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2004/04/13 第159回国会 参議院 参議院会議録情報 第159回国会 外交防衛委員会 第11号
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2004/04/13 第159回国会 参議院

参議院会議録情報 第159回国会 外交防衛委員会 第11号

#1
第159回国会 外交防衛委員会 第11号
平成十六年四月十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月八日
    辞任         補欠選任
     岩本  司君     高嶋 良充君
     榛葉賀津也君     樋口 俊一君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     高嶋 良充君     岩本  司君
     樋口 俊一君     榛葉賀津也君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     高野 博師君     千葉 国男君
 四月十三日
    辞任         補欠選任
     荒木 清寛君     山口那津男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 一太君
    理 事
                佐藤 昭郎君
                舛添 要一君
                齋藤  勁君
                小泉 親司君
    委 員
                阿部 正俊君
                荒井 正吾君
                河本 英典君
                桜井  新君
                中島 啓雄君
                矢野 哲朗君
                岩本  司君
                佐藤 道夫君
                榛葉賀津也君
                田村 秀昭君
                若林 秀樹君
                千葉 国男君
                山口那津男君
                吉岡 吉典君
                大田 昌秀君
   国務大臣
       外務大臣     川口 順子君
       国務大臣
       (防衛庁長官)  石破  茂君
   副大臣
       防衛庁副長官   浜田 靖一君
       外務副大臣    阿部 正俊君
   大臣政務官
       防衛庁長官政務
       官        中島 啓雄君
       外務大臣政務官  荒井 正吾君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        田中 信明君
   政府参考人
       防衛庁長官官房
       長        北原 巖男君
       防衛庁運用局長  西川 徹矢君
       外務大臣官房審
       議官       西宮 伸一君
       外務大臣官房審
       議官       門司健次郎君
       外務大臣官房参
       事官       鈴木 敏郎君
       外務大臣官房領
       事移住部長    鹿取 克章君
       外務省アジア大
       洋州局長     薮中三十二君
       外務省北米局長  海老原 紳君
       厚生労働省年金
       局長       吉武 民樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との
 間の協定の締結について承認を求めるの件(内
 閣提出)
○社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協
 定の締結について承認を求めるの件(内閣提出
 )
    ─────────────
#2
○委員長(山本一太君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十二日、高野博師君が委員を辞任され、その補欠として千葉国男君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山本一太君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の締結について承認を求めるの件の審査のため、本日の委員会に防衛庁長官官房長北原巖男君、防衛庁運用局長西川徹矢君、外務大臣官房審議官西宮伸一君、外務大臣官房審議官門司健次郎君、外務大臣官房参事官鈴木敏郎君、外務大臣官房領事移住部長鹿取克章君、外務省アジア大洋州局長薮中三十二君、外務省北米局長海老原紳君及び厚生労働省年金局長吉武民樹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本一太君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山本一太君) 社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国と大韓民国との間の協定の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。
 両件の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○舛添要一君 自民党の舛添要一です。
 最初に、阿部外務副大臣にお伺いいたします。
 副大臣はずっと厚生行政の立場におられたわけですけれども、今回、この日米、日韓で社会保障協定結ばれた、大変私は画期的なことだと思いますし、高く評価をしたいと思いますけれども、副大臣の立場から、特に厚生行政にお詳しい立場から見て、これ、どういう評価をなさっていますでしょうか。その意義についてお願いいたします。
#7
○副大臣(阿部正俊君) 御指摘のとおり、社会保障といいますのは人の交流が多くなればなるほどやはりどうしても必要な調整の仕事でございますので、日米協定につきましても、正直言いましてかなり長い前からの懸案でございました。いろんな事情あるいは財政的な事情等々もありまして今日まで来ておりましたけれども、こうやってようやく一番交流の多いアメリカとの間での締結というものが実現するということは、極めて両国の人の交流、経済の交流、あるいは個々のいわゆる掛け捨て防止というふうなこともさることながら、そうした意味での非常に大きな意味を持った協定ではないかと、こんなふうな認識でおります。
#8
○舛添要一君 副大臣、アメリカの場合に、自分の国の保険料収入が余り確保できないときには渋っていた、今何とか確保できそうだということでなんですけれども、こういうアメリカの態度については、ある程度政府の方で早くしろというふうなことはおっしゃったんですか。そこのところ、場合によっては年金局長でも構いませんけれども。
#9
○副大臣(阿部正俊君) ちょっと個人的なことですが、私も役所におりましたときに、実は、第一回目の日米交渉のときの言わば責任者、事務方の責任者みたいなことで行って交渉いたしまして、ある程度の合意を作ったことがございます。そのときに、最終的に今、舛添先生がおっしゃられましたように、言わば当面の保険料収入の増減の差みたいなことがネックになったんで上にレベル上げましたら駄目になったというようなことで、聞いたとき大変残念な思いをしたことございますけれども、それに比べまして理解が進みまして、多分、厚生行政やっている人方の、皆さん方の御努力もありまして、ようやく理解が進んで、さらにまた、当時と比べましても、二十年ほど前ですけれども、から比べましてもやはり人の交流というのがもう多くなってきているという現実がやっぱり後押ししたんじゃないかなと、こんなふうに思っております。
#10
○舛添要一君 次に、吉武局長にお伺いしたいんですけれども、日本と韓国の間の協定ではいわゆる保険期間の通算ということの規定がないんですね。これは、基本的に社会保障協定の場合、基本的にはこれないといけないと思いますが、どういう事情で韓国との間でないのか、できなかったのか。そしてまた、できないことによってマイナスはないのか。マイナスがもしあるとしても、協定を結ばれたことは、それを超えるプラスがあったからか。そういう点について御説明願いたいと思います。
#11
○政府参考人(吉武民樹君) 先生お尋ねのとおり、社会保障協定は、国際的に申し上げますと、両国の年金制度の二重加入の防止あるいは保険料の掛け捨ての防止、これが第一でございますが、同時に、両国の保険期間、加入期間を通算することによりまして年金受給権の確立を図ると、この二つを目的として締結をするのが通常でございますが、日韓協定の締結に当たりましても、我が方としましてはただいま申し上げた二つの目的を盛り込んだ協定の締結を主張をしてきたところでございます。
 ただ、韓国の国民年金は一九八八年に施行がされておりまして、まだ平均加入期間が十二年でございます。保険期間の通算を行いましても、当分の間は、日本の年金制度の最低加入期間は二十五年の受給要件を満たす韓国の方が当分発生をしないだろうということがございまして、通算を行いますと日本側にとって非常に大きな利益になりますけれども、韓国にとっては、当面、年金通算の結果、受給権が生じる方が出てこないだろうということがございまして、韓国側の主張としましては協定の内容を二重適用の回避にまず限定をして行いたいということがございます。
 これにつきましては、我が方としましては、二重適用の回避が図られることによりまして韓国の制度に加入される日本人の方が大幅に減少するということがございまして、今後の問題としては年金加入期間の通算の必要性はこれまでよりも減少してくるということがございます。それから、期間通算の問題につきまして合意はなかなか形成されない中で協定の締結そのものを遅らせるあるいは決裂するということは日本企業にとっても負担となっておりますので、二重適用問題の速やかな解決を図る観点からはいかがかということがございました。それから三点目でございますが、在韓の日系企業からは、二重適用の回避ができるのであればこの協定をできるだけ早期に締結してほしいという御要請がございまして、この三つの理由から韓国側の立場を受け入れるということとしたものでございます。
 なお、保険期間の通算の問題につきましては、今後、韓国の年金制度もだんだんと成熟してまいりますので、両国とも今後その可能性について模索していくということで意見をともにしております。本協定の締結後、時期を見て意見交換していくということを確認をいたしております。
#12
○舛添要一君 こういう協定、今、韓国についての問題点のクリアをどうするかということもおっしゃられたんですけれども、先進諸国の協定の締結状況を見てますと、日本はまだ二か国ということで、例えば、アメリカ二十か国、イギリス三十六か国、ドイツ三十八か国、フランス五十一か国、カナダ四十五か国、イタリア四十一か国と大変差があるわけですね。
 外務副大臣、これはやっぱりG7の一国としても大変遜色があると思いますが、今後、厚生労働省、外務省、これ協力してどんどん進めていっていただきたいと思いますが、どれぐらいのスピードでこれちゃんとやれるのか、その見通し等をお述べいただきたいと思います。
#13
○副大臣(阿部正俊君) 舛添先生御指摘のとおりでございまして、特にヨーロッパ諸国、EUという形の前、になる前から相互の乗り入れということを前提にして仕組んできましたので大変多くなっているということもあると思います。同時に、やはり私どもとしても、他の邦国との交流が非常に多くなってまいっておりますので、それを推し進めるというようなことを考えますとどうしてもやはり必要なことだというふうに思っております。
 ただ、結果的に、最初、正直言って、スタートしたのは、ドイツとかイギリスとかいう辺りとやれないかというのは数十年前から実は懸案でございましたけれども、どっちかといいますと、何か日本人の考え方として非常に厳密に物事を考え過ぎるみたいなこともある意味じゃあったのかなというふうに今も、今は反省もありますが、もう少し大筋としてやはり協定をやっていきましょうやというようなことでやっていくことも大事かなと思いますし、そういう意味で、これから毎年、去年と今年と少しずつ進んできておりますので、このスピードを更に加速させて、ここ、余り、五年、十年というふうなことではなくて、数年以内に数か国と結ぶということを、事務的な問題もありますので余り無理も言えませんけれども、その辺については最大限スピードをもってやっていくというようなことをしたいと思っていますし、かつまた、韓国の問題で今、舛添先生から御指摘のように、年金の通算がないじゃないかというふうな話ありますけれども、それもやはり、原則的にはやはりあった方がいいにこしたことはないんですけれども、まずできるところからというふうな発想も必要なんじゃないかと思っておりますし、そういったような関係作りをして、次にまた改善をして積み上げていくというふうな手法も十分考えていくべきであると、こんなふうに考えております。
#14
○委員長(山本一太君) ここで委員長から一言申し上げます。
 ただいま自民党の舛添要一君の質疑におきまして、川口外務大臣が不在でございます。条約審議という重要な機会ではございますが、皆さん御存じのとおり、大変いろいろと政治状況が緊迫をしておりますので、この場において大臣の不在を認めました。
 本日の質疑におきましては、質疑者の御意向も確認をした上、場合によっては川口大臣が不在の場合もございますので、そのことだけ一言申し添えておきます。
#15
○舛添要一君 実は、その人的交流の実態を見ますと、我が日本人が行っている海外の国で一番多いのがアメリカです。二番目が中国。全体の割合でアメリカが三七・四%、二十一万人弱。中国には六万人近く行っていまして、全体の一一%を占めます。ところが、日本にいる外国人のトップは中国人で、三十三万人、三〇・八%。二位がブラジル、二十三万人、二一・五%。
 要するに、年金制度なんというのは、これは先進国じゃないとしっかりしてないんで、先進国間で締結することは当たり前なんですけれども、やっぱり人的交流ということを言うんだったら、中国どうするんだということが大きな問題なんで、これはただ単に金の援助をやるんじゃなくて、こういう年金制度についてのインフラストラクチャーもちゃんとしろよということも、外務省の方針として中国の底上げを図る、そしてなるべく早く我々と同じような制度を作ってもらって日中間でやれるようにしないと、一番交流が多いのは日中ですから、今。中国をほったらかしにしてはおけませんよということを一言申し上げたいと思いますが、外務副大臣、何か御感想ございますか。
#16
○副大臣(阿部正俊君) 御指摘のとおりでございまして、どうしても二重、保険料支払の二重支払の防止だとかいうことがどうしても表に出てまいりますけれども、それ以前に、社会保障の適用をちゃんとお互いし合いましょうというのが基本なんだろうと思ってございます。それからすると、やはり中国の場合は国内制度としてもまだまだ不十分なところがございますし、それについても働き掛けを一方しながら、不十分な中での、日本人の中国に行った人たちに対する社会保障の適用というのはどうなるんだろうかということも関心を持ってやはりやっていかなきゃいかぬのじゃないかなと、こんなふうに思いますし、逆に言いますと、中国から来日された方についての日本の社会保障の適用関係についてもそれなりの、相互関係もございますけれども、それも一つの視野に入れてやっていかなきゃなりませんし、もし参考になるのであるならば、私どもの方からのある種のソフトウエアみたいなことの提供といいましょうか、ということについての技術協力ということも一つのテーマではないかと、こんなふうに思っております。
#17
○舛添要一君 これは吉武局長に申し上げますけれども、今、日本で年金の議論が非常に盛んになっています。それで、民主党は基本的にはスウェーデン方式ですね。だけれども、結局、これを我が国の国際戦略から見たときに、こういう制度という日本的なシステムを外に今度は輸出していくんだと。日本の年金制度が良ければそうやっていく、我々の失敗があればそれはアジアの諸国に伝えていく。ヨーロッパとアジアは違いますからね。
 やっぱり日本がアジアのリーダーになろうとするならば、そういうソフトウエア、制度、金だけじゃなくて、物だけじゃなくて、そういうことを輸出するという大きな外交戦略が必要なんで、私は、厚生労働省というのは内向きの官僚、組織、つまり国内向けではなくて、実を言うと、こういう大きな国際的な使命も担っているというふうに思いますので、そういう意味では、阿部外務副大臣がおられるということは両方兼ね備えられるわけですから、是非、厚生労働省、外務省チームワークを組んで、大きな日本の外交戦略の一環として位置付けると。今、国内で大変年金問題が大変ですけれども、そういう観点もお持ちいただけばということを申し上げまして、私は、私どもはこの二つの、日米、日韓社会保障協定締結に賛成でございますので、この問題についてはこの辺りで終わりたいと思います。
 引き続きまして、最近のイラク情勢についていろいろお伺いしたいと思います。
 三邦人が人質になっている、我々も報道で時々刻々変化を追っていますけれども、いかんせん情報がない、ないし錯綜している、そういうことでございますけれども、鈴木外務審議官、外務省として、今、最新の情報を簡潔に御説明願えますでしょうか、邦人人質事件について。
#18
○政府参考人(鈴木敏郎君) 最近のイラク情勢についてでございますけれども、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 総覧いたしますと、やはりイラクに対する武力攻撃から一年を経まして、依然厳しい治安情勢が続いております。そうした中で、イラクの民主的な政府を立ち上げるというプロセスは着々と進んでいるという事実も進行しております。それで、昨今報道等でいろいろ報じられておりますけれども、イラクの治安情勢でございますけれども、最近緊迫の度を深めているということが言えると思います。ただし、イラク国内におきまして、地域によってやはりそういった緊迫の度合いというものは異なっている、しかしながら全般としてやはり予断を許さないというふうに見るべきであろうというふうに考えております。
 過去数か月の傾向をちょっと見てみますと、やはり反連合勢力による攻撃というものは、米軍あるいは連合軍のみならず、形成過程にあるイラクの治安部隊などを標的にするという動きが顕著になってきているということが一つうかがわれると思います。
 最近のこの展開について申し上げますと、先月末より、御案内のように、シーア派の一派でございますムクタダ・サドル師とその支持勢力による連合軍に対する武力、実力行使のようなことがございまして、これをきっかけとして米軍等と衝突がイラク各地で起こったということがございます。また、ファルージャでございますが、ここでは先般の米英の民間人の殺害事件を機に米軍が相当大規模な掃討作戦をやっていると。ここは刻一刻今状況は動いておりますけれども、一時停戦が成立しているという状況がございます。
 シーアの問題にちょっと戻りますと、シーア派の有力な指導者であるというシスターニ師は、六日付のファトワの中では、暴力の拡大と、それから混沌として流血をもたらすいかなる行動も回避するようにという呼び掛けを行っておりますので、要するにイラク国内にも冷静に事態の収拾を求める声があるということもここでうかがわれるということでございます。
 私どもとしましては、こうした緊迫化している情勢というものをもちろん憂慮して注視しております。できる限り、秩序と治安が連合当局の努力とかあるいはイラク国民の協力によって回復するということを当然願っておるわけです。
 今、治安の方に焦点を当てましたけれども、イラク情勢ということはやはり政治の側面も見なくちゃいけないわけで、そういった観点からは、治安と政治は双方絡み合っている問題でございますが、政治プロセスとしましては、三月に基本法ができて、現在ブラヒミ国連事務総長の特使、特別顧問等がイラク国内に入りまして、暫定政権、六月の三十日以降、政権、統治権限がイラク側に移譲された後の受皿となる暫定政府の在り方とか、それ以降行われることが想定されております選挙の在り方について、国連の考え方を踏まえてイラク側と今調整をしているということが続いております。
 大体、現状を申し上げると、以上でございます。
#19
○舛添要一君 人質の解放についての新たな情報はありませんか。
#20
○政府参考人(鈴木敏郎君) 人質の解放については、今までのところ、新たな情報は確認されておりません。
#21
○舛添要一君 あとは、要するに外務省、これは交渉中であったりして秘密にしないといけないところが多々あると思いますから、人質の救出というのは最大の目的ですから、そこは触れられないところは触れなくて構いませんが、要するに、どういう分析をなさっているかという一端でもお伺いできればというのは、例えばアル・ジャジーラに犯行声明が出たと、最初に。そして、人質の姿が映った映像が流されました。その後、膠着状態が続いている。途中で解放するという話が出てきた。これも二十四時間以内に解放しないままだと。
 ファルージャの状況が今、鈴木参事官のお話のように非常に緊迫した状況になっている。仮に、ラマディとかファルージャ辺りに拘束されているとすると、なかなか、こういう停戦状態とはいえ、今米軍とは一応一時停戦していますけれども、停戦状態とはいえ、犯人の方としてもなかなか状況的に、自らの、犯人自身の安全ということもありますから、解放できるような状況にないのかなというような感じがしていますとともに、よその国の人質も、よその国の民間人も大分人質に取られている。これ、解放されたりされなかったりということ。だから、ファルージャをめぐる戦闘ということとこの民間人の拘束ということが、日本人を含めて、何らかの関係があるんじゃないかと、そういうような分析がし得るんですが、この点はどう外務省お考えですか。
#22
○副大臣(阿部正俊君) 舛添先生御指摘のとおり、正にある種の誘拐でございますので、情報の発信というのは非常に極めて慎重に、私どもからのある、ないを含めて慎重でなきゃいかぬというふうに改めて思っております。
 ただ、例えばファルージャの二十四時間後に解放というような声明が出たとかいうことも、放送したという事実だけではなくて、私どもなりのある種の確認といいましょうか、というふうなことを一方で行った上で、どうも確度がありそうだというふうなことでこういう事実があるということを流すとか、まあ流すというか、そういうのがありますよということをお話しするとかいうふうなことをしながらやってます。
 例えば、昨日えらく話題になりましたけれども、何か人質解放について昨日の三時ごろにまた何かだれかファルージャで流すんじゃないか、ビデオが届けられるとかという情報が流れましたけれども、ああいうふうな、非常に、結果的に誤報だったわけでございますけれども、根拠がないことはやはりある種の垂れ流しみたいなことをやるというのは、この種の事件については極めて憂慮すべき私は話だと思っておりますので、それについては大変申し訳ありませんけれども、相当確信持てない限り、こういう変化があったとかなんとかということは、安否も含めて申し上げることは差し控えたいと、こんなふうに思っております。
#23
○舛添要一君 それと、もう一つしっかり分析しないといけないことは、各国民間人が拉致された、カナダ人でありイギリス人でありアメリカ人であり、それから中国人、韓国の牧師。ただ、その中で、あれだけ明確に犯行声明を出し、映像まで送り付け、自らの名前、何とか戦士だというような、ムジャヒディンの名前を使って出したようなことをはっきり言ったのは我が国のケース、この三人のケースだけだと思うんですよね。しかも、日本政府、日本国民にあてて、それから一部音声が流れているときにはノー・コイズミと言ってみたりとか、非常に何か日本だけが特異だと。
 しかし、我が国の自衛隊は戦争のために行っているわけじゃなくて、治安維持やっていません、本当に人道復興だけやっている。もっとアメリカに協力しているところは一杯ほかの軍隊あるわけですから、なぜなんですか、なぜ日本。だから、つまりよその国の民間人の拘束のケースと我が三邦人の拘束のケースが際立った違いがあると思いますけれども、ここのところはどういうふうに外務省、分析されていますか。分かる範囲で結構ですよ。
#24
○政府参考人(鈴木敏郎君) 今、舛添先生おっしゃられたような違いというのは、確かに一つの現象として認識されると思います。私ども、阿部副大臣が先ほど申し上げられたように、現在あらゆる情報を、外に出ているもの、出ていないものも含めて一生懸命分析しながらこの問題に取り組もうとしております。
 今、舛添先生おっしゃられた側面につきましても、やはりこの段階で必ずしも先方の意図であるとか、先方というのは犯人グループ等の意図であるとか、あるいはほかの外国人がどういう状況下でどういう意図で捕らえられた等も含めていろいろ明らかでない部分もございますし、この段階でやはり私どもの考えというものは明らかにするということは様々な波及効果等もありますので、恐縮ながら控えさせていただきたいと思います。
#25
○舛添要一君 私が申し上げたようなことはいろいろな角度から分析していると思いますし、外務省の総力を挙げて情報収集ということをやっていただきたいと思います。
 防衛庁長官、お見えになりましたから、ちょっと最後に防衛庁にもお伺いいたしたいと思いますが、今イラク情勢、特に人質の救出についてお話を申し上げていますけれども、大体、そもそも退避勧告が出ているところに行くというのは私は自己責任だと思いますよ。我々も外交防衛の委員会でありますから、みんな行きたい。その後どうなっているか見たい、阿部副大臣と私、一緒に参りましたけれども。しかし、これは武装した自衛隊以外は行っちゃ危ないということを言っているんで、我々国会議員も行かないんですね、国民の代表すら行かない。それを押しとどめるわけにいかない。
 それから、これは報道陣についても言えることで、我々は報道を知りたい。彼らが命懸けでやってくれているんで現地の状況はよく分かります。しかし、退避勧告を出しているわけですね、外務省が。
 だから、そこのところはもっとしっかり言う必要があると思いますし、そこで防衛庁、サマワの宿営地にマスコミの人が退避してきたりとか、それから一部分の、幾つかのマスコミはもうイラク国外へ出たみたいですけれども、状況どうですか。今のサマワの宿営地にどれぐらい日本人退避しているのか、そういうことを含めて簡潔に御説明願います。
#26
○政府参考人(北原巖男君) 舛添先生に御答弁申し上げます。
 邦人人質事件の発生を受けまして、私ども防衛庁・自衛隊では、今御指摘の報道関係者、この安全の確保を図るということで、これは事前に外務省とも調整の上、防衛庁長官の指示に基づきまして、現地の部隊から四月の八日、日本時間では二十三時ごろでございますが、それに現地の部隊から努めて早くサマワ宿営地にお集まりいただくようサマワの所在する記者の皆様に対して要請を行いました。
 そして、八日以降、邦人記者等の皆さんを宿営地に現在受け入れているところでございまして、一番直近の人数といたしまして、昨日、四月の十二日でございますが、日本時間で二十三時時点の数字を締めております。これは、現地では五時間の時差がありますので、夜の六時になろうかと思いますが、現在、邦人の記者十六名、それからこれら邦人の記者と現地等で雇用されて行動をともにしている現地の外国人スタッフおりますが、一名、これはドライバーの方でございますが、合計十七名の記者を現在、宿営地に受入れをいたしているところでございます。
 八日の宿営地受入れ時点では二十名程度ということになっていますが、今日、十二日現在、若干人数が減っているところでございます。
 報道のありよう等につきましては、今年の初めも舛添先生からいろいろなルール作りが大事であるといった観点で急ぐよう言われておりまして、そういった点も含めまして、私ども、イラクの現地取材の枠組み等を作ってまいりまして、その中にも、その申合せの中で報道関係者の生命ですとか安全について可能な範囲で最大限配慮をするといった考えも示されておりまして、このたびの今私が御説明申し上げたような措置というのは、こうした枠組みの精神といったものにのっとりまして対応しているものでございます。
 今先生御指摘のように、退避勧告が出ているといったことは事実でございますが、そうした中で私ども、報道関係者の安全の確保ということも図っていかなければならないわけでございますので、引き続き外務省等と協力をいたしまして、なし得る限りの措置は取っていく必要があると、そのように考えております。
#27
○舛添要一君 メディアの人にとってもいい時代が来たなと思いますよ、皮肉を言うとね。新しい法律ができて、自己とともにいる人は助けていいことに、自衛隊が助けていいことになっちゃったわけですよ。
 私はジャーナリズムの世界にもいましたから、カンボジアに行ったときなんて自衛隊なんか来やしない。そんなときにやっていましたよ。あれは自己責任ですよ。だれも日本政府になんか助けてもらおうと思わないし、自分の責任で、自分で一杯保険掛けてね。それで、言葉ができたから、ポル・ポトに、ポル・ポト派に捕まりそうになったんだけれども、何とか逃げてきたんで、そういう体験をやった者から見ると、余りにも甘えていますよ、メディアも民間人もね。自己責任で行けばいいじゃないですか。
 それは、政府は邦人の生命守る義務がありますから一生懸命やっているし、当然のことながらああいう民間人を拘束するテロリストの卑劣さは弾劾しますよ。しかしながら、各テレビ局にしても新聞社にしてもそうですよ。自分たちの責任でやればいい話であって、そんな法律もなかったですよ。自衛隊が初めてカンボジアに来たでしょう。その前から、前に私行っていて、物すごく危険なことをやっていたわけですから、報道ということのために。
 だから、何を考えているのかと。自己責任、行くな、危ないから行くなと。私ども国会議員まで行かない。行きたいですよ、こういうところでちゃんと議論したいから。それでも行くことに対して、それは、その退去勧告を法律にまでして罰則まで設けることを、そこまでやる必要はないと思いますよ。
 だから、今回だって、それは自分の責任で取材するのだったら自分の責任でやればいいんで、私はちょっと私自身の体験からいうと、何を甘えておるかと、少し厳しくそういうことは弾劾せざるを得ないんで。あのロバート、ロベル・キャパじゃないけれども、そんな戦場に行くんだったら死ぬ覚悟でやるんですよ。そういうことも分からなくて、政府、国民に多大なる迷惑を掛けているということを一言でもちゃんと言っているかということですよ。私はそういうことは、何かそういうことをマスコミででも言うと選挙のときに不利になるようなことをみんな、我が同僚も考えられるかもしれないけれども、正論は正論としてやっぱりちゃんと言わないといけない。そのことを申し上げて、終わります。
    ─────────────
#28
○委員長(山本一太君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、荒木清寛君が委員を辞任され、その補欠として山口那津男君が選任されました。
    ─────────────
#29
○佐藤道夫君 私から川口外務大臣と石破防衛庁長官、お尋ねいたします。
 お二方ともイラク問題を控えて大変多忙な毎日だろうと思います。くれぐれもお体に御留意の上、日本国のために、ひいては世界のために頑張ってください。
 川口外務大臣を持ち上げるわけじゃありませんけれども、昨日かおとといでしたね、テレビでイラク国民に対して、イラクのテロリストに対して訴えておられました。大変感銘を受けたことであります。顔が、外務大臣の顔も輝いておりましたよ。私はさるところで何人かの女性たちと一緒にそのテレビを見ておりまして、テレビを見ながら目頭をふいている女性もおりました。やっぱりあなたのその熱意が日本国民にもそれだけ受け入れられたんだろうと思います。どうかひとつそういう、これからもまたあるかもしれませんけれども、頑張って頑張り抜いてください。国民を代表すると言うと大げさになりますけれども、お願いいたします。
 そこで、もう世の中イラク一色で、イラク以外は何らニュースがないというような感じにもなっておりますけれども、ちょっとイラク問題を離れて、北方領土問題を取り上げてみたいと思います。外務大臣の問題でありますけれども、石破長官余り関係ないかもしれません、どうかくつろいでゆっくりしていてくださいませ。
 実は昨日、北方領土返還陳情団と称する人たちが大勢、五十名近く参りまして、日本じゅう至る所にその集団、グループがありまして、北方領土を取り戻そうと、返還を要請しようということで運動、活躍をしておるわけで、その団長さん方が昨日五十名ぐらい参ったわけで、話をお聞きしたわけです。そこにおられる山本委員長も、同席というよりも、そんなことを言ったら大変失礼で、私は彼の後ろで話を聞いていただけでありますけれども、大変感動的な話でありました。要するに、一体どういうことになるんだろうかと、その人たちの心配よく分かります。
 私は、実は北海道勤務が長かったもんですから、納沙布岬からはるばると北方領土、それから知床半島から国後、択捉を眺めたと、こういうこと何度もあります。また、現地に行きまして、周辺で、あそこから我々は引き揚げてきたんですと、ソ連軍に追い払われてきたんですという人たちの話も聞きまして、涙なくしちゃ聞けないような話でありまして、本当に何とかならぬものでしょうかという話であります。昨日などは、五十万人の署名簿を携えて、北方領土返還に関する署名簿ですね、百万票だったか知りませんけれども、署名簿を携えてきておりまして、本当に話に身が入っておりました。
 これはもう、実は北方領土、今、日本が言っている北方領土というのは国後、択捉、それから歯舞、色丹、これはもう幕府時代から、徳川時代から日本人が自分の領土、自分たちの領土だということでそこに住み着いて利用していたところであって、北千島とは全然違うんですね、北千島とは。南千島、日本領土、北海道の一部と、蝦夷地と言っていましたが、蝦夷地の一部ということだったんです。ですから、太平洋戦争が終わりまして、ソ連が南樺太を没収する、それから北千島を我が領土とすると。
 ところが、南千島については、さすがソ連も、あそこは日本の固有の領土だから、このまま踏み込んでいったらアメリカに怒られるんじゃないかと。日本の軍隊がまた思い直して我々に抵抗してくるかもしらぬということで、本当におっかなびっくり、そろそろそろそろ入り込んできましてね。終戦が八月十五日でしょう。あそこに、一番南の国後にソ連軍が上陸したのが九月二日なんですよね。もう二十日以上たってからなんですよ。
 ところが、日本の軍隊さんというのは、戦争で負けたら終わりだというわけで、ぱっと逃げ出しちゃったと。それから、役所もどうしていいか分からないから、まあ、なるべくソ連軍とのけんかはするなと、それから身の安全を図るためにも、機会を見てもうこっちに引き揚げてこいというふうなことを言って、南千島も空っぽになって、そこにソ連軍が上陸をしてきたと、こういういきさつなんですよね。
 しかし、やっぱりあれは日本固有の領土だと、いつかは折を見て取り返そうということで、ソ連との話合いの場を持った政治家もたくさんおりました。その一人が金丸信さんでありまして、彼はわざわざソ連まで行って、皆さん方も記憶しておられるでしょうけれども、ソ連のしかるべき人と会談をして、何とか返してくれと、あれは日本固有の領土なんだと、こういうことを粘り強い交渉をしたわけですけれども、向こうはうんと言わぬと。それはそうでしょう。戦争で取り上げた領土、これを返還したというのは、沖縄、アメリカが沖縄を、小笠原を返還したと、あれが歴史に残る唯一の例ではないかと。私、ほかにもしあらばお教え願いたいと思いますけれども、そういうものなんですね。奪った領土を返すなんということはあり得ない話なんです。
 さすがの金丸さんもううんと考えて、もう仕方がない、これ金で解決しようということになってね、金の交渉ならソ連人、ロシア人は得意ですから、あっという間もなく話がまとまったらしいんですよね、金額は報道されていませんから分かりませんけれども。これを聞き付けた、うわさとして流れたんでしょう、聞き付けた日本の有識者と称する人たち、これが憤慨しまして、日本固有の領土だと、それに金を払って買い戻すとは何事だと言って金丸氏を激しく非難し、それに乗っかってマスコミもわあわあ金丸さんを批判すると。それでさすがの金丸氏も、ううん、じゃやめておくかということで、金で買い戻すというような、私これは名案だと思うんですよね、それがなくなってしまって、今に至っていると、こういうわけであります。
 しかし、人道支援と称して、北方領土に住み着いたロシア人に対しては、建物を、すばらしい建物を建ててやったり、それから生活費的なものも、うちを立派にしてやったり、金をつぎ込んでいる。これを人道支援と言っている。私は、こんなばかなことがあるんだろうかと。いいですか、強盗が入り込んできて、おまえら出ていけと言って居住者を追い出すと。で、強盗が奪ったうちに住み着いていると。ところが、生活に困っている。はたで見ても食べるものもない、住むうちもないような貧しい生活をしている。うちを追い出された人は、外で頑張って、多少の金が、余分な金もあるようになったと。ああ住んでいる人が本当にかわいそうだと、あんた方、これで食料を買って何とかしなさいと、家も新しくしなさいと言って金をやっている。この話を聞いたらみんな笑い出すでしょう、腹を抱えて。何をやっているんだと、おまえらはと。それと同じことをやっているのが我が日本と、こういうわけなんですよね。大変おかしい話で。
 そこで、川口大臣は近々ロシア訪問をなさるというふうに報道をされております。それから、プーチン大統領が年末には訪日と、何が目的かは分かりませんけれどもね。しかし、ロシアとの交渉の第一番は、言うまでもない、この北方領土の返還なんですね。
 北方領土の関係者というのは本当に全国に至る所に住み着いて、この返還陳情団というのも、もう福岡にもあればどこにもあるって、一杯あるんです、あちこちにね。そして、みんな北方領土を思って、何とかあれを取り戻したいものだと。
 ところが、今や若い人たちは知らないんですよね。北方領土って何ですかと。何でそんなところ日本が欲しがるんですかと。もう向こうのロシアにくれてやったらいいじゃないですか、仮に返ってきたって我々は行きませんし、あんなところにはと、だれも行く人はいないんじゃないですかと。
 そうかもしれません。北海道の奥地の方にはまり込んで頑張ろうなんという人、今いませんからね。みんな札幌あるいは東京に移住してくると、そういうようなのが日本の現状ですから、国民、国論を統一して、北方領土を取り返そうと叫び立てても、だれも、だれもと言っちゃ語弊がありますけれども、賛同する人は余りいないのかもしれません。
 しかし、いずれにしろ、ロシアとの交渉の重大なテーマの一つがこの北方領土の返還でありまして、当然、ロシアに行ってプーチン大統領と話をなさる、それから年末にプーチン大統領が来たら小泉総理も、小泉総理それまでやっているかどうか分かりませんけれども、ひざを交えて話をする、その第一の眼目が北方領土だと思います。
 そこで、川口大臣の決意のほどをお聞かせ願えればと思います。
#30
○国務大臣(川口順子君) 佐藤委員がおっしゃいますように、北方領土の問題、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するということは、我が国とロシアの二国間関係において最大の課題であると私は考えております。
 そして、昨年の一月に総理が訪ロをなさって、プーチン大統領との間で日ロ行動計画、これを採択をなさったということですし、また、そのときに併せて出されました日ロ行動計画の採択に関する共同声明というのがありまして、その中で、両首脳が平和条約を可能な限り早期に締結をするという強い決意を明らかにしていらっしゃるわけでございます。
 プーチン大統領と私が一昨年の十月にお会いをいたしましたときに、プーチン大統領は、この問題は我々が、我々の世代が過去から引き継いだ問題であって、それは我々の世代に解決しなければいけないというように強い決意を述べられましたし、総理に対しても、この問題を先延ばしする考えはないということを言われているわけでございます。
 私は、今年の前半にもロシアに行き、この平和条約の問題について、新しい外務大臣、ラブロフ外務大臣とみっちりお話をしたいというふうに考えておりまして、今、日程等について、いつが適切か、調整に入りつつございます。
 そういった、この間選挙がございまして、プーチン大統領が再選をされたということでございます。これはプーチン大統領の政権基盤が強化をしたということでありますので、総理とプーチン大統領との間で、この問題についてお二人で議論をしていただくことが非常に重大だ、重要であるというふうに思いますし、私もその前に、その準備といいますか、そういうことをやってこようと思っております。
 このプーチン大統領にロシアの中で強いリーダーシップを発揮をしていただく、強い政権基盤、これをベースに強い指導力を発揮していただくということがまた大事であると思います。
 それから、あしたから日ロの間で賢人会議が開かれる、あした開かれることになっておりまして、森総理に行っていただきますけれども、ここでもその領土の問題を含む広い課題を取り上げていただいて、それぞれ座長が両首脳に直結をしている方々でありますので、両首脳との間でいいコミュニケーションを持っていただきたいというふうに思っております。
#31
○佐藤道夫君 実は、今まで人道支援と称して何千億円という金がソ連、旧ソ連、ロシアにつぎ込まれているわけで、金で買い取るということも一つの重大な政策として考えていただいていいんじゃないかという考えも私、しておりますので、その点もお含みおきください。かつての有識者のように金で何だというような顔をしないで、まともに一つの政策として取り組むということもなさっていただければと思います。
 それから、次は、二元外交という言葉がしきりに使われておりますけれども、二元外交、この前の山崎前衆議院議員、平沢現衆議院議員、両名が中国で北朝鮮の首脳と会談した際に、その結果を踏まえて二元外交ということが言われました。大変、外務省に対して、特に外務大臣に対しては失礼な言葉、侮辱的な言葉ではないかと思われますけれども、実は事実関係を踏まえてみますと、二元外交、当たり前のことじゃないかというふうな意見も出てくるわけですよ。
 向こうで北朝鮮の代表と会談したということが報道されるや否や、福田官房長官は、おれは知らないと、平沢君などは病院に入っているはずだと、一体何をやっているんだということで、あの穏やかな人がテレビで怒り顔そのものであって、会談しておりました。それと相前後したと思う、外務大臣も、私は知りませんと、私は知りませんでしたと、あれは一体何ですかというような趣旨の発言をしておりました。小泉さん、小泉首相だけはちょっとにやにやというような感じで、しかし、知りませんよと、あれは何ですかと、こういうことを言っていました。
 全くああいうことを、我が国の総理、外務大臣の相談もなしにやるのかと、ひどい国だな、この国はと、イラク以下ではないかと、そういう感じを私、したわけでありますが、話がまとまったと称して彼ら二人が帰ってきましたら、雲行きが全然おかしくなって、小泉さんはにこやかな顔をして迎え入れて、夜はどこか赤坂の料亭で山崎さんと飲んでいたと。料理屋から飛び出してくるのなんか、小泉さんが出てくる際、テレビでも流れておりましたけれども、あれを見て、あ、これは、あの二人は小泉さんの了解を得て中国に行って北朝鮮の代表と会ったんだと。何か、あの会談の際に山崎氏は、おれは小泉総理の代理だと、こう言っていたという報道もあるくらいでありましてね。
 しかし、我が国は法治国家ですから、どこか、どこのだれやら知らない、国会議員だからいいだろう、そんなこともありません。国会議員だってその辺の人とどこも変わりはないわけですから、政府の仕事に口を出して、それをまとめてきた、どうだなんて言っているようなことをやるのはもはや国会議員の資格なしと言ってもいいぐらいでありまして、やっぱりきちんと役所に話をして、役所の指示を受けて、そして時々刻々役所と連絡を取りつつ外交交渉を国会議員の立場で進める、そういうことがあるかもしれませんけれども、それはよほど特殊なケースでありまして、やっぱり常に外務大臣それから総理大臣の手のひらの上で踊っている、これが、民間外交だとか何だとかいろいろ言われますけれども、そんなことなんですけれども。
 そこで、外務大臣にお尋ねいたしますけれども、本当に知らなかったんですか、それとも、小泉さんみたいに、知っていて、しかし、にやにやしながらテレビに映ったらやっぱりうそがばれるからきつい顔をして映ったのか、どっちなんですか。
#32
○国務大臣(川口順子君) 事前に山崎前幹事長、それから平沢先生から御連絡をいただいたという事実はございません。
#33
○佐藤道夫君 ちょっと最後の方が、御連絡いただいたんですか、いただかなかったんですか、どちらですか。
#34
○国務大臣(川口順子君) いただいたことはございませんと申し上げました。
#35
○佐藤道夫君 それならば、すぐ小泉総理と会って、あれは一体何ですか、総理も御存じだったんですかということを厳しく追及したと思います。女性の追及っていうの大変厳しいんですよ、そう簡単には妥協なんかしないはずですから。厳しく追及して、小泉さんは何と言っていました。まあまあしようがないじゃないか、我慢してくれ、話がまとまったんだからいいだろうと、世の中の大人、大抵こんなこと言いますけれども、そういうことだったんですか。
#36
○国務大臣(川口順子君) この件について私が小泉総理とどのようなお話をしたかということについてここで申し上げるべきではないと思いますけれども、小泉総理はこの件についてはぶら下がりの記者会見でそれは知らなかったというふうにおっしゃっていらっしゃると承知をしています。
#37
○佐藤道夫君 どうしてこの場でそういう話ができないんですか。外務省のことを考えて、これからもまたあるかもしれませんからね、あなたが総理に対してこういうことはもう今後やめてくださいと、小泉さんも分かったと、そうすると、今回の件は本当に申し訳なかったと言って土下座をしてあなたに謝ったと、私はそう思っていたんですよ。そんなことないんですか。ううん、知らねえやと、そんなことで終わっているんですか。
#38
○国務大臣(川口順子君) 総理は記者会見で、これについては承知をしていないということをおっしゃっていらっしゃいます。
#39
○佐藤道夫君 先ほどから言っていますけれども、小泉さんの言動から見まして、特に山崎氏が帰ってきたらすぐ料理屋に行って話をしたなんということから見て、お互いツーツーの仲であれをやったことは間違いない、これはだれが判断したってそうでしょう。この中で挙手をしてもらったって、全員が全員あれは二元外交だと、本当にけしからぬ話だと、こういうふうに言うと思いますけれども、どうもそうでないのはあなただけで、やっぱり小泉さんの弁解をそのとおり信じていると称するんですか。
 民間から起用されて、特に役所のいろんな弊害が目に付くでしょう。これだって、もしあなたのおひざ元で課長が局長に内緒でいろんなことをやって、局長は怒ってあなたのところにどなり込んできて、一体これは大臣が了解したんですかというふうな問題になった場合、やっぱりこれはきちっとした調査をして、独断で動いた課長をどやし付けるというのがまた大臣の仕事でもありましょう。そういうことで長い間日本の役所の伝統というのは保たれてきているわけですからね。
 総理だから手加減して、まあまあにやにやしながら話し合って何となく分かったような分からぬようなことで済ますと、また幾らでもこれから起きますよ、こういうことは。あなたに対する率直に言いますと信頼感がないから、ああいう議員を辞めた一私人を使って何か北朝鮮と折衝させるとか、そういうことなんでしょう。おかしいと思いませんか。平沢君だって何も外務省の役人じゃないでしょう。肩書はないんでしょう。そんな人を使ったらあなたやっぱり怒り心頭に発するでしょう。いかがですか。
#40
○国務大臣(川口順子君) 仮定に仮定を重ねて御質問をしていらっしゃるというふうに思いますけれども、この問題について政府の方針というのは、政府間の協議、これは北朝鮮との間での拉致問題等の諸懸案、これの処理については政府間の協議で行うというのが政府の立場でございます。私はそれが正しいと思っていますし、総理もそれが正しいと思っていらっしゃるということです。
#41
○佐藤道夫君 もういい加減にしてこの問題やめたいと思いますけれども、いずれにしろ、そういうことなんで、あなたと総理とが相談の上、じゃ、特使として山崎を派遣しましょうとか、あなたの了解を得て動いていることならば分からぬわけでもないんですけれども、そうじゃなくてあなたの知らないところで小泉総理の代理だと称する男が北朝鮮の代表者と何かごちゃごちゃ話をしていると。一体これ何だろうかと、この日本という国では本当に役所の秩序、ひいては法の支配ということが行われていないのかと、だれでもこの話を聞いた人は皆ううんと考えてしまいますよ。
 でも、まあいいです、そういうお考えならまたこれからもこういうことが何回も何回も続くかと思います。そのときはまた同じような答弁を繰り返しになればよろしいかと思います。文句を言うのは私ぐらいだと思いますからね、御了解ください。
 それから三番目に、一番大事なイラクの問題を取り上げます。
 先ほどの舛添委員の質問にも出ておりましたが、私、この問題をずっと聞いておりまして、調べておりまして納得いかないことがあるんですよ。その第一が、四月五日、この日をもって一斉に各国の民間人の拉致が始まっているんですね。アメリカ人を始めオーストラリア人、カナダ人、それからイギリス人、その中には日本人の三名も入って、そして最後は日本については今度の自衛隊の撤退ということが要求されてきたと。四月五日、だれかがどこかで号令を掛けてさあやろうということで始まったのかと、こういう気もいたします。
 それから、不思議なことに軍隊の撤退ということを条件として、人質解放の条件として言われているのは日本ぐらいじゃないんですか。これはなぜか分からない。アメリカの連中を何人か捕まえてきたらアメリカ軍に、アメリカに対してアメリカ軍が撤退しなきゃこの連中はもう殺すということを言いそうなものですけれども、一切それは出てこない。それから、捕まってすぐまた身柄の釈放になった人たちもいるんですね。何だろう、これはと。
 そこで分からないのは、一体この自衛隊の撤退、自衛隊というのは外国から見たら軍隊ですから、軍隊の撤退を求められたのは日本だけという理由は何なんでしょうか。どう考えればよろしいのか。外務大臣としてもちろん省内で十分議論をして、ううん、なるほどやっぱりそういうことがあって我が国がねらわれたのかというふうなことで自分なりに、自分なりというのか外務省なりに納得しているんだろうと思います。それをお話しくださいませ。これは秘密でも何でもないですから。どうぞ。
#42
○国務大臣(川口順子君) 今、人質の三人が安否が分からない状況で、イラクにまだいる状況でございます。それから、ここ四月八日にこの事件が起こって以来のいろいろな出来事を見ていただくと、日本でいろいろなことが言われたことが世界じゅうを駆け巡って、当然にテロリストの耳にも入っているということが起こっているわけでございますし、また日本発の情報が向こう発の情報として報道されているようなことも、ことにもなりかねないようないろいろな情報が飛び交っているというのが現状でございますので、私としてはこちらから何か物事を申し上げる、それがまかり間違って人質の安全に影響を与えるようなことをしてはいけないということを強く考えております。
 したがって、誠に申し訳ないんですけれども、この問題については極力物事を申し上げないということで今やらせていただいておりまして、人質の命ということをお考えいただいて御理解をいただければ大変に有り難いと思っています。
#43
○佐藤道夫君 防衛庁長官はいかがお考えでしょうか。日本の軍隊が世界で一番優れていると、だから何をさておいてもやつらを追い出さねばいかぬと、そこでこの三人が人質になったと、そうとしか思えないぐらいですよ。アメリカ人を捕まえたってアメリカ軍を撤退しろなんて何も言ってこないんですから、ゲリラたちは。なぜ日本がねらわれたのか、この軍隊の撤退ということでですね。軍隊の指揮官としてどうお考えですか。
#44
○国務大臣(石破茂君) それはいろんな推論はできると思っています。ですから、世の中で言われておりますのは、日本の場合にはこれはそういうことをすれば引くのだと、そうであればコアリッションの一角が崩れるのだ、だから日本がねらわれたのだというふうな議論をする方もあります。私として確たるものはこれだということは分かりませんし、それはもういわゆる犯人に聞いてみなければ分からないことでございます。すべて推測の域を出ません。
 私どもといたしましては、先ほど来外務大臣が答弁されておられますように、邦人の無事な救出ということのために全力を尽くすということでありまして、それはいろんな推論は成り立ちますけれども、これはきちんとした評価、分析を得たものではございません。人質の安全解放に全力を挙げるというのが政府の立場であります。
#45
○佐藤道夫君 遺憾ながら答えになっていない。それぐらいのことなら世の中の人、だれだって言いますよ。やっぱり、こういう事件が起きたら外務省を通じて、イギリスならイギリスに対して、おまえのところの者が勾留されているけれども、一体どういう理由で、しかもゲリラたちは何を要求しているのか、差し支えない限りで教えてくれと。もう解放されている場合、国もあるんですから、そういう国々は教えるでしょう、こういうことを要求されたと。極端に言うと、金が大体目的で勾留、身柄を拘束された人質もいるんだろうと思います。金を払って手を打ったと。いろんなことを情報を集めてくるのが外務省のお仕事でしょう。そうじゃないと、無駄金おまえらもらっているのかということを私、言いたくなります、決して言わないですけれどもね。
 でも、おかしいですよ、本当に。なぜ日本だけが今まだずっと勾留されているのか。ほかの国はどんどんどんどん解放され、韓国の牧師なんというのはその日のうちに解放されましたと。一体何が理由で、キリスト教徒でしょうからね、アラブにとっては本当の敵ですから、彼らはもうその場で殺害されてもおかしくないぐらいです。それがわずかの間に解放されて、日本人と一緒でしたなんて、あっけらかんとそういう話もしておるでしょう。やっぱりこういうことは、外務省、大変秘密収集がお上手で、それを一切外に漏らさないということで定評もあるわけですけれども、大事なことは大事なこととしてきちっと報告をしてもらいたい。
 ということは、今回、仮に三人が解放されたということで一切合財この問題終わりかと、そうはならない。例えば、金を払って解放してもらうと、日本というのは本当立場が弱いんだと、それじゃもう一回、五、六人捕まえてこい、できたら大臣が来たらそれを捕まえれば一番いいと、何億円も取れるんじゃないか、そんなことまで言うかどうか分かりませんけれども、いずれにしろ、これからの対策を練る上で、二度とあってはならないということを考える上で、徹底した情報収集をやって、なるほどイギリスの場合はそういうことで二、三日で解放されたのかと。アメリカが解放された者もおり、解放されていない者もおるんですね。
 なぜこういう違いが出ているのか。はっきり国会で報告できませんと、しかしちゃんと情報は収集しておりましてということならば、多少は納得しますけれども、そのどちらなんでしょうか、川口大臣。
#46
○国務大臣(川口順子君) 事件発生以来、政府といたしましては可能な情報の収集は極力やっております。また、関係国、関係者に対して連携を取り、あるいは協力を求めということもやっております。ただ、具体的にどのような情報を持っているかとか、そういうことをどのように分析、評価をしているかとか、そういうことについては先ほど申し上げたような理由で申し上げることを差し控えさせていただきたいということです。いろいろな、様々な情報には接しております。
#47
○佐藤道夫君 申し訳ないですけれども、あなたのお顔を見ながらその答弁を聞いておりますと、幸い何も知らないから言う必要がないけれども、しかし何も知らないと言ったら、外務大臣の立場もあるから、いろいろ知っているけれどもここで言えませんと言っているようにしか思えない。本当ですよ。私、人の顔見て物当てるのが上手なんですから、かつての仕事柄もありましてね。
 でも、本当、情けないと思いますよ。この三人を救い出すことも大事かもしれませんけれども、どうして三人がねらわれたのか、日本に、日本にだけなぜ自衛隊の撤退を要求したのか、これぐらいのことはこういう場できちっと説明するのが外務大臣のお仕事じゃないかと、こう思うわけです。
 私のこれは想像ですけれども、人質を取って、人質を縛り、縛り上げて暗い牢屋に入れておくということじゃないんで、やっぱり彼らも人間ですから、食事をするときなどはその人質さんと一緒になっていろんな世間話、あるいは国際情勢の話をしながら飯を食べたりしているわけですよ、いろんな話がその場に出るわけであって。
 そして、日本は自衛隊を派遣しているけれども、あんた方どう思うかねと、それぐらいのことは尋ねるでしょう、人質に対してね。それから、日本人全体がどう思っているのかね、君と。それに対して、彼らはNGOですから、我々は自衛隊賛成であると、そんなことは言わないでしょう。だれに聞かれても本当のことを言うわけで、我々は、自衛隊の撤退、自衛隊のイラク派遣に反対と、そういう立場で今までずっと頑張ってきたんだと。それが一つのヒントになって、それから、日本人も反対の者が結構いるのかねと、そういう質問が必ず出るでしょう。その場合に、いや相当数が反対していると。彼らの周辺にいる人たちは皆反対のはずですからね。この国会の周辺でも、あの問題が起きてから何かのぼりを立てて、自衛隊撤退しろ、人質の人命を救えってやっているでしょう。ああいう人たちが一杯いるわけですよ。ですから、彼らの答えとしても、うん、自衛隊派遣に反対する日本人結構いるよというぐらいは言うでしょう。そうだと、日本人を捕まえたら、それでいこうというふうになったのではないかと。これは私の想像ですけれども、想像というのはいかなる証拠も伴わないから発言に責任は持たないわけですけれどもね。
 でも、それぐらいのことはあなた方の内部で議論をして、やっぱりそうかなという、それで、NGOがなお成果を収めるようなことを上げない限り身柄が釈放されないというふうにも悲観的に考えれば考えられないこともないわけですけれども、いかがですか。この点は防衛庁長官にお尋ねします。こういう考えはもう瑣末な考えだから取るに足らぬということでしょうか。
#48
○国務大臣(石破茂君) これは先生の貴重な御推論だと思います。そういうような考え方もございましょう。いろんな考え方はあるんだと思います。ただ、それはもう聞いてみなきゃ分からぬ話でございます。
 ですから、私どもとしては、いろんな情報はございますが、それを分析し、評価をし、どのような形であれば人質が無事に救出できるか。そして同時に、総理がおっしゃっておられますように、政府の基本的な自衛隊派遣の方針には変更はないわけでございます。それはもうこの国会で何度も答弁を申し上げておりますとおり、我が国の国益、国際的な責任、そういうものも勘案して国会の御審議を経て派遣をしておるわけでございます。それと、邦人の救出というものを両立をさせていかねばならないということだと思っています。
 先生の御推論は、それなりに承りました。
#49
○佐藤道夫君 先ほども言いましたけれども、二度あることは三度あるということで、彼らが釈放されても、決してゲリラのあるいはテロリストの人質作戦というのは終わらないと思う。それじゃ、ひとつ立派なやつを捕まえて、それを種にして日本に自衛隊の撤退を求めようとか、必ずそういうことになって、その次、あるいはまた金で今度は済まそうということで、だれかを捕まえて金を出せと、商社員なんかがねらわれる。それから、自衛隊のリーダー的なやつを捕まえて、それを種に自衛隊の撤退を求めるとか、大使館員、この前犠牲者が出ましたけれども、大使館員を捕まえてちゃんと要求しようと、商社員を捕まえて金を今度は要求しようと。いろんなことが、そういうことを考えるのが彼らの仕事ですからね。三人を救出して万歳万歳とやっているような暇が、暇なんかないかと思います。
 そういうことに備えるためにも、この一番目の事件というのを徹底して、なぜこの三人が拘束されたのか、どんな条件を、なぜこういう条件を日本だけに出したのか、金は一切日本人に対しては考えていないのかどうなのか、いろいろ議論をする問題があるでしょう。役人というのはそのためにいるわけですから、その辺うろうろ歩いているだけが役人じゃないんであって、内部で、防衛庁もそれから外務省もこういう問題取り上げて徹底して担当者に議論をさせて、あなた方の参考にすると、これが役所の本当の基本的な在り方だろうと私は思いますから、三人解放されればそれでおしまいと、今のところはそれは三人の問題で頭が一杯で何もほかには回らないと、そんなことじゃないんですよ。日本人というのは一億何、何千万いるわけですから、三人で済む話じゃないということを肝に銘じて、今後の対応ということを真剣に考えていただきたいということを要望して、若干時間がありますけれども、質問を終わります。
#50
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。外務大臣におかれましては公務の御予定がおありということでありますので、どうぞ退席いただいて結構でございます。
 そこで、まずイラクの邦人人質事件に関して御質問いたします。
 イラクについては、今年に入って既に十三回も退避勧告が出されているという極めてハイリスクな地域でありますけれども、このイラクに限らず、世界の様々な危険地域に対して邦人が入国をしてしまうということはあり得ることであります。その場合に、その邦人の入国が外務省あるいは政府においてどれだけチェックできるのか、そしてまた邦人保護の在り方としてどういう体制が組み得るのか、この点について今回の事件は多くの示唆に富むわけでありますけれども、この現状がどうなっているか、またそれに対して邦人保護という観点から見直しが必要なのではないかという議論もあり得るわけでありまして、この点についての外務省の御認識を伺いたいと思います。
#51
○副大臣(阿部正俊君) 今回のいわゆる人質事件に関することでございますが、基本的にはやはり三人の人命の、三人の解放といいましょうか、それを実現するというのが当面の一番大事な課題だというふうに思っておりますが、御質問ですので、あえてそうしたふうな本来の邦人保護の、退避勧告等についてのやり方といいましょうか、あるいはその意味合いというようなことについてちょっと一般論ですけれどもお答えさせていただきたいと思うんでございますが、正に人命尊重ということがあればこそ私どもは外国についてのいろんな渡航情報をきっちり調査した上で流しているわけでございますし、これも一般的に何か出すというだけじゃなくて、旅券の交付の窓口での徹底を図るとか、あるいは交通、旅行会社等々に別途詳細な連絡をするとかいうことをして努力しているところです。
 ただ、最終的には、やはり御判断というのはどうしても、今の法体系の中での一般的に言えば、旅行の、渡航の自由といいましょうか、というふうな中での制約というものがございますので、どうしてもやっぱり個々人の判断でのあえて退避勧告、あるいはその状況のいろんな注意勧告を乗り越えて行われるということもなかなか禁止するというふうなことも、論議一部ございますけれども、率直に言ってなかなか容易じゃないというふうな状況でございます。
 ただ、やはりこれからの、先ほど舛添先生からの御意見もございましたけれども、いろんな問題についてもう少しいろんな意見を闘わせていただくということも大事な、この退避勧告等の趣旨の徹底の上でも私は大事なことなのではないかと、こんなふうな認識でおります。
 もし詳細な、具体的な説明がありましたら、またうちのあれからさせますけれども。
#52
○山口那津男君 今、イラクの事件については一日も早い解放、無事解放ということを祈るのみでありまして、是非御努力をいただきたいと思います。その上で、今後の在り方について改めて検討を要すべきことだろうと思います。
   〔委員長退席、理事佐藤昭郎君着席〕
 次に、社会保障協定についてお尋ねをいたしますけれども、この協定を締結することによって一般的に日本側がどのようなメリットを受けるのか、これを具体的にお答えいただきたいと思います。
 例えば、日本の企業が保険料を二重払いをする、この協定がなければそういうことになるわけでありますけれども、これによって、協定締結によって免れる保険料というのは年間どれぐらいになるのか。これを締結済みの日独協定についてどうなるか。あるいは、日英の協定についてどうなるか。それから、本件で問題となっております日米協定、日韓協定でそれぞれどうなるか。
 特に日米の協定におきましては、アメリカの場合、医療の関連の保険料と年金の関連の保険料というのが同じ法律で規定をされておりますので、それぞれを分けてその具体的なメリットも御説明いただきたいと思います。
#53
○政府参考人(吉武民樹君) 社会保障協定の締結によりますメリットといたしましては、二重加入あるいは保険料の掛け捨て等の問題の解決がまず図られますので、事業主それからサラリーマンの方、それから一部自営業者の方もおられますので、こういう方々の社会医療負担が軽減されるということがございます。このことによりまして両国間の人的交流の円滑化、あるいは経済交流を含みます両国の関係はより一層緊密化される、更には両国への投資の増大が期待されるという問題があるだろうという、そういうメリットがあるだろうというふうに思っています。さらに、先ほど申しましたけれども、年金の通算が一緒に実現をいたしますと、二国間における、住所を二国間に持たれた方につきまして、それぞれの国民が受給権が保護される可能性が高くなるということでございます。
 それから、先生お尋ねの年金保険料、あるいは医療の保険料の二重払いを免れる額でございますが、平成十年に署名されました日独の協定の場合には、これは日本側でございますけれども、三十億円の軽減と推計をいたしております。それから、平成十二年の日英協定の場合には五十億円というふうに推定をしております。
 それから、今回の日米社会保障協定でございますが、現在日本から米国に派遣されています企業の駐在員の方などで、両国の年金制度、それから医療保険制度に二重加入となっている方が約四万人程度と推定されます。それから、本人、事業主の方が米国政府に対して負担をしております日本側の保険料の額は、今申し上げました米国在留の民間企業関係者数を基にごく大まかに試算をいたしますと、年間でございますが、年金については約五百億円、それから医療につきましては、これはメディケアというふうに申しておりますが、いわゆる高齢者医療でございますが、について約百億円であり、合計約六百億円程度の企業あるいはサラリーマンの方を中心とした負担の軽減になるだろうというふうに見込んでおります。
 それから、日韓の社会保障協定につきましては、現在日本から韓国に派遣されております企業の駐在員などの方で両国の制度に二重加入となっている方は約千六百人程度と推定をされまして、韓国の場合には年金でございますが、年金保険料の負担軽減額は年間で約六億円程度になるものというふうに見込んでおります。
#54
○山口那津男君 今お答えのあったように、具体的にかなりの金額のメリットというのがもたらされるわけであります。保険料の二重払いを回避できるということのほかに、もう一つ、年金の保険期間の通算による掛け捨て防止ということも、これもまた一つのメリットになろうと思います。
 日韓の協定におきましては、今回、その通算ができない、そこの合意には至らなかったということでありますが、今後のことを考えると、やはりこれについても合意に至る努力をしていただきたいなと思うんでありますが、この点の見通しについていかがでしょうか。
#55
○副大臣(阿部正俊君) ちょっと私から一言。
 御指摘のとおりでございまして、単に保険料の負担軽減というふうなことがどうしても出てまいりますが、基本的には、やはり先ほども申し上げましたとおり、日本人の在韓なら在韓の方々への社会保障の徹底というのがどういうふうになるのかということをやはり念頭に置かなきゃいかぬということからしますと、やはりただ保険料の二重取りの防止ということだけではなくて、年金での通算というふうなことも念頭に置いてやらにゃいかぬということを念頭に置いておりますと思いますし、少なくとも外交、外務、私どもの省、私らの省としては、そういう立場に立って推進してくれと、こういうふうなことを申し上げております。
   〔理事佐藤昭郎君退席、委員長着席〕
 ただ、今の現状を見ますと、韓国の年金制度は発足して間もないわけでございますので、通算となりますと、日本の年金は二十五年というんで非常に長い支給要件の期間を取っていますので、それに通算しましても今すぐ何の役にも立たぬというような現状もございますもんですから、少し向こうのスタートが遅かったものですから、ということなので、取りあえずできるところからというようなことで、いずれそういうのも重要な課題だというようなことでやろうということですので、そういったような段階的な実施というのもやはり考えるべきなのかなと、こんなふうに思っていますが、厚生省に対しましては、あくまでもやっぱり将来をにらんで、そうした医療保険も含めて、どんなふうになるのか、もう少し拡充できるような方向で物を考えてくれというようなことを申し上げていこうかと思っております。
#56
○山口那津男君 副大臣の御専門の分野でもありましょうから、是非頑張っていただきたいと思います。
 そこで、韓国は一元的な皆年金制度というのを立ち上げて間もないということでありますけれども、在日の韓国人の方々は本国であります韓国の制度によって年金権が保障されるには至っておりません。片や、日本におきまして定住をされ、そして日本における納税の義務を果たしながらも無年金状態に置かれているという方々がいらっしゃるわけですね。この在日韓国人だけではありませんで、日本人でも制度のはざまで無年金状態、例えば先ごろ訴訟になりました障害者、無年金障害者の問題もあります。あるいは、ごく少数ではありますけれども、公務員を退職されて自営業に移られた方、こういう方で国民年金制度に加入できなかった、制度的にできなかったという方も若干いらっしゃるんですね。そんなことを考えると、この無年金、制度的に無年金に置かれている人たちに対する救済ということもこれは検討の価値がある課題だろうと思います。
 そこで、この在日の韓国人の方々で無年金の状態に置かれている皆さん、この方々に対する救済も具体的に私は検討すべきではないかと思うわけであります。従来の保険という仕組みに必ずしもはまらない状況にあったかとは思いますけれども、しかし一方で、税によるこの保険制度の補完ということも考えていく時代であろうとも思いますし、また全額税で給付を考えると、こういう制度も取り得るわけでありまして、是非ともこの点についての検討をお願いしたいと思うわけでありますけれども、何かお考えがあればお答えいただきたいと思います。
#57
○政府参考人(吉武民樹君) 年金を受給しておられない障害者の方々への対応の問題につきましては、平成十四年の七月に坂口厚生労働大臣が試案を発表されまして、検討を続けてきているところでございます。
 今回、東京地裁におきます学生の方に対する判決も契機となりまして、与党におかれまして無年金障害者の問題の取組について合意が行われております。これを受けまして、坂口厚生労働大臣の方からも談話を発表させていただいておりますが、その中でも述べておりますが、学生などの年金制度の発展過程で生じた特別な事情、それから現行の老齢福祉年金あるいは障害基礎年金等との均衡、あるいは年金における国庫負担の果たしている役割等を十分考慮いたしまして与党におきましても今後検討が行われますので、与党における検討も踏まえまして、一定の範囲の方々について福祉的な観点から適切な措置を講じるという、年金としての対応はなかなか難しゅうございますので、福祉的な観点から適切な措置を講じる方向で具体的な検討を行い、できる限り早期に結論を得ることとしたいという考えでございます。
#58
○山口那津男君 今、無年金障害者の関係についての御答弁がありました。これを一つの参考にいたしまして、在日韓国人の問題についても是非、障害を持った方に限らず、高齢、一定の年代以上の高齢者に対する対応も考えていただきたいと思います。
 さて次に、この社会保障協定、まだ締結をしていない国々たくさんあるわけでありますけれども、先ほどの具体的なメリットがあるということ、さらにまた、交渉は相手のあることでありますから難易度もいろいろあろうかと思いますが、これらを考慮しつつも早期に締結する努力をしていただきたいと思います。特に、アメリカは数多くの国ともう既に締結済みでありまして、日本がまだ締結済みがわずか二国にとどまっているということも、世界に企業活動を行う我が国としては極めて遅々たるものだろうと遺憾に思うわけであります。是非とも今後これらの早期締結に向けての御努力をお願いしたいと思うわけでありますが、その取組の姿勢についてお答えいただきたいと思います。
#59
○副大臣(阿部正俊君) 社会保障協定につきましては、正に御指摘のとおりでございまして、日本は率直に言って立ち後れているというふうに言わざるを得ないというふうに思っております。特に、ヨーロッパ諸国については、先ほどちょっと申し述べましたが、EUの時代から、EUというか大分前からかなり締結するのが常識になっていましたので進んでおります。
 したがって、今現在でもまだ、ようやくここまで来ておりますが、今意見交換中あるいは交渉中の例を挙げますと、フランス、ベルギー、カナダ、豪州辺りはかなり前向きに今交渉中でございます。と同時に、先方からの、これは相互主義みたいなところもございますものですから、相手方の意向を確認しないといかぬということでございますので、そういう意味での、関係国からの言わばある種の交渉の申出というようなことを、出てきている国を申し上げますと、ヨーロッパが中心ですが、ルクセンブルクとかオランダ、イタリア、フィリピン、ブラジル、チェコというふうなこともありますので、この辺は本当に今までのこのスピードからすると驚異的なスピードをもってやれるんではないかと思っていますし、また、厚生省にも言わば大いに努力をしてもらいたいというようなことを、私どもも外交ルートでの支えもしながら進めていきたいと、こんなふうな姿勢で臨みたいと思っております。
#60
○山口那津男君 是非、社会保障制度に明るい副大臣の下で、早期締結へ向けて全力で頑張っていただきたいと思います。
 最後になりますが、このほどチェイニー副大統領が来日をされました。そこでもこの北朝鮮における拉致問題についても言及があったと伺っております。また、それに先立って日米韓の実務者の会合も開かれたと、こう伺っているわけでありますが、それら一連の出来事を基にいたしまして、これからこの問題の解決に向けて外務省としてどのように取り組んでいかれるか、その見通しをお聞かせいただきたいと思います。
#61
○副大臣(阿部正俊君) いわゆる拉致問題につきましては、日米の会談、チェイニー副大統領との会談でも、その拉致問題の解決の必要性について、確認されたところでございます。御存じのとおり、この問題につきましてはせんだっての政府間、日朝の協議でも取り上げておりますし、ただ、問題認識等に相当の隔たりがまだありますので一致しておりませんで、平行的なところはございます。ただ、私どもとしてはその自分らの主張をちゃんと申し上げ、しながら、一方での、相手さんの方はまだ回答に至らずということで、いずれ何らかの返答をしましょうというようなことで言ってきておりますものですから、まだ、それから三週間以上たちますので、率直に言いまして遅いではないかといいましょうか、そんなふうな気持ちもございますけれども、粘り強く回答を促し、先ほど御指摘ございますような二元外交のようなことにならないように、正当な形で要求をし、私らの立場を訴え続けていきたいと、こんなふうに思っていますが、そのための最大限努力を払っていきたいと、こんなふうに思っております。
#62
○山口那津男君 政府の強い努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#63
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。
 二つの協定には賛成ですので、今焦点になっているイラクの問題中心に質問させていただきます。
 今一番我々が力を注がなければならないことは、三人の無事釈放を実現することであります。政府もあらゆる努力をやるということを表明されております。しかし、その一方で、自衛隊の撤退はないということも繰り返し言明されております。したがって、政府の言うところの全力を挙げるあらゆる努力というのは、自衛隊の撤退を除く努力ということなのかどうなのか、まず確認しておきたいと思います。あっ、外務省に。
#64
○委員長(山本一太君) 今、どなたに御質問。
#65
○吉岡吉典君 外務大臣。あっ、副大臣ですか。
#66
○副大臣(阿部正俊君) 何でしたか、ちょっと済みません、もう一度。
#67
○吉岡吉典君 それじゃ、聞いておられる方でいいです、どなたか。時間が大事だ。
#68
○委員長(山本一太君) イラク問題についての自衛隊撤退等々についての御意見ですから、鈴木参事官。
#69
○吉岡吉典君 自衛隊を除くかどうかということだけでいいですよ。
#70
○政府参考人(鈴木敏郎君) 基本的には、この人質問題に対しましては、人質の方々が安全に帰られるということを目指して全力を挙げているということでございます。
 他方、こういった犯罪グループあるいはテロリストの要求というものに屈しないと、テロリストの要求には屈しないという基本方針もまた踏まえて言っているところでありまして、自衛隊の撤退問題については、この事件の直後に官房長官より明確に政府の立場は述べたところでございます。
#71
○吉岡吉典君 要するに、あらゆる努力ではなくて、自衛隊の撤退を除く努力だということだということが、今改めてはっきりさせられました。
 そこで、外務大臣、今日の答弁でも昨日衆議院での答弁でも、人命にかかわることだから答弁にもいろいろ制約があるという意味のことをおっしゃいました。私、それは当然の配慮だと思います。
 しかし、その一方で、今の自衛隊の問題というのは、相手に対して挑発的なことを言うのがいいのかどうかという問題にもかかわると思いますね。もう繰り返し繰り返し自衛隊の撤退は行わないということを言明し、そして、昨日は武装勢力が一番敵にみなしているアメリカの副大統領との間で自衛隊の撤退は行わないということを、報道によれば約束と書いたのもあるし表明だったと書いたのもあります。それはどちらでもいいんですけれども、そういうことを合意し合っているということになると、そういう言明というのは、一方で人命の尊重のために答弁も配慮しなくちゃいけないということと矛盾する非常に挑戦的なことだと思うんですが、そういうことを言明することが解決の条件を何か好転させるというふうにでも考えておられますか。外務省。
#72
○副大臣(阿部正俊君) そうしたふうな御意見もありましょうし、先ほど他の先生方からも御指摘もございましたけれども、私どもの対応によりましてはかえって、ある意味じゃくみしやすしみたいなことを受け取られかねないようなことを申し上げるのもいかがなものかというふうに思っておりますので、私どもとしては、先ほど言いましたように、ちょっと失礼しましたけれども、最初の自衛隊の撤退云々ということ、問題につきましては基本的な姿勢というのは既に明確にしておりますので、その方針は堅持しながら、一方で矛盾することかも、するかもしれませんけれども、救出作戦、救出について全力を尽くすということを申し上げているわけでございますので、それ以上のことは、今の段階では個別の情報についてコメントするということは必ずしもその目的に結び付くものではないものが多いということを申し上げている次第でございます。
#73
○吉岡吉典君 そこで、民間人の問題ですけれども、今日も議論になりました民間人は退去すべきだという意見ですが、NGOが今までイラクの中で果たしていた役割というのは私は大変大きいものがあったと思います。
 例えば、NGO、給水でも一日に千トンから二千トンの給水をやっていたということを言っておりますね。そういう活動というのは、私は自衛隊の派遣が人道支援だとあれだけ強調されるのならば、それよりはるかに大きい給水活動をやっている、しかも非常に危険な地域のところに出掛けてやっている民間人のそういう運動というのも、これこそ文字どおりのイラクの復興に対する日本人の支援、貢献であって、むしろそれは、日本政府としてもそういう活動をやっている日本人がいることは誇りにこそ思え邪魔者扱いする必要はないと思いますが、先ほど来の答弁だとこれには退去を命ずるということだとすると私は理解し難いんですが、どういうことですか。やはり退去せよということですか。
#74
○副大臣(阿部正俊君) 現実に今回の事件は事件として先ほど申し上げたような態度で対応するということにしておりますが、と同時に、先生おっしゃるとおり、NGOの活動そのものについて私ども評価してないわけではございませんし、川口大臣のテレビでのメッセージの点につきましても、三人の方についてはこういったふうな活動もしているんだよということも申し上げておりますし、一般論として言えば、イラクにつきましても、条件の、一定の条件下ではございますけれども、NGOの活動というものは大変有効だというふうに思っております。
 ただ、これはあくまでも安全の確保というのが言わば最優先されるべきものではないかというふうに思っておりますので、現状の、イラクの現状を考えますと、仮にNGOといえ、やはり退避勧告というようなことを申し上げざるを得ない状況だということで申し上げておりますので、その辺につきましてはこれから先、十分御配慮いただきたいということを改めて申し上げているわけでございます。
#75
○吉岡吉典君 自衛隊を撤退しないという理由として、官房長官も含めて、自衛隊は人道復興支援を行っているからだということを強調されております。
 私は、その一連の発言で不思議に思うのは、なぜ自衛隊はあなた方がおっしゃる人道復興支援活動と併せて安全確保の活動もやっているということはおっしゃらないのか。これは新聞広告でも安全確保活動については一言も触れないで、専ら人道復興支援活動を行いますということしか言われていないわけですね。私は、そういう態度を見ていると、何か安全確保活動というのは自分の側からは触れたくない活動のようにも取れますし、あるいはこういう事件を期に安全確保活動は今後やらないでいこうという含みがあってそういうふうにおっしゃるのか、よく分かりません。
 なぜ一体、安全確保活動については触れないのか、またそれは今後も続けるのかどうなのか、防衛庁長官。
#76
○国務大臣(石破茂君) 安全確保支援活動について触れていないというわけではございません。安全確保活動も支援活動も行っているということは国会でも答弁を申し上げておるところでございます。
 これは、国会におきまして御審議いただき成立いたしました法律、あるいは本国会におきまして実施の措置について御承認をいただいております。それは人道支援、人道支援活動だけではなくて、人道復興支援活動だけではなくて、安全確保支援というものも内容に入っておるわけでございます。法律に基づきまして行っているというわけでございまして、殊更隠しておるというようなことではございません。
 しかしながら、事がコアリッションの中で行っております。他国がかかわる場合ということがあるわけでございまして、その内容というものを詳細に申し上げることはできないということでございます。これは事柄の性質上、そうなっておるわけであります。
#77
○吉岡吉典君 長官はそうおっしゃいますけれども、もうほとんど、安全確保活動は国会で質問があれば長官はっきり認めておられますけれども、自分の側から新聞等でそれ聞いたこと私はございません。新聞の全面使っての広告でも一言も触れてありません。そのことだけを申し上げておきますが。
 サマーワでの自衛隊の、陸上自衛隊の活動ですけれども、私昨日、「軍事研究」の五月号を読んでみて、「検証・自衛隊イラク復興支援」というのを読んでみますと、自衛隊の人道復興支援ということについても、陸上自衛隊の第一次イラク復興支援群の五百五十人中、給水活動をやるのはわずか三十人、本部管理中隊が百九十人、そしてまた警備中隊が百三十人いるというような群の編成であって、実際に復興の中心になる給水は三十人、施設隊も五十人と、衛生隊も四十人、合わせても百人そこそこという状態で、そうすると、もう結局これ一体どういうことになっているのか。それで給水も一日八十トンというのが限度だと。それは浄水の精度がどうかは別としまして、ボランティアは一千トンから二千トンの給水をやっていると言っている時期に、こういう自衛隊を送っておくことが一体日本は人道復興支援をやっているやっているということに当たる中身なのかどうなのかという、私これを読んで疑問を持ちました。
 こう書いていますね、この筆者は。「軍事研究」です、雑誌は。部隊の派遣は、日本が資金を拠出するだけでなく危険も分担する国であることを象徴するものとして意義があるのだということで、つまり、政治的効果を国際的にねらっているものだというのがこの筆者の分析の結論になっているんですね。
 私は、実際の給水量もボランティアは一千トンから二千トン、物々しく出掛けていった自衛隊は八十トンが限界だと。
 その自衛隊が行ってボランティアの活動が危険にさらされるようになって、そして退去が求められるというのは、これやっぱり逆さまじゃないかという気がするんですが、まず、これ外務副大臣の方から、どういうふうにお考えになるかお伺いし、防衛庁長官にもお伺いします。
#78
○副大臣(阿部正俊君) NGOの諸活動、しかも一方で、イラク人にとってどれだけの具体的なためになるのかということについて十分吟味しなければならぬということも確かでございますが、現在のイラクの状況を考えますと、やはり安全ということも考えますと、一般のNGOの活動を前提にして物を考えていくということでは大変できない状況ではないかというような判断の下に、一定の防護能力、あるいは日ごろ訓練されている、あるいは他に頼らずに自活できるというふうな能力のある自衛隊ということを通じて復興支援に役に立つように国際的な責務を果たしていこうというふうな形と、一つとして自衛隊の派遣に踏み切っておりますので、両者の効用等についててんびんに掛けながら事を判断していくというのと、少し私らと見解が、判断のまあ何といいましょうか、見方が違うのかなというふうに思っておりますが、私どもとしてもNGOの効用ということについて一定の条件の下で活躍できる場面が来ることを望んでおることは間違いない事実でございます。
#79
○国務大臣(石破茂君) 先生先ほどからボランティアといいますか、NGOといいますか、千トンというお話をなさいました。私ども、そのような数字を確認をいたしておりませんので予断を持って物は申し上げませんが、我々が今八十トン浄給水を行っておるわけですね。これが一人四リットル使うといたしまして、一万六千人分ということになります。仮に千トンといたしますと十倍以上ということになりますから、それだけでサマワの水の事情というのは解決しているはずなのですね。そのようなことって本当にあるのだろうかと。ボランティアは非常に安い金で少ない人数で多くの水を供給しているという説を唱えられる方がありますが、もしそうだとするならば、サマワが水不足ということはないのです。そういうことでできるならば、イラク全土だって水が足りないということは起こり得ないのです。
 先生は先ほど来、政治的な意味というふうにおっしゃいましたが、実際問題、今のサマワの宿営地にこういうような砲弾が、爆発音が聞こえたというような事情が生起しました後にサマワ市のいろんな方々が来られて、自衛隊はここで残っていてくれと、本当に迷惑を掛けて済まなかったというようなことは連日来ておられるわけでございます。
 私どもは、自衛隊がやっていることが政治的な効果をねらっていて人道支援には全く役に立っていない、そのようには思っておりません。活動を通じて本当にイラクの人道復興支援に役に立っている、隊員たちはそのために努力をしているというふうに考えておるわけでございます。
 先ほど数字を間違えたかもしれません。一人当たり四・五リットルといたしまして、一万六千人分が八十トンという量でございます。
#80
○吉岡吉典君 ボランティアのも、私はサマーワで一千トン、二千トンというふうには言っておりません。その点だけはあれ申し上げておきます。それから、今の自衛隊が何の役にも立っていないというふうには私は言っておりません。八十トンだと。それで、しかし五百五十人送って給水活動にかかわっている人が三十人しかいないという部隊編成だということは今否定ありませんでしたから、そうだろうと思いますけれども。
 時間ありませんからね、今日、私は最後に申し上げたいことは、今の日本人の拉致される人が出るような状況になったこのイラクの事態というのは、アメリカのイラクに対する武力攻撃の目的が成功していないことの表れだと思います。今日の事態、これはね、今だれも着々とアメリカの目的が成功しているというふうに言う人はいないと思います。シーア派か、シーア派、スンニ派の武力勢力が共同戦線を張ってアメリカに対する戦いを開始するというような状況を、事実上単なる治安の悪化でなく、これ内線状態にもなりかねないというように見る人もおります。
 私は、この今の事態を日本政府は改めて全面的な分析して、今まで取ってきた方針でいいのかどうなのかということをやっぱり研究していく、そういう事態ではないかと思います。私はこれまでも、常に自分らのやっていることの検討が必要だということを繰り返し言い続けてきました。今のイラクの事態というのは、このまま日本がアメリカに対する支援、協力を続けることでイラクの問題が解決するという見通しは立たないと思います。統治評議会さえも崩壊の危機だと新聞は書いている状況です。
 私は、この事態の下でもし、今日の事態はそうはいってもアメリカの目的が成功しつつある事態だというふうに言い切れるかどうか副大臣にお伺いして、質問を終わります。
#81
○委員長(山本一太君) 簡潔な御答弁をお願いします。
#82
○副大臣(阿部正俊君) 簡潔にお答え申し上げます。
 成功不成功ということについて直接お答えするのはいかがかなというふうに思っておりますが、刻々と状況の変化ということがあるのも事実でございます。
 ただ、私どもの一般的な見方として、やっぱり六月の新しい政権への、イラク自身に、人自身による政権の移譲ということを、が目指しておりますので、それに向けてイラクの中でのいろんなある種の主導権争いみたいなものもこうした混乱の大きな背景にあるのではないかというふうに思っておりますので、何とか六月の政権の、新しい政権の確立といいましょうか、ということを目指してもっと努力を続けていくということが今必要なことではないかと、こんなふうに思っております。
#83
○吉岡吉典君 終わります。
#84
○大田昌秀君 社民党の大田でございます。
 時間が大変短いので、御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。
 先ほどですね、同僚議員からも同じ質問がございましたけれども、もう一度確認させてください。
 この本協定に係る件でございますけれども、先進国の締結状況を見ますと、米国の二十か国、英国の三十六か国等に比べて我が国の締結国はまだ二か国にとどまっているわけですが、この理由は一体何ですか。何でこんなに後れたんでしょうか。
#85
○副大臣(阿部正俊君) 確かに、社会保障協定は、先ほど私もお話し申し上げたように、他国に比べましても、特にヨーロッパ諸国と比べますれば非常にまだ数が少ないということがございます。
 背景は様々あることでございますが、私の経験的なことを申し上げますと、やはり少し厳密に考え過ぎている面があるんではないかなという一つ。もう一つは、やはりいろんな意味で経済的な統合、ヨーロッパなんかはEUの統合ということを前提に進んだというか、傾向がございますものですから、そういう意味でも新しい発想がなかなかできなかったということが現実にあったということがございます。
 あと同時に、保険料の相互免除ということで収入が減るとか増えるとか、ある種のアンバランスみたいなことをどうしても議論が先に立ちまして、なかなかもっと正当な意味での国際交流の促進という感じから若干できていなかったという事情も国によってはあったということも確かでございます。
 ということで今日に至っておりますが、ようやく去年、今年と二か国ずつ進み、これからも、今日も、今回も二か国で、その後も幾つか続々と続いておるというような現状でございますので、これから加速していくのが本来の在り方ではないかと思っていますし、そういう見通しの下でやっていきたいと思っております。
#86
○大田昌秀君 日独の協定では両国でそれぞれ年金に加入した保険期間を通算して年金を支給するようにやっておりますが、ドイツの後に締結された日英の協定は保険期間の通算措置が盛り込まれていませんが、その理由は何でしょうか。
#87
○副大臣(阿部正俊君) 通算といいましても、やっぱり言わばそれぞれの国々の言わば加入期間というのがございまして、アメリカの場合は十年、それから日本の場合は二十五年というふうなこともございますので、そうしたことも考慮された上で必要性があるのかないのか。あるいは、どうしてもまずは相互主義みたいなところございますものですから、双方の合意がどうしても前提になりますので、それに、余りそうしたことの統一性にこだわっておりますと、先々間延びしてくるという、延びていくということもありますので、取りあえずできるところからということでの判断というのがございます。
 本来的には、やはり通算ということまで結び付くのがよりベターであることは間違いない事実だと思っています。
#88
○大田昌秀君 これも同じ質問が先ほどもなされたんですが、もう一度確認さしてください。
 海外在留邦人数では米国に次いで中国が約六万三千人、在日外国人数では中国が一位で約三十三万八千人となっておりますけれども、中国との社会保障協定の締結については今後どのようなことをしようとお考えでしょうか。
#89
○副大臣(阿部正俊君) これは本来、厚生省の方からお答えしていただくのが本来かなというふうに思っておりますが、現状の認識からしますと、言わば社会保障協定というのは、その名前にもございますように、保険料の免除云々ということがどうしても表に出がちでございますけれども、それぞれの国民の、相互交流する人々の社会保障、それぞれの住んでいる国、本国とあるいは現在お住まいの国との間での適用状況というのをちゃんと確立するというのが本来の社会保障協定の意味でございますので、それからすると、やはり相互の条件がある程度合ってないと、なかなか協定というのが現実化しないということも確かでございますので、そういう意味での現在の中国の社会保障関係というのは、私どもの知るところでは、やっぱり年金についても医療保険につきましても日本のような形で整然とした形で整っているとまで思えないのが現状でございます。
 そこから考えると、やっぱりそのためには中国における社会保障関係の体制の整備というのがどうしても前提にならざるを得ないんじゃないかということで、先ほども申し上げましたが、そういうことについて、中国の求めというのが前提でございますが、私どももそのお手伝いをできれば、これからもそうしたふうなことを、日本から向こうに行った方の社会保障の適用ということも含めて、やはり向こうの制度の一層の充実といいましょうか、整備というのを一つの課題として考えていただければということで協力もしていきたいと思っておりますし、厚生省につきましても、そうした観点に立って努力するようにということ、努力してもらおうというようなことで働き掛けをこれからもやっていきたいと、こんなふうに思っております。
#90
○大田昌秀君 イラクの問題についてお伺いいたします。
 外務省にお伺いしますが、三人の人質についての安全が非常に懸念されておりまして、一日も早く無事に解放されることを心から願っているわけでございますが、現在イラクの方で、イラクにはどれくらいの民間人がいるというふうに把握しておられますか。
 それと、そのイラクにいる邦人に対して外務省は一体どういう手だてを今日まで、その保護策について、安全措置についてどういう手だてを講じてこられたのか。また、今後、何人かまだ残っていると思いますけれども、その人たちに対してどのようなことを対策を考えておられるのか、教えてください。
#91
○政府参考人(鹿取克章君) 現在、イラクにおきましては、自衛隊を除きましては約七十名の邦人がおります。これは大使館も含めてでございますが。
 民間の方々との関係におきましては、今イラクは御承知のとおり治安状況は極めて厳しくて、民間の方がイラクにおいて活動する上では安全に対する危険が極めて大きいと考えております。かかる観点から、外務省としては、従来からイラクに対しては退避を勧告しておりますし、今年に入っても十三回スポット情報で退避を勧告しております。
 私どもとしては、現時点で、イラクにつきましては渡航はどのような目的であれ延期すること、また滞在されている方についてはできるだけ早く退避するように今お願いを強くしているところでございます。
#92
○大田昌秀君 今御説明の七十人というのは、イラク全土に散って住んでいるんですか。それともどこか一方の方に、外務省の意向を受けてどちらか安全な場所に、一方に、何といいますか、住んでいるんですか。
#93
○政府参考人(鹿取克章君) 今申し上げました約七十名というのは自衛隊を除いた方々の数でございまして、大使館も含んでおります。したがいまして、バグダッド、それからあとサマワ、あと報道関係者もおりますけれども、主としてそういうところにおる在留邦人でございます。
#94
○大田昌秀君 防衛庁長官にお伺いいたします。
 イラク復興支援特別措置法は非戦闘地域についていろいろと規定しているわけでございますが、最近のサマワの状況を見ておりますと、よく問題にされるのは、自衛隊が出ていったけれども、先ほども若干お話がありましたけれども、ろくな仕事はできないのではないかと。つまり、それは危険だからということでございますけれども。
 まだ現状においても、イラクというものは非戦闘地域だと防衛庁長官はお考えでしょうか。
#95
○国務大臣(石破茂君) 当然そのように考えております。
#96
○大田昌秀君 これまでのいろいろな情勢分析からして、サマワも、つまり自衛隊の宿営地付近も戦闘地域になる可能性というのはあり得るというふうに考えられるわけですが、その点の見通しについてはいかがですか。
#97
○国務大臣(石破茂君) その前に、ろくな仕事はしていないなぞとは私は全く思っておりません。本当にサマワの人々のために一生懸命やり、何も感謝されるために行っておるわけではありませんが、本当にサマワの方々にきれいな水を提供して喜んでいただいているという認識、そのために隊員たちは一生懸命やっている、そういうふうに思っております。
 それから、可能性を申し上げれば、可能性というものは常に否定はできないものでございます。しかしながら、法律に基づきまして、非戦闘地域でなければ活動はできないということになっておるわけでございまして、サマワにおいて、現状、非戦闘地域の要件は満たしている。そしてまた、情勢には常に注視をしてまいりますけれども、現状におきましてそれが変わるというふうには認識をいたしておらないところでございます。
#98
○大田昌秀君 人道支援という、復興支援というのは、イラクの実際に被害を受けた人々と具体的に接触して、日常的に接触して、その人たちの希望することをかなえるというのが一般的な考え方ですが、今はそうなっていなくて、宿営地の方に身を潜めるような格好をしているということが報じられているからろくな仕事もできないというふうに言わざるを得ないわけなんですよね。もしそうでないとすれば、安全だとすれば、なぜ外に出て民間の人たちと接触してやらないんですか。
#99
○委員長(山本一太君) 質疑時間が終了しておりますので、簡潔な御答弁をお願いします。
#100
○国務大臣(石破茂君) これは法案のときから申し上げておりますが、自衛隊でなければできないことをやるのです。向こうの民間の方でできることは民間の方にお願いする、それは雇用の面からいっても当然そうあるべきものであります。
 給水ということが、現地の水道局がいろいろと手配をいたしまして、給水が現地の方で行えるという状況であれば、それは雇用という観点からも、そして自衛隊でなければできないことを行うのだという観点から申しましても、それはそういうものであります。
 現地において、私どもは高い技術をもって本当にきれいな水、安全な水を供給するという点において多くの方の役に立っている、そのような自負と誇りを持っておるところであります。
#101
○大田昌秀君 終わります。
 ありがとうございました。
#102
○委員長(山本一太君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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