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2004/10/15 第161回国会 参議院 参議院会議録情報 第161回国会 本会議 第3号
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2004/10/15 第161回国会 参議院

参議院会議録情報 第161回国会 本会議 第3号

#1
第161回国会 本会議 第3号
平成十六年十月十五日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  平成十六年十月十五日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。浜四津敏子君。
   〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
#4
○浜四津敏子君 私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました所信表明演説を中心に、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 初めに、度重なる豪雨や大型台風上陸により被害を受けられた皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 政府は、被害の復旧に全力を挙げるとともに、激甚災害法、天災融資法の速やかな発動及び制度融資の弾力的運用などについて、被害者の方々の立場に立った施策に万全を期すべきであります。また、何よりもまず、治山治水を始め国民が安心して暮らせる国土を造ることが大事であります。
 直面するこの緊急課題につき、総理並びに国土交通大臣に伺います。
 第二次小泉内閣は、総理自らが郵政民営化実現内閣と言われるように、郵政民営化の実現を最大の目的とされています。しかし、今、日本が抱える課題は、政治と金の問題、年金、介護、医療など社会保障制度改革、北朝鮮による拉致問題、沖縄米軍基地問題、日中関係、三位一体改革など、困難な問題が山積しております。郵政民営化だけにとらわれることなく、これらの課題に果敢に挑戦し、改革の成果を上げられるよう、全力を尽くしていただきたいと思います。
 郵政民営化についても、総理の並々ならぬ御決意と国民の理解とは大きく懸け離れているのではないかと思われてなりません。内閣改造後に行われたある新聞の世論調査で、新しい内閣で一番力を入れてほしいことは何ですかとの問いに、年金・福祉問題が五二%、景気・雇用対策が二八%などに対し、郵政民営化はわずか二%で最下位でした。これでは、事実上、国民は民営化の必要性をほとんど理解していないのと同じだと言われてもやむを得ないと思われます。
 総理御自身はこの数字をどのように受け止められるのか、お聞かせください。
 民主主義の政治で大事なのは、国民の皆様に対して説明責任を果たすこと、また説得の努力を尽くすことであると思います。なぜ民営化が必要なのか、なぜ優先課題なのか、目指す将来像はどういうものなのか、どのようにして移行するのか、国民の皆様にとってのメリット、デメリットは何か、そういう基本的な事項について、総理御自身がこの場で明確に語っていただきたいと思います。また、今後の取組についてのお考えも伺います。
 自民党と公明党の連立政権は、十月五日で満五年になりました。この五年間、公明党は、一貫して連立の信頼関係を重視しながら、生活者の目線に立ち、政策実現政党として様々な政策を実現してまいりました。今後も生活与党として、国民の皆様のための改革を前進させていく決意でございます。
 その視点から、以下、質問をさせていただきます。
 公明党は結党以来、一貫してクリーンな政治の実現を目指し、殊に連立政権に参加して以降、あっせん利得処罰法、政治家個人への企業・団体献金の禁止など大きく前進させてまいりました。しかし、まだ課題は残っております。そうした中で起きた日本歯科医師連盟の一億円献金問題で、今また政治と金をめぐり政治不信が高まっております。
 政治に対する信頼を回復するためにも、政党及び政治資金団体を除く政治団体間の寄附について、現行無制限となっている献金額に上限を設けるとともに、献金の透明化を図る観点から銀行振り込みなどを義務付けるべきと考えます。総理の御見解を求めます。
 去る八月十三日に起きた沖縄県の米軍ヘリ墜落事故は、改めて住宅地に隣接する基地の危険性をまざまざと見せ付けました。
 それとともに、事故の重大性を踏まえて沖縄県警が要請した現場検証を米軍は拒否し、一方的に事故機を撤去したと伝えられる行為は、日米地位協定の実効性を疑わせるものであり、同協定の抜本的見直しの必要性を改めて痛感させるものでした。
 私は、事故当時ちょうど沖縄におりましたので、直ちに現場に急行しました。墜落ヘリは大学の校舎のブロックを削り取り、建物に黒い焼け跡を残しながら黒煙を上げておりました。そして、巨大な主翼や尾翼のローターなどが周辺住宅地に落下し、無数の破片が民家を直撃しました。
 私は、被害を受けた民家を訪ねました。ブロックの破片やヘリの部品が窓ガラス、ドア、ふすままでも突き破り、部屋じゅうにガラスが飛び散り、生後六か月の赤ちゃんが寝ていたすぐわきにも破片が突き刺さっておりました。死傷者が出なかったのが不思議なぐらいで、一歩間違えれば大惨事になっていた事故でした。
 我が党は、度重なる現地調査をし、稲嶺沖縄県知事を始め関係者とも意見交換し、政府への申入れなども行いましたが、地元の要請が全くと言っていいほど実現していないことは誠に遺憾であり、改めて政府の姿勢が問われていると思います。
 沖縄県民の切実な声に対し、真摯に耳を傾け、打開策の検討に着手されているのか、まずはお伺いします。
 最大の再発防止策は、普天間基地の早期移設です。そのために政府として具体的にどのような努力をしておられるのか、伺います。
 沖縄の基地負担を軽減させる方策については、在沖縄米軍の国内移転と国外移転とが考えられますが、我が国が米国と交渉する基本方針が明確でありません。この点について明確に御答弁いただきたい。あわせて、日米地位協定の見直しについての総理の御見解を求めます。
 次に、国民の皆様が今一番強い関心を持っておられる年金問題についてお尋ねします。
 さきの通常国会では、給付と負担の均衡を図り、世代間の格差をなくして、将来にわたり持続可能な制度を作るための年金改革法が成立しました。
 引き続き、年金制度の一元化、第三号被保険者の取扱い、社会保険庁改革、無年金障害者対策などの課題が残されています。これらの課題に積極果敢に取り組み、制度の信頼回復に努めなくてはなりません。
 こうした問題に取り組むためにも、本年五月の自民、公明、民主の三党合意に基づき、与野党協議の場を設けて一元化問題を含む社会保障全体の在り方を議論することが急務と考えます。
 この点につき、どのようにお考えか、総理にお伺いします。
 我が国の景気はようやく回復しつつあると言われております。しかし、大企業と中小企業では格差がありますし、また、業種や地域によって偏りがあるのが実態です。ようやく上向き出した景気回復の足取りをより一層確かなものとするためにも、こうした経済の実態を踏まえた取組が政府に求められています。
 特に地域再生のために不可欠なのが、地場の中小企業の活性化です。中小企業の多くは厳しい環境の中で積極的に事業革新に取り組んでおり、また、最近では、複数の事業者が連携することにより、大企業と対等以上に競い合う事例も見られます。中小企業は日本経済を支える大きな柱ですから、政府は中小企業をしっかりとサポートすべきです。
 公明党は、中小企業の皆様の声をしっかり受け止め、これまでも資金繰り円滑化借換保証制度を始め様々な中小企業支援策を提案し、その多くが実現されてまいりましたが、全般的に経済が上向きつつある今、更に力強い支援策が必要です。
 その一つとして、現在の創業・経営革新支援策は、法律も三つに分かれ、縦割りで使い勝手が悪いと指摘されていますが、それを一つにまとめて中小企業を総合的に支援する法律を制定するなどして、企業連携、販路開拓などを支援すべきと考えます。経済産業大臣の御見解をお聞かせください。
 次に、中小企業への融資について伺います。
 中小企業の皆様が特に関心を寄せておられるのは包括根保証の撤廃で、公明党も強く主張してまいりました。長引く不況で経営不振や倒産に至る事業者が後を絶ちませんが、特に包括根保証を抱える事業者は、全財産を身ぐるみはがされる上、更に過酷な責任を追及されて、自殺に追い込まれる例が少なくありません。過去最悪を記録した昨年の自殺者のうち、自営業者は実に四千二百十五人と、十人に一人以上が自営業者でした。
 このように、一度倒産したら二度と立ち上がれないような今のシステムを見直し、再挑戦できるシステムへと改めるべきだと考えます。その意味で、人生を丸ごと担保に提供しているのと同じとまで言われる包括根保証の撤廃は急務です。今後の見通しなどについて法務大臣に伺います。
 また、元々担保力や信用力の乏しい中小企業への融資については、金融機関は、現在のような不動産に重きを置く担保の在り方を見直し、中小企業の事業計画や経営者の資質、技術力、将来性などを評価して融資する姿勢に転換すべきと考えます。この点、一部の大手銀行が創業期のベンチャー企業に対して、その成長性を独自に評価して無担保で融資する成長性評価システムを導入する動きを見せていることは注目されます。金融機関に対し、是非こうした方向性を促す行政指導や誘導措置が望まれますが、総理の御見解を伺います。
 私は、本年四月、日本医科大学付属千葉北総病院のドクターヘリを視察し、関係者の方々の御意見を伺いました。当日、高度の緊急手術を要する幼児をドクターヘリが千葉から東京世田谷の成育医療センターにわずか十五分で搬送する現場にちょうど立ち会いました。こうした急病に限らず、一分二分を争う交通事故の被害者救援に大きな力を発揮するのがドクターヘリです。
 ドイツでは、昭和四十五年にドクターヘリを導入後、約二十年間で交通事故による死亡者の数は三分の一に減少しました。我が国はドイツに後れること三十年、アメリカに後れること二十年、イギリスに後れること十年と言われています。
 ドクターヘリは、現在、全国でわずか七県、計八機が導入されているだけです。そして、現場では、ヘリが飛べば飛ぶほど赤字が増える、高速道路上に着陸できない、そもそもドクターヘリの絶対数が少ないなどの問題が指摘されています。
 ドクターヘリは一番早く事故現場に到着できますから、より多く導入し、高速道路にも着陸できれば確実に交通事故による死者の数を大きく減らすことができ、また後遺症も格段に軽くすることができます。ドクターヘリの導入の障害になっているのは、ひとえに事業主体の都道府県が一機九千万円弱という財政負担を懸念しているためですが、事業を予定していた幾つかの県がここに来て、三位一体の補助金改革によって導入をちゅうちょし始めました。このままではドクターヘリの増加は期待できません。
 小泉総理は、年一万人以上だった我が国の交通事故死亡者数を五千人にまで減らすことを明言されています。そのためにはドクターヘリの活用が不可欠です。
 かつて政府内では、ドクターヘリの運営資金として、損害保険会社など関係企業・団体の民間資金を仰ぐ案が浮上したとも聞きます。また、ドクターヘリは厚生労働省の所管ですが、それ以外にも全国で六十九機配機されている消防庁の防災ヘリをドクターヘリとして活用することなど、あらゆる手段を講じて全国三十か所でドクターヘリを導入するという政府の約束を果たしていただきたい。より多くの方々の命を救うとの一点で、厚生労働省、国土交通省、警察庁、消防庁などが連携し、真剣に取り組むべきと思います。総理の勇気ある決断を求め、お考えを伺います。
 また、ドクターヘリの高速道路上への着陸について、国土交通大臣にその実現を強く要望いたします。前向きのお答えを期待いたします。
 我が国は、従来、大量生産、大量消費、大量廃棄型の経済活動により発展を遂げてまいりました。しかし、将来へ向けて、こうした経済社会の在り方を根本から見直し、子供たち、そして更に続く後世代の人たちのために、美しい健康な国土と緑の地球を守り、残していかねばなりません。
 そのために、我が党が、かねてよりごみゼロ社会への転換を主張し、それに基づき提案した循環型社会形成推進基本法が平成十二年に成立しました。その後、その下で具体的な法整備をし、政策を前進させてまいりましたが、直面する課題として、廃棄物のリサイクルと適正処理の対策強化があります。廃棄物については、なお大規模な不法投棄が後を絶ちません。不法投棄は環境を破壊するだけでなく、原状の回復に莫大な費用を要します。その費用には国民の皆様の税金が使われます。経済的にも大きな損失です。
 不法投棄は、循環型社会の基盤を崩すものであり、何としてもなくしていかねばなりません。そのためには、規制の強化や監視体制の整備はもとより、廃棄物の受皿の確保も含め、強力な対策を総合的に講じていく必要があると考えます。
 また、リサイクルについては、当面は、来年予定されている容器包装リサイクル法の見直しをしっかりと行うことが重要です。
 特に、近年、多くの市民団体や地方自治体が指摘しているように、市町村の分別収集に関する費用負担の問題を解決することが今回の見直しの最重要課題でもあります。
 拡大生産者責任の考え方を一層徹底し、リサイクルはもとより、リデュース、リユースも含めて、一層の効果が上がるよう制度を強化していくことが重要と考えます。これらについて、総理の御見解を伺います。
 本年、司法制度改革は総仕上げを迎え、推進本部は十一月に役目を終えて解散することになっています。市民の司法参加を実現する裁判員制度や、全国どこでもだれでも法律サービスを受けられる司法ネットの整備など、司法制度改革の目玉と言われる制度はできても、それを国民の生活に真に根付かせるための具体的な施策はこれからです。また、民事法律扶助や公的刑事弁護などを十分に機能させるためには、更なる財政支援が必要です。
 総理は、所信表明演説で改革に引き続き取り組んでいくと言われておりますが、立法措置がなされた後の法律や制度の施行こそ重要と私は考えます。今後の政府の取組について、総理の御所見を伺います。
 次に、人身売買を犯罪として取り締まること、及びその被害者保護の必要性についてお尋ねします。
 一九九〇年代前半ころから、タイやコロンビア、フィリピン、中国、メキシコ、ウクライナなどの国から大勢の女性たちが商品として日本に送り込まれてきました。アメリカの人身売買に関する報告書では、日本は人身売買の監視対象国とされています。日本は、今や世界最大の人身売買受入れ国との不名誉な指摘を受けているのです。
 これらの女性たちはだまされて来日するケースも多く、通常、一人数百万円の架空の借金が課せられ、パスポートを取り上げられて監禁され、売春などを強要され、逃げると殺すなどと脅され、ひどい暴力を振るわれたりします。こうした女性たちは不法滞在者として処罰されています。しかし、処罰されるべきは人身売買のブローカーなどであり、女性たちは被害者として救済され保護されるべき対象のはずです。女性相談所に保護された人身売買による被害者は、平成十三年から毎年増加しています。まず、我が国における人身売買の実態、取締りの現状、被害者の保護などに関し、法務大臣にお伺いします。
 我が党もこのたび、党内に人身取引による被害者保護対策プロジェクトチームを立ち上げ、与党としてこの問題を現実的に解決するため真剣に取り組んでまいります。
 総理、人身売買犯罪対策及びその被害者の保護、救済につきどのようにお考えか、お聞かせください。
 若者の就業支援のため、我が党はトライアル雇用やジョブカフェ、インターンシップ制度などを提案し、それらが実現された結果、一昨年から若者の失業率が少しずつ改善してまいりました。しかし、それでもまだ若者の失業率は全年齢平均の二倍以上に上っています。さらに、ニートと呼ばれる若年無業者の増加が大きな社会問題になっています。仕事をする意欲もなく、学校にも職業訓練にも行かず、社会とのつながりを持つことができないニートは五十二万人以上いると言われています。
 そこで、公明党は以下の政策を提案し、それらは来年度の概算要求に取り入れられました。その一つは、合宿形式による集団生活の中で生活訓練や労働体験を行い、社会人としての基本的な能力や働く意欲を養う若者自立塾。二つ目には、ボランティア活動や職場体験が採用に反映される体制を作るためのジョブパスポート。三つには、中学生が五日以上職業体験をするキャリア教育実践プロジェクトなどです。こうした一つ一つきめ細かい政策を実施することにより、必ず効果が上がるものと思います。
 若者がフリーターやニートになるには、それぞれ異なる理由があり、置かれた状況も異なります。それを理解し、一人一人に合ったきめ細かい雇用支援を推進する必要があります。そのためには、国が全力を挙げて取り組むことは当然ですが、NPOやボランティア団体などの力を最大限活用して、協力して取り組むことが不可欠と考えます。総理のお考えを伺います。
 身体障害者補助犬法は、私たち公明党もその成立を強く推進しましたが、施行されてこの十月で二年、完全施行からちょうど一年を迎えます。町を歩くと店の入口に補助犬ステッカーを見掛けるようになり、補助犬に対する社会全体の取組と認知が進んでいることがうかがえます。
 しかし、一方で、この二年間で介助犬と認定されたのは十九頭、聴導犬は八頭、合わせてもわずか二十七頭にすぎません。補助犬が普及しない原因の一つは、多くの都道府県、政令指定都市に介助犬、聴導犬の認定を行う指定法人がないことです。
 また、補助犬を持つことができるのは仕事など社会活動に参加する人に限られているため、家庭の主婦や仕事を持たない障害者は補助犬を持つことができません。社会参加が余りに狭い意味に限定されているため、希望しながら補助犬を持つことができない人がたくさんいます。さらに、障害者の方々に対し、補助犬制度を知らせるための取組が十分とは言えません。
 是非とも、献身的な活動をしておられる育成団体やユーザーである障害者の意見を十分に聞きながら、希望する人がだれでも良質の補助犬を持ち、積極的に自分らしく社会参加できる制度となるよう、国として更なる強力な施策の推進を希望します。総理のお考えを伺います。
 次に、アニマルセラピーについて伺います。
 数年前、私は高齢者施設で行われているアニマルセラピーを見る機会がありました。訓練された犬が高齢者のそばにぴったり寄り添っていきます。それにより、それまで手を動かせなかった高齢者がいつの間にか動かせるようになったり、表情が全くなかった高齢者の顔に少しずつ表情が表れます。
 また、千葉で長年ボランティアで実施しているホースセラピーにも視察に行きました。そこでは、健常児に混じって知的障害や自閉症の子供たちが、初めは怖がっていましたが、やがて馬にまたがり、温かい馬の体温を体全体に感じながら、そのうち楽しそうに馬に乗るようになります。自閉症の子供に笑顔があふれ、足の障害を持つ子供の運動機能が少しずつ改善されているというデータもあります。
 動物と触れ合うことでストレスや孤独感をいやし、心を和ませ、喜びや楽しみの感情を呼び起こし、生理的、身体的、精神的な治療効果を生むことが広く知られております。各国においても、近年、その取組が熱心になされております。例えば、アメリカでのアニマルセラピーは、長年の歴史と実績を誇っており、自閉症や痴呆症の改善やリハビリ効果などにその力を発揮し、また、刑務所内での犯罪者更生及び社会復帰にも大きな効果を上げていることが報告されています。
 我が国では、アニマルセラピーをボランティアで行っておられる民間の方々は、様々な費用を自ら捻出しながら御苦労しておられます。アニマルセラピーの普及のために、ボランティア団体への支援策を始め、きめ細かい施策に国は積極的に取り組むべきと考えますが、総理の御見解を伺います。
 総理は、就任以来、改革のスローガンの一つとして官から民へを挙げてこられました。公明党も、無駄や非効率の多い官の在り方を抜本的に改革すべきとの信念を共有する立場から、その改革の方向性は支持してまいりました。しかし、官から民へというスローガンは、一見斬新に見えても、さほど新しい発想に基づいたものではありません。なぜなら、その背景にあるのは、社会は官と民の二つのセクターでしか構成されていないという旧来型の考えだからです。
 この考えによると、公益を促進するのは官であり、私益を追求するのは民、すなわち企業で、国民も基本的にはこのどちらかの世界で働いているという前提があります。税金の無駄遣いを最小限に抑えるための官の改革は必要ですが、それを市場原理と効率性を追求する民へというだけでは公益を損なうリスクを伴います。
 そこで、公益性の高い事業を目的としつつ、その形態は、官ではなく、また利益追求の企業でもない、効率性の高い民間組織である団体の存在が非常に大切になってきます。それは、NPO、NGOなどの非政府・非営利組織や独立した政策研究所、公共性の高い事業を行う非営利の財団やボランティア組織を意味します。
 これらの活動は、例えば国際的には国境なき医師団やAMDA、難民を助ける会など、国内では先ほど述べた介助犬の育成やアニマルセラピーもその一例ですが、子育て支援や本の読み聞かせ、不登校や引きこもりの支援など、福祉、医療、環境、人権、教育、平和、人道支援など多岐にわたっております。その活動は、利用者のニーズからも共助の世界を作る上でも不可欠なものです。
 これが今、社会を構成する第三のセクターとして先進諸国で注目を集めているシビルソサエティーであります。第一セクターとしての官と第二セクターとしての企業と並ぶシビルソサエティーが育っていない社会は、成熟した民主主義社会とは言えないとまで言われております。今や世界は官から民へではなく、官から民及びシビルソサエティーへという流れになっております。
 日本でも、一九九八年にNPO法が成立し、今日まで数多くのNPO団体が創立されましたが、国際的に比較すると、日本のNPO団体などは財政基盤も弱く、人材育成や人材確保に難航しています。殊に、最も大事な寄附金にかかわる税制上の優遇措置も機能してきたとは言い難い現状です。現に、約一万数千あるNPOのうち、税の優遇控除を受けているのはわずか約三十団体にすぎません。認定NPO法人の要件は徐々に緩和されてきておりますが、なお十分とは言えません。
 国、地方の財政難の中、また少子高齢化の中で、より心豊かな共助、共生の社会を築くためにも、NPOなどを力強く支援して、社会を担う第三のセクターとしてのシビルソサエティーを育てることが必要ではないでしょうか。総理の御見解を伺うとともに、今後、日本におけるシビルソサエティー育成に具体的にどのように取り組まれるのか、お伺いします。
 最後に、さきのアテネ・オリンピック及びパラリンピックにおいて日本選手が大活躍し、日本じゅうが感動のあらしに包まれました。
 また、アメリカ大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手は、八十四年間だれも破ることができなかったシーズン最多安打の新記録を打ち立てました。イチロー選手の偉業は血の出るような地道な努力の結果です。努力なくして結果はあり得ません。日々地道に努力することの大切さを教え、勇気と希望を与えてくれたイチロー選手でした。
 今、我が国が直面している数々の課題に対して、私たち政治に携わる者が、また行政に携わる者がひたすら国民の皆様のためにとの思いで、結果を出すまで我が身を惜しまず努力し続けることで、必ずより良い社会を作ることができることを肝に銘じ、すべての課題に取り組んでまいりたいと思います。
 総理の御感想をお伺いし、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 浜四津議員にお答えいたします。
 被災者支援及び災害対策でございますが、政府は、御指摘のような各種の制度を積極的に活用して、被災地の早期の復旧・復興、被災者への支援に全力で取り組んでおります。
 激甚災害の指定については、災害発生の実態に即して速やかに判断することにより、地方公共団体が安心して災害復旧事業に取り組めるよう今後とも努めてまいります。
 さらに、公共事業全体の見直しに際しても、防災の重要性にかんがみて、中小河川の整備の在り方や水防体制などを抜本的に見直すなど、水害・土砂災害対策を強化して、御指摘のような災害に強い国土を作っていきたいと考えております。
 郵政民営化についての世論調査の数字が低いと、これについてどう思うかということでございますが、私は、この郵政民営化というのは経済活性化、行財政改革、欠かすことのできない大事な改革であると思っております。
 行財政改革に反対する人はほとんどいないと思います。民間にできることは民間に、これもほとんど賛成しているんです。しかし、郵政民営化は反対だと。公務員じゃなきゃなぜできないのか、私、不思議に思っているんです。私は、この郵政民営化反対、そして行財政改革をやれということは、手足を縛って泳げというようなものだと思っております。そんなことはでき得ない。だから、この郵政民営化の重要性を毎々指摘してきていたんです。
 ほかにも重要な問題、たくさんあります。年金、社会保障。しかし、これは私が総理大臣でなくても、だれが総理になってもやらなきゃならない改革であります。しかし、郵政民営化問題は政界のタブーだった。私が総理大臣でなければ議題にすらならなかった問題であるはずであります。その総論賛成各論反対、最も大きな問題に私が手を付けようとしていることであります。
 いずれ、これが来年法案化して国会に提案されればなお詳しい説明をいたします。そうすることによって必ずや国民の多数の理解を得られることができると確信しておりますし、私も説明に全力を傾けてまいります。
 郵政民営化の基本的な事項、今後の取組についてでございますが、現在の郵政事業には、郵便局では郵貯、郵便、簡保しか取り扱えない等、業務範囲が限られていること、法人税等が非課税であること等、民間企業と対等な競争条件となっていないこと等の問題点があります。
 このため、官から民へという方針の下に、郵政事業の四つの機能を市場原理の下で、それぞれ新たな四つの会社として自立した存在とする民営化を進めることにより、全国津々浦々の郵便局ネットワークを生かしてより便利なサービスが提供されること。郵貯、簡保三百五十兆円の資金が民間で効果的、効率的に使われること。約四十万人の公社職員が民間人となり、小さな政府の実現に資すること。郵政公社に対する見えない国民負担が解消されること等のメリットを引き出し、構造改革を一層前進させ、国民の利便性の向上を図りたいと考えております。
 また、現在の郵政事業を取り巻く内外の経済社会環境は、通信、輸送手段の発達や金融の技術革新などにより劇的に変化しています。このような環境変化に適切に対応するためには、直ちに民営化に取り組む必要があると考えております。
 今後の取組についてのお尋ねでございますが、平成十九年四月からの郵政民営化に向け、法案は先般閣議決定した基本方針に忠実に策定すること、簡素かつ一貫性のある制度・法律構成、組織であること、制度設計のプロセス、手続が透明であることという三つの指針にのっとって、与党等とも緊密に調整を行いつつ、詳細な制度設計の取りまとめと法案作成を行い、次期通常国会に法案を提出する考えであります。
 政治資金の規制についてでございますが、具体的な規制の内容については、現在自民党において議論が行われておりますが、議員御指摘のとおり、公明党から貴重な意見をいただき、また野党からも提案が出されております。なるべく早期に国民の幅広い理解が得られる内容がまとまるよう、与党を始め各党各会派間で更に議論を深めていくべきものと考えております。そうした議論を踏まえつつ、政府としても必要な検討を進めてまいります。
 ヘリ墜落事故についてでございますが、今回のような事故の発生は極めて遺憾であり、事故後直ちにアメリカ側に対して徹底した事故原因の究明と再発防止に全力を挙げるよう要請するとともに、各省庁に対して内閣一体となった取組を行うよう指示いたしました。
 八月二十五日に私は稲嶺知事と会談し、事故の状況と地元の要望について詳細な説明を受けて、多くの米軍施設を抱える沖縄県民の負担の重さを改めて深く認識いたしました。その後、日米合同委員会の下に新たな分科委員会を設置して、事故発生時における対応について日米間の協議の仕組みを充実させるとともに、沖縄危機管理官の設置など政府一丸となった取組を確保する体制の整備を図っております。
 普天間飛行場の問題でございますが、市街地にあることもあり、一日も早く周辺住民の方々の不安を解消したいと考えており、平成十一年の閣議決定等に従い、沖縄県等の地元地方公共団体と十分協議を行いながら、早期の移設、返還に向けて全力で取り組んでいるところでございます。
 沖縄の負担軽減についてでございますが、内閣の大きな課題であります。在日米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄等地元の過重な負担の軽減を図る観点から、在日米軍の兵力構成見直しについて米側との協議を進めてまいります。いかに沖縄の負担軽減を実現するかについては、様々な可能性を現在追求しているところであります。具体的には、今後の協議において議論されていくことになります。
 日米地位協定でございますが、政府としては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるとの考えの下、運用の改善に努力しているところでございます。
 年金一元化を含む社会保障でございますが、急速な少子高齢化が進む中に、社会保障制度を将来にわたって持続可能な安定的なものとしていくためには、年金のみならず、医療、介護、生活保護等の各分野における総合的な改革を進めていく必要があると考えております。
 このため、先般の年金改正法の審議を通じまして、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直しについて議論を進めていく旨の三党合意がなされました。与野党が立場を超えて早急に協議を行うことが必要であると思っております。一方、政府としては社会保障の在り方に関する懇談会を設置して、社会保障制度全般について、税、保険料の負担と給付の在り方などを幅広く議論を現在進めております。
 このような議論を踏まえ、社会保障の問題につきましては、国民が安心して暮らすことができるような制度全体の構築に向け、今後も全力で取り組んでまいりたいと考えます。
 金融機関の中小企業に対する融資でございますが、中小企業への融資については担保、保証に過度に依存せず、企業の事業計画、財務状況等を的確に把握し、その評価に応じた融資を行うことが重要であると考えます。政府としては、これまでもこうした融資への取組を金融機関に対して繰り返し要請してきたところであり、今後とも同様の取組を促してまいります。
 ドクターヘリの問題でございますが、ドクターヘリによる迅速な患者の輸送は有効だと考えております。導入開始以来、着実に搬送の実績を重ねているところでございますが、議員御指摘のとおり、まだまだ不十分な点が多々あると思っております。今後とも、複数の県にまたがる広域運航や消防防災ヘリの利用も併せて普及させていくべきではないかと考えております。
 循環型社会でございますが、小泉内閣におきましても環境保護と経済発展を両立させる、これは大変重要な課題だと認識しております。このため、製品廃棄後の生産者の責任の範囲など、拡大生産者責任の考え方を含めた容器包装リサイクル法の検討など、廃棄物削減、再使用、再生利用、いわゆるリデュース、リユース、リサイクル、この三つのRの対策について積極的に取り組んでまいります。
 また、不法投棄問題については、その撲滅を目指し引き続き強力な取組を進めてまいります。
 司法制度改革でございますが、今後は一連の司法制度改革の成果を国民が実感できるよう、改革の本旨に沿った運用を図ることが重要であります。
 法務省等の実施担当省庁と総合調整を担当する内閣において所要の体制を整備し、国民への啓発活動を進めるなど、司法を国民に身近なものとするための施策を引き続き講じてまいりたいと考えます。
 人身売買などの人身取引についてでございますが、人身取引は重大な人権侵害であります。我が国においても、売春や強制的に就労させる目的などでの人身取引が、人道的な観点からも深刻な問題となっていると認識しております。
 政府としては、本年四月に人身取引対策に関する関係省庁連絡会議を設置したところであります。年内には人身取引の防止、撲滅と被害者の保護に向けた行動計画を作成することとしており、人身取引の問題に関する啓発活動や罰則の整備を進めるとともに被害者の保護、支援に政府全体として取り組んでまいります。
 若年者の雇用問題についてでございますが、近年、フリーターに加えて、働いておらず教育も訓練も受けていない、いわゆるニートと呼ばれる若年者が増加しております。こうした若者に対しては、御指摘のとおり、個々の抱える問題に対応したとりわけきめ細やかな支援が必要であると認識しております。
 今後の施策の推進に当たっては、NPOやボランティア団体を活用した専門的な相談援助の実施や労働体験を通じた社会参加意欲を喚起する取組など、若年者の働く意欲や能力を高めるための総合的な対策の展開に努めてまいりたいと考えております。
 身体障害者補助犬についてでございますが、この補助犬は、必要とする障害者のある方々にとって生活していく上で欠かせない存在となっております。その普及は今後ますます重要な課題であると認識しております。
 このため、補助犬の育成、普及啓発に努めてきたところでありますが、御指摘のように、関係者の御意見を今後もよく聞きながら更なる普及に一層努めてまいります。
 アニマルセラピーでございますが、ペットが日常生活を豊かにする、この役割は大変大きいものと私は考えております。
 高齢者や障害者のケアの現場でも、動物が一定の役割を果たしていくことは意義のあることであり、御指摘のいわゆるアニマルセラピーについては、その有効性について科学的な検証が必要であると聞いております。今後、有効性が認められれば、その普及方策を更に検討してまいりたいと考えます。
 NPO支援についてでございますが、NPOは行政でも企業でもない第三の主体として国民の多様な要望にきめ細かくこたえ得る組織であり、これからの経済社会において大きな役割を果たすことが期待されております。このため、政府としては、NPO税制の活用増進、情報提供の充実、NPOが十分に活躍できるような環境の整備に引き続き努めてまいります。
 スポーツ選手の活躍についてでございますが、アテネ・オリンピック、パラリンピック、あるいは高校野球、大リーグ、イチロー選手のみならず松井選手も、また野茂選手も佐々木選手も、もう数多くの日本選手が大リーグで一流選手に伍して、大リーグ選手に劣らない活躍をしているということは本当にすばらしいことだと思います。
 自分の才能に加えて、この才能におぼれることなく非常な努力を重ねてこのような活躍をしているということに対しては、多くの国民も勇気付けられ、感動を得ていると思います。こういう選手の方々には、私は心から敬意と称賛の言葉を惜しむものではございません。
 また、こういう選手を見て、自分も頑張らなきゃいけない、また、将来ああいう選手になりたいなと思っている国民もたくさんいると思います。そういう多くの方々の活躍を見ながら、自らも頑張ろうという気持ちを多くの国民が持っていただければ大変すばらしいことだなと思っております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣北側一雄君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(北側一雄君) 二問質問をちょうだいいたしました。
 一問は災害の復旧、今後の国民の安心して暮らせる国土の形成についてお尋ねでございます。
 今年は多くの悲惨な水害や土砂災害が発生をいたしました。被災した公共施設の復旧については、国が直轄で管理する施設の迅速な復旧を図るとともに、地方公共団体が管理する施設についても速やかな災害査定を進めるなど、早期復旧に向けて全力で取組をさしていただきたいと思っております。
 また、住宅金融公庫については、災害により家屋が滅失、損傷した被災者の方々の支援として、元金返済の据置期間を設けることも可能とした災害復興住宅融資を行っているところでございます。
 もとより、水害、土砂災害から国民の生命、財産を守ることは国の最も基本的な責務であると考えております。
 私は、先般の台風二十一号が襲来した後、愛媛県、そしてまた香川県を視察をさしていただきました。愛媛県の方では新居浜、西条の上空から被災地を見さしていただいたわけでございますけれども、その被災地の悲惨さはもとよりでございますが、上空から見ますと、山々のこの土砂崩れ、それから地すべり等々で山肌があらわになっているところがもう山々に一面ございました。私はその姿を実際見て大変驚きまして、山が大変荒れている、山の地盤が非常に今弱くなっているということを痛感をした次第でございます。
 私は、治山治水対策はやはり国の施策の中でも極めて優先順位が高い施策であるというふうに考えておりまして、しっかり取り組んでいく必要があるというふうに思っておるところでございます。度重なる集中豪雨によりまして多くの災害が発生している事態にかんがみまして、中小河川の整備と管理の在り方等について検討を行うとともに、従前からの災害対策の総点検と抜本的な見直し強化を指示をしたところでございます。関係府省とも連携をしまして、地域の水防体制の強化、ハザードマップの作成、普及、土砂災害警戒区域の指定の推進、リアルタイム情報の提供などのソフトの対策も含めた総合的な対策にしっかり取組をさせていただきたいと思っております。
 もう一問、ドクターヘリの高速道路上への着陸に対する考え方についてお尋ねがございました。
 重大事故の発生しやすい高速道路上で人命救助を図る際に、交通事故等の発生場所や道路状況によっては医療機関への搬送時間を大幅に短縮できるなど、ドクターヘリの活用は極めて効果的であると考えております。
 このため、平成十三年度より、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアにおいて救命活動支援へリポートを整備し、全国で現在十九か所で運用中でございます。今年度末には、更に十二か所追加されまして三十一か所になる予定でございまして、今後とも更なる整備を図ってまいりたいと思っております。
 高速道路本線上への着陸につきましては、照明灯や標識等の障害物がなく、反対車線も含めて車両が排除されているなどの条件が整っていれば、十分これは可能であると考えております。実際、平成十二年度以降三度、少ないわけでございますが三回、交通事故時の重傷者の搬送に関しヘリコプターが高速道路の本線上に着陸をしておる実績がございます。
 国土交通省といたしましては、今後とも、高速道路上での事故の際の本線着陸が迅速かつ円滑に行われるよう関係省庁との連携強化を図り、ドクターヘリの積極的な活用に努めてまいります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣中川昭一君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(中川昭一君) 中小企業支援策の見直しについてのお尋ねですが、中小企業施策につきましては、就任以来、施策の骨太化に取り組んでまいりました。この方針の下、御指摘のように、現行の中小企業の創業や経営革新を支援する三つの法律を統合し、分かりやすくかつ強力な支援法に改めることを現在検討しております。
 具体的には、従来の支援策に加えて、複数の事業者が相互に強みを持ち寄る事業連携を新たに支援するなど、中小企業を総合的に支援する法律の制定を目指しております。(拍手)
   〔国務大臣南野知惠子君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(南野知惠子君) 浜四津敏子議員にお答え申し上げます。
 まず、包括根保証の撤廃についてでございますが、中小企業が融資を受けます際には、経営者などが無制限に責任を負う包括根保証がしばしば行われております。このため、中小企業が倒産した場合には、包括根保証……(発言する者あり)知っております。包括根保証をした保証人が極めて重い責任を負い、保証人が新たな事業に取り組むなど、その挑戦が困難になっているという問題が起きていると……(発言する者あり)御存じでございます。人生を丸ごと担保して提供しているのと同じだと、そういう浜四津議員のお話もございましたが、その御懸念はそのとおりでございます。
 そこで、法務省では、保証制度の見直しを行うことなどを内容とする民法の一部を改正する法律案を今国会に提案したところでございます。この法律案におきましては、貸金債務について個人の包括根保証に対する禁止などを、根保証契約の内容に合理的な規制を加え、さらに根保証をした個人の保証人が予想を超える過大な厳しい責任を負うことがないようにしております。
 法務省といたしましては、この法律案について慎重に御審議の上、速やかに成立させていただきたい。さらに、早期に施行していきたいと考えております。
 次に、我が国における人身売買の実態等についてお尋ねがございました。
 議員御指摘のとおり、我が国においても、外国人女性からパスポートを取り上げ、あるいは多額の借金を課して売春等に従事させるといった事案が発生するなどしており、深刻な問題となっておるものと認識いたしております。けしからぬ出来事であります。
 検察当局におきましては、これまでも、人身売買が背後にうかがわれる事案につきまして、刑法、出入国管理及び難民認定法、売春防止法、職業安定法等の現在あります法令を活用しながら、警察などと連携し、迅速かつ的確な捜査、公判の遂行に努めてきているものと承知しております。
 こうした取組を更に強化するため、現在、法務省におきましては、法制審議会に対し、刑法に人身売買の罪を新設するなど、これを諮問しているところであり、その答申を受けまして、次期通常国会を目途に一部の法改正をする提案をいたしたいと考えております。
 また、人身取引の被害者が我が国への在留を希望する場合などには、犯罪組織から生命、身体を脅かされる危険などの事情を考慮し、女性相談所やNGOなどと連携を強化しつつ在留特別許可などを弾力的かつ的確に運用し、その保護を図ることといたしております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(扇千景君) 柳田稔君。
   〔柳田稔君登壇、拍手〕
#10
○柳田稔君 私は、民主党・新緑風会を代表し、総理の所信表明演説に対し、質問いたします。
 質問に先立ちまして、台風や水害等で被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
 私の地元広島でも、厳島神社を始め、沿岸部を中心に甚大な被害を受けました。政府は、全力を挙げて迅速に被災者救援及び復旧支援に取り組んでくださいますよう心からお願いを申し上げます。また、今後の台風上陸に対する被害を最小限に食い止めるための施策について、万全を期すよう政府に要求します。
 さて、小泉内閣のこれまでの取組は、決して評価できるものではありませんでした。例えば、日本経済は良くなりつつあるというものの、その理由の第一は、中国特需と言っても過言ではない中国の高度経済成長、アメリカ経済の堅調さに支えられてきているのではないでしょうか。銀行の不良債権処理についても、政府の努力はあったのかもしれませんが、大きな要因は預貯金の低金利によるものであり、言葉を換えると、国民が利子をほとんど手にせず、銀行の不良債権の穴埋めをしたためだと言えるのではないでしょうか。
 さらに、企業の業績回復は、政府に頼らず、企業自体が人員削減、合理化等による効率化のためでしょう。その陰で涙を流している多くの人々のことを忘れてはなりません。
 一方、国民は、一言で言うと不安でたまらないと言ってもいいかと思います。今の会社はいつまであるのだろうか、私はこのままこの会社で働き続けられるんだろうか、病気をしたら、けがをしたら、私は首になりはしないか、年金をまじめに掛け続けても、将来、年金はどうなるんだろうかというような深刻な状況でしょう。
 小泉内閣発足直後の期待が裏切り続けられてきただけに、今後の小泉内閣に何を期待してよいものか、疑問も残ります。しかし、新しい内閣が発足したばかりです。是非とも以下の質問に対しまして総理のお考えをお聞かせくださいますよう、お願い申し上げます。
 まずは、年金について質問させていただきます。
 参議院選挙の結果を見ても、内閣改造後の各種世論調査を見ても、最重要政策課題として年金・福祉改革を望む有権者が最も多いことは明らかです。改正年金法が施行になり、今月から厚生年金保険料の引上げが始まりましたが、国民は抜本的な年金改革がなされていないことに強い不満を抱いております。総理は郵政民営化のことしか頭にないようですが、国民が求めているのは安心できる持続可能な年金制度の抜本改革です。参議院選挙中に言及された抜本改革の必要性という方針は撤回されたのですか。まず、総理の答弁を求めます。
 さきの通常国会で、政府・与党は、この改正法を、負担の上限と給付の下限について具体的な数字をはっきり打ち出した一〇〇年安心の抜本改革だと説明しました。一〇〇年安心の抜本改革。保険料の上限については、二〇一七年度に国民年金は一万六千九百円、厚生年金は一八・三%に固定、給付水準は五〇%を維持という数字がマスコミをにぎわせました。しかし、真実は、政府試算でも、保険料の上限は物価・賃金上昇率に応じて更に引き上げられること、また給付水準の五〇%維持はモデル世帯が六十五歳で給付を受け始めるときだけの話であり、その後は五〇%を割り込み、人によっては四〇%も割り込むことが国会の審議の過程で明らかになりました。その上、法案が成立するまで、出生率という年金制度にとって極めて重要な数字を隠ぺいしていた事実も明らかになりました。
 政府の国民に対する説明がまやかしであったことを認め、参議院において強行採決した非を認め、この改正法が抜本改革でなかったことを国民にまずわびるべきです。小泉総理の答弁を求めます。
 国民に負担増を求めた改正年金法は、既に持続可能ではないことが明らかです。出生率の低下、国民年金の未納率の上昇、厚生年金脱退企業の増加、年金にまつわる不正な支出といった事実が明らかになるたび、国民の年金制度に対する不信感は高まるばかりです。
 小泉総理は、参議院選挙中、国民に説明する時間がなかったと何度も言われました。にもかかわらず、さきの臨時国会の会期はたった八日間しか設けられず、総理の口から年金改革についての説明は何らなされませんでした。その後、こんなにも長い間国会が開かれなかったということは、総理が自ら説明責任を放棄したとみなされても仕方がありません。国民は、総理から納得できる説明がないまま、保険料の負担に耐えることになったのです。「知らしむべからず、よらしむべし」、国民への説明責任についてどうお考えなのか、総理の見解を求めます。
 国民は、今後、年金制度がどうなっていくかについて納得のいく説明がないまま負担増に耐えようとしています。全国のサラリーマン世帯は今月の給与明細を見て保険料の負担増に嘆くことでしょう。
 民主党は、年金制度の一元化、負担と給付の明確化を掲げ、さきの総選挙のときから、年金目的消費税を導入することについて、安心できる持続可能な年金制度への抜本改革として国民に理解を求めてきました。実質的増税ではあっても、国民は民主党の説明に納得して、負担に耐えようと言ってくれる方もおりました。政府が説明責任を放棄し、年金の抜本改革から逃げ、負担増を国民に求めているからこそ、強い不満があるのです。
 今後、年金保険料が自動的に引き上げられる中、国民年金の未納者の増加、厚生年金の脱退企業の増加は目に見えて明らかです。年金制度に深刻な影響をもたらします。例えば、先日、地方社会保険事務所で違法に厚生年金を脱退しようとする企業を黙認、手助けしていた事実が明らかになりました。企業の保険金逃れは収納率には反映しませんが、全体の保険料収入が減り、将来の給付水準に悪影響が出ることは避けられません。また、厚生年金から脱退した企業の従業員は国民年金に移らなければなりませんが、本人が手続をしない限り、無年金になりかねません。無年金者の増大は、ひいては生活保護の拡大など社会保障財政を圧迫する懸念があります。
 以上、るるお話ししましたように、年金制度は危機的状況にあると考えます。一〇〇年安心の年金とうたった与党のうたい文句とは裏腹に、国民は大変な不信感を持つことになりました。しかし、このままでは国民が不幸せです。
 民主党は、今すぐにでも年金制度の抜本改革に着手すべきだと考えています。与野党を超えて、国会が責任を持って国民が安心できる年金制度の抜本改革をすべきだと考えています。
 このように申し上げると、総理は、与党は、三党合意、三党合意としかお話しになりません。一〇〇年安心の年金制度抜本改革を行ったが、三党合意に基づいて年金制度抜本改革をやりましょう。つまり、簡単に言うと、抜本改革は行ったが、抜本改革をやりましょうでは、だれが考えてもお話になりません。先ほどから申し上げているとおり、まず総理がさきの年金改正の誤りを認め、強行採決した非を認め、国民に陳謝することから始まります。その上で、三党合意に基づいて抜本改革を行うのが常識ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 次に、医療について質問します。
 患者の自己負担を一割から二割に引き上げた平成九年の改正のとき、総理、覚えていますか、橋本総理、小泉厚生大臣でした。その際、総理は、国民に負担増だけ求めるわけにはいかない、平成十二年度には医療の抜本改革を実施しますと国民に約束しました。しかし、現実は負担増だけで、抜本改革は実施されませんでした。
 さらに、患者の自己負担を二割から三割に引き上げた平成十四年度の改正のとき、小泉総理大臣でした。その際にも、負担増だけで医療の抜本改革はなされませんでした。負担増は国会で強行採決してでも国民に強いるが、抜本改革は先送り、先送りです。これが小泉厚生大臣、小泉総理大臣の実績です。
 郵政の民営化と医療の抜本改革と、どちらが国民にとって必要なんでしょう。二度も国民との約束を破った小泉総理ですが、自称、改革なくして日本の再生と発展はないとの信念をお持ちの現在の総理大臣ですから、なぜか空々しく聞こえますが、医療の抜本改革をいつまでにどうするのか、答弁を願います。
 次に、介護について質問します。
 来年は介護保険制度改正があります。政府の審議会がまとめた介護保険の見直しについてでは、被保険者、受給者の対象年齢引下げ及び障害者支援費との統合問題について両論が併記されました。
 審議会の場でも、この国会の場でも、制度改正についての議論がきちんと行われるよう、審議時間を十分に確保していただくことをまずお願い申し上げます。冒頭にこのようなお願いをしなければならないのは誠に残念です。
 さて、介護保険制度の導入から四年がたち、制度の問題点が徐々に明らかになりました。
 やはり、一番の懸念は財政問題です。制度発足時に比べ、要介護認定者は八割増の三百九十万人、給付費も二〇〇四年度は五兆五千億円と一・七倍になりました。今後、高齢化の進行を考えると、より給付が増えていくことが予想されます。
 しかし、問題は保険料の引上げには限界があることです。この十月から厚生年金の引上げも始まりました。現役世代にこれ以上の負担増を求めることは、もはや雇用を脅かしかねない深刻な問題です。医療費や年金控除の廃止による税負担などにより、高齢者に負担増を求めることも厳しくなっています。だれが財政を支えるのか、早急に手を打たなければならないことはだれの目にも明らかです。総理の見解を求めます。
 また、市町村ごとの保険料負担の格差も深刻です。六十五歳以上の保険料は、最も高い自治体と最も低い自治体で三・三倍もの開きがあります。その上、二〇〇三年度は約百七十の市町村で保険財政が実質赤字になっています。住む場所によって負担にも給付にも大きな違いが発生することはできるだけ避けなければなりません。市町村で格差が広がらないよう、財政調整の仕組みを整え、公平にサービスが行き渡るようにすべきです。このことについて総理はどうお考えか、見解を求めます。
 介護保険制度の障害者支援費制度との統合についての議論が活発に行われています。どちらもサービス利用者の自己決定権を確立した画期的な制度でした。福祉は行政から与えられるものではなく、自ら選ぶものになりました。
 しかし、問題はやはり財政です。支援費制度は初年度で予算を百二十八億円も超過、国の補助金が不足する事態になっています。何をもって財源を賄うかが重要な問題です。介護保険と統合した場合、自己負担が発生するのではないかと障害者側は心配しています。
 社会福祉は国の責務です。何を保険で、何を税で行うのか、真摯な議論が求められています。今後の政府の対応方針について、政府の答弁を求めます。
 次に、凶悪犯罪の増加と治安対策について質問いたします。
 先週五日、広島県にて、十七歳の女子高生が家に侵入してきた男に刺され死亡、悲鳴を聞いて駆け付けた祖母も刺されて重傷を負うという大変痛ましい事件が発生しました。毎日のように殺人の報道が目に付きます。我が国の治安は年々悪化の一途をたどり、一昔に比べれば犯罪認知件数は非常に多く、その一方で検挙率は低いという極めて厳しい状況が続いています。
 内閣府が先月十八日に発表した治安に関する世論調査によると、最近の治安に関する認識について、八六・六%の方がここ十年間で日本の治安は悪くなったと答えており、治安の悪化が国民生活に深刻な影を投げ掛けていることがうかがえます。
 また、警察庁では、ここ三年間で一万人以上の警察官を増員するなどの取組を行っています。しかしながら、治安の悪化は、景気の動向や国民意識の変化など、様々な要因が複合的に絡み合っており、これらに対する総合的な対策なくしては根本的な解決策にはなり得ません。
 これら治安の回復のために、地域パトロールの充実や警察力の強化なども必要ではありますが、この対策だけでは不十分ではないでしょうか。なぜ犯罪を犯すのか、いかに犯罪を生じさせないかという視点も必要であると考えますが、この点につき政府としてどのように考え、またどのような対策を取るおつもりなのか、総理にお伺いいたします。
 次に、北朝鮮問題について質問します。
 二〇〇四年九月二十五日と二十六日に二回目の日朝実務者協議が行われましたが、期待されていた新たな安否情報はありませんでした。事実上のゼロ回答です。北朝鮮の外交姿勢はもちろん非難されるべきですし、北朝鮮に真剣に日朝交渉を行う意思がないと見るべきでしょう。
 今後、対北朝鮮外交の見直し、検討が必要であり、対北朝鮮外交を抜本的に立て直す時期に来ていると考えます。例えば、対話と圧力から圧力と対話に方針を変更される時期かと私は思いますが、総理からしっかりとした方針を伺いたい。
 民主党は、拉致事件及び大量破壊兵器の解明、解決なくして国交正常化はあり得ず、経済制裁も視野に入れて検討すべきときに来ていると考えております。町村外務大臣が経済制裁の可能性について言及していますが、小泉総理の見解を求めます。
 次に、沖縄問題について伺います。
 先日は普天間基地で海兵隊ヘリ墜落事故が起き、その直後に嘉手納基地で米空軍F15戦闘機二機が接触事故を起こしました。これらは一歩間違えば大惨事となり得た深刻な事故であり、沖縄の人々の不安が高まりつつある中、早急な原因究明や再発防止策の確認が必要不可欠であります。
 しかし、米軍当局は日本の事故現場検証も認めず、日本の領土である大学構内をも封鎖しました。私は、地位協定の趣旨がゆがめられたと認識しており、早急に改定することが必要であると考えますが、総理は地位協定の見直し、どうされるか、答弁を求めます。
 イラク戦争について質問いたします。
 一体、イラク戦争の正当性はどこにあったのでしょうか。ラムズフェルド・アメリカ国防長官は、ニューヨークの講演で、旧フセイン政権と国際テロ組織アルカイーダとの関係について、両者を結び付ける強力で十分な証拠は見ていないと発言しました。パウエル・アメリカ国務長官は、アメリカ上院の公聴会で、対イラク攻撃を正当化する根拠としたイラクの大量破壊兵器の保有について、いかなる備蓄も発見されなかったし、発見されないだろうと述べ、イラクでの大量破壊兵器の発見を断念したことを明らかにしました。
 先日、アメリカ議会に提出されたアメリカ政府調査団の最終報告書によれば、この未発見となっていた大量破壊兵器が存在しないということが決定付けられました。開戦時には大量破壊兵器などはイラク国内には存在せず、具体的な開発計画もなかったと報告されております。これら一連のアメリカの高官の発言や報告書等の内容についてどのようにお考えなのか、総理の見解を求めます。
 一方、イギリスにおいては、イラクに大量破壊兵器が発見されなかったことがはっきりした結果、十月十三日、ブレア首相はイギリスの国会で、大量破壊兵器の認識が誤っていたことをイギリスの国会で陳謝されました。ブレア首相は過ちを認め、正されました。
 「政は正なり」とおっしゃった小泉総理は、日本のこの国会で陳謝される気はありませんか。情報収集中とか精査の途中とかという答弁で逃げないでいただきたい。イラク開戦のときには、直ちに支持を表明した総理ですから。
 防衛計画の大綱について質問します。
 政府は、今年じゅうに新たな防衛計画の大綱を発表するとしています。しかし、この大綱が何を基に策定されているのか、疑問が残ります。なぜなら、我が国の防衛計画に直接関係してくるはずの米軍のトランスフォーメーションについての議論はまだなされていないにもかかわらず、大綱の作成が進んでいるからであります。また、政府が国民の意見を反映し、国民的コンセンサスを図ろうとしているのかにも疑問が残ります。
 安全保障と防衛力に関する懇談会報告書には、米軍の軍事プレゼンス、日米協力の重要性が述べられています。新大綱が防衛力の整備、維持、運用についての基本方針を示す計画である以上、日本における米軍の役割が明確になっていない中で、どのように議論を進めているのか、総理の明確な答弁を求めます。
 最後に、政治を変え、日本を良い方向へと進めるためには、唯一政権交代が必要です。私は、民主党が政権を担い、国民の手に政治を取り戻す日も近いと感じております。日本は本格的な二大政党制の時代を迎えました。
 総理には、「政は正なり」とおっしゃる以上、国会論戦から逃げずに、質問に明確な御答弁をいただけますようお願いして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#11
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 柳田議員にお答えいたします。
 年金改正法が抜本改革でなく、説明責任も果たされないと、持続可能な年金制度が必要ではないかとのお尋ねでございます。
 さきの通常国会で成立した年金法は、長期的な給付と負担の均衡を確保し、持続可能な年金制度とするという避けることのできない課題に正面から取り組んだ抜本的なものであります。国会審議の中で課題とされた年金の一元化問題については、現在、政府においては、経済界、労働界などの参加を得ながら、社会保障制度全般の一体的な見直しの中で幅広く議論を進めており、今後ともこうした議論を通じ、持続可能な年金制度の構築に向け最大限努力してまいります。
 なお、平成十五年の合計特殊出生率につきましては、公表までの事務処理が不適切であったことは誠に遺憾でありました。
 また、御指摘の負担の上限と給付の下限の問題については、これまでも世帯類型ごとに給付と負担の水準について説明してきたところでございます。
 政府としては、こうした点も含め改正の内容についてはあらゆる機会を通じ国民に対し説明し、着実な施行に努めてまいります。
 一方、国会においては、引き続き年金制度をめぐって提起されている幅広い課題に答えを出していくために、国民的な見地から議論を行っていく必要があるという自民党、公明党、民主党の三党合意がなされました。私は、これまで、この合意を踏まえて早急に与野党協議を開始するよう呼び掛けてまいりました。さきに連合の笹森会長が、民主党は独自案と国会対策に固執せず、どうしたら国民のための制度が早く確立できるかを考え、真摯な政党間協議を行い、国民に対する政党の責任を果たすべきではないかと述べております。改めて民主党に対し真摯な与野党協議を行うよう、この際求めてまいりたいと思います。
 医療制度についてでございますが、昨年三月に医療保険制度体系等に関する改革の基本方針を閣議決定いたしました。経済、財政とも均衡の取れた安定的で持続可能な医療保険制度を構築し、将来にわたり国民皆保険制度を堅持していくために、基本方針や社会保障制度全般について幅広く議論を進めている政府の社会保障の在り方に関する懇談会での議論等を踏まえ、平成十八年の通常国会に医療保険全体の改正法案を提出する方向で検討を進めてまいります。
 介護保険制度の給付増への対応でございますが、介護保険制度は、利用者、サービス量の大幅な増加などに見られるように、国民の老後の安心を支える仕組みとして所期の成果を上げていると思います。しかし、その一方で給付が急激に増大しており、今後、介護保険制度に求められる最も重要な課題は、制度として持続可能性をより高めることにあると思います。このため、現在検討を進めている介護保険制度の見直しにつきましては、予防を重視したシステムへの転換、施設入所費用の見直しなど、給付の効率化、重点化に取り組んでいく必要があると考えております。
 介護保険制度の負担と給付に関する市町村間の格差についてでございますが、介護保険制度は、保険者である市町村がそれぞれの地域住民の要望を踏まえて提供する介護サービスの水準と保険料の設定を行う仕組みであり、市町村で給付と負担の水準が異なるのは、基本的にはそれぞれの地域住民の選択の結果であると考えております。
 ただし、各市町村の高齢者の人口構成や被保険者の所得水準の違いなど、必ずしも市町村の責に帰すべきではない事由については、保険料の格差が生じないよう既に現行制度において必要な財政調整を行っているところでございます。
 介護保険制度と障害者支援費制度の統合でございますが、障害者保健福祉制度については、現在、障害の種類にかかわらずサービスを一元化することや障害者が働ける環境を整備することなど、制度が安定的、効率的なものとなるよう抜本的な見直しを検討しているところでございます。御指摘の介護保険制度と障害者支援費制度との関係についても、今後関係者の意見を聞きながら検討してまいります。
 治安対策でございますが、治安の回復には、現場で取締りなどに当たる警察力の強化に加えて、自分たちの町は自分たちで守るという自発的意思に支えられた社会全体の犯罪抑止力の再生が極めて重要であるということは議員御指摘のとおりでございます。
 政府としては、こうした認識に立って、犯罪に強い社会の実現のための行動計画に従い、犯罪の社会的要因や犯罪の未然防止の視点にも十分配意した総合的な対策を積極的に推進してまいります。
 北朝鮮外交でございますが、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決した上で、北東アジア地域の平和と安定に資する形で日朝国交正常化を実現するという政府の基本方針は一貫しております。次回日朝実務者協議において、安否不明の拉致被害者に関する具体的情報を得るべく、協議の進め方にも工夫をして、協議の開催に至る過程において、引き続き再調査の迅速な進展とその結果の速やかな提示につき北朝鮮側に一層強く働き掛けていく考えであります。
 北朝鮮に対しては、経済制裁についてのお尋ねでございますが、対話と圧力の考えの下に、経済制裁も可能な一つの手段ではありますが、まず経済制裁ありきというのではなくて、北朝鮮が諸懸案の解決に向けた前向きかつ誠実な対応を取るよう、引き続き働き掛けていきたいと考えます。
 米軍ヘリの墜落事故に関連し、日米地位協定の見直しについてでございますが、日米地位協定につきましては、政府としては、その時々の問題について運用の改善により機敏に対応していくことが合理的であるという考えの下に、運用の改善に努力しているところであります。
 今回の事故については、その現場での対応を検証し、問題があった点について改善を図っていくべく日米間で話し合っているところであります。
 イラクとアルカイーダとの関係及びイラクの大量破壊兵器の問題についてでございますが、イラク監視グループの報告では、大量破壊兵器がイラクにおいて発見されなかったとしつつ、フセインは制裁が解除された際に大量破壊兵器計画を再構築できる能力を維持する意図を有していた旨述べられていると承知しております。
 イラクが過去、実際に大量破壊兵器を使用した事実や国連査察団の指摘している数々の未解決の問題等にかんがみれば、米国等によるイラクに対する武力行使の時点で大量破壊兵器はあると想定するに足る理由があったと考えております。
 いずれにせよ、我が国は、イラクが累次の国連安保理決議に違反し続け、また国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかったとの認識の下で、自主的な判断に基づき武力行使を支持したものであり、その判断は正しかったと考えております。
 なお、イラクとアルカイーダの関係については、我が国が収集した情報を総合しても、フセイン政権が組織的にアルカイーダを支援してきたとの確たる証拠に接していなかったことはこれまでも述べてきたところでございます。
 防衛計画の大綱についてでございますが、我が国は、自国の安全と繁栄を確保するためにも、今後、国際社会の平和と安定のために主体的、積極的に取り組む必要があると考えております。また、既存の体制、装備等の抜本的な見直し、効率化を図りながら、テロや大量破壊兵器の拡散などの新たな脅威への対応について着実に取り組んでいく必要があります。
 このような考えの下に、安全保障と防衛力に関する懇談会の提言を踏まえつつ、国会における議論、友好国との安全保障に関する意見交換なども参考にしながら、将来に向けての安全保障政策と防衛力の構築を目指して、新たな防衛計画の大綱を作成してまいります。(拍手)
#12
○議長(扇千景君) このまましばらくお待ちください。
 これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#13
○議長(扇千景君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。狩野安君。
   〔狩野安君登壇、拍手〕
#14
○狩野安君 私は、自由民主党を代表して、総理の所信表明演説に対しまして、総理及び関係大臣に質問をいたします。
 昨日の片山参議院幹事長の質問を受けて、私の女性、母親としての見方も交えながら質問させていただきます。
 まず、本題に入る前に、この夏から秋にかけて大型台風の襲来などによる自然災害が相次ぎ、多くの方がお亡くなりになり、また甚大な被害が発生しました。
 心より、被災者、関係者にお見舞い申し上げますとともに、政府におかれては一刻も早く災害復旧に取り組まれるよう、強くお願いをしておきます。
 さて、記憶に新しいところですが、この夏は四年に一度のオリンピックが、その発祥の地ギリシャのアテネで開催されました。日本選手の活躍ぶりは、高度成長期に開催された東京オリンピックをほうふつさせる、感動的ですばらしいものでありました。
 そして、今回のオリンピックの日本選手参加者を見ますと、全体で三百十二人、そして女子が百七十一人と初めて男子を上回ったとのことです。私は、オリンピック、それに引き続いて行われたパラリンピックをテレビなどでよく拝見していましたが、画面を通じて女子選手の躍動、活躍ぶりが印象深く残っています。
 これからの男女共同参画社会、高齢化社会の中で女性の活躍の場も広がるものと意を強くしました。扇議長も誕生いたしましたし、今回の内閣改造で参議院自民党から初入閣された南野法務大臣に、女性を代表して頑張ってほしいとエールを送る次第でございます。
 もちろん、男性にも、我々女性に負けずに頑張っていただきたいと思います。
 さて、まずは経済活動に関して質問させていただきます。
 我が国の全体の景気についてですが、中国を始めとする海外景気の好調に牽引され、自動車やIT関連産業などの大企業を中心にして回復軌道にあると言われます。政府の見方は、昨日の片山幹事長の質問に対する総理の答弁にもありましたように、景気は堅調に回復しているというものです。
 しかしながら、私たち国会議員が地元に帰っていつも感じることは、地方の経済活動は政府が説明しているほど良くなっていないということです。自分の会社の経営が苦しい、自分が勤める会社の将来や自分の雇用が心配だという声をよく耳にします。
 大企業は海外での業績が向上し、また設備投資をし、雇用も幾分増やしているようでありますが、心配なのが地方経済、中小企業の経営状況、そしてそこで働く人々の雇用、就職の問題であります。地方のハローワークは職を求める人で今でも一杯です。
 したがいまして、地方への政策的、財政的なてこ入れは今後とも必要であります。この点、来年度予算などで地方経済、中小企業対策、雇用対策を拡充し、また農業面では食料自給率の向上に努めることが重要と考えます。
 それとともに、来年四月にはペイオフが解禁されます。預金者が自分の預金の保全のために風説などの流布によって安易に預金を移し替えることもあり得ないわけではありません。合理的な理由もなく、地方の中小金融機関の経営不安がいたずらに高まらないような措置も必要でしょう。
 また、総理は所信表明演説で観光立国の推進を強調されており、それは地方経済を潤すことにつながります。しかし、我が国は観光資源は豊富にありますが、アクセスコストや移動コストが高く、外国人向け案内も乏しく、観光インフラが未整備です。
 総理は、財政構造改革の一環として公共事業の見直しを進められていますが、一方で、観光立国を始め地方経済、中小企業対策をどのように進められるのか、そこで働く人々の雇用をいかに確保し、増やしていくお考えなのでしょうか、御認識をお聞きします。
 あと数年すると、我が国は人口が減り始めると言われます。一方で、高齢化が進み、二〇二五年には現役世代二人で六十五歳以上の一人を支えなければならない事態が訪れます。おおよそ現在の二倍の負担が現役世代に掛かります。こうした少子高齢化社会にあっては、若者・現役世代の負担をなるべく抑制するとともに、高齢者にも応分の負担を求めなければ長期的に社会保障制度は成り立たなくなります。
 さきの通常国会で成立した年金制度改革法は、国民に負担増を求めるものでありましたが、少子高齢化社会に適合する年金制度を構築するための第一歩となる改革でありました。それだけに、私たち政権与党の国会議員は、痛みを受ける国民に制度改革の内容とその必要性を分かりやすく説明し、理解を得る努力が求められます。
 厚生労働大臣には、更に進む少子高齢化社会の中で、今後とも年金制度を始め各般の社会保障制度をどのような方針、哲学に基づいて構築されるお考えなのか、御認識をお聞かせください。
 また、少子化が進んでいます。少子化については、プライベートな家族の問題である、若い世代の価値判断にゆだねられ世の趨勢であるといった意見もありますが、自然の流れだとして放置しておいてよいものでしょうか。放置してはいけないと思います。子供を安心して育てられる環境が狭まり、将来への不安といった問題も大きな要因だと考えます。
 そして、私のような母親の立場からは、母性を実感できない女性がどんどん増えていることを寂しく、また残念に思うのであります。かつては、日本人ほど子供をかわいがる国民はほかにないと言われていましたが、親子がほおをすり寄せるほほ笑ましい情景、にぎやかな子供の声が徐々に失われていくのはやるせない思いです。
 少子化は、社会保障問題のみならず、経済活力、ひいては国の活力の低下につながり、その意味では、我が国最大の深刻な問題であると認識していいのではないでしょうか。かつて、大ローマ帝国が衰退を始めたのは、少子化などで人口が減り始めたからだと言われています。
 そこで、厚生労働大臣に、深刻な少子化問題に対する取組に関して御所見を伺いたいと思います。
 また、高齢化社会は高齢者にとって肩身の狭くなるような社会ではいけません。高齢者が生きがいを持って長生きできる社会にしていきたいものです。そして、高齢者は過去の日本の良いところも悪いところも体験しており、元気な高齢者が日本社会を立て直す知恵や工夫を後世に伝える環境を作っておきたいものです。健康で、社会への奉仕などの生きがいを持って長生きできるお年寄りが数多く地域で活躍する社会、安心して暮らせる社会環境を作る必要があります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 そこで、厚生労働大臣には、どのように健康寿命の長期化を実現していかれるのか、そしてお年寄りに生きがいを持って地域での生活をエンジョイしていただける社会システムを作られていくのか、お考えをお聞かせください。
 高齢化社会にあっては、社会保障を充実させることが当然求められます。しかしながら、国家財政が厳しい今日において、いかに社会保障といえども予算を十分に確保するのは難しくなってきました。
 加えて、将来課題として、年金の一元化を含めた年金改革に加え、介護保険の見直し、医療制度の改革など、社会保障制度の全般的な見直しを進めなければなりません。その改革の視点は、公費負担の在り方の見直し、そして自助自立型の費用負担手法の導入など、増大する社会保障負担への対応をどのように国民の納得を得ながら進めるかといったことでしょう。
 そうした中で、しっかりとした社会保障財源を確保するために、消費税など財源手当ての仕組みをどうすべきかとの議論もなされることになると思います。選挙という国民の審判を仰ぐ立場である私たち国会議員も、国民に負担を強いるからといって、消費税問題から逃げるわけにはいきません。
 厚生労働大臣としては、消費税の在り方を含めて社会保障財源をいかにしっかりと確保していくお考えなのか、基本的な政策認識をお聞きします。
 かつて、日本の教育は、先進諸国に追い付き追い越せという経済成長の追求といった時代背景も影響したと思いますが、やたらと知識を詰め込む教育、正解を出すことを求める教育、偏差値で人間の能力を測る教育に偏っていました。それが受験競争を激化させ、受験に勝つためには人を押しのけてでもといった自己中心的な若者を生み出したとも言われています。そして、時間を掛けて自分なりに物事を筋道立ててじっくり考え、最終的に解決策を見いだすという、言わば学校教育の本質的な在り方がなおざりにされる傾向があったことは否めません。
 この反省から、文部科学省はゆとり教育を進め、自由な時間の中で考える力をはぐくもうとしてきました。ただ、ゆとり教育が学校現場で実践される中で、時間的な余裕を生徒に与える一方、ゆとり教育の本来の目的である心の余裕を児童や生徒の中にうまくはぐくんでいけなかったのではないでしょうか。
 自らの体験などを顧みますと、子供は時間は与えられましたが、家ではテレビゲームや漫画など興味本位に時間を過ごしているように思えます。人とのかかわる時間が少なくなることは、社会的自立を遅らせる一因だと考えます。
 文部科学省としても、ゆとり教育を進める際、学校現場などに対して、もう少し生徒の心に余裕を持たせながら沈思黙考することの価値を見いだすような指導ができなかったのでしょうか。また、自然や社会とのつながりを学ばせることで、環境への理解や社会性を育成するゆとり教育が実践できなかったのでしょうか。文部科学大臣の所見を伺います。
 改めて指摘するまでもありませんが、昨今、学校におけるいじめ、不登校、引きこもりなどの問題が余り改善されず、青少年の規律、モラルの衰退を招いています。教育の荒廃が青少年による犯罪の多発、凶暴化、また犯罪の低年齢化が一段と進む事態につながっている面があります。
 私の個人的な体験を挙げて恐縮ですが、先般、地方で独り暮らしをしていた私の知人が凶暴な若者の手によって殺りくされるという、身につまされる事件がありました。身近な出来事だっただけに、我が身のことのように戦慄を覚えたものです。
 こうした地方にも広がる治安の悪化には、もちろん不法入国の外国人の増加に伴う外国人犯罪の頻発や凶暴化も影響していますが、教育の荒廃を背景とした日本の青少年の問題行動が存在していることは認めざるを得ません。
 日本人の精神構造、若者の心の在り方がゆがんできています。問題が深刻なだけに、それへの対処法は一筋縄ではいかないでしょう。
 総理は、三位一体に代表されるように、経済や財政の構造改革をこれから一段と進める方針であり、それは日本の経済社会制度の改革を通じ、経済、財政の効率化につながるものと期待されます。これは、冷徹な判断とでも申しましょうか、クールハートで進められなければなりません。
 ですが、私は、総理には、そうした制度改革に加えて、日本人の心、姿勢、モラルといった精神構造にも更に温かく改革の手を差し伸べていただきたいと思います。温かい心、ウオームハートで、若者の心の病を治し、和と規律ある、そして安心できる日本を再構築していただくよう強くお願いしたいと思います。
 日本人は、かつて世界で最も優れた道徳観を持つ民族の一つであったはずです。失われつつある日本人の伝統的美徳を回復させることこそ、私たちが将来に向かって果たすべき最大の課題であると思います。最後に、この点に関する総理の御所見をお聞きし、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#15
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 狩野議員にお答えいたします。
 観光立国でございますが、観光振興は国民生活にゆとりと潤いを与え、国際相互理解を増進するとともに、産業、雇用への幅広い経済効果をもたらすものであり、我が国の需要の喚起と地域の活性化に重要な意義を有していると思います。
 このような観点から、昨年、二〇一〇年に外国人旅行者を現在の五百万から一千万人に倍増させるとの目標を立て、世界に向けて日本を紹介するとともに、全国各地の観光カリスマが進めている魅力ある観光地作りに向けた取組を支援し、外国語標識の拡大など、外国人が独り歩きできる環境の整備や観光地同士のネットワーク化を進めるなど、一地域一観光を目標とする観光地域作りを進めてまいりました。現在、こういうことを進めている結果だけではございませんが、八月には一月当たり過去最高の訪日旅行者数を記録するなど着実に成果を上げてきております。
 今後さらに、各地域で知恵と工夫を凝らした国際競争力のある観光地作りが進むよう、全国都市再生や特区制度との連携も図りつつ、官民一体となって観光立国の推進に積極的に取り組んでまいります。
 また、来年は愛知県で万博が開催されます。多くの国々が出展を表明されております。愛知万博だけ見るだけでなく、この機会に全国各地の日本の名所、観光を回っていただくような工夫も必要かと思ってそのような対策も取り進めているところでございますので、よろしく御協力をお願い申し上げたいと思います。
 地方経済、中小企業対策、また雇用対策にどう取り組んでいくかというお尋ねでございますが、現在、景気は個人消費や設備投資を中心に民需主導で堅調に回復しております。中国経済、アメリカ経済の好調もありますが、幸いにして民間需要もかなり堅調に推移しております。他方、回復の状況については、御指摘のように、雇用情勢など地域間にばらつきが見られ、また、中小企業をめぐる環境については大企業に比べて厳しいものがあるのも事実でございます。
 こうした認識の下、政府としては、構造改革特区制度の活用、稚内から石垣までという全国都市再生、地域再生の取組の推進などの地域経済活性化策、金融セーフティーネット対策、再生支援策、新たな事業に挑戦する中小企業支援策、雇用創造に自発的に取り組む市町村等を競争的、選択的に支援する仕組みや、地域再生の核となる産業の育成など、地域経済の動向を踏まえて地域に密着した雇用対策などの施策を推進してまいります。これらの取組により、改革の成果を地域の経済、雇用や中小企業に広く浸透させ、民間需要主導の持続的な経済成長を図ってまいります。
 日本人の道徳観についての御質問でございます。
 国づくりの基盤は人であります。新しい時代を切り開く心豊かでたくましい人材の育成が重要であるということは言うまでもございません。現状において、我が国社会は規範意識や倫理観の喪失などが問題となっており、道徳観の回復が喫緊の課題でもあります。このため、公共の精神、道徳心を涵養する教育を推進するとともに、新しい時代にふさわしい教育基本法の改正に精力的に取り組むなど、人間力向上のための教育改革に全力を尽くしてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(尾辻秀久君) 社会保障制度全般の構築の方針についてお尋ねがございました。
 社会保障制度につきましては、持続可能で安定的なものとしていくためには不断の改革を行っていくことが必要であります。
 私は、今後、自立をキーワードとして、これに共助、公助を適切に組み合わせ、国民が安心して暮らすことができる社会保障制度の構築を全力で取り組んでまいりたいと考えております。昨日も申し上げましたけれども、キーワードは自立でございます。
 次に、少子化対策についてのお尋ねがありました。
 これまでも様々な角度から取組を進めてまいったところでありますけれども、残念ながら少子化の流れを変えるに至ってはおりません。日本が、お話にございましたように、かつてのローマ帝国の二の舞を演じることがありませんように、国を挙げて総合的に取り組んでいくことが必要でございます。
 本年六月に閣議決定されました少子化社会対策大綱に基づきまして、本年中に策定いたします新新エンゼルプランにおきましては、子供を産み育てやすい環境整備が進められているという実感を持っていただけるような計画作りを進めてまいります。
 高齢者が長生きし、生きがいを持つことができる社会作りについてのお尋ねがございました。
 我が国は既に世界最高水準の平均寿命を享受しておりますけれども、御指摘のとおりに、単なる長寿にとどまらず、健康に暮らせる期間である健康寿命を延ばすことが大変重要でございます。このため、平成十七年度からの十か年戦略、健康フロンティア戦略を定め、介護予防等の取組を重点的に進めてまいります。
 社会保障の財源についてのお尋ねがございました。
 昨日もお答えいたしましたように、社会保障に要する費用は急速な少子高齢化が進む中で増大をしてまいります。その費用につきましては、利用者負担、保険料負担、公費負担のこの三つしかないわけでございますから、これらを適切に組み合わせることによって所要の財源を確保していくことが重要でございます。
 消費税を含めた税、保険料等の負担と給付の在り方など、今後の社会保障財源の在り方につきましては各方面で幅広く御議論いただいているところでございまして、私どもといたしましても真剣に議論して取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山成彬君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(中山成彬君) ただいま狩野議員からいわゆるゆとり教育についてのお尋ねがございました。
 現在、実施しております新学習指導要領におきましては、教育内容の厳選によりまして生じた時間的、精神的な余裕、いわゆるゆとりを活用いたしまして、基礎的、基本的学力の確実な定着を図るとともに、自ら学び自ら考える力や豊かな社会性などを育成することを目指しております。
 しかしながら、このような考え方の周知や取組が必ずしも十分でなかった面があり、時間的な余裕が豊かな心の形成につながっていないというような反省もございまして、昨年十二月には学習指導要領の一部改正により、その趣旨をより明確にしたところでございます。
 現在、太陽が西に沈むことを知らない子供が三割、日の出や日の入りを体験したことのない子供が四割いると言われております。驚くべき数字でございますけれども、私たちはもっと子供たちが自然と親しみ、そして生活体験を積むことによりまして自然の偉大さやあるいは人間の営みを深く考える、そういう機会を与えてやることによりまして、たくましくもまた人間性のある子供たちを育成することに努めていかないかぬと、このように考えておるところでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#18
○副議長(角田義一君) 朝日俊弘君。
   〔朝日俊弘君登壇、拍手〕
#19
○朝日俊弘君 私は、民主党・新緑風会を代表して、当面する数多くの課題の中でも、とりわけ年金問題を中心に、介護、福祉、そして医療問題を含めた社会保障制度に焦点を絞って、私なりの切り口から、総理並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、私の議論の出発点は、何といってもさきの参議院選挙を通じて示された民意、すなわち国民の皆さんの思いを私たちがどのように受け止めるかという点にあります。その上で、多くの課題の中でも何が最も切実な政策課題であるのか、つまり政策的な優先順位をどこに置くのか、その判断こそが重要なのだと思います。
 今回の選挙を通じて、私は、国民の圧倒的多数の皆さんは、直前の国会が大荒れの中で年金法案は成立したけれども、正直なところ今回の改正で自分たちの年金がどうなるのかよく分からない、テレビや新聞の報道を見ても、どうも納得できるような説明になっていない、総理や大臣の説明を聞けば聞くほど不安が増すばかりだ、国は、そして政治家は、これからの年金がどうなっていくのかもっと分かりやすく示してほしい、このままでは到底納得できないという意思を表示されたのではないでしょうか。その意味では、選挙後ある程度の期間をもって開かれた今国会の果たすべき役割は極めて大きいと思います。
 そこで、まず総理にお尋ねいたします。
 総理は、さきの参議院選挙を通じて国民の皆さんが一体何を求め何を訴えられたのか、どのように受け止められているのか。ここは総理御自身の感性が問われていると思います。率直にお答えください。
 ところで、総理は、さきの通常国会において強引に成立させた年金制度改正法は、一連の社会保障制度改革の中で一体どのような位置付けで、どういう意味を持った改正だったとお考えなのでしょうか。改めてお尋ねをいたします。
 別のお尋ね方をすれば、総理はこれで年金問題に区切りが付いたとお考えなのでしょうか。それとも、引き続き早急に着手すべき課題が残されているとお考えなのでしょうか。もしその課題が残されているとお考えであれば、それは一体何々だとお考えなのでしょうか。正確にお答えをいただきたいと思います。
 そういえば、総理は、年金法案を強引に押し通した直後、そして参議院選挙の直前に、突然、社会保障制度を包括的に見直すための協議機関の設置を表明されました。正直なところ、私たちは、年金改正法を強行採決しておいて今更何を言うてんねんと、いささか唖然としました。
 本年七月に設置された社会保障の在り方に関する懇談会は、そうした協議の場であることは承知していますが、改めて総理にこの懇談会の目的と役割等、その位置付けを明確にお示しいただきたいと思います。そして、総理としてはどのような機能を果たすように期待されているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 また、同懇談会の今後のタイムスケジュールと作業手順をどのように組み立てていくのか、大変難しい問題があって、私も気掛かりであります。とりわけ関連する審議会等との調整をどのように図っていくのか、また既に予定されている制度改正のスケジュールとのタイミングをどう計っていくのか、こうした点についてはその懇談会を所掌されております内閣官房長官にお答えをいただきたいと思います。
 さて、我が国における社会保障制度改革に取り組むに当たって、私は極めて重要なかぎとなる概念が二つあると思っています。
 その一つは、これからのおよそ半世紀を貫く基調として、最近ベストセラーとなった本の表現をかりれば、我が国は正に人口減少社会あるいは人口減少経済の時代を迎えようとしていること、それは早ければ二〇〇五年、つまり来年から始まるとの基本認識を総理はお持ちなのでしょうか。
 先日の所信表明演説の中では、今や古めかしい表現と化した「人生八十年」とか「日本は世界一の長寿国」との表現が並んでいますが、私に言わせれば我が国は良くも悪くも更に先に進んでおりまして、明らかに人口減少社会に入りつつあるのです。もちろん、少子化対策、次世代育成支援のための諸施策の必要性は十分に認めながらも、しかしそれでもなお現状が横ばい、若しくは縮小する社会への転換が始まっているという現実は冷静に見ておく必要があると思います。
 当然のことながら、社会保障制度に関しても従来どおりの制度設計では到底対応できなくなってきており、年金制度を含めその枠組みそのものの再構築を図るなど、文字どおりの抜本改革が求められているのだと思います。総理は果たしてこうした認識をお持ちなのでしょうか、御所見をお伺いいたします。
 社会保障制度改革に向けてのもう一つの重要な概念は、ベーシック・インカムという考え方であります。この考え方は、国がすべての個人に対して最低限の所得保障を原則無条件に支給する仕組みを構築することを意味しております。
 ちなみに、このベーシック・インカムという概念は、近年、ヨーロッパを中心に大きな関心を呼んでいる考え方で、社会保障給付のうちの現金給付部分をすべてこれに置き換えて、その財源は勤労所得への比例課税並びに所得控除の廃止に求める新たな構想として我が国に紹介されており、従来の公的扶助でも社会保険給付でもない、国民のだれもが社会に参加し活動するための基本手当とでも言うべき考え方であります。
 こうしたベーシック・インカムという考え方を視野に入れて今後の社会保障制度改革を構想していくか否か、これは大きなポイントの一つだと思います。このような視点について、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、以下、各論的な部分について厚生労働大臣にお尋ねしたいと思います。
 まず初めに、この十月から改正年金法の一部が施行されることになっています。そこで、この十月段階で施行される事項の概略と、そして来年四月段階で施行に入る予定の事項等について、主要な項目だけで結構ですから簡単に御説明いただきたいと思います。
 次に、年金改正法案審議の中でも、委員会の場で総理が答弁できなくて大問題となりましたマクロ経済スライドについて、これは今回改正の目玉というか最重要ポイントでありますので、改めてその趣旨を御説明いただくとともに、実際にこのスライド方式による調整はいつの時点からどのような調整率に基づいて算定されていくことになるのか、その要点、ポイントを御説明いただきたいと思います。
 この十月から厚生年金の保険料率が〇・三五四%引き上げられることになりますが、実はこの年金改正法の成立直後に、当時の坂口厚生労働大臣は、保険料率が現在の一三・五八%から一五%に到達することになる二〇〇七年度をめどに、その料率の在り方を改めて検討する旨の姿勢を示されていましたが、この考え方は新しい大臣も同様の考え方でおられるのかどうか、念のため確認させていただきたいと思います。
 さて、つい最近、またまた国民年金保険料の未納問題について会計検査院の調査結果が発表されました。報道によれば、昨年度までの二年間の国民年金の保険料が一か月以上未納のままとなっているいわゆる督促対象者が約一千万、加入者の四五%に上ると報告されています。正直言って、これはもう絶望的な数字と言わざるを得ません。
 このような会計検査院の指摘について、厚生労働省はどのように受け止め、どのように対応しようとしているのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、年金問題と密接に関連する幾つかの課題について質問いたします。
 まず、次期通常国会に提出が予定されている介護保険法の見直しの中で、特別養護老人ホーム等の介護施設入所者に係る食費、居住費等、いわゆるホテルコストの部分を自己負担とするとの考え方が報じられていますが、これは一体どういうことなのか、御説明をいただきたいと思います。
 改めて指摘するまでもなく、現金給付の中心である年金の給付水準は、さきの制度改正によって段階的に引き下げられていきます。一方、現物給付の柱である介護保険のサービス給付については、これまで以上に相当額の自己負担を強いられることになります。この点をどのようにお考えか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 さらに、現物給付のもう一方の柱である医療保険、再来年の制度改正、とりわけ新たな高齢者医療保険制度の創設に向けて作業が進められていることは承知していますが、その中で、ここでも、長期療養入院患者の食住費、食事と住居の費用を全額自己負担とする方向で検討に入ったと報じられております。この点もこのまま座視するわけにはいかない問題です。
 さきの問題と併せて、大臣のお考え、今後の方針を聞かせていただきたいと思います。
 最後に、関連する直近の課題について幾つかお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
 その一つは、中医協、中央社会保険医療協議会を舞台とした贈収賄事件、日本歯科医師会と健保連、さらには連合の委員との間で行われた贈収賄事件を契機として、中医協の在り方そのものの改革が課題となりました。
 事件の個々の当事者については既に司法の手によってその責任が問われつつある段階ということですが、さきの国会では、同時に中医協の在り方そのものについて、例えばその委員構成とか運営の在り方とか広範な論議がなされました。参考人も呼んでお話を伺いました。にもかかわらず、最近の報道によれば、中医協における診療報酬改定の結果を検証するための組織、フォローアップ委員会の設置等が検討されてはいるものの、更に踏み込んで設置法改正をも視野に入れた抜本的な改革の議論がどこかに吹き飛んでしまっている感が強いように思います。
 審議の中で、私自身も、例えば中医協のメンバー構成で、患者、利用者の立場あるいは病院を代表する立場、さらにはチーム医療を構成する看護師やコメディカルの皆さんの参加など、構成メンバーの在り方を再検討することを含めて問題提起をしてまいりました。しかし、このままでは、下手をすると、またしても小手先の改正に終わりそうな気配であります。大臣の今後の方針について、しっかりとお伺いしたいと思います。
 二つ目に、現行の生活保護制度の水準及び仕組みの在り方について検討作業が進められてきたと承知していますが、この点についてその後の検討状況はどうなっているのか、そして今後どうされるおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
 そのことと併せて、最近、国と地方の税財政改革、いわゆる三位一体改革との絡みの中で、厚生労働省の側から生活保護費に係る国庫負担率を大幅に縮小するとの動きも出てきていますが、この点について大臣はどのように考えているのか、お尋ねしたいと思います。
 私に言わせれば、生活保護制度の在り方そのものの見直しの中から制度改正の方向が示されるのであればまだしも、初めに国庫負担の率の引下げありきの法改正は余りにも動機が不純。この点については原点に戻って再検討を願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
 生活保護法の見直しとも連動して、これまたいわゆる三位一体改革との絡みの中で、突如、国民健康保険の国庫負担分の一部を都道府県負担とするとの考え方がこれまた厚生労働省サイドから示されました。これも唐突な提案であり、その手法の乱暴さを含めて到底承服し難い内容と言わざるを得ませんが、この点についても大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 もちろん私は、国民健康保険制度を含め、医療保険制度全体の見直しが求められているということは承知しておりますし、その中で、新たな高齢者医療保険制度の創設を含めて、そうした全体的な改革のスキームの中で国民健康保険制度の改正をどうするか、こういう提案であれば、まだ受け止める余地もあり得ると思いますが、今回の提案はそもそも問題の立て方がおかしいと言わざるを得ません。
 以上、幾つかの関連する当面の課題を含めて質問をさせていただきました。最後に、余りにも問題の多い一連の制度改正の流れを見るとき、あえて次のように申し上げて質問を終わりたいと思います。正体見たり、小泉流、切捨て御免の構造改革。
 終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#20
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 朝日議員にお答えいたします。切捨て御免の御質問に丁寧にお答えしたいと思います。
 参議院選挙を通じた国民の意識、期待についてのお尋ねでございますが、私は、参議院選挙に対しては新しい時代の変化に対応するために構造改革が是非とも必要だということを主に訴えました。この結果につきましては、与党全体で安定多数の議席を確保することができましたが、野党の意見にも耳を傾けろという、そういう結果でもあると思います。
 構造改革をしっかり進めよという声と受け止めまして、今後ともしっかりと、改革なくして成長なし、この路線を進めていきたいと思います。
 また、民間の活力と地方のやる気を引き出す今までの構造改革、いわゆる郵政民営化や三位一体の改革、金融、税制、規制、歳出の改革、年金を含む社会保障制度全般の一体的見直し、環境保護と経済発展の両立、世界一安全な国日本の復活、災害に強い国づくりなど、我が国が直面する重要な課題に内閣を挙げて全力で取り組んでまいりたいと思います。
 改正年金法の意義と今後の課題でございますが、さきの通常国会で成立した改正年金法は、長期的な給付と負担の均衡を確保し、持続可能な年金制度とするという避けて通ることのできない課題に正面から取り組んだものであります。
 一方、引き続き当面する課題は何かということでございますが、公的年金制度の一元化の問題、年金を受給していない障害者の方々に対する議員立法等への対応、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げ、短時間労働者の厚生年金適用の見直し等が挙げられますが、いずれも今後の年金制度にとって大きな課題であり、この問題についても積極的に取り組んでまいります。
 また、現在、政府においては、経済界、労働界などの参加を得ながら、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直しについて幅広く議論を進めております。今後とも、こうした議論を通じ、安心できる持続可能な年金制度への国民の信頼を高めていくよう最大限努力してまいります。
 社会保障の在り方に関する懇談会の目的、位置付け、役割についてでございますが、さきの年金改正法の審議の過程で、経済界、労働界から、年金を含めた社会保障制度全般について税、保険料等の負担と給付の在り方を含め一体的な見直しを行うべきだとの提言をいただきました。また、国会においては、自民党、公明党、そして民主党の三党合意の中で、年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直しを進めていくこととされました。こうした状況を踏まえて、政府におきましては、社会保障の在り方に関する懇談会を本年七月に官房長官の下に設置したものであります。
 本懇談会においては、急速な少子高齢化が進む中、将来にわたって持続可能で安定的な社会保障制度としていくため、年金のみならず、医療、介護、生活保護等の各制度ごとの検討だけでなく、社会保障制度の国民生活における基本的役割や各制度全体の給付と負担の水準などについて一体的に検討することを期待しております。
 社会保障の抜本改革についてでございますが、急速な少子高齢化が進むとともに、家族、雇用の形態が変化する中、社会保障制度を将来にわたって安定的なものとしていくためには、年金、医療、介護、生活保護等の各分野における総合的な改革を進めていく必要があると考えます。
 このため、先般の年金の一元化問題を含む社会保障制度全般の一体的な見直しについて議論を進めていく旨の三党合意がありますので、与野党が立場を超えて早急に協議を行うことが必要であるということを私は今までにも何回か申し上げております。
 一方、政府としても、この社会保障の在り方に関する懇談会を設置しておりますので、この社会保障制度全般について今後ともできるだけ早く、早期に国会の中でも三党合意に基づいて議論が深められていくことを期待しております。
 ベーシック・インカム、この考え方についてどうかというお話であります。
 国がすべての個人に対して最低限の所得保障を無条件に与えると、こういうベーシック・インカムという仕組みは聞いておりますが、我が国の社会保障制度は、基本は自助と自律であります。この自ら助ける精神と自らを律する精神、これだけでは不十分である、これだけではどうしても立ち行かない人に対しては公的な扶助、あるいはともに助け合う共助、これを組み合わせて個人の責任、そして自助努力を促しておき、この対応のし難いリスクに対して社会全体で支え合う制度が必要だと思っておりますが、御提案の、すべての個人に対して無条件に最低限の所得保障を与えるということについては、私は現在のところ国民的な合意を得ることは難しいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣細田博之君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(細田博之君) 朝日議員にお答え申し上げます。
 社会保障の在り方に関する懇談会の今後の検討予定、関連する審議会との調整や既に予定されております制度改正とのタイミング等についてお尋ねがありました。
 概要につきましてはただいま小泉総理からお答えいたしたとおりでございますが、懇談会におきまして、当面、大きな論点を一通り議論していくこととしております。
 既に年金の一元化問題、そして介護保険制度改革等の議論を行っているわけでございます。そうして、第一回目には、このキックオフといたしまして、日本労働組合総連合会笹森会長から連合としての基本的な考え方について、まあ総論ではございますが、まず御紹介をいただいたような経緯もございます。そして、今後は経済財政諮問会議や社会保障審議会等とも連携しながら議論を進めてまいりたいと思っております。そして、生活保護、少子化対策の議論を更に行い、また年明け以降は、今後予定されております医療保険制度改革、それから社会保障給付全体の大きさの問題等々を議論してまいるわけでございまして、そして国民負担の在り方の議論に進んでまいると、そういうことがあらあらの予定でございますが、また、来年法改正が予定されております介護保険制度改革等については、このスケジュールを念頭に置いて、より急ぐものは根を詰めて検討してまいりたいと思っておるわけでございます。
 また、小泉総理からもお話ございましたように、答弁がございましたように、国会におきまして政党間で議論されると承知しておりますこの抜本的な問題につきまして、この問題がおよそ国民全体の課題であり、将来の、正に日本の最大の課題の一つであるわけでございますので、そういった国会での活発な御意見と、またタイミング、進展状況も併せながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(尾辻秀久君) 本日は、九問のお尋ねがございました。いずれ委員会でも御質疑あろうかと思いますので、簡潔にお答えさせていただきたいと存じます。
 まず、本年十月及び来年四月における改正年金法施行のポイントについてお尋ねがございました。
 本年十月一日の主な実施事項は、厚生年金保険料率の引上げ、基礎年金国庫負担割合の引上げ、マクロ経済スライドの導入であります。
 来年四月一日の主な実施事項は、国民年金保険料の引上げ、育児休業期間中の厚生年金保険料免除期間の延長、六十歳代前半の在職老齢年金の見直し、若年者に対する国民年金保険料の納付猶予制度の導入などでございます。
 次に、マクロ経済スライドについてのお尋ねがございました。
 その趣旨は、社会全体として年金を支える力の減少、すなわち年金受給者の数が増え、それを支える現役世代の数が減るということでございます。これに応じて給付水準を自動的に調整するものでございます。
 具体的には、通常の年金改定率から被保険者数の減少率と平均余命の伸び率を引いた率により年金額を改定するというものでございます。
 また、調整開始時点につきましては、今、一・七%の物価スライド特例措置が行われておりますから、これが解消されるときからとなります。
 厚生年金保険料の上限についてのお尋ねがございました。
 まず、御指摘ございました坂口前大臣御自身の発言でありますけれども、これは御自身が、参議院厚生労働委員会においてそうした発言はしたことがないと、こういうふうに明言されております。
 もとより、経済団体や労働団体におきまして厚生年金の保険料は二〇〇七年に到達する一五%を上限とすべきとの御意見があることは承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、この問題は給付と負担の均衡が大事でございますから、そのことを大切にしたいと考えております。
 国民年金保険料の未納者に関する会計検査院の御指摘についてのお尋ねがございました。
 過去二年間におきます国民年金保険料が一か月以上未納となっている者が約一千万人いることは事実でございます。この中に、納付督励により最終的には納付者となる者が多数含まれており、これらの方々を一律に未納者と位置付けることは適当でないとは考えておりますけれども、肝心なことは未納者をなくすことであります。
 私どもは、平成十九年度に納付率を八〇%に回復させるという目標を掲げまして、目標達成に向け全力で取り組んでまいります。
 介護保険施設における居住費、食費の取扱いについてのお尋ねがございました。
 介護保険制度につきましては現在見直しに取り組んでおります。その中で、施設入所者の居住費、食費の取扱いにつきましては、社会保障審議会介護保険部会報告におきまして、在宅と施設の間の負担の不均衡の是正、施設入所者における年金給付と重複の是正という観点から、施設入所者の負担を見直すべきとの御提言をいただいておりまして、見直しの方向としては低所得者にも配慮しつつ、居住費、食費を利用者に御負担いただくという方向で考えております。今後の介護保険料の大幅な上昇を避けるためにも、施設入所者の負担の見直しが必要だと考えております。
 次に、長期療養入院患者の食住費の負担についてのお尋ねがございました。
 現時点におきましては、病院に長期入院する患者の食住費の取扱いなどについての方針を決めているわけではありませんけれども、いずれにいたしましても、介護保険におけるこれら費用の負担の在り方の見直しを踏まえ、医療保険における負担の在り方についても検討を進めてまいります。
 中医協の見直しについてのお尋ねがございました。
 中医協の在り方については、国民の皆様方の御納得をいただけるように見直しを行っていかなければならないと考えております。
 具体的には、診療報酬改定の結果の検証等については速やかに取り組みます。さらに、御指摘のような法改正も視野に入れた構成メンバーの在り方を含め、診療報酬制度の基本的な在り方につきましては、次期医療制度改革をも念頭に置きつつ、幅広く議論を進めていくことが必要でございまして、しっかりと検討してまいります。
 次に、生活保護制度と国民健康保険制度の御質問、二点ございました。
 まずは、一緒にお答えした方がいいかと存じます。
 先生の御趣旨、私も全くそのとおりだと思っております。少なくとも、動機不純などと言われるようなことがあってはならないと考えております。
 今、私たちは社会保障全体をどうしようかということを考えておるわけでありますから、その中で生活保護がどうあるべきかということを考えるべきだと、こう思っております。実は、一昨日も、指定都市会長会の代表の方々来られまして、生活保護制度、もはや制度疲労だと、そこまで言われました。
 こうした各方面の御提案を踏まえて、経済的な給付に加えて、自立・就労支援を実施する制度に転換したいと考えております。そういう中でまた、国と地方の負担がいかにあるべきかという答えを出していかなきゃならぬのだと、こういうふうに考えております。
 国民健康保険制度の見直しにつきましても、いずれ医療保険制度をきっちりしなきゃなりません。その中でどうするかという大きな議論じゃなきゃいけないと思いますが、これも先生御専門でいらっしゃいますから申し上げるまでもございません。今、国民健康保険というのが緊急の課題であるということはお認めいただけるだろうと思います。
 そうした中でどうするかということを考えていきたいと思いますけれども、一点だけあえて申し上げさせていただきますと、これまで国だけが持っておりました財政調整機能、一〇%持っておりましたけれども、あのうちの一部は都道府県にお渡しをしよう、そういう御提案はさせていただきたいと思っておりますので、御理解いただきたいと思います。その上でのお互いのまた役割分担だと、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。(拍手)
#23
○副議長(角田義一君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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