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2004/03/17 第159回国会 参議院 参議院会議録情報 第159回国会 災害対策特別委員会 第2号
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2004/03/17 第159回国会 参議院

参議院会議録情報 第159回国会 災害対策特別委員会 第2号

#1
第159回国会 災害対策特別委員会 第2号
平成十六年三月十七日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         日笠 勝之君
    理 事
                太田 豊秋君
                大渕 絹子君
                白浜 一良君
    委 員
                柏村 武昭君
                小泉 顕雄君
                田浦  直君
                田村 公平君
                鶴保 庸介君
                今泉  昭君
                藤原 正司君
                簗瀬  進君
                大沢 辰美君
                大門実紀史君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣府特命担
       当大臣(防災)
       )        井上 喜一君
   副大臣
       内閣府副大臣   佐藤 剛男君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        森元 恒雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊原江太郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○災害対策樹立に関する調査
 (災害対策の基本施策に関する件)
 (平成十六年度防災関係予算に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(日笠勝之君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。
 まず、災害対策の基本施策について、防災担当大臣から所信を聴取いたします。井上防災担当大臣。
#3
○国務大臣(井上喜一君) 防災担当を拝命いたしております井上喜一でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、第百五十九回国会における御審議に当たりまして、災害対策に関する私の所信を申し上げます。
 昨年は、北海道、東北地方で相次いだ地震、梅雨前線豪雨、台風などにより、全国各地において被害が発生したところであります。また、この冬には、北海道東部を中心に豪雪による被害が出ております。さらに、三宅島では今なお大量の火山ガスの放出が続いております。
 これらの災害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、不安で不自由な生活を余儀なくされておられる被災者の方々に心からお見舞い申し上げます。また、これらの災害につきましては、関係省庁と連携し、地元自治体に対する支援など、引き続きその対策に万全を期してまいります。
 我が国は、その自然的条件から、各種の災害が発生しやすい国土となっており、歴史的にも大きな被害を受けてまいりました。防災は国民の生命、身体、財産に直結する問題であり、片時もこれをおろそかにすることはできません。備えあれば憂いなしと言いますが、防災は国、地方自治体、個人が役割分担をして、それぞれが役割を果たさなければなりません。
 例えば、個人が耐震補強や家具の転倒防止を行い、地方自治体が避難地や避難路を整備し、国がこれらを支援するという役割分担をして準備をしておくことが必要です。訓練についても、国、地方自治体、住民がそれぞれの立場で参画し、より実践的に行う必要があります。最先端の科学技術を活用して観測を行い、被害を極小化することも国の重要な役割です。発災時に速やかに情報を収集、共有し、的確な判断やオペレーションができる体制も整える必要があります。
 防災は様々な分野に横断的に関連する広がりを持った業務であります。防災担当大臣として、関係省庁と連携を図りつつ、防災対策を推進し、災害に強い国づくりのために職務に専念する覚悟であります。
 初めに、三宅島噴火災害について対策の状況を御報告いたします。
 三宅島噴火災害につきましては、島民の方々の避難生活が三年以上にわたっており、島民の方々に対しては、都営住宅の無償提供、被災者生活再建支援金の支給を始め、三宅島げんき農場等の雇用促進策など最大限の支援を実施するとともに、島内においては、道路等の基礎的インフラ整備や被害拡大防止のための泥流対策等を実施してまいりました。昨年三月には、脱硫装置を備え、三百人が滞在可能な住民用クリーンハウスが完成し、現在これを活用した滞在型一時帰宅事業も実施しております。
 しかしながら、帰島のための判断材料を得るために設置した三宅島火山ガスに関する検討会の最終報告における長期的影響の目安に基づくと、現時点では、島の西部を中心として火山ガス濃度がおおむね安全なレベルまで低下している地点があるものの、依然として濃度の高い地点もあり、直ちに帰島して通常の生活を送れるような状況には至っておりません。
 一方、本格的帰島に向けて安全確保対策や被災者支援策等、各種の対策を講じる必要があることから、昨年十月には、内閣府、東京都及び三宅村で三宅島帰島プログラム準備検討会を設置し、今月中に報告を取りまとめ、帰島に向けた準備を進める予定であります。関係省庁、東京都及び三宅村と連携し、引き続き三宅島噴火災害への対応を推進してまいります。
 次に、中央防災会議の審議状況について御報告いたします。
 中央防災会議においては、専門調査会を設置して、様々な課題について鋭意検討を進めております。
 まず、東海地震につきましては、専門調査会における議論を踏まえ、昨年五月に東海地震対策のマスタープランとなる東海地震対策大綱を決定いたしました。また、昨年七月に東海地震緊急対策方針を閣議決定し、人命に直接に関連する耐震化等を強力に推進することといたしております。さらに、昨年十二月には東海地震応急対策活動要領を決定し、発災後の各段階における広域的な応急対策活動を迅速かつ的確に実施できるよう準備を進めてまいります。
 今世紀前半にも発生する可能性が指摘されております東南海・南海地震につきましては、津波防災体制の確立が重要であり、また、極めて広域にわたる防災体制の確立が必要であります。このため、昨年十二月に東南海・南海地震対策のマスタープランとなる東南海・南海地震対策大綱を決定するとともに、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法に基づき、著しい被害が生じるおそれがあり防災対策を推進する必要のある地域として二十一都府県六百五十二市町村を指定いたしました。今後は、今年度中に推進基本計画を策定し、観測体制の強化や防災基盤施設等の整備を推進してまいります。
 関東大震災から八十年を経過し、人口のみならず、政治、経済の中枢機能が集中している首都の防災対策は、国全体として戦略的に対応する必要があります。このため、首都直下地震像の把握や経済的影響も含めた被害想定を行うとともに、首都機能の確保対策を始めとする首都地域の防災体制の総点検と体制確立について検討を行ってまいります。
 日本海溝・千島海溝周辺においては、過去にも宮城県沖地震や三陸地震などマグニチュード七から八クラスの地震が頻発し、被害が発生しております。このため、地震の特徴や揺れの強さ、津波の高さ等のこの地域の地震像を明らかにするとともに、防災対策を的確に進めるため、被害想定等の検討を行ってまいります。
 防災部門においても市場のスピード、民間の活力を導入していく必要があります。このため、企業等が連携して日常的に防災活動に参画する防災まちづくり、商品等の防災性能や企業の防災への取組が市場で評価される仕組みづくり、企業のリスクマネジメント等について検討し、民間と市場の力を生かした防災力向上のための施策を推進してまいります。
 我が国は幾多の災害に見舞われながらもこれを乗り越えてまいりました。災害対策を講じる上でこうした国民の経験と知恵を後世に継承していくことが必要です。このため、過去の歴史的な災害について、被災の状況、政府の対応、国民生活への影響などをまとめた報告書を順次作成し、今後の防災行政に生かしていく考えであります。
 次に、その他の防災対策について御報告いたします。
 基幹的防災拠点の整備につきましては、有明の丘地区、東扇島地区に整備する東京湾臨海部基幹的広域防災拠点の整備基本計画を本年一月に決定し、今後、平成十九年度の一部供用開始に向けて具体的な調整を行ってまいります。また、京阪神都市圏における基幹的な広域防災拠点については、昨年六月に基本構想を策定いたしました。さらに、名古屋圏においても中核的な広域防災拠点の必要性等に関する基礎的な検討調査を行っており、今年度末を目途に結論を得る予定であります。
 富士山の火山対策については、被害予測範囲や各種防災情報を盛り込んだ火山防災マップ作成の検討を進めており、今年度中を目途に取りまとめを行い、今後、これに基づき必要な各種防災対策を講じてまいります。
 実践的な防災訓練を実施することも重要であります。本年一月二十三日には、九月の総合防災訓練に加え、新たに決定した東海地震応急対策活動要領に基づき、大規模な図上訓練を関係省庁及び地元九都県市と合同で実施いたしました。訓練の成果は、今後の応急対策に反映させるとともに、今後とも実践的な訓練に取り組んでまいります。
 国際防災協力につきましては、昨年十二月の国連総会で、阪神・淡路大震災から十年となる平成十七年に兵庫県で国連防災世界会議を開催することが決定されました。会議では、阪神・淡路大震災の総括検証を行い、その教訓を世界と共有していくとともに、二十一世紀における世界的な防災戦略の策定に貢献していきたいと考えております。
 最後に、被災者生活再建支援制度の拡充についてであります。被災者の住宅再建支援につきましては、阪神・淡路大震災以来の検討課題であり、様々の論議が行われてまいりました。こうした中で、昨年、全国知事会において、都道府県が新たに資金を拠出して住宅再建支援制度を創設することが決議されました。これを受け、平成十六年度予算編成過程を通じて検討を行ってまいりましたが、財務大臣との折衝の結果、住宅再建等に係る費用について最大二百万円を支援する居住安定支援制度の創設が認められたところであり、今国会に所要の法律案を提出いたしております。
 以上、所管行政について申し述べましたが、今後とも災害対策に全力を尽くしてまいる所存でありますので、日笠委員長を始め理事、委員各位の格別の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。
#4
○委員長(日笠勝之君) 次に、平成十六年度防災関係予算に関し、概要の説明を聴取いたします。佐藤内閣府副大臣。
#5
○副大臣(佐藤剛男君) 防災担当の副大臣の佐藤剛男でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 我が国は、その自然的条件から、各種の災害が発生しやすく、これまでも大きな被害が発生してまいりました。
 昨年は、北海道、東北地方で発生しました地震、梅雨前線豪雨、台風などによる被害が相次ぎ、また、全島避難から三年半が過ぎました三宅島噴火災害につきましては、依然として帰島のめどが立たない状況にあります。さらに、この冬には、北海道東部を中心に豪雪による被害が出てまいりました。
 私も、十勝沖地震と北海道豪雪の被災地を視察いたしました。つぶさに被害の状況を調査してまいりました。災害によりお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして深く哀悼の意を表しますとともに、被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。
 副大臣としまして、井上大臣を補佐し、これらの災害対策に全力を尽くしてまいる所存でございます。日笠委員長始め理事、委員各位の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
 では、平成十六年度におきます防災関係予算案の概要につきまして、お手元に配付いたしてございます資料に沿って説明をさせていただきます。
 この資料、一ページが総括表になっております。二ページ以降が分野ごとの具体的な内容になっているわけであります。
 まず、一ページ目の総括表から御説明申し上げます。お開きいただきます。
 この表は、関係省庁の防災関係予算を内閣府において取りまとめたものでございます。
 科学技術の研究関係が約三百二十七億円、災害予防関係が約九千二百十九億円、国土保全関係が約一兆五千二百四十三億円、災害復旧等関係が約二千四百十六億円となってございます。これらを合計いたしますと、約二兆七千二百五億円となります。
 次に、主要なものを御説明申し上げます。
 二ページでございます。お開きいただきます。
 第一に、科学技術の研究に関する経費でございます。
 文部科学省においては、地震に関する調査研究の推進、経済産業省では、原子炉施設の耐震信頼性の実証、国土交通省では、測地的方法による地殻変動調査などに要する経費をそれぞれ計上いたしております。
 第二に、災害予防に関する経費、四ページお開きいただきたいと思います。
 内閣府におきましては、中央防災無線網の整備、総合防災情報システムの整備、消防庁では、緊急消防援助隊関係資機材の整備、消防施設設備の整備。
 次に、五ページをお開きいただきます。
 文部科学省では、公立学校の改築や耐震補強、厚生労働省では、災害拠点病院の整備。
 それから、六ページお開きいただきます。
 農林水産省では、漁港漁村の防災対策施設の整備、経済産業省では、原子力施設等の防災対策、国土交通省では、住宅市街地の防災性の向上の推進、安全、信頼性の高い道路網の整備。
 七ページお開きいただきます。
 気象庁では、気象観測施設の整備などに要する経費を計上をいたしております。その他、国連防災世界会議の開催にかかわる予算を関係省庁でそれぞれ計上いたしております。
 第三に、国土保全に関する経費についてでございます。
 八ページお開きいただきます。
 農林水産省においては、治山事業、農地防災事業、国土交通省では、河川事業、砂防事業などに要する経費をそれぞれ計上いたしております。
 最後に、災害復旧等に関する経費でございます。
 九ページお開きいただきます。
 内閣府におきましては、被災者生活再建支援金の支給、財務省では、地震再保険、農林水産省では、農林水産業の施設災害復旧事業、国土交通省では、河川等土木施設災害復旧事業などに要する経費をそれぞれ計上いたしております。
 以上の予算案に基づき、内閣府といたしましては、関係各省庁との連携の下、災害予防、応急対策、復旧復興の各段階にわたる総合的な災害対策を推進することによりまして、国民が安心して暮らすことのできる国づくりを進めてまいる所存でございます。何とぞよろしくお願いいたします。
 以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#6
○委員長(日笠勝之君) 以上で災害対策の基本施策について防災担当大臣の所信及び平成十六年度防災関係予算に関する概要説明の聴取は終わりました。
 この際、森元内閣府大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。森元内閣府大臣政務官。
#7
○大臣政務官(森元恒雄君) 内閣府大臣政務官の森元恒雄でございます。
 防災は、国民の生命、身体、財産を守る重要な任務であると考えております。大臣及び副大臣を補佐して、政務に精励をしてまいりたいと思います。よろしくお願いを申し上げます。
#8
○委員長(日笠勝之君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十時十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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