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2004/11/09 第161回国会 参議院 参議院会議録情報 第161回国会 厚生労働委員会 第3号
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2004/11/09 第161回国会 参議院

参議院会議録情報 第161回国会 厚生労働委員会 第3号

#1
第161回国会 厚生労働委員会 第3号
平成十六年十一月九日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十一月八日
    辞任         補欠選任
     柳田  稔君     加藤 敏幸君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         岸  宏一君
    理 事
                国井 正幸君
                武見 敬三君
                辻  泰弘君
                山本 孝史君
                遠山 清彦君
    委 員
                坂本由紀子君
                清水嘉与子君
                田浦  直君
                中島 眞人君
                中原  爽君
                中村 博彦君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                水落 敏栄君
                足立 信也君
                朝日 俊弘君
                家西  悟君
                加藤 敏幸君
                小林 正夫君
                柳澤 光美君
                蓮   舫君
                草川 昭三君
                小池  晃君
                福島みずほ君
   衆議院議員
       厚生労働委員長  鴨下 一郎君
   国務大臣
       厚生労働大臣   尾辻 秀久君
   副大臣
       厚生労働副大臣  衛藤 晟一君
       厚生労働副大臣  西  博義君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       藤井 基之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       厚生労働省医政
       局長       岩尾總一郎君
       厚生労働省労働
       基準局長     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     青木  功君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       伍藤 忠春君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    小島比登志君
       厚生労働省年金
       局長       渡辺 芳樹君
       厚生労働省政策
       統括官      太田 俊明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○労働組合法の一部を改正する法律案(第百五十
 九回国会内閣提出、第百六十一回国会衆議院送
 付)
○独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する
 法律案(衆議院提出)
    ─────────────
#2
○委員長(岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、柳田稔君が委員を辞任され、その補欠として加藤敏幸君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(岸宏一君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働組合法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省政策統括官太田俊明君外六名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(岸宏一君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(岸宏一君) 労働組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○小林正夫君 おはようございます。民主党・新緑風会の小林正夫です。
 労働組合法が成立をして五十五年が経過をいたします。残念ながらこの法律は、道路交通法あるいは建築基準法とともに、日本で最も守られていない法律と悪評もあります。しかし、ほかの二法は違反が明らかになった段階できちんと罰せられるんですけれども、この労働組合法はほとんど罰することがない、こんなような状況になっております。近年、不払残業等問題で厚生労働省が御努力されていることに対しては敬意を表しますけれども、今回は、この守れにくい労働組合法についての改正ということになります。
 実は、先日、十月の二十七日になるんですけれども、ある業界におけるトップリーダー的企業が東京高裁で敗訴をいたしました。東京都労働委員会が、労働組合法第七条二号、三号違反、つまり団体交渉拒否あるいは支配介入の不当労働行為として全面救済命令を出したにもかかわらず取消し要求をして、行政訴訟に及んだ結果このようになった。そして、この企業は、一方的に労働条件の変更並びに切下げを行ったんです。
 そこで働いている従業員は、本当にこの職場に不安があると、こういう思いで労働組合を結成をしたんですけれども、それを認めず、組合つぶしを続けているのが今の実態なんです。連合の担当者に聞きますと、関連企業などを除けば、せっかく労働組合を作っても約半数の企業で不当労働行為、つまり組合つぶし攻撃を受けていると聞きます。
 まずお聞きしたいのは、不当労働行為の実態について、どのように把握されているかお聞きをしたいと思います。
#7
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 不当労働行為の実態でございますけれども、まず地方労働委員会に対する不当労働行為事件の申立て件数でございますけれども、平成十一年から十五年平均で、年平均三百七十七件となっておるところでございます。
 これを不当労働行為の類型別に見ますと、これ、複数の類型が含まれるものにつきましてはそれぞれ重複掲示をしておりますけれども、今お話のございましたやっぱり団体交渉拒否事件が二百三十五件と最も多くなっておりまして、次いで不利益取扱い関係の事件が二百二十七件、さらには支配介入関係の事件が二百十八件、また不当労働行為の申立てを理由とする不利益取扱い関係の事件が十三件となっておる、こういう状況でございます。
#8
○小林正夫君 大臣、日本は法治国家ですけれども、今のような数字を聞かれまして、大臣としてのこの不当労働行為がこんなにあるというこのことに対してどう受け止められているのかお聞きをしたいと思います。
#9
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど委員が御指摘なさいましたように、本来、不当労働行為というものは労働組合法第七条で禁止されておるものでございます。したがいまして、そうしたことが起こることは当然好ましくない、あってはならないことと、こういうふうに理解をいたしております。
#10
○小林正夫君 不当労働行為をなくしていく、このことに対しては後ほどまた質問をさせてもらいたいと思いますけれども、私は、労働委員会制度をやはり強化充実をしていく、このことが大変大事じゃないかというふうに思います。そこで、労働委員会制度について少し質問をしたいというふうに思います。
 一つ目は、具体的になりますけれども、労働委員会制度の強化充実が求められている中、今、長野県において労働委員が一名欠という状態が生じております。このことに対して長野県知事に対して厚生労働省として何らかの指導をしていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#11
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 今お話のございました地方労働委員会は、当然ながら、労働組合法の規定に基づきまして一定数の委員で組織するものでございます。したがいまして、地方労働委員会の委員に欠員が生じた場合には、その任命権者でございます都道府県知事はできる限り速やかに後任を補充することが原則でございまして、後任者を任命しないことは労働組合法の十九条の十二第二項の規定の趣旨に反するものと考えているところでございます。
 ただ、地方労働委員会の委員の任命自体は、自治事務としまして都道府県知事が行うものでございますので、私どもとしましては、本件につきまして都道府県知事に対して具体的な指示をする立場にはございませんけれども、ただ、やはり労組法を所管する立場としましては、委員に欠員が生じた場合にはできる限り速やかに後任を補充することが原則であると考えておりまして、こういった趣旨につきましては長野県にもお伝えし、またこの場でこういう議論があったことも長野県にはお伝えしたいというふうに考えているところでございます。
#12
○小林正夫君 よろしくお願いしたいと思います。
 次の質問ですけれども、平成十三年六月に出されました司法制度改革審議会の意見書、このような平成十三年六月に出された意見書がございます。この中では、「労働関係事件への総合的な対応強化」として、既に成立をした労働審判制度などと併せて労働委員会制度についても改革を指摘しております。
 ここで一部を紹介しますと、今日お手元に資料を用意をさせていただきました。司法制度改革審議会意見書抜粋として、この意見書の二十二ページと二十三ページを抜粋をしてまいりました。二十三ページの@のところに記載をされている内容ですけれども、「特に、不当労働行為に対する労働委員会の救済命令に対し、使用者が取消しの訴えを提起する場合に生じうるいわゆる「事実上の五審制」の解消など、労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方については、労働委員会の在り方を含め、早急に検討を開始すべき」だ、このようなことがこの意見書に書かれております。
 残念ながら、今回の労働組合法改正案では、この課題について踏み込みが足りなかった、あるいは踏み込んでいないというふうに私は思います。厚生労働省として、この司法制度改革審議会の意見に対して、今日までどのように対応してきたのか、このことについてお聞きをしたいと思います。
#13
○政府参考人(太田俊明君) 今先生からお話ございましたように、平成十三年六月の司法制度改革審議会意見書におきまして、労働委員会の救済命令に対する司法審査の在り方につきまして、労働委員会の在り方を含め早急に検討を開始すべきであるというような御指摘を受けたところでございます。
 私どもとしましては、この意見書も踏まえまして、平成十三年の十月から、学識経験者により構成されます研究会におきまして、不当労働行為審査制度の在り方につきまして検討が行われまして、平成十五年七月にその報告が取りまとめられたところでございます。
 これを受けまして、労働政策審議会の下に設けられました部会、これ三者構成でございますけれども、部会におきまして、平成十五年九月から七回にわたって検討を行われまして、十二月十六日に大臣あてに建議をいただいたところでございます。
 また一方、司法制度改革推進本部の労働検討会におきましても、平成十五年十二月十九日に取消し訴訟におけるいわゆる新証拠提出制限の措置を講ずることが適当である旨の取りまとめがなされたところでございます。
 こういった検討を踏まえまして、今般の労働組合法改正におきましては、司法制度改革審議会意見書で指摘されました労働委員会の救済命令に対する司法制度の在り方の見直しといたしまして、一つは、新たに労働委員会段階において公益委員の合議によりまして物件の提出を命ずることができることといたしております。二つ目に、あわせて、労働委員会から命ぜられても提出されなかった物件につきましては、労働委員会の救済命令に対する取消し訴訟において証拠提出を制限することといたしまして、不当労働行為事件の審査におきまして迅速、的確な事実認定を行えるための措置を講じたところでございます。
#14
○小林正夫君 これに関連して、二点ほど質問と意見を申し述べたいというふうに思います。
 第一は、労働委員会命令の迅速性、実効性についてです。
 今回の労働組合法改正でも、迅速化に関しては強い指摘もあり、一部法改正が示されていますけれども、都道府県労働委員会の命令が出ても、使用者がこれに不服であれば中央労働委員会への再審査となります。さらに、その中央労働委員会で命令が出ても、この命令に対する取消し訴訟を地方裁判所に提訴して、それが高等裁判所あるいは最高裁判所と続く事実上の五審制になっています。
 そこで、十一月四日の大臣の提案理由の説明の中で、労働委員会における審査が著しく長期化している、こういう表現がありました。その実態について、具体的数字を教えていただきたいというふうに思います。
#15
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 不当労働行為審査事件の審査期間でございますけれども、平成十一年から十五年の平均で、まず初審の地労委は七百九十一日、二年強ということでございます。それから、再審査の中労委が千四百五十七日ということで約四年ということで、御指摘のとおり、審査期間の長期化が著しいという状況にございます。
#16
○小林正夫君 今、報告のとおり、せっかく不当労働行為への救済命令が出ても、命令が確定するまでに、今のお話でも四年あるいはもっと、数字の取り方によっては長い時間が掛かっている、こういう実態もあると思います。その長く掛かっている間に労働組合がつぶされてしまうような、いわゆる不当労働行為のやり得ということが生起して、その問題点がかつてから強く指摘されているということであります。
 労働委員会による不当労働行為審査制度は、言うまでもなく憲法で保障された労働者の団結権など実効をあらしめるために、これらの権利の存在、尊重を前提とした上での正常な労使関係の回復発展を図ることを目的とするものであって、迅速な救済は労働委員会審査制度の私は命だというふうに思います。
 そこで、大臣にお伺いいたします。更なる迅速化についてと、この五審制の解消を含めて、大臣のお考えがあればお聞きしたいというふうに思います。
#17
○国務大臣(尾辻秀久君) まず御指摘は、一つずつの審査を短くしても、五審制、正に五回もやったら、それはもう最終的に長期にわたるじゃないかという、まずこの御指摘だと思います。もうこの五審制の見直しについては多くの御指摘をいただいておるところでございまして、私どもも今回の改正の中で、率直な表現を使わせていただけば積み残した部分とでもいいましょうか、今後の課題の部分だというふうに認識をいたしておりますということをまず申し上げます。
 それからさらに、もう一つの御指摘は、更に今度の改正で短くなるように努力はしているが、更なる努力が必要だろうと、こういうお話でございました。このことについても、今後検討をさせていただきたい、こういうふうに思います。
#18
○小林正夫君 いわゆる五審制についての課題はあると、積み残し、まあこういう表現ですから、更にこの解消に向けて努力をしていく、こういうことが必要だと思いますので、お願いをしておきたいというふうに思います。ただ、しばらくは、この五審制という制度そのものはもちろん残っていくというか、こういう中で私たちは事を進めていかなきゃいけないということは事実ですから。
 そういう意味で、この五審制に基づく遅延を避けるために、労働組合法では今回の改正案の第二十七条の二十に緊急命令制度を設けております。これは、現在の法律でも第二十七条の八で明記をされていることなんです。ここでは、命令を発した労働委員会の申立てにより、取消し訴訟があっても、救済命令等の全部又は一部に従うべき旨を命じることができる、このようにされているんです。しかし、最近は、取消し訴訟の判決と同時にしか救済命令が出されていないことが多いというふうに私は把握をしております。せっかくの制度が空洞化しているように私は思います。
 そこで、この緊急命令の件数と、命令の出された時期について、まずお伺いしたいと思います。
#19
○政府参考人(太田俊明君) まず、緊急命令の件数でございますけれども、平成六年から十五年の十年間で二十九件となっておりまして、また直近の三年間では十一件となっているところでございます。
 次に、緊急命令の出された時期でございますけれども、本案判決と同日に決定された件数でございますけれども、平成六年から十五年の十年間では二十九件のうち十五件、約半数強でございます。それから、直近の三年間では十一件のうち十件が取消し訴訟の本案判決と同日に出される例が多くなっているところでございまして、御指摘のとおり、命令の出される時期が本案判決と同日と、こういうことが極めて多くなっているという状況でございます。
#20
○小林正夫君 今お話のとおり、直近における件数を見ても、十一件のうち十件がこの取消し訴訟の判決と同時にしか緊急命令の結論が出ていないということ、正にこの法律は、現在もあるんですけれども、あるけれども、実行されていないというか、私はそのように思うんです。このことに対して、大臣、この緊急命令制度が空洞化になっていることに対して、大臣の御意見をお伺いしたいというふうに思います。
#21
○国務大臣(尾辻秀久君) 緊急命令の発出時期が遅れておりますことは、判決確定までの間に労働組合等に回復困難な損害が生ずるのを防ぐという制度の趣旨でございます。これは先ほど来御指摘になっておられるとおりであります。そういう、その趣旨をかんがみますと、今また御指摘のような状況にあるということが決して好ましいとは考えておりません。ただ、一方から言いますと、裁判所が救済命令の違法性について裁判所なりの判断をする。その判断をする一定期間といいますか、心証を得ることなくして今度はまた履行を命ずる緊急命令を発することも困難でありますから、それは裁判所にとってはできないことでありますから、この期間をどう見るかなということは一方に当然ございます。
 したがいまして、私どもが緊急命令の発出時期を限定する。半年以内にやってくださいよとかと言うことはなかなかまた難しい面を持ちますけれども、いずれにいたしましても、お話しのように、労働者の団結権等の侵害に対して迅速な救済を図るという制度の趣旨にかんがみまして、その積極的な活用が図られるように今後とも努力してまいりたい、こういうふうに思います。
#22
○小林正夫君 この問題は、今大臣もおっしゃったように司法制度にかかわる、こういう問題だというふうに私も認識をしておりますけれども、そうであるならば、第二の意見になりますけれども、是非とも労働委員会と裁判所の間に協議機関の設置を検討していただきたい、このように思います。
 先ほどから紹介させていただいておりますけれども、この司法制度改革審議会意見書、先ほど、今日、抜粋を用意しました二十三ページのA番のところに記載がされておりますけれども、「以上のような諸方策を円滑に実施に移すことに加え、労働関係紛争の予防、事件の適正・迅速な解決を実現していくためには、関係機関(関係省庁、裁判所を含む。)の協力・連携が不可欠であり、今後、これを一層強化することが望まれる。」と、この審議会の意見書にあります。
 既に、個別的労使紛争解決促進法の施行に伴い、都道府県の段階では、地方労働局、地方自治体、それと裁判所の間に年一回程度の連絡会が設けられているというように聞いておりますけれども、集団的労使紛争についてはありませんし、中央段階では時々協議が持たれる程度だと聞いております。
 かつて、二十年ほど前というふうに聞いておりますけれども、労働委員会と裁判所の間には労裁会議というものが常設されていたと聞いております。労働委員会の労という字と裁判所の裁という字を取って労裁会議とされていたようです。なぜ、この労裁会議がなくなってしまったのか、また、当時、労裁会議を作った目的、それと実績についてお教え願いたいと思います。
#23
○政府参考人(太田俊明君) 今、先生から御指摘のございましたいわゆる労裁会議でございますけれども、これは昭和二十四年に制定されました現行労組法の施行に当たりまして、最高裁と中労委の話合いの結果、昭和二十六年度に発足したものでございます。
 そのときの目的としましては三点ございまして、一つは、労働委員会による不当労働行為事件の審査と裁判所による不当労働行為に関する事件の民事訴訟との競合の問題が一つでございます。それから、二つ目は労働委員会の命令としての行政処分の取消しを求める行政訴訟上の問題、三点目は不当労働行為制度の運用上の諸問題に関連しまして労働委員会と裁判所との連絡の必要性、こういった要請がございまして発足したものでございます。
 この会議は、今申し上げました労働委員会と裁判所との競合の問題等を含めまして、様々なテーマにつきましての意見交換や連絡調整がブロックごとに行われてきたというような実績がございます。ただ、しかしながら、昭和五十六年に最高裁の方から廃止したいとの申入れがございまして、昭和五十八年度以降は開催されていないというのが現状でございます。
#24
○小林正夫君 大臣、今具体的な経過について報告をいただきましたけれども、この司法制度改革審議会意見書に基づいて、もちろん厚生労働省の仲立ちで労働委員会と裁判所の間に協議機関の設置を改めてお願いしたいというふうに思います。
 この意思の疎通を良くしていく、このことがやはり私は大事なポイントじゃないかというふうに思います。そこで、この協議機関の設置によって、私が最初にお願いした緊急命令制度の空洞化など、このことも解消の方向に向かうと思いますけれども、この設置について大臣の御見解をお伺いしたいというように思います。
#25
○国務大臣(尾辻秀久君) 御指摘の労裁会議、いろんな経緯については今お答え申し上げたとおりでございます。改めて申し上げるまでもございませんけれども、労働委員会と裁判所との間で、不当労働行為制度の運用上の諸問題に関して労働委員会と裁判所との間で意見交換や連絡調整が行われていたものでございまして、有意義な面を持っていたと、こういうふうに思います。
 ただ、今お答えいたしましたように、昭和五十八年度以降開催されていないものでございまして、廃止に至った経緯やその後の労働委員会と裁判所との間における状況など、私もよく勉強させていただきまして今後の検討課題にさせていただきたいと存じます。
#26
○小林正夫君 いずれにしても、いろんな関係箇所の意思の疎通を良くしながら、やはり職場で不当労働行為を受けた人間が助けてくれと、こういう訴えをしてきたんだから、それを早く解決をして結論を出していってあげるということが大変大事なことだと思いますので、是非前向きな検討をお願いしておきたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 今回の法改正に期待するところは、不当労働行為の審査が迅速化あるいは的確化に行われていくこと、ここにあると思います。大事な点、二点についてお聞きをしたいというふうに思います。
 まず、一点目ですけれども、証人等出頭命令等の不服申立てが行政訴訟の対象になると審査が遅れる心配がある、これは今までやってきたことが表していると思います。そこで、労働組合法改正案に、証人等出頭命令等に対する不服審査は労働委員会で完結することとし、証人等については行政事件訴訟による訴えを提起することができない、こういう規定をこの法案の中に入れられませんか。
#27
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 証人等出頭命令につきましては、これはやはり国民に行政上の義務を課すという行政処分でございますので、当該命令の名あて人の裁判を受ける権利を保障するために、やはり当該命令に対する行政事件訴訟法による訴えの提起を認める必要があるのではないかと考えております。したがって、ごく特別の例外を除いてはなかなかこの行政訴訟の適用除外とするということは困難ではないかというふうに考えておるところでございます。
 私ども、他の立法例等調査したわけでございますけれども、調査した限りにおきましては、証人出頭命令等に対する訴訟提起によって審査の遅延が現実に生じているという例は聞いておらないところでございまして、少なくとも現時点におきましては、審査の遅延について必ずしも懸念するには及ばないのではないかというふうに考えているところでございます。
#28
○小林正夫君 法的にできないと、こういうことであるならば迅速化についてどのように取り組むのか、また、仮にこの法律が施行されたとして、本当に迅速化になっているのかどうか、こういう検証も私は必要だと思いますけれども、このことに対してどのように思われているか、お聞きをしたいと思います。
#29
○副大臣(衛藤晟一君) できる限り、労働委員会が出しましたところの証人等の出頭命令等に関しましては取消し訴訟が起こらないようにすることが重要であるというように考えておりますけれども、しかし、そのことがちゃんと適切に行われるように、今後、証人等出頭命令等の要件や手続の内容を解釈通達によって具体的に示すということを迅速化のためにやらせていただきたいと思っております。そしてまた、それらの証人等出頭命令が認められた事例や認められなかった事例等につきましても、そのことを集めて整理をして周知することも必要であるという具合に考えている次第でございます。
 この審査が遅延を来すことがないように、施行状況につきましても的確に把握をいたしまして、必要があると認められた場合には検討を行う、行いたいという具合に考えている次第でございます。どうぞ、ここはよろしくお願いします。
#30
○小林正夫君 二つ目の質問になりますけれども、今回の改正案では、和解協定を作成すれば確定判決と同じ効力を有することになり、それに基づいて差押えをできることになりますが、和解において債務名義とできるのは、第二十七条の十四の四に明記をされておりますけれども、「金銭の一定額の支払又はその他の代替物若しくは有価証券の一定の数量の給付」となっております。和解には、昇給だとか、昇給や昇格あるいは復職命令など金銭以外の命令も一杯あるんです。
 そこで、なぜ金銭以外は債務名義として駄目なのか、この点についてお伺いをいたします。
#31
○政府参考人(太田俊明君) 今お尋ねいただきました和解の債務名義を金銭支払等に限定している理由でございますけれども、労働委員会によります和解調書の作成手続には、裁判所における実態関係の審理を経ているものではないという、こういう状況がございますので、仮に不当な執行が行われたとしても、その損害についての原状回復が容易な請求権に限定する必要があるということでございます。したがいまして、金銭給付以外の請求権につきましては債務名義を認めることは適当ではないということで、実はこの取扱いは他の行政委員会の例でも同様な取扱いがなされているところでございます。
#32
○小林正夫君 和解協定が守られない、このことについてちょっと質問をしたいと思うんですけれども、せっかく和解協定を結んでも、それが守られないということが非常に多いというふうに私は思うんです。救済命令の不履行と同様に、心情的には過料制裁に値するほどの問題があると、私自身はそのように思います。
 この和解不履行があった場合に、迅速に和解内容を履行させるような仕組み、このことについてお考えがあれば、あるいは行政としてこういうことをやっていきたいということがあればお話を受けたいと思います。
#33
○副大臣(衛藤晟一君) 今のお話にもございましたように、この和解は当事者間の合意でございますので、この不履行は、相手方に対する民事上の義務違反であっても言わば民間の取決め違反でございますので、なかなか、労働委員会の確定命令に違反した場合と同様に厳罰を科すということはなかなかできない、難しいという具合に考えております。
 しかし、今お話ございましたように、和解の履行状況につきましてもどうするかということでございましたけれども、この範囲の拡大あるいは不履行に罰則を科すことは困難であるという具合に考える中でございますけれども、その和解が本来の趣旨に沿ってちゃんと活用されますように、今後とも的確に把握しながら、必要があると認められれば検討を行うべきだという具合に考えております。
 以上です。
#34
○小林正夫君 冒頭紹介をさせていただきましたけれども、不当労働行為が行われないことが一番大切、もうこのことが大きな基本だと思います。十月の二十八日の大臣所信の中で、労働者が安心して安全に働くことができるよう諸対策に取り組む、労働組合法の改正法案を一日も早く成立をお願いしたい、このように尾辻厚生労働大臣から所信の中でお話がされました。
 不当労働行為が行われず、安心して安全に働ける労働環境を整備していくことが大変大事だというふうに思います。私は、労働行政として今日までこのことに対してどのように取り組んできたのか、また今後どのように取り組んでいくのか、このことについてお聞きをしたいと思います。
#35
○政府参考人(太田俊明君) 今議員から御指摘ございましたように、やはり不当労働行為は労働組合法七条で禁止されているものでございますので、大臣からもお話ございましたように、やはり不当労働行為をなくしていくこと、これが大変重要な課題ではないかと考えているところでございます。
 私どもとしましては、これまで例えば各労働委員会のホームページ等におきましても、不当労働行為の救済を行う労働委員会制度の周知を行うとともに、禁止される不当労働行為の内容を示してまいったところでございます。また、使用者団体に対しましても、具体的な不当労働行為、こういうものは禁止されているんだというようなことのパンフレットを配付するなど、都道府県とも相まって、いろんな機会を活用しまして不当労働行為の禁止につきましての周知啓発を図ってきたところでございます。
 今後とも、この法律の制度の周知徹底に当たりましても、あわせて、不当労働行為の禁止につきましても周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
#36
○小林正夫君 大臣、この不当労働行為をなくしていくという、大臣としての決意をお聞きをしたいと思いますけれども。
#37
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほど来申し上げておりますように、この不当労働行為というものは法律でも禁じられておりますし、あってはならないことでございます。今いろいろ具体的な施策、私どもが取ってまいりましたことについては申し上げたところでございますが、繰り返し繰り返し、あってはならないということを私どもは皆さんにまずは知ってもらわなきゃいけない、こういうふうに思います。
 したがいまして、今度の法律改正していただきますと、このまた内容の御通知もしなきゃいけませんが、そうした中で、更に私どものそうした思いといいますか、あってはならないということを更に周知徹底してまいりたいと思います。
 申し上げておりますことは、とにかく全力を挙げてこういうことのないようにしていきたいということをお答えしたつもりでございます。
#38
○小林正夫君 幾つか今までお聞きをしてきましたけれども、要は、先ほど来言っているように、不当労働行為をなくして働く者が安心して安全に働ける、こういう環境を作っていく、このことが私たち働く者としては大変大事だということを改めて訴えておきたいというふうに思います。
 そして、この安心して安全で働けるということが、結局は無事故で災害のない職場を作っていくということに当然つながっていくと私は思います。そういう意味で、最近、この日本において不幸にしていろいろな設備を中心とした事故も多発をしておりますけれども、是非そういう意味で安心と安全、このことをキーワードにしていい法律がきちんとできて、それを施行していく、これまたきちんとチェックをしていく、こういう体制で是非とも臨んでいただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#39
○国務大臣(尾辻秀久君) 是非そのように努力をしてまいります。
#40
○小林正夫君 私は、繰り返しお願いになりますけれども、今回の法律の論議に当たって、先ほど来言っていますように、この司法制度改革審議会意見書、やはりこれを尊重しながらより良いものを作っていく。先ほど大臣おっしゃったように、五審制などについては積み残しかな、このような感想を言っておりましたけれども、是非そういう意味でこれが実効ある法律になっていくようにお願いしておきたいと思います。
 具体的には、再度お願いになりますけれども、緊急命令制度、先ほど来、近年では十一件中十件が取消し訴訟と同じ時期にしかこの緊急命令が発出することができていなかった、これじゃこの法律の実効性に疑問を持つ、こういうことになると思いますので、是非この実効ある緊急命令制度にしていくというところに力を入れていただきたい、このようにお願いしておきたいというふうに思います。
 さらに、いろいろ経過はありましたけれども、意思の疎通をよくしてみんなで知恵を出し合いながらその課題に結論を出していく、このことが問われているわけですから、そういう意味でいろいろ過去の歴史あるいは現在行われていない理由などもお聞きをしましたけれども、要は意思の疎通をよく行っていくということは私は大変大事なことだと思いますので、そういう意味から、労働委員会と裁判所の間の協議機関の設置について、是非前向きな検討をお願いしておきたいというふうに思います。
 それと、証人等出頭命令等に対する不服申立て及び和解の制度について、先ほど来言っているように、順調に円滑に迅速にいけばいいんですけれども、やはり一定の時期よく検証をしながら、総合的に見直しだとかあるいは更に法律を変えていく必要があるという、こういうことがあった場合には速やかにやはり検討をし、またみんなで話し合っていく、こういうことが必要だと思いますので、是非とも順調にいくのかどうか総合的に検討を加えていっていただきたい、このように思います。
 そして、先ほど来もう何回もしつこく言っていますけれども、不当労働行為が行われず安心して安全に働ける労働環境を作っていく、このことが何にも増して一番大切なことだと思いますので、労働行政の役割は大変大きなものがあると思いますし、また働く者はそこに期待をしているということだと思います。
 先ほど来言っているように、平成に入りまして、残念ながら日本の景気はずっと落ち込みっ放しで、もう十四、五年、なかなか経済の回復がうまく進まない。もちろん、日本の構造的な改革を進めなきゃいけないという課題もあることは承知をしておりますけれども、今の職場実態で見ると、少ない人数でより良い効果を上げたい、少ない投資で企業ももうけたい、非常に無理があるような労働環境に置かれているということは間違いないんです。そういう意味から、今回のこの法律改正で迅速に事は進むということに期待をしていきますけれども、何しろ安全で安心で働けるような、こういう職場環境を作っていくということを改めてお願いしておきたいというふうに思います。
 最後に、もう一度、この法改正に伴って、大臣としてもう一言だけ決意をお伺いして、私の質問を終わりたいというふうに思います。
#41
○国務大臣(尾辻秀久君) この不当労働行為事件の件数を見ましても、一時期下がっておりましたが、発生件数であります、バブルの崩壊後また増えてきておる、そうした傾向を見ますと、今委員が御指摘のような面もあるのかなというふうに思いながらお聞きをいたしておりました。
 そこで、幾つかの具体的な御提言をいただいております。まずはその緊急命令の話でございますが、緊急命令が緊急命令にならなきゃ何の意味もないと、こう思います。したがいまして、これは何とかしなきゃいけないことの一つだと思いますが、何しろ相手が裁判所というようなこともありますから、私どもがどういうふうに対応できるかということなども含めて検討をすべきことだろうと思います。それから、労裁会議、裁の方が裁判所の裁になりますが、のお話もございました。いずれにしても、どういう形にするかは別として、委員御指摘のように、意思の疎通をうまく図るということは大変大事なことでありますから、そうした検討も今後していかなきゃいかぬなと思いますし、和解の制度についてのお話もございました。
 検討すべきことはまた残っておるということは私どもも認識をいたしておるところでございますから、そうしたものをまた不断に見直しをしながら、何回も繰り返しておっしゃった、まさしく私もそうだと思いますが、働いておられる皆さんが安心して安全に働けるような環境を作る、これはもう私ども労働行政に携わる者の使命であると思いますから、努力をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
#42
○小林正夫君 是非実効ある法律にしていくために今の取組をしていただきたいということをお願いをして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#43
○柳澤光美君 おはようございます。私は、七月の選挙で民主党の比例で当選をさせていただきました柳澤光美と申します。希望する厚生労働委員会に所属をさせていただいて、今日初めて質問に立たさせていただきます。大変興奮するというか緊張しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初にちょっと、どんな立場で質問をするのかということで、簡単な自己紹介をさせていただきたいというふうに思うんですが、私は長年労働組合の役員をしてまいりました。全国の職場をずっと巡回をし、多くの声を聞かせていただいてきました。
 その職場なんですが、医療、住居、食品を作るところから本当に売るところまで、医薬の関係、病院も含めて介護まで、実はホームヘルパーさんも大変多くいらっしゃいます。また、運輸、レジャーそしてリゾート、本当にあらゆる産業業種が集まっている職場です。特に、正社員だけではなくて、実はここへ来てパートさんの仲間、あるいは今回派遣の皆さんも大変増えている職場になります。そのほとんどが実は民間の中小零細に働いている仲間の皆さんです。
 ですから、今回私は、本当にその現場の状況と、そこに働いている皆さんがどんな思いでいるかということを是非私は尾辻大臣に伝えたいということを中心に、少し質問をさせていただきたいと思っています。
 この労働組合法の改正なんですが、私は、労働委員会の審査の迅速化は本当に長年指摘されてきた問題で、今回改正がされて実効あるものになって、審査の迅速化、的確化が図れるということは本当に大変喜ばしいことだと、基本的にそう思っております。ですから、質問の内容なんですが、実は衆議院の中でもかなり細部まで議論がされ、附帯決議も付きました。今、小林議員が質問して、この後プロの加藤議員が同僚でまたしますから、私の方は余り、できるだけ重複を避けさせていただいて、むしろ、そうですね、先ほど言いましたように、職場の現状だとか生の声だとか、現場のことを中心に少し述べさせていただければというふうに思います。
 できましたら、答弁はできるだけ是非大臣にお願いしたいなと。もちろん、質問によっては担当官の方に答えていただいて結構なんですが、私は、参議院出身で、今回の国会答弁も聞かせていただいていて、私は本当に率直に自分の意見を述べられている尾辻新大臣に大変好感を持っておりますし、期待をしております。そんなことで、是非よろしくお願いしたいと思います。
 最初に、民間の立場から見た労働行政の在り方ということで、ちょっと何点かお伺いしたいと思うんですが、私は、民間から見ると一番疑問に思うのは、労働行政のスピードの問題です。民間でいえば今何が一番大事かといいますと、変化への対応をどうスピードを持ってやるかというのがすべてのテーマになっています。ところが、今回の改正は昭和二十四年以来五十五年ぶりの改正になる。本当に問題なかったのか、なぜこんなに問題があるのに長期間改正されなかったのか、本当に素朴な疑問を感じています。
 この審査の長期化の問題というのは、特にこの二、三十年前から大きな問題になってきました。先ほど小林議員からもありましたように、労働関係法の研究会で昭和五十七年に「労働委員会における不当労働行為事件の審査の迅速化等に関する報告」が出されています。私も読まさしてもらったんですが、今回の改正内容とほとんど同じような問題提起がそこでなされている。でも、二十年以上全くできなかった。
 本当に素朴な質問で申し訳ないんですが、民間からいうと、なぜという疑問があるんで、是非この辺の、どういうことが原因でここまでずるずると引きずってしまったのかと。率直な質問であれですが、お答えいただければというふうに思います。
#44
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 改正に時間が掛かった点でございますけれども、今お話ございましたように、不当労働行為審査の迅速化、的確化に関しましては、昭和五十年代から課題となっておりまして、今お話のございました昭和五十七年にまとめられました労使関係法研究会報告では、詳細な現状分析に基づきまして、事件処理計画の策定など、審査手続の運用面を中心としまして具体的な改善策が提言されたところでございます。この時点におきましては、法改正、制度改正というよりも、むしろ運用面中心の提言がなされたところでございます。
 この提言の実行状況でございますけれども、残念ながら、事件処理を全事件で策定しております地労委は全体の一四・九%、計画をきちっと作っているというものは全体の一四・九%ということで、提言への対応が極めて低調だったというようなことがございます。この間におきます不当労働行為事件の複雑困難化も相まって、その後、更に審査期間が超過するに至ったと、長期化するに至ったというようなことがございます。
 それからもう一つ、やはりこの労働委員会は、やっぱり公労使三者構成の機関でございますので、公労使三者の具体的なコンセンサスを得て制度改正までの機運を盛り上げていくと、こういうことにも時間が掛かるというような状況もございました。
 こういった状況を踏まえまして、私ども、先ほど来申し上げております平成十三年十月に不当労働行為審査制度の在り方についての検討を開始しまして、審査手続におきまして労働委員会が指導性を発揮して審査の迅速化を図ることができるように、さきの通常国会に本法案を提出して、もう運用の改善ではなくて制度の見直しまで必要だということで労働組合法の改正案を提出したものでございます。
#45
○柳澤光美君 もう何度も言いますけれども、本当に僕は、そうあったとしても、二十年も掛かるということが非常に分からないんです。今回法改正しても、運用の部分でまた問題をずうっと引きずったまま二十年、三十年たってしまうということがないように是非対応いただきたいと。
 二点目なんですが、もう一つ、労働行政の主体性というのがどこにあるんだろうという、大変失礼な言い方なんですが、例えば今回の改正も、今ありましたように、一九九九年に発足した司法制度改革審議会から問題提起がされて、やっとこういうふうに動いてきている。こんなことで、この労働行政が主体性を持って、もうちょっと持って動かないと、今回の法改正というのは、一番大事なのは法改正をすることが目的ではなくて、それに基づいて運用を良くして実効性を上げると、むしろこれからが大きな課題になってくる。私は、大変失礼な言い方なんですが、本当に労働行政の迅速化こそが労働委員会の迅速化よりもっと必要だろうというふうに私は率直に感じています。
 どちらにしても、この改正は改正することで終わるんではなくて、また問題があったのを長期間ほっておくようなことのないように、是非私は厚生労働省が中心となって主体的に進めていただきたいというふうに思いますが、是非大臣、御見解がございましたらよろしくお願いしたいと思います。
#46
○国務大臣(尾辻秀久君) この件に限らずでございますけれども、私は、今の御指摘は非常に当たっている部分が多いんだろう、こういうふうに思ってお聞きしております。そして、この件に限らずと申し上げたのは、だからこそ今、私たちは、政治主導と言っておりますけれども、正に私たちがきっちり判断してやるべき時期が来ているんだろうと、こういうふうに思っております。
 どうしても役所に任しますと、良く言えば慎重でありますが、悪く言えば今御指摘のようなことにどうしてもなってしまう。だから、やっぱり政治主導で、そこにスピードを自分たちがちゃんときっちり持ち込むべきだというふうに思っておりまして、私も、できるだけそういう面を出しながら大臣の仕事をさせていただきたいなと、こう思っておるところでございまして、ちょっと一般論でお答えしましたが、私は、思いますことを率直に申し上げて、今後、私どもがみんなでこの正に政治主導という立場で努力をしていくべきことが多いんだろうということを申し上げたところでございます。
#47
○柳澤光美君 本当に率直な答弁をいただきましてありがとうございます。本当に、このことを政治主導でもっともっと直していくということが、労働行政だけではなくて、私、日本全体の問題だろうというふうにもとらえさしていただいております。
 実は、もう一つ民間から見ると信じられないことをちょっと質問したいと思うんですが、この労働委員会のばらつきの問題です、特に新規申立ての。
 この新規申立ての多い地方労働委員会というのは、もう東京と大阪だけで五割を超えてしまうんですね。そこに、神奈川、北海道、兵庫を加えて、五県でもう七割以上になってしまう。これ、例えば民間ですと、何か問題があったら、全体の問題ではなくて、これは、実は私は流通の出身で、これ個店対応というんですが、全店の問題ではなくて、個店の問題は個店できちんと対応すると。とすると、大きな問題を抱えている東京と大阪を集中的に改善する、あるいは五県に、もう少し指導性を持つかどうかは別として、入り込んで改善をするというふうにする方がはるかに効率的に、審査の遅延とか、大きな問題点が解決するんではないかと。
 先ほど小林議員が質問をされて、長野で労働委員が一名足りないと。先ほど答弁で、それは地方自治の問題があって云々というお話がありましたが、そういう縦割りのじゃなくて、もうちょっと厚生労働省が主導をもって、全体の調整とか指導ができないものかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。
#48
○政府参考人(太田俊明君) 今お話のございました地方ごとのばらつきでございますけれども、まず不当労働行為事件の審査期間でございますけれども、この長期化につきましては、実は東京、大阪のような必ずしも申立て件数の多い地方労働委員会で審査期間が著しく長期化しているというだけでもなくて、申立て件数の多寡にもかかわらず、おおむね同様に長くなってきていると。ですから、申立ての多いところも長くなっている、少ないところも長くなっていると、こんな状況がございます。
 したがいまして、私ども、議員御指摘のございましたように、申立て件数の多い地労委に対しましては、研修とか助言、援助をやっていく必要性は当然高いということで、できる限りの対応をやらしていただきたいと思っております。また一方、申立て件数の少ない地労委は、逆にこれは審査経験の蓄積が不十分であるというようなこともございまして、これによります審査期間の長期化が懸念されているところでございまして、こういったことに対する研修とか助言、援助、こういうものが必要ではないかと考えております。
 したがいまして、それぞれの地労委に対しまして、それぞれの実情を踏まえまして、今般新たに規定されました中央労働委員会によります助言とか研修とかその他の援助の適切な運用を図って、その審査の迅速化に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#49
○柳澤光美君 今お答えになっているように、本当にただ多いとか少ないだけではなくて、今度はその申立ての内容が個別にいろいろ要件も違ってくるということも分かります。ですから、制度、法改正をして、全体の問題ではなくて、今度は運用の中で一つ一つの問題をどうしていくかということを私はちょっと問題提起をしておきたいと思うんです。
 ですから、そんな中で、今のお話のように、例えば、今度は一方で非常に申立てが少ない地方労働委員会があります。ゼロの県が九、一件しかない県が十五。ですから、二十四ですから、四十七都道府県の半分以上はゼロか一件。
 とすれば、今度は逆の質問なんですが、僕は、むしろこちらには、量の問題ではなくて、今おっしゃられたように、本当にこういう事件が起きていないのか、あるいは申し立てしにくい何か要件があるんではないか、あるいはまた別の手段でどこかへ言っているのかという辺りのところを把握されているかどうか、今の関連でちょっとお答えをいただければと思います。
#50
○政府参考人(太田俊明君) 地方ごとのばらつきの問題でございまして、今先生からお話ございましたように、平成十五年の地労委での不当労働行為事件の新規申立て件数、御指摘のように、九地労委でゼロ件、それから一件のところが十五県、こんな状況がございます。一方、東京、大阪には集中していると、こんな状況もございます。
 こういう、少ない地労委、ちょっと時系列で調べてみたところ、不当労働行為の申立て件数がピークでございました昭和四十年代とか五十年代におきましては、まあ必ずしも多くはないんですけれども、一定の申立てがなされていたところでございます。それから一方で、もう一つの不当労働行為の審査ではなくて労働争議の調整案件の方でございますけれども、これにつきましては、こういう不当労働行為事件の申立てのない県でも、最近でも相当数の申立てがなされているという状況もございまして、労働委員会全体としましては一定の活用が図られているところでございます。
 それから、集団的な労使紛争ではございませんけれども、個別の労使紛争に関する相談を受け付けておりますけれども、この点につきましては、こういう不当労働行為の申立てのない県でも一定数の労働相談があるというような状況でございます。
 したがいまして、こういう全体、勘案しますと、私ども不当労働行為審査制度が知られていないとか、申立てがしにくいような環境にあるとは考えてはおりません。
 ただ、いずれにしましても、今お話ございましたように、全国どこの労働組合であっても不当労働行為があった場合には救済が受けられると、こういう環境を作ることは大変重要でございますので、御指摘の趣旨も踏まえて、今後とも全国の労働委員会が事件が起きたときには十分活用されますように、今般の法改正の内容も含めて、労働委員会制度の周知に努めてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#51
○柳澤光美君 実は、先ほど小林議員からも質問があったように、非常にばらつきの調整という、あるいはいわゆるその労働委員会と裁判所との連携もひっくるめてそうなんですが、今回、労働委員会のほかにもいろんな紛争が県の労働局あるいは労働基準監督署あるいは労政事務所、そして今回、民事裁判もあるんですが、実は労働審判制が入る。しかも、総合法律支援法による支援センターもできる。この窓口がたくさんできるということは、一見良さそうに見えるんですが、その当事者にしてみればどこへ行ったら一番ベターな解決ができるんだということが、行政の立場ではなくて当事者の立場に立ってどう情報公開をするか、それが一番適切なところで一番いい解決方法にどうしたらつながるか、この辺の調整が私は本当に必要になってくるだろうと。
 先ほど、尾辻大臣からも率直にお答えいただきましたけれども、どうしても行政というのは縦割り、あるいはセクショナリズムというところに陥っているんではないか。だからもっと、ちょっと繰り返して言いますけれども、地方の労働委員会がそれぞればらばらになっていて、委員も何もひっくるめて内容が違うということは、日本全体で問題起きたら一緒ですから、ところがほかの県の労働委員会に訴えたくたってその県しかできないわけですから、基本的な部分はきちんと一緒にしていかなきゃいけませんし、そんなことを、僕は民間からすると、是非対応していただきたいというふうに思っていますが、大臣いかが思われますか。その辺の全体の調整を、私は、むしろ厚生労働省が中心となって情報の提供だとか情報の共有化だとかPRとかいろんなのをしていけるということを是非大切にしてほしいと、労働行政については、というふうに考えますが、御見解がございましたら。
#52
○国務大臣(尾辻秀久君) 全体については当然私どもが責任を持つべき立場でございますから、ただ個々について言うといろんなお話もありますし、まあ委員の選出が知事の任命権だとかそんなこと言い出したら切りないわけでございますが、それはそれとして、全体は今お話しのように私どもの使命でありますから、それはもうきっちりやっていきたいと考えます。
#53
○柳澤光美君 今私が、個店対応と言われる、僕らで言えば一つ一つの店というお話をしたんですが、次はちょっと、今僕ら小売業ではむしろ単品管理という言葉が非常にはやっていまして、例えば紳士服が全体が売れているという問題ではなくて、どういう素材のどういう値段のどういうその服が売れているんだというのが、いわゆる一品一品を確認していこうということなんですが、この不当労働行為事件の問題というのも、もう一回、先ほど答弁にもありましたけれども、訴えている個別の内容の分析というものがもっともっと必要になってくるだろうというふうに思います。
 正直言いまして、全国回る中で、バブル崩壊以降、経済環境の悪化からもうリストラがずっと続いていますし、労働環境は本当に悪化しています。実はその中で労使関係が一番ぐしゃぐしゃになっているというのを僕は率直に感じているんですね。
 これはちょっと言い過ぎかもしれないんですが、実は増えているのは、どちらかというと確信犯的な使用者のケースって多いんです。会社の一方的な攻撃で組合つぶしが行われている。これは実は、労働委員会に訴えて、審査の間もずっと続くんです。むしろその間につぶされちゃうぐらいの強さなんです。ですから、それが特にひどいのはその個人攻撃なんですね、もう。もう組合を辞めろと、辞めなきゃ首だというようなことが、むしろ恫喝が当たり前のように行われている。
 このことが本当に私は問題で、特にこれ以上この問題は突っ込みませんが、是非情報として知っていただきたいんですが、この状況が、この審査の期間が延び、今まで長かったために、本当に当該の労働組合あるいは労働者のその精神的、肉体的なその負担というのは大変大きいんです。しかも、何回も足を運んだりして、はっきり言えば経済的な苦労まで伴っている。
 ですから、今回この法改正が行われて、本当に審問の手続を強めるということは私はとても大きな効果が出ると。もちろんこれだけではなくて、結構、合同労組に駆け込んだ実質的な個別紛争みたいのもあります。この辺にも大きな効果が出るだろうと。それ以上に、僕は中労委以降のところで大きな効果が出てくるんだろうというふうに思いますし、是非それをうまく活用していただきたいというふうに思っています。
 ただ、実はこれに合わせて、一方のちょっと問題提起だけここでちょっとさせていただきたいと思うんですが、今度一方で、私は地方労働委員会でこの司法化が過度に進み過ぎる、強め過ぎると、申立てがしにくくなったり件数が減るんじゃないかというおそれをちょっと感じているところがあるんです。
 なぜかといいますと、本来、労働委員会の目的というのは将来的に健全な労使関係を形成させることにありますし、労使の自治を支えるルールを職場に確立する、で、労働組合の自主的な結成や運用をサポートするという最大の目的があるんですが、余り強め過ぎると申立てがしにくいということにならないように。なぜかといいますと、地方労働委員会の解決方法というのはほとんど和解なんですね。ですから、命令重視ではなくて和解を重視すべきだと。いかに労使の納得を得て解決するかというのが最大の問題になります。
 それには、私、公労使委員の調整機能、どう調整していくのか、あるいは、教育機能と言っちゃおかしいんですが、労働組合を育てる、あるいは経営者に健全な労使関係の大切さを教えるといったその教育指導的な機能も非常に強いというふうに思います。この辺について、大臣の御見解があればお伺いしたいと思いますが。
#54
○国務大臣(尾辻秀久君) 今いろんなお話、伺わしていただいておりまして、私も改めて勉強しなきゃならぬことが多いなと感じておるところでございます。しっかり勉強させていただきます。
#55
○柳澤光美君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 そのことに触れて、もう少しその現場の情報をちょっとお話ししたいと思うんですが、実はその地方労働委員会でこの法案の改正によって過度の司法化が進み過ぎると、逆に僕は、和解ではなくて無用な不当労働行為の事件、事件化をしてしまうという問題もあるだろうと。あるいは、今回大きな改正点であります争点、証拠、審問回数など審査の計画、これをうんと強めてしまうと、今度は計画が独り歩きしてしまう。むしろ迅速かつ効果的な和解に逆につながらないで、逆にもめてしまうおそれもあるということが一つあります。
 それからもう一つは、その審問期間中に不当労働行為が続いている場合もそうなんですが、実は非常に計画が立てにくいケースもたくさんあります。更に言えば、その計画どおりにいかなくて、そこでいろんな調整が行われて和解につながる、これが和解のおもしろさだし妙味だという声も現場ではあるのも事実なんですね。余りがちがちに地方労働委員会はすべきではないと。
 それからもう一つは、直接的な証拠というのは非常にない場合が多いんです。むしろ、議論の中で間接的な証拠を積み上げながら証拠を確定していくという流れも現実にはあります。
 もう一つは証人と証言の問題なんですが、これを余り事前にオープンにしてしまうと、実は労働組合よりははるかに使用者の方が強いわけですし、証人に対して不当なプレッシャーが、今でも一杯掛かっているんですが、早目に出ることによってうんと強く掛かってくる可能性があるんじゃないかと。あるいは、証拠を隠すというような現象も起きるんではないかということも私はちょっと懸念をしている部分があります。
 この辺、もし答弁いただけるんであればいただければと。
#56
○副大臣(衛藤晟一君) 委員の現場の実態に即した大変な御意見をちょうだいいたしまして、心から感謝を申し上げます。
 仰せのとおり、この不当労働行為等の審査制度というのは、やっぱり長期的に安定をした労使関係、健全な労使関係を維持するべきだというふうに思います。そして、そういう中で今回、司法的な立場だけを強めるということを主眼に置いたわけじゃなくて、やっぱり和解を法律上明文化いたしまして、和解による事件の解決を一層促進したいというのがまず第一点でございまして、しかし和解だけではどうしても難しいところがあるでしょうと、ですから準司法的な手続も強化しましょうという具合に私ども理解をして今回の改正に取り組んだところでございます。
#57
○柳澤光美君 言いたかったのは、非常に、行政というのは画一的になってしまわないように、特に、例えば地方労働委員会と中央労働委員会の位置付けは違うと思うんですね。地方労働委員会は、うんと窓口を広げてたくさん来てもらえることが大事だと。そこからケースごとに、その内容によって中労委に行ったり、場合によったら裁判まで行くのもあるという辺りを運用の中できちんとしていくということが非常に大切になってくるというふうに思います。
 そのことをお願いしておきたいのと、実は、最後なんですが、今回の、私、法改正の問題提起の一番根幹にあるのは、私、人の問題だと思っています。ですから、特に労働委員になられる皆さんというのは本当に、優秀であるということも大事なんですが、本当に人間性に富んで、労使を育てる、それからそういう強い情熱を持っている方を是非選ぶように、県の地方労働委員会は関係ないということではなくて、いろんなそんな努力だけはしていただきたい。
 それからもう一つは、今回、事務局の皆さんの研修、これが今回の一番大きな僕はキーポイントだというふうに思っています。二年、三年のローテーションで動いてしまう。とすれば、本当に、命令書を書いている途中で次の人に譲ってまた一からやっているみたいな実態が現実なんですね。ですから、この人たちにも本当に親身な研修なり教育なりということを是非強めていただきたいということをお願いしたいと思いますが、大臣、何かございましたらよろしくお願いします。
#58
○国務大臣(尾辻秀久君) 先ほども申し上げましたけれども、地労委の委員とか事務局職員について言いますと、任命権者はだれだというと都道府県知事になりますから、直接的に私どもが任命できる立場じゃありませんけれども、先ほど来お話しのように、やっぱり国全体どうするかというのは私どもの仕事でありますし、それを全体考えなきゃいけませんから、よくよくまた都道府県とも御相談申し上げたりお願いをしたりしながらうまく図っていきたい、こういうふうに考えます。
#59
○柳澤光美君 ありがとうございます。
 もちろん、大臣が最初にお答えいただいたように、これは行政の問題だけではなくて政治の大きな課題であるというふうに私たちもとらえたいというふうに思いますし、一番大事なのは国民の立場、庶民の立場、労働者の立場、当事者の立場に立って、どう効率的な運用が行われて実効を上げるかということだというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。
 実は、せっかく立たせていただいたんで、実は私は、これを労働委員会の、いわゆる労働組合法の改正の議論をする、あるいは実態を見れば見るほど、なぜこのような不当労働行為や労働争議そして個別紛争、これだけ増えてきているのか。その原因を絶たなければ、根本的な解決には私はつながらないというふうに思うんですね。法制度で仕組みを変えたりこんな手続論をやっていたって、本のところをどうするかということをちょっと中心に、ちょっと尾辻大臣に現場の状況というのを少しお伝えさせていただきたいと、また御意見があればちょっとお伺いをしたいというふうに思います。
 私は、全国津々浦々の職場を歩いてきました。本当に小さい中小零細がほとんどなんですが、正直言いまして涙が出るような場面ずうっと見てきました。サボっているなら別なんですが、みんな死に物狂いで働いているんです。でも、もう労使で頑張ったってどうにもならない。例えば、繊維では縫製とか染色の産地なんというのは、もう中国にやられてめっちゃめちゃになっちゃうんですね。現実を言いますと、正直言ってもうボーナスなんか吹っ飛んでいるところ一杯あります。もう、少しでもボーナスがもらえたらめっけもんです。もう賃金カットが当たり前に行われています。
 今回、能力主義だ実績主義だといいますけれども、それに基づいてやった制度変更というのは、基本的には全部賃金を下げる方向の制度変更になっています。で、休みがなかなか取れていません。本当に、休日出勤になるし、もう休みを提供している状況になる。朝から晩まで、もっと言わしてもらえば夜中までです。もう死に物狂いで働いて、実はこの後少しちょっと質問さしてもらいたいんですが、ほとんどがサービス残業になっちゃうんですね。そんな中で、それだけ頑張ってもどうにもならなくて、それでも職場守ろうと。日本の場合には企業別組合ですから、労使で職場だけはなんとか守ろうと。で、希望退職に応じます。もう仲間と涙ながらに別れて、その挙げ句が事業所閉鎖、店舗閉鎖、倒産です。
 私は、大臣ちょっと率直にお伺いしたいんですが、私は小泉さんの構造改革、確かに構造改革しなければいけないというのは分かるんですが、本当にそのしわ寄せが全部弱いところに来てしまう、特に中小零細の勤労者のところに一番集中しているんではないかと。
 大変生意気なことを言いますけれども、私は、経済というのは元々中国の経世済民、世の中を治めて民を救うという言葉から経済が出ている。でも、国を何とかしようとして民が全然幸せになってこない、根幹的に間違っているんじゃないかなと。特に、まじめに働く勤労者が報われない。日本がここまで戦後頑張って経済大国になれたのも、資源も何もない国がまじめに働く勤労者の力で、もっと言わせてもらえば、私ははっきり言いますけれども、それはトヨタさんとか大きいところもあるんですが、それを支える中小零細に働く力で僕は支えてきたし、それが最大の資源だろうというふうに思っています。それにはもう少し、国のために国民があったり会社のために従業員があるだけじゃなくて、国民のために国もあるし従業員のために会社もある。組織中心だけではなくてもうちょっと人間中心に戻す。
 そのことができるのは、これは経済産業省とか国土交通省とか、もっと言えば、竹中さんの金融庁では難しくて、私は厚生労働省だろうと。ここが人の部分をきちんと守るとりでにならなきゃいけないだろうという思いが強くしていますが、是非大臣の御見解をお伺いできればというふうに思います。
#60
○国務大臣(尾辻秀久君) 確かに、今の日本社会が何か二極化しておるということは私も感じております。そして、それがまた必ずしも好ましいことではないというふうに率直に思います。それはそれといたしまして、その二極化した、とにかく、としているとするならば、今おっしゃるような、まじめに頑張っておられる、そしてどちらかというと弱い立場にある方々のところに何ができるかを考えるのが、これが正に厚生労働省の大きな仕事の一つだというふうに思います。
 そして、大臣になりまして本当に自分が無力なことに腹が立つときがあります。もうこれ申し上げるんですが、難病の患者さん来られるんですね。何とかしてあげたいと思うんだけれども、私にできることなんというのはもう本当に限られていて、何ももう本当にしてさしあげられない。もうつくづく自分の無力さが嫌になるときもあるんです。あえてそんなことを申し上げて、今のお話も、一生懸命やりたい、そのことだけは申し上げます。ただ、本当に人間の力は限界があることを残念に思うんですけれども、私の無力さを恥じろと言われりゃ、もうそのとおりなんですけれども、一生懸命やりたいということだけは答えさせていただきたいと思います。
#61
○柳澤光美君 本当に率直なお話を聞かせていただいて感動しています。私自身も政治の課題というのは非常に大きいと思いますし、私もできる限り頑張りたいと思いますし、今後とも是非よろしくお願いしたいなというふうに思っております。
 実はちょっと話が変わるんですが、人が大切にされていないという最悪の現象が私は自殺と過労死の問題だというふうにとらえています。そこで、ちょっと自殺と過労死についてお伺いしたいと思うんですが、実は自殺者なんですが、これ平成十年のバブル崩壊したときに三万人突破しました。ずっともう六年間、昨年まで三万人を超えていまして、昨年はとうとう三万四千四百二十七名という過去最悪の数になりました。一方、また過労死なんですが、確かに労災の認定要件が緩めていただいて労災認定の件数は増えまして、これは一つうれしいんですが、基本的に過労死も減っていないんです。脳と心臓疾患、これは多少減ったと言いますが、実は昨年七百五件。それから、五十代で四割占めますし、二年続けてずっと五十代が百件以上続いているんですね。それから、四十代と五十代で七割を占めます。
 それから、特にここへ来て問題になっていますのは実は精神障害の方なんです。三百四十一件から四百三十八件と三割近く増えておりまして、その中で自殺の請求件数が百十二件から百二十一件に増加しているんです。これ二年連続百件台なんですね。もう一つの特徴は、ここへ来て三十代が三六%を占めて、五六%も増えているんです。
 私は、本当に、景気回復傾向にあって失業も多少改善されてきたと。だけれども、一年三百六十五日あって、平均してこの国は毎日百人近くの方が自殺をされている。こんな国、僕は世界じゅうどこにもないと思っているんです。しかも、本当に貧しくてなら分かるんですが、これだけ豊かな国でこれだけ死んでいる。このことについて、厚生労働省としてどう把握をされて、何か、どう考えられているのか、ちょっとお答えしていただければ、お答えをいただきたいというふうに思います。
#62
○政府参考人(青木豊君) 過労自殺、過労死について御指摘ございました。実情については、今委員御指摘のとおりであります。
 十六年度上半期でも過労自殺によりまして労災を認定したというのが二十二件、過去最高となった平成十四年度を上回るペースで増加しておりますし、また過労死の労災認定件数は、十五年度、百五十七件と依然として高水準ということであります。依然として働く人に、方々にとって職場環境は厳しいという状況にある、そういうことを反映しているものと受け止めております。
 私どもとしては、こういったものに対しまして何とか対策を講じておきたいということで、一つは過重労働に対しまして健康障害防止のための総合対策というものを平成十四年に策定をいたしました。また、心の問題では、労働者の心の健康づくりのための指針というのも平成十二年に策定をいたしております。さらに、職場における自殺の予防と対応マニュアルというようなものも平成十三年には策定しまして、これに基づいて措置が適切に実行されるよう指導を進めてきたところであります。
 さらに、最近では、過重労働・メンタルヘルス対策というものを一層充実しようということで、今年の四月から、専門家の先生方に集まっていただきまして検討会を開催いたしまして、今後の対策の方向性について検討をお願いいたしました。今年の八月に、先般、報告書が取りまとめられました。その報告書においても、対策としては、例えば長時間労働者に対する医師による面接指導を実施するということでありますとか、面接指導の際にはメンタルヘルスのチェックをしなさいとか、あるいは事業場内の体制整備というものや、あるいは外部の医療機関をうまく活用して連携をする、相談体制を整備することが大切だというような提言がなされております。
 私どもとしては、これまで進めてまいりました対策に加えまして、この報告書を踏まえまして、更に過重労働によります健康障害防止対策あるいはメンタルヘルス対策について今労働政策審議会で御議論いただいております。その結果も踏まえまして、更に一層の対策を充実させるために対応していきたいというふうに思っております。
#63
○柳澤光美君 実は、本当に私は行政というのは問題がある。だから、そのためにこういうマニュアルを作った、通達を出した、一生懸命やっている。でも、結果が出なければどうにも私はならないと思っているんですね。企業の場合はもう端的で、頑張りました、一生懸命やりました、減益になりました、利益が出なくて減益になって駄目になれば倒産まで行ってしまう。僕は単純なことだと思っているんですが、ただ、ちょっとここで尾辻大臣にも、何でこれだけ起きている、その現場がどんなになっているかということで、その自殺の原因、私なりに四つぐらいにちょっとまとめられるというふうに思うので、ちょっとお話をさせていただいて、少し御意見が伺えるところがあれば是非率直なまた御意見をお伺いしたいと思うんですが。
 その一番大きいのは、バブルがはじけて企業が人というものを、いわゆる人件費を完全にコストとしてとらえました。ですから、思いっ切りリストラという名前で、いわゆる希望退職等で人員を減らしました。これが僕は大幅にやり過ぎていると思っています。少し今景気が良くなってきて仕事が増え始める。ちょっと良くなりました、現実ね。まあ本当は厳しいんですけれどもね。ところが、人の補充がほとんどされないんです。今までの人員でもうやる。ですから、前だったら十人でやっていた仕事を極端なこと言うと三人でこなすというような現象が職場の中で起きているんです。それが大変な過重労働になってくる。
 それから、このことは総務省の調査で出されているんですが、週六十時間、いわゆる六十時間以上働いている人が一九九二年で四百九万人だったのが、時短だ時短だと言いながら、ここのところ五百四十八万人、約百五十万人増えて、五〇%近く六十時間以上働く人が九二年から比べると増えているんですね。
 それからもう一つが、原因の二つ目なんですが、一つはパートさんとか派遣さんとか、いわゆる非典型社員というんですが、この層が非常に増えています。昨年平均でも一千四百八十五万人になるし、被雇用者の三割を超える。是非知っておいていただきたいんですが、確かに自ら望んでパートとか派遣で働きたいという方もたくさんいらっしゃることは否定はしません。ただ、現実はどうなっているかというと、正社員で働きたくても正社員の雇用がないんです。全部非典型の方に企業が切り替えていますから。ですから、泣く泣くパートで働いたり派遣で働いたりというのが現実なんだということも是非大臣に御認識をいただきたいし、また厚生労働省で調べてみていただきたい。
 そうなるとどういう現象が起きるかというと、パートさんとか派遣さんというのは時間が決まっています。その帰った後の仕事というのがいわゆる正社員というところに乗っかってくるという現象が非常に多いんです。ですから、その片付けなりいなくなったところを全部正社員でつないでいく。ですから、これが非常に長時間勤務につながっていくという、重くなっていくという現実があります。
 それからもう一つは、肉体的な大変さだけではなくて、今民間では数値が厳しいので、特に正社員を中心に、ましてや店長とか副店長とか管理職に対しては数字の締め付けがうんと厳しいんですね。この精神的なプレッシャーというのも本当に強いんです。ですから、先ほどちょっと過労死のところで言いましたけれども、この辺に、僕もまだ詳しく調べていませんが、三十代の実は精神障害による過労死関係がうんと上がってくる。ですから、高齢者の失業問題だけではなくて、現実の仕事の中で追い詰められている人がかなり多いということを示しているんではないかなというふうに思っています。
 それからもう一つ、三つ目なんですが、実は今、流通・サービス関係というのは非常に営業時間が延長されています。流通・サービスでいうと、もう三百六十五日、二十四時間営業が、コンビニだけではなくて当たり前のような営業形態になっていく。これが、後ほどちょっとサービス残業だけはお伺いしたいと思っているんですが、そういうサービス残業、長時間になって、いわゆる経費削減で付けれないし、それがサービス残業につながるという大きな原因でもあるんですが、実は過労死の労災認定も、率直に言って、営業時間が長くて深夜に及んでいる私が回った職場の運輸業だとか卸・小売業で一番件数も多いし、増えているんですね、実態として。
 で、ここでちょっと質問さしていただきたいんですが、第一点はサービス残業の問題です。
 今回、厚生労働省が十一月をキャンペーン月間でサービス残業に取り組むという新聞報道も見さしてもらっていますが、サービス残業の実態をどうとらえて、どのような今活動、対応をされようとしているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#64
○政府参考人(青木豊君) サービス残業と言われるものでありますけれども、これは労働基準法に違反する、あってはならないものだということであります。
 私どもは、賃金不払残業というふうに呼んでおりますけれども、これは基準法違反ということでありますから、その実態を、全容を全部把握するというのはこれはできないわけでありますけれども、ただ、私どもとしては、きちんと労働基準法に基づき、残業分についての割増し賃金、賃金を支払ってもらうということを進めているわけでありますので、そういう意味で、監督機関として把握した額というのは、平成十五年四月から平成十六年の三月で、総計額約二百三十九億円になります割増し賃金の不払ということであります。千百八十四企業、労働者数でいえば十九万四千人という数に達しておるというふうに認識しております。
 冒頭申し上げましたように、サービス残業は労働基準法違反ということでありますので、十五年の五月に策定しました総合対策要綱というものに基づきまして、その賃金不払残業の解消に努めているということでございます。
 私どもとしては、基本的にはこれは事業主の方がきちんと割増し賃金を支払っていただく義務があるというものでありますが、さらに企業全体として労使で主体的な取組をしていただきたいと。私どもとしても、監督機関としても重点的な監督指導を実施するというふうなことをしまして、こういった賃金不払残業の解消に取り組んでいきたいというふうに思っております。
#65
○柳澤光美君 私も分かりやすいようにサービス残業という一般的な言葉を使わしてもらいましたが、答弁のように、本来は賃金不払残業なんですね。だから、僕もサービス残業という言葉は余り好きじゃないんです。何か経営者、間違えてサービスで残業してもらえるんだって思い込んでいる経営者が本当多いんじゃないかという、私は実態では感じておりまして。
 実は今、労使の課題でもあると。私は、確かに組合が何しているんだと言われても仕方ない部分もあるというのは十分分かっています。ただ、中小零細の実態で言わしていただくと、非常に今労働組合、すごい弱い立場にいるんですよ。なぜかといえば、企業別組合ですから、この会社がつぶれたらどうするんだ、しかも現実につぶれそうになっていますから、これ言われたら何も言えなくなってしまう。ですから、実は好き好んでだれも付けないわけじゃなくて、実は業績が厳しい、会社倒産したらどうするんだと、何とかするには経費削減するしかないじゃないかというふうに言われると残業が付けれないという実態になっているというのは是非御理解をいただきたいと。もちろん、連合を通じて労働組合関係もこの辺はもう少し真剣に取り組まなければいけないというふうに思うんですが。
 正直言います。中小零細が今何で利益出ているか。実は、従業員をリストラをして人件費を削ったのと、働いている人の血と汗と涙でやっと出ている利益なんですよ、生き残っているんですよ。本当の景気回復には一つもなっていません。そのことが、これでやっと支えている。早く言えば、賃金不払のその部分が利益に届いているというふうに私は率直に思っておりまして、大臣、何かちょっと感想があったらお伺いできればというふうに思うんですが。
#66
○国務大臣(尾辻秀久君) 率直に、言葉が出てこないんですが、もう何か、月並みに何とかしなきゃいかぬと思いますというぐらいの言葉しか出てこないことをお許しいただきたいと存じます。
#67
○柳澤光美君 そうなんです。私も言いながら、じゃ具体的におまえ何ができるんだって言われたときに非常につらいものがあるんですが。
 ちょっと時間があるんで、一つだけここで私の、ちょっと横道にそれて申し訳ないんですが、私は、バブルがはじけた後、グローバルスタンダード、グローバルスタンダードといって、現実はアメリカンスタンダードですよね、これが余りにも急激に日本は取り入れ過ぎたというふうに思っているんですね。
 元々アメリカという国は歴史がなくて、世界の移民が集まった国ですよね。人種も、それから考え方も宗教も、いろんなものが全部違っている。で、歴史がありませんから、ルールは二つで、一つがダーウィニズムからくる強い者しか生き残れないと。一方、アングロサクソンの狩猟民族ですから、獲物を捕ったやつが一番偉いと、だから社長が何十億もらってもいい、あとは分けてやるという、強い者しか生き残れないという大原則がありますよね、スタンダードが。
 もう一つが、もめると全部訴えると。ですから、石投げれば弁護士に当たるぐらい弁護士が多い。その一番典型が、もちろんあのたばこも訴えられましたけれども、去年か一昨年ですか、ハンバーガー屋さんが訴えられましたよね、ハンバーガー二十年食っていたら太り過ぎて糖尿病になって、病気になったと。もうそれは、さすがこれは却下されたんですが、あのPL法なんて、いわゆる製造物責任なんてその典型ですよね、やかんを買ってきてお湯を沸かして、掛けたらやけどをしたと、やかん作ったところが悪い、説明になかったと。そんなことが僕はちょっと急激に日本に入り込み過ぎているんじゃないかと。
 私は、日本という国は、元々農耕民族で単一民族です。みんなで一緒に田植をして一緒に稲刈りをして助け合って生きてきた。その中に、血縁だとか地縁だとか職場の縁、特に企業別組合のネットワークというのが脈々と生きていたわけですね。それが、アメリカンスタンダードを入れる中で、その日本の歴史と伝統の良さが次々と崩れていっている。
 これ言うと余り、まだちょっと時間がありますから言わしてください、初めて質問に立って興奮していますから、言いたいこと一杯あるんで。
 例えば福祉の問題もそうなんですね。本来、国がやらなくたって、家庭の中でおじいちゃん、おばあちゃんの面倒は見たんです。困ったら地域の中で助け合う。私たち労働組合も、企業の中で健康保険組合を作ったり厚生年金基金を作ったり企業年金を設計したり、あるいは共済会って、困ったらみんなで拠出した中から助け合おうと。いわゆる福祉も血縁とか地域とか職場の中にあったんです。それがここ、全部崩れてきてしまう。で、強い者しか生き残れない。このことが私はすべての根幹にちょっとあるんではないかなと。
 私は、日本の場合には、もう一回その日本の良さというものを、ジャパニーズスタンダードというのを真剣に考えていかないと、もちろんあれですよ、日本の欠点もありますよ、その血縁、地縁とかなんかで非常にしがらみが強いとか、もうちょっと合理的にアメリカのようにしていく。その中で、今回の労働委員会の改正は、ただ和議だけでやっているんじゃなくて、命令出すところからきちんと決めようという、そういう部分を入れるというのは大事なことで、ただその原点だけは忘れないようにしておかないと本当いけないんではないかなと。済みません、話がちょっと横へそれたんですが、こんな思いがしています。
 大臣、何かございませんか。
#68
○国務大臣(尾辻秀久君) 私の座右の銘は温故知新でございまして、そう申し上げればまあ私の申し上げたいことはお分かりいただけるだろうと思います。それからまた、更に申し上げますと、若いころ外国ほっつき歩いておりましたから、外国の若い人たちとの付き合い、いろんな付き合いがございました。そうした中で、今、日本文化についてのお話もございましたが、私は、今委員のお話のところは大変共鳴する部分が多いということを率直に申し上げたいと思います。
#69
○柳澤光美君 済みません、とんでもない答弁をいただきまして。ただ、賛同いただけるということで大変うれしく思っていますし、そんなことを中心に厚生労働省、特に人に関する問題というのは政治の力でもう、もっともっと変えていかなければ、そうでなければ、余りにもいわゆる市場経済、市場主義が進み過ぎる。弱い者は死んでもいい、強い者だけ生き残ればいいんだということでは私は決してないし、日本の文化は決してそうじゃないというふうに思っています。
 一点だけ、済みません、ここでちょっとサービス残業について、個別の議論になって申し訳ないんですが、私が回った中でトラックドライバーの実は長時間労働の問題があるんです。
 トラックドライバーさんの長時間の労働というのを機に、原因の大きな事故がたくさん起きました。また、健康問題もあるということで、厚生労働省は平成元年に自動車運転手の労働時間等の改善のための基準というのを告示されました。しかし、現状は事業所単位の監督でも事業所の半数が全部告示違反です。それから、もう一つ、実は労働基準法等の違反も毎年七割超えているんですね、事業所が。このことが、せっかくそういうことを、手続、告示をしてもこういった状況が全然解決されないで、私、言い方悪いかな、放置されているような状況になっているということに対して、是非担当の方からその辺どうなっているのかのお話をちょっとお伺いしたいと思うんですが。
#70
○政府参考人(青木豊君) トラック運転者の労働時間につきましては、平成十五年度の厚生労働省の調査によりますと、全体として減少傾向にはございますけれども、全産業の男子労働者の平均労働時間が二千百八十四時間でございますが、これに比べまして二千五百四十四時間ということで、非常に長くなっております。トラック運転者の労働時間等の労働条件の向上を図っていくことは、我々にとっても課題であるというふうに思っております。
 このため、トラック事業などに従事する自動車運転者の労働条件につきましては、その労働実態にかんがみまして、労働基準法に基づく法定労働時間等による規制、これはまあ一律になされているわけでありますけれども、それに加えまして、拘束時間とかあるいは運転時間、そういうものに関する労働時間等の改善のための基準を別途定めました。これに基づきまして指導を行っております。実際に、業界に対する指導あるいは個別の事業所に対する指導、労働基準法あるいは改善基準に基づいて実施しておりますし、これによりまして自動車運転者の労働時間の適正化に努めておるところであります。
 それから、国土交通省でも、運輸業所管であります国土交通省でも問題意識を持っておられます。定期的に連絡会議を開催するなどしまして、関係省庁間の連携にも努めているところでございます。
 引き続き、今後とも努力をしていきたいというふうに思っております。
#71
○柳澤光美君 今後、私はこういう個別の問題をできるだけ問題提起をさせていただきたいというふうに思っているんですが、率直に言いますけれども、いろんな手は打たれるんですが、なかなか実効性が伴ってこない。民間から見ると、何でこんなに時間が掛かるんだろうということがたくさんあります。これはトラックドライバーさんだけではなくて、私が、運輸関係でタクシーで働いている方の問題もたくさんあります。そんなことも是非もう一歩踏み込んでいただくということを是非お願いをしておきたいと思います。
 先ほど自殺と過労死の問題で、職場で三つ大きな原因があるというお話をさせてもらったんですが、もう一つ実はこの問題があります。
 私が所属していた労働組合の団体では、実はそれは何かといったら、実は失業の長期化による雇用問題なんです。私が所属していた労働組合の団体では、民間の職業紹介の資格を受けまして就職あっせんができるようになりました。私も、実は厚生労働省で勉強会でそのあっせん業務の資格を取らしていただいて一生懸命やったんですが、本当、中高年の再就職というのは難しくて難しくて、ほとんどそのマッチングがしてこないというのが現状です。
 実はその中で、失業をして、失業が、保険が切れて、その間にも、いわゆる失業保険をもらっている間になかなか再就職できない。それが長期化して働くことが見付からなくなった場合に、非常に経済的にきつくなります。
 もうちょっと具体的に言わせてもらうと、地方よりも首都圏とかいわゆる都市部に結構自殺が多いんですが、これはその一つの原因に、ちょうど私の仲間がバブルのころに郊外型のマンションを三千万とか四千万、高かったころに結構買っている方が多いんですね。それが今回就職できなくて返済ができなくなる。アルバイト等をやっても一番困るのはボーナス月がどうにもお金が手に入らないんです、月々乗り切っていっても。そうなりますと、例えば三千万でも二千万ぐらいローンが残っている。その家が二千万で売れればまだ二千万の借金消えるんですね。ところが、中古の郊外型マンションは全然売れないんです。でも何とかしなきゃということで、もう無理して一千万で売ると何が起きるかというと、一千万の借金だけ残って住むところなくなっちゃうわけですよ。
 実際は、だから、大体マンションに私たちは生命保険を担保に掛けてローンを組んでいますから、一定期間あるともう自殺でも下りるんですね、今。そうすると悩んで悩んで、おれが死ねば少なくとも家族に住むところだけは残せると、で、電車に飛び込んじゃうと。こんな事例がもう現実にあるんですね。あるいはサラ金だとか、もっといえばあのやみ金というところに駆け込んで、いわゆる消費者金融の方に。その取立てというのはもう、まあドキュメントとか何かでも見られていると思うんですが、もう熾烈を極めます。その挙げ句が自殺という件数も非常に多いんです。
 根幹はその雇用問題にあるんですが、この辺のところを私は、どういうふうにちょっととらえられているのか、もし答弁できるんであれば、あるいは感想でもいいですが、お聞かせいただければというふうに思いますが。
#72
○副大臣(衛藤晟一君) 私どもも、バブル崩壊後の認識にいたしましたら、これは本当に自分で事業をやられている方も、また勤められている方も、バブル崩壊後、今お話ございましたように、バブルのときに一生懸命家を買って、そしてあるいは資産を拡大しながらそれが崩壊して、それを全部清算しても結局借金が残っていくと。それで仕事が順調にいかないという中で、自分の命と引換えに払ってくれと言った私の友人も二人ほどいまして、本当にもう身につまされる思いがいたします。本当に悲しい限りでございまして、何とかそういう問題が起こらないようにということで、やっぱりこの経済対策、雇用問題を入れて頑張らなきゃいけないという具合に考えている次第でございます。
 そういう意味で、先ほどお話ございましたように、正にグローバルスタンダードがいつの間にかアメリカンスタンダードにすり替わってしまって、適者生存というか弱肉強食の時代を作ることだけはやっぱり防がなきゃいけないと思っています。
 そういう意味で、厚生労働省も挙げて、とりわけまた福祉関係も入れて、私どもも本当に弱い人にもちゃんとやれるような社会を作る、そういう意味で、今大臣も言っておりますが、自立と予防、そして共生ということを中心にして取り組んでいくべきだというふうに思っています。障害者もみんな大変な方も弱い方も、正に天の下に平等に与えられた命でございますし、生活でございますから、それをちゃんと確保していけるように、なかなか歯がゆい思いではございますけれども、一緒に努力させていただきたいというふうに考えている次第でございます。
 もちろん、今お話ございましたように、中高年の雇用対策につきましても、いろんな措置を取っているところでございますが、もう定年延長やあるいは継続雇用の問題だとか、いろんな形でやったり、あるいは離職した後、この求職活動についても、年齢上限を設定する等につきましては理由なくてやってはいけませんよとか、あるいは求職活動支援につきましてもちゃんとやろうとか、いろんなことの措置を講じるようにしているところでございますけれども、しかし、なかなかまだ実効が上がっていないというか、そういう現実から脱却できない状況にあるということを非常に厳しく考えている次第でございます。
#73
○柳澤光美君 副大臣、本当に率直な答弁いただきまして、ありがとうございます。本当に、私も議員としてできる限り政治の解決というためにまた頑張らさせていただきたいというふうに思っています。
 ただ、どちらにしても、私は、国の最大の責任というのは国民の命を、命と財産を守ることだと、特に命がすべてだろうと。それが本当に毎年三万人以上も自殺している。このことを見過ごしてしまっては大変なことになる。
 副大臣も、実はこれ、拉致支援のバッジを付けられていますが、拉致の問題もそうなんですね。日本国民がとんでもないところへ連れていかれてひどい目に遭っている、本人の意思でも何でもなくて。とすれば、本当に国を挙げて助けるというのは僕は国の最大の責任だというふうに思っているんです。このことがほっておかれるから、今日本の社会はとてもおかしくなってしまって、一番大事な命が、皆さん、だって新聞見るの嫌ですよね。親が子供を殺した、子供が親を殺した、子供が子供を殺した、とんでもない現象が起きている。
 ですから、本当に国の根幹として人の命というのをきちんと大事にしていくということをもう一度みんなで考えて対応していきたいし、是非厚生労働省が中心となって、また尾辻新大臣が中心になって対応いただければと。
 済みません、ちょっと時間が残ったんで一点だけ、余計な質問ですが、お願いできますか。
 これはちょっと通告してありませんので、感想というか、考え方だけで結構です。
 実は今回、新潟の中越地震で大きな被害が起きています。実は、あの新潟というところは縫製とか染織の、繊維の産地がたしかたくさんあるんですね。小千谷だとか栃尾だとか、みんな繊労という仲間を集めているんですが、見附、十日町。その中で、今回、繊維産業の企業もたくさんあって、厳しい経営環境の中にありながら、早く言えば日本の繊維の歴史と伝統をずっとつないできているんです。そこが今回かなりの打撃を受ける。
 いろんな支援対策というのは、各省庁で住宅の問題とかいろいろあるんですが、ちょっとその辺、厚生労働省としても、その雇用の問題もひっくるめて、やれることがあったら是非その体制を取っていただければということをこの場をかりてお願いをしておきたいというふうに思います。
 あと、実は雇用対策の方に、中高年の雇用対策とか若年雇用に少し入り込もうと思ったんですが、加藤さんが隣で少しおれの方にも時間回せって言っていますから午後に回させていただいて、その答弁をいただいて私は質問を終わらせていただきたいと思いますが、率直にちょっと何か御意見ございましたら。
#74
○国務大臣(尾辻秀久君) この地震につきましては、やれることは全力を尽くしてやりますということをかねてお答え申し上げておりますから、そのことを改めて申し上げます。
 今のお話ですと、また関係省とも相談しなきゃいけない、連携しなきゃいけない面もあるかと思いますが、いずれにいたしましても政府全体で取り組んでまいりたいと思いますので、全力を挙げますということを申し上げます。
#75
○柳澤光美君 本当に、今日は少し話が広がり過ぎた部分もあったというふうに思うんですが、私の思いを何か一方的に話してしまった気もあります。
 ただ、大臣、副大臣始め率直な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。私も頑張りますし、皆さんと一緒に頑張っていきたいというふうに思います。
 以上をもって質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#76
○委員長(岸宏一君) 午前の質疑はこの程度として、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#77
○委員長(岸宏一君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働組合法の一部を改正する法律案を議題として、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#78
○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤でございます。
 今回の労働委員会の制度改革は、午前中の同僚議員の指摘にもございましたけれども、ある意味で遅きに失した感もございますが、ともあれ、労使また行政がそれぞれ努力をされ、労働委員会の抜本的改革案を策定してこられましたこの御努力に対しましては、敬意を表したいと思います。
 既にお二人の同僚議員が、今回の法改正にかかわる基本的課題から、あるいはまた現場における詳細な問題にまで、そしてまた労働者が置かれているバックグラウンド、そういったことに質疑をされ、流れとしては法改正の理解が深まりつつあると、このように思いますけれども、残された幾つかの課題について御質問をさしていただきたいと思います。
 まず第一に、大臣は若いときから様々な経験を積まれ、いろいろな働き方を経験かつ見聞されたと思いますし、御自身がヒッピーという表現を使われておりましたけれども、後世、大臣になられたヒッピーというのはあんまりおられないのではないかと。
 そこで、大臣に、基本的に労働現場にあっては働く者の立場が弱いと、こういうふうなことを世界じゅうで見聞されてきたと、このように思います。御承知のように、労働者の権利義務は憲法二十七条、二十八条で規定され、それに基づき労働三法が制定されてきました。この法律は労働者の権利と利益と、これをいかに守っていくかという考え方で作られたものでございますけれども、残念ながら、先ほどからも同僚議員の切々たる現場状況の御指摘、報告にもございましたように、依然として不当労働行為が蔓延し、さらに長期不況の下で個別の労使紛争も大幅に増加している状況にあります。
 基本的には労働組合があっても労働者の立場は弱いという現実があり、ましてや八〇%を超える未組織労働者の置かれた現実というのは推して量るべしと、こういうことでございます。今回の労働委員会の改革は、審査の迅速化、和解の促進を図るものでございますけれども、これが本当に不当労働行為に遭った労働者の真の救済につながるのか、様々な意見が出ているところでございます。
 大臣の午前中の答弁に、正に労働者の二極化している状況については好ましいことではないという御所感をいただきましたけれども、弱い立場にある労働者を救済するには労働行政としてどのような基本姿勢が今求められているのか、尾辻大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
#79
○国務大臣(尾辻秀久君) 正に弱い立場にある労働者の権利、これを保護する法律が今改正をお願いしております労働組合法でございますから、こうした法律制度を守りながら、しっかりと運営していくことが私どもにとって一番肝心なことだと、こういうふうに考えます。
#80
○加藤敏幸君 弱きを助け強きをくじく、こういう言葉がございました。私ども労働運動始めたときに、先輩に、一言で言ってどういうことですか、組合運動はと言えば、君、弱い人を助けるんだと、こういうふうに教えられてきたわけであります。強きを助け弱きをくじく、こういうアメリカ流管理手法がばっこする今日、正にこの点も午前中議論がございましたけれども、私は、正に厚生労働大臣あるいは厚生労働省がしっかりとここを踏まえていただくと、このことを冒頭お願いをしておきたいと、このように思います。
 さて、二点目でございますけれども、現在におきましても、労働委員会において和解が主たる解決手段になっているという、こういう現実がございます。
 問題は、この和解勧告どおりに実行されないケースがあるということでございまして、今回の法改正では、和解調書を作成し、強制執行に関しては債務名義とみなすものとすると規定され、和解の実効性を担保する上で大きな前進となったということが言えると思います。しかし、これは和解金など金銭面での強制執行で効力を発揮するということでございまして、依然として労働者側が原状復帰、原職復帰を求める場合には十分機能しないのではないか、こういう懸念がございますし、この場合の債務不履行への対応については、午前中も、必要があれば検討する、副大臣、検討すべきことが残っている、大臣、こういう御発言があったと。こういうふうなことで、私は、正にこの原状復帰、原職復帰を債務履行させるべく大きな課題が恐らく出てくるんではないかと、このように思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 特に、不当な解雇や配転の場合は当事者は基本的に原職復帰を求めているものでございます。ここで大切なことは、働くということは正に自己実現の場であり社会貢献の場であると、単にお金で解決すればいいということではない、多くの働く者にとってこれは大切なことである、こういうことでございます。その意味で、原職復帰を内容とする、そういう和解が増えていくことが私は大変望ましい、このように考えます。
 しかし、経営者との人間関係がこじれて今更職場に帰っても仕方がないではないかという、そういう判断の下に和解促進、金銭的に解決をすると、そういう方向のみが強まっていくということは、労働委員会が、和解になりにくい、和解対象になりにくい原職復帰を避けて金銭的な補償に走り、労働者が真に求めているものをおろそかにすると、こういう状況が発生すれば和解そのものの意義も私は薄れてくると、こういうふうなことになろうかと思います。
 この件に関しての御見解をお伺いしたいと思います。
#81
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 先ほど来御議論ございますように、労働委員会は長期的に安定した労使関係を維持確保することを目的とする機関でございます。そうした観点からいたしますと、御指摘にございましたように、和解におきましては、安易に金銭的な解決を図るのではなくて、職場復帰をさせる等、当事者ができる限り納得できる形で解決を図る方が望ましいと考えているところでございます。
 したがいまして、このような和解の趣旨が関係者に的確に理解されるように、その旨を解釈通達に明記するなど制度の趣旨の周知徹底に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#82
○加藤敏幸君 正に──よろしゅうございますか。
#83
○委員長(岸宏一君) はい。加藤敏幸君。
#84
○加藤敏幸君 ありがとうございます。
 しっかりとした本来の趣旨が実現する方向でのお取組をお願いをしたいと思います。
 三点目は、近年、個別紛争処理、個別労使紛争への対応が、この労働委員会を始め各都道府県の労働局、紛争調整委員会に加えまして、裁判から法律の専門家が運営するNPOなどの相談センターまで、非常に多様化している現状があると。また、そのような報道もございますし、二年後には労働審判制度がスタートすると、こういうことでございます。
 このような状況の下で、労働委員会が窓口を大きく広げ、迅速な対応をし、労働委員会そのものの存在理由を示す必要があることは言うまでもございません。
 そこで、厚生労働省としてNPOなど民間レベルでの労使紛争の処理状況をどのように現時点で把握されておるのか、お伺いをしたいと思います。
#85
○政府参考人(太田俊明君) ただいま御指摘いただきましたとおり、個別の労働関係紛争につきましては、民間レベルにおきましてもその解決に向けた様々な取組がなされているところでございます。
 そのすべてを把握しているわけではございませんけれども、把握しております主なものを見てみますと、例えば一つは、弁護士会では全国で十九か所のあっせん・仲裁センターを設置しまして民事上の紛争の解決に当たっておりまして、平成十五年度では八十二件の職場の紛争事件を受理してその処理に当たっているところでございます。また、都道府県レベルでも弁護士会等ごとに法律相談センターを設けて労働関係の相談にも対応しているところでございます。
 それから、次に労働組合でございますけれども、これは連合が、なんでも労働相談ダイヤルを設置しまして電話等による相談に対応しているところでございまして、平成十六年の一―三月、三か月間で見ますと、千八百十六件の相談に対応しているところでございます。このほか、各産業別組合等におきましても電話等による相談窓口の設置等を行っているところでございます。
 一方、経営者団体におきましても、各都道府県の経営者協会に相談窓口を設置しまして経営者向けの労働相談を実施しているところでございます。このほか、日本労働弁護団でございますとか社会保険労務士会でも労働問題に関する相談を行っているところでございます。
 それからさらに、その実績につきましては統計的に把握してはございませんけれども、今お話にございましたNPO法人等におきましても労働相談等に対応しているものがあると承知しているところでございます。
#86
○加藤敏幸君 いろいろな機関、何でもかんでもNPOとは申しませんけれども、いろいろな立場立場で、私は、労使関係、労使問題の紛争を調整をしていくと、そういうようなことの中で我が国における労働現場における労使関係の健全な発展を確立をしていくと、これは非常に大切なことであると思います。そういうようなことの中で、今後、特に個別労使紛争にかかわる様々な労使処理機関のすみ分けといったものが現実には非常に重要になってくると考えます。
 都道府県では、個別労使紛争の窓口はまず労働局あるいは総合労働事務所が当たり、調整に失敗した場合に労働委員会にあっせん、まあ回していくと、こういう緊密な連携が取られているところもございます。紛争処理機関が複線化している状況、更には労働審判制度の準備が進む中で、今回の法改正を機に厚生労働省として労働委員会の位置付けをどのように考えられているのか、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
#87
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 まず、労働委員会でございますけれども、先ほど来御議論ございますように、労働組合法に基づきまして、まずは集団的な労使紛争の迅速かつ的確な解決を図ることがその基本的な役割でございますので、今般の改正は不当労働行為の審査の迅速化、的確化を図ることによりまして、そのような労働委員会本来の役割が十分に発揮されるように行うものでございます。
 他方、今御指摘のございました個別労働関係紛争には様々な性質のものが含まれるとともに、紛争当事者がどのような方法で紛争を解決したいかという考え方も一様ではないと、いろんな状況があるというふうに考えているところでございます。
 このために、個別労働関係紛争の解決のための仕組みとしましては、特定の機関のみがすべての紛争を一元的に処理するというような単一のシステムとすべきではなくて、むしろ複数の機関がそれぞれの機関の性格に合った機能を持って、いずれの機関を利用するかにつきましては当事者がこれを選択することができるような複線的なシステムにすることが適当ではないかと考えておるところでございます。
 私どもとしましては、この個別労働関係紛争につきましては、今後とも労働局で窓口を設けておりますので、労働局での紛争解決援助を望む方々に対しましては的確な相談援助に努めてまいりたいと考えております。これに加えまして、御指摘の地方労働委員会での個別紛争のあっせん等の都道府県の取組もございますし、更には十八年度からの施行が見込まれます労働審判制度も含めまして、関係機関による様々な取組がなされている状況でございますので、これらと相互に連携を図りながら、増加する個別労働関係紛争に適切に対処してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#88
○加藤敏幸君 私もこの分野でいろいろと経験をしてまいりましたけれども、労働委員会に持ち込まれる労使紛争の中では団体交渉拒否のケースが、後を絶たないといいましょうか、一番多いということでございます。これは、個別の労使問題が地域の合同労組などによって取り上げられて、使用者側が会社に直接関係がない合同労組による団体交渉は嫌だと、そういうようなことでこれを拒む、こういうケースが多いということでございます。
 こういった傾向は、労働組合の組織率が低下し、さらに派遣、パートといった非正規雇用が増大している中で更に増えていくということが考えられます。当然のこととして、地域労組、合同労組が個別的労働紛争を集団的労使紛争に言わば擬制して労働委員会に持ち込むケースというものは今後も後を絶たないと、このように思われます。労働行政として、このような団体交渉拒否について、不当労働行為との関係をしっかり整理し、経営者にきちんとアナウンスをすべきではなかろうかと。
 私は、経営者団体の皆さん方ともいろいろお話をしてきたわけでありますけれども、やはり労使自治の確立ということを非常に大切にしておりますし、私もまた、この健全な労使自治の確立が大変重要であると、このように思うわけであります。しかしながら、労使自治を標榜する経営者団体、しかしその中にある個々の経営者がこういう労使自治の精神に立脚せずに、正に話合いをしない、相手にしない、こういうふうなことの行動を取ってしまうと。ここに問題があるわけで、経営者団体が標榜されます労使自治の本質的な精神を個々の経営者がしっかりと把握すれば、正に入口で紛争に至らずに済む、こういうことが多いわけでありまして、このことだけでも労働委員会の効率が向上するのではないかと、こういうふうにも思うわけであります。
 こういった面で、行政の努力が労働委員会での無駄なエネルギーを消費しないと、こういうようなことに結び付くわけでございますけれども、この点についての御見解をいただきたいと思います。
#89
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 今のお話にございました合同労組に絡む事件でございますけれども、合同労組に絡んでいわゆる駆け込み訴え事件というのがございますけれども、平成十五年に初審で六十二件ということでございますので、新規申立て件数の一七%に上っておりまして、かなりの数に上っておりますし、また増加傾向にもあるところでございます。
 このような場合でありましても、労働条件等につきましての団体交渉を求められた場合には、当然使用者はこれに応ずる義務がありまして、正当な理由なく拒むことは不当労働行為に該当するわけでございます。
 私ども、こういったことも踏まえまして、含めて、この制度の趣旨につきまして、その不当労働行為、どういうものが禁止されて、どういう場合に問題になるかということにつきましては、法改正の趣旨と併せて、経営者団体を始めいろんな方々に様々な機会を活用してその周知に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#90
○加藤敏幸君 ありがとうございます。
 次に、今回の法改正での一つの目玉が公益委員の常勤化ということでございます。地労委については、特に東京や大阪など申立て件数の多い都府県では、常勤の公益委員の活動範囲が大きく広がり、事件処理の対応も変わっていくものと思われます。中労委でも同様のことが期待されると思いますが、しかし、公益委員を常勤化しても、事務局の補佐機能を始め的確な事務局運営が行われないと事件処理の迅速化、適正化にはつながらないと、これもまた懸念されることでございます。そして同様、中労委における小委員会方式の導入につきましても言えるのではないかと、このように思います。
 現在、労働保険審査会など、他の行政審査、審判機関においては委員の常勤化が一般的になっており、これら他の審査機関における運営も参考にされているとは思いますけれども、公益委員の常勤化に伴う事件処理の効率化を保証する施策等について、現時点でのお考えを御説明いただきたいと思います。
#91
○政府参考人(太田俊明君) 公益委員の常勤化につきましてのお尋ねでございますけれども、まず、常勤の公益委員に関しましては、一つは、常勤委員は小委員会の長となってその運営を統括することというのがございます。それから二つ目には、同一企業複数係属事件につきまして、各公益委員が担当しております審査案件を調整、統括することというのがございます。それから三つ目には、自ら複雑困難な事件を担当していただきまして、集中的な審査基準の設定等によりましてその迅速な処理を図ること、こういったことによりまして、相当程度の迅速化、的確化が図られるものと考えております。
 また、お話ございましたように、常勤委員の、公益委員の配置に合わせまして事務局体制の整備も大変重要でございますので、この小委員会制によります審査が迅速かつ円滑に行われますように中央労働委員会の事務局体制を改めまして、新たに審査総括官をトップとしますスタッフを置きますとともに、スタッフに対する研修を充実させるなど、常勤の公益委員でございます小委員長の総括の下で審査実務を担う体制を整備することとしているところでございます。
#92
○加藤敏幸君 事務局の体制強化等含めていろいろと御準備、御努力されているということでございますので、正に目的とする迅速化、効率化に向けて一層の御努力をお願いをしたいというふうに思います。
 次に、常勤公益委員の選任に関しまして、私は、どのような人を常勤委員に選任するかということが非常に重要ではないかと、こういうふうに思います。
 かつて、個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律を作るときにも、やはり紛争調停委員会の委員の選任に関する議論がございました。ここでは厚生労働省職員であった者には担当させるべきでないという意見も多かったと、このように記憶をしているところでございます。
 現在、中央労働委員会では、公益委員十五名のうち、大学教授八名、弁護士三名、そして三名の方が中央省庁の御出身と、こういうふうな構成になっております。
 ともすれば、専門職である委員が辞職や休職をしてまで労働委員会の常勤委員になる、そういうようなことよりも官庁出身者の方が常勤委員になりやすいという、そういうふうな憶測も、推定もあるとは思います。また一方で、労働界あるいは産業界、経営者、そういった皆様方がその専門性と経験を買われて公益委員になるというふうなこともこれはまたあってしかるべきではないか、このようなことも思うわけであります。
 この際、常勤の公益委員、基本的に労働法や労働経済学などの専門家のみならず、紛争解決に手腕を発揮できる経験豊富な人材を充てることが重要ではないかと、このように思いまして、そういうふうな視点から、私は、もちろん官庁出身者であっても、法的知識に富み、紛争解決の経験が豊かな方も多々おられるということでございまして、そういったことで、人材の適用というのは最終的には総合的な判断と、こういうふうなことになるとは思いますけれども、現時点においてどのような人材を想定されておられるのか、御見解をお伺いをしたいと思います。
#93
○副大臣(衛藤晟一君) 委員仰せのとおり、正に常勤公益委員の選任に当たりましては人を得ることが一番大事だという具合に思っております。そして、そのことが不当労働行為事件の審査の迅速化、的確化につながるものというように思っております。そういう観点からも、まずはやっぱり事実認定等について専門的な知識を有している人という意味では法曹資格者、あるいは労働法についての高度な知識を有している者という意味では労働法を専門とする大学教授等を想定をいたしているところでございます。
 今月十六日付けで行う公益委員任命につきましても、国会の同意をいただく際にお示しいたしましたように、この専門の方々を常勤委員に就任していただくということになっているところでございます。そういう基準で今常勤の方については選ばせていただいているということを申し上げたいと思います。
 以上です。
#94
○加藤敏幸君 副大臣が御答弁されましたとおり、正に最も大切なところだと、こういうふうなことでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、これは通告をしておりませんので大変御無礼を申し上げることになりますけれども、施行日の件について少し質問させていただきたいと思います。
 案においては一月一日ということが記載をされております。もちろん、今まで大変な準備をされてこられましたし、趣旨等にありますとおり、今非常に迅速にこの法案改正の要請も社会的にはあるというふうなことを踏まえて、厚生労働省の意欲が十分出ている一月一日と、このようにも感じておるわけであります。
 しかし、議論の中でもいろいろございましたように、事務局体制の強化あるいは研修、やや時間が掛かる、そういう内容もお考えだというふうなことを含めまして、またこれは中央労働委員会だけじゃなくて、地方も条例による対応というふうなことも必要になってきているんじゃないかなと、そういうふうなことで正に一月一日まで時間もそうあるわけではないというふうなことで、意欲はよく分かりますけれども、結果として万全の体制で臨まなければならないというふうなこともございますので、その辺り、一月一日ということについての対応につきまして、遺漏なき対応をされるとは思いますけれども、ひとつその辺のところを御回答いただいて、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
#95
○政府参考人(太田俊明君) この労働組合法の改正案の施行日でございますけれども、法律に定めがございますように、十七年の一月一日ということでございます。率直に申し上げまして若干時間がタイトになってまいりまして、そういう意味で早期審議、早期成立をお願い申し上げているところでございます。
 仮に一月一日、仮にこの法案が成立して一月一日施行とするとどんな作業が必要になるかということを申し上げますと、一つ、やっぱり私ども厚生労働省でやること、あるいは中労委でやること、あるいは都道府県でやること、それぞれ役割がございます。私どもとしましては、もし仮に成立した場合には改正の政令案の施行の準備をする必要があると思っております。これはですから一月一日までにしなければいけないということ。それから、中労委は労働委員会の運営等を定める労働委員会規則、これについて定める必要があるということ。それから、都道府県の方は、一つは名称改正等もありますので条例改正も必要でございますので、十一月、十二月の定例議会で条例改正の作業も必要になってまいりますし、また場合によって規則の改正、これ名称変更あるいは組織改正、必須のもの、任意のものございますけれども、こんなものも必要になってまいります。ですから、当面、一月一日までに準備することもございますし、それから研修等、あるいはいろんな体制の整備等々はまた施行後も必要な部分もありますし、そういうことも相まって関係各機関の御理解と御協力をいただきながら円滑な施行に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#96
○委員長(岸宏一君) よろしいですか、どうぞ。
#97
○加藤敏幸君 これで終わります。
#98
○草川昭三君 草川でございます。
 午前中の各委員の御質問と重複する点があるので、そこはもう簡潔に御答弁願えれば結構だと思っております。
 近年、労働委員会における不当労働行為事件の審査期間が非常に長くなってきておる、あるいは労働委員会の命令に対する司法審査の取消し率が高い水準で推移をしている、こう言われているわけですが、もうこれは言うまでもありませんけれども、労働委員会の機能が損なわれているということになるわけです。本制度における本来の目的が十分に果たされていないということを意味すると思うんでございますが、こうした現状からこの改正案が提出されていると思うんですけれども、少し具体的に、地労委段階で不当労働行為事件の審査期間の長い例、あるいは平均的にどの程度かお伺いをしたいと思います。また、取消し率についても御答弁を願いたいと思います。
#99
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 労働委員会が行います不当労働行為事件の審査期間でございますけれども、まず初審の地労委でございますけれども、最近五年間の平均で七百九十一日ということでございまして、二年を超えるような状況でございます。一方、中労委の再審査の方でございますけれども、これは平均、同じく五年平均でございますけれども、千四百五十七日ということで、四年を超えるというような状況でございまして、御指摘ございましたように、かなり長期化しているという状況でございます。
 それから、労働委員会の命令に対する取消し率でございますけれども、初審命令に対するものが四九・三%ということでございまして、五割近いということ、それから再審査命令の方が二八・六%ということで三割近いということで、かなり高い水準になっているところでございます。
 したがいまして、お話ございましたように、審査の迅速化、的確化が求められていると、こういう状況でございます。
#100
○草川昭三君 二年とか四年とか、それからせっかく命令を受けても半分ぐらいが取消しになるというのはどう考えてもやっぱりおかしいわけでございまして、是非この法律を契機に全体的な見直しが行われるようにお願いをしたいわけであります。
 それで、この労働委員会において係争している不当労働行為事件ですが、どのような種類の事件がどの程度争われているのか、そういう状況をお伺いをしたいと思うんです。で、もちろん不当労働行為事件というのは労使間における争われた事件でございますが、その背景には企業内の様々な問題があると思うんですが、特徴的な事例があれば併せてお伺いをしたいと思います。
#101
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 ここ五年間での事件の申立ての事件の類型でございますが、まず初審の地方労働委員会におきましては、やはり団交拒否関係の事件が一番多くなっておりまして、六二%でございます。このかなり複数重複しておりますので、六二%という状況でございます。次いで、不利益取扱い関係の事件が六〇%と二番目に多いと、こんな状況でございます。
 それから、典型的な事例でございますけれども、まず団交拒否につきましては、例えばこれは学校の事案でございましたけれども、使用者たる学校が、労働組合員の配転問題に関する団体交渉申入れを、組合規約が不備であるとか、あるいは交渉員を三名以内にするということに固執しまして拒否していると、こういった事案につきまして使用者側に団交応諾を命じた事例がございます。
 それから、不利益取扱いの典型的な事件でございますけれども、これは会社が、少数組合の組合員であります労働者につきまして、賞与の考課の際に特段の理由なく著しく低い査定をしたということで、組合員を理由とした不利益取扱いということで会社に差額の支払を命じた事例、こんな事例が出ているところでございます。
#102
○草川昭三君 今の御答弁にもありましたように、比較的労使関係が安定をしてきたとはいうものの、少数組合等々においては争う事件が多くなってきており、しかも、こじれるというんですか、こじれた事案が多いと思うんですね。そこで三年とか五年とかというように非常に審査も長くなってきておると、まあ私はそう思うんです。
 そこで、この長期化の問題については、不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会というのが平成十五年の七月に行われておりますが、その中を拝見しますと、当事者の求めに従って多数の証人尋問が行われるなど、尋問、審問が当事者主導のような形で行われている場合が少なくない。地労委においては、審査委員、労使の参与委員あるいは代理人等の日程調整が困難で、間隔が非常に長くなってきておるというようにこのレポートの中には書かれているわけでございますけれども、これはもう少し具体的に、どういうようなことを指しておるのか分かりやすく説明をお願いしたいと思います。
#103
○政府参考人(太田俊明君) 今御指摘のございました点でございますけれども、具体的に審査の長期化の理由として指摘されております多数の証人尋問が行われている事例としましては、例えば会社が申立人十数名を労働組合員であることを理由に主任へ昇任させなかったと、こういう事案で労働委員会へ不当労働行為の申立てを行った事件がございます。この事例では、十四人という多数の方に対しまして証人尋問を延べ二十一回行いまして、事件終結までに約二千六百日を要しているところでございます。また、この事例は、被申立人、訴えられた方が、被申立人が大企業であったために、使用者側には複数の代理人が選任されておりまして、この審問を行うに当たっては、その審査委員、これ公益委員でございますけれども、さらには労使の参与委員の日程調整はもちろん必要でございますけれども、その複数の代理人のすべてにつきまして、代理人の日程を調整するよう要望される場合もございまして、こういった場合には審問の間隔が一か月以上空いてしまうと、こんな状況もありまして審査が長期に及んだと、こんな事例がございます。
#104
○草川昭三君 これは私は一々細かい点は分かりませんけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、少数組合等が訴える不当労働行為なり差別事件というのはかなり多くなってきているというのは容易に分かります、それは。そういう場合に限って、やはり差別を受けた側の方にしてみれば、それを疎明というんですか、証明しなければいけないので、いろいろと本来は企業内の交渉で解決すべき問題をこの労働委員会、地労委の場に持ち込んで、そこで私は、AさんBさんCさんに係る差別を受けましたよというようなことが多くなってきておるんじゃないかと思うんですね。で、たまたま私もそういう例があるよというお話を聞いたんでここで紹介するわけですが、ここに、こじれている労使関係というものが、本来の労働委員会の場で解決できるのかどうか。だから私はかねがね、労働委員会というのは和解を中心に、もう少し窓口のところで当事者間を呼んで、どういうことを訴えたいんですかと、ならばもう少し話合いをしたらどうなんでしょうねというような機能というものが窓口で行われた方が実際、私は今、事業場になるのかどういうところになるのか分かりませんけれども、働く現場での問題点の解決になるのではないだろうか、こんなことを私は思っておるわけであります。
 そこでもう一つ、今度は、労働委員会でせっかく命令をもらったわけですけれども、裁判所において取消しの率が高くなってきておるということについても少しお伺いをしたいと思うんです。
 これまた、不当労働行為審査制度の在り方に関する研究会が、今私が触れましたように十五年の七月に出ているわけでございますが、ここの中では、争点、争う点ですね、あるいは証拠の整理や事実の認定が必ずしも的確に実行されているとは言い難いと指摘をされているわけです。今回のこの一部改正案では、審査の迅速、的確性を向上させるという観点から、公益委員の合議による証拠提出、証人出頭命令ができるように見直しを図られているわけでございますが、そこで、中労委並びに地労委の命令が過去実際に裁判所において取消しを受けられた具体的な例ですね、私はあえて、国鉄の話はここには多分触れられていないので国労の話は除外をして、ひとつ高い理由を御説明願いたいと思います。
#105
○政府参考人(太田俊明君) 今お話のございました命令の取消し率が高い理由でございますけれども、お話ございましたように、一つは、やはり争点の整理や必要な証拠の確保が十分でないことから的確な事実認定が行われているとは言い難いということがございます。それからもう一つは、やはり労働委員会段階で提出されなかった証拠が取消し訴訟で初めて提出されて事実認定に影響が与える場合があると、こういったことが挙げられているわけでございます。
 実際にお尋ねの命令が取消しされた事例でございますけれども、まず中央労働委員会の命令が取消しされた事件としましては、組合員の不利益取扱いにつきまして昇格等を命じた命令が、裁判所におきまして使用者側から裁判の段階になって新たに提出された詳細な勤務評価を基に事実認定が行われまして命令が取り消されたと、こういう事例がございます。東京地裁の平成六年の判決でございます。
 それから、地方労働委員会の命令が取り消された事例でございますけれども、これは、組合員の不利益取扱いにつきまして昇格等を命じた命令が、労働委員会の求めがあったのにもかかわらずその労働委員会の段階では提出されなかったものが裁判所において使用者側から提出されまして、これは管理カードでございますけれども、これを基に事実認定が行われまして命令が取り消されたものとして、東京地裁の平成十二年の判決がございます。
 お話ございましたように、今般の改正におきましては、労働委員会段階で提出を命ぜられても提出されなかった物件につきましては、命令の取消し訴訟における証拠提出を制限することとしておりまして、今後はこういったケースは生じないということになるのではないかというふうに考えているところでございます。
#106
○草川昭三君 まあ、今の率直な御答弁が、この労働委員会等の今日の問題点を私は答えられているんではないだろうかと、こう思うんです。
 それで、今回の法改正の中ではそのようなことがないようにというようなお話でございますので、それは我々も、労働争議なり労使紛争というのは少なければ少ないほどいいわけでございますが、もし起きるとするならば、速やかにそれが解決をされるということが必要だという立場を取っておるのでございますが、この審査の長期化の問題は、これは一口で二十年と言いますけれども、二十年間これ続いているんですよね。まあ、一年や二年審査が長くなったからこれは大変だね、早速これはフォローして改正をしましょうというのなら分かるんですが、二十年も前からこのような同じようなことがこれ続いてきておるわけですが、この間、旧労働省は何をやっておったんですかねと。私、率直に、これは嫌みでも何でもなく、なぜこういうことがずっとこう来たのか。
 しかも、悪いけれども、経営者団体の代表者もおみえになるわけですよね。それから労働組合も、れっきとした労働組合の偉い大幹部も長い間おみえになって参加をされているわけですよ。しかも、公益委員の代表というのは、労働法を中心とした、あるいは労働法とは言いませんけれども、いわゆる有識者代表の方々がおみえになって、三者構成をして二十年間もこれを放置をしておる私は社会的な責任というのは極めてこれは大きいと思うのでございますが、そういうことを含めて、厚生労働省、今日の厚生労働省としての反省はどのように持っておみえになるのか、少し詳しく御説明願いたいと思います。
#107
○政府参考人(太田俊明君) 今もお話ございましたように、やはり不当労働行為審査の迅速化、的確化に関しましては昭和五十年代から課題になっていたわけでございまして、そういう課題を受けて昭和五十七年にまとめられました労使関係法の研究会報告では、詳細な現状分析に基づきまして、事件処理計画の策定など審査手続の運用面を中心として具体的な改善策が提言されたわけでございます。
 しかしながら、こういう審査手続の運用面、実際にどういう状況になったかということでございますけれども、まずは、事件処理計画を全事件で策定している地労委は全体の一四・九%にとどまっているということで、提言への対応は極めて低調だったということがございます。この間における不当労働行為事件の複雑困難化も相まって、その後、更に審査期間は長期化するに至ったということでございます。
 これは正に私どもの反省も込めてでございますけれども、やはり運用面の改善ではなかなか対応ができないと、制度面の改善をする必要があるということで、これは公労使のコンセンサスもいただく中で、今般の見直しでは、審査手続におきまして、労働委員会が指導性を発揮して審査の迅速化を図ることができるように法律制度を改正しまして、審査手続とか審査体制につきまして制度面まで踏み込んだ見直しを行うこととしたものでございます。
#108
○草川昭三君 我々が労働委員会というものに関心を持ち出したのは、やっぱり民間の場合だと私鉄ですか、のストライキのときなんかは中労委で調停を求め、あっせんを求めるというのが社会的な大きな関心を呼んでおりまして、なかなか労働委員会というのは御苦労さんですねと、こういう感じを持っておったんですが、先ほどもちょっと触れましたように、日本の民間の企業の労使紛争というのは非常に少なくなってまいりまして、労使協調型というんですか、トラブルは少なくなってきたのではないだろうかと思うんです。
 それで、先ほど来から言っておりますように、今度はじゃ、大企業だから労使関係が安定しているかというと、決してそうではなくて、そういう中で差別の問題というのが出てくると。差別の問題が出てきて、それを労働組合が直接解決をするということではなくて、先ほどもちょっと出ましたが、合同労組だとかいろんなところに駆け込むとかというような事件が多くなってきておるのではないだろうかと思うんです。これはまあ私の意見ですから、これは質問じゃございませんから、あれでございますが。
 そこで、私は近年、少し私なりに心配をしておりますのは、大学ですね。国立大学が国立大学法人になったわけですよ。それで、今度はその国立大学法人になりますと、この労使関係を取り巻く環境というのは、今でも各国立大学の中にはあります、職員と教授との関係、あるいは職員の方々の様々な労働条件に対する要求、それに対する答えが文部省からはなかなか出てこないというので、間に入られました学長が非常に困る、あるいは事務総長が非常に困るというような例があるんでございますが、この国立大学法人になってここの労使関係というのは私はかなりこれから多くなってくるのではないだろうかと私は予想をするわけです。
 それで、そういう場合に、これはまず地労委へ駆け込むのか、あるいはどこへ行くのか、そういう点も含めまして、大学のこれからの労使関係の在り方も含めまして、当局の見解が賜れれば幸いだと思います。
#109
○政府参考人(太田俊明君) 今先生から御指摘のございました国立大学の件でございますけれども、本年四月に国立大学法人化されたことによりまして、これは新たに民間企業と同様に団体協約、労働協約を締結することや争議を行うことも可能になったところでございまして、この国立大学法人において労使紛争が発生した場合には中央労働委員会が対応することになったところでございます。
 私どもとしましては、やはりこういう大学も含めて全体、長期的に安定した労使関係を維持確保するためには、労働委員会制度の果たす役割が大変大きいというふうに考えておりますので、制度の周知を図るとともに、その円滑な運営が確保されるように努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#110
○草川昭三君 これは案外速いスピードで現場は進んでおりますし、現に、例えばこれは研究所なんかへ行きますと、労働基準法あるいは安全法等々で必ずしも的確に保障されたところで研究ができません。だから、労働条件の向上を図りたいというような問題点が既に全国各地の大学でも始まっておるようなんで、特に、国立大学は言うまでもありませんけれども文部省所管で来ておるわけで、労使関係については恐らくこれが公の場で処理されるということは初めてだと思うので、是非、厚生労働省の方からも大学当局の現場に、こういう地労委なら地労委というところで問題があればお受けしますよという、そういうことも是非周知徹底をしておいていただきたいと思います。
 それから、事務局の問題については先ほど来も出ておりますけれども、職員は地方労働委員会の場合は県知事採用でございますね、言うまでもありませんが。大体二年から三年でローテーションになっていくわけです。それで、いわゆる労働委員会になじんだ職員というのは非常に少ない。事務局長ぐらいがせいぜい一人経験者がおみえになるという、こういう感じですね。中労委の場合でも私、労働省、今厚生労働省ですが、労働省のそのローテーションで中労委の職員も交代をしておみえになると思うんですよ。これはいささか、私は一番最初にも申し上げましたように、まず窓口で、受付の段階で問題点をきちっと整理をして、そして申立ての審査に入る、いろいろと準備に入るということで、てきぱきと対応できる職員とそうでない、全然経験のない方々の対応では、これはスタートダッシュというんですか、大変問題があるような気がしてなりません。
 そういう点で、これは地方労働委員の職員の研修は中労委でやっておみえになると思うんでございますが、その研修制度の在り方も抜本的な解決を図ることが必要だと、こういうように提言したいと思うんですが、その点はどうでしょう。
#111
○政府参考人(太田俊明君) 今先生から御指摘いただきましたように、やはり事件の審査の迅速化、的確化を実現するためには、何といっても労働委員会事務局職員の事件処理能力の向上を図ることも大変重要な課題でございます。
 このため、今般、新たに事務局職員等に対する審査実務に対する研修を実施いたします。そのほか、不当労働行為事件の審査実務に係るマニュアルの作成、提供、それから不当労働行為事件に関する命令・裁判例の整理、提供等の援助を実施することが予定されているところでございまして、研修に特に力を入れていきたいと思っております。
 それからさらに、事務局職員の配置につきましても、やっぱりお話ございましたように、二、三年のローテーションで替わるということではなくて、専門的な知識、経験を有する職員の配置が必要でございますので、実際、中労委でも十年を超えるような職員も一定数配置しているところでございますけれども、そういう人事配置等も非常に配慮いたしまして、審査実務に通じました職員の育成を図るとともに、あるいは、例えば法曹資格者の活用について検討を行うなど、事務局体制の整備にも努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#112
○草川昭三君 もう時間が来ましたのであれですが、地労委に、中労委でもそうですが、労働者側委員の任免、選出ですね、どのような基準あるいは手続で行われているのかお伺いをしたいと思うんです。
 昔は総評、同盟、その他中立ですか、というところからそれぞれ選出をされておったんですが、最近は連合ということになり、労働組合も連合だけではないわけでございますが、福岡、神奈川、京都のそれぞれの地方裁判所において任命の適法性について争われたというようにお伺いをするわけでございますが、それにかかわる厚生労働省としての見解を併せてお伺いをしておきたいと思います。
#113
○政府参考人(太田俊明君) まず、地方労働委員会の労働者委員でございますけれども、これは都道府県知事が労働組合の推薦を受けた者の中から労働者一般の利益を代表するにふさわしい適格者を任命しているものでございます。
 それから、御指摘いただきました神奈川、京都等の各地労委につきましては訴訟が提起されたばかりでございますが、福岡の地労委を始め幾つかの地労委の労働者委員の任命に関しまして、裁判所において任命の適法性について争われたところでございます。その結果でございますけれども、すべての訴訟におきまして任命取消しの訴え、損害賠償請求を却下ないし棄却する判決が出されているところでございます。
 私ども、この訴訟につきまして直接見解を述べる立場ではございませんけれども、やはり先ほど述べた考え方に基づきまして委員が適正に任命されることが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
#114
○草川昭三君 もう時間が来ましたので、この一問で終わりたいと思います。
 これからはパートタイムの労働者の方、契約社員、嘱託社員の割合が増加をする傾向にあると思うんですが、これらの労働者の方々個人が企業側との間で解雇、賃金不払その他差別等々、民事上の紛争が起こった場合に、簡易に迅速な救済措置が私は必要だということを一番最初にも申し上げたんですが、何か難しい手続ではなくて、そういう方々が安易に相談ができるようなことを是非考えてほしいということを申し上げて、もし答弁があれば答弁をしていただいて、終わりたいと思います。
#115
○副大臣(衛藤晟一君) 仰せのとおりでございまして、平成十三年十月より個別の紛争解決に向けて努力をしているところでございますが、具体的には、都道府県労働局に窓口を設けまして、相談、情報提供のほか、助言、指導それから紛争調整委員会によるあっせん等を実施をいたしております。
 御指摘のように、パートタイム労働者、契約社員、嘱託社員等含めて、不当解雇等による労働関係争議に発生、紛争が発生しまして、紛争の当事者から申出があった場合に、同制度の的確な運用を行うことによって迅速かつ適正な解決を図っているところでございますけれども、平成十五年で見ますと、総合労働相談件数が七十三万件、そして、そのうち労働関係法上の違反を伴わない民事上の個別労働紛争相談件数が十四万件でございまして、助言・指導申出受付件数が四千強、そしてあっせん申請受理件数が五千強という具合になっているところでございます。
 引き続き注意を払いながら進めなければいけないというように考えているところでございます。
#116
○草川昭三君 以上で終わります。
#117
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 前回、最初に、時間切れとなってしまったちょっと中越地震の問題について幾つかお聞きをしたいと思います。
 一つ目は、被災地域の地域医療の問題なんですが、小千谷、十日町の病院の被害状況は前回お話ししました。小千谷総合病院、厚生連の魚沼病院、中条病院、県立十日町病院、こうした病院の状況に対するまず最初に認識をお伺いしたいのと、復旧のために公的な支援どうしても必要だと思うんですが、この点についてお聞きします。
 それから、二つ目はインフルエンザの対策ですが、当然安全性には留意しなければいけませんけれども、インフルエンザの流行を抑えるために希望するすべての被災者に無料で接種を行えるように災害救助法を活用すべきではないかと思うんですが、医政局長と、それから社会・援護局長にお伺いします。
#118
○政府参考人(岩尾總一郎君) 医療機関の被害の状況でございます。
 十日町、小千谷の地域の基幹病院、先生御指摘の病院ですが、外来診療については関係者の御努力でおおむね確保されていると聞いております。ただ、入院医療を中心に日常の診療に支障が生じているということです。
 このような大幅な支障を来している病院については、災害復旧に係る医療関係施設の補助の活用、先生御指摘の災害復旧事業がございますし、これ、ここにある病院はすべてこういうものに、補助対象になるというふうに考えておりますので、国として、この医療体制の迅速な再建を図って、適切な医療確保には努めていきたいというふうに考えております。
#119
○政府参考人(小島比登志君) 被災者に対しますインフルエンザ予防接種の件でございますが、これにつきましては、阪神・淡路大震災におきまして、避難所に避難していた六十五歳以上の高齢者で希望する方に対しましてインフルエンザの予防接種を行いまして、その費用につきましては災害救助法に基づき支弁をしたところでございます。その後、平成十三年には、インフルエンザの予防接種は高齢者が感染した場合の重症化防止に有効であるとの医学的知見が確立していることを踏まえまして予防接種法が改正されました。この際、六十五歳以上の高齢者のうち生活保護世帯等につきまして、その経費が交付税措置されたところでございます。
 こうした経緯を踏まえまして、今回の新潟県中越地震におきましても、阪神・淡路大震災のときと同様、避難所に避難している六十五歳以上の高齢者及び六十歳から六十四歳で心臓、腎臓、呼吸器の機能等に一定の障害を有する方で希望する方に対しましてインフルエンザの予防接種が行われた場合には、災害救助法に基づきその支弁することとしてまいりたいと考えております。
#120
○小池晃君 医療機能を確保するためには、前回大臣おっしゃったように、緊急の支援とそれから地域医療再建のための抜本的な手だてが必要だと思いますので、公的な支援を強くお願いしたい。
 それから、インフルエンザ対策については周知されていませんので、是非、災害救助法の対象になるというような連絡も出すこともしていただきたいということを要望したいと思います。
 それから、災害時に、医療費の負担の問題なんですが、国民健康保険の医療費の一部負担金及び保険料の減免それから介護保険料の保険料、利用料の減免は、法律上これはあって、これはそういう事務連絡も厚労省送られています。しかし、健保、社保については、これは法律上の規定がない。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、阪神・淡路大震災のときは、これは特別措置として、健康保険でも医療費の一部負担金及び保険料減免措置取りました。今回も同様の規模の震災なわけですからやはり同様の措置を取るべきでないかと思うんですが、大臣の見解をお伺いします。
#121
○国務大臣(尾辻秀久君) まず、その理屈から申し上げますと、健康保険の場合は給与をもらっておられる方ですから、あくまでも給与は出るだろうというのを前提にして考えておるわけでありまして、こういう法律の組立て方になっているということをまず申し上げまして、しかし被害が非常に大きくなりますと、その給料がもらえるのかもらえぬのかというような話になってきて、今御指摘になりましたように阪神・淡路大震災のときには特別立法で措置したと、こういうことでございます。
 今度どうするかということでございますけれども、政府全体の方針に従って、今後、今政府全体で考えておりますから、その方針に従って必要な対応を検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
#122
○小池晃君 これ、被災者の実態というのは国保も健保も同じで、しかも今は健保も三割負担になって阪神のときより負担増えているわけですから、政府全体の方針に従ってというより、やはり厚労省として積極的な提起もしていただいて政府全体の方針にするように是非御努力いただきたいと思うんですが、大臣もう一度、いかがですか。
#123
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話しのようなことも考えながら、ということは、厚生労働省が主体的な立場を取りながらということも含めて政府全体で考えるということを申し上げたつもりでございます。
#124
○小池晃君 是非やっていただきたいと思います。
 社会・援護局長と医政局長は退席していただいて結構です。
 労組法の今回の法改正の問題ですが、不当労働行為の審査期間長期化の解決を図るものであります。
 労働現場では、今業務請負や派遣の問題などでトラブルがどんどんどんどん増えて、今後も増えることが予想され、問題も非常に複雑になってくると思うんですが、この労働者側の立証や反論の機会が抑制される、これが大変懸念されるわけです。その点についてお答えをいただきたいというふうに思います。
#125
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 今お話ございましたとおり、この不当労働行為の審査制度が迅速かつ的確に行われるためには、審査の過程におきまして事実認定に必要な主張、立証の機会が当事者に対して十分に保障されることが重要であると考えております。今般の改正法案におきましては、審査の迅速・的確化を図るために労働委員会は審問前に争点、証拠や証人数等を記載した審査の計画を作成することとしておりますけれども、その作成に当たりましては、法律上、当事者双方の意見を聴かなければならないとされているところでございまして、私ども、こういう規定も使いながら、当事者の主張、立証の機会が不当に抑制されることのないように十分配慮をしていきたいと考えているところでございます。
#126
○小池晃君 くれぐれも、労働者側の立証や反論の機会が十分に保障されることを求めたいというふうに思います。
 こうした問題の背景にある雇用の問題についてお伺いしたいんですが、青年の雇用問題で大臣に最初に御認識を私伺いたいんですが、非常に雇用情勢は深刻で、若年者の完全失業率一一・二%というふうに非常に高いわけですが、この若年者の失業率が依然として高いという問題について、これ大臣はこの基本的な認識、どのような認識をお持ちか最初にお伺いします。
#127
○国務大臣(尾辻秀久君) 御指摘のように、若年者の雇用状況を見ますと、十五歳から二十四歳のところの失業率が九・四%でございます。そして、全体の四・六%に比べて極めて高い水準にあります。極めて厳しい状況にある、こういうふうに認識をいたします。一方で、有効求人倍率を見ますと、この十五歳から二十四歳のところで見ますと一・四七倍でありまして、これは全体の〇・八四倍に比べまして極めて高い。ということは、求人はあるものの就職に結び付かない状況が見られる。正にミスマッチの現象がここに見られるんだというふうに考えます。また、その中にフリーターの問題やニートの問題もあると、こういうふうに認識するところでございます。
 こうした問題の原因といたしましては、将来の目標が立てられない、あるいは目標を実現するための実行力が不足している者が増加しているなど若者の方の問題もありますけれども、それだけではなくて、今度は求人の方がパート、アルバイト等を、そうした人たちを求める面と、それから今度はうんと変わって、高度な技能、知識を要求、擁する者を求めると、そういう二つに分かれることなど、企業の側の要因も相まっておるということが言えるというふうに思います。いろんな意味でのミスマッチが拡大しておると、こういうことでございます。
 このような状況が続くことは、本人にとってもまた産業や社会を支える立場からも決して好ましいことではありませんので、将来の我が国経済社会に与える影響が極めて重大であるというふうに認識をいたしております。
#128
○小池晃君 こういう若者の雇用問題だと大体いつも政府の皆さんは、仕事はたくさんあるんだけれどもミスマッチなんだという考え方示されるんですが、今日、資料でお配りしましたのは、これは経済産業省の方が作られたものなんですが、「若年者を中心とした産業人材育成政策について〜人材・雇用をめぐる神話と真実」という、そういう文書なんですね。これなかなか興味深いものなんですが、神話が七つ並んでおります。今日は全部紹介できないので、二つだけ。
 一枚目の神話5というのは、「リストラで人材投資を削減した方が企業利益は拡大する」、これが神話だというわけです。真実は何かというと、「教育訓練費を増加させた企業の方が、結果として、利益や雇用を増加させている」というふうにあります。それから、めくっていただいて、今フリーターというお言葉もありましたけれども、神話の7、「フリーターの大半は、自由を求めて「好きで」定職に就かない。」、この神話に対して真実は、最近のフリーターの大半は定職に就くことを希望しているんだということで、それを示すグラフも出ているんですね。
 大臣にお伺いしたいと思うんですが、私は、このミスマッチというだけで解決できない。フリーターの大半は別に好きで定職に就かないわけじゃなくて、本当は定職を求めているんだと、しかし、それに見合う仕事、求人が少ないということがやはり最大の問題。まあ経済産業省言っているように、ここに真実があるのではないかというふうに考えますが、大臣、どのようにお考えになりますか。
#129
○国務大臣(尾辻秀久君) 若者のそうした動向というのを正確に把握しているとも思いませんけれども、自分の子供たちのやっていることや言っていることなど見ましても、やはり両面あるのかなというふうにも思います。決して好んでフリーターをやっているわけではないという若者もいるでしょうし、結構やっぱり多様な生き方、多様な働き方を求めているという面もあると思います。
 したがって、その両方あると思いますからそれぞれに対応しなきゃいけないんだと思いますが、特に決して好んでフリーターをやっているわけではないという若者たちのために我々が何ができるか、これは真剣に考えるべき問題だというふうに思います。
#130
○小池晃君 いや、私は、これを見ていただいても、両面あるというより、やはり本当に多くの若者というのはフリーターに就きながら本当は定職に就きたいという強い願いを持っていると、これがやはり基本にあるんだというふうに思うんですよ。そういう認識に立ってやはり若者の雇用対策を立てなければ、それこそ政策のミスマッチになってしまうということになるんじゃないだろうかと。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 やはり、青年の雇用の実態を見ますと、この間、我々にも多数相談寄せられておりまして、例えばこんな話あるんですね。神奈川県の、もう名前は言えばだれでも知っているあの大手電器の量販店ですが、以前は正社員が八割だったと。これが今、契約社員が六割になって、もう逆転しちゃっている。サービス残業常態化して、残業代支払いを申し出たらば暴行を受けたんだと。仕事ができないと、死んでみろとか飛び降りてみろ、こういう罵声を浴びせると。こういう実態が寄せられて、契約社員の自殺者が出たということも聞いています。
 それから、これはある二十代の女性なんですが、都内でチラシとかティッシュを駅前で配布している業務請負の会社で働いている方なんですが、起床は朝四時半だと。朝の駅頭のティッシュ配りを、三つの駅頭をだんだんだんだん移動していってやるそうです、夜八時までやるんだと。会社が言う勤務時間は九時間三十分なんだけれども、仕事の始めから終わりまで移動時間も含めると十六時間拘束だと。土日も働いて月十六万程度の収入だというんですね。有給休暇も残業手当ももちろんない。雇用契約書もない。給与明細ももらえない。しかし、これくらいしか仕事がないというふうにおっしゃっている。
 私、厚生労働省にお伺いしたいんですが、こういう働き方させられている一方で、定職に就きたいという願いも切実なわけですから、やはりこういう青年の思いに本当に正面からこたえる施策に取り組むべきじゃないかというふうに思うんですが、ちょっと御見解を。
#131
○政府参考人(青木功君) 今、若い方々の様々な希望、思いについてお話がございましたけれども、大臣からも申し上げましたけれども、若者が仕事を求める、様々な形であるいはそれぞれの思いで仕事を求めているということは御説のとおりでございます。
 そこで、若い人たちが一体どういうふうな意識を持ってどういう御希望を持っておられるかということで、その御相談をしなければならないということでありまして、ハローワークはもちろんでありますけれども、今年から全国に若年者のためのワンストップのサービスセンターであるいわゆるジョブカフェを全国に展開をいたしております。
   〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
 そういった中でも、常用雇用に移りたいというフリーターの方々大勢いらっしゃることは事実であります。そういった、ちょっと個別的な議論になりますけれども、そういった場合、経営者の方はなかなかフリーター的な仕事をしてきた方を自分のところで常用でお迎えするその自信が持てない。また、働く方も今まで比較的仕事を替えながらきたのでそういった常用型の仕事に慣れないというようなこともございまして、私ども、その若年者トライアル雇用というものを展開をしております。
 これは、それぞれ働く方にとっても、それから採用する方にとっても、トライアルということで三か月間その仕事をさせていただくわけですが、こういったことをすると八割ぐらいの人がそのまんまいわゆる常用雇用に移行をするというような結果にもなっておりますし、とにもかくにも一人一人の若者の希望なり夢というものは違いますので、きっちりと御相談をしながら配慮をしていく体制を整えたいというふうに思っています。
#132
○小池晃君 いろんな対策やられていると、若者自立・挑戦プランなどというのもやられているわけですが、例えば今お話あったトライアル雇用、今六万六千人ですよね、対象人数。それから、デュアルシステムは六万人ということで、四百十七万人と言われているフリーター全体に見れば本当にもうごくごくわずかということにしかなっていない。
 私は、本当に今本格的なやはり政策転換といいますか、この間やはり新規求人でいえば、中小企業が伸ばしている中で大企業だけは減らしていると。やっぱり大企業の新卒採用抑制というのをしっかりやめさせること、人材育成に本気で取り組ませるように働き掛けること、それから、先ほどから紹介しているような派遣や請負などの本当に不安定で無権利な状態、これやはり均等待遇というルールをしっかり守らせて不安定な雇用に歯止めを掛けると。こういう、本当にその根本からやはり若者が仕事に就けるような政策を真剣に取り組むことが求められているというふうに考えるんですが、大臣、その点いかがお考えですか。
#133
○国務大臣(尾辻秀久君) いろんな若者たちが多様な生き方をしておるわけではありますけれども、その中で常用雇用を希望する若者がいるならば、これはきっちりその希望にかなえてやるようにすることが我々の仕事だと、こういうふうに考えます。大変重要なところだと思います。
 そうした中で、一挙に何百万人も雇用が促進できるような施策があれば、それは一番いいわけでありますが、とてもそういうものは無理でありますから、一つずつ丹念にやれることをやっていく、これがまた我々がやるべきことだと、こういうふうに思うわけであります。
 その幾つかの例については既に申し上げたところでございます。そうした一つずつの努力を積み重ねながら、一人でも多くの若者が適切な就業の機会を得られるように我々は努力をしていきたいと、こう思っております。
#134
○小池晃君 青年の雇用対策の抜本的な転換、先ほど述べたようなものを求めて、一つ一つ、じゃ丁寧にということでいうと、雇用対策に、別の問題でちょっとお聞きしたいんですが、緊急地域雇用創出特別交付金です。これ、この交付金を今年度末で取りやめようというふうにされているようなんですけれども、今年度含めて今までの予算額と雇用創出の人数を最初にお答え願いたいと思います。
#135
○政府参考人(青木功君) 緊急地域雇用創出特別交付金の実績等でございます。この点につきましては、先生御案内のとおり、極めて厳しい雇用・失業情勢の下で緊急かつ臨時的な雇用機会の、雇用・就業機会の創出を図るということで、平成十三年度途中からスタートをしております。
 十五年度までの実績としては、事業額として約二千九百億円、それから雇用・就業の維持者数約三十九万人、それから今年度、平成十六年度でございますが、事業額が予定として約千二百億円、そして雇用創出維持者数については約十三万人というふうに見込んでおります。
#136
○小池晃君 合計すると大体四千百億円、五十二万人程度になりますね。そういうことですね。
 これ、九九年から実施された旧交付金事業の実績三十一万人加えると八十三万人、大臣がおっしゃった何百万という数字じゃないですが、何十万人の中ではかなり上の方、かなり大きな実績を上げた事業だということは、これはもう言うまでもないと思うんです。こうした役立つ事業が存続の危機にさらされている。
 その一方で、雇用改善のための対策として地域雇用受皿事業特別奨励金という制度がございますが、これはサービス事業等による雇用機会の創出と創業支援ということで昨年二月から始まっていますが、目標とそれから実績、金額と人数についてお示しをいただきたい。
#137
○政府参考人(青木功君) 地域雇用受皿事業特別奨励金についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては、御案内のように昨年二月スタートをいたしておりまして、予算額としては一千億円を用意いたしました。最大約二十万人を超える雇用創出効果を見込んでおります。事業開始以来、本年九月末までの実績につきましては、事業計画の認定件数四百八十九件、雇入れ予定人員四千五百十三人というふうになっております。
 なお、実際の支給までにはこの事業の性質上ある程度期間を要するということでありまして、今年九月末までの支給決定件数は七件、対象者十五人、金額千七百二十四万八千円ということになっております。
#138
○小池晃君 一千億円の事業で千七百万円、二十三万人ですよね、これ目標、に対して十五人、こういう実績なんですね。これから増えるというけれども、余りにもこれ、もう既に一年半やっているわけです。あと一年半しかないわけです。その段階で、一千億に対して一千七百万円、二十三万人に対して十五人という実績なんですよ。これ、例のサービス産業五百三十万雇用創出ということで、何か経済学者の方ですか、ぶち上げた話に基づいて五百三十万人雇用創出だということの一つの基金としてやったんだけれども、全く絵にかいたもちになっているんですよ。
 私は、こうした本当に効果が上がっていないようないろんな制度はしっかり見直して、そして、むしろ政府もその効果をはっきり認められるじゃないですか、特別交付金事業は。やっぱりこういったものに力を注いでいくべきだ。期限が切れるのであれば、またそれに代わるような形ででもやはりその施策を私は継続すべきだと思うんですよ。
 これ、もう大臣のところにもたくさん御意見寄せられていると思うんですが、三十二都道府県、五百三十六市町村それから全国都道府県議会議長会からも、これは制度を続けるべきだ、拡充すべきだ、又はそれに代わる施策をと要請されている。連合も全労連も、労働界も一致してこれ継続を求めている。雇用状況は、いまだに九月発行の厚生労働省の労働経済の分析見ても雇用不安高まっている。いまだに長いトンネル抜け切っていないわけですから、やっぱりこういうときに、これほど確実に成果を上げてきた基金を打ち切ってしまうというのは私は余りに問題が大きいと思うんですね。
 私、大臣にお伺いしたいのは、こういう雇用効果が認められているものが何の代わりもなく終了するというのは問題が多いんじゃないかと。やはり新しい情勢、厳しいこの雇用情勢下で雇用対策はどうあるべきなのかと。私は、自治体や労働団体の要請もしっかり受け止めて施策に当たるべきだというふうに思うんですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#139
○国務大臣(尾辻秀久君) まず、お話しになりました緊急地域雇用創出特別交付金事業でございますが、お話しいただいていますように、それなりの成果を収めてきた、その評価をいただいたことは有り難いと思います。ただ、これが構造改革の集中調整期間中という時限的に行ったものでございますので、今年度で一遍切れる。これはもう最初の約束事でございますから、そうせざるを得ないところでございます。
 ただ一方、それをやめるからというので受皿になるようなものはできるだけちゃんとしなきゃいけない。それをまた、それなりに、私どもなりに施策を考えてやらしていただいておるところでございますけれども、それに対しての評価はいろいろ今から出てくると思います。絶えず、今や政策も評価をされておりますし、費用対効果みたいなこともいつもチェックをしておるわけでございますから、そうした中で今行っております施策についてもきっちり検証しながら私どもは次々と努力を重ねていかなきゃならぬと、こういうふうに思っております。
#140
○小池晃君 私、何もむちゃなことを言っているつもりないんで、やはりこういう本当に役立つ事業に対して、やはりそれを乱暴に断ち切るというのではなくて、やはりそれに代わるものをしっかり考えるのは私は厚生労働省の責任だと思うんですね。
 概算要求で出されている雇用対策見ますと、コンテスト方式による雇用創造効果の高い事業に取り組む市町村等への支援というのがあるんですが、これ七十億円で、やはり各年度で千二百から千四百億あった交付金事業がこれに代わるというんじゃちょっとこれはもう納得できないというふうに思いますので、ここはやはり、坂口大臣も二月の予算委員会で雇用状況を勘案して相談したいというふうに御答弁されましたし、是非これは、災害時などにもこれは非常に役立つ制度でもあるという面もあるんで、引き続き是非検討をしていただきたいと思います。
 それから最後に、ちょっとこれは通告してない問題なんですが、学生無年金の問題で、十月二十八日に新潟地方裁判所で任意加入制度が憲法十四条に違反するという判決が出まして、これはもう二十年にわたって無年金障害者を放置してきた国の責任、厳しく断罪したものです。東京地裁に続く違憲判決です。
 ちょっと急を要する問題なんで今日お聞きしたいと思ったのは、あさってが控訴期限ということになっています。これは、やはり厚生労働省としては絶対に控訴せずに、やはりもう直ちに問題解決に取り組む、この姿勢で臨んでいただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
#141
○国務大臣(尾辻秀久君) 判決への対応でございますが、判決内容を精査の上、関係機関と今協議中でございますので、控訴期限である十一日までの間に結論を出してまいります。
#142
○小池晃君 障害者の自立と社会参加というのは、これは政府全体の目標でもあるというふうに思います。そういう点でいえば、この障害年金の問題の、無年金問題の解決というのはやはり非常に大事な問題だというふうに思いますので、非常に明確な判決でありますから、重みをしっかり受け止めて控訴しないということを再度求めて、私の質問を終わります。
#143
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 労働組合法改正に入る前に、二点、私の方からお聞きをしたいと思います。学生無年金障害者訴訟についてです。
 昨日、尾辻大臣は当事者の人たちと直接時間を割いて会ってくださいまして、本当にありがとうございます。急な要請でしたけれども、とにかく当事者の声を聴くということで、要望に応じてくだすったことには心から感謝をいたします。
 ところで、十月二十八日、新潟地方裁判所は、重度の障害がありながら、学生時代の国民年金未加入により障害年金を受給できない原告の主張をほぼ全面的に認め、その損害に対して国家賠償を認める判決を下しました。判決は、国が任意加入という制度下において無年金障害者が発生することを予見しながら、二十年以上の長期にわたりこれを放置し、何ら立法措置を取らなかったことを激しく断罪するものです。学生に対する任意加入という制度が二十歳以上の学生と二十歳以上の学生でない者とを不合理に差別するものであったとし、これを憲法十四条に違反するとしました。さらに、原告らは国民年金制度の不備、欠陥と周知の不十分により無年金障害者にならざるを得なかったのであり、何ら非難されるべきではない、障害者が社会で自立するためには障害年金が不可欠であるとも述べています。
 ところで、重度障害のある身体を酷使し、苦しい経済状態の中で三年以上に及ぶ裁判やそれに先立つ長年の運動で極めて当事者も疲弊をしております。本年三月二十四日の東京地裁に次ぐ、新潟地裁の違憲判決を重く受け止めていただきたいと。
 私は、弁護士として、裁判所が行政訴訟、行政事件で違憲であると明確に述べるということは実は極めて限られているというふうに思います。これだけはっきり違憲であるというふうに言われていること、その重みをどう思っていらっしゃるか、お聞かせください。
#144
○国務大臣(尾辻秀久君) 国にとって大変厳しい判決であるということは、私もそのように思います。
 ただ、私がこの判決について思うこと、考えることが個人的にもありますし、また厚生労働省としての立場で判断すべきこともありますし、また、先ほど申し上げておりますようにいろんな機関との協議も必要でございますから、これに対してどういうふうな立場を取るかというのは十一日までお待ちをいただきたいと、こういうふうに思います。
#145
○福島みずほ君 年金改革の中でこの無年金障害者の問題も議論になりました。御存じ、超党派の議員連盟も存在をしております。この問題を解決しないまま、残念ながら年金法案が可決をされたことも残念だと思います。ただ、年金制度が全体としてどうあるべきか、抜本改革をしなくても、この問題については、時間的な問題、必要性の問題、解決することは立法上は可能です。その意味でいかがでしょうか。
#146
○委員長(岸宏一君) どなたが答えますか。──尾辻大臣。
#147
○国務大臣(尾辻秀久君) 私、法律の専門家でないので、今おっしゃった意味が正確に理解してお答えしているかどうかはよく分かりませんけれども、いろんなことで立法が可能か可能でないかとおっしゃれば、今のお話もそれは可能であるんだろうなというふうには思います。
 今私がお答えできるとすれば、そこまででございます。
#148
○福島みずほ君 裁判所が、二つの、東京地裁と新潟地裁がいずれも憲法違反であると、憲法十四条に反すると、法の下の平等に反すると明言し、かつ損害に対して国家賠償を認めたということは、やはり裁判所の判決例でも極めて実はレアケースであります。そのことを是非厚生労働省は重く受け止めていただきたいというふうに思っております。
 控訴期間までもうあとわずかですが、是非控訴をしないでほしい、将来に向けてきちっと問題を解決してほしい、その声を大臣はどうお聞きになられるでしょうか。
#149
○国務大臣(尾辻秀久君) まだ結論を出してないことでありますから、今私が何か申し上げるというのは適切でないと思いますけれども、あえて今みたいなお話がございましたので率直に私が今思うことの一つだけ申し上げますと、一方からいって、立法についてのいろんな判断を言われている、このことは私たち立法府にいるみんなでよく考えてみなきゃいかぬことだろうなというふうに思いますことと、もう一方、最高裁の判例などもありますから、やっぱりそうしたものとはよく、どういうふうにこれを読むのかということは考えてみなきゃいかぬのだろうなと今思いながら、最後の決断をしなきゃいかぬなと思っているところでございます。
#150
○福島みずほ君 最近、東京地裁、新潟地裁で憲法違反で国家賠償請求を認めるという判決が出るのは、やっぱり正直、時代の変化もあると思います。最高裁の判決ということではなく、現時点においてやはり法の下の平等に反するのだということが最近断ぜられたことをやっぱり重く踏まえて、是非一歩踏み込んで判断していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#151
○国務大臣(尾辻秀久君) 今の時点で私が答えられるぎりぎりのところまではお答えを申し上げたつもりでおりますので、この後の結論に向けての議論はこれ以上私が申し上げることは避けさせていただきたいと思います。
#152
○福島みずほ君 三権分立の中で司法からはっきり断ぜられたと。憲法違反である、国家賠償請求訴訟、国は国家賠償で損害を払えと明確に言われた。三権分立の一翼にはっきりそう断ぜられたわけで、行政そして立法はそれに真摯にこたえるべきではないかというふうに思います。
 是非、控訴を本当にしないで、行政及び立法は将来に向かって問題を解決できる機関であるというふうに思いますので、是非それはよろしくお願いします。司法は過去について判断を下すところです。しかし、行政と立法は将来に向かって改革ができる場所でありますので、是非控訴をしないでほしいということをよろしくお願いします。
 二点目は、それに続いてやはり障害者の問題なんですが、私は三月に質問をいたしました。これは規約人権委員会、一九九八年、国連の規約人権委員会が、障害を有する女性に対する強制的な不妊手術措置が廃止されたことは認識しつつ、強制的な不妊手術がなされた人が補償を受ける権利を規定した法律がないことを残念に思う。必要な法的手段が講じられるよう勧告する。国連から日本政府は勧告を受けております。この点について実態調査はどうなっていますかと、三月二十四日、この厚生労働委員会で私は質問をいたしました。実態の把握について厚生労働省はどうされているでしょうか。
#153
○政府参考人(伍藤忠春君) お尋ねの趣旨は、昭和二十三年に成立をいたしました超党派の議員立法でございますが、旧優生保護法に基づく本人の同意を得ない優生手術で強制的に不妊手術を受けた方々についてのことであると思いますが、これについての政府の立場といいますか、過去にも申し述べましたが、旧優生保護法に基づきまして、医師の申請によって厳格な手続によりまして適正に適法に処理をした件でございますので、現在これについて、優生保護法は平成七年に廃止をされましたが、これについての特段の補償ということを特に考えてはおらないところでございますので、特別、この実態調査とかこの実態の把握ということはいたしておりません。
#154
○福島みずほ君 実態調査をしなければ問題があったかどうか分からないと思います。当事者のヒアリングなど必要ではないのでしょうか。
#155
○政府参考人(伍藤忠春君) どういう趣旨で、どういう立場で、その得られる結果について何をするかということがある程度はっきりいたしませんと、この手掛かりといいますか、こういったことに着手するということもなかなか難しいというのが行政の実情でございますので、そういった観点から、これについて特別、実態を把握するということには至っておりません。
#156
○福島みずほ君 厚生労働省は、規約人権委員会の勧告をどのように重く受け止めているのでしょうか。諸外国も、やはり障害のある人に対する強制不妊手術に関して補償するということをはっきりやっている国もあります。実態調査もしなければ、問題があったかなかったかの検証もできないと考えますが、いかがでしょうか。
#157
○政府参考人(伍藤忠春君) この補償をするかどうかということ、それから国連のその勧告をどう受け止めるかということでございますが、これもまあ国によっていろいろ事情が異なるわけでございますので、一概にそういった、一律にそれを参考にして取り入れるということはなかなか困難ではないかというふうに思っております。
#158
○福島みずほ君 補償についてはちょっと棚上げにして、まず実態調査をされることが必要不可欠だと考えますが、いかがでしょうか。
#159
○政府参考人(伍藤忠春君) 繰り返しになりますが、どういった観点からどういう趣旨の調査をするかというところの、そういった概念の整理をまずしなければならないと思いますので、そういった趣旨がお互いに必要性があるというふうに私どもが認識をできればそういうことも考えられるかと思いますが、現時点では、この問題については、適法に国会で成立をし、超党派で議員立法でなされた法律に基づいてきた適法な措置であったということで、そういった特別に、これについて特段将来的に何かするための実態調査ということは考えていないということでございます。
#160
○福島みずほ君 この不妊手術については、当事者にきちっと説明をしたのか、あるいは人権上問題がなかったかなど多くの指摘がなされております。法律の妥当性、それから法律の適用の問題点、両方あると思います。実態調査も一切しないで問題がないということは考えられないと思います。まず実態調査をすべきではないですか。
#161
○政府参考人(伍藤忠春君) この優生保護法、二十三年にできて平成七年に廃止されるまで長い期間があったわけでありますが、その間、どういう議論がこの国において行われたか、私、十分には把握しておりませんが、あるいはまた廃止する際にどういう議論があったのかということも関係ありますが、現時点においてどういったことを調査するのかということは必ずしも得心がいかないところがあるわけでありますので、その辺り、今の時点で実態把握といいますか、実態調査をするということまでには、私どもそういう考えは持っていないということでございます。
#162
○福島みずほ君 ハンセン病のときに隔離をされ、あるいは不妊治療が行われたり子供が持てなかったということが極めて人権侵害であったということが問題にされたはずです。
 同じように、障害のある人たちへの不妊手術が、男性、女性、特に女性に対して、例えば子宮を取ってしまうとかコバルト照射をしてしまうとか、多くのことが指摘をされています。
 厚生労働省はこれだけ国連から勧告を受けても実態調査をする必要すら分からないというその人権感覚のなさに、正直、今日、唖然としておりますが、内部で議論はないのでしょうか。
#163
○政府参考人(伍藤忠春君) 繰り返しになりますが、適法な法律に基づいて適法な形で処理されてきたというふうな理解の下におりますので、特に実態調査をするといったような議論は内部でもいたしておりません。
#164
○福島みずほ君 大臣、今の答弁、いかがでしょうか。
#165
○国務大臣(尾辻秀久君) 今の御議論伺っておりましたので、少なくとも省内で議論をしたいと、こういうふうに思います。
#166
○福島みずほ君 国連の勧告を何も考えないということ自身唖然といたしますが、省内で議論し、せめて実態調査をしてくださるよう心からお願いをします。
 国連で次にこの審理がされるときに、この勧告に基づいてやったかどうか必ず議論になりますので、何もしていないということはもう本当に恥ずかしいことだと思います。よろしくお願いします。
 では、ちょっと長くなりましたが、労働組合法について、審理計画の問題点ですが、審理をする過程で争点、証拠、新たな証人などが出てくることがあると。裁判以上に労働委員会、労働委員会も裁判も両方やったことはありますが、議論しているうちに争点が出てくる、証人が出てくるということはあるわけです。
 初めにかちっと審理計画を決めてしまいますと、実際新たな論点が出てくる、新たな証人が出てくる、その場合にどうなるのでしょうか。
#167
○政府参考人(太田俊明君) 今お尋ねの審査の計画でございますけれども、審査手続の迅速化のために、審査開始前に調査における争点及び証拠の整理を踏まえて作成されるものでございます。
 しかしながら、一方、労働委員会は、審査の現状とかその他の事情を考慮して、必要があると認めるときは審査の計画を変更することができるとされているわけでございます。これは法律上の規定でこのような規定がございます。
 したがいまして、今お話がございましたように、審査の過程で新たな争点、証拠、証人等が生じた場合でも、労働委員会が必要であると認めるときには審査の計画を変更することができるものとされておりまして、こういう事情の変化等にも柔軟に対応してやっていけるのではないかと、そのような規定になっているのではないかと考えているところでございます。
#168
○福島みずほ君 言うまでもなく、企業とそれから不当労働行為を訴える労働者の間には、大きな力関係と当初から資料における力の差があります。一番初めに審理計画を決めますと、どうしてもその力の差が最後まで利いてしまうということがあると思います。是非、この点については、審理計画は一応の目標であって、決してこれが労働組合、労働者にとって不利益にならないようにということは徹底すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#169
○政府参考人(太田俊明君) 労働委員会は、やはり裁判所と違って、比較的長期的な労使関係を考えながら弾力的な手続を取るというのが利点ではないかと考えておるところでございます。
 したがいまして、審査の計画、迅速化のために、当然、審査開始前に作成するものでございますけれども、その状況等、必要に応じて審査の計画を変更するということで弾力的な対応をするようにやってまいりたいと、配慮してまいりたいと考えているところでございます。
#170
○福島みずほ君 確かに、あなたは組合作ったから解雇しますなんという会社はないわけで、総合的な背景事情をきちっと、丁寧にきちっと暴いていかなければ、あるいは総合的に出していかなければ、不当労働行為意思やいろんなものを立証することは困難です。
 その意味で、審査計画制度が不当労働行為の認定や労働組合の活動を制限することがないようにと思いますが、改めてお願いします。
#171
○政府参考人(太田俊明君) 基本的に、当然のことながら、この不当労働行為の審査制度、労働組合なり労働組合員の救済を目的としているわけでございますので、そういう救済の阻害となるようなことのないように十分配慮してまいりたいと考えております。
#172
○福島みずほ君 私は、基本的に的確化、迅速化が労働組合で本当に必要なのかどうか、実は疑問を持っております。
 国労の事件は全部労働委員会では勝ちました。それは不当労働行為というものが総合的に判断をして認定をしたからです。ところが、地方裁判所で負けました。なぜでしょうか。それは司法関係、これは組織が変更になったので相手方が違っている、そういう司法的な権利義務の全く形式論で組合を負かせます。どっちが正しいか。地方労働委員会、中央労働委員会、労働委員会の方が組合の組合活動、不当労働行為の認定について真っ当だと私は思います。それを裁判所が、法主体が違うという全く奇手といいますか、そういう解釈があるかというような法律の形式論でけ飛ばしてしまう。それが労働組合が不当労働行為だと必死で争っていくことを地方裁判所、裁判所側が阻んでいる。労働組合の方が、労働組合法、労働委員会の方が不当労働行為に関しては真っ当です。裁判所の方が全く形式的な私権に基づいて、私権、私の権利に基づいて排除をしていく。
 だから、なぜ労働組合法の改正なのかという、実はそう思っているんですが、いかがでしょうか。
#173
○政府参考人(太田俊明君) 今回の法律改正、目的は、やっぱり審査の迅速化、的確化を目標としているものでございまして、やはり今までここで御議論ございましたように、審査の長期化が非常に著しいと、そういう中で必ずしも労働組合あるいは組合員の救済がなされないということで、やはり審査を迅速かつ的確にやるという必要があるというような御議論があったわけでございます。
 当然ながら、公労使、審議会あるいは学識の研究会、そういう議論を重ねた上で今回の法改正をお願いしているわけでございますし、この場の議論も、やはり余りにも長期化していると、このために審査を迅速かつ的確にやる必要があると、そういう形での議論がなされているわけでございます。そのための計画的な審査あるいは迅速、的確な事実認定等の制度改正をお願いしているものでございます。
#174
○福島みずほ君 実際の審問が非常に短くて、その他の日数が二年一か月掛かると。実際、審問期間はそんなに長くない、データを見ると。ところが、その他の日数が掛かると。審問期間が長いわけではないという点についてはいかがでしょうか。
#175
○政府参考人(太田俊明君) この審問期間につきましては、地労委における初審と、それから中労委における再審査と状況が異なっているのではないかと考えております。
 まず、初審について見ますと、審査期間が七百九十一日、平均でございます。二年二か月でございますか、そのうち命令・決定で終結した事件で見ますと、審問期間が五六%と半分以上で最も長くなっているわけでございます。これは、やはり審問が必ずしも計画的に行われていないこと、あるいは多数の証人尋問とか間接証拠の積み上げによらざるを得ないという結果で審査に要する期間が長くなる傾向があるのではないかと考えております。
 それから、今御指摘ございました再審査の方は、むしろその審問の期間が短いわけでございますけれども、審査期間が千四百五十七日、四年もやっているわけでございますけれども、そのうち命令・決定で終結した事件見ますと、結審後、命令書交付までの期間が七一%と、これが最も長くなっている状況がございます。
 その要因は、一つは、先ほどもお話ございましたように、和解に向けた取組に多くの時間を取られる場合が多いこと。それから二つ目は、争点、証拠の整理が十分でないために、多数の証人尋問結果とか間接証拠の積み上げにより事実認定を行わざるを得ない場合があること。それから三つ目は、この点も大きいんですが、公益委員全員の合議によって命令を決定しているために、事件の迅速処理に必要な合議の日程確保が困難となる場合があること、こういう状況でございます。
 したがいまして、それぞれ初審に合わせた対応、あるいは再審査に合わせた対応を今回の制度改正でお願いしているところでございます。
#176
○福島みずほ君 迅速化そのものはいいことだと思いますが、不当労働行為や労働組合法の関係で、ある程度証人を呼ばなくちゃいけない、間接証拠を積み上げなければならないということも実態ですし、和解に時間が掛かるのもある意味仕方ない点もあると思います。ですから、迅速化のみが独り歩きをしないようにということを申し上げたいと思います。
 次に、先ほど言いました規約人権委員会、一九九八年で、二十八パラグラフですが、委員会は、中央労働委員会が、労働者が労働組合の加盟を示す腕章を着けている場合には不当労働行為の申立ての審理を拒否することについて懸念を有する、このような行為は規約十九条及び同二十二条に違反する、この委員会の見解は中央労働委員会に伝えられるべきである、これが国際人権規約委員会の一九九八年の勧告です。
 遅延のことを調べますと、腕章を着けるなということで非常にもめる、あるいは中労委がその他の理由で審議を拒否するといったことなどから長期化していることが見られます。今度、新たな改正法で審問廷の秩序維持の条文、「労働委員会は、審問を妨げる者に対し退廷を命じ、その他審問廷の秩序を維持するために必要な措置を執ることができる。」、腕章の件については、私は、腕章を着ける着けないは、まあ趣味というか、というふうにも思いますし、これは他国から見ますと、腕章を着けることで拒否するというのは多分奇異に映ったからこそこの規約人権委員会から勧告が出ていると思います。
 一言、この勧告を踏まえられて、腕章を着けていることで法廷秩序違反だとか審理ができない、そのようなことはなさらないということを明言してください。
#177
○政府参考人(太田俊明君) 今お話のございました審問廷の秩序維持につきましての運用基準は、裁判所の例と同様に、必要に応じまして労働委員会規則によって定められるものと考えております。
 具体的に、審問廷における腕章の着用に関する取扱いにつきましては、これによる威迫の効果等によって証人の証言に影響が出るような場合につきましてはこれを制限することも考えるわけでございますけれども、それぞれ審問を妨げる度合い等を踏まえて個々の事案ごとに判断することになるのではないかと考えております。
#178
○福島みずほ君 腕章を着けていると何か証言しにくいんでしょうか。
#179
○政府参考人(太田俊明君) 一般論として必ずしもそういうことはないかと思いますけれども、全体の中でやはり腕章を着けていることによって、集団によって、威迫の効果等によって証人の証言に影響が出るようなケースもある場合も考えられるということでございまして、それぞれやはり審問を妨げる度合い等を踏まえて個々の事案ごとの判断ではないかというふうに考えているところでございます。
#180
○福島みずほ君 労働組合法は憲法より先にできました。例えば、労働組合を作ったことで不当労働行為が起きるとか、団結をすることでみんなで力を出そうということじゃないですか。お面をかぶったりとか、それだったら極端だと思いますが、腕章が威迫になるということはないと思います。
 いかがですか。
#181
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
 先生おっしゃるように、腕章それ自体が即、腕章を着けていることそれ自体が威迫になるということはないのかもしれませんけれども、やはり全体の中で威迫の効果が出てくるということも考えられないわけではございまして、そういうのは全体の中で個々の事案ごとに判断して考えを固めていくと、そういうことではないかと考えております。
#182
○福島みずほ君 労働組合から団結を引いたら、何が残るかと思いますが。
 腕章を着ける、いや、私は、お面をかぶるとか、何か特別ならともかく、腕章程度であれば、それは、みんなが腕章を着けて、それは労働組合だから当たり前じゃないですか。それが、まあ腕章だけでこれ時間使うのはちょっともったいないんですが、腕章をすることについて、私は、規約人権委員会から勧告を受けていることもあり、そういうことで時間を労働委員会で費やすことは残念だと思い、現場の救済のためにも今質問しております。
 腕章が基本的にはこの問題ではないという答弁を是非お願いします。
#183
○政府参考人(太田俊明君) 本来的に労働組合は、やっぱり労働組合法は労働者の救済を目的とするものでございますので、団結権を行使することは当然でございますし、その救済を求めるのは当然でございます。
 ただ、腕章そのものが、先ほど申し上げたとおり、それ自体が即威迫の効果ということでないわけでありますけれども、集団的なものの中で審問廷の秩序を維持できないケースというのが全く考えられないわけではないわけでございまして、そういったケースも含めて、全体の中での総合的な判断になるんではないかと、個々具体的な事案の判断ではないかというふうに考えているところでございます。
#184
○福島みずほ君 訳が分からないという声もこちらの側から、メンバーから出ておりますが、やはりそういうことで時間を費やすので労働委員会の審理が遅れるということも言われていて、それは余りにくだらないというふうに思っています。
 それは、団結権救済が重要なわけで、みんながそろって腕章をすることはむしろ、いや私はそれは着けなくてももちろんいいと思うし、着けたいと思う組合は着ければいいということであって、それは威迫だということそのものは、労働組合そのものの意義、労働組合法の意義をやはり見失っているというふうに思います。今日は、全くないわけではないという答弁をされたので、今後現場で生かしていきたいと思います。
 あと、もう時間ですので、例えば証拠調べの条文、個人の秘密及び事業者の事業上の秘密の保持に配慮しなければならないということが秘匿命令にならないか、その点についてだけ最後お答えください。
#185
○委員長(岸宏一君) 簡潔に御答弁願います。
#186
○政府参考人(太田俊明君) 基本的には、プライバシーに関するものは例外でございますけれども、そういうことがなければ秘匿することができないというふうに考えているところでございます。
#187
○福島みずほ君 時間ですので、終わります。
#188
○委員長(岸宏一君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 労働組合法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#189
○委員長(岸宏一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、山本君から発言を求められておりますので、これを許します。山本孝史君。
#190
○山本孝史君 私は、ただいま可決されました労働組合法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    労働組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一 今回の不当労働行為審査制度の見直しの趣旨にかんがみ、計画的な審査及び迅速・的確な事実認定が行われるよう、必要な措置を講ずること。
 二 公益委員の任命に当たっては、労働分野における専門的な知識能力を持つ適切な人材が選出できるよう努めるとともに、特に常勤となる公益委員については、労働紛争を解決するにふさわしい専門的な知識・経験を豊富に有することに加え、主導的・調整的役割が期待される有為な人材を登用すること。
 三 中央労働委員会等は、合議体たる小委員会の設置に当たり、常勤となる公益委員の配置、個別事件の性格をかんがみた委員構成などを含め、効果的・弾力的運用に努めること。
 四 証人の宣誓、公益委員の除斥、忌避については、労働委員会の裁判所化・民事訴訟化となることのないよう、その運用に十分配慮すること。
 五 緊急命令については、労働者の団結権等の侵害に対して迅速な救済を図るという制度の趣旨にかんがみ、その積極的な活用に努めること。
 六 審級省略及び実質的証拠法則については、引き続き積極的に検討を進めること。
 七 証人等出頭命令等に対する不服申立て及び和解の制度については、新法の施行状況を勘案し、必要があると認めるときは総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
 八 中央労働委員会事務局に法曹資格者を配置する等審査体制の充実・強化を図るとともに、労働委員会事務局の専門的な知識能力の向上のため、研修その他必要な措置を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#191
○委員長(岸宏一君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#192
○委員長(岸宏一君) 全会一致と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、尾辻厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。尾辻厚生労働大臣。
#193
○国務大臣(尾辻秀久君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
#194
○委員長(岸宏一君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#195
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#196
○委員長(岸宏一君) 次に、独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 提出者衆議院厚生労働委員長鴨下一郎君から趣旨説明を聴取いたします。鴨下一郎君。
#197
○衆議院議員(鴨下一郎君) ただいま議題となりました独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案について、提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。
 本案は、近年の低金利の影響を受け、独立行政法人福祉医療機構における障害者スポーツ支援基金の運用益による助成金額が減少傾向にあり、また、一方で、平成十七年に長野県において、知的障害者のスポーツ競技会であるスペシャルオリンピックス世界大会がアジアで初めて開催される予定であり、それに必要な助成を確保するための対応が求められている等の状況を踏まえ、障害者のスポーツの振興のため特に必要な活動について助成を行うための必要な措置を講じようとするもので、その内容は次のとおりであります。
 第一に、独立行政法人福祉医療機構は、当分の間、障害者のスポーツの振興のため特に必要と認められる活動について特に必要な助成を行おうとする場合であって、基金の運用にかんがみやむを得ぬと認められるときは、当該基金の一部を取り崩し、助成に充てることができるものとすることとしております。
 第二に、取崩しは独立行政法人福祉医療機構があらかじめ厚生労働大臣の承認を受けて行うものとしており、厚生労働大臣は、その承認に当たって、厚生労働省の独立行政法人評価委員会の意見を聴くとともに、財務大臣に協議しなければならないこととしております。
 なお、具体的な取崩し額は、このような公正かつ透明な手続を経た上で決めるものでありますが、スペシャルオリンピックス等世界大会に対する民間からの寄附や地元自治体の支援との均衡等を考慮した真に必要な助成及び他の障害者スポーツ国際大会に関する選手派遣等のために真に必要な助成につき、当分の間必要な額となるものと考えております。
 また、他に同様の障害者スポーツ国際大会の日本開催は当分の間予定されていないことから、取崩しは、基本的には今回一回限りのものとなるものと考えております。
 なお、この法律は、公布の日から施行することとしております。
 以上が、この本案の趣旨及び内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#198
○委員長(岸宏一君) 御苦労さまでした。
 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 独立行政法人福祉医療機構法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#199
○委員長(岸宏一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#200
○委員長(岸宏一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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