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2004/10/28 第161回国会 参議院 参議院会議録情報 第161回国会 法務委員会 第2号
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2004/10/28 第161回国会 参議院

参議院会議録情報 第161回国会 法務委員会 第2号

#1
第161回国会 法務委員会 第2号
平成十六年十月二十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月二十六日
    辞任         補欠選任
     松岡  徹君     神本美恵子君
     遠山 清彦君     浜四津敏子君
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     小泉 昭男君     陣内 孝雄君
     野村 哲郎君     荒井 正吾君
     神本美恵子君     松岡  徹君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
       厚生労働副大臣  西  博義君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   園尾 隆司君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大野市太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       警察庁刑事局長  岡田  薫君
       総務省総合通信
       基盤局電気通信
       事業部長     江嵜 正邦君
       法務大臣官房審
       議官       蒲原 正義君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省刑事局長  大林  宏君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       外務大臣官房参
       事官       佐藤  悟君
       外務省国際法局
       長        林  景一君
       文部科学大臣官
       房審議官     徳永  保君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
 (人身売買防止に関する件)
 (ドメスティックバイオレンスの被害者保護に
 関する件)
 (入国管理政策に関する件)
 (司法制度改革に関する件)
 (敗訴者負担制度に関する件)
 (国内の犯罪情勢に関する件)
 (矯正施設等の過剰収容に関する件)
 (携帯電話の不正利用対策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十六日、遠山清彦君が委員を辞任され、その補欠として浜四津敏子君が選任されました。
 また、去る二十七日、野村哲郎君及び小泉昭男君が委員を辞任され、その補欠として荒井正吾君及び陣内孝雄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(渡辺孝男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務及び司法行政等に関する調査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、警察庁刑事局長岡田薫君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長江嵜正邦君、法務大臣官房審議官蒲原正義君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省刑事局長大林宏君、法務省矯正局長横田尤孝君、外務大臣官房参事官佐藤悟君、外務省国際法局長林景一君及び文部科学大臣官房審議官徳永保君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(渡辺孝男君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○山東昭子君 自由民主党の山東昭子でございます。
 南野大臣は、就任以来、法務行政というよりも政治資金に対する答弁だけが目立ちまして、国民に対しての法務行政の基本姿勢のメッセージというものがどうも届いていないようなんです。
 そこで、本日は、今日まで大臣の歩んでこられた道と議員の経験を踏まえられ、どのような方針で臨みたいのか、是非本音をお聞かせいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 予算委員会では、法務省の任務は法秩序の維持、国民の権利擁護にあります、私は法務省の長として厳正にその任務を全うする所存でありますとお答えいたしましたが、もう少しお話し申し上げたいと思います。
 私は満州からの引揚者でございます。当時、私は子供でしたが、日本人女性が外国人兵に連れ去られたり、帰国する船の中で死に行く子供をその親が泣きながら水葬するといった悲しい光景を何度も目にいたしました。
 弱い立場にある者が救われないさまを目の当たりにして、子供心に、弱い人を少しでも助けられたらと思うようになりました。命がいかに尊く、いかにはかないものであるか、常々思うようになりました。
 それで、命をくみ出す助産師という職を選びましたし、後に国政の世界に飛び込んだのも、多数派に顧みられない弱い方を救えるのではという気持ちからでございました。
 そのような気持ちから、中国残留邦人に関する議員立法、知的障害者福祉法の制定、母体保護法の改正、DV法の議員立法、性同一性障害者対象の特別法の議員立法などに取り組んでまいりました。
 また、少子化と高齢者が同時進行している今日、児童虐待や高齢者虐待防止のための法整備に向けて努力してきましたし、このような問題について与党も野党もないというのが私の信条で、国会内を走り回ってその必要性を訴えてきたつもりであります。
 また、国際的には、紛争地域において顧みられない子供の問題などにも取り組んでまいりました。クロアチアに日本大使館を設けるよう働き掛け、戦争で破壊された五つの小学校を修復し、現地の女の子の里親になるなどしております。その子の名前はクリスチャーニという女の子でございます。
 このような活動を通じて感じたことは、個々人の人権がいかに重要であるかということであり、私の軸とすべきところは、個々の人々が大切にされ、安心、安全に生活できる世の中にしたいということでございます。視線は高くあるべくとも、その視点は低く、治安のことを考えるときも、司法制度改革のことを考えるときも、個々の人々が大切にされ、安心、安全に生活できる世の中にするためにはどうするべきかと自問自答しながら政策を決めていきたいと思っております。
#8
○山東昭子君 そのようなお考えで是非取り組んでいただきたいと思いますけれども、安全で安心して暮らせる社会の実現は国民すべての願いであろうと思います。
 最近の世論調査を見ても、特に最近の日本は治安が悪化したとの声が大きいところでございます。最近の犯罪情勢をどのように考えておられましょうか。
#9
○国務大臣(南野知惠子君) 最近、凶悪・重大犯罪が後を絶たず、我が国の犯罪情勢は厳しい状況にございます。世論調査の結果を見ても、国民は治安の悪化を強く感じており、法務大臣としても適正に対処する必要があると考えております。
#10
○山東昭子君 こうした社会情勢の中、凶悪かつ重大犯罪には適切な対処が求められております。しかし、国民の意識として、凶悪犯罪に関して日本は世界一量刑が軽いと言われておりますし、一人殺したぐらいでは死刑にならないのも不満の一つ。また、裁判のスピードアップは少しずつされておりますが、凶悪・重大犯罪になればなるほど裁きが遅い。
 このたびの刑法の改正に当たっての趣旨を教えていただきたいと思います。
#11
○副大臣(滝実君) 私からお答えをさせていただきたいと存じます。
 今委員おっしゃるとおり、最近の重大事件、特に人の生命、身体に関連する事件につきましての刑の長さがどうも国民感情に合っていないんじゃないだろうかと、こういうような御指摘をいただいたところでございまして、今回の刑法等の一部を改正する法律案は、まさしくそういうような事柄に対処しようと、こういうことで凶悪・重大犯罪につきまして刑法等の一部を改正するものでございまして、基本的には、こういった罪名、犯罪につきましての量刑の引上げあるいは公訴時効の延長、そういうようなことを盛り込んでまいっているような次第でございます。
#12
○山東昭子君 最近、非常に女性の加害者、凶悪犯罪も増えておりますけれども、やはり一般論としては女性は弱いわけでございまして、そうした女性に対する犯罪が増え、これについては断固たる姿勢で加害者の刑事責任を追及する必要があると思いますが、女性に対する典型的な犯罪である強姦罪は、昔は泣き寝入りが多かったようでございますけれども、現状はどのように推移しているのでしょうか。
#13
○政府参考人(大林宏君) お答え申し上げます。
 強姦の認知件数は平成八年、九年ころから増加傾向にございまして、十年前との比較では約一・五倍に増加しております。御指摘のとおり、強姦罪の犯罪情勢については極めて厳しい状況にあるということが言えると思います。
#14
○山東昭子君 強姦罪については、男女共同参画会議の報告書や女子差別撤廃条約報告書に対する委員会のコメントなどにおいて罰則が寛大ではないかとの指摘がなされており、私も全くそのとおりであると考えております。
 今回の刑法等の一部を改正する法律案ではこの強姦罪についてどのように改めるのか、その内容をお伺いしたいと思います。
#15
○国務大臣(南野知惠子君) 強姦罪の罰則が寛大過ぎるのではないかという点につきましては、私も法務大臣に就任する前から同様の問題意識を持っており、女性と刑法、そのPTの座長として野沢前法務大臣に罰則の見直しを求める申入れを行っていました。今回の改正は、このような問題意識を踏まえ、強姦罪の刑を引き上げるとともに、新たに集団による強姦罪等を設けるものでございます。
#16
○山東昭子君 今回の法案では、かねてから被害者遺族の要望の大きかった公訴時効の期間についても延長することとなっておりますけれども、その内容についてお聞かせ願いたいと思います。
#17
○政府参考人(大林宏君) 凶悪・重大犯罪に対する被害者を含む国民の処罰感情などを考えますと、最長でも十五年という現在の公訴時効期間は短過ぎるというふうに思われます。そのため、今回の法律案では、例えば死刑に当たる罪については公訴時効を十五年から二十五年に延長するなどの改正を考えているものでございます。
#18
○山東昭子君 先月、私は会議でカンボジアを訪れまして、その際にアジアの国会議員と人身取引について話し合いましたが、アジアにおいては、貧しさゆえに親が娘を売ってしまったり、女性たちも教育を受ける環境が整わず、収入を得るのは体を売るのが当たり前というような風潮というようなことで、大変議員も頭を痛めておりました。
 我が国では、東南アジアなどから女性が連れてこられ、パスポートを取り上げられたり多額の借金を課せられるなどして、風俗店などで売春に従事させられているといった人身取引の実態があからさまになっております。このようなことは女性の尊厳を著しく害するものであって許し難いと考えておりますけれども、残念ながら我が国も受入れ国になっておりますが、この人身取引の防止のために法務省としてはどのように取り組んでいかれるのか、伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(南野知惠子君) 例えば、ブローカーにだまされて連れてこられる女性や子供を空港の入国審査で発見し、実際の被害を受ける前に保護してあげることができれば人身取引の予防にとても効果的である、そのように思います。だまされている女性などを入国審査で発見することはなかなか難しい面もあると思いますが、そのような被害者を発見したときには、その女性の出身国の大使館などの関係機関と協力を取りつつ、帰国させた場合の生命、身体の危機の程度を考慮し、必要に応じて上陸を特別に許可するなどして、生命、身体の安全を守ることも行ってまいりたいと思います。
 また、日ごろから関係機関と積極的な情報交換を行い、被害を未然に防止していきたい、そのように思っております。
#20
○山東昭子君 人身取引の処罰に関しまして九月八日に法制審議会に諮問した刑法などの一部改正について、内容をお聞かせ願いたいと思います。
#21
○副大臣(滝実君) お尋ねの諮問の内容について、私の方からお答えをさせていただきます。
 四つほどございまして、一つは、人身の売渡し行為及び買受け行為を犯罪とすると。二番目には、被略取者、略取された人間の受渡しに加えまして、輸送とか引渡し、蔵匿、要するに隠し場所を提供する、そういうような行為を犯罪とすること。三番目には、国境を越える略取行為等の処罰を拡大すること。四番目には、逮捕監禁罪あるいは未成年者略取・誘拐罪等の法定刑を引き上げる。こういうような内容の諮問をさせていただいたところでございまして、できるだけ早く、できれば次期の、次期通常国会に刑法等の一部を改正法律案が出せるようにしてまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
#22
○山東昭子君 人身取引については、その防止や加害者の処罰とともに、被害者の保護も必要であると思われます。特に女性や児童が被害者となった場合、その保護に十分な配慮がなされるべきであると考えますけれども、人身取引の被害者保護についてどのように取り組んでおられるんでしょうか。
#23
○国務大臣(南野知惠子君) 人身取引の被害に遭っている方が不法滞在になっている場合がありますが、法務省では、そのような被害者を機械的に本国に送還するようなことはしておりません。入国管理局では、御本人の希望を聞き、帰国したいという方には早く帰国できるように配慮いたしますし、一方、日本に引き続きいたいという方については、女性相談所やNGOなどと協力しつつ、在留特別許可などを積極的に運用し、その保護に努めたいと考えております。
#24
○山東昭子君 先ほども大臣おっしゃられたように、人身取引は国際的にも非常に大きな問題となっているようでございますし、先ほど関係省庁との連絡会議というようなこともお話を伺いましたけれども、我が国社会におけるこの問題の認知度というのはまだ低いのではないかなというような気がいたしますが、法務省としてはこの問題の啓発や広報についてはどのように取り組まれるんでしょうか。
#25
○大臣政務官(富田茂之君) 山東委員御指摘のとおりと認識しております。
 人身取引が重大な人権侵害であることを広く皆様に知っていただくために、入国管理局では、ホームページ及び日本語、英語、タイ語、タガログ語、スペイン語、まあこれは人身取引の被害者になる方が多く出ている国でございますが、この五か国語で作成した人身取引は許されませんと題するリーフレットを作成、活用して、この問題の啓発広報に努めております。
 少し細かくなりますが、本年六月、六万枚のリーフレットを作成し、厚生労働省を始め関係省庁、地方自治体及び在日外国大使館等に配付をさせていただきました。また、十月には、全国四十七か所すべての女性相談所にリーフレットを配付させていただいたところであります。有効活用などについて協力を依頼しております。
#26
○山東昭子君 過日、フィリピンのアロヨ大統領が日本に来られまして、この問題にも触れられましたけれども、現在、フィリピンとの経済連携協定交渉において看護師、介護士の受入れ要望というものがなされておりますけれども、看護師、介護士の分野での受入れを行った場合、結果的に女性が多く入国することが想像され、ブローカーなどの介在により彼女たちが搾取されるおそれがあると思われますけれども、そのようなことがないように予防措置を講じた上で受け入れるべきではないかと考えますけれども、法務省におけるこの問題の検討状況いかんを伺いたいと思います。
#27
○政府参考人(蒲原正義君) お答え申し上げます。
 経済連携協定交渉における看護師、介護士の受入れにつきましては、委員御指摘のようなブローカーの介在等による搾取を防止するため、厚生労働省を始めとする関係省庁間で適正な管理を可能とする受入れ枠組みの構築について鋭意検討を行っているところでございます。
#28
○山東昭子君 南野大臣は青少年育成担当大臣にも任命されておられますよね。法務省においても青少年の健全な育成のための様々な取組を行っておられると思います。今後それらを進めていくに当たって、法務大臣としての決意をお伺いしたいと思います。
#29
○国務大臣(南野知惠子君) 私は、これまで助産師としての経験を基盤に福祉、医療、教育の分野で子供の問題に取り組んでまいりました。しかしながら昨今、家庭、学校、地域など、子供を取り巻く環境に大きな変化が生じ、少年非行が深刻な状況にあります。このような中で、このたび安全で安心できる社会を作っていくことが使命とされる法務大臣に任命され、今なすべき喫緊の課題は少年の非行対策であると改めて認識した次第でございます。
 法務省としましては、昨年十二月に策定されました青少年育成施策大綱の内容等を踏まえ、少年非行をめぐる現状に適切に対処するため、少年の保護事件に係る調査、手続等の整備について法制審議会に諮問を行っているところであり、今後、その諮問及び答申を踏まえ、次期通常国会を目途に法案を提出できるよう努めてまいります。
 また、少年院における矯正教育においては、少年一人一人の特性や教育上の必要性に焦点を当てた個別的な働き掛けを推進するとともに、被害者の視点を取り入れた教育の充実強化に努めております。加えて、保護観察においては、少年を奉仕活動等に参加させることで社会の一員としての自覚を育てる社会参加活動など、様々な処遇を積極的に行い、保護観察の実効性を高めております。
 以上が法務省の取組でありますが、私は法務大臣として、次代の担い手であり未来への希望を託す貴重な存在である青少年を健全に育成するために、少年非行対策を始めとする様々な施策に情熱を持って取り組んでまいります。
#30
○山東昭子君 配偶者に対する暴力は人権を著しく侵害するものであり、男女共同参画社会作りの上での克服するべき重要な課題とされております。法務大臣は参議院共生社会調査会のプロジェクトチームの座長として、いわゆるDV防止法の制定、さらには本年六月の同法改正に尽力してこられましたが、本年十二月の改正DV防止法の施行を控え、大臣としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#31
○国務大臣(南野知惠子君) いわゆるDV防止法に関しましては、超党派の女性議員による議員立法で成立したもので、私も参議院共生社会調査会のプロジェクトチームの座長として法案の取りまとめに尽力いたしました。
 もとより、暴力はいかなるものであれ許されるものではありませんが、特に配偶者からの暴力は外部からその発見が困難な家庭内において行われる暴力であるため潜在化しやすく、しかも加害者に罪の意識が薄いという傾向があります。しかし、経済的に自立が、自立が困難な女性はそれに耐えるしかないという状態に陥り、安らぎ、安らぎであるはずの家庭は恐怖と不安に支配される場所となってしまいます。DV防止法は、こういった深刻な被害と悲惨な状況から何とか被害者を救いたいとの思いから立法化されたものであります。
 今般施行される改正DV防止法は、保護命令の対象を元配偶者にまで拡大し、被害者の子供に対する接近禁止命令を加えるなど、更にきめ細かい対応に配慮して改正したものであり、法務省としては、その趣旨を十分に踏まえ、関係省庁との更なる連絡を図りながら、愛情と熱意を持って配偶者からの暴力の根絶に一層努めてまいりたいと思っております。
#32
○山東昭子君 配偶者からの暴力を受けた被害者は、自分が至らないからと自分自身を責めたり忍従を重ねたり身内に責められたりといった悲惨な状況を経験し、深く傷付いている状態でいることが多く、このような被害者と様々な過程において接する場合、特別の配慮をする必要があると思われますけれども、大臣としてはどのようにお考えでございましょうか。
#33
○国務大臣(南野知惠子君) 山東委員御指摘のとおり、配偶者からの暴力を受けた被害者は大変な精神的ダメージを受けており、そういった方々に対しては思いやりといたわりの気持ちを持って接しなければならないと思います。法務省においては、これまでにもDV被害者と接する場合には十分な配慮を持って臨んできたものと承知しております。
 法務大臣といたしましては、このような被害者の置かれた立場や気持ちに十分に気を配った優しく丁寧な応対の大切さを今後も様々な機会を通じて職務関係者に伝え、被害者に対する配慮を徹底してまいりたいと思う所存でございます。
#34
○山東昭子君 ここで、非常に今問題になっております不法滞在者対策についてお伺いしたいと思います。
 二十五万人にも上る不法滞在者が外国人犯罪の温床になっているとの指摘がございます。社会の安全を守る観点から不法滞在者対策を推進することが重要であると考えますけれども、その出入国管理上の取組についてお伺いしたいと思います。
#35
○副大臣(滝実君) 今、山東委員から御指摘のとおり、不法滞在者二十五万人程度というふうに推測をいたしているわけでございますけれども、入国管理上は三つの観点から取り組んでいるところでございまして、当然のことながら、まず問題のある外国人を来させない、そして入らせない、いさせないと、こういうようなことでございまして、そのためには入国・在留審査の厳格化あるいは摘発体制の強化、こういうようなことを中心にして不法滞在者対策を講じてきているところでございまして、今後とも関係機関と緊密な連携を取りまして、不法滞在者対策の一層の推進を努めてまいりたいというふうに存じているところでございます。
#36
○山東昭子君 とにかく、これからの日本は観光立国として発展していかなければなりませんので、観光客としての外国人には気持ちよく過ごしてもらわなければなりませんし、受入れ側の私たちも安心して迎え入れる体制作りが急務であると思っております。
 しかし、最近のIT化時代、そしてまたカード犯罪というものが、世界じゅうでカードの不正使用が八兆七千億回という数字を聞いて、本当に目を回しておる状況でございます。その上、最近我が国で起こっております詐欺事件は、この中越地震の最中にも横行しており、情けない限りでございます。
 法務省の仕事は、ますます国民の安心、安全を守るために責務は重くなっております。どうぞ南野大臣を始め、なお一層の職員の努力を期待して、質問を終わりたいと思います。
#37
○簗瀬進君 民主党・新緑風会の簗瀬進でございます。
 十分ほど時間が早くなりまして我々ということでございますが、先ほどから答弁のさまを拝見をいたしておりますと、どうも裏方が用意していただいた文章をそのままお読み上げになっているような、そういう答弁が続いております。私は、やはり、例えば今までの大臣の御経歴あるいは御専門分野がどこの辺にあろうとも、法務大臣としていったん大臣職をお引き受けになった以上は、最終的には大臣御自身が自らの政治家としての意気地を掛けて判断をしなければならないことというのがこれはあるわけですよ。そうしたときに、やっぱり首っ引きで文章をお読みになっているという、そういう姿勢には大変心もとないものをどうしても感じてしまいます。
 でありますから、これから私も様々な御質問を一時間にわたって申し上げたいと思いますが、どうか南野大臣の肉声で心の叫びを聞かせていただければと、このようにお願いをする次第でございます。
 さて、質問に先立ちまして、今日は参議院の各委員会で一斉に質問等も行われております。そういう状況の中で、我が会派としてまず冒頭に聞いていただきたいという、そういうふうな全体的な御指摘がございまして、そこで若干、質問通告にはないんですが、まず冒頭に、よもやとは思いますけれども、私自身も未納の問題で正直申し上げますと常任委員長を辞任をさせていただきました。そういうふうなこともございますので、大臣御自身の過去の年金の納入状況あるいは加入状況等についてお話を聞かせていただければと思う次第でございます。
#38
○国務大臣(南野知惠子君) 国会議員に当選いたしましてからは、すべて滞りなく掛金を支払っております。
#39
○簗瀬進君 国会議員になる以前はどうでしたか。
#40
○国務大臣(南野知惠子君) 昭和六十一年以降義務付けられてからは全額払っております。
#41
○簗瀬進君 安心をいたしました。
 それでは、副大臣、どうですか。
#42
○副大臣(滝実君) 私は、昭和三十七年の四月から満六十歳を迎える前月まできちんと払っております。
#43
○簗瀬進君 政務官はいかがでございましょうか。
#44
○大臣政務官(富田茂之君) 私、政務官に就任する前に公明党の方で調査していただきまして、きちんと支払っておる、そういう状況でございます。
#45
○簗瀬進君 お三人とも大変立派な納入状況でございまして、さすがと、このように安心をさせていただきました。
 さて、先ごろの予算委員会で、看護連盟からの巨額献金問題ということで私も質問をさせていただいたわけでございます。特定の団体から十年余にわたって総額十億円を超える政治献金がのおの知恵子後援会にあったと。
 確かに、法的には問題はない。きちんと届出もなされていると。また、大臣の御答弁の中で、これは実は自分の知らないところで行われたことでと、こういうふうな答弁もあったわけでございますけれども、その答弁の中から残念ながら一切の反省の弁というようなものが私は聞かれなかったなと思っておりますし、確かに法的には問題はない、だけれども、それですべてが済むんだろうか。
 特に、法務大臣でございます。私の大先輩の岩崎純三先生が、政治家というのはもう最低の倫理観は持ってなきゃならないんだと。しかも、それが法務大臣という形になりますと、一国の刑事司法のある意味では頂点に立ち、社会的な不正と全面的に闘っていかなければならない。ある意味では、一点の曇りがあっても許されない。そういう意味では、中国の古いことわざではありませんけれども、李下に冠を正さずと。国民の目から見て、どうもへんぱ、不公平な法務行政が行われるかなというふうな、そういう疑念を持たれること自体が問題なんではないでしょうか。
 私は、そういう意味では、謙虚にこの関係を反省するお気持ちがこの法務委員会でも全く示されないとするならば非常に残念な感じがするわけでございまして、もう一度御所感を聞かせていただければと思います。
#46
○国務大臣(南野知惠子君) 御指摘は、のおの知恵子後援会に対する寄附を指しておられるものと思います。
 のおの知恵子後援会は、日本看護連盟のメンバーが私の政治活動を支援するために設立した政治団体であり、私の資金管理団体ではありません。報道などではあたかも看護連盟から私に寄附がされているように言われておりますけれども、私の資金管理団体は南野知恵子と共に政策を考える会であります。日本看護連盟からのおの知恵子後援会に対し寄附されているということで、あたかも看護、日本看護連盟から私のところに寄附がされているように言われておりますけれども、これは大きな誤解でございます。のおの知恵子後援会は、形式的にも実質的にも私がその資金を管理している団体ではないので、誤解のないようにお願い申し上げます。
 このように、のおの知恵子後援会は私の名前を冠しておりますし、私の政治活動を支援する会でありますが、あくまで独立した団体として政治活動をしており、私がその運営や会計についていろいろと申し上げる立場にはないものと思っております。
 なお、私の資金管理団体である南野知恵子と共に政策を考える会は看護連盟から寄附をいただいております。これは年間一千万円程度のものでありますが、看護連盟関係の団体からの寄附が収入の過半を占めているのは事実であります。
 私としましては、看護連盟からの寄附については個々の看護師さんなどが連盟に支払った浄財であると考えており、その意味で、広く薄くの精神から外れていないと考えております。とは申しても、私といたしましても、より広く多くの方々から支援していただけるように、今後とも積極的に努めてまいりたいと思っております。
 私は女性や弱者のための政治活動を積極的に行っておりますが、看護連盟はそのような私の政治活動全体を支援していただいているところであり、大変有り難く思っております。日本看護連盟自体そのような団体ですし、私は法務大臣に就任した際に看護連盟の顧問を辞しており、これで十分に法務大臣としての中立性、公正性を担保できていると思っておりますが、御指摘でもありますので、より広く、より多くの方々から支援していただけるように、今後とも積極的に努めてまいりたいと思っております。
#47
○簗瀬進君 とはいいながらの部分に若干の反省の趣旨が表れているのかなというふうに私は若干感じたわけでございますけれども、ただ、質問の中で、後援団体とそれから個人を混同して質問しているわけではありません。その違いが仮にあったとしても、のおの知恵子後援会は間違いなく大臣を応援をする団体じゃありませんか。その点では、あなたがどう思おうと、南野さんを応援をしている団体に一部の団体から十年余にわたって、これ十億円というのは本当にぎょっとする巨額な金額です。それが集中して献金されているということについては、やっぱりそれが社会的にどういうふうな印象を持たれるのかということについての、これは想像力は法務大臣としては当然働かせるべきなんじゃないんでしょうか。そうじゃなければ、本当の意味で公平な法務行政というのは私はできないと思います。どうかその辺をしっかりとわきまえていただければなと、このように思っておる次第であります。
 そしてもう一つ、大臣の政治姿勢ということで、私はやっぱり法務大臣としていかがなものなのかなというのがもう一点、やっぱり指摘せざるを得ません。
 それは、言うならば、今年の七月に大臣も選挙があったわけでございますけれども、北から南から大臣関係の選挙違反が出ているわけでございます。新聞関係の記事を検索をいたしますと、八月三日に赤穂市赤穂市民病院看護婦部長さんが逮捕、それから七月二十七日、室蘭総合病院の看護局長さんがこれは在宅起訴、それから八月五日に酒田市立酒田病院の看護部長さんが略式起訴と、こういうふうなことが出ております。それからもう一件、新聞で確認をいたしますと、現金を渡した形でポスター張りをやってもらった等で選挙違反に取られたのがもう一件ある。このように、全体で四件ほど新聞でもこれ検索できるわけでございます。
 今申し上げた三件については、公務員の地位利用と、こういう形で、言うならば優越的な地位を利用して南野さんを応援をし投票せよというふうな指示をしたと、こういうことで選挙違反に問われているわけでありまして、公立病院の看護職を全国的に巻き込んだ選挙違反を起こした上で当選をし、そして法務大臣になられたと。これはやはり、これも検察当局も選挙違反等について正に厳正な態度で当たっていかなければならない。そして最終的には、個々の検察官は指揮しないとしても、検事総長は法務大臣が指揮されるわけでありますから、その頂点にある法務大臣として、このような全国的な選挙違反を起こした形で法務大臣をお受けになったと。これは私は、このようなことがあるならば、法務大臣としてどうだというふうな御要請が大臣にあったときに、いや、実は私はこういうふうな選挙違反を起こした直後であって、これは大臣は、ほかの大臣だったらいざ知らず、法務行政の頂点である法務大臣としてはこれはお受けできませんと、このように真摯に小泉さんの要請をお断りをするというのが良識ある議員の立場なんじゃないでしょうか。
 大臣のその辺の御所見を是非とも聞かせていただきたいと思います。
#48
○国務大臣(南野知惠子君) はい、支援してくださった看護師などが、さきの選挙で部下の方にポスターの掲示をお願いしたり、のおの知恵子後援会への入会を勧誘したり、あるいは広告会社にポスターの掲示を依頼し、いずれも略式命令を受けたことは非常に残念であります。申し訳なく思っております。
 このような行為が選挙違反になることは、これまでにも支援者の方々に周知してきたつもりでございますが、今後、なお一層注意してまいりたいと思っております。
#49
○簗瀬進君 一層注意ということだけで済むんでしょうか。また、残念にというのはどういう趣旨なんでしょうか。たまたま見付かってしまって捕まったから残念だというふうな形にもどうも聞き取れるような、そういう御答弁ですよ。どうですか。
#50
○国務大臣(南野知惠子君) はい、法に違反した者が処罰されるのは当然のことと思っております。
#51
○簗瀬進君 当然のことというのは、それは正に最終的には大臣としてそういう違反をしたかどうかを指摘をし、告発をし、場合によっては逮捕していくという、そういう立場のある、検察の頂点に立っているそういう人が今みたいな他人事で、これは当たり前の話で、法務大臣としての言葉というよりも、国会議員やらごく一般的な答弁でしかないと思うんですよ。それでは検察を指揮しながら最終的に不正と闘っていくという、そういう姿勢を持っておるとはとても理解できませんね。どうなんですか。
#52
○国務大臣(南野知惠子君) 個別の案件につきましては、今先生がお話になられた件につきましては、それぞれに検察当局で調査されたものでありますので、厳正にその結果を受け止めて、更にそういうことがないように努力いたしていこうと思っております。
#53
○簗瀬進君 受け止めてとおっしゃいましたけれども、そんな受け身の対応は法務大臣の場合は許されないんですよ。正に特定の団体に、大変熱烈な応援をしている、そういう特定の関係のあるところには何となく手心が加えられてもしようがないような、そういう答弁に受け取られるじゃありませんか。不正としっかりと闘うという、そういう決意が全然出てこないじゃないですか。そんなんで、法務大臣、いいんですか、本当に。
#54
○国務大臣(南野知惠子君) 法務大臣といたしましては、そういう不正に適切に闘っていきたいと思っております。
#55
○簗瀬進君 まあ、これ以上、若干水掛け論になりつつありますので、とにかく一番最後に、このように何度も何度も質問を受けたその一番最後に不正に闘うという言葉がようやく出てくると。それでは、私は、もう積極果敢に不正と闘っていくという法務大臣ではないと思いますね。ふさわしくないと思うんですね。そこら辺はよくお考えになっていただきたいなと。どうかこれからその辺の、何といいますか、気持ちをきちんとなさって、法務行政を引っ張っていくというリーダーシップを是非とも発揮をしていただきたい。その上で、次から司法改革についての質問をさせていただきたいと思っております。
 さて、司法制度改革のまずは基本理念ということで、原点のお話をさせていただければと思っております。
 このたびの司法制度改革はよく五十年に一度の大改革だと、このように言われておりますね。これは大臣もよく御案内だろうと思います。その歴史的意義というようなものをどのように考えているのか、五十年に一度と言われているのは一体なぜなのか、なぜそういうような司法制度改革がこの時点で出てきたのかと、その辺の背景やら歴史的意義ということについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
#56
○国務大臣(南野知惠子君) 日本の社会は複雑で多様なものになってまいります。国際化も進んでいます。また、国民一人一人が自らの責任で自由に行動することを基本とする社会に変わりつつあり、これによりまして司法の果たすべき役割はこれまで以上に大きくなります。そこで、新しい社会にふさわしい、より身近で、速くて、頼りがいのある司法を作るため、司法制度改革が必要になります。このような意味で、今進めております司法制度改革は、歴史的にも大変重要な意義を要する改革であると存じております。
#57
○簗瀬進君 まあ、ごく一般的な御答弁のようにも聞こえますけれども、やはり私は、これは大変な社会変革に対応した司法システムということなのかなと、このように思っております。やはり戦後のあの経済混乱期、その後、高度経済成長、バブルの崩壊と、こういうようなことがございまして今に至っているわけでありますけれども、その過程で今、小泉構造改革が進められております。
 小泉構造改革というのは、いろいろな分析はできるだろうと思いますけれども、やはり一面においてはアメリカ型の自由競争と。競争を盛んにさせて、そしてその競争が間違った方向に行かないためには市場のルールにゆだねると。で、公正なルールが必要だと。だけれども、そういう中で、どうしてもやはり強い者と弱い者の彼我の差というようなものがどんどん出てくる。じゃ、その弱い者はだれが守ってくれるのかといったら、これはもうある意味では司法しかない。そういう意味で、司法を強化をしていかなければ社会がますますいびつな方向に行ってしまうと。そうさせないためにも司法改革をやろうというふうな意義だと私は考えております。
 その辺についての、社会変革に対応した司法改革であるという御認識が大臣には若干不足しているような感じがするんですけれども、いかがでございましょうか。
#58
○国務大臣(南野知惠子君) 先生御指摘いただきましたが、私自身とて大変重要なことと信じております。
#59
○簗瀬進君 まあちょっと、あのね、それはそうなんですけれどもね。二の句が継げなくなるような答弁でございまして、そのような、五十年に一度の大改革ということなんですけれども、じゃその大改革に取り組むような予算面での反映というようなものがどの程度なされたのかということをちょっと聞きたいんですよ。
 もう大体、司法改革推進本部、積み残し三法案が今度の臨時国会に出て、一応は十一月三十日で司法改革推進本部も終わりになると。これは後でまた質問をいたしますけれども、そういう状況の中で、司法改革は恐らく行政の側でいえばもう八割方あるいは九割方山を越したような、そういう御認識だろうと思うんですね。
 それを前提にしながら聞くんですけれども、じゃその前と後で法務予算は全体の予算の中ではどの程度ウエートが上がったんですか。パーセンテージでお示しください。
#60
○副大臣(滝実君) 計数的なこともございますので私の方から御答弁さしていただきたいと存じます。
 法務省を中心として、裁判所側もそうでございますけれども、司法の関係当局、全面的にこの問題の推進のために取り組んでいるわけでございますけれども、御指摘の予算につきましては、恐らくこの数年間でほとんどウエートは変わっていないと思います。基本的には、この司法に携わる予算というのは基本的には人件費、職員の給与費でございますから、そういう中で、もちろん人員増も行っておりますけれども、今の段階ではまだ人員増に伴う大きな給与費の増加というのはほとんど表れておりませんので、基本的には全予算の中で占めるこの法務省の予算も大体〇・七四%とか、そういうようなウエートは変わっていないと存じます。
 ただ、そういう中で言わば項目的に、例えば検事の数を増やすとか裁判官の数を増やしていくとか、あるいは矯正局関係の職員を増やしていくとか、そういうような専ら今、人的な強化の方に動いていると、こういうことでございます。
#61
○簗瀬進君 大変率直なお答えをいただきまして、ようやく議論がかみ合ってくるなという感じがいたします。
 正に今お答えにあったように、国家予算の中で法務予算のウエートはほとんど変わりがない。どこが五十年に一度なんだと私は申し上げたいんですね。正に、先ほど申し上げたように、社会構造改革に対応して司法を強化しなければ二十一世紀は間違った方向に行っちゃうよと、それが司法改革の背景にある考えであるべきなんです。
 だとしたら、当然我々はこの司法改革、五十年に一度といううたい文句を聞いたときに、これは法務予算も相当ウエートが高まってくるだろうと、またそれをやらなければ絶対駄目だろうと、こういうふうに思ったんですよ。ところが、結果として何の変わりもない。正に、これは羊頭を掲げて狗肉を売る司法改革だと、竜頭蛇尾の司法改革だと、こういうふうに言いたいですよ。
 これでは結果として、後でいろいろな質問もいたしますけれども、決められたもう法務予算、これの枠組みは変わりませんよと、法務省の皆さんのいわゆる決められた面積はもうここでもう変わりません、その面積の中のいろんな模様替えをしなさいと。様々な、例えば修習生の貸与制の問題もある。法務省予算の中で切りたいところ、切りやすいところは切って付け替えしなさいと、全体は全然変えませんよと。これが司法改革の実態じゃないですか。
 法務大臣、これでいいんですか。法務大臣。
#62
○副大臣(滝実君) 今申しましたように、人件費の問題でございますから、こういうような言わば人事院勧告におけるむしろ人件費が減少してきているという中でなおかつウエートが変わっていないということは、それなりの今申しましたように関係職員の増加を今図ってきているということであろうかと思います。
 それからまた、当省の予算ではございませんけれども、例えば法科大学院の設置に伴う経費につきましては、これは文部科学省の予算の中に出てきているわけでございますし、そういうことは、要するに予算の中ではそれほど大きなウエートを持っていませんけれども、政府全体としてあるいはこの司法制度改革の中でやはり基本的には今後増加していくと、こういうような中での御理解を賜りたいと思っているわけでございます。
#63
○簗瀬進君 大きな声は出していますけれども、ある意味ではこれは法務省頑張れという質問でもあるんですよ。私は、そういう意味では、どうも財務省に押さえ込まれちゃって、司法制度改革の中でも法務予算の総枠は変えませんよと、その中で改革しなさい、その改革に掛かる金は決められた予算の中で配置替えをしなさいと、膨らましたりへこましたりと。この程度のことでは司法改革は絶対進まないんですね。副大臣のお話の中で人件費ということがありました。正にその答弁に象徴されていると思うんです。人件費だけでは済まないんですよ。
 例えば受刑者の問題がある。今のようないわゆる開放処遇が極めて少ない、拘束された刑務所の中で、いわゆる閉鎖環境の中で行刑政策を行っていくというような、そういうやり方をやっぱり変えていかなきゃ駄目なんですよ。そのためには予算の規模は増やさなきゃ駄目なんです。例えば身近な司法というふうにおっしゃるんだったら、市民が裁判にアクセスしやすいような、そういうところで予算をもっともっと増やさなければ駄目に決まっているじゃありませんか。こういう工夫が全然なしで偽りの司法改革やったって、これはむなしい限りだ。
 その点について、大臣のある意味で御所見を伺わせていただければと思いますが。
#64
○国務大臣(南野知惠子君) 新しい課題に取り組むためには、やっぱり積極的に予算を確保していかなければならないと考えております。司法制度改革につきましては、今後裁判員制度や司法ネットなどいろいろな課題を実施する段階に入っていくわけでございますから、改革の実現に向けましては十分なる予算が確保できるように努めてまいります。
#65
○大臣政務官(富田茂之君) 具体的な予算の拡充がないんじゃないかという簗瀬委員の御指摘ですが、ちょっと数字を挙げさせていただきたいんですが、新司法試験等の実施につきまして、平成十六年度予算では二千二百七万円でした。これ、十七年度の要求が一億六百二十三万円になっています。かなり大幅な要求をさしていただきました。それから、法科大学院の派遣職員についても、五千三十九万円だったものが平成十七年度要求では九千二十七万円。そして、総合法律支援体制の整備、ここが一番大きくなると思いますが、十六年度予算では三百四十九万円だったものを七億二百二十六万円と。あと、民事法律扶助事業の充実ということ、これはもう各党の御協力をいただいておりますが、十六年度予算で四十億三百三十四万円だったものを五億増しまして四十五億二千百一万円。そして、裁判員制度の広報啓発活動も、十六年度予算では五百二十四万円でしたが、三億二千百三十万円、これ十七年度要求しておりますので、是非先生方の御協力もいただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
#66
○簗瀬進君 大きな公園の小さな砂場で遊んでいて、ちょっとその砂のつかみが変わったなというふうな御答弁だったと私は思わざるを得ないんですが、とにかく司法制度改革というのは正に社会の大変革に対応した大改革だと。そのためには予算的な裏付けがなければ、もう本当にちまちまとしたことしかできないということを私は指摘したいんですね。
 そこで、もう一つ大臣にお聞かせいただきたいのは、今裁判員制度のお話がございました。私は、裁判員制度、陪審員制度のある意味で変形と思われるわけでありますけれども、この陪審員とか裁判員制度、非常に重要な意義を持っていると思うんですね。ところが、どうもその重要な意義というようなものの制度の根本趣旨といいますか制度の哲学というようなものが、法務省御当局あるいは裁判所も含めてもうひとつきちっと認識できていないんじゃないのかな。だから、これからの運用についても指導原理というようなものがどうも揺れてくるんではないのかなということを非常に心配をいたしております。
 そういうポイントから、この裁判員制度の哲学、これを法務大臣としてはどのように御理解をなさっておるのか確認をさしていただければと思います。
#67
○国務大臣(南野知惠子君) 裁判員制度の意義ということにつきましてでございますが、国民が裁判に参加し、その意見が裁判に反映されるようになることによって、司法が国民にとってより身近なものになってくるというふうに思っております。
#68
○簗瀬進君 これは御答弁は求めませんけれども、先日、私は大変いいお話を聞きました。
 これは、いわゆる陪審員制度を一番先に導入をすることに大変熱心だったのはどなたかといえば、原敬さんなんですね。いわゆる民衆宰相と言われたあの原敬さんが、陪審員制度を日本に導入する際に原敬さんが一番大切に考えたことは何かといえば、言うならば、日本人の人を裁く厳しいそういうその現場に置かれることによって、言うならば厳しい状況の中で決断をしていかなければならない決断の難しさ、あるいは人を裁くということでの一番民主主義の原点というようなものを裁判員になることによって分かってほしいと、それが最終的には日本の国民の民度を高めるんだと、正にこういう発想を持って原敬さんがこの陪審員制度を導入したと、こういうふうなお話をある学者さんから聞かせていただきました。
 私は大変すばらしい話だと思います。正に司法制度改革の根幹に置かれるべきテーマがそこにあるなと思っております。でありますから、どうか、そこら辺をしっかりと踏まえた形で裁判員制度を更に充実したものにしていただきたいなと心からお願いをしたいなと思っております。
 若干また司法制度改革の論点につながるんですけれども、果たして日本の裁判所は国民にとって身近な存在なんだろうかと、こういうふうに私常に疑問に思っております。
 法務大臣も、身近で頼りがいのある司法と、こういうふうなことで所信表明の中にも言われていたわけでありますけれども、ところが、実際どうなっているかといいますと、皆様のお手元にお配りをいたしました資料の一を見ていただければと思うんですが、済みません、同僚の前川議員に持っていただきますけれども。(資料提示)
 日本とフランス・ドイツとの訴訟件数の比較というようなものがございまして、これは日弁連の調査したものでございます。日独仏ということで限られた資料ではありますけれども、ごらんになっていただきたいと思います。人口一万人当たりの第一審訴訟件数、日本が三十七件、ドイツが百八十件、フランスが二百七十件と、正にこのような圧倒的な訴訟に訴える市民の数、国民の数が非常に少ないんですね。
 このような状況になっているわけなんですけれども、大臣として、なぜ我が国はこのような一万人当たりの訴訟件数が非常に少ないのか、どのようにその辺の原因を分析をなさっているのか、御所見を聞かせていただければと思います。これが身近で頼りがいのある司法を作る一番の基になる資料だと思うんですね。いかがでしょうか。
#69
○国務大臣(南野知惠子君) 今先生が御指摘になられましたこの図表を見せていただいても、件数が少ないなということを実感しているわけでございますが、我が国の訴訟件数が外国よりも少ない理由につきましては、これは一概にこれだこれだという原因を申し上げることはできないのではないかなと、そのように思っておりますので、中身を検討してみなければいけないんですが、何でも訴訟にというようなそのあしき訴訟会社はだれも望んでいないものと思っておりますし、裁判外紛争解決制度の利用も事案によっては適切であるということも思いますし、いずれにいたしましても、司法により救われるべき人が適切に司法制度を利用することができるよう、今後とも必要な施策を取ってまいりたいと思っております。
#70
○簗瀬進君 身近で頼りがいのある司法……
#71
○国務大臣(南野知惠子君) 訴訟社会。
#72
○簗瀬進君 訴訟会社じゃなくて訴訟社会ですね。何か、まあいいや。
 この身近で頼りがいのある司法という、所信でそのようにおっしゃっていながら、一概に言えないという答弁はこれはないと思うんですよね。やっぱり、このような現状をまず見た上でその原因を分析をする、そこから施策が出てくるわけでありまして、一概に言えないと、ということでは、これは有効な施策が出てこないに決まっているじゃありませんか。そんな答弁では認められませんよ。
#73
○政府参考人(山崎潮君) 外国との件もございますので、私の方から若干お話をさせていただきます。
 確かに一つは、今大臣からお話ございましたけれども、国民性というのはかなり大きいだろうというふうに私は感じております。いわゆる裁判ざた、それから訴訟ざた、これを避けたいという気持ち、これは日本人かなり強いところがあろうかと思います。それが一つあろうかと思います。
 それからもう一つは、訴訟制度の違いというものもございまして、例えば離婚訴訟、離婚に関しましては協議離婚を認めないというところもございまして、そうなりますとすべて裁判で決着をせざるを得ない、そういうものもございますし、そのほかいろいろな制度の在り方が違っておりますので、そういう点に違いがあるのかなという一つ原因がございます。
 ただ、そうは言いながら、我が国でもやはり司法に対するアクセス、これをきちっと容易なものにしなければならないということは当然でございまして、それを踏まえましてこの約三年間で様々な改正をさせていただいたということでございまして、これが今徐々に実行に移るという段階に入っておりますので、その結果をきちっと見てまいりたいというふうに思っております。
#74
○簗瀬進君 今大臣の御答弁の中に、何でもかんでも裁判はというふうなことがありましたけれども、何でもかんでも裁判はと、そういうふうな御認識なんですか。
#75
○国務大臣(南野知惠子君) 一般的な考え方においてだろうと思います。
#76
○簗瀬進君 大臣のお答え聞いているんですよ。何でもかんでも裁判はいかがなものかと、そのような趣旨で御発言をなさったんだけれども、そういう御認識をお持ちなんですかということを聞いているんです。
#77
○国務大臣(南野知惠子君) 国民性としてそのように考えているのではないかということでございます。
#78
○簗瀬進君 大臣御自身としてはその国民性をどのように御評価なさるんですか。
#79
○国務大臣(南野知惠子君) それを改善していきたいと思っているわけでございます。
#80
○簗瀬進君 改善をするというふうなことを御答弁なさった。私はそれでいいと思いますよ。だからこそ司法改革なんですよ。だからこそ身近で頼りがいのある司法と。
 また、御答弁の中で、司法改革推進本部の方で裁判ざた、訴訟ざたと、というふうな言葉があったんですが、さたというのは何ですか。どういう意味ですか。
#81
○政府参考人(山崎潮君) これは、日本語の意味ではございますので、まあもめ事でございますよね。そこで、さたをするんですから、決めると、裁判で決める、こういうことですよね。それを嫌うという国民性だというふうに申し上げたわけでございまして。
#82
○簗瀬進君 国語の授業じゃございませんので、さた事の真偽のほどを議論してもしようがないんですけれども。
 やっぱり、ざたという、裁判ざた、何となくやっぱりそれをマイナーなイメージでずっととらえてきたという、裁判所に行くということ自体が、どうもそれ自体が良くないんじゃないのか、そういうことから脱却をしてやはりいかなければ、正に身近で頼りがいのある司法にならないわけじゃないですか。
 だから、そこら辺の基本認識がどうも、やっぱりどうも御答弁の中ではまだ分かってないんじゃないのかなと、こういうふうに思わざるを得ないんで、正に司法改革というのは、そういう意味で裁判所のイメージを変え、本当に市民のための裁判所というようなものを作るためにどうしたらいいんだろうかということを多方面から進めていかなければならないと、これが司法改革だと大臣お思いになりませんか。
#83
○国務大臣(南野知惠子君) 先生おっしゃるとおりであり、司法制度により救われるべき人が適切に司法制度を利用することができることが大切だと思っております。その観点に立ちDV法なども検討してまいったわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
#84
○簗瀬進君 もう一つ、どうも行政訴訟、お上に対して物を言うということ自体が、非常に何といいますか、まずいと思われておった日本の今までの社会風潮というのはあるわけですよ。それの反映が、どうもやっぱり行政訴訟に訴える件数がどうも諸外国と比べると我が国少ないんではないのかなと。
 これは、打合せのときにこういう質問をさせていただきたいと言ったら、手持ち資料がなかなかないんでと、こういうふうな御答弁ではあるんですけれども、分かる範囲で結構ですから、行政訴訟の国民に対する定着度、それは諸外国と比較して我が国どの程度なのかなと、基本認識としてやっぱり押さえておいた方がいいと思いますよ。御答弁、どなたか。
#85
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 行政訴訟の事件数という点からまず御説明をしたいと思いますが……
#86
○簗瀬進君 端的でいいですよ。
#87
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) はい。
 行政訴訟の中にどのような訴訟を含めるかについては国によって行政訴訟の定義が異なっておりまして、例えばフランスでは我が国の国家賠償請求事件のようなものも行政訴訟の中に加えられているというような違いがございますが、ごく大ざっぱに件数のみを比較してみますと、二〇〇〇年代の初めの各国の行政訴訟の件数は、ドイツが最も多く、これが約五十万件に上っております。それから、次いでフランスが約十三万件、その次にアメリカが約四万件という状況でございまして、イギリスは五千件程度ということでございます。
 我が国の平成十五年の行政事件、行政訴訟事件数は二千四百九十四件でありますので、これを件数で比較しますと、イギリスはその二倍程度でございますが、その他の国ではそれを大きく上回っておるという状況でございます。
#88
○簗瀬進君 正に強いものに対して泣き寝入りをしてしまうという、そういう一般的な国民性というようなものがそういうのに反映をされているかのような印象もありますけれども、私は制度の問題というのもあると思うんですよね。
 若干、これは通告にはないんですけれども、敗訴者負担のところでも出てくるんですけれども、例えばオランダなどの例を見てみますと、行政訴訟について、市民が勝訴した場合はその弁護士報酬の一部を回収できるが、敗訴しても国の弁護士報酬を逆に負担させられないということが明文で規定されていると。こういうふうな、行政訴訟が起こしやすいような、そして弱い立場の人たちが泣き寝入りをしないようなことを言うならば制度化しているわけですよ。
 行政訴訟における片面的敗訴者負担制度と、こんなふうに言われるんですけれども、正に自分が行政に対して文句を言って訴訟を起こして、問題を感じて訴訟を起こして、そして勝てば弁護士さんの費用を行政から取れる、しかし、負けても逆に国の方から取られることはないと、こういう制度を例えばオランダなんかでも設けているわけなんです。私は、そういう意味では、今の行政訴訟のお話を考えてみますと、片面的敗訴者負担制度というようなものをこの部分で作っていくことによって行政訴訟が間違いなくこれ活性化されると思いますよ。
 これ、質問通告にはないんだけれども、このような制度があるということを今御紹介申し上げました。大臣としては、あるいは大臣が答えづらければほかでもいいですよ。この行政訴訟についてもっと訴訟しやすいような制度整備というようなものをする必要があるのではないのかなと思うんですが、御所見聞かせてください。
#89
○副大臣(滝実君) 今御指摘のとおり、日本の行政事件訴訟法が今般、基本的に大分変わってまいりました。私は、それによって日本の行政訴訟というのがこれから事件そのものが相当程度出てくる、そういうような訴訟法自体の変わり方をいたしておりますから、そういうことも勘案しながら今のような問題はこれからの問題として十分に検討すべき問題だというふうに思っております。
#90
○簗瀬進君 それともう一つ指摘をしたいのは、いわゆる法律扶助制度なんです。これは、委員諸氏にお配りしております資料の二をごらんになっていただければと思います。(資料提示)
 私は、身近で頼りがいのある司法であるべきとするならば、やっぱり決め手は法律扶助だと思うんですね。ところが、先ほども司法改革の予算が全然何か膨らんじゃいない、こういうふうなお話をさせていただきましたけれども、これを見ると、やっぱり法律扶助、このままでいいのかと。先ほど政務官のお話もありましたけれども、小さな砂場で遊んでいるだけでは困るんですよ。
 法律扶助、ごらんになってください。日本、国庫負担三十億円、ドイツ三百六十三億円、フランス百八十二億円、イギリス千八百億円。扶助件数三万件、ドイツが三十五万件、フランス三十三万件、イギリス三十六万件。圧倒的な差ですよね。しかも、日本の場合は、これは言うまでもないことなんですけれども、法律扶助制度は立替えです。ところが、例えばドイツの場合は、これは本当に立替えじゃなくて与えてしまうという給付制を取っております。正に法律扶助の金額が圧倒的に違うんですね。
 これ、確かに大変御努力をなさって三十億から三十五億になって、今は、平成十六年では四十億だと、こういうふうな御答弁をして済まされるものではないと思うんですよ、答弁、先に言っちゃいますけれども。それでは駄目なんです。四十億になったって、イギリスと比べたって千八百億と四十億ですから。これ、相当な決意を持ってこれ法務省予算全体の枠を膨らませていかないと身近で頼りがいのある司法なんて絶対できないですよ。大臣、御所見。
#91
○国務大臣(南野知惠子君) 国民がより利用しやすい司法制度の実現に資する民事法律扶助制度の重要性、先生からのお話もいただきました。十分に認識しておるつもりでございます。これまでも厳しい情勢の財政状況の中で法律扶助関係予算を増額することなど民事法律扶助事業の充実に努めているところでございますが、今後も適切な在り方を見据えてその充実に努めてまいりたいと思っております。
 どうぞ、簗瀬先生もこの予算獲得にはどうぞよろしくお願いいたします。
#92
○簗瀬進君 次に、司法制度改革推進本部が今臨時国会に三つの法案、最後の締めくくりだという形で出されようとしているわけでありますけれども、どうも私から申し上げますと、敗訴者訴訟費用負担制度についての法案、それから司法修習生の給与を貸与制にするという法案、そしてオールターナティブ・ディストリビュート・レゾリューション、ようやく言えた、ADR法でございますけれども、このADR法もどうも改革の、何といいますか、本当の理念が揺らいでいるということを証明するような、ちょっときつい言葉で言わせていただきますと、改革迷走が現れている三つの法案が残ったんじゃないのかなと。
 積み残し改革迷走三法案と、このように総括をしてしまいますと怒られるかもしれませんけれども、まず第一番目に敗訴者訴訟費用負担制度、これは間違いなく訴訟外の約束をすることを導き出すと思うんですね。その結果として、法案の中には入ってないんだけれども、法律ができてしまいますと間違いなく、その訴訟外の契約を更に多く作ることによって弁護士、敗訴者が負担を、相手方の弁護士費用を負担するんだと、こういう契約が更に増えてくる。そういうことによって、ただでさえ弁護士に頼むときだって第一番目のリスクがあるわけですよ。勝つか負けるか分かんないところに第一番目の弁護士費用を払う。そして、勝ったらいいけれども、負けたら相手方から請求されるというふうな、そういう約束を知らないうちにさせられたりなんという形になりますと、これ大変なことになっちゃう。間違いなく訴訟萎縮効果は出てくるだろうと思うんだけれども。これをどういうふうに対処していくのかということ、大問題だと思うんです。
 これについて具体的なお考えが現時点であれば聞かせていただければと思いますが。
#93
○国務大臣(南野知惠子君) 法案の制度につきましては、裁判になってから当事者のどちらもが希望する場合に選んで使っていただけると、そういう制度でございます。これによりまして訴訟に勝って相手方から弁護士に係る費用を回収したい人の期待に沿えるものであるということ、こたえるものであるということでございます。その意味で、裁判を利用しやすくなるものと考えているわけでありますが、契約で弁護士に係る費用の負担を決めることを心配される方がいらっしゃるということも、これも承知いたしております。
 制度の本来の目的が発揮されますように、法案の御審議の場におきまして更によく議論していただきたいと、そのように思っております。
#94
○簗瀬進君 訴訟萎縮効果があるということをお認めになったことは前進だと思うんですが、更にそれを具体的に進めていく意味で、やっぱりこれ、各党のいろいろな考え方もあるだろうと思いますけれども、私は大幅な修正がやっぱり必要なんではないのかなと思っておるんですが、その修正の方向性としてはもう各委員もこの方向がというようなのは大体出てきているような感じするんですよ。やっぱり、大企業同士が合意したものに限って有効にすると、それ以外は、訴訟の外で行われた契約についてはこれは無効にするんだと、というふうな方向性をしっかりと出して、これを法文化すべきなんではないのかなと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
#95
○国務大臣(南野知惠子君) 法案につきましては慎重に御審議いただきたいと考えております。法案の御審議をいただく中で、その目的が十分に発揮される、そのような制度及び運用となること、また各党各会派間で更によく論議していただきたいと思っております。
#96
○簗瀬進君 これ以上の議論はその閣法のところでやらせていただければと思っております。
 その次に、あの改革迷走三法案の二番目として、司法修習生の給与を貸与制にするということなんだけれども、今日も実は法科大学院の皆さんが朝、我々の部門会議で大変真剣な、そして窮状を訴えられておりました。
 様々な問題点があるんですけれども、ここでは冒頭の大前提の話と、大前提の質問とさせていただきまして、やっぱり法曹というようなものを社会全体の公共財と考える視点、これがやっぱり必要なんではないのかなと。確かに、やがて弁護士になって高給、高額の収入が入ってくるからいいじゃないかという、そういう議論もこれは分からないではない。そういう人もいますけれども、そうじゃない弁護士さんだってたくさんいるわけでありますから。
 正にそういう意味では、質問を取りに来た優秀な官僚の皆さん、聞いてみたんですよ、皆さん役人になってから海外留学したことありますかと。エリートはみんな海外留学していますね。検察官になった方に聞いてみたら、やっぱりそこにいらっしゃる方も、例えば一年、二年、海外のオックスフォードとかケンブリッジとか、そういうところに行って勉強なさってきた、もう、こちらにもいらっしゃるという。そういうところもあるんで、やっぱり内部で結構研修のためにお金使っているんですね。やっぱりそれだけ大切な人材はしっかりと育てていくというふうな考え方があるんですよ。表に見えているところと目に見えない部分での、言うならば公的に負担をしながら人材を育てるというシステムがどこの国もあるんです。
 私は、これ弁護士の部分だけ取って貸与制にすればいいんじゃないのかということはちょっと短絡の議論なのかなという感じを持っておりますけれども、大臣の御所見、ちょっと聞かせてください。
#97
○国務大臣(南野知惠子君) 法曹は本当に社会で重要な役割を果たしております。もっとも、法曹養成のために国が負担すべき費用につきましては、社会の諸情勢を踏まえて、国民の理解を得られる適切なものとすべきであるというふうに思っております。
 このような観点から、引き続き国費によって司法修習制度を運用することとした上で、給費制に代え、無利息で貸与するなどの、貸与するなど、返還の負担にも十分配慮した貸与制を導入するのが適当であると考えております。
#98
○簗瀬進君 ずっと擦れ違いの連続なんですけれども、まあそのことは言わずに、最後に、ADR法案についてちょっと聞かせていただければと思うんですが。
 私は、トータルで見たリーガルサービスのインフラを上げていくということは我が国社会にとっては絶対必要だと思うんです。いわゆる士と名の付く業界が八つないし九つ、数え方によって違ったりするんですけれども、あるわけなんですが、トータルのその士業、これは全体的な広い意味で見てリーガルサービスの担い手だと思うんですね。そのリーガルサービスの担い手を社会的にどのように高めていくのかというのがADR法案の基本的な哲学であるべきなんです。
 ところが、私は大変、このADR法案で、今日も我が党の部門会議では、例えば行政書士さんとかあるいは税理士さんとか、そういう人たちのヒアリングもさせていただきました。来年、非常に大変困難な調整作業に入っていくだろうと思うんですけれども、いきなりADR法案がどおんと出てきて、むき出しのそういう各士の間でのぶつかり合いを作ってしまっているというのは、私は大変愚かな感じがするんですね。なぜ基本的な大きな制度設計を今までできていなかったのか。
 例えば、それぞれの法人を、弁護士法人とか行政法人とか、行政書士法人とか、こういうようなものを作る。で、その作る過程の中で、法人同士の相互の連携が事前にできるようなそういう準備期間を置きながら、弁護士会やらその他のいわゆる士業界との連絡、連携、調整というようなものがだんだんだんだん段階的に高まっていくような、そういう制度設計をしておれば、このむき出しのぶつかり合いというような状況になるのは私は防げたと思う。
 そういう意味ではADR法案についても基本的な理念が欠けているんではないのかな、それを非常に残念に思います。それは大臣、どういうふうに御所見お持ちになっているか。
#99
○副大臣(滝実君) 裁判外の紛争解決法案につきまして、どうも時間的に十分なこなしをせずに今来ているんじゃないだろうかと、こういうような御指摘もあったわけでございますけれども、私は基本的に、問題は紛争解決というところがこの一番の原点でございますから、そこのところでもってそれぞれの、例えば司法書士会なら司法書士会、行政書士会なら行政書士会がどういうエリアでもってその紛争解決に関与できるのかということで、おのずから整理できてくる問題じゃないだろうかということが一つ出発点としてあるように思います。
 そして、今回の法案はそういうものを前提としながら基本的な紛争解決の枠組みを作るわけでございますから、個々の士族のそれぞれの専門分野における調整はこの枠法の中で、枠法の前提として、そしてなおかつ、ただいま申しましたように、紛争解決のエリアというものをどういうふうに設定するのかということでおのずから整理されてくる、そういうような性格のものではないだろうかなと。それをやっぱりこれから、性格、分野、専門分野で精力的に整理してもらうという作業がこれから始まるんだろうというふうに感じております。
#100
○簗瀬進君 まあ個々の議論は更に法案審議の際にさせていただければと思っております。
 最後に、私は若干、司法制度改革推進本部、まあある意味で上手かなというふうに思っておるんですけれども、十一月三十日に司法改革推進本部が終わりになりますと。それで、私どもに様々な御要請を掛けてくるわけで、事実上、十一月三十日が日切れなんだよみたいな形で言ってこられるんですね。私はそれはちょっと、この三つの法案の様々な問題点からいえば、かなり違うんだろうなと、このように思っております。しっかりとしたやっぱり議論すべきですよ。
 司法制度改革の、ある意味で、先ほど迷走という若干失礼な言い方もしたかもしれませんけれども、どうも理念が揺らいでいる部分なんですね、これは。だから、この部分についてしっかりとした筋を立てていかないと、本当に竜頭蛇尾に終わってしまう。で、十一月三十日に改革推進本部が終わりになるから、まあこれで、この辺で何とかお願いしますというふうに言われても、ちょっと困るんですね。
 私はそういう意味では、この法案審議の状況に応じて、推進本部、十一月三十日って、ちょっとだって延ばしたらいいじゃないですか。確かにそれは十一月三十日というのは大きな締めかもしれませんけれども、案件によっては延ばすべきだと、このように思うんですが、これは大臣、どうですか、政治的な御判断の話です。
#101
○国務大臣(南野知惠子君) 司法制度改革推進本部は、仰せのとおり、今まで司法制度改革推進計画に基づいた改革に取り組んでまいりましたけれども、この計画に掲げられた課題は、この本部設置期限まで、おっしゃるとおり十一月までに措置がなされ、本部に与えられた任務を果たすことができるものと考えております。
 その後につきまして御心配のことでございますが、改革の趣旨に沿った実施を図るため、法務省を始めとする実施担当省庁と総合調整を担当する内閣において所要の体制を整備して、司法を国民に身近なものとするための改革に引き続き取り組んでいきたいと思っております。
#102
○簗瀬進君 時間も本当に残りわずかとなってまいりまして、大変恐縮でございますが、国際刑事裁判所への加入問題、それから入国管理政策と外国人労働者対応、これについては先ほど同僚の山東議員もお聞きになった部分ではありますけれども、もう一つ司法改革と行刑政策と、三つの大きなテーマが残ってしまいました。通告をして、待機していただいた皆様には心からおわびを申し上げたいと思いますけれども、次にまた絶対に機会は作らせていただきたいと思いますので、御期待のほどお待ちいただければと思っております。
 以上で質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
#103
○木庭健太郎君 今日は、大臣の所信あいさつに対する質疑でございます。
 いろんな面でお聞きをしたいわけですが、まず大臣にお聞きしたいんですけれども、我が国の犯罪状況について、山東委員の質問に対してお答えになられていた、今治安が危機的状況にあるということをお話しになっているようでございますが、何でこういう危機的状況になっているのか。治安の悪化の理由というか、様々な面はあると思うんですけれども、大臣自身はこの治安悪化という問題について、原因についてどのようにお考えか、御所見あれば伺っておきたいと思うんです。
#104
○国務大臣(南野知惠子君) 治安の悪化の原因につきましては一概に述べることは困難でありますが、経済情勢の変化や国際化の進展などに加えて、家庭や地域社会の連帯力が弱まっていることなどの様々な事情がその要因として影響しているものと考えられます。
 いずれにいたしましても、法務省としては、関係機関と連携しながら治安の回復に向け最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
#105
○木庭健太郎君 正に、一概に言えない、いろんな面もある。ただ、犯罪そのものの在り方、その危機を迎える治安の状況の迎え方、海外からいろんな方たちが来られる問題もある。事件の質そのものも変わってきている。社会の質も変わってくると。そうすると、それに対応する側の問題が大変な状況にもあるんだろうと思います。
 警察関係については、私ども与党で取り組んで、空き交番ゼロにしようとか、そんな取組はしていると。警察官の増員という問題ですよね。
 ただ一方、検察の側の問題も、これだけこう事件が多様化し、いろんな面が起きてくるようなこともあり、もう一つは司法改革ということも今目指しながらやっていると。そういうものを併せると、今のこの検察官及び検察事務官の体制で足りるのかというと、結構厳しいなと。さっき簗瀬委員の方からは、司法制度改革に合わせて、砂場の、砂場と言われちゃったんですけれども、そういう問題ではなく、私は、やっぱり今のこの人員体制の問題についても検察の側、これについても強化をしていかなければならない時期に入っていると思うんですが、この辺についての大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
#106
○国務大臣(南野知惠子君) 御指摘のとおり、治安の回復と司法制度改革という政府の重要な課題を実施するため、検察の役割はますます重要なものとなっております。そのために、検事及び検察事務官の増員を含め、検察体制の整備は必要不可欠であり、平成十七年度概算要求におきましても必要な要求を行っております。
 今後も、関係省庁と御相談しながら検察体制の整備を図ってまいりたいと思っております。よろしくお願いします。
#107
○木庭健太郎君 是非、この面は我々も協力しながらやらなければ確保できない問題でもありますので、一生懸命、当委員会で議論したことも踏まえた上でそういうことに取り組んでいきたいとも思っております。
 もう一点、これもダブりになるのでどうかなと思いながら、これも山東委員御指摘でございました女性の人権擁護の問題でございます。
 この問題、我が党としても、強姦罪の罰則強化の問題とか集団強姦罪の創設の問題、いろんな面で指摘をさせていただきながらやってきた点でもございます。この問題そのものも、これは大臣が大臣になる前からお取り組みになった問題でもございますし、今回、法案も出されるということも聞いております。それを出すに至った趣旨について、大臣としての御所見、これも伺っておきたいと思います。
#108
○国務大臣(南野知惠子君) 近年、御指摘の強姦罪を始めとする凶悪・重大犯が、犯罪が後を絶たず、我が国の犯罪情勢は厳しい状況にあります。また、このような犯罪につきましては、現在定められている刑の長さが国民感情に合っていないという指摘があり、昨年十二月に取りまとめられました犯罪に強い社会の実現のための行動計画においても刑事法の整備が求められております。
 今回の法案は、このような状況を踏まえ、凶悪・重大犯罪に対し適正に対処できるよう刑法等を改正するものであります。
#109
○木庭健太郎君 是非、この国会での成立をこれは図りたいと、我々も努力していきたいと、こう思っております。
 次に、観点を変えて、今いろいろお話のありましたこの司法制度の抜本改革に取り組んでおり、随分いろんな法案も通させていただきました。一番のやはり目玉は、通させていただいた裁判員制度の問題だと、こう私どもも思っておりますが、なかなかこれ国民の理解を得られていないような面もある。九月のこれ世論調査を見たら、裁判員をやりたくないという方が五〇%を超えておると。国民の理解なかなか進まないなというのが実感でございまして、やはりこれどう、まあ五年後です。でも、五年後といってもすぐ来ますから、どう国民にこれ理解をしていただくのかという周知徹底、これが一番大事なんだろうと、今の時期は、思いますが、この点についての御見解伺っておきたいと思います。
#110
○大臣政務官(富田茂之君) 木庭委員御指摘のように、私の地元でも裁判員制度について説明しますと、おれ、そんなの行きたくないよというような方が本当に多くて困っておるんですが、やっぱり裁判員制度は国民の意見が裁判に反映されるようになることによって司法が国民に身近なものになるという意義を持つ大変重要な制度でございます。制度の趣旨を国民の方々によく理解していただき、進んで刑事裁判に参加してもらえるようにすることが不可欠であるというように考えております。
 そのため、今後、最高裁判所、日本弁護士連合会等と協力しながら、分かりやすいビデオを制作し、国民の方々に見ていただいたり、全国各地で模擬裁判や各種説明会を実施したりすることを検討しており、衆知を集めて広報活動を進めていく必要があるというふうに考えております。
#111
○木庭健太郎君 この前、最高裁の方は模擬裁判を実施になられたとお聞きしています。ただ、やってみると意外に、ああ、こんなところも問題点あるんだなということも浮かび上がったようでございます。やはりどう、普通のこの刑事裁判にしてもですよ、一般の人が参加した場合、事件をどう掌握するかというような問題についても、その辺をどんなふうにして理解させるのかとか、まあ様々な点が問題点というか、こういうところはこうしなくちゃいけないなということも起きたと思います。
 実際にやられてみて、今後どう取り組まなくちゃいけないのかなと、課題も含めて御答弁をいただければと思います。
#112
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) 模擬裁判を実施いたしました。これは模擬裁判といいますか、裁判員裁判のイメージを作るということと、御指摘のありましたような課題がどこにあるのかといったようなことを洗い出すために行ったものでありますが、一つは、裁判員の方々がなかなか自信を持って発言できないといったところがありました。その点につきましては、自信を持てない理由が、やはりどこにその事件の争点があるのか、そして証拠の内容がどうなっているのかと、争点との関連で証拠関係がどうなっているのかといったようなところについてなかなか把握ができないといったようなところに一つの問題点がありました。
 それから、そういったために、我々といたしましては、争点をどのような形で理解していただくか、そのためにどのような示し方をするのがよろしいのか、それから、証拠の内容を理解しやすく争点との関連で分かってもらうためにはどのような立証の在り方をしていくのがいいのか。私どもが行った場合も、パワーポイント等を使って分かりやすくその内容をやってみたんですけれども、それでもなかなか分かりづらいという話でした。こういった点を更に工夫していく必要があるだろうと思いますし、それからもう一つは、裁判員の方々が自由に発言できるように、裁判官としてやっぱりコミュニケーション能力を十分磨いていかなくてはいかぬだろうというふうに考えております。
 裁判所といたしましては、こういった模擬裁判の結果を踏まえまして、どのようにして審理を分かりやすいものにしていくか、さらには、裁判官と裁判員との良好なコミュニケーションを確保するためにどのようにしていくか、そういった観点からも、諸外国における国民参加の行われている刑事裁判の在り方、運用といったようなものを把握した上で、これらをまた生かしていきたいというふうに考えております。
#113
○木庭健太郎君 おっしゃるように、用語そのものも結構難しいんですよね。私もこの法務委員会に参加して、それは弁護士出身の方はいいですよ、何か法律用語それぞれおやりになられて。我々には何の話しているんだというのが随分あるんですよ。同じように、やはり皆さんにとっては簡単な一つ一つの言葉であったとしても、その言葉が一般の言葉と比べてどうなのかという問題は随分あると思います。
 その辺を、だから、自分たちがやってみて分かりやすい、でも一般の人についてはどうだろうかというような点も是非是非御検討もいただいて、迅速な裁判ということもまたもう一つ求められるわけですから、なかなか大変な作業とは思うんですけれども、そこもしっかりやっていただきたいと思いながらも、それともう一つ感じているのは、この裁判員だけの問題じゃなく、その司法を国民に身近なものにするという観点からというのであれば、法教育というものをどう考えるかという点も大事なんじゃないかなと。
 この法教育という問題、実際に法務省としてどんなふうに認識して、どんな取組なさっているのか、ちょっとお聞かせをお願いしたいと思うんです。
#114
○政府参考人(寺田逸郎君) お答えを申し上げます。
 この法教育は、司法制度改革審議会の意見書にも触れられておりました。触れられている部分はさほど大きくはないわけでございますけれども、先ほども簗瀬委員からの御指摘もありました、今回の司法制度改革の理念にかかわる問題で、つまり透明なルールに基づく社会運用、そこで自己責任ということは当然問題になりますけれども、そういう自己責任がそもそも考えられるような人たちによる社会でなきゃならないということに尽きるわけでございます。したがいまして、この法とかあるいは司法というものを身近に感じていただくと、こういうことが肝心でございますので、その意味で、法教育というのを非常に重視して取り組んでまいりたいと考えているわけでございます。
 具体的には、昨年の九月から、文部科学省の方の御協力も得まして法教育研究会というものを法務省内に設けまして、教育関係者、司法関係者、様々な方、ユーザーというような、御父兄の立場におられるような方々も含めまして研究会を開催してまいりまして、間もなくその報告書が出ることになっております。
 この報告書には、具体的な教材の在り方についても触れられておりますので、そういうものを基にいたしまして、今後、こういうものの普及というものを具体的に進めてまいりたいと、このように考えているわけでございます。
#115
○木庭健太郎君 まだ報告書、まとまっていないんですかね。何か十八日にまとめたという話じゃなかったんですか。
#116
○政府参考人(寺田逸郎君) 実質的な内容としては既に最終の会合を開きましてまとめてございます。報告書というものも、まだてにをはの問題等もございますので、今作業しておりまして、間もなく報告書を正式に出せると、こういう手はずでございます。
#117
○木庭健太郎君 なかなかいい報告書のようでございまして、義務教育の段階からきちっと法教育をどうするかというような問題を含めて文部科学省と連携してやろうという話ですから、私は大変結構なことだと思っています。
 大臣、この点、どういうふうに文部科学省とお進めになられるか。もちろん報告書を聞いてからになると思いますが、御答弁いただきたいと思います。
#118
○国務大臣(南野知惠子君) おっしゃるとおり、私といたしましても、法教育を広めていくという考えは大変重要と考えております。
 法務省では、法教育研究会から報告書を御提出いただいた後、文部科学省や関係機関の御協力を得まして、教育関係者を始め広く国民の皆様に対し報告書の内容について広報を行い、法教育が全国各地で進められるよう努力してまいりたいと考えております。
 また、法教育の実践につきましては、情報公開、又は作成していただいた教材の検証、改訂の取組も行ってまいりたいと考えております。
#119
○木庭健太郎君 もう一つは、司法ネットの関係の問題でございます。
 これも法律が通りましたし、これから取り組んでいくことになるんですが、何点かちょっと確認しておきたいんですけれども、一つは、これからこの日本の支援センターがサービス提供を開始を始めるわけでございます。そうすると、今地方自治体等がこれは無料法律相談などをやっているんですけれども、こっちが始まるとこれやめるというようなことになれば、せっかくやったものが利用者にとっては不便になってしまう問題でもあり、非常な問題が起きてくるんではなかろうかと思いますが、このような点、どんなふうにして整理をされていくのか、御答弁をいただいておきたいと思うんです。
#120
○政府参考人(寺田逸郎君) この司法ネットは、これまでそれぞれの団体がばらばらに取り組んでいて、全体的な仕組みとして利用者から見て必ずしも便利なものではない、それが司法、紛争解決へのアクセスを阻害していたと、こういう認識ででき上がったものでございます。
 このシステム全体をどういうふうにまとめていくかということについては、これは全国的な規模でこの中心になります日本司法支援センターが行うわけでございますけれども、ただ、個々の法律相談あるいは個々のいろいろな司法に関連するサービスというものは、これは必ずしも直接日本司法支援センターが行うものとは限らず、むしろ支援センターは補完的な立場に置かれる、こういう位置付けでございます。
 したがいまして、これができることによって、これまで行われてきた様々なサービス、取組というものが後退するというようなことであってはならないということはそれぞれの関係者の方々にもはっきりさせていただいております。
 今後も、こういう関係する団体、いろいろな方がおられるわけでございますけれども、できるだけ早めに参加していただいて具体的なネットワーク作りに取り組んでまいりたいと、このように考えているわけでございます。
#121
○木庭健太郎君 是非、ちょっと勘違いというか、やっぱり地方自治体の中には、今度できるんだからもうこっちはやめるというような話になっているところもあるようなんですよ、現実に。是非そこは連携をきちっとしていただきたいと思いますが、大丈夫ですね。
#122
○政府参考人(寺田逸郎君) これは中心になるのは私どもでございますけれども、当然弁護士会の方々、その他関連団体の方々がおいでになります。皆さんにもこの点をはっきりさせていただいて、それで、現在各地に支援センターの拠点を作る作業をしておりますが、そういう過程でもこのことははっきりさせて、その上で作業を進めてまいると、このような姿勢でございます。
#123
○木庭健太郎君 もう一つは、同じように、法に基づいてやる問題は、ゼロワン地域の解消の問題です。
 法律制定までいろいろ議論もしましたが、法律通りました。これへ向かってどう今取組をされているのか、御答弁いただきたいと思います。
#124
○政府参考人(寺田逸郎君) 度々でございますけれども、この司法過疎、ゼロワン地域という弁護士さんがおらない地域の解消を中心として、様々な御不便がございますので、それを一刻も早く解消したいということでございますが、この支援センター、日本支援センターが中心になりますこの司法ネットの中でかなり事態は改善できるものというふうに期待をされておりますし、私どももそのつもりで取り組んでいるわけでございます。
 先ほど申しましたように、現在、地方レベルでの拠点をどう作るか、それでその具体的なそれぞれの地域でどのような過疎があり、どういう拠点を設ければそれが効果的に解消できるのかということについての調査みたいなものをしなきゃいけないわけでございますが、その調査をする予備的な段階でございますので、弁護士会と御相談いたしまして様々な取組を行っているわけでございます。
#125
○木庭健太郎君 法務大臣、そういうことで、この今、ゼロワン地域の解消とか、国民が身近に接することができるようにということで、これ取組は実際、法律は通ったんですけれども、実際取組は今始まったばっかりなんですよ。そういう意味では法務省の方が、ある意味では大臣がしっかりその点どうなっているのかチェックをしていただき、やっていかなければ進んでいく問題ではないと思っているんです。
 是非、大臣の決意を、この総合支援、いわゆる司法ネットの確立へ向けての決意は伺っておきたいと思うんです。
#126
○国務大臣(南野知惠子君) 今般の司法制度改革は、国民にとって身近で頼りがいのある司法制度の構築を目指しております。総合法律支援法はその中でも極めて重要な意義を有するものと思っておりますので、法務大臣としてはその実施に全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。
#127
○木庭健太郎君 今度は法科大学院の関係で少しお聞きしておきたいんですけれども、これ新しい司法、法曹養成というのは、これまでの司法試験の一発勝負じゃなくて、法科大学院、司法試験、司法修習のプロセスと、こんなふうな一つの流れを作っていくわけですけれども、今その法科大学院に実際行っている学生さん、そしてこれから法曹を目指そうという人にとってみると、一体、じゃそういう過程が変わっていく中で新しい司法試験というのが一体どんなふうになっていくのかというのは、非常に関心は持っておられるけれども、姿形、今法務省で司法試験委員会ですか、で検討を進められているというふうに伺っているんですけれども、なかなかこう姿形見えないんで、関心は大きいけれどもどうなるのかなという御心配もされていると。
 そういう意味では、検討は進められているとは思うんですが、例えばこの新しい試験が始まる前に、事前に模擬試験のような形のやつを是非実施をしていただいて、新試験を行う前の具体的な実施方法ですよね、模擬試験をやることによって周知徹底することもできるし、そういうことが私は必要だと思っているんですが、今後の周知の方策について、この模擬試験の問題も含めてどうお取り組みになるつもりか。
#128
○副大臣(滝実君) 委員おっしゃるとおり、法科大学院の卒業生というか、発足を前提として司法試験の新制度がスタートしようといたしているわけでございます。したがいまして、これにつきましては相当程度変わってまいりますから、それに対しての周知徹底を図っていくということは必要だろうと思います。
 具体的に申しますと、今まで一次試験と二次試験に分けておったと。一次試験は教養科目でやっていたわけでございますけれども、これはなくなる。それから、二次試験は短答式と論文式、要するに短答式、マル・バツですね、マル・バツと論文式に分かれておったわけでございますし、そしてその試験の期日も短答式と論文式ではずれておったわけでございますけれども、これを同じ時期に一緒に併せてやると、こういう、併せてやるというか、引き続き実施すると、こういうようなことでもございます。そしてまた、法科大学院を前提といたしておりますから、言わば口述試験ですね、論文、筆記試験が終わった後の口述試験はなくなると、こういうようなことで今考えているわけでございます。
 したがいまして、新制度について、受験者も、あるいは大学院に今在学している人たちがどういうような試験をやるかというのは、これはもう一番関心がおありになると思います。それからまた、採点する側もですね、採点の結果、大体どの程度の人たち、受験生が合格するんだろうかというようなことも併せて考えなきゃなりませんから、いずれにいたしましても、模擬試験というかプリテストというものは何らかの格好で組み込んでいく必要があるだろうというふうに思っておりまして、こういった点については当然法科大学院にその試験の、模擬試験の実施をお願いするような格好になると思いますけれども、そういうようなことを今考えているということだけを申し述べさせていただきたいと思っております。
#129
○木庭健太郎君 私はね、是非そういうのも必要だと思うんですよ。ただ、何か、どことは言いませんけれども、別にそれは本試験やりゃあいいんであって、模擬試験みたいなこと何で必要なんだと。それは、模擬試験やれば予算の掛かる話ですよ、それは法科大学頼むとは言っても。でも、やっぱりこういうものはきちんとやるべきだと私は思います。
 その辺決意して、是非そういう過程の中でこういう模擬試験もやっていただきたいと、こう思っておりますので、是非そこは、来年の話になると思うんで、副大臣、大丈夫ですね。
#130
○副大臣(滝実君) そのようなことを考えてまいりたいと思っております。
#131
○木庭健太郎君 あとちょっと時間がありますので、もう一つ、行刑改革の問題を最後にちょっとだけお伺いして。
 一つは、行刑改革の問題というのは何かといえば、過剰収容対策の問題でございます。今、一体、現状どんなふうになっているのか、また対策をどう考えていらっしゃるのか。基本の問題ですので、今日は大臣からその辺お伺いをしておきたいと思うんです。
#132
○国務大臣(南野知惠子君) 刑務所や拘置所では収容定員を大幅に上回る収容人数を抱えており、特に受刑者等については、平成十六年八月末現在約六万四千人で、収容率は一一七%となっております。
 過剰収容状態にある刑務所や拘置所の人的・物的体制の整備の必要性については行刑改革会議提言においても指摘されており、今後とも必要な体制の整備に努めてまいりたいと思っております。
#133
○木庭健太郎君 そういう意味では、行刑改革会議の提言に基づいて、これからは監獄法の改正を始めとする改革に取り組んでいかざるを得ないと思うんですけれども、その辺も含めて、やるんであれば来年の通常国会になるのかどうなのか。私どもとしてみれば、もうここまで事態は結構深刻ですから、やはりいろんな意味で提言をまとめていただいて、来年辺り、もう法改正も含めた、これ明治でしたかね、名前自体監獄法ですからね。是非、この抜本的改正みたいな問題に取り組まざるを得ないところまで来ていると思うんですが、この監獄法の改正を始めとする改革について大臣にもう一回所見を伺って、私は質問を終わりたいと思います。
#134
○国務大臣(南野知惠子君) 御指摘の監獄法は、明治四十一年に制定されて以来、実質的な改正は一度もなされていません。そのため、片仮名書きの文語体の法律である上、その内容も、受刑者を更生させ社会に復帰させることが重要だという現代の考え方にそぐわず、被収容者の権利義務関係も法律上明確にされていないなど、極めて不十分な法律であると考えております。
 行刑改革会議の提言においても、このことが指摘されているとともに、改革の実現のためには可及的速やかに監獄法を解決、改正すべきであるとされており、通常国会には監獄法を改正する法律案を是非とも提出したいと考えております。
#135
○木庭健太郎君 終わります。
#136
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 最初に大臣に弁護士費用の敗訴者負担制度の問題で質問をいたします。
 総理が先日の参議院本会議の答弁でこの制度導入の目的について、裁判を利用しやすくする、利用しやすいものにするということだと述べられましたけれども、大臣も同じ認識で間違いないわけですね。
#137
○国務大臣(南野知惠子君) そのとおりでございます。
#138
○井上哲士君 私は、いろんな経過見ていますと、大企業などが消費者や労働者などからの訴訟を起こしにくくするということが大きなねらいの一つにあると思っております。
 ただ、仮に政府が言われるように裁判を利用しやすくする目的だとしても、果たしてこの法案の制度が機能するんだろうかという、役立つんだろうかという疑問があります。両方が勝訴を確信している裁判というのはそうありませんで、敗訴が予想される当事者というのはこれに同意をしないわけですから、制度は使われないと。そういうことになりますと、政府の言う目的に照らしても、この導入の意味はないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#139
○国務大臣(南野知惠子君) 法案の制度をどのぐらい御利用いただけるかということにつきましては、一概に申し上げることはできないのでないかなと思います。当事者が両方とも訴訟に勝つと思っていて弁護士に係った費用を回収したいと考えている場合には、この制度を利用されることがあると思います。法案の制度につきましては、当事者の両方が希望する場合に、訴訟に勝って相手方から弁護士に係る費用を回収したい人の期待にはこたえることができ、その意味では意義があると思っております。
#140
○井上哲士君 法案を出されてもどのぐらい使われるか分からないということですから、私は本当に導入の意味が示し得てないと思うんですね。説明に来られた方は、例えば境界争いなどお互いに勝訴を確信をしていて、相手の弁護士、自分の弁護士費用も払わせたいと思っていると言われましたけれども、そういう場合はこういう制度がなくたってそれぞれ裁判やられるわけですから、私はアクセスの拡充には役立たないというふうに思うんです。
 問題は、そういう利用をしやすくするどころか、むしろ萎縮につながっていくという問題です。これも総理が本会議で答弁をされましたけれども、訴訟に持ち込まれる前の契約書の条項の中に敗訴者負担制度条項が組み込まれることにより、経済的に弱い立場の人にとって裁判利用を思いとどまらせる効果を懸念する向きもあることを承知していると、こういうふうに認められました。
 そこで、まず聞くんですけれども、こういう法律ができることによって、この契約書の中にあらかじめこの敗訴者負担条項を組み込むと、こういうケースが拡大をしていくだろうと、こういう認識はあるんでしょうか。
#141
○国務大臣(南野知惠子君) 契約で弁護士に係る費用の負担を決めることが広まるのではないかと心配される方がいらっしゃることは承知いたしております。制度の本来の目的が発揮されますよう、法案の御審議の場におきまして更によく議論していただきたいとお願いいたします。
#142
○井上哲士君 私、現状がどうなっているんだろうかと思いまして、いろんな契約書をいろんなところで見ているんですけれども、今でも幾つかこういうものがありますし、広がりつつある条項だと思うんですね。
 これ、例えばりそな銀行のフリーローン保証委託約款というものですけれども、第六条、「費用の負担」というところに、貴社が将来の求債権保全のために要した費用など負担しますと、この費用には訴訟費用及び弁護士費用を含みますというのがこう既にあります。それから、国土交通省がマンションの標準規約、標準管理規約のひな形を出しておりますけれども、ここを見ましても、訴えを提起する場合、理事長は、請求の相手方に対し、違約金としての弁護士費用及び差止め等の諸費用を請求することができると、こういうことも書かれております。
 今後、例えば業界ごとにひな形を出すというような形で、その中にこの敗訴者負担条項が組み込まれるという形になりますと、飛躍的にこれは拡大をしていくと、こういうおそれがあると思うんですね。そして、そうなりますと、消費者などは、この項目については私は省いて契約をしますと、こういうことをやるのはなかなか困難だと思うんですね。
 ちょっと、これ加えて聞くんですけれども、こういう契約書ができたときに、消費者などがその部分は外して契約をするということが十分に可能だと、これは大臣、認識いかがでしょうか。
#143
○副大臣(滝実君) 今委員おっしゃるように、現在でも既に実体の経済取引といいますか、その中ではあらかじめそういうような約款を盛り込んでいるという契約が今指摘されましたけれども、それはそのとおりだと思います。ただ、将来この敗訴者負担制度ができるからといって、その問題、実体法の契約取引がますますそういう結果になることになるかどうかというのは、それはちょっと一概に言えない問題があるだろうと思います。
 ただ、おっしゃりますように、やはりそれは個々の取引契約のときに、やっぱり十分にそこのところは一般国民の方が理解をしてもらう、そしてそれについて自分でもってその約款に安易にイエス、ノーを言わない、イエス、ノーというか、イエスを言わないというようなやっぱり習慣というものは作っていただく必要があるだろうとずっと思っております。
#144
○井上哲士君 さっき、マンション標準管理規約のひな形言いましたけれども、こういう形でいろんなひな形が出て印刷したものができますと、この部分は私は同意できませんと言ったら、実際上契約ができないということになってしまうわけですね。ですから、消費者がよく見て選択をするというようなことは、現実の今の契約状況の中ではこれは僕はあり得ないことだと思うんです。
 問題は、先ほど総理も言われたようなこの懸念ですね。この問題は、実は法案が出てきてから出てきた声じゃないんですね。アクセス検討会の中でも出ていましたし、パブリックコメントでも随分出されていたんです。
 では、そういう声が出た後にこの法案が作られたわけですから、この法案のそのものの中に、総理も言われるような懸念を解消する措置が含まれているのかどうか、この点、いかがでしょうか。大臣だ、大臣。
#145
○国務大臣(南野知惠子君) 契約で弁護士に係る費用の負担について決めるという問題は、この制度を導入しない場合にも生じる問題であります。法案とは直接に関係しない問題ではないかと考えております。
 御指摘の問題につきましては、法案の御審議の場におきまして更によく議論していただきたいと思っております。
#146
○井上哲士君 法案とは直接関係ないというお話、御答弁です。
 ということは、もう一回確認しますけれども、こういう懸念を解消するための措置というのはこの法案の中には盛り込まれていないんだと、こういうことで確認してよろしいですね。
#147
○政府参考人(山崎潮君) 今大臣から概括的なお話がございましたけれども、そのとおりでございます。
 私の方から若干述べさせていただきますけれども、この法案の中にはございません。ただ、実体法の関係は、例えば先ほどから御指摘がある消費者の問題につきましては消費者契約法がございます。その中に、多分九条だったと記憶しておりますけれども、消費者がある通常生ずるような損害を超えるような損害を負うような損害賠償の予約、あるいは違約金の定め、これは無効であるという規定がございます。
 そのほか、個別労働紛争に関しても労働基準法があったりとか、そういう解釈で賄えると我々は考えているわけでございまして、この法案にはございませんけれども、他の実体法の規定があると、こういうことでございます。
#148
○井上哲士君 法案の中にはないということは認められました。
 多くの懸念は、そういう実体法で守られていることが、こういう法律ができることによって駄目になっていくんじゃないかと、こういう懸念があるわけですね。そのこと自身も総理もお認めになってきたわけです。
 ですから、政府が述べてきた裁判を利用しやすくするという目的にも沿いませんし、幅広い国民からは、逆に裁判を使いにくくすると、こういう懸念があるにもかかわらず、法律の中にはそれ自身を解消する措置もないということでありますから、私は、もうこれは百害あって一利なしで、やはり廃案にするということが必要だということを申し上げておきます。
 次に、いわゆる犯罪使用の電話対策の問題についてお聞きをいたします。
 架空請求とか、いわゆるやみ金の問題というのは非常に深刻であります。先ほどもありましたけれども、今度の震災で、テレビの安否情報を悪用して、そこに電話をしてやる震災おれおれ詐欺というのまで出ている。本当に人間として許せないことだと私は思うんですね。
 これは、啓発なども必要ですけれども、同時に、この犯罪に使われた電話、この手段の規制が大事だと思うんですね。架空預金口座などは対策が取られるようになっていますけれども、電話の対策というのは十分な対策が取られていないと思います。
 その中で、特にいわゆるプリペイド携帯電話の問題でありますけれども、非常に匿名性が高いということで、こういう架空請求とかやみ金事件や、あるいは薬物事件で対応されていると思いますが、その実態、そして捜査当局としてはどういう体制、対策が必要とお考えか。警察庁、法務省、それぞれからお聞きをいたします。
#149
○政府参考人(岡田薫君) プリペイド式携帯電話が犯罪に使用されている実態等についてのお尋ねでございますので私の方から御説明申し上げますが、御案内のとおり、プリペイド式の携帯電話は本人確認の徹底が難しいというようなことから、使用者がはっきりしないことが多うございます。そのため、おれおれ詐欺、架空請求詐欺あるいは身の代金目的誘拐事件、それから御指摘ございました薬物の密売等各種犯罪において、被害者との連絡手段あるいは共犯者同士の連絡手段としてかなり広く利用されているものと認識をいたしております。
 こうした携帯電話を犯罪に利用された場合に、その電話番号が判明いたしましても犯人を割り出すことは極めて困難でございます。そうしたことから、捜査上の大きな障害になっているところでございますので、警察といたしましては、こうした匿名のツールが犯罪に利用されないよう関係省庁等が連携をした上で有効な対策を講じていくことが極めて重要であると、このように考えております。
#150
○政府参考人(大林宏君) ただいま警察庁からも説明がありましたけれども、いわゆるおれおれ詐欺等にプリペイド式携帯電話が使われている実態については法務省としても承知しております。犯罪対策の観点から何らかの規制が必要であると認識しており、具体的対策については関係省庁とも十分協議の上検討してまいりたいと考えております。
#151
○井上哲士君 そこで、総務省にお聞きするんですが、NTTドコモはこのプリペイド携帯電話というのはもう日本の社会に必要ないということで廃止の検討を始めているようですけれども、総務省としてもこの犯罪利用の実態に照らして廃止も含めた決断をすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#152
○政府参考人(江嵜正邦君) プリペイド式携帯電話につきましては、その匿名性が犯罪に利用されていたということから、携帯電話事業所におきまして販売時の本人確認を実施してきたというところでございますけれども、自由に譲渡、転売などできるということから、依然として匿名性が高いおれおれ詐欺などの犯罪に利用されているという事実は十分認識しております。
 携帯電話事業者の方も、従来の販売時の本人確認強化だけでは、譲渡、転売などされた場合の利用者の把握に有効ではないという認識を持っておりまして、実効性のある本人確認強化策を考えているというところではございます。
 御質問のプリペイド式携帯電話の廃止等がございますけれども、プリペイド式携帯電話、これは親が子に持たせるなどの利便性があるという部分はございますが、一方でその匿名性から犯罪に利用されているということも事実でございますので、私どもといたしましては、国会、関係省庁、事業者など関係方面の取組も踏まえまして、実効性のある対策に向けて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#153
○井上哲士君 それに加えて、このプリペイドにとどまらず、いわゆる犯罪使用電話という問題があります。
 これ、京都で摘発された山口組傘下の組織暴力団の例ですけれども、普通の携帯電話を覚せい剤の密売のための受付専用電話にして、そこからプリペイドに転送するというやり方をしているんですね。この受付の電話の番号の下四けたが五七五七で、これ覚せい剤の粉とごろを合わしたコナコナということだそうですけれども、これが行われている。
 昨年の七月に策定されました薬物乱用防止新五か年戦略でも、こういう場合にこの電話番号、携帯電話を押収しても、電話番号自身はこの密売人同士で売り買いをされて、結局この密売ルートの遮断に至っていないと、捜査機関のみでは解決できない構造的な問題になっていると、こういうふうに指摘をされています。これ、五年前の計画でも同じ指摘なわけですね。どういう実態があって、なぜこういうことになっているのか。警察庁、いかがでしょうか。
#154
○政府参考人(岡田薫君) 今御質問のございました、何年か前で報道等でもいろいろ問題になりましたけれども、顧客付き携帯電話というようなことで呼ばれることもございます。そうしたものが薬物乱用拡大を防止する観点から、警察としては迅速に捜査をするということで取締りを強力に推進をいたしておりますが、なかなかその電話自体は押さえても、番号自体はまた別の機械に付け替えられて利用される。それ、しかも、御指摘のような覚えやすい番号で、お客にとってはですね、使われるというようなことがございまして、そういったものについての何らかの防止策というものはこれまで関係省庁ともいろいろ検討してきたところでございますが、そうした措置について更に引き続いて関係省庁等とも検討してまいりたいと、このように思っております。
#155
○井上哲士君 犯罪に用いたということで没収されても、言わば主たる使用価値である番号はそのまま続けられるということになっているわけですから、これ自体やっぱり対応が必要だと思うんですね。
 架空請求事件のように、電話番号を直ちに利用停止をしてこういう被害の拡大を防ぐ必要があるのではないかと、そう思うわけですけど、この点、総務省、いかがでしょうか。
#156
○政府参考人(江嵜正邦君) 架空請求につきましては、総務省にも多くの苦情相談が寄せられておりまして、今年度上半期でも全体の相談数の半分以上が架空請求のものという状況になっております。大きな社会問題というふうに私どもも認識しております。
 御指摘の点につきましては、この春以降、地方自治体や弁護士会などからも総務省に対して御要望が寄せられているところでございます。私どもといたしましては、こういう状況を踏まえまして、この六月から、携帯電話事業者とともに架空請求などの犯罪に利用された電話回線の停止というものにつきまして検討を進めているところでございます。
 この検討に際しましては、電話回線の利用を停止することが表現の自由の手段である通信を制限することになるという部分もございますので、本当にその回線が犯罪に利用されたか否かという事実認定、それからまた将来の一定期間、その回線の利用を停止するに足りる犯罪であるかということ、これらにつきましての判断基準、判断方法などについて検討する必要があるというふうに思っております。
 ただ、私どもといたしましては、こうした法的問題の整理を進める一方で、架空請求などの犯罪に利用されたと思われる電話回線の停止を行うという観点から、本人確認のできない電話回線の利用停止というようなことにつきまして、携帯電話事業者、弁護士会などとともに引き続き検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
#157
○井上哲士君 最後に、こういう犯罪被害をなくしていく上で大臣の御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
#158
○国務大臣(南野知惠子君) 御指摘のいわゆるおれおれ詐欺のような、高齢者などの社会的弱者が被害者となる犯罪が多発する一方で、凶悪な殺傷事件も続発しております。日本の治安の現状については、誠に憂慮すべき状況にあると確認しております。
 国民が安心して暮らせる安全な社会を再生することは最重要課題であると受け止めております。関係諸機関と連携しながら、治安の回復に向け最大限の努力をしてまいりたいと思っております。
#159
○井上哲士君 終わります。
#160
○委員長(渡辺孝男君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後零時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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