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1947/10/15 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第13号
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1947/10/15 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 文教委員会 第13号

#1
第001回国会 文教委員会 第13号
昭和二十二年十月十五日(水曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 高津 正道君
   理事 花月 純誠君
      田淵 実夫君    永井勝次郎君
      松本 七郎君    伊藤 恭一君
      押川 定秋君    五坪 茂雄君
      中山 マサ君    坂田 道太君
      圓谷 光衞君    松原 一彦君
      織田 正信君    黒岩 重治君
 出席國務大臣
        文 部 大 臣 森戸 辰男君
 出席政府委員
        文部事務官   稻田 清助君
    ―――――――――――――
十月十四日
 小學校教員の恩給増額に關する請願外五件(志
 賀健次郎君紹介)(第八五一號)
 六・三制完全實施のため全額國庫負檐の請願(
 井谷正吉君外二名紹介)(第八五六號)
 福島經濟專門學校昇格の請願(原孝吉君紹介)
 (第八七五號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願外二件(志
 賀健次郎君紹介)(第八七八號)
 定時制高等學校設置の請願(豊澤豊雄君紹介)
 (第八八〇號)
 同(松原一彦君外二名紹介)(第八八一號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(今村忠助
 君紹介)(第八八二號)
 同(石川金次郎君紹介)(第八八三號)
 松江市に官立大學設置の請願外一件(木村小左
 衛門君外四名紹介)(第八八八號)
 宮城縣の新學制完全實施のため國庫金増額その
 他に關する請願(佐々木更三君外三名紹介)(
 第八九二號)
 實業教育大學設置の請願(豊澤豊雄君今紹介)
 (第九〇〇號)
 米澤工業專門學校昇格に關する請願(海野三朗
 君紹介)(第九〇六號)
 小學校教員の恩給増額に關する請願(海野三朗
 君紹介)(第九一五號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
十月十一日
 定時制高等學校設置に關する陳情書外百六十五
 件(長野縣上水内郡朝陽青年學校生徒自治會小
 林フミ子外千十五名)(第三九八號)
 福岡縣に第二學藝大學設置の陳情書(福岡縣議
 會議長稻員稔)(第四一九號)
 福岡縣に實業教育大學設置の陳情書(福岡縣議
 會議長稻員稔)(第四二〇號)
 新制中學校施設設備費國庫補助に關する陳情書(福岡縣議會議
 長稻員稔)(第四二一號)
 勞働者教育充實に關する陳情書(福岡縣議會議
 長稻員稔)(第四二二號)
を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 學校教科書に關する件
    ―――――――――――――
#2
○高津委員長代理 會議を開きます。
 本日は委員長の松本君がまだお見えでありませんから、私が代つて、學校科書に關する件を議題といたしまして、まず文部當局より明年度の教科書出版計畫について、概略説明を聽取することにいたします。そのあとで、委員諸君より御意見の發表なり、あるいは質疑を試みたいと思います。
#3
○稻田政府委員 ただいま委員長からのお話によりまして、明年度の教科書の準備の計畫につきまして、概略御説明を申し上げたいと存じております。本年度教科書が非常に遲れまして、使用に際して學校、兒童に御迷惑をかけました點につきましては、私ども非常に心を痛めておるのでありまして、明年度におきましては、どうかこういうことのないように考えまして、いろいろ今、苦心、努力いたしておる次第であります。
 大體教科書の内容について申しますと、本年度の新編纂が、大體、今終了しかかつておりまして、明年度におきましては、いろいろ用紙等の事情もございますので、なるべく本年と同じ物を中學校、小學校、高等學校を通じて使つていただきたいと考えております。しかしながら、今日までの編纂が非常に短期間に無理をいたしましたような關係で、かなり改善しなければならないと思われる點もあるのでございますが、多少の修正を各科目について加えることは、やむを得ないのじやないかと思つております。そういうわけで現在各科目の教科書につきまして、それぞれ修正すべき個所を目下檢討致しております。先般新聞にも發表いたしましたが、將來檢定教科書を自由に受けつけて、自由に各學校で選ばせる方法を考えるということを、企畫いたしておるのでありますが、これは全般の教科書制度改正が、次の時期を大よそ二十四年度に使用する教科書から後において影響があるようにということで進めておりますので、明年度におきましては、まだ檢定教科書自由公開というような點には至らないだろうと思つております。
 それでその根本になりますのは用紙でありますが、すでに第二・四半期につきましては、増加分の決定を見まして、第三・四半期については、關係各廳、關係方面との間で大よその話がまとまつておりまして、最近のうちに指示があろうと思います。第四・四半期の見當につきましては、まだ私どもまつたく立つていないのでありますが、極力今後獲得すべき分を充足いたしまして、本年度て増刷り分と明年度の學年當初に使用すべきものを、できるだけ早く印刷に著手いたしたいと考えまして、目下準備を進めておる次第でございます。
 これらの國定教科書を印刷發行せしめる會社といたしましては、從來小學校關係三社、中等學校以上五社ありまして、翻刻發行規程によりまして發行を許可いたしておつたのでありますが、本年度使用分をもつて、一應從來の期限が切れるのでありますが、ただいま申しましたように諸般の根本的改革を今日ただちにいたしますことは相當そこに混亂を生ずる、大よその見當を二十四年度使用分以降と立てて進あてまいりました今日でありますので、一應暫定的にこの翻刻發行の許可を一年間延長いたしたいと考えておるわけであります。そうして本年度の増刷りの分――いろいろ水害その他によつて、相當増刷りしなければならないと考えておりますが、その分と來年度使用すべき分と一貫して準備いたしたい。こう考えておるわけであります。
 前にもちよつと申し上げたのでありますが、終戰後の教科書の問題としては、大體の順序は、一番最初は教科書の使用禁止、削除というような處分を行う。次に昨年度その穴を埋める意味において、一應暫定本をつくつてまいつたのであります。本年度の仕事といたしましては、中學校、高等學校、あるいは小學校の全教科書にわたりまして、コース・オブ・スタデイー及び教科書の新編纂という時期になつておりまして、まだその仕事が續いておるわです。そうしておよそ教科書に必要な紙ありまの年間所要分というものを、ここに獲得いたしまして、そうした基礎ができましたら、その基礎の上に、次に來るべきものといたしまして、一方に檢定を開き、一方に國定制度を改正したいという考えのもとに、關係方面の指導を得まして、この春以來、教科書協議會というものを開いております。一應編集、檢定、發行、供給という諸問題について討議いたしたのでありますが、さらにこの問題を地方に基礎をおきます常設委員會によつて十分檢討するということになりまして、先般その準備に著手いたしたわけであります。すなわち各都道府縣から一名ずつの代表者を選んでいただき、それが單に府縣廳の方が指名するのでなくて、教員の代表、あるいはその他の代表というような方がお寄りになつて、その中から選び出していただく。その方に東京に集まつていただいて、その中から常設案委員の方を互選していただく。各地方地方の代表として出していただくのは、およそ全國を九地方くらいにわけますれば、各地方三名ずつ、全國二十七名くらい、それに今までの教科書協議會の方から推薦されます、中央におけるいろいろ各專門方面を代表する方、この候補二十名をしていただいて、その最初集まりました中央協議會において、それから十名選ぶ。つまり兩方合わせて三十六名くらいの委員構成になるかと思いますが、こうした委員會をもつて教科書制度に關する常設委員會として編集、發行、あるいは檢定その他諸問題について審議していただく。その委員會のもとに、あるいは檢定委員會とか、教科書發行改善に關しまする特別委員會とか、いろいろな問題を取扱う委員ができることと思います。こうした委員會の十分な御審議を經て、今後の制度改善のことを考えていきたいと思つております。それまでは私どもといたしましては、いろいろ改めたいことも考えておるのでありますが、一應この委員會の審議が濟みますまで、新しい根本的制度改善は見合わせておきたいと考えております。以上一應御説明申し上げます。
#4
○松原(一)委員 今の委員會の構成をはつきりもう一遍お願いいたします。
#5
○稻田政府委員 委員會の開催の準備といたしまして、すでに各都道府縣の……。
#6
○松原(一)委員 名稱は何と言いますか。
#7
○稻田政府委員 名稱ははつきりいたしませんが、教科書制度全般に關する審議委員會というようなことであります。
#8
○松原(一)委員 教科書審議委員會と言うてよろしいですか。
#9
○稻田政府委員 かりに申し上げれば、そういうことになろうと思います。
#10
○松原(一)委員 一縣一名ですか。
#11
○稻田政府委員 各府縣から一名くらい推薦していただきまして、その推薦していただく氏名がまとまり次第、中央において會議を開きたいと考えております。この會議がそのまま委員會になるのでありませんので、やはり委員會として運用する上においては、もう少し人數の少ない方が實效があがるというような見地で、その中から互選して、大よそ各地方から三名くらい出していただく。たとえば關東地方から三名、東海地方から三名、そういたしまして全國を九地方にわけますと二十七名という數が出ます。これが常設委員會を構成せられる方になるわけであります。これは地方だけに基礎を置いた委員でありますが、その他教科書問題は、教育内容という面も、もちろん大事でございます。同時にいろいろ經濟面、印刷とか配給とか資金とか運輸とかいろいろな面が必要だと考えております。そうした各專門方面を充足する意味において、中央から十名の委員を選んでこれに加えたい。これは文部大臣がその最初の協議會に候補を提出するのでありますが、その候補の選び方も役所だけで選ばず、せつかく今まで教科書協議會というものが、この全般の問題についていろいろ御審議になつておりますので、この委員會の方から二十名ばかり推薦していただいてその中からただいまの全國から集まられた最初の協議會において十名だけ選びとつていただく、こういうふうに考えておるわけであります。
#12
○松原(一)委員 二十人はどこからとるのですか。
#13
○稻田政府委員 中央で選びます。二十人は教科書協議會で適當にお考えになるわけであります。その意味としては、地方代表に對する各界代表という意味においてお考えをいただいてそうして文部大臣の御推薦をいただくわけであります。
#14
○田淵委員 この審議委員會のメンバーですが、これは主として教科書の内容の檢討に當るということになるのでありますか。
#15
○稻田政府委員 新しく構成されます常設委員は、教科書制度全般にわたつて檢討せられるものだと考えます。從つて編修というような内容方面ばかりでなく、あるいは檢定制度をどういうふうに運行するか、あるいは教科書の資材、印刷力、配給というような面についていかにすればいい教科書が今後早くできるかという全般の問題を檢討されることになります。從いまして個個の問題、ただいま御指摘の檢定の基準になります内容の檢討というような問題については、それぞれそれに附属するいろいろな委員會が構成されることになります。
#16
○田淵委員 委員會になるべく人數が少ない方が運營上いいのではないかというお説があつたと思うのですが、教科書の内容については、從來、とかく内容が一方に偏しやすいというきらいがあつたと思うのであります。從つて教科書の内容を審議する場合には、私はむしろ專門家なりあるいは實際教育者なり、そうした者が多數参加するという制度にとられるのがいいのではないか。このように考えるのでありますが、御見解を伺いたい。
#17
○稻田政府委員 ただいま申し上げましたのは、根本的委員會について申し上げたのでありまして、一面將來文部省が國定教科書の改編とか、編纂する場合に御協力を願う委員の構成、あるいは外部から出てまいりす檢定教科書を審査する委員の構成等につきましては、確かにお話のように、相當各方面の御協力を得る必要があると考えておりますので、いずれこうした構成は、新しい委員會で御審議願うと思いますけれども、私どももその方向において努力いたしたいと考えております。
#18
○高津委員長代理 私が質問しますが、編修、發行、檢定などの全般を審議する特別委員會ができるというのですが、その特別委員會は諮問機關なんですか、それとも決定機關で、それがやることになるのでしようか。
#19
○稻田政府委員 新しくできまする委員會は諮問機關の性質をもつものとして企畫いたしておるわけであります。そちらの側から意見を文部大臣にも出されますし、また問題を文部大臣から受取つていろいろ御審議になる、こういう性質のものでございまして、そのまま行政執行に關しまする決定をなす機關にはならないと思います。
#20
○高津委員長代理 御質疑ありませんか。
#21
○松原(一)委員 明年度に出されます國定教科書は、本年度においても、すでに二億三千萬册程度に要するものが一億三千萬くらいしか出ていない。非常に不足しておるのですが、低學年の算數その他今、不足しておるものを、來年の四月からはどの程度にまで充實せられるお見込みでしようか、その點をはつきり伺いたいと思います。
#22
○稻田政府委員 明年度におきましては、本年度に印刷してない部面について、多少種類を殖やしたいと考えております。たとえば社會科學につきましては、本年度は五年と六年分しか印刷しておりませんが、新しく下學年の社會科教科書をつくりたいと考えております。そのほか各方面において新しい方面の教科書をつくりますために本年印刷いたしましたものにつきましては、でき得る限り古本を再使用するように、學校の方にお願いしたいと考えております。ただいま御指摘のありました小學校の下學年の算數の教科書、これは本年は教師使用分しかつくらなかつたのであります。これはやはり關係方面の意見もありまして、おそらく來年も同様教師特のものとして、兒童には自由に、教科書によらない、一般兒童生活におけるものとか、いろいろな經驗を教材として、算數を教えるというような行き方を繼續することになるだろうと考えております。
#23
○高津委員長代理 私が質問しますが、政府の御説明によると、明年度の教科書の印刷、出版は、暫定的に今までの會社にやらせるというお説でありますが、その理由は前にお伺いいたしたところでは、地方には設備や能力が乏しいから、文部省としてはよい教科書を早く確實に學童の手に渡るようにする責任があるから、制度の切換えで萬一へまをやつては困るので、從來通りとりあえず一箇年やる、こういうような御説明でありましたが、私がいろいろ調査してみますと、地方の印刷能力は實に相當なものであつて、たとえば、名古屋、岐阜方面の中部地區では、われわれの機械をフルに動かせば、六十五日間で自分達の方面の全需要の二千四百四萬册は刷れる、こういうことを中部地區の方から私に申してきております。それから九州は機械が燒けておつて、半截以上が百臺ばかりあると言いますが、三分の一は燒けたし、殘り半數を向けるにしても不十分である。北海道は非常に、新しい教科書を何とかしてつくらしてもらいたいといつて、緊張して書類などをたくさん送つてきておりますが、北陸方面では、中越印刷などという實に大きな印刷會社があつて、輪轉機も二臺もつておるし私が今北陸というのは富士縣、石川縣、福井縣、それへ都合上新潟を加えて申すのですが、百六十臺もある。東北の仙臺、福島、山形、あの方面はあまり設備は整つていないようですが、中國の方面に行つて、たとえば、廣島方面を調べてみますと、こういうような六色刷、七色刷などというような雑誌も全國的に出ておるようで、印刷能力、設備においても、技術においても、何ら見劣りがするものではないということを私は知つておるのであります。この間、稻田局長に地方の人が陳情に参りまして、われわれにも教科書の手傳をさせてもらいたい、こういうお願いをしたときに、局長が、地方には設備や能力の點でというお話がある。實は私たちはその教科書を今までの會社から下請の形ではあるが、實際に製作して大量に東京へ送つておるのだ。こういう答辯をした。そういう話をした事實があります。それは地方に施設もない、能力もないというのじやない。現に三重縣でも、あるいは富山縣でも、今まで會社から下請で上前をはねられて、仕事を現實にやつておるのが明らかなんですから、私が今質問したいというのは、そういう中間でぴんをはねられてやつておるので、現實にやる力があることはもう明らかなんですから、それをなぜ能力がないというようい御判斷になるのか、能力があると認められたらトンネル會社を潜らずに、會社直接におろすようにされてはどうだろうか、その點に關する政府の御意見を聽きたいと思います。
#24
○稻田政府委員 先ほども申しましたように、將來翻刻發行の方法についても、十分新しい觀點について檢討いたすべきだと考えております。私どももその方向に向つていろいろ研究もし、各方面とも御相談してまいつたのでありますが、さきほど御説明申し上げたように、こうした問題は非常にいろいろ關係してくる點がありますし、印刷という面ばかりでなく、あるいは配給、あるいは新しく出る檢定教科書の分布というような問題もございますので、一般に檢定教科書を開きます二十四年度をめやすにして、それらの機關において十分各方面の知識を集めて、また地方の意見も聽いて新しく構成する委員會において檢討していただいて、その上で新しい機構に出發したい。決していつまでもこれを墨守するという考えはないのでありますが、從來の方法を續けようというような意味で、さしあたり明年度使用分は從來通り會社をしてやらせる、こういうふうにわれわれとしては考えておるわけであります。また來年度使用分をそれと一貫した一本のものといたしますことが、紙の使用、あるいは關係方面における印刷の許可をとるというような、いろいろ複雑した關係からいいまして、最もスムースにいくというような見地からさしあたり從來の方法を繼續したいと考えております。お話のように、各地方においても、これは私どもも決して印刷能力がないとは考えておりません。ただ新しく制度としてこれを翻刻發行會社とする場合においては、單に印刷ばかりでなく、いろいろ配給機構との結びつきなどがございます。いろいろそうした面において調査いたしますためには、時日も必要でございますし、また調査する公正な機關も必要である。從つてそういう公正な機關なり調査方法等は、やはり新しい委員會を基礎にして考うべきものであつて、私たちだけが勝手にあすこの會社を指名する、あるいはここの會社に頼むとか、新しい方法をいたしますことは、委員會開催を目前にいたしております今日としては差控えないと思います。しかしてまた委員會開催については先ほどのような手順で進んでおりますので、相當それが遲れてまいると思います。さしあたりここはほんとに一日も爭つて早く著手いたしまして、明年度に間に合わせたいというような氣持をもつておりますので、今申したような點で進んでおるわけであります。なお私どもといたしまして、地方の印刷状況についていろいろ調査はいたしております。印刷協同組合、あるいは關係省である商工省を通じて調査もし、また地方の方から、お話を伺つております。もちろん御指摘のように個々の印刷力としては相當もつておられる部面もあるが、全體の問題からいえば、大體地方においては平版半截機が非常に多くかかつております。從つて印刷のコスト、あるいは印刷の機構というような點について、なお私どもとしては十分調査いたさないと、地方のどのくらいの印刷力をここに用いるかというような點については、決定しがたい點もあるわけであります。むしろその地方の個々の印刷力という問題よりも、全體の制度という問題として委員會の決定を待つまで、われわれとして差控えたい、こういうような氣もちにあるわけであります。その點御了承願いたいと思います。
#25
○圓谷委員 地方で最も悩みの種になつておるのは、教科書の配給が圓滑に行かないために、兒童生徒にとつては、まず教科書は米のようなもので、教科書配給については、非常に渇望しておるのですが、この教科書が半分ほども配給できないという理由は、どこにあるかということをお聽きしたいのです。要するに紙の配給問題と印刷の能力、あるいは編纂において間に合わぬ、その他輸送とか何とかあるでしようが、大體この四つの點だと思うでのす。このうちこれが最も難關であつてそのためかくのごとく配給が遲れておるということをお伺いしたい。
 もう一つはすでに昨年の體驗もあるのでありましようが、明年新學年度においては、この教科書が昨年の轍を踏まないで、相當の配給、まず七割とか八割程度の配給は必ずできるという自身があるかどうかということを第二としてお伺いしたい。
 次は二十四年度より檢定制度をとるということをお話になつたのですが、檢定制度をとる教科書は、現在の國定教科書全部を檢定制度にする意味であるか。あるいはそのうちの國語とか、數字とかいうふうに選定していつて、その他の理科とか社會科とかいうようなものは、一應除くという意味であるか。その三つの點についてお伺いしたい。
#26
○稻田政府委員 ただいまの御質問の第一點でありますが、教科書遲延の主要原因、この點につきましては、私ども非常に申譯なく思い、また兒童、生徒に對してお氣の毒に考えております。一番大きな原因といたしましては、第一に編纂の問題でございます。大體昨年のちようど今ごろ過ぎ、もつと遲くなりましてから、六・三制というものをいよいよ議會に豫算として提出しようこういう根本方針がきまりました。またそれに從いまして各教科内容、學科課程というようなものが決定を見たわけであります。それに基いて小學校、中學校、高等學校、全學校にわたり、全課目にわたつて、教科書編纂の方針を立ててまいりました。しかも一應學習指導要領というものを、全教科についてつくり、それに併せて各教科の教科書をつくることになりました。こういうことで、四月に開始せられる新制度に對しまして、教科書編纂の出發をいたしましたのが非常に遲れたということ、しかも、從來は學制改革の場合におきましても、一學年々々々、たとえば、國民學校の場合においてはつくつてまいつたのを、小學校ばかりでなく、中學校、高等學校にわたり、全教科にわたつて、全部從來の教科書を一擲して新編纂をいたしたということ、しかもその方角がまつたく新しい方角であり、また一々飜譯いたしまして關係方面と折衝してまいつたという點からいたしまして、編纂が遲れたということが一つの原因になつておるのであります。なお教師用につきましては今日なお編纂を續け、いろいろ折衝をいたしておるような状態であります。

 それから、その次のこれと重なる問題でございますが、ただいまもお話のありました紙の問題でございます。大體學年度に使います教科書は、從來全學年度の紙をもつて使つてまいつたのでありますが、昨年度におきましては、いわゆる暫定教科書をつくりまして、昨年の第三・四半期の紙は昨年使つて、昨年でもう使用をやめました暫定教科書に使つたわけであります。昨年の第四・四半期において私ども用意いたしました紙は、第四・四半期に四百五十萬ポンドを使い、殘りの百五十萬ポンドと合わせて六百ポンドばかりでありまして、これは本年の教科書全量の約一二%しかなかつたわけであります。この一二%だけの紙をもつて學年開始に逢著したわけでありますが、それ以後に學年が開始されて、第一・四半期、第二・四半期、なおこれから獲得すべき第三・四半期としてあるわけであります。紙を獲得しながら教科書を印刷するというならば、よいのでありますが、原稿があつても紙がないか、あるいは紙があつても原稿がないという點、しかも關係方面において印刷許可の順位ができまして、その順位に從つてだんだん印刷していくということがあつたわけであります。この紙と編纂という二つのことが、教科書遲延の非常に大きな原因となつたわけであります。從いまして印刷力といたしましては、大體私どもの用意しておりました印刷力が、機械が遊び、勞働力が遊んでおつたという状況であります。
 それから次の問題で、來年はどうかというお話でありますが、印刷力といたしましては、ただいま私どもが考えておりますのは、從來の暫定的一年繼續するという方法をもつて今始めますれば、來年の四月に使うべき教科書の印刷、製本には、十分間に合うと考えております。ただ問題は今後の紙の獲得の問題であります。第三・四半期がもうやがてほんとうにきまつてまいると思いますが、第四・四半期については、まだ私ども見當がつきません。こういうふうに紙の割當が少なかつたり、あるいは實際紙の入手が遲れたりするようなことがあれば、この計畫には狂いを來します。あるいはまた小修正でありますけれども、いろいろこれから編纂上、手を加える點があります。大體四月に使います教科書は、今すぐ著手いたしますれば四月までに間に合うと考えております。大體これが十分に行き渡るかというお話でありますが、これは今私ども關係方面といろいろ協議しております。一應さつきもほかの御質問でお答えいたしましたが、本年の教科書はできるだけ再使用していただきたいと思います。從つて各教科書について古本使用のパーセンテージをきめまして、穴を充足する分だけを再發行しようという計畫でありまして、そういう計畫のもとにおいては、すべての人に行き渡るように計畫したいと思つております。
 それから檢定公開の問題でありますが、これは小學校、中學校、高等學校、すべての學校のすべての學科にわたつて、一律に檢定の自由公開をいたしたいと思つております。
#27
○圓谷委員 今の問題が決定しなければ、先ほど高津さんのおつしやつた、地方ブロックにおいて印刷するというのは、要するに編纂が國定である以上、地方の印刷力だけを動員しても、配給がスムースに行くということは豫想できないわけであります。そこで地方でやるという問題は、結局印刷と紙と輸送の關係において非常に有利なわけでありますから、將來地方において教科書の檢定制度を採用して、地方へ教科書の印刷その他を委員するということは、私は理想として賛成でありますが、この機構を一日も早く決定していただかなければ、地方における教科書の編纂その他がうまくいかないかと思うのであります。
#28
○稻田政府委員 お話の通り地方において印刷いたしますことは、非常に意味があるのでありますが、さしあたりの状況においては、來年度の教科書としては、まだそうした新しい方法を開くことは困難だと思つております。
#29
○高津委員長代理 私より質問しますが、今、稻田局長のご説明を聞いておると、地方で來年度の分を今委員ができないのは、關係方面の許可を得る都合でちよつと委員がめんどうだ。それから配給が圓滑に行かない。地方の印刷能力等の調査が早急には困難である。それから委員會が開催されることになるから、それを待つことにする方が穏當だ。どうも會社をどういう基準によつて指定するか。それも非常に困るからというような御事情のように承つたのでありますが、何となく易きについておつて、それらをてきぱきと片づけていけば、今年のうちにでも十分實力のある地方がたくさんあるのですから、それ以上できるように私には考えられます。少し急がれて、實際地方で印刷を今の獨占會社から引取けて大量に消化して、實質は三重縣でも、あるいは富山縣でも、大量に印刷しているのですから、それを表にあげて、直接にやつたことにする。たくさん役人もおられるのだし、關係方面の許可を得ることぐらいはできるだろうと思いますが、その點に關する局長の御意見はいかがでしようか。
#30
○稻田政府委員 この國定教科書の印刷の將來の問題につきましては、地方分權の面も、もちろん考えなければなりませんし、一面におきまして、また機會均等による自由競爭というような面も考えなければなるまいと思います。從いまして、そうしたやりたい方方が、そこに機會均等に登場してきて、しかもその結果いい教科書が安く早くできるというような教育上の利益が得られるような制度を、やはり制度として考えなければ、新しい方法としてはいけないのではないかと考えられます。文部省だけで、今お話のある甲、乙、丙というような方々に、新しい飜翻刻發行會社ということで指名いたすことは、今の状況といたしましては、私どもとしては差控えなければならないと思います。
#31
○高津委員長代理 さらにお尋ねしますが、實は教科書の出版を、今まで通りの會社にやらせておくということが一箇年續くということになれば、現在その會社はすでに地方分散ということを豫見して、先手を打つて、たとえば一番大きい會社である大日本印刷などは、京都だとか、九州だとか、そういう所へ自分の子會社をずつとつくるように手をまわしているのですから、今度自由競爭、機會均等だというようになつても、そういう子會社を動員して、やはり元の小學校における三つの會社、中等學校以上の五會社この八つの會社がまた元通りに獨占する形になつて現われるように思うので、私は一日も早く、できるだけ今から實績をつくる意味においてもだんだんその仕事に習熟させる意味においても、少しでも地方へ教科書を今年から移讓しておかれれば、すなわち二十三年度分の印刷を今から地方へ渡されれば、圓滑に行くのではなかろうか。また今のような文部省のやり方だと、今までの獨占が、形をかえてやはり續くようなことになつて、地方分散もできなければ、今まで日本の教科書は獨占會社が温室の中で自分だけでいい氣持でやつておるのだから、實に貧弱な教科書で、いいものにはならないと思うのですが、それに對する政府の見解を聽きたいと思います。
#32
○稻田政府委員 先ほど申しましたように、たしかに獨占を繼續させるということは、將來排除しなければならぬ、また地方の印刷力も大いに教科書の面に働いてもらわなければならぬというような點については、まつたくお言葉通り、私どもも考えているわけであります。ただそれに至ります順序、階程と申しますか、いろいろな點について、さしあたり明年度分についてそうした新しい方法をとることが、われわれとしては困難でもあり、また差控えるべきものであるというふうに考えているわけであります。
#33
○高津委員長代理 重ねてお伺いしますが、地方が少しでも二十三年度分からお手傳いをして、遲れることなく配給できるようにしたいという熱意にかられて、猛烈に運動を始めておるようでありますが、私たちに對しても何とかそういうふうにできないものかということを申しまいつておるのであります。從來のいわゆる獨占的に教科書を出版しておつた會社が、自分の關係ある方面へだけ下請を流しておつたものを、現在地方の要求に應じてもつと擴げて、東京から型紙を送つてそれぞれの地方でやらせるということが、あるいは始まるかもしれぬと思うのです。文部省は、從來通りに、契約を獨占會社とやつておられるのであるが、實質的には、われわれの希望するような、もう少し範圍を廣く、地方に下請を出すというようなことがあるかもしれぬと思えるのでありますが、これに對して、當局としてはどのようなお考えでしようか。
#34
○稻田政府委員 すでに地方の印刷會社においても、飜刻發行會社の下請を希望されて、發行會社にも話をされ、私どもに對しても、こういう話をしているが、飜刻發行會社にもひとつよく當局の方から話をするようにというような御要望も相當ございます。私どもといたしましても、地方の印刷力それぞれの能力に應じて教科書印刷に活用いたしますことは、非常に結構なことであります。飜刻發行會社が、教科書を迅速にまたよく印刷するという面において、十分地方の印刷會社に能力を得ることによつて、よりよい教科書の印刷ができるというような點について考えられた場合においては、從來以上、各方面において地方の印刷會社に下請を頼むということは、私どもとして考えております。
#35
○松原(一)委員 將來の文化を地方的に高めていく上から、印刷のもつ責任は非常に大きいのであります。從つて今復興しつつある産業の部面でも、地方における印刷の復興は、相當目ざましいものがあると思つております。二十四年度から切りかえるということは確定的でありますから、非常に結構ですが、一遍に切りかえるということよりも、今局長からお話があつたように、現在獨占しております八つの會社が二億數千萬册の印刷をやりつつありますものの、實情はすでに地方に幾パーセントかは分散しているのでありますから、この過渡期における取扱いといたしましては、なるべくこれを大量に各地方に印刷させてみるということが、二十四年度の印刷を高める上においても、固いひとつの資料となりはしないかと私は考えるのであります。よくわかりませんけれども、例年の例に徴すれば十月から印刷にかからなければ、三月末までの刷り上げはむつかしい。いや、十月からかかつても、四月にはいつて刷り上るものもあるということを聞いております。四月にはいつて刷り上がつたものを、それからまた東京から北海道に送り、あるいは九州に送つたのでは、輸送にも非常にひまがかかるのでありますからこの際紙の産地である北海道に、あるいは北信越に、あるいは中國にといつたふうに、その産地に近い所のものにこの割當を行つて、そこで印刷させて、そこから即座に配給するような手配をとれば、私は四月の配給に若干の餘裕が出はしないかという氣持ちがする。素人ですからよくわかりませんけれども、どうか明年の四月一日からの授業に差支えのないように、最大限度に教科書の配給を圓滑ならしめたい。その手段としては、單なる從來の獨占會社のみの獨占的な擔當から、今年はかりに一年延長しても、それをば地方の各工場に流してやらしてみるというふうにやることが、一番適當ではないかと思うのですが、その點に對する局長の御所見をお伺いいたします。
#36
○稻田政府委員 ただいま松原委員の御指摘の、地方の下請の問題につきまして、先ほど委員長にもお答え申し上げましたように、それぞれの地方の事情、また當該印刷所の印刷力というようなものを檢討いたしまして、それを起用いたしますことが、よりよく、またより早く印刷するというような部面につきましては、なるべく地方に下請をやらせることが結構なことであると思います。
#37
○伊藤(恭)委員 私はせんだつても申しましたように、やはり學童の主食物であるところの教科書を、早く配給するということは當然である。そういう意味からいつて、なるべく早く地方に分散することが必要であると申しました。これは當然であると私は思います。しかしながら、それ以後私はいろいろ文部省についても、なお今の教科書局長からの話を聞きましても、結局印刷能力というものが主體でなくて、編纂が遲れたことが根本であるというそのことについて、私はやはり本省についても詳細に調べてみました。これはやはり關係筋とのいろいろな關係がありますので、われわれとしてはここでは申し上ずかねますけれども、そういつた點からいうと、文部省教科書局としましても、非常に苦難の位置に立つておられるということを、私も痛切に感じたことがあります。そうしてまた、この編纂が遲れたことが最大の原因をなしておる以外に、用紙がわずかに一二%しかないというただいまの説明を聞きまして、結局印刷能力云々は第二段であるというふうなことを聞いて、これにつきましては、われわれとしても愼重に考えなければならぬと思います。もちろん、この印刷を地方に分散することは當然でありますけれども、やはりその整備をするために、審議委員會をつくつて、これによつて十分檢討の後にするというただいまの御説明でありましたが、われわれといたしましては、ほんとうに機會均等という意味から申しましたならば、地方にこれを分散するときには、やはり自由競爭によつて入札でもさせて、最も價格の安くて優秀なものをとるというふうにしたいと思う。やはり二億三千萬册というような大部でありますから、かりに一册について一錢、十錢高くても父兄の負檐、學徒の負檐というものは重大なものであります。そういう意味からいいますと、われわれといたしましては、地方に分散するときには、自由競爭によつて入札させて、そうして獨占的なことはやらせない。こういうような意味からいいましても、教員組合あたりでも、やはり父兄の負檐などを考えたりいろいろなことを考え、印刷の鮮明云々ということを考えたりする等、十分に檢討してもらいたいということを、地方からもいろいろ申しております。そういうことを考えますときに、われわれといたしましては、今、局長のお話になりましたようなぐあいに、最もこれを適切妥當に委員するには、いかなる方法手段をとるかということを愼重に檢討し、審議してもらつてこれをやるのが當然である。こういう意味からいいまして、將來は國定教科書、檢定教科書のことは當然でありまして、その時期が問題でありますが、一日も早くいたしてもらいたいということを考えますとともに、今申されたような審議會においても十分檢討してもらつて、そうしてこれを國民がだれも彼もうなずけるような方法のもとに委員してもらうということが適當である。でありますから、その時期の問題について、私はかれこれ申しません、最も早くという條件のもとに、そういうことを主張するのであります。
#38
○坂田委員 教科書が適當な時期に兒童の手にはいらないということは、非常に遺憾なことだと思うのであります。その一番の原因が、あるいは編纂の問題、あるいは紙の問題、いろいろ先ほどから拜聽しておるのでありますが、その中でまた印刷能力の問題、これは局長さんがお話になつたように、ある一定の印刷業者が獨占しておるという點にあると思います。一概に印刷と申しますが、その印刷というものを、もう少し技術的にこれを考えてみますならば、まず編纂して、そうしてこれを製版する。しかしてこれを校了して、それから印刷にまわすのであります。おそらく製版設備というものをもつた會社が獨占しておる。凸版とか、あるいは共同印刷とかいうようなものでありまして、日本書籍會社であるとか、東京書籍であるとかいうようなものは、その型紙をもらつて、下請をさせてそれをやるにすぎないのである。その單なる印刷だけならば、地方においても、かなりの能力があるのではないかと私は考えるのであります。そこで將來におきましては、この製版設備をも地方分讓ということが必要でありますけれども、さしあたりこれができないとするならば、この製版からでき上つた紙型を地方に分讓するということが、今年度においてできないかどうかということを、ひとつお聽きいたしたいのであります。
#39
○稻田政府委員 先ほど申しました下請というような點につきましては、お話のような方法が、とり得るだろうと思います。それから直接地方の印刷會社を、今後加工會社にするしかしないかということにつきましては、先ほど申しました順序、手續の問題だと思うのであります。
#40
○黒岩委員 文部省がお考えになつております教科書審議委員會假稱でありますが、この性格は、諮問機關であるということは、はつきりいたしましたが、なおこの點について制度として永續さす意味をもつものか、臨時的なものであるかという點。さらに各都道府縣から送出されてまいります委員をもつて構成いたします委員會と、その委員がさらに互選してつくります常設委員會と、この兩委員會の取扱いの仕事の内容について、詳細にお聽きしたいと思います。
#41
○稻田政府委員 あるいは私さつき申しました言葉が足りなかつたかと思いますが、各府縣から一名ずつお集りいただいて、まず會合を開くのでございますが、これは別に委員會とか、これ自體が一つの諮問機關であるというわけでなくて、それは一つの會合であるわけであります。委員會設立の準備的會合もちろんせつかくお集りでありますからいろいろ教科書諸般の問題について、御意見を交換いたすことになると思いますけれども、主たる目的は、それを母體として新しい常設委員會をつくる。その委員會の方はお話の通り相當繼續して、いろいろ今後の情勢の變化にも應じて、教科書諸般の根本的な問題を審議していただくようになるだろうと思います。ただ最初各府縣一名ずつをお選びいただいて中央に集まられた委員の方々は、その後においては地方において常設委員會と時として中央にも御會同願つて、いろいろ委員會とともに御協力願つて、教科書という問題について將來ともいろいろ御相談することになるだろうと考えております。
#42
○黒岩委員 重ねてお伺いいたしますが、各都道府縣から選出される委員そのものは、今日の行政區畫から考えますと、その地域において最も適當な人物が選ばれて出ておるわけであります。これを常設委員を選ぶだけの用事に使うことは、あまりにその人に對する任務が輕過ぎると思います。從つて私はこの委員をもつての機關というものが、最も大事な機關になるのではないかと考えるのであります。なおまたその委員が各地區から集まつてきて、その中から常役の委員を選出するといいましても、だれを選んでいいかということは、ちよつと人物の能力なり手腕というものが評價ができなかろうと思います。そうしてみると、選び出されるということについての常設委員は、適任かどうかということについて、はなはだ不十分ではないか。たとえば關東地區であれば、關東地區の各行政區から選ばれた者が、便利がいいから東京の者を推していこうという制度になつた場合には、關東地區全體の代表としてのほんとうの仕事ができるかということに懸念を感ずる。そういう意味から、初めの御説明は、私が聽き損つておりましたけれども、最初に選び出された者をもつて構成するものをも、機關として責任をもたすようなはからいができないかどうか。これを希望するわけであります。
#43
○稻田政府委員 確かにお話のように、せつかくお選び願つた方々でありますので、將來各地區において個々の常設委員の方を中心として、いろいろ地區別會議を始終お開きいただくという方法をもつて、なるべく最初の會議にお集まりいただいた方々と、新しい常設委員會と關連をもたせるように、私どもとしては十分研究をいたしたいと考えております。
#44
○織田委員 ただいまお話を承つておりますと、教科書印刷の地方分散の問題でありまするが、文部省當局といたしましては、來年度はむずかしいだろう。文教委員の各委員の中には暫定的にもある程度やれるのではなかろうかという質問が多かつたのではないかと思います。つきましては、今まで文教委員會の集り方、また討論の内容を見ても、精彩を放たないという一つの大きな理由といたしまして、ただ意見を述べるだけで、その意見が文部行政の上にどの程度に實際上行われるかという點がはつきりしないでむしろ行われないで、意見のやり放しという點が多々あつたのではなかろうかと思います。そこでこの際この教科書印刷が、來年度から一部分でも地方分散できる可能性があると、この委員會で斷定すると考えるならば、それを強力に調査し、やつてみる必要があるのじやないか、この點を文部當局でなくして、委員長の方に質問いたしたいと思います。
 それから今一つの問題は、委員會の問題ですが、今まで教科書の編纂が遲れたり、またいろいろな學制改革の發表についても、現在勉強中の學生生徒にとつては、將來どういう形になるのかというのが非常に不安で、自分の將來の方向というものがなかなか定まらないという點からして、この際一刻も早く確固たる文教の方針を明示してやることが一つの義務じやないかと思います。ところが、常に政府の打つ手は後手後手とどろなわ式に遲れている。現在この委員會の問題も、來年度の四月からの問題を諮問するのであるならば、すでに今日委員會が構成されておらなければ、また實際的な運營の上において、支障を來すのではなかろうかとおそれるのであります。この點の委員會の計畫について、意見を承りたいと思います。
#45
○稻田政府委員 ただいまの政府委員に對してのご質問についてお答えいたします。大體先ほど申しましたように、終戰後の教科書改編の段階が、私どもの計畫の中にはあるのであります。一番先には、教科書に對して削除、墨を塗つたり、使用禁止をしたり、教科書を集めたりする段階でありました。その次に、その穴埋めとして、舊教育のわくの中において昨年暫定本をつくつたのであります。新教育方針に則り、學習指導要領及び各教科書を編纂發行する。その次に來るべき段階として、私どもといたしましては、當初よりこれを昭和二十四年度以降において教科書制度について根本的の改革をいたしたい。一面において檢定の問題があり、一面において國定教科書發行の問題がある、また一面において供給等の問題もある。そういうような計畫をもつて、年次的に考えてまいつたわけであります。その段階を狂わして、一つのことをやりながら次の段階に移りますと、非常に混亂を生ずるというようなことで、そういうような段階で考えております。從いまして、本年度の豫算等において、初めて教科書問題に關しまする委員會審議の費用をとりまして、その豫算によつて、本年五月から教科書協議會というものを開きまして、ずつと八月ごろまで毎週繼續して開いてまいつて、一應教科書制度の全貌について答申を得て、關係方面とも連絡の上、その一部を發表いたしたわけであります。しかして、その協議會の議によつて、今後はこうした方法をもつて地方に基礎をもつ常設的の委員會を置いて、そうして二十四年度使用分以降の教科書制度について根本的に討議研究しよう、こういうことになつたわけでありまして、これは當初からのそうした段階でございます。
#46
○高津委員長代理 織田君にお答えいたしますが、この委員會で意見を聽いておれば、教科書の地方分散については、委員の意見の大多數は、すぐにも分散は可能であるというように思われる。しかしながら、行政の面に立つて、文部省は、それとは別の方向に動いているようであるが、われわれ委員の發言の文部省に對する關係、拘束力といつては言葉が不穏當であるかしらぬが、何でここで言つても、それが無效になるのじやないか。一體この委員會の委員の意向と文部省の動きはどういう關係にあるのか、こういう御質問であつたと思いますが、新たにできた常任委員會のどこでも、そういう問題が大小あるように聽いておるのであります。この問題は松本君が今日缺席でありますから、なるべく短い文章にして要點を出されれば、松本君が確たる答辯をするだろうと思います。私は自分で答えないで、松本君にその答辯を譲りたいと思います。
#47
○織田委員 ただいまの委員會の問題は、二十四年度からの根本的な改編の委員會であるということを、ただいま承知したのでありますが、この前の答辯の中に来年度の教科書の内容の編修上に手を加えるのにも、委員會に諮らなければならないという御答辯があつたように聽いておるのであります。
#48
○稻田政府委員 そう申した覺えはないのであります。ただいま國定教科書の編修及びそれの修正については、それぞれの各協議會がございまして、そちらには相談いたしております。先ほど新しい常設委員會と、それについての關連は申した覺えは私はないのであります。
#49
○黒岩委員 私は文部大臣がせつかく御臨席でありますから、二つの緊急の質問をいたしたいと思います。
 一つは千八百圓ベースに關連して、三箇月分の、月二百圓の割合で計六百圓平均の給與を行うということになりまして、それに關係しますところの法案が審議をせられておるのでございます。この問題については、農村に勤務しております人數のきわめて多い學校職員の側から、大藏當局が定めました率が不當であるという點について、各地からこれが是正に關する希望が出ておるわけでございます。その點については、日本教職員組合の方から文部大臣のお耳へも意見を、もうすでに入れておると思いますが、これに關して大藏省で新しく段階をつけました超特地・特地・甲・乙・丙の五段階でありますが、しかもその段階によつて給與率の差を從來よりも非常に多くつけておるようであります。これについては、生計費の實態調査をいたしました結果であろうとは思いますが、文部省はほかの省とは違いまして、特に乙地、丙地の勤務者を多く關係をもたせておる所でございますので、文部省としては、これらの地區の生計費の實態調査をすでになさつておつたのか、そして大藏省のあのきめました率が妥當なものであるということを御認定になつておられたか。さらにまた今後において千八百圓ベースの支給が行われます時に、あの大藏省の率が妥當なものとして今後の給與にもあてはめることを適當と考えるが、この點をお伺いしたいと思います。
 第二點は公務員法が制定をせられることになりまして、すてにこれも國會内の常任委員會において審議中でありますが、この公務員法に關係して特別法としての教員身分法を早急におつくりになるお考えがあるかどうか。さらにまた現在教職員が公務員法について一番問題にいたしております百一條、すなわち公務員は政治に對して消極的な立場をとらなければならぬというあの規定であります。終戰後學校教職員は、特に政治的な目ざめが著しくございまして、政治教育を行う者が、まず政治の實際體驗をもたなければならぬという見地に立ちまして、相當積極性をこの方面について帶びてきておるわけであります。その場合にこれが公務員法の百一條のごとき規定を適用されることになると、この考え方と相反するところの結果を生むと思いますが、もし教員身分法を制定いたしますときに、この點についての御配慮なさる用意をもたれておるかどうか、これをお尋ねいたいと思います。
#50
○森戸國務大臣 御質問の第一の點は千六百圓から八百圓の差の二百圓、三箇月分六百圓のわけ方についての御質問であります。大藏省案のわけ方が地方差をつけ過ぎておる。殊に學校教職員は地方に大變多いので、こういうわけ方はたいへん不當ではないかということであります。まことにごもつともでありまして――もつとも全體の給與の一と六ということでわけられたのではなくして、二百圓の三箇月分六百圓がわけられたのでありますから、全體がそういう率になつたというわけではないのであります。これは御承知願いたいと思います。しかし、それにしてもあの差はあまり多いとも私どもこれは生計費調査を經ずともわかるのでありますが、このわけ方については、むしろ政府としては組合の方、特に官待の方の考えに從つてわけることがよいだろうというふうに考えて實はそれの意見を聽いたのでありますが、結局いろいろな事情から、自分の方では特別な意見は述べぬ。政府で一つやつてくれ、それについては異議は述べぬというような話合いがあつたようであります。それで大藏當局から聽きますと、政府は一定の案をつくつて、このつくつたのは、おそらく特殊地域の人々の生活状態が、物價騰貴等で非常に最近苦しくなつておる。それについての特別の考慮をしてほしいということであつたが、それは實際上できなかつたからこの六百圓をわけるときにそのことを加味して、少し強目にわけるという立場でわけたものと想像されるのであります。それをまた一應官廳の方々に示して、これでどうかということであつたけれども、結局それに對して異議はない、それを承認されたものと思つてこういうふうにきめたという話でありました。私といたしましては、一體教職員組合も官待の中にはいつているのですかと言つたら、もちろんはいつておるということでありましたから、組合が示されたものに異議がないというものを、たとえば各大臣等がそれに異議をさしはさむこと等はかえつてよくない、もちろんそれは組合が言われる通りにすることが一番よいのだと思つて、だれもそれに對して異議がなかつたのであります。ただ、地方については、ずいぶん困つておるので、これは少々不公平があるのじやないかというようなことは、みな心配して質問もあつたのであります。その後發表になりましてから、教員組合の方方が見えて、どうもあれははなはだ地方に對して不公平である、特に教職員組合のごとく地方に職をもつておる者については、最もその不公平を痛切に感ずるのであるから、これは何とかしてくれということでありました。しかし大體官待が、これをはつきり承認という形ではないが、しかしそれでよいということになつておるのではないですか、教員組合の方々も大體その中にはいつておるというふうに聞いておりましたが、という話をしたら、いや、どうもそういうことはないはずだ、初めからわれわれはこれに反對なのだという話でありました。それから今度は勞働閣僚懇談會におきまして、大藏當局の方では、官待が、それを積極的ではないが、消極的に承認されたということであるが、職員組合の方では、そういうことは了承したことはないという話だがどうかというふうに私は質問して、殊に教職員組合は、地方におられる人が多いのであつて、これについて非常に不滿であるということを申して、何とか別途の考え方はないものであろうかということも申したのであります。そこで別途の考え方が立ち得るかどうかという點と、大藏當局については、もう一度官待の人と會つて事情を確かめてもらいたい、兩方面の話が私のところに違つたことが傳えられておるがと、こういうようなことを申しまして、これは了承せられました。しかし給與を全體から離して、教職員だけ別途に計算するということは、實際文部省が金をつかんでわけるのじやなくて、殊に内務省を通して府縣にわけるので、なかなか別途の計算が實は困難であつて、大體共通の基準によるということにならざるを得ないような次第でありまして、實は教職員だけを別に考える途はないかということを申したのでありますが、それは實際の扱いがむずかしいからということで、それでは議會にいずれ囘付されるからそこで一つ十分取上げて、その點不合理と思われるならば審議をしていただくことが妥當であろうと私は考えたのであります。それから大藏省の給與局の方には、その話をいたしました後に會われたと思うのでありますが、會われた結論は、やはり大體前の通りで間違いがなかつたというような話を聞いております。それから衆議院の各委員會におけるいろいろな状況は、私よりも皆さんの方がよく御存じであろうと思います。なおそれらの御審議の結果、給與局はさらに官待の方々にもう一度集まつてもらつて、この點を十分御相談することになつておると私は承知しております。これが大體の經過であります。
 それでこの六と一という大きな差額は、地方殊に阪神地區等におられる人々の特別の生活の困難な事情に對する顧慮が今までとられなかつたのを、ここでやや累積的にとられたということが、こういう六と一という大きな差をとつたのでありまして、六と一という差が、將來給與にもちこまれるというようなことでは決してないことは明らかであります。この地方差については、いろいろ寒冷地帶の問題もありましようし、そういうことを全體適に考慮して合理的な解決がつけられると私は信じております。
 それから第二の公務員法の問題であります。公務員法はただいま審議中でありますが、教員はもちろん公務員としてその中に含まれておりますけれども、特殊の事情から全部これと他の公務員として同一に取扱われるということについては、いろいろな點で不適當であるということを、私ども公務員法制定の時から申しておりまして、そのことは取上げられまして、從つて、公務員法ができました上では、教員については特殊の身分に關する法律をつくつていきたい、こういうような考えをもつております。その名前が教員身分法となりますかどうかは別といたしまして、教員は、公務員としての特殊の地位が規程せられる法律を、公務員法ができた後に、ただちにつくられなければならぬと存じておるのであります。公務員の政治的活動についてのただいまの御質問は、もつともの點もありますし、同時に公務員の立つておりまする特殊の立場から、特殊の政治的な活動が公務員の團體の運動として現われることについては、いろいろ顧慮すべき點もありますので、そういう見地からこの規定ができておるのであります。教員につきましても、この問題はやはり問題となるのでありますが、お話の點についても、十分考慮すべきものでありますので、その點も考慮しながら、教員身分法といいますか、そういう法律の起草を進めていくはずになつておりまするし、そういうふうな特殊の段階については皆さんの御意見を承る機會もあろうと存じております。
#51
○黒岩委員 お答えによりまして、大要は納得できましたが、この官待の問題であります。これの性格竝びに何ゆえにあの率に非常な差のある地方から考えると不適當と思われるものを、そのまま官待がのんでいるかということの事情について、御了解になつている點がありましたら、重ねてお伺いいたしたいと思います。
#52
○森戸國務大臣 いろいろこれに組合でも地方におられる人と、東京におられる人については、考え方が違う點もあり得るし、また單に一組合としての意見の違うという點もあると存ずるのでありますが、そういうような點が、ある程度は反映しているということも考えられると存じます。
#53
○黒岩委員 教員組合の方からも、官待へは代表がたしか出ているわけであります。ところが、實情を聞きますと、この大藏省案なるものを、官待に出ております者は、十分内示を受けておりながら、政府の方から發表になるまで組合に歸つて報告もしなかつたというような状態でありまして、これにつきましては、組合内部に、相當その代表者についての非難があります。それからなお、これは組合側の一部の者の言う聲でありますが、二・一ストは、中央の者がリーダーとなつて全國のそのストを起させるような方法をとつた。今後勞働攻勢は、地方から盛り上がらせねばならぬ、その點に含みがあるというふうに言つている者もあるわけであります。これは眞實かどうかわかりませんけれども、非常に微妙な動きを見せておりますところの現段階におきましては、文部大臣がいま少し教組の動きというものについて、御關心をもたれたいと思います。
 それから次の公務員法に關連するところの政治活動のことでありますが、これも御答辯によりましてその點は納得ができたわけでありますが、なお私の意見を附け加えますと、政治に對するところの批判もできないということを事實になりはしないかということを憂えるものであります。すなわち、利益を受けてはならない、與えてはならないということになりますと、その解釋の仕方によりましたならば、いかなる政黨のことについても論ずることができない。これを酷評すれば、他の政黨に利益を與えるということになります。こうなりますと、教員が言論の自由というものを非常に束縛せられる結果になりまして、溌剌たる教育者としての活動が非常に阻害せられるということをおそれますがゆえに、今後特別な教員身分に適用いたします法律を立案をせられます場合には、そういう點を十分考慮にあずかりたいと、この點を希望いたしまして質問を打切ります。
#54
○森戸國務大臣 御質問の官待との問題でありますが、私は政府としても、組合の運動に直接關係したり、それに特殊の影響を及ぼすようなことが、この地方差をつけるということ、あるいはそれをかえるということであることは望ましくないと思つているのであります。なお、教員組合につきましては、民主的な形で運動が伸びていくような、まだ幹部の方が官待を通して話を受けたならば、早速それが地方に通じて、地方の意思が十分に傳達されるように、それから民主的な團體といたしますれば、官待との會合で、もしそれでいいという態度であつたならば、それを守つていくというような、いずれにしても、全體として民主的な運動に十分習熟していただくようにということを、私どもは心から念じている次第であります。なお教員身分法については、お話の點は十分考慮いたします。
#55
○中山委員 文部大臣にお尋ねなり、お願いがございますのでございます。それは、この敗戰後の今日の日本の道徳觀念がすたれました結果、中等學校の生徒においても、悪い遊びを覺えまして、嘆かわしいことには、性病がすでに中等學校の上層の生徒たちにまで蔓延しておる、それに對してはどういうふうなお考えむろんこのことをお聞及びでございましようが、どういうお考えをおもちになつておりますか、またどういう處置をとつていただいておりますか。私、大阪を出ますときに、三十一の婦人團體が私を激勵してくださいましたのでありますが、その時の願いの一つとして、ぜひこれを實現してもらいたいと言われてまいりましたが、それは性病の恐ろしい結果を映畫にとつて、中等學校の生徒なり女學生なり、あるいはまた普通の映畫館を通じて一般の人たちに見せて、警戒を與えるようにしてくれないかということを、懇々と頼まれてまいりましたのでございますが、文部省は推薦としてそういう映畫をとつていただきますことができないものでございましようか。私、今度議會がすみまして歸りますと、必ずこの問題を大阪の婦人團體は私に迫ることだと思つております。先ほどそちらからも委員會の意思がいろいろ官廳に反映するという點が問題になりましたが、私ずつと前にドクターウイリアムス氏のお話をユニバシテイ・クラブで伺いましたときにも、そのことを強くおつしやつておりました。議會の圖書館ができるということに關して、議會が、大藏大臣にいろいろ頼むというようなことを言うておるのを流布されておることを自分は聞いておりますが、これは大きな間違いである。議會というもの、國會というものが税金をとり立てて、そうして國を運營し政府を運營しておる以上は、議會人の意思というものが大藏大臣に言葉がきついかと思いますが、ぼんやりとして私の頭に響きましたのは、頼むのでなくして、命じていろいろなことをさせなければいかぬということをドクター・ウイリアムス氏が強調なさつていたことを私は記憶しているのでございます。從いまして、先ほどの私のお願い、これはお願いというよりも、むしろ私は強要したいと思うのでございますが、どうかほかにも御共鳴者がございましたならば、どうぞ私とお願いを共にして、大阪の婦人團體の意思を實現し、殊に母親としての切なる願いでございます。大阪の母の會が、非常に來るべき次代の日本人の健康をおそれておりますので、どうぞ私ども母としての願いを、ぜひ文部大臣にお聽き入れいただきいと思つております。
#56
○森戸國務大臣 まことにごもつともな御質問でありまして、私もまつたく同感であります。地方に参りまして、一番私特に聽くのは警察の署長さんで、一體このごろ犯罪はどうなつておるか、特徴はどうかといいますと、青年の犯罪が著しく殖えたということであります。それからその中に中學生が非常に多いということで、これはどこを歩いて聽いてみましても、そういうことである。これは私ども、殊に新しい日本としては殘念なことであると思つております。しかし同時に、それでは文部大臣はそれをどうするか、という質問をすぐにかけられるのでありますが、私これに答えて、戰後の最も大きな特徴は、學校と社會との連絡が密接になつたということで、これはよい側面もあるが、惡い側面もあるので、社會の惡い状況が、學校に、また學生に浸透してきやすい状況にある、こういう事態にあるのであります。だから、これは學校が惡いというよりは、むしろ社會の諸事情が惡くなつて、それが敏感な子供に最もよく反映したという事實であろうと思うのであります。だから根本の原因は、社會の状況が改まらなければ、學校だけが改まるというわけいはいかぬ。しかし學校もまたこれい對して責任は非常にあるのであつて、私どもは、この點については、學校においても大いに努めていただかなければならぬと思います。殊に私中學校等の先生方にも申すのでありますが、一面生活擁護の問題は、非常に大切なことであつて、私どもこれらに對する教員組合としての御努力に對しては敬意を拂うが、同時に子供をよく守つて育てていくという大事な任務も、これは先生としてはまことに大事な任務であるから、その點についても同様に力を注いでいただくことを、私ども文教の任にある者としては、特にお願いしたいということを申したのであります。この犯罪についてはいろいろな犯罪があるので、最も多いのはどろぼう、それから恐喝でありまして、その中の小數が今御質問になつているようなことで、これは特に子供としては遺憾な問題であります。しかし、これは私はまだまだ非常に例外的なものであると思いますので、こういう状態が擴まらないうちに、未然に防がれるように、またこの病氣にかかつた者については、これは一般に厚生省等でも十分取上げているのでありますけれども、殊に學生に對しては別に考慮が拂われるようにと私ども考えて、さような話もいたしているのであります。
 それから、そういう事情にあるから性病についての映畫等をつくつて、これを殊に青年の間に十分普及させて、性病の恐るべきことを教えていただきたいという御希望、あるいは強要は、まことに適切と存じているのであります。ただこれについては、例の科學的な見地に立つたというお産の映畫が、當時いろいろ問題を起こしておりまして、婦人團體ではむしろやめてくれという決議が多かつたようであります。十分注意をいたしまして、それをもつて逆な效果がないような形でするような注意が要ると存じております。そういう點も十分考慮しながら、學校、またこれは一般厚生省をも關連いたしていることでありますから、そういう方面と連絡をとりながら、できるだけ御希望あるいは御強要に副うようにいたしないと存じております。
#57
○松原(一)委員 教科書の問題は非常に急を要します。現に十月からやらなければ、四月に間に合わないといわれているのであります。特に高津委員長代理は、この問題について造詣の深い方でありますから、文部當局ともよく御協議のうえ、委員會の意向をも反映して、即刻明年の配給を萬誤らざる方法で、できる限り地方分散の實のあがる形をとるように御盡力を願いたい。これを私は希望いたしておきます。
 次に先般ここで教育恩給の問題を取上げて、これは非常な悲惨な事實があるということを申し上げているのでありますが、あれはあのままになつております。どうか至急恩給局長竝びに文部省のその方面の方の御出席をいただきまして、これを解決したいと思いますので、さようお取計らいを願います。
#58
○高津委員長代理 本日はこれにて散會いたします。次會は公報でお知らせいたします。
   午後零時二十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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