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2003/05/26 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会、厚生労働委員会連合審査会 第1号
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2003/05/26 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 法務委員会、厚生労働委員会連合審査会 第1号

#1
第156回国会 法務委員会、厚生労働委員会連合審査会 第1号
平成十五年五月二十六日(月曜日)
   午後二時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
   法務委員会
    委員長         魚住裕一郎君
    理 事
                荒井 正吾君
                市川 一朗君
                千葉 景子君
                荒木 清寛君
                井上 哲士君
    委 員
                岩井 國臣君
                柏村 武昭君
                佐々木知子君
                陣内 孝雄君
                野間  赳君
                江田 五月君
                鈴木  寛君
                浜四津敏子君
                平野 貞夫君
                福島 瑞穂君
   厚生労働委員会
    委員長         金田 勝年君
    理 事
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                山本 孝史君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                斎藤 十朗君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                宮崎 秀樹君
                森田 次夫君
                浅尾慶一郎君
                朝日 俊弘君
                今泉  昭君
                谷  博之君
                堀  利和君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小池  晃君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
       発議者      朝日 俊弘君
       発議者      江田 五月君
       発議者      千葉 景子君
       発議者      山本 孝史君
   衆議院議員
       修正案提出者   塩崎 恭久君
       修正案提出者   漆原 良夫君
   国務大臣
       法務大臣     森山 眞弓君
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       法務副大臣    増田 敏男君
       厚生労働副大臣  木村 義雄君
   大臣政務官
       法務大臣政務官  中野  清君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   大野市太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       警察庁刑事局長  栗本 英雄君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       法務省保護局長  津田 賛平君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    上田  茂君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者
 の医療及び観察等に関する法律案(第百五十四
 回国会内閣提出、第百五十五回国会衆議院送付
 )(継続案件)
○裁判所法の一部を改正する法律案(第百五十五
 回国会朝日俊弘君外三名発議)(継続案件)
○検察庁法の一部を改正する法律案(第百五十五
 回国会朝日俊弘君外三名発議)(継続案件)
○精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一
 部を改正する法律案(第百五十五回国会朝日俊
 弘君外三名発議)(継続案件)

    ─────────────
   〔法務委員長魚住裕一郎君委員長席に着く〕
#2
○委員長(魚住裕一郎君) ただいまから法務委員会、厚生労働委員会連合審査会を開会いたします。
 先例により、私、法務委員長が連合審査会の会議を主宰いたします。
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案、裁判所法の一部を改正する法律案、検察庁法の一部を改正する法律案及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 四案の趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明は、お手元に配付いたしました資料により御了承願い、その聴取は省略いたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#3
○武見敬三君 大阪教育大附属池田小学校の乱入殺傷事件というのは、これはもう本当にいたたまれないショッキングな事件でございました。被告人の捜査段階と公判で行われた鑑定では、被告人は人格障害者であるとして完全責任能力、これを認めておりまして、検察は死刑を求刑をいたしました。この人格障害者や精神病質者については、その判定基準など難しい点もあるかと思いますけれども、基本的には、責任能力があって相応の刑事責任を負うべきであるというふうに考えます。
 そこで、まずこの本法案の新制度の適用を受けるかどうかの振り分けが重要となるわけでございますが、起訴前のこの精神鑑定を的確に行うという必要性、極めて大であります。この点、改めて検討すべき点、多々あると考えるわけでありますが、法務省、どのように考えておられるか、まずお伺いしたいと思います。
#4
○政府参考人(樋渡利秋君) お答えいたします。
 検察当局におきましては、精神障害の疑いのある被疑者による事件の処理に当たりまして、犯行に至る経緯、犯行態様や犯行後の状況等について刑事事件として処理するために必要な捜査を尽くし、事件の真相を解明した上で犯罪の軽重や被疑者の責任能力に関する専門家の意見等の諸事情を総合的に勘案し、適切な処分を行うよう努めているものと承知しております。
 その際には、事案の内容や被疑者の状況等に応じまして行われるべき精神鑑定の手段、方法についても適切に選択しているものと承知しておりますが、事件の捜査、処理における責任能力の判断の重要性にかんがみ、更に適切な鑑定がなされるよう、専門家の意見等も踏まえつつ、まず一つといたしましては、捜査段階において精神鑑定が行われた事例を集積し、精神科医等をも加えた研究会等においてこれを活用すること、二つ目は、検察官等に対し、いわゆる司法精神医学に関する研修を充実させること、三つ目は、鑑定人に被疑者に関する正確かつ必要十分な資料が提供されるような運用を検討すること等の方策を講ずることを検討したいと考えております。
#5
○武見敬三君 そこで、本法案では、この精神科医による鑑定で、病状の改善及びこれに伴う同様の行為の再発の防止を図り、もってその社会復帰を促進するために医療を受けさせる必要があるか否かの判断がなされることとなります。
 そこで、犯行当時の精神状態もさることながら、今現在の被告人の病状、そして将来にわたって再び同様の犯行を行う可能性の予測に至りましては、これはもう非常に高度な専門的知識と経験が必要となります。この鑑定の質を一定の高い水準に保つということは、非常にこれまた重要なポイントになるわけでありますけれども、これ、先進諸国の中を見てみますと、こうした精神鑑定のトレーニングを積みました司法精神医という専門医がおりまして、ある程度の確率で再犯を予測できるようであります。我が国はこの分野というのはかなり後れているようでございまして、司法精神医学教室として専門的研究を行っているところは二つくらいしかないというふうに聞いております。
 そこで、このたび国立精神・神経センターの精神保健研究所に司法精神医学のセクションが新たに設置されるそうでありますけれども、今までに厚生労働省所管のこのような研究機関というのは一体どのぐらいありまして、どういう研究やってこられたのか、また、これらが十分なかったということであると、それはまたどうしてなかったのかということ、改めて教えていただきたいと思います。
 そして、この本法案の円滑な運用のためにも、この機会にこの司法精神医学という分野の学問的基盤を我が国の中でしっかりと強化するということが非常に必要であると考えますけれども、その準備を進めるに当たってどのようなお考えをお持ちであるのか、厚生労働省に伺いたいと思います。
#6
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 これまで厚生労働省には司法精神医学を専門に研究するような機関はなく、その研究についても必ずしも十分に行われてきませんでした。我が国の司法精神医学につきましては、責任能力の鑑定を中心にその研究が行われてきましたが、諸外国のような専門治療施設が未整備であったこともありまして、治療や社会復帰促進の観点からの研究が立ち後れていたものと承知しているところでございます。
 このため、厚生労働省におきましては、平成十一年度から司法精神医学に関する研究への助成を実施するとともに、平成十四年度からは医師、看護師、精神保健福祉士を司法精神医学の研修のため、海外に派遣しているところであります。今後、このような海外研修から帰国した方から、あるいは専門家により国内の医療関係者に対して研修を行うこととしております。また、今年度からは、国立精神・神経センターに司法精神医学に関する研究部を設置しまして、臨床疫学、社会学、心理学など、このように併せ持った総合的な観点から研究を進めていく予定でございます。
 なお、本法案が成立し、司法精神医学のフィールドともなる指定入院医療機関が整備されることによりまして、我が国にも治療と社会復帰を中心とした司法精神医学の基盤が強化されていくものと考えておるところでございます。
#7
○武見敬三君 御指摘のとおり、これ、円滑にこれから更に進んでいけばいいわけでありますけれども、この司法精神医学の新たなセクションができて、そしてそこが一つの拠点になって様々な今度はデータ等を集積をしていくことになるだろうと思います。
 そこで、問題になってくるのは、こうした鑑定等にも必要とされるようなこの司法精神医学で必要とするそういう研究データ、こういうのはもういずれもそれぞれ実はプライバシーにかかわるような資料ばかりであります。こういう資料というものは、これ、きちんとプライバシーを侵害しないように管理されることは当然でありますけれども、しかしそれらを必要とするこうした司法精神医学の研究者のためにはそれがきちんと整理をされて提供されるという、そういう一つのルールがまた確立をしていなければ、これを上手に発展させていくことはできないわけであります。こうした学問的な研究を進めていく上で、やはりこういう過去の事例をできるだけ多く分析をして判定の標準化というものを行うということが、その公平性の上からも常に必要と考えられるのはもう当然であります。
 そうなりますと、今申し上げたとおり、過去の事件の鑑定書等を、プライバシーの侵害にならないように配慮しつつも研究資料として入手できるようにするにはどうしたらいいのか、それから法務省やあるいは厚生労働省、文部科学省などが連携をしてこうした学問的基盤強化のためのデータ集積というものをどのようにこれから進められようとするのか、この点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。これは法務省にお願いします。
#8
○政府参考人(樋渡利秋君) 鑑定結果のフィードバック等についての委員の御指摘につきましては、精神鑑定についてより一層適正な運用を図るとの観点から、被疑者のプライバシーに十分配慮しつつ、鑑定結果を分析、蓄積すべきではないかとの御趣旨だと思われますが、法務当局といたしましても、これまで精神鑑定についていただいている御指摘を踏まえ、そのより一層適正な運用を図るために、専門家の意見等も踏まえつつ、捜査段階において精神鑑定が行われた事例を集積し、精神科医等も加えた研究会等においてこれを活用することという先ほど申し上げたような検討を加えていきたいと考えております。
#9
○武見敬三君 局長、その正に研究会等を、それぞれ個別の事案に関して研究会を設けて、そしてそこで関連する過去のデータを活用されるというのは分かります。しかし、それとは別に、学問的な基盤強化という目的の中で、特に特定の事案ということとかかわりなく、研究上の目的としてこういう過去の事例についてそれぞれデータを集積をしてその学問的な基盤を強化するということが必要ではないかということを私、申し上げているんですが、この点についてはいかがでしょうか。
#10
○政府参考人(樋渡利秋君) 御指摘のとおり、その精神医学の進歩のためにそういう過去のデータ、事例を利用することは大事なことだろうというふうに考えるわけでございますが、それを考えるに当たって、先ほど申し上げましたように、被害者のプライバシーに十分配慮しつつ、そういうような御指摘等も踏まえながら慎重に今後検討していきたいというふうに考えております。
#11
○武見敬三君 慎重に検討するのはこれ、当然でございますので、具体的にどのようにするかということを是非御検討いただいて、そしてこの際、この法律を通じて改めてそういう学問的な基盤というものを強化するということを是非真剣に取り組んでいただきたいと思います。そのことが、新たに我々が策定しようとしているこの法律を円滑に運用していく上で実は最も重要になってくる基盤だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 それから、今度は最高裁の方にお伺いしたいんですけれども、新たな制度では、処遇の要否の決定を裁判官と精神科医がともに行うと。これ、裁判官と精神保健審判員の合議体で意見の一致したところにより決定するというふうになっているわけでありますから、裁判官にも一定水準の精神医学などの基礎知識を身に付けていただくということが当然必要になってくるわけであります。
 現在でも、司法修習生が精神医学のこうした研修受けているということを伺っているんですけれども、これ、精神科医の方々から伺ってみると、そこでの研修の内容というのはまだそれほど充実したものにはなっていないんじゃないかと、その程度で大丈夫かという心配の声を私、実は聞いております。
 そこで、本法案の審判に堪え得る程度の精神医学等の基礎知識というものをやはり裁判官がしっかりと身に付けて認定のトレーニングを行うような研修をこれから策定をし、実施していくということが極めて重要と考えるわけでありますけれども、どのようにお考えになっているのか。また、現状におけるこの研修の実態というものはどういうものであるのかということについての御説明を伺いたいと思います。
#12
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) お答えいたします。
 この法案では、医師である精神保健審判員と裁判官とが合議をして処遇についての判定をするということになっております。正に、精神保健審判員につきましては医師としての知見に基づく判断が期待されているわけでありまして、一方、裁判官に対しましては、対象行為の内容ですとか当時の精神状況等を考慮しつつ、精神科医による鑑定結果の合理性や妥当性の有無を吟味するとともに、本人の病状や生活環境等を考慮して、治療の継続が確保されるかどうか、同様の行為を行うことなく社会に復帰することができるような状況にあるかどうかといった点を勘案した上で精神保健審判員と十分に協議して処遇の要否、内容を判断することが期待されていると承知しております。
 したがいまして、裁判官の判断は基本的には法律に関する学識経験に基づくものではありますけれども、委員御指摘のとおり、精神医学等に関する基礎知識も必要であることはおっしゃられたとおりであろうかと思います。
 現在のそれでは研修状況はどうかということをまず先にお話しいたしますが、現在におきましては、責任能力の有無等の判断という過程を経まして、精神鑑定の合理性や妥当性の判断を求められる場合が少なくありません。裁判官は、具体的な事件の処理を通じまして精神医学等に関する知識、能力をそこで養ってきているわけでありますが、さらにその能力向上のために、司法研修におきまして精神医学に関する研修等を行っておりますし、また各裁判所で鑑定研究会というものを催しておりまして、そこで精神医学の問題を取り上げているということもございます。
 今後でございますけれども、この法案が成立した場合には、さらに裁判官と今度、合議体を組むことになります精神保健判定員との間での研究会を考えております。それ以外に裁判官に対しましては、司法研修所におきまして本制度に関する研修を行いまして、その適切な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
 以上であります。
#13
○武見敬三君 研修の内容は更に充実させていただけるものと理解をしておりますけれども、実際に私もこうした精神疾患の患者の医療機関というものに、幾つも私、視察をさせていただいて私自身も勉強させていただいているわけですけれども、やはりそういった現場の状況等についても是非、実際に現地を視察して、そして研修の実を更に実らせるということを是非やっていただきたいと思います。
 実際、そういう現場でそうした精神疾患の患者の方々というのと会って、そしてその生活状況などを正に実際に自分の目で見てそして理解をするというのは、紙の上で文書を通じて論理的に理解することと全く違います。したがって、この違いというものをきちんと御理解をしていただくことが私はこうした裁判官の立場としても相当に重要になってくると思いますので、そういったことも含めてひとつ御検討をしていただけるようお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、今度は坂口厚生労働大臣、少し一般的な精神疾患の患者についてのお話も伺ってみたいと思っているんですけれども、この精神疾患の患者というのをいかに的確に治療をして社会復帰をさせるかというのは、これはもう人道上極めて重要な問題でございます。
 先日、報告がございました精神保健福祉の改革に向けた今後の対策の中間報告の中で、受入れ条件が整えば退院可能な七万二千人の対策というのがございました、早期退院、社会復帰の実現でございますけれども。この七万二千人という数字、どういうふうに算定されたのかよく分かりませんけれども、しかし実際に多くの長期入院の精神疾患の患者の方々がいらっしゃることを私もよく存じております。こういった方々、また最近は高齢化というのも顕著でございます。しかし、実際にその御家族の方々とお会いをしてお話を伺ってみますと、もう御家族の方々は本当につらい思いをしながらそういう精神疾患の御家族のことを施設の外から見守っておられます。かといって、なかなか実際に自分の家に引き取るということも諸般の事情でままならないという複雑な経緯がある御家庭にもたくさん私は実はお目に掛かりました。したがって、この社会復帰というのは相当に難しい過程を経なければできないということもよく分かりました。しかし、そういう中においても社会復帰のための施設というものを実は着実にやはり作っていかなければなりません。
 私は、幾つか精神病院の近くで、隣接するところで、社会復帰のためのグループホームのようなところも見学をさせていただきましたけれども、そこはやはり一人一人の患者の生活空間というのがきちんと個別に確保されていて、それからまた公共の場所というのもその建物の中に上手に確保されて、そこでまた家族の方々とも接触をしたりボランティアの方々とも接触をしながら社会復帰のための準備を行っておられました。
 こういったことを更にきちんと進めながらも、今度はこういった方々が就業できるような支援センターといったものも充実させなければいけないわけでありますけれども、しかし実際に新障害者プラン等の財源の規模などを見ましても、カバーできる部分というのは本当、一部に限られているような気がいたしますけれども、こういった点、これから更に充実させていくことが必要だというふうに私は思います。この点について、厚生労働大臣の所見を伺っておきたいと思います。
#14
○国務大臣(坂口力君) 今お話しいただきましたように、かつての統計を取りましたときに約七万二千人、これは社会的入院と言われる人たちの数として数字が挙がってきております。実際にもう一度、スタートいたしますときにはもう一度しっかりと統計を取り直す必要もあるというふうに思っておりますが、しかし、多くの皆さんがおみえであることだけは間違いがないわけでございまして、医療全体の中でこの精神医療の面がいわゆる制度として今までは大変後れていたというふうに思わざるを得ません。日本の場合に入院のベッド数は非常に多いというようなことを、諸外国に比べて多いというようなことが言われたりいたしておりますが、それならば地域で受け入れるようになっていたかといえば、それはそういうふうになっていなかったわけでございます。
 今お話をいただきますように、七万人ならば七万人の今、入院をなさっている皆さん方、この皆さん方を地域あるいは家庭に戻すと申しますか、地域でこの皆さん方とともに生活できるようにする、また御家庭と一緒に生活できるようにするというのは、言うのはなかなか簡単でございますけれども、これはかなりな努力の要ることだというふうに思っております。
 先ほど述べられましたように、いわゆるグループホームでありますとか、そうしたものも必要でございましょうし、あるいはまた、病院とそして家庭との間のいわゆる中間施設的なものもあるいは必要かもしれません。そして、一番大事なことは、そうした人たちを地域に迎え入れるためのいわゆる人材でございます。人材をどう、多くの人材をどれだけ作り出すかということだろうというふうに思っておりまして、そうしたことがやはり伴わなければ達成できないわけでございます。
 衆議院の段階のときに、たしか私は十年掛かってということを申し上げたわけでございますが、なぜそんなに掛かるのだというおしかりを受けたことがございましたけれども、やはり人材の育成というものを考えますと、一朝一夕にはいかないのではないかという気がいたします。無理に地域に引き取るというような形になりましてはいけませんので、これは日本の社会の全体の意識改革も含めてやっていかなければならない問題でございますので、着実に一歩一歩前進をさせるということでなければいけないというふうに思っております。
 今、入院をなさっている皆さん方にとりましては、一日も早くというお気持ちの皆さんもおみえだろうというふうに思いますので、できるだけ早くそういう体制を作り上げるということに我々は努力をしなければならない。そういう意味で、来年、平成十六年、少なくとも第一歩を踏み出せるような予算措置をお願いをしたいと考えているところでございます。
#15
○武見敬三君 以上で終わります。
#16
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。
 今日は、この関連する法案について連合審査会を設けていただきました。ただ、今日は余り十分時間が取られていないようで、ようやく始まったところですので、是非、連合審査の時間も十分に今後取っていただきたい、こんな思いを最初に申し上げておきます。
 その上で、実は私も臨床の精神科医を十五年ほど経験をしてきましたので、特にこの制度における鑑定と治療と社会復帰の問題について重大な関心を持っているわけですが、ただ、その話に入る前に、どうも幾つかどうしても気になるところがありますので、少し私の専門領域とは違いますけれども、一つ一つ疑問をできれば解決していきたい、こんな思いで質問をさせていただきます。
 まず最初に、ある精神障害あるいは精神障害の疑いのある方が一つの事件あるいは犯罪行為にかかわったときに、最初にかかわるのはやはり警察だと思うんですね。いきなり検察庁に行ったり裁判所に行ったりはしない。そこで、警察の方でこういう精神障害に関連すると思われる事例、事案が発生した場合にどういう対応をされているのかということで私も一度きちっと警察の方にお尋ねをしようと思っていましたら、五月の二十二日、皆さんもごらんになったかと思います、毎日新聞の朝刊の一面トップで、精神障害者の事件について送検前、つまり検察庁に送られる前の段階で現在の精神保健福祉法に基づく措置入院の適用を受けて入院しているという例があったと。つまり、検察庁に行かないで、警察の段階で既にこういう判断がなされている。とすると、こういう事例は今度の制度には全然乗っからない。なぜならば、今度の制度は検察庁から始まっているわけでして、警察段階では何も手続的な規定がないわけです。
 そこで、この法律に入る前に、警察段階でこのようなことが、毎日新聞の報道でされたようなことが実態としてまずあるのかどうなのか。毎日新聞の方の記事を見ますと、調査をきちっとして、それに基づいてこの記事を作った、しかも三面には解説の記事も含めて書いてあるということであります。私も精神鑑定の経験がございますが、現在の精神保健福祉法での措置入院の手続を見ると、こういうこともあり得ないことではないというふうに思うわけです。
 そこで、まず警察庁に、このような報道について事実関係があるのかどうか、認識の問題、まずお尋ねしたいと思います。
#17
○政府参考人(栗本英雄君) 報道につきましては承知をいたしております。
 まず、この関係で御理解をいただくために、警察といたしましては、犯罪を認知いたした場合には法令にのっとりまして捜査を遂げて検察庁に送致、また送付をしておるところでございます。それから、今、委員御指摘のように、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の第二十四条に基づきまして、自傷他害のおそれのある精神障害者の方を発見いたした場合には、この法律にのっとりまして警察官の通報がなされているわけでございますが、このような通報の事案につきましても、警察といたしましては捜査を遂げて適切に送致、送付をしているところでございます。
 御指摘の報道につきまして、私ども、その報道がどのような根拠に基づくのかということについては承知をいたしていないところでございますが、今回のこの報道を踏まえまして、平成十四年中の殺人等の重大事件について緊急に調査をさせていただきました。その結果、今申し上げました第二十四条に基づき警察官通報がなされ、そのうちの殺人等の重大事件に係るものでございます、これは現在御審議いただいている法案の対象行為になる事案だろうと思われますが、そのような重大事件については、平成十四年中に二百七件の報告がなされております。そのうちの、二百七件のうちの百五十一件につきましては既に捜査を遂げ、検察庁に送致、送付をいたしておりますし、また残り五十六件のうち三十六件につきましては現在捜査中でございまして、この捜査を遂げ次第、検察庁に送致、送付をする予定でございます。
#18
○朝日俊弘君 今、調査をしました、平成十四年度とおっしゃいましたね。
#19
○政府参考人(栗本英雄君) 十四年度でございます。
#20
○朝日俊弘君 十四。毎日新聞の調査は二〇〇一年度に少なくとも二百九十七件あったというふうな報道になっていますから、そこと合わせた報告をいただかないと、どっちが本当なのか私はにわかには信じ難いんですが、その二〇〇一年度、つまり平成で言うと十三年度ですか、その調査はなさいました。
#21
○政府参考人(栗本英雄君) 時間の関係がございまして、平成十三年度という形では調査をいたしておりませんで、急遽、平成十四年ということで。
 いずれにいたしましても、報道の視点は、警察において、先ほどの二十四条に基づく警察官通報がなされた場合にその後の捜査をしているのか否かということが一番の論点だと思いまして、昨年の十四年中を取りあえず調べまして、しかもその中でもたくさんの通報があるわけでございますが、その中で殺人等の重大な事件についてどのような措置がなされたかということを緊急に調査した結果、先ほど申し上げましたように、既に、その二百七件中百五十一件はもう既に送致、送付をしておりますし、それから残りについても現在捜査中で、いずれ捜査を遂げ、送付すると。そういう観点でございますので、平成十四年ということに絞って調査した結果、今御報告を申し上げているということでございまして、十三年度という形では調査しておりません。
#22
○朝日俊弘君 いや、もう先週の金曜日にこの問題をお尋ねしますと通告してありますから、この記事読んだら、調査するんだったらちゃんと二〇〇一年度をやってくれないと話が合わないじゃないですか。何で違う年度をやっているんですか。
#23
○政府参考人(栗本英雄君) 何年度という形で平素から報告をいただいておりませんので、どこで切るかということが大変難しい判断だろうと思います。そういう意味で、平成十四年中に認知をし、先ほど申し上げた二十四条に基づく警察官通報がなされたもののうち犯罪となり得るようなものについての措置をどのような形で行ったかということを一つの例として今御報告を申し上げているということで御理解を賜りたいと存じます。
#24
○朝日俊弘君 全然理解できません。
 ここで止めてもいいんだけれども、そういうやり方はあえてしないで、こうしましょう。この問題は、大変この法案の審議にかかわって入口のところで極めて重要です。ですから、毎日新聞の報道が事実ではないとすれば、それをきちっと反論する証拠というか、調査を出してください。それが出てこないと、私はこの法案の審議のすべてを審議尽くしたということにならないと思いますので、いつまでにということ、期限切りませんけれども、できるだけ早急に調査をし、報告をしてください。どうですか。
#25
○政府参考人(栗本英雄君) ですから、今申し上げましたように、年度という形で、仮に十三年度ですか、平成十三年の四月以降認知し、平成十四年の三月末日までにということであれば、そういう形で絞って都道府県警察に調査をすることは可能かもしれませんが、ちょっと現時点におきまして、平素からそういう形では報告をいただいておりませんのを緊急に十四年中ということで分かりやすく調べたものでございますので、そういうことで御了解いただければ努力をするようにいたしたいと。
#26
○朝日俊弘君 いや、だから了解できないと言っているんだ、それでは。これにきちっと反論するんなら、年度を合わせてちゃんと調査をしてどうですかとやらないと議論にならぬでしょう。当たり前の議論でしょう、これ。何で十四年度やっているの。
 この新聞記事見ているでしょう。じゃ、何で十三年度、きちんとやらないの。
#27
○政府参考人(栗本英雄君) ですから、先ほど御説明申し上げましたように、報道がどのような根拠で何に基づいてなされているのかということが、私どもいろいろ調査をいたしましたけれども、よく分からないわけでございます。ですから、期間を絞って、その期間でどのような措置がなされたかということについてであれば、しばらく時間をいただければ、今回、平成十四年中ということで調査をさせていただいたと同じように調査をいたす所存でございますが、年度という形では、私どもそういう形で取っておりませんので、警察としてはちょっと把握しにくいのかなというように思っております。
#28
○朝日俊弘君 全然分かりません。
 まず、一つの区切り方の問題なんだから、区切って調査すればできるはずじゃないですか。何でできないんですか。
 もういいですよ。ちゃんと調査をして、ここに、この委員会、できればこの連合審査会に、もしそれができなければ法務委員会にきちっと調査の報告をしてください。
 と同時に、毎日新聞の報道が事実かどうか、場合によっては毎日新聞の方からも参考に来ていただいて話を聞くと。両者突き合わせて、本当にこんなことがあるのということをまずきちっとしないとこの議論は始まりませんよ。どうですか。
#29
○政府参考人(栗本英雄君) ですから、報道につきましてどのような根拠に基づいてなされたか分かりませんが、私どもは、先ほど申し上げましたように、責任を持って都道府県警察に緊急に調査をいたした結果、先ほど申し上げましたように、第二十四条に基づく通報をしたうち、私どもが犯罪として捜査したものについては先ほど御報告申し上げたとおりでございます。
#30
○朝日俊弘君 それでは理解できません。
#31
○政府参考人(栗本英雄君) そのほかについていろいろな報道内容はございますが、それらについても具体的個別の事件の指定がございませんので、似たような事案がないのかという、不適切な事案も含めてないのかという観点で首都圏を含めまして調べましたが、その中についても報道を、もちろん具体的な報道になっておりませんから何を打ち消したらよろしいかということがよく分かりませんが、同種のことも含めて視野に入れながら調査した結果、そのような報告はなされていないということで御理解を賜りたいと思います。
#32
○朝日俊弘君 それは十三年度は入っているの、それじゃ。あなたは十四年度についてはとおっしゃったでしょう。
#33
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げました、数字的に申し上げましたのは平成十四年中のものでございます。その他、何年というような指摘がない、また個別のどのような事案かという、ないような報道も先生御指摘の中にはございまして、そのようなものがあるかないかということも一応視野に入れてある程度しました。しかし、それは元々報道自体が何年のどの県におけるどのような事案かという具体的な報道が全くなされていないということを踏まえての調査でありますから、あくまでもそれを前提にした調査の上ではまだ把握に至っていないということで御理解を賜りたいということでございます。
#34
○朝日俊弘君 もうこのやり取りをしていると時間がもったいないんでね、委員長、ちょっとお願いしますよ。必要なら、先ほども申し上げたように、毎日新聞の方を参考に来ていただくということも含めて、こういう事実があったのかどうか、あるとすれば今度の法律でどうなるのかということはきちんと議論しないと、この法案の審議の入口、スタートのところが始まらないと私は思いますので、それを是非、委員会として検討いただきたいと思いますが、いかがですか、委員長。
#35
○委員長(魚住裕一郎君) 後刻、連合審査会理事会ないしは法務委員会理事会で協議いたします。
#36
○朝日俊弘君 それでは、私の方からも警察庁には、きちんと調査をし、新聞報道に誤りがあるのであればきちんと誤りがあるということを示す調査結果を出してください。そうする義務があると私は思います。それができなければ、皆さん方が一体これまで何をやってきたのかということを言わざるを得ません。
 率直に言うと、かなり警察官レベルでいい加減な判断をしている場合があるんですよ、私、実態的に知っていますから。あえてどうこうは言いませんけれども、そういう意味でこの調査結果はそれなりに真実性があると思っている。あなたの答えの方がにわかには信じ難い。
 是非、きちっと説得できる調査結果を持ってきてください。そのことを求めておきます。
 さて、じゃ、この問題について法務省そして厚生労働省、それぞれどう受け止めていますか。
#37
○政府参考人(樋渡利秋君) 御指摘のような報道があったことは承知しておりますが、精神保健福祉法第二十四条に基づく警察官による通報制度と刑事手続における司法警察員から検察官への事件送致の制度の関係について申し上げますと、精神保健福祉法第二十四条により、警察官には、精神障害のために自傷他害のおそれがあると認められる者を発見したときは都道府県知事等に通報すべき義務が課されておりますが、この通報義務は精神障害者に対して必要な医療を確保するためのものであると承知しておりまして、その者の責任能力の有無、程度とは関係がなく、また検察官送致の代替措置でもございません。刑事訴訟法二百四十六条は、司法警察員に対し、犯罪の捜査をしたときは原則として速やかに事件を検察官に送致しなければならない旨定めておりまして、警察においては、これに従って刑事事件の捜査、処理が行われているものと我々は承知しております。
#38
○政府参考人(上田茂君) ただいま御指摘の新聞記事の基となりましたデータの取材、あるいはどのように収集されたかにつきましては私ども承知しておりませんので、事実であるかどうか、否かにつきまして、不明というか分からない状況でございます。
#39
○朝日俊弘君 それだけ。ちょっと、現行の精神保健福祉法の措置入院制度も含めて所管をしているのは厚生労働省のおたくでしょう。
 それで、何ですか、今の答えで十分だったと思いますか。
#40
○政府参考人(上田茂君) データにつきましては今申し上げた状況でございますが、実は私ども、平成十四年度の厚生労働科学研究費の研究がございまして、この中で、精神保健福祉法第二十四条に基づく警察官からの通報のあった事例、これは平成十二年の五月と十一月でございますけれども、こういった事例につきまして関連資料を分析して、この研究の中で分析しております。
 そして、資料が得られました千百九件のうち通報の原因となった行為として、本法案の「重大な他害行為」に相当する行為が行われていた件数は、殺人との記載が一例、放火との記載が六例、強盗との記載が一例、強姦との記載が〇件、ゼロでございます。
 しかしながら、この調査はあくまでも保健所の調査に基づく資料でございますので、その行為の具体的な内容や通報後に検察へ送致されたか否か等の詳細につきましては不明ではございますが、今申し上げました研究の結果、このような状況がございます。
#41
○朝日俊弘君 いや、その研究の結果は結果できちっとペーパーで示してもらいたいと思うけれども、私が聞いているのは、この毎日新聞の報道で、このような、本来であればこの今審議中の本法に基づいて対象となるであろう事例が、警察段階で措置入院制度で入院していたという事例がこれだけありますよと、こういう報道なわけですよ。これが本当ですかということを聞いているわけ。
 今、警察庁の方には、お聞きしたら、いや、十四年度がどうのこうのという話で、十四年がどうのこうのという話でちょっとかみ合っていないんだけれども、あなたも、この精神保健福祉法を所管している官庁として、この問題についてどう受け止めて、どう対応しますか。
 何を問われているのか分かりませんか。所管しているのはあなたのところでしょう、精神保健福祉法の措置入院制度は。そこがそういう出来事を一切分からないということですか。でも、法務省の方はしかるべくちゃんとやられていると思いますと言っているじゃない。
#42
○政府参考人(上田茂君) 失礼いたしました。
 精神保健福祉法第二十四条に基づく警察官による通報制度と刑事手続における司法警察から検察官への司法送致への制度の関係につきましては、申し上げますと、精神保健福祉法第二十四条により、警察官には、精神障害のために自傷他害のおそれがあると認められた者を発見したときは都道府県知事に通報すべき義務が課せられておりますが、この通報義務は精神障害者に対して必要な医療を確保するためのものであると承知しておりまして、その者の責任能力の有無、程度とは関係ないというふうに考えているところでございます。
#43
○朝日俊弘君 それは、その部分的説明としてはそれでいいかもしれないけれども、私が聞いているのは、結局、そうするとこういうことですか、精神保健福祉法に基づく措置入院制度のその後のフォローアップは全然やっていないと、だから分からないと、この調査の結果は。こういうこともあるかもしれないし、ないかもしれないと、こういうことですか。
#44
○政府参考人(上田茂君) ですから、私、申し上げましたように、二十四条に基づく警察官通報は、自傷他害のおそれがあると認められると、発見した、そういうような法の制度に基づきまして警察官の方で通報されているということで、私どもは、その通報を受けまして調査をし、そして指定医による鑑定を行って、要件が、自傷他害という鑑定の結果が出されましたら措置入院になる、そうでなければそうでないという、そういう法に基づきまして手続を進めているところでございます。
#45
○朝日俊弘君 それで、この新聞記事の中では、例えば措置入院の鑑定申請があって、あるいは入院をしている事例の中にも証拠不十分で送検できなかったり、通報後に送検された事例もあるがということで書いてあるわけですよ。そういうフォローアップは全然やっていないということですか、そうすると、厚生労働省は。
 要するに、鑑定をし、例えばその日、非該当になったとか、該当して入院したとか、その後、いやいや、そうじゃなくて、入院したけれども送検されたとか、そういうフォローは全然していないということですね。そんないい加減なことでいいの。
#46
○政府参考人(上田茂君) ですから、私ども、先ほど申し上げましたように、鑑定を行い、そしてその措置入院するかという決定を行って……
#47
○朝日俊弘君 そこまでは分かった。その後。
#48
○政府参考人(上田茂君) その後の経過につきましては確認してはおりません。
#49
○朝日俊弘君 それが実態なんですね。
 そうすると、これはちょっと精神保健課にも宿題を出さなきゃいけませんね。一体ちょっとこれ、どうなっているのか調べてくださいよ。そして、警察庁の方の調べと突き合わせてくださいよ。それをやらないと、この問題、毎日新聞の報道についてのきちっとした答えになりませんよ。ちゃんと調査をして出してください。どうですか。
#50
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 ですから、現在の精神保健福祉法におきましては、そういった、今、ただいま先生が御指摘の点について確認するということは法では求めていないものですから、あくまでも通報に基づいて措置入院する、それについての、ということでございます。
#51
○朝日俊弘君 いや、そうしたら、いや多分そうだと思うんだけれども、今の法律の仕組みからいうと。そうしたら、この報道に対して、彼らは彼らなりに調査をしてこういう報道をしているわけだ、これに対して反論できないじゃない、皆さん。反論できないとすればこれ、認めざるを得ないじゃない、ということになりません。だから、この報道がそんなはずはないと思うんだったら、これにきちっと反論できるデータを警察庁と厚生労働省とできちっと作ってくださいと言っているんですよ。私の言っていること、そんな無理なことを言っていないでしょう。どうですか。
#52
○国務大臣(坂口力君) 都道府県から調査をすればできると思いますので、調査いたします。
#53
○朝日俊弘君 是非、審議の経過がどうなるか分かりませんけれども、この審議に間に合うように調査結果を知らせていただかないとこの法案の審議が進みません、と思います。
 それでは、大臣の方からそういうお答えがありましたので、是非、警察庁の方にもお願いしたことと厚生労働省にお願いしたことを含めて、きちっと現状がどうなっているのか、そしてこういう場合にはこうなっているという、この新聞報道に対する答えを明確に示していただくことを改めて要求しておきます。やっと一番が終わりました。
 それでは、二番目の問題に入ります。
 私ども民主党の中では、司法と精神医療に関するプロジェクトチームを作りまして、いろんな方からヒアリングを行いました。そのときに、ちょっと紹介しますが、アメリカのイリノイ州のランバート市警察、市の警察ですね、ランバート市警察の、彼女の紹介では、知的障害者・精神障害者専門捜査官、マリリン・ジョンソンさんという方をお招きしてお話を伺いました。非常に私自身、お話を聞いて目からうろこという体験だったんですが、この専門捜査官、元々は捜査官のようです。捜査官でありながら、精神医学とか心理学とか、それから様々なボランティアグループとかとフィールドワークをして、いろいろトレーニングを積んで専門捜査官という地位というか肩書を持って対応されているんだそうです。
 その方はなぜそういう肩書が必要だったかというと、事件や犯罪に障害者がかかわっている場合、かなり被害者としてかかわっている部分も多い。もちろん加害者としてかかわっている場合もある。だけれども、どうも全体的に見ると、彼女がおっしゃるには、むしろ被害者となっているのに、事件に巻き込まれた中でうまく自分の状況を説明できなかったがために被害としてきちんと取り上げられることもなしに、逆に場合によっては加害者側に立たされたりすることがある。つまり、こういう事例では、事件では、つまり障害者の方がかかわった事件では、最初の捜査段階での情報収集というか事情聴取というか、そこがすごく大事なんですと、こういうことをおっしゃった。全くそのとおりだろうと思うんです。
 日本での、こういう法律が今作られようとしているという話をしましたら、いや、それは誤りです、一方的に加害者になった場合だけを考えて法律を作ることは誤りですと、こうおっしゃった。もう一方で、被害者となった場合、なっている場合のどうするのかということもきちんと考えないと駄目ですよ、加害者としてかかわっている場合についてはどうしても保安処分的にというか施設収容的にというか、そういう方向に必ず動きますよということをおっしゃった。非常にいいお話を伺いました。
 そこで、さて日本はどうなっているんだろうかと。捜査段階で、例えば知的障害を持った方あるいは精神障害を持った方について、捜査段階でそのことを十分留意して、配慮してちゃんと事情聴取なりやっているだろうか。そういう専門捜査官というような人がいるんだろうか。専門捜査官がいなくても、そういう少なくともトレーニングをちゃんとやっているんだろうか。まず、そういう配慮があるだろうか、大変気になります。警察庁にお伺いします。
#54
○政府参考人(栗本英雄君) 今、委員御指摘のような障害を持っておられる方が加害者とか又は被害者として警察としていろいろなお話を承るような機会、その際には障害者の方の特性というものを十分に考慮をさせていただきまして、例えば平易な言葉を使ったり、また時間を十分掛けて質問をさせていただいたり、適宜、休憩を取ったり、またそのお話の十分な裏付けを取るなど、こういうことに配慮いたしておるほかに、必要に応じましては福祉施設の女性職員や精神科医等の立会いを付けさせていただきまして、その上で事情聴取の意味、内容の十分な理解や精神的な負担の緩和等に努めているところでございます。
 また、それぞれの都道府県警察におきましては、例えば、社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会などの関係団体のところで作成をしていただきました冊子や執務資料を配付をいたしましたり、また、それぞれの専門家の方に来ていただきまして講師としていろいろお話を聞く機会を設け、私ども警察といたしまして、知的障害者や精神障害者の方についての我々警察官としての理解を十分深めるように努めているところでございます。
 また、委員御指摘の、そのような専門的な捜査官はということのお尋ねでございますが、そのような専門的捜査官につきまして、残念ながら現在、警察に配置しているという状況にはございませんが、そのような知見を十分に有する捜査官の育成につきまして今後特段の意を用い、そのような障害者の方への対応に遺憾のないように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
#55
○朝日俊弘君 今、御説明の中にあった、実はこのマリリンさんと一緒に全日本手をつなぐ育成会の方もおいでになって、今あちこちで権利擁護セミナーということで犯罪被害から知的障害のある人をどう守るか、こういうキャンペーンに取り組んでおられます。そういう意味では、是非、そういう皆さんからのお話を聞きながら、やっぱり今後の課題としては、そういうことに十分意を用いたスタッフを配置するとか、あるいは一定程度のプログラムをちゃんと工夫するとかいうことを是非やっていただきたいと思うんですね。
 私は、やはり知的障害あるいは精神障害の方が犯罪に不幸にしてかかわった場合、やっぱり最初の段階の接し方が非常に大事だと。もちろん、最初の段階から全部専門家を並べろと言うつもりはありませんけれども、しかしその最初の段階はやっぱり警察なんですよ。警察がどう受け止めるかによってその後の話の進み方というのは全然違ってくる可能性がある。例えば、まかり間違って被害を受けた側にいた人を加害というふうに認定してしまったときにどうなるのかということにつながっていくわけですから、是非ここは、今日はもうお答えは結構ですので、重要な検討課題であるということだけは確認させていただきたいというふうに思います。
 その上で、さて三番目に、今申し上げたように、ある犯罪行為にかかわったことが、その犯行あるいは他害行為にかかわったことが事実であるかどうかについて伺います。
 つまり、通常の犯罪の場合でしたら、その事実認定の段階から、例えば本人が否認をした場合、弁護士を隣に付けてきちんと弁護を受けながら、いやいやそれは事実じゃないと、あるいはそこのところは違うというふうに本人自身が弁護人の力をかりて否認あるいは疑義を指摘し、それにきちっと検察側が答える、あるいは裁判を通じて答えていくという仕組みになっていると思うんですね。
 私は、特に心神喪失の状態、精神障害を持った方が不幸にして加害者として警察なり、そして検察なりという段階に連れてこられたときに、むしろ通常の場合より以上に手厚いそういう配慮がなされなければならないと私は思う。
 ところが、今提案されている法律は、弁護士を付添人として付けることができますよと、こういう書き方になっているんですね。付添人と弁護人とは大分権限とか役割が違うようなんですね。つまり、簡単に言うと、付添人の方が文字どおり付添いで弱いんですよ。弁護人じゃないんですよ。付添人なんですよ。だから、じゃ証拠出せというようなことが、弁護人は権限を持っているけれども、付添人は持っていない。コピー取らせてください、いや、それも駄目と、こういうことになる。逆じゃないかと。
 一番表現をすることが不得手な場合が多いそういう障害を持った方たちの事実を認定する場合、他害行為を本当にその人がやったのかやらないのかということをする場合に、もし仮に本人が、いや、僕やってへんと言ったときに弁護、ちゃんとできるようにしなきゃ駄目じゃないかと私は思うんですが、この点については法務大臣に、お答えください。
#56
○国務大臣(森山眞弓君) この制度におきましては、最初の処遇の要否、内容を決定するための審判におきまして、対象者に弁護士である付添人を必ず付すこととしております。そして、付添人に対しては、審判への出席権、意見陳述権、資料提出権、処遇事件の記録又は証拠物の閲覧権、決定に対する抗告権を認めるとともに、入院患者の退院許可や通院患者の処遇終了の申立て権を認めるなど、対象者の適正な利益を保護するため、様々な権利を保障しております。
 本制度は、刑罰に代わる制裁を科すということを目的とするものではなくて、その手続としては、裁判所が適切な処遇を迅速に決定し、医療が必要と判断される者に対してできる限り速やかに手厚い専門的な医療を行うことが重要であることから、刑事訴訟手続より柔軟で、十分な資料に基づいて適切な処遇を決定することができる審判手続によることが最も適当であると考えるわけでございます。
 そこで、本制度におきましては、裁判所が事実の存否を職権で探知する審判手続を採用することとしたのでございますが、弁護士である付添人には先ほどお答えしたような種々の重要な権利を認めておりまして、これにより対象者の適正な利益が十分保護されるものと考える次第でございます。
#57
○朝日俊弘君 答弁は予想しておりましたが、弁護士さんから、どうもこれじゃやりにくいと、あるいはやれないと。要するに、何で裁判のときに刑事手続における弁護人と同等の権利を与えてくれないのだというふうに強く求められているんです。何とかここだけでも修正してほしいと、こうおっしゃっているんですが、なぜできないんですか。もう一遍説明してください。
#58
○国務大臣(森山眞弓君) ただいまもお答え申し上げましたとおり、本制度におきましては、対象者の適正な利益を保護するため、付添人に種々の重要な権利を認めているわけでございますが、例えば処遇事件の記録や証拠物については、付添人に閲覧権は認めていますが、謄写については裁判所の許可を得なければならないということになっております。
 そもそも処遇事件の記録等の中には、対象者の精神の状態など、そのプライバシーに深くかかわる事実が含まれておりまして、これをみだりに明らかにするということになりますと、対象者の社会復帰の促進という本制度の最終的な目的を阻害することとなると考えられることから、本制度では、このような記録等については裁判所の許可を受けた場合を除いて原則として閲覧も謄写もすることができないこととしたものでございます。
 しかし、付添人については、本制度における役割にかんがみまして、一般の場合と異なりまして記録等の閲覧権を認めたものであり、また、謄写についても裁判所の許可を受けることによってこれを行うことが可能となっているわけでございます。
#59
○朝日俊弘君 ここは溝が詰まりません。相手は弁護人ですからね、プライバシーをばっと広げる話と違うわけですから、十分に弁護するに十分な資料提供をされるのが当たり前であって、むしろ本人の表現能力や意思能力が多少とも劣っているとすれば余計そういうことが必要だと、逆だと私は思う。ちょっと意見が違う、ここは全然違うということを確認しておきましょう。
 次に、先ほど同僚の武見委員からもちょっとお話があった精神鑑定のことについてお伺いします。
 特に、いろいろ問題になっているのは、簡易鑑定、起訴前の簡易鑑定。起訴前の簡易鑑定がどうもちゃんとできているのかなという心配がずっとあって、たしか百五十四国会、去年の夏に、衆議院の方で参考人としておいでになった前田参考人は、簡易鑑定の実施状況について非常に地域差、個人差があるということを意見として述べられていました。私も実感としてそう思っていました。
 幸い、平成十四年度厚生科学研究、「責任能力鑑定における精神医学的評価に関する研究」という研究が行われていまして、その研究書の報告要旨ができ上がってまいりました。お尋ねすると、まだ、全体を取りまとめるので公表する段階になっていないというお話ですが、しかし分担執筆を担当した方としては、一定の報告書として取りまとめたというふうに伺っております。この中身について、もし差し支えなければその範囲で御説明をいただきたいし、できればその資料を提供していただきたい。
 非常に貴重な指摘になっています。結論のところだけ読みますと、今回の調査により、簡易鑑定の実施状況には、鑑定の精度や人権擁護の観点から無視できない地域差、精度差、正確な度合い、精度差、個人差のあることが判明したというのが結論です。
 この点について、厚生労働省として御説明できる範囲でお願いします。
#60
○政府参考人(上田茂君) 私どもも正式な報告をいただいておりませんが、研究者から聞きましたところの状況につきまして御説明をしたいと思っております。
 ただいま先生の御指摘の研究につきましては、起訴前の簡易鑑定の実態を明らかにするという目的で、十二年度に実施されました二千百三十四件の起訴前鑑定に関する研究、また全国十七施設からの鑑定書、百四十六通の鑑定書を収集し、比較検討されております。
 結果でございますが、一つは、地検別データの解析で、少数の医師が多数の鑑定を行う地域と多数の医師が分担する地域があった。また、鑑定の結果、精神障害と診断される率、精神障害と判断される者が不起訴となった率には地域差があった。それから、先ほどの十七施設の百四十六通の鑑定書のうち五十八通について分析がされておりまして、鑑定場所ですとか、あるいは鑑定日数、それから作成日数ですとかの状況がまとめられておりまして、また家族歴、生活歴、既往歴等々、記載が不十分な鑑定書が見られたというような主な結果になっております。
 また、考察として、少数の鑑定医に依頼する地域では個人の偏りを反映しやすく、多数の鑑定医が交代で行う地域では基準の不均一を生ずるおそれが高い、あるいは精神鑑定について幅広い議論を展開することが必要、また精密性と迅速性のバランスの取れた簡易鑑定書の様式を作る必要がある等々、このような内容とお聞きしております。
#61
○朝日俊弘君 もう時間になっちゃいましたので、四番の二番で止めます。四番の二番以降はこれからやらせていただきます。
 ただ、一つだけお願いします。
 この審議とも非常にかかわりのある研究報告ですから、できるだけ早急に公表していただけませんか。その点だけお伺いして、私の質問を終わります。
#62
○政府参考人(上田茂君) 努力いたします。
#63
○朝日俊弘君 終わります。
#64
○風間昶君 公明党の風間ですけれども、今ほど問題になった部分ともリンクしますけれども、現在のこの精神保健福祉法に基づく措置入院制度でのことですけれども、精神保健福祉法では、本人の申告によるほか、警察官、検察官、保護観察所所長の通報により診察が行われているというのが実態だと思います。
 実際に、本人が申告するよりも、むしろ警察官、検察官の通報の方が圧倒的に多いかと思いますけれども、そのケースは年間、何例ぐらいになっているのか、報告をまずいただきたいと思います。
#65
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 厚生労働省の統計によりますと、平成十三年度に精神保健福祉法に基づく通報等によって診察が行われた事例につきましては、一般人からの申請は三百四十一件、警察からの通報は五千百二十八件、検察官からの通報は七百三十五件、保護観察所の長からの通報が五件、矯正施設の長からの通報は百七件、精神病院の管理者からの届出につきましては五十六件となっております。
#66
○風間昶君 そのうち、通報によって診察が開始される者の中には、通常の精神疾患を有している患者さんの不起訴になった例、あるいは裁判で無罪になった者も含まれていると思いますが、それは年間、何例ぐらいになるのか、教えてくださいますか。
#67
○政府参考人(樋渡利秋君) 法務省の調査によりますと、平成十三年に検察庁で不起訴とされた被疑者のうち、心神喪失又は心神耗弱と認められた者及び裁判所で心神喪失又は心神耗弱と見られた者は合計六百九十四名でございまして、そのうち、検察官又は警察官が措置入院制度に基づく通報を行った者は合計五百九十六名となっております。
#68
○風間昶君 問題は、警察官や保護観察所長の通報で診察が開始された者の中に不起訴になった者、無罪判決を得た者について、今後、この法案では検察官が申し立てるということになりますから、警察官や保護観察所長の通報はなくなるというふうに理解していいのかどうか。また、もしそうだとするならば、そのように改正することのメリット、デメリットについてどういうふうに考えたらいいのか、考え方を教えてもらいたいというふうに思います。
#69
○政府参考人(上田茂君) 重大な他害行為を行った者の、心神喪失あるいは心神耗弱を理由として不起訴処分又は無罪の確定判決を受けた者については、本制度により検察官が処遇を申し立てることとなります。しかしながら、重大な他害行為を行っていない場合ですとか、あるいは心神喪失又は耗弱でない場合であっても、適切な医療を速やかに提供するためには警察官や保護観察所の通報が必要となる場合もあると考えております。
 したがいまして、こういった自傷他害のおそれという方について、やはり早急に医療を行う必要があるケースにつきましては、引き続き精神保健福祉法でこのような通報制度、通報がございますので、こういった通報がまた必要になるケースも出てくるというふうに考えております。
#70
○風間昶君 そうすると、二通りあるというふうに考えていいわけですね。
 そこで、今回のこの法律案では重大な犯罪事犯の犯人がまず対象となっているわけでありますけれども、それにしてもかなり大きな絞り込みがされているわけで、ただし、重大犯罪といってもいろいろあるわけで、殺人や強盗など被害者が個人であるもののほか、例えば列車通過を妨害したりあるいはハイジャックするなどの不特定多数の方々の生命あるいは身体を危険にさらす場合も、極めてまれなケースであるとは思います。
 したがいまして、事犯の刑罰の重さで一律に区切るのではなくて、本法案のように列挙した事犯に限定したのはどういう考え方に基づくのか、ちょっと伺っておきたいと思いますが。
#71
○政府参考人(樋渡利秋君) 本法律案におきましては、御指摘のとおり、対象行為の範囲を法定刑の重さで一律に区切るのではなく、殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ及び傷害に当たる行為を対象行為とし、心神喪失等の状態でこれらの行為を行った者を本制度の対象としております。
 本法律案におきまして対象行為として類型化した行為につきましては、いずれも、法定刑が重く、また個人の生命、身体、財産等に重大な被害を及ぼす行為であることに加えまして、心神喪失等の状態により行われることが比較的多いことにかんがみ、心神喪失等の状態でこれらの行為を行った者については特に継続的かつ適切な医療の確保を図ることが肝要であると考え、これらの行為を対象行為としたものでございます。
 これに対しまして、委員御指摘のハイジャックや往来危険の行為につきましては、多数人の生命、身体等に重大な被害を及ぼす危険の行為ではありますが、心神喪失等の状態により行われることが多いとまでは認められないといいますことから、これらの行為を対象行為とはしてございません。もっとも、ハイジャックや往来危険の行為につきましても、それらの行為が同時に殺人、放火、傷害又は強盗等の罪を伴うことが少なくないと考えられまして、その場合には対象行為に該当することとなると思います。
#72
○風間昶君 分かりました。
 先ほどの武見委員の質問とも重複しますけれども、現行の精神保健福祉法では、二名の精神科医で都道府県知事が入院の必要性を決めるわけでありますけれども、この法律案では裁判官がお一人、それから精神保健審判員お一人の合議体で行って入院の必要性が、決めることになりますけれども、裁判官の関与については賛否両論あると思いますが、私は適正な手続の観点からは必要だというふうに思っております。
 ただ、やはり具体的に裁判をされるといいましょうか、裁判官の方々におけるいわゆる精神医学あるいは病理精神医学を含めた基礎的な部分だけでなくて、むしろ臨床的な部分も含めての研修制度を具体的にはどのようにやるのかということが極めて大事な問題だというふうに思います。
 医学部の研修課程においては精神科領域における時間数というのが決まっているわけでありますから、そういう意味で、先ほど御答弁の中に、精神保健判定医との合同研修というふうにお話もありましたけれども、これはむしろかなり臨床的に高度な部分であって、もっとその前の段階での研修制度が私は必要ではないかというふうに思いますけれども、どのように考えられていらっしゃるでしょうか。
#73
○最高裁判所長官代理者(大野市太郎君) お答えいたします。
 先ほどの質問にもございましてお答えしたとおりでありますけれども、現在の手続の中でも、責任能力等の判断で裁判官、具体的な事件を通して司法精神医学についての能力涵養に努めているところではあります。また、これまでも司法研修における研修も行ってまいりました。
 先ほど舌足らずでちょっと申し上げられませんでしたが、最近では実地、医療現場の実地研修も取り入れておりまして、実際の医療の現場に触れて、そこで医師との座談会等行うといったような研修も行うようになってきております。そういった研修が行われておりますし、さらに、先ほど申し上げた各裁判所での鑑定の研究会、それから鑑定書等、事例を集めた資料等も作成してまいりました。
 今後、この法案が成立した場合には、更に処遇事件の審判に関する執務資料の作成や配付といったことも考えておりますし、先ほど申し上げた精神保健判定医との研究会、ここでは医師それから法律家である我々との間での、それぞれの立場からの相互のコミュニケーションも十分図れるというようなことも含めまして研修を行っていきたいというふうに思っております。さらに、司法研修における研修におきましても、基礎的な医学的知識を身に付けられるような研修も含めまして検討してまいりたいというふうに考えております。
#74
○風間昶君 厚生労働省は、今の法務省の考え方、またその具体的な進め方について同意できるかどうか、同意できると思いますけれども、もうちょっと、要するに与える側、知識というか、与える側としてはどのようにじゃ取り組んでいくのか、一歩踏み込んだ答弁をお願いしたいと思いますけれども。
#75
○政府参考人(上田茂君) 私どもも、司法精神医学をこれから、例えば精神・神経センターにおける新しい臨床研究部ですとかあるいは海外への研修、そしてまた、そういった方あるいは専門家による研修を今後行うと同時に研究を進めていきたいというふうに考えております。また併せて、こういった研究の知見、成果を司法側と連携を取りながら、今後の取組について十分連携を図りながら進めていきたいというふうに考えております。
#76
○風間昶君 先ほどの、朝日委員も御指摘がありましたが、簡易鑑定が、どちらかというと、現状は特定のお医者さんに集中している現象が見受けられるわけでありまして、そういう意味で、精神保健審判員という方々の基準を、どんな形で選任されるのかということが一つは大事な問題だろうというふうに思います。
 現行の鑑定が特定のお医者さんに集中している部分についても、公平性が担保されるのかどうかということもまた重要になるんではないかというふうに思いますけれども、この辺のところは、手続的には、まず選任をどうやってやって、それからどういうふうにして今度は裁判所の方で取り扱うのかということを教えていただきたいと思いますけれども。
#77
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 合議体に参加する精神保健審判員は、厚生労働大臣が最高裁判所に送付する名簿に記載された精神保健判定医の中から処遇事件ごとに裁判所が任命することとされております。この精神保健判定医の資格要件につきましては、一定の水準を確保するために、原則として精神保健指定医であること、あるいは精神保健指定医としての臨床経験が一定年数以上あって、措置診察に一定件数以上従事したことがあること、あるいは司法精神医学に関する研修を受講したこと、こういうことを検討しているところでございます。
 現在、精神保健指定医が約一万一千人おられますが、私ども、ただいま議員御指摘のように、一定の数を、判定医をそれぞれ地域で確保するというようなことから、現在、三百名程度の精神保健判定医を確保することが一つというふうに考えているところでございます。
#78
○風間昶君 なるほど、大体三百名ぐらいの精神保健審判員がその役割を担っていただくということになりそうなんですね。
 それでは、入院費用の問題について伺いたいと思います。
 現行の精神保健福祉法では、措置入院となっていることから、国庫の補助はあるにしても、都道府県が入院費用を負担しなければならないと思われますけれども、ここの法律では費用は全部国から出るというふうに理解していいんでしょうか。
#79
○政府参考人(上田茂君) 議員、御指摘のとおりでございます。
 これは、この対象者についてその病状の改善とこれに伴う同様の行為の防止を図り、その社会復帰を促進することを目的としております。そのために、一般精神医療とは異なり、国が公権的観点から行う公共性の高い医療でありまして、また裁判所の決定に基づき全国で公平一律に厳格に実施すべきということから、このように国が一元的に行う医療として全額国費によることとしております。
#80
○風間昶君 民主党さんの対案も出されていますけれども、その案によりますと、入院費用は従来どおり都道府県の負担というふうになっているようでありますけれども、私の理解はそういう理解なんですが、民主党案について、都道府県としてみれば、手続は厳格になるし、その費用も一切自分たちの負担ということになれば理解を得にくい部分もあると思いますけれども、法案提出者の方に御答弁いただきたいと思いますけれども。
#81
○朝日俊弘君 御質問いただきまして、ありがとうございます。
 先生御指摘のとおり、現在の精神保健福祉法による措置入院制度については、まず掛かった費用の全体について保険優先をします。その人が入っている保険を利かした上で、その残る部分について公費負担をします。その公費負担の割合は、国が四分の三、そして都道府県が四分の一という仕組みになっておりますから、もちろん所得に応じて一部費用徴収がございますが、基本的には都道府県の四分の一負担というのは変わりません。私どもの案では、新しい制度を作るわけではありませんので、現行の制度、そして現行の費用負担区分がそのままになると思います。
 なお、一九九五年、平成七年の改正で実は保険優先に変わりまして、それ以前は公費優先でありました。ですから、制度そのものとして公費優先に戻せという議論はあり得ると思いますが、現行はそういうことでございます。
#82
○風間昶君 どっちがいいかどうかはみんなでまた判断しなきゃならない話でしょうからあれですけれども、分かりました。
 次に、退院、再入院についてですね。
 退院の申立てした方に、本人又はその保護者、あるいは付添人というのがあるわけでありますけれども、一方で現行の精神保健福祉法と異なって保護観察所長の申立てによる再入院の制度があります。したがって、本人側と保護観察所長側の所見が異なる場合には、退院あるいは再入院また退院というふうに繰り返されるようなことが危惧されるわけでありますけれども、そういう、言葉は悪いけれども、イタチごっこのようになることは避けなければならないと思いますが、退院のやはり明確な判断基準ということが必要になるというふうに思いますけれども、どのように考えているのか、法務省なんでしょうか、お聞きしたいと思います。
#83
○政府参考人(樋渡利秋君) この新たな処遇制度におきましては、裁判所は、対象者につきまして、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく社会に復帰することを促進するため、入院をさせて、この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合には、入院をさせ、又は入院を継続させる旨の決定を行うこととなり、入院をさせる必要まではないものの、この法律による医療を受けさせる必要があると認める場合には、入院によらない医療を受けさせ、又は入院によらない医療を行う期間を延長する旨の決定を行うことになり、いずれの場合にも当たらないときは、この法律による医療を行わない旨、又は終了させる旨の決定を行うこととなります。
 このように、対象者が退院許可の申立てをした場合でありましても、保護観察所長が再入院の申立てをした場合でありましても、裁判所は同一の基準に基づいて本制度における処遇の要否及びその内容を判断することになっております。
#84
○風間昶君 いえ、だから、明確な判断基準というのは一言で言うと何になるんですか。
#85
○政府参考人(樋渡利秋君) 要は、この法案によりまして社会に復帰することを促進するため、入院をさせてこの法律による医療を受けさせる必要があるか否かということが判断基準となるということでございます。
#86
○風間昶君 それは、何といいますか、仕組みの話であって、判断基準は何ですかというふうに聞いたら、一言では、分かりやすく言うとこうなんですという答弁があってしかるべきじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
#87
○政府参考人(樋渡利秋君) 要は、その対象者の病状、それから社会復帰の場等を考慮して、今申し上げた法律の要件を判断するということになろうかと思います。
#88
○風間昶君 どうもすっきりしない部分がありますが、じゃこれ、大事なことですから、また後ほどの議論になろうかと思います。
 それからもう一つ、入院設備の病棟の問題ですけれども、全国で三十か所程度というか、三十病棟ぐらいを指定した入院医療機関を作るということでありますけれども、やはり設置基準というか方針というのが明確になっていないと作られないでしょうし、同時に、いろんな入院設備に必要な、例えば変な話ですけれども、逃走するというような行為を防止するためにもそういう施設も必要かもしれないけれども、やはりしかし、より開放的な人間的な明るい施設を作るということも大事であります。
 そういう意味で、それがそのまま治療につながっていくということの観点で、この入院設備の設計、施設設計の、言わば分かりやすく言うと、こういうふうにしたいなと、そしてこういう形で作りたいなというのがあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#89
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 一ユニット三十床の病棟を考えておりまして、ここでは対象者についての社会復帰を進めるための手厚い医療ということを行う、またこういった医療を行うに当たってやはり療養環境と申しましょうか、あるいは今、ただいま議員御指摘のございましたスペースを十分確保し、そして可能な限りの開放感がある、そういう施設ということがやはり治療上非常に重要であるというふうに考えております。また、患者本人の治療状況あるいは治療、あるいは医療従事者等の安全が十分確保されることも重要でありまして、こういった施設については欧米で既に司法精神医療施設がございます。ですから、こういう施設を参考にいたしまして、ただいまの開放的な治療環境とそれから安全の確保、こういったバランスも十分配慮し、考慮しながら適切な基準を設けてまいりたいというふうに考えております。
#90
○風間昶君 そうしますと、今の日本における精神医療というのは、非常にベッドは多くて治療、入院期間が長いというのが世界的にも飛び抜けているわけでありますけれども、そういう現行の精神医療体制とはまた違う意味で更なる研究をしていかなきゃならないというふうに思うわけでありますけれども、今度は地域精神保健福祉施設についても一つの医療機関、指定医療機関がその施設に来る、あるいは新しく作られるということになると、また地域の人にとってみればノーという声もまた出てこないとも限らないわけで、そういう意味で治療体制の整備、何といいましょうか、どのような形で臨んでいくのかということが、一つ地域との中でコンセンサスをまた作んなきゃならないのでないかというふうに思いますけれども、ここはどういうふうに考えていますか。
#91
○政府参考人(上田茂君) 我が国の精神医療につきましては、精神病床数が多く、あるいは長期入院が多い、あるいは入院中心ですとかいろいろな課題があるわけでございます。そういう中で今回の司法精神医療を、ただいま申し上げましたような療養環境あるいは治療内容、あるいはスタッフ等々につきましても今申し上げましたような形で進めていくわけでございますが、こういった点についての関係者の理解というものを進めながら整備していく。
 また、もう一方では、こういった医療を進めると同時に、今申し上げました一般の医療においてもいろんな課題がございます。こういった一般医療の充実についても併せて進めていきたいというふうに考えております。
#92
○風間昶君 この復帰の部分でありますけれども、社会復帰調整官はどうやって当初確保されていくのか、まず一点ですね。デイケアに通って、先ほど武見委員もグループホームの話もされていましたけれども、治療プログラムを立てる上で精神保健福祉センターがどういう役割を果たしていくのか、大変大事な問題だと思いますし、犯罪を犯したということを自らが認識して再犯を防止する特別プログラムなんかはアメリカではなされているようでありますけれども、それも必要でないかと思いますけれども、そこはどうされていくつもりですか。
#93
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 本制度の下では、通院医療を受けることとなりました対象者の処遇につきましては、保護観察所が言わばコーディネーターとなりまして、医療機関はもとより、地域社会で精神障害者に対する援助業務を担っております精神保健福祉センターや保健所等の関係機関とも連携して本人の社会復帰を促進することとしております。
 厚生労働省といたしましては、適切な治療プログラムの策定のために、平成十四年度から司法精神医学に関する研究に助成を行うとともに、今年度から精神・神経センターに司法精神医学に関する研究部を設置し、治療に関する研究を進めていくこととしております。
 なお、欧米の司法精神医療機関におきましては、一般の精神障害に対する治療だけでなく、自身が、本人、当事者自身が行った重大な他害行為やあるいは被害者に対する認識を高めるような治療プログラムが導入されておりますので、こういった例を参考にしながら対象者の社会復帰に有効な治療プログラムを今後策定していきたいというふうに考えております。
#94
○風間昶君 この法律案はもう本当に多くの市民団体の人たちが反対の陳情に来られまして、中でも多いのが、この法律案が刑事手続上の保安処分ではないかというのが非常に多かったわけですけれども、多分、この保安処分とこの法律案の制度の違いを、やっぱりごっちゃになっている部分があるのではないかというふうに思いますので、この保安処分とこの法案の制度の違いを明確にやっぱりしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。
 何が違うのかということを明らかにすべき問題だと思いますけれども、どうぞ。
#95
○政府参考人(樋渡利秋君) 昭和四十九年の改正刑法草案及び昭和五十六年の刑事局案における保安処分におきましては、刑事手続の一環として、当該刑事事件の審理を行った裁判所が刑事訴訟手続によって刑事処分としてその要否や内容を決定することとされており、また改正刑法草案において、処分を受けた者は法務省が所管する保安施設へ収容することが想定されておりました。
 これに対しまして、この法律による新たな処遇制度は、刑事事件を審理する裁判所とは別の精神科医をもその構成員とする裁判所の合議体が刑事手続とは別個の審判手続により法的判断と医療的判断を併せて行うことによって処遇の要否や内容を決定するもので、刑事処分とは異なるものであり、また、処遇を受けることとなった者は厚生労働大臣が所管する病院へ入院又は通院することとされております。
 さらに、制度の目的という点につきましても、改正刑法草案等における保安処分は刑法に規定することとされており、刑法という法律の性格からして、社会防衛ということが直接の目的とされていた部分もございましたが、この法律による新たな処遇制度は、対象者に対して継続的かつ適切な医療を行うこと等によってその社会復帰を促進することを目的としております。
 このように、この法律による新たな処遇制度と保安処分とは全く異なるものだと考えております。
#96
○風間昶君 今の説明では反対の陳情はまだ多くなると思われるので、もうちょっと明確に、カットできるような答弁にしていただきたいことを要望して、質問を終わりたいと思います。
#97
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者をどう処遇するかという問題は、これは厚生労働行政と司法行政両方にかかわる重大なテーマです。徹底した審議が求められるというふうに思います。
 そもそも、今回の法案は他害行為を初めて行う者に対しては何ら効力を発揮し得ない。重大な他害行為を防止し社会復帰を適切に進める上で、より根本的には、精神医療全体の水準をこれ、抜本的に引き上げること、そして地域ケア体制の整備を図ることが欠かせない課題だと思います。日本の精神障害者に対する医療福祉制度をこのままにして処遇制度を作るということは、これは新たな矛盾を生むことになりかねませんし、精神医療福祉の改革こそ急ピッチで進める必要があるというふうに思います。
 そこで、まず最初に、そもそも日本の精神医療が国際的にも異常と指摘されているのは、これは入院患者の数が多いことだと。しかも、諸外国が入院患者を減らしている中で我が国は逆に入院患者が増えてきている。そこで、まず厚生労働大臣に、こうした入院偏重の我が国の精神医療の在り方についてどういう問題意識をお持ちか、最初にお尋ねします。
#98
○国務大臣(坂口力君) 今お話ありましたように、日本の精神医療の特徴と申しますか、他の先進諸国との間の違いというのは、今お挙げになりましたように、ベッド数が多い、そして長期入院が多いという一つの点、それからもう一つは、それと裏腹になるわけでございますが、地域における受皿が充実していないということだと思います。それからもう一つ挙げますならば、これはいわゆる精神医療の機能分化と申しますか、機能が分化されていないということ、そうした特徴があるのではないかというふうに思っておりまして、やはりその七万人を超える社会的入院があります以上、ここをやはり改革をしていくということがなければならないことは御指摘のとおりだというふうに思っておりまして、地域における受皿をどうしていくか、ハードの面、ソフトの面、両面にわたりまして整備をしていかなければいけないというふうに思っております。とりわけその中で人の問題が大事でございますので、人をどう育成をしていくかといったようなことに重点を置いてこれからやっていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
#99
○小池晃君 今お話あったように、社会的入院は七万人という数字が出されておりますが、その根拠をまず最初に説明していただきたいと思います。
#100
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 平成十一年患者調査によりますと、病院の精神病床に入院している約三十三万人のうち、生命の危険は少ないが入院治療、手術を要する者が十九万七千人、生命の危険がある者が約五千人、受入れ条件が整えば退院可能である者が約七万二千人、その他の者が五万六千人、このような患者調査でございます。
 このような、今申し上げました受入れ条件が整えば退院可能である者をいわゆる社会的入院者と想定し、これらの方々が退院し社会復帰を実現することができるよう各種の施策の推進を図っているところでございます。
#101
○小池晃君 そこで、この七万人、七万二千人、こういう数字、実際はもっと本当は多いんじゃないかと。かつての調査ではもっと多かったという指摘が衆議院でもされました。そして、当時の部長は実態調査の検討を行うというふうに答弁をされているんです。
 そこで、その後の検討、調査、どうなっているか、御説明願います。
#102
○政府参考人(上田茂君) 先ほどは患者調査による結果で七万二千という御説明を申し上げておりますが、いたしましたが、この精神障害者の社会復帰のサービスニーズにつきまして、精神障害者の社会復帰推進施策の基礎資料を得ることを目的として委託調査として現在実施をいたしております。
 具体的には、全国から抽出しました精神病床の在院患者、精神科外来通院患者及び精神障害者社会福祉施設の入所者、こういった方を対象といたしまして、また調査の趣旨について同意の得られた対象者に関し、本人が記入する調査とそれから主治医が記入する調査、これを併せて実施するものでございます。
 調査内容は、例えば入院患者の調査票におきましては、性、年齢、精神保健福祉手帳の有無、保有、診断名、病歴、本人の退院希望や主治医から見た退院可能性、精神症状の状況、障害の程度、日常生活能力、退院後の暮らしの場、退院後の必要な支援等でございます。調査は現在集計中でございまして、取りまとめた段階で私どもその結果を公表するということを考えております。
 また、精神病床あるいは在宅福祉に関する検討会、今後開催を実施することを予定しておりますが、こういった検討会の場の資料として活用させていただきまして、今後の精神保健福祉施策の充実に反映させていきたいというふうに考えております。
#103
○小池晃君 その調査、どこに委託されましたか。委託先を教えていただきたい。
#104
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 当初、全家連に委託予定でございましたが、全家連からの申出により委託を中止いたしまして、日精協に、日本精神科病院協会に委託しております。
#105
○小池晃君 日本精神科病院協会は社会的入院が七万人という見解に対してどのような見解を持っている団体なのか、御説明願います。
#106
○政府参考人(上田茂君) 実は、日精協におきましても、入院患者のいわゆる社会的入院、今後の退院が可能な患者につきましての調査が行われております。そういう中で、日精協の方もこういった患者さんがおられるということにつきましては認識され、ただ、日精協の調査の中で七万二千でなくまた別な数字というようなものを出されてもおります。
 したがいまして、今回はこういった調査を更に進める中で今後の対策を考えていきたいというふうに考えております。
#107
○小池晃君 日精協はもっと明確に言っているんですよ。昨年二月に皆さん方は、七万人という数字を社会保障審議会の障害者部会精神障害分会で報告されました。その直後に日精協の常務理事は、協会の雑誌の五月号で、机上の空論だと言っているんですよ。七万二千人の数字の算定根拠も明確でないと全面反論しているわけですよね。
 このように明確に、社会的入院七万人という数字にもう明確に異議を唱えているこういう団体に調査を委託して、客観的で公平、公正な調査ができると、そういうふうに考えるんですか。いかがでしょう。
#108
○政府参考人(上田茂君) 先ほど申し上げましたが、当初は全家連に予定でございましたが、先ほどの答弁のとおりでございます。この調査は、確かに日精協に委託をしているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、全国自治体病院協議会、あるいは国立病院・療養所精神科医師協議会、あるいは精神科医学講座担当会議、あるいは全国精神障害者社会復帰施設協会、こういった関係団体にも御協力いただきながら調査を行っているものでございますので、単に一団体ではなく、今申し上げましたように、幅広い関係者の協力を得ながら調査を進めているものでございます。
#109
○小池晃君 日本精神科病院協会は、昨年十一月の全国集会でこう決議文まで出しています。今回、一方的に七万二千人の社会的入院を持ち出してきた、このことは、国民に精神医療、特に精神科病院の現状を大いに誤解させるものであり、断じて容認できないと。もうはっきり、七万人という数字は容認できないとまで明確に言っている団体ですよ。そこに取りまとめをさせて、それでいいんだという説明は、これは成り立たない。
 副大臣、木村副大臣はこの全国集会に参加されているから、こういう決議が上がったことも御存じだったと思うんです。私、社会的入院の七万二千人という数を、これ、集会では断じて容認できないと決議されていた、副大臣御存じだと思いますよ。こういう団体に、その数が、再検討を委託すると。私は、これで公平、公正な調査と言えるのか、副大臣、ちょっと御見解を伺いたいと思います。
#110
○副大臣(木村義雄君) 御指摘の集会でございますけれども、私は確かに出席をさせていただいたのでございますが、私が、ごあいさつをさせていただいた後、都合がございましてすぐに退席をいたしたわけでございまして、その後どういう議論が行われたかは存じ上げない次第でございます。大変恐縮でございます。
#111
○小池晃君 極めて無責任ですよね。でも、今のもね、厚生労働省を代表して出たのに何が決議されたか知らないのかというのも無責任だと思いますが、私が聞いたのはそういうことじゃないんです。この問題ではっきり言っているわけですよ。もう七万人というのは駄目だと言っているような団体でしょう。そういうところに調査を依頼して公平と言えるのかと。
 私、この七万人という数字は極めて重要な数字だと思いますよ。だって、これからの日本の精神医療、精神福祉行政、左右する数字じゃないですか。この数によって、どれだけの施設や人員、整備するかの根拠になるんですよ。ですから、本来であればこんな調査は、私は厚生労働省が自ら責任を持ってやるべき調査だと。
 百歩譲ったとしても、そもそもこれは七万二千人という数の検証をすることが目的だったわけですから、その七万二千人という数字に異議を唱えている団体に調査を委託する、私はこれは全く筋違いだし、こういう調査に基づいて政策決定が行われていいのかということを厚生労働副大臣にお聞きしているんですよ。お答えいただきたい。
#112
○副大臣(木村義雄君) まず、やっぱり事実関係を確かめ、真意を確かめないとその辺のことがはっきり言えないわけでございまして、十分、もし、十分にその辺をまだまだ理解をしていないわけでございますので、そこは直ちに今お答えをしろといっても、これはよく分からないところでございます。
#113
○小池晃君 日精協が七万人に異議を唱えているというのは常識ですよ、これは。みんな知っていることですよ、運動団体もみんなそのことを指摘しているんですから。それを知らずに委託したんだとしたら、これは大変なことですよ。むしろその方が私、責任は大きいと思いますよ。
 利害関係が余りにも明白だ。これ、断じて認められない。こんな調査を基に提案されるような精神障害者の社会復帰施策など、私は議論の前提が失われているんじゃないかと思いますね。
 しかも、お尋ねしたいのは、この調査に対して、厚生労働省、委託費、幾らお払いですか。
#114
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 予算額は八千六百四十二万八千円でございます。
#115
○小池晃君 約九千万円であります。
 七万二千人の数字を糾弾し、その引下げを画策している団体に、私は調査を依頼すること自体が非常識だと思う。その上、これだけ多額の委託費を支払うなんというのは、本当、耳を疑います。
 日精協は、常務理事のコメントでこう言っているんです。日精協でなければ調査分析はできません、日精協独自の現状分析を行い、それに基づく提案を早急に行わなければならないと。こうまで言っていたんですから、何もお金払う必要ないじゃないですか。勝手にやってもらって、それで提案してもらえばいいんですよ。そういう団体に九千万円もの税金を出してわざわざ委託をする、これ、木村副大臣、こんなことをやって国民の納得、得られると思いますか。いかがでしょう。
#116
○副大臣(木村義雄君) 先ほどから申し上げておりますように、その七万二千人の件で日精協がどういう対応を取っているか、今初めて委員の御質問でお聞きしたところでございまして、そこは私が、急に答えよといってもなかなか判断しかねるところでございますし、さらに、その上にその委託金がどうだこうだ言われましても、それはどういう水準で支払われているのか、それはもう今日は全く初めての御質問でございますから、私にやぶから棒に言われても、それが高い水準であるのか安い水準であるのか、中身がどういう契約が行われているのか、それは全く存じ上げないところでございまして、そこは、急に言われてもそれはなかなかお答えしづらいわけでございますので、その点は御理解を賜りますようによろしくお願いを申し上げる次第でございます。
#117
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 まず、この調査につきまして、先ほど私、調査内容を申し上げました。この調査では、社会的入院者が七万二千ですとか、あるいはどのような数かというのではなく、あくまでも、私、申し上げましたが、これから入院の患者、精神障害者の社会復帰を進めるために必要な基礎データでございます。これが一点でございます。
 それからもう一点……
   〔小池晃君「駄目だ、さっき七万二千人の再検証の調査だって言ったじゃないか、答弁で。駄目だよ、そんなの。さっきの答弁と違いますよ。でたらめですよ、これ。駄目ですよ、答弁でたらめですよ」と述ぶ〕
#118
○委員長(魚住裕一郎君) 許可を得て発言してください。
 答弁してください。
#119
○政府参考人(上田茂君) いや、私、先ほどこういうふうに申し上げました。
 精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査は、精神障害者の社会復帰推進施策の基礎資料を得ることを目的として委託調査として実施したものということでお答えさせていただきました。
 もう一点は、確かに日精協に委託でございますが、これも、先ほど申し上げました国立大学ですとか自治体病院協議会ですとかあるいは社会復帰施設の協会、こういった各種の幅広い関係者に参加していただいております。それからまた、全家連もこの調査にも参加していただいておりますので、必ずしも日精協だけで行っているものではなく、こういった医療関係者の、精神医療関係者の、あるいは福祉関係者が一緒になって調査を進めている調査でございますので、その点についての御理解をよろしくお願いしたいと思っております。
 それからもう一点は、入院、対象者の施設についてはかなり幅広い調査を実施いたしておりますので、そういった費用を計上しているところでございます。
#120
○小池晃君 さっき言ったことを繰り返しただけです。しかも、私は七万二千人という数の検討はどうなっているのかと言ったときに、精神障害者社会復帰サービスニーズ等調査を行っておりますと答弁したじゃないですか。だから、これは七万二千人再検討するための検討だってさっき答弁したんですよ。でたらめなことを言わないでいただきたい。
 ところで、木村副大臣は、日本精神病院協会の政治連盟から二〇〇〇年には百三十万円、二〇〇一年には六十万円の献金を受け取っている。そして、衆議院の厚生労働委員会の答弁では、二〇〇二年度には百十万円。ですから、合計、あなたは日本精神病院協会政治連盟から合計で三百万円の政治献金を受け取っていることになる。
 衆議院の審議でも、この入院偏重の精神医療に対して批判があって、社会復帰を促進するというふうに政府は答弁してきました。しかし、その社会復帰促進のための施策に決定的な影響を与える調査を、少しでも不必要な入院の数を小さく見せたいというふうに思っている団体、当事者、病院経営者の団体にその調査を委託し、その上、九千万円もの税金を委託費として投入をした。そして、木村副大臣はその政治団体から三百万円の政治献金を受け取っている。これは絵にかいたような利益誘導じゃないですか。税金の還流そのものじゃないですか。あなたはそうでないというふうに国民に対して言えるんですか。
#121
○副大臣(木村義雄君) 私への政治献金は、これはまず政治連盟からの献金でございます。そして、その政治献金は適法に処理をさせていただいておるわけでございますし、大臣、副大臣、政務官規範にのっとり、決して、政治献金の有無にかかわらず、その政策がどうだこうだということは決してあるわけではございません。
#122
○小池晃君 あなたね、法律に直接違反しなければ何やってもいいということですよ。これは、ずっとあなた衆議院のときからそれしか答えない。政治資金規正法に基づいて届出をしているんだと、これだけですよ。結局、あなたは法律に違反しなければどんな疑惑を招くことをやっても構わないということじゃないですか。このように疑いを持たれることをやっておいて本当に恥ずかしくないのかというふうに思いますよ。
 もう一点、ちょっと厚労省にお聞きしますが、日精協への調査の委託契約は、これはいつ行われましたか。
#123
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 日精協との契約日は十二月十三日でございます。
#124
○小池晃君 何年。
#125
○政府参考人(上田茂君) 昨年。
#126
○小池晃君 昨年十二月十三日に契約をしたと。
 木村副大臣に確認をしたいんですが、これはもう答弁されていますので間違いないと思うんですけれども、昨年十一月に三十万円、十二月に五十万円の政治献金を日本精神病院協会政治連盟から受け取っている。間違いないですね。
#127
○副大臣(木村義雄君) 日精協政治連盟からは、先生御指摘の十一月に三十万円、十二月に五十万円の政治献金を受けているわけでございますが、日精協政治連盟はあくまでもこれは任意団体でございます。日本精神科病院協会とはこれはあくまでも別な組織でございますので、その点を十分に御理解いただきますようにお願いを申し上げる次第でございますし、政治献金は政治家の活動として法律上認められているものであり、政治資金規正法に基づき適正に処理をしているところでございます。
#128
○小池晃君 あきれた話ですよ。これは、昨年十一月に三十万円もらっているわけでしょう。そして、十二月に厚労省は日精協との委託契約を結んで九千万円支払っているんですよ。そして、その十二月に五十万円、あなた受け取っているんですよ。これ、どう考えたって委託契約の見返りの献金じゃないですか。こんなの言い逃れできませんよ。あなたこれでも、これだけの露骨な形で金を受け取っておいて、政治資金規正法に基づく届出をしているから問題ないというふうにあくまでおっしゃるんですか。こういうやり方であれば委託契約の見返りの献金だというふうに思われたって仕方がないと思いますが、いかがですか。
#129
○副大臣(木村義雄君) 先ほどから申し上げておりますように、政治献金は政治家の活動として法律上認められているものでございますし、政治資金規正法に基づきまして適正に処理をさせていただいております。
 私は、副大臣といたしまして、公共の利益のために職務を遂行してございます。我が国の司法精神医療の充実を図る観点からこれからも頑張っていかなければいけないなと、このように思っているところでございますけれども、決して一部の利益のため影響力を行使したことは断じてございませんし、先ほどから先生の御質問に答えているように、今回のその先生が御指摘になった今の委託の話は今日初めて聞いたわけでございまして、どうぞ御懸念がないように、どうぞくれぐれもよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
#130
○小池晃君 本当にむなしく響くだけですよ。これ、国民から見たら、こんな分かりやすい、こんな汚い金の動き方ないですよ。こういうやり方で金を受け取って政策決定が進んでいく、そして国民あるいは精神障害者の人権に深くかかわる精神医療の政策が決定されていく、あるいは法案が決められていく。こんなこと断じて国民は許しませんよ。私、これは重大な問題だと。
 それから、ちょっともう時間がないので、もう一つも、あなた、指摘したいんですが、昨年十一月のその精神病院協会の全国集会であいさつされていますね。ユダヤ人云々で大問題になったあいさつですよ。そのあいさつで副大臣、どういうお話しされているか覚えていらっしゃると思うんですが、こう言っているんです。
 ところで、ここに掲げられている心神喪失者等医療観察法案の早期成立でございますけれども、何とか頑張ってこの法案をできるだけ早く通したいなと思っているような次第でございます。とにかくこの法案が通らないことには、また皆様方からよく言われておりますいわゆる一般対策、これが見込みが立たないと言っても過言ではないわけでありまして、こういうことからもできる限りこの法案に、早期成立に一生懸命に頑張ってまいりたい。こういうふうにあいさつされている。
 お聞きしますが、この法案、成立しなければ精神医療や精神障害者の一般対策の見込みが立たないなどということは、あっていいはずないと私は思うんですね。精神医療や精神障害者の福祉政策というのは、この法案の成否にかかわらず全力で取り組まなければならないことなんじゃないですか。この法案が通らなければ一般施策が進まない、こういうことを言う。これは脅迫みたいなものですよ。副大臣ね、このような発言をあなた、されたんですよ。適切な発言だったと、これもおっしゃるんですか。
#131
○副大臣(木村義雄君) 御指摘の点はでございますね、精神病院協会の方々が常々一般精神保健対策の充実の必要性について主張されていることをこういう表現で紹介させていただいたものでございまして、この点は私の発言内容を十分によくごらんいただければ、なるほどそう書いてあるなというふうに御理解をいただけるのではないかと、このように思っているような次第でございます。
#132
○小池晃君 かなりこれは行政の施策をゆがめたあいさつだと私は思いますよ、どう考えても、これをしっかり読んでも。
 私は、国民の人権に深くかかわるこの法案を提出している責任者が関係団体との重大な疑惑を抱えている、そして公の場で政府の立場をゆがめる発言まで行っている。木村副大臣、私はあなたは担当副大臣として全く不適格だと思います。潔く辞任するべきじゃないですか。いかがですか。
#133
○副大臣(木村義雄君) これからも一生懸命厚生行政の進展に、微力ではございますが、尽力をしてまいりたいと、このように思っているような次第でございます。
#134
○小池晃君 ちなみに、この日精協の全国集会の参加者三百八十五名、国会議員の本人の参加だけで四十三名、全員与党なんですね。自民党の山崎幹事長を始め、厚労大臣経験者が多数参加している。こうした集会で、この法案が通らなければ一般施策が進まない、こういうあいさつをして支援を呼び掛け、しっかり献金を受け取っている。
 木村副大臣をめぐる問題、坂口大臣に最後にお聞きしたいんですが、これは日本精神科病院協会にかかわる問題だけじゃありません。九七年、柔道整復師の団体から要望を受けて圧力を掛けて、そして保険請求適正化の行政指導を見送らせたという疑惑も出ている。そして、その文書をめぐって厚生労働省内部で、ある文書がないというような話も出ているようであります。
 私は厚生労働大臣に伺いたいんですが、今日の問題も含めて、一連の木村義雄氏の言動を見る限り、私は厚生労働副大臣としての適格性を著しく欠くというふうに思わざるを得ませんが、大臣はどのようにお考えですか。
#135
○国務大臣(坂口力君) 木村大臣がこの日精協の大会に出席をいたしましたのは、これは本人が言っておりますように、政務として、いわゆる衆議院議員として出席をしているわけでございます。
#136
○小池晃君 副大臣として。
#137
○国務大臣(坂口力君) いえ、それで私はこれを調べたんですよ。大臣に出席依頼が来ていて、私が行けなかったから木村大臣に行ってもらったんなら、これは厚生労働省代表として行ってもらったことになる。ところが、調べましたところ、厚生労働大臣には招待状来ていないんですよ。ですから、これは木村大臣は御自身で行かれたということでございまして、そこは誤解をしてもらってはいけませんので──いや、いかに手を振られても、それはそういうことでございます。
 それで、ちょっと小池先生もいろいろなこと、余り関係付けていろいろなことをおっしゃり過ぎるんじゃないでしょうかね。
#138
○小池晃君 事実を言っているんですよ。
#139
○国務大臣(坂口力君) 現在の、今日のそのデータの話も我々、今日初めて、初めて、どこへそんなあったんだか、済みません、今日初めて僕らも知ったわけで、一切我々にそういう相談があったわけではありません。多分、木村さんもそういう相談はしてもらっていないんだろうと思います。
 したがって、もしこの日精協にそういう依頼をしたといたしましても、先ほど部長が答弁をいたしましたとおり、大学病院にも出している、あるいはまた公的な機関にも出しているということでございますから、そのデータを集めてきて見れば、日精協が一般の病院から集めたものと、あるいは公的な病院で集めたものとの違いがあれば、それは明確になるじゃないですか。
 だから、今回のこの問題につきまして、我々は我々として前回に集めました七万二千というのを一応今、目標にしながら、それを基にして、これからどうしていくかということを今やっているわけでありまして、もし一方的なデータが出てまいりましたら、それはそのときに分かるわけでありますから、私はそのときに明確になると思っている次第でございます。
#140
○委員長(魚住裕一郎君) 時間ですが。
#141
○小池晃君 委託の問題ですけれども、これ、委託じゃない、その集会の問題ですけれども、木村副大臣のあいさつは、日本精神科病院協会の雑誌でも、野田保守党党首、それから山崎幹事長の前にちゃんと紹介されているんですよ。これは政府代表としてちゃんと掲載されていますよ。後で御確認いただきたい。これはあくまでも、日精協の中では政府の代表としてのあいさつという受け止め方をされていることは間違いないということは申し上げておきたい。
 それから、各団体にお願いしたと言うけれども、それは調査票を回しただけで、だったら何で、このように明確に七万人というのは絶対おかしいというようなことを、旗印掲げているような団体に何で委託するんですかと、それには説明に全くなっていないということを申し上げたいと思います。
 私、そのほかにもいろんな疑惑出てきているわけですよ。もう正に厚労省版宗男疑惑みたいになっているわけでしょう、もう疑惑のデパートみたいになっているわけですよ。こういう副大臣をかばい立てする大臣も私は同様の責任があると、問われるということを厳しく警告をしておきたいというふうに思います。
 木村副大臣には改めて辞任を要求したい。そして、このような問題を脇に置いたまま本法案の審議を粛々と進めるわけにはまいらない、国会として疑惑の責任に全力を挙げるべきだということを申し上げて、私の質問を終わります。
#142
○西川きよし君 西川でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私は私の視点から、ひとつよろしく、いろいろ細やかな部分までお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
 まずは、民主党案の提出者にお伺いを申し上げます。朝日先生、よろしくお願いいたします。
 趣旨説明の中で、政府・与党の一連の動きは、全国各地で地道に取り組まれている障害者支援の活動に水を差すものとなったばかりか、新たな差別感情をあおることにもつながり、結果として障害者の社会参加を促進する動きを逆流させるものといった発言が先生の方からございましたですが、この発言の背景について先生の方から御答弁をいただきたいと思います。
#143
○江田五月君 お答えを申し上げます。
 まず最初に申し上げておきたいのは、本政府案の提出の森山法務大臣の御答弁によると、非常に重大なきっかけとなったのが大阪の池田小学校事件ですね。これについて小泉首相の発言もあったと。大変痛ましい事件だと。これはそのとおりで、そして精神的に問題がある人の医療法と刑法の不備なところを対応しなければならないと、こう言われて山崎幹事長に指示をしたと、こういうことでございます。
 しかし、この小泉発言というのは、これは結果的に重大な事実誤認だったわけですよ。つまり、犯人は今、被告人になって、この間、求刑もありましたよね。精神障害者でなかったわけですよね。それどころか、精神障害者をかたって、その前にいろんなことをやっておったと、そういう人であったわけで、それをもう、すぐに精神障害者の皆さんに大変な打撃を与えるような発言をされたというのは非常に軽率であったと思いますね。
 今、この小泉首相の発言だけでなくて、社会一般にも、あるいはこの国会の中でも、精神障害者は危険だから、だから野放しじゃいけないなんという言葉が使われるわけですね。閉じ込めていなきゃいかぬというようなことも言われる。これはしかし、危険だと言うこと自体がまず偏見で、で、閉じ込めていなきゃという、差別です。そういう偏見、差別がやっぱり社会の中にある。しかし、それでは本当の医療にならないので、やっぱり社会でしっかり受け止めて、そして社会の中でこういう皆さんも一緒に暮らせるように、そういう施策を取っていかなきゃならぬと。
 ところが、どうも政府のこの施策は、そういう社会内処遇をしっかりとレベルアップするというところに行かないわけですね。だけれども、その分を、言ってみれば地域のいろんな皆さんが一生懸命本当にもう大変な努力をして、精神障害者だけじゃありません、いろんな障害者の皆さんの社会の中での暮らしのために努力をしている人たちがおられるわけで、そういう皆さんからすると、もうこの池田小学校事件、小泉発言、そして今回の政府案、これは、自分たちが障害者の皆さんを地域で受け止めようという努力に言わば水を掛けるといいますか、あるいは逆なでするというか、そういうことになっていて、そしてみんな本当にこれはもうがっくりきたということであったわけで、それを申し上げたのが先ほどの委員御指摘の発言ということでございます。
#144
○西川きよし君 確かに、会館にも連日のように多くの精神障害者の方々が要請活動にお見えになります。そして、今お伺いしたような御懸念、いろいろお伺いするわけですけれども、大変皆さん心配をしておられますし、やはり私自身も今いろいろ答弁をお伺いいたしまして、精神障害者をお持ちの方々が不安を持たれたままでのこの新法の制定には問題があるのではないかなというふうにも思いますし、また、この点については政府はどのようにお考えなのか。
 大分前ですが、坂口大臣さんにお願いをいたしましたポリオの二次感染、五百八十万分の一という、でも本人にとっては一分の一であるというような、そういったお話もさせていただいたんですが、今回の法案でも大変細かい部分、双方から考えますと大変私自身も悩むわけですが、今御質問申し上げたこと、厚生大臣の方からよろしくお願いいたします。
#145
○国務大臣(坂口力君) 先生から今御指摘になりまして、江田先生からも民主党の立場でお答えあったわけでございます。御尊敬申し上げる江田先生でございますが、若干意見を異にいたしておりまして、私は私の立場からお答えをさせていただきたいというふうに思っております。
 精神障害者全体の問題につきましては、御指摘をいただきましたとおり、私はやはり後れているというふうに思っております、制度として。したがいまして、全体のレベルアップをしなければならない。
 先ほどからも御議論がありますように、ベッド数が多くて長期入院が多い、そして地域の受皿がない、あるいはまた精神医療そのものの中の機能分化というようなことも進んでいないというようなことがあって、これらのことの改革を行っていかなければならない、前提条件として。そういうふうに思っているわけでございまして、いよいよスタートをさせて、来年度予算から本格的にそれを始動させたいというふうに思っているわけでございます。
 その中で、御議論になっておりますように、またこの法律の中にございますように、心神喪失等の状態で重大な他害行為が行われる事実がありましたとき、被害者に深刻な被害が生ずるだけではなくて、精神障害を有する人自身に対しましてもその病状のために加害者になると大変に不幸なことが重なるということもあるわけでございます。
 したがいまして、そうした皆さん方に対しましては、完全に社会復帰がしていただけるような体制を整える、そういう思いを何度かさせないようにするということもまた大事ではないかというふうに思っておりまして、こうした制度を作らなければならないというふうに思っている次第でございます。
 継続的あるいは適切な医療を実施をする、あるいは病状の改善、そしてそれによって社会復帰ができるような体制、今まで社会復帰といいましても地域でそれを受けていただく皆さん方がおみえにならなかったわけでございますから、そういう地域で受けていただけるような体制を確立をしながら社会復帰をしていただくようにするといったことで、全体的なレベルアップをしていくというのが私たちの気持ちでございます。
#146
○西川きよし君 続きまして、もう一度、民主党案の発議者の皆さん方にお伺いしたいんですけれども、政府案では司法精神鑑定の在り方、司法と精神医療の連携、あるいは措置入院制度の実態等々、現行制度上の問題点は一切目を向けることなくという大変厳しい指摘があるわけですけれども、皆さん方が、専門家、そしてまた特に朝日先生、専門家のお立場から是非お答えいただきたいと思うんですけれども、それぞれの問題点、そして具体的にはどのような点をおっしゃっているのかというのをここでただしておきたいと思うんですが。
#147
○江田五月君 これも私からお答えをいたしますが、この現状ですね。まず、先ほどもちょっと申し上げました社会の偏見や差別、そういうものに言ってみれば裏打ちされて、あるいはこれを温存する、そういう制度が今あるんだろうと思います。そして、さらにそうしたものを温存する、あるいはそれを助長する制度を今作ろうとしているのではないかと私たちは心配をしています。
 制度としては、長期入院あるいは社会的入院が先ほどの七万二千人、地域のケアが非常に弱体である、そういったようなことがあるわけですね。そして、精神医療の現場の皆さんからこんなことが言われております。一つは、検察官の起訴、不起訴の判断がどうも恣意的になっているんじゃないかとか、あるいは二つには、偏った精神科医による安易な簡易鑑定が行われているんじゃないかと、これ、起訴前ですよね。あるいは三つには、刑事施設等の中での精神医学的な援助体制というのは非常に不十分ではないのかとか、あるいはまた精神保健福祉施策の立ち後れに問題があるなど、制度の不備より先にまず現行制度の運用に問題があるのではないかと、そうしたことがいろいろと言われております。
 そこで、不幸にして犯罪行為に該当するようなことになってしまったそうした人たちの施策として、起訴前の鑑定、これをもっともっとしっかりさせて起訴、不起訴の振り分けがちゃんとできるように、あるいは刑事手続の中での鑑定、これをもっとしっかりさせてそこで本当に的確な、あるいは確度の高いそういう鑑定ができるように、あるいは刑事手続、これは捜査の段階あるいは公判の段階、さらにまた刑の処遇の段階でもそうですが、全体にわたってもっと精神医療というものがしっかり行われるように、こうしたことがしっかり行われることが今一番必要なんじゃないかと。ということで、私ども、精神保健福祉法の改正、さらに起訴前の鑑定、そして裁判手続の中での鑑定、こういうものをしっかりさせようと、こういうものを法案として出し、さらに精神医療全体の底上げのための施策、これを提案をしたということでございます。
#148
○西川きよし君 時間の都合で最後の質問とさせていただきますが、いろいろ御指摘もございました。ただいまの御指摘、そして司法精神鑑定、司法と精神医療の連携、そして措置入院制度についてただいま御質問いたしましたこの質問を、御答弁は法務大臣そして厚生労働大臣から、政府側の見解として是非お聞かせをいただきたいと、このように思います。よろしくお願いいたします。
#149
○国務大臣(森山眞弓君) 今お話がございました精神鑑定につきましては、特に簡易鑑定に関して適正に実施されているかどうかなど、様々な御意見や御批判があるということを承知しております。
 法務省といたしましても、一層その適正な運用を図りまして、不十分な鑑定に基づいて安易な処理が行われているとの批判を決して招くことのないようにする必要があると考えます。
 このような観点から、専門家の意見等も踏まえながら、捜査段階において精神鑑定が行われた事例を集積いたしまして、精神科医等も加えた研究会等においてこれを活用すること、検察官等に対し、いわゆる司法精神医学に関する研修を充実させること、鑑定人に被疑者に関する正確かつ必要十分な資料が提供されるような運用を検討することなどの方策を講ずることを検討しなければならないと思っております。
 また、司法と精神医療について適切な連携を図ることが肝要でございます。特に、本法案における対象者である心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者に対する適切な処遇の確保、矯正施設等における適切な精神医療の確保など、様々な分野においてこれまで以上に司法と精神医療の連携を図ることが重要であると考えております。
 また、修正案にありますように、本制度の指定医療機関における医療について、司法精神医学の知見を踏まえ、その水準の向上に努めることが司法と精神医療の連携に資するものと考えております。
#150
○国務大臣(坂口力君) もう法務大臣からお答えいただきましたから十分ではないかというふうに思いますが、確かに江田先生がおっしゃいましたように、運用に不十分な点があるということは、それは私たちも反省をしていかなきゃならないというふうに、率直にそう思っているわけでございます。
 今お話ございましたとおり、特に司法と精神医療との連携というのは、これはやはり不十分であったその典型だというふうに思っておりまして、是非ここは改善を加えていかなければならない。とりわけ、医療の中でもこの司法精神医学というのは特に日本の中では未成熟であったわけでありまして、これは是非成熟をさせていかなければならない分野であるというふうに思っておるところでございます。
 それから、措置入院制度につきましては、これはもう法務大臣の方の御答弁にありましたから多くを申し上げませんけれども、その措置入院制度の運用につきましても、これは入院患者数でありますとか入院期間に大きな地域格差があることも事実でございまして、地域格差があるということはその基準が明確になっていないというふうに御指摘を受けてもやむを得ないというふうに思いますので、そこはそうしたことのないように私たちもしていかないといけないというふうに思っている次第でございます。
#151
○西川きよし君 ありがとうございました。
#152
○大脇雅子君 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案、これは他害行為者のみを特記いたしまして、司法の関与を行い、手厚い医療と社会復帰に向けて対象者を回復させていくというのが主たる筋道になっていると思います。
 問題は、家裁における少年事件の付添人のように、いわゆる付添人の権利行使が非常に限定的であるということが言われてきたわけであります。身柄の拘束を行うという、国民の基本的な権利というものが十分に保護されるかどうか、そのために弁護権がどれだけ十分に保障されているかということが重要であろうかと思います。
 粗雑な事実認定で、ただでさえ冤罪の可能性が高い精神障害者の事件については、弁護権を十分に保障するシステムを確立するということが必要であると考えますが、法務大臣の所見を伺います。
#153
○国務大臣(森山眞弓君) この制度におきましては、不起訴処分をされた対象者について裁判所が対象行為の存否の確認を行うことにまずしておりますが、この対象行為の存否の事実認定は、刑事訴訟手続ではなく、裁判所が必要と認める場合に、職権により証拠調べ等を行う審判手続によってこれを行うこととしております。また、この制度において、最初の処遇の要否、内容を決定するための審判において対象者に弁護士である付添人を必ず付することとしている上、付添人に対し、審判への出席権、意見陳述権、資料提出権、処遇事件の記録又は証拠物の閲覧権、決定に対する抗告権を認めるとともに、入院患者の退院許可や通院患者の処遇終了の申立て権を認めるなど、対象者の適正な利益を保護するために様々な権利を保障しております。
 この制度は、刑罰に代わる制裁を科することを目的とするのではなくて、その手続としては、裁判所が適切な処遇を迅速に決定して、医療が必要と判断される者に対してできる限り速やかに手厚い専門的な医療を行うことが重要であるということから、刑事訴訟手続より柔軟で十分な資料に基づいて適切な処遇を決定することができる審判手続によることが最も適当であると考えたからでございます。
 そこで、この本制度については裁判所が事実の存否を職権で探知する審判手続を採用することにしたのでございますが、弁護士である付添人に種々の重要な権利を認めまして、これによって対象者の適正な利益が十分保護されるものと考えているわけでございます。
#154
○大脇雅子君 今、様々な付添人の権利の保障状況を御説明いただきましたが、私は、やはり対象者からの非常に事情聴取の困難もあることから、この手続の中で患者の権利というものがどれだけ保障されるのか、とりわけ対象者の収容に対する拒否権というものを付添人がどのようにきちっと弁護できるのかということが非常に重要だと思います。様々、今言われました付添人の権利というものは、証人尋問の請求ができないとか警察や検察庁が作った調書のチェックが同意、不同意でできないとか、様々な手続的な保障として十分ではないと、むしろ権利性がないということが一番大きな問題ではないかということを考えます。裁判官の人権保障機能というものの何をチェックできるかということが非常に問題であり、収容の方向に流れていくということをどうチェックできるかということが実務としては非常に不安なところがございます。
 この点について再度、そうした付添人の権利性についてもう少し強化をしていく、あるいは留意する見解があるかどうか、お尋ねをいたします。
#155
○政府参考人(樋渡利秋君) そういうような見解を聞くことはございますが、この制度につきましては、先ほど大臣が御説明申し上げましたように、本制度はその対象者が社会に復帰するための治療を受けさせるかどうかということの審判でございまして、そのような審判におきましては、刑事訴訟よりは柔軟な審判手続によって事実の存否も含めて処遇の要否を決めていくのが適当であるという観点からこのような制度にしたものでございます。
#156
○大脇雅子君 実務におきまして、処遇事件の性質に反しない限り様々な権利の行使が許されているということから、このような諸点に対する厳密な検討が司法で、この司法手続で、司法手続と言うと問題ですが、司法の関与で審判決定の手続において遂行されることを望むものであります。
 精神科医として専門性を持たない裁判官が判断をするということでありまして、対象者の家族が社会復帰の責任を負うことができないような場合というのは、生活訓練施設とか福祉ホームとか授産施設とか福祉工場とかあるいは地域支援センターもないような自治体におきましては、社会復帰施設のある自治体とそうでない自治体ということの場合、その施策いかんによって対象者が不公平な取扱いを受けることも予想されますが、その点に関する御所見はいかがでしょうか。
#157
○政府参考人(樋渡利秋君) 精神障害者社会復帰施設の充実等の精神保健福祉全般の水準につきましては、衆議院における修正により、その向上を図るべき政府の責務が本法案の附則に明記され、また厚生労働省からもこれらに努めていくとの御決意を伺っているところでございまして、本法案の成立により今後これらが更に推進されていくものと考えております。
 そもそも本制度におきまして、裁判官と精神保健審判員による合議体は、対象者について、対象行為を行った際の精神障害を改善し、これに伴って同様の行為を行うことなく社会に復帰することを促進するため、この法律による医療を受けさせる必要があると認められるか否かによって処遇の要否、内容を判断するものでありますところ、この判断に当たっては、対象者の生活環境も考慮されることとなり、その内容としましては、当該対象者の居住地の状況、家族の状況、家族の協力の意思の有無、程度等のほか、対象者が利用可能な社会復帰施設を含む社会資源があるか否かという事情も含まれ得りますが、このような事情は継続的な医療が確保されるか否か等を判断するための種々の考慮要素のうちの一つでございまして、御指摘のように、対象者の居住する自治体に精神障害者社会復帰施設があるか否かによりまして直ちに審判の結果に差が出るというものではないと考えております。
#158
○大脇雅子君 そうした点で不公平な取扱いが現実に受けることがないよう私どもとしては危惧をしながら、その対象者の権利の侵害がないように望むものであります。
 さて、刑事手続における鑑定の問題点についてお尋ねしますが、簡易鑑定については地域差や精度差や個人差等によって様々な格差というか落差があるということで、公平な鑑定がなされるかどうかということについて様々な危惧が述べられてまいりました。そうした意味では、公平、公正な鑑定がなされるためのガイドラインというものを作るべきであると考えますが、その点についての作業はどのようになっておりますでしょうか。
#159
○政府参考人(樋渡利秋君) いわゆる責任能力鑑定は、刑事手続におきまして被疑者、被告人の責任能力の有無、程度を判断するため、個々の事案ごとに裁判所の命令又は捜査機関の嘱託により専門的な学識経験を有する者が行うものでございます。
 いわゆる本鑑定、簡易鑑定という用語は法令上のものではございませんが、一般に、被疑者、被告人を鑑定留置した上で行われる鑑定を本鑑定、それ以外の鑑定は簡易鑑定と呼称されているところでございます。
 責任能力の鑑定の具体的な手法は鑑定を行う精神科医が決定しているものと承知しておりまして、精神科医におきましては、その専門的知見を踏まえ、事案の内容、性質、被疑者の供述や心身の状況等、様々な事情を総合的に考慮しつつ、個々の事例に応じ、問診や必要な医学的検査を行っているものと承知しております。
 したがいまして、精神鑑定の実施方法につきましては、事柄の性質上、検察当局において基準等を一律に決め得るものではございませんが、検察官側におきましても、鑑定医に対する資料提供等を行う上で鑑定が適正になされるよう配慮すべきことは当然でございまして、このような観点から、今後、精神科医を加えた研究会等の議論をも踏まえ、鑑定の更に適正な実施を図る上でどのような方策が有益かについて検討してまいりたいと存じております。
#160
○大脇雅子君 法案では鑑定入院というのは最大三か月ということですが、これは、どこ、指定病院で鑑定をすることになるのでしょうか。そして、その間の医療が中断され、あるいは遅れたりすることが危惧されておりますが、その間の対象者の医療はどのように確保されるのでしょうか。
#161
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 鑑定入院先の医療機関につきましては、国立あるいは都道府県立の精神病院、又は精神保健福祉法上の指定病院でありまして急性期や重症患者の治療等について十分な経験を有する医療機関が望ましいと考えておりまして、このような医療機関の御協力が得られるように努力したいというふうに考えております。
 また、鑑定入院は、鑑定その他医療的観察を行うことを目的としておりまして、この目的を踏まえつつ、対象者に対しまして、病状が急性期にある場合には症状の悪化を防ぐために投薬を行う、こういうことですとか、あるいは治療の効果を高める、確かめるため、その経過を観察するために精神療法を行うことなど、このように必要な医療が行われることとなります。
 なお、鑑定入院先の医療機関におきましても、医師を始めとします医療の担い手は、医療法上、「医療を受ける者に対し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。」とされておりまして、当然、鑑定入院中の患者に対して適切な医療が行われるものと考えております。
#162
○大脇雅子君 社会復帰に関しまして、精神保健観察官の名称を社会復帰調整官に変更されたという修正案については、非常にその法の目的から妥当だと考えるものであります。
 しかし、保護観察所の社会復帰調整官による実施計画というものが策定されるわけですが、これは医療と福祉のバランスを取ることが必要だと考えれますが、具体的にこの実施計画というのはどのように策定されていくのでしょうか、お尋ねをします。
#163
○政府参考人(津田賛平君) お答えいたします。
 処遇の実施計画の作成に当たりましては、保護観察所は、地域社会の処遇に携わります指定通院医療機関、都道府県、市町村等の関係機関と十分に協議をいたしました上で、例えば指定通院医療機関による医療につきましては、通院の頻度でございますとか訪問看護の予定等、これを定めます。保護観察所におきます精神保健観察につきましては、訪問や出頭による面接の頻度等を定めます。それから、都道府県、市町村等による援助につきましては、社会復帰施設等の利用でございますとか福祉的措置の内容等をそれぞれ定めることといたしておりまして、これによりまして、個々の対象者の病状や生活状況に応じて必要となる処遇の具体的内容を明確にして、また各機関の役割分担を明確にいたしますとともに、計画的で、かつ効果的な処遇が行われるよう調整することといたしております。
#164
○大脇雅子君 保護観察、刑事手続の保護観察と比較するということは必ずしも妥当ではないかと思いますけれども、保護司や民生委員の地域的なネットワークなど、保護観察において蓄積された今までのノウハウというものはあるわけであります。
 関係機関との連携の確保など、今、十分に協議と言われましたが、更に具体的にそうしたノウハウの蓄積等、検討をされているのかどうかということについてお尋ねします。
#165
○政府参考人(津田賛平君) お答え申し上げます。
 本制度におきましては、対象者の円滑な社会復帰を図りますために、保護観察所は地域社会におきますいわゆる処遇のコーディネーター役を担いまして、対象者にとって必要な援助等が得られますよう、指定医療機関や都道府県、市町村の関係機関相互間の連携の確保に努めることとしておりますが、保護観察所は、御指摘のように、これまで保護司による平素の地域活動などを通じまして、精神障害者の社会復帰に協力される個人や民間団体などの社会的資源に関する情報も持っておりますので、今後とも、これらの情報を適時適切に活用するなどして、関係機関、団体との連携の確保に当たることといたしております。
#166
○大脇雅子君 触法行為を行った精神障害者にとっては、適切な治療と同時に温かいケアを地域で行うということが私は重要であろうと思います。
 対象者の自立に向けて、地域医療と福祉のサポートのネットワークの構築ということなしにはこの実施計画というものは効果を上げないと思いますが、こうしたサポートネットワークの構築について、どのようなこれから努力をなさっていくのでしょうか。
#167
○政府参考人(津田賛平君) 対象者の自立と社会復帰を促進するためには、ただいま御指摘のとおり、地域社会におきます関係機関相互の連携が極めて重要であると考えております。
 本制度におきましては、地域社会における処遇に携わる医療機関や精神保健福祉センター、保健所等の関係機関相互の連携を確保するため、保護観察所が、先ほど申し上げましたように、地域社会におけるコーディネーターとしての役割を担いまして当たっていきたいと思っております。
 具体的に申し上げますと、保護観察所は、これら関係機関と協議をいたしました上で地域社会における処遇の実施計画を作成することといたしておりまして、その適正かつ円滑な実施を図るため、対象者の病状や生活状況等の情報を関係機関と交換し、あるいは随時、処遇会議を開くなどして情報の共有化を図るほか、実施計画に定められました処遇の実施状況を把握して、必要に応じ、処遇の適切な実施を各機関に要請するなどして緊密な連携を図ることといたしております。
#168
○大脇雅子君 本件においては、いわゆる手厚い医療がどのようにしてできるかということで、絶対的な要件としては精神医療の底上げが必要だということになっております。医療法施行規則第十九条における病院の従事者数の標準によって、患者四十八人に対して医師が一人でもよいという精神病床の人員配置というものは、これは現実の問題として、軽い患者が重い患者の面倒を見るというような民間精神病院があるということがつとに指摘されておりますし、これは正にハンセン病と同じ問題を含んでいるのではないかということであります。
 これまで、こうした医師の一般的な病棟との格差というようなものについても指摘されておりますが、何度でも改定の機会があったにもかかわらず、現在もこの特例が維持されている理由はどこにあるのでしょうか。
#169
○政府参考人(上田茂君) ただいま議員御指摘のいわゆる精神科特例につきましては、旧医療法の下、厚生省事務次官通知によりまして、主として精神病、結核等の患者を収容する病室を有する病院について一般の病院よりも低い人員配置基準の適用を認めていた制度でありますが、平成十二年の医療法改正に伴い廃止し、新たな基準を設けたところでございます。
 このような人員配置基準が認められてきたその背景でございますが、精神疾患についてその多くが必ずしも積極的な医療を必要としないと、このように考えられていたということもあるものというふうに推測されるところでございます。
#170
○大脇雅子君 最後に、大臣にお尋ねいたしますが、インフォームド・コンセントや情報開示も行われていない病院もある、そして社会復帰の支援を始めとする精神福祉施設も十分ではない、そして精神病者に対する偏見や社会の中でできてしまった精神医療に対する黒いイメージといったものを結局は払拭しない限りは、こうした法案が隠れた保安処分になってしまうという危惧は一般的に言えるわけであります。池田小学校の場合もこれは人格障害の問題だということも言われてもおりますが、精神医療、福祉に対する現状認識とその抜本的改善に対する大臣の決意をお伺いいたしたいと思います。
#171
○国務大臣(坂口力君) 精神医療につきましての後れというものは御指摘のとおりでございまして、これを是非改善をしなければならないというふうに思っております。とりわけ、精神病院内におきますインフォームド・コンセントでありますとか、様々な問題があるわけでございまして、そうした問題の一つ一つをやはり解決をしていくということになりますと、やはり人の配置の問題に突き当たってくるということは先ほど御指摘をいただいたとおりだと私も思っております。
 しかし、これはもう悪循環でございますが、地域での受皿を作らないということがまた病院の過剰入院といったようなことに結び付いてきておりますし、そしてまた、そのことがまたインフォームド・コンセントを始めとして病院内の質の問題にも結び付いてきているというふうに思っている次第でございまして、ここをこの際に断ち切らなければいけないというふうに思います。
 精神科の先生は、現在のところ、全体で見ますとやはりかなり不足をしているんだろうというふうに思います。やはり、もっと精神科を目指す先生方が増えていただいて、そうしてもっと少ない患者さんの収容で、そこで十分な医療を行っていただけるようにやはりしなければいけない、看護師さんもそのとおりというふうに思っているところでございます。そうした問題の第一歩に今回これをしないことにはいけない。
 これは、現実問題としてかなり財政的に大きな負担になる話ではないかというふうに思いますけれども、一方、それは入院の患者さんを減らすということにもなるわけでございますから、プラマイどうかということにもなるわけでございますが、私は、全体としてやはり人の配置をより多くするということは、それは財政的には負担になるというふうに思いますけれども、しかし、この際にこれはやり遂げなければならない分野の一つというふうに自覚をしているところでございます。
#172
○大脇雅子君 終わります。
#173
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
 心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律案について、私、本日最後の質問者でございますが、質問させていただきますのでよろしくお願いいたします。
 一昨年の六月に大阪の池田小学校において多数の児童の尊い生命が奪われるという非常に痛ましい事件があったわけです。そして、その事件が今回のこの法案の策定の直接的な原因にもなったとも言われております。その事件の容疑者であります宅間被告に対しましては、今月二十二日、検察は、我が国の犯罪史上においても特筆されるべき凶悪かつ重大な無差別大量殺人と断罪して、死刑が求刑されました。
 また、先週、五月二十二日の木曜日には、九七年に起きました神戸市須磨区での小学生連続殺傷事件で関東医療少年院に収容中の男性が年内に仮退院する可能性が高まったとして、その被害者の父親が初めてテレビカメラの前でインタビューに答えておりました。大臣もごらんになったかと思います。
 このような世間を震撼させた凄惨極まりない事件は憎んでも憎み切れないものであります。そして、その被害者や遺族の心の内はいかばかりか、想像できないところだと思いますが、今までこの委員会におきまして加害者の人権に配慮する様々な議論が行われてきましたが、私は、こうした犯罪被害者やその遺族の方々の思いに対してもやはりこたえていかなければならないと思っております。
 その観点で質問をさせていただきたいと思いますが、今回の、先ほど例に挙げました大阪の池田小学校事件の被告、そして神戸の小学生連続殺傷事件を起こした当時少年は、仮に今回審議されておりますこの法案が成立して、この制度がスタートしていたとしてもその対象とはならないようではございますが、もし仮に、こうした重大な事件を起こした者がこの制度の対象になった場合だと仮定しましても、法案の四十七条、裁判の傍聴や、四十八条、最初の裁判の結果通知に規定された対策だけで被害者の遺族の感情や人権にも配慮した制度となっていると言えるのか大変疑問に思っております。加害者が退院する場合や、この制度における処遇が終了する場合についても、被害者若しくはその遺族にきちんと情報が提供されるような仕組みとすべきではないかと考えますが、大臣の見解を伺います。法務大臣。
#174
○国務大臣(森山眞弓君) 今、先生が例に挙げられました二つの事件は大変痛ましく世間を震撼させたものでございまして、このようなことが二度とあってはいけないという気持ちが非常に強うございました。
 しかし、精神障害を持った方が重大な他害行為をするということは前から時々ございまして、その折々に問題になったものでございまして、何とかしなければいけないという気持ちの人がたくさんおりまして、そのたんびにどうしたらいいかという議論が巻き起こったわけでございます。
 その中の一つとして、十数年前あるいは十年ぐらい前、二回にわたって、法務省でも何かやることはないかと、できることはないかと考えて、法案の提案にこぎ着けたこともあったのでございますが、なかなか議論が熟さなかった、あるいは環境が十分ではなかったということもありまして、それが実現はいたしませんでした。
 しかし、被害者の方のお気持ち、あるいは世間全体に与えたいろんな問題を考えますと、何とかしなきゃいけないというものはそのまま残ったわけでありまして、池田小学校事件の半年以上前に、厚生労働省と法務省において、法律と、あるいは精神衛生あるいは福祉の面からできることはないかという相談が既に始まっていたわけでございます。
 その後、半年ぐらいたって池田小学校事件も起こり、結果として、鑑定等の結果、その犯人はこのような者ではないということが分かりましたけれども、そういうことが時々世の中にあって、世間を騒がし、多くの方が被害に遭い、あるいは問題になるということが変わらないことでありますので、これを法律の面から、あるいは精神衛生の面から十分なケアをして、本人が無事に立ち直るように、また被害者の方にも落ち着いていただけるようにというようなことで考えてまいったことでございまして、これが政府の提案となり、また各党もそれぞれお考えいただいて真剣な議論が行われているということは、大変一歩前進であるというふうに私は評価しているわけでございまして、是非、できれば政府提案の法案が皆様にお認めいただいて成立できますように願っているところでございます。
#175
○森ゆうこ君 御答弁いただいたわけですけれども、私の質問には直接お答えはいただいていないかと思います。
 細かく通告はしておりませんけれども、関連してもう少し伺いたいんですが、大臣に。
 先週、先ほど申し上げました神戸市須磨区で起きました小学生連続殺傷事件の、その当時少年でございましたけれども、その被害者の父親が初めてテレビのインタビューに答えたわけですが、そのときに、この加害者が今秋ですね、この秋に、今年中に退院する、社会復帰するであろうということを、その情報を法務省に提示を求めたわけですね。その段階ではなかなか前へ進まない、その情報を得るだけでも随分被害者の父親は苦労をしたというようなこともありました。
 そういう意味で、加害者の人権には最大に配慮をされていると、その一方で、やはり被害者の人権はどうなのかなということを考えますと、バランスを欠いているのではないかなというふうに思われますが、先ほど質問させていただきました加害者が退院する場合や、そしてこの制度における処遇が終了する場合において、きちんとやはり被害者にもお知らせすべきではないかと思いますけれども、その点についてきちんと御答弁いただきたいと思いますが、お願いいたします。
#176
○国務大臣(森山眞弓君) 御指摘のように、重大な犯罪の被害者やその御遺族にとりましては、犯罪によって受けた衝撃や悲しみは容易にいえるものではございませんで、私としても、そうした被害者や遺族の方々に常に心に止めて職務に当たらなければならないと考えております。
 ところが、この制度におきましては、当該対象者の精神障害の類型や過去の病歴、現在の病状、治癒状況、治療状況、予想される将来の症状といった対象者の精神の状態等に関する事実が審判で取り上げられることになりますが、その性質上、そのような事実は対象者のプライバシーに深くかかわりまして、当該対象者の社会復帰に与える影響をも考えますと、このような事実を他人にすべて知らせるということは本来慎重でなければならないというふうに思っているわけでございます。
 一方で、重大な他害行為の被害者にとっては、当該対象者の処遇がどのように決定された、また、あるいは実際にどのように処遇されているのかということを、強い関心をお持ちになることも理由があることでございますので、例外的に重大な他害行為の内容や当該対象者の具体的な処遇内容の決定に関する審理が行われる最初の処遇の要否、内容を決定する審判につきましては、被害者等による傍聴を許し、申出があるときは被害者等に対象者の氏名や決定の主文、理由等を通知することとしているわけでございます。
 しかしながら、その後の退院の可否等に係る審判につきましては、重大な他害行為に関する審理が行われるわけではないし、一般に当該対象者が重大な他害行為を行ったときからある程度の期間が経過しておりますので、かつ当該対象者の一般社会への復帰も近づいているということも考えますと、その円滑な社会復帰を図るとの観点からも、これらの審判については傍聴を認めないということが適当ではないかと考えられますので、これを認めないことにいたしたわけでございます。
 しかし、保護観察所におきまして対象者の生活環境の調整を行うに当たりまして、対象者の社会復帰の促進等に十分に配慮しながら、個別具体的な事情を踏まえて、被害者等の心情を確認するなどの必要があると認められる場合には、退院させることとなる事情等を含め、必要な事項を被害者等に説明することもあり得ることでございまして、またその際に被害者等が不安等を訴えた場合には、それに真摯に耳を傾けるということも、その不安を取り除くように努めるということも非常に重要なことでありますので、誠実に対応していきたいというふうに考えております。
#177
○森ゆうこ君 とてもよく分かる答弁だったのかなと、ちょっと分からないんですが、要は、この表にしていただきました、今回の法整備についてね。被害者の、そしてまたその御遺族の権利というのはここだけなんですね。傍聴って書いてあるんですが、その最初の処遇の決定の傍聴だけ。やはりこれではいかがなものかと思うわけです。
 そして、加害者から被害者を遠ざけることが本当にいいことなのか、私はこれに対して疑問があるんです。
 大臣も行かれたのではないかと思うんですが、三月に命のメッセージ展というのが国会内でございました。もちろん、これは重大な犯罪を犯した精神の障害者による犯罪によっての被害者ではなくて、様々な被害者、犯罪による被害者、凶悪な犯罪や悪質な交通事故、そしていじめによっての自殺などで理不尽に命を奪われた人々の御遺族が中心となって、被害者の等身大の大型パネルと、そして靴ですね、靴が置いてあったわけです。
 私は、ここで、十五歳の息子さんを暴行殺人で失われて、現在ではNPO法人の犯罪被害者支援の会の代表理事を務められている飯島京子さんとお会いしましていろんなお話をさせていただいたんですが、飯島さんは、被害者として加害者を恨むのではなく、深い愛情を持って子供たちを更生させたいと考えて、少年院を訪問する活動をされているんですね。そこで飯島さんがいろいろ、少年院にいる子供たち、犯罪を犯した少年たちにいろんなお話をする中で、初めてその少年たちが自分が罪を犯したんだということを認識し、そして自分の犯した罪の深さを悔い、そして自分が罪を犯したことによって悲しんでいる被害者の家族がいるんだというところに初めて思いを致すことになると。
 ですから、被害者と加害者を引き離しておいただけではその人たちは本当に罪を認識することはできないのじゃないかというふうに思います。この犯罪を犯した、今回の心神喪失等で犯罪を犯した方たちについてもある意味そういうことも言えるのではないか。何も分からない状態ではなくて、一方できちんとやっぱり罪を償いたいと思っている方たちもいらっしゃる。そういう意味で、今回の提案されている法案ではここでしか認められていない。いろいろな面で配慮されると今ほど大臣は答弁されましたけれども、今後もそういうことについていろいろ考えなければいけないと思っております。
 そのことについても一言コメントをお願いしたいということと、そして、通告していなくて大変申し訳ないんですが、そもそも現行のこの刑法というのは、最近多発しております通り魔ですね、その殺人という行為そのものを目的としている、しかも計画されている、そういう大量殺人、通り魔殺人というものを想定しているものなのでしょうか。非常に唐突にこういう質問して大変申し訳ないんですが、これ、非常に私、今疑問に思っておりまして、通告していなくて申し訳ないんですけれども、答えをお願いしたいと思います。
#178
○政府参考人(樋渡利秋君) 人を殺害する故意を持ちましてそういう行為に及ぶこと、これは刑法百九十九条の殺人行為でございます。ただ、今言われましたような通り魔というような呼び名がこの明治に作られたときにあったかどうかということはまた別でございまして、しかしながらどういうようなことであれ、人を殺すというような行為に走ることは殺人行為として認識されているところでございます。
#179
○森ゆうこ君 大臣は。
#180
○国務大臣(森山眞弓君) 今、先生の御質問がどういう御趣旨なのかちょっとよく分かりませんけれども、法律の意味は今、刑事局長が申し上げたとおりだと思います。
#181
○森ゆうこ君 唐突にする質問ではないというふうに今、同僚委員から言われましたけれども、今後こういうことについて一度きちんと、私は法務委員会に属しておりませんけれども、議論が必要なのではないかなと思っております。そもそも、通り魔殺人というもの自体は条文に規定されていないわけでして、一方、こういう犯罪の被害者も目に見えて増えているような状況もございますので、今後の問題点ということで提案させていただきました。
 次の質問に移らせていただきたいと思うんですけれども、もう、少し時間がなくなりました。
 先ほど大脇委員の方から社会復帰調整官による実施計画ですね、処遇に関する実施計画について少しお尋ねがあったんですけれども、私、一点だけ確認させていただきたいんですが、どうもイメージがよく浮かばなかったんですが、要するに、社会復帰調整官というのは、今あります介護保険のケアマネジャーのような存在というふうに考えてよろしいんでしょうか。そして、この社会復帰調整官が言わばケアプランを策定するというふうなイメージでよろしいのでしょうか。その点についてだけお答えいただきたいと思います。
#182
○政府参考人(津田賛平君) 保護観察所に置かれます社会復帰調整官でございますが、社会復帰調整官は、当初の審判の段階では生活の調査、それからその後は退院を目指しまして生活環境の調整ということをやりますし、その後、精神観察ということを行うことになっておりまして、この制度の始めから終わりまでずっとある程度把握するという立場にございます。そのような意味で、通院治療を与えるときにおきましてコーディネーターといたしまして関係機関と連携を取りながら対処していくと、このようになっております。
#183
○森ゆうこ君 そのような説明は先ほどいただいたんですが、要するに、多少の違いはあれ、介護保険のケアマネジャーのような存在か、そしてケアプランを策定するというような感じなのかと、イメージをお聞かせ願いたかったんですけれども、いかがでしょうか。
#184
○政府参考人(津田賛平君) 処遇いたしますためにはこの実施計画というものを策定するわけでございまして、この実施計画を策定する理由は関係機関が、どの関係機関がどのような処遇をしていくかということにつきまして、それぞれの関係機関の間に情報の共有を図りまして意思の統一を図るとともに、その関係機関がどのような処遇をしていくかということを定めるということでございます。
#185
○森ゆうこ君 質問の通告に来ていただいたときには、そのようなものと考えていいというようなお返事もいただいていたんですけれども、もっと分かりやすくさせたいがためにこういう質問をしているわけですから、きちんと答えていただきたかったと思いますが。
 私、地域で様々なボランティア活動をやってきた経験上、いわゆる統合失調症の方、それからうつ病にかかった方、そういういろんな方の、言わばここでうたわれております地域社会への復帰ということをお手伝いさせていただいた経験がございます。特別偉そうなことをやったわけではなくて、地域の保健婦さんから依頼されていろんなボランティア活動にそういう方たちを、参加して一緒に見守りながら参加していただいたと。その中で、やっぱり自分が役に立つ、社会にとって有用であるということで自信を持って、そして地域社会にまた復帰されたという経験が大変ありまして、そういう意味で私は、今回のこの社会復帰調整官というものも大切なんでしょうけれども、この中で、本当に地域のそういういろんな意味でのケアをまとめている方というのに保健婦さん、保健師さんになりましたけれども、ちょっと味気ないネーミングだなと私は思って残念だったんですが、保健師さんですね、保健師さんの役割が大変重要だと思うんです。
 坂口大臣が先日、SARSで日本の公衆衛生は中国に比べて高いというふうなお話、だからSARSがそんなに急速にというふうなお話を何かテレビでされていたらしいんですけれども、それも、その日本の公衆衛生が向上したのも、やはり保健婦さんたちの活動、地域でのそういう活動というのが大変大きかったわけですね。
 そういう意味で、今後、その地域への復帰ということについて保健師さんの果たす役割はますます重要になってくると思うんですけれども、本法案の施行を踏まえ、保健所の保健師に期待されている、役場の保健師に期待されている役割、そしてその人的拡充を図っていくべきと私は考えますが、御所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#186
○政府参考人(上田茂君) 保健所あるいは市町村等で勤務します保健師は、専門的な知見と技術に基づきまして地域住民の保健指導等に従事しておりまして、また地域の精神障害者に対しましても、医療機関等との連携の下、保健指導ですとか社会復帰支援等を行っております。このため、本制度による通院患者に対しましても、社会復帰調整官と連携をしつつ、保健指導などの面において重要な役割を担うこととなることと考えております。
 なお、保健所及び市町村の保健師につきましては、平成十三年度から十六年度までに千三百五十五人の増員を行うことができるよう所要の地方財政措置が講じられているものと承知しているところでございます。
#187
○森ゆうこ君 じゃ、終わります。
 ありがとうございました。
#188
○委員長(魚住裕一郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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