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2004/05/25 第159回国会 参議院 参議院会議録情報 第159回国会 厚生労働委員会 第19号
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2004/05/25 第159回国会 参議院

参議院会議録情報 第159回国会 厚生労働委員会 第19号

#1
第159回国会 厚生労働委員会 第19号
平成十六年五月二十五日(火曜日)
   午前十時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任
     榛葉賀津也君     浅尾慶一郎君
     渡辺 孝男君     風間  昶君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     柳田  稔君     平田 健二君
     風間  昶君     日笠 勝之君
     小池  晃君     大門実紀史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         国井 正幸君
    理 事
                武見 敬三君
                藤井 基之君
                辻  泰弘君
                森 ゆうこ君
                遠山 清彦君
    委 員
                有村 治子君
                金田 勝年君
                佐々木知子君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                宮崎 秀樹君
                朝日 俊弘君
                大脇 雅子君
                平田 健二君
                山本 孝史君
                日笠 勝之君
                井上 美代君
                大門実紀史君
                福島 瑞穂君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  谷畑  孝君
       厚生労働副大臣  森  英介君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       佐々木知子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       総務省自治税務
       局長       板倉 敏和君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       財務大臣官房審
       議官       加藤 治彦君
       国税庁課税部長  西江  章君
       厚生労働大臣官
       房総括審議官   井口 直樹君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    小島比登志君
       厚生労働省年金
       局長       吉武 民樹君
       社会保険庁運営
       部長       薄井 康紀君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○年金積立金管理運用独立行政法人法案(内閣提
 出、衆議院送付)
○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、渡辺孝男君及び榛葉賀津也君が委員を辞任され、その補欠として日笠勝之君及び浅尾慶一郎君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(国井正幸君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省年金局長吉武民樹君外七名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(国井正幸君) 国民年金法等の一部を改正する法律案、年金積立金管理運用独立行政法人法案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。
 この際、極めて異例ではありますが、委員長として、森、谷畑両副大臣にお伺いをいたします。
 森、谷畑両副大臣におかれましては、御本人の会見及びこれまでの委員会質疑を通じ、国民年金への未加入期間があったことが判明いたしました。
 これまで、両副大臣ともに極めて遺憾であった旨の御発言があったことは承知いたしておりますが、法案提出者である厚生労働省の副大臣としてその責任を明確にすべきとの強い意見もありますので、改めて委員長としてこの問題に対する両副大臣の所感を求めるものであります。森厚生労働副大臣。
#6
○副大臣(森英介君) これまでも御説明してきたところでございますが、私の国会議員在任期間中の公的年金への加入状況につきましては、平成六年七月に労働政務次官に就任した際に、年金について医療保険と同様に共済に加入しているものと勘違いをいたしまして、このため、結果的に政務次官在任中の十三か月間が未加入の状態となってしまいました。
 私は、年金保険料を納めることは国民の義務であると考え、これまできちんと納めてきたつもりでありましたが、結果的に未加入期間が生じてしまったことにつきましては重く受け止めており、大変申し訳なく、遺憾に思っております。国民の皆様方に対し、またこの法案を審議していただいている厚生労働委員会の委員の皆様方に対し、心からおわびを申し上げたいと思います。
 私といたしましては、担当副大臣として年金制度改革に全身全霊を挙げて取り組み、その職責を果たしていくことが国民の皆様方に対する適切な責任の取り方であると考えております。
 よろしくお願いいたします。
#7
○委員長(国井正幸君) 谷畑厚生労働副大臣。
#8
○副大臣(谷畑孝君) 私の国会議員としての公的年金への加入・納付状況につきましては、平成元年八月から平成七年六月の五年十一か月について未加入期間がありました。
 これは、参議院議員になった際、団体役員を辞めたため、厚生年金が自動的に停止になりましたが、その際、国民年金への切替えの手続をすべきところ、当時は年金についての勉強不足でもあり、手続を失念していたものでございます。
 私は、年金保険料を納めることは国民の義務であると考え、これまできちんと納めてきたつもりでありましたが、未加入期間があったことにつきましては重く受け止めており、大変申し訳なく、遺憾に思っております。国民の皆様方に対し、またこの法案を審議している厚生労働委員会の委員の皆様方に対し、心からおわびを申し上げたいと思っております。
 私といたしましては、国民に信頼される年金制度の構築に向けて、副大臣として誠心誠意取り組み、その責務を果たしていくことが国民の皆様方に対する適切な責任の取り方であると、このように思っております。
 よろしくお願い申し上げます。
#9
○委員長(国井正幸君) これより、前回に引き続き、三案について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#10
○有村治子君 おはようございます。自由民主党の有村治子でございます。
 厚生労働委員会に異動後、初めての質問をさせていただくこととなります。昨日、理事懇が決まってから、限られた時間でございますが、精一杯準備をいたしました。その過程の中で、厚生労働大臣始め皆様、厚生労働行政のフロントラインに立たされる方々が本当に御尽力されているということをつくづく感じました。まず初めに、行政マンの方、ウーマンの方、それぞれに敬意を申し上げた上で私の質問を始めさせていただきたいと思います。
 今回の審議を通じて、様々な年金法案に関する、あるいは今までの年金の運用問題に関して様々な課題、問題が山積みになっているということが残念ながら多々露呈いたしました。その中で、私たちは、この法案に賛成の立場を取るか、反対の立場を取るか、この立場を超えても、やはり年金加入者、つまり納税者、国民の皆さんに広く共有されている質問や不安や疑問にこたえていける場に、この厚生労働委員会の場になっていくことが大事だなということを感じております。そういう意味では、私は、できる限り問題解決型、より良い意見を提供してもらう、あるいは自分たちも提供していくような議論を展開していきたいと思います。
 その中で、私が、じゃ、ここで私たちが守っていかなきゃいけない価値観はどういうものがあるのか、ちょっと私なりに整理してみました。
 それは、やはり、前回、自民党の方の委員からもありましたけれども、まず持続可能な年金制度を作り上げていくこと。それから、やはり年金制度そのものの信用を回復すること。この年金制度そのものの信憑性、精度、つまり確実性だったり正確性だったりを高めるというのは、うっかりミス、うっかり未納、払う意図があっても払う機会がなかった人という人たちをフォローすること。そして、確信犯的に年金を払わない人、言った者勝ちだというふうに、ねらって、確信犯的に払わない人をしっかりフォローアップしていくこと。そして、その一方で、経済的そのほかの理由でどうしても年金を払えない人たちに安全策、セーフティーネットを設けていくこと。そして、特に年金負担感が大きい若年世代が、心理的、物理的にも払いやすい制度にしていくことが大事だと思います。その上で、払わなくちゃいけないなと思ってもらえる年金制度を確立すること、実際に払いやすい年金制度を作ることが大事だと思います。
 制度そのものに対して一貫して貫かなきゃいけない価値観は、今までも、これからも、ルールを守って誠実に支払ってきた正直者がばかを見ない、フェアな制度を確立し貫くことが何よりも大事な価値観だと思っています。そして、今回の年金制度に関して議論がいろいろありますけれども、年金制度に対する信頼性を高めるというのは、単に制度の信憑性を高めるだけではなくて、日本社会に対する国民皆さんの信頼性、社会の規範とかルールとか日本人としての価値観というもの、その価値観に対して堅実な思い、信頼性を醸成するためにも重要なことだと思っています。
 そんな思いをまず前提にあることを私御報告させていただいた上で、具体的な質問に入ってまいります。まず最初に、是非、前向きな議論を展開していきたいと思います。
 まず初めに、年金手帳の有効活用についてお伺いいたします。
 今まで、私の理解が正しければ、公的年金に関する届出を適切に行っていれば、当然、その人の年金関係の記録は社会保険庁のコンピューターに管理されることと理解しています。でも、年金の手帳は加入者の納付記録などが時系列で分かりやすくここには記録されていません。私自身の年金手帳を見ても、意味のある情報というのは基礎年金番号以外余りないというのが実情でございます。にもかかわらず、個々人に年金手帳を持たせる意義、意味というのはどういうところにあるのか、分かりやすい言葉で御説明いただきたいと思います。
#11
○政府参考人(薄井康紀君) 年金手帳でございますけれども、これ、今御質問にございましたように、被保険者の資格を初めて取得したときに交付されるということで、被保険者になったことの証明書であるということと併せまして、被保険者の基礎年金番号、これ平成九年度に基礎年金番号を導入されましたけれども、九年に導入されましたけれども、その基礎年金番号の通知書の役割を持つものでございます。
 年金の資格、国民年金で申しますと、第一号、第二号、第三号、あるいは会社を移られる、いろんなケースがございまして、これらに伴いまして資格の取得とか喪失、こういったことが行われるわけでございますが、そういった際に、年金手帳を提示していただいて、きちっとその方の記録が私どものコンピューターシステムに記録をされるようにということで使われる、あるいは将来、年金の請求をされる際に基礎年金番号を確認し、正確な記録とつなげて裁定をする、こういうことで役割を果たしているというふうに考えているところでございます。
#12
○有村治子君 きれいにまとめていただきましたが、今のは建前論だと思います。
 年金に加入していますよとこの年金手帳が送られてくることもあります。しかし、この年金法案、関連法案での国会審議を通じて、国民の間に自分の年金加入記録を確認したいという方々が急増しました。報道されているとおり、社会保険事務所の窓口では大きな混乱が生じていると言われています。これは自分の年金加入記録を手軽に確認できないことが原因にあると私も考えます。もっと言えば、納付している本人に自分自身の年金納付状況、記録、情報が還元されていないことが未納、未加入の問題を発生させる一つの原因になっていると考えます。
 ですから、例えばこういった紙ベースの手帳で、何でこの大きさなのか、何で紙なのかということを私自身も思いますが、例えばICカード化して、社会保険事務所あるいは市町村に設置された端末で、自分でカードを差し込めば、銀行の通帳のように、あるいは、その場で年金加入記録が印字できるようなシステムを構築する、あるいは、現在で言えば、自宅のコンピューターで銀行の預金口座や、例えば本人が持っている株式の運用残高が、パスワードも含めて個人情報が自宅にいながら好きなときに入手できる時代になっています。
 にもかかわらず、社会保険庁に足を赴いて三時間も待たされたということがいまだにまかり通っているというのは、ちょっと不思議だなというような感覚がいたしますが、これについてはどうお考えでしょうか。
#13
○政府参考人(薄井康紀君) 今、御質問ございましたように、やはり国民の年金に対する関心が非常に高まっているということの中で、年金に関します個人情報の提供の充実ということは非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
 今、お話ございましたように、年金手帳、例えばICカード化して、それを、基礎年金番号をキーとしていろんなことが分かるようにするということも、これは一つのお考えだというふうに思っております。
 ただ、そういったことを進めるに当たりましては、国民の利便性の向上という面と、一方でセキュリティーとの関係とか、そこら辺も十分考えながら進めていかなければいけないというふうに思っております。
 今回の年金改正法案の中にもポイント制ということで分かりやすい形でお示しをするというふうなものがございますけれども、それをどういう形で提供していくか、法案を受けましてまた検討していかなければいけないというふうに思っております。
 それから、私どもといたしましても、個人認証サービスを受けました電子証明書によりまして、厚生労働省の電子申請・届出システムを通じまして、自宅にいながら、取りあえずは五十五歳以上の方ということになりますけれども、年金見込額とか加入期間とか、こういったものをインターネットでも確認できるようにということで現在準備を進めているところでございます。
#14
○有村治子君 具体的な進行状況が教えていただけて、私も少し勇気が出ました。ありがとうございます。
 次に、未納期間があった場合、今回もたくさんいろいろな問題が露呈しましたが、未納期間があった場合の遡及納付期間、できればその延長についてお伺いしたいと思います。
 現在、未納期間があった場合に逆戻って、遡及して納付できる期間は二年間です。国民年金保険料の消滅時効額、つまり二年以上逆戻って払えないという金額が一体どのくらいあるのか。例えば、平成十四年度一年間で、払いたくても払えない、時効が生じてしまって払えないという金額は年間八千百九十億円あります。
 これは、本来、平成十二年度、二年前、十四年度からして二年前ですから十二年度に納付されるべき保険料であったにもかかわらず、時効が生じてしまっているからこの八千百九十億円が入らないというわけでございます。そして、この金額は平成十四年度に納付されるべき保険料の二九%、つまり三分の一程度にも相当する巨大な金額です。
 こうした現状を踏まえて、どのように認識していらっしゃるか。払おうと思っても過去に逆戻って払えない人たち、払えない、そして国が損失をしている金額が莫大なことを考えると、もう少し前向きな議論があってもいいかなと思います。是非御答弁をお願いいたします。
#15
○政府参考人(薄井康紀君) 今、御指摘のとおり、国民年金保険料の時効消滅額、納付率の低下に伴いまして大きな数字になっているところでございます。
 国民年金の納付率改善のために、昨年の八月に厚生労働省内に国民年金特別対策本部、これは大臣を本部長として設けまして、現在、今後五年で納付率八〇%という目標の達成に向けまして、省を挙げて取り組むということで取り組んでまいっているところでございます。
 具体的には、現在の法律上は保険料の時効というのは二年ということになっているところでございまして、従来はこの二年の時効を中断するような措置を取っていなかったわけでございますが、十五年度におきましては、所得なり資産があるにもかかわらず保険料を納付されない方につきましては、最終催告状というのを出しまして、その上でまた納付督励も実施すると。それでも納めていただけない方には督促状の送付を行いまして、強制徴収ということで、この段階で時効中断というふうな措置も講じるように、ところにしたところでございまして、いずれにいたしましても、納付率の向上に向けまして最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
#16
○有村治子君 先日の三党合意を踏まえて、国民年金保険料を事後納付できる仕組みの導入が検討されていると承知しています。しかし、この合意も衆議院の議論がほぼ完了する前後から起こってきたような話でございます。
 このような制度の導入に当たっては、納付したいと思っている個人にとっても、また国家にとっても、このようにさかのぼって納付できる期間を長くするということはいいことだと、意味があることだと思います。しかし、その一方で、バブルのときもバブルがはじけたときも、家計がいいときも厳しいときもルールに対してまじめに保険料を納めてきた方々がばかを見ないように、何だ払わなくてもよかったんだというふうに思っていただくことがないように、制度の信憑性、公平性に十分な配慮がなされる必要があると思います。今まで着実に払ってきた人が報われるような制度を堅持していかなきゃいけないと思います。
 うっかりミスであった人々を救済するためにさかのぼって納付できる期間を長くするということは意味があると思いますが、設けるべき制度が、どうせ後で一緒に払えばいいんだからと、払込みをちゅうちょする動きを作る原因になっては本末転倒の議論になります。
 この点について、フェアな制度を堅持していくという厚生労働省の見解をお聞かせいただきたいと思います。
#17
○国務大臣(坂口力君) 三党合意によりまして、今いろいろ御議論をいただいているようでございますが、それはどこまで進んでいるかということを明確に私まだ存じておりません。ただし、今御指摘になりました点につきましては、いろいろと御議論をいただいているようでございます。
 今までから、厚生労働省あるいは社会保険庁といたしまして、納付期間、納付、さかのぼれる期間というのは一応二年というふうに定めております。学生さんの場合など、納付をいわゆる免除すると申しますか、一時的に免除するという制度も取っておりますが、後でそれをお支払いをいただきます場合には、それなりにそのときの保険料プラスアルファ、その時々の保険料に更にプラスしてお払いをいただいているということでございまして、そこは早く、着実に、誠実にお納めをいただいた方と、そして後からまとめてお払いをいただく皆さんとの間には差を付けているところでございます。
 したがいまして、多く国民の皆さん方がそのときそのとき着実にお支払いをいただけるような体制を取っていかなければなりませんし、そうした環境を整えていかなければならないというふうに思います。支払っていただきやすい環境を整えながら、なおかつ何らかの理由でそこに滞納期間が生じたといった場合に、後でお支払いをいただくということがあったといたしましても、それはやはりそれだけの負担というものはしていただかなければならない。着々とそのときそのときお納めをしていただいている皆さん方と同じというわけにはいかないというふうに思っている次第でございます。
#18
○有村治子君 誠実に払っている人を大事にするという大臣のコメントは是非これからも堅持していただきたいと存じます。
 次に、うっかり未納への対応についてお伺いします。
 国民年金の保険料をうっかり納付するのを忘れていたよというような未納者に対してこれまでどのように取組がなされてきたのか、そしてそこから得られてきたノウハウというものにはどういうものがあるのか、このうっかり未納者に対して今後どういう対応を実践していかれるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 社会保険庁においては、未納者に前年度までの納付状況を通知して保険料納付意欲を喚起したいということを検討していらっしゃるやに理解しておりますけれども、これは実施に向けてどのように進捗状況が進んでいるのか、併せてお聞かせいただきたいと思います。
#19
○政府参考人(薄井康紀君) 先ほども申し上げましたように、保険料の納付率の向上に向けまして様々な取組をしてございます。
 うっかりというケースだけではなくて、まずは年金広報なり年金教育などということを通じまして制度に対する理解を深めていただきまして、まず自主的に納めていただくということがまずは大切であろうかと思っております。
 それから、未納者の中には、うっかりの方あるいはうっかりではないけれども納めておられない方、いろいろおられるわけでございますけれども、現在は、納めておられない方に対しまして年六回催告状というのを出さしていただいております。さらに、その上で電話なり戸別訪問によりまして保険料納付の督励を行っておりまして、これによって納め忘れなどを防止をするということでやっておるところでございます。さらに、今年からはコンビニエンスストアでの保険料の納付ということもできるようにいたします。そのように保険料を納めやすい環境作り、こういったことも取り組んでいるところでございます。
 また、こういうふうな取組、地域地域での取組ということもございますので、私ども、各地方での取組というのを十分踏まえまして、全国の社会保険事務局にそれを周知をするということで取り組んでいるところでございます。
 今御指摘ございました納付の状況をお知らせをして、それを確認して、また抜けているところを納めていただくということも重要なことだと思っておりますので、そういったところも現在検討しているところでございます。
#20
○有村治子君 今までも催告状を出され、督促状を出されて、そして訪問もされるというようなことを伺いましたけれども、そういう取組をなされて、社会保険庁なり厚生労働省なりが現場に行って分かるノウハウ、どういう蓄積をされているのか、このノウハウをどうやって省庁として蓄積していくのか、マーケティング的な思想も是非取り組んで入れていただきたいと思います。
 つまり、私の推測ですけれども、督促状あるいは催告状を出して、五回出して出さない人は恐らく六回出しても反応しない人たちなんだと思います。本当に六回という数が適切なのかどうか。そして、訪問時間によってやはり納めようかなという人たちの気が変わる、あるいは地域によって違う、あるいは説得方法によっても応じてくださる方の数が違うというようなノウハウは絶対に足で稼いだ暗黙知としてあるはずです。それをやはり行政の執行者として、ノウハウをどう組織に止めるか、蓄えていくか、そしてそのノウハウを生かしたアプローチを掛けていくかという、もう少し民間がいつもやっているようなノウハウというのが中央省庁に届いてしかるべきだと思いますので、生かしていただきたいと思います。
 次に、確定申告における国民年金保険料納付証明書類の添付についてお伺いしたいと思います。
 現在、所得税法では、確定申告の際に国民年金を納めていますよという保険料の納付証明書を添付することは義務付けられていません。しかし、これまでの年金に関する国会審議の中では、国民年金の納付率を上げていくための一つの方法として確定申告に納付状況の添付を、書類添付をした方がいいという方法が論じられてきました。これに対して小泉総理も積極的な関心を示されてきました。前向きに検討が進んでいると思っていいのでしょうか。現在、社会保険庁と国税庁との間で協議が行われていると理解していますが、どのような点がクリアされればこれが可能となるのでしょうか。
#21
○政府参考人(薄井康紀君) 御指摘ございましたように、国民年金保険料未納の問題、厚生労働省だけではなくて関連省庁ともよく御相談をして取り組んでいくべき課題と考えております。
 社会保険庁と税務当局との連携について申し上げますと、市町村税務当局からの所得情報の取得を円滑にするための規定を今回の年金改革案の中に盛り込んであるところでございまして、これによりまして未納者に対しまして効果的に納付の督励あるいは免除勧奨あるいは強制徴収と、こういったことを実施することができるようにいたしますとともに、この未納者情報を税務当局に提供して社会保険料控除の適正な運用に活用してもらうと、こういったことで税務当局と御相談をさしていただいているところでございます。
 ただいまの御指摘も踏まえまして、よく相談をして、できるだけ効果的な方策ということで取り組んでまいりたいと考えております。
#22
○有村治子君 前向きにおっしゃっていただいて感謝です。
 その一方で、やはり私が今回の質問を考える過程でも本当に切実に感じるんですが、各省庁なり社会保険庁なり、かなり縦割りで動いていて、その統合が、統合機能がちょっと弱いなということを感じます。
 例えばこの年金手帳も、何でこのサイズなのか、何でこのページ数なのか、何でこんなにページ数があるのに欲しいべき情報が入っていないのかということを考えると、統合すればどういうふうなメリットがあるのか、何を守っていかなきゃいけないのかというデザインの設計の時点でのちょっと詰めが甘いのかなというような気がいたします。
 ですから、是非、これから文部科学省、省庁の関係するような年金の在り方ということを私も質問に出していきますけれども、関係省庁との連携、そして、単に継ぎ足しただけじゃなくて、その統合で何を守っていかなきゃいけないのか、この目的は何なのかということを本当に原理原則論で詰めて、そこからシステム設計、制度設計をしていただけたら有り難いというふうに思います。
 次に、国に国民年金保険料徴収事務を移管した影響についてお伺いしたいと思います。
 地方分権一括法によって、平成十四年度から国民年金保険料の徴収を、今までは市町村がしていましたが、これを国、つまり社会保険庁に移管することが決定され、そうなりました。市町村が保険料の徴収事務を担っていた時代と現在とを比較して、どのようなメリット、デメリットがあったのか、徴収率などを含めて、どういう経過があったのか、鳥瞰図的な傾向、トレンドを教えていただきたいと思います。
#23
○政府参考人(薄井康紀君) まず、平成十四年度の国民年金保険料の納付率でございますけれども、前年度と比べまして八・一%、これは現年度の保険料納付率でございますが、低下して六二・八%という数字になっております。
 この納付率の低下の要因でございますけれども、平成十四年度に保険料の収納事務が市町村から国に移管をされた、その際の事務移管時の対応の混乱等、あるいは、それまで市町村で町内会とか婦人会などを納付組織として活用していた、それが活用できなくなった、こういった影響もこの低下の要因の中にはあるわけでございますけれども、一番、八・一ポイント低下した大きな要因は、同じ十四年度に免除制度を改正をいたしまして、申請全額免除者が前年度と比べて半減をする、この要素が八・一ポイント低下のほぼ半分ぐらいというふうに認識をいたしております。
 それから、やはり厳しい経済情勢の下でございますので、離職等によりまして、第二号被保険者、厚生年金グループから国民年金の第一号被保険者になる、そういった方が増えておりまして、これらの方の納付状況が相対的に低いと、こういった要因もあろうかと思っております。
 市町村から国に移管をされたことに伴いまして、幾つかのメリットもございます。被保険者に対しまして保険料の納付書というのを出すわけでございますが、これは従来、市町村ごとに様式が決まっておったわけでございますが、全国同じ様式で出せるようになった。あるいは、市町村の指定金融機関で納めていただいていたわけでございますけれども、国に移管されましてからはほぼ全国の金融機関で納められるようになる。あるいは、口座振替のケースについて申し上げますと、転居したときも改めて手続は要らないと。さらに、コンビニエンスストアであるとかインターネットによる納付ができるようになったのも全国一本の成果というふうに言えようかと思いますし、先ほど申し上げましたような、年六回の催告状であるとか、こういったことも現在は全国一律に実施をいたしているところでございます。
 ただ、一方で、先ほど申し上げましたように、市町村時代に活用できましていたような納付組織の活用ができなくなったとか、きめ細やかな対応ができなくなったと、こういう部分もございますので、そういった納付組織といったものを改めて活用できないか、あるいは商工会とかいろんな団体ございますけれども、そういうところの御協力を得て仕事が進められないかと、こういったことを現在検討しているところでございます。
#24
○有村治子君 御説明ありがとうございます。
 今、市町村がその納付に責任を負っていた時代と比べて、十四年度から社会保険庁に納付していただく機関が移った、それで、納付率の違いはマイナス八・一%だったと御説明をいただきましたが、八・一%というと、ううん、そうでもないかなというふうに思っちゃうんですが、この十四年度の納付率六二・八%は史上最低です。もちろん、厳しい経済状況、そして今まで納付しなくてもいいんだよという免除だった人が、そうじゃなくて、納付していただかなきゃいけない母集団に入ったということももちろんありますが、これから本当に納付率が上がるのかどうか。商工会との連携、婦人会の連携というふうにおっしゃいましたけれども、本当にそこに魂を入れる意図があるのか、確信があるのか、ちょっと今のところでは弱いんじゃないかな。ますますこの納付率の低下というトレンドというのは、よっぽどのことをしない限り上向きにはならないというふうに思います。そういう意味で、決定打というのはしっかりと把握していらっしゃるんでしょうか、お教えいただきたく存じます。
#25
○政府参考人(薄井康紀君) まずはやはり年金制度に対する信頼の確保ということで、これは若いころからの年金教育とかあるいは年金広報と、こういったものを通じてそれを確保していくということが重要でございますし、それによりまして自主的に納付をしていただく。自主的にお納めいただけない方につきましては、催告状なりあるいは電話なりあるいは戸別訪問によります納付督励と、こういった取組があるわけでございます。さらに、今回の改正案の中では、多段階の免除制度を導入する、あるいは若い人、二十代の方につきましての納付猶予制度を入れる、こういった形での保険料を納めやすい環境作り、こういったことも盛り込んでいるところでございまして、これら制度的な対応も併せまして納付率の向上につなげていけたらと考えておるところでございます。
#26
○有村治子君 繰り返しになりますが、やはり制度運用に関してしっかりと納付していただけるように考えるのは、私たちの意識とか心の持ちようとか啓蒙しますということを言うだけではなくて、もう少しマーケティング的な思想を取り入れてもいいんじゃないかなと思います。是非、御検討いただきたいと思います。
 国民の年金制度に対する信頼を高めていくと、何度も今おっしゃっていただきました。具体的にじゃどうやっていくのかということについて、学生さんについてお話を展開させていただきたいと思います。
 少子高齢社会が突き進む中で、世代が下る、若い世代になるほど、彼らにとって社会保障制度の中でのハンディは大きくなっていきます。そして、負担感というのはますます如実なものになってきます。公的年金制度がこの日本において成功するか、それとも持続可能になっていけないのか、その成否というのは、私たち三十代、四十代、五十代の働き盛り世代と、社会に積極的に関与し始める二十代、若年層の年金に対する認識がいかに上がっていけるかどうか、これに掛かっていると言っても過言ではないと私は考えています。
 そういう意味では、若者に優しい、分かりやすい、相談しやすい、払いやすい制度にならなきゃいけないと思います。しかし、現実、私がある程度調査をしたのを考えただけでも、現在の状況は、払おうとする若い世代に数々のハンディを課して、年金制度に参画していこうという人たちに対する障害が多過ぎるような気がいたします。
 現在、学生さんの前年所得が六十八万円以下の場合は、大学在学中は国民年金保険料を払わなくても済む、いいよという学生納付特例適用者という制度がございます。しかし、これについては随分と誤解があるようです。学生であればどなたでも学生納付特例制度に自動的に適用される、この特例が適用されると誤解している人も少なくありません。これは誤解です。こうした人は、万が一障害を負った場合、大変不利な状況になってしまいます。また、卒業後もフリーターなど、現在急増していますけれども、就職しなかった場合、あるいは本当にフルタイムの定職に就かなかった場合は、国民年金の未納状況が続くことになる可能性が多い。
 この中で、学生納付特例制度について大学での広報活動というのが本当にしっかりとなされているのかどうか、ちょっと私は懐疑点がございます。その点について、現状を御説明いただきたいと思います。
#27
○政府参考人(薄井康紀君) 学生納付特例制度につきましては、今御指摘ございましたように、所得制限というのがございます、本人の所得制限というのがございます。したがいまして、毎年度申請をしていただいて、その上で納付特例が受けられると、こういう形になっているところでございます。
 そういう意味で、特に大学等の御協力を得まして説明会を開催をするということで、十四年度辺りになりますと年度当初からかなりハイピッチで学生納付特例の申請が出てきていると、こういうふうに受け止めをしているところでございまして、私どもも、今後とも申請書付きのパンフレットを全国の大学等に配布すると、こういったことを通じましてきちっと制度を理解していただき、納付の特例を受けられたい方はその申請をきちっとしていただくということで進めてまいりたいと考えております。
#28
○有村治子君 御説明をいただきましたが、パンフレットを配る、あるいは大学の協力を得て説明会をしたい。そこに出てきている、出てきてくれる学生の数というのは日本に学んでいる学生の、全学生の何%ぐらいになるんでしょうか。これは、済みません、質問ではなくて、問題提起でございます。つまり、何%の人にしか、数%の人にしかこの特例制度を含め年金のことがしっかりと説明できる機会というのは現在設けられていないんじゃないかというふうに思います。
 これは先日の読売新聞、五月十七日に報道されていたものですが、「卒業後の負担 説明不足」ということで、こういう点は学生さんに限らず多くの人たちが、私も含めてですが、問題点を感じるところでございます。
 この特例制度はいいことばっかりじゃなくて、就職後、厚生年金保険料とは別に学生時代納めていなかった追納分を納付しなければなりません。負担増となります。もちろん、保険料負担は給付に反映されるものでありますから、保険料を納付しなければ、この学生期間、その特例が当てはまった期間というのは空期間というふうになって、将来受けるべき年金の額は低くなっていきます。こうした部分の説明が不十分ではないかというような意見もあります。私自身もそうだと思います。これはやはりフェアではないなというふうに思います。
 学生納付特例制度の趣旨や手続、そしてその後の負担が増えるんだよということを改めて十分周知するためにはどのような方策を考えていらっしゃるのか、いま一度御説明をいただきたいと思います。
#29
○政府参考人(薄井康紀君) 学生納付特例制度の利用者でございますけれども、先ほど申し上げましたように、平成十二年度からこれはスタートしましたけれども、その年は百三十五万人が年度末の数字でございますが、十三年度末は百四十八万人、十四年度末は百五十四万人と、こういう数字になっているところでございまして、そういう意味では着実に増えてきているということでございます。
 学生の数、これどうとらまえるかはございますけれども、三百万弱と、こういうふうな数字であろうかと思いますから、約半分の方がこの制度を利用されているということになろうかと思っております。それ以外の方の中にはもちろん保険料をお納めいただいている方もおられるわけでございますので、そういう意味では相当の方がこれを利用されているということだと考えております。
 御指摘ございましたように、学生納付特例を受けられますと、その後、卒業してから十年間に保険料を後で納めることができるということでございますが、まだ十二年度からスタートいたしましてそれほど歴史がたっておりませんので、今の段階で追納ということの周知徹底を必ずしも図っておりませんけれども、これからそれらの方が卒業して少しお金を稼げるようになるというふうな状況をとらまえまして、追納制度につきましても周知、勧奨ということをやっていかなければいけないと考えているところでございます。
#30
○有村治子君 周知徹底が図られてこの特例を利用する学生が増えてきたというのは周知徹底が図られた一つの証左というふうにおっしゃっていただきました。評価すべきことだと思います。その中で、やはりなるたけ多くの方々、この学生納付特例を利用するかしないかは別にして、この制度がありますよということは更に周知徹底していかなきゃいけないと思います。
 そういう意味では、例えば大学における奨学金制度についての説明会だったり、あるいは授業料納付状況と、学校、大学側が出す授業料納付状況を送付するものに対してリンクさせるとか、あるいは成績表を交付するときにこの特例制度がありますよということを同時に発表していくとか、二十歳前後、二十歳前後の学生に対して、より多くの人たちにこの制度が誠実に、正確に分かってもらえるよう、しっかり周知できる方策は是非とも、文部科学省にも知恵があるはずだと思いますので、本当に文部科学省の第一線に立たれている方々、学生と接していらっしゃる文部行政の方々と連携をして、ノウハウをともに作っていただきたいというふうに思います。
 この学生特例制度の手続というのが、手続を取れるのが学生さん御自身の住民票のある市町村窓口に限られています。しかし、住民票を実家に置いたまま都道府県を越えて都市部の大学に下宿して、寄宿して大学に通う人も少なくありません。学校所在地など学生の生活実態に近い場所で学生特例制度の手続を可能にすることというのは、やはりこれからのハンディが多くなる若い世代により分かりやすい、相談しやすい、払いやすい制度を確立していくためにも本当に大事なことだと思います。いかがでしょうか。
#31
○政府参考人(薄井康紀君) 学生納付特例の手続でございますが、先ほど来申し上げていますように、所得要件、所得の審査ということが必要になってまいります。そういう意味では、これはやはり住民票を登録している市町村の窓口で受付、審査を行うという整理にここはならざるを得ないというところでございます。
 ただ、私ども、大学、学校単位で説明会等を行うことがあるわけでございますけれども、そういう際に、学校所在地の市町村以外に住民票を登録している学生さんというのもおられるわけでございまして、例えばそういう説明会の場で申請を受付をするということが仮にできれば、そこで受け付けたものを他の市町村に、住民票がある学生さんについてもそこで預かって所管部署に回送すると、こういった工夫はできるんではないかと思いますので、そういった柔軟な対応も工夫していきたいと考えております。
#32
○有村治子君 現在、大学で海外に留学する人も少なくありません。海外留学期間中は基本的に国民年金の加入は任意だというふうに、任意加入することができるというふうになっていますが、住民票を残したまま海外に留学した場合は、本人が気付かない間にこの場合は任意の取扱いではなくて未納扱いになってしまいます。そして、帰国後納付しようとしても、例えば四年間海外に行った方なんというのは納付することが現在の制度ではできません。
 住民票を置いている地方自治体の窓口では、海外留学をしようとする学生さんに対して、この年金の課題、あなたが住民票を抜かないとこれは任意加盟じゃなくて強制加盟で未納扱いになりますよという説明を、私も幾つかの地方自治体に確認をしましたが、説明はなされていません。住民票をその地元の実家のあるところに置いたままにして海外に留学した、しようとする人たちに対しての周知徹底、指導がなされていないにもかかわらずそのような未納扱いになるというのは、これもフェアな制度では、現行制度ではないなというふうに痛感をいたします。
 これについて、将来展望も含めて解決策をお示しいただきたいと思います。
#33
○政府参考人(薄井康紀君) 海外へ留学される方につきましては、これは市区町村役場に住民票の転出届を提出される際に、国民年金の資格喪失の手続もしていただくというのが本来の姿であろうかと思っております。
 そして、海外に留学されます際に、御指摘ございましたように、国民年金に加入する義務はないわけでございますけれども、任意加入されるということでありますれば、国内に居住されます親族あるいは手続の代行をいたします国民年金協会というところに依頼して保険料納付手続等を代行していただくと、こういう仕掛けになっているところでございます。こういったことの周知には私ども努めていかなければいけないと思っております。
 それから、こういった手続を取られないまま、住民票も日本に置いたまま海外に留学されるというケースもこれはあろうかと思います。これについては、法律上のことを申し上げますと、帰国されました後に海外留学期間についてこれを証明できるような書類を提出していただくということになれば、これは事後的にではございますけれども、出国時点で被保険者資格を喪失をする、帰国時点で再加入と、こういう処理をすることになるわけでございます。そういうことで、この期間につきましては、任意加入は事後的にはできませんのでもう保険料は納められませんけれども、海外留学期間につきましてはこういう処理をすれば未納とはならず、いわゆる空期間ということで取り扱われることになろうかと思っています。
 いずれにいたしましても、海外留学あるいは海外に行かれる際の手続につきまして、できるだけ分かりやすく周知を図っていくということが大切だと考えておりますので、今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
#34
○有村治子君 任意加入をしたいという旨、届出があれば強制加入から外すというような御説明をいただいた、ニュアンスとしては御説明をいただいたと理解しましたけれども、今、三か月間の語学留学とか六か月間の語学留学という短期留学組もたくさんいらっしゃいますもんですから、その人たちに対して、本当に提出をしないと駄目ですよということを是非分かっていただけるよう、周知していただきたいというふうに思います。うっかりミスとかというんじゃなくて、本当に周知する機会をいただかれないまま海外に行っちゃって、そして帰国後もフォローしてもらえない人たちがいるというのは非常に残念なことだと思いますので、是非御協力をお願いいたします。
 次に、公的年金制度に関する広報、啓蒙、先ほどから幾つかいただいておりますが、確認をしていきたいと思います。
 公的年金制度とそれから民間の個人年金の大きな違い、根本的な違いというのは、民間の個人年金というのが積立て、つまり自分が拠出をして、その自分が拠出したものは積立てとなって将来自分に戻ってくるという積立てとは異なっていて、公的年金制度、日本の年金制度は世代間扶養、つまり私たちが拠出したものは現在の長寿を全うされている方々に対しての付与に使われると。そして、私たちも年齢を重ねていって長寿を全うする時期になれば、次の次世代あるいは次々世代の方から助けてもらうというような仕組みを取っています。この点の広報や啓蒙を本当に理解してもらえるかというと、そうでもないと思います。しかし、こうした状況を生み出している一因は、やっぱり国民に理解しやすい広報が徹底されていないということもあります。
 今後も、積立てという自分で自分の将来に対して責任を負うというものではなくて、世代間扶養をずっとずっと続けていく意図を持たれているのか、この制度を堅持されていくのかどうか、そしてそれが理解をしてもらえるように広報、啓蒙を続けていくのか、意思があるのか、決意があるのかどうか、しっかりとお聞かせいただきたいと思います。
#35
○国務大臣(坂口力君) この御質問にお答えをいたします前に、先ほど御質問ございましたその収納の問題でございますが、一言だけ触れさせていただきたいというふうに思います。
 今まで市町村でお願いをしていた、それが国の方でやるようになった。市町村でおやりをいただいておりますときに、市町村のもちろん職員の皆さん方がそれぞれ足を運んでいただくということもあったというふうに思いますけれども、しかし、それだけではなくて、やはり自治会組織でありますとか婦人会組織でありますとか、そうした組織の皆さん方にかなりお願いをして、そして収納をしていただいていたという経緯があるというふうに私思っております。そうした皆さん方にお願いすることなしにこれはでき得ないわけでありまして、そうした組織を引き継ぐことができなかったところに最大の私は失敗があるというふうに思っております。
 したがいまして、これからももちろん職員も足を運ばなければいけませんけれども、その地域のそうした組織の皆さん方にひとつお願いすべきものはきちっとお願いをして、御協力をいただけるような体制をどう構築をするかということを明確にしなければ、これはなかなか前進するものではないというふうに思っている次第でございます。そうしたことを真剣にもう一度やり直すように命じたところでございますので、ひとつその辺のところをしっかりとやっていきたいというふうに思います。
 それから、ただいまのこの世代間扶養のお話でございますが、最初、この日本の年金制度ができました最初ごろは積立方式の色合いが非常に濃い状況だったというふうに思っておりますが、だんだんと賦課方式の方に展開してまいりました。また、国会におきましても賦課方式に変えるべしという御意見がたくさんございまして、そして年々歳々積立方式から賦課方式のウエートがだんだんと強くなってまいりました。これから先、少子高齢社会を迎えまして、そして納める人の数が少なく、そして受ける人の数が多くなってくるという時代は、むしろ積立方式の方がいいのではないかという御意見の方もかなりおみえでございます。しかし、ここまで賦課方式を進めてまいりまして、今からまた積立方式に戻すということになりますと、かなりな期間、年々歳々のこのいわゆる給付費以外にまた別途この財源が必要になるということもございますし、非常に厳しい中ではございますけれども、この賦課方式というのを今後も続けていくという以外にないというふうに思っております。
 この賦課方式を続けていきます中で、しかし、この賦課方式を続けていきます中でお若い皆さん方にどこまでも負担をしていただいていいかといえば、それはやはり限界がある。そこのところの見定めを行いながらひとつお願いをしていかなければならないんだろうというふうに思っております。そして、今度は給付を受ける皆さん方につきましても、ある程度これは御辛抱をいただくということで、そしてこの新しい制度を作り上げていく以外にないというふうに思っている次第でございまして、そうした考え方はございますけれども、世代間扶養という考え方を軸にして今後もいくということに変わりはないわけでございます。
#36
○有村治子君 まず、冒頭にコメントをいただきました、市町村が徴収していたときと比べて、社会保険庁、国が徴収するようになったときに、目に見えない地元の組織、地場の組織、あるいは自治会など、婦人会など、そういった取り組んでいらっしゃる方々のノウハウとか取組を引き継げなかったということにしっかりと言及していただいたというところに、むしろ坂口大臣のお優しいやっぱり観察力があって、ああ大臣らしいな、有り難いなということを非常に思いました。
 実は私、昨日、地道にこの日本を良くしていこうと思われる方からお電話をいただきました。この日本が良くなろうとするために一生懸命地道にやっている人から切実なお電話をいただきました。これに私たち、党派を超えて国会議員としてこたえられていないということに本当に申し訳なく思いました。恥ずかしいと思いました。それで、確かに私たちいろんな問題がありましたけれども、やはり地道に、そして声なき声の中で一生懸命頑張っているこの人たちがいるから日本が持続するんだと私は思います。その声に、期待にこたえなきゃいけないという思いは、自民党に限らず、どの党派でも一生懸命やっていかなきゃいけないと思います。
 そういう意味で、この年金制度を通してどういうメッセージを社会に出していきたいのか、立法、行政を通じた日本社会の哲学とか価値基準、規範に問われるものだと思っています。政府、行政、政治に対する信憑性に一挙に、もしうまくいかなければ返ってくるものであり、政治とか行政に対して信頼が低くなることということは私たち国民にとっても不幸なことだと思います。
 そういう意味では、やはり国民にとって不幸であることを除去する、そのために私たちがどういうことをやっていけばいいのか、大臣、いま一度信頼を高めるためには何をしなきゃいけないのか、どういうふうに考えていらっしゃるのか、もう一度コメントをしていただきたいと思います。
#37
○国務大臣(坂口力君) 非常に大事な御指摘だというふうに思っております。制度そのものにつきましても、現在改革しなければならないことは何か、また今後中期的に考えていかなければならないことは何か、そうしたことを明らかにしながら、国民の皆さん方から信頼の得る制度を構築をしていくということが大事ではないかというふうに思っております。
 そうした中で間違いなく起こってまいりますのが負担と給付の問題でございまして、これはどういう制度であれ、この少子高齢社会の中の負担と給付というのは難しい課題でございます。そうした課題をひとつしっかりと踏まえて、そしてもう少し今度は大きな範囲で、これは衆議院の段階の三党合意にもございましたけれども、社会保障全体の中でそれをどう構築をしていくか、その中の年金にはどれだけの財源がそこに振り向けることができ得るのか、全体を見ながらやはり考えていかなければならない問題でございますので、そうしたことも踏まえて、その負担を税とそして保険料、そこをどう立て分けていくのかといったこともしっかりと議論をしながら今後に備えていくということがより大事ではないかというふうに思っております。是非そうした議論を尽くしていただきまして、そして国民の皆さん方からそれならばそれに従おうと言っていただけるように是非ともしていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
#38
○有村治子君 実は、昨夜、七十七歳の女性の方で日本を信じてくださっている方、切実にお電話をいただいたものですから、私も感が極まって感情が出ました。本当におわび申し上げます。
 ただ、私も六か月の赤ん坊を持つ母親としても、この子たちにも残していけるような持続可能な年金制度、そして信頼、制度、政治に対して信頼が置ける、社会の行政に対して信頼が置ける日本の思いを残していかなきゃいけないという気持ちは非常に強いので、このようなコメントをさせていただきました。基本的には、大臣がおっしゃったように、負担と給付のバランスの問題ですが、基本的に、人間の心理から考えれば、自分で自分の将来に責任を負うという積立方式の方が理解はされやすいというのは自然な流れだと思います。しかし、それが立ち行かなくなるということで世代間扶養という概念に移行してきているわけですから、それでなくてもハンディがある、積立てじゃなくて世代間扶養ということでハンディがあるのですから、より一層の徹底を図って、これがフェアに運営されるんだよということをより多くの国民の方に分かっていただけるような制度を作って周知をしていかなきゃいけないというふうに思っております。
 結びに代えます。世代間扶養という考え方の中には、先輩、先人方が体を張って築いてきた日本の価値に対して敬意を持つ次世代、次の次の世代から先輩方に敬語を使ったり、あるいは敬意を持ったりというメッセージが込められていきます。と同時に、やはり自分の子供たち、孫たちに幸多かれと、幸せに過ごしてほしいと願う先輩、先人方が年金に関してもその給付を受けられることになります。そういう意味では、相互敬意がある社会をこれからも私たちがこの年金制度を通して本当に作っていけるかどうかということにも懸かっていると思います。
 そこで、大臣、それから副大臣にもコメントをいただきたいと思いますが、損得で語られることの、年金制度が損得で語られることの限界がある中で、でもやはり損得の感情というのは若い世代になるほど切実な問題でもあります。この点をしっかりと認識して、また制度の再生、制度の信憑性の再生に関して生かしていただきたいと思いますが、この点、政治家として両先生がどうお考えになられるのか、最後にコメントをちょうだいしたいと思います。
#39
○国務大臣(坂口力君) 世代間扶養ということは、現在の高齢者のために自分たちが拠出をし、自分たちが年老いたときに次の世代から負担を受ける、そのことを皆さんはよく御理解をしていただいているというふうに思いますけれども、それを御理解をされた上で、しかし自分が出す分と自分がもらう分とは一体どうなるのかというふうにお考えになるのも、これは無理からぬことだというふうに思っております。したがいまして、世代間扶養のことを前提にしているということをよく御理解をいただきながら、それぞれの皆さん方が負担をしていただく分、そしてその皆さん方がお受けいただく分につきましても触れなければいけないというふうに思います。
 ただ、いわゆる賃金が、あるいはまた物価がその時代その時代に変わっていきますので、一律になかなか比較をするということは難しいわけでありますけれども、少なくともこれから基礎年金の二分の一国庫負担というものができてくるわけでございますし、そしてまた企業の皆さん方も厳しい中ですけれども御負担をいただくということも厚生年金の中にはあるわけでございますから、御自身で預貯金をしていただきますという場合に比較をすれば、そのときそのときの貨幣価値で戻ってくるわけでございますので、それは決してマイナスではなくて大きなプラスになることだけは間違いがないというふうに思っております。
 そうしたことも含めて、国民の皆さん方には御理解をいただくようにしていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
#40
○副大臣(森英介君) 今、大臣から御答弁あったとおりでございますけれども、とにかく大変なスピードで少子高齢化が進んでいく中で、こういった時代に対応した社会の仕組みを作っていく大事な時期だと思います。
 世の中で支え合い、また世代間で支え合い、地域で支え合う、そういった精神をより強めていくとともに、またそこでしっかり定着する持続可能なシステムを作っていく、制度を作っていくということも今我々に課せられた最大の課題であるというふうに認識をしております。
#41
○有村治子君 理念だけではなく、その理念を生かした制度になっていくことを心から祈念しつつ、私、自由民主党の有村治子の質問、完了させていただきます。
 ありがとうございました。
#42
○藤井基之君 自由民主党の藤井基之でございます。
 同僚の有村議員のこの委員会で初めての質問というフレッシュな質問の後、私は前回も前々回も御質問させていただいておりまして、前々回は総理以下に特に年金の一元化といいましょうか、本質論は何かということの御質問をさせていただきました。前回は高齢者の雇用の問題と年金の考え方をどうする、それについての質問をさせていただきました。本日は年金の積立金の問題について質問させていただきたいと存じます。
 御案内のとおり、公的年金の給付財源というものは三つあるわけですね。一つは国民の方々が納付していただく保険料の収入でございます。もう一つは税金、いわゆる国庫負担と言われているものでございます。そしてもう一つは年金積立金の運用から出てまいります収入でございます。これら三つの収入が現在各年度の年金の給付に充てられているわけでございます。
 十四年度末の時価評価、時価ベースにおきまして年金積立金というのは百四十一兆五千億円ですか、巨額になっております。この年金積立金と申しますのは、これは当然将来の年金給付に対する大切な資産である、このことは私十分分かっておりますし、年金積立金が持つ意義もある程度私も理解をしておるつもりでございますけれども、改めて質問をさせていただきたいと思います。
 このような大きな額の年金積立金というのは一体、この年金制度の中において一体何なのか、どういう意義を持つのか、なぜ積立金というものが要るのか、本当に本質的な問題というか、基本的な問いを改めて聞くこと、時間がもったいないかもしれませんけれども、これについてやはり答えていただきたいと思います。年金局長、いかがでございましょうか。
#43
○政府参考人(吉武民樹君) 厚生年金を例に取って申し上げますと、昭和十七年に厚生年金制度が発足をいたしております。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 そして、第二次世界大戦後の経済情勢の中で、昭和二十三年に、戦前、保険料水準が一〇%を超えておりましたものを三%という形で暫定的に大幅に引下げを行っております。その後、昭和三十年代に入りまして負担能力に見合った形で段階的に保険料水準を引き上げるという、その中で長期的な財政均衡を図るという段階保険料方式へ移行しておりますが、そういう意味では基本的には元々積立方式の考え方で発足をいたしておりますが、既に戦後、昭和二十年代に積立方式に必要ないわゆる平準保険料を負担していただくことがなかなか難しいという状況でございますので、そういう意味で、積立方式の条件を一〇〇%満たした形で運営を行ってきたわけではないというのは歴史的な事実でございます。
 さらに、日本の経済全体が経済発展いたします中で、昭和四十八年の年金制度の改正で、いわゆる賃金の再評価、それから物価スライド制ということを導入いたしましたので、当時のことをお考えいただきますと、物価が十数%上がるような中で、それに見合った年金の物価スライドを行うという形でございまして、これはなかなか積立方式では難しい問題でございますから、こういう年金の給付水準の引上げという中で、だんだん賦課方式へ移行をしてきたんだろうというふうに考えております。
 現在の状態で申し上げますと、代行部分も含めて申し上げますと、大体五年分ぐらいの積立金を保有をしておりますが、アメリカの年金制度が大体二年分ぐらいでございます。それから、スウェーデンが四年分程度の積立金を保有しようという形でございますが、ドイツで申し上げますと、ほとんど支払準備金といいますか、その程度しか保有ができていないという形でございます。
 それで、最大の問題はやはり少子高齢化のスピードが非常に速いということだろうというふうに思います。その中で、積立金の運用利子を中心としながら、積立金本体につきましても活用していくことによって将来世代の負担をできるだけ高くならないようにするということが今日の積立金の最大の役割ではないかというふうに思っております。
 したがいまして、賦課方式でありますが、賦課方式に移行する過程の中で積立金を活用しながら保険料負担をできるだけ抑制するという効果がこの積立金にはあるんだろうというふうに思っております。これは基礎年金の国庫負担の三分の一から二分の一への引上げと同様の効果があるところだろうというふうに考えております。
#44
○藤井基之君 分かりました。
 今回、法案提出に際しまして、厚生労働省はおおむね百年間で財政均衡を図る仕組みとして、この積立金はその財政の調整期間が終わった終了時の段階、だから百年先でしょうか、その段階においては給付、今局長お答えになられたように、五年分の今積立金あるけれども、その給付費については一年分程度維持すれば十分じゃないだろうかと、そしてこの積立金を次世代とか次々世代の給付に充てることにしよう、こうすれば保険料の水準というものの上昇がある程度抑制効果を持つ。この仕組みは、今局長が言われたように、アメリカ等の状況等々も踏まえて、いわゆる言葉で言えば、何か今まで永久均衡方式というものから有限の、時間を限った均衡方式にシフトするんだと、そういった考えで全体の百年後の見通しを明らかにしようと、そういった形で今のお話というものが進んできているわけでございますね。
 平成十六年度の財政再計算による年金の収支見通し、これで見ますと、政府は二〇五〇年以降に積立金を取り崩して年金給付に充てていくんだと、こういうふうに言われているわけですね。これに対しましてはいろんな意見があります。国民の負担というものをできるだけ軽減するためには、例えばもっと早めから、例えば積立金の取崩しを進めていって給付に充てたらそれだけ国民の負担を一遍に増やさなくてもいいんじゃないかと、こういう意見があることも事実だと思いますし。
 私は、これに関係しまして、政府は積立金の取崩しを二〇五〇年以降とされた理由というのは一体何なんだろうか、また、その積立金の取崩しを少し早くから始めた場合には一体どんな問題があるというふうに考えておられるのか、それをお尋ねしたいと存じます。
#45
○政府参考人(吉武民樹君) 今回の年金制度改正案では、今先生お話ございましたように、既に生まれている世代、おおむね年金受給を終える百年程度の期間につきまして給付と負担の均衡を図るという形でございまして、おおむね百年後に積立金の水準を給付費の一年分程度に抑制するという、こういう財政計画となっております。
 そういう財政計画の下で、保険料率が一八・三%、それから所得代替率をおよそ五〇%に保つという見通しとなっておりますが、積立金を取り崩してすべて使ってしまいますと、その後は完全な賦課方式になってまいります。最大の問題は高齢化のスピードが世代間によって非常に違います。端的に申し上げれば、年金受給という意味では、これからでございますけれども、これから五年から十年ぐらいたちますといわゆる団塊の世代の方々が年金受給に入られますし、それからさらに、その団塊の世代の子供さんの世代がその三十年後ぐらいに年金受給に入られるという形でございます。したがいまして、年金の給付費という意味では、その世代が年金を受給される時期を中心として支出が非常に増えてまいります。それから、その間の世代は少し減ってくるという状態になってまいりますので、これを賦課方式で運営をいたしますと、給付に必要なものを国庫負担あるいは保険料で賄うという、言わば医療保険の短期保険の財政状況と似たような形になってまいりますので、非常に変動が大きくなってくるということだろうと思います。
   〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
 仮に二〇五〇年ごろまでに積立金を使い切ってしまうということで非常にラフな計算といいますか、をいたしますと、保険料率一八・三%の財源で可能ないわゆる新規裁定の方の厚生年金のモデル世帯の給付水準でございます。これが所得代替率約四〇%という形になっております。逆に二〇五〇年、積立金を全部使い切りまして所得代替率五〇%に必要な保険料を逆に計算をいたしますと、保険料率が一八・三%から二三%という形になってまいりますので、そういう意味でかなりの、積立金をどういうふうに活用するかということは、今申しました百年間の財政計画の中ではかなり大きな影響があるということではないかというふうに思って、私どもの今回の財政計画はそれをできるだけなだらかに移行をしてまいりたいというのが基本でございます。
#46
○藤井基之君 今、局長御答弁いただいて、細かい仮定計算の下でも数字を出していただきまして、ある程度実態というものを見ることができます。ただ、私は今まで何回も質問させてもらった経緯があるんです。その中で御説明があったように、少子高齢化の問題というのは確かに大きな問題で、それが我が国が直面しているし、そのスピードが非常に急だと。だからこそ、この年金に対しても早急な手当てが要るんだということはよく分かるんですよ。
 でも、この少子高齢化で制度的に一番大きな問題を起こるのは何かと。今局長が答弁されたとおりなんですよ。団塊の世代が今までは年金制度を支える側からもらう側に動く、ここが一番大きな差が出る。それがいつかといったら、二〇五〇年以降じゃないんじゃないんでしょうか。私も団塊の世代の一人だと思っています。だからこそ団塊の世代、今までもいろいろな戦後の非常に教育の問題大変なときから、学校の中へ行ってもすし詰めに遭って、大学だって学生一杯いて、社会に出てきたら本当上が詰まっているとか下から追っ掛けられるという、そういった団塊世代、これが、でも日本国を支えてきた一つの大きな力。この方々がこれから年金を受給されるところに行くところで、これだけ積み上げていた年金を、いやいやこれは二〇五〇年以降に使うんですよと、あんたらの次の世代ですよと。これで納得しろというか、その計算が一番いいんだと言われても、やっぱりしっくりこないところがあるんですね。
 私は、この制度設計について、何も全部を二〇五〇年使ってしまえなんてことを私一つも言ってないんですよ。だって、それは政府だって言っているじゃないですか。百年先だって全部使ってしまうなんて言ってないんでしょう。一年間分はちゃんと残しましょうと言われているんですよ。今五年分があったら、団塊世代が受給に当たって非常に厳しくなる段階のときに例えばそのうちの半分程度の取崩しを行ったとして、それがどの程度の影響になるか。今局長は非常に大まかな仮定の下に数字を出していただいたわけでございますけれども、もっともっと実は内部的には精査いただいていると思うんです。私は、その段階全部をゼロにしろとか、全部残せなんて、そんな乱暴な議論するつもり毛頭ありませんけれども、日本の少子高齢化の大きな問題点はどこだと言ったら、この団塊の世代の方々に対する問題をどう対応するかということが一番大きいんですよ。ここのところについて、申し訳ございませんが、局長、もう一度御答弁いただけませんでしょうか。
#47
○政府参考人(吉武民樹君) 団塊の世代の方々がこれからだんだん受給に入られるという形になってまいります。それで、おおむね六十五歳から支給を開始されまして約二十年間給付を受けられますので、平均的に申し上げますとこの世代、もちろん百歳あるいは百歳を超えて生きられる方はたくさんおられるわけですけれども、財政的に申し上げますと、この世代の給付費の負担というのはこれから約三十年間ということになってまいります。その次に先ほど申し上げました団塊の世代のジュニアの方と言われる方々が、一世代約三十年ですので、給付という面では大きなウエートになってくるということで、そういうことで申し上げますと、この団塊の世代あるいは団塊の世代のジュニアの方の給付の問題は約二〇五〇年から六〇年ぐらいまで非常に大きなテーマになってまいります。
 それで、私どもが今回提案申し上げています有限均衡方式で積立金の減少をごらんをいただきますと、大体二〇五〇年過ぎぐらいから減少してまいりますが、それは結局、この二つの世代を支えていただく今本当に若い世代が年金の受給に入りますときに積立金の元金を活用していただく、そのことによって、この世代の保険料負担をできるだけ抑制しようということになってくるんだろうと思います。
 ただ、現実には保険料は徐々に引上げをさせていただきますので、現実には積立金自身は少し団塊の世代が受給される間も積み上がっていくわけですけれども、それは逆に申しますと、保険料の収入が増えるという効果の影響でもございまして、そういう意味では、この団塊の世代あるいは団塊の世代のジュニアの方々のときにも、ある意味で積立金の給付は役に立っておるということだろうと思います。名目が減ってまいりますのが、今申し上げたような時期から減ってくるということだろうと思います。
#48
○藤井基之君 いろいろ御説明をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。
 私は、私が団塊世代だからというので世代のエゴを言うつもりは毛頭ないんですよ。ただ、日本国の人口構成見たときに、この年金世代、年金の問題を考える場合でも、この団塊世代のことをやはり直視しないと全体の制度設計が難しいんじゃないかということを訴えさせていただいているだけでございまして、もちろんそれは戦後に生まれた団塊世代だけじゃなくて、その団塊世代が、いわゆる次の世代をはぐくむのではなくて、次の団塊の世代、その次の団塊の世代というのがあるわけです。だからこそ、短期的ではなくて、ある程度長期的な見通しの下に制度設計をしていただくというのはそのとおりだと思うんです。是非それはお願いしたいと思いますけれども。
 その中で、やはりポイント、ポイントというのがある。そのポイントの一つというのが戦後の最も大きな団塊の世代、この世代の方々が受給される段階になったときの財政状況どうなるかと。そのためにこの積立金はその次の世代までずっと残すんですと、どうしてかたくなにそこを言われるのか。これについては私、是非改めてまた御検討いただきたいと思いますし、また議論をさせていただきたいと存じます。
 これだけやっているわけにいきませんので、次の質問をさせていただきたいと存じます。
 公的年金、この問題について申し上げますが、これ既に五百兆円に及ぶ債務超過に陥っていると、そしてその赤字の基調がもう定着しているんだと、こういう指摘をなさる先生が一杯いらっしゃいます、学者という意味の先生です。
 例えば、この厚生年金だけ見ましても、二〇〇〇年三月末時点の試算で、過去に拠出された保険料によって約束されている、これから給付しなければいけない総給付額というのが、その先生の論文によりますと七百二十兆円だと言われる。これに対して積立金というのは百七十兆円しかない。国庫負担は百兆円だと。これじゃどうやったって足らないんだと、足らない額が四百五十兆円だと、こういうふうに指摘されているんですね。
 これは一人の方が言われているわけじゃないです。ただし、この問題というのは、これに対して問題点もあることを私も知っているわけでありますが、厚生省からそれに対して明確に答えていただきたいと思うんですね。このような指摘がなされていれば、これによって、指摘を受けるだけで国民は年金の将来に対して不安を持つんですよ。そのことがひいては年金のいわゆる未納問題とか、いろいろな政治不信の方に流れていく話なんですね。私はこのような指摘というものが、いわゆる今でももう四百五十兆円も足らないんだよと、こう言われているような指摘というのは、これは的を得た指摘なのかどうか。
 厚生労働省は、こういう指摘に対してどういうふうに認識をされているのか。国民に分かりやすい形でお答えいただきたいと存じます。
#49
○政府参考人(吉武民樹君) 厚生労働省で、平成十一年だったと思いますけれども、最初にこれを公表いたしました。
 そのときは、端的に申し上げますと、公的年金につきましては例えば基礎年金だけに限定をいたしまして、サラリーマンの報酬比例年金につきましては、例えば企業年金あるいは個人年金でできるんではないかという議論が非常にございました。
 それで、私どもが最初にお示しをいたしましたのは、いわゆる運用収益率で現在価値に割り引くという形でありまして、保険料で申し上げますと、運用収益率でずっと二十年前の保険料を延ばしていきましてそれで年金受給時の価値にする、それから将来の給付につきましては、逆に運用収益率で割り引きましてそれで現在の価値にするという、こういう手法を取りながら、いわゆる仮に積立方式というふうに考えたときにはどうだということをお示しを申し上げたわけでございます。
 そのときにお示しをしたかったことは、こういう歴史のある公的年金の世界の中で、竹中大臣なんかもおっしゃっておられますが、白地でかくならともかく、賦課方式を基本としながら財政運営を行ってきました公的年金制度の中で、積立方式というふうに基本的な仕組み、財政方式を転換しますときには二重の負担の問題が生じるという大問題がございまして、積立方式というのは、御自分たちの世代、あるいは御自分自身で払われた保険料がその運用収益によって将来自分の給付財源になるという形でありますので、御自分が払われた保険料は一切基本的には御自分たちのために使うということになります。
 しかし、現在、実際に年金を受給しておられる世代がおられますし、例えば四十の方がある時期から積立方式に変えましても、二十歳から四十までの二十年間は現在の賦課方式の保険料を負担をしておられまして、したがいまして、この方の四十以降の期間につきましては積立方式で賄うことができますけれども、四十までの二十年間の給付につきましてはやはり賦課方式で充てる必要があるだろうと。そういう意味で、二重の財源として非常に巨大な財源が要るということを御説明するためにお示しを申し上げたものでございます。
 先ほど来申し上げておりますけれども、基本的には賦課方式で実施をいたしておりますので、例えば、ある日までの加入期間に対応した年金給付というのはもちろん計算ができるわけでありますが、それは別に今の年金受給者の方だけの将来の給付ではありませんで、例えば、今例えば三十の方、これは十年加入された御自分自身の十年の給付も入っておるという形でございます。
 したがいまして、賦課方式の下では、将来の給付につきましては、今保険料を負担しておられる方々の将来の給付につきましてはその後の世代が保険料を負担していただくことによって支えていくと。ただ、社会保険方式でありますので、御自分で先輩の世代を保険料負担によって支えていただいた方に御自分が高齢になったときに給付は支給をされるという、こういう基本的な原則でありますので、そういう意味でここの部分を、積立方式における、何といいますか、財源が非常に穴が空いているという御指摘は私は正しくないんだろうというふうに思っております。
 ただ、先ほど来、積立金のところで申し上げましたけれども、少子高齢化が進んでまいりますので、その中で、こういう前後関係の中でどれだけの給付費が要って、それに対して、全体として財政的な対応あるいは国庫負担の対応によりまして安定してなだらかに移行していくかということを検討する際には参考になることだろうと思います。
 ちなみに、スウェーデンの今の年金制度を申し上げますと、スウェーデンは非常に出生率につきましてはある程度自信を持っておられる国でありますので、人口は将来ともに定常人口を保持できるだろうということを想定しております。したがいまして、スウェーデンの今申し上げましたような比較は三十二年間、将来の給付費三十二年間の比較をいたしまして、それから将来の三十二年間の保険料収入、それから先ほど申し上げました積立金という形で計算をいたしておりますが、スウェーデンは積立金は日本よりまだ若干低い状態でございますので、日本と同様に、これから三十二年間の給付というのはこれから三十二年間払っていただく保険料収入によって賄うということでありますので、そういう意味でスウェーデンにおいてもこういう日本と同じような財政状態があるという形でございます。
 外国の、主に欧米の主な国で、そういう意味でこのいわゆる積立方式に近いような形で、積立金を全部保持して将来の給付を賄うという国はございません。
#50
○藤井基之君 ありがとうございました。
 年金の制度というのはなかなか国民にとって分かりづらいんだと言う方が、多くの方がおっしゃいます。また、この制度が歴史的な経緯もありまして、現時点において、一元化を求めている現時点におきましても、制度的に見ますと、自営業者の方々が入っていただいている国民年金と被用者の方々の保険制度、サラリーマンの方々が入られる厚生年金、あるいは公務員の方々が入っていただいている国家公務員共済、地方公務員共済、それから私学教職員共済という、被用者保険だけでも四つあるわけですね。国民年金を入れて五つの今制度が併存している状況にある。
 国会における衆参の議論等でいろいろありまして、この制度間でいろいろな違いがあるということが明らかになってきている。だからこそ、逆に一元化の議論というものが必要だという議論になるわけでございますが、その中の、議論の中の一つで、実は積立金の運用の問題についても違いがあるんではないかという御議論がございました。
 国家公務員共済年金の積立金の運用では損が出ていないんだけれども、厚生年金、国民年金の積立金では損が出ているじゃないかということを言われた。また、積立金の運用の内訳を見てみますと、国家公務員共済年金は株式投資に対して七%ぐらいじゃないか、ところが厚生年金や国民年金は四割近く株式に投資しているんじゃないか、株式への投資比率が決定的にこう違うんじゃないでしょうかと。この違うこと、一般国民が拠出した部分については株式に投資して、公務員共済の積立金については、これは安全を図ってほんの少ししか株式に投資していないんじゃないかと、こういった趣旨の質問もありまして、それに対して政府も答弁をなさっております。
 私は、もしもこの制度の違いによって積立金の運用は本当に違うんだとしたら、これはやはり何でだろうと思いますよ。これについて、政府は本当にちゃんとやはり御説明をしていただきたいと思うんですけれども、年金局長いかがでございましょうか。
#51
○政府参考人(吉武民樹君) 最大の違いは、実は私どもかつては、年金福祉事業団の初期のころでございますけれども、簿価で表示をいたしておりましたけれども、現在では基本的に時価で表示をいたしております。特に、今株式等につきましては、市場の変動によりまして簿価と時価は相当違いがございます。それで、国家公務員共済の場合には簿価で表示をされております。
 したがいまして、そこが非常に違いがあるだろうということは、ある程度推測はできるだろうというふうに思います。特に、この数年、株式の状況が悪い状態が続きましたので、簿価より時価が悪いというのは私どもではあれしております。
 それからもう一つ、実はその年金積立金、特に厚生年金、国民年金の積立金の運用問題で、本格的に自主運用という形は始まっておるわけでございますが、共済年金は元々自主運用でございます。地方公務員共済も自主運用でございます。そういう意味で、共済年金の方が先行して自主運用にありましたので、厚生年金、国民年金につきましても、従来から例えば労使の方々も基本的には自主運用の方向に行くべきだという御主張をされたわけであります。
 その名残がございまして、今はだんだん自主運用の方向へ時間を掛けながら進んできておるわけでございますが、その比率といいますか、比率を申し上げますと、積立金全体、厚生年金、国民年金で積立金全体に占めますいわゆる資金運用部への預託分がまだ七六%ございます。市場運用部分は二三・九%でございます。国家公務員共済組合の場合には、資金運用部への預託金は四七・八%で、市場運用部分が五二・二%でございます。これは元々その自主運用を中心としながら財投資金への協力を行おうという立場で行っておりまして、この違いはございまして、そこでなかなか比較が難しいという状態になっておるということだろうと思います。
#52
○藤井基之君 局長、いろいろとその経緯もあるし、その中の仕組みの本当に難しいところだと思います。ただ、私の理解、これでいいのかどうか、そこについてもう一度答えていただきたい。
 私、調べさしてもらって幾つか資料をちょうだいしました。それによって見ますと、十四年度末で見たときに、総資産ベースですよ、公務員共済、国家公務員共済、国内株式の投資は三・六%、外国株式への投資は、これ二・九%だと。一方、厚生年金、国民年金、これについて見ますと、国内株式に四・五%投資している、外国株式には二・八%。
 私は、この数字だけ見たら、これ変わらないと思うんですよね。そういう理解でよろしいんですか。
#53
○政府参考人(吉武民樹君) まず、厚生年金、国民年金で申し上げますと、いわゆる市場運用部分の資金量は二三・九%で四分の一弱でございます。そこにおきます株式の比率は三八%でありますので、市場運用部分におきましては株式の比率は高いわけでありますが、先ほど申し上げました資金運用部、財政融資資金でございます。ここへの預託が七六%ございまして、これは基本的には債券でございます。七六%も入れましたトータルの資産におきます株式の比率を申し上げますと、国内株式が四・五%、外国株式が二・八%でございまして七・三%でございます。
 現実に市場運用でこの一年は非常に評価益が出てきておるわけでございまして、その前の二、三年というのは非常に状態が悪かったわけでございますが、そこの市場運用におきます、例えば過去の六兆円の評価損でありますとか、あるいは債券で申し上げますとこの十二月期までで三兆円以上の評価益が出ておりますが、それは今申しました三八%の部分でございまして、資金運用部預託部分からはもちろん利子収入がございますのでこれを加味をいたしますと、年金積立金全体の収益は、平成十四年度が決算が出ておりますが、平成十四年度もプラスでございます。
 そういう状態でございまして、そういう意味で、国家公務員共済は全体の中におきまして国内株式が三・六%、外国株式が二・九%、両方合わせて六・五%という形でございまして、現状で申し上げれば株式比率はトータルとしては余り変わらないという状態でございます。
#54
○藤井基之君 ありがとうございました。
 私の計算しているというか、お聞きした数字と同じ数字を言ってくれたので、ほっとしました。
 やはりこの運用全体が、もしも本当に違っていると、公務員が、公務員のためのところだけを安全にやってサラリーマンのやつはそんな乱暴なやり方をしているようじゃ、これじゃ納得されないですよ。やっぱりここのところは、やっぱりどちらも同じ国民が払っていただいている保険料ですから、それを運用するんですからね、最も安全かつ効率的な運用をしてもらわなけりゃいけないのは当然のことだと思っておりますので、是非頑張っていただきたいと思います。
 この運用の関係で、一つ追加してお尋ねをしたいと思います。
 今回の年金財政再計算の前提で、積立金の運用利回り、これについて三・二%という設定をなさっていますですよね。この三・二%という運用利回り考えますと、現在のいろいろな経済状況を考えると、どうもこの設定、甘くないんでしょうかね。そんな感じ、直観的に私は思います。
 もちろん、これ将来的な経済の見通しというのはこれは非常に難しい。いろんな経済学者の方が来られても、いろんな説がある。だから、分からない、難しいんだということもよく分かる。でも、前回の財政再計算のときに出された数字よりもこの三・二%というのはかなり下がっていますよね。
 厚生労働省は、この三・二%という運用利回り、どのような考え方で設定されたのか、それを御説明いただきたいと存じます。
#55
○政府参考人(吉武民樹君) 運用利回りといいますか、財政再計算、財政計算におきます予定収益率につきましては、かつては五・五%という高い水準で設定をいたしております。それから、前回四%という形でございます。今回の予定収益率につきましては、二〇〇八年度までは内閣府が「改革と展望」の参考試算を示しておりますので、これに準拠して経済前提を設定をいたしております。二〇〇九年度以降につきましては、まず消費者物価上昇率について、過去二十年間の平均が一%でございます。それから、「改革と展望」の参考試算におきます二〇〇四年から二〇〇八年度の平均も一%でございまして、こういうことを参考にいたしまして一%と設定をいたしております。
 それから、賃金上昇率それから運用利回りにつきましては、社会保障審議会の年金資金運用分科会に経済でありますとか金融の専門家の方がおられますので、ここでも御議論をいただきまして、内閣府の年次経済財政報告、かつての経済白書でございますけれども、前提は、構造改革の実行を前提をいたしまして日本経済の生産性が上昇していくというこの経済白書における見込み、生産性の上昇につきましては年率〇・五から一%という見込みでございます。これを基礎として検討をいたしまして、物価上昇率を上回ります賃金上昇率で一人当たり一・一%、それから運用利回りで二・二%ということで、その実質を設定をいたしまして、名目といたしまして、名目賃金上昇率二・一、それから名目運用利回り三・二%と設定をいたしております。
 今申し上げました賃金上昇率一・一%につきましては、今後は日本全体の労働力の、労働力人口は減少していくことは間違いございませんので、これを加味をいたしますと、マクロ経済で申し上げますと実質的な成長率は一%未満、大体〇・六から〇・七%という程度になるということでございまして、私どもはこの中位の推計というのはかなり控え目な推計だろうというふうに思っております。経済成長自身の実質的な年率成長は〇・六から〇・七という状態でございます。
 現在の足下の実質経済成長としたらもうちょっと高くなっておりますが、一応そういう前提で、三十年、五十年という計算でございますので計算をさせていただいて、それを基本にいたしております。
#56
○藤井基之君 ありがとうございました。
 大分、局長に御質問集中しましたので、大臣に御質問させていただきたいと存じます。
 前回もお聞きしましたが、今回、法案用意されています、年金資金運用基金、これが廃止されまして、新しく年金積立金の運用を行う独立行政法人、年金積立金管理運用独立行政法人、これを設立をされるという、そういう法案が提出されているわけでございます。
 財投融資資金への預託された資金、平成二十年度末には全額が戻ってくるという形になりました。この新しい独立行政法人は、百五十兆以上の巨額な年金積立金、これを運用することになるわけです。この設立によりまして、独立行政法人の設立によって巨額になりました積立金の運用、これが今までのやり方と比べてどのように改善されることになるのか。特に、この独立行政法人運用につきましては、その透明性を確保するということは非常に大切だと思うんですね。今までなかなか年金の運用実態が分からないと、外から見ていて。そういったことが国民の不満にも不平にもなっているんです。ですから、私は、この新しい法人で運用させるに当たっては、どう良くなりますよということ、そしてどのように、特に透明性についてはこれを確保する、これを是非大臣から言ってもらいたいと思います。
 そして、加えてもう一つ、この運用に関しては、今まで運用で例えば赤出したってだれも責任取らぬじゃないかと、こうも言われているんですよね。今回、新しくこの独立行政法人ができたら、この運用のシステムにおいてはだれがどのような責任を持って積立金の運用に当たるのか、お尋ねしたいと思います。
 大臣、よろしくお願いします。
#57
○国務大臣(坂口力君) 私もこの大臣の職に就かせていただきましてから、一番やはり気を遣うと申しますか、心配をしてまいりましたのは、このいわゆる資金運用の問題でございます。
 現在のところは、全部やっているわけではありませんで、まだ財投に残っている方が多いわけでありまして、先ほどお話ありましたように、まだ半分も戻ってきていないわけでございますけれども、しかし、それにいたしましても、これをどう運用をしていくかということは国民の皆さん方に非常に大きな影響を与えるわけでございますし、特に年金に御加入をしていただいている皆さん方に直接響く話でございます。
 特に、十三年、十四年は非常に経済の悪い時期でございましたし、年々マイナスが出てくるということで非常に心を痛めたわけであります。先ほどもお話ありましたように、昨年はまた急に良くなったものでございますから、十三年、十四年のマイナス分を取り返してまだプラスになったというような経緯はございますけれども、増えるにしろ減るにいたしましても、この運用の方法というのは非常に難しいし、そしてこれ御理解をいただけるようにしていかないといけないというふうに思っております。
 それで、厚生労働省の中でこの運用方針を決めるということは私はやめた方がいいというふうに思っておりました。それは、やはり厚生労働省というのがその資金の運用等にプロの者がいるわけではございませんし、そうした厚生労働省のこの意見というものが非常に強く出るということは、私はむしろ実際にやらなけりゃならない方向性を間違う可能性があるというふうに思っておりまして、できるだけここから距離を置いた制度というものを作る必要があるんではないかというふうに思っております。
 今までこの検討会、あるいは厚生省の中の話でございますが、検討会も作って、そこでポートフォリオの在り方等もそこで御議論をいただいて、いろいろな先生に、これは専門的な先生にお入りいただいてやっぱりやっていただいていたわけでございます。その先生方に個人的にお会いをしていろいろお話を聞きました場合と、そしてその先生方がやはりこの検討会でお話をいただいておりますことには、何か私のこれは見過ぎ、言い過ぎかもしれませんけれども、若干違いがあるというふうに私は思ったわけであります。個人的にお聞きをしたお話は少し違うなという気がいたしました。
 そうしたことから、私は、少し距離を置いた形が望ましいということになりまして、今回この独立行政法人を設立をして、その中でおやりいただく、そして、もちろんそこの理事長さんには、専門の、経験豊か、学識経験も豊かであり、そしてまた金融問題につきましても十分な知識を持った方に就任をしていただくということが大事であると。その理事会に対しまして、今度はその中に運用委員会を作って、その運用委員会でいろいろ御議論をいただいたものをそこに提示をしていただくといった組織を作り上げていく。その組織を作り上げていきます中で、多額の積立金でございますから、それの運用のいわゆるポートフォリオ、方針というものをその中で決めていく。今までは厚生労働省の中で決めて、そしてその運用をお願いをしていたわけでありますが、そうではなくて、その運用の在り方をその中で決めていただくというふうにしていきたいというふうに思っている次第でございます。
 それからもう一つ、責任の在り方のお話ございました。
 この責任の取り方というのもこれなかなか難しいと思います。例えば、景気の動向のいいときに引き受けていただく皆さんはこれはほっておいてもプラスになっていくと思います。景気が非常に悪いときに引き受けていただく皆さんは大変これマイナスになっていくということでございます。だから、ただプラスになったマイナスになったというだけで、プラスになったんだから特別なボーナス出すとか、マイナスになったからそれは駄目だとかというのも、これは少し私は問題があるというふうに思います。
 しかし、現実問題として、その中で与えられたと申しますか、その経済の中で、最大限そこでどれだけその中で頑張っていただいたかということを評価をしなければいけないんだろうというふうに思っておりまして、そのことにつきましての評価を十分に行うということが大事でございまして、その中で責任というものを明らかにしていくということではないかというふうに思っております。
#58
○藤井基之君 終わります。
#59
○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。
 本日の委員会は、まず冒頭、異例の委員長の御質問で始まりました。そういうことに至りました経緯につきまして私の方から説明させていただきたいと思いますが、今回のこの年金法案の審議に当たりまして、まず、総理の参議院の厚生労働委員会における御答弁が衆議院の厚生労働委員会における御答弁と食い違っていた、結果的にうそをついているのではないかという疑いがありまして、私どもは総理の一日も早い当委員会への再度の出席を求めてまいりました。
 そして、そのことに関連いたしまして、総理の国民年金の加入記録の件でございますけれども、これをメディアに対して閲覧をさせたわけですけれども、それであるならば、当然我が厚生労働委員会に対しても開示すべきであろうという要求もさせていただきました。
 そしてあわせて、この国民に大きな痛みを押し付ける年金の法案の審議に当たっては、我々審議する厚生労働委員はすべて自らの年金の納付状況を明らかにするべきであると、このように再三要求してまいりましたが、これも回答は得られておりません。
 そして、私どもが一番重要にしておりました森、谷畑両副大臣の政治的責任。そもそも国民に大きな負担を強いるこの法案、果たして森副大臣、谷畑副大臣に法案提案者としての資格があるのかどうか。我々は、お二人には法案提出者の資格はないと考えております。責任を取って辞任すべきであると考えておりますが、なかなかそのような意見を理事会でまとめることはできませんで、冒頭の異例の委員長の質問となったわけでございますが、それに対しましての両副大臣の御答弁を伺っておりますと、全く反省の色がない。そして、御自身の責任をどう考えていらっしゃるのか。
 改めて伺いますが、今回のこの未加入、未納の問題についての法案提出者として責任の取り方、先ほどの答弁でよろしかったんでしょうか、いま一度両副大臣に御答弁願いたいと思います。
#60
○副大臣(森英介君) 私は、記者会見でもって、まず自分のこれまでの年金の納付状況について開示をいたしまして、おわびを申し上げました。続きまして、大変有り難いお計らいでありましたけれども、この年金法案が審議をされるに先立ちまして、この参議院の厚生労働委員会において冒頭それを説明し、私の気持ちを述べる機会を与えていただきましたので、その際にも心からのおわびを申し上げました。また、本日、重ねて委員長からの御要請でありましたので、謹んでまたおわびを申し上げました。
 そういうことでありますけれども、私といたしましては、先ほど申し上げましたように、担当副大臣として、これからの年金制度改革に向けまして全身全霊を挙げて取り組むこと、そしてその職責を果たすことによって国民の皆様方に私の責任を取らしていただきたいというふうに思います。
#61
○副大臣(谷畑孝君) 先ほど委員長の方からの申出ということの中で、再度私としましても未加入問題につきまして心境を語ることができましたこと、心より感謝を申し上げたいと思っております。
 そのときにも申しましたように、年金の未加入期間については非常に重く受け止めておりますし、また反省をいたしております。十六年前の厚生年金の天引きからなぜ切替えができなかったのか、本当に悔やまれておるところでございます。改めまして、国民の皆さんを始めとして、また厚生労働委員会の各委員の先生方に対しても改めて心よりおわびを申し上げたいと、このように思っております。
 また、責任ということでありますけれども、やはり厚生労働副大臣として、今重要な年金法案が審議されておるわけでありまして、私どももその責務をしっかりと果たすことによって責任を果たしていきたいと、このように実は思っております。
 以上です。
#62
○森ゆうこ君 改めて伺いますが、両大臣は未加入、未納の事実について坂口厚生労働大臣に御報告をされたのはいつでしたでしょうか。
#63
○副大臣(森英介君) きちんと御報告申し上げましたのは五月になってからだと思います。
#64
○副大臣(谷畑孝君) 私、五月十七日に大臣に報告をさせていただきました。
 と申しますのは、ブルネイでASEANプラス3の国際会議がございましたし、そのときは議長ということでどうしても参加しなきゃならないということもありましたが、その前は新潟へジョブカフェということで、これも公務で行っておりまして、そういう状況の中で、副大臣の記者会見のときには私の秘書が参加したわけですけれども、改めて私自身この十七日に記者会見をして、そして経過を述べさせていただいて陳謝をさせていただいたところでございます。
 十七日に大臣に報告させていただきました。
#65
○森ゆうこ君 未納、未加入の問題というのは先日の当委員会でもいろいろ御議論になりましたけれども、非常に大きな問題になっていたわけでして、その報告の時期がそれでよろしいわけですね、訂正する必要はございませんね。どのような認識に立たれていたかということが改めて確認できたわけですけれども。
 それで、この事実を公表した時期について、それぞれ伺います。
#66
○副大臣(森英介君) 公表した時期ですか。
 私自身としては、その事実が判明してから、私自身が把握いたしましたのが四月半ばでありましたので、とにかく芳しい話ではないので困ったなと思いつつ、やっぱり立場上もあって、とにかく早く公表いたしたいなというふうに考えてまいりました。しかし、それはちょうどまだこの問題についての衆議院厚生労働委員会で与野党で様々な協議がなされている最中でございまして、その協議が調ったらその結果を踏まえて公表させていただこうというふうに考えてまいりました。
 ところが、結果的には二十八日に採決するまでに協議が調わずにそういうことになってしまいまして、その採決を終わりまして、それから連休があったりして、とにかくこれから参議院の審議が始まるということで、私自身悶々としておりましたけれども、ちょうど十三日の日に折しもその参議院の厚生労働委員会の理事会で副大臣、政務官もこの問題について明らかにすべきであるという与野党の合意がなされたということを仄聞いたしまして、そういった機会、大変有り難い機会というふうに受け止めましたが、それに先立って、いや、本当ですよ、それに先立って記者会見をさせていただき、そして先ほど申し上げましたように、十三日の委員会の冒頭で私自身が参議院厚生労働委員会の皆様方に御報告を申し上げた、御報告並びにおわびを申し上げた次第でございます。
#67
○副大臣(谷畑孝君) 私は、五月十三日の森副大臣と共々の記者会見で公表、秘書を通じて公表させていただきました。そして、改めて五月の十七日に記者会見をさせていただいたということです。
#68
○森ゆうこ君 森副大臣に確認したいんですけれども、先日問題になりました記者会見の要旨を改めて見てみますと、このようにお答えになっていらっしゃいます。
 諸般の事情というのは具体的にどんなことなんですかという記者の質問に答えられて、一つは区切り目の局面だというふうに思いましたとおっしゃっております。その区切りの局面だとお思いになった理由は何ですか。衆議院での審議が終わり、これから参議院にお諮りするという一つの局面という認識でありますとの御答弁、会見内容でございます。
 つまり、衆議院が通過するのを待っていたと、衆議院でこの法案が採決するのを待っていた、衆議院で法案が成立し通過したので、もうよかろうということなんですね。
#69
○副大臣(森英介君) それは違います。
 先ほど申し上げましたとおり、私は衆議院の厚生労働委員会の理事会における与野党の協議を見守っておりました。その協議が調わないまま、つまりその協議というのは、例えば閣僚、そして民主党さんの方のネクストキャビネットの閣僚が開示するのか、あるいはもっと副大臣、政務官も含めてするのか、また現在、過去も含めてするのか、そういったいろいろな点について協議がなされている最中でございまして、そういったことで、衆議院の法案が成立するまで機会を得ることができず、そしていよいよ参議院が始まる、そういった正にその局面だということで、私の発言はそのとおりであります。
#70
○森ゆうこ君 度々自ら判断して発表されたということもおっしゃっているわけですから、その協議の調いかどうかは別としまして、もっと早く当然法案提出者としてこの事実を明らかにするべきだと考えますが、結果として衆議院でこの法案が成立して通過した後ということは、明らかに参議院軽視じゃないですか。参議院なんてちょろいもんだと思ったんじゃないですか。
#71
○副大臣(森英介君) いや、全くそんなつもりはありません。
#72
○森ゆうこ君 国会軽視なんですよ。
 そして、今の御答弁、いろいろありますけれども、この間からいろいろな経緯があって、御自分の記者会見の話した内容と相違があって改めて先回の委員会で陳謝されているわけです。このことを忘れないようになさってください。
 それで、両副大臣に伺いますが、うっかりしていたというお話で、小泉総理は、過去のうっかりミスまで責任を問うことはないんじゃないの、まあいいんじゃないの、私はこの発言非常に問題だと思っているんですが、お二人の副大臣は加入の届出を怠った者への罰則規定があることを御存じでしたでしょうか。
#73
○副大臣(森英介君) 私の認識している限り、その未加入に関する罰則につきましては、故意のケースを対象としているというふうに承知をしております。
 そういうことで、私自身は本当に全く勘違いというか思い込みで、今でも払えるものなら払いたいという気持ちを持っているぐらいですから、私が自分で判定するのは誠に僣越というか、でございますけれども、私の場合がそのケースに該当するというふうには受け止めておりません。
#74
○副大臣(谷畑孝君) 私もその事実については知っているわけですけれども、私自身の本当に十六年前、こう振り返っても振り返っても、うっかりミスというのか、もう非常に残念でならないと、こう実は思っています。
 今、森副大臣がおっしゃったように、全く故意ではないということであって、その罰則の対象じゃないと、このように思っています。
#75
○森ゆうこ君 現行法、国民年金法上、届出をしなかった者につきましては十万円以下の罰金が科されております。これは故意、過失は問いません。
 それで、今回審議されております改正案につきましては、この罰則強化、つまり、今国民年金、非常に収納率が悪化しているということで、この罰則強化がこの法案に盛り込まれておりますが、それは御存じですね。それで、それはどのように強化されるか御存じでしょうか。
#76
○政府参考人(吉武民樹君) 今回のこの法案の中に罰金十万円を三十万円という形で盛り込ませていただいておりますが……
#77
○森ゆうこ君 私は吉武さんに聞いていませんよ。
#78
○副大臣(森英介君) 医療保険やなんかと横並びで、十万円を三十万円に引き上げることとしております。
#79
○森ゆうこ君 国民年金保険料の収納対策の強化というのが今回対策として一つ大きく掲げられているわけです。
 谷畑副大臣は、今回の法案にこの罰則の強化のことが入っているということは御存じでしたか。
#80
○副大臣(谷畑孝君) 十万が三十万になるということは分かっております。
#81
○森ゆうこ君 一つ確認したいんですが、両副大臣は国民の皆さんからこの保険料を徴収する役所の責任者ですよね。
#82
○副大臣(森英介君) そういうふうに自ら自覚をしております。したがいまして、大変再三深くおわびを申し上げておりますし、またこれからの信頼される年金制度を構築するために、私自身、大臣を補佐いたしまして、また、厚生労働委員会の皆様方の御理解と御協力を得べく全身全霊を挙げて私の責任を果たしていこうというふうに考えているところでございます。
#83
○副大臣(谷畑孝君) 先ほどもお話ししましたように、未加入があったということについての反省というようなものをしっかりと体に受け止めて、そしてまたそれをばねにして、今後ともまた、年金そのものがやはりお互いの助け合いといいましょうか、公助精神といいましょうか、それにのっとって、今後とも年金におけるスムーズな実施、運営されていくよう全力を挙げて頑張ってまいりたいと、このように思っております。
#84
○森ゆうこ君 保険料を取る側と取られる側の違いがお分かりですか。年金保険料を徴収する側の役所の責任者が、自らが払っていない、払っていない期間があった、加入していない、加入していない期間があった、こんなことで国民は払いますか。本当にそう思っていますか。信頼して国民の皆さんは保険料を払いますか。
#85
○副大臣(森英介君) それは、小泉総理がこの委員会でもおっしゃられましたように、とにかくそういった問題については一人一人が責任を感じて、反省して、そして国民の皆様方の信頼を回復するようにというお話がありました。私もその言葉に従いまして、これから自分のこれからの行動を通しまして皆様方から信頼を得られるように努力をしてまいる決意であります。
#86
○副大臣(谷畑孝君) 保険料を徴収をするという役所側の責任として、未加入部分があったということにつきましては、先ほどもお話ししておりますように、心より反省をいたしておるところでございまして、今後ともその反省点に立って、その状況の中で、いわゆる納めやすい、そのような周知徹底を進めたり、あるいはまた自由民主党、公明党そして民主党さんの三者協議というところにおいても様々な角度からまた議論されると思いますので、その議論の中に大いに参加をしてまいりたいと、こういうふうに思っております。
#87
○森ゆうこ君 社会保険庁に伺いますが、国民の皆さんから、大臣も払っていないじゃ払いたくない、何でうちら払わなきゃいけないんだという苦情、たくさん寄せられているというふうに聞いておりますけれども、どうですか。
#88
○政府参考人(薄井康紀君) 私ども、年金制度に対する信頼ということは非常に重要であると考えております。ただ、今御指摘のようなことを私としては掌握をしておりません。
#89
○森ゆうこ君 掌握していないってどういうことですか。
#90
○政府参考人(薄井康紀君) 私自身がその事実を、不勉強だとおっしゃられるかも分かりませんが、確認をしていないということ、ただ、様々な国民の皆さんの声があるということは承知をいたしております。
#91
○森ゆうこ君 そんな答弁じゃ納得できないですね。そんな答弁じゃ納得できないですね。
 今の法案のこの審議で一番大切なのは、国民の皆さんがもう失ったこの年金制度への信頼、これを回復することが何よりも大事なんですよ。そのために政治家はきちんと責任を取らなきゃいけないと言っているんですよ。
 どういう声があるのかちゃんと言ってくださいよ。分かるでしょう。局長、どうですか、年金局長は。
#92
○政府参考人(吉武民樹君) 私自身は新聞等で拝見をしている限りでありますけれども、いろいろな国民の方の声があるということは承知をいたしております。その中には、ただ、どうも両方ではないかというふうに思いますが、今回の未納の問題にかかわって、御自分自身のこれまでの保険料の納付記録はどうなっているだろうか、あるいは御自分自身がこれまでの保険料納付で年金受給の関係ではどういう状態になっておられるだろうかという、そういうことについても非常に御相談が増えてきているというようなことは新聞報道等では拝見をいたしております。
#93
○森ゆうこ君 社会保険庁、もう一回答弁してください。
#94
○政府参考人(薄井康紀君) 御指摘ございますように、今回の未加入あるいは未納問題も含めまして様々な御指摘、私も新聞等でも承知しておりますし、それから、先ほど局長からも申し上げましたように、自己自身の加入記録を確認しに来られたいという方が増えているというのも承知をいたしております。
 ただ、先般も御審議がございましたように、未加入、未納につきましては、やはり私どもの様々な局面、現時点におきましては、二十歳到達者にお知らせをする、あるいは二号被保険者から一号、三号になったときにはこれを通知をしてお届けをいただくという形でやっておりますけれども、以前には必ずしもそこら辺が十分徹底できていなかった、そういうふうな部分もあるのも事実でございまして、そういったところを私どもとしても反省をしながらこの仕事に取り組んでいかなければいけないと考えているところでございます。
#95
○委員長(国井正幸君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
#96
○委員長(国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、小池晃君及び柳田稔君が委員を辞任され、その補欠として大門実紀史君及び平田健二君が選任されました。
    ─────────────
#97
○委員長(国井正幸君) 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案外二案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#98
○森ゆうこ君 午前中に引き続いて質問をさせていただきます。
 マクロ経済スライドについて伺います。
 先日の、我が会派の浅尾委員の質問で、七十五万人が厚生年金から国民年金第一号被保険者に移動した場合、二〇二五年時点の新規裁定者の所得代替率は五〇%を割り、四九・七%になるということが明らかにされました。つまり、五割は確保しますという話が余り確かなものではないということが明らかになったわけですけれども、改めて伺います。
 マクロ経済スライドでは、公的年金被保険者数全体の減少率に着目して給付水準を調整する仕組みとされておりますが、であるにもかかわらず、公的年金被保険者数全体は変わらないのに、第一号被保険者と第二号被保険者の間で移動があると給付水準に影響が生じるのはなぜでしょうか。
#99
○国務大臣(坂口力君) 先日、浅尾委員の御質問がございまして、これは七十五万人厚生年金から国民年金への移動があった場合という前提の話でございます。
 これは、現在の年金制度の中におきましては、既にこの被保険者数の増減というもの、それから寿命の延びといったものを勘案をするということで、もう既に計算済みでございますが、その計算の上に更にもう七十五万上乗せをすればどうなるかということでございまして、それに対しまして機械的に計算をすればこの四九・七%という数字が出てきますと、こういうことをお答えを申し上げたところでございます。
 今、公的年金の被保険者全体の減少率に着目をして給付水準を調整をするにもかかわらず、この公的年金被保険者全体は変わらないのに給付水準に影響が生じるのはなぜかと、こういう御質問でございます。
 厚生年金の被保険者が国民年金へ移動しましたとしましても、これは公的年金全体の被保険者数のこの総数は変わらないわけでございます。毎年のマクロ経済スライドの調整率自体は、基準的なケースと比べましてほとんど変わらずに所得代替率が五〇%に到達する時期が早まるということにはなりません。
 しかし、仮にこの厚生年金の被保険者数の減少が長期間続くというようなケースを想定しました場合に、被保険者数の減少が続くことによる収入の減少が給付の減少よりも強く表れるということはあり得る。それから、基準ケースでマクロ経済スライドの終了を想定した平成三十五年、いわゆる二〇二三年度以降も給付水準調整というものが行われれば、長期的な給付と負担が均衡しない場合が生じる、こうしたことはあることは想定されるわけでございます。
 したがいまして、一義的に言うならば、そういうふうにならないような政策展開をどうするかということでございますし、そして、それによってもしこの数値に狂いが生じてくるということがあれば、それは微調整で済むことであれば微調整で済ますことができるわけでございますが、その微調整では済まないような事態、これから先、世界の経済の中でどういうふうに動くかということも、それは完全に把握するわけにはいかないわけでございますから、そういうことが生じましたときには、全体としてこの五〇%を維持するためにどうするか、それは全体としての税の問題、あるいはまたこの積立金の使用の問題等、総合的にこれは判断をしていかなければならないと思っております。
#100
○森ゆうこ君 どうもはっきりと分からないわけですね。
 それで、浅尾委員からももう一度この点について深めてほしいという要望があったわけですが、後でもう一度確認しますけれども、今の御答弁にもありました、そうならないようにするという政策展開というお話でした。先日の同じ公明党の遠山理事に対する少子化対策についての御答弁も、与党公明党としてこの法案を出しておきながら、今更少子化対策うまくいくのかいかないのか、何か当てにならない話をしているななんていうふうに思ったんですけれども、今の御答弁もそれと同じようなお答えだったような気がします。極めていい加減なお話だと思いますが。
 この七十五万人という労働人口の移動について、坂口大臣は、前回の委員会で小池委員の質疑に対しまして、経済の動向によりまして起こり得るときもあるだろうが、一時的に起こったとしても、それが続いていくということは考えられません、このように答弁していらっしゃるわけですけれども、しかし実際見ますと、今回のこの法案は今後十四年間連続して保険料を大幅に引き上げる。先日、井上委員が提出されておりました資料によりましても明らかなように、企業は厳しい雇用調整を行わざるを得ないことは明らかなわけですが、なぜそのような楽観的な見方ができるのか、大臣答弁の根拠をはっきりと示していただきたいと思います。
#101
○国務大臣(坂口力君) 上げずに、しかも年金額を維持できるということができれば、それはそれにこしたことがないんだろうというふうに思いますけれども、現在のこの人口構成からいきますとそうはならない。やはりこのままで、現状のままでこの年金制度を維持するということになりますと、保険料が二六%までも上がっていく。それは若い層の皆さん方が耐えられる限界を超えておりますから、ある程度、ある程度のお若い皆さん方の保険料の負担はお許しをいただくとしても、そこに限界を作っていくということを申し上げたわけであります。
 その前提条件となっておりますのは、大きいものは二つ。一つは実質賃金の上昇率と、もう一つは少子化でございます。いわゆる少子化といいますよりも、合計特殊出生率をどう見るかという、この二つのことが一番大きな柱だというふうに思っているわけでございます。
 その中で、実質賃金一・一五以上というふうに申し上げておりますが、ここのところは、今後人口が減っていきますので、全体としてのGDPでいきますと〇・七ぐらいを予測いたしておりますので、これはそんなに高い数値ではないというふうに思っております。そのぐらいはやはり日本の国の経済として成長を遂げていかなければならないだろうというふうに思います。決して楽なことではありませんけれども、それはやはり努力をしていかないといけないことではないかというふうに思っているわけでございます。
 一方におきますこの合計特殊出生率でございますが、現在一・三二という数字が示されておりますけれども、今後五十年間を掛けて何とかもう少し回復させることができないであろうか。一・三九の数字を五十年後に掲げているわけでございますが、これらを実現をいたしますための施策というのは、これはかなりやはり継続をして行わないといけないだろうというふうに思っております。その中でどういう施策が最も効果があるかということの科学的な裏付けというものも今後大事になってまいりますので、そうしたことも行いながら、これは実現をしていくということでございます。
 そうしたことを前提にいたしましても、やはりお若い皆さん方の負担というものはある程度お願いを申し上げなければならない。これは、何もこの制度だから、現在の政府が提案をいたしております制度だから高くなるということではなくて、これはいろいろな制度、どういうふうな制度にするにいたしましても、保険料で支払うか、あるいは税で支払うかということは、これはもう避けることのできないことだというふうに思っている次第でございます。
#102
○森ゆうこ君 最後のところは私も同感でございます。給付を受ける人がいれば、それはだれかが負担しなければいけない。それは損とか得じゃなくて、世代間で支え合うという。でも、そもそもの世代間扶養というこの年金制度の理念を否定しているのは私は与党ではないかと思っておりますが、そのことについての議論は後でさせていただきたいと思いますけれども、済みません、大臣、私の質問に全然答えていらっしゃいません。
 七十五万人の労働人口の移動について、短期にはあるかもしれない、経済の動向によって短期間にはあるかもしれないけれども、それが続いていくということは考えられないという、これは単なる希望的観測なんですか。だから、その根拠を示してくださいと言っているのに、このことについては何にも答えてないと思いますが。
#103
○国務大臣(坂口力君) その七十五万人という数がどうして出てきたかといいますと、保険料を一挙に一八・三%に一度に引き上げたときにその影響がどれだけ出るかというところで、七十五万人という数字は他の省庁の試算で出てきたわけでございます。一度に引き上げるわけではありません。十四年間掛けてこれは上げていくわけでありますから、私はそれによってそんな大きな影響は出ないというふうに思っております。
 しかし、そうは言いますものの、これは働く人の、皆さん方の問題というのは経済全体の影響によって影響を受けますから、経済の動向がまた非常に悪くなるといったようなときに失業者が増えるということはあり得るわけでありまして、それは一時的に起こり得ますけれども、経済が回復すれば、そこはまた回復していくということを申し上げているわけでございます。
#104
○森ゆうこ君 やはりきちんとしたお答えになっていないと思います。
 私は、今回の法案というか、構造的に、大臣はこの七十五万人という労働人口の移動についてそんなに長期に起こり得ないというふうにおっしゃいましたが、先日の浅尾委員とのやり取りでもありました。毎年毎年十四年間大幅に保険料を上げていく、それは正規労働者、正社員に対して上げていくわけです。一方、今回、パートタイム労働者等いわゆる非正規労働者に対する厚生年金の適用は見送られました。
 私が経営者ならばどうするか。簡単です。もう今でさえも社会保険料の負担重くて堪えられない。しかし、特に私の住んでおります地方、地域の経営者は、それでも地域の雇用を守るということでリストラをせずに我慢しているわけです。必死に堪えているわけです。年々もう上がっていくということが分かれば、もうこれはどんどん正規労働者から非正規労働者に移し替えていくということが行われる。だから、そういうことで、この七十五万人という労働人口の移動について、どうして長期に続く可能性はないとか、そんなふうに楽観的に考えられるんでしょうか。厳しい雇用調整を行わざるを得ないという回答もあるわけですが、単なる希望的観測、都合のいい、御都合主義にしか見えませんけれども、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
#105
○国務大臣(坂口力君) 希望的観測を申し上げているわけではございません。
 これから先、労働力人口というのは非常に減少していくわけでございます。我々の方の数字を見ましても、二〇一五年、このままでいきますと三百九十万人ぐらいの労働力人口が減少していくわけでございます。三百九十万も減少させてはいけませんから、何とか女性の働く場、あるいはまた中高年、特に六十歳代の皆さん方の働く場所を明確にして、そしてそんなに減っていかないように手を打ちたいというふうに思っておりますけれども、これほうっておけばそうなっていく可能性あるわけでございます。
 そうしたことも織り込みながらやっているわけでありまして、七十五万ぐらいの減少がこれからの人口動態の変化によって起こり得ることもそれはあり得るわけでございますから、そうしたことを織り込んで我々やっているわけでありますので、そこを更に、その上にもう一つ七十五万人更にまた上乗せをするということは、それはそんなに考えなくてもいいのではないですかと。それほど悪い時期がそう長くは私は続かないというふうに、続けてはならないし、そういうふうに申し上げているわけでありまして、我々もこれからのこの減少、人口の動向、労働力人口の変化、そうしたことを織り込んで我々も計算をしているわけでございます。
#106
○森ゆうこ君 根本的な認識が違うようです。
 そもそも構造的に正規労働者から非正規労働者への労働の流動化が起きる、そういう構造的な欠陥を持っているということを私は申し上げたいんですが、次の質問に移ります。
 マクロ経済スライドは社会全体の支える力の伸びに応じた調整と説明されておりまして、その指標として公的年金被保険者数全体の減少率を採用しています。
 しかし、厚生年金を始めとする被用者年金グループ、これは定率保険料でございますね、と国民年金グループ、これは定額保険料、今一万三千三百円とでは保険料負担の在り方、つまり支える力に差があるのではないでしょうか。
#107
○国務大臣(坂口力君) マクロ経済スライドというのは社会全体を支える力の伸びに応じた調整、そういうふうに説明いたしております。
 確かに、基礎年金と厚生年金の調整を同様に行っていくことを考えました場合に、両者に共通の指標であることが基本的に望ましいというふうに思っております。
 すなわち、もう少し前から言いますと、年金制度を支える力の変化というのは被保険者数の増減だけではないわけでございます。したがいまして、基礎年金と厚生年金の調整を同様に行っていくことを考えた場合に、両者に共通の指標であることが基本的に望ましいと考えております。短期的な景気の変動を強く受けない指標の方がいいというふうに思っております。世代間の公平の観点から、またこれから高齢者の進行が急速に進みまして、本格的な高齢社会の到来を控えておりますことから、速やかな給付水準の調整が可能となる指標の方が適当であると考えております。こうしたことから公的年金被保険者数全体の減少率を採用したものでありまして、いわゆる支える力と表現したのも、支える力と表現したとしましても問題はないというふうに思っております。
 社会経済の推移によりまして、厚生年金と国民年金の財政状況にも違いが生じますし、必要な調整の度合いが異なることは生じ得るというふうに私も思っております。
 この場合、厚生年金とそれから国民年金で給付水準の調整期間が変わりまして、それぞれ必要な調整が行われることとなりますが、同一の指標を用いたとしても特に問題は生じないのではないかというふうに思います。
#108
○森ゆうこ君 ちょっと理解ができないんですが、そもそも、このマクロ経済スライドなる新しい、何というんでしょうか、これはシステムですか、大体よく訳の分からないものを出してくるときには都合の悪いときなのかなとかといろいろ思ったりするんですが。
 そもそも、平成十四年十二月の年金改革の骨格に関する方向性と論点では、マクロ経済スライドについて、被用者の一人当たり賃金の伸び率と総賃金、手取りベースですけれども、の伸び率の差に注目してスライド調整率とすることとしていたわけでございますが、これが厚生労働省案になったときには、公的年金被保険者数全体の減少率、つまり人口要因に変更されたわけですが、そのことについての合理的な理由をお答えいただきたいと思います。
#109
○政府参考人(吉武民樹君) 平成十四年十二月の年金改革の骨格に関する方向性と論点は、これはできるだけ論点をお示しをしまして、その後の年金改正の御議論をお願いをしようということでございまして、この中でいわゆるマクロ経済スライドについて説明をいたしておりますが、ここで言っておりますのは、例えばマクロの経済成長率、GDPあるいは国民所得の伸び率、あるいは社会全体の賃金総額の伸び率、これをスライドに反映させる方法、あるいは、一人当たりの可処分所得あるいは手取り賃金の上昇率を今、年金改定率では反映をいたしておりますが、これに対しまして、労働力人口あるいは被保険者数の変動率を併せて反映させる方法が考えられるということでございまして、この時点で申し上げますと、例えば経済指標、それから賃金総額、それから労働力人口あるいは被保険者数の変動率を反映させるということで、幾つかの選択肢を示してお示しを申し上げたわけでございます。
 その後、更に検討を進めまして、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、マクロ経済スライドを行う場合には、基礎年金それから報酬比例年金、いずれにつきましても同程度の調整を行うことになりますので、被用者か自営業者かを問わず共通の調整が行われるということで、公的年金制度の全被保険者数の変化を表す指標が適切ではないかと。
 それから、公的年金被保険者数全体の変動率の方が被用者数だけの変動率よりも短期的な経済変動に対して安定的であるというようなことから、厚生労働省案におきましては、公的年金被保険者数全体の減少率を反映させることにより調整を行うこととしたものでございます。
#110
○森ゆうこ君 先ほども申し上げましたが、そもそもマクロ経済スライドなる言葉が出てきたときには、別にこれは人口要因じゃなかったわけです。それが、この厚生労働省案になったときに、急に人口要因の調整に変更したわけですね、今の御説明で皆さんが納得できるのかどうか私はよく分かりませんが。
 問題は、こういうふうにいきなり変更したことによって、当初の案であれば、今回の提案されているような急激な給付水準の調整にはならなかったと思うんです。いつの間にか人口要因に変わったことによって今回の給付の調整が非常に過激になった、このことが非常に問題であると思います。
 先日、山本委員からも御質問があったわけですけれども、このマクロ経済スライドの導入で問題なのは、報酬比例部分だけではなくて基礎年金の部分に同じような割合でこの調整を掛けるということ、これが一体結果としてどうなるかということになりますと、高齢者の消費支出の基礎的部分を賄うための基礎年金の給付水準の調整にこれを使う。基礎年金は、御存じのように四十年加入のモデルでは月額約六万六千円でございますけれども、実際の平均年金額は平成十四年度で四万六千円程度なんですよ。こうした現状の中で一律に約一五%もの給付水準カットを掛けるという、こんな厳しいことをやって本当にいいんですかという、これが起きてくるということなんですね。非常に厳しい。
 先ほど与党の方の御質問にもありました、声なき声に耳を傾けよと。一生懸命、そんなに豊かではないけれども日々まじめに暮らしている人たちのその声に耳を傾けなければならないという涙ながらのお訴えがあったわけでございますけれども、声なき声にどのように耳を傾けたらこんな厳しい案が出てくるのか私には到底理解できませんが、いかがですか。
#111
○国務大臣(坂口力君) 年金というのは基礎年金が非常に大事な部分であることは私もよく理解をいたしております。
 お若い皆さん方の御負担を更に上げることができ得るのならば、それは更により良い基礎年金というものが実現できるというふうに思いますけれども、この負担をしていただく皆さん方の数が減ってくる中で、その皆さん方に御負担をいただく額というのには限界がある、その限界の中でどれだけの基礎年金を作っていくかということになるわけでありまして、そこにはまた、年金額の方にもおのずから限界がある、こういうことだろうというふうに思っております。
 今回導入するこの給付水準の自動調整の仕組み、いわゆるマクロ経済スライドというふうに言っておりますが、これは、急速な少子高齢化が進行します中で将来の現役世代の負担が過大とならないように極力抑制をして、そして社会全体の年金を支える力に応じて給付水準の調整をしていくものでございます。
 これは、今後、賃金でありますとか物価が上昇していく場合におきましては、通常のプラスの年金改定率から現役世代の負担率の減少分であります公的年金被保険者数の減少率などを控除することによって調整を行うものでございます。ですから、今後、賃金でありますとか物価でありますとか、そうしたものによってかなり影響されることはこれはもう当然でございますが、現在のこの基礎年金額の水準というのは老後生活の基礎的な部分をカバーする水準になっておりまして、これまでの賃金、物価の伸びと基礎的な消費支出の伸びとを考慮いたしますと、給付水準の調整を行いましても基礎年金の水準は老後生活の基礎的な部分を支える役割を果たすことができるというふうに思っております。
 ここは、もう少しあればという御意見は私も尊重したいというふうに思いますけれども、しかし、もう少しというところをしようと思うと、この基礎年金のところはやはり財源が非常に大きいものでございますから、かなりまた御負担も増えてくるということでございまして、どこで折り合いを付けていただくかというこれは問題になってくるというふうに思っております。
 一応我々が得ました結論、それは、負担の方にも御辛抱をいただき、そして給付をお受けいただく皆さん方の方にも御辛抱をいただくというところの折り合いをこの辺で付けるということ以外に道はないのではないかということでございました。したがいまして、この数字を出しておりまして、いわゆる基礎的な部分というのをこれで何とか確保をしていきたい、最低限の確保をしていきたいということにした次第でございます。
#112
○森ゆうこ君 基礎的な部分に一律に一五%ものカットを掛けていいんですかという質問だったんですけれども、前回、山本委員の質問に対しまして、いわゆる給付水準の調整期間が終了すれば、新規裁定時の基礎年金は一人当たり賃金上昇率ベースで上昇し、また既裁定年金は物価上昇率ベースで維持されるという御答弁だったわけですけれども、しかし、給付水準調整期間中の基礎年金は、中長期的な物価上昇率の見通し一・〇%からスライド調整率〇・九%を控除するわけですから、実質価値は維持されないということだと思うんです。しかも、先ほども申し上げました、基礎年金までということで、障害基礎年金にも容赦なくカットは掛かるわけですね。
 一階部分についてここまで過酷な調整を行うことが果たして政策判断として妥当なのかどうか。これは年金部会でも大変反対意見が強かったと聞いておりますけれども、これで妥当なんでしょうか。
#113
○国務大臣(坂口力君) 今のお話は、二〇二三年までの間の話とそれから後の話と、両方あったわけでありまして、二三年までこの調整が進みまして、二五年以降の方につきましては、それは物価の上昇に合わせてこの上昇を行うようにいたしますと、こういう話でございます。それまでの問題といたしましては、現状から、二〇二三年、十四年間の間につきましては、〇・九%、物価の上昇から〇・九%を引かせていただきますと、こういうことを申し上げているわけであります。
 大変皆さん方に御負担をいただかなければならないわけでありますから、一方においてなぜこんなに負担を上げるかというお話があり、一方におきましてはやはり、なぜこんなに少ないのかというお話があり、そこの調整をする以外に方法はないということを申し上げているわけであります。
#114
○森ゆうこ君 年金の党、公明党ということで、世論調査でも、今回の法案、ほとんどの国民が、こんな負担を国民に押し付ける弱者切捨ての法案は反対だという声が多いわけですけれども、公明党支持者は成立すべしという声の方が多いということなんですが、私、果たして公明党の支持者の皆さんがこの年金法案の正体が分かっていらっしゃるのかどうか非常に疑問に思います。
 それで、そもそも、年金法の二〇〇〇年改正の際に衆議院で修正が行われました。基礎年金については給付水準及び財政方式を含めてと、給付水準という文言を追加したものでございますが、あえてこれをもう一回お尋ねするわけですけれども、これを提案されたのは御党の、公明党の福島衆議院議員でございました。
 その提案理由の説明のところを一部を読み上げさせていただきますが、「こうした介護や医療などにおける高齢者負担を考慮し、ナショナルミニマムとしての基礎年金の適切な給付水準を維持することは、高齢者の生活を安定させ、年金制度に対する信頼感を損なわないためには不可欠であると考え、修正をすることといたしました。」と、このような説明があるわけです。
 どうして、こういうふうにわざわざ公明党が提案されて給付水準というのを追加したにもかかわらず、基礎年金の過酷な切下げが、公明党が連立与党となっている政府の法案に出てくるのでしょうか。当の公明党が百年安心と言うのはいかがなものかと私は思いますけれども、大臣の明快な御答弁をお願いいたします。
#115
○国務大臣(坂口力君) 党の代表として出ておるわけじゃありませんから、全体として、これはもう大臣としてお答えを申し上げざるを得ないわけでございますが、給付水準を維持していくということは、これは大事なことでございます。したがいまして、今回も、皆さん方が負担の可能な範囲内において給付水準をどう維持していくかということに、我々も全力をそこに絞ったわけであります。
 先ほどから申し上げておりますように、負担をもっと上げればいいのであれば給付は更に良くなる。しかし、負担は抑制しなければならない、給付はある程度維持しなければならないという難しい選択幅の中でそこを結論を出さなければならないということになれば、やはり給付水準というものにも一定の御理解というものが得られなければならないというふうに私は思っております。
 前回のときに給付水準ということに大変こだわっておりますが、これはそれなりの意味があるというふうに思っておりますけれども、更に少子化が進んでまいりました現状の中で将来を見定めましたときに、やはりそこにはおのずから限界があるということでございまして、負担と給付、その両方を見て結論付けたものでございまして、ここは多くの国民の皆さん方に御理解を得なければならないところでございます。
#116
○森ゆうこ君 要するに、私が言いたいのは、こんなに過激に、しかも弱者に対して過酷に短期間に調整する必要はないんじゃないですかと、これが政策手段として正しいとは到底思えませんということを申し上げたいわけでございます。
 それで、私の質問時間若干過ぎておりますけれども、どうしても確認しておきたいことがあるもので、幾つか質問させていただきますが、国民年金の加入ということについて、この何か月かの議論見ておりますと、国民年金が任意なのかそれとも強制加入なのか、この辺がどうも、正しい認識を皆さんが持っていらっしゃらないということがありますので、若干確認させていただきたいんですが。
 まず、国民年金の加入についてですが、国民年金というものは、そもそも昭和三十六年から強制加入だと思うんですけれども、この点について御答弁を、政府参考人で結構です。
#117
○政府参考人(薄井康紀君) 国民年金法上は強制加入とかそういう言葉は使われておりませんが、昭和三十六年に拠出制国民年金が導入されました。その際に、一定の方々は適用除外となりましたけれども、それ以外の方は国民年金によってカバーされると、これらの方を強制適用の方と、こういうふうに呼んでおったと、こういうことでございます。
#118
○森ゆうこ君 そういたしますと、一九六二年の一月に二十歳となった者は、学生若しくは専業主婦以外は、又は被用者保険に加入している以外はこの強制適用の対象ということでよろしいですね。
#119
○政府参考人(吉武民樹君) 国民年金制度の発足時の考えを申し上げますと、基本は、日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳未満の日本国民ということでございますが、既に年金の適用がございました厚生年金あるいは共済組合の加入者の方、それから国会議員互助年金等の加入者の方は適用除外といたしております。
 それから、そのほかにも、当時で申し上げますと、被用者年金制度の加入者の配偶者、今日で申し上げますいわゆる第三号被保険者の方、それから被用者年金制度の受給権がある方、それからさらに、老齢年金の受給資格期間を満たした方、これは当時、厚生年金で申し上げますと二十年でございますので、非常に極端なことを申し上げますと、二十歳から仕事をされて四十に達した方、これは受給資格期間を満たしておられますが、そういう方、さらに学生につきましても任意加入の対象にしておるという、こういう形が、昭和三十六年の国民年金制度の発足時のいわゆる強制加入の方と任意加入の方、あるいは適用除外の方の整理でございます。
#120
○森ゆうこ君 そうしますと、一九六九年に日本国内に事実上在住し、今ほどいろいろ御説明がありました適用除外以外の方は、これは強制加入の、いわゆる強制加入の対象者ということでよろしいですね。
#121
○政府参考人(薄井康紀君) 制度的には今、年金局長申し上げましたように様々な適用除外の方がおられます。
 そういうふうな状況の中で、私どもから、強制適用ですと、必ず届出をして、それで保険料を納めてくださいという取扱いは現実にやっておりませんが、法律上は適用対象と、こういうことでございます。
#122
○森ゆうこ君 しかし、その時点でも、先ほど森副大臣に罰則規定が、届出をしなかった者については罰則規定がありますねというお話をしましたが、それは当初からあるわけですよね、その点についてだけ。
#123
○政府参考人(薄井康紀君) 規定上はそういう規定はございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、この規定、罰則規定でございますけれども、届出を行った、故意に加入手続を取らなかったとか、あるいは加入していないことを本人が知ったときに直ちに手続を行ったケース、済みません、失礼いたしました、故意に加入手続を取らなかったものではないと考えられるケースであるとか、あるいは加入していないことを本人が知ったときに直ちに手続を行ったケースなどについては、これは罰則を適用するような悪質なケースではないのではないかというふうに考えているところでございます。
#124
○森ゆうこ君 それは法律の運用上の問題であって、一応法律上は、私が先ほど言いました罰則規定というものは、原則どおりに、として適用されるということでよろしいですね。
#125
○政府参考人(薄井康紀君) 今申し上げましたように、法律の規定上、罰則規定があるのは事実でございます。
 ただ、私が掌握している限りで、掌握していない部分があるかも分かりませんけれども、掌握している限りにおきましては、この罰則を適用した事例というのは私は承知いたしておりません。
#126
○森ゆうこ君 聞いていない、聞いていないことまで答えないでください。実際に適用があったかどうか、そんなことを聞いているわけじゃありません。法律はどうなのかということを聞いただけなんです。ですから、聞いたことだけ答えてください。
 法律上はそうなっていますねということですが、いかがですか。
#127
○政府参考人(薄井康紀君) 罰則規定があるのは事実でございます。
#128
○森ゆうこ君 次に、厚生年金について伺います。
 厚生年金の加入が認められる要件、逆に認められないケースとは一体どのようなものがあるでしょうか。政府参考人に伺います。
#129
○政府参考人(薄井康紀君) 厚生年金の適用対象ということでございますけれども、雇用者として厚生年金と被保険者となるかどうかということにつきましては、これは適用事業所と常用的な使用関係にある就労者かどうか、これを基準として判断されるという取扱いになっております。
 今申し上げました常用的な使用関係ということでございますけれども、これは就労者の労働日数、労働時間、就業形態、勤務内容、こういったものを総合的に勘案して個別具体的事例に即して認定をすると、こういう取扱いになっているところでございます。
 今は雇用者について申し上げましたけれども、法人の理事あるいは取締役等の役員につきましては、これは労務の対償として報酬を受けている場合には、法人に使用される者として厚生年金の被保険者資格を取得させる、こういう取扱いになっているところでございます。
#130
○森ゆうこ君 それでは、加入資格がないにもかかわらず加入していた場合のその罰則と時効について、併せてその社員側に共同正犯が認められる要件について法務省に伺います。
#131
○政府参考人(樋渡利秋君) まず、お尋ねの公訴時効期間は、犯罪の法定刑等に応じて所定の期間が定められておりますが、そもそも犯罪の成否は収集された証拠により判断されているものでございます。ただし、今お話を伺っておりまして、懲役、五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪につきましては三年ということになります。
 共同正犯につきましては、二人以上共同して犯罪を実行した場合とされておりますが、共同正犯の成否も含め、犯罪の成否は収集された証拠により判断さるべきものでございまして、お答えいたしかねるところでございます。
#132
○森ゆうこ君 支払われた保険料及び、先ほどの話ずっと続いています、加入資格がないにもかかわらず加入していた場合、支払われた保険料及び年金給付額の取扱いについてはどうなりますか。
#133
○政府参考人(薄井康紀君) あくまで一般論、仮定の議論としてお答えをさせていただきますが……
#134
○森ゆうこ君 一般論で聞いているんですから、余計なことを言わないでください。
#135
○政府参考人(薄井康紀君) はい。
 加入資格がないにもかかわらず加入していたことが判明した場合には、現在の実務上の取扱いでございますけれども、原則として五年を限度として過去にさかのぼりまして被保険者資格を取り消しまして、その間に納められた保険料については事業主に対して還付をする、取消し後の正しい記録に基づきまして年金給付の額を裁定し直す、こういう取扱いをいたしているところでございます。
#136
○森ゆうこ君 聞かれたこと以外は答えないでください、時間がありませんので。
 それで、医療保険の加入について伺います。健康保険の加入要件につきまして先ほどと同じように伺います。
#137
○政府参考人(薄井康紀君) 健康保険の加入要件につきましては、厚生年金の加入要件と同様でございます。
#138
○森ゆうこ君 同様に、法務省に伺います。
 加入資格がないにもかかわらず加入していた場合、罰則と時効について、そして社員側に共同正犯が認められる要件について、そして社員が健康保険証を使用し治療を受けた場合、詐欺罪が成立するか否かについてお答え願います。
#139
○政府参考人(樋渡利秋君) 時効と共同正犯の件に関しましては先ほどお答えしたとおりでございまして、犯罪の成否につきましては収集された証拠により判断されるものでございますので、お答えをいたしかねるところでございます。
#140
○森ゆうこ君 事例についてということで検証できないので答えられないということなんですが、そこで、念のために一つの事例を挙げて確認させていただきますが、郡山事件と言われるものでございます。健康保険法違反の疑いで郡山に逮捕された郡山前市議についての、この案件につきまして御説明をお願いいたします。
#141
○政府参考人(樋渡利秋君) お尋ねは福島地方検察庁郡山支部において、本年三月一日及び同月十九日、前郡山市議会議員を健康保険法違反及び詐欺罪により公判請求した事実と思われますが、同被告人につきましては、本年五月十七日、福島地方裁判所郡山支部において懲役二年、執行猶予四年の判決が言い渡されたものと承知しております。
 犯罪事実の要旨を申し上げますと、被告人が平成十一年十一月に内容虚偽の領収書を利用して郡山市議会市政調査会研究費補助金三十万円を詐取したという詐欺事案と、平成十三年七月に有限会社役員と共謀の上、被告人が同社に使用され、その報酬月額が七万八千円である旨の内容虚偽の健康保険被保険者資格取得届を社会保険事務所に提出したという健康保険法違反、平成十五年一月から同年三月にかけて不正に取得した健康保険被保険者証を提出するなどして療養の給付の対価の一部を免れたという詐欺事案だと承知しております。
#142
○森ゆうこ君 今の御説明でもお分かりだと思います。坂口厚生労働大臣並びに森副大臣にこの件の御報告について感想をお聞きしたいんですけれども、この健康保険法違反、そしてその前提となる厚生年金の方の違反、又は国民年金の罰則事例、不正受給については懲役刑もあるわけですけれども、これらの年金、保険、健康保険に関する様々な間違いに関しては、これは明らかに犯罪でございます。犯罪でございます。罰則があります。詐欺罪というところまで今あったわけですけれども、今の御報告を受けて率直にどう思われるのか、それぞれ御答弁を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#143
○国務大臣(坂口力君) 健康保険の方にもお話が及んでまいりましたけれども、そうしたケースもあるのかなと思って先ほどお聞きをしたところでございます。先ほど法務省の方からも御答弁ございましたとおり、これはケース・バイ・ケース、それぞれによって決定されるべきものと思っております。
#144
○副大臣(森英介君) 大臣から御答弁があったとおりでございます。
#145
○森ゆうこ君 ちょっと待って。済みません、終わりますと言ったんですけれども、済みません。
 御自分の感想を述べていただきたいと思いますが、最後に一言申し上げたいと思います。
 この未納、未加入の問題、これは大変軽く考えていらっしゃいますけれども、この国は法治国家でございます。過失、故意にかかわらず法律を破ったことの罪は重い。しかも、その法律の提案者が法律を破ったことの罪は重い。それをうっかりミスだから、うっかりミスだからそんな責任まで問えないでしょうと言って、相変わらずその法律の提案者に座らせておく、その責任は重い。これらが認められますと、法治国家の基本を否定することになります。そんなことで果たしていいんでしょうか。法律を作る国会議員が故意であろうと過失であろうと法律違反をした、そのことについて責任を取らない、その状況で国民に対して罰則強化を含む法案を提案する資格が本当にあるんでしょうか。
 私は子供に言われました。お母さん、大臣も未納、だったらそんなのだれも払わないよって。じゃ、小泉さんが、うっかりミスだから過去の責任は問われない、この答弁をテレビで見たうちの息子はこう言いました。うっかりミスだったら何をやってもいいんなら、例えば交通事故起こしたって、済みません、うっかりミスでした、でもうっかりミスだから責任はないですよね。これでいいんですか、本当に。
 もう一度、森副大臣の御答弁をちょうだいしたいと思います。
#146
○副大臣(森英介君) 先ほどは健康保険の問題についての御質問だと思って申し上げましたけれども、私の件であるとすれば、再三申し上げておりますように、勘違いとはいっても、国民の義務を果たさなかった期間ができちゃったということにつきましては大変深く反省をしておりまして、おわびを申し上げているところでございます。
 これ、この後、私はこういった反省を踏まえまして、年金制度改革に全力を尽くして皆様方の御信頼を回復するということを、ここで決意を申し上げまして、これからも職責を果たしてまいりたいと思っております。(発言する者あり)
#147
○委員長(国井正幸君) ちょっと、じゃ止めて。速記止めて。
   〔速記中止〕
#148
○委員長(国井正幸君) じゃ、速記を起こして。
#149
○森ゆうこ君 もう一度はっきり答えていただきたいんですけれども、罰則規定があるわけです、罰則が。それに該当する法律違反を森副大臣は犯しているわけです。その罰則強化を含む法律の提案者と、果たしてそういう資格がありますか。罰則強化についての、罰則に該当するということについての御認識はいかがですか。もう一度御答弁お願いします。
#150
○副大臣(森英介君) 繰り返し申し上げますが、大いに深く反省をしまして、その反省を踏まえて、これから年金制度改革について全力を尽くし、国民の信頼を回復してまいりたいというふうに決意をしているところでございます。
#151
○森ゆうこ君 委員長、もう一回。
 要するに、罰則規定があるわけですね。罰則規定がある法律があるわけです。その法律に違反しているわけですよ、森副大臣は。そのことについてどうお考えになるかということ、もう一度きちんと答えてください。
#152
○副大臣(森英介君) 再三申し上げておりますように、その件につきましては、全く勘違いとは申せ、大変深く反省をしておりまして、これから自らの職責を果たすことによって、この国民の皆様方の信頼を回復してまいりたいということを申し上げております。
#153
○森ゆうこ君 きちんと答えてください。
 要するに、法律を守らなくてもいいということなんですか。法律を守らなくてもいいということなんですか。うっかりミスだったら法律を守らなくてもいいということを、法律の提案者である副大臣がそうお考えになっているということなんですか。そのことについてきちっと答えてください。そうじゃなかったら、だれも守りませんよ、国民は、あなたが提案した法案なんて、法律なんて。
#154
○副大臣(森英介君) 先ほども申し上げましたように、この未加入に関する罰則につきましては、故意のケースを対象としたものというふうに私は認識しております。私自身のケースについては当たらないというふうに思いますが、この点については事務当局に確認を願いたいと存じます。(「いい加減にしろよ」と呼ぶ者あり)
#155
○森ゆうこ君 いい加減にしろよって、これ基本的な問題でしょう。
 法律の規定上、故意、過失にかかわらずということを再三私は申し上げておりますけれども、じゃ確認します。だれに確認すればいいですか。法務省刑事局長、お願いいたします。
#156
○政府参考人(樋渡利秋君) 当省の所管する法律ではございませんので、私はお答えする立場にはないと思います。
#157
○森ゆうこ君 ちょっと待ってくださいよ。所管する法律かどうか関係ないでしょう。最後に司法の判断のするところは法務省じゃないですか。何ですか、その答弁。(発言する者あり)あっ、裁判所じゃないですか、そこを管轄する法務省が答え……(発言する者あり)じゃ、ごめんなさい、法務省が答えられないってことないでしょう。
 じゃ、さっきのこと、さっきの答弁は全部、答えられないのを無理やり答えたということですか、法務省は。
#158
○政府参考人(吉武民樹君) 刑法の第三十八条に「故意」の規定がございまして、罪を犯す意思がない行為は罰しない、ただ、法律に特別の規定がある場合はこの限りでないということがございますんで、もうこの解釈の問題になってくるかと思います。(発言する者あり)
#159
○委員長(国井正幸君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#160
○委員長(国井正幸君) 速記を起こして。
#161
○森ゆうこ君 じゃ、最後に、確認のために坂口厚生労働大臣と森副大臣に質問させていただきますが、そもそも罰則規定があるこの法律、その罰則規定に係る、故意であろうと過失であろうと、そこに該当する森副大臣が、この罰則の強化を含んでいる本法案を提出する資格がないというふうに私は思いますが、それについての御見解をそれぞれお願いいたします。
#162
○国務大臣(坂口力君) 国民がひとしく参加をしていただかなければならない、そういう年金制度でございます。
 したがいまして、今まで多くの皆さん方に御参加をいただいてまいりましたが、しかし御参加をいただけない皆さん方も多かったわけでございます。ここでもう一度仕切りをさせていただいて、そして皆さん方に御参加をしていただけるように、これは法律を作り直そうということでございまして、過去にいろいろな問題がありましたからこそ、ここで改めて出発をさせていただきたいと考えているところでございます。
#163
○副大臣(森英介君) 私自身の年金についての未加入、未払の問題につきましては深く反省をしております。申し訳なく思っております。その反省を踏まえまして、年金制度の改革に全力を尽くすことを改めて申し上げたいと思います。
#164
○森ゆうこ君 終わります。
#165
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日です。
 同僚の森委員のあとの時間をいただきまして、ちょっと基礎的な質問から始めたいと思います。
 三月の二十六日に予算委員会で坂口大臣にもお尋ねした件ですけれども、いまだに私、今提出されている法律ですとんと落ちていないところがありまして、つまり、今提案されている新しい年金制度の基本的な性格、制度の性格は掛金建ての制度なのか給付建ての制度なのか。言葉を換えて言えば、拠出を確定する形の制度なのか、それとも給付を確定する形の制度なのか、どちらとお考えなのか、どうもまだはっきりしません。
 そこで、前回お尋ねした聞き方とはちょっと変えまして、現在の制度はどちらに属しますか、そして今度提案されている改正案はどういうふうに変わりますか、変わりませんかというふうにお聞き直しをしたいと思います。
#166
○国務大臣(坂口力君) 大変基本的なお話でございまして、前回も御質問をいただいた経緯があるというふうに思っております。今回提案をいたしましたこの法律は、双方決めてはおりますけれども、しかし給付の方をより重んじている、給付建てというふうに思っております。現在のこの法律もその面では給付というものを中心に考えているというふうに思っております。
#167
○朝日俊弘君 違う、答弁が違いますよ、大臣。三月二十六日、大臣は、どちらが中心かといえば拠出の方が中心になっているというふうにお答えになっているんですよ。
 だから、私は、そのお答えを聞いて、なるほど現在は給付建ての制度になっているけれども、今度はむしろ保険料の方を固定をして掛金建てに変えたんだというふうに理解をしたんですが、全然違いますよ、答えが。
#168
○国務大臣(坂口力君) 申し訳ありません。そのときにそういうお答えをしたんでしょうか。
 この掛金の方、いわゆる拠出の方を年々歳々変えていって上限を作っているということには間違いございません。そこはそのとおりでございますが。しかし、最終的にどれだけ給付を確保するかということになりますと、その確保は五〇・二%ということを決めたわけでございますので、前に、どちらかといえば負担の方だというふうにもしもお答えを申し上げましたら、それはお断りをして訂正させていただきます。
#169
○朝日俊弘君 これはちょっと重大ですよ。これ予算委員会で総理も御出席の下での締めくくり総括のときの質疑ですよ。そう簡単にあのときのお答えはということでは、私ちょっと納得できないです。もう一遍きちっとお答えいただきたい。
 私が指摘しているのは、保険料の方をここまでしか上げませんよというふうに固定をしますと、段階的にいって、一方で給付の方はここまで以下下がりませんよと、両方お約束するのは理論上できないということを言っているんです。どちらかを固定したら、それに合わせてこちらは変わらざるを得ないんです。こちらも固定し、つまり拠出も固定し給付も固定するということは理論上あり得ないんです。そこで私はこだわっているんです、この問題は。予算委員会における答弁をそう簡単に撤回してもらっては困りますね。
#170
○国務大臣(坂口力君) 確かに負担の方を一八・三%まで徐々に上げていく、これも確かでございます。一方におきまして、給付の方を最低五〇・二%を確保しますということを決めているところもそのとおりでございます。両方できないではないかという御主張でございますけれども、その両方のバランスを取れるようにしていくというのが今回の案でございます。したがいまして、その両方を我々はこれ掲げているわけでございますから、そういう意味では両方の主張をいたしているということは紛れもない事実でございます。
 しかし、前回、もし五〇・二%のことを申し上げなかったとすれば、それは一方におきまして給付の方を五〇・二%にいたしておりますから、こちらの方につきましても我々はお約束を申し上げているということを今申し上げたわけでございます。
#171
○朝日俊弘君 ちょっとこれは議事録をきちっと調べて、どういうふうにお答えいただくか、答弁を改めていただきたいと思うんですよ。私が手元に持っている議事録では、ここまでは許容範囲という、五〇・二というその額を決定いたしましたと。その後に、続いて、だからどちらが中心かといえば、それは拠出の方が中心になっているというふうにお答えを申し上げるのが正しいと思います、こう答えられているんですよ。
 今の御答弁とこの答弁と、どう理解したらいいんですか。理解不能です。ちょっと、予算委員会の議事録をきちっと調べた上で正確にお答えください。
#172
○国務大臣(坂口力君) もう一度、それじゃ、よく精査いたしましてお答えをさせていただきたいというふうに思っておりますが、今申し上げましたことは、一方において一八・三%まで徐々にこれは上げさせていただくことは間違いのない事実、それはもう一方で決めさせていただいております。その決めさせていただいておるのはなぜかといえば、それは一方において五〇・二%を確保するというために、それは一八・三%まで上げていくことが大事でございますということをそこで申し上げているわけでございます。
#173
○朝日俊弘君 ちょっと、調べて答えを下さい。それでないとその後の質問ができません。
#174
○国務大臣(坂口力君) もう一度、前回の私の申し上げましたこと、よく精査いたしまして、今回の……(発言する者あり)
#175
○委員長(国井正幸君) じゃ、速記止めて。
   〔速記中止〕
#176
○委員長(国井正幸君) じゃ、速記を起こして。
 よろしいですか。坂口厚生労働大臣。
#177
○国務大臣(坂口力君) どうも申し訳ありません。
 前回御答弁をさせていただいておりますのは、一八・三〇まで拠出の方を徐々に上げさせていただきますと、手順といたしましては拠出が中心でございます、そしてその結果として五〇・二%を確保できますと、こういうことを申し上げたわけでございます。
 先生が今回、給付建てか拠出建てかという、どちらか割り振れというふうなお話なものでございますから、結果として言えば、それは五〇・二%の給付を確保するということでございますということを申し上げたわけでございます。しかし、前回申し上げましたように、五〇・二%を確保いたしますためには一八・三〇まで上げていかなければそれは確保できないということでございますから、手順からいえば一八・三〇ということを上げるということが前提でございます。しかし、その結果としてはそれで五〇・二%を得るということでございますということを申し上げているわけでございまして、そのようにひとつ御理解をいただければ有り難いと思います。
#178
○朝日俊弘君 理解できない。
 そうしたら、今の制度はどうなっているんですか、今の制度、現行の制度。現行の制度、私の理解は、現行の制度は一定程度の給付水準を保つということがあって、それに必要な保険料を算定してこれだけの御負担をいただきますという形でやってきたはずなんですよ。だから、今の制度は明らかに給付建てなんですよ。
 それで、今度も給付建てなんですか。とすれば、保険料固定は厳密には約束したことにはならないと私は思うんですよ。そこが理解できないんですよ。給付を約束するんだったらそれに必要な保険料を上げてこざるを得ないじゃないですか。どこから財源持ってくるんですか。もちろん税とか幾つかあるかもしれないけれども、基本的には保険料しかないでしょう。一定の五〇・二%という給付水準を保とうとすれば、それに必要な保険料をも上げていくしかないじゃないですか。だから、保険料をここまでしか上げませんという約束はできないはずじゃないですか。
#179
○国務大臣(坂口力君) 現在の制度は確かに給付を決めておりまして、したがいまして、このままで五九・何%というこのパーセントを維持をしていこうということになりますと保険料は二三%とか二六%に上がっていきますと、こういうことになるわけであります。そこで、そういうふうに上がっていきましてはこれはお若い皆さん方が一体どこまで負担をすればいいのかということをお思いになる、そうしたことがあって、拠出の方にキャップをかぶせよう、いわゆる一八・三〇というのを上限にしようということにしたわけでございます。
 確かに先生おっしゃるように、一八・三〇という上限を設けて、一方において五〇・二%という負担を実現をする。それは、これはある条件の中で私は可能だというふうに思うんですけれども、しかし、先生の御指摘は、それはいろいろの条件があるだろう、条件によってはそれが困難になるではないかという御指摘だというふうに思いますが、そのことにつきましては、それはなるほど、条件によりましてはその両方を可能にすることが困難になるケースというのは私も存在するというふうに思います。そのときにどうするかという問題はあり得るというふうに思います。
#180
○朝日俊弘君 だから、そのことはちゃんと附則に書いてあるんですよ。だから、一番、給付水準の下限を決めましょうと、その二に、もしかしてそれを下回るようなことが予想される場合には調整期間を含めてちょっと検討し直しましょうというのが書いてあるわけですよ。
 だから、結局は、そうすると、また改めて戻ってきて保険料の水準を考え直さなきゃいけないということもあり得ると私は思うんですよ。だから、一八・三〇で止まるというか、固定するというふうに言い切るのは間違いだと思うんですよ。当面の目標としてここをやりますと、しかし給付水準が下がるようなら更に上げますというふうに言うのが正直なんだ。じゃない。そう思うでしょう。
#181
○国務大臣(坂口力君) そこは、万が一そういうふうになりましたときの選択肢というのを考えておかなければならないというふうに思います。
 その中の一つといたしましては、それが微調整で済むような状況であれば、それは一時的な微調整で済ますことはでき得るというふうに思いますけれども、そうでないケースがもしも発生いたしましたときに、それはそれで検討をし直すということをしなければならないだろうというふうに思います。
 そのときに、それは、一つは積立金をどう使用するかということもあると思いますし、あるいは税をどう導入するかということもあり得ると思います。そうした選択肢の中でそれは考えなければならないということだと思います。
#182
○朝日俊弘君 だから、選択肢は三つなんですよね。下回るようなことが予想されるような事態になった場合には、保険料を一八・三を超えて上げざるを得ないと判断するか、国から更にお金を投入するか、あるいは積立金を使うか、もう打ち出の小づちはないわけですから、この三つしかないわけですよ。三つをおっしゃればいいんだけれども、一番目を外すんですよ、今、説明では。
#183
○国務大臣(坂口力君) したがって、税やあるいは積立金も含めてということを言っているわけでありまして、当然のことながら、それは保険料のこともそれはあるだろう。それは、もしそういう環境に立ち至ったということになりましたときには、その中でどれを選択をするかということになるだろうと思います。
#184
○朝日俊弘君 ということで、だから私は、今回提案されている法律案の中で、あたかも保険料は保険料で一八・三〇で上限固定しますよ、給付水準は給付水準で、代替率で五〇・二%を保証しますよという、両方のお約束をあたかもしているかのように出されていますけれども、しかし、決してそれは確たる約束ではないと。両方が動き得る話だし、こっちが約束どおりいかなければまたこちらに戻ってくるという話だというふうに、非常に不安定なものだということをきちっと指摘しておきたいと思います。
 その上で、その上でちょっと念のため確認しておきますが、予算委員会の答弁は、これはどうされます。訂正されます。ちょっとそこだけ確認しておいてください。
#185
○国務大臣(坂口力君) 先ほども申しましたように、そのときに申し上げましたのは、負担の方をいわゆる一八・三%まで上げるということが一つの前提と申しますか、そこを先行して行うことによって、そして結果として五〇・二%をそこで確保をするようにいたしますと、こういうことを予算委員会のところでは私は申し上げていると思うんです、今、先ほど見まして。そういう趣旨に変わりはございません。
 しかし、結果としてどちらを重視するかということといわゆるどの手順でいくかということとは若干違いますので、そこを申し上げたわけでございますので、そのときの、先ほどのいわゆる予算委員会における発言を訂正することはいたしません。
#186
○朝日俊弘君 おかしいな。そうすると、ここの部分は生きてくるわけですよ。どちらが中心かといえば、それは拠出の方が中心になっているというふうにお答え申し上げると。これでいいんですね。
#187
○国務大臣(坂口力君) 決定をいたしていきますときに、拠出の方をやはり上げていくということなしに五〇・二%を到達することはできないわけでございますので、そういうことでございます。
#188
○朝日俊弘君 どっちが先かじゃないんです。中心と答えているんです。
 だから、このとおりに理解すると、拠出の方を中心に考えるから五〇・二%の方を変えざるを得ないというふうに読めるんです、中心と答えているから。軸足をそちらに置いているというお答えですよ、これは。それでいいんですか、本当に。
#189
○国務大臣(坂口力君) そこで中心というふうにお答えをいたしておりますのは、その拠出の方を一八・三〇に上げていくということがなければ結果として五〇・二%は得られないわけでございますから、その手順として、そこに中心ということを申し上げたんだというふうに思います、その中心という意味は。
 したがいまして、もう引き上げていくということを中心にしてこの理屈は決めましたと、結果として五〇・二%を得るということにしましたと、こういうことを私はそこで申し上げているんだというふうに思います。したがいまして、その考え方に変わりはございません。
#190
○朝日俊弘君 ちょっとこの問題は、今の答弁では納得できません。予算委員会の答弁をそのまま読めば、私はどう考えても拠出中心に考えますという答えに読める。ですから、ここは宿題にしておきましょう。ちょっと検討してみてください。
 というのは、この問題が物すごく大事なんですよ。公的年金制度のある種の原理の一つが、拠出を中心に考えるか給付を中心に考えるか。もちろん、その中でまた行ったり来たりがあり得るけれども、まずは拠出を重視して考えましょうという考え方に立って制度設計するのか、それとも掛金建てで掛金の保険料の方を中心に制度設計するのかというのは、基本的な制度の枠組みの違いとしてあるわけで、ここははっきりさせてもらわないと、今出されている政府案の基本的な性質、性格が何なのかということがあいまいになってしまいますから、ちょっとあいまいな答弁では済まない問題だということで、ここはあえて宿題にしていますから、検討した上で改めてしかるべきときにお答えを下さい。
 もう一つ、年金制度の基本的な性格としてもう一つ考えておかなければいけないことは、積立方式か賦課方式か。これは今日午前中にも幾つか関連の質問がございましたからくどくどと申し上げるつもりはありませんが、念のため確認をしておきます。現行制度はどちらで、現在提案されている改正案はどちらですか。
#191
○国務大臣(坂口力君) 現行制度は、これは完全に賦課方式になっているわけではないというふうに思います。積立方式から賦課方式の方に移行してまいりまして、完全に賦課方式になり切ったというわけではないというふうに思いますが、現在の時点でどちらかといえば、これは賦課方式の方に近いというふうに思っております。
 今回の制度は、これ積立金を使わせていただきたいというふうに申し上げているわけでありますから、積立金を使わせていただきます以上、これは賦課方式になっていくというふうに私は思っております。
#192
○朝日俊弘君 現行制度も、現在提案されている制度も、基本的には賦課方式だというふうに理解をしていいということだと思います。ただ、必ずしも現行制度のスタートは最初から賦課方式を想定していたのではなくて、積立方式を想定した部分がありますけれども、徐々に、良く言えば修正を加えてきて賦課方式に変わってきていると、こういうことだと思います。その場合に、より純粋な賦課方式の場合は積立金は原則として要らないということだと思うんですよ、より純粋な賦課方式の場合は。せいぜい必要なのは支払準備資金の程度の積立金があればよろしいと、こういうふうに私は理解するんですが。
 そこで、お尋ねするのは、現在提案されている制度でも積立金は必要なのかどうか、そのレベルはどの程度のものを考えているのか、そしてその積立金はどうやって運用していこうとしているのか、この点について再確認の意味も含めてお尋ねします。
#193
○国務大臣(坂口力君) 先ほど申しましたように、一応賦課方式の方向に目指しましてこれから運用をしていくということでございますが、現在百四十兆円台の積立金がございまして、今後若干増えるケースもあるだろうというふうに思いますけれども、これを今後、二一〇〇年というふうに言っておりますから、これから九十五年ぐらいの間ということになるだろうというふうに思いますが、これを使わせていただいて、そして一年分ぐらい、現在一年といいますと四十兆円超えておるわけでございますが、恐らくそのころの人口かなり減っておりますから、二十数兆円規模の積立金が残れば恐らく一年分賄い得る額ではないかというふうに思います。
   〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕
 これは現在の価額でございまして、物価が変わればまたその額は変わってきますので、現在の価額で申し上げますと、そのぐらいが残れば、それでいざというときのための運用ができるのではないかというふうに理解をいたしております。
 その運用方法等につきましては、これからより具体的に、独立行政法人を作りまして、その中で詰めていくわけでございますから、そうした中で誤りなきを期していくということだというふうに思っております。
#194
○朝日俊弘君 そうすると、今の額そのものを維持する、あるいはもっと多くするということは必要はなかろうが、一定程度の準備資金的な意味も含めて積立金は必要であろうと。そうすると、現在の額のことも考えながら、今後どうやって積立金を運用していくのかというのは大変、大きな資金を持った形で動いていくわけですから、大変責任は重いというふうに思います。
 そこで、今日は主たる課題ではないので一点だけ伺っておきたいと思うんですが、先ほど来質疑がありましたように、今回この年金積立金の運用については独立行政法人を作って、そこに業務をゆだねようと、こういうことであります。その場合の責任はどうなるのかというような質問も先ほどございました。
 私は、お尋ねしたいのは、独立行政法人に移行するに当たって一定の組織の再整理なども必要なんだと思いますが、これだけ相当多くの資金を運用していくには、職場で働く雇用の確保の問題のみならず、相当力を持った人たちをきちっと確保して、組織としてというか、を十分力を発揮できるような体制を作っていかないといけないんじゃないか。
 仄聞するに、行政改革の一環として、できるだけ小さくスリムにしようという動きもあるようですけれども、ここは、それはそれで行って、積立金の運用というところに仕事を純化しながら、しかしそこの部分は大事にやると。したがって、専門職員の配置、育成も含めてきちっと体制を作るという必要があると思うんですが、この点についてはどうお考えですか。
#195
○国務大臣(坂口力君) 現在もそんなに多くの皆さん方がここにおみえになるわけではございません。これから先、キャップになる人あるいは中心になる人をどうしていくかという問題はございまして、これは民間の皆さん方の方でこれは是非選択をさせていただきたいというふうに思っております。
 しかし、その中で働いていただく皆さん方につきましては、これは専門的な知識を持った人でなければなりませんし、現在もそうした知識を持ってここで活動をしていただいている皆さん方でありますから、その皆さん方につきましては積極的にこれからもその力を発揮していただくようにしていきたいというふうに思っている次第でございます。
#196
○朝日俊弘君 次に、若干話題を変えまして、先ほど同僚の森委員からも質問がございました項目ですが、この間、保険料水準を段階的に上げていって、一八・三〇で固定をする、厚生年金受給のモデル世帯については五〇%を下回らないという議論がるるありました。その五〇%も、場合によっては五〇という数字を下回る場合もある、あるいは年次的に行くといつまでも五〇%という数字が維持できるものではないというお話がるるありましたが、今日私がお尋ねしたいのは、厚生年金受給のモデル世帯ではなくて、国民年金だけの場合を考えたらどうなりますかということをお尋ねしたいんです。
 つまり、先ほどお示しした附則でも、厚生年金受給のモデル世帯について言うとこうなりますよということは書いてあるけれども、じゃ国民年金だけを考えた場合はどうなるのか。現在、約六万六千円程度の受給額だと思いますが、これが今後どうなっていくのか。先ほど森委員は一五%カットするというふうにおっしゃっていましたが、これ一五%カットするってどこかに書いてありますか。この国民年金の給付水準が今後どういうふうに行くであろうかという予測あるいは水準の下限、これはどこかに書いてありますか。
#197
○政府参考人(吉武民樹君) 法律の附則に書いてございますのは厚生年金のモデル年金でございます。ただ、調整の方法は一緒でございます。報酬比例年金も基礎年金も一緒でございますので、基礎年金の御夫婦二人分、現状で申し上げますと、現在物価スライドの特例が行われておりまして、報酬比例年金は十・一万円、それから基礎年金の、満額の基礎年金お二人分で十三万二千円でございます。これが二十三万三千円という水準でございますが、物価スライド特例なしの本来水準で申し上げますと二十三万一千円でございます。
 ここにつきまして、新規裁定の年金につきまして、二〇二五年の状態、所得代替率五〇・二%でございます。二〇二三年度で五〇・二%になりますが、その時点の名目額で申し上げますと、報酬比例年金が十二万一千円、基礎年金が十五万八千円でございまして、物価で割り戻しました現在価値の購買力水準といいますか、これで申し上げますと、報酬比例年金は十万一千円、それから基礎年金は十三万一千円という形でございます。
 したがいまして、調整過程で申し上げますと、現在の基礎年金が有しております物価における購買力水準をほぼ維持をする形でいくという形でございます。報酬比例年金もほぼ同様でございます。
#198
○朝日俊弘君 ちょっと、もう一遍説明してくれる。私、厚生年金の中の基礎年金部分についてお尋ねしたんじゃないんですよ。国民の多くは国民年金だけなんですよ。だから、何かこれから水準がどうなるかという議論は、厚生年金の部分も必要だけれども、一方で国民年金の水準はどうなるのかという議論も必要でしょう。それはどこかに書いてありますか。先ほどのあれでは一五%カットされると言われていますけれども、そこはどういうふうに説明しますかということを聞いているんです。国民年金だけの話でしてください。
#199
○政府参考人(吉武民樹君) 今申しました法律の附則の中で、確保すべき水準は厚生年金のモデル年金で書いてございます。その厚生年金のモデル年金の確保すべき水準で申し上げますと、いわゆる所得代替率で五〇%という形でございます。
 それで、先ほど申し上げました調整が徐々に進みまして、標準的なケースの二〇二三年度で申し上げますと、この時点の現役男子の平均手取り年収を月額換算いたしましたものは五十五万八千円でございまして、これに対しまして、今申し上げました基礎年金の十五万八千円、それから報酬比例年金の十二万一千円で、その五〇・二%という水準になってくるという形でございます。したがいまして、その報酬比例年金と基礎年金のウエートといいますか、ウエートはほぼ変わらない形で変化をしていくという形でございます。
   〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕
 一五%というふうによくお話がございますのは、現在の価値で換算をしまして一五%ということでございますが、一五%というふうにお話がございますのは、所得代替率五九・三%から五〇・二%という状態で一五%という形でございまして、現実には、今申し上げましたように、賃金も徐々に増えながら、その中で基礎年金、それからモデル年金で申しますと基礎年金お二人分と報酬比例年金のウエートは変わらない形で調整が行われるという形でございます。
#200
○朝日俊弘君 時間がなくなってきたので、ちょっと、きちっと分かりやすい資料を作ってもらえませんか。
 恐らく、言いたいことは、この附則に書いてある基礎年金部分のところをスライドして考えてもらったら分かるはずですと言いたいんだろうけど、それじゃ分からないから、国民年金だけもらっている人の場合は給付水準はどういうふうに動いていくのかというのをちょっと資料を作ってください。
 なぜならば、次の質問に移ります。これで最後になると思いますが、皆さんのお手元に資料を配付させていただいております。
 この資料は、厚生労働省年金局がお作りになったパンフレットの十一ページだったかな、からコピーしたものです。ここでは非常に丁寧に厚生年金の保険料率について、それから国民年金の保険料についてと図示して書いてあるわけですから、保険料の方、つまり負担の方はちゃんと両方区分けしてきちっと説明してあるのに、給付水準のところについては厚生年金受給のモデル世帯だけしか説明していないというのはおかしいと私は思う。国民年金の場合の給付水準についてはどういうふうに推移するのか、見込んでいるのかということをはっきり書いてほしい。そういう資料を作ってほしいと思うんですが。
 そこで、この図を見ていただいて、改めてお尋ねします。既にこの委員会でも若干議論になっていることなんですが、念のため、国民の皆さんにも知っていただかなきゃいけないと思って、あえてこのペーパー、資料を提出いたしました。
 この資料を見ますと、特に国民年金の保険料の図のところを見てください、一番下。これ見ますと、現在一万三千三百円です。これが制度改正をちゃんとしないと行く行くは二万九千五百円になってしまいます。いろいろ現在提案している制度改正をしていけば、改正案でいくと一万六千九百円になりますと。つまり、これだけ少ない額で抑えられます、しかも御丁寧に最終保険料と書いてある。最終保険料は一万六千九百円かと思っていたら、いや、この数字は物価とか賃金によって変わってきますよというお話なんですよね。これちょっと説明してください。
#201
○政府参考人(吉武民樹君) 先ほど申し上げました二〇二三年の基礎年金の額等については、また資料で用意をさせていただきたいというふうに思っておりますが、基本的に、その年金の名目額といいますか、これについては、現行で申し上げますと、受給開始までは賃金に応じて再評価をしていくというのが基本でございます。それから、受給をされますと、平成十一年改正によりまして物価により調整をさせていただくという形になっております。
 それで、二〇二三年度を標準型で想定をいたしておりますが、それまで調整を、これからの年金を受給していただく世代、それから既に年金を受給しておられる世代、どちらも現役の世代のいわゆる支える力といいますか、これを念頭に置きながら調整をさせていただきまして、調整が終了いたしますと、新規裁定年金につきましては賃金、それから既裁定の方については物価でスライドをしていくというあれでございます。
 今回の法案の中に織り込んでございますが、これまで基礎年金の水準につきましては、例えば賃金の伸びでございますとか、あるいは消費者物価の伸びあるいは消費支出の伸び等を総合的に勘案をいたしまして、五年に一回基礎年金の水準を考えていくという方式でやっておりますが、今回の改正案の中では、今申し上げました二〇二三年以降、基礎年金の水準は賃金の上昇に応じて改定をするという形になってございまして、そういう形で基本的には給付が賃金に応じて伸びていくという形でございますので、保険料につきましても、法律は十六年度価格で額を書かせていただきまして、その後の賃金の上昇率に応じて保険料を負担していただくという形に法律上規定をいたしております。
#202
○朝日俊弘君 いや、今分かりにくい説明をくどくどしろと言ったつもりはないんです。この図、この図の書き方見て、ああ、最終保険料は一万六千九百円だなと普通思うでしょうということを言っている。ここはもっと、しかも、その上は厚生年金の保険料率で、ずっと行くと一八・三〇%、最終保険料だ。だから、これは料だから、最終でこれより変わることがないということをずっとおっしゃっているわけだ。その下は額だから、率じゃないから、額だからこういうふうに書かざるを得なかったのかもしれないけれども、最終保険料一万六千九百円と書いてあったら、これ以上、上には行かないんだなと思っちゃうじゃない。
 いや、皆さんが括弧の中にいずれも平成十六年度価格だと書いてあるじゃないかと言いたいのかもしれないが、それじゃほとんどだましに近いわね。これはちょっと作り替えない、このページ。
#203
○政府参考人(吉武民樹君) 実際の、例えば十年先、それから二十年先のその名目額につきましては、現実に賃金がどれだけ伸びるかによって確定をいたします。そういう意味で、私どもは、ある意味で示すことができますのは、例えば標準型で行きましたときにはこういう場合ということは示すことができます。ですから、そういう限定条件付になるだろうというふうに思います。
 ここで、そういう意味で、平成十六年度価格で表示をさせていただいておりますのは、現在の賃金の価値、現在の賃金の価値でごらんをいただいたときにどの程度の負担感があるだろうということで示させていただいているという形でございます。
#204
○朝日俊弘君 もう時間ないから、だから、これでは誤解を生ずるし、あえて言えばうまくごまかそうとしているとしか思えないので、きちっと正確に書き直しませんかということを聞いているの。
#205
○国務大臣(坂口力君) この最終保険料一万六千九百円、括弧してございますが、改正案としてありますが、そこへコンマ打って、その後に十六年価格と、こういうふうに入れるようにさせていただければ御理解をいただけるんではないかというふうに思いますが、それで御理解いただけませんか。
#206
○朝日俊弘君 もう終わりますが、それではちょっと理解不十分。つまり、括弧平成十六年度価格ということじゃなくて、例えばここの部分は物価なり賃金なりの上昇によって変動するとかというふうにはっきり書くべきだ。それで、十六年価格で計算すると一万六千九百円ですというふうに表現すべきだ。そういう点だけを申し上げて、終わります。
#207
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 私も二十年近く国会におりますけれども、厚生労働委員会で質問するのは初めてでございまして、初デビューということになるわけでございます。
 さて、昨日の夜も民放でこの未納とか未加入の問題がいろいろと一時間にわたって、みのもんたさんの司会で進められておりました。そこで、何かこの未納と未加入について多くの方々ははっきりとした認識を持っていないんじゃないかということで、テロップで未加入とはこういうことだ、未納とはこういうことだとこう出ましたが、これで正しいんでしょうかどうか、局長聞いてください。
 未加入というのは届出を怠り、怠ったので十万以下の罰金というのが未加入ですと。未納というのは罰則はありません。ただし、強制徴収がありますと。こういうふうにテロップで出ておりましたけれども、これで正しいんでしょうか。
#208
○政府参考人(吉武民樹君) 国民年金で申し上げますと、基本的には法律の構成といたしましては、言わば法律に書いてあります要件に該当いたしますと被保険者になられるということでございます。
 ただ、現実にそのことを確認するために届出をしていただきまして、届出をしていただくことを中心にして被保険者を確定をするということでございますが、ただ、現在で申し上げますと、基礎年金番号が付番することができるようになりましたので、二十歳の到達の方につきましては届出がない場合でも通知を申し上げていると。それで年金手帳を送付させていただいているという形でございます。
 そういう状態で、ある意味で少し可変的な領域でございますが、被保険者という形で把握をされていない方が未加入の状態だろうというふうに考えております。
 それから、被保険者という形で認識をされまして、そうしますと保険料を納付していただくということになりますので、保険料を納付していただくことにつきまして、未納という状態は非常に幅広い状態でございます。その月の保険料を次の月までに払っていただくということでございますので、その次の月に払っていただくことが往々にして一か月遅れるということはあり得るわけでございますが、その状態もある意味で未納といえば未納でございます。
 それから、さらにそれが時間が積み重なりますと、年金法上、消滅時効というのは二年という形になっておりますので、消滅時効が二年という状態になってまいりますと、実は会計法の原則によりまして消滅時効の援用あるいは放棄を要することができないというのは会計法上の特則でございます。
 したがいまして、消滅時効は二年でありますけれども、私は本来、保険料を払うことにつきまして、社会保険事務所から徴収をすることはできないけれども、私は進んで保険料を払いたいというときにも、この二年の基にあります会計法の規則、会計法の原則が適用されまして払うことができないという形になっています。その状態になりますと、言わば未納が確定をするという状態になってくると思います。
 それから、今先生の御質問がございました強制徴収の手続に入りますと、そのことによりまして時効が中断をされますので、未納の状態が二年以上になる場合があるということでございます。
#209
○日笠勝之君 未加入、未納というのはそう簡単じゃないということを聞きたかったわけでございまして、ですから、私は未加入なのか未納なのかということはなかなか、もし納入の空白期間があれば、これは自分できちっと今言ったことを踏まえながら確認しなきゃいけないということだと思うんですね。社会保険庁側からいえばどちらも未納は未納なんだと、要はもらっていないんだと、こういうことなんでしょうけれども。
 そこで、未納ということについて、先日、未納率の発表がございました。この未納の問題を若干ちょっとやりたいと思いますが、三七・二%が未納であったと、こういうデータ的には発表されました。
 そこで、昨年の十一月から十二月にかけまして最終催告状、約一万通ぐらい出されましたね。その結果はどういうふうになったんでしょうか。それから、中でも悪質なものについては今年一月に督促状を出したと、五百人だそうですが。一月ですから、もうかれこれ四、五か月たつわけですが、この五百人の督促状を出した方々はその後どういう対応になっておるか。以上、二点についてお伺いしたいと思います。
#210
○政府参考人(薄井康紀君) 今、御質問でございました国民年金の保険料納付率、これは十五年度はまだ結果が出ておりませんで、十四年度の現年度の保険料の納付率が六二・八%、翻っていきますと反対で三七・二%の方が納めておられないと、こういうのが十四年度の現年度の保険料納付率の数字でございます。
 それから、お尋ねのございました強制徴収の関連でございますけれども、国民年金につきましては、過去、強制徴収というのはほとんどやってこなかったわけでございますが、十五年度におきましては、度重なる納付督励によりましてもそれに応じていただけない、しかも一方で所得なり資産がある程度あると考えられると、こういう方を対象にいたしまして全国で約一万名、一万件でございますけれども、一万件の方に最終催告状、差押えもありますよと、こういう形での最終催告状を送らせていただきました。その上で改めてまた納付督励をいたしまして、それにも応じていただけない約五百件の方に督促状ということでやらせていただいたわけでございます。
 その結果、最終的に差押えに至っているケースもございますけれども、まだそこまで至っていなくて、引き続き納付督励とかあるいは納付のお約束をいただいているとか、いろんな方がいらっしゃるわけでございますので、まだ最終的な強制徴収の状況の集約は今できておりません。
 いずれにいたしましても、しかるべきタイミングでそれは取りまとめたいと考えております。
#211
○日笠勝之君 最終催告状約一万通は、これはもう半年以上たつわけですから、その後の対応、またその督促状五百人に出したものに対してどういう対応がなされておったのか、また近いうちにひとつ、これは大きな今後の参考資料になると思いますので、発表していただきたいと思います。
 そこで、いずれにいたしましても、この未納率を何とか改善しなきゃいけないということは、もう各方面からいろんな御提案が出ておりますね、既に。その中で一つ、二つ、こういう提案に対しては厚生労働省、社会保険庁はどう考えておられるかお聞きしたいと思いますが、昨年の十一月十八日に第二十三回の経済財政諮問会議における会議録を見ますと、奥田議員、トヨタ自動車の会長ですね、奥田議員は、未納・未加入者問題は、厚労省の数値目標を達成するには、これ八〇%というやつですね、納付率八〇%、達成するには、パスポートあるいは自動車免許証等の交付要件にするなど強力な対策を講じなければ、とてもこの未納・未加入者問題は解決できないと考えていると、この財政経済諮問会議でこのようにおっしゃっているようでございますが、例えばこのようなお考えに対してはどういうふうにお考えでしょうか。
#212
○政府参考人(薄井康紀君) 今御指摘ございましたように、未加入・未納対策の一環としてパスポートあるいは運転免許証の発行との関連を付けていくというふうなアイデア、これは経済財政諮問会議の委員からも御提案がございますし、またそのほかのところでも御提案があるところでございます。
 国民年金の保険料の収納対策ということでそういうふうな御提案をいただいていること自体は有り難い御提案であると考えているところでございますけれども、例えばパスポートであれば、これは海外渡航に必須のものということになりますし、運転免許証は自動車の運転に必須ということでございます。そういうふうなことで、言わば、やはりこういったものに制限を掛けるということにつきましてはそれ相当の合理的な理由というのが求められるんではないかと考えているところでございまして、非常に有り難い御提案ではあるんですけれども、なかなかそう簡単な御議論ではないのではないかと思っておるところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、保険料収納対策、これ非常に重要なテーマでございますので、私どもとして催告状の送付なり、あるいは電話、戸別訪問による納付督励、そのほか様々な手を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。
#213
○日笠勝之君 そうすれば、皆さんのところでできそうなことは、例えば各種の国家試験また資格試験、例えば厚労省の所管だけでも四十九ございますね。それから、国家公務員なり地方公務員のいわゆる試験、こういうものに基礎番号を、国民年金の基礎番号を書いていただくと。書いていただいたからそれを、納付状況をチェックするんじゃなくて、書いていただくと。入っていますか、義務ですよという一つの、一種の抑止力ですね、そういうふうなことは、これはできるんでしょうか。自分のところの四十九ある国家試験なり資格試験もあるわけですから、政府全体じゃなくて、自分のところだけでもできますか。例えば、社会保険庁の試験もあるんでしょう、社会保険庁のいわゆる職員の採用試験。それはどうなっているんですか。まさか、チェックはしているんですか、していないんですか。以上。
#214
○政府参考人(薄井康紀君) 職業選択の自由との関連も出てくる問題であろうかと思っております。
 私ども社会保険庁でも、本庁あるいは地方の事務局での職員の採用というのをやるわけでございますが、そういう際には実際に面接をするわけでございます。そういう過程で、あなた、国民年金どういうことですかというふうなことのお尋ねはすることがあろうかと思っております。
#215
○日笠勝之君 国民の義務ということであれば、もちろん年齢制限とかいろいろありますよ、免除だとかありますけれども、国民の義務ということであればできない相談ではないなと。例えば、建設、土木でも、入札に入ろうと思えば、納税証明書とそれから雇用保険に入っておるという証明書を持ってこないと入札させませんよと、こういう事例というのはあるわけですから、この奥田議員がおっしゃったこと、それから先ほど申し上げた国家試験や公務員試験などにこれは記入だけでもしてもらって、注意喚起できないのかということをひとつ前向きに検討はお願いしておきたいと思います。
 それから、今後の対応でございますが、罰金の強化は今回改正になりますが、そのほか、先ほどどなたか委員の方もおっしゃっておられましたけれども、やはり電子政府、電子自治体の時代であり、ITの時代であって、情報提供サービスを社会保険庁は積極的にやるべきではなかろうかと。例えば、住基ネットを活用して年金の加入、脱退、変更、またインターネット経由で、もちろんでございますが、加入者に加入状況がメールで回答できるとか、こういうことを是非、総務省とよく相談の上、早急に構築をしていただいたらいかがかなと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
#216
○政府参考人(薄井康紀君) 今御指摘ございましたように、多様化する国民のニーズに対応するということで考えれば、私ども社会保険庁におきましても、例えばインターネットを利用して年金個人情報を提供していく、そういうふうなサービスの充実ということは大切であると考えております。
 様々な取組があろうかと思いますけれども、例えば今年の一月から、厚生労働省のホームページ、これは社会保険庁コーナーというところがあるわけでございますが、五十五歳以上の方につきましては基礎年金番号等を入力してもらうことによりまして年金見込額の情報を文書により回答するサービス、これ今始めさせていただいたところでございます。
 そしてまた、これからは住基ネットワークを基盤とする個人認証サービス、こういうふうなことで、電子証明を活用いたしまして本人確認をして、厚生労働省の電子政府のシステムの中で年金見込額とか加入期間等の情報を、まずは五十五歳以上の方ということになろうかと思いますが、平成十六年度中にも実施をしたいということで検討を進めてまいりたいと考えております。
 今回の改正案の中にもポイント制というふうなこともございますので、こういったものをどういうふうな形で実際にやっていくのかというのもこれから詰めてまいりたいと考えております。
#217
○日笠勝之君 大いに積極的に、セキュリティー対策をきちっとした上で進めていただければと思います。
 その際、厚生年金加入者、国民年金加入者、元公務員だった方も当然いらっしゃるわけでしょう。ところが、これ、共済年金の方へはこれアクセスできないんですわね、共済年金。加入状況も両方にばらばらに行かなきゃいけない、それから裁定もばらばらに行かなきゃいけない、こういう二重手間ということがあるんですが、将来はどうなんでしょうか。この共済年金との共通のアクセスができるというようなことの構築は考えられるんでしょうか、どうでしょうか。
#218
○政府参考人(薄井康紀君) 年金実務ということで申し上げますと、基礎年金番号ができまして、私どもも共済組合の組合員で基礎年金番号をもらっております。共済年金の加入記録自体は私どもの方に、若干タイムラグはございますけれども、共済組合サイドからいただくようになっております。これをこれからどういう形でもう少し充実していけるかというのは関係省庁とも相談をしていきたいと考えております。
#219
○日笠勝之君 どうぞ、これも利便性向上のために是非前向きにやっていただきたいと思います。
 元々、社会保険庁にあるシステムはもうレガシーシステムで、非常に旧式なものでございまして、これは早くスピード性のあるシステムに構築をし直すということになっております、再構築するということになっておりますけれども、ひとつその点も、先ほどから申し上げていることも踏まえながら、構築をお願いしたいと思います。
 それから、何といってもやはり徴収する手間とコスト、これが非常に膨大なものがあるわけでありまして、これは前々から坂口厚生労働大臣にはいろんな方々が質問されていると思いますが、徴税一元化とは言いませんが、その前にいろいろステップを踏みながらいくと。厚労省の中の徴収部門がたくさんありますよね、雇用保険であるとか介護保険であるとか健康保険、それからこういう年金。これをとにかく一元化したらどうだろうかと、社会保険庁と労働保険ですね。その次はやはり税と一元化したらどうだろうかと。そういうふうにステップを上げていけばいいんですが、まず、せっかく中央省庁再編で厚生省と労働省が一緒になったのに、徴収はばらばら、給付もばらばら。まあ給付の方はばらばらになるんでしょうが、徴収は一元化できる要素もあるんじゃないかなと、こう思います。
 いろんな人に聞くと、それはできないんだ、徴収権がない、そこから先の予算の執行ができないから徴収はばらばらにしているんだと言う人もいらっしゃいますけれども、せめて、厚労省になったわけですから、その一つの大きな果実として、厚労省なりにいろんな料金の徴収は一元化を目指して、いつの時点でどうします、何年後にはこうしますと、せめてそういうタイムテーブルはもうそろそろ必要じゃなかろうかなと、こう思いますが、大臣はいかがでしょうか。
#220
○国務大臣(坂口力君) 社会保障にかかわります年金、医療、それから雇用保険等の一元化につきましては前々からやろうというので言っているところでございまして、それでかなり進めてきていることは事実でございます。二、三日前にもどこまで進んだかということを言ったところでございますが、更にもう一歩進めて、そして本格的な一元化にしていかないと意味がない。現在、ようやく雇用保険とそしてこの年金等の一元化進めておりまして、そういたしますと、今まで年金などでは漏れておりましたところも雇用保険の方で見れば見れるということにもなるわけでありまして、そういう意味でも一元化というのは非常に役立つというふうに思っております。
 現在、どこまで進んでいるかということにつきまして、部長の方からもうちょっと答弁させます。
#221
○政府参考人(薄井康紀君) 社会保険と労働保険の徴収事務の一元化につきましては、昨年の十月に、私ども社会保険事務所の方に社会保険・労働保険徴収事務センターというのを設けまして、実際に保険料を納めていただくのは金融機関等ということが多いわけでございますが、必要な手続を基本的にそこに来ていただければワンストップでできるようにする。それから、インターネットによります届出も、労働保険と社会保険の届出、一緒にできるようにするというのを実施をしたところでございます。そして、この四月からは、いわゆる滞納処分もこれは共同して実施をするという取組をしているところで、今後とも努力してまいりたいと考えております。
#222
○日笠勝之君 先ほども申し上げました社会保険のオンラインシステムは、今年度、レガシーシステム刷新可能性の調査をすることになっていますね。これにのせないと、また別にシステムをくっ付けろなんというとまたまた時間掛かりますので、是非今年中には何とか、新しいシステム構築の調査をされるわけでございますから、そういう中に入れて、前向きに検討をお願いしておきたいと思います。
 さて、こういうふうな未納の問題等々で、マスコミを始め国民の皆様が非常に関心を持っておられるということは重々承知を私しておりますが、実は先日、私のめいの結婚式が岡山でございまして、百名ぐらい親族、来賓の方いらっしゃいました。私、親族代表であいさつしろということで、何のあいさつしようかなと思って、通り一遍のあいさつをしようかなと思ったときに、ぷっと思い出しまして、実は私も参議院議員でございまして、一九八六年四月から今日まで完納しておりますと、国民年金は完納でございますと言ったら、大臣、拍手ですよ、拍手。みんなが拍手するんですよ、よかったねとか言って。いやいや、これぐらい国民の関心は、我々に対する非常に厳しい目で見ているんだなというふうにも思いましたよ。(発言する者あり)
 そこで、だからこれから、これからそれらのことを踏まえながら、今三党の中で御存じのように三党合意というのがございまして、この中に年金の未納問題ということで、「錯誤等による未加入、未納者について、今国会において一定条件の下で、事後納付できるようにするための法的措置を講ずるものとする。」と、こういうことが五月六日、三党合意でなされました。
 今、私ども公明党も、また自民党と一緒に与党の中でこのことについて協議をしておりますし、民主党さんも先日素案が新聞にちょっと出ておりましたけれども、いよいよこれ三党合意の、この未納問題について今国会中に何とか処理をしようということでこれから議論が始まるんだと思いますが、このことについて若干政府側にいろんな御意見をまたお聞きをしておきたいと思います。
 まず、一定の条件の下で事後納付できるというふうな三党合意でございますが、これには既に与党の中でもこういう議論がなされておるということが新聞報道で出ておりました。恒久的措置と時限的措置と二つに分けたらどうだろうかと、こういう原案でございます。原案でございます。
 そこで、まずこの恒久的措置というものについてでございますが、今現在の追納は二年までと、こういうことですね、局長。──はい。それを五年間ぐらいまでにさかのぼれるようにしたらどうだろうかと、それも恒久的に今後ずっとしたらどうだろうかと、こういうふうな一つの原案がございます。
 この追納の場合は、二年間追納ができるんですが、その分は別に加算料というんですか、は要らないわけですね、加算料。これは五年になった場合は、三年、四年、五年目ですね、この三年間についてはどうなんでしょうか。かつて、かつて三回ぐらい追納の特例措置をされていますよね。そういうことから考えまして──そうか、ごめんなさい、先に、かつて三回あった追納の特例措置、簡単に、じゃ局長、ちょっと御披露いただけますか。
#223
○政府参考人(吉武民樹君) これまで、追納といいますか、三十六年四月に国民年金法が施行されまして、その後保険料の未納、未加入の方がおられまして、例えば五年年金のような実際上年金給付が出てまいりました時期に、いわゆるその過去分につきまして保険料を払っていただくという特例措置を法律改正を行いまして講じてきております。その期間は大体二年間でございます。二年間の間に時限的に保険料を追加的に払っていただくということでございまして、過去三回実施をいたしております。
 そのときの、今先生お尋ねがありました保険料でございますが、保険料は段階的に引上げになっておりますので、二年間でさかのぼって支払っていただくときの保険料、つまり五年前、十年前に保険料を支払われなかったわけでありますが、そのときの保険料は少し低い保険料でありますので、実際に支払っていただくときの保険料を基本として払っていただくという形で行っております。三回目だけは、その最終保険料より若干高い水準の保険料を払っていただくということで実施をしてきております。
#224
○日笠勝之君 そうすると、恒久的措置として、今まで二年を五年ぐらいにまで延ばそうという考えもあるわけですが、その場合は、二年間は今までどおり加算料はなしと、それで三年、四年、五年のこの三年分は少しいただこうと、こういうことになりますかね。
#225
○政府参考人(吉武民樹君) 今先生のお話しの問題につきましては、現在、与党等を中心に御検討いただいているところでございますのであれでございますが、仕組みから申し上げますと、会計法に基づく消滅時効というのは五年でございますが、年金あるいは健康保険もそうでございますけれども、非常に多くのデータを対応させていただく、例えば被保険者の納付といったものにつきまして非常にたくさんの方が保険料を払っていただくということでございますので、その権利関係といいますか、これをできるだけ早期に安定をさせようということで二年という時効になっております。しかも、会計法の原則が適用されますので、例えば保険料を支払っていただく方が、自分は時効にはなっているけれども時効を援用しないで払いたいという場合にも実は払うことができない仕組みになっておりまして、二年が延長されますのは、強制徴収のための前段の措置であります督促を行った場合に時効が中断をいたします。
 そういう点もございまして、現実に未納あるいは未加入の状態の期間をお持ちで、しかし御自分としては二年以上の期間について保険料を納付して年金の給付に結び付けたいという方を想定をいたしまして、今申し上げました期間を五年ぐらいまでに拡大したらどうかという御議論でございます。その五年に拡大いたしますのは、そういう御自分で保険料の納付をしたいという、そういうお気持ちをお持ちの方に限りまして五年までということで御議論がされております。
#226
○日笠勝之君 それから、この五年分を事後納付もしした場合は、これはいわゆる年金額、年金額にこれは反映させるべきなのかべきでないのか、これは今までの例から見てどうなんでしょうか。
#227
○政府参考人(吉武民樹君) 五年ではございませんが、例えば保険料につきまして所得が低くて免除の申請をされまして保険料の免除になられた方、この方の場合には基礎年金の国庫負担相当の三分の一、この期間につきましては三分の一の給付が支給をされるという形でございます。
 こういう方が、その後十年間、御自分の所得が増えて、追加して保険料を納付された場合には、今申し上げました保険料部分の三分の二の給付が支給になるということでございますので、先ほど申し上げました三回の特例納付もそうでございますが、これまでのそういう現行制度における免除になった方の追加納付、あるいは学生の方の場合にも同じような仕組みを取っておりますし、それから過去に実施をされましたいわゆる特例納付といいますか、につきましても、基本的には年金給付に一〇〇%結び付くという形で対応がされてきております。
#228
○日笠勝之君 これは、ですから今の、過去の例を見ると、満額給付に反映させるのがいいんじゃないかと、こういうふうな感触を持ったわけでございます。
 そこで、この恒久的措置については、今後の未納対策という一つの大きな柱としてなるほどと、今までも例があったし、ちょっと延ばすのだなということですとんと落ちるんでございますけれども、もう一方の時限的な措置があると。いわゆる時効に係った過去の保険料の特例的な事後納付制度を考えたらどうかと。
 すなわち、国民皆年金になりました昭和六十一年四月一日以降の時効に係った未納・未加入期間を有する方が対象で、これは三年間ぐらいの特例ですよ、だから四年目からはもう駄目なんですよと、こういう時限的措置を考えたらどうかという原案でございますが、この例でいきますと、先ほどから申し上げております保険料は一体どういうふうに考えればいいのか、それから年金額にはこれを反映すべきなのかどうか、以上二点は先ほどの恒久的措置と全く同じように考えればいいんでしょうか、どうでしょうか。
#229
○政府参考人(吉武民樹君) 今、先生がお尋ねの件につきましても、今与党等で御議論をしていただいておられるところでございますので、ポイントだけちょっと申し上げますと、昭和六十一年の、基本的には例えば第三号被保険者の方、これは保険料を払っていただくわけではありませんが、基本的にはそれまでの任意加入から言わば強制的な被保険者となられて基礎年金給付を受けられるという、そういう形になったわけでございますが、いわゆる特例納付と申しますか、につきましては、現在、先ほど申しました保険料を免除申請をされまして追納を実施をしている方がおられまして、この追納をしておられる方の元々の保険料額プラスその後の言わば加算と申しますか、加算的なものがございますので、こことのバランスをどう考えるかというのが非常に重要な点だろうというふうに思っております。
 それから、給付の点で申し上げれば、過去の、さかのぼりました特例納付につきましては過去三回実施をいたしておりますけれども、これももちろん任意でございますので、お一人お一人によってどの程度の期間納められたかは違いますけれども、基本的には給付に反映をするという形で過去は実施をされております。
#230
○日笠勝之君 一橋大学の高山教授は、この場合の保険料額は、過去の名目保険料額はこの間の賃金上昇率をもって読み替えたらどうかと、こういう提案もされておられます。我々もこれからしっかり検討していきたいと思いますが。
 そこで、これ、税との問題をちょっと今日は議論したいと思うんです。今日は財務省、総務省の税担当の方にも来ていただいておりますが、特に時限的措置ですよね、例えばの話ですが、一九八六年四月から、来年の四月から、恐らくそのぐらいから施行になると思いますから、十九年間特例でさかのぼれるということになった場合は、今の、現在の価格でいっても、一万三千三百円掛ける十二か月掛ける十九年で、夫婦ともにだとなると六百万からになるんですね、六百万。これは、先ほどのお話で、過去のお話からいくと、どうも社会保険料控除の対象にかつてはなったようでございますね。
 ですから、高額所得者であれば、この際六百万ばんと出せば、これは特例的に本人も奥さんも社会保険料控除がまず受けられますよね。高額所得者であれば、地方税、国税合わせて五〇%ですから、単純計算すれば三百万ですか、単純計算すれば。ですから、ばんと追納すれば、高額所得者は納めた額の半分ぐらい還付というんでしょうか、減税になると。こういうことでございまして、納める、所得が少なくて、やっとの思いで追納したら、所得税払っていないからゼロですよという方も出てきますね。
 さあ、そこで、今までですと二年間で、金額も何か一か月四百円とか九百円とか小さかったので社会保険料控除といってもさほど効果はなかったんでしょうが、今回みたいに十九年もさかのぼれますよ、今の価格でも一万三千三百円ですよ。これを、先ほどから言っているちょっと加算料を付け加えたり、名目保険料を賃金上昇率にもって読み替えたら、これはもっと大きな金額になりますよね。それが、高額所得者は極端に言えば五〇%還付されるというか、減税されると。これはちょっとどう考えても、ううんというふうに思うんですが、理論的にはこれ、財務省それから自治税務局、理論的には私の今言ったことでいいんでしょうか。
#231
○政府参考人(加藤治彦君) お答えいたします。
 今先生御指摘のように、現行の所得税制を前提にいたしまして、かつ追加で納付されるものが保険料、いわゆる国民年金の制度における保険料の後払いということで位置付けられますと、現行の所得税法上は、先生の御指摘のように社会保険料控除の対象に全額がなると考えております。
#232
○政府参考人(板倉敏和君) この点につきましては、地方税でございますと、住民税も同じような形になっておりますので、今所得税についてお答えになったのと同じ扱いになると考えます。
#233
○日笠勝之君 いや、そうしますと、まあどなたとは言いませんが、二十年間ぐらい掛けていなかった方がいらっしゃったようですが、この際、全部掛けましょうとなったら、相当の還付といいましょうか、減税になっちゃうんですね。おまけにこれは、先ほどの今までの例でいくと、年金額に反映を満額すべきじゃないかというと、本来ならばもらえないものがもらえる、減税でがばっと返ってくる。何かこれ、二重のお手盛りじゃないかなというような、与党でありながら、私つくづくそう思うわけでございますが、これは、いかんせん税法上は確かにそうなるようでございます。
 しかし、特例措置ならば、ここはちょっと考えないと。金持ちほど還付、減税で返ってくる、それから満額それが年金額に反映されて、またまた年金も増える、こういうようなことになれば、これは所得の少ない方で、一生懸命追納しようかな、特例措置を使ってしようかなと思う方は、またここで大きなギャップを感じるんじゃないかなと、こう思うんですね。
 そういうことで、二重のお手盛りだというようなことのないように、私たちも与党の中でしっかりとこれは議論をし、対策を講じていこうと思いますが、大臣、今の、私とこの議論をしておりましたけれども、特例的に還付をした場合、高額所得者ほど返ってくる社会保険料控除の還付といいましょうか、減税額は大きくて、それが満額年金額に反映されれば年金もいただけると、こういう二重のお手盛りのような感じもいたしますが、大臣はこの時限的措置、先ほどから言っていますが、この議論をしておるのを聞いて、どういう所感、お考えをお持ちでしょうか。
#234
○国務大臣(坂口力君) 特例を考えますときには、それは、着々とそのときそのとき納めていただいた皆さん方との比較において、後で特例で認めた方がプラスになるというのは良くないというふうに思います。そのときそのとき、苦しい中でも納めていただいている皆さん方にそこは十分配慮をした制度でなければ、やりましても、それは私はかえって格差を大きくするだけではないかというふうに思います。
#235
○日笠勝之君 それから、過去にずっとさかのぼって追納したと、社会保険料控除もこの際受けるというふうに、例えばそういう制度になった場合、ここで両税担当の方にお聞きしたいんですけれども、ひょっとすれば、その方はかつて社会保険料控除を受けていたかもしれませんね。
 というのは、御存じのように社会保険料、国民年金の場合は、これは皆年金だというようなことで、いわゆる領収書的なもの、証明書的なものはなくてもいいという、これは所得税法に書いているわけですよね。ですから、税理士さんなら税理士さんに頼んでおけば、税理士さんは、当然、この方は地位もあり、立派な方なので払っておるだろうと思って社会保険料控除の中に国民年金の控除額を入れちゃっていると。で、還付的なものを受けているということがあったかもしれませんね、あったかも。しかし、七年間ぐらいしか書類が取っていませんよね。これ、十九年も前いうと、その間の十二年間は、その方が社会保険料控除を受けて、また今回受ける。二重に受けるかもしれぬというチェックはできるんですかね、これ、どうですか。
#236
○政府参考人(加藤治彦君) まず、現行の法制上の制約から御説明いたしますと、仮に社会保険料控除の適用が誤りであった場合に、過去にさかのぼって税務当局の方から是正を行えるのは三年間でございます。したがいまして、それ以上の過去については、法制上いわゆる時効に類する除斥期間の適用になっております。逆に、もし納税者の方が自ら修正を申し出られる場合は、これは五年間、過去五年間修正できる、こういう制度になっております。
#237
○日笠勝之君 ですから、十九年も十八年も前さかのぼって払う。ひょっとすれば、記憶ないわけですし書類もないわけだから、そのとき納めていないのに社会保険料控除を受けておったかもしれませんね。この度はどばっと行ってがばっと返ってくる、二重の、タイムラグがあっても受けるという可能性あるじゃないですか。そこのところをチェックしないで、がばっと追納したからがばっと返しますよじゃ、二重に社会保険料控除をひょっとすれば受けておったかもしれないという可能性はあるわけだから、ここのところは何とかチェックするとか、そうならないような制度にしないと、何となく書類がないんですからしようがないですよ、言われたとおり還付しますよじゃ、なかなかそれは税の理論からいっても納得できないんじゃないかなと、こう思うんです。
 そこで、この辺のことについても今後我が党の中でもしっかり議論していきたいと思うんですが、今までの制度でいくと、確定申告などの場合は、国民年金はもう先ほど申し上げました助け合い、仕送り、相互扶助だということで、法律上も皆年金ということですから払うの当たり前ということで、恐らく確定申告する方が自分で申告を、納税申告をする方もいらっしゃるでしょう。私は自分でやっていますけれどもね、多くの方はどなたか税理士さんにお任せするんだと思うんですね。
 私、知っている税理士さん二、三人に聞きました。確定申告で社会保険料控除、国民年金の方はどうなんですか、一々税務署はチェックしますかといったら、全然ノーチェックですと。当たり前です、そんなのは。だって、書類が要らないんだからと、税理士さんそう言っていますよ。全然チェックされませんと、税務署。当たり前のことだから、皆年金で義務で、入っているの当たり前だから、当然控除受けられますよと、そういうふうに税理士さんおっしゃっていましたね。ですから、今までが甘かったのかなと。
 ですから、今度は納税証明というようなものを添付する、こういうふうにしなきゃいかぬと思うんですが、今度もしさかのぼって追納できる、社会保険料控除も相当な額になるということもあり得りますし、それできたときには、年金の納付の場合は、国民年金の納付の場合は、追納した場合はちゃんとした証明を付けると。また、今後そういうことがないように所得税法変えて、国民年金のいわゆる納付についても証明書を付ける、領収書を付ける、こういう方向で行かないと、何か今後のこの問題についての対策はできないと思うんですが、これはどなたに聞けばいいんですかね、これ。いいですか、どうぞ。
#238
○政府参考人(加藤治彦君) 今先生の御指摘のように、現在の所得税制の制度上は、国民年金の制度は国民皆年金、かつ所得のいかんにかかわらず一定の保険料、原則として、特殊な事情のある方は別でございますが、原則一定の画一的な保険料ということで、現在の執行上は特別な証明書、それに類する書類を要しないこととなっております。
 ただ、今御議論が進められておるのを伺っておりますと、これは追加納付の制度が特例的に導入される、かつまた、一方で恒久的な、将来も恒久的な制度もまた導入される、いろいろな形で支払の形態が、個人の任意の選択によって金額もかなり変わってくる可能性がございます。そういう場合には、やはり何らかの形で、御本人が幾らの社会保険料を払っておられるか、それはそれぞれの個人の方で異なってくるわけでございますので、何らかの形でそういう実際の支払の証明、支払額の証明なり明らかにする書類が必要ではないかと、私どももそういうふうに考えております。
#239
○日笠勝之君 たしか去年の、社会保険庁が「国民年金納付実績と今後の収納対策」ということで七月二十四日に出されておりますこの報告書を見ますと、「制度的対応の検討」という中で、「未納者に対する社会保険料控除の手続きの見直し」ということがちゃんと入っていますよね。「税制改正において国民年金保険料の社会保険料控除の手続きについて、納付証明書類の添付等を義務づけること等を検討・要望する。」と、せっかく去年の七月にそう提案されたんですが、年末の税制改正では、余り社会保険庁の声が大きくなかったんでしょうか、改正をしておりませんが、これを奇貨として、この要望どおりやらなきゃいけないんだろうと。追納の件では、時限的であれ特例的であれ、やらなきゃいけないだろう、こう思っておりますので、その方向で、三党の合意に基づいて自民、民主、公明の中でしっかりと議論をしていきたいと思うところでございます。
 それでは、税の関係終わりますから、両担当者、結構でございます。
 さて、続いて、いわゆる私どもがまだ学生のころでしょうか、若かりしころでしょうか、いわゆる個人年金と公的年金は何が違うかというときに、このように聞いた覚えがあります。個人年金というのは、皆さんの集めたお金を人件費だとか事務費だとか、いろんなところへ使った残りを運用して果実を付けて、いわゆるお約束どおり年金としてお渡しすると。しかし、公的年金は違うんですよ、皆さんから集まったお金はもうそっくりそのまま運用して、人件費も事務費も全部国が負担するんですよと、こういうふうに昔聞いたような気がいたすわけでございます。
 そういう中にありまして、最近はなかなかそうでもないよと。人件費の方は国庫負担だけれども、事務費の方は一部、一千億円ほどこの保険料から支出しておる、こういうことでございます。これは国の財政の厳しき折柄、特例の措置でこうなっているんだというふうに理解しておりますが、そうは言いながら、この保険料で使ういろんな諸経費、これはもうとことん、ぎりぎり切り詰めないと、先ほど申し上げたようなことがなかなか国民の皆さんに言えないわけですね。
 そこで、厚労省、社会保険庁は、年金資金をどのようにいわゆる効率化、無駄をゼロにするといいましょうか、無駄を削減する、こういうことに努力されておるか、また今後どのように努力しようとするかということについて何点かお聞きしたいと思います。
 そこで、厚労省及び社会保険庁からデータがある平成十一年ぐらいからの施設整備費の入札方法と予定価格と落札価格の一覧表をいただきました。膨大な数でございます。膨大な件数でございますので一々申し上げられません。しかし、ざっと見て言えることは、どうも指名競争が多いねと、指名競争入札が多いと。それからもう一つは、落札率がもうほとんど九五%以上が非常に多い、これが実感でございます。
 先日、五月十九日、参議院の決算委員会がありまして、このような問題について竹島公取委員長がこのように言っていますね。統計的に九五%を超えるような落札率の場合は何かあるんではないかというふうに受け取られるのが普通だと思います。いいですか、公取委員長がそう言っているんですよ。落札率九五%を超えるような場合は何かあるんではないかと、ぴんときなさい、こういうふうに言っておる。
 それで、皆さんからいただいた資料を見ると、まあ何と九五%以下を探す方が難しいぐらい。これ一体どうなっているんですか、この入札は。入札方法、例えば電子入札をするとか郵便入札をするとか、そういう入札、それから指名競争だって一般競争入札をするのが普通じゃありませんか。十社、指名競争でも十社ですよ。そういうふうに見ますと、随契も多い、非常に多い、随契。
 ということで、今まで厚労省及び社会保険庁は施設整備費の入札方法は一体どうやっていたのか。なぜこの九五%以上、公取委員長までが何かあると考えるのが普通だというふうなことをずうっとほっておいたのか。今後、これについてはどうしますか。どうぞ。
#240
○政府参考人(薄井康紀君) 年金の福祉施設に関しましては、与党における御指摘もございまして、今後は施設整備に保険料を充当しないという大きな方向が示されているところでございまして、これから余り大きな工事というのは逆になくなってくるのかも分かりませんが、社会保険庁におきます各種工事の入札につきましては、これは厚生労働省全体の基準に基づきまして、金額に応じまして、大きな金額の場合は一般競争入札、それより若干小規模な場合は公募型指名競争入札、更に小さい場合は工事希望型指名競争入札、こういった形で競争入札を実施しているところでございます。非常に小規模なものあるいは継続工事に当たるものにつきましては、随意契約という形で行っているものも事実でございます。
 予定価格でございますけれども、これは取引の実例価格とか、そういうふうなものを参考にして決めているところでございまして、結果として落札価格が予定価格に近い金額となっているものもあるのは事実でございますけれども、私どもといたしましては、例えば談合情報の提供があったような場合には、これは談合情報対応マニュアルというのを厚生労働省として持っておりますので、入札参加者からの事情聴取なりあるいは公正取引委員会への通報など、厳正に対処していくということでやっているところでございます。
#241
○日笠勝之君 時間がありませんので一々は申し上げませんが、しかし地方公共団体を始め民間は、もうとにかく少しでもコスト削減させようと、こういう血のにじむような努力をしているわけですね。
 しつこいようですけれども、公取委員長までが、九五%以上の落札率はおかしいと考えるのが普通だと、こう言っている。それは全然、厚生労働省の基準どおりやっていますし、どうのこうので、別に何ともないと、こういうことですか。努力しよう、じゃ電子入札をやろう、郵便入札をやってみよう、指名競争じゃなくて一般競争やってみよう、全部はできなくてもどこそこでやってみようと、こういうふうな普通考えになるものでしょう。そうなりませんか。
#242
○政府参考人(薄井康紀君) ちょっと御説明が足りませんでしたけれども、電子入札につきましては、これは導入をしていくということで取り組んでまいっているところでございます。
 いずれにいたしましても、これは大臣からも御指示をいただいておりますけれども、少しでも競争性を高めるというのが各種契約の基本的なところだと思っておりますので、そういう観点で取り組んでまいりたいと思っております。
#243
○日笠勝之君 これは社会保険庁だけじゃありません。厚労省も大変大きなほかにも施設整備費を持っておられますので、是非ひとつ厚労省全体として──どうぞ、じゃお答えを。
#244
○国務大臣(坂口力君) 一昨年でございましたか、国立病院に対しまして談合の疑いありという指摘がございました。そのときにも、もう一度入札を全部やり直しをいたしまして、そして公正を期したところでございますが、そのときにも申しましたのは、これは、それぞれの地方の医務局と申しますか、そこ単位でやっているわけでございましたので、大きいものにつきましては全部本庁所轄で一斉に行う、そして厳密なうちに競争入札を行うということを言いまして、それを言いましてから非常に入札にばらつきが大きくなりまして、大変な違いが出てまいりました。
 そうしたことを言っておりますので、本当は、それは国立病院の話でございましたけれども、国立病院の話をすればほかのところもそれに見習ってちゃんとやらなきゃいけないと思うんですが、もしもそういうことがやられていないとすれば大変残念だというふうに思っておりまして、今後一切、すべて競争入札ということを今申し上げているわけでありまして、建築だけの問題ではなくてそのほかの問題につきましても、これは競争入札を原則とするというふうに言っております。
 それは、中には一つしかないというものも、それは中にはあるかもしれませんけれども、そんなものは例外でございますので、今後一切、競争入札にしていきたいというふうに思っております。
 競争入札もまた、競争入札にしたからといって、そういう九五%以上というようなことになっていてはそれは何の意味もないわけでありますから、そうしたことも厳しくチェックをしていく体制を作りたいというふうに思っております。
#245
○日笠勝之君 桐蔭横浜大学の鈴木満教授、公正取引委員会のOBだそうですが、全国の地方自治体に、入札についてのいわゆる詳しいアンケート調査を、恐らく日本で初めてだと思いますが、されました。その結果、やはり入札改善しているところは七%、一〇%ぐらい予定価格より安くなっておると。問題は、安いからといって手抜きされちゃ困るんですが、その後のフォローをきちっとやれば、横須賀市のようにずっと一五%、一〇%ぐらい安くて、非常にそれがまた住民サービスに使えるわけですね。というふうにやっているということの例示が出ておりました。
 是非ひとつ、それらも参考にしていただきながら、公共工事だけじゃなくて公共調達も、入札の改善などなど、また資材コストの見直し、規格の見直し、こういうところで少しでも削減していこうと、こういう特段の努力をお願いを申し上げたいと思います。
   〔委員長退席、理事藤井基之君着席〕
 さて次に、もうあとわずかな時間となりましたので、この効率化ということでもう一点だけ申し上げておきたいと思いますが、それはIP電話のことでございまして、いわゆるインターネット網を使って音声を中心とする電話に換えますと相当コストが削減できると、こういうことでございます。去年がIP電話元年ということで、大手企業を始めどんどんどんどんこれを導入いたしまして、株式上場企業の一四%ぐらいが既にもうこれを導入しておると、こういうことでございます。
 と同時に、特許庁、それから農水省も一部研究所を、導入をして検証してみたいと、こういうことで国の方も、一部の機関でございますが、IP電話を今導入しつつあるわけでございます。
 ちょっと調べますと、厚生労働省の本省の一年間の外線発信に掛かった電話代、つまり通話料金ですね、一億四百六十三万ぐらいなんですね。一億円ちょっとでございます。これがもしIP電話にすると相当削減されるんじゃないかなと。それからまた、本省も社会保険庁も出先にそれぞれ専用回線がありますわね。この専用回線に音声を乗せれば、これもそれなりに電話料金というものが、これは要らないんです。これは自分のところの専用回線ですから。
 そういうようないろんな、IP電話の導入、専用回線に音声を乗せるとか、改良していけば身近な通話料金が削減されていくんではないかなと、こういうふうに思いますが、こういうことに対してどのような今対応されていますか。
#246
○政府参考人(井口直樹君) 今お話しのIP電話でございますが、現在省内で厚生労働省全体の行政効率化に関する計画というのを作っております。それを踏まえまして、年内にも、今お話しのIP電話の経済効果とか、あるいはまだ若干の雑音があるというようなお話もあって技術面での課題があるようでございますので、この辺の検討を行いまして、その結果を踏まえまして年内中にはその採用の適否というのを判断してまいりたいと、そんなことで考えております。
#247
○日笠勝之君 先ほどから申し上げておりますように、行政の効率化でぎりぎりの努力を一つ一つ積み重ねていただきたいと思います。
 それから、もう時間がなくなりましたので御要望だけ申し上げておきたいと思います。これは通告しておりません。
 というのは、今回の国民年金法改正の中でも次世代育成支援というのがございますね。ざっと読みますと、いわゆる待機児を、厚生労働全体の一つの方針としても、待機児をゼロにしましょうとか、育児休業法の改正といいましょうか、それから企業内保育であるとか駅前保育などなどの多彩な施設保育をしていこうと、こういうことはよく分かります。それはそれとして私は少子化対策の大きな柱だと思いますが、しかし片一方、子供が小さいうちは一緒に過ごしたいと在宅保育を望む方もいらっしゃるわけですよね。
   〔理事藤井基之君退席、委員長着席〕
 しかし、考えてみれば、施設保育の方は公的支援がいろいろありますけれども、この在宅保育の方はそんなに、何か目に見える支援というのはちょっと思い付かないんですね。どうなんでしょうかね、これからは施設保育などのことも大事ですけれども、在宅保育にも力を入れて、両方相まって少子化対策に資するようなことを考えなきゃいけないんじゃないかなということで、これは要望でございますし、前からも坂口大臣にも申し上げているところでございますが、在宅保育、在宅育児、これにもう少し力を入れていただければなと。少子化対策大綱をもう取りまとめられたのかな。取りまとめていなければ、何か一言でも入れるべきじゃなかろうかと、今後の一つの宿題として検討すべきじゃなかろうかと思います。そのお答えを聞いて質問を終わりたいと思います。大臣、どうぞ。
#248
○国務大臣(坂口力君) これからの少子化対策、どうしていくかという大きな課題がございますので、その中で何が一番大事かといったことを少し科学的な分析をしていかないといけないというふうに思っております。そうした分析の中で優先順位というのができてくるというふうに思いますので、間違いのないように、そうしたことも念頭に置きながら検討してみたいと思います。
#249
○日笠勝之君 終わります。
#250
○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。
 最初に、森副大臣の未納問題についてお聞きをしたいと思います。若干事実経過がまだよく分からないところがありますのでお尋ねをいたします。
 森大臣が坂口大臣に御自分の未加入、未納の問題について報告された、このときの経過でございますが、まず坂口大臣にお伺いしたいんですが、今までの、前回の委員会での御答弁でも、森副大臣から坂口大臣へのこの未納問題での報告というのは少なくとも二回はあったんではないかというふうに思います。
 一回目は、これは議事録そのままなんですけれども、一回目といいますか、最初は、自分の年金を今調べております、機会を見て発表したいと。そのときは、坂口大臣の方は、未納があったかどうかは十分存じておりませんでしたと、是非そういうことならばそうしてくださいと、発表してくださいということを言われたのが、まず一回目といいますか、最初に聞かれて、二回目といいますか、その後ですね、未納があるとおっしゃったのは事実で、それはもうそんな前の話ではないというふうに、すなわち五月ごろですかね、坂口大臣がはっきり森副大臣が未納だということを認識されたという、こう二段階あるようなことを今まで御答弁されておりますし、森副大臣も二回以上坂口大臣に御報告をしていますというふうなことを言われております。
 まず、この二回か三回か分かりませんが、二回以上そういうふうに分けて御報告があったんでしょうか。坂口大臣、お願いします。
#251
○国務大臣(坂口力君) 最初の一回目がいつごろだったか、四月であったことは間違いございませんが、委員会の席上でそういうお話がございまして、そういうふうにしてくださいということを申し上げたというふうに思っております。二十日過ぎではなかったかと思いますが、ちょっとそこのところの詳しい日時まで覚えておりません。
 そして、未納があったということをお聞きいたしましたのは、五月になりましてから、連休が明けた後だったというふうに思っております。
#252
○大門実紀史君 そうすると、その四月中に、未納かどうか十分分からないけれども調べて発表してくださいというふうに大臣がおっしゃったのは、これは四月中ですから、四月二十八日の採決された最後の委員会の前だということは確かですか。坂口大臣。──いや、ごめんなさい、それは坂口大臣。
#253
○国務大臣(坂口力君) 二十八日よりは少し早かったと思っております。
#254
○大門実紀史君 今度は森副大臣にお聞きしますけれども、森副大臣は、民主党の山本議員への答弁の中で、四月の十四日時点でもう社会保険庁に問い合わせをして、御自分の未納は知っていたということをお答えになっていますが、確認の上でもう一度お願いします。
#255
○副大臣(森英介君) その時点では把握をしておりました。
#256
○大門実紀史君 これは我が党の小池議員への答弁ですけれども、森副大臣は、坂口大臣に初めて報告したのは四月十四日以降だと、四月十四日以前にはまだ何にも大臣には申し上げておりませんというふうにおっしゃっておりますけれども、これもそういうことでよろしいですか。
#257
○副大臣(森英介君) そのとおりです。
#258
○大門実紀史君 そうしますと、とにかく森副大臣は、四月十四日以降で強行採決がされた二十八日前のそのときの委員会というのは、四月十六日、二十一日、二十三日ですね、法案審議、あと参考人ですから。その辺の委員会の席上、ここのどこかで初めて坂口大臣に御報告されたと。その時点では、もう御自分は社会保険庁に問い合わせをして、確実に未納だというふうに御承知されていたということになります。
 ところが、先ほどお聞きしましたとおり、坂口大臣は、最初に聞いたときは、最初に聞いたときは、今調べている段階で、これからはっきりさせて発表しますというふうに坂口大臣の方はお聞きになったということですね。これは森さんは既に、もう調査中じゃなくて、調査終わって、社会保険庁に聞いてはっきりしている段階でお話しされたはずなのに、どうして大臣の方は調査中と、これからだとお聞きになった。その食い違いはどういうことがあるんでしょうか。
#259
○副大臣(森英介君) 大臣も大変お忙しいので、若干私からその事実経過を補足して説明いたしますと、大臣から、やっぱりちゃんと調べてちゃんとしなさいという御指示を受けたのは四月十四日以前のことでございます。私は、委員会のその席上だったと思うんですけれども、なかなか双方それこそ忙殺されておりまして、その委員会の冒頭か合間のちょっとした時間をとらえまして、大臣に、私も未納の期間がありましたということを御報告したつもりなんですけれども、ちょっといろんなことがあった中で、今から思うと大臣には私のこととして認識されていなかったんだなというふうに思うんです。
 改めて、五月の連休明けに、五月の初めに、それまでの納付の状況について正確に大臣には報告を申し上げました。
#260
○大門実紀史君 私、先ほど確認したとおり、四月十四日の前には、つまり自分ではっきりと未納であるというのが自分で確認する前には大臣に報告していないと、初めて報告したのは四月十四日以降だと前回委員会で答弁されておりますけれども、それは違うんですか。
#261
○副大臣(森英介君) 実は、私が報告したつもりで大臣認識されなかったのは四月の十四日以降のことです。四月の十四日以降で、ただ最初は、江角マキコさんの一件があって、私、家内に確認して、ああ払っているわよということで、ちょっとしばらく時間が経過しちゃいまして、一応念を入れて調べてみようと思ったのが四月十四日のちょっと前だったと思うんですけれども、それは社会保険庁で調べまして、その時点で自分の納付状況について自分では認識いたしました。
 それで、その後、ちょっとした機会をとらえて大臣にそれを報告したんですけれども、それは本当に立ち話というか合間の話で、どうもきちんと大臣には私の説明が認識されていなかったというふうに思うんです。ですから、それは言ってみれば報告にはなっていなくて、結果的にきちんと報告して御認識をいただいたのは五月に入ってからということでございます。
#262
○大門実紀史君 こういう重要な問題を、ということはこういうことですか、四月十四日から四月二十八日の間、採決前の、強行採決の前に、とにかく森副大臣は、何というか、相手は、坂口さんは認識してくれなかったけれども、何度か、もうだって、もうはっきりしているわけですね、十四日で分かったわけですから。自分がはっきりと社会保険庁調べて未納だと分かっているときに、もうその段階で、調査中でも何でもなくね、もう私はっきりしましたということを何度も、立ち話であれ何であれ、四月十四日以降に、だって十四日に分かったわけですからね、社会保険庁から分かったのはそうでしょう。
 分かった後、分かった後、坂口大臣に、私はっきりしましたと、未納でしたと、それ立ち話だの何だので何回も言ったけれども、大臣はそう認識してもらえなかったと。それで、五月の過ぎ、連休明けになって初めてはっきりとゆっくり話して、そんな話なんですか。
#263
○副大臣(森英介君) その四月の中旬以降の話については、これ結局やっぱり私、一人一人の問題であって自分の責任において対処すべき問題であるというふうに思っておりますけれども、そういう意味で私のことについて報告したつもりでありましたけれども、それが余り要領を得ないで大臣にちゃんと伝わっていなかったということを今にして思っているわけでございます。
#264
○大門実紀史君 こんな大事な話がそんな要領を得ないで、しゃべって伝わらないんですか、言葉が。要領を得るも何も、私未納ではっきりしましたと、調べた結果、社会保険庁に聞いてみたらはっきり結果出ましたというのが十四日以降でしょう。その間に何回か大臣に、それだけじゃないですか、はっきりしましたということがどうして要領を得なくて伝わらないんですか。
#265
○国務大臣(坂口力君) 何回かということではなくて一回でございますけれども、それはたしか委員会の席で、いわゆる審議している最中でございましたが、隣の席で、机置きまして隣の席が森副大臣でありまして、森副大臣から調べておりますということをおっしゃったというふうに私は受け取ったわけでありまして、そしてそれならばちゃんと調べてくださいよと、発表してくださいよということを私は申し上げたつもりでおりました。
 先ほど申しましたように、正式に実はこれこれの期間にこうだということをお聞きをしたのは五月のその連休明けのときであったというふうに思っております。
#266
○大門実紀史君 いや、ですから、要するに、四月十四日以降、御本人は、何度も言いますけれども、はっきりと社会保険事務所に調べて自分は未納だと分かったと。調査します、していますとか何かじゃなくて、大臣にそのことを伝えようということでお話しされたと思うんですね。それ理事会の席であれ何であれ、そんな大事な話、終わってからちゃんと聞けばいいわけで、森副大臣も終わってからちゃんと大臣に改めてきちっと、五分で済む話ですから言えばいい。分かるじゃないですか、そんな立ち話とか何かでやって。それにしたって、こんな大事な話を相手に勘違いされたら、相手に勘違いされたら、大臣、と言って、実はこういうことなんですと言わないと。だって、それはちゃんと調べてくださいと言われたら勘違いされたということになるわけでしょう。
 大事なことは、あなたはもう四月十四日以降、御自分で未納ということをはっきり認識されていたわけですよ。で、採決は二十八日ですよ。その間に何回か大臣に、よく分かんないけれども、言語不明瞭なのか分かんないけれども、とにかく何度か言われていて、大臣は、ああ調べてくださいと、勘違いされているまま来たわけでしょう。そんなことあり得ますか。もし、これは言った方の言い方が悪いのか、聞いた方の聞き方が悪いのかと。こんなこと、いずれどっちにしたってこれ共同責任ということになりますよ、こんな大事な問題。おかしいじゃないですか、普通考えられないじゃないですか、こんな大事な問題を、言ったとか勘違いしたとか分からなかったとか。
 それで、五月の連休まで一度もちゃんとそれを話している時間なかったというわけじゃないでしょう。ちゃんと説明してください、それ。
#267
○国務大臣(坂口力君) もう一遍申し上げましょう。
 たしか、委員会が始まっております、質疑が行われておりまして、そこで、そのころは大臣の問題がいろいろ言われていた時期であったというふうに思っておりますが、森大臣はそのところで、私のこの加入状況についても調べて報告したいと思いますというふうに私はおっしゃったというふうに理解をいたしておりました。若干そこが違ったのかもしれませんけれども、私はそういうふうにお聞きをしたというふうに思います。それで、おっしゃるよう調べてくださいと、そして発表してくださいということをそこで申し上げたつもりでおります。
 いずれにしましても、それは委員会の席上の話でございますから、大きな声でやり取りをできるような状況ではありませんでした。
#268
○大門実紀史君 そこまで覚えていられるなら、その委員会が何日だったかというのを覚えていませんか。
#269
○国務大臣(坂口力君) そこまでは覚えておりませんが、委員会の席上であったことは確かでございます。
#270
○大門実紀史君 そこまではっきりと坂口大臣が言われるということは、森副大臣がちゃんと報告しなかったんじゃないですか。自分が未納であるということを、未納が判明したということをはっきりと報告されなかったということにならないですか。
#271
○副大臣(森英介君) いずれにしても、事実として正確に報告を申し上げましたのは五月になってからでございます。
#272
○大門実紀史君 そんなことが、いずれにしてでもで済みますか。強行採決したんでしょう、衆議院で。その前に隠していたかどうかが大問題になっているわけでしょう。いずれにしてもなんて言い方で済みますか、ちゃんとはっきりしてくださいよ。
 あなた、ちゃんと言ったんですか、坂口大臣に、私は未納ですと、判明しましたと。大臣は違うとおっしゃっていますよ、今調べている最中ですとお聞きしましたとはっきり答えておられるじゃないですか。どっちかうそを言っているんでしょう。はっきりしてください、そこを。いずれにしてもなんて話が通りますか、これだけ大問題になっているのに。ちゃんと答えなさいよ。
#273
○副大臣(森英介君) いや、ですから、私はそれについて報告申し上げたつもりですけれども、それがちゃんと伝わっていなかったということで、これは本当のことであります。
 それで、きちんと報告申し上げたのは五月に入ってからでございまして、結局、これは私の認識では、やはり一人一人が責任を持って対応するべきことで、その時点では衆議院の厚生労働委員会の理事会で与野党で協議がなされていまして、その協議の結果を踏まえて報告、公表するつもりでおりましたので、その調わない前の段階の話でございますんで、そういう経過で来たということでございます。
#274
○大門実紀史君 それ駄目です、そんな答弁。あなたの経過を聞いているわけじゃないです、それは。
 今、何度も正確に聞いているんです、強行採決の前にあなたはきちっと報告したのかと。大臣はそうではない報告を受けたっておっしゃっているわけだから、今調査中だという報告受けたと。あなた、言ったつもりって駄目ですよ、ちゃんと報告したのかどうかを聞いているんです。ちゃんと答えてください、はっきり。
#275
○副大臣(森英介君) そういう意味で言うならば、ちゃんと報告申し上げておりません。(発言する者あり)
#276
○委員長(国井正幸君) じゃ、ちょっと速記止めて。
   〔速記中止〕
#277
○委員長(国井正幸君) じゃ、速記を起こして。
#278
○大門実紀史君 今すごい答弁されたと思うんですけれどもね。要するに、何度も言いますが、四月十四日以降の衆議院の強行採決する間の大問題になっているときに、しかも法案の提案者がそういうことを隠していたかどうか問われているときに、ちゃんと報告しなかったと今おっしゃいましたね。自分では未納と知っていたと。社会保険庁に調べて知っていたと。ちゃんと報告しなかった。ちゃんと報告しないという意味は、これはうその報告を大臣にしたということですよ。虚偽の報告を大臣にしたということですよ。違うんですか。隠して報告、隠していたということか、だから、隠して報告したら、これは偽りの報告を大臣に対してしたということじゃないですか。
#279
○副大臣(森英介君) いや、いろいろな、ちゃんとって、ちゃんとした機会をとらえてということで、私としては、自分の報告の趣旨が大臣に伝わっていなかった以上、そういう意味ではきちんとした報告がその時点ではできてなかったということを今にして思うわけであります。
 最終的には、五月の上旬に坂口大臣に事実経過について正確に御報告し、御認識をいただきました。
#280
○大門実紀史君 あなたの全体の理由を何度も聞いているわけじゃなくて、そのときのことを聞いているんです、期日をはっきりしてくれって言ったって分からないと言われるから。
 ただ、はっきりしているのは、坂口大臣があなたから報告を受けたと、それは調査中であると。だったら、調査を明らかにして、発表するときに公表してくださいと大臣が言われたと。その日のあなたの報告の内容を聞いているわけです。
 それを、だから、どっちかがうそを言っているんじゃないですかって聞いたら、あなたの方が、私がちゃんと報告しませんでしたと今言われたわけですね。ちゃんと報告しないということは、社会保険事務所で調べて判明していることを隠していたということしかないじゃないですか。後で言ったとか、後で言ったとか何かじゃないです、その日のことを言っているんですよ。大臣と違うから、大臣が聞かれたことと違うから、あなたが報告したということと、大臣が、どっちかが違うわけでしょう。大臣がうそをおっしゃっているか、あなたがちゃんと報告しなかったか、どちらかしかないから、聞いたら、あなたがちゃんと報告してないと言ったから、ちゃんと報告してないということは大事な、大変なことですよと、あの時期にと。
 なぜ隠したんですか、そのときに大臣に。
#281
○国務大臣(坂口力君) 何度か申し上げますけれども、それは委員会の席上、いろいろ質疑の続いている最中でございました。森大臣から私に、小さな、その最中でございますから、小さい声で今調べておりますというふうにおっしゃったというふうに私はお聞きをしたというふうに覚えております。
 それで、しかしまあ御本人はもう少しはっきりそこは言ったように思うというふうにおっしゃっているわけでありますけれども、いつ、どういう時期に、御本人が政務次官をなすっているときに払っていなかったというようなお話を正式に聞いたのは五月になってからでございますと、こういうことを申し上げております。
#282
○大門実紀史君 じゃ、森大臣、答えてください。私、さっき、森副大臣、私聞いたこと、答えてください。
#283
○副大臣(森英介君) 今、大臣から御説明のあったとおりです。
#284
○大門実紀史君 そうじゃないでしょう。あなたが先ほど言われた、ちゃんと報告してないということを言われたから、ちゃんと報告してないというのは、相手に伝わらなかったわけでしょう、大臣に。私は未納ですとはっきりと知っていたのに伝わらなかったんでしょう。隠していたか、それとも調査中みたいなぼやっとしたことを言ったか、どっちかでしょう。伝わるでしょうが、自分のあの大問題の最中に、私、社会保険庁に聞いたら未納でしたなんて。小声だって伝わりますよ。おかしいじゃないですか。
#285
○副大臣(森英介君) ちゃんと報告しなかったというのは、別にいい加減にやったということじゃなくて、ちゃんと伝わるようにしなかったということを申し上げたんですよ、結果的にですよ。私は……(発言する者あり)ですから、そういうふうに申し上げたんですよ。
#286
○大門実紀史君 それ、いい加減なんですよ、だから。そういうのをいい加減なって言うんです、いい加減な報告だって言うんですよ。
 そうしたら、それで相手に伝わったと思われたんですか。伝わらなくて終わったって認識されたんですか、そのときに。自分が社会保険庁調べて、未納だっていうこと、大臣に伝わらなかったなってそのとき認識されたんですか。
#287
○副大臣(森英介君) いや、大臣からは、ちゃんと調べて報告するようにという御指示をいただきましたから、そういうやり取りは、あれです(発言する者あり)いや……
#288
○大門実紀史君 何か、あなた、混乱していませんか。大臣から調べなさいって言われて、また調べたんですか、社会保険庁に確認した後で。何を混乱したことおっしゃっているんですか。ちゃんと答えてください、大事なことなんだから。
#289
○副大臣(森英介君) いや、先ほど来説明しているとおりの経過でございまして、私としては、自分のそういった納入状況について把握したのが四月の十四日のちょいと前、そのころだったと思いますけれども、それから大臣に私はそういった機会をとらえて御報告したつもりでありましたけれども、うまく私の趣旨が伝達されてなかったということを申し上げます。
 それで、きちんと大臣に御認識をいただいたというふうに今から思いますのは、五月になってからということであります。
#290
○大門実紀史君 これは大事な問題なんですよ。強行採決の前にどういう対応をされたかと。そんな、何かぼけた話じゃあるまいし、伝わったとか伝わってなかったとか、そんなつもりだったとか何かで済まないでしょう。
 それで、あなたは五月に報告した報告したって言いますけれども、その後そのままにしておいたんですか、伝わってないなと、ちゃんとやってないなと思いながら。大臣に、だって指示されたわけでしょう、調べなさいと。おかしいこと言うなと思われませんでした。伝わってないと思いませんでした。そのままずっと過ぎていって、強行採決まで黙っていたわけですか。再度大臣に報告されなかったわけですか。その後の対応をちょっときちっと話してください。
#291
○副大臣(森英介君) 先ほど、ですから、先ほど来申し上げておりますように、私自身が公表をする時期というのは、あるいは公表の方法というのは、衆議院の厚生労働委員会の理事会の協議を踏まえて、それに基づいてしようと思っていたわけですから、それが協議が調わないうちに採決に至ったので、それまで公表の機会が得られなかったということに尽きます。
#292
○大門実紀史君 大臣に対するあなたの副大臣としての報告について、その後きちっとやる、やらなければいけないということの認識がなかったんですかということを申し上げているんですよ。
 じゃ、何ですか、最初にその委員会の席上で、私は大体、そんな大事な問題を委員会の席上で隣に、大臣、ちょっとと言って、そもそもそういうふうに報告する話じゃないですよ。ちゃんと、大臣、話終わってからどこか別室で、実はこういうことありましたと、これが、本当に報告するならばそれが報告というものですよ。席上でちょっと言って伝わらなかった、世間話みたいにね。
 だから、あなたそもそも、大臣にきちっとそのことを報告しなければいけないという意識がなかったんじゃないですか。たまたま世間話的に言っただけじゃないんですか、この前の委員会では報告しました報告しましたって言われていますけれども。それは報告と言わないんじゃないですか、そうしたら。
#293
○副大臣(森英介君) 私は報告をして御理解をいただいているというふうに勝手に思い込んでいたんですから、これは意思の疎通がそういう意味ではできてなかったということに結果としてはなるわけですけれども、私は、ずっとそういうふうに、ただ、確かにそういう席上のことですので、ひそひそ言ってきちんと伝わらなかったということを今反省をしております。
#294
○大門実紀史君 もういい加減にしてください。ころころ変わるんです、副大臣。さっきは、さっきはちゃんと報告しなかったと言われて、今度は報告したけれども伝わらなかったと言われているんです。こんなこと繰り返していたら質疑できませんから、駄目ですよ、はっきりさせてください、どっちなのか。
#295
○国務大臣(坂口力君) 先ほどから何度か申し上げているとおりでございますが、この委員会の席上でそういうことを私がお聞きをしたことは事実でございます。したがって、それに対しまして、ちゃんと報告してくださいよということを申し上げたことも事実でございますが、そこは委員会の席上でございましたから、意を尽くせなかったんだろうというふうに思います、私が十分にお聞きをすることができなかったのかどうか分かりませんけれども。
 そうしたことがあって、そして様々な、それからのこの委員会のいろいろの問題がございました。そして、そうした後、いわゆる副大臣が旧労働の政務次官のときに納めていなかったということを正式にお聞きをしましたのは、それは五月になってからでございますと、こういうことを申し上げているわけでございます。
#296
○大門実紀史君 私、聞いたのは森副大臣です。
#297
○副大臣(森英介君) 今、大臣から御説明のあったとおりです。
#298
○大門実紀史君 人の質問時間を堂々巡りでつぶさないでくれます、ほかにも大事な質問あるんですから。
 要するに、あなた、この委員会の中でも答弁変わっているんですよ。最初、ちゃんと報告しておりませんとおっしゃったんですね。今、何ですか、また元に戻って、言ったつもりでしたけれども理解していただけませんでしたと。どっちなんですかと。こんな、委員会でころころ変わるようじゃ駄目ですよ。
 ちゃんと二人で、いつの委員会の席上だったのか、どの時点だったのか、ちゃんと二人で確認し合って報告してください、改めて。駄目です、こんなことでずるずる、ぐるぐるぐるぐる同じことばっかりやっていちゃ。ちゃんと大臣と二人で調べて、調べれば分かるでしょう、二人がどこで話したかなんて、合わせていけば。どこの席上でそういう話があって、どちらが勘違いしたのか、ちゃんとそれ二人で確認して報告してくださいよ、大事な問題ですから。
 五月の報告を言っているんじゃないんです。衆議院で強行採決される前のことを言っているわけです。そこが大事なんです。皆さんが提案者でありながら、そんなこと隠して、国民の皆さんに大害悪案を強行採決したかどうかと、そこに国民の皆さんの怒りもあるわけですからね。大事な問題なんです。
 お二人でちゃんと話し合って改めて報告してもらえますか。
#299
○副大臣(森英介君) 一つだけ申し上げますけれども、先ほどちゃんと報告しなかったと申し上げたのは、私の趣旨がきちんと伝わらなかったという意味において、ちゃんとした報告になってなかったということを申し上げたわけでございます。そういう意味で、私はそういうことである程度御認識をいただいたというふうに勝手に思い込んだものですから、結果的にきちんと御報告したのは、大臣に御報告したのは五月になってからということになったわけでございます。
#300
○大門実紀史君 ですから、もうこんなことばかり聞いていても仕方ありませんので、お二人できちっと確認し合って報告をしてほしいと私申し上げているんです。できないわけないでしょう。(発言する者あり)
#301
○委員長(国井正幸君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#302
○委員長(国井正幸君) 速記を起こして。
 議事続行してください。
#303
○大門実紀史君 ですから、私、申し上げたんです。もうこんな、これでずっと時間つぶしても仕方ありませんので、大臣、副大臣の関係なんですから、二人できちっとどういう話だったのか正確にして、いつの席上だったのかも含めて報告していただかないと、聞くたびにころころころころ答弁が変わるようではこの話進みませんので、だから報告してくださいと私申し上げているわけです。
#304
○委員長(国井正幸君) 森厚生労働副大臣、もう一度先ほどの答弁繰り返してください。
#305
○副大臣(森英介君) 私は、四月十四日の衆議院の厚生労働委員会の直前に自分自身の年金の納付状況について把握をいたしました。それからしばらくたってから、委員会の席上をとらえて、大臣に自分のこと、状況はこうなっているつもりですと、その当時の認識では御報告をしたつもりでおりました。しかし、そういった場面ですので、私の趣旨がしっかりと大臣に伝わってなかったわけでございまして、そういう意味においては、そういう意味からいたしますと、その時点ではちゃんとした報告ができてなかったといっても、今にして思うと、ということになるのかなというふうに思うわけです。
 最終的にきちんと大臣に御認識をいただけるような報告をしたのは五月に入ってからでございます。
#306
○委員長(国井正幸君) 大門実紀史君。大門実紀史君、どうぞ。
#307
○大門実紀史君 どうもお分かりになっていないようですけれどもね。
 私は、お二人できちっと確認をし合ってほしいというのは、これ、国民の皆さんから見るとどっちが悪いのかなとならないんですよ。共同責任ですよ。そんな大事な話が二人の間で話し合われて、たとえ短い間でも。それが、理解されたとか言ったつもりとか聞き違ったとか。いずれにせよ、周りから見ればお二人の責任ですよ。これがちゃんと対処されていれば、衆議院の強行採決だってどうなったか、違ったかも分からないんだから。二人だけのどっちの責任とか、そういう、二人だけでいえばそうなるかも分からないけれども、周りから見れば、国民の皆さんから見れば共同責任ですよ。そう聞き違ったのが悪いのか言い方が悪いのかみたいな、そんな話ばかりしているけれども。だから、ちゃんとしてくださいと。
 これは、私は、坂口大臣、大臣が、副大臣なんですから、もう一遍きちっと聞き取って、あのときどうだったのか、何を言いたかったのか、私は何を勘違いしたのかと。それはいつなのかのこともきちっとして報告をしてくださいというふうに大臣にお願いをしているわけです。大臣、いかがですか。
#308
○国務大臣(坂口力君) 趣旨は先ほど申し上げたとおり、経過は先ほど申し上げたとおりでございますが、それが二十一日とか二十三日とか、なかなかそこまでは記憶をいたしておりませんから、これは二人で話をしてもそこまではなかなか分からないというふうに思いますけれども、そのときの、お互いに何を言いたかったか、何を私が聞いたかということについての整合性は、それは二人でちゃんとできると思いますから、それはできましたら御報告を申し上げます。
#309
○大門実紀史君 またその報告聞いてからこの問題、引き続き質問をしたいと思います。
 いずれにせよ、私思いますけれども、今日の朝の冒頭発言で、おわびはするけれども、これからその責任の取り方として、全力を挙げて、全身全霊を打ち込んで頑張りますということをおっしゃいますけれども、もう頑張りようがないんじゃないですか。今日だって法案の答弁なんか立てないでしょう。だれも立ってもらいたいと思いませんけれども、立てないでしょう。何を頑張るんですか。もうすぱっとお辞めになったらどうですか。それが一番もうすっきりするんじゃないかというふうに思います。
 いずれにせよ、大臣の御報告を待って、この問題を引き続き質問したいと思います。
 私、何分までですか。
#310
○委員長(国井正幸君) 十七時六分まででございます。
#311
○大門実紀史君 そうしたら、ちょっと省略して質問を……
#312
○委員長(国井正幸君) 失礼、十七時十二分までだそうです。
#313
○大門実紀史君 十二分。はい、分かりました。じゃ、若干省略をして、簡潔に質問したいというふうに思います。
 年金の積立金問題です。
 巨額の年金積立金については、今までもいろんな批判が集中してきたところです。なぜ給付の数年分も積み上げるのかとか、あるいはその使い道、グリーンピアだとか株式投資の問題、更にこの積立金によってできるいろんな法人が天下りの先になっているんじゃないかと。とにかく様々な批判が年金積立金にはあったところです。
 今回、政府は初めて取崩しに踏み出すということを発表、計画されました。これについては、公明党の神崎代表は、積立金の取崩しというのは厚生労働省にとっては方針の大きな転換だ、これは坂口厚生労働大臣のリーダーシップなしではできなかった話だというふうに大変大評価をされているところでございます。
 どういうふうに取り崩すのかというのは、午前中も少しありましたが、厚生労働省のパンフレットに出ておりますし、お手元にお配りしましたのは、公明党の公明新聞が大変分かりやすいグラフを作っておられますので資料に付けました。これについて簡単に、この百年間でどういうふうに取り崩していくのか、簡潔に御説明をお願いできますか。
#314
○政府参考人(吉武民樹君) 我が国の公的年金制度は世代間扶養の賦課方式を基本としておるわけでございますが、一方で少子高齢化の進行が見込まれますので、長期間の給付と負担の均衡を図るために一定の積立金を保有して、これを活用することによりまして将来世代の負担の上昇を抑えるという、これが基本的な考え方でございます。
 これまでの財政再計算で申し上げますと、非常に遠い将来にわたるすべての期間、百年後、更に二百年後、三百年後という、そういう非常に長期の期間につきまして財政の均衡を図るということで財政再計算を行ってきておりますが、この方法を今回も用いますと、二一〇〇年以降も二〇九〇年代と同様の高齢化率の高い状況が百年、二百年、三百年続くということが前提になりまして、私どもの基準ケースで給付費の六年ないし七年分ぐらいの積立金の保有が二一〇〇年時点で必要だという結果になってまいります。
 しかしながら、遠い将来において、現時点で予測できないような社会経済の変化といいますか、これが変化を生じることは否定できないわけでございますので、二一〇〇年に六年あるいは七年分の積立金を保有しながら、一方で保険料の引上げをお願いをする、あるいは給付水準の調整を行うことについてなかなか理解を得ることは難しいんではないかという問題がございまして、今回の年金改正案では、現在生まれております世代が年金受給を終えますおおよそ百年の期間までを考慮いたしまして、その間で財政の均衡を考えると。おおよそ百年後の積立金の保有は、支払準備金程度の給付費の一年分相当とする方式を取ることとしたものでございます。
#315
○大門実紀史君 これは十六年度価格、実質でございます。資料の二枚目に、パネルにもしましたけれども、二〇〇四年度価格、実質と名目の価格でグラフにしました。(資料提示)
 これ、名目価格、実質でも考え方は同じなんですけれども、取崩し計画といっても、要するに、若干これから何年間取り崩すようですが、これから五十年間積み上げていくと。取り崩すのは五十年先の話ですね。これは普通の国民の感覚からいくと、五十年先というと、今大人の方々、ほとんど生きている方少なくなりますね。本当に先の話ですね。どうなるか分からない。ここにいる、決めるメンバーもほとんどいないと思います。そういう先のことを、先に取り崩すと。つまり、普通に考えれば、二〇五〇年まで、名目で見ますと三百三十五兆円までこれから五十年間掛けて積み上げていくというふうな計画でございますね。
 これは、取崩し計画というには、国民の皆さんの理解、そうならないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#316
○政府参考人(吉武民樹君) 名目は、賃金の名目上昇率二・一%、それから物価の上昇率一・〇%、運用利回り三・二%という、こういう前提で計算をいたしておりますので、五十年あるいは百年たちますと名目価格は相当上がってまいります。その結果がここに出ておるわけでございますが、むしろ二〇〇四年度価格でごらんをいただく必要があるだろうというふうに思っております。
 私どもの財政見通しでは積立度合いを表示をさせていただいておりますが、端的に申し上げますと、今回の改正法案を前提といたしましても、二〇一〇年ぐらいまでは厚生年金で申し上げますと年金の収支はマイナスになってまいります。したがいまして、二〇一〇年ぐらいまでは現実には積立金を取り崩して給付を賄うという形になってまいります。その間に、基礎年金の国庫負担二分の一が実現をし、それから保険料率、今回段階的に、段階的といいますか、引上げをさせていただいておりますので、そのことによって全体の財政がだんだん安定をいたしまして、二〇一〇年以降、収支差引き残が残るという状態でございます。
 これは午前中も申し上げましたように、その後、団塊の世代への給付、それから団塊の世代のジュニアと言われる、現在多分二十五、六歳ぐらいから三十歳ぐらいの方への給付が出てまいりまして、これをしのぎながら二〇五〇年以降積立金の度合いを減らしてまいりまして、最終的には一年に持っていくという形でございます。
 そういう意味で、今申し上げました保険料の引上げ計画、それから基礎年金国庫負担の二分の一への引上げ、それから今申しました給付の出方といいますか、これをトータルで考えまして、積立金を取り崩すという意味では、二〇五〇年以降、団塊の世代の更にその先の世代について保険料負担を軽減するために積立金を活用するというのが今回の考えでございます。
#317
○大門実紀史君 私は、この五十年後、百年後の先、もちろん年金の問題ですからそれぐらいのスパンで考えるのは当たり前なんですが、急に五十年後先とか、こう言うと非常にトリッキーな話になって、名目価格もそうですけれども。つまり、二〇一〇年からずっと積み上げていくのは事実なわけですよ。ここにはもう実質とか名目とかいう違いは国民の皆さん余り感じないわけですけれどもね。ですから、何かやっと取り崩しますと大々的に言うような話ではないんではないかと思います。
 なぜならば、私、この五十年後に本当に取り崩していくのかと、これも大変よく見てみますと疑問に思っています。これ大変複雑なことが書かれています。厚生労働省の資料、資料のBですけれども、財政の、財政均衡期間、有限均衡方式、これはほとんど普通の方、私もこれ随分時間掛って理解をいたしました。かなり複雑な考え方といいますか仕組みだというふうに思います。時間が本当に迫っておりますので、だれにでも分かるように簡潔に説明をしてもらえますか。
#318
○政府参考人(吉武民樹君) 今回、法律を改正をさせていただきまして、財政再計算自身は財政検証という形になってまいります。財政再計算自身は、保険料、それから給付、それから国庫負担、トータルを中長期的に安定するという検討を行うということでございますので、従来のあれで申しますと、基本的には保険料の引上げあるいは国庫負担の引上げを検討させていただく、その関係で給付も検討するということでございますが、今回のこの改正によりまして、五年に一回財政検証を行うということになってございます。
 その作業そのものは財政再計算の際に行う作業とほぼ同じだろうというふうに考えておりますが、その際に、百年間財政期間を設けましてその中で安定を図るという形でございますので、五年たちますと過去の五年はもう必要なくなるわけでございます、年金給付でございますので。それで、それから二一〇五年までの期間になりますし、それから十年たてば二一一〇年までの期間になるという形になってまいります。その中で、主に最初の五年が対象期間からなくなりまして、それから新しい五年が入ってまいります。その中で、例えば高齢化の見通しがどうなるだろうということは、人口推計が新たな推計も出ますので、そういうことで検討していくということだろうというふうに思っています。
 そういう検討を検証しながら、これは多分両面がございまして、例えば出生の状況が改善がされれば、私どもの保険料と給付の水準で申し上げれば、五〇・二%から給付水準が少し上がるだろうという形になってまいります。それから、仮に出生の状況が悪くなるということであれば少しマイナスになってくるという。こういうものを見ながら、標準型で申し上げますと二〇二三年というときが五〇・二%の状態でございますので、給付水準として五〇%を達成できるかというのをウオッチングしていくということがこの作業になってくるだろうというふうに思っています。そういう作業をずっと五年ごとに積み重ねながら、常に百年先を見まして、基礎年金の国庫負担二分の一とそれから保険料の一八・三%、それから給付水準の厚生年金の新裁のモデルで五〇%と、こういう目標を達成できるかどうかということをずっと見ていくということになってくるだろうと思っています。
#319
○大門実紀史君 これは口頭で説明してもらうと分かりにくい話なんですけれども、要するに、資料Cですけれども、これはもう極端に、局長おっしゃられたとおり五年ごとに計算をしていくわけですけれども、五年ごとに九十五年間を考えていくと、これずれていくといいますか、五年後は次の九十五年を考えると、こういう、これが財政均衡期間の移動ということです。
 つまり、この厚労省のパンフレットのように二一〇〇年までにずっと取り崩していきますよと。例えば、五年後、たてば二一〇〇年の一年分に向かってまた取り崩していきますよ、二〇一〇年には、ゴールは二一〇〇年で取り崩していきますよ、これじゃないんですよね。ゴールは、ゴールも先に行くというのがこの財政均衡期間の移動なわけです。
 だから、非常に、普通の方はこの厚生労働省のパンフあるいは公明新聞で書かれているようなこういうのを見て、二一〇〇年までに二〇五〇年から、そうですね、五十年掛けて約数年分取り崩していくんだなと、みんなこれがインプットされているわけです。ところが、そうではなくて、今局長言われたとおり、これは一つの九十五年スパンで均衡を図っていく考え方であって、それが移動していくということであって、二一〇〇年までにこうやって取り崩しますと、この計画は今回の時点だけで言っているだけで、ずれていくということなんですね、財政均衡期間というのは。
 それで、御用意しましたこのパネル、資料は、五年ごとにこれを書くと非常に複雑に、ばあっともう見て分からなくなりますので、ちょっと極端かも分かりませんが、四十年後どうなるかと、積立金どうなるかと。もちろん、これはイメージ図でありますから、そのときの人口とか何かでこのラインに出っ込み引っ込みはあるかとは思いますけれども、この赤いのが、これ今言われている二一〇〇年までの、厚生労働省が出している二一〇〇年までにこうしますと言っている案です。
 ところが、先ほど申し上げましたように、五年ごとにこれがずっとずれていきます。ずっとずれていきます。例えば二〇四五年、四十年後とすると、そのときのカーブは、積立金のカーブはこうなります。絶えず九十五年先に一年分ということを考えますから、こうずれていくわけですね。そうしますと、もう四十年後で考えると、二一〇〇年なんか給付の一年分じゃなくて何年分の積み上げにもなっている可能性があるということです。これはもう少し手前でも同じですけれども、だんだんだんだんずれていって、二一〇〇年というのは一年分じゃない、積み上がっていくと。絶えず九十五年先が一年分で、しかもそれは五年ごとに先に考えていくということになるわけですね。
 この財政均衡期間の移動、こういう理解で、これは厚生労働省に確認して作っておりますけれども、いいわけですね。
#320
○政府参考人(吉武民樹君) 観念的にはこういうことがありますが、これをごらんをいただきますと、その二〇五〇年前後から二一〇〇年まで相当大きな積立金を持つという状態になってまいります。
 それで、今回の制度改正の調整で申し上げますと、二〇二〇年から二〇二五年ぐらいまでは出生の動向が、低位推計であろうが中位推計であろうが高位推計であろうが、余り変わらないであろうというふうに想定をされます。
 といいますのは、今ゼロ歳あるいは今一歳の方が二十年後に社会に出、支え手になられるわけですので、ここまではほぼ確定をいたしておりますから、これから二十年ぐらいの日本の生産年齢人口という意味ではほぼ確定をいたしております。人口の低位推計あるいは高位推計というところはそれから始まるわけでございますので、それから、二〇二〇年ぐらいから四十年ぐらい掛けて日本の経済社会全体の構造変動が始まるという形がございます。その時点で高い積立金を持てるということは、保険料率が一八・三%、それから基礎年金の国庫負担が二分の一でございますので、積立金をたくさん持てるということはどういうことが想定できるかというふうに申し上げますと、一つは出生が非常に改善をする、ですからむしろ高位推計の方に移行する、あるいはもう一つは経済が非常に高い成長を保つということだろうと思います。そういう前提であれば先生がおっしゃるような状態はあり得ますが、それは逆に申し上げますと、一八・三%の保険料で相当高い給付を実現することが可能だという事態になってまいります。そこはしかし、果たして一八・三%の保険料とその高い給付と、何を選択するかという御議論がまた出てくるだろうというふうに思っています。
 ですから、このケースで申し上げれば、日本の経済社会が人口構造あるいは経済といいますか、そういう全体で非常に発展をし、安定した状態になっていくという場合にはこういうこともあり得るだろうというふうに思います。
#321
○大門実紀史君 今日は時間がなくなったのでその中身には入りませんけれども、この財政均衡期間の考え方、あるいは二一〇〇年までに取り崩すというこの今回の打ち出されたものが相当誤解をされておりますので。とにかく二一〇〇年計画だと、九十五年計画で、十年後には同じくゴールは二一〇〇年の一年分と。だんだんだんだんそれに向かって、普通そうですね、百年計画と言うとみんなそう思います。移動すると。私から言わせればレトリックだなと思いますけれども、移動していくというところからいくと、こういうふうにはならない、こういう宣伝は正確ではないということを指摘しているわけで、これは厚生労働省も考え方はそういうことですと言ってお認めになっていることです。
 ですから、申し上げたいのは、五十年掛けて積み上げて、五十年先から取り崩すというのも、かなりカーブがどうなるか分からない、どうなるか分からない。これずっとずれていったら、私は、永久均衡方式と何も変わらないということにもなるわけですね。そういうものであると。ですから、そんなに胸張って、積立金取り崩しますというふうなこと打ち出されているわけではないということを指摘しておきたいと思います。
 もう一つ、時間がなくなりましたのでお聞きいたしますけれども、国民年金の免除申請者の追納問題です。
 これは、今現在、国民年金には保険料の免除を受ける仕組みがありまして、法定免除、申請免除というのがあります。時間がないんで私の方で簡単に説明しますが、法定免除というのは障害年金を受給している方あるいは生活保護の方、申請免除というのは低所得者の方あるいは学生、こういう免除制度があります。今、百四十四万人ぐらいですかね、免除申請者があると。
 こういう方々が、後で生活が改善したり、あるいは学生さんが就職を決まったりして、免除してもらった国民年金を追納といいますか、事後納付する場合のことについて伺いたいと思います。
 今、加算金が、先ほどもちょっとありましたけれども、付きます。現在四%の加算金というふうになっておりまして、これは複利計算ですから、十年間免除申請できまして、十年前の追納ができるということになりますと、これ四%で複利計算ですから、十年前については四四・九%の金利が付くと。例えば、十年前の国民年金保険料一万一千百円、これを納めようとしますと、一万六千八十円の金額になってしまうと。これ年間にすると相当の金額になります。
 こういうことがなかなか、後で生活改善したり、学生さんが就職しても、若いうち今給料低いですから、追納をしようと、納めようというのに今ネックになっているというふうに思います。この点について、私は改善をしないと追納というのは進まないと思いますが、いかが思われますか。
#322
○政府参考人(吉武民樹君) 保険料を所得が低いために免除申請をされまして、この方々がその後十年間のうちに追納できるという制度は元々ございまして、昭和六十一年の改正前は、この方々については保険料の言わば元金分だけを納めていただくという仕組みで実施をいたしております。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 ただ、先ほど来申し上げておりますが、保険料が段階的に引き上げられる状態になっておりますし、全体の財政の安定、それから制度の維持のためにはそれは必要だという時代になってきておりますので、十年前の保険料ですとその時点の保険料に比べて相当低い状態になってしまうということで、今おっしゃられました五・五%あるいは四・四%という形での言わば加算率を設定をいたしておりますが、一方で、できるだけ追納していただきまして年金の給付を増やしていただくということも非常に大事でございますので、そういうことも含めまして、今後この利率については検討してまいりたいというふうに思っています。できましたら、少し低めの設定ができるようによく検討してまいりたいというふうに思っております。
#323
○大門実紀史君 それは要するに、その加算金、利息引き下げるということですけれども、これはいつから引き下げられるんですか、どれぐらいの程度に引き下げられるか、簡潔に答えてください。
#324
○政府参考人(吉武民樹君) 時期はまだ確定をいたしておりませんが、制度改正が行われまして、その後、改定をする時期からその将来の部分につきましての利率を引き下げていただく。その前の部分につきまして引下げを行いますと、既にこれを払っていただいた方との均衡の問題が生じますので、基本的には、将来に向けて負担を軽減していくという考えで検討してまいりたいというふうに思っております。
#325
○大門実紀史君 今言われておりますのが、まだ確定していないということですけれども、平成十七年四月からで国債の短期国債程度ですかね、一%前後に引き下げるという案が議論されているというのをお聞きいたしましたけれども、今おっしゃったとおり、これはこれからだと、十七年四月からにしろ何にしろ。
 過去の人たちは五・五%、四%のままだということですけれども、これでは、過去の追納の方々が納めようと、ところが今高いと、ネックになっている、これは改善にならないと思いますが、これはどうされます。
#326
○政府参考人(吉武民樹君) ちょっと手元に数字がありませんので正確なところあれですが、毎年三十万人ぐらいの方だったろうと思いますが、追納していただいております。
 その追納されるのは、先ほど申しましたように、十年の以内で追納されることも自由意思でお決めになりますし、それから、そのうちのどこの部分を追納されるかというのも、何年間分追納されるかというのもその御自分の判断になりますので、そうしますと、ある方にとってはこれから追納される期間であっても、別の方にとっては既に追納された期間がございますので、そういうことのバランスから申し上げますと、やはりこの軽減は将来に向けて実施をいたしませんと、これまで追納していただいた方との間でアンバランスが生じるという、そういう問題がございますので、将来に向けて軽減していくということはやむを得ないものだろうと思っています。
#327
○大門実紀史君 これ社会保険庁へお聞きしましたら、今三十万人とか簡単に言われますけれども、十年前に免除された月数ですね、これを仮に百とすると、十年掛けて追納、後で納められた月数はわずか二・五か月、百に対して二・五か月と。だから相当、全体の二・五%しか追納されていないんです。やっぱり重くてネックになっていると。これは新聞報道でも投書がたくさん出ていますけれども、今日は省略しますが、解決しなきゃいけないというふうに思います。
 もう一つは、今回、国会議員の国民年金の未納問題から端を発して、さかのぼって、これ一般の方もさかのぼって事後納付できるようにできる、そういうことが与党案で検討されておりますけれども、これ私、考えてみますと、このときも加算金を取る、取らないと不公平が生じると。この加算金は、先ほど申し上げました現在の加算金、つまり生活が苦しくて免除されている人、学生で免除申請した人、こういう政府が認定をして免除をした人の加算金五・五%、四%と同じに、考え方としてですね、同じになってしまうんではないかと。
 実際、与党の自民党さんの中で今言われているのは、十年前だと一万六千円ですから、先ほど申し上げましたとおり、大体今の免除者の追納の加算金と同じことを考えているんじゃないかと思います。これだと、これだとですね、違うアンバランス、違う矛盾が出てきます。生活が苦しくて免除申請して、そういう方々と、今回の時限措置ですか、そういう特例で追納できるならやっちゃおうという人たちのアンバランスが、今度は逆の、次の別のアンバランスが出てくることになりますね。これやっぱりおかしいと思います。そう思いませんか。
 免除申請者、生活困窮者とか、そういう方々の追納の加算金と、今度出てくる案によると普通の方でも追納できると、この人たちの加算金が同じというのは、これは政策的にもおかしいというふうに思いますけれども、もう時間ないんで、もう一言で結構です、ちょっと答えてください。
   〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
#328
○政府参考人(吉武民樹君) 今、先生御質問にございました言わば六十一年までさかのぼるという点については与党等で御議論いただいているところでございますが、その一つの御議論の理由としまして、基礎年金番号が導入されることによりまして、例えば二十歳に到達した方につきましては、社会保険庁サイドで個別個別に通知を申し上げて、それであなたは第一号被保険者であるということを明示できるような形になっております。それから、例えばサラリーマンを辞めて自由業になられた方につきましても、基礎年金番号によって個別個別の御案内ができるようになっているという形でございます。
 そういうことも踏まえまして、個別個別の御案内ができなかった時代に加入はされなかった方、あるいはそういう方に対しましてどういうふうに考えるかということでございますので、おっしゃるとおり、追納の加算率はベースになると、御検討のベースになるだろうというふうに思いますが、しかしそれはそれとして、今回の特例措置を実施する理由なり事情といいますか、両方考えてバランスを取っていく必要があるだろうというふうに思います。
 追納の加算率だけを前提にして、こちらの方の言わば加算率といいますか、保険料額といいますか、これをもう非常に高く設定するというのもいかがかというふうに思っておりまして、両方の目的といいますか、目的を踏まえながら、それから現在の追納の加算率もよくベースにしながら検討していただく必要があるだろうと思っています。
#329
○大門実紀史君 おっしゃるとおりです。ですから、これから、普通の免除者じゃなくて、免除申請者じゃなくて、もしも与党案が通ったらですけれども、そういう考え方で、そういう普通の方の追納の場合、今の免除者の加算金より高くするわけにはいかないですよね、当然。これはおかしいですね、運用益から計算していますからね。
 そうすると、私申し上げたいのは、免除申請者の方々の加算金の率、五・五、四・四%というのは元々運用益をストレートに反映したものであって、政策的配慮がなされていない、その矛盾が今度のことによって明らかになってくるわけです。ですから、今おっしゃったとおり、両方のバランスを考えながらそういう案が出てきたら検討していくべきだと、そういう審議を与党の皆さんにもお願いしたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#330
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 まず、森副大臣に確認をいたします。
 未納の期間があると、四月十四日、衆議院厚生労働委員会の段階では知っていられたわけですね。
#331
○副大臣(森英介君) 知っておりました。
#332
○福島瑞穂君 森副大臣は、坂口大臣に対して何と自分の未納問題を報告を具体的にされましたか。
#333
○副大臣(森英介君) 最終的に、五月になってから報告を申し上げたときは、自分の事実経過に基づいて、労働政務次官のときに、要するにその経過を全部御報告をいたしました。
#334
○福島瑞穂君 坂口大臣の記者会見でも、四月十四日の段階で「森副大臣からまだ聞いておられなかったのですか、加入状況について。」ということに対し、大臣は答弁で、「未納問題を調べているということは聞いておりました。」、そう答弁されています。つまり、四月十四日の段階で森副大臣は未納があるということを知っている、四月十四日の段階で坂口大臣は調査中だということを聞いている。
 では、具体的に森さんが、四月十四日でしょうか、坂口さんに具体的に自分の未納問題をどう報告されたんでしょうか。
#335
○副大臣(森英介君) ですから、先ほど来申し上げておりますように、きちんと御認識いただけるように報告いたしましたのは五月に入ってからです。
#336
○福島瑞穂君 いや、違う、五月のことを聞いているのではありません。あなたの認識では報告をしたと思っていらっしゃるわけですね。報告をどういうふうに具体的にされたか教えてください。
#337
○副大臣(森英介君) よく覚えておりませんけれども、当時の認識では、もうとにかくいろんなことが次々と出てきて、そのさなかに、私もやっぱりそういう時期があったようですということを報告いたしました。報告をしたつもりでおりました。
#338
○福島瑞穂君 私は、そういう時期がありましたと報告をしたことが、なぜ調査中というふうになるのか分からないんですね。
#339
○副大臣(森英介君) ですから、今にして思えば、私の御報告の仕方が非常に、何というんですか、あいまいであったのかなということを反省しております。
#340
○福島瑞穂君 理解できないです。未納、そういう時期が私にもありましたということが非常にはっきりしていますよ。どこが明瞭ではないんでしょうか。
 これは、申し訳ないけれども、森さんが違うことを言っているか、坂口さんが違うことを言っているか、二つに一つです。事実は一つしかありません。森さん、どうですか。
#341
○副大臣(森英介君) ですから、私の報告の趣旨をうまくお伝えすることができなかったというふうに思っております。
#342
○福島瑞穂君 いや、納得がいきません。私もそういう時期がありましたということと未納であるかどうかを調査していますとは全然違うことですよ。普通、私にもそういう期間がありましたと言えば、坂口さん、跳び上がらなくちゃいけないですよ、これは。それがどうかというのは全く違います。納得がいきません。
#343
○副大臣(森英介君) ですから、恐らく、今から思いますに、多分私のことと受け止められなかったんじゃないかというふうに実は思っております。
#344
○福島瑞穂君 じゃ、だれのことなんでしょうか。
#345
○国務大臣(坂口力君) 二人の話でございますから私からも申し上げたいというふうに思いますが、森副大臣からこの未納問題について調べているというふうに私はお聞きをしたというふうに思っておりましたが、森大臣はそのことを調べたというふうにおっしゃったというふうに言っておみえになりますけれども、先ほども申しましたとおり、それは正式にどこか場所を設けてそこで話を聞くということではなくて、委員会の席上の話でございますから、十分に私が意を介さなかったということもあるというふうに思いますが、それは質問が続行している最中のことでございましたから、十分に私が理解できなかったということもあり得るだろうというふうに思います。
#346
○福島瑞穂君 この四月十四日、厚生労働委員会は、閣僚の未納問題が確認をされ、森副大臣は現在国民年金を払っておりますと答えた重要な委員会です。そこで報告があれば、それはきちっと確認をすべきです。
 坂口大臣は記者会見で、四月十四日、その段階で、「未納問題を調べているということは聞いておりました。」と言っています。恐らく、だから四月十四日、坂口さんはそう聞いている。森さんはその段階で、自分にもそういう期間があったというふうに伝えたと。これはもうおかしいですよ、だれが聞いても。納得がいきません。
 次に、谷畑副大臣にお聞きをいたします。
 谷畑副大臣は、森副大臣と違って随分時期が遅れるんですが、なぜこの期間、調査をしなかったんでしょうか。
 私は、四月二十八日、菅さんの未納問題が発覚し、二十九日の連合メーデーに谷畑副大臣、菅さん、私、三人出席をしました。菅さんは、気の毒なことにそこでやじを飛ばされ、四苦八苦説明をしました。その場にいらしたわけですね。野党第一党の代表が未納問題で説明をしている、苦しんでいる。
 提案している政府そのものですよ、厚生労働副大臣。自分の未納がなぜ五月十日に調査をし、発表が五月十七日になるんですか。
#347
○副大臣(谷畑孝君) 五月の七日に安倍幹事長の発言ということの中で、国会議員の年金納付状況については各議員が社会保険庁に照会し、必要があればと、こういうことで、それに応じて私も社会保険庁に問い合わせをさせていただいたということであります。
 今からこの状況を振り返ってみますと、これ結果論としては、やはりもっと早く調べるべきであったと、そういうふうに悔やまれるわけでございます。
#348
○福島瑞穂君 大臣の未納問題が起きたのは四月十四日、福田さんがそれで辞め、菅さんが辞め、菅さんの未納問題が発覚したのは二十八日です。なぜそこで調べないのか。
 坂口大臣、森副大臣、谷畑大臣に、ちゃんと調べてください、そういうことはおっしゃったんですか。
#349
○国務大臣(坂口力君) 森副大臣とは委員会でもよく一緒になるものですから、森大臣には、どの機会だったか忘れましたけれども、申し上げたというふうに思っております。
 厚生関係は森副大臣にやっていただいておるものですから御一緒する機会がございましたけれども、谷畑大臣は労働担当なものでございますからなかなか御一緒になる機会がなかったものですから、谷畑大臣にそういうことは申し上げなかったわけでございますけれども、それぞれの立場でお調べをいただいているというふうに認識をいたしておりました。
#350
○福島瑞穂君 しかし、厚生労働副大臣であることには間違いがありません。なぜ五月十日まで調べないのかというのが実は全く理解ができません。
 本日というか、これまで問題になったのは、本当に申し訳ないけれども、森副大臣はかなり早い段階から知っていたのに、なぜそれを衆議院の強行採決以降に発表したのか、隠していたんじゃないか、なぜ言わなかったのかということが問題になっています。今日改めて、坂口大臣にいつきちっと伝えたのかということも、本当に真偽の問題として問われています。
 谷畑副大臣の方は、全くそれらと無関係に調べもしなかったと、五月十日まで、そこがやっぱり、もしかしたらより無責任であるとも考えられますが、いかがですか。
#351
○副大臣(谷畑孝君) おっしゃれば、振り返ってみますと、もう少し早く調査をすべきであったということをつくづく思いますけれども、そう言われても致し方ないと、こう思っております。
#352
○福島瑞穂君 四月二十九日、菅さんが説明責任を尽くしているときに、自分は大丈夫かとか調べなくちゃいけないとは思わなかったんですか。あるいは、四月十四日、閣僚の未納問題が起き、菅さんが辞める前に実は福田さんが辞めているわけですが、自分が厚生労働副大臣として客観的に明らかにせねば、これは思わなかったんですか。
#353
○副大臣(谷畑孝君) 先ほど何回も申し上げていますように、今から振り返ってみますならば、早い時期に調査をすべきであったと、このように思っています。
#354
○福島瑞穂君 私はやはり極めて問題だと思います。厚生労働、ほかの省の副大臣ではありません。これを、この法案、年金改革法案を提案している厚生労働省の副大臣、五月十日まで、安倍幹事長に言われるまで調べない、どういう、やっぱりちょっと正直理解ができません。私はこの法案、もう責任持ってやれない、廃案にするか辞職をされるか、もうその二つしかないというふうに考えます。
 改めて坂口大臣にお聞きをします。任命権者として、今日二人の答弁を聞かれて、どうですか。(「任命権者は総理だ」と呼ぶ者あり)じゃ、大臣として。済みません。
#355
○国務大臣(坂口力君) 任命権者は総理でございますから総理の方が、私もそれは、私の任命も総理でございますし、この二人の任命も総理でございます。総理の方が、それぞれの立場は、過去の立場はあるけれども、しっかりと頑張ってやれと、こういうふうにおっしゃっているわけでございますから、その総理の命に従って私たちはその実務を遂行したいというふうに思っております。
#356
○福島瑞穂君 衆議院の厚生労働委員会で強行採決をされた後に、ずっと後になってこういう副大臣の未納問題が明らかになる、一人は言わなかった、一人は調べもしなかった、それは大きいというふうに思います。
 次に、年金の積立金の問題について申し上げます。
 年金積立金の管理運用がずさんだという事態が年金不信を増幅させています。グリーンピアの失敗は有名になりましたが、住宅融資などの事業も損失を生んでいます。
 坂口大臣、もう積立金の無駄遣いや大盤振る舞いは許されないと考えますが、端的にお聞きします。一円の流出もなく管理するという決意は変わりがないでしょうか。
#357
○国務大臣(坂口力君) 積立金がいかに大事か、そしてまた皆さん方から出していただきます保険料というものがいかに大事かということは私も身にしみて知っているつもりでございます。
 今後、ひとつこれらの問題を明確にして、皆さん方に信頼をしていただけるように、改善をするところは改善をし、改革をすべきところは改革をしたいと思っております。
#358
○福島瑞穂君 お手元の資料、済みません、日付が二十八になっていて、ちょっと申し訳ない、二十五に直してください。
 この年金放漫財政の失敗の後始末、これは厚生労働省年金局から聞いた数字を書き入れたものです。平成十七年度末までに年金住宅融資五兆三千二百億円、グリーンピア四百億円、財投金利、保証金九千億円、六兆二千六百億円財投へ一括清算。この間、六・二兆円、ここに積立金を取り崩すということなんですが、としています。百四十七兆円すべての管理運用に当たる年金積立金管理運用独立行政法人、以下新法人と言いますが、二〇〇六年春にスタートをすると。今回、年金改革法案のほかに出ている法案にのっとって新法人を作ると。その前にまとめてどんと六兆二千六百億円の積立金を取り崩す、こういうことが行われようとしています。
 大臣、この年金住宅融資は福祉医療機構に移行すると聞いております。これから時間を掛けて回収すると言われていますが、UFJですら不良債権四千億で大騒ぎをしています。頭取はたしか責任を取って辞められました。六・二兆円の年金積立金を取り崩して一括して払うと、この事実をどうしてこれまで説明してこなかったのでしょうか。
#359
○政府参考人(吉武民樹君) 今、先生お示しになりましたものでございますが、年金資金運用基金、その前の旧年金福祉事業団が行ってきましたグリーンピア、それから住宅等融資業務、これは資金運用部からの借入金により行ってきております。この借入金の償還でございますが、借り入れてから二十五年間で償還を行うという形でございまして、現行の計画のままでまいりますと平成三十六年度まで続くものでございます。その間、利子補給金など年金財政の負担が継続することになります。
 一方で、平成十七年度までにグリーンピアと住宅等融資業務は廃止することを決定をいたしておりまして、平成十八年度以降、これらの廃止した業務のために利子補給金等の年金財政からの負担を続けることはいかがかということでございまして、そういう意味で平成十七年度に事業廃止に合わせまして旧資金運用部からの長期借入金の一括償還を行うことといたしております。
 この償還を行いますので、その結果といたしまして住宅融資の融資債権につきましては独立行政法人福祉医療機構に移行をいたしますが、この福祉医療機構が取得した資金が、その先、利息分も含めまして毎年度年金特別会計へ納入されることというふうになります。
 それから、現実に、先生の図では約六兆三千億円というふうになっておりますが、年金資金運用基金が貸付先から既に回収した手持ち資金が一・七兆ございますので、正確には四・六兆でございます。この四・六兆を年金財政から支出をいたしまして、それから、先ほど申し上げました独立行政法人福祉医療機構が、利息分も含めまして毎年度年金特別会計へ元利金が入ってまいりますので、この合計が元本四・二兆、それから利息一・六兆というふうに推計をいたしておりまして、五・八兆の元利金を将来年金特別会計へ入れるという、そういう形でございます。
#360
○福島瑞穂君 済みません、六兆二千六百億円年金積立金から今回取り崩すのではなく、金額だけ言ってください、幾ら取り崩しますか。
#361
○政府参考人(吉武民樹君) 既に住宅融資につきましては、例えば繰上げ返済というような形で年金資金運用基金、現在のこの融資を行っておりますが、これが貸付先から既に回収をしております資金が一・七兆ございます。六兆三千億から一・七兆を引きますと四・六兆でございますので、今申し上げました既に回収した資金一・七兆と四・六兆、これを両方用いまして財政融資資金への償還を行うという考えでございます。
#362
○福島瑞穂君 いや、端的に、今回積立金から幾ら取り崩すのかということを答えてください。これは六兆二千六百億円ではないんですか。
#363
○政府参考人(吉武民樹君) これは平成十七年度に実施を予定いたしておりますので、その時点で確定をいたしますが、現時点で申し上げまして約四・六兆円でございます。
#364
○福島瑞穂君 この年金積立金を大きく取り崩す、今四兆六千億とおっしゃいましたが、四兆六千億、年金積立金を大きく取り崩すのは、今回初めてですか、過去に例がありますか。
#365
○政府参考人(吉武民樹君) 年金積立金を取り崩すということでございますが、現在、いわゆる従来の資金運用部、財政融資資金に従来の資金運用部資金として預けている資金が相当ございまして、毎年大体二十兆返還になってまいります。その二十兆のうちの四・六兆をこの財政融資資金への返還に充てるという形になってくるだろうというふうなことを考えておりまして、現実に例えば国債を保有しているもの、あるいは株式を保有しているものを市場で……
#366
○福島瑞穂君 年金積立金の取崩しが初めてかどうかを聞いているんです。
#367
○政府参考人(吉武民樹君) 年金積立金の取崩しについて申し上げれば、現在の厚生年金の収支状況を申し上げますと、基本的には、保険料収入、それから国庫負担、それから利子収入では給付をなかなか賄えない状態になっております。
#368
○福島瑞穂君 いや、違うんです、ごめんなさい。年金積立金の取崩しが、例があるか初めてかと聞いているんです。
#369
○政府参考人(吉武民樹君) 年金積立金の取崩し自体は、まだそういう状況になっておりませんが、今、足下の状態で申し上げますと……
#370
○福島瑞穂君 いや、違うんです。済みません、時間がもったいないので端的に答えてください。
 年金積立金を大きく取り崩すのは今回が初めてですね。イエスかノーで答えてくださって結構です。
#371
○政府参考人(吉武民樹君) 厚生年金は現在のところまだございません。ただ、国民年金は現実にございます。
#372
○福島瑞穂君 幾らぐらいですか。
#373
○政府参考人(吉武民樹君) 平成十四年度決算でございますが、四百八十五億でございます。ただ、それは年金積立金からは四百八十五億を補足しておりますが、別途剰余金がございまして、トータルとしては三百八十二億でございます。
#374
○福島瑞穂君 今まで国民年金のために三百八十二億取り崩した例はあると。
 ところで、先ほど掲げたこの六兆二千六百億円が、四兆実は八百、八千億とおっしゃいましたっけ──とおっしゃいましたが、これだけ多額の年金積立金を取り崩すというのは初めてなわけです。(資料提示)
 つまり、今回この独立行政法人を作るに当たり、年金の改革法案を打ち上げるのと同時に多額の積立金を取り崩してこれを充てるというものです。要するに、福祉医療機構にこの分の回収を頼むと、その代わりもう四兆二千、今、八千億はお金を付けると、そして取り崩すわけですね。
 私は、この事実、何兆円、五十二兆円しか税収がない段階で、この金額にはちょっと争いがありますが、四兆八千億円を取り崩していくということについて非常に驚きました。国民に対して、国会に対してきちっと説明をし、情報開示をすることが必要だと考えます。
 住宅融資で損失が具体的に出ていると。ですから、今度の年金改革とそれから独立行政法人化、どさくさに紛れて四兆八千億円を積立金から取り崩して入れると、国民はそのことを、多くの人は知らないと思うんですね。これだけ大切なことは法律のどこに書き込まれていますか。
#375
○政府参考人(吉武民樹君) 今回提案を申し上げております独立法人の、年金積立金管理運用独立行政法人法案の中に書いてございます。
 それから、先生のお尋ねでございますが、年金の住宅融資は転貸融資という形を取っております。元々これは被保険者あるいは事業主の方、主に被保険者でございますが、そのために実施をしようという形でございますので、例えば公益法人を被保険者が中心に作っていただいて、そこに年金福祉事業団から融資をいたしまして、それを直接いわゆるサラリーマンに融資をするという仕組みを取っております。
 そういう仕組みを取っておりますので、この転貸法人につきましては、銀行が転貸法人のその融資につきまして八〇%保証をいたしております。それから、年金福祉事業団に対しましては銀行が二〇%保証をいたしておりまして、ここは珍しい状態でございますが、金融機関が一〇〇%保証している領域でございます。したがいまして、この分野で申し上げますと、貸倒れが起きても最終的には金融界の負担で、実際に貸倒れは生じないという状態でございます。
 そういう意味で、私どもは、先ほど申し上げました転貸融資で、将来、貸付元本が約四・二兆円、それから利息は一・六兆円、合計約五・八兆円が将来年金特別会計に直接返ってくるということは相当確実性の高い問題だろうというふうに思っていまして、これまでもごく一部貸倒れは起きておりますけれども、基本的には貸倒れは起きていない状態でこの制度は運用をいたしております。
#376
○福島瑞穂君 逆ざやの問題、済みません、二つ。この保証金、この逆の問題がありまして、九千億円、約、これは戻ってこないですよね。つまり、どんなに頑張って将来回収をしても戻ってこない逆ざや問題、財投金利よりも安く住宅融資をしてきた歴史が生んだマイナス分があると。これは一兆三千億円とかも言われていますが、あと利子収入四千億円を加えても九千三百億円、ここの部分は積立金から消えると。
 それから、年金資金運用基金が公表している要リスク債権、これは千百十七億円あります。どう考えても一兆円は戻ってこないお金です。どさくさ紛れに独法化の前に不良債権を処理してしまえと、そういうふうに考えられますが、いかがですか。
#377
○政府参考人(吉武民樹君) この財投金利の九千億でございますが、通常で申し上げれば、先ほど申しましたように、繰上償還が起きまして、資金運用部に返還をいたしましたら、それで終わるわけでございます。
 しかし、財投機関と資金運用部あるいは財政融資資金の関係で申し上げますと、そういう繰上償還は基本的にはなかなか認められないという状態でございます。それはそのときの財政融資資金の金利の設定によるわけでございまして、この九千億を逆に、これは金利差を埋めるものでございますけれども、埋めない状態になりますと、今度は財政融資資金が赤字になってくるという問題があります。
 かつて、国鉄、JRの場合に、ごく特例的に繰上償還を認めまして保証金を徴収しないということがございましたけれども、基本的には、財政融資資金との関係では、その期間の利益、財政融資資金から申し上げますと、先ほど申し上げた二十五年で貸付けをやっておりますので、これを十年で返すということは、財政融資資金にとっては得べかりし利息が入ってこないという状態になりますので、そこの期間の利益を考えて設定するということでございまして、これは平成十七年の実際の金利の状況に応じて変動してまいります。
#378
○福島瑞穂君 変動ということは分かりますが、年金住宅融資、損失九千三百億円という新聞記事もありますが、先ほど申し上げたことから約一兆円、これは戻ってこないと考えてもよろしいですね。
#379
○政府参考人(吉武民樹君) 私どもが今申し上げましたこの全体のスキームで申し上げますと、基本的にはその資金フロー、資金フローで申し上げますと、貸付債権元本が四・二兆円、利息が一・六兆、五・八兆戻ってまいります。これに対しまして年金財政からの支出額は四・六兆でございます。資金フローだけで申し上げますと一・二兆でございますが、トータルで申し上げますと、四・六兆を資金運用部への償還に充てますので、その四・六兆は本来運用として収益を出すわけでございます。それをトータルで計算をいたしまして、基本的には損失がない状態で実施できるだろうというふうに考えております。
#380
○福島瑞穂君 今まで住宅の融資をやっていた部分を、今度の独法化の中で福祉、今までそういうことをやったこともない福祉医療機構に丸投げをすると。ですから、そこが何十年掛けて回収をするんですが、実際それぞれ都道府県で出していただきましたが、延滞率が高かったり、延滞残高も出ています。で、今回、少なくとも利ざやの分が一兆円近く損失としてあるわけです。今まで損ばかりしてきて、丸投げをして、しかも今回、約五兆円お金を付けて、持参金を付けてその住宅融資なども全部丸投げをすると。その中でどうしてこれがうまくいくのかというふうに思います。
 先ほど、ちょっと話が戻りますが、この附則、今度の独立行政法人の法案附則二条に、政府は、前項の規定による償還に要する資金として政令に定める額の出資金及び交付金の交付を行うものとするという条文が確かにあります。これが根拠条文ということでよろしいですか。
#381
○政府参考人(吉武民樹君) 今、先生がおっしゃいましたのが先ほど申しました四・六兆円の根拠規定になってまいります。
#382
○福島瑞穂君 ただ、この条文を見て、あ、これで、私は六・二兆円と思っていますが、四・六兆円、少なくともですよ、今の局長の答弁で、政府の答弁で四・六兆円積立金を取り崩すと。この条文一項入れただけで、附則、これで積立金四・六兆円取り崩すわけですね。四・六兆円って物すごいお金ですよ。
 で、銀行は責任を取ったりしますよ、最近は。ところが、だれも責任取っていないじゃないですか。今回独法化にするけれども、その前の年金資金運用基金一杯失敗をしてきて、だれか一人謝罪をしましたか。だれか一人でも本当に謝罪をしたでしょうか。だれか一人でも責任を取ったでしょうか。今回、どさくさに紛れて一条を入れて、これで積立金を取り崩す。納得がいきません。
#383
○政府参考人(吉武民樹君) 先ほど来御説明申し上げておりますが、トータルで申し上げますと、従来、資金運用部から財政融資資金を借りまして、それを被保険者住宅融資ということで転貸法人について貸付けを行っているわけでございます。
 これにつきまして、事業を廃止をいたしますので、資金運用部からの借入れを返済をいたしまして、その管理につきましては福祉医療機構が実施をするという形であります。銀行、金融機関の一〇〇%保証がございますので非常に担保性の高い債権でございまして、これを管理をいたしまして、そこから元本それから利息が返ってまいりますので、これを年金特別会計に毎年繰り入れるという形でございます。
 そういう意味で申し上げますと、年金特別会計から、ある意味で直接転貸融資債権を年金特別会計が持ってそれを管理するのと同じような効果を上げていくという形でございます。
#384
○福島瑞穂君 だって、現に今まで損しているじゃないですか。損失九千三百億円。これからもうかるという話を聞いても理解ができません。しかも、住宅金融公庫が一番、二番がこっちだったりするので、両方やっていたとしても本当に回収できるのか。しかも、先ほど言いましたが、年金資金運用基金が公表している要リスク債権も千百十七億円あります。
 つまり、今回、独法化に合わせて福祉医療機構にこれを丸投げして、グリーンピアは業務を廃止する、住宅等融資業務の部分については独立行政法人福祉医療機構に丸投げをして、でも、その際、四・六兆円積立金、今までやったことのない積立金を取り崩してやるわけですね。
 大臣にお聞きします。
 まず第一、国民への説明。積立金、今まで取り崩さない取り崩さない、国民の年金の保険料では本当にこれは取り崩してきませんでした、年金積立金。でも今回、住宅融資のことについては別の機構にこの部分丸投げするに当たって、年金積立金四兆六千億円、政府がおっしゃる、私は六・二兆円かとも思います、まあ、最低四兆六千億円もお金を取り崩すわけですね。第一、国民への説明は今まで一度もありませんでしたね。こんなふうにお金を使います、年金積立金四兆六千億、今回使わせていただきます、そんな説明は一度もありませんでした。それはいかがですか。
#385
○国務大臣(坂口力君) 先ほどから局長が答弁しておりますように、この金は返ってくるんですよね。ですから、一時それはお借りをするということはあるかもしれませんけれども、決してそれを無駄にするというわけではないというふうに思います。
 それから、特に年金住宅融資につきまして、これが始まりましたころは、何と申しますか、いわゆる銀行の住宅ローンというのはなかった時代でありまして、これは国会の中におきましても、やはり国民に還元をすべきだというので、これは与野党含めていろいろとこれは御意見があってできたものでございます。四百万人もの方が御利用をいただいているわけでありまして、しかしそれはもうかなり厳選されておりますので、私はこれは皆返還されるものというふうに、ほとんど返還されるものというふうに思っております。
 そういう過去の経緯もあるものですから、私は先ほどから先生の御意見聞きながら困ったなと。困ったなといいますのは、過去のそういう経緯の中で私生きてきたものですから、私もそのころは野党として、そしてその身を置きながら、こうしたことにも使うべきだということを言ってきた一人なものですから、まあ若干困ったなという思いで聞いていたところでございます。
#386
○福島瑞穂君 住宅融資をすべきだという問題と、コスト管理をしないで損失を出すということは全然別の問題です。
 グリーンピアも、それは当時政治家がやれやれと言ったとかいう話がありますが、冗談ではありません。今回、グリーンピアを全部廃止し、多額の借金が出てくる債務があります。それから、年金住宅融資も逆ざやの分、九千三百億円、そして要リスク債権が千百十七億円。もっと増えていくかもしれません。なぜなら、これから何十年掛けてお金を返してもらうという、このデフレの時代にお金を返してもらう、現に延滞が残ったり残高が出たりしている分もあります。
 どう考えても、その逆ざやの分の九千三百億円、要リスク債権と年金資金運用基金自身が公表しているのが千百十七億円、これ基金自身が発表しているんですね。一兆円は戻ってこない可能性がある。なぜ、今回、四兆六千億円、そのお金を払うのか。やはり一度も、一度も国会で、今回、年金積立金を四兆八千億円、六千億円崩すということを言ってこなかった。これは不良債権の前倒し処理ではないか。どさくさに紛れて処理をしてしまう、国民の共有財産、積立金を取り崩す責任、これはどうなんでしょうか。
 大臣、積立金を取り崩す責任、四兆円、まあ約五兆円ですが、年金積立金五兆円をこういうことのために使う、その責任はいかがでしょうか。
#387
○国務大臣(坂口力君) これは、年金住宅融資というのを行わなければこれはなかったものでございますから、これは過去の政策としてそういうことが導入をされた、それはもう紛れもない事実でございます。それに対しまして、それに対する返還というものは行わなければならない。しかしそれは、後でこれは返還されるものでございますから、そこは理解をしていただかないといけないというふうに思っております。
#388
○福島瑞穂君 私は今回の年金改革法案にも反対ですが、どんなことがあってもこの独立行政法人法案は成立させてはいけないと思います。百五十兆円のお金をここの独立行政法人が賄う。理事長と理事、一人の理事長が最終的に判断をする。日銀ほども組織が徹底をしておりません。百五十兆円のお金をこの独立行政法人が全部丸々投資機関として運用をしていく、そういうものです。しかも、どさくさに紛れて五兆円、年金積立金を取り崩して住宅融資の方に回す、別の福祉医療機構にそれを任せて見えないものとしてしまうと。
 今まで、株の運用の損失で約八兆円弱、グリーンピアの損失、目的外使用、たくさんあります。年金積立金のやみは大変深いと思います。看板を付け替える、今度で三回目ですかね、看板を付け替えて年金資金運用基金を年金積立金管理運用独立行政法人とし、しかも、今までと違って、百五十兆円、税収の三倍、これを理事長一人がやっていく。しかも、日銀と違って同意人事でも全くありません。
 こういう独立行政法人を作ることは、今まで運用がずさんであった分、任せられない、こういう法案には反対であるということを申し述べ、私の質問を終わります。
#389
○西川きよし君 西川でございます。よろしくお願いいたします。
 私が本日の最後の質問者になります。
 私の方からは、まず障害年金についてお伺いをいたしたいと思います。
 今回のこの法改正の中で、障害年金の改正についての目的から、まず坂口厚生労働大臣にお願いを申し上げます。
#390
○国務大臣(坂口力君) 障害年金につきまして、今回改正点を盛り込んでいるところでございます。
 現行制度におきましては、一階の基礎年金部分と二階の厚生年金の支給事由というものは原則として同じ事由とすることとされているところでございます。したがいまして、一階の基礎年金が障害基礎年金の場合、二階の厚生年金が老齢厚生年金や遺族厚生年金となる組合せは認められておりません、現在。若いころから障害基礎年金を受給した人は、六十五歳に達しました場合に、障害基礎年金をそのまま選択をするか、あるいは老齢基礎年金と老齢厚生年金の組合せを選択するかという、そういう仕組みになっているわけでございます。この結果、そのまま障害基礎年金を選択しました場合には、現役時代に納付してきました厚生年金保険料が給付に反映されないということになります。御自身で厚生年金にお入りになって、そしてそこで納めていただいた分というのが反映されないということになります。
 そこで、障害者が、障害基礎年金を受給しながらも働かれる皆さんがおみえでございます。被用者として長く働き続けた方が増えてくる、これから増えてくるだろうと思うんです。障害者の皆さん方も働く方が増えてまいりましたから、これからそういう方が増えてくると思いますが、障害を有しながら働いたことが年金制度上評価される仕組みを作らなければいけないというふうに思っておりまして、今回の改正では、老後においては障害基礎年金と老齢厚生年金の組合せの選択を可能にするということにさせていただいたわけでございます。
 それから、もう一つございまして、障害基礎年金の受給する、受ける要件といたしまして、本来は、初診日の属します月の前々月までの被保険者期間につきましては、三分の二以上の保険料納付済みの期間が必要とされておりました。現在、この納付要件の特例措置として、初診日の属する月の前々月までの一年間に未納がない場合でも障害基礎年金の受給を可能にする措置が平成十八年三月までの時限措置として適用されることと今なっております。
 今回、この措置につきまして、国民年金保険料の収納対策の観点を踏まえまして、更にこれを十年間延長するという部分もございます。しかし、一番主な部分は前段の部分でございます。
#391
○西川きよし君 ありがとうございました。
 今も本当に健常者と同じように、社会でこれからもどんどんとお仕事をしていただきたい。バリアフリー、ノーマライゼーション、大いに結構なことだと思います。
 そこで、障害を持つ方の中でも多くの方々がたくさんお仕事していらっしゃる、そういう現状で、そうした現状に制度として対応させていく、そういう点について私たちも、みんな多くの方々が理解を示していかなければいけないんですが、ただ、例えば一歳、二歳というような子供のころ、そしてまた二十歳前に病気などで障害を持った方が、その後医療を行う必要もなくなって、医療を行う必要もなくなって、そして就職をされて厚生年金に加入される場合、こういった方々もいらっしゃるわけですけれども、ところが何十年も経過した後にその障害が重くなりまして、このような場合、保険の原則からいたしますと、加入中の事故でないわけですから保障もないんだろうというふうに思うわけですね。
 ただ、そこは社会保険、そして広く社会で助け合うという意味から考えますと、実際の運用上は配慮が必要でしょうし、またそうした対応が取られていることも承知をいたしておるわけですけれども、ただ、その認定の基準が非常に複雑でございまして、差もあれば、専門家であっても判断が難しい、そういったお話もよく聞きますし、お便りもちょうだいするわけですけれども、この点はできる限り客観的に判断ができるような基準を示していただく必要があるというふうに思います。
 そこで、昨年大変、大臣そしてまた政府側の皆さん方も、いろいろと僕も質問をさせていただいた中で、ちょっと行き違い、ぐちゃぐちゃになった場面がございまして、昨年の十月ですか、当委員会でポストポリオ症候群と障害年金の関係について御質問をさせていただきました。
 その際、新聞報道にありました実例に基づいてお伺いを申し上げたわけですけれども、本日は、改めてどういった実例であったのかをまず御説明いただいてから御質問を続けたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
#392
○政府参考人(薄井康紀君) お答えを申し上げます。
 お尋ねの件は、昨年の十月に先生から御質問いただいた件でございますけれども、生後六か月のときに罹患をされましたポリオに起因いたします両下肢の機能障害につきまして、これ、四十八歳になってから障害になったということで、障害厚生年金の裁定請求があった事例でございます。
 これにつきましては、厚生年金保険の被保険者であった間に発した傷病には該当しないという理由で、これは障害厚生年金の方は不支給ということになりまして、逆に、二十歳前の傷病によります障害基礎年金の支給を決定したと、こういう事例でございます。
 御本人様の方がこれを不服といたしまして、障害厚生年金の支給を求めまして、審査請求、更に再審査請求を行われているものでございまして、再審査請求につきましては今年の三月十一日に社会保険審査会におきまして公開審理が行われたと承知をいたしておりまして、現在、社会保険審査会におきまして裁決に向けまして審査中であると承知をいたしております。
#393
○西川きよし君 ありがとうございます。
 この事例につきましてですが、昨年質問をしたことを今御説明いただいたわけですけれども、保険の審査会に再審査請求中ということでありまして、三月に、今答弁にもございましたけれども、公開の審理が行われました。その際の審理におきまして、例えばどういった点が争点になったのか、御答弁をよろしくお願いします。
#394
○政府参考人(薄井康紀君) この事案につきましては、両下肢の機能障害の初診日を医学的に見て幼少期のポリオ罹患時にするべきかどうか、それからもう一つは社会的治癒に該当するか否か、この二つが争点になったと承知をいたしております。
 今御説明申し上げましたけれども、両下肢機能障害の初診日を幼少期のポリオ罹患時とした場合には、現在出ておりますように二十歳前の障害基礎年金の支給対象ということになってまいりますし、一方で社会的治癒の概念というふうなものに該当するということでこの両下肢機能障害の初診日が厚生年金保険の被保険者期間中であるということになりますれば、これは障害厚生年金の支給対象になるということになろうかと思います。
#395
○西川きよし君 やはりこの案件で一番難しい社会的治癒、大臣も去年の十月、大変ちょっと西川さんややこしいですねというふうなお話もお伺いしましたが、この社会的治癒に該当するか否かということでございまして、ここが大きな争点であるということでございますけれども。
 つまり、たとえ厚生年金加入期間中に初診日がない場合であったといたしましても、この社会的治癒と認められますと、障害厚生年金の給付が受けられる場合があると。しかし、先ほど来申しておりますように、この社会的治癒という概念の整理が不十分で、専門家においてもその判断が非常に難しい。この部分で大臣も大変頭を悩まされておられました。その判断が非常に難しい状況にあるのではないかなというふうに僕自身も思うわけですけれども。
 改めて、この社会的治癒の定義というのを是非お伺いしたいんですが、その前に、ここだけ読ませていただきたいと思うんですが、医学的な治癒に至っていない場合でも、その医療を行う必要がなくなりまして社会復帰している状態を社会的治癒ということで治癒と同様の状態と認めまして、その後、病状が著しく悪化した再発の時点を初診日として取り扱うという取扱いをするケースがございます、このような社会的治癒に関しましては、という大変難しいわけですけれども、質疑に答える形では昭和四十二年に通知等で示してあるというふうに、今この資料を読ませていただきましても、ここではなかなか御理解していただける方が本当に難しいと思うんですけれども、改めて運営部長に社会的治癒の定義の御説明をよろしくお願い申し上げます。
#396
○政府参考人(薄井康紀君) 繰り返しになりますけれども、障害年金につきましては、初診日の時点で厚生年金、国民年金、どちらの被保険者であるかということによりまして受給できるかどうかといったことが異なってまいります。
 初診日につきましては、その障害の原因となった疾病又は負傷及びこれらに起因する傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日とすることが、これが原則でございますけれども、個別のケースにつきましては、医学的な治癒に至っていない場合でも医療を行う必要がなくなって社会的復帰している状態、これを社会的治癒といたしまして医学的治癒と同様の状態と認めまして、その後、症状が悪化した再発時点の初診日、再発初診日を初診日として取り扱うと、こういうことがあるということでございます。
 今も要件として申し上げましたけれども、治療を行う必要がなくなって社会復帰している、この状態が相当期間経過している、この二つが言わば要件ということになるわけでございますけれども、いろんな傷病がございます。それぞれにつきまして私も専門家の意見も何人か聞いてみましたけれども、なかなか判定が難しい部分があるというのが正直言って実態でございますが、こういうふうな概念を使って、社会的治癒の概念を使って障害認定をするということが現実、実務として行っているというのもまた実態でございます。
#397
○西川きよし君 ありがとうございました。
 それで、その医療を行う必要がなくという部分がございますんですが、この医療を行う必要がなくという部分の具体的な目安と申しましょうか、この部分を是非お伺いしたいなと思うんですが。
#398
○政府参考人(薄井康紀君) これも個別のケースによりまして異なりますために、なかなか具体的に申し上げることは難しい部分があるわけでございます。相当期間と申します場合に、実務上は、一つの目安といたしましては五年程度経過をしている場合に相当期間経過したという取扱いがあるわけでございますけれども、しかし一方で個別ケースということでございますので、五年を経過していれば一律にこれは社会的治癒になると、こういうものでもないということを御理解をいただきたいと思います。
#399
○西川きよし君 ありがとうございます。
 その五年以上という、今五年というお言葉が出ましたが、二十年も三十年も例えば病院に行く必要、つまり治療の必要もないと、しかも、社会復帰と申しましょうか、通常の仕事をされておられまして生活を営んでおられる、そういったケースも多々ございます。そういったケースでも社会的治癒が認められないケースというのは、どこの部分がどう違うのかというのも、これは運営部長、いかがでしょう。
#400
○政府参考人(薄井康紀君) 繰り返しになりますが、初診日につきましては、原因となりました疾病、負傷、これらに起因する傷病、疾病について初めて診療を受けた日というのがまず原則であるということでございます。
 先ほどの事例で申し上げますと、これは私どもの原処分におきます判断ということになるわけでございますけれども、ポリオ後症候群、いわゆるポストポリオは、幼少期に罹患をされましたポリオについては、その後、ポリオについての治療の必要はなくなったわけでございますけれども、ポリオを起因とする障害というものは残っておられまして、その障害を原因とする障害であって、ポリオに罹患しなければポストポリオのこの症候群は起こらなかったということで、これは医学的に相当因果関係があると判断されましたために、初診日を幼少期のポリオ罹患時ということで社会的治癒が認められなかった、こういうことで裁定が行われたと、こういう事例でございます。
#401
○西川きよし君 本当に、運営部長にはかなり分かりやすく御説明をいただいているんですが、本当に複雑な基準だと思います。
 例えば、これまでに裁定請求の段階あるいは社会保険審査官の審査請求の段階で社会的治癒が認められたケースでございますが、これは一体あるのでしょうか。あるとすれば、過去どれくらいあったのでしょうか、御答弁願います。
#402
○政府参考人(薄井康紀君) こういうふうなことが認められるのは、原処分の段階、それから社会保険審査官への審査請求の段階、さらに社会保険審査会の再審査請求の段階と、三つのステップがあろうかと思います。
 それで、原処分とかあるいは審査官への審査請求の段階で社会的治癒が認められた事例、これにつきましてそういうふうな事例があるということは承知をいたしており、私も今手元に幾つか事例は持っておりますけれども、毎年、障害基礎年金で七万件強、それから障害厚生年金で三万件弱と、十万件ほどの裁定がある中で、こういうふうな社会的治癒ということだけを取り上げて集計をいたしておりませんので、ちょっと今直ちにその数を申し上げることは難しいということを御理解をいただきたいと思います。
 また、社会保険審査会の方でも、これも統計的な数字は今持っておりませんけれども、社会的治癒を認めていわゆる原処分を覆した事例があるということは承知をいたしております。
#403
○西川きよし君 ありがとうございます。
 トータル十万件ということで個別には把握をしていないということですけれども、スリーステップ、十万件、大変です。
 そして、今も御答弁をお伺いいたしましても、なかなか私たち素人では本当に判断が難しい。分からないということよりも、実際には本当に現場の皆さん方も判断が大変だろうと思います。確かに社会的治癒に該当するのかどうかということの判断は非常に難しい部分は多々あると思います。
 それから、一つの大きな問題と申しましょうか、社会的治癒を厳格にした場合、確かに場合によっては不利になる場合もありますし、この点は、前回の大臣の御答弁にもありましたように、是非整理をしていただきたいというふうに思います。
 最後に大臣にお伺いするとして、まず社会保険庁の御答弁をお願いします。
#404
○政府参考人(薄井康紀君) 今御質問にございましたように、社会的治癒につきましては、ポストポリオについて申し上げますと、これは、ポリオとポストポリオというのを同一の傷病と見るべきか否か、これもいろいろと専門家の中でも御意見があるようでございます。それから、初診日のとらまえ方をどうするか、相当因果関係のある傷病の初診日の取扱いをどう考えていくのかと、こういったこと。それから、社会的治癒、先ほど来御質問にございますように、必ずしも明確な基準があるわけではないと、こういう御指摘もございます。
 こういった事ごとにつきまして、これは単にペーパーの上だけで整理が付くということではなくて、医学の専門家なりの御意見も聞きながら整理をすることが必要であると考えております。
 私どもといたしましては、昨年御質問をいただいて以降、何人かの専門家の意見を聞くということを始めてはおりますけれども、今後、社会保険審査会での裁決例など、あるいは社会的治癒の具体的な実例、こういったことも分析しながら、それから外部の専門家の意見等もいただきながら、概念について改めて整理をする必要があると考えているところでございます。
#405
○西川きよし君 ありがとうございました。
 今御答弁の中にもございましたけれども、本当にペーパーだけで、机上の上だけで、また専門家でもなかなか難しい問題でありますが、そこのところをどうぞひとつよろしくお願い申し上げたいわけですけれども。
 それでは、最後の質問にしたいと思います。坂口大臣、よろしくお願いいたします。
 この社会的治癒について、その趣旨として、認定について、今質問をさせていただいて、運営部長さんの御答弁もお聞きいただきまして、全国の社会保険事務局、そして社会保険事務所に対して通知等々を出していただくなり、この周知の徹底を大臣のお力でもって本当に全国に働き掛けていただきたいと思います。悩み、苦しみ、本当に声なき声と申しましょうか、弱い立場の人のために是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 この周知の徹底をお伺いして、最後の質問にいたします。よろしくお願いします。
#406
○国務大臣(坂口力君) 前回にもこのお話、お伺いをいたしました。全国に周知徹底をいたします前に、この社会的治癒ということの概念をもう少し具体的にやっぱり決めないといけませんね。余り時間を掛けるつもりございません。あと、そうですね、三か月か四か月、三、四か月ちょっとちょうだいをして、そしてここを整理をさせていただいた上で周知徹底をしないと、これは出先は混乱すると思います。その人その人によりまして、これはもう社会的治癒があって、別途のこれは病気だというふうに思う人とそうでない人と私は出てくるというふうに思いますので、ここはもう少し、単なる概念としての社会的治癒というものをより具体的にちょっと示さないといけないというふうに思いますから、そこを整理をさせていただきます。
 例えば、小さいときにポリオにかかって、それで、若いときにはそれほど問題はないというふうに思っておりましても、例えば片方の手足の筋力が若干弱かったというようなケースはあると思います。そのとき、若いときはどうもなかったけれども、高齢化に合わせてそこがまた非常に輪を掛けて悪化してくるということがあり得るわけであります。そのときに、それはポリオのためというふうに見るのか、それともこれは新しい障害というふうにとらえるのか、それは難しい点ございますから、その点のところをちょっと整理をさせていただいて、何が何でもこれはもう元の病気だから駄目だということではなくて、そこは割り切りをちゃんとして、障害のある皆さん方にはそれに対してお報いができるようにしていくということも大事というふうに思います。
 必ずここ整理をいたしまして、おこたえをしたいというふうに思います。
#407
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#408
○委員長(国井正幸君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後六時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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