2004/03/11 第159回国会 参議院
参議院会議録情報 第159回国会 環境委員会 第1号
#1
第159回国会 環境委員会 第1号平成十六年三月十一日(木曜日)
午後零時十分開会
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委員氏名
委員長 長谷川 清君
理 事 愛知 治郎君
理 事 小泉 顕雄君
理 事 清水嘉与子君
理 事 海野 徹君
理 事 ツルネン マルテイ君
大島 慶久君
加藤 紀文君
山東 昭子君
田中 直紀君
日出 英輔君
真鍋 賢二君
木俣 佳丈君
小林 元君
福山 哲郎君
加藤 修一君
山下 栄一君
渡辺 孝男君
岩佐 恵美君
田 英夫君
高橋紀世子君
─────────────
委員の異動
二月五日
辞任 補欠選任
愛知 治郎君 若林 正俊君
二月六日
辞任 補欠選任
若林 正俊君 愛知 治郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 長谷川 清君
理 事
愛知 治郎君
小泉 顕雄君
清水嘉与子君
ツルネン マルテイ君
委 員
山東 昭子君
真鍋 賢二君
小林 元君
加藤 修一君
渡辺 孝男君
岩佐 恵美君
田 英夫君
高橋紀世子君
国務大臣
環境大臣 小池百合子君
副大臣
環境副大臣 加藤 修一君
大臣政務官
環境大臣政務官 砂田 圭佑君
政府特別補佐人
公害等調整委員
会委員長 加藤 和夫君
事務局側
常任委員会専門
員 大場 敏彦君
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本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○環境及び公害問題に関する調査
(環境行政の基本施策に関する件)
(平成十六年度環境省予算及び環境保全経費等
の概要に関する件)
(公害等調整委員会の業務等に関する件)
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#2
○委員長(長谷川清君) ただいまから環境委員会を開会いたします。理事の補欠選任につきましてお諮りをいたします。
委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(長谷川清君) 御異議ないと認め、それでは、理事に愛知治郎君を指名いたします。─────────────
#4
○委員長(長谷川清君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。本委員会は、今期国会におきましても、環境及び公害問題に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(長谷川清君) 異議ないと認め、さよう決定いたします。─────────────
#6
○委員長(長谷川清君) 環境及び公害問題に関する調査を議題といたします。まず、環境行政の基本施策について、小池環境大臣から所信を聴取いたします。小池環境大臣。
#7
○国務大臣(小池百合子君) 昨年、環境大臣及び地球環境問題担当大臣を拝命いたしました小池百合子でございます。第百五十九回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、環境行政に対する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いしたいと存じます。私は、大臣就任以来、環境問題の様々な現場に足を運び、また環境問題に取り組まれている様々な方々との意見交換を続けてまいりました。中でも、昨年十二月にイタリアのミラノで開催された気候変動枠組条約第九回締約国会議、COP9の閣僚会合、中国の北京で開催された第五回日中韓三か国環境大臣会合で、各国の閣僚の方々と非常に有益な意見交換を行うことができたと考えております。
COP9閣僚会合では、共同議長を務めつつ、京都議定書の早期発効と、温室効果ガス排出削減に向けた地球規模の取組として、特に技術の開発と普及の重要性などを訴えました。さらに、米国やロシアなどとの二国間会談を行い、京都議定書の早期批准などを強く働き掛けました。
一方、国内におきましても、世界遺産の新規登録に推薦した知床を昨年十一月に視察し、自然の恵みのすばらしさを実感してまいりました。また、事業者や有識者、NGO関係者など各方面の方々との意見交換を定期的に行っております。
こうした中で、私は、環境問題の持つ難しさ、さらには奥深さを日々感じているところであります。環境問題は、人類全体の問題であり、国家の問題であり、地域の問題であり、国民一人一人の問題でもあります。したがって、環境問題を解決するためには、国内外のあらゆる立場の方々と協力しながら取組を進めていかなければなりません。その際には、取組を進める上での指針となる考え方を明確に示すことが重要と考えます。
私は、環境の世紀と言われる二十一世紀は、これまで人類が経験してきた産業革命やIT革命に続く、言わば環境革命の時代であるととらえております。環境を基軸として、私たちのライフスタイルや事業活動の在り方を根本から見直し、社会や経済を大転換させていこうとする動きは、既に世界の新しい流れになっているものと考えます。そして、我が国は、環境を礎とした国づくりによって、この新しい流れの先導者として世界をリードすべきであり、またそれができる国であると強く信じております。
このような基本姿勢を踏まえた上で、二つの分野横断的な視点を持って、持続可能な社会の構築を目指した取組を推進してまいります。
一つは、環境と経済の統合という視点です。
環境問題への積極的な取組は、新たな投資や技術革新を生み出し、雇用の創出や地域の活性化をもたらすだけでなく、企業や国の競争力を向上させることにつながります。
このように、環境を良くすることが経済を発展させ、経済の活性化が環境を改善するという好循環を生み出すことが重要です。環境と経済が一体となって向上する社会、すなわち環境と経済の統合を世界に先駆けて実現することこそが、二十一世紀の我が国のあるべき姿と考えます。
このため、事業者の自主的、積極的な環境配慮の取組が社会や市場で高く評価される条件を整備すべく、必要な措置を盛り込んだ法案を今国会に提出いたしております。また、全国のモデルとなるような環境と経済の好循環を生み出す町づくりや、環境ビジネスの育成、振興に取り組んでまいります。
さらに、ナノテクノロジーの活用を始めとする選択的、集中的な環境技術開発の促進や、先進的な環境技術の普及に取り組んでまいります。
もう一つの視点は、地域からの環境問題への取組の促進です。
日常生活や地域社会において一人一人が行う足下からの自発的な環境保全の取組は、経済や社会の様々な課題の解決に向けた原動力であり、新たなライフスタイルの創造へとつながっていくものです。
このため、昨年成立した環境保全活動・環境教育推進法を受けて、環境教育や人材育成による人づくりを推進してまいります。また、取組のネットワークの構築、地域の環境資源を生かしたコミュニティーづくりの支援などを通じて、環境保全の取組に関する意識の醸成、能力の向上を目指します。
この二つの視点を基本として、個別の施策分野についても着実に取組を進めてまいります。
まず第一に、人類の存続にかかわる重大な課題である地球温暖化対策の推進です。
京都議定書における我が国の六%削減約束の達成のため、燃料電池や風力発電などの温暖化対策技術の普及やライフスタイルの変革に向けた国民運動の展開など、対策を総合的かつ強力に実行してまいります。
また、本年は、政府全体の温暖化対策の評価、見直しを行う年です。地球温暖化対策推進大綱に基づく対策、施策の進捗状況を評価し、今後必要な追加的対策・施策を講じてまいります。その中で、温暖化対策税の導入が必要とされた場合に備え、温暖化対策税について国民的議論を展開し、国民や関係者の理解を深めてまいります。
京都議定書については、その早期発効に向けて、いまだ締結していない国々に強く働き掛けてまいります。また、二〇一二年までの第一約束期間の後も視野に入れ、すべての国が参加する共通ルールの構築を目指し、各国との政策対話を積極的に進めてまいります。
第二に、我が国の社会経済の健全な発展を図るため、大量の廃棄物の排出、最終処分場の逼迫、不法投棄の多発といった問題を解決し、循環型社会の形成を図ることが喫緊の課題となっております。このため、循環型社会形成推進基本計画に基づき、廃棄物等の発生抑制と適正な循環的利用・処分を総合的かつ計画的に推進してまいります。
また、ごみゼロ社会の実現に向けて、不法投棄防止対策を強化し、大規模な不法投棄を五年以内に撲滅します。その一環として、広域的な不適正処理事案に対処するための国の役割の強化や不法投棄の厳罰化などの措置を盛り込んだ廃棄物処理法の改正案を今国会に提出いたしております。
さらに、廃棄物処理・リサイクル施設の効果的な整備や、市町村による浄化槽の整備を充実してまいります。
第三に、多種多様な化学物質による環境汚染を防止し、国民の安全で安心な生活を確保することも重要な課題です。
自動車排ガス対策については、ディーゼル車について世界最高水準の排出ガス規制の実施、自動車NOx・PM法に基づく施策の総合的な推進、低公害車の普及促進を図ります。また、排出ガス規制の一層の強化を始めとする追加的対策を検討、実施してまいります。
浮遊粒子状物質などの原因となる揮発性有機化合物については、その排出を抑制するため、大気汚染防止法の改正案を今国会に提出いたしております。
国内の毒ガス弾等に関する問題については、昨年十二月に閣議決定した今後の対応方針に基づき、関係省庁と連携しながら、環境調査や情報収集など必要な対策を着実に推進してまいります。茨城県神栖町における汚染源調査についても、更に調査を進めてまいります。
海洋汚染の防止については、廃棄物の海洋投入処分を厳格に管理するためのロンドン条約改正議定書の締結に向け、海洋汚染防止法の改正案を今国会に提出するなど、国際協調による取組を強化してまいります。
このほか、化学物質による環境リスクの低減とリスクコミュニケーションの推進、健全な水循環・水環境の確保に向けた取組の推進、公害健康被害の補償と予防の着実な推進を図ってまいります。
第四に、生物多様性の保全及び自然と共生する社会の実現も重要な課題であります。
生態系などへの新たな脅威である外来生物については、生物多様性への被害を防止するための措置などを盛り込んだ法案を今国会に提出いたしております。
また、環境保全、観光、地域振興の推進につながり、環境教育にも役立つエコツーリズムは、持続可能な社会を形成する上で非常に重要な取組であると考えております。このため、私が議長となり、有識者、関係者を交えた推進会議を昨年十一月に設置いたしました。今後、エコツーリズムの一層の普及定着に向けた取組を進めます。
さらに、世界に誇れる国立公園づくりや、里地里山の保全、再生に着実に取り組んでまいります。
第五に、地方における事務体制を始めとした環境省の組織体制の充実強化を図ってまいります。
これらの施策の実施に当たり、環境省は国民に信頼される環境行政を進めてまいります。そのためにも、国民、民間団体、事業者、地方公共団体など各主体とのパートナーシップを構築し、幅広い力の結集に努めてまいります。また、国民に対し積極的に情報を提供し、環境行政の透明性の確保に努めてまいります。
山積する環境問題はいずれも待ったなしの状況であり、早急に取組を進めていかなければなりません。しかし、広範な環境問題を一気に解決することは難しく、むしろ一つ一つの取組の確実な積み重ねこそが重要と考えます。私は、環境行政の責任者として、これからも全力で取り組んでまいります。
委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
#8
○委員長(長谷川清君) 次に、平成十六年度環境省予算及び環境保全経費等の概要について説明を聴取いたします。加藤環境副大臣。#9
○副大臣(加藤修一君) 昨年九月に環境副大臣を拝命いたしました加藤修一でございます。環境省が小池大臣の下、その責任を十分に果たしていくことができるよう精一杯、環境行政に取り組む所存でございます。長谷川委員長を始め、委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。
それでは続きまして、平成十六年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算について御説明申し上げます。
まず、一般会計予算では総額二千八百三十七億一千四百万円を計上しております。
次に、特別会計予算につきましては、石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計に、一般会計から百二十五億円の繰入れを行い、歳入歳出予算を計上しております。
以下、その主要施策について御説明申し上げます。
第一に、総合環境政策については、環境と経済の統合に向けた取組の推進を図るほか、環境教育、環境学習の充実などに必要な経費として百一億六千九百万円を計上しております。
第二に、地球環境保全対策については、京都議定書の温室効果ガス六%削減約束達成に向けた地球温暖化対策に取り組んでまいります。あわせて、地球温暖化対策推進大綱の評価、見直しにおいて温暖化対策税の導入が必要とされた場合に備え、温暖化対策税について国民的議論を展開し、国民や関係者の理解を深めてまいります。また、米国や途上国との環境協力を含む地球環境保全対策の推進を図ることとし、これらに必要な経費として百四十五億九百万円を計上しております。
第三に、廃棄物・リサイクル対策については、産業廃棄物の不適正処理対策の強化と支障除去の計画的実施等を図ることとし、これらに必要な経費として七十六億六千二百万円を計上しております。
また、市町村の廃棄物処理・リサイクル施設、浄化槽の整備等に必要な経費として一千三百四十億八百万円を計上しております。
第四に、大気汚染等の防止については、低公害車の普及促進や自動車排出ガス対策の一層の推進などに必要な経費として二十七億円を計上しております。
第五に、水質汚濁等の防止については、健全な水循環・水環境の確保に向けた取組、閉鎖性水域における水質悪化の機構解明等の調査を進めるとともに、土壌汚染対策法の円滑な運用に必要な経費として四十七億七千七百万円を計上しております。
第六に、公害による健康被害者の救済等については、公害健康被害補償制度の適正かつ円滑な実施を図るとともに、茨城県神栖町など国内における毒ガス弾等に関する問題への対応などに必要な経費として二百五十四億六千九百万円を計上しております。
第七に、環境保全に関する調査研究、技術開発については、選択的、集中的な環境技術開発の促進と先進的な環境技術の普及に必要な経費として百九億三千八百万円を計上しております。
第八に、自然環境の保全対策については、移入生物対策等自然との共生に向けた総合的、体系的施策の推進、世界に誇れる国立公園づくりとエコツーリズムの推進や里地里山の保全、再生の推進などに必要な経費として百七十五億九千万円を計上しております。
以上が平成十六年度環境省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要であります。
次に、各府省の平成十六年度環境保全経費等の概要について御説明申し上げます。
まず、環境保全経費につきましては、平成十二年十二月に閣議決定をいたしました環境基本計画に盛り込まれた施策の効果的な実施に資する観点から取りまとめております。
平成十六年度における環境保全経費の総額は二兆五千七百七十二億円であり、前年度の当初予算に比べ千六百五十二億円、六・〇%の減となっております。
これを事項別に見ますと、地球環境の保全のために六千三百二十四億円、大気環境の保全のために二千六百九十七億円、水環境、土壌環境、地盤環境の保全のために一兆三百四十七億円、廃棄物・リサイクル対策のために千六百七十三億円、化学物質対策のために百五十六億円、自然環境の保全と自然との触れ合いの推進のために三千五百七十四億円、各種施策の基盤となる施策等のために千二億円が計上されております。
次に、財政投融資計画における環境保全関係経費については、主なものとして、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設等の事業を推進するため、地方債計画において一兆九千二百五十三億円を予定しているほか、日本政策投資銀行等において地球環境対策、循環型社会形成推進対策等、所要の融資を引き続き行うこととしております。
以上、平成十六年度の各府省の環境保全経費等の概要につきまして御説明申し上げました。
よろしくお願いいたします。
#10
○委員長(長谷川清君) この際、砂田環境大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。砂田環境大臣政務官。#11
○大臣政務官(砂田圭佑君) 昨年九月に環境大臣政務官を拝命いたしました砂田圭佑でございます。就任して以来、日々環境問題の重要さを痛感しているところでございます。今後とも、小池大臣、加藤副大臣を十分に補佐しながら環境行政に全力で取り組む所存であります。長谷川委員長を始め、委員各位の御指導、御鞭撻をよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
#12
○委員長(長谷川清君) 次に、公害等調整委員会の業務等について説明を聴取いたします。加藤公害等調整委員会委員長。#13
○政府特別補佐人(加藤和夫君) 公害等調整委員会委員長の加藤和夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、公害等調整委員会が平成十五年中に行った公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。
まず、公害紛争の処理に関する業務についてであります。
第一に、平成十五年に当委員会に係属した公害紛争事件は、兵庫県の住民から国等を相手方として申請のあった尼崎市大気汚染被害防止あっせん申請事件、熊本県の住民から国等を相手方として申請のあった九州新幹線騒音被害防止等調停申請事件、福岡、佐賀、長崎、熊本の四県の漁民及び漁業協同組合から国を相手方として申請のあった有明海における干拓事業漁業被害原因裁定申請事件等合計二十二件であり、これらのうち、平成十五年中に終結した事件は、昨年六月にあっせんが成立しました尼崎市大気汚染被害防止あっせん申請事件等十一件であります。
以上のほか、水俣病損害賠償調停申請事件の調停成立後に申請人の症状に変化が生じたとして慰藉料額等の変更を求める事件が一件あり、平成十五年中に終結いたしました。
第二に、平成十五年に都道府県公害審査会に係属した公害紛争事件は八十八件であり、工場、事業所、道路及び廃棄物処理場に係る事件が多くなってきております。これらのうち、平成十五年中に終結した事件は三十七件であります。
公害紛争処理法においては、当委員会と都道府県公害審査会はそれぞれが独立の機関として職務を遂行することとされておりますが、公害紛争の迅速かつ適正な解決のため審査会との間に緊密な連携を図っているところであります。
第三に、平成十四年度における全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情は、調査開始以来最高の約九万七千件に上っております。
これを苦情の種類別に見ますと、いわゆる典型七公害に関する苦情は約六万七千件で、それ以外の苦情は約三万件であります。
公害苦情につきましては、都道府県及び市区町村がその処理に当たっておりますが、当委員会としては、この事務を担当する職員の研修、苦情処理に必要な情報の提供等を積極的に行っているところであります。
続きまして、平成十五年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務について御説明申し上げます。
第一に、鉱区禁止地域の指定に関する事務について申し上げます。
当委員会は、主務大臣又は都道府県知事の請求に基づき、鉱物を掘採することが一般公益又は農業、林業その他の産業と対比して適当でないと認める地域を鉱区禁止地域として指定するものとされております。
平成十五年に当委員会に係属した事件は、渡良瀬遊水池関係地域の指定請求事件の一件でありまして、本年一月に指定公示を行い、終結いたしました。
第二に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する事務について申し上げます。
鉱物の掘採、岩石、砂利の採取の許認可処分等については、当委員会に対して不服の裁定を申請することができるものとされております。
平成十五年に当委員会に係属した事件は、青森県津軽国定公園特別地域内の土石採取不許可処分に対する取消裁定申請事件の一件でありまして、平成十五年中に終結いたしました。
第三に、土地収用法に基づく意見の申出等に係る事務について申し上げます。
当委員会は、土地収用法、鉱業法、採石法等に基づき主務大臣が裁決等を行う場合に、意見の申出、承認等を行うものとされております。
平成十五年に当委員会に係属した事案は、土地収用法に基づく意見の申出が二十六件、採石法に基づく決定の承認が一件であり、これらのうち、平成十五年中に処理した事案は意見の申出が十二件であります。
以上が平成十五年における公害紛争の処理に関する業務及び鉱業等に係る土地利用の調整に関する業務の概要であります。
続きまして、平成十六年度公害等調整委員会の歳出予算要求額について御説明申し上げます。
当委員会の歳出予算要求額は六億二千百万円であり、これを前年度の当初予算額六億四千二百万円と比較いたしますと、三・二%、二千百万円の減額となっております。
次に、その内訳でありますが、第一に、当委員会に係属する公害紛争事案の審理経費等として五億八千二百万円を計上し、第二に、公害紛争の処理を担当する都道府県公害審査会委員及び担当職員との連絡協議のための経費等として三千九百万円を計上いたしております。
以上が平成十六年度公害等調整委員会の歳出予算要求額の概要であります。
公害等調整委員会といたしましては、今後とも、これらの事務を迅速かつ適正に処理するため鋭意努力してまいる所存でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
#14
○委員長(長谷川清君) 以上で所信及び予算等の説明の聴取は終わりました。本件に関する質疑は後日に譲りたいと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十五分散会