くにさくロゴ
2003/03/27 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 国土交通委員会 第5号
姉妹サイト
 
2003/03/27 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 国土交通委員会 第5号

#1
第156回国会 国土交通委員会 第5号
平成十五年三月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     佐藤 雄平君     郡司  彰君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 俊男君
    理 事
                鈴木 政二君
                脇  雅史君
                山下八洲夫君
                森本 晃司君
                大江 康弘君
    委 員
                岩城 光英君
                木村  仁君
                沓掛 哲男君
                斉藤 滋宣君
                田村 公平君
                鶴保 庸介君
                野上浩太郎君
                松谷蒼一郎君
                吉田 博美君
                吉村剛太郎君
                池口 修次君
                北澤 俊美君
                郡司  彰君
                佐藤 雄平君
                谷林 正昭君
                続  訓弘君
                大沢 辰美君
                富樫 練三君
   国務大臣
       国土交通大臣   扇  千景君
   副大臣
       国土交通副大臣  吉村剛太郎君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       岩城 光英君
       国土交通大臣政
       務官       鶴保 庸介君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        杉谷 洸大君
   政府参考人
       国土交通大臣官
       房長       安富 正文君
       国土交通省総合
       政策局長     三沢  真君
       国土交通省国土
       計画局長     薦田 隆成君
       国土交通省道路
       局長       佐藤 信秋君
       国土交通省港湾
       局長       金澤  寛君
   参考人
       東京工業大学教
       授        屋井 鉄雄君
       高崎経済大学経
       済学部教授    加藤 一郎君
       愛知大学経済学
       部教授      宮入 興一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○社会資本整備重点計画法案(内閣提出、衆議院
 送付)
○社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律
 の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○政府参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 社会資本整備重点計画法案及び社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 本日は、東京工業大学教授屋井鉄雄君、高崎経済大学経済学部教授加藤一郎君及び愛知大学経済学部教授宮入興一君の以上三名の参考人に御出席をいただき、御意見を聴取し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変御多忙のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、屋井参考人、加藤参考人、宮入参考人の順序でお一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 また、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おき願いたい存じます。
 なお、質疑者は、慣例により、起立の上発言することとしておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、大変恐縮でございますが、時間が限られておりますので、簡潔に御発言くださいますようお願い申し上げます。
 それでは、まず屋井参考人にお願いいたします。屋井参考人。
#3
○参考人(屋井鉄雄君) 発言させていただきます。
 ただいま御紹介いただきました東京工大の屋井でございます。お手元にお配りしてある資料を基に、私、参考人の意見を述べさせていただきます。
 御用意させていただいた資料は大きく分けまして四点から成っております。第一点が、社会資本整備重点計画法案の優れた三つの点ということでございます。二点目は、社会資本整備に対する国民の関心事。そして三点目が、社会資本整備の長期計画を策定する意義。そして、最後の四点目といたしまして、本法案のより望ましい運用に向けてという四点でございます。
 早速、第一点目の優れた三つの点から申し述べたいと思います。
 本法案では、社会資本の計画法に初めてパブリックインボルブメント、PIの規定を盛り込んだこと、第四条でございますが、これが大変高く評価できるものと私は考えております。
 一九九〇年代以降、欧米の各国におきましては、計画にかかわる法律を修正することによりましてこのパブリックインボルブメントの規定を盛り込んでまいりました。例えば、米国のISTEA以降、長期計画の策定においてパブリックインボルブメントを要求するということが行われました。あるいはフランスでは、同時期にビアンコ通達というものがなされまして、やはり計画の上流側にパブリックインボルブメントを導入することが行われましたが、その後、一九九五年にはバルニエ法が制定されまして国家討論委員会等ができ上がり、また今世紀になってからその内容についても強化されているということでございます。あるいは、IT等で大変な成長を示しておりますフィンランドでございますけれども、この国の国土利用・建設法におきましても、一九九九年に法律を改定いたしまして、新たにパブリックインボルブメントの規定を設け、計画策定時に国民の意見を取り込むということが行われております。
 かように、各国におきましてこのような改定が行われている中で、我が国でも当然同様な議論が行われたわけでございますが、対応すべき社会資本整備の横断的な計画法、これが存在しなかったということが現状であったと思います。
 なぜ長期計画にパブリックインボルブメントが必要かということは、その計画の性格によって異なりますが、一般的な意義といたしまして、計画自体の説得力を高めていくこと、あるいは計画から事業への連携を期待すること、あるいは必要な財源確保のためのアピールを行うこと、こういったことが意義として挙げられますが、特に本法案では、第一点目、計画の説得力を高めるという点でも大変大きな意義があると思います。
 二点目の優れた点としまして、計画期間途中の変更規定を設けたこと、そして計画策定の柔軟性を示したという第五条、この点を挙げられます。
 長期の目標設定と、それと同時に短期の見直しをセットで示すというこの意義は大変大きなものであります。長期計画がややもすると一度決めたらなかなか見直しをしないという批判を受けることがございますが、やはり長期の目標を示し、そしてなおかつ短期に見直しを行うということは大変意味があることであると思います。
 なお、社会資本整備に関しては様々な計画がございますが、長期計画においては二十年程度の期間の目標を示すということも多く行われておりまして、その場合には、その計画を三年から五年程度で見直すという、こういった義務付けも行われている国がございます。五年の計画期間については、アメリカなどの場合ですと交通改善プログラムという名前で行われているものがございます。そこでもやはり数年単位で見直しを行うということが義務付けられております。
 また、本法案におきましては、同時に附則三条におきまして計画期間の最終年度において重点計画にかかわる制度を必要に応じて見直すという、こういう規定もございます。
 この二点をもちましてこの柔軟性が示されているというふうに私は考えます。
 拙稿でございますが、見直し改定を義務付けた交通機関横断的な長期計画の法制度化が本質的な方向であり、本来目指すべき方向でなかろうかということを私自身も申し上げておりまして、正に合致する法案であるというふうに私は個人的に考えております。
 三点目でございます。社会資本整備の統一的な基本理念、計画の基本理念を示したこと、第三条でございますが、これが大変大きな意義であると思います。本来の目的に照らして重要性の高い社会資本整備の在り方を基本理念として宣言したということでございます。
 これにつきましても、やはり景気対策のために公共事業が行われる、これはいい面も悪い面もございまして、目的について余り明確に国民に伝わっていないという実態もあったと思いますので、この基本理念を明確に示すということによってこの点を払拭できるという可能性が大変高いと思います。
 以上の三点から、私はこの法案に大いに賛同いたします。
 それでは、二番目の社会資本整備に対する国民の関心事について若干述べさせていただきたいと思います。
 社会資本整備はまだ必要であるかという、これは実質的な関心事でございます。大都市部の重要かつ後れた整備、環状の高速道路であったりあるいは首都圏の空港容量の拡大、港湾、鉄道など、広域根幹的な施設の整備をまだまだ進める必要があると私は思います。あるいは地方部におきまして選択的な社会資本の整備を行う、あるいは各地域で生活に密着する様々な整備、例えば電柱の地中化であるとか歩道の確保ですとか、国民が安全で快適な生活を行う上では、あるいは公園の緑地等も含めまして、まだまだ様々な整備が必要であると思っております。
 しかしながら、そういった実質的な議論を進める上で現在問題が二つあると思っております。
 第一点目は、冒頭にも申し上げましたように、この社会資本整備の計画というものが余り明示的に国民に伝わっていなかった、最初に社会資本整備の計画ありきということが浸透していなかったことが問題でなかろうかと思います。景気対策としての発動が最初に出てまいりますと、やはり本来の必要性、実質的関心事がぼやけてしまうという問題がございます。
 二点目といたしまして、計画づくりを国民と共有するという仕組みが、これが不足していたことも問題として挙げられます。これは、関心事といたしましては手続にかかわる関心と言えます。いつ、だれが、どうやって決めたのか、国民の意見はどのように反映されたのかと、こういう点が不透明であったということもあるかと思います。計画づくりを外部との共有技術であるというふうに位置付けて、定期的に国民の確認を求めていくという、こういった作り方が今求められていると思います。
 問題を解決して社会資本整備への理解を高めるというためには、私は、計画づくり、手続的関心の改善がまず重要であって、それが達成できれば、重点計画、こちらは計画の内容そのものの実質的関心でございますが、これが国民により正確に伝わるというふうに考えております。
 その際、社会資本整備の長期計画を策定する意義を改めて申し上げたいと思います。
 私は当然必要であるというふうに考えておりますが、あえて三つの意義を挙げれば、一番目は、将来のビジョンを国民や地域と共有することが可能であるという大変重要な意味がございます。二番目には、計画と事業の評価を継続的に行うことによりまして、やはり行政として、計画主体として説明責任を果たせるということがございます。三点目は、総合的な計画という観点から、事業間の連携を確保し、あるいは体系的な整備を行い、さらに進捗の管理が期待できるという、こういった実質的な意義もございます。
 これらの意義があるとして、それらを達成するための要件、この手続的関心事の改善には次の二点、すなわち長期の目標設定と短期間での見直し、そして計画確定前のパブリックインボルブメントの実施等が挙げられると考えております。本法案はこれらをおおむね満たしているというふうに私は考えております。
 実際の参考例といたしまして、米国における長期計画を策定する背景を御紹介したいと思います。
 ここでは、計画の定期的更新と、そしてパブリックインボルブメントが法律で要求されています。したがって、もしも計画が同じ内容だとしても、それを定期的に示し、国民、地域の住民に対して確認を求めることが要求されております。
 次に、環境悪化が危惧される計画案を行政は提案できないと。これは大気浄化法の規定が厳しいということでございます。したがいまして、総合的な計画、事業によって長期的に環境改善、目標達成を目指すということが要求されております。
 三番目に、予算不足を地域で先行的に議論するという機会を提供することができるわけです。後日、住民投票等がある国でございますので、その了解を、地域の了解を得るためにも早い段階から計画を示し、そこでパブリックインボルブメントを行うということがやはり実態的に必要とされているわけでございます。
 それでは、三枚目に参りまして、最後の四点目でございます。本法案をより望ましい形で運用することに対しまして、若干のお願い、意見を申し上げたいと思います。
 一点目は、国土計画と社会資本整備重点計画とが目標を共有することでございます。これは第六条、調和規定にかかわることでございます。本法案によりまして国土計画と社会資本の計画とによる体系が私はでき上がるものと理解しております。
 そこで、国土計画と重点計画とが二十年程度の長期の目標を共有すべきであると私は考えております。その中で、重点的に進めるべき五年程度の計画目標を重点計画で定めてあるというような、こういった理解が分かりやすいのではないかと思います。そのため、今後、「国土の将来展望と新しい国土計画制度のあり方」の提言等を踏まえまして、国土計画が見直される中で、国土計画も短期の見直しサイクルを用意して、長期計画体系の柔軟性を示すということが求められるのではないかというふうに考えております。
 二点目でございます。地域住民等の理解と協力の確保をどのように進めるか。第四条に関しまして、地域住民等の理解と協力に関しましては、事業が広域根幹的な社会資本整備であるほど影響範囲も広がりまして、要する行政の努力、これも多大になると思われます。重点計画には個別事業が示されないといたしましても、地域住民等の理解と協力が得られた個別事業が重点計画の構成事業になるということが想像されます。
 そこで、重点計画策定のためのPIに先立ちまして、個々の社会資本整備の計画段階で地域住民等の理解と協力を得るためのPI、パブリックインボルブメントが策定される、実施される必要があると思います。そこで、その法制化も視野に検討を是非進めていただきたいと思います。それから、国土計画における広域計画等へ社会資本整備を位置付けるためのパブリックインボルブメント、これも重要になると考えられます。そこで、これらの関係を体系的に整理し、仕組みを具体化するということが望まれるというふうに考えております。
 三点目であります。重点計画策定時のパブリックインボルブメントの実施方法、第四条に関してであります。
 重点計画の案を作成しようとするときは国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとされております。しかし、その内容につきましては今後検討されるものと考えられます。
 長期計画段階のPIでは、いったん手続的関心事に理解が得られますと、もはや多くの関心を国民から集められないという、こういったケースも想定されます。それは、自分たちの身近にかかわる問題から大きく離れる計画対象も多く含んでいることゆえの問題であると思います。
 そこで、具体的な措置については今後定めるということでございますが、是非、旧来の方法にこだわらず、将来見直すことも前提に、重点計画に対して多くの関心を集める試行的また革新的な取組を進めていただきたいと思います。
 最後に、その他ということで、第三条に関してでございます。
 一つ目は、地方自治体の自主性及び自立性を尊重しつつ、適切な役割分担の下に国の責務が十分に果たされることとなるよう定めるとされておりますが、この点に十分に配慮して地域と共同した計画づくりを是非期待したいと考えております。
 それから、二番目といたしまして、事業間の調整あるいは連携の推進を図ることが期待されております。例えば、環境改善のために道路整備と連携した公共交通の整備推進、各種交通機関相互のインターモーダル施設整備など、このような整備が是非今回の法案の成立とともに推進されることを期待しております。
 以上で、私からの参考人としての意見を発言させていただきました。どうもありがとうございます。
#4
○委員長(藤井俊男君) ありがとうございました。
 次に、加藤参考人にお願いいたします。加藤参考人。
#5
○参考人(加藤一郎君) 高崎経済大学経済学部の加藤です。参考人として意見を述べさせていただきます。
 意見の概略は、まず社会資本について触れ、今日の我が国の公共事業の問題点を指摘し、今後の改革の方向を述べた上で、分権型社会における公共事業の在り方として、持論の地方分権型公共事業について簡単に御紹介したいと思います。
 社会資本という用語は、一九五〇年代に発展途上国の開発にとって重要なかぎとして位置付けられたソーシャル・オーバーヘッド・キャピタル、SOCの日本語訳、社会的間接資本の間接という言葉の部分が省略されてできた言葉だと言われています。発展途上国の経済開発を促進するかぎとなるものですから、直接的な生産活動に貢献する道路などの交通手段を中心とする産業基盤を指しておりました。純粋学問的な関心から出てきた用語ではなく、発展途上国の開発という政策的課題に対処するためにできてきたものですから、厳密な定義がされているわけではありません。純粋学問的な議論をするときには、社会資本ではなく、公共財という概念を用いることが多いようであります。ともあれ、産業基盤を中心とする政策的概念として社会資本という表現が使われるようになりました。
 我が国では、一九六〇年の国民所得倍増計画において第一の政策課題として取り上げられ、高度経済成長を促進する役割を果たしたことはよく知られているところです。
 その後、都市問題が深刻化するなど、生活環境の悪化と改善が求められる中で、共同消費手段などと規定された生活基盤の充実も社会資本整備の重要な課題となり、また公害・環境問題に関心が高まる中で、自然を含めた社会的共通資本の重要性が指摘され、さらには、物的な施設などのハードだけはなく、ルールや制度を含めて社会資本をとらえようとするインフラストラクチャー論が展開されるようになっています。
 高度情報通信社会はハードだけでは成り立たず、ソフトの重要性が増していますし、少子高齢化社会は施設を作るだけでは対応できず、育児、介護を支える人材と制度が必要であります。社会資本概念は、産業基盤中心から生活基盤や環境整備に、また構築物などの物的施設からソフト、制度や自然を含むものとして展開してきました。
 資料Aに、社会資本と関係の深い用語、公共事業、行政投資、公的固定資本形成などが対象とする範囲が示されていますが、社会資本だけが民間をも対象としています。一般政府や公的企業などの公的部門に対象を限定していないことは、公的部門の制約を超えて時代の変化に対応しやすい性格を持っていると考えることができます。そのことは歯止めが掛かりにくいという側面もあることを注意しておく必要があると言えます。
 ここで示されているように、公共事業などと社会資本は異なる面を持っているのですが、その点については後にまた触れるとして、次に、言葉に余りとらわれることなく、広く公共事業の問題について見ていきます。
 近年、マイナス面が指摘されることの多くなった公共事業ですが、戦後復興期には農地整備など食糧増産、また深刻な水不足や電力不足に対応してきましたし、高度経済成長期には道路を始めとする交通手段、工場用地の造成など経済的基盤を整備してきました。そして、戦後復興期から高度成長期に日本の行財政制度の中に公共事業を根付かせ、機能させていく仕組みが完成しました。これは国が中心となって基幹事業を行い、補助金その他の手段を通じて地方公共団体を組み込んでいくシステムです。それは、単に行財政機構の中に公共事業を位置付けるだけでなく、日本経済の中に公共事業を根付かせることになりました。
 公共事業によって経済を発展させ、経済の成長によって税収を拡大する、その拡大した税収を財源として公共事業を行うという間接的な方法での財源確保だけでなく、道路特定財源などのように直接的な方法での財源確保が行われました。経済成長と公共事業、道路整備と自動車交通の発展、これらは相互に補完し合っていました。
 しかし、高度経済成長が終わり、成熟社会になり、経済の規模や自動車の数といった量的な拡大よりも、人々の個性に合った生活の質の充実が求められるようになってきました。そして、公共事業の量的拡大は財源の面からも困難になってきました。
 これまで国際的に見て極めて高い水準での公共投資が長年続いてきました。資料Bにありますように、対GNP比でアメリカやイギリスの三倍程度の高さです。この高い水準はバブル崩壊後の不況対策の中で一層拡大しました。また、公共事業の上積みが補正予算によって行われることが多く、補正予算では当初予算ほど計画性等を確保することが困難で、非効率を生み出す一因になったかもしれません。
 バブルが崩壊したことで民間土木事業が停滞し、公共事業への一層の依存が民間建設業者だけでなく、時には地域経済全体でも進む事態が進行しました。公共事業を抑制するとともに、公共事業依存からいかに脱却するかが一つの課題です。
 また、公共事業は言わば国策として行われ、地方の公共事業も補助金等を通じた国の規制の下に置かれる傾向が強く、地域に合った個性的な事業を実施することが困難です。別の面からいえば、地域も安易に国に依存する傾向を助長している気がします。地域と住民が主体となる公共事業に転換していくことが求められています。
 第三点目は、公共事業による環境破壊の可能性が指摘され出したことです。このことは一九九〇年代に入って地球環境問題が大きな注目を浴びるようになったことと無関係ではないでしょう。環境保全や持続可能な社会を形成する方向に公共事業を転換していくことが求められています。
 公共事業をめぐる問題はまだまだ多く指摘されていますが、あと一点だけ付け加えます。それは公共事業をめぐる汚職、腐敗の問題です。汚職、腐敗はもちろん善くないことですが、強調しておかなければならないことは、このことが公共事業の公共性に疑問をもたらし、公共事業によって築くべき地域社会の相互扶助の精神を壊すことになるということです。情報公開、透明性、説明責任の確立など、公共事業への信頼性を高める必要があります。
 今、公共事業のスリム化と地方化、個性化の必要性があり、その際、環境と地域雇用への配慮を行うことが重要です。公共事業とは構築物などの物的整備を行うことなのか、効率性とはできるだけ安価に物を作ることなのかという問題を考え直す必要があるように思います。
 少子高齢社会になり、育児、介護の問題が重要になっています。しかし、育児、介護を支えてきた家族、地域の力は弱くなっているような気がします。その力を再生することが公共事業ではないのでしょうか。機械を使い、時には自然破壊を伴いながらも効率的に物を作るよりも、自然に優しく、雇用を確保しやすい人手を使う方が公共的ではないか、そんな問題提起をすべきときかもしれません。
 公共事業の問題点を指摘する中で、改革の方向も示唆してきました。ここでそれらをまとめてみます。
 まず、公共事業のスリム化です。国際水準の三倍程度にもなる公共事業を少なくともバブル崩壊前の状態に戻す必要があります。財政構造改革法では一九九八年度からの三年間の集中改革期間に一五%の縮減を行うとしました。残念ながら実現しませんでしたが、再度取り組む必要があると思います。
 注意すべきことは、今後、急速に更新費用が膨脹していくことです。更新期間は平均して三十から四十年と言われています。社会資本整備が本格化し出した一九六〇年代以降、そして不況対策に公共事業が用いられ出した一九七〇年代後半の更新が始まり出しています。公共事業のスリム化は避けられないとともに、今後の社会資本整備に当たって更新費用は少なくて済むような方策を考える必要があると思います。
 また、スリム化には民間より二〇%高いとも言われるコストの削減も不可欠でしょう。ただ、公共事業の削減によって大きな打撃や特に雇用に打撃を受ける地域があります。地域雇用の確保を重視する公共事業を模索する必要があるでしょう。
 公共事業はGHQの指令によって始まり、当初、経済安定本部によって管理され、失業対策が重要な課題でした。機械化、大規模化をいちずに進めるのではなく、雇用を確保し、環境と居住者の視点を重視することが求められます。
 次に、公共事業の地方化、地方分権化です。
 現状は、補助金などによる国の関与等が多く、地方もまた国に依存しています。資料Cに示しましたように、一九八〇年代には地方単独事業が拡大するのですが、一九九〇年代に縮小に転じます。公共事業を支える地方財政が限界に来ているのです。分権時代にふさわしい、地域が主体となる公共事業の実現のためには地方財源の確保が不可欠です。課税自主権、起債権の拡充はもちろん必要です。
 しかし、それによって十分な財源を確保することが大都市部以外では無理でしょう。補助事業を地方単独事業に振り替え、補助事業の財源を地方に移譲することが必要です。また、資料Dに示したように、道路特定財源は複雑な流れとなっています。この改革も必要です。さらに、地方交付税制度の改革も必要ですが、現時点で大幅な改革は混乱をもたらす可能性が高く、困難です。ただ、公共事業の財源として発行された地方債の元利償還金の需要額への算入は見直すべきでしょう。
 三点目は、民力の活用です。
 PFIと言うまでもなく、社会資本は民間を含む広い概念であることは既に述べました。社会資本整備に民間の活力を活用することが大事です。民間資本はリターンを求めて行動しますが、リターンにはリスクが付きまといます。成熟社会の今日、リスクに見合うリターンを提供できる社会資本整備がどれほどあるか疑問です。そうであるとすれば、利益を求める企業だけでなく、NPOや地域の様々な住民の力、民力の活用を模索することが重要でしょう。
 最後に、地域の公共性、相互扶助を高める公共事業に転換していくことです。大きなプロジェクトにこだわらず、地域と住民の活力を高める環境を整備するものに重点を置くべきだと思います。
 最後に、地方分権型公共事業について一言述べさせていただきます。
 第一に、地域の自己決定、自己責任の原則が重視されなければなりません。このことは単純な受益と負担の一致を念頭に置いているものではありません。地元にかかわる事業の決定に際して、地元の事情と判断が優先されるシステムにしていくこと、地域の環境と住民の視点が重視されるべきことです。自己責任は、誤った判断がなされた場合に、その責任は地元の行政、そして結局は地元住民が負わなければならないということです。これまでにも述べてきましたように、公共事業への依存が強い地域では地域雇用の確保が重要です。それは、人間の労働を重視する公共事業であり、ひいては人間関係を大事にする公共事業ということになると思います。
 二十一世紀分権型社会は、金銭至上主義を脱し、自然と人間に基礎を置く社会を目指しているように思います。公共事業が税源の拡大につながる経済成長のためではなく、豊かな自然環境や人間関係を生み出すためのものであるとすれば、そのような公共事業のためには経済力だけに依存しない税源の開発が必要となるでしょう。
 以上で、私の意見陳述を終わらせていただきます。
#6
○委員長(藤井俊男君) ありがとうございました。
 次に、宮入参考人にお願いいたします。宮入参考人。
#7
○参考人(宮入興一君) 愛知大学の宮入でございます。
 それでは、早速ですが、本法案に対するところの私の御意見を申し述べたいと思います。
 私のレジュメはそこにございます。
 社会資本整備重点法案、以下これは法案というふうに略したいと思いますが、社会資本整備に関するこれまでの事業分野別の長期計画が予算獲得の手段化したり、あるいは縦割り行政の弊害や、それから緊急措置法の恒久化などの問題点を生み出しているとしまして、社会資本整備事業を重点的かつ効果的かつ効率的に推進することを目的に重点計画等を策定すると、こういうふうにしているわけでございます。
 確かに、従来の事業別の分野の長期計画、現在十五本ございますが、その実施に問題があったということは間違いのないところでございます。それは当然、法案で言うように、是正される必要があるわけでありますが、問題は今日の社会資本整備の在り方、すなわち公共事業の問題点を一体どう認識するか、その上でどのような改革の方向を構想するか、それに照らして法案をどう評価するかということではないかというふうに思います。
 そこで、以下、第一のところでは今日の社会資本整備の在り方の問題点、そして第二のところではそういったものの改革の方向と本法案の評価について申し述べたいと思います。
 今日の社会資本整備の在り方の問題点は、そこにまとめておきましたような形で五点にわたって整理をしております。
 一つは、日本の公共事業費というふうなものが、これはもう御存じのように、相対的にも絶対的にも突出して大きい、言わば公共事業大国日本と言われるような状況になっており、そこに様々な弊害があるということでございます。
 一般政府ベースの公共投資額は、対GDP比で五、六%前後ということがこの二、三十年以来の傾向でございますが、これは他の先進国の、例えば英米の一%台、それからドイツ、フランスの二、三%台と比べても二、三倍以上の、相対的には大きいと。それに加えて、絶対額でも、例えばピーク時の一九九五年に至りましては日本一国で三千二百七十九億ドルということで、これは他のG7のうち、アメリカを含めてなんですが、日本を除くG6の合計二千六百八十二億ドルよりもはるかに大きいという、言わば世界一の公共事業大国ということにもなっていたわけであります。
 このことがまた世界一の実は公共債務大国日本の原因にもなっているということで、御案内のように、今年度末で約七百兆円と言われているところの公的債務はGDPの一四〇%ですし、このうちの大体ほぼ六割近くが公共事業関係であると、こういうふうに言われております。こういったことが言わば公共事業依存病とでも言ってもいいような、そういった、例えば環境の破壊の問題ですとか、あるいは地域経済構造のゆがみでありますとか、あるいは政治社会的な病理とでも言っていいような政官業の癒着の問題とか、いろいろ様々な問題を起こしているもとにあるということでございます。
 そういった公共事業の中では、無駄で環境破壊的な大規模事業も少なくございません。それらを精査すると同時に、こういうふうにして肥大化した公共事業費を量的に削減していくような、そういった中長期的な計画の作成が実は一方では不可欠になっているというふうに言っていいと思います。
 第二番目の問題点でございますが、社会資本整備計画の決定において国会によるチェック機能というふうなものに問題があるのではないかというふうに思います。
 従来、いわゆる国土総合開発法、一九五〇年に作られた、これに基づいて、御案内のように、全国総合開発計画、いわゆる全総と言われているものが一九六二年の第一次から今日の第五次まで作られております。これに基づいて実は長期計画が策定されるということになっていたわけです。
 現在では第五次の、これはもう全総とは言っておりませんで、二十一世紀の国土のグランドデザインというふうに言っているようでございますが、一九九八年に閣議決定をされて、目標年次は二〇一〇年から二〇一五年までと、こういうことになっておりますが、この五全総におきましては、四全総で一千兆円、これは膨大な額でございますが、程度というふうにしたような目標額は明示しないで、投資額の積算というふうなものが困難であるとか、それから環境が非常に激変している中ではそういった積算は難しいというふうなことのようでございますが、しかし、実際に中身を見ますと、非常に大規模な国土開発構想がそこでは構想されております。
 特に、多軸型国土ということで、従来のような太平洋ベルト地帯のところの一軸というだけではなしに、そこを太平洋新国土軸というふうに称しまして、あと、北東国土軸ですとか、あるいは日本海国土軸とか西日本、つまり背骨をこれまでの一本から四本にし、そして更にそれに肋骨をつなげると、こういうふうな非常に巨大なものになっているわけであります。
 問題は、その全総にいたしましても社会資本整備計画にいたしましても、実は、国会で審議することはあるかもしれませんが、議決する必要はない。閣議決定で行われるんです。この点が重要であります。
 それからさらに、各年度の予算過程におきましても、個別事業名や箇所付けというふうなものは実は予算書には明記されて出てまいりません。その意味では、国会あるいは国会の議員さんたちによるところのチェック機能の行使というのは非常に不十分ではないかというのが第二点目でございます。
 第三点目は、公共事業の事前、それから中間、事後の評価システム、それから情報公開や住民参加というふうなものが従来は必ずしも十分徹底されていなかったということでございます。
 政策評価とか事業評価という問題は近年非常に活発になってまいりましたが、これはこの法案におけます公共事業の効果や効率を図る上でも極めて重要であります。一九九八年に、時の橋本内閣のときに、いわゆる再評価、時のアセスメントを活用した再評価の施行がございまして、二〇〇〇年には、行政再評価法によるところの再評価の法的義務付け等によって評価システムは従来と比べるとかなり格段に進歩したというふうに言っていいと思います。しかし、そういったものにはまだ不十分な点もありますし、それから事後評価に至ってはまだ極めて不十分であると、こういうふうに言っていいと思います。
 問題の一つは、評価の主体が各省庁の内部あるいは総務省などの官庁内部で実施されておりまして、外部の第三者機関による評価というふうなものは実は欠落しているという点であります。その点は公平性とか客観性とか透明性の確保という点では非常に不十分であるというふうに言っていいだろうと思います。それから、事前の評価にいたしましても、政策評価や環境アセスメントなどのほかに社会経済アセスメント、文化アセスメントなど、多様な評価と情報公開や住民参加が必要だというふうになっているというふうにも思います。
 それから第四点目ですが、社会資本整備としての国民から要請されるところのニーズがこのところ非常に大きく変化している、これに対する対応というふうなものが従来必ずしも十分ではなく、これに対する困難があったということだと思います。
 特に、高度成長期以来では、経済開発や成長優先型の社会資本整備、高速道路とか、あるいは新幹線とか空港、港湾あるいはダムとか都市の再開発に代表されるような、そういった社会資本整備というふうなものが重点的に行われているということには一定の意義もあったと思いますが、しかし、今日においては、福祉とか環境とか、生活優先型の社会資本整備というふうなことが非常に重要な側面になってきている。とりわけ、少子高齢化に対応するところの、例えば保育とか老人介護とか、あるいは医療、保健、それから文化、教育あるいは安全とか防災とか、それから環境の保全、環境再生、アメニティー、こういうふうなものが非常に重要な実は社会資本整備の内容にますますなってきている。
 その背後にありますのは、産業構造が従来の工業社会あるいは産業社会から知識あるいは情報社会へと大きく転換し、それに伴って国民の価値観もまたかつての物質的、金銭的な豊かさというふうなものに加えて、あるいはそれよりもむしろ精神的、人間的な豊かさ、こういったものを評価する方向へと転換をしてきているということがあるのだと思います。
 第五番目に、そういうことでありますと、社会整備、社会資本整備についても国が決めて、そして地方に下ろすというふうな従来の国、地方の中央集権的、縦割りの、あるいは画一的な行財政システムというふうな下においては、環境破壊というふうな問題とかあるいは不要不急の事業というふうなものが今日においても、例えば諫早湾の干拓事業ですとか川辺川のダムですとか、いろいろ問題になっておりますが、そういったことを起こしやすい。それから、地域経済の公共事業の依存体質ですとか、あるいは政官業の癒着の深まりとか、あるいはそしてその結果として起こる地方財政の破綻、こういったような負の影響を拡大するということにもなってきたのではないかというふうに思います。
 財政の方でいうと、いわゆる補助金財政、補助金行政、これと結び付いた地方債の起債、そしてそれを元利償還する場合の交付税、この言わば三点セットが同時に機能するというふうなことの中で大きな問題も起こしてきたのではないかというふうに考えております。
 そういたしますと、では社会資本整備の改革の方向と、それからそうした点から見ましたところの今回の法案の評価はどうすればいいかと、こういうことでございますが、先ほどの一から五までの点に対応して、次のように整理しております。
 一つは、公共事業費の総額を中長期的に削減していくための計画が不可欠だということでございます。
 法案では、社会資本整備事業を重点的、効果的かつ効率的に推進するために、社会資本整備重点計画の策定等の措置を講ずる、第一条、目的でございますが、そこに書いてございます。しかし、これは社会資本整備の在り方の改革を課題としておりまして、必ずしも公共事業費の総額の縮小を担保するものではございません。したがって、法案の重点計画を事業費の削減計画と両立させる施策が更に加えられるべきではないかというふうに考えます。
 第二点目に、法案にいうところの重点計画に対する国会のチェック機能の回復でございます。
 法案では、重点計画は閣議決定のみで最高決定が行われる、第四条第二項でございますが、しかしこれは従来の長期計画の決定における最大の問題点の一つでもあったわけでありまして、国民の代表であられますところの国会あるいは議員の方々が重点計画について十分審議し、責任を持って決定するということは何よりも民主主義の中においては重大な事柄ではないかというふうに考えます。
 これとかかわりまして、重点計画は全総と調和が保たれなければならないというふうにしております。第六条でございます。しかし、全総自体が国会の議決ではなくて閣議決定のみで最終決定がされておりまして、その意味で全総は廃止をするか、あるいは少なくとも全総決定を国会での審議や議決事項とすべきではないかというのが第二番目でございます。
 第三点目は、重点計画の政策評価への外部の第三者機関によるところの評価の必要性でございます。
 重点計画には、行政機関政策評価法に基づきまして政策評価等を行うことになっております。第七条でございますが、これに対しては、重点計画の重要性ということにかんがみて、外部の第三者機関によるところの評価が求められるのではないかというふうに考えます。
 第四番目ですが、社会資本整備事業の中身の拡充の必要でございます。
 法案では、この法律でいうところの社会資本整備事業というのは、道路とか鉄道、空港、港湾あるいは都市公園、下水道、河川等々、十三の分野に特定しております。これは第二条、定義でございますが、しかしこれらは主として国土交通省の所管いたします産業基盤や国土保全の事業にかかわるものでございまして、環境保全やあるいは生活基盤整備にかかわる事業というのはほとんど含まれていないか、あるいは住宅整備のように別建てになっております。また、ハードな施設中心で、ソフトな事業やサービスとの関連には乏しいのではないかというふうに思われます。
 とりわけ、少子高齢化を前提といたしますと、道路や公共施設のバリアフリー化というふうなこともうたわれているようでございますが、もちろんそれは大切でございます。しかし、それに加えまして、保育所や保育サービスの整備ですとか、あるいは高齢者施設や介護施設あるいはサービス、それからさらには民間のNPOやNGOやあるいはボランティアとの共同システムですとか、あるいは公共の交通機関に対するところのもっとソフトな支援、こういうふうなものによって総合的なまちづくりというふうなものが行えるようなシステムというふうなものがその中に盛り込まれる必要があるのではないかというのが四点目でございます。
 第五点目に、そういたしますと、社会資本整備をめぐります国と地方との関係でございますが、国と地方との分権型事務再配分、それから財源の再配分の必要があるのではないかというふうに思います。
 少子高齢化社会や知識情報社会に合わせまして住民ニーズに即応していくためには、社会資本整備をめぐって国と地方との担当事務というふうなものを再配分して、これに合わせて税財源の改革を行うことが必要ではないか。
 例えば、国は、言わば成田とか羽田のような拠点空港、あるいは最も、神戸とかあるいは横浜、名古屋といったような最重要港湾、あるいは主要国道、主要河川、こういう国家的な重要プロジェクトというふうなものは当然これは国が行わざるを得ないので、これはこういったものに言わば集中をし、その他地域的なものは都道府県や市町村に権限や財源を含めて基本的に移譲して、社会資本の整備やそれからさらに管理運営を総合的に実施するような、可能にできるような、そういう仕組みに改革すると、こういうことでありますと、自治体は地域の実情に合った事業を安上がりに、民主的に決定し、実施できる可能性が高まるのではないか。こういったことは既に先進的な各県におけるところの取組や自治体においても行われているというふうに理解をしております。
 最後に、まとめて結論でございますが、法案は一部に従来の分野別の長期計画と比べて改善された点も見られるというふうに私はその意味では評価しております。しかしながら、社会資本整備の改革の在り方といたしましては、今も述べましたように、事業費の削減、議会のチェック機能、それから外部評価、社会資本整備の中身、それから国と地方との分担関係、それから、先ほどちょっと申し上げませんでしたが、特定財源の在り方等につきまして、なお重大な問題点を抱えており、より抜本的な改善あるいは改革がなされるべきであると、こう考えております。
 以上でございます。
#8
○委員長(藤井俊男君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○沓掛哲男君 じゃ、屋井参考人への質問を最初にさせていただきたいと思います。(「先生、立って」と呼ぶ者あり)失礼しました。屋井先生への質問を、参考人の質問をさせていただきます。
 さて、今までの長期計画というのは、事業量とか事業費、それを閣議決定するのに懸命になったわけで、何のためにとか、もちろんそれから出てくるいわゆる効果というのも算定したんですが、いずれもそれらは閣議決定の対象ではなく、参考資料という形で扱われたものです。
 そこで、今度の新しい重点計画というのはいわゆるアウトカム、出てくる成果を閣議決定というか、この重点計画の対象にして、しかし、恐らくそういうものを算定する上においてどういう事業をする、それが大体、概略どれぐらい掛かる、そういうようなものがなければこれは出てこないわけですし、先生のこの三ページ目にも地域住民等の理解と協力を得るにはそういうようなものがあるはずだというようなことが書かれております。
 さて、やはりこういう計画というものは国民に関心を持ってもらわなければ意義がありません。そんなものができたのかというだけでは困るんですが、今までの経験からいって、単純にアウトカムだけではなかなか国民が関心を持ってもらえませんでした。
 その一つとして、中曽根内閣が一九八〇年代の、あれは何でしたか、経済社会の展望と指針というのを五十八年度に発足させました。今まではずっと経済計画では各分野別の事業費が特掲されていたんですけれども、このときからそういう各事業別分野の事業費は掲げないことにして、そして経済成長率がどうであるとか、いわゆる消費者物価がどうなるとか、失業率がどうなるかという数字を示すことにいたしました。
 自来、経済計画は本当にみんなから関心が薄れてしまい、その後できる経済計画にはそんなに情熱も燃やさないで、今、経済計画があるのかなというような、そういう関心になってしまいました。
 善きにしろあしきにしろ、やはり人間というものは身近なところにどんなものができるのかな、そしてそれが全体としてどれぐらいになるのかなというのは大変関心の強いことなので、今回のこの重点計画にはいわゆるアウトカムを出しますけれども、その算定する裏ではそういう事業量やあるいは事業費も出てくるわけですから、今度はそれは対象にならないけれども、何らかの参考資料とか、そういうような形である程度知ろうと思えば知ることができる、関心のある人は知ることができる、そういうふうなものにしてほしいなというふうに思いますが、そのことについての先生のお考えをひとつお聞きしたい。
 それからもう一点は、この重点計画は横断的な政策テーマを中心にすることになっておりますが、今申しました各分野別でも、今までのように詳細ではないけれども、非常に、例えば道路であれば今度は大都市の環状道路がどうとか、いわゆる総合交通的な、港湾とか飛行場の接続をどうとか、何かそういうふうな、それぞれ事業分野別で最も重要なことについて、何かそういうものも政策テーマとして挙げてもらいたいなという気持ちもあります。
 それからもう一つは、私は、いわゆる地域別の、ブロック別の政策テーマというのも地域にとっては非常に関心があります。東北ブロックがどう、いわゆる北陸ブロックがどう。そうすれば、その地域の人は、私は石川県ですが、北陸ブロックをじゃこの重点計画ではどうしようとしているのか、どういう特徴を持たせようとしているのか、雪国ですから雪国に対してはどんなことを考えてくれているのか。そういうふうに、やはりそれぞれの関心が持ちやすいように思いますが、この重点計画においては横断的政策テーマは中心になるようですが、ほかのものについても何かそんなものが少し入るとみんなが幅広く関心が持てるなという思いもいたしますが、それについての先生のお考えをいただきたいと思います。
#10
○参考人(屋井鉄雄君) ただいま御質問を二点いただきました。二点につきましてお答えしたいと思います。
 一点目につきましては、特に事業量等を明示するという観点でございますが、私は、世界の他の国の長期計画等を見ますに、やはりその計画において必要となる財源、必要となる整備費用というんでしょうか、そういったものを明示していくというのがやはり常識的に行われていることから見まして、そういった点での費用を明示することは大変重要であると思います。しかしながら、今回の経緯で、確かに財源としてあたかも確保されているという形で国民に示されること自体はやはり誤解を生む点がございますので、そこについてはやはり出し方の工夫は必要だと思います。
 しかしながら、やはりどれだけの計画がどれだけの費用を必要とし、そしてこれは国と地域が連携をして行っていく事業が大変多うございますので、例えば地域としてはその財源をどうやって手当てしていくか、それを地域の有権者、納税者に対してどうやって理解を求めていくか、こういうことが行われるための材料としてもやはりそういったものを明示することが大変重要であり、またそういったやり方は例えばアメリカの交通計画の進め方等では当然のように行われてきたことであるというふうに思っております。
 今回の法案につきましては、やはり個別の事業は明示しないといたしましても、その個別事業やあるいは地域ごとのハード、そしてソフトの計画、これらの計画の集合体という側面も持っていると思います。このような集合体によってやはり目的を、目標を達成しようとするものでございます。
 この観点でいいますと、一部のアウトカム指標あるいはアウトカムの目的、目標によって社会資本整備の計画の実像をそれだけでは表現できないということも明らかでございまして、元々、計画づくりと評価というものの体系は、密接でありますが同一のものではございません。
 そういったことを踏まえて、両方にうまくバランスを取りながら、国民あるいは地域に対しても具体的なイメージができるような計画、その内容という形で提示していただくことを是非お願いしたいと私の方からも思います。
 それから二点目についてでございますが、やはりこの点につきましても、是非、今回の法案が横断的、あるいは先ほどのお話でブロック別、これはやはり地域に根差した計画というものをいかように評価の俎上に上げ、この計画の中に盛り込んでいくかという観点であると思いますが、この点につきましては、私は、今御発言をいただいた先生の御意見と全く同感でございまして、そういった取組がこの法案の成立によって実際に部局間の連携によって少しずつ進んでいくという姿が非常に重要であると思います。
 例えば、その中にはもちろんインターモーダルのような話もございますが、これからの時代、社会資本整備によって環境が悪くなるということではなくて、社会資本整備をうまく連携して行うハードとソフトの連携、あるいは分野の横断した連携によって新たに環境を良くする、あるいは創出していくようなそういった整備を是非進めていただきたいと思います。
 以上で、お答えになったかどうか分かりませんが、終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございます。
#11
○沓掛哲男君 どうも、屋井先生、ありがとうございました。
 では、次に加藤参考人に質問したいんですが、加藤先生の今の資料の二ページ目に、三の「公共事業のスリム化」ですが、「現状は国際水準の三倍程度 少なくともバブル崩壊前の状態に」ということですけれども、バブル崩壊前の状態と申し上げますと、実は、今年度の予算、平成十四年度は総事業費、官民合わせて五十七兆ですが、平成十五年度は五十四兆円ということになります。今年、十五年度は五十四兆円です。バブル直前の昭和六十一年の官民合わせての総事業費もおおむね五十三兆円ちょっとですが、ほぼ同額になってきております。
 ということは、大体平成十五年度というのはバブル前の、直前の数値ぐらいになっているし、このバブル前は大体数年間同じような形で来ているので、まあ現状として、今の状況から見て、平成十五年度程度の建設投資というのが一つの目標かなというような意味と考えてよろしいんでしょうかということが一つ。
 それからもう一つ、先生のこの二ページ目の方に、上の方から六行目に、自然に優しく雇用を確保しやすい人力を使う方が公共的でないかとか、それから真ん中ほどに「地域雇用確保を重視する 公共事業」とか、一番下から二行目も「地域雇用の確保 人間の労働を重視する公共事業」というのがございます。
 公共事業というのは、元々、大きく分けて二つ目的があって、一つは需要創出効果を期待すること、もう一つはいわゆる自然の生産性、いわゆる本来それぞれの事業が持っている機能、そのことが社会へ奉仕する。道路であれば交通を便利にしていくとか、住宅であれば住環境を良くしていく、そういうのが当然あるわけですけれども、それと並行してもう一つ需要創出効果というのもいろいろあって、そのことがいろいろ利用されてきていたわけです。
 今、どんなふうに雇用状況がなっているかと申しますと、今申しましたバブル直前のときの建設事業への大体投資、従業員というのが大体五百万人ぐらいでございました。その一番多いときは平成八年、平成四年と平成八年はほぼ同じぐらいで、ここでは六百八十万ぐらいになっています。ですから、六十一年が五百三十万人で、百五十万人ぐらい増えたときが一番多くなっています。この間、平成のバブルがはじけてからというのは製造業から百数十万人の人があふれてきたんですが、その半分程度はこの建設業でいわゆるそういうものを吸収しております。一番多いときの六百八十万ですか、六百八十万から、現在は減って六百三十万になっています。でも、前のときから比べれば百万ほど増えた形で今就業者がいるわけです。
 非常にこれから、じゃ、正にどんどん減っていくとすると、元のところに収まればまた百万ぐらい出ていってしまう、あるいはそれが更に減ればもっと出ていく。雇用という問題、失業率が大変大きくなるので、そういうことに対してやっぱり近代化、効率化ばっかり言っていてもなかなかあれで、もちろん国際競争力上必要なのは物すごいそういう面はあるけれども、国内でやっているこういう事業は、つまり雇用という点も一つの柱にしながら公共事業の政策も必要ではないかなと思いますが、その点について先生のお考えをいただきたいと思います。
#12
○参考人(加藤一郎君) 今御指摘された点は、全く私も実は非常に心の痛むところであります。
 まず最初に、バブルの以前と同じ水準になっているのではないか、これでいいんじゃないかということなんですが、その点に関してはこれはこれから、来年度、すぐ近くですから来年度になるんですが、従来、公共事業に関しては不況対策ということが強調されるようになってから補正予算でかなり増額をする傾向が強いんですね。大体当初予算はかなり抑制しているんです、バブル崩壊直後もそうであったんですが。ところが、それを補正予算で、ほかの部分は減らしても公共事業を増やして不況対策に使うということですね。補正で伸びるということがあるんですね。ですから、もしあえて総額が今バブルの水準で収まったんだからよろしいでしょうかといえば、補正予算を組まないで頑張り切れるのであれば、まあこの程度で当面よろしいのではないでしょうかと、現状の段階でですね、というふうに思います。
 それともう一つは、総額は総額ですが、これ何度も私も先ほどの陳述の中で強調した点なんですが、もっと国から地方に公共事業の主体を移行させるという制度改革はこれは必要だろうというふうに思っております。だから、総額の問題は総額の問題として、当初予算の規模を守れるのであれば一応適切であるとしても、その中身がもう少し地方にシフトした方がよろしいでしょうということが一点です。
 それからもう一点、公共事業には二つの効果があるんだと。一つは生産性を高める経済的な機能、役割を果たすという点、それから需要創出効果と言われます。これは一般にそういうふうに言われておりますので全くそのとおりなんですが、私は需要創出といった場合に、建築資材を購入するあるいは建設機器を購入するそういう費用と、直接人手を雇うための人件費というんですかね、その分というものとは、同じ需要を高めるといっても意味が違うんじゃないかというふうに思っております。
 これだけ深刻な不況になって、先ほど議員がおっしゃったように、本当にある意味で建設業界が不況でリストラされた人たちの最後の、ちょっと極端な表現ですが、ある意味でのセーフティーネットになっている面もあるわけですね。そういうことからすれば、これも言葉の表現が非常に難しいんですが、建設業界を救うのではなくて、そこに働く人たちの雇用を確保すると、こういうことを前面に出すような公共事業を少なくともこの不況が一定程度一段落するまでは考えてもいいんじゃないかと。ただ、これが、じゃGHQが提示した失業対策事業をもう一度やれということなのかどうかということになると、私もううんというふうに考えてしまうのですが、失業対策とまでは言わなくとも、雇用にシフトするような需要創出効果を中心とした公共事業に転換した方がいいのではないかというのが私の意見です。
#13
○沓掛哲男君 ありがとうございました。
 本当に宮入さんにも聞きたかったんですけれども、時間が来ましたので失礼します。ありがとうございました。
#14
○池口修次君 民主党の池口でございます。
 三名の参考人の先生には貴重な意見を聞かせてもらって大変ありがとうございます。
 その中で、もう少し私としても聞きたいところがありますので、御質問をさせていただきたいというふうに思います。
 現状認識ということでいいますと、国民の公共事業に対する不信感は相当高まっているというふうに思っております。私は本来は専門用語だというふうに思いますけれども、天下りだとか口利きだとか談合、裏金、やみ献金、丸投げ、こういった言葉もすべての国民が聞けばすぐ分かるような状況に陥っているというふうに思っております。
 そういう中で、今回、それを改善するためということで、特に国土交通省にかかわる九本の事業分野別の長期計画を一本化して、公共事業を重点的かつ効果的に推進するということでは一歩前進だというふうに思いますけれども、課題も多く残されているんではないかというふうに思っております。その辺について参考人の皆さんの御意見をお聞きしたいわけですけれども。
 一つは、やっぱり私は、一番大事なのは効果的な社会資本整備がされているのかどうかということだろうというふうに思っております。その中で一番の問題は、やはり今の公共事業というのが国のイニシアチブでほとんどの公共事業が決められる仕組みになっているというところを変えなければ、なかなか国民が納得できる効果的な仕組みに公共事業ということで理解が得られないというふうに思っているんですが、その中で、やっぱり今の補助金制度を抜本的に改めて、一括交付金制度というものを導入をして地方が独自に必要な公共事業をやった方が効果的になるんではないかというふうに思っております。
 さらに、道路特定財源の制度についても抜本的な改革が必要だというふうに思っております。どちらかというと使い方の方だけが先行している感がありますけれども、やはり私は、受益者負担ということも考えますと、給付と負担の両面から改革が必要だというふうに思っております。
 具体的に言いますと、やはり一部は、やっぱり環境を大事にしなきゃいけないということで議論されておりますので、環境税に使い、大部分はこれは地方の財源というふうにして、地方が道路を造るということが優先課題であれば道路を造る、それ以外のところが優先課題であればそれ以外のものを造るということを地方が判断をして、本当に地方にとって必要な公共事業を進めるということに改めるべきだというふうに考えておりますが、この点について、既にこの点について触れられている参考人の先生もおりますけれども、是非三人の参考人の先生に御意見をお聞きしたいというふうに思います。
#15
○参考人(屋井鉄雄君) ただいまの御質問、公共事業あるいは社会資本整備に関して効果的な整備がなされているのかという視点について、大変多くの点から御指摘をいただいたというふうに受け止めております。
 私の意見を述べさせていただきたいと思います。
 特に補助制度あるいは国と地方の役割の分担、こういったところが大きな課題として提起されたのではないかと思います。私は、その問題を考えるときに、やはりどのような事業、どのような計画内容を対象とするかということにおいて随分と考え方が変わるのではないかと思います。したがいまして、今回の重点法案の中でも、特に広域根幹的あるいは国際競争力の確保、こういった点から進めるべき事業、計画につきましては、これはやはり国が主体となって進めるべきであることに異論はないと思います。
 しかるに、国民生活、様々な点でクオリティーの向上、これが求められていることでございまして、生活に密着した部分については今まで以上、一層地域が主体的にあるいは自己責任を持った形で整備が進められるような、そういった地方に対して権限なり財源なりを移譲していくという、これは方向性は間違っていないと思います。
 例えば、デンバーという町で世界最大の空港を一九九五年に開港いたしました。一つの市が滑走路五本を持つ大きな空港を造ることに対しては国も反対をしたそうでございます。しかし、地域としての危機感あるいは地域としてそれを進めたいという非常に強い意思によりまして、自ら財源を手当てをして自らリスクを背負って造り上げたということでございます。
 ですから、そういった例は極端な例かもしれませんけれども、やはり地域として自らの責任も全うしながら整備を進められるという、そういう体制は今後必要になるというふうに思います。
 長くなりますが、もう一点だけ、その点に関しましては、やはり一つの計画の作り方として、全体のフレームのようなものを国で定め、中身については地域が比較的自由に、独創的に、あるいは独自な計画の中身を決めていけるような、そういった考え方も取るべきであると思います。
 以上でございます。
#16
○参考人(加藤一郎君) 民主党の提案されている一括交付金ですか、これは資料としていただきまして、ざっと目を通させていただきました。大変面白い提案だと思います。一つの方向としてそういう方向もあるのかなという気はしております。
 ただ、その際には、公共事業として国から出されているものを地方に渡すときに、具体的にはどういうふうな形になっていくのか検討すべき余地はあると思いますけれども、基本的には非常に興味深い提案だと思っております。
 道路特定財源の問題に関しては、これはこの法案の中でも触れられていて、一定の改善がなされているというふうに指摘されているようでありますが、私もそうだと思います。ただ、本当にこれを一般財源、私は、基本的に一般財源化する、しかも一般財源化してかつ地方財源に振り替えていくというのが道路特定財源の改革の方向だと思っています。
 ただし、この点については様々な議論がありますし、資料のDにもお示ししましたように、かなり複雑な問題が発生します。ですから、基本的にはそのような一般財源化、地方財源化の方向を取りつつ、具体的にどう改革を進めていくのかはまだ検討する余地があるのではないかというふうに思っています。
#17
○参考人(宮入興一君) 今、委員の方からも御指摘ございましたように、公共事業に対するところの国民の不満や危機感というのは確かに非常に大きなものがあるだろうというふうに思っております。今、委員の方からございましたように、特に効果的な社会資本整備をどうすればいいかと、こういう問題ですが、先ほど私御提案もいたしましたように、やはり国のイニシアチブでやらなければならないそういった大規模事業というのは、これは全然ないわけではなくて、やはりこれはあるだろうと思います。
 しかし、そういうふうな言うなればビッグプロジェクトといいますか、先ほどのような最重要の拠点空港でございますとかあるいは最重要の港湾ですとか、場合によっては山林等々の保全なんということもひょっとすると入るかもしれませんが、主要国道ですとか主要な河川ですとか、こういったところはやはり国の方が責任を持って、その意味では権限も財源も全部持ってやると。しかし、それ以外のものについては基本的にはやはり地方に移すということが非常に重要ではないかと。それの手始めとして、今、委員御指摘のような一括交付金制度のような形で地方に任せていくということも一つの大きな仕掛けではないかというふうに思います。
 その場合に重要なポイントの一つは、受けるところの例えば都道府県ですとかあるいは市町村が新しい財源が増えたというんでこれをむちゃくちゃに使うということではこれはやはり困るわけですから、そうすると、受ける方の、言わば受け手の方のきちんとした整備が必要であると。
 例えば、岩手県の増田知事というのは、これは多分旧建設省のキャリア官僚から知事になられた方だと思いますが、彼なんかの場合には、事務事業の評価要綱というふうなものをたしか一九九七年だと思いますが作りまして、このときには県の事業のすべてを実は対象にしまして、特に公共事業については、事業のそういった評価だけではなしに、関係住民の意向も含めたそういった事前の評価も本格的に取り入れると。
 これは、国の場合には、国民全体を対象にしたそういったような、そういう意見を徴収するというのは、最近はインターネット等でのやり方はあるかもしれませんが、大規模な形ではできません。しかし、地方においてはそういったことがかなり可能でございますので、言わばそういったこと、あるいは費用対効果の問題ですとか、そういったような形のことも全部公開をして、そしてその上でもってきちんと見直しをするというふうなことが絶えず行われるということが大事だと思います。岩手県の場合には、たしか一九九九年から二〇〇一年、二年までの間ですか、新規事業が五百三十一地区から百九十六まで言わば四年で半分以下になるというふうなこともございます。
 仮に、その場合に、不採用になった事業についてもきちんと説明をする、そして納得してもらうと、こういうふうなことが大切で、そういうことがきちんと行われるようであれば、そういった一括交付金制度というふうなものは非常に有効に作用するというふうに思います。
 それから、道路特定財源につきましては、これはやはり基本的には、誠におかしい話ですが、緊急整備という形で法律は立てられながら、事実上恒久的な法律になってしまっているということで、今回、若干その改定をするということは、それは前と比べれば改善したことは事実なんですが、やや遅きに失したというふうな嫌いはあるだろうと思います。
 これも、おっしゃられるように、基本的にはやはり地方に財源を移す。それから、もちろん環境等々、それから福祉等々、私申し上げましたように、そういったことをある意味ではセットにしてまちづくりのためのそういった財源として確保するというふうなシステムを新しく作るべきだというふうに考えております。
 以上でございます。
#18
○池口修次君 時間が非常に限られておりますので、あと一点、ごく簡単で、簡単というと失礼かもしれませんけれども、手短にお答えをいただきたいということで、重点計画に対する様々な国民なり都道府県なりの意見の反映の仕方ということでお聞きをしたいんですけれども、今回の重点計画は閣議で決定をするということで、国会の関与というのはどうするのかというのは全く法律上は書かれておりません。
 さらに、国民の意見や都道府県の意見を聴くということになっていますが、意見はいろいろ、賛成意見、反対意見、いろいろ出るわけですから、それをどういう形で行政に反映されるかということでは、今のままだと行政が判断をするということになるんでしょうけれども、私は、やはり様々な意見を踏まえて議論をする場というのは私は国会の場ではないかというふうに思っております。この国会の関与について、三名の先生方はどうあるべきかということについて最後にお聞きをしまして、私の質問とさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
#19
○参考人(屋井鉄雄君) ただいまの国会の関与に関しまして、特に計画案そのものの審議につきまして、私は現行の閣議決定という形で差し支えないというふうに考えております。
 世界に様々な長期計画を立てている国、地域がございますけれども、私の知る限り、議会の承認を必須としているところばかりではないというふうに認識しておることでございます。これに関しては、やはり毎年予算の審議等行っていることで代替的にといいますか、内容の審議に代わるものとして行われているというふうに理解をしています。
 しかしながら、先ほどもう一点、国民の意見をいかに吸収していくかという議論につきましては、私はここでいろいろの意見を申し上げたいんですが、時間の関係もございまして、また関連する質問のときにお答えしたいというふうに思っております。
 以上です。
#20
○参考人(加藤一郎君) 私は、確かに原則として国会は議論の場ですから、意見を聞く場ですから国会で関与できるシステムがあった方がいいと思いますが、この問題について個別に国会でやるべきかどうかという判断は、私はよくまだ十分に承知していませんので、できておりません。
#21
○参考人(宮入興一君) 私、先ほど申し上げましたように、基本的には重点計画につきましても閣議決定だけではなしに、最終的にはきちんと国会の場で国会の議員の方々が責任を持ってやはりこれを判断をするということが重要だと思います。これまでのように個別の長期計画ではなくて、全体として総合的ないろんなものをやらなければいけません。それから、今後二十一世紀に向かって社会資本整備非常に重要な課題になるわけですから、そういった点について責任を持った判断を国会でやっていただきたいというのが私、あるいはそれが当然であるというふうに考えております。
 以上でございます。
#22
○池口修次君 終わります。
#23
○森本晃司君 公明党の森本でございます。
 今日は、先生方、朝早くから大変ありがとうございます。先ほど来御意見を聞かせていただきまして感謝申し上げる次第でございます。
 屋井先生にお尋ねをさせていただきたいと思いますが、これからの公共事業を実施するに当たりましては、国民のニーズを把握して意見を反映させ、国民に夢と希望を与えて、同時に地域の活力を引き出すということが、そういった事業の推進が極めて重要であります。そのために地域住民のニーズを把握して最大限にその声を反映することが不可欠です。
 現状はいろいろと先ほど来三人の先生方からお話がございましたが、事業の必要性や環境面への配慮不足、それから情報の出し渋り、こういったことで事業者への不信感によって事業が円滑に進まない事例が多いようであります。これは従来の法制度による合意形成システムに限界が来ていると考えられ、今回のこういった社会資本整備重点計画法案の検討に入り、それを推し進めているところだと思いますが、先生の現状の認識と、それから今後の課題についてお伺い申し上げたいと思います。
#24
○参考人(屋井鉄雄君) ただいま御指摘の点、大変重要な点であるというふうに私も認識しております。今回の法案、これは個別事業の計画を作る際の法案ではございませんが、今御指摘いただいた点は正にこの法案と大きくかかわりを持ってくる点であろうと思います。
 今回の法案におきましては、評価という形と、それから国民なり地方自治体の意見を聴くということとをうまく密接に関連を付けて制度化していくといいますか、システムとして作り上げていく必要があろうと思います。今回は特に重点計画ということで五年間を目標としておりますので、五年後に評価して目標の再設定を行う、こういった方式が取られるんだというふうに認識しております。
 そうであれば、目標設定時にそれが国民のニーズに正に合うかどうか、この確認がまず必要でありまして、そして事後評価時にはアウトカム指標、またそれだけではなくて国民の満足あるいは不満といったものを収集して、その結果を更に次の計画に結び付けていく、生かしていくという、こういった継続的な合意形成と申しますか、合意を得る取組、これが大変重要になってくると思っております。
 そういった点と、それから先ほどの円滑になかなか進まない事業があるというこの問題、これは個々の事業の必要性を究めて、その必要性についてより上流側といいましょうか、計画の上流の初期の段階からその内容を知らせ、そして意見を聴き、計画の策定に進んでいくという、こういう流れでございますので、その一番上にある長期計画、そして今回の社会資本の計画、そして個別事業の事業化に向かっていく計画、こういったものをうまく整理整とんをして、その中で国民が分かりやすい、理解しやすい形で事業あるいは計画とかかわりを持っていけるような、そんな取組をすることが大変重要であろうというふうに認識しております。
 以上でございます。
#25
○森本晃司君 これは三人の先生にお伺いしたいんですが、今度PI方式が、積極的にPIを導入する、市民もいろいろ参画してプロセスを決めていくということでございますが、今お話があったように、現状を変えるためには、既に道路事業で先駆的にやっておりますけれども、PIを積極的に導入することということになっております。
 私は、これは非常に私も評価しておりますが、事業主体主導によるPIプランを推進するに当たりましては、公平に判断をする機関として事業主体が設置する審議会が第三者的位置付けとされています。この制度、PIを進める上で必要だと思いますが、事業者への不信感によって円滑に進まない事例の場合、事業主体が設置する審議会が厳密な第三者機関と認識できないことに起因すると、このように考えられます。
 今後は住民の事業者への不信感をいかに払拭するかが合意形成を図る上で必要と考えますので、事業主体のPIプランの正当性、妥当性をISOの認証制度のように評価及び認証するようなシステムが別途必要だと考えるんですが、海外の動向をもし三人の先生方から教えていただくことできましたら有り難いと思いますし、今申し上げましたISOの認証制度のようなシステムを設けるということについて三人の先生方のお考えがございましたら、お伺いさせていただきたいと思います。
#26
○参考人(屋井鉄雄君) 今御指摘いただいた点も大変重要な点であるというふうに思っております。
 どちらかといいますと個別事業におけるパブリックインボルブメントという観点だというふうに理解をさせていただきましたが、我が国におきましても、正に御指摘のように、第三者機関と申し上げたときに、そこにその定義あるいは性格、機能、そのメンバーの構成、こういったものについてまだ議論が必要ではないかというふうに思います。特に、個別事業の計画あるいはその計画の進め方にかかわるパブリックインボルブメント、こういった点に関してどういうかかわりをその機関が行うかという点でございます。
 私は、まず一点目として、第三者機関は計画内容を審議するという通常の専門家委員会のような形として運営される場合もあるというふうに考えております。二番目には、行政に代わってパブリックインボルブメントを実施する、あるいはその機関の設置自体が行政にとってはパブリックインボルブメントの一環である。これは外国では例えば市民諮問委員会のような形で行われておりますが、こういった機能を第三者委員会という形にしている場合もあるかと思います。そして三番目は、特にパブリックインボルブメント等の遂行、行政が実施するパブリックインボルブメントを監視するといいますかチェックするという、そういう一番中立的な役割を要求される機能でございます。この三つの機能を場合によっては一つの第三者機関が担う場合もございまして、そういった機能の持たせ方については事業、計画に応じて非常に注意深く整理をした上で設けることが大変重要であるというふうに思っております。
 ISO自体につきまして私は正確な理解をしておりませんが、例えば環境影響評価に対しては一九九八年にオーフス条約がヨーロッパで結ばれておりまして、国民に対して三つの権利を保障することが定められました。それは、環境情報に対するアクセスの権利、それから意思決定への参加の権利、そして訴訟を起こせるという権利、この三つであります。
 例えば、フランスは国家討論委員会等、上流側での第三者機関的な設置を行い、パブリックインボルブメント強化をしておりますが、そのフランスにおきましても特に一番目の権利と三番目の権利は多分現行のシステムで賄えるであろうというふうに思っているようでございますが、二番目の国民が決定に参加できる権利についてはその討論会だけでは十分ではないという認識を持っているようでございますので、今後そういったものにつきましても改善が行われるのではないかというふうに思っている次第でございます。
 以上でございます。
#27
○参考人(加藤一郎君) 認証制度というのは私は実は今まで考えたことがないので、お話聞いて、ああ、なるほどそういう考え方もあるのかなと、少し興味を持ちました。
 もちろん認証制度ということになりますと、だれが行うのかということが非常に重要だと思います。行う機関そのものが信頼されていなければ意味はないわけですから、それさえクリアできれば、確かに認証制度というのはひとつ考えていくべき提案だろうというふうに思っています。
 私自身は審議会の信頼性というのは一つはやはり徹底した情報公開だと思います。特にインターネット上での情報公開というのが、インターネットというのは興味がある者であればだれでも見れるものですから、審議過程をも含めたインターネット上の情報公開を徹底して行うということが非常に重要だと思っています。かつ、それに対して質問等があった場合に審議会として説明責任を持つということが重要だというふうに思っていましたが、それに加えて認証制度というものを一つの提案として今後考えていきたいと思っています。
#28
○参考人(宮入興一君) PI方式を今回導入したというのは一つの先進的な側面はあるだろうというふうに思っております。先日、たしか自然再生法という法律ができたと思いますが、その場合でもこういった制度が導入をされました。
 問題は、その場合に、先ほどお話しされたような審議会等々なんですが、しばしばそうなんですけれども、審議会のメンバーをどう選ぶのかというのは大変重要なことでして、通常の場合には審議会のメンバーは、どちらかというとやはり行政の事務当局が候補者を出して、そしてそこで選ばれる、こういうふうな話になっていってしまうので、それが一つ、信頼性を非常に損なっているところの一つだというふうに思います。
 もちろん、その審議会の中にはいろんな反対意見を言う人も多い、結構紛れ込んではいるんですが、しかし、しばしば刺身のつま的に扱われるということが非常に多いわけで、したがって、そういったところに、例えばある案件について賛成も反対もあるというふうな話であれば、そういったところの人々やあるいは団体からそれぞれ同数だけ、あるいはその中間派の学識経験者等々も含めて、きちんとやはり審議のところの委員の選定というのがまず大事だというふうに思います。
 それから、審議会については、最近、例えば農水省の委員会なんかも、従来は全く秘密裏にやっていたんですが、最近はかなり早い段階でその審議の議事録をインターネット上で公開するようなことをいたしました。これによって透明性はかなり良くなったというふうなことが言えますので、そういった点では前進があると思います。
 ただ、これに対する、じゃ、いろんな意見や質問等々というふうなことまでについては開かれてはおりません。したがって、そういったものをどういうふうにして今後取り入れていくのかというふうなことが今後は更に重要な観点になってくるのではないかというふうに思います。そういったことがある程度クリアできていけば、この制度自体というふうなものは有効に活用できるところの側面を持っているというふうに、私もプラス面としては評価をしています。ただ、やりようによってはある意味ではもろ刃の剣みたいなところもございますので、これは今後の課題ではないかと。
 それから、ISOの承認制度のような形のものというふうなものが世界的にあるのかどうかよく分かりませんが、いずれにいたしましても問題は形というよりも中身のところだというふうに思いますので、その辺のところを、透明度と公平性を確保しながら、いかに作り上げていくのか、今後の課題だと思います。
#29
○森本晃司君 最後に、加藤先生にお伺いをさせていただきます。
 先生の述べてくださいました御意見の中で、二ページのところに、自然に優しく雇用を確保しやすい人手を使う方が公共的ではないかという御意見がございました。私はこの意見に対して極めて同感できるものございまして、例えば河川をコンクリートで固めれば、これは人手も要らずに安くできるわけでございます。これを一つずつ石垣等々で自然に返っていく、このことがもう魚にとってあるいは自然にとって非常に大事なことであるかと思いますが、一方、公共事業という角度で考えてみますと、じゃ、すべてそんな形でやっていると、国民の大事な税金を逆に無駄に使っているんじゃないかという、こういう御意見も出てきます。
 一方、また、先ほども言葉、先生から出していただき、宮入先生から出していただきましたけれども、自然再生法というけれども、ここに私は極めて重点的に置いて、そして事業と雇用というものをやっていかなければならないんですが、コスト面考えると、今度はまた逆の意見が出てくる。先ほども申し上げましたようですが、この辺について先生のお考えを聞かせていただければ有り難いと思います。
#30
○参考人(加藤一郎君) 例えば、今お話になった河川の土手なりを造るという行為なんですが、確かにコンクリートで固めてしまえばコストは安いかも分からない。しかし、そのことによって失われる景観とか人間の自然に対する愛着というんですかね、こうしたものは便益からコストとして入ってしまうわけですね。本来、享受できていた便益をなくしてしまうという面があるわけです。
 そういうふうに考えれば、コストというのは、実際今幾らお金が掛かったかということだけでコストを判断するというのは、非常にきつい言い方ですが、金銭至上主義である。むしろ自然の持つ便益とか、これはもう環境評価とか、そういうことでされるようになってきているんですが、そういうものも含めて、コスト・ベネフィット分析、費用便益分析というのをやらなければならないというのが現在の二十一世紀の費用評価の大きな流れだと思います。
#31
○森本晃司君 ありがとうございました。
#32
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございます。
 最初に三人の先生に伺いたいと思いますけれども、この間、公共事業の在り方について大変大きな問題になってきました。その中で、公共事業に対する批判というのが大変厳しいものがあったというふうに思います。その中心は、何といっても無駄が多いのではないか、それから腐敗の温床になっていないだろうかということとか、あるいは財政の硬直化、国や地方の借金が増えるということにつながっていないだろうか、あるいは自然破壊になっていないだろうかと、大きくいえばこういう四つのことが、ほかにもたくさんありますけれども、問われてきたのではないかというふうに感じております。
 今度の法案というのは、たくさんあります長期計画の中の九本の個別の長期計画、これを一本の社会資本整備重点計画ということでまとめつつその計画を作っていこうと、こういうことになろうかと思います。私は、公共事業の在り方を変えていく、改革をしていくということであれば、最初に申し上げましたこれらの無駄とか腐敗とか、あるいは財政の硬直化や自然破壊の問題、これらを解決できるようなシステムを作っていくこと、このことがやはり一番国民が求めていることではないだろうかというふうに思っています。
 そこで伺うわけですけれども、今度の法案、端的に言って、こういう改革の方向に大変大きな力になり、前進面があるのかどうかと。私は、率直に言って若干の疑問を持っているわけなんですけれども、三人の先生方、どういうふうにお感じなのか、お伺いしたいと思います。
#33
○参考人(屋井鉄雄君) 大変また厳しいといいますか、重要な御指摘であったと思います。私も、おっしゃるような点が大きな問題で、公共事業が批判をされ、あるいは社会資本の整備自体についても大きな誤解を与えているという、こういう実態があるというふうに思います。
 私は、法律を作ることは必要な条件であると思いますが、やはり重要なことは、それをいかに運用するかということであると思います。今回の法律は、私は既に参考人意見の中で申し上げたように、三つの点で従来にない優れたものであるというふうに思いますが、やはりそれをいかに運用するかという点が一番重要であると思います。
 もちろん、関連する、あるいは違う、異なる法案がいろいろございますので、評価に関して、入札に関していろんな点からこの公共事業を取り巻く改革を進めていくことが大変重要であると思いますが、今回の法案につきましては、特に長期計画あるいは横断的な総合的な計画づくりのそのシステムを改善していくという点では私は評価が十分にできるものだと思っておりますので、是非これを、いかに有効な形で、そして国民に社会資本整備の重要性が一層あるいは改めて理解されるような形で運用していただきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#34
○参考人(加藤一郎君) 実は、この法案は最近送っていただいたばかりで、何とか目を通した段階で、詳しい評価をすることはできません。
 最初のところを見ますと、地方分権のことが言われ、あるいは人々の生活のことが言われていますから、私もその点には同感しており、評価をしております。ただ、今、同時に送っていただいた、参議院の本会議における質疑の内容というのを資料として送っていただきまして、ここには共産党の議員の方も含めて様々な質問をされております。この質問についても、ああ、なるほど、こういうふうな点での問題があるのかなということもよく分かります。
 非常に言いづらいことなんですが、先ほど、最初に質問されたことの一つで、今、公共事業に雇用を頼っている人たちが非常に多いんだという指摘されまして、私は、私の意見陳述の中で、今の日本の公共事業というのは国際水準から見たら三倍近くにもなっている、本来なら、国際水準にするとすれば、じゃ、三分の一にする、少なくとも半分にすればいいのかというふうに言われれば、私は長期的にはそうせざるを得ないと思うんです。しかし、じゃ直ちに現在の公共事業の規模を半分とか三分の一にすることがいいのかどうかということになると、正直言って、私はそうは思われません。だから、長期的な目標として縮減の努力は続けていかなければならないということだと思うんですね。
 公共事業改革も、その意味でいえば、もしかすると、今回の重点計画の法案というのは大きく前進をしたというふうに断定できないかも分からないとは思うんですが、いろいろと質疑内容も見まして、少なくとも長期的な改革への一歩を踏み出すことができているのではないかという評価をしております。その点では、どういうふうに言ったらいいんでしょうか、私は大学の教員なのですぐに単位のことを思い出すんですが、ABCなり優良可とかというふうに言えば、少なくとも可は取れているだろうなというのが私の評価です。
#35
○参考人(宮入興一君) 今、委員の方から御指摘ございましたように、公共事業の批判という点は、委員のお話ですと、一つは、無駄といいますか、つまり効果という点で非常に問題があるんじゃないかというのが一点、それから、いわゆる腐敗の問題が二点、それから三点目には、言わば財政破綻の大きな原因になっているのではないか、四点目が自然破壊というふうな問題との関連だったというふうに思っております。
 今回の法案は、ある意味ではそういったものを全部トータルにその中にぶち込むことができるというふうなたぐいのものではございませんので、つまり、そういったものへの足掛かりなりなんなりがどのくらいあるかというふうなことだと思います。
 第一点目の無駄という点について言いますと、ここでは、例えば重点とかあるいは効果、効率というふうな形のものを図るというふうなことが言われています。従来と比べると、そういった点では一定の改善面があると思いますが、具体的な方策になると必ずしもよく分かりません。
 例えば費用便益の分析についても、従来は、国土交通省なんかの場合には、先ほど加藤参考人の方からもございましたように、実際には、例えば自然というふうな形のものをどういうふうに評価したらいいのかという、これは自然の再生についてもそうですが、自然の破壊についてもそうなんですが、そういったものは実は費用の中に入っておりません。費用の中に入っているのは専ら狭い事業費だけであります。つまり工事費だけであります。こういうふうなことの在り方が、実は評価という点でも、無駄とか破壊的なというふうな事柄を生み出す非常に大きな問題です。それから、効果の方についても、非常にある意味では、従来は情報公開をなされていないということもあったんですが、かなり恣意的と思われるような効果方法によって行われている、こういうことがございます。
 したがって、そういった点について言うと、より一層そういった点の透明度を上げると同時に、もっと効果についても、例えば費用等々についても、あるいは公平性とか公正性とか、そういった事柄につきましてもきちんとした内容の吟味というふうなものが国会の場においても、あるいは場合によっては学会も含めてなんですが、もっと国民的な形でもってきちんとやはり検討されて、そして合意が重ねられていくということがないと、この点については今回の法案だけでは保証できないというふうに思います。
 第二番目の腐敗の点でございますが、これは恐らくこの法案の中に入れることは非常に難しいのだと思います。
 例えば政治献金の問題について言いますれば、これは政治資金規正法の問題もございますし、それから公選法の問題等々でも最近問題になっておりましたが、そういった事柄をきちんとやはり対応して直していくと。例えば政治献金の話であれば、企業・団体献金は原則的には例えば禁止する、特に公共事業からの、そういった事業者からのものはそれを禁止をする、そういうことがむしろ社会全体に対しても公平で透明性を確保できるようなそういったものになっていくと。それから、天下り等々についても、これは必ずしも透明度が高いというふうには言えません。
 いずれにいたしましても、腐敗という点について言えば、それは別の形でもってきちんとした法体系を整備して、中身をきちんと詰めていくということが大事だと、こういうふうに思います。
 それから、財政の硬直性という点について言いますと、先ほど私の方は、この法案自体のところでもって、やはり基本的には公共事業の経費を全体として削減をしていくための中長期の計画のようなものはきちんとやはり盛り込まれるということが、あるいは少なくともそういったものを立てていくんだということが法案に盛り込まれることが重要だと思います。
 加藤参考人が言われましたように、今すぐにそれを、公共事業を半減するというふうな形のことは、これは言わば点滴でようやくもっているところの地域経済というふうなものからいきなり点滴を抜くような話ですから、これは困難だというふうに思います。しかし、中長期的にそれを減らしていかなくちゃいけない、あるいは減らしていってもきちんとした効果と、それからそういった社会資本の整備というふうなものができるということは、様々ないろんな経験を通じて次第に分かってきております。それから、ほかの外国等々においてもそういったことが行われているわけですから、そういった問題については、今後の中長期的なそういった削減課題と、ここで言うような効果や効率を高めていくという本法案の趣旨ときちんとドッキングさせるようなシステムを構築していくべきであるというふうに思います。
 それから、最後の自然破壊という点も、これは別の法律等々がございますので、そちらの方でやっていければいいんだと思いますが、問題は、先ほど申し上げた自然再生法もそうなんですが、自然を再生するということは、つまり自然が破壊されたから再生しようと、こういうわけです。そうしますと、なぜそうなったのか、どういうふうにしてそういうふうな事態に陥ったのか、きちんと原因を究明して、その上でもって再生すると、こういうふうなことが重要でございまして、公共事業についても既に行われているところの既存のかなり大きなビッグプロジェクトがございます。こういったものはかなり古い段階でもって事業が始まったものですから、言わば環境アセスメントをきちんと受ける必要はないんだというふうな話のことも出ておりますが、多少コストは掛かっても、そういったことも含めて、つまり現在進行形のそういったビッグプロジェクトも含めて、きちんとそういったものについてはアセスメントを実施して、そして自然保護というふうな、あるいは再生ということを担保していくということが今後の二十一世紀に向けては非常に重要な課題ではないかというふうに思います。
 以上でございます。
#36
○富樫練三君 余り時間がありませんので、最後の質問をさせていただきたいと思います。
 宮入先生に伺いたいと思うんですけれども、一つは、公共事業全体についてのやっぱり総合的な政策が必要ではないかというふうに感じているんです。
 例えば、交通政策一つ取ってみても、道路特定財源を元にして道路計画がずっと進められてきて、高規格道路は一定の整備が進んだわけなんですけれども、しかしながら一方で都市での交通渋滞などの問題はやはり解決されないまま残っていると。同時に、鉄道の整備も、新幹線の整備は進んでいるんだけれども、しかし地方でのローカル線の廃止の問題、住民の足の問題、こういう問題が新たに起こっています。こういうことを考えた場合に、当然全体としての環境対策、こういうことも考えなくちゃいけないというふうに思います。全体として交通体系がやはりゆがみが出てきているのではないかという感じがするわけです。
 そこで、そういう点を含めた総合的な交通体系政策、こういうことが求められていると思いますし、財源としての道路特定財源も見直すという点も含めての総合的な政策、この点についてどうお考えかということであります。
 もう一点は、計画と評価に対して住民や自治体がどう参加するか、そのシステムをどう確立するかということが公共事業にはどうしても必要だというふうに思います。そのための、情報公開の徹底するその制度、ここのところが決め手になるというふうに思いますけれども、この点について先生のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#37
○参考人(宮入興一君) 時間が余りございませんでしょうからあれなんですが、公共事業全体については公共事業基本法のような形のものがあるいは必要になるかもしれません。
 今、委員の方からのお話のところは、主要には交通政策の交通体系のようなお話でございました。これは確かに、従来、道路は道路、鉄道は鉄道というふうな形でもって、あるいは普通の交通、公共交通機関は交通機関で別々に実は扱われていたわけでございます。
 しかし、本当はそういったものをもっとより体系的に整備をしていく、場合によっては公共交通機関、地方の公共交通機関は民間の企業がやっている場合もあるわけですね。ところが、そこが赤字になってしまうために、そうすると路線が廃止をされてしまうと、こういうことも起こるわけです。つまり、民間の企業が行っている、例えばバス会社が行っているような事業であっても、実はそれは相当程度公共性を持っているわけですね。そうすると、そういったところに対してはある程度支援をしていけば、財政に全部おんぶにだっこといいますか、もっとお金を出さなくてもある程度やっていけるわけですね。
 例えば、私も一昨年まで長崎に二十二年間おりましたが、長崎には市内電車、ちんちん電車があります。これは幾らだと思いますか。この十年間以上百円でやっているんです。今でも百円なんです。どこがやっているかというと、民間なんです。ある程度行政もサポートはしておりますが、そういうふうにして物すごいいろいろ努力をしております。
 いずれにいたしましても、そういうふうなところをサポートしていくようなシステムを作っていく、そのために例えば道路特定財源とこれまで言われていたようなものを総合交通財源のような形のものに組み替えていくと、こういうふうな形のことは今後とも必要になってくるのではないかというふうに思います。
 二点目の計画と評価の問題にかかわってくるんですが、これはおっしゃられるとおり、先ほど私も申し上げましたが、やはり住民の参加ということは大変重要でございますが、住民が参加していくためには情報の公開、しかもこれはただ単に一方的に情報を公開するのではなしに、住民が本当に必要な情報が、いつでもそれをそしゃくできるような形で、消化できる形で、易しい形できちんと提供をされていくということが重要だというふうに思いますので、それは今後とも国もあるいは地方も大いに努力し工夫していくべき課題であるというふうに考えております。
 以上でございます。
#38
○富樫練三君 ありがとうございました。終わります。
#39
○大江康弘君 国会改革連絡会(自由党)の大江でございます。
 先生方、本当にありがとうございます。長時間いろいろと貴重な御意見をいただきまして、それぞれ三人の先生方、もっともだという実は思いで聞かしていただいておりました。
 まず、屋井先生にお伺いさせていただきたいと思います。
 私は地方の人間ですから、やはりこれからのあるべき地方の姿というものをずっと眺めてきた一人であります。先生は欧米型の社会資本整備の法制度を論文の中で高く評価をされておったわけでありますけれども、私はやはり、日本が幸か不幸か、戦後やはりあの廃墟の中で一気呵成にやってきたというそのことが、いつも言うんですけれども、公の部分と私の部分とのすみ分け、振り分けがきちっとできずに結局今日までやってきたと。だからそれが今、官と民という、こういう対立軸に変えられてしまって、私はやっぱり欧米のような形に、やはり公ですべきもの、あるいは私でするものというもののこの振り分けをもうそろそろきっちりと分けてやるべきじゃないかというふうに、こう思うわけですけれども。
 今回のこの法案には、我々は、やはり地域単位でどうこれから進めていくかということに期待をした一人でありまして、九本が一本になったということは非常に評価をしておるわけであります。省庁間の壁あるいは省内間のセクショナリズムというものがある程度取り除ける方向になっていくきっかけになるんじゃないかという部分では評価をしておる一人であるんですけれども、先生が評価をされておる欧米の部分と今回のこの法案との持つ違いというかな、そういう、先生が求めておる、評価をされておられるこの欧米型の部分を少し聞かせていただきたいなと、こんなふうに思います。
#40
○参考人(屋井鉄雄君) どうもありがとうございました。
 ただいまの議論につきましても、大変重要な背景といいますか、を持っていると思います。特に、公と私の問題、これをどうとらえ、日本のこの計画、法案、計画の制度としてそれをどう考えていくかという点だと思います。
 確かに、欧米型の計画と照らし、日本の今進もうとしている方向もいろいろな共通点があると認識しています。それは、やはり先進諸国は時間的な差はあれ同じような問題を抱えてきたという背景があるからだと思います。特に、合意形成にかかわる大変大きな問題、これについても各国同じ経験をし、そして同じような苦しみの中から新しい考え方、制度を生み出しているということでございます。
 ただし、それぞれの国の歴史あるいは文化、伝統も異なりますので、そのでき上がる姿についてはやはり国によって差があるということですから、やはり日本は日本なりの方法を今回の法制化も踏まえて今後定めていくということが大変重要になると思います。
 そこで、公と私の問題でございますが、私は、例えば卑近な例で申しますと、やはり戦後、私の部分が大変強くなって、交通の問題においても、例えば駅前の違法駐輪、いつまでたっても後を絶たない、あるいは歩道に商店等の看板やワゴンがもうところ狭しと並んで、せっかく歩道ができてもなかなか歩きづらい、こういう公の領域に私の権利がいろんなところで出てきている問題、こういうことはあろうかと思います。
 そういうものがある中で、これから、今回の法案は、その中でも社会資本整備の理念、基本法的な性格というんでしょうか、理念を明確にしたという点が高く評価できると思うわけでございますが、そういうものをやはり国民と共有していくようなこういう取組、これが大変重要だと思います。
 これもまた卑近な例といいますか、私はよくタマネギを例え話にして説明するわけですけれども、これからはやはりNPOなり市民なりが行政と一緒になってタマネギの皮をむいていくべきであろうというふうに思います。タマネギというものはむいていくとやはり涙が出るということで、それなりに負担、義務を果たさなければいけないわけですが、タマネギはむいた後に種すら出てきません。ですから、何をやるかと、タマネギのむいた皮を使って何を料理するか、何を作るかというところが、その目的、目標が市民と行政と共有されていないと、これは涙だけ流してもなかなかうまくいかないということでございます。
 その目標、目的の部分を今回の法案が定めようとされているんだというふうに私は理解しますので、これを今度は地域の目標、目的という、これも地域は地域ごとに違いが、歴史も伝統も文化もやはり違うと思います。ですから、そのそれぞれの地域に対応する形で同じように目標を共有して進めていけるということであれば、この法律、法案は大変大きな意味を残していくんだというふうに思います。
 以上です。
#41
○大江康弘君 先生、どうもありがとうございました。
 続いて、加藤先生にお伺いしますが、先生は非常に体の部分で例えられて、日本の経済は、体の部分や病気に例えられて、日本の経済はアルコール依存症と同じような公共事業依存型の体質だということを喝破されておられるわけですけれども、これからやはり地方分権型の公共事業ということを先生よくおっしゃられているわけですけれども、やはり公共事業ということは、これは私はどこが無駄なのかということが非常に判断しにくい部分であろうと思います。それぞれ地域型になってきて、地域がそれぞれの地域を主張するということでありますから、その地域に住まない人間がその地域のことを駄目だということもこれ言えないと。
 ですから、やっぱりそういうことの中で先生の言われる公共依存型を脱しながらこれから地域分散にしていくというのはどうしたらいいのかなという、ちょっとお考えあったら、お聞かせいただきたい。
#42
○参考人(加藤一郎君) そのとおりだと思います。大変難しいと思います。地方分権型という、先ほどアルコール依存の話は私がお酒が好きだからああいう表現を使ったので、他意はございません、一つだけお願いをしますが。
 本当にそのとおりなんですね。都会に住んでいる者にとってみれば田舎の人たちの事情は分からないし、また逆の例もあると思うんですね。地方分権型というのはその地域地域にとって必要な公共事業をその地域で判断をして行うということですから、ほかの人にとってみれば無駄と思われても、その地域の人にとって本当に必要であれば、それは必要なものだというのが基本的な考え方です。
 そういうふうにしたときに、じゃ何を判断基準になるかといいますと、もしその地域の人たち、あるいは自治体が本当に自由に使っていいですよというお金があって、いろいろなやりたいことがあると。場合によっては福祉をやりたい人もいるでしょうし、教育にお金を出したい人もいる、もっと産業基盤に使いたい人もいる。そういういろいろな選択肢が自由な中で、じゃ、あなたはどう使いますかと。
 これは、私たちは、先ほどお酒の話をしたんですが、私は給料をもらって自分の財布の中に入ったお金をどう使うかは私の勝手で、いや、お酒みたいなものは飲むなと言われても好きだったら飲みますし、その代わり私はばくちは一切しない。だから、ばくちをする人の気持ちが全く分からないわけですね。しかし、私はほかの人がばくちにお金を使うことに、パチンコしたいから、やめておけとは言いません。それは私のお金ではないからなんですね。
 そのように、その地域の人たち自身が自らのお金で、自らを使って、その代わりお酒を飲み過ぎて病気になってしまっても基本的にはあなたの責任ですよ、自分の責任ですよということを前提にしてやっていけるような体制を作ることが地方分権型公共事業の基本だというふうに考えております。
#43
○大江康弘君 最後に宮入先生にお伺いさせていただきます。
 先生はこの費用対効果という分析の中で、例の国営の諫早湾の干拓事業を、この在り方を大変論議をされて、先生の行動というものが大変評価をされたわけでありますけれども。
 防災対策というのは環境破壊という裏表という悩ましい部分があるんですけれども、ただ、我々の地域にあってはこれから東海、東南海あるいは南海大震災の予想を言われておりまして、ちょっと日本の場合の防災対策が違うのは、欧米はやはり起こることを前提に、どこまで被害をとどめるか、最低限にとどめるかということに観点が置かれているんですけれども、日本の場合はどうもちょっとそうじゃないんじゃないかなという部分が、私はそこらの説明責任も含めて、防災対策というものが環境破壊というものにやはりリンクされていく部分であるというふうに、自分なりにそう解釈しているんですけれども。
 しかし、やはりこの起こり得る自然災害も含めて防災にどう対処していくかということは、大変私は、やはり政治家も行政もこれは責任、将来にわたっての責任だと思うんですけれども、そこらの、先生、ちょっと経験からのお考え、いわゆる防災対策と先生の言われる環境対策との在り方、今後の、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#44
○参考人(宮入興一君) 日本の場合の恐らく行政、国あるいは国会議員の方々が目標とすべき非常に大きな問題は、とにかく日本は世界に冠たる災害、御存じのように、災害列島でございますから、そこにおけるところの国民の安全と安心を確保するということは、これは場合によっては何年、何十年、場合によっては何百年に一度かもしれないんですが、一たび起きた場合には物すごい影響を与えるわけですし、それから特に東海地震やそれから東南海地震は今起きてもおかしくないと言うような学者さんもおられるぐらいの話ですから、そういたしますと、これの対策をどうすればいいかというのは極めて重大な問題でございます。したがって、その意味でいうと、私たちの学会も含めてなんですが、国会の方の御議論もまだまだ少しのんきかなという気持ちは実は持っております。
 その場合に重要な事柄は、これは自然の、いわゆる自然災害という自然に起因して起こるところの災害というのは、これは一〇〇%とどめることはできません、どんなに無理しても。ということになると、これは風水害の場合もそうなんですが、地震災害の場合にも、これはやっぱりある程度のところまでとどめて、少なくとも死なないようには、あるいはできるだけ死なないようにはしようねという話のところでやらざるを得ないと。つまり、起きないということを前提としてやっていたらこれほど危ないことはないわけです。そういたしますと、その場合に、だからどの程度にとどめるかという、これはコストとベネフィットの問題もありますが、少なくとも死なないようにはしようねというところはやはり大事だと思うんですね。
 その場合に、阪神大震災で見てもお分かりのように、実際には公共の建物が云々という、実はここもまだ非常に後れているんですが、それに加えて民間の建物あるいは住宅、これをどうするかという問題があるんですね。
 これは全く私有財産だから公金であるところの税金等々からの財源を入れないというようなことが従来は少なくとも建前だったんです。しかし、民間の家といえどもそこには人々が住んでいます。人が来るかもしれません。会社だったらほかの人も来るでしょう。そして、そこでもって命を奪われるということは、国民の最も基本的な人権というのか、言わば命にかかわっているわけですから。それは持っているところに一定の公共性があると思うんです。そこに公的な資金をつぎ込むということは、これは国民の合意を得ながらやらなければいけないんですが、しかしある程度サポートすればできるシステムというふうなものが地方の県レベルではだんだんできてきております。そういうふうなところにむしろお金を回す方が、どかんと起きて、そしてそれでもって復興対策をやるよりもはるかに効果も大きくて、しかも死ぬ人も少なくて、けがをする人、不幸な人々が少ないということはあるわけです。
 これについても、実は私、言わば費用対効果的なものを最近ちょっと手掛け始めておりますが、こういうふうなところにもやはり公的な資金が回っていくというふうなことが、今後の非常に、言わば社会資本というふうなところのものを大きく取れば大きな意味合いを持つ事柄ではないだろうかというふうに考えております。
 以上でございます。
#45
○大江康弘君 ありがとうございました。
#46
○委員長(藤井俊男君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。今後は皆様方の御意見を委員会の審議の中で十分に活用していきたいと存じます。
 委員会を代表いたしまして、厚く御礼申し上げます。
 午後一時まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#47
○委員長(藤井俊男君) ただいまから国土交通委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、佐藤雄平君が委員を辞任され、その補欠として郡司彰君が選任されました。
    ─────────────
#48
○委員長(藤井俊男君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会資本整備重点計画法案及び社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に国土交通大臣官房長安富正文君、国土交通省総合政策局長三沢真君、国土交通省国土計画局長薦田隆成君、国土交通省道路局長佐藤信秋君及び国土交通省港湾局長金澤寛君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○委員長(藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#50
○委員長(藤井俊男君) 休憩前に引き続き、社会資本整備重点計画法案及び社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#51
○池口修次君 民主党の池口でございます。
 一昨日に引き続きまして質問をさせていただきますが、大臣のことを思いますとぜいたくを言っていられないですけれども、三日連続の委員会ということで、大変御苦労でございます。
 午前中の、今日、参考人の方の御意見をお聞きをしました。参考人の方は、もう大体において今回の法律案一歩前進であるけれども、ほとんどのところが、運用はこの後決まってくるということで、運用が非常に大事であるという発言も出てきております。そういう意味で、この法律案には具体的に書かれておりませんけれども、これから決められていく重点計画の中身につきまして、本日は何点かお聞きをしたいというふうに思っております。
 まず、この後、法律が通ればこの後重点計画の案を作成をするということで、一昨日、じゃ国会はどういうところで議論をするんだということに対し、決算委員会なり予算委員会でというような発言もありました。だから、時期によっては、もう重点計画がほぼ進行しているときに審議ということにもなりかねませんけれども、この重点計画というのがいつごろ策定をされるのかという点をまずお聞きをしたいというふうに思います。
#52
○政府参考人(三沢真君) 重点計画策定のスケジュールでございます。
 あの法律につきまして成立をいただきました段階でまた詳細なスケジュールを組んでいくということでございますが、現在、現段階で想定しておりますのは、一つは春ぐらいに社会資本整備審議会それから交通審議会というそれぞれ専門家の方々に御意見を聴く場をございますので、そこで重点計画について議論を開始したいというふうに考えております。
 それで、そういう議論を経てある程度、例えば大体こういうような素案といいますか、たたき台のものができました段階で、それを今度広く国民にパブリックコメントという形で御意見を聞く。これについては、やはりそれなりに御意見をいただくために期間的な余裕といいますか、一定の期間を経てやりたいというふうに考えております。
 それから、同時並行的に公共団体の、都道府県の御意見を聴いていく。これについてはこの委員会でどなたかへ申し上げましたが、もちろん書面でいただくということも可能でございますけれども、できるだけやっぱり地方のブロック単位にそういう議論をする場所、場を設けまして、そこで関係の知事さんとか地元の経済界の方々も交えまして御議論をいただきながら、生の声といいますか、そういうのを聞きながら、意見を聞いていきたいと思っております。
 そういうのを経まして、大体閣議決定は秋ぐらい、ちょっと秋も、などと言っても幅があるので、どの辺りになるか、ちょっとまたこれから詰めますが、秋ごろをめどに閣議決定というめどで進めたいというふうに考えております。
#53
○池口修次君 そうすると、秋に国会がどうなっているかというのは分かりませんけれども、そうすると秋の臨時国会等が開催がちょっと分からないという状況では、その閣議決定前に国会で、具体的な提案という形にはならないんですけれども、いろいろな審議の場でこの中身について聞くということは実質的には臨時国会が開催されなきゃ難しいということになるんですかね。
#54
○政府参考人(三沢真君) それで、この重点計画の策定につきましては、ただいま申し上げましたように、かなりいろんなプロセスを経ながら作っていくということでございますので、ある日一気に突然ぱっと計画の案が出るという性格ではなくて、だんだんだんだんいろんなたたき台の更にたたき台みたいなものから積み上げてやっていくということでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、こういう例えば審議会で専門家を交えて御議論をいただくときも当然何らかの素材というのを提供し、あるいはまた審議会の御意見としてはこういう意見が出て、大まかにこんなイメージのものというのはだんだん出てくるわけでございます。それはもうその都度すべて情報公開をいたしまして、そのことについて例えば国会で御審議いただくようなことも可能なような、そういう形ですべてオープンにしながら議論を積み重ねていきたいというふうに考えております。
#55
○池口修次君 次に、今の話の中でも国民の意見を聞くために何らかのものを提示をするということですが、どういうものを提示をするかによっては、多分、個別の計画は、計画というか事業はそこには書かれないというふうに思いますので、聞き方によっては、これをやってほしい、あれをやってほしいという、ある意味、陳情の場みたいな形になるんではないかというふうに思っておりまして、本当にそれが、一方、もう一方の人もいないわけじゃないと思いますから、そういうことが、いろいろな観点で意見を聞けるような検討素材みたいなものが本当に提示がされるのかどうかということを次にお聞きをしたいというふうに思います。
#56
○政府参考人(三沢真君) これから国民の方々それから都道府県から意見聴取に当たってどういう計画のイメージのものを提示した上で聞いていくかということかと思います。
 それで、それなりに意見を言っていただくためには、こちらとしてこういうようなイメージのものをというのをお出ししないとなかなか意見は言いにくいということだろうと思いますので、それなりにたたき台としての素案を出していくということを考えております。
 それで、例えば素案の中では、そもそも社会資本整備の目的といいますか、目標としてどういう目標を位置付けていくという考え方、その優先順位をどう考えるかというような点、例えばいろいろな目標がございますが、少子高齢化に対応したバリアフリーの問題であるとか、あるいは都市型災害の被害を軽減していくとか、それぞれについて目標がございます。その際、さらに、この目標を抽象的に言ってもなかなか分かりにくいので、その目標を具体的に例えば指標で示すと、今現状がこういうものなのをこのくらいまで上げるということで例えば我々はやっていきたいんだと。例えば、バリアフリー化率をどう上げていくとか、あるいは先ほどの都市型災害であれば、床上浸水の未解消戸数というのをどのくらい減らしていくかと、そういうのを併せてします。
 さらに、それをじゃ実現するためにどういう手法があるかということも示す。そのための事業の概要ということで、例えばバリアフリー化であればどういう施策、どういう事業でと。それから、先ほどの都市型災害の床上浸水解消であれば、例えば河川改修と下水道整備をどういうふうに連携してやっていくと、そういうようなことを示していきたいと思っております。
 それから、当然そういうことと併せて、事業自体を効率的、効果的に実施するための施策としてどういう既存ストックを活用していくとか、あるいは公共工事についても入札・契約の改善をどう進めていくということも併せてお示ししたいと思っております。
 それで、その上で、しかしやはりなかなかこれも抽象的で分かりにくいという面が依然としてやっぱり残る面もあろうかと思います。そこは、先ほども申し上げましたように、できるだけやっぱりそういう考え方の背景なりあるいは議論の過程として例えば審議会でどういう御議論があったということも併せてできるだけお示しして、そういうものの上にこういう例えばたたき台が出ているんだということをできるだけ分かりやすくするような形でお示しをしていきたいというふうに考えております。
#57
○池口修次君 例えばということで国土交通省が今の時点でということで示されている資料ですと、バリアフリー社会の形成だとか水と緑豊かで美しい都市生活空間等の形成とか、こういうことが、十三項目が挙がっているわけですけれども、多分、この金額は入らないということですから、じゃバリアフリー社会の形成ということに反対をするという人がいるのかどうかと。多分、反対するという意見はないんじゃないかと思うんですよね。
 そうすると、いや、これいいことだと、みんな、やれやれという意見だけが意見として出てきて、じゃ現実にはそういう目標を、重点計画を立てて、じゃ実際にやるときはお金の関係があるのでこれは後回しとかいうところでは議論になるかもしれませんけれども。多分、この例示と出された、資料を見てくれと言うと、また扇大臣に資料を見てくれじゃ何言っているか分からないからというので怒られるかもしれませんけれども、この四十三ページの重点目標の例として十三本で書かれているような出し方だと、私はちょっと意見が、なかなかやめろという意見は出にくいんじゃないかというふうに思っていますが、その点を考えて、どういう進められるかというのを再度お聞きしたいと思います。
#58
○政府参考人(三沢真君) 先生御指摘のように、確かに目標としての大目標という、そういう課題レベルのことを並べると、なかなかそのこと自体として、それはみんないいことじゃないかという御議論になりがちだと思います。
 ただ、やっぱりその中で、先ほども申し上げましたように、これに対応した指標として、例えばバリアフリー化率の現状がこうなんだけれどもこれを上げたいといったときに、じゃ、例えばそれぞれの地域の中で、やっぱりかなり恐らくバリアフリー化率の格差があると。そうしますと、例えば自分の地域ではそういうバリアフリー化率を上げるときにこういう点に留意してほしい、だから事業の進め方としてはむしろこういう方をやってほしいと、こういう御意見が当然出てくるんじゃないかというふうに考えております。
 そういうことですので、多分そういう具体の事業の進め方、それからもちろんその地域地域によって何を優先してほしいかという御意見もそれぞれあろうかと思いますので、そういうものを踏まえた御議論はいただけるんじゃないかというふうに考えております。
#59
○池口修次君 余りこれを突っ込んでもあれですけれども、今の説明ですと、やっぱりあそこよりもうちは劣っているんだから上げてくださいという意見が大多数ではないかなというふうに思っております。それに従ってやりますと、やっぱり重点計画自体が膨大な重点計画、意見を全部吸い上げるということになると膨大な重点計画になってしまうんじゃないかということを私は懸念をしておりますので、それが今回の目的では私はないんじゃないかというふうに思いますので、是非、これも運用が大事だというところの一点だと思いますけれども。じゃ、いろいろ意見出たんだけれども、国家の財政状況なり、点を踏まえて、まあ意見もあったけれども、やっぱりここはこの程度にしますとかいう味付けというのが非常に大事になるというふうに思いますので、よろしくお願いをします。
 もう一回、くどいようですけれども、今回の法案の中に国会の関与という、国会という文章が一つもない、見方からすれば国会の関与というのが外されたというふうに見れるわけですけれども、なぜその国会の関与というのが全く外されたのかというところを再度、ちょっとくどいようですけれども、お聞きしたいと思います。
#60
○政府参考人(三沢真君) これについては午前中の参考人質疑でもいろいろな御意見があったわけでございます。
 私どもは、今回、この重点計画そのものについては閣議決定という形で提案させていただいていますのは、一つは、元々、実は今回の重点計画の大きなねらいというのが、いわゆる事業量とか事業費というものとアウトカムというのを分離しまして、むしろアウトカムを中心にしていくと。
 午前中の参考人の先生方のお話を聞いて、むしろ国会関与を強めるべきだという御意見もあったわけでございますが、その前提は、どうもやっぱりむしろ総量のコントロールといいますか、その点に主眼があってこう言っておられるのかなと。
 ところが、今回、私どものは、むしろそういう量がややもすれば予算の硬直化なり、そういうものにつながるんじゃないかという御批判があって、そうではなくて、アウトカムにしていくということにしましたので、そこはちょっとひとつ前提となっているその計画の物の考え方についてちょっと違いがあるのかなというふうに考えております。
 それと、私どもは、やはり計画の中身については、先ほど申し上げましたように、できるだけもうそのプロセスもオープンにしまして、このことについて国会で御審議いただくということはもう非常に、このことはまた非常に大事なことだと思っております。
 そういう意味では、実質的にというような形で御審議いただけるような情報公開等にはもう最大限努めていきたいというふうに考えておりますので、そういう意味で、その法案そのものの、法律そのものに国会という字がないんじゃないかというおしかりもいただきましたが、むしろ正に運用面の話としてどれだけ実質的なものが御審議いただけるようなことを我々が努力できるかと、そこが非常に大事なのじゃないかなというふうに考えております。
#61
○池口修次君 じゃ、次のテーマに移りますけれども、その実施計画の中には社会資本整備事業を効果的かつ効率的に実施するための措置に関する事項も書き込むということに法律上はなっているんですが、現時点で効果的かつ効率的な措置というものはどういうものを考えられているのかというのをお聞きしたいと思います。
#62
○政府参考人(三沢真君) これはいろんなものがございまして、例えばやはり民間活力といいますか、PFI的なものをできるだけ活用できるものについては活用していくべきであるということであるとか、それからやっぱりこの委員会でもいろいろ御議論いただいたその事業評価というのが非常に大事でございますので、その事業評価についても厳格に実施すべきである。
 それから、やはり新しく作るということばかりでなくて、既存の今あるストックというのをできるだけ有効に活用していくことによって、かなり、何といいますか、効率的な事業実施が図られるという面もございます。
 それから、もちろんハードだけではなくて、やっぱりソフト施策との組合せと、そういうことも非常に大事でございます。
 それから、それを進めていく上で、透明性といいますか、公平性といいますか、例えば入札・契約の問題についてきちっとした、入札契約法に基づいてきちっとした対応をしていくというような趣旨であるとか、それから、ある事業をやるに当たっても、できるだけやっぱりコストについては節減努力をしながらやっていく旨であるとか、いろいろございますが、そういうことについての基本的な考え方をこの重点計画の中にきちっと述べていきたいというふうに考えております。
#63
○池口修次君 その中に効率化の目標なり、どの程度の効果を上げるかを目標としているかというものは書かれないのかどうかという点をお聞きしたいと思います。
#64
○政府参考人(三沢真君) 効果的、効率的に実施するための課題としては今申し上げたものがいろいろございますので、それらを全部含めて、多分数値目標というのを一律に設定するというのはなかなか困難かと思いますが、ただその中で、例えばコスト削減ということについていえば、やはり具体的に、じゃ、そのコスト削減、削減目標をどう定めていくのかというのは非常に大事なことでございますので、これについてはできるだけ数値的といいますか、定量的な目標を書き込むべく検討していきたいというふうに考えております。
#65
○池口修次君 一昨日の質疑の中でも効率化の目標が一五%ぐらいに置いているという話もありましたし、昨日か一昨日か、扇大臣が、高速道路のやつで二〇%を削減するとかいう話もありまして、非常に分かりやすい話で、今の国民からしますと、やっぱり分かりやすさというのが必要、大事だというふうに思うので、それに向けて努力をして、それ、達しなかったら達しなかったということで、こういう問題があったから達しなかったということを後で言えばいい話で、目標値が達せなかったこと自体が、結果責任が何とかということは私自身は考える必要はないと思うんですけれども、ただどういうふうに目標で進んでいるのかというところは一番国民が、公共事業についていうと、やっぱり効果的な公共事業をするということが一番関心が強いところですから、是非載せるべきではないかなというふうに思うんですが、この点についていかがでしょうか。
#66
○国務大臣(扇千景君) 大変この法案の御審議の中でるる御指摘をいただいたり、また御示唆をいただいて、私は本当に皆さん方が、社会資本というものに対してのお考え方が、おおむね委員会の皆さん方の御意見としては私は御了承いただき、なおかつこのことが、今までは九本でばらばらでやっていたけれども、一本化することによってよりコンパクトに、より分かりやすくなったということを私は是非御理解いただき、またおおむねそういう御意見もいただいたことを良かったなと思っておりますけれども。ただ、社会資本整備に当たりまして、結局は、事業量を確保するということではなくて、少なくとも私は何を達成してほしいかと、こういうことが、国民の皆さんや地域のニーズに踏まえてそれを達成できるということを、私は九本を一本化するということで、ある意味では大変必要な法案であったと。
 また、今まで少なくとも十一回も、十一次まで出してきた、少なくとも五十年にわたるというこの今までの慣例を、金額だけの採算性というのではなくて、やっぱりどういう今は皆さんの御要望があるかと、そのニーズにこたえ得るためには、最大限の総合的な力を合わせて、そしてコストダウンを図ると、結果においてはですよ、コストダウンになっていると。
 そういうことで、今、池口議員がおっしゃったように、どういうものをどういう目標でやるかということの私は成果というものが確実に分かってくると。その過程を私は国会議員の先生方にその量というものあるいは事業というものを見ていただく、御指摘いただく。また、それを国民に広く公開するという意味で、私は全く今までと違った、今まではこの事業が幾らと決めてしまえば、その過程は五年間みんな素通りしちゃうという、素通りすると言うと悪いですけれども、そういう傾向にあったと。その方がむしろ国会で御議論する場がなかったと、そういうふうに思いますので、私は、五年間関知しないのではなくて、その事業に対して毎回国会で御論議いただけるということでは、私は今までと違ってうんと国民の皆さん、また国会の御議論の場に上がることが回数が多くなると、そう思っておりますので、今後も私は分野別だとかあるいは地域別とか、依然として整備の水準が立ち後れている部分を集中的にやる御意見が私は地方から上がってくるだろうと思っていますので、今申しましたように、少なくとも事業量を確保するだけではなくて、何を達成してほしいか、早期にということも私は是非加味でき、皆さん方のお目に留まって、御論議をする場というものが今までよりも増えるというふうに考えております。そのための達成目標を立てたということです。
#67
○池口修次君 確かに、公共事業全体をどうするかというのはそれぞれの、その時々の経済情勢もありますから、明示は難しいかというふうに思いますけれども、事前にいろいろ説明されていますやっぱり公共事業の効率を上げるために、やっぱり一五%ぐらいはこの五年間の中で効率をアップしましょうということは、私はある意味、目標としては正しい目標じゃないかと。
 一五%効率を上げて、もうそうしますと従来よりは同じ仕事であればお金が余りますから、そのお金をどうするかというのは、それはいろいろな議論が私はあってもいいというふうに思うんです。場合によってはそのお金で来年計画したものを今年やるというのもあってもいいですし、例えばそのときの財政状況が非常に厳しければ、これは国債発行を減らすとかいうことを、つなげるとか、それはいろいろな要素があってもいいと思うんですけれども、やっぱり今の国民の期待をしておる、余りにも非効率な工事がされているんじゃないかということなり、このまま借金を、膨れていったら、それは私が年取ったときにはどうなるのかという心配に対しても、安心はそうは簡単にはできないと思いますけれども、ちゃんと考えていますよというような方向性を出すということは私はある意味必要だということですから、どう書き込めるかというのはいろいろ議論をしていただきたいんですけれども、分かりやすい効率アップの施策なりはやっぱり明示をしていただきたいというふうに思います。
#68
○政府参考人(三沢真君) 御指摘のとおり、やはりコスト縮減というものに関しましては分かりやすい目標を明示していくということは非常に大事だと思っております。そういう意味で、いわゆる狭い意味でのコスト縮減に加えまして、例えば事業をスピードアップすることとか、あるいはランニングコストも含めてトータルのライフサイクルコストといいますか、そういうものを少なくするとか、そういうことを含めてきちっとどのくらいを目標にするんだという数字的なものは明示していきたいというふうに考えております。
 一五%というのも、私ども、昨年、このくらいを目標にしたいということで公表しているものでございます。そういうもの、そのまま一五%という形にするかどうかということも含めまして、私どもはやっぱり一五%というような形で書き込みたいなと思っておりますが、今後、閣議決定ということに盛り込むということになりますと、ここはまた十分政府部内でも議論をしながら検討していきたいというふうに考えております。
#69
○池口修次君 では、テーマを変えまして、道路特定財源の問題を話をしたいわけですけれども、かなりこの点は議論はされていますし、多分これから出てきます法案の中でも審議の時間がありますので、一点だけ質問をしまして、多分早めに質問時間終わると思いますが、終わりたいというふうに思います。
 聞きたいのは、大臣は常々使途拡大をするに当たっても、やっぱりユーザーから預かっているお金なのでユーザーの理解を得なきゃいけないと。今回のDPFだとかETC、これは理解を得られるというふうに言っておりますが、今回、じゃ、ユーザーの理解を得られるか得られないかということについて、どういう手順を踏んで、国土交通省としてはこれであれば理解を得られるというふうに判断したのかということをお聞きしたいと思います。
#70
○副大臣(吉村剛太郎君) 特定財源の使途拡大についてのユーザーに対してどのような理解を求める説明をしてきたかということでございますが、時系列的に申し上げますと、御存じのように、平成十四年の十一月八日の経済財政諮問会議におきまして、国土交通大臣よりDPFや地下鉄インフラ整備への使途拡大についての説明、公表がございました。
 さらに、昨年末の予算編成時において、同じく経済財政諮問会議など様々な論議を踏まえ道路特定財源の使途拡大の具体的内容について取りまとめたところでございまして、財務省や国土交通省の記者発表資料において、図表などを利用してその内容を公表しているところでございます。
 さらに、地方公共団体を始め、自動車、トラック等の関係団体から構成されております全国道路利用者会議に対しまして、本年一月に使途拡大の内容も含めて平成十五年度予算についての説明をした次第でございます。特に、DPFに関しましては全国のトラック協会や日本バス協会に説明を行うなど、自動車利用者に対し国土交通省全体として道路特定財源の使途拡大の内容についての説明を行ってきたところでございました。
 以上を受けまして、平成十五年度予算においては、その説明資料の中でこの同様の使途拡大の内容について記載し、公表するとともに、道路整備緊急措置法の中で、道路整備に関しましては、密接に関連する環境対策事業その他の政令で定める事業も含めまして、正に五十年ぶりに改正をいたしまして、現在御審議をいただいておると、このような経緯を踏んでおるところでございますが、今後とも、この財源の使途については、利用者の理解を得るべく、その内容の公表に努力しながら、国民的なコンセンサスを得ていかなければならないだろうと、このように思っております。
#71
○池口修次君 使途拡大については、私は必ずしもすべてのユーザーがそれで理解をしたということではないというふうに思いますし、私自身も理解できる部分と理解できない部分があるのは事実です。
 ただ、この議論はまた後でもできますので、今日は自民党さんも質問を放棄したぐらい頑張っていますので、私も十分間ぐらい放棄させていただきまして、終わらせていただきます。
#72
○谷林正昭君 谷林でございます。三十分間の持ち時間がございますので、その間でやらせていただきたいと思います。
 まず、お尋ねいたします。
 私の本会議質問の答弁で、総理は、二十世紀型の社会資本整備、お答えいただきました。よく考えてみますと、これまでいわゆる第一次全総から始まりまして第四次全総までずっと、正に二十世紀における日本の国土の均衡ある発展、こういうものを大基本にしながらやってきた。そして、平成十年の三月に閣議決定をされました第五全総に当たる二十一世紀の国土のグランドデザイン、こういうものが閣議決定をされて、その目標年次を平成二十二年から二十七年ぐらいまでに置いてこの達成をしていこうと、こういうものが大まかな、大きな柱として作られたところでございますが。
 まず、お聞きしたいのは、その後、小泉総理が誕生をいたしました。そして、改革、いわゆる構造改革ということの中から、一つは十三年の六月に骨太の方針、そして十四年の一月には構造改革と経済財政の中期展望、十四年の六月には今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針2、あるいは十四年の十月三十日では地方分権改革推進会議からこの公共事業の在り方、地方と中央の在り方、あるいは十四年の十一月十五日には十五年度予算編成の骨子、こういうものが出てまいりました。
 ということは、私の言いたいのは、この二十一世紀の国土のグランドデザインという第五全総、これと、今長期計画を一本化して出されているこの法案の趣旨、こういうものが整合性があるのかないのか、そこら辺りを、あるいはどういうかかわりを持っているのか、しっかり聞かせていただきたいと思います。
#73
○国務大臣(扇千景君) 今、谷林議員がおっしゃいました五全総、今日まで日本が二十世紀に営々と国土均衡を図ろうと、みんながひとしく社会資本整備の充実を受けられるように図っていこうという、その意味で今日まで来たことは、今、谷林委員がおっしゃったとおりでございます。けれども、じゃ、すべてそれでいいか。
 また、経済財政諮問会議等々で私言われたことをいつかこの委員会で申し上げたことあります。社会資本整備はもう欧米先進国はGDPの三%、日本は六%なんてする必要ない、日本の社会資本整備も欧米先進国並みにしなさいよということが経済財政諮問会議で言われました。
 私がそのときに、おっしゃる意味はよく分かりますと。けれども、現段階で今の日本の社会資本整備を欧米先進国並みに今の半分にしたら、後れて不平等になる地域が出るのではありませんか。国民の皆さんの中には、私たちの地域はまだ大都会に後れている、私たちの地域は下水道もまだ来ていない、完備もしていない。あらゆる面で社会資本整備、鉄道一つ取ってみても不便であるというような意見のあるところも日本じゅうにはあるわけでございます。
 ですから、私は経済財政諮問会議で、財界、学者等々の皆さんがいらっしゃる経済財政諮問会議の中で、私は、今二十一世紀に入ったから、二十世紀のGDP目標と、二十一世紀は欧米先進国の半分にすると、それは余りにも私は逆に差別をすることではないですかと。そういうことだったら、私はむしろ、今までのような金額的なものは別としまして、もっと今不公平感のある地域に個性を持たせて、その地域が光るようにその予算を配分することが、二十世紀と二十一世紀の違いにしたらどうですかと。欧米先進国並みのいきなりGDPの三%で社会資本整備を切ってしまう、そういう議論には私はくみすることはできないということを申し上げて、いろいろ知恵を絞ってきたところでございますし、この九本の長期計画を一本化するというのも、今申し上げましたように、二十世紀の続きだけではいけない。個性ある地域の発展を図るためには全部変えて、しかも国土交通省、何度も申し上げますけれども、何のために四省庁統合したんだ、何のための行革だったんだと、ただ四省庁を一省庁にまとめただけで何が良くなったんだと言われても、私は示し得ない。
 こういうことが、この政策の一つ一つ、予算の獲得一つ一つで国民の皆さんに、行革をして四省庁統合して、ああ、さすがこういうことできるようになったのかと言われるようにしなければならないということで、今までの全国総合計画というものは、開発計画は大事にしながら、よりそれを個性的に発展さすという方に転換していくということの一つの現れがこういう九本を一本化させていただいた大きな目標であると。
 一つ一つの個々に関してはまた委員会でもお答えいたしましたので、今総合的なお答えにいたしましたけれども、そういう趣旨だけは是非御理解賜りたいと思います。
#74
○谷林正昭君 趣旨は理解したとは言いませんけれども、大臣の考えは分かりました。
 しかし、この骨太方針でも言っていますし、先ほど言いましたようなそういう一連のそういう会議の中で構造改革というものを前面に流れとして作ったときは、中央から地域へ、地方へ、官から民へ、そういうものがしっかりした流れとしてあります。具体的には、縦割り制度ももう少し何とかしようじゃないかとか、こういうものがございます。
 そういう意味では、私は、グランドデザイン、二十一世紀の国土のグランドデザイン、いわゆる第五全総について、少しはこの法案の、改定といいますか、新しい法案に生かされているとは思います。思いますが、私は、もう一遍見直して、この第五全総を一遍廃止をして、大臣の手で新しいものを作るとか、あるいは大胆に見直しをするとか、こういうことが今必要だ、それがこの新しいスタートに、この法律が成立した場合のスタートにふさわしい考え方ではないかと思いますが、いかがですか。
#75
○国務大臣(扇千景君) 私は、今回の重点計画も全総計画と調和を図ったということは、私は今までの流れから、今申しましたように、全部を切り捨てるのではないということで、私は五全総のものとの計画の一体性というものも図りながら、私は新たな一歩を踏み出したと思っています。
 ここに一杯何かあるんですけれども、いわゆる「重点計画と国の計画との関係」で、この第六条、「重点計画は、国土の」、お手元にあると思いますけれども、「総合的な」という、この「総合的な」というのは具体的には全総等の国土計画というものが含まれております。この六条の、総合的な利用と「開発及び保全に関する国の計画並びに環境の保全に関する国の基本的な計画との調和が保たれたものでなければならない。」、これは第六条に明記してございますけれども、私はその中で、調和は図りながらも、今回の法案に関しては、私は第六条に示してある中で一歩前進できないかということで、これもちょっと長くなるので私申し訳ないので今まで余り言わなかったんですけれども、二十一世紀の国土のグランドデザイン、これは少なくとも、これが平成十年ですね、三月、これは閣議決定をされております。
 そういう意味で、私は二十一世紀の国土のグランドデザインというのは閣議決定の下に、この全総との関連を勘案しながらより一歩前進するということで、私はこの二十一世紀のグランドデザインの計画上の課題、そういうものをちょっと申し上げたいんですけれども、これ課題と戦略がございます。ですから、ここでどう変わるかということを申し上げたいと思いますけれども。
 この五全総と今までのやり方と違うところ、それは計画上の課題というものがございまして、二十一世紀のグランドデザインですけれども、これは自立の促進と誇りを持てる地域の創造、これが今までの私が言っている個性ある地域の発展でございますし、また、国土の安全と暮らしの安心の確保、恵み豊かな自然の享受と継承、活力ある経済社会の構築、今までの五全総と余り変わらない言葉もありますけれどもね。けれども、その中で戦略として、多自然の居住地域の創造、大都市のリノベーションあるいは地域連携軸の展開、広域国際交流の形成ということで、私はそういう意味では、今までこの二十一世紀のグランドデザインというのもせいぜい十年か二十年、これが今までの二十世紀の在り方でございました。でも、今度、間もなくでございますけれども、二十一世紀の百年のグランドデザインを一例として出させていただきます。閣議で決定させていただきますけれども、これも皆さんに供しますけれども、百年のグランドデザインを四月の初めの閣議で決定して、国土交通省の白書の中にこれを挿入させていただきます。これも初めてのことですけれども。
 そういうふうに、今までの五全総と違うという点は、これを百年の計に持っていってお示しして、そしてより効率的にしていくということで、短期ではなくて長期の二十一世紀型に改革していくということで、それは皆さん方が、それは二十一世紀の終わりにおまえは生きていないんだし、国土交通省もあと百年、九十八年ですか、ないだろうから分からないよとおっしゃられればそれまでですけれども、私はそういうことさえ今までは示し得なかったと。役所は怖がるんです、百年というと。けれども、私は、今の二十一世紀の若者は、自分たちの子供や孫の代まで日本の国がどうなっていくんだと、あるいは海底で生活するのか、あるいは空中で生活するのかと、極端な例を言いますと。それくらい二十一世紀は変わってくるということを私たちは大胆に示して御意見に供しようと。
 それを示すというのは一メニューを出すだけでございますから、皆さんからその材料の仕方、料理の仕方はいろいろ、いや、もっと違うメニューをと言っていただければ御議論が進むと思っていますので、そういう意味では重点計画法と五全総の関係というものも大事にしながら変えていくということが私は今一番大事なことだと思っています。
#76
○谷林正昭君 私の言いたかったことは、平成十年に作ったもの、その後、国の声、そして時のリーダーの声、これが構造改革ということで、そういうもので、そしてそれに携わる人たちの声もこれから大胆に見直す、改革、こういう声がたくさん出てきている、そしてまたそういうふうにほとんどの方は動いていかなきゃならない、そういうふうになってきている。一部抵抗勢力があるようでありますけれども、しかし世の中の流れはそういうところに行っている。したがって、大胆にこの五全総というものは見直すべきである、あるいは一遍廃止をして作った方がより、今ほど大臣がおっしゃいましたように、百年のグランドデザインになるかも分かりません。そして、それが国民の本当に大きな目標になり、子供たちもきらきら輝く目でそういうものを見詰められるような、そういう社会になると私も思います。
 したがいまして、今こそそういう大きな計画はこれまでの惰性ではない、私に言わせればこの五全総は惰性に近い、こういうふうに思いますのでそういうようなことを提言をさせていただいているわけでございまして、これを議論しますとどんどんどんどん深みにはまっていくような気がいたしますのでここでやめさせていただきたいと思いますが。
 そこで、若干新しい言葉でありますので、こういう議論をするときにはその言葉の定義というものが大事だというふうに思います。突然、本会議の大臣の答弁でアウトカムという言葉が出てまいりました。事務方からの説明のときにはアウトカムという言葉が出ておりましたけれども、大臣の言葉から出てきたということはこれは正式な言葉だというふうに思いますので、アウトカムという定義をしっかりしておかなけりゃならないというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
#77
○政府参考人(三沢真君) アウトカムというちょっと英語を使わせていただいて、大変恐縮でございます。
 従来、いろいろな政策目標の達成度合いを測るための指標として何を用いるかということで、いろんなやり方があるわけでございますが、従来の長期計画は、例えば投入する事業費で示す、この事業費はいわゆるインプットと、こう英語で呼ばれているようでございますが、それからあるいは事業量で示す、整備延長とかあるいは整備箇所数という事業量で示す、これを何か英語ではアウトプットと、こう呼ぶようでございますので、そういうインプットとアウトプットと違うんだという意味でちょっと違うまた英語でアウトカムという言葉を使わせていただいて大変恐縮でございますが、むしろそういう社会資本整備で国民経済、国民生活にもたらされる効果で示すと、事業費とか事業量でなくて効果で示そうと。具体的には、例えば床上浸水被害地域でどのくらい床上浸水が解消するんだとか、あるいはバリアフリー化率がどのくらい上がるんだろうとか、そういうもので示すというようなものをアウトカム指標、日本語に直しますと成果指標、成果目標ということだと思いますが、そういうような呼び方をさせていただいているものでございます。
#78
○谷林正昭君 そうしたら、これから当分こういう言葉を使っていくということになりますか。
#79
○政府参考人(三沢真君) これは、ちょっとアウトカムと言っても、多分これからパブリックインボルブメントをやったときにやっぱり国民の方々に直ちに分かりやすい言葉とも思えないので、ちょっとそのまま使うというよりも、やっぱり注釈を付けながら使うのか別の言葉に置き換えるのか、やっぱりちょっと工夫をしながらこの言葉を使っていかなければいけないというふうに考えております。
#80
○谷林正昭君 私が言おうとしたときにもう局長おっしゃいましたから。恐らく難しいと思うんですよ、こういう言葉、何かあいまいになっていってしまうんですね。やはり目標を出すときは、あるいはその目標に向かって進むという意思がしっかりなかったら駄目ですから、アウトカムというのは何かよく分かりませんけれども、私は直した方がいいと思います、大臣。もっとしっかりした、政策目標なら政策目標、あるいは達成目標なら達成目標とか、いろんなそういう言葉の方が分かりやすいというふうに指摘をさせていただきます。
#81
○国務大臣(扇千景君) そのためにこういう御議論が大事なんで、私は、国民に分かっていただくために言っていることが逆に分からないんだったら、それは分かるように改めるというのが国土交通省として当然のことですし、またこれインターネットに載せるわけですから、インターネットでこれはどういう意味だって質問が返ってくるようでは何の意味もありませんので、再考したいと思います。
#82
○谷林正昭君 是非そういうふうに私はした方がいいというふうな提言をさせていただきます。
 そこで、四番目の質問に入ります。これも本会議で実は質問をいたしまして、大臣の方から御答弁をいただきました。それは事後評価の関係でございます。事後評価をどういうふうにやるのか、具体的に教えていただきたい。
 本会議ではなかなか時間の都合もございますから詳しい内容は御答弁できないと思いますし、総括的な答弁がありました。その総括的な答弁の中に、行政評価のスキームに従いまして、重点計画、それに従っての達成度、アウトカム指標によりまして定量的にこれを把握し、なおかつ評価することによって実施することとしておりますと、こういう御答弁がありました。
 そこで、私、ちょっと今どういう評価の仕方しているかなという調査を調べさせていただきましたら、二十七のいわゆるアウトカム、目標ですね、そしてその中の百十三のチェックポイントといいますか業績測定、これはチェックアップという言葉を使っておりますが、そういうものがございます。それで大体二〇%を達成だとか、目標は四〇%だけれども今のところ一五%達成だとか、こういうものが実は出てきております。
 しかし、私が言いたいのは、この重点計画法、九本を一本にして、そこで施策を実施をしていく。そういったときに、国土交通省全体のこの二十七と百十三の中へぶち込んでしまうと、肝心かなめのこの九本の施策、そういう、あるいはその中の重点計画、こういうものが薄まっていってしまって、どういう事後評価が事後評価として出てくるのか、これ非常に分かりにくいんではないか、もっと工夫が要るんではないか、この重点計画、九本の中の重点計画なら重点計画だけのものを作るべきでないか、こういうふうに思いますので、御答弁をお願いいたします。
#83
○国務大臣(扇千景君) これは、局長が細かいことを答弁しますけれども、今大事なところなので谷林議員に御理解いただきたいと思いますけれども、昨日その件を幹部集めて私言ったところなんです。
 九本のこの一本にしたということは、今までどおり五年で継続していたらどれだけの費用でどういうふうにしていったか、これを九本を一本にしたことによって、昨日、負け組、勝ち組はいけないと言われました。負けた方を褒めろという話が出ましたけれども、私はそれを、投資と結果というものをこの九本に対して一目瞭然になるように、今までどおりだったらこうだったと、一本にしたためにこうなったというのを私は工夫をして全部公表できるようにということを昨日指令しましたのが今正に谷林議員がおっしゃったことで、私は、九本にしてどういう成果が上がったかということが私は皆さんにお見せできることが、それは私はなぜ言いましたかというと、参議院が決算委員会を重視しました。ですから、私は、来年の決算委員会に、このことも含めて、こんなになりました、こうでしたと言えるように、参議院のためだけにも私はこれを必ずやるべきだと申し上げました。
#84
○政府参考人(三沢真君) ただいま大臣から申し上げましたとおり、重点計画というものの政策評価としてどういう効果が現れたかということをやっぱりきちっと明示する必要があるということでございますので、先生御指摘のとおり、全体の中に埋没して分からないということではなくて、きちっと工夫して分かりやすくするという努力をしていきたいというふうに考えております。
#85
○谷林正昭君 質問する前に大臣がそれにお気付きになって指示を出されたということでありますから何か賛成したくなってきましたけれども、まだまだ、まだまだそういうわけにいきません。
 そこで、正に中央から地方、官から民、こういう言葉がございまして、そういうふうに動かさなきゃならないということでございますが、昨年の十一月二十日、十五の道県知事の方から提言があったというふうに思っております。この提言に基づいていろいろ議論がされたというふうに、私は真摯に議論されたというふうに思っております。
 そこで、この十五の道県知事から出された提言がこの法案にどういうふうに生かされているのか。私は余り生かされていないんじゃないかと、こういうふうに思います。そこの辺りをしっかりお答えをいただきたいと思います。
#86
○政府参考人(三沢真君) 十五の道県知事さん方から地方の実情に合った公共事業を進める道県からの共同提言というのをいただきまして、これにつきまして昨年の十一月に扇大臣自ら知事さん方に会って、この提言を受けて、またいろいろお話をされたということでございます。その結果、この趣旨については関係部署に周知して、対応が可能なものについては取組を進めるということにいたしております。
 この法案との関係で申し上げますと、この共同提言の基本的な一番の部分は、要するに縦割り行政の弊害をなくして、できるだけやはり連携しながら国の方ではきちっと政策を進めてほしいと。それからもう一つ、地域の実情に応じて、全国一律の画一的な整備じゃなくて、いわゆる地域の個性も生かせるような取組を進めてほしい。具体的には、例えばいわゆるローカルルール方式というもので、例えば道路についても一・五車線的な整備というようなことを御提言いただいています。
 そういう意味では、正にこの重点計画法の中で、そういう趣旨をこの計画の中にもきちっと明らかにすると。それから、この法律の中にもそういう地域の自主性、自立性を尊重するということを明言しておりますし、それから、正にこれを、九本を一つにするということ自体、知事さんの提言にあります縦割り行政の弊害の解消という趣旨にのっとったものであるというふうに考えております。
 いずれにしましても、さらに、この提言を受けまして、また具体の実施の段階でも、事業実施の段階でもできるだけいろんな事業間の連携等を図るように努力していきたいというふうに考えております。
#87
○谷林正昭君 今ほど局長の方から答弁ございましたが、現実的には、例えば道路を見ましても、一般道は国交省、農道は農水省、林道は農水省の中でも林野庁、漁港関連は水産庁、臨港道路は国交省の港湾局、こういうような道路一本でも、道路という言葉だけでもこれだけ違いますし、やはり地方の声はこういうものを、これからの事業を地方でやるということになってくれば、こういうものを是非窓口を一本にしてもらいたい、こういう要望が非常に強うございます。是非そこら辺りを少し検討いただきたいと思いますし、公園もしかりであります。都市公園、農村公園、緑地公園。あるいは海岸もそうでありますし、特に下水道というのは非常に地方、地域にとっては非常に大事な、これからもやっていかなきゃならない大きな仕事でございます。
 そういう意味では、そういう窓口をしっかり、代表窓口を作って、そこへ相談に行けばすべて手っ取り早く決断ができると、こういうようなことをしていただきたいと思いますし、もう一つは予算の使い方ですね。
 先輩の北澤議員からも先般もお話がありましたが、例えば統合補助金というのがございます。こういうものが非常に使い勝手が悪い。やはりこの法律を通す以上は、この法律を成立させる以上は、できた以上はやはりこういう使い勝手のいいものにしていかなかったら、地方にどれだけ任せたよ、あるいは地方にどれだけ大丈夫だよと言っても、肝心かなめのお金をぎゅっと中央が握っていたら私はこれは駄目だというふうに思いますし、地方が使い勝手のいい、そういうシステムをやろうと思えばできるんですよ。できるんですよ。ところが、それをやらないのは皆さん方なんですよ。
 そういう意味で、是非ひとつ県知事さんの、全部の県知事じゃございませんが、恐らく全部の都道府県知事はそういうふうな思いでいるというふうに思っておりますので、御協力を、あるいは今後の対応をお願いしたいというふうに思っております。
 そこで、最後の質問になります。
 私は、この法案を検討され、そして提案をされ、そして今審議をしておりますが、私は、大臣は正々堂々と議論をなさっている、そして悪いものは悪い、いいものはいい、直していこう、こういう発言を、さすが政治家であります、ぱっぱぱっぱとやられます。
 ところが、この議論を聞いておりまして、やはりもっと官僚の皆さんは、こういう時代の流れをしっかりとらまえて、こういう法案を出すときは、もっと過去の例だとかあるいはこれまでの慣習にとらわれず正々堂々と、こういう法案を出した以上は正々堂々とやっぱり私はもっと議論をしてほしい。これからも、今日法案が通るか通らないか分かりませんが、審議終わってそれで終わりということではなくて、いろんな意味で、県知事さんや市長さんやあるいは民間の方々、いろいろな方々と正々堂々と、この法案というのはこういういいところがあるんだということをしっかり正々堂々と議論をしてもらいたい、そういうことを申し上げさせていただきたいと思います。
 そこで、私が最後に申し上げたいのは、これからは個性ある地域の発展、特徴ある地域を作っていこう、まちづくり、こういうことが大臣も非常に大きな気持ちでおっしゃっておいでになります。そういう意味では、地方の実情に合った公共事業、社会資本整備、この推進こそが国民に私は理解される公共事業だというふうに思っております。地域の人たち、住んでいる人たちの理解がない、できない公共事業は、私はそれはもう間違っている、こういうふうな理解をしてもいい時代に入ったというふうに思います。
 そこで、地方の実情に合った公共事業の推進こそ国民に理解される社会資本整備の基本である、こういうふうに申し上げたいと思いますし、最後にこれを大臣にお伺いして、私の質問を終わります。
#88
○政府参考人(三沢真君) 大臣の取組に対してで、私どもの事務局の取組、もうちょっと正々堂々とせよという御指摘はもうそのとおりでございます。これからそういう気持ちでまたいろいろ国民の皆様方の御意見を聞き、あるいは都道府県ともいろんな意見交換をしていきたいというふうに考えております。
 それで、最後の地域の実情に合った公共事業の推進ということにつきましては、正に今回の法案の大きい趣旨の一つがそこにあるわけでございます。大臣の方からも個性ある地域の発展ということを述べさせていただいていますけれども、そのために具体的には、例えば先ほど申し上げましたローカルルール方式をもっと柔軟に導入していくとか、具体の事業の進め方については、例えば先ほど統合補助金についても使い勝手が悪いというお話がございましたので、ここがまた、いろいろ地域の御意見を聴いて当然直すべきところはまた直していきたいというふうに考えていますし、そういう意味で、できるだけ、何といいますか、従来ややもすると全国一律であったという点について、むしろ地域の自主性あるいは裁量性といいますか、そういうものが発揮できるようなやり方、それを目指しまして、そういうことをまた具体的に重点計画の中に盛り込んでいきたいというふうに考えております。
#89
○谷林正昭君 大臣、何か御見解、御所見ございませんか。
#90
○国務大臣(扇千景君) 今、谷林議員からいろいろと重点計画等々につきましても、またこの九本を一本にした本来の趣旨と、あるいは今後この法案によってどう国民に目に見える達成度があるかという、私は今後の扱い方によっては大変重要なことだと思っておりますので、そういう意味では私は、ただ法案を通していただいたということではなくて、通していただいた後、どうこれを地方に、ローカルルール等々で地方の個性に反映させていけるか、その私は対処方が今後宿題になると思っておりますので、先ほども私は池口議員から今後どうなるかというふうに言われましたけれども、私は、国会の中で目に見えるその過程その過程での御議論を私は是非していただきたいと、そのように思っていますので、本来であれば、谷林議員も池口議員も、皆さん賛成していただいたら大変有り難いと思いますけれども、そういう意味では法案が通った後のフォロー、そして北澤議員からこの間も言われましたこの統合補助金の問題等々の扱い方も、今後法案が通った後も私は国会の中で御議論していただける大きな課題だと思って、是非この九本を一本にしたこの長期計画の私はありようというものを是非二十一世紀型にしていくように今後努力していきたいと思いますし、また皆さんの御意見を供して私たちは今後その実行方をしていきたいと思っております。
#91
○谷林正昭君 ありがとうございました。終わります。
#92
○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。
 今審議されています社会資本整備重点計画法案によって本当に国民が切実に求めている社会資本の整備に切り替えられるかどうか、私はこの点に、時間がありませんので、三点ほどに絞って聞きたいと思います。
 一つは、社会資本整備と交通安全対策、二点目には、成果目標と道路公害、排気ガス汚染対策、三点目に、港湾の整備問題についてお聞きしたいと思います。
 初めに、総論で聞きたいと思うんですが、今までの論議の中でも道路予算、そして空港予算、港湾予算、また下水道の予算などなど、毎年の私は予算が決まるたびにこれらの配分比率がほとんど変わらないと繰り返し指摘され、批判されてきたこと、御存じだと思います。その背景には、やはり公共事業の実施が縦割りで進められていること、それを保証しているのが五か年計画の総事業費を書き込んだ長期計画の存在が硬直的な予算の温床になっているということなんですね。
 ですから、今審議されている法案が、この法案が公共事業の縦割り、硬直という批判にどうこたえるのでしょうか。まずお聞きしたいと思います。
#93
○国務大臣(扇千景君) この法案に対して今までるる御論議をいただきました。そういう意味で、私どもは、基本的なこととおっしゃいましたので、国土交通省でこの法案を一本化しますときに、省議を開いて各局長全部に申し上げました。これは、北澤議員に指摘されましたけれども、勝ち組と負け組というのではなくて、負け組こそが勇気のある態度だということを褒めろと御指摘されましたけれども、私は、各局長全部省議に出ておりますので、この長期計画を一本化するについては、それぞれの局の局長がしょっているその局の利益というもの、また今までしてきた実績というものを、みんなやっぱり一番いいと思って今日まで来たわけですから、それを、そのしょっているものを切り替えることに大変私はみんな苦労してくれたと思っております。
 ですから、冒頭に総論をとおっしゃいましたので、私は、まさか九本が一本にまでできるというのは最初は私クエスチョンマークでした。せめて五本ぐらいにできないかなと、そう思っておりましたけれども、これが国土交通省の一本になった、四省庁が統合した私はシンボルにしようということを申しましたので、今申しました勝ち組、負け組ではなくて、みんな立場を離れて協力してくれてこの一本にできたということで、国土交通省の二十一世紀に対する意気込みというものを是非酌み取っていただきたい。まさかと思ったこともやればできるといういい例ができましたので、今おっしゃいました公共工事の無駄というものも、私はこういう姿勢で国民の目に、正しいところに必要な予算が集中的に投資されて効率を上げていくということに、全般の政策の中に生かしていきたいと思うのが今の総論でございます。
#94
○大沢辰美君 言葉ではそういう表現が返ってきているんですけれども、さて中身がどうなるかというのが私は心配しているところなんです。
 内閣府が実施した世論調査があるんですけれども、これを見ますと、今後の国土づくりについて力を入れるべき点はということで、一位が災害に対する安全性の確保ですね、次は自然環境の保護が二位ですね、そして三位で食料や資源の安定供給の確保、四位が身近な生活環境の整備となっていますね。ですから、これまでの予算が重点的に投入されてきた新しい産業を発展させるための基盤の整備とか交通施設、いわゆる高規格道路になるわけですけれども、通信施設の総合的な整備は、優先度から、また緊急度から見てもはるかに低い位置にあります。
 ですから、私は、本当に公共事業の改革、今、大臣が言われたそのことをやろうとするならば、私は、こういう世論調査でもはっきり出ている、こういう国民の期待に、要求にどうこたえていくかというのが問われると思うんですね。
 そこでお聞きしますが、この法案によって、国土交通省の今言われた各部局、各事業ごとの配分、比率は五か年でどれだけ変えようということになるのでしょうか。その成果目標を持っているのかどうか、お示しいただけたらと思います。
#95
○政府参考人(三沢真君) この重点計画自体は計画内容として事業費を掲げるということにはなっていませんので、したがいまして事業費ベースでどういう変化があるかというようなことはこの計画内容にはなっていないわけでございます。
 ただ、当然この五年間で政策課題といいますか、正に目標としてどういう課題に重点を置いていくかと、そこは正にこの重点計画の内容でございますので、そこは今後計画を策定しながら明らかにしていきたいというふうに考えていますが、具体のそれぞれの事業費の配分の問題は、それぞれ毎年の予算の中で重点計画を踏まえてめり張りを付けていくというような姿になるということでございます。
#96
○大沢辰美君 先ほど他の議員の質問に対して局長はこういうことも言っていましたね。床上浸水などの災害を、都市水害を削減するためにはダムや河川や下水が要ると。何か結局、そういう項目は挙げるんだけれども、結局公共事業に予算がそういう形で積み重ねられるという、ああ、そういうことなんだなと私思ったんですけれども。
 午前中の参考人の先生方のお話の中の一つに、公共事業の総額の縮小化を担保するものになっていないということも指摘していましたですね。そして、事業の、これから本当に事業を精査すると同時に、肥大化した公共事業を削減していく長期というより中長期的な作成が必要ではないかと、そういう発言をされていました。そのとおりだと思うんです。ですから、公共事業の削減計画と両立させる形での施行を進めていくことが望ましいという指摘をされて、私は本当にそのとおりだと思います。
 その点については指摘だけさせていただいて、具体的な問題についてお聞きしたいと思います。その具体的な一つは、交通安全施設等の整備事業の推進に関する法律について質問します。
 まず、道路交通事故問題です。これは歩行者の安全対策について聞きたいと思うんですが、毎年交通安全白書に出されている中で、歩行中の死亡事故ですね、死者が非常に増えていると。これも諸外国と比べてももう抜群に大きいわけですね。
 私はちょっと数字を示したいと思うんですが、交通事故による死亡者数の中で歩行者と自転車に乗っている方の事故も非常に多いと。この二つを含めた死亡者を全体の比率から割合を見てみたんですけれども、アメリカが百人中十三・六が歩行者そして自転車に乗っている人たちの死亡事故だと。フランスは十四・八、カナダは十六・三、オーストラリアが十九、イタリアが十九・一、ドイツが二十一・一、スウェーデンが二十二・六という状況なんですね。そしてオランダも二十八・一と、だんだんと小さい順から書いたんですけれども。非常にイギリスも多いんですけれども、日本が極端に高いわけなんです。百人中四十二人ですね、これが被害を受けているという実態ですから。
 ですから、私は、本当に道路政策の中でこの道路交通の安全対策は非常に重要だという点でお聞きしたいと思うんですが、まず全国の道路の整備状況で、道路の実質の延長と、これに対して歩道がしっかりと設置されている延長距離ですか、それはどういうふうになっているか、また予算はどういうふうな形で配分されているか、お聞きしたいと思います。
#97
○政府参考人(佐藤信秋君) 先生御指摘のように、我が国の交通事故の死者の中で歩行者、自転車の割合が大変多い、こういう大変な課題があるということは事実でございます。
 整備状況と、こういうお話でございますが、全体の道路の総延長と、こうなりますと百十六万キロでございます。その中で歩道が既に設置されている道路、これが十四万五千キロございます。この中でどの程度の道路に歩道が必要かと、こういう御議論もあろうかと思います。都市の中の幹線道路、約対象として三万キロ程度考えられますが、このうち歩道が設置済みという意味でいきますと、二万一千キロということで約七割、こういう形になっておるわけでございます。
 予算措置としてどうだと、こういう御議論でございますが、歩道の整備は、現道が非常に市街地連檐と、こういうような場合にはバイパスなりあるいは車道を含めて都市計画で拡幅すると、こういうようなことも必要な場合が多いわけであります。そういうことも含めましてバイパスや拡幅等の改築事業、これでやっておりますものと、それから既設の道路に歩道だけを拡幅する、これは交通安全事業としてやらせていただいているわけでございますが、この両方の合計で申し上げますと、平成十二年度が一兆三千七百五十三億円、十三年度が一兆三千六百六十九億円、十四年度が一兆三千八百四十八億円ということで事業を行っているところでございます。
#98
○大沢辰美君 恐らく、今の予算の数字というのは、新設の車線を造ったときに、また拡幅したときに造られた歩道も含まれていると思うんですが、今、それは当然のことだと思うんです、造って当然のことだと。だけれども、今欲しいのは、やっぱり既設の道路が非常に不十分だと、歩道ができていないという点で多くの国民の皆さんの要望が強いというところがそこにあるんじゃないかと思うんですが、その既設の道路の歩道整備がどれだけ進んだのか、ちょっと分かるような形で事業計画と予算措置を教えていただけませんか。
#99
○政府参考人(佐藤信秋君) 既設の道路に歩道を整備する、この場合に、先ほど申し上げましたように、市街地が連檐しています場合は車道の方も拡幅したりして、都市計画できちっと決めて車道の拡幅と併せて行う、こういう事業もございます。ございますが、今、先生の御質問の御趣旨に必ずしもですからぴったりした定義にならないかもしれませんが、交通安全事業といたしまして既設の道路に歩道を拡幅する、これが、これだけの事業を取り出してみますと、平成十三年度、例えば平成十三年度三千九百二十八億、平成十四年度四千二百九十九億、こういうことでできるだけの重点化を図っているというところでございます。
#100
○大沢辰美君 確かに、私、既設道路の歩道整備というのは用地の買収などでなかなかやりにくいということは分かるんですが、私は、国道二十八号線というのが淡路島に走っているわけですけれども、そこを見に行って、もう三十年来歩道がなくてトラックが走って大変なんですと、そして民家にここ十回ぐらいもう車が突っ込んできたということを訴え続けているんだけれども、なかなか歩道が付かないと、整備されないと。やっと今年の補正でその調査費が付いたということで喜んでおりましたけれども。
 やはりこういうもう何回も何回も危険なところを要請してもなかなか造れないというのは、歩道整備の手順というんですか、どういう形を、手続を取っていけばいち早くやっぱり危険な箇所を整備して歩道整備ができるのかという点について、ちょっと分かりやすく教えていただけませんか。
#101
○政府参考人(佐藤信秋君) 三点について申し上げたいと思います。
 一つは、実態上道路の管理をしております日常の点検等において、事故のデータ等を集めながら、事故の多いところあるいは危険性の強いところ、こういうところの改築をやっていこう、こういうような日常の管理業務の一環というところがまずベースの一つとしてあるわけでございます。
 それから、住民の皆様の要望、こういう点について申し上げますと、平成八年度から、高齢者や障害者の方々を含めまして、様々な道路利用者に参加していただきまして道路交通環境の点検を行う交通安全総点検、こういったことも実施しております。平成十三年度までに全国で四千八百か所、合計十万人の皆様の参加をいただきまして、約七万二千件の改善要望をいただいている、こういう状態でございます。
 三つ目に、各機関の連携と申しますか、言ってみれば、警察あるいは道路管理者、あるいはまた実際に道路を利用していただいておられますいろんな利用者の団体の皆様、こうした皆様とそれぞれ地域地域で定期的に連絡会等を開きながら、更にどういう改善をどこの地区でやればいいか、こうしたことを積み重ねてきているというのが実態でございます。
#102
○大沢辰美君 そういう要望箇所をまとめて、整備が必要なところを点検して精査して実行していくんだと思うんですが、その予算、いわゆる社会資本のお金の使い方になるわけですけれども、その予算の制約が私はやっぱり生じてきて、国民の要望との乖離があるんじゃないかなと思うんですが、今後の事業規模で整備していくその目標はどういう状況になっていますでしょうか。
#103
○政府参考人(佐藤信秋君) 確かに、先生御指摘のように、予算上の制約、こういう問題はあるわけでございます。
 具体的なお話で、先ほどの淡路島の国道二十八号、こういう御議論で申し上げますと、非常に要望が強いところがいつまでも時間が掛かっているではないかと、こういう御指摘でございました。例えば、平成十四年度、二十八号におきましては、三か所で合計延長が約〇・四キロぐらいでございますが、三か所、二億四千万の事業費で歩道の整備を進めている、こういうことでございまして、交通安全の、現状では七か年計画と、こうなっておるわけでございますが、の中で計画的に、できるだけ重点的な配分をしながら計画的な整備を進めている、こういう状態でございます。
 今後と、こういうことでございますが、事業費幾ら、こういう形ではございませんが、先ほど申し上げましたように、例えば都市の中の本当に必要であろうと思われる道路のまだ三割が歩道設置が残っておる、こういう状態でございますので、延長で申し上げましたら約一万キロでございます。こうしたものを、歩道の整備、大体キロ当たりおおむね、都市の中でございますので、例えば十億あるいは二十億掛かるという状態が多いわけでございます。したがいまして、事業費の確保、こういう面も大変必要なわけではございますが、要は計画的、重点的にできるだけ皆様の一番お声の強いといいますか、あるいは地元で非常に困っておられる、そうしたお声を先ほどの総点検みたいな形でできるだけいただきながら、重点的な整備を進めていきたい、そんなふうに思っております。
#104
○大沢辰美君 これからの重点計画の中に入っていく部分もあると思うんですけれども、確かに市街地では困難なところあると思いますが、やはり危険、人間の命、事故対策等含めて強く要請をして、次の項に移りたいと思います。
 次に、道路公害対策でございますが、これは排気ガス汚染対策について併せて聞きたいと思うんですが、このことは、兵庫県、御存じのように、尼崎公害訴訟は二年前に国などが環境対策を進めることを約束し和解になりました。しかし、その後も国の対策は、ますます、なかなか進まなくて、非常に排気ガス汚染は激しくなっているのが現状です。この現実に公害患者さんの皆さんは非常に激しい怒りを上げているわけですけれども、名古屋や東京でも、各地域で抜本的な排気ガス対策を求めて頑張っていることも併せて、本当にこの問題は早く解決していただきたいと。
 そこで、この法案では事業分野別の計画は廃止して成果目標を立てて事業を進めるとしているわけですが、それでは道路公害、この排気ガス汚染対策については重点計画を作成するもちろん考えはあるでしょうか。その場合はどのような成果目標を立てて、どのような事業を実施することになるのでしょうか、お伺いします。
#105
○政府参考人(三沢真君) 道路公害対策、それから排気ガス汚染対策と重点計画との関係でございます。
 道路公害対策、排気ガス汚染対策といたしましては、私どもはこれまでも、自動車のNOx・PM法に基づく排出基準適合車への転換の促進あるいは低公害車導入への助成、公共交通機関の利用促進、あるいは環状道路の整備などの渋滞対策、こういういろんな施策を推進してきているところでございます。
 今回の社会資本整備重点計画法案におきましても、第三条で環境の保全ということを重点計画の基本理念の一つとして掲げております。したがいまして、大気汚染などの公害対策のための社会資本整備というのも当然計画の内容として大きな柱の一つになるというふうに考えております。
 それで、具体的に、じゃ、どういうアウトカム指標、アウトカム目標を盛り込んでいくかというのが今後のもちろん検討課題でございますけれども、例えば大気汚染の原因物質であるNOx、SPMの環境目標の達成率の指標を例えばアウトカム指標として設定するというようなことも考えられるんではないかというふうに考えていますが、いずれにいたしましても、これにつきましてはいろいろ国民の皆様方や各都道府県の御意見も踏まえながら、また専門家の御意見も聞きながら具体的に検討をしていきたいというふうに考えております。
#106
○大沢辰美君 私は、やはり道路管理者の責任は大きいと思うんです、当然。そして、これは考えていくという、今もやろうとしているわけですが、なかなか進まないと。やはり緊急性が求められているのがこの和解の結論だと思うんですね。
 そこで、尼崎道路公害対策では、やはり今、道路管理責任者とともに運送業者などの努力ももちろん必要でありますけれども、この排気ガスを、この汚染を抜本的に削減する方法ははっきりしています。そのことを提案したいと思いますけれども、これはだれもが認めている内容で最も効果的な方法なんですが、阪神高速神戸線や国道四十三号線を走る大型車を、並行する、並行して走っている阪神高速の湾岸線に移すことが一番今手っ取り早い緊急の抜本的な対策であると考えています。
 しかし、中小企業が多いトラック業者には通行料金を負担する経営体力が現在ありません。問題は高速湾岸線の通行料金の減免をだれが負担するかということになります。自動車メーカーの製造者責任を取らせる法案を作るというなら別ですけれども、今の政府からはそのような話は出てきていません。湾岸線を保有する阪神高速道路公団に負担させることができないと政府が判断するのであれば、やはり私は今回、道路特定財源を活用してでも直ちにこの公害患者の苦しみを和らげるこの対策を取るべきではありませんか。その点について大臣にお伺いします。
#107
○政府参考人(佐藤信秋君) 事実関係、取りあえず私の方から申し上げます。
 湾岸線の料金の引下げと費用負担、こういうお尋ねでございました。
 阪神高速におきましては、有料道路の料金格差を利用して、住宅地域に集中した交通を、先生御指摘のように、湾岸線の方に転換させようと、こういうことも考えまして、環境ロードプライシングと、こういうことで平成の十三年の十一月より試行しているところでございます。湾岸線の阪神西線を通行するETC利用の大型車と湾岸線の阪神西線と東線を連続して現金で利用する大型車、これにつきまして料金が一千円のところを八百円に割り引いている、こういう試行をしているところでございます。この試行のために生じる減収、これは公団のコスト縮減等の自助努力によりまして今のところ賄っていると、こういう状態でございます。
 しかしながら、この現在の環境ロードプライシングを利用している交通量は平日で一日約四百台にとどまっている、こういう状態でございますので、先生の御指摘のように、もっと何とかならぬのかと、こういうお話だと思います。更なる割引について検討する、こういう必要があると私どもも考えておりまして、具体的には、平成十五年度から取り組むETCを活用した多様な料金の、多様で弾力的な料金の割引政策、これを、この社会実験を活用して、地元の方々とも十分御相談しながら、更なるロードプライシングの実効あるものを考えてまいりたいというふうに思っております。
#108
○国務大臣(扇千景君) 公害問題はどこまで行っても果てしなく続きます。車と道路と居住環境がある限り、私は、この二十一世紀型の現状というものをどう回避していくかと。車を通すのをやめるのか、あるいは今回のようなロードプライシングで、割り引いて皆さん方に利用してくださいと。それがお互いの、居住と交通と業者との私は総合的な判断だろうと思っています。
 今、局長が答えましたように、私は、社会実験としてこのロードプライシングの一千円というのを八百円に値下げもしました。ただ、一日に四百台としか今実績が上がっていません。これは業者の理解も得なければいけない。まして今回はETCでもっと割引をしようというんですから、この社会実験に対して地元も業者も私は相入れて、今後の二十一世紀型のロードプライシングの活用、環境の保持ということに私は力を入れていくべきだと思いますので、今、局長が答えましたように、より地元の御理解をいただけるようにこのロードプライシングの活用法を今後もより検討していきたいと思っています。
#109
○大沢辰美君 公害は果てしなく続くと言ったら、何のためのこれ、公害をなくするのが二十一世紀の課題だと思いますから、そこは私は訂正をしていただきたいと思います。
 こういうふうな対策を講じている、試行をやっている、ETCをやっていると言うけれども、ETCなんてもうわずか数%でしょう。これで解決できるはずがないんですよ。ですから、今本当にこの四十三号線の、住んでいらっしゃる方たちは早くこれを解決するための根本的な提案をしていますけれども、そして和解もしたわけですけれども原状は回復していないというのが現状ですから、私はやはりその担当大臣として道路管理者の責任が問われているということを申し上げたわけですから、これで八百円にしたけれどもこれだけしか動かないと、じゃ、どうすればいいかという突っ込んだ対策を考えないといけないと思いますが、そういう時期に来ていると思いますが、もう一度答弁いただきたいと思います。
#110
○国務大臣(扇千景君) 私が言っておりますのは、車を日本じゅうからストップさすということでない限り、車が走っている以上はCO2の排出量があるんですから、その環境保持のために私たちはETCも使い、渋滞もなくし、そしてロードプライシングもそのために作って、しかもなおかつ割り引いて皆さん方に供しようということですから、現段階では、今八百円、千円を八百円にしたけれども、まだ車が四百台しかロードプライシングを利用されていないという。それは今、トラック業界等々も事業が苦しくて八百円も払えないという環境にあることは私は十分理解しております、皆さんから陳情をいただいていますから。けれども、それを少なくともこうしようということで、現段階でなし得ることは、ロードプライシングを作って、あるいはロードプライシングで湾岸線に回避してくださいと、これお願いしているわけですから。何にもしていないんなら、今おっしゃったように、大沢議員がおっしゃるように、私は言われてもいいけれども、最大限していると。
 また、この公害に対しても、植木を植えて、私も現場見に行きました。そして、皆さんの、公害を少しでも私たちは排除できるようにということも私は現場を見て指導もしましたし、今、このロードプライシングもただでできたわけではありません。これだけの経費を使って皆さんの、公害の少しでも回避ができるようにという努力をしているということ自体は御理解いただけるということで、今私が申し上げたことは、これだけの車の量の日本の現状というものを少しでも回避できるようなあらゆる政策を駆使しているということでございます。
#111
○大沢辰美君 試行はやっているけれども現状は良くなっていないというのが今の現況なんですね。ですから、やはり一歩突っ込んで、私は、和解をした二年前のその精神に基づいて、一層どうすればいいかということを更に協議を重ねて抜本的な対策を考えていただきたいということを重ねてお願いして、次の課題に移りたいと思います。それでよろしいでしょうか。──そうしたら、最後にもう一点お聞きしたいと思うんですが、今、港湾整備の問題について三点目にお聞きしたいと思っていますが、時間がありませんので一点だけお聞きします。
 今、神戸港というのが非常に、震災以後、経済の影響、非常に大変だという事態になっています。今、がけっ縁の神戸港、衰退か再生かというパンフレットも出されているわけですけれども、この私は現況を見まして、神戸の六甲山に上がったり高層ビルから見たら、本当に係留されている船舶が少なくて、巨大なクレーンがほとんど動いていないという、そういう状況が現実的にあるわけです。
 神戸市当局は、神戸港の低迷に原因として四点挙げています。一点は、アジアの港湾が発展して神戸港のトランシップ機能が低下した、二点目は、国内生産拠点の海外移転などいわゆる産業空洞化による輸出貨物などの減少がした、三点目は、国内地方港湾の整備が進んで神戸港へ集まっていた貨物が来なくなった、四点目は、輸入貨物の大消費地、近い港へのシフト、大阪港へ移ったということの四点を挙げているわけですが、こういう全国的な港湾整備の中で大きな中枢港湾である神戸港がこういう現状になっているという状況で、私は、国土交通省の認識はどのようにこの神戸港の現状を見ておられるか、その点をお聞きして、私の質問、終わりたいと思います。
#112
○国務大臣(扇千景君) 私は神戸生まれ神戸育ちです。神戸港というものに誇りを持っていました。また、神戸港は別名、扇の港と書いて扇港といいます。それから私は扇という名前が付いておりますので、正に私は、神戸生まれ、神戸出身を誇りに思っております。
 また、かつて神戸港は世界第四位の港として発展してまいりました。現在は残念ながら世界四位から二十五位に転落しています。今の原因は、大沢議員がおっしゃったのみならず、私は、阪神・淡路大震災というあの大きな被害を受けたときに、国の助成、国民の理解、世界じゅうから援助物資が来たあの時期から考えれば、もう既に世界の四位に神戸港が私は戻っていなければならないと思っています。それがなぜ低迷しているのか、それは今おっしゃったとおりでございます。
 今、現状を言います。時間がないようですから。今、神戸港に荷物が、船が入ります。シンガポールでは一日以内でこの入った荷物が荷揚げされます。シンガポールでは一日、日本では三日、神戸では特にそれだけ掛かっています。また、コストについては、高雄あるいは釜山に比べまして二、三割高いというのが神戸港の港湾の諸料金でございます。そして、コンテナターミナルの重点的、効率的な整備、道路、鉄道とのアクセスの向上、港湾諸手続のワンストップサービス等、あらゆる面で私はアジアに後れてしまったというのが現実です。
 神戸港が、阪神・淡路大震災であれだけ復興したにもかかわらず、神戸空港といってもいまだ形が、国内の貨物だけなんというような哀れな現状。だったら、関空が二十四時間フルオープンしたのであれば、神戸港と、新幹線あるいは空港、高速道路と、全部神戸港に乗り入れるぐらいの計画を阪神・淡路大震災の後立てていれば、私はもう既に、世界の四位までは戻らないまでも、十位ぐらいに戻っていたと思います。
 いまだに神戸港自体も、高速道路も、あるいは新幹線も、山と海がすぐそこにある神戸でも港湾ターミナル、港湾インターチェンジ、神戸港駅なんというのはありません。そういう私は物流の悪さというものが、私は政策的にはグランドデザイン自体ができていなかったんだなという反省から、今大いにそれを改善するようなことを地元も持ってほしいと思っています。
#113
○大沢辰美君 終わりますが、一言だけ。港湾政策の枠を超えたものもあると思いますけれども、やはり私は、国内での地方空港、地方の港湾の整備による影響も大きいと思っております。そのことを指摘して、終わります。
#114
○委員長(藤井俊男君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#115
○谷林正昭君 私は、民主党・新緑風会を代表して、社会資本整備重点計画法案並びに関係法律整備法案に対して反対の立場から討論を行うものであります。
 以下、反対の理由を申し述べます。
 まず、公共事業は、国や地方公共団体が中心となって行う社会資本整備のための事業であって、そこから生み出されるサービスが国民の健康で文化的な生活を充足させるために重要な役割を果たすものでなくてはなりません。政府は、すべての国民がそのような生活を享受できるよう、効率的に社会資本を整備することが求められております。
 ところで、国と地方の借金が総額六百八十八兆円に達する今日の危機的な財政事情の中で、全く効果がないばかりか、自然環境を破壊し、地域の生活を破壊する公共事業が今なお延々と続けられていると言っても過言ではありません。このままでは、自然や地域の生活は破壊され、日本の財政は破綻し、将来の世代に大きなツケを残すことになります。今回の法案は、一本化されている事業のほとんどが国土交通省所管の事業で、相変わらずの縦割りであります。省庁縦割りの計画では効率的な社会資本整備は実現できません。
 次に、公共事業関係の長期計画の問題点は国会のコントロールが及ばないところにありました。民主党は以前より公共事業長期計画の国会承認を主張してきました。国会が政治的判断として大きな方向性を示すこと、これこそが政治家の役割であります。今回の政府案に根本的に欠けているところがこの点であります。国の形を決める社会資本整備の計画に関して国会承認は不可欠であり、これまでの官僚主導と言われている公共事業システムを変えることが急がれております。これは参考人質疑でも明らかになっています。
 さらに、どのような分野の社会資本整備を重点的に行うべきかについては、その時々の政府が判断するべきであります。道路が足りないのであれば、その予算をその時々に応じて確保すればよいのであって、法律で固定すべきものではありません。そういう意味では、道路特定財源の問題は一般財源化も含めて幅広く国民的議論が今必要となっています。
 加えて、地方分権の観点が極めて乏しく、中央集権的な計画策定が続けられております。価値観が多様化した現在においては、社会資本整備の在り方についても地方に大幅に権限をゆだねるべきであります。国が行うべき社会資本整備を限定し、権限と財源を大幅に地方に移譲することがないまま計画を一本化すれば、ますます中央のコントロールは強まります。地方の実情に合った公共事業の推進の声が強まる中で、二法案はそれにこたえるには余りにも不十分と言わざるを得ません。
 以上のように、社会資本整備重点計画法案並びに関係法律整備法案は、縦割り行政の弊害を除去できないばかりか、既存の問題点に対して何らの対策も施さず、官僚支配をむしろ強化することになっていると強く指摘をいたします。
 今回の政府二法案は、民主党が問題提起をした内容の一部は共有しておりますが、基本的な政治の役割と行政の役割、あるいは中央と地方の関係をあいまいにしたままでの改革であり、残念ながら抜本的改革にはほど遠く、到底賛成することはできません。
 以上申し述べ、政府提案二法案に反対の意思を表明し、私の討論とさせていただきます。
#116
○富樫練三君 私は、日本共産党を代表して、社会資本整備重点計画法案及び社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、膨大な浪費と国と地方の借金の増大、汚職、腐敗の温床、更に環境破壊を引き起こしている公共事業に対する国民の厳しい批判に本法案は真っ正面からこたえるものになっていないということであります。
 アメリカの対日圧力とこれに便乗して作られた公共事業基本計画によって公共事業の投資規模を六百三十兆円にまで拡大されましたが、国土交通省関係の公共事業もこれに合わせて次々と増額され、その予算を消化するために、道路、スーパー堤防、スーパー港湾の整備などに巨額の投資を注ぎ込み続けています。また、環境破壊のダム建設などに典型的に表れているように、走り出したら止まらない住民無視が続けられています。大型開発優先から生活密着型の社会資本整備に切り替えよというのが国民の圧倒的な声であります。本法案がこれにこたえていないことは審議の経過からも明らかであります。
 反対理由の第二は、本法案が、東京湾や伊勢湾など日本列島に新たに六つの巨大な橋を建設する道路事業とか、膨大な、莫大な公共事業予算を食いつぶす首都機能移転など、壮大な無駄と浪費の温床になっている国土総合開発計画、いわゆる二十一世紀の国土のグランドデザイン、いわゆる五全総との調和を求めていることであります。これでは無駄な公共事業は絶対になくなりません。
 反対理由の第三は、本法案の基本理念が、大企業、財界が求めている社会資本整備の名による新たな浪費を合理化し、推進する根拠にされるということであります。例えば、基本理念の第一に掲げられている国際競争力の強化や民間活力の看板で進められるのは、その必要性と採算性が大問題になっている関西国際空港の第二期工事や中部国際空港の建設であります。また、国の直轄事業での地方負担が一向に改善されないことも明らかになりましたが、これは地方公共団体の自主性を尊重するとしている本法案の基本理念の実効性のなさを示しています。
 本法案は、看板を掛け替えても公共事業の総量はそのままにして、かつ国と地方の関係も基本的に変わらず、借金体質も温存し、環境破壊に歯止めが掛からない、こういうものであることが明らかになりました。この点を指摘して、反対討論といたします。
#117
○委員長(藤井俊男君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、社会資本整備重点計画法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#118
○委員長(藤井俊男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#119
○委員長(藤井俊男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#120
○委員長(藤井俊男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト