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2003/10/09 第157回国会 参議院 参議院会議録情報 第157回国会 法務委員会 第2号
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2003/10/09 第157回国会 参議院

参議院会議録情報 第157回国会 法務委員会 第2号

#1
第157回国会 法務委員会 第2号
平成十五年十月九日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十月八日
    辞任         補欠選任
     柏村 武昭君     小林  温君
     角田 義一君     大渕 絹子君
 十月九日
    辞任         補欠選任
     青木 幹雄君     小泉 顕雄君
     岩井 國臣君     松山 政司君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         山本  保君
    理 事
                日出 英輔君
                松村 龍二君
                千葉 景子君
                木庭健太郎君
                井上 哲士君
    委 員
                小泉 顕雄君
                小林  温君
                鴻池 祥肇君
                陣内 孝雄君
                中川 義雄君
                野間  赳君
                松山 政司君
                江田 五月君
                大渕 絹子君
                鈴木  寛君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   国務大臣
       法務大臣     野沢 太三君
   副大臣
       法務副大臣    星野 行男君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   山崎 敏充君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       内閣法制局第一
       部長       宮崎 礼壹君
       司法制度改革推
       進本部事務局長  山崎  潮君
       警察庁長官官房
       長        吉村 博人君
       法務大臣官房長  大林  宏君
       法務大臣官房司
       法法制部長    寺田 逸郎君
       法務省民事局長  房村 精一君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       法務省人権擁護
       局長       吉戒 修一君
       法務省入国管理
       局長       増田 暢也君
       文部科学大臣官
       房審議官     清水  潔君
       厚生労働省医政
       局長       岩尾總一郎君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       伍藤 忠春君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    塩田 幸雄君
       厚生労働省政策
       統括官      青木  豊君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
○検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する
 法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(山本保君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨八日、柏村武昭君及び角田義一君が委員を辞任され、その補欠として小林温君及び大渕絹子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(山本保君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣法制局第一部長宮崎礼壹君、司法制度改革推進本部事務局長山崎潮君、警察庁長官官房長吉村博人君、法務大臣官房長大林宏君、法務大臣官房司法法制部長寺田逸郎君、法務省民事局長房村精一君、法務省刑事局長樋渡利秋君、法務省矯正局長横田尤孝君、法務省人権擁護局長吉戒修一君、法務省入国管理局長増田暢也君、文部科学大臣官房審議官清水潔君、厚生労働省医政局長岩尾總一郎君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長伍藤忠春君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長塩田幸雄君及び厚生労働省政策統括官青木豊君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(山本保君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○松村龍二君 自由民主党の松村委員でございます。
 当法務委員会は非常にベテランの方が与野党ともおそろいでございまして、私、新参者でございます。トップバッターとして質問させていただきますことを大変光栄に存ずるところであります。
 また、このたびは小泉内閣の組閣によりまして野沢法務大臣が誕生されました。また、星野副大臣、また中野政務官は引き続き政務官をされるということで、心からお祝い申し上げる次第でございます。
 野沢法務大臣は、自民党にありましても、新幹線その他の問題につきまして、日本の新幹線のネットを事実上今日まで作ってきた、牽引役であったと言って過言でないわけでございます。一道に秀ずる者は万道に秀ずるという言葉もございます。是非、今までの御手腕、御経験を大変いろいろな困難な問題がある法務行政に発揮いただきまして、この二十一世紀に入りました法務行政を快刀乱麻のように整備していただきたいというふうにお願いするものでございます。
 また、副大臣におかれましては、近く総選挙もあるやに聞くわけでございますが、大変難しい選挙事情というような報道もされておりますけれども、見事当選されまして引き続きこの法務行政を担当いただきたいというふうに心から願うものでございます。
 さて、今日は、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案についての審議でございます。他の防衛職員あるいは一般公務員の職員について同様の法律改正が今行われておるということでございますので、さほど問題が少ないんでないかな、ないんではないかなというふうにも思うわけでございますが、昨年の当法務委員会におきましても、やはりこの法務委員会としましては、憲法七十九条第六項及び八十条第二項で、裁判官の報酬は、在任中、これを減額することはできないということを定めていることから、このたびの給与の改定が減額になっておりますために憲法の規定に抵触するのではないかという議論が集中して行われたというふうに承知するわけでございます。
 これについて、学説上は、一般的に裁判官の報酬を減らす措置は、これを個々の裁判官の立場から見れば、まさしく裁判官の報酬を減らす措置にほかならないので憲法違反であるという説と、個々の裁判官の報酬を特に減らすものではなくて、個々の裁判官の報酬を減らすものではなくて、裁判官の報酬制度を改め、その結果として、個々の裁判官もその報酬を減らされることになるだけのことであり、司法権の独立に対する侵害とは考えられないことから憲法その他の規定に抵触するおそれはないという両方の説があるということですが、昨年、最高裁判所裁判官会議は、国家公務員の給与引下げに伴い一律に裁判官の報酬について引下げを行うことは憲法には違反しないという見解の下に法務省に立案依頼をされたというふうに聞いております。
 今回提出されている法案におきましても、一般の政府職員に準じて報酬の減額を定めるものとなっておりますが、まず憲法問題について今年はどのように考えられましたのか、法案提出者の法務大臣にまとめてお答えいただきたいと思います。
 なお、あわせて、私も質問時間が限られておりますので併せて伺うわけですが、この国家公務員法第二十八条に、一般職の国家公務員の給与引下げについては、「この法律に基いて定められる給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。」と規定されて、給与引下げに関しても想定しているわけですが、裁判官の場合、裁判官報酬法第十条では、一般の官吏について、給与の額を増加し又は特別の給与を支給するときは、その例に準じて、報酬の額を増加し又は特別の給与を支給するとだけなっておりまして、裁判官の報酬引下げについては特に規定されていない。法律違反ではないかと。
 あるいは、これが時代に合わないんならこの法律を改正しなければならないんじゃないかなというふうにも思うわけですが、そのことについて、法務大臣、お答えをいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(野沢太三君) 委員御指摘のとおり、裁判官の報酬の減額につき、憲法第七十九条第六項及び第八十条第二項が、「在任中、これを減額することができない。」と規定しております。
 法務省は憲法の解釈一般について政府を代表して見解を述べる立場にはございませんが、当省なりの考え方を申し上げますと、これらの憲法の規定は、裁判官の職権行使の独立性を経済的側面から担保するため、相当額の報酬を保障することによって裁判官が安んじて職務に専念することができるようにするとともに、裁判官の報酬の減額については、個々の裁判官又は司法全体に何らかの圧力を掛ける意図でされるおそれがないとは言えないことから、このようなおそれのある報酬の減額を禁止した趣旨の規定であると解されます。
 ところで、今回の国家公務員の給与の引下げは、民間企業の給与水準等に関する客観的な調査結果に基づく人事院勧告を受けて行われるものであります。このような国家公務員全体の給与水準の民間との均衡等の観点から、人事院勧告に基づく行政府の国家公務員の給与引下げに伴い、法律によって一律に全裁判官の報酬についてこれと同程度の引下げを行うことは、裁判官の職権行使の独立性や三権の均衡を害して司法府の活動に影響を及ぼすということはありません。
 したがいまして、今回の措置は、昨年の法改正と同様に、憲法第七十九条第六項及び第八十条第二項の減額禁止規定の趣旨に反するものではなく、同条に違反するものではないと考えております。
 また、この委員御指摘の裁判官の報酬等に関する法律第十条の規定の趣旨は、一般の政府職員について生計費及び一般賃金事情の変動によって給与の増額等を行う場合には、裁判官についてもそれに準じた増額等を行い、一般の政府職員との給与のバランスを保っていくという点にあるものと解されます。
 同法第十条は、このような観点から、一般の政府職員の給与が増額をされる場合等について、裁判官の給与についても増額等をすることを定めるにとどまり、今般のように、人事院勧告を受けて一般の政府職員が給与の引下げを行う場合に、裁判官の報酬の引下げを行うかどうかという問題は、端的に裁判官の報酬の減額が憲法上許されるかどうかという憲法上の問題でもありますから、同条の規定するところではないと考えられます。
 したがって、政府としては、先ほど申し上げました憲法解釈に基づき今回の措置を行うこととしたものであります。
#8
○松村龍二君 本日は、先般の大臣の所信的ごあいさつに関しましていろいろお伺いしたいわけですけれども、これはまた改めて時間を作って質問をさせていただきたいというような各党の申合せでございます。そういう意味におきまして、私は、所信に対する質問、所信的ごあいさつに対する質問ではございませんが、昨今の治安あるいは法務行政について感じることを数点申し上げさしていただきまして、もしもお答えできるものについては決意等をお伺いしたいというふうに思います。
 最近、非常に治安が悪化していると。日本は世界一治安が良い国であるということを言われました。そのころも別に日本が世界一いいということではなかったと思いますけれども、昨今の新聞を見ておりましても、毎日、土の中から死体が掘り出されるようなニュースばっかり。また、少年がいとも簡単な理由で殺してしまうというような、一体どういうことになったんだろうかと。また、外国人が日本に無秩序に入ってきまして、見ず知らずの日本人だということなのかどうか知りませんが、残酷な犯罪をするというようなことで、国民の治安に対する信頼が今揺らいでいるというふうに思います。
 そういう中で、警察とか入管とか検察とか、体制を強化するという問題もありますが、いったん検挙された犯罪者がどういう扱いを受けるかと。
 麻原彰晃が、あれだけ地下鉄に、もう明らかに殺人を意図してサリンをまいた。江戸時代なら、これはもうたちまち白州に引っ張り出して刑を下して、市中引き回しの上、獄門さらし首。で、立札で、高札で、こういうことをするとこういうことになるぞと、こういうことをしてはいかぬという単純明快な、日本人にぴったりの司法制度があったわけですけれども、なまじそのような日本人のものと、それから西洋の明治以来取り入れた制度が妙にきしみ合って、非常に非能率的なことになっているんでないかなと、こういうふうに思います。
 そこで、二点御指摘するわけですが、一点は、私どもの地元は人口八十万の小さな北陸の県ですけれども、検察官が五人しかいないんですね。五人の内訳を見ますと、検事正が一人、次席検事が一人。この方は、まとめということで実務をもちろんしているわけですが、直接現場の実務をしない。そうしますと、三人しか検事がいない。
 これが、昔のそれこそ牧歌的な北陸の県であればそれで済んだかと思いますけれども、最近は外国人も入り込んでくる、私らの平和な町でも殺人事件も起きる、外国人の窃盗事件等も発生するということで、三人の検事が事件の処理と法廷の維持ということをやっていますと、とてもその実際のニーズにこたえていないんではないかと。
 そして、その三人のうち一人が女性の検事でお産でお休みと。で、一人は、もうやたらと無罪事件を作るのが怖い人で、やたらときちょうめんということになりますと、もう検察体制がボトルネックになって、せっかく二千人の警察官がいましても、その警察官が何か事件をして解決、検察に送っても、ちょっと待ってくれというようなことで、検察体制がボトルネックになって治安の問題がはかどらないと。あるいは、留置場も代用監獄をしておるために満杯で、捕まえると留置場が一杯になるから捕まえないでくれというような実態を聞くわけです。
 今後、新聞等によれば、裁判官、検事が世間の実情に疎い、したがって弁護士をさせて少し研修させようというような報道もありましたけれども、そういうことで、また現場から検事が弁護士事務所なんかへ行きますと、とても治安の任にこたえられないんじゃないかなというふうにも想像するわけですけれども、そのような検察体制等についても、法務省どのように、法務大臣いかようにお考えなのか、一言お聞かせいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(野沢太三君) 確かに、委員御指摘のとおり、福井県の検事の配置数は全国でも一番少ない県の一つであると心得ております。それだけ福井というのは治安が良かったんだろうということがこれまでの実績としては言えるかと思いますが、問題の、これからの司法制度改革の一環として、判事補、検事の弁護士職務経験制度ということを議論しておるところでございますが、現在、この本部、改革推進本部において具体的な法案の検討を行っているところでございまして、まだ制度設計としては政府の方針を決定するには至っておらないところでございます。
 現在のところ、いわゆる官民の人事交流の制度などを参考にしまして、検事の身分を離れて弁護士職務を経験させる方向で検討しておりますが、これにより空いた定員については新たに検事を採用できることになります。委員の御指摘を踏まえまして、検察の業務に支障を来すことがないよう、制度設計及び運用の両面から法務省としても十分検討してまいりたいと考えております。
 なお、昨今の犯罪情勢の悪化や司法制度改革などに適切に対応するため、必要な検事の増員を進めているところでございますが、引き続き必要な人的体制の整備を図っていきたいと考えております。毎年、大体三十人前後の増員をお願いし、実現しておるところでございます。
#10
○松村龍二君 次、刑務所の問題、行刑改革。
 衆議院の法務委員会でも、院内テレビ見ておりましたら、この問題かなり取り扱われていたようですが、平成十三年十二月に、いわゆる名古屋刑務所におきまして、消防用ホースで露出させた肛門部等を目掛けて加圧した水を放水し、直腸裂開、肛門挫裂創の傷害を負わせ、翌十五日に細菌性ショックで死亡させたという事件が発生したわけです。これは、私も詳細存じませんが、この被害者は、囚人は、保護房に入れられても自分の排せつ物を房の中の壁に塗りたくったり、まあいろいろもう手に負えないということで、ついついこういうことになったような経過はうかがうわけですけれども、大変な事件ですね。いじめもいじめ、許されるものではないと。
 それから、平成十四年、昨年の五月には、やはり名古屋刑務所におきまして、革手錠を巻き付けて強く締め付け、腹部を強度に圧迫する等の暴行を加え、保護房内に放置し、外傷性腸管膜損傷、肺梗塞等の傷害を負わせ同日死亡させたと、同様の手錠の事件が九月にも発生したと、こういうことです。
 私も詳細は分かりませんが、よく、やくざが殺すのに、ここの胸を締め付けますと呼吸がだんだんだんだん浅くなって呼吸ができなくなって死んでしまう。簀巻きにして殺すというリンチの方法があるということも聞いたことがありますけれども、正にこの革手錠というのは、手にあれして革あるいはベルトを締め付けますと、肺梗塞と書いてありますから、そういう現象もあったんではないかなと思うんですが、非常に目立たないリンチといいますか、お仕置きであるということから広く使われていたと、こういうことです。
 これは大変不幸な事件ですけれども、しかし考えようによっては良かったなと。この事件があったから明治四十年以来改正のなかった監獄法に日が当たったというふうにも言えるわけでありまして、これをいい機会に行刑制度についてしっかり改革に取り組んでもらいたいというふうに思うわけです。
 実は、私、三十年間治安機関にはお世話に、お世話といいましてもお世話される方でなくて、はっきり言えば警察官として採用になっていたと、こういうことでございます。
 私は、昭和六十年ころと平成三年、二年ころ、埼玉県の警察本部長と岐阜県の警察本部長になりましたときに、管内のいろいろな役所へ訪問、あいさつに行ったときに刑務所を訪問しまして、所長さんにちょっと刑務所の中を見せてくれと言って、私一人だけ案内してもらったことがあります。そのとき感じましたことは、非常に秩序正しいなと、お行儀がいいなと、囚人、収容されている方がですね。今の世の中の学校の小学校一年生でもざわざわざわざわして秩序が利かぬという時代に、非常に秩序正しくやっているなということが第一印象ですね。
 それから、一つの工場の中へ入りますと、刃物を持って作業しているわけですが、その中に一人か二人の刑務官がいて、百人近い囚人が作業をしておると。私らが入っていきますと、じろっとこっちを、手作業、手は休めませんが、目だけでじろっと見ますね。そういう中に一日じゅういてやっているわけですから、これは大変なストレスだなと。法務省の報告等を聞きますと、今、一人当たり、四十人ぐらいが理想なわけですけれども、八十人、七十人から八十人の収容者を扱っておるということで、刑務官に対するストレスは並大抵でない。
 それから、そのようなよく刑務所の製品が売っていますけれども、刑務所内で作った木工品とか革製品とかいろいろ売っていますけれども、そういうものの仕事が、これだけ不景気の時代に刑務官も仕事を見付けてくるというのが、これがまた大変なストレスだと思うんですね。自分がそういう仕事をさせられたら、これは大変だろうなと思うようなことで、それからまた実感として感じましたことは、警察官は柔剣道が義務付けられているわけですが、さっぱり不熱心なんですね。ところが、刑務所の刑務官は柔道が大変に強いんです。私が勤務しました県の警察官と刑務所の刑務官と試合しますと、普通の選手が物すごい強いということは、いかに護身のために柔道をやる必要に迫られているかというようなことも私は感じたわけです。
 そこで、今回の取組について一言お伺いしたいわけですが、日本は、先ほど江戸時代のお話をしましたけれども、江戸時代には地方には刑務所というのはなかったそうですね。殺人事件でよほど重いのは斬首、遠島、島流し、それであとはもう町の庄屋さんに預けて矯正させる、こういうことで、刑務所というのはなかったということを私は聞いたことがあるんです。
 したがいまして、日本の行刑制度の思想というのは懲役刑、そしてその間に改心させる、また仕事に、手に職を与えて出たときに生業ができるようにと、こういう思想だと思うんですけれども、このようなことが、今、外国人とか暴力団とか、ただでさえ食べ物も、前の菜っぱ漬けを食べていた時代と違いまして肉食の、食事も変わってきているわけで、そういう今の日本人にこのようなことをいつまでも押し付けていることがいいのかな、大丈夫なのかなという気もします。
 現在、一三〇%ぐらいの収容の刑務所もある、こういうふうに聞くわけですけれども、私もタイの日本大使館にいたこともありますが、そのときは麻薬等で窃盗が物すごく多い、どんどんどんどん刑務所に入ってくる。一年に二回ぐらい、もう刑務所の食費がないので千人ずつぐらいぱっと釈放してしまう。そうすると、途端にバンコク内の泥棒が多くなると。こういう荒っぽいことをやっていることを見聞しておりますけれども、日本の場合、そういうふうにはいかぬと思いますけれども、このようなことで、単に量を、手を付けて収容施設の人員を多くする、あるいは刑務官の数を多くするということだけでなしに、懲役制度そのものを見直して、アメリカの刑務所のように収容だけしておくというふうな拘禁施設的な刑務所も併用するとか、むしろそっちに変わっていくというような、根本的な質的な改革にも目を向けませんと駄目なんじゃないか。
 さっき申しました、せっかくの大事件が起きたことを機に、ひとつ行刑制度について根本的な取組をしていただきたいというふうに思うわけでございますが、星野副大臣にお伺いしました後、最後に法務大臣に御決意、お考えをお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。
#11
○副大臣(星野行男君) 松村先生から冒頭激励を賜りまして、誠にありがとうございました。
 御質問にお答えを申し上げます。
 法務省といたしましては、一連の名古屋刑務所事案を契機といたしまして、顕在化した行刑行政に内在する諸問題を深刻に受け止め、これを徹底的に見直し、国民の行刑行政への信頼を回復するため、これまでに革手錠の廃止、大臣情願の処理方法の見直し、被収容者死亡報告の保存期間の延長、行刑施設における死亡案件の公表基準の策定、過去十年間の全死亡案件の再調査などを実施をしてきたところでございます。
 今後とも、国民に理解され支えられる行刑行政を構築するという観点から、法改正を待たずとも改善できる事項については早急かつ着実に実施に移してまいりたいと考えているところでございます。
 また、森山前大臣が立ち上げました行刑改革会議では、行刑改革に必要不可欠であると考えられる問題を一切の聖域なしに議論をすることとされ、これまで刑罰、処遇の在り方、行刑運営の透明性の確保、医療体制の在り方、人的、物的体制の整備等の各論点につきまして検討が進められていると承知をしており、それらの結果を基に、年内には行刑改革の基本的な方向性をお示しいただきたいと考えております。
 法務省といたしましては、お示しいただいた方向性を最大限に尊重し、行刑の抜本的な改革に当たってまいりたいと考えております。
 今ほどまた貴重な御示唆をちょうだいしたわけでありますが、今後とも、どうぞひとつ御指導と御協力をお願い申し上げる次第であります。
#12
○国務大臣(野沢太三君) 一連の名古屋刑務所事案を契機に、行刑行政に内在していた諸問題が顕在化しまして、行刑行政に対する国民の不信が高まったことから、さきの国会における衆参の法務委員会を中心に長時間の御審議をいただいたものと承知をいたしております。
 私といたしましても、行刑行政を取り巻く諸問題を深刻に受け止めまして、国民の行刑行政への信頼を回復するため、前森山大臣の意思を踏襲しながら、行刑行政の在り方を徹底的に見直し、抜本的な改革を行わなければならないと決意いたしております。
 先ほど副大臣から御答弁がありましたが、法務省といたしましては、法改正を待たずとも改善できる事項については今後とも早急かつ着実に実施に移していきたいと考えておりますし、行刑改革会議から今後お示しいただく行刑改革の基本的な方向性を最大限に尊重し、なお引き続き行刑の抜本的改革へ向け、私以下、法務省を挙げて全力を尽くしてまいる所存であります。
 長い歴史と伝統を有する我が国の行刑を改革するに当たっては非常に困難な問題が山積しておりますが、国民に理解され支えられる行刑行政を構築するため鋭意努力していく所存でありますので、今後とも、行刑行政に対する御支援のほどよろしくお願い申し上げます。
 特に、委員につきましては、先ほどお話がありましたように、大変な御経験を有し、また先の見通しもお持ちの上で、今後とも何とぞよろしくお願い申し上げます。
#13
○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
 本日は、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案並びに先日の野沢法務大臣の所信に対しまして質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、裁判官の報酬に関する、減額に関する法律案でございますが、この問題は、先ほど松村委員と法務大臣との御質疑の中でも憲法上の問題が御議論をされました。法務省の見解というのは先ほどの御質疑の中で触れられましたので、ここであえてそれを繰り返してお聞きすることは省略をさせていただきたいと思いますが、今日は最高裁がお見えだと思います。
 今回のこの法律案の提出に当たって、裁判官会議でこのことについて、今回の提出に関して御議論がなされたのかどうか、それからこれは、現在の経済情勢をかんがみますと、この裁判官報酬に関する法律というのは今後も提出をされる可能性というのはこれあるわけでありまして、そのことも含めて、裁判官会議での御議論の模様についてお教えをいただきたいと思います。
#14
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 本年も、人事院勧告につきまして最高裁判所裁判官会議に報告いたしましたが、その際、裁判官の報酬の取扱いにつきまして議論がされました。
 その結果でございますが、昨年同様、人事院勧告に沿って国家公務員の給与全体が引き下げられるような場合に、裁判官の報酬を同様の内容で引き下げても司法の独立を侵すものではないことから憲法に違反しない旨、改めて確認されております。
#15
○鈴木寛君 私は、先ほど、今の御答弁を拝聴していても思うわけでありますけれども、憲法で裁判官の報酬を在任中、これを減額をすることはできないという規定というのはやっぱり相当に重いことだというふうに思っております。
 そもそも、憲法が司法、行政、立法の三権分立、これは、近代国民国家においては正に基本中の基本であるというふうに理解をいたしておりまして、とりわけこの司法権の独立、その中で裁判官の独立というものを担う極めて重要な条項、重要な精神だというふうに思っておるわけでございますけれども、昨日も法務省あるいは最高裁の事務方といろいろ御議論をさせていただきましたので、私の主張をここできちっと申し上げておきたいと思いますけれども、私はそもそも、もちろん、報酬が、裁判官の報酬が引き下げられること、これは、現下の社会情勢をかんがみまするに、国民の皆様方がこれだけ経済的な痛みを伴われている中で裁判官とてその例外に置くことはできないということで、内容についての妥当性の議論、これはもちろん今ここでさせていただいているわけでありますが、その前段といいますか、フレームについて私はかなりの違和感を持っております。その違和感の最たるものは、この法律がそもそも法務省から提出をされているという点でございます。
 これは、現在の日本国憲法下の統治機構は最高裁判所による法案提出権というのが制度上認められていない。これはもちろん、国会法などをきちっと検討する中で憲法を改正しなけりゃできないのか、あるいは現行憲法下でも努力の余地があるのか、その議論もありますけれども、私は今日は立法論も含めて申し上げているわけでありますが、現在、憲法調査会も開かれておりまして、このたび私たちの先輩となりました平野委員もそのことに大変に御努力をされているわけでありますが、筋論といいますか、今後の立法論も含めて申し上げますと、やはりこうした問題は、大きく言うと方法論は二つあって、我々議員自らが正に裁判官の報酬の問題についてきちっと議案を提出するという方向に行くのか、あるいは最高裁が正に国会と直接にいろいろな話合いをして、そしてこうした問題について国会に議論を提起するのか、これが恐らく筋だというふうに思います。それを、内閣総理大臣ならまだしも、私は個人的に法務大臣がというわけじゃありませんが、法務省が三権分立の極めて重要な司法、しかもその裁判官の身分に関することについて正に法案を提出をする、あるいはそのドラフトを作って、そしてここに、この場に持ち出されるということは、やはり私の三権分立についての理解がおかしいのか、それとも、やはりここは重要な立法論の論点としてあるのかといえば、私は後者だろうというふうに思っております。
 これは極めて重要な、かつ難しい論点でありますから、今日直ちにお答えをいただくということはできないということは承知をいたしておりますが、是非お願いを申し上げたいのは、最高裁におかれましても、そもそもこの法律が法務省の起案によって、そして閣法で国会に提出をされるということの問題についてもきちっと御議論をいただきたいということをお願いを申し上げますとともに、法務省におかれましても、この問題は三権分立上どうなのかということについて内閣全体で御議論を深めていただきたいというふうに思います。加えまして、私たちも、民主党、憲法をきちっと議論をし、そして新しい憲法を作っていくということをこのたびのマニフェストの中でも、議論の中でも位置付けております。
 私たちも、統治機構の問題というのは極めて重要な問題だと思っておりまして、その中の議論の一つにこの問題、司法権の独立という問題の中で検討をしていきたいと思いますので、法務省におかれましては、特に諸外国の事例など、いろいろやっぱり私たちも協力をしていただいて勉強をしていきたいと思っておりますので、法務省そして最高裁の皆様方にその点についての御協力をしていただきたいということをお願いを申し上げまして、協力をできないという場合であれば御答弁をいただき、そうでない場合であれば次の質問に行きたいと思いますが、これは御協力をいただけるということで、法務省そして最高裁、よろしゅうございますね。
 それでは、次の論点に移らさせていただきたいと思います。
 今、これも内閣の主導で司法制度改革推進本部というのが今大変な御努力をされながら、国会に極めて重要な司法の根幹に関する議題の提起あるいは法案の提出というものが行われております。
 その中で、裁判員制度そして行政訴訟の問題について今日は御議論をさせていただきたいと思いますが、これは、いよいよ司法制度改革も佳境に入ってきたなという感を私、いたしております。正に戦後の正に裁判そのものが、いわゆる裁判員という、通常の一般の市民の皆様方がこの法廷の場に参画をしていただいて、そして裁判というものが一般の国民の皆さんの健全な社会常識の下にさらされて、そしてさらに、そうした一般の国民の皆様の常識というものが裁判過程に反映をされると。
 そのことは、裁判結果がより公正で適切なものになるということと同時に、やはり市民の皆様方も国民の皆様方も、正に裁判というのは国家の基本的な機能の一つでありますが、そういった司法に我々も参画をしていくんだということで、市民社会の一員としての理解あるいはそうしたものをきちっと支えていこうという意味で、正にこの国の形をより良くしていくために極めて重要な意味を持っているのがこの裁判員制度だというふうに思っておりますが、現在、この司法制度改革の御議論の中で裁判員制度の検討会が議論が煮詰まりつつあると、煮詰まっていると。煮詰まっているというのは止まっているという意味じゃなくて、深まっているというふうに理解しておりますが、この裁判員制度の検討会の検討状況、そして方向性がどういうタイミングで出てくるのか。そして、恐らくは次期通常国会で御議論がなされるんだと思います。その骨子が今極めて重要な佳境に来ていると思いますが、そのスケジュールあるいは今残されている問題点、検討状況を含めて、現在の状況についての御説明をいただきたいと思います。
#16
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点について、若干長くなるかもしれませんが、お答えを申し上げます。
 私どもの裁判員制度・刑事検討会でこの議論を煮詰めているわけでございますけれども、この検討会では三つのテーマを対象としておりまして、一つが今申し上げました裁判員制度の問題でございます。それから、刑事裁判の充実、迅速化という問題、それから検察審査会の在り方と、この三つが対象になっているわけでございます。これまでに二十七回の会合を開催しておりまして、裁判員制度につきましては、このうち十二回を使っているということでございます。
 議論は大きく今のところ二つの山に分かれておりまして、昨年の十二月の十日の第十回会合までの間に一応第一ラウンドを、三つのテーマについて第一ラウンドを終わったという状況でございまして、本年の一月二十八日からの会合は、事務局の方からその議論を整理をしたたたき台、これをお示しをいたしまして、このたたき台を中心に、より細かな論点を含めた議論を煮詰めていっているという状況でございまして、この九月の二十五日にそのたたき台に関する第二巡の議論を一応終えたと、こういう状況でございます。これからいよいよ第三ラウンドに入っていくと、こういうところでございます。
 具体的なテーマにつきましては、この制度に関しますありとあらゆる論点を議論をしているということになるわけでございますが、重立ったものといたしましては、やっぱり裁判官と裁判員の人数、あるいは対象となる事件の範囲、裁判員の選任方法、裁判員制度における審理、評決の在り方、公正な裁判の保障、裁判員の保護のための措置、国民の負担を無理のないものとするための措置等と、こういうような大きな項目でございます。
 今後でございますけれども、事務局におきまして検討会を鋭意進めていくわけでございますけれども、それ以外にやっぱり各方面からのいろいろ御議論がございます。そういうような意見を参考にしながら、新たな制度に関する骨格案を作成をするなどいたしまして作業を進めるということでございます。
 いずれにしましても、来年の通常国会には成案を得て、御審議をいただくということを予定をして作業を進めているという状況でございます。
#17
○鈴木寛君 来年の通常国会ということでございますので、相当ドラフト案を作る今重要な時期にあろうかと思います。
 そういう中で、日本弁護士連合会が非常に分かりやすいパンフレットを作っていただいておりまして、「司法が変わる。日本が変わる。 あなたも裁判員に」ということで、裁判員制度についてのパンフレットを作っていただいております。これは私たちも見させていただいて、あるいは日弁連の方々と御議論をさせていただいて、非常にごもっともな提案が幾つかあるなというふうに思っております。
 例えば、今、事務局長からも御紹介がございました人数の問題、このパンフレットでは「裁判員は九人から十一人、裁判官は一人か二人。」と。裁判員が多ければ多いほど分かりやすい裁判になるし、いろんな人の社会常識が反映されて妥当な結論が得るということとともに、やはり今回、裁判員に一般の市民の方がなっていく、任命をされてなっていくと。
 その場に行くと、プロフェッショナルの裁判官の方とそして裁判員と、こういう合議体が形成をされるわけでありますが、いわゆる一般の、特に法曹の専門家でない方々がそういう場に行ったときに、こちらはベテランのプロフェッショナルの裁判官がいて、そして市民から選ばれた裁判員と。本当に自由な議論ができるかということをかんがみたときに、この裁判員の数、それと裁判官と裁判員の比率ですね。要するに、裁判官の、まあ日弁連なんかは三倍以上と、こういうことを言っているわけでありますが、そういう人数の構成というのは、この裁判員制度を導入をする趣旨というものを単に裁判員制度を日本が入れたということに終わるのか、それとも本当に裁判員制度を導入し、そして実質的に裁判員制度が目指していた、市民の参加によって、先ほども私が申し上げたような、あるいは検討会でも御議論をされているような裁判員制度導入の意義を実質あらしめるためには、この人数の問題というのが極めて重要だというふうに思います。
 それから、例えばこのパンフレットの中には「取調室を録画しましょう。」とか「前もって、すべての証拠をあきらかに」というような、こうした提案もございます。これも、今までどうしてもブラックボックスでありました捜査、あるいはそれに続く裁判というものをより市民に身近なものにしていくためにも極めて重要な提案だというふうに思いますが、今、私からも、これは私たちの民主党の意見としてもこうしたことはきちっとやるべきだというふうに考えておりますが、この点についての推進本部での検討状況あるいは事務局長のお考えについてお述べをいただければと思います。
#18
○政府参考人(山崎潮君) この段階で事務局の意見というのはちょっと早いかなというふうに思われますので、その点は差し控えさせていただきますけれども、検討会の検討状況について申し上げたいというふうに思います。
 裁判官のまず人数の問題が御指摘がございました。これに関しまして、検討会では、裁判官は三人とすべきであるという意見と、二人とすべきである、あるいは一人又は二人にすべきであると、こういうふうに分かれるわけでございます。
 裁判官を三人とすべきという意見でございますけれども、これは次に申し上げるような理由によるわけでございます。
 裁判員制度は現在の裁判官による合議体に国民が加わるという制度であるので、裁判員が加わったからといって裁判官の人数を減らす理由にはならないという意見でございます。それから、裁判員制度の対象となる事件よりも法定刑の軽い事件について、裁判官三人による裁判が行われているということになるわけでございますが、それとの均衡はいいのかということ。
 それから、裁判官を二人とすると、法律解釈や訴訟手続上の判断、これにつきましては裁判官の専権ということで今議論が進んでおりますけれども、そうなりますと裁判官の意見が異なった場合に、分かれちゃった場合にどのように決めていくのかと、判断に窮することになるんではないかと、こういうような意見でございます。
 それから、裁判官は一人あるいは二人とすべきという意見でございますけれども、この理由は、新たな発想で制度設計をするんではないかと、それならば裁判員制度における裁判官の役割はプロとしての知識、経験を提供することにあるんだから、一人のベテランの裁判官で十分果たし得るんではないかと、こういうような理由。それから、裁判官を二人とした場合に、裁判官の判断が分かれたとしても一定のルールを定めておけば対応できるのではないか、こういうような理由によるわけでございます。
 それから、大事な点のもう一つは裁判員の数の、人数の問題でございますけれども、これに関しましては意見が三つほどに分かれております。裁判官三人に対して三人あるいは同程度の人数という意見。それから、裁判員の数は九ないし十一、あるいは十ないし十二という、多数いた方がいいという考え方。それから、裁判員の数が五人あるいは六人とすべきであると、こういうような意見に分かれているわけでございます。
 三人程度とすべきという意見でございますけれども、これは実質的な評議を行うためには合議体の人数を余り多くすべきではないという理由。それから、裁判員となる国民の負担等を考えると、人数を余り多くするというのはいかがなものか、こういう理由でございます。それから、多数の九ないし十一にすべきであるという意見でございますけれども、これは国民の感覚を裁判に反映させるためにはより多くの裁判員が関与すべきであるという理由。それから、裁判官と裁判員の実質的な対等を図るためには裁判員の人数を多くする必要があると、こういうような理由によるわけでございます。
 いずれにしましても、これから第三ラウンドの議論を煮詰めまして、最終的な方向を定めていきたいというふうに思っております。
#19
○鈴木寛君 議論の状況はよく分かりました。
 ただ、法務大臣もこの本部の副本部長ということであられると思いますので、国会では、やはり裁判官と裁判員が実質的な対等性を確保するというのは特に日本においては難しい。そのためにも裁判員を、要するに今のお話でいいますと、多数にするということが我々民主党の強い意見であったということも少し念頭に置いて本部での御議論に反映をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、行政訴訟改革の問題についてお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。
 これも、冒頭申し上げました内閣総理大臣を本部とする司法制度改革本部が行政訴訟改革をやるというのは若干の違和感があるわけでありますが、しかしやらないよりはいいわけでありまして、かつまた内部改革というのも極めて重要でありますから、行政自らが今までの行政裁判を振り返って、こうしたところが問題であったということを率直に問題を提起され、そして自発的にそうしたことを解決されるということ自体は私は歓迎をしたいというふうに思いますが、そのことを更に何といいますか、より実のある議論にするためにも、国会がこの行政訴訟改革については特にリーダーシップを発揮しなければいけない課題の一つだというふうに考えております。
 そういう中で、行政訴訟というのは、もちろん個別の行政行為、行政処分によってその当事者が権利救済をされるという点がこの行政訴訟の極めて重要な目的であるということは、これは議論がない、衆目が一致するところだと思いますが、加えて正に有権者である、主権者である国民の皆様方がこの行政という行為総体をチェックをするという機能をこの行政訴訟が担っている。特に日本の場合は、裁判所が立法行為あるいは行政行為について裁判の場で行政をチェックする、司法が行政をチェックするという場は正にこの行政訴訟の場しかないわけであります。
 そういう意味で、違法な行政から国民を守るという目的とともに、行政の違法な、あるいは不当な行政というものを事前、事後にきちっと是正をしていくんだという観点から、行政訴訟制度というものをもう一度きちっととらえ直して議論をしていただきたいというふうに思っております。これについても次期通常国会ということがささやかれておりますけれども、現在どういうふうな検討状況にあり、今、何が検討の論点になっているのかについて御紹介をいただければと思います。
#20
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘ございましたけれども、ちょっと委員の言葉の中で、司法制度改革につきまして、今、行政事件訴訟の関係を検討しておりますけれども、これ行政改革ではなくて、やはり司法の面から見た改革というふうに我々は位置付けておりますので、そういう点で、私はそういう意味では違和感はそれほどないというふうに、ちょっと考え方違うかもしれませんけれども、そういうことで結果としてそれが行政について影響を与えるということはあり得るかもしれません。
 現在行っている状況でございますけれども、これを申し上げますけれども、私ども、昨年からずっとその検討を進めてまいりまして、本年の七月に検討会における論点整理をいたしまして、行政訴訟検討会における主な検討事項というものを作成いたしました。これを基に行政官庁等から、全行政官庁からヒアリングを行いました。それ以外に事務局の方で国民からの意見募集を行うということをしたわけでございます。これにつきまして、中身は、今まで議論をしてきたものの論点を取りまとめておりまして、検討会の意見がおおむね一致しているものもございますけれども、そうでないものも幅広く今、検討事項として取り上げているわけでございます。
 今後でございますけれども、こういうような意見募集あるいは行政庁のヒアリング、こういうものの結果を踏まえまして更に検討を深めたいということでございます。今後の検討会では、来年の通常国会へ法案の提出に向けまして、問題点や考え方を更に整理して煮詰めていきたいということを考えている状況でございます。
#21
○鈴木寛君 私が違和感だと申し上げた趣旨が事務局長に十二分に御理解いただけなかったと思いますが、日本の行政訴訟の問題点あるいは市民感情の中にある問題意識は、行政訴訟というのは行政庁対いわゆる国民という構造が行政訴訟であります。
 そういう中で、どうも日本の、これは国民感情の中にということでありまして、実際の議論は通常国会に是非二時間でも三時間でもやらしていただきたいと思いますが、要は、どうも行政訴訟は行政に極めて有利なフレームワークになっているし、それから行政訴訟の判決結果も、もちろん司法権の独立でありますから中立公正にやられているとは思いますが、実態としてはどうも行政庁に有利なように裁判がなっているなと、あるいはその傾向が最近強くなっているなという感情があるという中で、行政訴訟を直していこうという問題が国民の側からあるいは裁判所の側から提起をされるんであれば、それは、それこそ公正な場で議論がなされるなと思うわけでありますが、行政訴訟の問題を行政の側から直していこうというところに、私は、違和感といいますか、そこに一定の限界があるんだろうというふうに思います。
 でありますから、正に国民の側から行政訴訟の在り方を更にいいものにしていこうといった場合には、やはりこの国会がきちっとこの行政訴訟の在り方についてはよりきちっと議論をしていかなければいけない、それが法務委員会だと私は思っているということでございまして、この問題は行政の側から、そして国会の側から、裁判所の側から、この三者からきちっと議論をしていくべきではないかということを申し上げているわけでありまして、この続きは是非通常国会でやりたいと思います。
 それで、いわゆる市民感情の中に、それから個別の事案を見ても私もそう思いますが、やはり日本の行政訴訟法というのは極めて厳格な原告適格、あるいは訴訟に代表される原告適格と被告適格と両方の議論がありますが、訴訟要件が極めて厳格に過ぎるという問題点、それからいわゆる処分性、我々も大学のときに原告適格と処分性ということをたたき込まれましたけれども、この処分性の議論というものを、これまた極めて厳格に過ぎるのではないかと。
 その処分性の議論の中で、いわゆる門前払いになっている、処分性がないということで行政訴訟の俎上にのれない、のしてもらえないという事案がやはり多いのではないかというふうに思います。それから、仮に俎上に上っても、いわゆる訴訟類型あるいは判決類型というものが極めてその取消し訴訟というところにこれまた厳格にされているがために、実質的に行政の行為に対して何らかの是正を求めたいという人たちの思いというのがなかなかこの行政訴訟によって解決をされていないという問題があるという認識を持っております。もちろん、このことは検討会でも論点に上がっているということも承知しておりますが、そういう観点で、この行政訴訟改革の本旨に立ち返って、是非広範な議論を更に詰めていただきたいということをお願いをするに今日はとどめておきたいと思います。
 それでは、ちょっと次の質問に移りたいと思いますが、野沢法務大臣は今国会の所信の中でも少年非行の問題について極めて重要な問題であるということをお話しになり、問題提起をされました。私たちも全くこの問題意識については同じでございます。これは本当に国会を挙げて、与野党を超えて取り組んでいかなければいけない問題だと思っておりますが、所信の中でお触れになりました少年非行についてもう少し詳しく、現状の動向、あるいは犯罪ケースの内容、そして、所信の中では少年非行対策のための検討会を具体的に引かれまして、対策を講ずると、こう言っておりますが、それ以外にもいろいろ検討すべき対策はおありになるんだと思います。
 そして、検討会の検討を待っていたのでは遅い問題もあろうかと思います。この問題についての現状認識、そして、どういったことから、どんなことを取り組んでいかれようとされているのか、この点についてお話をいただければと思います。
#22
○国務大臣(野沢太三君) 少年犯罪につきましては、委員御指摘のとおり、私の就任のときにもこの点につきましては職員に訴え、そしてまた記者会見でも意見を申し上げたところでございまして、明日の日本を担う子供たちの在り方について大変実は心を痛めて、また、これからもしっかり取り組むつもりで臨んでおるところでございます。
 そこで、今御指摘のように、少し具体的にこれを申し上げて、今後の御議論をいただきたいわけでございますが、少年犯罪につきましては、検察当局におきまして必要な捜査を遂げまして、事案に応じた適正な処理に努めると。このほか、法務省としては、保護処分を受けた少年について矯正保護の過程で必要な指導を行い、少年を改善、更生させるという大変重要な任務を担っておることは御承知のとおりでございます。
 少年犯罪に適切に対応し、将来の非行を防止するには、このような役割をまずきちんと果たすことが最も基本的で重要な対策であり、これらの機能を一層充実させる必要があると考えております。
 また、少年非行につきましては様々な要因が指摘されており、政府を挙げた取組が重要ですので、今後とも関係省庁と連携しつつ必要な対応を図ってまいりたいと考えております。
 具体的に申し上げますと、検察当局においては、これまでの役割に加えて、改正少年法により少年審判の事実認定手続への関与、協力という新たな役割が与えられたところでありますので、適正な法の運用に資するよう法務省としても体制強化などに努めてまいりたいと考えております。
 また、少年院においては、一日平均の収容人員がこの五年間で約一・四倍に増加をいたしまして、約三割の少年院で収容率一〇〇%を超える過剰収容状態にございます。そして、問題性が根深く、教育の必要上長期間の在院を要する少年も急増しておる中で、今後とも引き続き必要な予算、要員の確保のほか、必要な施設整備や職員の資質向上に努めてまいりたいと考えております。
 そして、保護観察においては、少年の保護観察事件あるいは環境調整事件が平成七年以降増加を続けておりまして、平成十四年はわずかに減少したものの、高い水準にまだございます。質的にも凶悪粗暴事犯者、低年齢化、罪の意識に乏しく内省が深まらないことなど、処遇に困難を伴う事案が増加しておりまして、家庭、学校、地域の犯罪抑止力が低下したことが一つございますが、監護能力にも問題がありまして、特段の助言、支援を要する保護者の増加といった問題を抱えておりまして、今後とも必要な予算、人員の確保、保護司適任者の発掘、研修の充実などに努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 子供の問題は、私は、家庭、学校、社会含め、大人の問題としてしっかり取り組むべきだということを記者会見にも申し上げた次第でございまして、今後とも委員のまた御指導をちょうだいしながら、しっかり働いてまいるつもりでございます。
#23
○鈴木寛君 是非よろしくお願いをいたしたいと思います。
 もう一つ、私が御質問を申し上げたいのは、特にこの少年事件に関しまして、少年事件の犯罪などの被害者になられた方々、あるいは被害者の御家族の本当に大変に言葉では言い尽くせないような状況の中で、我々国会、立法府にある者が本当に真剣に取り組んでいかなければいけない極めて悲惨な痛ましい状況というものが、我々もその被害者の、あるいは被害者の御家族、あるいはその支援をされている関係者の方々から我々にも寄せられておりますし、またそうしたことを様々な仲間からも聞いております。
 ただ、正に少年をめぐるいわゆる犯罪、あるいは非行を行った少年とその更生、あるいはその人権の問題、そして犯罪の被害となった犠牲者、あるいは犠牲者の御家族との、何ていいますか、両方の法益というものを考量しながら、そして新しい制度というものを不断に見直していく、あるいは深化をさせていくということは極めて重要な課題であると思いますし、特に昨今、犯罪の被害、犯罪の実態というものが深刻化をしているという中で、被害に遭われた方あるいはその家族の方々の特に対応というものを現行の制度のままで、あるいは現状の実態のままでいいのかどうかということは、やはり犯罪の深刻化ということに照らしてもう一回見詰め直していかなければいけない、考え直していかなければいけない問題だというふうに私は理解をいたしております。
 そこで、よく言われております、犯罪がどのような状況でどのように行われて、そして犯罪に及んだ少年がどういうふうな更生の状況にあるか、あるいはその前提としての自戒、反省をしておられるかということが、なかなか犯罪の被害者あるいはその御家族が知ることが難しいと。こういう中で被害者並びに御家族の御心痛というものは特に強まっているというお話を伺っているわけでありますが、こうした少年の審判あるいは更生について被害者並びに被害者の御家族がどのように参画をしていくのか。
 あるいは現在、少年審判は傍聴が認められておりません。これは、少年審判が一般者に対しての傍聴を認めないというその制度の目的について私も十二分に理解をしているつもりでありますが、一般の傍聴者と、あるいは犯罪の被害者が審判の状況あるいは更生の状況を知るということは、これは本質的に意味が違うことだというふうに思っております。
 こうした極めて難しい論点を様々に含んでいる問題でございますが、この点について今どのような検討を今法務省内でされているのかということについてお答えをいただきたいと思いますし、犯罪被害者への情報の告知という観点で、現状の制度がどのように改善をされているのかということも含めてお答えをいただきたいと思います。
#24
○国務大臣(野沢太三君) 先日もNHKスペシャル、治安は回復できるかと、この番組の中で少年犯罪に対する特集がございまして、私もビデオを撮って拝聴したわけであります。問題の深刻さと、特にただいま委員御指摘の、被害者に対する情報公開の問題等についても触れられて、深刻な問題として受け止めたところでございます。
 そういう中で、被害者への対応としては、まず問題とされるのが適切な情報提供と、これであろうかと思いますが、第一に、この点については、平成十二年の少年法改正によりまして、少年審判手続の段階で被害者に対し非行事実に関する事件記録の閲覧、コピー、意見陳述、審判結果の通知などの規定が整備され、順調に運用されているものと聞いております。それから二つ目は運用上の措置でございますが、少年院に収容された加害少年の社会復帰、出院、仮退院ということが付いて回りますが、これに関する情報を被害者に提供するための制度を整備する方向で、現在、関係部局の間で検討を進めているところでございます。
 出てきたけれども、謝りにも見舞いにも来なかったという話が先ほどの特集の中でも指摘があったところでございますが、なお少年院での加害少年の状況に関する情報につきましては、少年のプライバシー保護の観点から開示しないことが原則になりますけれども、特に必要と認められる場合などには、少年院の職員が被害者等に対して処遇状況を説明するケースもあるものと聞いておるところでございます。
 そして、重要な点は被害者側に対する謝罪の問題でありますが、この点については、第一に、家庭裁判所の調査、審判過程においては、従来からその過程で少年への保護的措置が行われており、これに加え、平成十二年の少年法改正により保護者に対しても責任を自覚させるための訓戒、指導等の措置を行い得ることが明文化されたところであります。第二に、少年院におきましては、従来から非行を振り返らせ罪の意識を覚せいさせる教育を重視していますが、あわせて、老人ホーム等での社会奉仕活動や育児、教育など、さらに、最近では犯罪被害者による講演会の実施などにも力を入れており、実際に謝罪の手紙を出すなど具体化した事例もあると伺っております。その実施に当たりましては、被害者の御意向や少年の環境などの個別の事情も慎重に踏まえておるところでございます。
 さらに、出所後、保護観察の段階に入りましても、本人の施設収容中から被害者等に対する調査の充実を図り、加害少年やその家族に対して必要な指導、助言を行っているほかに、保護観察の処遇に入って特別遵守事項としては、慰謝、慰霊の措置を設定しまして実行を促しておるところでございます。その前段階といたしまして、自らの行動を内省させるとともに被害者の心情等を考えさせたりするなど、贖罪意識の涵養を図るような働き掛けを行ったりいたしております。
 これらの施策を一層充実させていきたいと考えておりますが、先日も保護司の皆様に、代表お集まりいただきまして、法律の世界だけでなく保護司の皆様の長い経験、人格、人徳に基づく御指導を改めてお願いをしたような次第でございます。
#25
○鈴木寛君 是非そうした検討を更に深めていただければと思います。
 時間がございませんので、質問を三つまとめてさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 今のことにも絡むわけでありますが、やはり法教育といいますか、小学校、中学校、高等学校の段階から、やはり法治社会あるいは法というものをきちっと教育をするということは、私はこれは極めて重要なことだと思います。これは裁判員制度のことにも絡むというふうに思っております。
 そういった意味で、法教育をこれから更に充実させていただきたいと思っておりますが、その点についての文部省のお考えをお伺いをしたいと思いますのが一点。
 それから二つ目は、来年四月からいよいよ法科大学院が開始をいたします。この問題はこの法務委員会でも、特に法科大学院で学ぶ学生が学費と生活費と、特にこの場合は社会人がもう一回入学をしていくという場合もあるわけでありまして、この法科大学院で学ぶ学生の経済的な財政的な支援というものは、これは極めて重要だという問題提起をさせていただきましたが、来年度の予算要求あるいはその査定が始まっていると思いますけれども、この点については、この宿題をどういうふうに文部省は今取り組んでおられるのかをお答えをいただきたいということであります。
 それから三つ目は、これも法科大学院に絡む統一適性試験の問題であります。
 これはもう新聞紙上でよく御存じだと思いますが、八月に実施されて、また十一月に行うと、こういうことになっております。もちろん、再三行うことはいいわけでありますが、八月に受けた人は十一月に受けれないと。この不公正、不公平さが今問題になっております。すなわち、前から準備をきちっとして、その方はほとんど八月で受けている。全く受験生と関係ない、入試センター側の告知が遅れたと、そのことについて救済をするという意味で十一月に行うということは私は良かったと思っているわけでありますけれども、なぜ二回受けれないのかと。
 ちなみに、アメリカのLSATでは何回か、複数回受験をしてという制度になっているわけであります。これはだれも困らないわけですね。要するに、学生の側も、その学生の能力というものを複数回受けることによってより適正にその評価をしてもらえる、そのときの体調とかいうことと関係なくアベレージできちっと見ることができる。法科大学院、正に入学選考をする側も、その学生の平均的な、安定した実力というものを評価する上で複数回の受験というのは困らない。さらに、これは蛇足でありますが、このLSAT、適性試験を主催をする主催者も受験料収入が増えるわけでありますから、だれも困らないわけでありまして、なぜこの複数回受験というものができないのか、私はこのことについてもう一歩踏み込んだ措置を取っていただきたいということをお願いを申し上げたいと思っております。
 以上、三点についてお答えをいただければと。
#26
○政府参考人(清水潔君) お答え申し上げます。
 まず第一点についてでございますけれども、法教育の必要性に関してでございます。
 正に、様々な日常生活における場面でございますとか、あるいは司法制度は国民全体が支えるべきものという司法制度改革の理念等を踏まえまして、そういう意味で、国民各層が様々な学習機会を通じて法律に関する基礎的な素養でありますとか理解とか態度を身に付けることは重要であるということはよく認識しておるところでございます。
 もう、これは先生御案内のところでございますけれども、例えば今おっしゃられました小中高等学校段階では、現行の学習指導要領の下で、それぞれの発達段階あるいは教科特性を踏まえながらではございますけれども、教科あるいは特別活動など、教育活動全体の場面で法や決まりの意義でありますとか、そういうあるいは仕組み、あるいはそれらを自らの生活に生かす、あるいは社会の成員としての自らの生き方、あるいはそのかかわり方ということについては、そういう態度を身に付けさせようということで指導を行うということにしておるところでございます。
 私どもそういう意味で、様々な場面を通じまして、生涯学習の場面もそうでございますけれども、例えばこのことにつきまして、様々な場面を通じてその充実などに力を尽くしていきたいというふうに考えておりますのが第一点目ということでございます。
 それから、第二点目でございます。
 これもかねてから司法制度改革ということで法科大学院の整備にはコストを要するということ、あるいは三権の一翼を担うということで、私どもといたしましては、進学の機会の確保と同時に法曹養成の中核的な機関としての法科大学院の水準をどう確保するか、そのための言わば学生個人に対する支援と大学院自体に対する支援とを適切に組み合わせながら、公平で競争的な仕組みとしたいと、こういうふうに考えておるところでございます。
 具体的に概算要求におきましては、奨学金につきましては、希望する学生のすべてに貸与するということを目指して、貸与率八〇%という形で設定いたしまして、一か月当たり貸与額の上限を現行の十三万円から、先生にもかねて御指摘いただきましたように、現行二十万円まで引き上げて年間二百四十万円、無利子との併用貸与を合わせれば最高三百四十四万円まで貸与することができるよう八十五億円の要求を行っております。これは、無利子二十五億円、有利子六十億円、計四千八百人についての人員での要求でございます。
 第二点目として、私学に対しまして、私立の法科大学院の授業料抑制あるいは教育の充実という観点から、私学助成に法科大学院のための枠として五十億円を要求いたしております。
 さらに、法科大学院については、何せ私ども新しい仕組みでございまして、これからその充実のために様々な意味での創意工夫あるいはトライアル、そしてその評価を含めた資源配分ということが重要になるわけでございまして、国公私を通じた競争的環境を構築するという観点から、法科大学院における教育の内容、方法の充実、あるいは特色あるプロジェクトに対して支援を行う経費として七十八億円ということでございまして、現在、法科大学院関連予算の総額としては、財政投融資分の有利子奨学金六十五億円を除きますと百五十三億円ということで計上させていただいているところでございます。これは要求段階でございますので、私どもとしては関係省庁との連携を図りながら予算確保に全力を挙げている。(「答弁簡潔に」と呼ぶ者あり)はい、恐縮でございます。
 それから、適性試験の問題、三点目の適性試験でございます。
 これは本年度限りの特例措置として、必ずしも最初の時点で十分な情報が得られなかったであろうということで、大学入試センターの方で実施することとしたものでございます。本年度限りの特例措置ということでの救済措置でございまして、現在のところ八千人が受験するというふうなことで願書を出しているところでございます。
 適性試験についてでございますけれども……
#27
○委員長(山本保君) 簡潔にお願いします。
#28
○政府参考人(清水潔君) はい。なかなかこの適性試験の性格上、いわゆる回数、あるいは練習効果というものは必ずしもないのではないかというふうなことで、これはアメリカ等でも言われているところでございますし、私どもはそういう意味では必ずしもこれは本年度限りの特例措置として御理解を得たいというふうに思っておりますし、また実際上、大学の使われ方を見ますと、入試センターのみならず法務財団の適性試験を併せて検討するという大学も半数以上になっているわけでございまして、その適性試験の活用の仕方も実は様々というふうな状況でございまして、また、いろんな意味で私どももこれをモニタリングして、いわゆる試行テスト、あるいは今回の本試験、あるいは追試験というものがどの程度、例えば私どもが申し上げましたようなそういうことがあり得るのかどうか、いずれ全体として、アメリカのLSATのような形については今後の検討課題ということで、今のところは私ども御理解を賜れればということでございます。
#29
○鈴木寛君 終わります。
#30
○木庭健太郎君 公明党の木庭健太郎でございます。
 裁判官の報酬の引下げの問題、憲法上の問題、その他問題点につきましては何問かやり取りがありましたので省略をした上で、ただ、やはり裁判官の報酬が下がっていく、また検察官も下がっていくという問題が今回起きるわけであって、今回一つこの問題でお聞きしておきたいのは、言わばこれからは今御議論あった法科大学院開設もされて、言わばより層が広がることになるわけです。
 司法試験受かれば、なる問題は、裁判官であり、検察官であり、もう一つは弁護士の選択の道もあるという問題の中で、でもこういう問題、お金の問題だけとは思いませんが、どうやってやはりそういう裁判官及び検察官に優秀な人材を確保するかという問題はいろいろ今後検討しておかなければ、こういった問題と絡めて様々な問題点が生じるのではないかと、こう思っておるわけでございまして、したがって、今後優秀な人材確保するために、それぞれ最高裁及び法務省、どのような方策をお考えなのか、この引下げの問題と絡めてお伺いをしておきたいと思います。
#31
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 今回の減額は、国家公務員全体の民間との給与水準の均衡との観点から、人事院勧告を踏まえた行政府の国家公務員の給与引下げに伴って、これと同程度の引下げを行うというようなことでございます。そういうものでございますが、このような減額によって直ちに裁判官に任官を希望する者が減少するというような、そんな事態になるとは思っておらないわけでございます。
 ただ、いずれにしましても、私どもこれから、今後ますます国民の期待が高まってまいります。そういうものにこたえるためには裁判官に優れた人材を多く確保するということが非常に重要であるという、こういう認識をしておりまして、その関係で申しますと、何といっても判事補の給源になるのは司法修習生でございますので、司法修習生の修習をしっかりやる。その中で、実務修習と司法修習の過程において先輩裁判官の仕事ぶりを目の当たりにするというような機会がございますので、そういう機会を通じて、裁判官の職責ですとか、やりがいですとか、あるいは魅力といったもの、これを十分伝えていきたいという具合に考えているところでございます。
#32
○政府参考人(大林宏君) 検察官について申し上げますと、やはり給料の減額ということで検察官の希望者が減るということは私ども考えておらないところでございます。
 ただ、優秀な人材を確保するということは、これは重要なことでございまして、私どもとしては、検察官の職務について様々な機会をとらえまして更に理解が得られるように努めますとともに、検察官の執務環境の整備等を図ってまいりたいと、このように考えております。
#33
○木庭健太郎君 司法制度改革審議会の意見書の中で、裁判官の報酬の進級制、昇給制については、現在の報酬の段階の簡素化も含め、その在り方について検討すべきであるというような指摘がなされているようでございます。この点、いわゆる司法制度改革推進本部として、こういう在り方も何か御検討になっているならその状況を御報告をいただきたいし、さらに、最高裁のこの改革に向けての検討状況、御報告できる点があれば簡潔に報告をしていただきたいと思います。
#34
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点、私ども、テーマになっているものでございますけれども、現段階ではまだ御報告できるような進捗状況に至っていないということで御理解を賜りたいと思います。
#35
○木庭健太郎君 是非、先ほどは最高裁そのものもどう検討するのかとか、法務省そのものもどう検討するのかとか、報酬問題ありましたが、司法制度の中でも一応こうやって意見書の中にはテーマになっていることもございます。併せて御検討もいただき、どういった在り方が本当にいいのかという御検討をいただきたいと思います。
 大臣にお聞きをいたします。
 あいさつでも、また記者会見でもおっしゃっておりましたが、ともかく今は司法制度改革推進本部の下にこの司法制度の改革なされておりまして、法科大学院、裁判迅速化法、これは既に本国会で成立を見ておるわけでございますが、先ほどから御議論になっているとおり、まだまだ多岐広範の分野があるわけでございまして、特に来年の通常国会、ここに様々な法案が出されることになるとも思います。言わば大詰めの段階だと思いますが、これへ向けての大臣の決意を伺っておきたいし、また、来年の通常国会というのは、正直申し上げれば、その通常国会が終われば我々参議院にとっては選挙でございまして、一言で言うならば、延長のできない国会を来国会はやるしかないわけです、通常国会は。その中でどう簡潔にというか、きちんと仕上げた形で通常国会前に出していただくかどうかが、ある意味では法務省の取組の大事な観点になると思います。そういった意味も含めて、大臣のこの司法制度改革への決意を伺っておきます。
#36
○国務大臣(野沢太三君) 今般の司法制度改革は、裁判あるいは司法行政含めて、国民の身近な存在にこれを変えていくという意味で大変大事な役割、任務を持ったものと認識をしておるわけでございまして、我が国の将来が、かつて近代化を遂げてきた過程のように、正にこれから国際化していくためにも極めて重要な仕事と考えておるところでございます。
 この司法制度を所管する法務大臣といたしまして、また併せて司法制度改革推進本部の副本部長という役も拝命しておりますが、このような歴史的な改革に携わることができまして大変光栄に思うわけでございますが、同時に責任の重大さを感じておるところでございます。
 既に、これまで法曹養成制度や民事司法制度を始めとしまして着実に改革が実現されているところでありますが、今後も、国民が全国どこでも法的紛争の解決のために必要な情報やサービスを受けられるようにするための司法ネットの実現や裁判員制度の導入など、重要な問題が山積いたしております。
 私も、就任のときに総理から特にこの点については御指摘をいただいておりまして、肝に銘じてこれから取り組む所存でございますが、私としましては、司法に対する国民の意見を十分に耳を傾けまして要請にこたえていくことが何よりも大事であると、国民にとって身近で頼りがいのある司法制度の構築を実現するために全力で取り組む所存でございます。何とぞ御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。
#37
○木庭健太郎君 今、大臣もお話しされた中で、また先ほどの御議論あった中でもございますが、今度の一つの大きな制度改革の中に裁判員制度の問題がございます。今いろいろな案を出されて、それを検討なされている段階であり、正に最終の詰めの段階に至っていると思っております。
 ただ問題は、裁判員制度について世論調査をすると、国民の皆さんよく御存じない。いろんな調査をしても、じゃどんな制度がなされてどうなのだということも理解をまだされていない部分もあるし、例えばアンケートすると、制度の導入には半数ぐらいは賛成だとするけれども、一体これ何なんなのという、中身については、ある意味じゃ、形そのものですよ、やろうとしていることは間違いなくやろうとしているんですけれども、それについて国民が理解していないのは大変問題であると思うんです。
 裁判員制度、幾ら制度を作っても、国民の理解、国民の協力ができなければ、こんなもの絵にかいたもちになって、逆に言えば変な制度を作る結果にもなりかねないと私は思っておるんでございまして、もちろん新たな形としての裁判員制度、大変必要なものであり、是非とも形を仕上げなければならないと思うんですが、できれば、これをより国民に多く理解していただくためにも、まだ固まったわけじゃございませんが、その前の段階で、例えば政府主催で、国民に向かって、裁判員制度というのはこんなことを考えて、こういうことをやっていますよということを、シンポジウムを行ってみるとか、例えばそれを基にする模擬裁判を行うなど、とにかく国民にもう少し制度内容について分かりやすく説明する必要もあるだろうし、また最終決定する前に、逆に言えばこういったものも行う必要があるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
#38
○政府参考人(山崎潮君) ただいま御指摘の点、大変重要な点と私ども理解しております。
 私どもといたしましては、顧問会議あるいは検討会の資料あるいは議事録等は全部インターネットでオープンをしております。ホームページをオープンをしておりますし、広報用のパンフレットを作ったり、あるいはテレビ、政府広報誌等でPR活動、新聞もそうでございますけれども、続けておりますけれども、なかなか御理解が得られないということで、我々としても苦慮しているところでございます。
 ただいま御指摘がありましたような政府主催のいろいろ講演会とかそういうようなものにつきましても、現段階ではまだちょっと案がどうなるか分からない点がございまして、なかなか政府としてそれだけをやるというのは非常にちょっと厳しい現在の状況でございます。
 いずれにしましても、ある程度の骨格が見えてきて、国民の方に御理解をいただかなければならないことでございますので、そういう段階、それからもちろん実施、それから実施後も含めて、ふんだんにPR活動、理解をいただけるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。御理解を賜りたいと思います。
#39
○木庭健太郎君 おっしゃるとおり、まだ固まっていないんで、模擬裁判をやろうとしても難しいだろうなと思うんですけれども、ただ、現実にそういう形を見せて、ある程度固めた後ですよ、形を見せて、単に先ほど、PR誌も見ましたけれども、そうじゃなきゃ設定できませんよ。やはりマスコミを使いながら、そういう模擬裁判なら模擬裁判やっていただく、そういった場でどういう形で裁判員とかかわっていくのかということをやっぱり理解していただく場は必ず作っていただきたいと、このように思っております。
 最後に、大臣に、犯罪の国際化、組織化の問題についての治安強化について最後に伺っておきたいと思うんです。
 警察庁、九月二十六日、白書を公表いたしておりますが、今回の白書で特に「組織犯罪との闘い」と題して、来日外国人や暴力団による組織的犯罪の深刻化に警鐘を鳴らした形になっております。
 白書を見させていただきましたが、昨年一年間、外国人犯罪の検挙件数というのは三万四千七百四十六件、前年度に比べたら二五・二%増、物すごい増加でございます。さらに検挙人数も一万六千二百十二人、前年比一〇・六%と、いずれも過去最高の現状でございます。
 先ほども御指摘あっておりましたが、手荒な手口もあったり、もういろんな問題が起きると思いますが、また組織化の傾向が強いというような指摘も白書の中でございました。是非とも、こういった問題に取り組む必要もあると思うし、また暴力団対策法施行以来十年経過した現在も、金融等の事業活動介入、今回悪質な金融問題も指摘されましたが、いろんな問題が我が国にとって脅威であると認識しております。
 ここで大臣に是非、こうした犯罪の国際化、組織化に対して政府としてどのような対策を実施し、又は検討していこうと思っていらっしゃるのか、大臣からお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#40
○国務大臣(野沢太三君) 来日外国人犯罪は、委員御指摘のとおり、大変喫緊の課題となっております。この対策に関しましては、まず不法滞在を企画する、意図する外国人や国際テロリストの入国を確実に水際で阻止をすることがまず第一に肝要でございます。
 そこで、偽変造文書鑑識体制の更なる強化を図りますとともに、昨今発達してまいりましたバイオメトリックス等の最新技術を入国審査に活用する方法についても検討してまいりたいと思います。
 また、外国人犯罪組織等の温床となっている不法滞在者、現在約二十二万プラス三万人くらいがおると推定されておりますが、これを着実に減らすために、警察等の関係機関とのより緊密な連携を取りまして、積極的、効果的な摘発を実施し、特に首都圏の問題地域における摘発体制の整備を目指してまいります。
 検察においては、来日外国人犯罪や組織犯罪に対し、引き続き関係機関と連携しまして、様々な法令を駆使して事案の真相と組織の全容を解明して、より厳格な科刑の実現や犯罪収益の剥奪の徹底を図っていくこととしております。
 また、犯罪の国際化及び組織化に対応するため、前国会におきまして犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案を提出いたしました。さらに、捜査共助の迅速化を図るため、本年八月、日米刑事共助条約に署名をいたしたところでございます。
 今後も犯罪人の引渡し、捜査共助の迅速化、充実強化を図っていきたいと考えておりますので、国会のまた御指導よろしくお願いいたします。
#41
○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、裁判官、検察官の給与関連の法案について質問をいたします。
 今度の法案は人事院の二年連続のマイナス勧告に基づくものでありますが、国家公務員の賃金引下げは民間の給与引下げの促進にもなります。小泉総理は官から民へという言葉がお好きですが、官から民、そしてまた民から官へと、賃下げの悪循環の中で、私はやっぱり消費の引下げ、経済にも打撃という結果をもたらすということを指摘をせざるを得ません。
 さらに、先ほど来問題になっている憲法との関係についてお尋ねをいたします。
 この裁判官全体の報酬引下げについては、合憲説と違憲説というのが言わば真っ二つに分かれている中で、最高裁は昨年、合憲説ということを取りました。昨年の質疑の中でも、私は、この最高裁の事務総局の総務局が監修をした裁判所法の逐条解説の問題をお聞きをいたしました。
 この中で、報酬そのものの減額は、たとえ特定の裁判官のみに対して行われる場合ではなく、裁判官全体の報酬、さらには国家公務員全体の給与が同じ比率で引き下げられる場合でも許されないことは言うまでもないと明確に述べていることを示しました。当時の答弁は、裁判所法の解釈であって、憲法解釈ではないんだと、こういうような御答弁だったと思うんですが、これは納得のいくものではありません。
 今回の引下げにおいて、このことも含めて、改めて憲法問題について検討がされたんでしょうか。
#42
○最高裁判所長官代理者(山崎敏充君) 本年も、最高裁判所の裁判官会議におきまして、この問題、検討がされまして、昨年同様に、人事院勧告に沿って国家公務員の給与全体が引き下げられるような場合には、裁判官の報酬を同様の内容で引き下げても司法の独立を侵すものではないことから、憲法に違反しない旨、改めて確認されております。
 ただいま委員御指摘の、裁判所法の逐条解説をした書物が事務総局から出ているということは承知しているところでございますが、これは事務総局の中の担当部局でございます総務局におきまして、裁判所職員その他関係者の執務の参考に供する趣旨で、裁判所法の各規定の解釈について解説したものでございます。その中には、意見にわたる部分も記載されておるわけでございますが、これはあくまでも当時の事務当局、総務局ということでございますが、その総務局限りの一応の見解を示したものでございまして、最高裁判所としての確定的な見解を示したものではございません。
 今回の先ほど申し上げました最高裁判所の裁判官会議の結論というのは、憲法上、裁判官の報酬について、特に保障規定が設けられております趣旨及びその重みを十分に踏まえて検討されまして、司法行政事務に関する最終意思決定としてなされたものと承知しているところでございます。
#43
○井上哲士君 私も質疑に当たっていろんな文献も当たりましたが、このことについてきちっと解説をしているのは唯一この事務総局が出したものなわけですね。いろんなやはりお役所が自分の関係する法案について、法律についての解説書を出しておりますが、これはやっぱり責任を持って出されたものかと思います。担当者のということではやはり納得のいく答弁ではないということは指摘をしておきます。
 その上で、憲法問題にかかわって、野沢法務大臣が就任直後の記者会見で述べられました改憲発言について質問をいたします。
 この中で、大臣は、集団的自衛権については保有しているが行使できないというのは分かりにくいとした上で、分かりやすくしっかり明記すべきと、こういう発言もされております。衆議院の質疑の中で発言内容についてはお認めになりました。憲法九十九条で憲法の尊重擁護義務を負っている大臣の発言として非常に政治的に私は重大だと思います。この九十九条につきまして、例えば「註解日本国憲法」ではこういうふうに述べております。擁護するとは、憲法を侵す行為を防圧するという受動的意味である。尊重するとは、憲法を尊重して、これに違反せず、更に目的を実現することに力を尽くすことと、こういうふうに述べております。
 まず、法制局にお聞きしますが、こういう解釈で間違いないわけですね。
#44
○政府参考人(宮崎礼壹君) 尊重と擁護の言葉の意味合いにつきましては、教科書によって少しずつ違いまして、擁護の方が強いというのもあれば、尊重の方が強いというものがございます。要は、併せて憲法を守る義務があるんだということであるというふうに大体教科書は総括していると思います。
 お尋ねの九十九条の趣旨でございますが、これは日本国憲法が最高法規でありますということにかんがみて、そこに書いてございます、天皇、摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に、憲法の規定を遵守するとともに、その完全な実施に努めることを求める趣旨の規定であるというふうに解されております。
 もっとも、憲法にはその改正規定、改正の手続が定められておりますので、所定の手続によりますことを前提として憲法改正につきまして検討し、あるいは主張をするということを憲法自体が認めているということも明らかでございますから、このような議論を行うことと、現在の憲法の規定を遵守し、その完全な実施に努力するということは別個の問題であるというふうに常々解されておりまして、政府としてはそういうふうに申し上げてきておりまして、例えば昭和五十五年十月七日の森清議員の質問主意書に対する政府の答弁書におきましてもそのことが示されているところでございます。
#45
○井上哲士君 完全実施に努めることということがこの尊重擁護義務の中身として今示されました。
 大臣は、衆議院の答弁で、この目的実現に、憲法の目的実現に力を尽くさなくてはならないということについて、一学説であるような、かのような答弁もありました。しかし、内閣としての解釈もありましたように、完全実施に努めるということであります。改めて、この憲法の尊重擁護義務についてどのように受け止めていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
#46
○国務大臣(野沢太三君) まず、御理解をいただきたいことは、先日の記者会見の発言あるいはまた衆議院における答弁、続けてございますが、まずは、法務大臣としての見解というよりも、記者からの御質問によりまして、これまで憲法調査会会長として参議院におきまして積極的に憲法に関する議論に加わってきた私、政治家野沢としての見解を申し上げたと、こういうことをまず御指摘しておきたいと思います。
 御指摘の閣僚の憲法尊重擁護義務の解釈につきましては、私が内閣を代表してお答えする立場にはありませんが、私の考え方といたしまして、先ほど法制局の部長さんがお答えされておりますけれども、九十九条が、天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う旨定めていることは、この憲法が最高法規であるということから、公務員が同法の規定を尊重するとともにその完全な実施に努力しなければならないという趣旨を定めたものと承知をしております。
 ただ、九十六条において憲法の定める改正手続も併せて明記されておることでございますので、憲法改正についての検討あるいは議論をこれは禁止する趣旨のものではないと考えておるものでございまして、その趣旨で私も取り組んでおるところでございます。
#47
○井上哲士君 この公務員の憲法尊重擁護義務と憲法改正に関する議論との関係に関する政府の統一見解というのは一九八〇年に出されておりますし、その後の一九八三年には当時の中曽根総理が本会議での答弁をしております。総理は、当時の総理はこう言っているんですね。憲法の遵守の義務があるということとした上で、私はただいま行政府の最高責任者の地位に立っておりますが、議員であったときとは立場が違うわけであります、したがって憲法改正に関する具体的な条項に関する意見を申し述べることは、どうしてもこれは個人と公的地位が混交される危険性は十分あるのであります、そういう混乱を考えますれば差し控えるのが正しいと、こう考えております、こういう答弁もされておるわけであります。
 そういうことからいえば、個人的見解ということを言いつつも、実際上、法務大臣就任直後の会見、法務省内で行われたところでこういう発言をされたということはやはり不適切だと考えますが、改めていかがでしょうか。
#48
○国務大臣(野沢太三君) 私の憲法擁護義務に関する見解は先ほど申し上げたとおりでございますが、私は、閣僚として憲法改正に関し発言をするにつきましては、これまでの総理の発言その他もございますように、御指摘のような見解もあるということを踏まえまして今後も処してまいりたいと考えております。
#49
○井上哲士君 私、重大だと思いますのは、日本の憲法というのは五十年以上も経過して一度も手を入れていないとして、様々な面で矛盾が出たり現実と乖離が発しているということで、この改憲の理由として述べられております。確かに、経済大国と言われる日本でホームレスがあったり生活苦の自殺があったり、生存権と懸け離れた実態というのは私もあると思います。
 そうであるならば、しかし憲法の完全実施の義務、これを負った閣僚としては、現実の乖離があるならば、その現実をやはり憲法の次元に合わせる、そういう努力こそが義務付けられておると思いますが、そういう立場で法務行政に当たられると、これはこういうことでよろしいですか。
#50
○国務大臣(野沢太三君) 私は、憲法の在り方はそもそも、国民の皆様がだれが読んでも分かりやすい、中学生、高校生くらいで読んでも素直に条文どおり理解できると、こういうことが望ましいとかねてから考えておるところでございます。
 これまでその意味で様々な議論が行われてまいりましたけれども、ただいまは国会におきまして衆参両院で憲法調査会が開かれまして既に四年目に入っておるところでございますが、こういった国会での議論を踏まえ、また、それぞれ各党がただいま取り組んでおられます憲法の今後の在り方についてのいわゆるマニフェスト、その他の御意見もあろうかと思います。そういった様々な御議論を踏まえながら法務大臣としての適切な対応を今後とも心掛けてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。
#51
○井上哲士君 正に法務大臣としての適切な対応というのはこの完全実施について努めると、こういう義務があるんだということを改めて強く申し上げておきます。
 その上で、司法制度改革についてお聞きをいたします。
 先ほど来、裁判員制度の導入について議論がありますが、大臣としてはこの制度、どういう意義があるとお受け止めになっているでしょうか。
#52
○国務大臣(野沢太三君) 私は、裁判員制度につきましては、一般の国民の皆様が裁判員として裁判官とともに評議し、有罪、無罪の決定及び刑の量定を行うということで、大変、裁判あるいは司法全体に関する国民の皆様の身近な存在として大変有意義な課題であると心得ておるわけでございます。
 これに関して更にこれから議論を深めまして、一層、司法制度全体が国民の皆様にとって役に立つ身近な存在であるということがこれによって実現することを強く期待し、またそのために努力をしてまいる所存でございます。
#53
○井上哲士君 国民の参加、国民の常識を裁判に反映をさせると、こういう裁判員制度の目的を果たすためにはやはり市民を飾り物にしてはならないと思います。まず、裁判員の意見が反映される体制、ルール、それからもう一つは市民でも分かりやすい刑事裁判の手続が必要だと、この二つが私は重要だと思います。
 まず、体制という点で合議体の構成の問題であります。
 先ほども今の検討会の議論状況について議論、御報告がありましたが、いわゆるコンパクトに裁判員と裁判官の数を同数にしてやろうという案と裁判員を多くしようという二つの大きな流れがあろうかと思います。
 先ほどそれぞれの主な論点について御紹介があったわけですが、改めて、特に主な論点についてそれぞれ、コンパクトにするという案と一定のものにするという案についてそれぞれどういう論議の違いがあるのか、改めてお願いをいたします。
#54
○政府参考人(山崎潮君) 裁判官に関しましては大きく、三人にすべきだという意見と一人又は二人で足りるという、こういうふうに分かれるわけであります。
 三人にすべきであるという意見の理由でございますけれども、まず、裁判員制度は現在の裁判官による合議体に国民が加わるという制度でありますので、裁判員が加わったからといって裁判官の人数を減らす理由はないということ、それから、裁判員の制度の対象となる事件よりも法定刑の軽い事件について裁判官三人による裁判が行われる、これとの均衡がいいのかという意見、それから、裁判官を二人とすると、法律解釈あるいは訴訟手続上の判断のように裁判官が最終的な権限を持つという事項について裁判官の意見が分かれたときにその判断に窮することにならないかと、こういう意見でございます。
 それから、裁判官が一人あるいは二人とすべきという意見でございますけれども、この裁判員制度は新たな発想で制度を設計すべきであって、裁判員制度における裁判官の役割はプロとしての知識、経験を提供するということにあるんだから、一人のベテランの裁判官で十分果たし得るんではないかという理由、それから、裁判官を二人とした場合に、裁判官の判断が分かれたとしても一定のルールを決めておけば対応できるのではないかと、こういう意見でございまして、個々のそれぞれの理由が述べられているという状況でございまして、まだ今後ともどうしていくかということをはっきり決めたということではございません。
#55
○井上哲士君 やはり、この裁判員制度は市民はお手伝いではないんですね、主役だと思います。
 この間、例えばいろんなことがやられておりますけれども、九州大学が行った模擬裁判というのも紹介をされております。やはり裁判員の数が多いと非常に議論が活発になると。裁判官と裁判員の割合の三対十の場合は、発言回数は裁判官六十一回、裁判員百三十五回と。ところが、三対四にしますと、裁判官百十一回、裁判員五十八回ということで、発言回数の割合が全く変わったということも報告をされております。
 で、アメリカの連邦最高裁は、向こうはまあ陪審員制度でありますけれども、裁判員の数が六人までであれば地域社会の公正な縮図と言えるけれども、五人以下であるとそうではないと、こういう趣旨の判断もしております。正に、この市民を飾り物にしないという点では十分な人数を確保するということが非常に重要だと思うんです。
 で、大臣は就任直後の記者会見でもこの裁判員の数についても述べられております。やはり本当に裁判員制度を実のあるものにするためにも、やはり十分な数を確保することが必要かと思いますが、改めて所見をお願いします。
#56
○国務大臣(野沢太三君) 御指摘のとおり、裁判員制度の数あるいは合議体の在り方については、極めてこの制度の正に本質にもなり、また将来のこの普及の一番大事なかぎにもなるところであると心得ておりますが、裁判員制度における合議体の構成に関しましては様々な御意見があると承知をしております。
 司法制度改革審議会意見においては、裁判員の主体的、実質的関与を確保するという要請、評議の実効性を確保する要請等を踏まえまして適切な在り方を定めるべきであると述べられているところでありまして、これを踏まえ、制度の導入に向けて具体的な検討を進めてまいりたいと、かように考えております。
#57
○井上哲士君 大臣は、記者会見では、これは個人的見解としつつ、やはり裁判員が意見をよく出せるようにするためには数が多い方が必要だということも述べられております。是非、その立場で制度の具体化をお願いをしたいと思います。
 もう一つ、このかぎとしては、分かりやすい刑事手続が必要であります。取調べ過程の可視化など取調べの適正化の確保ということがずっと指摘をされてきたわけでありますが、七月の末に具体化が出されております。どのような具体化がされたでしょうか。
#58
○政府参考人(樋渡利秋君) お尋ねの件は、いわゆる取調べの記録制度についてであろうと思いますが、それにつきましては現在、関係省庁におきましてその具体的実施に向けた規則、訓令等の作成作業等に取り組んでいるところでございますが、関係省庁で合意した記録制度の概要に即して説明いたしますと、身柄拘束中の被疑者、被告人の取調べ時間、調書作成の有無等の取調べの過程状況に関する事項につき、書面による記録の作成、保存を義務付けるものでございまして、上司等による指導監督の契機等とすることにより、取調べの適正をより一層確保しますとともに、公判段階において捜査段階における被疑者供述の任意性、信用性が争点となった場合に、捜査段階の取調べの過程、状況に関する客観的、外形的な証拠資料を提供することによりまして、公判、審理の充実、迅速化に資することを目的としているものでございます。
 さらに具体的には、取調べ記録は、捜査官が取調べ室又はこれに準ずる場所において身柄拘束中の被疑者、被告人を取り調べる場合におきまして、原則として一日単位で作成する報告書とし、記載事項は作成者、名あて人、取調べ年月日、取調べ担当者、通訳人、取調べ場所、取調べ時間、被疑者氏名及び生年月日、逮捕勾留罪名、被疑者調書作成の有無及び通数その他参考事項とすることを予定しております。
#59
○井上哲士君 これ問題は、現行の裁判の中でも改善が必要だということでやられたものでありますが、裁判員制度という制度発足に当たっては更に踏み込んだことが私は必要だと思います。特に、最近、弁護士や市民団体だけではなくて、裁判官をされていた方からも更に踏み込んだ取調べ過程の録音、録画を求める声が出されているのに非常に注目をしております。
 幾つか論文を見ましても、自白の任意性というのが非常にやはり争いになってきた、これは客観的ななかなか証拠がなくて水掛け論になっている。これまでの裁判官であっても、それについての判断が非常に難しかったという中で、長期化の原因にもなってきた。裁判員が制度ということに当たれば、ここの問題を解決することが非常に重要だと。長期化になってはならないし、そしてまた、裁判員の方がなかなか自分の心証を形成することができないということになりまして、お飾りだったということになりますと、裁判員制度ひいては司法の信頼そのものにもかかわるということで、この取調べ過程の録音、録画に踏み込むべきだという声が裁判官をやっていた方からも出てくることを非常に注目をしております。
 改めて、この問題に更に踏み込んだ検討をすべきかと思いますが、その点いかがでしょうか。
#60
○委員長(山本保君) 時間が来ております。簡潔にお願いします。
#61
○政府参考人(樋渡利秋君) 裁判員制度の下における審理は、裁判員が理解しやすく的確な判断ができるようにすることが極めて重要でございまして、現在、司法制度改革推進本部におきましても、そのような観点から種々の検討が行われているものと承知しておりますし、最高検察庁におきましても、そのことを踏まえまして、分かりやすい裁判を実行できるように種々の検討を加えているところでございます。
 しかしながら、取調べの可視化につきましては、司法制度改革審議会意見におきましても、刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であること等の理由から、将来的な検討課題とされているところでございまして、慎重な検討がなお必要であろうと考えております。
#62
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 まず、裁判官の報酬及び検察官の俸給についてお聞きをいたします。
 厚生労働省にお聞きをいたします。人事院勧告は、月例給の二年連続の引下げ、一時金の大幅な月数削減で、年間給与は五年連続で過去最大のマイナスとなりました。今回の給与法改正案も、裁判官、検察官という公務員に対する賃下げであり、これが裁判官、検察官だけにとどまらず、他の公務員給与や民間労働者の賃金に対する影響が大変あるのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
#63
○政府参考人(青木豊君) 御質問でございますけれども、民間企業における労働者の数で、その他、そういったことと裁判官等との数などを勘案しますと、恐らくウエートでいえば〇・一%にも満たないようなウエートであろうかと思いますが、それ自身ではなくて、御質問の趣旨は、一つの基準になったり目安になったりということで、賃金、民間における賃金決定に影響があるのではないかと、こういう御趣旨かと思います。
 民間企業における賃金につきましては、その決定に当たりましては、雇用期間でありますとか、あるいは業務実績など様々な要素を考慮して、結局その労使の合意に基づいて個別に決定されるというものでございますので、こういった裁判官等の俸給の引下げというのが民間企業における賃金決定におきまして考慮事項の一つとされるか否かということについては、正に個別の個々の企業により判断をされるものでありますので、なかなかその影響というのは把握するというのは困難であるというふうに思っております。
#64
○福島瑞穂君 今日、答弁に来てくだすった方たちは皆さん公務員ですが、今日の給与法の改正の引下げが公務員全般に及ばないようにということを強く要請をいたします。
 次に、法務大臣のパスポートに指紋データなどを組み込む発言についてですが、野沢法務大臣はインタビューで、治安対策のため顔の形、指紋など個人特有のデータを読み込んだ形でパスポートその他を作っていくのが効果があるのではないかと述べたと報じられています。
 顔識別機能に関しましては、そのデータがどう使われていくのかという問題もあります。また、指紋押捺制度は、憲法十三条、国際人権自由権規約七条、品位を傷付ける取扱いの禁止に違反するものであり、内外人平等原則を規定する同規約二条一項及び二十六条に違反し、憲法十四条の趣旨にも反するとの批判を受け、一九九九年に外国人登録法の改正により廃止されたという性格を持っているものです。にもかかわらず、指紋押捺が突然浮上してきて非常に驚いたのですが、極めて問題ではないでしょうか。
#65
○国務大臣(野沢太三君) 御質問、大変大事なことを聞いていただきまして、ありがとうございます。
 私は就任の時点で、総理から、日本を世界一安全な国に戻すようにということで御指示を受けたわけでございますが、その実現のためには、犯罪や不法滞在を意図する外国人、あるいは盗難旅券を悪用する者の入国を水際でまず阻止するということがございます。そのための方策の一つとして、顔の形とか指紋とか声帯情報が搭載されている旅券を入国審査で読み取ることができれば効果があるのではないかと発言したものでございます。
 すなわち、私といたしましては、国際的な人の流れが拡大する中で、テロリストや国際組織犯罪者の我が国への流入を水際で食い止める対策の必要性を強く認識し、そのためには国際的な取組を更に強化することが重要であって、こうした世界各国との連携協力の下で、一つの例として旅券に声帯情報を組み込み、それを読み取れるようにすることも、いわゆる成り済ましや変造の効果的な対策として考えられるということを申し上げたものでございます。
 現にG8、あるいは国連の専門機関の一つである国際民間航空機関、ICAO、世界の百八十八か国がこれ加盟しておりますが、この場におきまして、テロリストや国際組織犯罪者の国際的移動を抑制し、彼らが行使しようとする偽変造旅券を容易に見分けるための有効な方策について各国間で協議が行われており、その中で、バイオメトリックスの導入について調査研究や情報共有を図っていくことが合意されているということを承知しております。
 我が国において、旅券発給は外務省の所管ではありますが、これを活用して、私どもは入管業務がより的確、適正に行われるよう努めてまいりたいと、かように考えております。
#66
○福島瑞穂君 入管業務が適正に行われることはもちろん必要です。しかし、いわゆる不法入国外国人などの対策のために、日本国民全員の顔識別機能、指紋押捺という提案がなされていることは大変問題ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#67
○国務大臣(野沢太三君) 日本人全体ということには及びませんで、やはりこれからこういったバイオメトリックス等の読み込まれた旅券を使うことによって、より出入国が安全にかつ円滑に行われるということで、これはもう民間レベルでの選択的な課題であると、かように考えておるわけでございます。
 指紋押捺に関する憲法上の判断、あるいはこの制度の改廃についての経緯も私は承知の上で申し上げているところでございます。
#68
○福島瑞穂君 確かに、日本国民全体でなくパスポートを取得している三千三百万人の人たちに及ぶわけですけれども、要するにパスポートを取り直すというふうに聞いておりますが、顔識別機能あるいは指紋押捺という問題は、極めてプライバシーや監視の問題、人権の問題とも絡みますので、是非再考していただくようにというふうに思います。非常に問題があるということを述べさせていただきます。
 次に、犯罪被害者支援策の拡充についてですが、まだまだ心理カウンセリングなどが不十分であるとかいうのがあります。被害者の人たちから、例えば金銭的な支援の拡充、犯罪被害者給付制度に被害回復や生活保障の視点を入れてほしい、省庁縦割りでなく、国の責務として被害者に対する支援を行う犯罪被害者基本法などが考えられないかということを聞いております。いかがでしょうか。
#69
○政府参考人(吉村博人君) お答え申し上げます。
 対策基本法の話はさておきまして、私ども、今、警察の立場でございますが、被害者、犯罪の被害者あるいは遺族にとりましては、警察というのはある意味では最も初期の段階で、かつ最も身近に接する機関であります。したがいまして、初期段階でのカウンセリング等の支援活動を適切に行っていく、言わば適切な危機介入を行うことが肝要だというふうに考えております。
 被害者対策、被害者支援は、いろいろな場面があるわけでありますが、一つは金銭的に支給をして犯罪被害者給付を行っていくということがあろうかと思いますし、警察あるいは検察等の捜査で被害者の二次的被害を言わば防止をしていくような捜査をやっていくということがまたあろうかと思います。
 加えて、被害者なりあるいはその遺族の方々が非常に精神的にダメージ、ショックを受けていらっしゃるということは十分あり得るわけでありますので、例えて申しますと、平成十三年に大阪で池田小学校の事件が発生をいたしましたが、あの際にも、警察におきましては、捜査それ自体をやるチームとは別に、特別の被害者の支援班というのをこしらえまして、ここでその遺族あるいはけがをした被害の児童に付き添って、これらの方の心情の聴取あるいは要望を伺うと。この際には、実はメディアスクラムへの対応ということも実はあったわけでありますけれども、必要に応じまして部外の専門家の人とも連携をしながらカウンセリングを実施するというようなことで対応しておるところでございまして、従前と比べますと、犯罪被害者給付金の支給も、金額も増えておりますし、一つ一つの事件捜査の過程で、今申し上げましたような被害者の心情を酌んだ支援なり取扱いを私どもの方でやるということで徹底はしてまいっているのではないかというふうに思います。
#70
○福島瑞穂君 是非、被害者支援の拡充をよろしくお願いします。
 次に、今年七月十八日に出ました女性差別撤廃委員会、国連、ニューヨークで日本の人権状況が審議され、勧告が出ております。そのパラグラフの三十五番で、委員会は、民法が例えば夫婦の氏の選択などに関する差別的な規定を依然として含んでいることに懸念を表明する、委員会はまた、戸籍、相続権に関する法や行政措置における非嫡出子に対する差別及びその結果としての女性への重大な影響に懸念を有すると勧告をしております。
 別姓が選択的に選べないために結婚をしないで待っているカップルも実は大変多いのですが、法務大臣、是非この勧告を受けて前向きに取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#71
○国務大臣(野沢太三君) 委員、かねてからこの問題について大変御熱心にお取り組みと伺っておりまして、これからも御一緒に御議論を深めてまいりたいと思いますが、選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、法務省といたしましては、平成八年の法制審議会の答申の内容を踏まえながら、少しでも多くの方の御理解を得られるように努力を続けてきたところでございます。しかし、この問題は婚姻制度や家族の在り方と関連する重要な問題でありまして、国民各層や関係各方面で様々な議論があることも承知しております。
 法務省といたしましては、このような議論を踏まえ、大方の国民の御理解を得ることができるような状況で法改正を行うことが相当であるものと考えておるところでございます。
#72
○福島瑞穂君 是非、法務大臣、前向きによろしくお願いします。
 ところで、次に行刑改革についてお聞きをいたします。
 大臣、法務大臣情願をお読みになられましたでしょうか。
#73
○国務大臣(野沢太三君) 大変大事な問題ということで、森山大臣からも引き継ぎをして読んでおります。
#74
○福島瑞穂君 所信表明でもありますけれども、読まれてどういうふうな御感想をお持ちでしょうか。あるいは、行刑改革に向けての決意をお願いいたします。
#75
○国務大臣(野沢太三君) 私も実は初めてこの問題に取り組みまして、明治四十一年に制定されました監獄法の中で既にこの制度があるということにまず大変実は私は着目をいたしたわけでございます。要するに、昔でいえばお上に直訴をするというルートが既にその段階で用意されていたということでありますが、歴史的に見ると余り戦前はこれが活用されたりあるいは多用されたりしたケースはなかったということですが、昨今、大変この量も増えてまいりましたし、また内容も多岐に及ぶということでございます。
 そういった意味で、受刑者の皆様方の本当の気持ちが直接私ども法務行政の責任者に届くという意味では、これは大変優れた制度ではないかなと。反面、その中身、内容につきましてはなかなか多岐にわたっておりまして、食事の不満であるとか、あるいは健康の状況であるとか、あるいは収容状況の意見であるとか、これはもう正に千差万別でございます。
 今、みんなで手分けをしてこの内容について読み下し、適切な対応を取るよう努めておりますが、まだ全体を把握しているわけではございませんので、私も近いうちに現場を見学したりしながら、この制度の更なる運用の在り方について議論してまいりたいと思っております。
#76
○福島瑞穂君 法務大臣の諮問機関で行刑改革会議が始まっておりまして、参議院、衆議院の法務委員会は行刑改革について一生懸命取り組んできた委員会ですので、大変本当に期待をしております。
 刑務所の医療改革で、刑務所医療の厚生労働省移管、被収容者の健康保険加入などを実現してほしいと。あるいは面会、文通の対象拡大、親族と弁護人しか駄目ですので拡大をしてほしい。あるいは査察、外部からの査察をきちっと認めてほしい、システムを作る必要があるのではないか。独立した人権委員会の必要性。あるいは女性受刑者に対する、これは男性受刑者も必要だと思いますが、カウンセリングの処遇。女性受刑者は七割もの多数が幼少期に何らかの性的虐待を受けているという調査報告もあります。女性受刑者らに対するカウンセリングなど特別な矯正教育がされているのか、今後必要ではないかというふうにも思います。
 また、刑務所職員の団結権についてですが、去年十一月と今年六月、刑務官の団結権付与についてILOから勧告が出されています。私は、随分これで状況が変わるのではないかというふうに思いますが、刑務官の人たち、非常に労働、厳しいですし、なかなか労働条件の改善もできておりませんので、この検討状況について教えてください。
#77
○国務大臣(野沢太三君) 刑務所における医療問題というのは、正に一番基本的人権にもかかわることでもございますので、これはしっかり取り組んでまいるつもりでございます。
 様々なこれから行刑改革会議の中での御意見も踏まえて取り組むつもりでございますし、それから今、委員御指摘の女性に対するカウンセリングの問題、さらには看守の皆様方の団結権の問題等々、様々な課題がございますので、これはひとつ今後の関係機関の皆様との御協議を踏まえ、あるいは行刑改革会議等の御提案を踏まえ、さらには国会の皆様方からの御提言等も勘案しながらしっかり取り組むつもりでございます。
#78
○福島瑞穂君 是非よろしくお願いします。
 また、所信表明でPFI手法による新刑務所について言及をされていらっしゃいます。刑務所の運営も民間が担うということになりますと、アメリカなどの歴史的な事実からも、一定の収容数を確保するために経営上のインセンティブが生じて、決して全体の収容者数を減らすことにならないなどの問題点があります。是非この点については慎重に考えてくださるようにと要望いたします。
 次に、東京拘置所の建て替え問題についてお聞きをいたします。
 東京拘置所が建て替えられましたが、新しい居房の構造は窓にルーバーが付いており、外の景色が見えず、閉塞感が非常に強いと言われております。確かに、拘置所が結構住宅密集地に建っておりますので、外部から見えないように、中からは外が見えないようにということはあるとは思いますが、窓の外が一切見えないので、建て替えたことでむしろ圧迫感が強くなっているという声も強いのですが、この点はいかがでしょうか。
#79
○政府参考人(横田尤孝君) 新しくでき上がりました東京拘置所でございますけれども、今、委員がおっしゃったようなそういう意見があって、投書を新聞で読んだことがございます。
 この拘置所につきましては、こういう住宅密集地の中のいわゆる都市型の拘置所ということで、しかも三千人ほどの未決の人たちを収容するというそういういろんな条件、制約がございますので、その中で各方面の御意見も伺いながら今のような形ができ上がったわけでございますし、ルーバーその他につきましても、いずれにしましても、その被収容者の生活ができるだけいいようにということでは工夫するべきものは工夫していくということでやってまいりたいと思います。
 以上です。
#80
○国務大臣(野沢太三君) 今御指摘の東京拘置所につきましては、近々、私、現場を見学する予定を立てておりますので、しっかりその御意見を踏まえて見てまいりたいと思っております。
 日本を代表する拘置所でございますので、これはしっかりできていなきゃいかぬわけです。余り住み心地が良くてもこれまた具合が悪いかなと、かように思いますので、その点も踏まえまして、しっかり見学してまいるつもりでございます。
#81
○福島瑞穂君 ただ、長期に入った方もたくさんいらっしゃいますので、圧迫感があるという話などはよく聞きますので、是非視察をされて、もし何らかの改善が可能であればそれは是非よろしくお願いいたします。
 独立した人権救済機関についてですが、先ほど申し上げた国連女性差別撤廃委員会は最終勧告において、法務省の下に設置されるとされる人権委員会の独立性について懸念を表明し、人権委員会が独立機関として女性の人権に適切に対処することが確保されるよう、国内人権機構の地位に関する原則に基づいて設置されることを勧告をしております。この点についていかがでしょうか。
#82
○国務大臣(野沢太三君) 人権擁護の法案につきましては、これまで各方面の御理解、御意見を伺いながら取り組んできたわけでございますが、基本的な今の委員の御指摘の問題等につきましては、しっかり、また今後の国会での議論を通して対応してまいりたいと思っております。よろしくお願いします。
#83
○福島瑞穂君 女性差別撤廃委員会の勧告からもきちっと独立した人権委員会を作れというふうに言われておりますので、是非よろしくお願いします。
 先ほど井上理事の方から、裁判員制度を前提にした捜査の可視化などについての質問がありました。捜査の可視化も必要ですし、もう一つ、証拠開示のルール化が非常に重要だというふうに考えます。証拠が開示されなければ、一般の人たちも、何が事実か、本当に真実を発見することができない。この点については、冤罪事件では本当に証拠開示が問題にいつもなっているわけですが、この証拠開示のルール化についての意見をお聞かせください。
#84
○政府参考人(山崎潮君) この点につきましては、改革審の意見書でも、証拠開示の拡充のルールの明確化、これを提言しているところでございます。
 ただ、その中の意見で、新たな準備手続の中で、必要に応じて裁判官が開示の要否につき裁定することが可能となるような仕組みを整備すべきである、あるいは、開示、証拠開示のルールの明確化に当たっては、証拠開示に伴う弊害、例えば証人威迫、罪証隠滅のおそれ、関係者の名誉、プライバシーの侵害のおそれなどの防止が可能となるものとする必要があるというふうに言われているわけでございまして、こういう点を踏まえまして、現在検討中でございます。
#85
○福島瑞穂君 証拠標目の開示などは絶対に必要で、証拠開示が全面的に、あるいは冒頭、事前になされなければ、結局、誤った証拠に基づいて、あるいは欠けた証拠に基づいて審理が行われるわけですから、司法制度改革の下でこの証拠の開示とそれから捜査の可視化について本当に取り組んでいただきたいと要望しておきます。
 最後に、先ほどもありましたが、憲法改正の発言についてやはり聞かざるを得ません。
 先ほどからもありますが、政治家個人としての発言ということももちろん問題ではあるのですが、やはり法務大臣、大臣としての発言というのは極めてやはり問題があると考えます。法律を守る、憲法を守ると。最高裁は憲法の番人と言われておりますが、法務省も本当に法律を守る、憲法を守るという、そういう本当に役所中の役所であるというふうに考えております。
 その意味で、個人としての発言を、就任の際に憲法改正をすべきだという発言をすることは問題だと考えますが、いかがでしょうか。
#86
○委員長(山本保君) 野沢大臣、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
#87
○国務大臣(野沢太三君) はい。
 私は、記者会見の中で申し上げたのは、政治家野沢としての個人としての発言ということをお断りして申し上げておりまして、法務大臣としての取組はこれからしっかり取り組むつもりでおりますので、どうぞその辺はよろしくお願いしたいと思います。
#88
○福島瑞穂君 じゃ、時間ですので終わります。
#89
○委員長(山本保君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
    ─────────────
#90
○委員長(山本保君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、青木幹雄君及び岩井國臣君が委員を辞任され、その補欠として小泉顕雄君及び松山政司君が選任されました。
    ─────────────
#91
○委員長(山本保君) これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#92
○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案に反対する討論を行います。
 反対の第一の理由は、国家公務員の給与を引き下げる人事院勧告に連動し、社会全体の所得水準を引き下げ、消費の悪化を招き、景気に悪影響を与えるものだからであります。
 国家公務員の給与の引下げは五年連続となり、地方公務員や特殊法人など公的部門の給与の引下げ、さらに民間企業の給与引下げの圧力につながるものであり、賃下げと景気悪化の悪循環に拍車を掛けるものであります。
 また、今回の引下げが四月にさかのぼって適用され、減額となる差額給与を年末調整で精算するという点であります。このような手法は民間でも行われておらず、不利益遡及の脱法行為と言えるものであり、認めるわけにはまいりません。
 反対の第二の理由は、裁判官の報酬を減額することは憲法第七十九条、第八十条二項で明文で禁止をしており、違憲の疑いが極めて強いからであります。
 以上、反対の理由を述べて、討論といたします。
#93
○委員長(山本保君) 他に御意見もないようですから、両案に対する討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#94
○委員長(山本保君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#95
○委員長(山本保君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#96
○委員長(山本保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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