2004/03/19 第159回国会 参議院
参議院会議録情報 第159回国会 本会議 第9号
#1
第159回国会 本会議 第9号平成十六年三月十九日(金曜日)
午前十時一分開議
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#2
○議事日程 第九号平成十六年三月十九日
午前十時開議
第一 所得に対する租税に関する二重課税の回
避及び脱税の防止のための日本国政府とアメ
リカ合衆国政府との間の条約の締結について
承認を求めるの件(衆議院送付)
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○本日の会議に付した案件
一、義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整
備特別措置法の一部を改正する法律案(趣旨
説明)
以下 議事日程のとおり
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#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。この際、日程に追加して、
義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。河村文部科学大臣。〔国務大臣河村建夫君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(河村建夫君) 義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。義務教育は、憲法の要請により、すべての国民に対し、必要な基礎的資質を培うものであり、国と地方が適切に役割分担しつつ、円滑に実施することが重要であります。
一方、政府においては、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三」を閣議決定し、地方の権限と責任を大幅に拡大するとともに、国及び地方を通じた行政の効率化を図る観点から、国と地方の役割分担に応じた事務事業の在り方を見直し、国庫補助負担金の縮減に向けた検討を進めているところであります。
この法律案は、かかる政府の方針を受け、義務教育費国庫負担金について、義務教育に関する国の責任を適切に果たしつつ、義務教育に関する国と地方の役割分担及び費用負担の在り方の見直しを図る観点から、その負担対象経費を限定することとするものであります。
次に、この法律案の概要について御説明いたします。
この法律案は、退職手当及び児童手当に要する経費の性質にかんがみ、平成十六年度から、公立の義務教育諸学校の教職員等に係る退職手当及び児童手当に要する経費を国庫負担の対象外とするものであります。
なお、このことに伴う地方財源の手当てについては、所要の財源措置が講じられることとされております。
以上が法律案の趣旨であります。(拍手)
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#6
○議長(倉田寛之君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。中島章夫君。〔中島章夫君登壇、拍手〕
#7
○中島章夫君 民主党の中島章夫でございます。私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特別措置法の一部を改正する法律案について、文部科学大臣始め関係大臣に質問をいたします。
いわゆる三位一体改革の一環として、昨年度から集中的に議論が始められ、我が国の国の形の土台を成してきた、そしてまた、これからの我が国の発展の大本となるべき義務教育費国庫負担制度が削り込まれようとしています。教育関係者はもとより、子を持つ親や、今日では広く地方行政を担当する人々からも大きな不満と不安の声が上がっております。
我が国発展の歴史の上でも最も古くから始められて、戦後のあの奇跡的と言われた経済発展の原動力となり、現在の地方財政法上も最重要に位置付けられている義務教育費の国庫負担金が、何ゆえ真っ先に削り込まれるべき対象経費として選ばれなければならなかったのですか。まず、経済財政諮問会議の責任者としての竹中大臣に伺います。
平成七年から平成十三年まで存続して、国の機関委任事務の廃止を皮切りに、国と地方の関係について長年懸案であった事項の多くに成果を上げた地方分権推進委員会は、その委員構成を見ても、中間報告や答申の全貌を見ても、さすがバランスが取れ、地方分権という大きな課題の下でも、この国の形に責任を持った提言をしていただいたと思います。
一方、このたびの三位一体改革では、残された問題ともいうべき国と地方の財政負担の問題について、集中的に議論がなされるものと理解しますが、特に経済財政諮問会議では、そのメンバー構成から見ても、審議の状況から見ても、国家的、長期的な課題が、単なる当面の経済運営のファクターの一つとしてしか認識されていないように思えてなりません。三位一体改革の言うなればグランドデザイナーがいないのであります。竹中大臣の見解と展望を伺います。
小泉総理は、さきに、戦後六十年、大多数の国民の心の底に芽生えた平和に対する強い願いと、国連中心の国際社会の先頭に立って世界平和をリードしていくのだという誇りを無視して、今や世界の中で孤立を深めるブッシュ大統領に追随して、大義なきイラク戦争支援を決定しました。
今度は、度重なる政治、経済上の失政によって、世界の発展の中で取り残されようとしている我が国の、国民にとって最後に残されたプライドを陰で支えている、我が国が誇りとしてきた義務教育制度をも取り崩そうというのでしょうか。これは総理自身にお聞きをしたいのでありますが、文部科学大臣のお考えを聞かせていただきます。
もう一つ、総務大臣に伺っておきます。
さきに申し上げた地方分権推進委員会では、極めて当然のことでありますが、平成十二年八月の分権社会の創造の意見の中で、国庫補助負担金の整理合理化に関し、地方財政法十条などに言う負担金と同法十六条に示す補助金を明確に区分して作業を進めることを提案し、その方針を閣議決定したはずであります。ところが、今回の三位一体改革の中では、国庫補助負担金とまるで意図でもあるかのように常に一括して削減が検討されているのは何ゆえでありましょうか。
また、同じ地方分権推進委員会の第二次勧告及び平成十年五月に閣議決定された地方分権推進計画において、真に国が義務的に負担を負うべきと考えられる分野の例として、生活保護とともに国庫負担制度になじむものの代表格と示された義務教育が、真っ先に削減対象として挙げられるのは何ゆえなのかを、この国の将来の形を心配する多くの国民に向かって分かりやすく御説明願います。
さて、そこで、今回の法律案の問題点について、次の二つの方向から質問をいたします。
その一つは、今年度に引き続き、来年度再び義務教育費国庫負担金の重要構成部分を国庫負担から外そうという考え方が、最も重要な義務教育国庫負担制度とは何ぞやという教育に関する本質論議を欠いたまま進められてきていることについてであります。つまり、入口に当たるところの議論が欠けているがゆえに、教育関係者を中心に大きな不満と不安を呼んでいるところであります。
日本国憲法第二十六条に、「義務教育は、これを無償とする。」と定め、教育基本法第四条ではこれを受け、「国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。」と規定して、明治三十三年、一九〇〇年から続いた伝統を受け継いでいるのは周知のとおりです。世界の国々からは、我が国の義務教育はその平均的な水準の高さと実質的平等の実現が羨望の的となっております。それらは、いずれも義務教育費国庫負担制度が制度的に担保してきたからこそ可能となったものであります。これらの点に関して、文部科学大臣の御所見を伺います。
もう一つは、義務教育を実施している地方公共団体の財源の保障の問題であります。
そもそも、現在の義務教育国庫負担制度は、昭和十五年に制定された旧義務教育費国庫負担法によって教員の給料等の実際の支出額の二分の一を国が負担するという制度が取られ、戦後の一時期に地方財政平衡交付金制度に一時吸収されたものの、昭和二十八年から再び導入されたものが基本となっています。すなわち、財政的に脆弱な地方であっても、一定水準以上の義務教育の供給が可能であるように、国において財源的な保障措置を取ってきたわけです。私は、義務教育費の負担に関し、どのような財政的仕組みを導入しようとも、このような財源の保障こそが現在も将来も制度の最も重要な本質であるべきであると考えます。
このような観点から、昭和六十年度の旅費、教材費の一般財源化に始まり、平成元年度の恩給費、平成十五年度の共済費長期給付等、そして今回の退職手当、児童手当と立て続けに一般財源化されてきた経過を眺めると、そこには単に国と地方の財政的観点からの対症療法的調整という側面以外何も見えてこないのであります。教育の発展に命をささげる者から見れば、大変悲しい結果だというほかはありません。義務教育費国庫負担制度の根幹ともいうべき教職員の給料等については、一体どうしようというのでしょうか。いまだ全体像は雲の中です。「改革と展望」にはむやみな改革が見えるだけで、展望が全く見えないのです。財務大臣及び総務大臣、一体義務教育費全体をどのような財政的仕組みでどのような財源保障をしようとなさっているのですか。分かりやすく御説明願います。
私ども民主党は、さきの衆議院選挙に際して、我々が政権を取った場合に実現すべき政策として、いわゆるマニフェストをお示しいたしました。地方分権社会実現の過渡的な一里塚として、現在国の各省庁が、地方に対して国庫補助金という財政的手段を駆使して余りにも事細かに関与し過ぎているという事態を深く憂慮し、対地方補助金を大ぐくりにして行政分野別の一括交付金化すべく検討を重ねてまいりました。残念ながら、今のところ政権交代は秒読み段階だとはいえ実現に至っていませんので、私どものこの案もまだ日の目を見ておりませんが、地方の自主性強化という考え方はあらゆる局面を通じて実現していきたいと考えております。そして、地方の自主性強化という観点から見るならば、なるべく多くの財源を地方独自財源である地方税に移譲するのが望ましい方向であると考えております。
今回の政府案は、一見このような方向に合致しているとも見えますが、実は似て非なるものと断ぜざるを得ません。なぜなら、これによって地方の自主性は何ら強化されないからであります。御承知のとおり、義務教育費のうちの給与関係経費は本質的に労働に対する対価ですから、その水準の適否は別にして、必ずだれかが支払わなければならない性質のものであります。どうせ払わなければならないのだから、一般財源として地方に移譲してしまえ、そうすれば三位一体改革の数字上のつじつまも合う、失礼ながらそれぐらいの思想しか私には見えてまいりません。本来、最も優先して一般財源化等を進め、地方の自主的な判断に任せるべきなのは、道路、河川、港湾など、各種のハード的な大型公共投資関係の補助金なのではないですか。それを実現してこそ、初めて地方の自主性を強化し、この国の将来に有益な改革を成し遂げたと言えるのではないでしょうか。そのような方向性が全く見えないばかりか、むしろ逆サイドからアプローチをしていると言わざるを得ません。こういうのを古来、羊頭狗肉と言うのではないでしょうか。
私は、確たる全体的ビジョンの下に、確たる保障措置を伴って地方に税源移譲されるのであれば、今回の部分的措置に異を唱えるものではありません。その場合の保障措置は、地方にとって現在の国庫負担法と同等かそれ以上のものでなければならないと考えます。今回の政府案は、遺憾ながらこのような保障措置には触れていないし、何よりも全体像が不明なのです。その意味で、三位一体は出口の部分についても不明瞭のままなのです。
このことは、今回の附則第二条「検討」の項目が如実にそのことを示しています。今後、教員の給料等を含む金額に見合う税源移譲を検討しようというなら、過去において一般財源化された部分も対象として、この際、国税の相当部分を地方に移管し、地方教育目的税を導入してはいかがでしょう。その際移譲される税目は基幹的なものであるべきなのはもちろんですが、その種類によって税源の地域的偏在性がまちまちであるため、地方公共団体間の水平的な財源調整も必要になると考えます。現在の地方交付税による財源調整にこれ以上過度に頼るのは、不交付団体の問題も含めて、地方の健全な発展に資するとは考えられません。目的財源化して、トータルとしての財源保障を行い、水平財源調整システムによって個別の自治体の需要にマッチした再配分を行う、そういう制度を導入しない限り、地方の教育行政の現場はおろか、地方自治関係者全体の納得するところとはならないでありましょう。
最後に申し上げた教育財源の地方目的財源化と水平的財源調整の提言は、地方に選択の自由をという要請と財源偏在の排除という要請を最大限に生かし得るものであり、羊頭狗肉の政府案と比べて十分合理的なものだと確信しております。教育こそが将来の日本の礎を築くための最も重要な戦略手段だと考えている多くの者のこのような意見に対して、財務大臣及び総務大臣の御所見を伺って、私の質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣河村建夫君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(河村建夫君) 中島章夫議員にお答えいたします。第一点は、三位一体改革によって義務教育制度を取り崩そうとしているのではないかというお尋ねでございましたが、日本発展の原動力は人にあり、資源の乏しい我が国がこれまで発展を遂げてきたことは、ひとえに教育を重視してきたからだと、このように考えます。
とりわけ、義務教育はすべての国民の基礎的資質を培い、国家の礎を築く重要な役割を担うものであり、その実施に当たっては、国と地方が適切に役割分担を行いつつ、円滑に実施していくことが重要であります。
文部科学省といたしましては、このような観点に立って、国の責任において教育の機会均等と教育水準を確保しつつ、地方の自主性と責任を拡大するための改革を進め、義務教育の充実発展に努めてまいりたいと考えております。
もう一点、我が国の義務教育水準の高さと機会均等の実現は義務教育費国庫負担制度が担保してきたからではないかとのお尋ねであります。
義務教育費国庫負担制度は、義務教育に対する国の責任を制度的に担保するものであり、これにより、地方公共団体の財政力の格差にかかわらず、全国のすべての地域において優秀な教職員を必要数確保し、これまでの教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られてきたところであります。
文部科学省といたしましては、義務教育費国庫負担制度について、地方の自由度を高めるため、必要な見直しは行いつつも、国の責任において教育の機会均等とその水準を確保するという制度の根幹は引き続き堅持するという観点に立って適切に対応してまいりたいと、このように考えております。(拍手)
〔国務大臣竹中平蔵君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(竹中平蔵君) 中島議員から二問質問をいただきました。義務教育費国庫負担金の改革に関する方針についてのお尋ねでございます。
政府は、地方が決定すべきことは地方が自ら決定するという地方自治本来の姿を実現するため、三位一体の改革に取り組んでいるところでございます。国庫補助負担金につきましても、地方分権改革推進会議の提言も踏まえつつ広範な検討を行いまして、基本方針二〇〇三におきまして、十八年度までの改革工程をお示ししたところでございます。その中で、義務教育費国庫負担制度につきましても、地方の自由度を大幅に高める観点からの見直し、検討を行うこととした次第でございます。この基本方針二〇〇三に沿って、着実に改革に取り組むことが重要であるというふうに思っております。
次に、三位一体改革の進め方、とりわけ諮問会議の役割等についてのお尋ねがございました。
経済財政諮問会議は、総理のリーダーシップの下、我が国が目指す経済社会の姿とそれを実現するための構造改革に関する議論を行う場でございます。三位一体の改革も、同会議において、総務大臣、財務大臣始め、テーマに応じて関係大臣に御出席をいただき、また民間有識者の意見も反映させつつ議論を進めております。この重要な改革を進めるに当たり、総理から明確な御指示をいただいた上で改革を実現しているところであり、改革のデザイナーがいないとの御指摘は当たらないと考えております。
いずれにしても、引き続き、地方公共団体や関係機関の意見も十分に踏まえながら経済財政諮問会議を中心に議論を進め、三位一体で改革工程を加速、強化していく所存でございます。(拍手)
〔国務大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(麻生太郎君) 中島委員から三問ちょうだいをいたしております。最初に、三位一体改革を進める際の負担金と補助金の違い及び義務教育国庫負担金を検討対象とする理由についてのお尋ねがございました。
御存じのように、昨年六月閣議決定をいたしております基本方針二〇〇三におきまして、国庫補助金は原則として廃止、縮減を図る一方、国庫負担金につきましては国が真に義務的に負担すべき分野に限定することといたしております。義務教育国庫負担金につきましても、この基本方針の考え方に沿いまして、地方の自由度を高める観点から検討を進めてまいります。
次に、義務教育費の財源保障の方法についてのお尋ねがあっております。
義務教育国庫負担金につきましては、平成十八年度末までにその全額の一般財源化につきましては検討を行うことといたしております。義務教育費につきましては、基本的には国が全国的に確保すべき水準を設定をいたします。そして、それに必要となります財源を地方財政計画と地方交付税によって保障すべきものであると考えております。
最後になりますが、地方教育目的税と水平的財源調整制度を導入すべきではないかとの御提言をちょうだいしております。
教育財源のために目的税を作るという案は、基本的には地方の自由度は高まらないのではないか、また、地方のニーズに対応した効率的、効果的な財源配分にならぬのではないかということから、適当なものとは考えられないのではないかと存じます。また、水平的財源調整制度につきましては、財源を拠出をいたします地方団体の理解を得ることは難しいのではないかといった問題があると考えております。(拍手)
〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(谷垣禎一君) 中島議員にお答えいたします。まず、義務教育費の財政的仕組みに関する改革についてのお尋ねがございました。
義務教育については、地方の自由度を拡大して地域の創意工夫をより一層生かすことによって教育の質を向上していく、このことが喫緊の課題ではないかと考えております。義務教育に係る経費負担の在り方につきましても、こういう国、地方の適切な役割分担の観点を踏まえて見直しを進めることとしておりまして、基本方針二〇〇三や昨年末の政府・与党合意では、まず、中央教育審議会で義務教育制度の在り方の一環として検討を行っていただいて、これも踏まえつつ、平成十八年度末までに国庫負担金全額の一般財源化について所要の検討を行うということとされております。こういう基本方針に従いまして、地方の自由度拡大による義務教育の質の向上を図っていくため、引き続き国庫負担制度の改革を推進してまいりたいと考えております。
それから、教育財源の地方目的財源化と水平的財政調整の御提言がございました。
麻生総務大臣からも既に御答弁のあったところでございますが、税源移譲に際して目的財源化を行うことはかえって地方の自由度と裁量の余地の拡大の妨げになり、また、財源が特定の歳出と結び付くことによって財政の硬直化を招くおそれがあるのではないかと考えております。また、水平的な財源調整の問題については、まずは総務省に検討していただく必要がありますが、今後、地方における税収偏在の実態等を踏まえまして、いかなる改革が望ましいか、検討していきたいと考えております。(拍手)
#12
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。─────・─────
#13
○議長(倉田寛之君) 日程第一 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。まず、委員長の報告を求めます。外交防衛委員長山本一太君。
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〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
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〔山本一太君登壇、拍手〕
#14
○山本一太君 ただいま議題となりました条約につきまして、外交防衛委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。この条約は、現行の日米租税条約に代わるものでありまして、OECD条約モデルを基本としつつも、日米両国の緊密な経済関係を反映して、積極的に投資交流の促進を図るために、投資所得に対する源泉地国における税率の上限を全体的に引き下げるとともに、一定の親子関係にある会社間の配当、一定の金融機関が受け取る利子及び使用料を免税とすること、また、条約の特典の濫用を防止するための措置を取ること等について定めております。
委員会におきましては、条約改定の背景と意義、改定の税収への影響、租税条約の今後の締結方針等について質疑が行われましたが、詳細は会議録によって御承知願います。
質疑を終え、討論に入りましたところ、日本共産党の吉岡委員より反対する旨の意見が述べられました。
次いで、採決の結果、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
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#15
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。本件の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕
#16
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。〔投票終了〕
#17
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。投票総数 二百一
賛成 百七十九
反対 二十二
よって、本件は承認することに決しました。(拍手)
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〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
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#18
○議長(倉田寛之君) 本日はこれにて散会いたします。午前十時三十二分散会