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2004/11/17 第161回国会 参議院 参議院会議録情報 第161回国会 本会議 第7号
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2004/11/17 第161回国会 参議院

参議院会議録情報 第161回国会 本会議 第7号

#1
第161回国会 本会議 第7号
平成十六年十一月十七日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第七号
  平成十六年十一月十七日
   午前十時開議
 第一 住宅の品質確保の促進等に関する法律の
  一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)
 第二 経済上の連携の強化に関する日本国とメ
  キシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産
  地証明書の発給等に関する法律案(内閣提出
  、衆議院送付)
 第三 関税暫定措置法の一部を改正する法律案
  (内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、信託業法案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(扇千景君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 信託業法案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。伊藤国務大臣。
   〔国務大臣伊藤達也君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(伊藤達也君) ただいま議題となりました信託業法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 政府は、信託の活用に対するニーズへ柔軟に対応するため、信託の利用者の保護を図りつつ、受託可能財産の範囲や信託サービスの担い手の拡大等を行うことにより、信託制度という我が国金融システムの基盤を整備し、もって国民経済の健全な発展に資することを目的として、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、あらゆる財産権について信託を可能とするため、受託可能財産の制限を撤廃することとしております。
 第二に、金融機関以外の信託業の担い手である信託会社について、その業務の内容に応じて免許制又は登録制の下で信託業を営むことを可能とするとともに、委託者や受益者の保護を図るため、信託会社に対する行為規制や監督規制等を措置することといたしております。
 第三に、知的財産権を始めとした信託活用のニーズにきめ細かく対応するため、グループ企業内での信託業や大学等の技術移転事業を行う承認TLOによる信託業を認めることとしております。
 第四に、信託サービスの提供チャンネルの拡大の観点から、信託会社の委託を受けて信託契約の締結の代理等のサービスを提供する信託契約代理店及び信託受益権の販売等のサービスを提供する信託受益権販売業者の制度を設け、これらの者による取引の公正を確保するための規定等を整備することとしております。
 なお、本法案を衆議院に提出した際に二か所の誤りがありましたことにつきましては、誠に遺憾であり、深くおわびを申し上げます。今後、再発防止を徹底し、法案作成に当たり万全を期してまいる考えでありますので、よろしく御理解をいただきますようお願いを申し上げます。
 以上、信託業法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。
 何とぞ御審議のほど、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(扇千景君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。中島啓雄君。
   〔中島啓雄君登壇、拍手〕
#7
○中島啓雄君 自由民主党の中島啓雄です。
 私は、自由民主党、公明党を代表しまして、ただいま議題となりました信託業法案につきまして伊藤金融担当大臣に質問をいたします。
 我が国の経済は、平成十五年度、実質三・二%成長となり、予想以上の回復を示しましたが、本年七―九月期は実質年率〇・三%の成長にとどまり、減速傾向となっております。景気の良いところ、停滞しているところ、地域別、業種別にはまだら模様という状況で、景気の先行きは決して楽観できないものとなっております。
 構造改革を加速し、経済の回復を金融面から支え、より強固な金融システムを構築するため、平成十四年十月、金融再生プログラムが策定され、来年三月末までに主要行の不良債権比率を半減させることとされました。不良債権比率は平成十四年三月末の八・四%から本年三月末には五・二%と低下しており目標達成に近付いておりますが、UFJ銀行の検査忌避問題は、不良債権残高の計数について疑問を投げ掛けるものでありました。正確かつ適切な開示の下、目標は達成できるか、その見通しをお伺いしたいと思います。
 地域金融機関に関しましては、昨年三月に公表したリレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムに基づき、中小企業の再生と地域経済の活性化を図ることで不良債権問題も同時に解決していくためのもろもろの取組が推進されております。しかしながら、例えば、足利銀行等の破綻は中小企業の経営を圧迫し、雇用の悪化を招き、地域経済に大きな影響を与えました。種々の批判もなされているところであり、金融行政においては地域の利用者から十分な信認が得られるよう適切に対処されることが特に重要でありますので、足利銀行等の破綻を教訓に、地域経済の再生に向けて、公的資金の機動的な投入を含めて、今後ともどのような政策運営を進められるのか、御認識を伺います。
 次に、信託業法案についての質問に入らせていただきます。
 近年の金融制度改革においては、投資家から信頼を得られる公正性、透明性の高い市場を確立する観点から証券市場の整備が行われるとともに、金融商品へ投資する投資家を保護する観点から制度整備がなされるなど、様々な金融市場のインフラ整備が進められてまいりました。今般、大正十一年に制定された信託業法を実に約八十年ぶりに全面的に改正することとなりました。この信託業法案も、金融市場のインフラ整備を更に進め、間接金融から直接金融への流れを促進するものと認識しております。
 そこで、まず、今般の信託業法の全面的な改正を行った背景、理由についてお伺いをいたします。
 さて、信託制度の整備が金融市場のインフラ整備に不可欠であるということは分かりますが、一般国民の目から見れば信託という制度はやや技術的、専門的な印象があり、今回の法案により国民生活にどういう影響があるのか分かりにくい面があるのも否定できません。今回の改正の重点の一つである受託可能財産の拡大によって、中小企業やベンチャー企業、さらには大学などでの新たな信託業務の振興、展開に通じる効果が期待されております。また、特許権、著作権等の知的財産権も信託の対象となるわけであり、今般の信託業法の全面改正は、このような知的財産の戦略的な活用も視野に入れて行われたものと承知をいたしております。
 そこで、今回の法案は、我が国の経済の活性化にどのような効果があるのか、知的財産権が信託制度の中でどのように活用されていくことが期待できるのか、お伺いいたします。
 次に、今般の法案では、金融機関以外の者が信託業に参入するための環境整備が図られているものと承知しておりますが、これにより、高い運用能力を持った信託会社が出現し、既存の信託銀行と切磋琢磨していけば、国民の様々なニーズに更にこたえることができると期待されます。しかしながら、こうした新たな担い手を含め、受託者が業務を的確に遂行し得る信頼の置ける者であること、委託者及び受益者の利益が適切に保護されることが必要であります。
 信託とは、中世のイギリスにおいて始まったと言われており、宗教心に厚いイギリス人が自分の土地を遺産として教会に寄進する慣習があった。ところが、封建領主にとっては、自分の権力の及ばない教会に土地が移ると地代や税金が取れなくなる。そこで、これを禁止する法令を制定した。これに対抗して、人々は土地を直接教会に寄進しないで信頼できる人に譲渡し、譲渡を受けた人が土地から上がる利益を寄進する方法を取った。さらに、十字軍の遠征に際して、参加した兵士が国に残した家族のために自分の財産を信頼できる人に信託したということから広がったと聞いております。
 このように、信託される人、すなわち受託者が信頼されるに足る者であるということは信託制度の基本的な要件であります。さかのぼって、大正十年には第一次大戦後のブームに乗って信託会社が四百八十八社を数えるに至り、資力や信用力で問題を生じる会社も少なくなく、大正十一年、一九二二年に現行の信託業法と信託法が制定されたという経緯があります。このような観点から、しっかりとした情報開示や行為規制を含めて、今般の法案では信託会社の適格性や健全性をどのように確保しようとしているのか、お伺いをいたします。
 さらに、国民と信託とのかかわりを考えた場合、自分の財産を信託して管理運用してもらうということのほか、投資商品として信託の受益権を購入することが行われております。資産の流動化ということがよく言われますが、資金調達の円滑化、経済の活性化のためには種々の資産の流動化が図られることが望ましい。
 一方では、流動化商品を購入する投資家側の保護を図る仕組みが確立していることが不可欠と考えられます。特に、信託商品は元本保証のないリスク商品であることが基本であり、受益者の自己責任が求められ、また信託商品のスキームは極めて複雑となり得るものであり、投資家に信託商品を販売するに当たっては、販売に関するルールをきちんと定め、投資家に商品内容を周知させ、不測の損害を与えないようにしなければなりません。そこで、信託商品の販売に関して投資家の保護をどのように図ることとしているのか、お伺いいたします。
 今般の法案においては、信託業の担い手を金融機関以外の一般事業者に対しても広く認めることとしました。これによって一般企業の参入が予想されますが、金融庁の検査監督体制は地方の体制を含め、十分このような事態に対処できるものとなっているのでしょうか、お伺いをいたします。
 最後になりますが、金融資本市場が高度化、複雑化していく中で、その環境整備を図っていくことはますます重要になっております。今般の信託業法案は、信託制度の整備を図り、今後ますます多様化する国民の資産管理、資産運用、資金調達等のニーズにこたえ、経済を活性化していこうとするものであり、我が国の産業や経済、国民生活にとっても重要な意義を有するものと考えられます。このため、本法案の早期成立を図り、国民のニーズに的確かつ速やかにこたえていくべきであると考えます。このことを申し述べて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣伊藤達也君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(伊藤達也君) 中島議員の御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
 主要行の不良債権比率を半減させるという目標についてお尋ねがございました。
 金融庁においては、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築するため、来年三月末には不良債権問題を正常化させるという決意の下、金融再生プログラムの諸施策の推進に全力を尽くしているところであります。こうした取組により、主要行全体の不良債権比率は十六年三月末に五・二%に低下するなど、半減目標の達成に向け着実に低下しているものと認識をいたしております。
 金融庁といたしましては、引き続き、金融再生法等に基づく不良債権の適切な開示を求め、来年三月末に半減目標を確実に達成できるよう、手綱を緩めることなく、諸施策の推進に全力を尽くしてまいります。
 足利銀行等の破綻を教訓とした地域経済の再生に向けた政策運営についてお尋ねがございました。
 地域金融機関については、現在、リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムに基づき、平成十六年度までの集中改善期間に中小企業の再生と地域経済の活性化を図ることによって、同時に不良債権問題の解決を目指すことといたしております。全体として、間柄重視の地域密着型金融の機能強化に向けた取組が進んできているものと認識をいたしております。
 金融庁といたしましては、引き続き、地域金融機関が、地域密着型金融の機能強化に係る取組を着実に推進することにより、地域の中小企業等の金融ニーズに一層適切に対応するとともに、経営の健全性を確保することで地域の利用者から十分な信認が得られるよう、最大限努力をしてまいります。
 なお、先般、金融機能強化法が施行され、合併等を始めとする経営改革を行い、地域における金融の円滑化等、健全な金融機能を発揮し得る金融機関に対して国が資本参加をする制度が導入されました。
 同制度による国の資本参加は、あくまで金融機関からの自主的な判断による申請に基づいて行われるものでありますが、同制度の活用は、十分な自己資本の確保を通じ、地域経済の活性化や金融システムの安定強化につながるものと認識をしており、金融機関側より申請があれば適切に対処してまいります。
 信託業法の全面的な改正を行う背景、理由についてお尋ねがありました。
 今回の改正は、知的財産権の戦略的活用を支援する観点から、知的財産権を受託可能財産に加える、売り掛け債権等の流動化により資金調達を行う手段を多様化するため信託業の担い手の拡大を図るなどといった信託の活用に対する新たな時代のニーズに柔軟に対応するために行うものであります。
 信託業法の見直しは、金融資本市場の基盤整備を進めるために不可欠なものであり、規制改革推進三か年計画や知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画において早期の対応が求められていたことから、本法案を国会に提出した次第であります。
 今回の信託業法改正による我が国経済の活性化への効果及び知的財産権の信託制度における活用についてお尋ねがありました。
 本法案は、金融機関以外の者がそのノウハウを活用して信託業に参入するための環境の整備と受託可能財産の範囲の拡大を主な内容といたしております。
 本法案により、金融機関以外の多様な者が資金仲介の新たな担い手となることや、信託を活用して保有資産を流動化することにより企業の資金調達の経路や手段の多様化が図られるとともに、多様化する資産の管理運用ニーズに幅広くこたえることができることから、我が国の経済の活性化にとって大きな効果を有するものと考えております。
 特に、知的財産権の信託の活用としては、主にベンチャー企業や中小企業が資金調達の手段として知的財産権の流動化を行うことや知的財産の管理を専門とする者による効率的な管理等を行うことなどが考えられます。
 また、グループ企業のみが当事者の場合は、届出のみで信託業が可能となることから、グループ企業内の知的財産権の戦略的利用を図るために信託を活用することも考えられます。
 さらに、大学等技術移転促進法に基づいて文部科学大臣及び経済産業大臣の承認を受けた技術移転機関、TLOが信託スキームにより大学等技術移転事業を行うことが可能となることから、大学発の知的財産権を企業へ移転するために信託を活用することも期待されます。
 信託会社の適格性や健全性の方策についてお尋ねがありました。
 本法案では、信託が信認に基づいて他人の財産の管理又は処分を行う業務であることを踏まえ、信託会社の参入を免許制又は登録制として、人的構成等の業務執行体制や財産的基礎等を有し、受託者責任を十分に果たせる体制が備わっているかどうかについて審査することといたしております。
 また、信託会社に対して、不当勧誘を禁止し、信託契約締結に当たって説明義務を課すなど、信託商品の販売等に関するルールを盛り込むとともに、善管注意義務、忠実義務、分別管理義務等の受託者責任を規定しております。
 さらに、信託会社が信託業務を営むに当たっては、その管理失当等により信託財産に損失を生じさせ、結果的に受益者に損害を与える可能性があるため、信託会社に対し一定の営業保証金の供託を義務付け、これに対する優先弁済権を認めることによって受益者の保護を図っております。
 このほか、信託会社に対して、計算期間ごとに信託財産の状況についての報告書を作成し、受益者に交付することを義務付け、受益者の保護を図るとともに、営業年度ごとに業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を作成し、毎営業年度終了後一定期間、すべての営業所に備え置くことを義務付けることにより、公衆への情報開示も確保しております。
 これらの規制の実効性を確保するため、受託者としての義務を履行しない信託会社に対し、立入検査や業務改善命令、免許・登録の取消命令等の監督上の措置を取ることを可能としております。これらにより、信託会社の適切な業務運営を確保できるものと考えております。
 信託商品の投資家保護のための方策についてお尋ねがありました。
 本法案については、まず、新たな信託業に参入する事業者について、その営む信託業の内容に応じて免許制又は登録制とするとともに、信託契約の締結の代理等を行う信託契約代理店及び信託受益権の取引を行う信託受益権販売業者についても登録を要することとし、これらによって不適切な事業者の参入を阻止することといたしております。
 また、信託商品は実績配当が基本であり、受益者の自己責任が求められることや、信託商品スキームは極めて複雑となり得ることを踏まえ、信託に係る取引の公正を確保し、顧客の保護に欠けることがないよう、不当勧誘行為を禁止し、顧客に対して信託商品を販売するに当たってその内容を説明することを義務付けるなど、信託商品の販売等に関するルールを規定しております。
 さらに、信託会社等が業務を営むに当たって十分な説明義務を尽くさなかったことにより、顧客がリスクを知ることなく信託商品を取得し、損失を被る可能性があることから、顧客の保護を図るべく、一定額の供託を求め、これに対する優先弁済権を認める営業保証金制度を採用することといたしております。
 これらの規制の実効性を確保するため、必要に応じて立入検査を行うとともに、業務改善、業務停止、免許・登録取消し、役員解任の命令といった監督上の措置を取ることも可能としており、これらを通じて信託商品の購入者の保護が図られるものと考えております。
 金融庁の検査体制についてのお尋ねがありました。
 本法案では、金融機関以外の者の信託業への参入について免許制又は登録制の下で審査を行うとともに、委託者や受益者の保護の観点から、信託会社に対して適切な監督権限を行使する仕組みとしているところであります。
 金融庁といたしましては、新法に基づく新規参入の状況等を踏まえつつ、必要な定員の確保や検査官に対する研修の充実を図り、信託会社の検査・監督に万全を期してまいる所存であります。
 なお、地方における検査・監督事務については、財務局が担当することとされており、財務省において必要な体制整備がなされるものと考えております。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(扇千景君) 大塚耕平君。
   〔大塚耕平君登壇、拍手〕
#10
○大塚耕平君 民主党・新緑風会の大塚耕平でございます。
 ただいま議題となりました信託業法案について質問をさせていただきます。
 初めに、本法案の効果に関する認識をお伺いしたいと思います。
 本法案は、信託機能を活用して売り掛け債権、知的財産権等の保有資産を流動化し、企業の資金調達手段の多様化を図るものと説明されています。しかしながら、信託商品は幾つかに類型化できますことから、それら各々の特質を踏まえた法案の趣旨説明を求めたいと思います。
 すなわち、一つは、信託銀行の代表的メニューである貸付信託的な商品であります。貸付信託は、委託者から集めた資金を長期貸付けを中心に運用するとともに、受託元本は信託銀行が保証しております。つまり、信託銀行が販売していたのはあくまで預金類似商品であり、集めた資金を信託勘定から銀行勘定に移転して初めて信託商品としての組成が完了いたします。初めに貸付けがあり、それを信託したものではありません。預金類似商品としての信用創造機能があってこそ金融仲介機能が発揮されているのであります。
 一方、委託者が金銭以外の資産を信託する場合は効果が異なります。例えば、ある企業が営業貸出し債権や売掛金を流動化するのは、言わば手形を換金するのと同じことであります。さらに、知的財産権のように、これまで貸借対照表に未計上であった無形資産に信託機能を生かして資産価値を発生させることは、貸出し債権や売掛金の流動化とも異なります。
 以上のように、本法案の中には、貸付信託的な信用創造、資産の売却や流動化、資産価値の新たな付与といったケースが混在しており、これらを一括して法案の企図するところを説明するのはやや雑駁と言えるかもしれません。特に、資産の売却、流動化、資産価値の新たな付与に関しては、金融仲介機能はあるとしても、厳密な意味での信用創造機能はありません。
 そこで、各類型ごとに、信用創造機能、資金仲介機能、資産創造機能の三点から、本法案がどのような効果を企図しているのかについて、より正確な御説明を求めたいと思います。
 次に、以上申し述べましたように、信用創造機能が限定的だといたしますと、本法案は、委託者、受託者、どちらのメリットがより大きいのかということをお伺いしたいと思います。
 信託業務が拡大していくことを前提にすれば、中長期的には委託者、つまり貸出し資産や知的財産権等を有効活用したいという企業や個人のメリットもあると思います。しかし、信用創造機能が限定的であることをかんがみますと、短期的には受託者、つまり信託銀行やこの法案が参入を認めようとしている新たな信託会社により大きなメリットがあるのではないかと推測いたします。
 このことは、新たな信託会社の参入により競争にさらされるはずの信託銀行業界が法案に賛成していることからも明らかであります。信託銀行は、新たに参入する信託会社から再信託を受けることを念頭に置いているものと思われます。再信託自体を否定するものではありませんが、十分な信託業務遂行機能を持たない事業者が信託銀行の単なる窓口として参入してくる可能性が高いと言えます。したがって、新たに参入する信託会社、すなわち受託者の適格性が重要なポイントとなります。
 そこで、まず委託者、受託者のメリット、デメリット、短期的、中長期的効果についての御認識、そして中長期的に委託者のメリットをどのように実現していくのかについて政府の考え方を伺いたいと思います。
 信託会社の適格性の判断基準についても伺います。
 本法案では、人的構成等の業務執行体制や財産的基礎等を個別審査することで適格性を担保するとしておりますが、人的構成や財産的基礎とは具体的にどのような内容でありましょうか。詳細は決まっているのでしょうか。あるいは、まだ決まっていないのでしょうか。
 信託業並びに新たに設けられる信託契約代理業及び信託受益権販売業とも、業務を的確に遂行するに足る知識、経験を有する者の配置や経営者の経歴などが判断基準とされております。
 しかし、こうした定性的な基準というのは、その定義が極めてあいまいであります。例えば、新たに参入する信託会社に私が担当者として在籍していた場合、私程度の者は知識を有する者に該当するのでありましょうか。あるいは、何か試験を受けなくてはいけないのでしょうか。それとも、信託銀行での勤務経験を要するのでしょうか。
 この質問に関連して、一点申し上げたいことがあります。
 さきの通常国会で審議しました証券仲介業に関する証取法改正案においても、法案では具体的なことは余り決まっておらず、実質的に重要な部分は政省令で定めることとなっておりました。改正証取法は来月一日に施行されます。政省令に関しましては、通常国会後、私自身もパブリックコメントを出し、金融庁には真摯に対応していただきました。この点は評価したいと思います。しかし、できれば国会でより実質的な審議ができることが望ましいのではないでしょうか。日本の構造問題の一つは、立法府の制御が利かない政省令等の役所の裁量範囲、権限が大き過ぎることであります。
 信託会社の参入基準も、どこまでがこの法案に盛り込まれていて、何が決まっていなくて、決まっていないことはいつまでに決めようとしているのか、その過程で我々国会議員はコミットできるのかできないのか、あるいは別途議論する場があるのか、そういう点について御説明を願いたいと思います。
 あわせて、信託会社の参入に関しては、法案では大ざっぱな枠組みを決め、詳細は政省令にゆだねるという証券仲介業のときと同じ対応が適当ではないことを申し上げておきます。証券仲介業は顧客から資産を預かりませんが、信託業は資産を受託いたします。そのため、利用者にとって信託会社の事業者リスクは相対的に高いと言えるからです。
 そういう観点から申し上げれば、信託会社の株主に関する適格基準が証券会社とほぼ同様の内容にとどまっており、信託銀行の基準よりも甘いという点にも懸念があります。信託会社と信託銀行は顧客の資産を受託するという面では同じ機能を果たします。概念的な違いは決済インフラの有無だけであります。信託会社と信託銀行の株主規制の格差はどのような合理的理由に基づくものでしょうか、お伺いしたいと思います。
 次に、参入した信託会社の不正行為の抑止についてお伺いいたします。
 法案では、信託会社の忠実義務、善管注意義務、分別管理義務がうたわれておりますが、これもやや抽象的に過ぎると言えます。
 例えば、信託勘定と自己勘定の分別管理については具体的にどのような規制を考えているのでしょうか。信託銀行では、信託勘定と銀行勘定の間で資産や資金の大規模な移転が日常的に行われています。こうした勘定間の移転は、その行為が、委託者、受託者、いずれのために行われているのかを証明することが非常に困難と言えます。
 これに付随して伺います。参入基準とも関係がありますが、法第二十一条で当該信託業務に関連するものを営むことができるとありますが、これはどういう意味でしょうか。その一方、第五条では、不適格事由として、他に営む業務が信託業務に無関連である場合と明記してあります。法案全体として関連する業務を行うことを推奨しているのでしょうか。関連業務を併営すると、受託資産を自己勘定に移転して運用する潜在的可能性は否定できません。受託資産の自己勘定への流用・移転規制、信託勘定の分別管理の義務付けなどに関する考え方をお伺いしたいと思います。
 この問題の延長線上には、先ほど申し述べました再信託の問題があります。第二十二条には、受託財産について業務の一部を第三者に委託できる、ただし、一部であり、全部の委託はできないという内容が明記されていますが、具体的にどの程度のウエートを想定しているのでしょうか。先ほども申し述べましたように、信託銀行業界は再委託を想定しており、一定の数値基準を設定しないと、信託事業者の多様化というよりも、信託銀行への信託財産の集中を招くことになると思います。政府の御方針を伺いたいと思います。
 次に、財産的規制についてお伺いいたします。
 参入基準としての財産的規制をクリアしても、営業開始後に過大な受託をする可能性があります。そこで、財産的基礎や営業証拠金に関して、受託資産規模に合わせた段階的な規制が必要と考えますが、この点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
 知的財産権等の評価についてもお伺いいたします。
 知的財産権を有効利用するために信託機能を活用することは、知的財産立国を目指す我が国にとっては結構なことだと思います。しかし、留意すべき点もあります。本法案では、グループ内企業の知的財産権の評価を行うためのグループ内信託事業が届出だけで可能としております。その場合、当初は簿価がゼロであった特許権等の知的財産権をグループ内で時価評価することになりますが、当該評価の公正性、客観性は、だれがどのように担保するのでありましょうか。
 この点に関して中川経済産業大臣は、さきの通常国会での本法案の衆議院本会議における答弁の中で、「価値評価手法の検討、整理、実際の取引事例の収集など、知的財産権の価値評価を容易にするための情報収集及び情報提供を進めてまいります。」と述べておられます。その後、半年がたちました。どの程度検討が進捗し、その成果を委員会審議の前に財政金融委員会に御提出いただけるかどうかも併せてお伺いいたします。
 信託銀行、信託会社が保有する株式の議決権行使の問題についてもお伺いいたします。
 かねてより、信託銀行が株主代理機能を十分に果たしていないとの指摘が聞かれますが、本法案によって信託業務が拡大いたしますと、そうした傾向が強まる可能性もあります。こうした弊害に対してどのような対応をお考えになっているのかをお伺いしたいと思います。
 最後に、利用者保護について伺います。
 金融サービスのユニバーサル化が進み、金融システムの構造が根本的に変わりつつある中、利用者保護の枠組みも根本的に見直す必要があることは再三指摘させていただいている点であります。現在の利用者保護にかかわる法制は、主なものだけでも、銀行法、保険業法、証取法、投資信託法、金融先物取引法、投資顧問業法、商品ファンド法、特定債権法、不動産特定共同事業法など、実に多岐にわたっております。この際、私どもが主張をし続けております日本版SECの設置や、包括的な利用者保護法制の整備が不可欠と考えます。この点に関する伊藤大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 ところで、過去三年間、多くの閣僚や政府参考人の御答弁を拝聴してまいりましたが、答弁には大きく分けて三つのタイプがあるようです。
 第一は、質問に対して明確かつ具体的な御回答のあるものです。国会を言論の府、国権の最高機関として有効に機能させるためには、極力そうした答弁をしていただきたいと思います。
 第二は、詳細は未定、検討中という御答弁であります。法案ではあいまいなことしか議論せず、本当に重要な部分は政省令レベルにゆだね、その結果、役所の裁量範囲が大きくなるケースです。これも日本の構造問題の一つであり、我々議会人は、議会の機能と責任を再認識し、この点を是正する必要があると考えております。
 伊藤大臣におかれては、信託会社の適格性や利用者保護等の質問に関して、明確かつ具体的な御答弁をいただければ幸いであります。
 第三のタイプは、無意味な回答であります。こうした答弁はあってはならないことであります。無意味な答弁とは、論理学の用語で申し上げれば、トートロジーということであります。AであればBであるという命題に対して、AであればなぜBになるのかという質問をすると、なぜならBはAだからだという難解な主張をすることを指します。辞書によれば、トートロジーとは、特に繰り返したからといって何の意味も明瞭さも付け加えないような同じ言葉の繰り返し、難解な同語反復と定義されています。
 難解な御答弁と言えば、昨年政界を引退されました塩川前財務大臣が思い出されます。いかにも塩川さんらしい何回聞いても難解な御発言とともに、塩爺という愛称で親しまれたそのお人柄が今は懐かしく思えます。我が党の藤井代表代行も、フー爺という愛称をちょうだいしております。政治家に親しみやすい愛称が付くことは、政治を国民に身近なものにする意味でいいことだと思います。
 自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だという見事なトートロジーを展開する小泉首相に敬意を表し、小泉首相には、塩爺、フー爺に続くトートロ爺という格調高い愛称をお贈りして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣伊藤達也君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(伊藤達也君) 大塚議員にお答えをさせていただきたいと思います。
 信用創造機能、資金仲介機能、そして資産創造機能の三点から、本法案は各々どのような効果があるかとのお尋ねがございました。
 本法案は、金融機関以外の者がそのノウハウを活用して信託業に参入するための環境整備と、受託可能財産の範囲の拡大を主な内容といたしております。
 まず、信用創造機能の観点からは、信託会社が、投資家から信託を受けた資金を運用し、中小企業等に貸出しを行うことを通じた効果が期待をできます。
 また、資金仲介機能の観点からは、主にベンチャー企業や中小企業がその保有する知的財産権等の資産を流動化することにより、複数の投資家からの資金調達が可能になるといった効果が期待ができます。
 さらに、資産創造機能の観点からは、知的財産権等の資産について、管理を専門とする者が効率的な管理等を行うなど、資産の有効活用が期待されるとともに、今後ますます多様化が予想される資産の管理・運用ニーズに幅広くこたえることができるものと考えているところであります。
 委託者、受託者のメリット、デメリット、短期的、中長期的効果についての認識、そして中長期的な委託者のメリットについてお尋ねがございました。
 本法案により、委託者は、保有資産の流動化による企業の資金調達の経路や手段の多様化が図られること、多様化する資産の管理・運用ニーズに幅広くこたえられること等のメリットを享受することができるものと考えております。また、受託者は、新たな信託業への参入が許容されることにより、新しいビジネス機会の拡大といったメリットを享受することができるものと考えております。
 他方、堅実性を欠く信託会社が多数参入する場合には、信託制度に対する信認の低下、そうした信託会社と契約した委託者が被る不測の損害等のデメリットが考えられますが、本法案では、十分な業務遂行能力等のない事業者に対する参入規制、そして信託商品の厳格な販売勧誘ルール等の行為規制を定め、その履行状況について行政当局が監督する体制を整備することにより、委託者、受益者保護を図り、信託制度の健全な発展を図ることといたしております。
 本法案の効果としては、短期的には、金融機関以外の者の新規参入の促進、そして受託資産の拡大等が期待できるとともに、中長期的には、我が国の経済構造や産業構造が大きな変化を遂げる中、市場型間接金融という新たな金融の流れの構築に資する金融システムの基本的インフラの整備が一層進展するといったことが期待できるものと考えております。
 信託会社の適格性の判断基準のうち、人的構成及び財産的基礎についてのお尋ねがありました。
 人的構成に照らして、信託業務を的確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有していることの具体的な審査基準について、例えば当該基準を満たさないケースとしては、営業部門、資産管理・運用部門、内部監査部門、法務・コンプライアンス部門等に信託業務、信託関係法令に係る知識を有する者を配置していない場合、経営者の経歴がその行おうとする信託業務と無関係であり、信託業務の的確な遂行に問題があると認められる場合等を想定をいたしております。
 また、信託業務を健全に遂行するに足りる財産的基礎については、資本の額が政令で定める最低資本額を上回っていること、純資産額が政令で定める金額を上回っていること、収支の見込みに照らして、営業開始後三営業年度を通じて純資産額が基準純資産額を下回らない水準に維持されると見込まれること等を想定をいたしております。
 信託業務に係る人的構成基準についてお尋ねがありました。
 信託業務を的確に遂行することができる知識及び経験を有する者との基準については、免許申請者が行おうとする信託業務の特性等を踏まえて個別具体的に判断されるべきものと考えております。
 知識を有する者については、当該者のこれまでの勤務経験や各種研修の履修歴等を勘案することが適当と考えており、また、経験を有する者については、当該者のこれまでの勤務経験等を勘案することが適当であると考えております。
 信託会社の参入基準についてお尋ねがありました。
 信託業の参入基準については、本法案の中で、信託業務を健全に遂行するに足る財産的基礎を有していること、人的構成に照らして、信託業務を的確に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有していることなど、審査に当たっての視点を明らかにするとともに、一定の免許拒否事由を明確化しております。
 他方、経営体制、業務運営体制、信託会社への参入に当たって審査すべき具体的基準の詳細については、今後、速やかに検討した上で、政省令又は事務ガイドラインにおいて明確化する予定であり、その際、パブリックコメント等により広く関係者の意見を伺うことを考えております。
 信託会社と信託銀行の株主規制の格差についてお尋ねがありました。
 信託会社の業務の適正を確保するためには、その経営に間接的に影響を与える主要株主について適格性をチェックする必要があることから、本法案においては信託会社の主要株主となった者に対し届出を義務付けております。これに対し、信託銀行を含めた銀行の主要株主については認可が必要とされておりますが、これは、銀行経営等の健全性確保は信用秩序の維持にとって極めて重要であり、銀行の主要株主になろうとする者について十分な適格性の確認が必要なことによるものであります。
 信託会社の兼業についてのお尋ねがありました。
 本法案については、信託業務の適正な遂行の確保、財務の健全性の確保、本業への専念といった観点から、原則として他業を禁止した上で、一定の場合に限って兼業を認めることといたしております。この趣旨から、認められた業務以外を兼業している場合を免許拒否事由としており、信託業務と兼業する業務の信託業務に与える影響、信託業務との関連性の二点によりその適否を判断することといたしております。
 具体的な兼業承認は、必ずしも兼業を奨励する、しないといった観点から行うものではなく、ケース・バイ・ケースの判断になりますが、兼業業務を的確に実施する体制が整備されているか、兼業業務を営む部門と信託業務を営む部門が明確に分離されているか、信託業務と兼業業務との間の利益相反行為の防止に関する内部管理体制が確立されているか等の一般的基準については、ガイドラインも含めた下位法令において明確化に努め、適正な運用を図ってまいりたいと考えております。
 受託資産の自己勘定への流用・移転規制、信託勘定の分別管理の義務付けなどに関する考え方についてお尋ねがありました。
 本法案では、受託した財産の自己勘定への流用・移転等を防ぎ、信託財産の保護を図るため、受託者たる信託会社に対し、忠実義務、善管注意義務と並び、信託財産と自己の固有財産及び他の信託財産との分別管理体制の整備、その他信託財産に損害を生じさせ、また信託業務の信用を失墜されることがない体制の整備を義務付けております。
 体制整備の具体的な内容といたしましては、信託財産が管理場所の区別その他の方法により、自己の固有財産と明確に区別し、かつ他の信託財産と判別できる状態で管理されていること、信託の計算を明らかにするための帳簿が整備されていること、法令遵守等に係る内部管理体制が整備していることなどを想定をしております。
 加えて、信託銀行が信託勘定の余裕金を自行の銀行勘定で運用する銀行勘定貸しを含む信託財産と固有財産間の取引について、信託契約において当該取引を行う旨などが規定されており、信託財産に損害を与えるおそれがない場合に限り可能とした上で、実際に取引が行われた場合の書面の作成及び受益者に対する書面の交付を義務付けることにより、一層の信託財産の保護を図ってまいります。
 受託財産に対する第三者への業務委託及び信託銀行への信託財産の集中の可能性についてお尋ねがありました。
 受託者は、委託者から信認を受けた者として基本的に自らの信託財産の管理を行う自己執行義務を負っているものと解されております。しかしながら、金融の分業化や専門化、資産運用におけるグローバル化等が進む現代において、信託業務のすべてを受託者が行うことは、信託業務の効率的かつ適切な遂行の観点から現実的とは言えない状況にあります。
 このため、本法案においては、受託者が信託契約の定めにより委託された業務を的確に遂行できる者に対し、信託業務を委託することを認めております。ただし、業務の全部を委託することは、信託業の引受けを免許制又は登録制とした本法案の趣旨を逸脱することから禁止をいたしております。
 このような第三者に対する業務委託に加え、信託会社等への再信託については、業務を行う再信託先が信託会社又は兼営金融機関であり、本法案又は兼営法の適用を通じて受益者保護が図られることから、信託業務の効率的かつ適切な遂行のために望ましい場合には、信託業務の一部又は全部の再信託も許容されるものと考えております。
 信託業務の第三者に対する業務委託又は再信託のウエート及び信託銀行への集中の可能性については、本改正に伴う新規参入や再委託等の動向等によるものであり、具体的な想定をすることは困難と考えておりますが、いずれにせよ、受託者の忠実義務、善管注意義務に基づき業務委託や再信託が適切に遂行される必要があると考えております。
 財産的基礎や営業証拠金に関する受託財産規模に合わせた段階的規制の必要性についてお尋ねがありました。
 信託制度を国民に活用されるには、委託者が安心して財産を託せるとともに、安定性、継続性に信託サービスを提供することができ、さらに、管理失当責任による損害賠償にも堪え得るといった要請を満たす確固たる財産的基礎を有することが重要であります。このため、本法案では、株式会社に確保するべき基本的財産を示す資本及び実際に維持している純資産額に関する最低限の基準として、受託財産規模にかかわらず一定の金額以上であることを求めることとしております。
 また、信託会社などが信託業務を営むに当たっては、管理の失当等により受益者に損害を与えるおそれがあることから、本法案では、一定の金額の供託を求める営業保証金制度を定め、受益者に営業保証金に対する優先弁済権を認めることとしております。その際、信託会社については、営業保証金のみならず、最低資本金規制、純資産額規制等を総合的にして受益者の損害への備えとしていること、営業保証金の供託は強制的に手元資金の供出を求める仕組みであり、資金の効率的な活用を妨げる側面もあることから、その水準を過度に高いものにすることは望ましくないことなどを踏まえ、受託財産規模にかかわらず営業保証金額を一定額としております。
 グループ内企業の知的財産権の評価の公正性、客観性の担保についてお尋ねがありました。
 本法案については、委託者がグループ企業内の受託者に対して財産を信託し、かつ受益者がグループ企業内にとどまる場合は、グループ外に第三者たる受益者が存在せず、またグループ企業内でのモニタリングが働くことが期待されるため、規制、監督を通じて委託者、受益者の保護を図る必要は低いと考えられていることから、届出のみによって信託業を行うことができる等の特例を設けております。
 もとより、このようなグループ企業内の信託についても、受託者及び委託者において合理的かつ目的に沿った公正かつ客観的な会計処理がなされる必要があるのは当然であり、知的財産権の信託の場合も、委託者及び受託者等のグループ企業内でのモニタリングや、監査役、会計監査人等の関与により、当該知的財産権の評価の公正性や客観性が担保され、適切な会計処理が行われるものと考えております。
 信託銀行や信託会社が保有する株式の議決権行使についてのお尋ねがありました。
 現状、信託銀行においては、委託者との契約において、信託勘定で保有する株式の議決権の行使方法が一般に定められております。また、年金信託のように議決権の行使が受託者にゆだねられている場合には、信託銀行は委託者にとっての株主価値の最大化を目的に議決権を行使するものと承知をいたしております。
 いずれにいたしましても、議決権の行使の在り方は、受託者たる信託銀行、信託会社と委託者との間の私人間の契約の内容によりますが、引き続き受託者において、適切な議決権行使を含め、受託者責任が十全に果たされるよう促してまいる所存であります。
 日本版SECの設置や包括的な利用者保護法制の整備の考え方についてお尋ねがありました。
 日本版SECの設置については、金融コングロマリットの出現や金融商品の一体化といった流れを踏まえれば、金融行政当局に関しても、銀行、証券、保険の各分野を業態横断的に所管し、企画、検査、監督、監視と機能別に編成することが適当であると考えております。このため、金融庁としては、日本版SECを創設し、証券行政部門を銀行・保険行政部門から切り離すことは適当ではないと考えております。
 包括的な利用者保護法制の整備については、二十一世紀を支える金融の新しい枠組みとして、金融サービスに関する機能別、横断的なルールの整備を進めることは重要と考えており、これまでも金融商品の販売等に関する法律を制定し、金融商品を横断的に対象とする利用者保護のルールの整備に取り組んできたところであります。
 さらに、現在、金融審議会において、証券取引法の投資サービス法への改組の可能性も含めた、より幅の広い投資家保護の枠組みについて検討が行われているところであり、今後とも、機能別、横断的ルールの整備を着実に進めてまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣中山成彬君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(中山成彬君) 大塚議員より知的財産の価値評価についてのお尋ねでございます。
 経済産業省におきましては、産業構造審議会に設置しました小委員会におきまして、知的財産権の価値評価手法の検討、整理を行いまして、本年六月には、特許権、商標権及び著作権のそれぞれにつきまして、権利の性質、外部市場の有無などについて十分に踏まえつつ、目的や場面に応じた適切な価値評価手法を選択するための課題や留意点等を中間論点整理として取りまとめ、報告いたしました。
 他方、民間におきましても、本年六月に日本公認会計士協会から知的財産評価に関する中間報告書が取りまとめられるなど、取組が一層活性化してきているところでございます。
 経済産業省といたしましては、今後、さきに紹介しました中間論点整理が民間の取引の際の参考とされ、実際の取引事例の蓄積が促進されることを期待しております。
 以上でございます。(拍手)
#13
○議長(扇千景君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#14
○議長(扇千景君) 日程第一 住宅の品質確保の促進等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土交通委員長田名部匡省君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔田名部匡省君登壇、拍手〕
#15
○田名部匡省君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土交通委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、公益法人に係る改革を推進するため、住宅性能評価等の業務について、実施する者の指定制度を、登録制度に改める等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、住宅性能評価機関等の登録制移行の効果、住宅性能表示制度の普及促進策、住宅性能評価手数料の在り方、欠陥住宅問題への対応等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終局し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して仁比委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 次いで、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決するべきものと決定いたしました。
 以上、報告を申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#17
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#18
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成            二百十九  
  反対               八  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#19
○議長(扇千景君) 日程第二 経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定に基づく特定原産地証明書の発給等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。経済産業委員長佐藤昭郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔佐藤昭郎君登壇、拍手〕
#20
○佐藤昭郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、経済産業委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定の適確な実施を確保するため、メキシコ合衆国に輸出しようとする物品が特恵関税の適用を受ける際に必要となる特定原産地証明書の発給等を適正かつ確実に行うための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、特定原産地証明書発給制度の意義、EPAによる産業構造変化の将来像、本協定が我が国経済に及ぼす影響、東アジアにおける我が国のFTA・EPA戦略の在り方等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#22
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#23
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成           二百二十六  
  反対               一  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#24
○議長(扇千景君) 日程第三 関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長浅尾慶一郎君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔浅尾慶一郎君登壇、拍手〕
#25
○浅尾慶一郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、経済上の連携の強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定を実施するため、メキシコの特定の貨物に係る関税の緊急措置の導入、協定に基づく関税割当制度の導入等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、協定の締結が日本経済に与える影響、輸入農作物の安全性の確保の必要性、二国間セーフガード発動の可能性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#26
○議長(扇千景君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#27
○議長(扇千景君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#28
○議長(扇千景君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十七  
  賛成            二百十九  
  反対               八  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#29
○議長(扇千景君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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