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1947/05/27 第2回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第002回国会 文教委員会 第5号
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1947/05/27 第2回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第002回国会 文教委員会 第5号

#1
第002回国会 文教委員会 第5号
昭和二十三年五月二十七日(木曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 松本 淳造君
   理事 水谷  昇君 理事 高津 正道君
   理事 西山冨佐太君
      圓谷 光衞君    冨田  照君
      松木  宏君    田淵 実夫君
      野老  誠君    松澤 兼人君
      伊藤 恭一君    久保 猛夫君
      米田 吉盛君    黒岩 重治君
      織田 正信君
 出席政府委員
        文部事務官   剱木 亨弘君
        文部事務官   辻田  力君
 委員外の出席者
        議     員 川村善八郎君
        專門調査員  横田重左衞門君
五月六日
 五坪茂雄君が委員を辞任した。
同月二十五日
 武田キヨ君が議長の指名で委員に補欠選任され
 た。
    ―――――――――――――
五月十日
 岡山市に國立綜合大学設立の請願(西山冨佐太
 君紹介)(第五三〇号)
 北海道大学工学部に建築工学科新設の請願(永
 井勝次郎君紹介)(第五九九号)
同月十一日
 四國綜合大学設立の請願(福田繁芳君外六名紹
 介)(第六二九号)
 書道を必須科目に復活の請願(松原一彦君紹
 介)(第六五七号)
 同(松原一彦君紹介)(第六六五号)
 同(武藤運十郎君紹介)(第六六七号)
 新制高等学校教科課程の一部を改正する請願(
 寺島隆太郎君外三名紹介)(第六七〇号)
 新潟縣に綜合大学設立の請願(荊木一久君外十
 四名紹介)(第六七六号)
 仙台工業專門学校昇格の請願(佐々木更三君外
 四名紹介)(第七三六号)
同月十二日
 第七高等学校復興費國庫補助の請願(井上知治
 君紹介)(第七四六号)
 宗教心涵養に関する請願(坂東幸太郎君紹介)
 (第七八八号)
 浦和高等学校昇格の請願(松崎朝治君外五名紹
 介)(第八三一号)
 六・三制完全実施のため全額國庫補助の請願(
 松本淳造君紹介)(第八三六号)
 京都工業專門学校昇格の請願(中野武雄君紹
 介)(第八四二号)
同月十四日
 学校敷地買收に関する請願(上林山榮吉君紹
 介)(第八六六号)
 学制改革に伴う増加経費國庫負担の請願(上林
 山榮吉君紹介)(第八六八号)
 彦根経済專門学校昇格の請願(長野重右ヱ門君
 紹介)(第九〇八号)
 四國綜合大学設立の請願(柏原義則君紹介)(
 第九一四号)
 新制大学に書道科設置に関する請願(竹尾弌君
 外一名紹介)(第九五二号)
同月十八日
 釧路市に教育大学設立の請願(伊藤郷一君外一
 名紹介)(第九七九号)
 上田纖維專門学校昇格の請願(小林運美君紹
 介)(第九九一号)
同月二十日
 山口縣に國立綜合大学設立の請願外一件(受田
 新吉君外五名紹介)(第一〇三五号)
 岡山市に國立綜合大学設立の請願(中原健次君
 紹介)(第一〇四〇号)
 塩成小学校復旧費國庫補助の請願(井谷正吉君
 外七名紹介)(第一〇四五号)
の審査を本委員会に付託された。
五月十日
 教職員の待遇改善に関する陳情書外一件(福岡
 縣福岡市外十市小学校後援会聯合会長野見山佐
 一)(第二一四号)
 新制中学校設備費削減反対の陳情書(栃木縣議
 会議長高際徳治)(第二二〇号)
 新教育制度の整備に関する陳情書(第二十二回
 北信十九市教育協議会長長野縣岡谷市長林將
 英)(第二二一号)
 定時制高等学校設置に関する陳情書(香川縣三
 豊郡大野原青年学校内勤労学徒連盟三豊支部長
 松尾寛外二名)(第二二五号)
 教職員俸給全額國庫負担の陳情書(島根縣議会
 議長恒松安夫外四名)(第二二七号)
 聾盲教育義務制実施予算に関する陳情書外一件
 (全國聾唖学校長協会代表内田榮藏外四千九百
 三十一名)(第二五一号)
 教育復興促進に関する陳情書(東京都新宿区戸
 塚町早稻田大学内教育復興連合学生大会)(第
 二六六号)
 岡山綜合大学設置に関する陳情書外四件(岡山
 市教育審議会委員長寺岡槌三郎)(第二七一
 号)
同月十九日
 廣島縣に綜合大学設置の陳情書(廣島縣安藝郡
 町村会長松浦數人)(第三〇七号)
 岡山縣に綜合大学設置の陳情書(鳥取縣中等学
 校長協会)(第三一二号)
 昭和二十三年度新学制実施に対し國庫補助の陳
 情書(九州各縣議会正副議長会幹事福岡縣議会
 議長稻員稔)(第三二五号)
 宇都宮農林專門学校を大学に昇格の陳情書(宇
 都宮農林專門学校大学昇格期成同盟会長栃木縣
 知事小平重吉)(第三三六号)
 三重縣に綜合大学設置の陳情書(三重縣議会議
 長小切間重三郎)(第三四三号)
 新制中学校設置費國庫補助の陳情書(東京都千
 代田区丸の内東京都議会議長石原永明外九名)
 (第三四八号)
 岡山縣に綜合大学設置の陳情書外一件(岡山縣
 議会議長友保知外四名)(第三五八号)
 新制中学校の整備に関する陳情書(東京都中学
 校長会)(第三八八号)
 岡山縣に綜合大学設置の陳情書(岡山縣津山市
 長和田義一外一名)(第三九一号)
 宮城師範学校を教育大学に昇格の陳情書(宮城
 縣塩釜市議会議長宮城千之)(第三九六号)
 廣島縣に綜合大学設置の陳情書外七件(國立廣
 島縣綜合大学設立期成同盟会沼隈支部縣民大会
 外七名)(第三九七号)
 同(國立綜合大学設置要望廣島縣佐伯郡地方縣
 民大会佐伯郡町村長会長佐伯好郎)(第四〇三
 号)
 定時制高等学校設置に関する陳情書(鳥取縣勤
 労学徒連盟委員長石橋修外七名)(第四〇七
 号)
 教職員の待遇改善に関する陳情書(大阪教職員
 組合第五回臨時大会代表者大阪教職員組合執行
 委員長荒木正三郎)(第四二〇号)
 六・三制完全実施に関する陳情書(宮城縣知事
 千葉三郎)(第四二七号)
を本委員会に送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した事件
  請 願
 一 久美濱農学校昇格に関する請願(大石ヨシ
   エ君紹介)(第三号)
 二 師範附属校教官の待遇改善に関する請願(
   大石ヨシエ君紹介)(第九号)
 三 教員の待遇改善に関する請願(石原圓吉君
   外一名紹介)(第八六号)
 四 六・三制完全実施のため全額國庫負担その
   他に関する請願(田口助太郎君外一名紹
   介)(第一八七号)
 五 盛岡農林專門学校昇格並びに岩
   手綜合大学設置の請願(野原正勝君外七名
   紹介)(第二二八号)
 六 定時制高等学校設置の請願(豊澤豊雄君紹
   介)(第二五八号)
 七 民間科学技術研究所の研究費國庫補助の請
   願(海野三朗紹介)(第三三七号)
 八 國立女子大学設置の請願(押川定秋君外一
   名紹介)(第三六五号)
 九 大学開放に関する請願(豊澤豊雄君紹介)
   (第三七七号)
一〇 中等教員免許状所有者の取扱に関する請願
   (豊澤豊雄君紹介)(第三七八号)
一一 聾、盲教育義務制実施に関する請願(廣川
   弘禪君紹介)(第三七九号)
一二 同(久保猛夫君紹介)(第三八〇号)
一三 聾、盲教育義務制実施に関する請願外三件
   (船田享二君外一名紹介)(第三八一号)
一四 聾、盲教育義務制実施に関する請願(辻寛
   一君紹介)(第三八七号)
一五 定時制高等学校設置の請願(豊澤豊雄君紹
   介)(第三九四号)
一六 聾、盲教育義務制実施に関する請願(水谷
   昇君紹介)(第三九五号)
一七 同(石田博英君紹介)(第三九六号)
一八 同(花月純誠君紹介)(第三九七号)
一九 六・三制完全実施のため全額國庫補助の請
   願(岡村利右衞門君紹介)(第四〇四号)
二〇 書道を必須科目に復活の請願(早稻田柳右
   エ門君紹介)(第四〇六号)
二一 聾、盲教育義務制実施に関する請願(松
   澤兼人君紹介)(第四一七号)
二二 同(庄司彦男君紹介)(第四一八号)
二三 同(原彪之助君紹介)(第四一九号)
二四 同(原彪之助君紹介)(第四二〇号)
二五 定時制高等学校設置の請願(苫米地義三君
   紹介)(第四二一号)
二六 高知市に綜合大学設立の請願(黒岩重治君
   外四名紹介)(第四二八号)
二七 函館水産專門学校昇格の請願(川村善八郎
   君紹介)(第四四二号)
二八 函館市に学藝大学設立の請願(川村善八郎
   郎君紹介)(第四四三号)
二九 小学校教員の恩給増額に関する請願(梁井
   淳二君紹介)(第四五四号)
三〇 書道を必須科目に復活の請願(竹尾弌君外
   一名紹介)(第四九〇号)
三一 國立女子大学設立の請願(山崎道子君外一
   名紹介)(第四九五号)
三二 第二高等学校跡地拂下の請願(庄司一郎君
   紹介)(第五〇五号)
三三 岡山市に國立綜合大学設立の請願(西山冨
   佐太君紹介)(第五三〇号)
三四 北海道大学工学部に建築工学科新設の請願
   (永井勝次郎君紹介)(第五九九号)
三五 四國綜合大学設立の請願(福田繁芳君外六
   名紹介)(第六二九号)
三六 書道を必須科目に復活の請願(松原一彦君
   紹介)(第六五七号)
三七 同(松原一彦君紹介)(第六六五号)
三八 同(武藤運十郎君紹介)(第六六七号)
三九 新制高等学校教科課程の一部を改正する請
   願(寺島隆太郎君外三名紹介)(第六七〇
   号)
四〇 新潟縣に綜合大学設立の請願(荊木一久君
   外十四名紹介)(第六七六号)
四一 仙台工業專門学校昇格の請願(佐々木更三
   君外四名紹介)(第七三六号)
四二 第七高等学校復興費國庫補助の請願(井上
   知治君紹介)(第七四六号)
四三 宗教心涵養に関する請願(坂東幸太郎君紹
   介)(第七八八号)
四四 浦和高等学校昇格の制願(松崎朝治君外五
   名紹介)(第八三一号)
四五 六・三制完全実施のため全額國庫補助の請
   願(松本淳造君紹介)(第八三六号)
四六 京都工業專門学校昇格の請願(中野武雄君
   紹介)(第八四二号)
四七 学校敷地買收に関する請願(上林山榮吉君
   紹介)(第八六六号)
四八 学制改革に伴う増加経費國庫負担の請願(
   上林山榮吉君紹介)(第八六八号)
四九 彦根経済專門学校昇格の請願(長野重右ヱ
   門君紹介)(第九〇八号)
五〇 四國綜合大学設立の請願(柏原義則君紹
   介)(第九一四号)
五一 新制大学に書道科設置に関する請願(竹尾
   弌君外一名紹介)(第九五二号)
五二 釧路市に教育大学設立の請願(伊藤郷一君
   外一名紹介)(第九七九号)
五三 上田纖維專門学校昇格の請願(小林運美君
   紹介)(第九九一号)
五四 山口縣に國立綜合大学設立の請願外一件(
   受田新吉君外五名紹介)(第一〇三五号)
五五 岡山市に國立綜合大学設立の請願(中原健
   次君紹介)(第一〇四〇号)
五六 塩成小学校復旧費國庫補助の請願(井谷正
   吉君外七名紹介)(第一〇四五号)
    ―――――――――――――
#2
○松本委員長 ただいまから会議を開きます。
 議事に入るに先だちまして御紹介申し上げます。去る五月六日に五坪茂雄君が文教委員を辞任されましたので、その後任として二十五日武田キヨ君が選任せられ、本委員会にお迎えすることになりました。ここに御紹介申し上げます。
 続いて衆議院の議長から國政調査の件につきまして、從來報告が不足しておりますので、今議会におきまして國政調査の承認を受けたもの及び將來承認を受けるものについては、必ず國政調査の結果に関する報告書を提出してくれるようにというお話がありました。なお先日の委員長会議におきましても、同樣趣旨の決定を見ておりますので、今後は報告書を提出することになると思いますから、その点委員各位におきましても御了承のほどをお願いしたいと思うのであります。
    ―――――――――――――
#3
○松本委員長 続いて請願を会議に付します。日程第三、教員の待遇改善に関する請願、石原圓吉ほか一名紹介(第八六号)――紹介議員水谷昇君に御説明を願います。
#4
○水谷(昇)委員 教員の待遇改善に関する請願でありますが、請願者は三重縣茂摩郡鳥羽町、小学校長林正巳ほか中小学校長五十四名であります。紹介議員の一人といたしまして、私から本請願の要旨を説明いたします。
 本請願の要旨は、人類文化の向上、民族國家社会の健全な発達のため、教育がいかに重要であるかは、いまさら言うまでもありません。しかして教育本來の目的を達成するために、優秀な教員を必要とすることもまた論をまたないのであります。にもかかわらず、戰時中から教員の素養は急速に低下してきまして、現在もさらに低下の傾向をたどつておるのであります。さらに教員の定数を獲得することが困難な現状であります。そして各学校責任者の多くが、また関係官廳は、その教員不足の補充に悩んでおるのであります。どうして良教員が得られないのか、どうして有能な人物が教育界から姿を消してしまうのか、どうして教員の定数さえ満たすことができないのか。理由は一にして止まるものではありませんが、最大の原因は簡單明白であります。教員の待遇がよくないからであります。今日の逼迫せる食生活下に、家族、子供を抱えて飢餓線上を彷徨する教員に、昔の道徳や思想を説いて耐乏せよということは無理であります。優秀なる教員の十分得られるような待遇をしなければならないのであります。ついては、教員がその仕事に專念、專從することができるだけの待遇改善をされたいというのであります。
 待遇改善の方途は、具体的な処置として種々ありますが、たとえば一つ、俸給、給與の引上げはもちろんのこと、生活物資の現品配給、生産勤労者には衣料品だの塩だの酒だのの報獎物資の特配があります。教員や官公廳の勤労者には供出すべき米麦がなく、物品もありません。ただまじめな正直な勤労をもつて奉仕するほかはないのであります。そしてこのまじめな正直な労務は報獎に値いしないのか、こういうことを考えておるわけであります。次に勤労所得税の引下げ、教員などは表から取つていくのでありますから、所得税がとりやすい、ところが、やみ所得はつかまえにくいのであります。こういうような意味合で勤労所得税の引下げがもう一つの具体的方策であります。それから旅費の実額支給、これを説明いたしますと、公報または研究の目的をもつて出張して、実額の何分の一にも足らない旅費しか支給されていない現状であります。それから交通費の軽減、教員の交通機関利用に関しての便宜供與、教員が公務をもつて出張するにあたり、交通機関を無賃または割引利用させるようなことにしてもらつたらどうか。鉄道職員、警察官にはその利便があります。その家族までが交通機関を利用する特殊便益が與えられておるのでありますから、こういう点も具体案として考えてもらつたらいいと思います。
 以上簡單ながら本請願の要旨を説明いたしましたが、委員各位におかせられましても、よろしく御審議をくださいまして、本請願を御採択のほどをお願いするものであります。
#5
○松本委員長 ただいまの請願に対しまして政府の御意見を承ります。
#6
○剱木政府委員 ただいまの請願の趣旨にございましたように、教員の現下におきまする数的及び質的の低下、不足ということは非常にはなはだしい状況でございまして、これに対しまする根本的な対策は、やはり何と申しましても、教員の待遇改善によるほかにないとの点、まつたく御同感でございます。ただいま俸給の点につきましては、御承知のように二千九百二十円ベースにつきまして、その切替の方式について目下組合側と政府との間にいろいろ話合いを進めておるのでございますが、それに際しまして、文部省といたしましても、できるだけ教員の待遇を改善いたしますような方向にもつていきたいというふうに、努力をいたしておるのでございます。特に昨年本委員会におきまして御決議をいただきました教員の待遇の問題につきましても、やはりそのときにありましたように、本俸につきましては一般と特別の差等は設けなくても、研究費といつたような面については相当考えなければいけないという趣旨の御決議があつたように記憶いたしておりまするが、今度の俸給の切替につきまして、本俸以外にいろいろな研究手当とか、そういう手当の制度が非常に認められにくくなりましたので、その本俸の中に研究費を入れました意味の本俸の切替ということを教員については考えておるのでございます。これが実施にあたりましては、教職員につきましては、一般官吏よりも相当優遇された形が出てくると確信いたしておるのでございます。それから現品の配給も、他の國鉄その他警察官と比べまして教員が非常に少いことは事実でございます。これにつきましても、できるだけ努力はいたしておりますが、現在の配給機構から申しまして非常に困難を來しておるのであります。ただそのうちの一部分につきましては、少しずつでも何とかして獲得をいたしつつあるのでございまして、私どもとしてはその方面にもできるだけの努力をいたしておる次第でございます。勤労所得税の引下げの問題は、これはもちろんでございまして、努力いたしておるのでございます。
 次に旅費の点でございます。旅費は昨二十二年度の予算では一人当り二十円で、その半額の十円を國庫補助いたしておつたのでございますが、二十三年度におきましては相当大幅の増額をいたしまして、この点につきましては、相当満足していただけるのではないかというくらいの程度までには確保できるものと信じております。この点もよろしくお願いしたいと思います。それから交通費の問題でありますが、これは先生のみならず、全学校につきましても同樣に重要な問題でございまして、運賃値上げの問題にからみまして、できるだけこの点につきまして、先生及び学徒について有利に解決するように、今努力はいたしておりますけれども、これには現在の状況では非常に困難があると考えられますので、なおこの上とも努力したいと思います。
#7
○松本委員長 委員の方々で御意見はありませんか。――ありませんでしたら次に移りたいと思いますが、本件はなお相当檢討を要する点があると思いますので、採択問題につきましては保留しておきたいと思いますから、御承知を願します。
    ―――――――――――――
#8
○松本委員長 続きまして日程第二六、高知市に綜合大学設立の請願、黒岩重治君紹介――黒岩君の御説明を願います。
#9
○黒岩委員 高知市に綜合大学設置の請願でございますが、請願者は高知市議会議長中島龍吉外二名であります。しかしこれは縣民全体の意思を代表した請願であると御理解願いたいと思います。
 本請願の要旨は、明年度新制大学の発足にあたりまして、四國地区もこの綜合大学設立の地区の候補地として考えられておるというように承知いたしますが、その大学の所在地としては、教育的環境から、また國土計界的に見た高知市の教育立地の優位から、さらに純粹の学都として豊富なる資源をもつておる点等、種々の観点から考えまして、高知市が最も適当であると思われるから、ついては高知市に綜合大学を設立されたいというのでございます。
 この請願を出しましたあとにおきまして、本問題に関しましては、四國四縣の代表者の本問題に関するところの打合わせ折衝をいたしたのであります。その結果四縣の協定がつきまして、各四縣にありまする官立学校並びに地域の実情というものを勘案いたしました結果、その学部を四縣におのおの適当なものを分散いたしまして、連合大学の形体においてこれを設立したいということに決定になつたわけであります。從いまして四縣の連合によつて再びあらためて近く請願をいたすような運びになるということを申し添えておきます。
 なおこの際に、その四縣の協定の結果、高知縣へ割当てられました学部について一應の説明を申し上げておきたいと思います。それは現在の高等学校をもとにいたしました文科と、現在の高等学校の理科と青年師範学校に附設してありますところの水産科、專門学校程度の内容をもつところの水産科、こういうものをもとにいたしました理農学部というものを設置したいという考えでございます。高等学校の文科と師範学校の内容を併せましたところの文科というものも考えておるわけであります。そうしてこの学部の中へ教員養成のものと、しからざるものとを二本建にして内容として含ませるという計画でございますが、この理学部の設置の中で、特に理農学部という名称をもつて考えられておるものにつきましては、現状の國立としての内容をもつ專門学校をもつていないという弱点があるわけであります。既設のもののみを新しい大学として考えていくという方針によりますと、その点においては、その既設のものをもたないという弱点はあるわけでありますが、実は高知縣に戰時中に新たに設けられましたところの海軍の予科練の練習飛行場として設定せられましたその跡地を大藏当局と折衝の上、もし大学が設置せられるならば、それに譲り渡しをしようという内諾を得ておるわけであります。その飛行場の総坪数の約半ばに達しまするところの七万町歩の実習地を提供せられることになります。なお予科練の寄宿舎並びに教育施設というものは厖大なものでありまして、教室はもちろん教員や生徒の宿舎としてこれに充てることもできるだけの余裕をもつておるわけであります。もしこの際にその施設をそのまま解体することになりましたならば、再びかような施設をもつて学校を設立するという機会はないだろうと思います。なおまた林科の面につきましての実習林としましては、営林局の管理しておりますところの國有林梁瀬と申します日本三大美林の一つと称せられる森林を、実習林として提供していただくように、これも関係方面との了解を得ておるわけでありまして、海、山、農地、このほか校舍設備というようなものが、きわめて好條件に惠まれておるという点、こういう点を考えますときに、新とい大学制度を実施する場合、國土計画的な見地から、こうした実態をよく檢討の上で理農科の学部を設置することが最も期待されることであると考えるわけであります。
 なお高知縣の地理的事情を申し上げますと、立体的な氣温帶というものが、高知縣ほど全國に特殊的な事情をもつ所はなかろうと思います。植物は亞熱帶性の植物の繁茂する地域もありますし、寒帶に育つところの植物もあるわけであります。そうして海抜千五百メートル以上の地域に相当の高原性温地ももつておるわけでありまして、この氣候帶によりますところの植物の分布状態から考えますときに、理農科を設置いたしまして、その方面の研究材料を求めるということになりましたならば、非常に豊富な研究材料があるわけであります。殊に高知縣の山野の特異性としては、藥草すなわち藥の成分をもつところの雜草が一面に繁茂しておりますので、將來こうした方面の研究も併せてすることになりましたならば、わが國の農業の方面におきますところの新しい開拓をすることも考えられ得るということを御承知願いたいと思います。
 以上概要この新しい理農学部設置に対するところの基礎的な内容を申し上げたわけでございますが、あらためて書類を整備いたしまして、四國四縣の連名によつての請願を提出いたしますので、その請願をさらに御檢討の上で御採択あらんことを切望いたす次第であります。
#10
○松本委員長 ただいまの請願に対して政府の御意見を承ります。
#11
○剱木政府委員 本問題につきましては、なおあらためて四國連合大学の御提案ぜ出るそうでありまして、それと関連して研究して見たいと思いますが、この際にあたりまして二十四年度から一應の新制大学に切替の方針をもちまして、今その計画立案中でございますが、官立の專門学校だけを――既設の大学は別といたしまして、これを全部二十四年度から新制大学に切り替えるということは、財政的の面その他から非常に困難があると考えられるのであります。しかし少くともできるだけ現在の飛行場を利用いたしますとか、統合いたしますとかいう形をとりまして、予算を縮減して、少くとも現在の情勢において認められ得るような程度にまで、計画を立てていきたいというふうに考えておるのでありますが、この新制に切り替えます場合に、新たに現在の施設を相等拡張して学部を新設するというようなことが、はたして可能であるかどうかということは、相等計画を立ててみませんと、私どもにははつきり見透しがつかない問題でございまして、これほどの程度に新制大学に切り替えるに際しまして國費を出していただけるかという問題にかかつてあると思います。私どもといたしましては、純粹に教育的に考えますれば、できるだけ地方的に必要なる学部の充実に努力していきたいという氣持は十分もつておるわけでございますけれども、やはり國力の限度というものとにらみ合わせて、可能なる計画を立てていかなければならないと考えておるような次第でございます。
#12
○松本委員長 右につきまして、御質問なり御意見はありませんか。
#13
○野老委員 この際関連がありますので文部当局にお伺いいたしたいのであります。過日の新聞紙上で綜合大学の学長会議の席において日高学校教育局長より綜合大学の二十四年度の実施の計画についての文部省の腹案が発表せられたやに記事に載つておつたのでありますが、その中に綜合大学は府縣單位にこれを設立するというような條項が出ておつたと思います。それについての文部省のお考えを、この際はつきりとお伺いしたいと思います。
#14
○剱木政府委員 先日新聞に載つておりました綜合大学総長との会議において日高局長の申されました問題でございますが、これはただいま文部省で各学校を地方ごとにお集まりを願いまして、さきにも申しました新して新制大学に切替につきましての事務的な案を急いでつくるために、事務的な面におきまして、大学はどういうふうにあつたらいいかということを御相談申し上げるような下準備をしておるわけでございます。その際に一應事務的な考え方といたしましては、ちよつとさきにも申し上げましたが、各府縣にありまする学校がばらばらに大学になつてまいりましたら、これは非常な経費の膨脹になり、人的関係からもほとんど不可能だと思いますので、そういう共通できる面は、できるだけ一緒になつて、いい大学になつていつていただきたいという希望を申し述べておるわけでございまして、そういう方にも大分進んでおるわけであります。ただ一府縣一校主義ということは、やはり事務的には私ども申しておることでございますが、ただこれはできるだけそういう形をとつたらいいのじやないかというような事務的な考え方でございまして、これは國土計画なりいろいろな政府の方針としていろいろお考えをいただくべきことだと思いますけれども、一應の方針としてはそういうことを考えております。ただそれを絶対的に一府縣に限つてしまうかどうかということは、方針が決定すればとにかくでありますけれども、私どもの方は、それをあくまで強く強制するという、事務的にはそういう態度には出ていないつもりでございます。できるだけ話合いでそういうことができればということで現在話を進めておるような次第でございます。
#15
○久保委員 私もそれに関連いたして、一つお尋ねしたいのですが、教育法規によりますと、大学に別科を設けることができるということになつております。あの別科というのは、学部の別科でなければならないものであるかどうか。学部と直接関係のある別科でなければ、ちよつと別科が置きにくいかどうか。それともそうでなくても置けるものかどうか。たとえば設備もあるいは教師も一應りつぱにそろつておる府縣立の女子專門学校があります。そういうのを女子のための大学にするというほどのこともなし、大体地方的には年限その他から考えて女子のための一つのそういうものがあるとすれば、ここに綜合大学でもできるという場合、別科制のものでいくという考え方があるのですけれども、そういう場合に、学部の別科でなければぐあいが悪いのか。今言つたような女子のための補習、そういうことを内容とするのを別科とされないのか、その点、御見解をお尋ねしたい。
#16
○剱木政府委員 別科案につきましては、未だはつきりした設置の基準と申しますか、形はまだきまつていないのでございます。しかし大体本筋といたしましては、やはり学部に附属したような形の方が望ましいじやないかと思いますけれども、またそれで学部に全然関係のない別科というものが存在しないかと申しますと、それもやはり現在の状態では否定できないと思います。ただ女子の專門学校が大学に昇格する場合におきまして、四年の大学にはなかなかなりにくいという場合には、ただいま二年の大学ということは制度上認められておりませんので、場合によりましては当分の間多少修業年限、入学資格等を考慮いたしまして專門学校のままで残すということも考えた方がいいじやないかということをただいま研究しております。
#17
○松本委員長 この際お諮りいたしますが、綜上大学設置の問題に関しましては、高知市のただいまの御請願以外に非常にたくさんありまして、本委員会といたしましても、大学設置の問題はあらためて單独に御協議願わなければならぬほどたくさんあると思いますので、今日は時間も迫つておりますので、この程度で綜合大学の問題につきましては打切りたいと思いますが、御了解願います。
 なお、ただいまの請願の採択、不採択につきましては、ただいま申しましたような状態でありますから、なお愼重に檢討をする必要があると思いますので、本日は保留にいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
#18
○松本委員長 次に移ります。日程第六、日程第一五、日程第二五、定時制高等学校設置の請願、この請願の趣旨につきましては、前日の委員会におきまして紹介議員から十分聽取しておりますし、また政府の意見も拜聽しておりますので、趣旨はよく了承しておりますから、本日はあらためて議題といたしませんで、次の請願に移りたいと思いますから御了承をお願いいたします。
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#19
○松本委員長 続いて日程第一一、第一二、第一三、第一四、第一六、第一七、第一八、第二一、第二二、第二三及び第二四、これは聾、盲教育義務制実施に関する請願であります。すべての請願が同一趣旨でありますから、この際一括して議題に供したいと思います。紹介議員の御説明を願います。ただ速記の時間の関係がありますので、できるだけ簡潔に御説明を願いたいと思います。紹介議員久保猛夫君。
#20
○久保委員 私が紹介しております分は、高知縣高知市幸町久米ハツ外一万一千百五十九名の方々の請願にかかるものであります。今日教育の民主化が叫ばれて、着々その方向に向つて教育が改革されておるのでありまするが、結局それは教育の機会均等、教育があらゆる者に機会均等でなければならない。ところが聾、盲者が大よそ全國で十一万何千人がおるのでありまするが、その人々が実際就学して聾、盲者のための教育を受けている者は、わずかに、三五%程度でありまして、残りの人はまつたくその教育を受けておらない。眼と耳をもたないかわいそうなこれらの人たちは、自分の人間としての自覚も、教育なきがゆえに得ることができず、社会的に生きる力も與えられず、從つてまた人間らしい幸福も味わいきらないで、家庭においても、社会においても、実に氣の毒なやつかい者みたような境遇に一生を終つておるという実情であります。そこでこれを義務教育として実施していくならば、すべての経費、たとえば校舎設備から寄宿舎――これは必ず寄宿舎が伴いますが、あるいは教育の養成、そういつた方面まで合わせて、大よそ一億円程度の予算でできるのではないかと思われるのであります。これらの不幸な同胞に、ほんとうに人間らしく彼らに光明を與えるという意味において、一億円の金は國民が喜んで出すであろうと私は思うのであります。一日も早く聾、盲教育を義務制にして、そうして予算に組んで、こうしたわれわれの同胞を救うてやりたいというのが請願の趣旨であります。どうか各委員の方々が御賛成くださいまして、御採択になりますように、私から代つてお願いする次第であります。
#21
○松本委員長 ただいまの請願につきまして、文部当局の御意見を承ります。
#22
○剱木政府委員 聾、盲者の義務教育実施につきまして、ぜひ実施したいということにつては、まつたく御請願の趣旨と同感でございます。ただ実際的に申しますと、今の六・三の全部にわたつてただちにこれを義務制にすることは、実施上きわめて困難なる実情がございますので、さしあたり二十三年度から、小学部の第一学年から義務制を実施することにいたしまして、それに要しまする経費は、教員養成なり学校の校舎設備なりにつきまして、大体設置地帶は都道府縣といたしまして、できるだけ國費をもつて補助できますように努力いたしておるのでございます。なおその上の方のことにつきましても、義務に準じましてできるだけおせわすることにいたしまして、義務制は年を逐いまして漸次完成していきたいと考えております。
#23
○松本委員長 委員諸君に御質問なり御意見なりございませんか。――では本件もきわめて重要でありまするから、さらにあらためて檢討することにいたしまして、採択は保留といたします。
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#24
○松本委員長 続いて日程第二七、函館水産專門学校昇格の請願を議題に供します。紹介議員川村善八郎君。
#25
○川村善八郎君 本請願は、現在の函館水産專門学校を、函館水産單科大学として轉換創設せられたいというのでありまして、請願者は函館教育会長の山中肇氏でございます。しかしながらこの請願は、北海道二十万漁民と、併せて四百万道民の熱望あるものであります。紹介議員として一應簡單に御説明申し上げます。
 函館水産專門学校は、もとの水海道帝國大学附属水産專門部を継承し、昭和十年四月一日函館市よりの校地並びに研究室の建築寄附によつて開校されたもので、当時函館地方唯一独自の專門学校として函館高等水産学校の名は、特に市民は申すに及ばず、道民に親しまれ、現在は函館水産專門学校の名称をもつて、日本における水産專門教育上重要なる地歩を占めていることは、喋々を要しないのであります。今や本校が大学に轉換せられるの企てあるを承るにあたりまして、特に單科大学設置を要望するゆえんのものは、函館地方が北海道の関門に位し、かつては漁業策源地の中枢を占め、現に北海道水産業の経済的中心地であり、今後さらに再建日本水産復興の拠点となるべき要地として、最良の水産教育を施すべき環境に惠まれたものであることはもちろん、將來当然予期せられる外國貿易の飛躍的発展に際し、水産物輸出港として期待せられ、特に地元の意見並びに希望として、四年制單科大学轉換を要望する声、切実なるものがあり、この際函館水産單科大学の創設によつて、独自の学風の樹立と日本水産教育の画期的進展とを期せんとするものであるのであります。どうかその意味において、各委員におかれましては愼重審議されまして、本請願を御採択あらんことを切にお願い申し上げる次第であります。
#26
○松本委員長 ただいまの請願につきまして政府の御意見を承ります。
#27
○剱木政府委員 函館水産專門学校を單科大学として大学に昇格を希望される御請願の趣旨だと思うのでありますが、函館水産專門学校を大学に昇格いたします方法につきましては、現在の情勢といたしまして、あれを單科大学としてつくつていく方法と、北海道帝國大学の水産学部として大学に昇格する方法と二通りあると思います。これは水産專門学校として昇格するのにどうしたら一番よいかということを十分研究いたしました上で、この昇格につきましては努力したいと考えております。
#28
○松本委員長 委員の方で御質問、御意見ございませんか。――では本件もさらに檢討を加えることにいたしまして、本日は留保いたします。
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#29
○松本委員長 次は日程第二〇、第三〇、第三六、第三七及び第三八であります。これらの各請願はいずれも書道を必須科目に復活の請願でありまするが、その趣旨は前回の委員会におきまして紹介議員からも十分聽取いたしましたし、また政府の意見も拜聽いたしておりまして、趣旨はよく了承しておりますから、本日はあらためて議題とせずに保留といたしまして、さらに愼重に審議を加えることにいたしたいと思いますので、御了承願います。
 本日はあとに勅語の問題、予算の問題、教育委員会法の問題等、きわめて重要な案件が残つておりますので、これをもつて散会いたしまして、引続いて懇談会に移りたいと思います。
 それでは散会いたします。
    午前十一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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