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2004/06/16 第159回国会 参議院 参議院会議録情報 第159回国会 本会議 第31号
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2004/06/16 第159回国会 参議院

参議院会議録情報 第159回国会 本会議 第31号

#1
第159回国会 本会議 第31号
平成十六年六月十六日(水曜日)
   午前十一時三十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三十一号
  平成十六年六月十六日
   午前十一時三十分開議
 第一 国家公務員共済組合法等の一部を改正す
  る法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 ILOパートタイム労働条約(第百七十
  五号)の批准に関する請願(四十六件)
 第三 女子差別撤廃条約選択議定書の批准に関
  する請願(四十五件)
 第四 義務教育諸学校の学校事務職員・栄養職
  員に対する義務教育費国庫負担制度の維持に
  関する請願(二件)
 第五 私立学校の保護者負担を軽減するととも
  に教育条件改善のための私学助成を充実する
  ことに関する請願
 第六 豊かな私学教育の実現を求める私学助成
  に関する請願(十二件)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、国際問題に関する調査の報告
 一、国民生活・経済に関する調査の報告
 一、共生社会に関する調査の報告
 一、ユニバーサル社会の形成促進に関する決議
  案(勝木健司君外八名発議)(委員会審査省
  略要求事件)
 一、日程第二より第六までの請願及び法務局、
  更生保護官署、入国管理官署、少年院施設の
  増員に関する請願外二百七十二件の請願
 一、委員会の審査及び調査を閉会中も継続する
  の件
     ─────・─────
#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政金融委員長円より子君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔円より子君登壇、拍手〕
#4
○円より子君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、少子高齢化の一層の進展等に対応した持続可能な制度を構築し、国家公務員共済組合制度に対する信頼を確保するとの観点から、年金額の水準を自動的に調整する制度を導入するとともに、多様な生き方及び働き方に対応し、組合員がその能力を発揮できる社会の実現に資する所要の改正を行い、併せて地方公務員共済組合制度との長期給付の財政単位の一元化に係る措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、年金積立金の運用の在り方、国共済年金における職域加算の性格等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録に譲ります。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党を代表して井上哲士委員より本法律案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終了し、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#6
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#7
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十一  
  賛成            百三十二  
  反対             八十九  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#8
○議長(倉田寛之君) この際、国際問題に関する調査会長から、国際問題に関する調査の報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。国際問題に関する調査会長関谷勝嗣君。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔関谷勝嗣君登壇、拍手〕
#10
○関谷勝嗣君 国際問題に関する調査会における調査の経過と結果について御報告を申し上げます。
 本調査会は、国際問題に関し長期的かつ総合的な調査を行うため、平成十三年八月七日に設置され、三年間にわたるテーマを「新しい共存の時代における日本の役割」と決定し、以来、「イスラム世界と日本の対応」及び「東アジア経済の現状と展望」について、三十四名に及ぶ有識者を参考人として招いての意見聴取と質疑を中心に、政府からの報告聴取と質疑、中東諸国への派遣調査、イラン大使等、在京イスラム諸国大使との懇談、委員間の意見交換などを行い、鋭意調査を進めてまいりました。
 このたび、三年間にわたる調査の最終報告を取りまとめ、去る二日、これを議長に提出をいたしました。
 その主な内容は、「新しい共存の時代における日本の役割」のテーマの下で進めてまいりました「イスラム世界と日本の対応」及び「東アジア経済の現状と展望」についての調査結果を、それぞれ「主要論議」及び「提言」の形にまとめたものであります。
 まず、「イスラム世界と日本の対応」につきましては、中東諸国を中心とするイスラム世界の変動は日本の国としての在り方にも大きな影響を及ぼすとの認識を踏まえ、文明間対話の継続、イスラム世界との相互理解の促進、中東和平問題の解決、湾岸の安全保障のための枠組み作り、イスラム地域社会の復興・開発への貢献、資源エネルギーの安定供給の確保などの観点から調査を行いました。
 そこでの論議は、イスラム世界との対話と相互理解、イスラム諸国における対日理解の促進、中東イスラム研究、日本のイスラム外交、中東和平への貢献、資源エネルギー外交、イラク復興と自衛隊派遣、アフガニスタン支援など多岐にわたりました。
 以上のような議論を踏まえ、「イスラム世界と日本の対応」について十三項目の「提言」をまとめました。
 その主な内容は、我が国は、イスラム世界との対話と相互理解を促進するため、寛容の精神を持ちつつ、文化交流、草の根交流など、様々な分野・レベルで更に文明間対話を推進すべきこと、我が国は、イスラム諸国との対話の積み重ねを基に、引き続き、欧米とイスラム社会との懸け橋としての役割を果たすなど、独自のイスラム外交を展開すべきこと、文明間対話を推進するためのインフラの一つとして、イスラム文明を継続的に研究する機関を設置すべきこと、中東地域の平和と安定の確保にとってイスラエル・パレスチナ両当事者間の信頼醸成が不可欠であり、我が国は、あらゆる機会をとらえて信頼醸成のための方策、措置を実施すべきこと、湾岸の平和と安定を確保するため、湾岸地域にASEAN地域フォーラムに類する緩やかな協力的安全保障構造を構築する可能性を検討すべきこと、エネルギー安全保障の確保の観点から、カスピ海沿岸諸国等中東地域以外へのアプローチを強化し、石油供給源の多角化を図るべきことなどであります。
 次に、「東アジア経済の現状と展望」につきましては、我が国は、FTA推進に向けた体制を構築していくと同時に、経済的な相互依存の流れを東アジア共同体の形成へとつなげていくべきであるとの認識を踏まえ、日本の経済外交におけるFTAの位置付け、農業改革等の国内的課題、台頭する中国経済への対応、域内金融協力における貢献の在り方などの観点から調査を行いました。
 そこでの論議は、日本が目指すべきFTAの姿、FTA促進のための国内的課題、将来の日本農業の在り方と政治のリーダーシップ、外国人労働者受入れについての国民的議論の必要性、FTA交渉体制、日中間の経済関係、東アジアにおける域内金融協力、東アジア地域におけるITと日本の貢献など、幅広いものでありました。
 以上のような議論を踏まえ、「東アジア経済の現状と展望」について十一項目の「提言」をまとめました。
 その主な内容は、我が国は、WTOとの整合性を確保しつつ、質の高いFTAを東アジア各国と締結すべきこと、我が国は、日本・ASEAN東京宣言に盛り込まれた東アジア共同体の実現を目指し、各国との連携を拡大・強化すべきこと、FTA交渉における取組体制を一層強化するため、強力なリーダーシップを発揮する一つの実行機関、例えば、内閣総理大臣直属の日本通商代表部の設置を検討すべきこと、我が国は、チェンマイ・イニシアチブの拡充、アジア債券市場の育成など、協力枠組みの強化や安定的な金融システムの構築に積極的に貢献すべきこと、政府は、農業の多面的機能、食料安全保障の観点を考慮しつつ、農業分野の競争力強化を図るべきであり、規模拡大によるコスト削減や担い手の多様化、農産物の高付加価値化を図るとともに、所得補償政策の導入についても検討すべきこと、看護・介護分野にとどまらず、外国人労働者の受入れについては、今後の我が国の在り方とも関連させ、国民的議論を深化させていくべきことなどであります。
 以上が最終報告の主な内容であります。
 グローバル化が進む国際社会にあって、新しい共存の時代に向けた我が国の果たすべき役割は今後ますます高まってくるものと存じます。
 政府並びに関係各方面におかれましては、本報告に示した「提言」を十分御検討の上、今後の施策に反映されますよう要望するものであります。
 ここに、三年間にわたる調査を終えるに当たり、活発な議論に御参加いただきました委員各位、調査会に出席され、貴重な御意見をいただきました有識者の方々など、関係の皆様方に心からの感謝を申し上げまして、私の報告を終わります。(拍手)
     ─────・─────
#11
○議長(倉田寛之君) この際、国民生活・経済に関する調査会長から、国民生活・経済に関する調査の報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。国民生活・経済に関する調査会長勝木健司君。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔勝木健司君登壇、拍手〕
#13
○勝木健司君 国民生活・経済に関する調査会の最終報告につきまして、御報告を申し上げます。
 本調査会は、平成十三年八月に設置されまして、今期の調査項目を「真に豊かな社会の構築」とし、調査を開始いたしました。
 一年目は、「グローバル化が進む中での日本経済の活性化」及び「社会経済情勢の変化に対応した雇用と社会保障制度の在り方」をサブテーマといたしまして、二年目は、「国民意識の変化に応じた新たなライフスタイル」をサブテーマとして調査を行ってまいりました。そして、最終年である三年目は、一年目、二年目の調査を踏まえ、障害者、健常者、高齢者等の別なく、すべての人が暮らしやすい社会、その能力を発揮できる社会が「真に豊かな社会の構築」のためにとりわけ重要であるとの観点から、「ユニバーサル社会の形成促進」をサブテーマとし鋭意調査を行いました。
 このたび、各会派の意見の一致を得まして、最終報告がまとまり、一昨日、これを議長に提出をいたしました。
 我が国は、「豊かさ」を目指して欧米先進諸国を目標に努力を続け、経済的、物質的には世界有数の水準に達しました。しかし、その一方で、多くの人々は精神的なゆとりを失い、心の豊かさを実感できないでおります。これからの社会においては、国民一人一人がゆとりや生きがいを持ち、生きる喜び、真の豊かさを実感できる社会を構築していかなくてはなりません。こうした観点から、最終報告では四分野十一項目の提言を行いました。
 さらに、「ユニバーサル社会の形成促進に関する決議案」を当調査会委員の発議により提出した次第であります。
 以下、提言について御説明申し上げます。
 まず、都市と農山漁村との交流の促進についてであります。
 都市と農山漁村との交流は、互いに有機的な連携の中で共存していることを認識する契機になるとともに、ゆとりある生活、多様なライフスタイルを実現する方策として極めて重要であることを指摘し、省庁横断的な規制緩和による地域活動の活発化、農山漁村における体験学習や体験活動の拡充、農山漁村からの情報発信等につきまして提言をいたしました。
 次に、ボランティア活動の促進及び支援についてであります。
 ボランティア活動については、その理解が必ずしも定着しているとは言えず、また、時間、情報、心理的要因等の制約があるとも言われております。このため、積極的な啓発、参加のための仕組みの一層の整備について、その必要性を指摘いたしますとともに、若者がボランティア活動を体験するための機会の拡充、NPO法人制度の見直し等について提言を行いました。
 次に、多様なライフスタイルと働き方についてであります。
 仕事と家庭生活を両立できるようにするとともに、多様なライフスタイルを可能としていくことが、ゆとりや生きがいを実感しながら生活していく上で、また少子化対策にとりましても重要であり、パートタイム労働者の雇用環境の整備、長時間労働の是正等について提言をいたしたところであります。
 最後に、ユニバーサル社会の形成促進についてであります。
 ユニバーサル社会を形成していくためには、社会的弱者と言われる人々が自立した生活を営むことが可能となるような支援体制等総合的な社会環境整備の推進が必要であることをまず指摘をいたしました。
 さらに、具体的な措置として、関係閣僚で構成されております推進会議の設置等推進体制の整備、郵便局ネットワークのような既にある仕組みの有効活用、地方公共団体に対する支援の拡充と地域の実情に対する配慮の必要性、また、障害者の社会参加促進の観点から、働きやすい環境の整備、交通機関の障害者割引制度の改善、社会参加を促進するためのコミュニケーション方法の開発等について提言を行ったところであります。
 政府及び関係者におかれましては、これらの提言の趣旨を理解されまして、その実現に努められるよう要請するものであります。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
     ─────・─────
#14
○議長(倉田寛之君) この際、共生社会に関する調査会長から、共生社会に関する調査の報告を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。共生社会に関する調査会長狩野安君。
    ─────────────
   〔調査報告書は本号(その二)に掲載〕
    ─────────────
   〔狩野安君登壇、拍手〕
#16
○狩野安君 共生社会に関する調査会における最終報告の概要につきまして、御報告申し上げます。
 本調査会は、平成十三年、第百五十二回国会において設置され、「共生社会の構築に向けて」を三年間の調査テーマとして定め、一年目は「児童虐待防止に関する件」を、二年目は「障害者の自立と社会参加に関する件」を調査事項として取り上げ、調査を行いました。
 調査の最終年となる三年目におきましては、二年目に取り上げた「障害者の自立と社会参加に関する件」について、「共生の感覚の育成」及び「地域生活支援」の観点から更に調査を行いました。また、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案を起草、提出いたしました。
 これらの活動を踏まえ、「障害者の自立と社会参加についての提言」を含めた報告書を取りまとめ、去る六月十一日、議長に提出いたしました。
 以下、その主な内容について御報告申し上げます。
 前期調査会において起草、提出し、平成十三年四月に成立いたしました配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律につきましては、今期調査会におきまして法施行後の状況について適宜フォローアップ調査を行ってまいりました。さらに、平成十五年二月に本調査会理事会の下に設置したプロジェクトチームにおける法改正に向けての調査検討を経て、本年三月二十五日、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。本法律案は、去る五月二十七日、成立に至っております。
 障害者の自立と社会参加につきましては、二回にわたる参考人からの意見聴取、政府からの説明聴取、調査会委員間の自由討議を行い、共生の感覚の育成、LD、ADHD、高機能自閉症への対応、地域生活支援、地方公共団体に対する財政的配慮を四本の柱とする提言を取りまとめました。
 以上が本調査会の調査の主な経過及び結果でありますが、三年間の調査を振り返ったとき、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の改正を実現できたことは言うまでもありませんが、今期の調査会で行った「児童虐待防止」や「障害者の自立と社会参加」に関する提言や決議についても、今国会で成立した児童虐待の防止等に関する法律や障害者基本法の改正案にそれぞれ生かされるなど、調査会に求められていた機能を十分果たすことができたのではないかと考えております。これからも、社会を構成しているすべての人が地域で共生し、その適性、能力に応じた社会参加が可能となる真の共生社会が実現するよう強く願うところであります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
     ─────・─────
#17
○議長(倉田寛之君) この際、お諮りいたします。
 勝木健司君外八名発議に係るユニバーサル社会の形成促進に関する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、本決議案を議題といたします。
 まず、発議者の趣旨説明を求めます。勝木健司君。
    ─────────────
   〔議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔勝木健司君登壇、拍手〕
#19
○勝木健司君 ただいま議題となりました自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び無所属の会の各派共同提案に係りますユニバーサル社会の形成促進に関する決議案につきまして、発議者を代表し、提案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    ユニバーサル社会の形成促進に関する決議案
  二十一世紀を迎えた今日、我が国は少子高齢社会の急速な進行を始め、経済社会のあらゆる面においてかつて経験したことのない深刻な変化に直面している。特に科学技術中心の経済社会の発展は、物質的な豊かさをもたらす一方、人々の精神活動やライフスタイルに大きな影響を及ぼすようになってきている。
  今後これらの変化や課題に対応していくには、障害者や高齢者が安心して生活できるよう施設や設備等のバリアフリー化を進めていくのみならず、更にその考え方を深めて社会の制度や仕組みにおいても、障害の有無、年齢等にかかわりなく、国民一人一人がそれぞれ対等な社会の構成員として、自立し相互にその人格を尊重しつつ支え合う社会、すべての人が安心して暮らすことができ、その持てる能力を最大限に発揮できる社会、すなわちユニバーサル社会の形成を目指していかなければならない。
  このような真に豊かな社会の基礎となるユニバーサル社会を実現していくためには、障害者、健常者、高齢者等の別なく、すべての人々が平等に参加し、だれに対しても開かれた社会を構築していくよう、我々の意識を変えていかなければならない。
  このような社会の形成を目指し、そのための総合的な社会環境の整備を進めることは、国会及び政府の重大な責務である。
  我々は、その責務を果たすために全力を尽くすことを決意する。
  政府は、本院の意思を体し、ユニバーサル社会の形成促進のため、その推進体制を確立するとともに、ユニバーサルデザインの考え方の啓発、障害者及び高齢者に対する支援体制の整備、ユニバーサルデザイン化による製品や施設等の普及及び利用の促進等総合的な社会環境の整備について、必要な法制上及び財政上の措置を含め、その取組を一層強化推進すべきである。
  特に、地方公共団体や民間非営利団体(NPO)によるユニバーサル社会の形成を目指した地域づくりやまちづくりに対する支援の拡充、バリアフリー化の推進、障害者及び高齢者と子どもとの交流の促進、障害者の就労を通じた自立に向けた法定雇用率達成のための指導強化、小規模作業所への支援の拡充等働きやすい環境の整備、交通機関の障害者割引制度の改善、障害者の社会参加促進のためのコミュニケーション方法及び介護等の福祉機器の開発、通訳・介助者の養成、確保については、重点的に取り組むべきである。
  こうした取組が成果を上げることのできるよう、国民各位の理解と協力を併せて求めるものである。
  右決議する。
 以上であります。
 二十一世紀を迎え、我が国は大きな変革期に直面しております。また、国民の多くは、経済的な発展にもかかわらず、豊かさの実感をいまだ持てないでおり、豊かさを実感できるような新たな社会の在り方が模索をされております。
 障害の有無や年齢等にかかわりなく、すべての人が安心して暮らせ、その能力を発揮できる社会、すなわちユニバーサル社会は、「真に豊かな社会」の礎となるものであり、そのための社会環境の整備について体系的、総合的な取組が求められております。
 国民生活・経済に関する調査会は三年間にわたり「真に豊かな社会の構築」をテーマに鋭意調査を進めてまいりましたが、このたび、国民に向けて、ユニバーサル社会の形成促進について本院の意思を明らかにするとともに、政府に対し、ユニバーサル社会の形成促進のための取組について、その一層の強化推進を求めるべきであるとの結論に達し、各会派の合意の下に本決議案を提出をするに至りました。
 以上が本決議案を提案する趣旨でございます。
 何とぞ、皆様の御賛同を賜りますよう、心よりお願いを申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(倉田寛之君) これより採決をいたします。
 本決議案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#21
○議長(倉田寛之君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#22
○議長(倉田寛之君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数          二百十七  
  賛成            二百十七  
  反対               〇  
 よって、本決議案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#23
○議長(倉田寛之君) ただいまの決議に対し、細田国務大臣から発言を求められました。細田国務大臣。
   〔国務大臣細田博之君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(細田博之君) 我が国において活力と魅力に満ちた国づくりを進めるためには、国民一人一人が社会の活動に参加、参画し、社会の担い手として役割と責任を果たすことができる社会を目指していくことが必要であります。
 政府といたしましては、こうした社会の実現に向け、バリアフリー化推進要綱、障害者基本計画、高齢社会対策大綱等に基づき幅広い分野にわたる施策を推進しておりますが、ただいまの御決議の趣旨を十分に尊重いたしまして、今後ともその充実に努めてまいります。(拍手)
     ─────・─────
#25
○議長(倉田寛之君) 外交防衛委員長及び文教科学委員長から報告書が提出されております日程第二ないし第六の請願並びに本日法務委員長外三委員長から報告書が提出されました法務局、更生保護官署、入国管理官署、少年院施設の増員に関する請願外二百七十二件の請願を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
    ─────────────

    ─────────────
   〔審査報告書は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#27
○議長(倉田寛之君) これらの請願は、各委員長の報告を省略して、各委員会決定のとおり採択することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、これらの請願は各委員会決定のとおり採択することに決しました。
     ─────・─────
#29
○議長(倉田寛之君) この際、委員会の審査及び調査を閉会中も継続するの件についてお諮りいたします。
    ─────────────

    ─────────────
#30
○議長(倉田寛之君) 本件は各委員長要求のとおり決することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○議長(倉田寛之君) 御異議ないと認めます。
 よって、本件は各委員長要求のとおり決しました。
     ─────・─────
#32
○議長(倉田寛之君) 今期国会の議事を終了するに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
 去る一月十九日に召集されました今常会は、会期終盤に各会派間で緊張が高まる局面もありましたが、本日、百五十日間にわたる会期を終了する運びとなりました。この間の議員各位の御尽力と御努力に心から感謝を申し上げます。
 今国会中、参議院改革の一環として、決算審査重視の立場から、決算の常会会期内の議了が定着して、次年度の予算編成に決算の審査結果を反映させる体制が整い、さらに、ODA経費の効率的運用に資するため、ODA専門調査団の海外派遣を今年度から実施する運びとなりました。
 また、平成十三年の通常選挙に対する一月十四日の最高裁判所判決を受けて、各会派代表者懇談会の下に参議院議員選挙の定数較差問題に関する協議会を設置し、真摯な議論が行われ、第二十一回通常選挙に向けて結論を得るよう各会派の申合せが行われました。
 さて、本年は本院議員の改選期に当たり、皆様の半数の方々は来る七月二十五日をもって任期を満了されるわけであります。とりわけ、今回の改選を機に勇退される皆様には、長年にわたる議員生活の御労苦を多とするものであります。
 本岡副議長におかれましては、三年間副議長をお務めになられ、また、二十四年の長きにわたる参議院議員としての任期を全うされ、今期限りで御勇退なされます。
 御勇退される皆様におかれましては、くれぐれも御自愛の上、今後とも我が国議会制民主主義の発展のため御支援を賜りますようお願い申し上げます。
 また、来るべき選挙に立候補されます皆様におかれましては、御健闘の上めでたく御当選を果たされ、この議場において再び相まみえることができますよう、心からお祈りを申し上げる次第でございます。
 昨今、各方面で我が国の二院制の在り方が論議されておりますが、皆様の変わらぬ御熱意と御尽力により、本院がより一層国民の期待にこたえられますよう心から念願をいたしまして、私のごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。
   〔拍手〕
 副議長本岡昭次君から発言を求められております。発言を許します。本岡昭次君。
   〔本岡昭次君登壇、拍手〕
#33
○本岡昭次君 副議長を退任するに当たりまして、お礼のごあいさつを申し上げます。
 先ほどは、議長から御丁寧なごあいさつを賜り、ありがとうございました。
 平成十三年八月、私にとって望外のことでありましたが、副議長に選任され、この三年間、井上、倉田両議長の下で何とかその大任を果たすことができました。これもひとえに、議長を始め議員各位の温かい御友情と御支援のたまものでございます。高いところからではございますが、心より感謝を申し上げます。
 副議長の三年間に、世界各国要人の表敬を参議院として議長とともに百三十五回受けました。国の数では三十九か国にも及びます。倉田議長と機会を見ては、世界に誇れる被爆国日本の平和主義の問題や、アジアの発展と平和を求めてアジア上院議長会議開催の問題など、参議院の二十一世紀における議会外交の重要性について熱っぽく語り合ったことが忘れられません。
 私事でございますが、私は今期をもって引退いたします。政権交代を可能にする民主主義を目指し、政界再編の戦国時代を生き抜いた四期二十四年間であったと思っています。その志道半ばでございますが、悔いはございません。
 また、消費税廃止法案、阪神・淡路大震災の被災者生活再建支援法案、三十人学級法案等、野党の立場から参議院より議員立法を提出し、参議院の存在と権威を高める政策活動として展開してまいったことも思い出深いことでございます。
 先輩、同僚議員の皆さんとは、時として民主主義の発展を願い立法府の権威と国民の信頼を高めていこうとする政党人として激突する場合がございました。この間、皆様方から賜りました幾多の御厚情を顧みるとき、感慨ひとしおでございます。ここに謹んでお礼を申し上げる次第でございます。
 今、国内外の情勢は誠に多難であり、参議院に対する国民の期待はますます高まっております。どうか皆様方におかれましては、御自愛の上、参議院の権威高揚と参議院改革により、二院制の下で議会政治発展のため更に御尽力くださいますようお願い申し上げまして、私のお礼のごあいさつとさせていただきます。
 ありがとうございました。
   〔拍手〕
#34
○議長(倉田寛之君) 斎藤十朗君から発言を求められております。発言を許します。斎藤十朗君。
   〔斎藤十朗君登壇、拍手〕
#35
○斎藤十朗君 甚だ僣越でございますが、このたび任期を満了する議員を代表し、一言ごあいさつを申し上げます。
 ただいまは倉田議長並びに本岡副議長から御丁重なるごあいさつをいただき、誠にありがとうございました。
 私どもは、今日まで、参議院議員として国政審議に参画し、その使命達成のため微力を尽くしてまいりました。この間、あるときは激しく対立し、あるときは協力、協調してまいりましたが、お互い立場を異にいたしましても、常に国家国民のため、そしてそのために参議院としてどうあるべきかということを原点にしてきたものと思います。また、そうした中には、会派間、議員間の信頼、友情というものが、衆議院には見られない参議院としての独特な連帯感というもので支えられていたように思います。
 私事で恐縮でありますが、私は、私のこれまでの人生のちょうど半分をこの参議院で過ごさせていただきました。このたび引退するに当たり、思い出は多く、万感胸に迫るを禁じ得ません。長年にわたり、先輩、同僚議員各位から賜りました御厚情と御支援に対しまして、ここに謹んで厚く御礼を申し上げます。
 現下、多端な情勢の折から、国会に対する国民の関心は高く、特に参議院に寄せる期待は大なるものがあります。これまで皆様とともに参議院改革を進めてまいりましたが、今こそ我が国二院制の下での参議院の在り方を根本から考え、変えていく好機なのではないでしょうか。
 現在、憲法調査会を始めとして憲法改正論議が本格する中で、衆参両院が機能を分担し、両院の果たすべき役割を憲法上明確にするなど、制度の基本に立ち返った議論を真剣に交わし、新しい参議院像を作り上げていくことが求められております。この機会を絶好のチャンスととらえていただきたいと思うのであります。そして、今後、参議院を担っていただく皆様にこのことを託したいと存じます。
 私どものうち、何人かはこのたびの改選を機に議席を離れますが、それぞれの立場において国民の一人として社会のために微力を尽くす所存でございます。
 また、選挙に臨まれる各位には、悔いなき戦いを進められ、そろって御当選を果たされ、引き続き在職される皆様や新しく迎える方々とともに、国民の信託に十全にこたえる参議院として、我が国発展のため御尽力くださいますよう願ってやみません。
 皆様から賜った御厚情に対し重ねて謝意を表しますとともに、皆様の御健勝と御活躍を衷心より祈念申し上げ、御礼の言葉とさせていただきます。
 ありがとうございました。
   〔拍手〕
#36
○議長(倉田寛之君) これにて休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
   〔休憩後開議に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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