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2004/11/12 第161回国会 参議院 参議院会議録情報 第161回国会 本会議 第6号
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2004/11/12 第161回国会 参議院

参議院会議録情報 第161回国会 本会議 第6号

#1
第161回国会 本会議 第6号
平成十六年十一月十二日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第六号
    ─────────────
  平成十六年十一月十二日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 児童福祉法の一部を改正する法律案(趣
  旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 日程第一 児童福祉法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 本案について提出者の趣旨説明を求めます。尾辻厚生労働大臣。
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(尾辻秀久君) ただいま議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 急速な少子化の進行等を踏まえ、総合的な次世代育成支援対策を推進するため、次世代を担う子供が心身ともに健やかに育つための環境を整備することが喫緊の課題となっております。このため、児童虐待等の問題に適切に対応できるよう、児童相談に関する体制の充実等を図るとともに、慢性疾患にかかっている児童に対する医療の給付を創設する等の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、児童相談に関する体制の充実であります。児童相談に関する市町村、都道府県及び児童相談所の業務に関する規定を整備するとともに、地方公共団体は、児童に関する情報の交換等を行う要保護児童対策地域協議会を置くことができることとしております。
 第二に、児童福祉施設、里親等の在り方の見直しであります。要保護児童に対する適切な保護と支援を図るため、乳児院及び児童養護施設の入所児童の年齢要件を見直すとともに、児童に対する里親の権限の明確化を図ることとしております。
 第三に、要保護児童に係る措置に関する司法関与の見直しであります。要保護児童とその保護者の関係の改善等を図るため、児童相談所による保護者に対する指導措置について家庭裁判所が関与する仕組みを導入することとしております。
 第四に、慢性疾患にかかっている児童に対する医療の給付の創設であります。本給付については都道府県が行うこととし、国は、都道府県が支弁する当該給付に要する費用を補助することができることとしております。
 このほか、保育料収納事務の委託に関する規定を整備するとともに、児童の売買、児童買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書を締結するための規定を整備することとしております。
 なお、この法律の施行期日は平成十六年十月一日としておりますが、児童相談に関する体制の充実、要保護児童に関する司法関与の見直し等については、一部を除き、平成十七年四月一日としております。
 また、この法律案は衆議院において一部修正されておりますが、その概要は次のとおりでございます。
 この修正案は、市町村は、この法律による事務を適切に行うために必要な体制の整備に努めるとともに、当該事務に従事する職員の人材の確保及び資質の向上のために必要な措置を講じなければならないものとすること、及び児童福祉施設への入所措置の更新について、当該措置に係る保護者に対する指導措置の効果等に照らし判断する旨を加え、更新に際しては、指導措置の効果や児童の心身の状態等を考慮することを明確化すること、並びに原案において平成十六年十月一日としている児童自立生活援助事業における就業の支援等に関する規定等の施行期日を平成十七年一月一日に、慢性疾患児童の健全な育成を図るための措置に関する規定の施行期日を平成十七年四月一日にそれぞれ改めるものとすることを内容とするものであります。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。蓮舫君。
   〔蓮舫君登壇、拍手〕
#6
○蓮舫君 私、蓮舫は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま御提案のありました児童福祉法改正案に関し、担当各大臣に質問をさせていただきます。
 私は、幼い子供が虐待によって命を落とすことをどうして防ぐことができないのか、親の支援や愛情ではなく暴力を受ける子供がどうして増えていくのか、あるいは感情を言葉で表現できない乳児が虐待によって亡くなることをどうして防ぐことができないのか、深く心を痛めております。一日も早くすべての子供たちを守るための施策を講じることが、私は政治の責任だと考えております。
 今年九月、栃木県の小山市で発生した幼い兄弟二人が虐待によって命を落とすという事件は、私たちに深い衝撃を与え、児童虐待対策には私たちすべてが関心を持って取り組んでいかなければならないとの認識が高まりました。
 また、さきの新潟県中越地震では、被災をし、地震発生から九十二時間後に救出され、奇跡的に生還した皆川優太ちゃんの映像を目にし、子供の命の尊さをだれもが強く感じたことと思います。
 児童虐待防止法が施行されてから二年半で、百二十五件、実に百二十七人の子供が虐待によって亡くなっています。子供の命を守る、虐待によって子供を失わないためにも児童福祉法改正は必要不可欠で、虐待という事件を起こさないためにも、法律が有効かどうかを常に見直していく作業が怠れないものだと私は考えています。
 まず、尾辻厚生労働大臣、虐待対策をどのように考えていらっしゃるのか、基本的なお考えをお答えください。
 次に、政府法案では、児童相談所と市町村との連携を密にしていくとあります。二〇〇三年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待件数は約二万七千件、統計を取り始めた一九九〇年の二十四倍です。この二万七千件の相談すべてを全国百八十二か所にある児童相談所が抱え、対応が機能不全に陥っているのが現状でございます。そこを改めるために、本来、児童相談所が担ってきた機能を市町村が行えるようにするとしてありますが、これまで子育て相談を行ってきた市町村が、相談ではなく、しつけか虐待かを見極めるという介入型の業務を担うためには、相応の体制整備が欠かせないと考えております。
 そこで、我が党は、児童相談所の機能を市町村が行うようにするには、高い専門性を持つ人材の確保、資質の向上を義務付けることが必要と考えています。
 虐待を疑われる児童の通告があったとき、この子供は虐待を受けているのか、それは軽度なのか重度なのかの判断をいたします。その初動判断を誤りますと、本来救えるべきはずの子供を救えないということにもつながってまいります。通告を受けた市町村の窓口がこの初動判断を誤らないためにも、市町村には専門性の高い人材を配置すべきではないでしょうか。
 尾辻厚生労働大臣、大臣のお考えになる資質、専門性とはどのようなものなのかをお答えいただいた上で、市町村の窓口に児童福祉司を配置することについての政府の御見解をお伺いいたします。
 次に、村田国家公安委員長にお伺いいたします。
 この二年半、虐待によって亡くなった子供のうち、四割が零歳児、赤ちゃんです。虐待で亡くなった子供のうちの九割が六歳未満の子供です。
 虐待の通告は、児童相談所、市町村の窓口が開いている時間帯だけではなく、夜間でも休日でも二十四時間、三百六十五日対応するためにも、全国に配置されている警察との密な連携が求められるものではないでしょうか。虐待を犯罪と認識し、子供の命にかかわる緊急を要する事態には、警察が独自に動ける体制を積極的に取り組んでいかれるお気持ちがおありかどうかを是非伺わせていただきたい。子供の命を守るために警察の関与が必要かどうかを端的にお答えいただいた上で、どのような連携ができるのかをお答えください。
 続いて、南野法務大臣にお伺いいたします。
 家族が再統合した後、子供が再び虐待を受けないことが、親が暴力を振るわないことが何よりも大切です。そのために、子供の安全確保と並んで、保護者が二度と虐待をしないための指導が欠かせません。保護者の指導には、自治体の勧告だけではなく司法の積極的な関与が望まれますが、大臣はいかがお考えでしょうか。司法の関与が必要か、それとも要らないとお考えか、明確な御答弁を下さい。
 虐待予防のための取組は、少子化対策とも深くかかわってまいります。南野法務大臣におかれましては、少子化対策担当大臣としてのお立場からも、是非、官僚の書かれた答弁をただ読まれるのではなく、御自身の率直なお考えを私どもの方を見てお答えいただけるようお願い申し上げます。
 次に、虐待対策の今後が大きくかかわってくるいわゆる三位一体改革について、尾辻厚生労働大臣にお伺いいたします。
 虐待防止には、専門的知識、技術を持った児童福祉司の存在が欠かせません。この十年間で虐待相談の処理件数は十六倍になっていますが、この間、児童福祉司の数は一・五倍になっただけで、全国に約千八百人しかおりません。
 そこで国は、自治体が人口六万八千人に対し一人の児童福祉司を配置するための交付税での予算措置を行ってきております。でも、この基準を満たしていない自治体は全国で六割ございます。六割の自治体が、国からの交付金を受け取っていながら児童福祉司の増員を図っていない。自治体の取組いかんが、虐待対策の地域格差につながっております。
 例えば、基準の倍以上の手厚い保護をしている青森県には、人口約三万人に対し一人の割合で児童福祉司が配置をされています。その一方で、あの岐阜県では、人口約十二万人に対し一人の割合です。青森県と岐阜県の割合は、その配置の格差、四倍もございます。児童福祉司が子供の命を救う仕事をしていることを考えると、その配置の格差はとても大きいものがあると思います。ただ、交付金ではその使い方を国が指導することはできません。
 自治体に任せることが虐待防止対策の地域格差につながっている現状を尾辻厚生労働大臣はどのようにお考えなのか、お考えを伺わせてください。
 小泉総理大臣は、骨太改革で進める三位一体改革では、地方六団体の案を真摯に受け止めるとしています。尾辻厚生労働大臣は委員会で、民間保育所の運営費削減、これも地方六団体の提案でございますが、これには反対で、そんなことをされたら国が進めている少子化対策がうまくいかなくなると、地方の提唱した案よりも厚生労働省の独自案の方が現実的だというお考えを率直に御発言されました。虐待対策も地方に任せるわけにはいかないと御認識をされているでしょうか。地方に任せることに賛成か反対かで端的に御答弁をいただきたいと思います。
 児童福祉司の交付金の使い方も地方に任せると岐阜県と青森県のように四倍の格差が生じるように、三位一体改革で地方に任せてしまうと、こうした格差は是正されない、虐待対策はなお国が対策を講じていくべきだとお考えでしょうか。御見識を伺わせてください。
 そして、少子化対策と同じく、虐待対策も地方に任せることに反対、地方の提唱した案よりも厚生労働省の案の方が現実的とすれば、少子化対策も虐待対策も厚労省の案の方がいいというお立場であれば、総理の地方六団体の案を真摯に受け止める方針との間にずれが生じてまいります。このずれが大臣は生じるとお考えでしょうか、それとも生じないとお考えでしょうか。生じるとお考えであれば、このずれを所轄大臣として尾辻厚生労働大臣はどうしていくおつもりなのかを、是非明確な御答弁をいただけますようお願いいたします。
 虐待対策、子供の命にかかわることを政治の責任ということで御質問させていただいております。
 最後になりました。虐待対策では、子供を国の財産ととらえ、一人の尊厳を持った存在ととらえ、その命、成長発達段階すべてを保障する制度の必要性を強く訴え、私からの御質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(尾辻秀久君) 児童虐待防止対策について、基本的な考え方についてのお尋ねがございました。
 児童虐待への対応につきましては、様々な施策の推進が図られてまいりましたけれども、依然として社会全体として早急に取り組むべき重要な課題であると認識をいたしております。
 このため、政府といたしましても、平成十六年度予算における児童虐待防止対策の大幅な拡充、それから、今般お願いしておりますこの児童福祉法の改正等により施策の充実を図ることとしております。
 こうした取組を通じまして、虐待という重大な権利侵害から子供を守り、子供が心身ともに健全に成長できるよう最大限力を尽くしてまいります。
 次に、市町村における児童相談の実施体制及び職員に求められる専門性についてのお尋ねがございました。
 市町村におきまして児童相談に関する業務を的確に遂行するためには、できる限り児童虐待や少年非行、障害児施策などについての一定の知識や対人援助にかかわる経験のある人材を活用していただくことが望ましいと考えております。
 厚生労働省といたしましても、これまで児童相談所の持つノウハウを市町村に伝達する事業に対する補助や市町村保健師の増員などの市町村の体制整備に努めてきたところでございますけれども、さらに来年度につきましても所要の交付税要望を行っておるところでございます。
 どのような体制で児童相談に対応するかはそれぞれの自治体の御判断ではありますけれども、児童福祉司たる資格を有する者を含め、一定の知識や経験のある人材の確保に努めていただきたいと考えております。
 児童福祉司の配置に関する地域間格差についてのお尋ねがございました。
 これは、議員既に御指摘のとおりでありますけれども、現行の地方交付税上は人口六万八千人に対して一人の児童福祉司を配置するための措置が講じられておりますけれども、誠に残念なことに、この基準を満たしておる自治体は四〇%にとどまっております。議員は六割が満たしてないという表現されましたが、逆に言うと、四割が満たしているということでありまして、こういう表現にさせていただきました。
 このため、地方交付税の積算基礎人員に達していない自治体につきましては、少なくともこの水準まで配置していきたいと考えておるところでございます。
 毎年、児童福祉司の配置状況を調査、把握し、これを取りまとめて公表するとともに、全国会議などあらゆる機会をとらえて、その旨強く依頼しておるところでございます。
 それから、最後に二問、三位一体との改革でのお尋ねがございました。個々にお答えするよりも、併せて私の考え方を申し上げた方がいいと思いますので、併せて申し上げたいと思います。
 社会保障をどうするかというのは、もう国と地方が手を取り合ってやらなきゃいかぬと思っています。ですから、このところ時々あるようにオール・オア・ナッシングというんでしょうか、あるいは補助率を十分の十のものと十分のゼロのものとに分けて仕分するというようなことでは、これは社会保障というのは私はうまくいかないと思っています。
 社会保障というのは、やっぱり国と地方がそれぞれの分担しながら手を携えて、そして最後の実施主体は地方にお任せすることが多いわけでありますから、お願いする。その割合をどうするかとか、そのときの事情、状況もありますし、そんな中で判断していけばいいと思っております。したがって、私が申し上げている私どもの代替案の方が現実的だと、こういうふうに言っておるわけであります。
 そういう意味で、では地方案を真摯に受け取るべきであるということとそごがあるかということでお尋ねになりますと、私どもは真摯に受け止めて、そして我々の案を出していますし、それから地方と話合いしながらやっておるわけでありますから、そごがあるとは私は思っておりません。
 以上、お答えを申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣村田吉隆君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(村田吉隆君) 児童虐待事案では、緊急を要する事態における警察の取組についてお尋ねでございました。
 警察といたしましては、児童虐待に対する取組を少年保護対策の最重要課題の一つとして位置付けておるところでございます。中でも、子供の命にかかわる緊急を要する児童虐待事案を認知した場合には、傷害事件等の刑事事件として適切に対応するよう努めているところでございます。
 また、児童虐待事案における警察の関与の必要性についてお尋ねでございますが、警察としても、児童虐待による悲惨な被害の防止に積極的に努める必要があるものと認識しております。児童相談所等の関係機関との連携については、街頭活動等各種の警察活動を通じて虐待されている児童の早期発見に努め、これを発見した場合には速やかに児童相談所に通告すること、児童相談所長による児童の安全確認等が円滑に行われるよう適切な援助を実施すること、これが重要であると認識しております。
 今後とも、児童の安全の確認及び安全の確保を最優先として、これらの措置が的確に実施されるよう警察を督励してまいる所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣南野知惠子君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(南野知惠子君) 蓮舫議員にお答え申し上げます。
 児童虐待を行った保護者への指導に司法が積極的に関与することの必要性についてお尋ねがありました。
 児童虐待を防止することは、子育ての支援体制の充実という少子化対策の面からも重要な意味を持っております。そういうふうに認識をいたしておりますし、そして、子供が再び児童虐待を受けないようにするためにその保護者の指導が重要であることも御指摘のとおりであります。
 そこで、本法律案におきましては、家庭裁判所が子供を乳児院などの施設に入所させる措置を承認する際に保護者への指導措置を取るよう、都道府県などに勧告することができる制度が設けられております。このように、本法律案におきましては、保護者への指導に司法が積極的に関与する制度が設けられているところであります。
 なお、このような司法の関与の在り方を超えて、家庭裁判所が、保護者自身に対して、都道府県などが行う指導措置に服するよう勧告をする制度を設けるべきであるとの考えを持っている方もございます。しかし、行政が行う指導措置の効果を高めるために裁判所がその後押しをするというのは、司法の基本的な役割が行政権の行使を適正なものにするというところにあることに照らして問題があるものと考えております。
 次に、虐待予防への取組と少子化対策についてお尋ねがありました。
 痛ましい児童虐待事件が後を絶たないことについては、私としましても大変心を痛めております。児童虐待対策については、先般の通常国会で成立し、十月一日から施行された児童虐待防止法の一部改正や今回提案された児童福祉法の一部改正の審議等を踏まえ、関係省庁が連携し、政府一丸となって取り組んでいかなければならないと考えております。
 少子化対策担当の特命大臣の立場といたしましても、子育てへの支援と児童虐待対策とは表裏一体の問題と考えております。妊娠、出産、子育てというそれぞれの局面で、親として子供を産み育てることに愛着を感じ、また喜びを感じながら子供に向き合っていくことが何よりの基本と考えております。とりわけ、若い親御さんたちに子育ての不安や孤立が生じないよう、保健、医療、福祉など各般の分野での子育て支援や子育て相談の施策の推進に関係省庁、地方公共団体と一体となって取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(扇千景君) 弘友和夫君。
   〔弘友和夫君登壇、拍手〕
#11
○弘友和夫君 私、弘友和夫は、自由民主党と公明党を代表して、ただいま議題となりました児童福祉法の一部を改正する法律案について関係大臣に質問させていただきます。
 「銀も金も玉も何せむに勝れる宝子にしかめやも」、山上憶良の歌を引くまでもなく、古今東西、子供は親にとってはもちろん、国にとって大切な宝であります。
 今、少子化に歯止めが掛からない実情の中で、少子化対策は積極的な社会保障政策として、国を挙げて、また官民相携えて取り組んでいかなければならない課題であります。
 来年四月からは、国の新新エンゼルプランと次世代育成支援対策推進法に基づく地方公共団体、企業の行動計画が一斉にスタートすることになっており、今後は、国、自治体、企業及び地域が一体となった少子化対策、次世代育成支援への取組の推進が期待されています。
 そこで、まず厚生労働大臣、このような少子化の現状についての基本的認識をお伺いいたします。そして、一向にとどまる気配を見せない少子化の流れをどのように変え、子供を安心して産み育てられる社会を構築していこうとされているのか。また、新新エンゼルプランの策定に当たっては、様々な国民の声に真摯に耳を傾け、ニーズにこたえるものを作っていかなければならないと考えますが、その策定に当たって、方針、時期についてお伺いいたします。
 次に、児童虐待の関係でお伺いします。
 少子化対策として、子供を産み育てやすい社会を作ることが重要な課題となっていますが、一方、生まれてくる子供たちに対しては健やかに安心して暮らしていけるような社会を作ってあげることが必要であり、このことは我々親の責任でもあります。
 しかし、大変残念なことに、児童虐待による痛ましい事件が後を絶ちません。栃木県小山市で幼い兄弟が殺害された事件、大阪府岸和田市の中学三年生が餓死寸前となってしまった事件などは記憶に新しいところであります。ここ数日の新聞にも、広島でゼロ歳児が父親から虐待を受けて亡くなったことが載っておりました。本来であれば、一番安心できる居場所であるはずの家庭の中で未来ある子供たちの命が奪われているのであります。
 虐待を受けた子供たちは、自ら声を上げることができません。せっかくこの世に生を受けながら、虐待によって死んでいったのかと考えると胸が痛みます。また、親の方も、虐待する自分をどうしていいか分からないでいると言います。このような不幸な状況を一刻も早く断ち切るべきであります。子供は地域全体で見守り育てるという意識を持ち、行政を始めとする専門家や関係者が子供と親の心の叫びを聞き取って手を差し伸べることが必要なのであります。
 厚生労働省が本年九月に発表いたしました平成十五年の児童相談所における虐待相談処理件数は二万六千五百六十九件と、前年度より約一割強の二千八百三十一件も増加しております。早急にしっかりとした体制整備を行う必要があります。今回の改正案には、児童相談所の充実強化に関する規定や虐待を受けた児童に対する支援ネットワークの運営等に関する規定が盛り込まれており、児童虐待防止対策を進めていく上で大変重要な法案であると考えております。
 そこで、尾辻大臣にお伺いします。
 先日施行されました改正児童虐待防止法と今回の児童福祉法改正案とはどのような関係にあるのでしょうか。また、厚生労働省として、今後この二つの法律を併せてどのように児童虐待防止対策に取り組んでいこうとお考えなのか、大臣の御所見をお伺いします。
 また、児童虐待防止対策費についても、最近大幅に増加していることは評価しますが、社会保障給付費に占める児童・家族関係給付費の割合は三・八%と、依然として諸外国と比べて大変少ない状況にあります。大臣はこのことをどうお考えでしょうか。
 次に、小児慢性特定疾患対策についてお伺いします。
 今回の児童福祉法改正案では、今まで予算措置で行っていた小児慢性特定疾患治療研究事業をきちんと法律に位置付けることになっております。この法制化は大変な前進であり、私も大いに評価しているところであります。約十万人いると言われる小児慢性疾患の子供とその御家族も、この法案の一日も早い成立を心待ちにしていらっしゃることと思います。
 しかし、一面では、今回の改正案では、今まで全額公費負担でありました小児慢性特定疾患治療研究事業に自己負担を導入することとしています。具体的にどのような所得の世帯でどれくらいの自己負担が増えることになるのでしょうか。低所得者に対する配慮は十分なされているのか、お伺いします。
 また、今回の改正案では、対象を重症患者に重点化するとともに、改めて対象疾患を見直して疾患の追加、除外をするとのことでありますが、具体的にどのような見直しが行われるのでしょうか。さらに、現時点での対象疾病の見直しの基準は確定的なものではありません。新たに対象とすべき難病が出てくることを想定して、継続的に対象疾病の範囲を見直していく必要があると考えます。厚生労働大臣はどのようにお考えでありましょうか。
 今回の改正案では、新治療研究事業の実施と併せて、慢性疾患の子供たちに対し、長年の悲願でありました日常生活用具の給付事業が始まることとなりました。これは大変喜ばしいことだと思っております。
 この問題につきましては、私は昨年十一月の予算委員会において質問をさしていただき、太陽の光を浴びると症状が進行してしまうという色素性乾皮症という病気と闘っている大分県のT君の例を挙げながら、同じように難病に苦しむ十万人もの子供たちが生活用具の支援を必要としている窮状を当時の坂口厚生労働大臣に訴えたわけであります。そのとき大臣からは、小児慢性特定疾患治療研究事業を法制化する中で生活用具の支給などの福祉サービスの実施も検討したいとの御答弁をいただきました。今回、早速実施していただくことになりましたことを心から感謝を申し上げたいと思います。
 しかしながら、慢性疾患の子供たちにはなお問題が山積しております。例えば、教育の現場におきましては、いまだ慢性疾患のある子供とその家族に対する理解が十分ではないと指摘されております。教育関係者に対しましては、今後、慢性疾患のある子供の実態に関して研修を行ったり、入院している児童については院内学級をきちんと整備をしていくなど、対策を充実さしていく必要があると考えます。これについて文部科学大臣の御所見をお伺いします。
 次に、成人の難病対策と小児慢性特定疾患治療研究事業との関係についてお伺いします。
 現在、二つの制度は全く独立して行われています。一部の疾患は両方の制度で指定されておりますけれども、成人を対象とする特定疾患については対象疾病が四十五しかなく、小児慢性疾患の対象とされている約五百の疾病の多くは、二十歳を過ぎると国の助成制度の対象から外れてしまうのが現状であります。
 このように、成人を対象とする事業と小児を対象とする事業とが別々の制度となっている背景と、それぞれの制度で対象疾病が異なる理由は何でしょうか。また、今回、小児慢性疾患について法制化することとなりますが、成人の特定疾患治療研究事業についても法制化するお考えはないのでありましょうか。
 そもそも、本来であれば、この法案は第百五十九回の通常国会での成立が予定されていましたが、半年近くも先延ばしされてしまったことは非常に残念でなりません。一日も早く成立させることが必要であると考えます。
 次世代育成支援対策はこれで終わったわけではありません。抜本的な改革に向けて更なる対策を進めていく必要があります。公明党としては、児童手当の一層の拡充、育児休業取得者への所得保障の拡大、保育所の施設整備等を求めているところであります。今後の総合的な次世代育成支援対策に向けての大臣の決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣尾辻秀久君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(尾辻秀久君) 八問の御質問をいただきました。
 まず、少子化対策に関する基本的な方針についてのお尋ねがありました。
 このことにつきましてはこれまでも様々な角度から取組を進めてきたところでございますが、残念ながら少子化の流れを変えるには至っておりません。こうした状況に対応するために、待機児童ゼロ作戦を始め、働き方の見直し、教育、町づくり等の分野も含め、国を挙げての更なる総合的な取組が必要でございます。
 新エンゼルプラン後の新たなプランにつきましては、地方公共団体の行動計画も踏まえまして、本年中に策定することといたしております。新たなプランでは、総合的な取組をどのように進めていくのかが目に見え、国民に子供を産み育てやすい環境整備が着実に進められているという実感を持てるような計画作りに努めてまいりたいと考えております。
 次に、改正児童虐待防止法と今回の児童福祉法改正との関係及び今後の児童虐待防止対策への取組についてのお尋ねがございました。
 まず、児童福祉法でございますが、これは児童福祉全般に関する一般法であります。それに対しまして、児童虐待防止法は児童虐待に着目した特別法でございまして、今回、通告義務の拡大など、虐待対策として特に重点的に推進すべき事項等について改正が行われたものでございます。
 この二つは言わば車の両輪でございまして、厚生労働省としては、これらを一体のものとして児童虐待防止対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、社会保障給付費に占める児童・家庭関係の割合についてお尋ねがございました。
 御指摘のとおりでございます。平成十四年度の社会保障給付費におきましては、保育所運営費、児童手当などの児童・家族関係給付費が全体の三・八%となっております一方で、年金保険給付、老人保健給付などの高齢者関係給付費は六九・九%となっております。
 先日発表された世論調査結果におきましても、国民の八割が少子化の進行について危機感を感じているところでございまして、多くの国民が少子化の進行が年金等の社会保障制度に及ぼす影響を懸念しているところでございます。
 現在、社会保障制度全般についての一体的な見直しの検討が進められておりますが、このような状況を踏まえて、次世代育成支援対策をその中での重要な課題の一つと位置付け、検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、小児慢性特定疾患対策における自己負担についてのお尋ねがございました。
 制度の改善、重点化を行うに当たりましては、患者負担をお願いすることとしております。具体的には、比較的高い所得の世帯においても、一か月当たり最高で外来五千円程度、入院では一万円程度に抑えることを想定しております。また、住民税非課税世帯の場合は患者負担なし、所得税非課税世帯は外来千円程度、入院で二千円程度とするなど、低所得者に配慮した患者負担とすることとしております。
 次に、小児慢性特定疾患対策における今日の対象疾患の見直しと今後の方針についてのお尋ねがございました。
 新たな小児慢性特定疾患治療研究事業の対象疾患については、現行の小児慢性特定疾患治療研究事業の対象を基本に、治療方法の確立が強く求められております疾患について、慢性疾患であることを前提にいたしまして、症状の重さ、治癒の見通し、治癒に掛かる費用など、疾病の特性を総合的に考慮して行うこととしております。
 今後の見直しにつきましては、本事業の実施状況を見つつ、実施主体となる自治体、医療にかかわる専門家や患者団体の御意見などを十分に伺いながら、適時適切に対応してまいる所存でございます。
 成人の難病を対象とする事業と小児の慢性疾患を対象とする事業の関係についてお尋ねがございました。
 いわゆる難病を対象とする特定疾患治療研究事業と小児慢性特定疾患治療研究事業は、ともに公費負担医療制度ではありますけれども、難病対策として行われている特定疾患治療研究事業は、年齢にかかわらず、全国規模で研究を行わなければ原因の究明や治療法の開発等が進まない疾患に関する医療の確立及び普及等を目的とした事業でございます。
 これに対しまして、小児慢性特定疾患治療研究事業は、その治療が長期にわたり、医療費の負担も高額となる小児慢性特定疾患について、その研究を推進し、その医療の確立と普及を図る、患者家族の医療費の負担を軽減する、これらにより児童の健全育成に資することを目的としておりまして、この二つのものは性格が異なるところでございます。このように、それぞれの事業の目的が異なるため、対象とする疾患についても異なっておるものでございます。
 特定疾患治療研究事業の法制化についてのお尋ねがございました。
 法制化の是非につきましては、これまでも関係審議会等において議論がなされておりまして、賛否両論がございます。例えば、法制化による特定疾患対策の根拠が明確化するという長所も指摘されておりますけれども、一方法制化によって対象疾患や施策の固定化が生じ、柔軟な制度の運用ができなくなる可能性があるという意見もございます。今後、これらの意見を踏まえつつ、引き続き法制化の是非について検討してまいります。
 最後に、次世代育成支援対策を進めていく決意についてのお尋ねがございました。
 国民の八割が少子化の進行について危機感を感じているとの世論調査の結果が、先ほども申し上げましたようにございます。次世代育成支援対策は、国の基本政策であると考えております。昨年成立いたしました次世代育成支援対策推進法に基づきまして、現在、全国の地方公共団体や企業におきまして行動計画の策定が行われております。
 政府といたしましては、本年六月に策定いたしました少子化社会対策大綱や今年中に策定いたします新たなプランに基づき、地方公共団体や企業の行動計画の実現に向けた取組を支援いたしますとともに、国民に子供を産み育てやすい環境整備が着実に進められているという実感を持つことができるような効果的な取組を進めてまいります。(拍手)
   〔国務大臣中山成彬君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中山成彬君) 弘友議員にお答えいたします。
 慢性疾患の子供の実態に関する教育関係者への研修や院内学級の整備などの対策についてのお尋ねでございます。
 慢性疾患の子供につきましては、教員等がその病状等の理解を深めるとともに、病状の種類と程度等に応じた教育環境を整えていくことが重要であると認識しておりまして、必要な対応を行っているところでございます。
 具体的には、慢性疾患の子供の病状等に応じた適切な指導が行えるよう、国立特殊教育総合研究所を中心として、教員等を対象とした研修を実施し、教員等の理解の促進と指導の向上に努めているところでございます。
 さらに、各都道府県におきましては、病気療養を必要とする慢性疾患の子供に対する教育の機会を確保する観点から、院内学級や病院と隣接、併設する養護学校の設置等の整備が進められるよう、文部科学省において通知等により指導を行っているところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも、慢性疾患の子供に対して適切な教育が行われるよう努めてまいります。(拍手)
#14
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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