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1947/10/11 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第12号
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1947/10/11 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第12号

#1
第001回国会 文教委員会 第12号
昭和二十二年十月十一日(土曜日)
    午前十時四十八分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 西山冨佐太君
   理事 花月 純誠君
      野老  誠君    永井勝次郎君
      松本 七郎君    伊藤 恭一君
      押川 定秋君    五坪 茂雄君
      近藤 鶴代君    坂田 道太君
      圓谷 光衞君    水谷  昇君
      松原 一彦君    織田 正信君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
 出席政府委員
        文部事務官   日高第四郎君
    ―――――――――――――
十月二日
 北海道に國定教科書の作製委譲の請願(正木清
 君外二十一名紹介)(第七六四號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願(
 鈴木善幸君紹介)(第七六五號)
 秋田鑛山専門學校昇格の請願(島田晋作君紹
 介)(第七六六號)
十月八日
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 二件(松本淳造君紹介)(第七八六號)
 教育振興のための特殊郵便切手發行に關する請
 願(受田新吉君紹介)(第七八八號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(石川金次
 郎君紹介)(第七九七号)
 同(淺利三朗君紹介)(第八二一號)
 鹿児島青年師範學校を鹿屋市に移轉竝びに昇格
 の請願(的場金右衞門君紹介)(第八三九號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負擔の請願外
 三十四件(佐々木更三君紹介)(第八四一號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 學制改革に關する件
 學制改革、教員養成、教育施設、學校教科書に
 關する小委員選定及び小委員長選任の件
    ―――――――――――――
#2
○西山委員長代理 委員長が缺席でありますから、私が代つて取り運びたいと思います。では會議を開きます。
 學制改革に關する件を議題といたしますが、これに關連しまする委員諸君の御意見の御發表に先だちまして、文部大臣から學制改革に關する全貌につきまして、御方針をまず承りたいと存じます。
#3
○森戸國務大臣 學制改革の全貌について申し上げることにいたします。これは學制改革を含む教育刷新のことからお話申し上げるのが、順序であろうと思うのであります。
 敗戦後の日本は、すべてを新しく建直していかなければならぬのでありますが、教育についても、この必要が特に痛感されまして、教育竝びに學制の刷新については、實は戦前よりすでに進歩的な人々の間には一定の見解があつたのであります。戦時中は抑えられておつたのでありますが、それが敗戦とともに、従來教育竝びに學校施設の缺陷を痛感するに至りまして、これが刷新の必要であるということが一般の世論となり、文部當局もそれについて考慮いたしたのでありますが、同時に敗戦に伴うポツダム宣言竝びに占領後における管理政策は、日本の教育の内容竝びに構成について重大な指示を與えるに至つたのであります。この内外兩面要求に基きまして教育刷新が行われたのでありますが、その大まかな順序を申しますと、敗戦からその年末に至るまでは、大體管理政策に基きまして、従來の軍國主義的、極端な超國家主義的な思想、また神道的な傾向のある思想というものが、教育から排除されることを中心とした、つまりいろいろな新しい教育の邪魔になるものを除くというところに重點がおかれたのであります。それから昨年の初めころから、教育刷新をいかにすべきかということの積極的な問題が取上げられるようになりました。その火ぶたとなりましたのは、米國の教育使節の來朝でありました。この教育使節が日本の教育の現状を十分に調査され、さらに教育に關する新しい見地から、日本の教育の批判と刷新に對する具體的の報告が發表されたということは、御承知の通りであります。さらにこの使節を迎えるために、日本側の教育者委員會が組織されまして、これが使節團と協力しながら、また日本の教育の現状を調査し、新しい教育の刷新に対する案を立てたのであります。この案は委員會全體のものとしては發表されませんでしたが、有益な見解がまとめられておるのであります。さらに日本側の教育委員會が、より大規模な、もつと廣い範囲の組織となりましたものが、教育刷新委員會でありまして、これが内閣に直属のものとなりまして、日本教育刷新のことを調査研究し、さらに案を立てるという任務を帯びるに至つたのでありまして、教育刷新の根本の方策というものは、この教育刷新委員會の建議に基くところが非常に多いのであります。もちろんそのうしろには米國の教育使節團の報告書が非常な参考になつたのであります。かようにして、昨年八月にこの委員會ができまして、諸種の問題を相次いで審議いたされまして、その結果教育の根本方針に關するものと、學制改革に關するものとの意見が、それぞれの部會の討議の結果きまりました。それに基いて文部省と關係方面とはさらに協議を重ねた結果、教育基本法と學校教育法との二つの法律ができまして、今年の春、議會に提出されて、議會の協賛を經まして、三月末日に法律となつたのであります。これで實は日本の教育刷新の準備ができたのでありまして、本年四月一日から施行されまして、新しい教育刷新の制度に基く教育が發足するという段取りになりました。
 これが大きな經過でありますが、そのときに申し上げましたように、大體法律が二つできておるのであります。第一は先ほど申しました教育基本法であります。第二は學制の具體的なことを規定した學校教育法であります。しかし教育基本法は、實は學校教育法に定められた日本の學制の基礎になる原則を定めておる點もありますので、これと切り離しては考えられない關係にあるのであります。この教育基本法が提案された場合に、提案理由の説明としてあげられているところを見ますと、次のごとく述べられておるのであります。
 民主的で平和的な國家再建の基礎を確立するために、さきに憲法の畫期的な改正が行われ、これによつてひとまず民主主義、平和主義の政治的、法律的な基礎、いわばわくとなるべきものがつくられたのであります。しかしこの基礎の上に立つて、眞に民主的で文化的な國家の建設を完成するとともに、世界の平和に寄與すること、すなわちこのわくの中に立派な内容を充實させることは、國民の今後の不断の努力にまたなければなりません。そうしてこのことは、一にかかつて教育の力にあると申しても、あえて過言ではないと存ずるのであります。かかる目的達成のためには、この際教育の根本的な刷新を断行するとともに、その普及徹底を期することが何よりも肝要でございます。
 かかる教育刷新の第一前提といたしまして、新しい教育の根本理念を確立明示する必要があると存ずるのであります。それは新しい時代に即應する教育の目的方針を明示し、教育者竝びに國民一般の指針たらしめなければならぬと信ずるからであります。
 次にそれを定めるにあたりましては、従來のように、詔勅、勅令等の形式をとりまして、いわば上から與えられたものとしてでなく、國民の盛り上る總意によりまして、いわば國民みずからのものとして定めるべきものでありまして、國民の代表者をもつて構成せられます議會におきまして討議確定するため、法律をもつていたすことが新憲法の精神に適うものといたしまして、必要かつ適當であると存じた次第であります。
 さらに新憲法に定められておりまする教育に關係ある諸条文の精神を、一層敷衍具體化いたしまして、教育上の諸原則を明示いたす必要を認めたのでございます。さて、これら教育上の原則竝びにさきに申し述べました教育の根本理念は、単に學校教育のみならず、廣く家庭を含めました社會教育にも通ずべきものでありまして、これらの根本理念竝びに原則は、個々の教育法令に別々に掲げることなく、基本的な単一の法律に規定いたしまして、その他の教育法令は、すべてこの法律に掲げまする目的竝びに原則に則つて制定せられるべきものとすることが適當であると考えまして、この法律を教育基本法と稱した次第でございます。
 以上申し述べました理由に基きまして、この法案を作成したわけでございますが、この法案は教育の理念を宣言する意味で、教育宣言であるとも見られましようし、また今後制定せらるべき各種の教育上の諸法令の準則を規定するという意味におきまして、實質的には、教育に關する根本法たる性格をもつものであるとも申し上げ得るかと存じます。従つて本法案には、普通の法律にはむしろ異例でありますところの前文を附した次第でございます。」云云と言われておるのであります。
 この法律では教育の根本理念と特に新憲法に盛られた教育上の原則とが規定されておるということは、ここに書かれてある通りであるのであります。殊に教育上の理念竝びに原則についての重要な點を申しまするならば、第一には、新日本建設における教育の重要性を強調しておるという點であります。前文の中に「われらは、さきに、日本國憲法を確定し、民主的で文化的な國家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の實現は、根本において教育の力にまつべきものである。」という點で、新日本建設における教育の重要性が明らかにされておるということであります。これは従來日本の國が教育において認めてきた地位がいろいろな點で低かつたということでありまして、日本の國が軍國主義的非民主主義的官僚國家であるということを中心としておつたために、いきおい教育というものの地位がきわめて低く、それは大臣の地位や豫算の上にも實は客観的に現われていたのであります。こういう事態は新しい日本の建設にとつて適當ではないということが明らかにされておるのであります。
 次に教育の目的の點でありまして、教育の方針は明治憲法と表裏した教育勅語によつて明らかにされておつたのでありますが、教育勅語と表裏いたしました明治憲法の改革とともに、その表裏をなしておつた教育勅語が教育の根本的な原則としてそのまま妥當することが困難であるという形式上の理由のほかに、實質上にも教育勅語は在來明治日本において果してきた多くの重大な文化的な任務と、またその中に含まれておる指向せらるべき道徳的なモーラル・コードというものがあるにかかわらず、今日の新しき時代をつくつていく教育の根本方針としてはふさわしくないという見地から、教育の根本の方針は、新憲法の精神によらなければならぬということが明らかにされたのであります。この點が第二に注意すべき點であろうと思います。
 第三に注意すべき點は、教育を實際に實行する上のいろいろな諸原則でありまして、第一には教育権が尊重されなければならぬ、他の力で支配されるというようなことは、できるだけ避けられなければならぬということであります。これは戦争時代に、軍部の支配が教育に強い干渉をいたしたことも囘顧いたされます。また末端の教育行政においては、しばしば内務行政がいろいろな干渉的な事實をもつたというようなことから、かような外の力、あるいはさらにまた新しくはいろいろな政治的、社會的の力からも不當の干渉を受けないように、教育の自主性が重んぜられなければならぬという點であります。
 次には教育の中央集権ということが打破せられなければならぬ。従來の文教行政は非常に強く文部省的な支配のもとにあつた畫一的なものであつた。かような状態は改善せられて民主的なものとなり、その際地方分権ということが特に重要視せられなければならぬという點であります。
 第三には教育の機會均等ということでありまして、これはいろいろな面に行わるべきものでありますが、大體第一には身分に基く學校の制度というものは廢止されなければならぬ。たとえば學習院等特殊の身分の者の學校は存續することを許されない。また女子については、男女平等に教育を受ける機會が與えられなければならない。従來男女共學はありましたけれども、小學校のごく一部分でありまして、また女子には高等學校がなく、大學にはいるのに大きな障害になつておつたのであります。そういう點について男女平等の立場で教育機會を享受するとともに、男女共學ということが行われなければならない。もちろん男女共學はこれを強制するのではなく、共學が望ましいということであつて、特殊の事情から女子のみの學校と、男子のみの學校ができることも、事情が許せば當然認められることになるわけであります。
 その次には貧富の懸隔であります。教育が、殊に高等の教育が貧富の懸隔によつてはなはだ不平等にあるという状態は、現在の社會ではもつとも遺憾なことであります。しかし、これを根本的に平等にすることは、社會制度がこのままである限り實行できないのでありますから、學校制度の上で、できるだけ社會制度の上から來る不平等を少くしていくという建前から、教育の機會均等ということが考えられ得るのであります。小學校と中學校を義務教育にしたということ、義務教育が六年から九年になつたということは一つの大きなその方向への進歩でありますけれども、その上の學校は任意でありまするから、經濟的な餘裕のない者は、いくら實力があつても上の學校には行けないということが今日の事態であります。このことはきわめて遺憾なことでありまして、できれば能力のある者は、貧富にかかわらず上級の學校に進めるようにしなければならぬのでありまするけれども、全面的にこれを行うことができませんので、育英制度が設けられまして、政府もこれに援助をいたしまして、今日三億ほどの學生生徒に約一億の豫算で貸費をいたしておるのであります。しかし、これは學生の数から言えば、まことに微々たるものであります。それですからこれらの貧困にして勉強のできない人、それらの人は、すでに非常に殖えておるのであります。これらの人々について適當な措置が講ぜられなければならぬのでありますが、これにつきましては、高等學校においてパート・タイムの制度を設けていつて、働きながら勉強のできるような仕組、たとえば夜間の授業ということも高等學校竝びに大學について考慮し、通信教授ということも考えられておりまして、こういうような形でちやんときまつた時間に、晝間毎日學校に行けない働く青年も、全部とはいきませんまでも、ある程度囘學の意思のある者は、一定の條件のもとでは、働きながら勉強もできるという制度をつくつていきまして、今日の社會制度が教育上にもつておりまする缺陷を補つていくようにいたしつつあるのであります。なお不具者につきましても、従來ややともすれば、これらの不幸な人々は困却されがちであつたのを、これらの気の毒な人々についても義務教育の制度を行つていく體制を整えまして、機會均等ということをここにも及ぼしていきたい考えでございます。
 なお教育の機會均等とともに、教育の中立性ということも、民主主義の社會においては重視さるべきものでありまして、政治的教養、宗教的情操の涵養は、閑却されてはなりませんけれども、同時に官公立の學校で特殊の政黨、あるいは政派の主張が説かれたり、あるいは特殊の一宗一派の教説が説かれたりすることは、許されてはならぬのであります。かような意味で國家あるいは公共團體の営んでおりまする學校においては、政黨的宗教的中立性が厳守されなければならぬという建前になつておるのであります。まだほかにもいろいろございますけれども、大體かような大きな特徴をもつて新しい教育の根本の理念が定められておるのでありまして、新しい學制はこの根本的な原則に基きながら立案されておるのであります。
 そこでそれでは學制改革はどういうふうな姿をもつてくるかと申しますると、これは大體先ほど申した教育の民主化という線に沿いながら、教育制度、學校組織を単純化し、そして教育の水準を落さないようにしていくことを念頭におきながら立てられたものであります。
 この學校教育法の提案理由の説明を再び繰返しますと、「第一に教育の機會均等の見地から考えまして従來の學制におきましては、國民學校の初等科六年を終了して、國民學校高等科及び青年學校に進みます者と、中等學校を經まして高等學校、専門學校に進みます者との、二つの體系に截然と區別せられておりまして、前者は國民學校初等科修了者の七割五分を占めておりますが、彼らには、能力がありましても、高等教育を受ける機會がほとんど與えられていない實情であります。この點改正憲法に規定いたしまする、能力に應じてひとしく教育を受け得るという教育の機會均等が保障せられず、また高等教育を受ける希望を失いまするがために、國民學校高等科及び青年學校の教育そのものも効果をあげ得ないのであります。
 第二に、普通教育の普及向上と男女の差別撤廃について申しますと、公民たるの資質を啓發して、文化國家建設の根基に培いますることは、文化國家建設を中外に標榜するわが國の當然の責務であります。このため義務教育の年限を九箇年に延長いたしまするとともに、その範囲を擴充いたしまして、盲聾唖、不具者にもひとしく普通教育の普及徹底をはかりたいと存じます。義務教育の年限は、戦前八箇年に延長することに決定いたしまして、昭和十八年度から實施することになつておつたのでありますが、戦時中その實施が延期せられましたので、現在女子は満十二歳まで、男子は青年學校を含めまして満十九歳までとなつております。これは男女平等を規定する憲法の趣旨に抵触すると同時に、心身の發育不十分の時期から職業教育を施しまして、将來の方向を決定さしてしまうことになりまして、個性の伸長をはかるべき教育的見地からも不適當であります。九箇年の普通教育を無償の義務教育といたしまして、男女一般に課するゆえんでございます。
 第三に、學制を単純化することにつきましては、従來の國民學校、青年學校、中學校、高等女學校、實業學校、師範學校、専門學校、高等學校、大學など、複雑多岐な學制を単純化しまして、心身の發達の段階に應じまして、原則として六・三・三・四の小學校、中學校、高等學校、大學といたしたのでございます。
 第四に、學術文化を進展させます見地から考えますると、大學卒業までの修業年限は、従來のごとく中學校四年修了で、高等學校に進むといたしますれば、現行制度と新制度と同年になりまするが、中學校五年卒業で高等學校に入學いたしますとすれば、一年の短縮になります。しかして大學の数を増加することによりまして、大學教育を受ける人員を増加し、さらに大學の上に大學院を充實することによりまして、高度の文化水準の維持向上も期待できると存ずるのでございます。なお欧米諸國においても、義務教育の年限は大體八箇年あるいは九箇年になつております。六・三・三・四の制度は、米國のみならず、次第に世界の趨勢に相なつておりますので、世界文化の交流の見地からいたしましても、有意義であると存ずるのでございます。
 以上が學制改革實施のおもなる理由でございまするが、本案はこの六・三・三・四の學制を法制化したものであります。」
 こういうふうに述べられているのでありまして、かような見地から先ほど申した六・三・三・四の制度が設けられたのであります。さらにその上に先ほど申した大學院があり、将來は幼稚園が初めの六の前に一箇年義務的なものとするような方法が、大體とられておるのであります。大體こういうような形で新しい學制が、民主主義と平和主義の線に沿いながら、國家建設の重要な方途としてとられておるのでありますが、今日最も直接的な問題になつておりますのは、六・三の三の新制中學の問題でありまして、この點についてはすでに皆さんの御協力を得まして、三十一億の豫算が内閣におきましては賛成を得て閣議において承認を得ているのであります。私どもは一日も早く追加豫算が提出されまして、確定的のものになつて、最小限度でありますけれども、この六・三制度の急所といいますか、弱點といいますか、最もこの大事なものが強められることを期待いたしておりまして、また委員諸君の御鞭撻と御協力とを仰ぎたいと思つているのであります。
 さらに次の問題は來年から高等學校を實施することになつておるのでありますが、これにつきまして、私ども特に關心をもつておりますのは、勤労青年の先ほど申しました問題で、パート・タイムの高等學校をいかにつくつていくかということであります。當局におきましても、この點、委員會を設けまして、いろいろ考究をいたしておるのでありますが、私どもは前述の高等學校と竝んで、能力のある勤労青年が高等學校の教育を受け得るような定時制の學校がつくらるれように、心から願つておるのでありまして、この點ではあらゆる努力をいたしたいと存じております。なおそれと竝んで夜間の學校竝びに通信教育の面にも、できるだけ力を注いで、働きながら高等の教育を受けられるような體制を整えていきたいと存じている次第であります。はなはだ簡単でありますが、大體學制改革の大筋を申し上げた次第であります。
#4
○西山委員長代理 皆さんの御意見を御發表願います。
#5
○伊藤(恭)委員 ただいま承りました學制改革に關する説明は、よくわかりました。しかし大體こういうような趣意は、だれもかもよく了承しておる點でありますが、われわれの聽きたいのは、來年の政府で豫定しているところの新制高等學校の實施について、いかなる基準をもつてそれに當つておられるか。さらに二十四年度以後において豫定しておられるところの大學問題について、どういうような方途に進みつつあるか。しかもそれはいかなる程度に具體化いたしておるかということを承りたいのであります。そういう點については、まだいろいろ豫算の關係もあるでしようし、具體的なことは十分に成り立つておらぬという點もあるかと思いますが、しかしそれにいたしましても、現在文部省において企圖しておられるところの點について、ひとつこの文教常任委員會において十分にこれを檢討して、そうして先刻も大臣からのお話のありましたように、勅令的な政府の押しつけるところの學制ではなくて、ほんとうの國民の熱意から盛り上るところの、また實質的に經濟的に盛り上るところのそれによつてこの學制改革の法律案、施設、いろいろのことを成り立たすようにしたいのでありますから、そういう點から、やはりわれわれの考えの資料として、そういうようなことを一つ説明していただきたいと思います。
#6
○日高政府委員 ただいまの御質問は、比較的細部にわたりますので私から御説明申し上げたいと思います。
 新制高等學校は、發表いたしましたように、來年度から出發することにいたしまして、同時に一年生と二年生と三年生をつくる豫定であります。新制高等學校の認可には、學校の認可の基準を設けることになつておりまして、刷新委員會においては、なるべく教育の内容を抵下させないように配慮することを特に注意がありました。なるべく従來の高等専門學校のうちの相當學年に當るような教育をして欲しいという注文がついておるのでありますから、もしそういうことを厳密にとりますと、新制の高等學校の数を非常に減らさなければならないというような事態になりますし、また現在の中等學校が約三千七百あると思うのでありますが、それらの大多数のものは、新制の高等學校になる志望をもつておりまして、著々準備中でありますから、もし基準を非常に高くしますと、それらのものが一齊に内容充實のための運動を起すおそれがありまして、それが統制なく寄附金の募集等を始めますと相當財政的な混乱をもひき起しますし、今、大臣から申し上げましたような新制中學の實施にも、惡い影響を及ぼすおそれがありますので、はなはだ残念ではありますが、現在の國力に相應するような新制の高等學校をつくる以外に途がないのであります。新制高等學校の實施につきましては、暫定基準を設けて出發する豫定にいたしております。暫定基準につきましては教育刷新委員會とも連絡をとりまして、協議委員を委嘱して閣議の結果、大體暫定基準は決定いたしております。そうしてただ一點だけが今日まだ未解決になつておるのでありますが、それは教員の定員をいかに定むべきかというところになつておるのであります。委員會の方ではその教員の定員を相當数増すように強く希望いたしておるのでありますけれども、實施につきましては、内務省の側とのいろいろな折衝の結果、大きな經濟的負擔はかけないという約束をもつて、來年度から出發しなければならないことになつておりますので、この定員の定め方について、なお一點懸案が残つておりますが、しかし概略は定まつております。その概略の線は、従來の中等學校が、大多数無理なしに新制高等學校になれる程度の暫定設置基準を定めてあるのであります。これは近日中に檢討いたしまして、省令をもつて公布する豫定でございます。
 それから定時制の高等學校につきましては、大體今の目標では、中心校を約千二百くらいに定めまして、それと連絡のある分校を約三千五百くらいの目標でつくりたいと思つておるのでありますが、どの地方にいくつどういうふうにつくるかということにつきましては、地方長官の裁量に委ねてありますので、これはほんの文部省の目標にすぎないのであります。われわれの考えでは、定時制の高等學校については、なるべく魅力のあるいい學校をつくりまして、初めから多数をつくらないで、幾分控え目にいい學校をつくることによつて、大衆から學校の増設が衷心望まれるような情勢においてつくつていきたいと考えております。
 この新制の高等學校につきましては、多少世間に誤解もございますが、これは高等普通教育を授けると同時に、専門的な職業教育をも併せて授けることにいたしてございまして、大體三年制度であります。これは一口に申しますと、アメリカの上級中學校に似たようなものと考えていいかと思うのでありますが、特別の職業教育を行う場合には、三年以上にすることができる。そうして初めから、たとえば五年制度の高等學校もつくることができるのでありまして、五年計畫で高等普通教育と同時に職業教育を施すということも可能であります。これは年限から言いますと、従來の専門學校を吸収することができるような制度になつております。なお今の三年のほかに短期の職業教育を施すために別科とかあるいは専攻科とかいうものを置くこともできるようになつております。先ほど申しましたように、新制高等學校の内容の充實改善等につきましては、現在の國力をもつては、これに力を注ぐことができませんので、他日に委ねまして、別にその内容改善及び充實等を講ずるつもりであります。
 それから大學の問題でございますが、新制の大學の設立の手續につきましては、いつか申し上げたと思いますが、大學の設立基準というものが大方でき上つております。これは司令部からの指導もございましたが、文部省及び現在の官立及び私立の大學の代表者によつて檢討を續けてまいりまして、今年の七月頃に大體一般の大學の基準と、文科系の大學の基準と、理科系の大學の基準と、女子の大學の基準とがほぼでき上つておるのでありますが、目下多少檢討する必要が起りまして、全體を統一的にするために、もう一度檢討をいたしておるのでありますが、その大學の基準ができ上りましたならば、その基準によつて大學に昇格したい學校を諮りまして、その審査の上で文部大臣がこれを認可する手續をとることになつております。その認可の審査をいたしますのは、學校教育法の第六十条に定められております大學設置委員會と申します。大學設置委員會につきましては、目下法制上の手續を急いでおりまして、近いうちに――おそらく來年早々くらいに準備が完了いたしまして、出發できるかと豫想いたしております。これは大體四十から五十人までの間の委員を文部大臣が委嘱いたしまして、さうしてそのうちにはあとで御説明申し上げますが、現在の大學でもつてつくつております大學基準協會というものから約半数の委員をあげておりまして、他の半数は學識經験者をこれに充てる豫定であります。そのうちには審査を受ける學校の代表者ともいうべき者を、いわゆる利益代表というのではなくて、現實の事態をよく認識しておる、判断力のある人という意味において、各高等専門學校の代表者も若干名加え、政府關係の責任者をも若干加えまして、そのほかに一般的な中立的な學識經験者をも加えて、運用の公正を期したいと思つておるのであります。先ほど大臣から御説明のありましたように、新制中學につきましても、相當準備不足でもありますし、資材その他の用意も足りないのでありますが、これは一應強行する豫定でおります。新制の高等學校につきましても、先ほど申しましたように、はなはだ貧弱な用意でありますけれども、一應出發する豫定でおるのでありますが、大學につきましては、事情が許すならば、あまり無理をして強行しないようにいたしたいと思つておるのであります。それにつきましても、やはり現在の國力から申しますと、現在日本にあります高等専門學校の数が約三百六、七十あるかと思います。青年師範學校等を入れますと、その上に百十ばかりあるかと思いますので、大體四百いくつかの學校轉換問題でありますが、これらのものを一々の學校を十分擴張もし充實もして基準に適うような大學にすることは、現在の状況においては、ほとんど不可能なのでありまして、それについてあわてて大學にすることは、かえつて害を残すのではないかということを、非常に憂えておるのであります。ただいまのところ文部省といたしましては、これはまだ正式に決定しておるわけではございませんけれども、關係方面ともよく連絡、打合せをいたしました上で、學校法を一部修正いたしまして、三年制度の大學をつくり得るようにいたしたいと思つておるのであります。三年制度の大學ならば現在の高等専門學校を非常に擴張したり、充實をしたりしなくても、できるのではないかという見透しをもつておるのであります。もちろん内容の改善、教師の資質の向上等については、あらゆる努力を拂わなければならないと思うのでありますが、資材もしくは資金等を巨大に必要とするような、いわゆる大學の建物や施設の擴張ということは、現在では望めませんので、内容的な方面の充實によつて、しばらくの間、暫定處置として三年制の大學を設けてはどうかと考えております。それにはやはり一定の暫定基準を設けて、同じような手續や順序を經て大學に轉換させていきたいと思つておるのであります。この點はまだ正式に決定しておるわけではないので、多少の変更は免れないものと思いますが、そういう方針で準備を進めております。大學の轉換の實施は二十四年度と一應目標を立てておりますが、これはまだ十分構想が定まつておりませぬのと、財政その他の現實の状況を十分考慮いたさなければなりませんので、閣議決定には至つておりません。近いうちにそれらのものを十分檢討いたしました上で、閣議の決定を經て、正式に發表いたしたいと思つておるのであります。
 一つ大學轉換についてのつまづきになつております點を申しますと、これは醫學制度の問題であります。つまり醫科大學の問題でありますが、醫科大學の構想については、教育刷新委員會においては、六・三・三の新制の高等學校を卒業した上で、二年程度の大學の前期の――醫科の専門教育を受ける前に、基礎的な文科的な教養を濟ました者を、四年の醫科の専門教育を授けなければならぬ。こういう決定になつておるのでありますが、これは別に司令部の民間教育情報部ではございませんで、公衆衛生福祉状態に對する關心から、醫學教育を高めなければならぬという點で、特に設けられました醫學教育審議會という委員會がありまして、その醫學教育審議會では専門家が集まりまして、よい醫者をつくるためには、どういうふうにしたらいいかということを論議した結果、三年の基礎的な教育をした上に、四年の専門的な醫學教育をしなければならないという結論に到達しております。一方は全般的な日本の教育の根本方針を定める委員會でありますし、一方は専門家の集まつた委員會でありますので、その兩方におのおの重要な意味が含まれておりますので、それらのものを近日中に適當に處理をいたしまして、文部省の責任ある處置を決定いたしたいと思つております。これはまだ懸案として残つております。
 もう一つは、教員養成機關の轉換問題であります。これについては、刷新委員會の結論と、關係方面の意向との間に若干の相違がありまして、まだ決定に至つておりません、これらの點は兩方ともに十分な理由もあることでありまして、決して矛盾するものではなくて、むしろ相補うものであるというような見解から、その調和ある歸結に到達し得る見込みをもつて、目下準備を進めております。この二點がきまりますと、大體大學に對する計畫が具體化し得るものと考えておりますが、その具體化の上においては、なるべく早い機會に一般原則適用の具體案も發表いたしまして、世間の不安を除くと同時に、将來への準備をいたしたいと思つておるのであります。こまかい點につきましては、御質問に應じて、またお答え申し上げたいと思います。
#7
○圓谷委員 來年度より高等學校の實施を断行するというお話でありますが、昨年六・三案を實施されたときにおいては、ようやく閣議が決定したのは、三月六日かと私は思つておりますが、地方においては準備が進まなかつたために非常に混乱を來したのですが、豫算その他の準備を一日も早く地方に通知するという方途に出ていただきたいと思うのであります。
 それからもう一つ、三年生まで一挙に實施するというお話ですが、現在中學校におるところの二年、三年でありますが、これは試験制度をもつて採用するのか、現在おるところの二年、三年を昨年六年制を實施したような形でただちに入れるか、どちらにするかということが一つ。それから暫定基準によつて大體現在の中等學校の何割程度のものを文部省で認可するという考えであるか、その點をお伺いしたいと思います。
 それからもう一つ、これは學制改革とちよつと違いますが、文部大臣がおいでのようですからお伺いしますが、千六百圓の基準については、地方の中等學校、小學校等に、まだ金が行つておらないので、非常に苦しんでおるのですが、これはいつごろ實施されるか、これを御確答願いたいと思います。
 それから六・三案實施について資材の入手困難から、文部省は六月十三日だつたと思います。期日はちよつとはつきりしませんが、地方の手持ち資材、すなわち村有林あるいは社木、それから軍事施設等に對する既設の既有資材については、活用してもよいというような通知が以前あつたように承知しておるのでありますが、その後、復興院の出先等との間が圓満にいかないで、これが非常に混乱に陷つておるのであります。特に社木等に對しては、來年の三月限り官有に没収される形になつておるのですが、これは地方によつては、非常にこの六・三案實施には役立つ資材をもつておる村々も多くあると思う。町村長會、各學校長からは、縣に向つて要請されておるし、縣の社會課の方でやつておるのですが、社會課の方でも、はつきりと文部省がこれらの資材は六・三實施について使つてもよいということになれば、だんだんとこれを認可していくことができるのであるが、遺憾ながらそれが文部省としてははつきりした通知がないために困つておる。こういうことでありますが、この點について御考慮願いたいと思います。
#8
○日高政府委員 御質問の中の新制中學校の實施の閣議設定は、私の記憶では二月二十六日だと思つております。非常に差迫つてから決定いたしまして、各方面に非常に御迷惑をかけたことは、まことに相濟まないと存じておりますが、事が急でありまして、餘裕がなかつたものでありますから、はなはだ無理であることは承知いたしながら、出發せざるを得なかつたので、その點は御了承いただきたいと思います。そして新制高等學校の準備もできるだけ早いうちに完了いたしまして、御指摘のように混乱を少くさせるために、できるだけ早く發表いたしたいと思つております。これは今後も努めたいと思つております。
 それから暫定基準を適用すればどのくらい學校ができるかという御質問でございますが、これは何割をつくるというような見當をつけての暫定基準ではなしに、大多数のものが新制高等學校になれる程度の基準にいたしたいと思います。一々どの學校を認可し、どの學校を認可したいということは、単に基準ばかりでなしに、地方の實情に應じて決定していただくように、これは地方長官の裁定に任せてあります。文部省が一律に、基準に該當したものはみな認可するというばかりでなしに、地方分権的の意味で、各地方の自主的の解決にまちたいと思つております。それから六・三制の實施について村有林等を使うというようなことは、私は現實の當事者でございませんので確實なことは申し上げられませんが、村で學校をつくる際に、その村有林をみずから提供するようなことについては、できるだけ便宜を取計いたいということを言つておつたようにも聞いております。あるいはそういうことが可能ではないかというふうに私も想像しております。
 それから社寺については、先日ちよつとそういう情報も得ましたので、これは係が違いますが、私調べておきました。現在神社あるいは寺院等が國有財産になつております森林の無償貸付を受けておるのが、相當多数あると存じます。これが今年の五月二日に決定されまして、約六箇月の間に、そのような處置の申請を神社や寺院の方でいたさなければならぬことになつております。その六箇月の期限というのが差迫つている模様であります。これは農林省の問題に属しておるのでありまして、長い間神社、仏閣等に國有林を無償貸しつけておつたものについては、國有境内地及び社寺保管林の處分に關する法律というのが、今年の法律第五十三號によつて規定されておりまして、その法律の適用をまたなければ、勝手に處分はできないようになつております。ちようどそれについての解説書をもつておりますので、もし御必要がありましたならばごらんに入れることも結構と思います。結論たけに聽きましたが、この法律によつて決定されなければ勝手に従來の保管林を處分することはできないということになつております。
#9
○圓谷委員 千八百圓について……。
#10
○日高政府委員 千八百圓の實施の問題につきましては、私ときどき聞くのでありますけれども、内容が非常に複雑しておりまして、何遍聞いてものみこめないような、非常にこまかい論議をしておるようであります。文部省の學校教育局の庶務課でそのことを取扱つておりますので、手續の遅れないように、教員たちに迷惑のかからないように督促はいたしておるのでありますけれども、事が内務省と大藏省とに連關しておりますので、あるいは地方によつて行届いていない點があるかと思います。よく調べまして、規定通りになるべく早く實行されるように督促いたしたいと思いますが、こまかいことを御返事申し上げることができないのは、はなはだ残念でありますが、私ちよつと今ここで存じませんので、歸りましてよく督促いたしたいと思います。
#11
○圓谷委員 いま一つ伺いますが、高等學校の二年、三年に編入される場合の試験制度について……。
#12
○日高政府委員 申し落しましたが、それはやはり横すべりでもつて新制の中學校と同じような形で處置することにいたしております。たとえば現在の四年生は來年新制高等學校の二年生、それから五年生は三年生に、その學校が高等學校になる場合には試験を用いずして入れる方針であります。
#13
○圓谷委員 そうなりますと、今の昇格された學校はそれでよいのですが、町立や何かで絶對に高等學校に昇格できないものがある。そうするとその學校の生徒あるいは現在の新制中學校の三年生はどういうことになりますか。これは一年にはいる資格をもつておりますか……。
#14
○日高政府委員 現在の三年生は、新制の高等學校にはいる場合には入學試験を受けなければなりません。これは餘裕があれば、むろん無試験でありますけれども、しかし志望者と収容人員との間に差がありまして、試験をしなければ振い落せないという場合には、これはどうしても試験を受けなければならないと思います。
#15
○圓谷委員 しかしその學校におる三年生は横すべりで全部はいるでしよう。
#16
○日高政府委員 それは機會均等の意味で、新しくなる場合には、一年生については試験を用いて入れる方針であります。
#17
○圓谷委員 五年生の場合でも、同じ町なら町に、ここの學校は昇格したが、ここの學校は昇格できない。こちらの者は優先的に二年生に編入されるのですが、こちらの方の學校の生徒はできないということになりますが、その點いかがでありましようか。
#18
○日高政府委員 それは従來の中等學校は大體なれる方針でありますが、なれないときは、轉校の方式をとろうと思つております。
#19
○圓谷委員 わかりました。
#20
○野老委員 先ほどの御説明で、新制高等學校の暫定の基準は、まだ一點問題が残つているので決定を見ない、近く省令をもつて公布するというお話でございましたが、去る十月四日の日本産業新聞には、「新制高校基準成る」として、先ほど御説明の教員に關することだけは除かれて、他の諸點はきわめて詳細にわたつて掲載せられているのであります。これは文部省において發表せられたものでありますか、どうですか、それを伺いたいと思います。
#21
○日高政府委員 實は新制高等學校の實施が決定いたしましてから、各地方廳の教育責任者に集つてもらいまして、大體こういう基準をもつて進もうと思う、しかしこれは部内の打合せのための基準であるから今後の折衝によつては若干の変更があるかもしれない、しかしおよそこういう基準をもつて處置したいと思うということを、いわば非公式に傳えたことがございます。多分それが各地方において教育者の委員會等において討議を受けたり、あるいは将來の見透しについてその基準になつたりいたしているので、それが漏れて出たものだろうと思うのであります。私どもといたしましては、これは暫定の、ほんの教育行政上の参考のためにやるのであつて、どういうふうに変るかわからないということを申し添えて、實は傳えてあるのであります。
#22
○野老委員 それは文部省においては、ただいま御説明のような内容でありましても、ただいま申し上げましたように、一旦新聞紙上に「新制高校基準成る」という標題をもつて堂々と、あたかも文部省發表のごとくこれが掲載せられた場合、これが一般社會に與える影響、そして今後の文部行政を遂行していく上に、多大の支障があるのじやないかと思うのでありますが、そういう點について文部當局の御意見はいかがでございましようか。
#23
○日高政府委員 そういう心配は、初めからもつておりましたが、すべて確定するまで發表いたしませんと、時期が切迫いたしておりますので、各府縣の責任者に對しては、確定するまで發表しないということが、用意を不十分にさせるおそれが十分ありましたので、責任をもつて公表しないようにという依頼をして示したのであります。これはその當事者は必得ておりましても、人手を渡るごとにそういう注意が薄らぎまして發表されるであろうということは、あらかじめ覚悟はいたしておりましたが、應急の處置としては、これはやむを得ないものと考えて内示いたしたわけであります。
#24
○野老委員 そういたしますと、文部省においては新制高校基準というものはこのように決定するのであるけれども、しかしながらまだ未決定である、決定したような、決定しないような形においてこれを發表せられるのですか。それとも一應文部省としては決定になつたのだ、しかし取急ぐ關係上、この部分と、この部分だけは發表する、これについては変更しないという意味で一部分發表せられたのですか。それとも今後これは変更せられるということをある意味で豫想せられての上で發表せられたものですか、そこのところを伺います。
#25
○日高政府委員 それは高等學校の設置基準の設定委員會というものの答申がありましたので、その答申を大體そのまま内示いたしましたので、これについては多少の修正を必要とする、修正があるかもしれないということをあらかじめ断つて内示いたしたのであります。ある點は決定し、ある點は保留するという、そういうはつきりしたことを指摘いたしませんので、委員會の答申案を参考のために内示するというので内示したわけであります。
#26
○野老委員 そういたしますと、どの方面にこれは内示せられているのでありますか、つまり府縣ですか、學校當局ですか。
#27
○日高政府委員 それは府縣の學務課長に内示いたしてあります。
#28
○野老委員 修正せられるかもしれんという前提のもとに、こういうものを内示せられることは、まつたく何らの意味のないことであつて、そういう修正せられるかもしれないものをもとにして準備を進めるということは、非常に危険であり、地方における混乱の原因をなすものであると思う。決定せざる限りにおいては、文部省は内示することを差控えるべきである。もし準備という關係であるならば、その準備を取急いで、一度決定したならば変更を生じない、最後の決定のものを、地方に内示すべきものであろうと思いますが、それらの御見解を伺います。
#29
○日高政府委員 この基準につきましては、豫算の關係から言いますと、大蔵省とも折衝しなければなりませんし、また現實の適用の上から言いますと、内務省との連絡も考えなければなりませんし、法制化する上から言いますと、法制局の手續も經なければなりませんし、また特別な政治的の責任から關係方面とも連絡いたさなければなりませんので、それをやつておりますと、正式の決定には相當ひまどります。それを待つておつたのでは時間が足りなくなつて準備不足に陷るおそれがありますので、十分その點を念を押しまして、内示いたしたわけであります。私どもとしては、多少の危険があることは覚悟いたしたのでありますが、全體的な準備の促進のためには、多少の缺點は覚悟して發表いたしたのであります。
#30
○野老委員 さきに教育委員會法案というものが、やはり同様新聞に發表せられたことがございます。また今囘この新制高校の準備というものが新聞に發表せられて、しかもそれが確定案でないということであります。私の希望といたしましては、確定せざる以前に發表せられることは差控えた方がよろしいのではないか、こう思つております。
 次に新制高校が明二十三年度より實施になるわけでありますが、先ほども御質問がございましたが、昨年の新制中學校の發足にあたりましては、私、千葉縣でありますが、千葉縣においては、四月にはとうてい間に合わないで、五月にはいつてから開校を見たのでありますが、新制高等學校は四月一日に開校できる見込みでありますか、その點はつきりと御答弁願いたいと思います。
#31
○日高政府委員 四月一日から發足できることを目標にして、極力努力いたしたいつもりでおります。
#32
○伊藤(恭)委員 ただいまの野老さんの御意見も、一應ごもつともと思います。しかしながら、この教育の地方行政制度でも、地方分権ですから、やはり下から盛り上つてくるところの力によつてきまるのでありますから、やはり本省としては一應發表せられる、それによつていろいろの議論があつちにもこつちにも起きます。であるからして、先刻政府委員が言われたことくに、これは確定的なものではない、さらにこれによつて十分に檢討して、間もなく決定するものであるというようなことを、はつきり新聞にも書かれたならば、決して混乱でなしに、むしろそれが一つの研究材料となつて、民間において非常に檢討せられると思う。そういう意味から言いまして、これを發表せられることは必ずしも惡くない、私はこう思うのであります。但し、それには誤解を生じないように、文部省としては、その點をはつきりして、それから發表された方がよい。それからなお、先刻圓谷さんからお話がありましたような、社寺の國有林をそれに轉用するというようなことになるのでございまして、これも私は前に一遍研究したことがありまして、いろいろ府縣の方とも連絡をとつてみましたが、今年の五月二日から来年の五月二日に至る約一箇年の間でやる。こういうことを聞いておりますが、先刻の日高政府委員のお話によると、約六箇月ということでありますが、これはわれわれは一箇年と聞いておりますが、これをひとつお伺いしたいと思います。
#33
○日高政府委員 十分に調べておりませんので、間違いのない御返答を申し上げかねるのでありますが、實は擔當の主務課というのがございまして、その主務課の方へ行つてちよつと聽いたのであります。そうしますと、五月二日から半年の間に申請をしなければならぬ。半年と言いますから、十一月一日まで、その間に申請をしなければならぬ、あるいはそれは一箇年というのは、一箇年内に決定されるのかもしれませんが、その邊は私はまだ調べてございません。必要がありますればよく調べてから御返事いたします。
#34
○野老委員 先ほどの續きになりますが、そう言えば、暫定的な研究の資料を提出なさいます際に、文教委員にもそれを参考資料としてまわしていただくことを希望いたします。
 もう一つお願いたします。これは大臣にお伺いしたいのでありますが、一時手當の支給に關することであります。これは御承知の通り、政府と全官公廳との覚書を中心にして、支給せられることになつたわけでありますが、その覚書を忠實に履行するためには、この際一方においてその支給方を大幅に変更いたしまして支給するということは、覚書の趣旨にも相反するわけでありますし、第二には、教職員の俸給を決定いたしますのは、大體七月案の號俸を定めます際に、七月の本俸を決定いたします際に、全國をAクラスとBクラスとCクラスと三段階にわけて、そうしてその差額は相當の差額をもつているわけであります。それに暫定加給額というものは、大體においてその月俸に按分して給與せられているし、さらに暫定臨時増給というものが、やはり同様に月俸に比例して給與せられておる。それに従来は地域給與と地域給というものが支給せられておつたわけでありまして、要するに月俸や暫定加給、暫定臨時増俸、それらにはいずれも地域給という地域差というものがつけ加えられているわけであります。それに従来は特地が三割、甲地が二割、乙地が一割、丙地はゼロということで、差等を設けて支給せられておつたのでありますが、今囘はそれが丙地を一とすれば、超特地が六という、いわば六倍の大きな差等を設けてこれを支給するということは、地方の實情その他に合致しないものと思いますので、これをぜひ従来通りの率をもつて支給せらるるように大臣に御盡力を願いたいと思いますが、これについての御見解を承りたいのであります。
#35
○森戸國務大臣 ただいま野老委員の御質問の點でありますが、千六百圓から千八百圓までの二百圓の三箇月分をどういうふうにわけるかという問題になつてくると存ずるのであります。この點につきましては、實は大體の分配する金額はきまつておつたのでありまして、その金額は大體關係の労働組合の意見に従つて分配することが妥當であろうというので、どういうふうにわけたらいいかという意見を實は當局で聽いたものと思うのであります。ところがこれについてどうも組合の側でまとまつた意見が出なくて、それでわける一定の割合を定めることは政府の方でやつてくれということであつたようであります。そこで給與局の方で一定の案を立てました。この案はただいま野老委員の言われたように地方差の非常に大きなものでありました、その意味は實は特別地域の方面の労働者の人人は、この方面の生活費が非常に高いので、それに對する特別な考慮をしてくれというやかましい催促が給與局等にあつたようであります。今までの配分では、その點の考慮が少かつたというので、今度の配分にそういうことを考慮して、よけいな地域差をつけて、そうして代表者の方にお示しをしたが、特別な意義がなかつたのでこういうふうになつたのであるという話でありました。これにつきましては、實は教職員組合の方から、そういうふうな委任はしていなかつたし、それについてはわれわれは反對である。殊に教員は地方におる人が非常に多いのであるから、こういうような大きな差は、殊に教職員組合にとつてははなはだ不満であるという、もつともなお申出がありまして、一應私ども労働閣僚會議にその點を申し入れ、なお給與局の方にも、給與局の方から受けた報告と、組合側からの私の聞いたところと違うが、どういうふうになつておるのか、ひとつ組合の人たちにも會つてよくその點の意見を聽いてきてもらいたい、こういうことを申し入れておいたのであります。しかし閣議では一應そういう前提のもとにきまりまして、案が議會に出ておりますので、議會においてこの點を十分審議せられて、そうして不合理なところは合理的な形になるようになることを私は希望しておるのであります。經過はさような状況になつております。
#36
○野老委員 この丙地と超特地が一と六の割合になつておるのですが、いかに特別地が物價が高い、生活費が高いといつても、六倍という大きな懸隔はないと思いますが、それについての大臣のお考えを承りたい。
#37
○森戸國務大臣 これはおそらく一と六というような比較ではなく、基本給にそれを加えたものとの比率をとらぬと、實際の給與の比率にはむずかしいのじやないかと思つております。一と六というのは、非常に強い形で出ております。そしてそれは大きな比率に過ぎると思いまするけれども、しかし全體の給與から言いますと、給與の全體を見るときには、それだけの開きでなくして、基本給と加えたものの比率を見て判断をすることが、全體としては妥當ではないかと思います。
#38
○水谷(昇)委員 關連して――ただいま野老君の御質問に對する大臣の御答弁によりまして、經過はよくわかりましたが、御参考までに申し上げたいのは、都市の中等學校におる先生が、新制中學校の校長にしてもらつて、その都市の隣接の町村に送つたのでありますが、そういたしますと百五、六十圓減俸になつた形になつたのであります。校長にはしてもらつたが、非常に減俸になつた。自分の家庭の經濟上から言うと、中等學校に置いてもらつた方がよかつたということと、それから都市と隣接の町村との關係はそういう違いがありますので、その校長が部下の教員を採用する段にあたりまして、都市には希望者が多いけれども、隣接の町村へはそれだけの違いがありますから希望者が少いので、教員を採用するのに非常に困る、こういうことを申して、このことは何とか是正してもらいたいという希望があるのであります。ただいま野老君の御質問のように、さらにこのことが大きくなりますと、都市の隣接の町村における學校へは教員の行き手が少いことになつて、經営上非常に困るということを、特にお含みをいただきまして、善處していただきたいと思います。
#39
○森戸國務大臣 水谷委員の御意見、まことにごもつともでありまして、そういうことを十分に考慮しながら、無理のないように、しかも公平な給與の方法を考えていきたいと存じております。
    ―――――――――――――
#40
○西山委員長代理 この際皆さんにお諮りいたしますことがあります。さきに教育及び教育制度に關する國政調査承認要求を提出いたしまして、その御決議をしました際に、具體的な調査に入る場合は、小委員會を設置して調査研究することに御了解を得ておきましたが、去る四日、理事會を開きまして、本委員會運営に關して協議をいたしましたところ、會期も大分切迫しましたので小委員會をただちに設けて、本委員會の活動を活溌ならしめ、文教委員會の方向を闡明ならしめたいとの議がありましたので、次の學制改革に關する小委員會、教員養成に關する小委員會、教育施設に關する小委員會、學校教科書に關する小委員會、以上四つの小委員會を設置したいと思いますが御異議はございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#41
○西山委員長代理 なお小委員及び小委員長の指名は、委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議はございませんでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#42
○西山委員長代理 それでは御指名をいたします。
 學制改革に關する小委員會
    原 彪之助君  松澤 兼人君
    松本 淳造君  伊藤 恭一君
    久保 猛夫君  西山冨佐太君
    坂田 道太君  圓谷 光衞君
    黒岩 重治君以上九名。
    教員養成に關する小委員會
    田淵 實夫君  野老  誠君
    中山 マサ君  米田 吉盛君
    柏原 義則君  近藤 鶴代君
    松原 一彦君
以上七名。
 教育施設に關する小委員會
    高津 正道君  永井勝次郎君
    松本 七郎君  押川 定秋君
    五坪 茂雄君  花月 純誠君
    水谷  昇君  豊澤 豊雄君
    織田 正信君
以上九名。
 學校教科書に關する小委員會
    高津 正道君  松澤 兼人君
    松本 淳造君  伊藤 恭一君
    西山冨佐太君  花月 純誠君
    水谷  昇君  松原 一彦君
    織田 正信君
以上九名。次に小委員長は、
 學制改革に關する小委員會委員長
           西山冨佐太君
 教員養成に關する小委員會委員長
           松原 一彦君
 教育施設に關する小委員會委員長
           花月 純誠君
 學校教科書に關する小委員會委員長
           高津 正道君以上御指名いたします。
 なお附け加えて申し上げますが、本委員會の開會定例日は月曜、木曜のところ、諸般の事情からしばらくの間、水曜、土曜に変更いたしたいと思いますから御了承を願います。
 本日はこれにて散會いたします。
    午後零時三十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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