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2005/04/08 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 本会議 第15号
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2005/04/08 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 本会議 第15号

#1
第162回国会 本会議 第15号
平成十七年四月八日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十五号
  平成十七年四月八日
   午前十時開議
 第一 携帯音声通信事業者による契約者等の本
  人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用
  の防止に関する法律案(衆議院提出)
 第二 社会保険労務士法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 第三 流通業務の総合化及び効率化の促進に関
  する法律案(内閣提出)
 第四 構造改革特別区域法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、刑法等の一部を改正する法律案(趣旨説明
  )
 一、民間事業者の能力を活用した市街地の整備
  を推進するための都市再生特別措置法等の一
  部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 刑法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。南野法務大臣。
   〔国務大臣南野知惠子君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(南野知惠子君) 刑法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 人身の自由を侵害する行為の典型であります人身取引については、国連において、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人(特に女性及び児童)の取引を防止し、抑止し及び処罰するための議定書、いわゆる人身取引議定書が採択されていますが、近年、我が国でも、人身取引やこれに関連する反社会的行為が発生していることがうかがわれます。
 政府としても、人身取引が重大な人権侵害であるとの認識の下、その防止・撲滅と被害者保護に向けた総合的な対策を進めており、平成十六年十二月には同議定書を早期締結すべきことも盛り込んだ人身取引対策行動計画を策定しております。
 加えて、人身の自由を侵害する行為としては、長期間の監禁事案や悪質な幼児略取誘拐事案、国境を越えた略取誘拐事案など、現行の罰則では適正な処罰が困難な事案も見られます。
 また、同様に国連で採択された国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する陸路、海路及び空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書、いわゆる密入国議定書は、他人を不法入国させることを可能にする目的で行う不正な旅行証明書の製造等の犯罪化等について規定しており、我が国においてもこれに沿った国内法を整備する必要があります。
 なお、政府は、平成十六年十二月、テロの未然防止に関する行動計画を策定しましたが、その中でも、テロリストを入国させないための対策の強化が求められているところです。
 この法律案は、両議定書の締結に伴い、また近年における人身取引その他の人身の自由を侵害する犯罪の実情等にかんがみ、刑法、出入国管理及び難民認定法等を改正し、所要の法整備を行おうとするものです。
 この法律案の要点を申し上げます。
 第一は、刑法を改正して、人身取引議定書の締結に伴い必要となる罰則の新設等を行うものであります。すなわち、同議定書が定める人身取引の処罰を可能とするため、人身売買の罪を新設するほか、臓器摘出目的を含む生命若しくは身体に対する加害の目的で行う略取等や、被略取者引渡し等の行為の処罰規定を整備することとしています。また、国外移送目的略取等の罪の構成要件を日本国外移送から所在国外移送に拡大するほか、逮捕及び監禁の罪並びに未成年者略取及び誘拐の罪の法定刑を引き上げることとしています。
 第二は、出入国管理及び難民認定法を改正して、人身取引議定書及び密入国議定書の締結並びにテロリストの入国防止のための規定の整備を行うものであります。
 まず、人身取引された者の保護に関し、これらの者につき、一部の上陸拒否及び退去強制の対象から除くとともに、上陸特別許可及び在留特別許可の対象となることを明示し、他方、人身取引の加害者につき、新たに上陸拒否及び退去強制事由を設けることとしています。また、不法入国等を容易にする目的で行う旅券等不正受交付等の罪を新設するほか、船舶等の運送業者に対する外国人の旅券等の確認義務や、外国入国管理当局に対する情報提供に係る規定の整備を行うこととしています。
 第三は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律を改正して、今回新設する罪等を犯罪収益等の前提犯罪とするものであります。
 その他所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。林久美子君。
   〔林久美子君登壇、拍手〕
#7
○林久美子君 私、林久美子は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました刑法等の一部を改正する法律案について、各大臣に質問をさせていただきます。
 まず冒頭、私は、政治の役割というのは声なき声に耳を傾け、人々の悩みや苦しみを我が事として真正面から受け止め、一つ一つ丁寧に解決していくことであると考えています。そうした思いで本日は質問をさせていただきます。
 人身取引は重大な犯罪であり、被害者、とりわけ女性や児童に対して肉体的、精神的に苦痛を与え、その損害を回復することは難しく、著しい人権侵害でございます。
 グローバル化の進展の中で国際的な人身取引の被害者が増加しており、今や人身取引は、国際的犯罪組織にとって最も利益の上がるビジネスとなってしまいました。世界では、毎年およそ六十万人から八十万人が人身取引の対象となっていると推定されています。これは、日本国民の一人として恥ずかしく、また女性の一人として痛みを覚えずにはいられません。
 さらに我が国は、アメリカ国務省が昨年六月に発表した人身売買年次報告書において、人身取引への対策が不十分であるとして、我が国は監視対象国という大変に厳しい評価を受けました。主要八か国の中で監視対象国とされたのは日本とロシアだけでした。
 我が国日本は、主に東南アジア、南米、東欧からの女性の受入れ国となっておりますが、政府は、昨年四月にようやく重い腰を上げ、人身取引対策に関する関係省庁連絡会議を設置し、人身取引に関する行動計画を昨年十二月に策定をいたしました。
 外国から名指しで批判されるまで実効性のある人身取引対策を取らずに事態を放置してきたことは、余りにも人権感覚に乏しく、我が国の良識を疑われることになりかねません。政府の「無責任の責任」は大変に重いと考えます。政府の責任をどのように考えているのか、なぜもっと早く対策を講じなかったのか、官房長官にお伺いいたします。
 国連関係者の推定によれば、日本国内における人身取引の被害者の数は二万五千人にも上ると言われています。人身取引は現代によみがえった奴隷制度であり、早急な対策が必要です。
 政府は、人身取引の実態や被害状況についてどのように認識、把握していらっしゃるのか、具体的にこの一年間の被害実態の調査結果をお伺いいたします。また、NGOなどと連携をしながら調査を実施する予定はあるのかどうか、併せて法務大臣にお伺いいたします。
 次に、人身取引に関する罪の新設についてお伺いいたします。
 これまで我が国においては、人身取引によって不当な利益を得ている加害者の多くは処罰すらされず、現実には人身取引の被害者だけが不法滞在や不法就労として逮捕され、勾留され、犯罪者として強制送還されてきました。
 人身取引に関する刑罰法規としては、これまで刑法の営利目的等略取及び誘拐罪や売春防止法違反、そして出入国管理及び難民認定法の不法就労助長罪などがございましたが、警察庁の人身取引事犯の検挙状況によりますと、平成十六年一年間における検挙件数は七十九件、検挙人員は五十八人で、このうちブローカーの検挙人員は二十三人となっています。ブローカーの検挙人員は余りにも少ないと言わざるを得ません。
 このため、今回の改正では、人身買受け罪と人身売渡し罪を新設をいたしまして、これらの行為を処罰の対象としています。これにより、人身取引事犯の検挙件数、犯罪集団の摘発がどの程度増やせると考えているのか、犯罪予防効果があるのか、法務大臣に見解を伺います。また、今後、捜査体制をどのように拡充するおつもりなのか、国家公安委員長にお尋ねをいたします。
 次に、入管法の改正に関連して伺います。
 今回の改正によって、入管業務、難民認定業務の遂行に資する情報を外国の当局に提供できる規定が追加されます。人身取引対策や密入国・テロ対策の上で、諸外国との情報交換はもちろん必要です。しかし、難民申請者の情報については、難民申請者及び関係者の安全確保のために慎重な取扱いが必要です。
 法務省は、我が国に難民申請したトルコ国籍を持つクルド人の難民不認定訴訟に関連をして、トルコ当局に申請者の情報を提供し、協力を得て現地調査を行った結果、国へ退去強制処分となった本人を含め、その家族をも危険な状況にさらしたとして批判を受けています。
 難民認定業務上の外国政府への情報提供については、どのような指針に基づいて運用をしていくのか、法務大臣にお伺いいたします。
 そして、最大の問題点、被害者保護の在り方についてお伺いをいたします。
 今回の改正については、全体として国際的組織犯罪防止条約を補足する人身取引議定書における加害者処罰にとどまっており、被害者を保護するという視点が不十分で、被害者軽視であると言わざるを得ません。
 さらに、人身取引が組織的に行われている以上、その構図を明らかにし、積極的に犯罪の防止に取り組んでいかなければ人身取引を根絶することはできません。つまり、被害者が、自分はどのような経緯で日本に入国をしてきたのか、自分がどのような立場、境遇に置かれていたのかというようなことを我が国の当局に安心して訴えることができなければならないということです。犯罪を摘発するという観点からも、そのような環境を整備する必要があるのではないでしょうか。
 今回の法改正で被害者保護の措置が十分であるのか、法務大臣にお伺いいたします。また、被害者の協力が十分に犯罪捜査に生かされるのか、国家公安委員長にお伺いいたします。
 そもそも、政府の行動計画は、各省庁の裁量にゆだねている部分が多く、実効性のあるものとは到底考えられません。計画では、被害者保護がうたわれ、医師の診察、カウンセラーの派遣等を検討するともされておりますが、だれがどこに派遣をするのか、費用負担はどうするのかはあいまいなままで、明確な医療費の保障はされていません。心と体に深い傷を負っている被害者にとって、安心できる医療すら受けられずして、一体何が被害者保護なのでしょうか。
 さらに、人身取引被害者保護のために各都道府県に設置されている婦人相談所等の活用を図るとも記されておりますが、ドメスティック・バイオレンスの被害者支援などに追われている中で、婦人相談所において十分な対応ができる余裕などないというのが現状です。
 私の地元滋賀県でも、婦人相談所で相談員の方が昼夜を問わずに懸命に被害者保護に当たっていらっしゃいます。しかし、増加するドメスティック・バイオレンスの被害者保護を行っている現状の中で人身取引の被害者に対してもきめ細かな対応ができるかというと、言語の問題や生活習慣、安全の確保、そして人員などを考えたとき、極めて困難であるという声も聞かれました。さらに、NGOなどからは、予算措置が伴わなければ婦人相談所は単なる警察用ホテルになってしまうとの指摘や、余りにも実態を知らなさ過ぎるという嘆きも聞かれます。
 こうした現場の状況を無視して負担を丸投げする、そういうおつもりなのでしょうか。それで本当に被害者が救われ、人権が守られると考えていらっしゃるのでしょうか。
 婦人相談所の現状をどのように認識していらっしゃるのか、また機能強化が必要であると考えますが、いかがでしょうか。あわせて、今後、予算措置も含む被害者保護の体制整備について政府はどのように対応するおつもりなのか、官房長官及び厚生労働大臣に見解をお伺いいたします。
 私たち民主党は、現地、現場の声に耳を傾け、被害者の気持ちに寄り添ったとき、今回の刑法や入管法、あるいは風営法の個別法の改正にとどまらず、被害者の保護や支援について責任を持って取り組める体制の整備、財政支援などを明記した法律の制定が必要であると考えています。そして、今、人身取引をめぐる国際的な動向を踏まえつつ、被害者の視点に立ち、被害者保護が法律の中に明確に位置付けられ、救済、支援を柱とした包括的な法律の策定への取組を進めております。
 先ほど申し上げました婦人相談所などの現状を踏まえ、民主党は、人身取引の被害者保護を目的とした人身取引被害者保護センターという専門的な施設が必要であると考えています。多様な言語に対応できる通訳者の配置を始め、医療やカウンセリング体制の充実が必要です。被害者が精神的にも深い傷を負っていること、安全で信頼できる環境が必要なこと、被害者の母国語や文化、生活習慣を理解するスタッフが必要なことをかんがみても、民主党が考える専門的な職員を中心として構成された保護施設の設置の実現が強く求められます。
 また、被害者にとって身近な地方公共団体については、人身取引を防止するのとともに、人身取引被害者の適切な保護を図る責務を負い、明確にその役割の重要性を盛り込むべきであると考えています。
 こうした民主党の提案について、官房長官はどのような見解をお持ちであるのか、お伺いをいたします。
 被害者の保護や支援は、本来国の責任で行われるものと考えますが、国と関係機関や民間団体との連携、協力体制の整備も不可欠です。これまで人身取引の撲滅や被害者の保護を中心に行ってきたNGOや民間団体の知識や経験を十分に生かしつつ、被害者の保護や支援は行われるべきです。
 民主党は、こうしたNGOや民間の団体に対して、国や地方公共団体が財政上の措置を含め、情報の提供や必要な援助を行うよう努めるべきであると考えますが、官房長官と法務大臣の見解をお伺いいたします。
 我が国における人身取引の問題は、社会的認識が薄く、自分には関係のない外国人の問題であるという日本人の意識の在り方とも向き合わなくてはなりません。しかしながら、今改めて我が国に暮らすすべての人々、この世界に生きるあらゆる人々の人権を尊重するのが二十一世紀の国際社会の使命であると考えます。犯罪の撲滅、被害者の保護や支援のために、私たち一人一人の心に問い掛けながら、声なき声を上げ苦しんでいる人々を救うため、被害者保護の視点の重要性をお訴え申し上げ、私の質問とさせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣南野知惠子君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(南野知惠子君) 林久美子議員にお答え申し上げます。
 まず、人身取引の実態の認識、被害状況の把握についてお尋ねがございました。
 人身取引は重大な人権侵害であり、十分な対策が必要であると強く認識いたしております。法務省といたしましては、昨年六月から、地方入国管理官署において人身取引の被害者として扱った事案を入国管理局に報告させ、被害実態の大まかな把握には努めておりましたところ、昨年十二月に人身取引対策行動計画が策定されたことを受けまして、本年一月には、人身取引の定義等を明確にした上で、全国の地方入国管理官署における取扱いを徹底し、正確な実態が把握し得るようにした結果、一月以降の被害者は、タイ人、コロンビア人及びフィリピン人など十三人となっております。
 御指摘のとおり、被害者の実態を把握するためには、実際にそうした被害者を支援しているNGOなどと連携することも有効であると考えておりますので、今後、具体的な連携の方法について検討してまいりたいと思っております。
 次に、人身売買罪の新設による犯罪の摘発、予防効果等についてのお尋ねがございました。
 我が国の刑罰法規の基本法である刑法に人身売買罪を設けることにより、国民の規範意識を喚起し、人身取引に対する抑止効果を高める意義は大きいと考えております。その効果を具体的な数字で述べるのは困難でありますが、この法律案では、人身売買罪のほか、人身取引に関連する一連の行為を処罰の対象としており、捜査機関においても、人身取引事犯に対しては、これら新しい罰則を積極的に適用して、その取締りの一層の強化に努めるものと承知しており、人身取引の防止や撲滅に資するものと強く期待しております。
 次に、難民認定業務における情報の外国政府への提供についてのお尋ねがございました。
 今回の改正で新設することとしている外国入国管理当局に対する情報提供の規定は、我が国の入国管理当局が外国入国管理当局へ情報提供を行う際の基本的な手続、範囲等を明確にすることとしたものでありますが、この規定を新設しても、入国管理局が保有するあらゆる情報を外国入国管理当局に提供できるようになるわけではなく、当然、他の法令等により、又は性質上提供できない情報も存在します。
 これまでも、法務省は、難民認定申請者に係る情報については、相手国の国情を踏まえ、申請者のプライバシーの保護及び新たな迫害の誘発のおそれなどについて十分配慮してきております。今後もこれに十分配慮しつつ、適切に運用してまいりたいと考えております。
 次に、被害者保護の措置についてのお尋ねがございました。
 今回の改正において、人身取引等の定義規定が置かれることにより、被害者の認定がより客観的かつ迅速に行われるものと考えられます。また、人身取引等により他人の支配下に置かれたために不法滞在状態に陥った者であっても、在留特別許可により保護の対象となり得ることを法律上明記することなどにより、これまで被害の申告をためらっていた被害者が安心して入国管理局等に出頭して被害の申告ができるようになると考えられます。
 その結果、被害者の保護を積極的に進めることが可能になるものと期待されます。
 以上のとおり、今回の改正は被害者の保護のために有効なものであり、実際の運用においても、人身取引等の被害者の保護に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、国とNGOや民間団体との連携についてのお尋ねがございました。
 法務省におきましては、人身取引事案について、国際移住機関やNGOなどと緊密に連携を取り、例えばNGOから通報を受けた場合には、帰国を希望する被害者に在留特別許可を与えるとともに、NGOの運営するシェルターに保護を求めたり帰国支援に当たったりするなどの取扱いを行っています。今後とも、こうした事案に関しては各方面の方々と積極的かつ緊密な連携に努めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣細田博之君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(細田博之君) 林議員にお答えいたします。
 人身取引対策の遅れについての政府の責任についてお尋ねがございました。
 人身取引は重大な人権侵害かつ国際組織犯罪であり、早急な取組が必要であります。議員が御指摘のように、これは絶対的な悪事であり、絶対に許されてはならないことであり、また、被害女性を救済しなければならない事柄であると承知しております。
 我が国は平成十四年に人身取引議定書を署名し、その早期締結のための検討を進め、御指摘の人身取引対策関係省庁連絡会議において早急に対策を取りまとめるよう指示を行い、人身取引対策行動計画を作成いたしたわけでございます。これまでもそういう努力を積み重ねて、また、今回、法改正をお願いしておるわけでございますけれども、私自身先頭に立ちまして、人身取引による被害者を救済し、諸外国からの批判を受けることのないよう最大限の努力を継続してまいります。
 次に、被害者保護の体制整備についてのお尋ねがありました。
 人身取引被害者の保護は、人身取引対策の一つの大きな柱であると認識しております。昨年十二月の行動計画でも、婦人相談所のシェルターとしての活用、民間シェルター等への一時保護委託の実施を位置付けたところであります。
 婦人相談所の体制整備につきましてはこれまでも進めてきたところでありますけれども、今後とも人身取引問題という新しい課題にしっかりと対応するため、専門研修の実施、通訳の適時適切な配置等によりまして、被害者の保護、支援体制の強化を図ることとしております。
 さらに、平成十七年度予算におきましては、新たに人身取引被害者につきまして民間シェルター等への一時保護委託制度を開始することとしたところであり、今後とも被害者保護の体制整備に努めてまいりたいと存じます。
 次に、民主党の御提案、人身取引対策のための法律についての見解についてお尋ねがありました。
 政府といたしましては、昨年十二月に人身取引の防止・撲滅と被害者の保護を含む総合的、包括的な人身取引対策行動計画を策定いたしまして、その一環として刑法等の改正案を御審議いただいているわけでございますが、そのほか被害者保護のための必要な予算措置も講じております。まずは、行動計画に掲げる施策の着実な実施が重要であり、それによりましてかなり効果が上がるものとは考えております。
 しかしながら、与党、野党もいろいろなお考えがあるとも承っておりまして、このような政府の実施状況等を踏まえまして、今後、検証、検討を重ねまして、そしてこの問題の重要性につきまして国民の皆様に認識を深めていただき、通報とか保護とかいろいろな輪を広げていくということが何よりも大切であると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、NGOや民間団体に対する情報の提供や援助についてのお尋ねがありました。
 人身取引被害者に対しまして適切な支援を行うためには、これまで人身取引被害者の保護を中心に行ってきたNGOや民間団体の連携協力を図ることが重要であることから、昨年末の行動計画の策定過程におきましてもNGOや民間団体の御意見を伺ってきたところであります。
 政府としては、婦人相談所に対し民間シェルター等の関係民間団体との連携協力に努めるよう求めるとともに、各都道府県において民間シェルターの職員等も対象にした研修会、関係機関間の連携を強化するためのネットワークの整備を通じて、民間団体とノウハウの共有化を図っていけるよう支援してまいりたいと考えております。
 さらに、平成十七年度予算におきましては新たに人身取引被害者の民間シェルター等への一時保護委託の経費を計上したところでありまして、これらの手段を活用して民間団体に対し必要な支援を行ってまいります。
 民間団体も非常に、このDVの問題も従来からでございますが、この人身取引について非常に検討され、いろいろな対策を講じようという動きが高まっておりますので、政府としてもよく連携を取りながら一日も早くこのような事態が解消できますよう努力してまいります。(拍手)
   〔国務大臣村田吉隆君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(村田吉隆君) 人身取引罪の新設に伴う警察の捜査体制についての御質問がございました。
 人身取引事犯は、被害者の心身に著しい苦痛をもたらす深刻な人権侵害行為であると認識をしております。
 このため、今国会に提出した風営法の一部改正案でも、人身売買の罪等を風俗営業の許可の欠格事由とする規定、接待飲食等営業を営む者等に接客従業者の就労資格の確認義務を課す規定を新設したところでございます。
 警察では、刑法及び風営法等の改正案の成立後は、これらの改正法も含め、関係法令を的確に運用して、ブローカー等に重点を置いた取締りを推進するものと承知しております。人身取引事犯の捜査体制についても、その充実強化に配慮するよう警察を指導督励してまいりたいと考えております。
 また、人身取引事犯被害者の協力の捜査への活用に関する御質問をいただきました。
 被害者の協力を得ることは、悪質な雇用者やブローカーの刑事責任を追及する上で極めて重要であると認識をしております。
 ところで、被害者である外国人女性は、ブローカー等から、警察に保護を求めれば母国に残した家族に危害を加えると脅かされるなどしており、警察に正しく被害を申告をしない者が多いと承知をしております。そこで、事情聴取に当たっては、できる限り女性職員や被害者の母国語を理解する職員を充てるなど、被害者が安心して被害を申告できるよう警察を指導してまいりたいと考えております。
 なお、警察では、外国人女性に被害者であることを名のり出るよう呼び掛けるリーフレットを百万部作成して広く配布することとしているわけでございます。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(尾辻秀久君) 婦人相談所の現状、被害者保護の体制整備についてのお尋ねでございました。
 婦人相談所の体制につきましては、近年、DV被害者への対応等、御指摘いただきましたように業務が増えてきておりますことから、ここ数年、婦人相談員の増員、一時保護の予算の増額などを図りますとともに、心理療法担当職員の一時保護所への配置や外国人対応のための通訳費の計上など、鋭意体制整備を進めておるところでございます。
 こうした中で、人身取引被害者の保護につきましても、平成十六年度において婦人相談所への保護を希望された被害者の方は全員保護がなされておるところでございます。
 また、被害者が医療を必要とする場合には、婦人相談所に置かれた医師の診療に加えまして、状況に応じて無料低額診療事業を行う医療機関を始めとする周辺の病院など利用可能な諸制度等について情報提供を行うなどにより、必要となる医療の確保に努めておるところでございます。(拍手)
#12
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#13
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
 民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。北側国土交通大臣。
   〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(北側一雄君) 民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 「稚内から石垣まで」を合い言葉に国を挙げて取り組んでおります全国都市再生につきましては、平成十六年度に創設したまちづくり交付金制度などを活用し、全国の各都市でその自主性を生かした取組が進められているところでございます。
 こうした取組を一層推進していくためには、市町村の創意工夫を生かした都市再生と連携して行われる民間プロジェクトを促進することが効果的であり、民間事業者がノウハウや資金を活用して市街地整備を強力に推進することができるよう適切な措置を講じていくことが必要です。
 この法律案は、このような必要性を踏まえて提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、都市再生整備計画に記載された事業と一体的に施行される、都市再生に資する民間都市開発事業の立ち上げを支援するため、当該事業を行う民間事業者に対して、民間都市開発推進機構が当該事業の施行に要する費用の一部を出資等により支援する制度を創設することとしております。
 第二に、宅地の所有者等が議決権の過半数を保有する株式会社又は有限会社を区画整理会社として土地区画整理事業の施行者に追加するとともに、土地区画整理組合及び市街地再開発組合について、組合員からの決算関係書類の閲覧、謄写の請求権を規定するなど組合運営の適正化を図ることとしております。
 第三に、市街地整備のための資金調達を円滑化するため、土地区画整理事業を施行する区画整理会社に対する都市開発資金の無利子貸付制度を創設することとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。芝博一君。
   〔芝博一君登壇、拍手〕
#17
○芝博一君 皆さん、おはようございます。私は、民主党・新緑風会の芝博一です。
 さて、国会の周辺は今正に桜の花が満開の中、さきに質問に立たれました同僚の林久美子議員と美女と野獣コンビで、私からは、ただいま議題となりました民間事業者の能力を活用した市街地の整備を推進するための都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして、北側国土交通大臣に質問させていただきます。
 私の地元三重県では、日本人の旅の原点とも言われるお伊勢参りの地であるとともに、伊勢志摩国立公園を始めとする豊かな自然環境と美しい景観に恵まれた地域であり、また、イセエビや松阪牛などの三重ブランドに代表される数多くの優れた特産を有していますが、現在、この優れた地域資源を生かすべく、観光による地域の再生に取り組んでいるところであります。しかし、再生という言葉からもお分かりのように、三大都市圏以外の他の地方都市と同様に、地域経済の実情は誠に厳しいものがあります。
 今回の法案提出理由は、地方における民間プロジェクトへの民間資金誘導のための金融支援の創設等、特に地方都市を中心にした全国都市再生の一層の充実を図ろうとするものと理解しており、地方都市の再生を願う我が民主党は、基本的に本法案に賛成でありますが、委員会審査に先立ち、今後の地方都市再生に向けた施策の在り方について、その基本的な事柄を中心に、順次、質問をさせていただきます。
 まず第一に、地方都市の衰退理由の分析についてであります。
 以前の地方都市は、駅を中心とした市街地に人が集まり、相当のにぎわいがありました。しかし、現在は中心市街地でシャッターを下ろしたままの商店が目立ち、いわゆる銀座通りからシャッター通りに変貌して、中心市街地に立地しているデパート等の大規模商業施設も撤退が続くなど、まちなかの空洞化に拍車が掛かっており、瀕死の状態にあると言っても過言ではないでしょう。その原因には、モータリゼーションの進展、住宅地や商業施設、公共施設の郊外への立地、移転等、様々な理由が考えられるところです。
 そこで、まず、なぜこれほどまでに地方における中心市街地が空洞化してしまったのか、国土交通省として必要な分析を行っているものと思いますので、御説明ください。
 第二に、地方都市におけるこれまでの公共投資の妥当性についてお尋ねをいたします。
 都市機能の郊外移転が中心市街地の空洞化の一因であることに議論の余地はありません。が、しかし逆説的にとらえるならば、中心市街地が商業施設や業務施設に特化したことにより、その土地で生活を行うには適しない環境が中心市街地で形成されてきたということではないでしょうか。本来、都市というものは、複数の機能が存在をするとともに様々な職業の人たちがその土地で暮らすことによって成り立つものと考えます。しかし、現在では商店街の人々も住宅は郊外へとシフトしているような状況下にあり、このままでは中心市街地の再生もままなりません。
 バイパス等の整備が推進され郊外化が進展する一方で、これまでの中心市街地への公共投資が果たして妥当なものであったのでしょうか、大臣の見解をお伺いいたします。
 第三に、まちづくり交付金の在り方についてお尋ねをいたします。
 地域の歴史や文化、自然環境の特性を生かした個性あふれるまちづくりを実施し、全国の都市再生を効率的に推進することを目的として平成十六年に創設されたまちづくり交付金は、現在、三百五十五の地区の事業に対して交付されており、それぞれの政策目標の実現に向けて熱心な取組が行われています。私は、地方の自主性や裁量性の高い本制度の創設を歓迎するとともに、二年目を迎えて、地方の意欲に即した制度の拡充や改善が行われてしかるべきだと考えています。
 そこで、この一年を振り返り、まちづくり交付金の執行状況を伺うとともに、現状をどのように評価されているのか、その見解をお聞かせください。
 第四に、民間都市開発推進機構による業務特例についてお尋ねいたします。
 民間都市開発推進機構は、公共施設等の整備を伴う優良な民間都市開発事業に対して、従来から金融支援を通じてその立ち上げ支援を行ってきました。今回の法改正には業務の特例として民間都市開発事業を施行する事業者に対する出資等の支援制度が盛り込まれており、その意義を認めるところであります。しかし、三大都市圏とは異なり民間の活力が必ずしも十分とは言えない地方都市での民間都市開発事業は、民間の開発意欲が旺盛な大都市のプロジェクトに比べて、地域経済の大きさに見合った規模のものとなり、結果、所有資金量は全体としては少なくて済むものの、地域経済や地価動向等のいわゆる地方リスクが存在しております。今回創設される出資等によるエクイティー支援は、公共施設等の整備に要する費用の額の範囲内に限るとされています。
 民間活力が必ずしも十分でない地方都市等においては、公共施設等の整備を負担してまで事業を行う民間事業者は極めて限定的になるのではないかと懸念もある中で、今後は実態を見ながら出資等の額に関する規定を緩和するなど、より効果的な施策が展開される可能性があるのでしょうか、その見解をお聞かせください。
 第五に、土地区画整理事業の現状等についてお尋ねいたします。
 土地区画整理事業は、これまで戦災復興事業や高度経済成長期における新市街地の整備に著しい成果を上げてきました。しかし、時代の変化とともに都市政策の重点は既成市街地の再構築へと移行し、土地区画整理事業により密集市街地の解消や土地の集約化等による都市機能の更新を図ることなどが求められてきております。しかしながら、多くの人々が生活を営んでいる既成市街地にこれまでの事業をそのまま適用した場合には、移転戸数の増加による事業費の拡大や事業期間の長期化、多様な権利関係の存在による合意形成の難航等、様々な問題を抱えているのも事実です。
 また、土地区画整理事業は、都市基盤施設の整備と良好な住宅や宅地の提供に大きな功績を有しておりますが、事業目的や仕組み、手続等が複雑であることから、さらにバブル経済の崩壊に伴って事業構造が一変する中、地価の値上がりを前提としている土地区画整理事業の推進は大変厳しい状況となってきております。
 土地区画整理事業の多くは組合と公共団体によって施行されておりますが、近年、相当数の組合方式の事業の推進が滞ってきております。その理由は今述べたところでありますが、今後の土地区画整理事業の在り方はどのように変化するのでありましょうか。また、組合方式は時代にそぐわないものになってしまったのでしょうか。はたまた、今回の法改正によって創設される区画整理会社方式による事業は今後どのように進展するのでしょうか。さらに、この区画整理会社方式に適した事業とはどのようなケースが考えられるのでしょうか、御説明ください。
 第六に、区画整理会社の公共性の担保についてお尋ねします。
 我が国の現下の課題である地方都市の再生を実現するためには、中心市街地の活性化など各都市の課題を解決するための重要な手法となっている土地区画整理事業の活用が求められていることは言うまでもなく、しかも、その手法にあっては、民間のノウハウや資金等を活用していくこと、すなわち、今回の改正により創設される会社形態による施行者の導入は時代の要請でもあると認識をしております。
 その一方で、土地区画整理事業にあっては、国民の権利を制約し、強制的に権利の変動を行うという性格を持ち合わせていることから、地権者の合意を重視した事業となっていますが、その合意形成が事業展開を長引かせていることの一因であることは先ほど触れたとおりであります。が、このことは、まちづくりには住民の声がいかに大切であるかということの証左でもあります。
 そこで、区画整理会社が施行を行う場合、土地区画整理組合と同等の権利保護が図られてしかるべきだと認識しておりますが、区画整理会社の施行事業においてはどのように事業の公共性、事業実施の公正性・公平性を担保する施策を講じているのか、御説明をお願いいたします。
 第七に、今回の法改正で、なぜこの時期に区画整理会社の制度が創設されたのかという点であります。
 平成十四年の第百五十四回通常国会で可決成立をした都市再生特別措置法に合わせて改正された都市再開発法により、市街地再開発事業については会社組織である再開発会社が事業を施行できるようになりました。そこで、まず、再開発会社施行の市街地再開発の施行状況とその評価について簡単にお触れいただくとともに、今回なぜこの時期に区画整理会社を施行者に追加することになったのでしょうか。もう少し早い時期に法改正を行うことが可能ではなかったのでしょうか。法改正の時期の妥当性についてお伺いをいたします。
 都市再生特別措置法の附則には、施行後十年以内に、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて措置を講ずるものと定められています。このことは、時間と場所を限定し、思い切った施策の展開を図ることで都市を再生しようとする趣旨であると考えます。また、法律制定当初においては、三大都市圏を中心とした再開発の実施による緊急経済対策的性格が強く表れておりました。しかし、その後は全国の都市を再生すべく、その対象の拡大を図ってきたところであります。
 このことからも分かるとおり、都市再生は大都市の再生と地方都市の再生という二つのアプローチを同時並行的に行う国家的プロジェクトでもあります。
 また、緊急性という意味では、地方都市の再生は大都市のそれとは事の性質が異なりますが、むしろ空洞化にあえぐ地方都市こそ緊急性を持った対策が必要ではないかと考えています。
 私は、その土地で生まれ育ったことが将来的なハンディとならないよう必要な措置を講じることは、まさしく政治の責任であると考えています。
#18
○議長(扇千景君) 時間ですから、まとめてください。
#19
○芝博一君(続) 最後に、北側大臣の地方都市の再生に懸けるその決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(北側一雄君) 芝議員にお答えをいたします。
 八問御質問をちょうだいいたしました。
 地方都市の中心市街地の空洞化の原因分析が第一問でございます。
 地方都市の中心市街地の空洞化の原因につきましては、都市ごとに様々であると思われますが、住宅の郊外への立地が進んだことに加え、市役所、病院等の公共公益施設が手狭になったことなどにより郊外へ移転し、中心部の空洞化が進んだこと、また、車社会が進展する中で、郊外の大型店舗を利用する消費者が増える一方、中心市街地の商業が消費者ニーズに十分対応できなくなり、中心商店街の空洞化が進んだこと、さらに、中心市街地における土地の細分化や複雑な権利関係に加え、中心市街地の土地所有者等の高齢化が進んでおり、土地の効率的な利用が必ずしもなされていないことなどがあると思われます。
 現在、専門家の方々にも入っていただきましてアドバイザリー会議を設けまして、中心市街地の空洞化の原因の分析、その活性化をさせるためのまちづくりの在り方の検討などを進めているところでございます。
 次に、これまでの地方都市の中心市街地への公共投資の妥当性にお尋ねがございました。
 多くの地方都市におきましては、これまで人口増加などに合わせて郊外開発が進み、公共投資についても、こうした状況に対応するため、郊外の道路整備などを行ってまいりました。
 一方、中心市街地については、大規模な再開発事業などを行って、商業施設や業務施設の立地の促進に努めてきたところでございます。
 しかし、人口の減少、少子高齢化の進展、経済の安定成長という都市をめぐる環境の変化を踏まえれば、今後は、都市の成長拡大というよりも、潤いのある豊かな都市生活を送ることができるよう、生活に必要な機能をコンパクトにまとめた都市、環境や景観などをより重視した都市をつくっていくことが必要であると考えておるところでございます。
 議員の方から、都市というものは様々な職業の人たちがその土地で暮らすことで成り立つものであると、こういう御指摘ちょうだいしました。全く同感でございます。
 国土交通省といたしましては、そうした視点も重要視しながら、まちづくり交付金の活用や、また、まちなか居住の促進などに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、まちづくり交付金の執行状況、現状に対する評価についてお尋ねがございました。
 まちづくり交付金は、市町村の自主性、裁量性を高めた、従来の補助金とは全く異なる財政支援措置として平成十六年度に創設をされまして、現在、二百九十市町村、三百五十五地区において事業が行われております。
 これらの市町村においては、中心市街地活性化、観光振興など、地区の特性に合わせた目標が設定され、道路、公園、公営住宅などの従来型の事業だけではなくて、空き店舗活用事業、子育て支援施設の整備など、市町村提案による事業を組み合わせて、地域の創意と工夫を生かしたまちづくりが進められているところでございます。
 このような状況の下、まちづくり交付金については、多くの市町村から使い勝手が良いとの評価を受けているところでございまして、全国都市再生の推進に大きく貢献しているものと考えております。
 平成十七年度におきましては、市町村の創意工夫が一層生かされるよう、市町村の提案事業の割合の引上げなど必要な制度改善を行うとともに、予算につきましても、一千三百三十億円から一千九百三十億円に大幅に増額し、新たに三百八十四地区を新規採択するなど、全国都市再生に資する取組をより積極的に支援をしてまいります。
 次に、民都機構の業務特例についてお尋ねがございました。
 今回の出資制度は、地方都市において、道路、公園などの公共施設、駐車場などの公益的施設を備えた優良な民間事業を実施しようとする際、これらの施設の整備に要する費用負担が事業立ち上げの障害となることが多いことにかんがみ、出資によって資金を供給することを目的として創設するものでございます。
 このため、今回の出資につきましては、こうした公共公益的施設の整備に要する費用の範囲内で予算上の手当てをしているところでございますが、今回創設する制度につきまして、創設の趣旨を踏まえつつ、当面、その着実な運用を図るとともに、地方都市の経済の実態、目標の達成度合い、民間事業者や市町村の意見などを参考としながら、地方都市の再生という目的が達成されるように、制度の適切な在り方について必要に応じて検討を加えてまいりたいと考えております。
 次に、区画整理会社施行による今後の土地区画整理事業の進展についてお尋ねがございました。
 土地区画整理組合は、今後とも重要な事業方式であると考えております。しかしながら、必ずしも事業を熟知しているとは限らない地権者自らが経営に当たっていることから、資金調達の難航やノウハウの不足により、事業が遅延したり事業化が困難となる事例が見られるところでございます。
 これらに対して、区画整理会社におきましては、資力、信用とノウハウを有する民間事業者が参画することから、民間事業者の創意工夫や資金力を生かした円滑な事業展開が可能となると考えております。
 今後の土地区画整理事業は、我が国の人口増加が頭打ちになる中で、中心市街地の活性化や密集市街地の解消など既成市街地を再生することに重点を置いていくこととしておりますが、区画整理会社はそうした場面で十分に活用できると考えております。
 例えば、土地を活用する意向のある地権者を中心にいたしまして、上物の建築等に参画意向のあるデベロッパー、建設会社や地場の工務店等の民間事業者が共同で出資して区画整理会社を設立し、土地区画整理事業を実施するなど、区画整理会社の特徴を生かした活用を期待しておるところでございます。
 次に、区画整理会社による事業の公共性、事業実施の公正性・公平性の担保についてお尋ねがございました。
 区画整理会社は、株式会社又は有限会社でありますが、地権者が議決権の過半を保有することなど、地権者が支配する会社であることを要件としております。事業実施の手続につきましても、施行の認可や換地計画の決定に際し、全地権者の三分の二以上の同意を必要とするなど、土地区画整理組合の場合と同等以上の慎重な手続を設けているところでございます。さらに、区画整理会社の事業及び会計については、都道府県知事による検査、命令等の監督を受けることとしております。これらの措置により、区画整理会社による事業の公共性等につきましては担保されているというふうに考えております。
 次に、再開発会社の施行状況と区画整理会社施行制度を今回創設する理由についてお尋ねがございました。
 再開発会社施行の市街地再開発事業につきましては、平成十四年の創設以降、五地区で都市計画決定をされており、うち三地区では既に施行の認可を得ているなど、民間事業者の資力、信用とノウハウを活用した円滑な事業推進が図られていると考えております。
 再開発会社制度の導入は、当時、大都市を中心とした都市再生の実現が強く求められていることを背景として、大規模な建築物の整備等を念頭に、民間資金やノウハウ等を活用して都市の再開発を積極的に推進しようとしたものでございます。
 しかしながら、現在、全国の各都市においては、中心市街地の活性化、密集市街地の防災性の向上などが大きな課題になっております。市街地再開発事業のみならず土地区画整理事業の活用のニーズが高くなっているというふうに認識をしておるところでございまして、このため、今回の改正においては、民間事業者の資力と信用、ノウハウを活用した円滑な事業展開を可能とし、全国の各都市が抱える課題の解決に資することをねらいといたしまして、区画整理会社施行制度を創設をしたところでございます。
 最後に、地方都市再生に懸ける決意についてお尋ねがございました。
 地方都市につきましては、現在、中心市街地の空洞化、高齢社会の進展への対応の遅れ等の問題がある一方、大都市に比べまして、地域固有の文化や街並みが残っていたり、近隣に豊かな自然環境が存在をしております。地方都市のこうした特徴を踏まえ、地方都市を文化と歴史を承継しつつ、豊かで活力に満ちた都市へと再生させることは、国家喫緊の課題であると認識をしておるところでございます。
 国土交通省といたしまして、まちづくり交付金、都市計画制度、景観法など、まちづくりの基本的な仕組みの活用、改善を図りつつ、地方都市の再生に向けて今後とも全力で取り組んでまいる決意でございます。(拍手)
#21
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#22
○議長(扇千景君) 日程第一 携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。総務委員長木村仁君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔木村仁君登壇、拍手〕
#23
○木村仁君 ただいま議題となりました法律案につきまして、総務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、携帯電話事業者による契約者の管理体制整備の促進及び携帯電話役務の不正な利用の防止を図るため、事業者に対し契約締結時及び譲渡時における本人確認を義務付けるとともに、本人確認に応じない場合等には役務の提供を拒否できることとするほか、罰則規定を整備することをその主な内容とするものであります。
 委員会におきましては、いわゆる振り込め詐欺の実態、本法律案の犯罪抑止効果、各省庁の連携体制と国民への周知徹底、警察署長が事業者に対し契約者確認を求める目的等について質疑が行われました。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#24
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#25
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#26
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           二百十  
  賛成             二百十  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#27
○議長(扇千景君) 日程第二 社会保険労務士法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。厚生労働委員長岸宏一君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔岸宏一君登壇、拍手〕
#28
○岸宏一君 ただいま議題となりました法律案につきまして、厚生労働委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、裁判外紛争解決手続を利用しやすくするため、個別労働関係紛争について社会保険労務士が行う代理業務の範囲を拡大する等所要の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、代理業務を行うに必要な研修・試験の在り方、労働争議不介入規定を削除する理由とその影響等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#29
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#30
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#31
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           二百九  
  賛成             二百九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#32
○議長(扇千景君) 日程第三 流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長田名部匡省君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔田名部匡省君登壇、拍手〕
#33
○田名部匡省君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における物資の流通をめぐる経済的社会的事情の変化に伴い、流通業務の総合化及び効率化の促進を図るための事業に係る計画の認定、許可等の特例、中小企業者の資金調達の円滑化等の措置について定めようとするものであります。
 委員会におきましては、本法律案の目的と今後の物流行政の課題、総合効率化事業による物流コストの二酸化炭素の削減効果、中小物流事業者に配慮した支援策等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して仁比委員より、本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#34
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#35
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#36
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           二百九  
  賛成            百九十五  
  反対              十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#37
○議長(扇千景君) 日程第四 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長高嶋良充君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔高嶋良充君登壇、拍手〕
#38
○高嶋良充君 ただいま議題となりました法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、特定行刑施設における収容及び処遇に関する事務の委託促進事業に係る措置、公私協力学校設置事業に係る措置その他の構造改革特別区域に係る法律の特例に関する措置を追加しようとするものであります。
 委員会におきましては、川越少年刑務所の現地視察を行うとともに、地域のバランスの取れた規制改革の実施、行刑施設の事務の民間委託の必要性、民間委託できる事務の具体的内容、刑務所警備を民間委託する際の問題点、公私協力学校の安定的、継続的な運営の確保等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 昨日、質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し五項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#39
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#40
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#41
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数           二百六  
  賛成            百九十八  
  反対               八  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#42
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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