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2004/11/04 第161回国会 参議院 参議院会議録情報 第161回国会 法務委員会 第4号
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2004/11/04 第161回国会 参議院

参議院会議録情報 第161回国会 法務委員会 第4号

#1
第161回国会 法務委員会 第4号
平成十六年十一月四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       内閣府副大臣   七条  明君
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       政府広報室長   林  幹雄君
       金融庁総務企画
       局長       増井喜一郎君
       金融庁総務企画
       局審議官     鈴木 勝康君
       金融庁監督局長  佐藤 隆文君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省民事局長  房村 精一君
       厚生労働省年金
       局長       渡辺 芳樹君
       経済産業大臣官
       房審議官     寺坂 信昭君
       中小企業庁事業
       環境部長     鈴木 正徳君
   参考人
       日本政策投資銀
       行副総裁     山口 公生君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○民法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府大臣官房政府広報室長林幹雄君、金融庁総務企画局長増井喜一郎君、金融庁総務企画局審議官鈴木勝康君、金融庁監督局長佐藤隆文君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君、厚生労働省年金局長渡辺芳樹君、経済産業大臣官房審議官寺坂信昭君及び中小企業庁事業環境部長鈴木正徳君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(渡辺孝男君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に日本政策投資銀行副総裁山口公生君を参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(渡辺孝男君) 民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○吉田博美君 自由民主党の吉田博美でございます。
 民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。
 今回の民法改正案は、大きく二つに分けて保証契約の適正化と民法の現代語化、二つだと考えますが、保証契約の適正化につきましては、この見直しの発端ともなった背景として商工ローン等による過酷な取立てが社会的な問題となったことが考えられますが、これも一つではないかと思います。また、民法の現代語化につきましては、法律の中に一般の国民が理解できない、あるいは現代では使われていない語句が用いられているとすれば、それは現代語に書き換えることは至極妥当なことだと考えます。
 さらに、債権譲渡特例法改正案の柱は動産譲渡登記制度の創設と債権譲渡登記制度の改正だと考えますが、これらは、在庫等の動産や債権者不在、不特定の将来債権を担保として資金調達を円滑に進めたい企業のニーズにこたえるものと理解しておるところでございますが、そこで幾つかの質問をさせていただきます。
 まず、民法の一部改正についてお伺いいたします。
 金融実務における保証の実態についてどのように認識しておられるのでしょうか。特に、中小企業向け融資における経営者等の個人保証の現状をどのように認識しておられるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
#8
○政府参考人(房村精一君) 中小企業の経営者等の個人保証についての実態でございますが、経済産業省が本年の二月に東京商工会議所と大阪商工会議所の会員企業を対象としたアンケート調査を行っております。
 その結果に基づきますと、おおむね次のようなものとなっておりまして、まず、企業が融資を受ける際に経営者等による個人保証が行われているかどうかという点でございますが、経営者が個人保証している企業が七〇・五%でございます。経営者以外の第三者が個人保証をしている企業が一六・四%ということになります。したがいまして、大半の企業において何らかの形で個人保証がなされているという実情にございます。
 次に、その個人保証の保証契約の形態でございますが、まず、経営者が個人保証をしている場合、特定の債務を対象とする保証契約によるものが四七%でございます。それから、継続的に発生する不特定の債務を対象とする根保証契約、これが五一・一%でございます。その根保証契約を更に細かく見ますと、期間及び限度額の定めのないいわゆる包括根保証、これが根保証契約によるもののうち四六・六%、約半数でございます。期間又は保証金額の一方に制限がないものという形で見ますと、根保証契約の八〇・九%になります。
 それから、今は経営者の個人保証の場合でございますが、第三者が個人保証をしている場合を見ますと、根保証契約は二六%でございます。その二六%の根保証契約のうち、保証期間及び保証金額が制限のない包括根保証契約によるものの割合は三七・九%となっております。これが、期間又は保証金額、そのどちらかに制限がないものという形で見ますと、根保証契約のうち七二・三%がそういうどちらかの制限がないものということになります。
 以上のように、全般的に見ますと、中小企業向けの融資におきましては、経営者等による個人保証が広く用いられておりますし、その中でも包括根保証契約が利用される割合が高いということが言えようかと思います。
#9
○吉田博美君 今、経産省のデータに基づいての御答弁でございましたが、いかに個人の根保証が高いかという率をお答えになったわけでございますが、私自身やっぱり一番お聞きしたかったことは、民事局長は現実的に本当に、個人保証をして、いかにその個人保証された皆さん方が苦しい思いをされ、ある意味では地獄を見たとか、また家族が離散するとか、いろんな現状があって、あるいは尊い命を絶たれるとかという、この個人保証の、特に根保証の中で、高い率の中であるわけでありまして、私はこのことはむしろ、先ほど商工ローン等が社会的な問題になってこのことが起きたということを申し上げたわけでございますが、これはもう古くて新しい一つの課題ではないかと思います。
 実は、私もそのような経験をしておりまして、私自身、山口県の生まれでございます、井上哲士先生もそうでございますが。山口県の人間がなぜ長野県へ行って参議院議員になったのかと言われますと、父の仕事の関係でと、こういうようなお話をさせていただくわけでございますが、現実のことを申しますと、この保証人というものが大きな私のこの長野県から出たことの要因でございまして、実は、今から四十六、七年前のことでございますから記憶も定かでないわけではございますが、私の父が事業をやっておりまして、比較的裕福な生活を送っていったわけでありますが、ある日、父親が連帯保証人になりまして、他人の保証でございますね、友人の保証人になって、そのことだけじゃないと思いますし、もちろん放漫経営もあったと思いますが、会社が倒産をしてしまって、その前に本当に、借金取りというんですか、今でいうと町金融というんですか、高利貸しがもう毎日のように、私もまだ十歳に満たない年でありましたが、毎日のようにうちへきて、本当にいい加減にしてほしいという嫌な思いをしておりました。そうしたら、ある日、おじさんたちが来て、私のうちに来てどんどんどんどん紙を張っていくんですよ。何の紙を張るのかと思って、キョンシーじゃありませんけれども、紙を張っていくわけですよ。何だと思って、これがどうも差押えということで、もうこの机も使っちゃいけないんだよと言われたときに非常にショックを受けまして、そして、私の両親は子供たち三人を祖母の、母方の祖母のうちに預けて、トランクを提げて山梨の方に出稼ぎに行くわけですよね、山口から。私ども残された子供たちは、例えば学校へ行きますと、子供の口に戸はたてない、他人の口に戸はたてないというようなもんで、子供って親から聞いたことをそっくりそのまま言うんですね。山口弁で言いますと、おまえのお父ちゃんは借金もぐれになって山梨の方に逃げた。本当に嫌な思いをしまして、逃げた逃げたと。そして、親の参観日になりますとおばあちゃんが来るわけですよね。おまえのところの梅干しばばあが来たぞというふうなことで言われるわけですよ。
 本当に悔しい思いをして、まあ考えてみたら、おまえ、そうした苦労をしたことが今日あるんじゃないかと、非常にたたかれても強いたくましさがあるんじゃないかということを言われておるわけでありますが、そんな嫌な思いをやっぱりしたときに、何でこういうことがって。普通だと、本当にうちのお父ちゃんが悪いことをして、悪いことをして何か家族が嫌な思いするならまだ分かりますよね。人のために善意でいいことをして判こを押してあげたために家族が離散の状況になって、そしてまあ、これは私がポジティブに考えて、これはいい経験だと思っておりましたけれども、その中に幼いときのトラウマのごとき保証というものに対する非常な、あるわけですよね。
 で、私の父親が私が成人になったときに成人の贈る言葉として言ってくれたことが、一つには、おまえ、絶対に他人に迷惑は掛けないような人間になれと、もう一つは、間違っても請け判を押すなよということを父親が私に言ったわけですよね。請け判の本当に悲惨な状況というのは、本当に民事局長、これ御理解をしていただきたい。この現状の中で、私はできるだけ早くこの法案を通してほしいというのは、私の四十数年間、七年間に及ぶ一つの自分のこのうっせきしたものを晴らしたいという気持ちが強くて、そうした中で質問に立っているわけでございますが。
 ところで、保証制度の見直しの目的は、中小企業融資において過大な責任を負いがちな保証人の保護を図ることにあると認識をしております。今回の見直しに対する中小企業団体の意向はどのように反映されたのでしょうか。また、この見直しによって中小企業がかえって融資を受けづらくなるおそれはないのでしょうか。お聞かせをいただきたいと思います。
#10
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回の保証制度の見直しというのは、中小企業の特に経営者等が保証人になることによって過大な責任を負わされて、非常にその家族も含めて悲惨な事態を招いていると、こういう御指摘を受けて、その保護を図るために今回検討をしたものでございます。
 そういうことで、当然、最も利害関係のある中小企業の方々の御意向というものを尊重するということから、この審議をいたしました法制審議会の保証制度部会の委員として中小企業団体の推薦を受けた方に加わっていただいて、十分その意見を審議の過程で参考にさせていただいたということもございますし、また、審議の途中で中間試案を公表いたしましてパブリックコメントに付しました。それにつきましては、当然中小企業団体の方々からの御意見もいただいております。そういう意見を踏まえまして今回の案を策定したものでございます。
 中小企業団体の方々の意見といたしましては、まずは保証人保護の観点から、保証人が予想を超える過大な責任を負わないようにということが強く求められたわけでございます。しかしながら、同時に、個人保証を過度に規制する結果としていわゆる貸し渋り等が生じて中小企業に対する円滑な金融が阻害されると、そういうことを懸念する声も同時に強く主張されました。
 今回の審議の過程でやはり一番私どもとしても考えましたのが、経営者の方々あるいは第三者で保証人になる方々の責任を適切な範囲にとどめると、そういうことと同時に、制限が強くなり過ぎて金融に貸し渋りが生ずるというようなことのないように、その調和をどういう具合にしていくかということに十分配慮したつもりでございます。その過程では、先ほど申し上げましたように、最も利害関係のあります中小企業の方々を十分、意見を十分参考にさせていただいたというつもりでございます。
#11
○吉田博美君 十分に参考にしていただきたいということはもちろんのことでございますが、ところで、今回の見直し案では対象を銀行融資の根保証契約に限定をされているわけでございますが、その理由についてお聞かせをいただきたいと思います。
#12
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回の法案ではこの制限の対象を銀行融資の根保証契約に限定しております。
 根保証契約は、銀行融資以外にも、継続的な商品の供給契約であるとかあるいは賃貸借契約という様々な場で用いられております。そういうものについて、今回も見直しの対象とすべきではないかという議論もあったわけでございます。ただ、例えば銀行融資一つを取り上げましても、先ほど申し上げましたように、保証を制限した場合にそれが金融の実務慣行にどういう影響を与えるのか、貸し渋りにつながらないかと、そういう点を十分調査しないとなかなかどの程度の制限が適当かということが判断できないという関係がございます。
 これは銀行融資以外の様々な根保証契約についても同じでございます。特に銀行融資以外のものは非常に様々な形態の契約がございますので、そういった各種の契約についてそれぞれ保証をどの程度制限したらどういう影響が出るかということを審議をしないと適切な結論がなかなか得られないだろうと。ところが、それをやっておりますと非常な時間が掛かることが予想されるわけでございます。
 一方、特に銀行融資の包括根保証に基づく弊害というのは非常に強く主張されておりますし、その救済というのは緊急を要すると、こういう具合に言われておりますので、そのバランスの中から、当面最も救済の必要性の高い銀行融資に関して今回絞って議論をして早急にその対応策を見いだすべきではないかと、そういうことになりまして、今回の見直し案では銀行融資の根保証契約に対象を限定したものでございます。
#13
○吉田博美君 まあ、銀行というところは、景気がいいときだとか金を貸すときは、借りてくれ借りてくれと言ってもうとにかく毎日日参されておみえになるわけでありますが、ちょっと景気が悪くなってその企業の調子が悪くなって貸してくれと言うと、保証人はどうされますか、こうですから企業内容を教えてくださいって、これほど厳しいところはないんじゃないかなというふうな感じがするわけですよね。
 その銀行の人たちが、ややもすれば自分のところが不利になるようなこの法案をどのような考え方でおられるのかということで、実際、金融実務への影響を考えますと、貸す側の意見も聞く必要があると思いますが、金融機関はこの保証制度に対してどのような意見を述べておられるのでしょうか。
#14
○政府参考人(房村精一君) 先ほど、今回の見直しの対象は銀行融資の根保証契約と申し上げましたが、これは分かりやすく、やや不正確でございまして、対象としては貸金等についての根保証契約ということで、決して銀行に限定しているわけではございませんので、訂正をさせていただきます。
 それから、今、金融機関等の意見をどう聞いたかという点でございますが、金融機関等この法律で大きな影響を受けますので、法制審議会の委員にもその推薦を受けた委員に入っていただいて意見を述べていただきましたし、また、パブリックコメントについての御意見も寄せていただいております。
 その中で金融機関の方々の最も懸念しておりましたのは、今回の保証制度に対する制限によって円滑な金融を阻害することにならないかと、こういう点を強く懸念をされておりました。具体的には、今回の法案では保証期間について五年を超える期間を、定めを無効として、しかも定めのないときには三年ということで、必ず保証期間を定めるという結果になるわけでございますが、それにつきまして金融機関から、特に経営者が保証人になっているような場合に何年かごとに必ず契約を更新していかなければならないとするのは、相当事務的に銀行にも経営者にも負担になるのではないか、特にその期間が、更新を迫られている期間に例えば海外出張であるとか病気になるというようなことで更新が滞ってしまうとその段階で融資が順調に受けられなくなると、そういう心配があると、こういうような御意見もいただいたところでございます。
 ただ、この点につきましては、やはり保証人の保護の観点からすると、必ず期間を定めて何年か置きに保証意思を確認するという方が合理的ではないかということから今回の法案に至ったものでございます。
#15
○吉田博美君 さて、保証契約は書面でしなければその効力は生じないものとしていますが、理由は何でしょうか。
 金融機関との取引は、保証を含めて例外なく書面で行われていると聞いておりますが、今回改めて法律で定める意義についてお聞かせいただきたいと思います。
#16
○政府参考人(房村精一君) 現在の民法の原則は、契約というのは意思の合致があれば成立すると、特に書面によらなくてもいいというのが原則でございます。
 ただ、保証契約というのは無償で情義に基づいて行われるということが普通でございますし、また、その契約締結の時点では現実に保証債務の履行を求められることとなるかどうかが不確定であると。このようなことから、保証人において自己の責任を十分に認識していないままその契約を結んでしまうということもありがちであると言われております。
 そういうことから、この保証契約の締結を慎重ならしめ、また保証意思が外部的にも明らかになっている場合に限ってその法的拘束力を認めるということが望ましいと、こう考えまして、保証契約につきましては書面でしなければその効力が生じないとしたわけでございます。
 御指摘のように、金融実務において、保証契約をする場合にまず例外なく書面で行われるということだろうと思いますが、やはり一般に保証契約を考える場合には先ほどのような特質がございますので、金融機関や貸金業者が当事者となる場合に限らず、広く一般に書面によらない保証契約は法律上無効であるとすることが保証契約の締結を慎重にするということを法律上も明確にする意味で意義があるのではないか、こう思っております。
#17
○吉田博美君 理解しました。
 さて、極度額の定めのない根保証契約は無効としていますが、その契約はどのように扱われるのでしょうか。また、極度額ということよりも限度額と言った方が私ども分かりやすいわけでございますが、どう違うのか、その点もお聞かせいただけますでしょうか。
#18
○政府参考人(房村精一君) まず、言葉の面でございますが、極度額と言うより限度額と言う方が分かりやすいのではないかという。
 確かに、日常の用語的には限度額と言った方が分かりやすいのかなとも思うわけでございますが、実は民法では根抵当権につきまして既に極度額と、要するに、抵当権で担保される債権の上限を画する概念として遅延損害金等も含めた上限を極度額と呼んでおりますので、今回の保証契約の制限でも全く同じような性質の上限額でございますので、同じ民法の中で違う言葉を使うとかえって法律としては分かりにくくなるだろうということで、抵当権で用いられている極度額という言葉をこの保証契約でも用いることとしたわけでございます。
 それから、当然、保証人の責任の上限を画するのがこの極度額でございますので、今回の法律では極度額を定めない根保証契約は無効ということにしておりますので、保証人になるという約束をいたしまして書面を作りましても、その極度額が定められていなければ一切その保証の責任は負わないということになります。
#19
○吉田博美君 しつこいようですけれども、民法の現代語化をせっかく法案を提出をされておるんですから、これも、根抵当のやつも変えられた方がむしろいいんじゃないかなというような感じがするところでございます。
 極度額の定め方について、当事者の合意にゆだねるとのことでございますが、保証人の支払能力に応じた適正な範囲にとどめる規制が必要ではないでしょうか。その点についてお聞かせいただけますか。
#20
○政府参考人(房村精一君) 確かに、極度額でその責任の上限を画するとしても、その極度額は、極端に高額を定めてしまえばその保護にならないのではないかという、そういう意見も審議会の中でも出まして、その点についても検討を加えたわけでございます。
 ただ、実際に取引当事者が極度額を定める場合には、主たる債務者の資金需要であるとか保証人の支払能力であるとか、その他様々な状況を考慮してその額を定めることになるだろうと思いますが、仮にその極度額として定める上限を法律で制限しようということになりますと、今言ったような様々な事情を法律の中に書き込むというのは非常に難しいことになります。極めて抽象的な要件で今度はこれを記載いたしますと、果たしてその法律要件として、具体的に定めたこの額が法律に違反しているかどうかということの判断が非常に難しくなります。
 そういたしますと、かえって紛争を招きかねない。それからまた、その判断が難しくなりますと、金融機関としてもその極度額の定めが無効になるということを恐れて融資に慎重になってしまうおそれもあると。そのようなことから、やはり当事者の双方の判断にゆだねるというしかないのではないかという結論になりまして、最終的には、この極度額の定め方についての制限を法律で規定することはしないということとなったわけでございます。
#21
○吉田博美君 ただ、貸す側の方がどちらかというとこういう下で強いわけでありますから、両者の合意でということになりますと、どうしても極度額というのは、銀行はあの銀行でございますから、きっと倍ぐらいのとかなんとか、その辺の極度額ということで持ってきたときに、借りる側はまた同じような条件になってしまったと。私のような不幸な目に遭うことが二度とないような形にしていただくということで、このことは、もう少しまた我々も、よりこれからの中で審議をしていかなきゃいけないんじゃないかなという感じが強くするところでございます。
 次に、元本確定期日とはどのような意味を持つのでしょうか。また、元本確定期日前の債務について、期日後に保証人はどのような責任を負うことになるのでしょうか。
#22
○政府参考人(房村精一君) 根保証契約と申しますのは、保証契約の締結した時点ではどの債務を保証するかが確定をしていないという性質でございますので、その期間の最中に新たに融資がなされますとその保証すべき債務の額が増えていきますし、弁済がされて消滅いたしますと減少していくということで、保証の対象となる債権の額が変動しているわけでございます。
 この元本確定期日というのは、その変動している債権の額をその日で確定をしてしまう。そうしますと、それ以後は新たな保証の対象となる債権は増えない。仮に貸付けがありましても、その期日より後で課されたものについては保証の責任を負わないという、そういう性質のものでございます。したがいまして、この元本確定期日になりますと、そこで保証の対象となる額が決まりまして、それ以後は保証人としてはその決まった額についての保証債務を負担しているという、そういう状態になります。
#23
○吉田博美君 五年よりも後の日を元本確定期日と定めた場合、いつ元本が確定することになるのでしょうか。これは、もちろん五年以内という法律になっているんですけれども、まあ場合によっては五年以上やる場合もあるんじゃないかと思うんですけれども、ただ確認の意味で。
#24
○政府参考人(房村精一君) 今回の法案では、例えば契約を締結した日から六年先の日を元本確定期日と定めたといたしますと、この元本確定期日の定めは無効ということになります。
 したがいまして、元本確定期日の定めがない契約と同じということになりますので、この法律では、元本の確定期日の定めのない契約については契約の日から三年を経過した日に確定をするということになりますので、三年で確定をするということになります。
#25
○吉田博美君 その次に聞こうと思いましたけれども、これはまた同じ答弁になると思いますのであえてお聞きしませんが。
 それでは、主たる債務者が債権者から差押えを受けた場合又は保証人が死亡した場合を元本確定事由としていますが、その点についてお聞かせをいただきたいと。
#26
○政府参考人(房村精一君) 例えば、今回の法案に従って三年なら三年、四年なら四年の期間を定めた場合、原則としては、その期間についてはずっと保証の責任を負っているわけでございますが、例えば債務者の財政状況が悪化して債権者がその財産を差し押さえると、あるいは競売の申立てをすると、こういうような事態が起こり得るわけでございます。そういたしますと、貸主としては、債務者の財政状況が悪化したということを心配して強制執行をしているわけでございますので、それ以後に融資をする場合、当然そういう危険な状態であることを知りながら更に融資をしているということだろうと思います。
 保証人の立場からしますと、そういう危険な状態であることを認識しながら更に追加の融資をしたものについてまで保証の責任を負わされるというのは保証人にいささか酷ではないか。そういうことから、差押えであるとか破産の開始決定があった場合にはそこで元本を確定させるということとして保証人の保護を図ったものでございます。
 それから、債務者あるいは保証人が死亡した場合、そこで確定するということですが、これは先ほども申し上げましたが、保証というのは個人的な、人的な信頼関係があって保証をしているということが通常でございますので、その一方が死亡した場合にはそこで確定をさせるということがその性質に合致しているのではないか、こういう観点から確定事由としたものでございます。
#27
○吉田博美君 さて、信用保証協会や民間保険会社が債務履行をした場合に、この求償債務に対して個人が保証した場合についてどのような措置が講じられているのでしょうか。
#28
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、信用保証協会等が保証をする場合には、その信用協会等が保証債務を履行して、主たる債務者である会社に対して求償権を取得する、その求償権に対して会社の経営者が個人保証をするということが一般に行われております。この場合、その経営者は債権者に対して直接の保証をしたわけではございませんが、求償債務という形で結局その会社の債務を保証しているのと同じ状態にありますので、これについて適切な保護の措置を講じませんとやはり過大な責任を追及されるおそれがあるということは同じでございます。
 ただ、その経営者の保証会社に対する求償権の保証というのは、いわゆる根保証とは契約上性質が違いますので根保証の保護をそのまま当てはめるわけにはまいりませんので、今回の法案では、そういった法人が保証をして、その保証に基づいて取得する求償権に対して個人が保証をしていると。こういう場合には、その保証会社の保証契約に限度額及び期日、ああ期日、失礼しました、その期間の定め、これがない場合には、その保証契約、経営者の個人のする保証契約を無効とすると、こういう形で実質的に保護を図っております。これでほぼ直接根保証契約を結ぶ場合と同様の保護が図られると思っております。
#29
○吉田博美君 もうこの保護を図らないとこの法案自体の意味がないんじゃないかと思うんですよね。
 私、国会議員になる前の県会議員時代に、私のところへ支持者の方が飛んでまいりました。飛んでというか、もう本当に大変な顔をして血相を変えて来られましたのは、今のは個人の経営者なんですけれども、実は、個人の経営者が銀行からお金を借りるときに信用保証協会に保証してもらったと。ところが、信用保証協会から、あなたはもうこれだけの債務があるから、あなただけの保証じゃ駄目ですよと。だれか持ってきなさいと言うから、義理の弟さんのところに頼まれて、その義理の弟さんはその保証をしちゃったと。そうしたら、六千万円からの今度はあれが出て、限度額がないものですから全部そこへ来ちゃったと。とてもじゃない、私やっていけないということで、私もその御相談に乗って、これは圧力じゃございませんが、信用保証協会に行きまして、とにかくこれをローンで払わせてくれと、一括で六千万はとてもじゃないですから。最近お聞きしましたら、ようやくそれも返せたということでほっとしているところでございますが。
 本当にそうしたことも現実にあるわけでございまして、せっかくの法案作っても、求償債務の点できちっとした保護をしていないと、これまた保証人に結果的には同じような状況になってしまうんじゃないかなと思っておりますので、まあ、まだこの法案について、まだまだひとつ、いろいろなことの中で審議をしなきゃいけないこともあるんじゃないかというような感じがしているところでございますが、次に移らしていただきますが。
 現代語化について質問をいたします。
 戦後五十九年を過ぎた今、ようやく片仮名、文語体から現代語に書き換えられることになりますが、法務大臣、率直にこの件についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。御感想でございます。
#30
○国務大臣(南野知惠子君) これまでの民法、今回も見せていただきました。改めて見てみますと、やはり片仮名混じりで本当に読みにくいなと思ったりいたしております。現在の国民の方々にはなかなか理解しにくい点が多いのではないかな、そのように思っており、不親切な法律だなというふうにも、書き方だなとも思ったりいたしておりました。それが正直な感想でございます。
 この点を改める法律案を今回提出することになりました。今まで五十九年も時間が掛かり過ぎていたじゃないかというようなこともございますけれども、私といたしましては、現代語化の必要性を身をもって痛感している一人でございます。
 そういう意味もありまして、何とぞこの法律案の成立を早くしていただきたいものだというふうに思っております。
 以上です。
#31
○吉田博美君 これまで現代語化するためにどのような検討が行われたのでしょうか。また、今まで書換えにかなりの期日を要しておりますが、その理由についてお聞かせいただきたいと思います。
#32
○政府参考人(房村精一君) ただいま大臣からも御答弁申し上げましたように、民法の現代語化、大分時間が掛かっております。法務省といたしましては、民法をできるだけ国民に分かりやすく現代化する必要があるというのはかねてから感じていたところでございまして、平成三年から民法学者を中心とする研究会を設けましてその具体的な検討を行ったわけでございます。
 一応その成果は平成八年にまとまったわけでございますが、その後、御承知のように、非常に民事基本法に関する立法が相次ぎました。特に商法等について毎年のように改正を行いましたし、また倒産法制全般についての立法作業もありました。また、民法についてみましても、成年後見であるとか中間法人であるとか様々な改正がなされると。そのような立法作業に追われましてなかなか民法全体を現代語化する作業が進まなかったわけでございますが、やっとある程度まとまりましたので、今年の八月にその現代語化案を公表いたしまして、パブリックコメントに付しまして広く国民から意見を求めまして、その結果を踏まえて今回の法案ということで提出をさせていただいたわけでございます。
#33
○吉田博美君 次に、債権譲渡特例法の一部を改正についてお伺いいたします。
 この改正案の目的は、企業の資金調達を円滑にすることだとも考えますが、動産や債権譲渡の公示制度が整備されることによる経済効果をどのように見込んでおられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#34
○政府参考人(房村精一君) 現在の金融実務につきまして、不動産それから保証というものに過度に依存し過ぎているという御指摘があるわけでございます。そういうことから、今回、不動産あるいは保証に過度に依存しないそのほかの金融手法を開発するということを考えまして、今回の動産あるいは債権譲渡の公示制度の整備を法案とさせていただいたものでございます。
 これは、特に企業の在庫商品等相当の額のものがございますが、現在の法律の下では、譲渡担保で活用する、しかしその譲渡担保の権利の公示手段が十分整備されていないためになかなか活用されていないと、こういう指摘がありましたので、これを動産の譲渡についての登記制度を用意することによりまして、在庫商品等を譲渡担保あるいは流動化に利用する場合に、その譲渡を公示することによって融資をする側あるいは資金調達をする側の法的地位を高めると、これによって新たな融資が得られる、あるいは資金調達ができるということを考えたものでございます。
 このアンケート調査等によりましても、相当の事業会社がこういった動産の公示制度が整備されればこれを利用してみたいというような御意見もあるようでございますし、銀行等でもそういった取組もあると聞いておりますので、今回、こういった法律を整備をいたしますと、動産あるいは将来債権を活用した企業の資金調達が促進されるのではないかと、こう思っております。
#35
○吉田博美君 そこで、我が国の動産を利用した担保制度には、先ほども触れられましたが、どのようなものがあるのでしょうか。また、現行の金融実務においてはいずれも利用は低調なようですが、その要因はどこにあるとお考えなんでしょうか。
#36
○政府参考人(房村精一君) 動産を利用した担保制度としては、民法では質権の制度がございます。これは、動産を債権者が言わば手元に取り上げまして、自分でそれを確保しておいて融資をすると、こういう制度でございますが、そういう形で債権者の占有下に対象物が移ってしまうものですから、企業としてそれを引き続き利用するということが不可能になると。こういうことから、特に企業の融資では余りこの質権が用いられてはいないというのが実情でございます。
 法律に規定はございませんが、この担保のために動産を債権者に譲渡をすると、そして債務を弁済した場合にはその所有権が戻ってくると、弁済できない場合には確定的に債権者がその動産の所有権を取得して引き揚げられると、こういう形で利用されているのが譲渡担保でございます。
 これ、かなり利用はされておりますが、御指摘のように、金融全体の中で見ますとその利用率は低いわけでございます。その理由もいろいろあろうかとは思いますが、まず一番大きな理由としては、その動産の譲渡担保を利用した場合に、融資をした人がその所有権を取得していますが、それを公示する手段が不完全である。現在の民法で申し上げますと、そのお金を借りる人が自分のものを所有権を移転します、それ以後は債権者のために占有をしますという、占有改定と申しておりますが、それによって権利の対抗要件を充足するということになっておりますが、これは占有関係は従前と全然変わらない、同じ人がそのまま使い続けているわけでございますので、外から見たのでは分からないわけでございます。
 そういうことから、融資をする方は自分の権利を十分公示する手段が整っていないということでどうしても不安の念を持つ、そういうことが指摘されております。そういうことから、今回それを登記という手段で公示をいたしますと、第三者から見てもその譲渡担保権者が権利を持っているということが分かるので、その権利関係が不明確で不安だという点について対策が講じられるのではないかと、こう思っているわけでございます。
#37
○吉田博美君 権利をより明確にするということが大事ではないかと思うわけでございますが、この動産譲渡登記制度を利用した資金調達は具体的にどのような方法で行われるのでしょうか。
#38
○政府参考人(房村精一君) 幾つか考えられるのは、まずは今申し上げたような譲渡担保、いわゆる担保として提供すると。その場合に、例えばこの倉庫にある在庫商品、これを一括して担保に供しますと、そういう利用の仕方が考えられます。その場合には、もちろん在庫商品ですので営業の過程でだんだん減っていくものもあるわけですが、同時に新たに入ってくるものもある。その場合に、そういった正常な取引の過程で在庫商品として出ていくものについては担保から外れますと。しかし、その代わり新たに入ってくるものについては個々に所有権移転の合意をしなくても当然に担保となりますと。こういう形で譲渡担保として用いられると。その権利関係を公示するということが一つあります。
 それからもう一つは、いわゆる流動化でございます。例えば、その在庫商品であるとかあるいはそういったものを特定目的会社に譲渡をいたしまして、その特定目的会社がその譲渡を受けた対象物からの収益、そういったものを背景に証券を発行する。そういたしますと、その証券の販売代金を譲渡代金として債務者に渡せますので、そこで資金調達ができる。その特定目的会社はその譲渡を受けたものを背景にその収益等で証券を償還をしていくと。こういう形の流動化、これに利用されるということが考えられるわけでございます。
#39
○吉田博美君 かなり難しいような感じがするんですけれども、ある程度、おおむね理解をしているところでございますが。
 動産譲渡登記の対象を法人が行う動産の譲渡に限定した理由は何なんでしょうか。また、目的について何の制限もないようですが、問題はないのでしょうか。
#40
○政府参考人(房村精一君) 今回の動産譲渡登記制度、法人が行う譲渡に限定しておりますが、これは、今回の制度の目的が、先ほどから申し上げておりますように、企業の資金調達の円滑化を図るということでございますので、法人が行う動産の譲渡を対象とすれば、その目的を事実上達することができるということが一つございます。
 それからもう一つ、確かに個人事業者の方々もいらっしゃるわけですが、個人事業者の方々にこの動産譲渡登記の利用を認めると、逆に、その事業用資産の範囲に限らず、生活に必要な動産までその担保に提供することを許容される事態が生ずるのではないか。これ、実際にも商工会議所からの今回の意見の中にも、そういったおそれがあるのでやはり法人に限定した方が望ましいと、こういうような御意見もいただいております。そういう懸念があるということから法人に限定をいたしました。
 それともう一つは、動産譲渡登記を登記したことを調査して、だれがどういうものを譲渡しているかを調べられないといけないわけ、分からないといけないわけですが、この動産譲渡登記は不動産登記等と違いまして、譲渡をした人を単位としてその言わば登記簿を編成していかなければならないと。
 そういうことから、その譲渡をした人が、例えば個人を認めますと、住所等が移転してしまいますと、その前後の同一性を確保するのが非常に難しくなります。しかし、法人が対象でありますと、法人には法人登記がございますので、それとの連動で商号の変更であるとか本店の移転があっても追跡をしてその同一性を確認できると、こういう仕組みが組み立てられますので、そういった面からも法人に限定する必要性があったということでございます。
#41
○吉田博美君 その譲渡の目的物である動産について個別動産と集合動産の区別をしておられませんけれども、その趣旨は何でしょうか。
#42
○政府参考人(房村精一君) その譲渡の目的及び目的物、先ほど譲渡の目的について制限がないという点についての答弁が漏れておりましたので、若干その点を補足させていただきます。
 まず、譲渡について、特に担保に限定しておりません。これは先ほど申し上げましたように、利用として大きく想定されておりますのが譲渡担保とそれから流動化のための譲渡でございます。流動化のための譲渡は所有権そのものを完全に移転してしまうという性質でございますので、法律的には通常の譲渡と差がない。そういうことから、流動化を取り込むためにはやはり譲渡一般に広げる方が妥当ではないかと。
 それから、担保目的あるいは流動化目的の譲渡に限定をいたしますと、その登記をされた譲渡が本当にそういう担保目的あるいは流動化目的なのかどうかという争いが事後的に起きる可能性があります。その目的が違うから登記が無効だというような形で争いが起きますと、せっかく登記制度を設けて権利関係を安定させようと思いましたのに、それがかえって紛争の種になってしまうと、そういうおそれもあるということから、譲渡の目的について特段の制限を課さずに広く譲渡そのものを対象としたわけでございます。
 その譲渡の目的物につきましては、御指摘のように個別動産と集合動産と両方を含んでおります。先ほどの御説明ではいわゆる在庫商品のような集合動産を例に挙げましたが、実際の譲渡担保の利用といたしましては、そういった在庫商品のような集合動産もございますが、同時に、高額な機械設備、こういうものについては個別的に譲渡担保に供するということも現実に広く行われております。
 審議の過程でも中小企業等からは、そういった個別動産についての譲渡担保もこの今回の登記制度を利用できるようにしてほしいと、こういう御意見がありましたので、今回その双方をこの登記の対象とするということといたしたものでございます。
#43
○吉田博美君 ところで、個別動産の中には自動車のように別途に登録登記する制度があるものがありますよね。これらの動産の譲渡についても動産譲渡登記をすることができるのでしょうか。その点についてお聞かせいただきたいと思います。
#44
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、例えば自動車で申しますと、これは動産でございますが、現在、法律で登録を受けた自動車につきましては、その登録を受けなければその所有権の得喪を第三者に対抗できないと、こういたしております。
 したがいまして、それとの関係で、今回の動産譲渡登記も民法の対抗要件をその登記で満たすという形でございますので、先ほどの例で申しますと、自動車につきましては、やはり登録を受けてしまえばその登録を優先させるのが現在の法律の趣旨だろうと思いますので、今回の動産譲渡登記では、そういった登録を受けた自動車の所有権移転の対抗はこの動産譲渡登記では扱わないと、こういう形で整理をしております。したがいまして、既に設けられております登録制度等を優先するということになります。
#45
○吉田博美君 ちょっと、先ほど御答弁いただいたわけであります。ちょっと再度お聞きするわけでございますが、同じような件でございますが、集合動産としては在庫商品が考えられますが、これを動産譲渡登記をした場合、登記後に入庫した商品についても登記の効力は及ぶのでしょうか。
#46
○政府参考人(房村精一君) 在庫商品等の集合動産があるわけですが、こういったものについては、例えば、この会社のこの倉庫にあるこういった在庫商品というような形で登記をすることを考えております。これは、当事者間の契約では当然、その倉庫に入ったものは当然担保の対象になるんだと、こういう合意があるのが通常でございますので、登記の面でも、その登記されております場所に入って、いわゆる集合動産の中に入ってくれば当然にその登記の対抗力がそれについても及ぶという形で考えております。
#47
○吉田博美君 入ってきたものは登記に及ぶ、出ていったものはもう登記に及ばないということになると、その辺が現実なものとして、動産登記をする場合、これ非常に難しい点があるんじゃないかなと思うんですけれども、これも一つの課題になるんじゃないかと思っているところでございますが。
 さて、登記事項の開示につきまして、概要は何人にも開示し、すべての登記事項は当事者等に限定していますが、すべて開示したらいいんじゃないかと思うんですけれども、その点についてもお聞かせいただきたいと思います。
#48
○政府参考人(房村精一君) 確かに、動産を譲り受けようとする場合に、その動産が既に譲渡担保に供されているかどうかということを知りたいというのは当然の要求でございます。そういう点から考えますと、できるだけ多くの人が動産譲渡登記の内容を知り得る方が望ましいわけでございます。ただ、一方、先ほど申し上げたような集合動産であるとか、そういったものを考えますと、登記内容を見ますとその企業がどういう資産を持っていると、そういう資産内容等が分かるわけでございます。これは企業によりましては営業秘密あるいは事業戦略にもかかわる事項で、そうむやみに人に知られたくないと、こういうこともございます。
 そういうことから、登記事項の証明につきまして、登記事項概要証明書と登記事項証明書の二種類を作りまして、概要証明、この人がこの人に動産を譲渡していますと、それが登記されていますと、そういった概要の分かる部分、これにつきましては何人にも開示をする。しかし、具体的にどういった動産を譲渡しているかといった細かいところまで分かるものについては利害関係者に限定をする、そういう形で開示をしております。
 例えば、譲渡人からこれを譲り受けようと思って、それが譲渡担保に供されているかどうかを知りたいという場合には、先ほど申し上げたような概要事項証明書を取りまして、およそ、譲渡担保に供して、動産譲渡をしていなければ、登記がなければ、それが登記されている心配はありませんので問題はないわけですが、何らかの形で譲渡があるということが分かれば、それでは事項証明書、詳細な証明書を取って自分に見せてくれということを相手方に要求をすれば、相手方は当事者ですから当然事項証明書を取れますので、それを示すことによって自分の今新たに譲渡しようとしているものはこの登記には含まれていませんということを証明できる。
 こういう形で取引に立とうとする者の保護を図ると同時に、登記をした者が自分の営業秘密等に属するようなことを不用意に第三者に知られたくないという要望を満たすということを考えたわけでございます。
#49
○吉田博美君 今のこの概要の問題でございますが、登記事項の概要を証明する書面として登記事項概要証明書と概要記録事項証明書という二種類が設けられているわけですが、これ一つにすればいいと思うんですけれども、何でそれを二つにされているのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
#50
○政府参考人(房村精一君) 確かに、登記事項概要証明書と概要記録事項証明書という名前も紛らわしいものがあるわけですが、実は、今御説明しましたように、動産譲渡登記そのものについて見ますと、登記事項証明書とそれからその概要を証明する登記事項概要証明書の二種類がございます。この証明書は動産譲渡登記をしている登記所が発行するものでございます。
 この法律では、動産譲渡登記は指定する登記所で扱うということで、当面東京法務局一か所で扱うということを考えておりますので、今申し上げた登記事項概要証明書とそれから登記事項証明書はその動産譲渡登記を直接扱っているところが、現在で申しますと東京法務局が発行するということになろうかと思います。
 もう一つの概要記録事項証明書というものについて御説明いたしますと、動産譲渡登記そのものは東京法務局で扱いますが、これは、先ほど申し上げたように、譲渡人を単位で編成をしております。会社ですので、その商号が変更されたり本店が変更される場合がございます。それを個別的に動産譲渡登記を、本店の商号の変更があったときにその都度動産譲渡登記を変更していくというのは事務的に到底できないものですから、その代わりに、本店の所在地にそういう登記についての概要事項を記録したファイルを用意いたしまして、そちらを調べればその会社が譲渡登記をしているかどうかが分かるというようにする仕組みを今回考えております。
 現在の、債権譲渡登記で申しますと、東京法務局一か所で債権譲渡登記を扱っておりますが、それぞれの譲渡人の商業帳簿、いや失礼、商業登記、法人登記にその債権譲渡をしたかどうかを記録をして、その会社の商業登記を見ればその会社が債権譲渡をしているかどうかが分かるようにすると、こういう仕組みにしております。
 ところが、これにつきましては、商業登記を取るとその会社が債権譲渡をしているかどうかがみんな分かってしまって、信用不安につながるというような御指摘がありました。そういうこともありまして、今回、この動産の譲渡登記をして、同じような仕組みを作るときに、これもまた、商業帳簿に書くとまたそういう信用不安の問題を惹起しかねないということから、今回、債権譲渡につきましても動産譲渡と同様に、本店所在地の商業登記には直接記入をせずに、別のファイルを作ってそこで管理をするということといたしました。
 で、その商号変更とか本店所在地の移転があった場合には、それを本店所在地の登記所で管理をしております概要ファイルに反映をさせると。で、取引に立とうとする者は、例えばその会社が商号変更があったというようなときには、その本店所在地の概要ファイルを見ればその会社が動産譲渡登記あるいは債権譲渡登記をしているということが分かるような仕組みにしております。
 これを、債権譲渡登記をしているところ、あるいは動産譲渡登記をしている東京法務局に直接調べましても、商号変更があった場合、商号変更前の登記しか残っていませんので、変更後の商号で調べた場合に登記が見付からないと、そういうことがあり得るわけでございます。そういう場合に対応して、本店所在地の方にそういう概要ファイルを備えて、本店所在地を見れば必ず商号変更等があっても過去やっていたことが分かるような仕組みにしております。
 そういう本店所在地で調べたときの証明書としてこの概要記録事項証明書というものを出すということでございまして、名称も非常に似ておりますし、内容的にも同じようなことを証明するわけでございますが、今言ったように、発給する登記所が違うということと、それからその目的が、やはり商号変更等があった場合に備えて、当事者のそういう変動があっても間違いなく追跡できるようにということで設けられているものでございます。
#51
○吉田博美君 時間も参りましたので、債務者不特定の将来債権とは具体的にどのようなものを言うのでしょうか。
#52
○政府参考人(房村精一君) 典型的なのは、例えば一棟のマンションを、それぞれの部屋を賃借人に賃貸していると、こういう場合に、このマンションの賃料、今後十年分というようなことを考えますと、その途中で賃借人が変わってしまうという場合もあり得るわけですが、その変更後の賃借人の債務が正に契約時点では債務者不特定の将来債権ということになります。
 ただ、債権としては、例えばこのマンションの今後十年分の賃料債権という形であれば債権としては特定はできている、ただ債務者がまだ現段階では不特定であると、そういったものが典型例でございます。
#53
○吉田博美君 最後になりましたが、登記存続期間を十年以内とした根拠をお聞かせいただきたいと思います。
#54
○政府参考人(房村精一君) 動産譲渡登記は、動産の種類というのは無限にありますので、登記をそのままにしておきますとどんどんどんどん登記がたまってしまう。これはコンピューターで処理しておりますが、当然限界がございますので、いつまでも放置をしておくと、それはシステム的に非常に負担が掛かるということがございます。
 実際の取引を見ましても、通常、譲渡担保については三年から五年程度で見直しをしているのが実情で、十年を超えるということはほとんどないと、こういう指摘を受けておりますので、十年間の有効期間を定めておけばそれで目的は達せられるだろう、十年を過ぎたものについては順次抹消をしていくと、こういうことによってシステムの負荷を軽減するということを考えたものでございます。
#55
○吉田博美君 以上で終わります。
#56
○前川清成君 民主党・新緑風会の前川清成でございます。
 まず冒頭に、大臣に対して政治と金の問題をお尋ねしなければなりません。
 一部マスコミでも報道されましたが、自由民主党本部の政治資金収支報告書によりますと、平成十三年二月八日に大臣個人に対して二百九十八万二千二百四十円、平成十三年三月八日に大臣個人に対して九百七十九万九千百円が、いずれも研修会費という名目で支払われております。
 まず、この支払の事実があるかどうか、お答えいただきたいと思います。
#57
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 お尋ねの出金につきましては、党が開催する女性局の研修会やまた会合の開催実費であります。これらの研修会や会合につきましては、当時、女性局長であった私が事務局から説明を受けまして稟議決裁をしておりました。実際にお金を受け取るのは事務局でございまして、私はその支払に立ち会うことはございませんが、その金額を研修会や会合に係る費用の支払に充てるという報告は受けてございます。
 それで、今、日にちもおっしゃっておられました、平成十三年二月八日の二百九十八万二千二百四十円は、二月九日に開催しました全国女性部長会議の実費経費でございます。さらに、三月八日の九百七十九万九千百円は、三月十二日に開催しました女性局全国大会や女性部長会議の実費経費であるということの御報告を受けております。
#58
○前川清成君 今、使い道等は順番にお聞きするつもりで、まずお受け取りになった事実についてお尋ねしたんですが、今の御答弁は、大臣個人がお受け取りになったことは否認すると、こういう御趣旨ですね。
#59
○国務大臣(南野知惠子君) 否認ということではなく、これは……
#60
○前川清成君 認めないという意味。
#61
○国務大臣(南野知惠子君) はい。否認ということではなく、これを稟議決裁しております、私が女性局長という立場で。そういうことで申し上げております。
#62
○前川清成君 いや、今大臣にお聞きしていますのは、自由民主党本部の収支報告書には大臣個人に対して支払ったとなっているんです。ですから、私はまず、使い道とか聞く前に、大臣個人がお受け取りになったんですか、こうお尋ねしたんです。それに対するお答えは、お答えは、大臣のお答えは、私は受け取っていません、決裁しただけですと、こういうことでよろしいですか。
#63
○国務大臣(南野知惠子君) そのとおりでございます。
#64
○前川清成君 それじゃ、これは大臣にお尋ねすることでないかもしれませんが、自由民主党本部の収支報告書は、大臣個人が受け取っていないお金を大臣個人に支払ったとして報告していると、こういうことですね。
#65
○国務大臣(南野知惠子君) 先生のお尋ねは、なぜ南野知惠子個人にあてて出金されているのかということにもなるわけでございますが、これらのお答えといたしましては、研修会費及び会合は党の女性局が開催するものでございます。当時、私が女性局長の立場にあったものでありますので、私にあてて党が実費を支払ったものということでありますが、政治資金規正法にのっとって適正に報告しているということでございまして、お金を直接私が手にしていることではないわけでございます。
#66
○前川清成君 大臣がその女性局長をなさっていたとかいう点は、もう御答弁いただきましたから承知しておるんですがね。
 今のお答えは、要は、当時、大臣が女性局長をしておられた、だから研修会をやったその実費なんだと、こういうことですよね。その研修会をやるのは大臣個人じゃなくて自由民主党女性局ですよね、研修会の主催はね。
#67
○国務大臣(南野知惠子君) さようです。
#68
○前川清成君 そうであれば、研修会費は、研修会費は、大臣個人に支払われるのではなくて、党主催なんですから、党から例えばその会場となったホテルに支払うとか、それが適正な、真実をそのまま反映した収支報告書ではないかと。大臣個人が使ってもいない、大臣個人がもらってもいないのに収支報告書には大臣個人が受け取ったとなっているというのは、真実をそのまま反映していない、このように考えますが、いかがでしょうか。
#69
○国務大臣(南野知惠子君) それは党の経由のお話でございまして私には分かりませんが、恐らく、私が女性局長の立場にあり女性局関連の研修会や会合について私が稟議決裁いたしていることから、その支出については私の名前を使用されたものと思っております。
#70
○前川清成君 じゃ、もうこれ以上は聞きませんが、今のお答えは、要は自民党に対して南野大臣が名義貸しをなさったと、こういうことですか。
#71
○国務大臣(南野知惠子君) 名義貸しとかなんとかでありませんで、私が実際、女性局長の立場でございますから、党のそういう会合につきましては私が稟議をする立場にあったということでございます。
#72
○前川清成君 ちょっと今日は民法改正でいろいろお尋ねしたいことありますので次に移らせていただきますが、まあいずれにしても、今の答弁については国民の皆さん方がお判断いただけるんじゃないかと思います。
 それで、百九条についてお尋ねします。
 民法百九条のただし書で、ただし書を書き加えたのは、善意無過失でないと保護しない、すなわち百十条、百十二条と同じ意味なんだということの確認ですね。
#73
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回の改正案におきましては、民法百九条の代理権授与の表示をした者についての表見代理に対しまして、ただし書で、「第三者が、」「代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。」と、こういう条項を付け加えております。
 これは、現行の百九条の解釈といたしまして、善意無過失を要件とするということが確立した判例、通説でございますので、今回の改正に当たりましてそのことを明示するという趣旨で入れたものでございます。
#74
○前川清成君 民事局長、いろいろ聞きたいことがあるので、もう、はいか、いいえで答えられることは、はいか、いいえだけで結構です。
 同種の条文としては、四百七十八条も同じような改正と、こういうことですね。この四百七十八条のほかに同種の改正があるかどうか、善意無過失要件を加えた改正があるかどうか。あるかないかで結構です。
#75
○政府参考人(房村精一君) 御指摘の二か条以外にはございません。
#76
○前川清成君 百七十七条なんですけれども、単に第三者に対抗できないという文言そのままで、この条文については善意悪意を加えていないんですけれども、百七十七条で言う第三者は悪意であっても保護されると、こういうことですね。
#77
○政府参考人(房村精一君) この点につきましては、判例では悪意であってもということもございますし、また学説的にもいろいろあるようでございますが、その点について変更を加える趣旨ではございません。現行法の内容をそのまま移したということでございます。
#78
○前川清成君 九十四条二項の条文なんですけれども、これについては無過失を書き加えてないんですね。九十三条との対比でいいますと、九十三条は善意無過失を要件としています。これ、九十三条は無過失も要件として、九十四条については無過失を要件としないのはなぜか。特に、九十四条についても、真実の権利者の犠牲において第三者を保護する以上は無過失を書き加えるべきではないかと、このように考えますが、いかがでしょうか。
#79
○政府参考人(房村精一君) まず九十四条二項について申し上げますと、判例では無過失を要件としておりませんが、学説の中には無過失を要求する見解とか、少なくとも重過失でないことを要求するというような見解もございます。
 この点につきましては、そういった主張に影響を与えないという趣旨で、今回、現行法どおりの内容を口語化したにとどめたというわけでございまして、積極的にこの無過失を要件とするかしないかについて判断を示したという趣旨ではございません。
#80
○前川清成君 ちょっと今のお答えが理解できなかったんですけれども、結局は積極的な判断をこの立法に当たって何らここは書き加えていない、こういうふうに要約してよろしいですか。
#81
○政府参考人(房村精一君) 九十四条二項については御指摘のとおりでございます。
#82
○前川清成君 九十四条に限らず、他の条文について積極的に書き加えていない点は従来の解釈にゆだねる、こういうことであって、立法者として特別の意思を表示していないと、こういうことでよろしいですか。
#83
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のとおりでございます。
#84
○前川清成君 次に、新聞の報道なんですが、来月から婚外子の戸籍について、非嫡出、非嫡出子の戸籍について、その続柄を変更すると、記載を変更すると、こういうふうに出ていますが、これはまずそのとおりか、そしてどのように変わるのか、どのような理由で変わるのかという点をお聞かせいただきたいと思います。
#85
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、十一月一日から婚外子の親との続柄欄の記載の仕方を変えるということとしております。
 現行法では、失礼、現行の取扱いにおきましては、嫡出子の場合には出生の順序に従いまして長男、次男、長女、次女というような記載の仕方をするのに対しまして、非嫡出子につきましては男又は女という記載の仕方をしております。これを今後は、非嫡出子につきましても嫡出子と同様の長男、次男と、あるいは長女、次女と、そういうような記載の仕方に改めるということでございます。
 その変更を加える趣旨でございますが、これにつきましては、従来、法律上、嫡出子と非嫡出子の区別があるので、それを戸籍面においても明確にするという趣旨で続柄欄の記載を変更をしていたものでございますが、判決におきまして、現在の戸籍の記載の仕方は非嫡出子のプライバシーを害しているというような指摘がなされたということもありまして、私どもで検討をした結果、嫡出子、非嫡出子の区別は戸籍全体の記載を見れば判断可能であって、あえて続柄欄の違いを設けるまでのことはないであろうと、こういうことから、そういった指摘も踏まえ、また要望もあることを入れまして、嫡出子と非嫡出子の記載の差をなくすということとしたものでございます。
#86
○前川清成君 この続柄の変更ですけれども、これは法務省において自動的に変更されるのか。すなわち個々の非嫡出子の方から申出がなくても変更するのかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
#87
○政府参考人(房村精一君) 今後受け付ける分については最初から同じ記載にいたしますが、既になされている記載につきましては、申出のあった場合にこれを更正するということとしております。
#88
○前川清成君 その申出があれば変更されるということを非嫡出子の方に対してはどのような方法で周知されるんでしょうか。
#89
○政府参考人(房村精一君) 現在、ホームページ等に広報しておりますし、また市町村等についてもそういう連絡をしておりますが、更に多くの方々に知っていただくための広報の努力をこれからしていきたいと、こう思っております。
#90
○前川清成君 少し大臣と議論させていただきたいんですけれども、今の民事局長の答えですと、要は、非嫡出子は戸籍から自分が明らかに非嫡出子だと分かるような記載を抹消して、抹消したいと思うのが当然の人情だと思うんですけれども、今の民事局長の説明だと、わざわざ法務省のホームページを見た、たまたま法務省のホームページを見た人でないと気が付かない。これではせっかくの改正の趣旨が十分徹底できないんじゃないか。もう少し法務省としてお金も使って広報に努めるべきではないかと考えるんですが、大臣はいかがでしょうか。
#91
○国務大臣(南野知惠子君) 様々な事情があることを踏まえながら、できるだけ現在の方法がうまくいきますように広報その他で考えていきたいと思っております。
#92
○前川清成君 先日、山東議員からの質問に答えて、大臣は、中国大陸から引き揚げてきて、そして新しい命が生まれ出す、生まれ出る、そういう手伝いをしたい、こう思って助産師という職業を選択したんだというふうなお話をされまして、少し感動したんですけれども。
 生まれ出てくる命、これについて私はいずれも尊いものだと、嫡出子であっても非嫡出子であっても。すなわち父母が法律上の婚姻関係にあるか否かを問わず、ともに尊いものなんだと考えるんですが、大臣はいかがでしょうか。
#93
○国務大臣(南野知惠子君) 人の命は尊いものである、それはもう先生のお考えと同じだと思います。
#94
○前川清成君 同じように大臣もお考えいただくように、同じように尊い命でありながら、父母が法律上の夫婦であるかないかによって相続上差別があるということは御認識いただいておりますでしょうか。
#95
○国務大臣(南野知惠子君) はい、それは存じ上げております。
#96
○前川清成君 この九百条、民法九百条四号ただし書なんですけれども、今回の改正でどうしてこの点に手が加えられないのかという点をお伺いしたいと思います。
#97
○国務大臣(南野知惠子君) 嫡出子でない子供さんの法定相続分の問題になろうかと思いますが、それは婚姻制度又は家族の在り方、そういうものにかかわる大変重要な問題点であろうかなと思っております。
 各方面でいろいろな御議論があることは、これは承知しております。いろいろな意見がありますが、大方の国民の理解を得ることができるような状態、そういうような状態でなければ制度の改正はなかなか思うようにいかないのではないか、そのようなことを考えておりますので、是非、多くの御議論をしていただきたいと思っております。
#98
○前川清成君 私も今ここで家族制度の問題等を議論するつもりはありません。ただ、生まれ出てきた子供にとりましては、非嫡出子にとりましては、自分のお父さんお母さんが法律上の夫婦であったかどうか、これは自らのあずかり知らないところでありまして、この非嫡出子差別こそ生まれによる差別ではないかと、このように考えますが。
 このような生まれによる差別、いつまでも放置しておくことはできないんじゃないか。家族関係に、家族について、家族の在り方について国民の間にいろんな議論があることは承知していますが、それと非嫡出子差別とはまた区別して考えなければならないのではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。
#99
○国務大臣(南野知惠子君) 繰り返して申し訳ありませんけれども、多くの国民の皆様が御議論された上にそのような方向に意見が向くようでございましたら、それは当然法の改正ということは必要になろうかと思っておりますが、現行のままでございます。
#100
○前川清成君 大臣御自身の見解としては、この非嫡出子差別についてはどのような差別だとお考えになっておられるんでしょうか。
#101
○国務大臣(南野知惠子君) それは、家庭の問題又は婚姻の制度、日本の国に決められている約束事でございますので、その約束は今現に生じているものと思っております。
#102
○前川清成君 ちょっと今答えがよく分からなかったんですが、ごめんなさい、ほかにも聞きたいことが今日、今いろいろありますので、次に移らせていただきます。
 それで大臣、今回、提案理由を御説明いただいた際も、この改正によって分かりやすい民法にしたいんだ、表現や形式の面でも民法を身近で分かりやすいものにすると、こういうふうにおっしゃっていただきました。また先ほども、現行民法が不親切だな、こういうふうに感じたと、こういうふうにおっしゃっていただきました。この御認識自体そうなんだろうと、私もそのように思っておるんですけれども。
 そこでお尋ねするんですが、今回、この民法改正に当たって、民法を分かりやすくするための改正である今回の改正に当たって、四百四十六条の三項という条文が書き加えられています。この四百四十六条の三項の意味について大臣御自身からお答えいただこうとは思いませんが、思いませんが、この四百四十六条三項という条文を例えば、大変失礼、恐縮なお尋ねですが、大臣御自身が御理解いただけるのかどうか、大臣自身が理解して中学生にも分かるような日本語で説明できるのかどうか、この点、お尋ねしたいと思います。
 私は弁護士なんですが、この四百四十六条三項という条文をこのまま読んだだけでは到底理解することができません。どうしてもっと平易な日本語を使わないのかな、こういうふうに思っておりますので、そういう趣旨で大臣にお尋ねいたします。
#103
○国務大臣(南野知惠子君) ベテランの弁護士先生が御理解できないのは私にとっては理解できないのが当然でありますので、これから勉強していきたいと思っております。
#104
○前川清成君 いや、私が申し上げたいのは、法務大臣でさえちょっと理解しづらいような日本語をこの民法に使っていいのかどうか。法律は難しい、裁判は怖い、国民の皆さんがそのように認識しておられる。それを改めよう、身近な司法を作ろうというのが今回の司法改革の眼目ではないかな、このように考えておるんです。この四百四十六条三項の表現こそ司法改革が克服するべきものだと考えていますが、大臣、いかがでしょうか。
#105
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、四百四十六条の三項、これは契約をいわゆるコンピューター、電磁的な記録で行った場合も書面と同じにするという趣旨でございますが、確かになかなか一読して直ちに分かるという条文でないのは御指摘のとおりだろうと思います。
 ただ、これはなかなか、日常用語でコンピューターというようなことで申しておりますが、そういったコンピューターで処理できるような形の記録ということを法律的に正確に言い表そうと思いますとなかなか難しくなってしまってこういう条文になっているわけでございます。
 私どもとしても、今後もできる限り分かりやすい条文にしていきたいという思いで努力をいたすつもりでございますが、なかなか法律的な正確性という要求もございますので、その点は御理解をいただきたい、今後も努力をしていきたいと思っております。
#106
○前川清成君 今、民事局長の方から、この四百四十六条三項は、契約はコンピューターでしていても有効ですよということを表す条文だとおっしゃいましたけれども、その御答弁自身は正しいんですか。民事局長。
#107
○政府参考人(房村精一君) 電磁的な記録でやった場合にもそれを書面でやったのと同視するということでございます。
#108
○前川清成君 だから、電磁的記録というのはコンピューターということですよね。それならどうしてそう書かないんですか。
#109
○政府参考人(房村精一君) 要するに、契約内容を記録したもの、その記録がどういうものかということでございまして、それは正にここに書いたように電磁的な記録、「電子計算機による情報処理の用に供されるもの」という、その前提として電子的方法、磁気的方法その他、他人の知覚によっては認識することができない方式と言っておりますのは、これは媒体で申しますと、例えばフロッピーもありますし、それからCD―ROMもあります。あるいは、最近ではUSBメモリーのようなものもございます。そういった媒体と記録方法と両方が重なってくるものですから、そういったものを広く含もうと思いますとこういったような書き方になってしまうという、そういう技術的な面もございます。
#110
○前川清成君 ちょっと民事局長の説明自体もよく分からなかったんですけれども、次に四百四十六条の二項、これは双方が、契約当事者の双方が同一の書面に署名捺印あるいは記名押印しなければならない、こういう趣旨ですか、そうではないか、お尋ねします。
#111
○政府参考人(房村精一君) 今回、四百四十六条二項では書面でしなければ効力を生じないとしておりますが、具体的にどのような書面によるべきかは定めておりません。参考になりますのは書面によらない贈与に関する民法の五百五十条でございますが、この場合の書面につきましては、贈与したものを保護するためのものであることから、贈与契約書である必要はなく、贈与者による意思の、贈与の意思が明確に示されており、かつ贈与の目的財産が特定され得る書面であれば足りるというのが確立した解釈でございますので、今回のこの保証契約についても同様の解釈になるのではないかと思っております。
#112
○前川清成君 先ほど吉田議員の方からも指摘があったんですが、銀行取引においては一般的にその双方が、銀行と借主あるいは保証人のその双方が署名捺印、記名押印すると、そういう契約書方式が用いられずに、銀行はサインしない、で借主あるいは保証人だけが記名捺印して、署名捺印して差し入れるという差し入れ方式が使われています。ですから、この四百四十六条二項の条文で差し入れ方式もやはり有効になると、このように考えますが、銀行と借主あるいは保証人が対等な当事者であるならば、一方的に差し入れさせる、銀行に対して義務だけ負担するというような形式、これは適当でないのではないか、このように考えていますが、いかがでしょうか。
#113
○政府参考人(鈴木勝康君) ただいま御指摘のありました点につきまして御説明させていただきます。
 銀行取引におきます契約締結方式におきましては、今御指摘のありました取引先が署名捺印した文書を銀行に差し入れる方式があると同時に、やはり取引先と銀行の双方が署名する方式、これもある、両方あるということでございます。
 御指摘の点につきまして、当庁としまして銀行に対しその説明責任をどういうふうに的確に履行するかという点でございますが、銀行が顧客と保証契約等を締結する際に、顧客に対してその契約の内容等について適切かつ十分な説明が行われることが極めて重要であると認識しておりまして、こういった銀行に対して説明責任の的確な履行を求めているところであります。
 具体的に……
#114
○前川清成君 聞かれてないこと、いいから。
#115
○政府参考人(鈴木勝康君) はい。以上でございます。
#116
○前川清成君 もう僕の、ちょっと一杯聞きたいから、今のように聞かれてないことはもう答えないでください。僕の聞いたこと、答えてないじゃないですか。
 あなた、今、差し入れ方式と契約方式と銀行には両方種類があるとおっしゃったけど、じゃ、借主は選択できるんですか、銀行の実務において。例えば、あなたが銀行にお金借りに行って、僕が契約書方式でないと借りませんと言ったらどうなるんですか。帰ってくださいと言われるんじゃないんですか。そこを聞いているのに、何が説明責任どうこうで二種類ある。そんなこと聞いてない。実際に銀行において、例えば銀行の頭取も印鑑押した契約書で住宅ローン契約が組まれることあるんですか、ないでしょう。
#117
○政府参考人(鈴木勝康君) 契約締結方式でどちらが一般的かというお尋ねかと思うんですが、私ども、その両者あるというふうに認識しております。やはり、今御指摘いただいた点におきましても、貸手と借り手の関係でどういった契約内容になるかという点でありまして、そういったものにつきましてはいろいろ、そういった両者の方式があるというふうに認識しておるわけでございます。
#118
○前川清成君 両者があるというんだったら、両者があるという答えだったら、それは自民党も民主党も反対ですわ。もっと勉強してください。実際そんなこと絶対ないよ。その差し入れ方式にして、そのコピーだって言わないと渡さない、それが実際の銀行の実務です。調べてください。
 で、この差し入れ方式だといろいろ不都合な点があると思う。まず、どの点が不都合があるのか、ちょっと自分の想像力で答えてみてください。
#119
○政府参考人(鈴木勝康君) 重ねてのお尋ねでございますが、やはりそれは個々それぞれ……
#120
○前川清成君 もういいわ、そんなこと。
#121
○政府参考人(鈴木勝康君) 借り手と貸手の関係でいろいろな契約方式があるんだというふうに認識しております。
#122
○前川清成君 もう、委員長、あの方には答えていただかなくて結構です、時間の無駄ですから。
 それで、まず、四百四十六条二項が差し入れ方式でも構わない、そして銀行実務において差し入れ方式が一般的に使われているとなると、保証契約をせっかく書面でして外形的に表すというような立法趣旨でこの改正がされたとしても、現実の問題として、保証人の元には、保証人の手元には保証契約をしたという外形的な事実が残らない。だから、例えば銀行が保証金額を改ざんしたとしても、それに対して自らを防御する物理的な手段がない、証拠方法がないということになります。
 また、例えば保証人が亡くなったとき、相続人においては、契約書があったら、ああ、うちのお父ちゃん、こんだけ保証人になってはんねんなと分かるけれども、契約書がなかったら、差し入れ方式で、銀行の手元には文書は残っているけれども、保証人の元には文書が残ってなかったら、相続人はその自らの債務の範囲を確定しようもない。こんな事実があるので──もういいって、あなた答えなくていい。こういう事実があるということをまず御指摘したいと思います。
 それで、貸金業規制法においては、その十七条、貸金規制、貸金業規制法十七条においては貸金業者に書面交付義務が課されています。これに対して、銀行には書面交付義務が課されていません。だから、この機会に、この機会に、銀行その他与信を行う者すべてに対して書面交付義務を課する、そのような立法が必要だと考えますが、いかがでしょうか。
#123
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、貸金業法にはそういった書面交付義務があるわけでございますが、銀行法においてはそういった直接な明示的な規定はございません。
 ただ、先ほど、さっき鈴木審議官の方から申し上げましたように、監督指針上こういった説明責任を果たすためにいろんな形での書面交付を含めた説明をしなければ、含めた説明責任を果たさなければいけないというような規定、監督指針を設けておりまして、仮にこれが守れない場合には業務改善等の行政上の措置を講ずることができるということになっております。
 いずれにいたしましても、銀行法と貸金業法それぞれ目的、趣旨がちょっと違っておりますので、貸金業法自体の義務付け規定をそのまま銀行法に持ってくるというのは、まあ私どもとしてはちょっと趣旨になじまないかなというふうに思っております。
#124
○前川清成君 今のお答えは、今のお答えは、銀行法に基づいて書面交付義務は課していない、課していない。しかしながら、銀行の監督に際しては、書面交付をするように指導していて、書面交付をしていなかったら業務改善命令を出していると、こういうことですね。はいか、いいえで。
#125
○政府参考人(増井喜一郎君) 報告徴求の上でそういったことを出し得るということでございます。
#126
○前川清成君 違う。出し得ると出しているとは全然違うよ。僕が今聞いているのは、そんなもの、聞かれたことを正面から答えてください。時間の無駄だから、ね。
 あなたが言ったことを僕は今要約したんや。銀行法上は書面交付義務課されていないけれども、金融庁から各銀行に対する指導に当たっては、借主に対して、保証人に対して書面交付を指導していると、で、その指導に違反があったならば業務改善命令を出していると、こういうことですね。
#127
○政府参考人(増井喜一郎君) 私が申し上げましたのは、銀行法上は確かに明示的な規定はございません。ただ、施行規則等でそういった説明責任を果たさなければいけないということが書いてございます。そういったものについて果たしてないような状況にあるならば業務改善命令等を出し得るということでございまして、今先生の御指摘のあった出しているかどうかということについては、今のところ出した例はございません。
#128
○前川清成君 その答えが変わっているじゃないですか、答えがね。説明義務があるかどうかなんて質問してないでしょう。書面交付のことを聞いている。
 それと、あなたに偉そうに教えられなくても、司法上の当然の義務として説明責任はありますよ。銀行は偉いから説明せぬでええなんて、そんなむちゃむちゃなこと、あなたは考えているんですか。
 僕が──もういい。僕が言いたいのは、銀行に対して書面交付を指導しているのか、いないのか。している、していない、はっきり答えてくださいよ、その点だけでいいですから。
#129
○政府参考人(鈴木勝康君) 昨年七月に事務ガイドラインというのが……
#130
○前川清成君 しているか、していないかだけでいいです。
#131
○政府参考人(鈴木勝康君) ございまして、その原則として、契約者本人に契約書等の契約内容を記載した書面を交付することとしているか等のそういったことを、当局が銀行の内部監視管理体制の検証を行う際の着眼点を明確にいたしております。
 そして、今年度の事務、検査基本方針、監督方針においても、そういったことを重点検証の項目として注力することといたしております。
#132
○前川清成君 いや、聞かれたことに答えてください。聞かれたことに答えてください。
#133
○政府参考人(鈴木勝康君) 原則として、契約者本人に契約書等の契約内容を記載した書面を交付することとしているかといった点につきまして、検証を行う際の着眼点ということで明確にしております。
#134
○前川清成君 何でそういう分かりにくい日本語を使うんですか。書面、せめてコピーを渡しなさいよというふうに指導しているんですか、していないんですかという質問なんです。検査に当たっての着眼点なんて聞いてないでしょう。これ前行かへんやんか、質問が。
#135
○政府参考人(鈴木勝康君) 指導しているところでございます。
#136
○前川清成君 指導してなかったら、ごめんなさい、指導しているから、指導しているから、コピーを渡さなかったときは業務改善命令を出すんですね。
#137
○政府参考人(増井喜一郎君) ただいま、先ほど御説明をいたしましたように、そういった説明責任を果たしていないというふうなことが報告を受けて認められれば、そういったことが業務改善命令も含めて適切な対応を取るということでございます。
#138
○前川清成君 その貸金業規制法において書面交付義務を明確に書いていると。銀行法においては書面交付義務は書いてないけれども、金融庁の検査に当たって書面交付を指導している、これに違反したら業務改善命令を出しているというのであれば、銀行に対しては事実上、書面交付義務を課しているのと同じでしょう。そうであれば、銀行法においても、別に銀行に限らず、信用金庫や信用組合、すべての与信者に対して、与信者に対して書面交付を義務付けないと、消費者の方は、お金を借りる方は自らを防御しようがない、そのように考えてますが、いかがですか。
#139
○政府参考人(増井喜一郎君) お答え申し上げます。
 私ども、銀行、まあ信用金庫その他貸金業も含めて所管をしておりますが、すべての与信者ということになりますといろんなケースが考えられると思います。私どもの範囲を超える話だと思いますけれども、少なくとも私どもの業法については、先ほど申し上げましたように、銀行法ではそういった対応をしているということでございます。
#140
○前川清成君 何でそういう役人のような解釈するのかな。分かってますよ。業として与信を行う者に対してでないと、あなた方監督の対象にならないんでしょう。そんなこと分かってますやん。近所のおっちゃんとおばちゃんの金の貸し借りについて書面交付を言っているんじゃなくて、業として許可を取って金の貸し借りをやる者に対してはすべてと、こういう意味です。
#141
○政府参考人(増井喜一郎君) 先ほどちょっと申し上げましたが、銀行法ではそういった義務化をしておらないわけでございます。これは……
#142
○前川清成君 そんなことを聞いてない。分かっているから。だから、新しい民法はどうかという趣旨の質問です。
#143
○政府参考人(増井喜一郎君) はい。それはそれぞれの法律の趣旨、目的が違うというふうに私ども思っておりまして、銀行法のように参入制限を非常に厳しくして、あるいは監督・検査を非常に厳しい形でやっている、そういった業と、それから、貸金業のように、ある意味で登録という要件で参入を許しておりますので、比較的自由に参入できると、そういった業とでは、それぞれの業の規制の掛け方というのはやはり違うんではないかというふうに思っております。
#144
○前川清成君 ちょっとこれにこだわりたくないんだけれども、答えが理解できないから最後に聞きますけれども、銀行とサラ金とでは規制の仕方が違うというのはどういう意味ですか。今、あなたがおっしゃったように、銀行に対しても金融庁は、事実上、書面交付義務を課しているわけでしょう。そうであったら、そのことをいわゆる役人の指導でやるんじゃなくて、法律で明確に定めた方が公明正大だと考えるのが私の感覚ですけれども、あなた方はそうじゃなくて、国会でそんなことを決めてまたややこしい質問をされるよりは、自分たちのさじ加減にさしてくれと、こういうことですか。
#145
○政府参考人(増井喜一郎君) 私どもの裁量について申し上げているわけではございませんが、いずれにいたしましても、銀行というのは、先ほど申し上げましたように、相当参入が厳しくなっておりますので、ある程度いろんな形での監督あるいは検査が行われているわけでございます。
 一方で、貸金業というのはいろんな業者がおりますので、さらに、それをあえて参入制限を、厳しい参入制限でなくて登録という制度にいたしておりますので、そこの監督の仕方もまた違ってまいります。
 いずれにしても、そういったことで業者に対する監督あるいはそういう規制の掛け方ということは違ってしかるべきじゃないかというふうに思っております。
#146
○前川清成君 ちょっと質問から、質問に対して正面に答えてもらえないんですけれども、それはもう故意的だろうと思いますから、ほかにも聞きたいことがありますので次の質問に移ります。
 サラ金や商工ローンの問題についてなんですが、サラ金や商工ローンが極度額を白地で契約書を作ったならば今回の改正によって無効になると思いますが、白地のまま契約書を作ってサラ金や商工ローンにおいて補充した場合、これは民事上直ちに無効となるのかどうか、及び行政上の処分はどうなるのか、この点をお聞きしたいと思います。
#147
○政府参考人(房村精一君) 根保証についての極度額、これを書面に記載いたしませんと保証契約は無効でございます。ですから、その契約書を作成した時点で空欄にしておいて後で補充をすると、こういう約束をしておりましても、それは保証契約として無効でございます。
#148
○政府参考人(増井喜一郎君) お答えいたします。
 貸金業者が白地のまま保証契約を締結することについては、貸金業法の十七条二項において、保証期間や保証金額等を明らかにする書面を保証人に交付しなければならないというふうになっております。さらに、その同法の施行規則十四条一項において保証債務の極度額等が規定されておりまして、それを書面交付の内容として、失礼いたしました、書面交付の内容として保証債務の極度額等が規定されておりまして、白地のまま保証契約を締結することは規制をされております。それに対して、仮にそういった法的記載事項のない書面を交付した場合には罰則の対象になるということでございます。
#149
○前川清成君 今の答えは十七条、貸金業規制法の十七条二項違反で、三十六条一号で業務停止の対象になりますと、こういうことでしょう。あなたのような頭のいい人なんだから、こういう端的に答えてくださいよ。
 それで、この貸金業規制法の三十六条一項なんですけれども、法文では、業務停止をしますじゃなくて、業務停止を「命ずることができる。」と、こういう条文になっています。こういう条文だと業務停止を命ずるかどうかはまたやっぱり金融庁のさじ加減一つなんかな、こういうふうに思ってしまうんですけれども、今日現在で結構ですから、貸金業者の数と、その三十六条一項違反で業務停止を命じた数、この双方についてお答えいただきたいと思います。
#150
○政府参考人(鈴木勝康君) 十六年三月末の業者の数は二万三千七百八でございます。平成十六年一月から十月末までの間に財務局登録及び都道府県の登録の貸金業者に対して行われました行政処分の合計は七百十八件でございます。
#151
○前川清成君 今の答えはうそをつきましたよね。僕の質問に対して故意的にうそをつきましたよね、今。
#152
○政府参考人(鈴木勝康君) 補足させていただきますが、貸金業者が保証額や極度額を白紙のまま保証契約を締結する行為、これにつきましての行政処分に、対象になり得るところでありますけれども、その実績についてはここでは把握してございません。
 以上でございます。
#153
○前川清成君 今の答えは、僕がぼうっとしていたらうそのまま通ったと、こういうことでしょう、違いますか。
#154
○政府参考人(鈴木勝康君) もう一度申し上げますと、処分件数七百十八件と申しましたのは、そのうちお尋ねのあった業務停止は六十八件でございまして、残りの六百五十件につきましては登録取消しということでございます。
#155
○前川清成君 私は、先ほど三十六条一項で業務停止を命じた件数は何件ありますかと、こう聞いたら七百何件だとおっしゃった。あなた、うそをつきましたねと今問い直したら、六十八件だとおっしゃった。明らかにうそをつきましたよね、今。
#156
○政府参考人(鈴木勝康君) 私、議員の御質問に対しまして基本的なキーワードを聞き落としておりまして、そして全体の数を申し述べましたことはおわび申し上げたいと思います。
#157
○前川清成君 国会の審議ですから、よく聞いて答えてください。それと、何度も言いますけれども、質問から正面に答えてください。
 それで、今のお話だと、世の中に貸金業者が二万三千件ありますと、そのうちで業務停止を命じたのが六十八件だ、そのほかの理由を入れても年間七百件だと。七百件となると、全国に都道府県が約五十あって、そこの貸金業課も処分できるわけですから、およそ月一件ということですよね。二万三千件に対して月一件のペースでしか処分していないとなると、これはほとんど手を抜いているんじゃないかと思わざるを得ない。
 貸金による被害が少ないんだったら、ああ、皆さんきっちりと営業しておられるんだなということで納得できるのかもしれないけれども、去年だって九千人もの方が経済苦で自殺をしておられる、二十万人もの方が自己破産に追いやられている。貸金による被害はあるはずなんです。あるのにどうして月一件ペースでしか処分がされないのか、この辺が大変不満に思いますし、不思議に思います。もしかして金融庁というのは貸金業者を保護するための官庁なのかな、貸金業規制法というのは貸金業を保護するための法律なのかな、そんなふうな疑問を思っています。
 その点について、この貸金業規制法の運用等についてどのような基本的な認識でおられるのかについてお答えください。
#158
○副大臣(七条明君) 今先生からのお話のように、いろいろな形で、今、貸金業を取り巻く環境の中で厳しい問題やら、あるいは不祥事が出てきておることはよく知っておるところでございます。
 しかしながら、貸金業規制法は、特にその第一条一項の「目的」の中にもありますように、貸金業につきましては、先ほども申し上げたとおり、登録制度を実施をし、その事業に対して必要な規制を行うとともに、貸金業者の組織する団体の適正な活動を促進することにより、その業務の適正な運用を確保し、もって消費者を含めた資金需要者、特に今、先ほど先生言われました消費者の利益の保護を図ることを目的といたしております。
 金融庁としては、貸金業者に対して引き続きこうした貸金業法、規制法の趣旨を踏まえて的確かつ適正な指導監督をする、消費者に冷たい運用をするというようなことをしないような努力をしていかなければならないと考えております。
#159
○前川清成君 金融庁の事務ガイドライン、これの三の二の二で、年金受給証を徴求することを禁止しています。これに禁止して、貸金業者がいわゆる法的な意味で年金を担保に取るんじゃなくても年金受給証を取り上げる、あるいは年金が入ってくる預金通帳を取り上げる、そして事実上、貸金業者がお年寄りに代わって年金を受け取って利払いに当てる、こういうようなことは禁止されています。そして、これに違反すると、貸金業規制法の十三条の二項で言う不正又は著しく不当な手段を用いたということに当たって、貸金業規制法三十六条一項に基づいて業務停止を命ずることができます。
 このお年寄りの年金を事実上担保に取り上げて金を貸すいわゆる違法年金担保の問題については、実は社会保険庁の方でも十分御認識をいただいていて、社会保険庁のホームページでも注意を呼び掛けておられます。あるいは、内閣府の政府広報室のホームページでも注意を呼び掛けておられます。金融庁も当然に取り組んでおられる、このように思いますが。
 今委員の皆さん方にお配りいたしましたのは、私と荒井先生はいずれも奈良県選出の、奈良県から選出されていますが、これは奈良市の職業別電話帳であります。(資料提示)ここにありますように、「五十歳からのキャッシング」、大きくうたっています。五十歳というのは今の時代では大変若いんですが、若いんですが、ここで言う五十歳というのは高齢者向けのローンですよと、こういう意味なんだろうと思います。二度に一度の返済もOKと書いてあります、二か月、ごめんなさい、「二か月に一度の返済もOK」と、こういうふうに書いています。二か月に一度というと、想像力を働かせていただくと、年金が二か月に一回入ってくるんだ、こういうことも御認識いただけると思います。お金を貸す資格については、詳しいことはここには書きませんと、一度問い合わせてくださいと、こう書いています。
 ですから、年金担保について知識がある者ならばこの職業別電話帳を見れば、ただ、確かにこの業者が違法年金担保をやっているというふうに断定はできないけれども、違法年金担保の営業なんだなというふうに容易に想像が付くのではないか、こういうふうに思います。
 金融庁が、金融庁がこの違法年金担保の問題にも取り組んでおられるにもかかわらず、どうしてこうやって堂々と今も違法年金担保がはびこっているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
#160
○政府参考人(鈴木勝康君) 今御指摘ありました個別の貸金業者についてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、金融庁としましては、やはり先ほど御指摘いただきましたホームページ等で広報も行っておりますし、それからガイドラインにおいても明示しているところでありまして、引き続き法令等に基づきまして貸金業者の適切な監督に努めてまいりたいと思っております。
#161
○前川清成君 鈴木さん、年金を担保に入れてまでお金を借りるような人たちが金融庁のホームページを確認するんですか。
#162
○政府参考人(鈴木勝康君) 直接的ないろいろな方法でそういった情報を、広報を行っておりますので、ホームページを見る方もございますし、それからいろいろな財務局等々におきます広報においてもそういった事情、事実を知ることになっていると思いますので、あらゆる面の広報を通じてお知りいただきたいということで、周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
#163
○前川清成君 鈴木さんは巧みに答弁をかわすので非常に頭のいい方だろうと思いますので、あえて鈴木さんに名指しして聞きますけれども、この違法年金担保の被害はどの点において悲惨なんですか。
 ただ単に、サラリーマンの人たちがサラ金から高利で金を借りたのに比べて根本的な違いがあります。その点は、鈴木さん、どの辺にあるというふうに御認識なさっているのか、お答えください。
#164
○政府参考人(鈴木勝康君) いろいろな考え方があると思いますが、私自身について考えますと、この年金というのはやはり年金生活者にとって極めて社会的あるいは生存に基づくような大切な資源、資産であると思っておりまして、これがある意味でそういった資力につきまして様々な面からそれが侵害される、あるいは根本的にそういった資力がなくなるということにつきましては、そういった社会的な生活ができなくなる、そういった面が極めて重要であると私個人的には考えております。
#165
○前川清成君 サラリーマンの給料だって生計の糧です。年金だけが生計の糧ではありません。生計の糧を担保に取るから大変だと。それは基本的に皆さん方のような恵まれた環境の人の想像にすぎないんじゃないかと思います。
 年金担保の最も悲惨な点は、いったん借りてしまったならば死ぬまで取立てが続くという点であります。それは、年金を担保に入れてしまう、事実上年金を担保に取られてしまう。そうすると、次の年金支給日に年金を受け取ることができない、どうなるか。もう一度その年金担保業者から、貸金業者からお金を借りるんです。すると、二か月後もまた年金は返ってこない。結局、死ぬまで高利貸しに骨までしゃぶられてしまう。それがこの年金担保の大きな問題点であります。ですから、一刻も早くこの問題に取り組んでいただきたい、そんなふうに思っています。
 私は弁護士をしていましたが、年金担保の業者に金を借りましたという相談があります。すると、年金担保業者に内容証明郵便を出したならば、もう直ちに証書も預金通帳も返してきます。それは違法なことをやっているというのは分かるからです。しかしながら、年金を担保に入れてまでお金を借りる人たちのうち、弁護士に相談ができる人が一体何人いるかということなんです。ようやく弁護士まで到達できた人というのは正に氷山の一角であります。だから、私は、年金担保業者が年金を事実上担保に取っているということが分かったならば、必ず大阪府の貸金業課に対して、ここ、ここがこういうことをやっていると、だからすぐに指導しなさいというような書面を出していました。しかしながら、それに対して回答があったことはただの一度もありません。いろいろ言い分があるんです、一件だけだったら分からないと。しかし、それは正に役所の感覚であって、その一件の陰に何千人、何万人という被害者の方がいる。そのことを是非御認識いただきたい、こんなふうに思っています。
 それと、金融庁と都道府県とによって監督の範囲が異なっていることも承知しています。二つ以上の都道府県にまたがる場合には、金融庁ではなくて都道府県です。年金担保を行うような業者は大抵は二つ以上の都道府県にまたがるような大きな業者ではありません。だから、都道府県の貸金業課に頑張っていただかなければならないんです。この点について、金融庁は、おれのところの問題でないと、こうおっしゃるのかもしれないけれども、各都道府県の金融課に対して適切に指導してもらいたいなと、こんなふうに思っています。
 今日は本当はもっといろいろ聞きたかったんですが、ちょっと時間の都合で聞けなくなりました。この民法における包括根保証の禁止等の改正については非常にいいことだと思っています。しかしながら、その趣旨が十分に徹底されているとは言えません。問題になりました商工ローンやサラ金の問題については、貸金業規制法を始めとする各業法の改正が不可欠なんではないかな、こんなふうに思います。この点を指摘させていただきまして、私の質問を終わります。
 以上です。
#166
○委員長(渡辺孝男君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#167
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、民法の一部を改正する法律案及び債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#168
○千葉景子君 午前の質疑に引き続きまして、民事二法、とりわけ私は債権譲渡にかかわる法案に絡んで質問させていただきたいと思いますが、その質問に先立ちまして、二、三点、ちょっと大臣に御意見、そして御決断を求めておきたいというふうに思っております。
 今日、皆さんのお手元に資料配付を御了解をいただきました。一つが障害基礎年金不支給決定取消等請求事件の判決要旨でございます。もうこれは皆さんも御承知のところであろうかというふうに思いますけれども、本年三月に東京地裁でもほぼ同趣旨の判決が出されております。言わば学生無年金障害者に対して、やはり年金支給ができないということについての判断でございます。
 この今回の新潟地方裁判所で出されたこれは判決でございますけれども、東京地裁で出された判決に引き続きまして、立法措置を怠った国の責任を厳しく指摘をしているところでございます。
 で、これを読んでいただければ分かるところではございますけれども、資料の、例えばこれ、途中が抜けておりますので、二十一ページ、いろいろとこれちょっと書き込みがございまして申し訳ございませんが、中ほどに、「現在に至っても無年金障害者の救済のための立法はなされておらず、司法による救済の必要性は極めて高い」、「六十年法の立法作為又は不作為については、国家賠償法上違法の評価を免れないものと認められる。」と、こういうことでございます。特に、今度の判決では言わば国会の立法不作為というのが大変厳しく指摘をされておりまして、私もそれについては本当に真正面から真摯に受け止めてまいりたいというふうに考えております。
 これについては、既に、本年三月の判決などを踏まえまして、民主党では通常国会に無年金障害者に対する障害福祉年金の支給に関する法律案というのを取りまとめて提案をさせていただいておりますし、あるいは与党の側でもこの問題に対する解決に向けた検討がされているという状況もございます。
 そういうことを考えてみますと、これは私ども国会として、この問題についてはもうこれ以上当事者に大変な思いをさせることなくこの問題の解決をしていく、こういう姿勢が大事であろうと思いますし、私は是非そうしたいというふうに考えております。それぞれが法案などを策定をしたり検討したりしているというのは、国会のそういう意思の表れではないかというふうに私は受け止めます。
 そういう意味で、これにつきましては是非、これ以上の国としても争いを継続をするというようなことを是非避けていただきたい。控訴をするというようなことを是非断念をして、そしてこの問題についての前向きなやはり解決の筋道を作っていくと、こういうことに御決断を是非お願いをしたいというふうに考えているところでもございます。まだ控訴期間があるということではございますけれども、やはりこういうときこそ、やはり大臣、大臣としての御決断、これが求められるところだというふうに思います。
 これまで大臣もいささか、この法務委員会という場ではちょっと、少し御専門外ということもあり、いろいろと御難儀もあるかというふうに思いますけれども、これまで、こういう福祉関係等々につきましては大変造詣深く、そしてリーダーシップを発揮してこられたと、こういう南野大臣でございますので、ここ、こういうときこそ大臣のやはりリーダーシップと、こういうことが求められるだろうと思います。これが大臣の手によって御決断いただくことができれば、また大臣に対しての大変信頼も生まれてくるのかなとも思ったりいたしますので、是非そこを大臣に明確にお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#169
○国務大臣(南野知惠子君) 本当、千葉先生の温かいお心を推察いたしまして、お答え申し上げます。
 御指摘の新潟地裁の判決といいますのは、昭和六十年の時点で学生を強制加入の対象とする立法措置が取られなかったと、そういうことが憲法十四条に違反し、また違法であるとされた大変厳しい判決であるということは存じております。
 また、現在、年金を受給していない障害の方々に対して、立法案が審議されて、法律案が審議されているところでありますし、今、千葉先生おっしゃったお心を体しながらではございますが、今後の対応につきましては、このような点を踏まえ、関係機関と十分協議して検討してまいりたいと思っております。
#170
○千葉景子君 今の御答弁、なかなか含みのある御答弁だろうとは思いますが、本当にここは、こういうときがやっぱり大臣が存在する意義でもございますので、是非、今の含みのある御答弁が是非、国民こぞってやっぱり大臣の決断だったと評価をいただくことができますように改めて要請をさせていただいて、次に移りたいというふうに思っております。
 さて、大臣、大臣も、今申し上げましたように、なかなかこの法務の関係の諸課題、勉強中だというお話をこの間、所信等を通じて伺ってまいりました。なかなか、勉強なさるといっても、寝ずに勉強されているというお話でもございますけれども、余り的を絞らず勉強してもこれは寝不足になるばかりでございまして、時間がもったいないということもございます。
 そこで、私は、せっかく大臣が就任され、とりわけこれまで、先ほども申し上げましたように、厚生福祉関係あるいは男女共同参画、こういう部分に大変なるリーダーシップも取ってこられました。DV法、性同一性障害に関する法律の策定等々ですね、やはりそこは大臣の存在というのが大きかったことを私も承知をいたしております。
 そこで、この法務にかかわるところでも是非これまでの大臣の御経験やあるいはやっぱりあふれる情熱、そういうものを是非掛けていただきたい問題が今ちょっと二つ指摘をさせていただきますので、是非その点について、今日お答えをすぐにいただくということではありませんけれども、その寝ずの勉強の是非中心に据えていただきまして、近いうちにまたその勉強の御成果を是非またお示しをいただければ大変有り難いというふうに思っております。
 その第一点。それはこの間、これはもう寝ずに勉強していただかなくても大丈夫な課題でございますけれども、選択的夫婦別姓、これを含む民法改正という問題でございます。
 これについては、中身はもう申し上げません。大臣のやっぱりこれもリーダーシップあるいはこれを是非実現しようという御決断、これがあればもう直ちにでもこれは改正が実現をすると、こういう状況でございます。どれほどの人が大臣の決断というものを待っておられるか、こういうことももう十分承知でいらっしゃると思いますので、本会議でお聞きをしたときのああいう御答弁はもう大臣にはふさわしくありませんので、そういうことはもう要りません。是非これをまずひとつきちっと仕上げていただきたい、これが宿題の一つでございます。
 それから、宿題の二つ目、これは私も今勉強をこれから十分にそれこそさせていただきたいなというふうに思っておりますが、今日もそのためのちょっと資料、これはアエラの記事でございます。今子供の奪い合い、「子ども奪い合いの壮絶」と、こういう表題になっておりますが、実はどういうことかと申し上げますと、最近、子供、離婚に際して子供はどちらが引き取るか、あるいはどちらが親権を持つかということが大変な争いになりまして、大変その中身というのは壮絶なものがあるということでございます。事例も随分増えてきております。これが、一体どうしてこんなことが生じてしまっているのかというのを私も私なりに考えてみました。
 一つは、そもそも離婚というのは男性と女性、言わば夫婦の問題でございます。夫婦が離婚したからといって親と子の関係というのはなくなるわけではない、消滅するわけではないんですね。ところが、今の家族法の中では、離婚をするとどちらか単独の親権を選択しなければいけないと、こういうことになるものですから、親子の関係は切れない。しかし、その親権とやらは片方にしか付いていかないということで、そこに非常に矛盾が生じている。で、争いが起きているということだというふうに受け止めております。
 その背景にはいろいろあるというふうに思うんですけれども、やはりこれまでの家族法、そしてこの親子に関する法律の立て方が、本当に子供のため、子供のための法律になっていたか。どうもそうではなくて、今のこの親子法は旧来の言わば家父長的な側面、性格、それを色濃く残してきたと、これがこの単独親権というようなことにもつながっているのではないだろうかというふうに思っています。居所指定権とか懲戒権とか、あるいは職業選択に対する了承の権利とか、こういうことを考えますと、いささかこれは、子供は親の支配下にあるものと、こういう考え方、そしてその背景には、さらには言わば家長というんでしょうかね、そういう者の子供は物なんだと、こういう考え方がまだまだ底流に残されたままできたのではないかというふうに思われます。
 したがって、離婚をするとやっぱり家長の下に子供は残っているのだ、家長のものだということで、必ずしも、今家長なんというのはないわけですから、あるいは父親、母親どちらと決められているわけではありませんけれども、そういうことで、どちらかが、家を守るような立場の者がその親権を持つということになる。ところが、それを持たない方は子供と会うにもなかなか会うことができない。子供の側も、やっぱりお父さんもお母さんも会いたいし、そしてその中でいろんな育っていくけれども、そういうことが法的には十分に権利として保障されていない。逆に、反面、扶養の義務があって、金は扶養のための、あるいは仕送りをしなければいけないと、こういうこう矛盾した状況の中で、この親権争いという形でその矛盾が今噴き出しているのではないかというふうに私なりにちょっと解釈をしてみました。
 是非これは直ちに、大変幅広い問題にかかわりますので、結論が出るかどうかということになりますけれども、是非大臣ね、せっかく寝ずにお勉強していただいているということですので、こういう問題に少し的を絞ったり、あるいはせっかくのその勉強の時間を割いていただきまして、これまでのやっぱり大臣が大事にされてこられたやっぱり子供のこと、あるいは男性も女性もそれぞれが生き生きと生きられると、こういうことを踏まえながら是非お勉強いただきたいというふうに思いますけれども、この二点、ちょっと大臣に、大変おこがましいことではございますけれども、宿題を差し上げることにいたしましたので、是非この点について大臣としての御決意のほどをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#171
○国務大臣(南野知惠子君) 宿題をいただきましたが、その前で今思っていることについて御報告いたしますと、選択制、選択的夫婦別氏、この制度の導入につきましては、婚姻制度や家族の在り方、そういうのにかかわる重要な問題でありますので、各方面、それぞれの方が、そういうことについて大方の国民の理解が得られるというところにもやはりポイントをまたなきゃいけないんじゃないかなと、そういう制度、そういう状況になったときにこの制度の問題について検討する必要があるんじゃないかな、そのように思っております。宿題、重く受け止め、寝ずにまた頑張ろうと思っております。
 それから、その次の三問目、三問目といいますか、今の離婚の親権者のことについてでございますが、夫婦が離婚をした後の子供の親権をどうするかというところの課題でありますが、子供の福祉又は子供の健全な成長と、そういうところの観点を見ながら、これもまた大変重要な問題点でございます。この問題につきましても、先生御指摘の優しい感じが取れるように、法律の中にもそれが表れるようにしっかりと勉強しながら考えてみたいと思っております。
#172
○千葉景子君 是非、またその成果はいろいろな機会に議論をさせていただきたいというふうに思いますが、今選択的夫婦別姓につきましては、大臣の御答弁はもう、これはもう十年くらい前に言っていただくような御発言じゃないだろうかというふうに思います。もう今そんな段階じゃありませんから、これはもう勉強をそんなにしなくても、あとはやりましょう、これでもう本当に進めることができる課題ですので、そこはよくよく踏まえておいていただきたい。これだけ申し上げまして、本題の法案の方に入らせていただきたいというふうに思います。
 さて、この債権譲渡特例法についてですが、今回のこの法案が本当に今必要だったんだろうかと、こういう問題から入りたいというふうに思います。
 この委員会でも、この民法の現代化、そして根保証制度に関する民法と、そしてこの債権譲渡特例法の改正案、言わば一括をして審議をさせていただいているということでございます。そのために、そのためにじゃないかなと私は思うんですけれども、法務省がいろいろ御説明をしてくださると、そういう際の、資料をいつもお持ちいただくんですけれども、その際にこういうようなポンチ絵といいますか、これを大体持ってこられます。これを見ますと、いかにもこの民法の法案と、それからこの債権譲渡の法案というのがどうしてもセットにならないとうまくいかないと、そういうような趣旨になっているんですね。
 全く私も関係ないというふうには申し上げません。しかし、何かどうもこれは、これを二つ合わせるために取って付けたような、そのために一生懸命作ったポンチ絵じゃないかというふうに思われて仕方ありません。根保証制度の撤廃というのは、これはもう長らくその弊害が指摘をされておりましたし、それについて法を手直ししようということはよく分かります。それに引換え、この債権譲渡特例法の方は何かひょっこりと出てまいりまして、大変短い時間でこの民法に合わせるような形で審議が求められてきたと、こういうことです。
 この審議過程、例えば法制審の議論などを見ましてもそれぞれ別な部会で審議をされておりまして、最初からこれ全部が一体となって進めなければいけないものだと、こういうようなどうも位置付けではなかったように私は思われます。それぞれの部会でも、じゃ根保証の審議をするときに、じゃ債権譲渡の方がどうなるのか審議をしてみようとか、債権譲渡の方のときに、じゃ根保証の方との関連をどうやっていくのかと議論しようとか、そういうどうもことではなくして、それぞれの部会で上がってきた、それをちょうどいい、ちょうどいいやということで合わせ技みたいにしたのではないだろうかなと、こういうふうに思わざるを得ません。
 なぜそういうことを言うかというと、これは後ほど詰めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、本当に今この債権譲渡特例法の改正をこれほど急いでいろいろな問題点を残しながらやらなければいけないのかどうかと、こういうところを私は大変懸念をするところだからでございます。どうなんでしょうか。そういう受け止め方、おかしいですか。それとも、いや、そういう急いだところもあったんだということなんでしょうか。
 そのことで関連をして、そもそも本当にこういう債権譲渡特例法の見直しみたいなものがどういうところで大変これが必要だと言われてきたんでしょうか。例えばどういう業界だとか、そういうところかもしれません。それほどやっぱり今やらなければいけないような声が上がっていたのかどうか、その辺も併せて、そういうことと絡めて本当にこの手直しをするための立法事実というのがどれだけ明確にあるのか、その辺についてまずしっかりとちょっとお答えをいただきたいと思います。
#173
○政府参考人(房村精一君) 今回の二本の法律、保証の関係とそれから債権譲渡特例法の改正の関係でございます。
 これにつきましては、それぞれ法律的な内容は別個でございます。したがいまして、法制審議会の審議もそれぞれ別の部会で行われたのはただいま委員から御指摘のとおりでございます。ただ、広い意味で、正にこの企業の資金調達手法の見直しという観点からその双方が求められているということは私ども当初から認識していたわけでございます。
 例えば、これは経済産業省の検討資料でございますが、「新たな融資慣行の確立に向けた制度整備について」と、こういうような資料を経済産業省で作っておりますが、そのまとめのところで、現在の融資慣行が過度に個人保証あるいは不動産に依存し過ぎていると。そういう問題を指摘した上で、最終的にまとめの部分では、新しい融資慣行を根付かせることが最大の目的で、そのためには個人保証の一定のルール化が不可欠であると。それと同時に、ただし個人保証の制限だけでは解決しない、新しい担保制度の整備、金融の担い手の競争促進、そういったような、あるいは政府による支援策であるとか、民間サイドの努力であるとか、こういうようなものを通じて新しい融資慣行が根付くことを期待するんだと。
 こういう取りまとめがされておりますが、今申し上げましたように、この保証と新しい融資のための手法というのは法律的に見ればそれぞれ別個ではございますが、全体として見ますと、正に中小企業がそういう金融を得る、その現在一番問題となっている部分、個人保証が経営者等に過大な負担を掛けているのではないか、また、不動産に過度に依存し過ぎていてその他の担保資産を十分活用していない、そのために中小企業は金融を得にくくなっていると、そういった問題に全体として対応するということを考えて今回のそれぞれの法案の改正内容を検討したわけでございます。
 特に、保証につきましては今回その制限をいたしまして、ある意味では従来よりも保証に頼らない方向へ持っていきたいという意向が出ているわけでございますので、その分、他のこれに代わり得るような金融手法を十分用意いたしませんと中小企業が十分な金融を得られなくなるおそれもありますので、そういう意味で関連があるということで私どもとしてはこのような一枚のペーパーにしたわけでございます。
 それで、例えば動産譲渡等についての立法ニーズについてどうかということでございますが、これにつきましては、先ほど申し上げたとおり、現在の融資慣行について不動産担保と個人保証に過度に依存しているという指摘が広くなされております。
 一方、企業資産を見ますと、平成十四年度の法人企業統計で見ますと、全企業が所有する資産、これは現金、預金が約百三十三兆円、土地が百六十六兆円でございます。棚卸資産について見ましても約百兆円ということで、企業の所有する資産の中で棚卸資産の占めている割合は相当大きなものがございます。で、この棚卸資産を担保資産として活用するということについては、残念ながら、現在必ずしも広く利用されているとは言い難い状況にあります。
 これは経済産業省が実施したアンケート調査でございますけれども、これを見ますと、今後、動産担保を積極的に活用しようとして考えている金融機関、これが二百十一社中の百九社、約五二%でございます。また、事業会社三千八十二社のうち千二百九十四社の四二%、これが今後積極的に活用することを考えていると。
 こういうアンケート結果もございますので、先ほど申し上げたような全体としての棚卸資産の量とそれから今申し上げたような活用を考えている会社のパーセンテージを見ますと、適切な制度設計がなされれば今後相当動産を担保として活用するということは考えられるのではないかと、こう思っておりますし、また、新聞報道によれば、既にこの動産を担保目的物とする新たな融資の仕組みを積極的に考えている地方銀行もあるというような報道もされております。
 そういうことを総合いたしまして、私どもとしては、やはりこれからの金融の在り方として、従来の不動産に過度に依存しない、現在余り利用されていない商品在庫等の棚卸資産、あるいは将来債権、こういったものを活用する制度を作るということがそういう社会の需要にこたえる道ではないかと、こう考えたわけでございます。
#174
○千葉景子君 御説明をいただきました。抽象的に分かります。それは法制度上考えても、それから可能性としても決して全くこの必要性がないということを申し上げるつもりは私もありません。
 ただ、後ほど一つ一つ確かめていきたいというふうに思いますけれども、本当にこれが新たな資金調達、そういう道に本当に寄与するのだろうか、抽象的にはそれは可能性としてはできる幅を広げたということになるわけですけれども、本当にそういうことが期待できるか。
 そもそも、あれですよ、動産ですからね、集合動産といっても。それから、不確定な将来に向けた債権ということになりますし、なかなか今の日本の社会の取引慣行等から考えると、こういうところまで担保を取るということになると、まあこれは大分傾いたときかなとか、ああ、もうそんなところまでやっているんじゃもう危ないところかなとかいう、そういうことが普通頭によぎるわけでして、こういう資金調達のやり方というのが本当になされるだろうかということで、逆にその反面、この法案の内容だけですと、やっぱり取引の安定とか適正な利用というところでは非常に懸念するところも多いわけです、あるいは波及する部分で。
 そういうことを考えると、本当に先ほど言ったように、しかも、ちょっと大変非礼な言い方かもしれませんけれども、私どもにこの法案を説明をいただくときも、いかにももうみんな大賛成と、連合等々含めて、ここにいろいろかかわるところも賛成をしてこれはもうどんどん進められる法案だというような説明をちょっとなさったり、少し私は腹立たしく思っております。
 こういう懸念を本当に払拭できるのかどうか、それにやっぱりこの法案というのは懸かっているというふうに思いますので、そういう私は視点で質問を何点かさせていただきますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 今度のこの制度ですが、まず国際的な制度等でどうなっているんだろうかと。確かに日本の制度はこれまで、個別の担保を付けていくというやり方で、包括的に動産をまとめて担保にする、あるいはそこに将来の債権なども含めて、事業の、何というんでしょうね、そのものを担保にしていくというような考え方は余り、余りというか取られてきませんでした。
 今回のこの法案はそういう方向なのか分かりませんけれども、その事業の包括的な事業の体系を担保にしていく、そういう可能性を少し作り出していくということになるわけですけれども、アメリカなどではUCCファイリングシステムというようなものも作られていて、言わば包括的な担保制度的なものが一つのシステムになっている。ただ、逆に、やはりアメリカでもそういう中で、取引の安定とか特定性の問題等でいろいろな懸念といいますか、争いも生まれているというようなことも言われております。
 こういうことも踏まえて、一体これはどういうところを参考にしたり、あるいは今行われているところの反省点とか問題点など十分にクリアしたりして作られてきたのか。あるいは、先ほど言ったように、もうこっち少し保証を狭くするから少し幅広げようということでぽっと作られてしまったものか。その辺のちょっと諸外国の制度などとの比較や、あるいはそこでの問題点のやっぱり把握等々、どんなことをなさってきたんでしょうか。
#175
○政府参考人(房村精一君) 諸外国の動産担保制度でございますが、御指摘のように、アメリカのUCC、いわゆる統一商事法典、これでは、動産の担保として、目的物の占有の取得のほかに貸付証書の登録という簡便な手続を認めておりまして、これが広く利用されていると聞いております。この貸付証書の登録というのは、その利用のしやすさを考えまして、貸付証書の必要的記載事項としては、担保権設定者それから担保権者の名称並びに担保目的物を合理的に特定する事項とされていると聞いております。そういうことで非常に利用しやすいというメリットはあるわけでございますが、御指摘のように、事後的に担保物に含まれているかどうかというような点についての争いを招くことがあるという指摘も同時にされております。
 私どもとしては、やはりまずこのアメリカのUCCの仕組みを参考にさせていただいて、そういった集合的な動産についても登記という公示手段でできるだけ利用しやすくということを考えたわけでございます。
 ただ、そういった特定の事項、目的物を特定する事項が余り広いと事後的な紛争を招くおそれもあるということを考えまして、登記に当たって、その目的物をどういう形で特定するかということについて、それなりに特定性を要求するということで今回の法案を考えたようなわけでございます。
 そのほかの国の動産担保制度について見ますと、イギリスにおいても動産担保制度として動産譲渡抵当というものがありまして、売買証書の登録が公示方法とされているという具合に聞いております。
 そのほか、先生の御指摘の企業全体をというか、企業の浮動する状態を担保の対象とするというようなものとしては、正に浮動担保制度と、フローティングチャージというのがあると聞いておりますが、これは登記による公示が必要だという具合に聞いております。
 それから、ドイツでは特に譲渡担保が判例で認められていると。登録等の実効的な公示方法は必要とされないというような状況にあるようでございます。
 それから、フランスにおきましても、動産の譲渡担保の効力は判例で、効力は判例では認められておりませんが、各種の特別法によりまして、占有を担保権設定者の下にとどめる非占有の動産質権が認められていると、これは登記で公示すると、こんな仕組みになっているというようなことでございます。
 こういったものを参考にしながら、今回の動産の登記制度というものを検討したわけでございます。
#176
○千葉景子君 今のお答えでも、必ずしもこういう動産担保制度、特に集合的なものについて国際的にもみんなそういう方向なんだというわけでもないようですし、そういうことを考えますと、本当にこれが十分な与信に寄与するということでなければ本当に意味がないということになります。
 そこで、じゃ、それが本当に寄与するかどうかということを考えたときに、今年の七月七日付けの日経新聞にこの担保の問題が出ていました。これによると、この動産譲渡登記制度だけで在庫担保融資が急拡大すると見るのは早計だろうと。担保に取った在庫を換金処分する流通市場とかノウハウがなく市場育成のハードルになるからだと。こういう指摘がされておりますし、また米では取得した動産担保を処分するリクイデーター、清算人と呼ばれる専門業者が育っているけれども、日本ではそういうものがごくわずかだと。
 こういうことで、流通市場や適正な評価ということに関するやっぱりインフラ、こういうものがない中で、このような動産譲渡担保というのがどれだけ活用されたり、本当に適正に運用されるのかということを考えると、ちょっとこれも疑問なんですけれども、その点はどう認識なさっておられますか。
#177
○政府参考人(房村精一君) 動産譲渡担保が利用されるためには、その担保に取った動産の流通市場の形成であるとかその評価手法の確立といったような環境整備が併せて行われる必要があるというのは御指摘のとおりだろうと思います。現在必ずしもそういった環境が整っていないというのもこの新聞で報道されているとおりではないかと思っています。
 ただ、それと並んで、動産の譲渡担保が利用されない理由としては、その譲渡担保に取ったことを適切に公示する手段が用意されてないということもかねてから指摘されているところでございます。
 したがいまして、この動産を譲渡担保として活用していくためには、そういった法制度的な整備とそういう環境整備と、これが併せて進んでいく必要があるだろうと思いますが、しかし、まずはこの法律的な仕組み、それをきちんと整備いたしませんと環境整備の方も進まないという環境になろうかと思います。
 まあ、鶏が先か卵が先かという問題ではございますが、やはり今回このような法整備を行って権利関係を明確に公示するという制度を樹立することによりまして、そういった制度を利用して増えることを見込んでまた環境が整備されていく、その環境の整備を促進するということも期待されると、こう思っておりまして、私どもとして、確かにこの法律だけで直ちにその動産譲渡担保の利用が従来に比べて飛躍的に拡大するということは難しいだろうと思います。ただ、これをきっかけに、今申し上げたような環境整備も進んで従来の融資慣行が変わっていくと、そのことによって企業の融資も従来に比べればやすくなると、そういうことではないかと思っております。
#178
○千葉景子君 確かにその将来の可能性は、何せスタートしなければ物事は始まらないということもあるわけですけれども、ただ、やっぱりそのためには、その環境整備も必要ですし、あるいは利用される、されないうちに、むしろ弊害の方で結局制度がもうとんでもないことに活用されてしまうというところをきちっと歯止めしてスタートしませんと、利用はされないは、とんでもないことの結果だけが起こるということになります。
 私はそこで、利用は、さっき言ったように動産ということになるとなかなかそう新たな資金調達の際に活用されるかと。むしろ、これはもういろいろ指摘をされておりますけれども、懸念されるのは、既存債務の担保とかあるいは追加担保と、こういう形で活用される、非常にそれがしやすい、そういうところにつながっていくのではないかというふうなおそれを持っています。
 先ほど言ったように、新たな資金調達のためにわざわざ動産担保というようなことというのは本当に実際には余り考えられないですよね。むしろ、ちょっと危ないときにこれまでの担保を更に積み増ししておこうと、じゃ、あと残っているのは動産だということで追加担保を取られるというようなことにもなりかねない。
 そこで、ちょっとこれまでの、じゃ一体、担保行使がどういう実態にあるかということで、平成十年に施行されたこれの基になる法律ですね、債権譲渡特例法による登記制度と。これが現実には新規融資の担保として本当に利用されてきたのかと、むしろ倒産間際の資金回収とかに利用されてきたのじゃないかという、そういう指摘もございますので、ちょっとまずその実態をお知らせをいただいて、そういう実態のある中で、本当にこれが資金調達という形ではなくて追加担保やあるいは身ぐるみはがされる結果になっていく懸念、その辺りをどう払拭をしよう、するのか、あるいはそのための手だてみたいなものをどう考えてこられたのか、御説明いただきたいと思います。
#179
○政府参考人(房村精一君) 債権譲渡登記制度の利用状況でございます。
 これは平成十年から利用が開始されておりますが、その債権譲渡登記の件数を申し上げますと、初年度は、途中だったこともありまして、平成十年が四百三十六件で、その譲渡に係る債権の個数でございますが、譲渡された債権が約百八十六万個でございます。それが平成十一年には五千三百二十七件の三千六百四十四万個になりまして、平成十二年が九千三十九件、六千四百四十万個でございます。一番新しい平成十五年について見ますと、債権譲渡登記の件数が一万九千五十六件で、譲渡されました債権の個数が七千六百九十三万個余りということになっております。したがいまして、利用件数としては飛躍的に増大していると、こう思っております。
 その利用の態様でございますが、これは統計数字はございませんけれども、今回のこの法案を検討する過程で金融機関あるいは商社、中小企業と、こういうようなところからヒアリングをいたしました。その中で、この債権譲渡登記、どんな使われ方をしているかということを調べたわけでございますが、やはり大きいのは譲渡担保として使うということと、それから債権の流動化のため、いわゆる証券を発行する前提としてこの債権譲渡登記をした上で、その譲渡された債権を引き当てとして証券を発行すると、こういうような流動化が非常に大きく利用されているということを聞いておりまして、御指摘のような新規融資のため以外の言わば追加担保として利用されているという指摘は中小企業団体等からも受けておりませんし、金融機関からもその新たな担保のために使っているというようなことを聞いております。
 また、今回の法案につきましてパブリックコメントに付しまして、そういういろいろ御意見を求めたわけですが、その中でも、このような従来の債権譲渡登記が追加担保のために利用されているという御指摘は一件、日本弁護士連合会からの意見の中にそういった指摘が含まれておりましたが、それ以外にはそういう指摘は受けておりません。
#180
○千葉景子君 指摘は受けていない。なかなかそういう実態というのは、それで本当に困っているところの声というのがどれだけ出てくるのかというのがあります。ある意味では、日本弁護士連合会からの意見というのは、現場でいろんな対応をされているという団体でもありますので、そういう意味ではその辺りにも少し表れているのかなというふうに思いますが、さらに今回は、やっぱりその包括的な動産担保というようなことも併せて考えますと、大変まだまだ懸念は払拭されないところがあります。
 そこで、ちょっと金融庁の方にお聞きをしておきたいんですけれども、やっぱりこういう際に、今申し上げましたように、新規の資金調達というよりも、既存の債務の担保とかという、追加担保というようなことに使われることのないよう、やっぱり今回の法案が新しい資金調達、こういうために活用されるべきものなんだと、こういう点をやっぱりきちっとその周知をするとか、あるいは金融庁としての法的な何か担保措置をきちっと取られるとか、そういう形でこれが本当にこの法の目的に沿う使われ方をするような、そういうやっぱり手だてをする必要があるかというふうに思うんですけれども、金融庁の方では、その辺りについては今回のこの法案改正に当たって何か検討されたり、あるいは今後こういうふうな対策を取っていこうというお考えはございますか。
#181
○政府参考人(鈴木勝康君) 追加担保云々につきましては、契約者、借り手と貸手の契約関係によるかと思いますけれども、我々金融庁として何が大事かと考えますと、追加担保を、今先生御指摘のような追加担保を徴求する場合に、債権者である金融機関と、それと担保権設定者との間で契約内容に何か十分な理解がなされていない、同意がなされていないということがやはり重要で、なされていないということが問題で、それが契約の中でどういうふうに生かされていくかということが重要だと判断しておりまして、その意味で、昨年七月に事務ガイドラインというのを改訂しまして、この中で、追加担保設定にする場合には、契約時点における説明と基本的に同様に、顧客に対しまして理解と納得を得るような説明をしてくださいということを指導しておるわけでございまして、そういった意味で、金融機関に対しましてそういった顧客に対する適切な説明、これをよりよくするように監督してまいりたいと考えております。
#182
○千葉景子君 何か午前の同僚議員、前川同僚議員の質疑にまた何かつながってきそうな感じがいたしますけれども、この今指摘をさせていただいているような問題というのは、本当に対等な関係の中で十分説明をし、そして納得したと、じゃ、よしよし、これで追加担保にどうぞどうぞと、こういう関係じゃないんですよね、現実は。
 結局、やっぱり金融機関に、いや、もう更に追加担保出さなければもう資金は引き揚げるぞとかそういうことで、非常に立場上強い立場、そして、もう借りなければならないそういう立場、こういうことを背景にやっぱりきちっとした指導なりをしてもらわなきゃいけないわけで、じゃ金融機関に十分に説明をするようにと指導していますと、まあ指導しますと、こういう問題ではなくて、例えば明確にこれは新規の融資、こういうときに限るんだと、よっぽどのことない限りは。そのための制度なんだということを何らか、何というでしょうね、ガイドラインとかそういうものでちゃんと作って示すと、それに違反をしたらやっぱり何らかの勧告や措置を取るとか、それぐらいのことをやっぱりしませんと、この法律のやっぱりその懸念というところが本当に払拭をされない。結局、その法の目的を達することなく、弊害の方だけがどんどん増えていくということにもなりかねない。
 もう一度そこをきちっと答弁してください。
#183
○政府参考人(鈴木勝康君) 重ねてのお尋ねでございます。
 この事務ガイドラインにおきまして、先ほど申し上げたこと、それと同時に、その優越的な地位を濫用と誤解されかねない説明を防止すると、こういった点の体制、防止する体制が整備されているかといった点にも注意するということになってございますので、そういった点も踏まえながら適切に金融機関に対しまして監督してまいりたいと考えております。
#184
○千葉景子君 それ以上のことが出ないようですと、私はなかなかこの法案に安心して、じゃ、これでやってみましょうとやっぱり申し上げるわけにはいかなくなってしまうんですけれども、次へちょっと進めさせていただきたいと思います。その点についてはまた今後きちっとした対応策を求めてまいりたいというふうに思っております。
 次に、幾つかあるんですが、先に、じゃ、こちら聞かせていただきます。
 今回の問題で大変懸念をされておりますのが今言ったように新規の資金調達、こういうことに寄与できるということであれば、むしろそれによって事業の継続あるいは倒産の防止というようなことになっていくと思うんですね。だから、それこそ鶏と卵のようでして、だからそこがきちっとしていれば倒産の防止にもなっていくだろう。しかし、逆に、新たな与信というものが生まれず、むしろ追加担保とかすべての動産を押さえるような、そういうことに使われる懸念、これが払拭されませんと、ひいては倒産時の問題、これがまた浮かび上がってくるだろうと思います。
 その一つが労働債権にかかわる問題です。これまでも倒産法制と労働債権という問題は長年の言わば懸案事項でした。できるだけ働く者が安心して働き続けることができるように、いざというときも、そういうことでこの倒産時の労働債権の保護というのが大きな課題にはなっておりました。まだ解決といいますかには至っておりません。
 その中で、またこういう制度が出てくると、しかも今度は動産を包括的に担保に入れることができるということになるわけですので、言わば例えば製造業などで企業が持っている動産、何か最後にそっくり持っていかれちゃって、結局、財団債権に残るものもあるいは返済に充てられる財産もなくなってしまうと。で、最後に一番悲惨な思いをするのはそこで働いていた者だと、こういうことにもなりかねないわけです。
 この点については、一体法務省の方ではどういうふうに、これまでの論議の経過、そして今回のこの法案での懸念、そういうものを払拭されようとしているのか、あるいはこういう問題点についてどれだけ認識をなさってこられたのか、御答弁、お願いいたします。
#185
○政府参考人(房村精一君) 先生御指摘の労働債権の保護ということは非常に重要なことだというのは私ども考えておりまして、従来の倒産法制の改正の中でも労働債権の保護をできるだけ図っていくという方向でいろいろな取組をしてきたところでございます。
 今回の動産譲渡登記が広く利用された場合に、倒産したときに労働債権の対象となる財産が企業に残らなくなるのではないかと、こういう御質問かと思います。確かに、抽象的に考えますと、広く利用された場合に労働債権の対象となる財産が減少する関係にあるのはそのとおりでございますので、そういった懸念は、実は法制審議会の審議の過程でもそういう指摘がございました。
 その点についていろいろ議論をしたわけですが、その中で、一つは、確かにそういう倒産したときのことを考えるとそういう問題はあり得るけれども、現実に今、特に中小企業等で融資が適切な時期に受けられないばかりに倒産をしてしまっている、適切な時期に融資が受けられれば企業としてなお存続できるのに、それが倒産の憂き目に遭っている、そういうところが相当数あるのではないかと、こういう新しい手法を整備することによってそういうところが存続をし活動を続ければ労働者にとっても雇用の機会が確保されるわけだ、また、ベンチャー等についてなかなか融資が得にくいということがありますが、それがこういった手法を活用することで立ち上がっていけば雇用の機会も拡大していく、そういう意味で労働者にとっても決してマイナスばかりではないだろうと、こういう議論がなされたわけでございます。
 私どもとしては、従来、動産の譲渡担保がなかなか活用されにくくて、そういう担保としての利用が多いというのは、一つには譲渡担保の権利の公示手段が不十分なために、やはり融資する側が自分の法的地位に不安の念を覚えて主たる担保としてはなかなか活用しにくいんだと、そういう指摘がなされているわけでございます。
 そういうことから、登記制度を整備すれば、そういった、従来はそういう担保にしか使えなかったものが、これを担保として新たな融資を受ける手段として使えるようになると、こういうことが見込まれますので、是非そういう方法で活用していただけるものと思って考えているわけでございます。
 ただ、御指摘のような、例えば企業が危なくなったときに包括的に洗いざらいこの譲渡担保で持って行かれてしまうのではないかという御懸念でございますが、仮にそのような譲渡担保の設定をした場合には、これは当然、否認の対象になります。特に、従来の既存債務の担保として新たに適用したような場合には否認が幅広く認められますので、そういった場合には当然、否認権で対応できる、また破産の申立てに至らない場合でも詐害行為の取消し権もございますし、そういった対応は十分可能だと思います。
 また、否認権につきましても、従来は破産宣告後でしか認められなかったものが、今回からは破産の申立てがあればその段階で否認のための保全処分もできるということで、そういった財産確保の手法も従来に増して整備されてきております。
 また、訴訟以外の否認の請求という制度も作りました。そういったような種々の制度を活用すれば、御指摘のような詐害的な譲渡担保の活用というのはそれなりの法的な対抗手段があるのではないか、こう思っております。
 繰り返しになりますけれども、確かにそういう問題あるわけでございますが、日本の現在の金融状況を見ますと、やはり中小企業のために新たな金融を得る手段を確保するということは重要ではないか、そのために今回の制度というのは十分有効に利用できるのではないか、こう思って改正をお願いしているところでございます。
#186
○千葉景子君 ちょっと、まだいろいろお聞きをしなければいけないことがありまして、今の御答弁でもそう簡単にいくかなという部分ありますので、それはまだ議論も継続をしていただけるという場があると思いますので譲るとして、あと一点ですね、債権譲渡登記制度に関して、債権、将来債権についてですか、具体例は先ほどの質疑の中でも多少触れていただきました。
 この特定の仕方ですね。これがやっぱりきちっとしてませんと、とんだ混乱を起こすというふうに思います。これは多分、法務省令という形でどういう特定の仕方をするのだということが定められていくだろうというふうに思います、法の規定がそうなっていますので。その辺りはどんな予定といいますか、どんな形で法務省令に盛り込まれることになるのでしょうか、現段階でというか、当然それが分かりませんとこの法案の賛否というか、それもちょっとなかなか決めかねますので、お聞かせをいただいて今日の段階は終わりにしたいと思いますので、お願いいたします。
#187
○政府参考人(房村精一君) 例えば、先ほど申し上げた賃料債権の将来分についての特定の仕方でございますが、当然、譲渡人と譲受人とが特定事項として入ります。それから、対象物として、例えばどこどこ所在のマンションの各部屋の賃貸借契約に基づく賃料債権としてその賃料債権の始期がいつ、で、終期がいつと、だからいつからいつまでのこういった賃料債権と、このような特定の仕方を考えております。
#188
○千葉景子君 じゃ、時間ですので。
#189
○木庭健太郎君 初めに、民法の現代語化について富田政務官に二、三問伺っておきたいと思います。
 今日、この問題余り論議されていないんで、どう、なぜ現代語化にするのか、これまでの検討の経過、基本的な方針、どのように取り組まれてきたのか、敬意を持って富田政務官にお答え願いたいと思います。
#190
○大臣政務官(富田茂之君) 少々長くなりますが、御説明させていただきたいと思います。
 民法のうち、第一編から第三編までの財産法に関する部分は、明治二十九年の法制定以来、百年以上の長きにわたり全面改正がされないまま現在に至っております。このため、片仮名、文語体を用いた表記が維持されており、また現代ではほとんど使われていない用語や漢字も条文中に残されていることから、かねてより難解で分かりにくいとの御指摘がなされておりました。
 そこで法務省では、平成三年から民法学者を中心とする民法典現代語化研究会を設けまして検討を進めてまいりました。その成果を踏まえ、本年八月には民法現代語化案を公表し、パブリックコメント手続に付して広く国民一般からの意見を求めました。そこで寄せられた意見を参考にしつつ、民法現代語化案に必要な修正を施した上、本法律案の提出に至ったものであります。
 なお、今回の民法現代語化の基本方針は、第一編から第三編まで総則編、物権編、債権編になりますが、第一に、片仮名、文語体の表記を平仮名、口語体の表記に改める。第二に、現代では一般に用いられていない用語を他の適当なものに置き換える。例えば、囲繞地というような表現がありましたが、これをその土地を囲んでいる他の土地、こういうふうに換えます。第三に、確立された判例、通説の解釈で条文の文言に明示的に示されていないもの等を規定に盛り込む。第四に、現在では存在意義が失われている規定、文言の削除、整理を行う。第五に、全体を通じて最近の立法例に倣って表記、形式等を整備するというものであります。さらに、既に平仮名、口語体となっている第四編親族編、第五編相続編についても、第一編から第三編までとの均衡の観点から、見出しと項番号を付するとともに、最近の立法例に倣って必要最小限の表記、形式等の整備を行うことにしております。
 このように、今回の改正は、現行法の内容に実質的な変更を加えることなく条文の現代語化を図るものであります。
#191
○木庭健太郎君 ちょっと若干細かい話になりますけれども、確立された判例、それから通説、その解釈との整合性を図るため条文等の改正というような点もあったわけですけれども、三つの条文については、パブリックコメントに付された結果、現代語訳化から戻ったというか、何か若干書きぶりが変わっている点もあるようですけれども、その理由についてお伺いしたいんです。
 例えば、私が感じているのはこの四百十五条ですか、債務不履行の規定については、帰責事由が要件であることはもうほとんどこれ通説、判例と言っていいのではないかと思うんですけれども、その辺についての解説を伺っておきたいと思います。
#192
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、今回パブリックコメントに付した結果、その寄せられました意見を踏まえまして、四百十五条、それから五百四十一条、それから七百十一条、これにつきまして公表した案をまた修正いたしまして今回の法案としております。
 その理由でございますが、まず第一に五百四十一条のこの解除でございます。これにつきまして、債務者の責めに、債務者の帰責事由を要求するかどうかということについて、当初、案を帰責事由が必要ということで示しましたところ、学者の方々から、解除については現段階においては帰責事由がなくても債権者からの解除を可能とするという学説が相当数あると、こういう指摘を受けまして、これについてそういう御指摘があるのであれば、そこのところを私どもの限りの判断で条文化してしまうのは相当でないだろうということで、現行の条文をそのまま口語化するということとしたものでございます。
 四百十五条の債務不履行の損害賠償につきましてはそれほどの状況ではないわけでございますが、解除につきましてそういう規定を置かないということとしたこととの並びで申し上げますと、こちらにだけ帰責事由の規定を入れるというのも必ずしも相当ではないということで、また学者の方からもそういう指摘もありましたので、その現行法をそのまま口語化するということといたしました。
 それからもう一点は、七百十一条の損害賠償のところで、近親者の慰謝料請求権の規定を明確化したわけでございますが、これについては、近親者の精神的損害についての損害賠償は七百十一条を根拠にする考えが有力ではあるが、七百九条に基づくという考え方もあるんだと、こういう指摘を受けまして、そういうところでその争いがあるのを無理に決め込むのもということで、やはりこれも現行法をそのまま口語化するという形の条文にしたものでございまして、いずれも現在のその判例なり学説なりに影響を及ぼさないという趣旨からこのような現行法どおりの、どおりと申しますか、現行法に忠実な案文にしたものでございます。
#193
○木庭健太郎君 その辺がある意味では一般の方には非常に分かりにくい部分になっているような気も正直にいたしましたし、また、もう一点ちょっと聞いておきますけれども、さっきおっしゃったように、富田政務官が、何か今の言葉で分かりにくいもの、特に漢字表記したら振り仮名を付けなくちゃいけないようなものについてはほとんど今回換えるというようなことでおやりになられたようでございますが、実際、中身見てみますと、この九十三条ですか、民法の、これ心裡留保の裡という字ですね、だったり、瑕疵、これは民法の百一条です。これは平仮名で振り仮名を打つわけですけれども、こういうものを残すこともしていると。どうしてそういう違いが出たのかなと。その辺、どんなふうな趣旨でおやりになられたのか、伺っておきたいと思います。
#194
○大臣政務官(富田茂之君) 本法律案におきましては、民法を国民一般に分かりやすい身近なものとするため、現行法の難解な言葉は可能な限り平易な言葉に置き換えるものとしております。しかし、今委員御指摘の心裡留保、瑕疵、そのほかに幇助というものも振り仮名を振らないと一般には読みづらい、この用語はそのまま今用いているのは御指摘のとおりでございます。
 この理由ですが、これらの用語はいずれも民法典上の概念として意味が確立定着しており、平仮名に置き換えることなく、そのまま残した方が法文を理解しやすく、他方で、現行法の意味、内容を変えずに適切な用語に置き換えることが極めて困難であるため、無理に他の用語に置き換えるとするとかえって混乱を生じかねないと思われるものです。
 委員御指摘の瑕疵ですが、置き換えるとすると欠陥とも置き換えられると思うんですが、ただ、これは普通、欠陥というと物理的な欠陥ということになりますので、民法上の瑕疵というのは物理的な欠陥だけではございませんから、そういった意味で元々の瑕疵をそのまま残した方が分かりやすいんじゃないかというような事情もございます。そこで、本法律案におきましては、このような用語について必要最小限の範囲に限り振り仮名を振りつつ、そのまま用いることとしたものであります。
#195
○木庭健太郎君 お聞きしておきます、それはそれで、まあ反対するわけにいかぬ、与党ですから、お聞きしておきます。そういう理由で振り仮名付きのやつも残ったという方に理解をしておくことにいたします。
 さて、今回、この民法の改正の中では最も大きな一つが何かといえば、保証制度の適正化という問題でございます。
 この問題、先国会、私、法務委員会に所属をさしていただいて、最初に取り上げさしていただいた問題もこの問題でございまして、特に包括根保証の問題、これはもう何でこんな制度がまだ日本にあるのかというようなことも指摘をさしていただいたのが前回の国会でございまして、そういう意味では、今回この改正が出てきておりますし、また党といたしましても、金融機関が中小業者に対して個人保証を求めない、そういう融資を推進するとともに、売り掛け債権等証券化、流動化など、金融機能の多様化の推進を図るというのが我が党のマニフェストでございますから、ある意味ではマニフェストに沿った内容であるということで是非成立をさせたいと、こう願っているものでございます。
 ただ、ただ、この改正案が実施された場合、午前中も議論もございましたが、逆に金融機関の融資というものが厳しくなっては中小企業にとってはある意味では意味がないものになってしまう。死活問題にもなるわけでございまして、この改正案によっても金融機関に不利益が生じるものではないということをまず確認もし、きちんとした貸出しもできるという問題であると、こう確認しておきたいんですが、副大臣から御答弁をいただいておきたいと思います。
#196
○副大臣(滝実君) おっしゃるとおり、今回のこの保証契約の適正化、なかんずく根保証の問題は、言わば保証人に思わぬこの負担を強いるようなことのないようにと、こういうことでございます。したがって、そういう意味では、根保証契約そのものを否定するわけではございませんで、根保証契約そのものは存置しながら保証額、限度額を、法律では極度額でございますけれども、極度額を個々の取引において保証人との間で合意をする。あるいは保証期間につきましても、一定の再契約と制限は加えておりますけれども、再契約やあるいは更新というものも認めていると、こういうようなことでございまして、その辺のところをバランス取りながら今回考えたのがこの法案だろうというふうに思っております。
 したがって、それなりに金融機関も対応はきちんとしなければならないということになってくるわけでございますけれども、商慣行が全く変わってくるというわけではないと思いますので、私どもは、こういう格好でとにかくやってみるということが一番肝要なことだろうというふうに思っておる次第でございます。
#197
○木庭健太郎君 既にこれ、中小企業金融公庫さんとか商工組合の中央金庫でございますか、いわゆる中小企業の経営者に個人保証を求めないというような融資が四月から始まっているというふうにお聞きしております。新事業を始めようとする中小企業を対象に安定経営に関する特約を結んだ上で資金を借りることができるというふうに聞いておりますが、これについての利用状況がどうなっているのかということも伺いたいし、またこうした融資制度が拡大していく努力が望まれていると思っておりますが、これについて所見を伺っておきたいと思います。
#198
○政府参考人(鈴木正徳君) ただいま委員からの御指摘の特例制度でございますけれども、委員御指摘のとおり、本年四月から商工中金また中小企業金融公庫におきまして個人保証を免除する特例制度を創設したところでございます。
 利用実績でございますけれども、十月末段階で二十三件、四億三千万でございます。私ども、まだPRが十分ではないなというふうに感じておりまして、今後とも一層このPRを行い、この利用を促進していきたいと思っております。
 一方、国民生活金融公庫におきましても平成十四年の一月から無担保無保証の融資制度を行っておりますけれども、本融資制度につきましては年度ごとに増加しておりまして、累積でございますが、十月末で一万三千件、四百二十四億円と、いかにPRが重要かということを物語っているかと思っております。
 私ども、制度のPRを通じまして、できる限りこのような融資制度が活用されるようにしていきたいと思っております。
#199
○木庭健太郎君 ちょっと本当少ないね。これPR不足だけかね、理由は。
#200
○政府参考人(鈴木正徳君) 先ほど御説明申し上げました国民生活金融公庫、この融資制度でございますけれども、平成十四年の一月から発足いたしましたけれども、平成十三年度、これ三か月間でございますけれども、わずか九億円でございました。その後、PRに努めましたところ百数十億円に一年間で貸出しが増えておりまして、私ども、まずはPR不足ではないかと。様々の中小企業の方にお伺いしますと、そういう制度があるのかということを御存じない方が非常に多いもので、まずはPRに努めていきたいと思っております。
#201
○木庭健太郎君 いい制度なんですから、これちょっと本当よく皆さんにPR徹底していただきたいし、ちょっともう少し利用されているかなと思ったものですから。
 改正案に伴ってお伺いしておきますが、保証制度に関して、そもそも諸外国の法制度や実情、どのようになっているか、基本的なことを民事局長から伺っておきたいと思います。
#202
○政府参考人(房村精一君) 保証制度、特に包括根保証等に関する諸外国の制度でございます。
 一般的に英米独仏など諸外国でも保証制度は認められておりまして、継続的な取引から生ずる不特定の債務を保証する根保証も存在しているということでございます。
 この根保証についての制限、制約でございますが、フランスにおきましては、根保証契約一般について、保証期間の限定がない場合には判例によりまして保証人はいつでも将来に向かって解約する権利を有するとされていると聞いております。また、消費者金融についての個人保証では、法令上保証金額の上限が確定していなければならないとされているということでございます。
 それから、イギリスですが、これは包括根保証契約に関する法令上の制限は特にないということですが、一般に保証期間又は保証金額について約定をされているという実情のようでございます。
 それから、ドイツにおいては保証契約を要式行為としているということでございます。
 そのほか、利用のされ方ですが、これは、アメリカの実情としては、中小企業向けの融資ではオーナー経営者に対して個人保証を求めることが多いという具合に紹介されております。
#203
○木庭健太郎君 まあ改正もちろん大賛成、包括根保証という問題、改善されたわけですけれども、ただ、今回その改正案についてもいろいろ御意見はあったようでございまして、例えば、この改正案の適用範囲の問題でございます。
 この範囲について、継続的な商品売買に係る代金債務とかあるいは不動産賃貸借に係る債務等、継続的給付に係る契約にまでその拡大を求め、これは中小企業さんから特に要求があったような声でございますが、こういった点についてはどのように考えられたのか、御答弁をいただきたいと思います。
#204
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のような継続的な商品売買に係る代金債務とか不動産賃貸借に係る債務と、こういうものに対する保証についても今回のような制限を加えるべきではないかという指摘は法制審議会の中でもありました。
 そこの点について検討をしたわけでございますけれども、保証を制限することによりましてそういった契約にどういう影響を与えるか。先ほどの御指摘で、例えば金融で申し上げますと、保証を過度に制限することによって金融が逼迫してしまう。金融が円滑にいかないということになると、これはかえって中小企業にとって困るという御指摘があるわけでございます。そういった事情は、その保証の対象となる各契約ごとに当然どのような事情があるかということは本来検討しなければならないわけでございますが、根保証の対象となる契約というのは様々なものがございますので、そういったもの一般を検討の対象とするということになりますと、どうしても相当の時間が掛かるということになります。
 ところが、この貸金債務、いわゆる金融に対する保証について、特に包括根保証の弊害が非常に大きいという指摘は非常に強うございますし、また、それに対する対応策を講ずるのは緊急の要請だということがございます。
 そういうことから、法制審議会では、他のものも含めて全体的に検討していると余りに時間が掛かるので、まずは緊急性の高いこの貸金等の保証債務について今回具体的な検討の対象として対応策をできる限り早急に講ずるべきではないかと、こういうことになりまして、今回のような貸金等を中心とする保証債務について法案を作成するということになったわけでございます。
#205
○木庭健太郎君 そういう意味では緊急性のあるものから優先してせざるを得なかったと。先ほどから議論になっていますが、この包括根保証の問題では様々に社会的問題にもなったわけですからそれから優先されたという意味でしょうけれども、ですから、ある意味ではまだまだ検討されなければならない課題も幾つか残ったと。まずはとにかく緊急性のあるものに取り組んだという法改正になっているんだろうと、こう思うんです。
 だから、例えば今回もその保証制度についての問題点で、例えばこの根保証契約の契約後に著しい事情変更が生じた場合、一般的にはこの保証人に契約の解約請求権与えられてもいいんじゃないかなと、こう考えるんですけれども、今回の法案にはもちろんそんな措置は全くないわけであって、こういうものもやはり、本来は踏み込んでそこまで行けなかったのかなという気持ちもあるんですけれども、この辺についての御見解も伺っておきたいと思うんです。
#206
○政府参考人(房村精一君) 根保証契約を締結した後におおよそ予想できなかったような著しい事情変更が生じた場合、こういう場合に保証人の保護を図る必要があるというのは御指摘のとおりだと思います。
 現在の現行法の下におきましても、判例あるいは学説では、そのような予想できなかったような著しい事情変更が生じた場合には、将来に向かって根保証契約を解消する解約権、講学上いわゆる特別解約権と呼ばれておりますが、そういう権利があると解されております。
 今回の法案の過程でも、判例上そういうことが認められるのであれば、これを明文化できないのかという御指摘がございました。ただ、この保証契約締結の際に予想できなかった著しい事情変更と、抽象的にはこう申し上げられるわけですが、これは個別的に見ますと、非常に具体的な状況いかんに懸かるわけでございます。そういった具体的な状況を法案で書くことには非常に難しい。かといって余りにも抽象的な要件にいたしますと、かえってその要件の解釈をめぐって紛争を、不必要な紛争まで起こすことにならないか。
 最終的には、こういった予想できなかったような著しい事情変更というのは、それぞれの個別事情をよく精査をいたしまして、その事情の下で個別的に裁判所が判断をするしかないという性質がございますので、そういうことを考えると、無理に法律にそういった明文規定を置かずに、やはり最終的には従来の解釈にゆだねて、その各裁判所の判断で救済をしていただくということがいいのではないかと。
 それともう一つは、今回やはり一番大きな問題である極度額と、それからどこまで保証しなければならないかという保証期間について法律上の制約を加えましたので、こういった著しい事情変更があったとされる場合が客観的に減少してくるだろうということはありますので、そういった双方を考えましてこの特別解約権については特に明文化はしないということとしたものでございます。
#207
○木庭健太郎君 是非そういった問題、今御説明もいただきましたが、まだまだ引き続いて検討もしていただき、実際の運用上どんな問題が出てくるのかと、判例のいろんな状況も見なければいけないでしょうけれども、そういったことも含めて検討していただきたい課題として私はいまだに残っていると、こう思っております。
 また、今回、この包括根保証をなくすに当たっていろんな角度から様々な問題、検討されたわけでございますが、その中で一点、金融庁にお伺いしておきますが、捨て印の問題ですね。こういう捨て印を慣行でやる問題について、印鑑による保証の問題点等についても随分指摘がなされたわけでございますが、金融庁の御所見、また現在のお取組について、この点だけ伺っておきたいと思います。
#208
○副大臣(七条明君) 今先生の方からお話がありました捨て印の慣行、これの問題につきまして、金融庁といたしましては、金融機関が顧客と保証契約等を締結する際に、顧客に対するその契約の内容等の適切な説明や意思確認を行うこととしております。そして、金融機関の健全かつ適切な業務運営の確保及び顧客保護の観点から極めて重要なことと認識をしており、銀行に対しては説明責任等の的確な履行を求めているところでございます。
 それとともに、具体的に申し上げますと、銀行法の第十二条二項によりまして、貸出しを含む業務全般について、顧客の知識、経験及び財産の状況を踏まえた重要な事項に関する十分な説明体制を整備するよう義務付けをいたしております。
 また、十五年の七月に事務ガイドラインを改訂をいたしまして、その中で、契約の内容を説明をし、あるいは借入れ意思あるいは担保提供意思、あるいは保証意思があることを確認した上で、銀行員の面前で契約者本人が契約書に自署捺印をすることと、原則といたしておるところでございます。いわゆる先ほど先生が言われました捨て印の慣行の適切な利用につきましても、実効性の高い内部牽制機能が確立されるようにということで、金融庁からは、金融機関の内部管理体制の検証を行う際の着眼点をきちっと明確にして、それを指示をするように、そしてそれを検査の対象といたしておるところでございます。
 もう一つ、さらに、十六年度からやります検査基本計画及び監督方針につきましても同じようなことを今年度もやっていこうと、それを徹底させていこうということでございまして、金融庁としては、説明義務、あるいは意思確認を履行するよう、引き続き適切な監督をしていかなければならないと、こう考えているところでございます。
#209
○木庭健太郎君 是非、副大臣のお言葉どおり取り組んでいただければ、午前中もちょっと議論はあって、いろんな意見があっておりましたから、説明責任の問題含めて政治家がリードしなければいけない部分もあると思いますので、是非、副大臣の御活躍を期待をいたしておるということを申し添えておきたいと思います。
 ところで、ともかくこの法律、そういった意味で新しい法律が、この包括根保証の問題、是非とも私は早く成立をさせると、これがまず大事であると。早く成立した上で何が大事かというと、本当はこの新法を適用して、今言わば包括根保証になっている部分、極度額が決められていないとか期間が決められていないと、既になっている問題です、社会問題になっているものもある。そういった意味では、こういったものに対して新法が施行されれば直ちに新法を適用すると、それくらいのことを取り組んでもらわないと、本当、現場では本当にそれくらい切実な問題だと私は思っております。切迫した問題と思っておりますので、局長の答弁をいただきたい。
#210
○政府参考人(房村精一君) 確かに御指摘のように、現在既に締結をされております包括根保証について、これをそのまま有効なものとして存続を認めたのでは保証人の保護に欠けるというのはそのとおりであろうと思います。ただ、同時に、既に有効に成立した契約につきまして新法を適用して、例えば無効としてしまうとか、あるいはその時点で元本が確定してしまうというようなことにいたしますと、これは当然契約当事者に不測の損害を与えて法律関係を混乱させるおそれがあるということになります。
 そこで、今回の経過規定では、既に締結されている根保証契約のうち極度額の定めのないもの、これにつきましては、この改正法の施行後三年を経過した日以後に行われた融資については責任を負わない。すなわち、この法律施行後三年で元本が確定する、それより後の融資については保証責任を負わないと、こういうこととしております。それから、極度額が定められていてその保証期間が五年以上の長期の定めがあると、こういうものにつきましては本法施行後五年の時点で確定をすると。そもそも期間の定めがなければ本法施行後三年で確定をする。
 こういうような形で、できる限り混乱を避ける形で、この従来の契約について新法にかなったものに切り替えていただくということを考えております。
#211
○木庭健太郎君 ちょっと言いようないところなんですよね、与党としては。本当に、是非ともこういう問題、そのために言わば新法を作るわけですから、ある意味では、これ、どう今の人たちも含めてやれるのかと、もっとぎりぎり研究をなさっていただきたいなという気はしている。答弁あれば。
#212
○政府参考人(房村精一君) 確かに、保証人の保護の観点からいたしますと、できるだけ早くそういったものを新法にかなった契約に切り替えることが望ましいわけでございますが、保証契約そのものは相当多くのものがございますので、それを余りの短期間で改定をしなければならないということになりますと、その時点で例えば保証が切れてしまいまして新規の融資が得られなくなるおそれがあるということで、これは融資をする側のみならず、融資を受ける側からもその切替えに当たってある程度の期間を確保して混乱のないようにしてほしいと、こういう要請がございまして、それでどの程度の期間を取れば混乱なく切り替えられるかということで先ほどのような年数になったものでございます。
#213
○木庭健太郎君 そういう意味では、今回の改正というのはこの根保証の問題に絞ったということでございますけれども、これは結局ある意味では資金調達方法の我が国の問題の中での一つの問題だったんだろうと思うんです、保証人であるとか物的担保しか頼れないわけですから。
 そういう意味では、今後、局長としてあるべき資金調達方法、どのようなお考えがあるか、お聞きをしておきたいと思うんです。
#214
○政府参考人(房村精一君) 現在の日本の金融の実情につきましては、不動産と保証人に過度に依存しているという指摘がなされているところでございます。その結果、保証人となった者が非常に過大な責任を負わされて困窮するという問題が指摘されておりますし、また不動産がない場合に必要な融資が受けられないということから企業の存続が危ぶまれる事態が生ずると、こういう指摘もされております。
 そういうことを考えますと、今後の資金調達の在り方といたしましては、そういう不動産に限らず、企業の保有しております資産を十分に活用した新たな資金調達手段を確保していくということが必要ではないかと、こう考えているところでございます。
#215
○木庭健太郎君 いろんな方法考えられると思うんですけれども、一つは知的財産の問題、この担保化の問題というのが取り上げられたケースもございますし、またもう一つは、いわゆる電子債権という問題でございます。
 この制度の創設の問題と、いろんな新たな提言もあるわけでございまして、ただ、それを始めるにしてみても、いずれにしても法整備がなければ新たに始められる問題ではございませんし、そういった意味では、そういった電子債権制度を含めた検討を法務省として一層進める必要があるし、検討を進める際には、この電子債権辺りのときには書き方を考えないと、先ほど民主党さんから厳しい指摘がございましたので、訳の分からない条文になってはいけないということもございますので、そういった言葉の文言も含めて、更にこの制度設計の問題も含めて検討を進める必要があると思いますが、どうでございましょうか。
#216
○政府参考人(房村精一君) 御指摘の電子債権でございますが、これにつきましては、今年の六月十五日に、いわゆるIT戦略本部、ここで決定されましたe―Japan重点計画二〇〇四、この計画の中で、中小企業の資金調達環境の整備という観点から、「電子的な手段による債権譲渡を推進するための施策について、新たな法律の制定も視野に入れて検討し、二〇〇四年中に結論を得る。検討の結果を受けて、二〇〇五年までに制度の骨格を明らかにする。」と、こういうことが決められております。
 法務省としては、この決定を受けまして、経済産業省、金融庁などの関係省庁と共同いたしまして、関係する業界、事業者からのヒアリングを実施するなど、法整備の前提となる実務化への具体的ニーズが何であるかを現在調査しているところでございます。
 今後も関係省庁と緊密に連携を取りまして、この電子債権制度に関する法整備の検討を進めてまいりたいと、こう考えております。
#217
○木庭健太郎君 それでは、もう一つの大きな問題というか、提案されております債権譲渡の特例改正の方でお伺いをしたいと思います。
 まずは、現在の中小企業の資金調達の現状についてお伺いしたいと思うんです。
 平成十五年度の中小企業白書を見させていただきましたが、中小企業向けの貸出し残高が減少傾向にあり、平成十五年後半から政府系金融機関等の貸出し残高がわずかながら増加しておりますが、一方では大手銀行の貸出し残高は減少している旨の記載がこの白書にございます。
 企業業績が回復してきていて貸出し残高が減少傾向にあればいいんですけれども、今の時代、今の状況の中でそうは思えませんし、貸し渋りや貸しはがしの問題、間接金融から直接金融の転換、いろんな理由が考えられると思うんですが、なぜ中小企業向け貸出し残高が減少傾向にあるのか、中小企業庁さんの分析ないし認識を伺いたいし、また、中小企業に必要な資金の融資に関する中小企業庁の取組も併せて伺っておきたいと思います。
#218
○政府参考人(鈴木正徳君) 委員御指摘の中小企業向け貸出し残高でございますけれども、例えば一九九七年を見させていただきますと、九七年末で三百四十八兆円ございましたが、その後減少を続けておりまして、二〇〇三年末には二百六十兆円と、約三割ほど減少しております。
 私ども、このような中小企業向け貸出し残高の減少の要因、様々な要因があろうかと思いますけれども、まず一つには、例えば日銀短観の資金繰り判断DI、これが九七年の第二・四半期ではマイナス五でございました。それが九八年の第四・四半期にはマイナス二五ということで、九〇年代後半に中小企業を取り巻く金融経済環境が厳しい状況にあったこと、これがまず挙げられるかと思っております。
 また、最近の新しい傾向でございますけれども、例えば二〇〇〇年度末と二〇〇二年度末を比較いたしますと、中小企業の資金調達の自己資本比率、これが高まってきておりまして、資金調達構造に変化が生じてきているかなというふうに感じているところでございます。
 また、委員御指摘の中小企業の金融の関係でございますけれども、私ども、新しい事業活動を行おうとする中小企業の方々に調査を行わせていただきました。そうしますと、まず一番の課題は、人材の確保が一番の課題でございましたけれども、その次にやはり重い問題といたしまして、この資金調達の問題、これを課題として挙げられる企業の方が非常に多うございました。
 私ども、やる気と能力のある中小企業の方々への円滑な資金供給、これが非常に重要と考えておりまして、政府系金融機関の融資、また信用保証協会による信用保証制度の活用を通じまして、できるだけ過度に担保や保証に依存しないような中小企業金融、これを進めてまいりたいと考えております。
#219
○木庭健太郎君 そうすると、中小企業庁さんは、大体今、中小企業はどのような資産を保有して、これを資金調達にどのように活用しているのかと、また逆に金融機関ですね、これがどのような資産を担保にして資金を提供しているのかと、どんな状況になっているのか、もし資料があれば、資料というか御提示をいただきたいし、また中小企業、金融機関双方の資金調達に関するニーズ、これについてどんなふうに御理解をされているか、説明をしていただきたいと思います。
#220
○政府参考人(鈴木正徳君) 法人企業統計でございますが、この統計、資本金一億円未満の中小企業の資産の保有状況が分かります統計でございますけれども、この統計によりますと、中小企業の持っております資産でございますが、現金・預金が七十五兆円、不動産、土地が八十四兆円、建物・機械設備等が百四兆円ございます。このほかに売り掛け債権が六十四兆、また在庫が四十一兆円ほどございます。
 中小企業が融資を受けます際には、不動産、これを担保に供している場合、それから非常に多いものが人的担保と申しますか、保証を出している場合が非常に多うございます。私どもの調査によりますと、中小企業の約八割がこの保証を提供しているというふうに聞いているところでございます。逆に、金融機関、これは銀行のディスクロージャーから逆に把握してみますと、この有担保につきましては、約七割以上が不動産を有担保として取っているということで、不動産に偏っているというふうに考えているところでございます。
 今の事業会社、また金融機関のニーズでございますけれども、私ども昨年の七月にアンケート調査を実施させていただきました。その結果でございますけれども、事業会社、金融機関ともに在庫や機械設備等の動産、また売り掛け債権を活用した資金調達、このニーズが近年急速に高まっているという結果になっております。
 また、もう一方、先ほど委員から御指摘ございました保証の関係でございますけれども、何とかこの保証期間や保証の限度額、これについて制限を望んでいる、制限をしてほしいという事業者が約六割強ほどございました。このようなニーズを踏まえまして、私ども新たなその資金供給の円滑化に進めたいと思っております。
#221
○木庭健太郎君 そういう意味では、この法案が通ることによって一つは包括根保証、これがなくなり、個人保証の問題はかなり変わっていくのと同時に、この債権譲渡の特例の問題、これが成立することによって、これ、中小企業庁としてどのように利用、活用をされるように考えられるのか。経済産業省というか、中小企業庁としての見解をお聞きをしておきたいし、経済産業省で結構でございますよ、来ていただいていますから。また、企業の資金調達に関する残された課題も経済産業省の方からお話があれば、併せて伺っておきたいと思います。
#222
○政府参考人(寺坂信昭君) お答え申し上げます。
 経済産業省といたしましては、今回の法改正によりまして、不動産や個人保証に依存いたしました従来の融資慣行とは異なる新たな融資の手法が開発されまして、その事業者の持つ様々な有用資産を活用した資金調達の多様化、そういったものにつながっていくものというふうに期待をしているところでございますけれども、お尋ねの、じゃ具体的にどんなものが考えられるのかということでございますが、まず、例えばある地方銀行におきましては、ある程度事業が軌道に乗りました中小企業に対しまして、その企業が保有いたします優良な在庫、これを担保といたしまして営業資金を融資すると、そういったモデルを開発していると承知をしてございます。こうした融資手法におきましては、従来ならば当然のこととして求めておりました個人保証あるいは不動産担保、そういったことを求めることなく営業資金を融資するということが可能になるというふうに聞いております。
 それからまた、債務者が不特定の将来債権を活用した融資と、こういったものも考えられるわけでございまして、これに関しましては、将来発生いたします例えばマンションの賃貸収入債権など、こういったものを担保にした融資を行うということがいろいろ企画をされているというようでございます。あるいは、不動産や動産など、その事業用の資産を一括して特別会社に譲渡いたします。そこで、その事業から生ずる収益を当てにいたしまして証券を発行して資金調達する、いわゆる証券化の手法、そういったものも考えられるところでございまして、こういったものが検討をされているというふうに考えておるところでございます。
 それで、こうした新たな融資手法を根付かせるために、今回の法改正、これはその大きな第一歩というふうに考えておるわけでございますけれども、ただ、まだまだ我が国の融資が、先ほど来御指摘のありますように、不動産担保あるいは個人保証、これが主流であることも事実でございます。
 したがいまして、金融機関におきましては、その不動産や個人保証に依存することのない事業の収益性に着目した融資、これに取り組んでいくという、そういう積極的な姿勢、一方で、その融資を受ける事業者サイドにおきましては、自らの事業状況をより積極的に開示をしていく、そういった姿勢が求められるのではないかというふうに考えておるわけでございまして、私どもが行いましたアンケート調査におきましても、金融機関が、例えば在庫それから債権担保融資、そういったものについては消極的だったところが、相当新たな融資手法への取組に積極的な姿勢に転じているところでございます。
 また、事業会社の方もそういったものを活用を考えていきたいというふうなことでございますので、こういった考え方、それが今回の法改正が契機となりまして流れとして加速することを期待しているところでございます。
#223
○木庭健太郎君 私も是非期待をしたいんですけれども、先ほど民主党の千葉委員が御指摘したように、日経新聞さんが七月七日書いていたように、これだけで拡大するというのは早計だとかね。
 一体これ、アメリカではこういう動産担保の問題で専門家がいらっしゃるわけですね。リクイデーター、清算人と呼ばれるその専門業者がいて、この動産のやつを扱っていくというのがいる。じゃ、日本どうなのかというと、私の地元なんですけれども、福岡銀行さんが少しそういう仕組みは検討されているものの、まだとてもとてもそんな状況にないと。一体本当に法律、今度の場合は逆ですよ、環境はないのに法律だけ先に走っているんじゃないかというような批判、懸念がまずこの法律の第一点であるわけですよね。
 それとともに、やはり制度利用の懸念でもう一つ出てくる懸念というのは何かというと、一体この動産を使った資金調達をやった場合、世間がどう評価するだろうという問題でございます。やっぱりこの日本という国においては、そういったものまでああ使っているのと、あの会社危ないわいというような話になってしまう危険性がこれはかなりある。
 そういう意味では、この制度利用への懸念の二点目が、正にそれを使うことによる社会的評価の問題をなかなか理解をされていないというところなんだろうと思いますが、広げたい経済産業省はいいお話をされる、法務省としては厳しく見ておいてやはりやらなくちゃいけないんじゃないかと思いますが、民事局長の評価、聞いておきたいと思います。
#224
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、そういった動産を担保として活用するというためには、今回お願いをしている法制度の整備と並びまして、そういった動産の市場の形成であるとか、そういった評価を適正に行う人材の育成であるとかという、そういった環境整備も同時に必要であろうと、こう思っております。
 現在の日本において、必ずしもそれがいずれの面においても十分発達していないということは御指摘のとおりだろうと思っていますが、しかしその大きな原因の一つが、やはり動産の譲渡担保に関してはその権利の公示の手段がいかにも不安定であると、そういうことからその利用にちゅうちょをするという、そういうことが広く言われておりますので、まずはその必要な権利を明確に公示をすると、こういう制度を作ってそういう法制度的な障害を取り除く。それと並行して、そういった制度的な障害が取り除かれますと、やはり今後利用が拡大することも見込まれるわけでありますので、当然そういったことを踏まえて、御指摘のような、例えば福岡銀行のような取組がいろんなところで起きてくるだろうと思います。そういう両者が相まって、今後、その動産を担保として活用するということが広がっていくのではないかと、こう思っているわけでございます。
 そういう意味で、私どもとしては、やはりこの今回の動産の登記制度と、こういう趣旨をできるだけ広く社会に理解をしていただく、適正な担保制度をこれから構築する、その先駆けとして法改正を行うんだ、こういうことをできるだけ広くPRすることによりまして市場の整備についても貢献をしたいと、こう考えております。
 それと同時に、御指摘のように、債権譲渡登記の制度を作りましたときに、この債権譲渡登記をすると会社が危ないのではないかと、そういう懸念を抱かれるという指摘を随分受けました。登記簿への記載事項も一部変更をいたしましたし、また債権譲渡登記制度のPRにも努めまして、現在はその発足当初に比べますとそういった不安の念は大分収まっているのではないかと思っておりますが、今回の動産譲渡担保の制度につきましても、我々としてそういった債権譲渡特例法制定当時の経験を踏まえまして、世間に誤解を与えないように法律の趣旨のPRには努めていきたいと、こう思っております。
#225
○木庭健太郎君 日本政策投資銀行に今日来ていただいております。それは、今回法改正されれば、この在庫を活用した資金調達というものが出てくるんだろうと思うんですが、現在、日本政策投資銀行さんが在庫を通した資金調達の一つの典型的な事例としてスキームを作ってこの動産担保融資のことをやっていらっしゃると、こうお聞きしておりますので、スキームについて御説明をいただきたいし、この事例、経験を踏まえながら、この動産それから債権担保法制に対する課題、そんなものがありましたらお聞かせを願っておきたいと思うんです。
#226
○参考人(山口公生君) お答え申し上げます。
 先生御指摘いただいた事例は、福井市での事例でございまして、子供服の小売事業者に対する動産担保融資でございます。具体的には、販売用の商品の在庫を担保とする融資を行ったわけでございます。
 先ほどの御説明にもありましたように、現行法下では動産を担保として利用する場合には譲渡担保が一般的でございますけれども、善意の第三者への二重譲渡に対抗できないといった法的な問題がございまして、主たる担保としては余り利用されておりません。私どもが開発しました手法では、ノウハウを持っている事業者と連携しまして、その債務者の月々の売上高等をきちんと把握することで、破綻につながる事業悪化の兆候をとらえた時点でもう既に担保処分を行うというような形で、辛うじてこの法的な問題の影響を弱めるといいますか低める工夫をいたしたわけでございます。
 今般、御議論をいただいておりますこの法改正が実現されましたら、それによりまして動産登記制度が設立され、そもそもこの法的な問題が解消されるわけでございまして、私どもは実務の立場から誠に有り難く思っている次第でございます。
 これまで私どもも不動産担保や保証に依存しない融資手法をいろいろと開発してきてまいっておりますが、今後とも時代の要請に応じましてこのような新しい手法を一生懸命開発するべく努力してまいりますが、その段階で具体的な問題が生じてきましたら、またこの国会で法制上の諸問題を御議論賜ればと思っている次第でございます。
#227
○木庭健太郎君 今日はあと、最後に大臣にお伺いして終わりたいと思います。
 今国会、今審議しているとおり、この民法の改正をやりました。刑法についても改正の法案を多分やる予定であり、是非与党としてはやりたいと、こう思っておりますが、言わばその基本的な法律、まあ毎年のように今司法制度の改正ということで行われるのが通例になっているんですけれども、現実、その一つは日本の経済というか世界の経済含めて、経済体制、経済の状況ももうある意味では大きな変化をどんどん遂げる中では、やっぱりニーズに合わせて、実効性に合わせての改正というのをせざるを得ない状況にも私はあると思いますし、今回の改正そのものも非常に重要なものだと考えております。
 さらに、これはまあ次の話で恐縮でございますが、来年の国会では、今度は商法がまだ残っておりまして、商法の、これもまだ現代用語ではないんでございます、商法。これをやはり現代用語にするという問題をしなくちゃいけない。それと併せて、この会社法をどう考えるかというこの商法改正の問題もございます。中小企業の、もう最後、本当にこれをどう活性化させるかということで日本の将来も決まるような現状がある中、現場のニーズに合わせて法の方も動いていかなければならないと考えておりますし、そういった意味では、是非今後の法改正、今御指摘した商法、会社法関係ですね、こういった問題も含めて万全の準備をして取り組んでいただきたいと、このように思っておりますが、大臣の決意を伺って、今日の質問を終わりたいと思います。
#228
○国務大臣(南野知惠子君) 委員御指摘のとおり、現在、法制審議会におきまして、来年の通常国会への法案提出を目指して会社法制の現代化の検討作業が進められております。
 その内容は、会社法制に関する規定を、先生が今おっしゃったとおり、片仮名の文語体の表記から平仮名の口語体に改めて、分かりやすく再編成する、それとともに会社法制の利用者の大部分を占める中小企業の実態を踏まえて規制を見直すということや、会社経営の機動性を向上させる観点から規律を合理化することなど、会社法制全体を現代の社会に一層対応したものとするために体系的な見直しを行おうとするものでございます。
 この検討作業は関係各界の意見を十分に伺いながら進められてきたものと承知いたしておりますけれども、法務省といたしましては、今後とも適切な会社法制が実現されますよう全力を挙げてまいりたいと思っております。
#229
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、民法の改正案についてお聞きをいたします。
 今回は、包括根保証の禁止が一つの大きな柱になっております。この過酷な取立て、そして根保証を使った回収など、商工ローンなどのことが大きな社会問題になってまいりました。日本共産党としましても、一九九九年の時点で、今回の法案に含まれている包括根保証の禁止とか、保証契約は書面によることを義務付けることも含めました根保証制度の包括的な規制を盛り込んだ貸金業規制法改正案というのを提出をいたしました。残念ながら当時は賛同を得られなかったわけでありますが、今回、政府の方からこういう形でこの包括根保証をなくしていくということが出てきたことは大変歓迎をしております。
 ただ、過去はそういう点では消極的だったのに、今回こういう形で法案が出たことにはやはり非常に過酷な実態の広がりというものがあろうかと思うんですね。その点での大臣の認識をまずお聞きをしておきます。
#230
○国務大臣(南野知惠子君) お答えいたします。
 金融実務の在り方として、債務者から不必要に担保を取ろうとしているいわゆる過剰担保や、又は過剰保証の問題があるとの御指摘があることは承知いたしております。今回、この点に関連する二つの法案を提出させていただいたところでございますので、法改正後の新たな制度の下で御指摘のような問題が生ずることがないよう、関係省庁とも連携を取りながらその適正な利用方法の周知徹底に努めてまいりたいと思っております。
#231
○井上哲士君 包括根保証を禁止をしていくというのは大変大きな前進でありますけれども、同時に、それ以外は判例に任せている部分もかなりあるわけです。今日も朝からの答弁で、緊急にこの点を手当てをしたと、こういうことが何度かあったわけでありますが、法務省としては、例えば今回極度額の上限の決め方とか、それから保証人からの元本確定請求権等々踏み込んでおらぬわけですけれども、今回の改正で問題は基本的に解決したと考えているのか、そうでなければ今後どういう形でどういう点を検討しようと考えているのか、いかがでしょうか。
#232
○政府参考人(房村精一君) 先ほどもお答えいたしましたように、保証について様々な指摘がございます。今回はその時間の関係もありまして、緊急に対応策が必要と思われる部分に限って立法をしたわけでございます。したがいまして、まだそのほかに保証についての問題があるということも認識しておりますし、また、今回の改正内容についても、どのような状況になるのかということを十分見ないといけないだろうと思っております。
 そういう意味で、今回法案を通していただきました後も、その状況も見ながら、更に必要な検討は続けていきたいと、こう思っております。
#233
○井上哲士君 その中で一つ聞いておきますけれども、今回の法案では、元本確定事由を個別的に列挙して、それで保証人の保護を図ると、こうなっておりますが、保証人の保護の観点からすれば、更に踏み込むことが必要だと思うんですね。
 例えば、企業の経営者を交代をした場合とか、保証人や主たる債務者のこの信用状況が大幅に悪化したときとか、そういう特段の事情がある場合に保証人の側から元本確定請求権を認めると、こういうことも踏み込むことが必要だと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#234
○政府参考人(房村精一君) 御指摘のように、根保証契約の保証人となった場合に、その後契約締結時点では予想できなかったような著しい事情の変更があった場合に、保証人の保護を図るために元本の確定請求権を与えるということは十分検討に値する事柄だと思っております。
 現実に、現行法の下でも、判例、学説でそういった予想できない著しい事情変更があった場合には確定請求権があるという考え方が取られております。
 立法の過程でもその点を検討いたしましたが、先ほども申し上げましたように、例えば財産状況が著しく悪化したという場合であっても、法文でどのようにその要件を書くのか、それから経営者が、例えば経営者を退任したという場合であっても、いろいろな事情がございます。退任の事情もございますし、あるいは退任後も株主として会社経営に実質的な大きな支配力を持っているというような場合もございます。そういった個々の事情を総合して判例では確定請求権を認めるということになるんだろうと思いますが、それを立法で、条文でそのような要件を明確にしていくということは非常に困難が伴う。また、過度に抽象的な要件といたしますと、かえってその解釈をめぐって争いが起きるという可能性もございます。
 そういう個々具体的なその事実関係に応じて適切な判断が求められるというようなことについては、やはりその裁判所の個別事件における判断で救済をしていただくということの方が適切な結果が得られるのではないかと、こういうこともありまして、今回はその明確な、その強制執行あるいは破産手続開始の決定、それから債務者、保証人の死亡というような明確なものに限って元本確定事由とさせていただいたわけでございます。
#235
○井上哲士君 この間、問題になってきた商工ローンの被害にしても、変額保険の被害にしても、専ら貸手側の説明責任が十分に果たされてこなかったというところに大きな問題がありました。
 今回、この保証契約についていろんな規制をするわけですが、この改正も、金融機関の側がしっかり説明責任を果たすということがなければ絵にかいたもちになるというおそれがあると思うんですね。この点、提案をした法務省としてはどのようにお考えなのか。
#236
○政府参考人(房村精一君) 融資をする際に、融資をするといいますか、保証契約を締結する際に金融機関がその保証人となろうとする者に対して十分な説明を行うということは、金融実務の在り方としては望ましいことであろうと、こう考えております。
 ただ、民法で規定を設けますと、この民法の規定は金融機関が当事者である場合に限らず広く保証契約一般に適用されますので、必ずしも常に金融機関と借り手というような力関係にある場合でない場合も含めてこの民法の規定が適用されます。
 そういうことになりますと、民法の規定でそういった説明責任あるいは説明義務というものを規定するのはなかなか困難ではないか。また、民法で規定を置いた場合に、その義務違反があったときの効力をどう考えるのか。民法で置きますと、いわゆる行政指導であるとか行政処分であるというそういう効力がありませんので、民法で要件として書いてしまいますと、違反すると無効という非常に強力な効果になることが考えられるわけでございます。
 そういうようなことを考えまして、今回、そういった点についてはやはり個別的なそういった状況に応じた立法にゆだねる方が適当であろう、民法としては、やはり広く一般に適用されるという性質上、そこまでの規定は設けるのは相当ではないのではないかと、こういう考え方でございます。
#237
○井上哲士君 本改正を生かすためには、今ありましたように、行政指導なり個別立法が非常に大事になってくるということになるわけですね。
 そこで、金融庁に来ていただいておりますが、午前中も議論になりましたけれども、書面による契約書が今度の改正で必要になりました。保証契約をめぐるいろんな問題では、自分のところにこの請求が来て初めてそんな保証、根保証もしていたということを初めて知ったというケースが随分あるわけですね。保証契約書が差し入れ式で手元に何も残らないという問題がありますし、捨て印を利用して改ざんをされたというような報道もございます。これは、両契約者がきちっと正本を持つということにすればこういうトラブルもなくしていけるわけですね。
 この間も少し取り上げたんですが、最近よくトラブルになります執行文言付きの公正証書の作成についての委任状というものについても、ちゃんと差し入れたものについては本人に副本を手渡すと、こんなことをすればかなりのトラブルが解決をされると思います。
 午前中の答弁では、これは銀行に指導をしているんだと、こういうことでありました。一般の貸金業とこの銀行とは指導の在り方も違うんだと、そもそも非常に厳しい規制があるんだと、こういうことも言われましたけれども、しかし、現実には銀行との関係でのトラブルというのはたくさんあるわけですね。
 ですから、そういう指導をされているわけですが、このいかんによってはこういうことについてもやっぱり法的な規制をしていくと、こういうことは当然お考えだと考えてよろしいですか。
#238
○政府参考人(増井喜一郎君) 午前中にもちょっとお答え申し上げましたが、銀行法という法律は、いろんな銀行の業務の公共性といったようなものもありますので、その営業免許を始めとする参入規制とか、あるいは監督規制を設けるといったことで銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保すると、そういったことを目的としております。
 一方で、例えば貸金業法の方は、これは貸金業を営む者を登録制を実施をして、その事業に対して必要な規制を行うと、言わば少し緩やかな参入規制を行っていると。それで、かつそのいろんな行為について禁止行為を掛けていると、そういった建て付けになっております。
 したがいまして、銀行につきましては、自らそういった参入、厳しい参入規制を設け、あるいは監督規制を設けることによって自ら、銀行自らがいろいろな内部管理をして、それに対して適切な、銀行自身が適切な運営、業務運営をすると、それに当局が監督あるいは検査を行うと、そういうその仕組みになっております。
 したがいまして、先ほど先生から御指摘のございました点でございますけれども、今私どもといたしましては、今の書面の交付の件につきましても、基本的には事務ガイドライン等でいろんな形で指導はしておりますけれども、義務付けるというよりも、基本的に銀行が自主的にその体制を整えてもらって、書面の交付なりなんなり、問題が起こらないような業務運営をしてもらうと、そういう形になっているわけでございます。
#239
○政府参考人(佐藤隆文君) ただいま法令上の位置付けについて総務企画局長の方から御説明ございましたけれども、監督上の対応について少し補足をさせていただきたいと思います。
 私ども金融庁といたしましても、金融庁が、金融機関が顧客と保証契約等を締結する際に顧客に対して十分な説明を行うと、これは極めて重要だというふうに思っております。
 で、この中で、保証人への書面の交付についてでございますけれども、私どもは銀行法に基づいて監督上のルールをあらかじめ記載し公表しておりますが、事務ガイドラインというのを設けております。この事務ガイドラインの中で、例えば保証契約を締結したときには、原則として契約者本人に契約書等の契約内容を記載した書面を交付することとしているかといったことを明記いたしまして、当局が金融機関の内部管理体制の検証を行う際の着眼点ということで、あらかじめこれを明確化しておるわけでございます。また、十六事務年度の検査の基本方針あるいは監督の方針におきましても、金融機関の説明に対しての整備状況を重点的に検証するということを掲げてございます。
 もし疑わしいケースが出てきたような場合には、私ども、監督上の対応といたしまして、該当する金融機関からお話を伺うということがありましょうし、かなり問題があるというような場合には銀行法二十四条に基づく行政上の手続として報告徴求を行うということがありましょうし、さらに特に悪質な場合には二十六条に基づく行政命令、業務改善命令を打つということもあり得る。こういう枠組みの中で現在対応しているということでございます。
#240
○井上哲士君 午前中から繰り返し説明があるわけでありますが、しかし実際には、銀行に関連したトラブルの中で本当に涙を流していらっしゃる方がたくさんおりますし、そういう被害も我々のところへ寄せられているわけでありまして、ここは更に私は踏み込んだことが必要だと思うんです。
 それで、幾つか聞くんですが、保証契約には当然リスクが伴うわけで、適切な説明義務、今お話がありました。それと併せて、やはりしっかり熟慮できる期間というのが必要だと思うんですね。目の前できちんと説明を受けたとしても、必ずしも十分な知識を持っていないこともあるわけですから、よく検討する間もなくその場で契約、保証をさせられるということであれば、結局、不十分なことになってしまうと思うんです。
 適切な説明の後に一定の熟慮期間を設けるとか、いわゆるクーリングオフなどを考えるとか、こういうことも踏み込むことも必要かと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#241
○政府参考人(佐藤隆文君) ただいま御指摘の保証契約の締結に際しての金融機関には保証人からのクーリングオフを受け入れさせるという点でございますけれども、現行法上この点についての規制はないということでございまして、仮にこれをその何らかの形で制度化するということになりますと、かえって契約そのものの不安定化あるいは円滑な金融の妨げとなるという可能性もございますので、御指摘のような指導を包括的に行うということは困難であろうかと思います。
 しかしながら、保証内容を保証人が十分に認識しないまま保証契約が行われるということは不適当なことだというふうに認識いたしておりまして、この点、金融庁といたしましては、金融機関が顧客と保証契約等を締結する際に保証人に対してその契約の内容について適切かつ十分な説明が行われるということが極めて重要であるというふうに認識しておりまして、金融機関に対しまして、特にこの説明責任の的確な履行という点は、先ほども申しましたけれども、重点的な検証項目として監督・検査通じて私ども気を付けているというところでございます。
#242
○井上哲士君 もう一つですね、根保証人がリスクコントロールをするという点でいいますと、現状ではどういう根保証契約を結ぶか、ここしかないわけですが、一定の期間ごとに債権者から根保証人に根保証契約に係わる債務の総額を伝えるなど、こういう措置を講じて、この根保証人が適度な、やはり適正なリスクコントロールができるようにすると、こういうことも必要かと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#243
○政府参考人(佐藤隆文君) 御指摘の保証人に対する情報提供ということでございます。先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましては、金融機関がきちんとした説明責任を果たすということが極めて重要だというふうに認識をいたしておりまして、その的確な履行を求めているということでございます。
 具体的には、銀行法上、顧客に対する十分な説明体制を整備するよう義務付けているということを受けまして、先ほど来申し上げております私どもの事務ガイドラインで、例えば以下のような記述がございます。「経営に実質的に関与していない第三者と包括根保証契約を締結する場合には、契約締結後、保証人の要請があれば、定期的かつ必要に応じて随時、債務者の借入残高・返済状況について情報を提供することとしているか。」といった点を明記いたしまして、当局が金融機関の内部化に対しての検証を行う際の着眼点として示しているということでございます。
#244
○井上哲士君 保証人の要請があればということのわけですけれども、実際には、先ほども言いましたように、現状は説明責任が十分果たされていないという下で根保証人になった人は、そういうことも知らずになって突然請求が来て驚くということがあるわけでありますから、この保証人の要請があればということでなくて、基本的にそういう例えば追加融資ごとにその事実を報告するとか、こういうことまで踏み込むべきだと思うんですが、もう一度お願いいたします。
#245
○政府参考人(佐藤隆文君) 先ほど引用させていただきました事務ガイドライン、少し長いものでございますけれども、それに少し先立つ部分におきまして、「商品または取引の内容及びリスク等に係る説明」という項目がございまして、「契約の意思形成のために、顧客の十分な理解を得ることを目的として必要な情報を的確に提供することとしているか。」という点も掲げてございまして、この点、全般的にその顧客が保証債務を負うということ、その意思を形成する、あるいはそういう責任を負うということについての合理的な判断を下すだけの十分な情報を得るということは非常に重要なことだというふうに思っておりまして、こういった点にも気を付けながら監督上対応していきたいというふうに思っております。
#246
○井上哲士君 実際には現場でいろんなやはり被害が起きているわけでありまして、的確にそういうものがしっかり行われるように、強力な行政指導と同時に、必要な場合にはやはり法制化ということも含めた対応を強く求めておきます。
 次に、債権譲渡特例法案についてお聞きをいたしますけれども、改めてこの法案の提出の中心的な目的について、まず大臣からお聞きをしたいと思います。
#247
○国務大臣(南野知惠子君) 本法律案の目的でございますが、近時、企業の資金調達方法について、これまで十分に活用されていなかった動産又は債権を利用して資金を調達する方法が注目を集めております。そこで、本法律案は、法人が動産及び債務者の特定していない将来債権を譲渡した場合に、登記によってその譲渡を公示する制度を創設することによりまして、企業が動産や債権を活用して円滑に資金を調達できるようにすること、それを目的といたしております。
#248
○井上哲士君 中小企業などがしっかり円滑に資金を得られるということにすることは大変重要であります。私たちも、地域経済と中小企業を支える地域金融活性化法案なども提出もしてこの問題取り組んできたわけですが、問題は、この改正案で本当に中小企業やそこに働く労働者の営業や権利が守られるものになっているのだろうかということだと思います。
 これも先ほど議論がありましたけれども、債権譲渡特例法による実績ですね、この債権譲渡登記制度が地域再開発に伴う債権、リース債権、貸金債権の流動化等々に利用されているのは承知をしておりますが、一方で、金融機関などが保有する既存債権の保全策として使われて、倒産間際の資金回収のために使われているという指摘があります。
 先ほどの答弁ですと、いろいろヒアリングもしたけれども、そういう利用については聞いていないというようなことだったんですが、法務省としてはそういう認識なんでしょうか。
#249
○政府参考人(房村精一君) この債権譲渡登記が増し担保のために使われて、企業にその債権譲渡を、債権を譲渡担保に提供しても新たなお金が入らない、そういう利用の仕方があるのではないかという御質問でございましたので、それに対して、ヒアリングした中ではそのような指摘は受けなかったということを申し上げたわけでございます。
#250
○井上哲士君 金融機関からはそういうことはなかったというお話ですけれども、例えばさっき議論になっていました根保証の問題についての中間試案への全国銀行協会の意見などを見ますと、そもそも金融機関では実際の債権回収現場において過大な責任を追及していると認識はしていないと、こういうことをのうのうと言われるわけですね。これは相当実際の事態とは違うわけでありますし、現実にこれが使われた中で倒産をした会社などの意見などが寄せられる仕組みがないんじゃないかなという気がしているんです。
 ちょっと古い調査ですけれども、帝国データバンクが債権譲渡登記後の倒産企業動向調査というのをやっております。特例法が施行されてから二〇〇一年二月までの企業倒産のうちに、債権譲渡登記をした後に倒産をした企業について調査をしているんですね。これによりますと、債権譲渡登記をして四か月以内に倒産をしたというのが実に六割を占めるということで、この調査では、「金融機関や一般企業が取引先の商業登記簿に債権譲渡登記や質権設定を行うことにより、債権の保全、回収の手段としても、同制度の利用が目立って来ている。」と、こういうまとめをしているわけですね。
 ですから、やはり現に法務省が認識されているのとは違う使われ方をしていると、こういう実態があるんじゃないでしょうか。
#251
○政府参考人(房村精一君) その帝国データバンクの報告は私も拝見しましたが、それは比較的債権譲渡登記制度が創設されて間もない時期ではなかったかと思っておりますが、その後、今回、現実の利用状況を調査するという目的でヒアリングを行ったわけでございますが、ヒアリングの対象としては、もちろん金融機関も含まれておりますが、そういう言わば債権を譲渡する立場にある中小企業、そういったものの御意見も伺うということで中小企業関係者からも意見を伺っております。その中で、先ほども申し上げましたけれども、この債権譲渡登記がいわゆる増し担保のために使われているというような、そういう事情は特に出てこなかったということを申し上げているわけでございます。
#252
○井上哲士君 確かにこの帝国データバンクの調査は法改正ができた直後の話なんですが、その後もいろんな指摘はされているんですね。
 例えば、二〇〇二年三月の「エコノミスト」が倒産危機度研究という特集をしております。東京商工リサーチの幹部らがコメントをしていますけれども、債権譲渡登記も一般に閲覧できるからリスク判断に一役買うと、本来中小企業の資金需要にこたえるために設けられた制度だったが、融資先の信用リスクに備えようと銀行も利用していると、こう述べておるんですね。
 最近でいいますと、二〇〇四年三月にこれは日刊工業新聞がやはり特集をしておりましたけれども、某都市銀行の審査担当者ということで出てきているんですが、「融資先に債権譲渡登記を設定することは、設定した理由はどうあれ、その企業に大きな信用不安をもたらすことは周知の事実。あらゆる手段をつくし、最後の最後で行うのが債権譲渡登記」と、こういう発言もされておりまして、ですから、今日においても、金融機関の側もこの制度が一部資金回収の手段として使われているということをやはり認めているあかしだと思うんですね。
 ですから、やはり日弁連なども指摘していますように、こういう改正が行われた場合に、いわゆるニューマネーの融資ではなくてオールドマネーの回収に乱用されるんじゃないかと、こういう可能性というのは私は強いと思うんですが、じゃ、この法案の中にこれを防ぐような措置を一体盛り込まれているのか、そういう問題意識はあるのか、その点どうでしょうか。
#253
○政府参考人(房村精一君) 基本的に、この今回の動産譲渡あるいは債権の将来債権を含める等改正、これについては先ほど来申し上げておりますように、新たな資金調達手段として活用していただきたいと、そのために権利の公示制度を整備するという目的で立法をお願いしているわけでございます。
 この法律の中に、いわゆる既存債権の担保のために用いることを防ぐことが定められているかということでございますと、それは確かにそういう規定は置いてございません。ただ、先ほど来指摘のございます、企業が危なくなったときに既存債務のために担保提供をするということは当然詐害行為取消し権の対象にもなるわけでありますし、破産まで進めば当然否認の対象になります。そういう意味では、そのような利用のされ方をした場合には、倒産法制における否認権の行使、又は詐害行為取消し権の行使によって対応する手段は法律的には備わっているわけでございます。
 破産法の改正に当たりましては、否認権につきまして要件を明確化したり、あるいは従来認められておりませんでした破産開始決定手続、あっ破産開始決定前の否認のための保全処分を用意したり、あるいは訴訟によらない請求の形で否認権を行使するという新しい制度を作ったりという、そちらの面でそのような不当な利用の仕方をされた場合には対応できる仕組みは作ってございます。
#254
○井上哲士君 この間ずっと倒産法制の改正が行われてきて、その中で労働債権をどう確保していくかということが大きな流れだったわけですね。そして、先取特権の問題、労働債権を順位を上げていくとか、非常に積極的な改正も行われてきたわけですね。これとこの本法案がどうも流れが逆行していると私は思うんですね。
 先ほど来、いわゆる回収に乱用されているという例も挙げてまいりましたけれども、その中で、現に労働債権の確保が非常に困難になった例というのは幾つか挙がっております。
 例えば、これは有名になった事件ですけれども、これ、愛知県最大の寝具問屋である武井商事というところが、これはまあ法律ができた直後、九八年の十二月に突然事業場を閉鎖をして従業員全員を解雇した上で自己破産の申立てを行ったんですが、そのわずか二か月前の同年十月五日に約二百社に対する売掛金の総額約五十億円を日商岩井に譲渡する旨の登記を済ませていたということになりまして、労働債権の確保が非常に困難になったという、こういう事例が現にあるわけですね。
 こういう点はどういうふうにお考えでしょうか。
#255
○政府参考人(房村精一君) 個別の案件についての意見は差し控えさせていただきたいと思っておりますが、私どもとしては、労働債権の保護というのは非常に重要なことだということは考えておりまして、倒産法制の改正の過程ではできる限りその保護を厚くする方向で法案を考え、通していただいたと、こう思っております。
 今回の譲渡登記制度の創設につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現在の金融情勢の中で適切な融資が受けられないために中小企業が倒産の憂き目に遭っている、そういうものが相当数あると、そういうものに対して、新たな融資手法を確保することによってその企業が生き延びられれば、そこに勤務をしています労働者の方々にとってもメリットがある。そういうことを全体として考えますと、確かに倒産時の労働債権の対象となる財産は減少する可能性はあるわけでございますが、やはり全体としてその倒産を防いで雇用の機会を確保するということの方がメリットとしては大きいのではないかと、また、現在の社会情勢からするとそちらの方が緊急性が高いのではないかということでお願いをしているわけでございます。
 私どもとしても、倒産時の労働債権の保護の在り方につきましては必ずしも現在の制度で十分だとは思っておりませんので、今後もその点については検討を加えていきたいとは思っておりますが、今の社会情勢から見ますと、そういった新たな融資手法を設けるということの緊急性、必要性が高いのではないかと思って今回の法案をお願いしているわけでございます。
#256
○井上哲士君 そういう説明がずっとされてきているわけですが、私は、午前中からの質疑を聞いておりまして、現実にこの間、債権譲渡登記が様々な資金回収の手段に使われてきたことなどに対してのどうも認識が少し違うんではないかなと、そこが非常に甘いままに、とにかく新しい資金が入ってくる、それによって倒産が救われるんだから結果として労働者も救われるんだと、こういうことであるとやはり結果として、現状でいいますといろんな形で労働者に大変なしわ寄せが来るということを思うんです。
 大体、企業の財務状況をよく知っている銀行であるとか商事会社などが、これが率先して債権保全のために使っている例が多いわけですね。ですから、ある程度経営に責任も負っている、情報も一番よく知っていると、そういうところが倒産時には非常に有利に扱われて、それ以外、担保を持っていない普通の中小企業とか労働者が大変過酷なことに結果的になり得ると。これについてやはりしっかりした手当てが必要だと思うんですが、そういう、本来企業経営に積極的に関与して責任の一端を負うところがむしろ倒産に有利に扱われることになってしまうと。この点についていかがでしょうか。
#257
○政府参考人(房村精一君) ある意味では、現在の融資が不動産あるいは保証人に過度に依存しているという指摘がありまして、新たな金融手法としては、その企業の収益、キャッシュフロー等に着目して、そこからの弁済を主眼とした融資手法、担保あるいはその保証に依存しない、そういう新たな融資手法を開発していくべきではないかという、こういう指摘がされているわけでございます。
 そういう形の融資手法を取る場合には、当然その企業の営業内容あるいは財務内容についてそれなりの情報を持ってそのリスクを適切に評価して、金利水準を決定し、行動していくということが必要になってくるわけでございます。それはやはり、融資をする者がそういった情報を得て適切なリスク管理を行うことによって適切な金利水準になっていくということではないかと思っておりまして、その融資をする者がある程度その融資先の状況について関心を持ち情報を集めるということは、その融資をする立場からすれば合理的な行為ではないかと、こう思っております。
 特にそのことによって法律的に、そういう融資をした人が法律的に有利な地位に立つということではない。それは逆に、融資をした場合にはそのリスクもそれだけ負っているわけでございますので、そういうことではないかとは思っておりますが。
#258
○井上哲士君 実際にはリスク回避に使われて、債権回収に使われているということを先ほど来から幾つか例も挙げたわけでありまして。
 いろんな答弁がございましたけれども、例えば動産譲渡については個人の場合は対象に含まなかったと。その説明として、それまでやれば生活のためのものも根こそぎ担保に取られてしまうんじゃないかと、こういうおそれがあるということを言われたわけですね。これは、個人であろうが相手が法人であろうが、そういう正に根こそぎ取っていってしまうというおそれは私は同じようにあると思うわけで、そのことが乱用されて、結果としてやはり労働者等の債権確保に大変な困難を生じると、こういう懸念は今日の答弁ではなかなか払拭できないということを申し上げまして、今日はここまでで終わりたいと思います。
#259
○委員長(渡辺孝男君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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