2004/03/11 第159回国会 参議院
参議院会議録情報 第159回国会 財政金融委員会 第3号
#1
第159回国会 財政金融委員会 第3号平成十六年三月十一日(木曜日)
正午開会
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出席者は左のとおり。
委員長 平野 貞夫君
理 事
入澤 肇君
野上浩太郎君
森山 裕君
大塚 耕平君
続 訓弘君
委 員
尾辻 秀久君
清水 達雄君
田村耕太郎君
西田 吉宏君
林 芳正君
山下 英利君
若林 正俊君
大渕 絹子君
平野 達男君
円 より子君
峰崎 直樹君
山根 隆治君
山口那津男君
池田 幹幸君
大門実紀史君
椎名 素夫君
国務大臣
財務大臣 谷垣 禎一君
国務大臣
(内閣府特命担
当大臣(金融)
) 竹中 平蔵君
副大臣
内閣府副大臣 伊藤 達也君
財務副大臣 石井 啓一君
事務局側
常任委員会専門
員 石田 祐幸君
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本日の会議に付した案件
○財政及び金融等に関する調査
(財政政策等の基本施策に関する件)
(金融行政に関する件)
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#2
○委員長(平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。財政及び金融等に関する調査を議題といたします。
財政政策等の基本施策について、谷垣財務大臣から所信を聴取いたします。谷垣財務大臣。
#3
○国務大臣(谷垣禎一君) 今後の財政政策等の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説において所信を申し述べたところでございますが、本委員会において重ねて、所信の一端として、今後取り組むべき課題等について申し述べます。委員各位の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。第一の課題は、財政構造改革であります。
我が国の財政状況は、平成十六年度末の公債残高が四百八十三兆円程度に達する見込みであるなど、世界の先進国の中でも最悪の水準となっております。このため、政府としては、中長期的な財政運営に当たり、二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支黒字化を目指すとの目標達成に向け努力しているところであります。
こうした中、平成十六年度予算編成につきましては、引き続き歳出改革路線を堅持し、一般会計歳出及び一般歳出について、実質的に前年度の水準以下に抑制しました。
一方、予算の内容につきましては、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三等を踏まえ、例えば、科学技術や治安対策など、活力ある社会、経済の実現や国民の安心の確保に資する分野に重点的に配分したほか、各分野においても真に必要な施策への絞り込みを行い、めり張りのある予算の配分を実現しました。また、国と地方の改革、年金改革などの重要課題に着実に取り組むとともに、予算編成過程について、モデル事業や政策群といった手法の導入、予算執行調査の拡充を行ったほか、特別会計については、すべての特別会計を対象として幅広い見地から検討を行い、事務事業の見直し等を進めております。
こうした歳出改革へ向けた努力を通じ、国債発行額を極力抑制したところであり、その結果、公債依存度は前年度と同水準の四四・六%となっております。
このように、来年度予算については、私としては、基礎的財政収支の黒字化に向けて一つの手掛かりとなるものと考えておりますが、財政が危機的状況にあることに変わりはありません。今後とも、手綱を緩めることなく、財政構造改革に向けた不断の努力を重ねてまいりたいと考えております。
なお、こうした財政構造改革の推進により、国債に対する信認を確保しつつ、中長期的な調達コストの抑制、確実かつ円滑な国債の消化を図るため、市場のニーズや動向等を十分に踏まえ、国債管理政策を適切に運営してまいります。
第二の課題は、税制改革であります。
平成十六年度においても、持続的な経済社会の活性化に向け、広範な改革を実現した平成十五年度改正の結果として、国、地方合わせて実質一兆五千億円の減税となります。平成十六年度改正においては、引き続き、経済活性化に向けた動きをより確かなものとするための改正を行います。
具体的には、景気動向と住宅政策の両面に配意し、住宅ローン減税を見直した上で延長するほか、個人資産の活用を促進するため、土地譲渡益課税の税率を引き下げるとともに、公募株式投資信託の譲渡益課税を上場株式並みに軽減することとしております。また、創造的な企業活動と中小企業を支援するため、エンゼル税制の対象となるベンチャー企業の拡大、事業承継の円滑化に資する措置の拡充を始めとする中小企業関連税制の見直しを行うこととしております。
さらに、金融、産業の構造改革を促進するため、欠損金の繰越期間の延長など、法人税制の見直しを行うほか、国際的な投資交流を促進するため、日米租税条約の全面改正に関連する国内法令の見直しを行うこととしております。
このほか、世代間、高齢者間の公平を確保する観点から、公的年金等控除の見直しや老年者控除の廃止など、年金税制の見直しを行うこととしております。
今後とも、持続可能な社会保障制度の確立、地方分権の推進といった諸課題に対応し、公正で活力ある経済社会を実現するため、先般の与党税制改正大綱を踏まえ、改革の明確な道筋を示しつつ、税制の抜本的改革を進めてまいります。
第三の課題は、世界経済の安定と発展への貢献であります。
我が国は、国際機関やG7、アジア諸国等と協力しつつ、国際金融システムの強化や開発途上国の経済社会の発展等の課題に取り組んでまいります。また、アジアにおける通貨、金融の安定化に向けて、アジア債券市場育成イニシアチブ等の取組を通じて一層の貢献を行ってまいります。
為替相場につきましては、経済の基礎的条件を反映して安定的に推移することが重要であり、今後とも、為替相場の動向を注視し、必要に応じて適切に対処してまいる所存であります。
WTO新ラウンド交渉に引き続き積極的に取り組むとともに、メキシコ、韓国、ASEAN諸国等との自由貿易協定を含む経済連携を積極的に推進してまいります。
平成十六年度関税改正においては、知的財産権侵害物品に係る認定手続の充実、税関における水際取締りの強化等を行います。
次に、今国会に提出しております平成十六年度予算の大要について御説明いたします。
歳出面については、一般歳出の規模は四十七兆六千三百二十億円、一般会計全体の予算規模は八十二兆千百九億円となっております。
歳入面については、租税等は、平成十六年度税制改正を織り込み、四十一兆七千四百七十億円を見込んでおります。また、その他収入は三兆七千七百三十九億円を見込んでおります。
これらの結果、公債発行予定額は三十六兆五千九百億円となっております。
財政投融資計画については、財投改革の趣旨を踏まえ、中小企業対策などセーフティーネットの構築等、真に必要な資金需要には的確に対応しつつ、対象事業の一層の重点化を図ることといたしました。この結果、平成十六年度財政投融資計画の規模は二十兆四千八百九十四億円となり、前年度当初計画に対し一二・五%の減少となっております。
最後に、今国会に提出しております財務省の法律案について御説明いたします。
第一に、平成十六年度における公債の発行の特例措置及び年金事業等の事務費に係る国の負担の特例措置を定める平成十六年度の財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案でございます。
第二に、先ほど御説明いたしました平成十六年度税制改正における諸措置を盛り込んだ所得税法等の一部を改正する法律案でございます。
第三に、平成十六年三月三十一日に到来する暫定税率の適用期限の延長のほか、知的財産権侵害物品に係る認定手続の充実等を内容とする関税定率法等の一部を改正する法律案でございます。
第四に、国家公務員共済組合の長期給付に関し、地方公務員共済組合との財政単位の一元化を図るための措置を定めるほか、厚生年金保険法の改正措置を踏まえた所要の改正を行うための国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案でございます。
今後、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
なお、平成十五年度補正予算関連として提出しておりました二本の法律案につきましては、御審議の上、二月九日に可決、成立させていただいております。ここに厚く御礼申し上げます。
以上、財政政策等に関する私の所信の一端を申し述べました。今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存でございますので、平野委員長を始め委員各位におかれましては、何とぞよろしくお願い申し上げます。
ありがとうございました。
#4
○委員長(平野貞夫君) 次に、金融行政について、竹中内閣府特命担当大臣から所信を聴取いたします。竹中内閣府特命担当大臣。#5
○国務大臣(竹中平蔵君) 金融担当大臣の竹中でございます。引き続きよろしくお願い申し上げます。本日は、現下の金融行政について一言申し述べさせていただきたいと思います。
最近の経済情勢を見ますと、企業収益が改善し、設備投資が増加するなど、経済には明るい兆しが見られます。政府としては、こうした明るい兆しが日本経済の隅々にまで浸透するように、構造改革の取組を加速、拡大し、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を目指しているところです。特に、金融行政においては、金融システムの安定、強化、金融資本市場の基盤整備に強力に取り組んでまいります。
まず、金融システムの安定、強化に関しては、構造改革を支えるより強固な金融システムを構築するため、金融再生プログラムの諸施策の推進に全力を尽くしているところです。
不良債権処理につきましては、昨年九月末の主要行の不良債権比率が平成十四年三月末に比べて一・九%ポイント低下するなど、主要行の不良債権比率を半減させるとの目標の実現に向け、着実に進捗しております。引き続き、平成十六年度の不良債権問題終結を目指し、取組を進めてまいります。
また、中小・地域金融機関に関しては、中小企業の再生と地域経済の活性化を図ることで不良債権問題も同時に解決していくことを目指し、昨年三月に公表したリレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの諸施策を推進してまいりました。
先般、その一環として、中小企業の実態により即した検査を確保する観点から、金融検査マニュアル別冊、中小企業融資編の改訂を行ったところです。改訂においては、各金融機関が行う債務者の再生等に向けた真摯な取組状況なども踏まえた検査を実施していくことを明らかにしております。
さらに、現下の経済情勢の下、地域経済の活性化等が課題となる中で、金融機関は、企業再生や不良債権問題への対応など、リスク対応のための体力を高めることが重要となっております。こうした状況を踏まえ、地域経済の活性化や金融システムの安定、強化に資するよう、金融機能の強化のための新たな公的資金制度の整備等を行うこととしております。
次に、金融資本市場の基盤整備について御説明いたします。
我が国における資金仲介機能を強化し、経済の活性化を図るためには、金融資本市場の利用者の保護を図りつつ、資金仲介チャンネルの多様化と利用者の利便性向上を通じ、間接金融のみに依存しない、信頼される効率的で国際競争力のある金融資本市場の基盤整備を図る必要があります。
このような観点から、銀行等による証券仲介業務の解禁、市場監視機能・体制の強化、ディスクロージャーの合理化、投資家保護範囲の拡大、市場間競争の制度的枠組みの整備等を図るとともに、株式等について、決済の迅速化、確実化を実現するために新たに振替決済制度の対象とするなどの制度整備を行うほか、信託業について、その担い手や受託可能財産の範囲の拡大を図るなど、信託制度の整備を行うこととしております。
ただいま申し上げた施策を実現するため、先般、本国会に、金融機能の強化のための新たな公的資金制度の整備及びこれに関連する法案として、金融機能の強化のための特別措置に関する法律案及び預金保険法の一部を改正する法律案を、また、金融資本市場の基盤整備を図る法案として、証券取引法等の一部を改正する法律案、株式等の取引に係る決済の合理化を図るための社債等の振替に関する法律等の一部を改正する法律案及び信託業法案を提出したところであります。
法律案の詳しい内容につきましては、今後、改めて御説明させていただきますが、当委員会の委員長及び委員の皆様におかれましては、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
#6
○委員長(平野貞夫君) 以上で所信の聴取は終わりました。所信に対する質疑は後日に譲ることといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時十四分散会