2004/04/27 第159回国会 参議院
参議院会議録情報 第159回国会 国土交通委員会 第13号
#1
第159回国会 国土交通委員会 第13号平成十六年四月二十七日(火曜日)
午前十時開会
─────────────
委員の異動
四月二十七日
辞任 補欠選任
上野 公成君 加治屋義人君
木村 仁君 松山 政司君
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出席者は左のとおり。
委員長 輿石 東君
理 事
岩城 光英君
鈴木 政二君
池口 修次君
大江 康弘君
森本 晃司君
委 員
加治屋義人君
沓掛 哲男君
佐藤 泰三君
斉藤 滋宣君
田村 公平君
鶴保 庸介君
藤野 公孝君
松山 政司君
佐藤 雄平君
藤井 俊男君
弘友 和夫君
大沢 辰美君
富樫 練三君
国務大臣
国土交通大臣 石原 伸晃君
副大臣
国土交通副大臣 佐藤 泰三君
大臣政務官
厚生労働大臣政
務官 竹本 直一君
国土交通大臣政
務官 斉藤 滋宣君
国土交通大臣政
務官 鶴保 庸介君
事務局側
常任委員会専門
員 伊原江太郎君
政府参考人
公正取引委員会
事務総局経済取
引局取引部長 山木 康孝君
外務大臣官房領
事移住部長 鹿取 克章君
文部科学大臣官
房審議官 金森 越哉君
社会保険庁運営
部長 薄井 康紀君
国土交通省総合
政策局長 澤井 英一君
国土交通省総合
政策局観光部長 金澤 悟君
国土交通省海事
局長 鷲頭 誠君
国土交通省政策
統括官 矢部 哲君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○旅行業法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○海上運送事業の活性化のための船員法等の一部
を改正する法律案(内閣提出)
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#2
○委員長(輿石東君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
旅行業法の一部を改正する法律案及び海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長山木康孝君、外務大臣官房領事移住部長鹿取克章君、文部科学大臣官房審議官金森越哉君、社会保険庁運営部長薄井康紀君、国土交通省総合政策局長澤井英一君、国土交通省総合政策局観光部長金澤悟君、国土交通省海事局長鷲頭誠君及び国土交通省政策統括官矢部哲君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。─────────────
#4
○委員長(輿石東君) 旅行業法の一部を改正する法律案及び海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○藤野公孝君 おはようございます。自由民主党の藤野公孝でございます。今日は、海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案、それと旅行業法の改正と両方かかっておりますので、まず私は、この海上運送事業活性化法と略称させていただきますが、そちらの方から御質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
この改正の主なる対象となります内航海運業でございますけれども、私も広島の出身ということで瀬戸内海に面したところでずっと育ちました。昔から船の行き来を見ながら過ごしたわけでございますが、最近ずっと、地元に帰りましても、不況だ、不況だとか大変だというような話はずっと聞いておる。何とかこれの活性化ができないかということはだれでも思うわけですが、今回こういう活性化法というものが出てきて、私も一生懸命いい質問をしようと思って今日参りましたので、何とぞよろしくお願いいたします。
この内航海運でございますけれども、皆さんにもよく御認識いただいていると思うんですが、我が国の産業のいわゆる基礎物資といいましょうか、例えば鉄鋼でありますとかセメントとか、あるいは石油とか、そういういわゆる産業基礎物資と通常呼ばれるこういうものにつきましては、もうほとんど八割以上この内航が、内航海運が担っている、運送をしているという実態でございます。その意味において、ある意味じゃ地味な業界ではありますが、本当に日本の経済の支えとなっている業界でございます。
ただ、非常に、その業態といいましょうか業界の構造を見ますと、一杯船主も多いわけであります。非常に脆弱な経営基盤がいろいろ経済の動き等にうまく乗れないとかいろんな問題があって、需給ギャップが非常に生じやすく、そういう産業構造としての問題点があるということで、長年といいましょうか、正確に言うと昭和四十一年から平成十年まで約二十二年間、いわゆる需給ギャップの大幅な、そういうギャップが生じないように船腹調整もして、秩序の大幅な乱れがないようにきっちりそこはやろうということで来たわけですが、ただ、もう世の中そういう時代じゃないよと、国際化、グローバル化が進んで競争力を問われる時代になってきて、そういう守られた中でやっていくということは良くないということで、従来、登録制だったのを許可制にし、今度さらに、今度は許可制だったのを登録制にまた規制緩和するというような流れというふうに私は認識しておるわけでございます。
こういうまた規制緩和というのは、当然のことながら、内航海運の体質強化ということ、競争力強化ということが本当に今我が国の経済の再生に大きくこれが寄与するということ、それからこの業界が生き残っていく、きっちりと産業構造を支えていくということでも非常に重要だということで、この内航海運業の活性化の問題が喫緊の課題となっているわけですが、具体的に、今般のこの規制緩和というものがどのようにこの業界の競争力を高め、あるいはその体質改善に、強化に資するのかということについて、分かりやすくお答え願いたいと思います。
#6
○政府参考人(鷲頭誠君) お答え申し上げます。先生御指摘のとおり、経済グローバル化に伴う国際競争の激化などを受けまして、物流の効率化、高度化というのの要請が大変高まってくる中で、内航海運の運賃水準というものは平成七年と比較いたしますと約一五%、単価におきまして約二五%低下するなど、我が国の内航海運業界は厳しい経営環境に直面しておりまして、荷主企業の求める安全で質の高い輸送サービスを必ずしも十分に提供できていないという面がございます。
それからまた、一方で、京都議定書の採択を受けまして、環境保全に対する社会的要請というものが大変高まっておりまして、環境負荷の小さい輸送機関である内航海運というものに大きな期待が寄せられているということでございます。
こういう状況の下で、内航海運業界におきましては、現行法では荷主と直接運送契約を結ぶことができない船舶貸渡業者、オーナーと言っておりますが、オーナーの中に、荷主と直接運送契約を締結したいというそのことも視野に入れて事業の共同化を行うなど、意欲的な動きが出てきております。それからまた、原則として、現在のその許可基準の中では三隻以上の船舶の使用というものが条件になっているわけでございますが、この基準を満たすことができず、意欲のある事業者の新規参入が難しいとも言われております。
こういうような状況で、現行のその基準、許可基準の中でそのハードルが高いというようなことから、意欲ある事業者の創意工夫による事業展開が制約されているという面がございます。そこで、今回の改正におきましては、参入規制の緩和等を行いまして、意欲ある事業者の事業展開の多様化、円滑化及びその新規参入を促すことによって、競争促進による内航海運の活性化が図られるということが期待されるものでございます。
#7
○藤野公孝君 内航海運の活性化ということを考える、競争力の向上を考えるときに、どうしてもその船を動かす、あるいは船内で労働する船員の質の向上、あるいは労働力の確保ということがなければ全然絵にかいたもちになるわけでありますが、今回のこの船員法の改正等々ございますが、海運の活性化目指すといっても、実態を見れば、あの海運王国日本、船員もたくさんおりました。今、職場、魅力もないのか、若い人たちにとって、特に今後の若年、その労働市場における船員の確保という問題はもう本当に深刻な問題であり、ここがうまくいかないと、あとのことを幾らうまくやって、船種がどうだとかいったところで絵にかいたもちになるんですが。特に今、船員を見ますと、ちょっと調べたところでは四十五歳以上の船員が約もう五割ぐらいになって、これからどんどん五割、六割となるような状況の中で、船員の、若年労働船員の確保のための職場の環境改善といいましょうか、魅力ある職場を訴えていく、PRすることも含めて、どういう施策で若い人たちをこの職場に来てもらおうとしておられるのか、その点についてお伺いします。
#8
○政府参考人(鷲頭誠君) 若者にとって、今、先生がおっしゃられたとおり、なかなか魅力がないということも確かに私ども認識しておりまして、そういう魅力のある職場にするために、これまでも、船員の適正な労働条件、労働環境を確保する必要があると考えておりまして、従来より、船員労務官の監査とか、あるいは安全衛生に関する啓蒙活動などを通じて労働環境の改善を促進してまいりました。それからまた、内航船員を養成する海員学校とか、あるいはその乗船実習を行う航海訓練所におきまして学生の即戦力化のために教育内容を実践的なものに見直すということで、今までの見る、学ぶというような教育から、乗船体験をするとか、あるいはエンジンを分解して実際の整備を行ってみるといったような、触るとかできる教育へと転換をしてきております。また、今回の法律改正におきましては、まず船員法につきましては、適正な労働条件、労働環境を確保するために時間外労働をさせることができる範囲がこれまであいまいだったものを、労使協定を締結しなければならないこととして範囲を明確にし、時間外労働について適切に手当が支払われるようにするとともに、一日十四時間、週七十二時間を超える労働を禁止することによって過度の長時間労働の是正を図ることとしております。
それからまた、もう一つの船員職業安定法の改正に関しましては、常用雇用を前提とした派遣事業を導入することによりまして船員の教育訓練を継続的に実施すること、あるいはその福利厚生の充実を図ることを可能にしまして内航海運を魅力ある職場としていきたいと考えております。
さらに、学校におきましては、無料の船員職業紹介事業を実施することによって内航海運にかかわる情報を学生に積極的に提供し、若年船員の内航への就職意欲を高めることとしております。
#9
○藤野公孝君 今御答弁にもありましたように、法律の上では時間外労働というのは駄目だよということになっていても、実態、そういうクローズドのそういう職場で時間外、実質的な時間外労働になっていて、それをおかしいじゃないかということで、じゃ時間外労働をしてもいいけれども、きっちり払いなさいという形に今回なさったと思うんで、そういうような職場環境を非常に明朗化する、透明化していくというようなことも大きく条件の改善にはつながっていくということで、それは評価したいと思うんですが。一方、船自体も、私が広島の出身だとさっき申しましたが、何か内航の船というのは新しく更新する投資能力がなかったりいろんな理由があるんでしょうけれども、かなりもう古い船もたくさん使っているようですし、労働条件の改善とかいろいろ、経営環境の改善というのも大事ですけれども、今ちょっと例示いたしましたような船も良くしていくようなことも含めて、それがまた競争力の改善あるいは省力化、いろんなことにつながると思うんですが、この法律改正の範囲だけではなくて、今言いましたような船舶の改善も含めて、もっと幅広い対応がないとなかなか活性化はうまくいかぬのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#10
○政府参考人(鷲頭誠君) 先生御指摘のとおりでございまして、内航海運の活性化や効率化のためには、今回の法律改正だけではなく、例えば内航用新型船舶の開発といったものも含めて幅広い対応が必要であるというふうに考えております。具体的には、革新的な新技術の採用によりまして、大幅な環境負荷低減と経済性向上を可能とする次世代内航船、スーパーエコシップと言っておりますが、こういうものの開発とか、あるいは陸上から遠隔監視、診断等によりまして船上での機関部作業を大幅に軽減する高度船舶安全管理システムといったようなものの開発、実用化を進めております。
また、こういう技術開発だけではなかなか定着しないということもありまして、これらの円滑な普及を図っていくことというものも極めて重要でございまして、新技術の成果を踏まえて、船員の乗組み体制とか、あるいは各種設備の安全基準の適切な見直しといったような環境整備についても検討を進めております。
今後は、これらの検討結果を踏まえて、内航船に関する新技術の開発とかあるいは普及、それに対する支援といったものも総合的に実施していくつもりでございます。
#11
○藤野公孝君 もう長年船舶調整、失礼しました、船腹調整ということで守られてきた体質が、非常に一杯船主が多くて脆弱であるというようなことのこの業界を、本当に新しい若年労働力の注入も含めて活性化していく、元気のいい内航海運にしていくためには、相当踏ん張った努力が必要だと思うわけですけれども。一方、過去を引きずりながら改革はしていくわけです。古い船も解撤していかなくちゃいけない、新規参入、それから脱退、いろいろそこで新陳代謝が行われて新しい体質強化のできた業界ができていくと思うんですが、その今までの古い船を持ち、いろいろもうこの船を解撤したいとか、いろいろ業界の調整のためには御苦労なさっていると思うんですけれども、先ほど申しました平成十年まであった船腹調整終わったときに、やはり今後どうするんだと、船員も抱え、退職金も払わなきゃ、どうするんだということで作られた暫定措置事業というものが、今大変危機的状況にあるんではないかということで、こういう一種のセーフティーネットがしっかり働かないともう右往左往の危機感の固まりのようになって、みんな本気で新しい投資もなかなかうまくいかないしということで、さっき言いましたように、この業界の体質改善にブレーキが掛かるということになってはいけないなという観点から、この暫定措置事業についてのちょっと御質問をいたしたいんですが。
この収入というのが、新しい船を造ると、その新しい船を造った分に併せてそれが納付金が入る、それを原資にする。で、解撤のときは、そういう原資のファンドで解撤の方は交付金を払っていくというふうな形の仕組みで制度設計がなされたはずなんですが、当然のことながら、入ってくる、要するに新船建造をして納付金で入ってくる方のファンドがなければ解撤の方のお金がないから、いやどうしたらいいんだみたいになって困るというふうな状況の中で、この制度に対してかなりもう破綻しているんではないかとかいろいろ聞くわけでございますけれども、現状、それから今後の見通し等について御説明をお願いいたします。
#12
○政府参考人(鷲頭誠君) お答え申し上げます。先生御指摘のとおり、この暫定措置事業というのは船腹調整から完全な自由なマーケットに移るまでの間の暫定措置の事業として、内航海運業界全体での共同の利益を増進するためということで始められた事業でございまして、あわせて、業界の全体の構造改革を図るための事業であるということでございますんで、その円滑な実施が私ども海事行政の観点からも極めて重要であると考えております。
しかしながら、今、先生が御指摘されましたとおり、景気の低迷などによりまして船舶が大量に解撤される一方で、船舶建造が低調なため納付金収入が少ないと、だけど出ていくお金が多いということで、収支、差引きしますと暫定事業を円滑に実施していくための資金調達の必要があるということでございます。この点については、政府はこの資金調達の一部につきまして政府保証を行って事業の円滑かつ着実な実施をこれまでも支援してまいりましたし、平成十六年度予算におきましては、政府保証限度額を百六十億円増額をさせていただいたところでございます。
それから、また一方で、現状と今後の見通しについて申し上げますと、昨今の景気の回復に伴いまして船舶の代替建造というのが徐々に増加してまいりまして、昨年後半から納付金収入は着実に増加しつつございます。
政府の支援とも相まって、暫定措置事業というのは今後とも円滑かつ着実に実施されていくものと考えております。
#13
○藤野公孝君 もちろん、これは中継ぎというか、次のシステム、自由化への中継ぎでございますけれども、やはりそれへの信頼がありませんと政策の遂行にも支障を来すわけですが、規制緩和で今度登録制に移行することが、納付金逃れで、海運組合というか、そういう自由化を逆手に取ってというか、納付金逃れのための海運組合からの脱退に若干の傾向があるようなんですが、これが余り広がりますと、ますます今おっしゃった、せっかく新造で納付金が増えてきたと今おっしゃった芽がまた摘まれるように思うんですけれども、その辺についての対応はお考えでしょうか。#14
○政府参考人(鷲頭誠君) 先生が今おっしゃられたポイントというのは、大変私ども重要であると認識しております。いわゆる納付金逃れというのは、この内航海運業界全体の利益を増進する暫定措置事業の趣旨に反するものでございます。このような事業計画を前提とする今度の新しい制度における届出の申請、登録の申請につきましては、これを拒否することがあり得ると考えております。具体的には、登録拒否事由として、国土交通省令で定める基準に適合する事業計画を有していないことということで幾つか例示を、ということで規定していくわけですが、この省令におきまして、申請者の事業計画が内航海運組合法に基づき国土交通大臣の認可を受けて実施している事業の円滑かつ着実な実施を損なうものでないことという趣旨の基準を定めることを予定しております。
こういうことによりまして、いずれにせよ、今回の法改正によりその暫定措置事業に悪影響が及ぶことのないようにしてまいりたいというふうに考えております。
#15
○藤野公孝君 是非よろしくお願いいたします。今日、公取の方からも来ていただいておるので、ちょっとお伺いいたしたいと思います。
冒頭、鷲頭局長の方からも御説明ありましたように、一般的に不況の中でございますから、いろいろ価格、運賃等については横ばいないし、何というんでしょうか、若干の低下傾向というのは一般的な話で、そこは問題にするんじゃないんです。それにしても余りにもひどい内航海運運賃あるいは用船料等のあれがあると、傾向があると。さっきもちょっと平成七年とおっしゃったかな、何か一五%、もっと取れば二五%ぐらい下がったというのも聞いておりますが、もう全体の傾向はそうです。
それにしても余りにもひどいじゃないか、これがどうしてそうなるんだということで、鉄鋼、セメント、石油、さっき申しましたようなそういう基礎物資、産業基礎物資を運んでいる大手、数の少ない大手の荷主が多い。どうしても力関係がそこで、何というんですかね、言葉がちょっと強過ぎるかもしれませんけれども、優越的地位の、荷主なんかの優越的地位の濫用というようなことをよく言うんですが、そういう濫用という言葉がきつければほかの言葉をしますが、ちょっとそういうのがひど過ぎるなという気がして、これは公取の方もそれを認めていただいておるようでありますけれども、この辺の問題につきまして公取の方の御見解をお願いいたします。
#16
○政府参考人(山木康孝君) お答えいたします。内航海運を含みます物流分野におけます優越的地位の濫用行為に関しましては、昨年の六月に下請代金支払遅延等防止法が改正されまして、元請物流事業者と下請物流事業者との取引が同法の対象になりまして、取引の公正化を図るということで規制の対象になったわけでございます。それに加えまして、同法の規制の対象外になっております荷主と元請物流事業者の取引に関しましては、私ども公正取引委員会の方で特殊指定というルールを今年の三月に作りまして、取引の公正化を図っているところでございます。
いずれのルールも今年の四月から適用、施行されておりますので、今後はこれらのルールを活用いたしまして荷主又は元請物流事業者の優越的な地位の濫用行為につきましては対処をしていきたいと、かように考えているところでございます。
#17
○藤野公孝君 どうぞよろしくお願いいたします。この締めくくりに、今、大臣、お聞きになりましたように、内航海運というのはいろんな労働問題、それから今の荷主との関係とか市場問題とかいろいろあるわけでございますけれども、どうしてもやはり日本の産業の活性化の、再生のために、この業界をきちっとした競争力のある業界にしていくことは大事なことだと思うんですけれども、今回の改正を含め、大臣の御決意を伺いたいと思います。
#18
○国務大臣(石原伸晃君) 藤野委員が御質疑の中で御指摘されましたように、国内貨物輸送のおよそ四割、また基礎的な物資輸送、石油、セメント、鉄鋼等々では八割、我が国の経済の活性化ということを考えますと大変重要な役割を担っていると。しかし、今、委員が御指摘されましたように、優越的地位の問題あるいは若年者が入ってくるような魅力のある職場形成の問題等々様々な問題があるわけでございますが、その中でやはり優良な若手の船員の方が安定的に入ってくるということがやはりこの産業をつながっていく上で非常に私は重要なことだと思います。政府参考人が御答弁をいたしましたように、実践的な教育を行うなど取り組ませていただいておりますし、また規制緩和も行わせていただいて競争を促進して市場を活性化する、さらには、先ほど来御議論のございます船腹過剰の解消を図るための内航海運暫定措置事業ですか、こういうものもしっかりと運用させていただいて適正規模を保っていく、そういう円滑な実施というものに努めてまいりたいと、こんなふうに考えております。
#19
○藤野公孝君 よろしくお願いいたします。次に、旅行業法の改正についてお伺いいたします。時間が少し短くなってきたので簡潔に御答弁をお願いいたします。
今、旅行というのは、衣食住旅というようなことで国民生活のもう一部になっている、非常にそういう意味では国民の関心の強いことでございますけれども、今回の改正、そうやってすそ野が広がっていきますと、大小様々トラブルが後を絶たない、これは仕方が、ある意味じゃ仕方がないことですけれども、やっぱりこれに対して対応していかなきゃいかぬわけですが、今回、旅行業者の保護、その観点からの改正がなされているかどうか、その点についてよろしく御説明をお願いいたします。
#20
○政府参考人(澤井英一君) 今回の旅行業法の改正案につきましては、主として旅行者の保護を充実するというものが中心でございます。例えば日本旅行業協会で対応した苦情とか相談、毎年二千数百件ございます。この中には、直接取引にかかわるもの以外に旅行の計画にかかわるものとか、あるいは行った先での事件、事故、さらにはホテル等のオーバーブッキングなど非常に幅広いものがございます。こうした観点から、旅行者保護の充実を図って旅行の振興を図るというために、一つには、現在あります旅行業務取扱主任者の仕事を、取引と苦情対応ということから、旅行の計画からさらに旅程管理に至る総合的な管理監督を行うというふうに広げまして、人材の活用を図り、旅行者の保護を図りたい。また、旅行についても、従来の募集型の主催旅行だけでなく、旅行者の個別の相談に応じて企画をし、それをパックにして売るというものについても旅程管理をするということ、これによって旅行者の苦情の相当部分がなくなるんではないかと思います。あるいは弁済業務保証金、さらにその営業保証金についても、旅行者のみに限定いたしましてその保護の充実を図る、こういった点が中心でございます。
#21
○藤野公孝君 今の御答弁の中にありましたけれども、いわゆるお仕着せのといいましょうか、いわゆる画一的な旅行ではなくて、その人、旅行者のニーズというか個人の望みに合わせた企画商品のようなものを作っておられる、そういうのが徐々に多くなっているというお話がありました。その抽象論じゃなくて、具体的にどういうようなタイプのそういう個別商品があり、それにどう対応しておられるかについて簡潔にお願いいたします。#22
○政府参考人(金澤悟君) お答え申し上げます。今、委員御指摘のとおり近年の旅行ニーズが極めて多様化しておりまして、旅行者の方々の中には、今までの旅行商品、すなわちパッケージで募集タイプというふうに言っておりますが、そういう既存の商品には飽き足らずに自分の希望を個別に旅行会社に伝えまして、旅行会社を旅の水先案内人といった役割を果たしてもらいながら、自分の個性豊かな旅行計画を策定していくと、こういうことを志向する顧客が増えてきております。
具体的にこうしたその高まりに応じて各旅行会社も専用のデスクを作るとかいう形で対応してきておりますが、最近の商品を見てみますと、外国で希望の語学を学ぶとか、あるいは農山村での生活を実際体験する、さらにはヨーロッパの古いシャトー、お城に泊まる、さらには魅力的なリゾートでの滞在をするといった、そういう個別な旅行商品が開発され、販売されているという状況にございます。
こうした旅行、企画旅行につきましては、今、局長から御答弁申し上げましたとおり、旅程管理をしっかりしていく必要がございまして、現在の旅行業法ではこれを課しておりませんので、こうしたことを今回改正の一つの目玉としておるところでございますし、そうした旅行ニーズの個別化に対応して、こうした企画商品をより旅行ニーズに対応した商品に開発、促進されますように私どもとしては努めてまいりたいと、このように考えております。
#23
○藤野公孝君 時間がなくなってまいりまして、最後に大臣にお伺いしたいんですけれども、今イラクでいろいろ、ああいう邦人保護に絡む自己責任とかいろいろございます。それにちょっと思いを致して質問をいたすわけですが、かつて観光だけの分野でも、エジプトのルクソールでいろいろ邦人の襲撃事件等がございました。今後もいろいろ日本人の海外旅行者はテロの対象になるというようなことも否定はできないわけでありまして、そういう意味での邦人海外旅行の安全確保について、旅行業者はもちろん、いろいろ観光当局も充実を図っていかなきゃいけないと思うわけですが、観光は平和へのパスポートとよくもう使い古されたことを言われます。国内、国外問わず観光者の安全確保、これは観光業と一緒になってやっていかなきゃいけないと思うんですが、その辺につきまして、最後に大臣の御決意を伺いたいと思います。#24
○国務大臣(石原伸晃君) 今は非常に自由に海外旅行できるようになりまして、危険情報等々につきましては外務省等々と連携を取りまして情報を提供させていただいておりますけれども、そういう情報を知りながらも前回の事件はイラクに行かれたと、こんなことで起こったわけでございますが、これからもやはり国内、国外問わず旅行者の皆様方の安全確保というものには十分に政府として取り組んでまいらなければならないと思っております。そしてまた、委員が観光は平和へのパスポートであると。これはたしか国際観光年か何かの言葉であったと思いますけれども、海外を訪ねることによってその国を、またその国民を理解する、そういう意味でこの言葉がきっとできたものと承知しておりますが、健全な観光業の発展と、そしてビジット・ジャパン・キャンペーンを行わせていただいておりますので、海外の皆様が喜んで来ていただけるような観光交流体制の整備というものをこれからも頑張らせていただきたい、こんなふうに考えております。
#25
○藤野公孝君 質問を終わります。#26
○大江康弘君 おはようございます。民主党・新緑風会の大江でございます。今日は少し時間をたくさんいただきましたので、あちらこちら観点を変えながら御質問をさせていただきたいと思います。今回の法案は、今も藤野先生とのやり取りもありましたけれども、旅行者の保護をどうするかということでありますが、直接的にはどれだけそれじゃ今回の法案が観光旅行者、いわゆる低迷しておる国内の観光旅行あるいは海外からのいわゆる観光旅行者を増やしていくのかという、そういうインバウンドの問題がどれほど関連しているのかということは少し分かりませんけれども、後ほどいろいろこの法案について詳しくお聞かせをいただきたいと思いますが。
まず冒頭に、ちょっと外務省にお聞きをしたいんですけれども、今回もゴールデンウイークも間近に控えまして、また我々国民の、人類の大移動が始まるわけですけれども、しかし社会状況もこれありで、昨年と比べてどのぐらいの国内旅行者、海外旅行者があるのかどうかは分かりませんけれども、例のテロ以来、例のイラクの拉致問題以来、後ほどちょっと大臣に自己責任ということで少しお聞きをしたいと思うんですけれども、外務省として、やはり危険な国、あるいは行っちゃいけない国、訪れては危ない地域、そういうことをいろいろと情報を分析をした中でやられておると思うんですけれども、私は、そういう情報をしっかりと関係団体等に外務省としてはどのように伝えておるのか、どのような伝達をされておるのか。やはり渡航禁止ということも含めて、ゴールデンウイークを目前に控えてどんな状態になっているのか、まずお聞かせをいただきたいと、こんなふうに思います。
#27
○政府参考人(鹿取克章君) お答えいたします。外務省としては、渡航情報については日ごろから各種媒体を通じて発信しております。外務省の安全ホームページに掲載する、あるいは報道関係者に伝達する、パスポートセンターに伝達する、あるいはファクスで関係旅行団体や会社に伝達する、こういうこともやっておりますが、今御指摘のとおり、ゴールデンウイークの前に改めて注意喚起することは非常に重要なことと考えております。
外務省の海外安全ホームページには、月平均、約現在二百万から三百万件のアクセスがございますが、このホームページに現在、「ゴールデンウイークに海外へ渡航される皆様へ」と題して、現地の情報をしっかり把握すること、あるいは安全のために必要な知識を身に付けておくことなどを呼び掛けておりますし、またこれは基礎的な話でございますが、「安全な海外旅行のための心得五箇条」なども発信しております。
また、関西空港におきましては、関西空港の協力の下に、大型テレビスクリーンで、インフォメーションボードに海外渡航に当たっての注意喚起をこれまで掲載しておりますけれども、五月以降は、海外で日本人が巻き込まれている事件や事故が多発しています、出発前に渡航情報の再チェックなどと呼び掛けておりますし、また最近では、邦人がアジアにおいて薬物犯罪に絡んで拘束されるという事件もありましたので、この点についてはゴールデンウイーク前に各新聞においてまた注意喚起をする、そういうことなどを考えております。
#28
○大江康弘君 ありがとうございます。しっかりと情報開示、情報公開をしていただいて、そこから先はそれぞれの、旅行会社あるいは観光客も含めて、それぞれの責任になってくると思いますけれども、やはり政府として再度そういう情報をしっかりと伝達していただくということを要望させていただきたいというふうに思います。そこで、大臣、少し本題に入る前に、もし大臣、よければちょっと私見を聞かせていただきたいわけです。
いわゆる自己責任、日本もまだまだ自己責任というこの四つの文字に対して、果たして国民がどれほどの自分自身このことを重く受け止めておるのかということを思いますと、私はいささか非常に自己責任という部分に関しては我が日本国民は、悲しいかな、欠けておるんではないかなと。それは、やっぱりそういう自己責任というのを育ててこなかった、いわゆる国家として国民にそういうものを育ててこなかったという私は時代背景があると思います。今は残念ながら日本はペナルティー社会になったように思います。
これはどういうことかといいますと、やはり何か違反をすれば、例えば一番分かりやすいのが交通違反であります。飲酒運転をする、スピード違反をする。しかし、果たしてスピード違反をしたり飲酒運転をした人の中で、十人が十人、自分が悪かったな、ああ駄目なことをした、いけないことをした、法律を破ったと、果たしてどれだけの人が感じるだろうか。私は、一割、二割も感じないんじゃないかなと。運が悪かった、ああ、おれはもうあそこであと一分どこかで時間つぶしておったら捕まってなかったのにと。いわゆるこういう責任を転嫁をする、そういう何か国民性になってきた。
それは私は、やはり裏を返せば、余りにも日本という国は規制が強過ぎる。統制とまでは行きませんけれども、一見我々の日本というのは自由な社会に見えますけれども、かの中国の政府の関係者でも、東南アジアで一番社会主義国家を作り上げているのが日本だというようなことをいみじくも言ったということを聞いたときに、何であの国に我が日本が社会主義国になんて言われないかぬのだという私は憤りを実は覚えたわけでありますけれども。
事ほどさように、やっぱりもうとにかく官の規制も強い。政府のいろんな法の網が細か過ぎる。ですから、それをうまく逃れられればいわゆるラッキー。だから、国民というのはそういう中で、例えばスピード違反をすればもう免許を取消しをする。スピードは自由でいい。だから、飲酒運転をすればもうその時点で免許を取消しにするという、やっぱり何かその起こした罪に対して罰則というものが軽過ぎて、それがどうもアンバランスになって、何か自分の責任というものをほかに転嫁をしたがるような、そういう国民性になってきたんではないかなと。単車に乗るのにヘルメットをかぶらないかぬと、こんなことはもう個人の責任なんです。ヘルメットをかぶらなくて、あるいは事故を起こして死のうが死ぬまいが、その本人の責任であって、それを警察が、ヘルメットをかぶらなければ罰金だという、もうこんな、本当にいつまでたったって日本が大人になれない。こういうことが私は、自己責任が育っていかないという、そういうふうに思う一人でありますけれども。
少し話はずれましたが、大臣、これから、日本は一千六百万人近い観光客が外に出ていっております。いつテロに遭うのか、いつそういう自己責任を求められる、そういう立場になるのかということを考えたときに、私は、やはり政府が憲法で国民を保護する、いわゆるどこに行くのも自由だという、一方にはそういう議論もありますけれども、やはり国民として、今回、イラクにしても十四回の退避勧告をしたという、それにもかかわらず、それぞれ個人の思いはあったでしょうけれども、結果的には国家や国民に迷惑を掛けたわけであります。
それだけに、行かない義務、行く権利もあるだろうけれども、国民としてやっぱり国家や国民に迷惑を掛けない、そういう中で行かない義務というものも、私はやはり同時に自己には求められるというふうにも思うんですけれども、私は、こういう渡航禁止、こういうようなことをやっぱり厳しく、国家がその時点で大局的な判断をしたときにはそういう渡航禁止という、やっぱりこういうことも私はどんどんどんどんやっていくべきであるだろうし、私はそういう中で、先ほども申し上げましたように、観光旅行というものの、国土交通省の所管をする観光という中で非常にそういうことも起こり得る可能性も多い。そういうこともあえて関連というものをいたしまして、ちょっと大臣、私見があればお答えをいただきたいなと、こんなふうに思います。
#29
○国務大臣(石原伸晃君) 今の大江委員の御指摘は、一つ大きな権利と義務、どうあるべしという話と、そういうものを教育の中でしっかりと教えてこなかった、その一方で、罰則等々によって、規制等々によって抑制することで体裁を整えてきたのではないかという御指摘だったと思います。それと、それは大変大きな問題でございますので、話し出しますと一時間も掛かってしまいますので簡潔に申したいと思いますけれども、やはり基本は権利と義務と。その権利を主張するのであるならば、国民としての義務を果たすということがあると思います。
あの三人の方は、やはり十四回、委員が御指摘されましたように、退避勧告を出ている中、行かれた。それはやはり御自身の意思として行かれたわけでございまして、今回御議論をいただいている旅行者ではないわけでございますので、基本的には外務省の邦人保護の、世界の中で国家としてしっかりと保護に当たると。そういう中で事件が解決したと認識しております。
その一方の旅行者としての保護の問題でございますけれども、これはやはり外務省を通じての海外危険情報というものをできる限りいろいろなチャンネルで流させていただいておりますし、そういう渡航禁止地域に対しての旅行は旅行業者はセットいたしません。
ですから、不慮のテロ等々に巻き込まれることは、可能性としては否定できないわけでございますけれども、そういう地域で、外務省の方の危険情報に基づいてそういう地域には旅行者の方が行かないようにというような手だては取らせていただいておりますので、今後とも、世の中の変化が速いわけですから、情報の伝達というものを時流にぴったりと合った形で様々なチャンネルで流していくと、こんなふうに考えております。
#30
○大江康弘君 ありがとうございます。そこで、ちょっと法案の方に入りたいと思いますけれども、実は法案の中身に入る前に、この法改正をするに当たっては、いわゆる旅行業法等検討懇談会というところへ諮問をされて、今回の法案のたたき台が出てきたわけですね。
それで、この懇談会の、委員会のメンバーを見ますと、二十四人の方がありまして、座長が山下さんという東京大学の教授でありまして、以下二十三名、私は大変気になったのは、いわゆる男女の共同参画社会というものを今我が国が目指しておる中で、この二十四人の中で女性の委員が八田さんというんですかね、消費者生活専門の相談員という方がたった一人であると。二十四人で女性が一人というこの名簿を見たときに、非常に私は違和感を覚えたわけでありますけれども。
しかも、今回は旅行者の皆さんのための保護だとか、いわゆる使いやすさ、受皿をどうするかということの中身でありますけれども、大変、委員の多くは旅行業者だとか運輸業者だとか、あるいは宿泊業者だとかという、そういうものに、そういう人たちに偏っていて、本当に消費者、いわゆる旅行者の立場の意見というものが反映されたかどうかということが私はまず一点、非常に疑問に思うわけであります。
それと、少なくとも二十四人で二割といえば、二、二が四、二、四が八、四・八で五人、三割女性委員といえば、三、二が六、三、四、十二の七・二で七人というんですか、七人が多かったらせめて三人、四人は女性の感性の意見を求めても私はおかしくなかったのではないかなと思うんですけれども、ちょっとそこらをお聞きを、こういう構成になったのはなぜなのかという、ちょっとそこを聞きたいと思います。
#31
○政府参考人(金澤悟君) お答え申し上げます。今、委員が御指摘になりました旅行業法等検討懇談会と申しますのは、今回の旅行業法の改正をめぐる議論を深めていただくために、平成十四年八月から開催をしてきたものでございます。
そのメンバーの構成でございますが、学識経験者、法律家、旅行業者のほか、契約の当事者である消費者の代表あるいは運送・宿泊機関の代表など様々、旅行をめぐる関係者に幅広く御参加をいただくことが必要という見地から、今、委員御指摘の二十四の委員の方に御参加いただいたものでございまして、消費者の声が十分反映されないのではないかという御指摘、御懸念に対しましては、今申し上げた消費者の代表が入っているほかにも、学識経験者あるいは法律を専門にしていられる方の観点から反映していただいたものと思っております。
女性の代表が一人というのは余りにも少ないという御指摘でございますが、これは私ども、このような各機関の代表をバランス取って入れた結果、男性が中心になってしまったこととなって、それは非常に残念に思っておりまして、それぞれの機関の代表者がどうしても今の段階では男性が多うございます。
今後、更に私どもの旅行の関係で委員会を検討する際には、今の委員の御指摘も踏まえて、女性の代表にもっと配慮できるような工夫もしてまいりたいと、このように考えております。
#32
○大江康弘君 それはそれで一理あるんですけれども、余り、これはやっぱり比較の問題だと思うんですね。業界に重きを置くのか、いわゆる全体を考えてのバランスに置くのかということ、これはもう今日はこれ以上言いませんけれども、やはりもっと私は、それは業界の中でも女性もおられると思うんですよ。ですから、これから余り、それでなくても国土交通省というイメージは、もうセメント張ったりコンクリート張ったり、ぎすぎすしたイメージしかないんですから、やっぱりもう少しこういう観光という視点の中でやっぱり国土交通省のイメージ作りも、私は国土交通省のためを思って今言っておるわけですから、そういうやっぱりイメージ作りも大切ではないかなと。もっと女性の感性というものを生かしていけるような、ひとつこれから前向きに考えていただきたいということを御要望申し上げておきます。
そこで、この法案は、いわゆる平成十四年の三月の二十九日の閣議決定に基づいた公益法人改革の一環であるというふうに存じ上げておりますけれども、いわゆるこの公益法人改革の内容や意義というものを、一度ベースになったそれをちょっと説明をしていただきたいのと同時に、この今回のそれにつながって旅行業法の改正案というものが出てきた中での内容と意義という、これをちょっとお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#33
○政府参考人(澤井英一君) 端的に、今回の旅行業法の改正の中でこの閣議決定された公益法人改革実施計画に基づいて措置を講ずるものということで御説明をしたいと思いますが、二つございます。第一に、旅行者に同行して、計画どおり旅行が円滑に実施できるように行程管理や代替手配を行います、いわゆる添乗員に対する研修の実施機関につきまして、従来の指定制度を登録制度に改め、登録機関相互の競争を促すことで一層質の高い研修の実施環境を整備して、添乗員の現地対応能力の向上を通じて旅行者の保護を図ろうというものであります。
これは、公益法人改革計画の中で、公益法人が行う講習が国の制度、仕組みの一部として組み込まれている、そういったものの中で、消費者保護、この場合には旅行者保護ということになりますけれども、消費者保護等の観点から引き続き実施する必要のあるものについては、法令等に明示された一定の要件を備え、かつ行政の裁量の余地のない形で国により登録された公正中立な第三者機関、すなわち登録機関により実施することとされたものを受けた改正でございます。これが第一点でございます。
第二に、現在、社団法人の日本旅行業協会、それから社団法人の全国旅行業協会、この両社団法人が国から委託を受けて行っている旅行業務取扱主任者試験に関しまして、旅行ニーズの多様化等を踏まえ、旅行者の保護を充実させる観点から、旅行業務取扱主任者の必要性及びこれを国家試験で選抜するということの必要性を改めて確認した上で、この主任者の業務の範囲を従来の取引条件説明、実際に旅行契約を結ぶときにキャンセルの条件等を説明して取引をするという責任がございますが、そういった条件説明と一般的な苦情の処理と、これが今の主任者の仕事でございますけれども、これに加えまして、旅行者から相談を受けて旅行計画を作る、また実際に旅行に行った先での旅行サービスを提供する、そういったところに至るまで総合的に旅行業務の取扱いに関して管理監督事務を行う、その店全体のですね、旅行会社の支店なり営業所の全体の管理監督事務を行うように拡大するというのが公益法人改革関連の改正の二点目でございます。
この趣旨は、公益法人改革計画におきまして、引き続き公益法人が国の委託等を受けて事務事業を行うものについては、規制改革の観点からその在り方の検討を進めるものとされたものを受けた改正でありまして、先ほど述べたような必要性を議論した上でこのように改正したいということであります。
なお、この主任者、改正後の管理者の試験の実施主体につきましては、これも検討した上で現在の二社団法人に引き続きやっていただこうということでありますけれども、その趣旨は合格者の水準を維持しなければいけない、また従来から行ってきた試験の連続性を維持しなければいけない。かなり長い期間これやってきていますので、いろんなノウハウも蓄積されております。そういったことを踏まえて、引き続きこの両法人にやっていただこうということにしたものでございます。
#34
○大江康弘君 指定から登録ということになるんですけれども、いわゆるその中で研修機関というのがありましたよね、研修機関。この研修機関というのは日本旅行業協会、それから全国旅行業協会ですか、それと何か全国農協観光協会とあと全国日本添乗サービス協会という、いわゆるこの四つが研修機関というふうに位置付けられているわけですか。#35
○政府参考人(澤井英一君) 今の御指摘のたしか四法人が提携的な指定研修機関として位置付けられておりまして、その他個別に指定しているものはそのほかにもございます。幾つかございます。#36
○大江康弘君 ということは、指定から登録になるということは門戸が開かれるというか、いわゆる参入がしやすくなるというふうに解釈していいわけですね。#37
○政府参考人(澤井英一君) 指定という行政行為は国の意思である法人を指定する、登録というのは研修に参画したい人の意思で登録を申請するということですので、意欲のある研修機関、能力と意欲のある研修機関の参入が改めて可能になるというふうに考えております。#38
○大江康弘君 そこで、この過去五年間の一般旅程管理研修、そして国内の旅程の管理研修という、こういう研修を受けておる受講者のいわゆる修了率というんですか、これを見ますと非常に高いので、高いということは、平成十四年で取ってみますと二千四百八十四人が受講して千九百四十四人が受かった、合格をした。七八・三%。それで、国内の旅程の方は三千百二十八人が受講をして二千八百二十八人という、九割余りの修了率という非常に高い数値が出ているんですけれども、これは逆に言えば、非常に厳格ないわゆる受講をさせて審査をしているということの裏返しであると思うんですけれども、これが指定から登録になったときに果たしてこれだけの高い数値というものが維持できるのかどうかということがちょっと不安になるわけですけれども、そこらはどうでしょうか。#39
○政府参考人(金澤悟君) お答え申し上げます。先生御指摘のとおり、今般の改正で旅程管理研修制度につきましては指定制度から登録制度に改めるわけでございますが、この制度におきましては、新しい登録基準として、研修の科目であるとか講師の資格であるとか、そうしたことについて客観的な基準を法律上定めております。その上で、一定期間ごとにこれを更新するということを制度を導入いたします。
また、そのほかに研修の実施方法や料金を研修業務規程に定めて国土交通大臣に届出させる、そして必要に応じて研修の実施方法については改善命令を出せることとする等によりまして、従来の指定制度による研修と同等以上の研修の質が担保されますように所要の措置を講じているところでございます。
その上で、この制度の下におきまして複数の登録機関が、先ほど局長御答弁申しましたとおり競争していただいて、それを通じまして、それぞれの創意工夫に基づくより質の高い研修サービスをしていただくということを私ども強く期待しているものでございます。
#40
○大江康弘君 次に、ちょっと営業保証金制度の見直しのことについてちょっとお聞きをしたいんですけれども、この改正案の中には営業保証金制度の見直しの規定があるわけですけれども、今回、還付対象としては、今までは旅行者はもちろんですけれども、運送機関あるいは宿泊機関の事業者も入っていたわけですけれども、今回は旅行者だけに限定をして運送機関あるいは宿泊機関の事業者を外したという、ここはなぜなんですか。#41
○政府参考人(澤井英一君) 御指摘の点につきましては、背景が二つございます。現在、営業保証金それからプールをして運用して同じ機能を果たす弁済業務保証金、同じもので、同質のものでございますけれども、現在、御指摘のとおり、旅行者そのものと、それから運送・宿泊機関双方が対象になっています。こうした中で、これまでも旅行者というのは言わばプロの取引相手ではないという意味で、より運送・宿泊機関と比べて、これはプロですから、いろんな経営情報なんかも入手しやすいし、理解しやすい、判断しやすいということでございますので、これまでもこの旅行者の保護が特に重要だという観点で、例えば平成七年には旅行業法を改正しまして、このプロと素人の中で旅行者の方に弁済の優先的な地位を与えるという改正もかつてしたことはございます。
しかしながら、その後の状況を見ましても、やはり旅行者は運送・宿泊機関等に比べて取引相手の旅行業者であるところの信用能力とか、あるいは財務状況に関し、限られた情報しか有していないということから、旅行者の有する、旅行者が旅行業者に対して有する債権の保全が必ずしも十分でないというのが現状でございます。これが一つであります。
もう一つ、最初に申しました営業保証金とともに今仕組まれております弁済業務保証金制度というのがございます。これは営業保証金の五分の一の分担金を旅行業協会に納付をして、その協会所属会員相互で本来の保証金の額、つまり分担金の五倍の額まで連帯保証する制度でありまして、その安定的な運営のためには十分な運用収入の確保が不可欠でありましたところ、昨今の低金利水準の中で弁済業務保証金の運用収入が低下傾向にありまして、このままの状況で推移しますと、例えば所属会員の分担金の額を引き上げたり、あるいは臨時に追加的な分担金の納付を求めたりする事態が生ずる懸念もあるというのが、これは弁済業務保証金の現状でございます。
しかしながら、現下の厳しい旅行業者の経営状況を考えますと、こうした事態、分担金の引上げというような事態に至りますと、更に経営を圧迫したり、逆にまたそれは旅行代金の方にはね返って値上げにつながりかねないということになります。そこで、いろいろと議論をしまして、旅行者を今の二つの背景の中で従来にも増してより一層確実に保護する観点から、営業保証金と弁済業務保証金の還付対象を旅行者に限定しようというものであります。
#42
○大江康弘君 今、局長の御説明の中にちょっと後で聞こうかなと思っていたことをちょっと触れていただいたので。今のは分かりました。そうしたら、今回は今まで、先ほど言いましたように、三つが対象だったのが一つに、いわゆる旅行者だけということの説明を今いただいたんですけれども、さすれば当然営業保証金の供託額というのは、私は下がってくるというふうに思うんです。今まで対象が三つだったやつが一つになったら当然、増えれば、これは当然対象のところが三が五になるんだったら、これは保証金が増えるというのは当然なんですけれども、減れば当然減るというふうに思うんですが、これはやっぱり下がるんですか、保証金の金額が。
#43
○政府参考人(澤井英一君) 営業保証金の供託額なり、弁済業務保証金がどのぐらいプールされているかと、必要があるかということにつきましては、当然どの範囲に弁済義務があるかということとともに、弁済を必要とするような事象、典型的には倒産、旅行業者の倒産でございますけれども、そういった事象がどのぐらい起こるかという双方絡みますので、一概に上がる、あるいは下がる、下がるということは言えないと思っています。ただ、御指摘の点も十分我々も問題意識持っておりまして、今回対象を旅行者だけに限定するという法改正をいただきましたならば、その改正法が施行された後の弁済の状況とか、あるいは弁済業務保証金におきましては運用の状況とか見ていろいろと検討したい、現状を踏まえて検討したいというふうに考えております。
#44
○大江康弘君 そこで国土交通大臣から、国土交通大臣が指定するその旅行業協会というようなこと、いわゆる指定する機関、そんな言葉があったと思うんですけれども、これはどこになるわけなんですか。#45
○政府参考人(澤井英一君) 御指摘の点は旅行業法第二十二条の二の規定によりまして、国土交通大臣が指定する旅行業協会、法律上の位置付けのある協会でございますが、二つありまして、社団法人日本旅行業協会と社団法人全国旅行業協会であります。#46
○大江康弘君 これはどう違うんですか、この二つは。#47
○政府参考人(澤井英一君) 前者の日本旅行業協会につきましては、主に海外のパッケージ旅行を扱う第一種旅行業者をその主たる会員としておりまして、会員の中には全体として二種の業者、三種の業者もおります。また一方、社団法人全国旅行業協会は主に国内のパッケージ旅行を扱う第二種の旅行業者、それからパッケージ旅行ではない手配旅行を扱う第三種の旅行業者を主たる会員とした協会でございます。#48
○大江康弘君 そこで、これは二大旅行業協会だと思うんですけれども、私はちょっとこう不思議に思うのは、いわゆるこの弁済業務の保証金の分担金の額がいわゆる営業保証金の五分の一というふうになっておると。五分の一というのは、これはもう大変低いですよね。まあ五分の一払えば、これは言わば互助会みたいな制度なんですか。#49
○政府参考人(金澤悟君) お答え申し上げます。旅行業協会が実施しております弁済業務保証金制度は、旅行業協会がその所属社員から本来の営業保証金の一部、これは現在委員御指摘のとおり約、営業保証金の五分の一に当たる今、額になっておりますが、これを分担金として徴収して、これを一元的に保証金として供託することによって所属会員相互で本来の営業保証金の全額を保証するというシステムでございます。
すなわち、これは各所属社員が本来供託義務を負っている営業保証金の負担を相互の連帯保証によって軽減しようというシステムで、互助制度とおっしゃった制度と似通った点がある制度でございます。
なお、この五分の一という比率でございますが、これは旅行業協会が定める業務規約において定められておりまして、これは所属社員が倒産したり、あるいは債務不履行に基づいて債権者への弁済が滞っている状態、あるいは弁済業務金の運用状況、こうしたものを踏まえて各旅行業協会が自主的に定めているものでございます。そういう状況でございますので、互助会的な色彩を持った制度であるというふうにお答え申し上げてよろしいかと思います。
#50
○大江康弘君 まあ最終的にはこの旅行者に迷惑を掛けないということにつながれば、これは一番そのことで目標が達成されるわけでありますから、それはそれでいいと思うんですけれども、もう一個ちょっと教えてください。そしたら、この保証金のいわゆる利用というものがどうなっておるのか、実態がどうなっておるのかということをちょっと教えてください。
#51
○政府参考人(金澤悟君) この利用実態でございますが、旅行業協会に加盟しております旅行業者の倒産あるいはそれに伴うその弁済金額を見ますと、実は最近、平成十年度、これが過去最高でございましたが、九十六件の倒産とそれに基づきまして十四億七千万円の弁済金額が支出をされております。それ以降も毎年七十五件ないし九十五件という高い水準で推移しておりまして、弁済金額の方も三億四千万ないし五億八千万ということになってきております。こうした倒産に伴いまして行われる弁済は、今お話し申し上げた旅行業協会が供託しております弁済業務保証金から行われるわけでございますが、これまではその弁済に伴って減ってまいりますこの保証金を運用収入によってカバーをすると、運用収入を積み立てて準備金というものを持っておりますが、それの範囲内で従来は補ってまいっておりました。したがって、その結果所属社員の分担金の額を引き上げるというようなことは結果としてなかったわけでございます。
国土交通省といたしましては、今般の改正によりまして、先ほど局長が御答弁申し上げましたとおり、弁済金の対象からプロであるところの運送機関や宿泊機関はこれ除外するということに案としてさせていただいておりますが、今後の倒産あるいは債務者への債務不履行に基づきました弁済の状況、さらには運用状況の状況を見定めた上で、今後、改めてこの分担金につきましてはその妥当性の検討をしてまいりたいと、このように考えております。
#52
○大江康弘君 ありがとうございました。観光の中身についてちょっと聞きたいと思うんですけれども、これは大臣にお聞きした方がいいのかな。私は、やっぱりこの観光産業というのは先進諸国の一つのバロメーターではないかなと、観光産業を発展させていく、観光産業がその国のGDPのどれだけ占めるかというのはやっぱり先進諸国のこれからバロメーターになり得るんではないかなと。そんなことを思いましたときに、どうも日本人というのは観光下手ではないかな、まだまだ旅行下手ではないかなと、こんなふうに思う一人でありますけれども。
昨年、観光立国宣言というものをされて、一年たちました。その中でビジット・キャンペーンということで二〇一〇年、ということはあと七年の中でいわゆるインバウンドを一千万人にしていこうと。今、五百二十万近い海外の人が日本に、しか来てくれないと、それをいわゆる一千万人にしていこうということでありますけれども、まあしかし、これあと七年で、今まででやっと五百二十万人が来てくれたやつを七年でまた五百万人増やすということは、単純に計算しますと一年で七十万人でありますから、これはもう大変、目標としては結構ですけれども、一体どうやって増やしていくのかなと。
いろんな、日本国としての受入れのこともありましょうし、英語でアトラクティブネスという言葉、これは観光によく使われるんですけれども、これはどういう意味か。いわゆる魅力、魅力というこの言葉でありますけれども、やっぱり魅力というのは引き付けるという意味がある。果たしてこの日本にはそれだけのアトラクティブネス、こういう魅力が果たしてあるのかなということを思いましたときに、いささかこの数字を見ましたときに、フランスが一番多いわけですね、一年間に約七千万人フランスへ訪れておるという数字を見ました。そして二番目がスペインの五千百万人。そして三番目がアメリカの四千約二百万。そしてイタリアが三千九百万、隣の中国が三千六百万。日本は、韓国が三十二位で五百三十万であるのに対して、三十三番目で、やっとこの五百二十万という数字がこの資料に明記をされておるという、こういう数字を取ってみましても大変心もとないわけでありますけれども。
しかし、いずれにしましても、小泉総理始めあるいは石原大臣が担当の観光の大臣を兼務をされて、やはりその中で今なぜ急に観光なのかということがちょっと、私も今なぜなのかということがちょっと分からないわけですけれども、そこのところをちょっと大臣、お考えがあれば、ここに来て観光振興だとかあるいは観光立国ということを急に言われ始めたというのを、ここらをどういうふうに認識をされておられますか。
#53
○国務大臣(石原伸晃君) 先ほど御同僚の藤野委員の御質疑の中でも、観光は平和へのパスポートであるということを昭和四十年代の初頭に観光年ということで、国連観光年ということで決めたと、そんなお話がございましたように、やはり交流することによって相互の理解と国情の把握みたいなものが進んでいく。特に今、冷戦が崩壊いたしまして十年たちまして、新しい世界秩序、テロ等々の脅威が全世界を覆っているという負の側面もありますけれども、そんな中でこの観光というものを産業という観点から見ますと、雇用やあるいはその他の産業への波及効果というものが大きい。そしてさらに、原点に立ち戻ったときに国際相互の理解の増進や、言葉にありますように平和ということを多くの方々が考え得ると。そんなことで、昨年、観光立国行動計画を作りまして、ビジット・ジャパン・キャンペーン等々行わせていただいている。成果も、委員御指摘のとおり、あと七年で一千万人というのは大変ではございますけれども、十五年度で見ますと、ワールドカップを日韓で共催したときを三万人上回って五百三十四万人と最高を記録させていただいたわけですが、そういうことに一喜一憂することなく、これからも、総理がプロモーションビデオに出て大リーグの中でそのビデオを流す、そういうような取組もさせていただいておりますし、私も第一弾は中国語でやりまして、二万人ぐらいの方が見ていただいたんですが、韓国語と英語ができ上がりましたので、これも月末から流すと。
そして、やはり昨日もイタリアのボーバ大使とお話しする機会があったんですが、大使が、今、委員御指摘のとおり四千万人観光客を誘致しているイタリアの方でありながら、日本は本当に美しいところがたくさんあると。先日は堂ケ島に行ってきたけれども、堂ケ島はナポリ島よりきれいだと、こんな言葉もいただきましたし、また温泉も、イタリアの方ですけれども、大変すばらしいと。これは是非もう少し宣伝しないといけないと。
イタリアから日本に赴任してきて、着いたけれども、富士山がずっと見えなかったそうですね。それで、ヨーロッパにいるときは日本は富士山だというけれども、富士山というのは本当にあるのかないのかと、そのぐらいのことを思っていろいろ歩いてみたというような話をされた言葉に象徴されますように、まだまだ日本の理解というものはヨーロッパの中では東の国であるというようなことで、富士山と、そういうものでありながら、大使も本当にあるのかなと思うぐらいのことでありますので、やはり情報提供というものをやっていくことの重要性ということを昨日はつくづく感じたわけであります。
さらに、一地域一観光、また観光カリスマ百選、衆議院の方で御議論が始まっております景観法等々で電線の地中化とか、立て看とかステ看をなくして美しい町並みを作っていく、こういう地道な努力を行うことによりまして、二〇一〇年の観光客一千万人と、こういう目標に向かって邁進をさせていただきたいと考えております。
#54
○大江康弘君 大臣、もう一点。その今イタリアの大使のお話を聞かせていただいたんですけれども、先般、総理官邸ですか、各国の在京の大使を呼ばれていろいろお話を聞かれたということであるんですけれども、特にその中で日本にどうしてくれ、ああしてくれという、いわゆる観光の面で何か特に言われたことがあったり、感じたことがあったことがあれば、ちょっと大臣、教えていただければと思います。
#55
○国務大臣(石原伸晃君) これは二月だったと思うんですけれども、観光先進国、先ほど大江委員が指摘された観光客を多く招致している国の大使にお集まりいただきまして、日本の観光を、政府を挙げて、また民間と協力して推進していく上で何が足りないのかというような話を聞かせていただいたわけです。やはり西欧、ヨーロッパの方々は、来てみれば魅力的なところがたくさんあるけれども、やはり宣伝が少ないんじゃないかといったような御指摘。あるいは中国の大使からは、やっぱり物価高、もう少し下がってくれれば来やすい、そんな話。また、何というんでしょうか、東南アジアの大使からは、ちょっと不親切だと。訪ねていっても、英語の、何というんですか、掲示もなければ、自分はたまたま日本語ができるけれども、どこへ行っていいか分からないと、そういうようないろいろなお話をいただきました。また、アメリカの大使からは、ATMですか、お金が、自分のクレジットカードで円が引き出せない、これはやっぱり何とかならないのかと、そういう御指摘とか、かなり細かくお話をいただきました。
そんな中で、これも先ほどお話があったボーバ大使とのお話の中で大変印象に残ったのは、昨年の秋にローマっ子ばっかりを七百人、ジャンボ機二台をチャーターして日本に連れてくるというパッケージを向こうの旅行社が作ったんだそうですが、それがもう即日完売しまして、安い設定だった、七百ユーロとか申していましたけれども、四泊六日の強行軍だったんですけれども、ローマからローマっ子ばかり七百人、日本に連れてきたと。やはり一つ知恵を絞る、あるいはもう少し観光というものに対して親切な心を持って行えば、市場としての魅力というもの、またパッケージとしての品質、こういうものも十分売るに堪えるものができるということを痛感させていただいたところでございます。
#56
○大江康弘君 ありがとうございます。石原大臣が観光立国大臣を兼ねられて、あるいはまた総理がそうして直接やっぱり意見を聞いていただくということはもう本当に大変いいことだと思います。国土交通省としても、やっぱりこういう大臣を筆頭に、組織的なものがようやく充実してきたかなというふうには思うんです。
その中で、もう一度いわゆるビジット・ジャパンの二〇一〇年の一千万人目標という、こういうことにいわゆる具体的な方法だとか、いわゆるそういう施策だとかという考え方があればちょっと教えていただければと思います。
#57
○政府参考人(澤井英一君) 現在進めております各種施策は、基本的には昨年七月の観光立国行動計画でいったん整理されたと思っております。今後はこれを着実に実施しますとともに、実施状況をきちんとフォローしまして、見直して、追加すべきものは追加していくと、あるいは効果をより高めるもの、高める必要があるものについてはそういったことをやっていくという取組を基本的には継続したいと考えております。なお、この観光立国行動計画はほとんど全部の省庁が関連しておりまして、この計画の中で挙げられております施策の数を数えますと二百四十ほどになりますが、その中の約半数は国土交通省が実施しておりますけれども、残りの約半数は国土交通省と一緒にやるものを含めて関係省庁の方で実施していただくものでありまして、そういう意味でも政府全体としての取組というふうに考えております。
なお、具体的なことにつきまして、先ほど大臣からもいろんな仰せがございました。私ども、その大臣の御答弁を踏まえまして、更に精進をしてまいりたいと思っております。
#58
○大江康弘君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。ただ、日本の場合は、どうしても、いろんな声を聞きますと、日本へ入ってくるところの間口が狭い、あるいは垣根が高いと。いわゆるビザの問題、これがどうしても日本は非常に固過ぎてというか厳格過ぎてというか、こういうことがもう一番のやはり入ってきにくい大きな原因になっておるというふうに私は仄聞しておるわけであります。
事実、いわゆるインバウンドのこの五百二十万人近い人たちの中で、どこから一番多く来ておるか。韓国が百二十七万人、これが二〇〇二年度の実績ですけれども、台湾が八十約八万人、中国が四十五万人、香港が二十九万。結局、この数字を見てみますと、アジアで約六五%の人が日本へ来てくれているわけですね。アメリカとか欧州は、一七%が北アメリカ、ヨーロッパが一二%、あとオセアニアということで、三割強。
ですから、やはりこれを取りあえず一千万人どう来てもらうかということになれば、まずやっぱり、我々の同胞と言ったらおかしいですけれども、同じ経済圏であるこのアジアの皆さんにどう来てもらうかということになるんですけれども、これはちょっと外務省にお聞きをするわけですけれども、いわゆる韓国、台湾、そして中国、この御三家と言ってもいいんでしょうけれども、ここの御三家に対して最近ちょっとビザで何か変わったことがありましたか、ビザの問題で。
#59
○政府参考人(鹿取克章君) 御指摘のとおり、外務省といたしましても、人的交流の促進の観点から、アジア諸国・地域に対してこれまで累次にわたって査証免除を含む査証手続簡素化を実施してきました。今御指摘の三地域・国についてでございますが、まず韓国につきましては、本年三月一日より修学旅行生に対する査証免除を実施しております。また、香港につきましては、香港特別行政区発給旅券所持者等につきまして四月一日より短期の滞在査証の免除を実施しております。
韓国につきまして一言敷衍いたしますれば、この査証免除、修学旅行生に対する査証免除を実施した後、三月から、三月三十一日から四月二十六日までに、これまで七件、約千人の小中高校生が修学旅行で日本に来ております。これから韓国の小中高校生の拡大というものを図ってまいりたいと思っておりますが、一ついい出発ができたと考えております。
また、台湾については、最近では新たな措置は取っておりませんが、既に数次査証というものは短期について実施しております。
#60
○大江康弘君 その台湾が、これは来日観光客の中でいわゆる犯罪率がどうかということのちょっと数字を調べたんですけれども、一番高いのが韓国、そして中国、台湾、こんな比率になっておるんです。ごめんなさい、中国が一番高い、いわゆる比率が〇・六六。韓国は〇・〇三。台湾は〇・〇一という。ですから、こういう数字、あるいは今申し上げましたようにインバウンドの数字を考えたときに、中国にいろいろと気遣いをされるのも結構ですけれども、やはり私は、これだけの意気込みで一千万人も観光客を増やすんだということを考えたときに、私は、やはり役所というのは実績主義ですから、これだけの実績、台湾がやっぱりこれだけ来てくれているということをもっと私は真摯に受け止めて、まあ政治的な中国に配慮をするんなら、まあ百歩譲っても、修学旅行でも何でも台湾は求めているわけですから、やっぱりそこに対して、私はもっと同じように、韓国や香港と同じようにやっぱり門戸を開くべきじゃないんですか、これ。いつまでも、そんな日本というのはかたくなに中国ばかりを気にして、台湾いじめをするのかと、私はもう本当にこれは不思議に思うんです。
だから、本当にあなた方に観光増やしていくという意思があるのかどうかというのが疑わしい。これは外務省だけの問題ではありませんけれども、これは総理が政治判断をすればいい話なんですけれども、しかし総理が政治判断をする以前に、やはり皆さん方がいろんな、あるいは国土交通省もそうですよ、やっぱりこれだけの台湾が来てくれているんですよ、犯罪率も一番低いんですよ、こういうことを思ったときに、私は、安心して受け入れられる国の観光客じゃないんですか。そういうことを思ったときに、今の立場でどこまでお答えができるかと思いませんけれども、台湾に対して門戸を開くということをもう一度検討してもらえますか。
#61
○政府参考人(鹿取克章君) 御指摘のとおり、修学旅行は若者の間の友好親善、それから相互理解促進に寄与するものと考えております。私どもとしても、台湾の修学旅行生の問題、引き続き検討してまいりたいと思います。#62
○大江康弘君 よろしくお願いをしておきます。そこで、今私がどれだけやる気はあるのかということを申し上げた、やはりそのやる気があるのかどうかという一つの一番分かりやすい裏付けというものは予算ではないかなと。どれだけのお金が付けられておるかなということが一番分かりやすいというふうに思います。
そこで、調べてみますと、今回、我が国の場合は観光の予算が三十四億円、韓国は百十九億円、香港が九十一億円、オーストラリアが百億円、英国が百一億円、カナダが百三十四億円、いわゆる他の国に比べて四分の一から三分の一という非常に低い予算額であるというふうに思うんですけれども、果たしてこんな数字で本当に目標が達成できるのかどうか。もし私が言った数字が間違っておれば指摘をしていただいてちょっと教えていただきたい。と同時に、こんなことでいいのかどうかということも聞かせていただきたいと思います。
#63
○政府参考人(澤井英一君) 三十数億円と今先生おっしゃいましたのは、いわゆるビジット・ジャパン・キャンペーンの十六年度予算のことと承りました。これは実は平成十五年度に初めて二十億円計上されまして、今年度は三十二億ということで相当大きな伸びをしております。なお、手元に資料がなくて恐縮ですが、韓国を始め幾つかの国の例を仰せでございましたが、これがビジット・ジャパン・キャンペーンに相当するプロモーション関係だけの予算なのか、もう少し幅広い観光関係の予算も含むのかによって尺度は違うと思いますけれども、ビジット・ジャパン・キャンペーンの予算に、例えば国際観光振興機構に対する運営交付金、これが二十億円強ございますので、これを加えますと五十億円を超えるというような規模にもなりますし、さらに観光といいますといろんな予算関係してきます、ソフト、ハード。そういったものを加えますと相当大きな、一千億を超えるような集計も可能だとは思います。
#64
○大江康弘君 そのように承っておきます。そこで、今ちょっと局長から出ましたが、国際観光振興機構ですか、これは私は日本が公的な観光宣伝機関として使っておるというふうに思うんです、独立行政法人。しかし、よその国の場合は、いわゆる韓国の場合は韓国観光公社、香港は政府観光局、オーストラリアの場合は政府観光局、英国ももちろん政府観光庁、カナダも観光局ですか、こういうものが非常に政府が直接関与をしてやっておるわけですけれども、何か日本は外郭の独立行政法人に任せているという、人任せということまでは言い過ぎかどうか分かりませんが、そういうことを感じるんですけれども、これはどうなんですか。
#65
○政府参考人(澤井英一君) 国際観光振興機構、独立行政法人としては昨年十月に設立されました。その前身は特殊法人の国際観光振興会でございまして、この設立から既に四十年以上たっております。この四十年間以上にわたりまして、十三の海外事務所を拠点として諸外国の政府観光局と同様に外国における日本の観光宣伝、外国人観光客に対する観光案内など外国人旅行者の訪日促進の活動を従来行ってきたところでございます。現在も、例えば昨年のビジット・ジャパン・キャンペーンの五大重点市場につきましては、現地にそれぞれ現地推進会というものを立ち上げております。そこが誘客の拠点になっておりますけれども、そこでやはり、それぞれにあります日本の在外公館とこの国際観光振興機構の事務所、この両者がその中心的な役割を現在でも果たしておりまして、十分にこれからも機能していくように我々も頑張っていきたいと思っております。
#66
○大江康弘君 少し時間が、ちょっと私の時間がなくなったんですが、池口筆頭理事にお願いをして、少しおまえに分けてやるよということでありますから、もう一、二点聞かせていただきたいと思います。委員長、お許しいただきたいと思います。今、答弁いただいたんですけれども、結局国が本当にどれだけ思い切って前面に出てやろうかというものが非常に見えにくいんですね。その見えにくい一つが、この七月の一日でいわゆる今日までやってきた観光部が廃止をされるということであります。このことは恐らく、観光部が廃止ということになれば、今日お越しいただいている金澤観光部長はこれはもう最後の観光部長ということで歴史に残る部長になられるのではないかなと。むしろ、このことは国土交通省に聞くよりも元観光部長の藤野先生にお尋ねをした方がいいのかなと思うんですが、やはり私は、むしろ観光局辺りを作って、もっと前面に立ってやっていかなければいけないときに何で観光部というものが廃止になるのかというのが、これがどうも分からないんですけれども、これはなぜなんですか。
#67
○政府参考人(金澤悟君) お答え申し上げます。観光立国の推進体制につきましては、先ほど来御議論がなされておりますように、昨年の七月に観光立国閣僚会議で観光立国行動計画が策定をされたものでございまして、さらに九月には、ここにおられます国土交通大臣、石原大臣が初めての観光立国担当となって、政府を挙げての観光立国の推進体制が確立されておるというふうに私ども考えております。
他方で、今、委員御指摘のとおり、観光立国は、観光の様々な先進国、近隣諸国などとも連携を図りながら進める必要がある、あるいは国内においても民間企業、地方自治体など様々な主体と協力して効率的に推進する必要があるというふうに考えておりまして、このためには諸外国の高いレベルの責任者とも密接な連携を図る、あるいは国内においては政官財各界とのハイレベルな調整を行う必要があると考えておりまして、そのための体制を整備する必要があるというふうに考えた次第でございます。
こうした観点から、本年七月から観光専任の局長級の総合観光政策審議官というものを設置いたしまして、政府としてより強力に観光立国を推進することとしたものでございまして、私どもといたしましてはその趣旨を内外に御理解いただけるように努めてまいりたいというふうに考えております。
#68
○大江康弘君 答弁になっているかどうか、ちょっと分からないところもあるんですけれども、これ七月一日までまだ時間があるんで、できれば大臣、考えてほしいなと、こう思う、残してほしいなと。むしろ、今の振興局の中に、これはもう中ポツで観光局でもいいですから、置いてもらって、やはり外からもっと見えやすい形にしてもらえればなと。それは偉くなって、大臣官房の中で審議官ということで意見というものは言いやすくなる、そういう発言力が強まるということもいいことですけれども、何か少し残念な気がいたします。大臣に何とか残してほしいということを御要望申し上げて、最後に大臣、やはりいろんな省庁にこれまたがります。宿泊関係だと厚労省、あるいはエコツアーだと環境庁、あるいはまたグリーンツーリズムは農林水産省、国際交流は外務省という、各省庁にまたがるわけですけれども、私はやっぱり大臣が、石原大臣がやはり一番の担当、観光立国大臣ということであるんですから、やはりそういう中で本当に各省庁束ねて、事、観光に関してはもう他の省庁に物を言わせない、大臣が命令一下こうするんだ、やっぱりそんな体制が何か作られないかなというふうに思うんですけれども、最後に大臣の意気込みをお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#69
○国務大臣(石原伸晃君) 大江委員に日本の観光を推進しろというお励ましのお言葉をちょうだいいたしました。観光立国行動計画にのっとりまして、また委員御指摘のとおり、私もかなり抵抗したんですが、行管局とのやり取りで行革で削られたという部分もございまして、その分、観光審議官という名前だったんだけれども、それじゃますますやる気がないだろうと。で、仰々しく総合観光政策という名前を大臣折衝で、何とか名前だけ取ったという話もございます。
名に恥じないように、また観光立国担当大臣に恥じないように、大江委員の意を体しましてプロモーションに努めさせていただきたいと思います。
#70
○大江康弘君 ありがとうございます。#71
○池口修次君 民主党・新緑風会の池口でございます。旅行業法の方につきましては大江さんの方で熱弁を振るっていただきましたんで、私の方は船員法の改正につきまして、中心に何点か質問をさせていただきたいというふうに思っております。
今回の改正で、特に社会的規制の見直しということで、大きくは二点だと思いますが、労働時間規制の見直しと、派遣業の、派遣の業の見直しという、大きく二点、社会的規制が、見直しが提案がされております。
その中で、まず労働時間の改定、見直し改定でございますけれども、通常、労働基準法ですと労使が合意をすれば時間外労働ができるということに対して、特に船員さんの場合には、昭和二十二年のときに定められたときにこの時間外労働の定めをもう作らなかったということで、これは作らなかったことにはある理由があるんだろうというふうには思いますが、今回、できるようにするということですが、元々作らなかったというところの背景と、今回新たに時間外労働をできるようにするというところ、時代からいったら時間外労働をできるだけ少なくしようという、時代の趨勢からいうと一見逆行しているようにも見えるんで、ひとつ、元々なぜ時間外労働を設定しなかったのかというのと、今回新たに付け加えるということの理由をまずお聞きしたいというふうに思います。
#72
○政府参考人(鷲頭誠君) 船員の職場につきましては、ずっとその一つの船の中にいる、長時間一緒にいるという、陸の労働者に比べますと大変特殊な職場であるというようなこともございまして、陸とは別に、労働時間、残業をする、超過勤務を認めるということを認めてこなかったわけでございます。ところが、現在の船員法では、臨時の必要がある場合ということで、船長が命令をすれば超過勤務ができるようになっておりまして、そういう名目の下にかなりの超過勤務というのが実態上されておると、こういう状況がございまして、今回、そういう意味では、船長の指示に基づく超過勤務というよりは、陸の仕組みと同じように労使合意に基づいて超過勤務ができるような制度にした方が時流にも合っているのではないかということで、官労使で話合いをしてまいりまして、それで一つの結論として今回の法改正になったというものでございます。
#73
○池口修次君 いろいろ組合の方も理解をした上での改正だということですが、そうしますと、時間外労働というのは一般的には一日八時間を超過するものはすべて時間外労働というふうに解釈をすべきだというふうに思いますが、これからは一日八時間以外のところはすべて時間外労働ということになって、労働基準法に定める割増し率等はすべて払われるというふうに解釈をすればいいのか、この点を確認したいと思います。#74
○政府参考人(鷲頭誠君) ちょっと御説明長くなりますが、先生の御指摘は、労働時間の定義、超過勤務に当たるかどうかという定義の問題であるというふうに考えまして、ちょっとその幾つかのケースについて御説明をさせていただきたいと思いますが、まず船内における作業のうち、人命、船舶又は積荷の安全を阻害する危険を直ちに除去するために緊急を要する作業に従事する場合につきましては、船員法の第六十八条において労働時間規制の対象外とされております。その結果、時間外手当の支給対象からも除かれております。これはどういう場合かといいますと、具体的には、例えば船内で火災が発生して、一生懸命消火しないと船が沈んじゃうかもしれないと、こういうような場合が該当いたしまして、緊急に対応しないと人命の損傷や船舶の沈没などのおそれがあることから規制対象から除かれているわけでございます。こういう種類の労働が一つございます。
それからもう一つは、一方、航海の安全を確保するために臨時の必要がある場合の労働、いわゆる今回の法律では、安全臨時労働と言っておりますが、今回の改正によりまして、船員法の第六十四条第一項において、一日十四時間、週七十二時間の上限を超えまして命令することができることとされている労働というものがございます。これは、先ほど御説明しました緊急の場合の作業とは異なりまして、時間外手当の支給対象には含まれます。ですから、七十二時間の上限を超えて命令できますが、残業の対象にはなると。先ほどのは、もう残業の対象にもならないという緊急の場合の労働でございます。
これは具体的に、例えば濃霧が発生して、航海当直に立つ海員の数を増やさなきゃならないと、あるいは船舶の航行停止を伴うエンジンの故障があって、それを修理しなきゃならないと、こういうような場合の労働でございまして、これはこのまんま放置しておくと今までのワッチでやるとどこかぶつかっちゃうかもしれないとか、そのエンジンを、今までの人数でやっていると直らないで乗り上げてしまうかもしれないと、そういうようなもので、緊急の場合の作業のように船舶が沈没するような切迫した危険性はないものの、船舶の安全航行の観点から適切に対応しないと衝突、乗り上げなどにつながるおそれがあるということで、そういう労働につきましては労働時間の上限を超えて作業に従事をさせることができるというふうに決めたものでございます。
今申し上げました二つのもの以外の作業につきましては、安全の確保のために必要なものではないということでございますので、一日十四時間、週七十二時間の上限などの労働時間規制の適用がございまして、それは労使合意がなければ時間外労働をさせることができないこととしております。また、こういうそれ以外の作業につきましては時間外手当も当然支給することになってまいります。
基本的には労働時間はそういう今申し上げた三つに区分されまして、この定義の詳細につきましては今回の船員法の改正の施行の際に併せて通達等でしっかりと明確化していくというつもりでございます。
#75
○池口修次君 八時間以外のところでも三つの区分があるということでお答えいただいたわけですが、多分、今までは、できないというのにやっていたというのは、一番最初に言ったところの拡大解釈でやられてきたのかなというふうに思いますが、ただ、一番最後に何らかの形で担保するということですが、やっぱりそこをしっかりしないと、多分まあこれは不適当かと思いますけれども、やっぱり荷主からすると相当厳しい状況にあるというのは先ほど藤野先生の方からも話がありましたので、ちゃんとそこを担保しておかないとやっぱり船員さんの方のその労働条件を守るということにならないというふうに思うんですが、もう一回ちょっと、どういう形で、三種類あるというふうに今、局長が言われたわけですから、この三種類の区分けというのをどのような形で明確に船員さんの方に伝えるのかというのをちょっと再度お答えしていただきたい。#76
○政府参考人(鷲頭誠君) ただいま申し上げました三つの分類は基本的にはそこは変わらないわけでございまして、そこの中に、例えば船内作業のどういう労働がどこのカテゴリーに入るんだというようなことをできるだけ分かりやすく、その現場で働いている方にちゃんと分かっていただけるように、その通達なり、その通達に対する説明というものを作っていきたいと思っております。その中身につきましても、地方運輸局などを通じまして現場の皆様に分かっていただけるように周知を図ってまいりたいと思っております。
#77
○池口修次君 是非、実際に現場で働いておる船員さんの方が、ある意味、分かりやすい形での提示をお願いをしたいというふうに思います。もう一つ、この労働条件について、船員法の三十二条に労働条件の明示という項目があるんですが、現実にはなかなか、その現場では口約束などでやられておって、労働条件があいまいなまま就労するケースがあるというふうなことも聞いているわけですが、この船員法三十二条に定める労働条件の明示というのはどこまでの内容を規定をしておって、現実どういう明示がされているのかというのを確認をしたいというふうに思います。
#78
○政府参考人(鷲頭誠君) 先生おっしゃられましたとおり、船員法三十二条で、雇入契約締結の際に、船員に対して給料、労働時間といった、その労働時間を明示しなければならないということが法律上規定されております。具体的には、海員名簿というものがございまして、その名簿にその船員がどういう職務を行うかという職務内容、それから雇入れの期間、それから給料が幾らか、労働時間はこうであると、休暇などはどうだといったような労働条件を明記した上で、当該船員本人につきましても確認のための捺印をさせなければならないということにしておりまして、海員名簿への今申し上げたようなことを記載し、捺印することによって、労働条件が本人に明示される、本人も分かっているという状態にするようにしております。
#79
○池口修次君 私も事前にサンプルをいただいたんですが、職務とか雇入れ期間、給料、手当、ここは明らかに、明確にこれで書くようになっているんですが、労働時間についてはその他の労働条件ということで、下を見ますと、確かに一日八時間だとか週四十八時間等というふうに書いているんですが、ここのところはどこまで、このサンプルですと、一日の労働時間八時間で、一週四十時間、有給休暇が一年で十五日等、ここまで書いてくれればそんなに混乱はないなというふうに理解はするんですが、本当にこういうサンプルで、いただいたものみたいなものでちゃんとやられているのかどうかということを再度確認します。#80
○政府参考人(鷲頭誠君) 書き方がこのとおりかどうかということは私すべて承知しておるわけではございませんが、基本的にはこの先生がおっしゃられたサンプルに書かれているような中身を出させて、これで雇入契約の公認をいたしますので、これが不十分な場合には指導して書き直させるといったようなことをしております。#81
○池口修次君 是非そこは徹底をお願いをしたいということと、もう一つ、労働条件ということでいいますと、労働時間以外にやっぱり船、その船の中で働いている人が何人要るかというところを定めないと、その人の、その船員さんの労働についてある程度国が定めたということにはならないと思いますが、現在はこの定員について何らかの定めがあるのかどうか、定員というか、乗る、旅客の定員ではなくて、働く人の定員について何か定めがあるのかどうか、それを確認したいと思います。#82
○政府参考人(鷲頭誠君) お答えいたします。船員、船舶の今、先生がおっしゃられた意味での乗組員につきましては、船員法第七十条に規定がございまして、航海当直体制、これは航海当直体制ですから、二人ずつ、一日三回、三直で二十四時間やるというような場合には六人とか、そういう意味での航海当直体制の実施に必要な人員など、船舶の安全な運航を確保するための最低限必要な定員、すなわち安全最少定員と言っておりますが、それを乗り組ませなければならないというふうに船員法上、規定されております。
ただ、これは安全運航のための定員でございまして、それ以外の作業もあるわけでございますので、安全最少定員だけでは一日八時間の労働時間規制が遵守されないおそれがございますので、そういう船舶の運航形態、種類の別に応じて、安全航行のための作業以外の作業もトータルで、その作業量を考慮した標準定員、一つの目安としてその標準定員ということを定めることにしております。今回の法律の改正を契機にしましてですね。
これに満たない人員しか乗り組ませていない船舶につきましては、ほかの船舶と比べて労働時間規制が守られていないおそれが高いということになりますので、船員労務官がそういう船につきましては頻繁な監査をして、少ないではないかと、これで八時間労働を守れないではないかといふうな意味での監査を実施いたしまして、労働時間規制を担保するということにしております。今、この標準定員の導入の時期は今も申し上げましたが、今回の改正法の施行に併せて行いたいというふうに考えております。
#83
○池口修次君 そうすると、その標準定員というのは公に告知がされると、それは船の大きさによって違うんでしょうが、されるということで、解釈でよろしいんですか。それでいいと。#84
○政府参考人(鷲頭誠君) そのとおりでございます。#85
○池口修次君 そうしますと、労働時間についても明確になる、定員についてもかなり明確になるということでは今の実態がかなり改善はされるというふうに理解はするんですが、ただ、これを本当に現場でこの法律が遵守されているかどうかということをチェックをするのはその船員労務官の方がやられるということなんですが、今、船員労務官の方というのは何人いるのか、ちょっと確認したいと思います。#86
○政府参考人(鷲頭誠君) 船員労務官は、現在、全国六十二か所の事務所に百三十四名が配置されております。#87
○池口修次君 六十二か所、百三十四名で何隻の船が対象になるのかというのは、ちょっとそれも説明していただきたいんですが、とても、今回法改正がされて、やっぱり法改正がされた直後というのが一番大事だというふうに思うんですよね。やっぱりそこでちゃんとやれば、あとは百三十四名でいいかもしれませんけれども、最初、まずこの対象となる船というのは何隻ぐらいを想定しているのか、お聞きしたいと思います。#88
○政府参考人(鷲頭誠君) 船員法の監査の対象になる船舶は約一万五千隻ということでございます。#89
○池口修次君 一万五千隻を百三十四名で対応するということになると、一人百隻、百以上ですよね。本当に、確かに法律はいいんですよ。明確にしますと、労働時間についても今まで不明確だったのを三段階、これはやっぱり陸とは違いますから安全の問題というのは確かに私はあると思うんで、それを賃金を払うからやるとか、組合が認めるからやるとか、そんなことは言うつもりは全く私はないんですが、三段階で明確にするというのは、まあそれはそれで前向きだと思いますし、定員も標準定員を明確にするというのは非常に前向きなんですが、ただ現場で守らないと意味がないわけですから、本当にじゃ百三十四名というので大丈夫なんですかね。ちょっとその点を再度確認します。#90
○政府参考人(鷲頭誠君) まず、船員労務官は百三十四名でございますが、それぞれの船でその船員が乗り組むときには雇入契約を公認、今度は届出ということになりますが、その労働条件をチェックいたします。そういう中で、まずどういう労働条件で働くかということはチェックができますし、それから一万五千隻の中にも、そういう雇入契約を公認あるいは今度の届出のチェックの際にちゃんと普通にやっているという船というのがほとんどでございまして、そういう意味では、百三十四名で効果的に監査を実施するために全国の船員労務官が行いました、年間八千回ほどやっているんですが、その行いました監査情報を一元的に管理しまして、監査時の指摘事項の多い船舶とか、あるいは前回の監査から長期間、期間が空いている船舶とか、そういうところを重点的に監査するというようなやり方で効率的に監査業務を行っております。そういう意味では、十分かとおっしゃられると、もちろん数が多い方がいいわけでございますので、そういう面での努力と、それからあとは監査をする質ですよね、監査に入る労務官に対する研修だとかあるいはその業務の更なる効率化、重点化、そういうことを通じて今回の法改正に十分堪え得るような監査をしてまいりたいというふうに考えております。
#91
○池口修次君 一つは、過去に問題ない船が多い、確かにそうだろうというふうに思いますが、ただ、法律が変わるわけですから、じゃ今まで大丈夫だった船が大丈夫だという保証は、法律が変わる段階ではまたいろいろ現場では違う可能性がありますからね、そこは必ずしも、じゃ今まで問題ないのはこれからも問題ないとは私は言えないというふうに思います。それと、人数が少ないのを補う知恵なんでしょうが、ポイント付加制という制度を設けながら、公表はされているかどうかちょっと分かりませんが、この一万五千の船を、ある程度監視体制のチェックの仕方を変えているみたいな話が聞いておるんですが、このポイント付加制の中身と、特にやっぱり問題だというふうに、要監視の船がどのぐらいあるのかというのをちょっとお聞きしたいというふうに思います。
#92
○政府参考人(鷲頭誠君) 先生今おっしゃられましたそのポイント制というのは、先ほどもちょっと御説明申し上げましたが、監査業務の一層の効率化、重点化を図るということで、今の体制で効果的な監査を実施するためにということで十五年の二月、昨年の二月に試行的にこのポイント制というものを導入いたしました。それで、各船舶に対して監査に船員労務官が入って監査をして、その監査結果に応じてポイントを何点と、こういうふうに付けるわけです。それで、蓄積されたポイントが多くなると何というか危ない船というんですかね、それでその監査の重点を置くべき船をそういうポイントでもって選別、分類を行っていくと、こういうやり方がポイント制でございます。それで、ただ、これまで試行的にこのポイント制というのは実施しておりますし、そのポイントでもってすべてこれで百点ということで監査に入るというほどまだデータが集積されておりませんので、ポイントがある程度蓄積、今ずっとしつつありますので、一部では重点的に監査すべき船舶の選別というのは進んでおりますが、まだそうじゃないところもあるということで、これを一年間今までやってまいりましたので、こういう実績を踏まえまして、そのポイントの付加方法だとかポイントに応じた監査手法あるいはその処分のやり方ということについて見直しを行いまして、これも今回、船員法の改正の施行に合わせてちゃんとした制度にして本格運用を開始したいというふうに考えております。
実績につきましては、申し訳ございませんが、ちょっとデータ、まだ試行でございますので、手元にありません。
#93
○池口修次君 今回のこの労働時間規制の見直しなりにつきましては、やっぱり今の船員さんの労働条件の実態等を踏まえて、やっぱりこれではとても若い人が入ってこれないような、入ってきたくなるような条件ではないんで、やっぱりそういう若い人たちにも受け入れられるような条件に見直すんだというような趣旨もかなりであるというふうに聞いております。そういう意味で、今まで御指摘申し上げたところがちゃんとやられれば私はそういう状況になるというふうには思うんですが、なかなか、今お話を聞いた限りで言うと、やっぱりすぐに良くなるということにはちょっと疑問もあるんですが、やっぱり良くしなければいけないということで今回法律改正をするわけですから、是非足らないところはこれから見直しをしながら体制等を整備していただきたいというふうに思っております。
あと、時間がありませんので、もう一点の派遣事業の制度化若しくは許可制について聞いて、今日の質問は終わりにしたいと思いますが、これも陸の事業についてはかなり派遣が拡大がされてきたのは事実で、製造現場等もつい最近拡大がされました。船員さんについては今回がその拡大がされるわけですが、本当に拡大をして、いろいろやっぱり船員さんの問題というのは非常に複雑なところも、特に冒頭言いましたように、なかなか日本人の若い人がそういう勤めたがらないという職業柄、やっぱり日本人じゃなくて海外の人等も頑張っていただきながら人数を確保してきたというような問題のところで、場合によってはいろいろな形で派遣業者の人が入ってくる可能性が心配がされるんですが、この点について、今回、派遣業者の許可制にして拡大をすることで一応いろいろ心配事については整理をしていますというお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#94
○政府参考人(鷲頭誠君) 先生の御指摘、船員派遣事業を今回許可制で導入するということによって違法な船員派遣を行うとかそういう事業者が入ってこないかどうか、そういうことを排除するためにどういうふうに手当てをしているのかということだと思います。船員派遣事業の適正な運営の確保につきましては、まず事業許可、派遣事業の許可をする段階におきまして、船員の雇用管理を適正に行う能力とか事業を的確に遂行する能力を有しているかどうかということを厳正に私どもの方で審査をいたします。
具体的には、しっかりした財務内容であるか、あるいは過去に違法行為を行った者が役員にいないかとか、それから船員を雇用管理きっちりと行うような社内体制ができているかどうかということをチェックをいたします。その上で、船員中央労働委員会の意見も聴きまして許可をいたします。ということで、まず、その業に入ってくる段階できっちりとチェックをいたします。
それから、派遣船員につきましても、一般の船員と同様に、これは今度は派遣される船員が船に乗るときでございますが、先ほど申し上げました雇入契約の届出の段階でその労働条件が適正になっているかどうかということを運輸局の窓口で確認をするほか、船員労務官が、先ほど来お話出ておりましたとおり監査に入って、派遣契約に準拠した就労実態になっているかどうかということをチェックすることにしております。
さらに、その違法事案排除のためには、関係者から情報提供があった場合には、今までも立入検査等をして、事業所なり船に立入検査をしてまいりましたが、今回の法律改正におきまして、派遣船員とかあるいは求職者が、この人は法令違反のおそれがあると判断したときには国土交通大臣に直接申告できる制度というものを設けまして、違法事案があれば行政指導のみならず改善命令も行うことができるというような制度にしておりまして、これらを併せて事後チェック体制というものは強化して、先生御懸念の点についてはないように手当てをしているつもりでございます。
#95
○池口修次君 時間の関係、時間の関係というか、大臣に質問できなくて非常に申し訳ないというふうに思いますが、以上で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#96
○委員長(輿石東君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。午後零時十分休憩
─────・─────
午後二時開会
#97
○委員長(輿石東君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。休憩前に引き続き、旅行業法の一部を改正する法律案及び海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
#98
○森本晃司君 公明党の森本でございます。観光立国を進めなければならないという大変な思いでおりますので、委員長の御指示がある前にその意気込みとして手を挙げさせていただいた、どれほど観光という問題に取り組んでいるかということを是非御理解いただきたいと思っております。公明党の森本晃司でございます。
最初に、旅行業法改正案について質疑をさせていただきます。
ビジット・ジャパン・キャンペーンでございます。二〇一〇年まで、訪日外国人、今の五百二十二万人から一千万人にしようということで、小泉内閣が観光立国に取り組み、そして初めて観光担当大臣として石原大臣が御就任いただきました。
私も、党の観光プロジェクトチームの座長として日本国じゅうをいろいろ回りながらセミナーを行ったり、あるいは観光業界の皆さんから直接いろんな声を伺ったりしているものでございますが、まず最初に外国の人が日本へ行ってみたいという思いにならなければならない。
先ほど大臣が大江委員の質問に対していろいろ答弁をされておられました。各国の大使と会ったときに日本のことがまだ知られていないとか、あるいは日本へ来た大使が富士山て一体どこにあるんだろうとかというお話も伺って、まだまだ我々はもっともっとやらなければならないと思っているところでございます。
何といっても、まずトップセールスが必要でありましょう。そのことについては、小泉総理そして先般も石原大臣に私は申し上げさせていただいて、既にビデオを見せていただいて、中国語の大臣の見事なるコマーシャルができ上がっておりました。先ほどの話を伺うと、引き続いて韓国語と英語で大臣が既にそのコマーシャルを作られたというふうに伺って非常にうれしく思っておりますが、この訪日促進ビデオ、これ一体何か国語に放映されて、どのくらいの人が見たと推計されるのか、こういった点についてお尋ねを申し上げたいと思っております。
さらにもう一つ、海外メディアの招聘も、この事業も極めて大事な事業でございます。今、日本で「冬のソナタ」が上映されると同時に、韓国旅行者が、日本から韓国へ行く人が圧倒的に増えたということもございます。韓国で今、日本の、今まではなかなか日本の状況を報道されることが、放映されることが少なかったわけでございますけれども、昨今、非常にそういうことも、韓国のテレビ局で日本の番組が放映されているとも伺っていますし、同時に、いろいろとその事業で、海外メディア招聘事業で香港からツアーに七千六百四十二名が申し込んだとか、あるいは中国からは二百四十一名が申し込んだと、大きな効果が出ております。
こういったことに対する、観光担当大臣として、初代観光大臣として今後どのように取り組むおつもりなのか、まずお尋ねを申し上げます。
#99
○国務大臣(石原伸晃君) 森本委員が御党の観光プロジェクトチームの座長として日本の観光発展に御尽力をいただいておりますことには心から感謝もし、敬服いたしている次第でございます。ただいま委員から御指摘がございましたように、PRビデオをどの程度放映されているのか、これは推計値でございますが若干計算をさせてまいりました。総理と私でビデオを作らせていただいているわけでございますけれども、例えば北米、アメリカ合衆国とカナダと合わせて、あるいは韓国、中国のテレビでも放映しておりまして、もちろん、かなりコマーシャルを買うというのは金額が高いということで、アメリカではCNNを通じて総理のビデオを放映させていただきましたが、大体、平均視聴率が二〇%で計算いたしまして一千八百万世帯、全米一千八百万世帯の方が何らかで日本の総理大臣がPRをしているというのを見たものと推計出しております。
このほか、航空会社、スターアライアンスメンバーという、航空会社十四社が加盟しておるわけでございますけれども、ここで、累計でございますけれども、十四社、一万便飛んでおりまして、それが三十日という計算でざっと計算いたしますと、七月に大体、今年の七月でございますけれども、七月から三十万便で何らかのコマーシャルが放映される。さらに、国内のエアラインほか七社でもう既に総理のビデオ等々も上映してくださったところがございまして、便数で一万二千便になっております。
また、これは先ほども若干お話をさせていただいたんですけれども、アメリカのメジャーリーグで大きな電光掲示板がございますけれども、このスクリーンにおいて、今月の十八日、ニューヨーク・メッツ―ピッツバーグ・パイレーツ戦で放映したのに続きまして、明日はドジャーススタジアムで行われますドジャース対ニューヨーク・メッツ戦で放映されることになっています。いずれも、二チームとも日本の選手が活躍しているところでございますので相乗効果をねらったものでございます。
また、本年一月に上海で開催されました日中文化観光交流展、これは先ほども御答弁させていただきましたが、一万九千人の方が御来場されまして、その場で私のつたない中国語のビデオを放映させていただきました。
また、委員が後段御指摘になりましたように、海外メディアの招聘というものは非常に重要な事業だと考えておりまして、こういう様々な効果の高い事業を組み合わせる。ただ、いかんせん予算が限られたところでございますので無駄のないように試行錯誤を繰り返しておりますが、委員が御党のプロジェクトチームで率先されたと同じような、また当委員会で今御質問に立たれたときのようなすばらしいダッシュをもって頑張らせていただきたいと考えております。
#100
○森本晃司君 大いに我が国の観光を推進していきたいと思っておるところでございます。今、大臣の御答弁聞きながら更にこう思ったんですが、そのドジャースの球場等々で中継されておりますね。これは国土交通省の直接の関係ではないんですが、そこであのビジョンに映されるわけですね。あれを日本で、BSでやっているときに同時に、その野球の試合の最中に、ちょうどそこの、恐らくチェンジ、交代のときにやると思うんですよね。それをBS1か2で放送されているときに一緒に映したら、おっ、観光にえらい日本が力入れて、総理は英語でしゃべり、石原大臣が英語でしゃべってコマーシャルをやっているなと。これだけでも日本の観光、日本人の意識がまた変わってくるんじゃないかと思いますので、是非その方向に向かってやっていただけたら非常に効果も、同じ映っているやつだけですから、ただテレビカメラをちょっと横へひねるだけですから、僕は非常にいい効果が表れるんじゃないかと思っております。
同時にもう一つ、大臣、先ほど大江委員の、これは通告をしておりませんけれども、大江委員とのあの話の中で、観光部がなくなるという話がございました。観光担当大臣ができて、そして総合観光政策審議官、頑張ってやってそうなったんですが、何となく部がなくなって後退したような印象は、絶対僕は世界に与えるべきではないと思っています。日本は一生懸命観光に取り組んでいるんだというのをむしろもう観光局が、僕はセミナーに行って、これで局になったのと一緒ですよと、このように申し上げております。セミナーに行ったときは更に勢い余って、やがて環境省としたいんだけれども、少なくとも環境庁に持っていくぐらいにしなければならないなと、私はそう……(「観光」と呼ぶ者あり)環境庁にね、(「観光」と呼ぶ者あり)観光、観光だ、観光庁にでも僕はしなければならないと思っているんです。
いろいろ行政改革の整理云々とありますけれども、大事なところを、これからやらなきゃならない日本の大事な骨太のところを削ってしまったら私は何にもならないと思うんです。
藤野委員も部長で頑張っていただきましたし、それから現部長、もうおれは局長だという自覚でこれから当たっていただいたらいいと思うんだけれども、局長の決意のほどを伺いたいと思います。
#101
○政府参考人(金澤悟君) 今朝の御討論でも、私が最後の観光部長になるという大江委員の御指摘もございました。これは国土交通大臣がお決めになるところでございますので、私が最後かどうか分かりません。しかし、今御指摘になりましたとおり、これから観光行政、国内はさることながら、外国からも非常に注目されてまいります。今回の総合観光政策審議官は、必ずや日本政府のそうした前向きの観光の取組を体現するものとして御理解いただけるように、これは十分に私どもも心して努めてそのように周辺には説明をしてまいりたいと、このように思っておりますので、どうぞ委員におかれてもよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
#102
○森本晃司君 先般、鳥取県でも、少し前になりますけれども、三朝温泉と大山で併せて観光セミナー、これは我が党だけではなしに与党の先生、自民党の先生にも来ていただいてセミナーをやったんです。そのときの中で、鳥取県が台湾と大変な交流を求めているということを聞いたんです。何で鳥取と台湾かというと、台湾の人は物すごくナシ好きらしいんです。それで、台湾で鳥取の偽ブランドのナシが出るぐらいにいろいろつながりがあるということでございます。そこで、いろいろと、鳥取県と香川県とが一緒になりまして、鳥取県当局が三月にミッションを香川県と一緒に飛ばしました。その成果で、今度チャーター便が六便来日して、そして観光してきたということでございます。
そこで、一つは、その中で、これも先ほど大江委員がおっしゃっていたわけでございますけれども、今度台湾からも百二十人乗りぐらいの乗り入れ機を米子にでも飛ばしたいという用意が航空会社の方ではあるようでございますけれども、問題はビザのことなんです。
一週間程度ぐらいはやっぱり台湾の人が日本へ来たときに観光ノービザで来れるぐらいに、私はそれぐらいの努力を日本がしっかりとしないと、一千万と言いながら、そこを閉じてしまっているような、それは中国との関係あること、大江委員がおっしゃった、同じことです、同じことですが、そこはやっぱりいろんな問題があるけれども、藤野先生がおっしゃった、観光は平和へのパスポートですから、むしろそのパスポートを、観光というパスポートを使って、更なる日本と中国、日本と台湾との交流も私は深めていかなければならない。
そのことについても是非これは、私は、やがてまた時間あるときに、今日はあれでございましたので法務省も外務省も呼んでおりませんけれども、取り組んでもらいたいと思っております。
この前、JR東日本の人とお話ししましたら、JR東日本で、台湾で寝台列車の旅行客を募集したと。台湾には寝台列車と雪がありませんから、寝台列車と雪を売り物にしたと、品川駅発盛岡まで。そうしたら、あっという間に満杯になったというんです、申込みがありましてね。品川駅でいろいろとセレモニーをやって、それで列車が朝着くころには、例のなまはげの格好をしてみんなを起こしに行くとか、それから盛岡に着いたら、盛岡の、あれは何音頭ですかね、盛岡のさんさ踊り、盛岡さんさ踊り、それからもちつき、雪体験コーナーを設置して、そして迎えたというんです。そうしたら、もう物すごい台湾からのやっぱり人気があるという。
そういうふうに、ちょっと工夫したら一杯日本へ来てもらえるんですから、そのためのやっぱりビザをきちんとしなければならないと思いますが、このことについて国土交通省としての決意を伺いたいと思います。
#103
○政府参考人(金澤悟君) お答え申し上げます。台湾から年間に日本にお越しいただきます旅客者数は、九十万人、約、年間訪れていただいております。これは、訪日外客の第二番目のマーケットでございまして、私ども国土交通省といたしましても大変、ビジット・ジャパンを進める意味から大切なマーケットだと、このように理解をしております。
そこで、私ども、観光立国行動計画におきましても、実は委員の御指摘のとおり、台湾を含めたアジアの方々に対しまして、良好な公安、治安の維持に配慮しつつも、入国手続に係る負担をできる限り軽減するというふうに行動計画に盛り込まれたところでございまして、そうした観点から、今御指摘のございました、また午前中大江委員からも御指摘のございました台湾へのビザの免除問題につきましては、外務省、法務省、あるいは関係省庁と協議をしながら、真剣にこれを改善すべく検討してまいりたいと、このように考えております。
#104
○森本晃司君 次に、外国の人が日本へ行きたいと思っても、インターネット経由で日本の関連情報にアクセスしても非常に多くのサイトを見なければならないと、このように私は聞いております。あるいは、結果的に航空機や鉄道のチケットの予約ができないといったような苦情も聞きます。日本国内を旅行しようとした場合に、日本の窓口である成田までのエアチケットの購入は自由でありますけれども、そこから先の、例えば京都や私の奈良県への切符をそのときに購入しようと思っても、日本へ着いてからしかできないんです。それは、それ以上に、例えば成田から東京までの切符も買うこともできないというふうに私は伺っております。これは、したがって、その場合には、旅行代理店に行けば旅行代理店が全部やってくれるわけでございますけれども、個々に申し込むという形がやはりこれから増えてくるんじゃないかと思います。
そういう意味で、私は、代理店を通じればできるんですけれども、その代理店が、日本の代理店が近くにない場合、その外国からの人たちが来る場合に、近くにない場合にはもう大変な時間が掛かりますね。代理店を探さなきゃならない、それから、そういったことで時間が掛かるということでございます。
先ほど大臣が、いろいろと日本のことがメディアで紹介されるようになる、野球場で紹介されるようになる、日本へさて行ってみようということになって、そしてインターネットを使うとなかなか、幾つもクリアをしていかなければならないと。僕はずっと聞いたんですが、一つずつこうやってこうやってこうやってと。私は余りインターネットのことは分からぬので、それだけやろうと思ったら余計分からぬようになるなと言って話をしておったんですが。
そこで、そういったことが、さきの委員会では自動車関連手続のワンストップサービスということが審議されましたけれども、この旅行のチケット購入、あるいは日本の情報をインターネットで見るときにワンストップサービスでどどどんと行けるようにやっぱりしなければならないんではないだろうかと。
そうしないと、実際の観光大国にはならない、実現は不可能だと思うんですが、この点について国土交通省としてどのような取組をされているのか、伺います。
#105
○政府参考人(澤井英一君) 外国の旅行者の方ができるだけ円滑に入国し、また入国した上で日本国内をできるだけ円滑に独り歩きできる環境を整備するということは、再々出ております観光立国行動計画の中でも一つの大きな柱でございます。その中でインターネットを最大限活用するという御指摘もそのとおりだと思います。そういった手法をうまく工夫しまして、日本の、今言いました、今おっしゃいました宿泊とか交通のチケットのみならず各地のいろんな観光情報も含めて、できるだけ一元的に情報を提供できるようにするということで、これからいろんな関係機関とも協議しながら充実をしていきたいと思っております。
一例申しますと、現在ビジット・ジャパン・キャンペーンの中で海外向けの観光ポータルサイトの整備を少しずつ進めております。このポータルサイトをプラットホームといたしまして、宿泊、交通機関、観光施設等に関する様々な情報のサイトとリンクするということを考えております。
また、このポータルサイトの整備に先立ちまして、先月三十一日から外国人旅行者向け宿泊情報提供予約サイトも本格的に運用を始めているということで、インターネット活用の情報提供、動き出しておりますので、これを御指摘のような方向で、一元化の方向で充実していきたいと思っております。
#106
○森本晃司君 次に、外国の方が日本へやってきても、なかなか独り歩きは、すること、しにくいというのが現状ではないかと思います。東京都の地下鉄、ナンバーが付けられるようになりまして、この間から乗っていますと、有楽町線であるとYの九番とかYの十六番とかいうことで、チケットは比較的そのナンバーで買いやすくなるんですが、まだまだやっぱり外国人の方がお見えになって、先ほど大臣の答弁の中に不親切だという話があったんですが、何が不親切かというと、読めない、日本の漢字でしか書いていないものですから。中国の方は比較的まだ漢字的に読めるんですが、ハングル語の人たちはなかなか読みにくいと思うんです。
以前にも申し上げたかも分かりませんが、私は数年前に日韓議連で韓国へ行きましたときに、大体どこへ行ってもいつも一人であっちこっちうろうろするのが私の趣味でもございますので、地図だけを持ってソウルの町を四時間自分で歩いたんです。そうしたら、ハングル語の看板ばっかりだったんですね。今自分が一体どこにいてるのか、せめて英語でもあれば多少なりとも北か南ぐらいは分かるんですけれども、あのハングル語でばっかりで、だんだん自分で不安になってきましてね。それで、ソウルの地下のところへ入っていったら、日本のお客さん割引しますというのが日本語で書いてあったんで、安心してそこへ訪ねていったら、かつて日本におられた御年配の御婦人がおってくれて日本語で話をしてくれて、わずかの買物で帰る道を教えてもろて安心することができたんです。
同様に、外国の人がやっぱり日本へ来たら、もう少しその日本の各地、名所のところに、相当その外国語の看板は増えてまいりましたけれども、大いに推し進めていかなければならないと思うんですが、外国の人が独り歩きできる環境づくり、国土交通省の取組方をお伺いいたします。
#107
○政府参考人(澤井英一君) 二点申し上げたいと思います。一つは、案内標識、今仰せの案内標識でございます。これもできるだけ多言語化しなければいけないということで、例えば仙台市とか横浜市では外国の方の意見も取り入れながら見やすく統一的な案内標識を多言語で作るという取組を進めておられます。国の方でも、こうした事例を参考にしながらガイドラインを作って、見やすい案内標識というものを普及していきたいということが一点であります。
もう一点、観光案内所でございます。全国にいろんな観光案内所ございますが、外国人の方に対する対応が可能なものについて国際観光振興機構がi案内所、iってインフォメーションのiでありますが、i案内所というふうに指定をしまして、これは目印として観光所にクエスチョンマークを大きく付ける、一種のロゴマークと思っていただいてもいいのかもしれませんが、あそこへ行けば外国の人にもいろんな案内がしてもらえるなという意味でこの指定をしております。現在、全国百十六か所ございます。これを更に広げていきたい。
このi案内所につきましては、例えば案内業務に役立つ韓国語、中国語講習といったような内容の研修会も実施して、その能力の向上を図るというソフトの対応もしております。
#108
○森本晃司君 国土交通省で非常に、国内、我々は旅するときにも非常に役に立つのは、特に車で走っているときは道の駅の表示が非常に分かりやすいわけでございますけれども、そのようにどうぞ外国の方々がお見えになったときに安心して日本を旅できるように、更に進めていっていただきたいと思います。そこで、今度の旅行業取扱管理者についていろいろと必要な知識、能力の向上に努めており、また企画旅行ということにいろいろと今度は重点を置かれていくようになっていくと思います。そういうことにきちんとこたえていかなければならないでしょう。
私はそういった流れの中で、国内旅行も少々減少はしている中で、やはりもう一度どういう人たちが旅行してどういう顧客が行っているんだろうかと。従来の団体、農協さんを始め社員旅行で団体で行動していた時代と、旅行は、旅館始め旅行業の皆さんの考え方を変えなければならない。
私は時々各地を回ったら、おかみさん会の会長さん等々に話をするわけでございますが、高齢者にもう少し対応したいろんな商品を考えてはどうだろうかということを申し上げます。
もう間もなく団塊の世代の人たちが八百万人ほど定年を迎えて、その人たちが恐らくこれから旅をする時代に入ります。日本国じゅう、大抵の旅館へ行っても、多少その土地の名物は出るけれども、同じようなものがおぜんに一杯並ぶんです。もう食べ切れないぐらいに並びます。それで、出たものを我々は残すともったいないという教育をされておりますから、出たものを全部食べてしまうんですよ。体を休めに行っているのか、体を壊しに行っているのか分からぬぐらいの料理がある。こういったことももう少し料理が、若い人たちのは量がたくさんあって、それから高齢者は今度は量は少ないけれども質がいいとか、そういうふうにどんどんと変えていかなければならない。
高齢者向けのニーズも一杯あるわけで、これから出てくるわけでございますから、そういった点の企画についても考えなければならない、そのようによく私は申し上げるわけでございますけれども、いろいろと旅行業界に対する、今回の法律に対する、いろいろと申し上げましたけれども、どういう考え方でおるのか、これは最初の方もいろいろ観光部長等々ありますが、総合政策局長、ちょっと時間がだんだん私なくなってまいりましたので、こういった問題についてどう考えているか、お答えいただきたいと思います。
#109
○政府参考人(澤井英一君) 今回の法改正は消費者、旅行者の保護を充実するということが中心であります。旅行業務取扱主任者を管理者に改めまして、計画の立案から行った先の旅行の旅程の管理まで総合的に管理監督する、あるいはオーダーメード型の企画旅行というものをきちんと法律に位置付けると。そういった中で、今、先生仰せのような個々のニーズにもきめ細かく対応していくということは今まで以上にできるようになっていくと思います。ちなみに、高齢者の旅行、我々も市場が大きくなっていくと思っておりまして、六十歳以上の方が旅行する割合を過去十年間で比べますと、国内旅行では過去十年で、十年前は一六%でした。今は二七%まで増えております。海外旅行でも一〇%が一五%に増えております。これから大変大きな旅行ニーズがここから出てくると思います。
特に、体験型とか長期滞在型、さらにはリフト付きバスを利用した巡回ツアー、これをバリアフリー型というふうに商品では言っているようですけれども、そういった非常に個性的な個別商品が出てきているように思います。そういった方向をしっかり踏まえて対応していきたいと思います。
#110
○森本晃司君 旅行業法、観光のことばかりで時間がやってまいりまして、一問だけもう一つの法案についてお伺いをさせていただきたいと思います。海上運送、いろいろと海上運送については質問の通告をしておりましたけれども、時間がございませんので、大臣に一つだけ質問をさせていただきたいと思います。
これは内航海運を始めとする海運を活性化していくために、船員雇用の面に、船員の皆さんの雇用の面においても事業者の雇用管理を効率化させると同時に、適切な労働環境の下で若い人が就職したくなるような魅力ある職場としなければならない。現在、状況を聞きますと、四十五歳以上の船員がやはり五割ほどを占めるという具合に高齢化しているとも伺っております。航運、内航海運を若者にとって魅力ある職場にするためにどのような対策を進められているのか、お伺いいたしまして質問を終わります。
#111
○国務大臣(石原伸晃君) この点は大変重要なポイントであると思います。若い方が内航海運という仕事に入ってきていただくには、やはり海の仕事の魅力というものを学校にいるときから教育していかなければならない、こんなこともありまして、実習等々も充実して乗船体験を行い、そこで学んだことがすぐ仕事で使えると、こういうことをさせていただいているわけであります。一言で言いますと、実践的な教育訓練に取り組んでいると。
今回の法案の改正におきましても、もう一つは、若い方々というのはやっぱり遊びたいわけですから、でも内航海運の仕事は勤務時間が長いと、こういうことを考えていらっしゃる方もいらっしゃると思いますので、時間外労働に上限を設けますとともに、船員労務官の監査を強化することによりまして、言われておりますところの長時間労働というものを是正を図っているなどなど、内航海運が若者の皆さんにとりまして魅力ある職場になるようにと、そういうことを心掛けさせていただいているところでございます。
#112
○森本晃司君 終わります。#113
○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。私は、旅行業法についてのみ質問をいたします。今回の改正で、企画旅行契約という新しい旅行契約の形態が設定されました。この企画旅行契約は、従来の主催旅行契約に加えて、また従来の企画手配旅行契約の大部分をもって企画旅行契約となったようです。
そこで、改正案によって小規模の業者が大部分入っている第三種の旅行業者ですね、これまで取り扱っていた事業で、これからはこの改正によってできなくなるということは起きないのかどうか、まずお聞きします。
そして、私の地元の観光都市でもある神戸市では、阪神・淡路大震災で一挙に落ち込んだ修学旅行生が昨年過去最高を記録したことが報じられています。関係者の方にお聞きしますと、やはり震災学習ができる場所として神戸が定着したためではないかと見ているようです。修学旅行について、これまでは企画手配旅行とされていたと思いますが、改正案では新しい契約方式ができるようです。今度はどういう区分になるのでしょうか。
例えば、第三種旅行業者の場合、今回の改正によって修学旅行の契約で何がどのように変わるのでしょうか。また、そのことによって大手の旅行社しか修学旅行の手配ができないということにならないのかという点について、まずお聞きしたいと思います。
#114
○政府参考人(澤井英一君) 今回の改正の中で、オーダーメード型商品と募集型の既製商品を併せて企画旅行として定義いたしまして両者に旅程管理業務を行っていくということとしまして、旅行者ニーズにより対応した良質な商品の開発、販売が行われるようにしようとしているところであります。この企画旅行は、従来の小規模な旅行会社が執り行っていた手配旅行の中で企画性のある企画手配旅行も包含した概念でありまして、修学旅行も多くの場合これに含まれると思います。修学旅行については、現在でもいわゆる大手旅行業者だけではなくて中小の旅行会社も六百社程度、現に実施している状況にあります。
こうした実態を踏まえまして、修学旅行を含む一定の企画旅行については、現在の中小の旅行会社、一種、二種、三種の区分の中の第三種の旅行会社でありますが、も改正後の新しい制度の下で実施していくことは可能となる方向で、法改正の案を議論する段階からそういう方向で議論をしてまいったところでありまして、そのように措置をしていきたいと思っております。
#115
○大沢辰美君 第三種の旅行業者が不利にならないようにということを確認をしておきたいと思います。二点目に、今回の改正で「旅行者の保護に欠け、又は旅行業の信用を失墜させる」行為の禁止が入っているが、具体的にはどのような行為を想定しているのでしょうか。
例えば、昨年秋に中国の広東省というところですか、日本人団体客の買春事件が国際問題になったことはまだ記憶に新しいと思うんです。日本人観光客の買春ツアーがいまだに後を絶たないというのは、とてもゆゆしい問題であると思うんですね。企画旅行であれ手配旅行であれ、少なくともこうした事例が再発しないようにするために政府はどのような対策を進めているのでしょうか、御説明願います。
#116
○政府参考人(澤井英一君) まず、今回の改正案の中で「旅行者の保護に欠け、又は旅行業の信用を失墜させる」行為の禁止ということを追加しようとしているわけでございますが、この趣旨は、今回の改正では、従来、旅行地において施行されている法令に違反する行為を旅行者にあっせんすることなどを禁止するというのが今の現行法であります。法令違反ですね。これに加えまして、法令違反ではないけれども、さきに言いましたような旅行者の保護に欠ける、あるいは旅行業の信用を失墜させるものとして、一定に定める行為についてこれを禁止するという趣旨で追加したものであります。具体的な例としては、例えば旅行先での土産物品店の販売事業者と通謀いたしまして、販売業者から特別のマージンを得て、旅行者が頼みもしないのにいろんな土産物店に案内して、しかも質の悪い土産物を勧めると、例えばそんなようなこと、あるいは旅行者から依頼を受けて保管していた旅券とかチケットを重大な過失で盗難に遭って、盗まれる、あるいは紛失する、こういったような行為が想定されます。
この信用失墜等の禁止規定に違反する場合には、業務の停止あるいは登録の取消し等のペナルティーが課される仕組みになっております。いずれも、旅行会社を信頼して旅行契約を締結し旅行に参加した旅行者の信頼を裏切るような重大な事案について、旅行会社として行うべきではないということを明確にしたものであります。
また、御指摘のいわゆる買春ツアーにつきましては、現在でも現地法令違反の類型で禁止行為に位置付けられているものでありまして、昭和五十五年の通達、日本人海外旅行の健全化についてというものを発出以降、常に旅行業界を挙げてそのような不健全旅行の一掃に努めてきたところであります。
今後とも、観光行政当局、関係業界挙げて、更に努力をしてまいります。
#117
○大沢辰美君 買春問題については、どこに責任があるかということがまだ問われて、明らかになっていないわけですが、その問題、そして今の、私たちも経験したことありますけれども、やはりお土産を買物するのに、行きたくもないという表現をされていましたが、そういう状況があったということも、これまでも私たちも経験いたしましたが、やはり快適な旅行が営めるような対策がここで取られるだろうと思いますけれども、今後の期待を述べておきたいと思います。三点目に、基準資産額と営業保証金の関係について質問したいと思います。
旅行業の登録更新に当たって基準資産額の報告が求められていますね。例えば、第一種事業者で基準資産額が三千万円になっています。それで、営業の保証金が七千万円ですね。ただし、協会に加入していれば営業保証金は五分の一の千四百万円ということになっているそうです。
この旅行業者の場合、現行の制度では千四百万円の保証金は全額総資産から差し引かれて三千万円は丸々そろっていなければならないということになるようですね。基準資産額はお客さんとの関係で経営基盤の強さにも関係することですから、低ければ低いほどということではないと思っています、私も。しかし、営業保証金も基準資産額も、私はいざという場合の備えという意味では同じ範疇に入ると思うんですけれども、昨年はSARS問題などがあって、そして不況もあって、特に中小の旅行業者の資金力も落ちています。
そこで、保証金の額を差し引かないでほしいという要望が出されていますが、どういう、この点について検討されていらっしゃるかどうか、お聞きしたいと思います。
#118
○政府参考人(金澤悟君) お答え申し上げます。旅行業におきましては、旅行出発前に代金を前受金という形でいただくという取引形態が一般的でございまして、したがって旅行業者の経営の破綻がそのまま旅行者の財産的な損害に直結するということになりがちでございます。したがって、健全な旅行業の経営を継続していくために必要と考えられる最低限度の財産的な基礎を法律で定めまして、これを最悪の手段である営業保証金の還付という形を取らずに安定的に経営を続けていただく、これが旅行者の被害の発生の未然防止の観点から必要だという考え方で今の基準資産額が定められているものでございます。
この算出の考え方につきましては、今、営業保証金があるのだから、それを差し引かずに充当できないかという御要望の件でございますが、究極的に保証金の方は旅行者の債権保全の最終的な手段として企業の外に計上されるものでございまして、純資産としては計上されておりますけれども、旅行事業者が自分で自らその保証金を手を付けるということにならないもので、できないものでございますので、私どもといたしましては、営業を継続する上で旅行業者が自由に処分できる財産としての基準資産には含めないものとしていることでございますので、御理解いただきたいというふうに思います。
#119
○大沢辰美君 終わりたいと思いますが、旅行者の保護という点ではその点は大切なことだと思いますが、私も金額を見て、そして基準額を見て、この基準資産額と営業保証金の関係についてはもう一度また検討もこれから重ねていただきたいということを申し上げて、終わります。#120
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。私は、船員法と船員職安法、この関係について幾つかお尋ねをしたいと思います。最初、船員保険についてですけれども、船員保険というのは疾病部門や失業部門、年金部門、福祉部門、こういうものを含む総合的な保険制度であります。これは、健康保険や労働災害補償保険とか雇用保険、年金、こういうものに当たるわけで、船の場合、特別な条件にあります。一たび船に乗って海に出れば常に危険と隣り合わせ、船員やその家族にとっては正にこの保険制度というのは命綱とも言うべき制度であります。
ところが、最近、この船員保険、強制保険でありますから全員入ることになっているんですが、加入者が、加入率が減ってきているというふうに言われています。過去五年間の加入者数、未加入者数はどういうふうな変化になっているか、お知らせください。
#121
○政府参考人(薄井康紀君) お答えを申し上げます。船員保険の被保険者数でございますけれども、被保険者のトータルの数で申し上げさせていただきますが、平成十年度末に約八万四千人でございましたが、平成十四年度末には約六万七千人と、五年間で一万七千人ほど減少をいたしているところでございます。
一方、船員数の方も、これ国土交通省の方の船員統計によりますと、こちらの方は年度の数字でございまして、平成十年の十月一日現在の数字で約十一万四千人でありましたものが、平成十四年十月一日現在では約九万八千人と、こちらの方も五年間で約一万六千人の減少と、こういうことになっていると承知をいたしております。
私ども、社会保険事務所等におきましては、地方運輸局などから年一回、船舶所有者ごとの船員数を把握することが可能な船舶所有者名簿といったものの提供を受けまして、その情報と私どもで所有しております情報とを突合することによりまして、未適用の船舶、あるいは未加入者の把握、あるいは加入の指導、こういったことを行っているところでございます。
船員保険の適用対象となり得る者の数でございますが、先ほど船員統計の数字を申し上げましたけれども、こちらの方で船員としてとらまえられましておる者の中で、私ども、船員保険の適用対象とならない者といたしまして、外国人の船員は原則適用にならない、あるいは官公庁の船、公務員船員というのは適用対象にならない、こういったところがございますので、こういったことを差し引くことによりまして、本来船員保険の適用対象となるのではないかと考えられるにもかかわらず適用となっていない者の数が大体これくらいではないかと、こういう把握ができるわけでございます。
ただ、先ほど申し上げた数字、船員保険の被保険者数は年度末の数字でございまして、一方で船員数の方は年度を十月一日の数字でございますので、私どもの方の数字も、年度末の数字よりは半年前の時点の数字の方が多うございます。
そういう意味で、私どもの九月三十日時点の被保険者数と対比をいたしまして、比較をいたすということで、未加入になっているものというふうな者の数を大まかに計算をしてみるということになろうかと思いますが、実際、加入指導を行った結果、実は船員保険の対象とならないというケースもございますので、これから申し上げる数字、差っ引き計算の数字がそのまま未加入者の数に該当すると……
#122
○富樫練三君 結論だけ先に言ってくれないか。#123
○政府参考人(薄井康紀君) いうわけではございませんけれども、加入指導の対象となる人数ということで申し上げますと……#124
○富樫練三君 聞いたことだけ答えればいいよ。#125
○政府参考人(薄井康紀君) はい。平成十年時点で八千人強、平成十四年時点で七千人強と、こういう数字だと見ているところでございます。#126
○富樫練三君 聞いたことに最初にちゃんと答えてくれればいいんですよ、余計なこと言わなくたっていいんですから。私は、この数字を見ますと、例えば平成十年度、一九九八年は一四・六%の未加入率ですね。未加入者がだから大体一五%ぐらいいると。それが平成十四年度になると一六・八ですから、一七%ぐらいに増えているんですよ。未加入率が増えているんですね。ここがやっぱり問題だろうというふうに思うんですね。本来ならば全員入らなければならないと。私は、現行の制度でもこれをチェックして加入させるということは、事業主に対する指導はできるというふうに思っているんですね。
例えば、今その船舶所有者と船員との間では公認制度といういわゆる雇入契約、これをやりますよね。そのときに、船員保険に入っているか入っていないかというのは国土交通省の方は分かっているわけなんですよ。そういうふうになっているんでしょう。どうですか。
#127
○政府参考人(鷲頭誠君) お答えいたします。船員保険につきましては、先ほど厚生労働省から答弁がありましたとおり、私どもからもその情報を提供をしております。それで、情報を提供しておりますが、必ずしもそういう意味じゃすべてということではございません。今後、厚生労働省と雇入契約のチェックの際に、今、先生がおっしゃられたとおり、船員保険の加入の有無を確認するということができないかということで検討をしておりまして、そういうことを通じて船員保険の加入の適正化に努めていきたいと、こう思っております。
#128
○富樫練三君 要するに、その公認の申請のときに船員保険の手帳、船員手帳を見せるでしょう。そこには船員保険に入っているか入っていないかということが書いてあるわけでしょう。それを見るんでしょう。見た結果、この人は入っていないなとなったら社会保険庁の方に連絡すればいいじゃないですか。この人はまだ入ってないよと、この人の事業主はどこどこ会社だよと連絡すればいいじゃないですか。それで、こちらの方からちゃんと入るように指導すればいいじゃないですか。何でそういうこと今までできなかったの。今相談しているという話があったけれども、どうして両方ともそれやらなかったの、今まで。#129
○政府参考人(薄井康紀君) 先ほどちょっと御説明をさせていただきましたけれども、私どもの方も、現在の時点でも地方運輸局などから年一回提供されます船舶所有者名簿と、こういったものを活用いたすことによりまして未適用の船舶所有者の把握、あるいは船員保険への加入勧奨と、こういうことを行っているところでございますけれども、先ほど国土交通省の方から御答弁ございましたように、私どもといたしましても、雇入契約の際のチェックの機会などをとらえましたものとの連携ということにつきまして今御相談をさせていただいているところでございます。いずれにいたしましても、今後とも努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
#130
○政府参考人(鷲頭誠君) これまで国土交通省からは、労働保護という観点から、例えば船員が職務上負傷したり疾病にかかったりした際の医療費の支給等について、最終的に保険で払われるということもございますので、船員保険の未加入者をなくす必要があるという考え方に基づいて、社会保険庁に対して、その船舶所有者名簿の提供とか、船員労務官の監査のときに未加入の事実を確認して、それが判明した際に通報するといったような形で努力をしてまいりました。#131
○富樫練三君 努力をしてまいりましたと言うけれども、その割には未加入者が増えているんだよね。だから、やっていることと実態が逆なんですよ。今日は社会保険庁を担当している厚生労働省からもおいでいただいていると思いますけれども、お聞きのとおりの状況なんですよ。
ですから、今回法改正をするというのであれば、こういうところが漏れなくきちんとできるようにしなければ、船員さんの人たちはいったん海に行ったら大変ですよ、これ、命懸けですよ。ところが、事故があった、船が沈没したりしたときに、その家族の人だって大変ですよ、こういう保険に入っていなかったら。年金もないわけですよ、失業保険もないわけですよ、健康保険もないわけですよ、これに入っていなければですよ。そういう状況になるということを考えたから、政府が保険者として責任を負うということになっているわけなんですね。
こういうことをきちんと今回、法改正に伴ってちゃんとやるのかどうか、これは是非政務官の認識を伺っておきたいと思います。
#132
○大臣政務官(竹本直一君) 先生おっしゃるとおりでありまして、今までもそういう両省間の相互連絡、協力はしてはいるんですけれども、言ってみれば十分でなかったとは言えるかもしれません。ただ、船員というのは普通の我々と違いまして船の上で長時間過ごすために非常に疾病も多いということの中から、事業主負担を多くし個人負担を少なくした、普通の保険とは少しスタイルの違う保険でございますが、それだけに、その精神を生かすように広報誌で十分趣旨を徹底するとか、先ほどから議論になっておりました公認時、つまり雇入契約をするときに船員保険に入っているかどうかを十分チェックして相互の連絡をきちっとして、そしておっしゃっているような未加入者が多いという現状を何としてでも少なくするようにしっかり頑張らせたいというふうに思っております。
#133
○富樫練三君 厚生労働省には是非しっかり頑張っていただきたいと思うんですが、ここで一言国土交通大臣に伺っておきたいんですけれども、今まで国土交通省の方は船員手帳をちゃんと見るわけですから知っているんですよね。ところが、縦割りというか何というか、船員保険の関係は厚生労働省の担当だというふうになっているものだから、国土交通省の方からちゃんと連絡をしてそういうところをカバーしていこうという姿勢が残念ながら今まではなかったと、これが実態だと思うんですよ。改善されますか、どうですか。#134
○政府参考人(鷲頭誠君) 先ほどの繰り返しの答弁になりますが……#135
○富樫練三君 あなたの答弁はさっき聞いたんだよ。大臣に聞いているんだよ。#136
○政府参考人(鷲頭誠君) はい。雇入契約のチェックの際に、その船員保険の加入の有無を確認する方向で対処したいと考えておりまして、厚生労働省と調整を図りながら適正化に努めていく所存でございます。#137
○富樫練三君 それはさっき聞きましたよ、改善するというのは。大臣の認識を聞いたんです。#138
○国務大臣(石原伸晃君) 適正化していきたいと思っております。#139
○富樫練三君 次に、派遣労働の問題について伺いたいと思います。政務官、どうもありがとうございました。
船員の派遣事業についてなんですけれども、これは紹介事業についてはILOでも、日本は批准していない条約でこれはやられている、認められているんですけれども、船員の派遣についてILOとしては認めていないんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
#140
○政府参考人(鷲頭誠君) 先生の御指摘は、ILO第二十二号条約のお話だと理解します。ILO第二十二号条約というのは船舶所有者と海員の間の雇入契約の内容について定めた条約でございます。
二十二号条約上、船舶所有者の定義というのはございませんが、この条約は我が国においては船員法によって実行されることを前提に我が国が批准をしているものでございます。
船員法上の船舶所有者が……
#141
○富樫練三君 聞いたことについて答弁してください。派遣事業について聞いているんです。船舶所有者について聞いているんじゃないんです。#142
○政府参考人(鷲頭誠君) 派遣事業、派遣事業につきましては、船員派遣事業における派遣元事業者、これが船員を派遣船員として乗り組ませるために雇用する者ということになりますので、船員を雇用する者として当然船員法上の船舶所有者の規定が適用されることになります。#143
○富樫練三君 ILOの条約で船員に対する派遣事業は認められているのかいないのか、これを聞いているんです。そういう規定はありますか。#144
○政府参考人(鷲頭誠君) ILO条約では海員の雇入契約に関する条約というのがございまして、そこの中で「船舶所有者又はその代理人及び海員によつて署名されなければならない。」ということで雇用契約の要件として規定されておりますが、船員派遣については特段の規定はございません。#145
○富樫練三君 最初からそう言えばいいんですよ。ILOには派遣事業についての規定はないんですよ。やってもいいとかやっちゃ駄目だとかという、そういう明確な規定はないんですよね。雇入契約についての規定は二十二号条約に、これにあるわけなんですね。それで、今そういうふうに答弁がありましたからちょっと聞いておきますけれども、その雇入契約というのは、二十二号条約では、船舶所有者又はその代理人、所有者とその代理人、その人とそれから海員と、この間で雇用契約、雇入契約を結ぶと、こういうふうになっているんだけれども、日本は、今度の派遣事業を認めるに当たって、船員法の第五条で、船を持っていなくても、船を借りていなくても、所有者じゃない、借りた人でもない、それ以外の人であっても契約はできるというふうに無理な拡大解釈をして派遣事業を、これをやろうと、こういうことのようですけれども、これはILOの精神に反するんじゃないですか。
#146
○政府参考人(鷲頭誠君) 何回も申し上げますが、ILOの第二十二号条約というのは船舶所有者と海員との間の雇入契約の内容について定めた条約であります。その条約において、今回の船員派遣事業における派遣元事業者というのは、船員法の船舶所有者として海員名簿等に記載するということによってその雇用主としての責任を果たすという意味において拡大解釈をしているということにはならないというふうに理解しております。
#147
○富樫練三君 要するに、船舶所有者と言っているんだけれども、その船舶所有者という概念の中には、船舶を持っている人、それから船舶を借りている人、それから持ってもいない、借りてもいない人も船舶所有者という概念の中に入る、こういうことでしょう。#148
○政府参考人(鷲頭誠君) 御指摘のとおりでございまして、船員法五条の船舶所有者に関する規定はおっしゃるとおりでございます。#149
○富樫練三君 だから、拡大解釈でしょう。船舶所有者と言いながら、常識ならば船持っている人ですよ。ところが、船も借りていないし持っていない人もみんな船舶所有者だということになったら、要するにだれだってこの派遣事業できる、無制限にできる、こういうことじゃないですか。こういうことをやったんじゃルールも何もなくなっちゃうじゃないかというところが今度の法案の重大な問題点なんですよ。これはやっぱり世の中というのはルールがあって、法律に基づいて、きちんとそれを守ることによって成り立っているんだけれども、今度出してきた法案というのはこのルールを自ら破壊するような、そういうやり方じゃないですか。
#150
○政府参考人(鷲頭誠君) 今回の船員派遣事業につきましては、船舶を持っている人、あるいは船舶を持っていなくても船員、船舶は借りてくる、船員を保有していて船を借りてくる場合、いろいろなケースもございますが、それを船員として派遣する場合に大変厳しい許可条件でチェックをいたします。そういう意味で、船舶を所有し、船員を所有し、全体として海運業を営んでいる人と同じような条件で今回船員派遣事業を許可するわけでございますので、差は、そういう意味で差はないというふうに考えております。
#151
○富樫練三君 要するに、差はないわけだからだれでもできるということなんですよね。それで、今問題になっているのは、違法マンニングと言われている、いわゆる違法な派遣事業ですよ。今度新しく法律が改正されることによってそういう違法行為がなくなるかというと、全然そうじゃないんですよね。違法行為についてはそのまま温存というか放置しておいて新たに派遣事業を進めるんだと、こういう仕組みを作ろうというわけですからね。これじゃ、今解決すべき問題については全く効力がないだけじゃなくて、だれでもできるという、正にノンルールみたいな格好になってしまうというふうに指摘をせざるを得ません。
その上で、今厳しいチェックをちゃんとするんだというふうにありましたけれども、今度は公認制というのはなくなりますよね。届出制にすると。公認というのは事前チェックだったと、届出というのは事後チェックだと、こういうふうに言われています。
そこで、何を届け出るのかと。今までの公認の対象だったものが今度は届出になるわけですよね。どういう中身かというと、これは労働条件とか、それからその船に乗る人たちが十分な、船の所有者とそこの海員さんとが十分な合意が成り立っているか、そういうことが事前にチェックされる、これがいわゆる公認制度ですよね。
そこで伺いますけれども、今度は届出ですから、出せば船は出航するわけですよね。今までは、出しても、チェックされてオーケーということになったら船は出航できるけれども、今度はオーケーとかなんとかじゃなくて、受理されればもう出航できると、こういうふうになります。それで、出航した後で、例えば労働条件が不十分だったとか、そういうことが気が付いた場合はどういう対策を取るんですか。
#152
○政府参考人(鷲頭誠君) 御指摘のように、今回雇用契約については届出制が導入されます。基本的に、その労働条件の内容につきましては、私ども、届出後直ちに航海の安全又は船員の労働関係に関する法令の規定に違反するようなことがないか等を確認をしようと思っております。もし、それでその結果、法令違反が確認された場合には、船員法第百一条の規定に基づきまして、航海中も含めて是正命令その他必要な措置を行い、船舶の航行の安全の確保を図ることとしておりまして、実行上不都合が生じないように努めてまいりたいというふうに思っております。
#153
○富樫練三君 実行上不都合が生じないようにと言うけれども、船は出帆しちゃっているんです、出航しちゃっているんですよ。港から出ていっちゃうんですね。それで、後から書類をチェックしたら、いや不十分だったということが分かったと。航海中も含めてということは、港から今度は追っ掛けていくわけですか、海に向かって追っ掛けていくわけですか。どういうふうな方法でやるんだかよく分からないんだけれども。それで、もう一個聞いておきますけれども、安全最少定員というのがありますね。これは絶対守らなければならない船の定員。これだけ人数がいなければ安全な航行、航海はできないと。これも本来チェックされるはずですよね。ところが、これも届出ですから、出してもう出航しちゃうと。ところが、その安全最少定員が守られていなかったということに気が付いたと。ところが、船はもう港を出ちゃっているというふうになった場合どうするんですか。
#154
○政府参考人(鷲頭誠君) 先ほど申し上げましたが、届出後、直ちに航海の安全又は船員の労働関係に関するチェックをしようと、こう思っておりますので、そういうようなことというのは起こり得ないと思います。もし起こった場合には、できるだけ速やかに監査をするなり立ち入るなりして是正命令を掛けるということに対応したいと思っております。
#155
○富樫練三君 時間が来ましたので最後の一問にしますけれども、そういうことは起こり得ないということはあり得ないんですよ、船をストップさせるんじゃないんですから。ストップさせる権限はないんですからね、だから届出制なんですよ。公認制と違うというのは、そこが違うんですね。よくよく聞いたら、次の港に寄ったときに、役所の方から出掛けていってそれで調べるんだ、そこでストップ掛けるんだと、こういうふうに言うんだけれども、先ほどの午前中の質問にもありました、そういう船員労務官というのは百三十四人しかいないと。全国六十二か所に分かれている、そのうちの十一か所は一人勤務だと、こういうわけでしょう。
大臣、よく聞いていただきたいです、最後に大臣に伺いますからね。
そういうチェックの仕組みがきちんと整っていないまま規制緩和、規制緩和ということで、船はどんどんもう港から出ていっちゃうんですよ、不十分な形でも。事故が起こったり沈没してからじゃ、もう遅いんですよ。こういう規制緩和のやり方というのは、そこに乗っている労働者の権利や安全や、あるいは航行の、航海の安全、こういうことには逆行することになるわけですよ。この点は、是非大至急改善しなけりゃならない。
こういう法改正だということで、私どもはこれは反対ですけれども、大臣の見解を伺っておきたいと思います。
#156
○国務大臣(石原伸晃君) 船員労務官の数というのは、やっぱり現実問題として少ないと思うんですね。ただ、効率化等々を行うことによって、その情報、監査情報の一元化とかブラックリストを作るとか、そういうことでこの窮状はやりくりしていくしかないというのが、その一方で現実だと思っております。一言で言いますと、一層効果的な監査体制を確立することによって委員の御懸念を一つでも払拭していくようにさせていただきたいと思います。
#157
○富樫練三君 終わります。#158
○委員長(輿石東君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。─────────────
#159
○委員長(輿石東君) 委員の異動について御報告いたします。本日、上野公成君及び木村仁君が委員を辞任され、その補欠として加治屋義人君及び松山政司君が選任されました。
─────────────
#160
○委員長(輿石東君) これより両案について討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#161
○富樫練三君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題になっております海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。反対理由の第一は、荷主の優越的地位を濫用する規制、これを規制するのではなくて、事業実態に対応するという名目で荷主本位の内航海運事業を再編するものだからであります。
今求められているのは、荷主による関係法規を無視した優越的地位の濫用の規制であります。後ればせながら今年の四月から、内航海運事業も、改正された下請二法及び独占禁止法にかかわる特殊指定の新たな対象になりました。しかし、本法案はこの方向とは反対に、事業参入を許可制から登録制に、基準運賃などの制度の廃止、事業区分の廃止、適正船腹調整量の制度の廃止など、一連の規制や制度を廃止するものであります。これは、中小内航海運事業者の経営を一層脅かし、内航海運の振興に逆行するものであります。
反対の第二の理由は、違法な派遣事業にメスが入らないどころか、これを温存することになるからであります。
現在、横行している違法な派遣事業であるマンニング業は、法で禁止されている二重搾取を行い、船員の労働条件等を脅かしています。現在、緊急に求められている課題は、違法なマンニング業にメスを入れて、このような違法行為をやめさせることであります。しかし、本法案では実効ある対策は取られておりません。
反対する第三の理由は、労働力の流動化の名の下で、労働者派遣事業の対象を船員まで広げて、雇用不安を拡大し、労働条件を悪化させるからであります。
しかも、ILO二十二号条約で、海員と雇入契約を結ぶことができる雇主は船舶所有者又はその代理人と限定されているにもかかわらず、本法案では、船を持っていないし、借りてもいない者まで広げています。これは国内法である船員法の強引な拡大解釈によるものですが、こんなことがまかり通るならルールも何もなくなってしまいます。さらに、雇入契約が事前チェック方式である公認から事後チェック方式である届出になることによって、船員法第三十八条に規定されている、国土交通大臣が公認の申請に対し、その雇用が航海の安全又は船員の労働条件に関する法令の規定に違反していないかどうか、又は当事者の合意が十分あったかどうかを審査するということが事前にできなくなってしまいます。これでは船員の権利と航海の安全を守ることはできません。
以上、反対する理由を申し上げまして、討論を終わります。
#162
○委員長(輿石東君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。これより採決に入ります。
まず、旅行業法の一部を改正する法律案の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
#163
○委員長(輿石東君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。次に、海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案の採決を行います。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
#164
○委員長(輿石東君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。この際、池口君から発言を求められておりますので、これを許します。池口修次君。
#165
○池口修次君 私は、ただいま可決されました海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。
海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一、船員の恒常的な長時間労働を是正するため、他業種での事例並びに船員労働の特殊性を踏まえつつ、航海当直、荷役作業、食料の調達供給等船員の労働時間の定義及び船舶の安全航行の確保に係る臨時労働の内容について、それぞれ規定上の明確化を図るとともに、船員に対する労働条件の明示の徹底に努めること。
二、内航貨物船の定員規制に関し、一日八時間、週平均四十時間という労働時間規制の原則を前提とした「標準定員」が確保されるよう特段の配慮を行うこと。
三、船員法等の実効性が一層確保されるよう、情報照会システム及びポイント付加制の実用化を急ぐなど船員労務監査業務の充実を図ること。
また、船員の労働条件・労働環境に関する事後チェック体制の確立と実行を図ること。
四、常用雇用型船員派遣事業の導入に当たっては、派遣船員の同意を前提としつつ適正な運営が行われるよう、事業の許可及び就業に際してのチェックを厳正に実施すること。
五、平成六年の船員法改正時の参議院運輸委員会附帯決議に盛り込まれた内航海運業の運賃・用船料の適正化について、必ずしも十分な改善効果が上がっていない実状にかんがみ、内航海運業の一層の健全化を図るため、その適正化に係る環境整備に努めること。
六、内航海運の活性化を図るため、内航海運暫定措置事業を円滑かつ着実に実施すること。
七、内航海運事業が極めて重要であることにかんがみ、モーダルシフトの推進も考慮に入れつつ、輸送秩序の維持及び運航の安全性の確保に十分留意した、海上輸送ネットワークの構築が図られるよう努めること。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#166
○委員長(輿石東君) ただいま池口君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕
#167
○委員長(輿石東君) 全会一致と認めます。よって、池口君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。ただいまの決議に対し、石原国土交通大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。石原国土交通大臣。
#168
○国務大臣(石原伸晃君) 海上運送事業の活性化のための船員法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました船員の労働環境の改善、内航海運暫定措置事業の円滑かつ着実な実施等につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長、理事を始め委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。
どうもありがとうございました。
#169
○委員長(輿石東君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#170
○委員長(輿石東君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。本日はこれにて散会いたします。
午後三時十三分散会