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2004/03/03 第159回国会 参議院 参議院会議録情報 第159回国会 共生社会に関する調査会 第4号
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2004/03/03 第159回国会 参議院

参議院会議録情報 第159回国会 共生社会に関する調査会 第4号

#1
第159回国会 共生社会に関する調査会 第4号
平成十六年三月三日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         狩野  安君
    理 事
                大野つや子君
                中原  爽君
                神本美恵子君
                羽田雄一郎君
                山本 香苗君
                林  紀子君
    委 員
                有村 治子君
                小泉 顕雄君
                後藤 博子君
                清水嘉与子君
                段本 幸男君
                橋本 聖子君
                岡崎トミ子君
                郡司  彰君
                千葉 景子君
                森 ゆうこ君
                福島 瑞穂君
                高橋紀世子君
   副大臣
       内閣府副大臣   中島 眞人君
       文部科学副大臣  原田 義昭君
       厚生労働副大臣  谷畑  孝君
       国土交通副大臣  佐藤 泰三君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        山本信一郎君
       文部科学大臣官
       房審議官     藤田 明博君
       文部科学大臣官
       房審議官     金森 越哉君
       厚生労働省職業
       安定局高齢・障
       害者雇用対策部
       長        太田 俊明君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    塩田 幸雄君
       国土交通省総合
       政策局長     澤井 英一君
       国土交通省道路
       局次長      榊  正剛君
       国土交通省住宅
       局長       松野  仁君
       国土交通省鉄道
       局長       丸山  博君
       国土交通省自動
       車交通局長    峰久 幸義君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○共生社会に関する調査
 (「共生社会の構築に向けて」のうち障害者の
 自立と社会参加に関する件)
    ─────────────
#2
○会長(狩野安君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 共生社会に関する調査を議題といたします。
 本日は、「共生社会の構築に向けて」のうち、障害者の自立と社会参加に関する件について、内閣府、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省から順次説明を聴取し、その後、質疑を行うことといたします。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 なお、説明、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 まず、内閣府より説明を聴取いたします。中島内閣府副大臣。
#3
○副大臣(中島眞人君) 中島でございます。本調査会の案件となりました障害者の自立と社会参加に関する件に関する内閣府の対応について、御説明を申し上げます。
 内閣府においては、障害者施策の総合的かつ計画的な推進を図る観点から、障害者基本計画の策定、推進に関する事務のほか、内閣総理大臣を本部長とする障害者施策推進本部の事務を担当しており、関係省庁との連携の下に障害者施策の推進を図っているところであります。
 政府としての取組は、「障害者施策の動向」、資料行っておるでしょうか、一ページに書かれております。現在、我が国の障害者施策は、平成十四年十二月に閣議決定された障害者基本計画及びその数値目標等を定めた前期重点施策実施五か年計画に基づき進められているところでありますが、これらは、それぞれ障害者対策に関する新長期計画及び障害者プラン、ノーマライゼーション七か年戦略を引き継いだものとなっています。
 障害者基本計画、この計画においては、二十一世紀に我が国が目指すべき社会として、国民だれもが人格と個性を尊重して相互に支え合う共生社会を掲げており、障害のある方が社会の対等な構成員として、自己選択と自己決定の下に社会の様々な活動に参加、参画し、自らの能力を最大限発揮できるよう支援していくとの考え方に立っております。
 このような共生社会を実現していくためには、政府だけではなく、企業、NPOなどの社会構成員が価値観を共有し、それぞれの役割と責任を自覚して主体的に取り組んでいくことが必要であります。このため、障害者基本計画では、政府が関係者の理解と協力の下に取り組むべき障害者施策の基本的方向を定めております。
 施策を推進する上での横断的な視点として、四つのものを掲げております。第一は社会のバリアフリー化の推進であります。第二は利用者本位の支援であり、第三は障害の特性を踏まえた施策の展開でございます。第四は総合的かつ効果的な施策の推進等を掲げて、四つの柱になっております。
 以上のこの横断的視点や重点課題を踏まえ、啓発・広報、生活支援、生活環境、教育・育成、雇用・就業、保健・医療、情報・コミュニケーション及び国際協力の八つの分野について、それぞれの施策の基本的方向を示しております。その具体的な内容につきましては、お配りした計画本体の冊子を後ほどごらんいただきたいと思います。
 また、重点施策実施五か年計画でございますけれども、まず地域基盤の整備の項目にある福祉サービスの整備量、ホームヘルパー六万人確保等の目標のような施策自体の整備目標を示すもの、精神障害者施設の項目にある、条件が整えば退院可能な七万二千人の入院患者の退院・社会復帰を目指すことのような施策の実施効果の目標を示すものなど、広範囲にわたり障害者の社会参加のための支援目標を掲げております。
 内閣府の所掌に関する啓発・広報につきましては、重点施策実施五か年計画においては、啓発・広報活動の結果として、共生社会の用語、考え方の周知度を障害者基本計画の計画期間中に成人国民の五〇%以上とするという目標を掲げてございます。
 資料六ページには内閣府の取組を掲げておりますが、内閣府では、都道府県、指定都市との共催による心の輪を広げる体験作文と、障害者の日のポスターの募集を行い、十二月九日の障害者の日に開催する障害者の日・記念の集いにおいて表彰を行うとともに、テレビ、新聞等のマスメディアを活用した啓発・広報にも積極的に取り組んでいるところでございます。バリアフリー化推進功労者の表彰もこの中で制度化しておるところでございます。
 地方公共団体における取組でございますが、地方公共団体においても障害者施策を総合的に推進するために障害者計画を策定するよう努めることとされております。
 資料八ページで、平成十四年度末における計画の策定状況を見ますと、都道府県及び指定都市はすべて計画が策定済みとなっておりますが、指定都市を除く市区町村につきましては策定済みは九一・四%であり、年々策定率が上昇しておりますが、人口規模の小さな町村を中心に計画未策定の市町村も一割弱ほど残っております。国として、計画未設定の市町村に対しては、計画策定についての専門家をアドバイザーとして派遣することなどを通じ、計画策定に向けた指導、支援を行っているところでございます。
 以上で説明を終了させていただきますけれども、障害者の共生社会等につきましては、努力をすればするほど多々問題点のあることに気付いておるところでございます。私の内閣府は各省庁の調整機能を持っているところでございますけれども、例えば、一例を申し上げますと、昭和二十二年に制定されました教育基本法等関連法案の学校教育法の中には依然として特殊教育という項目がございますし、盲、聾という言葉などもまだ使われていると、そういう実態がございまして、数年前に精神薄弱者を知的障害者と組み替えたときに、精神薄弱者という言葉は消えましたけれども、依然として学校教育法の中の第六章に特殊教育という言葉がございます。文部省は、いち早く、数年前に特殊教育課という課がございまして、他省庁のことで、他府庁のことでございますけれども、特別支援教育課というふうに名前を変えてございますけれども、まだまだ私どもが取り組んでいかなければならない点が多々あることを申し上げて、内閣府の一つの方針を御説明をさせていただきました。
 以上です。
#4
○会長(狩野安君) 次に、原田文部科学副大臣。
#5
○副大臣(原田義昭君) 文部科学副大臣の原田義昭でございます。私から、文部科学省における障害のある子供たちの自立と社会参加に向けた教育について、御説明を申し上げたいと思います。
 資料は二点配られているようでありますが、厚い方といいますか、片方は原田副大臣の説明メモになっておりますが、これはよそに置きまして、厚い資料で御説明申し上げたいと思います。
 ただいま内閣府からも御説明があったところでありますが、「障害のある子どもの自立と社会参加に向けた教育について」、一ページ目でございますけれども、何としてもこの子供たちがしっかりと持てる能力を可能な限り伸ばしてやる、そして自立をして社会参画する力を養おう、培おう、こういう観点から私どもも全力で取り組んでいるところでございます。
 実態から言いますと、盲・聾・養護学校や特殊学級等の幼児児童生徒数は約二十一万六千人と、全体の一・三%でございます。このうち、義務教育課程段階は十七万二千人ということで、一・六%の比率でございます。
 これに対する学校側の体制でございますけれども、盲・聾・養護学校は全国に九百九十五校設置されております。そして、特殊学級は全国の小中学校の五六%に当たる学校に併設されておると、こういう状況でございます。
 なお、障害の種類、程度に関係なく教育の機会を確保するようにしているわけでありますけれども、どうしても重い場合が中心であります。障害を理由に保護者からの要請に応じて就学猶予・免除を受けている子供は義務教育段階の児童生徒数の〇・〇〇一%、非常にパーセンテージとしては少のうございますが、百三十人と、こういうふうに報告されております。
 近時、盲・聾・養護学校に在籍する児童生徒の障害が重度・重複化してきておると。こういうことから、これらの児童生徒それぞれに対する適切な支援が必要となってきております。
 (4)でありますけれども、また小中学校の通常の学級にも、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症のある児童生徒が在籍しているということも明らかになっております。これらの児童生徒への対応も重要であります。
 なお、最近、このLD、ADHDという言葉が一般的に使われるようになりました。
 御承知であると思いますけれども、LDはラーニング・ディスアビリティーの略でございまして、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、こういうような能力のうち、特定のものの習得と使用に著しい困難を示す、要するに、知的発達に遅れはないんですけれども、非常にその辺のバランスが崩れておるということではないかと思います。
 また、ADHDは、アテンション・ディフィシット・ハイパーアクティビティー・ディスオーダー、注意欠陥多動性障害と訳されております。注意力が持続しない、じっと座っていられない、衝動的に発言や行動をするといった行動面で著しい困難を示す状態で、知的発達の遅れは必ずしも伴わないと、こういうふうに説明されております。
 高機能自閉症、これはハイファンクショニング・オーティズムという英語からの訳でございますけれども、他人との社会的関係の形成が難しい、言葉の発達の遅れ、興味や関心が狭く、特定のものへのこだわりといった行動面で著しい困難を示す状態と。これも必ずしも知的発達の遅れは伴わないと、こういうことを、言うまでもありませんけれども、御説明しておきたいと思います。
 こういうような実態を踏まえまして、二ページ目を開けていただきますと、「「特別支援教育」の推進体制の整備」と。文科省におきまして、これは障害のある子供たちの教育をめぐる検討をずっと進めておりまして、昨年の三月に今後の特別支援教育の在り方についての報告書を取りまとめました。この報告におきまして、障害の程度等に応じ特別の場で指導を行う特殊教育から、それぞれ児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じて適切な教育的支援を行う特別支援教育への転換を図るという基本的な考えを出したところでございます。
 これは、先ほど中島副大臣からもお話がありましたように、特殊教育という言葉から、概念から、特別支援教育という概念に切り替えていくと、こういうこともこの中に入っておるわけでございます。それぞれ学校における特別支援教育体制の整備、さらには教育委員会における体制の整備、そして特別支援教育に対する制度的な見直し、これは、盲・聾・養護学校制度の見直しとか、教員免許制度の見直しなどを含むものでございます。
 文科省としては、この提言を受けまして、平成十五年度から全都道府県の教育委員会にこの問題についてのモデル事業を委嘱して、いろいろ地域における検討をお願いをしておりますし、また、三ページ目でございますけれども、十六年一月、今年の一月でございますが、小中学校におけるLD、ADHD、また高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドラインを策定し、すべての教育委員会、小中学校等に配布したところでございます。
 さらに、先ほど冒頭で申し上げましたように、障害のある児童生徒を取り巻く状況の変化につきまして、障害の重度・重複化への対応と。このところ、いろいろな社会的な背景もございまして、盲・聾・養護学校に在籍、二つ以上の障害を併せ持つ子供たちが、割合が増えてきたと、こういうことでございまして、これに対して文科省としては、厚労省との連携の下、養護学校における関係者の連携、医療、福祉等関係機関、都道府県の関係部局、連携、これらの皆さん、医者、看護師、皆さんと連絡を取りながら実践的な検討を行う、養護学校における医療的ケア体制整備事業を行っておるところでございます。
 さらに、障害のある児童生徒、四ページでございますが、児童生徒に対する教育に関する研究、研修の充実、これはここに書いておりますように、ナショナルセンターとして実践的な研究や専門的な研修などを実施することによって、LD、ADHD、自閉症、こういうものに対する新たな課題への改編をしておる、こういうことでございます。
 四ページの(3)といたしまして、「特別支援教育の改善充実のための条件整備」ということで、施設・設備の整備、これはハードウエアの改善でありますけれども、エレベーター、スロープなどの施設や学習機器の設備を整備する経費の一部を補助するというようなことをもって条件整備に努めております。
 また、最新の情報技術の改善で、いろいろ障害者の動きにくい部分をこういう情報機械によってカバーすると、こういうようなことも大分進んでいるところであります。
 また、四ページの一番下でありますが、特殊教育就学奨励費と。保護者の負担を軽減し就学を奨励するため、必要な交通費、学校給食費、寄宿舎居住費等を保護者等に支給する経費も補助しておるところであります。
 これらが、私どもが今取り組んでおる施策でございますが、私ども文科省におきまして、関係省庁、各自治体等とも連携、協力しながら、障害のある子供の自立や社会参加の力を培うための教育的支援を行うための取組を行っているところであります。
 今後とも、障害のある子供一人一人のニーズに対応した教育の充実に向けて取り組んでまいりたいと思っております。
 以上で、私どもの説明を終わらせていただきます。
#6
○会長(狩野安君) 次に、谷畑厚生労働副大臣。
#7
○副大臣(谷畑孝君) 厚生労働副大臣の谷畑孝でございます。
 お手元に配付をさせていただきました資料を用意をしていただきたいと思います。
 厚生労働省では、障害のある方も障害のない方も、だれもが人格と個性を尊重して相互に支え合う共生社会の実現を目指して、特に保健・福祉と雇用・就業の両面から障害者の自立と社会参加を支援しておるところでございます。
 まず、資料の二ページを開けていただきたいと思います。
 障害者保健福祉施策についてですが、一番重要なキーワードといたしましては、地域生活支援が挙げられます。これは、障害があるからといって、障害者を施設や病院に入所させるのではなく、何より本人の希望を尊重して、できる限り地域で生活することを支援をすることは重要であるという考えであります。これは自立と社会参加の基礎であると考えております。
 今後、これを実現していくためには、施設や病院からの退所、退院される障害者の受皿を整備するとともに、在宅サービスの充実が極めて重要であると考えております。
 それと同時に、成人の障害者にとっては、後で申し上げます雇用・就業と福祉が連携をして、授産施設など福祉的就労から企業の雇用など一般就労に移行することを進めていくことが重要であります。
 この地域生活支援のための具体的な施策の柱が昨年四月に施行されました支援費制度であり、もう一つが精神障害者の社会復帰対策の推進であります。
 次に、三ページでございますけれども、支援費制度について。
 支援費制度は、それまでの行政がサービスを決定する措置制度を改め、障害者の自己決定を尊重し、利用者本位のサービス提供を基本とするもので、介護保険と同様に利用者と事業者との契約によりサービスを利用する仕組みであります。身体障害者、知的障害者及び障害児の福祉サービスを担っております。
 その施行状況でありますが、地域差はありますが、ホームヘルプサービス、グループホームなどの在宅サービスの利用が伸びております。これは、ごらんのページの右上にありますように、多くの知的障害者や障害児の方々が支援費制度によって新たにサービスを、利用を始めていることによるものであり、制度の効果であると評価をしているところであります。
 こうした中で、平成十六年度の在宅サービスの予算案におきましては、特に利用の多いホームヘルプサービスとグループホームを中心に、厳しい財政状況の中、予算を大幅に伸ばしております。今後もサービスの利用が伸びていくと予想されますので、障害者に安心して必要なサービスが御利用いただけるよう、制度をより安定的かつ効率的なものにしていくことが重要となっております。
 次のページは参考でありますので、また見ていただきたいと思います。
 次に五ページでございます。
 精神障害者施策については、身体障害者や知的障害者と異なり、これまでは主に医療面を中心に対応が図られてきたところでございますが、今後は、入院医療中心から地域生活中心という観点に立ち、社会復帰対策を推進していく必要があります。
 社会復帰対策を進める上で最も大切なのは、国民各層による精神障害者への正しい理解です。精神疾患に対する偏見、差別は依然として残っておりますが、統合失調症の生涯発病率は一%、また十五人に一人はうつ病の経験があるなど、精神疾患は生活習慣病と同じく国民だれもがなり得る病気であることはもっと知ってもらう必要があると思います。
 次に、地域生活中心のためには、地域において多様な主体が障害者のいろいろなニーズにこたえていくことが大切であり、その中でも住民に最も身近な存在である市町村の役割もますます重要となってきております。
 厚生労働省の対策本部で昨年取りまとめられた中間報告におきましては、施策の見直しの方向性として、今申し上げてきましたように一から四までの柱を掲げておるところでございます。
 次のページは参考でございます。
 次に七ページを見ていただきたいと思います。
 障害者雇用の現状につきましては、企業における実雇用率は前年度より〇・〇一ポイント上伸をし、平成十五年六月一日現在で一・四八%と、五人以上規模の事業所に雇用されている障害者は平成十年十一月現在で五十一万六千人となっております。また、障害者で職を求めている方は平成十四年度末で十五万五千百八十人、平成十四年度の一年間で就職に結び付いた方は二万八千三百五十四人となっております。
 さらに、障害者に対する能力開発については、障害者職業能力開発校や一般の職業能力開発校において約三千名を対象に訓練を実施しており、障害者職業能力開発校による就職率は五七・一%となっております。
 こうした中で、障害者の雇用施策の基本的な考え方は、障害者基本計画等を踏まえ、障害者の雇用の促進等に関する法律及び障害者雇用対策基本方針に基づき、障害者が能力を最大限に発揮し、働くことを通じて社会参加ができますことでございます。
 具体的には、ここにも書かれてありますように、障害者雇用率の達成指導の強化。そしてトライアル雇用の各種助成の活用等による事業主に対する援助、指導の充実。三、ジョブコーチの活用による重度障害者の雇用の場の確保。職業リハビリテーションの的確な実施など、精神障害者の雇用対策の推進。ITを活用した重度障害者の職業自立の推進。障害者職業能力開発校のほかに、一般の職業能力開発校や事業主、社会福祉法人等を活用した職業能力開発の実施等、各種施策を一体的に推進し、障害者の雇用促進、職業の安定に努めてまいります。
 さらに、これらの施策を通じて、障害者雇用の目標については、平成十九年度までにハローワークの年間就職件数を三万人にすること、平成二十年度に雇用障害者数を六十万人にすることとしております。
 以上でございます。
#8
○会長(狩野安君) 次に、佐藤国土交通副大臣。
#9
○副大臣(佐藤泰三君) 佐藤でございます。
 障害者の自立と社会参加に関しまして、国土交通省の取組状況などにつきまして説明させていただきます。お手元にお配りしました「バリアフリー社会の実現に向けた国土交通省の取組みについて」というタイトルの参考資料に沿って説明をさせていただきます。
 まず、一ページをごらんください。
 快適で暮らしやすい生活環境の整備は、障害者の方を含むすべての人々が安心して自立した社会生活を送っていく上で重要であります。このため、国土交通省としまして、ユニバーサルデザインの考え方を踏まえ、住宅・建築物、公共交通機関、歩行空間等につきまして段差の解消などのバリアフリー化を積極的に推進しているところであります。
 これらの施設のバリアフリー化は、計画的に進めていくことが重要と考えられますが、昨年十月に閣議決定されました社会資本整備重点計画や障害者基本計画に沿って重点施策を実施するための五か年計画であります障害者プランなどにおきまして、施設ごとにいつまでにどの程度の施設についてバリアフリー化が達成するかというバリアフリー化率等に関する成果目標を明確に設定した上、補助制度、融資制度、税制、規制などの各種の施策を総合的に推進しております。
 また、平成十三年一月の省庁再編によりまして、建築物や歩行空間の分野を担当する建設省と公共交通機関等の分野を担当する運輸省等の四省庁が国土交通省として一つに統合されたことも踏まえ、単に施設ごとのバリアフリー化を個別に行うのではなく、自宅から交通機関あるいは町中までの連続したバリアフリー環境が整備されるよう、施策間の連携の強化を進めているところであります。
 二ページをごらんください。
 鉄道、バスなどの公共交通機関につきましては、平成十二年に施行された高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法に基づき、鉄道駅等の旅客施設を新たに建設する場合やバス等の車両を新たに導入する場合にはバリアフリー化を義務付けるとともに、これらの施設のバリアフリー化につきまして、技術的なガイドラインの策定、周知などの推進をしております。これら施策の導入等によりまして、一日当たりの利用者が五千人以上の旅客施設のうち段差の解消がなされたものの割合は、交通バリアフリー法が施行されて平成十二年度の二九%から十四年度末までに三九%に上昇しており、また、平成十九年度までに七割強、平成二十二年度までに一〇〇%とすることを目標として設定しておるところでございます。
 また、バス車両のうちノンステップバスの占める割合は、平成十二年度の二%から平成十四年度末までに七%に上昇しております。平成十七年末までに一〇%、平成二十二年までに二〇ないし二五%とすることを目標として設定しておるところであります。
 三ページをごらんください。
 道路や駅前広場の歩行空間につきまして、障害者の方が安心して歩けるように、平成十四年度に設定した道路の移動円滑化整備ガイドライン等に基づき、市街地の駅、商店街、病院などの主要ルートを中心に、幅の広い歩道の整備、歩道の段差、傾斜、勾配の改善等を整備しております。
 鉄道駅等周辺などの主な道路のバリアフリー化率は、平成十四年度末一七%となっておりますが、本年度末までには二一%に上昇する見込みであります。また、平成十九年度までには約五〇%、二十二年度までに一〇〇%とすることを目標と設定しております。
 四ページをごらんください。
 住宅につきましては、新設されるすべての公共賃貸住宅について段差の解消や手すりの設置などのバリアフリー化を標準仕様としておりますが、さらに、障害者の特性やニーズに極めてきめ細かく対応するため、車いすでも利用しやすい流し台や腰掛けのある浴室など特段の配慮を行った仕様が有する障害者向けの公共賃貸住宅の供給も推進しております。また、個人の持家につきましても、住宅金融公庫融資における優遇措置によるバリアフリー化を促進しております。
 バリアフリー化された住宅ストックの割合は、平成十年度で約三%、平成十九年度までに約一〇%、二十七年度までに二〇%とすることを目標としております。
 五ページをごらんください。
 建築物につきましては、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律、いわゆるハートビル法に基づき、百貨店、劇場等不特定多数の者が利用する一定の建築物等の新築や増築などを行う場合にバリアフリー化を義務付けるとともに、建築物のバリアフリー化について技術的なガイドラインの設定、また周知等を推進しているところであります。
 これらの建築物のバリアフリー化率は、平成十四年度末までに約三割となっておりますが、平成十九年末までに四割とすることを目標としております。
 六ページをごらんいただきます。
 これら各種の施設のバリアフリー化をより総合的に推進する観点から、鉄道駅等旅客施設を中心とした重点整備地区につきまして、交通バリアフリー法に基づき、市町村が、旅客施設のみならず駅前広場や周辺の主な道路等も含めたバリアフリー化を、一体化に推進していくための基本構想を作成し、その構想に基づき各種事業を重点的に実施することといたしております。
 次に、七ページでございます。
 基本構想の作成状況につきましては、現在、百十五市町村で作成済みで、その他六十五市町村で作成中、約四百市町村で作成の予定となっております。国土交通省としましては、こうした市町村による基本構想の作成を関係省庁とも連携を取りながら一層促進していきたいと考えております。
 八ページをお願いします。
 バリアフリー社会の実現には、ハード面のバリアフリー化だけでなく、情報提供や普及啓発などのソフト面の施策を併せて実施することが必要であります。このため、インターネットを通じて駅構内のバリアフリー施設を、配置や乗換案内等バリアフリー情報を提供するシステムであるらくらくおでかけネットを整備したり、広く国民の皆さんが、身体障害者等に対する介助体験、疑似体験等を通じましてバリアフリーについて理解を深めるとともに、ボランティアに関する意識を醸成するため交通バリアフリー教室を全国で開催しております。
 次に、これらの施策を推進するため、国土交通省の平成十六年度予算案におきましては、バリアフリー社会の実現のための経費を前年度比六%増の千五百九十七億円計上しております。
 今後とも、以上説明いたしましたハード面、ソフト面の両面から施策の推進により、障害者を始めとするすべての人が生活の様々な場で快適に過ごすことができる生活環境の整備に努めてまいります。
 以上でございます。
#10
○会長(狩野安君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。質疑はおおむね午後三時三十分をめどとさせていただきます。
 なお、質疑者及び答弁者にお願い申し上げます。質疑及び答弁の際には、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようお願いいたします。
 また、多くの方が御発言できますよう、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
 質疑のある方は挙手を願います。
#11
○中原爽君 文部科学省にお尋ねをいたします。
 原田副大臣の御説明になりました説明メモの一ページ一番下の段から二ページ上にかけまして、特別支援教育の在り方に関する調査研究協力者会議の結果を踏まえて特殊教育という形を特別支援教育に転換を図ると、こういう御説明でございました。
 ところで、既に配付をされております平成十四年度の障害者のために講じた施策の概況に関する年次報告書が出ておりまして、この二十八ページにこういうふうに書いてございます。「小・中学校等に対する教育的な支援を積極的に行う一定地域の特別支援教育のセンター的役割を果たす学校として「特別支援学校(仮称)」の制度とすること、」、こういうふうに書いてございまして、既にこの特別支援にかかわる特別支援学校の制度を作ると、こういうことであろうかと思うんですが、このことについて、今日、文科省から配付をされました資料にはこの支援学校の制度ということについて触れておられませんので、このところの御説明をいただければと思います。
#12
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 平成十五年三月に文部科学省の調査研究協力者会議が出しました今後の特別支援教育の在り方についての最終報告では、児童生徒の障害の多様化など障害のある児童生徒を取り巻く状況の変化を踏まえまして、児童生徒一人一人の教育的ニーズに適切に対応していくことを目的とした特別支援教育への転換を図る旨の提言をいただいているところでございます。
 この最終報告におきましては、盲・聾・養護学校の制度につきましても見直しを図るということで、多角的な視点から総合的に検討を進める必要があるということでございますもんですから、私ども中央教育審議会の初等中等教育分科会で今後の初等中等教育改革の推進方策の一環として特別支援教育に関する検討を御審議いただくことにしているところでございます。
 平成十五年の協力者会議の最終報告におきましては、今障害の種類ごとに盲学校、聾学校、養護学校と、こういうふうになっておりますけれども、それを、障害が重度・重複化いたしておりますので、それに対応した制度というのも考えられないかということで御指摘をいただいているところでございますので、それを踏まえまして中央教育審議会でも御議論をいただきたいというふうに考えているところでございます。
#13
○中原爽君 私のお尋ねしたのは、特別支援学校の制度を創設するという趣旨で、一定地域の特別支援教育のセンター的役割を果たす学校としてその特別支援学校の制度とすると、こういうふうに書いてございます。したがって、ある特区について、特別区について、この特別支援学校の制度が作られるという意味かどうかをお尋ねしているわけです。
#14
○政府参考人(金森越哉君) 大変失礼をいたしました。
 特別支援学校というものの趣旨でございますけれども、これは、現在の盲学校や聾学校や養護学校はそれぞれ専門の教官も教員もおりますので、例えばそれぞれの地域の小中学校における特別支援教育、これがどうあるべきかということについて、今の盲学校や聾学校や養護学校、これを新たに特別支援学校という仕組みにどう転換していくかということはまだ十分検討しないといけませんけれども、そういうものができました場合には、その学校がそれぞれのところの小中学校を支援するような、そういったセンター的機能、こういったものを持たせることが有益ではないかと、こういうことで御提言をいただいたものでございます。
#15
○林紀子君 今の問題とも関係があるのですが、文部科学省の方にお聞きしたいのですが、この特別支援教育ということですね。
 この調査会でも、前々回の調査会では教育の問題ということで各方面のそういう仕事に携わっていらっしゃる専門の方々に来ていただいてお話を聞いたのですが、その中でLD、ADHD、原田副大臣からも今丁寧に御説明いただきましたけれども、こういうことを新たにといいますか取り上げるということは大変いいことだと思うわけですね。注意欠陥多動性障害を持っている子供たちがクラスの中にいることによって学級崩壊というんでしょうか、その子供たちが騒ぎ出すと周りの子供たちも釣られて騒ぎ出してなかなかクラスがまとまっていかないというような話も聞いておりましたので、これは、障害を持っている本人にも、また周りの子供たちにも大変大切なことだというふうに思うわけですね。
 先ほど、今養護学校などに通っている子供の数というのを御報告いただきましたが、一・七%ぐらいというお話でしたでしょうか。このLDとADHDなどでは、六%ぐらいの子供がこういう障害を持っているのではないかというお話がありました。そうしますと、人数的には今までより五倍から六倍の子供たちが対象になるということなのではないかというふうに思うわけですね。百万人単位になるのではないかと。
 そうなりますと、今文部科学省が打ち出しているのは、予算や人員については配分の見直しを行うけれども増やすという方向では考えないというふうにお聞きしているわけですけれども、各参考人のお話もやはり条件の整備、先生の数も含めまして、それが非常に重要だろうということを聞きましたので、この辺、本当に本気で取り組むためには、ちょっと配分を変えるだけではなくて、もっとどんと増やしていくと、そういう条件整備も含めて考えていただかなければいけないのではないかと思いますが、その辺について伺いたいと思います。
#16
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 私どもでは、平成十五年の協力者会議の最終報告を踏まえまして、中央教育審議会でも特別支援教育の制度的な見直しについて御審議をこれからいただくことにしておりますが、御案内のように大変厳しい行財政事情の下での議論でございますから、こうした厳しい状況を無視して議論するということもできないわけでございますけれども、中央教育審議会におきましては、いずれにいたしましても様々な御意見を伺いながら、多角的な視点から総合的に検討を進めていただきたいと考えているところでございまして、現在、中央教育審議会は、この特別支援教育に関する検討もこれから始まりますけれども、一方では教育条件に関する議論も例えば義務教育における教育条件整備の在り方というような形で議論をいたしているところでございまして、そういった議論との関係についても十分考え合わせながら教育条件に関する検討というのもしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#17
○清水嘉与子君 ありがとうございます。
 内閣府と文部科学省と厚生労働省の副大臣にお伺いしたいと思います。
 まず、中島副大臣でございますけれども、私、今、先生のお話を伺っておりまして、先生が自民党の文教部会でこの特殊学級という言葉を何とか早く直せと大きな声で叫んでいらした姿をとても印象深く思い出されたわけでございます。今こうして調整をされる副大臣に就任されまして、いろいろ頑張っていらっしゃるお姿、とてもうれしく思っておりますので、またよろしくお願いをしたいと思っております。
 そこで、一つは、今ずっとお話を伺っていますと、日本ではどうしても障害者というと、やはり障害を持っている方だから温かくしましょう、何か保護しましょう、必要があったら施設にお入れしましょう、何を差し上げましょうと、こういうふうになっちゃうわけですけれども、それでいいんだろうかという問題でございます。
 私どものこの調査会でも、先般、アメリカなどへ調査に参りましたけれども、例えば法定の雇用率、こういったものについては、かえってそんなものは要らないんじゃないか、むしろチャレンジしたい人にチャンスを与えてほしいというような非常に積極的な、まあそれはそういう条件の方だと思いますけれども、そういう方々が多くて、むしろいろんなところに、チャンスを普通の人と同じように与えてくれれば、そこで乗り越えて、そして同じように評価してほしい、変に保護してもらいたくないというような強い意見があって、日本でも障害者の方はチャレンジドと言って、もう本当にチャレンジしてもらって、タックスペイヤーになってもらおうというような運動さえ起きているわけでございます。
 そういった視点から、この障害者の施策というのはやがて見直しをしなきゃならないような時代も来るんじゃないだろうか。例えば障害者が、本当に能力のある方は教育をする、あるいは企業を起こすときの資金を何とかするとか、あるいは介護士を付けるとか、いろんなことがあろうかと思うんですけれども、そういった考え方を、まあ一部には法律を作ったらというようなこともありますけれども、そうじゃなくて、今の状況の中で、日本のこれからの障害者施策の中で、それじゃどんなふうに考えられるか、そのことをイメージとしてお伺いしたいことが中島副大臣でございます。
 それから、原田副大臣には、こうやって拝見しますと、いろんな障害の方々が、障害を持つ方々が学校に参加できることになったこと、大変うれしいことでございますし、まだこれからもっともっと、とても今まで考えられなかったような方が学校生活ができるようになってというふうに思います。
 そういう中で、かなり医療行為を、医療的なケアをしなきゃならない人たちが実際入ってきているわけですね。すると、今学校ではそれがなかなか手を出せなくなっちゃっている。さっき、医師とか看護師の手助けをもらうというのをおっしゃいましたけれども、確かにそういう方法があろうと思いますけれども、そのときに医師に来てもらう、看護婦に来てもらうというのもですけれども、元々学校には看護婦がいたんですよね。養護、今は養護教諭という形に変わってしまっておりますけれども、各学校にちゃんとそういうことができる人がいたはずなんですね。今、養護教諭は養護をつかさどる職員としているわけですけれども、実際に教諭になってからだんだんに、そういった実践看護の仕事ができないような人たちがだんだん増えてきているものですから、実際、手が出ないということがあると思います。しかし、こういう事態が変わってくれば、自分たちが訓練してでもそういうことにチャレンジしようというような声も随分出てきておりますので、その辺、是非養護教諭の方々の活用を十分図っていただきたいというふうに思っているわけです。今度また学校教育法の改正の中で栄養教諭のお話が出てきていますよね。栄養のことは全部また栄養の人です。一体養護教諭というのは何をする人かというのがますますおかしくなってきておりますので、その辺のことを、やっぱり現場の声も是非聞いていただきまして、そういう中で十分活用していただきたいと、これはお願いになりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、谷畑副大臣の方には、一番やっぱり後れてしまっているのが精神障害者だと思うんですよね。精神障害者三十三万人のうち、何かすれば七万二千は地域に出せると、こういう話ばっかりするんですけれども、本当言ったら、もっともっと多くの方々が出てこれるはずだと思います。
 しかし、実際問題としてそれが、条件がそろったらというのはどういう条件がそろったら出れるのかということが全く出てこないわけでして、そこはちっとも実行に移らないわけですよね。特に、新しい人は、新しく入院する人は割合にうまくしてくださっていると思いますけれども、古くから入っている方が、病院の開設のときから入っていますよというような方々は、とてもとてももう出れるような状況でなくなっちゃっていると思いますし、またそういう状況をほとんど国民が知らない。病院同士だって行き来もしないし、とにかく閉鎖された中にいるというのが実態だろうと思います。
 もう少し地域の方々に支えてもらえるような、何といいましょうか、開かれた場所にするということも必要なのかと思うんですけれども、どういうふうにしたらもう少し在宅に移すことができるのかですね。何かもしお考えがあったら、私たちも大変悩んでいるところなんですけれども、お教えいただきたいと思います。
 済みません、長くなりました。
#18
○副大臣(中島眞人君) 清水先生が私が議会活動の中で発言をしたことを覚えていただきまして、御評価をいただいたのか、励まされたのか、その両方だと思っておりますけれども。
 実は、私は教師の出身でございまして、最初に勤めたのが盲学校の教師だったんです。そんなことから私は、青春時代に、特殊教育という言葉、この子たち、障害があるこの子たちにとってみれば、これは特殊じゃなくて全くの普通教育じゃないのかという疑念が実は私自身にもございました。ですから、極力私は特殊教育という言葉を使わずに嫌ってまいりました。
 しかし、依然として日本の学校教育法の中には特殊教育という項目がございます。そういう中で、法律にございますから、盲とか聾とか精神薄弱者という言葉は一斉に全部知的障害者に置き換えられましたけれども、養護という言葉に、知的障害者養護学校というふうな言葉になっておりますけれども、今、清水先生おっしゃるように、これらの学校をだんだん良くしていくことは、逆に共生社会から離れて孤立をさせていく要素も持っているんではないかというふうにも、極論を言うと感じたわけでございます。
 ですから、私は、パイオニアと言われる方々が、全盲の方がいわゆる普通の大学に入学をしていく、あるいは私は、聴覚に障害がある人があるいは普通の学校にどんどん入っていくと。そういう一つの前提としては、すべてが可能ではないでしょうけれども、交流教育、いわゆる健常者の学校と、あるいはこういう障害を持った子供たちの学校というものが常に交流を持ってお互いに理解をしていくというのが子供のうちからの共生社会の一つの原点だろうと、こんなふうに思います。
 しかし、さりとて、従来の障害を持つ、法律にあるから、使いたくない言葉でございますけれども、盲、聾という学校が閉鎖をされて、共生でなくなってしまっては困るなと、そんな気持ちも持ちながら私自身もジレンマに陥っていると、こういうふうに御理解をいただきたいと思いますし、同時に、挑戦をするそういう方々にはどんどん機会を与えていくべきだと。入学試験、大学の入学試験とかあるいは高校の入学試験とか、そういうものについてもどんどんひとつ開放していく、そういう一つの姿を拡大をしていくべきではなかろうかと、こんなふうに思います。
#19
○副大臣(原田義昭君) 後でまた、学校の中の問題点、また改善の方向、お話をさせていただきたいと思います。
 確かに養護教諭が、教諭としての仕事が忙しいということもありましょうけれども、しかし、先生おっしゃるように、やっぱりいろいろ看護師としてとか、そういうものを、本当の意味で子供たちをしっかりケアをしていただく、そういう分野にも役割を果たしていただきたいなと、こんなふうに思うわけでありまして、もちろんそれは定員とかいろいろな問題がありますから十分でないところもありますけれども、しっかり教育行政の中でもその部分を努力をしたいと思っております。
 それで、せっかくの機会ですから、先生が冒頭にもお話になりましたように、そもそも障害者が社会参画をするに当たって、確かに政策としては、同情とは言いませんけれども、これは大変だなということでいろいろな福祉政策を提示しているわけですけれども、しかし、おっしゃるように、中には、むしろ健常者として、決して負けないんだと、ただどうしても足りない部分は、ここは補ってもらわなきゃいけないけれども、過度にあれもこれもやっていただくじゃなくて、むしろもうちょっとしっかりした、そのレベルで実質的な平等といいますか、そういうものを出してほしいと、こういう声も私はよく聞きます。
 それにつきまして、私、一言だけ。乙武洋匡さんが、もう二、三年になりますけれども、「五体不満足」という本を読んでもう衝撃を受けたことを一言お話ししたいと思いますが、その全編大変な本なんですけれども、前書きの部分だと思いますけれども、こんな文章がありました。
 世の中には色の黒い人も白い人もいるんだと。背の高い人も背の低い人もいると。体重の重い人もおれば、体重の軽い人もいると。そういう意味で、足がある人もおるし、足がない人もおると。耳が聞こえる人もおれば、聞こえない人もいるんだと。どうしてそういうような状態に対して一々悩んだり悲しんだりするんだろうかと、こういうことであります。
 私はこれを聞きまして、私はおかげさまで健常者で、おかげさまで元気にしているんですけれども、しかし、もう考えてみれば、悩みばっかりですよ、選挙の悩みも含めましてね。ところが、この乙武君のこの話を聞きまして、彼が言うには、健常者に向かって発信するには、何で五体ちゃんと持っている人間がこれだけ悩みがあって、私のように手も足もないような人間がこれだけ元気なんだということをこの前書きで書いておられまして、そういうことで、確かに、私たちがこの障害福祉の問題考えるとき、一つの視点といいますか、というふうに感じておるところであります。
 ちょっと、引き続き文科省から事務的な話をさせていただきます。
#20
○政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。
 養護教諭は、御案内のように、子供たちの悩みや訴えを聞いたり体の不調の背景に目を向けることを通して、子供の発する様々なサインに早くから気が付くことができる立場にございます。子供たちの心身の観察や問題の背景の分析、解決のための支援、関係者との連携など、心や体両面にわたって対応する健康相談活動を行っているところでございます。
 私ども、例えば養護学校での医療的ケアの実施体制をどうするかというようなことについても実践的な研究を行っておりますが、養護教諭の方の中には看護師の資格を持っている方もたくさんおいでになります。そういった養護教諭の方が医療的ケアの関係でもどういったふうな連携、協力ができるのかというようなことについても研究を進めているところでございまして、今後とも、子供たちの心身の健康問題への対応ということにつきましては、この養護教諭の方々の果たす役割というのを抜きには考えられないと思っております。この面につきましても十分充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。
#21
○副大臣(谷畑孝君) 今、清水先生のおっしゃいましたように、やはり健常者と障害者がともに生きる社会というのか、バリアというものが感じられないような、そういう社会というのは非常に大事だと思うんです。
 私自身、十年前にふれあいサマーキャンプというのを私自身主催をしまして、約三百名ぐらいの皆さんと、いわゆる障害者と健常者が初めて出会う場を作って、そして一泊二日で一緒に暮らしていくんですけれども、その経験からいいますと、やっぱりどうしても今まで自分の身の回りに障害者と一緒に暮らしたことがない、だからどう対応したらいいか。それで、何かもっと心としては親切にしなきゃならぬとか、そういうものがあって慌てふためいたりするんですけれども、最初そういうふうにして迎えに行ったりいろいろ学んだりして、車いすを使ったりしてやっていきますと、もう帰るころになったら、もういわゆる自然に、慣れるというのか、健常者も障害者もお互いが心を許し合って、そういう出会いの感動というのか、お互いが学んでいくという、そういうことを私も経験しましたけれども、是非、そういう共生の社会というのは非常に大事だと思いますし、本当に当面は、何%の雇用率だとかそういうものがない社会というのは非常に大事だと思います。
 しかし現実は、今のところやっぱり一定程度そういう比率を作ったり、あるいは法律でやはりそういう、すべての駅にエレベーターだとか、あるいは移動を可能にするだとか、あるいは幅広歩道だとかですね、いろんな状況の中でやっぱり障害者と健常者がやっぱり共存できる社会というのは非常に大事だと実は思っています。
 それと、最近感じることは、私どもがやりましたときの十年前に比べますと、最近どこの駅も今エレベーターができ出しましたし、それと最近、各地域に特養とか施設がどんどん建ち出してきたということもあって、我々の町の中にも車いすというのがもう頻繁に見れるようになってきましたので、非常にそういう意味では進んできておるんじゃないかと、こう実は思っています。
 しかし、先生が申し上げましたように、精神障害者の場合は、これはほとんど入院というのか、そういう中で暮らしてしまっているという。特に高齢者ほど二十年以上も病院生活ということで、若い人たちは比較的一年以内に退院をして地域で暮らすということがありますけれども。しかし、この精神の障害者の場合は、どうしてもやはり偏見というのか差別というのか、そういうものがやっぱりきつうございます。この偏見が、そういうやむなく入院生活をさせてしまっているんじゃないかと思います。私どもは、まだまだこれからスタートさせていくわけでありますけれども、是非そういう入院生活からむしろ社会復帰対策ということを非常に重視していきたいと、こういうふうに実は思っています。
 そういう中で、やはりホームヘルパーの確保だとか、あるいはグループホームだとか、あるいはそういう在宅に対する支援制度だとか、そういうことが非常に大事であると思いますし、それと同時に、それを支えるいわゆる医療制度といいましょうか、もっといろいろなケアといいましょうか、そういう形を取りながら、時にはまた病気が復活する場合もありますし、ああいいなと思いますとまたそういうことを繰り返す場合がありますから、そこらの点をよく地域社会の中でそれを観察をしながら、同時にまた社会復帰できるという、そういうためにはやっぱり市町村の役割というものも非常に大きなものを持つんじゃないかと、こういうふうに思いますので、是非そういう点を、私ども先ほど言いましたように、この差別と偏見、そういうものを少し取り除きながら、そして入院から社会復帰と、こういう道筋をしていきたいと思っております。
 以上です。
#22
○岡崎トミ子君 今日はありがとうございました。
 まず、厚生労働省に伺いたいと思います。
 新障害者基本計画では入所施設の限定ということを打ち出されました。世界の流れを基礎に考えますと、施設を数値目標を幾らということを決めないで、知的障害者の生活の場というのは小規模化あるいはまた個室化というふうにしていこうというようなことは分かったわけなんですけれども、参考人にこれまでお話を伺ってまいりますと、日本以外は入所施設というのは本当にどんどん少なくなっていて、スウェーデン始め数か国ではもう入所施設はゼロなんだということを伺ったわけなんです。
 そこで、日本はなぜ全廃ではないのか、もし、全廃という目標に向けた過渡期であるのかどうかについてお伺いしたいと思いますし、この入所施設というのは地域の実情に合わせて真に必要であるかどうかということ、そのものに限定するということも言っておりますけれども、当事者にお話を伺いますと、これまでの自分たちの意思とは関係なくどんどん施設が増えていったり、あるいは入れられたりするという心配があるということを言っていらっしゃるわけなんですね。その心配に対してどう皆さんはお答えになられるか。あるいは、地域の実情というのは一体どういうことであるのかも教えていただきたいと思います。
 この参考人質疑の中でも伺ったんですが、四月以降の入所施設の設置について数字が出てこないということでもございました。実態を把握して委員会の場で公表、報告をしていただきたいと思います。このことについても是非お願いします。
 それから、知的障害者の予算についてなんですけれども、三田参考人の方から、施設に入っているのは三分の一ですと、しかし予算の七、八割はこの入所施設に使われているということでございまして、もう少し地域のために使ってほしい、予算を計上してほしい、そこに合わせてやっていただきたいというような要望もありましたので、七、八割方全部入所施設ということになりますと、あとの三分の二が本当におろそかになってきているんだというような実情のお話でございました。
 それから、知的障害者の皆さんの福祉予算に関係して比較するグラフというのを、分かりやすいので比較するグラフを出してほしいということも要望をし続けているわけなんですが、これもデータが出てこないということでしたので、これも是非お示しをいただきたい。今日でなくて結構ですので、要望しておきたいというふうに思っております。
 宮城県でも施設の全廃を打ち出しました。賛否両論ありますけれども、参考人のお話を伺いましたところ、やはり家族が自分のところへ戻ってくるのはもうとても大変でできないというような声があります。でも、そのことでこのことが後退しないで、もっと積極的に家族の声を受け止めてやれるような、そういう仕組みに作っていただきたい。そのことを後押ししてほしい。そして、厚生労働省は、この宮城県に対して、傍観するというか見守りたいというようなことでございましたけれども、もっと積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
 それから、国土交通省に伺いますが、今、移送サービスについて私もいろいろと、障害者の方といろいろやっておりますが、NPOの皆さん、NPOとなる前、三十年前から市民の手で福祉の関係の人たち、必要だという人たちの移送サービスを行ってきておりますけれども、法律の中に移動の権利というのを明記すべきではないかと思っておりますので、そのことについてお聞かせいただきたいと思います。
 内閣府には、是非審議会の場にこの当事者が出て、オンブズマンという意味ではっきりと物が言えるような、そういう形を作っていただきたいと思うがどうかということです。というのは、ここに立派な、国民だれもが人格と個性を尊重して相互に支え合う共生社会を掲げておりまして、障害のある人が社会の対等な構成員として自己選択と自己決定の下に社会の様々な活動に参加、参画できるという、自らの能力を最大限発揮できる社会ということを打ち出していらっしゃいますので、是非ともそういうことを要望しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#23
○政府参考人(塩田幸雄君) 障害者の立場に立って物事を考えた場合、施設ではなくて地域の中で暮らしたいというのは切実な要望ですし、これからの障害福祉政策というものは施設の中で、間違えました、地域の中で障害者の方々が暮らせるような仕組みを作るということに尽きると思います。
 かつては、そういう地域の中で暮らせるための仕組みというかサービスがないということもあって施設に頼るということがあったわけでありまして、四十年代後半だったと思いますが、水上勉さんが総理大臣に直訴されて例えば国立の高崎コロニーというようなコロニーができたと、そういう歴史があったわけですけれども、これからは地域の中で暮らしていただくということでありまして、浅野知事が先日、滋賀県の大津市のアメニティーフォーラムという場で施設解体宣言を出されましたが、私もその場で同席しておりましたし、知事の生の声も、私どもの先輩でもありますし、浅野知事が言われた、施設を解体し地域に帰っていただくということについては全く賛成であります。
 ただ、実際に入っている方々の御希望も、もう長年入っておられますし、御本人の御希望もありますし、御家族の環境もございますし、実際に地域に帰っていただくためにはステップ・バイ・ステップというか丁寧な手続が必要だろうと思っています。
 それから、新しい障害者プランにおいては入所施設はやむを得ない場合以外造らないという大方針を政府としても決めているわけでありまして、せっかく私たちも地域生活支援ということで大きく踏み出しているわけですから、本当に真にやむを得ない場合に限るという大原則は守るべきだろうと思っております。
 具体的にどういう場合がそれに当たるかというのはなかなか判断が難しいんですが、例えば親の介護も長い間御苦労して、周囲も説得して場所も確保して浄財も確保して、かつ町の中でいろんな人と交流できて、かつ地域の拠点になるような施設が仮にあるとすれば、それは例えば真にやむを得ない場合かなと思います。
 残念ながら、ただいま来年度の施設整備のヒアリングを都道府県からいただいてしているんですが、まだまだ多くの県から新しい知的障害者の入所施設を造りたいというような要望もありまして、これについては、先ほど申し上げました大きな流れの中で、私どもとしては本当にやむを得ないという場合に限って補助をするというようなことにしたいと思っております。
 それから、在宅と施設の予算のアンバランスはもう委員のおっしゃったとおりでありまして、全く逆転しておりますので、その辺の数値については追って御報告したいと思います。入所施設の新しい数とか、それも追って御報告いたします。
 いずれにしても、大きな方向は地域生活を送っていただくために政策を転換するということでありますが、少し時間は掛かると思いますが、その方向に向けて最大限努力したいと思っています。
#24
○政府参考人(澤井英一君) 移動の自由あるいは移動の権利ということでございますが、この件についてはしばしばいろんな場面で議論になると承知しております。ただ、現行の交通バリアフリー法を政府が提案して国会で御審議いただく過程でも、そのような具体的な案も出されて議論していただいた上で現行の法律ができて、今一生懸命その法律の施行、初期のいろんな施策に取り組んでいるという状況でございます。
 そういう意味で、今直ちにこのバリアフリー法の中にそういう権利を明記するということは、学説、判例等を踏まえましても私ども適当ではないと率直に思っておりますが、一方で、一つには、先ほど谷畑副大臣からも評価いただきましたけれども、いわゆる町中の、家から町、さらには駅、そういったところまでの連続的なバリアフリーということについて相当いろんなことをやっているつもりでございます。
 昨年の十月に策定しました社会資本整備重点計画、これは今までの九本の公共事業五か年計画を一本にして、事業量ではなくてでき上がった成果、国民から見た成果を目標にするという五十年ぶりの大転換をしたものでありますが、これはたまたまでありますけれども、その成果の目標の一番目に書いてあるのがこのバリアフリーの推進であります。そういった……
#25
○岡崎トミ子君 いいんです、それは。それは大変、十分やっていることはよく分かっていますので。
#26
○政府参考人(澤井英一君) はい。
 言わば物理的なことに加えまして、もう一つ、心のバリアフリーということを進めているつもりでありまして、全国各地でこの三年ほど交通バリアフリー教室というようなものをやりまして、子供から大人までそこで言わば障害者の皆さんの立場に立っていろんな体験をして、その上でいろんなことを考えていくというようなことも進めていますので、そういったことをトータルで進めているということを是非御理解を賜りたいと思います。
#27
○政府参考人(山本信一郎君) 今、岡崎委員からお話ありましたように、障害者の当事者の方、それから障害者の関係団体の皆さん方、こういう皆さん方とよく意見交換をして施策に反映していくということが非常に大切だという具合に思っています。
 今回、今日もお配りしておりますが、この基本計画を作るに当たりましても懇談会というのを作りまして、多くのそういう関係団体の皆さん、当事者の皆さんに入っていただきまして、言わば一緒になって策定をしたといったような経緯で作り上げたものでございます。
 今後とも、内閣府といたしまして、そういったような関係団体の皆さんを始め、しっかりと意見交換の場もいろいろ工夫して設けながら、きっちりとニーズも把握をして、関係省庁とそれをまたフィードバックしながら進めていきたいという具合に思います。
#28
○神本美恵子君 今日はありがとうございました。
 先ほどからお話に何度も出てきておりますが、特殊教育、教育に関してですけれども、特殊教育から特別支援教育へという、私はこれは大賛成でございます。
 理由は、その特殊という言葉に対する非常な差別感。これは、私も以前、小学校の教員をしておりましたけれども、子供たちがいじめたり差別したりするときに特殊特殊と言ったり、障害児の害児という言葉だけ取って害児害児と言ったり、それから、普通、地域の学校の中に特殊学級のことをいろんな名前を付けて、ひまわり学級とかそういう名前を付けますが、その名前を使ってやっぱり差別をするというようなことに使われてきました。
 ですから、用語的にもこの言葉が使われなくなるというのは歓迎しますけれども、用語だけではなくて、その特殊という言葉を使わなくても今度は支援という言葉が逆に差別になるかもしれないので、最も大切なことは何なのかということが今問われているんじゃないかと思います。
 具体的に、じゃ、特殊教育から特別支援教育にということをどういうふうに、障害児者に対する差別をなくして、ともに生きる共生社会を担う一人として障害のある子もない子も一緒に育っていくための教育というのが今求められていると思うんですね。そういう意味で、具体的にこの前の参考人の方にお聞きしましたし、今の厚生労働省のお話を聞きますと、施設から地域へというふうにはっきりと打ち出していらっしゃいますよね。
 それから、参考人の方たちは、具体的にそのことを実践しながら、私が一番印象に残ったのは、施設の職員の方が非常に差別的であると、障害を持った方に対して、様々な障害があるんですが、特に知的障害、精神障害がある方に対して、本人の意向や意見を元々障害があるから言えないんだということで聞かずに、職員の方の、あるいは施設の基準に生活を合わせさせるというような問題点が指摘されておりました。それは本人活動という、障害者の方たちが本人の意見を言って本人の意向で生活をしていくという活動を通して職員の在り方も、意識の在り方も変わってきているというようなことが御指摘があったんですが、これは学校教育でも同じようなことが言えると思うんですね。
 そういう意味で、文部科学省の施策の中に、私は、基本的にやっぱり特別支援教育というのはすべての子供が別学でなく地域の学校で学べる体制を作ることだというふうに思います。いきなりはいかないと思いますけれども、今のような盲・聾・養護学校と地域の学校に通う子と二通りあると思います。昨年の学校教育法施行令の、施行規則ですかね、改正で一部保護者の選択ができるようにはなりましたけれども、それはあくまで特例措置であって、本来、盲・聾・養護学校に行くのが本来だということが底流に流れていると思います。そこを私は変えるべきだと思いますが、そういう今後の方向としてそこは文部科学省は持っていらっしゃるのか。
 そうであれば、そうあってほしいということが一つと、それから、具体的に学校の教職員の専門性というんですか、盲・聾・養護学校の先生も含めてですけれども、専門性というのが、先ほど施設の職員の方の例をちょっと出しましたけれども、障害がある子は分からないんだからしてあげなくてはいけないというような意識で臨むのか、本人がどう生きたいのかということをまず最初に考えて対するのかで全然違うと思いますので、専門性ということをどういうふうに考えていらっしゃるのか。免許の在り方もこれから検討するというふうにおっしゃっていますので、それとも絡みますが。
 あともう一つ、特別ニーズという言葉が何度も出てきます。その特別ニーズというのはだれが決めるのか。私は、目指す社会が障害の有無にかかわらずともに生きる社会を目指すのであるとすれば、地域の中でともに生きていくというそのためのニーズをどう満たすかということが教育の中でなされるべきだと思いますので、その大きくは三つについて。
 それから最後に、今、国連の方でも障害者権利条約が、起草委員会が開かれて、作業部会ですかね、というふうに聞いていますけれども、それに対しての、文部科学省としてどのような態度で、教育に関してだけでいいんですけれども、臨んでいらっしゃるのかをお聞かせください。
#29
○政府参考人(金森越哉君) お答え申し上げます。
 障害のある子供たちに対しましては、その多様な教育的ニーズに対応して、持っている可能性を最大限に伸ばし、また自立し、社会参加するために必要な力を培うということが大切だろうと思っております。これまで盲学校や聾学校、養護学校、また小学校や中学校の特殊学級などで様々なカリキュラムや指導方法によってそういった力を培うということを目指した教育が行われてきたわけでございます。また、小中学校などの子供たちが障害のある子供たちに対する正しい理解と認識を推進するというために、学習指導要領に交流教育なども位置付けまして、障害のある子供たちと障害のない子供たちとの相互理解も推進しているところでございます。
 児童生徒の就学すべき学校につきましては、やはりその障害の状況を把握して、保護者や専門家の方々の御意見も聞きながら、その子供にとって自立と社会参加するためにはどういう教育が一番適切なのかという観点から総合的に判断すべきものと考えておりまして、子供たちのそういった自立や社会参加に向けた教育が進められますように、正しい理解、また認識、こういったものを教員の様々な研修の機会なども活用いたしまして充実に努めているところでございます。
 それから、国連の条約の関係の御質問がございましたけれども、現在、国連におきましては、障害者の権利条約に関しまして策定作業が進められているところでございます。今年一月には、ニューヨークで条約起草ワーキンググループの会合がございましたが、私どものポジションペーパーの策定に当たりましても教育の観点から積極的に協力をいたしましたし、また、この会合に担当官も派遣をいたしまして議論に貢献をしたところでございます。
 文部科学省といたしましては、引き続き、外務省を中心といたしました関係省庁と連携を図りながら、障害者の権利条約の策定に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#30
○副大臣(原田義昭君) 今の御説明に加えまして、私なりに神本先生のお話を聞いていますと、一つは、ネーミングの問題もおっしゃるとおりで、いかに変えようと、結局心のバリアが取れない限り同じような話があろうかと思いますね。それは国民の意識がどんどん進んでくるに従ってあるいはだんだん低くなろうかと思いますけれども、そこのところはしっかり気を付けていかなきゃいけない、こう思っております。
 また、ニーズをだれが把握するかということについては、これも大事なことでございまして、これはもう最終的には、私は、本人ないしはその保護者、また周りに本当にケアをする人が、その希望、ニーズがやっぱりしっかりと制度の中でかなえられるような、そういう制度にしなければならないと思っております。おっしゃるように、大分最近自由度を高めて、そしてできるだけ希望が満たされるような運営はしておるようでありますけれども、是非その辺、心してこれからやりたいと思っております。
#31
○神本美恵子君 原田副大臣の方から今おっしゃっていただきまして、そのニーズを把握するのは、ニーズというかは、本人と保護者、それをやっぱりいかに条件的に支援していくかという、私はその基本が本当に大事だと思うんですが、文部科学省の施策はそうなっていないところが多々ございますので、そこを是非副大臣のお力でやっていただきたいなと思います。厚労省の方はそういうふうに移行しているなと思うんですが、少しギャップがありますんで、お話ししていただいても結構ですし、是非そういう方向に持っていただきたいと思います。
 先ほど、中原議員の方からも特別支援学校というのはどういうものなのかという御質問がありましたが、その在り方にもはっきり表れていると思います。予算配分がそこになされないままで名前だけ変えても何にも変わらないと思いますので、是非副大臣、頑張っていただきたいと思います。
#32
○副大臣(原田義昭君) よくお話を聞きましたし、また関係の担当者もよく聞いておりますので、是非そういう方向で検討させていただきたいと思います。
#33
○後藤博子君 今日はありがとうございます。
 障害者が、障害があるからこそその本人、皆さんがそれぞれすばらしく、人間的で魅力的であってほしいと、これはだれもが思うことだと思います。私もまだよく分かっているようで分かっていないんですけれども、各副大臣にお尋ねしたいのが、子供の自立と社会参加に向けた各省庁の取組、その中で自立ということをどうとらえていらっしゃるのか。何を自立というのか、どこまでを自立というのか。あるいは、各省庁が目指す、ここまで来るとそれぞれの省庁が達成したのだという、達成する、何といいますか、ラインといいますか、難しいと思うんですけれども、障害を持って生まれた子供たち、あるいは障害を途中で受けた、なった人たち、それを例えば私たちは企業でよく言いますけれども、それをインプットということがあれば当然アウトプットが出てくるわけです。アウトプットに出てくるものは、どういう障害を克服した方々のイメージとして自立とかいうことの、重なりますけれども、とらえていらっしゃるのか。それによって随分変わってくると思いますし、一人一人のニーズに対応した教育ということがありますけれども、今のいう自立という一言だけでもそれぞれ一人一人によって違うと思うんですね。障害の度合いによって自立する中身も変わってくると思います。
 ですから、そういうことでちょっと難しいんですけれども、まずそういう自立ということについてお尋ねしたいと思います。
 それと、職場に関係することなんですけれども、先ほどバリアがなかなか取れないとおっしゃっていました。だから、障害者の皆様も自分からバリアを取り除くことを努力していらっしゃいます。健常者の方もそうですけれども、やっています。その障害者の方のお話の中で、自分は職場の中では仕事をしながらリハビリもできるような職場環境であってほしい。あるいは、安易にたばこを吸う方がいる職場では、なるべく自分たちの周りではたばこを吸わないでほしいとかいう職場の在り方。そして、その方が与えられた仕事をやっていくと当然与えた仕事がもっとできるようになるわけですよね。しかし、ずっと同じ仕事しか与えられなくて、そこでやっぱりリハビリをしていたり能力を発揮していたりして、改善というか、やっているわけですので、ずっと同じ仕事を与えるんじゃなくて、その人の能力がだんだん高まっていったら、その高まった仕事に応じた仕事も与えてほしいというような、そういうことが障害者の方から要望として上がっております。職場環境を作るための施策とかいうことをもうちょっと具体的に教えてほしいと思います。
 重ねてになると思いますけれども、能力を発揮するという、能力の発揮という、能力の発揮ということはどういう、ちょっと私も分からないんですけれども、どのように見極めていくのか、能力をですね。ちょっと難しいんですけれども、私も質問が、どういう質問をすると私の思いが伝わるのかなと今思いながら頭の中でやっているんですけれども、能力を発揮しながら適性、適性というのは医学的に見た適性なのか、だれが判断して適性と思うのか。先ほど、ニーズ、だれがニーズをあれしますかとありましたけれども、分かりますかね、ちょっと分かりにくいかと。まず、自立ということに対して、じゃ、教えていただきたいと思います。ちょっと難しいですかね。
#34
○副大臣(中島眞人君) 非常に先生も難しい質問だと言っておりますように、私どもも非常に難しく受け止めております。
 いろいろなお答えがあろうかと思いますけれども、しかし大変誤解を生む場面も出てまいりますので、基本計画の中で言う以外にないと思いまして、何だそんなことかとおしかりになられるかもしれませんけれども、自立というのは自己選択と自己決定の下に社会のあらゆる活動に参加、参画するとともに、社会の一員としてのその責任を分担すると。非常に御満足いただけないだろうと思いますけれども、自らの能力を最大限発揮し、自己実現できる、そういう社会にいわゆる障害者をあれをしていくという考え方が基本計画の中で示されていると、こんなふうに御理解をいただきたいと思います。
 具体的な問題、いろいろ申し上げる用意もあるんですけれども、非常に誤解も生ずる面もございますので、基本計画の中で書かれている文言をもってお答えにさせていただきたいと思います。
#35
○副大臣(原田義昭君) 分かっているようでなかなか難しいテーマでありますけれども、私は、やっぱり障害者も、表現する方も表現されない方もこういう形で人生を生きたいと、これは思いをきっと持っておられるんですね。それを、やっぱり体が不自由、いろいろ障害があるためになかなかそれを実現できない、自己実現できないということですから、最終的には大人になれば仕事をして、やっぱり社会のために奉仕したいと多分間違いなく思っておられるんですね。それをやっぱり周りで補って、そしてその気持ちをできるだけ全うしてやると。
 そういう意味では、もう数年になりますけれども、薬剤師の国家試験を受かった若い女性がなかなか、彼女は聾だったと思いますけれどもね、なかなかそれが、試験は受かったんだけれども仕事ができないということ。これは最終的に、これはもう当然だというようなことでこの道も開かれるようになりました。また、そのときだったと思いますけれども、そういう障害によって職業を制約するという、たしか法律上の条文もほとんど消えたような気がいたします。
 私、実は、ごく最近なんですけれども、ある国家試験を是非受けたいと、こういう若い障害者と話がありまして、要はその試験を受けて職業人になりたいと、プロの職業人になりたいという思いはもう健常者の十倍以上大きいんですね。ところが、なかなかその国家試験自身が受からない。受からないというのが、中身が分からなくて受からないならともかく、試験を同じフォーマットで同じ時間でやれといっても、これは、同じことを考えて書くのに三倍も時間が掛かりますと、これはとてもじゃないけれども幾ら勉強してもその試験場でそれを実現できないわけですね。ですから、せめて時間を延長できないだろうかと、こういうような相談をしたりしておるんですけれども。
 要は、その思いを、そのことを私は自己実現と言っているんだと思いますけれども、やっぱり将来できるだけ手間が掛からないで自立したいというその思いを周りが最小限補佐してやる、補ってやるというのが自立ということ、私たちのできる自立政策ではないかと、こう思っております。
#36
○副大臣(佐藤泰三君) 今、後藤委員さんの自立という言葉を承って、この共生社会の基本だと思います。
 たしかこの調査会は平成十三年に発足したと思うんですけれども、一億二千数百万の国民の中に、目の不自由な方、足の不自由な方、精神、いらっしゃいます。その国民の方が少しでも正常な方と同じように暮らせるようにと、明るい社会を作ろうといって作ったのがこの調査会だと思うんです。そのために、文教面、福祉面、衛生面、あるいは我々道路、ございますけれども、実は私も、視力が良かったんですけれども、最近はやっぱり何といいますか、目がおかしくなりました。文明の利器で救われます。これも一つの支援社会だと思うんです。
 という形で、そのような精神的、肉体的、いろいろございますから、その方たちが少しでもいろいろな支援によって正常人と同じように希望を持って明るく暮らせると。それを良くするかというのがこの委員会だと思います。文教面、福祉面、衛生面あるいは設備の面と。足の不自由な方は階段が困るからバリアフリーと、エレベーターと。当然だと思うので、支援という意味を、支援をいかにするかはこの委員会の目的と思いますので、お互いに連携を取りながら一生懸命やっていきたいと思っております。よろしくどうぞ。
#37
○副大臣(谷畑孝君) 今、後藤先生の方から、自立とは一体何かと。私も、もう当たり前のように、また自分もよく分かっているようなつもりで、障害者のいわゆる共生というか、ともに生きるという、そこにおける自立と、こういうように思っておったわけですけれども、今改めて聞かれますと、はてなと実は思います。
 私が思いますには、人というのはおぎゃあと生まれて必ず死んでいくわけでありますけれども、生まれて死んでいくというのは、一つの人生というのか、そのプロセス。そして、だれしもが命をいただいて生きている。そのプロセスの中で、もちろん健常者で生まれる場合もある、障害者に生まれる場合もある。しかし、残念だけれども、自分が生まれることについてそれを選ぶことはできない。しかし、この社会の人生の中でいろんな多様な在り方というのは私はあって当然だと思うし、例えば障害者と健常者との触れ合いの中でたくさんの感動があります。特に両親などは、障害者を持った両親などは、時にはこの子のおかげで自分の生き方というのは深まったと、こういう発言がよくされますし、私どももその発言を聞いて感動すると思います。
 だから、私は、自立というのは、もちろんそれぞれの状況、それぞれの立場の中でいかにして生きて良かったという生についての自覚というのか、そういうものが非常に大事じゃないか。だから、重度障害者ということになれば、まさしく、今、目を開いて、ああ呼吸をした、少し何か感情を表した表情がある、これがその人にとってみたら自立であり、いわゆる保護者にとってみてもそういうことになるんじゃないか。私は、それを社会の中で支え合って、そして仕上げていくことが大事じゃないだろうかと。それから、人々によって経済的な自立もあるだろうし、いわゆる精神的な自立もあるだろうし、様々な形があるけれども、結局は、ここの委員会じゃないけれども、ともに生きるという、そこの一点の中に私は自立というもののとらえ方があっていいんじゃないかと、深めていく必要があるんじゃないかと、こういうふうに私自身、先生のお話を聞いて、はっと思いながら、そのように私として認識をさせていただいておるところであります。
#38
○後藤博子君 ありがとうございました。一言だけ。
 非常に難しいような質問をしてしまいましたけれども、私はそこが一番、自立というものは何なのかというところが、それぞれの副大臣の方々、省庁の方々がそのコンセンサスといいますか、しっかり取っていかないと一緒にやれないと思っています。
 そして、これは生意気かもしれませんが、障害者は健常者に近づけることではありません。健常者に先ほど負けてはいけないという、それも一つの励みになりますが、健常者ではないし、近づけません。これは差別ではないんですね。そこを私たちがしっかりとやっていかなければいけませんし、それぞれがその障害に応じて私どもは自立のスタートが切れるところまでせめて持っていかなきゃならないと。ハード面はやりやすいと思いますが、もう精神的な面は非常に難しいと思いますが、それぞれの方々が本当に生き生きと生きられるようなスタートが切れる、自立のスタートが切れるところまでせめて持っていっていただきたいと思っております。
 ありがとうございました。
#39
○有村治子君 今日は各省庁からの貴重なコメント、ありがとうございます。自民党の有村治子です。
 今日は文部科学省にお伺いしたいと思います。
 政府参考人としての審議官のコメントがありましたら、是非副大臣の後にコメントしていただきたいと存じます。
 政治家としての原田副大臣にお伺いします。
 原田義昭先生といえば、自民党の難病対策議員連盟でも事務局長として、いつも難病の子供たちのために、障害を持った人々のために本当に第一線で尽力されていらっしゃる姿を私も一緒に活動させていただいて有り難いな、勇気付けられるなと、先輩の行動にいつも敬意を持っています。
 その副大臣だからこそお伺いさせていただく質問を二つ申し上げたく存じます。
 私たちが聴覚障害の方々とコミュニケーションを取る場合、その接点が少ない私でさえ、一生懸命何とか身ぶり手ぶりをして、ジェスチャーを交えて、筆談を交えて、あとは信頼関係に任せて筆談で一生懸命やるという限られた経験でさえ、手話の大事さというのを痛感しております。
 しかし、今、文部科学省が主導で聾学校で行われているものは、聞き、話すということに主眼を置いた聴覚口話法というのがメーンで教育がなされている。これは、先ほど後藤先生も反対をされましたけれども、根本の思想としては、聾の方々も健常者に近づいた方がよかろうという思いで限られた聴覚を何とか生かして口で話すという、こういう思いがあって、七十年間聴覚口話法が主になされてきたと。
 しかし、私がおはようと申し上げても、聴覚障害の難度が非常に厳しい方は、「お、う」ぐらいしか聞こえない。それがスタンダードだと思っているので、一生懸命口でまねしようとしても、「お、う」というふうになってしまうという方々もいらっしゃる。
 この現実を考えると余計手話が大事だなということを思うのですが、ショッキングな実情を私もつい最近認識しました。
 聾学校の中で授業中手話を使ってくれる先生が一人もいない。聾学校の授業で手話を全く使わないという学校が、平成九年には、調査された聾学校小学部の七十校の半数以上にもなっていた。聾学校小学部の中で半数以上の学校で手話を一切使っていない。例えば、幼稚部などに至っては、七割以上の聾学校幼稚部で、学校の先生が手話を一切使ってくれないという学校が七割以上に上ってしまったと。
 文部科学省の名誉のために、一応、この状況は改善されてきているということを私も伝えたいと思います。
 ただ、何でこんなに改善されないのかなということを考えたら、私が壁にもぶち当たったのは、実は手話ができる先生自体が聾学校で非常に限られているという現実を私も知りました。文部科学省の方々に問い合わせをしてみたところ、聾学校の先生になる教員養成課程では手話を学ぶというのが必修ではないという現実を目にしました。つまり、私が聾学校の先生になりたいと思ったときに、手話を全く学ばなくても学校の先生になれてしまうというのが現在行われている教員養成課程です。
 これでは、聾学校の教室の中で子供たちが、授業が分からないよ、A君がB君をいじめているよということを手話で幾ら言ったとしても、健常者である先生には全く伝わっていない。そういう意味では、本当に現場で頑張っていらっしゃる先生方、保護者の方々、聴覚障害の子供たちにも敬意を持った上ですが、これじゃ学級崩壊が起こるのも残念ながら当然だろうというようなシステム上の不備を感じます。
 原田文部大臣はこのことについて、つまり手話が全くできなくても聾学校の教室に立ててしまう、子供たちが何をやっているのか全く読めないでも教員になり得る、なっている実際にという現状についてどうお感じになられますか、まず一点お伺いしたいと思います。
 二点目。私たちの母語は日本語でございます。しかし耳が聞こえない人々は、日ごろのコミュニケーションの手段の基礎となる母語として一体何を使うのかということを考えたら、やはり聾の、聴覚障害の子供たちがしっかりとコミュニケーションする、そしてその子が人間らしく、その子らしく生きていくための基本としては、自由に安心して表現できる母語としてやはり手話をマスターして、その上で読み書きを通して私たち健常者が使う日本語を確実にマスターするという、聾者のためのバイリンガル教育というのがここ二十年海外の聴覚障害を持った教育で目に見える成果を出してきているようでございます。
 しかし、また壁にぶつかるんですが、この日本では七十年間、聴覚障害者をなるたけ健常者に近づけた方がいいだろうということで、聞き、話す、「お、は、よ」という聞き、話すということに焦点を置いた聴覚口話法がずっと主流で来たために、この手話をまず彼らの母語としてしっかりと付けてもらった上で彼らが筆談で読み書きができるようにしてあげよう、しようというようなこのバイリンガル教育というのが、どうも文部科学省としても積極ではないというような壁に私もぶつかっております。
 だからこそ、手話を第一言語として、その手話を主なコミュニケーションの手段として、まず母語として自由に表現できる、私たちで言う日本語、それを身に付けさせてあげた上で、それから健常者としっかりとコミュニケーションできるための日本語を身に付けさせてあげようというこのバイリンガル教育について、文部科学省は今のところ、効果性がない、あるいは実績がない、効果性が不明であるということで乗り気ではないという印象を私は感じるのですが、先ほど原田先生がおっしゃっていただいた独立行政法人国立特殊教育総合研究所で、是非このバイリンガル教育というものが効果性があるのかどうか、実際に海外でどのようなところがいい、あるいはこの辺が制約点であるというふうになされているのか、少なくとも研究は着手していただきたい。そのための特殊教育総合研究所が国立でなされていると思いますので、この二点について政治家としてのコメントをしていただけると本当に有り難く存じます。
#40
○副大臣(原田義昭君) 有村議員に激励と、そして大きな課題を説明いただきました。大変私は恥ずかしいことながら、今の状況、必ずしも今まで存じませんでした。私ども身近に、いろいろな会合をやるときに、手話で参加していただいたり、またお手伝いいただいたりしていることはもうかなり一般化はしておりますが、聾学校でそれが原則として普及していないというようなことについてはちょっと私、申し訳ないことではありますが、存じませんでした。しかし、今ただいま本当に大事なことを学ばせていただきました。
 結論から言いますと、しっかり検討させていただきます。その上で、お話ありましたように、日本語と手話の併用といいますか並立といいますか、バイリンガル、私は全く素人でありますけれども、それはお互い反し合うものか、それとも両方並立し合うものかということについては、これはもう当然手話だってその前提として日本語がなくして僕は存在するものではないと思いますから、バイリンガルの大事さというのはそのとおりであると思いますが、いずれにしてもしっかり検討をさせていただきたいと思います。
 もう一つ、そもそもこれは先ほど後藤議員からも指摘がありましたんですけれども、障害者と健常者というのは、健常者に近づけようと、限りなく近づけようとするのがこの方向なのか、それとも障害者は障害者として自分のいろんな諸能力を高めていくということが方向なのか、それはいろいろあるいは議論があろうかと思いますけれども、今、聾の話よく聞かしていただきましたので、その辺、私も、個人も含めましてしっかり組織としても検討させていただきたいと、こう思っております。
 ちょっと補足を、現状とこれから審議官にちょっと話をしてもらいたいと思います。
#41
○政府参考人(金森越哉君) お答えを申し上げます。
 学校現場の手話の使用につきましては、御指摘ございましたように、例えば聾学校の小中学部では七五%以上の小中学部で手話を用いているところではございますけれども、その用い方によっては日本語の習得にどう影響があるのかというようなこともあるわけでございます。手話をどのように取り入れていくのが最も適切かということについては、いろいろな実践の積み重ね、また研究の積み重ねの中で検討していかなければならない問題ではないかと考えております。
 大学によりましても、聾学校教員養成課程で多くの大学では手話の基礎的な指導を行っているところでございまして、中央教育審議会で、初等中等教育分科会の教員養成部会で盲・聾・養護学校の免許の在り方について検討もいたしておりますので、そういった中で聾学校教員の手話の力を含めた専門性について、現状を踏まえながらより適切な養成制度はどうあるべきかということについても審議をしていただきたいと考えているところでございます。
 聾学校の子供たちが将来自立し、また社会参加するためには、確かな日本語の力を身に付けるということが重要でございますので、私ども、国立特殊教育総合研究所などもございます、学校現場の様々な教育実践なども踏まえながら教育方法どうあるべきかということについても研究してまいりたいと考えているところでございます。
#42
○有村治子君 前向きな検討をしていただけるということで、本当にありがとうございます。
 ただ、審議官が先ほどコメントされた平成十四年に七五%の学校が半数以上の教員が手話を使っているということなんですが、これにしたって、逆に言えば二五%の学校では一切使われていないというような現状があるわけですから、そういう意味では、そこの地域に住まれた聾学校の御家庭というのはオプションがないということ、そのことがないようにしていただきたい。やはり、先ほどの聴覚障害というのも今までなされてきて、それに本当に私も敬意を持ちます。
 ただ、聴覚障害が本当に障害度が高くてほとんど聞こえないという方々には、人の話を聞いてそれを「お、ゆ」、「お、は、よ」とか言って一生懸命やっても、そこにリミットがある人たちに、どうやってその子たちに合った教育方法を提供する努力をするのかというのは日本人として大事な、日本の教育施策の中でも大事なメッセージだと思います。
 そういう意味では、やはり聴覚口話法に手話を取りあえずジェスチャーとして付け加えるというんではなくて、本当に手話を第一言語として、彼らの使える言語としてマスターしてあげた上に、私たちの健常者とコミュニケーションできるかどうかと。そこに重きを置いて担当者も実際に決めていただいて、この特殊教育総合研究所で研究を進めていただきたいと。
 前向きにというんじゃなくて、具体的な一歩を進めていけるように副大臣のリーダーシップを是非心から御期待申し上げて、私も走りますので、推進していただければ有り難いと思います。
#43
○副大臣(原田義昭君) はい、しっかりお約束します。
#44
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。私も今の有村さんと同じ一つ要望をまず冒頭述べたいと思います。聾学校の中で、日本手話を中心とした教育内容に変えていただいてやはり暮らしていけるようにということを、私の方からも是非よろしくお願いします。
 主な質問は、支援費制度についてお聞きをしたいと思います。
 措置から契約へ、施設から地域へとのうたい文句の割には具体的な施策が進んでいないのではないか、支援費制度において施設訓練費支援入所と居住生活支援ホームヘルプサービスはどれぐらいの割合で一体予算配分をされているのか、居住生活支援に対する予算を何年計画でどれぐらいの割合で増やそうとしているのでしょうか。
 ホームヘルプサービス実施数を見ると、身体障害者については二〇〇三年四月段階で全市町村の二七%、知的障害者については五三%の市町村で実施をされていません。ですから、障害者の人が具体的に契約を結びたくても事業者がいないと。つまり、地域格差が非常にあって、そこをどのようにやはり解消していくのでしょうか。
 それから、福祉に手厚い自治体にどんどんどんどん外部から今、人が入ってくるという話も聞きます。予算が足りなく財政が激しいと。ホームヘルプサービスの単価が上がったことでより激しい財政運営を自治体が強いられると。今年度は一億円の予算不足という自治体もあります。ですから、国庫補助を自治体の事業費ベースではなくて、個々の障害者に対して出すようにできないか。
 厚生労働省では、介護保険と障害者福祉との統合問題を障害者の地域支援生活の在り方に関する検討会で具体的な内容を話し合うというふうに聞いております。
 一つの考え方ですが、介護保険はやっぱり保険であって障害者施策は、いや、だれでも年を取るわけですから介護保険というのは分かるのですが、障害者のことは保険ということでいいのか、あるいは費用負担が一割とかあることで、やっぱり障害者の問題は保険ではなく福祉で解決すべき点が非常にあるのではないか。
 新聞報道では非公開とも言われておりますが、是非公開にしてほしいと。議論の過程ではここは非常に皆さん関心をお持ちのところなので、障害者団体の代表だけでなく、是非多くの障害を持つ人たちの本人の声を反映できるよう丁寧に検討を進めていただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
#45
○政府参考人(塩田幸雄君) 昨年の四月から支援費制度がスタートしたということで、これは障害者の自己決定とか自分で選択するという意味で画期的な制度だったと思います。
 平成十五年度は、実質で三割増のサービスに堪えられる、この非常に厳しい緊縮財政の中で、三割増のサービスに堪えられる予算を組んでおりましたが、例えばホームヘルプサービスでいえば、実際はサービスの伸びは全国ベースで六割から七割ということでありまして、国の方でも予算不足が顕在化したということでございます。国費の国庫基準ベースで約百億円程度の不足がしたということであります。それだけ予算措置していない財源不足が出てきたということでありまして、厚生労働省内のいろんな各局の児童福祉予算とか高齢者予算とか、私どもが頭を下げて流用して、私どもも節減しましたが、何とか国庫基準ベースの予算を確保されたということで、本年度については一部の自治体、国庫基準ベース以上にサービスを提供している東京なんかで先進的な自治体、先ほど先生がおっしゃられましたが、先進的な自治体では国庫基準ベース以上のサービスを提供していますので、若干というか、一億円程度国からの、想定していたよりか一億円程度補助金が不足した自治体もありますが、おおむね全国ベースでいえばほぼサービスが必要な国庫補助はできたのではないかと思っています。
 障害者サービスについては、先生もおっしゃられましたように、自治体によって物すごい格差がありまして、サービスの提供量も八倍から十倍とか、すごい幅がありますので、私どもとしては、全国どこの自治体、どこの市町村に住んでも必要なサービスが受けられるような制度にしたいと思っていまして、支援費制度というのはそういう意味でそのきっかけになったということでありまして、今まで知的障害者にサービスを提供しなかった自治体でもサービスが提供するようになりましたし、初年度ということで、いろんなまだまだ問題が顕在化したり、障害者の方々が心配されているところとか自治体の人が困惑されているとか、いろんな問題がありますが、トータルで見れば支援費制度のねらったところは着実に全国に普及していると考えています。
 しかしながら、この支援費制度、施設サービスの方は義務費になっていますが、居宅の在宅サービスはいわゆる裁量的経費ということで、予算の範囲内で補助することができるという規定になっていまして、そこに大きな問題が存在しているということでございます。
 今の仕組みではサービスはこれからもどんどん伸びていきますから、一方で国の財源も自治体の財源も非常に厳しいということで、裁量的な経費をそのサービスの伸びに応じて予算確保するということは非常に難しい課題になっていますので、この支援費制度のねらったものを中長期的に実現していくためには財源的な確保をするためのいろんな手だて、これは制度改正も含めていろんな手だてが必要になると思います。それがなければ、いずれこの支援費制度のねらいというのはなかなか実現できないようなときがやってくるに違いないと思いますので、私どもとしてはなるべく早く支援費制度のエンジン部分の強化というものを一日も早くしたいと思っています。
 それから、施設と在宅のお金の格差というのは、岡崎委員のときも御指摘ありましたが、例えば平成十六年度予算案でいえば、居宅の支援費の予算、国費ベースですが、居宅が六百二億円に対しまして施設関係は二千九百九十六億円ということで、圧倒的に施設関係の予算が多くなっているわけであります。施設は施設でこれまで重要な役割を果たしましたし、施設に入っている方を一同に地域に帰ってくださいといっても、御本人の事情もありますし、地域の支援体制も必ずしも整備されておりませんので、施設に掛かっている経費が一気に在宅に回せるというそんな簡単なものではありませんので、これは在宅福祉サービスのサービス体制を整備し、かつ時間を掛けて施設から地域へという移行をしていただくしかないと思います。ですから、単純にすぐ施設のお金を在宅に回すということはなかなか難しい問題だと思います。
 それから、介護保険との議論はこれからやるわけですけれども、介護保険制度の優れている点は、一つは明らかに義務経費、義務費になっていますよね。三年間一つのルールの下でサービスが提供されれば、それに必要な経費は国も自治体もあるいは医療保険者も出すという仕掛けになっています。そこが非常に優れた点ですけれども、それ以外にも、市町村がサービスの全体量を計画して、その全体量の中で責任を持ってサービスを提供するということが制度上しっかりしていますし、必要な財源も税金だけじゃなくて医療保険者とかからもいただくというか、それは社会保険という説明をしてもいいんですけれども、高齢者の介護が特定の人の問題じゃなくて一人一人の問題であるという考え方の下で財源を持ち寄るという、そういう点では介護保険には優れた考えの部分がございます。そういった介護保険の優れたシステム、考え方を支援費のエンジン部分、財源確保の部分にどう導入するかという議論だろうと思っています。
 それから、障害者の方とのいろんな検討会は全部公開でやっておりますし、是非先生も出席していただいてもいいと思いますし、時間を掛けて丁寧に議論はしていくつもりでございます。
#46
○福島瑞穂君 どうもコンパクトにありがとうございました。
 その一億円の予算不足という自治体があるということで各地の首長さんたちと今話をしていると、やはり新規に障害になった人や転入してきた人に対応できないという問題がやはり具体的にあるので、自治体だとやはりやろうと思っても一億円不足でなかなかというので、これはどう対応していったらよろしいのでしょうか。
#47
○政府参考人(塩田幸雄君) 実際のサービスを、どういう方にどういうサービスを提供するかというのはやっぱりそれぞれの市町村長さんの最終的な責任で対応される、これまでもそうだったし、今後もそうだと思います。
 ただ、国と地方自治体のお金のやり取りというのは一定のルールでやるということは当たり前だと思いますし、少なくとも十五年度におきます国と地方自治体の補助金の在り方については、多分全身性障害者の方の事例だと思いますが、一か月百二十五時間という計算で国と地方自治体のお金のやり取りをしましょうということで始めた制度であります。
 そういう全身性障害のように非常に長い時間のケアが必要な人たちについてどういう基準を作るかという、これは正に今いろんな関係者と議論をしているところでありまして、明確な基準を作って国と地方自治体の間で混乱がないようにそれは努力していきたいと思います。
#48
○福島瑞穂君 ありがとうございました。
#49
○林紀子君 済みません。
 今の問題と関連して、この三月までに百億円ぐらい不足になると、それをかき集めてくださったというお話はありましたけれども、来年度の予算というのも、今年度と同じぐらいの伸びということになっても今の予算では、予算案では不足をするのではないかという話も聞いておりますが、その辺はどのように対処をなさっていくのでしょうか。
#50
○政府参考人(塩田幸雄君) 本年度につきましては、省内の予算の流用とか節約などで何とかぎりぎりの、百点満点でありませんが対応できたということですが、来年度についても非常に財政的に厳しい状況にあるということは先生のおっしゃるとおりでございます。
 夏の時点で私ども概算要求をしたわけですが、普通、概算要求で出せば、査定されて、年末に予算案が確定するということになると思いますが、在宅の支援費全体で六百二億円の概算要求をしたんですけれども、実はホームヘルプとデイサービスには六百二億円の中でやりくりをして増額査定をしていただきました。そういう、普通の予算査定では通常ないような、この大変厳しい財政状況の中で予算査定がございまして、ホームヘルプサービスについていえば三百二十四億円、前年度比二三%増ということで、かなりの増額にはなっておりますが、本年度は十一か月予算、来年度は十二か月予算ということもありまして、実質的には一二・八%増の予算になってございますが、やはり財政的には厳しいことは変わりはありませんので、いろんな単価の見直しとか、いろんな工夫を今地方自治体の方とか障害者団体とも相談しながらやっているところでございます。いろんなことをしないとやはり厳しいと思います。
#51
○林紀子君 先ほど、やはりかなり地域によってばらばらだというお話はあったんですけれども、私、予算委員会の視察で神戸市に参りましたら、この要望書というのをいただいたんですが、八項目の要望書があるうちの一つにこの支援費制度の円滑な運営を図るための財源、財政措置を是非きちんとしてほしいというのをいただいてきたわけなんですよね。
 ですから、今それぞれの地方自治体といろいろお話をしているということですが、やはりこれだけ伸びるというのは、支援費の措置で地域でやっぱり住むということを多くの方たちが願っている証拠だというふうに思いますので、地方の方に、あんたたちもうちょっと我慢しなさいと、こう押し付けちゃうんじゃなくて、何とかこの要望を、全体の予算の中で、厳しくてしかも伸ばしているというのは分かりましたけれども、それだけ大きな要望であるし、大切な施策であるという位置付けで、地方の方に押し付けるんじゃなくて、国が何とか頑張っていただきたいというふうに思うんですが。
#52
○副大臣(谷畑孝君) 先ほどの支援費の制度についての議論といいましょうか質問、たくさんあったわけですけれども、私も副大臣させていただきまして、一番たくさん陳情を受けましたのがこの支援費制度のことで、是非この増額をしていただきたいと、こういう話が非常に多くございました。やはり、措置制度からいわゆる支援という制度で、障害者自らがサービスを決定をするということで非常に行政効果も上がって、非常にそれだけ利用度が非常に高まったということでありますから、これは私自身非常に大きな評価をすべきことでもあるし、またこれを水準を落とすべきものでもないと、こういう立場でございます。
 そういうことにつきましては、やはりせっかくこういう支援費制度ができたわけですから、この行政水準をどう継続的にやっぱりきちっと維持発展させていくかという、ここは非常に大事なことだと、今、塩田部長の方からもいろいろお話ありますけれども、その点に、今回、介護保険が実施されて、五年をめどにして改正ということでありますから、ここはやっぱり支援費制度の問題とこの介護保険制度の問題と、そこらの点をいろいろ含めて総合的にどういうようにしてそれを判断していくかということが、非常に私自身大事なことだ、こういうふうに実は思っているわけであります。
 その中でとりわけ大事なことは、やはりこの障害者団体等を含めてやっぱり当事者との話合いをしっかりとしていくということが大事だろうし、また地方自治団体との話合いもこれも非常に大事なことだと、こういうふうに思います。それと同時に、長年行ってきましたやはり障害者に対する施策という、そういう施策ということとまた介護保険というのは少しまた性格が違うところもありますし、そこらの点もよく踏まえながらどういうふうに検討していくかということ、これ、是非来年が改正時期ですから大いに検討はしっかりとしていく必要があるんじゃないか、将来のためにも私はすべきだと、こういうふうに実は思っております。
#53
○山本香苗君 今日はいろんな話が行ったり来たりするところでありますけれども、先ほどの有村先生から御提起があった点、私も勉強させていただいているところですが、是非とも、副大臣、よろしくお願いいたします。
 初めの方にいろいろ話が出てまいりましたけれども、ADHDとかLD、発達障害、そうしたものが徐々に認識が高まってきつつある。あと自閉症ということも発達障害の一つとして認識されつつあるけれども、まだ正しく理解されていないことに、正しく理解されていないということが関係者の方々の大きな悩みでありまして、特にそうしたお子さんを抱えて生活していらっしゃる家族の方々の苦労というのは大変大きい、並大抵のものではないと考えているわけなんですが、こうした問題、どういうふうな形で解決していかなくちゃいけないかということで、いろいろと専門家の方とお話を聞いてきたんですけれども、その中でちょっと二点ほどお伺いしたいわけなんですが、その専門家の方にお伺いしたときに、一つはしっかり公的に認知すべきだという話をしていらっしゃいました。先ほどお話の中で、特別支援教育の中では今から制度の見直しがなされていく、私たちの思いが先ほど副大臣が言ってくださったような形で制度改正されることを強く願っているわけでございますけれども、子供は大きくなるわけで、教育現場だけじゃなくて雇用の現場においてもこうした軽度発達障害というものはどういう形で位置付けられているのか、現状についてお伺いしたいのと、またどういう形でこれからその位置付けをなされていくのかということについて、まず一点お伺いします。
 二点目は、やはり社会的なインフラの整備がまだまだなっていないというお話がございました。さっきは教育の現場では先生の専門性という話があって、これはかなり前から指摘されていることだと思うので早くやっていただきたいと思うわけなんですけれども、一つに非常に児童専門医学というものが、日本においてはほかの国々と比べて非常に独立講座もなくて後れているというお話をされた方がいらっしゃいまして、この児童精神科医というものの不足というものを厚生労働省としてはどういうふうな形で認識されていて、今後どういう形でそれをきちっと確保されようとお考えなのか、その点、二点につきましてお伺いいたします。
#54
○副大臣(原田義昭君) また後で補足させますが、確かにLD、ADHD等、新しい病気、昔からあったんだと思いますけれども、その認識が高まってきたのは事実であります。当然それに応じた対策を取らなきゃいけないわけであります。
 公的な認知の問題でありますけれども、聞いている限りではなかなか親御さんも、さっき言いましたように知能が劣るわけじゃないものですから、普通の子供だと思って、ただ多少性格が激しいとかむらがあるとかいうふうなジャンルにもなっておったり、実際は一般の学校、学級に入れた方がいいのか特殊的な学校に入れた方がいいのかというような、そういう意味でもなかなか親御さんの側も、また学校の側も認定をしにくい部分がどうもあるようでありますけれども、しかし、おっしゃるように、やっぱり的確な対応を医学の面、また教育の面からもしなきゃいけないと思いますから、そういう意味では御指摘のようにやっぱりきめ細かい、また後で、この分野の医学、学問がどこまで日本、レベルにあるのか分かりませんけれども、しっかりそこについても対応していきたいと、こういうふうに思っております。ちょっと補足をさせますが。
#55
○政府参考人(金森越哉君) 補足をさせていただきます。
 私どもLD、ADHDまた高機能自閉症の子供たちに対する教育的対応というのは大変重要な課題と考えているところでございまして、例えば今年の一月末に小中学校におけるLD、ADHD、高機能自閉症の子供たちへの教育支援体制の整備のためのガイドラインというのを、試案の形ではございますけれども、公表いたしまして、すべての教育委員会や小中学校などに配付をいたしたところでございます。
 このガイドラインにおきましては、教育行政担当者だけではなくて学校の校長先生や教員、また特別支援教育のコーディネーターを担当されている方向け、また専門家の方々には巡回相談員や専門家のチームをされているような方、また保護者や本人の方にもこういうところを配慮してほしいというようなことを盛り込んだところでございます。こういったガイドライン、まだ試案の形ではございますけれども、こういったことを通じてLD、ADHDなどの軽度発達障害の子供たちに対する取組というのを充実させるよう関係者の理解の増進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#56
○政府参考人(塩田幸雄君) 自閉症とかADHDとかLDとか、いわゆる発達障害につきましては、厚生労働行政の中で法律の谷間というか、これまで必ずしも正面から対応ができていない分野だろうと考えています。
 例えば早期発見につきましてもスクリーニングの手法が未確立であるとか、あるいは先生も御指摘になった専門家が不足しているという話、それから知的障害を伴わない場合は知的障害者福祉法の対象にならなくて福祉サービスも受けられませんし、あるいは年金の対象にもならない、なりにくいといった状況がございます。雇用の場面でもまだ発達障害に適した支援のスキームというのはできていないとか、様々な課題があるということでありまして、この問題はこれからの障害者福祉を考える上での重要なテーマだと考えておりまして、実は文科省の方とそれから専門の方と省庁横断的な研究会というのを設けまして、実はこの問題に関心ある国会の先生も何人も出ていただきまして、月二回ベースで診断から治療、教育、生活支援、就労まで含めてどういう対策ができるかということで精力的に勉強会をしていまして、年度末か四月初めには一定の方向性をこの研究会で出せるのではないかと期待をしております。
 その中で、予算措置でできるものとかモデル事業でやるべきものとか、あるいは場合によっては新しい法律が要るというような議論まで発展するかもしれませんが、そういう視点で今勉強しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
#57
○高橋紀世子君 障害のある方たちが職業に就くためにトレーニングしたりする学校が十分にあるんでしょうか。ちょっとその点を伺いたいと思います。
#58
○副大臣(谷畑孝君) 従来からこの一般の公共職業能力開発校のバリアフリー化を進めるという形を促進をしたり、あるいはこの公共職業能力開発校における訓練の受講が困難な、より重度な障害者に対して障害者職業能力開発校、十九校ございます。障害者の特性や程度に対応した職業訓練をしっかりと実施をしておるわけでございます。
 さらに、雇用・就業を希望する障害者、とりわけ重度障害者の大幅な増加や企業の障害者に対する雇用ニーズに対応するため、障害者が居住する身近な地域において職業訓練を受講できるよう職業訓練機会を大幅に拡充すること、そういうことについてこの平成十六年度の予算案において大いにそれを実施していこうと、こういうことでございます。
 平成十六年度の予算案におきましては、障害者職業能力開発校が設置されていない県において、一般の職業能力開発校で知的障害者等の訓練を担えるような体制の整備、そして企業、社会福祉法人、NPO等を活用した五千人規模での多様な委託訓練の実施などの施策を盛り込んでおるところでございます。
 今後とも、これらの施策を推進し、障害者、企業双方のニーズに沿った職業訓練を実施することにより、障害者の雇用・就業の実施に努めてまいりたいと、このように思っております。
#59
○高橋紀世子君 ありがとうございました。
#60
○大野つや子君 本日はありがとうございます。
 先ほどからもいろいろお話も出ておりましたけれども、障害があるなしにかかわらず、すべての生徒児童は教育を受ける権利を持っているわけです。そして理想は、様々な環境の整備を行うことによりましてすべての生徒児童が同じ学校に在籍していることだと思います。世界的にも、障害のある児童生徒は特別な教育的ニーズのある子供として包括的な教育への体制移行が提唱されておりますが、それにつきましても、通常な、学校や学級における支援付きの共学が原則とされております。その観点からいたしますと、今回の特殊教育から特別支援教育への考え方はその第一歩だと存じますが、今後の方向性をお伺いしたいと思います。
 そして次に、国土交通省にお伺いしたいと思います。
 バリアフリーの問題でいろいろ整備されているということも伺っておりますが、実は、高齢者、身体障害者の方々にお伺いしますと、上りの段差というのが大変であると、また下りの段差はもっと恐ろしいというように聞かされているんでございますけれども、よく私が、このごろ上りエスカレーターはあるんですが下りのエスカレーターがない駅というのを、幾つかというよりかなり見掛けるように思います。
 乗降客の人数というものが関係があるのだと思いますけれども、設置基準というようなものがあると思いますが、何か易しく考えられるようなものはないのかなというようなことをお聞きしたいと思います。
#61
○副大臣(原田義昭君) 大野先生おっしゃるように、いろいろな課題を踏まえた上でいかに今度はその教育なりを実施するかということでございまして、私ども、まずは障害のある児童生徒の自立と社会参加に向けて、その教育の全課程で何とかして彼らがしっかり自立できるような方向まで持っていけるように努力をしたいと思っております。
 その上で、私、冒頭の文章の中でも一部書いておりますけれども、最近の情報技術が発達してきました。これはもう今社会全体をびっくりするような形で変えつつあるわけですね。それで、とりわけ私はパソコンとかそういうものの活用が障害者に対して大きなやっぱり影響というか、いい影響を与えておるのではないかと。
 地元でもよくかかわるんですけれども、障害者の方はもう大体パソコンを駆使して、従来なら図書館に行って、車いすを押していかないかぬところを、もうほとんどいながらにして文書を取り出せる、情報を得、またそれに対して意見を言われるというような、情報技術の発達というのが、やっぱり私は障害者全体に対して、まあ問題も出てこようかと思いますけれども、逆に非常にいい方向でこれは生きているなと、こう思いますので、そういういい形で教育の場にもこの情報施策を取り入れていくことも彼らの自立に必ず役に立つんではないか、こう思っております。
#62
○政府参考人(丸山博君) 鉄道駅につきまして、交通バリアフリー法に基づきまして私ども整備を進めておるわけでございます。
 すべての駅に上り下りエスカレーター、エレベーターと全部付くのが一番望ましいことではございますけれども、一応バリアフリー法に基づきます基本方針におきましては、一日当たりの利用客数が五千人以上の駅につきまして、平成二十二年までに原則としてバリアフリー化すると。これは段差をなくする、エレベーターなりエスカレーターで行けると、こういうことでございます。
 その結果、平成十五年三月末現在で見ますと、利用客数が五千人以上の鉄道駅で高低差五メートル以上ある駅につきまして段差がなくなったというものは三九%でございます。これを平成二十二年までにはゼロにするということでございます。ただ、段差は残ってはいるんですが、何らかの形でエレベーターがあるとか、エスカレーターだけはあるというものについて見ますと、エレベーターにつきましては設置率が五二%、エスカレーターの設置率は六七%ということでございます。
 上りと下りどちらがきついかという議論はいろいろあるところでございまして、上りの方がエネルギーが要るんできついという議論と、御高齢の方には下りの方がひざに非常に負担が掛かるというような議論があるところでございますが、時間帯によりまして運転で工夫をしたり、あるいは、いうような努力は各駅できめ細かく与えられた今の設備の中でやっているところでございます。
#63
○大野つや子君 ただいまはありがとうございました。
 一日五千人以上ということでございますけれども、実は私、知っております駅でも上りのエスカレーターはあるんです。下りにはそれは切替えができないんですね。そして、エレベーターが実は中にございましたので、それはお荷物、大きなものを持っている人たちに使えないかということもちょっと話をしたことがございます。これは荷物用っていいますか、何でしょう、駅のためのといいますか、乗客の荷物ではないというために、それは使えませんというようなお答えが実は返ってまいりましたので、上りだけでなく下りのエスカレーターなりそういうエレベーターが付けられるためには、これはどうあるべきなのかなと。実は私も分からないものですから、今日はお聞きしたわけでございます。
#64
○政府参考人(丸山博君) 今、大野先生からお話ございましたように、既存の駅では、エレベーターというのは上に出るスペースが要るものですから、非常に設置しにくいと。それから、ホーム幅が一定以上ございませんと、スペース的にエレベーターなりエスカレーターを付けるのは非常に難しい、せっかくあるエレベーターはホームの端で荷物用だと、こう言われるというようなものがございます。新しい駅につきましては、もう最初からバリアフリーで設計をいたしますので、そういう問題がないのでございますが、既存の駅については、今おっしゃったような話がございます。
 したがいまして、私ども交通バリアフリー法に基づきまして、各市町村が基本構想を作っておるわけでございますが、その中では今ありましたようなお話を身体障害者の皆様から具体的にお伺いをして、地方自治体とともに基本構想を策定をしながら作っていくと。それから、駅構内のスペースでございますとか、利用者の流動にも留意しながら、可能な限り利用しやすいエレベーターの設置ということに努めておるところでございます。
#65
○大野つや子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
#66
○中原爽君 限られた時間でございますが、厚生労働省にお尋ねをいたします。
 本日提出されました横長の資料の九ページ、項目として、ホのところですが、「多様な雇用・就労形態の促進」で、「通勤が困難な重度障害者等を念頭に、在宅就業においてITを活用する」云々と、こうなっております。
 実はこの障害者に対する在宅の就業については、平成六年からこの調査研究が始まっておりまして、平成九年、十年にかけてモデル事業を、あるいは就業を促進するためのいろいろなマニュアルも出されております。平成十四年に至って総合的にこの在宅就業を促進するための事業が始まっているわけでございます。
 したがって、ここに書かれております「在宅就業においてITを活用するとともに、」と、支援の育成云々と書いてありますが、実際にはもうこれ、平成六年からの状況でこの就業を促進することが行われているわけですね。したがって、現在どのようになっているのかということをお尋ねしようと思っておりますが、お時間の関係もございますので、できれば、急ぎませんけれども、まとまった何か簡単な状況の報告をしていただければと思います。
 よろしくお願いいたします。
#67
○副大臣(谷畑孝君) 今、先生がおっしゃいましたように、重度身体障害者におきましては、このITの普及によって在宅で仕事ができる、今、原田副大臣もおっしゃったように、非常にそういう意味ではこのいわゆる移動ということを省略できるわけですから、是非これを大いに研究をしていかなきゃならぬと、こういうふうに思っています。
 そういう中で、重度障害者在宅就労推進事業ということで実施をしておるわけでございますけれども、今後ともこうした施策の充実強化をしていきたいということの中で、更にどういう形があるか、あるいはどういうような情報を提供しながらそれが更に可能になっていくかということについて、更に検討をしっかりと進めてまいりたいと思います。
 また分かり次第、また報告をしていきたいと思います。よろしくお願いします。
#68
○会長(狩野安君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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