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2003/04/24 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 厚生労働委員会 第10号
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2003/04/24 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 厚生労働委員会 第10号

#1
第156回国会 厚生労働委員会 第10号
平成十五年四月二十四日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十四日
    辞任         補欠選任   
     鴻池 祥肇君     山内 俊夫君
     浅尾慶一郎君     池口 修次君
     大脇 雅子君     田  英夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金田 勝年君
    理 事
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                浅尾慶一郎君
                山本 孝史君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                森田 次夫君
                山内 俊夫君
                朝日 俊弘君
                池口 修次君
                今泉  昭君
                谷  博之君
                堀  利和君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小池  晃君
                森 ゆうこ君
                田  英夫君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  鴨下 一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      大守  隆君
       内閣府政策統括
       官        小平 信因君
       金融庁監督局長  五味 廣文君
       文部科学大臣官
       房審議官     木谷 雅人君
       厚生労働大臣官
       房審議官     青木  豊君
       厚生労働省職業
       安定局長     戸苅 利和君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省政策
       統括官      青木  功君
       経済産業省経済
       産業政策局長   林  良造君
       国土交通省住宅
       局長       松野  仁君
   参考人
       日本商工会議所
       理事・事務局長  中島 芳昭君
       日本労働組合総
       連合会総合労働
       局長       龍井 葉二君
       全日本建設交運
       一般労働組合北
       海道本部委員長  佐藤 陵一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案について三名の参考人の方々から意見を聴取することといたしております。
 参考人の方々を御紹介いたします。
 日本商工会議所理事・事務局長中島芳昭君、日本労働組合総連合会総合労働局長龍井葉二君、全日本建設交運一般労働組合北海道本部委員長佐藤陵一君、以上の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人十五分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の方々からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び参考人の答弁とも、発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず中島参考人から御意見をお述べいただきます。中島参考人。
#3
○参考人(中島芳昭君) 座ったままで失礼します。
 本日は、雇用保険法の改正について意見を述べる機会を与えていただきまして、誠にありがとうございました。
 それでは、早速でございますけれども、私どもとして、今回の改正の案について、次のような点で非常に意義があるというふうに考えております。
 五つ意義があるというふうに考えておりますけれども、まず一つは、制度の安定的な運営の確保という観点でございます。
 先生方に申し上げるまでもありませんけれども、雇用のセーフティーネットとしてこの制度運営の基本は、何はともあれ制度を破綻させることなく安定的に運営していく必要があるということでございまして、保険料の引上げですとか給付の削減が頻繁に変わるようなことがありますと、これは大変困ったことだということでございまして、これは企業経営という観点から申し上げましても、保険料の事業主負担というのはコストでございますので、このコストが頻繁に変わるというようなことになりますと、なかなか経営計画も立てにくいということでございまして、いわんや、コストが毎年のように上がっていくというようなことになりますと、これはコスト増ということになりますので、人件費のカット等も考えなければいけないというようなことで、これは労働者の雇用の安定というような観点からも問題があるということでございます。
 今回の改正につきましては、将来の収支見通しを相当固めに設計されておりまして、少なくとも五年程度の財政の安定的運営を確保できるというふうに承知しております。私も、雇用保険部会のメンバーとして参加いたしましたので、この点は、せめて五年は是非それなりの失業状態になっても運営できるということを考えて設計しているというふうに理解しております。是非、政府案の内容のとおり、収支悪化を招かない形で一日も早く成立させていただければ有り難いというふうに考えていることがまず第一点でございます。
 次に、これは非常に大切な点でございますけれども、再就職の促進という観点からの給付の見直しを今回盛り込んでおります。
 求職活動に対する支援という趣旨から、給付期間、受給期間中であっても一日でも早く再就職ができるようにするような給付内容にする必要があるということでございまして、これも先生方に申し上げるまでもございませんけれども、離職前賃金の一定割合、今回は五〇%から八〇%ということでございますけれども、この給付で求職者の失業中の生活の安定を図りつつ、それともう一つ、再就職時賃金に比べて高額な給付がなされておりますとなかなか早い再就職というのが進みませんので、今回の改正内容は、私ども事業主側としても大いに主張した点でございますけれども、再就職時賃金と比較して給付額をどういうふうに設定するかという観点で、この要請にかなった改正案になっているというふうに思っております。
 ちょっとくどくて恐縮でございますけれども、生活の安定というのは、多少就職前の賃金と比べて賃金が安くても、一日も早くちゃんとしたところに再就職していただいて、そこで一生懸命働いていただければ、また評価されて給与が上がっていくわけでございますので、とにかく一日も早く就職をしていただこうという趣旨の改正だというふうに理解しております。
 それから三番目でございますが、再就職困難な状況に対応した給付の重点化というのも見直しをしているというふうに理解しておりまして、財政的に余裕のあった時期は失業者に対する以外の給付を数多く創設いたしてまいりましたけれども、財政状況が悪化している中で制度の原点に立ち返って、本当に支援が必要な失業者への給付に重点化するという観点から給付内容を見直す必要があるという点でございます。
 今回の改正内容は、これを完全に満たすものではもちろんありませんけれども、高年齢雇用継続給付と教育訓練給付について適切かつ大幅な見直しが行われておりまして、評価できると思います。
 また、特に失業状態になった場合に大変な三十五歳から四十四歳の倒産・解雇の理由による離職者の方については給付日数を手厚くするなど、本当に支援が必要な方にきめ細かな配慮をしているというふうに考えております。
 それから四番目でございますが、パートタイム労働の方が増えてきておりますけれども、様々な就業形態に公平なというか中立的な制度にする必要があるということで、通常労働者とパートタイム労働者の所定給付日数の一本化を盛り込んでおります。また、多様な就業形態による早期就業を促進するための就業促進手当の創設を始め、いろいろな就業形態に合わせた対応という観点からもこれに配慮されているというふうに理解しております。
 五番目でございますが、雇用保険の保険料負担は、他の社会保険に比べまして、千分の幾つという単位でございますから少ないわけではありますけれども、それにいたしましても、平成十三年から上がったばかりでございまして、昨年十月にはまた弾力条項も適用されているということでございまして、一番最初に申し上げましたように、これは経営者側にとってはコストの増ということになるわけでございますけれども、厳しい経営環境が続く中でこれ以上引き上げることについては非常に困ったことだというふうに考えておりましたが、昨年末、十四年度の補正予算におきまして先生方の御配慮で早期再就職支援基金制度が創設され、二千五百億円の一般財源の拠出がなされまして、おかげさまでこれに伴いまして取りあえず十六年度末までの二年間は一・四%のまま据え置いて、据え置けていただけるということになりまして、これは大変有り難いことだというふうに思っております。
 是非、そもそも景気が良くなって失業者の方が少なくなるということが一番いいことでございますけれども、構造的に日本の失業状態はそれなりに高止まりしていくというふうな状況が多分続くのかも一方でしれませんけれども、できれば少なくともこの二年間は弾力条項の発動がされることのないように、直接この雇用保険制度とは関係ございませんけれども、景気対策とか雇用対策にも特段の御配慮をお願いいたしたいと、若干余分なことでございますけれどもお願い申し上げたいと思います。
 それから、ちょっと早口で申し訳ございません。最後にお願い申し上げたい点は、早期成立の必要性ということでございます。
 先ほど申し上げましたように、雇用保険財政は非常に厳しい状況でございまして、改正法の施行が遅れますと、正に給付の方は今までどおりどんどん出ていく一方で対象になる受給者がどんどん増えていくという状況でございますから、聞くところによりますと、一日遅れるたびに十数億円という財政悪化が、雇用保険財政の悪化が進んでいくということでございますので、先生方にはそれぞれいろんな御意見があろうかと思い、そんな簡単にはいかないかもしれませんけれども、是非集中的に御審議いただきまして、施行の方も早急に実施していただければ有り難いというふうに思います。
 もちろん私ども、もちろん商工会議所としては、商工会議所のネットワークを使いまして、改正内容については、全国の商工会議所を通じて即座にこの改正内容についてお知らせをして周知の徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。
 それで、最後に審議への希望でございます。
 くどいように申し上げて恐縮でございますけれども、この今回の給付の見直しは、財政収支の改善にも大きな効果があるということはもちろんでございますけれども、何よりも、先ほど私が二番目に説明させていただきましたように、今度の見直しについては再就職の促進という観点から制度の問題点を改善する効果を有しているというふうに私どもは理解しております。かねてから私ども事業主側としては主張しておった点でございますけれども、これが盛り込まれておりますので是非とも、これをやめるという考え方は早期再就職の促進という点からこれを阻害するようなことになる点もございますので、是非とも原案どおり実現をしていただければ有り難いと思います。
 持ち時間より大分早く終わりましたけれども、委員長、以上で終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#4
○委員長(金田勝年君) ありがとうございました。
 次に、龍井参考人にお願いをいたします。龍井参考人。
#5
○参考人(龍井葉二君) 龍井でございます。おはようございます。
 今日はこういう機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。
 私どもから見てもいいなというふうに言いたいところなんですが、実は非常に期待を裏切られる、期待に逆行する内容になっております。一言で言うと、中高年の離職者を中心とした給付削減ということが中心になっているわけで、私どもからすれば、前回改正といいますか改悪といいますか、一体それから何でまた今回そういうことなのと、素朴な疑問というより不信感に満ちているというのが実情でございます。もう専らそれは、もう財政のつじつま合わせではないのかというのが率直な感想でございます。
 このわずか数年で何が起きたのかということについて、これは分科会でも随分議論はされているようですけれども、やっぱり私どもはかなりドラスチックな変化が起きているんだろうと。それはもう簡単に申し上げれば正社員の減少、これは入口の抑制、そして中高年の人員整理、結果として正社員が減り失業者が増える、そして加えていわゆる非典型・非正社員の増大ということがかねてから指摘されています。
 九七年からの簡単な数字で御紹介すると、九七年から五年間で正社員が三百八十七万人減少、非正社員が三百三十一万人増加、失業者が百二十万人増加、これ、今までないことです。つまり、雇用という将来にわたる安定的見通しがないということがもう社会問題になっているし、言わば日本のこういうシステム全体が見直しの対象にされてしまっていると、そういう段階の見直しだというふうに私どもは受け止めております。
 背景は二つあると思っています。
 一つは、やはり経営者の皆さんの側の余りにも短期コストを優先した即戦力あるいは有期雇用というものにシフトした人事政策、これはつい先般、アイデムというところのパートタイマー白書の中で、人件費割安という理由が七三・七%で一番大きいんですが、三つ目ぐらいに社会保険、雇用保険の負担がないからだという理由が、実は四割の方がそうおっしゃっているわけなので、これは今の財政問題に直結する問題だと私は思っています。
 もう一つは、やはり政府の施策だと思います。
 建議の中でも構造的要因というふうに指摘されていますが、私は率直に言って政策的要因だというふうに断定したいと思っています。
 と申しますのは、いわゆる今行われている構造改革の前提条件が、成長分野に非成長分野から人も物も金も移らない、これは実はその間にある障壁、あるいは雇用でいうと雇用システムが障害になっているからだという認識がございます。したがって、その障壁を取り除く、規制を取り除く、構造を変えるということがすべての前面に出ていると。本来は、その受皿、雇用の需要拡大があれば、今までもそうであったように、人は動くわけです。そこに雇用は吸収されていくわけです。ところが、それが、その施策がされないまま、言ってみればデフレと失業、倒産増ということが政策の中で見込まれた政策として行われている。その流動化と言われているものも雇用の吐き出しにすぎない。そこの経営責任が全く問われないままで、今、先ほど申し上げた数字の動きがあるわけで、障害を取り除けば何か動くかのような前提というのはこれは誤りだと思っています。
 能力開発の面でエンプロイアビリティー、雇用され得る能力ということが強調されますが、これ、どんなに能力身に付けても受皿がなければ仕事に就けない、あるいは仕事に就ける目安がなければ訓練もできません。つまり、勝手な造語ですけれども、ハイアビリティー、雇う力がとにかくなければそれは無理だということです。ですから、これ、労働条件がそれほど低下しなければやっぱり何とか仕事に就きたいとみんな思っているわけですよ。ところが、やっぱりそれがないという前提。
 したがって、やはりこれは雇用保険の範疇を超えて、やはり雇用創出策あるいは良好な雇用機会を作っていくという基本的な政策。つい最近まで完全雇用あるいは失業なき労働移動、これは一体どこ行っちゃったんでしょう。やっぱりその前提要件がないまま今セーフティーネットの議論だけでこの問題が議論されているということについて、やはり一番大きな問題があると私は思っています。先ほど雇用政策の余計なことと御指摘されたことがむしろ私は大前提だろうというふうに思っております。
 したがいまして、今の起きている事態というのは、この数年の事態というのは政策的な要因である。かつては痛みを伴うのだからセーフティーネットは張るとおっしゃっておられた時期もありましたけれども、実際はそうなっていない。ということは、もう雇用保険、保険制度という言わば制度設計の前提そのものがあるいは予測可能な範囲を超えている事態が起きているのではないか。少なくとも、完全雇用とか自然成長率達成とかという前提で設計するわけなんで、それが壊れてしまったらこれは保険だけでカバーできるはずもないと私は思うわけです。
 したがって、仮に今回、表面上の財政的なつじつま合わせをしたところで、五年という数字も言われていますが、私はそれが持続的に持ち直す保証は全くない、今のままでは。前回改正、前回改悪から今回の事態がそれを如実に表していると。したがって、やはり今回の議論の、結果として制度としての持続可能性はどうなのか、あるいは将来の在り方がどうなのかということが全く見えないことが冒頭に申し上げた不安と不信につながるということです。
 いわゆるこれは本来の雇用政策、繰り返しますが、完全雇用なり失業なき労働移動なりということを政策的に手だてをした上で、その上で雇用保険制度の手当て、しかもそれが、先ほど申し上げましたような非典型雇用労働者が増えてくる、あるいは正規労働者が減ってくるという中で制度設計をどうするのか、そして負担と給付の在り方をどうするのかという議論をすべきであろうと。
 ただ、これは誤解のないように言っておきますが、私どもは雇用保険の制度の拡充ということそれそのものが、当然ですが、目的ではありません。私は、同じコスト負担をするのであれば仕事に就いてもらう、仕事を作るというのが優先順位だと思っています。これは必要な社会的コストということもあるわけなんで、やはりそういう観点もありますし、同時に、とにかく働いている人しか付加価値は生み出さないわけです。その人をほっといて、それで今の財政縮小に入っていくとすれば、ますますこれは日本の経済全体の萎縮につながるということで、とにかく社会的な意義のある仕事を政府が作るということが第一義的であって、どうしても仕事に就けないというものが私はセーフティーネットだというふうに思っております。
 したがって、繰り返しますが、雇用保険の枠組みの中だけの論議では対処できないというふうに考えておるわけです。
 つまり、逆に言えば、一般会計の国庫負担の拠出を含めて、セーフティーネットを拡充しても雇用が守られる、維持される、作られる。作られれば負担増にならないわけです。あくまでネットを充実させましょう、落ちないようにさせるのがまず先なわけですから、そこでとにかくセーフティーネットがあるということがいろんなチャレンジがしやすくなる、能力開発もしやすくなるという意味での拡充、安心感を与えていくというのがまずベースにあるわけで、したがって今必要なのはとにかく給付の削減はしない、そして政府の責任として一般会計から補てんしていく、そして、言ってみれば今御指摘のあったような中小企業にしわ寄せが行っていくような、私どもの調査でも出ていますような、大企業なんかで人員整理がどんどん進んでいる、そこで業績が上がっていく、そういうところの経営責任というものが全然問われない、そういう負担の在り方については私どもは基本的に反対をしたいと思っています。
 あと、幾つかの論点の中で、いわゆる再就職促進の問題が出されておりますけれども、私どもの資料の中で九ページ以降に、失業者、ハローワーク前でのアンケート調査をやっております。何か一部のいかにも雇用保険の給付を不当にといいますか、それを必要のない人たちまでカバーされていることが逆に抑制しているかのような議論がされていますが、この声を見ていただくと分かりますが、とにかく失業期間が長期化して、しかも倒産・解雇による失業増がかつてより増え、いかに再就職が困難であり生活問題が深刻かということがこのデータからお読み取りいただきたいんですが、特にその中でも年齢制限の壁という訴えが一番多いのが実態です。そして、政策要望としては、雇用創出が第一位、そして社会保険などの負担軽減ということが出されています。
 是非、この切実な訴えということを前提に議論していただきたい。ごく一部の失業者増を何か前提に制度改正を、制度設計をしていく、変えていくというのは基本的には誤りだというふうに考えています。
 したがって、当面の財政負担としましては、やはり第一に国、国庫の責任、そして人員整理を歯止めが掛けられない経営者側の責任、つまりそれが放置される、そしてそれがしわ寄せがどんどん労働者に行くこと自体が実はモラルハザードの最たるものでありまして、是非その点の手当てを今回の審議の中でお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
 最後に一言なんですが、一部の報道の中で、本委員会とは直接関係ございませんけれども、失業等給付に対する課税というものが検討されているということが出されていますので、この点については私ども全く認められないということも併せて御指摘をして問題提起に代えさせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#6
○委員長(金田勝年君) ありがとうございました。
 次に、佐藤参考人にお願いをいたします。佐藤参考人。
#7
○参考人(佐藤陵一君) どうも皆さん、御苦労さまです。建交労北海道本部で委員長を務めています佐藤です。
 建交労という労働組合は、建設とそれから交通運輸関係の労働者、地域では中小企業と失業者を労働組合に結集をしている日本の労働組合運動の中ではまれな組合でございます。
 私は、一九七〇年に当時失業対策事業で働いていた労働者を中心に組織されていた全日自労に加入をしまして、以来三十年間、北海道の中で建設現場労働者の冬期間の失業問題、最近ではハローワークの求職者の調査とそれから失業者の皆さん方のネットワーク作り、それから今政府が進めている緊急地域雇用、こういう仕事作りの問題について携わってまいりました。私の所属する労働組合は、失業と貧乏と戦争に反対をするということを伝統としてきているわけですけれども、そのことを自負をしているわけです。
 今回の雇用保険法改定に対する評価なわけですけれども、政府資料にいろいろ論点が整理をされています。雇用保険は社会保険の性格と雇用政策の重要な手段だという二つの側面がある、この二つの政策目標を実現する中心が求職者給付である、この求職者給付によって失業者の求職活動中の生活の安定を確保する、それからこの求職者給付を通じて求職活動を奨励すると、こういうふうに説明されているわけです。
 今回、もらうお金が高いので積極的に再就職しないと、いわゆる逆現象の問題も指摘されています。政策判断の根底に積極的労働市場政策というものが意識されているわけですけれども、これはEUやOECDでもいろいろ議論されていまして、その中では失業の社会的コストの問題、あるいは公的雇用創出の積極性、こういうものが議論されているわけですけれども、私、議事録ずっと見まして、この議論が避けられているのか、あるいは深まりがないというふうに実は見ているわけです。
 今回の法改定で、雇用保険の政策目標である失業者の生活の安定が確保されるのかどうか、このことが鋭く問われるわけですね。それから、求職活動を奨励するというわけですけれども、これが実際のハローワークを中心として現場でどう変化するのか、そのことによって結果として失業者とその家族の苦難、これが軽減されるのかどうかということが私は中心問題だと思うんです。
 結論的に言いますと、給付削減、日数の削減、これはもうほとんどそうなるわけですけれども、失業者の生活の安定は確保されない、逆に悪化するというふうに私は見ています。それから、一連の再就職促進の奨励策、失業者は劣悪で不安定な就業、これを強いられると。現在の失業というのは、その規模、それから長期化する期間、それからその失業の中身ですね、もうかつてない深刻さが指摘されて久しいわけですけれども、いずれも事態を改善することにはならないと、こういうふうに危惧しているわけです。
 それで、私は少し北海道の失業者の実態に即しながら、これは全国共通すると思いますけれども、今回の雇用保険の改定の中心部分、これはやっぱり容認されないということを少し申し上げたいと思うんです。
 第一は、基本手当の削減の問題なんです。札幌の職安求職者の聞き取り調査をしますと、失業中の主な収入、これは失業給付だという人が三二%、あとどうやっていますかと聞きますと、定期預金を解約している、退職金を取り崩していると。退職金はどのくらいもらいましたかということを聞きましたら、これは私どもの調査の平均では四百三十六万円です。退職金もらっていないという人が四一%にも及んでいるんですね。そして、アルバイトや借金で生きている。
 世帯の収入は、四三%が失業前の半分になった、六割から九割減ったという人も相当いるわけです。そして、家計が五五%が赤字、赤字になっていないというのは二八%です。六%の人がもう生きていけないというところまで答えるわけですね。そして、このまま失業が続いたらどうなるかという問いに対して、四九%、約半数の人がもう仕事を選ぶことはできないと。そして、資産の売却とか生活保護とか借金と続いて、中には夜逃げだとか蒸発とか子供の退学というところまで追い込まれると。今、厳寒の北海道には百人を超えるいわゆるホームレスと言われている人が視認されるわけです。
 今回、半世紀続いてきた六割の失業給付、これが時の財政状況で切り下げられることになると。六割でも厳しいわけですよね。ですから、最初に申し上げた失業者の生活の安定、もうこの言葉は、言葉としてはありますけれども、もう一層空虚になると、そしてその制度の信頼も根底から崩れてくるんじゃないかということを私は危惧するわけです。
 それから第二は、給付日数の問題です。
 日本にはいわゆる無拠出の失業手当というのはないわけですね。そういう中で何をする必要があるのかということなんですけれども、長期失業の指標、これを一年と定めて一年以内は雇用保険、長期の失業に対しては失業手当、これは無拠出ですけれども、このセーフティーネットを抜本的に拡充することが必要でないかと。
 失業者の実態というのは、政府資料によっても一年以上はもう三〇%に及んでいるわけです。私どもの調査では、自己都合退職、自己都合の離職ということなんですけれども、その中身を聞けば聞くほど非自発的なやっぱり離職なんですね。会社がリストラ計画を作り始めた、一方で嫌がらせが始まる、結果として自分で辞めるという選択を取らざるを得ないと。ですから、自発的失業といっても、いろんな複雑な要因が重なっているということを示していると思うんです。
 今回、常用労働者とパート労働者を区分しないというふうに言っているわけですけれども、これは当然です。しかし、常用労働者の給付日数を減らすというわけですから、これは労働者の少しきつい言葉で言えばマジかと、少しエゴいんでないかと、こういう話だと思うんです。
 それから第三の、いわゆる逆転現象の問題です。
 再就職の意欲を喚起するというふうに言われているわけですけれども、この理由は私は不条理だと思うんです。失業は長期化していると。今、政府のやっている緊急雇用の仕事ですね、これは六か月なんです。極めて限られているんですけれども、この仕事であっても働きたいという人が二六・四、条件が合えば働きたいという人が六〇・三%、職安に来ている人の中でそういう仕事には関心はないというふうに答えた人は一三%なんですね。結局、働きたいのに仕事がないと。そして、六〇%の人が、再就職の見通しはないけれども、もう応募し続けるしかないと。極めてやっぱり悲壮なわけです。そして最後は、もう仕事を選ばなくなると、選べないという方が今四九%になっているわけです。
 現地の職安所長の皆さんとお話をしますと、職員の皆さんは靴の底を減らして、そして足を棒にして求人を開拓している、しかし求人そのものがないと、こう心を痛めているんですね。
 ですから、失業者だけの意欲ではもう決して解決しないわけです。事態は国家として雇用の絶対量を増やすことなしに打開できないところまで来ているんだということを私は強調したいわけです。
 第四は、早期再就職の促進なんですけれども、これはもう当たり前の話なんですね、ある意味では。政府は完全雇用を掲げて政策展開を図っているわけです。ですから、当面して三%程度ですか、失業率を下げると、こういう数値目標を持って実効的な政策を打ち出すべきなわけです。
 今、失業者はどういう状態にあるかというと、もうこれから高成長でどんどんどんどん仕事が出てくるということは望めないわけですね。加えて、雇用構造の変化、これが規制緩和をてこにパートとか派遣とかフリーター、もう規制緩和をてこにドラスチックに強行されていると。日本の働く労働者の二七・七、こういう三分の一がもう非正規の雇用と言われる状態にあるわけです。ですから、こういう中で不安定就業にも就業促進手当を支給するという発想は、これは金を出せばいいというものではないんですね。早期退職のために一時金、退職金を割増しするともう同じ発想です。安定した職業への再就職というこれまでの政策を転換するものだと私は思うんです。
 結局、どういうことかというと、雇用保険財政に依存する求職者に割増金を付けて、そして保険から排除をすると日本の労働市場が低賃金で極めて大変な状態に追い込まれていくと。多様な働き方といいますけれども、不安定な条件で働かざるを得ないという中で、多様な働き方ではなくて、この不安定な劣悪な労働条件を強制することになるというふうに言わなければならないと思います。
 最後に、ある失業者の人は私にこう言いました。失業して初めて日本は冷たい社会だと感ずる、二十回も断られたと、そうすると自分はこの世の中に必要ない人間なのかと思うと、こういうふうに失業者ネットワークの集まりで語っているんですね。
 それから、今、高校生が卒業しましたけれども、本来なら夢と希望にあふれるはずの人生の第一歩ですね。これを失業者として迎えるわけです。私は、ある意味では、青年に雇用を保障できない社会というのは、驚くほど早くその基盤が崩壊しているというふうに言わざるを得ないと思うんです。
 そういう点で、失業者の労働力の保全はもとより、その自尊心や自負心、これを破壊から守ると。そのためには、今言われましたけれども、国庫負担を拡大をすると、そして雇用保険制度そのものの拡充を図ること。同時に、失業の社会的コストの軽減を図る立場から、公的な雇用創出に本格的に取り組む、これが求められているし、求めたいというふうに思うわけです。
 以上でございます。ありがとうございました。
#8
○委員長(金田勝年君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○伊達忠一君 自由民主党の伊達忠一でございます。
 まずもって、大変お忙しい中に当委員会に参考人としてお三方においでをいただきまして、心からお礼を申し上げます。特に佐藤さん、私も北海道でございますので、遠くからおいでいただきましたことに敬意を表したいと思っております。
 ところで、今、雇用保険、今議題になっている課題について三方からいろいろと御意見をいただきました。確かに、こういう制度を改正するときには私は意見があって当たり前だと、こう思っておりますが、全体的にこの社会保障制度を私眺めてみまして私なりに勉強させていただきますときに、まあ多少の御意見はありますけれども、日本の制度、まあまあ総じてよくできているなということを私はよく思うことがございます。あわせて、今回のこの制度につきましても、いわゆる世界でまだ三分の一ぐらいしか実施されていないわけでございまして、実施されていない国が大方あるわけでございますから、そういう面から申し上げれば、やはり先進国としての重要な私は日本の位置付けというものが出していかなきゃならぬと、こう思っているところでもございます。
 そういう中で、今回の将来的にいわゆる安定した運営をしていくという面においての見直しでございますが、私も含めまして、こういうときには税制においても年金においてもそうなんですが、正直言って、支払う、掛けるものというのは少なく、受け取るものは多くそして長くというのは、これはやはり私は日本人のこれはもう正直なところであろうと、国民性だと私は思っております。
 しかし、制度はそればかり言ったんでは維持できないわけでございまして、その時代、そしてまた将来に合わせた、時代に、改革をやっぱりしていかなきゃならないということが今回議題になっているわけでございます。
 そういう面から申し上げれば、今日の新聞にも、日経にも出ておりましたが、仮に、仮に失業率が六%にもしかしたら行った場合のことも考えながら、先ほど皆さんからもお話ございましたように、五年という将来においても行き詰まらないような制度にしたいということだろうと、こう思っております。
 私は、やはり何といってもこの制度、給付ももちろん大事でございます。先ほど龍井さんがおっしゃっておりましたが、しかしそれよりもやっぱり就労、勤めるということが大事なんだということを言われておりました。そういう面を支援するという立場の私は改正だと思っておりますので、その点について、中島参考人、龍井参考人、それから佐藤参考人、この順番にお聞きをしたいと、こう思っております。
 二点についてお聞きをいたしたいと、こう思っているわけでございますが、一点目は、今回のこの雇用保険制度の改正というのは、どちらかというと高賃金、高給付層を中心とした給付の見直しということになっているわけでございまして、失業者の再就職の促進を図るとともに、セーフティーネットとしての雇用保険制度の将来にわたる安定的な運営を確保するというもので私はあろうと、こう思っております。
 そういう点から申し上げれば、御意見はあったものの、雇用保険制度全体として見てみれば私は大いに評価をできる改正であるというふうに考えますが、参考人の御三方の意見をお聞きをいたしたいと、こう思っております。
 それからもう一点は、雇用保険法は、本来、仕事を真剣に、就職したい、勤めたいといって探している人を支えるための制度であって、いわゆる就職活動を行っていないにもかかわらず、漫然とこの給付を受けている人が非常に、私何人かに遭遇しております。
 最近特にこういう時期でございますから、私も、ある男性の方で、六十五歳になって三月で辞められたという方に先般お会いをいたしました。大変字が上手な方で、かつて組合運動も、幹部もやられた方なんですが、お聞きをしましたら、これからの第二の人生どうなさるんですかと言ったら、いや、もう伊達さん、六十まで働いて、契約社員で五年間勤めて六十五で、もうこれ以上いいだろうって、ひとつ失業保険もらって、そして家内と旅行でもして老後を暮らしたいんだと、こう言っておられました。
 それからもう一人の方は、先般地方選挙が終わったばかりなんですが、そこの事務所で遭遇したのは、ワープロ打つ女性の方が戸惑っておって、たまたま知っている方が、いや、こういうベテランの方がおられるよと、そして会社を辞めたから紹介してあげるよということで言っておられて、その方が来られて指導して教えていたんですが、その方に話を聞いていたら、いや、もう勤めないんですと、永久就職をするんですと、こう言うんですね。結局、結婚をしてもう勤める気はないと。
 そして、先ほどの前者の方も、いわゆる六十五でもう勤める気はないという方がいわゆる失業保険をもらっているという、これはもう私は悪いことじゃないと、こう思うんで、これは権利だからいいんですが、本来はいわゆる就職を何とかしたい、勤めたいという方の支援として、やっぱり私はそういう制度だろうと、こう思うんですが、これについてはどうお気持ち、お考えなのか、この二点について中島参考人、龍井参考人、佐藤参考人の順にお聞きをしたいと、こう思っております。
#10
○委員長(金田勝年君) それでは、簡単に参考人の皆さんからお答えいただきたいと思います。
#11
○参考人(中島芳昭君) まず第一点目でございますが、これは私の御意見のところでも申し上げましたように、制度として安定的に維持するという観点で、要するに事業主と従業員が負担し、なおかつ国の支援を得てこの制度は運営されているわけですから、負担する側からすれば掛金というんでしょうか保険料は少ない方がいいにこれは決まっています。もらう方からすればたくさんもらえる方がいいに決まっています。しかし、限られた財源の中でどのように効果的に使うかという観点で今回の見直しがされているというふうに思っておりまして、そういう点では非常に評価できる改正内容だというのが第一の御質問に対するお返事でございます。
 第二点でございますが、これは正にそのとおりでありまして、つまり、先生は権利とおっしゃいましたけれども、この保険制度は実は掛け捨ての保険制度なんですね。ですから、一生掛けて、六十歳とか六十五歳で定年になって保険制度を利用しないで済めば、ああよかったと言ってそこで自分の幸せを喜びこそすれ、自分が今まで掛けてきた掛金がおれの権利だというような考えは、この今の制度はそういう制度にはなっておりませんので、したがって本当の意味で結婚退職とか定年退職でもうリタイアされた方については支給する必要はないという建前ではないかというふうに理解します。
 以上でございます。
#12
○参考人(龍井葉二君) 前段のことは、もう先ほど冒頭に申し上げましたように、トータルとしての雇用政策、つまり雇用保険制度にしわ寄せをさせないような雇用政策というのがないまま、枠組みの財政の論理だけでのつじつま合わせだけで給付削減が先行しているということについては反対というのが基本的な立場でございます。
 後段の件は、もうこれはこの種の、この種のというか、雇用保険制度の問題で常に出されている論点でございまして、前回のときもいわゆる離職理由あるいは退職理由のいわゆる自発的、非自発的というところでかなり私は整理をされてきているという経過があると思います。
 ただ、問題は、今先ほど私がどういう失業者像を描くかで今回の改正の方向が変わってくるよとさっきも問題指摘させていただきましたのは、仕事があるという、そういう前提の中でそうしたモラルハザードの問題が指摘されるのは全く私分からないわけではありませんけれども、今見直しをしようというこのタイミングとその動機、そして環境、それが余りにも、これだけひどいときに、そういう問題がすべての問題であるかのように語られて、そして制度設計の見直しがされるということについては私はとてもゆゆしい点だと思っておりまして、そこはきちっともう何回かの議論の中でそうした理由とあるべき姿というのはされてきていると、私はそういう認識をしております。
#13
○参考人(佐藤陵一君) 唯一機能していると言われている雇用保険が破綻に瀕しているわけですね。結局、これを安定的に維持していくためには失業問題をまず解決をしなきゃいけないと。差し迫った失業者に対する仕事と生活、これは公的雇用創出、それから解雇の規制ですね、そして中長期的に雇用を創出していく政策と、こういうものの中で初めて雇用保険が機能してくるというふうに私は思います。そして、現状では国庫負担、これしかないというふうに思います。
 二つ目は、何冊も求人誌を買って穴の空くほど見ていてもこれは誠実かつ熱心な求職活動でないと、あるいは電話を掛けて応募をしようとしても年齢を聞くだけでがちゃんと切られてしまうと、これも訪問しないと求職活動として認めないと、こういうような状況なんですね。ですから、そこはきちっと踏まえて対応する必要があるんじゃないかというふうに私は思っています。
#14
○山本孝史君 民主党・新緑風会の山本孝史でございます。三人の参考人の皆様には、お忙しい中お越しをいただきまして、ありがとうございました。
 まず、中島参考人にお伺いをしたいと思います。
 中島参考人の今日の意見陳述は非常に明瞭でございました。要は、企業としてはこれ以上のコスト増は困ると、この一点に尽きていたと思います。しかしながら、龍井参考人が調査をもってお示しをされましたように、社会保険負担を嫌って企業が正規の従業員をパートやアルバイト、あるいは契約社員に置き換えているという実態がございます。
 で、お尋ねでございますけれども、労働者をこのような不安定な雇用形態に追い込むことが景気の回復あるいは経済状況、企業活動、広くは社会全体に対して良い結果をもたらすとお考えになっておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#15
○参考人(中島芳昭君) まず、それは例えば中小企業なんかの場合ですと、皆、従業員少のうございますので、社員の奥さんも子供の顔も知っているというような会社、中小企業は大体そんなところでございまして、それはそういうところで君辞めてくれないかなんというのはなかなか言えないと。引き続いて、しばらくすればまた景気が良くなって仕事が来るんじゃないかといって頑張っている企業があるわけですけれども、それもこういう長期にわたるデフレ経済の中で仕事が来ないという中でやむを得ず、もう子供も一人前になったんだから辞めてくれないかといったようなことで辞めてもらうというようなケースがあるやに聞いております。
 そういう意味で、それは経営者としては、商売がたくさん来て、従業員にもたくさんの給料を払って、ということは保険料もたくさん払うわけでございますけれども、そういう企業になりたいと常に一生懸命頑張っているんだと思います。
 しかし、いかんせん現在のような状況の中でございますので、何といっても、いわゆる会社の付加価値、材料を仕入れて商品を作って売る、自分のところでしかるべき価値を上乗せするわけですけれども、この付加価値に占める人件費の割合というのが一般的には七割とか八割とかと言われているんですね。
 ですから、そういう意味では、コストの中で人件費というのは非常に大きなウエートを占めておりますので、現実に世界から安い品物が入ってきて、それに競争する品物を作ろうとすればコストを下げざるを得ない。そうなりますと、人件費の部分を何とか少なくしなきゃ商品として競争力がありませんから売れないわけですので、そこでそういう人件費の部分のカットをせざるを得ないというようなことでやむを得ず、やむを得ずというか、それでしか生き残れませんので、そういうことで商品を作っているんだというふうに思います。
 したがって、こういう経済がこのままずっと続いていけば、先生御指摘のように、正に縮小再生産の方向にしか、ますます物が安くなってというようなことになってしまうでしょうから、これは大変なことになってしまうんだというふうに思います。
 以上でございます。
#16
○山本孝史君 現下の経済状況の中では人件費を抑制して企業が生き延びていくしかないんだと、こういう企業の論理を御説明されたんだと思いますけれども、本当にそれがいいのかというのが私の質問でございまして、それに的確に今はお答えはいただけなかったというふうに思います。
 続いて、龍井参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 先ほど中島参考人の意見陳述の中で、いみじくもこうおっしゃいました。いわゆる給付の削減が再就職の促進とどう関係しているかという点について、賃金が下がっても就職をして一生懸命働けば賃金が上がると、このような認識を先ほど中島参考人はお示しになったんですが、現下の経済状況はそんな状況にはないと私は思っておりますけれども、この給付の削減と再就職の促進ということについて、龍井参考人の御意見をお聞かせをいただきたいと思います。
#17
○参考人(龍井葉二君) 何度も申し上げるんですが、仕事があるという状況とないという状況でもう基本的に違うんですね。したがって、今先ほど御指摘になった、最初は賃金低くとも上がっていくじゃないかというお話もありましたけれども、これも今、御承知のように、求人募集がもう非典型・有期というのがどんどん増えているということではその保証もないということですので、場合によったら、それが今度新しい仕事で、雇用保険の対象にならない仕事が増えているというのが実態でございますから、私はそれは、つまり条件を厳しくすれば、じゃそれによって仕事に就けるかというのはその環境がない以上はあり得ないと思っています。
 そういう状況を作る中でそういう選択肢を増やしていく、そこで働く意欲のある人が就いていくというのが望ましいわけなんで、それは私は、雇用保険制度あるいはセーフティーネットの網を大きくすれば、おっこちるのが怖いからはい上がるだろうというのは、これは無理な発想だというふうに私は思っています。
#18
○山本孝史君 龍井参考人に重ねてお聞きをしたいと思います。
 皆さん御承知のとおり、この法律の施行日はこの五月一日ということになっています。今日はもう既に二十四日でございますし、この後法案がその前に成立をしたとしても、いわゆる周知期間は非常に短い。連休中にそういう制度の大改正が行われるわけでございます。
 私も、先ほどのこの委員会の始まります前の理事会で、こういう状態でどうやって周知徹底をするのかと役所の皆さん方に周知徹底の文書、あるいは、この失業者の、失業手当を受けている給付者の責務ということが今回盛り込まれておりますが、その責務は確認的に書いたことであって現場の影響はないと、こうおっしゃっておられますけれども、それをどのように現場として運用していくか、その通達の内容を見せてくださいということで、お昼のこの後の理事会でそういった文書をチェックさせていただくことにしておりますけれども。
 私の質問は、この法律の施行日五月一日と、それから非常に短い周知期間というものについて、龍井参考人はどのようにお受け止めでございましょうか。
#19
○参考人(龍井葉二君) 正直言って現場では、私、混乱が起きていると思っています。これは事実、地方連合会ないし連合加盟の産別組織の担当者から話をお聞きしましても、とにかくこの状況はもう不安で不安でしようがないわけです。したがって、職に就いている人でも、当然就いていない人も職安に問い合わせに行きます。どうなるんですか、施行いつですか、制度どうなるんですか。当然、この段階で資料のあるはずもないわけで、そこで一体どうやって生活設計立てていいのか。これは実は窓口の担当者の方も困っておられるわけでして、ですからこれは、これだけの中身の変更がどうやってこれが自分の将来にかかわってくるのかということを見定めるには余りにも時間がない、情報がない。
 私は、これは何かだまし討ちのようにやるのではなくて、きちんとそれは、私はこのままの中身では反対をしておりますけれども、その説明責任ということも含めてきちっとこれはやっていただく必要があるだろうということで、周知期間というものも、行政の中身、そして我々、離職者だけじゃなくて働いている者全体に対しても、それをきちっとその中身を周知されるという手だてが最低限必要だろうというふうに認識をしておりますので、十分な時間をお願いしたいというふうに考えています。
#20
○山本孝史君 時間が過ぎましたので、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございました。
 終わります。
#21
○沢たまき君 公明党の沢でございます。お三方の参考人には、大変にありがとうございます。
 まず、龍井、佐藤両参考人に伺わせていただきます。
 雇用保険の財政が現状のままでは誠に厳しいものがありますし、当面の財政破綻を回避することが今回の改正の目的の一つでございます。財政破綻の回避には国庫負担の増額、収入の増加、すなわち保険料率の引上げ、支出の削減、すなわち給付の見直しが考えられますが、労使による保険であること、国家財政が厳しいことを考慮いたしますと、既に給付の四分の一について国庫負担が行われておりますし、これ以上国民からの徴収した税をつぎ込むというのはいかがなものかという気もしております。
 そういたしますと、雇用保険の財政危機を乗り切るにはどうしても保険料の引上げか給付の見直しを行わざるを得ないわけでして、もちろん負担は軽く給付は手厚くにこしたことはございませんが、今申し上げましたような諸般の事情を考慮した場合、どのような方法が一番良いのか、お二方に伺わせていただきたいと思います。
#22
○参考人(龍井葉二君) 実は、前回の改正のときにそういうロジックで改定がされたわけですよね。このままじゃ大変だ、もたないと。で、やって、またもたないということは、だから何が起きているのかということを冒頭に申し上げたわけで、これが、これも繰り返しになりますが、いわゆる循環的な経済、好況、不況の波の中で起きていることであれば、これは将来見通しが、多分図面を引けると思うんですよ。でも、今はこれは引けないんですよね。五年後というさっき試算はありますけれども、じゃこれがどうやって担保されるかという保証が何もない。ですから、その枠組みの中で幾ら議論していても、これは単なる推測の域は出ないわけです。
 で、さっきおっしゃいましたように、入口、つまり給付と負担とおっしゃいましたけれども、やはりベースになるのは、ネットというものをきちっと張ったとしても、落ちないようにする手だてというのがまず優先にあれば、これはどんなに厚くしても支出は増えないわけです。そして、その手だてが本当にあるんですか。セーフティーネットに落ちない命綱の段階、ないしはその綱を太くするといったことが全然見えないし、今どんどん綱は細くなる一方なんですよ。
 ですから、そのことを、何度も繰り返しますが、財政の枠あるいは雇用保険制度というシステムじゃないトータルな制度、ルール、どう作るのですかということと併せて議論していただかないと、この問題だけでは恐らく前回改正と同じ轍を踏むと私は思っています。
#23
○参考人(佐藤陵一君) 財政事情だけで考えますと、雇用保険の生活の安定というこの目的が一体どうなっていくのかと。全くこの制度が時の財政事情によって給付額や日数が減るという事態というのは、私は絶対避けなきゃいけないというふうにも一つは思うんです。
 それからもう一つは、失業の社会的なコスト、この議論をやっぱり深めていただく必要があると。そして、公的な雇用の創出、これがそのセーフティーネットのもう一つの今政府がやっている緊急雇用特別交付金の事業、こういう事業が拡大をしていくことによって、働くことによって失業給付が節約できるわけですね、減るわけです。それから、働くことによって税金やあるいは社会保険料が納入されるわけです。そういう問題と併せてやっぱり政策展開をしないと、失業者が今の状況ではどんどん増えるわけですから、財源が足りないと。給付の削減、日数の削減と、これではやっぱり信頼を得ることはできないんじゃないかというふうに思っています。現状では国庫負担、これを最大努力をすべきであるということです。
#24
○沢たまき君 本当に北海道においては緊急雇用創出の交付金がすばらしい効果を上げているというので私も質問をさしていただいたんですが、本当にそうだなと。地域の雇用の問題についてはまた別途お伺いさしていただきますが。
 では、中島参考人に、まず雇用の保険三事業の関係で伺わしていただきます。
 この三事業につきましては、失業の予防、早期再就職の促進を図ることによって失業給付が膨らまないようにするという機能が期待されていると思います。しかし、こうした機能を真に発揮できているのかどうか疑問視をする向きもありますし、また不正受給の話もしばしば耳にいたします。
 そこで伺いますが、利用する立場として、三事業が期待されている機能を十分発揮しているのかどうか、もし不十分な点があるとするとそれはどんな点か、またどのように改善をしていったらよいのか等についての御意見を、御見解を伺いたいと思います。
#25
○参考人(中島芳昭君) 先生の御指摘になった点については、実はかねがね、これは三事業の保険料は事業主しか負担しておりませんで、労働者の方は負担しておりませんので私どもとしても、効率的な、つまりその三事業で払った保険料がどのぐらい失業を排出しないで済んでいるのか、あるいは再就職の促進に役に立っているのかというのを分かりやすく教えてもらわないと、出している方でもどれだけの効果があるのか分かりにくいじゃないかというような点はかねてから意見申し上げているところでございまして、前回の改正のときにいろいろな助成金等は整理をされまして、複雑だった補助金とか助成金の仕組みはきれいになった、取りあえずきれいになっているかと思います。
 しかし、先生のおっしゃったように、本当にこの助成金でどれだけの人数の人が失業にならないで済んでいるのか、この助成金でどれだけの人数の人が再就職の促進に役立っているのか。給付人数がありますから、それは何人分というようなことで、それは数字としては表面に出るんですけれども。それで、失業率が今五・何%ですけれども、これ、三事業がもしなかりせば実はもう六・幾つになっているんだとかというようなことが分かれば出す方も、それじゃ事業主だけの負担だけれどもといって出せると思うんですが、そういう点でもう少し分かりやすく是非してほしいという御注文はしてきております。
 現時点で具体的にどこの部分が不十分で改善する必要があるという観点については、現時点では特に案は持っておりません。
 以上でございます。
#26
○沢たまき君 もうあと一分ありますので、じゃもう一つ。
 新聞報道などで今回の見直しが中途半端であったという指摘もあるわけですが、急場しのぎであり根本的な問題の解決を怠っているという厳しい指摘がございます。この見直しについての検討を行った雇用保険部会の報告書の中で、こうした指摘にかかわる部分については今後の課題として結論を得るに至っておりません。
 しかし、これらの多くは既に前回の雇用保険の見直しの際にも今後の課題として取り上げられてきたと記憶しております。特に、この報告書が示しておりますように、近年の雇用保険の財政状況の悪化が、短期的な雇用失業情勢の影響ばかりではなくて、常用雇用労働者の減少、賃金の水準の低下による保険料の収入の減などという、こういう様々な構造的な変化が進んでいることによって生じているんだとすると、課題に対して速やかに検討して根本的な改革に向けて結論を得るべく、もう来ている、そういう時期に来ているんですが、この委員会に属していらっしゃいました中島参考人はこの課題の対応についてどんな御見解がありますか。
 もう時間過ぎそうなので、簡単に言っていただきたいと思います。
#27
○参考人(中島芳昭君) ひとえにこれからの雇用情勢がどうなるのかということだと思います。構造改革を進めればそれなりの成長が必ず期待できるんだと。それまでの間、みんなで我慢しようというのが今の政府の方針でございますので、しかるべき期間たてば、高度成長まではいかないかもしれませんけれども、ある程度安定的な成長の過程に、是非乗ってもらいたいというふうに思っておりますけれども、それまでの暫定的な、五年間というのはそんなこともあったと思いますけれども、という制度改正であります。
 根本的な部分では、おっしゃるとおり、まだいろいろ議論しなきゃならない点は残っているというふうに理解しています。
 以上でございます。
#28
○沢たまき君 ありがとうございました。
#29
○小池晃君 参考人の皆さん、ありがとうございました。
 最初に、佐藤参考人にお伺いをしたいんですけれども、今回、給付削減の理由として、給付が高い人ほど給付終了後一か月以内に再就職していると。いわゆる再就職意欲の喚起ということで削減と言っているんですけれども、これは結局、比較的賃金、給付額が高い人は再就職は困難だと、なかなか見付からないと。手当が切れるとやむなく悪条件で再就職せざるを得ないと、こういう実態を示しているにすぎないと思うんですが、この点について現実どうなっているか、お話し願いたいと思います。
#30
○参考人(佐藤陵一君) 逆転現象の背景には、リストラを国が支援すると、そしてどんどんどんどん賃金が下がるという現実があるわけですね。そういう点では、再就職のときに実勢を持ち込むというのはこれまでの雇用保険の基本的な性格というのをゆがめることになるんじゃないかというふうに私は見ています。
 高いから意欲が低いと、これはもう結論を言いますと、生活と実際の求職活動の実態に目を背けているというふうに言わなければなりません。
 それから、私、最初に申し上げましたけれども、もう失業給付が切れるということは無収入になるわけですね。ですから、もうやむなく仕事を選ばず就職をするということで一か月後に、一か月以内に再就職が多いということになっているんだろうと思うんです。そういう点では先生の御指摘のとおりだというふうに思っています。
#31
○小池晃君 それじゃ、龍井参考人、佐藤参考人にお伺いしたいんですけれども、私は今回の、改悪というふうに思っているんですが、これは単に失業者の生活を危機に陥れるというだけではなくて、全体として低賃金化を促進する、あるいは就業促進手当の新設などのように不安定雇用を促進していく、あるいは地域平均賃金の八割を条件で拒否すると給付制限を掛けるという、こういったことが受給者の責務の法文の明記とともに行われています。
 今回の改悪というのは、正に雇用保険制度そのものが低賃金化あるいは不安定雇用を促進するという制度そのものの変質につながっているんじゃないだろうかという懸念を持っています。労基法とか派遣法、職安法と一緒に出されてきているということも私は偶然ではないというふうに思うんです。
 こうした雇用の在り方あるいは労働のルールの在り方に対して、今度の雇用保険の制度改定というのはどんな影響を与える危険があるか、お話し願えればと思います。
#32
○参考人(龍井葉二君) これも先ほど手短に申し上げてしまったんですが、やはり今起きている事態が私は尋常なものじゃないと思っているんですよ、先ほど申し上げた数字も含めて。大きな流れとしてそういう働き方が多様化していくだろうと言われるけれども、それは働く側の選択肢ではない。今の尋常じゃない、本当に一時期の、短期に、さっき暫定という言葉も出ましたけれども、それが本流になり掛かろうとしているわけですよね。だから、それが、セーフティーネットというものが、これはよく言われますように、下がれば、おっこちれば死ぬわけで、何とかあればいいということじゃないわけですね。
 ですから、そういう意味で、私は、御指摘のワークルールの問題にしても、今起きてしまっている事態が尋常なものじゃないということをどう戻すかというのではなくて、むしろそれを促進するというふうに、政府の一連の施策は後押しをしているという認識を持っております。
#33
○参考人(佐藤陵一君) 労基法が改定される、解雇は原則自由、それから有期雇用、これはもう賃下げか、不服だったら次の契約はありませんよ、それから裁量労働、これはノルマに追われる、そしてただ働きで残業代が出ない、それから派遣労働、これは今まで六か月間で繰り返していたのが三年ということでほっとしたと思ったら、実は三か月雇用だとか二か月雇用だとかという契約が結ばれるということが一方では起こっているわけですね。
 こういう中で、不安定雇用が働く労働者の三分の一になろうとしているという状況の中で、実は今回、一年未満の短期の失業に付く場合も就業促進の手当を出しますということをやろうとしているわけです。これはもう一年未満の短期雇用、不安定雇用を促進をするという政策への転換だと私は見ています。ですから、それはやめるべきである。もう長期雇用を基本に据えた政策理念、これを据えて行政は執行されなければならないというふうに私は思っています。
#34
○小池晃君 最後になるかと思うんですが、佐藤参考人に、交付金事業の問題です。
 これは制度発足以来、全国の中でも最も厳しいと思うんですが、北海道の中で、佐藤参考人は失業者の意見も聞きながら改善の提言もされてきておると思うんです。その取組を通じて、今後、交付金事業、どうあるべきか、どう発展させていくべきか、改善するべき点なども含めて、失業者の思いも含めて御提言いただければというふうに思います。
#35
○参考人(佐藤陵一君) この制度、私非常に注目しました。これはもう民間委託の形を取っていますけれども、失業者に直接的な雇用の機会を保障する、そういう点では従来の民間活力型企業助成の枠を超えているわけです。同時に、公共投資の一部を失業者の救済を目的に執行しているという点で注目をしました。運動もいろいろ努力をしてきました。
 例えば、小樽の市には国から交付金が二億円来る。失業者の皆さん、自分たちの知識や技能を生かして、そして小樽市に仕事を作らせてそこに働こうという運動をずっと都市でやってきたわけです。これは非常に大きな変化をもたらしています。
 そういう中で私が望みたいのは、先ほど沢先生言われましたけれども、この建設政策研究所の調査は私どもの労働組合が委託をして、私も参加をしてまとめたものです。それで、望みたいことは、まず予算の増ですね。これはもう年間大体一千億段階、五、六年、七年間で七千億ぐらいですから。ですから、私はゼロが一つ足りないというふうに言いたいと思います。それから、法制化はやっぱりしていただく必要があると。これは、失業情勢に機動的に対応できる、伸縮自在に対応できる、そういう形で法制化。そして、就労期間の問題でもいろいろ問題があるんですけれども、失業者の実態や実施している自治体の意を受けて改善を図っていただきたいというふうに考えております。
 以上です。
#36
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
 三人の参考人の先生には、本日、本当にありがとうございます。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 そこで、龍井参考人の方から現状の認識についてお話がありました。私も同感でございます。今現在、ドラスチックな労働市場の変化、その制度設計の前提条件が崩壊しているという認識、これが政府の方にないということが非常に問題で、それでここの委員会の中でもなかなか議論がかみ合わないという原因になっているというふうに私も思っております。
 今回、中島参考人の方からは五年間の安定的な制度の運用ということは大丈夫だというふうなお話がありましたけれども、一昨日の大臣の答弁でも、今回の改正で五年きっちりもつのかということに関しては、それについて責任が持てるのかという私の質問に対しては、大臣御自身も、歯切れが悪くて済みませんというふうなお話もありましたし、私も早晩、今回の改正では次もう一回改正を余儀なくされるのではないかというふうに懸念をいたしております。
 それで、中島参考人と龍井参考人に伺いたいんですけれども、今の経済状況というのは単に景気が悪化しているということだけではない、デフレの様々な圧力によって日本の年功序列の賃金体系、それから終身雇用制度、こういう労働市場の構造的な変化が今迫られていると。安定するまでには、雇用環境が安定するまでにはしばらく掛かるのではないかというふうに私は認識をしておりますけれども、その点についてそれぞれの参考人の御意見を伺いたいと思います。
#37
○参考人(中島芳昭君) まず、先ほど私、意見のところでも申し上げましたけれども、限られた日本という、限られた雇用市場の中での話ではもはやなくて、結局、商品とかサービスということを通じてでございますけれども、世界とつながってきてしまっているわけでございます。したがって、そういう中で日本の商品とかサービスが世界に通用するものであり続けなければいけないわけですから、もし通用しなければ、通用しなければという言い方はおかしいですけれども、よく言われているように、産業空洞化、日本でもう物作りをしない、海外へ行って作るんだと。これがいろんな意味でそちらの方がメリットがあれば、企業は、これはやむを得ずだと思いますけれども、出ていってしまうわけで、そういう点で単純に、今までの延長線上で日本の国内だけでの雇用ということでは見れない時代になってきたのは間違いないと思います。
 そういう中で、年功序列、終身雇用が崩壊しているというお話ございましたけれども、一見そういうふうに、これは私の私見でございますが、そういう部分もあるかと思いますけれども、ただ、やっぱり日本の企業というのは基本的な部分では終身雇用とか年功序列というのを多分これからも大事にして、基幹的な部分、いくんではないだろうかというふうに、分野分野によりますけれども、そういうふうに思っております。
#38
○参考人(龍井葉二君) 結局、今論じられている企業の生き残りあるいは競争力といったものが、繰り返し言っていますように、今だけ、短期の財政のつじつまを合わせればいいのか、いや、そうじゃなくて、将来にわたる担い手、人材をどうやって確保し育成していくか、大きく言って、その分岐点だと思うんです。
 今勝ち残ればいいんだといっても、それは雇用も保障されないし、それで労働条件だってどうなるか分からないようなものを今優先するのか、そうじゃなくて、将来にわたってその企業なり産業なり地域経済なりに必要なコアになる技術、技能、人材をどうやって我々が培っていくのかと。どちらにその政策のスタンス、そして企業経営のスタンスを置くかということが問われているのであって、私は、今、お話は私ども心強くお聞きしましたけれども、やっぱりそこの視点を見誤って、その方向を前提にこうしたセーフティーネットの見直しをするというのは将来に多分禍根を残すだろうというふうに思っています。
#39
○森ゆうこ君 一方で、小泉内閣になりましてからそのような構造変革を求めてという意味合いもあるんだと思います。ハードランディング路線、竹中大臣に言わせますとグッドランディングだそうですけれども、そういう方向性を取っている。今年になってからは改革加速プログラムということで、そういう方向を更に加速しようとしている。
 そのような政策を取る場合に、総合的な政策判断として、政策パッケージとして、やっぱり失業率をどう見るか。失業率をその場合六%なんというのは甘いんじゃないかというふうに私は思っております。むしろ一〇%ということも覚悟するという厳しい見通しに立たなければいけないんではないかというふうにも思っておりますけれども、このことについて中島参考人、龍井参考人の御意見を伺いたいと思います。
#40
○参考人(中島芳昭君) 先のことはよく分かりませんけれども、構造改革を進めることによってやがて日本が安定的な成長期に入れるという前提だとすれば、一〇%までは行かずに済むんだと思います。うまく構造改革が本当に進むのかどうか、今の進め方で、そこのところはよく分かりませんけれども、是非そうあってほしいというふうに思っています。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
#41
○参考人(龍井葉二君) これは私どもは安易な予測をしたくないと思っているんですが、ただ、政策の前提として考える場合には、そうはさせてはいけないという前提で政策スキームを作るべきだと私は思います。
 したがって、先ほど、今の措置が小泉内閣登場あるいは骨太方針で示されたように、二年か三年か別にして、その痛みを伴う時期の一時的なセーフティーネットの強化として言われているのか、それとも、それはもうそうではないんだと、これが、この異常な状態がもう将来続くという前提で立てられているのか、やはりここが今回の見直しの認識でもまだきちんと示されていないんじゃないかと思っています。
 私は、先ほど申しましたように、セーフティーネットを張って、そしてそのことがいろんな活力を生み出していく、したがって実際にはネットに落ちてこなくて済むという施策が望ましいと思っています。ですから、そのときに、もしもこのセーフティーネットを厚くする、あるいは穴を大きくして落ちてくることを前提にそこのつじつまを合わせるとすれば、当初言っておられたような、構造改革から明るいものが見えるということに対する確信がないことの表れだろうというふうに断ぜざるを得ないと思っております。
#42
○森ゆうこ君 そこで、ワークシェアリングについてそれぞれの参考人に伺いたいんですけれども、様々な問題ありますけれども、企業内の所得の再配分ということを議論をするということについて、もう先送りを私はできないのではないかというふうに思っております。
 このことについては、ある意味では正社員の既得権にもメスを入れるということになると思いまして、それぞれのお立場でそれぞれ勇気を持ってここでもう議論をし、そしてある程度結論を出すべきときに来ているというふうに思っておりますが、そういう観点に立ってワークシェアリングについてどうお考えか、それぞれの参考人に伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#43
○参考人(中島芳昭君) いわゆる大企業でございますと余裕がございますので、例えば社内で本来リストラしたい人間についても、ワークシェアリングというような考えで、そのまま置いて使うというようなことは可能かと思います。しかしながら、中小企業ですと、もう限られた人材でやっているわけでございますので、社内ですら、先ほどもちょっと御説明しましたように、本当にもう辞めてもらわざるを得ない人は辞めてもらわざるを得ないというようなことでございますので、いわんや現状にプラスして、ワークシェアリングでプラスアルファで外の人を雇って、今までの人を一人分を二人でやるというようなことはこれはコストの増以外の何物でもございませんので、非常に難しいんではないかというふうに中小企業の方々は考えているのが多数だと思います。
#44
○参考人(龍井葉二君) 今、いみじくも企業内の配分とおっしゃられましたけれども、私どもはそれ以上に重要なのが企業を超えたシステムとしての時間、賃金、そして雇用の再配分だというふうに考えておりまして、したがって、それは今の働き方の多様化というのがその方向には確実に行っていないという前提で、その働き方の選択肢が労使双方にとって、これは政労使の雇用対策会議でもそういう議論をしているわけでございますけれども、そのインフラの整備がされる、そして均等待遇なりのルールが作られると、その前提で今おっしゃられた再配分というのは起きていくだろう。その場合に、私は、つい賃金だけが語られてしまうわけですけれども、私は、やっぱり時間優先、時間の選択権という方向にシフトしていく、それがワークシェアリングの望ましい姿だと思っております。
#45
○参考人(佐藤陵一君) 私は、直ちに手を付けるべきはサービス残業をなくす、それから残業を規制していくということが全体として日本社会の中で今必要だというふうに思っています。
 同時に、基本的にワークシェアリングは賛成ですけれども、賃下げなし、所得の減少なしという問題をどういうふうに追求するのかということも実際の現実の労働者の生活との関係では議論が深められる必要があるというふうに思っています。
#46
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
    ─────────────
#47
○委員長(金田勝年君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、大脇雅子君が委員を辞任され、その補欠として田英夫君が選任されました。
    ─────────────
#48
○西川きよし君 参考人の皆さん、早朝より御苦労さまでございます。西川でございます。よろしくお願いいたします。
 早速でございますが、私の方からは、まず龍井参考人と佐藤参考人にお伺いをしたいと思うんですが、昨年の十二月でございますが、雇用保険部会の報告書の中で、雇用保険の適用を的確に進めるため、新たに雇用保険加入手続が取られた場合、その事実を本人が確実に把握をする方法を整備する必要があるのではないかというような指摘がございますのですけれども、平成十三年度の労働保険適用事業数約三千五万件、全事業数からすればかなり少ない数字ではございますが、会社が労働保険の加入手続を取っていなかったことを知らずに、そして会社が倒産をして、雇用保険の手続に行ったときに初めてそのことを知ったケースというのがやっぱり多々あるわけですね。こういう珍しいというケースも指摘されているわけですね。
 そうした実態なりお考えを是非この機会に龍井参考人、佐藤参考人、お伺いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
#49
○参考人(龍井葉二君) 今、先生御指摘のように、倒産に限らず、私ども今全国で地方連合会で労働相談のダイヤルをやっているわけですけれども、私自身も何件も受けた中で、退職をされて、そのときに離職票の手続をしようと思ったときに入っていないことが分かった、ざらにあるわけですよ。
 ですから、これは当然先ほどの、こうは思いたくないんですけれども、特に先ほどの例はパートタイムのことだけ申し上げましたけれども、どうしたらやはり社会保険あるいは労働保険を値切れるかという経営者が残念ながら多いのが実態で、実は社会保険の方でもそういう、後になって分かったというのが、トラブルが続発をしているわけですね。
 私は、これは正に受け取るかどうかじゃなくて、これが全員の権利であるということの周知が、私どももしますけれども、こうした改正、改定の機会にそういうことの指導を、周知徹底するということを是非お願いしたいというふうに考えております。
#50
○西川きよし君 ありがとうございます。
#51
○参考人(佐藤陵一君) 今お話ありましたように、私どもも日常茶飯事、労働相談を受けています。その中で、雇用保険が実は掛かっていなかったという問題はもうしょっちゅうです。それらに対しては、その間の事情をずっと整理をして調査をして、職安とハローワークと話合いをして、遡及をして、そして適用をして救済をするということをやっています。ですから、この問題はもっと周知徹底、指導が図られる必要があるというふうに思っています。
 ちょっと関連して、今、雇用にお金を節約をするということで、今までの人を臨時だとかアルバイトという形で掛けて社会保険を掛けないとか、あるいはシルバー人材センターに労働力を求めて、そして社会保険関係、そういう費用を削減をするという動きが非常に強まってきているということも併せてちょっと申し上げておきたいと思います。
 以上です。
#52
○西川きよし君 その適用事業所でありますけれども、例えば平成十三年度、労働保険料全体での未納額が何と八百億円を超えているということですが、その中にありまして、このような経済状況ですからやむにやまれぬという事情がある場合もあるでしょうし、全くの悪質なケースもあると聞いております。
 雇用主のお立場から、こういった点についてのお考えを再度、龍井参考人、佐藤参考人にお伺いしたいんですが。
#53
○参考人(龍井葉二君) 私は、やっぱりこれは、それこそここの信頼感が崩れたらもうモラルハザードの最たるものになるわけで、やっぱりこれは、先ほどの繰り返しになりますけれども、その周知徹底と同時に、どれだけ今の職安行政そのものがそうした個別の実態の把握と、申告があって、あるいは今御指摘のように、我々も相談を受けてから問題化するのではなくて、事前にそういうことができるかという体制の整備も含めた指導強化というのは是非お願いしたいというふうに考えております。
#54
○参考人(佐藤陵一君) 未納八百億円という話は私十分承知していなかった話なんですけれども、北海道はもっと深刻なんですね、滞納という点では。
 ですから、いろんなやっぱり困難はあろうと思うんですが、基本的にはやっぱり納入を図っていく、そういういわゆる指導というんですか、周知、これを丁寧に強めていく必要があるんだろうというふうに思っています。
#55
○西川きよし君 次に、ハローワークについてお伺いをしたいと思うわけですけれども、これも報告書の中の指摘でございますけれども、これまでにも度々言われておるわけですけれども、せんだって山本先生の方からは、渋谷の方にお出向きになったときには、大変すばらしい、プライバシーも守られて、いいところであったというふうにお伺いしておりますけれども、このハローワークにおける職業相談でありますね、職業紹介がしっかりできているところ、できていないところ、そしてまた失業認定などの業務が難しくて、なかなか全体に人手も足らないし手が回らないというような状態もあると思うんですね。
 こういった点につきまして、みんな本当に、こういう社会経済情勢の中、お仕事がない、若い人たち、もちろんヤングハローワークなども新たにスタートしているわけですけれども、三人の参考人の皆様方にそれぞれのお考えをお伺いしたいと思います。
 まず、中島参考人からよろしくお願いいたします。
#56
○参考人(中島芳昭君) 事業主側としては、ハローワークを使って採用するについては、なるべくたくさんの人の中からいい人を採りたいというのが一般的には希望ではございますが、国が職業紹介をするという観点でいえば、皆さんに、職を求めている人皆さんにひとしくチャンスを与えなきゃいけないという多分ことでありまして、それはそれでごく当然だと思います。
 そういう観点で、今までは紹介をしていただく方が取りあえず一人ずつしか紹介していただけませんで、お会いして、ちょっとこの方じゃどうかなと言うと次の方をまた紹介していただけるというようなシステムでやってきたようであります。
 それは、それでも今まで会った方の中じゃこの人がいいかといって採用をするというようなことであったわけですけれども、なかなかこれですと本当に気に入った方が採用できないというような観点で、一般ですと、新聞広告をばっと出せば十人とか二十人とかどっと来るわけで、その中から一人選べるわけで、そちらの方が簡単に、それでいい人が選べるというようなことで、どちらかというとハローワークは余り利用せずにそういう方法を取ってきた企業が多いかと思いますけれども。
 ハローワークの方もいろいろ改善していただきまして、事業主側が行って説明をさせてもらうと、みんなの前で、そこに十人とか二十人とか関心ある人が出て話を聞いているというようなことで、その中で、説明会が終わった後で就職希望の方が会社に来られるというような仕組みにもしていただいておりますので、少しずつではありますけれども、採用する側の観点もハローワークに取り込んでいただいてきつつあるというふうに思っております。
#57
○参考人(龍井葉二君) これは実際、私どもも相談なり、それから地方連合会の話の中で、やはりこれが十分に機能しているかというと、多々不満の声も寄せられております。
 ただ、問題はやっぱり、今ハローワークに行ったら分かりますけれども、みんな画面に向かってやりますよね。結局、マッチングというのは、かつて余裕があるときは多分担当者の方も求人情報、求職情報、両方頭に入って、もちろん差別的な取扱いはできませんけれども、そうした情報を持ってマッチングされていた。今、その余裕がほとんどなくなっているというのが実態だと思います。
 今、幾つかそれを自治体レベルのところで、例えば先ほどお話しになった特別交付金を使って求人求職、求人情報の開拓でやってネットを作るとか、いろんな知恵が今出されているわけですね。それから、アビリティガーデンのように、職業能力開発と再就職の支援というのをセットして、マッチングの実績が高いといったノウハウを持って、これも今ノウハウだけは全国に展開されようとしていますけれども、そういう意味で、幾つかそういう知恵が出てきているんじゃないか、それをどれだけ有効なものにするかということだと思います。
 私は、これは特に中高年の、今一番大変な人のことを考えると、安易に民間にということだけでは、これは必ずしも銭金になる話ではありませんから、そこに任せる、任せ切ってしまうわけにはいかない。きちんと、正に基本的なベースの仕事としてハローワークの機能強化というのは今後とも必要だろうというふうに考えております。
#58
○参考人(佐藤陵一君) 基本的には、ハローワークの機能や役割を強化する必要があるというふうに思います。
 それで、その中身はやっぱり体制の、人の問題なんですね。それで、ヨーロッパの話、フランスの話なんかもちょっと聞きましたけれども、もう日本とは比べ物にならないぐらいやっぱり求職相談、就職相談の体制があるわけです。そういうことが重要だと。
 それからもう一つ、中身ですけれども、今就職促進の名で、今回は法律にも誠実かつ熱心にやるということが改めて書かれましたし、それから現場ではもういろんな形でその誠実かつ熱心の中身が問われるわけですね、やっているかどうかと。というようなやり方はやっぱり避けられるべきだと。本当の意味で、求職者の思いを受けながら就職、求職活動をするというようなことが望まれると。例えば、札幌で障害者、耳の障害のある人がやっぱり相談できないんですね。で、配置されたらそこで障害者の雇用が進んだという経験があるわけです。
 これはもうあっちこっちの職安に全部いるわけじゃありませんから、そういう意味でも体制、人、この問題が非常に重要になっているというふうに私は見ています。
#59
○西川きよし君 ありがとうございました。
#60
○委員長(金田勝年君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただき、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしましてお礼を申し上げます。(拍手)
 午後一時まで休憩といたします。
   午前十一時三十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#61
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、浅尾慶一郎君が委員を辞任され、その補欠として池口修次君が選任されました。
    ─────────────
#62
○委員長(金田勝年君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省職業安定局長戸苅利和君外九名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#64
○委員長(金田勝年君) 次に、雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#65
○今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。
 質問通告はしておりませんので答弁は必要ございませんから、要望だけまず最初にしておきたいと思います。
 今日のお昼のニュースにも出ておりましたけれども、例のSARSの、何というんでしょうか、伝わり方が非常に速い、あるいはまた、今まで隠していたのを表面に出てきたのかもしれませんが、かかっている患者が五千人に迫っている、死亡者も二百八十人を超えてしまったと、こういう状況でございます。
 幸いにしまして、我が国の場合はまだ真性の患者はいないということで、これは大変結構なことではございますけれども、常識的に考えてみまして、中国や香港との日本との人事の交流、あるいはまた日本の、ただ単に飛行機だけの人の往来だけではなくて、大変広い海岸線を持っている国でございまして、海上でも接触もいろいろな形であるような国でございます。これを水際で防ぐのは国土交通省の管轄かもしれませんけれども、万が一にでも国内にそういう状態が生まれた場合には、これは厚生労働省の当然管轄下になるわけでございますから、十分にその体制を整えていただきたいと、こういうことをまずもってお願い申し上げておきたいと思います。これは要望だけでございますので、結構でございます。
 それでは、まず最初に、この雇用保険制度の問題は、ちょうど同じくこの厚生労働委員会が担当しております医療保険制度に非常に似ている一面がございまして、いわゆる失業者になったという方は、保険制度でいうならば、医療保険制度でいうなら患者になったと同じような、表現は悪いかもしれませんけれども、そういう状態でございます。その保険を使わなくて済むようなのが最も望ましいわけでございます。そのためには、医療でいうならば、予防ということが最大のこれは命題になるんでしょうから、その意味で、雇用の問題で考えてみるならば、失業者を生まないようなやはり経済運営というものをやることが国家としての最大の責務だろうというふうに考えているわけでございます。
 これまでいろんな形で経済運営、経済対策が打ち出されてまいりました。残念ながら、必ずしもその効果が生まれて失業対策にも十分効果が表れているということは言えないわけでございまして、一体この長期にわたる高い失業というものは、最大の原因は一体何にあるんだろうか。
 最近の状況をつらつらこう見てみますと、ちょうど三年置きに台替わりをしているわけですね。九五年に二%が三%台に乗ったと思ったら、三年後にまた今度は四%に乗った、今はもう五%台。ちょうど三年ごとにこれが台替わりをしている。こういうことは予測もしたくないわけでございますが、二〇〇四年には台替わりになるんじゃないかと、こういう心配もあるわけでございまして、このような非常に高い失業が続いている原因というのは一体どのようなところに原因があるというふうに大臣としてはお考えになっているのか、これをまずお聞きしたいと思います。
#66
○副大臣(鴨下一郎君) 先生のおっしゃることを厚生労働省が十分にお答えできるかどうかということについてはなかなか難しいところもあるわけでありますけれども、おっしゃるように、現下の雇用失業状況につきましては、本年の二月の時点で完全失業率が五・二%と多少、〇・三%程度低下をしているわけでありますけれども、完全失業者の数も三百四十九万人とある意味で依然として高い状況にあると、こういうようなことの御指摘であります。
 こういう中で、それではこの高止まりしていることが一体どういう原因によるものかというふうなことでありますけれども、もう先生も十分に御承知の上でお尋ねになっているんだろうと思いますが、私どもがお答えできる範囲で言いますと、一つは、ある意味で景気変動に伴う短期的な雇用失業状況の動向があるということと、さらに産業構造の変化、また様々な予測の付かない国際的な状況の変化を踏まえた経済のグローバル化に伴う状況、さらに雇用就業形態が多様化していくというようなことでのある意味での広い意味でのミスマッチのようなもの、こういうようなものが複合的になって現在の状況を作っているんではないかと、こういうふうに解釈しているところでございます。
#67
○今泉昭君 今、副大臣が言われましたように、厚生労働省としての主なる失業対策というのは、むしろ出てからどのようにその人たちに対する救済策を取るかということ、さらにはまたそれ以前にそういう事態にならないように働いている人たちに対する事前の準備に対するいろんな施策を取るということが主な役割ではないかと思うわけでして、一番重要な国の経済を活性化をして雇用の場を大きく作っていくというのはまた別の省庁、経済産業省なりあるいは政府全体としての役割になっていくだろうと思うんですが。
 何といいましても、失業者を生まないためには、働く人の仕事の場をいかにして作っていくかということは重要なことでございまして、厚生労働省としても当然自分たちの省の中で主体的に作っていくということはできないにしても、内閣という場におきまして当然それなりの主張なり建議をされているのが普通のやり方ではないかと思うんですが、そういう意味で、いろんな形でのこれまで労働省としては雇用対策を取ってこられました、幾つかの。
 そういう効果というのは、例えばこれまでいろいろ出されている様子を見てみますと、これだけの費用を使ってこういう問題に対して対策打つことによりまして何万人の雇用増を予定をしているとかというような形で、幾度か私ども耳にしてきているわけでございますが、そういう意味で、今まで何度か打たれてきた雇用対策の結果、どういうふうな形で雇用が創出されたというふうに認識されているのかどうか、そのことについてちょっとお聞きしたいと思います。
#68
○副大臣(鴨下一郎君) おっしゃるように、厚生労働省としてもある意味で雇用の機会を作る、それからミスマッチの解消等については、ある意味で事後的なことだけではなくてむしろ積極的に対策を練っていくと、こういうようなことはもうおっしゃるとおりであります。
 そういうような観点も含めまして、一つは、先生御存じであります緊急地域雇用創出特別交付金につきましては、これは十三年度は三か月間で約二万三千人の新規雇用を作りましたし、十四年度は約十四万人の新規雇用創出を見込んでおります。
 また、新規・成長分野雇用創出特別奨励金等につきましては、これは平成十三年度の十二月から本年の二月末までに約六万八千人の新規雇用を創出し、さらにこれは若年者への試行雇用を通じた早期再就職の推進等につきましては、平成十三年の十二月から平成十五年の二月までの終わった方々の中で約八割が常用雇用に移行をしていると。
 こういうようなことで、やれることにつきましてはできるだけ積極的にやるべきということと、さらに今度は情報を提供していくという上では、これはハローワークのインターネットサービス等が企業名の提供、こういうようなことによりましてアクセス数が約倍に増えているというようなこと、それから官民の連携を含めたしごと情報ネットワークでは一日当たりのアクセス数が八十九万件というようなことも含めまして、できるだけそういう意味では、雇用を作りつつ、なおかつ様々な情報を提供すると、こういうようなことをやってきたわけでありますけれども、ただ、それがこれだけの予算をつぎ込んだらこれだけの効果があったということにつきましては、更に詳細に常に評価をしつつ前に進めてまいりたいと、かように思っております。
#69
○今泉昭君 内閣府の方にお聞きする前に、もう一点だけ労働省にお聞きしておきたいんですが、雇用の状況を見ながら今回の雇用保険法を改定をされるということになっただろうと思うんですが、労働省の立場で考えてみて、たまたま二月は五・二%の失業率でございました。前の月から比べると〇・三ポイントぐらい下がっている。一面では雇用情勢が好転してきたのかなと単純に考える人もいないわけではない。しかし、一般的には必ずしもそうではないよという見方なんですが、労働省の見方としては、今年一年から来年にかけての我が国の雇用情勢というのは、どちらかといえば改善をしていくという見方に立っているのか、それともまだもう少し厳しいのが続くという立場に立っていらっしゃるのか、その点をちょっとお聞きしたいと思います。
#70
○政府参考人(戸苅利和君) 政府の見通しですと、本年度の失業率は五・六%ということになっているはずであります。昨年度の実績見込み、あした三月分が出ますけれども、恐らくこれは五・四%にとどまるんじゃないかと思います。そういった意味では、政府の見込みとしては失業率が高まるだろうと、こういう見通しに立っているということだろうと思います。
 最近の雇用の動向を見ますと、求人は増えているということはございます。それから、非自発的な失業者が減るという月がかなり見られるようになったという意味で、一面、産業活動、鉱工業生産がどう動くかということ、それから時間外労働がどう動くかと、その辺り全部見ないといかぬわけですけれども、リストラの動きというのは、不良債権の処理がどう動くかということが今後の留保条件としてありますけれども、やや一段落今しているのかなという印象は持っております。
 求人も増えていますし、それから新規学卒者に対する求人もやや増えてきていると。例えば、この三月の高卒、新規高卒者の求人もこの一月、二月、三月に地方の話を聞きますとやや増えてきたということで、就職決定率もまだ今集計中でありますが若干の改善はされるんじゃないかというふうな見込みでおります。
 ただ、本年度一杯ということになりますと、消費の先行きがどうなるのかとか、あるいはアメリカ経済がどうなるのか、それから冒頭にお話ありましたSARSの影響がアジアにどう出てくるのか、それに対して日本の産業活動がどうなるのかと、いろんな不安定要素がありまして、我々として今申し上げられるのは一進一退という状況なのではないかというふうな印象でおります。
#71
○今泉昭君 内閣府の方にお伺いしたいと思うんですが、今年の、十五年度の経済成長を政府として見込んでいらっしゃるのは、実質では多少のプラスを見ているけれども、名目ではマイナス〇・四%程度、大まかに見ると去年と同じぐらいの経済規模を保っていくなというような見方だろうというふうに私も見ているんですが、この経済見通しに恐らく、先ほどもちょっと話に出ましたSARSによるところの影響が今後の我が国の経済にどのように影響を及ぼしていくのか、さらにまた、イラク戦争は幸いにして早期に解決をするという状況になりましたから、影響が大きいか小さいか分かりませんが、これらの影響というものは恐らく組み入れていない中での経済の予測を立てられたと思うんですが、これらの影響がどのように今年の我が国の経済運営にかかわってくるというふうに考えていらっしゃるか、その点をお聞きしたいと思います。
#72
○政府参考人(大守隆君) 現下の経済情勢につきましては、景気はおおむね横ばいとなっておりますが、御指摘のように、イラク問題の動向やアメリカ経済の先行きなど不透明感があるわけでございます。
 それからまた、SARSにつきましても、現時点では十分な判断材料がないため一概には申し上げられませんけれども、今後日本経済にも相当の影響が及ぶ可能性も考えられると思っております。
 今後でございますけれども、今申し上げましたような不透明感はございますが、一方で、政府、日銀一体となった政策の効果の発現ですとか、それから年半ば以降には世界経済も徐々に回復していくことが見込まれるということもありますので、全体としましては我が国経済は民間需要の穏やかな、緩やかな回復へと次第に向かっていくと。これは政府経済見通しで想定していた姿でございまして、実質では〇・六%程度の成長率、名目ではマイナス〇・二%程度という姿におおむね沿ったものになるというふうに考えております。
 なお、申すまでもありませんけれども、今後の動向については引き続き内外の経済状況を注視していく必要があるというふうに考えております。
#73
○今泉昭君 東南アジアの経済と我が国の経済、大変最近は東南アジアの経済の活性化に伴いまして影響力が相互に強まっているという状況にありますね。
 そういう中におきまして、最近いろいろなシンクタンクの発表によりますと、大幅な東南アジアの経済についてのマイナス的な修正がなされてきている、こういうことを考えますと、輸出で言うならばアメリカと同じぐらいの規模の輸出量がある、輸出入量がある東南アジアが大幅に落ち込むということは我が国経済にとりましても相当な影響があるというふうに見なければいけないんじゃないだろうかということを一つは危惧いたします。
 それから、アメリカ経済につきましても、イラク戦争、特にあそこはSARSよりもイラク戦争でしょう、一番大きな影響を受けて消費マインドが大分冷え込んでいるというようなニュースが相次いで入っております。今日辺りは少しは心理的な意味での回復も、短期間で終わったからというような情報もありますけれども、いい状況というのは両面から考えてみましてもないような気がしてならないんです。
 そういう意味で、例えば私の知っている範囲におきましても、今回のこの東南アジア、SARSの問題で、一日に何千件というキャンセルが中堅旅行社でも起きているわけですよね。例えば、JASだけで見ましても、航空便を三分の一ぐらいにまで減らしているというような状況でありますから、そういうことを見てみましても、果たして内閣府の方で見ているように、当初予定しているというのと同じような安心で見ておられるのかどうか、非常に私は心配なんであります。特に、マイナス成長を名目では見ていたけれども、これはあくまでも物価下落によるところのマイナス成長でありましょうし、実質的にはプラス成長を見込んでいたわけでありまして、後半の回復を特に期待していると思うんですが、逆な意味で後半に対しての危惧が出てくると、こういうような見通しもあるんですね。そういう意味で、一番心配なのは雇用がそれに伴ってどうなるかということなのであります。
 そういう意味で、内閣府の方で見ておられる雇用という面、この経済との関係で当初の予定どおりの、今年は五・六でしたかね、失業率が、それで収まるというふうに考えてもよろしいかどうか、どういう見方をされているか、お聞きしたいと思う。
#74
○政府参考人(大守隆君) 政府経済見通しで、委員先ほど御指摘のとおり、今年度、五・六%程度という数字を想定しております。
 今の段階でこの政府経済見通し全体に大きなそごといいますか、改定しなければならない状況かといいますと、御指摘のようにいろいろ先行き懸念すべきやはり不確定、不確実な要因というのは出てきておりますけれども、全体としましては、先ほど申し上げましたように、もう当初見込んだ姿におおむね沿ったものと、沿った形でいけるのではないかというふうに考えております。
#75
○今泉昭君 内閣府の方は結構でございます。
 今申されたように、我が国の経済を全体に運営をしていく中心の立場にある内閣府がそういうような経済の一応見通しを持っているわけでございますが、今回のこの雇用保険の改定に当たりまして、労働省としても、審議会の考え方もそうだったのかもしれませんけれども、おおよそ当初の予測と変わりないような考え方で臨まれるとするならば、五%半ば程度の失業率であると、こういうことになるわけなんですが、十二年度のこの雇用保険の改正のときに、五%半ばぐらいの失業率であるならば、前回の雇用保険の改定、いわゆる保険料の引上げで賄えるという形で説明もされ、それでもって国会を通過していったと思うんですが、今の経済見通しなどによりますとその五%台半ば程度の状況になっているということを考えますと、何で雇用保険をここでまた上げなきゃならないのか。
 一つには、前回の読みが全く外れてしまった、読み違いであったということに帰結せざるを得ないようなことになるんですが、それとも、いや、今年は五・六だけれども、先ほどの御説明にありましたように、日本の経済の構造変化等々も考えて、来年、再来年、ここ三、四年の動向を考えてみるともっともっと失業率が高まるよ、七%、八%という可能性もあるというところから、準備のためにも財政のこれ以上の悪化を防ぐ意味で今回急いで引上げを検討されたのかな、こういうふうにどうも受け取らざるを得ないんですが。
 しかも、昨日、おとといですか、おとといのこの委員会の審議におきまして、所管局長の説明によりますと、前回のときは失業率が中心だったと、失業者の数の問題、予想以外に高まった、あるいはまた高齢者で賃金の高い人の受給者が増えたということが読み違いの原因だったというお話でございましたけれども。失業者の数を見てみましてもこの三年間、大体三百万台を外れてないわけでありまして、そう大きな失業者の数とも、変化とも考えられてないんですが、そうすると、これからの三、四年間は相当大幅な失業者の数が増えるということを見込んだ雇用情勢をあらかじめ考えていらっしゃるのかどうか、その点についてお聞きしたい。
#76
○政府参考人(戸苅利和君) 確かに、前回の改正におきまして、弾力条項の発動まで含めますと五%台の半ばまでは何とか収支が均衡すると、こういう想定の下に改正を行わせていただいたわけでありますけれども、これについては失業率が前回の改正でもつはずだった五%台半ばになっているわけでありますが、それでどうして破綻したのかと、こういうお話でございます。
 原因は二点でございまして、一つは、今御指摘のとおり、失業者に占める、雇用保険の受給者に占める中高年の比率が当初の予想を大幅に上回ってしまったと。具体的に申し上げますと、前回の改正時では受給者に占める中高年の比率は三〇%とこう見込んでおったわけですが、実際には四〇%になっておると、こういうことであります。三割増えているということであります。
 それからもう一つは、倒産・解雇による離職者の方、こういった方について、前回の法改正では所定給付日数を延ばしたわけであります。それで自己都合の方の給付日数を圧縮したと、こういう給付の重点化を行ったわけですが、給付の重点化が、所定給付日数を延ばしたその倒産・解雇による離職者の方の、そういった方々の数が当初の見込みをかなり上回ってしまったと、こういうことであります。当初の見込みをこれも一割ぐらい上回っていると、こういうことでありまして、失業者自身も平成十二年度が三百十九万で十三年度が三百四十八万ですから若干の増加はしておりますけれども、大きな理由は今言ったようなことで、要するに、賃金水準が高く、したがって基本手当の受給額、給付額の高い人のウエートが高まった、それから所定給付日数の長い人のウエートが高まったと、こういうことで失業の中身に大きな変化があったということが理由ではないかというふうに思っております。
 今回につきましては、これも何度も申し上げておりますが、失業率を試算のベースに用いることを今回はやめまして、雇用保険受給者の動向を最も端的に表します受給資格決定件数、これをベースに今回の見直しの試算を行ったわけであります。これをどう行ったかといいますと、平成四年から平成十三年の十年間の受給資格決定件数の伸び、これが年平均五%でございます。これを使って、年五%で受給資格決定件数が伸びたとしても五年間程度は安定的な運営が確保できるようにと、こういうことで考えたわけであります。
 もう一点申し上げますと、この十年間どういうことが起きたかと申しますと、一つは、バブルの崩壊によって雇用情勢が平成四年ぐらいからかなり悪化をいたしました。それから、平成九年には、これはアジアの通貨危機がありまして、このときも雇用情勢がかなり悪化している。それからまた、平成十三年にアメリカの同時多発テロ、それからBSE、これでかなり大幅なリストラが行われたということで、この間かなりいろいろな雇用に大きな影響を与える事案も多かったわけで、それが先ほど委員がおっしゃられた台が三年ごとに替わっているということとかなり符合しているんじゃないかという気もいたしますが。
 いずれにしても、雇用保険につきましては、基本的に中期の保険であるというふうに我々認識しておりまして、要するに景気のワンサイクルで、景気のいいとき悪いとき、そのワンサイクルで収支を均衡さしていくということが基本なんじゃないかと、こう思っていまして、そういった意味で、単年度じゃなくて今回は五年間を見て収支均衡するようにと、そういうことを考えますと、先ほど申し上げたように、この十年間にいろんなことが起き、雇用情勢もそのたびに厳しい雇用情勢になったと、それを反映している受給資格決定件数の五%の伸びというものを使ったものですから、中期的に考えますと、今、委員御指摘のイラク問題によるアメリカ経済の動き、それからSARSによるアジアの経済の動き、こういったものの影響が国内にはあったとしても、そこはかなりこの中にマクロ的には織り込むという格好で対応できるんじゃないかと、こう思っております。
#77
○今泉昭君 人間が予測することですから、一〇〇%それが実現できたり、あるいはその線に沿っていくということはでき得ないことはこれはやむを得ないことではあると思うんですが、しかしながら、全体的なトレンドから見て、高齢化社会になっていると、しかも不況が進めばまず真っ先に今の労使関係の中で出てくるのは中高年層以上、高齢者を対象とした肩たたき、そしてその人たちがどうしても失業者として増えるという一つの大きなトレンドは前々から予測されていてよかったと思うんですよ。だから、そういう意味では、大きなやはり前回の改定に当たっては読み違いがあったんではないだろうかなということを私は思わざるを得ないわけです。
 あわせまして、先ほども同時多発テロの問題も出されましたけれども、今回も同じようにSARSとイラク戦争があったわけでありまして、恐らくこれは保険の改正の間に、恐らく原案が作られる後のことですから、その中には組み込まれていないというふうに見ざるを得ないわけでして、その点の今後の影響が私は大変心配になる。
 そういう意味で、私は、むしろ雇用保険をこのような形で改正するならば、もっと抜本的な改正というものの取組をまず先にやるべきではなかったかなと。何か糊塗的な財政の帳じりを合わせるような改正だけで済ませているような気がしてならないわけでございまして、そういう点につきまして、今回の改正の中にはこのSARSとイラク問題に関しては一応影響ないと、今後も心配ないというふうに受け取っていいですね。
#78
○政府参考人(戸苅利和君) 先ほど申し上げましたように、今回の見直しに当たりましては、今後五年間を通じて収支が均衡するようにと、もうこういう考え方で立っております。そういった意味で、委員おっしゃるとおり、SARSの影響が今年集中的に出るということが仮にあったといたしましても、五年間を通じれば恐らく、恐らくというか、五年間を通じて見ますと収支は均衡ということになると、こう思っております。
 ただ、そのSARSの影響が顕著に本年度現われて、我々の予測をはるかに超えて失業者の方が出る、受給者の方が出ると、こういった場合は予備費を組んでおるということ、それから、更に言いますと、今回の改正で雇用安定資金の残高、これを失業等給付の方に使用できると、こういう規定をいたしておりますので、これで必ず対応できるものというふうに考えております。
#79
○今泉昭君 これまでの審議の中で厚生労働大臣も、質問者に対する答弁の中で時々言われたことは、とにかく働く場を増やさなきゃならないと、厚生労働省の対応だけではとてもではないけれども対応できないんだと、そのためには生産性の高い労働環境を作っていかなきゃならないということを盛んに言われておりました。
 そこで、経済産業省にちょっとお伺いをしたいというふうに思うわけであります。
 経済産業省として、いろんな形で我が国の経済計画を立てられ、そしてこの変化の時代に対応した我が国の経済を一つの方向に持っていこうという努力をされていると思うわけでありますが、今、我が国が一番頭を抱えている問題は、厚生労働省関係としては、一番多くの雇用を吸収できる産業というものが足下からどんどんどんどん崩れていっている、そういう中で、これからの我が国の経済運営の中で雇用を拡大できるような産業というものが我が国の軸になれるかどうか、このことをまずお聞きしたいと思うんです。
 と申しますのは、これまで製造業が中心の経済発展を遂げてまいりました。製造業が一番多くの雇用を創出した産業であることはもう言うまでもないわけでありますが、この製造業が東南アジアの追い打ちに遭いまして、コスト高という状況の中からどんどんどんどん日本の製造業が海外に移転をしていって、それに代わる産業として新しいサービス産業を育成しようということが盛んに言われてきているわけですね。例えば、医療産業、介護産業、教育産業等々、サービス産業を中心とした産業に軸足を置くような声が大変強いわけでありますが、そういう産業において雇用の相当な受皿というものが期待できるような状況にあるかどうか、ちょっとお聞きいたします。
#80
○政府参考人(林良造君) ただいまの委員の御指摘にございましたように、我が国の製造業というのは雇用の重要な柱として今まで活動してきたわけでございます。そしてまた、それらの多くの製造業が現在、海外移転なりあるいは海外進出ということで急速に国内から海外に移動していると。あるいは、海外からの低価格の輸入品ということとの競争で国内の生産は減少しているということは事実でございまして、この結果、国内の製造業の雇用というのは平成十年の一千五百六十九万人から平成十四年の一千二百二十二万へと三百四十七万人の減少になっております。
 その一方で、非製造業の代表でございますサービス業におきまして、同時期に三百二十万人の雇用の増加が見られるということでございまして、この結果、製造業の比率が現在二〇・二%に対しまして、狭義のサービス業が二九・八%というのが雇用における割合になっております。
 それで、これは世界的にやや同じ傾向でございまして、アメリカでも大体八〇年代、七〇年代後半から八〇年代にかけて同様のことが起こりまして、やはり製造業の人口がアメリカの場合には一五%程度までに減ってきているようなこともございます。
 さて、じゃ、どのような産業分野が今後成長が見込まれるか、あるいはその成長が見込まれ、かつその雇用が吸収できるのかというお尋ねでございます。
 特に、世界市場、製造業に関して申し上げますと、世界の市場が一体化して、その中でのいろいろな新しい思わない需要が現れ、そして思わない競争者が現れという中でございまして、なかなか従来、あるいは十年、二十年前のような形でどの産業がどうだというふうに産業をまとめてなかなか申し上げるのは難しいところがございます。
 例えば、自動車とか家電とか、代表的な製造業でございますけれども、それらにつきましても、一面では非常に好調な企業と苦しんでおる企業が出ておりますし、またその中で、例えば低公害車でございますとか、あるいは情報家電と言われるようなITと家電と結び付いたような分野でございますとか、そういうところに新たな市場が現れてきて、そこを中核にしたような企業が大成功していくといったような流れもございます。そういった意味で、こういう既存の産業につきましても、そういう大きな変化の中でいろいろ多様な形を変えながら、引き続き大きなウエートを占めていくということが言えると思います。
 それからさらに、今後の成長ということを考えますと、例えば日本の市場で申し上げれば、非常に環境関係の関心が深い消費者、あるいは高齢者化していく高齢者の方々の使いやすい製品とか、そういった意味で社会構造なりあるいは消費者の嗜好というものの変化がもたらしてくる市場の拡大というところは非常に大きな意味があると思っております。
 そういった意味で、これはサービス業、製造業ともに言えることでございますけれども、こういう点、いろんな切り口があろうかと思いますけれども、我々、一昨年の産業構造審議会におきまして、イノベーションと需要の好循環というテーマで今後の有望市場は我々なりに分析したものがございます。
 その一つのくくり方で申し上げますと、例えばリサイクルでありますとか、環境エネルギーの非常に世界のシステムが変わっていくということに伴って出てくる省エネルギー型の産業、あるいは通信関係の産業、あるいはカーナビのような車の関連の産業というのもございます。それから、生活が変わっていくということに関連いたしまして、御指摘ございましたような医療の関係のサービスでございますとか介護の関連、これのサービスもございますし、また機器もございます。そういった分野、それから、生き方のといいますか、価値の実現と申しましょうか、そういった意味で自己啓発なり教育といったようなところに根を置いたような、これもサービスなりあるいはその関係の資材といったようなものもございます。
 これらのものが、言わば製造業とサービス業が各々両輪となってこれらの分野において大きな流れを作っていき、そしてそれが雇用を、新しい付加価値を作り出し、雇用を作り出していくというふうに流れていくようにというふうな考え方でいろいろやってきておるところでございます。
#81
○今泉昭君 ちょっと済みません、用意した資料を配ってあげてください。(資料配付)
 なぜこういうことをお聞きしたかといいますと、今回の雇用保険制度の改革の中の一つの目玉になっている多様な働き方への対応という柱が設けられております。この問題に正面から取り組むとするならば、日本の雇用構造というものの大きな変化に合わせるような思い切ったやはり労働行政というものが必要になってくるんじゃないだろうかと。それに基づいて雇用保険制度というのも検討していく必要があるというような考え方からなのでございます。
 ちょっと見ていただきたいと思うんですが、今、盛んに言われていることは、今まで我が国の中心を担っていた製造業がだんだんだんだん身を細っていくと、その原因の一つが高コスト構造だと。
 これまで我が国の労働基準法もどちらかといえば製造業を中心とした組み立て方でありまして、製造業に働く人を大多数だというようなふうに見立てた私は組み立て方になっていたんじゃないかと思うんであります。そういう意味で、製造業が崩れるということは雇用に対するいろいろな対応策というのが全般的に変わってこなきゃならないと、こういう基本認識を私自身は持っております。特に、製造業が日本の社会の中からどうしても消えていかなきゃならない、消えるというような表現は大き過ぎるんですが、少なくなっていかなきゃならない原因は、最大の原因は高コスト構造だと言われているわけです。
 ちょっとこの資料の一枚目を見ていただきたいと思いますが、日本の労働者の種類というのは、ここに書いてありますように、A、B、C、三種類の労働者に分けられて大体存在をしてきたと思うんであります。
 この中で、特に代表的な一つのカテゴリーとして言われたのがBの労働者でありまして、この労働者のことを対象にして年功序列型の賃金制度だというような受け止め方が一般的だっただろうと思うんです。というのは、このBの労働者というのは、十八歳で入ったならば、一年仕事をするたびに経験を積め、そして段階的にどんどんどんどん賃金も処遇も資格も上がっていくという、これが大多数の労働者の姿であっただろうと思うわけであります。
 これに対抗するような意味で、対峙するような形で、Aの労働者、すなわち学校を卒業すると急速に技能、技術というものを高めて高い賃金で処遇される人たち、管理職の人たち、高度技能者という方々、こういう一団のグループの労働者があったはずであります。
 それと全く相反して、一番下に書いてあるように、十八歳であろうと六十歳であろうと賃金はほとんど変わらないという、パートタイマーあるいは臨時工、派遣労働者、こういう方々の存在がこれまであって、大きく分けて三つのグループの労働者があったと思うんであります。
 しかし、その中堅というのは、いわゆる正規雇用であり、常用雇用者である真ん中のBというものが我が国の労働者の典型的な姿であったろうと思います。この中の斜線書いてあります上の方は大企業の労働者であって、下の方の線が中小企業の労働者と、こういう幅の中に労働者が、大多数の典型的な労働者がいた。
 ところが、高コスト構造の解消のために企業側がやってきたのは何かといいますと、このグループの労働者を何とか目減りさせていかなきゃならない。すなわち、高コスト構造をなくすためにできる手だてというのは、賃金を下げればこれはできるわけです。賃金ダウンということはそう簡単にできる問題じゃないわけです。労働組合が真っ先にこれ反対するでしょう。その抵抗に遭ってできないでしょう。社会的にも糾弾されるでしょう。
 そうすると、ここに働いている労働者をどんどんどんどん減らしていって、この人たちを、大宗を担っていた人たちをどんどん下に落としていく、下の労働者でこれを補てんをしていく、こういう流れが我が国の中に起きてきている。だから、全体的な流れとしては、今までこのBが中心だったのが、これからCにならざるを得ないという状況の大きな流れができてきているということであります。
 そうすると、当然、労働基準法を中心として各種の労働基準というものをどのように組み立て直すかということも大変重要になってくるわけです。だから、パートタイマー法の新たな検討も派遣労働法の検討もそういう関連で出てきているはずなんであります。
 ところが、今まではそれは例外的な労働者という枠組みでしたから法律も別個に作っていっているわけですね、パート法であるとか派遣法とかという。本来ならば、こういう形の流れが強まっていくならそこが焦点にならなきゃいけない。その人たちをどういう形で法制化、法の中で守っていかなきゃならないかということが重要な課題になるし、雇用保険も同様な形で考えていかなきゃならないと、これが抜本的なすべてのポイントにならざるを得ないと思うわけであります。
 ここに、たまたま私は大まかな数字で言いましたけれども、今でも三千万人程度のBの労働者がいる、六百万人程度のAの労働者がいる。まだまだこのCの労働者は千四百万人程度ですけれども、これは年を追うごとにどんどんどんどん増えていくはずであります。
 こういう形の全体的な雇用構造、産業構造を受けながら、やはり雇用保険法というのも根本的に見直していくという姿勢が一番重要なわけなんですが、どうも今回のこの提案を見てみますと、重々こういうことを分かっていながら、もう労働省の専門家の方は十分分かっているんだけれども、どうもそこまで手を踏み込めない、踏み込まない。言うと、踏み込むと抵抗が強い、だから触れないでおく、そして部分的な改正にとどめておくと、こういう傾向が私は受け取られて仕方がないわけでありまして、そういうことを続けていくとするならば、また三年ごとに保険料引上げというようなことの繰り返しをしているのではないかと、こういうふうに思われてならないんですが、これについて何か、どういうふうに考えていらっしゃるか、お聞かせください。
#82
○政府参考人(戸苅利和君) 御質問の趣旨は全くそのとおりだと思います。
 今回の雇用保険制度の見直し、実は平成十三年度の決算の見込みが立った段階で、このままでは平成十四年度の年度末ないし平成十五年度の年度初め、今の時期でありますが、に積立金が底をつき、資金不足で失業者の方に雇用保険の給付が不可能になると、こういった事態が生じかねないということが判明したために、ある意味では急遽審議会に御検討をお願いし、その後、昨年の十月に弾力条項を発動させていただいて応急的な措置をし、さらに今回できる限りの広範な視野ということで努めて見直しを行ったところでございますが。ただ、正直申し上げて、今御質問のとおり、就業構造がますます多角化する、これが多様化する、それがもっと本格化するというところ、そういった事態の中で雇用保険制度いかにあるべしということについての問題は、これはもう雇用保険の根幹にかかわる大問題だろうというふうに思っていまして、そこは我々も十分認識はしておるところでありますけれども、これについてはそもそも、パートタイム労働者あるいは派遣労働者、そういった方々と通常の労働者との処遇、労働条件、そういったものについての国内の関係の方々のコンセンサスを得るには相当な時間と努力を要するという問題だろうというふうにも思っていまして、そういった意味で雇用保険だけが先行してその問題を抜本的に解決するということをやるだけの時間も正直言ってなかったということだろうと思っています。
 そういった意味で、これは雇用保険法を審議いただいた審議会の報告書にも書かれているところでありますが、残された問題は幾つもあるわけであります。今の問題もそうですし、それからやはり地域間の雇用保険の受給の在り方の問題等々積み残しの問題は多いわけで、この問題についても、これはコンセンサスを得ながらということですけれども、慎重にかつ急いで検討すべき問題だろうという認識は持っておりますが、今回については、今回お示ししている法案の中で、我々として、あるいは審議会の先生方として、できる限りの対応をその就業形態の多様化についても盛り込んだというふうに考えております。ただ、抜本的なといいますと今申し上げたようなことかなと、こう思います。
#83
○今泉昭君 これは、私が言うまでもなくもう労働省の方々十分御承知のように、経営者団体というのは早くからこのことに目を付けていたわけでございまして、二枚目に書いてある表をちょっと見ていただきたいと思うんですが、これはたまたま、一九九五年の五月に日経連が発表をし、そして日経連の賃金白書の中で出している表をたまたまここに御紹介をしているわけでございますが、日経連自身、ここに書いてあるように、三つのグループ分けにしたいわゆる労働グループというもの、こういう形のものが将来日本のいわゆる雇用形態になることが望ましいという腹を固めているわけでありますね。したがって、こういう流れに沿って、経営者団体としても当然そういう方向に向かっていろんな手を打ってきているわけであります。
 このお師匠さんというのは言うまでもなくアメリカのやり方でございまして、御存じのように、アメリカは八〇年代、日本の急激な輸出によりまして製造業がめためたになった、産業がめためたになったと。アメリカとしては、とにかく高コスト構造を直して経済を立ち直らせるためにいろいろな手を打ってまいりました。そのやり方が、ここで言うところの一枚目の表でございますが、一枚目の表のCの労働者を多く増やすということでございました。
 アメリカの企業も、いわゆるエクセレントカンパニーというところは年功序列型の賃金体系を持ち、年功序列型の雇用形態を持っていたことは事実であります。あたかも日本の企業だけが年功賃金のように言われていますが、アメリカでいうところのエクセレントカンパニーというのも日本と同じように終身雇用をやっておりましたし、そういうところが最も望ましい企業として国民の間に定着をしてきたことも事実であります。ところが、そういうようなやり方では生きていけないということで、この高コスト構造から脱却する意味でCの労働者を積極的に増やしてきた。これがアメリカの姿でありまして、それが回復したのが九〇年代のアメリカの急激な経済回復と成長であっただろうと思うわけであります。
 それに見習ったような形で経営者団体の方々もそういうような構造改革が必要だという認識に立っておられることも重々承知をしているわけであります。
 そこで、労働大臣にこれはちょっとお答え願いたいと思うんですが、実はアメリカは、こういうことをやることによりまして非常な経済的な繁栄をこの十年間続けてまいりましたし、得るところも大きかったけれども失うところも多かったと。
 前の労働長官であるロバート・ライシュという方が「勝者の代償」という本を書いていらっしゃいます。彼が労働大臣としてこういう方策を積極的に進めた人間の一人だったわけですが、これが実現できてアメリカの新しい労働・雇用構造ができ上がって、今やアメリカが独り勝ちになっているようだけれども、しかし失うものもあった。
 例えば、今までうちに帰れば一家団らんで一緒に食事をするような時間というものを比較してみると、この十年間にアメリカは今までから比べると七割ぐらいその時間をなくしてしまった。
 すなわち、そこの一つの家庭の、日本の表現でいうと何と言うんですかね、代表者と言ったらおかしいけれども、大体、男がもし外で働いているとすると奥さんが家庭を中心として守るという風習、これは何も日本だけのことじゃなくてアメリカにも広く今まであった風習でございまして、ところが、この八〇年代の大苦境の中で、夫婦共働きをして勝手の家計を支えていくという状態に落ち込められた。そのときにできた労働・雇用形態というのがこのCの労働者で、夫婦共々働くと、そういう形で家庭を守るというのがアメリカの代表的な世帯になってしまった。そういうことによって子供と接する時間もなくなった。家庭全体が一緒に団らんを楽しむ時間もなくなった。それぐらい働かなければならなくなった。また、働く機会も増えたと。
 そういう意味では、アメリカとしても、いろんな意味で経済繁栄を謳歌できたけれども、失うところも、それは一つの例です、今の申し上げましたのは、失うものも多かったということを書いている本なんでありますけれども。
 もし、日本のこれからの産業構造なりあるいは雇用構造の変化に基づいて、こういう方向に向かうのが日本の生き残りのために必要なのかどうなのか、またそれが望ましいと基本的に労働大臣としては考えていらっしゃるのか、それとも日本的なやり方がもっと別にあるんじゃないかと考えていらっしゃるのか、この点について労働大臣のちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
#84
○国務大臣(坂口力君) 今お名前が出ましたロバート・ライシュ長官、第一回の雇用サミットがございましたときにこのライシュさんと随分話をさせていただいて、そのころは日本の経済のまだ良かったときでございます。
 そのときにこのライシュさんが言いましたのは、アメリカ型かヨーロッパ型かということを言いました。そして、アメリカは仕事の幅を随分広く取ってきた。広く取ってきたということは、いろいろの産業をアメリカの中でやると。それは、いろいろの産業をアメリカの中でやるということは、それは全体と平均値で見れば、賃金としては低い賃金の人もその中には出てくるわけですから、高賃金と低賃金の人がある。だから、全体として平均すれば低賃金になると。しかし、失業者はそれである程度少なくすることができるという道を我々は選んできたと。日本もどちらか選ばなきゃならぬのじゃないかという話をいたしました。
 ヨーロッパは、その点、比較的仕事の幅を狭めて、そしてその代わりに高い賃金を維持をしていると。高い賃金を維持しましたけれども、一方において失業者は非常に増えているということでございます。間もなく日本もそのどちらかを選ばなきゃならないときが来るだろうということをこのライシュさんが言ったのを鮮明に覚えておりますけれども、確かにそういう選択をしなければならない。
 日本の場合に、それじゃ賃金を下げてきたかといえば、先ほどから先生が御指摘になりますように、今、常用雇用の人たちの賃金をそんなに下げるというわけにはいかない。だから、この人たちの賃金は下げないんだけれども、その代わりにパートの人の比率を高めるとか、そうしたことによって全体としての賃金を少し下げてきているというふうに見ざるを得ないと私も思うわけであります。
 よく、うちの官僚の皆さん方に、日本は一体このアメリカとヨーロッパのどこへ軟着陸しようとしているのかと。この軟着陸の仕方によって雇用政策というのはこれからうんと変わってくるというふうに私も思っております。
 それは、どちらかといえばその中間に、好んでそこへ目指したということではなくて、現実問題としては中間ぐらいなところにだんだんと近づいてきている。ですから、失業者もある程度増える、賃金も前のことを思うと若干平均賃金としては減るというような形のところに今私は来ているんではないかというふうに理解をいたしております。それならばそれでそこを解決をしていく方法というものを産業界全体で考えなきゃいけませんし、そしてまた雇用対策もそれに見合った雇用対策というものを作り上げていかなければならないんだろうというふうに思います。
 今、経済低迷いたしまして、そしてこれから上昇しようとしているときなものですから、現在のこの経済の低迷によって起こっております現象と、そうした中長期的な長い一つの流れの中で起こってきておりますことが今ミックスされているというふうに思っておりまして、この短期的な経済の成長というものがもう少しはっきりと戻ったときに、一体日本の中長期的な姿としてどうなるかということがはっきりと見えてくるのではないか。今少しそれが短期的な経済の問題とミックスされて見えにくい状況になっているというふうに私は実感として思っているわけでございます。
 今回のこの改正がそうした意味で抜本的でないではないかという御指摘をちょうだいをしましたけれども、それは今申し上げたようなそういうことに起因している側面も非常に私は大きいというふうに思っております。したがいまして、経済の回復成長軌道に乗せた暁において、中長期的な展望の中で日本がどの辺に位置しようとしているのかということを明らかにしなければならないだろう、そのときに雇用対策につきましてもそれに見合った雇用対策というのをもう一度考えるというときが必ず来るのではないかというふうに思っている次第でございます。
 先ほど経済産業省の方からもいろいろお話をちょうだいをいたしました。その中で着目をいたしておりますのは、経済産業省が産官学合併をして、そして新しい仕事を作り出していこう、いわゆる他の国々に引けを取らない立派な産業を作り出していこうということをおやりをいただいておりまして、まず一千社作ろうというところだそうでございますが、それが最近聞きましたらようやく八百に到着をしたということだそうでございまして、この三年間で一千でしたかね、でございますが、あと二百のところまで来ているということでございます。そうした中から本当に将来を担うような産業がどこまで出てくるのかということに私は掛かっているのではないか、そこが伸びなければやはり日本の本当の景気の立ち直りというのは難しいのではないかという気もするわけでございます。
 そうした努力、私は期待の目を持って見ているわけでございますが、そうした動向とも併せて我々も雇用対策を今後やはり考えていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
#85
○今泉昭君 お考え方、よく分かりました。
 私、いろんな論議の中で、この雇用対策問題を論議していくと最近の地方分権の流れの中で地方から雇用を創出するという話がよく出るんですが、気持ちとしては分からないわけじゃないんですが、その前に必要なことは、国が今後我が国をどのような形にしていくのか、経済構造の面においても雇用構造の面においても。これが決まらないことには、地方で重箱の隅をつつくような形の雇用創出をやろうと思っても限界が私はあると思うんです。国はポリシーを決める、そして地方はそのポリシーに従ってプログラムを作り実行していくという立場でありますから、そのポリシーがはっきりしていない限りどの方向にプログラムを組んでいっていいか分からないというような状態になるんではないだろうかと思うんです。
 そういう意味でも、大臣、まだ混迷期だからなかなか難しいとは言われましたけれども、大変重要なやはり問題でございますから、早期にこれには手を着けていただけないだろうか。経済産業省においても、日本のこれからの行くべき大きなポリシーを早急に国民に分かるようにしていただかなければ、それに基づいてどのようなプログラムを個人が、企業が、地方が組んでいくか分からないわけですから、そういうことを少し前面に打ち出してやっていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。
 さて、もう時間が少なくなりましたので先を急がさせていただきますが、少し小さな、具体的な問題になって恐縮でございますが、もし基本的な問題が今手に着かないとするならば、具体的な面で当面の策としていろんな手を打っていかれる、これはもうやむを得ないことだろうと思うわけであります。
 そういう意味で、財政基盤が大変弱くなっているとするならば、この財政を強化するためにいろいろな工夫をしてもいいんじゃないかというふうに思うわけです。原則ばかりにとらわれずにどんどんこれはやっていくべきだと私は思うんです。
 例えば、今、雇用保険の対象になっている方、雇用保険の保険料取られていない方がいろんな分野において存在するわけであります。そういう方々からも保険料をもらうという検討を具体的にやっていただきたいと思うわけであります。私学の問題もそうですし、公務員の問題もそうだと私は思うんです。公務員は、ある面では、国家公務員ですから企業倒産ということはあり得ないということを前提において、雇用保険は払わない、それはもう予定に入れていない、これはもう当然のことだと私は思うんです。ですから、雇用保険料が含まれていない賃金ももらっているはずであります。だから、公務員だって雇用保険料をもらうような賃金の中で雇用保険料を払っていく。国も、実は民間企業では当然保険者としての立場になるわけですから、国も企業者として保険料を払うべきところを今払っていないわけですよ。そういう意味で、探すならば幾らでも保険料を吸収するというような個々の対応策というのは工夫できるんじゃないかと思うんです。
 それとも、もっと抜本的に考え直すとするならば、例えば、すべての所得に対して社会保険の部分として、額に関係なしにみんなこれ組み入れていくというシステムを定着させる。例えば、五百円の日給の中で十円だけは、これは雇用保険の対象になるならないにかかわらず国民の義務として負担をする、こういうシステムも一つのやり方でしょうし、いろいろなやり方があると思うんですが、そういう意味で、保険料を支払う対象を広げていくという検討をされたことがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
#86
○政府参考人(戸苅利和君) まず、非常に財政事情も厳しい、それから負担、給付、両方を見直すということでありますので、当然保険に加入していただくべき方には加入していただき保険料を払っていただくというのが基本でありまして、そういった意味で、雇用保険の適用になっているにもかかわらずまだ加入されていない方、こういった方々の適用をいかに拡大していくか、それから、適用になっているけれども保険料を払っていただいていない事業主、こういったところからどうやってきちんと取っていくのかということも大きな課題であります。
 そういった意味で、厚生労働省になったということもございまして、労働保険と社会保険の徴収の一元化ということを図ることによってその適用、それから保険料の収納といいますか、こういったもののより効率化を図っていこうということを一つやっております。
 それからもう一つは、私立学校でございますが、これにつきましては、平成十四年三月二十九日の閣議決定、規制改革推進三か年計画、ここにも当然適用すべしと、こういうお話でございます。そういったことで、我々としては、私立学校の教員の方への雇用保険の適用促進、これは全国の労働局を挙げて現在取り組んでいるということでございます。
 それから、もう一つの問題であります国家公務員の問題でありますが、これは国家公務員の退職金というのをどういうふうに考えるかということに多分最後は帰着しちゃう問題だろうと思います。御提案のような考え方もあるとは思います。
 現状はどうなっているかと申しますと、現状は、国家公務員の方がというか、国家公務員が退職した場合に、雇用保険の被保険者として退職した公務員を仮にみなした場合に、基本手当日額が何円かと、こう出るわけですが、その基本手当日額で退職手当の額を割って日数が出るわけです。その日数が雇用保険法の基本手当に相当する額よりも低いような場合はその分を国家公務員退職手当法の規定で退職手当の支給を受けるということになっていまして、そういった意味で、公務員の身分の保障がされているというよりは、むしろ現在の国家公務員の退職手当の、今申し上げたような制度から、雇用保険に代わる制度として国家公務員についての退職金制度が設けられているということで、これを、雇用保険法の第六条で公務員については適用除外というふうなことになっているわけでありまして、公務員について仮に雇用保険法を適用するということになりますと、これは退職手当制度の在り方にも大きく影響する。
 それからもう一つは、先ほど身分保障ということのお話も出ましたが、場合によると身分保障の問題も絡んで複雑な議論になってしまうというふうなことで、これは議論するというか、これを主張されている方もかなり多いわけで、議論はいろいろあるんだろうと思いますけれども、我々としてはやはりかなり慎重な議論が必要なんじゃないかというふうに思っておるところであります。
 それからもう一つは、一番最後のお話でございますが、これも確かにそういった考えは理解申し上げるところでありますけれども、雇用保険ということに限って申し上げますと、なかなか雇用保険というのが労働災害、労災保険とか医療保険と違って、個人の意思によって失業かどうかということの判定をせざるを得ないという非常に難しい制度であるということで、仮に強制適用するという、すべての、一日でも働いている人、あるいは一時間でも働いている人、極端に言えば一円でも賃金を得ている人について全部適用するといったときに、強制適用というのが本当に可能なのかどうか。
 それから、それじゃ、強制適用じゃなくて、一定の労働時間以下の人については入りたい人は入ればいいじゃないかというふうな制度にしたときに、今度は制度の悪用が起こらないかどうかということで、我々としては、その辺りを考えるとなかなか技術的な問題が一つあるかなと、こう思っています。
 それからもう一つは、基本的な問題として、現在、パートタイム労働者、短時間の被保険者については週二十時間以上働いた場合を適用対象にするということで、これはどういうことかというと、失業ということによって生活を維持することが難しい人に失業給付を給付すると、こういうことであります。ということは、働いて生活を維持している、主として働くことによって生活を維持している人についての失業という保険事故に対する保険であると、こういうふうに考えますと、やはり四十時間のうちの二十時間以上働くことによって、主として働くことによってということだと、判断基準として二十時間が適当だろうということで今運用しているわけで、そういった意味で、御提案は非常に興味深い御提案なんですけれども、ちょっといろいろ検討する必要があるかなと、こう思います。
#87
○今泉昭君 時間が全くなくなってしまいましたので用意しました質問をできない点もございますが、御容赦賜りたいと思いますが、これまで何回も質問者の中から出てきました施行期日の問題でございます。
 何でこんなに急がなきゃならないのかなという気がしてならないのが率直な気持ちでございまして、前回、十二年度の改正のときにも論議したときには一年間の余裕があった、猶予があったはずでございます。何で今年は一年間の猶予がないのか。前回はそれほど財政的に心配なかったのかというと、そうでもない。にもかかわらず、今回だけはもう実に周知期間がないのを御承知の上でやられようとしているわけですね。しかもこの問題は、被保険者も保険者も大変内容の大きな変化によりまして影響を強く受けるわけでございますから、常識的に考えても十分な周知期間がなければならないのが普通ではないだろうかというふうに思うわけなんです。
 いろいろ私もほかの法律の施行日を調べてみました。例外的にないわけでもないわけですけれども、その例外的なものの一つに入れられるということは大変私にとりましても不本意でございまして、何とか工夫をして延ばすという努力はこれ以上できないのかどうか。
 例えば、一か月これ延ばすとしたら、大体お話を聞くところによると三百億ぐらいですか、負担が増えるということであります。三百億ぐらいの負担だったならば、余り大きなことは言えないけれども、何とかしてもらえるんではないか。少なくとも最低三か月ぐらいの猶予ぐらいはあってもしかるべきだと思うんですけれども、どうしてもこの問題について譲れないという理由は単に財政的な基盤の心配からだけかどうか、お伺いします。
#88
○政府参考人(戸苅利和君) 今回の雇用保険制度の目的、これは早期再就職の促進でありますとか、あるいは働き方の多様化への対応でありますとか、いろいろございますが、それと併せて、直面している財政危機をいかに解決するかということも大きな課題になっておるわけであります。
 そういった中で、これは大変申し訳ないことではあったんですけれども、保険料率がつい二、三年前までは千分の八だったものが今や千分の十四まで上がってきている。更に千分の十六までということで、倍まで上がるということであります。それを事業主の方あるいは被保険者の方の負担の急増を何とか回避しようということで、一般会計による基金も造成し、ぎりぎりのところで引上げを二年据え置いたということであります。
 給付につきましても、いろいろな御意見ございますけれども、ぎりぎり納得いただけるところの我々としては給付の見直しをさせていただいたということで、正直言って、収支均衡というのがぎりぎりの収支均衡になっていると言わざるを得ないわけでありまして、一か月遅れますと実は四百二十億、余りけちな話をして恐縮なんですが、一日十四億ずつ失われていく、こういうことがありまして、我々としては一日も早く施行をお願いしたいというふうに思っているところでございます。
 最終的には国会でお決めいただくということでありますけれども、我々の気持ちも一日も早くという気持ちでありまして、我々としては、とにかく御懸念のような混乱が生じないように、本省、地方を通じて全力で周知に努めたいというふうに考えております。
#89
○今泉昭君 最後になりますので、要望だけを申し上げておきます。
 もう御存じのように、この雇用保険法に入っている保険者の五八%は百名未満の企業であります。百名未満の企業というと、社長さんもあるいは専務さんも、どちらかといえば人事問題ということに対しては専門家を置いてやらせているというような状況にない。自らが工場長でもあり技術者でもありというような状況によりまして、こういう問題が一片の通知で来たからといって、従業員に説明をしたり徹底するなんというのはまず不可能なところなんですね。
 そういうことを考えてみますと、これ、よっぽど当局の皆さん方には丁寧に徹底的に周知できるようにやっていただくことを要望いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#90
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 まず私は、質問に入る前に、本日、雇用保険改正法案の採決を行うことを決めたことに対し強く抗議をいたします。
 国民生活に多大な影響をもたらすこの法案だけに、慎重な審議が求められております。今日午前、参考人の質疑をお聞きいたしましたけれども、その日に採決を行うということは正にこれはルール違反で、だから、参考人の意見を審議に生かす道を閉ざしたものになるわけなんです。言ってみれば、参考人に午前中意見を聞きながら、私どもが今日質問するのは、これは言ってみれば、昨日通告をしているわけですから、生かされないということになるわけなんです。やっぱりこれは議会制民主主義の観点からも絶対に容認できないというふうに思うんです。参議院の存在意義が問題にされる中で、正に自らその存在の意義を否定し、そして、ひいては国会の形骸化をもたらしかねない本当に問題を含んでいるというふうに考えておりまして、まず初めに強く抗議をしたいと思います。
 質問に入りますけれども、雇用保険改正法案の審議にかかわって、私はまず、小泉内閣の雇用政策を評価するために、その中心的な部分についてまず質問をしたいというふうに思うんですね。
 小泉内閣が誕生してちょうど今二年になりますけれども、発足当初、小泉内閣は五百三十万人の雇用創出計画というのを立てられました。そして、政府も大々的にこれを宣伝をいたしました。五年間で五百三十万人、すなわち年間で平均百万人以上の雇用を増やしていくというものになるわけです。この五百三十万人の雇用創出計画によって現在までに何人の雇用が確保されたのでしょうか。
 また、この計画の目玉になったのが、個人と家庭向けのサービスというのが一番多いんですね。五年間で百九十五万人の目標になっているわけなんです。個人、家庭向けサービスということで、大変期待もするわけなんですけれども、一体何人の雇用が増えたのかということを御答弁願いたいと思います。政府参考人。
#91
○政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。
 ただいまお話のございました五百三十万人雇用の件でございますけれども、本件は、経済財政諮問会議の下に設置をされました雇用拡大専門調査会というものがございますが、この調査会が平成十三年五月に、サービス分野におきまして雇用創出型の構造改革を実行することによりまして今後五年間で五百三十万人規模の雇用創出が期待できるという試算を示したものでございます。
 この試算に当たりましては、五年ごとに行われておりますサービス業基本調査、事業所・企業統計調査によります過去の実績を基本にいたしまして、欧米先進国におきますサービス産業の状況といったものの比較を勘案いたしまして推計をしたというものでございまして、この調査は五年ごとに行われる調査を基にしておりますので、次回の調査は平成十六年以降ということになるわけでございます。
 したがいまして、現時点でどの程度進んでいるかということにつきまして、詳細な分野、五百三十万人雇用につきまして分析をすることは困難でございますけれども、毎月実施されております労働力調査によりますと、平成十四年は基準年でございます平成十二年に比べまして雇用者全体では二十五万人減っておるわけでございますけれども、サービス業合計では九十二万人増加をしておるわけでございます。
 また、同様に把握可能なデータによりまして若干の分野別の進捗状況を見ますと、社会保険、社会福祉につきましては前年比一〇・四%増、情報サービスにつきましては九・四%増、人材派遣サービスは一四%増というような状況になっておるわけでございます。
 ただいまございました個人、家庭向けサービスにつきましては、これは具体的には家事代行サービスでございますとか医療情報サービスというようなもの、あるいは旅行サービス、スポーツ関連サービスというようなものが含まれておるわけでございますけれども、これらにつきましては、今申し上げましたようなものと同じようなレベルでの統計がないということで、現在具体的な数字についてはまだ把握をできていないわけでございます。
 他方、本件につきましては更に具体的に進めようということで、各省協力をいたしまして、データの一層の把握も含めまして更に力を入れて進めたいというふうに考えているところでございます。
#92
○井上美代君 今、サービス業については二年間で九十二万増ということが出ました。個人、家庭向けのサービスは、これ非常に、どういう中身になるだろうということは思いましたけれども、まだ今、統計もないし数字もないという御答弁でした。小平内閣府の政策統括官、今日はありがとうございます。退席していただいて結構ですので。ありがとうございます。
 もう一つお聞きしたいんですけれども、雇用対策として大きな問題となりましたのがワークシェアリングです。立場によっても定義が様々であり、賃金をどうするかによって意見が分かれますが、労働時間の短縮によって雇用を守る、雇用を拡大するという点では一致点があるというふうに思います。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 昨年の三月、ワークシェアリングを進めることが政労使の間で合意され、特に、当面の対策として緊急対応型のワークシェアリングの実施が合意されました。これは今後の厳しい雇用情勢の中で失業の発生をできるだけ抑制する対策と位置付けられております。
 この施策にかかわって、この緊急対応型のワークシェアリングを行った事業主に対する助成制度が緊急雇用対策特別奨励金の一環として昨年六月から始まっております。この助成制度の予算規模と今までの実績はどうなっているかということを御答弁願います。
#93
○政府参考人(戸苅利和君) 緊急雇用創出特別奨励金を活用いたしました緊急対応型ワークシェアリングにかかわります支援策でございますが、予算といたしましては、年間四千八百企業の活用を見込みまして、平成十六年度末までの事業として七十一億円の予算が計上されております。
 実績を申し上げますと、この二月末現在でワークシェアリングの導入計画の届出件数は二件でございます。奨励金の支給申請は一件と、こういう状況になっています。
 こういった状況なものですから、昨年十二月に、ワークシェアリングに関する政労使合意、ここで改善しようということで、所定内労働時間だけじゃなくて所定外労働時間を短縮した場合等にも支給対象とする等々の改善を図っておると、こういう状況でございます。
#94
○井上美代君 今御答弁がありましたように、二件と一件ということです。
 私は、この今言われました五百三十万人の雇用創出計画とワークシェアリングと、この二つについて大臣にお伺いしたいんですけれども、やはり、これはともに小泉内閣の雇用対策の重要な柱だったと思いますけれども、大臣は今までの進捗状況をどのように評価しておられるでしょうか、御答弁を願います。
#95
○国務大臣(坂口力君) 五百三十万人の方のいわゆるサービス業につきましての雇用につきましては、様々な角度から、諸外国で行われておりますもの、あるいはまた日本の国の中におきまして既に予算化をされておりますもの、それから過去のトレンドを延長した場合に考えられるもの、そうしたものをずっと皆トータルで見ると五百三十万人はあるだろうと、こういう計算になっているわけでございまして、この五百三十万人というのは必ずしもそういうふうになるという趣旨ではないというふうに私は理解をいたしておりますけれども、いわゆるサービス業というものを中心にして、そこに雇用の可能性というものが十分にあるということを示しているというふうに理解をしているわけでございます。
 したがいまして、先ほど御答弁ありましたように、平成十三年度におきましては約五十万、平成十四年度も多分、途中の計算で四十何万でございますから、やはりこれも一年で見ると五十万程度にはなるのではないかというふうに思っておりますが、そういう現在状況にございます。
 それで、この五百三十万というこの数字だけが独り歩きをしてしまって、そしてなかなか政策的にそこに付いていけない、付いていっていないというふうに我々も反省をいたしておりまして、もう少し、その五百三十万という内容があるのであれば、それにふさわしい政策的な裏付けがあってこれは実現をするものだというので、政策的な裏付けをもう一度やり直そうというので、先日来この問題を改めて取り上げているところでございます。
 それから、もう一つの方のワークシェアリングの方でございますが、これはいろいろ労使の間でお話をしていただきましたが、そこで突き当たっておりますのは賃金の低下と、そして一つは均衡処遇の問題と。経営者側は均衡処遇の問題に大変こだわっておみえになる、また労働者側は当然のことながら賃金の低下ということにこだわっておみえになる、そうしたことでなかなか、お話合いの回数は多く重ねていただきましたけれども、なかなか前進をしない。
 そこで、先日も御答弁を申し上げたと思いますが、モデルケースで少しこれを実施をしていただく。これは、ワークシェアリングという言い方は、本来のワークシェアリングとは少し違うかもしれませんけれども、各業界におきまして非常にこの時間外労働等をたくさんおやりになっているようなところを選ばせていただいて、そしてモデル的にその中で時間外労働を減らして、そして労働者の数を増やしていくといったようなことが手掛けることができ得ないかと。それは本来のワークシェアリングとは違うというふうにおっしゃる方もあるわけでございますけれども、私はそうしたことを行いながらそれをまず実行に移して、そして様々な政策をそこに動員をして、やはりワークシェアリングというものの価値というものを皆さん方に御理解をいただくということが大事ではないかというふうに思っておりまして、大体二十企業ぐらい、そうしたものをまずやりたいというふうに思っている次第でございます。
#96
○井上美代君 今、大臣の御答弁ありましたけれども、やはり年間百万人ずつ増やすといっても、サービス業の雇用増は二年たっても九十万台と、そこそこだということで、またワークシェアリングでは、その補助金というのは年間三千人を見込んでいましたけれども、実績は半年以上たってまだたった一人しか申請がないというわけですから、とても成功したとは言えないというふうに思うんですね。
 今日、参考人質疑でも、雇用創出というのがいかに大事かということが出されました。私、先日の本会議で、小泉総理が、構造改革を進めれば倒産と失業が出るのは当然と、こういうふうに言って、失業が増える政策を進める以上、失業者に二重の苦しみをもたらすというこの失業手当の給付削減というのはやはり私はやめるべきだというふうに思うんです。
 小泉内閣のこの二年間の雇用対策について、今私が挙げた二つの事例を見ても、それは明らかにもう失敗をしているというふうに言わざるを得ないと思うんですね。この点でも給付を削減するということは私は道理に合っていないというふうに思うわけなんです。
 時間もたくさん持っていませんので次に移りますけれども、次に、私は、労働者の雇用の保障、特に雇用の継続保障に対する政府の姿勢について質問をいたします。
 日本航空の客室乗務員の深夜業の免除制限の問題を取り上げたいというふうに思います。
 雇用保険制度においても育児休業給付がありますけれども、残念ながら育児休業・介護休業法は十分守られていない状況に今日あるというふうに思います。先日発表された東京都の調査によりますと、昨年施行された改正育児・介護休業法で事業主に義務付けられた一歳から三歳までの子供を持つ労働者を対象とする制度を整備している企業というのは全体の四割で、過半数の企業が改正法の基準を満たしていません。
 問題はそういった事業主に対する政府、厚労省のやはり姿勢だというふうに思うんですね。努力してくださっているというふうには思うんですけれども、三月末に当委員会において私は日本航空の問題について取り上げましたが、その後の事態というのは朝日新聞や日経新聞でも報じられましたけれども、大変深刻で、そしてまた深夜業の免除を申請した客室乗務員約百六十人のうち八十数名は免除を受けられずにいるわけですね。そして、そのうちの七割というのが無給の休業をもう余儀なくされているという実情があります。既に将来への見通しを失って、もう退職する乗務員という方も数名出ているということを私聞いております。
 問題は、やはり緊急に、子供を抱えて無給の休業をしているわけですから、急ぎこれを解決していかなければいけないと思うんですね。この点で、日本航空を指導している行政当局の姿勢には、私は本当に残念ですけれども疑問を感ぜざるを得ないでいるんです。日本航空が深夜業免除を制限していることに対し、やはり制限が恒常的だとは言っていないので、だから育児休業法の立法の趣旨に反するけれども違法とまでは言えないとして現在もただ事態を見守るだけであるというふうに私は感じております。
 しかし、四月、五月と既に免除を受けられないということがはっきりしまして、このままだと六月も受けられないことが懸念されるわけです。労働者は将来への見通しを全く持てない状態になっておりまして、やはり深夜業の免除制限が恒常的だと言っているということから、言っているからということで見ているわけなんですけれども、それでは一体いつ受けられるように、免除を受けられるようになるのかという、この恒常的という言葉ですけれども、いつまでのことになるのかと、一体どのようにしようと思っておられるのかということをお聞きしたいと思います。
#97
○政府参考人(岩田喜美枝君) 日本航空の深夜業の制限についての事案ですが、この委員会でも先生の御質問に対しまして御答弁したとおりでございますけれども、三月六日に東京労働局から日本航空に対しまして、深夜業の制限についての措置がより適切に実施されますように三点指導いたしました。
 今日はそのことは繰り返しませんけれども、そうした指導の結果、日本航空の方から御報告がありまして、一つは深夜業の制限を適用する者を限定をする、限定せざるを得ないという状況の下でどういう方法で限定するかということについてですけれども、当初は抽せんというふうに言っておられましたけれども、抽せんは取りやめて、緊要度等に応じて選抜をするということでございました。
 二つ目には、四月と五月については、当面の措置として、深夜業の制限の適用の希望者で適用の選抜から漏れた方がいらっしゃるわけですけれども、その人たちにつきましては、本人の希望といいましょうか選択によりまして、一つは復帰していただき、深夜業は伴いますけれども、最長三泊四日の勤務までにとどめるといった、そういう条件で復帰していただくか、あるいは休業の措置を実施するという、そういう二つの措置の中から本人に選んでいただく、これを四月、五月の当面の措置として講じたいということで企業の方から報告を受けているところでございます。
 申すまでもないことですけれども、育児・介護休業法の趣旨に基づきますと、深夜業の制限を希望する方全員がそういった制限の適用を受けられるようになるということが重要であるというふうに思っております。この点については、企業の方にも強く申し上げているところでございますので、六月以降どういう対応になさるのか、会社の方でも検討されているというふうに思われますので、その対応の状況を見ながら、必要であれば更に適切な助言や指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#98
○井上美代君 やはり引き続き指導していくということで、六月はもう前の月に締め切りますので、やはり恒常的でなければいいというのはこの法律のどこにも書いていないことですし、全く納得いかない内容でもありますので、やはり指導を強めて、はっきりとやはり指導していかなければ何か月でもこういう状態は続くというふうに思うんですね。だから、そういう意味で、言ってみれば育児・介護法ができてからこういう例が出てきているのはまだ幾つもないわけですから、やはり最初にきちんと指導をしていただくということが重要であるというふうに思います。
 今後の指導についてのみ、そちらの決意を聞かせてください。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
#99
○政府参考人(岩田喜美枝君) 先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、六月以降の対応について会社がどういう検討をなさるのか、今はその状況を見守っているところでございますので、それを会社からまた話を聞かせていただきまして、必要であれば助言、指導を更にしたいというふうに考えております。
#100
○井上美代君 企業は四月、五月とまた同じことを言うと思いますし、そうしたらまた同じになっていくわけですから、少し前へ出て御指導願いたいということを申し上げて次へ移りたいと思います。
 雇用保険の目的というのは、やはり第一条で書いてありますように、そしてこの審議の中でも何回か出ておりますように、何よりも失業した労働者の生活の安定、そして求職活動を容易にすることで再就職を促進していくことにあるというふうに思います。生活の安定とは、最低生活の保障というだけではなくて、労働力の維持も入っているし、労働者としての能力そして体力、気力、そういうものも入っているというふうに思います。
 失業者の生活の安定に係る問題に入る前に、まず私は雇用保険制度が国民経済に果たす役割について大臣にお聞きをしたいというふうに思います。
 今回の失業手当の削減は年間ベースで三千百億円になるわけですけれども、この給付削減が国民経済の中心を成すいわゆる個人消費ですよね、この個人消費にどのような影響を与えるのかということを、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#101
○国務大臣(坂口力君) 雇用保険のみならず、やはり働いている方あるいはまた職を探している方、それぞれの皆さん方がいかに個人消費をしていただくかということがトータルでやはり経済に影響を与えるということは私もそのとおりというふうに思っているわけでございます。
 したがいまして、この雇用保険というものが維持できなければ多くの皆さん方が非常に苦しい立場に追い込まれるわけでございますから、雇用保険で多くの皆さん方がそれで生活が維持できるという体制を作っていかなければならない。雇用保険制度というものを崩してしまえば、より大きな個人消費というものに対する影響を与える。したがって、そこを与えないようにどうするかということを考えるのが私たちに課せられた仕事だというふうに理解をいたしているわけでございます。したがいまして、厳しい中ではございますが、お互いに支え合いながら、その中で皆さん方に御努力をいただくということだろうというふうに思っております。
#102
○井上美代君 今、大臣が言われましたことは、大臣が言われたようにこれで展望が出るということであればそれは幸いなことだというふうに思いますけれども、この法案はいろいろな問題を持っていて、とてもそうならないというふうに思うんですね。
 私は、今回の給付削減というのは二重の意味で個人消費に悪影響があるというふうに思っております。
 一つは、雇用不安が高まっている中で、失業したときの安心感がなければ雇用不安は一層高まり、将来不安へとつながっていくというふうに思うわけなんです。今でも雇用不安は非常に強いものになって広がっております。
 もう一つは、失業者の所得を直接支えることが個人消費の拡大につながっていくということです。この点で、四年前に旧労働省が出された労働白書、これは平成十一年ですが、ここには雇用保険の役割について書いてあります。消費の減少による景気の落ち込みを抑制するマクロ経済効果があると、こういうふうに述べています。こういった点でも不況が非常に長期化しておりますし、深刻化している今こそ雇用保険制度を充実させることが求められているのであり、給付削減は全く雇用保険制度の存在意義をも否定することになりかねないというふうに思うわけですね。
 この点を指摘して、給付削減の具体的な中身について質問をしていきたいというふうに思います。
 給付の引下げで私は大変問題だと思っているのは、失業手当と再就職賃金の逆転現象の是正という考え方です。これはこの審議の中でも他の同僚からも指摘されているところです。失業手当が再就職賃金を上回るのがけしからぬということで金額を引き下げたということなんですけれども、こういう仕組みが導入されると、再就職賃金が下落していけばそれに併せて失業手当も引き下げなければならなくなるというのではないでしょうか。
 そして、私は、先日の本会議で大臣に質問をしてお答えいただかなかったことがあります。それは、これでは歯止めのない悪循環になってしまうのではないかということを質問しました。しかし、御回答得られませんでしたので、改めて大臣にお聞きしたいのですけれども、もう本当にこれでは歯止めのない悪循環で下がっていく、そういうふうに思って、賃金が下がっていく、そのように思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。
#103
○国務大臣(坂口力君) 今必要なことは安心できる制度を作るということだと思いますね。先ほどの問題にも関連をするわけでございますが、全体の厳しいこの財政の中でやりくりをしなければならないことは御指摘のとおりでございますけれども、しかし厳しいながらもその中で安定をした制度を維持をするということが一番大事なことでございまして、その安定した制度を継続をするということによって多くの国民の皆さん、働く皆さん方の安心感を得るということに私は結び付くというふうに思っております。
 したがいまして、この給付率の引下げ等につきましてもそうでございまして、多くの皆さん方の助け合いの中で行っております雇用保険でございますから、その雇用保険の中におきましても高額所得者と低額所得者との間のやはり均衡と申しますか、お互いの助け合いというのもこれまた大事なことであろうというふうに思っております。そうした意味で、働く人と失業した皆さん方との間の助け合い、それから失業した皆さん方の中におきましても今まで高額な所得をお取りになっている方と低額な所得の皆さんとの助け合い、そうした連携の中によってこの制度は成り立っているわけでございますから、そのことを理解をして、そしてこの制度を維持していこうという皆さん方のお気持ちを十分に酌んで我々はやっていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
 このことによって、先ほど御指摘になりましたように、安心な制度を確立をするということになれば、私は、それに御理解をいただいて、そしてそれによってだんだんと賃金が下がっていくということはあり得ない、こういう方法も取りながら全体としての現在の企業の立て直しということをやっているわけでありますから、それは厳しい状況もございますけれども、しかし経済を立て直しますためには一時期厳しい状況も醸し出していくこともあり得る、それによって一日も早く経済を立て直そうとしているわけでございますから、そうした中でこの問題は総論として、トータルとして解決をしていくということだろうというふうに思っております。
#104
○井上美代君 お互いに助け合うというのはいいと思いますけれども、私は根本的に違っているところがあると思います。
 そもそも、この雇用保険の失業給付額というのは、その失業者が持つ労働力の価値である前職の賃金、前の職業の賃金を基準に算定されるのが原則だと思いますけれども、再就職時の賃金水準を持ち出して給付削減の根拠にするということは、制度をもう既に著しくゆがめているものだというふうに思うんです。失業者は給付がもらえるから就職しないのではないんです。就職口がないからできないんですね。ここのところがもう本当に根本的に違うんだというふうに思うんです。
 だから、大臣が助け合うと言うのは、それはそれでいいと思いますけれども、基本的なところでそこが違っているんじゃないかというふうに思います。いかがでしょうか。
#105
○国務大臣(坂口力君) そこは私もそんなに意見は違わないので、お互いが助け合いをしていくという中で皆さん方に努力をしていただく以外にありません。
 決して一部の方々だけに厳しい目を押し付けようというふうにしているわけではないわけでありまして、それは、お辞めになります前の賃金ということを御指摘になりましたけれども、やはりお辞めになります前の賃金に対してどれだけかということを考えるのが一番現実的な話でございますから、そのような対応をしているということでございます。
#106
○井上美代君 私は、それでもやはりずっと下がっていって、繰り返すたびに悪循環になるわけなんですけれども、もうここでそれ以上には行かないということになるんでしょうか。悪循環が、また下げればまた下がっていくんですよ。その辺はどうですか、大臣。
#107
○国務大臣(坂口力君) 賃金というのは、全体としての雇用の需要と供給の関係でこれは決まってくるわけでありますから、ただ単に失業の状況の中で云々で決まってくるわけではないというふうに思っております。したがいまして、これから景気が上昇をすれば雇用もまただんだんと拡大をしてまいりますし、そうすれば賃金の低下というものもおのずから止まっていくというふうに思っております。
#108
○井上美代君 何しろ景気はなかなか良くなりませんので希望は持てませんけれども、次へ移ります。
 今回、失業手当の離職前の賃金に対する割合そして給付率ですけれども、賃金の相対的に高い人たちに対してこの給付率を六〇%から五〇%に一〇ポイントも引き下げるわけですね。
 そこで聞きますけれども、この一〇%を引き下げる労働者は月額の賃金が幾ら以上で、年収にして何万円以上の人でしょうか。この数字をお答え願いたいというふうに思います。
#109
○政府参考人(戸苅利和君) 今回の改正によりまして支給率が五〇%に改められることになります方、賃金日額で一万二千二百二十円でございます。三十日標準として支給いたしますので、月額で申しますと三十六万六千円でございます。年にいたしますと、これに十二倍ということになりますので、約四百四十万円ということでございます。
#110
○井上美代君 ボーナスを除いて四百四十万円という数字は、これ若い人だったら少し高額かなという収入かもしれませんけれども、中高年の労働者にとっては決して高い収入とは思えません。
 大臣は高い賃金の人たちに負担を求めたと盛んにおっしゃっておられますけれども、四百四十万円は高い賃金とは言えないのではないかというふうに思いますが、この点、大臣はいかがでしょうか。
#111
○国務大臣(坂口力君) これは見方によってかなり違うというふうに思いますが、五〇%というふうにいいましても、税金が掛かっておりませんから、大体五七、八%、いわゆる年金の五九%に近いぐらいな数字にはなるのではないかというふうに思っております。
#112
○井上美代君 私は、一昨年の賃金構造基本統計調査で計算をして、六十歳から五十四歳の男性労働者の二〇〇一年六月の現金給与額は平均で四十五万六千円です。これを十二か月分で十二倍しますと、年収ベースで見ると約五百四十七万円です。これは国税庁の調査結果とも符合しておりますけれども、同じように四十五歳から四十九歳の男性労働者では平均で五百三十三万円です。ですから、ボーナスを除いて四百四十万円という数字は、中高年労働者にとっては高賃金どころか平均よりも低いのです。だから、これは所得が中間ぐらいの中高年にも一〇ポイントの大幅な引上げになるわけなんですね。だから、とても高賃金というふうには私は言えないと、こういうふうに思っております。
 さらに、中高年労働者の生活にかかわって私は質問をしたいと思います。
 失業手当は余り高くなり過ぎないようにという目的で年齢別に上限額が決まっております。例えば、これはいつどのような理由でこういう年齢別の上限額が決められたのだろうかということです。政府参考人にお答え願います。
#113
○政府参考人(戸苅利和君) これは平成六年の雇用保険法改正でございます。これは実は私雇用保険課長でやった改正でございますが、そのときの改正と申しますのは、高年齢者あるいは育児休業取得者の方の雇用継続を図ろうとこういう法改正を行いました。
 その一環として、それまでは年齢と関係なく一律に上限額を設定いたしていたわけですけれども、そのときの考え方といたしまして、各年齢層ごとにやっぱり再就職の促進あるいは賃金実態、そういったものに合わせて見直していこう、こういうことで、そのときの考え方といたしましても労働市場の状況を一つ見たということと、それから各年齢階層間における再就職賃金、これも参考にいたしまして、二十九歳未満、それから三十から四十四歳、四十五歳から五十九歳、六十から六十四歳、それぞれに基本手当の上限額を定めたということで、再就職の促進という観点も含め、きめ細かな対応をしてみようということで行ったものであります。
#114
○井上美代君 特に中高年のところに配慮をされたというふうに思うんですけれども、それは特にどうしてですか。
#115
○政府参考人(戸苅利和君) これはおっしゃるとおりでありまして、中高年層を高めに取っております。
 これは再就職賃金が高かったということが一つございます。それから、生活の安定ということも、当時はまだ財源に余裕もあったということでその辺りのバランスも考えたということでありますが、主として再就職賃金の状況を見て、若い方は低く、それから四十五歳から五十九歳の方は高く、六十歳から六十四歳の方は中くらいにと、こういうことでやったことであります。
#116
○井上美代君 おっしゃらなかったんですけれども、やはり教育費などが相当掛かっているというのもあったんじゃないでしょうか。
 一九九四年の雇用保険法の改正の際の国会審議の議事録を見ましても、当時厚生省は、生計費などは、子供の教育費も含めまして生計費非常にかさんでいると、四十五歳から五十九歳、この辺りについては特に手厚くしたと、こういうふうに述べておられるんですね。
 教育費というのを私はだから見てみたんです。一九八〇年代、九〇年代とすさまじい勢いで高くなりましたけれども、この改正時の十年ほど前に比べるとほとんど変わっておりません。私立高校では、学校教育費と学校外の活動費合わせて平成六年のときが百一万七千円で、平成十二年では百四万四千円ですね。それから、公立高等学校では、同じく平成六年で五十二万一千円、そして平成十二年で五十万八千円です。もはやこれ以上もう上げると学校をやめざるを得ないという、そういうところまで来ているということが分かるわけなんですけれども、親が失業して学校をやめなければならなくなった、そういう話を聞くたびに本当に胸がつぶれます。
 私は、今、この全国私教連が調べました授業料滞納調査というのをここに持っておりますけれども、これ全国の私学を調べたものです。
 生徒の人数として二十六万五千五百七十二人の回答が寄せられておりますけれども、滞納状態というのは、九月末日で高校が、これは去年の九月末日で高校が三千百七十五人、一校当たり十三・五一名滞納しております。そして十二か月以上の滞納者というのもやはり増えているということです。高校でいきますと三十校ですね。そういうふうに増えております。
 そして、やはり不況によるリストラ、倒産、そして自営業の不振が家庭崩壊を招いているということがそこには詳しく出ております。子供が特に精神的にも財政的にも非常に苦しんでいるということがあります。雇用保険の問題も出ておりまして、二、三年前の失業、倒産などをずっとそれから引き続いて、雇用保険も切れてしまったり、新たに家が競売に掛かり、そして家賃支出が増え、滞納のケースが目立っていると。離婚による父親の養育費がストップされて授業料が滞納したというふうに書いてあります。何しろ修学旅行の積立てを授業料に充てるなどしておりまして、本当に家庭にそれが大きな影響をしているということが分かります。家庭を直撃しているということなんですね。
 だから、そういう意味でも、この問題というのは非常に広範囲に影響が出ているわけですから、そこを考えなきゃいけないんじゃないか。家庭にも直撃しているということを考えなきゃいけないんじゃないだろうかと思いますが、大臣、その点はどのように考えておられますでしょうか。
#117
○国務大臣(坂口力君) 確かに、リストラがありますとか、あるいはまた企業経営をなすっていた皆さん方がその経営がうまくいかなくなったといったようなときには、お子さんに対しましても、お子さんの教育費に対しましても事欠くというようなことになってくることがあり得るだろうというふうに、そう思っております。
 そういうこともございまして、高校以上の皆さん方につきましては、もしそういうリストラでありますとか企業倒産でありますとか、そういうことが起こりましたときには、その時点、もう年度の途中でございましても奨学金を即座受けられるように、制度にいたしております。したがいまして、高校、大学ともに優先的にその皆さん方には奨学金を受けていただけるような制度を作り上げておりますので、もしそういうふうな方がございましたら、私は即座この奨学金をお受けをいただきたいと思っている次第でございます。
#118
○井上美代君 奨学金が、無利子だろうというふうに思いますけれども、あるということは一ついいことではあるというふうに思いますが、失業問題というのはそれだけでは解決できないというふうに思います。
 私は、次に進みますけれども、今回の給付削減を行った政府の基本的な考え方にかかわって質問するわけなんですけれども、厚労省が今回の給付削減を根拠付けるものとして使っているのを皆様方のお手元に配ってあります。
 これは、その資料についてはお配りしてあるのを見ていただきたいんですが、「基本手当日額階層別就職者割合」というタイトルのもので、これ千円刻みで基本手当の日額で区分して、所定給付日数終了までに就職した人の割合、それから支給終了後どれぐらいの期間でどれぐらいの割合で就職できたかを調べたものです。
 この資料から、厚生労働省は、高賃金層ほど再就職意欲が低いと、こういうふうに説明をされていますけれども、この資料からなぜそういうことが言えるのかということを政府参考人、説明してください。時間が少なくなっておりますので、簡潔にお願いします。
#119
○政府参考人(戸苅利和君) まず、この表の左から二番目でございます。「支給終了まで」というところがございます。これをごらんいただきますと、基本手当日額が大体四千九百九十九円ないし五千九百九十九円、この辺りの方までは支給終了までに就職される方が大体五割内外と、こういうことになってございます。それを超えて七千円、八千円、九千円となるに従いまして支給終了までに就職される方の比率が徐々に下がってまいりまして、一万円では三五・四%と、こういうことになっております。そういう意味で、極力満了、所定給付日数一杯もらおうという傾向が読み取れるんではないか。
 それからもう一つ、その右に二つ行っていただいた「支給終了後一ケ月以内」というのをごらんいただきますと、五千九百九十九円までは二六%というか、大体二五、六%以下でございます。その後徐々に高まりまして、一万円ですと四九・二%ということでございます。これを考えますと、支給している間、これは再就職賃金よりも基本手当日額の方が高いということで、なるべく給付をもらい、もらい終わった後一か月以内に就職するという行動を取る方が高賃金層ほど多いということが言えると我々は考えておるところであります。
#120
○井上美代君 この資料から言えることは、ここでいう高賃金層の人たちというのは中高年の失業者だというふうに思います。賃金が高い人ほど年齢も高いことは間違いないというふうに思います。そして、年齢が高ければ、今まで私が述べてきたように、どれだけ教育費やそれから住宅ローンなどの固定的な支出が高いか、そうなればどうしたって再就職するのに当たってもできるだけ賃金の高いところを探すというのはもう当然ではないでしょうか。ですから、支給終了までに就職する割合も低くなってしまう、また支給終了後一か月以内に就職する割合が高いのも、固定的な支出が多く、それだけ生活が切迫しているから、正に片時も収入を途切らせるというわけにはいかない、こういうことだというふうに思うんです。
 だから、私は、この資料から読み取れるのは、正に中高年の失業者が追い込まれてしまっている、そういう実態ではないかと思うんですね。決してお金が欲しいから就職しないというのとは違うんだという、このように考えるのが私は最も自然な、自然な考えであって、本当に中高年の失業者が追い込まれてしまった実態の中からこれが出てきているんだというふうに分析しなければいけないんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、その点はいかがでしょうか。
#121
○国務大臣(坂口力君) 先生が今おっしゃいましたこと、全部私も否定するつもりはございません。ここにあります数字は平均値の数字でございますから、平均値として見れば、これは局長が御答弁を申し上げましたとおりのようなことが推察されるということでございまして、平均値の話でございますから、すべてがそうだというわけではなくて、今お話しになりましたように、やはり一生懸命に探しているけれども適当なところが見付からなかったという方もそれはあり得るというふうに思っております。
 そこを私は否定するつもりはございませんが、全体として、平均として見ればそういう傾向があるということを局長が御答弁を申し上げたわけで、それはそういう傾向になっていると私も思う次第でございます。
#122
○井上美代君 私は、午前中の参考人質疑も聞きましたけれども、やはり一部の失業者像だけ、失業者の姿だけで改正をやらないでほしいというのを非常に強く言われたんですよね。だから、そういう意味でも非常にこの部分は重要かなというふうに思っております。
 私は今、手元に「失業中の生活と再就職の実態」、東京都立の労働研究所の資料を持っております。年齢別で再就職できない場合の家計維持の方法を調べた調査ですけれども、これを見ますと、三十九歳以下では配偶者の収入に頼ったり預貯金を取り崩してしのいでいますけれども、四十歳以上六十歳未満では借金に頼る、あるいは方法がないというのが大変多いのが特徴なんですね。
 やはり中高年の失業者というのは大変切迫していて、もはや、もう手当が切れたらとにかく再就職をする必要に迫られるという実情をこの資料も私ははっきりと表しているというふうに思うわけなんです。こういう資料を見て、失業者がやはり損得勘定だけで動いているかのようにしか見ないというのは、やはり見方として非常におかしいのではないかというふうに思うんですね。給付削減の結論ありきという気がいたします。
 やはり、生活に追われ、やむなくそうしているということが実情だということをやっぱりしっかりとつかみながら我々はやっていかなきゃいけないというふうに思っております。もう大臣にその点を本当に繰り返し強調していきたいというふうに思うわけです。
 私は、もう時間もかなり迫ってきておりますけれども、今回の給付削減を最低生活保障という面からもちょっと質問をしたいと思っているんです。
 失業手当には下限額が設けられておりまして、現行制度では通常労働者と短時間労働者で別々に設定されていますけれども、今回、失業手当の下限額はパートなど短時間労働者に合わせて一本化されましたよね。
 まず、基本的なことを聞きますが、そもそもこの下限額が設定されている理由は一体何だろうかということです。また、下限額が通常労働者と短時間労働者に分けて作られたのは一体なぜかということをお聞きしたいと思います。政府参考人。
#123
○政府参考人(戸苅利和君) 基本手当の下限額でございますが、これはおっしゃるとおり、考え方といたしましては最低生活の保障と、こういう雇用保険法の目的を達成するために設定されているものであります。具体的には、当初は恐らく最低賃金をベースに算定いたしていたんだろうと思うんですが、その後、法案の国会での審議、あるいは度重なる法改正の中での更なる引上げということがあって、今日のように、今回四千二百十円で御提案申し上げておりますが、四千二百十円ということになっております。
 それから、短時間労働者につきましては、これも賃金スライドで、両方とも賃金スライドで来ておりますが、賃金スライドの結果、額がそういうふうになっておりませんけれども、額としては、考え方はその半分という考え方でありまして、どうしてそういうことかといいますと、これは、短時間労働者の方の場合、通常労働者と同じにいたしますと、雇用保険の四千二百十円をベースにした計算額の基本手当の方が働いていたときにもらっていた賃金を相当程度上回ってしまうということがあって半分ということになったという経緯であります。
#124
○井上美代君 この間のパート労働者とそして常用の労働者の間の格差というのはずっと問題になってきました。パートなど短時間労働者の賃金が非常に低いということが問題なのであります。
 そういう中で、賃金が低いこと、低いことが問題になっている方に合わせていく、合わせていく、ここが理解に苦しむところですね。まだ日本では均等待遇が成立しておりません。だから、もうパートはぐっと少ないんですね。だけれども、今回そこに合わせているということです。
 かつて、このパート労働者というのは家計補助的というふうに言って、女性が多かった。今も女性が七割ですか、占めておりますけれども、現在では、言ってみれば家計においても中心になってきているし、そしてパートというのは労働においても主軸の労働力として使われるようになってきているんですね。だから、パートの方を、むしろぐっと下がって家計補助的になっているわけですから、そこをぐっと引き上げていかなきゃいけない。
 ところが、通常労働者に可能な限り近づくようにしていかなければいけないのに、このパートに下げたと、そこに合わせたということですけれども、やはり通常労働者に合わせるようにするべきではなかったんでしょうか。大臣、その点いかがでしょうか。
#125
○政府参考人(戸苅利和君) 今回、通常労働者の方の最低額を引き下げました理由は、先ほど申し上げましたように、何度かの法改正の間にかなり高い額になってきてしまっているということで、どういうことが起きているかと申しますと、最低賃金と同額の賃金をもらって働いている方が失業いたしました場合には、その最低賃金額で働いて得ていた賃金の方が実は失業してその下限額をもらった場合よりも低くなってしまっていると、こういうことがございまして、最低賃金を上回る下限額による給付と、こういうことになってしまっているということでありまして、我々もこれをずっと下げるということではありませんで、最高の給付率であります八割を給付するということで、雇用保険制度の中でも最高の給付率である八割は維持しつつ、最低賃金等の額の方が働いた場合の賃金と失業した方が余計もらえてしまうと、こういった実態を正す必要があるのではないか。さらに、パートタイム労働者と通常労働者との給付の一本化という今回の思想にかんがみまして、パートの方に合わせたということであります。
#126
○井上美代君 時間がなくなってきていますが、もう一つ。
 大臣は、やはり失業給付が切れた後は生活保護でカバーをすると言っておられますよね。しかし、日本の生活保護というのは国際的に見ても大変低い水準だということです。一九九六年にイギリスの社会保障省が行った国際比較の調査があります。これは、日本の公的扶助は対GDPで見ても適用人員比で見てもOECD諸国二十四か国中、ギリシャ、ポルトガル、いろいろずっと書いてあるんですけれども、それと並んで低いグループに属している、こういうふうになっています。失業手当の給付日数は一年未満しかないのは、主要国ではアメリカと日本だけなんですね。
 給付も短く、そして給付がなくなった後の生活保護も厳しい制限でなかなか受けられないとなれば、失業者は不当に救われないという、本当に救われないという、そういう思いになると思います。雇用保険給付の充実、そしてまた失業扶助の創設こそ必要ではないだろうかというふうに思いますが、大臣に答弁をいただいて、終わりにします。
 特に、私は、本日の審議で、この給付削減というのは道理がないし、不況で大変な国民生活に一層困難をもたらすものであることが明らかになっているというふうに思うんですね。だから、法案の廃案を求めるとともに、参考人の質疑の当日に採決を行うという、そういう議会のルールを無視した横暴に抗議して、質問を終わっていきたいというふうに思います。
 最後に、大臣の答弁を求めます。
#127
○国務大臣(坂口力君) 最低生活を保障いたします生活保護についてのお尋ねがございまして、昨年の十二月、平成十四年十二月現在で百二十六万六千人の皆さんがお受けをいただいているところでございます。
 この失業をされておみえになる皆さんとそして生活保護との関係でございますが、完全失業率とそれから生活保護率というものの相関を求めてみますと、〇・七八という非常に高い相関を示しております。これは失業をされました皆さん方の多くが生活保護を御利用をいただいているということを示しているのではないかというふうに思います。決していい数字では、いい数字と申しますか奨励すべきことではございませんけれども、失業者とそして生活保護というものとが高い相関を示しているということは、失業者の皆さん方の多くが生活保護もお受けをいただいているということを示しているのではないかというふうに思います。
#128
○井上美代君 終わります。
#129
○森ゆうこ君 よろしくお願いいたします。
 重ねての質問になりますけれども、大臣にまず伺いたいと思うんですが、五月一日にどうしても施行したいということだという、それにしても残された時間もなく厳しいと思うんですけれども、施行日を遅らせるという柔軟な発想がないのかどうか、重ねてお聞きしたいと思います。
#130
○国務大臣(坂口力君) 先ほどからも議論になっているとおりでございまして、私は皆さんにお願いをしている方でございますから、この書かれておりますような条件で是非ともお願いを申し上げたいというふうに思っております。国会の中における御審議も参考にさせていただきながら、できる限り早く実施に移したいと思っている次第でございます。
#131
○森ゆうこ君 今回、十分なというよりもほとんど周知期間を設けないままこれを強行されるということについて、先ほど局長の方から御答弁があったわけですけれども、先ほどの御答弁を聞きますと、今回のこの改正は緊急避難であると、そのように私は受け取ったんですけれども、局長、それでよろしいんでしょうか。
#132
○政府参考人(戸苅利和君) 一つの理由としては、それはございます。
 今回手を打たないとと申しますのは、昨年の十月に現行の法律の中でできる手だてであります弾力条項の発動による保険料率の千分の二の引上げを行いました。もうこれ以上現行の法律では打つ手がございません。そういった意味で、財政の均衡という観点から今回の改正をお願いしているということでございますが、あわせて、最近におきます働き方の多様化でありますとか、あるいは現下の厳しい経済環境、労働市場の状況の中で、失業者の方の再就職促進に役立つようなあるいはつながるような給付の見直しを行うということで、そういう意味では緊急対応と併せて構造的な問題も解決しようということで提案させていただいているところであります。
#133
○森ゆうこ君 先ほどの御答弁から、やはり今回のこれは緊急避難であると、財政的に。だから、どうしても五月一日施行をお願いしたいということをおっしゃっていられると思うんです。であるならば、私は五年間はもちますよなんということは断言しない方がいいと思います。更にこの制度の信用性を失墜させることになると思いますよ。緊急避難であれば緊急避難ということで、そのようにお認めになった方がいいと思いますが。
 それで、次の質問に移りたいと思いますが、弾力条項という、弾力条項の発動について私はそもそも疑問があります。弾力条項であっても保険料の引上げをするということは、その前提に、先日御答弁ありましたけれども、雇用失業情勢が更に悪化して予備費も使う、その予備費が足りなくなったときに早期就業支援基金の残金を充てる、それでも足りない場合に弾力条項を発動するという御答弁だったんですが、そこまで至るということは、その前提として経済状況が物すごく悪化している、更に悪化しているという前提があるわけで、そこで弾力条項を発動して、そして企業そして労働者の負担を引き上げるということになりますと、これは更に企業側から見ればリストラの促進策であり、労働者にとっては消費を控えるという方向に働くということで、そもそもこの弾力条項の発動に私は疑問があります。
 それで、先ほど大臣の御答弁で私は大臣の認識というものが初めてよく分かりました。要するに、現在の経済は短期的な経済の悪化もあると、そして構造的な変化がダブっていて、そしてまずその短期的経済の悪化を回復軌道に乗せた上で新しい構造変化に対応していくんだというふうなことだったと思うんですけれども、でも、たしか小泉内閣というのは、改革なくして成長なし、景気を回復させるのも、これからの日本の成長を生み出すにもまず改革ありきということだったと思うんですけれども、新しい雇用構造への作り替え、それに対応する雇用保険の在り方ということが先なんじゃないでしょうか。
 前回から言っております構造改革路線の推進が前提となっていて、更に改革加速プログラムということを提示しているんであれば、一〇%程度の失業率となることも予測して、その対応として今回の改正をきちんと考えるということ、そしてそのためには私は短期的にでも国費の投入が必要ではないかと考えるんですけれども、大臣の御答弁をお願いいたします。
#134
○副大臣(鴨下一郎君) 先生がおっしゃっているように、ある意味で相当失業率が高くなってもそれに耐え得るような、こういうようなことをするべきだと、こういうようなことの御指摘でありまして、それには国庫の投入も含めて考えろと、こういうことでありますけれども、元々、雇用保険そのものが労使の共同連帯によって維持されている制度でありますので、特に労使から賄われた保険料を有効に使っていくと、こういうようなことでありますので、例えばそれ以外の自営業者の皆様の負担をお願いをするというようなことだとか、さらに今の制度そのものにもう既に欧米と比べますとかなりの部分で国庫負担が入っていると、こういうようなことからなかなか難しい部分があるというふうに思うわけであります。
 ただ、先生言っているように、それだけで、雇用保険だけで雇用全体を支えろということではないわけでありますから、不測の経済の状況等を踏まえて、これはもう雇用保険以外も含めてあらゆる手を打って、実際に失業をなさっている方々のためにどうするかと、こういうようなことはもちろん必要なことでありますから、そういう中での今回の改正ということで御理解をいただきたいと思います。
#135
○森ゆうこ君 いや、そういう前提を十分承知の上で、緊急事態、緊急避難、現内閣がやろうとしている政策との総合政策ということできちんと対応したらいかがですかと再三申し上げているわけです。
 それで、次の質問に移りたいと思います。
 どうしても強行されるということだそうです。準備もできているようです。こういうパンフレットも既に全国に配り終えられているということで、先ほど局長は、最終的には国会でお決めいただくということですからという御答弁ございましたけれども、決める前からもう決まっているんですよね、これ。もう既に配ってあって、準備は万端ということだそうですけれども、こういうやり方がいいのかどうかという問題はまた別のときにやらせていただきたいんですけれども、給付の削減については私もある程度やむを得ない部分もあるというふうに申し上げました。ですけれども、先ほどもお話がありましたように、四十代、五十代の中高年層が対象ですね、今回の給付削減は。
 総務省の平成十三年家計調査年報によると、夫が四十代の世帯の可処分所得の約二五%が住宅ローンや教育関係費となっております。私も正にその世代でございます。子供が三人おります。中学生、高校生、大学生。今の状況で、私が専業主婦であって夫が失業した、その途端に困ります。もう本当にやっていけない。このように給付をカットされて、ローンの支払に困るわけです。生活は何とかできても、ローンの支払に困ります。子供たちの教育費に困ります。本当に身近な問題として感じます。
 負担が極めて大きいわけですが、この観点からも中高年層にとって酷な給付削減を行うべきではないと思いますが、教育ローンや住宅ローンなどの言わば個人の不良債権の救済を雇用保険三事業で行うことについては困難という答弁もあったんですけれども、ほかの省庁で様々な対策もやっておられると思いますけれども、それらについて、奨学金それから住宅金融公庫の返済猶予等、今現在もうやられているとは思いますが、もっと充実してやられるべきではないかと思いますが、各省庁から来ていただいておりますので、順次お答えいただきたいと思います。
#136
○政府参考人(木谷雅人君) 奨学金についてお答えを申し上げます。
 日本育英会の奨学金については、学生が経済的に自立し安心して学べるよう奨学金を希望する学生生徒の支援のために毎年充実を図ってきておるところでございまして、平成十五年度予算においても、対前年度比六百二十四億円増の五千七百九十億円の事業費で六万八千人増の八十六万六千人に奨学金を貸与することといたしております。
 とりわけ、保護者がリストラ等によって失業した場合など、家計が急変しても子供が勉学を断念することがないよう、無利子で貸与を行う緊急採用奨学金という制度を設けておりまして、年間を通じて随時受付を行っております。これまで希望者全員を採用してきているところでございまして、平成十五年度予算におきましても、所要額として、一万人、三十一億円を計上しているところでございます。
 今後とも、経済的理由で子供たちが学校を退学したり進学を断念することがないよう、教育を受ける意欲と能力のある学生生徒の支援のために適切に対応してまいりたいと考えております。
#137
○政府参考人(松野仁君) 住宅ローンについてでございますが、経済状況の悪化に伴う失業等によりまして住宅ローンの返済が困難となった方に対して、住宅金融公庫の融資におきましては積極的にローン返済の相談に応じております。また、返済期間の延長あるいは元金の支払の据置きなどの措置を講じておりまして、個々の利用者の実情に応じましてきめ細かい対応策を講じております。この結果、平成十年十二月から平成十五年二月までの累計でございますが、五万五千六百五十二件について貸付条件の変更を行ってきております。
 公庫におきましては、住宅が家庭生活の基盤であることにかんがみまして、返済が困難になった場合におきましても、極力その住宅に住み続けていただくことを基本として取り組んでいるところでございます。
#138
○政府参考人(五味廣文君) 民間の金融機関の住宅ローン等でございますけれども、こうした貸付金につきましては、預金者の皆さんからお預かりしたお金を運用するということでございますので、金融機関としてはリスク管理ということが必要になりますので、お支払が滞ればやはり不良債権という形になりますけれども、この回収に当たりましては、不良債権化したからといって直ちに例えば担保処分をしてしまって回収しようというようなことが行われるということが常態ではございませんで、債務者の方の支払能力に応じた返済の新しい計画などについても相談に応ずるような形になっております。
 また、そうしたことのカウンセリングを行うためによろず相談所というのが全国銀行協会で、全国で五十四か所でございますが、設置されておりまして、こうしたところで経済的理由、事情などによりまして返済が難しくなりました方の御相談に応じているということでございます。
 なお、銀行からの住宅ローンにつきましては、ローン返済支援保険というものがございまして、これは既に失業を今なさっちゃっている方の場合仕方がないんですけれども、住宅ローンをお借りになるときにこの保険に併せて入っておかれますと、解雇ですとかあるいは勤め先の倒産ですとか、こういった事情が生じた場合にもローン返済にこの保険が下りるというような制度もございますので、こうしたものも活用していただくのがよろしいのではないかと思います。
#139
○森ゆうこ君 各省庁でそれぞれ対応されているということなんですけれども、肝心かなめの厚生労働省はどうでしょうか。
 雇用三事業、評価されていないわけですね、事業主の方からも。保険料を負担している事業主も、雇用三事業の在り方についてはということで午前中も参考人がお話がありました。
 先日の局長の御答弁では、そもそもこの雇用三事業に関しては、中高年のローンの返済、失業の場合のローンの返済等の支援ということはこの事業の目的に合わないというふうな御答弁だったんですけれども、この雇用安定事業の法律の内容を見てみますと、第六十二条の第五項ですね、「雇用に関する状況が全国的に悪化した場合における労働者の雇入れの促進その他被保険者等の雇用の安定を図るために必要な事業であつて、厚生労働省令で定めるものを行うこと。」。また、第六十四条の第四項、「被保険者等の福祉の増進を図るために必要な事業であつて、厚生労働省令で定めるものを行うこと。」と、このように書いてありますが、そもそも被保険者の福祉の増進とは一体何でしょうか。副大臣でいいと思うんですが、済みません、通告してなかったでしょうか。
#140
○政府参考人(戸苅利和君) これは、基本的には企業の福利厚生、これを個々の中小企業ではなかなか対応し切れないと、そういった場合に事業主のいろいろな、事業主の負担による雇用保険料で見ていこうということで、元々は従来から議論になっております勤労者福祉施設の運営が中心だったんだろうと思います。今は何をやっているかと申しますと、例えば中小企業等がその勤労者というか従業員のために、例えば働いていく上でのいろいろな悩み事の相談のためにカウンセリングをするとか、あるいは社宅を用意するとか、あるいは何というか職場環境の改善のために施設設備を整備するとか、そういったことに対する援助と、こういったことが中心になっているというふうに思います。読むとすると、確かに六十二条よりは六十四条の第四項の方が読み得るというふうには私も思いますけれども、ただ、今やっている雇用福祉事業というのはどういうものかといいますと、今現に被保険者として働いている方についての職場での問題、それから失業した方が就職するなりあるいは自分で自営業を始めるなりそういったときの支援と、こういったことが中心で、職業相談してみたり、あるいは自立するときの、自立のための援助をしてみたり、あるいはワークシェアリングをやったりと、こういうことであります。
#141
○森ゆうこ君 私は、現時点において被保険者の福祉の増進ということで一番重要なのは、どう考えても著しい所得の減少というのが避けられないわけですね、失業した場合に、この雇用保険からの失業手当は大幅にカットされる、そしてまたなぜカットされるかというその前提として再就職先の賃金はもはや今までの勤め先と同じような賃金は望めないと、そういうことを覚悟しなさいと、その逆転現象を解決するということがあるわけですね。そうしますと、著しい所得の減少ということについての激変緩和に対する支援というのが最も求められていることだと思います。そういうことに関していま一度この雇用保険三事業をもう抜本的に見直し、雇用の安定、そして国民の不安の解消に努めていただきますよう申し上げまして、質問を終わります。
    ─────────────
#142
○委員長(金田勝年君) この際、委員の異動について御報告をいたします。
 本日、鴻池祥肇君が委員を辞任され、その補欠として山内俊夫君が選任されました。
    ─────────────
#143
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
 一昨日は、まじめに一生懸命労働保険料を納めまして頑張っている事業主さんが行政のミスによりまして十二年間も本来より高い保険料を徴収されたという御質問をさせていただきました。しかし、返還されたのは二年間分でございまして、残りの十年間分は返還をされないと、こういった内容をさせていただいたわけですけれども、質問が終わりまして、お隣の大脇先生が、西川さん、これはこうですよとアドバイスをしてくださいました。そこへ坂口大臣もお越しになりまして、西川さん、何をやっているんですかということで、ちょっとその資料を御一緒に見せていただいたわけですけれども、これをちょっと私にも見せてくれぬかということで検討してみるということだったんですけれども、これ、大臣、通告してないんですが、今一言だけお伺いしてよろしいでしょうか、申し訳ございませんが。済みません。
#144
○国務大臣(坂口力君) 先日いろいろとお伺いをいたしまして、御趣旨をどのように実現をしたらいいかと今いろいろと検討をしておる最中でございます。大脇議員が書かれましたメモを拝見をしておりますが、何しろ専門家の、法律専門家のお書きになったものでございますから、すぐこれで右から左に私も理解するというわけにもまいりませんので、鋭意今検討をさせていただいているところでございます。
#145
○西川きよし君 突然に申し訳ございません。ありがとうございました。本当にサービスをしていただいて感謝します。
 本日はその逆のケースで質問を申し上げたいと思うんですけれども、この労働保険料を納める義務がありながら、ありながら納めていない事業所の実態あるいはその対応を是非お伺いしたいと思いますし、最初にお伺いしたいのは、この雇用保険部会の報告書の中で「雇用保険の適用を的確に進めるため、新たに雇用保険加入手続がとられた場合にその事実を本人が確実に把握できる方法を整備をする必要がある。」と、このような指摘がございますんですが、この指摘の背景には具体的にどのような問題が起こっているのか、その辺りの説明を是非本日、副大臣にお願いいたします。
#146
○副大臣(鴨下一郎君) 雇用保険の被保険者資格取得手続につきまして、雇用保険法の第七条の規定によりまして、事業主は労働者を雇用した場合にはその雇用する労働者に対し雇用保険の被保険者になったことを公共職業安定所長に届けなければならないと、こういうふうにされているわけでありますけれども、ただ、先生がおっしゃっているように、事業主が被保険者資格取得手続を怠って倒産・解雇になって初めて労働者が雇用保険に入ってなかったということが分かると、こういうようなことがあることから、先生御指摘の雇用保険部会におきまして、こういう問題を解消するためにどうしたらいいかと、こういうようなことで議論がなされたわけであります。
 その結果を受けまして、昨年の九月から、労働者自らが雇用保険加入手続がなされているか否かについて直接公共職業安定所に確認のため照会を行って、そして確認結果について文書回答を得るようなことができるような、そういう手続を始めたわけであります。
 さらに、この部会の報告を受けまして、今回の法改正に合わせまして、事業主が被保険者資格取得手続を行った際に被保険者に対して被保険者証又はその控えを事業主から交付すると。ですから、事業主が雇ったときの労働者の皆さんにこういう被保険者証がありますよということを交付すると、こういうようなことを予定しているわけでありまして、こういうようなことを整備することによって自分が労働保険に入っているかどうかということがよく分かるようにしようというのが今回の改正の一つの方向であります。
#147
○西川きよし君 ありがとうございました。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 この雇用保険、労災保険、いわゆる労働保険のこの保険料を未納している、あるいは適用事業所でありながら未加入の状況にある場合、労働者が受けるこの不利益、不利益はどのようになっているのか、政府参考人にお伺いをいたしたいと思います。
#148
○政府参考人(戸苅利和君) 労災保険と雇用保険とそれぞれについて申し上げます。
 労災保険については、労災保険料が未納でありましてもその労働者の方が業務上の災害あるいは通勤災害にかかった場合は保険給付が行われます。したがって、労働者に不利益は生じないということだと思います。
 それから雇用保険でございますが、雇用保険は実は時効が二年と、こういうことになってございます。そういった意味で、雇用保険の被保険者、要するに適用事業所になってそこに雇われて、それがハローワークに資格取得届が届けられていれば、これは多分保険料が未納であってもその期間、雇用保険の被保険者であった期間について給付がなされますので、この場合も不利益はないと思います。
 ただ、問題は、今おっしゃられましたように、その雇っている事業主が雇用保険に入ってない、適用してないと、しかも保険料も払ってない、当然ですけれども、その場合は二年しかさかのぼれません。そういうことで、例えば三年働いている方でも二年間の勤務である、あるいは十年働いていても二年間の勤務であるということで、二年分、二年間勤務したら幾らもらえるかという給付になります。したがって、例えば四十五歳から六十五歳、六十歳の方ですと百八十日の給付ということで、そういう意味では五年以上雇われていた方については不利益が生じる可能性は出てくるということでありますが、これは時効なものですから、ちょっとこれ以上やりようがないと。そういうことを防ぐためにはやはりきちんと適用を進めていかぬといかぬと、こういうことだろうと思います。
#149
○西川きよし君 ありがとうございました。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 その実態、現在、労働保険料の未納額の総額、そしてまた未納している事業所数ですね、そしてそこに勤めておられる従業員数はどうなっているのか、是非お伺いしたいのと、それから適用対象の事業所でありながら未加入というのはどのような状況にあるのか、併せてお伺いをいたしたいと思います。
#150
○政府参考人(青木豊君) まず、平成十三年度末における労働保険の保険料の未納額でございますが、全体、徴収決定三兆七千億ほどございますけれども、そのうち約八百二億円ということで、二%約強ということでございます。それで、その十三年度末時点で労働保険料が未納であった事業場のうち、平成十五年二月末現在においても未納であった事業場数は約一万ということになっております。
 そこでの労働者数でございますが、労働保険料を未納している個々の事業場は把握できますけれども、その事業場における労働者に関するデータにつきましては収納システムとは別管理にされておりまして、現在、それを突合させる仕組みとなっておりませんので、個々の労働者数というのは把握できておりません。
 以上でございます。
#151
○西川きよし君 ありがとうございました。
 事業所数が一万を超えるという大変、未納額が八百ということでございますけれども、この未納状況にある事業所ですけれども、今度は未納期間ですね、是非お伺いしたいのは未納期間、そして未納額、それぞれ、一事業所当たり、例えば一番長い、そして一番多い、最長最大はどの程度になっているんでしょうか、是非お伺いしたいと思います。
#152
○政府参考人(青木豊君) 労働保険料を未納しております事業場に対しましては納付の督励ということをやっているわけでございますけれども、特に未納額が高額の事業場を中心としまして、各都道府県の労働局で実施している、納付督励を実施しているということでございます。
 本省においてそれらを必ずしもすべて把握しているわけではございませんけれども、東京労働局の取扱件数が一番多うございまして、そこのを例に挙げますと、平成十五年四月二十三日現在には、最大の未納額は約一億五千万円、最長の未納期間になっておりますのは約二十六年。これは、この事業は平成十三年度にこの事業場が廃止されておりますけれども、約二十六年ということになっております。これらにつきましては、都の東京労働局におきましても納入督励でありますとか時効中断などの措置を講じまして債権管理に努めているところでございます。
#153
○西川きよし君 ありがとうございました。
 大きい目玉が余計大きくなりました。びっくりしました、本当に。一億五千万円、そして二十六年間というようなことで今お答えをいただいたんですけれども、全く本当に驚くような数字で、びっくりいたしましたんですけれども。
 一昨日、保険料を多く取り過ぎていたものには二年で時効だから絶対にこれは返せないということでございましたんですけれども、この場合の例えば時効の規定というようなものはございますのでしょうか。
#154
○政府参考人(青木豊君) 労働保険料を徴収する国の権利は、これは先般も御議論になりましたように、労働保険徴収法の四十一条で二年で時効消滅ということになっております。そうでありますので、時効が完成しないように督促を行いまして、あるいはまた債務承認書などを提出させることなどをいたしまして、適切に時効中断措置を講じているところでございます。
 しかし、滞納事業場に対しまして再三訪問いたしましたりして納入督励を行いましても、事業が廃止されましたり、事業そのものが廃止されてしまったり、あるいはその後に事業主の所在が不明になってしまうというようなこともございまして、債務承認等の時効中断の措置ができなくなるということがあって時効が完成するということもございます。それから、倒産などによりまして事業場が無資力になった場合に納付義務を消滅させるというようなこともありますので、そういった場合には徴収できなくなった労働保険料というのも生じてきているということでございます。
#155
○西川きよし君 ありがとうございました。
 今御答弁をいただきまして、例えば取り過ぎたと、取り過ぎた分は二年で返せないということもせんだってお伺いしたんですけれども、今、二十六年間ということでございますけれども、結果、二十六年後に幾ら回収できたのかということになるわけですが、二十六年間徴収できなかった。例えば、今るるお答えいただいたんですけれども、その責任の追及とかというようなことのなには、いろいろな方法を使って行っているようなことはございますのでしょうか。
#156
○政府参考人(青木豊君) 労働保険料を未納している事業主の方への対応でございますけれども、それは各都道府県労働局におきまして滞納整理の実施計画というものを策定しまして、効率的、効果的に労働保険料の徴収を行っているということでございます。
 具体的には、文書あるいは電話で督促もすることは当然ですが、積極的な訪問をいたしまして納入を督励いたしましたり、あるいは事業の経営状態を把握した上で納入計画書でありますとか今申し上げました債務の承認書を提出させるというようなことをしまして時効が成立しないように時効中断の措置を講じたり、特に支払の意思が見られないような事業主につきましては財産の差押えをするというようなことを行っているところでございます。
 そういうことでありますが、ペナルティーといいますか、ということでありますが、労働保険料を未納している事業主の方が、督促をしまして、督促状の指定する期限までに納付しなかった場合には延滞金を課すということでございます。
 それからまた、事業主が督促状の指定する期限後も労働保険料を納付していない期間などに、その間に事故が、労災事故が生じて、これはその場合でも労働者の方には保険給付がなされるわけでありますが、そうした場合には保険給付に要した費用の一部分を徴収するというようなことをしているところでございます。
#157
○西川きよし君 御丁寧に御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 今の答弁の中でペナルティーというようなお言葉が出てまいりましたんですけれども、それは例えば会社名を公表するとかというようなことの意味合いなんでしょうか。そういうこともやられたりは、お考えになるようなことはないんでしょうか。
#158
○政府参考人(青木豊君) 個々の会社の名前を公表するということまでは考えておりません。自主的に保険料を納めていただくと。粘り強く、根気強く、なかなか払えないという事業主の方にも今申し上げましたような計画を作ってもらったりしまして払っていただくように努力をすると。できるだけ払っていただくという方向で、ただその際には、今申し上げましたような、いろんな遅延したようなものについては、延滞税のような考え方といいますか、延滞した分の経済的な負担は更にしていただくというようなことで進めているところです。
#159
○西川きよし君 ありがとうございました。
 本当に、逃げ得というんですかね、そういうことにならないように、大変でしょうけれども、頑張っていただきたいと思います。
 最後に、大臣に御質問をさせていただきます。
 これだけ厳しい経済状況の中でも、今御答弁の中でもるるありましたけれども、ほとんどの事業主の方がその責任として保険料を納めていらっしゃるわけですし、その一方で保険料を納めていない方もいらっしゃる。そしてまた、未加入というのは、公平公正の観点にとどまらず、労働者に対しても大変に大きな不利益、不安を与えることになりますし、こうした事業主に対する指導体制の強化、あるいはペナルティーの強化も含めて徹底した対応が必要であると私自身も思います。
 今、青木さんの方からも御答弁いただきましたとおり、現状の対応も、現状も大変なんですけれども、そういう対応も含めまして、坂口厚生労働大臣から御答弁をいただいて、終わりにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
#160
○国務大臣(坂口力君) 特別ないい方法があるというわけではないというふうに思いますが、これはもう粘り強く督促をするという以外に方法はないというふうに思います。それは差押え等もあると思いますけれども、そういうことになる前にやはり御加入をいただくようにしっかりと督促をしていくということ、そして、その意味するところ、それは働いておみえになります従業員の皆さん方の問題であり、また社会的連帯の問題であり、そのことを十分に理解をしてもらうということが重要であるというふうに思っている次第でございます。
#161
○西川きよし君 ありがとうございました。
 終わります。
#162
○委員長(金田勝年君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#163
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#164
○今泉昭君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま論議となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
 反対の第一の理由は、改正の根拠が国家としての雇用政策とは関係なく、単に財政の帳じり合わせに基本が置かれていることであります。国の役割は、国民がひとしく仕事をする機会を得、仕事を通じて安定した生活を送ることができるようにすることですが、昨今の長期にわたる高い失業率、多数の失業者の存在は、国としての経済政策の欠陥、雇用政策の失敗にあると言わざるを得ません。長期化する不況、失業者の増大に対応する経済・雇用政策を示すことなく、被保険者にのみ負担を押し付けることは絶対に受け入れることはできません。
 反対する第二の理由は、保険料を引き上げる根拠があいまいな点であります。十二年度の改正時において五%半ばの失業率に耐え得る制度改正という政府側の主張にもかかわらず、わずか三年で、しかも五%前半台の失業率で改正しなければならないことは、前回改定の責任を問われることになると考えます。そして、今回の改定により五年程度の安定運用ができるとしていることの根拠が何ら示されていないことから反対するものであります。
 反対する第三の理由は、長期不況が一向に改善することなく失業の不安が消えない状況の中で、医療費の負担増大、介護保険料の引上げに続いて失業保険料の引上げを強行することは、景気の底支えとなっている消費需要の一層の冷え込みになることになり、景気の悪化につながりかねないからであります。
 第四の反対の理由は、施行期日が五月一日となっており、被保険者並びに保険者に対する改正内容の周知徹底の期間がほとんどないことであります。今回の改正は、被保険者はもとより、保険者にとっても保険内容が大きく変更され、その影響は小さいものではありません。現行の権利義務が大きく変動する際には十分な周知期間が必要であります。前回の改定期においても六か月以上の周知期間があったにもかかわらず、今回の改定では周知期間が全くないという法改正には断固反対せざるを得ません。
 以上の理由をもって本法案改定に反対であることを表明し、反対討論といたします。
#165
○沢たまき君 私は、自由民主党・保守新党及び公明党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の雇用保険法等の一部を改正する法律案に賛成の意を表するものであります。
 現在、我が国は、冷戦構造の終えん、アジア経済の台頭を始めとする国際環境の変化や不良債権問題などにより長期にわたる経済の停滞に陥っています。
 こうした中で、労働の分野においては、雇用情勢が年々厳しさを増す一方、女性の職場進出の進展やパートタイム労働の増加などの働き方の多様化といった構造変化が急速に進んでおり、これに伴い、雇用保険制度については、受給者の増加と保険料収入の減少が同時に発生し、極めて厳しい財政状況に陥っており、このままでは財政破綻が避けられない状況になっています。
 勤労者が安心して働ける社会を実現するためには、雇用の創出、確保のための諸施策の充実強化と併せ、雇用のセーフティーネットの基本である雇用保険制度の安定的運営を実現することが急務であります。
 今回の法案は、受給者の早期再就職の促進のため、高賃金層を中心とした基本手当日額の見直しや、早期就業の促進のための給付の創設がなされているほか、多様な働き方への対応の観点から、通常労働者とパートタイム労働者の給付の一本化を実現することとしております。また、再就職が困難な状況に対応するため、壮年層について基本手当の給付日数の延長を行うなどの配慮がなされております。
 さらに、教育訓練給付の被保険者期間要件が五年から三年へ緩和されているほか、運用面においても、育児休業期間中などの賃金日額の算定の特例も設けられていることとされているなど、若年者や女性にきめ細かな目配りがされております。
 負担面についても、一般財源により二千五百億円の早期再就職者支援基金を設けることにより、保険料率を二年間据え置くとともに、引上げ幅も必要最小限の水準とされております。
 以上のように、雇用保険法等の一部を改正する法律案は、受給者の早期再就職の促進を図るとともに、増加する女性労働者や働き方の多様化への対応、厳しい雇用失業情勢の下で再就職が困難な人たちへの配慮がなされるなど、様々な立場にある受給者や被保険者、事業主の納得を広く得られるバランスの取れた内容であり、私としてはこれを高く評価し、法案に賛成を表明して討論を終わります。
#166
○小池晃君 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 雇用保険は、失業者の生活の安定と再就職の促進を目的としており、その在り方は国民生活を左右し、経済にも大きな影響を与えます。失業期間が長期化するなど、今日の厳しい雇用情勢の下で、政府には国民の勤労権の保障と雇用保険制度の拡充をする責任があります。構造改革で失業者の増加を前提とする経済政策を進めながら、失業者の命綱を断ち切ることなど断じて認めることはできません。
 反対する第一の理由は、この法案が雇用保険財政を一層危機に陥れるものだからです。
 雇用保険会計の悪化の原因は急激に進むリストラにあります。こんなときに、給付削減が四千百億円、二年後の保険料引上げによる負担増が三千億円に上る雇用保険制度改悪などもってのほかであります。本法案による大規模な給付の削減と負担増が消費を冷え込ませ、景気の足を引っ張り、その結果、雇用保険財政の悪化という悪循環に突き進むことは余りにも明白です。国の政策で失業者が増大しているのですから、国が責任を持って失業者を支えるのが当然であり、国庫負担を引き上げて、給付削減、保険料引上げを撤回すべきであります。
 第二の理由は、失業者の生活に深刻な打撃を与え、求職活動を困難にするからです。
 基本手当削減の対象は、賃金月額十二万六千三百円以上のすべての受給者を始め、実に九三・五%の受給者に及びます。特に給付率の下限の六〇%から五〇%への引下げは、再就職が困難な中高年失業者の生活に深刻な打撃となります。また、受給期間の見直しなどによって、失業手当を受け取る実人員が月平均六万人も減らされます。手当額の削減だけでなく、受給実人数を減らすことなど到底許されません。
 第三の理由は、早期再就職の促進の名の下に、低賃金、不安定雇用への労働力移動を促進するものだからです。
 今回の改悪は、失業給付と再就職時賃金の逆転現象の解消を理由として、基本手当の削減を実施し、常用雇用以外の再就職を進める就業促進手当を新設し、地域平均賃金の八割の条件でも紹介を拒否すると給付制限を掛けるなどの厳格化を受給者の責務の法文明記とともに進めています。これでは雇用保険制度そのものが一層低賃金、不安定雇用を促進する手段にされてしまいます。正に今回の改悪は雇用保険制度の重大な変質にほかなりません。
 最後に、このような重大な法案を趣旨説明を含めわずか二日の審議で採決することに強く抗議をし、私の反対討論を終わります。
#167
○森ゆうこ君 雇用保険法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。
 今回の雇用保険法改正は、厳しい雇用失業情勢の下、雇用保険財政が急速に悪化した結果、財政破綻を回避するための単なる目先の収支改善策として示されたものです。しかし、現在の危機的な財政状況を招いたのは、政府が甘い見通しにより国庫負担や保険料を暫定的に引き下げていたことにも原因があり、それにもかかわらず、国庫負担は据え置き、給付の引下げと保険料の引上げのみで対応することは、政府の失政の責任を労働者と事業主に転嫁することにほかなりません。
 今回の改正は、専ら財政的な観点だけで、制度維持のため単に緊急避難的に行おうとするものであり、総合的な政策判断が欠如しています。ヨーロッパ並みの一〇%前後の失業率となるということも覚悟して、それに見合うだけのセーフティーネットの構築をするという観点に立って、つまりハードランディングとの政策パッケージとして制度設計すべきであると考えます。
 また、基本手当の所定給付日数が勤続年数に応じて決定されるなど、雇用保険制度それ自体、依然として企業における終身雇用制度の存在を前提として正社員中心主義の考え方により設計されているものであります。パートタイム労働者など非正規労働者が三割に達する今、抜本的な見直しが必要です。
 最後に、デフレ経済下での更なる社会保障費の負担増が労働コストを高め、企業を疲弊させ、結果的にリストラ促進策となることを強く警告します。住宅ローン、教育ローン等を抱える中高年層の急激な所得減少に対する激変緩和策を十分に講じないまま、大幅な給付の引下げをほとんど周知期間を設けず強行することに対し改めて強く抗議して、私の反対討論といたします。
#168
○田英夫君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、雇用保険法の一部を改正する法律案につき、反対の立場から討論いたします。
 小泉総理は、就任以降、改革なくして成長なしという構造改革路線を標榜し、国民に様々な痛みに耐えることを要求してきました。とりわけ雇用・労働分野においては、リストラや倒産による失業率の増大と、パートや派遣等の臨時的一時的不安定雇用が大きく増加し、働く人たちの痛みが顕著に現れています。
 深刻なデフレ不況の下で、厳しい雇用失業状況の改善の見通しもなく、完全失業率五%台、失業者は約三百五十万人と高止まりで推移しています。構造改革による新規の産業分野での雇用創出策、さらに各地域における緊急雇用創出策が打ち出されてきたにもかかわらず、その効果も上がらずに国民は生活破綻の危機にさらされています。雇用保険制度の雇用のセーフティーネットとしての果たすべき役割の重要性は改めて言うまでもありません。
 以下、本改正法案に反対する理由を述べます。
 第一に、雇用保険制度は、離職者の失業中の生活を支え、早期の再就職を強力に支援するものでなければなりません。厳しい雇用失業情勢の長期化によって、雇用保険財政は労使の保険料の負担者が激減する一方、受給者が激増することで逼迫してきましたが、今回の改正は、その財政事情への対応策として、あくまでも対症療法にすぎない改正であり、根本的な対策になっていません。
 第二に、失業者ができるだけ早期に再就職を達成できるための施策は必要不可欠ですが、労働者の痛みによって再就職のインセンティブを高める方策になっています。今回の改正は、前回改正で実施された離職理由による給付水準見直し策、つまり、非自発的理由による離職者には給付日数を長くし、自発的離職者には短くした施策を更に徹底するものであり、高賃金層の失業手当日額と再就職時賃金の逆転現象の解消を理由に、基本手当の給付率の下限と給付日額の上限が引き下げられています。給付の期待権を持ちつつ、在職中に一定の保険料を負担してきた受給者にとって余りにも冷たい対応です。そもそも高賃金層は、住宅ローンや子供の教育ローン、年取った親の介護、自分の老後の不安への手当てと、人生の中でも最も負担の多い世代であり、このような生活実態を直視しない政策であります。
 第三に、今回のように常用以外の早期就業者に対して基本手当日額の三〇%上乗せという策は、一層の不安定雇用を生み出すことに連なります。政府が緊急雇用創出としてこの間打ち出してきた短期低賃金の緊急的臨時雇用レベルでの再就職の促進になることは明らかで、結局長期的な雇用には結び付かず、不況が続けば再度の失業が生じるだけと考えます。まず常用雇用へのインセンティブを考えるべきであります。
 第四に、今回の改正では、通常労働者とパート労働者との給付内容を一本化し、倒産・解雇等とそれ以外の離職理由による給付内容の改定がなされることになっていますが、倒産・解雇等の離職理由が従来の通常労働者の水準で、それ以外の離職者はパート労働者の水準にすることが、なぜ多様な働き方への対応なのか全く理解できません。
 このような一本化は、単に給付水準を切り下げることになり、働き方の多様性に対処するというのであれば、パート、派遣、有期雇用等の働き方にある労働者が、通常労働者と同様に継続して働いている実態にかんがみ、手厚い水準を維持すべきだと思います。
 第五に、再就職が困難な状況に対応した給付の重点化をより徹底すべきだと考えます。そのためには、労働者の能力開発も専門性と技術力をアップする教育訓練の対象を見直し、きめの細かい支援を図って再就職の可能性を広げていく施策が重要であることを強調し、反対討論を終わります。
#169
○委員長(金田勝年君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#170
○委員長(金田勝年君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、山本君から発言を求められておりますので、これを許します。山本孝史君。
#171
○山本孝史君 私は、ただいま可決されました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党及び社会民主党・護憲連合の各派並びに各派に属しない議員西川きよし君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 一、雇用保険が今後とも雇用のセーフティネットとして、その機能を十分発揮することができるよう制度の安定的運営の確保に努めること。また、雇用の安定確保に向け経済対策に万全を期すとともに、受給者の早期再就職の実現等雇用対策の効果的な実施に努めること。
 二、雇用保険制度の本来の趣旨に沿った運営がなされるように、ハローワークにおいて、適切な職業相談・職業紹介等再就職支援機能の一層の強化に努めること。
 三、三十五歳以上六十歳未満の雇用保険受給者であって、倒産、解雇等による離職者について、雇用保険の加入期間が三年以上を要件として、一定期間、受講手当の充実を図ること。
 四、公共職業訓練等の複数回受講指示の特例について、これが一層有効に活用され、失業者の再就職促進に資することとなるよう取組を進めること。また、訓練内容については、求職・求人双方のニーズを十分反映したものとなるよう一層の見直しに取り組むこと。
 五、私立大学をはじめ未適用の事業所に対する適用促進を強力に進めるとともに、パートタイム労働者の適用等雇用保険制度の適用範囲についての検討に努めること。
 六、被保険者資格取得の本人通知の仕組みの改善のほか、被保険者資格の確認手続の周知広報等有効な方策についての検討に努めること。
 七、雇用保険三事業の各種給付金等については、政策評価を適切に行い、真に失業予防や再就職の促進に有用であると認められるものを実施するよう、不断の見直しを行うとともに、中小企業の利用促進に配慮しつつ、不正受給の防止にも万全を期すこと。
 八、改正雇用保険法等の実施に当たっては、その周知徹底について遺漏なきよう努めること。
 九、雇用保険制度の将来的な在り方について早急に検討に着手することとし、検討に当たっては十分な時間をかけて行うとともに、基本手当及び高年齢雇用継続給付の給付水準等に十分留意すること。
 十、高年齢者の六十五歳までの継続雇用を実現するため、法改正を含め高齢者雇用対策の抜本的な見直しを行うこと。
 十一、パートタイム労働者等の雇用保険の加入を促進するため、その適用基準の周知徹底を図るとともに、事業主に対し指導を行うこと。また、パートタイム労働者が意欲を持ってその有する能力を十分発揮できるようにするため、パートタイム労働対策の進展状況、雇用システムの変化等の動きを見つつ、法的整備を含む検討を行うこと。
 十二、再就職が困難な状況が続いていることにかんがみ、解雇等によりやむを得ず中途払出しを行う場合について、特別な配慮を行うことができるようにするなど、勤労者の住宅費、教育費等の負担の軽減に資するための勤労者財産形成促進制度の見直しについて検討に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#172
○委員長(金田勝年君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#173
○委員長(金田勝年君) 全会一致と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。
 ただいまの決議に対し、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。坂口厚生労働大臣。
#174
○国務大臣(坂口力君) ただいま御決議のありました本法案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。
 ありがとうございました。
#175
○委員長(金田勝年君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#176
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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