ渡っております。学ぶこと、教育の重要性は古今東西、不変の真理であります。であるからこそ、歴史上存在した国家は何をおいても教育に力を入れ、国力の維持向上に努めてきたわけです。
 我が国では、昨年来、三位一体改革の中で、義務教育費国庫負担を見直し、一般財源化を図り、さらに地方の教育行政の中での自由裁量権を高める改革が進められています。地方分権の考えはもちろん大切でありますが、教育の問題については十分議論を重ねていただきたいと思っております。ただ、国全体として、将来の我が国を担う人材の育成、すべての子供の生きる力、考える力をはぐくむ教育を是非とも貫徹させてほしいものです。
 最近、文部科学省では、これまでのゆとり教育を省みて、学力低下に歯止めを掛けるため、学習指導要領を見直すなどの措置を打ち出すとの報道も見られます。総理は、三位一体改革を進める中で、学力の低下、学習意欲の後退といった問題にいかに対処されるお考えなのか。それとともに、青少年の凶悪犯罪が多発する現在、心の教育を組み込んでいくことも必要と考えます。
 そこで、教育行政全般の在り方について御認識をお聞かせください。
 教育の基盤である教育基本法の改正が俎上に上がってきました。振り返ってみますと、小渕内閣で基本法の改正について議論が始まってから早くも五年が経過いたしました。そして、現在、与党の教育基本法改正に関する協議会と文部科学省が中心となって法改正の検討が進められております。中央教育審議会が平成十五年三月に出した答申などを踏まえたものであり、現在の教育環境に合わせて基本法を抜本的に改正し、時代に合ったものにするものです。
 聞くところによれば、家庭教育、幼児教育、大学教育を重視する姿勢を打ち出し、教育の目標の中に、伝統文化を尊重し、郷土と国を愛し、国際社会の平和と発展に寄与するといった趣旨が盛り込まれているようです。
 もちろん、教育基本法を改正するだけで学力の低下、教育現場の荒廃、教員の質の低下といった今日的問題が解決するわけではありません。また、基本法の改正によって、国家が家庭の問題にまで入り込んだり、国策に沿った人間形成につながるおそれがありはしないかといったことを心配する意見もあるようです。
 しかしながら、教育行政と教育現場が一体となり、基本法の精神に基づいた改革をしっかりと行うことで確実に着実に教育上の多くの問題は改善されていくものと期待されます。
 子供は国や地域の宝です。立派な日本人の形成につながるように、教育基本法の改正を是非早期に実現していただきたいと思います。教育基本法改正に関する御認識をお聞かせください。
 以上、いろいろお尋ねしましたが、誠意ある御答弁をお願いいたします。
 信頼は対話を通じお互いが理解し合うことから生まれます。また、熱意と誠実さが誤解や偏見を解きほぐし、理解につながる近道でもあります。法律や習慣、因習の高い壁、官の縦割り行政などたくさんの制約がありますが、ただ一点、国民のために、国民の目線で行き届いた政策の実現が今一番求められております。
 総理の政策が熱意と誠実を伴って国民の間に広がり、二十一世紀の新たな時代に向けて堅牢な礎を作っていただけるよう期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大野議員に答弁いたします。
 激励をありがとうございます。
 日中関係についてでございますが、昨年の日中首脳会談でも、率直に意見交換し、二国間のみならず、国際社会全体にとっても日中関係は極めて重要であるとの認識を共有し、未来志向の協力を発展させていくことで一致いたしました。日中関係がますます緊密になる中、双方が意見の異なる個別の問題についても対話を深め、大局的な観点から幅広い分野において協力や交流を強化することが重要と考えております。
 海洋権益をめぐる問題ですが、日中両国間には、中国による日中中間線付近における資源開発の問題、中国の海洋調査船の問題等の海洋をめぐる懸案が存在しております。
 これらの問題について、我が国の立場を明確に主張しつつ、国連海洋法条約に基づく我が国の大陸棚、排他的経済水域に対する主権的権利等が侵害されないよう適切に対応していく考えであります。
 北方領土問題への取組でございますが、この北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという、これは一貫して変わっていない基本方針であります。この基本方針の下に精力的に交渉を進めるとともに、日ロ行動計画に従って幅広い分野で協力を進め、プーチン大統領の訪日及びその後の交渉につなげていきたいと考えます。
 景気の現状認識は、輸出や生産が弱含んでいることなどを背景にして一部に弱い動きが見られますが、このところ回復が緩やかになっております。一方で、企業収益は大幅に増加するなど企業部門は依然として好調であり、設備投資も増加しております。また、雇用情勢は引き続き改善するなど、家計部門にも改善が及びつつあります。
 このように、景気の動向を大局的に見ると、景気の回復局面が続いているものと判断しております。
 地方経済、中小企業の状況でございますが、これまで進めてきた我が国の改革、これには私も懸命に取り組んできたことでありますが、成果もだんだん出てきたと思っております。
 政府の財政出動に頼ることなく、民間主導で回復してきており、地方経済については、そういう中で、地方地方においてばらつきがあるのも確かでございます。
 また、中小企業については、回復の動きもありますが、大企業に比べて中小企業をめぐる環境はまだ厳しいものがあることも事実だと思っております。
 政府としては、構造改革特区の活用や観光振興による地域経済の活性化の促進や中小企業者への円滑な資金供給や新事業への挑戦支援など、改革の成果を地域や中小企業にも浸透させるとともに、構造改革の取組を拡大し、引き続き民間主導の持続的な経済成長を図ってまいります。デフレからの脱却を確実なものとするためにも、日銀と一体となって政策努力を更に強化してまいります。
 来年度の経済見通しですが、世界経済の回復が続く中で、我が国経済は生産、設備投資が増加するなど企業部門が引き続き改善することを背景に、景気回復が雇用・所得環境の改善を通じて家計部門へ波及する動きが強まり、消費は着実に増加すると見込んでおります。
 これにより、我が国経済は引き続き民間中心の緩やかな回復を続けて、実質経済成長率は一・六%程度、名目経済成長率は一・三%程度になると見込んでおります。
 社会保障についてでございますが、社会保障制度の在り方は、少子高齢化の進展や単身者の増大、雇用形態の多様化などの社会生活の変化にも密接に関連する問題と考えており、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものとしていくためには新たな国民的な合意形成を行っていくことが必要だと考えます。
 このため、現在、政府においては、経済界や労働界の参加を得た社会保障の在り方に関する懇談会において、税金、保険料等の負担と給付の在り方などを含め、社会保障制度全般について幅広く議論をいただいているところであります。
 また、私としては、政府のみならず、与野党が立場を超えて年金制度を始めとした社会保障制度の論議に国民的な立場から取り組むことが政治の責任であると思っておりまして、国会において集中的な議論を早急に開始していただければなと考えております。そういう議論などを踏まえて方向付けをしていきたいと考えております。
 こうした中で、御指摘の消費税も検討の対象になるものと考えておりますが、消費税を年金のみに充てるのか、あるいは他の社会保障財源との関係でどうするかとの議論も必要だと思っております。
 いずれにしても、税制の在り方については、これまでの与党の税制改正大綱を踏まえ、消費税の在り方も含め国民的な議論を進めていく必要があると考えております。
 介護保険、医療制度の見直しですが、介護保険制度については、将来にわたり国民生活の安心を支え続けられるように、予防を重視したシステムへ転換を図ること、施設入所者の居住費、食費を見直すこと、認知症高齢者等に対応した新たなサービス体系の確立を図ること、サービスの質の確保、向上のため情報開示の徹底等を行うこと等の見直しを内容とする改正法案を今通常国会へ提出したいと考えております。
 なお、介護保険の被保険者、受給者の範囲については更に検討を進める必要があると考えており、今回の法案における取扱い等についても現在調整を行っているところでございます。
 また、医療制度改革については、現在、経済、財政とも均衡の取れた安定的で持続可能な医療保険制度を構築し、将来にわたり国民皆保険制度を堅持していくために、新たな高齢者医療制度の創設や高齢者医療費の伸びの適正化、公的保険給付の内容、範囲の見直し等に取り組むこととしております。
 こうした方針の下に、平成十八年の通常国会に医療保険全体の改正法案を提出する方向で精力的に検討を進めているところでございます。
 学力問題、教育問題についてでございますが、子供は言うまでもなく国、社会の宝であります。学校、家庭、地域など社会全体で新しい時代を切り開く心豊かでたくましい人材を守り育てていくにはどうしたらいいか。
 こうした中、教育の地方分権を進めることは重要な課題でもあり、国は、全国的な教育水準の確保と教育の機会均等についての責務をしっかりと担いつつ、各地域や学校の創意工夫を生かせるように、市町村や学校の裁量を拡大してまいります。
 また、我が国の学力が国際的な学力調査の結果として低下傾向にあること、さらには、学ぶ意欲、学習習慣が十分身に付いていないことは深刻に受け止める必要があると思います。学習指導要領全体を見直すなど、学力の向上を図ってまいります。
 教育基本法についてですが、教育基本法の制定以来約半世紀以上が経過し、教育について様々な課題が生じている中、教育の根本にまでさかのぼった改革が求められていると思います。
 このため、人格の完成や個人の尊厳などの普遍的な理念は今後とも大切にしつつ、公共の精神や伝統文化の尊重など、現在及び将来の教育において重要と考えられる新たな理念を盛り込むべきと提言した中央教育審議会答申や与党における議論を踏まえて、引き続き国民的な議論を深めながら、改正に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えます。(拍手)
    ─────────────
#15
○副議長(角田義一君) 大江康弘君。
   〔大江康弘君登壇、拍手〕
#16
○大江康弘君 民主党・新緑風会の大江康弘であります。
 今年で四回目になる小泉総理の施政方針演説を聞かされる不幸な現状を質問に込めまして、以下、幾つかただしたいと思います。
 昨年、我がふるさと紀州は、奈良県、三重県とともに長らく運動を進めてまいりました高野・熊野、この霊場を世界遺産として登録していただきました。
 その遺産の一つである熊野古道を本年正月に久しぶりに歩く機会を得、かつて、中世時代、アリの熊野もうでと言われ、皇族始め多くの民衆が太平の豊かさの中でぽかんと空いた心のすき間を埋めるため、また信仰を求めるため歩いたこの古道を歩きながら感じたことを申し上げ、総理にお尋ね申し上げたいと思います。
 生来、我が日本民族は節目というものを大切にしてきたと思います。今年は戦後六十年、還暦を迎え、初心に戻る年であります。さきの大戦以来、幾多の試練を乗り越え、わずか数年前までは国民の九割以上が中流意識を持つという経済大国に育て上げてまいりました。世界一を誇る新幹線や車、電化製品等、これら文明の利器は我々の日常生活を大きく変えたのであります。
 古代、中世、近代、そして現代と続く時代の流れの中で、とりわけ近代以降、人間の持つ欲望、欲求をもっともっとと求め続け、作り上げたこの現代という時代は、本当の進歩や発展を遂げたのだろうか。また、戦後日本が走り続け、求めてきたことが真の進歩、発展であったのだろうか。
 ただ単にお互いの生活が楽になり、便利になっただけであり、真の進歩、発展とは絶えず我々のうちにある心や精神が伴わなければならないのに、一番大切なものを置き忘れてきた戦後の歩みであり、今我々がなさなければならないことは、そのことによって生じたひずみやゆがみを是正し、一日も早く誇れる日本をつくることと思いますが、総理は今をどう認識されておられるのか、また、節目を迎えた日本が変えなければならないこと、守るべきことは何なのかも教えてください。
 ある学者は、先進国になった国家が必ず迎える四つの症状があると指摘されております。
 一つは、人口減少、高齢化。二つは、財政の破綻。三つ目は、その国が作り上げてきた伝統、文化、道徳が衰退をしていくこと。そして四つ目が、正に総理、あなたのことであって、政治家がしっかりと決断ができないということであります。
 これら四つの症状は、悲しいかな今の日本を象徴していると思いますが、あなたは、この国や国民をどの方向に持っていこうとされるのか、その理念も併せてお尋ね申し上げます。
 総理の施政方針演説を聞いて感じたことは、あなたは現下の我が国の現状を全く分かっておられないということ、今、我々が直面している課題、とりわけ国民が何を一番望んでいるのか。それは、景気の回復、経済の再生、そして雇用、また年金を含む将来へのこの社会不安の解消等であって、それも一も二もこの不安定な状況を作ってきたのはあなた方の政権の結果であります。
 それにもかかわらず、施政方針演説の原稿を一ページ半も割いて言わなければならない郵政民営化の問題がそれほど大事な政策なのかと理解に苦しみます。
 平成十七年度末の政府債務残高は七百七十四兆円と見込まれ、OECDベースでは対GDP比一七〇%にもなっています。
 国の長期債務だけ見ても、国債残高は五百三十八兆円であり、これはGDPを超え、一般会計税収の十二年分に相当する金額であり、この巨額債務が生む利子だけでも一分間で千七百万円、一日に二百四十三億円であり、正に財政危機であります。
 昨年の予算委員会では、政府が目標にしているプライマリーバランスを二〇一二年に黒字化するという公約も数字のつじつま合わせにすぎないことが判明をしました。
 一体、この財政の状況をどう健全化していくのか、説得あるビジョンを聞かせてください。
 また、国債管理政策ですが、就任当初、国債発行三十兆円以下を公約に掲げられましたが、この公約は一度も守られることなく、挙げ句は公約など大したことはないというあなたの正に口約束の口約の結果、今年度、十七年度は、新規国債が三十四兆円、借換債が百三兆円、財投債が三十一兆円等と、合計百六十九兆円もの国債発行がされるようですが、歴代総理の中で最も多く国債を発行してきたのはあなたであります。
 今日までは、日銀が量的緩和政策を継続し、郵貯、簡保や民間銀行に至っては、困っている中小零細企業に対する融資を貸し渋ってまでも買い続けてきた結果、安定消化につながってきましたが、小渕内閣が発行した大量国債の十年物の償還が四十兆円近くとピークを迎え、百三十四兆円を借り換える必要が生じる国債の二〇〇八年問題も迫っております。
 そこで、ここに来て政府は、高齢化に伴う貯蓄率の低下など国内消化の不安定を恐れて、物価連動債の外国民間企業保有を解禁する方向で、既にロンドン、ニューヨークでIRも開かれたようですが、保有先の多様化への取組自体は間違っていないと評価をします。
 しかし、日本企業よりも経営への発言力が強い海外企業の株主が、果たしてボツワナ以下のA2との格付をされている日本の国債にどれほど魅力を感じ、大量買い付けをしてくれるのか。企業が格付の低い国債を買って失敗すれば当然責任を問われるだろうし、また、現在四%という海外保有比率が増えれば、格付を材料に投機的に取引されるリスクも発生し、また、財政バランスが悪く、超低金利のままでヘッジファンドなどが国債市場に入れば、かえって市場の攪乱要因になりかねないとの懸念も予想され、果たして国債の国際化の政策がどこまで安定消化につながっていくのか。
 これが困難になれば国債価格が暴落し、キャピタルフライトが発生、国民生活は大きなダメージを負うことにもなりかねないと思いますが、谷垣大臣、説得ある国債管理政策を聞かせてください。
 さて、この三年余り、小泉政権を地方の目線を持つ立場の者として見て感じることは、小泉総理は東京という大都会、大都市が大好きで、地方や田舎には全く興味や関心のない人だということが政策に反映をされております。
 例えば、国土交通省から出てきた都市再生や都市再開発等の法案は正に東京をかつてのバブルをほうふつさせるに十分ですが、今、田舎や地方へ行っても、あなたや竹中大臣が言われている経済は良くなったなどという印象は全くなく、一体どこを見て言われているのか、教えていただきたいと思います。
 竹中大臣、竹中大臣はふるさと紀州に帰っていますか。私は今まで同郷のよしみであなたを大きな気持ちで見てまいりました。それだけに、あなたの答弁で私は議場からやじったことはない。しかし、元来我々紀州人というのは心優しい県民性であります。しかし、ここはやはり、あなたが経済大臣になったり小泉政権になってから、私が一番嫌いな負け犬だとか、あるいは負け組なんという言葉がはんらんをするようになった。どうか一度和歌山へ帰って御先祖のお墓参りをして、和歌山のDNAを取り戻してきていただきたいということを要望いたしております。
 しかも、地方切捨ての最たる政策が三位一体などというまやかしの政策です。
 得意技である丸投げで地方六団体へボールを投げたのはよいが、投げられた方も右往左往、総理も自分の手を汚そうとしなかった結果、中途半端で終わり、地方交付税を昨年度並みにし、地方の不満のはけ口の方向を変えただけで、地方分権など何一つ進んでいないのが実情ではないですか。
 国が集めた税金を交付金だ補助金だなどといつまでも下げ渡すようなことではなく、政府が握っている補助金を地方へそっくり渡して自由に使わせてやるのが地方分権であり、簡単な話です。
 今、国がやろうとしていることは、自らの権限を残しながら、国が作り上げてきた赤字のツケ、財政再建を三位一体などと称してごまかしているだけであります。権限も財源も取れない地方はいい面の皮であり、本当にこのようなことが地方分権と言えるのか、教えてください。
 時代の流れの中で地方分権が歴史的蓋然性のある事柄と本当にとらえるならば、あなたはもっと泥まみれにもなってやり遂げる蓋然性があったはずですが、どうして逃げたのか。本当に地方分権を推し進める覚悟があるのか、聞かせてください。
 同時に、地方に唯一の理解者である麻生大臣の考えも併せて聞かせていただきたいと思います。
 また、政府が進めている三位一体でどうしても賛成できないことは、義務教育を地方に任せるという考えであります。
 今日まで資源小国日本が頑張ってこれた背景には、憲法に保障された日本じゅうどこでも同じ学力が得られるという理念の下、今日まで整備されてきた教育システムで多くの人材が育てられたということではなかったでしょうか。
 それでも、ここ何年かはゆとり教育などという政策で正に緩み教育になってしまった現状を憂うる一人ですが、世界や我が国に貢献できる人材を育てることこそ国是であり、地方自治体間の経済力の格差が必然的に教育に反映されていくことには危惧を覚える一人であります。
 国家百年の大計である教育の基本方針を地方にゆだねるということは、今の地方の現状ではまだまだ早いという認識を持つ者ですが、本当にこんなことでよいのか。米百俵以来、総理が教育を語る姿を見たことがありません。考えを聞かせていただきたいと思います。
 同時に、中山大臣には大変御苦労されたと思いますが、このような義務教育の在り方が本当に正しいのか、率直な気持ちを語ってください。
 市町村合併についてお尋ねします。
 明治以降二度の合併を経験した我が国の市町村ですが、三度目の今回はどうも今までとは合併の背景も違い、国の無駄な事業や政策に補助金名目で付き合わされ、結果、残った借金、厳しい財政事情の立て直しのための合併であり、地方分権のための受皿づくりなどとはほど遠い、国主導による新たな品質管理体制づくりが目的のような気がします。
 しかも、合併に当たっては、本来あるべき姿は、それぞれの自治体が自主的な話合い、理解の下、まず将来像やビジョンを作り上げてやるべきところ、本末転倒、順序も全く逆で、とにかく急ぐ余り特例法まで作り、あの手この手のあめ玉も用意され、その効果も多少効いて進んでいるようですが、中にはあめ玉を求めることだけがゴールではなかったのかと思われるケースもあり、合併協議が不調に終わった自治体では住民投票やリコール運動まで発展し、地域住民の間に要らぬ感情を生んでおるというのが実情であります。原因は、第一に、国がしっかりした合併の目標、あるべき姿やビジョンを示すことができなかったことであり、国の責任は大きいと言わねばなりません。
 馬の前にニンジンをぶら下げて走らすようなやり方が果たして本当の地方自治のあるべき合併の姿なのか。結局、地方に関心や興味を持たない総理ですから当然の結果とはいえ、改めて、市町村合併をどう認識され、今後どう進めていかれるのかをお尋ねします。
 また、麻生大臣にも、現状認識と、合併が進まない自治体に、何が原因なのか、よく実態を調べておられるのか、特例法に誤りがなかったのか、一度検証する時期ではないでしょうか。
 また、申請期限が過ぎてしまっても合併ができない自治体に対し、国は強権をもって今度はむちを打つなどとよもや考えていないだろうと思われますが、戦後、地方は人材も資源も提供し、今日の日本の繁栄と発展を支えてきた最大の功労者であります。これら地方の自治体に対してもっと敬意を払い、優しく接してやるべきで、現状の国の措置は今までどおり続けていくのが当然と思われますが、この点も併せて、今後の方針も聞かせていただきたいと思います。
 次に、知事の多選問題についてお尋ねします。
 知事多選問題は古くて新しいテーマであり、国会でも過去三回法案が出されましたが、いずれも廃案になりました。そんな中、今月十日、自民党の武部幹事長が四選以上を目指す知事候補を推薦しない意向を表明され、これを受け、首相自身も、トップが長期間やるのも弊害があるのではと支持される考えを示されましたが、その言をかりれば、小泉政権が一日も長く続くのが弊害があるのではと言わなければなりません。
 もちろん、我が党も四選以上の推薦は支持しておりませんが、政権与党の幹事長の立場となれば話は別であります。一つは、憲法にうたわれている法の下の平等や職業選択の自由という民主主義の根幹を否定するということと同時に、いまだ明治以来の中央集権が続く今日の行政機構体制で、政権を握る与党第一党の幹事長の発言は極めて重く、言われる方は大きな圧力として受け止められるものであり、どのような背景で言われたのかは分かりませんが、看過できないものであります。
 また、問題のもう一つは、地方分権が叫ばれながら、四十七都道府県のうち二十七の道府県が自民党が中心になって国の官僚の天下り先として知事を誕生させてきたことこそ、私は問題あると言わせていただきます。おかげで私も負けました。
 地方分権を進めていく中で、どのような知事がふさわしいのかふさわしくないのか、多選が良いのか悪いのか、すべて住民の判断にゆだねることが第一義であって、権力の中枢にいる立場の者が、知事の発言を牽制し、地方自治に圧力を加えるかのごとき言動は、地方分権の足を引っ張ろうとする傲慢な行為であり、大いに問題があると思いますが、総理の考えはどうでしょうか。
 大事なことは、今後進むであろう地方分権の流れの中で知事の力が一段と強まることが予想されますが、多選による弊害よりも、むしろ一人の為政者に独裁的な力を与えていくことの方が問題であり、このことに発する弊害を是正することが第一であって、そのことは立法機関である我々の仕事でもあろうと思いますが、自民党総裁としての総理のお考えを聞かせてください。
 最後に、地震防災対策についてお尋ねします。
 昨年は風水害、新潟県中越地震、ちょうど今日で発生一か月であるスマトラ沖地震、インド洋大津波など激甚な災害が頻発した年となりました。ここに改めて犠牲となられた方々に心から哀悼の意を表し、被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。
 先週は神戸において、我が国がホストカントリーとして百六十八の国と国際機関が参加して第二回国連防災世界会議が開かれ、地球規模の防災力向上に踏み出す国際社会の決意表明をしたことは大変意義深いことであったと思います。
 しかし、国内に目を向けてみますと、十年前の阪神・淡路大震災を契機に種々の対策を講じてきたにもかかわらず、依然として問題山積みという状況を脱しておりません。内陸直下型地震が予想される主要都市の被災リスクの指数を見ても、ニューヨークの四二、パリの二五、北京、ソウルの一五に対して、東京、横浜はその数十倍の七一〇と突出しており、海底で起きると言われる東海・東南海・南海地震が発生した場合、一極集中の問題も加わり、被害は計り知れないと言われています。
 そこで、一つは、国民の安全や安心の確保といった対策をどうされるのか。二つ目は、被災地の復興に当たっては、国と地方の力関係が違い過ぎ、もっと地方が主導で復興する仕組みを作るべきではないか。今、被災地の現場からは災害復興基本法のようなものの制定を求める動きもありますが、これについてどのような考えなのかも聞かせてください。
 また、防災分野にODAの活用を総理は言われましたが、今後、国際的責務をどう果たしていくのか、政府の方針も聞かせてください。
 今も触れましたが、海溝型地震の東南海・南海地震が発生した場合、一万八千人の死者、五十七兆円の経済的被害が想定されています。平成十四年に特別措置法が制定され、その中で民間事業者に対し対策計画の作成、届出を義務付けておりますが、十分進捗していないと聞いておりますが、この対策はどうなのか。
 また、既に国際語となった津波ですが、我がふるさとの浜口梧陵翁の「稲むらの火」が世界的に知られていたことはうれしい限りですが、これらの教訓をどう生かしていくのか。津波対策の先進国と言われている我が国でも、海岸堤防の耐震性の調査もおぼつかず、想定される津波の高さでも半分以上は守れないとの現状。昨年九月に発生した紀伊半島沖地震でも、津波警報の発令や避難に当たり考えられないような様々な混乱が生じており、ハードもソフトも対策の不備が判明しておりますが、この取組をどうされるのか。
 住宅や公共施設の耐震診断や耐震改修は一向に進まず、耐震性の不十分な住宅は一千四百万戸、学校や病院、公共施設に至っては耐震比率も半分以下と、これ以上放置することはできません。
 同時に、災害時における道路ネットワークの整備や迂回道路の整備も重要ですが、現在は緊急輸送道路の耐震比率は全国でわずか三〇%、地震が想定されている静岡県や和歌山県でさえも一〇%台とほとんど機能しないということであり、誠に心もとないことであります。
 これら住宅、学校、病院等における耐震化向上施策や救援活動も含めた道路ネットワークの整備などの問題に関する政府一丸となっての取組について、国土交通、文部科学両大臣にお伺い申し上げ、質問といたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#17
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 大江議員に答弁いたします。
 日本の現状認識、変えるべき点と守るべき点、また小泉内閣の目指す方向についてのお尋ねがございました。
 現状認識としては、小泉内閣誕生して三年九か月たちましたけれども、ようやく日本国民にも悲観的議論よりも新しい時代に挑戦していこうという意欲が出てきたんじゃないか、そして、やればできるという、自信と言わないまでも、何かやってみようという意気込みが若い人にもあるいは高齢者の中にも女性の中にも出てきたような私は気がしております。
 司馬遼太郎氏がよく言うように、人間の一番すばらしい点は、自分のことを悲観的に思わないことだと。野党の皆さんはよく、日本は駄目だ駄目だと、自民党は駄目だと、小泉駄目だと、小泉辞めろ辞めろとよく言っていますけれども、そういう批判に耐えて、私でもやればできるんだ、そういうように気持ちを切り替えて、成長なくして改革なしじゃないと、やはり改革なくして成長なしだと、そういう気持ちでこれからも改革に取り組んで、勇気と希望を持って新しい日本をつくるような、そういう国民的な体制を作り上げていきたいと思っております。
 最も大切な点、どの時代、どの国においても、個人においても、社会においても、企業においても、最も大事なものは自らを助ける精神と自らを律する精神だと思います。自助の精神と自律の精神、そして自らの力だけで助けられない、できないということについてお互いが助け合う、それでお互いが無理なものは公の助けを差し伸べるという、こういう自助の精神、共助の精神、公助の精神、こういう体制を日本国全体で涵養していく必要があるのではないかと。
 しかし、いずれにしても、どの時代においても最も大切にしなきゃならないのは自助と自律の精神だと思います。またこれから、方向は、今言ったようなこの改革の芽、これを大きな木に育てていく、そのために引き続き断固たる決意を持って改革に邁進していく必要があると思っております。(発言する者あり)丁寧に答弁しております。
 財政健全化についてでございますが、我が国財政は平成十七年度末の公債残高が五百三十八兆円程度に達する見込みであり、世界の先進国の中でも最悪の水準となるなど、厳しい状況にあります。こうした状況は、財政の持続可能性を危うくするだけでなく我が国の経済成長を阻害する大きな要因となることから、財政構造改革への取組を一層強化しており、十七年度予算についても二年連続の着実な基礎的財政収支の改善を見込むなどの成果を上げております。
 政府としては、二〇一〇年代初頭には政策的な支出を新たな借金に頼らずにその年度の税収等で賄うよう、引き続き歳入歳出の両面から財政構造改革を推進してまいります。
 我が国の経済情勢についてでございますが、公共投資など政府の財政出動に頼ることなく、民間主導で回復してきております。
 具体的には、不良債権残高の減少、企業収益の大幅な改善、設備投資の増加、企業倒産件数の減少、失業率の低下、有効求人倍率の上昇、こういう改善が見られます。他方、地方経済は、ばらつきがあるものの、景気回復が徐々に浸透しつつあると思っております。
 政府として、こういう改革の芽を地域経済に広く浸透させるとともに、今後とも改革の取組を加速して、引き続き民間主導の持続的な成長を図ってまいりたいと思います。
 地方分権でございますが、これは地方にできることは地方にという理念の下に、改革の全体像について、地方六団体がまとめた改革案を真摯に受け止めて、地方とも協議を重ねた上で政府・与党において取りまとめたところであります。その内容については、地方からも一定の評価をいただいているところであります。
 今年度の一兆円に加え、来年度から二年間で三兆円程度の補助金を改革し、おおむね三兆円規模の税源移譲を目指します。十七年度は一兆七千億円余の補助金の廃止・縮減等を行い、一兆一千億円余の税源を移譲すると同時に、地方自治体の安定的な財政運営に必要な交付税を確保していきます。
 義務教育費国庫負担金の取扱いなど残された課題についても、国と地方の協議の場などを通じて検討を進め、平成十七年中に結論を出します。
 教育に関する関係についてのお尋ねでありますが、新しい時代を切り開く豊かなたくましい人材を守り育てていくということについて、お互いがどうしたらいいか、今真剣に考えなきゃならない問題だと思っております。そういう点において、教育、とりわけ義務教育の役割は重要であると思っております。その実施に当たっては、国は全国的な教育水準の確保と教育の機会均等についての責務をしっかりと担いつつ、地域や学校の創意工夫を生かせるよう、教育の地方分権を進め、市町村や学校の裁量を拡大することが重要であると考えます。
 市町村合併でございますが、市町村が特色を生かした発展を遂げるためには、自らの発意で合併など思い切った改革を進めることにより、行財政基盤を強化する必要があります。今年度に入り既に百余りの合併が成立するなど、合併への取組は着実に進展しています。今後とも政府としては、自主的な市町村合併を推進し、個性的で活力ある地域づくりを支援してまいります。
 知事の多選制限についてでありますが、これはいろんな議論があると承知しています。多選についても、再選禁止とか三選禁止とか四選禁止とか、いろんな議論があります。現に米国では、再選禁止とか三選禁止とか州によって違います。日本におきまして最近も、多選容認論、多選批判論、禁止論いろいろ出ておりますが、この問題につきましては、私は、各党各派においても様々な議論があるようでありますので、今後とも議論を進めて、いかに地方が自主的な住民の参加によってより良い地域になるような、知事の多選問題どうあるべきかというのは主としては地域住民の考えることであると思いますが、国政に関与する皆さん方ですから、そういう皆さん方は自由に自らの意見を述べるのは結構だと思っております。
 地震防災対策ですが、我が国は国土全体が地震や津波の被害を受けやすい地勢にあるため、住宅など建造物の耐震性の強化や、津波に備えるための堤防などの施設整備、防災情報の迅速な伝達体制の確立などを図って、災害に強い国づくりを進めることが重要であると考えます。
 東南海・南海地震などの大規模地震が発生した場合における人的、経済的被害の軽減目標を設定した地震防災戦略を定め、国や地方公共団体、地域住民が協力して防災施設の整備などの事前対策を推進することとしております。東南海・南海地震に関して病院や百貨店などの一定の民間事業者に義務付けられている対策計画の作成はまだ十分とは言えないため、地方自治体の消防機関などを通じて計画作成を働き掛けてまいります。
 被災地の復興でございますが、住民の意向を尊重しつつ、地方公共団体が主体となって計画的に行い、国がそれを支援することが基本であります。新潟県中越地震についても、新潟県が震災復興ビジョンを策定して復興を進める予定であります。政府としては、被災地の要望を把握した上で、引き続き被災地の復興に必要な支援を行ってまいります。
 また、御指摘の災害復興基本法の詳細については把握しておりませんが、災害からの復旧・復興に当たっては、阪神・淡路大震災から学んだ教訓も生かしながら、災害復旧事業や被災者の生活再建を支援する制度による対策を速やかに講じていくことが重要であると考えております。
 防災分野における我が国の対応でございますが、我が国としては、さきの国連防災世界会議の議論を踏まえ、防災協力イニシアティブに基づく包括的かつ一貫性のあるODAを通じた貢献、アジア防災センターを通じたアジア域内での防災当局間の連携強化、国連における防災と復興に関するデータベースづくり等の国際協力等を通じ、国際防災協力を積極的に推進してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(谷垣禎一君) 大江議員から国債管理政策についてのお問い掛けをいただきました。
 現在、我が国は多額の国債残高を抱えておりますし、これからもしばらくは国債の大量発行を続けざるを得ないと見込まれるわけでありますが、その中で一番大事なことは財政構造改革を推進して国債に対する信認を確保していくこと、これがイロハのイではないかと考えております。その上で、中長期的な調達コストを抑制して確実かつ円滑な消化を図ると、こういう基本的考え方に立ちまして、現在、国債管理政策を進めているところでございますが、平成十七年度におきましても、国債発行計画の策定に当たりましては、市場のニーズとか動向等を十分に踏まえたつもりでございます。そのほか、商品性、保有者層の多様化を図るという観点から、個人向け国債につきましては現行の変動金利型に加えて固定金利型の新商品を導入する予定でございます。また、御指摘のように、先般、国債に係る海外説明会を海外において実施いたしました。
 こういう施策を通じまして、現在、国債の保有割合が相対的に低い海外投資家であるとか個人による国債保有を促進して、保有者の多様化を図っているところでございます。
 議員はこれによってキャピタルフライト等が起こるのではないかという懸念を示されたわけでありますが、むしろ市場参加者の投資スタンスが多様化するというようなことで市場の安定性が高まるのではないかと、そして国債の安定消化にも資するのではないかと考えているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(麻生太郎君) 三位一体に対する基本的な考え方ということで御質問をいただいております。
 この三位一体の改革というのは、基本的には地方分権、地域主権というものを理念に踏まえて、基本的には地方が独立できる、自主自立できる、二つ、地方が自己責任、そして、いわゆる政策は自分で決められる、そのためには財源をバックアップしていく、この三つが基本的な目指すものとして考えております。
 先ほど総理から御答弁もありました中で、三兆円の税源ということを目指して平成十七年度も着実にその方向で改革を進めてきておりまして、少なくとも財政の分権というものについてはかつて想像できなかったぐらい分権というものが進んだと思っております。
 一方、財政面では、自由度が増えます分だけ自分で決める、その分の責任というものが付随してくるのは当然であって、地域を経営するというきちんとした立場を取っていただかないと、これは長い目では問題になるということはもう当然のことで、大江議員よく御存じのところだと思っております。
 いずれにいたしましても、私といたしましては、引き続き地方の声というものを十分に耳を傾けながら改革に取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、市町村合併についての御質問がありました。
 御指摘のとおり、進捗には差があります。全然市町村合併が進んでいない県が三県、五〇%以上進んでいる県も六県ございますし、四〇%以上九県等々、いろいろ差があることも確かです。
 私が総務大臣に就任をいたしました二年前の九月末で三千百八十一の市町村というものがございましたが、それが今二千三百六十六、これは大臣決裁が終わったところで二千三百六十六ですから、八百十五減少するというところまで確定をいたしております。
 全般的には、市町村合併というのはいろいろ知事さんのお力添えもいただいたり、その地域の意識等々、随分地域によって差があることも確かであるとは思いますが、現行の合併特例法というものによりまして一定の成果が上がりつつあるのではないかと。これまですうっと進んだのに、これから先も同じスピードで行くかどうかというのは、これはなかなかさようなわけにはいかない。やっぱり、合併しやすいところから合併していったというのも事実だとは思っております。
 次に、期限内に合併をしなかった場合は合併新法に基づいて、引き続き合併新法に基づいて合併を促進するということは確かですけれども、それに当たって合併をできなかったところ、物理的にだれももらい手がなかったところ、これはいろいろ地域によって差がございますので、そういった市に対して強制的にそれを一方的にするというつもりは、私の方としては全くございません。(拍手)
   〔国務大臣中山成彬君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(中山成彬君) 大江議員にお答えいたします。
 教育に関する考えについてのお尋ねでございます。
 義務教育というのは、国家社会の形成者たる国民の育成という面と、子供たち一人一人に、その一生を幸せに、そして有意義に生きるための土台を作ってあげると、こういう二つの目的を持つものと考えております。
 これらの目的を達成するため、国は、全国的な教育水準の確保と教育の機会均等についての責務をしっかり果たしながら、その上で、義務教育の実施に当たっては、できるだけ地域や学校が創意工夫をして最善の教育が行われるようにすることが重要であると考えております。
 三位一体の議論の中で、義務教育制度につきましては、その根幹を維持し、国の責任を引き続き堅持するとの方針の下、費用負担についての地方案を生かす方策や義務教育の在り方について幅広く検討し、本年秋までに中央教育審議会において結論を得ることとなっております。
 国際的な大競争の時代に入りまして、各国とも国家戦略として教育に力を入れておるわけでございまして、私といたしましても、スピード感を持って教育改革を推し進めることによりまして、新しい時代を切り開いていく心豊かでたくましい人材を育成する教育を実現してまいりたいと考えております。
 次に、公立学校施設の耐震化向上についてのお尋ねでありますが、公立学校施設は児童生徒がその一日の大半を過ごす場所であります。また、非常災害時には地域住民の応急避難場所としての役割も果たすことから、その安全性の確保は極めて重要であると考えております。
 特に耐震化については、現在、耐震化が確認されている建物が半数に満たないなど、耐震化の取組が遅れておりますので、平成十六年度補正予算案及び十七年度予算案におきましても、耐震化関連の予算の確保に最大限努力しているところでございます。
 文部科学省としては、地震による災害から児童生徒や地域住民の命と安全を守るため、今後とも耐震補強や改築等を積極的に支援し、安全、安心な学校づくりの実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(北側一雄君) 二問御質問をちょうだいいたしました。一問は津波対策でございます。
 津波対策につきましては、その現状と課題につきまして、現在、専門家の方々にも御参加いただきまして総点検を行っているところでございます。今後の基本的な方針、また対策について今年度中に取りまとめることとしております。これに基づき、ハード・ソフト面にわたる減災対策を強力に推し進めてまいりたいと思っております。
 また、津波から人命を守るためには避難が重要でございます。このため、平成十七年度から津波危機管理対策緊急事業を創設し、着実な施設整備と併せて、津波ハザードマップの作成支援等についても取り組んでまいりたいと思っております。
 御質問で、「稲むらの火」について御指摘がございました。
 私は、大災害の経験を風化をせずにどう後世代に伝えていくか、これは極めて大切な課題であるというふうに、この「稲むらの火」を読んで痛感をしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、国民の皆様に災害に関する防災知識を身に付けていただくことが極めて重要でございます。津波に関しましては、本年七月に全国規模で大規模津波防災総合訓練を実施をいたしたいと思っているところでございます。
 今後とも、津波被害を最小限にするため、総合的な取組を推進していく決意でございます。
 もう一問、住宅の耐震化等につきまして御質問をちょうだいいたしました。
 住宅等の耐震化向上施策につきましては、平成十七年度予算におきまして、従来幾つかございました補助事業を統合化いたしまして、使い勝手のいいものにさせていただきます。また、地方公共団体が実施をいたします住宅の耐震改修事業に助成を行う地域住宅交付金制度を創設をいたします。また、住宅ローン減税につきましては、築後年数要件を撤廃をする代わりに、耐震基準への適合を要件化をいたしております。
 また、今後、早急に耐震化につきまして具体的な目標を定めたいというふうに思っておりまして、地方公共団体等の関係者と協力いたしまして、計画的に耐震化の事業の実施、普及啓発を行ってまいります。平成十七年度税制改正大綱におきまして検討事項とされました耐震改修税額控除制度につきまして、早急にその実現を目指すなど、支援措置の充実を図ってまいりたいと思っております。
 また、緊急輸送道路は災害時におきまして救援活動や物資輸送を行う上で極めて重要な役割を果たしております。耐震対策の推進が重要という認識をしているところでございます。
 緊急輸送道路における橋梁の耐震補強につきましては、昭和五十五年の耐震基準よりも古い基準で設計した橋梁を対象に進めているところでございますが、このうち跨線橋、跨線橋というのは下に鉄道とか道路が走っている橋でございますが、そこにこのような特に優先的に耐震補強を実施する必要のある橋梁につきましては全国の直轄国道の約八割で対策が完了しておりますが、河川橋などについてはいまだ約三割にとどまっておるところでございます。
 今回の中越地震を契機に、国と都道府県等が連携をいたしまして緊急輸送道路の橋梁耐震補強三か年プログラムを作成をいたします。これに基づき、橋梁の耐震対策を重点的に実施して、地震に強い道路ネットワークの構築に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#22
○副議長(角田義一君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#23
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小泉総理に質問します。
 今年は戦後六十年、被爆六十年の重要な節目の年であります。戦後の原点とは何だったでしょうか。
 六十年前、世界は数千万人の人々の尊い命を奪った日本とドイツ、イタリアが起こした侵略戦争を厳しく断罪いたしました。こんなことは二度と起こしてはならない、戦後の世界はこの決意から出発しました。そして、この立場は国連憲章の土台になりました。日本が新しい憲法を作り、二度と戦争はしないと世界に向かって公約し、世界に先駆けた恒久平和主義の決意を表明して国際社会に復帰したのもこの原点に基づくものであります。
 日本が国連に加盟をした一九五六年十二月の国連総会で、当時の重光葵外務大臣は、日本国民は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないように決意し、など憲法前文を読み上げた上で、以上が日本国民の信条であり、この日本国民の信条は完全に国際連合憲章の目的及び原則に合致するものでありますと述べました。
 総理、今日の世界の秩序は、日独伊の侵略戦争への厳しい断罪の上に作られたこと、日本もその立場を受け入れて国際社会に復帰したこと、この認識をあなたはお持ちですか。
 総理は、自民党の党大会で新しい時代にふさわしい新憲法制定の草案を年内にまとめ上げると言明されました。何が新しい時代にふさわしいのか。
 昨年、我が国は、東南アジア友好協力条約に加盟しました。今や、アジアの十七の国と地域、人口にして三十三億人、実に地球人口の五割以上が加入しているこの条約には締約国同士を律する六つの基本原則が定められています。中でも重要なのは、「意見の相違又は紛争の平和的手段による解決」、「武力による威嚇又は武力の行使の放棄」の原則であります。
 憲法九条は、今や国際関係を律する原則として世界とアジアの共有の財産となっており、正に新しい時代にふさわしいものであります。
 ところが、政府は、イラク戦争のようなアメリカの先制攻撃戦略に付き従い、憲法及び世界とアジアの平和の流れに真っ向から逆らう道を歩み続けています。
 第一は、イラクへの自衛隊の派兵と派遣期間の一年延長の決定であります。
 イラクに大量破壊兵器が存在しなかったことをアメリカ自身が認めるに及んで、イラク戦争はアメリカによる無法な侵略戦争であることがだれの目にも明らかになりました。テロとの戦いを理由に挙げていますが、米軍のファルージャ攻撃は、国連のブラヒミ特別顧問がアメリカとアラウィは五十人殺すことで五百人の抵抗運動活動家をつくり出したと述べたように、一層混乱を広げ、今や選挙の実施と正当性に重大な疑問を抱かせるに至っています。
 イラクに駐留する国は、相次ぐ撤退によって、かつての三十七か国から二十か国になろうとしています。大野防衛庁長官は、昨年十二月十三日の衆議院テロ対策特別委員会で、浄水のニーズはなくなると公式に認めています。
 総理、憲法九条を持つ我が国の自衛隊をこれ以上イラクにとどめておく理由は何一つないではありませんか。直ちに撤兵することを求めます。
 第二は、昨年暮れに決定した新防衛大綱で、国際的な安全保障環境を改善して我が国に脅威が及ばないようにすること、そしてそのために同盟国との協力を掲げたことであります。
 同盟国との協力とは何か。これはイラク戦争への自衛隊派兵に明らかなように、アメリカの先制攻撃戦略にいつでも日本の自衛隊を付き従わせることです。そして、その具体化のために、海外派兵を自衛隊の中心任務に据える自衛隊法の改悪までたくらまれています。これは憲法九条に反するだけでなく、紛争の話合いによる解決と武力による威嚇、武力の行使の放棄を基本原理とする東南アジア友好協力条約にも真っ向から対立するものではありませんか。総理の答弁を求めます。
 次に、国民の暮らしについてであります。
 小泉内閣の三年九か月、国民の暮らしと社会はどうなったでしょうか。
 四年前には聞かれなかった言葉に勝ち組、負け組という言葉があります。あなたの政治の結果を最も端的に表すものであります。一握りの大企業と大金持ちだけが潤い、額に汗して働く勤労者、働こうにも職のない多くの若者、戦後の大変な時代から日本社会の発展に貢献してきたお年寄りなど、圧倒的な国民が負け組にされ、今の暮らしだけじゃなくて、将来も脅かされているのです。その結果、社会の基盤がゆがみ、世相が殺伐としているんです。こんな社会に未来はありません。
 今政治に最も求められていること、それは弱肉強食、もうけと効率だけを重んじるのでなく、国民の目線に立って、一人一人の人間が大切にされる、連帯の社会を築くことであります。
 ところが、政府がやろうとしていることは何か。所得税の二〇%、住民税の一五%が減額されていた定率減税の縮小、廃止による大増税、年金保険料や雇用保険料の値上げ、年金生活者への課税強化、年収わずか百万円台のフリーターからも税金を取り立てるフリーター課税、介護保険料・利用料の値上げ、国立大学授業料の値上げ等々、正に老いも若きも負担増のオンパレードであります。その結果、これからの二年間に国民が新たに負わされる負担は、総額で七兆円、一人当たり五万円、四人家族で二十万円以上にもなるのです。
 定率減税は、小渕内閣のときに法人税率の引下げと大金持ちの最高税率の引下げと併せて行われました。大企業と大金持ちの税負担はかつてないほど軽くなっています。ところが、庶民減税はやめて増税をするが、大金持ちとリストラやサービス残業の押し付けなどで大もうけしている大企業への減税には手を付けていません。定率減税は暫定措置だからといいますが、それならどうして庶民減税が暫定で金持ちと大企業は恒久減税なのか。これを弱い者いじめの政治と言わずして何と言うのでしょうか。
 この間の長期にわたる大不況の原因は、橋本内閣の九兆円負担増の押し付けで国民の消費が一挙に冷え込んだためでした。しかし、あのときはまだ曲がりなりにも景気は回復しつつありました。家計の所得は、年間五兆円から六兆円の規模まで伸び続けていました。
 ところが、今国民が使える所得は、内閣府の調査でも、一昨年までの六年間で十四兆円も減り、それを補うために取り崩された貯蓄は実に九兆円にも及んでいるのであります。そこに先ほど述べた七兆円もの新たな負担増をかぶせたら、橋本内閣のとき以上に暮らしと経済がめちゃくちゃになること、そしてそれによる税収の落ち込みによって一層の財政破綻に進むことは、火を見るより明らかではありませんか。あなたはそうならないと断言できますか。
 財政が大変というなら、無駄な超大型公共事業にこそメスを入れるべきであります。例えば関西国際空港の二期工事。今でも利用が減っているのに巨額の税金を投入して拡張する必然性はありません。少なくとも、相次いで開港予定の中部国際空港、神戸空港の需要動向を見極めるまで中断すべきではありませんか。答弁を求めます。
 以上述べたように、日本共産党は、大増税、負担増をやめ、庶民の家計を応援して、経済を健全な発展の軌道に戻す、巨大開発の無駄遣いを本気で一掃する、大企業と大金持ちに力に応じた負担を求めるなど、大企業中心から国民生活中心の経済政策に転換することを強く求めるものであります。
 最後に、参議院の在り方について一言述べます。
 参議院改革として、ODA改革や決算重視の課題が中心的に取り組まれてきました。ODAについての本院の調査は、問題提起の一助となりました。決算重視の姿勢は、政府に決算の提出時期を早めさせるなど前進しました。同時に、今、参議院改革にとって最も重要な課題は、参議院を言論の府にふさわしい審議の場にすることであります。
 本院は、四十年も前の申合せにより、議員数、十人未満の会派は著しく発言機会が制限されています。本会議場での質疑は、通常国会の施政方針に対するものと決算への質問が認められるだけで、その他の議案についてはどんなに重大な案件であっても本会議質問の機会が与えられない運営が長きにわたって行われてきました。
 今国会には、さきに述べた大増税、負担増を始め、自衛隊法の改悪や、改憲の地ならしとも言える国民投票法案など、重大な法案の提出が予定されています。世論調査では、憲法九条を変える必要はないという人が六割から七割にも上っています。大増税路線にも強い批判の声が上がっています。そうした国民の意見を審議に反映させてこそ言論の府としての役割が発揮できるのではないでしょうか。
 それこそ、今、何よりも求められる参議院改革であることを強く指摘して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#24
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員にお答えいたします。
 戦後の我が国外交に関する基本認識でございますが、我が国は、さきの大戦への反省に立ち、これまで、経済大国になっても軍事大国にはならない、平和主義を貫きながら、ODAや国連分担金などの資金面でも、国連平和維持活動などの人的貢献の面でも、世界の平和と繁栄に積極的な役割を果たしてきたと思います。さきの施政方針演説でもこうした基本的立場について述べております。
 国際関係を律する原則でございますけれども、紛争の平和的解決や武力による威嚇又は武力の行使の禁止の原則は、日本国憲法第九条や御指摘の東南アジア友好協力条約のみならず、国連憲章にも見られ、国際関係を律する原則として広く共有されていると考えております。
 自衛隊のイラク派遣でございますが、イラクの復興と民生の安定を図ることは、中東地域のみならず、我が国を含む国際社会全体の平和と安全の観点から重要であります。今後のイラクにおける政治プロセスを円滑に進展させるためにも、国際社会がイラクに対する支援を継続することが必要であると思っております。
 自衛隊派遣はそのような目的を持って実施しているものであり、自衛隊の部隊は憲法の範囲内でイラク特措法に定める人道復興支援活動を行っております。これまでの活動は現地の人々から、イラク暫定政府からも高い評価を受けております。今後とも、適切な警戒や危険回避の措置を取り、隊員の安全確保に万全を期しつつ、自衛隊の活動を継続してまいります。
 自衛隊の任務でございますが、新防衛大綱においては、自衛隊の任務における国際平和協力活動の位置付けを含め所要の体制を整えることとしております。これは、自衛隊が国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組むための措置であり、米国の政策に自衛隊を従属させるためのものではございません。
 また、自衛隊が海外での活動として武力行使や他国による武力の行使と一体化するような活動などを実施しないことは当然であります。こうした活動が憲法や東南アジア友好協力条約との関係で問題が生じることはないものと考えております。
 目指すべき社会についてでございますが、私どもが進める構造改革というのは、国民一人一人や企業、地域が主役となり、自助と自律の精神の下に、努力が報われ、安心して再挑戦できる、自信と誇りに満ちた明るい社会の実現を目指すものであります。
 これまで、雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、新規起業の促進策、構造改革特区や都市再生など、地方の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革などに取り組んでまいりました。引き続き改革を進めて、地域や多くの国民が持っている潜在力が自由に発揮され、国民一人一人が将来の夢と希望を実感できる活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組んでまいります。
 各種の負担増が経済に与える影響でございますが、政府としては、金融、税制、規制及び歳出の各分野における構造改革を更に加速して、民間主導の持続的な経済成長の実現を目指しているところであります。
 各種の負担増が経済に与える影響については、それぞれの制度改正による個々の負担増のみを取り上げて議論することは適当ではないと思っております。例えば、社会保障給付費の総額が年々増加していくことなどを含め、経済全体の中で総合的に考えるべきものであります。
 様々な要因を加味した上で策定した経済見通しにおきましては、我が国経済が、生産や設備投資が増加するなど企業部門が引き続き改善することを背景に、景気回復が雇用・所得環境の改善を通じて家計部門へ波及する動きが強まり、消費が着実に増加すると見込まれていることから、引き続き民間中心の緩やかな回復を続けるものと見込んでおります。
 定率減税の見直しと個人所得課税の最高税率及び法人課税の実効税率の引下げについてでございますが、平成十一年度税制改正においていわゆる恒久的減税が実施された際には、定率減税のほかに個人所得課税の最高税率及び法人課税の実効税率の引下げも実施されたところであります。
 平成十七年度税制改正においては、景気対策のための臨時異例の措置として継続されてきた定率減税について、導入時と比較した経済状況の改善等を踏まえ、その規模を二分の一に縮減することとしたところでございます。
 他方、個人所得課税の最高税率及び法人課税の実効税率の引下げは、税制調査会の答申で指摘されているように、国際化の進展といった我が国経済社会の構造変化に対応した抜本的な税制改革の一部先取りとして実施されたものであり、単純な景気対策である定率減税とは位置付けが異なるものと考えております。
 関西空港二期事業でございますが、平成十七年度の公共事業予算については、従来と同様に投資の重点化、効率化を図ることとし、全体として三・六%削減したところであり、関西国際空港二期事業についても削減した公共事業の枠内で計上したものであります。
 関西国際空港の需要については、関西圏における伊丹、神戸空港の役割分担を明確化した上で、中部国際空港や神戸空港の開港の影響を考慮して精査を行い、二〇〇七年度には二本目の滑走路を必要とする十三万回程度の発着回数に達すると見込んだところであります。
 さらに、厳しい財政事情を踏まえ、事業費を徹底して縮減した上で、必要不可欠な事業に限定し、二〇〇七年に二本目の滑走路を供用することとしたところであります。(拍手)
    ─────────────
#25
○副議長(角田義一君) 福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
#26
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、小泉総理に対して代表質問をいたします。
 昨年は多くの命が失われ、残念ながら政治によって命が軽んじられた年でした。被害を受けられた皆様に一言哀悼の意を表します。今年は命を大事にする政治をこそ実現すべきであると、まず冒頭、強く申し上げます。
 初めに、参議院改革について質問をいたします。
 私は、二院制は当然堅持すべきであると考えています。参議院は良識の府としての役割を持ち、今、参議院改革協議会において努力がなされ、ODAの調査など成果が出ていることを歓迎いたします。
 まず、決算審査の重視で、常会中の審査終結、翌年度予算編成の反映などに実が上げられており、関係方面の努力に敬意を表し、一層の努力を社民党も払っていきます。
 また、今後の課題として、会計検査院に告発権の付与を認めるなど、会計検査院の機能強化を、決算委員会はもとより、改革協議会でも取り組んでいくことが必要だと考えておりますが、この点について総理のお考えはいかがでしょうか。また、参議院でこそ衆議院以上に少数会派の尊重がされるよう期待をいたします。
 次に、基地再編の問題について質問をいたします。
 昨年夏、沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落をしました。この事故は、普天間基地の返還を遅らせてきた日米両政府の政治上の責任です。普天間基地は、役割を終えており、直ちに返還されるべきです。
 また、沖縄の辺野古の沖の海上基地について質問をいたします。
 昨年末からボーリング調査が始まりました。そのことによっても既にサンゴ礁が傷付いております。なぜ、十四年間掛けて沖縄の海をつぶして米軍のための海上基地を造る必要があるのでしょうか。現在、日本の税収は四十四兆円しかありません。この海上基地の建設費用は一兆数千億円掛かります。
 また、重要なことは、この建設の中身はSACO合意にすら反しているということです。このSACO最終報告には、軍民共用化も埋立ても大型滑走路建設も盛り込まれてはおりません。正に無駄な大規模公共事業の象徴であり、大規模環境破壊であり、正に世紀の愚策です。日本政府は、アメリカに対して、普天間基地の早期返還と辺野古の沖への移設中止をきちんと交渉すべきだと考えますが、いかがですか。
 次に、神奈川県の座間キャンプにアメリカ陸軍の司令部が移設されるかもしれない問題について質問をいたします。
 一体、日本はいつから投票権を持たないアメリカの五十一番目の州になったのでしょうか。また、日米安保条約の極東条項にすら明確に反します。総理は、明確にアメリカに対して主張し、交渉すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 イラクでは、アメリカの武力行使の結果、憎悪と報復が拡大をしています。武力行使が事態を最悪にしました。日本は、米軍の占領に加担をし、共犯関係となるべきではありません。オランダ軍撤退後のサマワの治安についても、治安維持は英国が検討していると、まるで人任せ、他人事のような総理の答弁でした。自衛隊の即時撤退を求めます。総理、いかがですか。
 次に、改憲についてお聞きをします。
 憲法九条を改悪し、集団的自衛権の行使をすると総理は言います。
 では、お聞きします。
 集団的自衛権の行使と改憲すれば、イラクにいる自衛隊は、米軍とともにファルージャで村民を狙撃することになるのではないですか。
 今年は、戦後六十年、広島、長崎、沖縄から六十年です。戦争を放棄してきたこの不戦の六十年は日本の宝です。戦争をしなかったからこそ日本は経済発展し、憲法九条があるからこそ、戦後、日本はアジアの中で受け入れられてきました。
 武器輸出三原則の見直し、戦争のできる国にしたら、もう後戻りはできません。戦後六十年の今こそ、戦後補償の問題、東北アジアにおける非核化の問題、核廃絶、劣化ウラン弾の廃止などに取り組み、世界の平和秩序に率先して努力すべきです。どうお考えですか。
 社民党は、東北アジアにおける非核構想と安全保障機構を実現すべく、全力を尽くしてきました。二〇〇五年の今年は、この実現に向けて一層努力をいたします。
 また、教育基本法の改悪法案の上程はすべきではありません。
 教育は、親のためにあるのではなく、国のためにあるのではなく、その子供のためにこそあります。国を愛する心を育てるとすることは、教育は子供の幸せのためにあることを百八十度変えるもので許されないと考えますが、明確な答弁を求めます。
 次に、経済のことについてお聞きをします。
 今、所得の格差が過去最高になっています。一握りの勝ち組以外は振り落として恬として恥じない、そんな社会がつくられつつあります。パート、派遣、契約社員などの非正規雇用の人たちは、四年前は四人に一人でしたが、現在は三人に一人と拡大、しかも、この非正規雇用の人たちの八割は月収が二十万円未満という低賃金で働いています。
 しかも、福祉の切捨てと大増税と各種保険料の値上げという負担増が続きます。介護保険でも、入所者の食費、住居費の自己負担により、平均で月三万一千円の負担増となります。来年度の予算案は正に国民生活破壊予算です。
 総理は、国民の負担増について、そして福祉切捨てからくる生活苦についてどうお考えですか。
 「希望格差社会」という本を読みました。年収や雇用や教育における格差拡大だけでなく、希望ということについても格差が拡大をしています。親の財布の大きさが子供の教育の質を決め、未来を決める、そのことが起きています。希望に格差があるということは子供たちにとってどうしようもないことです。そして、このような社会をつくったことは正に政治の責任です。
 労働法制の規制緩和の見直し、非正規雇用の均等待遇の実現が必要です。いかがでしょうか。
 削減幅が中途半端で聖域化している公共事業や約五兆円の防衛費に鋭くメスを入れ、雇用や中小企業支援、社会保障の安定に特化した予算に組み替えることこそが求められていますが、答弁を求めます。
 総理は、民営化できるものは民営化と言います。しかし、民営化とは金もうけということです。人が地域で生きていくためには、保育、教育、医療、交通手段など公共サービスが必要です。公共サービスがぶっ壊されれば人の命が壊されます。人が地域で生きることを支える公共サービスの確立こそ政治の役割ではないですか。いかがでしょうか。
 また、ILOの勧告にもあるとおり、労働基本権を保障した民主的な公務員制度改革が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、政治とお金についてお聞きをいたします。
 日歯連事件について、解明と責任を明確化させるため、橋本元総理の証人喚問を実現すべきです。また、迂回献金禁止を盛り込んだ政治資金規正法改正をすべきです。さらに、自民党森派の政治資金収支報告書記載漏れの疑惑が新たに報道されました。この事実解明にも国会は取り組まなければなりません。
 なぜ、総理は政治とお金の問題にメスを入れないのでしょうか。
 次に、政治権力のメディアへの介入の問題です。
 当時、官房副長官であった安倍晋三さんは、放送の前に、公正中立の立場で報道すべきではないかと発言をしていることを認めています。番組は、二〇〇一年一月三十日放送の直前、一月二十九日、三十日に大改変が行われています。これは憲法二十一条が禁止している検閲に実質的に当たると考えます。また、放送番組は何人にも干渉されないと規定する放送法三条にも明白に違反しています。
 表現の自由が侵害されるとき、民主主義が死にます。日本の中でメディアが生きるのか死ぬのか、それを決する極めて重要な事件です。事件の解明と責任を明確化させるため、政治家の参考人招致が必要だと考えますが、いかがですか。
 総理は昨日の答弁で、NHKは圧力を受けていないと言っているので問題はないと答弁をしました。しかし、問題の本質が違います。政治権力による圧力によって国民の知る権利が奪われたという重大な問題なのです。このことに関して明確な答弁を求めます。
 夫婦別姓選択制についてお聞きをします。
 結婚をして同姓と別姓のいずれも選択できるよう民法改正してほしいという本当に切実な声がたくさん寄せられています。お考えをお聞かせください。
 最後に、外国人・難民問題についてお聞きします。
 法務省は、十八日、国連難民高等弁務官事務所がマンデート難民と認定したクルド人の親子二人をトルコへ何と強制送還しました。マンデート難民が強制送還されたのは日本において初めてのケースです。なぜこのようなことができるのでしょうか。日本の難民政策の転換を強く求めます。
 今、世界は、武力行使か貧困ゼロを目指すのかの二大潮流がせめぎ合っています。私は、貧困ゼロの潮流は勝つと確信をしています。そして、これは日本国憲法が指し示しているものです。
 今この社会に起きていることは、憲法で保障されていることが保障されず、踏みにじられていることから生じています。年金の社会保障の問題は、生存権の問題、平和の問題でも九条がきちんと生かされていないという問題があります。
 今年二〇〇五年、憲法が規定している具体的な価値を実現し、平和をつくり、暮らしを守っていくことに社民党は全力を挙げることを国民の皆さんにお誓い申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#27
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 福島議員にお答えいたします。
 決算審査の重視と会計検査院の機能強化でございますが、国会の決算審査や会計検査院が行う検査の重要性については政府としても十分認識しているところであります。このため、平成十五年度決算については、参議院の要請を踏まえ、昨年十一月十九日、例年より早期に国会に提出したところであり、今後とも参議院における決算審査の充実に引き続き協力してまいります。
 会計検査院の権限をどのように定めるかについては、高度な立法政策にかかわることであり、慎重な対応が必要であると考えますが、今後とも、会計検査院が国会と緊密な連絡、協調を保ち、更に有効に機能することを期待しております。
 普天間飛行場の移設・返還でございますが、普天間飛行場の移設・返還については、SACO最終報告や代替施設の基本計画等を踏まえ、早期にこれを実現すべく、これまでアメリカ側と緊密に協議してきているところであります。引き続き、平成十一年の閣議決定等に従い、沖縄県等の地元地方公共団体と十分協議を行いながら、早期の移設・返還に向けて努力してまいります。
 米陸軍司令部の移設問題ですが、在日米軍の兵力構成見直しについては、現在、地域の情勢認識、戦略目標、日米両国の役割、米軍の軍事態勢の見直しについての考え方等の基本的論点について包括的議論を行っております。
 御指摘の問題も含めて個別の施設・区域に関する議論の内容について申し上げることができる段階にはありませんが、いずれにせよ、在日米軍の兵力編成見直しに係る協議においては、抑止力を維持するとともに、地元の過重な負担を軽減する観点から、どのような見直しが可能か、米国と協議を進めてまいります。
 自衛隊はイラクから撤退すべきとの御指摘でありますが、イラクの復興と民生の安定を図ることは、中東地域のみならず、我が国を含む国際社会全体の平和と安全の観点から重要であります。今後のイラクにおける政治プロセスを円滑に進展させるためにも、国際社会がイラクに対する支援を継続することが必要であると思います。自衛隊派遣はそのような目的を持って実施しているものであり、これまでの自衛隊の活動は現地の人々やイラク暫定政府からも高い評価を受けております。今後とも、隊員の安全確保に万全を期しつつ活動を継続してまいります。
 憲法改正でございますが、憲法九条や自衛隊の在り方については様々な議論があると承知しております。憲法が実態にそぐわないのであれば、憲法改正の議論を避けるべきものではないと思います。同時に、憲法改正については、十分に時間を掛けて国民が議論することが大事であります。集団的自衛権についてどのような内容のものを考えるかという点も含めて、新しい時代における憲法の在り方については、大いに国民的な議論を深めていただきたいと思います。
 戦後六十年を迎えた現在における諸問題についてでございますが、さきの大戦に係る戦後処理問題については、我が国としては、サンフランシスコ平和条約及びその他の関連する条約等に従って誠実に対応してきております。
 北東アジアの非核化について、一般的に非核地帯は適切な条件が満たされるのであれば核拡散の防止等の目的に資するものと考えます。他方、北東アジアにおいては、非核地帯構想実現のための現実的な環境はいまだ整っていないと考えております。なお、北朝鮮の核問題については、六者会合を通じた平和的解決のため引き続き努力してまいります。
 核廃絶について、我が国は、唯一の被爆国として、核兵器のない平和で安全な世界を一日も早く実現することを目指して、国連総会に毎年核軍縮決議案を提出する等積極的な外交努力を行ってきております。
 劣化ウラン弾の健康被害等について、国際機関等による調査が行われておりますが、これまでのところ、国際的に確定的な結論が出されたとは承知していません。他方、国際機関等は劣化ウラン弾の影響に関して更なる調査を検討していると承知しており、政府としては、このような動向を注視していく考えであります。
 教育基本法改正でございますが、私は、教育基本法の改正については、人格の完成や個人の尊厳などの普遍的な理念は今後とも大切にしつつ、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養など、現在及び将来の教育において重要と考えられる新たな理念を盛り込むべきと提言した中央教育審議会答申や与党における議論を踏まえて、引き続き国民的な議論を深めながら改正に向けて積極的に取り組んでまいります。
 税や保険料といった国民負担についてですが、少子高齢化が進展する中で社会保障制度を将来にわたって持続可能で安定的なものとしていくためには、年金、医療、介護、生活保護等の各分野における総合的な改革を進めていくことが不可欠であります。今までのように負担は軽く給付は厚くというわけにはいかない状況になってきていると思います。
 なお、御指摘の介護保険については、平成十七年度予算案において、本通常国会へ関連法案の提出を予定している制度改革により、在宅と施設介護の利用者負担の公平化と年金給付との調整を図るため、介護施設の入所者に居住費、食費を御負担いただくこととしておりますが、あわせて、所得に応じた補足給付を設けるなど、低所得者に対するきめ細かな配慮を行うこととしております。
 小泉内閣の経済政策の成果についてでございますが、これまで、ようやく民間主導の景気回復が進んできたと思っております。雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、新規起業の促進策、構造改革特区や都市再生など地方の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革などに取り組んでまいりましたが、この結果、不良債権残高の減少や失業率の低下等の成果も着実に現れてきております。引き続き改革を進めて、活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組むことが私どもの責任であると考えております。
 労働法制の規制緩和、非正規雇用の均等待遇でございますが、経済社会の構造改革を加速するためには規制改革を進めることが重要であり、労働法制に関する規制の改革についても、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ適切に対応してまいります。また、パートタイム労働者と正社員との均衡処遇の推進など、働き方にかかわらず、だれもが安心して働くことができるような労働環境の整備を進めてまいります。
 十七年度予算案についてでございますが、一般歳出を三年ぶりに前年度以下に抑制し新規国債発行額を四年ぶりに減額するなど、財政規律堅持の姿勢を明確にするとともに、増額するのは社会保障と科学技術振興の分野のみで、公共事業関係は四年連続、防衛費は三年連続マイナスとするなど、めり張りのある予算となっており、予算の組替えは必要ないと思っております。
 行政改革でございますが、国民の多様な要望にきめ細かくこたえるには、民間やNPOのノウハウを活用することも有効な方法であると考えております。民間にできることは民間にという方針の下、官か民かにとらわれず、国民が質の高いサービスを受けられる仕組みを構築することに全力を傾けてまいります。
 公務員制度改革ですが、ILOから政府に対して関係者との話合いを行うよう要請されていることも踏まえつつ、新たな人事制度の構築に向けて今後とも職員団体を始めとする関係各方面と幅広く話し合っていくことが必要であると考えております。
 政治と金の問題でありますが、政治家一人一人が襟を正し、政治活動の公正性と政治資金の透明性を確保していかなければならないと思います。
 一億円献金問題については、既に昨年十一月三十日の衆議院政治倫理審査会において橋本氏から説明がありました。さらに国会における関係者の証言が必要かどうかについては、国会において決めるべき問題であり、各党各会派において十分に議論していただきたいと思います。
 いわゆる迂回献金のように、政治資金規正法に対する脱法的な行為はあってはならないものであります。与党が提出している政治資金規正法の改正案も、迂回献金との疑惑の払拭も含め、政治資金の一層の透明性を確保しようとするものであります。迂回献金禁止の条項を設けることによって実効性が期待できるかなどの点も含め、各党で十分御議論いただきたいと考えます。
 清和政策研究会の政治資金収支報告書に関する新聞報道については、清和政策研究会では政治資金に関して政治資金規正法にのっとって適正に処理していると聞いているところであり、政治資金規正法上問題があるとは承知しておりませんので、事実関係について調査する必要はないものと考えております。
 NHKの問題ですが、本件については、NHK自身が自主的な判断に基づいて編集して放送したものとしており、また、NHKにおいては、改めて調べた結果、政治的圧力を受けて番組の内容が変更された事実はないとしていると承知しております。
 いずれにしても、本件は報道の自由にかかわる問題であり、報道機関において適切に対応すべき事柄であると考えます。
 また、国会における参考人招致の問題は国会において決めるべき問題であり、各党において十分に議論していただきたいと思います。
 夫婦別姓選択制ですが、婚姻制度や家族の在り方と関連してこれまでも様々な議論がなされてきたと承知しており、国民の意識動向を踏まえつつ、与野党間でよく協議していただきたいと考えております。
 クルド人の強制送還についてですが、お尋ねの親子については、確定判決において、従前居住していたトルコで迫害された事実はなく、難民と認定すべき事情がないと判断されたものでありますが、今後とも難民認定に当たっては人権と人道に十分配慮するよう努めてまいります。
 また、我が国としては難民と認定できない場合でも、国連難民高等弁務官事務所がマンデート難民と認定した方について、同事務所から第三国送還についての具体的な提示があれば、今後とも政府としてできる限り協力してまいります。(拍手)
#28
○副議長(角田義一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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