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2003/10/09 第157回国会 参議院 参議院会議録情報 第157回国会 厚生労働委員会 第2号
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2003/10/09 第157回国会 参議院

参議院会議録情報 第157回国会 厚生労働委員会 第2号

#1
第157回国会 厚生労働委員会 第2号
平成十五年十月九日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月八日
    辞任         補欠選任   
     今泉  昭君     櫻井  充君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         国井 正幸君
    理 事
                武見 敬三君
                森田 次夫君
                浅尾慶一郎君
                山本 孝史君
                遠山 清彦君
    委 員
                狩野  安君
                金田 勝年君
                佐々木知子君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                朝日 俊弘君
                櫻井  充君
                谷  博之君
                堀  利和君
                森 ゆうこ君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小池  晃君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  谷畑  孝君
       厚生労働副大臣  森  英介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣官房内閣審
       議官       堀内 文隆君
       外務省アジア大
       洋州局長     薮中三十二君
       厚生労働大臣官
       房審議官     大石  明君
       厚生労働省健康
       局長       田中 慶司君
       厚生労働省健康
       局国立病院部長  冨岡  悟君
       厚生労働省医薬
       食品局長     阿曽沼慎司君
       厚生労働省保険
       局長       辻  哲夫君
       厚生労働省年金
       局長       吉武 民樹君
       社会保険庁運営
       部長       薄井 康紀君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に
 関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(国井正幸君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、今泉昭君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(国井正幸君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長田中慶司君外八名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(国井正幸君) 次に、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

#6
○櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井でございます。
 この法律は、五年前にたしか百年ぶりの改正ということで、この国会でも議論されました。私、初当選で最初に質問したのが実はこの法律でございまして、そのときに、あの当時、宮下大臣で、そして伊藤さんが局長だったかと思いますけれども、国のかかわり方など幾つかの不備があって、こういう問題があるんじゃないでしょうかということを指摘させていただいたことがございます。そのときに伊藤局長から御答弁いただいたのは、この法律は五年後に一応見直すということにはなっていますが、実態に合わない場合には五年を待たずに改正しますという御答弁をいただいておりました。
 今回のこの改正というのは、その五年の見直しのためなのか、それとも、先日のSARSの問題のときにこの法律上の様々な問題が露呈したかと思いますけれども、それを受けての改正なのか、まずこの点について大臣から御答弁いただけますでしょうか。
#7
○国務大臣(坂口力君) おはようございます。
 櫻井議員には、しばらく文部科学委員会の方に行っておみえになりまして寂しかったわけでございますが、お帰りをいただきまして大変うれしく思いますというふうに申し上げた方のがいいのか、厳しくなりますと申し上げた方のがいいのか、半々でございますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ただいまの御質問でございますが、これは、昨年来と申しますか、今年初頭におきますSARSの問題いろいろございまして、とりわけ、台湾の医師が日本に旅行し、そして帰ってからSARSであるということが分かったという一件がございました。各都道府県にまたがりまして、五府県でございますか、そこに旅行いたしましたために、それぞれの都道府県にいろいろお願いをしてお集まりをいただいていろいろお話をいたしましたが、都道府県によりましていろいろ御意見の違いというものもあった。そこで少しいろいろのことを決定するのが手間取ったというようなこともございました。そうした反省もございますし、あるいはまた痘瘡の問題もこれありといったようなことで、今回この改正をさせていただいたというのが実情でございます。
#8
○櫻井充君 そうしますと、この法律自体の体系が元々国内発症のものを想定されていたんではないだろうか。つまり、国内で発症したものに対して一次的に都道府県知事が厚生労働省にそういった情報提供をするような体系になっていたんではないのかなと、そういう気がいたしております。
 ですから、中国でああいう形でSARSが発生したというのは、私はある種想定外だったのではないのかなと、そう感じているんですけれども、まずその点についていかがでございましょうか。
#9
○政府参考人(田中慶司君) 委員御指摘のとおり、もちろん海外で新感染症が発生するということも考えないわけではございませんでしたけれども、今回の法律で手当てしたのは、国内でそういう、海外でそういう患者さんが発生した情報が入ったときに直ちに対応できる、こういう準備をきちっと備えたということでございます。
#10
○櫻井充君 そうやって実態に合わせて改正していただくということは極めて重要なことだと思っております。
 その意味で、もう一点お伺いしたいのは、この冬にSARSがこの国で発症するとお考えなのかどうか。つまり、そういう危機感を持ってこの法律の体制を整備しようとされているのか。そしてもう一つは、この法律の体制ができ上がった後で本当に現場で治療ができる、診断ができる、そういう体制が整っているのか。その点について、まず厚生労働省の危機感と、それから診療体制について御答弁いただきたいと思います。
#11
○国務大臣(坂口力君) これは法律でございますから、細部を決めているわけではございません。もし仮にSARSが日本の中で発生をしたということになりますと、様々なまた問題に我々は突き当たるのであろうというふうに思っておりますが、大局的な立場から見て、少なくともこれだけは押さえておかなければならないというところをこの法律で押さえたつもりでございます。
 今後このSARSが再び蔓延するのかどうか、日本で発生するのかどうかということは、これはなかなか予断を許さない話でございますが、ビールスでございますから国境はないというふうに考えておいた方がいいというふうに思っております。したがいまして、起こり得るものということを考えて対応を進めていかなければならないというふうに思っております。
 一つは、治療の段階におきます問題でございまして、全国どこで起こりましても、そこに主要な病院を作り、そこで対応できる体制をどう作り上げていくかということが一つの課題でございます。
 もう一つは、予防なり治療なりに対する研究の問題でございまして、幸か不幸か日本で起こらなかったものですから、ウイルスそのものが日本にはないわけでございますので、香港、シンガポール、台湾、先日ベトナムにも参りまして、それぞれ持っておりますウイルスで共同研究をさせていただくということで、今これを進めているところでございます。
 現在のところ、診断キットの方はかなり進んでまいりまして、今年の冬までに、半時間あれば大丈夫ではないかというところまで進んでまいりました。ただ、治療の方がまだどことも途上にございまして進んでおりません。ここは日本もどういうふうに進めていくかということが非常に重要な問題であります。日本も治療方法についての研究が少し後れておりまして、ここをどう進めていくかというのが今後の課題になっております。
#12
○櫻井充君 診断が一時間掛からないでできるようになってくれば問題はないんだと思うんですが、これ前も、五年前にも質問させていただいたんですけれども、果たしてこういう形で、病名で類型分類することが果たしてふさわしいのかどうかという問題が私はあるんだと思っているんですね。
 坂口大臣、医療の現場におられましたからよくお分かりかと思いますが、我々は病名が付いてから治療に入っているわけではございません。あくまでその症状を診て、ある程度こういう方向で治療していかなければいけないんだろうと、そういうことを考えて診療していっているわけですね。そうすると、こういう形で、一類から五類まで分類しました。一類だということが診断されてから、それでは例えばその患者さんを個室に移さなければいけないなら個室に移さなきゃいけないかと、そういう措置を取るわけでは僕は全然ないんだと思うんですね。
 そういう意味でいってくると、果たしてこういった形の、一類から五類のような分類をしてくることがいいことなのかどうか。それとも、若しくは、体制整備からすれば、こういった症状の場合には、例えば強い感染力が疑われるような場合、そして高度な発熱を伴うとか様々な症状があった場合には、その現場の判断でそういう体制が取れるようにすべきなのか。大臣としてはどうお考えでございましょうか。
#13
○国務大臣(坂口力君) 突然日本の中で発生をするというようなわけではないんだろうというふうに思っております。どこかで感染が、恐らく外国のどこかというふうに思いますけれども、そうしたところでまず最初の感染が起こるんだろうというふうに思っております。
 そういたしますと、その周辺からお帰りになった方、あるいは接触された可能性のある方というのはある程度限定をされるわけでありますから、その皆さん方につきましては、いわゆる予防的にそれまでの間、いわゆる症状が発生をいたしますまでの間、皆さんにいろいろと御注意をいただいて、そして、何らかの症状がありますときには、初期段階から別途それは診察施設等も分けて考えていくということがやはり必要になってくるというふうに思います。
 ただ、BSEじゃないですけれども、突如として日本の中で発生をするということ、これも決してないとは言えないわけですね。動物から来るというようなことになれば、その動物が日本の中にもいるわけでありますから、日本の中で起こらないというふうに言い切るわけにはまいりません。その一番最初のときには、これは一般の外来患者の皆さん方と同じところで診察を受けるということになってしまうんだろうというふうに思います。
 しかし、最初はやむを得ないといたしましても、その後、適切にそこの診断をし、そしてそこに居合わせた皆さん方に対して十分その後処置をするということになるということになりますから、そこのところは確かに御指摘のように問題は残るというふうに思っております。

#14
○櫻井充君 大臣、それは、今SARSを想定されるとそういうことになるんだろうと思うんですね。ほかの新しい感染症の場合も想定してこういう場合は対処していかなければいけないわけであって、そのときに果たして今のような類型分類を一々しなければいけないのか。もちろん、それを新感染症として取り扱うということになれば、それはそれでいいのかもしれませんが、しかし、何度も申し上げますけれども、現場で言うと、病名で分類するわけではなくて、最初の手だてはその症状から分類して、症状で対応していかなければいけない。早期の対応の必要が迫られるという形になってくるとすると、こういった類型分類をしてしまうと、私は遅れてしまうんではないだろうか。
 これは前にもお伺いしたんですけれども、こういったきちんとした診断をできる医者が果たしてどれだけいるのかということを考えてくると、医者の一人としてこういうことを言うと怒られるかもしれませんけれども、今の我々、縦割りと言ったらいいでしょうか、専門分化していく中で、専門の医者でないとなかなか分からない、そういうこともございます。ですから、私個人としては、もう少し、この類型分類に合致させていろいろ処置をしていくというよりは、その症状症状に合わせて対応できるようなシステムということを作っていった方が本当は対応しやすいんではないのかなと、そう考えています。
 ただ、ちょっと今日は時間がないので議論はここまでにして、その上でもう一つ、提供体制についてお伺いしたいんですが、五年前も、じゃ例えば類型分類する際に、どれだけの医師がきちんとした診断をできるんでしょうかと。そのときにきちんとした答弁をいただけませんでした。たしか六百名前後ぐらいの方々が専門医であってと、その方々が果たして本当にできるかどうか分からないということでございましたけれども、今の段階でこれらの類型分類をきちんとできると厚生省で把握されている人数はどのぐらいいらっしゃるんでしょうか。
#15
○副大臣(森英介君) お答えいたします。
 まず、医療機関と医師あるいは看護師等に分類して御説明申し上げますけれども、各都道府県では、SARS患者が現実に発生した場合の対応を具体的に定めた行動計画を作成しておりまして、この中で感染症の診療体制の整った医療機関を指定しております。
 具体的には、現在、入院医療機関については、陰圧室を備えた病床が七百三十九床、外来診療を担当する医療機関が七百五十九か所、それぞれ確保されております。また、現時点ではSARS診療を担当する医師は約三千人、看護師は約四千四百人確保されていると承知しておりますが、これらの医療スタッフについては、国でも研修を行いますとともに、事前に各医療機関において消毒の方法、マスク、ガウン等の着用方法等について実地演習を実施するなど、院内感染対策の徹底を求めているところでもございます。
 また、現在SARSの治療法は対症療法が中心であり、これらの医療機関ではSARS患者に対する十分な医療の提供ができるものと考えておりますけれども、国としても今後とも引き続き適切な院内感染対策及び患者への医療の提供が行われるよう指導、助言に努めてまいりたいというふうに考えております。
#16
○櫻井充君 今三千人というお話でしたけれども、これはどういう要件を満たしている方がそれだけの人数いらっしゃるということですか。
#17
○政府参考人(田中慶司君) 詳細、どのような専門性を持っておられるのかというようなことについては把握しておりません。今、副大臣が御説明を申し上げましたのは外来、SARSの専門外来を担当する医師の数ということでございまして、中には非常に専門性の高い方もおられると思いますけれども、そうでない方ももちろんおられるとは思います。
#18
○櫻井充君 その程度の危機感でいいんですか。要するに、県から上がってきた対応がそうやって整備されていますというお話ですけれども、今のような形でどういうお医者さんか分からないということで、果たしてこの冬発生するかもしれないということできちんと本当に対応できるんでしょうか。
 済みません、私、ジェー・シー・オーの事故ののときに、宮城県の原発で事故が起こった際にどういう救急体制を取っているのかというのを調べたことがございます。そのときに、女川という場所に原子力発電所があって、そこで事故があると、車で一時間まで掛かるかどうかですけれども、石巻の保健所に行って放射線を浴びているかどうかということをチェックします。そこでチェックされて、放射線を相当浴びているということ、治療が必要になると今度は県立瀬峰病院というところ、これは石巻から北の方に一時間ぐらい多分掛かると思いますが、そこのところで今度は治療を行うというのがマニュアルでございました。
 ですが、そういった放射線を浴びたときに一番最初にやらなければいけないのは、とにかく有無を言わず水で洗って放射線を洗い流すということがもうこれは基本中の基本でして、いち早くやれるかやれないかというところで決まってくるわけですよ。ですから、形はあるんですよ、確かに。形はあるけれども、実効性を伴っていくかというと、そんなことは僕はないんだろうと思うんですね。例えば、女川の病院のところにそういう場所を設けておいて測定して、現実的に言えばもうヘリコプターで放医研に運んでしまった方が患者さんの救命率は私は高いと思っているんですけれどもね。
 つまり、そういうような本当の意味で、こう実際起こったときにどれだけ対応できるかということを踏まえてそういった資料が上がってきているのかどうかということなんだと思うんです。形上はあるかもしれません。形上はあるかもしれませんけれども、実際、本当に動くんでしょうか。そして、それで蔓延しないようにできるものなんでしょうか。
#19
○国務大臣(坂口力君) 櫻井委員も御承知のとおり、感染症がだんだんと昔のことを思いますと減ってまいりました。全体としての割合が非常に少なくなってまいりましたので、感染症に対する十分な知識を持った医師の数もまた残念ながら減ってきているというのが事実だというふうに思っています。
 さて、そうした中で起こりましたこのSARSでございます。したがいまして、医療体制の中で、感染症というものがこれは病気の基本としてやっぱり大事なんだと、ほかの生活習慣病その他のものもあるけれども、やはり感染症というのは一番基本の基本なんだということをもう一遍思い返して、皆さんに再勉強としてと申しますか、もう一度そこに振り返っていただいて研修を重ねていただくということにしなければいけないんだろうというふうに思います。
 だから、これはSARSに限られてございますけれども、第一類の感染症等に出会いましたときに、一番最初にまず何をしなければならないかということなんだろうというふうに思います。その手順と申しますか、そうした基本的なことについて、やはりこれは医学界の方にもお願いをしなければいけないというふうに思いますけれども、厚生労働省としましても、そこをしっかりと踏まえて具体的なことを、やはり我々厚生労働省としてはこう思っているということをお知らせをするということも大事というふうに思っております。
 SARSに関して言えば、日本医師会でありますとか、あるいはその他感染症の研究学会等に対しまして、どういうことが大事かということについてのお願いも実はして、そして、その皆さん方の御意見というものも、できるだけ多くの医師の皆さん方にそれが分かるようにしているということでございます。
#20
○櫻井充君 大臣、中長期的に見ればおっしゃるとおりだと思います。教育をどうしていくのかということは極めて大事でして、その意味でいうと、結核の病棟がどんどん減っていって、学生のうちにそういった患者さんたちに接する機会がなくなっているというところに私は大きな問題があると思っていますし、その辺を是非改善していただきたいと思います。
 ただ、問題は中長期的なことではなくて、今年の冬にこういったものが起こるか起こらないかという観点に立って考えなければいけないわけですよね。院内感染を一番、院内感染を蔓延させるというか、引き起こしてくるというのは、あくまで医療従事者、医療スタッフが結果的には保菌してしまって、院内で感染させていくという実態がこれはもう明らかなわけですよね。そのことを考えてきたときには、本当にそういった提供ができるのかどうかということが私は大変問題なんだと思っているんです。
 恥ずかしい話ですが、私がおりました国立療養所は結核病棟があって、感染病棟があるんですよ。その感染病棟のあるところでですよ、私がいた当時はまだ布のタオルを使っているんですね。布のタオルを使って皆さん手洗いされているんですよ。これで本当に感染が防げるんでしょうか。こういったのが、はっきり言うと、国立病院ですら、国立療養所ですら、いや、国立療養所だからそうなのかもしれませんけれども、そこのところが私は極めて大きな問題なんだと思うんですね。これははっきり申し上げまして、タオルを織る方々の職を失うからという理由もあったんだそうですけれども、これは本当の話です。しかも、予算的に言うとペーパータオルの方が高いからという、そういった様々な理由で、私はこれじゃ駄目じゃないかということを指摘させていただきましたけれども、行った当時はとにかくそういうお寒い現状なわけですよ。
 蔓延させないことが大事でして、ウイルスの感染症ですから、その患者さんを治療するということ自体、根本的に今は無理な話です。大事なことは、発症した患者さんからほかの人たちに伝播しないようにすることが大事でして、そういったことがきちんとやれるのかやれないのかと、ここに懸かっているんだと思いますが、そのような提供体制はきちんとでき上がっているんでしょうか。
#21
○国務大臣(坂口力君) これはそれぞれの温度差がございます。温度差と申しますか、程度の差がございますから、すべての、七百幾つでございますか、三十九ベッドを持っております医療機関がすべて万全かといえば、それはいろいろのまだ問題点もあるというふうに思っております。とにかく、陰圧室を備えているということでございます。
 先日、ベトナムにお邪魔しまして、ベトナムの中で院内感染を防いだ、そして、そこから外に出すことを防いだ病院がございますが、これは日本との非常に感染症についての共同研究が進んでいるところでございます。
 そこへ行って、どうして防いだかということを聞きましたら、そこはそんなに立派な病室がたくさんあるわけじゃない。そうしましたら、そこはSARSにかかった人たちを集めて、そこの窓を開けたというんですよ。窓を開けた、外に出ないように。窓から逃がしたと言うとあれですけれども、空気の入替えをしたと。誠に原始的な方法のように思いますけれども、しかし、それが的確だったんでしょう。外から外に広げることはなかった。院内において医師、看護婦に感染させることはなかった。
 一見、原始的と思われるようなこと、あるいはまた非常に初歩的なことだというふうに思われることがやはり一番大事になってくる。今、タオルのお話をされましたけれども、やっぱりそういう基本的なところが一番大事になってくる。非常に難しいいわゆる診断方法だとか、器械、器具だとかということの前に、その辺の感染症に対する基本がやはり大事ではないかというふうに思っております。
#22
○櫻井充君 いや、それはそのとおり、おっしゃるとおりなんですよ。
 そうすると、じゃ、もう一つ別な観点からお伺いしたいのは、陰圧室を備えているという、そういう御説明がございますが、仮に患者さんが発症して陰圧室に入った場合は、その患者さんとその病棟全体、ほかに入院されている方がいらっしゃいますが、ほかの患者さん方とそのSARSの患者さんというのは同一病棟にいることになるんですか。
#23
○政府参考人(田中慶司君) SARSの感染経路につきましては、当初は空気感染ということが考えられていたんですけれども、恐れられていたんですけれども、これは否定されたと。要するに、飛沫感染又は接触感染によるというふうに今は考えられていると。
 こういう基本的な立場に立ちまして、SARS患者さんの隔離とか入院とか、こういうようなことにつきましては、WHOの作成しましたガイドライン、これも参考にしながら、病棟全体はSARS病棟にするということはする必要ないんじゃないかというふうに考えております。
 しかし、ほかの病棟に対して、病床に対して感染が蔓延することのないように厳格な院内感染防止をすると、これはもう絶対に必要な条件ではないかというふうに考えております。
 このようなことによりまして、SARS患者さんの入っておられます感染病棟とそれ以外のものとがある程度共存するということも可能ではないかというふうに考えております。
#24
○櫻井充君 本当にそれ可能なんですか。同じ病棟で、SARSの患者さんは陰圧室にとにかく入院していただいて、ほかの感染症の患者さんたちはそのままその病棟にいるんですか。それで感染防げるんですか、本当に。大臣、そうお考えですか、本当に。
#25
○国務大臣(坂口力君) 私も、全国七百三十幾つかの、九ベッドでございますか、そのすべてを見てきたわけではございません。幾つか私も拝見をいたしましたけれども、大体そこは孤立をいたしております。その周辺にはできるだけ入れないという体制でその病院はいると。今は、感染症、そんなにたくさん入っているわけじゃないんですね。したがいまして、そのベッドの周辺は入れないということをどの病院も言っておりますから、そういう手を打たれるんだろうというふうに思います。
 また、その近くに万が一お見えになったとしたら、近くの病床の人は他のところに移すということを恐らくやられるんだと私は思っております。
#26
○櫻井充君 感染症の患者さんというのは基本的に免疫が落ちている方ですよね、特に結核なら、結核というのは極めて弱毒菌ですから。ですから、そういう方々がそこにいらっしゃるということは、もし万が一感染した場合には相当な致死率になるんだろうと思うんです。
 SARSの場合の特徴的なのは、十五歳以下の子供たちはほとんど死ななかった、六十歳以上の方々は六割以上亡くなっているということを考えてくると、そういった方々にいかに蔓延させないかということが極めて大事なことになります。
 これは香港の例を申し上げまして大変恐縮ではございますが、香港は隔離ベッドで完全な病棟で、隔離病棟でベッドをもう八百用意しているんだそうです。実際に起こった国と起こっていない国の私は危機管理の差だと思っておりますが、せめて病棟は、病棟はですよ、そういったことで混合病棟にするべきではなくて、一人の患者さんかもしれないけれども、その病棟は、SARSの患者さんが入った時点では、ほかの患者さんにほかの病室に移っていただくようにしなければ私はいけないんじゃないかと思っています。
 それからもう一点は、その根拠になっていたのは、例えば、従来のウイルスと新型のコロナウイルスの性質が違っていて、生物の中であれば長時間生きていくというタイプだけではなくて、要するに、こういった紙とかそういったものの上でもある程度生きていることができるという特殊なウイルスだからこそ、そこの病棟の中で、例えばカルテのやり取りをするとか、ほかの方々が来てそういったものを触ってしまってそれから入っていくとか、そのようなときに感染絶対しないとは言えないわけですよね。
 これは、大事なことは、一例で止められるかどうかということが極めて大事なときに、その初期対応のときに、ほかの患者さんはちょっと離しておくから大丈夫です──それは距離の問題じゃない。媒介するのは、先ほど申し上げました、媒介する可能性があるのはその職員ですから、そうすると、その職員の方々は病棟じゅう動くわけですね。そう考えてきたときには今のような対応では私はまずいんじゃないかなと。まずここは、原則、SARSの患者さんが入院したら、せめてその病棟はですよ、その病棟はほかの患者さんは入院させない、これを私は原則とすべきだと思いますが、いかがですか。
#27
○国務大臣(坂口力君) これは病院の大きさにもよると私は思います。したがいまして、それが可能な病院、それから、そういうふうに周辺にはもう他の人は入れないという、そういうことをもう言っておりますから、多分そうするだろうというふうに思っております。私よりも、我々よりももっとそれは専門家の人が言っているわけですから、それはそうするだろうと思うんです。
 それから、そこに出入りする人の問題等についても、それはそのとおりでありまして、そして、ペーパー等につきましても、御指摘のとおり、だからファクスで送るなりなんなりをして、その中のものは外に出さないといったようなことがやっぱり大事になってくるというふうに思っております。
 地方の病院にまず入りましたときに、それをどうするかということだと思うんです。そんなにたくさんの、五十ベッドなり百ベッドなりしかないところで、そんなにゆとりのないところもあるわけであります。そうしたところでもし万が一最初にそこでSARSだということが分かったということには、中核的な病院へそれは移すということをやはり考えなきゃいけないだろうというふうに思っておりまして、その辺の体制というものもやはり今後組んでいかなきゃいけないと思っております。
#28
○櫻井充君 私は、ここは厚生省の危機意識のアナウンスメント効果というのはあると思うんですね。つまり、混合病棟でもいいですよという、そういう言い方にするか、やはり原則もう病棟はその患者さん、SARSの患者さんだけにするんですよと言うかによって危機体制というのは全然違うんだと思うんですね。ですから、こういう強い意思を持って臨むんだということを私は明確に表示するべきだと思うんですね。
 そうでなければ、もう一点お伺いしたいのは、じゃ、これ何で一類に分類されるんですか。一類に分類されるというのは、相当重い病気だからこそ一類に分類されるわけですよね。一類でもそんな程度でいいんでしょうか。ほかのエボラ出血熱やそういう場合でも、その病棟に患者さんたちそこに置いておくんですか。それは違うでしょう。この病気は重篤な病気だからこそ一類に分類するわけでしょう。そうでなければ一類に分類する意味なんかないんじゃないですか。
#29
○政府参考人(田中慶司君) 現実の運用の問題とそれから私どもが基準としてお示しするものとの間には多少差は出てくるということをまずお話し申し上げたいと思います。それから、さはさりながら、現実にやはり共存が可能であるという御指導を申し上げているわけですから、その中でどういうふうに院内感染防止等考えていくのかということになると思います。
 院内感染防止に関しましては、これはもう徹底して基本的な手技を実施していただくということになると思いますし、それから、これは御指導の問題ですけれども、当然スタッフは、そういう一類の感染症を扱う方とそうじゃない方、これは分離する、別になっていただくということがやはり基本になるんではないかというふうに考えているところでございます。
#30
○櫻井充君 現場の運用とおっしゃいますけれども、法律の運用は、ある種のところは厚生労働省が指針を決めるんですよ。だから、そこの指針のところでこういうふうにしたらどうですかと。ここぐらいは原則厚生労働省の私は指針だと思っていますよ。この法律をどう運用していくかのところの指針だと思っているから申し上げているだけでして、あとは現場でマスクしようが、手袋する、何だかかんだかという、こういういろんなことに関して言ったら、それはそこまで、細かいことまで厚生労働省がやれと私は言っていませんよ。そこのところは、例えば感染症対策で当たり前のことのように言われていることを実施しなさいと、その一言でいいはずです。そこまで、はしの上げ下ろしまでやれと言っているわけじゃないんですよ。
 ただし、ここは大きな問題でしてね、本当に。何回も申し上げますが、香港は隔離病棟ですからね。隔離病棟ですよ。もっと言えば、本来であれば、一類に分類されたら一種のベッドに入院させなきゃいけないんでしょう。そういうことを約束したんでしょう、五年前に。そのベッドも全然整備されていないじゃないですか。東北地区で山形に二床あるだけですよ。あと、その後ずっと進んでいないじゃないですか。こういう危機管理でいいのかどうかということを問うているわけですよ。
 私は、これはSARSがもし本当に日本ではやったら、これ大変なことですよ、この冬。今でさえ経済状況が危ないような中で、これがもしはやったとしたらどうなりますか。その危機管理があるのかどうか、危機感を厚生省が持っているかどうかということが私は極めて大事なことだと思っているんですよ。それを今、現場のあとは運用上の問題ですからと、後ろで知恵付けている役人がいますが、現場を知らないような人間がそういうことを言ってもらっちゃ困るんですよ。本当に危機があるんだったら隔離するのが、隔離病棟作るのが当然じゃないですか。違いますか。
#31
○国務大臣(坂口力君) 香港のようなまとまった小さなところであれば、一か所にそれはもう患者さん集中して集めることができるわけですけれども、日本のような場合に、東京なら東京に一か所隔離病棟作ってそこで対応できるかといえば、それはできないんですよ。それぞれの地域でやはりやっていただく以外にない。それぞれの地域の中で中核になるところをどうするか、どう整備をするかということを今やっているわけでありまして、そこで対応をすると。
 そこで、局長の言いましたのは、より具体的なことは、それはそれこそ感染症の専門家がいるところでありますから、そこは十分に気を付けてやっていただくということになるだろうと思うんです。しかし、これはもうSARSで限りません。ほかの病気のこともあるわけですから、そうした一類に匹敵するような病気が発生したときに、SARSとは違って、まだほかのものは、それは飛沫感染するものもあるわけですし、空気感染するものもあるわけでありますから、そうしたときに、ここへ一つの病棟、それは陰圧室になっていますから、その周辺に一緒に入れておいてもよろしいというわけにはそれはいかない。それはそれぞれの疾病によって対応も違ってくるというふうに思いますけれども、事SARSに関しましても、しかしそこは十分に配慮をし、出入りをする人、それからいわゆる病院内におきますその構造をどうしていくかといったようなこともそれは十分注意をしてやっていかなければならないと。それは我々の方も、十分そういうことができるように更にひとつ各都道府県に対しまして指示することは指示しなければならないと、そう思っております。
#32
○櫻井充君 大臣、ちょっと勘違いされているのかもしれませんが、私は別に東京に集めろと言っていることを申し上げているんではありません。例えば、その病院に入院された、仙台なら仙台の病院で構いませんが、入院された場合に、その病棟は隔離病棟にされた方がいいんじゃないですかということを申し上げているんです。別に、隔離病棟を作って全部の患者さんをそこに搬送してくださいと、そういうことをお願いしているわけではございません。
 あと時間がありませんので、ここは是非考えて検討していただきたいと思いますし、こういった議論を僕は国民の皆さんが聞かれていたら、本当に危機管理あるのかなと。いや、少なくとも私は危機管理がないような感じがしてならないんですけれども。特に運用上の問題ですからとか。
 そうすると、こういったときにもし隔離しないで、隔離病棟にしないでもし病棟内で蔓延した場合には、これは現場の責任になるんでしょうか。私は厚生労働省の責任だと思っていますからね。厚生労働省は隔離しなくていいと。つまり、現場のスタッフはそのぐらいの技量があると。つまり、今の我々が知り得ている知見の中で確かにいろんなことを工夫すれば対応は可能なのかもしれませんよ。しかし、想定外ということがよく起こっているわけです。特にSARSの場合にはどんどん変異してきているわけですね。新型コロナウイルスです。どういうタイプに変わってくるのか分からないウイルスですよね。
 そうすると、果たして従来どおりやっていけばいいか分からないわけですから、そういうことを考えてきたら、より慎重な対応を取ったらどうですかというふうに私は申し上げているんです。あとはこれ以上議論しても仕方がないので、是非御検討いただきたいと、そう思います。
 それから、何かあると全部保健所なんですね、これは。SARSだけではなくて、先ほどの、ジェー・シー・オーの事故のように原発の何かがあると皆保健所、それからシックハウス対策の何か困ったことがあると皆保健所、全部保健所なんですけれども、こんなに保健所に全部おっ付けてきちんと対応できるんでしょうか。
#33
○政府参考人(田中慶司君) 全部で保健所の数というのは五百七十六か所がございまして、職員は三万人程度おられます。これらの職員に対しまして研修をきちっとやっております。それから、ブロック別にやっておりまして、大体延べ千人ぐらいに対して研修を今のところ修了しておりまして、また、その修了された方が伝達講習というようなこともしているというふうに聞いておりますので、かなりのレベルは向上しているんではないかというふうに思っております。
 また、保健所に対しまして、資材の提供ということで、一般医療機関に対する緊急配布用のマスクを保健所が備蓄すると、こんなようなこととか、あるいは相談体制を保健所で持っていただくというようなことも考えておりまして、第一線の公衆衛生の機関でございますので、これに私どもとしては頼らざるを得ないということで、その強化について努めているところでございます。
 もちろん、私ども、感染症研究所とかそういう専門機関を持っておりますので、必要に応じて応援する体制というのも準備しているところでございます。
#34
○櫻井充君 頼らざるを得ないということと対応できるということは違うと思うんですよ。つまり、こういった問題が起こっていって対応できる施設を作っていくのかいかないのかということですよね。ここのところしかないからここにお願いしましたと。
 現場が実際に本当に動かなかったらどうするんですか。これは現場の責任ですか、それともそういうスキームを作った厚生労働省の責任になるんですか。
#35
○政府参考人(田中慶司君) 恐縮なんですけれども、とにかく保健所がやはり公衆衛生の第一線機関でございますので、これに働いていただくほかないということで、もし保健所が余り適切でないというようなことでありますれば、今回の法改正で国の指示権限というようなものも強化いたしましたので、個別に対応させていただきたいというふうに考えております。
#36
○櫻井充君 人員の配置とか、それは十分なんでしょうか。つまり、保健所が駄目だと私は申し上げているのではなくて、何でもかんでも全部保健所におっ付けていますよね。保健所の人たちがそれに本当に対応できるんですか。今の人数で対応できるんですかということを申し上げたいんですよ。
 つまり、厚生労働省としても、保健所の人数は実際は増やさなきゃいけないと考えているのか、役割分担が随分多くなってきているからそうしなきゃいけないんだと、現状はこれでやっていただきたいということのその気持ちは分かりますが、今の体制で本当に十分なのかどうかということです。そのことについてはいかがですか。
#37
○政府参考人(田中慶司君) 保健所の全体の体制に関しまして私、コメントする立場にありませんけれども、感染症対策という意味で、今申し上げましたように、十分対応できるように職員の資質の向上、技術的な面での指導ということをやっていきたいというふうに考えているところでございます。よろしく御理解いただきたいと思います。
#38
○櫻井充君 御理解できないんですが。今大事なことなんですよ。要するに、全体は私の管轄ではないから感染症の部分についてはこうやっていただきたいという願望を述べていらっしゃいますね。これはほかの部局もみんな同じことを言うはずなんですね。ほかの部局もですよ。そうしたら保健所の人たち大変じゃないですか、人数限られているんだから。だからできないんじゃないんですかということを聞いているんです。
 できない絵をかいて、できない絵をかいて、こうやってあるから大丈夫なんですというふうに言われるから困るんじゃないですか。だから、そこが危機感ですよ。この冬に本当にもし発症した場合にきちんと対応できるのかどうか。これは皆さん大変ですよ、本当に、経済的な問題から何から。そのことが対応できる体制にあるのか。今の人数で本当に今後いいのかどうか。
 じゃ、現状はいいとして、今後どうなんですか、この人数で本当にいいんですか。
#39
○国務大臣(坂口力君) ここは、保健所の体制というのは確かに、おっしゃるようにどちらかといえば予防措置、それをどうするかということを中心にしてでき上がっているわけですから、こういう感染症の問題が生じましたときに、それはその中の職員の中で対応するといっても、それは私は無理な面があると思っております。
 問題は、何かが発生したときに、そこの所長なら所長がいかに、その県内ならその県の中で専門家に要請をしてどう対応するかというマネジメントができるかどうかだと私は思うんです。そこができるようになっていれば私は対応できる。いわゆる保健所の中の人数の問題ではなくて、そのマネジメントに一に掛かっていると私は思っています。そこをよく私は教育をしておかないといけないというふうに思っております。
#40
○櫻井充君 では、少ない人数でやりくりするとなってくると大臣のおっしゃるとおりだと思いますから、問題が起こった際にほかの保健所が協力してやれるような、そういう体制を是非作っていただきたい。
 これは恐らく全国一気に蔓延するということではなくて、局地、ある地域ある地域で起こってくるものだろうと、今のところはですよ、今のところはそうなるんだろうと。ただ、どこかに旅行に行った際に、その人たち、ある地域で発症してしまって、そこの観光客、ばらばらばらばらいてなる可能性も否定はできませんが、とにかく、ある場所で起こってくる、そのものに関して広げないように、広がらないような体制整備をきちんとやっていただきたいと思っておりますし、先ほどのように、運用は現場ですから厚生労働省はそこまでというような御発言は私は慎んでいただきたい。どこまでが厚生労働省のそうすると責任なのかということをこれからまた問うていかなければいけなくなるということを是非御理解いただきたいと思います。
 それから、これはちょっと別な話題を、あと一つだけお願いしたいことがございますが、今、歯医者さんたちの現場でちょっと困っていることがございます。
 それは何かというと、この間までは二百五円ルールの中で、ロキソニンとかボルタレンとか、要するにエヌセイズというあの手の痛み止めは使っていたんですけれども、二百五円ルールの中で表に出てまいりませんでした。ところが、今の適用を見てみると、この手の痛み止めは抜糸後、歯を抜いた後の疼痛には適用があるんですけれども、そうじゃなくて、ただ単純な歯の痛みがあって、まず診療所に行った場合には適用がないために現在使えなくなっております。患者さんからしてみると、効かない痛み止めを飲まされているんですね、ある種。これを適用拡大をしてくれないかというお願いを今厚生労働省にしているんですが、なかなか進んでいかないという、そういった問題がございます。
 私は、抜糸後の疼痛に通って普通の痛みに通らないというのは、まずこれは筋がおかしいと思っていますし、本来であればメーカーが治験をやらなきゃいけないんでしょうけれども、シェアが極めて少ないような領域ですととてもメーカーが治験ができない。この手の薬は実は一杯あるんですよ。
 今回は、典型的な例として、歯科医療の部分でのロキソニンとボルタレンなどのものに限らせていただいて話をさせていただいていますが、こういったものに対してもう少し現実的な対応を取るようにしていくべきではないのかなと思いますが、その点についていかがでしょうか。
#41
○政府参考人(阿曽沼慎司君) 御指摘のように、適用拡大の問題は大変重要な問題でございます。私ども厚生労働省といたしましても、これまでも医薬品の適用拡大を促進するためにいろいろな手だてを尽くしてまいりました。
 今お話のございましたボルタレン、ロキソニンにつきましても、現在、学会の方で科学的な学術論文の収集を行っているというふうに承っておりますが、私どもといたしましては、既に使われている医薬品でございますので、例えば海外で承認されたり、あるいは医療現場で相当の使用実績がある、あるいは国際的に信頼できる学術雑誌に掲載された科学的な根拠となり得る論文があるといったような場合には、新たな臨床試験に関する資料を求めないといったような措置も講じたいと思っておりますし、できるだけ迅速な承認ができるように考えたいというふうに思っております。
#42
○櫻井充君 よろしくお願いします。
 これは患者さんが苦労しているんです。効かない痛み止めを飲まされていますから、ある種。いや、効かないというよりは、効くんです、効くんですが、それよりも効かない痛み止めを飲まされているということです。
 あともう一つ。昨日、ペルテス病の患者さんが厚生労働省に陳情に参りました。ペルテス病というのは大腿骨頭壊死です。本当に小さい子供が発症して、二週間程度しか骨頭が死なないので、その後、子供は再生力があるので、後は普通の生活ができるようになります。ただし、これが再生するまで二年から三年ぐらい掛かって、車いすの生活を余儀なくされる患者さんがいらっしゃるんですね。
 昨日陳情に上がった際に、これは通告しておりませんので、これは要望でございます。そのときに、患者さん一体何人いらっしゃるんですか、どこで治療できるんですか、そういうことを厚生労働省に調べていただきたいというお話をしたら回答がございませんでした。冷たく、できないと一言言われただけです。
 そうではなくて、こういう子供たちの、育成医療か何かのところの分野で診ているんですけれども、二年も三年も実は入院せざるを得ない、そしてしかも車いすの生活を余儀なくされていると。本当であれば身体障害者の手帳を交付していただければ有り難いんですけれども、そうもならないと。
 ただ、この子たちが物すごく困っています。長期の入院でいうと、例えば百八十日ルールがあって、それを超えると親の負担は月額三万円ずつまた増えてまいります。さらに半年たつと四万五千円もまた増えてくる。こういった子供さんを抱えている親は、なかなか共稼ぎというか、お母さんが働くこともできないとか、様々な問題を抱えている子供さんがおります。
 昨日、厚生労働省の方に何とか対応をお願いしますということを申し上げたんですけれども、余りいい回答が得られていないようなので、是非この場で大臣の方に、大臣に私はいろいろお世話になりましていろんな問題を解決していただきましたので、是非このペルテス病の子供たちにも光を当てていただきたいと思いますが、大臣、いかがでございましょう。
#43
○国務大臣(坂口力君) 今初めてお聞きいたしました問題でございますけれども、十分検討させていただきまして、できる限りおこたえできるようにしたいと思っております。
#44
○櫻井充君 どうもありがとうございました。
 最後にもう一回だけ、もう少し危機意識を持って対応していただきたいと、そのことを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#45
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。同僚の櫻井議員の後を受けて、ちょっと視点を変えて幾つか質問をさせていただきます。
 今回の感染症法等の改正は、衆議院の議論を聞いていましても専ら、先ほどの櫻井議員の議論もSARSを念頭に置いた議論で、先日、大臣からの提案理由説明も専らそういう説明でした。アジアを中心に世界各国でSARSが流行している、これに対して対策を強化しなければいけない。これはこれでいいんですが、そして、それを受けて一類感染症にSARSという病気を位置付ける。これは衆議院で大分議論あったと思いますから今後検討はしていただきたいと思いますが、そこまではいいんですが、突然痘瘡が入ってくるんです。SARS騒動の話と痘瘡の話とどうも同一レベルで考えられない。ちょっと説明不足じゃないでしょうか。提案理由について、大臣の方からの説明が不足しているんじゃないでしょうか。
 私なりに理解をすると、これはもう、天然痘というのはもう御存じのとおり、一九八〇年代ですか、WHOで根絶宣言を出して、だから日本の関係の法律の中にも天然痘というのは入っていなかった、もう克服できたと、こういう話だったわけですね。今回、突如、一類にもう一遍位置付け直すというか、新たに位置付け直す、追加するということは、それなりの理由があるんですよね。日本である日突然に天然痘が流行、発生するということを想定しているのではなくて、ここはどう考えてもバイオテロを想定してのことだろうと。そうすると、これは自然な感染、流行ということよりは、むしろテロ対策としての対応が求められるんじゃないか、こういうふうに思えてならないんですね。
 だから、言いたいのは、今回の改正の趣旨は、一つは、SARSの流行について十分な対応がし切れなかった点が指摘されているので、ここはちゃんとしましょうという理由で改正をするんだと、これはよく分かります。痘瘡を入れるということは、あるいは、後でお尋ねしますが、幾つかの新しいバイオテロを想定した感染症をこの分類の中に入れるということは、もう一歩別の次元で、バイオテロ対策としての一環として感染症予防法をきちっと手当てをしておきましょうと、こういう提案理由があってしかるべきだと思うんですね。そこがぽこっと抜けているから、議論が全部そのSARSの話に集中しちゃっている。これはどうも提案の仕方がやや偏っているというか、あるいはきちっと提案し切れていないというふうに言わざるを得ない。
 そこで、改めて、痘瘡を今回の改正に併せて一類感染症に追加された理由を改めてお伺いします。
#46
○国務大臣(坂口力君) ここは御指摘のとおり少しSARSに偏り過ぎておりまして、この痘瘡に対します説明が不十分であったことをおわびを申し上げたいと思います。
 今お話しございましたように、痘瘡は、もうこれは撲滅したと宣言をしているわけでございますから、日本の中でこれが自然にそう発生してくるということは考えられないことでございますし、今までここは外していたわけでございます。しかし、テロ問題がだんだんと大きな問題になってまいりまして、そしてその中で使用されるものということになってまいりますと、第一に考えられるのが痘瘡、そして炭疽菌等々、そうしたものがある。
 その中で、もしそうしたことがあったと、これはもう万々一の話でございますけれども、ないとはこれは断言できませんし、ありましたときには大変な事態になり得るということでございまして、今、ワクチンにつきましても、少なくとも一千万人ぐらいの人たちにはすぐに対応できるようにしなければいけないというので、対応を今しているところでございまして、そうしたことも一方で行いながら、そしてこの法律でもここに痘瘡も加えていただきまして、万が一のことではございますけれども、もしもそういうことがありましたときに対応できる体制を取りたいということで、ここにお願いを申し上げた次第でございます。
#47
○朝日俊弘君 実は、大臣も御記憶にあると思いますけれども、二年前、予防接種法の改正のときに、私も既にそのときから、感染症法には天然痘というのは落ちていますよと、どうするんですかという質問をさせていただいたら、いやそれは何とか必要な場合には指定感染症と位置付けて対応できるんだと、こういうお話でしたけれども、やっぱりそれはそれでのある種限界があるので、今回こういうふうに位置付けられるということについては賛成なんですけれども、それならそれできちっと理由を説明していただきたいし、もう一つは、今ちょっと大臣もおっしゃいましたけれども、天然痘だけじゃないんですよね。バイオテロというのは、私も詳しく知りませんが、例えばアメリカでは現実の問題として炭疽菌が郵便物の中にほうり込まれたという事件がありましたし、それから可能性としてはペスト菌も考えられる、あるいはボツリヌスの毒素も考えられる、あるいは野兎病というツラレミアも考えられるということで、数種類、バイオテロに使われる危険性というか可能性が高い幾つかの感染症が想定されている。
 これらについては、今回の改正に当たってはどういうふうに対応されているんですか、ちょっと御説明をいただきたい。天然痘だけではないはずなので、少しここは説明をしていただきます。
#48
○政府参考人(田中慶司君) 御説明申し上げます。
 米国の疾病管理センター、CDCで今先生の御指摘のテロ対策上最優先して対策を立てる必要がある病原体として、痘瘡のほかに、炭疽、ペスト、ボツリヌス、野兎病、ウイルス性出血熱、これを挙げているところでございます。
 このうち、既に感染症法上の一類感染症に位置付けられておりますペストとかウイルス性出血熱、それ以外の炭疽、ボツリヌス、それから野兎病、これにつきましては、今回の感染症法の改正におきまして対策を強化することとしているところでございます。
 これらの三疾患は、いずれもヒト―ヒト感染というのはないというふうに考えられておりますので、厚生科学審議会感染症分科会での御議論を踏まえまして、消毒等の対物処理を取ることができる類型として、新たに設けます新四類、この新四類感染症に位置付けることとしております。これによりまして、炭疽等の患者を診断した医師は直ちに保健所に届出を行うこととなり、また、届出を受けました保健所では、その届出に基づきまして、迅速に汚染された場所の消毒等の措置を講ずることができるようになるなど、万が一のテロ発生時におきます対策が強化できるものと考えております。
#49
○朝日俊弘君 私は、やっぱり今の部分についても明らかに説明不足だと思うんですよ。提案のところできちっと言っていないし、今回、多分政令事項でどうするという部分もあるから一々条文の中に事細かに書いていない部分があるのかもしれませんが、しかし、やっぱり天然痘を始めとして、バイオテロ対策について今回一つの柱立てをしてちゃんと改正をしますよと、その際には、こういう感染症が想定されてそれぞれにいろんな感染の経路なり特徴があるので、それをにらんでこういうふうに分類をしますということは、ちゃんとこれは説明していただかないと分からないじゃないですか。今までそういう議論も乏しかったし説明も乏しかったという点で、これはきちっと法施行あるいは政令等で出される場合には十分理解をいただけるような説明を加えていただかないと、何のことか、突如あれとこれとこれがこうなったというだけではよく分からない。審議会の方の提言ではそれなりにちゃんと書いてあるわけですから、国会に出すときにもちゃんと説明をしてください。それを改めてお願いをしておきます。
 さて、その上で、ちょっと細かい点なんですが、これは大臣にお尋ねしたいんですけれども、天然痘の場合は御存じのとおりウイルスですから対応はワクチンが原則ということになります。とすると、予防接種法の方も今回の改正と併せて天然痘についての規定をちゃんとしておいた方がいいんじゃないかというふうにちょっと思うんですね。二年前にも同じような質問をさせていただきました。
 今回はなぜ予防接種法の改正を併せてされなかったのか、何か理由があるのか、どういう取扱いをされるのか、ちょっと説明ください。
#50
○副大臣(森英介君) 朝日委員から今お話しのとおり、二年前からこういう御指摘をいただいておりまして、今回この感染症法改正に併せて予防接種法施行令の改正を行いまして、実態的には朝日委員の御指摘のことが実現するという運びになりましたので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
#51
○朝日俊弘君 分かりました。そのことも含めて、今回新たにそういう対応をきちっとまとめてやりましたということは理解をいたしました。
 さてそこで、ただ、すとんと落ちないのは、このバイオテロに基づく感染症の流行というか発生というのは、もちろん、実際にテロ行為があってやられてしまってからというか、事後というか、その対応としてこういう感染症法等に基づいてより広がらないようにやるということは理解できるんですけれども、しかし、まさかバイオテロ対策の最前線に保健所の職員が行くということではないだろうと思うんですね。つまり、テロ対策というのはもっと警察力とか、あるいは場合によっては自衛隊力とかを使っての対応にもならざるを得ない、むしろなるだろうと。より総合的な危機管理というか、そういう一環として厚生労働省が、あるいは保健所がどういう仕事を担うかと、こういうことになるんだろうと思うんですね。
 ところが、その説明が全然ないんですよ。だから、感染症法を改正してこういうふうに一類に位置付けましたと、それだけなんですよ。それでバイオテロに対応できるんですか。いや、そうじゃないでしょう、バイオテロ対策というのはもっと総合的な、体系的な危機管理体制がなきゃ駄目でしょうというふうにお尋ねするんですが、いや、それはそうなると内閣官房の方でというふうになっちゃうんですね。
 そこで、仕方がないので、内閣官房の方から今日来ていただいております。
 私は、やっぱりバイオテロ対策というのは、現に起こっているし、起こるかもしれないし、そういう意味では危機管理の一環としてきちっと対応策を詰めておかなければいけない。今、内閣官房の方ではどういう準備がされているのか。例えばその中でどんな指揮命令系統が作られて、その中で国と都道府県はどういう関係になって、現場の保健所と警察と、場合によっては自衛隊とはどういうふうになるのか。この辺のことを是非教えていただきたいし、そのことを形作るための法的根拠としては何があるのかということを御説明ください。
#52
○政府参考人(堀内文隆君) お答えいたします。
 我が国のテロ対策につきましては、これまで警察・海上保安関係法、自衛隊法、災害対策関係法等によって基本的な対処体制を整えてきております。万が一、天然痘テロのような重大なバイオテロが発生した場合には、重大テロ事案が発生した場合の政府の初動措置について定めた閣議決定あるいは対処マニュアル、これによりまして内閣の主導の下、政府全体として取り組むこととなり、対処に当たっては都道府県等とも相互に連携して、被害者の救助、被害の拡大防止、犯人の検挙等に全力を挙げることにしております。
 また、自治体における関係機関の連携についても必要不可欠でありますことから、米国同時多発テロ以降、政府としましては、都道府県に対し、市町村、警察、自衛隊、消防、医療機関及び保健所などとの情報の共有、連携等についての体制を要請し、既に全都道府県及び政令都市において所要の体制が整備されているところであります。
 さらに、具体的な事案の発生を想定した対応能力の向上を目指して、NBCテロ対処現地関係機関連携モデル、これを作成いたしまして各都道府県等及び関係機関に示しておりまして、各都道府県等におきまして地域の実情に合わせて対処体制の整備も行われているところであります。
 政府といたしましては、今後ともバイオテロを含むNBCテロに関する関係機関の連携強化に努めて、テロ対策に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
#53
○朝日俊弘君 ちょっと、総括的に説明をいただくと今のようになるのかもしれませんが、既にそれぞれの関係部署で御理解をいただいているような御説明だったと思うんですが、私は、一つは、こういう事態を想定したときの総括的な法整備の必要性ありやなしや、そのときの指揮命令系統がどういう形なのか、そして国と自治体との関係がどうなのかということについてはもっともっと、内閣官房の中でこういう議論をしております、それに各関係者に周知徹底をしておりますというだけじゃなくて、国会のレベルでもきちんと議論しなきゃいけないというふうに思っています。その中で厚生労働省がどういう役割を果たすのかということが明確になってこないと、感染症の中に一類に位置付けましたというだけでは、これは何が具体的にどう動くのかよく見えてこないということで、問題の指摘にとどめます。是非こういう課題を今後引き続き検討させていただきたいと思います。
 さて、その次に、もう時間も大分迫ってきましたから、ちょっと一括してお尋ねします。事前の説明では何項目かにわたって細かく御質問しようと思ったんですが、まとめてお答えください。
 お聞きしたいのは、今回の法改正で、例えば国が自ら積極的な疫学調査を実施することとか、あるいは都道府県知事等が行う感染動向の把握及び蔓延防止のための事務に関して大臣が必要な指示をするというように、少なくとも二つの項目について国の関与を強めるというか、という改正になっているわけですね。
 もちろん私は国が何もしなくてもいいと言うつもりは全くありませんが、そういう形を取ることによって、では、従来、都道府県あるいは都道府県知事の責任ですよ、事務ですよという位置付けていたことがどうなるのかな、全部これからは国がやるということになるのかな。とすると、都道府県がやらなければいけないという任務は減少、軽減されるのかな。もしかして、そのことで都道府県がそのための努力を怠ってはいけないな、こう思っているわけで、ここは誤解のないように、国と都道府県あるいは保健所を有する自治体との関係について二項目にわたって改正があることについて、どういう趣旨なのか、まとめてお答えください。
#54
○政府参考人(田中慶司君) まず、疫学的調査でございますけれども、これは先般のSARSのように、新たに重篤な感染症が海外で流行した場合、あるいはバイオテロを想定した対応が求められた場合など、各自治体で十分に知見が集積されていない感染症について緊急の対応が必要な場合などにおいて、国自らが職員を派遣して地方公共団体と共同で調査に当たるということでございます。
 また、緊急に必要がある場合に、知事に対して必要な指示をできるというような規定を置いておりますけれども、それは、感染症が都道府県の区域を越えまして広域で発生するおそれがあるようなそういう場合におきまして、疫学調査等の実施方法あるいは情報公開の基準などにつきまして統一的な方法を取らなければ、感染症の発生の予防、それから蔓延の防止、そういう面におきまして十分な措置が発揮できない、こういうようなことを想定して設定したものでございます。
 ということでございまして、基本的には国の緊急時における対応が強化されるということでございまして、一義的に都道府県の感染症に係ります守備範囲、これを変えるものではございません。
#55
○朝日俊弘君 結局、今年のSARSの流行のように、あるいは今先ほど議論のあったバイオテロのような場合には、確かに都道府県のレベルだけでは対応し切れないという課題があると。だから、そこは国が国としての責任できちんとやりましょう、こういう規定に変えていくということについては賛成です。
 しかし同時に、感染症というのは、まあ随分分類されている中身を見たら一杯あるように、従来、都道府県あるいは都道府県知事がちゃんとやってくださいよという責務はそれはそれでちゃんとあるわけですから、ある意味では、基本は従来の国と都道府県との関係をきちんと据えつつ、今回更に国の関与すべきところを補強したというところで理解をしておきたいと思いますが、大体そういう理解でよろしゅうございますかね。お二人、お答えは結構です。
 さて、最後に、二つほどちょっと、やや抽象的な議論になるのかもしれませんが御質問させていただいて、これは大臣にお答えいただければと思います。
 一つは、ちょっと質問を通告しておりませんでしたので改めてお受け止めいただきたいと思いますが、さっきの、今年のSARSの問題にしろ、あるいはこれから起こるかもしれないバイオテロの問題にしろ、この感染症に対する国際協力というのはどうしても要るだろうと。一方で、例えばWHOとの関係をどう強化するかという。それからもう一方では、現にこのSARSの問題でいえば、中国でそもそも発生したのではないか、それがどういう経路をたどっていったか東南アジアという形になっていったと。
 そういう意味では、例えば二国間で、日本と中国でもう少しきちんとした協力関係というのができないだろうか。つまり、そういう感染症を未然に流行を防止するための国際的協力、二国間協力も含めて、そういう必要性があるのではないかという感じを強く持っているんですが、この点についての大臣のお考えをひとつ是非お聞かせいただきたいのと、もう一点は、具体的にある診療所の先生からこういう御意見をいただきました。
 例えば、健康状態の報告を義務付けて、それに違反したら懲役か罰金だよと、こういう検疫法の改正があるんですが、そういう形で何かこう、感染の疑いのある人たちを、かえって医療機関に受診しにくいような状況、あるいは、要するに報告をしなければ罰するよという形で、かえって水面下に追いやってしまう危険性があるのではないか。
 むしろ、その先生がおっしゃるのは、感染した可能性のあるすべての人が、自ら積極的に、あるいは嫌々ながらでも何とか理解をして検査を受けよう、こういう下地を整えること、ましてや、その感染者を社会の端っこの方に追いやるような、封じ込めるようなことをしちゃいけないよということをおっしゃっているんですが、これからの感染症対策のある種基本的なプリンシプルとしてどうお考えか、この二点について大臣のお答えをいただきたいと思います。

#56
○国務大臣(坂口力君) 最初の国際協力のお話でございますが、私もここが非常に大事なところだというふうに思っております。
 ASEANプラス3、中国、韓国、日本、ASEANに加えまして、そのSARSを中心にした会合もございまして、そこに私も出席してまいりましたが、ASEANプラス3のところで、是非ともひとつそこで連携を強化をして、そしていろいろの情報を早く公開をして情報の共有を行って、そしてそこで、人の行き来があるときにお互いにチェックをするということを明確にしていこうということで、ひとつそこに、WHOはWHOでやってくれておりますけれども、WHO以外にこのASEANプラス3でひとつ事務局でも立ち上げて、そしてそこでやっていくぐらいにしようという意見がマレーシア辺りからも出ておりまして、私は、大変それはいいことだ、賛成しようというふうに言ってきたところでございまして、かなりそうしたことで、今年の一月から起こりましたこのSARSを中心にして各国ともに非常に危機感を持っておりますし、是非そういうふうにしたいというので体制を今固めているところでございます。
 一方、先ほど少しお話を申し上げましたとおり、その研究開発につきましても協力をしていこうということになりまして、申しましたとおり、香港、シンガポール、そして韓国、ベトナムと日本も協力体制に今入っているところでございます。中国とももちろん意見交換をするということにいたしているところでございます。
 それから、もう一つの方の報告の問題でございますが、ここは正直言って若干痛しかゆしのところあるんですね。余り厳しくすることが、これは適切かどうかという問題はございます。これはまあ罰則を掛けましたけれども、罰則をするのが目的ではなくて、皆さん方の発生をいかに予防をするか、そしてまた、情報をいかに提供してもらうかということが大事でございますが、守っていかなければならないのは、やはり個人情報というものに対して、個人のプライバシーをどう守っていくかということが一つは大事でございまして、そこのところには最もやはり神経を使わなければいけないというふうに思っております。
 今年も、香港からお帰りになりましたお子さんが地域の学校に行きたいと言いましたときに、なかなか行けないというような事態も起こったりもいたしましたので、その予防の問題と、それから必要以上な問題、そこらのところを明確にやはり考えていかなきゃならないというふうに一つは思っておるところでございます。
 それから、疾病の特性でありますとか普及、国民への知識といったことにつきましても、これはしっかりとやっていかなければいけないというふうに思っておるところでございます。
 御指摘いただきましたことを十分に踏まえてやっていきたいというふうに思っております。
 先ほどちょっと逃しましたけれども、韓国も含めてやっております。済みません。ちょっと落としました。
#57
○山本孝史君 山本でございます。坂口大臣には続投されましたことをお祝い申し上げますとともに、大変な激務をこなしておられますことにまず敬意を表したいというふうに思います。
 時間が短うございますが、今日は年金の問題について数点お伺いをしておきたいと思います。
 端的にお伺いいたします。法案の附則に書いてございます国庫負担二分の一への引上げでございますが、その時期についていつだと大臣は御理解しておられるのか、御答弁をいただきます。
#58
○国務大臣(坂口力君) 山本議員にはまたお世話になることになりまして、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 平成十二年度の改正法の附則におきまして、平成十六年度までの間に、安定した財源を確保し、二分の一への引上げを図る、これが附則でございますから、これが一番中心であり、このように是非お願いをしたいということを今申し上げているところでございます。
#59
○山本孝史君 財務省に、あるいは与党の中で公明党の大臣としても二分の一を十六年までにということで努力をしておられるということなんですが、これは北側政調会長が十六年から二分の一への引上げをスタートするとかということで何か段階的な引上げのようになっていますが、一応やはり一気に引き上げるということがあのときの話だったんではないかというふうに思います。大臣はその辺はどういうふうな御認識なんでしょうか。
#60
○国務大臣(坂口力君) 来年四月から一気に引き上げられることがベストでございまして、そうしなければ本当はならないというふうに思っているわけでございますが、それにはやはり安定した財源の確保ということもございますし、財源の確保ということを考えましたときに、現下の経済状況等も勘案をしていかなければならない。そうしたことを総合的に考えましたときに、四月からと書いてあるから四月からやるんだ、何とかしろというふうに言うだけでも事は進まないのではないかとも思うわけでございます。
 ベストとしてはこの四月一日からというふうに思っておりますその気持ちに変わりはございませんけれども、少なくとも筋道を付けるということを厚生労働省としても考えておりまして、万が一、これは年金というのは息の長い話でございますから、来年の四月一日からというふうには、税制の問題等もありますし、そうはなかなかいきにくい問題もあると思いますが、そのときには、少なくとも何年までにこういうふうに二分の一に引き上げるということが明確にならないといけないというふうに思っているわけでございまして、四月一日を中心にしながら、しかし諸般の事情も十分に勘案をしながら考えていきたいというふうに思っているところでございます。
#61
○山本孝史君 平成十六年までの間にですから、当然、来年の税制改正であれば、この暮れの税制改正なり来年度予算の中で当然話されなければいけないことだと思います。
 前回の平成十一年の改正のときに、当時の丹羽厚生大臣が私見ですとか個人的には上げたいがとかっておっしゃるから、私見とか個人的ではない、大臣としてあるいは政府の責任として答弁をしてくださいと、こう申し上げたことを今議事録を読み返しながら思っておりますが、私はやはり、二分の一に引上げをするという努力は、政府がどれだけのことをやってきたのかということだと思います。あのときの経済状況であれ、それからここ本当に数年の経済状況は当然見通せている話であって、その中で二分の一に引上げをするというふうに附則に書いたわけですね。あらゆる努力をしてきたのかと、こう申し上げれば、努力をしてきたとは私は全く思えません。安定した財源を確保できなければ引上げを見送ってもよいとはあれには書いてありません。少なくともあの附則は与党三党が自自公の連立政権を踏まえてお書きになって、しかも公明党さんも含めた政権の中で強行採決までされて自分たちの意思を表明された私は附則だと思っています。
 そのことを守れない、できませんと。努力しましたとは私は到底思えませんけれども、そういう状況の中で、消費税にはふたをしてしまう、じゃ後はどうするんだというと、できませんからやりません、それでは全く私は政治として、国民の政治への信頼を大きく損ねることになるのではないか。自分たちが言って強行採決までして決めたことを、それはできませんでしたからといってまた先に延ばしていくというのは、私は、政治は何も仕事をしていない、今の連立政権は何も仕事をしていないと、こうまず申し上げなければいけないと思っています。
 あのときの附則の修正案、「給付水準及び」というこの項目は公明党が連立政権にお入りになった段階で付け加わった項目だと私は思っております。
 この点に関して、坂口大臣、平成十一年十二月一日の衆議院厚生委員会で質問にお立ちになって、二分の一への引上げに併せて、基礎年金水準の見直しも大事で、現在のように生活保護者にも及ばないような基礎年金は少し問題がある、こういう御質問をされました。私も同感でございます。したがって、この「給付水準及び」というのは、基礎年金の水準は当然この二分の一の引上げに伴って見直しをしていく、それも引上げの方向で見直しをしていくという御趣旨の御質問であったと思います。そういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
#62
○国務大臣(坂口力君) そのときの気持ちは多分そうだったんだろうというふうに思っております。どういう表現をしたかということを今十分に覚えておりませんけれども、生活保護の問題と基礎年金の問題というのはやはり考えていかなけりゃならない問題であることだけは間違いないというふうに今も思っているところでございます。
 ただし、年金の問題だけを考えていきますと、これから若者たちの負担を増やしてもらわなければならないという大きなそこに制約があるわけでございまして、現在だけではなくて将来にわたる問題でございますので、その辺のところも十分に勘案しながら、今後この年金制度というものを作り上げていかなければならないというふうに思う次第でございます。
#63
○山本孝史君 申し訳ございません。坂口大臣、昭和四十七年初当選だと記憶しておりますが、それ以降ずっと公明党の中でも、あるいは新進党の中でも、そして今また公明党の中でも政策責任者としてずっとその道を歩んでこられた大臣だと私は思っております。
 その意味で、そういう気持ちで言うたんかな、どういう考えやったかなというのじゃなくて、基本的には一つの信念を持って、年金制度こうあるべきだというものを持って御答弁をされ、あるいは委員として質問をされておられるだろうと思います。あのときのいきさつとして、「給付水準及び」は公明党の主張で入ったんですから、それを代弁する形で大臣は御質問されたんだから、そこのところは、どうやったかなという、記憶にないという話はやっぱりないのじゃないか。
 これは、年金の審議は来年の通常国会で本格的にやる話ですが、お互いあのときの議論をもう一度思い起こして、どういうことだったのかということはしっかり押さえてからやりたいと思います。
 時間が短いので、少し基礎年金の話に関連して、一問先に行きますけれども、昔の質問を引っ張り出してきてそんなことばっかり聞くなと、こう怒られるかもしれませんが、昭和五十三年二月八日の衆議院予算委員会なんですけれども、なぜ昭和五十八年かと申し上げますと、昭和六十年の基礎年金改革のその前夜でございまして、基礎年金制度をどうするか、国民年金どうするかという議論をしているその直前、社会保障制度審議会が基本年金構想というものを発表して、公明党が国民基本年金構想というものを出して、そういう状況の中で大臣は御質問、当時、委員でございますが、されたんだと思いますが、年金が所得保障か生活保障か、この辺だけは決めていただいておきませんと、それも決まっておらぬというのでは一体何のために内閣があるのか分からぬということになる、こういう御質問をされておられます。年金とは何かという御質問をされたんです。
 当時の年金制度と、基礎年金制度ができてからの年金というものとは若干性格が異なってきているように私は理解をしておりますが、ここでお伺いしたいのは、国民年金、基礎年金というものに限って言えば、それは所得保障と生活保障のどちらなんでしょうか。
#64
○国務大臣(坂口力君) いろいろのことを言うてきたものですから、ここで何となくまとめて責任を取らされておる感じでございますが、確かにそういう議論ございまして、社会保障なのか生活保障なのかという議論がずっとこれは続いてきたというふうに思っております。
 そのときの答弁がどういうふうな答弁であったか十分に記憶いたしておりませんけれども、やはりどちらかといえば社会保障が中心で、しかし、そうはいうものの生活保障の側面もあるということでなかったかというふうに思っております。私も、社会保障でありますけれども生活保障的な側面も持っているというふうに現在も考えております。
#65
○山本孝史君 なぜそういうことを聞きますかといいますと、私ども党内でも、年金とは何かということについていま一度議論をして国民的な合意を得ておくということが大変重要なんではないだろうかという、根本論の指摘をする方もたくさんおられます。
 というのは、今、保険料の固定で二〇%ですとか、あるいは所得代替率が何ぼだとかというような話をしておりますのは、全部厚生年金の世界の話でございます。厚生年金は基本的には所得保障なんだろうと思います。働いているときに納めた保険料に応じて年金がもらえるということは、これは所得に応じてもらっているわけですから一定の所得保障という意味で考えることができると思いますが、基礎年金制度ができて、国民年金ではなくて、厚生年金の人たちも一階部分として国民全員が国民年金、基礎年金に加入するというシステムになった時点で、国民年金、すなわち基礎年金というものは何なんだということに、私は考え方が所得保障ではなくて生活保障と変わったんだと思うんです。
 そのときに、先ほど御指摘申し上げました「給付水準及び」という、この給付水準は当然基礎年金の給付水準という話になるわけで、今度の改正の中でこの給付水準をどう考えていくのかというときに、こちらの厚生年金の給付水準の問題も重要ですけれども、こちら側のやはり国民年金、基礎年金の給付水準をどうするかということが、大変私は大きな議論をしなければいけないんではないだろうかというふうに思っています。
 その点で、今度の厚生省がお示しになった、改革の方向性と論点でしたかしら、あの中では、五九%の所得代替率を五二%に下げる。すなわち一二%の給付の調整をするという案になっています。この案は厚生年金の一階部分も二階部分も同時に掛かることになっていて、基礎年金水準も当然給付調整の対象になっています。国民年金も給付調整の対象になっています。この考え方と、給付水準はしっかり守っていった方がいいんじゃないかと、かねて委員としてでしょうか、お考えになったところと、どういう調整をしていくのかなと。
 結論的に申し上げると、申し上げたように、給付水準は議論をこれからしていけばいいと思いますけれども、基礎年金部分にかかわる給付調整というものは、二階部分に行う給付調整とは別建てで考えた方がいいのではないかというふうに私個人的に思っているんですが、大臣、御見解いかがでございましょうか。
#66
○政府参考人(吉武民樹君) 一言だけちょっと御説明申しますと、いわゆる基礎年金に相当するところはいわゆる衣食住を中心としたところでございますけれども、これを過去のデータを取ってまいりますと、こういういわゆる基礎的消費支出というのはほぼ物価に見合った形で上昇をしております。消費支出の中でも物価より伸びておりますのは、むしろ基礎的消費支出以外の消費支出でございまして、そういう消費の伸び方の構造を見ながら検討していく必要があるだろうというふうに思っております。
#67
○山本孝史君 大臣はどういうお考えでございましょう。
#68
○国務大臣(坂口力君) 国民年金の方の話でございますが、私は、国民年金の方、様々な問題を持っている。国民年金に加入しない人が増えてきている理由の一つに、国民年金もし掛けたとしても、それで十分生活ができるわけではないというお考えの方がかなりお見えになることも私は無視してはいけないというふうに思っております。
 しかし、そうはいいますものの、これは現在だけの話ではなくて、将来少子化が進んでいったときにもそれが成り立つような形にどうしていくかということでございますから、将来のことも十分に考えて考えますと、そこには制約も起こってくる。これはまさしく、これから年末年始と申しますか、年末にかけまして主に御議論をいただかなければならない問題だというふうに思っておりますが、どういう姿形の年金制度を作り上げるかということになってくると。
 私が先般試案として出させていただきましたのは、負担と給付、どんな制度にしろ負担と給付がある、そしてそこに国庫負担というものがある。基礎年金の国庫負担二分の一というふうにした場合の負担と給付は一体どんな形かということを、そこの形を示したわけでございまして、それ以上のことを申し上げているわけではございません。したがって、年金制度そのものの姿形をどうしていくかということの今後の御議論の中でそこは決まってくるというふうに思っている次第でございます。
#69
○山本孝史君 そこもお聞きをしたかった点なんですけれども、負担と給付というときに、私は二つの側面があると思っているんです。
 それは、金額の面で、保険料の面で、あるいは給付の金額の面で負担と給付をどう考えるかということもありますが、同時に、どういう制度体系の中で負担と給付をするのか、どの人たちが負担をするのか、どの人たちに手厚く給付をするのか。とりわけ、税というものが絡んでくるこの基礎年金の国庫負担分の使い方については、やはり体系にかかわる話ですので議論はしなければいけないと思っています。
 ところが、公明党がお出しになったマニフェストの中にも、あるいはその後の議論を見ておりましても、要は、今の制度論には踏み込んでおられないと御自身もお認めになっておられるように、制度論には触れておられないんですね。ということは、現行制度を前提にその改善案にとどまっておられると私は受け止めております。
 社会保障審議会の年金部会は、現行方式の改善案と、それからいわゆるスウェーデン方式と税方式と三つを併記したわけですけれども、申し上げているように、坂口試案あるいは公明党マニフェストは現行制度の改善案にとどまっている。この先、体系論にまで踏み込んでいくのか。すなわち、体系は変えなくても年金制度は安定すると大臣はお考えになっておられるのか、そこをお聞かせください。
#70
○国務大臣(坂口力君) まさしくそこを議論をしなきゃいけないというふうに思っております。
 現在までの体制だけでスムーズに行くとは思っておりません。だから、ここはいろいろの角度から検討を加えて、改革するところは改革をしていかなければならないというふうに思っているわけであります。また、保険料として出していただきましたその財源をどのように今度は配分をするか、いわゆる所得再配分機能を持たせるのか持たせないのかということも大きな議論だというふうに思っております。
 民主党さんが少し案をお出しで、多分、山本先生が中心になってお作りになったものだろうというふうに考えておりますけれども、まだ十分にお示しいただいておりませんので、それに対していろいろ申し上げることは私も失礼かというふうに思っております。
 いわゆるスウェーデン方式でいくならば、スウェーデン方式としてその辺のところ、所得再配分どうするのか、あるいはこの負担と給付の間をどうしていくのか。一般の皆さん方でいえば、一元化ということは言っていただいていますから、そうすると、今までの自営の皆さん方あるいは農林漁業の皆さん方がそこに入られるときに、一体それは、そうすると、もういわゆる経営者としての負担もありませんから、すべて自己負担ということになりますが、そうしたところをどうしていくのかといったようなことをもう少し聞かせていただきたいなという気持ちを持っているところでございまして、いろいろの御意見を聞かせていただきながらまとめていきたい、そういうふうに思っております。
#71
○山本孝史君 御指摘いただいた点もなかなか難しいところだと思っていますが、やはり所得の捕捉ができないと、これからの財政再建も国保の運営もできませんので、所得の捕捉をやっていきたい。できればスウェーデン方式になるだろう、できないなら税方式だろうというふうに思っておりますが、自営業者の皆さん方への負担をどう考えるか。そこは、お互いがやはり所得の捕捉という問題の議論だと思っています。いずれにしても、やはり基礎年金がしっかりしないと年金は土台として安定しないだろう。
 幾つか、時間ですのでもう御指摘だけですが、一万三千三百円が一万八千百円まで上がる。しかしながら、負担は上がるけれども給付の方は、年金額は下がらないけれども実質の価値は一二%の削減をされていくということになれば、ますます、払ったらもう得にはならないという思いが広まって空洞化が広がるんではないかと思っています。
 この年金のモデルで考えたときもやはり基礎年金の夫婦それぞれの部分が大きいわけで、モデル年金上も基礎年金の占める割合の方が大きいわけですから、基礎年金が重要でなければいけない。国民年金だけで生活している人もいるわけだから、とりわけ基礎年金をしっかりしておかなければいけない。それから、ワークシェアリングが広まったり、あるいは短時間労働が常態化してきたら二階の部分はますます薄くなってくるから、その分だけ一階の部分は割合としてはそれだけ重要にならなければ現行制度上はいけないということになるんだろう。
 給付の調整は、一番難しいのは、給付調整をやると全体が給付調整の対象になりますので、高額年金者はいいんですけれども、低額年金の人はどうしても同じような割合で下がってしまうから、そこをやっぱり支えていかないとだめだとなると、それだけやはり基礎年金の在り方というのは非常に重要な議論だと思うんです。
 前回の議事録読み返していても、ずっと私、基礎年金どうするんだという質問を繰り返しやってきたんですが、それ以降のこの数年間は、政府は、やはり基礎年金を安定させる、国庫負担二分の一への引上げの努力はしない、自自公の連立政権の合意文書は破られている、そういう思いで私は見ておりますので、この年末までの間に自民党さんはしっかりマニフェストを作って年金制度は示していただきたいし、あわせて政府は、やはり総選挙がある前に年金制度はどうあるべきだという姿を示して総選挙に臨んでいただきたいということをお願いをして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#72
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 九八年の感染症法案の審議では、私どもは、新法案にハンセン病やあるいは薬害エイズの教訓が生かされていない、反省がない、あるいはその新感染症などの患者の人権尊重という点で問題があるということで反対いたしましたが、今回の改正はSARS感染対応を中心としたものであって、その範囲では賛成であります。もちろん、患者発生時には、やはりその感染の拡大防止とともに、不当な差別やプライバシーの保護、侵害がないように、あるいは非科学的な長期入院を強いることがないように万全の配慮を求めていきたいというふうに思います。あわせて、SARSの診療体制について、現状では不十分な点もあるかと思いますので、幾つかただしたいと思っています。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
 まず、疑い患者も含むSARS患者の初期診療に当たる外来診療協力医療機関、これは全国で今幾つあるんでしょうか。
#73
○政府参考人(田中慶司君) 七百五十九医療機関でございます。
#74
○小池晃君 これ、もしも国内患者発生した場合は、今は海外渡航歴というのが条件になるわけですが、国内患者発生すれば、これ、海外渡航歴なくても、発熱やせきあるいは呼吸困難感ということで疑い例になり得るわけです。患者発生地域では恐らく、不安を抱いた方が、多数の市民が医療機関に殺到するということになるんじゃないだろうか。
 その場合、やっぱりトリアージといいますか、初期の対応をする医療機関が今七百五十八、東京では二十九なんですね、これだけで対応できるんだろうか。やはり、国内発生時には協力医療機関もちろん増やしていくことということも必要だと思いますけれども、患者発生地域の医療機関に対してはやはり一定の協力を求めるような、そういう必要性も出てくるんじゃないだろうか。その辺について厚生労働省としてどのように今お考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
#75
○政府参考人(田中慶司君) SARSの疑いのあります者の初期診療につきましては、本年五月に、「外来における感染予防体制の整った医療機関で行うことが望ましい。」と、こういうふうに各都道府県知事あてに通知したところでございます。
 これを受けまして、各都道府県等におきましては、患者の受診機会が損なわれることがないよう、保健所と医療機関が一体となって地域ごとの実情に応じた体制整備を進めているところでございます。
 具体的には、初期診療を行います外来医療機関に対しまして、SARS患者とその他の患者を区分して診察等を行うために必要となるパーティション、診察台等の備品の購入、マスクやガウン等の診察に必要な消耗品の購入について財政支援を行うとともに、SARSの感染が疑われるような場合には、最寄りの保健所に電話で相談の上、その指示に従いこのような医療機関を受診していただくようにお願いしているところでございます。
 現時点では、こういう取組によりまして必要な体制が整備されているというふうに考えておりますが、今後、多数の者がSARSの感染を疑い外来に受診するような状況が出てくれば、その必要に応じまして対応あるいは体制についても検討してまいりたいというふうに考えております。
#76
○小池晃君 私は、今の対応では、本当にもし出た場合に追い付かないんではないかというふうに大変心配しておりますので、是非、ちょっとこのことを本当に真剣に具体的に検討をしていただきたいと。
 それから、SARS患者の治療を受け入れた病院の財政支援の問題をちょっとお尋ねしたいんですが、ちょっと、今、私、これ着けていますけれども、これは空気感染予防のマスクなんですね。SARS患者の治療あるいは外来診療のときにはこういうマスク着けなさいという指導をしているわけです。こういうマスクを着けて、これなかなか息苦しくなるんですけれども、それでこういうシールドをこうやってかぶるわけですよ。それで、こういうガウンを着て手袋を着けると。宇宙人みたいな格好なんですけれども、こういう費用だけで結構これは掛かるわけなんですね。マスクなんかもいろいろと種類あるんですが、全部気密性の高いものなわけです。
 これは日経メディカルという雑誌の九月号に、社会保険滋賀病院の根本正さんというお医者さんがコスト計算していまして、それによると──取りますけれども、フェースシールドとかあるいはキャップ、マスクなどのこういう道具だけで月三百万円掛かると。危険手当などの人件費出すと月二百万円掛かって、それから感染患者の入院によって患者数が減るということで、入院、外来一日平均五人減ると。ちょっと少なめだと思うんですが、そういう計算して六百万円の減収になると。それから消毒費用とかリネンの処理費などで、少なく見積もっても月一千万円必要だというような、そんなことを書かれているんですね。それ以外に、もちろん陰圧病室の整備などの設備投資も掛かるわけで、これを現在の診療報酬だけで賄えるんだろうかと。
 私は、もし国内発生して治療に当たったような病院については、やはり緊急の財政支援ということも今から考えておく、そういう検討をしておく必要があるんではないかと考えるんですが、その点はいかがお考えでしょうか。
#77
○政府参考人(田中慶司君) SARS患者が発生した場合には、各都道府県で行動計画というのを定めておりまして、各、それによりまして感染症の指定医療機関へ患者さんを受け入れるということになります。感染症の指定医療機関に対しましては、当初から、病床の管理運営に必要な水光熱料あるいは機器のメンテナンス料等の経費、医療に必要な感染防護服等の消耗機材の経費につきまして補助も行っているところでございます。
 また、SARSに対します緊急対策として、第二種の感染症指定医療機関に関しましては感染症病室、簡易陰圧装置の整備について財政支援を、これは追加的に行うこととしたところでございます。このような財政支援を行っているということでございます。
 また、風評被害の防止という意味では、国民等に関しまして、SARSに関します正しい知識、医療機関におきます感染防止体制が非常に整備されていますというようなことを啓発普及いたしますことによって、SARSに対する誤った不安などから受入れ診療機関を受診する患者さんが減少することがないように万全を期してまいりたいというふうに考えております。
#78
○小池晃君 ちょっと、今のお聞きする範囲では万全だというふうにはちょっと言えないんじゃないだろうかと。やはり国内患者発生するという事態になった場合、どういう状況になるか分からないわけですから、そういったときにその診療に当たる医療機関というのは、本当に献身的に頑張るでしょうけれども、やはり大変な負担が掛かることは間違いないというふうに思うんですね。今の範囲ではなくて、やはりいざというときのことも今からきちっと検討しておくということを私は求めたいというふうに思っております。
 それから、併せて院内感染対策の問題をお聞きしたいんですが、これは、今の診療報酬では院内感染対策は減算方式という仕組みになっています。これは、果たして技術料評価の方法としてこういうやり方が正しいのか。以前、武見理事も御質問されていましたけれども、質が高い医療をすると、それに見合って技術料が付いてくるということであれば、これは医療の質を高めるインセンティブになっていくというふうに思うんですが、一定のことを決めて、それが満たしていないからペナルティーで減算していくというのは、私は技術料の評価の在り方としては正しくないというふうに思います。
 しかも、院内感染対策はお金が掛かるわけです。これは、例えば大阪の耳原総合病院、ここはセラチア菌の感染事件があったわけですが、この教訓を踏まえて徹底的な対策今やって、国立感染症研究所からも高い評価を得ていると聞いております。ここは、医療材料費や薬剤費、諸経費などで年間六千四百万円費用が新たに掛かるようになったというふうに言っております。
 しかし、今の診療報酬では今言ったように減算で、一日患者一人当たり五十円、もしやってなければ五十円引きますというだけの話になっている。私は、これでは本当に十分な対策と言うことができるんだろうかということを大変心配するわけです。
 保険局長にお聞きしたいんですが、そもそもこういう減算方式というような診療報酬の仕組みは、やっぱり来春の診療報酬の見直し、ここで撤廃をすべきではないだろうか、それからあわせて、やはり院内感染対策が進むような診療報酬の仕組みを考えていくことが必要なのではないかと。お答え願いたいと思います。
#79
○政府参考人(辻哲夫君) まずもちまして、御指摘の院内感染対策に関してのことからお答え申し上げます。
 この減算方式は、言わば当該保険医療機関におきまして、病院長や看護部長等で構成される院内感染対策委員会が月一回程度定期的に開催されていること、あるいは各病室に水道又は乾速式手洗い液等の消毒液が設置されていること、こういった要件を満たさない医療機関につきましては、御指摘のように、入院基本料から一定額、一日五点を減額するということになっております。
   〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
 これは、御案内のとおり、加算から減算に変わったわけでございますが、この考え方といたしましては、確かに技術料という見方あろうかと存じますが、この程度の措置はやはり医療機関の安全確保の観点から当然取ることが基本だという考え方の下で、それを基本にして、しかも、加算点数を入院基本料に包括をいたしました上で減算にしたということで、そのようなことから、こういう措置がむしろ当然取ることが基本だという観点から減算方式というものが妥当だと考えております。
 ただ、技術料との関係で、減算につきましては、方式というものについて様々な議論が行われているということも今承知しておりますので、この点につきましてはこれから十分中医協等で御議論いただくものと考えております。
#80
○小池晃君 私は撤廃すべきだと思います。やらなければ五十円減算されるということは、これはやることが五十円の価値というふうに思われても仕方ないわけで、これはいろいろ理屈をおっしゃいましたけれども、院内感染対策に対してやはり診療報酬上しっかりこれを裏付けするようなものを作っていくということを求めたいと思うんです。
 あわせて、診療報酬にかかわる問題ですが、肝臓がんのちょっと問題なんですけれども、ラジオ波の焼灼療法という治療があります。これは、肝がんの死亡患者数、今、年間三万四千人で、肝臓がんというのは、これはなかなか外科的治療の対応にならないのが二割か三割いるという中で、非外科的な治療というのは非常に重要になってきている。ラジオ波の治療というのが四年ほど前から始まって、これは一・五ミリほどの電極をがんに差し込むと三センチほどの範囲で完全に壊死させるということで、非常に効果が高いと言われている。東大病院ではこの間千二百例以上を治療しているんですが、再発率は一・七%だと言われています。合併症五・八%だけれども、いずれも内科的に治癒していると。入院日数も十四日ということで、手術よりも短い。
 これは、今、高度先進医療ということで認定されているのは全国で三つの大学だけなんですね。ところが、非常に効果があるということで、それ以外の病院でも今非常に広く行われるようになってきている。ところが、指定病院以外、この三つの病院以外の場合は、治療を受ける場合は、大学が研究費で全額負担する、あるいはその病院が全部負担する、あるいは患者さんに全額自己負担させる、こういう仕組みになっておりまして、これだけかなり成果が明らかになり普及されてきている治療が保険で使えないというのは大変問題ではないだろうか。
 私、この問題について速やかに保険適用すべきだというふうに考えているんですが、この点いかがでしょうか。
#81
○政府参考人(辻哲夫君) 御指摘の肝がんに対するラジオ波焼灼療法でございますけれども、これにつきましては、現在、医療保険制度上、平成十三年三月に特定療養費制度である高度先進医療として承認されておりまして、御指摘のように今三病院で承認されているわけでございます。
 この高度先進医療から保険適用への移行につきましては、この一般手続を申しますと、その普及性あるいは技術的成熟度などを勘案いたしました上で、中央社会保険医療協議会での御議論を踏まえて診療報酬改定時に検討すると、こういう手続、取扱いとなっております。
 今御指摘のラジオ波焼灼療法につきましては、各方面からの要望もあると承知いたしておりまして、今申しましたような手続、取扱いの中で今後御論議いただけるものと考えております。
#82
○小池晃君 これは入院期間短いといった経済的メリットもあるわけですから、是非ともこれ保険適用するということを求めたいというふうに思います。
 続いて年金の問題をお聞きしたいんですが、国民年金の保険料の納付率が昨年度急速に、急激に低下いたしました。その原因であります。もちろん景気の問題といった大きな問題もあるんですが、お聞きしたいのは、昨年度、国民年金の申請全額免除者が二〇〇一年度よりも大幅に減少しているので、これは一体何人減ったのか、なぜこんなに減ったのかと。お答え願いたいと思います。
#83
○政府参考人(薄井康紀君) お尋ねの国民年金の平成十四年度末におきます申請全額免除者数でございますけれども、百四十四万人でございまして、前年度末の二百七十七万人と比べますと百三十三万人減少いたしております。
 その理由でございますけれども、平成十四年度から従来の申請全額免除に加えまして新たに申請半額免除制度を導入したわけでございますが、その際、全額免除対象者と半額免除対象者を明確に区分する必要があるということから、免除の判定につきましては原則として前年の所得に基づいて行うことといたしまして、いわゆる特例免除につきましては天災、失業等の事由に限定したことが大きく影響しているものと考えております。
#84
○小池晃君 これは、昨年の厚労省の見込みでは全額免除から外れる人は五十万人というふうに予測されていたんですね。実際には百三十三万人、二倍以上この全額免除から外れてしまった。この全額免除から外れた人の保険料の納付率というのが一四・五%ということで、極めて低いわけです。これが国民年金全体の納付率を昨年度急激に低下させた最大の原因ということでよろしいんですね。
#85
○政府参考人(薄井康紀君) 平成十四年度の国民年金の納付状況でございますけれども、納付月数自体は前年度と同程度でございましたけれども、納付対象月数が前年度より一割強増えたということから、納付率といたしましては七〇・九%から六二・八%と、八・一ポイント低下したわけでございます。
 今御指摘ございましたように、この背景といたしましては、厳しい経済情勢あるいは保険料収納事務の国への移管に伴います実務上の対応の問題などもございますけれども、免除制度の改正の影響というのもございます。免除制度改正等によりまして申請全額免除から外れた方の平成十四年度納付率、今お話しございましたように一四・五%という数字でございまして、私どもとしましては、このことが納付率の低下要因の約五割、低下幅八・一ポイントのうちの四・一ポイントを占めていると、こういうふうに分析をしているところでございます。
#86
○小池晃君 要するに、納付率低下の半分がこれが原因なわけですよ。
 私、昨年四月この委員会で、免除基準の改悪、先ほど言われたような基準の見直しというのは、支払能力のない人に全額納付を強いることになってしまう、やはり事情に応じて全額免除を受けられるようにしておくべきだというふうに私申し上げたんですが、当時の年金局長は合理的な措置だというふうに答弁されたんです。
 私、お聞きしたいのは、その結果、五十万人と予測されていたのが百三十万人もの免除を受けられない人が出てしまって、そうした人たちの納付率が低いことが国民年金の納付率を全体として大きく引き下げる原因になった。年金局長、今でもこの免除基準の改悪、私は改悪だと思いますが、これは合理的なものだと今でもおっしゃるんですか。
#87
○政府参考人(吉武民樹君) 今回の免除基準の改正といいますか、一番基本にございますのは、全額免除に加えまして半額免除という仕組みを作ったという形、それに伴いまして、基本的には所得によってこの基準を明確化しようということでございます。
 それで、確かにトータルでは減っておるわけでございますが、元々申請全額免除で、住民税非課税の方が基本的に申請全額免除の方ですが、この方たちは百三十九万から百三十万人ということで余り変わりはございません。それから、住民税非課税から所得税課税までの方の一部の方が申請全額免除は行われたわけですが、この方たちは十七万人でございまして、今回の申請半額免除の方は三十四万人でございます。この方たちの所得の幅はほぼ一緒でございまして、今回、申請半額免除、若干これが上がってきております。したがいまして、そういう分野では余り変わりがないということで、できるだけこの基準を明確化、公平化しようということは達成ができているというふうに思っております。
 ただ、最大の問題は特例免除という方でございまして、この方々につきましては、これまで個別の事由、保険料を納付することが著しく困難であるということで、個別で判断をして免除を適用するということを行っておったわけですが、この分野につきましても事由をできるだけ明確化しまして、天災あるいは失業という割と客観的に把握できるような事由で個別に判断させていただこうといたしております。
 この分野の違いは非常に大きいということでございますが、これはある意味で基準の明確化から出てくる分野でもございます。ただ、天災あるいは失業だけで限定すべきかどうかという問題はございますので、この点は私ども今後とも検討してまいりたいというふうに思っております。
#88
○小池晃君 長々とおっしゃいましたけれども、そのいろんな事情でということを外したことによって百万人、その分野で減ってしまったわけですよ。これやっぱり事情に応じて、本当に例えば商売が立ち行かなくなって収入が激減したとかそういった人たち、これがはじかれてしまって、そしてそういった人たちは全額納付で保険料を払えなくて大変になっているわけですから、私はこれを今でも弁解するというのは本当に理解し難い、大変問題だと。
 これ、全額免除でなくなった人、百三十三万人のうち、半額免除に移った人は二十一万人です。全額納付の対象者百十二万人の納付率一四・五%ですから、この中で保険料を払っていない人、およそ百万人ぐらいいるのかなと。それから、半額納付になった人でも、二十一万人の納付率三六・四%ですから、この分野でも半額でも払えないという人、約十万人いると。恐らく今回の制度で百万人以上、約百十万人の方が保険料を払わなくなったというふうにも言えるわけで、これ、将来の無年金者を大量に生み出したということになるんじゃないだろうかと。
 大臣、お伺いしたいんですが、私は、こういう画一的な免除基準、これを押し付けたことによって厚労省が予想した以上に、これは冷厳な事実ですよ、はっきりと減ってしまったわけですから。そして、さっき半額免除ができたと言うけれども、半額免除は、これ厚労省は予想は百四十四万人受けるだろうと予想していたのが、これわずか三十四万人しか受けていないんですね。
 だから、こういった事態、私は本当に保険料全体の納付率を引き下げた、はっきり言ってここは、これはやり方まずかったと私は思うんです。これはもう見直すというふうにすべきだと、大臣、思うんですが、大臣、いかがですか。
#89
○国務大臣(坂口力君) 年金の問題は、先ほどから山本議員からも出ておりますように、今後様々な角度から検討していかなければならないというふうに思っております。お支払をいただきます国民年金の皆さん方につきましても、能力に応じてどうお支払をいただくかということも、もちろん大局的立場から検討していかなければならないというふうに思っております。
 一つは、免除基準を明確にして公平な保険料の負担というものを求めるというのが一番の中心でなけりゃならないというふうに思っておりますし、それから、免除の仕方も、多段階な免除の仕方というのは私はあっていいんだろうというふうに思っています。オール・オア・ナッシングではない。そして、二分の一だけでいいかという問題も、私はあるだろう。社会保障であります限り、やはり何らかの御負担はしていただく、そして参加をしていただくということが私は大事だというふうに思っております。そうした意味からいきまして、多段階な免除の導入等も含めながら今後検討をしてまいりたいというふうに思っております。
#90
○小池晃君 その見直しの中には、免除基準の見直しということも含まれるというふうに理解してよろしいんですね。イエスかノーかでお答えいただきたいと思います。
#91
○国務大臣(坂口力君) ですから、そうした総体的な見直しをするということを申し上げているわけでありまして、個別的なことを今申し上げたわけではございません。全体としてしかし見直しをしていくということを申し上げているわけです。
#92
○小池晃君 厚労省が出している収納対策の中にも、こういう事態を踏まえて免除基準の見直しと入っているんですから、それははっきり言っていただきたいと。
 これはやはり、こういうやり方で本当に百万人もの人が払えなくなった。結局、半額免除を受けた人も予想を大幅に下回ったということは、半額であっても払えないというのが、私、今の国民の生活実態なんだと。ここをしっかり見るべきだと。免除基準は改悪前に戻すと、このことを強く求めておきたいと思います。
 引き続いてサービス残業の問題をお聞きしたいんですが、これ非常に今激増していると言われています。大手サラ金の武富士が三十五億円、中部電力が九億三千万円是正された。個別企業の実態も明らかになってきています。
 昨年の是正勧告の総数と解決件数、対象労働者数、未払金額の是正金額、これを明らかにしていただきたい。
#93
○政府参考人(大石明君) 平成十四年におきますところの定期監督等の実施事業場数、十三万一千八百事業場でございましたけれども、このうち労働基準法三十七条違反のところ、一万七千七十七事業場となっております。これにつきまして、現在、改善されるまで指導しているところでございます。
 今具体的な人数等についての御質問もございましたけれども、これについては把握しておりません。
#94
○小池晃君 この間、各労働局は個別にいろいろ発表してきているわけですね。私は、各労働局任せではなくて、厚生労働省として、全国でどれだけ是正支払したのか、企業数、対象労働者数あるいはその是正の金額というのは、これ公表すべきだと。やはりサービス残業を根絶するという政策を進めるのであれば、これしっかり公表するべきだと思うんですが、この点いかがですか。
#95
○政府参考人(大石明君) その点につきましては、昨年も、平成十三年四月から平成十四年九月までの一年半のものにつきまして昨年の十二月に整理して公表させていただきましたが、現在、その後の状況につきましては取りまとめを行うべく準備を進めているところでございます。
#96
○小池晃君 それから、来年度の概算要求ではフリーダイヤルの設置というのが計上されている。これ臨時に専門の担当者を配置するとしているんですが、これは来年度を待たずに直ちにやるべきことではないかなと私は思うんです。それから、その担当者については臨時ではなくて監督官増員して、やはり根絶までしっかりやると、すべきではないかと思いますが、この点いかがですか。
#97
○政府参考人(大石明君) 賃金不払残業対策につきましては、本年五月に総合対策要綱というものを策定したところでございますので、現在、その要綱に基づいて本格的に対策を実施していると、こういう段階でございます。
 今御指摘のありましたアドバイザー、確かに概算要求の中に入れているところでございます。来年につきましては更に一段と進めてまいりたいというふうに思っておりますけれども、本年度中にというのはなかなか、予算上の問題等なかなか難しい問題等もあろうかと思います。
 また、いわゆる監督指導体制の問題ということでございますけれども、これにつきましても、きちっとした指導ができるような体制の整備というのは労働基準行政としても非常に重要な課題でございます。そうした姿勢で今後とも臨んでいくところでございます。
#98
○小池晃君 引き続いて、厚労省の直接の雇用責任を持っている国立病院の職場の問題をお聞きしたいんですが、このサービス残業の実態、大変なんですね。
 これ、国立病院の労働組合である全医労の調査では、国立医療センターでは超過勤務をしながら申請していない人が七割いるとか、がんセンターでは超過勤務二時間以上付けちゃ駄目と言われていたりとか、国府台病院では月五時間までと言われていると。何でこんなに残業が多いのかと聞かれたら、それ以後付けていないという人もいるとか、国立南横浜病院では五十人の看護師が平均七十三分毎日残業しているけれども超過勤務申告は一人もないとか、こういう実態が明らかになっている。
 厚生労働省として国立病院の職場における労働時間の実態はどのように把握をされているんでしょうか。
#99
○政府参考人(冨岡悟君) 国立病院・療養所におきましては、超過勤務の把握につきましては、勤務時間の適正な管理という観点から、業務上超過勤務が必要な場合には管理者等が事前に超過勤務命令を発し、また、管理者が不在で超過勤務を命令できない場合は、事後に確認、命令を行うことといたしておりまして、こういうふうに厳格に確認した上で超過勤務を行っているところでございます。
#100
○小池晃君 実態調査をしているんですかと、調査結果を持っているんだったら言ってくださいと言っているんです。
#101
○政府参考人(冨岡悟君) 平成十四年度におきます国立病院等の平均超過勤務時間は、一人当たり月平均八・四時間となっております。
#102
○小池晃君 これ、一日平均二十五分ということになるんですけれども、実態はもっと長時間のサービス残業がはびこっているというふうに思うんです。
 国立滋賀病院では、これは実際に行った超過勤務手当を再三にわたって請求したけれども支払われないということで、看護師さんが行政措置要求を今しております。先ほど言ったように、全医労の調査では、多くの国立病院で二時間以上の超過勤務者が四割から五割、多いところでは六割と。それなのに、超過勤務申告は一人もなしという南横浜病院の例などもあると。
 これ、厚労省が最近作ったリーフレットなんですね。サービス残業をなくしましょうと。ここでは何て書いてあるかというと、使用者が労働時間をきっちり把握するための努力しなければいけないとか、あるいは自己申告の場合でも、会社が適当な時期に実態を調査するとか工夫して、きちっと労働時間の把握ができるよう努力していくことが必要だと言っているんです。
 国立病院というのは、これ厚生労働省が使用者なんですから、企業に対してはこういう指導をしておいて、そして自らが雇用責任を持っている職場ではダブルスタンダードでやっているというのでは、これは駄目だと思うんですね。私は、これ直ちにサービス残業の実態調査をすべきだと、企業に対して言っているように実態調査をすべきだと、そして、タイムカードの導入などを始めとして、適正な労働時間管理をやはり国立病院でしていくべきだと、直ちに是正すべきだと思いますが、いかがですか。
#103
○政府参考人(冨岡悟君) 先ほどお答えいたしましたように、私どもにおきましては、超過勤務をしていただく場合には、管理者におきまして命令を発しまして、また、終了の確認をすると、そのような手続を取って厳正に管理しているところでございます。
 そういった正確な手続を取りましてこういった時間管理をしているところでございまして、申し上げますと、制度としてきっちりした対応を取っているものでございます。
#104
○小池晃君 実態としてそうじゃないという実態が出てきているわけですからちゃんと調べなさいと言っているんです。企業に対してはちゃんとそういったものを守れと、調査もしなさいと言いながら、自分たちが雇用責任を持っている国立病院ではちゃんとやっているから調査する必要ないというのは、私は本当にふざけていると思うんですね。この点で本当に厚労省の責任問われているということを申し上げたい。
 それから、時間がないので、もうちょっとやりたいんですが、賃金職員の問題をお聞きしたいんです。
 これだけサービス残業がはびこっている、あるいは過酷な長時間労働が行われている、過労死裁判まで国立病院は起こっているわけです。そういう中で、七千五百人の賃金職員の身分が宙ぶらりんになっている。これ、一体どうなるのかという不安が今広がっているわけですね。私は、一刻も早く雇用の保障、これを明らかにして、安心して仕事ができる環境を作るのは、私は使用者の責務だというふうに思うんです。これ、四月一日に引き継ぐまでは、職員の雇用問題などの権限は現時点では厚生労働大臣にあるわけです。
 私は、大臣にお伺いしたいんですが、理事長予定者決まりました。これ、四月になるまで使用者としての権限ないわけです。現時点で雇用しているのは厚生労働大臣なんですから。しかも厚生労働省です。雇用を守り拡大すべき立場にあるわけです。そういう責務をやはり私は、現時点で大臣が職責を懸けて賃金職員の雇用の確保というのを新法人に頼む、引き継ぐ、このことが求められているんじゃないかと思いますが、大臣いかがですか。
#105
○国務大臣(坂口力君) 新しく独立行政法人の理事長になっていただく方が決まりました。これから、この理事長予定者を中心にしまして、現在の国立病院、来年の四月から独立行政法人になります全国の病院の在り方というものについていろいろとこれから御議論をいただきたいというふうに思っております。思う存分ひとつやってくださいということをお願いをしているところでございまして、過去から引き継いでまいりました問題で整理をしなければならないところは整理をしていかなければならないというふうに思っております。
 その権限は来年の三月一杯までは厚生労働省にあるわけでございますが、しかし予定者も決まったことでございまして、四月一日からどのような形でやっていくかということの思いを聞かせていただきながら、そして私も決定をしていきたいというふうに思っているところでございます。
 賃金職員のお話が出ましたが、これは賃金職員というのはまさしく中途半端な制度と申しますか、正規職員でもないし、パートでもないし、だれが考えたのかよく分かりませんけれども、非常に私は、その御本人の立場としても中途半端だと思うんです。これは、賃金職員という制度は正式にあるわけでもありませんしいたしますから、それはやはりなくするということにしなければならないんだろうというふうに私は思っております。
 その中で、もちろん正規の職員になられる方もございましょう。また、しかしそこには枠があるわけでございますから、その中では他に職を求めていただく方もございましょうし、そこはいろいろだろうというふうに思っておりますが、採用できる人は採用するというふうな形にしないと、どちらも付かずのそういう立場というものを今後独立行政法人につきましても守っていくということは良くない、そういうふうに思っております。
#106
○小池晃君 中途半端とおっしゃるけれども、そういう中途半端な地位に置いたのは厚生労働省じゃありませんか。厚生労働省が、実際には医療活動に必要な人でありながら、総定員法の枠に入らないからといって賃金職員という正に大変中途半端な位置に置いてきた責任があるわけですよ。何か自然災害でできたような、そういう無責任な言い方しないでいただきたい。
 私は、現時点ではあなた責任者なわけです。厚生労働大臣が責任者なわけです。定員内職員と同じ仕事をされてきた。しかし、賃金職員という正に本当に不安定な、劣悪な身分に置いてきた。これ、厚生労働省の責任なんです。解決する、なくさなきゃいけないというのであれば、私は、新法人に対して、こういう中途半端なことやってまいりましたと、この人たちに大変迷惑を掛けてまいりましたと、全部まとめて是非これは雇用を継続していただきたいと、これが責任じゃないですか。
 しかも、今雇用の問題これだけ深刻になっている中、厚生労働省は雇用を拡大するというそういう使命を負ったそういう省庁じゃないですか。その省庁の長がこれ、今引き継がなくても構わない、首切られる人が出ても構わないと、そんなことをおっしゃるんですか。私は、これ重大だと思いますよ。
 私は、責任を持って引き継ぐと、一人もこの問題で雇用を失わせない、このことを確約するのが私厚生労働大臣としての責務であると、雇用を守るというのであれば、きちっとやっていただきたい。大臣、いかがですか。
#107
○国務大臣(坂口力君) それはできませんね。これから独立行政法人にするわけでありまして、それぞれの病院が今後どういうふうな将来設計を持ってやっていくかということを決めてもらわなければなりません。現在の体制の中でやっていけるのか、あるいはもう少し拡大をしなければならないのか、あるいは、既に今までは拡大をしてきたけれども、もう少しこの病院は縮小をしていかなければならないのか、そうしたことは、それぞれの病院で将来設計、どこ、何を中心にしてやっていくのかといったようなことも含めて検討をしていただかなければならないわけであります。
 ですから、そこでそれはおのずから決まってくることでございまして、そうした将来設計と併せてこれは決定しなければならないわけでございますから、そこを新理事長の方とよく御相談を申し上げて、そしてまた各地域の、それは院長先生始め事務長さん等にも御相談を申し上げて、将来どういう形の病院形成をしていくかということとセットでそれは考えなければならないものというふうに思っております。
#108
○小池晃君 大臣の話にすっぽり抜け落ちているのは今までの責任なんですよ。先ほどから中途半端だとおっしゃいますけれども、大臣、こういう中途半端な状態に置いてきたその責任は厚生労働省にあった。これは間違いなくそうじゃないですか。そのことについてお答えいただきたい。
#109
○国務大臣(坂口力君) これは厚生労働省が今までやってきたことでありますから、そういういささか中途半端な存在を許していたということは厚生労働省の責任かもしれません。しかし、そういうことをそういう形にしてきたのは、それぞれの病院においていろいろの合意があって私はやってきたとも思っております。
 したがって、その辺のところは、だからそういうことは今後はやめようということになるというのは当然の成り行き、気付いたときに過ちがあればそれは直していくということだろうと思います。だから、そこにお入りになっている皆さん方が、それじゃ全部それをお雇いできるかどうかというのは、そこの病院が今後どういう体制でやっていくかということの将来像と関係をしてくるということを私は申し上げているわけであります。
#110
○小池晃君 全く無責任だと私は思います。雇用を守るという厚生労働省の仕事と照らして、自分たちが直接雇用をしている国立病院の職員の雇用と労働条件の問題、先ほどから議論しているようにサービス残業の問題についてもまともに実態調査もしようとしない、そして賃金職員の問題については首切りを公言するような発言までする。
 私は、これでは雇用を守る厚生労働省としての責任を果たしたことにならないということを申し上げて、私、質問を終わります。
#111
○大脇雅子君 SARSの対策関連法改正についてお尋ねをいたします。
 今回、媒介動物の輸入規制の対策につきまして、輸入規制の対象を取り得る改正案が提案されております。大量の動物の輸入がなされている日本の現状からいたしますと、専門的に輸入販売に従事する専門業者にとどまらず、インターネットなどで個人的輸入をする場合も当然規制の対象にしないとその効果が減殺されると考えられます。どのように対処されるのでしょうか。
 とりわけ、今回は、動物等に関連をいたしまして、魚類、爬虫類、昆虫類等、我が国でたくさんインターネットその他個人的輸入を含めて行われているそうしたものが入っていませんが、輸入届出制との関連を含めて有効性の確保ということができるのでしょうか。
#112
○政府参考人(田中慶司君) お答え申し上げます。
 今般新たに創設します動物の輸入届制度は、専門家のリスク評価に基づきまして、人に感染症を媒介するおそれのある鳥類と哺乳類につきまして輸入者に届出を課すとともに、輸出国政府の発行します衛生証明書の添付を義務付けまして安全の確保を図ることといたしております。
 輸入届出につきましては、専門的に輸入販売に従事する専門業者のみならず、個人が動物を輸入する場合におきましても届出を課すことといたしております。例えば、インターネットなどを介して動物を輸入する個人に対しましても同様に届出が課せられるものでございます。
 この届出制度の導入によりまして、現在実施しております、感染症を媒介するおそれの高い動物の輸入禁止制度及び動物検疫制度と併せまして、一層の輸入動物の公衆衛生対策の確保に努めてまいりたいと存じます。
#113
○大脇雅子君 感染症法第六十七条以下、検疫法第三十五条以下で罰則規定が設けられまして実効性確保が期されております。例えば、虚偽の答弁が発覚した場合でも、感染者が既に広域にわたって行動していた場合には非常に手後れになっているはずであります。SARSの潜伏期間が経過するまで、人権に配慮しながら自主的協力を求める対策等も必要だと考えますが、いかがでしょうか。
#114
○政府参考人(田中慶司君) 先般のSARSへの一連の対応では、SARSに関します知見が不十分であったことから、伝播地域、伝播確認地域から帰国した者に対しましては、十日間できるだけ外出を控えるように要請をしてまいりました。しかし、それ以降、現時点までの知見によりますと、SARSは発症しなければ人への感染のおそれはないとされていること等から、無用な混乱を招かないよう、また不要な不信、不安からの差別を防ぐ観点からも、一律に自宅待機を求めるようなことは現在のところ考えておりません。
 一方、入国時には発症していないものの、SARSに感染したリスクの高い者につきましては、万一の発症の場合に速やかに対応することが必要であることから、今回の改正では、これらの方に対しまして入国後の一定期間健康状態について報告を義務付けているところでございます。あわせて、この対象とならない者につきましても、一般的な要請といたしまして、入国後に健康状態に異状を生じた場合には検疫所や保健所に御連絡をいただくように求めてまいりたいというふうに考えております。
 今後とも、人権に十分配慮しつつ、必要かつ最小限の対策を講じてまいりたいと考えております。
#115
○大脇雅子君 旧日本軍による、中国に遺棄された化学兵器について、被災した人に対する人道支援についてお尋ねをしたいと思います。
 去る九月二十九日、東京地方裁判所で判決が出されました。そして、その判決によりますと、中国における遺棄化学兵器の遺棄地点や遺棄の状況等、情報提供を早期にしておれば予防できたのではないかといって国の責任を認めているわけであります。さらに、チチハルの八月四日の事件では、ドラム缶に保存されていた旧日本軍のいわゆる毒ガスが住民の人たちを殺傷したということでありまして、一人死亡しております。
 私は、九五年、ハルバ嶺に、二百万発ないしは正確な調査によれば八十万発と言われております遺棄化学兵器が埋蔵されたところに行き、そしてその被害者の方ともお目に掛かったことがございます。今回の事件で、小泉首相も誠実に対応するというふうにバリ島のASEANの会議で言われております。
 私は二点外務省の方にお尋ねしたいのですが、被災した人に対する治療の援助ということが必要でないかと思います。
 外務省の局長においでいただきましたのは、どこも管轄する場所がなくて外務省であるというふうに言われた結果、被災した人に対する治療の援助システムというのが必要ではないか、これは厚生労働省の管轄なのではないかというふうに私また思うわけです。というのは、大久野島に、毒ガス島がありまして、そこで約、労働者六千人ぐらいが働いておりました人たちの後遺症を、広島大学の山木戸教授が中心になってずっと今までの知見を重ねておられるわけです。
 私が九五年に行ったときに、この知見を中国と交流をして、そうした被災した人に対する治療の援助システムを作るのが日中の友好のために必要じゃないかと申しましたら、中国の方も処理、そのときはまだ処理処理ということで、早く処理をしろということで、ちょっと政治的な協議の課題には上らずに今日まで来てあの判決になったということでございますので、外務省の立場からしたら、この被災した人に対する治療の援助というものはどういうシステムで行われるのがいいというふうに考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#116
○政府参考人(薮中三十二君) お答え申し上げます。
 今委員御指摘のとおり、正にこの旧日本軍の遺棄化学兵器による被害が生じたわけでございますけれども、これにつきましては、従来から、委員御承知のとおり、中国側とは化学兵器禁止条約に基づいてこの遺棄化学兵器をできるだけ早く処理しようということで、非常に緊密な協力をしてきているのは委員御承知のとおりでございます。
 今回のチチハルの事故でございますけれども、これにつきましても、正に今委員御指摘のとおり医療的な側面もございます。そうしたことで、政府としては直ちに、まず事故の処理、これに迅速に協力しようと、そして医療的な側面も含めてということでチームを三つ送りました。一つは、事実関係のための調査チーム、そして事故原因となったドラム缶の仮梱包のチーム、さらに医療専門家のチームを派遣したところでございます。この医療専門家の派遣によって、日本側の持っている知見、そして中国側、この事故に当たっての対応に当たって、これは中国側も非常に高く評価してくれているということはございます。
 今後でございますけれども、正に本件、ドラム缶の本格梱包、保管庫への移動等、最終的処理もございます。そしてまた、この事故、本件の事故、今御指摘のとおり死傷者が出ておるわけでございまして、そうした非常に残念な状況に対応するために、現在、中国政府との間で協議を進めております。そして、これを早急に、緊密な協力の下、早急にこれを解決しようということ、誠実に対応するということでございまして、来週にも改めて実務レベルの協議がございますけれども、早急な解決を図りたいというふうに考えているところでございます。
#117
○大脇雅子君 医療専門家チームを派遣されたということですが、これは、大久野島における、我が国における言わば悲惨な一つの毒ガスの作業被害というか、職場を毒ガス作製にした労働者の人たちの、そうした人たちの治療に携わっているお医者さんなどを含んでいるのでしょうか。どういう形で派遣されたのでしょうか。
#118
○政府参考人(薮中三十二君) これは、事故が起きまして、直ちに中国側とも連絡を取っておりましたところ、日本側で毒ガスの事故についての知見があるお医者さんがおられれば是非送っていただきたいと、我々の方からも申し出たわけでございますけれども、先方からもそういう前向きな対応がございまして、それで、毒ガスのこういう事故についての非常に知見を持っておられる先生ということで探しまして、それで、この方であればということで、北里大学の先生でございますけれども、行っていただいたわけでございます。
#119
○大脇雅子君 その本当の知見というのは実は広島大学の治療の中にあるんだということを指摘させていただいて、是非そこの知見を中国とのそうした要請にこたえていただきたいというふうに思います。
 さらに、もう一つ判決で指摘しておりますのは、ともかく早期処理のほか、予防するには遺棄の地点とか遺棄の状況というものについての情報をできるだけ早く知らせるべきだということが指摘されております。九五年に私が調査に行きまして、その当時村山内閣であったのですが、そこで一緒に行った大学の先生たちと提言をいたしまして、国内外の文書とかあるいは実際に毒ガスを放棄した人たちの名簿やヒアリングをするべきだということを提言いたしまして、その後、政府の方、余り対応がないので、行きました仲間の人で防衛庁の書類を捜したり、本当あの当時、松花江に遺棄をした様々な兵士のヒアリングなど細々としたわけですが、しかしこれは実は厚生労働省にあるそういう軍人の名簿というものから大々的なヒアリングのシステムを作らないと、そうした資料というのは出てこないだろうと。
 もう既に何十年かたって放棄されておりますが、私どもの調査によると、防衛庁の三九年、四一年はあるんだけれども、本当は砲弾はたくさん送られたのはさらに四二、四三年、四四年、やっぱりソ満国境、当時のどこに配置されたかということの文書が出てこない。本当にあるのかないのかということもはっきりしないわけですので、外務省としては、こうした遺棄地点や遺棄の状況というものに関する調査というのは今後どのような方式でやっていかれるのか。
 私は、厚生労働大臣もいらっしゃいまして、そうした戦後の名簿類、その他の資料は厚生省が把握しているわけですから、是非協力してそうした作業を進めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#120
○政府参考人(薮中三十二君) 今委員御指摘のとおり、そういう情報というのがあれば、そしてどこにどういう遺棄化学の兵器が遺棄されてきたのかということがはっきりすればより作業は簡単なわけでございまして、そこは我々としても、そういう情報がないのかということで、一方においては作業をしてきておりますけれども、これはなかなかない、なかなか見当たらないわけでございます。
 そして、今、先ほど委員御指摘のとおり、中国側ととにかくこれを処理しなければいけないということで相当に大規模な調査を現地で行い、そしてその作業を行ってきているということがございまして、我々としては、当然のことながら、これは遺棄化学兵器、化学兵器禁止条約に基づく我々の義務でもございますし、中国側と引き続き誠実に対応しながら、協力してこの処理に当たっていきたいというふうに考えております。
#121
○大脇雅子君 私どもが細々と民間の人たちと手を携えてやってきた調査からすると、もうこれは国が、厚生労働省の持っている、中国の、砲弾を配置されたところにいた部隊の人たちに連絡を取って、生存者にヒアリングをすることと、防衛庁の資料というものを、外務省、内閣府の指示もあって大々的に捜し出すと、この二つの点が私はこの事実のヒアリングに不可欠だと思うんです。
 だから、再度お尋ねをしたいのですが、そうしたところで、今は内閣府にあるのは処理室でありまして、処理の早期処理というのは必要なことですけれども、こうしたいわゆる予防措置のための、遺棄の地点と遺棄の状況について是非行動を起こしていただきたいと思いまして、厚生労働大臣と、それからもう一度局長にお尋ねをしたいと思います。

#122
○国務大臣(坂口力君) 今朝も総理がおっしゃったこと、ニュースで流れておりまして、そのときにも思ったわけでございますが、治療の問題もございましょうし、そういう情報の問題もございましょう。治療の問題は、かかわった人もおみえだということでございますから、それはある程度の経験を積み重ねてきている人がおみえであればそうした人の御協力をしていただく。情報の方は、これどこまでそれは分かるか、これはもうやってみないと分かりませんけれども、厚生労働省といたしましても、決して傍観をするのではなくて、積極的に参加をして解決に努力をしたい、そういうふうに思っております。
#123
○政府参考人(薮中三十二君) 正に外務省としましても内閣府と協力しながら今までの作業をやってきておるわけでございますけれども、その流れの中で我々としても一層この問題に努力してまいりたいというふうに思っております。
#124
○大脇雅子君 これは今政府の方にお答えを求めましても非常に難しい問題かと思いますが、これは日中友好条約で中国側が請求権を放棄しているので補償とか賠償はできないという政府答弁がずっと今まで私も外交委員会などで質問したときに行われてきました。
 しかし、これは戦後発生したものであり、日本側が一億円を提示したけれども、今、政府側は見舞金では受け取らないと言って、この一億円が受け取られていないということで、これから補償責任、国の賠償責任という大きな戦後補償の課題というものがテーマに上がってくると思うのですが、一億円を今どのように処理されているのでしょうか。
#125
○政府参考人(薮中三十二君) この問題につきましては、先ほど委員からも御指摘ございましたように、日中間の請求権の問題ということでは存在していないということ、これは中国側も十分理解しているところでございます。
 そして、現在そうした事故が起きた、それについての事故の様々の作業、調査がある、そしてまた医療的な様々の調査の問題もあるということで、現在、この問題をできるだけ速やかに解決するようにということで、これは全く中国側も我々と基本的な考え方は同じでございまして、その中でどうした形が一番適当なのかということを現在政府間で話合いをしているところでございます。
 まだその話合いの中身でございますので、ここでは差し控えさせていただきたいと思います。
#126
○大脇雅子君 終わります。
#127
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。お昼どきではございますが、もうしばらくお付き合いをいただきまして、坂口大臣におかれましては引き続き御苦労さまでございます。御自身のお体も気を付けて、これからも頑張っていただきたいと思います。
 私の方からは、早速ではございますが、ポリオについてお伺いをいたします。
 このポリオ、生ワクチンを接種した子供さんからの二次感染に対する救済策の問題、これまで度々御質問をさせていただきました。実際に二次感染をされたお父様からの訴えもこの場でお伝えをさせていただきました。五百八十万分の一という確率でそのお父さんは感染されたわけですけれども、本人にとっては、西川さん、一分の一ですということもお伺いいたしまして、その言葉が今も熱く胸に刻み込まれているわけですけれども、この救済策につきましては、今年四月に坂口大臣からいただいた御答弁で、厚生科学審議会の議論も踏んまえてこれからも対応していくと、こういう御答弁をいただきましたが、その後の対応についてまず大臣にお伺いをいたします。
#128
○国務大臣(坂口力君) 西川議員からはもうこのお話何度かいただきまして、大変申し訳ないというふうに思っておりますが、前回にもお答え申し上げましたとおり、何とか救済の道を開かなければいけないというので、審議会におきまして、厚生科学審議会の下でポリオ及び麻しんの予防接種に関する検討小委員会というのがございますが、そこで検討をしていただいておりまして、本年三月に提案がまとめられたところでございます。そこにおきまして、ポリオワクチンの二次感染者に対して何らかの救済措置を設置する必要があるということにしていただいた。
 これを受けまして、二次感染者に対しまして医療費それから各種手当等の給付のための経費を平成十六年度の予算概算要求に盛り込んでいるところでございます。
 事業の内容といたしましては、医療費、医療手当、障害児養育年金、障害年金、遺族年金、遺族一時金、埋葬料等々と、そうした内容のものになっておりまして、そのどれかに、人によって違いますけれども、当てはまるものがあればそういうふうに当てはめていきたいというふうに思っております。
#129
○西川きよし君 どうぞ引き続きよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、本日、そのポストポリオ症候群について、障害者となられた方々の障害厚生年金の問題について具体的にお伺いしたいと思うんですが、このポストポリオ症候群とはどういったもので、また、患者さんの実態を是非政府参考人の方からよろしくお願いいたします。
#130
○政府参考人(田中慶司君) 御説明申し上げます。
 いわゆるポストポリオ症候群は、ポリオ、急性灰白髄炎に罹患した者に罹患後数十年後に出現する様々な症状や機能障害というものであるというふうに言われております。
 厚生科学研究の脊髄神経障害性運動麻痺のリハビリテーション技術の開発研究に関する研究、これは平成十年から平成十二年度にかけて行われたものでございますけれども、それによりますと、症状として多く見られるものは筋力低下、易疲労感、筋肉痛等であるというふうに記されております。
 数字の方でございますけれども、平成十三年度身体障害者実態調査、これによりますと、いわゆるポストポリオ症候群も含めましてポリオに起因します身体障害者の人数、これしか分かりませんけれども、この人数でいいますと、およそ五万五千人というふうに推計しているところでございます。
#131
○西川きよし君 ありがとうございました。
 五万五千人、大変な人数でございますけれども。
 こちらの方に新聞を持ってまいりましたんですが、これは九月二日に毎日新聞に掲載された内容でございますけれども、具体例といたしまして五十二歳の元会社員の事例が紹介されておるわけですけれども、記事によりますと、この方は生後半年でポリオにかかりまして、右足に軽度の麻痺が残ったわけですが、日常生活には支障がなかった。そして、二十四歳で会社員となりまして、その時点で厚生年金の被保険者となるわけです。
 ところが、四十歳代後半になりまして、今御説明をいただきましたPPSによって突然障害がなかった左足が動かなくなりました。そして症状が悪化をいたしました。通勤が困難となりまして、昨年会社をお辞めになった。そして、発症後四十年のこの間治療を受ける必要はなかったわけです。日常生活を送り、会社勤めをされて、厚生年金被保険者である時点で再発をいたしました。そのことによる障害ということで障害厚生年金の請求をされたわけですが、不支給とされたという報道内容でございます。
 この事例というのは具体的にどういった内容か、御答弁をお願いいたします。
#132
○政府参考人(薄井康紀君) お答えいたします。
 お尋ねの件でございますけれども、生後六か月のときに罹患をいたしましたポリオに起因する両下肢機能障害につきまして、四十八歳になってから障害になったということで障害厚生年金の裁定請求があった事例でございます。
 厚生年金保険の被保険者であった間に発しました傷病には該当しないという理由で障害厚生年金は不支給という決定をいたしまして、二十歳前の傷病によります障害基礎年金を支給するという決定を私どもとしてはいたしたところでございます。
 これに対しまして、当該被保険者の方の方はこれを不服ということで、障害厚生年金の支給を求めまして審査請求、次いで再審査請求を行っておられまして、現在、社会保険審査会の方でその審査が行われているところでございます。
#133
○西川きよし君 本日は委員会でございますので、個々の案件についてはそんなに深くは追及したくはありませんが、ポストポリオ症候群に対する知識なり実態を十分に踏んまえた上で今後の社会保険審査会において十分な審査をお願いしておきたいと思うわけです。
 厚生年金と基礎年金とでは、今答弁の中にも少しありましたけれども、やっぱり全く御本人としては違うわけでもありますし、このPPSについては発症後三十年、そしてまた四十年たってから起きるということでございます。
 厚生年金保険法第四十七条で言われている障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病につき初めて医師又は、診療を受けた日において被保険者であった者が云々ということでございますけれども、いわゆる初診日、初診日というのはゼロ歳であったり一歳とか二歳であるわけですから、つまりその時点では厚生年金の被保険者であるということはあり得ません。しかし、このPPSについては、その後治療を受けず、成人をされて就職をされ、その中で四十歳、五十歳で障害が発生するということでございます。
 こういう事例が多いわけですけれども、この点で実際の運用についてですけれども、昭和四十二年に社会保険庁の通知の中で社会的治癒という考え方を明らかにされておるわけですけれども、この通知の内容とその趣旨について御答弁をよろしくお願いいたします。
#134
○政府参考人(薄井康紀君) 障害年金に関しましては、今御指摘ございましたように、初診日の時点で厚生年金か国民年金のどちらの被保険者であるかなどによりまして、受給できるかどうか、あるいはどのような年金が出るかということが違ってくることになるわけでございます。
 初診日につきましては、今も御指摘ございましたように、厚生年金保険法第四十七条によりまして、その障害の原因となりました疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日とする、これが原則でございますけれども、個別のケースによりましては、医学的な治癒に至っていない場合でも、医療を行う必要がなくなりまして社会復帰している状態を社会的治癒ということで治癒と同様の状態と認めまして、その後、症状が著しく悪化した再発の時点を初診日として取り扱うという取扱いをするケースがございます。このような社会的治癒に関しましては、質疑に答える形で昭和四十二年に通知等で示しておるところでございます。
#135
○西川きよし君 つまり、仮に医学的にはポリオに起因する障害であっても、社会的治癒が認められればPPSの発症時点が初診日として認められるという理解をいたしますが、私は、これまで社会保険審査会においてポリオの罹患者に対して社会的治癒が認められた事例があると聞いております。
 この事例では、裁定請求時の決定、そして社会保険審査会での決定についてはどのような内容であったのか、再度よろしくお願いいたします。
#136
○政府参考人(薄井康紀君) 御指摘の事例でございますけれども、三歳のときに罹患されましたポリオに起因いたします右足関節機能の全廃によりまして、五十八歳のときに障害となったことを理由として障害厚生年金の請求が行われました。これに対しまして、私どもとしては、厚生年金保険の被保険者であった間に発した傷病に起因するものではないという理由で不支給の決定を社会保険庁として行ったものでございます。
 これに対しまして、当該被保険者の方から不服といたしまして社会保険審査会に再審査請求が行われました。審査会におきましては、右足関節機能の全廃は、ポリオが当該傷病の発生と無関係でないにせよ、ポリオ罹患後五十年以上にわたって両下肢に軽度の不全、麻痺を残したまま通常の健康人と変わらない充実した社会生活を送ってきたと判断するのが相当であり、社会的治癒の状態にあったとして、請求に掛かります障害は、当該被保険者が厚生年金保険の被保険者であった五十八歳のときに再発した右変形性足関節症によりますものであるとして障害手当金の支給を認めた、こういう事例でございます。
#137
○西川きよし君 ありがとうございました。
 御答弁をお伺いさせていただきまして、いつも私はお願いするんですけれども、やはり法律といいますか制度といいますか、そういった行間にも、この委員会では徐々に徐々に優しさとか、御質問をお取りに事務所にお越しいただいた方々も皆さん方、社会保険庁の方もおっしゃっておられましたけれども、優しさというんですか、お気の毒だというようなお話も随分ございまして、いろいろ、自然治癒だとか、そして基礎、厚生の違いのお話もいろいろさせていただいたんですが、このポリオについては、昭和三十九年に予防接種が導入されたことで、自然ウイルスによる感染者はほとんどいらっしゃらないということでございますけれども、しかし、それまでに感染され発症された方の中には、四十年、先ほども申しましたが、五十年後にこのPPSによって苦しんでいらっしゃる方がたくさんいらっしゃるわけです。
 五万五千人以上という先ほどの御説明にもありましたけれども、社会的治癒についての先ほどのお話もお伺いいたしました。この社会的治癒についての通知の内容は、最初は公表を是非していただきたいというふうにお願いを申し上げたんですけれども、そのときは見せていただけることができませんでした。そのときといいますか、私はお見せいただくことはできませんでしたのですが、しかしそれでは、厚生年金保険法の四十七条のみで皆さん方があきらめるということが多々あるのではないかなというふうに私自身思います。また、今の社会保険審査会の判例についても、被保険者はもちろんでございますけれども、社会保険事務所の皆さん方にも、皆さん方に対しても周知の徹底をいろいろこれまでお話をさせていただいてお図りいただきたいと思いました。正直な気持ちでございます。是非、この点もよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 今までお聞きいただきまして、是非、坂口厚生大臣に御答弁を、お考えをお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
#138
○国務大臣(坂口力君) PPSというのが存在するということは私も最近まで知らなかったわけでございますが、それがポリオという病気と関係があるということになれば、これは一時症状はなくなっていたと申しますか、全治をしたかに見えておりましたけれども、しかし最初にかかりましたポリオによって引き起こされてくるということがもうこれは判明をしたのであれば、それは一つの連続性がそこにはあるだろうというふうに思います。
 ただ、障害者のいわゆる年金の場合にはなかなか難しい面ございまして、今御指摘いただいたこの方は、いわゆる今まで年金は、これは小さいときにかかられたんですから障害基礎年金だけお受けになっていたわけでしょうね。それで、しかしそれからずっともう良くて、もう治療も何も受けてなくてというのがずっと続いていて、そして厚生年金にお入りになっていて、今度ある日突然に悪くなったということでございますから、これは、今度は厚生障害年金でこれはいくべきではないかと、こういう御指摘だろうと思うんですね。
 この人は、それで、お勤めになっていたからよかったですけれども、もしそうでなかったとした場合、厚生年金に入ってなかった人であります場合に、いいときがあって、そして今度はまた障害が出たというときに、一遍良かったということになりますと、障害が消えてしまう人も中には出る可能性というのもあるんじゃないかという気がするんですね。だから、ケースによっていい場合と悪い場合と出てくるのを、そこをどうするかということも私はあるというふうに思います。
 それらのことを少し整理をして、そしてそれぞれの皆さん方がそれに当てはまるようにどうするのか、選択制みたいなことを導入するのか、そんなことも考えながら、これ全体に結論を出さないといけないというふうに思っております。
 この例に、良かったと、この例に当てはめるようにしようと思ったら、逆の人はかえって悪くなったということが出てきてもいけませんので、その辺のところをやはりよく考えてやらせていただきたいというふうに思いますが。しかし、こういう病気で、そしてその延長線上での話でございますから、できる限りおこたえをするように我々も努力をしなければならない、そういうふうに思っております。
#139
○西川きよし君 御丁寧に分かりやすく御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 まさしく今大臣がおっしゃったように、基礎年金の部分と厚生年金の部分と、本人にしたら、お金のことを言ったらなんですが、大変な違いがあるわけですし、そしてまた自然治癒という、途中で治ってしまった、でも同じ病気がまた再びと。
 今日の本当にこの質問をさせていただいて、大臣も知らなかったということを今日質問をさせていただいていい御答弁をいただいて、また社会保険庁の皆さん方ともいい勉強の時間をたくさんいただきました。今後、まだまだ五万五千人以上の方がいらっしゃるということでございますので、より良い方向へ持っていっていただきたいと思います。
 SARSのこともお伺いしたかったのですが、準備はしておりましたが、時間が参りましたのでこれで終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#140
○委員長(国井正幸君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#141
○委員長(国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、山本君から発言を求められておりますので、これを許します。山本孝史君。
#142
○山本孝史君 私は、ただいま可決されました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派並びに各派に属しない議員西川きよし君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、SARSについては、ウイルス、病態及び感染経路の解明並びに治療法、治療薬及びワクチンの開発を急ぐとともに、これらの医学的知見の集積等を踏まえ、その感染症法上の類型について、二年ごとの見直しを行うこと。
 二、検疫法第十八条第二項に規定する入国者に係る入国後の健康状態の報告義務については、SARSの疑いがある患者がいる医療機関で働いていた者や患者の家族等、濃厚接触のあった者等に限定するなど、科学的根拠に基づいた運用を図ること。また、これらの者に係る個人情報の保護については万全を期すこと。
 三、検疫については、国内の感染症対策と密接な連携を取りつつ的確な運用に努めるとともに、感染症の発生状況に応じて機動的かつ柔軟に対応できるよう人員を配置する等体制の強化に努めること。
 四、保健所については、地域における感染症対策の中核機関として、国、地方公共団体の関係機関と緊密な連携を図りつつ、住民に対する必要な情報の提供等、その役割が十分果たせるよう体制の強化を図ること。
 五、感染症に係る施策の実施に当たっては、感染症患者やその家族に対する差別や偏見が生じないよう、関係機関との連携を取りつつ、職場、地域、学校等への啓発を徹底すること。
 六、SARSに感染した疑いのある者に係る外来診療については、対応可能な体制を備えた拠点医療機関(協力医療機関)を定める等により、地域における医療提供体制に混乱が生じないよう必要な措置を早急に講ずるよう努めること。
 七、生物テロへの対応については、引き続き、必要となる治療薬及びワクチンの確保に努めるとともに、医師、看護師、保健師等に対する教育・研修の充実を図ること。
 八、感染症を人に感染させるおそれのある動物等の輸入に係る届出制度については、できるだけ早期に実施できるよう準備を急ぐとともに、当該動物等の所有者、管理者に対しては、それらの管理を適切に行うことができるよう必要な情報の提供等に努めること。
 九、地球規模化する感染症問題については、海外の事例の収集、分析等を踏まえ、新感染症等への速やかな対応が可能となるよう人材の確保、研究機関の体制整備等を重点的かつ積極的に行うこと。また、海外における患者情報の把握及び発生源対策が重要であることにかんがみ、WHO及びASEAN並びに二国間協議等を通じた国際医療協力の一層の推進を図ること。
 十、感染症の患者及び感染者に対し、その人権に配慮した良質かつ適切な医療が提供されるよう、医師、看護師、保健師等に対する教育・研修の充実、感染症専門医の育成等に努めるとともに、感染症指定医療機関について、その指定が促進されるよう必要な措置を講ずるよう努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#143
○委員長(国井正幸君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#144
○委員長(国井正幸君) 全会一致と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣。
#145
○国務大臣(坂口力君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。
#146
○委員長(国井正幸君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#147
○委員長(国井正幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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