くにさくロゴ
2003/05/21 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 厚生労働委員会 第14号
姉妹サイト
 
2003/05/21 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 厚生労働委員会 第14号

#1
第156回国会 厚生労働委員会 第14号
平成十五年五月二十一日(水曜日)
   午後一時二十八分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十九日
    辞任         補欠選任   
     朝日 俊弘君     角田 義一君
 五月二十日
    辞任         補欠選任   
     浅尾慶一郎君     木俣 佳丈君
     角田 義一君     朝日 俊弘君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金田 勝年君
    理 事
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                山本 孝史君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                森田 次夫君
                今泉  昭君
                木俣 佳丈君
                谷  博之君
                堀  利和君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小池  晃君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   参考人
       順天堂大学医学
       部教授      丸井 英二君
       社団法人日本食
       品衛生協会HA
       CCP普及推進
       部部長      丸山  務君
       弁護士      神山美智子君
       農民運動全国連
       合会食品分析セ
       ンター所長    石黒 昌孝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○食品衛生法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○健康増進法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 昨二十日、浅尾慶一郎君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(金田勝年君) 食品衛生法等の一部を改正する法律案及び健康増進法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 本日は、両案について四名の参考人の方々から意見を聴取することといたしております。
 参考人の方々を御紹介いたします。
 まず、順天堂大学医学部教授丸井英二君、続きまして、社団法人日本食品衛生協会HACCP普及推進部部長丸山務君、続きまして、弁護士神山美智子君、続きまして、農民運動全国連合会食品分析センター所長石黒昌孝君、以上の四名の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、両案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び参考人の答弁ともに発言は着席のままで結構でございますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは、まず丸井参考人から御意見をお述べいただきます。丸井参考人。
#4
○参考人(丸井英二君) それでは、私の立場から今回の食品衛生法、健康増進法の改正について意見を述べさせていただきます。
 私は大学の医学部におりますけれども、公衆衛生が専門でして、そういうことで、平成十三年から食物アレルギーの表示義務化に伴いまして、その食品表示をどのようにするかということで研究班を担当してまいりました。その経緯がありまして、現在は農林水産省とともに、つまり厚生労働省と農林水産省が共同で食品表示に関する共同会議、二つの省の間で会議をやっておりますが、それで食品表示についての、会議のいろいろ期限表示など審議しておりますので、そちらの方のお手伝いをしております。そういったことで、今回の食品衛生法並びに健康増進法の改正についてここで意見を述べさせていただくことになりました。
 まず、食品衛生法、これは今回、「国民の健康の保護」という条項を入れる、そういう言葉を入れるということが非常に大きい変化の一つであろうと私の立場から考えております。もう一つ、私の立場からこれが重要であろうと思うことは、リスクコミュニケーション、これが強調されていることでありますし、国あるいは都道府県の責務を課すという、そういう文言が入る、これもまた今までの食品衛生法になかった視点であろうというふうに思われます。
 その他、添加物、農薬あるいは監視体制の強化等々についての規定について改正がございますけれども、個々の条文について云々するというようなことは私の立場からはいたしませんで、むしろこの二つの法律の背景、むしろこのように改正することが適切であろうと思われる背景についてお話をさせていただきます。
 まず、食べ物、食の問題ですが、ここのところ数年、例えば偽装表示の問題、特にBSEに始まりまして様々な問題が起きてきまして、非常に世の関心を引いているところでありますけれども、基本的に食べ物についていえば、安全ということを考えたときに、一〇〇%安全な食べ物はないというふうに言ってよろしいかと思います。それは、どのような食べ物でありましても、何らかの危険性を含んでいると。なぜならば、食べ物というのは体の外部から来るものであって、どんな体にとってもこれは異物ということになります。ですから、ある意味ではウイルスが入ってきたり細菌が入るのと同じように体にとって異物ですから、これをうまく体が取り入れて初めて体に役に立つということで、この異物をどのように体が処理するかということが非常に大事なことになります。というわけで、食べ物の問題を考えますときには、食べる物ともう一つ、人、人間の側というのを忘れてはいけないということになると思います。
 食について安全が非常に云々されますけれども、安全、安心というふうに言われますが、事安全に関していいますと、安全を確保するのはもちろん生産者、あるいは販売者、あるいは行政。つまり、安全な食べ物を、できるだけ安全な食べ物を供給するという責任が一方に、供給側にあると思います。もちろん、食べるということ自体が一〇〇%安全ではないわけですから、これはできるだけ安全なものを供給するという、それは努力義務があると思います。
 一方、安心という言葉がよく使われますけれども、これは消費者があるいは国民が食べるときに安心して食べられるかどうかということで、これの基盤は信頼関係の上に成り立つ、そういう種類のもので、安心は物の問題ではなくて人と人との関係、そこから出てくるもので、これが後にも触れます今回の法律の改正の中でリスクコミュニケーションという言葉が強調される理由でもありますし、必要性でもあると思います。
 先ほどお話ししましたように、食べ物は安全とは限らないとお話ししましたけれども、たとえ安全な食べ物というようなものがあったとしても、これは物自体として安全であっても、人間が食べるという行為がありますので、食べ方によっては安全ではなくなります。どんなに安全な食べ物であっても食べ過ぎれば毒になるわけでして、食べ過ぎておなかを壊す、そういうことはあるわけでして、これは食べ物のせいではなくて、人間、食べる側の人間の責任ということになります。
 例えば、食べ物の安全性、物の側の安全性ということを考えますと、その一つの難しい例が食物のアレルギーということになると思います。
 先ほどお話ししましたように、平成十三年に食品衛生法改正されまして、アレルギーを引き起こす食品あるいは遺伝子組換え食品については表示を義務付けるという改正がありました。食物アレルギーは、言ってみれば、先ほど言いました物と人という関係でいうと物の問題でありますけれども、単に物の問題ではないということになります。
 なぜならば、アレルギーを引き起こすような食べ物、これは例えば卵であったり牛乳であったり小麦であったりするわけですが、これ自体は栄養素あるいは栄養分を含む食べ物として人間にとっては欠かすことができない、そういう種類のものです。ですから、アレルギーを引き起こすような物質を含んでいるといっても、この食べ物は少なくとも普通の人間、一般の人間にとっては必要なものです。必要なものがある一部の人にはアレルギーを引き起こすという、そういう関係になっています。
 難しいことに、だれか特定の方だけがアレルギーを起こすかというと、これは体の状態によってはどんな方でもアレルギーを引き起こす可能性があるということで、だれでもがアレルギーを引き起こす言わば被害者となる可能性を持っているという非常にややこしいことになります。ですから、従来のように、例えばこの食べ物は何らかの細菌に汚染されている、あるいは毒物が入っている、だから危険だというふうに、言わば食べ物を善人の食べ物と悪人の食べ物という形で二つに分けることができないという、そういう難しさをアレルギーを引き起こす食べ物は持っていると思います。
 そういうわけで、アレルギーの、食物アレルギーの問題が提起したことは、私たちにとって大事なことは、一つは物、食べ物をいかに安全なものにするかということと同時に、我々がそれをどのように食べるかという、その言わば我々の側の問題が出てきたということだと思います。
 広く背景を考えてみますと、少なくとも日本の食糧事情を考えますと、現在輸入食品が非常に増えまして、自給率はカロリーベースで四〇%を割るというところまで来ております。あるいは、国を考えなくても、我々個人の食生活を考えましても、非常に外食に頼る生活になっております。
 本来、人間の衣食住は自分たちが賄っていたはずのものですが、まず住を専門家に任せ、そして着るもの、衣生活も少しずつ外部に任せるようになって、食だけは自分たちで賄うはずがこれも外食化するということで、言わば自分たちが便利あるいは安さを得て、そして外部にそれを任せて、そういう意味で言わば人任せをどんどんしてくるという形で、その上で今度は自分の目の届かないところで造られたものについて非常に不安であるということを訴えるようになります。言わば、物について責任を問い、あるいはその物を造った他人の責任を問うというようなことになってきております。これもまた物中心というところにあるだろうと思います。
 というわけで、従来のように安全なものを供給するというだけでは問題は解決しなくなってきていると思います。必要なのは、人間の側の問題ですし、生活の仕方の問題、これが例えば生活習慣病などにも関連しまして、先ほどお話ししましたように、安全と、食べ物そのものは安全であっても、その食べ方あるいは食べる量、あるいはそれをどのように使うかというところで生活習慣病の予防など健康増進の問題にも絡んできているということになると思います。
 今までお話ししましたように、従来、私の見るところ、食品衛生法はどちらかというと物を中心に、安全なものを供給するというところを中心に組み立てられてきたと思います。それが、どうしても行政が事業者を管理監督する、そのための言わば法律として機能し、事業者が安全なものを供給すれば国民はそれで安心できるであろうという、そういう行政、事業者、国民という言わば矢印で結ばれていたと思いますが、今回の食品衛生法の改正は、先ほど来お話ししましたように、どちらかというと、「国民の健康の保護」というような言葉からも分かりますように、人の側に目を向けたと言うことができると思います。また、別の言い方をしますと、国あるいは行政が事業者を通してだけ国民の食の安全を考えるのでなくて、行政が国民に直接情報を流し、あるいは国民の情報を得るという、そういう行政と国民の間を直接つなぐという、そういう試みでもあろうと思います。
 リスクコミュニケーション、これは、御承知のように、リスク分析の中でリスクの評価あるいは管理とともにコミュニケーションが重要視されております。もちろん、リスク評価については、食品安全委員会が設立されることによってこの機能が満たされると思いますし、また厚生労働省、農林水産省がリスクの管理をしていくと。
 そのときに非常に重要になってきますのがリスクコミュニケーション、これは、単に情報を流すというだけでなく、コミュニケーションは双方向で行われるものでもあります。ですから、国民の状況をよく国が把握し、それに対して国が適切な情報を出す、あるいは、それは同時に、先ほど来お話ししておりますように、個々人の食生活をどうするかという食に対する国民の関心に対する教育効果も考えることができると思います。
 というわけで、繰り返しますが、今回の法律の改正は、物のマネジメントから物と人をきちんとマネージしていこうという方向へ一歩踏み出したものだろうというふうに言うことができると思います。このようなリスク評価の組織が新たにでき、そしてリスクコミュニケーションの役割を十分に行政が担いながら進めていくということで、初めて日常的あるいは危機の状況にあるときのリスク管理を行うことができていくようになると思いますし、行政と事業者、そして国民の三つの要素の間がスムーズに動いていく、そういう契機となるのではないかと思いまして、今回の改正の趣旨を非常に私の立場で評価したいというふうに考えております。
 以上です。どうもありがとうございました。
#5
○委員長(金田勝年君) ありがとうございました。
 次に、丸山参考人にお願いをいたします。丸山参考人。
#6
○参考人(丸山務君) 丸山でございます。
 私は、私のレジュメに示しましたように、このような経歴を持っております。主に食品の微生物学的な安全性ということから、食中毒菌の病原性とか自然界における生態ということについて研究室を中心に活動をしてまいりました。この間、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の委員も務めさしていただいたと。こういう経歴から、今回のこの法律の改正案について若干意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
 今回の食品衛生法の一部改正については、食の安全性に生産から消費までリスクの概念を導入して、消費者保護あるいは事業者責務というものを明確に打ち出したものと評価できて、その視点あるいはその見直しの全体像というものについては賛成するものであります。
 幾つかの項目について、一つ一つ条文を挙げなくて申し訳ございませんが、各論的に今後の実施及び将来的な課題について意見を述べさせていただきます。
 まず、今回の改正では、「国民の健康の保護」という言葉、これがその第一条にございますように、非常に個人の健康の保護ということに力点が置かれていることは大変結構なことだと思っております。ただ、食品衛生という性格上、やはり公衆衛生という見地という、あるいはそういう視点というものは、やはりこれまでやってきたと同様にそれを重要視、同時にしていく必要は十分にあると思っております。
 個人の保護ということで私どもいつも気になることは、健常者ということを対象にするだけでなしに、ハイリスクの人たちの保護というものをどうしたらいいんだろうということにいつも突き当たります。例えば乳幼児であるとか、あるいは高齢者とか、あるいはだんだん多くなってまいります免疫機能の低下した人に対する食にかかわる安全性及びその保護ということについて、これをどういうふうにしていくかというのは今後の課題ではないかというふうに思っております。
 ただ、このハイリスクグループに対する保護というもの、あるいはこの辺りのデータというものが世界的にも大変不足をしておりまして、今後、こうした面でのデータの積み重ねに努力が必要かというふうに思います。
 それから、今回の改正の中で大変重要なことは、生産から消費までの安全確保における省庁間の連携ということがございます。これは、今までこういうことについても、例えば微生物学的な安全性ということについては若干こういうことが検討もされ、行政に生かされてきているんですが、今後、残留農薬であるとかあるいは動物医薬品というような化学物質の安全性ということを、厚生労働省及び農水省で省庁の垣根を越えた連携というものを是非強力に推進していっていただきたいということに注目をしております。
 それから、食品等事業者の自主管理の推進、これはその自主管理、食品事業者の責務ということを位置付けたことは考えてみれば当然といえば当然でございますが、高くこの点は、私、評価したいというふうに思っております。
 ただ、この各生産から消費までの間の個々の責務というものをどのようにしてこれをつなげていくか、いわゆるこれをフードチェーンとして透明性のあるものに持っていくということが極めて重要だろうというふうに思っております。
 もう一つは、この自主管理ということは大変重要なんでございますが、ここにある自主検査であるとかあるいは記録作成とか廃棄等の措置というものを本当に業界全部同じような対策を立てられるのか、大企業と一律にすることは恐らく不可能ではないかと。食品の産業というのはかなり小さな、あるいは零細な企業もたくさんございますが、こういうところに対してどのようにしていくか、現実的な対応というものを示すべきではないかというふうに考えております。
 この自主検査の方法として、あるいはツールというんでしょうか、この点ではHACCPの推進というものが世界的に広く進んでいるんでございますが、これも現在までは御承知のように規格基準のある五つの業態に認証制度としてこれが今適用されているんですが、これを中小企業の中にどういうふうに浸透させていくのかということが今後の大きな課題であろうと思う。これもやはり大企業とは、基本的には同じなんですけれども、大企業と中小企業とでもって、同じ方法でもってこれを浸透させられるかということについては今後十分検討する余地があろうと思います。
 このHACCPの普及推進というのは、何といっても人材の育成だろうというふうに思います。これを進める人がどういう認識でどのように進めていくかということがかぎになる。言わば、これは教育という面がありますので、短期間では恐らく効果がそんなに見えてこないだろう。こういう普及推進に当たっては、例えばHACCP支援法というものが延長になったということもございますが、更にこういうものを継続的に支援をしていただきたいというふうに思います。
 それから、HACCPの推進の中で一つ我が国の特徴的なこととして、外国ではこれがうまくいくけれども日本ではうまくいかないというような声が聞かれますが、それはひとつ我々の食生活で、日本人は大変多様なものを要求する、食べる。その一つ一つの品目についてこのHACCPのプランを立てていくというのは大変なことでありますが、この辺りは我が国の実情に合わせたHACCPの推進というものがなされるべきだろうというふうに思っております。
 それからもう一つ、事業者にかかわることなんですが、先ほど丸井先生の方からお話のあったリスクコミュニケーション、これは重要なことでございますが、この改正案の中では行政と消費者のリスクコミュニケーションということがかなり強調されております、対話集会の具体的な数まで出されて。これはこれでいいんですが、私は事業者もこのリスクコミュニケーションの中に加わるようなシステムというものが当然あってしかるべきだと。我々の食生活を考えるときに、どうしても食べ物を買うと。それは事業者が造って、あるいは提供しているものを買ってくるわけなので、そこで事業者と消費者というのは最も近づいているわけなので、その辺りで事業者も積極的にこのリスクコミュニケーションに加わる、そういう何かシステムが今後できればいいというふうに思っております。
 次に、消費者の役割。これは大変な難しいところではあるんですが、食品衛生というものを完結するためには、その一部でもって、一部というよりか、消費者が大変大きな役割を担うと思います。消費者、すなわち、例えば事故からこれを見てみても、家庭で発生する食中毒事故というのが今もって我が国では約二〇%あるわけです。そうしますと、家庭における、すなわち消費者の安全性に対する認識、あるいはどうしたらいいかということについての、何というんでしょうか、安全教育とかいうところにもつながるだろうと思うんですが、ともかく消費者の役割分担ということも強調されていいんではないかというふうに思います。
 監視・検査体制の充実強化ということで、まず輸入食品でございますが、私は、これは一義的には輸入食品については国が責任を持って当たるべきだというふうに思うんですが、ただ、非常に大量のまた多様なものが入ってくるということで、これを一律に検疫をするということはかなり困難性がある。そうしますと、二国間の協議、これは例えば、既に、一例を挙げれば、日本はアメリカに牛肉を輸出しておりますが、米国と日本との間で協定を結ぶなり、衛生的な協定を結ぶなりして、のことをしてもう大分続けております。こういう二国間の協議ということも十分考えていくことができると思いますし、また、輸入する国の輸出国に対しての技術的な支援ということも必要ではないか。現にこれも国際協力事業団でタイとかマレーシアでこの事業を進めておりますが、こういうことがほかの国に対しても拡大されていくと、結果的にはこういうことが我が国の食の安全性にもつながってくるのではないかというふうに思います。
 もう一つ、検査体制ということで是非お願いしたいのは、やはり検査を担当するあるいは研究をする人の人的な強化をしていく必要があるんではないかと。正確な数字はなくて、申し上げられなくて大変申し訳ないんですが、例えば食品の安全性にかかわる研究者の数というのはアメリカと比べて何十分の一であるという、そういうことで大変その担当の研究者はいろんなことをしなければいけなくなってきております。幸い研究費は、国立の研究機関では研究費は最近随分改善をされましたが、人の点ではなかなかこれが増えないという現実がございます。是非この点は、その機能強化というところに行っていただきたいというふうに思います。
 登録検査機関の導入ということが一つの柱になってございますが、これは、現在までやってきた指定検査機関の果たした役割というのは非常に大きいというふうに思っております。この登録検査機関制度にするというのも、やはりこれはその検査の精度を確保するという意味から、やはり公益法人と同様の中立性とかあるいは公平性というものを確保して、精度管理を確実にしたものについてのみこれを認めていくという基本は守っていただきたいというふうに思います。
 次に、大規模・広域食中毒対策ですが、これも危機管理の観点から国の役割として果たすべきだろうというふうに思っておりますが、ただそのときに、疫学的な手法というものをもっと我が国では定着をさせていただきたい。原因物質が確定しなければ対策ができないということでなしに、やはり疫学の手法でもって早くにこの大規模・広域食中毒というものの対策ができるはずなので、こういうところにもっと力を入れるべきではないかというふうに思っております。
 最後に、リスク評価ということについて。これはデータがまだまだ大変少のうございます。ただ、そこにメモとして書きました、「FAO/WHO微生物学的リスクアセスメント専門家会議におけるわが国の評価」と書いたのは、実はこれはFAO、WHOで我が国のデータというものが大変に高く評価されております。
 一番最後のと畜検査ということの一つがございますが、このと畜、この法に関連してと畜検査法、食鳥検査法も見直されるということでございますが、だんだんと動物からくる病気ということに対してこれが注目されてきておりますので、この辺りも十分考慮に入れた対策が必要だろうというふうに思っております。
 以上でございます。
#7
○委員長(金田勝年君) ありがとうございました。
 次に、神山参考人にお願いをいたします。神山参考人。
#8
○参考人(神山美智子君) 本日は厚生労働委員会にお招きいただきまして、ありがとうございました。私の意見はペーパーにしてお出ししておりますので、この中で、時間の許す限り、かいつまんで意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず、今回の改正の目的規定の中に、食品の安全性確保と国民の健康の保護という文言が入ったということは大変高く評価しております。
 これは、九五年の食品衛生法の改正のときに消費者グループが、目的規定の中に食品の安全確保と国民の健康保護という文言を入れるべきであるという運動をいたしましたけれども、これが入りませんでした。後ればせながら今回の改正に入ったということは、そうした消費者グループの求めがようやく実現したというものであると思っております。
 ただし、国等の責務につきまして、私はこれでは弱いのではないかという考えを持っております。
 ペーパーにも書きましたが、昨年の十二月に厚生労働省医薬局食品保健部主催で開かれました食品衛生法等の改正骨子案に関する意見交換会というものがありまして、そのときに配られました資料の中では、国、地方公共団体等の責務というところに括弧してリスクコミュニケーションを含むというふうに書いてありました。つまり、国等の責務としてリスクコミュニケーションを位置付けるという説明であったわけですが、二条の国等の責務の中にはこういうことが欠落しております。
 ただし、六十四条に国民等の意見の聴取という条文がございますので、これが国等の責務としてリスクコミュニケーションを行うものであって、それの条文化であるというふうに考えますと、今度は六十四条の方がこれでは弱いと考えております。
 これは、国や地方公共団体が基準を定め、あるいは計画を定める場合などに限って広く国民の意見を求めるということになっておりますから、アクションは国や地方公共団体から起こすということになりますが、これはここに参考として書きましたように、申出制度とか措置請求権といったようなものとして構成していただきたいと思っております。
 私は東京弁護士会というところに所属しておりますが、東京弁護士会では既に一九八一年に食品安全基本法の提言というものを出しております。このときに、この食品安全基本法の提言の骨子は消費者の権利の確立というものでございました。消費者には安全の権利がある、安全な食品を選択する権利がある、食品安全行政に参加する権利があると。この三つの権利を柱とした食品安全基本法を作るべきだという意見を出しまして、このたびの食品安全基本法の法制定につきましても、昨年の十二月に食品安全のための消費者の権利の確立を求める意見書というものをお出ししております。その中でも、こうした措置請求権とか申出権というものを食品安全基本法の中に盛り込んでほしいという意見を出しているわけですが、それは食品安全基本法の中についに盛り込まれないままになりました。
 私は、一九九〇年にアメリカに食品の調査に参りましたけれども、そのときに、実はカリフォルニア州のレモン処理工場で違反添加物が使用されているのを発見したことがありました。
 これは、現在は添加物に指定されておりますカビ防止剤のイマザリルというものですけれども、その当時はOPPとTBZというものが指定されておりまして、イマザリルは使ってはいけないということになっておりましたが、カリフォルニア州のそのレモン処理工場では使っておりました。そして、工場の中にあるアメリカ向けの箱にはイマザリルという印刷がありましたけれども、同じ工場の中にあった日本向け特選の箱にはそのイマザリルという表示が抜け落ちておりました。でも、その工場には処理ラインが一つしかありませんので、アメリカ向けは使うけれども日本向けは使っていないというはずがないと思いまして、帰国してからレモンを買って分析してもらいましたところ、十二品目のレモンのうち十品目からイマザリルが出てきました。
 これは明らかに違反添加物ですので、違反添加物を使用した食品の輸入は禁止すべきであるということを当時の厚生省に申出をいたしましたが、一年数か月そのまま放置されまして、イマザリルは違反添加物であるから、それを使用した輸入野菜、果物等は輸入を禁止するという通達が出されましたのは翌年の九月二十八日のことでした。
 九月二十八日までどういう調査などがなされていたかは存じませんけれども、少なくとも、そうして私のような、食品の安全に関しては、法律家ではありますけれども安全問題についての素人である私でも違反添加物を発見することができるわけでして、それを発見したときに申出ができて、その申出を受けて、例えば現行法の消費生活用製品安全法の九十三条にありますように、「申出があつたときは、必要な調査を行ない、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。」というような条文があれば、違反添加物の付いた食品の輸入は禁止するというような措置を取らなければならないはずでありますが、そういう決まりがありませんのでそのまま放置されたのだと思っております。
 私は、東京弁護士会の活動と同時に、そのほかにもいろいろ個人的にも食品の安全問題にかかわってまいりましたけれども、食品安全基本法ができたのを受けまして、四月十九日に食の安全・監視市民委員会というものを立ち上げて、その代表になりました。その市民委員会では、内部告発なども受け付けられるようにしようという構想を持っておりますが、仮に市民委員会に内部告発があったとしても、それを申し出るという制度がなくては生かすことができません。
 先ほど来、リスクコミュニケーションについてお話がありますように、これは双方向でなければコミュニケーションとは言えないわけですから、、国や地方公共団体が何かの施策を定めようとするときにだけ意見を聴かれるのではなくて、常に国民の側からも意見の申出ができるという、そういう制度が条文として是非とも必要であるというふうに思っております。
 もう一つ、これは例えば、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、いわゆるJAS法でございますが、JAS法の中には公聴会の開催を要求することができるという条文もあります。
 ですから、公聴会の開催であれ、あるいは申出であれ、何でも結構でございますけれども、こうした食品の安全の問題、国民の健康にかかわる問題、あるいは表示の問題などにつきまして、国民の側から常に意見の申出ができて、申出を受けた場合には主務大臣が調査をして適切な措置を取らなければならないという、こういう条文が絶対に必要ではなかろうかというふうに思っております。
 そのほかにもう一つ申し上げたいのが新開発食品の四条の二の問題でございますが、四条の二は、現行の四条の二はそのままで四条の二の第一項になって、あと二項、三項が付けられましたけれども、四条の二という条文をお読みいただきますと、これで本当に新開発食品の被害を防ぐことができるだろうかと思えるような非常に迂遠な条文になっております。
 これは、一般に飲食に供されることがなかったもの、つまり私たちが長年の食生活の歴史の中で食べてきたという経験がないもの、そしてしかも人の健康を損なうおそれがないという確証がないもの、そういう今まで食べてきてなくて、安全であるかどうか分からない、むしろ安全だという確証がない、そういうものが新たに食品として販売されようとしている、あるいは販売されたというようなときに、「食品衛生上の危害の発生を防止するため必要があると認めるときは、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、それらの物を食品として販売することを禁止することができる。」となっておりますが、そうではなくて、むしろまずそういったものは最初に禁止をして、人の健康を損なうおそれがないことを事業者等が証明する。
 これまで私たちが食べてこなかったもので安全の確証がないものというのは、私は、事業者の方が安全性、安全ですよと、人の健康は損ないませんよということを証明する義務があるのではないか。そういう証明ができるまでは、原則的に販売を禁止することができるという制度に是非四条の二を改めていただきたいというふうに思っております。
 そうでないと、食べたこともなくて、安全であるかどうか分からないものが売りに出されて、しかもだれかが病気になりそうだというときになって薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、それを禁止することができるというのでは、これは国民は病気になってしまうのではないかというふうに思われますので、是非この点も御再考いただきたいというふうに思います。
 そのほかに、残留農薬基準のポジティブリスト化というようなものも消費者グループが求めてきたものでございますので、全体的な流れとしては、私は今回の食品衛生法の改正というものは評価できると思っておりますけれども、ただ、どうしても国民の健康の保護というところからいって、私たちの意見が積極的に言えるという制度を設けていただかないと、これは運用次第でどうにでもなってしまう法律になりかねないと思いますので、是非よろしくお願いいたします。
#9
○委員長(金田勝年君) どうもありがとうございました。
 次に、石黒参考人にお願いをいたします。石黒参考人。
#10
○参考人(石黒昌孝君) 憲法十三条、二十五条の規定からして、国民は安全な食生活を営む権利がありますし、国はそれを保障する義務があるというふうに考えます。そういう点でどうかといいますと、今の状況というのは、そういう点では、国民の権利という点ではまだ弱いんではないかというふうに思います。
 ここで、やはり食品の安全を守るには、生産者、消費者の権利というものが守られて、そういう共同と信頼がつながれるようにしていくということが最も大切なことではないかというふうに考えます。意見を出すことができるとか、そういうふうになっていますが、どんな場合でも、どんなものでも、これは食の安全に問題があるよと思った場合、国民が意見をきちっと出せるようにしていく、こういうのが重要ではないかというふうに思います。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 それから、国の責任を明確にすることが安全な食を供給する上で重要だというふうに思います。何か事業者だけに安全確保の責任を押し付けて、食品の安全の確保のために必要な措置を国が講じなければ、これは国の責任を果たせないのではないか、そういうふうに考えるわけでございます。
 そのためには、一つは、国民の九割以上が望んでいる安全な国産、これを増やし、自給率を上げていくということが重要な課題ではないかというふうに考えます。また、問題が起きなければ何もしない、人が死んだり被害が起きてからやるのでは遅いと思いますので、まず予防原則に立って、食品の安全を守る対策というのをきちっと立てていくというのが重要ではないかと思います。その点、基本計画というのは出ておりますが、そういう点をはっきりさせていっていただきたいというふうに思うわけでございます。
 それから、私どもの食品分析センターで冷凍ホウレンソウについて二十二件ほど分析しまして、そのうちから六件も違反が見付かっております。加工品だからこれは検査をしないんだと、やっても基準がないので仕方がないと、こういう態度を最初取っておりましたけれども、厚生労働省が検査を開始したと、生鮮の基準を基準にしまして検査を開始したということは非常に重要な役割を果たしたというふうに思っています。その後も随分違反が広がって、本当に輸入がなくなる状態にまでなりました。また、シュンギクだとか枝豆など、冷凍野菜の違反も次々に見付かってきたということは重要なことだと思います。
 また今回、昨日ですか、中国から来る冷凍野菜から再びクロルピリホスが見付かると、こういうような事件も起きておりますが、違反がこういう状態で起きてくるということについては、やはり国が厳重な措置をきちっと取るということがどうしても国民の健康を守る上で重要ではないかというふうに思っています。
 加工品は、基準がないからという理由で、今でもホウレンソウの油いためですとか、そういうものは検査の対象から外されているわけですけれども、私はやはりこういう加工品も含めましてきちっと検査されるような体制というものを作る必要があるんではないかというふうに思います。
 それから、私どもの分析のところでは、ベビーフードから違反の農薬というのが見付かっております。赤ちゃんですから、こういう赤ちゃんに与えられるものについては、少なくとも無農薬のものが提供されるべきだし、私どもは是非安全な国産のものが提供されるようにしたいということをお話ししたところ、和光堂の方ではそういう農薬のないものを造るようになってきております。できればこういうベビーフードについても基準を定めまして、そして安全な基準というものを造って、そういうものが提供されるようにしていってほしいなというふうに思っているところでございます。
 日本の場合には自給率が非常に低くて、輸入品が非常に多いものですから、やはり輸入品の検査をきちっとして、安全を確保するというところが大変重要だろうというふうに思うわけです。
 そういう中で、厚生労働省の検疫所のチェック体制でございますが、今の検査率からいきますと、六・八%ということになっておりまして、特に牛肉などは一・一%の検査率でありまして、非常に少ない状態であります。これは、基本的には厚生省の食品監視員の数が二百八十三人、今年十五人も増えたわけでございますけれども、という少ないのが問題ではないかというふうに思います。検査人員を大幅に増やして、やはり今検査センターで非常に、月六十時間も超勤をしなきゃいかぬと、こういうような状態になっていますので、こういうような点をなくすためにも大幅に人を増やして監視体制を強化していくことが重要ではないかなというふうに思います。
 それから、やっぱりそのためには、主要な検疫所にもう少し体制、施設とか人員を整備して、国がきちっとチェックできるようにしていくということが大変重要ではないかなというふうに思っております。
 それから、そういう中で、例えば継続輸入制度ですとか計画輸入制度ですとか、そういうのでは、一回検査すれば後は検査しないと、こういうような仕組みになっておりますけれども、私どもはやはりこういう点ではきちっとした検査体制というものを築いていくということが国民の健康を守る上で重要ではないかというふうに思います。
 今回の改正で、登録民間検査機関というのを設置すると、こういうふうになっておりますけれども、これについてはやはり水際で責任を持つ国がまずきちっと検査体制を作るということからいいますと、民間の検査機関に預けるという点では若干問題があるのではないかと。特に、民間会社も参入することになりますと、スポンサーの意向を酌むおそれがないかどうか、そういう公平性が確保できるかどうか、その点をきちっと担保すべきではないかなというふうに思います。
 また、農薬等のポジティブリスト制が三年後に実施されるということになっていますが、このポジティブリストの実施は結構なんですが、その面で具体的に基準を当然設けると思うんですが、それを厳しく基準を設けて安全を守るようにしていく必要があるんではないかなというふうに思っております。
 それから、最近の問題としましては、特にO157の病原菌で多数、宇都宮で八人の人が亡くなるとか小学生が亡くなるとかいろんな事件が起きておりますが、これは決してカイワレが原因ではなくて、やはり牛肉、輸入牛肉に原因があるというふうに見られますので、そういう検査体制というのを強化していく必要がありますし、そういう牛肉についてはホルモンや抗生物質などもございますし、徹底的な検査が必要ではないかというふうに思うわけであります。VREとかサルモネラ菌とか耐性菌が増えておりますし、カビ毒の問題もありますので、是非そういう体制を強化していくということが重要ではないかなというふうに思います。
 それから、今、生鮮品につきましては産地表示というのが全部行われておりますが、原産国の表示が非常にはっきりしないものも、小さい字で書いてあるものもありますし、加工品も含めてすべての原材料について原産国を表示すべきではないかというふうに思います。そして、消費者が輸入品かどうか判断できるようにしていくということが重要ではないかなというふうに思っております。
 それから、遺伝子組換えしていないものというのが、遺伝子組換えしたものというのが大体七百万トン以上今輸入されているわけでありまして、これにつきましてきちっと、遺伝子組換えしていないものも含めまして、あるいは油とかしょうゆとかこういうものも含めまして、遺伝子組換えしたものというのを表示をはっきりさせていくということが重要ではないかというふうに思います。
 牛肉のトレーサビリティーにつきましても、輸入牛肉はたくさん多いわけですから、是非トレーサビリティーについても牛、輸入肉についてもきちっとチェックできるような体制をしてほしいということを思います。
 それから、製造年月日等についても表示して、安全を、鮮度を確保できるようにしていくようにしたい。
 それから、添加物についても非常に批判が多いので、添加物についてもチェックを大いに進めていく必要があるのではないか。厚労省としては、この前、塩のフェロシアン化塩について認めましたが、更に三十種類以上のものを、外国で許可しているものを認めようとしておりますが、これについては、やはり七二年の国会決議もありますし、是非削減する方向で検討していただきたいというふうに思うわけでございます。
 雪印乳業や協和香料化学の事件でもありましたように、やはり国内での食品監視員も非常に不足していると、こういう実態でありますので、そういう点でも専任の国内の食品監視員というものを大いに増やしていくということが重要ではないかなというふうに思います。
 食物は命の源でございますし、やはり日本みたいに自給率が低い国では、こういう国は世界的にもないわけでありまして、輸入の優先で、そしてそういう中でお米を作るなというようなやり方をしていては絶対駄目だと思います。子供たちにアレルギーが増加したり目が悪くなったりいろんな事態が現れていますし、それを防ぐためにも自給率を高め、安全な国産のものを増やして、日本の食文化を守って輸入品のチェック体制を強化していくということが重要ではないかということを申し上げます。
 食品衛生法、健康増進法についても、以上の観点から、もう少し深く立ち入った審議をして、是非国民の健康を守る上で大きな役割を果たしていただきますよう要請しておきたいと思います。
 以上で私の話を終わらせていただきます。どうも失礼しました。
#11
○理事(中島眞人君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○南野知惠子君 ありがとうございました。南野でございます。
 先ほど、本会議におきまして農林水産大臣及び厚生労働大臣の方から所信の御説明がございました。それに引き続きまして、今、ただいま四名の参考人の方々からるるお話をお聞きすることができまして、大変参考にさせていただけたかなというふうに思っております。
 食物というのは、我々、毎日毎日健康のために摂取するものであり、食文化ということも大きく関連させながら我々日常の生活をしているところでございます。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 いつか新聞を見ました。これ、最近の新聞だったんですが、エイズは猿を食べたというところから発生しているのじゃないかと。今展開しているような大変危険なSARS、これにつきましては野生動物、蛇などを食べたのではないかと。そういうところも原因になっているのではないかということが新聞に散見することができましたが、そういうようなことにつきましては、食文化又は食べる習慣というところの中からよっぽど注意しなければいけないのではないだろうか、予測できないことの発生というのは、食の慎みなども考えながら、我々は日々健康に暮らしていかなければならないということを考えるわけでございます。
 そういうような意味で、まず丸井先生にお尋ねしたいわけでございますが、食物アレルギーの問題点もございます。
 先生は、表示、食品の表示というところに大変御関心をお持ちでございますので、生産者又は食べる物、食物を我々がどのように、一般国民が安全に消費できるかという、安全な供給と安全な摂取ということについての表示の大切さということをもう一度御説明いただきたいと思うことと、それから、先生はドクターでいらっしゃいますので、国民に対する健康増進法という法律がこのたびここでも課題になっております。
 健康増進法ということにつきましては、この前ヒトゲノムの解読が一〇〇%できたというような、九九%ですが、そういう観点からしますと、同じ成人病でありましても、糖尿病でありましても、人によって治療法又は保健指導の方法が変わってくるであろうということを私は夢見ている一人であるわけでございますけれども、そういう観点からは、今までのレディーメードの保健指導、治療ということから、又は発展させていきながら、何年後になるか分かりませんが発展させていきながら、オーダーメードの治療、オーダーメードの保健指導というような方向にこれが行くならば、もっと食物というものと人の健康というものについての目の向け方も違ってくるのではないだろうか。成人病予防、食べ物からの問題点ということを関連して考えているわけですが、丸井先生の方からその点について何か一言コメントをいただけますでしょうか。
#13
○参考人(丸井英二君) どうもありがとうございます。
 二つの御質問があったと思います。一つは表示の機能についてですけれども、食品表示は、これは食品の加工ということと結び付いてどうしても必要になってきたもので、実際に例えば農家から直接買うような場合にはこれは表示なしでもちろん買えるわけですし、店で、お弁当屋さんでも店頭で、この弁当には何が入っている、どのように調理したかということを聞くことができれば、つまり対面で買うことができれば、これは表示がなくてもよいということになります。すなわち、表示は、実際どのように造られているかというのが見えない、分からない状態で、その食品がどのように造られたか、何が入っているかということを伝えるメッセージの道具ということになります。
 そういうわけで、消費者は見ただけで分からない情報をそこから得るという必要がありますし、また事業者、生産する側は、どうしてもそこに何を自分が入れたのかということを表示するということで、言わばこれが加工食品に関して、造った人間と食べる人間の間を結ぶメッセージの線であるというふうに考えられますし、そういう意味で現在も、食品の表示をどのようにするのが適切かということをアレルギーだけでなくて一般的に議論している会議の座長をさせていただいておりますけれども、まだいろいろ問題点もありますので、消費者にとって本当に必要な情報を過不足なく入れるような、そういう小さいスペースではありますけれども、食品の表示というふうにできるようにしていきたいというふうに思っております。
 第二点目ですけれども、オーダーメードの医療ということでございますけれども、これもこれから、言わば、我が国の医療が少し余裕ができてまいりましたので、だれにでも同じというのでなくて必要な方に必要な医療ということが、これは方向として当然目指しているところであろうと思います。
 先ほど、丸山参考人の方からもハイリスクグループについてどうするのかというお話がありましたけれども、やはり全体に対する政策、いわゆる公衆衛生政策のほかに個別に対応するということがどうしても必要になってきますし、それのための言わば科学的なツールが少しずつ開発されてきているところですので、これは今回の食品衛生法とは直接は関係ないと思いますけれども、医療の方向として、それはこれからもそちらの方向に、つまり全体として守る。これは、例えば感染症のような場合には社会全体として守る必要があります。それに対して、個々人がリスクの高いようなものについてはきめの細かい医療ができるという、その二つの右と左を、右手と左手をきちんと持って進めていく必要があるんだろうというふうに思います。
#14
○南野知惠子君 ありがとうございました。
 次には丸山先生にお伺いしたいというふうに思っておりますが、今日の新聞に、お父さん、お昼は弁当派というのが出てまいりました。新聞記事でございますが、中高年の男性の昼食は外食が減りお弁当を持参する傾向が増えているということでございます。それと併せて、外食産業というところでちょっとお尋ね申し上げたいんですが、この文章はこのような形でございますけれども、学校給食又は幼稚園の給食にも外食産業を取り入れてはどうかというアイデアがあるやに聞いております。
 私の考えといたしましては、やはり食文化というところから食育という問題も併せながら、保育所などでは、特に零歳児を預かっているところではミルクだとか離乳食だとか、そういう問題点を考えているわけでございますけれども、先生も今お話になられました乳幼児又は高齢者の食、弱者の食というものについてはハイリスクの問題につきましても御意見いただいたわけでありますけれども、その外食産業といわゆる今申しました問題点について、食文化という意味から何か御意見いただけますでしょうか。
#15
○参考人(丸山務君) 食文化と外食化ということでございますが、私もそんな詳しくは、食文化について詳しくはないんですが、こういうことがございます。サルモネラの中毒が卵を介してということをかなり問題になった、数年前ございます。そのときに、厚生労働省を中心にこのサルモネラの卵に対する汚染というものをどういうふうに防いでいくかということの中で、幾つかの基準を作ったんですが、その中で日本人は生卵を食べる食文化があると。全部、ただ安全ということを言うんであれば全部かちかちのゆで卵にしてしまえばいいわけでございますが、食文化というものを守るという必要から生食のものを認めていく、それにはどうしたらいいかという知恵をその委員会で働かせたという経験がございます。
 ですから、単に安全ということは大事ですけれども、先生がおっしゃるように食文化というものは必ず守っていくという視点は非常に重要だろうと思う。ただし、やはり大勢のところで影響が出てくるような、今御指摘のような学校給食であるとか、あと病院であるとかというところは、そのどちらを大事にするかといったら、やはり安全性ということを大事にして対策を進めていくのが食品衛生であろうというふうに私は思っております。
#16
○南野知惠子君 ありがとうございました。
 終わります。
#17
○山本孝史君 民主党・新緑風会の山本孝史でございます。
 四人の参考人の皆様には、お忙しい中お越しをいただきまして、ありがとうございました。また、本会議が遅れまして、三十分もお待たせをいたしまして誠に申し訳ございません。ありがとうございます。
 まず、丸山参考人と神山参考人のお二人に同じ御質問をさせていただきたいのですが、お二人とも厚生労働省の薬事・食品衛生審議会のメンバーでいらっしゃいます。私、今回の法律で非常に気にしておりますのは、これまで食品の安全の部分で厚生労働省が評価をしてきました部分、それが食品安全委員会の方に評価機能が移ってしまう、そうしますと、厚生労働省としてリスク管理に特化してくるわけですが、それが本当にいいことなのかどうかというのが非常に、全体のリスク評価・管理という体制の中で実は非常に心配をしております。
 そういう思いをお二人の参考人の方はどのように受け止めてくださるか、あるいはどういうふうに評価しておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#18
○参考人(丸山務君) 御承知のように、リスク評価と管理というのは、これはコーデックスで言っているように、これはやはり違うものであると、基本的にはやはりこれは分けたところでやらなければいけないと。コーデックスでも言っているんですが、同じところでやるにしても、ファンクショナルにこれ分けなければいけないというふうに記載をされていると思います。
 したがって、やはりその評価と管理というのは、これは分けてやっていくべきものだというふうに私は思っております。
#19
○参考人(神山美智子君) 私は薬事・食品衛生審議会のメンバーではありますが、食品衛生小委員会の方ではございませんで、薬事小委員会とその中の化学物質部会の方でございますので、直接的に食品の安全問題にはかかわっておりません。ただ、食品安全基本法が作られる中で、私の個人的な考えでございますが、やはり一つの機関で食品安全庁といったような別の独立した機関を設けて、そこで安全性の評価もやり、安全、いわゆるリスク管理も行うと、こういう役所を一つ作って、そこに機能を集中させることの方がよりよかったのではないかというふうに私自身は思っております。
#20
○山本孝史君 アメリカのFDAのような形で日本ももっと機能を強化していけばいいと私も思います。基本的には、丸山委員がおっしゃったように、評価と管理は別の機関であろうと思いますが、私が今回のBSEの一連の問題を見ておりまして、要は農水省が仕事をしていない、そのあおりで厚生労働省がこの組織改編に追い込まれていると私は思っておりまして、そのことで、本当にちゃんとしたものを今度やっていっていただくのならばいいんだけれども、食糧事務所の人の新しい職場を作ってあげるためにこんな組織改編するのであれば、それは本末転倒だというのが私の思いでございまして、今、神山参考人おっしゃいましたように、ちゃんとした機能を充実させていく方向に持っていきたいと、こういうふうに思っております。
 それから、もう一つの神山参考人への御質問で、今お話をされました新開発食品の販売禁止ということですが、確かに今法文読みまして分かりにくく書いてあります。これは、事業者が食べ物を売るのであれば、事業者がちゃんと責任持って売れよと、こういうことだと思いますが、このときに、今委員会でも問題になっております遺伝子組換え食品ですとか、あるいは様々な科学的な手法を用いてこれから口の中に入ってくるものができてくるのだろう、そのときに新開発商品という神山参考人がイメージしておられますその食品というのは、具体的にどんなものをイメージしておられるのでしょうか。
#21
○参考人(神山美智子君) この条文が作られました経緯は、いわゆる石油たんぱくというものに端を発していると聞いておりますけれども、むしろこれからの問題はバイオを使った食品ではなかろうかと思いますので、今話題になっております体細胞クローン牛の肉というようなものは、牛肉ではあってもこれまで食べてきた肉とは違うと思いますし、遺伝子組換え食品も、実質的同等性議論というのはありますが、私はあれも新開発食品だと思いますので、そうしたものを食品として販売するというときに、人の健康を損なうおそれがない、おそれがない旨の確証がないものというのは取りあえずやめてもらって、証明をしなさいという、そういうふうなある程度事前規制の役割を持たせるべきではないかというふうに思っております。
#22
○山本孝史君 今お話しされた、御指摘されたこと、もっともだと思うのですが、どうも国の流れ、全体の流れがそうなっていないのじゃないかと、こう思うんですけれども、もう少し神山参考人にそこのところを付言していただけますか。
#23
○参考人(神山美智子君) 例えばこれ、二項と三項が今回の改正で付け加わりまして、例えば二項の方は、「一般に食品として飲食に供されている物であつて当該物の通常の方法と著しく異なる方法により飲食に供されているもの」というのは言わば医薬品まがいのようなものということになろうと思いますし、三項の「食品によるものと疑われる人の健康に係る重大な被害が生じた場合において」というのもちょっと、この三項は重大な被害が生じてから対策を取るという、非常に、何といいましょうか、予防原則というような見地から見ると、人が病気にならなければ動かないのかということを一般国民が感じるような条文の作り方になっております。
 いずれにいたしましても、四条の二というのは、私は、薬事法と食品衛生法との関係で、カプセルとか錠剤のような普通の食品とは違う形で摂取するビタミン、ミネラル、ある種のハーブというようなものを認めるという規制緩和をしたことによってこうした条文が必要になってきたんだと思いますので、もっと根本に立ち返って、普通の格好をしていない錠剤とかカプセルのような食品で、しかも何となく何かに効くようなことをうたいたいようなものはいけないんだということをどこかではっきりさせていただくべきではないかと。
 そうでないと、食品だか何だか分からなくて、例えばイチョウ葉というようなものは人間が食べてきたわけではないのに、イチョウの葉っぱを粉末にして健康にいいみたいにして売っていたりするというようなものも、やはり四条の二の、人の一般に飲食に供されることがなかったものなわけですから、ありとあらゆるものが入ってくるのではないかというふうに考えております。
#24
○山本孝史君 実は、この委員会で昨日、築地の市場に視察に行きまして、その中で東京都の市場衛生検査所の皆さんからもお話を聞かしていただきました。
 先ほど神山参考人から、食品のダイオキシン汚染ということで、魚の中にダイオキシンで随分汚染されていますよと、こういうお話でしたけれども、昨日聞いた限りでは、PCBですとかトリブチルすずですとかということは検査対象にしているのだけれども、広くダイオキシンに汚染されている魚の検査というふうには受け止めなかったんですが、そこは神山参考人、どんなふうなあれでしょうか、御見解でしょうか。
#25
○参考人(神山美智子君) PCBは、一応PCBが問題になりましたときに暫定的な基準値を設けましたので、検査をして基準値を超えていれば措置が取れますが、ダイオキシンについては食品中の基準値というものが設けられておりません。
 御承知のとおり、ダイオキシン類対策特別措置法の中には、食品のダイオキシン汚染を調査するという条項しかありませんで、基準値を設けて規制するという条項がありません。ですから、食品衛生法の中で、私たちはその本の中で提案しているわけですけれども、食品衛生法に基づいて食品中のダイオキシンの基準値を設けて、そして検査をして、基準値を超えるものは販売できないようにするという、そういう体制を整えてほしいということをその本の中で提言しております。
#26
○山本孝史君 ありがとうございます。時間がなくなってしまいましたので。
 昨日、東京都からお話をお伺いしまして、食品医薬品安全部を新たに設置されて、評価も管理も両方一体になってやります、ちゃんと消費者もその中に代表として入っていただきますということで、国とやっている方向と違うねと言いながら、やっぱり東京都の方がまだ進んでいるかなという思いが昨日いたしました。
 それと、神山参考人、今おっしゃいました、やっぱり一般に暮らしの中で使っている生活用品の安全を確保するためにこういう申出を取っているのに、口の中に入れるものに対しての申出を取っていないというのも何か変な気がしますし、それから、先ほどの食物アレルギーのことで丸井先生おっしゃいました。この間、テレビを見ておりましても、お母さん方が、食物アレルギーを持っているお子さんがスーパーに行ってショックを起こさない食品を探すのに非常に苦労するんだと、こうおっしゃいましたので、表示の問題も今回議論しておりますけれども、きっちりとしたものにしていきたいというふうに思っております。
 今日は本当にいい意見を聞かしていただきまして、ありがとうございました。失礼します。
#27
○沢たまき君 公明党の沢でございます。
 四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 私は実は、ちょっと丸井先生に伺いたいんですが、私は実はこのHACCP、もう少し、丸山先生に伺いたいんですが、HACCPの信頼をもっと回復すべきではないかという質問をこの前の委員会でさせていただいたんですが、今、先生、お話しいただきまして、HACCPの普及の推進ということでございました。これをちゃんと、更新制が導入されましたし、十四ぐらい取消しになったりしております。先生が、やっぱり中小企業、大企業にだけでなく普及するべきだとかって、私と同じようなこと、私が質問したのと同じことを言ってくださったのでうれしかったんですが。
 そこで、人材の育成、もっとちゃんとするべきだと支援を御要望いただきましたけれども、どの程度の人数で、どのような人材育成のための支援をお考えでしょうか、まず伺わせていただきます。
#28
○参考人(丸山務君) これまでに厚生労働省を中心に、このHACCPの専門家、指導できる専門家を養成をされておりまして、全国で恐らく、数字は今私ちょっと正確に覚えておりませんが、六百人ぐらいの人がこういう講習を受けて、この指導ができる状態になっているというふうに思います。
 これは、先ほど申し上げましたように、やはりその五つの業態を中心にした団体の方、あるいは食品衛生監視員という方々を中心にやっておられておりますので、全国の中小企業に対してとても、それを指導していくという方、数でもないと思います。
 現在、実は農林水産省の方の補助事業として中小企業を対象にした人材育成というのができまして、今年度からそれをスタートさせるということになっております。
 これも、中小企業といっても、どこを対象に、その施設が、飲食店だけでも相当の数がございますので、どこまでできるのかという不安はあると思うんですが、先ほど申し上げましたように、教育ですから、一回でこういうものをするんでなしに、こういうようなプログラムを、私は省庁を超えて教育としてずっと続けていくということが大事だと思います。
 先生の今の御質問のように、どのように、どういうふうにしてというようなことを今すぐ申し上げられませんが、以上のお答えしか私はできないんですが。
#29
○沢たまき君 ありがとうございました。
 食品衛生の監視の体制と、それから今のと、しっかり取り組んでいきたいと思っております。
 丸山先生にお伺いいたします。今日はありがとうございました。
 昨年四月のBSEの問題の検討委員会の報告で食品安全行政にリスク分析手法を導入すべきだと提言をしましたけれども、その中で、リスク評価を行う専門家、科学者の絶対数がやっぱりこれ不足している、今後は欧米の研究機関等への派遣研修、行政との研究の連携強化等によってこうした人材を早急に育成確保し、ノウハウ、技術、経験の蓄積を図るべきであると指摘をしております。
 組織とか機構を幾ら整備してでも、やっぱり人、肝心の人の問題がやっぱり解決しなければ絵にかいたもちになってしまうと思います。こうした専門家の育成についても、現状と課題と、先生はどのようにお考えか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。丸山先生、丸井先生、簡潔で結構です、お二人に伺わせていただきます。
#30
○参考人(丸井英二君) リスク評価、これはどうしても研究をしている人間が必要だということになりますけれども、これは正直なところ、今朝も新聞にもありましたけれども、研究費の分配の仕方というのが、どうしても新しい問題、今話題になっている問題に研究費を注入するという形になりまして、例えば今で言いますと感染症の専門家というのは日本に本当に少ないです。これは、従来、日本に感染症が余りないという認識の下に、基本的な感染症の研究者を育てなかった、あるいはそういう研究者に研究費を十分配分しなかったということのツケが言わば回ってきていると思います。
 食品衛生に関しても、非常に基礎的な地味な部分について、ここのところ、恐らく過去二十年、三十年ぐらい、我が国は食品衛生、衛生状態良くなったという認識の下に、十分研究費を回すようなことなく、若い研究者が育ってきていなかった、それが今ツケが回っているというふうに思いますので、これはすぐには育たないものですけれども、今からでも遅くはないと思います。
 それで、研究、恐らく研究者というのはアリのようなものですので、研究費があればそこに研究者は集まってきてたくさん育ちます。ですから、今からでも研究費を配分するということで研究者は恐らく自然に育ってくるというふうに私には楽観的に思えます。
#31
○参考人(丸山務君) 現在、我が国でこのリスクの評価あるいはこのリスク分析ということを専門にやれる方というのは、御指摘のように大変少のうございます。国立の研究機関では食品医薬品衛生研究所に食品衛生管理部というのが数年前にできまして、これは大変そういう意味で先生御指摘のこのことをやる部署でございます。ただ、それは部長を入れて二、三名、本当にこれをやれるのは二、三名ということで、この人たちをつかまえるのも大変なぐらい今いろんなところに、講演だとか委員会だとかというところに出ている状態で、落ち着いて多分この研究なり後進を育てていくというようなところまで行かないんではないかと。物すごいこの人たちにとってはハードな状況が今あるのが現実でございます。
 今、丸井先生おっしゃったように、すぐには育たないけれども、早急にでもこういう部署の強化ということが必要ですし、それからリスク管理というのは、我々でいけば学会なり研究会なりにも、日本リスク研究会というのがたしかあったと思います、そういうようなところを通してでも人材の育成というものを早急にしていかなければいけないんではないかなと。現状は大変厳しいというのがございます。
 以上でございます。
#32
○沢たまき君 もう時間がないので、済みません、外国の人、外国から連れてきてもいいわけですよね、雇えればね──はい、そうですか。
 あと一分しかないんですが、じゃ簡単に、済みません、神山参考人に伺うんですが、いろんなふうに、食品の改正によるというんですけれども、食品の企業の在り方についてちょっと御所見を伺えればと思います。あと一分しかないので、済みません。
#33
○参考人(神山美智子君) やはり、今、国民生活審議会の消費者政策部会で企業のコンプライアンスというようなことが話題になっておりますけれども、もう少し企業がきちんと法律を守って消費者の信頼を得なければ自分の企業の生命にもかかわるんだという認識を持っていただきたいと。そうではないところもまだあるように聞いておりますし、かなりいろんなところで変わってきてはいるとは思いますが、もう少し厳しく認識してほしいと思っております。
#34
○沢たまき君 ありがとうございました。
 終わります。
#35
○井上美代君 日本共産党の井上美代です。
 私は十分の時間を持っておりますけれども、質問をまず四人の方に申し上げて、そして十分が終わるまで、短い時間になってしまいますが、御答弁をお願いしたいというふうに思っております。
 私は、まず丸井先生と丸山先生とお二人にお聞きしたいんですけれども、ハイリスクのグループの問題なども出ましたけれども、やはり私、個別の問題として個別的対応が重要だということを丸井先生もおっしゃったんですけれども、食品媒介のリステリア症の問題についてお聞きしたいんです。
 丸山先生は、国立公衆衛生院の衛生獣医学部長をやっておられたときに食品媒介リステリア症の予防対策という論文をお書きになっておりまして、この論文の中で、我が国ではまだ食品媒介性リステリア症が確認されていないため欧米のような緊急性を実感できないが、食品汚染実態からいえば同様の事例がいつ発生しても不思議ではないと、今からその予防対策を考慮しておく必要があると、こういうふうに述べておられるんですね。
 今日でも、厚生労働省は、日本ではまだ食物由来の発症例はないとして本気で対策を取っていない、こういう現状があります。この中で、やはりリステリア症の危険性の具体的な内容と、そしてリステリア症に対する対策をどのように取ったら良いのかということをどのようにお考えておられるのか。丸井参考人は医学部の先生でもありますので、是非お二人にこのことをまずお聞きしたいというふうに思います。特に幼児や妊婦に影響があるというふうに聞いておりますから、そこを心配しております。
 また、神山先生には、もう二十一年前から食品の安全基本法を作る提言を東京弁護士会でやられたときの中心的な先生であるということを聞いておりまして、神山さんから見て今回の改正案をどのように受け止めておられるかということを、そしてまた今後どうするかということを、短い時間ですけれども、一言お願いします。
 また、石黒参考人には、私は、東京や横浜の税関のところで輸入食品の検査や分析をずっと四十年もやってきて、そして今日、農民連の食品分析センターでお仕事をして次々と分析しながらやっておられるんですけれども、私は石黒参考人にも食品衛生法改正についてどのような思いを持っておられるのかということを聞きたいと思います。
 短い時間で申し訳ありません。
#36
○参考人(丸山務君) 私の論文を詳しく読んでいただき、ありがとうございます。
 確かに、日本ではリステリア、食品媒介のリステリア症が確認されたものはございません。これはなぜかということでございますが、一つは、臨床のお医者さんが、何か事故が起きたときに、食べ物が何かというところまでさかのぼって聞いていくということがそんなに徹底していないんではないか。ですから是非、臨床のお医者さんにこういう点までこれからお願いすればそういう実態が少しは明らかになる。
 ただ、先生御指摘のように、食品の汚染というのは大変、日本は大変高いというか、外国と同じでございますので、なぜそれが起きないのかと、大規模のものとか外国で起きているのにないのかということについては、これはもしかすると日本人がこういう菌に対しての抵抗性が強いのか、その辺りは大変私も不思議に思っております。今後注目をしていく感染症の一つだというふうに思っております。
#37
○参考人(丸井英二君) 私はそちらの方の専門家ではありませんので一般的な話としてお話しさせていただきますけれども、やはり先ほど来丸山参考人からお話ありましたように、一つは、実際流行が起こらないということは、体の側の問題もあるかもしれない。それはありますが、それにしても、一般的に病気に対する認識が、認識というのは医療する側ですね、あるいは実際の国民の側の認識が高まると、ひょっとしてこの病気ではないかということを疑うようになります。そういうふうに医療の側も恐らく疑わないままに見過ごされているケースが非常にあるというふうにも思われますので、これはやはり広い意味での教育、啓蒙というのが医療側に対しても、それから一般の国民に対しても必要なことで、それから次の対策が始まるだろうというふうに思います。
#38
○参考人(神山美智子君) ここ二十年くらい、消費者グループを始めといたしまして、食品衛生法の改正の要求というのはずっと続いてきておりました。私ども東京弁護士会の食品安全基本法の提言も、食品衛生法の抜本的改正として提案させていただきました。
 その都度、厚生省側の御回答は、現在の食品衛生法も、厚生大臣は言わばオールマイティーなので、やろうと思えば何でもできるから法改正は必要ないという、こういうお話だったわけです。現行の法制度でも、おっしゃるとおり、厚生大臣は何々することができるという条文が並んでおりますので、やろう思えば何でもできるわけです。私たちが求めてきたのは、やろうと思えばできるけれども、やらない人にやってもらうにはどうしたらいいのか、やらない人にやってもらうためにはやはり国等の責務という条文が必要だろうということと、国民の、食品の消費者たる国民の権利が必要だということを言い続けてまいりまして、一応、食品の安全確保と国民の健康保護それから国等の責務というものは入りまして、あと入らないのは消費者たる国民の権利だけでございますので、このやってくれない人を動かすための国民の権利が入らないと私は画竜点睛を欠くものであると思っております。
#39
○参考人(石黒昌孝君) 食品衛生法がこういうふうに改正されて、案ができてきたということは、やっぱり生協で一千万人署名などをやったり、やっぱり国民の安全を求める署名運動とか、そういうのが生きてきたんではないかというふうに思います。
 確かに、神山さんがおっしゃったように、意見申出という内容については、あらゆることについて安全に関しては意見が申し出られるようにして、そして国民の健康を守るということが重要ではないかというふうに思うわけです。
 この間、長い間やはり見ていましても、検疫所の体制は、少しずつは人員は増えてきていまして、検査センターなどもできて充実したかに見えるんですが、実際はまだまだ人が足りない。そして、特にモニタリング検査に今頼っていますけれども、この検査のやり方ですと、何せサンプルを取って、その間にみんな市場に流れちゃうわけですから、皆さんの胃の中に入ってから、あれは違反だったよと、回収しなさいと言っても回収もできないと、こういうような状態になっているわけでありまして、私はこういう状態では本当に国民の健康と安全は守れないんじゃないかと。
 したがって、やっぱり港で必要なものは全部止めてきちっと検査できるような体制をするとか、それから、そういう設備、そういう人なども、アメリカでは大体千人ぐらいいるんじゃないですか、あれ、最低、そういうことをやっている人が。ですから、そういう人を増やして、そしてチェックをきちっとして、そして国民の健康を守ると。何せ国がきちっとやるということになると、消費者やなんかも全部、一応、それじゃというんでチェックをすると、こういうことになっていると思うんですよね。
 だから、国がきちっとやらない限りはなかなかそういう国民の健康は守れないんじゃないかということを痛感していますので、そういう点でこれからも、委員会としても御努力を願えればと、そういうふうに思います。
#40
○井上美代君 どうもありがとうございました。
#41
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 各参考人の先生方のお話をお聞きしまして、大変参考になりました。
 特に、神山参考人のお話は、私も地元に帰れば一家の健康を預かる主婦の立場として大変共感できるんですけれども、ただ、難しいなと思いましたのは、理想的には、例えば先ほど御提言ありました新開発食品の販売禁止等、できればいいなとは思うんですけれども、一方で、丸井参考人がおっしゃいましたように、一〇〇%安全なものはないと。一〇〇%安全な、なるべく、できるだけ安全なものを求める努力はしなければいけないけれども、一〇〇%安全だというものを求めることはできないというふうに私も根本的に考えておりますので、そういう意味でなかなか難しいなと思う点がございました。
 まず、神山参考人に伺いたいんですが、最後におっしゃいました、どなたかの質問に答えられたでしょうか、企業のコンプライアンスというところを、させるという重要性をおっしゃいましたけれども、私は、コンプライアンスということをもっと徹底させるためにはこの法律自体を実行可能な現実的なものにするということが大変重要であろうと考えておりますが、もしその点につきまして、まず、何か御意見がございましたらお願いいたします。
#42
○参考人(神山美智子君) 食品衛生法という法律はかなり基本的なルールしか定めていない法律ですので、この法律に基づいて実行が可能でないようなことの義務が課されているということはないのではないかと思います。
 むしろ、食品衛生法は、施行規則ですとかあるいは告示ですとか、様々な細かい細則に従ってそれぞれの企業がやらなければならないことというのが決まってくると思いますので、そういうところで実行可能というところに線を引くと、それで安全が守れるのかという問題もありますので、やはり兼ね合いの問題が難しいのではないかと。
 特に我が国の場合には食品産業に中小零細企業が多いということを考えますと、余り厳しくすると、では中小零細つぶれてもいいのかという話になりますので、その辺は非常に難しいとは思いますが、それこそ私は、先ほど丸山参考人がおっしゃられたような、リスクコミュニケーションには企業も参加するべきなのだというところで、一緒にもんでいくということが必要なのではないだろうかと思います。
#43
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 続いて丸井参考人、丸山参考人にお尋ねいたします。
 丸山参考人の方から、食品安全における消費者の役割分担、これが今後大きな役割を果たすということで、もっと強調されるべきであるというふうなお話がございました。一方で、神山参考人の方からは消費者の権利をもっときちんと明確にすべきだというふうなお話もありましたが、消費者の役割分担、それとその消費者の権利という部分について、丸山参考人、丸井参考人、それぞれどのようなお考えをお持ちでしょうか、お願いいたします。
#44
○参考人(丸山務君) 私が申し上げたのは、食品衛生は、あるいは食の安全というのは、生産者だけでも駄目だし、売っているあるいは造っている人だけでも駄目、消費者もやはりそれに見合った大きな役割を担っているんだということを強調したい。それが法律にどういうふうに生かされるかということは私よく分からないんですが、その役割を教育ということで具体化していくことが大事だろうというふうに、そういうふうに思っております。
 法律の中で、私、法律の専門家でないので、それがどういうふうに表現されるかというのは全く分からないんですが、その教育というのも、お母さんとかそういうことでなしに、学校教育とかそういうところも含めてこの食の安全性というものを進めていっていただきたい、こういう趣旨で先ほどは御説明申し上げたつもりでございます。
#45
○参考人(丸井英二君) 消費者ですけれども、消費者の権利ということに関して、私は法律の専門家ではもちろんありませんが、全般としては、大枠としてはとても必要な大事なことだと思います。ただ、個別の場面で消費者がこの物について自分の権利をということで、一つ一つのことについて権利の、個別の場面で権利を主張するということになっていっては、先ほど来お話ししました本来あるべき信頼関係、これが十分機能しなくなるのではないかと。
 食べるということに関して言えば、これはもちろん十分に健康が守られるための必要最低限の権利ではあるけれども、個別の場面で、言わば安全なものを供給してくれという、それは一般論としてあるけれども、個別の場面でそれを余り強く出し過ぎるということは、結局のところ、今度は供給する側のまた、が十分安全なものを出し切れなくなっていくのではないかというふうにも思い、あるいはむしろ出さない方が良いのではないかというふうなことも出てくると思いますので、余り物にこだわる形で消費者が権利を主張する形でなく、むしろ、事情をよく分かりながら理解して、そして信頼関係を双方で、それは供給する側も信頼関係をきちんと作れるように安全なものを供給する努力をするし、一方で消費者も、例えば表示のようなものを通じてきちんと理解をして、そして無理な使い方をしていかない、例えば食中毒が家庭で非常に多いというのは、これはやっぱり消費者の側の問題もあると思いますので、権利と消費者がすべきことのその両面をやはり見るべきだろうというふうに考えます。
#46
○森ゆうこ君 最後に神山参考人にもう少し伺いたいんですけれども、今もいろんなお話がありました。リスクというものがあって、それをなるべく少なくしていかなければいけない。そういう意味で、消費者の権利も大切にしながら文字どおりコミュニケーションを図っていくということが今後重要だと思いますので、そのことに関してもう一言。
 それとあと、特にダイオキシンについてずっと取り組んでこられたということで、私も日本の今の基準というものがちょっと緩過ぎると思っていまして、次の世代に非常に大きく影響するものですから、少しダイオキシンについて一番今問題意識を持っておられる点に最後に触れていただいて、私の質問は終わりたいと思います。
#47
○参考人(神山美智子君) 消費者の権利と言った場合に、物についての権利というのは言ってみれば売買契約上の権利ですから、それは民法上保障されておりますので、そういったことまでこの食品衛生法の中に入れる必要はないわけですけれども、例えばBSEのような問題でだれかが変異型クロイツフェルト・ヤコブ病になったというようなときに、これが報告書の中では失政だというふうに批判されておりますが、そういう失政によって変異型クロイツフェルト・ヤコブ病になったときの消費者の権利、それは国に対して損害賠償ができるのではないかという形の権利とか、あるいは、主としてこの食品衛生法について申しますと、意見を述べる権利ということに特化して考えていただいてよろしいのではないかというふうに思っております。コミュニケーションを図るためには、やはり両方とも意見を言ったり人の意見を聞いたりする権利と義務があるという形が保障されていることこそが正しいコミュニケーションのもとであるというふうに思っております。
 ダイオキシンにつきましては、取りあえずTDI四ということで、我が国は諸外国に合わせて二にするというような方針はいまだありませんけれども、私は四は少なくとももっと下げるべきであると。四を基準にいたしましても、百グラム食べただけで四を突破してしまうような魚というようなものがございますので、四を基準にしても食品の安全基準はできるはずであって、そういう魚が市場に流れないようにもう少し考えていただきたいというふうに思っております。
#48
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
#49
○大脇雅子君 社会民主党の大脇でございます。今日は参考人の先生方、有益な御意見をいろいろありがとうございます。
 まず神山先生にお尋ねしたいのですが、日弁連が消費者の権利を提言して以来かなりの時間が経過いたしまして、今回、根本的な改正が行われるわけですが、要するに、消費者の権利とは何か、どういう内容を持った権利なのか、制度として、どのような制度として確立されるべきだということを法的立場からお述べいただきたいと思います。
#50
○参考人(神山美智子君) よく言われますように、ケネディ大統領の四つの権利というようなことを言われますけれども、一番の中心は安全の権利であるということになっております。ただし、食品でいいますと、安全を守る一義的な責任は製造事業者にあるだろうということは間違いないわけですから、国等の責任は後見的な責任になるかもしれませんけれども、しかし、そのことによって仮に被害を受けた消費者がいたときには、その消費者の権利というものは単なる反射的な利益ではなくて、これは安全の権利が侵されたのであるということが明記されるような、国等の責務というものがもう少し突っ込んだ形で、安全を守る、確保して国民の健康を保護する責務が国にあるんだということが書かれる必要があるのではないかということと、それからもう一つ、選択の権利ということに関しましては、正しい表示をするのは事業者ですが、正しい表示をさせる責務が国等にある、表示の基準を定めるだけではなくて、もう少しきちんとした表示をさせて、そして消費者が選択する権利が守られるようにする責務が国にあるということが必要だろうと思います。現在の消費者保護基本法ではそういう制度を作る責務があるということになっておりますので、制度を作る責務ではなくて、選択の権利を確保する責務があるんだというふうに書くべきだと思います。
 それから、三番目の意見を言う権利については、もう既に先ほどから申し上げましたので繰り返す必要はないと思いますが、措置請求権のような形で実現していくべきだと思います。
#51
○大脇雅子君 ありがとうございました。
 丸井先生にお尋ねしたいのですが、このところ食物アレルギーというのは子供だけではなくて成人にも増大をしていて、やはりこれが食の安全の言わば病的側面として非常に国民に広範に広がっていると思いますが、その原因と改善の方法、それから、そうしたアレルギーの食品というものに対してどういうふうに国が取り組むべきかと。自己責任の食べ方の問題もあろうかと思いますが、それはさておいて、先生の御意見を簡単にお聞きしたいと思います。
#52
○参考人(丸井英二君) 食物アレルギーの原因と改善策については、これは私がここでお答えとてもできないような今大問題であろうと思います。
 もちろん、それぞれの方々の体の状態の変化もありますし、それから、もちろん環境の変化というのが非常にこのところ大きいので、非常に複合的な原因になっていますので、それで研究者も非常に苦慮していると思います。
 にもかかわらず、もちろん国としても我々としてもそれに対応する必要がありますが、これはやはり、実際にアレルギー、食物アレルギーの原因となる物質が何であるかということを同定することはできますので、その上でそれをできるだけ含まない食品を用意するというようなことを生産側にも、努力を今していると思いますし、また何が入っているか、これは正しく表示の問題ですが、入っているのか入っていないのか、あるいはどれだけ入っているのかということが表示によって分かるという、そういうことをきちんと制度化したわけですので、それを今実行に移しているところです。
 また、もう一つ、やはり消費者がそれを、先ほど来の選択するというところで、これは無言のコミュニケーションですけれども、消費者の方もこの表示をきちんと見るという、見てそれに何が書いてあるかと分かるように、この教育あるいは啓蒙普及の仕事というのは非常に大きいと思います。
#53
○大脇雅子君 ありがとうございました。
 丸山先生と石黒先生にあとお尋ねしたいのですが、ともに輸入食品に対する安全性の問題を提起されました。
 これほど多様な輸入食品があるにもかかわらず、日本の市民の側の危機意識が私は非常に、薄いというと消費者の責任になりますけれども、その消費者もまた危機意識が薄いし、それからそれを、輸入を許可しているその政府側の制度的な危機意識も薄いのではないかというふうに考えますが、輸入食品と安全に対する関係で、今後どのような制度的な改正をしたらいいのかということをお尋ねしたいと思います。
#54
○参考人(丸山務君) 輸入食品の安全確保ということは、先ほど来申し上げておりますように、やはりその一つは、水際の検疫を強化をするということだろうと思います。
 ただ、これは私はその検疫だけでもってこれができるのかというと、これだけの大量のものが入ってくるのをすべて検疫でもってチェックをし、漏れのないようにするというのはほとんど不可能であろうと。したがって、地方公共団体あるいは登録検査所の内容をしっかりしてでもそうした検査の充実をほかにも求めてしていくべきであろうというふうには思っております。
 日本の食品の輸入で大変な問題は、ほかの国と違って原材料だけ入れてくるんでなしに、加工したもの、それからもう調理したものまで入れてきてしまうというところが、この検疫や検査で大変難しい問題にして、ただこれをどうしたらいいかということについては、私そのアイデアが何もないんですが、現実としてはそうした難しさがあるということでございます。
#55
○参考人(石黒昌孝君) 確かに、輸入食品については農薬の問題、添加物の問題、病原菌の問題、カビ毒の問題とかいろいろあります。
 これらはどうしてもチェックしない限り国民の健康に影響を与えるんじゃないかと思うんですね。ですから、一つはその基準ですね。基準についても厳しくする必要があるんじゃないかと思うんですよね。
 例えば、小麦なんかについては、今クロルピリホスメチルというのが入ってくるんですが、これはまだ基準が決まっていないということで青天井になっていますし、マラチオンについては、一応八ppmということで十六倍に基準が緩められているんですけれども、結局そういう形で入ってきていると。それで、なかなか基準以外のものが、なかなか決まっていないもの以外が、今までできなかったわけですよね。こういうものはだからきちっとやる。それから、ほかの抗生物質ですとかそういうものについてもきちっとチェックができるようにしていくことが重要ではないかと。
 実際やるにはどうしたらいいかといえば、結局基本はまず、国がきちっとやれる体制、チェックできる体制というものを作っておいて、そしてそれを補完する形でそういう今までの指定検査機関とかそういうのを全部やるということ。それから、やっぱりモラルハザードをなくして、消費者なりそういうところがちゃんと責任を持つと、輸入したものについて、そういう体制を作らないと駄目ではないかというふうに思いますよね。そういうことをきちっとチェックして安全を守りたいと、こういうふうに思いますが。
#56
○大脇雅子君 ありがとうございました。
#57
○西川きよし君 本日は御苦労さまでございます。
 私が最後になりますが、まず最初は、丸井参考人、丸山参考人、お二方にお伺いをいたしたいと思います。
 諸先生方からいろいろな角度の御質問がございましたんですが、私は、この情報の公開、そしてまたこの伝達の在り方、大変日々の生活で本当に不安を感じますし、ここ数日間のこのSARSの問題もそうでございますけれども、例えば宿泊先を公表するしないということで、国と地方自治体におきましては考え方が随分分かれておりました。例えば、そういった背景にはやはり風評被害等々を警戒をするということが強くあったと思います。
 今回のBSEの調査報告書の中でも、この「風評被害を警戒して、遅滞なく情報を公開し透明性を確保する努力が不充分なケースも見うけられる。」という指摘もございます。そしてまた、「情報の緊急性や信頼性に応じ未確認と断った上でも情報提供することが求められる。」ともあるわけです。
 この食の安全に対する情報公開につきましてですが、この風評被害への警戒について、是非お考えをお聞かせいただきたいなと思います。
#58
○参考人(丸井英二君) 風評被害は、これは実際に例えば食品の表示の問題でも起こってきていると思いますが、基本的にはこれはもちろん情報は公開すべきものでありますけれども、言わば公益性と個々の場面の倫理のこの二つの間で、先ほどのように、情報を少し公開をしてはむしろその当事者に被害が及ぶ可能性があるというようなことも起きてくると思います。
 というわけで、未確認でも公開するというのは、一方で恐らく予防原則というところにもつながってくると思いますけれども、これは本当に私は、今簡単にお答えできる問題ではないと思いますけれども、一般論としてはできるだけもちろん情報公開をするという中で、それによって被害を逆に受けられる方をどのように保護するかということを同時に考えてそれを進めていくと。
 これは先ほどの企業の中で例えば内部告発をする方などとも同じ共通した問題で、内部告発をする方を保護するという、現在考えられておりますけれども、それを同時にしながら、実際に情報を全部出していくと。その両面を、先ほどの全体への対応と個別問題の起こる事例への対応と、この両方をやはり押さえていかなければいけないというふうに考えております。
#59
○参考人(丸山務君) 正直言って、私もうまい答えが持っておらないんですが、情報公開はいつどのような方法でやるかということが一番ポイントになると思うんです。日本の今の社会の中で過剰な反応というものが恐れる余り、その正確さ、タイミングというものが、ずれてしまったことによっていろんな問題が起きた、拡大してしまったという、そういう事実は幾つもあるような気がするんです。
 基本的には私もその情報というのは早くに公開をすべきだろうと思うんですが、その方法をどうしていくかというその国民側の受け方と、その辺りの、何というんでしょうか、考え方が、危機に対するあるいは危害に対しての反応の仕方を十分考えながらやるという、そういう現実面もあると思いますので、いつ、どのようにして公開していくかという、そこの辺りを十分考えていく必要があるだろうというふうに思っております。
#60
○西川きよし君 ありがとうございます。
 ただいまの、風評被害を受けた側への対応策と申しましょうか、これについてのお考えを是非石黒参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、いかがでしょう。
#61
○参考人(石黒昌孝君) 風評被害という、まず起きる前にそういう事実が客観的にどういうふうにつかまえられるかという点で、やはり必要な手続というものをやれば、当然そういう情報は公開していいんじゃないかと思うんですよ。
 昨年までは余り、例えば冷凍ホウレンソウなんかの例をやりますと、会社の名前は出さなかったんですよね。ところが、昨年からは一応こういう会社のものはこういう違反でしたというのを出すようになったわけでして、その結果、そういうものについてやはり自制するというか、そういうのも大分できてきているわけですよ。だから、冷凍会社なんかでも、自分でやっぱり分析する人を雇って自分でちゃんと分析、チェックしようかと、こういうようなことも出ているわけでありまして。ですから、やはり具体的にそういう事実に沿ったものが分かった場合にすぐ発表すると。
 今度の冷凍ホウレンソウについても、厚生労働省は、すぐ二つの違反があったということをやって、きちっと対応するべきだと、こういうことをやっていますけれども、そういう点では、やはり情報公開というのはきちっとやれば、それで風評被害が起きるということはないわけですよね。だから、そういう点はそういうことでやるということが重要じゃないかと思いますが。
#62
○西川きよし君 ありがとうございました。
 次に、神山参考人にお伺いをいたしたいと思います。
 最後のお伺いになるんですけれども、例えば、今回のBSE問題が発生した当時、各、テレビ局、新聞、雑誌はもとよりですけれども、たくさんの報道がございました。ただ、聞くところによりますと、プリオンの研究者は非常に数が限られているということで、人数が少ないわけですけれども、そういった方々が自分の研究の時間を割いてでも、本当に真心一杯で、高い見識と責任感がないとできないようなお仕事をしてくださったわけですけれども。
 その場合、そういった方々がおっしゃるには、幾ら正しい知識をもってしても、それだけでは市民に安心をしてもらえない、いかに分かりやすく具体的に解説するかというのは、いわゆるコミュニケーション、そういったコミュニケーション技術を持ち備えていないと不信感であるとかパニックの解消にはなかなかつながらないということでございます。
 私自身もそう思いますが、こうした点で、今後どういった対応が先生は必要だというふうにお考えでしょうか。是非、最後にこれをお伺いして終わりたいと思うんですが。
#63
○参考人(神山美智子君) もちろん、分かりやすく具体的に説明するということがリスクコミュニケーションの根底にあることで、それを食品安全基本法と食品衛生法でやっていこうという体制になっていくんだと思いますけれども、先ほど来お話がありましたように、研究者がいらっしゃらない、そういう人材の育成が大事であるということと、それから、私は、風評被害を恐れる余り情報を隠すということが風評被害を生むもとだと思っておりますので、正しい情報をなるべく早く出すということこそ風評被害を防ぐことであると思いますし、仮にいわれのない風評被害が起きて、それでも、風評被害が起きても安全性を確保するためには情報を流さなければいけない緊急性があるということを考えますと、そういった被害を受ける可能性のある人のセーフティーネットのようなものとして何らかの損失補償をするというような手当てがあってもいいのではないか。そうすればそういうことを心配せずに早くに情報を公開するということが可能になるのではないかというふうにも考えております。
#64
○西川きよし君 ありがとうございました。
#65
○委員長(金田勝年君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしましてお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会をいたします。
   午後三時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト