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2005/07/22 第162回国会 参議院 参議院会議録情報 第162回国会 本会議 第32号
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2005/07/22 第162回国会 参議院

参議院会議録情報 第162回国会 本会議 第32号

#1
第162回国会 本会議 第32号
平成十七年七月二十二日(金曜日)
   午後零時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十三号
  平成十七年七月二十二日
   正午開議
 第一 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
 第二 文字・活字文化振興法案(衆議院提出)
 第三 総合的な国土の形成を図るための国土総
  合開発法等の一部を改正する等の法律案(内
  閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、障害者自立支援法案(趣旨説明)
 一、日程第一より第三まで
 一、国際問題に関する調査の中間報告
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 障害者自立支援法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。尾辻厚生労働大臣。
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(尾辻秀久君) 障害者自立支援法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 障害保健福祉施策につきましては、障害者及び障害児の地域における自立した生活を支援することを主題に取り組んでおりますが、現在は身体障害、知的障害、精神障害といった障害種別等によって福祉サービスや公費負担医療の利用の仕組みや内容等が異なっており、これを一元的なものとすることや、その利用者の増加に対応できるよう、制度をより安定的かつ効率的なものとすることが求められております。
 これらの課題に対応し、障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行うことにより、障害者及び障害児の福祉の増進を図り、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与するため、今般、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、自立支援給付は障害福祉サービス、自立支援医療、補装具の購入などに要する費用の支給とし、当該給付を受けようとする者は、市町村等に申請を行い、その支給決定等を受けることとしております。
 第二に、自立支援給付の額は、障害福祉サービス等に通常要する額の百分の九十を原則としつつ、利用者の負担が多額となる場合等については、家計に与える影響等を考慮して給付割合の引上げを行う等、負担の軽減措置を講ずることとしております。
 第三に、市町村及び都道府県が行う地域生活支援事業に関することを定めることとしております。
 第四に、市町村及び都道府県は、国の定める基本指針に即して障害福祉サービスや地域生活支援事業等の提供体制の確保に関する計画である障害福祉計画を定めることとしております。
 第五に、自立支援給付に要する費用は、一部都道府県が支弁するものを除き市町村が支弁し、その四分の一を都道府県が、二分の一を国が、それぞれ負担することとしております。
 このほか、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律を始め関係法律について所要の改正を行うこととしております。
 最後に、この法律の施行日は、自立支援医療に関する事項など一部の事項を除き、平成十八年一月一日としております。
 また、この法律案は衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりでございます。
 この修正案は、この法律の目的に、この法律による障害福祉サービスに係る給付その他の支援は障害者基本法の基本的理念にのっとり行われることを明記すること、自立支援医療に関する規定の施行日を、平成十七年十月一日から平成十八年一月一日に改めるものとすること、この法律の規定についての検討は、障害者等の範囲の検討を含むことを明記するとともに、就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方についての検討規定を追加するものとすることを内容とするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。平田健二君。
   〔平田健二君登壇、拍手〕
#7
○平田健二君 民主党の平田健二でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました障害者自立支援法案に対し、質問をいたします。
 まず、質問に先立ちまして、石綿関連企業において多くの中皮腫、肺がん等の患者及び犠牲者が出ております。また、石綿関連企業に勤務している労働者のみならず、家族や周辺住民にも被害が及び、アスベスト健康被害は拡大、悪化の一途をたどっております。
 お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族に哀悼の意を表しますとともに、健康被害を受けた方々に対しましてお見舞いを申し上げます。
 アスベスト対策への政府の不作為行為は明らかであり、被害を拡大させた責任は重大です。政府の責任で早急に徹底した対策を取られるよう、要請をいたします。
 我が民主党は、今回の健康被害に関してプロジェクトチームを設置し、徹底的な原因究明とこうした方々の救済制度の整備や将来的な対策を含め、抜本的、総合的な対策の確立に向けて全力を挙げてまいる所存でございます。
 次に、法案の質問の前に、小泉総理にお尋ねをいたします。
 報道では連日、衆議院解散・総選挙の文字が躍っております。郵政民営化法案が本院で否決された場合、衆議院を解散するおつもりがあるのかどうか、明確な答弁を総理にお願いをいたします。
 さて、二十年余り前、国連は、国際障害者年行動計画に、一部の構成員を排除する社会は貧しく、もろいと明記いたしました。障害者の施策の充実度は、社会の本当の豊かさを示すバロメーターであります。弱者に必要な支援を行わなければ、幾ら物質的に豊かな経済大国になっても、それは心の貧しい、きずなのもろい社会となってしまいます。
 総理は、郵政民営化法案を最優先課題と位置付け、その成立に向けて邁進されておられますが、郵政民営化はそんなに急がなければならない緊急課題なのでしょうか。昨日はロンドンで二度目のテロが起きました。被害の拡大も心配ですし、警戒も一層強化しなければなりません。また、中国では意表をつく元の切上げが発表され、日本経済への影響も懸念されます。内外ともに課題山積です。そして、国民が今、優先課題と感じているのは、安心してこの国に住み、安心して人生を送るために欠かせない社会保障を充実させることであります。その社会保障の中でも、とりわけ後回しにされてきた障害保健福祉をどのような理念でどのように導いていくのか、障害者の皆さんが我が国の真の豊かさをいかに享受できるようになるのか、そのことこそが社会保障全体の改革を成功させるか否かの試金石となるのです。
 以上の観点から、総理を始めとする関係大臣に質問をいたします。
 平成七年に策定された障害者プランは、保健、福祉領域の施策にとどまらず、例えば住宅や建築物、交通、情報分野等におけるバリアフリー社会の推進を包括するとともに、初めて数値による達成目標が掲げられるなど、画期的なものと評価をしております。今後は、諸施策の拡充に向け、この障害者プランを実効あるものとするため、これまで以上に内閣として取組の強化が必要だと考えます。総理の基本的な方針をお示しいただきたいと思います。
 また、平成十二年に施行された社会福祉基礎構造改革では、従来の措置主義から利用契約主義への大転換、そのための支援費制度の導入によって福祉制度は大きく変わりました。ところが、今回の法案は、こうした改革の流れを逆行させるものではないかと指摘がなされ、多くの障害者の皆さんも危惧されています。
 そこでお尋ねします。本法案は、この構造改革の流れの中でどのように位置付けられるのか、今後の方向性について総理の見解を伺います。
 我が国では、平成五年の障害者基本法の成立、また平成十五年の支援費制度の創設により、障害者はようやく社会を構成する一員として地域の中で生きていく権利を与えられました。しかし、日本の障害者は、長年、施設や家庭で隔離された状況にあり、抜本的な対応も所得を得る手だても講じられないまま、資産を形成するという機会を持つことができませんでした。
 就労の現状は、三十歳から三十四歳の身体障害者で四六%、知的障害者で五四%であり、四十代後半からは急速に就業率が低下をしています。精神障害者に至っては統計すらありません。また、知的障害者の半数強が授産施設や作業所で就労していますが、その工賃の平均月額は一万二千円と極めて低い水準であります。その一方で、大半の障害者は一月六万円から八万円の障害基礎年金に頼り、経済的に大変厳しい状況にあります。また、大阪障害者センターの調査によると、障害者の九割強の方々の年金や手当等の公的収入が月額十万円未満であることが明らかとなっております。
 このように、生活環境が大変厳しい障害者の実態について、総理はどのように認識しておられるのか、お伺いをいたします。
 総理は、本法案の名称にも含まれている自立をどのようにとらえておられるのでしょうか。障害者が求めている自立とは、施設を出て、地域で、その人らしく、人間らしく生きるということです。政府の解釈は、介助を必要とせず、一人でできるようになるとも受け取られますが、総理御自身は障害者の自立をどのようにお考えなのか、認識をお聞かせください。
 国会周辺では、炎天下にもかかわらず、障害者やその家族、支援の方々など、連日数百名の方が法案成立反対の声を上げておられます。そして、五月十二日には六千六百人、七月五日には一万一千人の方が集まり、この法案に対する不安をアピールされております。総理、郵政民営化では一億五千万も掛けPR用のチラシを作り宣伝したわけですが、本法案では障害者団体との意見交換を行っただけで、障害当事者の声を必ずしも反映したものとなっていません。
 総理は、私たちのことを私たち抜きで決めないでくださいという障害者の声をどのように受け止められておるのでしょうか。障害者の生きる権利を脅かしかねない法案について、当然当事者に対する十分な説明を行う責任があると思いますが、総理の御認識を伺います。
 本法案は、その提出を急ぎ、基礎的な調査が不十分なまま統計を取りまとめた結果、障害者部会に提出したデータに六種類十一件の誤りがありました。特に、障害に係る公費負担医療制度の概要の資料では、一か月の平均利用件数の数値が年間利用件数の数値となっており、また所得状況の推計調査では、精神通院医療の利用者以外も含み、かつ個人の収入調査から世帯の所得を推計するなど、データ自体の信憑性が問われています。さらに、障害者の人数は、身体障害者、知的障害者については施設入所者と在宅者を一貫性もなく調査したものを集計し、精神障害に至っては、障害者手帳の所持とは関係なしに、精神疾患の患者数を精神障害者の数として扱っております。
 これでは障害者の実態を正確に把握することなどできません。基礎的なデータがことごとく欠如しており、これでは何を根拠に法案の制度設計を行ったのか疑問を抱かざるを得ません。障害者施策の大転換を図る法案を提出する前に、障害者の実態を正確に把握する調査をまず実施すべきであったと思いますが、総理の御見解を伺います。
 平成十五年からスタートした支援費制度は、障害者自身がサービスを選択、決定できるシステムで高い評価を得ているわけですが、予想以上に利用量が伸び、毎年予算不足を招きました。予算不足に陥った原因の第一は、基礎的データの不足に加え、実態を反映していないデータを基に制度を運用したことにあります。第二は、障害者に向き合ってこなかった結果、潜在的なニーズをとらえることができず、利用量の増加の正しい推測ができなかったことにあります。
 そこでお尋ねしますが、そもそも障害者サービスに係る予算は十分なのでしょうか。私は絶対的に不足していると考えていますが、総理はどのようにお考えなのか、お伺いします。
 また、予算不足を招いた支援費制度は失敗だったとお考えなのかどうか、支援費制度をどのように総括されるのか、尾辻大臣にお尋ねをいたします。
 障害者は働きたくてもその機会を得ることができず、大半は年金に頼らざるを得ないのが実態であります。このような状況を放置したまま、厚生労働省は障害者自らも制度を支えるべきだと説明していますが、これは政府の怠慢を障害者に責任転嫁する以外の何物でもありません。障害の重い人ほどサービスを多く必要としていますが、逆に、働く機会も収入も少なくなります。障害の重い人ほど負担が一層重くなる、これがこの法案の定率負担であります。
 厚生労働省は、障害者のなけなしの年金を半分払いなさいとでも言いたいのでしょうか。総理、障害者にとってサービスとは、受けなければ生活していけない、生きるために必要なものです。そのようなサービスに定率負担という考えを取り入れれば、結果はおのずと見えてきます。その一つがサービス利用の自制であり、二つ目には家族の負担増です。このままでは、障害者の皆さんの不安は増えるばかりです。
 障害者が利用者負担も賄え、自立した生活が可能な所得保障制度や低所得者の負担軽減策が確立するまでは定率負担は導入すべきではないと考えますが、総理の御所見を伺います。
 本法案における利用者の負担について、政府は定率負担という言葉を用いていますが、定率負担とは、利用者が受けたサービスという益の大きさに応じて利用料を払う応益負担にすぎません。
 しかし、障害福祉サービスに係る益とは一体何なんでしょうか。介護を受けることが益なのでしょうか。グループホームで懸命に地域生活を維持しようとすることが益なのでしょうか。精神障害者の医療受診が益に相当するのでしょうか。
 私は、障害者に係る福祉サービスは、障害者が社会的な存在として生きていくための最低条件であり、益という概念からはほど遠いものと考えます。また、障害者の自立と社会への参加を促進すること、そして国や自治体、国民が一体となって障害者施策を作り上げていくことが障害者にとっても健常者にとっても益であると考えます。障害者にとっての益とは一体何なのか、総理の御認識を伺います。
 本法案では、定率負担導入と引換えに、サービスに係る費用の国庫補助が義務的経費化されています。しかし、なぜ定率負担導入と国庫補助の義務的経費化がセットなんでしょうか。財務省は、義務的経費とするために厚生労働省に定率負担導入を求めたのでしょうか。定率負担導入は義務的経費化の絶対必要条件なのでしょうか。ケアマネジメントシステムの制度化とサービスを計画的に提供する体制を整備し、応能負担の枠組みの中で利用者負担を増やし、障害者サービスに係る費用を義務的経費化する手法は取れないのでしょうか。谷垣大臣の明確な答弁を求めます。
 精神障害者は、支援費制度では枠外に置かれてきましたが、三障害の福祉サービスが一本化されることで、ようやく身体障害者や知的障害者との同一サービスを受けられる体制が整います。しかし、サービスを統一することで精神障害者の通院医療に関する公費負担制度が見直され、原則一割負担、所得によっては三割負担となります。自己負担増による受診抑制を招くおそれがあるのではないかと思われますが、尾辻大臣の見解を伺います。
 平成十四年現在、精神病床の入院患者は約三十三万人、うち受入れ条件が整えば退院可能とされる患者が約七万人とされています。昨年、精神保健医療福祉の改革ビジョンで十年間の数値目標を明示し、この社会的入院の解消を明記されておられますが、どのように進めるおつもりか、尾辻大臣、具体的にお答えいただきたいと思います。
 さらに、自立支援医療では、給付対象者の重点化が図られ、負担上限額が減額される「重度かつ継続」という考えが示されています。政府は、重度かつ継続の概念を疾患名の特定をすることで説明していますが、多くの専門家から、疾病ではなく病態で判断すべきではないかと疑問が表明されています。こうした重度かつ継続の概念はどのように考えたらよいのか、尾辻大臣にお尋ねをいたします。
 障害者の社会参加を進め、自立に欠かせない移動介護が、裁量的経費として地域生活支援事業に位置付けられております。支援費制度でも各自治体サービスにばらつきがあることを考えれば、障害者主体の運営がなされるか甚だ疑問です。なぜ移動介護を個別給付にしなかったのでしょうか。もし、できないのであれば、重度訪問介護や行動援護の対象を拡大した上で、サービス受給者の範囲を実質的に現状水準とし、障害者の社会参加を保障すべきであると考えますが、尾辻大臣の御所見を伺います。
 障害を持った子供が成人しても地域社会で自立して生活していくためには、学校教育における配慮が重要です。障害児と健常児が小さいときから一緒に学校生活を送ることは、両者にとって大変有意義なことであり、ノーマライゼーションを進めていく上でも必要であると考えますが、中山大臣はどのようにお考えなのか、御所見を伺います。
 障害のある子を持つ親から、今回の法案に対し切実な訴えが数多く寄せられております。例えば、親亡き後、施設に入らざるを得なくなり、わずかな障害年金の中から、実費と一割負担では、日用雑貨や洋服、余暇に割く費用はほとんど捻出できず、急な出費があると医療費の自己負担分まで賄えなくなり、十分な医療も受けられないのではないかというものです。
 不安の声はほかにもまだたくさん上がっております。親の老齢化に伴う不安や障害者が自分の収入で暮らしていけるのかという不安に対しどのようにこたえていくのか、総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 障害のある人や御家族は、障害者に対する社会の無理解と不十分な福祉施策という大変重い荷を背負ってこれまで歩んでこられました。そして、ノーマライゼーションの推進と支援費制度の導入という後押しを受けながら、前向きに精一杯生きていこうと地域で自立生活に努力されてきました。みんなで力を合わせ、作業所や授産施設を立ち上げ、さらに将来のことも考えながら、生活支援事業やグループホームづくりに取り組んできたのです。正に地域が一体となった手作りの対策を進めてきたのです。
 多くの方々は、障害者施策の前進に期待をし、今般の議論を見守ってきました。特に、支援費制度の枠組みから外れた精神障害者は本法案に熱い期待を寄せていました。確かに評価できる側面もあります。福祉サービスを国の財政負担が明確となる義務的経費に位置付けたこと、障害者種別を超えて一元化されたこと、複雑な施設体系、施設制度の見直しに着手したこと、そして、精神障害者の分野が身体障害者、知的障害者と同じ土俵で検討されたことであります。
 しかしながら、総合性を標榜しながら三障害のみを対象としたこと、所得保障が先送りになったこと、多くの知りたいことが政省令にゆだねられていることなど、まだ多くの問題があります。そして、最大の問題点は応益負担という考えを取り入れたことです。
 本法案は、負担増による財政的抑制論ばかりが目立ちます。福祉という言葉は法案の中にほとんど出てきません。その代わり、自立支援、給付、負担、事業者などの文言が頻繁に出てきます。まるで福祉サービスを市場で購入するかのごとく錯覚を覚えます。真のねらいは、逆進性の高い定率負担を設けることで利用抑制を促すことを期待しているのではないかとさえ勘ぐってしまいます。これでは……
#8
○議長(扇千景君) 平田君、時間が超過しております。簡単に願います。
#9
○平田健二君(続) はい。
 自立支援ではなく、自立阻害と言われても仕方がありません。
 日本社会は心豊かで堅いきずなを持った社会であることを示すためにも、是非、障害者の実態をよくごらんいただき、十分な審議の上、慎重を期して御判断いただきますよう最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 平田議員にお答えいたします。
 郵政民営化法案が否決された場合の衆議院の解散についてのお尋ねでございますが、郵政民営化関連法案につきましては、現在、本院において連日精力的に御審議いただいており、感謝申し上げます。
 政府としては、審議の中で、法案の内容を含め様々な質問に対して丁寧に説明し、御理解を賜るよう全力を尽くしているところでございます。最終的に郵政民営化関連法案が成立することを期待しておりまして、否決されることは考えておりません。
 障害者施策の基本的方針についてですが、障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重して支え合う共生社会を実現するため、政府は、平成十五年度から、障害者基本計画に従い、重点施策実施五か年計画に基づいて重点的かつ計画的に障害者の社会参加を推進しているところであります。
 障害者も社会の一員として自立し、あらゆる分野でその能力を最大限発揮することができるよう、今後とも政府一体となって社会のバリアフリー化に取り組んでまいります。
 本法案と社会福祉基礎構造改革との関係についてでございますが、平成十二年の社会福祉基礎構造改革は、社会福祉制度について、少子高齢化、核家族化の進展等社会構造の変化に対応して、だれもが家庭や地域の中で自立し、尊厳を持った生活を送ることができるよう、行政が行政処分によりサービス内容を定める措置制度等の社会福祉の仕組みを全般にわたって見直しを行うことを目指したものであります。
 この改革の中で、障害者福祉の分野については、障害者が地域において自立した生活を送ることを支援するため、障害者が自らの選択により福祉サービスを利用する支援費制度が平成十五年度から施行されました。しかしながら、現在の支援費制度は、精神障害者が対象になっていないほか、福祉サービスの利用に関する地域間格差が大きいなど、様々な課題を抱えていると認識しております。
 本法案は、自己選択と自己決定の尊重や、利用者本位といった支援費制度の理念を継承しつつ、支援費制度の各種の課題に対応し、障害のある方の自立した地域生活の支援を一層推進するものであると考えております。
 障害者の実態につきましては、プライバシーの問題もあり、その把握が難しい面もありますが、これまでも各種調査を通じて実態把握に努めてきたところであります。この中で、障害者の実態は多様であると認識しておりますが、例えば障害者の住まいについて見ると、身体障害者の五%、知的障害者の二八%、精神障害者の一三%が施設や病院に入所している一方、障害者本人が地域で暮らしたいとの希望が高まりつつあります。
 また、障害者の所得については、例えば年金収入のある身体障害の方々の場合には、年収三百万円以上の方が三割いらっしゃる一方で、百万円未満の方が二割強いらっしゃるなど、所得の状況は多様であると認識しており、こうした状況を踏まえた対応をしていくことが必要と考えております。
 このため、障害者自立支援法案においては、精神障害者を含め支援を必要とする障害者が適切にサービスを利用できるようにすること、共同の生活の場であるグループホームやケアホームを拡充し、住まいの選択肢を増やすこと、利用者負担をお願いするに当たっては、所得や預貯金等の少ない方にはきめ細かく減免の措置を講ずることなどの対応を図ることとしており、障害者の地域での自立した生活を一層支援することができるものと考えております。
 障害者の自立をどう考えているかということでございますが、障害者の生き方は、その方の意欲、置かれた環境や状態などに応じて様々であろうかと思いますが、例えば就労する意欲を持つ障害者が支援を受けて企業等で働いたり、重度の障害者が自己の選択に基づいてサービスを利用し、様々な社会活動等に参加することなどを通じて、地域の中で生き生きとその人らしく生きることが障害者の自立と言えるのではないかと考えております。障害者自立支援法案は、こうした障害者の多様な状況を踏まえ、お一人お一人の能力や適性に応じて自立を支援することを目的としたものであります。
 障害者やその関係者への法案の説明についてでございますが、本法案については、その立案過程から障害者の方々も参画いただいた審議会で二十回にわたり論議するなど様々な場で御意見をお伺いするとともに、十六年度は、障害者も含めた関係者の要請に応じ、延べ五百回にわたり説明や意見交換を行うことなどを通じて、様々な御意見、御要望を承ってきたところでございます。
 今後とも、制度の詳細について関係者の御意見を伺いながら検討を進めるとともに、改革の必要性について障害者の方々を始め国民の皆様に御理解いただけるよう努力してまいります。
 障害者自立支援法案の提出に当たり、障害者の実態調査を実施すべきだったのではないかとのお尋ねでございますが、障害者自立支援法案を国会に提出するに際して、身体障害者や知的障害者の五年に一度の実態調査や、精神障害者について平成十五年に初めて行った大規模な実態調査などに基づき、障害者の実態を十分踏まえた上で制度の内容を検討したものであります。
 今後、制度を施行する中で、サービスの利用状況や利用者負担、所得状況などについて、更に実態の把握に努めてまいります。
 なお、社会保障審議会障害者部会に提出した資料の誤りについては、年間件数と月平均利用件数を取り違えて記載したなどの誤りであり、既に障害者部会において説明するなど適切に対応したところでございます。
 障害福祉サービスに係る予算でございますが、障害福祉サービスに係る給付費は、支援費制度が平成十五年度に施行されて以降、新たにサービスに取り組む市町村が増加する中で急速に増大しております。このため、平成十六年度においては、流用や補正予算により財源を確保し、平成十七年度においては、在宅福祉サービスに係る予算を平成十六年度当初予算と比べ五割増しの約九百三十億円とするなど、必要な予算の確保を図っております。
 しかしながら、今後も新たにサービスを利用する障害者が増えることが見込まれる中で、必要なサービスを確保するためには、その費用について、利用者の方々も含め、皆で支え合っていくことが必要と考えております。このため、障害者自立支援法案においては、利用者負担の見直しに併せ、在宅福祉サービスに関する国や都道府県の負担を義務的なものにすることとしております。
 これにより、必要な障害福祉サービスを提供するための予算を確保しながら、制度も安定的に運営できるものと考えております。
 定率負担の導入についてでございますが、先ほど申し上げたとおり、今後とも、必要な福祉サービスを確保するためには、利用者も含めて皆で増大する費用を負担し、支え合うことが必要となっております。
 今回、利用者負担を見直し、定率一割負担を導入することとしておりますが、あわせて、障害者等の家計に与える影響を十分に考慮して、月ごとの負担の上限額を設定することや、収入、預貯金の状況に応じて個別に減免するなど、各般のきめ細かな負担の軽減措置を講じることとしており、障害のある方が生活していく上で支障が生じないよう配慮しているところであります。
 また、障害者の所得保障については、障害者が身近な地域において自立した生活を送ることができるようにするためには大変重要な課題であるとの御指摘があり、衆議院において就労支援も含めた障害者の所得保障の在り方について附則に検討規定が設けられたところでありますが、これに基づき、今後とも検討してまいります。
 障害者にとっての応益負担にいう益とは何かについてでございますが、障害者自立支援法案により、福祉サービスを必要とする障害者が、自己の選択の下で、国や自治体の制度的な支援の下、適切にサービスを利用することができる仕組みを実現し、障害の有無にかかわらず安心して暮らせる地域社会を築くことが障害者の益となると考えております。
 障害者の不安に対する対応でございますが、障害者自立支援法案は、親亡き後の不安にも対応しつつ、障害者が地域で自立して生活できるよう、身体障害、知的障害、精神障害にかかわらず、市町村を中心に一元的に支援を必要とする障害者にサービスを提供する体制を整備すること、働く意欲のある障害者の就労を支援するための新しい事業を創設すること、サービス量と所得に応じた利用者負担をお願いする中で、所得の少ない方には負担を軽減するための様々な措置を講ずることなどを内容とするものであり、今後の障害者施策にとって必要不可欠なものと考えております。
 また、障害者の所得保障については、障害者が身近な地域において自立した生活を送ることができるようにするためには大変重要な課題であるとの御指摘があり、衆議院において就労支援も含めた障害者の所得保障の在り方について附則に検討規定が設けられたところであります。これに基づき、今後とも検討してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(尾辻秀久君) 支援費制度についてのお尋ねがございました。
 支援費制度については、それまでサービスを利用できなかった知的障害者や障害児を中心に、多くの方が新たにサービスを利用できるようになったことなど、障害者の地域生活を進める上で重要な役割を果たしているものと評価をしております。
 しかしながら、同時に、現在の支援費制度につきましては、総理からも申し上げましたけれども、支援の必要性に応じた客観的な基準がないことなどのため、地域における格差が大きいことや、そもそも福祉サービスの整備が遅れている精神障害者が対象となっていないことなど、解決すべき課題もあります。
 このため、今般、障害者自立支援法案を提案し、支援費制度の自己決定と自己選択及び利用者本位の理念を継承しつつ、障害保健福祉施策の抜本的な見直しを行うこととしておりますが、これは、今後の障害保健福祉施策をより推進していくために必要不可欠な見直しであり、これにより、必要な財源を確保しながら制度をより安定的に運営することができるものと考えております。
 精神障害者の通院公費負担医療制度についてお尋ねがございました。
 今回の障害者自立支援法案では、精神障害者の通院医療など、障害者に係る公費負担医療制度について、低所得の方などに対し、所得に応じた負担の上限額を設定し、これまで以上にきめ細かく配慮することとしており、今後とも精神障害者の方の必要な医療が確保されるよう留意しながら制度を運営してまいります。
 この法案では、これと併せて、これまで立ち後れてきた精神障害者に対する福祉サービスの提供体制を抜本的に強化することとしており、今後とも、入院医療中心から地域生活中心へという基本的な考え方に基づき、精神障害者が地域で安心して暮らせる社会づくりに向けて引き続き全力で取り組んでまいります。
 社会的入院患者の解消についてお尋ねがございました。
 障害者自立支援法案では、受入れ条件が整えば退院可能な方々の退院及び社会復帰を推進するため、精神障害を含め障害種別を超えて市町村が中心となって福祉サービスを一元的に提供する仕組みに改めるとともに、精神障害を含め必要な障害福祉サービスの見込み量を定めた障害福祉計画の策定を義務付け、計画的なサービス提供体制の整備を図るなど、精神障害者に対する社会復帰や地域生活の支援を抜本的に強化することとしております。
 政府といたしましては、地方自治体の障害福祉計画を踏まえて障害者プランの見直しを行うなど、精神障害者を地域で支えるための基盤づくりを計画的に進め、受入れ条件が整えば退院可能な方の退院促進に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 重度かつ継続の考え方についてのお尋ねがございました。
 自立支援医療制度におきましては、対象となる疾患の範囲は従来どおりとした上で、原則一割の負担をお願いすることとし、低所得の方や重度かつ継続に該当する方については、月の負担額に上限を設定することとしております。
 この重度かつ継続とは、医療上の必要性から継続的に相当額の医療費負担が発生する方について、一定の負担能力のある場合でも、医療費負担が家計に与える影響に配慮して、月の負担額に上限を設けるものであります。
 この重度かつ継続の対象については、病態で判断すべきとの意見があることは承知をしておりますが、病態と医療費の大きさに必ずしも相関関係が見られないのではないかなどの課題がございまして、基本的に疾病で判断することが適当ではないかと考えております。
 いずれにせよ、重度かつ継続につきましては、その範囲について様々な議論がございますので、先日、検討会を立ち上げまして、御議論いただいているところでございまして、結論を得たものから順次対応をしていきたいと考えております。
 移動支援についてのお尋ねがありました。
 障害者自立支援法案における移動支援については、あらかじめ予測できないニーズに対応するなど、地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟な形態での実施が可能になるよう、個別給付ではなく、市町村の地域生活支援事業に位置付けることとしております。
 地域生活支援事業として位置付けるに当たりましては、移動支援の重要性にかんがみ、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業とするとともに、その費用についても国、都道府県が補助することができる旨の規定を設けることとしており、今後も必要なサービスが適切に受けられるようになるものと考えております。
 なお、重度の肢体不自由のある方や強度行動障害のある方については、常時介護を要するため、外出時には移動の支援と身体介護を区分することは困難であり、一体として提供する必要があることから、重度訪問介護や行動援護として個別給付の対象としたところであります。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(谷垣禎一君) 平田議員にお答えいたします。
 障害者自立支援法における利用者負担の見直し、国の負担の見直し等についてのお尋ねがございました。
 障害のある方が地域で自立した生活を送れるよう支援することが重要であると認識しており、急速に障害福祉サービスが増大する中、制度の持続可能性を確保することが重要な課題であると考えております。
 このため、障害者自立支援法案におきましては、公平なサービス利用のための手続や基準の透明化、明確化を図るとともに、増大する福祉サービス等の費用を皆で支え合うという考え方に立ち、利用者負担の見直しを行い、また、障害者の在宅サービスに関する国の負担の仕組みを改める等の改革を行うとしたところで、これらの改革を総合的に行うことにより、より公平かつ安定的な制度の運営を図ることが可能になるものと考えております。
 また、利用者負担の見直しに際しては、低所得者に対し適切な配慮を行うこととしているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣中山成彬君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中山成彬君) 障害児と健常児が一緒に学校生活を送ることについてのお尋ねでございます。
 障害のある児童生徒と障害のない児童生徒がともに活動することは、双方にとって社会性を養い豊かな人間性を育てる上で重要な意義を有するものと考えております。このため、盲・聾・養護学校や特殊学級等の教育の中において障害のない児童生徒との交流や共同学習を積極的に推進し、相互理解を促進しております。
 なお、盲・聾・養護学校の就学基準に該当する児童生徒について、市町村の教育委員会が認める場合には小中学校に就学できる制度を平成十四年に創設したところであります。
 今後とも、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒の相互理解が促進されるように取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(扇千景君) 鰐淵洋子君。
   〔鰐淵洋子君登壇、拍手〕
#15
○鰐淵洋子君 公明党の鰐淵洋子でございます。
 私は、自由民主党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました障害者自立支援法案について、小泉内閣総理大臣並びに尾辻厚生労働大臣に質問いたします。
 本法案は、障害者の自立と社会参加を支援する観点から、これまで障害種別に分かれていたサービスを一元化し、市町村を中心とするサービス提供の体制を確立するものです。また、国の財政責任を明確化する義務的経費への転換により、サービス給付の財政基盤を強化することなどが盛り込まれ、サービスの地域間格差を是正し、障害者福祉施策の向上を図るものとして評価できるものと考えます。
 しかしその一方で、これまでの応能負担から、サービスの利用量に応じた応益負担の導入が盛り込まれ、障害を持つ方々には厳しい要素も含まれており、様々懸念の声をいただいていることも事実であります。
 公明党は、昨年の障害保健福祉施策のグランドデザイン案の発表以来、障害者団体との意見交換を重ねてまいりました。また、法案化に当たっては、障害者やその御家族の意見を十分に伺い、慎重な検討を行うよう繰り返し要望を行ってきたところであります。
 本法案の審議に当たり、現場の実態やニーズを踏まえ、懸念される点について更に検討を行うとともに、きめ細やかな配慮措置や柔軟な対応策を盛り込むことによって、真の自立支援へとつながる法整備の実現を目指すべきと考えます。こうした観点に立ち、以下、質問をいたします。
 初めに、支援費制度の評価と、新たな自立支援システムへの転換についてお伺いいたします。
 平成十五年四月から始まった支援費制度は、障害者の自己決定権の尊重という理念の下、措置ではなく契約によるサービス提供を可能とし、障害者の地域生活を後押しするものとして極めて重要な役割を果たしてきたと思います。また、制度の導入により、潜在的なサービス需要が掘り起こされる一方で、財源不足による見直しの必要性が指摘されてきました。いかなる制度であれ、障害者の自立と社会参加をいかに保障し、将来にわたって持続可能な制度を築き上げるということが重要ではないでしょうか。こうした観点から、今回の改革の必要性、意義について、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 次に、障害福祉サービスの利用者負担の見直しについてお伺いいたします。
 これまでの福祉は、税金を使って国の機関が行政措置として行ってきました。この制度の大転換となったのが五年前から実施された介護保険制度だと思います。障害者の生活を保障しつつ、障害者が権利として購入したサービスについて、その費用の一部を利用料として御負担していただくというこの制度は、これまでの福祉に対する考え方を大きく変えるものでした。障害者の福祉においてもこの考え方を導入する必要性と意義について改めて確認したいと思いますので、御説明をお願いいたします。
 また、障害福祉サービスの利用者負担を求めるに当たっては、低所得者への十分な配慮が必要です。その負担の上限額の設定について、本法案では、利用者本人の所得だけでなく、世帯の所得状況を勘案することとなっています。この点につきましては、障害者の自立支援や扶養義務の撤廃という観点から、障害者本人の所得を基本とした上限設定が図られるよう検討すべきであり、そのような方向で検討が進められているとのことですが、具体的にどのようにお考えか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
 次に、サービス体系の再編について質問をいたします。
 本法案では、ALS等極めて重度の障害者に対し、ホームへルプサービスを始め複数のサービスを適切かつ柔軟に確保する仕組みとして、重度障害者等包括支援の創設が提案されております。しかし、その対象者の範囲や給付水準等について、最重度の障害者が実際に地域で暮らせるような基準を確保できるのかという不安の声が上がっております。この基準設定に当たり、支援対象を狭くすることや介護等のサービス水準が大きく低下することがあってはならないと思います。特に、最重度の障害者に対する長時間介護サービスが十分に確保されるよう配慮する必要があると考えますが、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、自立支援医療についてお伺いいたします。
 本法案では、これまでの精神通院公費、更生医療、育成医療を再編し、新たな自立支援医療制度へと統合することになっており、医療費と所得の双方に着目した新たな負担の仕組みが提案されています。この医療費負担については、一割負担を原則としつつ、低所得者やいわゆる重度かつ継続の方には負担上限額が設けられることになっております。この点につきましても、所得の状況や医療費負担の実態を踏まえ、治療の中断につながることがないように、適切な負担水準の設定と対象となる疾病の範囲について十分な配慮を行うべきと考えます。
 衆議院において、与党の提案により、この自立支援医療の施行期日が平成十七年十月から平成十八年一月へと修正されたこともあり、施行期日までに、より障害者の実態を踏まえた配慮が加えられるとともに、各自治体における実施体制に万全を期していただきたいと思いますが、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 また、医療費負担を定める際も、障害福祉サービスと同様、利用者本人の所得を基本とした上限設定、減額措置の仕組みにすべきであると考えますが、併せて厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 次に、グループホームとケアホームの対象者の範囲についてお伺いいたします。
 本法案では、常時介護が必要な方のためのケアホームと就労をしている方のためのグループホームの創設が盛り込まれております。しかし、現在、障害の程度が異なる方が一緒に居住しているケースもあり、住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、当事者の居住の場の選択権を保障することが必要ではないでしょうか。障害程度の区分により住む場所が限定されることがないよう現在検討が進められていると承知はしておりますが、改めて厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 また、このグループホームやケアホームの規模、人員配置、報酬等の基準については、それぞれのサービスにふさわしい基準となるよう十分な検討を求めますが、併せて厚生労働大臣のお考えをお聞かせください。
 次に、就労支援についてお伺いいたします。
 障害者の所得保障を確立する上で、就労支援の充実が極めて重要です。障害者の方の中には、働く意欲がありながら、能力向上のための機会に恵まれず、その潜在的な力を発揮できない状況にある方もおられます。これらの方々が地域社会や職場の一員として普通に働ける社会をつくることが、障害者政策の目指すべきものであると思います。本法案において、障害者の就労を促進する観点から、就労移行支援、就労継続支援等のサービスを設けていることは高く評価していますが、福祉と雇用のネットワークについて、具体的にどのような連携を考えておられるのか、また、福祉と雇用が連携した就労支援により、障害者の雇用はどの程度促進されると見込まれるか、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 私は、今回のこの大きな改革を、支援費制度の財政的な行き詰まりに対処するための、言わば財政サイドの改革であると矮小化して理解することがあってはならないと思います。今回の法案は、二十一世紀の総合的な障害者政策の改革のスタート地点に立ったもので、今後さらに、サービスの質と量の両面における充実を図る必要があると考えます。その際、衆議院における修正で明記されたように、難病などのいわゆる谷間の障害も含め、障害者の範囲の在り方についても検討を重ねていく必要があると考えます。
 また、今回の改正で、障害者が身近な地域で必要なサービスを受けることができる地域生活支援事業が創設されました。これは市町村等の実情に応じて弾力的に実施されることになっており、相談支援、移動支援、コミュニケーション支援、地域活動支援センターなど、障害者の日々の生活を支える上で不可欠な事業であり、市町村の責任とその財源の確保が極めて重要になってきます。
 この法案をより普遍的な障害保健福祉の制度としていくために、今後、障害者自立支援施策をどのように展開されるのか、目指すべき方向、また、これに取り組む厚生労働大臣の御決意をお伺いいたします。
 最後に、小泉総理大臣にお伺いいたします。
 現在、郵政民営化に代表される、民間の活力を生かす構造改革が推進されておりますが、障害のある方もない方もともに地域で暮らしていく共生社会実現のための障害者福祉施策の改革を進めることは極めて重要であると考えております。
 公明党は、立党以来、福祉の党という理念を堅持し、これまでも障害者基本法を始め、ハートビル法や交通バリアフリー法等の制定など、ノーマライゼーションの理念を具現化し、障害者の自立と共生社会の実現を図るための法整備に全力で取り組んでまいりました。(発言する者多し)
#16
○議長(扇千景君) 静粛に。
#17
○鰐淵洋子君(続) 本法案の目的に「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現」とあります。これこそが私たちの目指すべき社会であり、公明党が提唱してきた共生社会、ユニバーサル社会の構築と考えを一にするものであります。こうした社会を実現するためには、障害保健福祉の分野のみならず、あらゆる分野における施策の充実や、理解、交流の促進が重要ではないでしょうか。
 政府の障害者施策推進本部長であられる小泉総理大臣の今後の障害者施策の在り方、それに取り組む御決意をお伺いいたします。
 障害の有無にかかわらず、人間はひとしく幸福になる権利を持っています。その実現のための法整備になることを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#18
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 鰐淵議員にお答えいたします。
 障害者施策でございますが、障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会を実現するために、障害者自立支援法案では、介護や就労支援に関するサービスの充実を図っております。
 障害者も社会の一員として自立し、あらゆる分野でその能力を最大限発揮することができるよう、今後とも政府一体となって社会のバリアフリー化に取り組んでまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(尾辻秀久君) 支援費制度の評価と改革の意義についてお尋ねがございました。
 支援費制度は、施行後、多くの方が新たにサービスを利用できるようになるなど、障害者の地域生活を進める上で重要な役割を果たしていると評価をいたしております。
 しかしながら、同時に、先ほどもお答え申し上げましたけれども、地域間の格差が大きいこと、精神障害者が対象となっていないことなど、様々な課題を抱えていると認識をいたしております。
 このため、今般、支援費制度の自己決定と自己選択及び利用者本位の理念を継承しつつ、障害者の自立した地域生活の支援を一層推進するため、見直しを提案をいたしておるところでございます。
 定率負担導入の考え方についてのお尋ねがございました。
 一昨年に支援費制度が施行されて以降、障害福祉サービスを実施していなかった市町村が新たに事業に取り組むこと等により、急速に給付費が増大しているところでありまして、今後とも、増大するサービスを確保していくためには、福祉サービスの利用者の方々を含め皆で支え合っていくことが必要でございます。
 このため、法案においては、サービスの利用量と所得に着目した費用負担の仕組みを導入するとともに、障害者の在宅サービスに関する国及び都道府県の負担を義務的なものとすることとしており、これらにより、必要な財源を確保しながら制度をより安定的に運営することができるものと考えております。
 利用者負担を求めるに当たりましては、障害基礎年金のみで生活している方や資産の乏しい方がおられることを考慮して、各般の負担軽減措置をきめ細かく講じ、障害者が暮らしていく上で支障が生じないようにするための仕組みを提案しているところであります。
 これらにより、必要なサービスを確保しながら障害者の地域における自立した生活を一層支援してまいりたいと考えております。
 利用者負担の月額負担上限を設定する際の同一世帯の範囲についてのお尋ねがございました。
 従来の支援費制度における費用負担につきましては、障害者本人のみならず一定の扶養義務者にも負担義務が課されておりましたけれども、障害者自立支援法案におきましては、扶養義務者の負担を廃止をいたしまして、障害者本人又は障害児の保護者を法律上の負担義務者としたところであります。
 利用者本人の負担につきましては、負担の限度額を設けることとしておりますけれども、限度額の設定に当たりましては、経済的な面において世帯の構成員がお互いに支え合うという生活実態があることを踏まえまして、介護保険制度などと同様、生計を一にする世帯全体の負担能力で判定することを提案いたしておるところでございます。
 ただし、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子供等がいる場合であっても、その親、兄弟、子供等が税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、生計を一にしていないこととみなすことができるため、障害者本人及び配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたいと考えております。
 最重要度障害者に対する長時間介護サービスの確保についてお尋ねがございました。
 新制度におきましては、特に重度の障害者への支援を確保していくため、重度障害者等包括支援といった新たな給付類型を創設することとしております。その具体的な対象者やサービス水準につきましては、ALS等極めて重度の障害者の方々のサービス利用の実態等も踏まえながら、地域で暮らす重度の障害者の方々に適切なサービスが確保されるよう十分検討してまいります。
 自立支援医療についてお尋ねがございました。
 自立支援医療制度におきましては、低所得の方や継続的に相当額の医療費負担が発生する重度かつ継続の方について月額の負担上限額を設け、医療費負担が家計に与える影響に配慮することとしております。この重度かつ継続の範囲につきましては、その範囲を明確にするため、検討会を設置し検討に着手したところであり、特に精神通院医療の重度かつ継続に関する当面の結論については、夏の間に結論を得て適切に実施してまいりたいと考えております。
 また、平成十八年一月の施行に向けて事務処理の方法についてできるだけ速やかにお示しし、地方自治体が障害者の方々に十分周知しながら円滑に実施できるよう努めてまいります。
 自立支援医療の利用者負担に関する世帯の単位についてお尋ねがございました。
 自立支援医療につきましても、御指摘のように、福祉サービスと同様の扱いとすることが適当と考えております。また、自立支援医療には、基本的には医療保険の自己負担部分を助成する機能もあることなどから、月額の負担上限を決める場合は、障害者本人と同じ医療保険に加入し、生計を一にする世帯の所得で決定することを原則といたしますけれども、障害者と同一の世帯に属する親、兄弟、子供がいる場合にあっても、その親、兄弟、子供が税制と医療保険のいずれにおいても障害者を扶養しないこととしたときは、障害者本人と配偶者の所得に基づくことも選択できることとしたいと考えております。先ほどお答えしたとおりでございます。
 ケアホームとグループホームの対象者についてお尋ねがございました。
 新制度におきましては、現在のグループホームを、介護が必要な方を対象とするケアホームと就労している方等を対象とするグループホームに分けることにより、より利用者の状態像に合った適切なサービスが提供されることとなると考えております。
 なお、現在のグループホームにつきましては、現に様々な障害程度の方々が同居しておられる実態もありますことから、事業者が責任を持って利用される方にふさわしいサービス提供をすることを前提に、グループホームの対象者とケアホームの対象者が同居できることとし、その具体的な条件については関係者の意見も聞きながら検討をしてまいります。
 グループホームやケアホームの基準についてお尋ねがございました。
 グループホーム等の運営の在り方につきましては、利用者への日常生活面の支援を通じ、地域において共同生活を支えるという機能を果たすこと、利用者の障害の程度に応じ適切なサービスを確保すること、事業者の工夫や経営努力を生かしていくことなどを基本として検討していく必要があると考えております。
 今後、こうした視点に立って、新制度におけるグループホーム等の規模、人員配置、報酬等の基準について、現在の運営実態や問題点を踏まえ、関係者の御意見を伺いながら、利用者の状態にふさわしいサービスが提供されるよう十分に検討してまいります。
 福祉と雇用の連携による就労支援についてのお尋ねがございました。
 今回の改革では、福祉施設とハローワークが連携し、就職を希望する者に対し、就職の準備段階から職場定着に至るまでの一貫した支援を行う仕組みづくり、就職支援に実績を有する福祉施設がそのノウハウを生かして、より効果的な職場適応援助を行うことを目的としたジョブコーチ助成金制度の創設などを実施することにより、福祉施策と雇用施策の両面から一貫した支援を行うこととしております。
 このような取組により、施設利用者の約四割が一般就労を希望していながら、実際に一般就労した障害者が約一%程度であるという現状が段階的に改善され、相当程度の方が一般就労に移行できるようになっていくものと期待をしておるところでございます。
 今後、福祉と雇用の連携を強化しながら、障害者お一人お一人の実情に応じた適切な就労支援を積極的に推進してまいります。
 今後の障害者自立支援施策の展開についてのお尋ねがございました。
 障害者自立支援法案は、障害者の地域における自立した生活を一層支援するため、市町村を中心としたサービス提供体制を構築しようとするものであり、障害保健福祉施策にとって大きな一歩になるものと考えております。
 今後は、まずこの法律の早期の成立をお願いするとともに、御指摘の地域生活支援事業などに必要な予算の確保に努め、施行に万全を期すことが重要と考えております。
 また、施行後三年を目途として、この法律の規定について障害者等の範囲を含め検討することとされておりますことから、厚生労働省としても、不断の見直しや検討を行うとともに、関係省庁と連携を図り、障害のある人もない人もともに生きる共生社会の実現に向けて努力してまいります。(拍手)
#20
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#21
○議長(扇千景君) 日程第一 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長林芳正君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔林芳正君登壇、拍手〕
#22
○林芳正君 ただいま議題となりました法律案につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、新たな防衛計画の大綱及び中期防衛力整備計画に基づき、多機能で弾力的な実効性のある防衛力を効率的に整備するとの観点から、統合運用体制の強化、弾道ミサイル等に対する体制の整備、情報部門の改編、陸上自衛隊の混成団の旅団化を行うとともに自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数等を改め、あわせて、防衛庁の職員に対し適用されている一般職職員給与法別表の教育職俸給表(一)について所要の措置を講ずるものであります。
 委員会におきましては、まず、政府から趣旨説明を聴取するとともに、衆議院修正部分について修正案提出者から説明を聴取した後、質疑を行ったほか、参考人からの意見聴取を行いました。
 委員会における質疑の主な内容を申し上げますと、新しい安全保障環境の下における防衛力整備の在り方、統合幕僚長の新設と統合運用体制の確立に向けた取組、統合運用体制とシビリアンコントロールの確保、弾道ミサイル防衛の信頼性及び費用対効果、国会の関与の在り方、集団的自衛権との関係などでありますが、詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局した後、民主党・新緑風会の齋藤理事より、弾道ミサイル等破壊措置の命令が発せられた場合等の国民への公表及び国会報告、弾道ミサイル等に係る対処措置の国会承諾、本法施行後三年を目途としての見直し規定の追加等を内容とする修正案が提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会の榛葉理事より、修正案に賛成、原案に反対、自由民主党及び公明党を代表して自由民主党の山谷委員より、修正案に反対、原案に賛成、日本共産党の緒方委員より、修正案及び原案に反対、社会民主党・護憲連合の大田委員より、修正案及び原案に反対する旨の意見がそれぞれ述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、修正案は否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し四項目から成る附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(扇千景君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。喜納昌吉君。
   〔喜納昌吉君登壇、拍手〕
#24
○喜納昌吉君 私、喜納昌吉は、民主党・新緑風会を代表し、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 今年は終戦・被爆六十周年です。私たちは、靖国に眠るみたまだけにとらわれず、沖縄戦や広島、長崎で亡くなった市民を含め、戦争で殺され、亡くなったすべての国民と諸外国の人々の魂に心を向け、争いの歴史に終止符を打つよう努めていかねばなりません。
 仮想敵国の存在を前提とし、そこから撃ち込まれてくる弾道ミサイルに対し防衛するという自衛の形を取った軍拡である迎撃ミサイルの発射権限を定めた本改正案は、小泉首相による国民への明確かつ詳しい説明もなく、国民意思の確認がほとんどなされないままに、成立に向けて推進されています。それゆえに、誠に強引であり、極めて深刻な問題をはらむ結果となっています。
 まず、国会軽視の法案提出の仕方についてですが、今回、政府は、防衛庁設置法、自衛隊法、防衛庁職員給与法等を一体のものとして国会に提出しました。これらは本来別個の法案として国会に提出し、別々に審議を尽くすべきものですが、簡単に事を運ぶことにより、国会審議を回避し、問題点を隠すため、一括採決にしたというこそくな意図が感じられ大変問題です。
 我が国の防衛概念は、過去の軍国主義の反省から、シビリアンコントロールを大前提として組み立てられています。この法案に対して民主党は、主にシビリアンコントロール確保の観点から与党と修正協議を行いましたが、実質上ゼロ回答でした。
 今法案によるミサイル防衛は、武器の使用を伴う限りなく防衛出動に近いものがあり、今までの自衛隊の在り方、日米同盟の在り方を根底から崩すものです。だからこそ、(発言する者あり)ありがとう。だからこそ我々民主党は、修正案で、ミサイル防衛をめぐる措置を、国会報告だけではなく国会承諾とすることを求めました。
 国民全体の生命、財産にかかわる安全保障問題は、可能な限り多くの国民の合意を得ながら進めるべきであり、国会報告で足りるとする与党の態度は、我が国から真の議会政治を葬り去ることにもなりかねません。
 大野防衛庁長官は、米軍への情報提供と集団的自衛権の関係について、日本防衛のための情報を米国に提供することは何ら武力行使と一体となるものではなく、一方では、米国防衛のための情報として米国に発信した場合は集団的自衛権に抵触する可能性があると言っています。集団的自衛権について質問した与党議員から、へ理屈のようだという発言がありました。
 さらに、大野防衛庁長官は、今法案によるミサイル防衛の性質について、防衛出動命令前に持ち上がる問題は、公共秩序の維持や警察権の発動であって、軍事の側面はないと強弁しています。その上、命令前なのか後なのかによってミサイル防衛の性格が変わってくるとも言っています。そのことは、ミサイル迎撃という実際の行動は同じなのに、自衛隊が、命令前は警察権と称し、命令後は軍隊の本性を現すことを暗示しています。
 そもそも自衛隊の成り立ちには、軍隊を目指しながら警察予備隊という名に隠れて出発するという、占領国米国によるごまかしがありました。こうした生い立ちの不幸と言うべき負の歴史が、依然、自衛隊に影を投げ掛けているのでしょう。
 米国では、軍産複合体、MICが政府政策に深く関与しており、米軍は軍産複合体を生かし続けるため、絶えず戦争をしなければならない状態に陥っています。
 今回のミサイル防衛に係る費用は、八千億ないし一兆円と言われております。また、ミサイル防衛システムの地対空誘導弾パトリオット3、PAC3を、米国から輸入せず日本で造ることになり、割高になる可能性があることが最近報道で明らかになりました。
 この流れは、日本にも新しい利権が生まれ、軍産複合体が徐々に形作られている気配さえ感じざるを得ません。汗水流して働く国民の巨額の血税が利権と戦争のために使われないように、我々民主党は、有効性や費用対効果について引き続き厳しく監視していきます。
 その際不可欠なのが、米国で行われたミサイル実験の詳細な検証です。しかし、政府は、実験結果は分かるが、詳細は一切非公表と、頑迷な態度を崩しません。国会議員である我々は一体どうやって検証、議論すればよいのでしょうか。ミサイル防衛の実効性が国会で全く明らかになっていないのです。
 先日の沖縄及び北方問題に関する特別委員会の参考人質疑の際、在米軍事専門家の日高義樹参考人は、ミサイル防衛の軍事的有効性についての私の質問に対し、現時点では米国の軍人はだれ一人役立つとは考えていないと答え、現在の兵器体系としては勘定に入らないと明言しました。また、ミサイル防衛導入をめぐる日本側の動きについて、極めて政治的との判断を示しました。
 使い物にならない公算が大きいのに、ないよりはましだ、まず買ってから考えるというのが政府の本音ではないでしょうか。安全保障について国会のチェック機能が働かない現状を大変危惧しています。
 それから、米国にミサイル防衛の部品の一部を提供することになったことから、日本政府がその部品輸出を武器輸出三原則の例外としたことにも問題があります。
 大野防衛庁長官は、今月十四日、外交防衛委員会での答弁で、米国に限定して輸出される日本製部品が米国経由で第三国に輸出される可能性を認めました。事前に日本の同意を得るという条件を付けること、また、事前同意を求められた場合には武器輸出三原則にのっとって検討すると述べています。
 三原則の例外として米国に輸出される部品の第三国輸出を三原則にのっとって検討するとはこっけい以外の何物でもなく、正に、へ理屈の極みとしか言いようがありません。頭隠してしり隠さずのこのような詭弁が出てくるのは、第三国輸出が三原則に抵触するおそれがあるからでしょう。この点からも法案に反対すべき理由があります。
 V2ロケットの生みの親、フォン・ブラウン博士の夢は宇宙飛行であったと言われています。しかし、ヒトラーは、人類の夢になるはずだったロケットを兵器に変えてしまいました。
 弱肉強食の食物連鎖の頂点に立つ人類は、地球の富を奪うだけではなく、地球に恩返しをする義務も果たさなければなりません。他の動物と人間の決定的な違いは、道具や武器を使うことよりも、人間が夢を持ち理想を掲げるところにあります。
 人類の精神は、戦争の歴史をいつの日か必ず超えるときが来るでしょう。アインシュタインやタゴールや孫文が夢見た、日本の姿に近づくためにも、私たちはロケットからヒトラーの野心を降ろし、人類の夢を乗せなければならないのです。
 最後に、政府がこれまで取ってきた安全保障にかかわる国民に対する態度について申し上げたい。
 国民を守るという名の下に、詭弁とへ理屈を弄し本質を隠すことが、いかに国を売り、失っていくことになるかを悟らなければならない。政府・与党は、六十年近く握ってきた政権と権力を失う恐怖から、国益の名をかりた利権と日米同盟に挟まれてもがいています。郵政民営化法案を契機に生まれた反対派の怒りは、正に利権でなく民衆の利益を優先させたい国民の心からわき上がったものです。この思いは、今や野党及び与党一部議員に共通する価値観となっています。
 官僚機構だけでは国は守れません。国民の存在がまずあって、公僕としての官僚が国民意思に従うのが正しい構図です。政治や政府の役割は、国民意思を代表して国民と国の安寧を維持することです。
 我々日本人は、国益と人類益を整合させ、狭い愛国心を国境を越えた人類愛に昇華させ、地球は一つ、人類も一つという理念を掲げて、大和の名にふさわしい大いなる和を打ち立てることではないでしょうか。
 これで、私の今法案に対する反対討論を終わります。
 御清聴ありがとうございました。ニフェーデービル。ありがとう。(拍手)
#25
○議長(扇千景君) これにて討論は終局いたしました。
     ─────────────
#26
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#27
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#28
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百二十  
  賛成            百二十六  
  反対             九十四  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#29
○議長(扇千景君) 日程第二 文字・活字文化振興法案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教科学委員長亀井郁夫君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔亀井郁夫君登壇、拍手〕
#30
○亀井郁夫君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院文部科学委員長提出によるものであり、主な内容は、文字・活字文化の振興を図るため、その基本理念を定めるとともに、国と地方公共団体の責務や施策を明らかにするなど、必要な振興策を総合的に推進しようとするものであります。
 委員会におきましては、斉藤鉄夫衆議院文部科学委員長から趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#31
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#32
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#33
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十一  
  賛成            二百二十  
  反対               一  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#34
○議長(扇千景君) 日程第三 総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長田名部匡省君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔田名部匡省君登壇、拍手〕
#35
○田名部匡省君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、社会経済情勢の変化に適切に対応し、総合的な国土の形成を図るため、国土総合開発計画の計画事項を拡充し、その名称を国土形成計画とするとともに、都府県総合開発計画の廃止及び広域地方計画の創設、国土利用計画、首都圏整備計画その他の関係する計画制度との所要の調整等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、東京一極集中からの転換と地域間格差の是正、人口減少期と国土政策の将来像、国土形成計画の国会承認の必要性、国土計画における環境対策、国土形成における国の役割と責務、国土利用に係る法制度の体系化等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して仁比委員より、本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#36
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#37
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#38
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十一  
  賛成            百二十六  
  反対             九十五  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#39
○議長(扇千景君) この際、国際問題に関する調査会長から、国際問題に関する調査の中間報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。国際問題に関する調査会長松田岩夫君。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
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   〔松田岩夫君登壇、拍手〕
#41
○松田岩夫君 国際問題に関する調査会における中間報告につきまして御報告申し上げます。
 本調査会は、国際問題に関し長期的かつ総合的な調査を行うため、昨年十月十二日に設置され、今期第七期の三年間にわたるテーマを「多極化時代における新たな日本外交」と決定し、調査を進めることとしました。
 二十一世紀に入り、世界ではグローバリゼーションや多極化に向けた動きが進んでおります。また、東アジアにおいても、種々の不安定要因が依然存在する中、中国の持続的な高度成長など、我が国を取り巻く国際環境は大きく変化を遂げつつあります。
 我が国がこうした情勢にいかに対応し、どのような外交を展開すべきなのかという問題意識の下、第一年目は、日本のアジア外交について重点的に調査を行うとともに、我が国のアジア外交との関連において、日米関係及びEU情勢についても調査を進めてまいりました。
 このたび、第一年目の調査を中間報告として取りまとめ、七月二十日、これを議長に提出いたしました。
 以下、調査の概要を御報告申し上げます。
 第一は、日中外交の回顧と今後の課題についてであります。
 今日、日中両国は、歴史問題を始め種々の問題に直面しております。調査会においては、現代中国情勢、中国外交、日中外交の現状と課題等について、様々な観点から議論が行われ、近年、日中関係が悪化しているのは、両国関係が緊密となり、それぞれの国の内政と外交とが密接に結び付くようになってきている結果であるとの意見、今後の日中関係に関し、経済的な相互依存関係の深まりを踏まえ、戦略的外交を樹立する必要があるとの意見などが述べられました。
 第二は、東アジアにおける不安定要因の除去についてであります。
 東アジアには、北朝鮮の核問題を始め、地域の不安定要因が依然として存在しております。調査会においては、今後の対北朝鮮政策の在り方、北朝鮮に対する制裁実施の是非、中台関係の現状等について議論が行われ、朝鮮半島に緊張が続く限り東アジアの安定と平和はもたらされず、北朝鮮にいかに対応し、どのようにソフトランディングさせていくかが重要であるとの意見などが述べられました。
 第三は、東アジア共同体構築に向けての課題についてであります。
 現在、ASEANプラス3を中心に東アジア共同体構想の検討が進められております。調査会においては、東アジア共同体の在り方、中国、韓国及びASEANとの関係、さらに米国との関係などについて活発な議論が行われ、東アジアから様々な形で活力を得ることによって日本の繁栄と安定を維持することができるとの観点から、経済を中心とした共同体の構築が重要な課題となるのではないかとの意見、東アジア共同体と日米同盟は矛盾するものではなく、日本が、今後、東アジア共同体の形成に当たって大きな役割を果たしていくべきであるとの意見などが述べられました。
 第四は、二十一世紀における日米関係についてであります。
 近年、日米関係は極めて良好で、かつ同盟関係は非常に深まっております。調査会においては、これまでの日米関係と今後のあるべき姿、日米交流推進の意義、日米の経済関係等について議論が行われ、戦後の日本の経済発展は日米同盟を外交の基軸としてきたからであるとの意見、今後、東アジア外交がますます重要となってくるが、日米同盟をバックボーンとして押さえながらこれを進めるべきであるとの意見などが述べられました。
 第五は、拡大するEUの現状と今後の方向についてであります。
 統合の深化と拡大に向けて進展を見せているEUは、そのプレゼンスを高めております。調査会においては、EUの拡大、日・EU関係の在り方、EUに学ぶべき教訓をめぐって活発な議論が行われ、日本は独仏和解のプロセスをEUに学ぶべきであるとの意見、日本とEUとの経済関係は深まっており、EUは日本外交にとり重要な位置を占めているとの意見などが述べられました。
 第六は、今後の外交課題についてであります。
 我が国は、国際的な軍縮・不拡散の維持強化、アジア諸国等へのきめ細かな援助に加えて、テロ、環境汚染など非伝統的な脅威に対し、ソフトパワーに基づく外交政策を展開しております。調査会においては、我が国外交の基本戦略の必要性、地球環境・エネルギー問題、議員外交の重要性など幅広い議論が行われ、独自の戦略的外交を展開するため、外交戦略の研究機関を設置すべきであるとの意見、我が国外交にとり重要な問題の解決のために議員外交が大きな役割を果たすべきであるとの意見などが述べられました。
 以上のような活発な論議を踏まえ、本調査会は今後とも、より一層充実した調査を進めてまいる所存であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
#42
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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