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2005/05/11 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 本会議 第20号
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2005/05/11 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 本会議 第20号

#1
第162回国会 本会議 第20号
平成十七年五月十一日(水曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二十号
  平成十七年五月十一日
   午前十時開議
 第一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、介護保険法等の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 小川勝也君から海外渡航のため来る十五日から八日間の請暇の申出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(扇千景君) この際、日程に追加して、
 介護保険法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。尾辻厚生労働大臣。
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(尾辻秀久君) 介護保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 介護保険制度については、本年で施行から五年を迎えるところですが、サービスの利用者数が施行当初の二倍を超えるなど、制度として国民の間に順調に定着しつつあります。一方で、サービスの利用の伸びに伴い、給付費も急速に増大しており、今後、高齢化が一層進展する我が国において、制度の持続可能性を確保していくことが喫緊の課題となっております。このような中で、介護保険制度が将来にわたり国民生活の安心を支え続けられるよう、また、認知症の高齢者の増加等の新たな課題に対応できる制度となるよう、制度全般にわたる改革を行うこととした次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、予防給付の対象者、内容、マネジメント体制の見直しを行うことなどにより、介護保険制度を予防重視型のシステムへ転換することとしております。
 第二に、在宅と施設の間の利用者負担の不均衡の是正等の観点から、介護保険施設等における居住費及び食費を保険給付外とするとともに、低所得者の施設利用が困難となることのないよう、所得に応じた新たな給付を行うこととしております。
 第三に、認知症の高齢者の増加等に対応し、身近な生活圏域単位での新たなサービス体系を確立するため、都道府県知事が事業者の指定等を行うこれまでのサービス体系に加え、市町村長が事業者を指定し、指導監督等を行うことができる地域密着型サービスを創設することとしております。
 第四に、サービスの質の確保・向上を図るため、介護サービス事業者等の指定等について更新制を設けるとともに、介護サービス事業者について情報の公表を義務付けることとしております。
 以上のほか、認定調査を委託できる者の範囲の見直し等要介護認定の見直し、「痴呆」の用語の見直し、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し等の所要の改正を行うこととしております。
 なお、この法律の施行期日は、一部を除き平成十八年四月一日としております。
 また、この法律案は衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりでございます。
 修正案は、地域支援事業のうち、被保険者の権利擁護のため必要な援助を行う事業については、市町村の任意事業から必須事業に改めるものとすること、及びこの法律の施行後三年を目途として、予防給付及び地域支援事業について、その実施状況等を勘案し、費用に対するその効果の程度等の観点から検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする旨の規定を追加するものとすることを内容とするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。国井正幸君。
   〔国井正幸君登壇、拍手〕
#9
○国井正幸君 私は、ただいま議題となりました介護保険法等の一部を改正する法律案について、自由民主党を代表して総理並びに厚生労働大臣に質問いたします。
 冒頭、イラクでの日本人拘束の件について申し上げます。
 報道によりますと、五月八日、齋藤昭彦氏と見られる日本人男性がイラクの武装勢力に拘束されたとのことであります。誠に遺憾なことであり、政府におかれましては、正確な情報収集に努められるとともに、救出に万全を尽くすよう、取り組まれるよう強く要望いたしておきたいと思います。
 法案の質問に入る前に、社会保障制度の一体的見直しに関してお伺いいたします。
 昨年、通常国会における年金制度改革法の審議の過程での三党合意を踏まえ、このほど年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議が設置されました。私は、昨年の通常国会において、厚生労働委員長として持続可能な年金制度を再構築するためにその先頭に立ってまいりました。その立場からしても、社会保障制度の改革について幅広い議論が始まったことを万感の思いを込めて評価するものであります。
 与野党の間で年金の一元化などについては意見の相違があると言われておりますが、国民の声を虚心坦懐に聞き、英知を集めれば、その溝は埋まるはずであります。
 そこで、まず総理に、両院合同会議の設置された意義をどのように評価されておられるのか、そしてどういった方向に議論が集約していくのが望ましいとお考えなのか、率直な御感想をお伺いしたいと思います。
 次いで、地域医療問題について質問いたします。
 御承知のとおり、医療制度改革の一環として、昨年度から医師の新臨床研修制度が導入されました。これは、医師の診療能力を高めるとともに、医師の人格を涵養するなど、その資質を向上するために大変有用な制度であると考えております。
 しかし、この制度の導入により、地方中核病院等では医師不足が発生し、病棟を休止若しくは閉鎖する事態にまで立ち至っております。
 私の選挙区である栃木県においても、地元新聞社のアンケート調査によると、二次救急指定病院を中心とする県内中核病院二十八病院中、五病院七病棟が一部休止を含め休止するという事態に陥っております。さらに、常勤医師の減少により、当直回数の増加や専門外診療への従事、新臨床医師への指導等で他の常勤医師の負担が増加しているとも言われております。
 地方に生活する者にとって、地方中核病院の病棟休止は極めて深刻な問題であります。特に、少子高齢化が大きな社会問題となっている今日、政府を挙げて子供を産み育てやすい環境整備に努めている中にあって、地方における周産期医療体制の後退は断じて避けなければならない最重要課題であります。
 厚生労働大臣におかれましては、これらの問題をどのように認識されておられるのか、そしてどのように対処されるおつもりなのか、お伺いいたします。
 さて、介護保険法に関連して伺います。
 平成十二年に介護保険法がスタートしてから丸五年が経過いたしました。当時、介護が社会問題として深刻化し、家族に重い負担がのし掛かる中で、社会全体として要介護者を支える制度の創設が強く望まれておりました。制度発足当初は、多様な高齢者の置かれた状況を公平公正に認定できるのか、市町村の対応は大丈夫なのかといった心配の声もありました。
 しかし、関係者の多大の御努力により、介護サービス基盤の整備が充実し、介護保険は今日ではしっかりと社会の中に定着してまいりました。その一方、介護に掛かる費用は年々増加し、制度設立時の三兆六千億から平成十七年度予算では六兆八千億円へと急激に膨らんでまいりました。
 厚生労働大臣には、介護保険制度の施行後の五年間を振り返り、どのように評価されておられるのか、また、将来の高齢社会の一層の進展をにらみながら、どういった方向へ制度を更に改革していくべきなのか、御所見をお伺いしたいと存じます。
 今回の制度改革は、先ほど大臣の御説明にもありましたように、将来にわたる持続可能な制度設計を前提として、予防重視型システムへの転換、食費など施設給付の見直し、新たなサービス体系の確立、介護サービスの質の向上などが図られ、とりわけ保険財政の状況を勘案しながら、給付の効率化、重点化が進められるものと承知いたしております。
 厚生労働大臣には、介護保険財政の悪化をにらんで、効果的かつ効率的な予防重視型システムへ移行することの重要性を分かりやすく御説明いただきたいと存じます。
 次に、在宅介護者と施設利用者の負担の公平性を確保する観点から行われる居住費用、食費などの施設給付の見直しに関してであります。
 野党の一部には、居住費用や食費が介護保険の対象から外されることは施設利用者の負担を重くするとの理由で、法案自体に反対するのではないかと伝えられております。しかしながら、本法案は、低所得者に対しては負担を軽減する措置が導入されると理解いたしております。
 厚生労働大臣には、こうした低所得者に対する負担軽減の措置について、国民の間で誤解や理解の不足がないよう、この場でしっかりと明確に御説明いただきたいと存じます。
 最後に、今回は見送られましたが、国民の間で最も関心が高いのが介護保険の対象者の拡大の問題であります。
 これには、まず介護保険の保険料を負担すべき対象者の拡大と、次いで保険給付を受けられる者の範囲の拡大があろうと思いますが、衆議院における附帯決議との関連を含め、今後どのように検討されるおつもりなのか、お伺いいたします。
 保険負担者については、これまでも多くの場で議論され、二十歳以上の者にまで対象を広げるべきとの意見がある一方、就業パターンや学習行動が多様化し、一概に二十歳以上の者が保険料負担に耐え得るとの判断は難しくなってきているのではないかと思われます。
 また、ニート、パラサイトシングルなどと言われるような若者が増加傾向にあり、二十歳そこそこの若者に負担を求めるのは困難であり、結局は親の負担増になるとの見方があるのも事実であります。
 したがって、現在四十歳以上となっている保険料負担の年齢制限を、例えば三十歳以上に引き下げるのが今日的な現実的判断ではないかとの意見もあります。
 保険給付者の範囲拡大については、加齢とともに発生率が高くなるような疾病、具体的にはがんなどの患者が想定されているようであります。
 ただ、これに対しても、本来ならば医療の範囲で対応すべき患者に介護保険を適応することは、その理念から判断しておかしいのではないかとの意見や、介護保険の適応をずるずると増やしてしまうことになり、保険財政を悪化させ、ひいては介護制度に対する国民の信頼を失わせることになるのではないかとの懸念する声もあります。
 厚生労働大臣は、衆議院の附帯決議において盛り込まれた介護保険の対象拡大について容認される発言をされておられますが、こうした懸念の声をどのように説得されるのか、現在のところの御認識をお聞かせいただきたいと存じます。
 今後、急速に進む少子高齢化の中で、介護保険の充実は、今回の法改正に限らず、継続的に求められるものと思います。時代変化や若者を中心とする国民の意識の移り変わりにも激しいものがあります。
#10
○議長(扇千景君) 国井君、時間が来ております。簡単に願います。
#11
○国井正幸君(続) 今後とも、介護保険が国民に信頼され、高齢者が安心して暮らせる社会を実現するためにも、柔軟かつ機動的に介護保険を改革し、制度設計を不断に見直されんことをお願いを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#12
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国井議員にお答えいたします。
 年金制度をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議でございますが、急速な少子高齢化が進む中で、年金制度を始めとする社会保障全般にわたる見直しというのは、私は早急に取り組むべき課題だと申し上げてまいりました。今般、全政党参加の下に、衆議院・参議院合同会議が設置され、将来にわたり持続可能な社会保障制度の構築に向けて議論が開始されることは歓迎すべきものと考えております。
 私は、この会議において、年金一元化を始め、これまで提起されてきた諸問題についてあらゆる観点から議論を尽くしてもらいたいと考えており、政府としても、会議における議論が円滑、効率的に行われるよう協力してまいりたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(尾辻秀久君) 地域医療の問題についてお尋ねがございました。
 新臨床研修制度の実施によりまして、実施前に比べますと、東京都、大阪府といった大都市が研修医数を減らしております反面、北海道や沖縄県が研修医数を増やしておりまして、全体として見ますと大都市偏在が緩和される傾向にもございます。
 一方、地域におきまして必要な医療を確保することは重要でございまして、平成十五年十一月に厚生労働省、総務省、文部科学省が地域医療に関する関係省庁連絡会議を設置をいたしまして、地域における医療対策協議会の設置を推進するなど、様々な取組を実施してきたところでございます。
 さらに、平成十七年二月には医師の需給に関する検討会を立ち上げまして、本年度、医師の養成、就業の実態を含めて総合的に検討しておるところでございまして、その提言も踏まえて、地域における医師確保について必要な施策を講じてまいります。
 介護保険制度の評価と改革の方向についてのお尋ねがございました。
 介護保険制度のサービス利用者数は三百二十万人と五年間で二倍を超え、家族の介護負担が軽くなった、サービスや事業者を選びやすくなったなど、国民の評価も年々高まっておりまして、老後の安心を支える制度として順調に定着したと考えております。
 今回の見直しは、介護保険制度が今後の高齢化が進んだ社会においても将来にわたり持続可能なものとなるよう、給付の効率化、重点化を図りますとともに、サービスの質の向上を図る改革を行おうとするものでございます。
 効果的かつ効率的な予防重視システムの移行についてのお尋ねがございました。
 今回の改正では、軽度者に対するマネジメントやサービスの内容を見直すこととしておりまして、これにより介護給付費の効率化を図っていくこととしております。また、筋力向上トレーニングに関しては、御指摘も十分踏まえまして、効率的で効果的なものとなるよう適正な介護報酬や運営基準を設定してまいりたいと考えております。
 施設給付の見直しについてお尋ねがございました。
 施設給付の見直しに当たりましては、低所得の方にとって過重な負担とならないよう十分な配慮を行うこととしております。具体的には、低所得者の方については所得に応じた低額の負担上限額を設けますとともに、現行の社会福祉法人による減免制度の運用の拡充により、きめ細かな対応を図ることとしております。
 被保険者、受給者の範囲についてのお尋ねがございました。
 被保険者、受給者の範囲につきましては、今回の介護保険制度の見直しにおきましても関係者の間で主要な論点の一つとして議論が行われてきたところでございますけれども、なお範囲の拡大については賛否両論が見られますので、国民の合意形成に向けた検討が更に必要であると考えております。
 こうした状況を踏まえまして、幅広く国民各層に参画をしていただく新たな検討の場を設けまして、社会保障制度全般についての一体的な見直しと併せて検討を行いまして、平成十八年度末までに結論を得たいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(扇千景君) 小林正夫君。
   〔小林正夫君登壇、拍手〕
#15
○小林正夫君 民主党・新緑風会の小林正夫です。
 ただいま議題となりました介護保険法等の一部を改正する法律案の質問に入る前に、小泉総理大臣にイラクにおける邦人拘束事件について緊急にお尋ねいたします。
 イラクの武装勢力に人質として拘束された日本人は、元自衛隊で、イギリスの警備会社に雇われて米軍基地で働いていたようであります。政府は既に退避勧告を出しているにもかかわらず、この人のイラク滞在の事実すら把握されていなかったというのは一体どういうことでしょうか。
 卑劣なテロ行為は断じて許されるものではありません。邦人保護の立場から、人質の救出に全力を挙げるのは人道上からも当然でありますが、所属の面からアメリカやイギリスとの連携が不可欠であると考えますが、どのような対応を取るつもりですか。今回も自己責任が問われるケースでありますが、武装勢力から人質解放に絡んで何らかの要求はされているのですか。さらに、もし身の代金を要求された場合、政府はどうするのですか。
 以上の諸点を含め、今の時点で掌握している最新の情報と、政府として可能な限り取り得る対策について率直にお伺いしたいと思います。
 それでは、本題の質問に移ります。
 まず初めに、小泉総理にお尋ねいたします。
 この介護保険は、御存じのとおり、我が党の菅直人前代表が厚生大臣のときにその制度創設の作業に着手し、小泉総理御自身が厚生大臣をされていたときに法律として成立されたものであります。その意味で、総理はこの制度の生みの親の一人でもあります。
 制度発足の当時、高齢者介護をめぐる状況は本人や家族にとって大変厳しい状況がありました。そうした危機的な状況の改善を図るべく、介護を社会的に支える仕組みとしてこの公的介護保険制度が創設されたものと承知しております。
 そこで、総理はこの五年間の介護保険の実施状況をどのように総括、評価されていますか。そして、今回の制度改正は何を目指すものなのか、何がポイントなのか、今後この制度をどのように発展させようとされているのか、総括的な御見解をお尋ねしたいと思います。
 この介護保険制度の設計に当たって、被保険者及び受給者の範囲をどのように設定するかについては様々な論議があったと聞いておりますが、当時は最も緊急の課題となっていた高齢者の介護に限定してスタートをさせることとして、五年間の実施状況を見た上で改めて範囲の拡大について検討しようということで、附則に検討規定が明記されたと承知しております。
 こうした経過から考えれば、今回の法改正において、その範囲の拡大を図るとの結論が得られるものと私たちは期待をしておりました。しかし、残念ながら、この問題はまたしても先送りにされる結果となり、再び附則に検討規定を記すということにとどまってしまいました。エージフリーの制度を求める私たち民主党にとっては、大変残念な形であると申し上げざるを得ません。
 もちろん、この点については衆議院における審議の中でも問題となり、結局、厚生労働委員会における附帯決議として、平成十八年度末までに結果が得られるよう新たな場を設けて検討することとされました。
 そこで、この制度創設にかかわられた総理に伺います。
 介護保険の被保険者及び受給者の範囲の拡大について、総理御自身のお考えをお聞かせいただくとともに、今後の検討の中では総理としてのリーダーシップの発揮を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 介護保険がより有効的に活用されるためには、介護サービス提供体制の整備を進めることはもちろんのことですが、あわせて介護サービスを取り巻く周辺のサービスや事業の拡充強化が大変重要であると私は思います。
 例えば、高齢者がより手軽に、より良好な有料老人ホームやケア付きシルバーハウス等が利用しやすくなるかどうか。あるいは、高齢者が住みやすいバリアフリー設計の公営住宅が十分に提供されるかどうか。比較的に元気な高齢者が働くことのできる職場、雇用の機会をどれだけ多くつくり出すことができるかどうか。狭い意味での働く場ではなく、高齢者が一定の役割を果たすことができる活動の機会、参加する場の確保も重要だと思います。
 さらに、高齢者でも安心して往来できるバリアフリーの道路造りや公共交通機関の駅の確保、身近に緑のある公園、買物しながら人付き合いが広がる商店街の形成など、高齢者に優しいまちづくりができているかどうか。そして、介護サービスと連続的に提供される老人保健事業や老人福祉事業のよりきめ細かな連携強化などが大変重要だと思います。
 つまり、福祉施策の枠組みの中だけにとどまらず、あらゆる政策の実施過程で、介護を必要とする高齢者が暮らしやすい、生きていきやすい社会の構築を共通理念として確認していく必要があるのではないかと思いますが、こうした視点について総理の見解をお伺いしたいと思います。
 今回の改正の中では市町村の保険者機能の強化が盛り込まれましたが、さらに予防型システムの転換に向けて地域支援事業が創設され、また、要支援・要介護状態になるおそれのある高齢者を対象とする介護予防事業が新たに位置付けられています。
 衆議院における修正の中では、高齢者虐待防止の視点から、権利擁護のための援助が市町村の必須事業とされました。加えて、より身近な地域でその特性に応じた多様な地域密着型サービスの制度が創設されるとともに、地域における総合的な相談窓口機能としての地域包括支援センターの設置が求められることになったわけであります。
 もとより、介護保険の保険者である市町村の役割は極めて重要であり、これまでも分権型政策展開の最も典型的な例であるとして注視されてきました。しかし、市町村の力量にも限界があり、市町村の役割強化を求めても、その実行を危ぶむ声も少なくありません。
 そこで、地方自治体の行財政を総括する総務省として、今回の介護保険法改正で要請される幾つかの事柄について、今後どのように対応されようとしているのか、総務大臣御自身の決意を含めて、総務省としての考えをお聞かせ願いたいと思います。
 先ほども紹介したように、衆議院において高齢者の権利擁護のために必要な援助を行う事業を市町村の必須事業とする修正が加えられました。この点は一定の評価ができると思いますが、同時に、高齢者とともに、あるいは高齢者に代わってその権利を擁護し代弁するための制度の成年後見制度の活用がもっともっと図られてしかるべきだと私は思っております。しかしながら、残念ながら、実際には八割の自治体で実施されていないと聞きます。
 なぜ成年後見制度がこのような状況にとどまっているのか。利用手続の面でなお難しさがあるのではないか。費用面での負担が大きいのではないか。であるとすれば、それらを支援する方策は考えられないのかどうかなどなど、法務大臣はこうした実態をどのように認識されているのでしょうか。現行制度の改善、改正の余地はないのかどうか、今後の取組について大臣のお考えをお聞かせください。
 さて、実を申しますと、私は現在九十歳になる母を介護しております。十五年ほど前、軽い脳梗塞の症状が現れ、認知症もあり、六年前から特別養護老人ホームに入所しております。この間、介護保険法ができ、二年前から要介護五の認定を受けました。介護保険を利用している一人でもあります。在宅介護で経験したことは、やはり気持ちのいら立ち、あるいは母への暴言、暴言に対する反省と自己嫌悪などでした。家族による在宅介護の限界を感じて、在宅介護への支援と重度要介護者を受け入れる施設づくりが必要だということを痛感いたしました。
 本来、介護保険は、重度の要介護状態になった場合、在宅でも必要なサービスが受けられるようにすることがその目的の一つでもあったはずです。しかし、実際には、在宅介護を担っている人たちからは、在宅と施設とでは給付水準に大きな差があるのではないか、心身ともに疲れ果ててしまうことが多い介護者への支援、配慮が是非とも欲しいなど、悲痛な声が数多く私のところにも届けられています。
 また、重度要介護者の中でも認知症の人に対するサービス内容の質、量両面にわたる改善が当面する最重要課題であると私は思います。
 残念ながら、この認知症に関する調査研究、とりわけ実践的な取組の検討もかなり立ち後れています。もっと積極的に集中してこうした課題に取り組んでいただきたいと思います。
 以上、申し上げた点につきまして、厚生労働大臣の御答弁をお願いいたします。
 次に、介護の最前線で働くホームヘルパーやケアマネジャー、さらには介護施設で働く人たちの労働条件、労働環境の改善、彼ら、彼女たちをサポートする体制づくりの必要性についても強調しておかなければなりません。
 そもそも介護というサービスは、快適サービスあるいは便利なサービスという性質を持っていますから、利用者から求められれば、あれもこれも引き受けざるを得ない側面があります。こうした点がヘルパーさんたちの大きな悩みとなっています。
 また、ケアマネジャーは、利用者、ヘルパーさん、事業者との板挟みで悩むことも多く、頑張れば頑張るほどいわゆる燃え尽き症候群に陥ってしまっているという話も聞きます。ともに対人サービスを担う仕事だけに、相当のストレスが加わっているのだと思います。
 したがって、こうした人たちの労働条件や労働環境の改善と、彼ら、彼女たちをサポートし、あるいはリフレッシュするための支援策を拡充していく必要があると思います。
 厚生労働省は、厚生行政を所管するだけでなく、労働行政の面をも担っているわけですから、こうした面にも十分配慮すべきだと考えますが、厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
 最後に、衆議院において修正された、すなわち高齢者虐待防止等の観点から、権利擁護のための必要な援助を市町村が行う地域支援事業の中の必須事業と位置付けられるとされたことについて、厚生労働大臣はどのように受け止められておられるのか、お伺いします。
 その上で、私たち民主党は、現在、高齢者虐待防止・介護者支援法案を今国会に提出すべく検討を積み重ねてきておりますが、大臣は要介護状態にある高齢者の虐待問題についてどのように認識をされているのか。虐待防止のために必要な手だては何なのか、そして、そのためには高齢者虐待防止法等、何らかの立法措置が必要とお考えなのでしょうか。大臣の基本的な見解をお聞かせいただきたいと思います。
 我が国の人口は、団塊の世代あるいは団塊ジュニアの世代の二つの膨らみを持つ世代が年を重ねていく中、人口減少社会となります。当然、限られた財源の中で、知恵と工夫を持って社会保障制度をつくり上げていかなければなりません。知恵と工夫の政治は民主党にしかできません。行き当たりばったりの自民党政治に対し、一日も早く民主党が政権交代できる日を実現することを国民の皆様にお誓いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#16
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 小林議員にお答えいたします。
 イラクにおける最近の事件についてでございますが、齋藤氏がコンサルタントを務める警備会社によれば、同氏が、イラク時間八日夕刻、イラクの西部を十数人で車両にて移動していたところを何者かに襲われた模様でございます。
 政府としては、同企業及びイラクや米国等との関係国政府等と連絡を取りつつ、齋藤氏の安否を含む事実関係の確認を急ぐとともに、仮に同氏の拘束が事実であるとすれば、一刻も早い無事の解放に向け全力を挙げて取り組む考えであります。
 介護保険制度の評価と今後の改正についてでございますが、制度発足以来この五年間でサービス利用者数が三百二十万人と当初の二倍を超え、国民の評価も年々高まるなど、順調に定着してきていると考えております。
 また、今回の見直しは、軽度の方を対象としたサービスをより介護予防に効果的なものに見直すなど、思い切った給付の効率化、重点化を図るとともに、すべての介護サービス事業者に事業所情報の開示を義務付けるなど、サービスの質の向上を図る改革を行い、介護保険制度を今後の高齢化が進んだ社会においても、将来にわたり国民の暮らしの安心を支える制度としていこうとするものであります。
 被保険者、受給者の範囲についてですが、被保険者、受給者の範囲については、今回の介護保険制度の見直しにおいても、関係者の間で主要な論点の一つとして議論が行われてきたところであり、なお範囲の拡大について賛否両論が見られることであります。国民の合意形成に向けた検討が更に必要であると考えております。
 こうした状況を踏まえ、幅広く国民各層を代表する者の参画を求めた新たな検討の場を設け、社会保障制度全般の検討との整合性を図りつつ検討を行い、平成十八年度末までに結論を得たいと考えております。
 高齢者が暮らしやすい社会の構築についてでございますが、就労やボランティア活動などを通じて高齢者が社会参加できる環境づくりを進めることが重要であります。
 介護が必要となった場合でも地域で安心して暮らせるよう、介護サービスの充実にとどまらず、介護に配慮した多様な住まいの確保、高齢者が利用しやすい機能を備えた交通サービスの充実やまちづくりなどを進め、高齢者の生活環境の改善を図ってまいりたいと考えます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(尾辻秀久君) 在宅の重度の要介護者への施策の拡充についてのお尋ねがございました。
 在宅において認知症や重度の要介護者を支えるため、今回の見直しでは、小規模多機能型居宅介護サービス等の地域密着型サービスを創設するなど、在宅サービスの充実に取り組んでまいります。
 また、認知症に関する調査研究や認知症ケアの研修の充実など、介護職員の質の向上にも取り組み、認知症のケアの推進を図ってまいります。
 介護の現場で働く職員の労働条件、労働環境の改善とサポート体制の拡充についてお尋ねがございました。
 介護労働者にとって魅力ある職場づくりを推進することは極めて重要であると考えております。このため、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づきまして、各種の施策を実施しているところでございます。
 具体的には、介護労働シンポジウムの開催等により雇用管理の改善に向けた事業主の啓発に努めますほか、事業主への雇用管理に関する講習の実施や事業主や介護労働者に対する労働条件、教育訓練等に関する相談援助、情報提供などの支援を行っておるところでございます。
 今後とも、これらの施策の実施を通じまして介護労働者の雇用管理の改善を図ってまいります。
 権利擁護についてのお尋ねがございました。
 地域ケアを実現していくために、高齢者の権利擁護に取り組むことは大変重要であると考えており、衆議院における修正を受けまして、すべての市町村が地域包括支援センターを中心にこれに取り組むようにしてまいります。
 高齢者の虐待防止についてのお尋ねがございました。
 最後まで尊厳を持って生きることができる社会の実現のために、高齢者に対する虐待の防止は大変重要な課題でございます。このため、今回の介護保険制度の見直しでは、地域の高齢者の実態把握や家族を含めた総合相談・支援を行う地域包括支援センターを新たに創設いたしますとともに、高齢者の権利擁護事業を市町村の事業として位置付けることといたしております。
 引き続き、高齢者虐待防止に向けた議員立法の動きとも十分に連携を図りながら、高齢者の虐待防止に向けて取り組んでまいります。(拍手)
   〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(麻生太郎君) 今回の介護保険法の改正に伴い市町村の役割がより重要になることに関しまして、総務省としてどのように応じていくのかにつきましての御質問があっております。
 市町村は、介護保険の実施主体ということになりますので、また住民に最も身近な福祉の担い手ということになります。これまでも介護保険の主たる役割を担ってきております。
 今回の法改正により、例えば、筋力トレーニングなど介護を予防する事業を新たに付け加えることになっております。また、高齢者のグループホームの指定や指導監督を市町村が行うようになるということなど、市町村の業務及び財政負担が生じることになるということでして、総務省としてはこの財政負担を地方交付税等で財源措置することといたしております。
 今後とも、市町村合併の推進により市町村の機能を強化する、また三位一体の改革など市町村の財政基盤を強化することなどによりまして、市町村には介護保険を始めといたします地域福祉というものに対して積極的に対応していくとともに、総務省としてはこれらについて支援をしてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣南野知惠子君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(南野知惠子君) 小林正夫議員にお答え申し上げます。
 成年後見制度のより積極的な活用のための取組についてのお尋ねがございました。
 成年後見制度は、本人の保護と自己決定の尊重の理念に基づきまして、これまでの禁治産、準禁治産の制度を大幅に改正いたしまして、より柔軟で利用しやすい制度としたものであります。その利用件数も、制度導入前に比べまして大幅に増加いたしております。成年後見制度につきましては、その周知、定着を図るため、手続等を分かりやすく説明したパンフレットを配布するなどしてきたところでございます。
 今後も、その一層の活用が図られますよう関係省庁とも十分協力いたしまして制度の周知に努めるとともに、制度の見直しについても、その必要がないかどうか絶えず留意してまいりたいと存じております。
 以上です。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(扇千景君) 遠山清彦君。
   〔遠山清彦君登壇、拍手〕
#21
○遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。
 私は、ただいま議題となりました介護保険法等の一部を改正する法律案について、公明党を代表し、小泉総理並びに尾辻厚生労働大臣に質問いたします。
 議題に関する質問の前に、イラクの武装勢力に拘束されたとされる日本人男性の件について申し上げます。
 政府におかれましては、事件発生後、官邸や外務省を中心に対策室を設置し鋭意対応に当たっていると理解しておりますが、事は人命にかかわることであり、救出に向けて最大限の努力をされんことを強く要望申し上げます。
 さて、介護保険制度は、施行前は保険あって介護なしとの批判を一部で浴びましたが、重要な社会保険制度として着実に国民生活の中に定着してきております。導入時に二百十八万人だった要介護・要支援認定者の数は、今日四百万人を超えております。今後、団塊の世代が六十五歳を超え、高齢化率が二五%を超える二〇一五年に向け、この数は更に増加することが確実であります。
 今回の改正は、介護保険制度の初めての抜本改革であり、これまでの五年間の試行錯誤の経験と教訓を生かさなければなりません。また、利用者の増大に伴い将来の財政難が危惧される中、急激な保険料の上昇を抑制しつつ必要なサービスを確保、拡充する、言わば制度の持続可能性を高める改革が不可欠です。
 その意味において、私は、今回、公明党が強く推進してきました介護予防システムの導入が図られることの重要性を強調するものであります。高齢者が尊厳を保ち、健康な心身でより長く自立生活を送ることができる社会を目指す上で、生活機能の低下を事前に防ぐ予防重視型制度への転換は、今次の介護保険改革の目玉と言っても過言ではないと考えます。
 この認識を前提に、まず小泉総理に伺います。
 今回の改革の成否は、介護保険運営の主体者である市町村の取組に大きく依存します。法案が成立した場合、来年四月一日の施行に向け、要介護認定事務の変更、地域密着型サービス事務の実施、介護保険事業計画の策定、保険料改定の準備作業など、市町村は従来以上の責任を負わなくてはなりません。これは、地方にできることは地方でとの小泉内閣の進める地方分権の流れに合致している一方、準備期間が短い、市町村間のサービス格差が拡大する等の懸念の声も聞こえてまいります。これらの懸念に対する総理の見解、並びに市町村に対する期待をお聞かせください。
 また、今次の改正に併せ、厚生労働省は市町村の地域介護の中核拠点として地域包括支援センターを全国の約五千か所に設置する方針を示しております。この施設には、総合相談、介護予防マネジメント、包括的継続マネジメントなどの機能が整備されるとのことですが、各市町村においては、この業務に対応するため、社会福祉士、保健師、主任ケアマネジャーなどの専門的人材の確保、配置や研修体制の充実が求められます。すべての市町村が本当にしっかりとした業務体制を整えることができるのか、厚生労働省としてどのような支援を行っていくのか、厚生労働大臣の所見を求めます。
 地域支援事業で介護予防を効果あらしめるためには、こもりがちな高齢者や独居者など行政が把握しづらい高齢者をどう掘り起こすかが大きな課題となります。民生委員や保健師、自治会など地域住民の主体的な取組が重要となりますが、実効性を高めるために厚生労働省はどのように対応されるのか、お示しください。
 日本には寝たきりの高齢者が七十万から八十万人おり、先進諸国の中でも割合が多いとの指摘があります。寝たきりになってしまう主な直接的原因としては骨折や脳血管障害が挙げられておりますが、一方で病院や施設で適切なリハビリが行われていないという批判もございます。言わば、病院等によってつくられた寝たきりという指摘であります。介護施設においては、介護予防の導入で改善を図っていくことになりますが、病院等の他の施設も視野に入れたより包括的取組が必要と考えます。厚生労働大臣の見解を伺います。
 介護が必要な人に対して医師や看護師にしか認められていない医療行為について、現場で混乱が生じております。本年三月二十四日の厚生労働省の通知により、在宅におけるALS、筋萎縮性側索硬化症以外の療養患者、障害者についても、家族以外の方によるたんの吸引が例外的に認められました。しかし、介護現場では、つめ切りや検温など、元々医療行為に基本的に含まれていないものも医療行為に含まれているかのように認識されている場合があります。
 厚生労働省は、医療行為と非医療行為の区別について明確な基準を示すとともに、ホームヘルパーに例外的に認められる医療行為について幅広く周知を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、予防訪問介護における家事援助サービスの実効性について伺います。
 現行制度下での家事援助サービスにおいても、利用者が、自立を促すヘルパーよりも何でもこなしてくれるヘルパーを選択するという問題が指摘されております。ヘルパーを替えることも事業所を替えることも利用者の意思によって可能であり、そのため、自立を促すヘルパーや事業所が仕事を減らし、利用者のために何でも行い、結果的に身体機能を弱めるような事業所が仕事を増やすという構図があるのです。この実態が改善されない限り、本人にできることは可能な限り自分で行うという予防訪問介護の実効性が担保されない可能性があると考えますが、厚生労働大臣の所見を伺います。
 現行制度に関連して、ケアマネジメントの中立性、公正性の確保の問題も今改革の焦点の一つであります。
 ケアマネジメントは、利用者の実情を正確に把握、評価し、自立支援の観点から必要な介護サービスが提供されることを保障する作業であり、介護保険制度のかなめとも言えます。しかし、現在それを担うケアマネジャーの九割以上が特定の介護サービス提供事業所に所属しているため、中立性、公正性に疑問符が付くケアプランの存在などが指摘されているのが実態です。今回の制度見直しで、この問題をどのように解決されるのでしょうか。私は、介護報酬体系の見直し等によって、独立したケアマネジャーの育成をより本格的に推進すべきではないかと考えますが、厚生労働大臣の御見解をお示しください。
 最後に、介護報酬の不正請求等の防止策について伺います。
 介護保険制度を真に持続可能な制度として育てていくためには、不正や無駄を徹底してなくす努力も不可欠と考えます。その意味で、介護報酬の架空・水増し請求や無資格者サービス、人員基準違反などを理由に指定取消しを受ける業者が後を絶たないことは誠に遺憾であります。
 今回の改正では、これらの問題に対応するため、市町村に施設への立入調査権を認め、都道府県には業務停止命令権を与えるなど、地方の権限を強化する方策が盛り込まれておりますが、それで本当に十分な防止効果を上げられるのかどうか、厚生労働大臣の所見と決意を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#22
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 遠山議員にお答えいたします。
 市町村の取組についてですが、今回の見直しにおいては、地方にできることは地方にという地方分権の考え方を更に徹底するため、身近な地域単位で提供される地域密着型サービスの導入やサービス提供事業者への立入り権限の付与など、保険者である市町村の権限、機能の強化を図っているところであり、市町村においては、今回の改正を踏まえ、住民の選択に基づいて創意工夫を凝らした制度運営を図っていただきたいと考えております。
 このため、厚生労働省において制度の円滑な施行に向けて各都道府県ごとにきめ細かく相談に応ずる体制を整備するなど、全面的な支援を行ってまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(尾辻秀久君) 地域包括支援センターについてのお尋ねがございました。
 地域包括支援センターにつきましては、地域の様々な人的資源を有効に活用していくことなどにより体制を整えることは可能と考えておりますけれども、小規模町村などにおいて弾力的な職員配置が可能となるよう検討いたしますとともに、条例により、平成十九年度末までに新予防給付の施行を延期できることとする経過措置も設けるなど、配慮をいたしておるところでございます。
 地域住民の主体的な取組の推進についてのお尋ねがございました。
 今後、介護予防を推進していくに当たりましては、それぞれの地域において自主的な取組が進んでいくことが重要であると考えております。
 このため、今回の見直しにおきましては、地域支援事業として、自主的な地域住民活動の支援やネットワークづくり等に取り組むことにより、支援を必要とする地域の高齢者の早期発見と対応が行われるよう取り組んでいくこととしております。
 寝たきり高齢者対策についてのお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、骨折や脳血管障害の高齢者が寝たきりになるのを予防するためには、早期から適切なリハビリテーション等を行うこと、また、こうしたリハビリテーションの継続性が確保されることが重要であります。
 このため、医療と介護の適切な連携を図り、急性期から回復期、その後の介護保険施設への入所、在宅復帰へ至るまで一貫したリハビリテーションが提供されるよう、必要な体制整備に努めていく必要があると考えております。
 介護現場での医療行為についてのお尋ねがございました。
 御指摘のように、高齢者介護や障害者介護の現場等において、医行為の範囲が不必要に拡大解釈され、混乱が生じているとの声も聞かれておるところでございます。
 このため、こうした状況も踏まえまして、医療機関以外の介護の現場等において判断に疑義の生じることの多い行為であって、原則として医行為ではないと考えられるものを列挙してお示しをした通知案を作成いたしまして、本年三月三十一日から四月三十日までの一か月間、一般からの御意見を募集をいたしました。現在、この通知案に対して寄せられました御意見について整理、検討いたしているところでございまして、今後、本通知の発出等により、できる限り疑義が生じないように対処することとしております。
 あわせて、ホームヘルパーに例外的に認められる医療行為の周知についてお尋ねがございました。
 御指摘のように、在宅においてたんの吸引を必要とするALS以外の療養患者、障害者の方に対する家族以外の方によるたんの吸引につきましては、平成十五年七月にALS患者の方に認めた条件と同一の条件の下に許容されるとの考えを本年三月に各都道府県、関係団体に通知しているところでございます。このような家族以外の方によるたんの吸引が安全に実施されるよう、通知でお示しした条件等について機会をとらえて周知をしてまいりたいと考えております。
 予防訪問介護の実効性についてのお尋ねがございました。
 介護保険制度は自立支援を目的としており、訪問介護の家事援助サービスの提供においても、利用者の持っておられる能力を生かしながらサービスを提供することが基本であると考えております。
 このため、今回の見直しでは、新予防給付のケアマネジメントにおいて、利用者ごとに改善の可能性をきちんと評価し、生活機能がいつまでにどの程度向上するかを個別具体的に目標設定をいたしますとともに、地域包括支援センターが中立公正な立場からサービスの実施後の状況を適切に評価し、必要に応じてケアプランや事業者の見直しを行うこととしております。
 ケアマネジメントの中立性、効率性についてのお尋ねがございました。
 今回の見直しでは、軽度者につきましては、中立公正な立場から地域包括支援センターがケアマネジメントを行いますとともに、ケアマネジャーについて更新制の導入などにより質の向上を図ることとしておりまして、ケアマネジメントの中立性、効率性の確保を図ってまいります。
 独立したケアマネジャーの育成についてのお尋ねがございました。
 ケアマネジャーの独立性を高めることは大変重要と考えております。このため、今回の見直しでは、独立性を高める方向での介護報酬の見直しや担当件数の見直しを行いますとともに、ケアマネジャーのキャリアアップを支援し、専門性を確立するため、事業所や地域において中核的な役割を担うケアマネジャーを育成するための研修の充実を行ってまいります。
 介護報酬の不正請求の防止等についてのお尋ねがございました。
 今回の見直しでは、保険者である市町村に事業者への立入り権限を付与いたしますとともに、都道府県等がより実態に即した指導監督ができるよう、事業者への改善命令や指定の停止命令等の権限を創設しております。これらの対応により、悪質な事業者に対する指導監督を徹底いたしますとともに、利用者への情報開示も推進し、悪質な事業者の排除と良質な介護サービスの確保に全力で取り組んでまいります。(拍手)
#24
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#25
○議長(扇千景君) 日程第一 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。環境委員長郡司彰君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔郡司彰君登壇、拍手〕
#26
○郡司彰君 ただいま議題となりました法律案につきまして、環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、岐阜市において大規模不法投棄事案が発生し、また、我が国からの廃プラスチックが中国において輸入禁止となるなど、最近における廃棄物の処理をめぐる状況を踏まえ、廃棄物の不適正処理に対する対応を強化するとともに、より適切な事務処理体制を確立するため、保健所設置市に係る事務の見直し、産業廃棄物管理票制度の強化、無確認輸出に関する未遂罪の創設等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、排出者責任を重視したごみ処理行政の必要性、不法投棄の正確な実態把握と電子マニフェスト普及拡大のための方策、産業廃棄物行政を担う地方公共団体の体制の在り方等について質疑が行われたほか、参考人からの意見聴取を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成           二百二十七  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#30
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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