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2003/09/30 第157回国会 参議院 参議院会議録情報 第157回国会 本会議 第2号
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2003/09/30 第157回国会 参議院

参議院会議録情報 第157回国会 本会議 第2号

#1
第157回国会 本会議 第2号
平成十五年九月三十日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第二号
  平成十五年九月三十日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり     
     ─────・─────
#3
○議長(倉田寛之君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十六日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。千葉景子君。
   〔千葉景子君登壇、拍手〕
#4
○千葉景子君 私は、民主党・新緑風会を代表し、小泉総理大臣の所信表明演説に対して、総理及び関係大臣に質問いたします。
 質問に先立ち、二十六日未明に発生した北海道十勝沖地震で被災された多くの方々に心よりお見舞い申し上げます。政府は、被害の復旧とともに、今後の震災対策に万全を期すよう強く求めます。
 さて、去る二十日、小泉総理は自民党総裁に再選され、引き続き新しい小泉改造内閣が誕生しました。
 振り返れば、一昨年春、自民党をぶっつぶすという奇抜な宣伝文句で国民の耳目を集め、自民党の総裁に就任し、そして総理の座に着いた小泉総理がこの二年半の間に一体何をしたんでしょうか。改革断行内閣、改革なくして成長なし、官から民へ等々、スローガンだけは次から次へと打ち出しましたが、実態は空っぽで、何の成果も上げず、ぶっつぶしたのは自民党ではなく国民生活ではないですか。
 完全失業者は過去最高の三百六十万人になり、失業率は五・三%に跳ね上がったまま高止まり、個人の自己破産は七万五千件も急増し、二十一万四千件を突破しました。
 弁護士である私の元にも、しばしば中小企業を営む方あるいはローンを抱えながらリストラに遭ったサラリーマンの方々などが相談に来られます。また、将来を悲観して生きる勇気と希望を失い、自ら命を絶つ人が五年連続で三万人を超えていることは異常事態です。加えて、昨今の治安の悪化も国民の不安を増大させています。
 確かに、最近明るい兆しが見え始めたと言われ、その代表例として株価の上昇が言われますが、これも行き過ぎた悲観的見方が修正され、世界的な金余りから外国投資家による買いが多少広がったにすぎないもので、自律的、本格的な景気回復によるものではないことは多くのエコノミストが指摘しているところです。
 小泉総理、今回の総裁選で再選されたことで小泉政治が国民から支持されたとまさか勘違いされているのではないでしょうね。総裁選はあくまで自民党というコップの中の選挙です。しかも、こうかつにも解散・総選挙をちらつかせ、選挙の顔としてだけの選択を迫り、反対勢力の支持を固めて勝利を収めたにすぎません。
 その間の経緯は、やれ毒まんじゅうを食わせたとか食らったとか、聞くだにおぞましい言葉が飛び交い、政策などはそっちのけ。政策運営の大幅転換と国会議員を中心とした内閣改造を要求し、一札取るなどと言いながら小泉再選を支持した参議院自民党青木幹事長の行動に至っては、すべての国民が次の参議院選挙の票集めのためだけであることを見抜いています。良識の府である参議院の一員として全く情けない思いです。
 若い安倍氏を幹事長に起用したのも選挙目当てであることは明白であり、実質的な幹事長が別にいることは衆目の一致するところです。
 また、内閣改造も一体何を目指していくのか全く分かりません。一方では、若く知名度が高い大臣を並べ国民受けをねらっているようですが、他方では、批判の多い竹中金融・経済財政大臣、川口外務大臣は留任されました。竹中大臣は、不況を深刻化させ、国家財政を借金漬けにし、金融破綻を加速させた張本人であり、川口大臣は、官僚の言うがままの外交で厳しい批判を受けている大臣です。国政のかなめである経済、外交で失政を続けている大臣は留任し、記者会見で、初めてのことなので一から勉強しますなどと言う大臣を任命する。
 総理は、改造に当たって、もはや派閥の時代ではないとか派閥は壊れたと述べながら、小泉派閥という新しい体制を築こうとしているのではないでしょうか。仇敵の田中派の流れをくむ派閥を筆頭に、敵対する派閥には巧妙にくさびを打ち込みばらばらにし、徳川幕府の親藩、外様よろしく支配体制を構築し、民間人の川口外務大臣、竹中大臣を留任させ、表向きは外交の継続性や揺るぎない改革への意思を示したように見せ掛けながら、その実、これらのポストを正しくおのが天領、直轄支配にする。徳川幕府ではありませんが、正に自民党小泉親藩体制の構築ではありませんか。ビジョンなし、政策なし、責任なしの三位一体の小泉親藩内閣が今後も続くようであれば、日本社会の将来展望はありません。
 総理、今回の内閣改造にはどんな大義名分があるのでしょうか。森前首相でさえ、今回の改造について、手品師みたいだとやゆしています。うまい、でもずるいと論評したマスコミもありますが、こうした批判にどうこたえるのか、答弁をいただきたい。
 民主党は、この国会を、日本をつぶす小泉総理の退陣、自民党長期政権の終えん、我が国の未来を展望するための民主党中心の政治への政権交代の幕開けにすべく全力を尽くす決意であることを冒頭申し上げておきます。
 さて、民主党は、次期総選挙に向けて民主党政権公約、マニフェストをまとめました。私たち、そして次世代が生きる日本社会のビジョンを示すとともに、それに向かって、まず民主党政権誕生後の四年間に必ず実現する公約を具体的な数値目標、期限、財源とともに示しております。
 総理、キャッチフレーズやスローガンだけの選挙戦は終わりにしませんか。政策中心の選挙が行われない限り、国民にとって何が実現されたのか検証もできず、政治家は結局口利きだの利権で左右されるものだという政治不信が強まるばかりです。議会制民主主義の発展も経済社会の再生もありません。
 お互いに責任ある政策論争を正々堂々と競い合いましょう。スローガンやあやふやな政策ではなく、数値目標、期限、財源、達成手順をしっかり示した政策を掲げることが重要です。民主党の政権政策か自民党の政権政策か、そのどちらを選択するのか、有権者の判断を仰ぐ選挙といたしましょう。
 当然、小泉総理は、私たちの提言を受けて立っていただけますね。はっきりこの場で約束していただきたい。
 以下、民主党の政権公約を提示しながら質問を行わせていただきます。
 まず、経済政策についてお尋ねします。
 政府は、景気は持ち直しに向けた動きが見られると経済認識を上方修正していますが、小泉デフレ大不況によって日本経済が落ちるところまで落ちてしまったからこそ良くなる経済指標もあるのだということを総理は自覚しておられますか。
 冒頭指摘したように、小泉内閣発足時に比較して、完全失業者は三十九万人から過去最悪の三百六十万人になり、失業率は四・七%から五・三%、何より自殺者が五年連続で三万人を超えていることが深刻です。株価も、一時のどん底からはい上がったとはいえ、小泉内閣発足時の一万三千九百七十三円には遠く及ばない状況です。
 このようなすさまじい小泉デフレ大不況を招いたことについて、総理はまず自らの責任をどう感じているのですか、反省の弁を求めます。
 さて、一部企業に業績改善の動きが見えるものの、多くの中小企業は依然として厳しい状況です。最大の原因は金融健全化の先送りであり、小泉内閣による金融行政の無策が今日の悪状況を生み出しているのです。
 先日、二兆円の公的資金を投入したりそな銀行が、実は債務超過であったことが明らかになりました。新経営陣による資産再査定で、今年三月期決算で一兆円の引き当て不足があったことが判明したのです。五月に発表されたりそなグループの自己資本は五千億円余りですから、実際には差引き五千億円の債務超過だったことになります。預金保険法では、債務超過銀行には資本注入はできません。公的資金投入を強行したことが正に法律違反であったことが明白になったわけです。総理はその事実を認めるべきではありませんか、答弁を求めます。
 さて、我が国経済を支えてきたのは中小企業です。中小企業が立ち直らなければ日本経済の再生もあり得ません。
 民主党は、中小企業の再生、地場産業と商店街に元気を取り戻すため、中小企業向け予算を七倍増にする年次計画を作り、十六年度予算での倍増を掲げております。また、中小企業金融は大企業向けとの区別が不可欠であり、金融検査マニュアルを大企業向けとは別に作り、貸し渋り、貸しはがしの解消、そして政府系金融機関融資における個人保証を五年間で撤廃することを公約といたします。さらに、民主党が従来から取り組む地域金融円滑化法案を十六年度中に国会提出します。こうした大胆な政策なくして中小企業の再生はあり得ません。
 総理は、民主党の提言を率直に受け止め、実現する意思がおありか、それともこれに代わる実効性ある施策を講じられるおつもりか、答弁を求めます。
 次に、財政政策について伺います。
 まず、来年度予算編成に対する考え方を伺います。
 既に概算要求では、一般歳出が今年度比一・一%増の四十八兆一千二百億円、一般会計全体で五・七%増の八十六兆四千五百億円となっております。
 小泉内閣は、これを実質今年度以下に抑制する方針としていますが、今後どのような方針で切り込んでいくのか、総理に伺います。
 仮に抑制が実現しても、当初予算における国債発行額が四十兆円を超えることが予想されます。総理が国債三十兆円枠を掲げたことを考えると、わずか二年間でよくもここまで財政を悪化させたと驚きを禁じ得ませんが、せめて国債発行を四十兆円以内に抑えるなど、財政に関する何らかの目標が必要ではないかと考えますが、この点、総理の見解を伺います。
 次に、税制に対する基本認識とともに、来年度改正に向け何に取り組むのか伺います。
 民主党は、緊急対策として、住宅や自動車に関するローン利子控除制度の創設を提唱していますが、政府はこうした施策に踏み切る考えはないか、総理及び財務大臣の答弁を求めます。
 加えて、総理の総裁選公約にある二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス黒字化に対する認識、またどんな手段でこれを実現するのか、総理及び財務大臣の見解を伺います。
 雇用問題についてお尋ねします。
 総理は、サービス分野の規制改革などにより五百三十万人の雇用創出を目指し、新規雇用の創出を図るとの発言を繰り返すばかりです。確かに、サービス業の就業者は増加傾向にありますが、建設業、製造業では急激に雇用が失われ、就業者数全体では百十六万人も減っています。完全失業率は先ほど申し上げたように五・三%と深刻で、一向に明るい展望すら見えてきません。これが小泉総理の語る痛みの実態なのです。
 特に昨今、若年層の失業が問題になっています。働くことに希望が持てなければ、モラル崩壊や治安の悪化にも直結し、社会全体の崩壊という事態にもなりかねません。総理は、現在の雇用情勢についてどのような認識をお持ちか、答弁を求めます。
 雇用創出のかぎは、少子高齢化や雇用の多様化に対応しつつ、働き方を大胆に変革し、社会全体で幅広く雇用を維持、創出することにあります。民主党は、地域の実情に即した雇用創出に取り組み、安定した雇用確保のためのワークシェアリング、労働条件の均等待遇、募集と採用における年齢差別禁止など、新時代にふさわしい公平、公正な働き方のルール作りを進めることが重要だと考えていますが、この点、総理の見解を伺いたい。
 総理は、改革改革と呪文のように唱えれば国民は付いてくると思っておられるようですが、国民が望む実態の伴った真の改革が何であるのか分かっておられるのでしょうか。国民が望む真の改革とは、無駄が多い歳出構造を根本から改め、まじめに働く者が適正に評価される公正な社会を築くとともに、いざというときに不安のない、将来へ希望が持てる、生きがいのある社会にこの日本を変えていくことです。
 日本経済低迷も、国民の将来不安がその原因の一つです。社会保障を柱とするセーフティーネットの充実は不可欠です。そこで、社会保障について質問いたします。
 まず、高齢者のみならず、若者も強い関心を持つ年金問題です。
 年金改革をめぐるこの間の政府・与党の議論は、財務省対厚生労働省の構図ばかり目立ち、政治家の明確な意思が感じられません。小泉総理に至っては、在任中は消費税率の引上げは行わないと言う以外はだんまりを決め込むだけで、何ら改革の方針を示していません。まずは、小泉総理の年金改革ビジョンを明確にお示しいただきたい。答弁を求めます。
 民主党は、将来にわたって持続可能な年金制度として、国民すべてに適用される新たな二階建ての年金制度を再構築することを目指し、それをベースに年金改革協議会という場を国会に作り、官僚任せでなく、政治家が責任を持って議論を進めるべきと考えますが、この点、総理の所見を伺います。
 また、現行の年金法では、来年度から基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることになっておりますが、財務省はいまだに引上げに慎重な態度、厚生労働省はその逆との報道があります。一体、政府としてはどうなさるおつもりか。総理、財務大臣、厚生労働大臣、それぞれから答弁をいただきたい。
 次に、医療問題です。
 民主党は、昨年六月に医療制度改革案を発表し、政府がその数項目を実質受け入れた点は評価しますが、全般的に医療制度の抜本改革はほとんど進んでいないのが現状ではありませんか。高齢者医療制度の改革を始め、政府は今後どのように取り組むお考えか、総理の答弁を求めます。
 民主党は政権公約として、健保本人の自己負担を二割に戻すことを始め、医療制度改革や高齢者医療制度の改革をうたっております。また、小児救急医療体制を整備し、政権獲得後三年以内には全国で三百五十か所以上の小児救急センター病院を指定、いざというときの受入れ体制を確立します。さらに、次世代育成支援のため、小児医療の患者負担を軽減することも掲げております。政府はこうした問題にどう取り組むお考えか、答弁を求めます。
 さらに、介護問題について、民主党は待機要介護問題の解消を目指し、障害者や高齢者のために平成十六年度から年間八百五十億円の予算を確保、四年間で地域の身近な介護拠点であるグループホームを一万か所、約十万人分増設を図ることも明らかにしておきます。
 さて、小泉構造改革に関して質問します。
 改革といえば郵政と道路公団の民営化ばかりの小泉総理。確かに昨年来、五十以上もの特殊法人や認可法人の見直し法案が審議されましたが、多くが独立行政法人への看板掛け替えにすぎないものでした。独立行政法人に名前を変えただけで予算や職員数など中身が焼け太りしているものがあったり、法人トップの多くが天下り官僚に占められているなど、総理の意気込みから大きく後退した内容に終わっています。
 これが小泉改革なんでしょうか。総理の言う特殊法人改革とは、つまるところ特殊法人という名前だけをなくすものだったのですね。今後、独立行政法人が第二の特殊法人と言われ、数年後には独立行政法人改革がまた必要だと言われる始末では全く意味がありません。総理、あなたは御自身が行った特殊法人改革をどう総括されていますか、国民が納得できる答弁を求めます。
 さらに、得意の郵政、道路公団ともいまだ中身は詰まっておらず、与党、さらに閣内にも反対の声ばかりで取りまとめは難しいと公然と言われている有様です。
 その道路公団民営化ですが、道路関係四公団を借金漬けにし、少なくとも本四公団の一・三兆円の債務を血税によって処理せざるを得なくなった自民党の責任について、自民党総裁としての見解を求めます。
 この問題、総理は、猪瀬直樹氏から、総理は第三者の我々に丸投げしてくれて一切口を挟まなかったと論評されるほどで、全くリーダーシップを発揮しませんでした。そのおかげで、民営化推進委員会の意見書は、公団債務の返済を最優先し、借金による不採算路線の建設を認めないなど、極めて常識的な意見書となっています。しかし、総理はこの意見書すら骨抜きにするつもりだと言われておりますが、事実でしょうか、お答えいただきたい。
 昨年十二月の閣議決定では、民営化委員会の意見を尊重する方針の下、与党とも協議するとされています。しかし一方、自民党の道路調査会は、料金収入による最大投資可能額については全額高速道路の建設に充てる、地域分割は認めない、私企業による道路資産の買取りは認めないなどの決議を行っており、全く水と油の内容ではありませんか。総理は、自民党道路調査会の決議をどうお考えになっているんですか、答弁を求めます。また、委員会意見書のどこを与党と協議されるおつもりなんでしょうか、答弁をお願いします。
 民主党は、道路公団が藤井総裁の下、債務超過と言われる幻の財務諸表をひそかに作成し、これを隠ぺいしようとした事実を追及してきました。国会での虚偽答弁や幻の財務諸表の隠ぺい、問題を指摘した部下の左遷などの事実が明らかになった以上、公団を私物化する藤井総裁を即刻更迭すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 総理、こんな私利私欲にまみれた道路公団を民営化できるのですか。仮に民営化しても、結局は採算の取れない道路を造り続け、最後は破綻し、国民負担になることが余りにも明らかではありませんか。民営化の目的は、採算の取れない高速道路は民間には造らせないことではないのでしょうか。総理の見解を伺います。
 民主党は、このような道路公団は廃止し、三年以内に高速道路を原則無料化することこそが合理的な政策であると考えますが、この点、総理の見解をお伺いいたします。
 また、郵政の民営化は自民党のマニフェストに具体的に盛り込まれるのでしょうか、明確にお答えください。党内に反対意見があることを総理も自ら認めておられます。この参議院にも相当数の反対の意見があると聞いております。それで本当にマニフェストに具体化できるのでしょうか、明確にお答えをいただきたいと思います。
 さて、二十一世紀の国の形を考える上で重要な改革の柱は地方分権です。
 そこで、お尋ねします。
 総理は、この六月、補助金改革についておおむね四兆円程度をめどに廃止、縮減などの改革を行うとの指示を出されました。一見、四兆円の補助金廃止に見えますが、あいまいな表現で逃げ道が用意されており、公共事業関係の補助金に至っては改革するの一言で済ますなど、抜け道だらけの評価に値しない代物でした。総理の総裁選公約は、三位一体改革を推進するだけで、更にあいまいもこの状況です。
 補助金は、中央官僚や自民党族議員の利権、業界談合の源泉です。総理がこの改革案を示せないのは、総理自ら官僚や族議員と同じ穴のムジナにすぎないからではありませんか。
 特に、公共事業については、地方に移譲するわけにはいかない、自分たちが握っておきたいというのが本音ではありませんか。地方に負担だけを押し付け、権限は官僚や族議員が握っているのでは分権改革の名に値しないと考えますが、総理の見解を求めます。
 これに対し民主党は、十六年度において予算措置できる部分から個別補助金を廃止し、自治体ごとの判断で使途を決められる一括交付金化といたします。そして、十八年度には、ひも付き補助金の廃止を約十八兆円にまで拡大し、全国の改革派知事や市町村長と協議して改革を進めてまいります。同時に、入札改革など談合防止や行財政改革による経費節減を自治体に求めてまいります。
 民主党案は、地域のことは地域で決める地域主権型社会への第一歩となるだけでなく、陳情のための上京費用などを不要にするのに加え、族議員や官僚の利権あさりを排除し、税金の無駄遣いをなくする第一歩です。総理、地方分権に至る道筋をどうお考えですか、具体案をはっきりお示しください。
 次に、政治改革に対する総理の姿勢をお尋ねします。
 この一年に限っても、自民党長崎県連の違法献金事件、大島元農水大臣の秘書官口利き疑惑、坂井隆憲議員の政治資金規正法違反による逮捕、松浪衆議院議員の暴力団による秘書給与肩代わり疑惑など、与党の政治腐敗ぶりは全く変わっておりません。政治と金をめぐる問題の一掃なくして国民の政治不信の解消はあり得ません。
 民主党は、企業・団体献金について、現行五万円超の公開基準を更に引き下げ、全面的な公開を目指すべきだと考えます。この点、総理の見解を求めます。
 また、総理が自民党に指示した公共事業受注企業の献金規制は、民主党がそれを盛り込んだ法案を提出しております。総理には当然御賛同いただけるものと思いますが、賛否を明らかにしていただきたい。
 民主党は、党本部決算に外部監査を全面導入し、政治資金の使途について第三者チェックを自ら課しています。自民党の政治資金決算も全面的に外部監査を導入したらいかがと思いますが、自民党総裁としての決意をお示しください。
 政治改革と関連し、公務員制度改革について伺います。
 民主党は、政治のリーダーシップ確立と政策責任の明確化のためには、局長以上のポストの民間等からの登用など、キャリアシステムを改革するとともに、官僚の天下りを禁止すべきことを提起しています。また、ILO勧告に基づいて一般の公務員に労働基本権を保障する一方、公正な人事評価システムの確立などを進め、国民に開かれた公務員制度を実現することを公約しています。
 総理、天下りのお手盛り批判やILO勧告を踏まえ、公務員制度改革についてどう対応するつもりか、方針をお伺いしたい。関連法案の提出時期と併せて答弁を求めます。
 さらに、二十一世紀の国の形を考えるに当たり、忘れてはならない改革に司法制度改革があります。
 この間、司法制度改革が着実に進められてはいますが、これは国民の真摯な努力と取組によるもので、残念ながら、制度改革の本部長を務める小泉総理がリーダーシップを発揮しているからとは言えません。司法制度改革の理念は、民主主義の基本として国民一人一人が自律的かつ社会的責任を負う統治主体であることを確認し、三権の一つである司法においても国民の自治、自律の制度を確立することにあります。司法における官から民へという役割分担の見直しと言ってもよいでしょう。
 民主党は、国民に身近で充実した司法制度により人権が保障され、安心して暮らせる公平、公正な社会を目指して取り組んでまいりました。この理念にのっとり、引き続き国民が行政をチェックすることができるように行政訴訟改革などを進めてまいります。
 とりわけ、国民が裁判に参加することによって、司法における国民の自治、自律、社会的責任を実質化する裁判員制度の導入は重要です。総理の御認識を伺います。
 また、裁判員制度の趣旨にかんがみ、裁判員の数は十名前後の相当多数が適当である反面、裁判官の数は、プロの知識、経験を生かし国民の責任ある自律的判断をサポートするという意味で、ベテラン一名で十分だと思われますが、総理の御見解を伺います。具体的にお答えください。
 次に、現在そして将来、社会を支える人々にかかわる課題についてお尋ねします。
 まず、教育政策についてお尋ねします。
 教育は我が国の最重要課題です。青少年、児童をめぐる悲惨な事件の続発、学力低下の懸念と学校現場や家庭に与える混乱など、教育を取り巻く問題は枚挙にいとまがありません。戦後、これほどまでに教育の再生が強く望まれた時期はないと言っても過言ではありません。
 民主党が教育政策で最重要項目として挙げるのは、少人数学級推進のための制度改正と財政措置です。政府は、少人数学級を推進するかの姿勢を見せながら、かたくなに一学級の人数を四十人としています。そのため、四十人を下回る学級編制をする自治体では、厳しい財政の中から人件費などを捻出しているのが実態です。少人数学級は、学習面からの効果ばかりではなく、子供たちの微妙な心の変化にも教師の目配りが利き、きめ細やかな教育現場実現には不可欠な政策だと考えます。
 少人数学級の推進と自治体へのバックアップについて、総理の見解をお尋ねします。
 さらに、民主党は、教育の地方分権を柱に掲げております。教育の危機、教育の荒廃を招いた官僚主導の教育政策体系が抜本的に見直されることはついぞありませんでした。
 総理、教育の地方分権に関する具体策があればお尋ねしたい。
 次に、男女共同参画への取組についてお尋ねします。
 まず、ドメスティック・バイオレンスについてですが、この問題は多くの女性に深刻な不安を与えており、政府が果断な対策を打ち出すことが求められております。
 民主党は、平成十六年度中にDV防止法を改正し、保護命令対象を元配偶者、子供、親族などに広げること、また脅迫行為や電話による接触の禁止、退去命令や接近禁止命令の期限延長など、保護命令制度の改善を図るとともに、警察改革による相談体制等の強化を政権公約といたします。
 今後、政府はDV問題にどう取り組むお考えか、総理より答弁をいただきたい。
 賃金や待遇など雇用における間接差別や家族法、婚外子差別など、依然として女性にかかわる差別が存在します。こうした差別解消へどのように取り組むのか、総理の考え方をお伺いします。従来のような各党の御議論を見守るというような丸投げ式答弁ではなく、御自身の言葉でお答えください。
 治安の問題について伺います。
 凶悪犯罪の検挙率が五年前の八四・一%から四八・六%に低下しています。国民の間で治安に対する不安が今ほど高まっていることはありません。
 民主党は、政権公約において、凶悪犯罪の検挙率を五年前の水準に戻すことを目標に、四年間で地域、刑事、生活安全にかかわる警察官を三万人増員し、防犯パトロール体制を強化するとともに、空き交番の解消を図ってまいります。また、凶悪犯罪に対する罰則が軽過ぎるとの指摘も踏まえ、仮釈放のない重無期刑の創設を公約しています。
 政府は、凶悪犯罪の防止にどう取り組むお考えか、総理の見解を求めます。
 外交・安全保障問題についてお尋ねします。
 八月三十日、北朝鮮の核開発問題等をめぐって行われていた六か国協議が終了しました。民主党は、協議の開催にこぎ着け、議長総括において協議継続が合意できたことには一定の評価をいたします。
 しかし、北朝鮮の核開発問題では、その全貌が明らかになっていません。中国の仲介の努力にもかかわらず、米朝の溝も埋まったとは言えない状況です。北朝鮮は、九月三日の最高人民会議でも核抑止力を維持するとの強硬路線を確認しており、核実験の可能性についても言及したと報じられています。政府は、北朝鮮に対し、核開発を交渉の道具とする姿勢を改め、国際社会の声に真摯に耳を傾けなければ平和的な解決はあり得ないことをしっかりと伝えるべき責務があると考えます。しかし、川口大臣を始め政府からはそのような姿勢が伝わってこないのは大変残念です。政府は、この点、どのような展望を持って北朝鮮外交に臨もうとお考えか、総理から具体的にお示しいただきたい。

 また、日本側の最大の関心事であった拉致事件は、日朝二国間の協議においても具体的な進展は得られておりません。拉致事件は日本の主権の問題であるとともに重大な人道問題でもあり、交渉の道具にされるべきものではなく、早急に解決されなければなりません。
 このたび、北朝鮮問題について官邸で影響力を行使されていたと言われる安倍副長官が自民党の幹事長に就任されました。総選挙を意識した人事とも報じられておりますが、今後、官邸でこの問題がよもや後退することはないと考えますが、総理から拉致事件の解決に向けた具体的な方針をお示しいただきたい。
 次に、イラク問題についてお尋ねします。
 この六月ごろより、イラクで活動する米軍兵士が米政府に対する不満をあらわにしています。相次ぐゲリラ型の襲撃に対して、占領米軍から不満の声が公に出るようになってきました。
 最新兵器で武装した米軍兵士でさえ、各種の襲撃や攻撃に苦悩しているさなか、我が国政府は、従来からの懸案となっていた武器使用基準の緩和も行わずに、自衛隊を派遣しようとしております。対米配慮という外交取引なのか、選挙という政治的取引に自衛隊員の命を使うという誠にもってゆゆしき行為であります。
 一体、現行の武器使用基準によって、重火器で武装する反対勢力が濶歩する地域で、自衛官が安全に任務を達成できるとお考えなのでしょうか。総理からしっかりとした御答弁をお願いしたい。
 九月二十三日、国連総会でブッシュ米大統領は、イラク復興での国際社会の協力を求め、現在、多国籍軍の派遣を明示する新決議案が安保理で検討されています。国際社会の協調した取組が重要なのは言うまでもありませんが、ブッシュ大統領の演説によっても、国連のアナン事務総長やフランス等が主張するイラクの暫定政権に速やかに主権を移して解決を図るという国連主導の解決策に対する決意が全く感じられません。アナン事務総長は、米国の単独主義的行動をいさめる演説をしていますが、この単独主義について総理はどう向き合うのでしょうか。
 ブッシュ大統領が十月十七日に来日されるそうですが、予想される資金提供の要求や混乱するイラクに対し日本としてどのようにかかわっていくおつもりか、今後予想される総選挙の際には、国民にとっても重要な判断基準となる問題です。総理から具体的な対処方針をお示しいただきたい。
 最後に、テロ対策特別措置法の延長問題について質問いたします。
 この問題が当初から政局絡みになっていることは非常に残念です。民主党は、テロとの闘いは重要であり、真に必要であれば国会によるシビリアンコントロールを徹底した上で自衛隊の活用もあり得るとの対応を取ってきましたが、政府は必要な説明責任をほとんど果たしてきませんでした。
 アメリカのラムズフェルド国防長官は、アフガニスタンでの主要な戦闘が終わったことを表明し、当初の目的がほぼ達成されたとの認識を示しています。しかし、政府は、掃討作戦が終結していない、各国も諸活動を継続しているなど抽象的に挙げるのみで、具体的な必要性の説明はなく、その隠ぺい体質は目を覆うばかりです。総理から現地の活動ニーズについて説得力のある御答弁をいただきたい。
 テロの脅威除去の必要性は認めるとしても、九・一一テロに限定した法律の在り方については問題が残ります。いつ終結するのか、だれがどのような基準で判断するのか、全く明らかではありません。特別措置と言いながら、今回の延長のように無原則になされようとするなら、法の趣旨を逸脱するおそれがあります。こうした法律の在り方も含め、最終的な判断権者である総理から、今後の明確な方針を示していただきたい。
 去る七月二十三日、民主党の菅代表と旧自由党の小沢党首が会談し、両党は小異を残して大同に付く覚悟で合併することで合意し、一回り大きな民主党に成長いたしました。参議院民主党・新緑風会も六十九名という数で今国会に臨んでおります。今からちょうど三十一年前、一九七二年九月、日中両国は共同声明を交わし、国交正常化が実現しました。この交渉に当たった周恩来首相は、小異を残して大同に付くことを強調しました。以来、日中関係は大きく発展し、両国の友好関係は揺るぎないものとなっています。私どもの小異を残して大同に付く、すなわち両党の合併も日本一新を進めるための歴史的な転換点になると確信しております。
 小泉政権はもはや風前のともしびです。やることなすことすべてが空っぽ、こんな政治がいつまでも存続するはずがありません。失業、倒産などを理由に自殺者が毎年三万人を超えるような状況で国民の支持が続くことなど断じてあり得ません。
 小泉総理、あなたは衆議院の解散・総選挙を仕掛けるためにこの国会を召集したようです。民主党としては正に望むところでもございます。
 総選挙により、政官業癒着、ばらまき政治を続けてきた自民党政権に終止符を打ち、国民一人一人の能力と適性を引き出し、生きがいある人生を送ることのできる社会、長期的な安定と繁栄が続く国をつくるため、民主党中心の政権を樹立することができることを、そして一体として位置付けられる来年の参議院選挙でも、青木幹事長の画策には屈することなく、国民の良識が必ず勝利すると私は固く信じております。政権交代こそ日本再生のための第一歩であることを重ねて申し上げ、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#5
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 千葉議員にお答えいたします。
 今回の内閣改造にどんな大義名分があるのか、手品のようだ、うまい、でもずるいなどの批判にどうこたえるかということでございますが、私は、今まで進めてきた改革に対し、ようやく明るい兆しが部分的ではありますが出てまいりました。いわゆる改革の芽を今後いろんな人材を起用して大きな木に育てていくことが必要だということで体制を整えたわけであります。手品のようだというのは、これはそれだけ自民党に豊富な人材がいるということだと思っております。また、うまい、でもずるいなどの批判にどうこたえるかというのは、恐らく予想に反して改造が見事だったと、しゃくに障ってしようがないという気持ちを表したのではないかと思っております。
 いずれにしても、今後、新体制の下で、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にと、改革なくして成長なしとの方針を堅持し、日本の潜在力と可能性を信じて、明るい未来に向けて改革を進めてまいりたいと思います。
 次期総選挙では、具体的な政策を掲げ政権選択の選挙にするべきだとのことでございますが、今回、民主党と自由党が合併し次の政権を担う意欲に満ちた野党第一党が誕生されたことは、日本民主政治の歴史の中で意義のあることだと思っております。
 私は、今後、郵政事業の民営化や道路公団の民営化、あるいは国と地方の三位一体の改革など、具体的な公約を掲げて再選されましたので、今後、いずれ衆議院の総選挙も参議院の通常選挙も行われるでありましょうから、この公約を政権運営の基本方針として国民に訴え掛けていきたいと思います。
 私の経済政策の責任に関するお尋ねでございますが、確かに雇用など厳しい情勢は続いておりますが、既に民間企業設備が増加し、一方、倒産件数は減少しております。名目成長率もプラスに転じてまいりました。私は余り悲観的な見方は取っておりません。むしろ、こうした明るい兆しをいい方向に持っていくのが必要だと思い、改革を進めていく必要があると思います。雇用や中小企業のセーフティーネットに万全を期すことが大事でありまして、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていくことが私に課せられた責務であると考えております。
 りそな銀行についてのお尋ねでございますが、りそな銀行の平成十五年三月期決算については、独立した監査法人による厳正な監査等を経て債務超過ではないことが明らかにされており、同行への資本増強が法律違反であったとの指摘は当たらないものと考えます。
 中小企業政策でございますが、中小企業は我が国経済の活力の源泉であり、厳しい環境の中にあってもやる気と能力のある中小企業がその力を発揮できるよう、中小企業政策を進めております。
 中小企業予算については、平成十五年度予算は千七百二十九億円を計上し、金融セーフティーネット対策、再生支援策、新たな事業に挑戦する中小企業支援策などに重点化し中小企業を支援していくこととしております。また、中小企業の実態に即したきめ細かな検査の実施や、中小企業に対する資金供給の一層の円滑化のための対策も講じてまいります。
 なお、地域金融円滑化法案については、基本的に自主的な経営判断にゆだねるべき金融機関の業務内容を政府が画一的な基準で評価、公表するものであり、慎重に考えるべきであると思います。
 平成十六年度予算編成についてですが、平成十六年度予算編成に当たっては、一般会計歳出及び一般歳出について実質的に前年度以下の水準に抑制するとの目標の下、歳出全般にわたる徹底した見直しを行い、予算の内容については、大胆なめり張りを付けることにより、重点的、効率的な予算配分に努めてまいります。
 なお、国債発行額については、現時点では十六年度税収の具体的な見込みを申し上げるのは困難であります。また、歳出面についても、今後、各省からの要求内容を十分に精査、検討することとしており、具体的な発行額について申し上げられる段階にはないと考えます。
 税制に関する取組についてですが、平成十五年度改正において広範な改革を行いました。これにより、十五年度は一兆八千億円の減税を行いました。十六年度もこの改正により、一兆五千億円の減税が先行します。
 十六年度改正に向けては、十五年度改正の効果を的確に検証しつつ、日米両国間の投資交流を促進するため、日米租税条約の三十年ぶりの全面改正に取り組むなど、引き続き持続的な経済社会の活性化を目指した改革を進めてまいりました。
 御指摘のローン利子控除制度については、課税の公平な負担という問題もあり、適切ではないと思います。
 プライマリーバランスの黒字化についてでございますが、我が国の財政状況は主要先進国中最悪の状況となっており、将来の世代に責任の持てる持続可能な財政構造の構築が急務であります。
 このため、政府としては、二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランス黒字化を目指すこととしており、この目標の実現に向けて徹底した歳出改革を行うとともに、併せて金融、税制、規制の構造改革を進め、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図ることとしております。
 現在の雇用情勢、雇用創出や働き方のルール作りについてでございますが、現下の雇用失業情勢については依然として厳しい状況にあるものの、失業率が徐々に下がるなど明るい動きも見られます。
 政府としては、今後とも、規制や制度の改革、人材育成や公的業務の民間委託などを進め、更なる雇用の創出に全力で取り組むとともに、ワークシェアリングの導入促進など、多様で柔軟な働き方を可能とする労働環境の整備を進めるとともに、だれもが安心して働ける環境づくりを進めてまいります。
 年金改革についてでございますが、平成十六年の年金改革については、これまでも関係大臣などから議論のための案の提示があり、また経済財政諮問会議でも具体的に取り上げ、骨太方針二〇〇三においてこの基本的方針について明らかにしているところであります。今後、現役世代の負担が過大なものとならないよう、給付と負担の見直しを行うなど、若者と高齢者が支え合う公平で持続的な制度を構築することが必要であります。
 また、基礎年金の国庫負担割合の引上げについては、法律附則にあるように、基礎年金の給付水準及び財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、安定した財源を確保する必要があります。こうした点について、国民的な議論を深め、年内に成案を取りまとめ、国会においても十分議論をお願いしたいと思います。
 なお、民主党が提案されております年金制度体系の在り方を見直し、一階を税方式とすることについては、自助自律という社会保険のメリットを放棄するとともに、年金給付と生活保護との関係をどう整理するのか、また巨額の税財源をどう賄うのかという問題があると思います。
 医療制度改革についてですが、医療制度改革については、国民皆保険制度を将来にわたり堅持していくため、本年三月に閣議決定した基本方針等に基づき改革を着実に進めてまいります。
 また、被用者保険本人の自己負担を二割に戻せということでありますが、医療保険制度を通じた給付の平等を図るという三割負担導入の趣旨に反するほか、医療保険財政に深刻な影響を及ぼすことから不適切と考えております。
 小児医療に関しては、三歳未満の小児の自己負担を二割に軽減したところですが、加えて、地域における小児救急医療体制の確保に努めてまいります。
 特殊法人改革についてですが、政府としては、百六十三法人すべてについてゼロベースからの事業の徹底した見直しを行い、既に百二十七法人について廃止、民営化、独立行政法人化等の措置を講じております。
 住宅金融公庫については、これを廃止することとし、新規貸出しを段階的に縮小するとの方針を示した結果、利用しやすい民間の住宅ローンが相次いで提供されております。
 また、特殊法人等の財政支出を約一兆四千億円削減するとともに、役員給与、退職金、役員数についても大幅な削減を実施したところであり、具体的に成果は着実に上がっていると考えております。
 道路関係四公団民営化についてでございますが、本四公団の債務処理については、本四架橋の建設が国会で全会一致での議決を経たものとはいえ、経済状況が変化する中で事業の見直し等が必ずしも適時適切に行われなかったという経緯によるものと考えており、今般の改革は正にこれを教訓として、債務の確実な返済を行うなど、問題の解決に全力で取り組むこととしたものであります。
 今後の高速道路の建設については、民営化推進委員会の意見書で示されている民営化による有料道路方式と直轄方式の二本立てにより、厳格な事業評価、コスト縮減を行った上で、債務を確実に返済しつつ、できるだけ少ない国民負担の下で必要な道路を建設することが重要であると考えております。
 また、昨年十二月に民営化推進委員会から意見が提出された後、自民党政調道路調査会を含め、各方面から様々な意見が主張されていることは承知しておりますが、コストの縮減や新直轄方式の導入、ファミリー企業の見直しなど、共通する点も多く存在するところであります。
 いずれにしても、今後、民営化推進委員会の意見を基本的に尊重するとの方針の下、本年中に政府・与党間での協議を経て民営化の概要を決定し、平成十七年度からの民営化に向けて来年の通常国会に民営化関連法案を提出することにしております。
 道路公団の藤井総裁についてですが、道路公団総裁が既に決定した民営化の方針に協力していただくことは言うまでもないことであります。道路公団総裁の人事については、任命権者である国土交通大臣がまずは適切に判断すべき事柄であり、国土交通大臣が藤井総裁本人から直接話を聞くと聞いておりますので、その結果を待ちたいと考えております。
 高速道路の無料化の民主党案についてどう思うかということでございます。
 今後の高速道路の建設に当たっては、債務を先送りせず、確実に返済しつつ、必要な道路をできるだけ少ない国民負担で造ることが重要であります。民主党案は必ずしもいまだ全体像が明らかではありませんが、大都市以外の高速道路を無料化し、道路特定財源の一般財源化するとの御提案については、借入金債務の返済、道路の維持管理、必要な道路の建設を行うために要する財源として税収が減ることも想定され、収支のつじつまが合うのかどうか心配しております。債務の返済を一律に税金で行う上、大都市の高速道路の利用者は更に料金を負担しなければならないということは不公平ではないかと思っております。
 これらの問題があるものと考えますが、いずれにしても、より具体的な中身を明らかにしていただければ十分議論したいと思います。
 政府としては、今後、道路関係四公団民営化推進委員会の意見を基本的に尊重するとの方針の下、国民にとって真にメリットのある改革となるよう建設コストの大幅削減、ファミリー企業の見直し等を引き続き推進するとともに、債務の確実な返済及び必要な道路の建設が可能となる政府案を取りまとめてまいりたいと思います。
 郵政の民営化、自民党のマニフェストに盛り込むのかというお尋ねでございますが、私はマニフェストも公約も変わらないと思っています。マニフェストを、片仮名で、英語で訳せばマニフェスト。実態は公約で変わりはないと思っております。
 私は、平成十九年から郵政事業を民営化することをこのたびの自由民主党総裁選において公約として掲げて再選されました。その後、自由民主党及び改造内閣でもこの公約を政権運営の基本方針といたしました。
 私は、郵貯も簡保も郵便も既に民間人がやっている事業であります。なぜ二十八万人以上の国家公務員じゃなきゃできないのか。自衛隊だって二十三万人ちょっとですよ。これだけの、民間でできる事業を国家公務員の身分じゃなきゃおかしいと言っているその主張の方がおかしいと思っています。
 そういうことから、私は、民営化されれば、税金を納めていない今郵政公社が、必ず税金を納める側に回ります。そして、サービスも三事業にこだわらない、もっと発展的なサービスが展開される。ほとんどの地域で一等地に郵便局の局舎がある。あの局舎を都市再生なりいろんな事業に、再開発、再利用すれば、もっと地域は活性化する、郵便事業も活性化すると思います。そういう点について、なぜ国家公務員でなきゃいけないのかと、よく民主党も自民党も考えるべきだと。
 郵政事業の民営化は正に公務員の集団、役所の既得権を維持しようとするから今までみんな反対だったんでしょう。それを打開するためにやるんです。言わば官の構造改革の基本なんです。
 そういう点から、郵政事業の民営化は今後党内で十分議論し、必ず自民党の公約にいたします。自民党は変わった、自民党は改革政党になったというあかしになります。
 三位一体の改革についてでございますが、国と地方の改革として、政府としては補助金改革、交付税改革、地方への税源移譲を行う三位一体の改革を進めることとしております。
 そのうち、補助金改革については、基本方針二〇〇三にあるように、公共事業も含めた各行政分野の改革工程を決定しており、今後、その改革の方向性、スケジュールに沿って廃止、縮減等の具体化を確実に進めていく考えです。したがって、補助金改革について具体案を示していないなどの指摘は当たらないものと考えます。
 地方分権に至る道筋についてでございますが、政府としては、地方の意見も把握しつつ、平成十八年度までに補助金について約四兆円の廃止、縮減等を行うとともに、交付税を見直し、地方への税源を移譲する三位一体の改革の具体化を進めます。さらに、課税自主権の拡大なども含めて、地方が自らの支出を自らの権限、責任、財源で賄う割合を高めることにより、地方分権社会の基盤の確立につなげていく考えであります。
 補助金の見直しは個別の補助金ごとに徹底的な見直しを行う必要があり、民主党案のように補助金の大半を一律に一括交付金化することは三位一体の改革につながらないんじゃないかと考えております。
 政治資金の公開基準、公共事業受注企業の献金規制、政治資金の外部監査についてでございますが、政治資金の透明性を確保しながら広く薄く公正に政治資金を確保することが認められるルールを作っていくべきであると考えています。
 政治資金の公開基準、献金規制、外部監査の導入については、この基本的な考え方に従い、一定の提案について幅広い理解が得られるよう、各党各派間で十分に議論を深めていくべきものと考えます。
 公務員制度改革でございますが、政府は、時代に合った国民本位の行政の実現を図るため、公務員制度改革大綱に基づき、能力主義の人事制度の導入、適正な再就職ルールの確立などの検討を進めてきたところであります。
 今後、制度改革の具体化を進めるとともに、職員団体も含め幅広く関係者と話合いを行い、できるだけ早く法案を取りまとめられるよう努力してまいります。
 裁判員制度についてでございますが、一般の国民が裁判手続に参画することにより、裁判結果に健全な社会常識がより反映されるようになるとともに、司法はより強固な国民的基盤を得ると考えます。
 他方、裁判員制度は国民の側に多大の負担をお願いする側面もあることから、裁判官と裁判員の人数の問題を含めて、十分に国民的理解を得て具体的な検討を進める必要があると考えます。
 少人数学級の推進と教育の地方分権についてでございますが、教育の地方分権を進め、子供や地域の状況に応じた学校作りを実現していくことは重要な課題であります。
 これまでも、教育課程の基準の弾力化や都道府県の判断による少人数学級編制を可能にするなどの取組を進めているところであり、今後とも教育の地方分権を積極的に推進してまいります。
 民主党は、全国一律の三十人学級を実現するという提案をされていますが、政府としては、学級という概念にとらわれることなく、少人数指導や習熟度別指導の充実など、きめ細かい充実の実現に努めているところであります。
 男女共同参画についてですが、配偶者からの暴力の防止、性別による差別的な取扱いの解消は、男女共同参画社会を形成していく上で真正面から取り組んで克服しなければならない課題であると認識しております。御指摘のそれぞれの問題も含めて、男女共同参画の推進に強力に取り組んでまいります。
 治安対策でございますが、外国人犯罪や少年犯罪など深刻化する犯罪情勢を改善するため、警察官その他取締りに当たる関係職員の増員や出入国管理の強化など、各種犯罪対策の強化を図ります。
 また、犯罪の生じにくい社会を作り上げるため、社会の安全は自分たちみんなで守るという意識に支えられた市民と地域の一致した取組を支援してまいります。具体的には、犯罪対策閣僚会議が年内に取りまとめる行動計画に基づいて総合的な対策を講ずることにより、「世界一安全な国、日本」の復活を図ってまいります。
 北朝鮮の核開発問題についてのお尋ねでございます。
 北朝鮮による核兵器の開発、保有、移転は絶対に容認できず、政府としては、核開発計画の完全、検証可能かつ不可逆的な即時廃棄を北朝鮮側に求めていく考えであります。今後とも、米国、韓国等の関係国と緊密に連携しつつ、六者会合等様々な場において北朝鮮に国際社会の一員としての責任ある対応を求めていく考えであります。
 拉致問題でございますが、拉致問題については、被害者御家族の帰国の一日も早い実現、拉致問題の真相究明等、徹底した問題解決を図っていく必要があります。政府としては、国際社会の理解と協力も得つつ、北朝鮮側に対し問題解決に向けた前向きかつ具体的な対応を引き続き強く求めていく考えであります。
 現行の武器使用基準についてでございますが、イラク人道復興支援法では、我が国自衛隊が治安維持活動自体を行うわけではなく、また、活動地域は安全に最大限の配慮をして設定することとしております。さらに、携行する武器の種類や部隊の運用について、現地情勢や実施業務の内容等を踏まえて適切に対応することにより、現行の武器使用権限で十分対応できるものと考えております。
 イラクに対する復興支援とブッシュ大統領の日本訪問についてでございますが、イラク復興支援は国際社会の重要課題であり、米国も新たな安保理決議の採択に努力していると承知しております。我が国としても、国際協調の下、我が国にふさわしい貢献を行ってまいります。
 ブッシュ大統領が近く日本を訪問されますが、その際には、世界の中の日米同盟という観点に立っていろんな問題を議論し意見交換したいと思っております。
 テロ対策特別措置法の延長に関するお尋ねですが、米国は、アフガニスタンにおける活動が主要な戦闘から復興等に移行している旨述べる一方で、テロとの闘いは終わっていない旨述べております。現に、九・一一テロ以降も世界各地でテロが発生するなど、テロの脅威は依然として深刻であり、国際社会によるテロとの闘いは継続していると言わざるを得ません。
 政府としては、かかる脅威が除去されれば、対応措置を実施する必要性を失い、テロ対策特別措置法は廃止されるものと考えますが、深刻なテロの脅威が継続する現状においては、テロ対策特別措置法の延長を図ることにより、引き続き我が国としてテロとの闘いに参画し貢献することが是非とも必要であると考えます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(谷垣禎一君) 千葉景子さんにお答えいたします。
 まず、ローン利子控除制度の御議論でしたが、これについては、ローンを利用する人とそれから自己資金で購入する人との間のバランスが取れるかといった問題、それからこれが租税回避のために利用される懸念がある、こういった問題点があると思います。したがいまして、諸外国でも廃止、縮小の方向にあるというふうに理解しておりますが、私もその創設は適切ではないというふうに考えております。
 それから、プライマリーバランスの黒字化に関するお尋ねがございました。
 我が国の財政事情は極めて厳しい状況にございますし、財政の中長期的な持続可能性を回復するためには財政構造改革の推進が重要な課題であるというふうに考えております。
 政府としては、具体的には社会保障制度の見直し、あるいは三位一体改革、それから公共投資に関する改革などを進めまして、二〇〇六年度までの政府の大きさ、これは一般政府の支出規模のGDP比でございますが、二〇〇二年度の水準を上回らない程度とするということを目指しております。
 それから、二〇〇七年度以降も同程度の財政収支改善努力を継続するとともに、民間需要主導の着実な成長を実現することによりまして、二〇一〇年代初頭においてプライマリーバランスの黒字化を目指してまいりたいと考えております。
 それから、基礎年金国庫負担の問題についてのお尋ねがございました。
 この問題につきましては、平成十二年年金改正法附則に、給付水準それから財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、安定した財源を確保するものとされておりますが、今後、年金制度や国庫負担の在り方をどう考えるか、あるいは給付と負担の関係をどう考えるかといった点の検討と併せて議論していく必要があると考えております。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(坂口力君) 基礎年金国庫負担の割合の引上げ問題についてお尋ねがございました。
 谷垣大臣からも今御答弁のあったところでございますが、平成十二年の改正のときにその附則の中で、安定した財源を確保し、二分の一への引上げを図る、こういうふうに決まったところでございまして、次のこの改正のためには誠に重要な問題点の一つというふうに思っているところでございます。
 国庫負担の引上げにつきましては、将来の保険料負担が過大にならないようにするということ、そしてまた、給付の水準を確保するという意味からいきましても大事な問題でございまして、今回の改正におきましてその道筋を明確にしたいと考えているところでございます。そのためには、この年末にはその決着を付けなければならないと思っているところでございます。
 私、試案を発表させていただきましたが、二分の一に引上げをいたしますと、負担の上限を二〇%までというふうにいたしましても、二〇二四、五年ぐらい以降におきましても大体五四%台の、若いときの所得の大体五四%台の年金を維持することができます。もう少しこの経済状態が良くなる、あるいはまた少子化に歯止めが掛かるということになれば、五七、八%になり得るというふうに思っております。
 しかし、三分の一のままでいきますと、これは四七、八%に、平均いたしまして給付になるということでございますので、それらの点も十分に勘案しながら最終決着に目指して合意を目指したいと思っているところでございます。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(倉田寛之君) 上杉光弘君。
   〔上杉光弘君登壇、拍手〕
#9
○上杉光弘君 私は、自由民主党・保守新党を代表して、さきの総理の所信表明演説に対して、総理に質問いたします。
 質問に先立ち、去る九月二十六日早朝発生した十勝沖地震により被災されました方々に衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、政府におかれては復旧等に速やかに取り組まれるよう要望いたします。
 小泉総理、まずは総裁に再選されましたことに対しまして心から祝意を表します。各種経済指標が上昇傾向にあるとはいえ、内外に政治課題が山積しているとき、今後三年間の国政のリーダーとしての御苦労は多いと思いますが、頑張っていただきたいと思います。
 総理は、再選直後、自民党を真の国民政党、改革推進政党にしたいと言われました。私は、そのためには、総理の抽象的なワンフレーズポリティックスから内容ある政策への脱却と挙党体制を組むことが不可欠の要件だと思います。総理の主張される改革は、今始まったばかりです。いよいよ改革実現内閣の誕生であります。
 そこで、私は、国づくりの基本としての政治哲学や政策理念を国家観、国家像としてとらえ、この一点に絞って、再選された総理の国づくりをここで国民の前に明らかにされるよう質問したいと思います。総理の国家観、国家像を国民に分かりやすく知らせることが、総理に対する今の国民の率直な気持ちを代弁することだと私は思うからであります。
 以下、各般にわたり、問題、課題を提起しながら質問させていただきます。
 まず、総理に対する世評について言及し、総理の国家観、国家像に関しお尋ねいたします。
 今、総理の国民的人気は高いものがあります。何かやってくれるだろうと、国づくりのビジョンを国民は待っています。その期待感が総理の国民的人気を支えています。しかし、現実の政治姿勢や政策は、正直に言ってその人気にこたえておりません。
 アメリカは、民主党、共和党という二大政党が定着しています。イギリスも、保守党、労働党の二大政党です。それぞれ、国の進むべき道筋をはっきりと示して国民の信を問う政治の仕組みがあります。しかも、労働党のブレア首相は、就任以来、中道的な第三の道を提唱しています。アメリカやイギリスの政党は、公約作りに物すごい人と時間とエネルギーを注ぎ込んでおるのであります。総理の政治哲学は、これらとの比較ではどの道に近いのでしょうか。
 また、結果責任を負うことのない一部の学者や民間人の意見が、我々国会議員の意向を飛び越えて日本の重要な国策や国民生活の将来を決める仕組みも、言うなれば総理の国家観のあいまいさから生じた問題ある政策立案システムではないかと思えてなりません。これを政治改革と受け止めることはどうしてもできないのであります。政党政治があり、議員が国民を代表する議会制民主主義があり、議院内閣制があることは申すまでもないことであります。
 以上申し上げたような、総理の基本的な国づくりの政治理念をまずお伺いいたします。小泉政治の根幹を成す国家観、国家像とは何なのか。何とぞ国民に分かるよう、説明責任の上からも明らかにお示しください。
 次に、日本の命運につながる外交・防衛問題に関してお尋ねいたします。
 国際化の進展が著しい今日、外交・防衛が我が国の命運を決定付ける国の基本政策であることは申すまでもありません。
 我が国の外交は日米関係を基軸とした国際協調、国連中心の外交であり、無論、専守防衛は我が国の国是であることを承知の上でお尋ねいたします。
 東京大学東洋文化研究所所長の田中明彦教授は、小泉総理は反射神経が良く、反応型外交には優れているが、形成型の外交は昨年九月の北朝鮮訪問だけでほかには見当たらない、首相は壊すのは得意だが、物を作る形成型は不得手なのかもしれない、現代の外交では首相はスーパー外交官であり、大局的方向性を見失ってはならない、北朝鮮問題では日本は経済支援カードをどう使うのか、イラクへの自衛隊派遣はどうするのか、集団的自衛権の問題をどうするのか等の趣旨を述べられております。
 私はこれらの批判的発言をそのまま受け入れようとは思いません。しかし、国民の関心事である北朝鮮の核や拉致問題、WTO問題、イラク復興支援、自衛隊の派遣、日米安保、国連安保理常任理事国入りなど、明確にしなければならない外交・防衛問題は山積をいたしております。
 この国会はテロ対策特措法国会とも言える国会であります。十一月一日に期限切れとなるテロ対策特別措置法の二年間の延長を早急に図らなければなりません。総理の所信にあります国民の安全と安心を具体化した社会を実現するためには、こうした対策を誠実に一つ一つ丁寧に積み上げることが肝要であります。
 そこで、国際社会における我が国の命運を決めるとさえ言ってよい外交問題と防衛問題についての総理の明確なビジョンを国民に示すべきだと思いますが、いかがでしょうか。私が国家観を明らかにせよと言う第二の問題です。何とぞ分かりやすく明確にお答えください。
 次に、当面する景気と雇用対策についてお伺いいたします。
 総理は、構造改革なくして日本の再生と発展はないと主張されています。一つの見識だとは思いますが、時々刻々変化する今日の社会経済情勢の中にあって、かたくなに金科玉条としてこれを守ることが正しいことかどうか、それともフリーハンドで柔軟に対応することがよいのか。しかも、景気浮揚、雇用対策、税収問題、財政再建、デフレ対策等、どれを取っても国民に対する説明はこれまで全く不足いたしております。
 今日の不況は、物価下落によって更に経済不況を深刻にするデフレスパイラル状況にあります。資産の目減りはバブル崩壊後に千二百兆円、小泉内閣になって株価が底値のときには更に四百兆円と言われ、これが負の資産効果をもたらし、消費支出及び投資支出を更に悪化させております。総理就任当時五十一兆円あった税収は四十二兆円と大幅に落ち込み、経済の立ち直りは遅れております。財政金融政策にも悪影響を来していることは申すまでもないことです。
 これほど議論の多い我が国の将来と国民生活を左右しかねない重大な政策選択に当たって、説明責任は極めて重いと思います。
 一方で、科学技術創造立国の実現に向けた産学官連携による取組を強化していくことは申すまでもなく、例えば新エネルギーとしてクリーンなエネルギーのメタンハイドレートや風力発電等の技術開発及び産業化等は、公共投資としても国民皆が歓迎するのではないでしょうか。
 関連して、雇用問題についてもお尋ねいたします。
 最新の統計では、日本の失業率は五・一%、失業者は三百三十三万人と若干改善されましたが、依然として高い水準にあります。不況のもたらす最も悲惨な現象であり、国民生活を直接脅かしています。社会不安の最たるものです。
 公共投資についてはいろいろ批判もありますが、中小企業が多く経済力の弱い地方では、景気・雇用対策としては欠かせないものであることも是非お考えいただきたいと思うのであります。
 総理はどういう雇用対策を進めるおつもりでしょうか。
 ドイツには、家庭での介護が必要となると、各企業ではその期間職場を休んでも復職をできるようになっており、その間仕事の心配をしないで済む国になっております。
 なお、論語に、過ちてはすなわち改むるにはばかることなかれという言葉があります。改革することは反対ではありません。しかし、これまでの総理の政治手法と政策の取組に反省すべき点はなかったのか、冷静な判断を求めます。
 国民は、総理を支持しながらも、景気・雇用対策には大きな不満と不安を感じています。総理の柔軟な政策対応は、むしろ総理の国民的人気を更に高めるのではないでしょうか。総理の率直にして明確なる説明と決断を期待して、お尋ねいたします。
 次は、国民生活に身近な年金問題、税制構造改革についてであります。
 年金問題に対する負担と給付は、各種世論調査を見ても、国民の関心がかつてないほど高まっております。
 年金改革の課題は、国民の年金制度への不信感をいかにしたら払拭できるかに懸かっています。昨年度の国民年金の保険料未納率は、過去最悪の三七・二%に上り、二十歳代では五割を超える異常事態です。
 本格的な少子高齢化時代に向けた税制や社会保障負担の在り方を、必要な財源を含め、正面から議論すべきだと思います。国民生活の上から、あるいは経済や景気の変動に対して、安定した財源確保となる直接税と間接税の直間比率が五対五になるような税構造の改革が、国家財政の安定のためにも必要であると思います。
 少子高齢化が進む社会の中で、老後の心配のない社会、安心して子供を産み育てることのできる社会、明日の安心が約束される社会などは、明日の国づくりの基礎であり、政治の責任であります。是非とも年金問題、社会保障と税制改革についての総理のお考えを明らかにしていただきたいのであります。
 次は、国から地方への国づくりに向かっての地方政策についてであります。
 国土の均衡ある発展という言葉は、昭和三十七年の全国総合開発計画以来、我が国の重要な国家的テーマでありました。そして、平成十年の五全総、二十一世紀の国土グランドデザインまで、開発より保全に、活力よりも快適にという政策視点を変えながらも、その根底の思想は日本国土の均衡ある発展にあります。現計画は、多軸型国土構造への転換を目途とし、積極的な地方分権の推進を強調しています。
 日本の国土の八割は農山漁村です。農山漁村では、既に国土を守る機能が失われつつあるのです。都市も農山漁村を守るという、川上と川下が相互に助け合う意識とシステムがなければ、やがて国土が崩壊するという危機的状況を私は訴えたいのであります。決して地方切捨てであってはならないのです。
 また、関連して、我が国の均衡ある発展のために、私は地方基本立法としての農山漁村計画法のような法律的整備を提案したいのであります。既にフランスやドイツには、農村計画法として地方の都市を含めたこのような法律が制定されております。
 総理の言う国から地方へとは一体どんな政策なのでしょうか。地方分権の受皿としてのこれからの都道府県の在り方、市町村の在り方や市町村の合併、三位一体の地方分権の行方、最近耳にする総理の地方再生新法制定の動きなども含めて、総理の真意を御説明ください。
 地方分権は、これまでの行政が中央集権、上下・主従の縦の関係にあったものを、平等、対等、協力の横の関係にすることが国と都道府県、市町村の在り方としての行政改革であり、地方分権一括推進法の哲学、目的であると認識いたしております。是非、総理のお考えを、財政の在り方も含めて国民に分かりやすくお答えいただくようお願いいたします。
 関連して、食糧政策についてお尋ねいたします。
 食糧政策は国家の基本政策であります。
 食糧政策に関する主要問題の一つに環境問題があります。私は、二十一世紀の人類、環境問題は水と空気と土と緑の問題であり、それらと、そこに住み、生活している人たちとの共存、共生の問題だと認識しております。国家存立の基盤は国土でありますが、我が国土は、その国土を保全するために年間四兆五千億を注ぎ込まなければなりません。国土保全に世界一コストが掛かる国にいつの間にかなってしまいました。
 もう一つ、今後予想される人口の増大と食糧不足が今世紀の人類の大きな課題としてあります。このまま我が国が自給率最低の食糧輸入大国であってよいのかという大きな疑問を感じます。大変心配です。
 日本の食糧最終消費額は年間八十兆円を超えています。国家予算と同規模なのです。食糧関連の市場規模がいかに巨大なものかが分かります。うち、生産者の手取り分は二割、食品工業が三割、関連流通業三割、飲食店二割であります。この巨大な市場を支えているのが国の食糧政策の対象となる農林水産業及びその関連産業であり、輸入食品産業です。これらのことを踏まえ、総理の国家基本政策としての我が国の将来を見据えた農山漁村問題、農林水産業政策、食糧の輸入政策等、食糧政策全般についてのお考えを明らかにしていただきたいのであります。
 次に、観光立国についてお伺いいたします。
 本年七月三十一日、政府は観光立国行動計画を決定いたしました。「住んでよし、訪れてよしの国づくり」戦略行動計画というサブタイトルが付いています。本年一月、総理御自身の構想として提唱されたものとお聞きしております。これに呼応して国土交通省は、本年七月十一日、美しい国づくり政策大綱を公表しました。これも大変結構な構想であります。神話伝説、古い建国の歴史、伝統的文化芸能、史跡、遺跡、古墳、神楽、民謡、さらにこれらの雰囲気を秘めた景勝、自然など、日本文化を象徴する潜在資源が我が国には豊富にあります。
 そこで、これらの各地域の日本的観光資源をネットワーク化した全国公園化政策を国民が心を一つにして取り組む一大国民運動として位置付け、観光立国行動計画の重要戦略手段に据えるべきであります。そのためには、全国観光資源ネットワークを可能にする高速自動車道、鉄道、空路、海路などの交通手段対応が不可欠となります。
 特に、道路行政においては、法定路線一万一千五百二十キロメートル建設が国の将来を見据えた国家の基本政策でなければなりません。道路公団の民営化と併せて、地方の高速道を交通量など即時的な投資効果のみで考えるのは、私は基本的に間違っていると思います。日本の高速道整備は国際的にも極めて後れているのです。
 観光立国について総理の国家観を、私が提案させていただいた全国公園化戦略構想の視点に立って、そのための高速道整備も含めお答えいただきたいと存じます。
 次に、あるべき国家像と関連して、政府行政の視点に立った官から民への行政改革に関する質問であります。
 総理の持論である郵政、道路公団の対応は、国家政策としては余りにも性急過ぎるのではないでしょうか。これでは肝心の官から民へは、この二つだけなのかという疑問が生じます。非効率なあらゆる官業の民営化が対象ではなかったのでしょうか。百六十三の対象法人のうち、廃止・民営化六十二法人、残りは独立行政法人への移行等がなされ、財政支出が一兆四千億円が削減されたものの、他の面では目立った改革の成果が上がっておりません。
 公社公団はほかにもたくさんあります。全国に国の地方支分局は数え切れないほど配置されています。国の二重・重複の弊害は昔から指摘されていました。官僚の天下りなど、とかく問題にされる組織も多いと思います。官から民へという抽象的、あいまいな言葉を補う意味で、国民に分かりやすい行政改革の総理の国家像をお示しください。
 次に、国家観として是非お尋ねしたいのが、教育問題に関してであります。
 平成十二年十二月、当時の森総理の私的諮問機関であった教育改革国民会議は二十一世紀の教育改革についての最終提言をまとめました。また、本年三月二十日、文部科学大臣の諮問機関、中央教育審議会は「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」の答申をまとめました。さきの教育改革国民会議の提言を受けた内容になっています。
 教職員の質的問題、生徒の学力の低下、生徒の不登校、いじめ、学級崩壊など、社会問題としても国民の関心が高まっています。学校現場だけではありません。犯罪の低年齢化、児童虐待など、これまで考えられなかった新しい事件、通り魔、無差別殺人などの凶悪事件も多発しています。
 もはや日本が世界一治安の良い国という安全神話は崩れつつあります。治安行政の充実強化は申すまでもなく、すべて教育のせいだとは言いません。しかし、幼児期の人格形成、人間社会の秩序に対する適切な人間教育、国民としての義務を教える教育、家庭教育、社会教育、日本の食文化を教える食育が万全だったとは到底思えません。財政的視点からの教育改革では問題があることを申し上げておきます。
 今こそ、総理はリーダーシップを発揮して、教育改革を与野党で十分議論し、調整して早急に具体化すべきだと思いますが、御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
 最後に、憲法改正問題に関する総理の国家観であります。
 戦後タブー視されてきた憲法論議も、今は多く議論されるような時代に変わりました。自民党の憲法調査会は、既に安全保障に関する憲法改正要綱案をまとめ、さらに憲法改正全体の草案に取り掛かっています。衆参両院にも憲法調査会が設置されております。このような状況の中、総理は改正案の検討はするが任期中はやらないというのは、議論の展開を妨げることになるのではないでしょうか。
 総理の国家観として、憲法問題は極めて重要な課題です。この際、先見性とリーダーシップに基づいた総理の国家観としての憲法問題に対する明確なお考えを是非国民の前に御説明いただきたいと思うのであります。
 西郷隆盛は、国づくりの基本を、まず国民が食うに困らない食糧政策、次に国を担う人づくり、三番目に自国を守る軍事力としていました。国家観、国家像がはっきりしているから、端的明瞭な言葉で政治哲学を語ることができたのではないでしょうか。
 国家国民のために国政があるとするならば、与野党問わず、今こそ国政は挙国一致の体制で臨まなければなりません。私はそのように確信いたしております。
 小泉総理が不退転の決意で明日の国づくりのための真の改革に取り組まれるならば、我々参議院与党は全力を挙げて支持することを惜しみません。日本再生は総理のリーダーシップの発揮に懸かっております。いつ解散・総選挙があってもよいように政策を固めておくことは、小泉内閣の重要な使命であります。総理の積極的、明快な御答弁を期待して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#10
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 上杉議員にお答えいたします。
 御叱正、御激励含めた御提言、誠にありがとうございます。
 まず、基本的な国づくりの政治理念についてでございますが、私は、政治は国民の信頼の上に成り立っていると思っております。政治家たる者、一部特定団体の代表ではないと思っております。
 よく私は当選したばかりの若い方に言います。皆さんは中選挙区の時代から特定の支持団体から支持を得て当選したのか、そうじゃないだろうと。現職の県会議員、市会議員、応援してくれなかったはずだ。自民党の支持団体、応援しなかったはずだ、でも当選できたんだ、そのことを考えるべきだと。小選挙区制度になったらなおさらですよ。一般有権者、国民全体の支持があって初めて政治家というのはよって立つ基盤が強化される。当然、一部の団体、特定団体の意見を聴くことは大事であります。しかし、そのためだけの代表者ではないはずだ。常に、一部の団体の意見は聴くにしても、これが国民全体のためにとってよいかということを念頭に置いて政治というのはあるべきだということを言っているのであります。
 私は、自民党というのは国民政党であります、一部特定の団体のための政党じゃない、国民全体のための政党が自由民主党であるということを忘れないで、自民党所属国会議員はこれからの政治に当たらなきゃならないと思っております。
 また、内閣におきましても、国民各層の広い人材を起用するのが大事であります。国会議員を中心に起用する、これは議会制民主主義だから私はいいと思っております。同時に、経験豊かなベテラン、改革の意欲に強い若手、そして民間人でも有能な者は登用するという、国民各層の力を結集して私は改革を進めなければいけないと思います。そして、重要な政策については、議会制民主主義ですから、国会において与野党間で十分な議論を経てそれを実行していくのが議会制民主主義の基本だと思っております。
 私は、この二年数か月、改革なくして成長なしという基本方針の下にいろいろ改革を進めてまいりました。ようやく改革の芽が出てまいりました。この芽を大きな木に育てていくために、自由民主党、公明党、保守新党、場合によっては野党の皆さんの協力も得ながら進めていきたいと思います。
 我が国の外交問題と防衛問題についてでございますが、世界の平和と安定の中に日本の安全と発展があると私は思います。我が国は、専守防衛に徹し、軍事大国にならないとの基本理念を掲げるとともに、日米同盟と国際協調を日本外交の基本とし、国際社会が直面する諸課題に積極的に対応してまいります。
 景気・雇用対策についてでございますが、私は、就任以来、構造改革なくして日本の再生と発展はないという認識を持ってやってまいりました。公共投資総額は抑制する一方で、科学技術など経済活性化や将来の発展につながる分野への予算を重点的に配分するとともに、地方や民間の知恵を生かした構造改革特区や、稚内から石垣までの都市再生を推進し、併せて、規制緩和により五百三十万人雇用創出プログラムを推進するなど、雇用・中小企業のセーフティーネットに万全を期しつつ、民間の活力と地方のやる気を引き出す改革を着実に進めてまいりました。既に、民間企業設備が増加し、一方、倒産件数が減少し名目成長率もプラスに転ずるなど、こうした構造改革の成果が現れつつあります。
 政府としては、こうした明るい兆しを確かなものとできるよう引き続き日銀と一体となってデフレ克服を目指しながら、金融、税制、規制、歳出の各分野にわたる構造改革を進め、創造的な企業活動の促進や地方経済の活性化などを通じた民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていく考えであります。
 社会保障制度、税制改革に対するお尋ねでございますが、急速な少子高齢化が進む中、国民の安心と生活の安定を支える年金、医療、介護の社会保障制度を将来にわたり持続可能なものへと改革するとともに、待機児童ゼロ作戦を推進するなど、安心して子供を産み育てることができる環境を整備していくことは政治の責任であると考えます。特に、年金改革については、現役世代の負担が過大なものとならないよう給付と負担の見直しを行うなど、若者と高齢者が支え合う公平で持続的な制度を構築すべく、国民的な議論を深め、年内に成案を取りまとめてまいります。
 税制については、平成十五年度に抜本的な改革を行いましたが、引き続き、少子高齢化の進展を踏まえ、広く公平に負担を分かち合い、将来にわたる安心と持続的な経済社会の活性化を実現するため改革に取り組んでまいります。
 国から地方への観点からの政策でございますが、地方が自らの創意工夫と責任で政策を決め、自由に使える財源を増やし自立できるようにするということが大事だと思います。三位一体の改革の具体化を進め、市町村合併を推進していきます。また、都道府県や市町村の在り方について見直しの議論を進めてまいります。さらに、地域が魅力あるものとなるよう構造改革特区を更に推進し、企業誘致、育成など、地域産業おこしを応援するとともに、稚内から石垣まで全国で都市再生の事業を進めてまいります。
 農政の基本的な方向についてでございますが、国土や環境の保全等の多面的な役割を果たす農林水産業と農山漁村の発展を図り食糧の安定供給を確保することは、国の基本的な責務であります。このため、食の安全と信頼を確保しつつ、国内生産と輸入の適切な組合せの下、消費者の需要に即した生産を推進するとともに、意欲と能力のある経営を後押しするなど、構造改革を進めていく考えです。あわせて、自然に恵まれた農山漁村と都市との交流を推進し、都市と農山漁村が豊かさを分かち合う体制作りを進めるなど、農山漁村の活性化を図ってまいります。
 観光立国についてですが、観光振興は国民生活にゆとりと潤いを与え、国際相互理解を増進するとともに、産業、雇用への幅広い経済効果をもたらすものであり、我が国の需要の喚起、経済活性化、地域の活性化に重要な意義を有しているものと考えます。わけても、現在日本から外国へ旅行する方々は一年間で一千六百万人を超えているのに外国から日本に来る方は約五百万人と、極めて外国への旅行者と国内に来る旅行者との差が大きい。今後、この外国人旅行者にも多く日本に来ていただくような対策も必要ではないかと思っております。このため、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」の観光立国行動計画を策定したところであり、今後、この計画に基づき、一地域一観光の推進、日本ブランドの海外への発信、観光地間のネットワーク作りなど、観光立国の推進に積極的に取り組んでまいります。
 行政改革についてでございますが、私の行政改革は郵政事業、道路公団のみならず、一貫して、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にの方針の下に改革を進めてまいりました。これらの改革は、民間や地方の活力を引き出すとともに、将来の国民負担を抑制し、経済全体の活性化につながるものと思っているから進めているわけであります。今後とも、行政の無駄を省くことを最優先課題の一つとして、特殊法人改革や国の組織、事業の改革を推進し、簡素で効率的な質の高い政府の実現に全力を挙げて取り組んでいく決意であります。
 教育改革でございますが、発展の原動力、どんな国の発展の原動力も人だと思います。教育改革の推進は国政上の最重要課題であります。御指摘のあった様々な課題に的確に対応しつつ、知育、徳育、体育及び食育のバランスの取れた人間力向上のための取組を家庭、地域、学校が一体となって進めていかなければならないと思います。
 画一と受け身から自立と創造へという理念の下、習熟度別指導や心に響く道徳教育の推進などにより、確かな学力と豊かな心の育成を目指した学校教育の改革を進めるなど、国会での議論や国民の御意見を踏まえつつ、教育改革の実現にしっかりと取り組んでまいります。
 憲法の改正についてでございますが、ちょうど二年後には結党自由民主党五十周年に当たります。一つの節目でありますので、結党以来、自主憲法制定という大きな目標を掲げて進んでまいりましたけれども、この五十周年を一つの契機ととらえまして、日本の自主憲法はどうあるべきかという案をまとめていきたいと思います。そうして、国民的な議論を喚起して、より良い憲法を作って日本の発展に資していきたいと考えております。(拍手)
#11
○議長(倉田寛之君) これにて午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開議
#12
○議長(倉田寛之君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。浜四津敏子君。
   〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
#13
○浜四津敏子君 私は、公明党を代表して、小泉総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 質問に先立ちまして、十勝沖地震の被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。公明党として、政府・与党一体となった被災者救援及び復旧支援に全力を挙げてまいります。
 まず初めに、第二次小泉内閣の発足をお祝い申し上げますとともに、新たな陣容で山積する課題に敢然と挑戦されることを期待しております。私どもも、政策実現政党公明党、生活与党公明党として、これからも生活者の目線に立った政策の実現に全力を尽くしてまいります。
 この国会の最大の焦点は、テロ特別措置法の延長のための改正でございます。テロ特措法は、二年前のアメリカ同時多発テロを契機に、国際社会が国連決議の下、国際テロ根絶・防止と人道支援を目的に作られた時限立法の法律です。
 現在、欧米諸国、アジア各国を始め、世界じゅうから実に六十一か国が必死の思いでアフガニスタン復興の支援活動に参加しております。そうした中、日本だけが法律の期限切れを理由に支援から手を引くことはできません。私は、世界各国が協力し合って国際平和のために努力する、その国際協調こそがテロに対する最大の防御と確信しております。
 正に、この改正案の成立は、国際社会に対する日本の公約であり、責務であると考えますが、総理の御見解をお伺いします。
 次に、イラクへの人道復興支援について伺います。
 本年五月に、国連安保理は、国連加盟各国がイラクの人道復興支援に当たることを求める決議を全会一致で採択いたしました。
 その決議を受けて、日本としてできる支援を定めたのがイラク人道復興支援特別措置法です。これは、あくまで非戦闘地域での自衛隊等の人道復興支援活動などであり、治安維持や警護活動にすら従事せず、ましてや戦争、戦闘を目的としたものでないことは自明の理であります。既にオランダ、ノルウェー、デンマークなどヨーロッパ各国を始め、三十数か国が現地で支援活動を展開しております。
 我が国だけが平穏であればいいという一国平和主義は、エゴ以外の何物でもありません。国際平和のために、そして戦闘や紛争などで飢餓や病気、貧困にあえぐ庶民の方々のための人道支援に何の努力もしない国というのでは、やがて国際社会からの信頼も失われ、世界の孤児となっていくことでありましょう。
 日本国憲法前文にもこううたっております。「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と。この憲法の国際平和主義の理念を再度確認したいと思います。
 十一年前、私はカンボジアに参りました。それはPKO活動に従事する自衛隊の活動を自らの目で確かめるためでした。当時も自衛隊ではなく民間人を派遣すればいいという声がありました。しかし、それは机上の空論であることが現地に行ってよく分かりました。宿泊施設もない、食糧も飲み水も何もない現地に民間人が派遣されても、現実には活動はほぼ不可能です。
 自衛隊は、現地で自分たちのためのプレハブの宿泊施設を作り、泥水を飲み水に変え、食糧も持参で、自分のことは自分で面倒を見つつ活動できます。そして、自衛隊は生活道路を補修し、壊れた橋を直すなどして食糧や医薬品などをトラックで庶民の人たちに届け、現地の人々に大変感謝されていたのを見てまいりました。
 公明党はこれまでに六人の国会議員がイラクを視察し、イラクでも自己完結型で訓練された自衛隊であればこそできる人道復興支援活動がたくさんあることを確認してまいりました。
 もちろん、イラク支援特別措置法はあくまで非戦闘地域での活動であり、治安が安定した地域への派遣となります。現在、政府派遣調査団が現地の実情を調査していると伺っています。その結果を待って慎重に派遣を判断すべきと考えますが、総理のお考えを伺います。
 次に、女性政策について伺います。
 女性の平和、命、安心、安全な暮らしへの深く強い思いと生活に根差した女性の視点が生活者の政治、清潔な政治の実現に欠かすことができません。そこで、公明党は女性政策に全力を傾けてまいりました。
 公明党が連立与党に参画して四年間、例えば総合的子育て支援として、児童手当の拡充、奨学金の拡充、保育所の待機児童ゼロ作戦、不妊治療への公的支援、出産育児一時金、育児・介護休業給付の拡充、乳幼児の医療費助成、小児ぜんそくなどのアレルギー対策、臍帯血・骨髄移植の推進、子ども読書運動、また、ストーカー規制法、DV防止法など、女性の視点に立った政策が大きく前進してまいりました。
 公明党は女性政策マニフェストを近日中に提言することにしておりますが、その中から今後の課題につき、五点お伺いいたします。
 まず第一点は、女性の雇用の確保及び改善であります。
 女性の就職は現在の不況の中で大変厳しい状況にあります。そこで、両立支援ハローワークに一人一人に適した職種や企業の紹介ができるキャリアコンサルタントを十分に配置し、相談体制を更に充実させるべきと考えますが、いかがでしょうか。坂口大臣にお尋ねいたします。
 第二点は、女性と子供の健康支援であります。
 女性特有の病気及び疾患に女性医師が対応する女性専門外来が、公明党の推進により、この一年間で国としても、また全国の自治体でも数多く設置が進んでおり、大変好評です。女性専門外来を全都道府県に早急に設置するため、政府の責任の下、担当女性医師の育成や財政支援を始め、具体的措置を講ずるべきだと考えますが、御見解を伺います。
 先日、国立相模原病院の小児科病棟の現場を視察し、その施設の余りの古さ、不便さ、医師、看護師、職員の少なさなどからいつ事故や医師等の過労死が起きても不思議ではない現状に衝撃を受けました。また、かつては全国どこの町にもあった小児科の看板が激減しております。小児科医の不足は深刻な問題です。さらに、来年度から各地の国立病院や国立大学附属病院の独立行政法人化に伴い、採算の取れない小児科が縮小されることが危惧されております。
 小児科については、採算性を求めるのではなく、二十四時間小児救急医療施設を始め、小児医療体制の充実に国として本格的に取り組むことが急務であると考えます。坂口大臣にお考えを伺います。
 第三点は、更なる子育て支援の充実についてであります。
 公明党は、児童手当の対象を、現在の小学校入学までから小学校三年終了までに引上げ、引き続き小学校六年終了までに拡充することを提案しております。
 また、児童手当、保育などを総合的に給付する育児保険制度を創設して、安心の子育てを後押ししていきたいと思います。
 また、孤独な中で子育てに悩むお母さんたちのために、子育てサークルの支援や育児相談等を行うつどいの広場や地域子育て支援センターを全中学校区に整備するなどして、地域で子育てを支援したいと考えますが、これらの点につき、坂口大臣の御見解をお聞かせください。
 第四点は、女性の人権についてであります。
 国連の女性差別撤廃委員会は、本年七月、日本に対しDV防止法の改善及び強姦罪の罰則強化などの勧告を行いました。
 公明党は、DV防止法の改正について、既にこの七月に所管の大臣である福田官房長官に、保護命令を元配偶者、子供、親族などに拡大すること、退去命令の期間及び接近禁止命令の期間を延長すること、被害者の自立支援、DV被害者の保護等を行っている民間団体に対する支援の充実など、十項目から成る具体的な要請をいたしました。公明党として実効性あるDV防止法改正に全力で取り組んでまいりますが、総理の御決意を伺います。
 ところで、強姦罪の罰則は強盗罪の罰則よりはるかに軽く、女性の性的自由が物より軽く扱われていると従前より批判されてまいりました。さらに、先般起きた大学生による集団レイプ事件などを契機に、法の見直しの提言もなされております。そこで私どもは、先日、与党に女性と刑事法に関するプロジェクトチームを設けて、強姦罪の罰則を強化し新たに集団強姦罪を設けるために刑法改正を行うべきとの検討を始めたところであります。総理の御見解を伺います。
 第五は、年金についてであります。
 年金について、多くの方々から、制度が破綻するのではないかとの不安の声が寄せられております。そこでまず公明党は、年金について、百年先まで安心のしっかりした長期展望に立つ年金一〇〇年安心プランを坂口大臣とともに提唱をいたしました。
 それは、国民年金、厚生年金などの公的年金について、保険料はこれ以上上げないという上限固定方式を取り、支給額についてもこれ以下には下げませんという安心支給を約束するもので、財源は消費税ではなく、定率減税の見直しなどと年金基金百四十七兆円を充てていくというものであります。
 女性の年金については、まずは夫婦の離婚時の年金分割を可能にすることを提案したいと思います。
 年金一〇〇年安心プランと夫婦の年金分割について坂口大臣にお伺いいたします。
 次に、環境政策について二点お伺いいたします。
 まず第一点は、ディーゼル規制の対応策についてであります。
 この十月から自動車NOx・PM法と東京都などのPM規制が本格的に施行されます。この排出基準に適合しないディーゼル車が数多く存在します。その保有者の多くは中小零細企業であり、DPF装着や基準適合車への買換えを迫られても、資金難により、その対応に悲鳴を上げております。このまま放置すれば十月以降これらの車両の運行ができないことになり、事業経営そのものが成り立たず、正にディーゼル廃業が続出しかねません。
 そこで、DPF装着や規制適合車両への買換えを支援するため、税制上の優遇や購入車両を担保とする政府系金融機関による公的融資制度を早急に創設すべきだと考えます。総理のお考えを伺います。
 第二点は、自然体験学習の全国ネットワークの構築であります。
 さきの通常国会で、公明党の強力な推進の下、環境保全・環境教育推進法が成立しました。この法律の下、環境教育の担い手となる人材の育成、国立公園などを活用した自然体験学習などの推進事業が進められつつあります。
 また、学校でも総合学習の一環として自然体験学習が実施され、子供たちの豊かな心が大きくはぐくまれていると大変好評です。しかし、そうした自然体験学習を先生が行うには大変な努力を必要とし、それが大きな障害となっております。
 先生が自然体験学習を容易に行えるよう、文科省と環境省が共同して全国ネットワークを構築するとともに、市町村にコーディネーターを配置して、地域の先生が自然体験学習に関する情報、プログラム、ノウハウに手軽にアクセスできる体制を早急に整備するとともに、二十一世紀を担う青少年育成のために自然体験学習の更なる推進を積極的に進めるべきだと考えます。総理の御見解をお伺いします。
 次に、スクールカウンセラーの配置について伺います。
 先般の文部科学省の調査によると、十五年前の調査開始以来初めて不登校の子供が前年度に比べ減少したとの結果が出ています。その理由として、スクールカウンセラーの配置が挙げられています。
 子供たちが不登校になる原因は実に様々ですが、心の専門家であるスクールカウンセラーが子供たちの相談に当たってきたことが功を奏したということです。スクールカウンセラーを配置した学校では、子供たちが悩みを相談に行くのはもちろんのこと、先生や父母たちも身近に気軽にいつでもスクールカウンセラーに相談できると高く評価されております。
 早急に全中学校へのスクールカウンセラーの配置、更に小学校への配置も行うべきと考えます。総理にお伺いします。
 次に、安心、安全の食の推進について伺います。
 命と健康をはぐくむ安心、安全の食を守るのは国の責任です。さきの国会で公明党が強力に推進し、食の憲法と言うべき食品安全基本法などが成立いたしました。今、作り手の顔が見える安全な地元の食材や自然食品を楽しむスローフードへの関心が高まっています。そこで、各地の役所や学校、公立病院などで地元の農水産物を使用する地産地消を推進することは、消費者のニーズにこたえるのみならず、生産者の育成や自給率の向上、子供たちの食育にもつながります。スローフードキャラバン隊の創設等も含め、人にも環境にも優しいスローフードの普及に国として取り組むべきと考えます。総理のお考えをお聞かせください。
 総理は、小泉内閣の責務は改革と強調され、構造改革路線を堅持することを表明されました。そこで、改革の原点を改めて確認させていただきたいと思います。
 政治家及び行政に携わる官僚にとって最も大切な資質は何か。それは、専門的な知識及び能力のみならず、それ以上に不可欠なものが人々を思う心であると多くの識者は指摘しております。改革はまず自らの足下から始まるはずです。それは、憲法第十五条「すべて公務員は、全体の奉仕者」との規定をまつまでもなく、政治家及び官僚は公僕である、すなわち国民のために尽くす存在であるとの意識に転換することであります。そして、政治、行政、法律などを始め、すべての制度及びシステムを規制する側の視点から国民のためとの視点に変えることにあると公明党は考えております。
 そうした観点から、公明党はこの四年間、連立与党として政治家個人への企業・団体献金の禁止を始め、政治家が口利きをして金を取ることを禁止したあっせん利得処罰法、公共工事適正化法、官製談合防止法、そして税金の無駄遣いをなくしていくための行政評価法や特殊法人等改革基本法など数多くの法律を制定し、更に議員特権の廃止を実現するなど、政治改革及び行政の無駄をなくす改革を着実に前進させてまいりました。
 一例を挙げれば、行政評価法により、これまでに約二兆円に上る税金の節約がなされました。特殊法人の改革及び天下りによる退職金の二重取り、三重取りの禁止などにより、約一兆四千億の税金の節約を実現いたしました。
 さらに、公明党は今回、マニフェスト原案で特権・ムダ遣い徹底追放宣言として、議員歳費の一割カットの継続により年間約十三億三千八百万円の削減、国会経費を約一億円削減、公務員の通勤定期代を一か月支給から六か月支給に変えることにより年間約七十五億円の削減など、具体的に税金の無駄遣いをなくすことを掲げました。その中で、早くも国家公務員の通勤手当の見直しが来年四月一日から実現されることが決まりました。こうして削減できる税金を教育、福祉、環境など、より良い施策の充実に是非使っていきたいと思います。
 そこで、更なる改革のために、総理を本部長とする対策本部の設置が必要と考えます。言わば総理のリーダーシップによる税金の無駄遣い廃止対策本部であります。
 総理に、改革の原点についての御認識と、税金の無駄遣い廃止対策本部設置についてのお考えをお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#14
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 浜四津議員にお答えいたします。
 テロ対策特措法延長法案の成立は国際社会に対する日本の公約であり責務であると考えるが、見解いかんと。全く同感であります。
 私は、九月十一日テロ以降も、今なお世界各地でテロが発生しております。このテロの脅威は依然として深刻であり、国際社会によるテロとの闘いは継続していかなきゃならないと思っております。こういう状況において、我が国がテロとの闘いに参加するのをやめたら、一体、日米同盟、国際協調をどうやって保つことができるんだろうか。そういう点を考えますと、今回、このテロ対策特別措置法の延長法案の成立に万全を期していくこと、これは政府の責務であると考えております。
 自衛隊のイラク派遣についてでございますが、自衛隊を戦闘地域に派遣せず、また、派遣された自衛隊が戦闘行為に参加しないというイラク復興支援法の原則を堅持しながら、現地情勢の調査結果等を踏まえて派遣の可能性を判断してまいります。
 また、浜四津議員御指摘のとおり、自衛隊等の活動、今までのPKO活動を踏まえまして、むしろ民間人も必要であります。政府職員も必要であります。同時に、民間人、政府職員にできないことを自衛隊はやる能力を持っております。そういう点に日本が持てる力をイラク復興支援、人道支援に活用していくことは、これまた私は国際協調を図る意味においても当然のことだと思っております。
 ドメスティック・バイオレンスの改正についてでございますが、男性配偶者からの暴力の防止と被害女性の保護は男女共同参画社会の重要な課題であり、政府としてはDV法の改正について、法の施行状況や国民、特に女性の意見を尊重しながら、積極的に検討してまいります。
 強姦罪の罰則強化についてでございますが、強姦罪の罰則を強化したり、集団強姦罪を創設することについて、まず国民感情に沿ったものであるか、こういう視点が重要だというのも十分私は理解できます。また、犯罪抑止効果が期待できるかなど、そういう広く国民の意見を聞きながら、この強姦罪の罰則強化については幅広い検討が必要であると思っております。
 ディーゼル規制への適合に向けた支援についてですが、環境保護と経済発展の両立、これは小泉内閣の最重要課題の一つであります。自動車に係る環境対策についても現在積極的に取り組んでいるところであります。政府は、これまでもDPFの導入補助、規制適合車への買換え支援のための税制上の優遇、低利融資等を行ってまいりましたが、事業者が排ガスの少ない自動車への代替を円滑に進めることができるよう、今後、更にどういう支援を講じていくことが必要か、積極的に検討してまいります。
 自然体験学習についてでございますが、子供たちの自然体験学習を推進し、環境について理解を深め、環境を守るための責任ある行動が取れるようにすることは、我が国として、子供の将来を考えても重要な課題と考えております。このため、学校内外における自然体験学習の充実を図るとともに、関係省庁と連携し、地域におけるコーディネーターの配置など、情報提供や相談を行う体制の整備を図ってまいります。
 スクールカウンセラーの全校配置についてでございますが、不登校など児童生徒の心の問題に適切に対処するためには、教育相談体制の整備が重要であります。このため、心の専門家であるスクールカウンセラーを思春期で不登校等の発生の多い中学校を中心に配置し、その拡充を推進しているところであります。今後とも、御指摘を踏まえ、できるだけ多くの生徒がスクールカウンセラーに相談できるよう、相談体制の整備に努めてまいります。
 食育に関するお尋ねですが、政府としては、知育、徳育、体育、これは今まで言われてきたことでありますが、これに加えて、心身の健康に重要な食生活の大切さを教える食育に積極的に取り組む必要があると思います。
 食生活、これは心身の健康に不可欠であります。正しい食生活をどのように子供も大人も考えながら健康を維持していくか。現在、全国で約三万人の食育推進ボランティアが、食に関する正しい知識の提供や地域農産物を使った郷土料理の普及などに取り組んでいます。御提案の趣旨も踏まえ、こうした活動を引き続き支援するなど、食の安全、安心、地域の食材、また食文化に対する理解の増進を図ってまいりたいと思います。
 改革の原点についての認識と税金の無駄遣いの見直しについての御指摘でありますが、御指摘のとおり、政治や行政が常に国民の視点に立ってその職責に当たることがまさしく改革の原点であると思います。このため、税金の無駄遣いを徹底してなくすなど、政治家、公務員一人一人が自らを律し、国民の信頼を確保できるよう努めていくことが重要であります。
 御指摘の、総理がもっとリーダーシップを取って対策本部を設けよということでございますが、行政の無駄を省けという趣旨だと思いますし、これまでも行財政への徹底的推進というのはいわゆる行政の無駄を省けという提言に一致するものと思っております。
 私は、就任以来、この行財政改革、行政の無駄を省くことに強い決意で当たってまいりましたので、今後ともこの方針を堅持し、経済財政諮問会議を活用することなどにより、御趣旨に沿うように積極的に行政の無駄の排除に取り組んでまいりたいと思います。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣坂口力君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(坂口力君) 浜四津議員から女性の就職支援のお尋ねございました。
 仕事と子育て、あるいは介護との両立を支援をする両立支援ハローワークというのが現在ございますが、初め、これはレディス・ハローワークというふうに言っておりましたけれども、男女雇用均等法ができまして、それもいかがなものかというので、両立支援というふうに名前を変えたという経緯もございます。そういうこともひとつ理解をしていただきたいというふうに思っております。
 男性のこの必要な人もたくさんいるものでございますから、女性ばかりというわけにはまいりませんけれども、女性にも利用していただきやすいハローワークにしていくということを今後とも努力をしたいというふうに思っているところでございます。
 それから、女性専門外来のお話ございました。
 国立病院横浜医療センターを始めといたしまして、国立成育医療センターにも新たに設置をしたところでございまして、現在、国立療養所を含めまして、現在五か所になっております。今後、医療従事者の研修も大事だというふうに思いますし、それから女性の健康問題に関する調査研究も進めていかなければならないと、これらと相まって進めていきたいというふうに考えております。
 それから、小児科につきましても御心配をいただきました。
 なかなか小児科医療、思うように実は進まなくて、こちらもいら立ちを感じているわけでございますが、小児救急医療につきましては、二次医療圏単位に少なくとも一か所この救急医療体制を作りたいということでございますが、中には小児科医師の非常に不足しているという地域もございまして、思うように進んでおりません。
 そこで、内科の先生にもう一度小児科の地域を整理をしていただいて、そしてお力添えをいただくというようなことも含めながら、この救急医療を完成をしていきたいというふうに思っているところでございます。
 来年から始まります医師の研修医制度におきましても小児科を必修といたしまして、そしてそこでこの研修をしていただくということになれば、今後、小児科医に対する考え方も変わってくるのではないかというふうに思っております。
 それから、児童手当につきましては、与党三党合意で児童手当の支給対象年齢の見直しを柱とします少子化対策がもう既に決まっているところでございまして、次期通常国会に所要の法案を提出をさせていただきたいと考えております。
 次世代育成支援施策の在り方に関する研究会の報告書の指摘なども踏まえまして、国民の理解と納得が得られるような形で今後も進めていきたいというふうに思っているところでございます。つどいの広場でございますとか、地域子育て支援センターを始めとしました支援もそれに併せて行っていきたいと思っております。
 最後に年金のお話でございますが、年金一〇〇年プラン、これは私も試案を出させていただきましたし、そして党の主張も理解をしているところでございます。是非、来年の国会におきましては年金改革、完成をしたいというふうに思っているところでございます。
 その中で、女性と年金の問題でございますが、先ほどお話ありましたように、離婚時の年金分割あるいは遺族年金の見直し、それからもう一つ加えれば、パートタイマーの皆さん方に対する年金参加、そうした問題があろうかというふうに思っておりまして、こうした問題にも取り組みたいというふうに思っておりますが、この問題の根っこには、年金を現在のように、厚生年金のように世帯単位でいくのか、それとも個人単位にするのかという根っこに大きな問題がありますこともひとつ御理解をいただきたいと思います。
 そのような問題を議論を重ねながら今後進めたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをしたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#16
○議長(倉田寛之君) 市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#17
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して小泉総理に質問をいたします。
 まず初めに、先日の十勝沖地震で被災された皆さんに心からお見舞い申し上げます。
 政府としても被災地の皆さんの救済に万全を期していただきたい。同時に、地震国日本で被害を最小限に食い止めるために震災に強い街づくり、地震の予知・予報の技術確立を目指して長期的な視野に立った対策を講じるとともに、専門家や民間の多くの努力を更に促進させるための措置を取るべきだと考えます。まず答弁を求めます。
 さて総理、今、国民の暮らしはどうなっているでしょうか。政府や日銀の調査によれば、国民の三人に二人が今の生活に不安を持ち、五人のうち四人が将来の生活への不安を持っていることが明らかになっています。この不安を取り除くことこそ政治に求められている最大の課題ではないでしょうか。
 ところが、総理の目にはこうした実態が何も見えていないようであります。
 例えば、所信表明演説の中で総理は、雇用は増えている、倒産も減った、構造改革の成果が現れつつあると述べました。しかし、事実は何よりも冷厳であります。雇用者の総数はこの三年間で増えるどころか三十三万人も減りました。一方、完全失業者は、あなたが総理に就任されたときと比べておよそ二十六万人も増えています。
 倒産は、バブル崩壊後二番目に多かった昨年度と比べて若干減っただけで、この七月を見ても不況型倒産は一千九十八件と全体の八割を占め、過去最高を記録しています。しかも、小泉内閣の二年半に倒産によって職を失った人は四十四万七千人にも上るのであります。
 総理はこの事実を認めますか。そして、この責任をどう考えていますか。
 自分に都合のいい数字だけをつまみ食いして、いかにも景気の先行きが明るいかのように描き出そうとするのは余りにも無責任な態度だと言わなければなりません。今、政治に求められているのは、こうした事実をリアルに直視し、正しい解決策を示すことであります。
 我が国経済は、この間、何度か回復の兆しを見せたことがありました。例えば、昨年五月にも政府は景気の底入れ宣言を行いました。ところが、一時的な現象に終わり、景気は再び低迷するということを繰り返してきました。
 その最大の原因は、GDPの六割を占める日本経済にとって最も大事な家計消費がずっと冷え込んだままであり、それを一層冷え込ませる政治が行われてきたからであります。政府が景気が回復しつつあると言っていた中身は、実はリストラと下請中小企業の犠牲の上に立った大手製造業の収益改善と、アメリカの景気頼み、輸出頼みにしかすぎなかったのであります。この二年間の家計は年収で三十二万六千円減少し、健康保険改悪による医療費の負担増で食費まで削る家庭が増えています。日銀の調査では、貯蓄なしという家庭が二割以上にも達しています。
 ところが、総理は、悲観論からは新しい挑戦は生まれないと述べ、不安の解消どころか、新しい芽が出てきたから更に痛みに耐えよと言うのであります。これでは景気の自律的回復も望めないし、暮らしだけではなくて企業経営も成り立たなくなるではありませんか。
 今度こそ経済の主役である家計を直接応援し、国民の購買力を高めることによって景気を良くし、日本経済再生への道を開くことが求められています。そのための大きなかぎの一つは、雇用を守り、拡大することであります。
 第一は、長時間労働を是正し、サービス残業を一掃して新しい雇用を増やす本格的な取組を行うことであります。
 過労死に至るような、一人で二人分の仕事を強いられている人がいる一方、他方では職を求めてさまよう人がいるというのは余りにも不合理ではありませんか。ある民間の調査機関の試算では、サービス残業を一掃すれば百六十万人もの雇用が新たに生まれ、失業率を二・四ポイント引き下げることができると言われています。政府が本気になってこの課題に取り組むべきではありませんか。
 第二は、未来を担う若者に仕事を保障する取組を政府と大企業の責任で行うことです。
 大卒の就職率は過去最悪、若者の五人に一人がフリーターと呼ばれる不安定な働き方をさせられています。最近、新日鉄のガス爆発事故、ブリヂストンの火災事故など、大手製造業の現場で災害が相次ぎ、マスコミでも、安全までリストラしていないかという指摘がなされています。若者を粗末にする雇用の在り方と決して無関係とは言えません。我が国のものづくりの基盤を後世に引き継ぎ、未来を担う力をはぐくむことは企業の社会的責任であり、こうした責任を果たさせるために政府としても実効ある働き掛けを行うべきだと考えますが、いかがですか。
 第三は、雇用の最大の受皿であり、日本経済の基盤を支える中小企業を守ることであります。
 小泉内閣発足後の二年四か月に四万四千件もの企業倒産が起きています。政府が不良債権処理を最優先して、銀行の貸し渋り、貸しはがしを促進したことによって、金融機関の企業向け貸出しは、小泉内閣発足以前と比べて六十一兆円も減少しました。中小企業に必要な資金をきちんと供給し、不況の中でも必死で頑張っている中小企業の経営を守ることは、雇用を守る上でも、経済の立て直しにとっても不可欠であります。
 そのために、第一に、不良債権処理の二年、三年ルールなどの機械的スケジュールの押し付けを撤回すること、第二、資産デフレで担保価値が下がったら不良債権扱いする資産査定方式を経営の実態を反映したものに改めること、第三、我が党も要求し、国民の運動で実現した借換え保証制度を始め、中小企業への公的金融支援を拡充すること、第四、やみ金融を始め、高利貸し、暴力金融の被害を根絶すること、以上の緊急措置を直ちに講じるべきだと考えますが、総理の見解を問うものであります。
 同時に、米軍への思いやり予算約二千五百億円のわずか七割しかない中小企業予算の抜本的拡充、大型店の出店や一方的な撤退を規制し、零細企業に重い負担を押し付ける消費税の免税点引下げの中止を求めるものであります。併せて総理の答弁を求めます。
 国民に将来不安をもたらしているのが、医療費の値上げに続く年金改悪など、社会保障の改悪であります。将来の給付を賄う財源がないから、給付を切り下げ、保険料を引き上げる、それでも足りなければ消費税の大増税、政府、財界入り乱れての大合唱ですから、不安が増し、消費が落ち込むのは当然であります。
 今肝心なことは、予算の使い方を公共事業中心から社会保障中心に切り替えることであります。我が国の公共事業費は、国土面積が日本の二十五倍もあるアメリカよりも更に多く、その一・五倍、日本と余り変わらないイギリスの十三倍であります。無駄を削って、せめてこれを欧米諸国の水準にまで引き下げ、社会保障を予算の主役にすることこそ求められているのではありませんか。同時に、年間五兆円規模にまで膨らんだ軍事費も聖域にすべきではありません。答弁を求めます。
 国民に将来への不安をかき立てているもう一つの問題が、消費税の大増税計画であります。
 日本経団連や経済同友会など、財界がこぞって消費税の大増税を言い始めたのは、法人税の今以上の削減と、社会保障の保険料負担を免れるために、足りなくなる分をすべて消費税に肩代わりさせるためであります。なぜなら、大企業は消費税はすべて価格に転嫁して、自らは一円も支払わなくて済むからであります。一方、中小零細企業にとっては、負担を転嫁することもできず、文字どおりの営業破壊税であります。所得の低い人ほど負担が重くなる消費税は、国民の家計を直撃して、景気を一気に冷やす。それは、九七年、五%への増税がもたらした長期不況によって既に証明済みであります。
 昨日の衆議院本会議で我が党の志位委員長は、このような不公平税制、暮らしと営業と景気を破壊する消費税を税制の中心に据えることは最悪の選択ではないかとただしました。すなわち、税の在り方を尋ねたのであります。ところが、総理は、自分の任期中は上げないと言っただけで、問われていることにまともに答えませんでした。この点について、改めて明確な答弁を求めるものであります。
 総理、大企業は相次ぐリストラで自らの保険料負担を軽減するだけでなく、社会保障の支え手をも切り捨ててきました。その上、今度は消費税大増税をなどという要求は、余りにも手前勝手なものだとは思いませんか。さらに、消費税の大増税によって新たな景気破壊が起これば、一層社会保障の土台が掘り崩される悪循環に陥ることは明らかではありませんか、併せて答弁を求めます。
 今、国民生活が不安のただ中にあるとき、安易に消費税増税を口にすることは責任ある政治家のなすべきことではありません。
 経団連は、公然と企業献金のあっせん再開を口にし、しかも自分たちの要求に沿う政治行動を取った政党に献金すると言っています。献金をするための政策の優先順位の第一位は法人税の引下げ、第二位は消費税の引上げとなっていますが、正に消費税引上げを金で買おうという最悪の買収計画であります。大企業からのひも付き献金に頼って、どうして国民のための政治ができるでしょうか。
 総理は、所信表明演説で、信頼の政治を確立すると述べられましたが、経団連からの献金は受け取らないと断言できますか、それともあなたの言う信頼の政治とは財界からの信頼のことですか、答弁を求めます。
 次に、平和と外交の問題についてであります。
 イラクの状況は今どうなっているでしょうか。
 イラク戦争の大義とされていた大量破壊兵器は、いまだに見付かっていません。五月から捜索に当たってきた千四百人規模のアメリカの調査団でさえ、近く大量破壊兵器は見付からなかったという中間報告を行うと言われています。
 米軍の不当な占領が続く下で、それへの抵抗や暴力も広がっています。米兵の死者は、ブッシュ大統領が五月一日に大規模戦闘の終結を宣言して以降百六十七人、それまでの百三十八人を大きく上回りました。事実上の戦争状態が続いています。
 なぜこのように泥沼化しているのか。それは、あの戦争が国連憲章違反の侵略戦争であり、間違った戦争だったからであります。だから、アメリカとの同盟国を含む世界の大多数の国が反対の意思を明らかにしたのであります。国連も最後までアメリカの圧力に屈しませんでした。イラクへの侵略戦争は国連の意思に基づかないものでした。
 そして、九月二十三日の国連総会では、アナン事務総長が、名指しこそしませんでしたが、米英の先制攻撃に対して、国連憲章の原則に対する根本的な挑戦だと批判しました。総理はこれをどのように受け止められましたか。昨日の衆議院本会議での答弁では、アナン発言は一般論だと退けようとしました。
 それでは伺います。
 アナン事務総長は、これらの国は、国家には先制的に武力を行使する権利と義務があり、たとえ他国の領土に対するものであっても、また、たとえ攻撃に使われる可能性のある兵器システムがまだ開発途中であっても行使できるのだと主張していると述べています。これらの国とは一体どの国を指していると総理は考えているのですか。
 あなたがイラク戦争を支持するとして挙げた根拠はことごとく崩れ去ったではありませんか。それでもあの戦争を支持したことは正しかったと言うのですか。
 総理は、違法なイラク戦争を支持しただけでなく、今度は、現に戦争が行われているイラクに自衛隊を派遣し、無法な米英軍の軍事占領を直接支援しようとしています。文字どおりの参戦であり、これが武力による威嚇と武力行使を禁じた憲法違反であることは余りにも明白であります。
 米英の占領軍に協力してきたイラク統治評議会のチャラビ議長でさえ、財政や治安に関するより多くの権限を統治評議会に与えるべきで、イラクへのこれ以上の外国軍隊の派遣を拒否すると述べたのであります。
 日本がやるべきことは、アメリカの軍事占領に対する支援でなく、国連を中心にしたイラク国民の主権を尊重した復興、再建への協力であります。
 アメリカの同盟国であるカナダの外相は、本当の友人は率直に物を言う、言いなりになるのは従属国だと言いました。お茶会じゃないぞ、逃げるな、寛大な負担をとアメリカに言われて唯々諾々として従おうとする。何と情けない態度でしょうか。イラクへの自衛隊の派兵、戦費負担をやめるとともに、イラク派兵法そのものの廃止を求めるものであります。
 次に、テロ特措法の延長についてであります。
 戦争でテロはなくなったのか。ビンラディンは見付かっていません。アフガニスタンの現状は、戦争はテロと暴力の土壌を拡大するだけであり、その解決にはならないことを示しています。
 テロ特措法に基づいてインド洋に派遣された自衛官が、法律の目的を超えてイラク攻撃に事実上協力していたことが米軍幹部の証言で明らかになりました。これらを徹底的に検証した上で、延長ではなく、きっぱりと廃止することを求めるものであります。
 この間の一連の事態は、アメリカがいかに強大な軍事力を持っていたとしても、軍事力にのみ依拠した国際秩序などは決して作れるものではないことを証明しました。日本共産党は、平和を願う地球的規模の巨大なうねりと呼応連帯して、国連憲章に基づく平和の国際秩序を築き上げるために、引き続き力を尽くすものであります。
 最後に、憲法問題について質問します。
 総理は国会の場で、将来やはり憲法を変えるのが望ましい、国際常識に合わないところがあると述べ、自民党の結党五十周年に当たる二〇〇五年十一月までに憲法改正案をまとめるよう指示しました。そして、それ以前にも改憲のために必要な国民投票法案を成立させると明言しました。
 なぜ今改憲なのですか。それは、後方地域支援だから武力行使ではない、だから憲法違反ではないなど、憲法の勝手な解釈によるごまかしがもはや通用しなくなった。アメリカがイラクへの侵略戦争のような無法な戦争を引き起こした際、この戦争に公然と日本が参加する上で憲法九条が最大の障害となっているからではありませんか。
 憲法を変えないとできないこととは一体何なのか、具体的にお答えください。
 圧倒的多数の国民は、憲法九条を変えてほしいなどと望んではいません。
 日本はこれまで、外国での武力紛争に直接参加したことは一度もありません。二度と戦争はしない、軍隊は持たないと決めた九条の存在と、平和のための国民の運動が歯止めとなってきたからであります。それは私たちの誇りであり、アジア、中東を始め世界の多くの国や人々はそこに信頼を寄せてきました。
 一九九九年に開かれたハーグ世界平和市民会議では、公正な世界秩序のための十の原則の第一項目に、各国議会は日本の憲法九条のように自国政府が戦争をすることを禁止する決議をすることを掲げました。アメリカでも、湾岸戦争直後に、日本国憲法の第九条は二十一世紀における世界の平和の宝だとして、第九条の会が作られました。
 ところが、本家本元の日本政府がこうした流れに逆行することばっかりやっているではありませんか。かつての日本軍国主義による侵略戦争、植民地支配と重ね合わせて、日本は戦争をしないと誓った自国の憲法に反する道に進んでいると、アジアを始めとする世界じゅうの世論が痛烈に批判しています。総理は、こうした批判をどのように受け止めているのですか。
 憲法の平和的・民主的原則を生かし、世界でもアジアでも、無法、不正義の戦争から平和のルールを守り抜くことが今ますます重要になっています。日本共産党はそのために全力を挙げる決意を表明するとともに、改憲策動の中止を強く求めて、質問を終わるものであります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#18
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 市田議員にお答えいたします。
 十勝沖地震の被災者救済と地震防災対策でございますが、被災地の方々に心よりお見舞い申し上げます。地元の要望も踏まえ、被災地の復旧・復興に政府一丸となって迅速に対応してまいります。
 地震防災対策については、予知に係る観測技術の研究開発、震災に強い街づくりの推進など、専門家や民間の力の活用を図りつつ、地震被害の予防と軽減のために引き続き取り組んでまいります。
 小泉内閣の経済運営についてでございますが、私は就任以来、金融、税制、規制、歳出の各分野にわたる諸改革を進めてまいりました。雇用や倒産の情勢は厳しい状況にあると思いますが、既に民間企業設備が増加し、倒産件数は前年同期に比べ十二か月連続して減少するなど、経済には明るい兆しも若干見えております。こうした明るい兆しを確かなものとすることができるよう、引き続き、雇用・中小企業のセーフティーネットに万全を期しつつ改革を進めて、民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図っていくことが私に課せられた責務であると思います。
 長時間労働、サービス残業の問題ですが、長時間労働の是正等が新規雇用の拡大にどの程度つながるかは単純には推し量れませんが、豊かでゆとりある国民生活を実現するため、政府としては引き続き、いわゆるサービス残業の解消に努めるとともに、所定外労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進を通じた労働時間の短縮に取り組んでまいります。
 若者の雇用問題でございますが、若年者の雇用問題の解決のため、政府としては若者自立・挑戦プランを推進することとしており、先般も関係四大臣より経済団体に対し、同プランへの協力や若年者の雇用の拡大、人材投資の促進等を要請したところであります。今後とも産業界の理解と協力を得ながら、我が国の将来を担うべき若年者の雇用の拡大に努めてまいります。
 中小企業金融対策ですが、政府としては、中小企業の再生に向けた取組を強化しつつ、不良債権問題の解決を目指し、日本経済の活性化を図るとともに、やる気と能力のある中小企業への各種セーフティーネットの拡充、悪質な金融業者の撲滅に向けた関係省庁の連携等に積極的に取り組んでいるところであります。
 中小企業予算につきましては、平成十五年度は一千七百二十九億円を計上し、金融セーフティーネット対策、再生支援策、新たな事業に挑戦する中小企業支援策などに重点化し、中小企業を支援していくこととしております。
 我が国経済の活力の源泉である中小企業、厳しい環境の中にあっても、やる気と能力のある中小企業がその力を発揮できるよう、中小企業政策を進めてまいります。
 大型店の規制でございますが、大型店の出店に当たっては、都市計画による規制などのほか、大規模小売店舗立地法により、周辺地域の生活環境保持のため、その設置者に対して、交通、騒音、廃棄物等に配慮することを求めております。他方、退店は、店を退く退店は基本的に経営上の理由によるものであり、社会的責任を踏まえた上で企業が自主的に判断するべきものと考えます。
 消費税の免税点の引下げを中止すべきだという御指摘ですが、消費税の免税点の引下げは、消費税に対する国民の信頼や制度の透明性を向上させる観点から行ったものであり、必要な見直しであると考えます。
 社会保障制度及び消費税についてでありますが、急速な少子高齢化が進展する中で、今後、社会保障給付費は増大していく見込みであり、社会保障制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには、給付と負担の見直しを始めとした不断の制度改革は不可欠なものと考えております。
 こうした中、社会保障予算は十五年度予算においても、一般歳出を厳しく抑制する中、主要経費中最大の額を計上しております。約十九兆円、対前年度比プラス三・九%の伸びとしております。他方、公共投資関係経費は、前年度当初予算から三%以上削減し、約八兆九千億円としております。雇用、民間需要の拡大に資する分野へ重点配分を行っているところであります。
 従来、私は、消費税税率は引き上げないと言っているんです。それを、あたかも引き上げるという前提で御質問いただくのはいかがなものかと思います。
 防衛関係費についてのお尋ねでありますが、防衛関係費については、国家の安全保障の観点からの判断が不可欠でありますが、現下の厳しい財政事情を踏まえつつ、テロなどの新たな脅威に対応するためにも、現在の組織や装備の見直し、効率化を図ることが必要だろうと考えます。
 経団連の企業献金についてですが、経団連に限らず、企業等の民間の団体が政党などに対して寄附を行うかどうかは、その団体が自ら決めるべき問題であります。
 いずれにせよ、政治資金については、政治資金規正法にのっとって厳正に処理し、公明、公正な政治活動を確保することで国民の信頼を得ていくことが重要だと考えます。
 アナン事務総長の発言でございますが、アナン事務総長の発言は、具体的な国名に言及することなく、国際社会が直面している新たな脅威に対する国際社会の対処の在り方について一般的に問題提起したものであると承知しております。米国等による対イラク武力行使は、関連する安保理決議に基づくものであり、国連憲章にのっとったものであると考えております。
 イラクの復興支援についてでございますが、イラク復興支援は国連安保理決議でも要請されている国際社会の重要課題であり、我が国としては、国際協調の下、我が国にふさわしい支援を実施してまいります。
 イラク人道復興支援法とテロ対策特措法の廃止についてでございますが、イラク人道復興支援法はイラクの復興と安全確保を支援することを目的とするものであります。多くの国がイラクの国家再建を支援しようとする中で、我が国は参加しないということで果たして国際社会の信頼を得ることができるか、疑問に思います。
 テロ対策特措法に基づく自衛隊の活動は、国際テロの防止及び根絶に向けた国際社会の取組に寄与するために行われているものであり、イラクの米軍支援を目的としているものではありません。国際社会がテロとの闘いを継続しているさなかで、我が国が法律の期限が切れたからといって撤退するということで、果たして国際協調を保つことができるんでしょうか。私はそうは思いません。
 イラク人道復興支援法及びテロ対策特措法を廃止すべきとの御指摘には同意できません。
 憲法改正についてでございますが、小泉内閣は常に現行憲法を遵守しております。現行憲法を遵守するということと将来憲法を改正すべきだという議論は矛盾していないんです。現行憲法を守っていながら、将来こうあるべきだと憲法改正の議論をすることは、私は政党としても政治家としても何ら否定されるべきものではないと思っております。今あたかも改正を議論することが憲法に反する行動を取っているかのような御指摘、御批判は、全く当を得ていないと言わざるを得ません。
 憲法改正につきましては、ちょうど二年後、結党自民党五十周年を迎えますから、それを一つの契機として、自民党としてもかくあるべしという憲法改正案をまとめて、国民的な議論を喚起して、国民にとって新しい時代にふさわしい憲法はどうあるべきかという点から取り組むものでありまして、多くの国民的議論を喚起する中で、お互いの理解と協力を得つつ、将来の憲法に、改正に向けた努力を続けていきたいと思います。(拍手)
    ─────────────
#19
○議長(倉田寛之君) 広野ただし君。
   〔広野ただし君登壇、拍手〕
#20
○広野ただし君 民主党の広野ただしです。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、さきの小泉総理大臣の所信表明演説について伺います。
 本論に入ります前に、このたびの北海道十勝沖地震に被災されました方々に心よりお見舞いを申し上げます。また、災害等に対する危機管理を更に充実すること、災害地及び被災者に対する支援、救援措置の万全を強く要望するものであります。
 さて、小泉内閣が発足して約二年半が過ぎましたが、日本丸はただ漂流するのみで、日本丸の針路を覆う霧は一向に晴れません。霧が晴れないどころか、日本丸は、どんどん浸水して、航行不能、沈没のおそれが出てきています。
 小泉総理は、悲観するな、痛みに耐え米百俵の精神で頑張ろう、構造改革なくして日本の発展はなしというCM的短いせりふを何回も何回も繰り返し、国民を叱咤激励していますが、明確な日本丸の針路が示されないまま、ただ対症療法的、断片的、かつその場しのぎの政策が羅列されても、国民はとても付いていけません。
 小泉総理は、国民の人気取りをするのは非常にうまいと思います。国民的人気のあった田中真紀子元外相を登用したり、昨年の九・一七の北朝鮮への日帰り外交、そして今回の改造内閣に伴う人気取り人事等々。しかし、人気取りに神経をとらわれ過ぎ、全く中身が伴わない。中身が伴わないどころか、人気取りのため、政策の総合性や日本全体をどうするのかといった全体的視点からの政策が見受けられないのであります。
 そこで、伺います。
 小泉総理からは日本再生の具体的かつ全体的ビジョンは聞いたことがありませんが、司馬遼太郎さんの言われる「坂の上の雲」に示されるような将来の国の形をどうするのか、是非とも分かりやすく明確に国民の皆さんに向けてお話しいただきたいと思います。
 一国会議員にすぎない私でさえ、日本の悲劇を救う、Vプラン、三か年計画を分かりやすく政治漫画でこのほど出版いたしました。宣伝するわけではありませんが、やはりお互い政治家です。日本の将来について率直に、そして大いに議論をすべきと考えます。総理の日本再生ビジョンを伺います。
 次に、小泉総理の政治姿勢について伺います。
 小泉総理の政策は、結局は官僚への丸投げ政治となっています。日本の官僚は優秀ですが、どうしても縦割りで、省益が優先し、省あって国なしの感をぬぐえません。現在、日本は官僚主導国家となっていて、本当の国民のための政治、国民が主役の政治とはなっていません。様々の分野で、はしの上げ下ろしまで官僚が指示したり関与することになっています。現在の日本は自由主義国家のはずですが、国の関与が大き過ぎ、官の関与が大き過ぎ、まるで社会主義国家のようになっています。
 こういう状況から、本当に国民の手に政治を取り戻すことが本来の国民主導の政治だと思いますが、小泉政治は、結局、官僚におんぶにだっこの官僚政治に陥っています。総理の見解を伺います。
 特殊法人改革一つを取っても、特殊法人をただ独立行政法人に看板を取り替えただけで、天下りポストが大幅に増え、役員の待遇は国民がため息が出るような高い給与となり、何のための特殊法人改革だったのか、あきれ果てるばかりであります。これが小泉総理が何回も絶叫している官から民へのなれの果てであります。
 小泉総理が胸を張る官から民への例として、具体的に成果の上がったものが何か、明確にお答えください。
 政官業の癒着、すなわち政界、官界、そして各種利益集団との鉄のトライアングルは、依然として日本の隅々に巣を作っており、政治と金にまつわる政治スキャンダルは頻発し、国民の政治に対する信頼は地に落ちています。これに対しても小泉総理は、政治家の出処進退は政治家自身が判断すべきこととして、鈴木宗男事件を始めとして、すべての政治スキャンダルに対して傍観者的立場を決め込み、政治腐敗の根絶に主体的努力は何一つされませんでした。結局、小泉自民党政権では、政治腐敗はやむを得ないこと、世論のあらしが過ぎ去ればそれで良しと、トンズラ的態度に終始し、政治腐敗根絶のための改革に対しては極めて消極的だと断ぜざるを得ませんが、総理の見解を伺います。
 地方分権は、官僚主導政治を打ち壊すための最重要課題の一つです。中央官庁が地方の事細かなことまで指示、決定する仕組みとなっていますが、地方のことは地方が一番よく知っています。地方のことは地方が自主的に決定できるようにすべきで、国が権限、財源、人間で地方を支配するような構造を改めることこそが最も重要なのです。
 小泉総理は、地方分権について、地方にできることは地方に、三位一体の改革といった訳の分からない文言を絶叫しておられますが、民主党は中央政府のなすべき分野を、外交、防衛、司法、危機管理、治安、地球環境保全等国家の根幹にかかわるものに限定し、地方の役割を大幅に拡充することとしています。また、地方自治体に対する補助金も、一括交付金として地方が責任を持って使えるようにすることを民主党のマニフェストとして約束しているのです。
 地方分権についての小泉政権の政策は誠にあいまいで中途半端なものと考えますが、総理の見解を伺います。
 次に、小泉外交政策について伺います。
 日本の外交の軸足は、国連中心主義と日米同盟関係の維持発展にあることは論をまたないことであります。
 米ソ冷戦体制が崩壊して約十年、日本を取り巻く北東アジア地域の平和と安全の問題、特に北朝鮮問題は危機的状況にあります。
 昨年の小泉さんの九・一七日帰り外交の後も拉致問題は全くの膠着状態でありますし、北朝鮮の核及びミサイル問題、武装工作船等々、北東アジア地域の平和と安全の問題は先が見えないし、本当に緊迫してきています。私は、小泉外交に戦略なし、特に北朝鮮外交は落第点、失敗だと断言いたします。
 拉致は、被害者が殺害されることもあり、その意味でテロの一形態です。テロに屈せず、毅然として闘うのが国際的な合意です。日本は、直接的に拉致被害を受けている国、そしてテロ被害を受けている国です。総理に本当に拉致問題を解決する気があるのか。
 この二十数年間に、行方不明者となり、拉致被害者ではと疑われる案件が百数十件以上に及んでいます。関係者の悲しみと心労は察して余りがあります。この方々をどう守るのか。また、拉致国家、そしてテロ国家ということを認めた北朝鮮に対して、もっと毅然として、グレーゾーンの方々も含めて確認すべきと思いますが、何もできていない。
 アフガニスタンやイラクの問題も誠に重要でありますが、日本のすぐそばで、しかも身近に起こっている拉致の問題や核、ミサイル、武装工作船、麻薬取引等の問題は我が国にとって何にも増して優先して取り組まねばならない最重要課題であります。
 国民の生命や財産を守るという国家が何にも増して最優先すべき課題について積極的に取り組むところの気概や意気込みが、そして毅然たる外交姿勢が小泉内閣から伝わってこないのが残念でなりません。北朝鮮の脅威に対抗するためには太陽政策のみでは駄目で、圧力も当然必要となります。総理の見解を伺います。
 対ロシア外交も全くの落第点です。特に、北方領土の返還については、鈴木宗男事件もあり、解決はますます困難になったのではないかと憂えます。小泉内閣に北方領土問題を本当に解決する気があるのか。ただ交渉しているという格好だけを付けているのではないかと疑います。総理の明確な答弁を求めます。
 対中国外交も戦略がありません。中国は十二億以上の人口を有する巨大国家として急速に発展しており、世界の平和と安全に及ぼす影響、また世界経済あるいは地球環境に与える影響は計り知れないものがあります。その巨大な中国のそばにあって、日本はどのような戦略で中国と対応していくのか、それが小泉総理には明確ではありません。
 中国は核保有国であり、日本を上回る軍事大国であります。海外に軍事援助までしているスーパーパワーであります。その中国にいまだに経済援助をする日本は、余りにもお人よしであります。もちろん、私は中国を敵視するものではありません。日本は中国とは歴史上、二千年以上の長期にわたって様々な関係を有してきています。
 日中の友好関係は長期的な観点から対等の立場であるべきで、政府開発援助、ODA等は直ちに見直し、アメリカやイギリスのように人道支援や地球環境保全関係のみに限定すべきと考えますが、総理の見解を求めます。
 小泉経済政策について伺います。
 現在、日本の株価は日経平均で一万五百円前後に戻ってきていますが、小泉内閣が発足した二年半前に比べると、まだ三割近くも下落しているわけで、経済は依然として極めて厳しい状況にあると言わざるを得ません。
 小泉内閣は、三兆円にも及ぶりそな銀行への公的資金の投入、十兆円もの産業再生機構への投入など、どちらかといえば後ろ向きな資金の投入ばかりが目立ち、肝心の前向きな資金投入にはへっぴり腰です。日本経済を活性化させる原動力である中小企業に対する手当ては誠に不十分で、中小企業や一般国民には痛みばかりを押し付けています。
 中小企業の倒産は後を絶たず、完全失業者は三百五十万人を突破し、やむなくアルバイトという人等を考慮しますと、失業率五%台も実質は七、八%台になると言えます。五百五十万人以上の人々が希望の職が得られず苦しんでいます。小泉さんが言われる、二百万人の雇用が創出されたとか、今後三百万人の雇用創出を目指すというのはどこの国のことかと疑います。
 自殺者は年間三万人、うち、経営難で自らの命をもって償う人が七千人、自己破産者に至っては年間二十万人以上、そして夜逃げしなければならない、またホームレスは数え切れない状態です。正に国民は痛みに耐えかねて悲鳴を上げています。言わば戦争にも匹敵するような悲惨な状況が国内に日常的に起こっているのです。
 いずれにしても、小泉内閣の景気判断は常に甘過ぎます。そして、打つ手打つ手が後手に回る。病人の傷口を大きくして、後でどんなにカンフル注射を打っても手後れのときだってあるのです。今の小泉内閣の経済政策では、経済不況は長期化し、特に地方経済はがたがたになり、結果として財政赤字は積み上がるだけということ、そしてそのツケを後世にツケ回しているだけだと強く指摘しておきたいと思います。
 日本が東京一極集中になり、地方経済が衰退する、そのおそれがあります。このことについて総理の見解を伺いたいと思います。
 日本は自由主義経済ですが、実態は、各種の事業活動を規制している業法などにより官僚の関与が極めて強く、官が関与する分野は四割とも五割とも及んでいると言われます。言わば日本経済は、自由主義経済ではなく官僚統制的経済となっています。
 小泉総理は、所信表明演説で、大学発ベンチャー企業が五百社になったとか、最低資本金の規制緩和に伴う企業起こしが四千五百社になったとかということを例に挙げられましたが、これも重要ですけれども、企業が店を畳む廃業率が会社を起こす開業率を上回る現状では経済は縮小するだけです。アメリカのように、開業率が一三、四%になるようにすべきです。そうすれば、例えば開業する企業が廃業する企業よりも四十万社も多かったとすれば、一企業が四、五人雇用するだけで約二百万人の雇用が生まれるわけです。
 そのために徹底した規制改革や税制改革、中小企業に対する資金対策が必要ですが、総理の答弁を求めます。
 また、中国との経済関係をどのように考えるのか、戦略的考えが必要です。
 製造業は中国へ中国へと出ていって、国内空洞化が深刻です。これが国内経済の足を引っ張っている側面もあります。デフレ対策、雇用対策、そして農業の面でも中国問題はゆるがせにできません。食の安全の面からも水際での確固たる政策が必要と考えますが、中国との経済関係について総理の見解を伺います。
 東京電力の原発トラブル隠し事件などに端を発する原子力発電所の停止により関東圏の夏場の電力需給の逼迫が懸念されていましたが、冷夏の影響もあり、一山過ぎた感じがいたします。しかし、アメリカのニューヨークを含む北東部の大規模停電事故に見られるように、エネルギー関係の危機管理はゆるがせにできない問題です。エネルギーは現代経済社会の根幹を成しています。
 エネルギー安全保障、そして危機管理についての小泉総理の見解を求めます。
 次に、農林水産業及び環境問題について伺います。
 農林水産業は国の基本です。穀物自給率が二八%までに下がり、熱量換算の総合自給率も約四〇%に下がっています。エネルギーと同様に、人の命に直結する食糧まで過度に海外に依存することになっていることを憂えるものです。隣の中国は、十二、三億の人口を有し、間もなく食糧輸入国に転落することが予想されます。アメリカなど食糧輸出国に干ばつ等が起き、世界が食糧不足に陥ったとき、食糧は奪い合いとなります。
 食糧安全保障の観点から、主要農水産物の自給率を高めること、また、国民に安全な食糧を安定的に供給することは極めて重要な食糧政策と考えます。また、国土及び環境の保全を図る上で、主要農林水産物の生産を相当程度確保することは、国及び地方自治体の責務と考えますが、総理の見解を伺います。
 二十一世紀は環境の世紀です。二十一世紀の後半には世界の人口が百億人を突破することも予想されますが、人類と自然との共生を図るとの理念の下、日本は地球環境保全で世界に積極的に貢献しなければなりません。発展途上国に対する開発援助は人道支援と地球環境保全に重点化すべきと考えますが、総理の見解を伺います。
 社会保障政策について伺います。
 年金、医療、介護の制度は、相互に密接に関係しているのにもかかわらず、行政の縦割りのため、対応がばらばらの状態です。
 来年見直される予定の年金も、抜本的な改革を先送りされ、約百四十兆円の積立金の取崩しで当分の間をやり過ごすことになりそうですが、誠に無責任なやり方だと言わざるを得ません。
 年金の掛金、医療保険、介護保険、失業保険、税制等を全体的に見た国民負担率が問題です。現在三七、八%ですが、江戸時代から四公六民と言います。四割は公に、つまり税金に取られますが、六割は民のかまどに残すというのが限度というのが常識です。国の借金も計算に入れて、当然のごとくに国民負担率に加え、国民負担率が四七、八%になっているかのごとく財政当局は資料を回しておりますが、とんでもないことだと思います。国の借金をどのようにして削減するかを皆汗して知恵を絞っているわけですので、国民にすべてのツケを回す考えは直ちにやめるべきです。
 この点について、総理の見解を伺います。
 過去二年半の小泉政権は、経済政策の失敗により、国民に塗炭の苦しみを与えました。さらに、いざというときのセーフティーネットである失業保険や医療、介護においても、国民に痛みを押し付けるだけで、国民の負担は増えるばかりです。
 日本社会の荒廃も目を覆うばかりで、失業者、自己破産者、ホームレス、自殺者、犯罪の急増、政治家と官僚のスキャンダルの激増、そして少年犯の凶悪化、児童虐待の増大、教育の荒廃等々、日本の根幹を成す基盤が正に音を立てて崩壊しつつあります。
 外交面においても、日本バッシング、日本たたきから、日本パッシング、日本無視の風潮が世界的になり、日本の地位は下落の一方です。
 このような小泉内閣が、格好ばかりを付けて、舞台で中身のない演技を更に今後三年間も続けると日本は正に沈没です。そして、日本の国民は不幸になるばかりです。国民を幸せにしないで不幸にする、苦しめる内閣は即刻交代すべきです。
 私たち民主党は、政権交代の気概と準備を既に十分持ち合わせています。来るべき解散・総選挙は、民主党が勝利して、政権交代するチャンスだと考えております。それは、日本が復活する夜明けにもなるものだと国民の皆さんに強く訴えて、私、広野ただしの民主党・新緑風会を代表しての質問を終わります。(拍手)
     ─────・─────
#21
○議長(倉田寛之君) 御紹介いたします。
 本院の招待により来日されましたニュージーランド国会議長ジョナサン・ハント閣下の御一行がただいま傍聴席にお見えになっております。
 ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。
   〔総員起立、拍手〕
     ─────・─────
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕
#22
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 広野議員にお答えいたします。
 日本再生の具体的、全体的プランについてのお尋ねでございますが、小泉内閣が目指すものは、簡素で効率的な質の高い政府の下に、自助と自律の精神で、国民一人一人や企業、地域が持っている大きな潜在力を自由に発揮できる、活力ある民間と個性ある地方が中心となった豊かな社会の実現であります。この社会の実現に向けて改革を進め、全力で取り組んでいく考えであります。
 現在の日本は官僚政治に陥っているのではないかとのお尋ねでありますが、だからこそ、改革なくして成長なし、民間でできることは民間に、地方にできることは地方に、各論に入って改革を進めているのが小泉内閣であります。
 特殊法人についてのお尋ねでありますが、政府としては、百六十三法人すべてについてゼロベースからの事業の徹底した見直しを行い、既に百二十七法人について廃止、民営化、独立行政法人化等の措置を講じております。住宅金融公庫についてはこれを廃止することとし、新規貸出しを段階的に縮小するとの方針を示した結果、利用しやすい民間の住宅ローンが相次いで提供されています。また、特殊法人等の財政支出を約一兆四千億円削減するとともに、役員給与や退職金、役員数についても大幅な削減を実施したところであり、具体的な成果は着実に上がっていると考えます。
 政治腐敗根絶に消極的なのではないかとのお尋ねでありますが、政治腐敗の根絶が必要であるということは言うまでもありません。政治献金に対する疑惑を招かないような仕組みを作るため、昨年、あっせん利得処罰法を改正強化するとともに、官製談合防止法が制定されました。また、与党として、政治資金の透明性を確保しながら広く薄く公正に政治資金を募るための改正案を取りまとめるなど、政治と金の問題に積極的に取り組んでおり、政治改革に今後とも取り組んでいきたいと思っております。
 地方分権に係る政策についてでございますが、地方分権については、国の関与を縮減するとともに、地方が自由に使える財源を増やし、自らの創意工夫と責任で政策を決めることができるようにするため、三位一体の改革を進めることとしております。具体的には、平成十八年度までに補助金について約四兆円の廃止、縮減等を行うとともに、交付税を見直し、地方へ税源を移譲するなど、具体的な改革を進めることとしております。
 対北朝鮮政策でございますが、政府としては、拉致や核など北朝鮮をめぐる諸問題の包括的な解決のため、北朝鮮が誠実な対応を取るよう促すべく、対話と圧力が必要と考えております。こうした考えにのっとり、米国、韓国等と連携し、北朝鮮に対し国際社会が一致して核兵器開発を容認できないとの強いメッセージを発出するとともに、北朝鮮による違法行為を厳格に取り締まる等の取組を行ってきております。
 北方領土問題につきましては、一月の私のロシア訪問の際に採択された日ロ行動計画の着実な実現を通じて、日本とロシアの間で幅広い分野における協力を進め、両国間の信頼関係を築いていく中で平和条約交渉を更に前進させていく決意であります。四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの方針に基づき、今後とも粘り強い交渉を続けてまいります。
 中国に対する援助でございますが、中国の安定的発展と日中間の安定的な友好関係の構築は、我が国のみならず、アジア太平洋地域の平和と繁栄にとり極めて重要であります。このような考え方の下、中国の援助需要の変化や対中援助に対する国内の議論を踏まえつつ、環境問題、感染症対策、貧困克服、人材育成等に重点化して対中援助を行う考えであります。
 経済財政政策についてでございますが、私は就任以来、民間の活力と地方のやる気を引き出し、デフレ克服と経済の活性化を実現するとともに、将来の世代に責任が持てる財政を確立することを目指した改革を進めてまいりました。引き続き、二〇一〇年代初頭におけるプライマリーバランスの黒字化を目指し、徹底した歳出改革を行うとともに、併せて金融、税制、規制の構造改革を進め、地域経済の活性化などを通じた民間需要主導の持続的な経済成長の実現を図ってまいります。
 新規開業の促進についてでございますが、新事業の創出、育成は我が国経済の活性化にとって極めて重要な課題であり、本年二月より資本金一円から会社設立ができる制度を設け、既に本制度を利用して新たに約五千社が誕生しております。このほか、エンジェル税制の利用促進、無担保無保証人融資の拡大などにより、中小企業への資金供給を円滑化し、新事業への挑戦を支援してまいります。
 中国との経済関係についてでございますが、私は、中国の経済発展は脅威ではない、これから好機、チャンス、挑戦ととらえ、日中双方にメリットのある形で日中経済関係を発展させていくことが重要であると機会あるごとに述べております。一方、経済の緊密化に伴う様々な摩擦については、双方の対話を一層強化しつつ、問題の早期発見及び未然防止に努めてまいります。
 エネルギーについてでございますが、エネルギーの安定供給の確保は我が国経済の持続的な発展の基盤であり、省エネルギーに努めるとともに、風力発電など多様なエネルギーの導入を図り、バランスの取れた需給構造を築いてまいります。また、原子力について、安全確保を第一に取り組んでまいります。これらを通じて、今後ともエネルギーの安定供給に万全を期してまいります。
 農政の基本的な方向についてでございますが、国土や環境の保全等の多面的な役割を果たす農林水産業の発展を図り、国民に対する食糧の安定供給を確保することは、国の基本的な責務であります。このため、食の安全と信頼を確保しつつ、消費者の需要に即した生産の推進、意欲と能力のある経営の育成など、構造改革を進め、国内生産の増大を図ってまいります。
 政府開発援助に関するお尋ねですが、八月に改定した政府開発援助大綱では、貧困削減、経済社会基盤の整備等による持続的成長、環境問題、感染症等の地球的規模の問題、ODAの活用が求められる新たな開発課題である平和の構築を重点課題としています。政府としては、こうした大綱の考えにのっとり、開発途上国に対する支援を進めてまいります。
 国民負担率についてのお尋ねでございますが、議員の御指摘は潜在的国民負担率に関するものと考えられますが、これは現在の公的支出の水準を前提とし、それを維持するために必要な国民負担の程度を表す指標として算出しているものであります。
 国民負担の在り方については、経済社会の活力を損なわないよう、また将来世代の負担が過重なものとならないよう、すべての公的支出の効率化、合理化により極力抑制する必要があると考えます。そのためにも、今後とも徹底した歳出改革を進めて、御指摘のような国民にすべてのツケを回す考えは持っておりません。(拍手)
#23
○議長(倉田寛之君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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