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2004/04/13 第159回国会 参議院 参議院会議録情報 第159回国会 財政金融委員会 第9号
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2004/04/13 第159回国会 参議院

参議院会議録情報 第159回国会 財政金融委員会 第9号

#1
第159回国会 財政金融委員会 第9号
平成十六年四月十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任
     小林  元君     峰崎 直樹君
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     小林  温君     上杉 光弘君
     山口那津男君     松 あきら君
     池田 幹幸君     畑野 君枝君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     松 あきら君     山口那津男君
     畑野 君枝君     池田 幹幸君
 四月五日
    辞任         補欠選任
     野上浩太郎君     関口 昌一君
     大塚 耕平君     木俣 佳丈君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     関口 昌一君     野上浩太郎君
     木俣 佳丈君     大塚 耕平君
 四月七日
    辞任         補欠選任
     池田 幹幸君     市田 忠義君
     大門実紀史君     大沢 辰美君
 四月八日
    辞任         補欠選任
     野上浩太郎君     竹山  裕君
     森山  裕君     野間  赳君
     市田 忠義君     池田 幹幸君
     大沢 辰美君     大門実紀史君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     竹山  裕君     野上浩太郎君
     野間  赳君     森山  裕君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平野 貞夫君
    理 事
                尾辻 秀久君
                野上浩太郎君
                大塚 耕平君
                続  訓弘君
    委 員
                清水 達雄君
                田村耕太郎君
                西田 吉宏君
                林  芳正君
                山下 英利君
                大渕 絹子君
                平野 達男君
                円 より子君
                山根 隆治君
                山口那津男君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                椎名 素夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   参考人
       日本銀行総裁   福井 俊彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
 (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく
 通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件
 )
    ─────────────
#2
○委員長(平野貞夫君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、小林温君及び小林元君が委員を辞任され、その補欠として上杉光弘君及び峰崎直樹君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(平野貞夫君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(平野貞夫君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に尾辻秀久君、野上浩太郎君及び大塚耕平君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(平野貞夫君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(平野貞夫君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(平野貞夫君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。福井日本銀行総裁。
#8
○参考人(福井俊彦君) おはようございます。日本銀行の福井でございます。
 日本銀行では、昨年のもう既に十二月になりますが、平成十五年度上期の通貨及び金融の調節に関する報告書を国会に提出させていただきました。今回、日本銀行の金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をちょうだいし、誠に有り難く存じております。厚く御礼申し上げます。
 まず、最近の経済金融情勢について私どもの考え方をお話し申し上げます。
 我が国の景気は、緩やかな回復を続けておりまして、国内需要も底堅さを増してきております。輸出はこのところ大幅に増加しておりまして、設備投資も回復を続けております。こうした動きを背景として、鉱工業生産も増加しております。先日公表いたしました日本銀行の短観、これは三月調査でございますが、それにおきましても企業の業況感は広がりを伴いつつ改善していることが確認されたところでございます。また、雇用者所得は徐々に下げ止まってきておりまして、個人消費もやや強めの動きとなっております。先行きにつきましては、景気は当面緩やかな回復を続ける中で、前向きの循環が次第に強まっていくものと見ております。
 我が国の景気が緩やかながらも回復を続ける背景といたしまして、大きく二つの要因を挙げることができると考えております。
 第一に、世界的な情報関連需要と中国の高成長が牽引する形で世界経済が順調に回復していることでございます。世界経済の好転を受けて、我が国の輸出は大幅に増加しております。こうした輸出の増加を起点に、生産、企業収益が拡大し、設備投資の回復につながるといった前向きの循環が働き始めております。
 もう一つ、第二に、企業の過剰債務、過剰雇用などの構造問題への取組がようやく実を結びつつあるところでございます。非製造業や中小企業ではなお調整圧力が残存しておりますけれども、製造業大企業ではリストラや企業再編等を通じまして収益力が大きく向上しております。また、我が国の金融システムにつきましても、全体としては依然厳しい状況にございますとは申せ、大手行を中心に健全化に向けたこれまでの取組の成果が現れ始めております。
 このような景気情勢の下で、物価面を見ますと、国内企業物価は、内外の商品市況高などを背景に、足下上昇しておりまして、当面、上昇を続けるものと見られます。消費者物価、これは私ども特に生鮮食品を除くベースで見ておりますが、そういう消費者物価は、お米の値段の上昇など一時的な要因も押し上げに働く中で、前年比ゼロ%近傍で推移しております。先行きにつきましては、経済の需給バランスが徐々に改善しつつも、なお緩和した状況の下で、小幅のマイナスで推移するものと予想されます。
 金融面では、日本銀行の潤沢な資金供給の下で、金融資本市場は総じて落ち着いた状況が続いております。企業金融をめぐる環境も、信用力の低い企業についてなお厳しい状況にあることをよく承知しておりますけれども、全体として見ますれば緩和される方向にございます。民間銀行の貸出し姿勢は積極化しつつございますほか、CP、社債といった金融市場を通じた資金調達環境も良好な状況が続いております。
 次に、最近の日本銀行の金融政策運営について申し述べさせていただきたいと思います。
 現在実施しております金融緩和政策のポイントを改めて申し上げますと、第一に、日銀当座預金残高という量を操作目標として、金融市場に潤沢な資金供給を行うことでございます。第二は、この量的緩和政策を消費者物価、これは先ほど申し上げました生鮮食品を除くベース、消費者物価指数の前年比が安定的にゼロ%以上となるまでこれを続けるという約束を行っていることでございます。いわゆる時間軸効果という点でございます。第三は、緩和効果を経済に幅広く浸透させるため、金融緩和の波及メカニズムの強化に努めることでございます。この三点が私どもの金融緩和政策の三つの重要な戦略ということでございます。昨年秋以降も、この三点に即して、追加施策を講じてきているところでございます。
 まず、市場への資金供給につきましては、昨年十月に、金融調節面で機動的に対応する余地を広げる、そういう観点から、日銀当座預金残高の目標値の上限を二兆円引き上げました。また、今年になりまして、一月には目標値を三兆円引き上げまして、現在は三十兆から三十五兆円程度という幅の中で実施しているところでございます。デフレ克服に向けた日本銀行の政策姿勢をこれによりまして改めて明確にお示しし、今後の景気回復の動きを更に確かなものとする趣旨からこういう判断をして実行に移しているものでございます。
 次に、量的緩和政策継続の約束でございますけれども、昨年十月にその内容を更に明確にいたしました。具体的には、消費者物価、これは常に生鮮食品を除くベースでございますが、消費者物価指数の前年比変化率が安定的にゼロ%以上という、この条件につきまして詳しくし、第一に、直近の消費者物価指数の前年比が数か月ならしてみてゼロ%以上であること、第二に、先行きについても再びマイナスとなると見込まれないこと、さらに、これが満たされましたとしても、経済、物価情勢によっては量的緩和政策をなお継続することが適当と判断する場合も考えられると、こういったことを明らかにいたしました。このような日本銀行の明確なお約束は金融市場の安定的な金利形成に大きく寄与しているというふうに考えております。
 また、金融緩和の波及メカニズム強化につきましては、長期的な観点から金融市場の発展に寄与することも念頭に置きながら、金融調節手段などの面で様々な工夫を行っております。その一環として、昨年七月より資産担保証券の買入れを開始しております。今年の一月には、市場関係者の方々から寄せられた御意見を踏まえながら、この措置の趣旨が一段と生かされるよう、買入れ基準の見直しを実施したところでございます。つまり、買入れ基準を緩和をいたしました。これまでの買入れ実績は累計約五千億円に達しております。また、資産担保証券市場の発展を支援するため、市場関係者とともに証券化市場フォーラムを開催いたしまして、建設的な意見交換を続けております。現在、これまでの議論を踏まえて報告書の作成を行っておりまして、成果が得られた段階で近々御公表したいと考えております。是非御参考にしていただきたいと思います。
 なお、日本銀行は、株価の変動が金融機関経営ひいては金融システム全般に及ぼすリスクを緩和する趣旨から、一昨年十一月以降、銀行保有株式の買入れを実施しております。昨年三月には買入れ総額の上限を二兆円から三兆円に引き上げまして、また、九月には本措置の実施期間を本年九月末まで延長いたしました。本年三月三十一日時点での買入れ額は一兆九千三百四十七億円に上っております。
 我が国の経済は、一年前に比べまして、明るい動きが着実に増えていると言えると思います。しかし、同時に、持続的成長の実現とデフレ克服のためにはまだまだ課題が多いということも事実でございます。また、大企業と中小企業、製造業と非製造業、都市圏と地方圏との間で景況感に格差が存在することも十分認識いたしております。景気の前向きの循環が働き始めている今こそ、日本経済全体に景気回復の動きが行き渡るよう、企業、金融機関、そして政策当局といった幅広い主体が経済活性化に向けた取組を重ねていくことが非常に重要だというふうに考えております。
 日本銀行といたしましては、民間部門の前向きの経済活動を金融面からしっかりと支援し、持続的な成長軌道への復帰とデフレの克服に向けて今後とも全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 御清聴誠にありがとうございました。
#9
○委員長(平野貞夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は来る二十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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