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2003/06/10 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 厚生労働委員会 第21号
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2003/06/10 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 厚生労働委員会 第21号

#1
第156回国会 厚生労働委員会 第21号
平成十五年六月十日(火曜日)
   午前十時十一分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金田 勝年君
    理 事
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                浅尾慶一郎君
                山本 孝史君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                斎藤 十朗君
                伊達 忠一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                森田 次夫君
                朝日 俊弘君
                今泉  昭君
                谷  博之君
                堀  利和君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小池  晃君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
   衆議院議員
       修正案提出者   長勢 甚遠君
       修正案提出者   城島 正光君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       内閣府副大臣   米田 建三君
       法務副大臣    増田 敏男君
       外務副大臣    矢野 哲朗君
   大臣政務官
       厚生労働大臣政
       務官       森田 次夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府政策統括
       官        山本信一郎君
       総務省自治行政
       局選挙部長    高部 正男君
       法務省矯正局長  横田 尤孝君
       文部科学大臣官
       房審議官     金森 越哉君
       厚生労働省労働
       基準局長     松崎  朗君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   坂本由紀子君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    上田  茂君
       厚生労働省保険
       局長       真野  章君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (精神保健福祉の在り方に関する件)
○労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長上田茂君外三名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(金田勝年君) 次に、社会保障及び労働問題等に関する調査のうち、精神保健福祉の在り方に関する件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#5
○朝日俊弘君 おはようございます。民主党・新緑風会の朝日でございます。
 まず、冒頭に、今日こういう形で精神保健福祉の在り方に関する件について集中的に審議をする時間を作っていただいたことを委員長にお礼を申し上げたいと思います。
 ただ、経過からすれば、私は本当は、今日用意させていただいた質問は法務委員会との連合審査の中でやる予定をしておりました。そういう点では、六月三日の段階で一方的に連合審査も含めて質疑が打ち切られたことについては、大変残念である、特にこういう法律であるからこそもっと丁寧な審議が必要であったんではないか、こんなふうに思います。
 冒頭、そのことを申し上げて、もう一つ、連合審査の場においても、あるいは法務委員会の場においても、そしてこの厚生労働委員会の場においても、日本精神科病院協会の仙波会長に是非参考人として御出席をいただきたいと、こういうお願いをさせていただいて、理事会の方でもそのようなお取り計らいをしていただいたと伺っていますが、残念ながら今日も御出席いただいておりません。是非これは、多少一工夫する必要もあるのかと思いますが、引き続き委員長の方で御努力をお願いしたいということを冒頭にお願いを申し上げたいと思います。委員長、いかがでしょうか。
#6
○委員長(金田勝年君) 仙波会長の参考人招致の件については、当委員会として努力を重ねてきておるところであります。また、今後の扱いについては、理事会等で協議させていただきたいと思います。
#7
○朝日俊弘君 それでは、質問に入ります。
 まず第一番目は、六月三日の法務委員会における質問の残りといいますか、この点について改めて大臣にお尋ねをしたいと思うんです。
 若干説明をしますと、六月三日の法務委員会の場で私はこういうお尋ねをしました。新しい法律、心神喪失者等医療観察法案に基づく指定入院医療機関において、入院している患者さんあるいはその代理人から治療等に関して処遇の改善を要求をしたいという場合には、どこにその処遇改善要求を提出することになるのか、そしてどんなふうに扱われることになるのかという点についてお尋ねをしました。お答えは、それは厚生労働大臣に要求として提出をしていただき、具体的にはというか、実質的には社会保障審議会の場で審査をさせていただくと、こういうお話、答弁でありました。
 しかし、私は、具体的にこの社会保障審議会がちゃんと機能するんですかと。この間、大臣も御承知のとおり、審議会というのは全体に再編成、統合されてむしろ審議会の機能は限定していくというふうになってきていますし、しかも、それゆえにということでしょうか、一つの審議会にいろんな部会とか分科会とか入って、大変に従来の審議会の機能と比べるとその機能はやはり限定的になってきているというふうに、それが一つの、いいか悪いかは別にして、行政改革の一つの流れだったというふうに思うんですね。
 そういう中で、この大変重要な機能、患者さん自身からの、あるいはその代理人からの処遇改善要求をきちんと受け止めて適切に改善命令を出すというようなことを、果たして社会保障審議会に求めて実質的にそれ本当にできるんだろうか、ここがどうしても納得いかなかったんですね。
 そこで、政府参考人に、具体的にどういうふうにして、どういう仕組みで、例えばチームはどんなふうに作るのかとか、その中でメンバー構成はどうするのかとかいうことについてお尋ねをしたんですが、いや、それは法律に基づいて本法施行後政令で定めると、こうなっておりますという答弁しかいただけなかったんです。確かに手続上はそういうことなのかもしれませんが、私はそれではどうしても納得がいきません、この点については是非大臣のお答えをお伺いしたい、こういうことで終わっておりました。
 なぜこんなことを申し上げるかといいますと、御存じだと思いますが、現行の精神保健福祉法の中でも措置入院制度という強制入院制度があって、そういう強制入院制度があるということもありますから、入院中の患者さんの処遇改善要求について、それぞれ都道府県に精神医療審査会というのを作ってそこがきちんと受け止めてやりましょう、こういう仕組みを大論争の上、作り上げたわけで、その精神医療審査会についてはどういうメンバー構成にするのか、細かい点は政令で決めるということになっていますけれども、その組織の原則は、例えば精神医療にかかわる専門家が三名とか、もう一つは法律家が一名は加わってチームでやってくださいとか、そういう規定が法律にあるんですよ。精神保健福祉法の中に精神医療審査会の構成に関する、あるいは基本的な事項に関することが法律で定められている。
 ところが、この新しい心神喪失者等医療観察法案では、丸ごとそれ政令にゆだねると、こういう形になってしまっていて、一体どういう中身の審査会が、あるいは審査機能が担保されるのか、どうも不安でならない。私は、むしろこういう制度の下における処遇改善を受け止めるための仕組みというのはよほどきちっとしなきゃいけないと、こう思っているので、ここでひとつ具体的な中身について、手続的には法律が成立して以降政令で定めるということは理解できるわけですけれども、基本的な考え方としてどうなのかという点をひとつ大臣からお答えをいただいて、なるほどそうなのかということであれば良し、それでなければまた意見を申し上げたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
#8
○国務大臣(坂口力君) 先ほどお話ございましたように、審議会というのが今までたくさんありましたのを少なくいたしまして、もう本当に厚生労働省も大変少ない審議会になってしまいました。ところが、現実問題としてはそれではやっていけないものですから、その下に幾つかのブランチを作って、そしてやっているというのが現実でございまして、これよかったのかどうか、これも反省もちょっとしなきゃならないわけでございますが、今回、御指摘をいただきましたこの心神喪失者等医療観察法案のいわゆる指定入院医療機関に入院中の人の処遇改善要求というものが出たとき、これどうするかという話でございます。
 これは現在あります社会保障審議会の範疇でやる以外にはないと思うんですが、この社会保障審議会のメンバーというのは、御承知のとおり、幅広い社会保障のことをやっているこれはところでございますから、そこでこの議論をできるということでは決してないと私も思います。そういたしますと、この社会保障審議会の中に特別にこの問題に関する検討会と申すか委員会というのを作って、そしてそこで議論をしていただく以外に方法としては今ないというふうに思っている次第でございます。
 そういう形の中でどういう議論をしていただくかということについては、それはもう先生御指摘のとおりでございまして、専門的な立場からこれ議論をしていただかなければならないわけでございますから、それぞれの専門的な先生方もお入りをいただきますし、これはまた人権等の問題にも配慮をしなければならないわけでございますから、そうした立場から法律的な専門家の皆さん方もお入りをいただくといったようなことで、精神医学の専門家だけではなくて、そうした法律的な専門家の皆さんもお入りをいただくということによって機能をさせていただく以外にないのかなというふうに今は思っているわけでございます。
 問題はそれで十分に機能するのかどうかということだろうというふうに思いますが、それに対して十分機能できるような裏付けをどう作っていくのか、政令なら政令の中で定めるというだけで十分にそれがやっていけるのかどうかという問題はあるというふうに思いますが、今のところは政令でそこは定めるということにせざるを得ないというふうに思っているところでございます。
 処遇の改善、それから様々な請求を審査をする上で、これは精神保健の指定医の先生方あるいはまた法律の専門家、その他学識経験者から構成をするといったようなことでおやりをいただく以外に道筋としてはない、ないのかなというふうに思っているわけでございまして、その中に入っていただく方の人選をどうするかということはよくこれはまたひとつ検討をしなければならないというふうに思っているところでございます。
#9
○朝日俊弘君 そうすると、ちょっと確認をさせていただきたいんですが、今のお話は、私が今ちょっと申し上げた精神保健福祉法の中に定められている精神医療審査会とある意味では似たようなというか同様の機能というか、を果たさなければいけないという意味で、その精神医療審査会の在り方を念頭に置きつつ、具体的なそれぞれの分野からの専門家にも入っていただいて特別に審査をするための会を作っていきたいと、こういうふうに受け止めてよろしいですか。
#10
○国務大臣(坂口力君) そのように御理解をいただいていいというふうに思います。そうしたことを一つ前例として見習いながらやっていきたいというふうに思っているところでございます。
#11
○朝日俊弘君 もう一つ確認したいんですが、社会保障審議会は中央に一つしかありません。先ほど申し上げた精神医療審査会は都道府県に少なくとも一つはあって、しかも必要ならばチームを複数作るということになっています。
 この問題で、例えば措置入院の患者さんよりは例数は少ないとは思いますが、しかし、かなり年数がたてばたつほど私はこの制度に基づいて入院する人が徐々に増えてくるのではないかというふうに心配をしますので、中央の社会保障審議会にたった一か所そういう審査をするための委員会が設けられたというだけでは決定的に不十分ではないかと思うんですが、その量的な面についてはどういうお考えですか。
#12
○国務大臣(坂口力君) これよく検討させていただきますが、この指定病院というのがこれからどれぐらいな規模で増えていくのかということもまだ今きちっといたしておりません。
 日本の中、幾つかのブロック別と申しますか、そうしたところにまず作りながら、そして最終的にはこれは都道府県ということにもなっていくんだろうというふうに思いますけれども、まずそうしたところで作りますその新しくできましたところを中心にしながら、例えば東京地方なら東京を中心にして、そこにそうしたことを御議論をいただく、まあ作るという。
 ですから、一つだけ作るということではございませんで、複数作り上げていくということにしたいというふうに思っております。
#13
○朝日俊弘君 ある意味では当然でして、きちんと対応をできるような形で複数のチームを作るということは是非検討をしていただきたいと思いますが、ただ、今、大臣、ちょっと気になることを言われたんで、ちょっとその部分について念のため確認をさせてください。
 この制度に基づく指定入院医療機関を当初はブロックに一つぐらいだろうけれども、行く行くは都道府県に一つぐらい作るというような言い方をおっしゃったんですが、それは本当ですか。
#14
○国務大臣(坂口力君) ちょっと大きなことを言い過ぎましたが、初めは二、三か所、あちらこちらに作っていく、ブロックで作っていくということだろうというふうに思いますが、それは、そうはいいますものの、それぞれの地域でそれだけのものが必要なのかどうかということによってこれは決まってくるというふうに思います。
 例えば、私の東海地方なら東海地方に一つ、名古屋なら名古屋に作りまして、そして全体にそれを見ていくというふうなことになるだろうというふうに思いますけれども、将来それが十分なのかどうかということはあり得る。ですから、都道府県というのは少し言い過ぎでございますけれども、複数ということはそれは考え得るわけでございます。
 しかし、現在考えております常識からいきますと、そんなに増えるわけではないというふうに思っておりまして、全体の人数もせいぜい千人ぐらい、まあ千人も行くか行かないかというような人数を想定しておるわけでございますから、そんなには増えないというふうに思っております。
#15
○朝日俊弘君 くれぐれもこれ、どんどん増やせばいい施設ではないんでして、むしろ非常に対象というのは厳正な手続で限定的に運用しなければいけないというふうに私、基本的に思っていますから、一般的な医療施設あるいは精神科病院で、しかも一定の条件を整った病院だからどんどん都道府県単位で作ったらよろしいというたぐいのものではない。むしろ、それならそれで現在ある都道府県の例えば県立精神病院をどうするかということの方がより大事でありまして、そこは大臣、ちょっとごっちゃにしないでいただきたいし、厳密に考えていただくことが必要だということをあえてこれは申し上げておきます。
 しばしばこの制度そのものについての大臣の理解がやや甘いような感じがしてなりませんので、医療だからいいことだ、だから増やそうという単純にはいかないということだけはきちっと押さえておいていただきたいというふうに思います。
 さて、その上で少し、じゃ、新しい法律の問題からちょっと離れまして、改めて今私が申し上げた点について復習をしておきたいと思うんです。
 つまり、精神衛生法という従来の法律から精神保健法へと一九八七年、昭和六十二年でしたか、大改正がありました。実はこのときに全く新たな機関として今例として申し上げた精神医療審査会というのを設置すると。そこで退院請求の問題とかあるいは処遇改善要求とかいうのを患者さん自身から持ち込むことができるようにしよう、そこできちっとそれぞれの専門家が対応して審査をし、必要があらば改善命令を出そう、こういうことで精神医療審査会が設置されたわけですね。
 ですから、ここちょっと、なぜその時点でそれまでには設置されていなかった精神医療審査会というものがそれぞれの都道府県に設置されることになったのか、その趣旨、さらには目的等について少しく御説明をいただきたいと思います。
#16
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 昭和六十二年、当時、精神病院における人権侵害事件などを契機に、精神障害者の人権に配慮しつつ、その適正な医療及び保護を確保する必要性が強く認識されました。このために、精神病院に入院中の者等から退院請求ですとかあるいは処遇改善請求を審査するなどの目的で昭和六十二年の精神保健法改正の際に精神医療審査会を設けたものでございます。
#17
○朝日俊弘君 今極めて簡潔に御説明をいただきましたけれども、こういうことなんです。
 もうその当時のことを一々振り返りませんけれども、やっぱり精神病院というのはどうしても閉鎖構造にある。閉鎖的構造の中に入院させられている、あるいは入院している患者さんは、閉鎖構造、密室であるがゆえに人権侵害をしばしば引き起こす、その被害者となる、そういう実例があちこちで新聞で報道される、国連の段階でもそのことが問題になる、こういう事態があって、これじゃ駄目だということで、何とかそこをチェックするための仕組みとして精神医療審査会という、これ本来は行政よりもっと独立をした第三者機関として作ってほしいという主張もあったんですけれども、そこは今のような形で取りあえず作りましょうと精神医療審査会というのができたわけであります。
 そこで、申し上げたかったのは、結局、刑務所の問題もしかりですし、これから作られるであろう指定入院医療機関、特別病棟も、そういう意味ではある種、収容所的、閉鎖的空間を形成するであろう、とすればそこにおける様々な人権侵害をきちっとチェックする仕組みはよほどきちんと作っておかなければいけない、そういう観点、問題意識が是非とも必要だというふうに私は思います。
 ただ、率直に言って、そういう仕組みで作られた精神医療審査会、例えば三年前には厚生科学研究の研究班がこういうパンフレットを作って、「精神病院に入院中のあなたへ」と、要するにイラスト入りで患者さんたちにパンフレットを配って、精神医療審査会というのができました、処遇改善求める場合にはこういうふうにしてください、こういうパンフレットまで作って人権侵害をチェックする、あるいは病院における処遇改善を一歩でも二歩でも進めていく、こういう努力をしていただいたわけですが、実はなかなかこういうこの精神医療審査会というのは十分に機能し切れない日本的風土があるというか、あるいは医療の環境があるというか、そういう事実も一方で明らかになってきています。
 例えば、これは大臣、御存じでしょうか。その精神医療審査会に退院請求をすることができる、あるいは処遇改善請求をすることができる、こうなっているわけですが、平成十二年でいきますと、実は退院請求は全国で一年間に約千三百件しかない。もっと驚くのは、処遇改善要求は百三件しかない。もちろん、多くあればあるほどいいと言うつもりはありませんが、必ずしも十分にこの精神医療審査会が機能しているのかどうか。しかも、その審査の結果を見ますと、千三百件の退院請求があったんだけれども、入院形態について検討を要するというのがわずか四十三件、処遇改善請求については百三件の請求があったんだけれども、処遇改善について検討すべしというふうになったのがたった三件ということで、果たしてこの精神医療審査会、十分に機能しているんだろうか、こういう心配もまた一方で出てきているんですね。何年か前に、その精神医療審査会の事務局機能ももっと強化すべきではないか、こんな議論もございました。
 念のため、この大改正において設置された精神医療審査会が果たしてその後十分に機能してきているのかどうか、その後の運用状況なり問題点なり、あるいは今後の改善の課題なりについて御説明ください。
#18
○政府参考人(上田茂君) まず初めに、精神医療審査会の審査状況につきまして、私ども、平成十三年度の衛生行政報告例からその状況を御報告いたしますと、退院請求の審査件数は千四百二十三件ありまして、審査の結果、入院又は処遇が適当とされたものが千三百十件、不適当とされたものが八十三件、審査中のものが二十八件でございました。また、処遇改善請求の審査件数は百件でありまして、審査の結果、入院又は処遇が適当とされたものが九十件、不適当とされたものが五件、審査中のものが二件となっております。
 お尋ねの精神医療審査会の機能でございますが、精神保健福祉法の平成十一年の改正におきまして、委員数に関する上限の規定を削減するなど、地域の実情に応じて迅速かつ適切な審査が実施できるよう対応してきたところでございます。
 しかしながら、平成十三年に厚生労働省がこの審査会の状況を調査したところによりますと、退院請求、処遇改善請求があってから結果を通知するまでの平均的な日数が一か月を超えるとか、あるいは意見聴取を複数の委員で行っていないなどのこういった問題点が見られたところでございます。
 このために、平成十三年十月に適正な運営を促す通知、この表題は「精神医療審査会の申請処理状況調査結果について」と、このような通知を発出するとともに、全国課長会議等を通じて指導を行ってきたところでありまして、今後とも精神医療審査会の迅速かつ適正な審査体制の確保のために自治体に対する指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
 また、もう一点付け加えますと、平成十四年四月から、審査会の独立性をより強化するために、都道府県の担当課とは別の機関として組織され、職務遂行においてより独立性が高い精神保健福祉センターでこの審査会の事務を行うこととしたところでございます。
 以上でございます。
#19
○朝日俊弘君 今るる御説明をいただいたのは、是非大臣も念頭に置いていただきたいんですが、これから新しく作られる審査会機能を持った組織について検討するに当たって、この精神医療審査会の運用状況というか実効性というか、こういうところは十分に参考にしながら仕組みを作っていただきたい、こういう意味で今幾つか御説明をいただいているわけであります。是非、仕組みだけ作って魂がなかなか入らないということがよくあるので、そういう点では十分にこれまでの状況は総括をしていただきたいなと、こんなふうに思います。
 具体的な今御説明があった問題点については、今日は質問は省略をします。
 そこで、私は、まず第一にそういう審査機能を持った精神医療審査会というようなものが是非とも必要だということを押さえた上で、しかしなおかつそれではカバーできないというか救い切れないというか、手が回り切らないというか、そういう分野がどうしても残るんではないか。そこで、その精神医療審査会的な機能の強化に加えて、例えばペーシェントアドボカシー、患者の権利擁護者制度というような、これはこの言葉にこだわりませんが、患者さんあるいは収容されている方たちの権利を擁護するための機関ないしシステムを導入すべきではないかと、こういうふうに常々思っています。
 実は、部分的には精神医療の人権センターとか、あるいは当事者の皆さんが集まって作っておられるピアサポート活動などで部分的にはそういう機能は果たされているところもあるやに聞いていますが、これは極めて限定的あるいは地域的、そして量的にも極めて不十分な状況で、もう少しこういう活動も含めて患者さんの、あるいは被収容者の権利をもう少し積極的に守っていく、あるいはその作業を通じてむしろ積極的に改革していく、こういう方向につなげていけるような制度ないし仕組みの検討を是非してほしいと思っているんです。
 これは念のために申し上げますと、必ずしもすぐに審査そして改善命令とかという、そういう硬い、そして裁判の場合だったら有罪で判決と、こうなるわけですが、そういうことではなくて、ある意味では当事者と医療提供側との間に立って様々な交渉というかネゴシエーションというか、そういうことをして、けりが付く話は当事者同士でけりを付けていく、付かない場合は審査会に持ち込む、あるいは裁判に持ち込む、そうすると案外十のうち七、八ぐらいまではそういうレベルでけりが付いていくという実例があるんですね、諸外国の方で。
 ですから、そういう制度を、仕組みを是非検討してほしいなと。それは今の精神医療の状況にも、そしてこれから新たに作られるであろう特別病棟の部分においてもそういうものが是非必要だというふうに思っているんですが、これはすぐにお答えをいただきにくいかもしれませんが、基本的な考え方として大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
#20
○国務大臣(坂口力君) 先ほど部長の方からこの審議会の話をさせていただいたわけでございますが、私も聞きながら、その挙がっております人数、まあ現実の実感からいたしますと少し少ないなというふうに思った次第でございます。母集団の方が十万なり十一万なりぐらいの数字になっているようでございますから、その中での数字としては少し少ないんではないかというふうに思います。
 それで、今お話しをいただきました話は大変大事な話で、これは民間のそうした皆さん方のお手伝いもいただくことも含めて考えていった方がいいのかなというふうに思うわけでございます。公的な、いわゆる四角四面の制度だけではやはりうまく回り切らない、やはり柔軟な皆さん方の対応というものがやはり必要になる可能性もあるというふうに思っておりまして、ただし、その皆さん方がそういうふうにお手伝いいただく、あるいはそういうことをおやりをいただく皆さん方がおみえになります場合、そこをうまい具合に官民で協力をして、そしてそれが実効あるものにしていくということは、これは官の方がかなり注意をしていかないといけない。皆さん方にただおやりをいただく、それをただ傍観をしているというようなことではいけないわけで、そこの仕組みというものにつきましては、少しこれはよく考えてやっていかないといけないのかなというふうにお聞きをしながら思ったような次第でございます。よく一遍考えさせていただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
#21
○朝日俊弘君 是非、例えば検討会なり研究班を作るなりということも含めて、これは是非検討していただきたい。そのことによって、言わば硬い制度とは違うソフトな制度、仕組みが一定程度有効に働くだろうというふうに私確信しておりますので、是非検討をお願いしたいと思います。
 さて、時間がどんどん過ぎてきましたので、ちょっと後の質問はたくさんあるんですけれども飛ばしまして、最後の質問に移ります。
 最後の質問は、実はつい昨日の夕方の朝日新聞、それから一昨日の日曜日の朝の毎日新聞、それぞれに報道された件について、まず新聞報道の真偽のほどを確かめたいというふうに思います。
 皆さんもごらんになったかと思いますが、今年から新しい障害者プランがスタートする。その言わば第一年度でもありますし、この新しい法案の審議を通じて、しばしば七万二千人の社会復帰ということを上田部長は繰り返し御説明をされました。さて、具体的に社会復帰を促進していくためにどういう仕組みが作られるのかなというのが、一つは障害者プランの具体的な実践、推進状況であります。ところが、今年、約百四十八ですか、精神障害者のための社会復帰施設について是非作りたいというふうに要望を出したら、何と三十五件しか認められなかった。実に、毎日新聞の報道では約二割しか要望が達成できなかった、朝日新聞は二五%だけと。
 これは一体何だと。あれだけ声高に社会復帰、社会復帰と言っておきながら、実際には百五十近くの皆さんが手を挙げてやらせてくれと言っているのに、たった三十五件しか認めないというのは一体何だと言いたいわけですが、これはどうなっていますか。
#22
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 精神障害者社会復帰施設の施設整備費につきましては、保健衛生施設等施設整備費補助金のメニュー予算として計上されておりまして、これは、今回このような報道があったわけでございますが、例えば十三年度あるいは十四年度の状況をまず御説明いたしますと、それぞれの十三年度、十四年度におきましては、前年度からの繰越予算や補正予算と合わせて、十三年度においては百三十八件の三十四億円、十四年度におきましては百六十一件の約三十四億七千万円を補助してきたところでございます。
 今回、十五年度における同じこの補助金全体の当初の予算額は、対前年度比約六億円の増の百十七億六千万円でございましたが、精神障害者社会復帰施設に充当する前年度からの繰越予算がないこと、こういったことから、執行可能な予算額は平成十四年度に比べまして約百億円の減額となっております。
 このために、要望件数百六十八件、そしてその額が三十八億円がございましたが、新規と継続、合わせまして五十五件の約十一億円の採択を行ったところでございます。
#23
○朝日俊弘君 いや、だから、新聞報道はそのとおりでございますということですね。新聞報道に間違いはないですね。
#24
○政府参考人(上田茂君) はい、そのような状況でございまして、またその状況についてただいま御説明申し上げたところでございます。
#25
○朝日俊弘君 ちょっとひどいじゃないですか。
 一つは、私はこれ厚生労働省の担当部局だけを責めるわけにはいかないと思っている節があるんですけれども、というのは、全体の保健衛生施設等施設整備費補助金と、こういう大きな枠があるのであなた一人をいじめるつもりはないんですけれども、ただそのトータルの額が、ずっと見ますと、トータルの額、当初予算そのものはそんなには変わっていない、ただ正直言って当初予算そのものも下がっているんですね。全体の枠がそうなっていて、じゃ、今までどうやってきたかといったら、補正予算で何とかやりくりしてきたんですよ、実に。
 今年も補正予算期待の予算ですか、当初予算というのは。そんな予算作っていいんですか。しかも、総枠の中で精神障害者のための社会復帰関係に充てる予算は、実はこの間でいくと三十四億。三十四億。そして、今年が十億なんですよ。三分の一ですよ。だから、それは百五十も申請が来るけれども三十五しか認められないということになっちゃう。これで本当に社会復帰がちゃんと促進できるんですか。具体的にそういうことをやっていって、一人一人ちゃんと地域で生活できるようにしていく、それが社会復帰活動じゃないですか。どうするんですか、これ。
 最後に、大臣のこれからのお考えについてお尋ねをして、質問を終わります。
#26
○国務大臣(坂口力君) 私も、何度かここは聞いたわけでございますが、全体の予算の額としては、全体の厚生省の予算は三・八%の伸びで、そしてその中で精神保健福祉対策は一〇・一%の伸びになっていると、こういうわけであります。じゃ、その伸びた分どこへ行ったのと、こう言っているわけでございますが、確かにグループホームでありますとかそうしたところは倍以上になっておりまして、ここは増えていることは間違いないんですが、しかし、それにいたしましても、新聞に出ましたようなことが起こっている。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 これは今もう御指摘になりましたとおりで、これは悪い習慣でございますけれども、補正予算でいつもやっているんですね。それの連続になってきているわけで、これは少し改善をして、そして、これは当初予算で本来やるべきものはちゃんとやるというふうにしていかないと、いつまでかこういうことをやっていてはいけないと私も実は思った次第でございまして、ここは改正を行うように是非していきたいというふうに思いますし、今年の後半どうなるのかよく分かりませんけれども、何とかこのいわゆる精神保健の分野、これから大々的にやっていかなきゃならないわけでありますから、そのことに対して、やはりきちんと予算措置につきましてもスケジュールもちゃんと立てて、そして大きな枠組みを立てて、そして毎年毎年それをどういうふうな手順でどういうことを順番としてやっていくかということも明らかにしながら進めていかなければいけないというふうに思っております。
 省内に検討委員会も作っておりますから、その中で、この十年間なら十年間の大枠、そしてその中の優先順位、そしてどういうふうに人の、人材の問題どうしていくかといったようなことも含めて明確にしていきたいというふうに思っている次第でございます。
#27
○朝日俊弘君 質問は終わりますが、是非改めて要望しておきたいと思います。
 当然推察されることですが、それぞれのいろんなグループ、団体がある種そういう予定でいろいろの準備をしてきているわけであります。ところが、甘かったといえば甘かったのかもしれませんが、前年度あるいは前々年度のようにはいかずに、今年はほとんどがノーという返事をいただいて、はてどうしたものかと相当具体的な問題も含めて困っておられる皆さんが多い。それを受けて、今度は市町村、都道府県ではたと困っている人たちが出てきています。
 是非、具体的な問題も幾つか今後生じてくる可能性もあります、これまでの取組方を十分反省した上で、社会復帰の対策についてはこれだけの金を掛けてちゃんとやっていますと言えるような今後の対応をしていただくことを強く求めて、私の質問を終わります。
#28
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 最初に、委員会運営について一言申し上げたいと思うんですが、五月の二十七日の委員会で、私は、十二月十八日の保険局医療課の課内の内部文書開示資料、これは、ないと言っていたのが、あるという答弁がありまして、あるなら出してほしいというふうに言いましたところ、厚労省は駄目だというふうに言ったわけであります。このこと自体、ないものを出せというのであれば、それは出せないということはあったとしても、あるものを出せと言って、出さないということ自体、これはけしからぬことだと思うんですが、大臣は委員会の指示があれば出すというふうに言ったわけであります。
 そういう点でいえば、国会の国政調査権がやっぱり私は問われる問題だというふうに思っておりますので、是非、委員会として、これは資料を要求するということを理事会で協議、お願いしたいというふうに思います。その点いかがでしょうか。
#29
○委員長(金田勝年君) その点につきましては、現在、理事会等の場において協議中でございます。
#30
○小池晃君 これは、本当、国会の責任問われる問題だというふうに思いますので、あの場で本来は出してもらわなきゃいけない問題だとも思うんで、ここまで引き延ばすということは私は許されないと思いますので、直ちに結論出していただきたいというふうに思います。
 お聞きしたいことは、日本精神科病院協会のことですが、日本精神科病院協会の、最初に厚労省にお聞きしたいんですが、住所と電話番号と代表者名をお願いします。
#31
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 社団法人日本精神科病院協会の主たる事務所の所在地は、東京都港区芝浦三丁目十五番十四号でございます。代表者である会長の氏名は、仙波恒雄でございます。電話番号は、〇三―五二三二―三三一一であると承知しております。
#32
○小池晃君 総務省選挙部長、いらっしゃいますね。
 日本精神病院協会政治連盟の住所、電話番号、代表者名はどうなっていますか。
#33
○政府参考人(高部正男君) 御指摘の日本精神病院協会政治連盟につきまして、平成十三年の収支報告書を確認いたしましたところ、主たる事務所の所在地は港区芝浦三の十五の十四、代表者、仙波恒雄、電話番号、〇三―五二三二―三三一一と記載されているところでございました。
#34
○小池晃君 これは、公益法人と政治団体が住所も代表者名も電話番号も全く同じわけですね。これでいいんだろうかと。公益法人と政治団体が正にこれ一心同体。電話を掛ければ、多分、日精協ですと言うんでしょう。そこが政治連盟の事務所でもあるということなわけですよ。
 政府参考人にお伺いしたいんですが、これは、公益法人を監督されている担当者として、公益法人と政治連盟の活動、これ峻別すべきではありませんか。
#35
○政府参考人(上田茂君) 私どもは社団法人日本精神科病院協会に対しまして指導をさせていただいているところでございまして、政治連盟につきましては私どもが業務として立ち入るところではございませんので……
#36
○小池晃君 公益法人に対してどういう指導をされているのかと聞いているんです。
 だから、公益法人に対する指導監督の責任なんですから、そういうところが自分たちの持っている政治連盟を、同じ場所で、同じ電話番号で、同じ代表者でやっていると。答弁では、違うんだ、政治団体がやっているんだというふうに木村副大臣は一生懸命言っているわけですけれども、全く一心同体なわけですから、そういうことに対して厚生省として指導しなくていいんですかとお聞きしているんです。どうですか。
#37
○政府参考人(上田茂君) ですから、先ほど申し上げましたように、社団法人たる日本精神科病院協会に対して私ども指導いたしておりますけれども、政治連盟につきましては私どもが関与する立場でございませんので、その点御理解いただきたいと申し上げているところでございます。
#38
○小池晃君 それはかつての、過去の国会答弁に照らしても大問題なんですよ。
 私、KSDの問題の事件のときにこういう問題取り上げたわけですよ。そのときに、当時、例えば医政局長、こう言っているんです。医師会と医師連盟が同じような活動をしていると誤解を与える文書を出したりすることについては、県に対して指導監督徹底していきたいという答弁もしているんです。大臣も、医師会が自民党の活動の支援を行っているような誤解を与えることについては、政治連盟と区分を明確にすべきものだというふうに答弁しているんですよ。
 私は、過去の答弁に照らしてみても、こういう関係というのについては問題があるというふうに思うんです。そのことについて厚生労働省として、私は、これは適切な要請する、指導する、当然やらなきゃいけないんじゃないですか。いかがですか。
#39
○政府参考人(上田茂君) ただいま議員御指摘の点につきましても、私ども、そういった懸念がないように、あくまでも社団法人日本精神科病院協会は本来の社団法人としての業務を的確に行うべく指導をしてまいりたいというふうに考えております。
#40
○小池晃君 私はこういう在り方は大変問題があるというふうに思いますので、厚生省として、公益法人を指導している立場として徹底的にやっぱり調査すべきだということを申し上げておきたいというふうに思います。
 更にお伺いしたいんですが、七万二千人の社会的入院、早期社会復帰ということがずっと言われてまいりました。それをやるんだと言いながらああいう法案を強行採決したということについては、本当にひどい話だ、許し難い行為だったというふうに思うんですが、一方で、非常に大事なこの精神障害者の社会復帰の展望というのは全く見えてこないという現状があるわけです。
 この点で幾つかお伺いしたいんですが、先ほど議論がありました、今年度で補助金が二割しか内示されていないという問題であります。
 これは、都道府県、政令市が計画をして要望した精神障害者の社会復帰施設のうち、これは国の予算、二割しか認められていないという先ほどのちょっと数字をもう一回確認したいんですが、私、確認したいのは、自治体からの精神障害者の社会復帰施設についての今年度の要望額は幾らで、何件あって幾らだったのか、そして内示額は一体何件で幾らだったのかということについて、この数字をお答え願いたいと思います。
#41
○政府参考人(上田茂君) お答え申し上げます。
 社会復帰施設の関係でございますが、まず要望額が三十七億五千万でございまして、うち新規分が、失礼しました、三十三億でございます。失礼しました。済みません。
 全体のまず社会復帰施設の要望額が三十八億でございまして、このうち新規分が三十三億七千万でございます。そして、今回の内示につきましては、継続分を含めまして十一億の内示を行ったところでございます。
#42
○小池晃君 新規分の内示は十一億じゃないはずですよ。六億九千万ということでよろしいんですか。
#43
○政府参考人(上田茂君) 新規分の社会復帰施設の関係は六億九千万でございまして、三十五件でございます。
#44
○小池晃君 要するに、百四十八件、三十三億七千万円の要望に対して、三十五件、六億九千万円しか下りていないと。
 今後、当初予算でというお話は大臣からあったんですが、この今年の分についてどうするのかということについてなんですよ。これ、どうするんですか。この三十三億に対して七億しか補助金下りていない。まさか、これでおしまいです、もう我慢してくださいね、残念でしたというわけにいかないと思うんです。これ、どうするんですか。
#45
○政府参考人(上田茂君) 実は、先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、十三、十四年度については、繰越金ですとか補正予算の額を合わせて、そういった中での対応を行ったわけでございます。しかしながら、十五年度におきましては、執行可能な予算額が平成十四年度に比べて百億円の減となっております。十四年度は二百八十二億、今回が百八十四億ということで、こういうような状況で、そして先ほど申し上げたような新規、継続合わせて五十五件、十一億円の採択を行ったところでございまして、私どもとしましては、確かに今回、各都道府県の要望にこたえられないというような状況でございましたが、私どもとしましては、その限られた予算、あるいはそれぞれの中でこのように対応せざるを得なかったということで、そういう意味ではそういうふうに考えております。
 なかなかおこたえできなかったということで、今後は、先ほど大臣からもお話ございましたが、今後、こういった社会復帰施設等の整備というものを今回のこういった状況を十分踏まえながら考えていかなくちゃいけないということで、考えていかないとということで思っております。
#46
○小池晃君 そういう私、気の長い話しているんじゃなくて、取りあえず、これ大変なことになっているんですよ。百か所下りなかったわけですよ。それをどうするのかと。言い訳聞いているんじゃないんです。
 これは、ちょっと確認したいんですが、要するに全体の予算の問題であって、この百か所については、例えば不適格であるとか必要ないというふうに判断して下りなかったというわけじゃないんですね。それはもうイエスかノーかで結構です。これをお答え願いたい。
#47
○政府参考人(上田茂君) 全体の枠に限りがあって対応できなかったところでございます。
#48
○小池晃君 不適格だとか問題があるということで内示されなかったわけじゃないんです。全体の枠だということであれば、これ何らかの追加措置、緊急に必要じゃないですか。
 だって、これは自治体としては国に要望を出す際には予算化しているところも多いと思うんです。用地取得のめども立たせて、それで要望しているというケースもたくさんあると思うんです。そういうところにとってみれば、前の年、前の前の年が大体、十三年度で三十四億、十四年度で三十四億七千万出ているわけですから、これは取れるだろうと思ってやっているわけですから、だから本当にはしご外されたという声が上がっているのは私は当然だと思うんですよね。こういうことをやっておいて、一方でああいう法案を強行採決するというのは、本当に国民的理解も、精神障害者の皆さんだって断じて許されないと思うんですよ。
 私、これ、これから先どうするか。当初予算でちゃんと獲得していきますと、当たり前のことでありますけれども、それはそれとして、今年のこの百か所の分についてやはり何らかの手だてを打たないと、二十七自治体で一件も認められないというこういう事態になっているわけですからね。しかも、今年、新障害者プランの最初の年でしょう。こういう年にこういうことをやって、果たして、じゃ、これから先、社会復帰政策、厚生労働省として責任持って進めていきますと言ったって、最初の年にこんなことをやっていたらだれも信用できないということになるじゃないですか。私、そう思うんです。
 大臣、先ほどお答えありましたが、私、これはとにかく緊急の手段ででも特別にやはり手だてを打って、何とかこの認められなかった部分、百か所を超える施設について、私は手当てをするということを大臣の口からお約束いただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(坂口力君) いわく言い難い話でございまして、この計画をできるだけやっていきたいというふうには思っておりますけれども、財政上の話は、これは補正予算やりますとは今この段階で言うにもならず、それはなかなか難しい話でございますから、委員の御趣旨だけは十分に心の中に入れておきたいと思っております。
#50
○小池晃君 私は、これ放置するということは許されないと思うんですね。こういう形で進めるということは許されないというふうに思います。これは直ちに何らかの手を打つということを、内容をどうするかは是非御検討いただいて、求めてまいりたいというふうに思います。
 それから、幾つか細かいこともお伺いしたいんですが、社会的入院七万二千人の数について、これは実際もっと多いんじゃないかという指摘もあります。
 連合審査のとき、私、この問題、先ほどの日精協に委託したことを取り上げたんですけれども、そのときの答弁で、委託金額ちょっと間違っていたと思うんですね。改めてちょっと確認したいと思うんですが、委託金額幾らだったのか、この集計結果はいつ明らかになるんですか、調査結果は。
#51
○政府参考人(上田茂君) 前回、大変失礼いたしました。もう一度お答え申し上げたいと思います。
 精神障害者サービスニーズ調査の委託金額は、平成十四年度当初予算額で八千六百九十二万八千円でございます。
 今後の公表についてのお尋ねでございますが、調査につきましては、現在入力しましたデータのチェックを行っておりまして、今後は外部の専門家を含む評価委員会、仮称でございますが、こういった評価委員会を厚生労働省で開催いたしまして、そしてこの委員会の中でこれらのデータの分析、そして報告書の取りまとめを行いたいというふうに考えておりまして、こういったことを検討を行った結果、速やかに結果を公表することとしております。
#52
○小池晃君 これ昨年度予算による調査ですけれども、いまだに結果出ていないわけで、これはできるだけ早くやはり明らかにすべきだというふうに思います。
 それから、社会復帰施設の整備の問題、全体の問題、ちょっとプランとの関係でお伺いしたいんです。
 これ法律に明記されてから十五年が経過をいたしました。さきの障害者プランでは、これは基盤整備を政策目標に整備が行われましたが、新プランで改めて今後十年で七万二千人の社会復帰の実現というふうにされております。
 これまでの基盤整備の遅れは明らかだと思うんですが、お聞きしたいのは、そもそも全国の市町村の中で精神障害者の社会復帰施設が一つでもいいから設置をされているという市町村の数は幾つで、全体の何%になるんでしょうか。
#53
○政府参考人(上田茂君) 生活訓練施設、授産施設あるいは地域生活支援センター等、こういった精神障害者社会復帰施設につきましては、平成十四年四月におきまして三百六十の市町村に設置されておりまして、これは全市町村の約一一・二%に相当いたします。
#54
○小池晃君 わずか一一%なんですね。ということは、要するに九割近い自治体は一つも施設がないということになるわけです。
 資料をお配りいただいていると思うんですけれども、これは今回初めて各都道府県ごとに厚生労働省が調べたということで出していただきました。これを見ますと、生活訓練施設二百三十一、ショートステイ百二十七、福祉ホームはA型で百十八、B型で二十三、通所授産施設百九十一、入所授産施設二十五、福祉工場十二、地域生活支援センター二百四十八、どれを取ってみても設置市町村は一割以下ということになるわけであります。
 これ、私、実は三年前にもこの同じ問題、この場で答弁求めまして、そのときは、九九年十月現在で二百八十五市町村、八・八%というお答えだったんですね。ということは、昨年で一一%ですから、一年間に一%も伸びていないということなんですよ、一つでもある市町村の数というのは。ということは、全国の市町村に一つでも精神障害者の社会復帰施設ができるという状況が今のペースで行くと九十年掛かるということになるんですね。私は、こういうペースでいいのか、こういう実態でいいのかと。
 大臣、これごらんいただいて、わずか一割の、すべてがそろうんじゃないんですよ、この中の一つでもいいから市町村にあるという市町村が一割しかない、三年前から比べて毎年一%も伸びていない、こういう状況に対して、今度初めてこれ調べていただいたんですけれども、やはり市町村ごとの設置状況も毎年明らかにして計画的に進めていくということをやるべきではないか、やはりしっかり目標を持ってすべての自治体に少なくとも一つは作るということをこれは取り組むべきではないかというふうに思うんですが、いかがですか。
#55
○政府参考人(上田茂君) 先ほどお答えしました市町村別の精神障害者社会復帰施設の設置状況につきましては、運営費の国庫補助要望の際に得られた情報を基に集計を行ったものでございまして、今後ともこういった集計は進めてまいりたいというふうに考えております。
 また、ただいま議員の方から市町村における設置のお話がございましたが、このような精神障害者社会復帰施設につきましては、基本的には複数の市町村を含む障害保健福祉圏域を単位としまして、関係市町村が連携しながら整備を進めていく必要があるというふうに考えております。このため、社会復帰施設の整備につきましては、例えば生活訓練施設や通所授産施設を障害保健福祉圏域に少なくとも、こういった圏域に少なくとも一施設設置することを当面の目標に掲げるなど、各種施設の整備を促進しているところでございます。
 したがいまして、厚生労働省におきましては、障害保健福祉圏域を単位とした施設の設置状況を把握することとしておりまして、これを今後の予算要求の際にも参考としているところでございます。
#56
○小池晃君 今のような言い方では、これは私は伸びないと思いますね。今までと同じペースでしか伸びませんよ。地域生活支援センターとか生活訓練施設とか、やはり少なくとも、私は全部が、すべての市町村に全部そろえろと言っているんじゃないんですよ。せめて一つぐらいあるようなことをやはり実現するというのは最低限のこれ目標じゃないですか。やはりそのくらいやるべきだと。今のペースで行くんであれば、私は本当に障害者の社会復帰政策が充実したとはとても言えないというふうに思うんです。
 それから、社会復帰施設の整備計画はどうかということなんですが、新しい障害者プランでは、受皿であるグループホーム、福祉ホーム、援護寮、これは中間報告で挙げているわけですけれども、これは新しい障害者プランではそれぞれ五年間でどれだけ増やすということになるんでしょうか。
#57
○政府参考人(上田茂君) 新しい障害者プランにおきましては、平成十九年度までにグループホームは一万二千人分、福祉ホームは四千人分、それから援護寮、これは生活訓練施設でございますが、この生活訓練施設は六千七百人分を整備することとしております。
#58
○小池晃君 五年間で増やす数。
#59
○政府参考人(上田茂君) 申し上げます。失礼いたしました。
 グループホームは、新プランの期間での整備量としまして六千七百人分でございます。福祉ホームにつきましては千百五十人分でございます。それから、援護寮であります生活訓練施設につきましては千三百人分でございます。
#60
○小池晃君 前のプランの七年間でグループホーム四千十五人、福祉ホーム二千六十人、援護寮三千七百八十人ですから、福祉ホームや援護寮は、これは前のプランの数字すら下回るわけです。それから、通所授産も、前のプランは三千七百八十人に対して、新プランでは二千百人なんですね。
 大臣、この新しいプランの目標の数、これは七年間掛かった前のプランに比べても、私は非常に貧弱ではないか、もっと引き上げるということが私は必要なんではないかというふうに思うんですが、精神保健福祉対策本部の中間報告を見ても、これは必要に応じて見直しも検討すると言っているんですね。これは私、状況に応じてこれは目標の引上げを図るべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
#61
○国務大臣(坂口力君) これは見直しも含めてやりたいというふうに思っております。
 先ほども御答弁申し上げたところでございますが、今後十年なら十年のスケジュール全体で決めまして、そしてその優先順位、そして年間どれだけ、どれぐらいやっていかなきゃならないかといったようなことを少し全体像を明確にして、そしてやっていかないといけないというふうに思っております。もちろん、予算的なものも、財政上の問題もございますけれども、それに合わせて今度は人の配置の問題もございますから、建物だけは与えたけれども人材がないというようなことではいけませんから、そうしたことも含めてこれからどうやっていくかということをもう少し計画立ててやっていきたいというふうに思っております。
#62
○小池晃君 それから、小規模共同作業所の問題をお聞きしたいんです。
 これは、法定された社会復帰施設の数は現在八百五十七か所であります。定員は一万二千人。一方、小規模作業所は千七百二十五か所、法定施設の二倍になっている。国の施策の後れた分を補っていると思うんです。ところが、この補助金が、これは非常に少ないわけです。一か所百十万円。これ大変問題になってまいりました。今年度予算では昨年より一割カットされたんですね、しかもね。
 これは、予算削減撤回してやはり補助金引上げを行うべきだということを主張してまいりましたが、もう一つ、小規模作業所の位置付けの問題なんです。ここをどうやって公的に支援していくかというところなんです。これは昨年十二月の社会保障審議会の精神障害分会の報告書を見ても、小規模作業所については、運営安定を図るため、小規模通所授産施設への移行を促進するというふうになっているんですね。これはこの間進めてこられた。
 ところが、この小規模通所授産施設への移行について、新しい障害者プランにも数値目標ないんですね。私は、これは目標を明らかにして計画的にこれ整備を進めていくということを掲げるべきではないかというふうに思っているんですが、部長、いかがでしょうか。
#63
○政府参考人(上田茂君) 厚生労働省としましては、自主的かつ地域に根差した取組として創意工夫を凝らした活動を展開してきました小規模作業所の運営の安定化を図る観点から、ただいま議員からもお話がございましたが、小規模通所授産施設への移行を推進してきているところでございます。このため、平成十五年度予算案におきましては、精神障害者小規模通所授産施設の運営費補助金については、小規模作業所からの移行希望等に対応できるよう、二百十三か所分の増額を図ったところでございます。
 こうした予算については、小規模作業所からの移行希望等を踏まえ、年度ごとに所要額を計上することが基本となり、新障害者プランのように一定の整備目標値を定め計画的に箇所数を伸ばす手法は言わば実態に合わないということから、新障害者プランには盛り込まないこととしたところでございます。
 しかしながら、このプランに整備目標を盛り込まないとしましても、私どもこの事業の重要性に変わりはないというふうに考えております。今後とも、先ほど申し上げましたが、小規模作業所からの移行希望等も十分踏まえながら、その必要な予算額の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。
#64
○小池晃君 いや、ちょっと無責任ですよね。法律でやはり法定施設として位置付けたんですから、私は、何か勝手にやってくださいというんじゃなくて、きちっと計画的整備を図る、障害者プランにもちゃんと位置付けるというのは当然のことだと思うんです。
 もうどんどんどんどん移行させていくようなことをおっしゃるんですが、実際にはじゃどうなんですか。移行を希望しても十分な予算、確保されていないんじゃないですか。
 精神障害者の小規模通所授産施設施設整備補助金の今年度の新規の要望件数と、それから内示の件数、お示しいただきたい。
#65
○政府参考人(上田茂君) 平成十五年度の精神障害者小規模通所授産施設に係る施設整備の要望は二十一件、約二億四千八百万円でありまして、このうち四件、四千七百万円に対し内示を行ったところでございます。
 なお、平成十五年度の当該授産施設の運営費につきましては……
#66
○小池晃君 そんなこと聞いていないからいいです。
#67
○政府参考人(上田茂君) はい。
#68
○小池晃君 移行するために施設を整備するための補助金、二十一件要望があるのに四件しか出ていないわけですよ。私は、こういう姿勢で本当に移行を促進する、応援するんだという姿勢が見えない。しかも、計画的整備の目標もない。これでは駄目だということを申し上げたいと思います。
 それから、一点ちょっと大臣にお伺いしたいことがあるんです。実はちょっと被爆者の問題なんですが、このことを一点お伺いしたい。
 高齢化している中で、健康管理手当の更新手続の問題、大臣が衆議院の委員会でこれは検討するというふうにおっしゃっているんですね、更新手続を廃止してほしいということについて。かなり検討を進めております、そして検討する会を作って早く結論を出したいというふうにお答えになっているんです、四月に。
 ところが、これが依然として進まないということが要望として出されてきております。是非これ一刻も早く結論を出して、やはり更新手続廃止するという方向に踏み出すべきではないかと思うんですが、このことについて大臣にお伺いしたいと思います。
#69
○国務大臣(坂口力君) 今検討を進めております。早く結論を出したいと思っております。
#70
○小池晃君 そういう漠然とした言いぶりではなくて、例えば今年、原爆平和記念式典が行われる八月、今年の夏ぐらいまでにはやはり結論を出すという方向を是非進めていただきたいと思うんですが、これをお伺いして終わりにしたいと思うんですが、いかがでしょう。
#71
○国務大臣(坂口力君) 今申しましたとおり、できるだけ早く出したいと思っております。
#72
○森ゆうこ君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の森ゆうこでございます。
 まず、本日の委員会でございますが、先ほど来お話がありましたように、午前中のこの委員会は、先般法務委員会で強行採決されました触法精神障害者に対する処遇の問題についての法案、この強行採決ということは私ども連合審査をしていた厚生労働委員会にも何の断りもなかったわけでして、その言わば後始末ということで、そもそも日本精神科病院協会の会長の仙波会長がここに御出席されるということを前提に開かれることになっていたわけでございます。しかしながら、先ほど来お話がありましたように、会長からは出張のため本日の委員会への出席を断るとのファクスが届いただけでございます。
 それで、やはり様々な疑問というものが提示されているわけでして、ただすべきところはたださなければいけないと、そのために委員会というのはあるのではないかと思います。そういう意味で、この場において仙波会長には是非お話を伺いたかった、そう思いますが。
 大臣に伺いたいんですけれども、先ほどお話ありました日本精神科病院協会というのは厚生労働省の主管します公益法人でございます。主務官庁の大臣である坂口厚生労働大臣からも仙波会長に対して、国会に出席して事実関係を釈明するように働き掛けるべきと思いますが、いかがでしょうか。
#73
○国務大臣(坂口力君) 国会のことでございますから国会でお決めをいただいて、それに従うというのが私の立場でございます。しかし、今終わりにございましたように、厚生労働省の所管の中の一つの機関であることだけは間違いがございません。国会の御意向につきましては日精協にも伝えてまいりたいと思います。
#74
○森ゆうこ君 伝えてまいりますではなくて、大臣からやはり国会に出席させるという約束をここでいただきたいんですが。
#75
○国務大臣(坂口力君) それは、そういう約束をする私は立場にございません。
#76
○森ゆうこ君 主務大臣のその指導監督権というのは、それでは、このように国会の中で様々な疑問があるということの中で、きちんと出席して説明しなさいと、そういうことをするということはないということでしょうか。
#77
○国務大臣(坂口力君) 国会の中でどういう参考人が出席をしてどのような運営がなされるかということは、これは国会の問題でございまして、いわゆる一大臣が国会の在り方をどうこうと言うわけにはこれはまいりません。
#78
○森ゆうこ君 いえ、だから厚生労働委員会で、これが、仙波会長が出席して、ここで質疑を受けるということが前提だったわけです。それはここでもう決めたんですよ。ですけれども、先方が、法務委員会でもファクス一枚でございましたけれども、出席できないというお返事だったわけです。
 都合を合わせて出席するように、きちんと大臣の方から言っていただけるということでよろしいでしょうか。
#79
○国務大臣(坂口力君) ですから、先ほど申しましたように、この委員会としてそういう御要請が私の方にあれば、それは私もその旨お伝えをしたいということを申し上げたわけです。
#80
○森ゆうこ君 今ほど大臣の方から、委員会として坂口厚生労働大臣に要請があればということがございましたので、この件につきまして理事会で協議をしていただけるようお願い申し上げます。
#81
○委員長(金田勝年君) ただいまの件については、後刻理事会等で改めて協議したいと思います。
#82
○森ゆうこ君 次の質問に移らせていただきます。
 今ほどお話がありました、精神障害者の社会復帰施設の補助金が大変不足しているというお話がありましたけれども、こうした状況下で今後十年以内に社会的入院を解消することは可能なのかどうか、大臣にもう一度お尋ねいたします。
#83
○国務大臣(坂口力君) 七万二千という数字が正しいかどうかということにもございますけれども、一応一つの目安としてそのぐらいの皆さん方がおみえになるということを今私たち思っているわけでございます。これをいつまでにこの社会的入院と言われている人たちを解消をするかというのは、これもまたなかなか難しい話でございますが、一応私は十年というめどを立てているわけでありまして、十年ぐらいの間にどうしてもこの皆さん方を地域が受け入れる体制を作らなければならないというふうに思っております。
 これは、ただその予算をどうこうというだけではありませんで、地域全体がその皆さん方を受け入れられるような体制をどう作り上げていくかということが大事だろうというふうに思っております。もちろん、予算も関係するわけでありますから、そのことも大事ではございますけれども、地域全体でその皆さん方を受け入れられる体制をどう作るか、そのことを私たちは考えていかなければいけないというふうに思っております。
#84
○森ゆうこ君 私も同感でございます。
 そういう意味で、地域で、精神的にも地域の皆さんが、国民全体が受け入れていくと、そういう気持ちも作っていかなければならないと。そういう意味で、今回、社会復帰施設の予算が二割しか認められなかったということについて、このような報道がされていることについては大変残念でございます。
 厚生労働省の十年で社会的入院を解消するんだと、そのために国民も協力してほしい、厚生労働省もできる限りのことをやるという強烈な私はメッセージを是非坂口大臣から出していただきたいと思うんですけれども、大臣の御決意を伺いたいと思います。
#85
○国務大臣(坂口力君) これは御指摘のとおりだと私も思っておりまして、先ほどから何度か申し上げておりますが、十年間のスケジュール、どういうスケジュールで、どういう優先順位で、どのようにしてこれを進めていくかという、そのアウトライン、そうしたものも作り上げなければならないと思いますし、それに見合ったやはり予算要求などもしていかなければいけないというふうに思っている次第でございます。
#86
○森ゆうこ君 そのようにお願いしたいと思いますし、また記者会見等でも、是非この問題についての坂口厚生労働大臣の御決意を、厚生労働省としての決意をいま一度示していただきたいと要望させていただきます。
 次の部長への質問は省略させていただきます。済みません。
 それで、法務副大臣にお越しいただいておりますので次の質問に移らせていただきたいと思いますが、先般以来の法務委員会での質疑にも度々出てまいったと思うんですが、刑務所における受刑者の処遇ということについて、一般社会と隔絶した施設の中で行われるため数々の問題が潜んでおり、さきに発覚した名古屋刑務所における受刑者に対する暴行事件は氷山の一角ではないかとも言われているわけでございます。同様に、医療刑務所における精神医療についても、その劣悪さを指摘する声が多々聞こえてくるのも事実でありますが、こうした声に対しては真摯に耳を傾けていく必要があると考えます。
 そこで、医療刑務所における精神医療は、貧困と言われている我が国の一般的な精神医療とどの程度の格差があるのか、医師や看護師一人当たりの患者数、一病床当たりのスペース、隔離や身体的拘束をした者に対する診察頻度などについて、そして、ちょっと時間もございませんので一緒に伺いますが、その格差を是正していく意思というのはおありなのかどうか、見解を伺います。
#87
○副大臣(増田敏男君) お答えを申し上げます。
 まず、精神科治療を優先すべき受刑者につきましては、医療刑務所や医療重点施設に収容をいたしまして、精神療法、作業療法、薬物療法等の治療を行い、病状の改善が認められました場合には一般の刑務所に移すことにいたしております。
 委員お尋ねの医療刑務所は、全国に四施設あり、最も規模の大きい八王子医療刑務所では、本年四月一日現在、常勤医師十六名、看護師六十名、患者数二百三人になっており、このうち精神疾患者については、四名の精神科医が七十九名の精神疾患者の治療に当たっております。このように、医療刑務所には精神科医や医療スタッフを重点に配置しているところであり、一病床当たりの床面積を含めまして、医療法上の基準を満たした医療体制の下で、精神疾患者に対する適切な医療の実施に努めていると承知をいたしております。
 続きまして、お尋ねの関係なんですが、医療刑務所における精神医療をどのように是正するつもりかと、このようなお尋ねがございました。
 お答えをいたします。
 刑務所における精神医療は、刑の執行機関という枠組みの中で、精神障害を有する受刑者の医療を行い、心身ともに健全な状態での社会復帰を図ることを目的といたしまして実施されるものであります。委員御指摘のとおり、当省といたしましても、その充実に努めることが重要であると考えております。
 先般発足をいたしました矯正医療問題対策プロジェクトチームによる問題点の検討や行刑改革会議の御議論等を踏まえまして、種々の御意見を考慮して医療刑務所を含めた刑務所における精神医療の向上に鋭意努めていきたい、このように考えております。関係する諸機関の更なる御協力を得るなどしてその体制を強化してまいりたい、このように考えております。
#88
○森ゆうこ君 それで、せっかく副大臣においでいただいたので、一言、もう一言伺いたいんですけれども、先般、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律、これが私ども厚生労働委員会と合同審査を行っていたわけですね。それについて、様々なまだまだ疑問が残るという段階で強行採決されてしまったということに対して、私ども厚生労働委員会、すべてではないのかもしれませんが、野党は大変遺憾に思っているわけでございますが、この点に関して、今回のこの法案の成立に関しまして副大臣から一言伺って、私の質問を終わります。
#89
○副大臣(増田敏男君) 委員会の運営に対しましては、今、私の立場で口を挟むことでは当然ございません。
 しかし、御議論をされたその過程の中で、長い時間をいただいていろいろと御議論をいただきました。そのことは真摯に受け止めまして、法務省といたしましても全力を尽くして対応してまいりたい、このように思います。
 なおまた、委員から大変な御心配をいただいておりますので、私どもの担当の関係はそれぞれ、今日の趣旨を伝えまして、全力を尽くして取り組んでまいりたい、このように思います。
#90
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
#91
○大脇雅子君 精神保健福祉に関する一般審査に臨みまして、精神障害者の社会復帰の施策促進についてお尋ねをいたします。
 障害者基本計画の策定を受けて、地域における社会復帰を円満に実現するというために、推定七万二千人の十年を掛けての社会復帰計画というお答えがございました。しかし、触法精神障害者も含めて精神障害者に対しては地域の受入れということが非常に大切なわけですけれども、偏見の除去とか社会意識の啓発というものが基本的に必要だと考えますが、この点に関しては今後どのような施策を展開されるのか、確認をしておきたいと思います。
#92
○国務大臣(坂口力君) 今御指摘をいただきました精神障害者に対します偏見でありますとか差別の除去ということが、十年間掛けて、そして社会復帰をしていただこうといいますときに、他のどのことよりも一番大事なことだというふうに思いますし、一番これはエネルギーを必要とすることだというふうに思っております。
 私も先日来いろいろ考えているわけでございますが、やはり非常な偏見がございまして、例えば、ちょっとした施設を造る、いわゆる作業場を造ると言っただけでもその周辺から大変な反対運動が起こりましたりとか、そういうことがございまして、本当に一生懸命におやりをいただいております皆さん方は大変つらい思いをしておみえになるわけでございます。
 これはちょっと、私は、この皆さん方を取り巻く、いわゆるどういう形で地域に戻られた皆さん方に手を差し伸べるかという、手を差し伸べるその人たちの輪をどう作るかということに私は懸かってくるんではないかというふうに思っています。いろいろの職種の皆さん方がやはり手を携えて、そしてその方を守る、あるいは御相談に乗るといったようなことがあって、そして、みんながそういうふうにしているんだからやはり自分たちもそういうふうにすべきなんだということをみんなに思っていただけるようにどうするかということに私は尽きてくるのではないかというふうに思っております。
 これは、他の病気のときにも、ハンセン病などのときにも同じでございまして、どういうふうにしてそういう差別、偏見をなくしていくかということが最大の課題でございますけれども、特別な何かいい方法というのは私は存在しないというふうに思っています。そういう多くの人が手を差し伸べる、みんながそういうふうにしているということを広げていくということが大事だというふうに思っておりまして、そういう組織体と申しますか、そういう地域の在り方をどのようにこれから形成をしていくかということに知恵を絞らなければならないというふうに思っている次第でございます。
#93
○大脇雅子君 適正な入院治療とか通院治療というものがうまく組み合わされて社会復帰というものがなされていくと思います。入院による治療が必要な場合とか通院による治療が必要な場合、あるいは地域において生活を続ける精神障害者にとって適切な対応のシステムということがあって初めてそれは果たされるのではないかと思います。そのための必要な人材育成及び人員の配置、それから施設の充実、また先ほど大臣の言われた相談体制というものが重要だと思いますが、それに向けた施策はどのようにされるのでしょうか。
#94
○政府参考人(上田茂君) ただいま議員御指摘ございましたように、やはり地域の中で、医療機関、入院医療機関あるいは診療所等の通院医療機関あるいは各種の社会復帰施設等々の言わばネットワークと申しましょうか、そういった体制作りが非常に大事だというふうに考えております。
 そのため、精神保健福祉センターあるいは保健所、また地域生活支援センター、こういう機関において、医師とか保健師あるいは精神保健福祉士等の専門家による精神保健に関する相談、指導及び助言を行う、こういうような体制、また市町村あるいは各種の社会福祉施設において各種の福祉サービスが提供されていく、そして、今申し上げましたように、このような社会資源を、施設を精神障害者が必要に応じて適切に利用し、そしてスムーズに社会復帰を図るということが非常に大事だというふうに考えておりまして、したがいまして、新障害者プランに基づき各種の地域における社会資源の整備充実、確保に今後とも関係機関との連携を十分図りながら進めてまいりたいというふうに考えております。
#95
○大脇雅子君 とりわけ、地域における相談支援体制というものは、これがなくしては精神障害者の地域における生活というのは非常に困難だろうと思います。
 とりわけ、医療機関もこうした精神医療に関する、例えば緊急体制というものはほとんどないところが多いというふうに思いますが、その点の連携についてはどのようにお考えでしょうか。
#96
○政府参考人(上田茂君) 精神障害者を地域で支えていくためには、日常の生活支援ということで、ただいま委員御指摘ございましたように、医療相談ですとか各種の相談機能、あるいは地域を支える支援体制が重要でありますし、またもう一方、ただいま御指摘ございましたように、こういった方が病状の悪化と申しましょうか、症状が悪くなる場合もございます。そういう意味で、そういった際に適切に対応するために、これまで平成七年度から精神科救急医療システムを整備してきております。
 と同時に、こういった緊急的な措置と同時に、あわせて土日ですとか夜間、こういった精神障害者が気軽に救急の医療相談を受ける体制ですとか、あるいはそういった医療を受けれるような言わば輪番によるそういった受入れ体制、そういった救急医療体制の整備を今後とも、まだまだ全都道府県、まだ実施されていない状況もございますので、これを各都道府県で今申し上げましたような救急医療体制、各種の救急医療体制が整備できるように今後とも我々としても取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#97
○大脇雅子君 先ほど他の議員も随時御質問をされたわけですけれども、その内示の額、そうした精神障害者の施設に対する内示の額が二割にも満たないということで、これで重点施策実施五か年計画ができるんだろうかという疑問をたくさん呈せられたわけであります。
 どうも納得がいかないのは、今年度これほど大きな削減があったのはなぜでしょうか。そして、今回の事態が今年度に限ったものとしてとらえてよいのか、それとも五か年計画はこの形でしか進められないということなのでしょうか。そうした点についてお尋ねをいたしたいと思います。
#98
○政府参考人(上田茂君) 平成十三年、十四年度におきましては、繰越予算ですとか補正予算、こういった予算を併せてそれぞれの要望に対応してまいりました。しかしながら、今年度、十五年度におきましては、先ほども申し上げましたけれども、前年度からの繰越予算がないこと、こういったいろんな状況から、実際に執行可能な予算額が平成十四年度に比べまして百億円の減額となっておりまして、今回、各都道府県からの、自治体からの要望について十分おこたえできなかったわけでございます。
 この点については、先ほども大臣の方からもお話ございましたが、やはり七万二千の社会復帰を図るために、また新障害者プランの着実な整備を図るために、今後こういうことがないように着実に整備するような方向について私どもこれから取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#99
○大脇雅子君 精神障害者の雇用と就業体制の充実に向けた施策について、最後にお尋ねいたします。
 デフレ不況の下では、完全失業者も記録的な数字でありまして、企業の障害者雇用も非常に厳しい状況にあります。精神障害者の雇用・就業体制の充実というためには今後どのように取り組んでいかれるのか、大臣にお尋ねいたしたいと思います。
#100
○国務大臣(坂口力君) 精神障害者の場合には、いわゆる障害者雇用の中の一つに入っていないわけでございますが、現在、この精神障害者の問題につきましていろいろと御議論をいただいているところでございますが、これは入れていきたいというふうに思っておりまして、障害者の中の一つとして精神障害者の皆さん方もお入りをいただき、そして各企業にも雇用をしていただける体制を確立をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
 精神障害者を入れましたときに、全体としての割合をどうするかとか、そうした具体的なことをこれから決めていってもらわなければならないというふうに思いますが、そうしたことも含めて、できるだけ早く結論を出してもらいたいというふうに思っているところでございます。また、そうした一般の企業だけではなくて、障害者の皆さん方だけが働ける場所といったようなことも検討をしていかなければならないというふうに思っておりますし、そうしたことも併せてこれからやっていきたいというふうに思っているところでございます。
#101
○大脇雅子君 終わります。
#102
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
 私の方からは、診療報酬の体系の在り方についてお伺いをしたいと思います。
 この三月に示された医療制度改革の基本方針の中でございますけれども、診療報酬の評価に係る基準・尺度の明確化を図り、国民に分かりやすい体系とすると、このようにございましたのですが、国民に分かりやすい体系、どういったことをお考えであるのか、まず坂口大臣に冒頭お伺いいたします。
#103
○国務大臣(坂口力君) 現在の診療報酬体系というのは非常に複雑になっておりまして、よく言われますように、電話帳みたいな厚いものになっておりまして、全く分かりにくくなっている。専門的な問題でございますから、国民の皆さん方が分かりにくいというのはそれは一つはそれなりの意味もあるというふうに、理由もあるというふうに思いますけれども、どういう基準でもって決められているかということが分からないということではないかというふうに思っております。
 したがって、国民の皆さん方から見ていただいて、こういう基準でこの診療報酬の保険点数というのは決まっているということが明らかになるようにしないといけないというふうに思っている次第でございまして、そういう意味で、いわゆるコストといったもの、それから難易度、病気の重い軽いと申しますか、それからどれぐらいの時間を要するか、時間、それから技術力といったようなものを中心にして、それらの組合せによって点数が決められるというようなことを明らかにしてこれから進めていっていただきたいと思っているところでございます。
#104
○西川きよし君 ありがとうございました。
 この診療報酬について、今月から一部見直しが行われておるわけですけれども、その内容を政府参考人にお伺いします。
#105
○政府参考人(真野章君) この六月から診療報酬の再診料につきまして改定を行いました。
 内容でございますが、昨年の四月の診療報酬改定におきまして、再診料の実は改定を行いました。月一回目の点数を増やしまして月四回目以降につきましては点数を半減するという月内逓減制というのを昨年の四月に導入をいたしました。しかしながら、実施後の状況で医療現場からの御意見といたしまして、同一の医療内容を行いましても受診日が何回目かということによりまして患者負担が変動すると、特に月をまたいだ再診の場合には患者負担が前回に比べて増加するというようなことから、負担の増減に対しまして患者さんから非常に多くの疑問が出されて、これに対して医療機関として説明がなかなか難しいという状況にあると。
 それから、昨年の四月に逓減制を導入をいたしました目的は、言わば頻回受診を改善したいということがその大きな目的であったわけですが、余り改善が図られていないというような状況から見直しを行おうということでございまして、昨年の改正前に戻しましてといいますか、前と同様、受診回数にかかわらず点数は一定ということで見直しを行うということにしたものでございます。
#106
○西川きよし君 ちょっとスピードアップさせていただきますが、今日は大変時間が皆さん短いものですから。
 しかし、今回のように診療報酬が臨時に改定されるのは本当に異例なことだと言われておるわけですけれども、大臣から告示されまして、これが五月二十九日でございました。その三日後から適用されました。やはり日々、生活者といいますか、通院をされている患者さんは本当に寝耳に水といいますか、びっくりしておられます。いきなり月が替わって窓口負担が変わるということでございますので、仮に下がった方はいいんですけれども、上がった方はもうびっくりしているわけですね。
 大阪なんかでは、何でやきよしさんということになるわけですけれども、事務所にもたくさんのお電話をたくさんいただきました。そして、それなりに理由があるにしても、それはやっぱり患者さんや国民に対してよく分かるように、どうしてもこことこういう問題と、そして日々生活者というような方々とは本当に懸け離れるというふうにいつも実感するわけですけれども、十分な説明がないままに、何とも言えぬなこれはというふうなやっぱり御意見が多いです。半ば傲慢にも映るというふうな、電話でおっしゃった方はそういうことを西川さんなんかがそこで言ってくれというふうに言われたんですけれども。
 そもそも今回の改定については、先月の二十一日の中医協の小委員会に厚生労働省が見直し案を提出されたそうですけれども、それまでの経緯についてお聞かせをいただきたいと思います。政府参考人、よろしく。
#107
○政府参考人(真野章君) 私ども、中医協におきまして議論をいただいておりますが、中医協はずっと公開で行ってまいりまして、御議論は我々としてはその都度報道がされていると思いますが、なかなかそこは患者さんがおっしゃるとおりの部分があろうかと思います。
 ただ、急に決めたわけではございませんで、昨年の十一月の総会におきまして、診療側の委員から今申し上げましたようなことで改善を求める要望が出されました。支払側からの委員からは、診療報酬についてはいろいろ問題があるので、全体として議論をしていくべきだというような議論がございました。その後、今年になりまして、二月の総会におきましても同様の議論がなされまして、中医協の中に診療報酬基本問題小委員会というところがございますが、そこで議論が引き続きされるということになりました。
 三月におきましてもいろいろ議論が行われまして、診療担当者側の委員から、言わば新たな財源を求めない形、財政中立での見直しをしてほしいと、とにかく緊急を要するんだという御意見がございました。それにつきまして、小委員長から、再診料の逓減制、その他の早期の見直しが必要であるとの意見がある課題については引き続き検討する、小委員長としては速やかに結論を得るよう努めたいという取りまとめがなされまして、総会に報告がされました。
 そして、これを受けまして、四月以降、同じく基本問題小委員会におきまして集中的に審議が行われ、医療の現場の混乱を速やかに解消すべきであるという意見に対しまして、支払側の委員から患者にとって問題があるということは理解できるという意見がありまして基本的な考え方が一致をしたということでございまして、先生御指摘のとおり、五月二十一日に事務局の方から具体案をお示しをいたしまして、同日の総会に諮問し、同日答申をいただいたということでございます。
#108
○西川きよし君 御答弁ありがとうございました。
 それにいたしましても、我々も勉強させていただいて、いろいろこういう質問のすり合わせだとか勉強もさせていただくわけですけれども、現場の皆さん方も、まあ今回のこの速さといいますか、まさかその日に合意をするというのは本当に厚生労働省の皆さん方もびっくりしておられるというようなことでございますので、我々がびっくりするのはもう当然ですけれども。
 是非お伺いしておかなければいけないということで、その中医協の答申書にある意見では、今回の見直しにおいては改定の緊急性に関する十分な資料は得られなかったということで、この辺りの中医協での議論の内容を政府参考人にお伺いしておきます。
#109
○政府参考人(真野章君) この辺の議論につきましては、診療担当者側の委員の方から、先ほど申し上げたように、受診の何日目かによりまして自己負担の額が変更すると、これにつきましては医療機関側、また患者さん側がなかなか納得ができないし、医療機関側もいろいろ説明するけれどもなかなか難しい問題があると、そういう御指摘がありまして、この点については速やかに改善をしてほしいという要望がございました。
 支払側の委員からは、速やかに見直しを行う必要性について、それじゃきちんと資料を出して説明してほしいという意見がございまして、これに対しまして診療側の委員から、診療の現場におきまして患者さんから診療内容は毎回同一なのに窓口で払う料金が毎回違うというのは納得がいかないというような具体例を挙げまして御説明があったわけでございます。
 それに対しまして、そういう資料に対しまして支払側の委員から、これだけで緊急性を説明するというには十分とは言えないということではありますけれども、患者にとって非常に大きな問題があるということは理解できるということから、今、先生が御指摘のような附帯意見が付されて今回の見直しが行われたということでございます。
#110
○西川きよし君 この二十一日の中医協、この総会後に記者会見がございましたのですが、その報道を拝見いたしますと、借りを作ったとか作っていないとかというふうに言われておるわけですけれども、高い恩を売ったとか、また買ったとか、その真意は我々よく分からないんですけれども、事務所にたくさんのお電話を全国からいただいたわけですけれども、やはり我々が本当にこういった大切な委員会で注意しなければいけないのは、全国の方々、お年寄りの方々、本当に年金だけで生活しておられる方々、病気で働けない方々、そういった方々がお電話で僕におっしゃるのは、十円、三十円とか五十円とか百円で、そこでは考えられぬようなことだけれども、我々はそういったお金の単位で生活をしているんです、そういう方が身の回りにもたくさんいらっしゃると、そういった方もたくさんお電話をいただきました。
 一方で、このような記事をそういう方々が読んだら果たしてどういうふうに思われるのかなというふうにも思いますし、少なくともそうした改定の内容、それを必要とする理由については患者さん、国民に対しまして十分に説明ができるような姿勢ももっともっと必要ではないかなというふうに私自身思います。
 冒頭、国民に分かりやすいというふうに坂口大臣もおっしゃっておられました。この点について大臣の御答弁をいただきましたけれども、今回のこの突然のような対応と患者さんの思い、それから今後の診療報酬体系の見直しについて、最後に坂口大臣のお考えを聞かせていただいて、時間が参りましたので終わりたいと思います。お願いします。
#111
○国務大臣(坂口力君) 西川先生がおっしゃるのは、そんなに急に変えなきゃならないようなことを初めなぜ決めたということだろうと思うんですね。それはもう御指摘のとおりでありまして、最初の決め方が不十分だったというふうに言わざるを得ません。
 下がり過ぎたということは、それは国民の皆さん方からすれば下がったということはそれだけ安くなっていたわけですから、今度は元へ戻すということだったら、国民の皆さん方から見ればそれは今度はまた上がったということでございますから、医療従事者の方ばかり見てはいけないので、国民の皆さん方の方も見て政治はやらないといけない、それはもう本当にそうだというふうに思っております。
 点数を下げ過ぎたときにはここでももう皆さん方から非常におしかりを受けますけれども、国民の側から見ればそれはプラスになっておるわけでありますけれども、なかなかそのときにはプラスになっておる方のことはだれもおっしゃっていただかないものですから僕もつらいわけでございまして、いつもしかられていますが、しかし今回のことは、そういう緊急に改めなければならないような決め方をしたことに我々も反省をするということではないかというふうに思っておる次第でございまして、以後そういうことのないように全力を挙げたいと思っております。
#112
○西川きよし君 よろしくお願いします。
 終わります。
#113
○委員長(金田勝年君) 本日の調査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。
   午後零時九分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#114
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 労働基準法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省労働基準局長松崎朗君外四名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#115
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#116
○委員長(金田勝年君) 次に、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#117
○狩野安君 久しぶりの質問の出番でございますので大変緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。
 今回出されております労働基準法の改正案のほかに、既に職業安定法、労働者派遣法、労働関係の主な法律案の改正案が国会に提出されましたけれども、いずれも労働分野の規制緩和を進めることということになっておりますが、それと同時に労働者保護に十分目配りをすることが必要だと考えております。
 その点、大臣もこの点では大変御苦労をなされているのではないかと思っておりますが、大変お疲れさまでございますと言いながらも、私も大臣に質問をさせていただきます。衆議院における修正案を踏まえて、基本的な考え方について質問をいたします。
 完全失業率の二十二か月連続五%台に推移しているなど厳しい情勢の中で、厚生労働省ではどのようなお考えの下でこれらの法律の改正案を検討し提出なさったのか、お聞かせをいただきたいと思います。また、これらの改正により、今後どのような影響や効果が期待されるかにつきまして、大臣からの御説明をお願いいたします。
#118
○国務大臣(坂口力君) 御指摘がございましたように、経済のグローバル化と申しますか、国際化をされてまいりました中で、いわゆる産業構造も変化をしてまいりましたし、そして企業の在り方もその中で変化をしてまいっております。また、そういう状況でございますので、企業が労働者を雇います状況につきましても非常に多様化をしてきておることも事実でございますし、こういう景気が低迷をしているということもございまして、働く皆さん方の働き方というのも非常に多様化をしてまいりました。今までのように長期雇用、常用雇用というだけでなかなか乗り切れないという側面もあるわけでございます。
 したがいまして、こういう時期でございますだけに、多様な働き方ができる体制というものをまず作って、そうしてその中でできる限り雇用の場に就いていただけるようにするということが大事ではないかというふうに思っております。もちろん、そういうふうにします中で、働く皆さん方の立場というものが非常に不安定になってはいけない、そのことにつきましては細心のやはり注意をしていかなければならないとも思っているところでございます。
 今回の労働基準法の改正、あるいはまた派遣法等の改正におきましてもそうでございますが、そうしたことを念頭に置きながら、これからマイナス面というものをいかに最小限に抑えるかという努力をしていかなければならないというふうに思っている次第でございます。
#119
○狩野安君 ありがとうございました。
 近年の経済状況の悪化等を背景に労使紛争が増えております。中でも解雇に関する紛争の増加が顕著になってきておりますが、安易な解雇を回避し、これに関係する紛争を減少させたり、防止するためには、こうした解雇ルールの法制化が是非とも必要であります。
 今回の措置は大変高く評価をいたしておりますけれども、法成立後は、まずもって今回の規定の内容と考え方について多くの国民の皆様方に知っていただくことが大変大事だと考えております。この点、政府はどのような方法を考えておられるのか、お伺いいたします。また、この法制化と併せ、解雇に関する紛争を一層減少させるため、今後どのような施策を講じていくおつもりか、これについてもお答え願います、政務官。
#120
○大臣政務官(森田次夫君) 狩野先生から御質問いただくとはちょっとゆめゆめ考えておりませんでございました。
 御答弁申し上げます。
 政府といたしましても、リーフレット等を作成いたしまして、都道府県の労働局あるいは関係行政機関におきまして、解雇権の濫用法理を確立しました最高裁の判決、それから判例の周知等を図るとともに、事業主等集めました集団指導等のあらゆる機会をとらえまして、法の規定の周知を図ってまいりたい、このように考えております。
 この規定の趣旨につきましては、使用者の理解を促進し、安易な解雇や不当な解雇の防止に努めねばならないことは当然でございます。
 また、解雇をめぐる紛争についてでございますけれども、引き続きまして、個別労働紛争解決制度の適切な運用によりまして、その簡易迅速な解決を図ってまいりたい、このように考えております。
#121
○国務大臣(坂口力君) 政府原案におきます解雇についての規定の新設は、今までは最高裁の判例で確立をしておりましたものを、これまで労使当事者間で十分に周知されていたとは言い難い面がございます。解雇権の濫用法理を法律上明確にすることによりまして、解雇をめぐるトラブルの防止、解決につなげることが非常に大事だというふうに思っている次第でございます。
 政府原案のままにおきましては、使用者に解雇が自由にできるという誤解を与えるのではないかという強い御意見がございまして、そして与野党の間で真摯な御議論がなされた結果、こうした結果を払拭するというための修正が行われたものと承知をいたしております。
 したがいまして、両案ともに判例で確立をいたしました解雇権の濫用法理を法文化することとしたものに変わりはないわけでございまして、この修正によりまして、当初の目的が一層効果的に果たせることになるものと考えておる次第でございます。
#122
○狩野安君 今、大臣の方からも衆議院での修正案のお話が出ましたけれども、今回の労働基準法改正案では、有期労働契約の上限期間の延長、そして解雇ルールの明文化、裁量労働制の見直しが主たる内容となっておりますが、中でも解雇ルールの規定の仕方については様々な議論を呼び、衆議院において修正案が提出されたということでございます。
 お忙しい中をおいでいただきましたけれども、今回の修正案により、使用者の解雇権自体が否定されたことになるのではないか、またこの修正がこれまで判例で認められてきたもの以上に解雇権を制限するものではないかといった声も聞かれるところがあります。そのようなことがないとは考えますけれども、政府案と修正案ではその規定ぶりにどのような違いがあるのか、修正案提出者に御説明をお願いいたします。
#123
○衆議院議員(長勢甚遠君) 解雇に係る規定ぶりにつきましては、今、大臣からも御答弁があったとおりでございますが、政府案におきましては、使用者が労働者を解雇する権利を有していることを法文上確認的に規定する、解雇することができるというように確認的に規定をした上で、その解雇が合理的な理由等を欠くときは権利の濫用として解雇無効となるというふうに規定をしようとしていたものでございます。修正案におきましては、使用者が労働者を解雇する権利を有していることは民法上明らかでありますので、そのことを前提として、その解雇が合理的な理由等を欠くときは権利の濫用として解雇無効となるというふうな規定に改めたものでございます。したがって、考え方におきまして、この修正によりまして解雇権自体を否定するということでないことは明らかでございます。
 衆議院におきます議論では、政府案の規定ぶりによりますと解雇を促進する規定であるというふうに受け取られかねないという御意見もありましたし、また、そういう観点からは、判例で明らかになっております立証責任についても違ったように受け止められるということもあるんではないかという御議論もありましたので、そういう問題をないようにするための修正を行ったものでございます。
 したがいまして、判例で確立をした解雇権の濫用法理を国民の皆さんにも理解できる形で法文化するという意味では両案とも変わりがないわけでございまして、特に衆議院で焦点となった当事者の主張立証の在り方についても、いずれの案でも現在とは変わらないということを明確にした上で修正を行ったものでございます。
#124
○狩野安君 ありがとうございました。
 このたびの法案では、有期契約は一年から三年へと延長され、また高度な専門的な知識者や六十歳以上の者は上限五年となっております。また、この改正は不安定雇用の増大につながるという声もあり、衆議院での議論においても企業が人件費削減などを目的にして正社員を有期契約労働に切り替えることになるのではないかという議論がなされていると承知しております。
 そこで、労働契約の終了時点等において使用者と雇用者のトラブルを防止するために大臣が徹底した助言や指導を使用者等に行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。大臣、お願いします。
#125
○大臣政務官(森田次夫君) 有期労働契約におきましては、契約更新の繰り返しにより一定期間雇用を継続したにもかかわらず、突然契約更新をせずに期間満了をもって退職させる等のいわゆる雇止めをめぐるトラブルが大きな問題になっておるわけでございます。
 有期労働契約が労使双方にとりまして良好な雇用形態として活用されるようにするためには、このような有期労働契約の雇止め等をめぐる紛争の防止や解決を図っていくことが必要であると、このように考えております。
 このため、今回の改正におきましては、厚生労働大臣が有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する基準を定めることとしておりまして、この基準に基づいて労働基準監督署が必要な助言、指導を行おうとするものでございます。
 厚生労働省といたしましては、この基準の内容について、今後、労働政策審議会労働条件分科会で御議論をいただきまして、有期労働契約の締結及び更新・雇止め等をめぐる紛争の防止や解決に資するものとなるよう基準を定めました上で、この基準に基づきまして必要な助言、指導を行ってまいりたい、このように考えております。
#126
○狩野安君 ありがとうございました。
 では、大臣にお伺いしたいんですけれども、解雇された人が会社を相手取って訴訟を起こした場合に、勝訴しても法廷で争った会社に復帰するのは困難ということになっておりますが、そこで、ドイツで行われている会社が補償金を支払って雇用関係を終了させる金銭解決策を政府の審議会が今国会での労働基準法改正に向けて検討したと聞いておりますが、結論は持ち越したということでございますけれども、この問題について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
#127
○国務大臣(坂口力君) この部分につきましてはいろいろと御議論をいただいたところでございますが、労使の間で意見の一致を見なかったところでございまして、今般の改正案におきましては盛り込まないことといたしました。
 今後、また引き続きまして御議論をいただくことになっておりますが、これは労使の意見を十分にお聴きをして、そして御理解をいただいた上でなければやはり難しい問題でございますので、今後も御議論をいただきながら、合意が得られました段階のところでまたお諮りを申し上げたいと思っております。
 現在のところ、急いでやるというつもりはありません。
#128
○狩野安君 ありがとうございました。
 裁量労働制について質問いたします。
 改正の大きな柱の一つが裁量労働制の見直しでありますけれども、現在、裁量労働制がどの程度実施されているのか、またしっかりと活用されているのか、お伺いいたします。
#129
○大臣政務官(森田次夫君) 厚生労働省の平成十四年度の就労条件総合調査によりますと、専門業務型裁量労働制の導入状況から申し上げますと、適用企業数の割合が一・二%、それから適用労働者数の割合でございますけれども、〇・六%でございます。それから、企画業務型裁量労働制の導入状況につきましては、企業数の割合が〇・九%、労働者数の割合が〇・一%、このようになっております。
 また、裁量労働制については、労使の十分な協議を踏まえての労使協定の締結、また労使委員会の決議等、適正な手続を経た上で適正に運用されているものと考えております。
 厚生労働省といたしましては、今後とも裁量労働制につきまして、制度趣旨の徹底を図るとともに、監督指導の的確な実施に努めることによりまして適正な運営を図ってまいりたい、このように考えております。
#130
○狩野安君 この裁量労働制の規制緩和を図った場合には増加が見込まれるんでしょうか。この効果についても見通しをお伺いしたいと思いますが、この制度の規制緩和により過労死の増加を増やすという事態にもなりかねません。そこで、このたびの法案で雇用者の健康面等での配慮が十分行われているのかどうかもお伺いいたします。
#131
○政府参考人(松崎朗君) まず、今回の改正によりますこの裁量労働制を採用いたします事業所でございますとかその適用の労働者、こういった方がどうなるのかということでございますけれども、これはやはり多分増えるとは思いますけれども、実際にどのくらい定量的に増えるということをお示しするのはなかなか難しいと思っております。
 しかしながら、こういった企画業務型の裁量労働制の要件、それから手続、こういったことを緩和することによりまして、やはりこの制度が多様な働き方の選択肢として有効に活用されることによりまして労働者の方一人一人がより自分の働き方に適した労働時間の制度、そういったものを選択することが可能になりまして、これによりましてお一人お一人がやはり自分の能力なり個性、そういったものを生かす働き方を選択できるようになるといったような効果があるというふうに考えております。
 また、御指摘のように、これは野放しといいますか、全く御本人にこの労働時間管理を任せるわけでございますので、任せっ切りにしますと御指摘のような懸念もあるいはあり得るわけでございますので、これは従来、現行制度におきましても、労使委員会の中で労働者の健康確保措置といったものを決議していただいて、この決議に基づきましてそういった内容の健康・福祉措置といったものを事業主が講ずるということにされております。
 具体的にはどういったものが健康・福祉措置の中身かということでございますけれども、これは現行制度におきましても、企画業務型裁量労働制に関する指針という大臣告示がございまして、この中で、これは例示でございますけれども、例えば、対象労働者の勤務状況、それから健康状態、そういったものに応じまして代償休日を与えるということ、また健康診断の実施、それから年休、年次有給休暇をまとまって取得するようにするといったこと、また心と体の健康問題についての相談窓口を設ける、またさらに一人一人の方の勤務状況、それから健康状況、健康の状態、そういったものに配慮しまして、必要な場合には配置転換とかいったことで職場を替えるといった措置、こういったことを告示の中で示しておりまして、こういったことによりまして労使委員会のチェックの中できちんとそういった健康確保といったものは図られているんじゃないかというふうに考えております。
#132
○狩野安君 是非、徹底周知をよろしくお願いいたします。
 また、ここ数年、三万人以上の自殺者が出ておりますし、仕事面を苦にする中高年齢者の自殺が目立ってきております。政府として改めて自殺防止対策に積極的に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#133
○政府参考人(松崎朗君) 御指摘のように、我が国の自殺死亡者数、これはもう平成十年に三万人を超えまして、現在でも減らずに横ばいの状態が続いております。そういったことで、私どもも非常にこれは緊急に対応しなければならない重要な問題であるというふうに認識しております。
 このため、厚生労働省では、これは労働者に限った話ではございませんけれども、国民全体の話といたしまして、平成十四年、去年一月に自殺防止対策の有識者懇談会というものを設けまして、そこで御検討いただきまして、十二月に人と人とのきずなを重視いたしました温かな社会づくりを理念とする自殺予防に向けての提言というものを公表したところでございます。
 私どもでは、こういったものを踏まえまして、職場、地域、そういったところにおきますメンタルヘルスの相談体制の強化でございますとか、自殺防止に関します正しい知識の普及啓発、また地域保健医療従事者向けのマニュアルの作成、それから自殺の場合の主な原因と言われておりますうつ病等、そういったものを有する労働者の方の社会復帰でございますとか職場適応支援、そういったものの研究の推進、そういったものを現在進めておるところでございます。
 また、労働者につきましては、十二年の八月でございますけれども、メンタルヘルス指針というもの、こういうのも作りまして、これは事業場におきます労働者の心の健康づくりの指針でございますけれども、こういったものを作りまして、さらに十三年の十二月には「職場における自殺の予防と対応」といったものをそれぞれ策定いたしまして、こういったものの周知徹底というものに努めております。
 また、これは従来から各地の労災病院で、相談窓口といいますか、電話相談等を受けて、自殺予防といいますか、メンタルヘルスの相談をやっておりましたけれども、これを本年度からは横浜労災病院を中心にしましてメンタルヘルスの総合相談窓口というものを設けまして、各労災病院とも連携をしながら、こういった相談体制の充実を図っておりまして、自殺防止対策というものに積極的に取り組んでいるところでございます。
#134
○狩野安君 よろしくお願いいたします。
 さらに、この裁量労働制については、ともすれば不適切な利用がなされて、サービス残業、いわゆる賃金不払残業の温床になるのではないかとの懸念も労働組合などから示されております。こうした不適切な運用がなされないよう厚生労働省は指導監督に当たっていただきたいと思います。
 また、大臣は、賃金不払残業は労働基準法違反であり、厳格に指導を行う必要があるとして、自らリーダーシップを発揮され、対策を講じておられると承知しております。本年五月には、賃金不払残業に対する件で各都道府県労働局に指示したと聞いておりますけれども、その内容と、今後どのような点に力を入れて賃金不払残業の解消を図っていくのか、説明をお願いいたします。
#135
○国務大臣(坂口力君) 賃金不払残業というのはなかなかなくなりませんし、そしてまたこれは法律違反でもございますので、是非周知徹底をしていきたいというふうに思っているわけでございます。
 五月二十三日に、企業の本社とそれから労働組合等が一体になって、企業全体として主体的に取り組むことを促したいというふうに思っておりまして、的確な監督指導の実施に、これまでの行政による対応を更に強化をいたしました賃金不払残業総合対策要綱というものを作りまして、そしてこれから周知徹底をしたいというふうに思っております。その中でも、特に賃金不払残業解消対策指針というものを指定いたしまして、そしてその指針に基づいていろいろ具体的にそれぞれの企業、労働組合で御検討をいただきたいというふうに思っているところでございます。
 内容は、労使に求められる役割でありますとか、労働時間適正把握基準の遵守、どういうふうにしてその把握をしていくかという、それから職場風土の改革、適正に労働時間の管理を行うためのシステムの整備、それから労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化、あるいはチェック体制の整備、こうしたことを中に盛り込んでいきたいというふうに思っているところでございます。
#136
○狩野安君 ますますの大臣のリーダーシップをよろしくお願いいたします。
 さらに、総合規制改革会議や経済界などからは、ホワイトカラー労働者に対する労働時間法制の適用除外を求める声も上がっていると聞いております。厚生労働大臣は、こうした声を踏まえ、今後の労働時間法制の在り方についてどのような考えをお持ちか最後に伺いまして、私の質問を終わります。よろしくお願いいたします。
#137
○国務大臣(坂口力君) リストラが進行します中で、恒常的な残業でありますとか、あるいは年次有給休暇の取得率の低下など、長時間労働が増加する傾向にありますので、そうした点を中心にしましてこれから対策を進めていきたいというふうに思っております。
 できる限り労働生産性を高めるということをやっていただいて、そして働く時間を短くしていただくということを是非お願いをしたいというふうに思うわけでございます。これはなかなか、言うはやすくして企業の側ではそういう調子になかなかいかないというのが現実でございます。
 有給休暇をどういうふうにお取りをいただくかということも、これもお願いをしておりますが、ここがなかなか進まない。ここがもう少し進めば千八百時間というのは達成できるというふうに思うんですが、これは企業のいろいろの問題もございますけれども、何かやはり企業の間で有給休暇を取るということに対する職場の雰囲気、環境というものがなかなか取りにくいというようなことがございますので、そうした問題につきましても、やはり労使の間でふだんからよくお話をいただいて、この有給休暇の問題、やはり乗り越えていただきたいというふうに思っている次第でございます。
 労働基準法の第三十六条に基づきますところの時間外労働の限度基準も定めまして、時間外労働協定の内容がその基準に適合したものとなるような指導というようなことも、これも当然のことながらもう少しやはり行わせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
#138
○狩野安君 終わります。
#139
○浅尾慶一郎君 引き続きまして、労働基準法の改正について質問をさせていただきます。
 今回の労働基準法の改正は、内閣主導、どちらかというと内閣主導で進められてきたんではないか、労働分野における一連の規制緩和の中で行われてきたものと私自身は認識をいたしております。
 そこで、今回の労働基準法の改正を含めて、労働分野における規制緩和の方向性を政府として打ち出された根拠とされています二つの報告書について伺ってまいりたいと思いますが、その二つの報告書というのは、一つは、平成十一年十二月十四日付けの行政改革推進本部規制改革委員会の「規制改革についての第二次見解」、これは平成十一年に解雇規制の見直しを打ち出したものでありまして、言わば今回の改正の出発点とも言える報告書でございます。
 まず、その点について伺わせていただきますけれども、この平成十一年十二月十四日付けの「規制改革についての第二次見解」において、その中に「解雇が困難であればあるほど、企業は採用を控える」という記述がありますけれども、現行法制の下でも採用に意欲的な企業もあるわけでありますから、こうした記述の根拠はどういったところにあるんでしょうか。
#140
○副大臣(米田建三君) お答えをいたします。
 まず、この御指摘の行政改革推進本部規制改革委員会の「規制改革についての第二次見解」でございますが、この規制改革委員会につきましては、現在の総合規制改革会議の前身ではありますが別個の組織でございまして、その意味では我々は必ずしも直接当事者そのものではございませんが、お尋ねでございますので、現在規制改革を預かる立場からお答えをさせていただきたいというふうに思います。
 御指摘の「解雇が困難であればあるほど、企業は採用を控える」という、この旨の指摘でございますが、これにつきましては、少なくとも一般論としては、同一の企業において同一の人員管理条件の下では解雇が困難であればあるほど企業は業績悪化時の人件費負担の増大を恐れ、その分採用は抑制される、こういうことが常識的には想定されるんだろうと思います。
 また、採用に意欲的な企業が現行法制でも多いという御指摘でございますが、単に企業をめぐる時々の環境の中で採用に意欲的であるかどうかということによるものであって、解雇規定の有無いかんの事情によるものではないのではないかというふうに考えております。
 いずれにしましても、本委員会におきまして第二次見解を取りまとめる過程で、内外からの規制に関する意見、要望のヒアリング、また関係省庁、団体等との意見交換等を経てこのように整理されたものと理解をしております。
#141
○浅尾慶一郎君 私の質問は、一般論ということではなくて、この報告書の中で「解雇が困難であればあるほど、企業は採用を控える」というふうに書いてあるわけですから、報告書のベースとなった様々な議事があったんだと思いますが、その根拠を伺っているところであります。
#142
○副大臣(米田建三君) 一般論という表現をしたのは、冒頭申し上げた現在の私どもの総合規制改革会議というものが直接のこの取りまとめの担当でなかった立場から一般論という言い方を申し上げたわけでありますが、この検討の過程におきまして、申し上げたとおりに、内外から大勢の方の御意見や要望をちょうだいをした、あるいは関係省庁、団体の御意見も伺ったという、そういう総合的な作業の中でこういう表現になったというふうに理解をしておるわけでありまして、これが一つの根拠であるというふうな形で御説明をするのはちょっと難しいかと考えます。
#143
○浅尾慶一郎君 そうした形で報告書がまとめられているということでありますから、それなりに多分根拠はあるんだと思いますが、次の質問に移らさせていただきます。
 解雇規制は再就職をしようとする者には不利に働く傾向があるという記述がありますけれども、そういう傾向は具体的に何をもってそう判断しているんでしょうか。そういう雰囲気があるとか空気があるということではなくて、具体的な根拠が何かあるんでしょうか。
#144
○副大臣(米田建三君) 特定のこれが具体的な根拠であるというふうに明示されたものがあるとは承知をしておりませんが、御指摘についてはこの第二次見解の文脈から判断するしかないわけでありまして、「解雇が困難であればあるほど、企業は採用を控える」、こういう事情からは、解雇が困難であればあるほど求職者にとっての就職のハードルが高くなると、こういうことが同義的に言えるのであろう、したがってまた、これをもって解雇規制がこれから企業に就職しようとする者やいったん企業を辞めて再就職しようとする者には不利に働く傾向があると、そういうふうに整理をしているのであろうというふうに理解をしておるわけであります。
#145
○浅尾慶一郎君 したがって、具体的にということではなくて、どちらかというと、そういう風潮を採用したということだというふうに理解をいたします。
 さらに、これは平成十三年七月二十四日の、今度は直接の御担当だと思いますが、総合規制改革会議の「重点六分野に関する中間とりまとめ」の中で、就職から定年退職まで一企業で雇用を保障するのではなく──ごめんなさい、就職から、失礼いたしました。
 もう一点、戻りまして、同じ報告の中で、さらに、判例の解雇権濫用法理が企業の採用意欲をそいでいるという指摘があるという記述もあるわけでありますが、そうした指摘があるということについて具体的にだれがそういう指摘をしているのか、伺いたいと思います。
#146
○副大臣(米田建三君) 御指摘の部分につきましては、やはり見解を取りまとめる過程で、先ほど申し上げたとおり、内外からの規制に関する意見あるいは要望のヒアリングが行われました。また、関係省庁、団体との意見交換等も行われ、その結果の整理であります。
 解雇権濫用法理が企業の採用意欲をそいでいるというこの指摘、主体いかんにかかわらず、解雇規制をめぐる本委員会の事実認識の一環として位置付けられているというふうに理解をしております。
 なお、具体的にだれがではその旨の指摘を行ったのかという、こういうことになりますが、現在、これを記録している検討資料は率直に申し上げて現存しておりません。また、その結果確認することができない旨、御理解いただきたいと思います。
#147
○浅尾慶一郎君 これは、その資料がないという理由はどういうところにあるんでしょうか。平成十一年十二月十四日付けですから、まだ多分会議録等はあるんじゃないかと思いますが。
#148
○副大臣(米田建三君) 正確に申し上げますと、本見解が取りまとめられた平成十一年当時は、当時、本件については当時の総務庁が所管でございました。そして、規制改革関係事務につきましては平成十三年の省庁再編時に現在の規制改革会議事務室に関連資料とともに引き継がれたわけでありますが、当該資料についてはそもそも引継ぎを受けておりません。また、旧総務庁、現総務省にも現存をしておらないと、こういう事実を確認をしております。
#149
○浅尾慶一郎君 かなり資料の管理が、もし今御答弁いただいたことが事実だとすると、ずさんであったというふうに言わざるを得ないと思います。
 そうすると、本来、報告書を事務局でまとめるときに、どういった指摘を採用し、どういった指摘を採用しないのかと、そういう基準はあるんですかと聞いてもお答えになれないということになりますか。それとも、その点についてはお答えをいただけますでしょうか。
#150
○副大臣(米田建三君) 御満足いただける答えになるかどうか分かりませんが、私も資料がないという報告にはびっくりした一人でありますが、なぜないのかといいましても、ないということなのでないわけでありますが。
 一般的に申し上げまして、委員会としての意思決定は内外からの様々なヒアリング、意見交換等を行いながら調査、審議が重ねられると、こういう形であるわけでありますが、御指摘のだれの指摘を採用し、だれの指摘は採用しないのかという基準があるのかどうかというお尋ねに対しましては、そういう基準はありません。ないわけでありまして、委員会としての議論の過程、審議の過程の中で最終的に責任を持って意思決定をされたという形の中での公表になっておるわけでありますので、その作業過程の中での適切な評価、判断の結果であるというふうに理解をしております。
#151
○浅尾慶一郎君 今の御答弁ですと、相当、ある面、事務局の裁量でもってその委員会の議論あるいはその報告書をリードできるということになってくるのかなというふうに思いますので、その点を指摘させていただきたいと思います。
 また、「解雇をめぐる実態を把握すべきである。」という記述もありますが、じゃ、この点についてはその後、その解雇を巡る実態を把握したんでしょうか。
#152
○副大臣(米田建三君) 把握はされました。
 経緯を申し上げますと、この解雇を巡る実態の把握につきましては、第二次見解を踏まえまして、規制緩和推進三か年計画、平成十二年の三月三十一日、閣議決定でありますが、これにおきまして、平成十二年度に旧労働省において解雇を巡る実態を把握することとされたわけであります。そしてその結果、平成十二年度に調査、取りまとめが行われました。その後の解雇規制の在り方を巡る議論の中で参考資料になっているものと理解をしております。
#153
○浅尾慶一郎君 そうすると、まあそうした資料はもらわれたということでありますが、その分析はどういう結果になったんでしょうか。
#154
○副大臣(米田建三君) 細かい数字、全部お望みですか。そうすると答弁で大分時間食っちゃいますが。──じゃ、要点でよろしゅうございますか。
 まず、この解雇事案のうち、労働組合がない割合としまして、いろんな調査が行われた数字がございます。そして、労働組合がないケースが多数を占め、裁判に訴える資力に欠ける者に対し、極めて救済が困難な状況にある者と思料されるという一つの調査結果が出ております。
 また、二番目に、解雇を行った事業場の規模の、事業所の規模の調査も行われました。ここにおきましては、やはり解雇が行われるのは中小規模の事業所が多数を占めておる。そして、裁判に訴える資力に欠ける者は解雇される可能性が高いものと考えられるというふうな結果も出ております。これは都道府県の労働局の担当者からの聴取という形で調査が行われております。
 以上、概要だけでございますが。
#155
○浅尾慶一郎君 確認ですけれども、その都道府県の労働局の数字はあるということですが、それを見ての分析というものでは、その当時のその行政改革推進本部の規制改革委員会でなされたのかどうか、あるいはその後内閣府でなされたのかどうか。数字そのものがあるということではなくて、その分析と、今の御答弁ですと、どちらかというと数字を労働省あるいは労働局からもらったということにしかならないんじゃないかと思いますが、それを見ての分析という点ではどうでしょうか。
#156
○副大臣(米田建三君) もう少し詳しく申し上げますと、平成十年十月一日から平成十二年の三月三十一日の間に都道府県労働基準局の紛争解決援助制度において申出があった事案のうち、解雇に関する事案に絞って調査をしたわけでありまして、二百二十七件で、件数としては二百二十七件であります。
   〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
そして、調査時期は平成十二年度の第一・四半期の四月から六月でありました。そして、調査項目でありますが、解雇の種類、そして解雇を行った事業場の規模、また解雇された者の年齢等について、解雇の手続について、解雇の理由について、そしていわゆる整理解雇の四要件等について、また、整理解雇の実態について、紛争解決援助制度についてと、この八項目で調査を行いまして、このデータを基にその後の論議の参考資料に付されたというふうに理解をしていただきたいと思います。
#157
○浅尾慶一郎君 次に、同じく労働分野における規制緩和の方向性を政府として打ち出す理論的な根拠にされております平成十三年七月二十四日、「重点六分野に関する中間とりまとめ」という報告書について、この分析が合理的になされたかどうか、そういった観点から伺ってまいりますが、まず、この平成十三年七月二十四日付けの「重点六分野に関する中間とりまとめ」の中に、その中に、「検討の方向性」というところでは、解雇基準の明示化という問題は将来的な検討課題とされているのに対しまして、「具体的施策」というところを見ますと、解雇基準やルールを立法で明示するという労働基準法の改正に早急に着手すべきということになっていますが、こういうふうに判断するに至った理由はどういうところにあるでしょうか。
#158
○副大臣(米田建三君) 将来的な検討課題とされておるのに明示する、そういう結果に至った理由は何かというお尋ねであろうと思いますが、経緯をなぞりながらお答えさせていただきたいんですが、まず、中間取りまとめでは国際競争が激化をし、さらに本格的な少子高齢化社会を迎える、こういう中で円滑な労働移動や就労形態の多様化を可能にするような、そういう規制改革が喫緊の課題であるというふうに位置付けているわけであります。
 そして、それに対しまして解雇基準やルールの明示については将来的な検討課題というふうに、御指摘のようにしてはいるわけでありますが、しかしまた一方で、経済のグローバル化に伴う競争環境の激化や技術革新により労働移動が増えると考えられることから、これに対応した二十一世紀にふさわしい労働市場システムの整備を図る必要がある、そのためには早急に解雇基準やルールについても検討に着手することが必要であるというふうに一方でこの取りまとめにおいて指摘をまたしているわけでございます。
 さらに、平成十四年に入りまして、厳しい経済情勢にかんがみまして全体として一層の規制改革の推進が必要であることから、総合規制改革会議といたしましては、解雇基準等についても平成十四年七月の中間取りまとめで迅速に検討、結論を出すべきであるというふうに発展をしておるわけでありまして、平成十四年十二月の第二次答申におきましては、次期通常国会に法案提出等所要の措置を講ずべきであるというふうにしたものでございますので一応の流れは踏んでおるというふうに理解をしております。
#159
○浅尾慶一郎君 労働基準法は、本来、労働者保護立法でありますから、これを規制緩和すると、あるいは今のお話にありますような例えば解雇の基準を定めるというようなことを法改正の中でするということは、今まで保護されていたものが保護の必要性がなくなったからだというふうに考えるわけでありますが、なぜ保護する必要性がなくなったと判断するに至ったんでしょうか。
#160
○副大臣(米田建三君) 政府は、労働者を保護する必要がなくなったなどというそんな恐ろしいことはいささかも考えておりませんので、労働者の保護は極めて重要な課題であるというふうに考えております。
 総合規制改革会議では、議員の御指摘のようなそういう労働者の保護が必要がなくなったというふうな観点からではございませんで、労使双方の事前予測可能性を高める観点、つまりその解雇に際して発生する労使間のトラブルを防止したいという、そういう観点から解雇基準等の立法での明示を検討すべきというふうにしているところでございます。
 すなわち、規制改革の推進に関する第一次答申、これは平成十三年十二月の十一日でございますが、等で述べられているように、この解雇について、労働基準法はこの予告手続等を規定しているだけで、解雇そのものの有効・無効は、現在のところ、いわゆる解雇権濫用法理を始めとするこの判例法にその判断がゆだねられているわけであります。しかし、こういう状況ではその具体的な基準が明確ではないわけでありますので、答申では、この解雇の有効・無効に関する労使の予測可能性を高めるために、いわゆる解雇権濫用法理を始めとするその判例にのみ、判例法にのみゆだねるのではなく、立法で明示することを検討すべきであるというふうにしているわけでありまして、労働者保護の必要性がなくなったというような判断はいささかもございません。
   〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
#161
○浅尾慶一郎君 今、労働者保護の必要性は引き続き重要だという御答弁をいただいたわけでありますが、その解雇権、あるいは解雇の基準を定めるという、定めても保護は引き続きなされるんだというふうに判断をされておるわけでありますが、その客観的な裏付けというものは、今の予測ということではあるのかもしれませんが、ほかに客観的な裏付けというものはあるんでしょうか。
#162
○副大臣(米田建三君) 既に述べさせていただいたわけでありますが、この総合規制改革会議では、この労使双方の事前予測の可能性を高める、こういう観点から解雇基準等の立法での明示を検討すべきであるというふうに総合規制改革会議ではそのような表現で述べさせていただいているわけでありまして、労働者保護の有無という観点からではございません。
#163
○浅尾慶一郎君 ということは、労働者保護という観点ではなくて、事前予測可能性を高めるという観点から定めたということでありますが、事前予測可能性が高まるということと労働者保護が引き続きなされるということが場合によってはこれは矛盾するんではないかなと思いますが、その点矛盾しないんだという点について御説明いただけますでしょうか。
#164
○副大臣(米田建三君) 解雇基準等の立法での明示を検討すべきというその基本的な観念は、これはもう言うまでもなく、労働者保護は当然必要であるという前提に、労働者保護という視点を欠いてはならないということはこれ当然前提になっているわけでありまして、ただいま御説明申し上げたのは、総合規制改革会議で解雇基準等の立法での明示を検討をすべきであるというふうに述べさせていただいておるのは、それは労使双方の事前予測可能性を高めるという観点から述べさせていただいておると。しかしながら、当然これはその結果として労働者保護につながるものであるというふうに理解をしております。
#165
○浅尾慶一郎君 御答弁を伺っておりますと、そういうふうになるものだという、何というんですか、予測が入っているんじゃないかなというふうに思いますが、労働の分野における規制緩和をこの二つの報告書において出しておられるわけでありますけれども、その予測と必ずそうなるというのは若干違うんじゃないかなというふうに思います。特に、副大臣御自身も御答弁されておりますように、労働者の保護についてはいささかも変わらないんだということだと思いますと、今後、こうした分野における規制緩和については、その必要性と効果についてやはり慎重に、労働者保護は引き続きやりながら、その必要性と効果が労働者保護に反しないという点でその必要性、効果を吟味する必要性があるというふうに思いますが、その点について十分心掛けていただければと思います。
 そこで、最後に内閣府に対しまして、最後に副大臣にお伺いさせていただきますけれども、今後は、その一部の意見ではなく、実際の具体的なデータに基づいて客観的な議論になるように事務局として責任ある対応をお願いしたいと思いますが、御決意を伺いたいと思います。
#166
○副大臣(米田建三君) 総合規制改革会議には私自身もしばしば出席をさせていただいております。もしごらんいただくならばもうお分かりをいただけると思いますが、相当な率直かつ真摯な議論が、そしてまた自由な議論が委員の先生方によって行われているわけでございます。
 しかしながら、今御指摘のように、当然のことではありますが、一部の意見に偏ることがなく、データに基づいた客観的な議論となるように議論を進めていただいてはおりますが、さらにただいまの御指摘を踏まえながら、今後もその基本的な考え方をしっかり堅持しながら慎重に審議をしていただきたいというふうに考えております。
#167
○浅尾慶一郎君 是非よろしくお願いしたいと思います。
 では次に、この内閣府の作った報告書について、書いてあることがどのように実施されているかということをお伺いしてまいりますが、総合規制改革会議の「重点六分野に関する中間とりまとめ」は、経済社会の構造変化に対応し、市場を通じた雇用保障を拡充という方向性を打ち出しております。この方向性は私自身も非常によく理解できるわけでありますが、そして一方で、その報告の中では、まず取り掛かるべきは、円滑に人材の移動が行われるための労働市場システムの整備とされております。このことも重要なことだと思いますし、昨日の参議院本会議におきまして、アメリカの例を引き合いに出しながら、円滑に人材の移動が行われ、またそのことが不利益変更にならないということであれば労働者は不安を抱えていないということも申し上げさせていただいた次第であります。
 今申し上げたような円滑な人材移動のためには、就職情報が行き渡って転職や就職のガイダンスを受けやすい条件整備をしていかなければいけないというふうに報告書の中では書いてあるわけでありますが、厚生労働省はこうした条件整備のために何を具体化したんでしょうか。
#168
○国務大臣(坂口力君) 今御指摘ありましたように、就職情報が行き渡って転職や就職のガイダンスを受けやすい条件整備ということでございまして、具体的な問題といたしましては、ハローワークの有します求人情報をインターネットで提供をするいわゆるハローワークインターネットサービスを平成十四年の一月の二十九日から全国で実施をいたしておりまして、さらに本年の一月から、求人者の意向を踏まえて、企業名、所在地、連絡先を含む情報を提供をするといったようなことも行っております。
 また、平成十三年八月には、民間職業紹介事業者、それから民間求人情報提供事業者、経済団体、公共職業安定所、これらが保有をしております求人情報をインターネットで提供するいわゆるしごと情報ネットを整備をするといったようなことを行っております。
 さらにまた、雇用保険受給者の早期再就職を図るといった立場から、ハローワークにおきまして、民間への委託でありますとか民間の講師の採用によりまして、民間のノウハウを活用しながら労働市場状況、キャリアの棚卸しと自己分析、それから再就職のための技法等を内容としました就職支援セミナーの開催等々を行っているところでございます。
 また、一番喫緊では、キャリアカウンセラーを養成をいたしまして、そしてできるだけきめ細かにやろうといったようなことを行っているところでございます。
#169
○浅尾慶一郎君 様々、就職情報が行き渡るような活動をされているのはよく分かるんですけれども、実際にその利用者の声というのはちなみに把握されていますか。就職情報が行き渡るようになったという形で把握されているんでしょうか。
#170
○大臣政務官(森田次夫君) 利用状況といいますか、そういった御質問だろうと思うんでございますけれども、ハローワークのインターネットサービスでございます、大臣も御説明がございました、につきましては、アクセス件数等を把握しておりますが、企業名公表後の平成十五年四月の一日平均アクセス数でございますけれども、一日約十七万件となっております。企業名の公表前のアクセス数でございますが、これにつきましては一日平均九万五千件でございますので、かなり大幅に増加をしたと、このように思います。
 それから、官民問わずでの情報ネットワークでございますけれども、しごと情報ネットについてでございますが、平成十五年五月一日の平均アクセスは、パソコン、携帯電話ともにそれぞれ約四十七万件、このようになっておりまして、十分な活用がされていると、このように考えております。
 それから、就職セミナー、就職支援セミナーについてでございますけれども、大半の方から求職活動の参考になったと、こういうような評価を聞いております。特に、愛知、大阪、広島、福岡の四労働局でのアンケートによりますと、ほぼ九割の方から参考になったと、こういうような評価もいただいているところでございます。
#171
○浅尾慶一郎君 それでは、同じ報告に転職や一時的失業のコストが過大でない条件整備をしなさいということも書いてあるわけでありますが、この点ではどういう形の手だてを取られたんでしょうか。
#172
○国務大臣(坂口力君) これはなかなか、言うのは簡単でございますけれども、なかなかここは難しいところだというふうに思っておりますが、できるだけ転職や一時的失業のコストが過大にならない条件整備をしたいというふうに思っていたところでございます。
 平成十三年十月から雇用対策法によりまして、事業所の閉鎖等のいわゆる事業規模の縮小等に伴いまして一か月に三十人以上の離職者を出す事業所に対しましては、これは再就職援助計画の提出を義務付けておりまして、それで、一人一人やるのではなくて、そうしてそういう企業に対してまとめて対策を作ると。そういう提出されましたところにはハローワークからそこに出向いたしまして、その企業の中でいろいろ相談を受けるといったようなことをやっておりますが、そうしたことによってできるだけコストが過大にならないようなことを手掛けているといったことが主な内容でございます。
 そのほかは、各種助成金等もあるわけでございますが、それらの支給等も行ってまいりました。
 それから、ハローワークにおきましては、民間の専門家でありますとか実務経験者を就職支援ナビゲーターとして配置をいたしまして、担当制を決めましたり、個々のニーズに応じた体系的な取組を行う、障害者には障害者対応、あるいは女性には女性対応といったようなことを行っておりまして、できる限りやりたいというふうに思っておりますが、しかし、ここは書いてもらってあるとおりにはなかなかいきにくい側面もあるということを自覚しているところでございます。
#173
○浅尾慶一郎君 書いてあるのがなかなかやりづらいというのは正におっしゃるとおりだと思いますが、一方で、ここが一番、特に失業されている方等々にとっては一番重たいところなので、そこに対する対策を是非よろしくお願いしたいと思います。
 さらに、同じ報告書に募集・採用における年齢の制限緩和というようなことについても取り組みなさいということも書いてありますが、この点については具体的にどうしたことをされておられるんでしょうか。
#174
○大臣政務官(森田次夫君) 募集・採用における年齢制限の緩和についてでございますが、雇用対策法に労働者の募集・採用に当たっての年齢制限の緩和の努力義務が設けられ、また同法に基づきまして年齢制限の緩和に関する指針が作成されまして、いずれも十三年十月から実施されておるわけでございますが、厚生労働省では、雇用対策法及び指針に基づきまして事業主への周知と理解の徹底を図ってきたところでございます。
 その結果、ハローワークにおける全求人に占める年齢不問求人の割合でございますが、改正法施行前でございますが、これは平成十三年九月でございますけれども、一・六%でございましたのが最近では一三%程度と一定の効果が上がっているものと考えておりますけれども、ただ、直近を見ますと横ばい状態である、こういうことでございます。このため、本年一月には、募集・採用における求人年齢制限の緩和の徹底に向けまして、現在一三%程度でございますものを平成十七年度に三〇%とする目標を設定したところでございます。
 今後とも、その達成目標に対しまして、シンポジウムの開催であるとか事業主に対する勧奨、指導など着実かつ計画的な取組を展開してまいりたい、このように考えております。
#175
○浅尾慶一郎君 今、御答弁いただいたわけでありますけれども、今回の改正の中で定められております有期労働契約、あるいは先般法案審議をいたしました派遣労働などの雇用の選択肢を拡充することが今までの質疑の中で足りない部分を補完するものと位置付けられておりますけれども、本来は順序が逆ではないかなと。つまりは、年齢の制限緩和とか、転職や一時的失業のコストの過大にならないような条件整備というのを先にやった方がいいのではないかなと思いますが、その点についてはいかが思われますでしょうか。
#176
○国務大臣(坂口力君) ここに書かれてあります他の施策を補完するものという意味がどういう意味なのか、ちょっと分かりにくいんですが、労働市場システムの整備というものとやはり同列にと申しますか、同時進行でこれは行っていかざるを得ないんだろうというふうに思っております。したがいまして、労働市場システムの整備と有期労働契約、そして労働者派遣事業制度の見直しといったようなことを並行して行わせていただいているということでございます。
 今回の有期労働契約、それから労働者派遣事業制度につきましては、昨今のこの厳しい労働情勢でありますとか、働き方の多様化等が進む中で、我が国の経済社会の活力を維持向上させていくためにもやはり並行して行わなければならないというふうに考えているところでございます。
 個人の持っていただいている能力を発揮をしていただくために役立てばというふうに思っておりますが、一方におきまして、またマイナス面というものも、先ほどから申し上げておりますように、これは起こる可能性もございますので、そこをどのように抑えていくかということが今後の課題であるというふうに思っている次第でございます。
#177
○浅尾慶一郎君 今の御答弁ですと、私はやはり、そもそも円滑に人材移動が行われる労働市場のシステムが整備されて、そしてその後に有期雇用、有期労働契約とか派遣労働といった雇用の選択肢が拡充する、あるいはまた解雇基準が明示をされていくという方が本質的には労働者保護に資するのではないかなというふうに思いますが、その点の考え方について、いや、そうではないんだと、これは同時にやらなければいけないんだというふうに大臣が考えておられるのか。やはり本質的には人材の移動が円滑に行われ、そこにコストがない、当該人材、労働者にとってコストが掛からない形がいいのか。だけれども、今の経済状況を考えると、やはりそれは同時に、有期労働契約も、あるいは解雇基準の明示も派遣労働についても同時にやらざるを得ないのか。その点についてはどちらの認識の立場に大臣立っておられるか、その点を伺いたいと思うんですが。
#178
○国務大臣(坂口力君) 私は、労働移動というものが円滑に行われない理由は様々あるというふうに思っておりますが、その中の一つには、働き方と申しますか、多様な働き方というものが自由にできるようになるということも私は大きな影響を与えるというふうに思っている次第でございまして、そうした意味から、同時にこれは行う方がよろしいのではないかというふうに考えている次第でございます。
#179
○浅尾慶一郎君 今の大臣の御答弁で大体次の質問の答えに、多分、大臣のお答え予想できるんですけれども、同時にやる前提は、使用者がすべて法律を悪意では使わないという前提があって、多分同時でやっても問題がないということなんだと思いますが、中にはそうした制度ができればそれを悪用する人も出てこないとも限らないんではないかなというふうに思うわけであります。
 そういうふうに考えると、労働市場におきます規制緩和の前に本来やるべきことがあるんではないかなというふうに思いますが、こうしたことについてどのように考えられるか、どのように取り組んでいかれるか、伺っていきたいと思います。
#180
○国務大臣(坂口力君) 悪意と申しますか善意と申しますか、やはりそういう制度を作りましたときには様々なそれに対する対応の仕方があるというふうには思いますけれども、私は、様々な働き方のルートが存在をするということは、働く人にとりましても、一時的にやはりそうしたことによって働く場所を得られやすいということも私は存在するというふうに思っておる次第でございます。
#181
○浅尾慶一郎君 おっしゃることはよく分かるんですが、様々な制度があるということで、現在、常用雇用の立場にある人が、そうした制度ができたと、そして使用者側がそういう方向に変更するんだということになって、不利益変更を受けることがないようにしていかなければいけないという趣旨でありますので、是非その点については今後の監督行政の中でも御検討いただければというふうに思います。
 時間の関係で次の質問に移りたいと思いますが、もし今後の監督行政の中で何か御所見があれば、簡単に大臣に伺いたいと思いますが。
#182
○国務大臣(坂口力君) 常用雇用の皆さん方をどんどんと派遣でありますとかあるいは有期雇用に変えていくというようなことが起こってまいりますと、これはやはり問題でございますし、現在のところ、そこまでの傾向はないというふうに思っておりますが、しかし、今後の動向をよく見まして、もし仮にそういった方向に大きく流れるようなことがあれば、やはり何らかの歯止め対策というのは必要だというふうに思っております。
#183
○浅尾慶一郎君 もしそういうことがありましたら、是非そういう方向でお願いしたいと思います。
 次に、今回の政府原案は衆議院の審議で修正がされているわけでありますが、その政府原案についてどういった点が問題だったか、提案者に伺いたいと思います。
#184
○衆議院議員(城島正光君) お答えしたいと思います。
 解雇に係るまず規定についてでありますけれども、政府案においては、使用者が労働者を解雇する権利を有していることを法文上、確認的に規定をした上で、その解雇が合理的な理由等を欠くときは権利濫用として解雇無効となると説明されていたところでありますけれども、衆議院における論議で、政府案のままでは解雇を促進する規定であると取られかねず、また裁判における主張立証の在り方が変わるのではないかという強い意見があったところであります。
 また、有期労働契約に係る規定につきましては、契約期間の上限延長に伴い契約期間中の退職の自由が更に拘束され、転職の機会が更に狭められることとなるため、契約期間中等であっても労働者には退職の自由が認められるべきであるとの強い意見があったというところが一番大きな問題点として論議されたところではございます。
#185
○浅尾慶一郎君 それでは、修正案をまとめた、その点について感想を伺えればと思いますが。
#186
○衆議院議員(城島正光君) 感想ということでございますが、私自身は、この労働基準法の改正の審議に臨むに当たりまして、よく言われることでありますけれども、政治そのものの基本というのが、基本の一つと言った方がいいかもしれませんが、働く意欲と能力ある人には常に就業の機会を与えることであるというような、そういう考え方、あるいは昨今いろいろ論議があるところでありますけれども、それにしても、労働の尊厳という精神がこの我が国の社会の中でも脈々と生き続けることが今極めて大事じゃないかという観点から論議に臨んだつもりであります。
 また同時に、今般特に論議になりましたこの解雇ルールについては、諸外国の例を見ましても、どういう解雇ルールを決めるかということがその国の雇用の在り方あるいは働き方といったことの正に理念といいましょうか、あるいは哲学といいましょうか、そうしたことに裏打ちされているのがこの解雇ルールだというふうにとらえているわけであります。
 そうした意味で、我が国で初めてこの労働基準法の中で解雇ルールを定めるということでありますので、そうした観点から考えますと、我が国のこれからの働き方とかあるいは企業経営の在り方のみならず、社会の在り方ということに極めて大きな影響を与えるんではないか、与えるものではないかというふうに考えたところでございます。
 そうした観点からしますと、政府との論議での厚生労働委員会、あるいは与党との修正協議においても、双方ともにそうした意味で立場を超えて真摯な論議が展開し得たんだというふうに思いますし、その結果として、衆議院においては無所属を除いて全党全会派の修正案については賛成を得られたということも含めて、大変意義深い論議と修正案になったんではないかというのが感想でございます。
#187
○浅尾慶一郎君 それでは、大臣にお伺いいたしますが、この修正部分の解釈について、政府原案との相違点を確認したいと思います。
#188
○大臣政務官(森田次夫君) 先ほど来からいろいろと答弁もございますが、雇用に係る規定につきましては、この規定が解雇を促進する規定であると、誤解といいますか、懸念といいますか、されることがないよう修正されたものと承知しておりますけれども、政府原案と修正案はいずれも判例で確立した解雇権濫用法理を法文化することとしたものに変わりはなく、特に衆議院で焦点となった当事者の主張立証の在り方につきましても、いずれの案でも現在とは変わらない、このように考えております。
#189
○浅尾慶一郎君 こうした解釈で提案者はよろしいんでしょうか。
#190
○衆議院議員(城島正光君) そういうことだと思いますが、修正案においては少なくとも特に主張立証責任のところにつきましてはより明確になったんではないかと思っておりますが、基本的にはそのとおりだと思います。
#191
○浅尾慶一郎君 政府原案要綱の審議会への諮問・答申では、労働側委員から厳しい意見が表明されております。今後は、この労働法制の保護法制としての性格、重要性にかんがみ、慎重な法案作成をお約束いただきたいと思いますが、大臣、御答弁いただけますでしょうか。
#192
○国務大臣(坂口力君) この労働基準法の改正につきましては、一昨年からいろいろと御議論をしていただいてまいりまして、そしてそれぞれのお立場から御意見を伺ってきたところでございます。
 確かに、反対をしていただいた部分もございますし、そうした部分もございましたけれども、最終的には昨年の十二月に審議会といたしまして公労使三者一致をして建議をいただいたところでございます。
 しかし、その中の色合いというのは若干それは差異はあったんだろうというふうに思っておりますが、今後も厚生労働省の問題はすべて公労使三者構成の審議会、これはもうずっとそういうふうに今までからもやってまいりましたし、すべて公開でやらせていただいておりますし、これからもそうした今までの立場を踏まえて多くの合意が得られるようにしていきたいと考えております。
#193
○浅尾慶一郎君 是非そういう方向でお願いしたいと思います。
 また、このたび法律に明文化されたこの解雇ルールについて、労働政策審議会の建議にもありますように、これまでの代表的な判例及び裁判例の内容を整理解雇四条件に関するものを含めて周知すること等により、この規定の趣旨について十分な周知を図っていただきたいと思いますけれども、どのように対応されるでしょうか。
#194
○大臣政務官(森田次夫君) 政府といたしましては、リーフレット等を作成をいたしまして、都道府県の労働局あるいは関係行政機関におきまして解雇権濫用法理を確立した最高裁の判決を始めといたしました判例、裁判例の周知を図ってまいるとともに、集団指導等のあらゆる機会をとらえましてこの規定の周知を図ってまいりたい、そしてこの規定の趣旨について使用者の理解を促進して安易な解雇や不当な解雇の防止に努めてまいりたい、このように考えております。
#195
○浅尾慶一郎君 それじゃ具体的にどの判例、裁判例を使われようとされていますか。
#196
○大臣政務官(森田次夫君) 具体的には、例えば解雇権濫用法理を確立いたしました最高裁の判決と言われております日本食塩製造事件、昭和五十年、それから高知放送事件、五十二年を始め、いわゆる整理解雇四条件についてのリーディングケースと言われております東洋酸素事件における東京高裁の判決、五十四年でございます、も含めまして多数蓄積されてきた判例、裁判例を整理した上で、これまで解雇権濫用法理によってどのような事例が解雇有効と判断され、また解雇無効と判断されてきたのか、周知に努めてまいりたいと思います。
#197
○浅尾慶一郎君 じゃ、そのための予算はどうなりますでしょうか。また、何をいつまでに行うつもりでしょうか。
#198
○国務大臣(坂口力君) 判例でありますとか裁判例につきましてのリーフレットは、この法律が成立をしました場合には、その後施行までには直ちに完成をさせまして、この施行に合わせて周知徹底に努めてまいりたいというふうに思っております。
 これに要します費用につきましては、適切な額を用意をしたいというふうに思っておりまして、十分に周知徹底できるようにしたいと思っております。
#199
○浅尾慶一郎君 次に、有期労働契約について伺いますが、有期労働契約については多様な選択肢を用意するという観点から労働者のニーズにこたえたものだというふうに、あるいはこたえる側面もあるというふうに先ほど大臣の方からも御答弁をいただきました。
 じゃ、実際に現在の常用労働者あるいは学卒者等の労働者側のニーズはいつ、どのような形でそのニーズを調査し、把握したんでしょうか。
#200
○大臣政務官(森田次夫君) ちょっと余分な答弁になるかも分かりません。質問だけじゃなかったかと、ちょっと私取り違えてよく分からなかったんですけれども。
 有期契約労働につきましては、厚生労働省において平成十一年と十三年度に調査をいたしております。そこで、自分の希望や都合で有期労働契約という働き方を選択している者が約四割強でございます。そして、そのような中でもっと長い契約期間が望ましいと考えている労働者も約四割存在をいたしております。
 そういったことで、そのニーズ等は把握しているわけでございますけれども、しかしながら常用労働者が有期労働契約に切り替えられることを望んでいるとか、また新規の学卒者が有期労働契約を希望しているかといったことにつきましては特に把握はいたしてございません。
#201
○浅尾慶一郎君 じゃ、次の質問ですが、有期労働契約について、現行一年契約にまつわる途中退職や雇止めに関するトラブルについては年間どのぐらいあるでしょうか。
#202
○大臣政務官(森田次夫君) 雇止めにつきまして、平成十一年の調査によりますと、事業所調査では、雇止めに伴うトラブルがあったとした事業所は一割程度でございますけれども、そのトラブルの原因は、理由に納得してもらえなかったとか、更新への期待についての認識の違いが多くなっていると。
 また、有期契約労働者が契約期間中に退職したことに伴いまして使用者から損害賠償を請求されたような具体的な事例は把握しておりません。
#203
○浅尾慶一郎君 それでは、例えば肩たたきやリストラにより解雇された上で一年契約を結ぶという事例はどのくらいあるんでしょうか。
#204
○大臣政務官(森田次夫君) 労働契約は労使当事者間の合意に基づきまして締結されるものでございますので、いわゆる肩たたきやリストラにより解雇した上で一年契約を締結している労働契約の事例の具体的な数については把握しておりません。
 契約期間一年以内の労働者は、総務省の労働力の調査によりますと、平成十四年度には七百二十七万人で、全雇用者五千三百三十一万人でございますけれども、占める割合は一三・六%となっております。
 なお、新規学卒労働者で一年契約を結んでいる者の数は把握しておりませんけれども、平成十一年に実施した有期契約者に関するアンケート調査によれば、有期契約労働者の現在の会社への入社形態等につきまして労働者に調査したところによりますと、五千百六名中に新規学卒採用の者が二・一%、人数で百七人、このようになっております。
#205
○浅尾慶一郎君 現行の十四条は、専門的知識を有する労働者が不足する事業場において認められた者としておりまして、この限定があるために現在いる労働者を解雇して新たに専門知識を持つ労働者を有期で雇い入れることはできなかったわけであります。
 今回、このことを削除した措置の趣旨はどういうところにあるんでしょうか。また、そうしたことによって解雇される者は生じないんでしょうか。
#206
○大臣政務官(森田次夫君) 現行の有期労働契約の期間の上限の特例でございますけれども、高度の専門的知識等を有する労働者が不足している事業場において、新たに業務に就く者のみに対象を限定することとして三年契約で更新することを認めていないわけでございますけれども、しかしながらこのような高度の専門的な知識を有する労働者につきましては、現行の特例の施行以来四年を経過しておりますが、労働者がその意思に反する拘束を強いられる等の弊害が生じているとは聞いておりません。むしろ一年契約への切替えによりまして、三年を超えた雇用を継続しているケースもあることを踏まえると、対象労働者が不足している事業場において新たに業務に就く者のみを対象とする限定が専門的能力の十分な発揮の阻害要因となっている、こういった可能性もあるわけでございます。
 そうした状況等にあるわけでございますが、このため、今回の改正による新たに特例、上限五年でございますけれども、におきましては、対象労働者が不足している事業場において新たに業務に就く場合には、限定せず特例の適用を認めることとしたものでございます。
 なお、今回の改正におきましては、解雇について、客観的に合理的な理由、いわゆる社会通念相当であると認められない場合は、権利の濫用として無効であることを限定しておりまして、専門的な知識等を有する労働者を有期労働契約に雇い入れること等を理由として、現在既に雇用している常用労働者を解雇することはこの規定に照らして無効となるものと考えておりますので、そういうことはないと思います。
#207
○浅尾慶一郎君 実際にそれは、調査は特にしていないと思いますが、調査されましたか。
#208
○大臣政務官(森田次夫君) 過去の裁判例の蓄積等から、このようなケースの解雇は無効となるということが明らかだと思いますので、特段の調査は必要ないと、こういった認識でございます。
#209
○浅尾慶一郎君 現行法では、三年有期の更新をする場合には三年の次は一年契約しかできないわけでありますが、改正法では、三年の次は三年、五年が五年として更新できるようになるわけであります。このことは、場合によっては常用雇用の代替を進めることになるんではないかという危惧を持つわけでありますけれども、何らかの歯止めは考えていないんでしょうか。
#210
○国務大臣(坂口力君) 今は、この御質問の問題は、これはいわゆる常用雇用者とそれから有期契約労働者の構成をどのようなものにするかということと結び付いてくるんだろうというふうに思っておりますが、企業の人材戦略でありますとか、事業のこれからのやり方というものと非常に密接に関係いたしておりますから、なかなか一概に言いにくいところでございますが、厚生労働省が行いました雇用動向調査の特別集計によりますと、一般労働者をパート労働者に代替している事業所の割合は、平成十二年におきまして約一割にとどまっております。それからまた、バブル期の平成三年と比較をいたしましても大きな増加にはなっていないということでございますが、しかし今後はこの状況というのはもう少し観察をしていかないといけないというふうに思っておりまして、過去のデータだけで考えてはいけないというふうに私も思っているところでございます。
 また、平成十三年の有期労働契約に関する調査結果によりますと、有期労働契約に関する法制度上の規制が緩和された場合、正社員数が変わらないあるいは増加すると答えた事業所の割合は六割強を占めておりますが、これらも今までの一つの調査でございまして、これからひとつこうした面もよく調査をし、絶えず状況の観察に努めていきたいと考えております。
#211
○浅尾慶一郎君 今、大臣の方から、これからよく調査をしていきたいというふうに御答弁いただきました。これは是非やっていただきたいと思いますので、具体的に、絶えずということなのか、この法案が成立し、施行されたら何か月か後には必ずということなのか、その点について御答弁いただけますでしょうか。
#212
○国務大臣(坂口力君) この法律、施行されまして一年ぐらいの経過を見れば大体今後の動向というのは分かると思いますから、それぐらいの時点のところでは是非今後の、どういうふうに今までとこの成立後とが違うのかどうか、同じなのか、そうしたことを調べたいと思っております。
#213
○浅尾慶一郎君 そうした調査に基づきまして、この三年後の見直しに当たっては、そういう調査が行われれば客観的なデータも出るわけでありますから、そのデータを分析した上で見直しを行っていただきたいと思いますが、その点について伺いたいと思います。
#214
○国務大臣(坂口力君) 今後どういう結果が出るか分かりませんけれども、そうしたことも十分参考にしたいと思っております。
#215
○浅尾慶一郎君 時間の関係で少し質問を飛ばさせていただきますが、雇用調整助成金、この点について伺わせていただきますが、この雇用調整助成金の支給対象になる短時間休業について、いわゆるワークシェアリングの促進につながるよう要件が緩和されているわけでありまして、こうした制度には、その趣旨には賛同するわけですけれども、どうも全国で見ても、当該ハローワークによって申請から支給までの時間にばらつきがあるようでありますが、申請から支給まで早いところでどれぐらい、そして最大限掛かってどれぐらい掛かるものなんでしょうか。
#216
○大臣政務官(森田次夫君) 早いところでは、愛知県が四十二・一日でございます。それから、遅いところでは、東京が九十九・六日、約百日でございますね。ちなみに、先生の神奈川では六十・九日で、大体平均でございます。
#217
○浅尾慶一郎君 大変大事な制度だと思いますし、制度の趣旨に賛成するわけでありますので、是非一番早い例えば愛知県にそろえるようにしていただけると有り難いというふうに思いますが、その点について大臣の御所見、御意見、決意を伺いたいと思います。
#218
○国務大臣(坂口力君) できるだけそういうふうに努力をしたいと思っております。
#219
○浅尾慶一郎君 では次に、労働基準法に関連する問題としてILO条約の批准の問題についてお伺いいたしますが、まず百五十八号条約、いわゆる使用者発意による雇用の終了に関する条約について伺ってまいります。
 この条約は、御案内のとおり、一九八二年に採択され、解雇の場合の差別や不当な行動の禁止と救済を定めた条約でありますが、この条約が、ILO百五十八号条約が批准できない理由はどこにあるんでしょうか。
#220
○副大臣(矢野哲朗君) 今御指摘のとおり、使用者の発意による雇用の終了に関する条約でありますけれども、労働者を使用者の発意による雇用の終了から保護することを目的として、労働者の雇用を終了させるに当たっての妥当な理由、そして雇用の終了前又は終了後の手続等について規定した条約であります。
 雇用の終了については多様な形態があるわけでありまして、条約が求める措置を一律に実施し得るかどうかということで国内法制等との整合性の問題がまだ残っております。ですから、慎重に対応したいという思いであります。
#221
○浅尾慶一郎君 国内法制と整合性を取っていかなければいけないというのは当然のことでありますが、我が国がILO条約、ILOで定めた、採択された条約をまだ批准できていない、幾つもそういう条約あると思いますが、できていないということだとすると大変重要な問題もあるんではないかなというふうに思います。特に、人権を大切にする国であるということを国際社会に示していく上でも必要かなというふうに思いますので、是非国内法制を整備した上で積極的に批准をしていただきたいと考えますが、外務省の考えはいかがでしょうか。
#222
○副大臣(矢野哲朗君) 浅尾委員御指摘のとおり、ILO条約で今後批准の検討の対象となり得るもの、相当ございます。ですから、ILO条約につきましては、各国の政府、労働者及び使用者の様々な関心を反映されまして、種々の分野を対象としたものが採択をされてきております。
 政府としては、それぞれの条約の目的、内容、我が国にとっての意義等を十分検討の上、またその時々の国内のコンセンサス、国際世論等も勘案しまして、批准することが適当と考えるものについては国内法制等との整合性を確保してこれを批准するべきものと考えております。
#223
○浅尾慶一郎君 来年の通常国会ではこのILO条約を、幾つもまだ残っているというふうに伺っておりますが、是非少なくとも一本は批准することに全力を挙げていただきたいと思いますが、お約束いただけますでしょうか。
#224
○国務大臣(坂口力君) ILO条約につきましては、経済産業の発展の程度、それから労働市場や雇用慣行の実情等様々な、各国の政府、労働者及び使用者のそれぞれの関心を反映をいたしておりまして、種々の分野を対象としたものが採択されてきたところでございます。
 我々といたしましても、この労働関係のものあるわけでございますから、外務省とよく御相談をさせていただきまして、少しでも前進できるものは前進をさせたいというふうに思っている次第でございます。
#225
○浅尾慶一郎君 少しまだ時間がありますので、先ほど飛ばしました質問に戻らさせていただきますが、有期労働契約の雇止めの場合、雇用保険の退職事由については現行事業主都合というふうになりますけれども、保険の実際の支給期間は自己都合として扱われているという制度のようであります。
 雇止めということは、実際は更新を希望しているのに更新してもらえない場合は、やはりこれは保険の方も支給期間も事業主都合というふうにした方がいいんではないかと思いますが、その点についてはいかが考えられますでしょうか。
#226
○国務大臣(坂口力君) 雇用保険の基本手当につきましては、これは倒産でありますとか解雇等の理由によりまして離職をしました者につきましては、離職者があらかじめ再就職に備えて準備を行うことが難しいことから、この所定給付日数を手厚くしているところでございます。
 有期労働契約により雇用されている者については、契約が複数回にわたり反復更新されている場合には次の契約更新に対する期待が生じることから、事業主都合による雇止めについては事業主都合による解雇として取り扱っているところでございます。
 これによりまして、御指摘のような契約更新がなされていない場合には契約更新の期待が生じるとは認められないことから、事業主都合による解雇として取り扱うことは困難であるというのが正式な、書いてあることでございますけれども、三年になりますと、三年をもう一遍また延長するといったときにはこれ同じように、同じようにと申しますか、雇用保険の取扱いにつきましては倒産・解雇と同じに扱うということにこれはしたいというふうに思っております。
#227
○浅尾慶一郎君 三年あるいは今度五年という有期労働契約ができるといたしますと、三年の者について複数回、二回ぐらい反復継続していればこれは一年の有期労働契約と同じように、今の御答弁は、確認ですが、事業主都合になるという理解でよろしゅうございますね。
#228
○国務大臣(坂口力君) そういうふうに理解していただいて結構かと思います。
#229
○浅尾慶一郎君 もう一点、現行の一年の場合でもそうでありますが、退職事由については事業主都合となるんですが、保険の支給期間については自己都合として扱われているというケースがあるわけでありまして、これも雇用保険財政の問題とかいろいろあるんだと思いますが、実際は、反復継続で期待も生まれてくるということを考えると、保険の支給期間についても事業主都合となるように検討をしていただきたいと思いますが、その点についてはいかが思われますか。
#230
○国務大臣(坂口力君) ちょっとそれじゃ調べさせてください。それで、後で御答弁申し上げます。
#231
○浅尾慶一郎君 是非よろしくお願いいたします。
 最後に、まだ少し時間がありますので、先ほど伺いました雇用調整助成金について、これの期間が一年以内で延べ休業日数が百日分までという支給期間があるわけでありますけれども、これを延長していただいた方が、現下の経済情勢を考えますと、その方が労働者あるいは使用者双方にとって景気が回復すればまた再びフルで雇うということも考えられるのではないかと思いますが、その点について御検討はいただけないでしょうか。
#232
○大臣政務官(森田次夫君) この制度は一時的な雇用調整を行う事業主を支援するという、そういった制度でございます、趣旨でございまして、そういった趣旨にかんがみますと、支給対象期間を一年間、そして支給対象日数が百日間ということで、百日間ということは休み等を除きますと大体五か月分ぐらいに相当すると、こういうことでございまして、これ以上のことについてはちょっと今のところ考えてないと、こういうことでございます。
#233
○浅尾慶一郎君 ほぼ時間が参りましたので、最後に、今日の質疑を取りまとめまして、労働契約に関する規制緩和ということが基本的に今回の労働基準法の改正の中身であるわけでありますけれども、これは今日の質疑の中でも大臣の方からも御答弁いただきましたが、労働者の保護という観点も是非とも忘れてはいけないわけでありまして、この法案が通りました後の事後チェック機能の強化が不可欠になってくるんではないかなというふうに思います。
 今後の監督行政ということを考えますと、監督官の増員等もその場合には必要になってくるんではないか、社会全体が事後規制という流れの中でアンパイアの数を増やしていくということは大事なことではないかなと思いますが、その点について大臣の御決意を伺いまして、質問を終わります。
#234
○国務大臣(坂口力君) この法律が円滑に実施されるようにいたしますためには、今お話しいただきましたように、やはり労働基準監督署の職員というものの数につきましても大事な要素の一つだというふうに思っております。
 非常に全体のこの公務員の厳しい中ではございますが、これまでもこの基準監督署につきましてはかなり人数を確保してきたところでございまして、これからもできる限り、ここは大事なところでございますので、確保をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
#235
○浅尾慶一郎君 終わります。
#236
○沢たまき君 公明党でございます。よろしくお願いいたします。
 解雇規制につきましては、整理解雇、懲戒解雇、普通解雇とありますけれども、今まで整理解雇要件として人員の削減の必要性など四つの条件がありましたけれども、ナショナル・ウエストミンスター銀行事件決定を始めとする近時の一連の東京地裁決定・判決は、これまでの厳格な要件を相対的な要素としてとらえ直して、個別的、具体的な状況に応じた柔軟な法理として再構成することが試みられております。
 解雇規制の在り方について、従来の実体的要件を重視する規制から、当事者による集団的協議・調整という手続的要件を重視する規制へと改革を進める必要があります。すなわち、労働者の生活保障、人格的価値の尊重、効率的企業経営の要請など、解雇規制について多様な価値、利益を反映することが求められているのではないかと思いますが、この点について、まず坂口厚生労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
#237
○国務大臣(坂口力君) この整理解雇の有効性につきましては、具体的にどのような事情を考慮して判断するかということは裁判所の判断であると認識をいたしておりますが、御指摘の労使協議等の手続につきましては、解雇の有効性の判断に際しまして、いわゆる整理解雇四要件の一つといたしましてほとんどの裁判例において考慮をされたというふうに思っておりますし、また労使の様々な事情も、人員削減の必要性でありますとか、整理解雇という手段を選択する必要性があったのかどうか、あるいは解雇対象者の選定の妥当性の判断に対して考慮されているところだというふうに思っております。
 今までからもこの解雇につきましては民法の中に定められておりましたけれども、私は、労働基準法という、労働者の権利を守るというこの法律の中に位置付けられたということに私は大きな意味があるというふうに思っている次第でございます。
 衆議院の方で修正をしていただいたわけでございますが、私は、この解雇に対します十八条の二のところの条文につきまして、政府が提出いたしましたものと、そして今回修正をしてもらったものとの内容は決して変わったものではないというふうに思っております。私が言いますと、自分で出しておいて自分で言っているんだから駄目だというふうに言われますけれども、これは政府の方、法制局、政府、法制局の方の判断といたしましてもそれは同じだという判断でございまして、私たちはそれをお受けをしたところでございます。
#238
○沢たまき君 ありがとうございました。
 当然、労働基準法の目的は、今、大臣もおっしゃいましたが、対等の立場にない使用者と労働者の間に交わされる雇用契約について、契約の自由を定める民法の特別法として労働者の保護を図ることにあります。しかし、今日のように、雇用失業情勢が厳しくて、また雇用形態の多様化が進む中にあって、総合規制改革会議の第一次答申でも提言しておりますように、より市場に通じた雇用保障を拡充し、多様な就業・雇用形態に対応し得るような形に改革していくことは時代の要請だろうと思います。
 そこで、本法律案も含めまして、労働分野の法改正を施行するに当たっては、その運用に当たって、労働者ばかりではなくて使用者側の責任についても極めて重いものがあると思います。改正の意義と目的を使用者もよく理解をして、労働者あるいは組合と正面から向き合う誠実な対応をしていくべきだと思いますが、この点もまず大臣にお伺いをしたいと思います。
#239
○国務大臣(坂口力君) 労働基準法といいますのは、これは使用者と労働者の立場を比較いたしました場合に、委員もお触れになりましたように、やはり労働者の方の立場が弱い立場になっている、そこをバックアップをして、労使の対等の立場で話合いができる、そういう環境を作ることにこの法律の趣旨はあるわけでございますから、この中に今回この法律を書き込んだことは大きな意味があるというふうに思いますし、そしてそのことについてやはり使用者側も十分に理解をしていただかなければならないわけでございます。
 私たちもその周知徹底にこれ努めたいというふうに思っているところでございまして、先ほどもお答えいたしましたように、パンフレット等、まあパンフレットだけではいけませんけれども、しっかりと理解をしていただけるようにしたいというふうに思っておりますし、また経営者の皆さん方の集まり等におきましても、新しく労働基準法が改正をされて、そしてこういうことだという中身につきましてもよく理解をしていただきたいと考えております。
#240
○沢たまき君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 今まで解雇権の濫用につきましては、最高裁判所の判例によって抑止が図られておりますし、法的には、労働基準法第十九条解雇の制限措置、同法第二十条の三十日前解雇予告によってせめてもの解雇抑止効果を期待するのみで、極めて不安定な状況にあったと言わざるを得ません。そこで、これまで判例にゆだねてきたことは極めて不適切であったと思っております。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 その意味で、今回の労基法の改正で解雇権濫用法理を確認する規定が設けられましたことは、大変国の責任がより明確になった、労働者にとっても極めて大きな前進であります。今までは専ら判例によっていたものがしっかりと法律に書き込まれたということは、労働者保護に大きな役割と前進になろうかと思っております。
 この十八条の二の、解雇は、客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とするとの規定は裁判の判例そのものでありますから、そこで、整理解雇に至る経緯及びその実施時期、方法などについて使用者は十分な説明が必要であると考えますが、厚生労働省はこの点どのように指導されていくおつもりなのか、御見解を承りたいと思います。
#241
○政府参考人(松崎朗君) 御指摘のように、今回の規定、最高裁判例をそのまま書いたわけでございますけれども、やはり今まで労使におきましてもなかなか浸透しておらないといった面がございました。
 そういったところから、パンフレット等を作成いたしますと同時に、これはいろんな場、労働行政の現場、労働局それからまた労働基準監督署でございますけれども、そういった現場におきましていろんな場を通じましてこういった裁判例の集積、そういったものを周知徹底すると。特に、使用者の方については安易な解雇、不当な解雇にならないように指導していきたいというふうに考えております。
#242
○沢たまき君 少し具体的にお伺いいたします。
 説明、協議がなされても絶対的な公平な基準を定めるということは現実的には不可能だろうと思います。その場合、経済補償や再就職支援について十分協議をされたかどうか、あるいはその協議の実効性については濫用の可否の判断基準となるんでしょうか。
#243
○政府参考人(松崎朗君) 整理解雇につきましては、御案内のように、これは昭和五十四年の東京高裁判決東洋酸素事件、これがいわゆるリーディングケースと言われているわけでございますけれども、その中におきましてかなり具体的にこの四要件、いわゆる整理解雇四要件というものを明示してございます。
 一点目に人員削減の必要性、二点目といたしまして人員削減の手段として解雇を選択することの妥当性、三点目としまして解雇対象者の選定の妥当性、それから四番目として解雇手続の妥当性ということで、これがいわゆる整理解雇四要件と言われているわけでございまして、これによって高裁におきましては判決をしたわけでございます。
 これはまだもちろん高裁の判決でございまして、最高裁の判例には至っておらないわけでございますけれども、それ以降これがリーディングケースとなりまして、多くの下級審の裁判例におきましてはこういった、用語としましては要素と言ったり要件と言ったり違いはあるにしましても、多くのものにつきましてはこういった四要件に該当するかどうかといったことを具体的事案に当てはめまして判断をして解雇が有効か無効かということを判断してきているところでございまして、具体的には、正に個別の事案でございますので個々の裁判において判断されるということになるわけでございますけれども、今申し上げましたように、過去の例、裁判例の例を見てみますと、やはり出向とか配転、それから希望退職、そういったものが解雇を回避する措置として判断されているのが一般的でございまして、委員御指摘のように、経済的な補償といいますか、金銭的な面でございますとか再就職の支援策、そういったものが確かに判断されない場合はないとは言えませんけれども、余り例としてはなかったんじゃないかということで、一般的ではないんではないかなといった気がしております。
#244
○沢たまき君 分かりました。
 次に、希望退職者の募集の場合なんですが、希望退職については、原則、企業全体の労働者に対して希望を募るべきだと思いますが、これを個別部門あるいは個人を特定して希望退職を募った場合、どのような問題が起きるでしょうか。
#245
○政府参考人(松崎朗君) これは、部門でありましても、例えば個人を特定してといいますか対象を特定しても、一応、原則として希望退職の募集に応じて労働者の方が退職したという場合はこれは解雇にはなりませんので、例えば十八条の、新設の十八条二の条文の対象ということにはならないと考えておりますけれども、ただその希望退職のやり方といいますか募集のやり方が、希望退職とはいいながら実質上もう逃げられないといいますか強制するような格好であれば、これはもう逆に希望退職の募集ではないということにもなるということで、やはり原則は当たらないと、問題は生じないと思いますけれども、そういう希望退職募集のやり方によってはいろいろ解雇問題といったことになる事例もあろうかと思います。
#246
○沢たまき君 ありがとうございました。
 次に、整理解雇を行う場合ですが、対象の人選基準について、弱者保護の観点から高齢者あるいは障害者については配慮されるべきではないかと思っておりますが、厚生労働省、どのようにお考えでしょうか。
#247
○政府参考人(松崎朗君) これも先ほどの整理解雇におけるいわゆる整理解雇四要件の中で対象者の人選の妥当性、公正な基準というのがございましたけれども、そういったことで客観的で合理的な基準を設定しまして、これを公正に適用して行われた場合には先ほどの一つの条件をクリアするということが一般的に言われるわけでございます。
 したがいまして、その年齢につきましてもその基準として確かに取り上げる場合もあるとは考えられますけれども、個別の事案において年齢について取上げ方がどういうふうな重みを持っているのかといった点、そういった点も含めましてやはり個々具体的な判断が必要かと思っておりまして、やはり一概には申し上げることは困難じゃないかというふうに思っております。
#248
○沢たまき君 次に、今日的な解雇の問題について伺います。
 解雇は使用者の責任、労働者の責任に帰する要素があると思いますけれども、例えば事業所内の風紀が乱れることで仕事に著しい障害が出る場合も想定されますが、その場合、著しく職場の風紀を乱した者を使用者は解雇できるのでしょうか。例えば、恒常的にいじめを行ったり暴力を振るう者、またそれに対し何回か注意をしても直らないような場合はどうでしょうか。
#249
○政府参考人(松崎朗君) まず、何か企業、職場の中で風紀を乱したといった責任者というか本人を解雇した場合ということの御質問だと思いますけれども、これにつきましてもとにかく解雇には当たるということになると思います。
 通常の場合、こういった場合には、この場合、就業規則のどの解雇なり懲戒処分、その条文のどこに当たるかといったことを示して解雇すると思いますけれども、いずれ最終的には、解雇の有効・無効につきましては、現在でいいますとこの解雇権濫用法理、それから今度の法案が通って施行になった場合には十八条の二ということによりまして、本当に権利の濫用かどうかというところで最終的にはその解雇が有効か無効かということが判断されることになろうかと思います。
 したがいまして、そのときに、解雇された人がその職場の風紀を乱した、秩序を乱したということについてどれだけの責任があるのかといったこと、そういったことが具体的にきちんとした事実があるということ、したがいまして客観的に合理的な理由があるという点、そういう事実がきちんと証明され、さらに処分としての解雇というものが社会通念上相当である、行き過ぎではないということになれば、これは解雇有効ということになる場合があるわけでございまして、そういった非常に秩序を乱したといったような度合いが激しい場合には解雇有効となる場合が多いんじゃないかと思われますけれども、いずれにしましても、これも個別の事案、そういったものについて個々具体的に判断されるべきものでございますので、やはり一概にすぱっと言うのは困難だということを申し上げなければなりません。
#250
○沢たまき君 次に、裁量労働の規制緩和についてお伺いいたします。
 裁量労働制というのは、労働者本人の大幅な裁量を必要とする業務を対象とするもので、結果として、労働時間の長さではなくて、成果とか業績に基づいて賃金を決定するものです。裁量労働制導入というのは労働者に大きな影響を与えることから、その運用については慎重を期する必要があると考えております。
 そこで、裁量労働者の対象者は、本人に大幅な裁量を与えられるというのが対象になる人だと思いますが、具体的にはその御本人にどれくらいの裁量権がゆだねられなければならないのでしょうか、ちょっとそこら辺を伺わせていただきたいと思います。
#251
○政府参考人(松崎朗君) 企画業務型裁量労働制でございますけれども、これは業務の要件としまして、業務の性質上、これを適切に遂行するにはその遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務というものを対象にして限定をしております。
 このように、大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務という意味でございますけれども、これも具体的に指針で示してございますけれども、当該業務、そういった業務の遂行の手段、それから時間配分の決定などに関して使用者が具体的な指示をしないこととする業務ということで、具体的な指示をしないというところがポイントでございます。したがいまして、何時にはいなければならないとか何時から何時まではいなければならないといったような具体的な指示をしてはならないというところでございます。
 なお、裁量にゆだねる必要性ということを申し上げましたけれども、その判断に当たりましても、これ使用者が主観的にその必要があると思って遂行の方法を大幅に労働者にゆだねている業務というものではございませんで、業務の性質上、客観的にその必要性があるということが必要だということとしております。
#252
○沢たまき君 そこで、使用者が指示をしないということでございますが、これがやっぱり賃金にどのように反映をするかというのはやっぱり裁量権を与えられた労働者側の関心事でございますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
#253
○政府参考人(松崎朗君) 裁量労働制といいますのは、もう御案内のように、労働時間の管理を自分で行うということで、自分に合った労働時間配分をしてゆとりが生まれるような働き方をしていくということをねらったものでございます。したがいまして、労働と賃金というリンクというもの、こういったものは正に時間給幾らといったものではございませんので、直接のリンクというものではなくて、やはり事業場の中でのいろんな賃金の決め方、そういったものによって決まるんだろうというふうに考えています。
#254
○沢たまき君 では次に、若年者のことに関してちょっと伺いたいんですが、若年者労働の対策なんですが、実は私のところに本年の四月に陳情がありました件でちょっと伺います。
 その件は、新しく社会人になられた方の話で、四月に大学を卒業いたしまして、入社式を終えてすぐにその新しい会社の研修、新人研修、十一日間の新人研修があったそうです。その新入社員は、その十一日間の五日目の朝、その研修所を飛び出して、ちょうど四月でありましたけれども、雪が降っていた山の中を歩き回りいなくなったと警察に捜索願を出したんですけれども、しっかり捜していただけない、翌朝、二十四時間後に凍死をしていたという姿で発見されたというやり切れない事件があったんですが、この件は労働基準監督署にも調査するように要請してありますが、明らかに労基法の違反があったんではないかともおっしゃっております。
 私も、その研修内容というのを調査いたしましたが、何といいましょうか、朝六時に起床して、そして夜の十一時ごろまで毎日研修が続いております。その十一時終わった後にも、翌日の研修をまとめて班別に分かれて、班長と言われた方はもう二時、三時ぐらいまでそれをまとめていなければならなく、グループで議論もしなければならずというような、こんなスケジュールでございました。私の調査の結果の感想を申し上げますと、研修というより体力の限界に挑戦させられるような前時代的な研修の内容でありました。
 この御両親が労災を申請されるとのことです。しかし、労災の適用については、その研修所を無断で飛び出したということで職場放棄ということになり何とも言えない状態ですが、ただ言えますことは、御両親の気持ちとしては、新入社員として希望を持って研修に行ったのに帰ってきたのは亡きがらであったということで、大変に御両親も残念に思っていらして、できることならば、精神的な要因でも因果関係が、この新入社員の息子さんが心身ともに極限の状態にあったのではないか、職場放棄をするような子供ではないけれども、精神的な要因でも因果関係が明確になった場合は労災の認定をすることが私は妥当ではないかという、御両親のお姿を見てそのように感じたんですけれども、いかがでしょうか。
#255
○政府参考人(松崎朗君) まず労災任意保険の認定でございますけれども、これは個々の請求事案につきまして、業務の内容など、そういったものを具体的に調査した上で、その業務とそれから起こりました疾病等の間の客観的な相当因果関係、そういったものの有無を判断して行っているところでございます。
 したがいまして、委員御指摘のような事案につきましても、精神的な要因によるものとして請求がなされた労災保険、労災の請求をなされた場合にはきちんと対応するわけでございますけれども、その場合、特に心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針というもの、こういったものを平成十一年の九月に作っておりまして、この指針に基づきまして判断しているわけでございますけれども、その中におきましては、どういった判断項目、どういった点を判断するのかということがございます。
 そこに大きく三、四点ぐらいあるわけでございますけれども、一つは精神障害の発病の有無でございます。それから二つ目として、業務による心理的負荷の有無、それから三番目として、その逆でございますけれども、業務外の、業務以外で心理的負荷があったかないかと、要するに業務とは関係ないところが原因じゃないかといったところの判断でございます。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
それからさらには、個体的要因といいますか、元々、失礼ですけれども、元々精神障害の既往症なんかがあったかどうかといった点、そういった主に四点、そういった面を総合的に判断をしまして業務上か業務外かといったことを判断をすることになります。
 いずれにしましても、こういった請求ももちろん今までも何件もこういう請求もございますし、業務上として認定したケースもございます。そういったことで、こういった請求がありますれば迅速かつ適切に対応していくということでやっております。
#256
○沢たまき君 ありがとうございます。
 私は、今の時代にこのような研修が行われているとは思っておりませんでした。企業の研修内容につきましても、事前に産業医がチェックをして適正な研修の内容とするよう指導するべきだと思いますが、そういうことは労働省としてはどうなんでしょうか。
#257
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、研修といった場合には、普通一般的には、研修というものが健康に悪影響を与えるといったことは非常にまれなケースじゃないかと思っておりまして、だから一律に義務付けということにつきましてはやはり慎重な検討が要るんじゃないかと思っております。
 しかしながら、法律上も、産業医は、労働者の健康を確保するというために必要があると認める場合には事業者に対しまして必要な勧告ができるということになっております。したがいまして、何か健康障害が起こった場合に乗り出すんではなくて、健康障害とかそういったことが起こらないように、健康確保のためにこの産業医がいるんだという本来の目的、そういったものを私どもも再確認したいと考えておりまして、例えばこの産業医の研修、これも全国で行っております。そういった産業医に対します研修の資料なんか等におきましても、いろいろな健康確保上配慮すべき事項の一つとして具体的な事例、好事例もあり悪事例もあると思いますけれども、そういった事例なども入れながらこういった研修するといったことも検討していきたいというふうに考えております。
#258
○沢たまき君 では、最後の質問です。
 新卒者あるいは若年者、社会の中に希望を持って飛び込んでいけるような体制の整備は今、緊急を要しております。
 先日、決算委員会で我が党の遠山議員が、省庁横断的な総合青年政策を強力に進めていただきたい旨質問をいたしました。内閣府で今年の夏に青少年育成施策大綱が策定されると御答弁があったようですが、私は、この青年の死を無駄にさせないためにも、関係省庁が連携をしてより一層努力をして政策を進めていただきたいと思っております。
 青少年育成施策大綱について、内閣府と厚生労働大臣に伺って質問を終わらせていただきたいと思います。
#259
○政府参考人(山本信一郎君) 今、委員御指摘のように、次代を担います青少年の育成につきましては、二十一世紀の我が国の社会の在り方にかかわる国政上の最重要課題の一つであるという具合に認識をしております。
 そういうことで、青少年育成施策の総合的かつ効果的な推進に向けまして、省庁横断的なより強力な推進体制が必要であるという考え方の下に、本日の閣議におきまして、内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚により構成されます青少年育成推進本部を設置することが決定されたところでございます。
 この推進本部では、今年の夏に青少年育成施策大綱を策定をすると。この大綱におきましては、基本理念とかあるいは中長期ビジョンなどを包括的に示すということにしたいと考えておりますけれども、この大綱策定をしまして、この大綱ができましたならば、これに基づいて政府一体となった青少年施策の取組を強力に進めていきたいという具合に考えております。
#260
○国務大臣(坂口力君) 今日もこの委員会が終わりましたら、直ちに四省、経済産業省、そして文部科学省、そして厚生労働省、そしてもう一つは内閣府でございますが、この四省大臣折衝を行いまして、若年者、とりわけ高校卒、そうした皆さん方の就職をどうこれから改善をしていくかということの話合いをする予定になっておりますし、そして今日はその最終結論をまとめたいというふうに思っているところでございます。ひとつ、厚生労働省のみならず、各省庁連携の下にやりたいというふうに思っております。
#261
○沢たまき君 終わります。
 ありがとうございました。
#262
○井上美代君 日本共産党の井上美代です。
 今日は有期労働を中心に質問をしたいと思います。
 今回、解雇ルールについては衆議院で修正をされたことが先ほど質問の中でもはっきりしましたけれども、これ自身は大変大きな成果ですが、修正された法案にもやはり重大な問題点がまだ残っておりますので、有期雇用の契約期間の上限を一年から三年に延長する問題、そして裁量労働制の拡大の問題、こういう問題について質問します。
 私は有期雇用の問題を取り上げたいというふうに思っているんですけれども、有期雇用の問題では、契約期間の延長により雇止めが広がることが一番懸念されております。労働政策審議会の建議でも事実上の若年定年制の増大につながるのではないかとの懸念があったと聞いております。有期雇用労働者には基本的には解雇規制ルールは適用されず、平均的には常用労働者より賃金など労働条件が悪いのが特徴です。企業のリストラそしてコストダウンの手段に使われやすいわけなんです。総務省の労働力調査でも有期労働雇用者は毎年着実に増えているということです。
 三年ほど前厚生労働省が出しました有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告によりますと、有期労働者を雇用する理由について事業所にアンケートを取ったところ、人件費の節約のためを挙げた事業所が七〇%近くに上っておりました。また、日本労働研究機構が昨年の六月に発表いたしました調査がありまして、事業再構築と雇用に関する調査というんですけれども、これによりますと、今後の契約社員そして派遣労働者の活用や、そしてまた臨時・季節・パート労働者の活用を拡大する企業が縮小する企業を大きく上回っているというふうにそのアンケート結果は示しております。
 今回の改正で有期雇用の上限が延長されますと、ますますこういった不安定雇用そして有期雇用の拡大に拍車が掛かるのではないかというふうに思いますが、参考人、いかがでしょうか、御答弁お願いします。
#263
○政府参考人(松崎朗君) 各企業それぞれが、いわゆる正規従業員といいますか常用労働者と、有期あるいはまた派遣でございますとかパートさんでございますとか、そういった労働者の方をどういうふうに構成しながら企業経営していくかといったことにつきましては、やはりその企業全体の事業戦略なり経営戦略といったものが基本にありまして、そういったものを進めていく上で人材戦略、これはもう人材の構成、配置さらにはキャリア形成、熟練をどうやって保っていくかといった点も全部入るわけでございますけれども、そういった人材の戦略、そういったものをきちんと考えた上で総合的に判断して決まっていくんじゃないかというふうには思っております。
 したがいまして、この法律の制度上、必ず三年にしなければならないというんじゃなくて、制度上有期労働契約の期間の上限を現行の一年から三年に延ばすということによって、そういうことを御提案しているわけでございますけれども、これによりますと、唯一現在よりも長期の雇用が可能になるということでございまして、したがいまして、個々の企業において、こういった改正によりまして、通常の常用といいますか、いわゆる期間の定めのない労働者の方から有期労働契約の労働者へと代替がこの改正によって進むというふうには私どもは考えてはおらないわけでございます。
#264
○井上美代君 拡大しないということですが、そこが違うというふうに思います。現在のやはり企業戦略というのは、正に短期的に利益を出すことを迫られ、そして人員削減によるリストラが進められているのが現状ですよね。有期雇用労働者の使い勝手が良くなれば、もうますます企業はコストダウンのためにその活用を拡大していく、そういうことだというふうに思うんです。だから、その見解がやはり、衆議院の審議を通じましても、本当に現状をどのように見ておられるのかということを強く感じているところです。
 私は、労働基準局長は審議の中で、労働政策審議会の使用者委員の中から、基幹労働力は期間の定めのない雇用にしており今回の改正の影響はないとの発言があったというふうにも述べておられますけれども、この基幹労働力というのがどの範囲をいうのかということを御答弁願いたいんですが。
#265
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、ただいま御質問のように、労働政策審議会の労働条件分科会でございますけれども、この審議の過程におきまして、使用者側の委員の方から有期労働契約に関しましてこんな発言がございました。企業においては基幹労働者は基本的に期間の定めのない雇用としており、今回の見直しに伴って基幹労働者を有期労働契約とすることは考えにくいと、こういった御意見がございました。
 ただ、これは使用者側委員の御発言でございまして、私どもとしましてここで言う基幹労働者が何を指すかということにつきまして確定した見解を示す立場にはないわけでございますけれども、あえて個人的な印象ということでよろしければ申し上げさせていただきたいわけでございますけれども、やはりここでおっしゃっている基幹労働者といいますのは、ホワイトカラー、いわゆるホワイトカラー、ブルーカラーを問わずだと思いますけれども、やはり長期的雇用慣行というもの、その長期的な雇用の中でキャリア形成を図っていくというものをベースにして、やはりオン・ザ・ジョブ・トレーニング、そういったものを中心とした企業内での能力開発システム、そういったものに乗りながら長い期間掛かって熟練といいますか、これは事務能力も同じです、一緒と思いますけれども、熟練というものをどんどん高めていくということによって、企業の側から見ればその企業経営をしていく上でなくてはならない人材ということになるでしょうし、また労働者の側から言えば、そういった企業で働くことによって誇りと生きがいを持って企業活動を通じて社会に貢献しているという自覚を持つといいますか、そういった労働者の方といったイメージが私は感じました。そういった方については今後とも決して減ることはないということを言われたんじゃないかと思っております。
#266
○井上美代君 結局、基幹労働力といっても、もうその範囲は正に経営戦略ですよね。それで決められるものだと私は思います。何ら有期雇用を制限する歯止めにはそれはならないというふうに考えます。
 局長は、常用雇用の有期労働者による代替について、合理的な理由なく有期に変更することがないように望まれると、こういう建議が出ていることを踏まえて、この点についてどうするか、具体的な方法を検討すると、このように答弁をしておられるんです。この場合、有期に切り替える合理的な理由というのは一体何だろうかと、この建議を読みながら思いました。また、常用代替を防ぐ具体的な方法とはどういうことを考えておられるのかということを御答弁願います。
#267
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、先ほども申し上げました労働政策審議会の建議におきましては、合理的理由がなく企業において期間の定めのない労働者について有期労働契約に変更することのないようにすることが望まれるといった意見がございました。
 そこで、合理的理由がなくということでございますけれども、これも建議の中には具体的には言ってはございませんが、それまでにいろんな御論議、そういったものを考慮いたしますと、やはり企業の人材戦略でございますとか、先ほど言いました事業戦略、そういったものとはかかわりなく専ら人件費を削減するためといった目的で、期間の定めのない労働者につきまして、当該労働者、いわゆる期間の定めのない労働者について、御本人が有期労働契約で働きたいと言っているわけでもないのに、そういう事情がないのにもかかわらず有期労働契約にするといったことをこの建議においては合理的理由なくといった表現をしたのではないかというふうに理解をしております。
 また、こういった懸念もあるところから、私どもとしましては、やはり今後、この労使に対しましてこういったいろんな場面を通じましてこの考え方、そういったものを周知徹底に努めていきたいと考えておりますけれども、具体的にどういうふうにしていくかということにつきましては、この法案が通った後、施行までの間にもう少し詰めさせていただきたいというふうに考えています。
#268
○井上美代君 なぜ常用代替を厳格に防ぐことができるのか。それで、今の御答弁で、私は、検討すると言っておられますのでなんですけれども、常用代替はやっぱり厳格に防ぐことができなければいけないと思うんですけれども、それだけで私はできるとは今お聞きできませんでした。私は、やはり正社員への有期への切替えをどうしても禁止して、有期の雇入れに対しては理由の明示を義務付けるなどのことを法的にやはり規制していくということなしに正社員への有期への切替えを禁止することはできないと思うんですね。
 だから、そういう意味では、是非検討をしていただいて、今度の法改正で随分私は、出てこないとおっしゃっているんですけれども、正社員との切替えというのは、それでもって人件費を削ることもできるんですし、だからこれは出てくるというふうに思うんです。だから、見解はちょっと違うようですけれども、私は、是非法的な規制、これをきちんとしていただきたいというふうに思っております。
 若年労働者への影響についてはいろいろと論議もされておりますが、先ごろ発表されました国民生活白書では、フリーターということで大変増えているということがいろんなところで言われております。不安定雇用を望んでいるのではないと、七割以上が正社員を望んでいるということもはっきりしております。
 私は、今回の改正というのは、若者たちの雇用の選択を広げるのではなくて、ますますの若者の不安定雇用化を進めてしまうと、そういう中身を持っていると思うんですね。彼らの願いにも、それは本当にこういう、有期雇用を望んでいる青年がいるなどということを言われるんですけれども、やはり彼らの願いというのは正社員になりたい、働き続けたいということだと思うんですね。やはり逆行することになるのではないかということを大変心配をしておりまして、そういう点で青年たちに希望のある明日を与えることができるのかということを思いますけれども、労働基準局長はどのようにお考えになりますでしょうか。
#269
○政府参考人(松崎朗君) 有期労働契約期間の上限の延長でございますけれども、これは、冒頭から趣旨の御説明として、今後の労使双方にとっての良好な雇用形態として活用されるような観点から行うというものでございまして、一年から三年に延ばすということにつきましても、三年が可能になるということで、より長期の雇用も可能になるということから、現在以上に若年者も含めまして契約の多様化といいますか、契約の選択の幅が広がるということになり、ひいては雇用の安定にもつながる面があるんじゃないかというふうに考えておりまして、これを改正によりましてすべてフリーターの増加を促進するとか、若年者の雇用に影響を与えるんじゃないかといった点が直に結び付くというものではないというふうに考えています。
#270
○井上美代君 私は、若年労働者への影響ということでは、例えば例を挙げたいんですけれども、ベスト電器というのがあります。会社があります。これは大手の家電量販店の一つです。福岡に本社があります。従業員は四千人おりますけれども、全国に五百八十店の店舗を持つ、言ってみれば上場企業です。
 この会社が来春の採用から新入社員百人全員を三年間の契約社員として採用するという報道がありました。契約は一年ごとに更新し、三年未満で正社員にすることもあるということで、試用期間という位置付けなんですね。だから、三年間のうちに採る社員なのかどうかというのを見るということです。大幅な人件費の削減も見込んでいるということなんですけれども、大手家電量販店で新社員全員を契約で採用するのは初めてだというふうに言われているわけですね。これはそういうことでマスコミも取り上げておりますけれども。
 こういう新入社員を有期雇用で採用するという動きというのはもう既に始まっておりますし、基準局長もよくその点は御存じだろうというふうに思います。三年への延長でますます広がるように思いますけれども、やはり一年ごとの更新ではなくて、今度は三年ごとの更新ですからね。三年後、例えば大学卒でも二十五歳になる。その次は六年後の二十八歳になる。今回のこの期間延長で雇止めは一層簡単にできるように、基本的には言ってみれば自由になるわけですね。だから、そういう点では、六年後の二十八歳で切ろうと思えば切れるということです。
 若い労働者が雇止めの不安を感じながら大変に弱い立場に追い込まれ、そして低賃金と過密労働が強いられることというのは本当に明らかではないだろうかというふうに思っております。
 今回の改正は、そういった意味で若年定年制につながるのではないかということが言われているんですけれども、これについては大臣にお尋ねしたいと思います。若年定年制という言葉が随分出てきているんですけれども、その点、どのようにお感じになっているでしょうか。
#271
○国務大臣(坂口力君) 私は、必ずしも全部が全部そういうふうになるとは思っておりません。派遣業のときにも申し上げましたけれども、今後の経済動向と大きくかかわってくるというふうに思っております。
 現在だけを見ますと、非常に雇用状況が悪いですから、今のままでいきますと常用雇用というのがなかなかない。そういたしますと、皆さん方は失業した状況を続けるか、さもなくばアルバイトをするかというようなことに選択されるわけでございますから、そうした皆さん方のところで契約雇用というのもあるいはあるかもしれないと私も思うわけでございます。
 しかし、雇用といえどもこれは需要と供給の関係でございますから、そうした状況が変化をしてくれば、私は今のようなことが続くというふうには理解をいたしておりません。したがいまして、これから先、有期雇用というものだけが継続をしてそしていくというふうにも私は思っていないわけでございます。
 もし仮に、先生が御指摘になりますような有期雇用がずっと続いていくというようなことになってまいりましたときに、じゃ、そのときにはどうするかというようなことは考えなければいけないというふうに思いますけれども、現在の段階、私はそうは思っておりません。
#272
○井上美代君 大臣がそうはならないとおっしゃっているんですけれども、それを大いに期待するところなんですけれども、やはりもう既に始まっている契約社員という有期雇用の問題というのは深刻だと思っております。
 JALの客室乗務員にこの契約社員制度が導入されておりますけれども、一年契約の三回更新なんですね。三年後に認められたら正社員にしてあげるよということなんですが、もう客室乗務員は病気にまずなっても休まない、結婚もしない、子供も産まない、そうでなければ正社員になかなかしてもらえない。本当に必死に頑張って雇止めにならないようにしているということですね。
 私は、女子の若年定年制への逆戻りだというふうに言われているんですけれども、思い起こしてみれば、一九七五年のあの国連の国際婦人年がありました。そして、その後、政府の国内行動計画がやられたんですけれども、一九七七年になりますけれども、政府はこの国内行動計画の前期計画目標を持ったわけなんです。そこには、若年定年制、結婚退職制、妊娠・出産退職制、こうしたものを早期に改善していくという、これが言ってみれば重点目標になったわけですね。そのようなことで、それをやめさせるために必死に政府もなって、私たちも運動しましたけれども、そういうことでやっと今少なくなって、まだ残ってはいるかもしれないけれども、かなりなくなった。それはやはり、もう何年かですぐ辞めさせられる、結婚、若年定年制、もう年齢をずっと決めますけれども、二十五歳、二十三歳というふうにして辞めさせられたわけです。これが、今度はやっぱり男性もでしょう。女性だけではなくて、男性もこれに、若年定年制にされたようなものに、そういう状況になっていくということなんですね。だから、そういう点で私は非常に心配をしております。
 都道府県労働局の雇用均等室に個別紛争解決の援助申立てをするケースがあるんですけれども、二〇〇二年度で九十八件、急増しているんですね。九十八件に急増しているんです。ということで、厚生労働省ではやはり不況の影響で企業が出産などを人員削減の口実にするケースが大変増えているというふうに見ていると報道されているわけなんです。有期雇用のケースが大半なのではないだろうかというふうに見ているわけなんですけれども、こういう実態が広がる中で、有期雇用の延長、そして拡大を進めることは本当に危険なことだというふうに思っているんです。男女平等、そして少子化ですね、この問題でも、女性が不安定雇用のところを、かなりそういう企業で働いているものですから、非常に重大だというふうに思っております。そういうことをまず私は指摘しておきたいと思います。
 さらに続けて、少子化対策ともかかわりますけれども、有期労働者への育児・介護休業制度の適用の問題を取り上げたいと思います。この問題は衆議院でももちろん取り上げられております。しかしながら、非常にやっぱり問題があるというふうに思います。
 育児・介護休業法の二条ですけれども、この二条のところには「日々雇用される者及び期間を定めて雇用される者を除く。」と、こういうふうに規定がしてあるんです。だから、日々雇用というのは日々雇用されていく人ですけれども、それと、期間が定めて雇用される者だから正に有期労働者、これは育介法が全く適用除外になるということなんですね。有期雇用労働の労働者にあっても、実際には、指針を出しておりまして、期間の定めのない労働者と実質的に同じ状態にある場合には育児・介護休業の対象となることになっているんですね。これは指針があります。
 しかし、昨年一月に大臣告示で出されているその指針なんですけれども、どのような場合に期間の定めのない労働者と同じになるかということをそこで決めています。そして、今回の法改正に当たっては、有期雇用の期限が三年に延びるわけでしょう。そして、特定の専門性を持った方は五年になるわけですね。有期雇用労働の育児休業、介護休業の取得にどういう影響があるか十分な吟味が必要だというふうに思っております。その吟味のためには、去年一月の指針がどれぐらい有効だったのかというのを見てみなければいけないと思います。
 現実にどれぐらい有期の雇用労働者がこの指針によって取得できたのかということ、そして調査研究する必要があると私は思っておりますが、そういう調査というのが一体されたんだろうかということですね。だから、法原則では有期労働者は適用されないんです。しかし、指針で、それを救出するというので指針が出ているんですけれども、その点、どういうふうになっているでしょうか、調査等についてお聞きしたいと思います。
#273
○政府参考人(岩田喜美枝君) 有期労働者の中で育児・介護休業の適用に実際どの程度の方がなっているかということについての調査研究についてお尋ねがございました。
 先生の御質問に対して直接的なお答えではないかもしれませんが、平成十一年度の女性雇用管理基本調査によりますと、育児休業制度の規定のある事業所の中で一六・九%の事業所が期間雇用者も育児休業の対象といたしております。また、四・四%の事業所は、期間雇用者、全体ではありませんけれども、雇用契約期間の長さが一定の期間以上であるとか、雇用契約の更新の回数が一定回数以上であるといったような条件を付けて期間雇用者を育児休業等の対象としているという結果が出ております。
 また、同様の内容を平成十四年度に調査いたしまして、現在集計中でございますので、その調査結果なども見ていろいろ検討してまいりたいというふうに考えております。
#274
○井上美代君 この三年上限の有期雇用労働者の育児・介護休業の取得について一昨年の当委員会の審議で岩田局長が答弁されているんですけれども、期間の長い有期雇用労働者の扱いについても指針をこれから策定していくと、こういうふうに答弁をしておられます。そういう段階で労使の方々とも意見交換をしてまいりたい、また将来新たな制度的な整備が要るということでしたら、それも勉強したいと。これは、一昨年になりますけれども、育介法が論議されたときにそのように答弁をされているんです。
 期間の長い有期労働者について、労使とどういう検討をしてどういう結果になったのか、新しい制度的な整備はそういう中でどうなって今日になったのかという、そこの経過を是非聞かせていただきたいんです。
#275
○政府参考人(岩田喜美枝君) 平成十三年の育児・介護休業法の改正について当委員会で御審議をいただきましたときに有期労働者の取扱いについて御質問がございました。そのときは、反復更新される有期労働者の問題と、雇用契約期間が三年間、当時といいましょうか、現行の労働基準法の中でも高度の専門的な能力を有する人について認められております三年間という長い期間の雇用契約の場合にどうするかといったような点についてお尋ねがございました。
 それに対してお答えをいたしました答弁、私も読み返してみたんですが、二つのことをお答えしておりまして、一つは、指針の策定の段階で労使とも意見交換をしたいという趣旨のことを申し上げております。もう一つは、将来、制度的な整備、これは法律改正のことが念頭にあったと思いますが、制度的な整備が要るかどうかについて勉強したいというふうに、二つのことについて答弁を申し上げております。
 そして、その反復更新されるものについての取扱いは、先生が今御質問の中で、御発言の中で言われましたように、形式的には有期労働者であっても、実質上、どういうケースは契約期間の定めのない労働者と実質的に変わらない状況にあるかといったようなことについての判断のよりどころを指針で策定するということにいたしまして、労働政策審議会雇用均等分科会の中で労使、委員として参画しておられますので、そこで十分労使の御意見を交換をしていただき、その結果、指針の策定をしていただいております。
 雇用契約期間の長い三年間の契約の問題については、そのときの十三年の法律改正に至る過程で審議会でいろいろ御議論がございましたけれども、合意に至るところにはなっておりませんで、その問題は、今回は具体的な法制度の問題としては、そのときは取り扱わないということにいたしたわけでございます。
 私が将来制度的な整備が要るかどうかについて勉強したいというふうに申し上げましたのも、三年間の長い雇用契約期間の問題、これは将来的な課題であるというふうに考えておりましたので、そのように答弁をいたしました。
 以上が経緯でございます。
#276
○井上美代君 私は、今度の法改正について、このことはやはり話し合われていなければいけなかったことだというふうに思うんですね。今ここに来て問題になっているわけなんですけれども、そもそもが有期雇用者が適用されない、適用除外ですからね、だからそういう点で、今経過をお聞きしましたけれども、やはりここに注意がされていなかったということが、局長自身はいろいろ努力をされたんだと思いますけれども、その審議会ではそこに目を向けていなかったのではないかというふうに思っております。
 昨年三月に、雇用均等・児童家庭局の職業家庭両立課長名で、皆様方のところに、今お手元に資料を回しておりますけれども、届けておりますけれども、都道府県労働局の雇用均等室長あてに出ているんですね。ここには、「「期間を定めて雇用される者」に該当するか否かの取扱いについて」という通知が出されております。この通知の中には、この期間の定めのない、これは三ですね、三のところです。「期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっているか否かの確定的な見解を問われた場合には、都道府県労働局の見解を添えて本省に疑義照会を行うこと。」と、こういうふうになっております。
 質問なんですけれども、疑義照会については、今まで何件あって、そして雇用均等の児童家庭局ではどういう対応をしてきたのかということをお聞きしたいと思います。
#277
○政府参考人(岩田喜美枝君) 期間の定めのある契約について育児・介護休業法の適用があるかどうかということについての地方労働局に対する御相談は、企業や労働者からそれは相当数あったようでございます。
 それは、それらの御相談に対しましては、今話題になっておりますこの大臣告示、指針に照らして、それぞれ現場で判断しているわけでございますけれども、場合によっては、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっているか否かについて確定的に判断を求められるというようなケースがございまして、それは数はこれまでのところ非常に少ないようでございますが、そういったケースについては、この指針に基づく判断だけでは十分でございませんで、更に総合的な判断が必要になりますので、そういったケースについては本省に照会をして、私どもも議論をして判断をするということにいたしております。
 件数はそれほど多くないというふうに承知しております。
#278
○井上美代君 時間が少しもう迫ってまいりましたので。
 この課長通知は、今度は二のところの問題なんですけれども、私はもう大変腑に落ちないところがあるわけなんです。「ただし、」というところからそうなんですけれどもね、この二のところの、「ただし、この場合であっても、法第二条第一号の「期間を定めて雇用される者」であるか否かについて確定的な判断を行うことは諸般の事情を勘案した上での総合的な判断が必要であるため、当該事業主が育児休業や介護休業を与えなかったとしても、法第六条第一項又は第十二条第一項違反として指導することは差し控えること。」となっているんですね。上の方には、事業主に対して助言しなさいと書いてあります。下のところでは指導することは差し控えなさいと書いてあるんですね。
 これはおかしい、おかしいって、腑に落ちないわけなんですね。私は、そうではなくて、やはりこの期間を育児休業が取れなくても法違反としての指導を差し控えなさいなんというのはおかしいのであって、やはり法違反としてきちんと指導をしていかなければいけないと思うんですよね。だから、そういうふうな指針が非常に消極的というか、あいまいというか、分かりにくいというか、そういう指針が出ているということは、課長通知が出ているということについて非常に腑に落ちないでおります。
 そのことを短く答弁いただいて、もう一問したいと、質問したいと思いますのでよろしくお願いします。
#279
○政府参考人(岩田喜美枝君) 指針をお読みいただければ分かるんですけれども、幾つかの判断基準がございまして、それらの判断基準のどれとどれに該当するような場合については期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているものであると認められていることが多いという指針です。これは、これまでの判例を勉強しました結果、こういう要件がそろうと期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているというふうに認められることが多いという、こういうことを示した指針でございますので、指針に照らしてすべてのケースが即雇用契約期間の定めのない契約と実質的には同じ状態になっているというふうには断言できないという、こういうこの問題には難しさがあるというふうに思います。
 そこで、一般的には助言にとどめなさいと、法律違反があったということで指導するというレベルまでにはいくのは難しいんではないかということで、一般的には育児休業、介護休業を取得させてほしいと、取得させた方がよろしいですよといったようなことを企業に助言をするというふうにいたしております。
 関係者の方から確定的な見解をやっぱり問われるということもありましょうから、そういう場合にはこの指針の考え方をベースにしますけれども、それだけではなくて、更に総合的な判断をする必要があるというふうに今引用なさっておられます課長内簡でも言っております。確定的な判断を行うことは諸般の事情を勘案した上での総合的な判断が必要であると、こういう総合的な判断が必要である場合には本省と協議をするようにという指示をいたしておりまして、その結果、期間の定めのない契約と実質的に異ならないということにと、そういう判断に至った場合には、その段階で初めて違反であるということで行政指導をすると、こういう言わば二段階で対応するということで地方を指導いたしております。
#280
○井上美代君 この課長通知、通達というのは、やはり判断が難しい場合がいろいろあるとは思いますけれども、期間を定めて雇用される者には該当しないと明確に言えるケースだってありますよね。この通知だと、そういう労働者が育児休業が取れなくても法違反としての指導を差し控えなさいということになってしまうのではないかと思うんです。法違反として指導できなくても、法の趣旨に違反しているとして厳正な指導をしてほしいと思うわけですね。そうでなければ絶対に育児休業、介護休業の取得は私は進まないのではないかというふうに思っております。だから、今後のこの法改正の後には、こういう課長通達というのは廃棄されなければいけないんだというふうに思います。
 最後に私は、こういうことがないように、どうしてもまずこの問題について、審議会でこの課題をきちんと据えて審議をしていただくということが大事だと思います。これは立法の過誤ということも言われているわけで、やはり法改正が必要だと思うんですね。だから、そういう意味で私は、法改正をしなければいけない、そしてこれは審議会で、だからこの課題を挙げてきちんと諮問をしてやらなければいけないと思いますが、これは是非大臣に御答弁をお願いします。
#281
○委員長(金田勝年君) では、時間ですので、よろしくお願いします。
#282
○国務大臣(坂口力君) 具体的なことはしっかり審議をしていただいて決定してもらいたいと思いますが、私は、大原則として、有期雇用であれ派遣雇用であれ、労働者は同じ権限を持つということが大原則として私は必要だというふうに思っております。その上で具体的なことを決めてもらいたいと考えております。
#283
○井上美代君 終わります。
#284
○森ゆうこ君 よろしくお願いいたします。
 合計特殊出生率が一・三二になってしまいました、大臣。今日、私は大臣だけに質問させていただくことになっているんですけれども。
 今日は、次世代育成支援法案ではないんですけれども、国民生活白書、三分の二は若年の雇用情勢の悪化、それから家庭生活の変化、フリーターの問題で占められているわけでして、ようやくこの問題が本当に深刻であるということに政府も気が付いたということだと思うんですね。
 私は今大変な悪循環に陥っていると思います。雇用不安、若年層の雇用不安が生活不安そして将来不安になっていると。それが少子化を更に加速させ、将来不安が四十代以下の人たちの消費を抑制して、それがまた更にデフレを加速しているのではないかということで、これはすごい悪循環になっていると思うんですね。
 そこで、現状認識ということのお話は先般の派遣法のときにもしておりましたけれども、もう一度伺いたいんですが、今回の労働者派遣法の改正、それから労働基準法の改正における有期雇用の期間延長等、これらの規制緩和というのはフリーター等の不安定雇用の増大というものにつながるのではないでしょうか。
#285
○国務大臣(坂口力君) 先日、白書が出まして、そしてフリーターが四百万近くあるというような数字が出たわけでございますけれども、これは先日も申しましたとおり、フリーターに対する定義の問題でありまして、厚生労働省がフリーターというふうに言っております場合には、十五歳から三十四歳まで、その年齢層の中でパート、アルバイトをしている人、それからこれからしようとしている人、その人をもってフリーターというふうに呼んでいるわけであります。その中に、いわゆる失業者でありますとかそういう人たちは加えていないわけでございます。ましてや、有期雇用だとかそういう人たちは加えていないわけでございますが、そうした定義の仕方によっても違うと思っております。
 厚生労働省が言っておりますフリーターの皆さん方、パート、アルバイトをしておみえになって、そのほか学業に従事をしたいというようなこともない、あるいは他の業にも就いていないというような皆さん方をどうするかという立場からいきますならば、これは若い皆さん方も多いわけでございますから、この皆さん方ができる限り正規の常用雇用に就いていただけるようにどうするかということを考えないといけないわけでありまして、その皆さん方に対する施策というものをひとつちゃんとしていこうというので今スタートさせているところでございます。
 それは厚生労働省だけではうまくいかないものですから、経済産業省もタイアップをしてもらい、他の省庁ともタイアップをしながらやっていく。その中で、やはり一定の労働のための、何と申しますか、力を持っていなきゃいけないわけで、そうした意味で、今までフリーターをしていた皆さん方がいろいろの職業に対する知識やあるいは技能、技術といったようなものを持っていないということであるならば、それを身に付けていただくということをしなければならないし、あるいは、そうしたものはあるんだけれども、別な意図でもってやっているということであれば、それはまた別な意味があるしということで、その辺のところを立て分けて我々もやっていかなきゃいけないというふうに思っている次第でございます。
#286
○森ゆうこ君 分かりました。
 それで、一つだけ、大臣、簡単に答えていただきたいんですけれども、今般の幾つかの労働法制の改正というのは、やはりいろんな表現の仕方がありますが、要は労働の移動を容易にするものであるということでよろしいんですよね。
#287
○国務大臣(坂口力君) 労働移動と申しますか、多様な働き方になるというふうに言えると思います。
#288
○森ゆうこ君 先日の本会議での浅尾先生か小池先生の代表質問に対しての小泉総理の答弁は、フリーター促進政策ではない、そういう意図は全くない、不安定雇用の増大を図るなんということは毛頭ないというふうな御答弁がありました。恐らくそうだと思うんです。そんなことを考えて意図した政策ではないと思いますが、でも、今、大臣は、今回の法改正は労働移動をスムーズにするものであるというふうにお答えになりました。そうなると思います。
 今の日本の現状ですと、労働移動はいいんですけれども、結局、通常の労働者とそうではない人たちの差が非常に大きい。これがほとんど身分格差とも指摘されているわけでして、そういう状況のまま労働の移動だけが行われますと、結果的に意図しなくても私は労働市場の劣化ということにつながりかねないというふうに危惧をいたしております。
 それで、本来多様な働き方、例えば派遣であれ有期であれ、それは自分の時間を上手に使って、そして次に向かってまたスキルアップできるという、そういうメリットがあるわけですが、それを可能にするためには、労働者の労働能力の劣化を防止するためにやはり国が、現在もやってはおりますが、能力開発の機会を付与するという仕組みが必要なのではないでしょうか。
#289
○国務大臣(坂口力君) 先ほども申しましたとおり、現在フリーターの皆さん方に対しましては、いわゆる職業能力というものを身に付けるということをやはり導入をしていかないといけないというふうに思っております。
 ただ、それじゃ毎日行っていただけるかといえば、そうではないというふうに思いますので、一週間のうちで三日なり四日なり働いていただいて、二日なり三日なりをいわゆる職業の技術を向上させていただくために使っていただくとか、あるいは午前中と午後とを分けるとかというような、いろいろあると思いますけれども、そうしたふうにしながらまず最初の一年間なり半年間なりはやっていく以外にないだろうと。その技術によりましては半年では全然駄目で、一年なり二年なり必要なのもあるかもしれません。そうしたことによって常用雇用の方に結び付けていこうというふうにしなきゃいけないと思います。
 ですから、労働移動といいますのもいい方向から悪い方向へ行くのもそれはあるかもしれませんけれども、しかし現在失業しておみえになる皆さん、失業から有期雇用へ、有期雇用からあるいは常用へといういい方向の労働移動というのもあるわけでありますから、そうしたことをにらんで私たちはやっていかなければいけないと思っております。
#290
○森ゆうこ君 いい方への労働移動というお話あったんですけれども、将来をどう見るかということだと思うんですが、その基幹労働力をきちんと企業がそれぞれ確保していくということについては変わりはないと。そういうことで、景気がよくなれば正社員の採用も増えるという見通しを立てていらっしゃるわけですけれども、これからの日本の労働市場は二極分化する可能性があるというふうに言っていらっしゃる方も大勢いらっしゃるわけです。
 いわゆる基幹労働力というのは、これからは本当の意味で新しい二十一世紀、この国際競争の時代にマッチした本当の意味でクリエーティブな人たちであって、それは本当にごくわずかであると、どんな企業においてでも。非常にクリエーティブな人たちはもうごくわずかで、それが基幹労働力で、あとはある程度マニュアル化された仕事をこなす人、つまり代わりの利く人。この辺のところがこういうふうにどんどん規制緩和されていきますと派遣になり有期雇用になりということになるのではないかと。労働の二極分化がますます進むのではないかというふうな指摘もあるわけですが、その辺は大臣としては先般からそうではないというお返事でしたのでそこはあえて深追いしませんけれども、私はこの流れはある程度止められないものがあるのではないかと思いますし、それを政府も覚悟するべきだと思うんです。
 それを先ほど大臣のおっしゃったようにいい労働移動にするためには、やはり現在ある身分格差を解消する方向に制度を、ほかの制度を全部作り替えていくのが必要じゃないかと思うんですが。
 例えば、先ほど雇用保険の話がありました、雇用保険の適用のお話。私が質問しようと思っていたのは、雇用保険を活用して労働者が確実に技能のスキルアップを図ることができるようにすべきではないかというような質問の趣旨で通告してあったんですけれども、要するに、例えば先ほどの浅尾委員の質問に対して、いやちょっと待ってくださいというふうなお話がありましたよね。研究しないと答弁ができないということは、この雇用保険が、適用が通常労働者とそれ以外の人たちとの間で様々な条件があり非常に分かりにくいものになっているということもあると思います。
 そういう意味で、規制緩和、労働移動を進めるのであれば、今ある身分格差を解消するために様々な働き方に中立な社会保障制度、雇用保険、年金、すべての、税制の面において早急に変えるべきではないかと思いますが、大臣の見解を伺います。
#291
○国務大臣(坂口力君) 技術なりを身に付けていただくということになりますと、それなりのやはり努力をしていただかなければならないことはそのとおりというふうに私は思います。技術というのはかなり幅広いものでありまして、私は特別な人だけが常用雇用になって、ほかの人たちはそうではなくなっていくという、そういう分け方は私はしておりません。もっと多くの皆さん方がやはり技術を持って常用雇用できる体制に私はなるのではないかというふうに思っております。
 もちろん、有期やあるいは派遣業で働く人たちがなくなるとは私も思っておりません。それはそういう方もおみえでございましょう。またそういう働き方を好む方も中にはおみえでございましょう。好んではいないけれどもそうしなきゃならない方もあるいはあるかもしれません。しかし、私はもう少しこの技術というものはやはり評価をされるものだというふうに思っておりまして、今後そうした技術を、新しい技術を身に付けていくということは非常に大事なことになるというふうに思っております。
#292
○森ゆうこ君 かつて週四十時間の労働というものが本当に実現するのだろうかというふうに思っていたんですけれども、もう今や、サービス残業という問題もありますけれども、完全週休二日ということはもう常識になったわけですよね。これはやはり政府がそのような方向で平成五年に週四十時間労働を法制化し、平成九年には全面的に適用したと。やっぱりこういう法制化をするときちんと結果は出てくるんだと思います。やはり今回のこれらの労働法制の改正はかなり雇用の流動化を促進するものになると思います。
 私、ちょっと、次、幾つか質問通告してあったんですが、また次回に回させていただきたいと思います。そういう意味で、それに見合った、先ほど来御指摘申し上げていますほかのことについての問題を解決することが早急に必要なのではないかと申し上げまして、本日の質問は終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#293
○大脇雅子君 今回の法改正をいたしますと、多様な働き方の選択肢が増えて、有期雇用が取り立てて拡大、増加することはないという見通しが再三答弁されてきております。しかし、企業は、業務量の変動の対応とか雇用調整の観点から、多くパートとか派遣とか臨時や契約社員等は有期雇用として採用されております。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 この非正規雇用におけるいわゆる有期契約の実情というものについてどのように現状と特色を認識しておられるのか、まずお尋ねしたいと思います。
#294
○政府参考人(松崎朗君) まず、実情でございますけれども、総務省の労働力調査によりますと、これは有期契約といいますか、契約から一年以内の労働者ということで、臨時雇いプラス日雇ということでございますけれども、これは平成十四年には七百二十七万人ということで、全雇用者に占める割合は一三・六%という状況でございます。
 また、パートさんにつきましては、これは厚生労働省が行いましたパートタイム労働者総合実態調査でございますけれども、これによりますと、パートタイム労働者の中で雇用契約期間が定められていたという方の割合は、平成七年に三六・八%、平成十三年に四四・三%という状況でございます。
#295
○大脇雅子君 この有期労働というのは、現在、非常に増加、拡大の傾向にあり、しかもその期限は細分化され、そして反復更新が何度か行われて、そして雇止めによる身分の不安定化というのが非常に大きな懸念を生んでおり、とりわけ女性労働にそういう人たちが多いという特色があることについてはお認めになりますか。
#296
○政府参考人(松崎朗君) 確かにおっしゃるように、有期労働契約といいますものも一年未満、一年以内ということで先ほど数字は御説明さしていただきましたけれども、やはり仕事の内容でございますとか業務量の変動見通し、そういったものに応じまして、短いものは三日、一週間、さらには長いものにつきましては更新によりまして平均でも四年以上といったように、いろんなものがございます。
 そういった中で、確かに従来はパートタイム労働者の方が多かったということで女性ということがあったかもしれませんけれども、現在では働き方の多様化といった点、そういったことから、一部に集中するというものではなくて、やはりある程度、企業活動の中で満遍なくといいますか平均化されて働いておられるのじゃないかというふうに考えております。
#297
○大脇雅子君 とりわけ有期労働が現在若年労働者に増えてきているというふうに言われておりますが、新卒者の就業に対してこの有期雇用というのがどの程度増えてきているかという、その点についてだけ、文部省、お調べになっておりますでしょうか、お尋ねします。
#298
○政府参考人(金森越哉君) 高校生や大学生の就職状況につきましては私ども把握をいたしておりますが、その中の有期雇用契約についてということでのデータは私ども持ち合わせていないところでございます。
#299
○大脇雅子君 やはり、先ほど大臣も言われましたように、基軸は期間の定めのない労働契約、常用労働というのが望ましい基本的な働き方であるというふうに考えるわけですが、若年世代の就職支援策について、こうした観点からの能力開発支援策というものはございますか。
#300
○政府参考人(坂本由紀子君) 厳しい経済情勢が続いておりますことと即戦力を求めるという状況から、若い人たちの学校卒業時の就職が厳しい状況になっておるわけですが、厚生労働省としては採用枠拡大について産業界への要請をしております。
 あわせて、就業支援策として、一つは、フリーター等に対しましてグループカウンセリング等による職業意識の啓発と、あわせて民間の教育訓練機関による職業訓練と企業実習とを組み合わせた実践的な職業能力の付与についての能力開発策を実施しております。また、そのほか若年者トライアル雇用によりまして常用雇用の促進を図っております。そのほか、学卒未就職者等へのきめ細かな就職支援を行うジョブサポーターをハローワークに配置をいたしまして、適した就職支援を行っておるところでございます。
#301
○大脇雅子君 さて、我が国では、有期契約といいますと、全く自由勝手に企業により有期契約として雇用されるわけですが、例えばフランスなどによりますと、恒常的業務に継続的に配置するということは問題があると、あるいはドイツによりますと、八つの客観的な理由がなければ有期契約は締結できないというふうに、いわゆる有期契約の合理的理由というものの明示が求められております。
 現在は、我が国においては、全く有期契約が、業務それ自体が恒常的であり、なおかつ有期性という特色がないにもかかわらず有期契約が締結されるということが有期契約を非常に不安定化している原因であるというふうに思うわけですが、こうした有期による雇用契約の合理的な理由というものをあるいは政令、通達できちっと明示するとか、あるいはせめて契約内容に書面で明示することを求めるとか、そうした歯止めが必要だと思うんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#302
○政府参考人(松崎朗君) やはり有期労働契約といいますものが、いろんな期間の定めもばらばらでありますし、いろんな格好で社会経済の活動の中で定着しているということがありまして、それを一律に規制するということは非常に難しいかと思っております。
 また、労働契約の中身、労働契約を結ぶ際の理由の明示でございますとか、そういった問題につきましても、現行法の下におきましても、例えば賃金でございますとか労働時間、そういったような基本的な労働条件につきましては文書明示ということできちんと明示しなければならないこととされておるわけでございますが、この有期労働契約の場合にだけ、その雇入れの際に、その合理的理由といいますか、それを判断するために理由を義務付けるといったことにつきましては、なかなかその効果といいますかその目的というのがまだ私にもちょっとよく分からない点もございますけれども、そういった点から、やはり労使のコンセンサスというものもなかなか得られておらない状況でございまして、直ちに実施するのは困難ではないかというふうに考えております。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
#303
○大脇雅子君 こうした締結に関する合理的な理由と、別途また有期契約を非常に不安定化しているのは有期契約終了のルール化であろうと思います。
 この終了のルール化については、平成十二年十二月二十八日の有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針というものがございます。これによりますと、更新や雇止めに関しては、企業は説明をしなければならないし、できるだけ長くするように努めなければならないし、更新をしない理由というものも告知するように努めるものとするということで、この指針は有期契約者の言わば雇止め、あるいは終了のルール化について規定をしている唯一のものですけれども、これは今回の法改正でこの指針を強化する趣旨と認識されますが、それは具体的にどうなんでしょうか、見直されるんでしょうか。これはどのように取り扱われるのでしょうか。
#304
○政府参考人(松崎朗君) おっしゃいますように、この有期労働契約といいますものが、本来の趣旨、目的でございます労使双方にとって良好な雇用形態として活用されるようにということで、この雇止めにおきます、特に問題が集中しています雇止め等におきます紛争の防止なり解決ということを図っていくことは必要だというふうに考えております。
 現在、おっしゃった御質問のように、御指摘のように指針があるわけでございますけれども、この今回の法改正におきましては、労働大臣が定める告示、告示といいますか基準を定められることとしておりますけれども、これが法律に基づいて定めるということになるわけでございます。
 したがいまして、その内容につきましては、今後、形式的には大臣告示ということで定めることになるわけでございますが、現在、御指摘のように指針があるわけでございますので、現行の指針の内容、そういったものをベースにいたしまして、基礎といたしまして、労働政策審議会の御意見などを踏まえながら定めていきたいというふうに考えておりまして、この基準に基づきまして、契約期間満了におきます通知を始め、そういった基準の内容が遵守されますよう、いろんな場を通じまして必要な助言、指導を行っていくということとしたいと考えております。
#305
○大脇雅子君 今回の法改正では上限契約期限が一年から三年に延長されたわけですが、これなぜ三年なのかということについて説明をしてください。
#306
○政府参考人(松崎朗君) まず、基本的には、繰り返しになりますけれども、この有期労働契約というもの、こういったものが労使双方から良好な雇用形態の一つとして活用されるということで、上限というものを延ばして、それによりまして現在よりも長期の安定的な有期労働契約、有期労働といったものも選択肢の一つとして加えていこうといった趣旨がございます。
 また、実態を見た場合、実情を見た場合に、やはり、これは平成十一年の調査でございますけれども、有期労働契約をいろいろ更新したりしながら働いている方の現状を見てまいりますと、平均の勤続年数が四・六回、そこへ行くまで大体六回ぐらいの更新をしているという実態がございます。また、平均四・六年、済みません、平均勤続年数四・六年、これを六回ほどの更新で行っているというのが平均の像でございますけれども、また、集中しているところはやはり三年ぐらいのところに、継続勤務期間三年ぐらいのところに集中しておりますので、やはり三年ぐらいといったところがまずは適当なのではないかといったことで三年というふうにさせていただいているところでございます。
#307
○大脇雅子君 有期五年となりました専門的知識等を有する労働者、この範囲はどのように解すべきでしょうか。いわゆる弁護士とか公認会計士など専門的な知識を有したり、あるいは技術及び経験を有して自分の労働条件を決定するのに対して主体的な力を持っている者でなければならないと思いますが、どのようにこの範囲は規定されていくおつもりですか。
#308
○政府参考人(松崎朗君) もう一点の有期労働契約の上限の延長でございますけれども、もう一つの事案としまして、五年まで延ばしたいわゆる専門的知識等を有する労働者と六十歳以上の方というジャンルがございます。これは従来三年ということであったわけでございますけれども、これを民法の原則でございます五年までということでより長期の契約を結べるようにしようということで改正をお願いしているわけでございますけれども、特に満六十歳以上の高齢者につきましてはこれはもうはっきりしておりますけれども、もう片っ方の高度な専門的な知識、技術、経験を有する方の具体的な範囲でございますけれども、これは今申し上げましたこの制度の趣旨に合致するようにしなければいけないわけでございまして、具体的には厚生労働大臣告示として定めることとして予定をしておるところでございます。
 さらに、その中身でございますけれども、これも今御指摘ございましたように、弁護士さん、公認会計士さんといったような専門的な知識、技術又は経験があってハイレベルな高度なものを有しておりまして、やはり自らの労働条件、これ五年間ということでございまして、長くなるのと同時に、やはりこれは民法の原則どおりこれは双務契約ということで、やはりお互いこの五年間は約束を守って、解雇はしない、また退職はしないというのが原則でございます。
 そういったことでございますから、やはりそういった処遇との並びや処遇との見合いでもってこういった契約を結ぶわけでございますので、やはり自らの労働条件、今言いました賃金とか報酬の条件なんかと見合いで自分で判断されるということでございますから、やはりこういった労働条件を決めるに当たりまして、交渉上、使用者に比べて弱い立場にあるというんでは困りますので、そういう弱い立場にない労働者ということで考えなければならないということだと思っております。
 したがいまして、具体的に定める場合には、そういった今申し上げた方向で労働政策審議会の御意見なども踏まえて具体的に定めていくということにしたいと思っています。
#309
○大脇雅子君 済みません、ちょっと時間が詰んできたので。
 今、平均四・六年で六回更新だと。で、三年に集中しているということになりますと、これはもはや有期契約とは言えなくて、やはり正規雇用労働者の代替化が進んでいるということにほかならないと私は思うわけです。
 労働契約期間の上限の延長に当たっては常用労働の代替を加速化しないようということが衆議院の附帯決議でもなされておりますし、とりわけ有期労働契約に関するEU指令というのがございまして、そこで濫用防止の措置というのが決まっておりまして、これは有期雇用契約又は有期雇用関係の反復継続した利用から生ずる濫用を防止するために何らかの措置を取らなければならないと書かれているわけであります。
 我が国の法改正についてはこの思想が全くないということは、有期の労働者に対する権利保護の基本的な私は哲学が欠けていると思うので、そのために有効な歯止めが絶対に必要だと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
#310
○政府参考人(松崎朗君) 確かに、ヨーロッパでは今御指摘のようにEU指令等によって有期雇用の更新の制限等行われております。これは確かに、これは有期雇用だけではなくて派遣等におきましても、ヨーロッパにおいては、ちょっと乱暴な言い方かもしれませんけれども、いわゆる期間の定めのない雇用というものが原則であってそれ以外は例外的にしか認めないといった方針でいっているのではないかというふうに考えております。
 それに反しまして、我が国におきましてはいろんな働き方ということ、労使双方のニーズに応じました格好でいろんな働き方のバラエティーがあるということでございまして、それなりにやはり日本の社会経済の中で役割を果たしておりますので、一律にそういった規制を行うということは適当ではないというふうに考えています。
#311
○大脇雅子君 大臣の御答弁をいただきたいと思います。そして、質問を終わります。
#312
○国務大臣(坂口力君) 有期雇用という新しい雇用の形態がこれからだんだんと多くなっていくのではないか、常用雇用というものが有期雇用にだんだん変わっていくのではないかという、一つのそういう流れができるのではないかという御心配の上での御質問ではないかというふうに思いますが、私もそういう可能性全然ないと思っているわけでは決してありませんで、私はそういうことも起こる可能性もあるだろうというふうに思っております。
 今回、いろいろのことを決めさせていただいてこれでスタートをさせていただきますが、先ほども申しましたように、少しこの状況で推移をさせていただいて、その後、様々な角度から一遍検討をさせていただくことになるだろうというふうに思っておりまして、先生いろいろと御心配をいただくようなことが現実問題として大きな問題になってくるというようなことであるならば、それはやはりもう一度その時点で考え直すということにさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。
#313
○大脇雅子君 終わります。
#314
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 私の方からは、まず衆議院における修正の内容からお伺いしてまいりたいと思います。
 まず十八条の二関係の解雇についてでございますけれども、その趣旨と、それから衆議院で協議をされました、政党間ではどのような課題やそして問題があったのか、御議論があったのか、まず修正案提出者からよろしくお願いいたします。
#315
○衆議院議員(長勢甚遠君) 解雇ルールにつきましての十八条の二についての政府案は、「解雇することができる。」という表現が最初に参りまして、この趣旨は、使用者が労働者を解雇する権利を有しているということを確認的に規定をするということをした上で、最高裁判例にのっとって解雇が合理的な理由等を欠く場合には権利の濫用として解雇無効とするという規定ぶりでございました。
 これにつきまして、衆議院におきましては、こういう書きぶりですと使用者が解雇が自由にできるようになるんではないかというふうに受け止められかねないという御疑問が提起されましたのと、また、そういう書きぶりでは立証に関して、主張立証について最高裁判例と違うような解釈というふうに受け止められるんではないかという御疑念が提起をされました。これについて与野党で議論をいたしまして、今回、そういうことの心配のないような規定ぶりに修正をした次第でございます。これによりまして、我々としては最高裁判例に忠実な規定になったものと思っております。
#316
○西川きよし君 引き続きまして、修正案、改正案の附則の第三条でございますけれども、この修正について提出者からよろしくお願いいたします。
#317
○衆議院議員(長勢甚遠君) 今回の改正は、有期労働契約の上限につきまして一年から三年に延長するという趣旨でございますが、審議会等におきましてもこの改正については種々議論があったと伺っております。
 すなわち、働き方としてより長期の雇用安定という趣旨から延長を望まれる労働者もおられるし、また経営戦略上もそのことが必要な場合もあるというメリットがある反面、このことが若年定年制を増やすとか、あるいはリストラの理由にされるとかというような御議論もありました。そういうこともありましたので、それらの議論も踏まえて、三年後にこの規定そのものを見直しをしようということにした次第でございます。
 またあわせて、三年に延長するということになりますと、現在一年間だけしか拘束をされない方々が三年間拘束されることになりますので、これはいかなることになるだろうかという御心配もありました。そういうことで、この見直しの措置が講ぜられるまでの間、暫定的に一年から三年になった方については契約期間中であっても一年を超えた後は退職の自由を認めるという修正を加えたわけでございます。
 いずれにしても、有期契約全体の見直しの中で最終的な結論を将来出すことになるということであります。
#318
○西川きよし君 次に、大臣にお伺いをいたします。
 この衆議院における修正合意の後ですか、記者会見で大臣は次のように発言をされました。政府案と国会の中での議論の方向性はそんなにも違わない、法律の書き方として政府案に対する誤解もあった、このようにおっしゃったわけですけれども、この政府案に対する誤解というのは、何を大臣は指しておっしゃったのか。また、修正によりまして、政府として、今後の行政上における対応ですね、何らかの変更なり新たな対応の必要性をお考えになっているのか、そういった項目がございましたら是非お伺いしたいと思います。
#319
○国務大臣(坂口力君) 本質的には変わらないというふうに思っているわけでございまして、長勢先生からもお答えがございましたとおり、この「解雇することができる。」という規定が、これが使用者は自由に解雇することができるようになるという、そういう誤解を生む可能性があるという御指摘がございまして、そうした御指摘も十分に踏まえて、衆議院におきます与野党の理事の皆さん方で大変御努力をいただきましてこの修正案ができたところと承っておりますし、私もそれに合意をさせていただいたところでございます。
#320
○西川きよし君 ありがとうございました。
 それでは、原案の中からですけれども、三十八条の四の関係についての御説明をお聞きしたいと思うわけですけれども、この企画業務型裁量労働制の在り方でございますが、前回の法改正でも最大の論点であったと思うわけですけれども、平成十一年に指針が示されまして、十二年に施行されたわけですけれども、その後、規制改革委員会から更なる規制緩和を求める意見が出ました。意見が出されたわけですけれども、十三年の十一月から専門業務の拡大の検討がされまして、十四年の二月に告示、さらに今回の改正案の提出に至るという、非常に目まぐるしくやり取りが行われてきたわけですけれども、この平成十二年の施行後から今回の改正案の提出に至るまでですけれども、いま一度整理をしていただきましての御説明を政府参考人にお願いいたします。
#321
○政府参考人(松崎朗君) 企画業務型裁量労働制でございますけれども、これにつきましては、特に規制改革会議におきますいろんな議論、すなわち、それぞれの段階におきます取りまとめでございますとか答申、そういったものにおいて触れられて、指摘されてきたわけでございます。
 具体的には、平成十三年の七月でございますけれども、総合規制改革会議におきまして「重点六分野に関する中間とりまとめ」というのが行われまして、その中で、この企画業務型裁量労働制につきまして、法施行三年後の見直し規定があったわけでございますけれども、この規定にかかわらず、「今秋から実態調査を行った上で、可及的速やかに規制について必要な見直しを行うべきである。」という取りまとめが行われております。
 また、同じく十三年の十二月でございますけれども、これも同じく規制改革会議におきます規制改革の推進に関する第一次答申におきまして、「三年後の見直し規定にかかわらず、調査検討が開始されたところであるが、」、ここまでは実態でございますが、「実態調査を踏まえ、現行規制のどこに問題があるかを明確にした上で、法令等の改正に向けて速やかに検討を進めるべきである。」との指摘がされております。
 また、十四年、翌年でございますけれども、十四年七月の末には「中間とりまとめ」ということで、同じくこの規制改革会議におきまして、「企画業務型裁量労働制を採用するための現行の手続が煩雑になっていることにかんがみ、成長過程のベンチャー企業等にとっても使いやすい制度となるよう、企画業務型裁量労働制の手続の簡素化について、早期に結論が得られるよう、検討を進めるべきである。」という中間取りまとめがなされております。
 また、さらに十二月の十二日には、第二次答申ということで、この企画型の裁量労働制につきまして、「導入手続が煩雑であり、適用対象事業場等が限定的であることから、その手続の大幅な簡素化や適用対象事業場等の拡大を図ることを検討し、その結論を早急に取りまとめ、次期通常国会に法案提出等所要の措置を講ずるべきである。」との指摘を受けているところでございます。
 厚生労働省では、こういった十三年からいろいろ御提案等あったわけでございますけれども、私どもでは、十三年の九月から労働政策審議会の労働条件分科会で事実上は検討を開始いたしまして、その都度、この規制改革会議等のいろいろの御意見、そういったものもいろいろ参考にしながら検討を進めてまいりまして、さらに、十四年六月には裁量労働制に関します実態調査、こういったものを行い、この調査結果を踏まえて検討を続け、御指摘のように今回の労働基準法改正法案を提出したという次第でございます。
#322
○西川きよし君 それで、この企画業務型裁量労働制の導入要件ですが、この手続、これについてお伺いしたいんですけれども、今も局長様からいろいろ御答弁があったわけですけれども、今回その緩和が行われる六項目でございますけれども、確かに今おっしゃいましたように、煩雑なというお言葉が出ましたが、この煩雑な手続で緩和されてもいいのかなと思うわけですけれども、その反面、じゃなぜそもそもそんな煩雑な手続にしたのかなと。
 やはりそれは、必ずしも労使間で合意が得られない状況の中で一般の事務職にまで拡大されないように、その歯止めの役割があったんだと思います。その意味では、その緩和によって、建議にもありますように、無原則な拡大につながる懸念というのは確かにそのとおりではないかと、私自身もそういうふうに感じるわけですが、その意味ではそうした懸念がぬぐい切れない中での簡素化ということについてどのようなお考えなのか、是非お伺いしたいと思います。
#323
○大臣政務官(森田次夫君) 企画業務型裁量労働制につきましては、先ほど来からいろいろと議論の中で出てきているわけでございますが、労働者が主体的に多様な働き方を選択できる可能性を拡大するために、その選択肢の一つとして導入されたものでございますが、今回の改正は、この制度がより有効に機能するよう、同制度の導入、運用についての要件、手続を緩和しようと、こういうふうにしようとするものでございます。
 そこで、見直し後においても、導入に当たっては労使の十分な話合いを必要とすることなど制度の基本的な枠組みが維持されることから、今回の改正が御指摘のように無限定な拡大につながるとは、このようには考えていないわけでございます。
 また、今回の改正法の施行に当たりましては、対象事業場の要件の廃止に併せまして、同制度の対象となる業務や労働者の範囲が明確となるよう企画業務型裁量労働制に関する指針、いわゆる大臣告示でございますけれども、これを見直すことも考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、企画業務型裁量労働制の導入事業場につきましては、これまで同様、重点的対象として計画的に監督指導等を行うこととしておりまして、みなし労働時間の適切な設定も含めまして、今後とも制度の適正な運営が確保されるように指導を徹底してまいりたいと考えております。
#324
○西川きよし君 御丁寧な御答弁をありがとうございました。ただ、今御答弁をいただいて、お伺いさせていただいて、この範疇の中でお仕事をしていらっしゃる方がもし今の御答弁を聞いておりますと、何が何だか分からないんじゃないかなというふうに思うわけですけれども。
 本当にまあディレクターさんだとかプロデューサーさんだとか、私も長い間横山やすしさんとテレビの仕事などもやらせていただきまして、三十年間ぐらいやらせていただいたんですけれども、それはそれはもう大変な、ここの委員会では考えられないような職業形態といいますか、大変なお仕事でございまして、今御答弁をいただいたような内容にはほとんどならないというふうにこう思うわけですけれども、余計なことかもしれませんけれども。
 例えば審議会での問題ですね、議論されている会議録を読ませていただきましても、この委員同士のやり取りといいますか、むしろこの事務局、つまり政府側対委員のやり取り、これが目立つといいますか、何かこう違和感を読ませていただいて感じるというか、規制緩和委員会からのひょっとしたら力があるのかなとか、本当の意味では労働者あるいは国民に目を向けられた提案なのかなというふうにこう思うわけですけれども、その辺りも今御答弁をいただいたんですから、こういうチャンスですので局長さんに一言いただけたらなと思うんですが。
#325
○政府参考人(松崎朗君) 私も職業は公務員ですので、三十年間こういうことをやっていますのでいろんな審議会を経験させていただきました。
 ただ、通常、審議会の運営といいますと、労働関係、公労使、三者構成でやっておりますけれども、やはり資料の提出とかそれからまた議論の取りまとめというものを事務局の私どもでやりますのでどうしても、それに対する質問ということになりますと、委員の方から我々へ質問があり、我々がお答えするというのが通常のパターンになってしまいます。
 ただ、私の経験では、今回の労働政策審議会におきましては、今までの審議会にない経験をさせていただいたのは、委員同士の議論、労使、それから労公、委員同士の議論というのが非常に活発にといいますか、かなり言い合いといいますかもあったんじゃないかと思っておりまして、従来の審議会にはない議論があり、議事録も読んでいただくとほかの審議会よりも何か面白かったんじゃないのかなといった気がしておりまして、これは正に先生御心配したこととは逆でございまして、本当にいろいろな自分の持っておりますものを公益委員も含めてすべて出し合って議論をした結果だというふうに私は理解しております。
#326
○西川きよし君 午前中の質問でもいろいろ難しい部分を、見えない部分をという医療の質問をさせていただいたんですけれども、本当に現場で患者さんを診ておられるお医者様自身もこれは分からないというふうに、たくさんの方々にお伺いしました。
 それでは、最後の質問にさせていただきます。大臣、よろしくお願いいたします。
 再三御答弁をなさっているわけですけれども、この企画業務型の導入が多様な働き方ですね、形を選択できる可能性を拡大するためというふうにおっしゃっておられるわけですけれども、その可能性とは具体的に何を意味しているのかというお答えをいただいて次の質問に、作る参考にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#327
○国務大臣(坂口力君) この可能性というふうにいいますのは、これは自分の生き方に適した労働時間というものの選択ができる可能性、それからもう一つは、一人一人が自分の個性だとか能力だとかいうようなものを生かす生き方をする可能性、これらの可能性があるということを私は申し上げたわけでございまして、そのように御理解をいただければ幸いでございます。
#328
○西川きよし君 ありがとうございました。
#329
○委員長(金田勝年君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会といたします。
   午後四時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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