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2004/11/18 第161回国会 参議院 参議院会議録情報 第161回国会 法務委員会 第8号
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2004/11/18 第161回国会 参議院

参議院会議録情報 第161回国会 法務委員会 第8号

#1
第161回国会 法務委員会 第8号
平成十六年十一月十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         渡辺 孝男君
    理 事
                松村 龍二君
                吉田 博美君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                荒井 正吾君
                山東 昭子君
                陣内 孝雄君
                関谷 勝嗣君
                鶴保 庸介君
                江田 五月君
                前川 清成君
                松岡  徹君
                簗瀬  進君
                浜四津敏子君
                井上 哲士君
   国務大臣
       法務大臣     南野知惠子君
   副大臣
       法務副大臣    滝   実君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  富田 茂之君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局総務局長   園尾 隆司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律
 案(内閣提出、衆議院送付)
○民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一
 部を改正する法律案(第百五十九回国会内閣提
 出、第百六十一回国会衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会に司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君及び法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(渡辺孝男君) 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○荒井正吾君 自民党の荒井正吾でございます。
 法案審議に引き続き、総括質疑をさせていただきます。
 これまでの参考人質疑、法案質疑を通じまして、法案提出の背景、必要性、目的、関係者の意向などが明らかになりました。我々が理解し、共感できると思いますのは、一つには、代替紛争解決手段が今後更に必要になってくるということ。中でも、民間型代替紛争解決手段の育成が望まれること。さらに、将来の在り方について関係者の間でいろいろ議論のある中で、認証紛争解決事業者を中心とする制度を創設し、市場のテスト、いわゆる市場化テストを受けようとされていることであります。法務省また司法制度改革本部の努力を多としたいと思います。
 しかし、民間型代替紛争解決手段が今後我が国で十分発展するためには重要な課題がまだ残されているようにも感じました。本日は、残された課題についての共通認識を深めるとともに、可能な方策を探るための議論を若干させていただきたいと思います。
 特に、民間型代替紛争解決手段を今後司法サービスの市場で有望商品とするために、言い換えれば、国民にとって裁判に代わる魅力的な選択肢となるためには、幾つかの特段の方策を講じていく必要があるのではないかという点。二つ目には、今回創設された認証型民間代替紛争解決制度や、これ以外で今後出現が予想される民間代替紛争解決手段は、今後司法制度の中でどのように位置付けされるのかという、その二点について質問をさせていただきます。
 まず、魅力ある選択肢とするための工夫についてですが、幾つかの点についてお聞きいたします。
 最初に、新しく商品として市場に登場する認証型民間代替紛争解決手続の信頼性についてですが、紛争が深刻であれば最後は裁判で決着したいと思うのが紛争当事者の心理であると思います。しかし、紛争の内容によっては、通常の裁判に掛かる時間と費用を勘案しつつ、簡便、迅速、廉価な紛争解決手段を利用したいと思う人々や、公開性を原則とする裁判よりも秘密性が維持できる方法を好まれる方、争いがより深刻になり、対決色がその後深まることのない融和性を保てる方法を志向する方々もおられ、そのような人々は新しい制度を利用される可能性が高いものと思います。しかし、新しい制度が簡便、迅速、廉価、秘密、融和といった特徴を強調すれば、一面、紛争解決手段としての信頼感が低下することが心配されるところであります。
 よちよち歩きの本制度の信頼性確保のために特段の配慮が必要だと思われます。認証を厳正に行うことも必要ですが、最近は、行政の事後チェック、それも関係者からの内通を含む市場からの情報に基づく行政の事後検査と結果の公開を継続的に行うことが制度の信頼感維持のために重要な方法となってきています。そういった観点から、法第二十一条の報告と検査の権限を有効に活用する必要があろうかと思います。そのための組織、人員の整備、ノウハウの蓄積、関係者の検査能力の向上に継続的に努めていく必要があると考えますが、そのほか、制度の信頼性確保のための特段のお考えがあればお聞かせください。
#6
○政府参考人(寺田逸郎君) 運用を担う法務省といたしまして、まずお答えをさせていただきたいと思います。
 今、荒井委員がおっしゃいました信頼性の確保のために、これは初めての制度でございますので、とりわけこのことについて非常に、不正があるとかあるいは不適当な行為があるとかということについて最初は少なくとも非常に神経質になる必要があるだろうというふうには考えております。それが後々のこの制度の適正な運用に寄与していくだろうと。
 まず、おっしゃいましたように、この制度の大まかな仕組みとしては、業務報告を求めまして適切な監督権限を行使するということでありますけれども、それと同時に、やはり一般の方々がこれをどう受け止めておられて、それについてどういう感じ方をされているか、あるいは具体的にこの認証事業者の方々とかかわってどういう感想をお持ちかというようなことも大変重要なことでございます。
 したがいまして、私どもとしては、まずこの認証制度について正しい理解をいただくということが今のような業務の適正を確保するのにやはり非常に重要だろうというふうに考えておりまして、元々ADRというのは現在もあるわけでございますけれども、その上にこの認証制度というのが新たに積み重ねられまして、認証制度という中で新しくこのADRを運用していこうという事業者がおり、またそれを監督する官庁があるということを知っていただくというための努力が大変重要だろうと思います。
 私ども、現に既にサービサーというような制度を新しく作った経験がございます。サービサーの場合は、このADRと違いまして、最初からやや疑わしい領域に新たに七十二条の例外として事業者を迎え入れたために、大変に監督は厳しくしておりまして、立入検査等も定期的に行っておりますし、苦情の処理ということも、怪しい、疑わしいことがあれば非常にまめにそれを見て、何らかの不適当なことがあるということになりましたら関係者から事情聴取するというようなことも頻繁に行っているわけでございます。もちろん、ADRの場合には、サービサーと違いまして、当初から七十二条の違反ということが正面から問題になるというよりは、むしろADRの皆さんは国民へのサービスということを真っ当にお考えになっておられる方が大半でございますので、それほど、サービサーほど神経質になる必要はあるいはないのかもしれません。
 しかしながら、先ほど委員も御指摘になりましたように、少なくともこの制度の当初はいろんな問題が生じると思いますので、私どもも耳をそばだてて、こういう方々からの苦情処理ということを非常に重要なポイントだということで考えてまいりたいと思いますし、これを監督する部署においてはサービサーと同様のいろいろな心構えを含めた準備をこの運用に先立ってしてまいりたいと、このように考えているわけでございます。
#7
○荒井正吾君 よろしくお願いいたします。
 次の質問をさせていただきますが、どのような制度でも品質維持のための最重要パーツは担い手だと思います。優秀な調停者なる者は、法律的知識、専門的知見のほか、扱いの公平さ、話しやすさ、正義感、弱者への優しさなど、南野大臣のような話合い促進能力が不可欠だと思います。泣く子と地頭には勝てぬという言い方が古くからございますが、駄々をこねて居直るとか、法律的知識や立場や資格を振りかざして権威的に振る舞う人々は調停者としては適していないと考えます。
 民間型紛争解決手続の費用は当事者が償うことが基本となりますので、担い手の収益、給与は十分なものとならないことも予想されます。市場で優秀な担い手を調達するための特段の配慮、また話合い促進能力向上のためのトレーニングの方法などについて、特段のお考えがあればお聞かせください。
#8
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘のとおり、この担い手の果たす役割、極めて重要でございます。これはADRにかかわらず、裁判制度そのものでももう人が人を動かすという制度でございますので、ここが一番のキーポイントになるということでございます。担い手に求められる資質といたしましても、一般的には紛争分野に関する専門的知識とか、あるいは法律的知識、倫理規律などと言われておりますけれども、やはりもう一つそれに加えてコミュニケーションの能力ということ、これが非常に重要になってくるということでございます。
 基本はそうでございますけれども、ADR自体が多種多様でございまして、まだ言わば発展途上の段階にあるということから、その育成とかあるいは研修の方法につきましては、我が国だけではなくて海外も含めまして、ある意味では試行錯誤の状況であるというのが実態であるということでございます。民間においても現在様々な研修講座あるいは養成プログラムが実施されているというふうに承知しているところでございますけれども、国もその研修プログラムやあるいは教材の開発、こういうことに対して一部支援を行っているところでございます。
 今後とも、いろいろ内外のその人材育成をめぐる動向等を適切に把握をいたしまして、必要な分析、情報提供を行うことを含めまして、人材の育成、コミュニケーション能力の向上、これに最大限努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#9
○荒井正吾君 発展途上の商品だということでございますが、市場で各認証事業者のサービスの優劣が判断され、市場の選択を通じてサービスの向上、サービスの質が向上する必要があろうかと思います。そのため、市場において必要で適切十分な情報が流通する仕組みが、仕組みを準備されることが望ましいと考えます。
 民間型紛争解決手続の例えばサイトを立ち上げて、各事業者に関する情報、取引の条件に関する情報を流通させて、紛争解決手続へのアクセスの容易化を図ったり、事業者の優劣の評価を図ることなどもできるかと思います。また、費用の明示、法律扶助の適用等その他の方法を通じて、敷居が高いと言われます裁判制度と異なった使いやすい制度とするための工夫も必要かと思います。さらに、解決事例をプライバシーや企業秘密に触れないよう標準的なモデルの形で結果や手続の過程について公表し、事例の市場でのデファクトの規範性を高めるとともに、費用、時間等、コストの相場作りに役立てることも考えられます。
 これらの市場の情報流通システムの整備、使いやすさの促進について、特段のお考えがあればお聞かせください。
#10
○国務大臣(南野知惠子君) ありがとうございます。民間型ADRを育てるためにはと、先生の御熱意があると思っております。
 ADRに関する適切で十分な情報の流通、それにつきましては重要な課題であると認識いたしており、この法律案におきましても、認証ADR事業者につきましては事業者自身やまた法務大臣により必要な情報提供が行われることになっております。また、認証を受けていないADRも含めまして、ADR全般について国や地方公共団体はその責務として情報の提供に努めなければならないこととなっております。また、具体的には、これまでも関係省庁等で連携してパンフレットを作成したり、地方自治体の相談窓口の職員に対する研修などを実施いたしております。
 また、現在、民間団体が共同して運営しているADRに関するポータルサイト、これはすなわちインターネット等でそこにアクセスするとADRに関するいろいろな情報が得られる、そういうインターネット上の案内窓口というのがございます。一つ例を挙げますと、現在、最高裁ではそこのホームページ上に民間のポータルサイトへのリンク設定がされております。そういうところで、最高裁のホームページ上からポータルサイトへこう飛んでいけるというんですかね、そういうようなことが今なされております。
 また、一つ例を、今この例を一つ挙げましたけれども、今後ともインターネットを活用して行政機関などがADRについての情報提供への協力を行っていく所存でございます。こうした活動の充実にも努めてまいりたいと考えております。
#11
○荒井正吾君 ありがとうございます。法務大臣の情報提供努力、特にインターネットを利用して対面取引に至るまでの誘導路になる、まあ敷居のある前に玄関の、道が、入りやすい玄関口でありますように、是非情報を市場で整備していただきたいというふうにお願い申し上げます。
 また、商取引に係る紛争の場合は、サプライサイドが必要な情報を圧倒的に持っておられることが多くて、いわゆる情報弱者は不利に扱われる可能性があると思います。また、これからは高齢者の紛争も多く発生すると思います。貧しくて手続費用を払えない紛争当事者もおられることと思います。これらの非対称的な当事者間の紛争を公平に扱うには何らかの形で国の関与が必要かと思いますが、国のお考えをお聞かせください。
#12
○政府参考人(山崎潮君) この法案におきましては、ただいま御指摘がございましたような関係があった場合でも、それを特段のルールを設けるという形にはしない、あるいはそれをこの分野から排斥をするということにはしていないわけでございます。
 ただ、今御指摘がございましたように、やはり情報量あるいはその力、そういう点で格差があるという場合もあり得るわけでございますので、その場合にはいろいろ運用上でもきちっとそういうこと、その辺で問題が生じないような手配をしなければならないと、こういう認識でございます。
 現在、例えば金融分野のADRにおいて、利用者の代表者も参加した協議会、苦情それから紛争解決支援のモデル、こういうものが策定されるなど、利用者の信頼向上のために様々な自主的な取組がされております。私ども政府としても、こうした動きについて必要に応じて協力を行っていくべきものというふうに考えております。
 それからまた、この法律案におきましても、認証を受けた後、その業務の認証基準への適合性あるいは利用者への説明等といった義務を適切に履行しているかどうかと、これを確認する際には、例えば消費者紛争など、取り扱う紛争分野の特性を踏まえまして、利用者に不測の事態を生じない、生じさせないような的確な配慮がなされているかどうか、こういう観点を勘案するということになろうというふうに考えております。こういう点につきましては、今後、省令の制定とか、それからガイドラインの策定を含めた運用段階において適切に考慮をしていくということになろうと思っております。
#13
○荒井正吾君 よろしくお願いいたします。
 今回整備されます民間紛争解決手続の発展により実現される正義の総量は確実に向上することと思いますが、この市場では余り利益を期待できる市場ではないと思います。上場できる事業者は出現しないでしょうし、大きな設備投資も行われないでしょうから大型倒産もないと思います。しかし、市場が元気でなければ提供されるサービスの質の向上への投資も行われず、市場が縮小していく可能性があります。参入される事業者の営業基盤の強化のための手段、例えば税制、主体によっては特定公益増進法人に指定し、必要資金を集めやすくするなど、また一定の範囲で業界団体等が紛争解決手続の基本的な、基礎的な費用を支弁するなど、法務省は事業監督官庁になられるわけですから、税制改正要望も自民党税制調査会などにしていただいてもいいと思いますが、(発言する者あり)民主党でも結構でございます。特段のお考えがあればお聞かせください。
#14
○政府参考人(山崎潮君) この民間ADRが適切かつ継続的に業務を行っていくというためには一定の経理的基礎が必要でございまして、この法律案におきましてもその旨を認証基準の一つとしております。また、この法律案においては、弁護士以外の者が有償でADR業務を行う道を広げたということでございまして、結果として経済的な面での事業基盤の強化、これに資することになろうという、あるいはこのことによって新たなADR事業者の参入を促すことにもなるというふうに考えております。
 御指摘の税制面の措置でございますけれども、これにつきましては、今後、具体的なADRがどのような振興につながっていくか、どういう発展をしていくか、その辺の状況をよく見極めながら、本当に税制の措置が必要かどうかというのはまた将来的な課題として考えていくことになろうと思っております。
#15
○荒井正吾君 法務省は、事業者の方を、こう言っちゃあれですが、いじめる方はお得意だけれども、育てる方はまだ慣れておられないんじゃないかということから、励ましのつもりで質問をさせていただきました。
 次に、民間型紛争解決手続を今後司法制度の中でどのように位置付けられていかれるのかについてお聞きしたいと思います。
 まず、裁判に代替する紛争解決手続として普及するには制度が分かりやすい名前で理解される必要がありますが、法律上の名前は裁判外紛争解決、まあ分類に基づいた名称で、商品として売り出そうとの雰囲気が感じられません。ADRという呼び方も若干正確さに欠け、外来語でありますし、親近感が発生しない感じがいたします。商品としていい名前は浮かびませんが、昨日少々考えまして、民間簡易調停とか、マル認ちょうていとか、太鼓判調停とか、これちょっといかがか、紛争解決は何でも南野とかですね、ちょっと一生懸命考えたんですが、その商品として親近感のあるブランド名を考えられて、市場でテストを受けられるということもいかがでしょうか。お考えがあれば。
#16
○政府参考人(山崎潮君) ただいまいろいろなアイデアを御提供いただきましてありがとうございます。
 実はこの問題は本当に難しい問題でございまして、確かにADRというのはそのまま外国で言っているものを持ってきているわけでございます。これについて、もう少し日本語として言いやすいものがないのかということで我々の検討会でもさんざん議論はしたんですけれども、結局名案がないという状況でございまして、日本語にしますと、この法案に書かれておりますようにやや長く硬いというふうにせざるを得ませんので、これをどのように呼んでいくか、これから本当に募集をしたいというぐらいのところでございまして、これ少しやりながらこの点については考えていきたいということでございます。
 国会でも、さきの国会でも御審議をいただきました総合法律支援、これにつきましても、司法ネットという形で分かりやすくその名称を付けて普及させていくということになったわけでございますが、こちらの点についても、一つ言えば、NPOというのも、最初私聞いたとき、何を言っているのかなと思いましたけれども、もう今になったら当たり前ということにもなっておりますし、場合によってはこのADRがずっと定着しちゃうかもしれませんし、また別のものになるか、その辺はよく研究をしてまいりたいというふうに思っております。
#17
○荒井正吾君 山崎本部長はどうもADRの方に傾いておられるようですが、ちょっとまたもう少し知恵を絞っていただきたいとお願い申し上げます。
 本制度は民間活力利用の裁判代替紛争解決手続でありますが、裁判制度と相互補完関係が特例で認めておられます。民間型紛争解決手続の制度基盤を強化するために、これらの特例のほか、手続の過程で事実の認定等について裁判所の機能を利用できるようにするとか、一定の範囲で手続の結果に執行力を付与するとか、民間型調停のテーブルに着かせるために裁判所の機能を一部利用するとか、特段の制度基盤強化措置についてお考えがあればお聞かせください。
#18
○国務大臣(南野知惠子君) 先生、先ほどADRのネーミングをいろいろお考えいただきまして、その中の一つに加えていただいてありがとうございます。でも、荒井先生も荒井正吾というお名前でございますので、吾正しいという法案にしていただいてもいいのではないかなと、正吾法案でもいいんじゃないかなと思ったりいたしますが。
 今お尋ねの件でございます。
 ADRと裁判手続との間で連携が図られることは国民の権利利益の適切な実現を図る上で重要な課題であると認識いたしております。この法律案におきましても、認証を受けた機関を利用する場合におきましては、これは時効中断の効力の付与と、また訴訟手続の中止、そしてもう一つが調停前置主義の特例という三点につきまして制度上の措置を講じております。裁判手続との適切な連携を図っているところでございます。
 また、執行力の付与ということにつきましては、現段階での導入は見送りとなりましたが、執行力には、手続のより一層の実効性を確保するということによりまして裁判との適正な役割分担、連携が図られるという意義もございます。御指摘のような他の連携策と併せまして、今後の検討課題の一つであると認識いたしております。
#19
○荒井正吾君 よろしくお願いいたします。
 最後の質問をさせていただきます。
 今回提出された法案は、裁判外紛争解決手続の一般の定義と基本理念に関する規定、それと認証紛争解決手続の制度に関する規定を置いた程度の法律で、一般法あるいは基本法としての性格は薄いように感じます。今後、代替紛争解決手続に関しより大きな発展を希望いたしますが、今後、国家の基本姿勢や意見を、意思をもっと具体的に明示する規定、裁判制度や裁判所機能との関係、連携の具体的な規定、国際的な仕組みとの関係の規定、弁護士法第七十二条の範囲の明確化や行政書士など隣接法律専門職種の活用、調停能力育成支援、調停士の資格制度の創設など担い手に関する規定、代替紛争解決手続市場の育成、成熟のために国家がなすべきことの規定など、必要と思われる規定を含んだ代替紛争解決手続基本法のようなものを今後検討し、制定することについてお考えがあれば、なくても、感じをお聞かせいただきたいと思います。
#20
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員の方から将来の課題、御提示ございまして、これをこの運用含めまして、その中でいろいろ考えていかなければならないというふうに意識はしております。ただいまの御指摘の点ですね、ADR基本法にすべきかどうかという点につきましては、議論として我々もやったわけでございます。
 ただ現状では、そのADRが、裁判所型のADRもございます。それぞれ独自の法体系を持っております。それから行政型ADRですね、これにつきましてもそれぞれ独自の立法、法律体系を持ちながら活動しているということになるわけでございまして、これを全部統合してそのADRの基本法を作るというのは、現状においては民間型のADRがこれからどうなっていくかということをよく見極めないと、最終的にそれを全部包括するものとして作り上げていけるかどうかという点については、なおこれから研究の余地が、検討の余地があるということから、今回はその総則において、ADR全部にわたる言わばその基本理念、あるいは国の責務等を定めまして、それ以外、民間型ADR、今回新しく創設する民間型ADRについて認証制度を設けると、こういうことで御提示をさせていただいたということでございまして、これからどういう発展を遂げて、最終的に裁判所型、行政型、民間型、これをどういうふうに統合していくかという点は大きな課題であるというふうに考えておりまして、将来のまた発展に期待をするということでございます。
#21
○荒井正吾君 ありがとうございました。
 終わります。
#22
○千葉景子君 民主党・新緑風会の千葉景子でございます。
 前回、前川同僚委員の方から質疑がございましたが、それと重なる部分もありますけれども、何点かお聞きをしたいと思います。
 ちょっと済みません、冒頭なんですけれども、これ通告をしておりませんし、ただ大臣の是非頭にちょっと置いていただきたいということで、問題指摘をさせていただきたいというふうに思います。
 実は、今法科大学院で学んでいる皆さんの中で大変混乱というかが起こっております。それはどういうことかといいますと、当初、初めて入学を、法科大学院に入学をして、その皆さんが卒業して新しい司法試験を受けると、そういうルートになるわけですが、そのときのおおよそ合格者が千人というふうにほぼ言われておりました。そういうことを前提にしながら、じっくりと法科大学院でこれまでにはないやっぱり実態を踏まえたいろいろな勉強をして、そして司法試験に合格を目指そうと、こういうことと多くの法科大学院生が考えておりましたところ、報道によってこれがどうも八百人に抑えられるのではないかと。新しい司法試験が八百人、これまで続いている司法試験が八百人と、こういうことにどうもなるらしいということで、法科大学院で学んでいる皆さんは大変今心配をし、一体自分たちはどういうふうに勉強したらいいのかと困惑をしていると、こういう状況が生じているということでございます。
 別に試験が難しくなる、倍率が高くなるということを私はけしからぬと言いたいのではないのです。ただ、やっぱり当初予定をしていた、そういうことが、やっぱり学び始めて途中で方向が変わってしまうと、やっぱり自分の心の準備、あるいは勉強するに当たってのいろんな自分なりの勉強の仕方、こういうものが大きく揺るがされるということはやっぱり混乱を招くのではないかと感じております。
 どんな試験でもなかなか厳しいものがあるわけで、そのときそのときで倍率等もそれは変わることもあるとは思いますけれども、やっぱり余り途中で極端な制度変更みたいなことがありますと混乱を招くのではないかということで、そういう事態が生じておりますので、その辺を是非大臣も念頭に置いていただき、せっかく法科大学院というものを通じてより良き法曹、これまでのような単に受験勉強をして法曹になろうということではなくして、一貫した、点ではなくて線で法曹養成を行おうという、そういう趣旨、こういうことがこれから是非きちっと生かされるように、そこを踏まえておいていただきたいと、こういう今日は指摘でございます。
 事前に何も申し上げておりませんので御答弁は今日はいただきませんけれども、是非、そこを是非頭に置いておいていただきまして、いろいろな大臣としての御指導をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 さて、本題の方に入らせていただきたいというふうに思います。
 何かせっかく、何か答弁の紙が回っていたようですけれども、とんだ答弁をいただいても困るので、指摘にしておきたいというふうに思っております。
 実はこのADR、この間からお話がありますように、これから育てていくというか、そういうものだということでもございます。今回の法律ができることを契機に、やっぱり社会の中に紛争解決のすそ野を大きく広げていこうということでございます。ただ、それにはやっぱり光と影もあるという話もございまして、いろいろ議論は尽きないところなんですけれども、私も、議論をお聞きしながら、そして多少勉強させていただきながら、なかなかそのイメージが、ADRって一体どんなものだろうと。一体、実情としてはどんなADR、あるいはそれに類するものが実施をされたり、あるいは運用されているんだろうかということで、考えてみると、そういう実態も知らないで議論しているのもなんだろうと思いまして、大変急遽ではございましたけれども、事務方の皆さんに、一体、実情について少し教えてほしいということでお願いをいたしました。急遽だったものですから、大変御苦労いただいたかと思います。
 この調査室で作られました資料の中にも現状のADRについての記載がございまして、それの元もこういう形でいただきまして、「各種ADR機関の御案内」と、こういうものでございます。ただこれは、こういうものがあるよというだけでなかなか中身が分かりませんものですから、現在の概要などをちょっと知らせていただきましたところ、こういうファイルでいただいております。
 これを一つ一つ今日端から紹介をしたりしていたのでは日が暮れてしまいますので、それはいたしませんけれども、この間、参考人の話などでも、なかなかADR、現状では皆さんにほとんど知られていない。裁判、司法的な部分でやっている、あるいは行政型と言われているようなものは多少知られている部分もございます。それは家庭裁判所というのもADRといえばADRで、それは多くの人が知っておりますし、あるいは日弁連などでやっている言わばADRなどは大分利用される方もいるわけですけれども、それ以外のものは、統計を見ても本当に、開いてはいるけれどもほとんどまだ今の現状では活用されていないとか、あるいは、相談というのはそれなりに件数がありますけれども、それと同時に、あっせん、調停などを行っているADRもあるんですけれども、相談件数はあってもなかなかそういう解決、紛争解決までつながって、あっせんとか調停という形で行われたという件数は少のうございますし、あるいは件数としては、ADR実施はされているんだと思うんですけれども、受理件数とかその処理件数はゼロと、こういうものもたくさんございまして、なかなかこのADRというのがこれからどういうふうにこの法律ができて育っていくんだろうかと。なかなか私も、何か行く末というか、それから筋道、イメージがわいてこないというところもございます。
 せっかくの機会で、これだけ作っていただきましたので、若干、こういうことなんだということをちょっと紹介をさせていただきますと、例えば、これは何でしょうね、電気通信事業紛争処理委員会というのがありまして、これはあっせん、仲裁、こういうことを行っております。これは行政型のADRでございまして、財政は政府予算で行われていると、こういうものでございます。これは、委員は国会の同意を得て行われているということになりまして、ただ、そういうものは作られているんですが、受理件数は六件と、こういうことでございます。これは平成十三年から十四年の一年間なんですけれども、受理件数は六件と、こういうことで、逆にそういう電気通信事業についての紛争が基本的に数が少ないということでもあるのかと思いますけれども、こういうものもございました。
 あるいは、これは何でしょうね、これも例えば森林共済仲裁委員会というのがございます。これ民間型で仲裁を行っておりますが、これは全国森林組合連合会というところの言わば母体でやっておられると。これは受理件数は今のところ、設立は平成七年なんですけれども、ゼロと。これもそうたくさん紛争が起こるというものではないんだろうというふうに思いますが、こういうものがあったりする。
 もう何かそれぞれ見ていると、何か非常に興味深いことは興味深いんですけれども、割と身近なものとしてあるのがいろいろなPLセンターですね。PL法に基づくそういう苦情の処理とかあるいはあっせん、仲裁、裁定などを行っていると、こういうところはかなり多いのです。これもそれぞれ化学製品のPL、ガス石油機器PLセンターとか、家電製品PLセンター、自動車製造物責任相談センター、消費生活用製品PLセンター、生活用品PLセンターと、それぞれ相談からあるいはあっせん、調停などを行っているところが多いようでございますが、これもどちらかというと苦情の相談とか、相談、こういうものが主になっているようで、あっせんとか調停となりますと、ほとんどはですね、一けたの数字ということでございます。
 ちなみに、こういうものについても審査を受けるときの手数料というのもいろいろでございまして、無料のものもあれば、審査を受ける、相談は無料だけれども裁定を受けると一万円とかですね、調停は相談申込者、製造者双方より各五千円とかですね、いろいろなケースが本当にあるようでございます。そういうのを全部御紹介できませんけれども、機会がありましたら、また皆さんもこういうものを見ていただけると大変イメージとして具体的なあれが出てくるんじゃないかというふうに思っております。
 こういう状況でございますので、確かにこれが裁判に代わる魅力ある制度として、この法案を作ることによって発展をさせていくとなると、なかなかそう簡単なことではないんじゃないかなというふうに感じたりいたします。
 今後、この法案が成立をいたしますと、例えば、特に認証ADRというものもできて、これまで以上に効力とかあるいはその公正さとかそういうものが一定担保されるということによって、少し利用する方あるいは制度としての進展が図られるのかなというふうに思いますけれども、どうなんでしょうか、こういう実情の中で、この法案ができますと、このADR認証を受ける、そのADRですね、民間のADRでどんなぐらい出てくるのでしょうか。何かその辺の目途とかあるいは予測とか、そういうことは何か念頭におありなんでしょうか。ちょっとその辺について、現状を踏まえながら、予測などありましたらお答えをいただければというふうに思います。
#23
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員から現在の状況について御説明ございました。そのとおりでございます。まだまだ使われていない状況だということでございます。
 今後、じゃこの法律が成立した暁にどのぐらいの申請件数が予測されるかということでございますが、これ、民間型が中心でございます、民間型が対象でございますので、現在、民間型のADRが百ぐらい、おおよそ百ぐらいございます。これは全部についてこの申請を経なければならないということではございませんので、それぞれの判断がございますので、じゃその中で現実にどのぐらい申請をしてくるかというのは実は分かりにくいところでございまして、アンケートも取ったことはございません。これ、自主的な判断でございますので、私どもの方からあなたは申請しますかという、聞くわけにもいかないという状況でございまして、ちょっとそこの予測は付かないということでございます。
 これ以外に、この新規参入という問題もございます。これにつきましては、具体的にこの分野でということ、それほど明確なものはございませんけれども、我々の検討会の中では各種いろいろ士族の方がおられるわけでございますけれども、そういう方々、あるいはそれに関連するような方々がこのADRを立ち上げてやっていこうという動き、これも確たるものではございませんけれども、そういうことも聞いておりますし、その辺がどのぐらいの発展を見せるのかということでございまして、具体的な数字はちょっと申し上げられませんけれども、いかにこれがうまくその実務が動いて、それでどんどんどんどん参入してきていただいて国民の方に使っていただくと、そういうことが必要でございますので、まず実態をよく公表して分かってもらうという、そういうことに努めてまいりたいというふうに思っております。
#24
○千葉景子君 御正直なところではないかというふうに思います。そういう意味でも、この法案によって、ADRのやっぱりプラスといいますかね、よく言われました光の部分が大いにPRをされたり、あるいはそこが充実をして、やっぱり多くの皆さんが、おお、なるほどと、これならADRどんどん育てていきたいし、利用もしようということになってほしい。逆に、よく影と言われる部分ができる限りやっぱり解消されて、安心してやっぱりADRで紛争解決をしようと、こういう今度は反対側からの担保もきちっとしておく。これが今の段階で、将来予測はなかなかできない中で、やっぱり法律として、それから我々がなすべきやっぱり役割なんだろうというふうに思います。
 そういうことで、前回に引き続いて、ちょっと何点かどうしてもいま一つはっきりとよく分からない部分、ちょっと質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先般も、要するに法案の六条ですね、法令の解釈適用に関して専門的知識を必要とするときにきちっとした措置をしておかなければ認証を受けられないと、こういうことについていろいろと議論がありました。何だか、鶏と卵なんだか、禅問答みたいになってしまうところもあるんですけれども。この法令の解釈適用に関して「専門的知識を必要とするとき」というのは、非常に、抽象的には分かるんですけれども、まあ実際にそれぞれの案件を考えてみますと千差万別といいますか、あるいはその状況によって本当に個別判断をしなければいけない、そういうことが多いのではないかというふうに思うのです。
 そうすると、この要件を認証の基準にするときに、一体どういうことを具体的に認証に当たって備えておけば、具体的にこういう場合に助言を受けるんだということをどの程度具体的に、何か示しておくとかあるいは何か内部規則みたいにしておけば認証の言わば基準として充足をされるのか。その辺がどうもいま一つはっきり分からないんですね。
 法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときはこうしますと抽象的に述べておくだけで足りるのか、あるいはまあ例示のような、こういう場合には助言を受けるというようなことでこの専門的知識を必要とするときということの客観性を担保しておかなきゃいけないのか。その辺はどういうことになるのでしょうか。
#25
○政府参考人(山崎潮君) まず、御質問の「専門的知識を必要とするとき」という意味でございます。これにつきましては、一般人が通常自ら判断することに支障がある程度に高度な法律の専門知識が必要となる問題が生じて、この問題の解決が手続の続行を決定するために必要であると、こういう状態にあるというのが抽象的なことで、抽象的なことを抽象的に申し上げてもなかなか分かりにくいかと思いますけれども、まあそういう定義をしております。
 具体的には、それじゃこういう状態がただ抽象的に決まっていればいいのかということでございますけれども、そうではないということでございまして、この抽象的な状態で手続実施者がその事件事件で判断をするということになると、かなり主観とかそういうものが入ってくるわけでございましてばらつきが出てしまうということで、これではやはり客観性が担保できないだろうということを考えまして、これにつきましては、やはりどういう場合については弁護士の助言を受ける、そういうものをかなり、まあ完全に詳細かは別として、大きなポイントについてきちっとしたマニュアルとか、それから手順とかそういうものを定めて、その上で申請をしていただくと、それが妥当かどうかというところでチェックをすると、こういうことでございます。
#26
○千葉景子君 逆に言えば今度は、今お話があったそのマニュアルの中身が問題になってくるわけで、まあただそれを今個別具体的にちょっとなかなか全部やっておられませんけれども、例えばそういうものをやるためにも、例えばいわゆるガイドラインといいますか、これからこれを実施していく法務省の方ということになるんでしょうか、こういうガイドラインを作って、これに沿ったやっぱり内部手続とか内部基準、そういうものを備えておきなさいということでもやらないと、なかなかこの専門的知識を必要とするときに云々ということの判断というのは非常に難しいんではないかなと思うのです。
 その辺で、ガイドラインみたいなものを作って、やっぱり公正さ、そして権利保護に努めるというようなことを検討はなさっておられませんか。
#27
○政府参考人(寺田逸郎君) 御指摘はこの申請をなさる方の立場から見れば極めて正当でございます。
 それで、私ども、この六条、特に六条の要件でございますけれども、様々ございますが、一定の範囲で定めているということが決められているもの、あるいはその定めが相当であるということを要求しているもの、あるいは実態的にこうでなければいけないというふうに定めているもの、まあいろんな種類ございますけれども、それぞれについて法解釈を前提にいたしまして何らかの審査基準というものをこの法律が施行するまでには定めたいと。これは行政手続法上の要請でもあるというふうに理解をいたしております。
 具体的な内容につきましては、今後、今のADR機関の実態等をもう少し法務省としても把握して、各方面の御意見を伺って慎重に検討したいと、このように考えております。
#28
○千葉景子君 そうすると、言わば認証の審査に当たって、何というんでしょうね、審査する側の基準、そういうものとして今検討されるということでございましたが、それを審査基準にするためにもやっぱり何らかこう客観的に、こういうこと、ケースであれば弁護士の助言をやっぱり受けなければいけないんだと、そういう行動指針みたいにもなるような、何らかやっぱりガイドラインのようなものをきちっと策定をして進めていくというのが私はやっぱり大事じゃないかと。それによって利用する側も安心してというか、こういうときにはちゃんと専門的な弁護士などの助言をもらいながら紛争解決がされるんだということにもつながります。
 そういう意味では、審査基準というのも分からないではないんですけれども、やっぱり少し客観的に、だれもがなるほどと分かるようなそういう基準を示していただくことも必要なのではないかというふうに思いますので、ちょっとそれは検討をしていただきたいというふうに思います。
 それから、今度は、そういう必要とするときに助言を受ける措置をしておかなければいけないということで、これもこの間、一体措置とは何ぞやと。別に顧問契約ではなくてもいい、契約か、いやいや取決めだと、いろいろありまして、一体何だか分からなくなってしまったということがあるんですけれども、この「措置を定めていること。」ということなんですが、これは一体、まあおかしな議論になってしまいますけれども、例えば措置を、こういう助言を受けると、そういう取決めでもいいですよ、こういう弁護士と取決めをしていますと、そういう書類か何かを添付をし申請をするということなどが考えられると思うんですが、これ現実には措置を定めておればよい。そうすると、定めてはいたと、しかし現実には、実際には弁護士の助言を受けることなくその紛争の解決を結局決着をさせてしまったということにもなりかねないんじゃないかというふうに思うんですね。要するに、措置を定めていりゃいいという書き方ですから、本当にそれで大丈夫なんだろうかということです。
 そうすると、もしそれに反するようなことがあると、この間もこれも問題になりましたけれども、別にそのあっせんとか、それが無効になるわけでもなさそうですし、結局は後々の監督による勧告とかあるいは認証の取消しとか、そういうことでそれを担保するしかないのかなというふうに思いますけれども、そういう考え方でよろしいんですか。
#29
○政府参考人(山崎潮君) 前段の点についてちょっとお答え申し上げますけれども、前段の点につきましては、前回ちょっと答弁ややあいまいでございましたけれども、私申し上げたかったのは、一般的にイメージで顧問契約と言われるようなものでなくてもいいという意味でございまして、それ以外の形態でもいいと。それを広い意味で契約といえば契約だろうというふうに思います。そこは呼び方の問題だということでございますので、そこは御理解を賜りたいということでございます。
 それで、この措置でございますけれども、結局、時期を逸することなく、手段としても時間的にも容易に、具体的事案に即して、手続実施者の説明の資料の精査等を踏まえた弁護士から助言を受けることができるようにしなければならない、こういう意味でございます。
 これについて、現実に、措置はしたけれども履行しなかったという場合につきましては、前回司法上の効力の問題としてお答え申し上げましたけれども、その点は前回の答弁と変わりませんけれども、じゃ、あとどうするかという問題につきましては、例えば手続実施者について毎年報告をさせますし、それから必要が、疑いがあれば逆に報告を求める、で、検査をするということができるようになっておりまして、その状態でいろいろな問題が判明すれば是正の命令を出したりいろいろやりますけれども、それでも従わないというときには認証を取り消す、そういう形でペナルティーを科すと、こういうことでございます。
#30
○千葉景子君 結局、その取消しあるいは是正、そういうことの積み重ねによってやっぱりそれが履行される。履行されないとそれだけのペナルティーがあるぞということをもってこの履行をやっぱりできるだけ促し、担保していくということしかないのかなという感じもいたしますが。
 ただ、そのときの当事者にとっては、利用者にとっては、それによって本来主張できること、あるいは併せて解決できるようなことが結局解決できずじまいで終わってしまったというようなことがあるのでは、これは利用者は、利用するというのはそれ一回だったり、自分の本当に生活を懸けてみたいなときがありますから、後から取消しがあったり、そういうことによってペナルティーを科すということで、まあしようがないかなと思いながらも、そこをできるだけやっぱり履行を促す、そして履行が確実に行われるような、そういうやっぱり運用に当たっての措置なども十分考えておいていただかなければいけないかなというふうに思っておりますので、そこも指摘をしておきたいというふうに思っております。
 さて、このADRというのは、考えてみますと、性格上、簡便迅速に、司法手続ということではなく、裁判ということではなくして、いろいろな専門的な分野、その専門家を通してできるだけ解決を早期に図ろうという制度でございます。
 そうなりますと、先般から、この手続に法律扶助をやっぱり適用すべきではないかと、利用についてですね、そういうお話がございまして、私ももっともなことだというふうに思います。ただ、その法律扶助ということの以前に、そのADR、簡便迅速にということになるのであれば、できるだけ本人が代理人ということを介さなくても直接利用できる、そういうことも大事なんではないかと。
 それから、先ほど紹介をさせていただいた中にもいろんなケースがありますけれども、その手数料といいますか、そういうものもできるだけ、余り高額な手数料ということになりますと、簡便に、それから気軽に利用するというわけにはいかなくなる。それがひいては法律扶助の利用ということにもつながるわけですけれども、その前に、できるだけ低廉でということも必要なのではないかというふうに思っております。
 ただ、そのために何らか制度上の配慮ができないものかという気がするんですが、こればっかりは、今の実情で見ても、先ほど言ったように、何というのでしょうか、財政的に政府予算で行われているのは、公的な行政型のADRなどですと無料だったり、あるいは民間でもやっぱり無料であったり、額がいろいろであったり、なかなかこれを一定のレベルにするというのは難しいところだと思います。それから、これまでの経過の中で、余りこういうものに基準を設けたり報酬基準みたいなことをやると公取からまた厳しい指摘をいただいて、報酬基準などは勝手に作ってはならぬと、そういう話にもなりますので、なかなかこの辺の部分というのは難しいことだというふうに思います。
 ただ、どうなんでしょうか、その辺、制度的に、あるいは運用上で何らか配慮をしていくというようなことはあり得るんでしょうか。その辺についてのお考えを聞かせていただければと思います。
#31
○政府参考人(山崎潮君) この手数料につきましては、先ほど委員が持っておられました資料の一番端っこに書かれておりますけれども、そこに書かれている利用の手数料はそれほど高くないのかなという感じはいたしますけれども、成立をした場合についてはまたこればらばらでございまして、その辺も含めて考えるということになろうかと思いますけれども。
 これ、御指摘のとおり、一律の基準を設けるというのはなかなか難しい状況にございます。この法令、法案でも、著しく不当であるというものについてはきちっとそれはチェックをするということの体制を取っておりまして、その辺の合理的な線をどの程度に持つかということはこれから、運用上やっぱりある種の基準は持たざるを得ないということになります。
 ただこれは、必ずこれでいくとか、この料金でいくとかそういう決め方はできませんけれども、これ以上になってはまずいというラインはいずれ出てくるだろうというふうに思っております。ただ、これもそれぞれ紛争のジャンルによっても違ってまいりますので、一律になかなか決めることは難しいということでございますけれども、問題が生じないような、そういうような最大限のリミットですね、これはもうきちっと考えてまいりたいと、今後の運用できちっとしていきたいというふうに思っております。
#32
○千葉景子君 是非、法律扶助の問題も当然のことながら、この辺の利用しやすい環境整備というのでしょうか、その辺についても十分に御配慮をしておいていただきたいというふうに思っております。
 それから、このADRの法案で、今後、国それから地方公共団体それぞれがこの法案、制度について責任を果たしていくということが四条でうたわれております。そのために、それぞれ、情報の提供その他の必要な措置を講ぜよと、あるいは講ずるなどの、努めなければならないと、こういう規定が置かれております。
 どうなんでしょうか、この国のやるべきこと、それから地方公共団体が行うべきこと、この発展を考えるときには、それぞれその責任の在り方も違うのではないかというふうに思いますが、その辺についてはどのような責任を果たせばいいというふうに考えたらよろしいのでしょうか。それぞれの点についてお答えをお願いしたいと思います。
#33
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、この法律案では、国と地方公共団体の責務について分けて規定をしております。
 まず、国の責務でございますけれども、これは、国内外における裁判外紛争解決手続の制度あるいは利用状況の調査それから分析、それらに関する情報の国民への提供、それから裁判外紛争解決手続に関する教育の振興、あるいはその広報の充実、こういう点が国の責務である、具体的内容であるというふうに考えられます。
 それから、地方公共団体でございますけれども、地方公共団体では、地域内で行われる裁判外紛争解決手続に関する情報の住民への提供、それから地方公共団体が行うADR、これの広報充実、こういう点が地方公共団体の責務であるということでございます。
#34
○千葉景子君 どうも、いつもこういう国とか地方公共団体の責務というと、広報とか情報提供とか、何となくそういう言葉で終わってしまうような感じがいたしまして、そういうことかな、やっぱりこれだけの法案、それからこれから新しい制度を充実させていこうということですので、ただ広報をしていればいいというふうな問題ではなかろうというふうに思ってはおります。
 特に、特に私は、やっぱり国の場合には、この制度をこれから充実させていく、そしていろんな意味で発展をさせていくとすると、この責務の大きなところは財政というところを忘れてはならないのではないかというふうに思うのです。
 この間、司法制度改革も進められてまいりまして、その都度その都度、やっぱりこれだけ新しい制度を作り、あるいは新しい司法制度を進めていくというためにはやっぱりそれ相応にきちっと財政支援をする、そういうことも考えていかなければいけない。もうその都度この話が出てまいります。このADRについても、その広報にもそれは当然財政も必要であろうというふうに思いますけれども、例えば、後ほどちょっと触れますけれども、これから担い手の育成とか研修をどう進めていくかなどの問題も当然出てくるでありましょう。
 いずれにしても、そう簡単なお金というわけにはいかない。司法制度改革全体としても相当なボリュームの財政出動というのが当然考えてはおられるだろうと思いますけれども、このADRについても、やっぱり十分な財政措置、いろんな各箇所への財政支援、まあそういうこと。先ほどADRの利用料、そういうものもできるだけ低廉なものに抑えていこうということになると、やっぱりそれに対して財政支援みたいなものも必要になってくるかもしれない。こんなことも併せて、この財政上の措置、そして、とりわけそれのための予算、これを十分にしっかりと確保しておくということ、これは大臣のやっぱり大仕事だというふうに思うのです。
 是非、こういうことについては、大臣も財務省とも体を張って頑張っていただくと、それで財政なども十分に措置をしていただくということ、必要かというふうに思うんですけれども、大臣、どうですか。その辺の御覚悟をちょっと聞いておきたいと思います。
#35
○国務大臣(南野知惠子君) 先生から一番大切なことの御指摘があったように思います。もう千葉先生にもしっかりと御協力をいただきたいと私の方からもお願いしたいことでございますが、本法律案の施行後、これは法務省におきまして、民間ADRの事業、業務の認証、それから認証ADR事業者の監督、又は認証ADRの業務に関する情報の提供、分かりやすくするというようなことも含めながら、そういった事務の担当をすることになってまいります。
 法務省といたしましては、これらの事務を効果的かつ効率的に処理するために必要な予算が必要だろうと。その予算の確保に努めてまいりたいと考えております。今後、運用の詳細と併せましていろいろと検討していかなければならない。今先生がおっしゃいましたマンパワーの確保もそうだろうと思います。分かりやすい広報をしなきゃならないというのもその中にいろいろ含まれてくるだろうというふうに思っておりますので、是非、先生の御協力を得ながら頑張っていきたいと思いますので、よろしくこちらの方からもお願いしたいと思っております。
#36
○千葉景子君 財政については、これまでどちらかといえば、何で我々の方が言わなきゃいけないのかと思うほど財政確保せいと、そのためには応援団も努めると申し上げてきたのでして、むしろ法務省や裁判所などの方が、どちらかといえば遠慮がちで大変謙虚過ぎるぐらいなところでございました。是非、そういうことがないように、後ろからは押しますので、やっぱり大臣が先頭切ってやっていただくという覚悟でお願いをしたいと思います。
 あと二点ばかりお聞きをしておきたいというふうに思います。
 参与員、認証に当たって参与員というものが設けられます。これは参与員を設ける趣旨と、それからそのおおよその体制ですね、人数とか、あるいはどういう分野といいますか、どういう方をこの参与員として選ばれていこうとされているのか、そこをお聞かせいただきたいと思います。
#37
○政府参考人(山崎潮君) この参与員の制度を設けた理由でございますけれども、現在ADR手続がなお発展途上にあるということでございまして、その学問分野としても必ずしも成熟している状況ではないという状況にございます。そういう状況の中で、法務大臣あるいはその審査に当たる法務省の職員がADR全般にわたって専門的な知識経験を有しているという制度的な担保がないということになります。そこで、もう一つですね、もう一つは、この認証については、なるべく外部の意見を聞いて客観的にチェックをしていくべきである、この要請を満たすべきであるという声が検討会でも非常に強かったということでございます。そういう要請から、この参与員、認証審査参与員制度を設けるということになったわけでございます。
 この点につきましては、具体的などういう人選かということでございますけれども、やはりこのADRに関する経験豊かな法曹あるいは実務家、それから専門的分野に対して紛争にかかわる処理の経験のある方、例えば知的財産だとか建築だとか労働だとか、様々ございますけれども、そういう専門的な分野、それから、この内外の動向に、非常に動向に明るい法律学者等、そういうような点、そういうような方々が人選の対象になるということで考えております。
 具体的にはこれから詰めていくということでございます。人数的には十数名ということを当面は考えておりますが、これは申請が増えてくればまた増やさざるを得ないという状況になろうかと思います。
#38
○千葉景子君 それからもう一点、最後にいたしますけれども、参考人の御意見等からも、やっぱりこれからこれを進めていくには、担っていく者がやっぱり育っていくかどうかというのも重要だということでございました。
 前回、山本参考人から、この担い手としては話合いを促進することのできるような能力を持っているような人を育てなければいけないというお話もございましたし、吉岡参考人からは、弁護士といっても、弁護士会の仲裁センターなどでもやっぱりある程度経験を持った、そういう者が当たるということを心掛けていると、基準にしているというようなお話もあり、やっぱり担い手をどうやってこれから育てていくかというのは大事なところだというふうに思います。
 これまでやっておられる方も、やっぱりこれから更に研さんを積むというようなことも大事だろうというふうに思いますし、どうなんでしょうか、研修制度等なども含めて今後のその担い手育成について、将来にわたって何か資格制度というふうな話も出ておりましたけれども、そこまではちょっと行かずとも、その研修等を含めて担い手の育成、それからその何というんでしょうね、研さんの環境作り、こういうことについてはどんなふうにお考えだったんでしょうか。
#39
○政府参考人(寺田逸郎君) これは運用の問題を含めてということでございますので私の方からお答えさせていただきますが、委員も御指摘のとおり、この制度はまだ言ってみれば未熟な制度でございます。現にあるADRにつきましても必ずしも利用の促進が十分でないということからこの法案ができるわけでございますので、私どももやはり担い手の育成というのは非常に重要なポイントだろうというふうに考えております。
 ただ、この担い手の育成を現実に直接に行うということになりますと、これはやはり国そのものが行うあるいは地方公共団体が行うというよりは、それぞれいろいろな関連の機関がございますので、そういったところのネットワークを含めまして、いろんな機関の協力の下に行うというのが筋ではないかというふうに考えておりますが、ただ、その素地を作る、あるいはそれぞれを組み合わせてうまくいくように取り計らうというようなところは国としても十分に御協力できるところが多いんではないかというふうに思います。
 今後は、具体的に法律が施行になります準備段階でいろいろ考えてまいりたいとは思いますけれども、今申し上げましたように、これから多くの機関というのが重要になってまいりますので、日本司法支援センターを中心としたいろいろなネットワークもございます、そういうところの協力ということを念頭に国としても考えていきたいと、このように思っております。
#40
○前川清成君 民主党・新緑風会の前川清成でございます。
 今朝、朝一番のニュースで、奈良市富雄北小学校の一年生、有山楓ちゃんの遺体が平群町で発見されたというニュースが飛び込んでまいりました。御冥福をお祈りするとともに、御遺族に心からお悔やみを申し上げたいと思います。幼い命が無残にも奪われましたことに憤りを禁じ得ないとともに、私も小学校六年生の女の子、小学校三年生の男の子の父親であります。安心して暮らすことができる安全な社会を築くことが政治の最大の使命ではないかと思います。
 そこで、法と秩序の番人である南野法務大臣に、安心して暮らすことができる安全な社会への取組あるいは御決意についてお伺いいたしたいと思います。
#41
○国務大臣(南野知惠子君) ありがとうございます。
 本当に先生がおっしゃったように、国と安全を守っていくためにはどうしたらいいか、それが法務省における一番大きな課題であろうかと思っております。今朝もそのようなむごい情報を耳にしましたときに、本当に幼い少女が被害に遭う、お母さんとの携帯電話をやった後と、そんなむごいことがあろうかなと、そのように思っておりますが、非常に大きなショックを受けております。
 そういう観点から、もちろんお被害に遭われた方への御冥福を祈りたいと同時に、御家族に対してどんなにやるせない気持ちかなというふうにも思っております。同じお地元である副大臣も大変強い遺憾を持っておられると思っておりますので、そういうところに関しましては、大変遺族の方の無念さを思い、まだ詳しい情報は得ておりませんが、なるべく適切な調査がされますことを祈っております。
 以上でございます。
#42
○前川清成君 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 ところで、昨日の本会議で私たち民主党の大塚議員が、国会で実質的な議論が行われていない、法形式の点でも政省令へ委任する、そんな形で官僚への依存が進んでいる、これが私たちの国の大きな構造の問題なんだというふうに指摘をいたしました。立法府であり国権の最高機関である国会においてもっと実質的な議論をしなければならないというふうに大塚議員が指摘したのは、私もそのとおりだと思っております。
 ですから、私たち民主党も、今は野党でありますけれども、ただ政府・与党を批判するだけではなく、国民や国家にとって何がベストの政策なのか、建設的な議論をさせていただかなければならない、このように思っておりますし、政府・与党におかれましても、いったん思い付いたらもう何が何でも引っ込めないというのではなく、私たち野党の提案にも耳を傾けていただき、政策に反映していただきたい、このように思っておりますが、この基本的な認識については大臣も御同様かと思います。
 そこで、少しお伺いしたいことがあります。
 十日の午前中に私はADRの、本会議におきましてADRの代理権について質問をさせていただきました。その際、大臣からは、社会的要請や法律的能力や倫理規律があるかどうかという観点から検討を進めているところですと、こういうふうなお答えがありました。また、十六日、荒井議員や浜四津議員の方からも同様な質問がありましたが、やはり大臣の方からは同様のお答えがございました。
 ところが、今月十一日の朝日新聞でありますが、この朝日新聞の夕刊では、ADRの代理権に関して社会保険労務士や土地家屋調査士については参加できる見通しになったと、こういうような報道がありました。あるいは十日付けの推進本部の文書でも、司法書士さんは認めるとか弁理士さんも認めるとか、そのような記述があります。
 そこで、大臣に、失礼になるかもしれませんが、十日の段階あるいは十六日の段階で既に一定の方向が出ているんじゃないか、そうであるならば、まだ決定事項でなくてもその検討状況についても御説明いただいて、その検討状況も含めて議論をさせていただくというのが国会の本来の審議の在り方ではないか、このように考えておりますが、いかがでしょうか。
#43
○国務大臣(南野知惠子君) いろいろ検討をしてまいりたいところでございますが、お尋ねの件につきましては、代理権を付与する社会的要請や代理業務を適切に行うための必要な法律的能力又は倫理規律があるかどうかという観点を検討したわけでございます。一定の職種につきましてのADR代理権を付与し、あるいはその範囲を拡充するという方向性を今月十二日の司法制度改革推進本部顧問会議でお示しし、御了解をいただいたところでございます。
 今後、通常、次期の通常国会以降における個別士業法改正のための作業等の指針となりますように、御了解いただいた方向に沿いまして具体的、個別具体的な措置事項を整理して、そして今月中旬の本部会合、もう今月で終わりになりますので、今月下旬の本部会合におきまして、二十六日以降でございます、最終的な取りまとめをしたいというふうに思っております。
#44
○前川清成君 何年か前の、私が弁護士としての仕事をしていたときなんですけれども、大阪家庭裁判所で遺産分割の調停の事件をいたしました。いわゆる調停の申立てと相手方と二つの当事者がおるんですが、申立ては本人申立てでありまして、申立ての内容というのは、私は長男ですと、ですから遺産はすべて私のものですと、こういうような調停の申立てでした。私は相手方の代理人として大阪家庭裁判所に出頭いたしましたが、その際に調停委員の方から、申立人は御長男なんでしょう、どうして相手方の弟さんは御不満なんですか、こういうふうに言われて非常に驚いたことがあります。
 裁判所で行われている調停でさえ、実は、たまたまのケースかもしれません、まれなケースであるかもしれませんが、調停委員の資質についてはいろいろな問題点が指摘されているところであります。ましてや、民間ADRとなりますと、やはりその手続実施者の資質、これがより玉石混交になるんじゃないかなと、こんなふうに心配をしています。
 そこで、法文でも六条の第二号で、和解の仲介を行うにふさわしい者というふうな定め方をしておられますが、その手続実施者の能力担保措置について何か御検討しておられるところがあればお伺いしたいと思います。
#45
○政府参考人(山崎潮君) これにつきましては、ここの認証の基準の中で、ある特定の分野に関して専門的知識を有する者かどうか、あるいはそれから紛争解決能力、そういうものも備わっているような経験をちゃんときちっとしているかどうかということですね、これをきちっと申請をさせて、その基準に合うかどうかということで審査をするということでございます。それについて疑義があれば、なお具体的に調査をして報告を求めて、その上で決定をしていくということでございまして、言わば、何かどこかで研修をやってその試験に受かったらという、そういうような能力担保措置は考えておりません。
#46
○前川清成君 前回の山崎さんの御答弁の中では、この六条二号に言う和解の仲介を行うにふさわしい者というのは、高度の法的な知識と高い職業倫理と専門的な知見と、こういうふうにおっしゃったと思うんですが、今のは表現が変わっただけなのか、後退されたのか、どちらなんでしょうか。
#47
○政府参考人(山崎潮君) 後退しておりません。倫理ですね、きちっとした倫理、これも持ち合わせているということが必要だということですので、三つの要素があるということでございます。
#48
○前川清成君 それで、私が今要約させていただいた高度の法的知識、高い職業倫理、専門的知見、この四つの要件を前提に御質問させていただきたいんですが、ここで言う高度の法的知識、これはどのようなものを指すのか、お伺いいたします。
#49
○政府参考人(山崎潮君) この法律案の仕組みは、その申請に当たって特定の分野、こういうものを定めて申請をするということでございますので、ある例えば金融なら金融の分野ということで、その中で金融の関係の知識に非常に詳しい方、それから能力の高い方、こういうことを意味するわけでございます。
#50
○前川清成君 その詳しい方とか知識がたくさんある方という言い方なら全然具体的な判断基準にならないので、今お伺いしているんです。
 詳しい方といえば皆さん詳しいかもしれないし、そこで何か一定の、利用する方にもそうですし、ADRを設立しようという人たちに対しても安心できるような判断基準をお示しする必要があるんじゃないかなと、こういうふうに思っていますので、もう少し明確にお答えいただけるんだったらお答えいただきたいと思いますし、また同時に、高い職業倫理、これについても一体どのように判断されるのか、お伺いいたしたいと思います。
#51
○政府参考人(山崎潮君) まず、確かに、この方は立派な方だと言っても抽象的でございますので、例えば通常でいえば、その特定の分野についてどういう活躍をしているか、例えばどういう論文を書かれているかということですね、そういう点も一つございます。それから、どういう職業に今まで就いてその経験をしてきたかという点、そういうものも当然判断の対象になるということになります。それ以外に、その方がどの程度の力を持っているかというのは、これは本当になかなか難しい判断でございますので、そういう形でその判断をしていくということだろうというふうに思います。
#52
○前川清成君 論文と職歴とおっしゃいましたので、結構厳しい要件なんだなという気がいたしますけれども。
 吉岡参考人が、弁護士会の仲裁センターでは法曹経験十年以上の者を仲裁人に充てていると、このようなことをお話しになりました。そこで、こういう紛争解決に当たった経験といいますか、そういう経験等もしんしゃくされるのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
#53
○政府参考人(山崎潮君) 弁護士であれば、紛争解決業務、当然やっているわけですから、それは構わないんですけれども、それ以外でも、例えば消費者関係紛争であれば、消費生活アドバイザー等の資格を有する方とかそういう方、それからそれの任に長年当たっている方とか、それは様々ございますし、それ以外にも各種士族の方々がおられますので、そういう方々とか、そういうことになっていくんだろうと思います。
#54
○前川清成君 山崎さんの方から何か明確な基準が示されるのであれば、ここまで私言わなくていいと思うんですけれども、結局、立派な方だとか詳しい方だとかといって、そのどうも判断基準が恣意的になってしまうんじゃないかと。そこで、このままであれば、この法案が成立した後に、例えばADRの代理権について、その各士業間のむき出しの利害、利害対立に巻き込まれてしまうんじゃないかなというようなことを危惧いたします。
 ついては、きっちりとした判断基準を示せないのであれば、いっそのこと、山本参考人もおっしゃっていました、ADR士を設けるというようなことを山本参考人もおっしゃっていましたが、同一の資格試験みたいなものを検討して、検討して実施するというのが客観的で公正ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#55
○政府参考人(山崎潮君) まず、資格の問題の前に、私、今幾つかのそのファクターを申し上げましたけれども、こういうものについてやっぱり客観的に審査をしなければならないということから、先ほど申し上げましたけれども、認証審査参与員ですね、こういうものを設けましてきちっと判断をしていくという体制を取っておりますので、それが能力担保措置というか、制度担保ではあるということで御理解を賜りたいと思います。
 それから、資格の問題でございますけれども、これは、これからこの法律が通りますと現実にADRができてきて、そこでいろいろな活動をしていくと、そういう実態をまず見て、現在の士族の方々にやっていただいて、それで足りないものか足りるものかと、そういうような実態も見ないと、やたらに士族を増やしていくということが本当にいいのかどうかという問題にもなりますし、そこはもう少しその実態を見て、その上で検討をしていくと。本当に足りないものであればそういうものを作らざるを得ないということにもなろうかと思いますから、現段階ではそういうことは考えていないということでございます。
#56
○前川清成君 士族ということに言及されましたので、あえて士族に関して焦点を絞ってお伺いしたいんですが、この点は通告していませんので正確にお答えいただかなくて結構ですけれども、例えば司法書士という資格が国家資格になったのは最近なんだというふうに私は認識しています。すべての方が司法書士試験に合格されたんじゃなくて、裁判所に長くお勤めになったから資格を与えられる、こういう方もある。税理士さんについても同様に、税務署に長くお勤めになったというので資格を与えられる方もある。行政書士さんについても同様に、市役所に長く勤めていたというので資格が与えられるという方もあって、しかも、また試験も年度がまちまちですから、各士業というくくり方であれば、それぞれの能力を、これは当然のことでありますけれども正確に把握できないんじゃないか。その各士業がまとまって資格どうこうということになったら、やはり先ほども申し上げたように、むき出しの利害、利害調整に巻き込まれてしまう。
 そうであるならば、くどいようですが、統一の資格試験を実施してしまう、それが公正じゃないか、あるいは能力の担保ということを考えても客観的ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#57
○政府参考人(山崎潮君) ただいま委員が御指摘の点、突き詰めていけばそういう制度を設けた方がすっきりするということはすっきりするんだろうと私も思います。ただ、そういう状況に本当に至るのかどうかということについては、よくもう少し検討をする必要があるし、現在の実態との関係をどうするかという、その整理もしなければならないということになりますので、将来の課題であるというふうに認識をしております。
#58
○前川清成君 六条の各号については前回も詳しくさせていただきましたし、千葉委員の方からもありましたのでもう避けたいと思うんですが、ただ一点だけ、法令の六条の第五号ですが、法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とする場合とありますが、これはだれが専門的知識を必要とする場合と考えればいいでしょうか。
#59
○政府参考人(山崎潮君) これはまず、先ほどちょっと定義を申し述べましたけれども、法律の専門的知識を持たない一般人が通常自ら判断することに支障がある程度に高度な法律の専門的知識が必要となるという問題、これが生じていると、こういう状況を言っているわけでございます。まず一般人の立場から見たと。それから、最終的にはこれは手続実施者が和解をする、調停をするわけでございますので、その手続実施者もきちっと判断をして、将来問題が起こるような和解をしてはならないわけでございますので、その双方が必要になっているということでございます。
#60
○前川清成君 今一般人とおっしゃったのは、整理して言うと、むしろ判断基準として一般人のレベルで考えるということじゃないかと思います。この法文の主語でいうと山崎さんのお答えは、手続実施者が必要とする場合、これを指しておられるんじゃないかと思うんですが、ただ、この条文は、「弁護士の助言を受けることができるようにするため」と、こう書いてあります。手続実施者が弁護士から助言を受ければ足りるということでは、少し法文の趣旨を誤って解釈しているんじゃないかと私は思います。
 手続利用者が、実際に被害に遭われた方が、生活者が、消費者が、ここは難しい問題だから一度弁護士のアドバイスを受けてみなければならない、こういう場合に助言を受けることができるような措置を定めておかなければならない。すなわち、ここの主語としては当事者と考えるべきではないかと思うんですが、違うんですか。
#61
○政府参考人(山崎潮君) この文脈からいけば手続実施者ということでございますけれども、ただ、判断の基準としては一般人が、これは法律問題が非常に難しいのでそれはきちっとした助言を受けた方がいいという、そういうレベルの問題を申し上げておりますけれども、それは手続実施者がまず第一義的に判断をするということになりますけれども、先ほど御質問ございましたけれども、当事者がそういう申出あった場合ですね、これあった場合についてはやっぱりその手続実施者としてもその判断をして考慮すべきだろうというふうに私は思っております。
#62
○前川清成君 山崎さんがおっしゃるように、手続実施者についての条文なんだと、こういうことになってしまうと、手続実施者は、おれはよく分かっている、おれはよく分かっているから別に弁護士なんか聞かなくてもいいんだ、こういうふうに判断してしまうと、当事者が弁護士に助言を受けるチャンスを奪ってしまうことになってしまう。それでは、力が対等な当事者間ではいいけれども、例えば生産者と消費者というような構造のADRにおいては実質的な公平、平等が確保できない、そういうふうに確信いたしますが、いかがですか。
#63
○政府参考人(山崎潮君) そういうことのないようにきちっとマニュアルを作って、こういう場合には必ず聞くようにと、こういうことでございます。
#64
○前川清成君 そういうことのないようにとおっしゃるのであれば、そういうことのないようにとおっしゃるのであれば、当事者が弁護士の助言を必要とする場合ですとはっきりお答えいただいたらいかがでしょうか。
#65
○政府参考人(寺田逸郎君) ちょっとこれは運用にもかかわることでございますので私の方から説明させていただきますが、基本的にこの条文というのは弁護士法の七十二条を意識しているわけでございまして、手続を実施する者が法曹資格がないにもかかわらず法律事務をやっているということでは困るから、したがってその者に法律上必要、法律を聞くことについて必要な場面では弁護士とコンタクトを取れるような措置が必要だと、こういう趣旨でございます。したがいまして、念頭に置いているのは当然手続実施者であります。
 ただし、今委員のおっしゃいますように、この種の和解でありますとか調停においては当事者の方からちょっとこれよく分かりませんから説明してくださいということがあります。これは裁判所の調停においてもあります。しかし、裁判所はもちろん裁判官が法曹でありますから、ここで言うような問題は生じません。しかし、ここではその問題が生じるんですけれども、そういうときにこそ、正にADRは融通無碍に対応できるということが、一つの売りと言ってはなんでございますけれども、特徴でございますので、私のところのADRはそういう場合に当事者の御意向に沿ってきちっと当事者が代理人が付いていなくてもやってあげますよというような措置をもし仮にそのADR自身がお取りになるのであればそれは非常に望ましいことでありますし、そのADRの評価は高まると思いますけれども、それがここで言う弁護士が必要とするときの最低限の要請とはちょっと別の要請ということになる、そういう整理でございます。
#66
○前川清成君 ここで次に、「法令の解釈適用」という言葉の意味についてお伺いしたいと思います。この「法令の解釈適用」というのは何を指すんですか。
#67
○政府参考人(山崎潮君) 法令の解釈についてはあえて申し上げるまでもないと思いますけれども、この条文についてどういうような解釈が一般であるかということ、あるいは判例のどうなっているかと、こういう問題でございます。
 じゃ、具体的事件に関して、これを事件に適用した場合、どういう解決が妥当であるか、あるいはそういう解決をすることが、理屈上はそうだけれども社会実態に合うか合わないかとか、言わば適法性の問題と相当性の問題、両方を含むということでございます。特に公序良俗違反とかそういうふうになる場合も法律違反になる場合もありますので、その適法性と具体的な適用した場合の相当性、この二つを含む意味でございます。
#68
○前川清成君 今のお答えは、今のお答えはちょっとはっきりしなかったので、確認をさせていただきますと、ただ単に条文の解釈には限定しませんと、こういうことでいいですね。
#69
○政府参考人(山崎潮君) それはそのとおりでございます。
#70
○前川清成君 例えばですけれども、交通事故のADRがあって、一か月入院しました、一か月通院しましたと。その場合の入通院慰謝料が幾らになりますと、これは恐らく山崎さんも今直ちには空では言えないと思いますけれども、例えば交通事故を解釈するに当たって、大阪だったら大阪地裁が公表している慰謝料の基準額、あるいは東京三会が作っている慰謝料の基準額、こういったことは厳密には条文の解釈とは言えないと思いますが、しかしながら交通事故を解釈する、解決するに当たっていわゆる相場というのも重要な意味になってくると思います。ですから、今の山崎さんの御答弁の中には、私が今例として申し上げた交通事故の慰謝料の相場みたいなものを含むんだと、こういうふうに理解してよろしいですね。
#71
○政府参考人(山崎潮君) その法律の具体的な適用でございますし、損害賠償の額としてどの程度が相当であるかという問題でございますので、それも対象になるということでございます。
#72
○前川清成君 吉岡参考人が参考人の意見として、和解の成立するときに当事者の真意を確認することがとても大切なんだと。だから、その裁判所の調停官のように最後に行って、これでいいですねという話、確認するだけではなかなか事案の全容が分からないことが多い、こういうふうにおっしゃっています。
 もちろんADRの手続実施者は最初から最後まで立ち会うんでしょうけれども、この六条五号において助言をする弁護士は、その事案の全体をどの程度まで把握することを前提にしているのか。そして、当事者の真意の確認、本当にこれでいいですねと、特に、社会経済的弱者がその難しい日本語で書かれた調停文言の意味を正確に理解しているかどうか、この辺のその真意の確認についてはどのように考えればいいのか。また、各ADRに対して少なくともこの程度は求めるんだ、司法上の効果についてはもう繰り返していただかなくて結構ですけれども、この程度のことは、この程度の真意確認はしておかないとやっぱり認証の取消しになるんだというようなお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#73
○政府参考人(山崎潮君) 助言の方法にもよるわけでございますけれども、まずどういう事案で当事者がどういうことを主張しているか、どういう資料があるかということは、助言を受ける場合にそれは弁護士の方にお示しをして、その上で判断をいただくということになろうかと思います。それから、それでなお、助言をするについて当事者の意思を確認しなければなかなかそこのところははっきりしないという事例もあろうかと思いますが、それがなくてもできる場合もあろうかと思います。
 ですから、それは事案事案に応じてでございますけれども、その和解の場ですね、そこに立ち会ってやるというものもございます。そういうことが必要なものもございます。そうじゃなくて、一般的な助言をすれば足り得るもの、それは事件事件によって違ってくるということでございます。この場合にはどういう対応かということは、具体的にこの場合はこういう対応ということは問うてはおりません。
#74
○前川清成君 本会議でも質問をさせていただきました。実は、今日はこの点を一番中心にお尋ねしたかったんですが、認証を求めようとしないADRに対して一切法務省の監督が及ばないことになっています。
 例えば、極端な例かもしれませんが、暴力団がADRを設立して、それはもちろん暴力団は排除されているということは分かって聞いている、例えばの例で挙げておるんですけれども、暴力団がADRを設立して、当事者を強迫して和解を成立させた、その場合であれば民法の九十六条で取消しができます。しかしながら、例えばですけれどもこれも、貸金業協会がADRを設立した。債務者でもない、保証人でもない、例えば配偶者であるとか兄弟であるとか親であるとか、そういう人を呼び出して、代わりに返済しますというような和解を成立させたとき、これは民法の九十六条でも取り消すことはできないと思います。
 こういうように不公正なといいますか、偏った和解が成立した場合、さらには偏った和解の仲介を行うADRに対してどのようにお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
#75
○政府参考人(山崎潮君) ちょっと司法上の効力についてはちょっと申し上げませんけれども、まず、認証を経ていないADRですね、これにつきましては現在でもいろんな活動をされておりますけれども、そこで問題があれば弁護士法七十二条違反ということで刑事罰の対象になるわけでございますので、その点についてはそこでまずかなり是正をしていただく。あるいは、暴力団につきましては暴対法、いわゆる暴対法もございますので、そういうようなところで取り締まっていただくと、こういうことになろうかと思います。
#76
○前川清成君 暴力団のことは例えばの例で出しているんで答えていただかなくて結構なんですけれども、肝心のところの不公正な和解の仲介を行うADRの監督について、今弁護士法七十二条で対処すると、こうおっしゃいましたが、私は弁護士法七十二条でなぜ対処できるのかが分かりません。条文に即してはっきりと御説明ください。
#77
○政府参考人(山崎潮君) 弁護士法七十二条は、無償で行う場合にはこれは禁じておりません。ただ、有償で行う場合につきましてはこれを禁じているわけでございまして、仮にやるとしても、それは正当業務として許されるものかどうかというところが一つのポイントになります。
#78
○前川清成君 故意的かどうか知りませんけれども、質問に答えてください。僕、今未認証のADRが手数料を取ったときどうとか、そんな質問しましたか。そんな質問してないでしょう。
#79
○政府参考人(山崎潮君) 七十二条、弁護士法七十二条の観点からどうかというふうにお尋ねがございましたので、分けてお答えをしたということでございます。
#80
○前川清成君 山崎さん、その程度のことで言いくるめられると思ってるの。山崎さん、僕は質問したのは、不公正な和解の仲介を行うADRに対してどのように対処するんですかと質問したんです。それに対する山崎さんの答えは、弁護士法七十二条で対処できると、そうおっしゃった。弁護士法七十二条について条文に即して答えてくれと言ったら、報酬どうこうと言う。いつ報酬の話が出てきたんですか。
 不公正な和解の仲介を行うADRに対して、弁護士法七十二条で対処できると山崎さん今明言されたんだから、弁護士法七十二条の文言に即して答えてください。
#81
○政府参考人(山崎潮君) 公平性を欠くそういう法律業務ですね、相談業務、こういうことを行っている場合には、それはその正当な業務と言えるかどうかという観点から考えざるを得ないと思いますね。現在やっているものについても、報酬を仮に得ていても、それがその正当な業務であれば許されるという解釈になっておりますので、そこの正当性、正当な業務かどうかというところが判断の基準になるということでございます。
#82
○前川清成君 山崎さんの今の答えは弁護士法七十二条の文言に即して言うとどうなるんですか。僕は五分ほど前からその点を聞いているんです。いいとか悪いとかの話を聞いていないんです。不公正な和解の仲介を行うADRはいけない、良くないということを前提でお尋ねしているんです。それが弁護士法七十二条でどうやって取り締まれるんですか。山崎さん御自身が弁護士法七十二条で取り締まれるとおっしゃったんだから、弁護士法七十二条の文言に即して、分かるように説明してください。
#83
○政府参考人(山崎潮君) いや、その公正を欠くADR、これを許すべきではないというのは、それはもう私もその前提で申し上げております。したがいまして、弁護士法の七十二条との関係では、弁護士法には、先ほど言いました正当業務云々というこういう問題についてはその解釈でございまして、そこには規定はされておりません。これは私は解釈を申し上げているわけでございまして、現在行っている業務の中でその弁護士法七十二条に形式的に抵触する場合であっても、それが正当業務ということで認められるものであればそれは違法にはならないと、こういう解釈が行われておるわけでございますので、それが正当な業務と言えないということであれば、やはり弁護士法七十二条の違反ということになろうかと理解をしております。
#84
○前川清成君 山崎さんはっきりおっしゃらないので私が要約しますと、法務省の解釈としては、法務省の解釈として、不公正な和解を行う、和解の仲介を行うADRについては正当な業務とは言えないので、たとえ報酬を得ていなくても、弁護士法七十二条に違反して、七十四条で刑罰の、七十四条じゃないか、七十七条の三号で刑罰の対象になると、こういうことですね。
#85
○政府参考人(山崎潮君) 私は有償のことを限定にして言いましたので、今委員の御指摘は無償の場合どうかということにもなってまいるわけでございますけれども、これは七十二条では不公正なADRのすべてを取り締まれないということは委員御指摘のとおりでございます、その点は。
#86
○前川清成君 今更になって有償の場合に限定しているなんて言わないでくださいよ。速記録見直してもらってもいいですよ。僕は手数料を取らない未認証のADRでと限定して質問しているじゃないですか。どうして今更有償の場合に限るという話が出てくるんですか。質問聞いておられないんですか。それとも能力の問題なんですか。あるいはやる気がないんですか。寺田さん、横で聞いておられて御理解されているでしょう。僕は今手数料を取らないという前提でお尋ねしましたよ。どうして、こんな五分も十分もやり取りした後で、ようやく手数料を取らないADRについては七十二条の守備範囲外だと出てくるんですか。もっと早くに言ってくださいよ。
#87
○政府参考人(山崎潮君) 御批判は承りますが、私、先ほど二つに分けて、無料の場合には弁護士法七十二条の対象にはならないと申し上げました。ですから私、全くその委員の御発言、聞いていないということではございません。ですから、両方について申し上げたわけでございまして、確かに強調されているのがどちらかというのはちょっと私が取り違えていたかもしれませんけれども、無料の場合、これについてはやっぱり取り締まる方法は今のところは法文上はないということでございます。
#88
○前川清成君 この四条で国の責務について定めておられます。四条一項で国の責務について定められています。そこにおいては、国の義務として内外の動向、利用状況、そんなことを調べなければならない、こういうふうに書いてあります。
 私は、これは本会議でも申し上げたんですが、例えば、交通事故の被害者にとって、サラ金からたくさん金を借りてしまって生活が立ち行かなくなった人にとって、自分と同じようなケースは外国では裁判で解決されているのかADRによって解決されているのか、どっちでもいいことだと思うんです。むしろ関心がないことだと思います。当事者にとって、ADRを利用する手続の当事者にとっては公正な手続で適正な解決がなされる、そのことが最大の関心事だし、そのことが一番重要だと思うんです。
 それにもかかわらず、この四条一項でどうして、外国の様子を調べるとは書いてあっても、ADRが公正に活動するように国は頑張って監督しますとか国は指導しますとか、そちらのむしろ利用者にとって大事だと思われることに触れられていないのはどうしてなんですか。
#89
○政府参考人(山崎潮君) 三条にADRにつきまして公正かつ適正に実施されるというものでなければならないということをうたっております、基本理念として。これは、当然これを受けて、それ以外に具体的なものについてここに掲げたということでございまして、決してその点を無視しているわけではないところを御理解賜りたいと思います。
#90
○前川清成君 それじゃ、法務省なんで法律詳しいと思いますけれども、その四条一号を盾にして、不公正な和解の仲介を行うADRに対する監督、指導監督について、私たちには権限はありませんというようなことはこれからおっしゃらないですね。
 具体的に言いますと、三条一項があるから、三条と四条の両方の規定と相まって、国には、具体的には法務省には不公正な和解の仲介を行おうとするADRに対する監督義務、指導義務が、認証ADRであろうと未認証ADRであろうと両方ともあるんだと、こういうことでよろしいですね。
#91
○政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃることは、国に対しまして抽象的にこのような責務を掛け、あるいは抽象的に不公正なADRが望ましくないということを姿勢として表明していくことは分かりますが、具体的な監督権限といたしまして、法務省に特に未認証のADR機関について監督権限行使するということは、これは法律上は許されないものだというふうにむしろ理解をいたしております。
#92
○前川清成君 私もこの法律を見たときに、寺田さんのお答えであれば素直に理解ができるんです、素直によく理解できる。ところが、山崎さんのお答えは違って、今のお答えは、私は四条一項でなぜ国の義務として、不公正なADRに対する指導監督を国の義務として定めないんですかと、こうお尋ねしたら、いや、三条一項があるから含まれているんだと、こうおっしゃる。そうしたら、その当然の反対解釈として、国の義務として、国の権限として、法務省の権限として、未認証のADRであったとしても公正でないADRについては法務省の監督義務が及ぶんかな、こういうふうに考えたんです。ところが、山崎さんのお答えと寺田さんのお答えがちょっと違っているように思いますし、寺田さんのお答えは私もよく理解できますが、山崎さんのお答えがちょっと複雑過ぎて、その条文の解釈が複雑過ぎてよく分からないんです。ちょっとはっきり答えてください。
#93
○政府参考人(寺田逸郎君) ちょっと私が差し出がましい答弁をいたしたために混乱を生じているかもしれませんが、山崎事務局長の答えは、基本的に三条の方は国としてこうあってほしいということを将来にわたって宣言しているものというふうに理解いたしますから、国全体といたしましては公正なADR機関が増えてほしい、不公正なADR機関はなくなってほしいということをこれでもって明らかに姿勢を表明しているということになるわけでございます。
 しかし具体的な、具体的な国家機関として監督権限を行使するということは、その後の方の条文の範囲に限定されていると、こういう法律の構造になっているというふうに理解をいたしております。
#94
○前川清成君 これでようやく質問の最初に戻ったんですけれども、そこでお伺いしたいんです。
 どうして、外国の様子を調べるぐらいであれば、そんなこと別に当事者は、手続利用者は関心がないんじゃないかと。そうであるならば、そのADRの健全な育成とか、ADRにおける公平性の確保について抽象的な努力義務程度でもう構わないから明記しておかなかったのかという点を最初にお尋ねしたんです。この点いかがですか。どうして、具体的な監督義務、監督権限が難しいとしても、努力義務としてあるいは理念として公正さというのはやはりうたっておくべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#95
○政府参考人(山崎潮君) これにつきましては、先ほどからちょっと私の説明が十分じゃなかったかもしれませんけれども、抽象的にはやはり国の理念であり、それから責務であるわけでございますけれども、具体的にそれが国の監督権限、特に法務省ですね、これの具体的権限が出るというわけではないということでございます。
 育成等の点についてでございますけれども、これについては国の全体の理念の中でその点は当然含まれているわけでございまして、若干それが足りないとおっしゃればそういうことかもしれませんけれども、私どもとしてはその点については十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
#96
○前川清成君 少し時間がなくなってきて、まだまだ聞きたいことあるんですけれども、平成十五年四月十日に関係省庁等連絡会議というところで、ADRの拡充・活性化のための関係機関等による連携強化に関するアクション・プランというのをまとめておられまして、その中で司法教育との連携を図るんだというふうに明記をされております。また、山本参考人も、国民への情報提供はとりわけ法教育が大切なんだと、こういうふうに述べておられました。
 少しその法教育の在り方、特に義務教育課程における法教育の在り方について検討しておられることがあればお聞かせいただきたいと思います。
#97
○政府参考人(寺田逸郎君) 度々申し上げていることでございますけれども、今のADR機関の利用もそうでございますが、国民の方々が一般的にルールに基づいた物事の解決、紛争の解決ということを志向されるためには、やはり小さなころから、およそルールというものはどうあるべきかということを含めてルールになじんでいただくと、そういう姿勢を持っていただくということは非常に重要でございます。
 その観点から、法務省といたしましても、昨年から今年にかけて約一年間、法教育研究会を設けまして、様々な角度から、有識者の方々、とりわけ中学校の先生方を含めた教育現場の方々にも御参加いただいて御議論をいただいたわけでございまして、その結果をつい先ごろ報告書として出したわけでございます。
 この報告書の中には具体的にはADRについて言及しているわけではございませんけれども、しかし、紛争解決を自分たちの手で合理的に行うという姿勢が大事だということは度々この報告書の中にも強調しているわけでございまして、それはここにある正にADRによる紛争解決と精神を同じくするものであるというふうに理解しておりますので、今後そういうことを身に付けられた方々が大きくなられた際に、このADR機関というものの意義というものを十分に理解していただくには一つの素地になるだろうというふうに考えております。
#98
○前川清成君 山本参考人がおっしゃったように、正義の総量が増えるということは大切なことだと思いますし、透明なルールに支配された社会を作り出すということが法の支配の現実的な意味じゃないかと思います。そのためにも、ADR、是非公正な機関として育成していただくようお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#99
○委員長(渡辺孝男君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#100
○委員長(渡辺孝男君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#101
○浜四津敏子君 公明党の浜四津でございます。
 前回に引き続いて御質問させていただきます。
 本法律案は、認証ADRが行う和解の仲介のみならず、司法型及び行政型ADRや民間事業者が行う仲裁も含めまして、幅広いADRについて安心、安全な利用の促進を図っていく、これを目的としているものと思われますが、まず、ADRはその提供主体によりまして司法型、行政型、民間型と、こういうふうに分類されますが、それぞれの役割をどう認識しておられるのか、当局にお伺いいたします。
#102
○政府参考人(山崎潮君) 確かにADRには司法型、行政型、民間型と三つございます。
 司法型については、もう委員も御案内のとおりでございまして、裁判所における調停でございます。この調停につきましては、調停委員等多数のスタッフを擁して、効力も時効の中断の効力があり、あるいは執行力も与えられているという、あるすごく強い効力を与えられたものという位置付けになります。ジャンルはすべてのジャンルにわたるということでございますし、その中でも特に必要なものについては特別の調停を設けているということで、全国的に行われているという特徴があるわけでございます。
 それから、行政型でございますけれども、これは特定分野の紛争を簡易迅速に解決するという、言わば行政の政策目的でやっているわけでございまして、具体的な例としては、今一番使われているだろうと言われているものが建設工事紛争審査会等がございますけれども、そういうようなところで紛争の分野の担い手、手続の効力、いろいろな効力等について、あるいは手続等についてはそれぞれの政策目的によって異なっているということでございます。利用の状況についても、だから違いがそこであるということでございます。
 このように多種多様でございますけれども、これだけではやっぱり十分でないという場面もあるわけでございまして、そういう分野について民間ADRがその間を埋めているということになるわけでございます。ただ、現在はこの民間のADRについてやはり国民の認知や理解が十分でなくて、必ずしも活用がされていないと、こういう状況でございます。
#103
○浜四津敏子君 司法型、行政型、民間型のADRがそれぞれその特性を生かしながら発展していくことが重要だと、こういう趣旨のお答えだったと思います。
 本法律案では、民間の和解型ADR以外の幅広いADRの利用を促進していくために、それではどのような定めをしているのか、お伺いしたいと思います。
#104
○政府参考人(山崎潮君) これ、全体について総則を設けておりまして、その総則での国の基本理念とそれから国の責務、これを定めております。
 この総則の対象は、先ほど申し上げました司法型ADR、それから行政型ADR、民間型ADRに加えまして、仲裁、これも広い意味でADRでございますので、これをも含むものとして定めているわけでございます。この点につきましては、民間の和解型ADR以外の国や地方公共団体が行うそういうADRも全部含めまして、ADRについての基本理念と、法による紛争の解決のための手続として公正かつ適正に実施されるべき旨、こういうものを定め、また、国の責務として、ADRの利用の促進を図るため国民の理解を増進させるように努めるべき旨を定めているところでございます。
 こういう理念を掲げて、きちっとやっていこうということでございます。
#105
○浜四津敏子君 民間型ADRのみならず幅広いADRに対する国民の理解を深め、利用促進の努力をしていくということでございますが、そのためにはADRあるいは司法へのアクセスの充実を図っていくことも重要かと思われます。
 そこで、副大臣、せっかく御出席いただきましたので、ひとつお伺いしたいと思うんですけれども、このADRへのアクセスの重要性について副大臣はどのように認識しておられるのか、お伺いしたいと思います。
#106
○副大臣(滝実君) ADRへのアクセスの重要性は、先生も御指摘のとおり、これ、初めて、国民がこのADRに簡単に手が出せる、簡単にお願いできる、そういうことで初めてこれが機能するわけでございます。したがって、いろんな角度からPRをしていかなきゃならないと思いますけれども、一つにはやはり法教育と申しますか、自分の問題は法的に解決するという、そういう習慣をどうやって意識してもらうかということが一番大事なことだろうと思います。
 それから、やはり地方団体は地方団体で、県も市町村も法律相談といいますか、どちらかというと法律無料相談みたいなものをやっているわけでございますから、そういう機会に簡単に法律問題を、あるいは紛争を解決するのはこんなのありますよということで紹介をしていただく。あるいは今準備しております司法ネットを通じてでも、いろんな機会にそういうものの紹介もしてもらうということが一番大事なことじゃないだろうかなと。
 それから、この法案の審議に際しまして、ずっと実は隣接法律専門職の皆さん方が大変関心を持ってこの問題に接近をしていただいております。したがって、そういうような関係の皆さん方の努力というものもやっぱり法務省としては御期待を申し上げてまいりたいと思っているところでございます。
#107
○浜四津敏子君 副大臣からADRへのアクセスの更なる充実に向けて力強い御決意をいただきましたので、次に認証制度についてお伺いいたします。
 前回の審議では、認証の基準や認証ADRに付与される法的効果を中心に質問させていただきました。御答弁を伺いまして、認証の基準については、業務の適正性を確保する上で必要な事項は適切にカバーされているという印象を持ちましたが、さらに、認証制度に対する信頼性を確保する上で必要と考える幾つかのポイントについて確認をしておきたいと思います。
 まず、示談介入という言葉がありますように、ADRに暴力団が介在し、不正な手段で不当な利益を得るという可能性は残念ながら否定できません。そこで、本法律案において暴力団等が認証ADRの業務に参入することがないようどのような措置を講じているのか、お伺いいたします。
#108
○政府参考人(山崎潮君) 御指摘の点、大変重要なポイントでございまして、これは弁護士法七十二条の法律の趣旨とも共通するところがあるわけでございます。私どものこの法案では、暴力団等に関しましては欠格事由とするということで、その排除を徹底するという形を取らせていただいております。
 具体的には、本人又はその役員等が暴力団員であること、それから暴力団員等を補助者として使用するおそれがある者であること、それから暴力団員等が事業活動を支配する者であること、こういうものについては認証の欠格事由といたしております。まず、ですから認証の申請の段階でこれを排除するということにいたしております。事後に発覚したという場合には法務大臣は認証を取り消さなければならないと、義務的に取り消すということになっております。それ以外に、認証ADR業者、事業者が暴力団員等を補助者としてならないという規定を設けておりまして、この違反につきましては認証の取消し事由になるということと、罰則の対象にもなると、こういうことでございます。
#109
○浜四津敏子君 次に、認証及びその取消し等の手続についても確認しておきたいと思います。
 認証の基準がいかに厳格であっても、認証の審査等に慎重を期さなければ認証制度が不公正なADRに国のお墨付きを与えてしまうと、こういう事態になりかねません。そこで、認証や認証の取消しが恣意的に行われることなく客観的に妥当で適切に行われることが不可欠と考えておりますが、この点についてどのように認識しておられるのか、お尋ねいたします。
#110
○政府参考人(山崎潮君) 確かに、認証の基準をきちっとしてその審査もきちっと行うと、厳格に行うということはこれ当然でございますけれども、その場合にやはり客観性を持たせなければならないということになります。従来、法務の関係では、この関係で十分に今まで関与してきたと言い難いところもあるわけでございますので、また分野としての発展性もまだ中途段階ということでございますので、その客観性を補充するために、認証の審査参与員、こういう制度を設けましてチェックをきちっとやっていくと、こういう体制で考えているわけでございます。
#111
○浜四津敏子君 認証やその取消しに当たりまして、適正を期するために民間の有識者の意見も聴く仕組みになっているということでございましたが、今答弁にも出ました本法案十条の認証審査参与員について少し詳しく伺いたいと思います。
 この認証等に当たりまして、認証審査参与員から意見聴取を行う仕組みとした趣旨はどこにあるのでしょうか。
#112
○政府参考人(山崎潮君) このADRの分野についてはまだ発展途上にあるということでございまして、学問分野としてもまだ成熟が十分でないというところがございます。したがいまして、法務大臣あるいは法務省の職員といたしまして、ADR全般にわたって専門的な知識を有しているという、そういう制度的な担保は現状ではないということになります。したがいまして、そこの補充をしなければならないという点が第一点でございます。
 それから、これはADR検討会でも検討がかなりきちっと行われたわけでございますけれども、認証あるいはその取消しに係る手続を厳格かつ公正に行うというためには法務大臣以外の部外者の意見を聴くこと、これを制度的に保障すべきである、こういう御意見がございました。この要請にこたえる、こういう二つの趣旨からこういう制度を設けたということでございます。
#113
○浜四津敏子君 認証審査参与員は認証制度の信頼性を確保する上で重要な位置付けを有するものと理解いたしましたが、そうしますと、認証審査参与員にどのような人を選任するのかということが大変重要になってまいります。
 そこで、認証審査参与員にはどのような専門家を任命するのか、またその人選はどのように行われるのか、お伺いいたします。
#114
○政府参考人(山崎潮君) まず、どういう方が対象になるかということでございますけれども、ADR全般に関する経験の豊富な法曹あるいは実務家、それから専門的な知見を要する様々な分野がございますけれども、その分野の紛争処理の経験の豊富な方々、それからADRに関する内外の動向に明るい法律学者、こういう者が対象になっていくということを今考えております。
 具体的に、じゃ、その任命に当たってどういう方をということでございますけれども、適任の方を客観的かつ公正な手段によって選任する必要があるわけでございますけれども、具体的な選任方法につきましては、今後、公正中立な立場の有識者等に適任の方を御推薦いただくとか、いろいろな形で客観的な情報を集めて選任をしてまいりたいというふうに考えております。
#115
○浜四津敏子君 認証制度の導入に当たりましては、民間ADRに対する国の関与の度合いが強まりその自主性が弱められるのではないかという観点から慎重意見もあったと伺っておりますが、そのような懸念にこたえるためにも、認証審査参与員の制度が適切に運用されるようにお願いしておきたいと思います。
 次に、政務官にお伺いいたします。
 不公正なADRが認証を受けて国民に被害をもたらすような事態は是非避けなければなりません。その意味で国の関与が必要となってまいりますが、他方で、認証ADR事業者に対する国の監督によってADRの自主性あるいは多様性が損なわれるおそれがあるとの危惧の声もあります。
 そこで、こうした危惧、不安を払拭するために、運用に当たってどのような配慮が必要と考えておられるのか、お伺いいたします。
#116
○大臣政務官(富田茂之君) 浜四津委員御指摘のような危惧、不安、懸念があることも踏まえまして、この法律案におきましては、法務大臣は、認証紛争解決事業者に対する検査や命令などを行うに当たりまして、民間紛争解決手続が紛争当事者と民間事業者との間の信頼関係に基づいて成り立つものであること、また紛争当事者の自主的な紛争解決の努力が尊重されるべきものであることなどの民間紛争解決業務の特性に配慮しなければならない旨の規定を第二十四条に特に設けたところであります。
#117
○浜四津敏子君 同じく、認証制度の信頼性を確保する上では、労働紛争やあるいは消費者紛争のように当事者間に力の格差がある紛争分野を扱うADRの認証や監督等に当たって適切な配慮がなされることが必要と考えます。本委員会の質疑でも、認証の基準に関してこのような観点からの質問が多くなされておりますが、認証制度の運用に当たって、労働紛争や消費者紛争を扱うADRについては特段の配慮が必要と思われますが、どう考えておられますでしょうか。
#118
○政府参考人(山崎潮君) 業務の内容あるいはその実施方法が認証の基準に適合しているかどうかということを審査する際には、やはり取り扱う紛争分野の特性に応じて、その解決の困難性や不適正な解決が発生した場合の影響の大きさを勘案しなければならないということだろうと思います。
 また、認証を受けた後の業務の監督につきまして、認証ADR事業者の業務の認証基準への適合性、あるいは利用者への説明などといった義務を適切に履行しているかどうかということ、これを確認する際にも、その取り扱う紛争分野の特性を踏まえまして、利用者に不測の事態を生じさせないような的確な配慮がなされているかどうかという観点を十分に勘案するということになろうかと思います。
 具体的には、今後、省令の制定あるいはガイドラインの策定を含めた運用段階において適切に配慮がされていくだろうというふうに考えております。
#119
○浜四津敏子君 是非、適切な配慮をお願いしたいと思います。
 次に、認証制度と弁護士法七十二条の関係について、一点確認しておきたいと思います。
 調停及びあっせんの場合には、認証を受けることによりまして明確に弁護士法七十二条の例外となります。しかし、仲裁にはそのような仕組みがありません。他方、弁護士法七十二条には、法律事務として仲裁が明示されております。世界的に見ましても、仲裁人は弁護士等の法律家に限られないものとして運用されているのが実際でございます。そういう前提で国際仲裁あるいは商事仲裁というものは運用されております。ところで、日本では、弁護士法七十二条との関係で弁護士以外の者が仲裁人になることが仮にできないとすれば、国際仲裁、商事仲裁というものが国際取引の場面で違法なものとして扱われかねないことになります。
 そこで、弁護士以外の者が仲裁人となる仲裁の手続の適法性についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
#120
○政府参考人(山崎潮君) 御指摘のとおり、弁護士法七十二条は、他の法律に別段の定めがある場合を除いて、弁護士でない者が報酬を得る目的で仲裁を業として行うことを禁止しているということになります。
 この「別段」の法律についてでございますけれども、昨年御承認をいただきました仲裁法が成立をしております。この仲裁法は、仲裁手続の開始、それから審理から終了に至るまで強行法規を含めて詳細な規定を設けておりまして、仲裁人の行為はこのような法令に基づく行為と言えるということが第一点。
 それから、仲裁法は仲裁人の資格には特に制限を設けておりませんで、一定の資格を要件とすることにつき、当事者の別段の合意がある場合を除きまして、適性と能力を備える限りだれでも仲裁人に選任されるものとしておりまして、また、仲裁人が相当な額の報酬を受けることもできるということにしているわけでございます。
 こういう点にかんがみますと、仲裁法にのっとった仲裁につきましては、原則として、弁護士法七十二条に違反しない結果となるものというふうに考えられるわけでございます。
 このように解しましても、仲裁手続につきましては、仲裁法により裁判所がその手続に関与をし、適正な手続の進行が確保されると、こういう仕組みになっておりまして、国民の利益の保護やあるいは法秩序の維持のための規定である弁護士法七十二条の趣旨あるいは目的を損なうものではないというふうに考えているところでございます。
#121
○浜四津敏子君 最後に、法務大臣にお伺いいたします。
 本法案でせっかく多様なADRの利用の促進を図っていこうと、こういう趣旨で作られているわけですから、国民の多くの皆様が様々な紛争に直面したときに、適正かつ的確、また迅速な解決手続に早期に巡り合えるよう、また早期にその紛争解決に至ることができるようにしていかなくてはいけないというふうに思っております。そのためには、この認証制度が国民の方々の間に定着していくことが必要であろうと思います。
 そのためにも、多くの国民の方々にこの認証ADRについて認識を深めていただく必要があると考えておりますが、どのようにこれを広めていかれるのか、広報等にどのように取り組んでいかれるおつもりか、お伺いいたします。
#122
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げます。
 ADRにつきましては、国民の理解の増進を図りますために、その利用を促進するということともかんがみまして、重要な課題であるというふうに思っております。本法律案におきましても、国等の責務といたしておるところでございます。
 また、中でも認証ADRの制度といいますのは本法案により新たに設けられたものであるということでございますので、この制度が十分にその機能を発揮し、さらにまた国民が紛争の解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にするために、その意義や内容について国民の正確な理解を得ることが必要であろうかと思っております。そのためには、積極的かつ十分な広報活動を行っていこうということの必要性を感じております。
 また、具体的には、例えば内容を分かりやすくするということにつきましては、先ほど説明も申し上げましたが、ホームページの作成又はパンフレットの配布等が考えられますが、その効果的な在り方については、認証ADR機関自身による広報活動との協働も視野に入れまして今後検討を深め、適切に実施してまいりたいと思っております。
#123
○浜四津敏子君 ありがとうございました。
 終わります。
#124
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 前回の質問で、ADR機関の信頼性を高め、育てていく上で、認証に当たっては公正、中立性について厳格な審査を行うことが必要だということを指摘をいたしました。同時に、過去の紛争解決実績を含めたADR機関の情報開示も求めたわけですが、今日は、認証された後のADRの公正、中立性の確保の問題についてまずお聞きをいたします。
 第七条の七号で、認証解決事業者である法人であるものが認証を取り消された場合に、その取消し前六十日以内にその役員であった者は、五年間は認証を受けることができないと、こういう規定があるわけですが、この役員だった者が個人で認証を受けられないのは明確だと思うんですが、他の認証解決事業者の役員になるということは可能なんでしょうか。
#125
○政府参考人(山崎潮君) そういう者が、前に、以前に取り消されたという者が他の役員等になって申請をするというような場合につきましては、これは認証の段階であれば、その認証のやっぱり欠格事由、七号と九号にそれを置いておりますので、その欠格事由に当たるということになりますし、後日それが判明したという場合は、二十三条に規定がございますので、そこで必要的に認証を取り消すということになろうかと思います。
#126
○井上哲士君 今ありました七条の九号で、「法人でその役員又は政令で定める使用人のうちに前各号のいずれかに該当する者のあるもの」と、こういう規定で欠格ということになるんだと思うんですが、ここには「役員又は政令で定める使用人」というふうになっております。
 これはどういう範囲になるのか。例えば、役員ではないけれども、実際上、事務所の責任者として取り仕切っていたと、こういう人もこの「政令で定める使用人」という範囲に入るんでしょうか。
#127
○政府参考人(山崎潮君) これは政令で定めることになりますけれども、物すごく分かりやすく言えば、会社でちょっと考えていただきまして、取締役はこれ役員でございますけれども、通常、下であれば部長クラスがおると思いますけれども、その辺のイメージを言っているわけでございますけれども、それをもう少し抽象的に言えば、法人の業務執行上重要な職責を負う職員で、役員に準ずるものとして取り扱うという趣旨でございます。今言われました、言いましたように、大体部長クラスのイメージということでございます。
#128
○井上哲士君 そうしますと、その機関の規模などにもかかわるわけですけれども、例えば支店長などでも、会社の場合、部長ということもあり得るわけで、場合によってはこういう事務所の責任者なども含まれていくと、こういうことでよろしいでしょうか。
#129
○政府参考人(山崎潮君) そうですね、その部署の責任者ですね、そういうものも当然含んでいくようなそういうイメージでございます。
#130
○井上哲士君 次に、認証の在り方とともに、問題がある場合に機敏、的確に対応する必要があると思います。国が認証ADR機関から定期的に報告を受けて、それに基づいて必要な検査をするわけですけれども、同時に、利用者から直接苦情を聞くというのは非常に大事だと思います。衆議院の答弁では、何らかの工夫をして、苦情をきちっと自ら受け取るということもしていく方向で考えざるを得ないと、こう述べられたわけですが、どういう工夫をして、どこがどういう方法でこういう苦情を受けることをお考えなのか。
#131
○政府参考人(寺田逸郎君) これはまだ具体的にどこの部局がこの事務を担当するかということは決まっておりませんが、いずれにいたしましても、法務省の本省の担当部局というものを中心にいたしまして、いろいろな苦情を承り、それでその苦情の種類に応じて様々な対応が必要になるとは思いますが、必要であれば、認証ADR機関から事情をお聞かせ願う、あるいはさらに様々な形で資料の提出を願うというようなことも必要になってくるだろうというふうに考えております。
#132
○井上哲士君 利用者の方で直接法務省に苦情を言う人というのはなかなかいないと思うんですね。ADR機関とすぐ法務省というのが、認証の確かに標識はあるかもしれませんけれども、結び付かないわけで、もっと言わば苦情のアクセスがしやすいような窓口を広く、しかも全国的に要ると思うんですが、その点いかがでしょうか。
#133
○政府参考人(寺田逸郎君) もちろん、ただいま私どももサービサーの関係の事務をやっておりますけれども、想像以上に最近は直接電子メール等で苦情をお寄せいただく方もおいでになる、あるいは投書の形で苦情をお寄せいただく方もありますので、法務省が決してこの苦情の面で敷居が高いというわけではないだろうというふうには思っておりますが、ただ、おっしゃるとおり、いろんな方がおいでになるわけで、地方においでになる方が必ずしもアクセスについて十分な御理解を得ているとは限りませんので、その辺はまた司法支援センター等のいろいろな情報関連機関と協働いたしまして、これについての処理が適切に行われるように対処を検討してまいりたいと、このように考えております。
#134
○井上哲士君 そうすると、いわゆる総合司法支援センターの窓口でもこういう苦情を受け付けていくという方向でよろしいんでしょうか。
#135
○政府参考人(寺田逸郎君) 司法支援センターがこれを、苦情の処理を表看板にするかどうかということは別でございますが、いろいろな形で相談が寄せられます。その中には当然こういう苦情の処理があるだろうと。そういう苦情処理をどう本省の関係機関に伝達するかということについて、支援センターの方と十分な協議をしたいというふうに思っております。
#136
○井上哲士君 看板にするかはどうかとしても、とにかくうちは違いますということでたらい回しになるようなことがないようにこれはお願いをしたいと思うんですが、そういう窓口に寄せられた苦情というものも、プライバシー等には配慮をしつつ、しかるべくやっぱり国民に開示をされるということが、この間言われていましたような、やはりある意味での淘汰ということからいっても大変大事だと思うんですが、そういう言わば開示についてもお考えでしょうか。
#137
○政府参考人(寺田逸郎君) これは何度も申していることでございますけれども、一般的にこの認証ADR機関の仕組みといいますのは、何でもかんでも国が規制してしまうというんではなくて、むしろ利用者の方が適切な機関を選んでいただけるような仕組みを作るということにございますので、この開示、情報の開示というのが非常に大きな決め手になります。そのために十一条と三十一条で情報開示の規定を置いておりまして、十一条では自ら開示する必要のある事項を定め、さらに、補充的ではございますけれども、法務省自体が必要な情報を開示するということでございます。
 その内容についてはもちろん、今委員自身が御指摘になられましたように、非常に機微にわたる、プライバシーに当たるような事項もございますので、個々の案件についての情報というのは慎重に扱わなければなりませんが、概括的にどのような傾向にあるかというようなことについては、これは、法務省自身もそうでございますし、またそれぞれの機関が自分のところはどういう苦情を受けていてどういう処理をしているかということ自体もその機関の信用にかかわることでございますので、そういうことについて、できるだけ分かりやすい情報で、かつ、先ほど申したようなプライバシーに反しないような方法を工夫してやっていただけるように私どもとしても検討してまいりたいと、このように考えております。
#138
○井上哲士君 情報開示というのは本当に大事なポイントになると思いますので、是非お願いをしたいと思います。
 次に、人材の育成についてお聞きをいたします。
 衆議院の参考人質疑で青山教授が、ADRが伸びるか否かは手続実施者に人を得ることができるか否かに懸かっていると述べられました。私も同感です。
 司法制度改革の推進計画では、必要な知識、技能に関する研修などを充実させる方策を検討し、平成十六年三月までに所要の措置を講ずるということが閣議決定をされておりますし、それに基づいてアクションプログラムで人材の育成に関する相互の協力体制を整備するということが目標として掲げられておりますが、この閣議決定された計画に基づいてこれまでどういうことが実施をされてきたのか。そして、本法案が成立しますと一層この問題重要になると思うんですが、この民間型ADRを育てていくという点で必要な知識、技能に関する研修等をどのように充実させるとお考えか。いかがでしょうか。
#139
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点、大変重要なポイントでございます。私ども、この関係では、これのみならず、各省の横断的な連絡協議会、これを設けて、様々な議論をこれから続けていくと、こういう体制を作り上げたわけでございます。その中で、アクションプランが出されたわけでございます。
 これに基づきまして、私どもの本部事務局といたしましては、本年の三月に、各種相談窓口の紛争解決手段に関する総合的な案内サービス機能の充実強化、これを目的といたしまして、相談窓口担当者等を対象に研修を行いました。その研修で、司法型、行政型、民間型のADRの機関について、その概要あるいは手続の内容等を把握してもらうために各機関の実務担当者を講師として招き、説明をしてもらって、参加者の理解を深めました。こういう行動をしております。そのほかにも、各府省におきまして、例えば研修プログラムの開発の支援を行うなど、そのアクションプランに基づいて様々な活動を行っております。
 今後は、こういう活動につきましては、引き続きこの本部が終わっても政府の横断的なものとしてその会議はそのまま残って、残して、人材の育成あるいは広報活動、そういうものについてきちっとやってまいりたいと考えております。
#140
○井上哲士君 この横断的組織には最高裁も参加をされているわけですけれども、最高裁としてはこういう人材の育成にどのように貢献をされていく計画なのか。例えば調停委員等の研修とADRの担当者の研修など、重なる部分は有機的結合などもあってもいいんじゃないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
#141
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) 認証ADRと裁判手続とは互いに協力し合い、補完し合う関係にあるというように考えておりますので、裁判所としましても、認証ADRの手続が順調に進むように、できる限りの協力をしていきたいというように考えております。
 具体的にどのような協力ができるかでありますが、認証ADR機関がまだ発足していない現段階におきましては確定的なことまで述べることはできませんが、裁判所には御指摘のように民事調停や家事調停というADRの手続を運営してきました長い歴史がございます。その経験と実績に基づきまして、例えば一定の実績のある認証ADR機関から研修の講師の派遣依頼を受けました場合には、裁判所から当該研修に対して適切な講師を派遣するというような協力をすることが考えられるというように思います。ADRの機関の研修に講師を派遣するというようなことのほかにも、具体的に制度が動き始めますといろいろ考えられる可能性がありますが、現在はそのようなことを考えておるところでございます。
#142
○井上哲士君 是非、更に踏み込んだ協力をお願いしたいと思うんですが、それ以外に最高裁としてこのADRの、育てていくためにどういう協力をお考えか。この例えばアクションプログラムなどを見ますと、裁判所における情報提供の担当部署を明らかにする等必要な措置を講ずるということも書いてありますし、判例の普及であるとか、それから専門家情報の提供、交換などいろいろやることがあると思うんですが、この点いかがでしょうか。
#143
○最高裁判所長官代理者(園尾隆司君) まず、判例の提供についてでございますが、認証ADR機関は法的素養を備えるか、あるいは法的な助言を受けることができるということを確認の上で認証を受けておりますので、基本的な判例につきましては、認証ADR機関自身で研究し、あるいは習得をしていただくべきものであろうというようには考えております。
 ただ、最新の判例に関する情報提供につきましては、裁判所が国民に対して提供していくという必要がございますので、現在、例えば最高裁のホームページにおいて迅速に最高裁判例を紹介するというような体制を取っております。認証ADR機関においてもこれらを利用して研究をしていただけるものというように考えております。
 それから、裁判所の窓口と認証ADR機関の関係でございますけれども、裁判所では受付窓口において手続教示の事務を行っております。この中には、裁判所内の手続を案内するということばかりではなく、例えば弁護士会の法律相談について案内するというようなこともやってございます。
 したがいまして、認証ADR機関が発足して活動実績を上げるようになりますと、裁判所としましても、その活動実績から見て相当と認められるというものにつきましては、認証ADR機関の所在場所、活動内容などについて紹介をするというようなことが考えられようかと思っております。
#144
○井上哲士君 これ広げていく上で広報が大事だということも先ほどお話がありまして、ホームページなども大いに活用するというお話なんですが、例えば、山崎事務局長はホームページでADRを検索された経験はありますか。
#145
○政府参考人(山崎潮君) 私は機械に弱いものですから、パソコンの方はほとんど触っておりませんので、ございません。
#146
○井上哲士君 実は私、質問するに当たりましていつもホームページ、インターネットを活用するんですが、ヤフーでADR検索しますと、一切ヒットしないんです。これだけ質疑で言われたので改善されているかと思って、先ほど昼休みに確認しましたけれども、やっぱりヒットしないんです。グーグルだったら随分ヒットするんですね。ですから、多分その登録の段階できちんとされていないのかなとか、ちょっとよく分からないんですけれども、全くADRではヤフーは出てこないんです。ですから、かなり前からやられて強調されている割にはこういう状況というのがあるわけで、それは現実に国民に届くというところまで見届けたことが必要だと思います。
 最後に、大臣にお聞きするんですが、今後、認証ADRは法務省、行政型は各省庁、そして司法型は裁判所というふうに所管も分かれてまいります。先ほど、関係機関の連携の会議などは続けていくということを言われましたけれども、広報についても今言ったようなまだ状況があるわけですから、さらに人材の育成とか解決事例の蓄積とか公表、そういう政府として総合的に検討を推進していくということは、もう少し踏み込んだ私は政府としての推進体制が必要だと思うんですが、司法制度改革推進本部も一応の期限が切れるという以降、どういう推進体制を確立させていくのか、その点をお伺いをいたします。
#147
○国務大臣(南野知惠子君) お答え申し上げますが、その前に、インターネットであれば最高裁のホームぺージなら今このADRの問題について見解が取れるというふうに思っておりますので、また時間があればお試しいただければというふうに思っております。
 今のお尋ねの件でございますが、ADRの拡充・活性化に関しましては、司法制度の改革推進本部の設置期限後におきましても、本法律案に基づく認証の事務を行うこととなる法務省と、それを始めとする各省、各担当府省におきまして、総合調整を担当するまた内閣の方におきましても、両方相まちまして引き続き責任を持って取り組むことになると思いますので、どうぞ、頑張ってまいりますからよろしくお願いいたします。
#148
○井上哲士君 終わります。
#149
○委員長(渡辺孝男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#150
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、千葉景子君から発言を求められておりますので、これを許します。千葉景子君。
#151
○千葉景子君 私は、ただいま可決されました裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党及び日本共産党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府並びに最高裁判所は、本法の施行に当たり、次の事項について格段の配慮をすべきである。
 一 裁判外紛争解決手続が裁判と並ぶ魅力的な紛争解決手段として幅広く利用されるよう、その意義及び内容等について、国民に対して周知徹底を図ること。
 二 国民が簡易・迅速な裁判外紛争解決手続を適切に選択できるよう、国民に対する十分な情報提供を行うとともに、日本司法支援センターその他の関係機関との連携強化、人材育成、法律扶助の適用など、財政上の措置を含め裁判外紛争解決手続制度の総合的な基盤整備に、なお一層努めること。
 三 認証に当たっては、民間の紛争解決事業者の自主性や独立性を損なうことのないよう、その趣旨を十分周知するとともに、国民が安心して裁判外紛争解決手続を利用できるよう、適正な運用を図り、法施行後の実施状況を踏まえ、必要に応じ制度の見直しを含め所要の措置を講ずること。
 四 手続実施者が弁護士でない場合において、民間紛争解決手続の実施に当たり法令の解釈適用に関し専門的知識を必要とするときに、弁護士の助言を受けることができるようにするための措置については、公正かつ適正な手続を確保し、裁判外紛争解決手続利用者の利益を損なうことのないよう十分に配慮すること。
 五 民間紛争解決手続における執行力の付与については、紛争解決の実効性を確保するため、利用者の権利保護も十分配慮した上で、引き続き法整備等の措置も含め検討すること。
 六 民間団体等が行う調停、あっせん等の手続の開始から終了に至るまでの手続ルールに関し、紛争当事者間で合意が得られない場合の適用原則の法令化について、民間紛争解決手続の多様性も配慮した上で、今後の国際的動向等を勘案しつつ引き続き検討すること。
 七 本法の施行後、早期に、裁判外紛争解決手続制度について検証し、必要があると認めるときは、本法の見直しも含め所要の措置を講ずること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#152
○委員長(渡辺孝男君) ただいま千葉君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#153
○委員長(渡辺孝男君) 全会一致と認めます。よって、千葉君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、南野法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。南野法務大臣。
#154
○国務大臣(南野知惠子君) ただいま可決されました裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
 また、最高裁判所にも本附帯決議の趣旨を伝えたいと存じます。
 ありがとうございました。
#155
○委員長(渡辺孝男君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(渡辺孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#157
○委員長(渡辺孝男君) 民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。南野法務大臣。
#158
○国務大臣(南野知惠子君) 民事関係手続の改善のための民事訴訟法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。
 民事関係手続については、近年の社会経済情勢の変化等に伴い、特に、社会における情報通信技術の発展への対応を強化するとともに、権利実現の一層の円滑化を図る必要があると指摘されております。また、公示催告手続についても、明治二十三年に制定された民事訴訟法の一部である現行の公示催告手続ニ関スル法律の規律を改めて、手続をより迅速なものにする必要があると指摘されております。
 そこで、この法律案は、民事関係手続を国民がより利用しやすいものとするとの観点から、その一層の迅速化及び効率化等を図るため、民事訴訟法等の見直しを行うものであります。
 この法律案の要点を申し上げますと、第一は、民事訴訟手続等における申立て等のオンライン化を図ることであります。民事訴訟法等の法令上書面によることとされている申立て等であって最高裁判所規則で定めるものについて、電子情報処理組織を利用して行うことができるようにすることとしております。
 第二は、少額訴訟債権執行制度を創設することであります。少額訴訟に係る債務名義については、地方裁判所のほか、国民に身近な簡易裁判所でも債権執行を行うことができることとしております。
 第三は、最低売却価額制度を見直すことであります。最低売却価額を売却基準価額として、これを二割下回る価額の範囲内での買受けの申出を認めることにより、不動産の競売手続の円滑化を図ることとしております。
 第四は、扶養義務等に基づく金銭債務について間接強制を認めることであります。養育費等の扶養義務等に基づく金銭債務についての強制執行は、現在認められている直接強制のほか、間接強制の方法によることもできるようにすることとしております。
 第五は、公示催告手続の迅速化を図ることであります。公示催告手続について、有価証券の無効の宣言をするための公示催告期間の下限を六か月から二か月に短縮し、手続全体を決定手続とすることとしております。
 なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の改正等所要の手続が必要となりますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
 以上がこの法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#159
○委員長(渡辺孝男君) 以上で趣旨説明の聴取は終了いたしました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後二時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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