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2003/06/12 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 環境委員会 第15号
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2003/06/12 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 環境委員会 第15号

#1
第156回国会 環境委員会 第15号
平成十五年六月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         海野  徹君
    理 事
                大島 慶久君
                清水嘉与子君
                段本 幸男君
                小川 勝也君
                高橋紀世子君
    委 員
                愛知 治郎君
                小泉 顕雄君
                山東 昭子君
                真鍋 賢二君
                山下 英利君
                小林  元君
            ツルネン マルテイ君
                福山 哲郎君
                藁科 滿治君
                加藤 修一君
                弘友 和夫君
                福本 潤一君
                岩佐 恵美君
                田  英夫君
   国務大臣
       環境大臣     鈴木 俊一君
   副大臣
       環境副大臣    弘友 和夫君
   大臣政務官
       環境大臣政務官  望月 義夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大場 敏彦君
   政府参考人
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       水産庁長官    木下 寛之君
       環境省総合環境
       政策局長     炭谷  茂君
       環境省自然環境
       局長       岩尾總一郎君
   参考人
       国際協力銀行理
       事        森田 嘉彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(海野徹君) ただいまから環境委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、水産庁長官木下寛之君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省自然環境局長岩尾總一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(海野徹君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に国際協力銀行理事森田嘉彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(海野徹君) 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○小泉顕雄君 おはようございます。よろしくお願いをいたします。
 環境問題が大変深刻な中で、種の保存ということを通して生物の多様性を維持をしていこうということにかかわって、今回この種の保存の法案改正につきまして質問をさせていただけることを大変私は大きな喜びと感じております。
 まず最初に、一点お聞きをしたいと思うんですけれども、この改正のポイントであります国際希少野生動植物に係る登録認定関係事務というものを国が指定をする公益法人から登録機関によって行わせるというふうに変更をするということでありますけれども、行政が公益法人にどのようにかかわっていくかということについていろいろ改革をするということは、これは当然必要なことであろうと思いますけれども、しかし問題によれば、常にやはり行政が主導的な立場を保ちつつ、何といいましょうか、働き掛けをしていかなければいけない分野もあるのではないかと思ったりするわけですけれども、今回、こういうふうに改正をされることにつきまして、改正をして大丈夫という言い方は大変失礼な言い方かもしれませんけれども、大丈夫なのか、まずそれについてお伺いをしたいと思います。
#8
○政府参考人(岩尾總一郎君) 我が国がワシントン条約の責務を果たしていく上で、適正に実施していく必要がある業務がございます。今回のこの種の保存法に基づく登録認定関係の業務の改正案におきましても、こういう責務を果たすために必要な措置を盛り込んでおります。
 具体的には、登録認定を行う機関は、必要な専門性、公正中立性を確保するための登録基準を満たさなきゃならないこととし、かつ登録後は事務の実施体制、方法等を記載した業務規定について慎重に確認された上で認可を受けなければならないとしております。また、報告徴収、立入検査を的確に実施するとともに、適正な業務運営が行われないと認められる場合には、業務の停止命令あるいは登録の取消し、罰則などによる担保等の措置を講ずることにしております。
 このような措置によりまして、登録認定関係業務の公正性は担保できるものと考えております。
#9
○小泉顕雄君 ありがとうございました。厳正な執行というか、監視といいましょうか、お願いをしておきたいというふうに思います。
 さて、非常に日本の自然、自然というものは基本的にそうなんでしょうけれども、非常に多様なものであります。自然というものが持っているこういう多様性というものを維持するということは、単に自然の保全とかあるいは保護という問題にとどまらず、我々人間の人生観であるとかあるいは自然観といったものを豊かに育成をしていくためにも非常に大きな私は価値のあるものだというふうに考えております。
 言うまでもなく、そういう多様性を維持するというためには、種の保存といいましょうか種の維持ということが大切な課題になってくるわけでありますけれども、例えば現在よく話題になるわけでありますけれども、淡水魚の世界を見てみますと、淡水魚の世界というのはなかなか直接目に入りませんので認識を共有するということが難しい面もあるわけですけれども、河川環境の悪化、さらには外来魚の食害というか、いろんな悪影響がありまして、もう本当に猛烈なスピードで従来の魚類相というものが非常に貧弱になってきているというふうに印象を私は持っております。
 何も淡水魚だけではなく、これはもう国の内外を問わず、生物の本来持っている生物界の多様性というものが貧弱化し単純化をしているということは、そういう傾向というのははっきり指摘ができるというふうに思っておるわけですけれども、多様であるということは非常に豊かであるということでありますし、また非常に安定をしているということでもありますし、また非常に美しいということでもあります。非常に調和の取れた非常にすばらしい世界だというふうに思います。逆に、そういう生物界が持っている多様性というものが貧弱化をしていくということは、もろさを持つことにもなりますし、非常に不安定な状況であるというふうに言えると思います。
 生き物というのは、非常に積極的にそういう多様性というものを作り上げることによって、自らの調和あるいは自らの安定というものを生み出すように私は進化をしてきたというふうに思いますし、そういう実態に触れるということが我々の自然観というものを非常に豊かにしてくれるんだというふうに私は思っております。
 そういう意味で、大臣にお伺いをしたいわけですけれども、こういう生物界が持っている特有の多様性というものを維持するためには、どうしても個々の種というものもきちんと保存、保全、維持していくということが必要になるわけでありますけれども、こういう多様性とのかかわりにおいて、種の保存というものの大切さについての基本的な御認識をお伺いできればと思います。
#10
○国務大臣(鈴木俊一君) 小泉先生の御指摘のとおりに、種の保存を通じまして生物の多様性を守っていくということは、これは単に自然環境の保全だけにとどまらず、こうした豊かな生物の多様性というのは人間生活の基礎であって、また豊かな文化を形成するための根源になっているのではないかと思います。今日、人類がこうした文化そして文明を持っているわけでありますが、これも歴史的にそうした生物の多様性の中で人類がそれに触れながら作ってきた文化であり文明であると、そんなふうにも思うわけであります。
 昨年の三月に新生物多様性国家戦略を策定したわけでありますが、その中におきまして生物多様性の保全の意味が書かれているわけでありまして、人間生存の基盤、それから世代を超えた安全性・効率性の基礎、有用性の源泉、豊かな文化の根源という基本的な考えをこの生物多様性保全の意味として掲げているところでございます。
 こうした生物多様性の保全を図るためには、先生がおっしゃるとおり、個々の種の保護が図られていくということが大前提であるわけでありまして、その意味におきましても、人の影響によります野生動植物の絶滅というものを防止をして種の保存を図ること、これは現在と将来の人類の豊かな生活文化を維持する上で、人類にとって緊急、そして極めて大切な課題であると、そのように認識をしているところであります。
#11
○小泉顕雄君 どうもありがとうございました。
 さて、多様性を維持する、あるいはそれぞれの個々の種というものの保全あるいは維持というものを図っていくということと、公益というものを優先をしていろんな課題に取り組む場合に、非常に難しい問題が生じることが多々あるわけでありますけれども、大臣は種の保存ということと公益との調整ということについてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
#12
○国務大臣(鈴木俊一君) 種の保存でありますけれども、これは国土の保全その他の公益との調整を図られつつ推進するということが必要であると認識しておりますけれども、これは種の保存が他の公益に譲るということでは決してなくて、むしろ生物多様性の保全、それから種の保存に配慮した国土の持続的可能な利用が行われるという、そういう形で調整が図られるべきものであると、そういうふうに考えております。
 したがいまして、国土の保全その他の公益のために事業を実施しようとする人は、環境影響評価の実施などを通じまして自らの社会経済活動の各段階、各局面におきまして、種の保存に対する影響、提言などの環境配慮を盛り込んでいくことが重要であると、そのように考えておりまして、今後そうした考え方が広く浸透していくように努めてまいりたいと考えております。
#13
○小泉顕雄君 どうもありがとうございました。そのような方向でのお取組を是非お願いをしたいというふうに思います。
 結局、公益というものがどうしても優先をされなければならないということが私は当然あると思います。それは仕方のないことでありまして、やはり公平な行政サービスというものを提供していく上では、例えば道路を新設するあるいは河川の改修を行うということは、これは必要なことであります。ただ、むしろその場合には、公益との調整を図りながらそういう事業が推進をされていかなければいけないというふうに思いますけれども、その場合に、例えばその当該地域に、中に絶滅を危惧されるような生物種が存在をするとすれば、やはりそこではその遺伝子でありますとかあるいは系統というものがきちんとどこかで保存をされるような必要があるというふうに私は思います。
 もちろん、その生息地そのものをそのまま保存をしろ、保全をしろという考え方の方もおられるわけですけれども、しかし、やはり行政サービスというものは公平に執行されなければならないし、足らないところはやっぱり補う形でいろいろ施策が充実をされなければいけないことでありますし、公平な行政サービスが保障されないということは、これはあってはならないことであるというふうに思っています。
 したがって、そういうふうに考えてくると、仮に当該地域にそういう、どうしても保護をしなければならない対象生物種がいるとすれば、その保護あるいは増殖ということをどういうふうに、どこで図っていくのかということがやっぱり十分私は議論されなければならないと思いますし、やがて将来に条件が整えれば、自然に復帰をさせてやるというような体制を整えておくということが私は大切だというふうに思っております。
 この保護増殖事業というのは、この法律あるいはこの法律に基づく基本方針の非常に大きな柱であるというふうに私は考えておるわけですけれども、我が国におきます絶滅のおそれのある野生生物の種類が、昨年九月現在では二千六百六十三種、二〇〇六年をめどに見直される予定のこのレッドリストでは、この委員会でもよく名前が出てきますジュゴンを始めとする海生哺乳類なども更に加えられて、この二千六百六十三よりもかなり大きな数字になるんではないかというふうに今から予想をされております。
 日本では、バリ島のカンムリシロムクという鳥の、これも希少種だそうですけれども、増殖に成功して、この秋には何か二十羽ほど原産国の方に返すことができるというような事例がありましたり、あるいは小笠原のアカガシラカラスバトという鳥、これも絶滅危惧種だそうですけれども、そういうようなものの繁殖、増殖の事例がありまして、我が国における増殖事業というかあるいは増殖技術というものにはかなり私は高いものがあるのではないかというふうに思っておるわけでありますけれども、全体として、先ほど言いましたように現在でも二千六百六十三という膨大な数があるわけですけれども、この絶滅が危惧される生物種についての保護増殖についての取組というのはどのようなものなのか、概要で結構ですのでお教えをいただきたいと思います。
#14
○政府参考人(岩尾總一郎君) 種の保存法は、野生動植物が生態系の重要な構成要素であることにかんがみまして、絶滅のおそれのある種の保存を図ることによって良好な自然環境を保全することとしております。まずは、それらが生息する自然環境を保全することで種の保全を図ることが重要と認識しております。
 先生御指摘の、絶滅のおそれのある種に関して、何らかの原因により一斉に絶滅のおそれが高いという場合には、それに備えて、私ども生息地の保全に加えて動物園、水族館など生息地以外で保全することも重要であると考えています。現在、環境省が実施している保護増殖事業の中では、ツシマヤマネコの動物園での飼育、繁殖、それからミヤコタナゴの流域系統ごとの水槽飼育などを進めるほか、トキなどについては将来の不測の事態に備えまして遺伝子を含む組織を冷凍保存しております。今後とも、必要に応じ生息地以外での保全ということにも取り組んでまいりたいと考えております。
#15
○小泉顕雄君 ありがとうございました。
 いろんな取組がされているというふうには、それは評価をしておるわけですけれども、ただ、私は二千六百六十三というこの種類数の多さを思うときに、必ずしも、何といいましょうか、それぞれの種の保存ということについての取組は十分ではあるとは言い切れないというふうに思っております。
 今、博物館あるいは水族館、動物園の話題も触れていただきましたが、また後ほどそれについても少しお聞きをしていきたいと思います。
 この法律は、私が言うまでもありませんけれども、ワシントン条約の締結ということをきっかけにして成立をしまして、その成立の背景にはいろいろな国際的な問題への対応ということもあったということは承知をしておるわけですけれども、以後は国内の希少生物の問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。
 生物種によりましては、絶滅が明らかに危惧されていると思われる種でありましても、天然記念物あるいは特別天然記念物というふうな指定は受けているものの、この法律に言うところの国内希少野生動植物種としては指定をされていないという例があります。
 例えば、私の地元であります、私は京都の丹波というところに住んでおるわけですけれども、琵琶湖・淀川水系の上流の方に当たるわけですが、コイ科の魚類でアユモドキという特別天然記念物の魚が生息をいたしております。これは琵琶湖・淀川水系とそれから岡山の吉井川、旭川水系にしかすんでいないということで、動物地理学の上でも非常に学術的な価値の高い魚種ではないかというふうに思うわけでありますけれども、明らかに少ない。本当にもう絶滅に瀕しておるような状態でありまして、私自身の感触としては、もう近いうちに本当にいなくなってしまうだろうというふうに思っているわけですけれども。
 本当に今心配をされる魚種が特別天然記念物ではありながら、この法に言う希少野生動物種には該当していないというところは非常に分かりにくいのではないかというふうに思うわけですけれども、このような分かりにくさというものはどういうところから起こってくるのか、あるいはこの分かりにくさを解消するためにはどのような見解をお持ちなのか、御紹介をいただければありがたいと思います。
#16
○政府参考人(岩尾總一郎君) 先生御指摘のアユモドキでございますが、淀川水系及び岡山県下の数河川にのみ不連続に分布する我が国の固有種でありまして、生息域が縮小を続けており、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧種のTA類に分類されております。
 種の保存法に基づく国内希少種の指定という行為でございますが、これは捕獲の禁止、譲渡しの禁止に加えまして、鳥獣保護法の保護区よりも厳しい規制、例えば土地の形質変更の禁止などを内容とする保護区の指定措置も伴うことになります。したがいまして、その指定に当たりましては、分布状況、生息数などについて詳細に把握した上で、関係機関あるいは関係自治体との合意形成が必要であるわけです。
 このような中で、環境省としては、現在出先の機関を通じましてアユモドキの生息状況の収集を行っているところでございます。今後、更に詳細な生息状況の把握に努める方針でございますが、これと同時に、保護の重要性については関係地域、関係機関の理解を得るように努めて、アユモドキの国内希少種の指定及び保護増殖事業の実施に向けては努力してまいりたいと考えております。
#17
○小泉顕雄君 本当に是非よろしくお願いをしておきたいと思います。本当に、早晩いなくなってしまうと思います。
 先ほども少し言いましたけれども、私は、もちろんそれは地域を指定いただくことも大切なことでありますし、その自然の状況そのままで保護、保全ということを図っていただくことも大切なことだと思っていますけれども、しかし、どうしてもやむを得ない事情というものはいろいろあるわけであります。だから少なくとも、公益を優先する場合には、その代償的な考え方として、どこかで遺伝子をきちっとプールをしておきます、系統だけはきちっとどこかに保存しておきますというような取組が私は大切だというふうに思っております。
 さて、先日、文部科学省から公立博物館の設置及び運営上の好ましい基準というものが告示をされまして、博物館の設置につきまして条件が緩和をされ、造りやすくなったというふうに聞いております。これは、大変私の方も不勉強で申し訳ないわけでありますけれども、ここで言う博物館という範疇の中には、先ほどもありましたけれども、動物園であるとかあるいは水族館というものも入ってくるのかどうか、それについてお伺いをしたいと思います。
#18
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 博物館の定義につきましては、博物館法第二条に規定がございまして、お尋ねの動物園、水族館におきましても、この規定に基づきまして、動物や魚類等を収集、育成し、教育的配慮の下に一般公衆の利用に供するとともに、必要な事業を行い、これらの資料に関する調査研究を行い、都道府県教育委員会の登録を受けているものでありますならば、博物館法における博物館に含まれるものでございます。
#19
○小泉顕雄君 ありがとうございました。
 その基準の第二条におきましては、都道府県や市町村は多様な分野にわたる資料を扱うよう努めるというふうに規定をされております。もし仮に、その多様な資料の中で、ある資料が学術上あるいはその他の理由から非常に貴重なものであるというふうに判断をされるとすれば、私は、単に市町村は博物館を設置するように努めるというのではなしに、むしろ積極的に博物館などを設置をし情報を提供していくというような責任が生じてくるのではないかというふうに思うわけですけれども、このような私の考えは健全なものかどうか、御見解をお伺いをしたいと思います。
#20
○政府参考人(近藤信司君) お答えをいたします。
 国民の文化的な向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献すると、こういう観点から、動物、植物のうち特に学術上の価値の高いものにつきまして保護していくということは極めて大切なことだと考えております。
 こういった学術上価値の高いものをどうやって保護、保存をしていくかと。その方策につきましてはいろいろあるんだろうと思っております。例えば、私どもでは文化財保護法に基づきまして天然記念物に指定し保護をすると、あるいは当該動植物が生息する区域を保護する、いろんな方策が考えられるわけでございます。また、今、先生がおっしゃったような、博物館を設置をして対処すると、これもまた当該地方公共団体の判断ではございますけれども、一つの有力な方策であると、このように考えております。
#21
○小泉顕雄君 ありがとうございます。不健全ではないようでありますので、感謝をいたします。
 私は、もっと本当は積極的に、やっぱり当該地域の中に貴重な考古的な遺産であるとかあるいは自然科学的な資料があるとすれば、私はやっぱり地方自治体の責任で積極的にこれは博物館というようなものを運営をしながらその啓蒙に努めていかなければいけないというふうに思っておりますので、どうぞ文部科学省の方からもそういうような御指導をいただければ大変うれしいと思います。
 先ほど申しましたけれども、私が住んでおります丹波というところは琵琶湖・淀川水系の上流に当たるということもありまして、非常に豊かな魚類相というものが残されております。具体的には、五十種類を超えるような淡水魚が生息をしておりまして、さきにも触れましたけれども、特別天然記念物のアユモドキを始めとしまして、ここに京都府のレッドデータブックがあるわけですが、この中に淡水魚が十六種記載をされておりますけれども、その十六種のうちの十種が私のふるさとには生息をしています。本当に豊かな魚類相であって、地域の住民にとっては大きな誇りであるというふうにも思っておるわけですけれども、私は、こういうような地域にこそ、それぞれの種の遺伝子であるとかあるいは系統というものを確実に保存をして、保護増殖を目指す博物館のような施設が必要であるというふうにかねてから考えてまいりました。
 文部科学省は、やはり環境省さんとも積極的に連携をしていただいて、公益に配慮をするためにどうしてもある種に対して圧力が掛かる、その圧力を加える代償としてどこかで増殖あるいは保護という取組をするように、何とか種の保存のために連携を強めていただきたいというふうに思いますし、種の保存という観点からも博物館の設置者に対して指導あるいは助言をしてほしいというふうに思うわけであります。
 仮に、環境省がこの法律に基づいてある魚種を指定をしたとすれば、やはりその指定をしたという事実を文部科学省も共有をしていただいて、実際にそういうものの保護とか増殖にかかわっていくのは水族館であり動物園であり博物館でしかないわけでありますから、やはりそういう環境省の指定を受けた速やかな対応というものを文部科学省に取っていただきたいと思います。
 また、こういう事業を進めていく上では人的な問題もたくさんあるわけですけれども、この法では希少野生動植物種保存推進員という制度も規定をされているわけですけれども、私は、博物館あるいは水族館、動物園といったものを拠点としてこういう推進員さんなどとも連携をしながら、地域の自然というもの、あるいはそれぞれの種というものの保存が図れるような仕組みを是非ともお取り組みをいただきたいというふうに思います。
 これについての御見解をいただければ有り難いと思います。
#22
○政府参考人(岩尾總一郎君) 環境省の方からまずお話しさせていただきます。
 この種の保存法で現在指定しております魚類、ミヤコタナゴ、イタセンパラというのがございますが、この種の保存法の指定を受け、かつ国の天然記念物である魚類などにつきましては、環境省、文部科学省共同いたしまして保護増殖事業計画を策定しております。これまで、両省間での連携を図っておるほか、事業の実施に関しても地方の博物館の学芸員の協力を得るなど実績を重ねております。
 環境省として、先生の地元のアユモドキなど絶滅のおそれのある魚類の保護増殖を進める場合、まずは関係機関との合意形成に努め、種指定ができますれば、文部科学省など関係省庁と連携して博物館等既存の施設を活用しながら保護増殖を進めることを検討してまいりたいと考えております。
#23
○小泉顕雄君 どうもありがとうございました。もうどうも時間が余りなくなってまいりました。
 アユモドキという具体的な魚種の名前を挙げていろいろお尋ねもさせていただいたわけでありますけれども、質問の中でも申し上げましたように、私は、こういう本当に絶滅に瀕しておる魚種というものの遺伝子、系統というものをどこかできちんとプールをしておいて、もし自然に復帰させてやれる条件が整ったときにはきちんと復帰がさせられるという体制を取っていただきたいと思いますし、これはアユモドキにとどまらず、二千六百六十三のそれぞれの種についてもやっぱり同様の措置というものを講じていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 なお、この委員会には京都の御出身の福山先生もおいでになるわけでありますが、私のアユモドキへの思い入れというものを御理解をいただきまして、何とぞよろしくお力添えをお願いをしたいと思います。
 いずれにしても、環境問題についての国民の関心というものを高め、やはり自然を愛する心情を培うためにも、かねてから申し上げておりますけれども、環境問題について国民が一斉に考えられるような日というものを設けることが私は大切ではないかというふうに思っております。別に六月五日にこだわるつもりもありません。祝日のありようというものを見直す中で、環境というものについて国民みんなが考えられる日が一日是非あればという願いを最後に申し添えまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#24
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。
 今日は、この種の保存法に関して六十分質問させていただきますが、実際、今回の改正に関することは大したボリュームじゃありませんので、種の保存あるいは生物多様性の意義、あるいは野生生物をどう保護していくのか、幅広い観点から質問させていただきたいと思います。
 ただいま小泉委員からも質問の中で言葉が使われました、生物多様性という言葉について大臣の御見解をお伺いをしたいと思うわけでありますが、私なりにとらえておりますこの言葉の意義につきましては、一つ印象に非常に残っている図、図案というのがあります。それは、生物相がピラミッド型になっている図相でありまして、例えば、人間とか猛獣とか猛禽類がそのピラミッドの頂点にいる。そして、一番下にはバクテリアとかプランクトンとかカビとか菌とか。で、その間に哺乳類とか鳥類とか両生類とか様々な生物、そして植物も入っているというピラミッドの図であります。で、どれが欠けてもバランスが崩れるんだよということを教えてくれる図でありました。
 ああ、なるほどなと、生物多様性という言葉もよく言葉を耳にするし我々も演説の中で使ったりするけれどもそういうことなのかということを、私はその図を見て改めて理解をさせていただいたつもりになりました。そして、種の保存ということに関しますと、どれか欠けてはいけないんだよということを明確に法律にするというのが今回の法律なんだろうなと、私の理解でございます。
 大臣の中での生物多様性の理解について、一言御答弁をいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(鈴木俊一君) 地球上のいろいろな環境を考えてみますと、地球上にはこれは熱帯、それから寒帯ございます。それから、海の底から山の上まで様々な場所もございます。そういう中で、この地球上には三千万種の種があると、そういうふうに言われているわけでありますけれども、それらは今先生が御指摘になられたとおり、それぞれの種が独立をしてそこに存在するのではなしに、それが集まって生態系の中でお互いに関係し合ってその中で初めて存在をしていると、そういうような認識をしております。
 そして、我々人類もまたそういう大きな生態系の中で、その上に立って存在をしているわけでありまして、今日築いておりますこの文化でありますとか社会経済、そういうものもそういう豊かな生態系の中で初めて作り上げられているものであると、そういうふうに認識しておりまして、そういう中でその生態系全体の一つである種というものを個々に守りながらそれによって形成される生態系を守っていくということが大切なことであると、そのように認識をいたしております。
#26
○小川勝也君 言わずもがなのことを確認をさせていただきたいと思いますが、どの種が欠けてもいけないんだという御認識、共通の理解でございます。例えば、イリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコ、哺乳類の中で絶滅が危惧されるということで指定をされています。そして、ただいま小泉委員からお話がありましたように、アユモドキもジュゴンもこれは大変大事なので守っていかなきゃならない。
 しかしながら、私たちがこの生物多様性ということを考えていくときにもっと身近で気付かなければならないことというのはないだろうかと私常々思っているんですけれども、例えば、私が子供のとき、家のすぐ近くに田んぼがありました。季節になるともうカエルの声がうるさくてうるさくてしようがないと、今は懐かしい響きであります。そして、秋になるとコオロギの声あるいは蛍の光。で、身近な環境が失われていっているというのは、日本全国の共通理解であろうというふうに思います。
 今私が挙げたいわゆる昆虫や生物のほかにも、例えばメダカとかドジョウなんというのはどこにでもいたよというのが、最近はメダカやドジョウを探すのはえらい大変なことになってきています。その身近な環境がこの生物多様性ということを考えさせてくれるとするならば、大臣だったらどんな御感想をお持ちになるでしょうか。
#27
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほど地球全体の中での思いを述べさせていただきましたけれども、それをこう身近な問題、例えば我が国に目を落としましたときを考えてみますと、やはり最近は人間活動、そういうものを通じまして種の絶滅のおそれというものが増大をしておりますし、先生御指摘のとおり自然環境というものも減少をしていると思います。
 それから、里地里山、また水田というようなお話が、例挙げられましたけれども、そうした身近な自然が減少している。それから最近はまたよく御指摘受けるわけでありますけれども、外来種等の影響、そういうものもあるわけでありまして、我が国のこの豊かな自然相、生態系、特に我が国は南北に細長いわけでありますし、四季というものが明確にある国でありますから、本当に豊かな自然相があり、そこに豊かな生態系があるわけでありますけれども、そういうものが先生の御指摘のとおり今危機になっていると、そういうふうに感じているところでございます。
 そうした状況の中で、昨年新生物多様性国家戦略、これが策定されたわけでありますけれども、その中におきましても種の絶滅を防いで国土全体の生物多様性を保全、そして回復させるための方向性を明らかにいたしましたし、それとともに実効性のある施策の展開のための基本方針といたしまして、野生生物の絶滅防止、それから生態系保全、里地里山の保全、自然の再生、移入種対策の推進、そういうものを掲げているわけでありまして、こうした生物多様性、新生物多様性国家戦略に基づいたそういう基本方針を踏まえまして、これから生物多様性の保全のための取組、そういうものを問題意識を持ってしっかり進めていきたいと思っております。
#28
○小川勝也君 大臣から御答弁をいただいたとおりだろうというふうに思います。しかしながら、今回のこの種の保存に関する法律の一部改正にはどうやってその生物多様性を確保するか、種の保存をもっと効果的にするための改正という観点はほとんど盛り込まれておりません。この法の改正がこういう形で終わったいきさつ、あるいはどうしてこういう法律が提出されたのか、御説明をいただきたいと思います。
#29
○政府参考人(岩尾總一郎君) 今回の法改正は、平成十四年三月に閣議決定された公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画によりまして、検査・登録等の事務事業を国の委託を受けて公益法人が行うとしている制度につきまして規制改革の観点から政府全体で見直すことの一環として行うものでございます。同計画におきましては、当該改革のうち法改正を要するものについては原則として平成十五年度中に措置することとされておりまして、他省庁からも同様の改正案が今国会に提出されているところであると承知しております。
#30
○小川勝也君 各省庁、規制改革に向けてやりなさいと言われてやっているということで、積極的にこのことをやりたかったというふうに私も把握しているわけではありません。そして、規制改革、規制緩和という方向性は全体の流れだろうというふうに思うわけでありますけれども、今回のこの改正の部分というのは最も規制緩和になじまない分野だろうというふうに思います。この規制緩和かどうかということは別にして、開放に向かっているわけでありますので、その辺の懸念を払拭するための御答弁をいただきたいと思います。
#31
○政府参考人(岩尾總一郎君) 今回の法改正では、登録認定関係事務を国に代わって行う者が備えるべき専門性、公正性、中立性の要件を明示しております。専門性に関しては、動植物の種や器官の判定、年齢の推定、象牙の真偽の判断について一定の実務経験等を有することを求めており、例えば野性動植物の保全にかかわり、専門的知見を蓄積しているNPOなどであって要件を満足する専門家が法に定める数以上勤めている場合に、新たに参入することが考えられます。
 なお、今回の改正法案の提出につきましては記者発表などで周知をいたしましたが、現時点で具体的な参入要望等は寄せられておりません。
#32
○小川勝也君 現時点で参入がないということでありますけれども、近い将来だれか参入しそうだなというそんな感触はあるんでしょうか。
#33
○政府参考人(岩尾總一郎君) この法律に基づく業務ということで、先ほど申し上げましたような様々な専門性の要件、それから公正性の要件等々が指定されておりますので、私どもとしてはそのようなところがあれば入ってくるというふうに認識をしております。
#34
○小川勝也君 まあ入ってこないのは明白なんですけれども、それはいいでしょう。入ってこないということは心配がないということで取りあえず認識をしておきます。
 やれと言われたから無駄な時間を過ごしたんじゃないかというふうに思いたいわけでありますけれども、今、本当にやらなければならないことが山積をしているんだろうというふうに思います。今、大臣から御感想とともに御答弁をいただきました生物多様性国家戦略に基づいて様々やらなきゃいけないことが山積をしておると思います。
 お話にありましたように、外から入ってくるものをどう規制していくのか、そして外から入ってきているものの中でちゃんとリストを作って、何は良くて何は駄目なのか、これをちゃんと類別する必要があると思う。それに、今回の種の保存法に関するように、例えばレッドデータブックというのがあるわけですので、本当に危険な絶滅に瀕しているという種をちゃんと調査をして指定する、そして適宜適切にその対策を練る、様々な段階的なものがあるわけでありますけれども、どれも後れているんだろうというふうに思います。
 例えば鳥獣保護法の抜本改正なんかも本来必要とされていますし、もっと言うと、野生生物保護法、これ市民立法という形で今提案をされつつありますけれども、例えば鳥獣保護法というのは、数年前の改正には私も参加をいたしましたけれども、鳥獣保護法という名の下に、これは鳥獣駆除法なわけであります。元々の狩猟法が改正されて鳥獣保護法になっていると。元来、野生生物保護法的なものがしっかりしていれば、鳥獣保護法は元の狩猟法的なものに戻してもいいんだろうと。
 こういうトータルな図式の中で、今やり取りしましたような生物多様性とか、あるいは種の保存とか野生生物の保護とか、こういうトータルな法体系の中で今後環境省としてどんなスケジュールを思い描いておられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
#35
○政府参考人(岩尾總一郎君) まず、この種の保存法の抜本的な改正が必要じゃないかという先生のお考えがあるかと思いますが、私ども、例えば環境省のレッドリスト掲載種に比して国内希少動植物の指定数が少ないなど課題があるという認識はしております。
 こういう課題をどうやって解決していくかということですが、既に先生御指摘の鳥獣保護法ですとか他の法律があるわけで、私どもとしてこういう認識しております課題の多くは、既存の制度の適切な運用を図ることで対応が可能であるというふうに思っております。国内希少野生動植物種の指定を始め、種の保存法に基づき、不十分だという御指摘がございますが、着実に実行していきたいというふうに考えています。
 それで、こういう種の保存法について、まずこの現行制度の運用を進めていきまして、その施策に対する効果などの分析を行い、その後に改正の必要性の有無を検討する必要があるのではないかというふうに考えております。
 それから、野生生物保護法のお話が出てまいりました。おっしゃるとおり、多様な野生生物による構成される健全な生態系を将来の世代に引き継ぐということは我々の責務と思っております。先ほども言いました鳥獣保護法、種の保存法、こういった個別の法律、個別の目的を有する法律を適正に執行するということで、先般成立いたしました遺伝子組換え生物などの、あるいは移入種による多様性の影響の防止と新たな課題についても着実に取り組んでいくことができるかと思っております。
 新しい野生生物の保護法など議論されておられるやに聞いておりますが、何度も申し上げております、既存の法律の確実な実施がまず前提でございますが、それでもなお制度的な対応が必要ということであれば、こういうことを総合的にまとめる制度づくりというのも検討の視点からは排除することなく、今後、海外がどのように行っているかというような事例も収集しつつ勉強してまいりたいというふうに考えております。
#36
○小川勝也君 種の保存法に足らざる点があるという指摘は次に行わせていただきますが、移入種、外来種対策の必要性についてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
#37
○政府参考人(岩尾總一郎君) 何らかの対策が必要であるという認識はしております。
 我が国も一員でございます生物多様性条約の締約国会議で、昨年、移入種の影響の予防や影響緩和に関する指針原則が採択されました。我が国もこれに沿って移入種対策を検討すべきものというふうに考えております。この指針原則の中で、移入種の持込みに際しましては、影響評価などの仕組みが位置付けられております。
 こうした移入種対策の措置の在り方につきましては、今年一月の中央環境審議会の野生生物部会に設置されました移入種対策小委員会におきまして、現在審議をいただいております。環境省としては、審議会から今年の秋にも答申をいただきたいと考えておりますので、その内容を踏まえた上で、必要があると考えられるときは法律も視野に入れて具体的な制度化を検討したいというふうに思っております。
#38
○小川勝也君 移入種対策につきましては、私どもも法案を準備しておりますので、後で時間があればもう一度議論をさせていただきたいと思いますが、種の保存法、まず法改正しなくてもできることがあろうかと思います。それは、レッドデータブックの記載、これが適切に行われているかどうかということだろうというふうに思います。元々、鳥類が充実していて、その他の分野が比較的進捗が後れていたという指摘があろうかと思います。なぜ、これ自らも、運用で何かできるのにそれを怠ってきたと、うまくいかなかったんだということが述べられているわけでありますけれども、どうしてそのレッドデータブック等の記載が順調に満足のいく形にまで進んでおらないのか、その辺の御答弁をお願いしたいと思います。
#39
○政府参考人(岩尾總一郎君) 希少種、いろんな先生方にお願いしてレッドデータブックを、リストを作っております。また、今年度から新たな収載種に向けての議論が始まっておりますけれども、研究者に幅広い御参加をいただきながらそれぞれ作っているわけでございますが、一つは、陸上の種類あるいは植物等々に比べましてなかなか、日本国内にどの程度詳細に分布しているかなどの把握がなかなか難しいということがございます。私どもとしては、レッドリストが二千六百六十三で、その中から六十二種のみ種の保存法で野生生物種としているわけでございますけれども、こういうようなレッドデータブックの掲載されている各種について生息状況の詳細な把握などは今後とも進めて、その中から種の保存法に取り上げるべきものというものをリストアップしていくという作業は今後とも続けなければならないというふうに思っております。
#40
○小川勝也君 次に、種の保存法の改正がなぜ必要なのかという指摘をしたいわけでありますけれども、今も答弁、ちょっと御苦労をいただいていたと思うんですけれども、いろんな制度、法律があっても、充実させようと思ったときにはやはりお金と人が要るわけであります。理解ある人は、環境省の予算の中でこの野生生物等に使われる予算の額は大変少ないだろうし、少ない人数で頑張っておられると思うと。そんなことから、どう考えても本当に生物多様性ということが先ほど鈴木大臣が述べられたように重要な事柄であるならば、もっともっと充実させなければならないと私は考えます。
 例えば、日米比較なんというのはそんな簡単にできるとは思いませんけれども、アメリカ合衆国などではやはり野生生物等に相当の予算を費やしている、あるいは使えるお金があるというふうに聞いています。
 分かればで結構でございますが、日米比較、そして日本がいかに少ない予算でやっているのか、御報告いただければと思います。
#41
○政府参考人(岩尾總一郎君) まず、野生生物の保護法制でございますが、各国によって様々ございまして、私どもは、もう既に御承知のように鳥獣保護法、それから種の保存法が制定されております。
 諸外国では、アメリカにおきましては、絶滅のおそれのある種を対象とする種の保存法、それから絶滅に瀕した動物を対象とする海洋哺乳類保護法というものがあると聞いております。それから、オーストラリアでは種及び群集等の保全を目的とする環境保護及び生物多様性保全法、それから、ニュージーランドでは保護と絶滅のおそれのある種の回復を図る自然保護法があると承知をしております。
 それで、日米比較でございますが、日本の私ども自然環境局、現在、予算、職員数、百八十六億円で三百八十人でございます。アメリカの内務省魚類野生生物局というところがありまして、ちょっと仕事の内容がずれるかもしれませんが、この局の予算は二千三百二十八億円で、職員数七千五百人というふうに聞いております。
#42
○小川勝也君 大臣も私と同じ気持ちで今の数字を聞いておられるんだろうと思いますけれども、やはり何か守らなければならないものを守るというときには、やはりコストが掛かるわけであります。それで、我々も頑張りますので、環境省も本当にこの生物多様性ということが大事だということであれば、もうひるむことなく国民に向けて堂々とアピールをしていただきたいと、このように思うわけであります。
 さて、種の保存法でありますけれども、例えばまだまだ未整備というか、走り出したはいいけれども途中で見直しができていない分野もあろうかと思います。例えば、国際希少野生動植物種に関して留保されている分野があります。留保されている分野は、これはずっと見直さなくていいというふうにお考えなんでしょうか。それとも、留保については何か考えているんだけれども障害があってできないと考えているんでしょうか。
#43
○政府参考人(岩尾總一郎君) ワシントン条約の附属書についての留保ということでございますか。
 条約の締結に当たっての政府の決定ということで、様々な海洋生物の農水産業における問題とかがあって、日本政府が留保しているというふうに承知しております。
#44
○小川勝也君 留保というのは除外とは違うわけでありますので、何らかの検討が加えられてしかるべきだろうというふうに思います。
 それで、留保を取り外すべく検討をしているのか、あるいは留保を外したいという考えは環境省にあるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#45
○政府参考人(岩尾總一郎君) 私どもの法律、つまり種の保存法で何らかの規制を掛けるということになりますと、実際に具体的に生息している数ですとか地域ですとか、やはり科学的なデータを基にして、確かに少ない、あるいは絶滅の危機に瀕しているということを調べなければいけません。そういうような行為については、それぞれの留保されているものですとか、あるいは希少生物について環境省としてはやっております。
 御承知かと思いますが、現在ジュゴンの生息につきまして、平成十五年までの三年間の予定ということで調査をして、そのようなもののデータに基づきまして、今後そのような生物を指定するかどうかという検討になるのかと思っております。
#46
○小川勝也君 その留保の問題とか、例えば政令指定をするときには、例えば種、亜種、品種などを指定をすることになっていると思うんですが、後で述べます特定の動物等につきましては、その地域個体群という考え方を入れなければならないケースが出てくると思います。こういった分野の見直しは考えておられますでしょうか。
#47
○政府参考人(岩尾總一郎君) 法律自体で種の保存、つまり絶滅危惧ということになりますと、日本全体でどの程度減少しているかということに法的な規制が掛かるものと承知しております。
 それで、実際には、地域によって非常に減っている、先生の御指摘のものかどうかあれですが、ツキノワグマなどは中国とか四国では大変減少しているということで、そのような地域の動物についてはきちんと法的な整備をすべきじゃないかという御意見を伺っていることは承知しております。他方、中部から東北におきましては、むしろツキノワグマの被害ということで、害獣ということで駆除しているという現況もございます。日本の保護対策ということでは、確かに地域個体群、つまり中国・四国地域では保護すべき必要があるという先生の御指摘だろうと思います。
 そういう中では、私ども、少なくとも西日本の十七県におきましては、環境大臣が捕獲禁止という措置を鳥獣保護法で指定しております。特に、鳥獣保護法の中では特定鳥獣保護管理計画制度というものを設けておりますので、個体群の適正な管理ということをやっていっております。
 したがいまして、種の保存法の中で考えるのか、それとも、そういう地域の実情に合った形で、先生、狩猟法とおっしゃいましたが、鳥獣保護法というもので考えていくのかという、私どもとしては両法の適切な運用ということで個体群の維持というものは図っていけるというふうに考えております。
#48
○小川勝也君 局長にも御理解をいただいていると思いますが、多分、釈迦に説法ということになろうと思います。
 例えば、絶滅に瀕する種を守ろうとしたときに、その例えばツキノワグマならツキノワグマで地域個体群がどのぐらいいるのかという感じで考えますときには、数が多ければ多いほど回復計画が功を奏する可能性が高いわけであります。ある一定の数より減少してしまいますと、大変難しくなってしまう。そして、当然そんな意地悪な質問はいたしませんけれども、中国地方のツキノワグマは中部地方にツキノワグマがたくさんいるからいなくなってもいいだろうということは当然考えられないでしょうから、そうしましたら、その減少している地域個体群の数がどのぐらいになっているのか把握をし、そしてこの種の保存法を由来にするかどうかは別にして、回復計画とかあるいはその地域の種を守っていくという方策は必要なんだろうというふうに思います。
 例えば、今その地域個体群の考え方というのは、例えば哺乳類の生息、生存というか繁殖ということを考えたときに、例えば百頭が危ない数字だというふうに考えたときに、七十頭の個体群と七十頭の個体群が合わせて百四十頭いるから大丈夫だということにはならないわけであります。ですから、その種全体で日本に何頭いるのか、あるいは中国地方で何頭いるのかという考え方よりも、その個体群が何頭なのかということが非常に合理的な情報だろうというふうに思うわけであります。
 この地域個体群という考え方をこの種の保存法の中にこそ本来は取り入れるべきだと私は思うんですけれども、再度の御答弁をお願いしたいと思います。
#49
○政府参考人(岩尾總一郎君) 中国山地でのツキノワグマ、先生おっしゃるように、ほかと切り離された個体群であって、分布が非常に限られたところであるという話は承知しております。それで、個体数が現在、二〇〇〇年度で二百八十から六百八十頭というふうに推定されているということでございますので、おっしゃるような、狩猟禁止措置がありますけれども、減少傾向が続いているという状況は理解しております。
 国内希少種ということでは、国内希少種に法律の中でこういうものを指定するということになっておりますけれども、先ほど申しました法律の条文から見ますと、要するに一部の地域が減っているから全国的に規制の網を掛けるという仕組みになっていないものですから、先生おっしゃるような個体群をとらえて全国的に規制するということを想定していない法律になっておりますので、そこは法律の構成上、御理解いただくというか、そういうものであるというふうに私ども認識しておるところでございます。
#50
○小川勝也君 ちょっと考え方が今、逆だろうというふうに思うんですけれども。
 その地域個体群が危ないから全国に網を掛けるということではなくて、全国的に網を掛けるまでもないけれども、その地域が危ないといったときに特別に指定をできるようにしてほしいと、こういう考え方を私申し上げているんです。もう一度御答弁をお願いします。
#51
○政府参考人(岩尾總一郎君) そこで、中国・四国地方のツキノワグマの頭数が先ほど言いましたように減少しているということで、私ども、鳥獣保護法という法律の中で、この西日本の十七県のツキノワグマについては捕獲禁止の措置を取って個体群の保護管理を進めていってくださいということをそれぞれの自治体にお願いしているわけでございます。
#52
○小川勝也君 鳥獣保護法というのは撃つか撃たないかという話であって、そこで撃たないということが保護することになるんですか。
#53
○政府参考人(岩尾總一郎君) 撃つか撃たないかということよりも、少なくともそれぞれ特定鳥獣の保護管理計画というものをそれぞれの自治体に作成をお願いしております。
 そういう中で、鳥取、岡山、それから広島、山口等、これは十五年度以降の策定予定というのもございますが、それぞれの自治体でかかる重要性をかんがみて鳥獣保護管理計画というものを作っているということですから、少なくともそういうものの中で、これは捕獲禁止だというふうに定めているものを法を犯してまで鉄砲で撃つようなことはないであろうというふうに私は考えておりますが。
#54
○小川勝也君 ちょっとかみ合っていないんですけれども。
 例えば、その個体群が繁殖が危うい数字になってきたときに、撃たないということだけで本当にこの種の保存法的な意義を達成できるのかということであります。だから、鳥獣保護法で撃たないことになっているから大丈夫だということは答弁にならないと私は思うんですけれども、重ねて答弁をお願いします。
#55
○政府参考人(岩尾總一郎君) 地域の少なくなった動物をどう管理していくかということですけれども、確かに種の保存法ということで国内希少種ですというものであれば、そしてまた希少種に指定して保護管理計画を立てるということであると、国の指定保護地域の制度ですとかそれから個体群をどう保護増殖するかというものに乗るんですが、先ほども申し上げましたように、たまたま中国・四国地域のツキノワグマが減っていると。そして、だけれども東北の方では増えていて、有害といいますか、人畜に危害を与えるものであるという認識をされているという中で、国内法の斉一的な行政を考えるという意味では、種の保存法というものの中でツキノワグマというもののその位置付けというものが難しい。
 それは、先生おっしゃったように、地域個体群という概念が種の保存法の中に現在ありませんので、今ないものですから、そういう考え方ができないということで、そのほかに守る方法がないだろうかという中で、私どもは先ほど言った鳥獣保護法という中で、捕獲の禁止といいますか保護管理制度を作るという制度があって、西日本の県にそのような環境大臣の措置をしているところでございます。
#56
○小川勝也君 ないから私は質問しているんで、その考え方を取り入れたらどうだと僕は言っているんですよ。
 例えば、中国山地のツキノワグマはどうせ東北でも中部でも悪さしているツキノワグマの仲間だから絶滅してもいいんだよというふうに考えるんならば今の答弁でいい。ところが、そうじゃなくて、中部にも東北にもいるし、それはいわゆる農産物にも被害は及ぼすけれども、中国山地のこの地域個体群は守っていかなきゃならないというときに必要なのは、種の保存法の中でのその地域個体群を守っていこうという概念じゃないんですかと私は質問しているんです。
#57
○政府参考人(岩尾總一郎君) そういう意味では、種の保存法における種の指定というのは分類学上の種又は亜種までを対象としていると。これは、そういう意味では、ある地域に生息する個体のまとまりである先生御指摘の地域個体群ごとの指定という方法が採用していないという法体系ですので、それは御理解いただきたいと思います。
#58
○小川勝也君 だから、それを変えてほしいと僕は言っている。あるいは解釈とか、僕はそんな大変なことじゃないと思いますよ。特例でこの種、ツキノワグマというふうに言っているわけじゃありません。この種のこのエリアは特別だということで、その考え方を種の保存法の中に盛り込んだらどうだと言っている。盛り込まれていないからできませんと言うんならば抜本改正が必要なんじゃないか、そういうことなんですよ。
 だから、やりたくないのか、改正する必要がないのか、改正するときにやるのか、どっちなんですか。
#59
○政府参考人(岩尾總一郎君) 今般の法改正は、先ほど申し上げましたような公益法人改革の一環ということで出させていただきましたので、先ほども御答弁いたしましたように、この種の保存法の中に課題があるということは承知しております。その課題の一つであると思うんですが、その種の保存の種というのが今言ったような定義でございますから、地域個体群の概念を入れろということになるとやはり根本的な見直しということはしていかなければいけないかなと。そういう作業するかしないかということは、私ども正に課題だというふうに思っております。
#60
○小川勝也君 取りあえず絶滅を種としてさせないんだというのがこの法律です。そして、もう一つ付け加えたいのは、早期発見早期治療じゃありませんけれども、もうぎりぎりのところまで来てから特別に指定して何とかしましょうというのではなくて、前もって早め早めにそのリストを作っていって、保護させるものは保護し、そして回復対策をするものは回復対策をする、そういった考え方が必要なんだろうというふうに思います。
 そして、先ほどのジュゴンに話を移らせたいと思います。多分この後、岩佐先生がこのことに触れられるのかなとも思うんですけれども。
 ジュゴンのところは、もうさんざん衆参のいろんな委員会で質問がなされていると思いますけれども、今あそこは米軍の軍用ヘリポートの代替施設を建設するかどうかということで今下調べをしているところであります。そして、ボーリングが行われています。ボーリングが行われるところというのは、サンゴ礁とそしてジュゴンのえさがそこにあるところなんです。それで、御説明を伺いますと、ボーリングも配慮に配慮を重ね、サンゴ礁を傷付けないように、えさ場を傷付けないように行っているということでありますけれども、話をお伺いしますと、ジュゴンという動物は非常に警戒心が強くて、ちょっとでもそのエリアに変化があるとえさ場に近づけないんだろうという、こういうふうに御説明を受けたわけであります。
 それで、種の保存法の本来の意義からいいますと、今、レッドデータブックもありますし様々な指定も受けているところでありますけれども、ジュゴンのランキングは相当高いところに私はいるんだろうというふうに思います。そのランキング上位にいるジュゴンに対して何らかの配慮ができないということであれば、この法律というのも本当に寂しい法律なんだろうなと素直に思うわけであります。
 ジュゴンに対してはどういう方策でこれから保護あるいは回復を進めていきたいのか、その御回答をいただきたいと思います。
#61
○政府参考人(岩尾總一郎君) 先ほども申し上げましたが、分布、それから頭数など、十分な生物学的知見をまず集めていくことが大切だというふうに思っております。海生哺乳類、特に海にいるということで生物学的な知見の集積が十分でなかったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、現在沖縄周辺でジュゴンの調査をしておりますので、そのようなものの結果を見て、ある一定の科学的な把握ができるかなと思っております。
 そして、私どもとしては、レッドリストの今第二次の見直し作業を行っております。こういう海生哺乳類についても、まず評価対象とするだけの知識の集積度合いがどのぐらいあるのか、専門家の意見を聞いていく措置を現在考えているところでございます。
#62
○小川勝也君 調査調査とおっしゃいますけれども、分かっていることだけお答えをいただきたいと思います。
 現在、何頭ぐらいになっていると把握をされておられるのか。そして、先ほど私が申し上げた概念で、何頭ぐらいいれば地域個体群として種を保存できるのか。その数字をお答えいただきたいと思います。
#63
○政府参考人(岩尾總一郎君) 何頭いるか分からないので、現在調査をしているところでございます。確認されたという点では、もちろん飛行機を飛ばして見たときだけですが、ある地域で同時といいますか、ある短い期間内に少なくとも二頭の確認が得られたということと、別の地域で一頭が確認されているということでございますので、周辺に数頭生息しているものと思いますが、正にそのような数がどの程度推移しているのかということを科学的に調査していかなければならないというふうに、現在そういう意味で調査しているということでございます。
#64
○小川勝也君 もう一個の質問。
#65
○政府参考人(岩尾總一郎君) 済みません、もう一つは。
#66
○小川勝也君 何頭で種を保存できると把握しているのか。
#67
○政府参考人(岩尾總一郎君) その科学的知見も分からないということで、専門家に聞くということになるかと思います。
#68
○小川勝也君 いずれにしても、相当危機的な状況だということは専門家に聞かなくても私は分かると思います。専門家じゃないにしろ、今御答弁をされている方は環境省の局長さんですよ。ジュゴンはもう数が減っちゃって、どうせ回復措置しても無理だと思ってもうあきらめているんじゃないですか。
#69
○政府参考人(岩尾總一郎君) 要するに、ジュゴンの北限ということで、日本近海にいるのが非常にまれであるというふうに承知しておりまして、世界じゅうの、ちょっと記憶が定かじゃありませんが、南方からその他の海にはある程度の数がまとまっているというふうに承知しております。
 それで、おっしゃるとおり厳しい状態で、多分専門家の推定だろうと思いますが、沖縄近海で五十頭程度いると言われているけれども、種の保存については厳しい状態だという推測があるということは承知しております。
#70
○小川勝也君 私も現地に行って、五十頭ぐらいはいるんではないかという話も聞いてまいりました。
 じゃ、その前に、ジュゴンの北限が沖縄だということは聞いているが、ほかの南の方にはたくさんいるというのは、どういう理由で今言ったことなんですか。
#71
○政府参考人(岩尾總一郎君) 私、青書で、青書といいますか、IUCNの報告書といいますか、書物にそのように書かれていたということでございます。
#72
○小川勝也君 それはみんな知っているんですよ。でも、北限に来ているジュゴンを守りたいという思いでここでみんな質問をしているんですよ。
 今の局長の答弁というのは、いや、沖縄にはいなくなっても、ほかにもたくさんいるみたいな言い方じゃないんですか。
#73
○政府参考人(岩尾總一郎君) 種の保存法自体はもちろん国内の法律ですから、日本及び日本の周辺にいる動物について絶滅危惧種であるならばそのようなものに対するきちんとした保護方策を立てるというのがこの法律の趣旨でございますから、外国にたくさんいて日本に少ないからと、日本に少なければそれなりの方策は立てておりますし、そういう意味では先ほどのツキノワグマじゃありませんけれども、日本にたまたま多いけれども大陸の方が減ってきているからというような話でレッドリストの中での議論があるということも承知しております。
 いずれにしても、私ども、種の保存法という観点からいきますと国内の動物についてどのような対応をしていくかということが法の目的だと思っておりますので、決して外国に多いから無視しろという考えは持っておりません。
#74
○小川勝也君 私なりに気を遣って、最初質問するときに、生物多様性の概念からお話をさせていただいているわけです。世界に、沖縄にしかいないから大事だという言い方ももちろんあるでしょう。しかしながら、我々が与えられている日本なら日本というこのエリアの中で、それは与えられた生物相というのがあるわけです。どれ一つ欠けても駄目だという話、一番最初にやらせていただいたということです。
 ですから、我々はたまたま日本というエリアに今限って、これは法律は国内法しかありませんので、議論をしていますけれども、世界のどこかに残ればいいという話には全くならないわけであります。我々のエリアでその生物相が失われるということは、私の言い方をさせていただくと、我々人類の滅亡に近づくというふうに私はとらえているわけであります。そういった思いを込めてやっぱり御理解をいただいて御答弁をいただければなというふうに思うわけでありますけれども、じゃ、もっと難しい話をさせていただきたいと思います。
 川辺川ダムが計画どおり建設をされたときに水没してしまう洞窟があるんだそうであります。そして、その洞窟の中にはコウモリが生息をしていて、そして世界でそこにしかいない昆虫がいると。これは絶滅危惧T類、ツヅラセメクラチビゴミムシ、イツキメナシナミハグモと。これは、非常に自然というのはすばらしいなということを我々に教えてくれる希少な生物だろうというふうに思います。局長も勉強していただいたかどうか分かりませんけれども、コウモリがここにすんでいて、洞窟の中にすんでいて、洞窟の中にコウモリがふんをする、そのふんからエネルギーを摂取して生きているのがこの昆虫だというんです。
 さっきもピラミッドの話をさせていただいたし、大臣からも御答弁をいただいた。生物というのは、独りで生きているという生物はいないんだと。みんな助け合って、関係し合って、そして我々はピラミッドの上の方にいさせていただいて、様々な食物連鎖の中であらゆるものを食べて生きていると。例えば、生物界の芸術というのは、例えばドングリをリスが後で食べようと思って土の中に埋める、それがその植物にとっての生存だ、あるいは鳥に食べられて、あるいはその種を運んでもらうことがその生物の生き残りだというように、すべてのこの生態系の中というのは、我々が把握しているというか、見える範囲内以外のところで相当のかかわりを持っているわけであります。
 これはさっきの話と矛盾するかもしれませんけれども、世界でたった一か所、ここの鍾乳洞というか洞窟にしか生息しない。もし、世界の研究者はこのことを知っていると思う。日本という国はもしかするとこういう生物を地球上から抹殺するかもしれないということで心配をしている方もいる。あるいは、もしこのまま絶滅をさせてしまうと日本が世界の物笑いになるかもしれない。こういったことに対して、冒頭、レッドデータブックや、絶滅危惧種に関して言うと鳥類に厚くほかに薄いと私も指摘をさせていただきましたが、こういったことに関しましてはどのような考えで臨んでおられるのか、御答弁をお願いしたいと思います。
#75
○政府参考人(岩尾總一郎君) 御指摘の川辺川ダム事業でございますが、一部水没する洞窟に先生御指摘のような昆虫、希少コウモリ類の生息が確認されていることは承知しております。
 当然、ダムの事業ですとか各種開発事業ということの実施する場合には、事業者で十分な環境調査及びその結果を踏まえた希少生物の生息環境の保全など、事業地周辺の自然環境の保全は十分配慮しなければならないというふうに認識をしております。
#76
○小川勝也君 話がごみみたいな話なんですよ、ゴミムシの話ですから。普通の人は、まあ何だ、ごみみたいな話と我々人間生活とどっちが大事だなんという方もいらっしゃるかと思う。ところが、局長だけはこのチビゴミムシの味方になってもらいたい。本当に世界にここにしかいないとするならば、これは日本の環境省として、この二種類の、ゴミムシとクモですけれども、守っていきたいのか、守る義務があるのか、守ろうとするのか、その御答弁をお願いしたい。
#77
○政府参考人(岩尾總一郎君) 正に、最初に大臣の方で答弁させていただきました豊かな自然生態系といいますか生物多様性の保全という意味では、そのようなものが保存されるということが望ましいだろうというふうに思っております。
#78
○小川勝也君 何か他人事ですね。種の保存法というのが彼らを守るんじゃないんですか。今、その法律の審議をしていて、御答弁をいただいているのは所管の局長さんですよ。評論家みたいな言い方しないで、守っていくのか、我が国として守るのか、環境省としてどう考えているのか、もっと力強く答弁してください。
#79
○政府参考人(岩尾總一郎君) 大変珍しい希少なものという認識はしております。
 それで、その調査、結局、私どもその法律の中で、先ほど申し上げましたが、希少種は希少種としてたくさんあるわけでございまして、その中で、法的にきちんとした形で種の保存法の中で保存していくためのそのステップをするためには、どうしてもやはり個体数ですとか、分布ですとか、科学的な知見が必要だということでございます。
 そういう意味で、このたまたまこれ九折瀬という洞窟で見つかったからツヅラセメクラチビゴミムシという名前が付いているんだろうと思います。正に希少種なんだろうと思いますが、近縁種あるいは同類種その他がどのような分布状況になっているか、やはり科学的な知見を集めて評価をしていくということは、やはり行政で施策を打つ上で私は必要ではないかなと思っています。
 だから、希少種だから、見付けたから、これはここにしかいないということなのかもしれませんけれども、あくまでもそれを評価していくという中では、きちんとした科学的な手続というものが必要ではないかなというふうに思っております。
#80
○小川勝也君 全然答弁になっていないんだよね。川辺川ダムが建設されたら、地球上からいなくなるかもしれないと言っているんだよ。それなのに、調査してほかのところにもいるかもしれないと言って。先ほど優しくも野生生物や種を守っていくには環境省は予算も人も足りないだろうと、みんなで応援して増やしていこうという話をしたんだけれども、まずは何かを守っていこうという意思が最も欠落しているということが分かりました。残念です。
 最後に、これ大臣にお答えをいただきたいんですけれども、建設的な提案を私はしたいと思います。
 移入種の話はできませんでした。しかしながら、例えば外国から日本に入ってくるもの、これは生きている生体あるいは今回の話題になっている象牙あるいはクマノイそしてトラ由来の漢方薬、様々いいもの悪いもの、日本に入ってきます。そして、種の類似品とか亜種とか、非常に見分け付かないものがいろんな形で入ってきています。例えば、輸入ということに関して言うと経済産業省、税関は財務省と、それから植物防疫は農林水産省で、食品になると厚生労働省とか、あるいは移入外来種そして種の保存ということになると環境省も絡んでくる。これ大変縦割りで、ただでさえ専門的な知見が必要なのに、それが分散している。
 ですから、この水際という概念でしっかりとその連携を取る組織を作っていただきたいということと、IT社会でもあります。ただいまは、ただいまというか現在の社会は、携帯電話にもカメラが付いていて瞬時にデータを送れるので、例えばこの分野でいうと何大学、ここは何研究所、様々なデータを瞬時に送ることができるので、各省連携して水際対策をもっともっと充実させてほしい、そのことを環境大臣から様々な関係省庁に提案をしていただきたい。そのことを最後に申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#81
○国務大臣(鈴木俊一君) 希少生物を守るということで水際対策、野生動物のこの同定でありますとか、あるいはそれによって、その器官を使って作られるそういうものの真偽、本物か偽物か、そういうものをきちんと判断していくということは、その水際対策にとりまして極めて重要であると思います。
 先生からの御提案は、そのための専門的な専門家のネットワークを作ったり、インターネットを使ってという御指摘であるわけでございます。それで、先生が今御指摘になられたお考えになられているものと必ずしも同じものではないかもしれませんが、環境省におきましてもそうした専門家集団、そういうものを一応組織してネットワーク化をしております。これは希少野生動植物、野生動物種等保護識別検討会ということで、それぞれの専門家が入っていただいて、これは動物園、水族館の職員、大学の研究者、博物館の学芸員といったような専門的知識を持っている方でありますが、そういう方を、何と申しますか、ネットワークを結んで、それぞれの地区に派遣をして必要な専門的なそうした助言が必要だというときに、そこに行ってもらってするということをしております。
 そういうものを設置しておりますが、しかしその重要性にかんがみまして、そういうものを今後我々としてもより充実したものにしていきたいと思っておりますので、今のITも含めた、また各省庁の含めた連携、そういうものも今後このネットワークを充実強化していく上で参考にさせて、とにかく、よりよいものにしていきたいと、そういう努力を続けてまいりたいと思っております。
#82
○福本潤一君 公明党の福本潤一でございます。
 今、小川委員と岩尾自然環境局長の答弁聞いておりますと、今回の法案、正に自然観とか宇宙観、また生命観、そういったところまでかかわる法案だなと、一人一人のライフスタイルにまでかかわる法案だなというふうに思いを新たにさしていただきました。
 その意見をやっていますと、あっという間に二十分、私の持分が終わりますので、最初に科学的認識、聞かしていただこうと思います。
 私も愛媛大学農学部におりましたので、最近は、ただの虫というような研究家が出たり、昆虫学科で大変貴重品種を研究する学者がおられると。もう世界でこの昆虫に関しては第一人者です、世界一人者ですというから、聞いてみたら、一人しか研究者がいないということもあったりしまして、なかなか大変なデータがそろっているようでございます。
 レッドデータブックということで、これ愛媛県が出して、これ貴重な本で、私も時々へりに置いて見さしていただいておりますし、広島の方でも、瀬戸内海の周り動いていますと、是非ともこの貴重品種の博物館を造っていただきたいというようなこともございました。
 こういう意味では、レッドデータブックというのが熱心にやって、作られている県ですね、それと現実に国における作成状況、さらには現実に条例を制定している県もあるのかということを最初に認識として聞かしていただこうと思います。
#83
○政府参考人(岩尾總一郎君) 条例まであるかないかはちょっと分かりませんが、都道府県、現在、愛媛県を含めまして四十二の都道府県でレッドデータブックが作成されております。
 環境省は、平成三年に最初のレッドデータブック作りまして、その後、平成七年から分類群ごとに一次見直しを行いまして、改定されたレッドデータブックは平成十二年から順次発行しております。本年度中にすべての分類群について発行を終えております。
 条例ですが、北海道以下、十数県にわたって自治体に条例が定められております。
#84
○福本潤一君 そういう意味では、ほとんどの県でレッドデータブックも整理されているようでございます。
 こういう研究者お一人お一人にとっては、昆虫で言いましたけれども、シダとか、また植物で、コケで、将来いつかは役に立つだろうと思われるようなものに関しても熱心に研究されておることございますので、こういう動きに対しまして環境省は具体的にどういう支援を行っておるのかということを聞かしていただこうと思います。
#85
○政府参考人(岩尾總一郎君) レッドデータブック作成の都道府県の取組に対しまして、環境省では、種の選定基準に関する技術的助言、分類学、生態学などの専門家の紹介などを行っております。
#86
○福本潤一君 それは、紹介ぐらいはやっているということで。予算的にどの程度やって、どういう品種に対して、また、今後、二次見直しに対してどういうふうな国と県の連携やっているかというところぐらいまでは答えていただかないと、それは御紹介だけでは……。
#87
○政府参考人(岩尾總一郎君) 失礼いたしました。
 環境省、先生御指摘のように、十五年三月から第二次見直しをしております。その中で、見直し作業の適正な評価を行うために都道府県のレッドデータブックの情報の活用をいたします。必要に応じて、都道府県のレッドデータブックの作成に協力した地方の専門家の意見を聞きながら、検討を進めていきたいというふうに考えております。
#88
○福本潤一君 そういう意味では、私も、この質問の直前の六月十日にも、愛媛県の城川で絶滅危惧種ブナバラソウ確認とか、いろいろな形で熱心にやっておられる。こういう貴重な品種、また絶滅危惧される品種に関しても研究続けておられる方に対しては、やはり法の趣旨にのっとって最大限検証していただければと思います。
 また、引き続きまして、今回の法律、余り大きな改正ではないようでございます。先ほど小川委員の方からも鳥獣保護法と、またこの種の保存法の絡み、いろいろなことで意見がございました。あのときも、ある意味では動物を殺すのは襲われるときと食料にするときだというような、仏教の殺生の話のような話まで出て議論した記憶がございますけれども、今回の法律の改正の意義、必要性、これを確認した上で中身に入らしていただこうと思います。
#89
○副大臣(弘友和夫君) 今回の改正は、先ほど御答弁にありましたように、ある意味におきましては国全体の公益法人を規制改革の観点から政府全体で見直すという観点でございます。
 しかし、今回の改正の内容は、危惧される部分もあるかとは思いますけれども、一方では、これは一定の専門的知識を満たす者はだれでも種の保存法に基づく登録認定関係事務に参入することを可能にするということでございまして、その登録基準が専門性だとか公正中立性だとか、いろいろなそういう登録基準を満たせば登録できるわけでございますので、そういう可能性があると。それで、絶滅のおそれのある野生動植物の知見を有する多くの専門家が種の保存の取組に参画するようになるほか、これを契機として野生動植物の種を同定する技術等の蓄積が民間で更に進んで、専門家が幅広く育成されることということが期待されるのではないかというふうに考えております。
#90
○福本潤一君 そういう意味では、今回、民間の登録認定制度ができたわけですけれども、これで今後問題が生じることがないように担保策についても検討しておいていただければと思います。
 さらに、今回の保存法の制定ですが、もう十年前に制定されたと。この法律が国際的な条約に基づいて日本国で制定された以後、成果は具体的に、この法律があったがゆえにこういうふうに守られたというものがあるのかどうか、これを聞かしていただこうと思います。
#91
○副大臣(弘友和夫君) 種の保存法は、国内の希少野生動植物種を指定した上で、当該指定種の捕獲禁止また生息地等の保護、また、保護増殖事業の実施等を位置付けておりまして、同時に国際的な希少種の流通規制を行っているところであり、特に象牙の国内流通体制については有効なシステムであるということで、これは国際的にも認知されているところでございます。
 現在、国際希少野生動植物は六百六十六分類群を指定しておりまして、譲渡規制等を着実に行い、不正な取引を防止しております。また、国内希少野生動植物種につきましては現在まで六十二種を指定して、うち二十一の動植物については保護増殖事業を実施しております。生息地等保護区も七地区指定するなど、法の運用によりまして希少種の保護に努めてきたところでございまして、環境省といたしましても、今後とも種の絶滅要因の解消に向けてこれらの施策を鋭意推進してまいると、十年間のこの法の制定以来の成果というのがあったというふうに考えておるところでございます。
#92
○福本潤一君 そういう意味では、適用によって絶滅回避できた品種というのはそう多くないようでございますけれども、これ、国内の希少野生動植物として六十二種類しか指定していないと。これ、レッドリストに掲載している種類は二千六百六十三種類ということでございますが、この差、落差、これはどういうことか、またなぜなのか、今後の方針も含めてお伺いします。
#93
○政府参考人(岩尾總一郎君) 御指摘の差でございますが、そのようなレッドリストから国内希少野生動植物として指定するためには、捕獲、譲渡しなどの禁止や保護区の設定ということを行いますので、分布状況、生息数などについて詳細に把握した上で関係機関との合意形成が必要であるということでございます。
 したがいまして、かかる合意形成に時間を要するということでございますが、昨年は九月にスイゲンゼニタナゴなど五種類について国内希少野生動植物種に指定したところでございまして、引き続きレッドデータブックに掲載された種についての生息状況の詳細な把握を進めまして、種の保存法に基づく指定に着実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#94
○福本潤一君 そういう意味では、今後希少な野生動植物を保護する、また今後DNAも残していくという意味におきましても選定基準を見直すという考えはないかということと、今後どういう政策を環境省としては力を入れて行おうとされているか、これをお伺いします。
#95
○政府参考人(岩尾總一郎君) レッドリストに掲載する種類につきましては、専門家による既存の知見などを用いまして個体数の減少、捕獲圧力等を分析し、選定基準に基づき選定しております。絶滅のおそれの程度に応じてカテゴリー別に分類、公表して絶滅のおそれの警鐘としているということでございます。
 一方、種の保存法に基づく国内希少野生動植物については、先ほど言いましたような各種の行政上の措置がございますので、関係機関との合意形成が必要でございます。
 そういうことで、レッドリストの掲載種と私どもの種の保存法に基づくものについてはその趣旨が異なるということなので、その選定基準、種の保存法の選定基準を見直すということは困難と思っておりますけれども、先ほど申しましたように、レッドリストに掲載された種から合意形成を踏まえて、絶滅のおそれのある度合いの高い種を優先して指定していくというプロセスは取ってまいりたいというふうに考えております。
#96
○福本潤一君 そういう意味では、こういう貴重な品種、将来的に様々な人類に有益になる可能性があるもの、一見ただの虫も見直さないけぬというような研究も出てきておりますし、瀬戸内海でいいますと、もう本当環境ホルモンの影響がある以前から品種的にはかなり、本来あるべき、子供のころは見ていたものがほとんどいなくなったと、フナムシやなんかもそうでございますし、貝類でもいろいろございます。
 そういう中で、海外からの移入動物、こういったものが各地で、我々も子供のころ知らなかったような動物も散見されますし、また売買されている場合もございます。こういう移入した動物による日本の野生動植物に影響、これ科学的認識というふうに環境省は先ほどから何度も言っておられましたので、そのレベルの話をこの移入種における影響、どういうふうにとらえられておるか、これをお伺いしたいと思います。
#97
○政府参考人(岩尾總一郎君) 国外又は国内の他の地域から人為的に導入された移入種によって大きな被害を受けているものがございます。具体的にはマングースによるアマミノクロウサギやヤンバルクイナなどの捕食。それから、ノヤギによる小笠原諸島の希少な植生の破壊等が確認されております。
 環境省として移入種対策事業、平成十二年度から奄美大島などにおけるマングースの駆除を実施しております。移入種の具体的な措置の在り方につきましては、本年一月の中央環境審議会に諮問したところでございまして、現在専門の小委員会で審議をいただいている状況にございます。
#98
○福本潤一君 マングースの例一つ、駆除の話でいただきましたけれども、先ほどライフスタイル、人生観かかわると言ったのは、一つの行動、行為があると、開発すると即座に大変多くの破壊が同時並行で進行されるわけでございます。そういう意味では、この審議会で様々な人生観持った方々同士が議論する中でこの種の保存という大きなテーマに向かって取り組んでいかれることだと思います。
 今現在、この審議会で具体的にどういう議論をされて、また今後どういう形の予定で進められようと環境省はされているか、これもお伺いしておきたいと思います。
#99
○政府参考人(岩尾總一郎君) 第一回の中央環境審議会野生生物部会移入種対策小委員会、今年の二月の二十八日に開かれまして、これまで五回にわたり審議が行われてまいりました。
 具体的には、移入種導入に際してのリスク評価がどうあるべきかなどの議論が進められました。先般は、動物輸入業者、釣り業界などの関係業界、それから移入種の研究者などからヒアリング、意見聴取をいたしました。今後、定着している移入種の防除の在り方、それから生物多様性保全上重要な地域管理の在り方などについて審議をいただくことにしております。その上で、環境省としては今年の秋を目途に移入種の具体的な措置の在り方に係る答申をいただきたいというふうに考えております。
#100
○福本潤一君 秋まで答申いただいてということで、科学的認識は様々今後も知見も含めて深められていくんだと思いますけれども、今回、先ほどの小川委員と自然環境局長との議論聞いていてもよく分かるんですけれども、科学的認識だけではこれ一つの方策、対策打ち出せれるものではないというふうにも思います。
 現在、野生生物の保護を目的するということで、一つは種の保存法。先ほどありましたけれども、鳥獣を対象とする鳥獣狩猟保護法という、狩猟と保護が組み合わせられた法律が現実にございます。確かに狩猟保護法のときにも、先ほどの人間が殺生するときは自衛のときと食料の、生存のときであるという議論以外にも、自然とはそもそも何かというような議論もかなりありました。例えば、あの当時瀬戸内海でサメによって人間が食べられた、クマによって逆に人間が食べられたと。これは自然なのかどうなのかというような話まで殺生との絡みでございました。
 そういう意味では、先ほど言った移入種の問題も含めて野生生物全体を対象とする法制度、これをやはり、こういう種の保存法と鳥獣狩猟保護法だけではなくて、野生生物保護基本法のようなものが、やはりこの両者の間を滑れる法、これが必要なのではないかというふうに私どもも感じておるところがございます。
 今後の環境省の検討をまつとして、環境省の現状の、現在この二つの法律で、こういう野生生物保護基本法のようなものがないという中で、そういった方向性を検討されるお考えないのかということも、是非とも環境大臣に最後に御質問をさせていただければと思います。
#101
○国務大臣(鈴木俊一君) 多様な野生生物で構成されます健全な生態系、これを将来にわたって受け継いでいくということは大変重要なことであると思っております。今、福本先生御指摘のとおり、今は種の保存法、そして鳥獣保護法等個別の目的を持った法律によりましてこれに対応しているという状況であります。そういう中におきまして、御指摘の野生生物保護基本法というようなお考えもあるわけでありますけれども、今ある個別のまずは法律を的確に対応していくということ、これがまず大切であると思います。
 それにはいろんな考え方があると思います。例えば、先ほど小川先生からも個別個体群のような御指摘もございましたが、従来ある法律を施行する上で、従来ある法律そのものをまた見直していくと申しますか、改正が必要であれば改正していくということも一つのアプローチであると思いますし、また今の御指摘の基本法のような、そうしたものを制定してやっていくということも一つのアプローチだろうと思います。
 いずれにいたしましても、今の法律を厳格に適用をして、それでもなお必要であるという中で、いろいろなアプローチがございますけれども、この基本法という形でのやり方、そういうものも決して我々は排除しておりませんので、そういうことも含めて真剣に勉強してまいりたいと、そのように思っております。
#102
○委員長(海野徹君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#103
○委員長(海野徹君) ただいまから環境委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#104
○岩佐恵美君 種の保存法では、国際希少野生動植物の個体や器官、加工品等の商業目的の取引を禁止をしています。したがって、その厳格な運用、これは日本の国際的な責務であります。
 国の指定機関として登録事務を行ってきた財団法人自然環境研究センターによりますと、これまでの登録実績では、商業目的で繁殖された観賞魚、アジアアロワナがほとんど、そして輸出国の許可証があれば商業取引が認められるもの、ベンガルヤマネコがほとんどということです。これらは正規の書類があって比較的審査が容易ですけれども、問題はそれ以外のもので、そのほとんどがアフリカ象の象牙です。
 アフリカ象の象牙は九〇年一月以降は取引が禁止をされていて、九九年に五十トンの試験取引が認められただけで、現在も原則として取引が禁止をされています。しかし、昨年十二月のワシントン条約第十二回締約国会議で、アフリカ南部三か国、ボツワナ、ナミビア、南アフリカの象牙について条件付きで輸出が認められました。その条件は、輸入国の管理がしっかりしていること、密猟監視モニタリングで生息密度のデータが整うこと、もし違反が起こればそれ以降の取引は禁止すること、こういう中身になっています。来年三月のワシントン条約常設委員会の会議で、三か国から条件がそろえば象牙が日本に入ってくるということになります。
 現在、この三か国から象牙を輸入する、そういうことが想定されているのは日本だけです。日本の国際的な責任は重大です。現在の登録認定制度で不正な取引を防ぐことができるのかどうか、大臣に伺いたいと思います。
#105
○国務大臣(鈴木俊一君) 国内におきます認定業務、それから登録業務、これをきちんと行うということは、ワシントン条約の中で我が国に課せられたこれは国際的な責任であると、そういうふうに思っております。
 それで、種の保存法に基づきますこの登録認定業務でありますけれども、これにつきましては、この法律、それから法の施行令等におきまして、登録認定の要件でありますとかそれから必要な書類、こういうものが明らかに定められております。
 一つの例を挙げますと、商業目的で海外で繁殖させた個体を登録する場合におきましては、これは輸入時におきます通関書類等を求めることとしておりまして、不正な取引がないか、指定機関がそうした書類を厳格にチェックをするシステムになっております。それから、登録認定事務、ここにおきましては、動物におきましては種の同定、それから先生が例に挙げられました象牙につきましてはそれが本物か偽物かどうかの判断、そういうものがなされるわけでありますけれども、これもこの業務に精通した職員がそれぞれの分野の専門家の助言を得ながら実施をしていると。
 そういうことでございますので、こうした措置を通じまして現在の登録認定業務においても不正な国際希少野生動植物種に対するチェックはできていると、そのように認識をしているところであります。
#106
○岩佐恵美君 先ほども申し上げましたように、象牙が今問題なんですね。輸入が現在認められていない。ですから、取扱業者が以前から所有していたものはすべて業の届出の際に届け出たことになっている。したがって、現在新たに登録されるというものについては、これまで売る予定がなかったので登録していなかったとかあるいは古い蔵の中から出てきたなどというものでありまして、二〇〇一年の登録、八十八本あるんですが、すべて条約による規制以前に取得したものとされています。
 ところが、その半数は、四十三本は取得したときの証明書類がないんです。その場合には、条約の規制前から所有していたという第三者の確認が取れれば登録が認められる、そういう仕組みになっているわけですね。その真偽をどうやって確かめているのですか。
#107
○政府参考人(岩尾總一郎君) 入手時期が古いものなど、公的な書類を求めることが困難な場合もありますので、そのような場合には、家族以外の第三者の証言により条約適用以前に入手したことを確認するかどうか、確認して信憑性が認められる場合などはそれによる登録を行います。具体的には、家族、同居人以外の第三者から文書による詳細な確認を取ると同時に、象牙を入手した時期やその状況について詳細な説明を求める、梱包している新聞紙などの入手時期に関する状況証拠を確認するなど、様々な手法を組み合わせて信憑性の確認を行わせております。
 今後とも、不正な登録は行われないように慎重に対応したいと思っております。
#108
○岩佐恵美君 古い新聞紙を持ってきて包めば、それでも第三者が証明すればそれでいいということになるわけですね。反証をつかめない限り登録を認めるというのが実態なわけです。その際に、現地調査も行わない、事実上相手がこうでございますと言えばもうそれで受けざるを得ないというのが今の実態だということなわけですね。私もちょっと現場の方に伺いましたけれども、へえ、そういうものなのかと思って、ちょっとその甘さに驚きましたけれども、現状の指定機関の登録審査さえこういう実態なんですね。それを今回の改正で一般の登録機関に開放するということになると、不明朗なものが出回るのではないか、そういう不安が広がるのは私は当然だと思います。
 一般の登録機関で、例えば現在センターが受け取っている手数料は、象牙で千百円とかその他二千六百円という手数料だそうですけれども、自然環境研究センター以上の厳密な調査を行うというのは私は至難の業だと思います。元々、登録事務というのは民間がやってもうかる仕事ではありません。登録機関に手を挙げるとすれば、何かそれで見返りを期待するものがあるのではないかとしか考えられないんですね。ですから、改正案では、動植物譲渡業者と資本的、人的なつながりがある者の申請を排除をしています。
 ただ、動植物譲渡業者と、例えば委託調査などの業務委託、そういう委託事業を継続的に行っているそういう取引があるような者は排除をされるのかどうか、そこのところをしっかりとお答えをいただきたいと思います。
#109
○政府参考人(岩尾總一郎君) 種の保存法では、希少野生動植物についての取引や販売、頒布目的の陳列等を規制しておりますので、こうした規制の対象となる行為を業として行う者を幅広く動植物取扱業者として定め、これらの者を登録機関の役員又は職員から除外することによって登録機関の公正中立性を確保することとしております。
 具体的には、動植物譲渡し業者とは、動植物の個体、器官、加工品を問わず、ペット業者、園芸業者など、これらの採取、加工、流通をいずれかでも行う者であることから、例えば生花商などの一般の小売業者もこれに含まれると解しておりまして、これらの者はすべて登録機関の役員又は職員から排除されます。しかし、これらの者と継続的に業務取引があるということをもって機関登録の要件から除外することとなると、除外の対象が過度に広範になるおそれがあります。動植物譲渡業者等と継続的に業務取引があるということをもって、したがいまして登録機関から排除すべきじゃないと考えております。
 なお、そもそも動植物譲渡し業者等と動植物の個体について取引を行っている者というのは、そもそもその登録機関の対象から除外される業者等に該当するというふうに我々は考えております。
#110
○岩佐恵美君 私が言っているのは、取引譲渡業者が調査依頼をする、客観的な何か調査を依頼をする、それを受ける会社、そういうところについてはどうなんですかと、そういうところの関係者が入っているというようなことについてはどうなんですかということを伺っているんですね。この問題については、どうも事前にいろいろ法案説明のときに伺っていてもはっきりしないんですね。
 ここのところをきちっとしていかないと、要するに委託調査というのは、割合と、何というんですか、客観的なデータを作るというふうに見えて、何か商取引とは関係ないように一見見えるわけですけれども、そして調査というのは意外とそれでもってそこの組織はかなり支えられるということになるわけですから、そういう点では、非常に私は、取引そのものというよりもそういう委託調査というところなんかも重要だと思っているわけなんです。だから、そこのところをはっきりしないと、やはり取引を維持するために審査が甘くなる、登録機関の審査が甘くなる、そういうおそれを払拭できないと思うんですね。
 その点、委託調査を受ける会社、その受けている人たちもその関係者ということになるということでいいんですか。端的に答えてください。端的に言ってください。入らない、入る。入る、入らない。どっちでもいいんですよ。
#111
○政府参考人(岩尾總一郎君) なかなか専門性のある方々で、学問的に多分委託調査ということで行われるわけですから、大学の先生とか専門家とかいう形でそのような委託調査に携わる方もおられると思いますので、会社組織になっているかどうかというところがちょっと私としては判断できかねるので、その人の専門性ということであるならば、特に会社とか機関という、今回のこういうものには該当しないというふうには考えておりますが。
#112
○岩佐恵美君 何回聞いてもグレーなんですね。分からないんですよ。だから、そういう審査が甘くなるような、そういう客観的な状況を作り出すということがないようにしっかりやっていかなきゃいけないと思うんですね。
 ワシントン条約で禁止されている野生動植物の商業取引を例外的に認めるような審査、これは、私は本来国が行うべきだと思うんですね。だから、昨年三月に閣議決定された改善実施計画でも、国際的責務の履行に関する事務は国又は独立行政法人において実施すると明記をされていて、すぐには登録機関化が決められなかった、そういう経緯があるんですね。
 昨年の締約国会議の際に種の保存ネットワークが行った記者会見では、なぜ日本は象牙やべっこうなど絶滅危機にある野生動物を利用するのか、チリの子供は、日本人は世界じゅうの野生生物を食い荒らしていると思っている、そういう質問が出たということです。今回の改正は南部アフリカの象牙の商業取引を再開しようという一部の思惑に手をかすものではないかという疑いが自然保護関係者の間に強いんです。ですから、国際的に日本の姿勢が疑われることがないように、私は厳しい対応が求められるというふうに思っているんです。
 今、象牙に限って言っているんですけれども、その点、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
#113
○国務大臣(鈴木俊一君) 先ほども申し上げたところでありますけれども、ワシントン条約がある、それに基づいて国際的な責務として、国内においてこの登録認定業務というものをしっかりと適正にやっていくということが重要である、こういうふうに思うわけであります。
 要は、どうやってこの登録業務の公正中立性を確保していくかということだと思うんでありますけれども、この登録機関に対する報告徴収及び立入検査、こういうものも的確に行いたいと思います。そして、必要があれば業務停止命令、これを含みます各種命令、それから登録の取消し措置、こういうことを講じることとしておりますので、こうしたチェックや措置を適切に実施することによりまして登録業務が適正に実施されるよう努めてまいりたいと思っております。
#114
○岩佐恵美君 種の保存法は、鳥獣保護法改正の審議でもその抜本改正が求められてきたわけですけれども、希少野生動植物の絶滅を防止するという点では極めて不十分なんですね。それは午前中の審議でも浮き彫りになったところです。
 二〇〇二年四月十八日の参議院の環境委員会附帯決議でも、生物多様性の確保に向けての担保措置の整備充実を図るとともに、野生生物保護の法体系の見直しについて検討をすることとしているんです。それにもかかわらず、今回、国際希少野生動植物の商業取引に関する規制を緩めるような法案が提出をされたと私は思っているんです。規制緩和法なんですね、今回のは。規制緩和策です。つまり、国が本来やらなきゃいけない業務、それは今センターが、自然環境研究センターが行っている。それを今度登録機関、民間の機関にやってもらいましょう、これは正に規制緩和ですよね。私は、そういう点では、今求められているそういう改正とは違って、何でこんな規制緩和だけちょっとやるのということで余りにもひどいじゃないのと。
 そこで、私は、こういう種の保存法についても、あるいは鳥獣保護法もひっくるめて、とにかく生物多様性を確保できる、そして野生生物をちゃんと保護できる、生物多様性が保てる、そういうような抜本的な法改正あるいは法準備というものが必要だというふうに思います。これは午前中の小川議員からも非常に強く提起をされておりますけれども、私も同じ思いなんですね。
 これはちゃんとやっていかないと、こんなもうちょこちょこ規制緩和だけの改正を出してくるというのは本当によくない、そう思うんですけれども、大臣いかがですか。
#115
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回は、規制緩和、規制改革の一環として様々な制度、これを政府全体として見直そう、そういう中で出させていただいたわけでありまして、将来にわたってこの種の保存法、問題点が出てくればそれを改正しないというようなことはないわけでありまして、今回はそういう限定したことであるということをまず御理解をいただきたいと思います。
 そして、これは登録機関に対する規制緩和であるわけでありまして、中に行われます業務について規制を緩めるというようなことは全くないということでありまして、その点は是非御理解をいただきたい、そういうふうに思うわけであります。
 それで、この野生生物の保護に対する法体系の在り方ということでありますけれども、多様な野生生物で構成されます健全な生物の多様性、これを次の世代にしっかりと引き渡していくということ、これは重要なことであると、そういうふうに思っているわけでありまして、このために鳥獣保護法でありますとかあるいは種の保存法などの個別目的を有する法律を適正に執行をしてまいりたいと思います。
 それと、また新しい課題もございます。これは、先般国会でも御審議をいただきました遺伝子組換え生物あるいは外来種、こういうものが生物の多様性に与える影響というものもあるわけでありまして、こういう新たな課題につきましても着実に取り組んでまいりたい、そのように思っております。
 野生生物の保護を進めるわけでありますけれども、まずは個々の法律、これを的確に実施をしていくことということが、これが重要である、そのように考えておりますが、それでもなお制度的な対応が必要ということがありましたら、今後、御指摘のありました法体系の見直し、そういうものも検討の視点から排除することなしに、また、海外の事例等もよく収集しながら真剣に勉強してまいりたいと考えております。
#116
○岩佐恵美君 環境省のレッドデータブックには、絶滅のおそれがある種として動物六百六十九種、植物千九百九十四種が記載されています。しかし、そのうち、種の保存法で国内希少野生動植物に指定されているのはわずか五十七種。全体の二%にしかすぎません。生息地等保護区は、植物二種、動物四種で合わせて七か所しかありません。保護増殖事業計画は、植物三種、哺乳類二種、鳥類十種、両生類一種、魚類二種、昆虫類三種、全部合わせても二十一種です。
 種の保存法に指定されても、捕獲や譲渡の規制、保護区の開発等の規制はするんですけれども、保護、回復の手だてはほとんど取られない。絶滅のおそれがなくなるまで回復しなければ私は種の保存の目的が達せられたとは言えない、そう思います。
 種の指定と併せて、生息地保護区を指定して保護増殖事業を具体化するなど、指定種の積極的な保護策を講じてほしいと思いますが、大臣。
#117
○国務大臣(鈴木俊一君) この保護増殖事業計画、それから生息地等保護区の指定、これを増やしていくべきだということでございますが、基本的には先生と同じ考えでおります。
 ただ、この保護増殖計画の策定でありますとか生息地等保護区の指定につきましては、関係機関でありますとか、それから地方自治体、それから土地所有者、そういう方々と合意形成に時間が掛かるという、そういう現実はございます。
 しかし、環境省といたしましても、現在八つ目の生息地等保護区を目指しまして、沖縄県の石垣島におけますイシガキニイニイの生息地保護区、これはセミだそうでありますけれども、これの指定に取り組んでおります。
 今後とも、積極的な関係者との合意形成、こういうものに努めてまいりたいと思いますし、今後、生息地等保護区の指定、それから保護増殖事業、これを着実に推進してまいりたいと考えております。
#118
○岩佐恵美君 メダカやキキョウなど、日本じゅうに普通にいた生物までが急激に絶滅のおそれに追い込まれています。こういう状況になってからでは遅いんですね。
 生物多様性国家戦略では予防的措置が、対応が必要と明記をしているわけですけれども、いわゆる予防原則の立場に立って、絶滅のおそれの状態に至らないようにする必要があります。
 具体的には、野生生物の実態調査を充実することです。それから、午前中の質疑で出ましたけれども、地域個体群を独立した保存対象とすることです。それは、私も何度も言ってきているんですけれども、例えば沖縄のミナミコメツキガニだとか泡瀬の海草だとか貝類だとか、とにかくそこにしかいないものが一杯いるわけですよね。午前中の質疑でも出ました。そういうものを保存対象とすべきだと思います。
 それから、リスクの程度に応じた段階的な施策を講ずること、これも必要だと思います。また、種の指定など、施策の過程を公開してNGOや民間の専門家を含めて保護の具体策を検討する機会を持つというのは、午前中も伺いましたけれども、私はこういう機会を恒常的に設けるということが今求められていると思います。
 地域住民の方々と協力して保護のためのキャンペーンを張るなどの、法律の抜本改正を待たずにすぐやれるいろんなことがあると思います。その点についてお答えをいただきたいと思います。
#119
○副大臣(弘友和夫君) 生物多様性の保全を維持していくためにおきましては、先生の御指摘は大変重要なポイントじゃなかろうかなというふうに考えております。
 現に絶滅の危機に瀕している種の保護、また回復というのはもう無論でございますけれども、午前中から御議論がございました地域個体群の保護についてもしかり、そしてまた、それぞれの地域で普通に見られる種に絶滅のおそれが生じないようにするということが重要であるというふうに認識をしているところでございます。
 それで、こうした身近に見られるというのは全国レベルで分布しているわけでございますので、その種が置かれている状況というのを把握するためには、大規模な調査又は各地の専門家の知見の集約など全国レベルの様々な主体の協力と参加が必要であるということで、環境省では、例えば身近な生き物調査というのをやっている。それは、ツバメだとか蛍だとか、身近で見られる普通の種や広分布種についても多数のボランティアの参加をいただいてやっておりますし、また、農水省と連携もしまして、田んぼの生き物調査というのを、これはメダカとか魚類、カエル等についても調査を実施しておりまして、また、十八年度を目標にしております現在実施しているレッドリストの第二次見直しにつきましても、分科会を設けて専門家の参加を得るとともに、先ほどの福本先生のお話でも、一人しか研究していないという方もいらっしゃるわけですから、そういう地域の専門家の情報や意見も反映して、調査に当たりましても、小学生、こどもエコクラブ等も協力していただいて広範にやっているということでございます。
 以上でございます。
#120
○岩佐恵美君 ちょっと時間がなくなってきましたので早口になると思いますが、それと、質問ちょっと併せて伺いたいと思います。
 レッドデータブックに記載された希少野生動植物のほとんどは絶滅のおそれがあると指摘をされるだけで、種の保存法にも指定されないで絶滅するに任せている、こういうのが実態です。特に問題なのが海生哺乳類です。
 旧環境庁とそれから水産庁との覚書で海生哺乳類は水産庁の管轄とされて、環境省の保護対策からは除外をされてきました。ジュゴンについてはようやく、一昨年の私の質問に対する農水大臣の答弁を受けて、昨年四月、環境省と水産庁で新たな覚書が結ばれました。種の保存法の指定対象から除外されないことになったわけですが、また、昨年の鳥獣保護法改正でジュゴンとニホンアシカ、四種のアザラシが鳥獣保護法の対象とされました。しかし、ワシントン条約附属書Tに記載されている水生動物のうち、ウミガメ四種、クジラ類六種、依然として覚書で種の保存法の指定対象外とされたままになっています。
 そもそも、水産資源保護法というのは漁業として利用する水産資源の保護培養を図るということを主目的とする法律です。そして、捕獲を禁止しているのは、ヒメウミガメ、オサガメ、シロナガスクジラ、ホッキョククジラ、スナメリ、ジュゴンの六種だけであります。
 ウミガメや海生哺乳類についても、環境省として、種の保存、生物多様性の確保の観点から、生息状況をきちんと把握をして、必要に応じて種の保存法の対象にできるよう、水産庁との覚書をきちんと改めていってほしいと思います。
 あわせて、今、ジュゴンに次いで絶滅が心配されているのがコククジラです。一科一属一種で進化的に古い形態を備えていて、体長十三メーターから十四メーター、大きいものは十五メーター、唯一の完全沿岸性のヒゲクジラです。浅い海底の泥を吸い込んで底生生物を食べるという独特の食性を持ちます。サハリンからシベリア、日本、朝鮮、中国の沿岸を回遊しているアジア系個体群は、二十世紀初めには二千六百頭いたということですが、捕鯨によって七〇年代初頭には絶滅したと考えられていましたが、その後の発見で現在は百頭程度しかいないと推定されています。最近は栄養状態が悪くて、スキニーホエール、やせクジラとあだ名されているそうで、子供の死亡率が増加をしていると言われています。
 水産庁は九五年に、このクジラが現在その資源水準が極めて低いと、その上に生息環境、特に繁殖場、回遊路の環境は本種の生存に大きな脅威を与えている、今後は早急に資源調査研究を拡大して科学的な保護対策を取らない限りこの系統群の絶滅は防げない、こういう報告書を出しておられます。
 ところが、今、このコククジラにとって大変脅威になっているのがサハリン2というサハリン沿岸の海底油田の開発であります。この開発によってコククジラの索餌海域が大変脅かされるという状況になってまいっております。
 済みません、時間が来てしまっているんですけれども、この点について、ちゃんとコククジラを保護するという観点から、国際協力銀行そして水産庁、それから環境大臣、それぞれお答えをいただきたいと思います。時間がありませんので、短めにお願いいたします。済みません。
#121
○委員長(海野徹君) 時間が来ておりますので、簡潔に答弁お願いします。
#122
○参考人(森田嘉彦君) 御指摘のとおり、コククジラへのプロジェクトを実施していくに当たりまして、コククジラへの影響を可能な限り軽減していくということが、そのための対策が必要であるというふうに認識いたしております。
 私どもの銀行といたしましても、これからサハリン2プロジェクトについての融資を検討していくに当たりまして、私ども銀行の新環境ガイドラインを参照しつつ、このプロジェクトによるコククジラへの影響、これに関してもプロジェクトの実施主体による環境配慮、ここのところをきちっと確認してまいりたいというふうに考えております。
#123
○政府参考人(木下寛之君) コククジラの調査の件でございますけれども、現在、私どもとロシアとの間でコククジラを含みます鯨類の共同調査を実施をしているところでございます。ロシア政府から要請がございましたら、調査研究面での協力を検討していきたいというふうに考えております。
#124
○国務大臣(鈴木俊一君) 今、JBIC、それから水産庁から取組がお話しになったわけでありますが、環境省といたしましても、国際協力銀行の本プロジェクトに対する審査に際しまして、国際協力銀行から要請がありましたら、野生生物に関する知見を始め、環境保全全般にわたって必要な知見の提供に努めてまいりたいと考えております。
#125
○岩佐恵美君 終わります。済みません。
#126
○高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。
 種の保存法改正案に対する質問をさせていただきます。
 登録制に改めることへのデメリットがあると思います。政府の公益法人改革の一環としてこの種の保存法改正案は出されたとのことですが、この国際希少野生動物種に係る登録認定関係事務に関して言えば、その対象を拡大することによりかえって混乱や支障が生じる可能性が高いとはお思いにならないでしょうか。今までは財団法人環境研究センターがやっていたのですけれども、それを民間にするということで混乱するのではないかと思うのですけれども、どうお思いになりますでしょうか。
#127
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回お願いしておりますこの法改正でございますが、これは規制改革の一環といたしまして、検査・登録等の事務事業を国の委託を受けて公益法人が行うこととしている制度につきまして、政府全体で見直すことの一環として提出させていただいた法案でございます。
 そして、一方、種の保存法に基づきます登録認定関係事務、これは我が国がワシントン条約上の責務を果たしていく上で適正に実施していく必要がある事務でございますので、登録認定を行う機関の専門性、それから公正中立性、これを確保することが必要であると、そのように思っております。
 先生は、新たに登録をする機関が今までの業務を十分できない、そういうおそれがあるのではないかと、そういうような御指摘でございますが、今回の改正案では、こうしたワシントン条約上の責務をしっかり果たすことが必要でございますので、国による関与、監督に関する規定、こういうものを設けたところでございます。これらの措置によって、登録認定関係事務を円滑かつ適正に実施できるものと考えております。
#128
○高橋紀世子君 やはりワシントン条約のお約束がありますから、ここで民間にしてしまうのは何か少し心配なような気がします。
 それから、責任の所在について、登録認定事務については政府責任を維持するというのが閣議決定、平成十四年三月二十九日であると聞いていましたが、この法案のどの部分が政府の責任を維持することを担保しているのでしょうか、伺いたいと思います。
#129
○国務大臣(鈴木俊一君) 政府の責任を維持する項目、具体的に申し上げますと、法律第二十四条の四及び第三十三条の九の四でございまして、登録認定機関の事務の実施に関する規定、これを環境大臣の認可制といたしました。そのほか、法律第二十七条及び第三十三条の十五におきまして、登録機関に対する報告徴収及び立入検査の実施、それから法律第二十六条及び第三十三条の十一におきまして、業務停止命令を含む各種命令や登録の取消し措置、こういうものを規定をいたしておりまして、これらの措置によりまして必要な政府責任を維持することができると、そのように考えております。
#130
○高橋紀世子君 やはりどうしても政府責任のことが大変大切だと思います。
 それから、次の質問をさせていただきます。種の保存に関して質問いたします。
 動植物愛護のためではなく、人間の生活を支えている生態系全体への影響を考えても、希少種の保存は私たち人類にとって必要な課題であると思います。
 しかしながら、現在、絶滅の危機に瀕している種はますます増加する傾向にあります。これらの種を保護するために、今後更なる努力をしていただきたいのです。大臣の御決意、そのための具体策として何かお考えあれば聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
#131
○国務大臣(鈴木俊一君) 多様な種の保存、そしてそれによって構成されます生態系、正にそういう一つの大きな輪の中で人類も生存をしているわけでありまして、また、そういう多様な生態系の上に今日の人類の文化もあり、また社会経済も形成されているということでありまして、これをきちっと守って次の世代に伝えていくということは大変重要なことであると私、認識をいたしているところであります。
 しかし、今日の状況を考えてみますと、様々な人間活動による圧迫によりまして、絶滅のおそれのある種が多く生じているという現実もございます。そういうことから、野生生物あるいは野生動植物の種の絶滅の防止に的確に取り組む必要があると。また、それは環境省の大きな役割であると、そのように感じておるわけであります。
 環境省といたしまして、種の保存法に基づいて、専門家でありますとかNGO、自治体などと連携を取りまして、国内希少野生動植物種の指定、それから生息地等保護区の指定、さらに保護増殖事業計画の策定と実施に取り組んでおるわけでございますが、鳥獣保護法等、これらの生息地の保全なども併せて進めまして、こうした措置を通じまして、絶滅のおそれのある種の保存のためにこれからも鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
#132
○高橋紀世子君 是非御努力願いたいと思います。
 とにかく人間の環境の問題考えますと、やはり、今あちらこちらでまだ戦いや戦争が行われていますけれども、その環境への悪影響というのは本当に大きなものがあると思いますので、そういう意味でも、戦争をなくして平和な社会が構築されるようにみんなで努力していかなければいけないと思います。
 今日はありがとうございました。
#133
○委員長(海野徹君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#134
○岩佐恵美君 私は、日本共産党を代表して、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 生物多様性の確保は、人間生存の基盤であり、世代を超えた安全性、効率性の基盤です。種の保存法は、そのための法体系の中核をなすものです。
 しかし、現行法は極めて限られた種の捕獲や取引を規制するだけにすぎず、生物多様性を確保し得る仕組みにはなっていません。また、多くの野生動植物が種の保存法にも指定されないまま絶滅のおそれが広がっています。
 ところが、本改正案は、ワシントン条約で禁止されている国際希少野生動物種の商業取引に関する登録認定事務を民間の登録機関に拡大するというものです。これまでの指定法人でさえ不十分だった登録審査が、本改正案により一層厳正さを欠くことが危惧されます。本来、国際的な責務の履行に関する事務は国が直接行うべきものです。日本は、象牙やべっこうなど希少野生動物を商業的に利用する国として国際的な批判を招いており、このような規制緩和は認めることができません。
 種の保存法は野生動植物が絶滅のおそれに至らないようにすること、既に絶滅のおそれがある野生動植物が特別の保護対策を必要としないまでに回復することを目標にして、真に有効な保護、回復策を講ずるよう抜本的に改正、強化すべきです。
 このことを強調して、反対討論を終わります。
#135
○委員長(海野徹君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#136
○委員長(海野徹君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 小川勝也君から発言を求められておりますので、これを許します。小川勝也君。
#137
○小川勝也君 私は、ただいま可決されました絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)及び社会民主党・護憲連合の各会派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  現行法が施行されてから十年が経過したが、野生動植物の生息地の消失や生息環境の悪化等によって、絶滅のおそれのある野生動植物の種は更に増加している。政府は、かかる現状を厳しく認識し、本法の施行に当たり、生物多様性の確保の観点から、現行法の問題点を整理するとともに、特に次の事項について適切な措置を講ずべきである。
 一、国際希少野生動植物種に係る登録・認定関係事務を行う機関を指定制から登録制に改めるに当たっては、政府責任の維持を明確にすべく、平成十四年三月に閣議決定された「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」の趣旨を踏まえ、機関登録申請をした法人等に対し、その業務運営の透明化及び効率化が図られるよう厳正な指導監督を行うこと。
 二、中央環境審議会野生生物部会において、科学的な観点から国内希少野生動植物種の指定について一層の検討を行うこと。
   また、国内希少野生動植物種の指定に加え、絶滅のおそれのある地域個体群を保護する方策について検討を行うこと。
 三、国内希少野生動植物種については、失われつつある生息地や生息環境の悪化等を考慮して、更にその指定を進めていくこと。
 四、国内希少野生動植物種の生息地等保護区については、関係府省及び関係地方公共団体等が相協力して、更にその指定を進めていくこと。また、そのためにも、失われた生息地の回復に向けた自然再生の取組の充実強化を図ること。
 五、過去の附帯決議を踏まえ、ワシントン条約の効果的な実施に資するため、条約附属書に掲載されている種については、科学的根拠と資源状態に照らして国際希少野生動植物種に指定することを検討すること。
 六、国際希少野生動植物種の密輸防止に向けて、関係省庁が連携して水際取締りの強化を図ること。また、不正輸入により、国庫に帰属した生きた個体については、原産国への返還を含め、必要な措置をとること。
 七、生物多様性の確保に向けて、喫緊の課題となっている移入種対策の法制度化を急ぐとともに、本法を含め野生生物保護の法体系の見直しについて検討を行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#138
○委員長(海野徹君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#139
○委員長(海野徹君) 多数と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、鈴木環境大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。鈴木環境大臣。
#140
○国務大臣(鈴木俊一君) ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして努力する所存でございます。
#141
○委員長(海野徹君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#142
○委員長(海野徹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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