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2003/07/17 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 厚生労働委員会 第28号
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2003/07/17 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 厚生労働委員会 第28号

#1
第156回国会 厚生労働委員会 第28号
平成十五年七月十七日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月八日
    辞任         補欠選任   
     南野知惠子君     野間  赳君
 七月九日
    辞任         補欠選任   
     野上浩太郎君     藤井 基之君
     野間  赳君     南野知惠子君
 七月十日
    辞任         補欠選任   
     藤井 基之君     青木 幹雄君
     谷  博之君     岡崎トミ子君
 七月十一日
    辞任         補欠選任   
     青木 幹雄君     藤井 基之君
     岡崎トミ子君     谷  博之君
 七月十四日
    辞任         補欠選任   
     小池  晃君     吉岡 吉典君
 七月十六日
    辞任         補欠選任   
     吉岡 吉典君     小林美恵子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金田 勝年君
    理 事
                武見 敬三君
                中島 眞人君
                浅尾慶一郎君
                山本 孝史君
                沢 たまき君
    委 員
                狩野  安君
                斎藤 十朗君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                藤井 基之君
                宮崎 秀樹君
                森田 次夫君
                朝日 俊弘君
                今泉  昭君
                谷  博之君
                堀  利和君
                風間  昶君
                井上 美代君
                小林美恵子君
                森 ゆうこ君
                大脇 雅子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生労働大臣   坂口  力君
   副大臣
       厚生労働副大臣  木村 義雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        川邊  新君
   政府参考人
       内閣府男女共同
       参画局長     坂東眞理子君
       文部科学大臣官
       房審議官     樋口 修資君
       文部科学大臣官
       房審議官     丸山 剛司君
       厚生労働省健康
       局長       高原 亮治君
       厚生労働省健康
       局国立病院部長  冨岡  悟君
       厚生労働省医薬
       食品局長     小島比登志君
       厚生労働省労働
       基準局安全衛生
       部長       大石  明君
       厚生労働省職業
       安定局長     戸苅 利和君
       厚生労働省職業
       能力開発局長   坂本由紀子君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省社会
       ・援護局長    河村 博江君
       厚生労働省社会
       ・援護局障害保
       健福祉部長    上田  茂君
       厚生労働省保険
       局長       真野  章君
       厚生労働省年金
       局長       吉武 民樹君
       社会保険庁運営
       部長       磯部 文雄君
       国土交通大臣官
       房審議官     小神 正志君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
 (臓器移植に関する件)
 (健康保険組合の財務状況の公表の在り方に関
 する件)
 (公務員制度改革と労働基本権の在り方に関す
 る件)
 (年金制度改革に関する件)
 (生活保護制度の見直しに関する件)
 (HIV感染防止対策に関する件)
 (ホームレス対策基本方針の策定に関する件)
 (精神保健福祉改革に関する件)
 (国民健康保険の在り方に関する件)
 (児童養護施設の機能充実に関する件)
 (深夜労働の規制に向けた取組に関する件)
 (児童の自立支援施策の在り方に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告をいたします。
 去る九日、野上浩太郎君が委員を辞任され、その補欠として藤井基之君が選任されました。
 また、去る十四日、小池晃君が委員を辞任され、その補欠として吉岡吉典君が選任されました。
 また、昨十六日、吉岡吉典君が委員を辞任され、その補欠として小林美恵子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(金田勝年君) この際、委員長から御報告をいたします。
 日本精神科病院協会会長仙波恒雄君の参考人招致につきましては、これまで数次にわたり本委員会への出席を要請し、本日の委員会にも参考人として御出席いただくよう重ねて要請をしてまいりましたが、同君からは、国権の最高機関たる国会の要請の重みは重々承知しているものの、七月十四日から七月末までの日程で既に招請を受けていた瀋陽市の要請にこたえざるを得ず、最終的な判断として、参議院厚生労働委員会への出席はお断りすることとした次第である旨、書面をもって回答がございました。
 なお、同君からの回答につきましては、これを会議録の末尾に掲載することといたします。
    ─────────────
#4
○委員長(金田勝年君) それでは、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 社会保障及び労働問題等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、厚生労働省健康局長高原亮治君外十五名の政府参考人の出席を求め、その説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(金田勝年君) 次に、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題といたします。
    ─────────────
#7
○委員長(金田勝年君) この際、臓器移植に関する件につきまして、坂口厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂口厚生労働大臣。
#8
○国務大臣(坂口力君) 臓器の移植に関する法律に係る附帯決議に基づきまして、臓器移植の実施状況等について御報告を申し上げます。
 まず、移植希望登録者数は、本年六月末現在、心臓は六十六名、肺は六十九名、心肺同時は一名、肝臓は五十六名、腎臓は一万二千四百二十五名、膵臓は七名、膵腎同時は八十五名となっており、角膜は本年五月末現在で四千七百八十七名となっております。
 また、平成十四年度の移植実施数は、脳死下及び心臓停止下における提供を合わせて、心臓は四名の提供者から四件の移植が、肺は三名の提供者から三件の移植が、肝臓は四名の提供者から五件の移植が、腎臓は六十四名の提供者から百十八件の移植が、膵臓は二名の提供者から二件の移植が、角膜は九百四十二名の提供者から千五百九件の移植が行われております。
 なお、法施行から本年六月末までの間に、法に基づき二十四名の方が脳死と判定されております。
 一方、脳死下での臓器提供施設につきましては、本年七月十日現在、三百六施設において厚生労働省が作成した指針に基づく条件が整備されております。
 また、移植実施施設につきましては、本年七月十日現在、心臓は七施設、肺は四施設、心肺同時は二施設、肝臓は十四施設、膵臓及び膵腎同時は十二施設、小腸は九施設となっております。
 臓器移植の推進に当たって重要となる臓器提供意思表示カードにつきましては、厚生労働省では、社団法人日本臓器移植ネットワークとともにその普及を図っており、本年六月末までに、臓器提供意思表示カードは約八千五百七十四万枚、運転免許証用のシールは約三百三十四万枚、医療保険の被保険者証用のシールは約千四百五万枚を配布いたしております。
 その他、最近の取組といたしましては、脳死下での臓器提供事例に係る検証会議におきまして、これまで五例目から二十例目まで並びに二十二例目の事例及び平成十一年九月の脳死判定中止事例の検証が行われております。
 また、腎臓移植及び角膜移植の実施件数が減少傾向にあることから、各都道府県や関係団体に対して、制度の普及啓発等について協力を依頼しております。
 さらに、ドナー適応基準につきまして、臓器移植によるウエストナイル熱等の感染を防ぐ観点から見直しを行っております。また、SARSの疑いがある者等からの一定期間の臓器提供を禁止することとしております。
 以上、御報告申し上げますとともに、厚生労働省としましては、今後とも、移植医療の推進に努めてまいる所存でありますので、委員の皆様におかれましては御理解を賜りますようお願いを申し上げる次第でございます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(金田勝年君) なお、本日、厚生労働省から提出されております報告書につきましては、これを会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(金田勝年君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#11
○委員長(金田勝年君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#12
○武見敬三君 医療制度改革の中でも、特に保険者の整理統合というのは、これからの持続可能な医療保険制度をきちんとした基盤の上に再構築していくときの重要な、最も重要な課題の一つというふうに理解をいたします。
 その際に、それでは今の医療保険制度の下における保険者というのが大変厳しい財務状況下にあるということがそこでまず認識されるということになるんだと思いますけれども、その保険者の財務状況というものが、一体どこまで客観的にその内容というものが分かりやすく国民に対して開示されているのか、これはこの医療保険制度にかかわる保険者の整理統合を進めようとするときの大前提であります。
 昨今、組合健保がその財務状況を、平成十四年度の決算見込みというものを公表いたしました。その結果、四千三億円の経常収支の赤字だということで、それが正にメディアの中で見出しとして躍りました。大変な赤字だということで、メディアは正にびっくり仰天というような形の報道ぶりでありました。しかし、もう少し冷静にこの保険者の財務状況というものを見なければならないことは、実は厚生労働省御自身が一番よく御理解をされていたというふうに思います。
 私は何回もこの厚生労働委員会あるいはその前の国民福祉委員会でこの点についての質問をさせていただいているわけでありますが、それを踏まえて、今日は特に木村副大臣にちょっと最初の御質問をさせていただきたいと思います。
 副大臣はかつて銀行マンでもいらして、経理について大変にお詳しいものですから、是非その詳細を副大臣に御説明をいただきたいと思って、まずお聞きします。
 今回、組合健保の平成十四年度決算見込み、総収支は二千百七十二億円の黒字、経常収支では四千三億円の赤字というふうに発表されているんです。この総収支と経常収支というのは一体どう違うのかという説明はここにありませんでした。実際、この差は、繰入金という、これ四千三十五億円、国庫補助金三百三十二億円、財政調整事業交付金八百二十一億円、調整保険料八百六億円といったようなものが実は総収支では収入に加算されているんですね。しかし、これが経常収支では加算されていない。その考え方というのも、私、なかなかよく分からない。
 例えば、繰入金の中で積立ての部分を見てみましても、退職金の積立繰入れ七十五億円は、これは総収支の収入の中に入っていると同時に経常収支の収入の部にもちゃんと入っておると。しかし、法定準備金に加えてプラスアルファでゆとりある形で積立金が確保されている別途積立金繰入れ、これ何と三千七十三億円もあるわけでありますけれども、これは総収入の中にのみ組み込まれておりまして、経常収入にはこれが入っていない。なぜかなという気もいたします。それから、財政調整事業の交付金、それから調整保険料というのは、いずれもこれは保険料を財源とした収入なんですね。したがって、保険料を財源とした収入であるにもかかわらず、これが経常収支の中に組み入れられていないというのもよく分からない。
 こういう形で整理していきますと、経常収支の方では、今度は逆に総収支とほとんどもう経常収支の支出項目というのは同じなんです。その差というのはわずかに九百四十九億円でしかないと。そうすると、収入の部は極めて大きく限定された収入に閉じ込められていて、支出の方はこれは経常収支と同じように広くカウントされているということになれば、それは赤字幅が大きく見えるのは当たり前であります。
 どうしてこのような形になっているんでしょうか。これは、経常収支と総収支というのは一体どういう考え方でこういう違いが出てきているんでしょうか。これは決算見込みということで出てきたんですけれども、一体どっちが正しい決算なんでしょうか。この点についての副大臣のお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#13
○副大臣(木村義雄君) 武見先生の御質問にお答えをさせていただきますが、先生、本当に、大学で教鞭を執っておられるので、こういう点では大変よく取り組んでおられ、なかなか鋭い御質問でございまして、私どもも大変たじたじをさせていただくような次第でございまして、さすがだなと、このように思っておるような次第でございますけれども。
 健保組合の決算につきましては大分慣行的なところもあるような感じがいたすわけであります。すなわち、経常的に発生をする経費に着目をいたしまして、そのキャッシュフローの収支バランスを見る経常収支中心の決算が慣行として行われてきた、こういうことが言えるんではないかと、こう思うわけでございます。また、これには、健保組合は健保法に基づき公的な健康保険事業を行う公法人であると、こういうような意識、性格がかねがね続いてきているわけでございますので、利潤を追求を目的とする企業とはやっぱり意識的に非常に異なっていると、こういう面が非常にあるわけでございます。
 かいつまんで主要な点を申し上げさせていただきますと、第一は、先ほど申しましたように経常収支に主眼が置かれているということでございまして、企業会計の主たる目的というのは、会計年度、大体一年間、四月から三月まででございますけれども、における企業の経営成績と期末における財務状況を明らかにすることであるわけでありますが、これに対しまして健保組合会計の主なる目的は、各年度に発生いたします医療給付費等を賄うために必要な保険料を算定し、設定し、徴収することが主眼に置かれているわけであります。
 このため、経常的に発生する医療給付費等と保険料とのバランス、キャッシュフローの収支バランスを見るために経常収支が重視をされていると、こういう面があるわけでございますし、また二番目には、健保組合会計におきましては決算と並んで今申しましたような点で予算が重視をされているということでございまして、企業の場合には予算に比べ決算の重要性がはるかに高いわけでございますが、健保組合の場合には、主たる目的は、前述したとおり、各年度に発生する医療給付費等に見合う必要な保険料をあらかじめ適切に設定をし、徴収をすることにあるわけでございまして、このため予算と決算が同様に重要でございまして、予算の見積りと決算の違いとの分析を的確に行えるように予算と決算の照合をする必要があるわけでございます。
 また三つ目には、基本的に現金主義を取っていることでございまして、企業会計におきましては、いわゆる発生主義、経済的な事実が生じたことに基づきまして収益や費用を認識いたしまして企業活動の成果等を把握するため、現金の動きとは多少別に、取引があった時点で記帳を行ういわゆる発生主義が採用されているわけでございますけれども、健保組合会計におきましては、基本的に国や地方で、公共団体で行われている官庁会計と同じように、現金の受け払いに基づきまして記帳が行われる現金主義を取っているわけであります。
 そこで、武見先生のような近代的な企業会計になじんだ方々から見ると非常に分かりにくい点があるんではないかなと、こう思っているような次第でございますが、関係者に分かりやすい情報開示を努めるということは大変重要でございますので、損益計算書や貸借対照表に相当するものをしっかりと公表するなど、今後の改善に努めてまいりたいと、かように思っているような次第でございます。
 その中で、これは経常収支四千三億円が赤字の方が決算なのか、二千百七十二億円の決算なのかと、こういう点がございましたけれども、健保組合の決算上、総収支におきましては、赤字決算を避けるため前年度からの繰越金や準備金、積立金の取崩しを収入として計上しているわけでございまして、このため、ある年度における収支を把握するためにはこれらの資産の取崩し分等を除外して算出する必要があるわけでございます。
 先生御指摘のように、平成十四年度の総収支は二千二百億円の黒字であるわけでございますけれども、その中から、黒字分から資産の取崩し分を除きましたネットの収支は、これは二千五百億円の赤字になっているわけでございまして、それは今申しましたように、各組合が赤字を避けるために……
#14
○委員長(金田勝年君) 副大臣、時間の制約もありまして、簡潔によろしくお願いいたします。
#15
○副大臣(木村義雄君) そうですか。はい。済みません。
 質問がなかなか相当多岐にわたっておりましたものですからちょっとはしょらせていただいておりますけれども、要するに、取り崩した黒字分が積み重なりますと二千二百億円の黒字になったと、こういうことであるわけでございまして、どちらも私は、どちらもこれは決算なのかと。今まで経常収支を決算とするという慣行が行われてきたわけでございますけれども、これからはやはり先生のおっしゃるような点も踏まえまして、損益計算書や貸借対照表を含めての決算というのが流れになってくるんではないかなと、このように思っています。
#16
○武見敬三君 実際に経常収支でフローを把握するという場合においても、財政調整事業交付金とか調整保険料という保険料を財源としているようなものまで総収入の中のみ置いて、経常収入の中から排除されちゃっている。
 これ、高額療養費が幾らになるかは正確につかめないからだという理由なんですけれども、これは過去の経緯からある程度把握することはできるわけでありますし、予算として計上しているわけでありますから、決算の中でもきちんとそういう経常収支に組み入れても全くおかしくないものであります。こういったものまで経常収入から排除するというのは、私はもう少しきちんと考えてやっていただきたいというふうに思います。
 それから、今御指摘の損益計算書と貸借対照表なんですけれども、これは去年の九月に出しました組合健保の会計基準及び会計報告の在り方等についてという報告書、これは非常によく担当課長さんやって、できていましてね、去年は九月に経常収支と一緒に損益計算書だとか貸借対照表、発表されているんですよ、九月の段階で。それで、であるがゆえに、今回はしかしながら、損益計算書だとか貸借対照表というのは一緒に発表されていないんですよ。そうすると、経常収支だけが独り歩きしちゃう。それによって財務状況が必要以上に赤字だ赤字だというような形で危機感をあおり立ててしまう。客観的に状況を理解するというのに不適切な状況が出てきてしまう。であるがゆえに、勉強不足のマスコミの担当記者たちは、ただ単に経常収支とか関係なしに赤字が四千三億円だなんという話になっちゃうんですよ。
 そこで、これは、いわゆる支払能力が重視されるということであれば、負債とか資本、そして資産状況というものを計ることが重要で、いわゆるそのための計算書というものが貸借対照表になることは、もう経理に御精通の副大臣、よくお分かりになるとおりなんですよね。こういうものが実際一緒に発表されないというと、これ、まるでネタのない、しゃりだけのすしみたいな感じになっちゃって、実態として全体がよく分からないわけであります。
 そこで、坂口厚生労働大臣、損益計算書と貸借対照表、今回同時にこれ発表されなかったんですけれども、五月の上旬ぐらいには必要な資料、各健保組合から健保連には届いておったということであります。これだけ多くの期間があったにもかかわらず、これが一緒に発表されなかったというのはどうしてなんでしょうか。そして、厚生労働省は去年の九月のようになぜ同時に公表するようにさせなかったんでしょうか。その指示は明確に出されていたんでしょうか。厚生労働大臣に伺いたいと思います。
#17
○国務大臣(坂口力君) 健保組合がどういう趣旨でこれだけ先に発表するようになったのか、経常収支だけ発表になったのかということはちょっと定かでありません。我々の方で、こういうふうにしてほしい、ああいうふうにしてほしいということを申し上げてなったわけでは決してございません。
 先ほどお話にございますように、昨年の九月でございましたか、これは損益計算書と貸借対照表、これ同じに発表になっているわけでありますから、できるだけ早くこちらの方を発表していただくように私たちも申し上げたいというふうに思う次第でございます。
#18
○武見敬三君 是非大臣、これは、損益計算書と貸借対照表、できるだけ早く発表をして、分かりやすく、健保連の財務状況について国民がもう少し客観的に把握できるように御指導いただきたいと思います。
 次の課題に移らせていただきますけれども、これはいわゆる生活習慣病等にかかわる疫学的な調査についての問題であります。
 これは、実際私自身、こういう生活習慣病というものに的確に対処するために、生活習慣と、そしてさらに、それぞれ個々の人間の遺伝子の情報というものが様々に組み合わさりながらそうした疾患というものが発生する、その疫学的な調査を通じてプロセスを把握をして、そしてそれによってより的確な根拠に基づいた予防医学的なサービスを我が国でも着実に実施をしていくということは、我が国の国民の健康を守る上において非常に必要だと思っているんです。
 しかし、それを実施するときには、例えば血清試料とか、そういった実は個人情報の中でも最もセンシティブな、微妙なそういうプライバシーにかかわる個人情報が物すごく含まれているわけであります。したがって、いかにそういうプライバシーを守りながらこうした疫学的調査を実施するかということが常に私は問われてくるというふうに考えます。
 そこで、広島県熊野町において、科学研究費補助金による特定領域研究、領域名称がヒトがんの環境、これは宿主というんですかね、宿主要因に関する疫学的研究のプロジェクトの一つとして、これは財団法人放射線影響研究所の中地先生が代表で実施されておりますがん関連遺伝子発現の個体差と宿主・環境要因に関する研究というものが、この町では生活習慣病に対する言わば予防事業の一環として、こうした研究調査に対する協力が行われております。
 しかし、その中で、じゃどこまでこの調査の内容についてきちんと住民に事前に説明をされていたのかというと、どうも余り事前にきちんとした説明がされているようには思われない。その内容には、実は女性であれば最もプライバシーにかかわる、機微な、月経がいつ始まったのだとかあるいはいつ終わったのかということまで実はこのアンケート調査の中には入っているわけであります。したがって、そのプライバシーの保護には万全を期さなければいけない。そうすると、この熊野町では、それを実際に自治会の、正に町の世話役の方々にお願いをして協力員になっていただいて、そしてそれぞれ地元でやっていただいたということになっているんですね。
 ところが、いろいろ不安が町民の方々から医師会にも届いてきているんです。ある自治会などでは、九十人中二十四人がその内容についてちょっと不安を感じて拒否をされたということなんですね。そうしますと、町ぐるみで一生懸命やっているのにこの地域の自治会というのは、その地域の言葉で風が悪いというんだそうですけれども、風が悪いというようなことがどうも言われたらしい。そこで、自治会長の面目もつぶれちゃったというようなこともあったのかもしれません。今度は、再度説得工作やりまして、結局二十四人拒否していたのが四人の拒否のみとなって、六月下旬までに町全体で五割が回収するという状況になったというふうに聞いているんですね。
 そうすると、こういうのは、ふだんからよく知っている町中の世話役から言われて、なかなか断りにくい。しかも、こういうふうな形で何度も畳み掛けるような説得工作が行われたら、果たして本当にプライバシーというものが守れるのか、インフォームド・コンセントというようなことできちんとそれが実施されているのかということに私はむしろ非常に疑問と不安を感じましたけれども、そういう実態、文部科学省は把握されているんでしょうか。
#19
○政府参考人(丸山剛司君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の研究は、科学研究費補助金を用いまして、平成十二年度から十六年度までの五か年計画でやっております。平成十五年度、今年度に広島県の熊野町で研究をやるということで進めていたものでございます。
 科学研究費補助金につきましては、公募するときに相手方の同意や協力、それから社会的コンセンサスを必要とする研究課題については、人権及び利益の保護の取扱いについて十分配慮する必要があるということで、私どもの方で定めております疫学研究に関する倫理指針及びヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針、これに沿って研究を実施をするということになっておるものでございます。
 そして、研究者はそれぞれの研究目的に応じて研究を実施しておりますが、今回、先生御指摘のように、調査を受けた方々から不安があるという御指摘が日本医師会に寄せられまして、昨日、私どもの大臣の方にもそういう御意見が、いただいたところでございます。他方、日本医師会からの指摘を受けまして、実際に現場で研究をされている研究者の方々が対応方を検討してまいりましたところ、昨日開催されました関係行政機関の職員や学識経験者から成る専門委員会におきまして、採血を含む研究行為を少なくとも一年延期すること、それから、延期の間に広島県の医師会からの協力を得つつ当該専門委員会で研究の全面的な見直しを行うことということを決められまして、さらに、今後の研究調査では町の協力員による調査を行う予定は一切ないというふうに判断をしたということを聞いております。
#20
○武見敬三君 せっかく科研費を使い、そしてそれぞれ、国レベルでも、私は国家プロジェクトとしてこういうものを着実に十か年計画という形で実施していくということは大切だと思っているんですよ。これは是非ともやっていただきたい。
 これはもう一九七九年にこのプライマリーヘルスケアの宣言がアルマアタ宣言で出されて以来、主要な先進各国では例えばヘルス・カナダであるとかヘルシーピープルフォー二〇〇〇だとか、それぞれそういう科学的根拠に基づいた健康指標を設定した健康政策というものが着実に行われてきた。それはすべてこの前提に疫学的な調査がそれぞれ行われていて、それぞれ疾患ごとにどのような経路がたどられているのかということを着実にフォローする調査が行われていたからなんですね。
 ところが、我が国、健康日本21というのが出てきたけれども、そこで出された指標というのは、そういう本当の意味で疫学的な調査を、コホートでメガスタディーという形でやって確保した、そういう科学的根拠に基づいた健康指標とは必ずしも言えなかった。したがって、これからはそういう科学的根拠をきちんと確立をするために、私は是非ともこういう疫学的調査というものを着実にやっていかなきゃならない。
 しかし、それを実施しようとするときに、同時にそれに協力をしてくださる国民の皆さん方お一人お一人のプライバシーというものをやはりいかに厳格に守るのかということが特にこういう血清試料等を採取する遺伝子的な分析調査を行うときには実は決定的に重要になります。したがって、今の御説明で一年延期になったということでありますけれども、これから着実にそういう点について、今後、この広島県とそれから愛知県でもおやりになるというふうに聞いておりますから、配慮を十分にしていただきたいと思うんです。
 その中で、実際に、なぜ今回事前に町民の人たちに対して、こういう単なるアンケート調査というものだけではなくて、こういう血液も含めた、血清試料も採取する、そういう研究調査なんだと、その中身というのには遺伝子情報を集めることが非常に重要な要素として入っているんだと、そして、こういうそれぞれの人たちの血液を採り、遺伝子情報を分析するということがどういう意味を持っているのかということを全体としてきちんと御説明に事前になっていない。改めて、この血清試料を採るときには別途二段階に分けていて、二段階目に町の中の健診事業と一緒におやりになるというふうに初期の計画ではなっていたと聞いております。
 なぜこういう二段構えになっちゃうのか。そして、なぜもっと最初からきちんとそういう遺伝子的要因を分析するための血清調査であるのだというようなことまで何できちんと説明をしなかったのか。それは適切性に欠けると思いますけれども、文部科学省はどう思われますか。
#21
○政府参考人(丸山剛司君) 今御指摘のとおり、実施を二段階に分けてやろうとしておりました。
 私ども、詳細についてはその研究機関から事実関係を把握したいと存じますけれども、現段階で得られている情報から総合的に判断いたしますと、やはり先生御指摘のように、プライバシーを含む調査票を回収する事業推進協力員に町民を充てたこと、あるいは今御指摘のありました、遺伝子解析研究を含むこの研究の全体像を初めの段階にきちんと分かりやすい形で十分説明していなかったのではないかというような配慮に欠ける点が見られますので、やはりプライバシーの取扱いについて住民の方々の理解がきちんと得られる形でこれから一年間議論をするというふうに聞いておりますので、そこで理解を得つつ、この重要な疫学研究が更に前に進むように文部科学省としても見てまいりたいというふうに考えます。
#22
○武見敬三君 さらに、実はこうした守秘義務を守るための法的根拠にもちょっと加えてお尋ねしたいと思います。
 例えば、このように実際に、町村の中で地方公務員として守秘義務というものをきちんと訓練されていない方々が実際にこの協力員として自治会の中の役員という立場から御参加されている、この場合、こういう方々が守秘義務としてどこまで罰則規定などをも伴うような法的根拠というものに基づいて法的な規制の下にあるのか、この点はどうなっているんですか。
#23
○政府参考人(丸山剛司君) 私ども、詳細にその町の調査員に充てられた方の守秘義務がどうなっているかという点については承知をしておりませんが、技術的に、例えばそのアンケート調査の調査票を回収する際に封筒に入れるというようなことをすれば調査員の方の手を経ることなく所期の目的が達成されたというようなことから、恐らく現場の研究者の方々も今後は町の町民を調査員としては使わないという判断をされたというふうに理解をしてございます。
#24
○武見敬三君 最後に、坂口厚生労働大臣、こういう問題についてどういうふうにお考えになるでしょうか。特にこれ、守秘義務に関する罰則規定をも伴う法的根拠といったような点で私はかなり問題が残されているなということを立法府の人間としても感ずる次第であります。こうしたことを踏まえて、研究自体は推進しなければいけない、しかし、それぞれ国民のプライバシーを守ることをやはり本気で真剣に考えなきゃならない。いろんな倫理規定というものがガイドラインとして出ているけれども、しかし、それは実際に倫理委員会で審査されたといえども、実際にそれがこうした国民生活の中で実施されるときに全く別のいろんなファクターが入り込んできてしまって、それによってプライバシーというものが本来、初期の我々の考えていたような形で守られないという実態がこういう形で出てきているんです。
 こういう点についていかに対処すべきか、厚生労働大臣の御所見を伺って、私の質問を終わります。
#25
○国務大臣(坂口力君) 医学の研究におきますプライバシーあるいはまた情報保護というものは大変大事な問題でございまして、文部科学省同様、厚生労働省も十分これは気を付けていかなければならないことだというふうに思っております。
 ただ、先ほど先生も御指摘になりましたように、疫学研究というのは非常に大事な部分なんですね。これはどうしてもこれからの国民の健康を守るためにはやっていかなきゃならないことでございます。むしろ諸外国におきます疫学、時間的にも広がりの面からいきましても大きな疫学調査が今まで行われてまいりましたけれども、日本にはそうしたものが非常に少なかったと言ってもいいのではないかというふうに思います。
 ただ、この疫学調査のときには、これはマスでとらえて、個々のどうだということではなくてマスで見て、そしてどういう傾向があるかということが分かれば十分それで用は足りるわけでございます。したがいまして、個々の人の氏名だとかそうしたものは要らないわけで、その地域における、あるいはまたその年齢層における、どういう結果が出るかということが必要なわけでありまして、そうした意味で様々な指針が作られておりますけれども、それはもうそれを作っていきますときのいわゆる本来の趣旨をそこに書いてあるだけでありまして、それを現段階で、それを実施をいたしますときのそれぞれの現場においてどうするかということは、その趣旨を十分に踏まえてこれやっていかなきゃならないわけで、そこまでは書いていないわけでありますから、その指針の趣旨を十分に踏まえながらやはり現場でやっていくというその手順を間違えるといけない。
 そうしたことにつきまして、もう少しより具体的なことをやはり検討をしておく必要があるのではないかというふうに思っている次第でございます。
#26
○中島眞人君 自由民主党の中島眞人です。
 木村副大臣、ちょっとお座りください。
 実は質問に入る前に、私、おとついのマスコミで報道されていた内容に対して、中身は分かるんですけれども、いよいよシーリングに入る、概算要求に入る、社会保障費を大幅に財務省はカットする、義務的経費を四千億くらいカットすると、こういう発言が、税収が四十一兆円で八十兆円からの予算作るんですから、やらなきゃならないけれども、これを一財務省の主計官、主計局辺りからそういう名指しでいわゆる新聞にリークをしていくといういき方が、私は予算編成上、これは大変な憤りを感じています。大臣からお聞きしようと思いましたけれども、熱い火花がまた財務大臣と厚労大臣の間に起こってもいけませんので。副大臣、副大臣会議があるかと思うんですよ、その席上でこういうことを軽々に発言すべきでないということを、私は副大臣会議で、木村副大臣、舌鋒鋭く追及をしておいていただきたいと思うんですが、いかがですか。
#27
○副大臣(木村義雄君) もし副大臣会議が開かれましたならば、中島眞人先生の意思を十分に対処させていただきまして、また私自身の考えもはっきりと述べさせていただきたいなと、このような決意でございます。
#28
○中島眞人君 結構でございます。
 さて、公務員制度改革の問題についてちょっと大臣にお聞きをしたいと思うのでありますけれども、公務員制度の改革というのは国民からも大きな期待が寄せられているという、そして、していかなけりゃ、五十年来の改革をという一つの時期に来ている。このことはこのこととして非常に大切な問題だと思うんです。
 しかし、昨今の一つの論調の中に、私は、平成十三年十二月に閣議決定の中でも、公務員制度改革大綱において「公務員の労働基本権の制約については、今後もこれに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持すること」と閣議決定されているんですけれども、昨今も内閣府等でこの公務員制度の改革をやっていく中に労働基本権の問題が全く論議されていない。やっぱり私なんかも、会へ行ってみてそこで資料が提示されたということで、私は党の厚生労働部会長をやっておりますから、職を懸けてこれに反対するという発言までしたんですけれどもね。
 私は、時代は変わろうとも労働者一人一人に与えられている労働基本権というのは普遍のものだというふうに思っています。しかし、それに代わる代替措置が日本の場合では人事院というふうなものがあり、そして、ヨーロッパ諸国では公務員が十日、二十日、一か月もストライキをやるけれども日本の職員組合はこれに対して一定のルールと秩序の中で取り組んでいるという一つの、ある面では日本式ないわゆる公務員制度というのが確立をしていることも事実なんです。先人の努力だったろうと思うんです。
 そういう点で、この労働基本権の問題と公務員制度改革の問題について、大臣から基本的な問題についてお聞かせをいただきたいと、こんなふうに思います。
#29
○国務大臣(坂口力君) 公務員制度改革につきましては、平成十三年十二月に閣議決定をされまして公務員制度改革大綱が決められたわけでございますが、これを決めていきますためには、今御指摘をいただきましたように、この労働基本権の問題は避けて通れない話でございまして、ここはよく議論を尽くしていかないと、これは何のための改革なのか分からなくなってしまう可能性があると私も思っている一人でございます。
 先般ILOに参りましたときにも、私は、日本におきまして政府の方の試案と申しますか、試みの案を一遍、一遍ちょっと示して、そしてそれを基にしてこれは労働組合とも十分な話合いを行う、そして合意ができたならば、こういうことで合意ができたということをILOにもお示しをして、そして了解を得て最終的に決定をするという、その手順が大事ではないかというふうに思っているということを事務局長にもお話を申し上げたところでございまして、是非そういうことで日本も進めてもらいたいというその御意見をもらったところでございます。
 連合等ともお話を個別にはさせていただいておりますが、しかし、これは個別の話ではなくてやはり正式な話合いの場にこれを乗せないといけないというふうに思っているところでございます。今後、こうした問題をひとつ正式の場に乗せて議論をしながら前進をさせていくということに我々もしたいというふうに思っているところで、我々もといいますか、厚生労働省としてはしたいというふうに思っているところでございます。
#30
○中島眞人君 大臣のその基本的な原則は貫きながら、そして、国民が期待する公務員制度改革というのはどうあるべきだという接点を求めていく、関係者との言うなれば話合い、協議というものが必要だという、私も賛成でございます。
 そこで、今日は文部省に来ていただいておりますけれども、公務員制度改革は、国家公務員二十五万人、地方公務員入れると三百万人、地方公務員だけで三百万人、その中に教育公務員がおりますね。教育公務員、今回の公務員制度改革の大綱の中には能力主義の一つの導入なんですね。だれがそのいい悪いを判断するのか大変難しい問題です。しかし、文科省においては、かつて昭和三十年に勤務評定闘争という大変苦い経験を得ており、その後遺症は各教職員組合の中で今なお後を引きずっている都府県の教職員組合があることも私は承知をしております。
 文部省としては、教育公務員のいわゆるこの一つの流れに対してどういうひとつスタンスで臨んでいくのか、能力主義というものをどういう格好で導入を図っていくのか、この辺についてまず文部省の基本的な考え方をお聞かせいただきたい。
#31
○政府参考人(樋口修資君) 今、先生お尋ねの公立学校の教職員についての能力主義の導入の検討の件でございますが、御案内のとおり、学校教育の成否はその直接の担い手でございます教員に負うところが極めて大きいわけでございます。教員がその資質、能力を向上させながらそれを最大限に発揮するよう人事あるいは処遇、研修等を実施することが極めて重要であると我々は認識しているところでございます。
 このためには、勤務評定を適正に実施することによって教員一人一人の能力や実績等を適切に評価いたしまして、それに基づいて人事や処遇等を行うことが必要であるわけでございますが、残念ながら、委員御指摘のとおり、これまで多くの都道府県教育委員会におきましては、勤務評定が実施されてきているものの適切に人事や処遇等に反映されてきたとは言い難い面もあるわけでございます。
 このため、文部科学省におきましては、すべての都道府県教育委員会に対しまして実践的な調査研究事業を委嘱すること等を通じまして、平成十三年度には、まず指導力不足教員に対する人事管理システムを構築するよう、これをきちんと指導させていただきますとともに、平成十四年度には、優秀な教員を表彰し、それを特別昇給等に結び付けるよう指導してきたところでございます。さらに、本年度、十五年度からは、教員評価システムの改善に関する調査研究事業をすべての都道府県教育委員会に委嘱をいたしまして、それを通じまして、平成十八年度までに新しい教員評価システムを構築いたしまして、勤務評定を適正に実施するよう現在指導しているところでございます。
 文部科学省といたしましては、これらを通じてすべての都道府県教育委員会等におきまして教員の能力、適性等が適切に評価されまして、それに基づいて人事や処遇、研修等が適正に行われるよう、今後取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
#32
○中島眞人君 答弁用の答弁としか私にはよく映りませんけれども。
 そうしてくると、これが給与にも波及をしてくるという形になると、これは勤務条件ですよね。先ほど労働大臣が言ったように、労働基本権の問題にかかわってくる問題、避けることはできないわけでありますから、これらの問題も十分話合いの上、一方的ないわゆる押し付けでないような形で、現場が混乱をする、現場が混乱をするということは、現場の先には国民がいるんですから、一番迷惑をするのは国民だという認識を持ちながら対応してほしいということを要望しておきます。
 時間がありませんから、これについては、もっと詳しく労働問題については触れていく機会を持ちたいと思います。
 さて次に、大臣、年金の問題、大臣、大変御苦労いただいておりますけれども、八月中には給付と負担の方向性を出したいと。財界等からいろいろな意見が出たり入ったり、様々な意見が出ておるんですけれども、私は、来年度の年金制度の改正を踏まえて、と同時に、私どもが取り組んできた年金問題というのは、公費三分の一を二分の一に、いわゆる五〇%負担、ここからスタートが始まるんだというふうに認識をしておりますけれども、年金問題に取り組む姿勢はそこからスタートをしていくという基本線は微動だにしていない、と同時に、今年度、年金問題、概算要求等の問題、来年にかけての一つの方向性というのは公費五〇%をスタートだと、こういう考え方は微動だにしていないというふうに、もうお答えは分かっておりますけれども、大臣の確認をまずさせていただきたいと思います。
#33
○国務大臣(坂口力君) 先ほど木村副大臣にも御質問をいただいたところでございますが、社会保障費が、高齢化もございますしいたしますので、だんだんと伸びてきている。そうしたことから、社会保障費が大きくなってくるからここを切るべきだという考え方は、私はもうその考え方そのものが間違いであるというふうに思っている次第でございます。したがいまして、なぜ社会保障費が必要なのかというところを見てもらわないといけないというふうに思っている次第でございます。
 年金の問題につきましても様々な議論が出てまいります。聞いておりますと恐ろしくなるような話が出てくるわけでございまして、私はそうした話を聞いておりますと、このままでいくと年金は将来消えてなくなってしまう可能性がある、そんなことをしてはならない、後世にそうしたことを残してはいけないというふうに思っております。
 したがいまして、二分の一をもう既に前回の国会のこの法律を通していただきますときに決定をしていただいているわけでございますから、それは必ず守っていく。その上で、少なくとも最低限どういうふうな年金を構築をしていくか、姿形はいろいろあるだろうというふうに思いますけれども、負担と給付におきまして、少なくともこれだけは確保するということを明確にしていかないといけないというふうに思っております。
 皆さん方にアンケート調査で求めましても、皆さん方の御意見の大半は、年金を中心としながら自己努力で老後を乗り切ると、こういうふうに多くの方がお答えになっているわけでありますから、年金を中心にというふうにほとんどの人がお答えになっているわけでありますから、その中心の年金がお若いときの所得の半分以下になるというようなことでは中心というわけにはいかない、私はそのように思っているわけでございます。
#34
○中島眞人君 原則だけしか確認ができません。大変残念ですけれども。
 その次に、私は、国保会計の問題と介護保険問題、町村にとってみると大変頭の痛い問題です。三千人以下の町村というのは三七%あるんですね。三千人未満の町村というのは三七%。これは過疎ですよ。過疎はイコール高齢化が急速な形で進んでいる町村だと。
 そういう中で大臣に大変御苦労いただいているんですけれども、いわゆる国保会計が各町村がそれぞれ独自なやり方をやってきた過程というのはもう限界に来ている。そして、いわゆる国保会計の広域化という問題を、大臣に知事会とも接触をしていただいておるんですけれども、私はこれはもう時間を待てない。そうしていかないと、言うなれば平等な、日本の医療というのは私は平等ということが根幹になっていると思うんですよ。平等の医療というものが確保できないという問題が起こってくるんではないかと。
 それともう一つ、介護保険。別々の質問ですけれども、時間がありませんから一緒にします。
 介護保険もやはり三千人未満、三七%の町村。介護保険、これがやがて私は医療保険、国保会計がたどっていく道をたどっていくであろうということはいわゆる想像に値することだろうというふうに思うんです。
 介護保険の改定を控えて、介護保険の例えば四十歳、いわゆるその納付の問題、あるいは同じ高齢者でも夫婦共稼ぎで五十数万円の、夫婦で五十数万円年金をいただいている、あるいはそのほかに財産収入がある、片方では基礎年金だけで生活をなさっている方がいる。
 私は、保険料の納付のときには差が付いておるけれども、負担のときには高所得者もあるいは低所得者も、いわゆる一割負担というその形は変わっていない。こういう形になりますと、是非私は、改正に当たって、いわゆる高所得者に対する一つの切り込み、あるいは介護保険の年齢四十歳というのがどういう理論根拠で四十歳になったのかということをもう一回思い直していただき、あるいはみんなで助け合おうじゃないかという共助と自助の原則でいくならば、三十歳、二十歳の方々にも御理解をいただくような形で、そして高額所得者に対してはやっぱりそれを切り込んでいくという、少なくとも、医療保険でも三割負担でございますから、一割と言わずに三割ぐらい負担をしていただくというような形も変えていかないと、介護保険制度そのものも私は崩壊をしていく運命が見えるような気がするんですけれども、この辺についても御検討を賜りたいと。
 時間が参りました。大臣からお答えをいただきまして、質問を終わらせていただきます。
#35
○委員長(金田勝年君) 答弁は簡潔にお願いいたします。
#36
○国務大臣(坂口力君) 国保の問題とそれから介護の問題と、いずれも大きな問題、簡単にということでございますので多くを申し上げることはでき得ませんけれども、国保の問題は御指摘のとおりでございまして、これはもう統合一元化に向けて一気呵成に進めるという以外にないというふうに思っております。
 知事会の皆さん方ともよくお話をさせていただいておりますが、かなり強い抵抗がございます。しかし、これは国民、県民の皆さん方の健康にかかわる問題でございますから、そうそう反対というふうにおっしゃらずに是非とも合意をしていただきたいということを申し上げているところでございます。粘り強くここはやらせていただきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、介護の問題につきましても、これは来年、再来年ころお願いをすることになっておりますが、これはまた来年の年金同様に大きな課題になるだろうというふうに思います。
 今おっしゃいましたように、介護と医療保険との問題をどうするかという問題がございますし、また、サービスが非常に多くなるにつれまして、それに対する財源をどう確保するかということ、大変な課題でございます。こうしたことも併せて審議ができますように、今からもう積み重ねてどんどんと議論を皆さん方にしていただくようにしていきたいというふうに思っている次第でございまして、将来に持続できる制度を残さなければいけないというふうに思っている次第でございます。
#37
○山本孝史君 民主党・新緑風会の山本でございます。
 坂口先生、昨日は衆議院の厚生労働委員会で一日審議でございましたし、今日もまたこちらの方でということでございますが、ひょっとすると大臣としてこの委員会で御答弁いただける機会も今日が最後かもしれないというか、非常に短くなってきているように思いますので、ふだん思っておられること含めて、本音でひとつ今日は御答弁をいただければというふうに思います。
 先ほど中島理事の御質問にもありました、来年度の予算編成、二千億カットだというような数字が先に出てきておりますけれども、御答弁いただきましたように、私も同じ思いでございまして、財政再建といいましょうか、財政の予算編成上の理由を先に持ってきて社会保障をカットするというのはやはり本末転倒ではないかと私も思っております。
 先ほど年金の問題でございましたけれども、私、同様の思いを実は生活保護の問題について気にしております。と申しますのも、新聞の報道によりますと、社会保障審議会に専門委員会を設置して、最低生活費の引下げも視野に制度の抜本的な見直しに乗り出すと、こういったような報道があったわけでございまして、まず大臣に冒頭お伺いをしておきたいのですけれども、この生活保護というものについて今後どのように考えていかれようとしておられるのか、御見解をお聞かせをいただきたいと思います。
#38
○国務大臣(坂口力君) 生活保護の問題につきましては、今、委員がお触れになりましたように、社会保障審議会の福祉部会におきましてこれから議論を始めていただくところでございます。
 生活保護をお受けになります皆さん方の場合には、もちろん経済的に行き詰まった皆さん方でございますけれども、その背後には、健康を害された皆さん方始めといたしまして、様々なそこに問題が存在をいたしております。
 したがいまして、生活保護を受けられる皆さん方に対しましては、そうした背後にあります問題によくこれは御相談に乗せさせていただいて、そしてでき得る限り雇用の場に就いていただけるように努力をするというのが一番大事なことだというふうに思っております。そして、全体として、生活保護を受けていただく皆さん方が少しでも少なくなっていくことができればいいなというふうに思っておりますが、そうしたことを抜きにして、これも財政上の問題だけで、ただ生活保護を受ける人が増えてきたからということだけで一人一人の生活保護の額を少なくしていくということは、それは乱暴な話でございまして、私はそれは受け入れるつもりはございません。そこは明確にしておきたいというふうに思っております。
 ただ、生活保護をお受けになっている皆さん方の間で、例えば年齢によりまして多少格差があったり、いやまたこれはどうも少しおかしいのではないかというような御指摘を受けているような点につきましてはこれから検討をしていきたいというふうに思っておりますが、そうした背後に潜むもの、なぜ増えるか、なぜなっているかという背後に潜むものをやはり解決をしていくことが我々に課せられた大きな課題であるというふうに思っている次第でございます。
#39
○山本孝史君 決算委員会でも、あるいはこの委員会でも御指摘申し上げておりますように、生活保護費が二兆円近い金額になっているわけですけれども、毎年、当初予算でそれだけの金額が手当てできないものですから補正予算で、その年に必要な金額のほぼ二割前後を常に補正予算で追加的に支出をしているという状況になっているわけです。
 財務省の方の予算執行調査におきましても、これはやはり生活保護を適正化というか、見直しという表現をしておりますけれども、基準を下げるべきだと。一般国民の中にも、あるいは国会議員の皆さんの中にも、生活保護で楽々と生活している人たちがいて、働いている者はなあと、こういうふうに常におっしゃるわけですけれども、生活保護基準の見直し、あるいは生活保護というものの制度を崩壊させていくということは、イコール国としてはもう社会保障はしないんだと言っているのと私は同じだというふうに思っておりまして、その点で大変この議論は気になっているところであります。
 大臣おっしゃいましたように、しかしながら、生活保護二兆円近いですけれども、五五%ぐらいは実は医療扶助、おっしゃいましたように病気の方たちでありまして、そのうちの七割近くが入院で、そのうちの半分は精神疾患の方たちということですから、近年の景気動向を受けて、リストラされて生活保護に転落をするという形も多いですけれども、基本的には国民の生活を支えているどうしても必要不可欠な部分なんじゃないかと思っているんです。
 ただ、その見直しの議論というものがありまして、今お触れになりました社会保障審議会の中の委員会での議論等々ということでございますが、秋口に社会生活に関する調査検討会の報告が出ると聞いておりますけれども、今おっしゃいました専門委員会での議論等々、いつごろまでに、このめどで報告をされるのか、そのことについては公開でやっていただけるのか、またその結果に基づいて来年度の予算編成に何らかの反映をするというお考えでこの専門委員会での議論をされるのか、御担当の方からお聞かせをいただければと思います。
#40
○政府参考人(河村博江君) 先ほど大臣からお触れになりましたように、社会保障審議会の下に専門家の方々をお集まりいただきまして、専門的な検討を行っていきたいということでございますけれども、この委員会での議論の進め方については、今後、委員の方々と御相談しながら決めてまいりたいというふうに思いますが、まずは保護基準の在り方等について議論をお願いしたいというふうに思っています。いずれにいたしましても、生活保護の在り方については委員会において十分な議論がなされるように私どもとしても配慮してまいりたいと思っておるところでございます。
 来年度予算に反映させるのかさせないのかというお話についてでございますが、今後の委員会での議論にもよると思いますけれども、現時点で来年度予算に反映する可能性を否定しているわけではございませんけれども、いずれにしても、議員御指摘のように、十分な議論が行われるということが重要であるというふうに考えておりまして、そのような運営に努めてまいりたいというふうに思います。
#41
○山本孝史君 公開か非公開かはこれから委員の中でお決めになるのかと思いますが、私は、公開でやっていただきたい、やるべきだと思いますし、いつぐらいまでにというめどでこの委員会での議論をお進めになるお考えでしょうか。
#42
○政府参考人(河村博江君) 生活保護の在り方あるいは制度執行両面にわたって議論をしていただくと。その前提として、私ども低所得者の方々の生活実態の調査というものをやっておるわけでございますけれども、そういったものを踏まえながら議論が進められていくというふうに思います。
 いつまでにというのはまだ確たるものはございませんけれども、保護の在り方全体も視野に入れながら議論を進めるということでございますから、ある程度の期間、数か月というようなレベルのものではないというふうに思っておるわけでございます。
#43
○山本孝史君 先ほど大臣の御答弁の中で、年齢でもって云々と、こういうお話がありまして、恐らく念頭に置いておられるのは、老齢加算というものが一つの見直し対象である、あるいは母子加算について見直しをすべきだと、こういうお声が新聞に出ていますので、そういったことを踏まえて御答弁をされたんだというふうに思いますけれども、局長おっしゃいましたように、これはやはり数か月というような話ではなくて、長年の日本の社会保障制度の根幹を成してきている制度ですから、その制度をどうするかという問題については正に国民的な議論が私は必要だと思っています。
 あわせて、この点についても局長のお考えをお聞かせをいただきたい、あるいは大臣のお考えもお聞かせをいただきたいというふうに思いますが、生活扶助の基準の在り方ですけれども、これは消費支出で一般世帯の七〇%弱ということで、保護世帯と一般世帯との消費支出を比較しながら常に七割という水準で置いてきたわけですね。それは、元々の社会保障制度審議会での様々な議論があって、それが妥当であるという中で、その後、消費動向を見据えながら金額が動いてきている、上下してきているということですから、一つの七割弱という考え方が常にあるわけです。
 先ほど年金で、年金は五〇%を切ったら年金ではないと、こういう言い方もなさったわけですけれども、この七割、ずっと守ってきました。一つの考え方の中で七割というものを守ってきたこの生活扶助の基準、このものも見直しの対象としてお考えなのか、あるいは見直した方がいいというふうに思っておられるのか、この点はいかがでございましょうか。
#44
○政府参考人(河村博江君) 今後設置予定になっておりますこの専門委員会におきまして、一般世帯と被保護世帯の消費の実態に関する調査結果などを基にして、生活保護制度の目的であります最低限度の生活の保障をするために妥当な基準、そういうものの在り方について御検討を進めていただくということでございますので、その際には現行の基準の妥当性についても検証をすることになるというふうに思っておるところでございます。
#45
○山本孝史君 予算編成にこの議論が反映されるということは否定しないと、こうもおっしゃいましたし、基準の七割というものについても見直しの対象にするというお考えでございますので、そういう意味でいくと、制度が抜本的に改正されるというふうに私は今の河村局長の御答弁ですと受け止められるのですが、大臣のお考えの中に、この生活保護、先ほど冒頭おっしゃいましたように、大変重要な制度であるという認識の中で、この基準額というものも、七割というものは見直していくべきだと、こういうお考えでございましょうか。
#46
○国務大臣(坂口力君) 無年金障害者のときにも私申し上げたわけでございますが、その皆さん方を何ら手を差し伸べずに置いておきますと、これはほとんどの人が生活保護になってしまうわけですね。ですから、若い間に手を差し伸べるべきことは差し伸べて、そして仕事をできるようにしていただくというふうにすることは、生活保護になる人を増やさないという意味からも大変大事なことだというふうに私は思っているわけでございます。
 そういう意味で、全体的にやはり生活保護に陥っていかないようにどうするかということも考えなければいけないというふうに思っておりますが、その七割というのは、七割とは別に決まっているわけでは決してないわけでございまして、したがって、七割と決めて、今後七割にするとかどうかということではないというふうに思っておりますが、結果として大体七割弱になっている、六七、八%になっている。これは、高度経済成長のときに大体どんどんと、年々歳々見てみるとそういうふうになってきたということだろうというふうに思いますが、こうした時期になってまいりまして、その七割というのを今後も維持することが妥当かどうか。非常に一般の世帯ですら厳しい状況になってきている中で、さらに、その七割というと、本当に維持できるのかどうかということもございますし、決して下げるという意味ではなくて、そうしたことは全体に考えていくということは大変大事なことだというふうに思っている次第でございます。
#47
○山本孝史君 ほかの質問もありますので繰り返しの御質問ができませんけれども、大臣の頭の中にも入っていると思いますが、昭和五十八年十二月の中央社会福祉審議会の意見具申の中で、当時の生活扶助基準は、一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準に達していると評価した上で、その改定に当たっては、当該年度に想定される一般国民の消費動向を踏まえると同時に、前年度までの一般国民の消費水準との調整が図られるよう適切な措置を取ることが必要である、こういう話の中で、当時の、五十八年十二月のこの意見具申を受けて、そして、ずっとその後の水準はほぼ一定して七〇%弱、六七・一%五十九年度から始まって、平成十一年度六八・三%というふうに、ずっと同じように動いてきているんです。ここのところ一般国民がこんなに苦労しているんだからという話は、これは消費支出の比率の話としてやっていますので、実体額の話ではありませんから、そこを混同することなく、この長年続いてきている制度を、根幹を、考え方変えるというのであれば、やはり慎重な議論をしていただきたいということを重ねてお願いをしておきたいと思います。
 それから、国民年金の問題についてお伺いをしたいと思います。
 国民年金の収納率が平成十三年度に七〇・九%にまで落ち込みました。福岡市では平成十四年度の収納率は前年比で一〇・五%落ち込んだと報道されています。そうしますと、平成十四年度の全国での収納率、十三年度の七〇・九%はこの十四年度にはどの程度になると見ておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
#48
○政府参考人(磯部文雄君) 平成十四年度の国民年金の納付率に関しましては、非常に厳しい経済情勢の下で保険料負担能力の低下、また免除制度改正の影響などもございまして、極めて厳しい状況にあるというふうに認識しております。
 お尋ねの十四年度の納付率につきましては、要因分析や今後の収納対策も含めまして現在取りまとめ中でございまして、まとまり次第早急に公表したいと考えております。
#49
○山本孝史君 先行している福岡で前年度に比べて一〇%以上落ちている。福岡は大体全国の平均的なところだと聞いておりますけれども、その問題をもってすれば、七〇・九%になっている平成十三年度がそうですから、平成十四年度は間もなく出るとは思いますけれども、しかしながら、大前提の話ですから、一体幾らぐらいになるだろうと思って仕事をしておられるんですか。
#50
○政府参考人(磯部文雄君) 御指摘の、福岡の事例を申されましたけれども、全国的にも非常に厳しいというふうには認識しておりますが、数字自身は現在取りまとめ中でございます。
#51
○山本孝史君 なぜそんなふうに聞くかというと、年金改正の八月末には大臣私案をお出しになる、こう聞いておりますけれども、基礎年金部分、国民年金の空洞化といいましょうか、収納率が大幅に低下しているという問題は、やはり年金改正を考えるときの一つの大きな大前提なんですね、検証を加えなければいけない。という意味で、この十四年度にどこまで落ち込んできているのか。なぜそうなっているのか。私は、去年の四月から収納事務が市町村から国に移ってという中で、かなりそれも落ち込みの一つの原因を作ってもいるのじゃないかと思いますけれども、ここはできるだけ早くそういうデータも出していただきたいと思います。
 それから、大臣にお伺いをしたいんですけれども、制度改正を考える中で、私は、報酬比例年金の問題もそうですけれども、被用者年金はそうですけれども、やはり国民年金全体で支えているという形に言われているこの基礎年金というものをどうするかということが非常に重要だと思っています。
 第一号被保険者の就業状況の構成割合ですけれども、第一号保険、すなわち国民年金と、こういうふうに言いますと、自営業者のための年金だと、こういうふうにみんな思っているわけですけれども、しかしながら、第一号被保険者の就業状況を見ますと、自営業者が二二・六%、その家族の従業者が一一・三%、被用者、すなわち百三十五万以下で働いているような、社会保険の適用がないという方たちが二六・四%、無職が三四・九%なんですね。したがって、国民年金の中で、無職の人は収入がないと分かっているわけですし、被用者の方たちというものは給料が払われているわけですから所得の捕捉ができる、家族の従業員という方たちもほぼ給与でもらっていると思いますのでここもできる。
 というふうに考えてきますと、実は第一号被保険者というものが今、定額制の保険料率になっているわけですけれども、非常に逆進性の高い、しかし、これ国民年金も本来的にいけば所得比例で保険料を納めるようにすることが可能じゃないかと、こう思うんですけれども、これは可能じゃないんでしょうか。そういうふうな方策を考えてみようというふうには、大臣、お考えになりませんか。
#52
○国務大臣(坂口力君) 年金制度をどういう形にするかということを考えますときに、いわゆるスウェーデン方式と言われますような、そういう所得比例を導入していくということが私は方法としては一つのこれは、一つの方法といいますよりも有力な方法の一つというふうに私も位置付けているわけでございます。
 しかし、今御指摘になりました、国民年金の皆さん方のいわゆる所得の捕捉というものが十分にできるかどうかという問題について、そこは私はまあ委員がおっしゃるほどなかなか決着が付いていないと思っておりまして、そこがうまくいくかなということが一つの大きな私は問題点だというふうに思います。
 二十数%であれ、自営業者の皆さん方もおみえになるわけでございますしいたしますので、そうした皆さん方の捕捉というものがやはりちゃんとできるということが一つの前提になってくるというふうに思うわけでございまして、そうしたことも、しかしそうはいうけれども、もう大分できるようになってきているじゃないかというふうにおっしゃる。以前のことを比べると自営業者の割合が下がってきていることも事実でございまして、そうしたことも十分念頭に置きながら今後の年金制度というのを考えていかなければならないと私も思っております。
#53
○山本孝史君 言いましたように、国民年金というとサラリーマンでない人たちの年金だと、イコール自営業者の年金だと思い込んでいる人たちが多いものですから所得の捕捉が正確にできない、この話もおかしいんですよね。所得の捕捉ができないからという話がそもそもおかしいのであって、所得の捕捉ができなければいけない。今よりも改善はしていくはずだろうと、こう思うんですよ。
 先ほどから国民健康保険、国保の話も出ていますけれども、確かに昭和四十年代、四十年度の市町村国保は農林水産業の人たちが四割、自営業者が二五%おられて、非常に被用者ですとか無職は少なかったんですけれども、今、平成十四年度ですけれども、もう半分は無職なんですね。農林業の人たちは七%ぐらいしかいない。自営業者二割ということになっていますので、国保でも国年でも二割の人たちの自営業者の所得の捕捉ができないということをその言い訳にして定額制の保険料をやっていくということが本当にいいのかどうか、私はやはりここは違うんじゃないかと思っています。
 社会保険の適用拡大ということも含めて考えれば、こうした国民年金の対象者というものをもう一遍考え直す、あるいは所得比例にした方がいいんじゃないかなと思いますのはもう一つの問題がありまして、というのは、国民健康保険は所得が低くても応益応能で負担していますので、非常に所得の低い人たちであっても保険料は負担するんですね。介護保険に至っては、生活保護を受けていても保険料を負担するということになっているんです。ところが、国民年金については、所得が一定あるにもかかわらず免除されているわけですね。多くの人たちがこの網から落ちていくということになると、同じ社会保険制度でありながら、保険料の掛け方が違う、あるいは取らなければいけない対象者が全く違う。
 繰り返しますけれども、介護保険は全員から、生活保護を受けている人も保険料を払うというものを作りながら、国民年金の方はがさっと抜けるような制度にしているという、この両方の制度の違いはどういうふうに御説明をいただけるんでしょうか。
#54
○政府参考人(吉武民樹君) 今、先生お話しありましたとおり、国民年金で申し上げますと、基本的に法律上必ず免除になられる方、これは生活補助を受けられる方等でございます。それで、全額免除と通常言っておりますし、それから半額免除制度というのも昨年から導入いたしておりますが、これは実は申請による免除でございます。
 全額免除は、今の夫婦子供二人世帯で申し上げますと、所得金額が百六十四万円という、これ以下の方につきまして申請によって免除をするという仕組みでございますが、追納という手段も用意をいたしておりまして、所得の変動が起きましたときに、御自分の判断も加味をいたしまして、免除によりその間の保険料の負担をしないという道を用意するという形でございまして、もちろん、その申請免除の対象になっている中にも保険料負担している方は相当数おられるという形でございます。
 それからもう一つ、それは、先ほど来先生のお話ございましたけれども、所得の把握の問題、それから、仮に所得を把握をいたしましても所得総額、自営業の方のうちのいわゆる事業所得を、課税所得を持っておられる方が一千五十万人のうちの約二百万人と言われておりまして、この人たちの所得総額はそんなに大きくない可能性がございます。そういうことの中でどういうふうにして考えていくかというのが給付との関連でございまして、そういうこともございまして定額の保険料という仕組みを取っておりまして、定額の保険料との兼ね合いで今申し上げたような仕組みを取らさせていただくということだろうというふうに思っております。
#55
○山本孝史君 きちんとした御答弁はいただいていないと思います。
 どう考えてみたって、同じ保険、同じ社会保険制度を運用しながら、片っ方で非常に厳しく保険料負担をさせながら、片っ方で控除の、配偶者控除ですとか基礎控除ですとか控除を積み上げて、この分だけは全部免除の対象にしますということですと、国民健康保険の応益負担をしておられる方たちの保険料から見ていても全く違う。一万三千三百円の逆進性の非常に高い保険料を取っている。
 私、被用者保険の、厚生年金の保険料も二階の、いわゆる二階の報酬比例に当たる部分と基礎年金に当たる部分を分離して、介護保険と健康保険と分離して取っているのと同じように分離して取った方がいいと。そうすると、基礎年金としてどれだけのものを自分たちは払っているのだという負担と給付の関係がよく分かると、こう思うんです。それと同じように、国民年金も一万三千三百円の定額負担をしている。だけれども、一万三千三百円以上に払える自営業者の人たちが一杯いるにもかかわらず、その人たちは何ら負担しなくていいのに被用者年金の方では非常に高い負担をしなければいけない。だから、同じようにやっている中でのこの差は、やっぱり国民の側から見ると非常に年金制度に対する不信を高めている原因の一つだと思うんですね。
 前回改正のときに、税方式という議論の中で、どちらかというと税財源はどうするんだみたいな議論に行ってしまいましたけれども、国民年金を本当に所得比例にできないのかどうかというのは、もう一度きっちりと議論をし直した方が私は理解が得やすいのではないかというふうに思います。
 それから、年金に対しての不安を醸し出しているというか、というので皆さんは抵抗しておられるのであれですけれども、世代間の格差の是正というのは、やはり若い人たちが年金に対して不信を持つ、イコール政治に対して不信を持っているということですから、世代間格差がどうなっていくのか、今度の厚生省の案によって世代間格差はどのように変わるのかということについてはやはり国民にその姿を見せるべきだと思います。
 結論を先に申し上げて、必ず払っているもの以上に戻ってくる云々の話は、これから先の人口構造等を考えますと戻ってくる率が悪くなることは当然のことであって、そこはみんなで一生懸命説明をしなけりゃいけないと思いますけれども、その前提になります世代間格差の是正がどの程度進むのかという数字についてなかなか出していただけない。これはやはり出していただきたいと、こういうふうに思うわけですけれども、年金局長、御答弁いただきます。
#56
○政府参考人(吉武民樹君) 実は、平成十一年の財政再計算のときに今先生がおっしゃったような数字を出させていただいています。ただ、私ども、この経過から申し上げますと、どちらかといいますと、その数字だけが独り歩きをしてしまうという可能性がございまして、十一年でお出ししました数字は、非常に分かりやすくするために、十一年度の価値で、将来の給付を十一年度の価格に戻したわけでございます。そうしますと、ずっと将来の世代ほど割引をいたしますので、十一年度の価格では小さくなってしまうという問題がございます。それからもう一つ、これは機会費用という考えを持ちまして、いわゆる積立金の運用利子率で割戻ししたり、保険料を増やすというような仕組みを取っております。
 それで、もちろん先生おっしゃるとおり、世代間格差という御議論に対して私どもなりに説明をしていくことは非常に大事だろうというふうに思っておりますが、同時に、これは例えば今の年金受給者の方が、例えば昭和二十年代は厚生年金の保険料率は三%でございます。これは、戦前は実は一〇%払っていただいたものを、戦後の復興ということで、保険料率を凍結どころか下げまして、そのことによって負担を軽減したという経緯がございます。
 こういうことについても、やはり若い世代の方にも分かっていただくように、そういう歴史的な背景なり経済発展の歴史を踏まえながら御説明する必要があるだろうというふうに思っておりまして、先生の御指摘は非常に大事な点だと思っておりますが、私どもの方も、よくこの点については議論をし、世代間格差の問題については御説明をしていきたいというふうには考えております。
#57
○山本孝史君 だから、局長さん、九九年改正のときにいろんなデータをお出しになって、それ以降、年金というものについてやっぱりちゃんとデータを厚労省は出して、そして国民の求めに応じて、それによってみんながどう判断するかという前提としての資料なんですよね。その説明が非常に難しい、あるいはその説明にいろんなことを付けなければいけない、誤解を招く。それは誤解を招くのは説明の仕方が悪いんであって、だから、そこは資料を出さないんだと言うと、あんたたち一体何をやっているんですかという話に僕はやっぱりなると思うんです。
 その意味で、やっぱり前回改正時に出されて、今のお話だって、将来こうなりますと、こういうふうに運用していくと将来こうなりますから、それを現在価格に割り戻せばこういう金額になりますからこうですとおっしゃるんでしょう。だけれども、その話は、逆転すれば、今五九%の所得代替率でやっている、それが将来こういうふうに動いていけば五二%になりますよという、こっちのルートだけは出しておいて、逆のルートで計算すると、それは危ないから出せませんという話は、それは議論としては成り立たないですよ。
 だから、先ほどの立ち話じゃないけれども、委員会として提出を求めましょうかと、こう申し上げているのは、やっぱり出してくださいと言っている資料を出さないというふうに言われると、我々、議論のしようがない。それで年金改正をどうやって来年やるのかという話になりますので、ここはやっぱり出していただきたい、あるいはその他にいろんな資料もみんなやっぱり出していただくと。資料を出すということについて、もうしようがない、大臣に聞きます、出してください。
#58
○国務大臣(坂口力君) 来年は、来年の国会は本当にこの年金で大議論をしていただかなければならないわけでございます。先ほど山本議員からもおっしゃいましたように、多分、私もその質問席に立たせていただいているだろうと思っておりますが、大変だろうと率直に言って思っております。
 これは、医療、介護、あるいは労働問題以上に、この年金問題というのは、今後の二十年先、三十年先あるいは五十年先の計算をどうするか、どういう前提の下に数字を出すかというところにもう集約されてくるわけですね。もちろん、どういう形の年金制度にするかということもありますよ。ありますけれども、そこに集約されてくる。だから、前提が違ったら全然話は違ってくるわけでありますから、どういう前提の下にこの数字を出すかということが大事でありまして、その前提と、そして前提を明確にした上での数字、これはちゃんと出すようにいたします。これは責任を持って出すようにいたします。
 それともう一つは、若い人たちにどう説得をしていくかということなんだろうと思うんです。若い人たちは、今の高齢者と自分たち、若い自分たちとの間の比較をされるわけでありますけれども、若い人たちの間で、年金に掛金をなさる方と、年金はやめて、やめるというのは本当はいかぬわけですけれども、中には年金をやめてもう預貯金をされるという方とあるわけでありまして、それは同じようにやったら一体どれだけ違ってくるかということ、これも明確にしていかないと私はいけないと思っています。
 それは半分出すんですから、これから国が、だからそれは私はプラスに違いないと思うんですけれども、そこのところがなかなか理解をしていただいていないというふうに思っておりまして、そうした問題も含めて、私は明らかにしていくと。だから、数字を出すときには必ず、前提としてこういう前提の上に計算をしたということを明確にすると、これはもう一番大事なことでございますので、そういうふうにしたいというふうに思っております。
#59
○山本孝史君 前提の置き方で、いつも厚生省からもらう資料をいただきながら、積立金の運用利回りが四%で計算をしておりますと、と言った途端に、現状に合っていない話で、おまえ、そんなこと聞いたって話になるかと、こう怒られるわけですね。といっているうちに、今度は、運用利回りを変えて現実に合わせて作ってみましたと、こういうお話ですから、いろんな試算はできるんだと思います。いろんな試算はできるんでしょうけれども、やっぱりいろいろ試算をやってみてどうなんだということの理解を深めるんだろうと思います。お願いします。
 それから、年金不信をひとつやっぱり生み出している事件になってしまっているなと思っているのは、加給年金の過払いと未払が大変大きいという話です。実態はどうなっているのか、平均額、そして最高額はどのぐらいになっているのか、過払い、未納、それぞれについて、まずは数字を教えてください。
#60
○政府参考人(磯部文雄君) 加給年金の過払いにつきましては、平均額は約三十八万円でございます。最高額は百十九万三千八百十六円となっております。
 振替加算の未払につきましては、これは七月十一日時点で検討中のものでございますけれども、平均額は約七十五万円、最高額は二百七十三万七千六十六円となっておりますが、この数字は最終的には八月下旬に確定する予定のものでございます。
#61
○山本孝史君 社会保険庁のミスで、結局、今のお話ですと、一番大きい人で二百七十三万円の年金をもらえずにきたということですね。
 新聞報道だけですけれども、この二百七十三万円の未払分について、済みませんでしたということで利息を付けて払うのかというと、利息は付けないんですと、こういう新聞報道がされています。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 それで、そんなことはあるかと僕も思いまして、国税庁に、もし税務署が指導を間違えて余分にもらってしまった、あるいは足りなかったときは国税庁はどうするんですかとお聞きしましたら、税金はちゃんと通則法があって、余分にもらってしまった、税務署の窓口が指導を間違えて余分にもらってしまったものを返すときはちゃんと利息を付けて返しますと、それで、足りなかったというときには、足りなかったものについては延滞税は取りませんという規定がちゃんと整備されている。ところが、社会保険についてはそんな整備はないということで、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいと謝り続けるんだというのがどうも社会保険庁の話ですけれども。
 しかし、それもおかしな話だと思いますし、もう一つおかしいというか、大変だと思いますのは、今、言ってみれば、突如として二百七十万円の年金をもらうわけです、今年。そうすると、それに対して来年所得税等々が掛かってくるわけです。過去の分で考えると、御承知のとおりに、介護保険であれ国民健康保険であれ、全部その所得に応じて負担基準が決まっているわけですから、過去の分で考えると、適正な負担になっていなかった、払わなきゃいけないのに払わなくて済んだ、あるいは払わなくてもよかったのに多分に払ってしまったという状態がずうっとこの人たちは十年近く続いていたはずなんです。そのことについてどうするのか。
 それから、今年突如として収入が増えるけれども、それは例年でいただいていればこれだけのものとして税金等々払えばいいはずなのに、一遍にそれだけのものをもらってたくさんの所得税を払わなければいけなくなるというのは、社会保険庁のミスを結局受給者の側に全部ツケ回しをするということになるのではないかと思います。
 これは適正な私は措置をすべきだと思いますけれども、お考えをお聞かせください。
#62
○政府参考人(磯部文雄君) まず、利子の件でございますが、現在の年金関係法令におきましては、年金に係る未払金に対しまして利子を付すということとはされておりません。
 これまでも、本人からの届出の遅れ等によりまして未払あるいは過払いが生じた場合もございますが、利子を付しての追加払いや、あるいは返納を求めるということはしておりませんので、今回、御迷惑をお掛けした方々に対しましても同様の取扱いとせざるを得ないと考えております。
 一方、委員御指摘のとおり、国税通則法には加算金の規定もございますし、逆に言いますと、延滞税が課されるということもあるのではないかというふうに考えております。
 それから、それに基づく国民保険料や、あるいは介護保険料など、所得への変動でございますが、御指摘のとおり、そうしたことが生じる可能性があると考えております。
 それにつきまして、税の方での更正決定等の規定もあるようでございますが、いずれにいたしましても、社会保険庁として、できるだけそうした影響が少なくなるような方途について今後検討していきたいと考えております。
#63
○山本孝史君 いや、部長さん、だから、最後にできるだけ影響しないようにしていきますと、こうおっしゃりながら、冒頭のところでは、そういう法律にはなっていませんので謝るしかありませんと、こうおっしゃっているわけでしょう。
 だから、繰り返しになりますけれども、税金の場合でも、本人が払うのを怠っていればそれは延滞税が当然掛かる。だけれども、税務署の職員がやっぱり間違うことはあると、間違ったときにこうこうしますと、ということで更正をしますと。そうすると、一か月間は、一か月ぐらいの猶予は見てください、その間の部分についてはそんな利息云々という話はしませんけれども、一か月を超えてくればちゃんと指導、間違ったことについては適正に措置をしますというのが国税庁のやり方。
 社会保険庁のやり方は、やっぱり私はミスはあると思います、あるときに、法律がこうなっているからできませんというのじゃなくて、じゃ、できるように法律を変えればいい。そういうことなんじゃないんですか。
 だから、やっぱり、自分たちが間違った話を国民にそうやってツケ回しをするということはおかしいし、基本的に年金は、本当に自分のこの年金は正しいんだろうかと、あの新聞記事を見て思った人たちは一杯いると思います。その意味でも、ちゃんとした対応をしますよということでなければ、何か間違いがあったときに常に社会保険庁は謝るだけだというのではやっぱり国民は納得しないのではないかというふうに思いますので、大臣、お聞きのとおりの状態でございますし、ほかの社会保険制度、いろんな福祉制度にも影響を及ぼす年金のこの過払い、未払の件でございますので、適切な対応を考えていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
#64
○国務大臣(坂口力君) いずれにいたしましても、この年金受給者の皆さん方に過払い、あるいはまた未払が起こっていたということは、誠にこれはもう申し訳ない話でありまして、心からおわびを申し上げなければならないというふうに思います。
 社会保険庁としましても、これがもう一番中心の仕事でございますから、一番中心の仕事を間違っておりましては話になりませんので、これは厳しくこの中の見直し、なぜそういうことが起こったのかということを徹底的に今言っているところでございまして、見直しを、内部の見直しを行っているところでございます。それ相応の責任も取らせたいというふうに思っているところでございます。
 確かに、こちらのミスで遅れたんだから、それに対して利息を付けたらどうだという、お話としては分かるわけでございますが、そこのところをどうするかというのはなかなか難しい話で、今、先ほど答弁しましたように、法律上はないというようなことの現状でございますし、あるいはまた、一度にもらったときに、一度にもらえばどんとそれで税金が掛かるということも確かにそれはあるわけでございますが、その辺のところの処理どうするか、ちょっと内部でも考えさせてください。
#65
○山本孝史君 税制の議論、いろいろなところとの議論があると思いますけれども、しっかりと議論をしていただきたいと思います。
 やっぱり何ぼ謝られても、二百七十万急にもらえるのはうれしいですけれども、もらった途端にどんと来年度の所得が増えて、来年はそれを払うだけのものは残っていないとか、いろんな議論が起きますし、私も奨学金の送金あるいは返還の事務、コンピューターでやっていましたけれども、確かにやっぱり人為的なミス、これはプログラム上のミスでしょうけれども、人為的なミスは起こりますので、そういったときにどう対応するかということは考えておくべきだろうと思います。
 それと、根本的には、こんな複雑な制度をやっているからミスが起きるんだなというふうに思いますけれども、そういう意味では、年金制度はシンプルであった方がいいというふうにもこのお話を見ながら思いました。
 それで、次の質問に移りたいというふうに思います。
 HIVの感染の拡大の問題について、残りの時間少しお聞かせをいただきたいというふうに思います。
 かなり感染者が拡大をしてきているのではないか。というのは、新聞等を見ながら、性感染症の拡大等も踏まえてそんなふうに思うわけですけれども、エイズ患者さんの発症状況ということについては感染症法で動向を把握しておられますけれども、このHIVの感染者ということについてはなかなかサーベイランスとしては上がってこないのかなというふうに思っています。
 そういう意味で、今どんな実態にあるという御認識をしておられるのか、どういうふうな数字だとお考えになっておられるのか、まずそこをお聞かせをください。
#66
○政府参考人(高原亮治君) 我が国のHIV感染者及びエイズ患者の動向につきましてでございますが、感染症法に基づく感染症発生動向調査事業におきまして把握しております。
 平成十四年は、HIV感染者六百十四名、エイズ患者三百八人の報告がなされ、男性同性間を中心とした性的接触によるものが拡大しつつあるというふうに報告されております。HIV感染者、エイズ患者とも依然として増加傾向にございまして、今後の予断を許さない状況であるというふうに考えております。動向調査におきましては、HIV感染者及びエイズ患者、双方の傾向について把握しておるところでございます。
 さらに、HIV社会疫学研究班におきまして我が国のHIV感染者、エイズ患者数の推計を行うとともに、同性愛の方、性感染症の罹患者、妊婦、薬物静注者等の集団ごとのHIV感染状況調査や行動調査等を補完的に実施しておるところでございまして、今後ともエイズ対策の基礎となりますこれらの疫学調査を着実に進めてまいりたいと考えております。
#67
○山本孝史君 今お触れになりました研究班の調査ですけれども、三年後には感染者二万二千人、エイズを発症した患者は五千人に達するのではないかというような数字でございます。先ほどの十四年度の報告はこの数字だと、こういうふうにおっしゃいましたけれども、この間の数字の乖離といいましょうか、状況はどんなふうに把握しておられるのでしょうか。
#68
○政府参考人(高原亮治君) 厚生労働科学研究のその推計予測に関する研究というふうなレポートを研究者の方からいただいておるわけでございますが、それには、御指摘のように、二〇〇一年末までのエイズ動向調査データベースを構築し、解析が行われているということと、それから経路別の捕捉率が変化があるということでございまして、将来の推計というふうなものはなされておるわけではございますが、これはあくまでも推計でございまして、そのとおりになるかどうかということは予断の限りではございません。
 しかしながら、私どもといたしましては、ちょっとでも、今年の、十四年のものにつきましては、報告の文言は、年次推移は緩やかな増加傾向という表現になっておりますが、どこで急激に上がるやら分からないなと、それに対する対応は十分やっておかなければならないなというふうに考えておる次第でございます。
#69
○山本孝史君 厚生省がお金を出して研究をしていただいたそこの研究班の報告が先ほど申し上げたような数字であると。しかしながら、それは予測数値であって余り当てにならない数値ですというような今の局長の御答弁に私は聞こえましたけれども。一方で、緩やかな増加ですから、そんなに爆発的には増えないだろう、こういうお考えなのかもしれません。しかしながら、私、冒頭申し上げましたように、かなりの勢いで若い人たちの間に増えてきているのじゃないかという思いがしております。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 先ほど疫学調査の話がございました。大臣、僕ちょっと御認識が違うなと思いましたのは、疫学調査はアンケート調査のように無記名でやっているわけではありません。がんの追跡調査等は全部名前を基にして、そして住民票と突き合わせしながらやっておりますので、疫学調査は基本的にその人の生活歴全部を含めての調査ですから無記名ではできません。その意味では、きちんとしたインフォームド・コンセントが行われるということが前提なんですが、どうも、先ほどの広島の熊野町の話ではありませんけれども、お医者さんがちゃんとしたインフォームド・コンセントをするということに腰が引けておられるのかな、その結果として、なかなかエイズの、HIVの感染の状況も見えてこないのかなというふうに思いました。
 と申し上げますのも、これも新聞等で見ているだけなんですが、母子感染を防ぐために妊婦さんにHIV検査を行うべきじゃないかと、こう思うわけですけれども、研究班の調査では、関東・甲信越では九六%の検査率なんですけれども、近畿に行きますと七九%、中国・四国六四%、九州・沖縄五二%というふうに大変に地域間格差が大きいわけですね。
 ハイリスクグループが診察に訪れると思われます性感染症クリニックでもHIV検査の実施率は低いと。やってみてもたくさんの数は出ないだろうからというので言われるのか、あるいは、お聞きをしましたら、エイズの検査は五千円から八千円ぐらい掛かるので、それだけの自己負担を患者さんに求めるのはどうかと思うと。だから、性感染症の治療で来られているんだけれども、その方にわざわざエイズの検査を受けてみてはどうですかというふうにインフォームすることもはばかられるし、しかし、自己負担も掛かるから云々という話の中で、結局、一番のハイリスクグループである人たちに対してしっかりとした対応といいましょうか、そのときからのいろいろな施策が講じられないでいるのではないか、こういうふうに思うわけです。
 そういう意味で、今日、保険局長は結構ですよと、こう申し上げましたのであれですけれども、やっぱりこうした医療機関で手術のとき、あるいは妊産婦さん、あるいは性感染症クリニックに来られるような方たちにHIVの検査を受けれるように、保健所だけじゃなくて、ちゃんとそういうふうに保険適用も含めて私はやはり対応すべきだと思うんですけれども、そこは厚生省の中の御答弁になるんでしょうけれども、高原局長、その辺はやっぱり進めていくべきじゃないんでしょうか。
#70
○政府参考人(高原亮治君) 分娩それ自身はそもそも保険の外の話でございますし、もちろん、ハイリスクといった場合、どの程度のリスクが想定されるかという問題もございますが、全く想定されない場合に保険適用というのは、私は担当しておりませんが、なかなか難しいんだろうと思います。
 したがいまして、委員御案内のとおり、保健所の方で無料で、これは名前も登録する必要もございませんし、またポジティブに出た場合、陽性に出た場合のカウンセリング等も研修させております。
 医療機関におきましても、これは大変御面倒なことだとは思いますが、もし、あなたはやはり受けた方がいいんじゃないか、うちで受けるとお金が掛かるけれども、もしプライバシーを重んじて受けるということであれば、こういうところで受けられるよということは、一部の医師会の方ではやっていただいておるわけでございますが、こういったことを全国的にもお願いしてまいりたいと。ちょっとそれ以上の知恵はないわけでございますが、そういうふうな形で実態的に検診を受けていただくようにお願いするというふうに考えておる次第でございます。
#71
○山本孝史君 そうでしょうけれども、やっぱり国全体として治療体制を整えていくんですと、治療の前にまず検査体制ですけれども、検査を受けていただくということが、受けやすいという状態を国の方として作りませんと、なかなか進まないんだろうと思います。
 先ほど申し上げました妊婦さんに対するHIVの検査が非常に地域間格差があると、こう申し上げた中でやっぱり思いますのは、多分、地域ごとのいわゆる今エイズ拠点病院として治療体制をこう取っていただいて、拠点病院は、治療だけじゃなくて、その地域における医療機関に対する指導ですとかあるいはスタッフの研修等も担っておられるわけですけれども、そういった中で地域間格差が出てくるというのは、多分、西に行くほどそういった体制に対しての取組ができていないというか、できない状態が多分あるんじゃないか。
 そういう中で、国立の大阪病院が関西ブロックにおけるところの唯一のエイズ拠点病院ということに指定をされています。坂口大臣も視察をいただいたと思います。大変に前はきれいなんですけれども中へ行くと老朽化している部分もあったりしまして、患者さんからいつもお話を聞きますのに、エイズ患者さんの専門の治療をするスタッフの数が少ないということなんですね。拠点病院ですからやはり皆さんそこを頼って来られる。そこの、ある意味ではブロックの拠点病院の山が高ければそのすそ野も全体が上がってくるんだと思いますけれども、そういう状況になっていない。東京にありますところのエイズ治療の研究開発センターで千人ぐらいの受診者がおられる。国立大阪病院で五百人ぐらいのやっぱり受診者がおられる。スタッフの数はというと、大阪はその三分の一ぐらいしか持っていないんです。そういう意味で、やはりスタッフの定員制があってなかなか難しいのかもしれませんけれども、やはり拠点病院としての機能を充実をしていくという方向で取組をしていただきたいと、こんなふうに思うわけですけれども、御答弁をいただければと思います。
#72
○国務大臣(坂口力君) 今年の三月でございましたか、このHIV原告団の皆さん方とのお話合いをいたしましたときにもその話が出まして、増やすという約束だったけれどもなかなか増えないではないかという話がございました。
 中でいろいろお話をいたしまして、そして、そちらの方に医師が派遣されるようにある程度増員できたというふうに私は聞いております。前のことを思いますと増えたというふうに思っております。十分かどうかは分かりませんけれども、今までのことを思いますと、そこに増員もできたというように理解をいたしておりますが、今後もしかし、そうはいいますものの、まだ患者さんも増えていく可能性もあるわけでございますから、十分対応のできるように心掛けていきたいというふうに思っております。
#73
○山本孝史君 きちっとした対応を是非お願いをしたいと思います。
 それからもう一つ、このエイズに関係してといいましょうか、日赤の献血の問題でお聞きをしておかなければいけないと思います。
 ここ二、三日の新聞で、日赤の献血が、血を検査をしているわけですけれども、一次検査、二次検査をする中で最終的にHIVに感染をしていた血液が素通りをしてしまった。保存期間中であったものですから、回収をして廃棄をしたということになっておりますけれども、しかしながら、肝炎の感染もそうですけれども、今の日赤、日赤が悪いのではなくて、感染している人たちも献血をされる。先ほどの検査の話じゃないですけれども、結局、献血をする中で検査をしてもらおうと思っている不らちな人たちもいることは事実なんで、そういう意味でいけば、日赤の献血が、残念ですけれども、HIVないし、あるいは肝炎に汚染をされているということは今後ともに一定の割合であって、今回の事例が示しているように、それは残念ですけれども、防ぎ切れないというリスクとしてみんなが持たなければいけないという状況になっているんだというふうに思います。
 ここは、もう坂口大臣はもう血液センターの所長さんでもいらっしゃいましたからよくお分かりのとおりだと思いますけれども、なかなかやろうとしていってもやれない状態になってきているんだろう。
 そのときに、でも、やれることはあると思っていまして、一つは、やっぱり日赤が、汚染をしていることが分かったときに遡及調査をして回収できるものは回収をする、あるいはそれが使われた先にはやはり御連絡をして早急に検査を受けていただく、肝炎対策の中でずっとこの話をしてきましたけれども、やっぱりそれをしっかりとやっていただきたいと思いますし、やはり自己血で輸血をするということ、あるいは手術のときにできるだけ輸血を使わないで、やらなくていいような、そういった手術の方策も考えていただくということも必要だと思います。
 それから、血液製剤の適正化の問題については血液事業法の議論の中で大いにやらせていただきましたけれども、病院に、とりわけ大学病院にやはり輸血部をきっちりと置いてほしいと。今、輸血部、国立大学の独法化の中で大学病院の経営合理化ばかりが言われていく中で、検査は全部外へ出してしまえ、輸血部などというのは要らない、薬剤は全部外でいいじゃないかという話で、本当に大学病院という研究をするところであると同時に学生さんの教育をする現場で、輸血とかあるいは薬の使われ方というものについて非常におざなりになってきている、経営が先に立ってしまっていて本当にいいのだろうかと、こう思うわけですね。そういう意味で、やはり輸血部というものをしっかり置いて、輸血の専門医を置いて血液製剤の使い方についての適正化も進めるというのはあのときのお約束であったはずでして、そういった対応もしっかりやっていただきたいと思うんです。
 今回の一件で、日赤としては遡及調査をしますということになったという新聞報道も見ましたけれども、こうした血液製剤にかかわる問題について、大臣として、今の御認識、そして今後のお取組の方向等についてお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
#74
○国務大臣(坂口力君) 赤十字の方が今まで遡及調査、過去におきましてはやっていたわけでございます。ところが、いわゆるNAT検査、NAT、このNAT検査という非常に優れた検査を導入いたしましてから、これはまだ四、五年でございますけれども、これを導入しましてから、これに過信をし過ぎたと申しますか、これならもう一〇〇%近く大丈夫だというので遡及の調査をやめてしまっていたというところに問題があるというふうに思っております。それまではやっていたわけであります。それで、それが分かったもので、我々の方は、厚生労働省は今までどおりやってくれているものだというふうに思っていたわけで、そこが申し訳なかったというふうに思っております。それで、遡及調査をちゃんとやるということにいたしました。
 その新聞に出ておりますのも、わずか二週間の間に二回献血をしているわけですね。初めのときはそれが素通りしたと申しますか、何ら引っ掛からなかった。二週間後に献血をしたときに引っ掛かってきたと、こういうことでございます。それも、普通は一か月以上置いて献血しなきゃならないのに、なぜ二週間で献血したのかということもよく分からないわけでございますが、多分そういう危険性もあって御本人としてはされたという可能性もないとは言えないわけでございます。そうしたことをこれから十分に注意をして、信頼される保存血液ができますように最大の努力をしていきたいというふうに思っております。
 それから、大学の方のいわゆる輸血にかかわります部分につきましては、これは文部科学省にも何度かお願いをいたしておりまして、独法化をされたらそうした輸血部がなくなるというようなことのないように是非御配慮をいただきたいということを申し上げているところでございます。
#75
○山本孝史君 これから先、大変増えていくということで、別に私は危ない危ないと言っているわけではありません。治療法が大変に進んできていて、性行為をしても感染しない、ちゃんとウイルスの数が抑えられるというところまで治療が進んできていますので、できるだけ早く治療を受けていただくということも重要だと思いますし、みんながこれで危ないとか危険だとかという思いを持つ必要性は何らないということは強調しておかなければいけないと思っています。
 その意味で、やはり私は若い人たちにしっかりとした性教育をすべきだと。一部の方たちが、そういうことをするとかえって、何といいましょうか、そういう行為に走るので駄目だと、こうおっしゃるんですけれども、いろんなこれもやはりちゃんとした調査をやればいいと思う。その結果として、教育をした結果として、じゃ、その学校で性行為が非常に広まっているのかといえば、そうではないということもしっかり言われているわけですから、そうした中で、人間としての在り方、あるいは性というものの扱われ方、そしてまた、エイズというものに対しての、みんなで向き合っていくという姿勢をしっかり作っていくということも大変重要だというふうに思っています。日本の伝統の美風云々というような話ではなくて、もっとちゃんと地に足の付いた議論をしていくべきだというふうに思っています。
 時間になりましたので、終わります。
 ありがとうございました。
#76
○谷博之君 民主党・新緑風会の谷博之でございます。
 限られた時間でございますから、若干箇条書的な質問になると思いますが、お許しをいただきたいと思います。
 質問は、先ほど山本理事が質問をした質問に関連をして、生活保護に絞ってお伺いをいたしたいと思います。
 まず、大臣にお伺いしたいんですが、生活保護制度におけるいわゆる自立支援の趣旨やあるいは財政上のいろんな観点から、国民健康保険のいわゆる適用除外、強制脱退、こういう形になっている現在の国民健康保険上の仕組みについて、大臣はこの点についてどのように見ておられるでしょうか。適切だというふうに思っておられるかどうか、まずお聞きしたいと思います。
#77
○国務大臣(坂口力君) これも先ほど山本議員から御指摘をいただいたお話とよく似た話でございまして、国民健康保険におきましては、これは適用除外と申しますか、適用しない。健康保険に、健保におきましては、これは多少の収入があるということもございますけれども、適用している。また、介護保険ではこれは適用している。こういうことでございまして、その差があることはこれは事実でございまして、生活保護のこの被保険者につきまして保険料の負担能力がないという、ないために他の被保険者の保険料負担や国保財政に与える影響が大きいと。
 こういうことから、市町村の側から見ますと、ここを、非常に反対が大きいところでございまして、そうしたこともあって、この問題除外をしてきたというふうに経緯としては聞いているところでございます。
#78
○谷博之君 具体的な例をちょっと一つ申し上げたいんですけれども、私のちょっと知っている、神奈川県にお住まいになっておられる男性の方で現実に生活保護受給者の方がおられまして、この方がいわゆる年金受給資格が後になって判明をいたしまして、その結果、生活保護を遡及して取り消されたという、こういうケースがあります。
 この方は医療保護の医療扶助費をもちろんさかのぼって請求されまして、ほとんどその取り分が、年金給付分をそっくり結局返すという形で残らなくなったというふうなことなんですけれども、こういうふうなケースを見ておりまして、先ほども大臣の答弁ありましたけれども、介護保険制度と同様に、保険料や自己負担分というものを国が立て替える仕組みならばその分だけの精算で済んで、いわゆる生活保護解除後の生活の自立というものが残った年金の部分でやっていけたんじゃないかというふうに我々は考えているわけなんです。
 こういうふうな具体的な例を見ておりまして、これは連合などでも指摘をしているわけですけれども、生活保護受給者を特別視するのではなくて、いわゆる国民健康保険の資格喪失措置というものを廃止して、介護保険制度と同様に、現在の国民健康保険法の第六条の改正をし、国が立て替える制度等を創設するというような、そういう形を取ってみてはどうかというふうに思うんですが、この点については大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
#79
○国務大臣(坂口力君) 一つの考え方だというふうに私も思います。
 しかし、こうした考え方を取りますと両制度の枠組みを大きく変更することになることも事実でございまして、他の被保険者の保険料でありますとか市町村国保財政に与える影響も大きいということもございますので、これらのことも十分考えて検討しなきゃいけない問題だというふうに思っております。
 今後、年金の問題、介護の問題、医療保険の問題、それぞれ別々に作られ、そして成長してきたものですから、そうした整合性を欠いている面も確かにあるわけでございまして、これらの点、十分全体に配慮しながら、こちらとも同じ社会保障の中でも余りにも違い過ぎるというようなこともこれはいかがなものかというふうに私も総論として思うわけでありまして、全体よく見て取り組んでいきたいというふうに思います。
#80
○谷博之君 そういう問題については我々も、大臣御答弁ありましたけれども、一緒になって総合的な立場から検討を加えさせていただきたいと思っております。
 この生活保護に関係する具体的な問題をちょっと一点お伺いしておきたいんですけれども、この生活保護制度の悪用、乱用というものは、これは厳に慎まなければならない、対応すべきことだというふうに思っておりますけれども、最近の具体的な事例を一つちょっと申し上げたいんでありますけれども、ホームレスを例えば何十人か集めて、そしていわゆる宿泊所として用意した場所にその方々を詰め込んで、そして受給を受けているこうしたホームレスの人たちの、例えば一人当たりの東京都であれば五万円以上支給されているいわゆる住宅扶助費、こういうようなものをピンはねをしたり、あるいはそれ以外の扶助費についてもピンはねをするという、こういうふうないわゆる営利目的の宿泊所が特に首都圏や近畿圏で増えていると、こういうふうなことが指摘をされております。これは地方自治体からも様々なそういう意見書が出てきていると思うんです、私の手元にも東京都の荒川区とかあるいは大阪市の例なんかもありますけれども。
 そこで、今月末のホームレス対策基本方針、これが今月末策定されるというふうに聞いているわけでありますけれども、こういうふうな事例を見たときに、住宅扶助の処理基準の適正化を考えているように聞いているわけですけれども、この基本方針の策定の中で。ところが、この制度というものは遡及して適用しないと、こういうふうな形になっているというふうに聞いています。したがって、こうした被保護者、つまり生活保護の受給者の再ホームレス化というものを、何としてもこれを防ぐためにも、既に認めたケースについても自治体が改善策を講じることができるような何らかの方針というものをこの基本方針の中に盛り込むべきだというふうに思うんですけれども、これについてはどういうふうに局長考えておられますか。
#81
○政府参考人(河村博江君) 先生御指摘のように、社会福祉法上の無料低額宿泊所に生活保護を適用するに当たりまして、現在起きていることは、一部屋に数名の方が入居している場合に住宅扶助を、お一人お一人に通常の住宅扶助を出すのは本当に適正なのかと。確かに、バランスを欠いている事態があるというふうに思っておるわけでございまして、そういう住宅扶助費の設定というのを適正にすべきという指摘を地方自治体等いろいろなところからいただいておるところでございますが、そうしたことを踏まえまして、今後、この無料低額宿泊所に生活保護受給者が入所している場合については、既に住宅扶助が適用されておる場合であってもその住宅扶助費の額が適正に設定されるように、現在、関係自治体といろいろ相談を重ねておるところでございまして、来月にはこの具体的な取扱いについて全国に周知したいというふうに考えておるところでございます。
#82
○谷博之君 来月にはということで今御答弁ございましたけれども、例えばこういった、NPOを装ったりあるいはボランティア団体を装って悪質な事業者がこういうところに介入してくるという、こういう事例が起きているわけですね。
 こういうことに対して、例えば東京都の場合なんかは、平成十一年に、一定の、全国に先駆けて宿泊所の届出に関するガイドラインというものを制定して、しかもこれを今年の四月に再改定をして、宿泊所設置運営指導指針として、既に入居者の居住環境の向上、あるいは経営の透明性、公開度、こういうようなものを確保するためにいろんな方向性の取組をしております。
 今も御答弁ありましたけれども、そういうふうなものの中で特にそういう悪質な、例えば暴力団の介入といったこういうふうなケースを防いでいくためには、より具体的なその中身として、いわゆる来月その方針というものを出していただかなきゃいけないんだろうというふうに思っているわけですけれども、そういうふうな、今申し上げたような具体的な事例の内容などを含めたガイドラインなのかどうか、再度お伺いしたいと思います。
#83
○政府参考人(河村博江君) 今回お示ししますガイドライン、この無料低額宿泊施設の適切な設備あるいは運営を確保する観点から、厚生労働省といたしましてもそういう無料低額宿泊事業に関する指針というものを策定しようとしておるわけでございますが、その中で、開設に当たって都道府県と事前相談をする、あるいは施設開設前に所在地の福祉事務所と利用者の処遇等について協議をする、あるいは近隣住民の理解を得る、そういうようなことを盛り込みたいというふうに思っております。
 なお、悪質な事業者から不当な処遇が行われないようにするという観点から、無料低額宿泊所に起居する被保護者につきましては、ケースワーカーが定期的に訪問をし処遇状況を把握する、必要に応じ居宅生活への移行に向けての支援あるいは転居指導等を行っていくということを考えておるところでございます。
 また、社会福祉法上、この無料低額宿泊所に関しましては当然立入調査ができることになっておりまして、この結果によりまして、この届出事業につきまして不当な利益を図る、あるいは福祉サービスの提供を受ける者について不当な行為をしたというようなことがその立入調査の結果判明された場合には、届出事業の停止命令あるいは社会福祉事業の経営の制限命令、そういったものが可能になるわけでございまして、その命令に違反した場合には罰則が科せられると、こういったことも十分念頭に置いて適切に指導してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
#84
○谷博之君 最後に、一点要望させていただきたいと思っています。
 今御答弁がございましたが、こういう具体的なケース、今申し上げたような悪質な事業等々による基本的な生活保護の趣旨にそぐわないといいますか、それを悪用したそういうケースというものに対して、やっぱり毅然とした対応をしていただきたいというふうに思っています。
 そのためには、県や市町村の福祉事務所やあるいは近隣住民等々との連携なども必要でありましょうし、そして地方自治体のいわゆる現場の生の声というものもしっかり聞いていかなければいけないというふうに思っているんです。こういうふうなものの中に、その延長線上に法の改正なども含めて、いわゆる生活保護の制度そのものの趣旨が本当に生かされる、そういうふうな制度として運用されるように、しっかり私はそういう責任を持って対応していっていただきたいというふうに思っております。
 そういうことで、若干時間が残りましたけれども、以上で私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#85
○委員長(金田勝年君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩といたします。
   午後零時十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#86
○委員長(金田勝年君) ただいまから厚生労働委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、社会保障及び労働問題等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#87
○沢たまき君 公明党の沢でございます。
 まず最初に、先日成立いたしました心神喪失者医療観察法の施行後の運用についてお伺いをしたいと思います。
 現在、措置入院制度によって入院させられた触法精神障害者は、自傷他害のおそれが完全に払拭できないとして、入院が長期にわたってしまう傾向があると聞いております。このような問題を抱えております現行制度に比べて、新制度に基づき裁判官も関与した上で定期的に入院、治療の必要性を判断した方が私は人権保障の面からもより良い制度となるのではないかと考えておりますが、精神科医やその他の団体からはこの新しいシステムに対して批判的な御意見が出されていることもこれまた事実であります。
 この新しいシステムをスムーズにスタートさせるためには、裁判官とともに審判を行う精神保健審判員の確保が重要な課題となってくると考えますが、この確保の策について、厚生労働省は今後どのように取り組まれているのか、まず伺わせていただきたいと思います。
#88
○政府参考人(上田茂君) 心神喪失者等医療観察法案における精神保健審判員は、厚生労働大臣が最高裁判所に送付します名簿に掲載された精神保健判定医の中から処遇事件ごとに裁判所が任命することとされております。
 この精神保健判定医の条件としましては、精神保健指定医であるほかに、精神保健指定医としての臨床経験が一定年数以上あって措置診察に一定件数以上従事したことがあること、また、司法精神医学に関する研修を受講したこと、こういうことを資格要件とすることで検討をいたしております。
 このために、基礎となる資格であります精神保健指定医の資格を有する者は十分おりますことから、司法精神医学に関する研修を積極的に行うとともに、その確保に向け、医学界の理解と協力を求めてまいりたいというふうに考えております。
#89
○沢たまき君 よろしくお願いします。
 先日、長崎での十二歳の中学生による幼児殺害事件が発生をいたしました。加害少年が十二歳ということで、刑事責任は問えませんし、少年院法の規定により少年院へ収容することもできません。今後、この少年は四週間の観護措置期間を経て児童自立支援施設に送られるであろうと報道もされております。
 今回の事件は、主に児童福祉法による対応が行われると思いますが、児童相談所を始め児童自立支援施設における医療体制、特に精神に何らかの疾患などを抱えている少年に対するカウンセリングや医療について現状はどうなっているでしょうか。また、このような事件を受けてどう対応していくおつもりか、伺わせていただきたいと思います。
#90
○政府参考人(岩田喜美枝君) 今、問題になっております少年は、少年鑑別所での観護の措置が取られておりますが、今後、家庭裁判所の審判によりまして、児童相談所への送致あるいは児童自立支援施設への送致ということが判断される可能性がございます。そういうことになった場合については、児童福祉法に基づいて適切に処遇を行うということになるわけでございます。
 児童相談所についてですけれども、精神科医、これは嘱託である場合が多いんですが、精神科医と心理の専門職が配置されております。そういうことで、精神疾患を抱えた児童に対しましては、この精神科医が中心になりまして、心理の専門職員と協力しながら、個々の子供の状況に応じてカウンセリングなどを実施をしております。
 また、児童自立支援施設においても、児童相談所と同様に精神科医、これも嘱託であるケースがほとんどなんですが、精神科医が配置されております。精神科医の指示に基づきまして個々の子供の状況に応じてカウンセリングをしたり、薬物の療法を実施をしたりといったことをやっております。また、必要な場合には外部の医療機関と連携しながら医療的な治療を実施をするということになっております。
 今回の事件を受けまして、一昨日だったんですが、十五日に関係省庁で構成する少年非行対策のための検討会が設置されまして、厚生労働省もその中に入っておりますけれども、ここでの議論なども伺いながら、厚生労働省として今後更に対応が必要であるということであれば必要な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
#91
○沢たまき君 心神喪失者等医療観察法の成立に伴って、二年後には施行ということになりますが、私は、将来、同法による処遇と一般の精神医療の水準のバランスが問われると、こう考えております。また、精神医療のレベルアップを目指した研究の促進について厚生労働省が果たすべき役割というのは極めて重いものがあるのではないかと、このように思っております。
 この法律を施行するに当たって、将来、法律の運用と精神保健医療の研究とのバランスが問われることになると思っております。法律の運用は法務省と厚生労働省の共管とされておりますけれども、精神保健分野の研究について厚生労働省の担当であります。この厚生労働省の役割は大変重いと考えております。
 我が国の精神身体医学の草分けであります九州大学の、今亡くなりましたけれども、池見酉次郎先生は、医学の対象としての人間を身体的、心理的、社会的な統一体として見るとき、医学も当然この三つの次元からの研究を必要とするであろうと結論されております。
 最近、精神的障害者を要因とした事件が続いておりますけれども、精神科及び心療内科、いわゆる精神医療分野の研究に対する国の取組が遅れてきたことがその一因ではないかと、こう思っております。
 先般、精神保健福祉の改革に向けた中間報告、これを読ませていただきましたが、改めて池見先生に始まった精神身体医学を精神医療の改革に強く反映するべきだと考えております。これに向かって御意見があったら、ちょっと伺わせていただきたいと思っております。いかがでしょうか。
#92
○政府参考人(上田茂君) 議員御指摘のように、心と身体は一体的なものでありまして、生物学的、心理学的あるいは社会学的な全人的アプローチを重視する精神身体医学の考えは、精神医療の質の向上という観点からも有用なものと認識しております。
 このため、今後の精神保健福祉改革を進めるに当たりましては、こうした精神身体医学の知見も踏まえつつ、精神科と他科との連携、あるいは地域の保健・福祉等との連携した対応を進めてまいりたいというふうに考えております。
#93
○沢たまき君 ありがとうございます。
 それまで精神医学は人間の体と心は別々のものであるという考えであったわけですが、精神身体医学が世に出て、心と体は一体のものであると、こういうふうにとらえているわけですが、この考えによる研究は九州大学に始まって、東京大学、東北大学と多くの大学にも広がり始めました。その結果、平成八年に心療内科という標榜科を厚生労働省も認められたわけです。その意味では、歴史も浅く生まれたてのほやほやで、いまだ研究途上にあります。これは、身体医学専門の分野にも広がって、体の病気に対してもその治療方法に画期的な影響を与えております。
 池見教授は、この精神身体医学を解明するときは、今、部長がおっしゃいましたように、生物学的、心理学的、社会学的、もう一つ文化的な四つの面の総合的見地からのアプローチが必要だと指摘をされております。医療行政の立場から精神保健福祉行政へのアプローチをする場合も、この四つの見地は極めて重要であります。この目標、目線は、厚生労働省の精神保健福祉改革にも共有、共通するものではないでしょうか。
 厚生労働省は外部の、この中間報告を読ませていただきますと、外部の講師を招いた勉強会を開催したとされておりますけれども、どのような講師をお招きになって勉強会をなされたのか、精神身体医学の専門家の先生は入っていられたのでしょうか、御報告いただきたいと思います。
#94
○政府参考人(上田茂君) お答えいたします。
 精神保健福祉対策本部におきましては、本年一月から四月の間、九回にわたり内部の勉強会を行ったところでございます。
 この勉強会におきましては、精神医療の第一線で活躍されています精神科医、あるいは精神医療の研究を行っている大学教授、社会復帰施設の運営を行っている社会福祉法人の代表の方、また当事者御本人、また精神医療に関する報道に携わったマスコミの方、こういう方をお招きしまして、精神疾患とは何か、あるいは精神医療の質の向上、諸外国の脱施設化と地域ケア、社会復帰施設の設置運営に関する課題、また当事者の要求すること、こういうことをテーマに講義を受け、議論を重ねてきたところでございますが、ただいま議員御指摘の精神身体医学の専門家につきましてはお招きをしていないところでございます。
#95
○沢たまき君 分かりました。是非お入れをいただきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、今日、若者ばかりではなくて大人までが簡単に切れる社会、これを見ておりますと、厚生労働省が進めている精神保健福祉改革に精神身体医学という新しい視点を積極的に取り入れていただかないと今日的な課題を克服することはできないと危惧しております。また、心神喪失者等医療観察法によります処遇に関しましても、うまく効果を発揮できないのではないかと心配をしております。
 精神身体医学に関する厚生労働大臣、坂口大臣の御所見をお伺いをいたします。
#96
○国務大臣(坂口力君) 精神身体医学、心身医学と言われている分野だというふうに思いますが、今まで身体的なものとばかり思われておりましたものにつきましても、それはよくよく原因を探っていけば、心理的なもの、心に起因するもの、そして身体的な、肉体的な分野に影響が現われているもの、そうしたものが非常に多いことも分かってきたわけでございます。
 また逆に、労働過重でありますとか、そうした身体的なストレスと申しますか、過重なものが、それがまた心理的にも影響を与えていく。ちょうど縄をなうように心身が互いに影響し合っている、そういう立場から今日様々な議論が展開をし、また研究もされてきているというふうに理解をいたしております。
 そうした立場から見ましたときに、今まで取り扱ってまいりましたいわゆる病態像というんでしょうか、病気の姿というものも大変違った形でとらえられる場合もございますし、あるいは過労死でありますとか、そうした我々が扱っております範囲の問題も違った角度から考え直さなければならないことも出てくるというふうに思っている次第でございます。
 更に今後もこの分野は進んでいく分野だというふうに思っておりますので、そうした勉強も厚生労働省として重ねていかなければならないというふうに考えております。
#97
○沢たまき君 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、女性の年金をめぐる問題についてお伺いをいたします。部長、どうぞ御退席を。
 厚生労働省は、去る三日、社会保障審議会年金部会に提示した素案の中で、結婚期間中に生じた年金の受給権について、仮に離婚しても夫婦間で分割できる新たな制度を創設するという方針を打ち出されております。
 離婚時の年金分割につきましては、平成十三年十二月の女性のライフスタイルの変化等に対応した年金の在り方に関する検討会報告書の中にも同様の提言がございますが、これと今回の素案とは同じ考え方であるという理解でよろしいのでしょうか、それとも異なっている点があるのでしょうか、政府参考人より御説明をお願いをしたいと思います。
#98
○政府参考人(吉武民樹君) 今月三日に社会保障審議会年金部会にお示しをいたしましたものは、今、先生おっしゃいました検討会の報告書の提言を踏まえて、少しそれを具体化したものでございます。
 それで、お示ししました内容としましては、分割の方法としまして、現行の年金各法では、年金受給権につきまして、例えば担保に供することができない、あるいは譲渡することができない、差押えすることができないという年金の性格から、これを守るという一身専属性の規定がございますけれども、離婚の場合のみこの例外規定を設けまして、受給される年金額の分割を可能とする方法、これが一つでございます。
 それからもう一つは、年金額の分割の方法だけではございませんで、離婚されたときに御夫婦の間で年金受給権そのものを分けることが可能となるような制度を創設する方法、この二つを提示を申し上げています。
 いずれも、基本は、検討会でもございましたけれども、基本は離婚される当事者間の合意に基づいて考えることが適当だろうということでございますけれども、言わば少し具体化したものを御提示を申し上げまして、これから更に御議論をしていただく必要があるだろうというふうに考えております。
#99
○沢たまき君 現在、年金制度改革の基本的論点といたしましては、個人単位にするか世帯単位とするかが大きな論点になっております。個人単位化という観点からすれば、離婚時に限らず年金分割を行うべきではないかと考えられますが、なぜ今回の素案は離婚時に限定したものとなっているんでしょうか。
#100
○政府参考人(吉武民樹君) 離婚時の年金受給権の分割制度につきましては、高齢の単身女性の例えば年金水準でございますとか、そういうものがやはり高齢者夫婦あるいは高齢の単身男性と比べて低いという現状がございます。
 それから、近年、中高齢者の離婚の件数の増加、これは増加の勢いといいますか、これが著しいということがございまして、御夫婦二人の元々老後生活を支えるという年金でございますけれども、離婚されてもなおそれぞれの方々の生活を支えるものとなるように年金分割の仕組みを開くといいますか、これがまず大事ではないかということで、そちらから検討をしていただいております。
 先生がおっしゃいます個人単位化ということでございますが、離婚されない場合には通常生計が同一でございますので、婚姻中の分割とはまた別途の観点ではないかというふうに考えております。ただ、年金部会では、婚姻中の夫婦間の分割の点をどう考えるかという論点は提示を申し上げております。
#101
○沢たまき君 次に、多様な働き方に対応した年金制度の在り方についてお伺いをいたします。
 女性労働者につきましては、近年、その就業形態の多様化が進んでおりまして、六月に発表されました平成十四年度男女共同参画社会の形成の状況に関する年次報告によりますと、昭和六十年に二八・四%の割合でありましたものが、女性労働者に占めるパート、アルバイトの割合は、平成十三年度には四二・七%と急増をしていることでございます。
 今国会では、労働者の一人一人が主体的に多様な働き方を選択できる可能性を拡大するために、職業安定法、労働者派遣法改正案、労働基準法改正案が成立いたしましたし、多様な働き方を選択できる環境整備の第一歩を踏み出したわけでございますが、女性が働きやすい社会を構築していくには、年金制度においても積極的にパート労働者とか派遣労働者への適用を拡大し、日本型均衡処遇ルールと申しましょうか、の確立に向けて大きく前進するべきではないか、こう思っております。
 こうした厚生年金の適用拡大について大臣はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか、伺います。
#102
○国務大臣(坂口力君) 平成十六年の年金制度改革におきましては、少子化、女性の社会進出、就業形態の多様化、こうした社会経済全体の変化を視野に入れて、そして制度改正に取り組まなければならないというふうに思っているところでございますが、特に今、女性の場合、パート労働の方が非常に増えておりまして、一千万をはるかに今超えているというような状況でございます。
 この皆さん方に対する年金制度をどうしていくかということは、これはそれぞれの働く、パートで働く皆さん方お一人お一人の問題であると同時に、日本全体にとりましても大変大きな問題だというふうに思います。この皆さん方にそれぞれ年金制度の中にお入りいただくということは、これは大きく日本の年金制度そのものを動かすことにもなるというふうに考えている次第でございまして、その皆さん方にも是非参加をいただくためにはどうしたらいいか。そのためにパート、一口にパートと言いましても中身もいろいろでございますから、どういう人たちをその中で選ぶのか、すべての人を選ぶのか、その辺のところは少しよく整理をして掛からないといけないというふうに思っております。
 したがいまして、そうしたことを今整理を進めている最中でございまして、それらのことが整理できましたならば、働く女性と年金、その問題の中核に据えて考えていきたいと、かように考えております。
#103
○沢たまき君 次に、政府参考人にお伺いいたします。
 厚生年金の被保険者の範囲を拡大するに当たっては、どういった点をクリアしなければいけないか、またどういった点が現在障壁となっているのか、御説明いただけないでしょうか。
#104
○政府参考人(吉武民樹君) 今、大臣からお話ございましたように、それでは実際上、例えば勤務時間で、現在で申し上げますと、四十時間に対して大体三十時間以上勤務する方は適用させていただいているわけですけれども、これをどの程度の勤務時間で考えていくかということがございます。
 それから、現在保険料を、一番標準報酬の低い方でもほぼ十万に相当する保険料を支払っていただいておりますが、パートの方の場合には、多分五万とか六万とかそういう給与の方がおられますので、ここについて保険料負担はどう設定し、それに対して給付をどう考えるかということがございます。
 それから、現実にパートの方で申し上げますと、飲食店あるいは流通の分野でパートの方の比率が非常に高いわけでございます。それからその次がサービス業でございまして、そうしますと、こういう分野におきます事業主の方の保険料負担の問題、それからもちろん御本人の保険料の負担の問題について理解が得られるかどうかという、これが最大の問題であるだろうというふうに考えております。
#105
○沢たまき君 次に、育児支援という観点からの年金制度の在り方について伺わせていただきます。
 今国会では急速な少子化の進行や家庭と地域を取り巻く環境の変化に対応するために次世代育成支援対策推進法案が成立いたしましたけれども、年金制度改革におきましても次世代を支援するべく配慮がなされる必要があると、このように考えております。
 育児休業期間中の厚生年金保険料につきましては、本人負担分については平成七年四月より、事業主負担分については平成十二年の四月より、それぞれ免除がなされておりますし、また育児休業期間中の経済的支援といたしましては、雇用保険から育児休業給付が平成七年の四月より行われるなど、労働者に対する育児支援の体制は着実に整備をされてきております。
 しかし、自営業者とか専業主婦には育児支援としての保険料の免除とか経済的援助の制度がございません。次世代育成を支援していくんであるならば、自営業とか専業主婦の方に対しても一定の援助を行うことを検討するべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
#106
○政府参考人(吉武民樹君) 今、先生がおっしゃいました育児と年金の関係でございますが、これはヨーロッパでもいろいろな制度といいますか、導入いたしております。一般的に申し上げますと、子育てをされるときに通常は家計の負担能力がやはり少し減少すると、そういう減少した家庭の負担能力に対して何らかの対応を取るというのが一般的な形でございます。フランスなどでは、育児をされたことを評価しまして、年金額そのものを引き上げるという措置を取っておりますが、この措置を取っている国はそうたくさんはございません。今、私どもが承知している限りでは、フランスだけのようでございます。
 それで、私ども、主に今回検討すべきというふうに思いますのは前者でございます。そうしましたときに、そうしますと、例えば第一号の方、子育てをされた方については、基本的には給付は基礎年金でございますので、むしろ負担のところでどう考えるかということになってくるだろうというふうに思います。
 それから、第三号の方で申し上げますと、この方は配偶者を通じて保険料を負担をしていただいているわけでございますので、そういう意味では給付は元々基礎年金給付という形になっておるということでございます。こういう第三号の方に対して、今申し上げたような措置を元々講ずる必要があるかというところから議論をされているという状態でございます。
#107
○沢たまき君 済みません、実はこれは大臣に対する御質問だったので、もう過ぎているんですが、簡単に、大臣、御所見を伺えますでしょうか。
#108
○委員長(金田勝年君) 時間が参りましたので、簡潔にお願いいたします。
#109
○国務大臣(坂口力君) じゃ、一言だけ申し上げますが、既に保険料を入れますと五〇%に達しているわけでありまして、これ以上にするということはなかなか至難の業でありまして、そういうふうにするということになりますと、雇用保険の保険料をどうするかという全体の中で考えなければならないことでございますので、そうした合意が得られるかどうかというようなことも含めて今後また更に検討したいと思います。
#110
○沢たまき君 済みません。
 ありがとうございました。
#111
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 本日は、国民健康保険に関する質問をさせていただきたいと思います。
 小泉内閣の構造改革路線の下で大変な負担が国民生活を圧迫しておりますけれども、国民健康保険の保険料負担というのは正に負担能力のもう限界を超えていると、やはり国民の命と健康を脅かす事態に迫っているということが言えるのではないかなというふうに考えております。
 そうした中で、八〇年代以降の保険料の引上げと、この間の長期不況によります国民健康保険料の滞納者が非常に増えているということです。資料を皆さんのお手元にお配りしております。これを見ますと、滞納世帯、それから数などがどういうふうに変化してきているかというのが見えるんですけれども、滞納世帯数は昨年六月でついに四百万世帯を超えました。そして、一昨年に比べて二十万、ここでいいますと平成十三年、平成十四年というふうにありますが、この滞納の世帯数を比べてみますと、二十万超えているんです、二十万世帯超えているんですね。だから、そういう点でも非常にやはり滞納が増えているということになるわけなんです。
 その最大の要因というのは、保険料がほかの社会保険と比べても非常に高くなっているということで、年間所得で四百万円の人で見ますと年間四十万円から五十万円、所得の言ってみれば一割以上もの保険料を払わなければいけないということになるわけなんです。
 そういう点でも本当に生活が大変になってきているんですけれども、厚生労働省は二〇〇〇年の介護保険の導入と併せて、国保料を一年滞納したら、そういう被保険者に対しては保険証を取り上げるという罰則を科すことを自治体に義務付けました。保険証を取り上げられた人には、今度は資格証明書というのを発行するんですね。
 そして、これは、いったん医療費全額を窓口では医療機関に払います。そして、後で役所の窓口に足を運べば七割分の保険給付が受け取れるというふうになっているわけなんです。しかし、保険料を払えない人がもう本当にどうして窓口でたくさんの医療費を負担できるだろうかということなんです。このことがもう本当に深刻な受診抑制、病院へ行かないという受診抑制を引き起こしております。治療の中断を引き起こし、そして国民は命の危機にさらされているというのが現状で、その実態も私のところにも随分来ているんですけれども、そういう相談が寄せられております。
 この資格証明書の発行もこの間また増えているんですね。そして、昨年は二十二万五千世帯、一昨年に比べて何と倍増している状況なんです。一方、政府は、保険証を取り上げる際に特別な事情のある人からは取り上げてはならないと、このような規定を政令で定めております。
 まず、私は、この特別な事情というのがどういう事情なのかということを参考人にお尋ねしたいと思います。御答弁よろしくお願いします。
#112
○政府参考人(真野章君) 被保険者全体の相互扶助で成り立っております国民健康保険制度におきましては、その財源となります保険料の収納確保、これは制度を安定的に運営していくために大変極めて重要な課題であると考えております。
 したがいまして、特に特別の事情もなく保険料を滞納されている被保険者がおられれば、その分は他の被保険者の負担となられるわけでございまして、被保険者間の公平が損なわれると私どもは考えております。
 こういう観点から、今、先生御指摘のように、平成十三年四月から、保険料を納付期限から一年以上滞納されている場合には被保険者証の返還を求め、資格証明書を交付することとされております。
 ただ、特別な事情がある場合は除くということになっておりまして、この特別な事情というのは、政令の第一条の三におきまして、世帯主がその財産につき災害を受け、又は盗難にかかったこと、世帯主又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと、世帯主がその事業を廃止し、又は休止したこと、世帯主がその事業につき著しい損失を受けたこと、前各号に類する事由があったこと、この五つの場合が規定されております。
#113
○井上美代君 今言われましたように、特別な事情というのは今五つ言われましたと思いますが、保険証を取り上げられる際に、資格証明書ではなくて、そこを考慮されるということなんです。
 しかしながら、資格証明書を発行された人というのは、特別な事情がない、特別な事情がないにもかかわらずとそこに書いてあるんですね。保険料を支払わない人と、保険料を支払わない人とこの五つで見るわけなんですけれども、特別な事情がないにもかかわらず保険料を支払わない人というのは、言ってみれば厚生労働省から見れば滞納者と、以前は悪質な滞納者ということで呼ばれていたわけなんですね。
 この資格証明の発行数がこの間非常に増えてきているということは先ほど申し上げたんですが、私は、こういった人たちが悪質な滞納者だとは到底考えられないというのが今日の現状から見えてくるわけなんです。
 そもそも国保料が高くて、そして払えない、その上、不況が来ておりますのでその影響もありますし、この間のもう様々な税金や公的な保険の負担も大変増えておりますので、払いたくても払えない人が大半を占めているという中身になるわけなんです。こういう人たちこそ、私は正に厚生労働省が守っていかなければいけない人だというふうに思います。ところが、厚生労働省の行政はそれとは逆の方向を向いているのではないかと思われるわけなんですね。
 今年の二月に、厚生労働省は全国の国保の担当者を集められて会議をされました。そこに資料をお配りになったわけなんですけれども、この資料には、政令に定める特別な事情を逸脱するような基準を設けるなど、資格証明書の発行対象者を絞り過ぎていないかという点についても留意する必要があると、このように書いてあるんですね。言ってみれば、つまりこれは簡単に言えば、もっともっと保険証を取り上げる対象を広げなさいという内容になるわけなんです。
 そこで私は質問をしたいわけなんですけれども、厚生労働省は全国の担当者会議で注意を呼び掛けているわけなんですけれども、この特別な事情を逸脱するような基準というのを設けたような自治体があったのかどうか、あったとすれば、その基準とは一体具体的に言えばどういう内容だったのかということをお聞きしたいんですけれども、参考人の御答弁をお願いいたします。
#114
○政府参考人(真野章君) 今年の二月に国保の主管課長会議を行いました。その中で、保険料の滞納対策に係る助言といたしまして、先生御指摘のような文章がございます。
 ただ、それは言わばなお書きという形で示しておりまして、この滞納に、収納対策に係る助言等の趣旨は、そのときの担当者の説明でも、言わば被保険者資格証明書の発行の義務化ということにつきましては、資格証明書の発行が最終的な目的ではない、そこに至るまでに被保険者との接触の機会が増大する、そういうことを担保することに意味があるんだと、言わば、そういうことでよく事情を聴くようにということを趣旨として説明をいたしたものでございまして、特定の自治体というものを念頭に指示をしたものではございません。
#115
○井上美代君 私は、二月に会議をやっておられるわけですから、よく趣旨が伝わっていれば、今非常に増えてきている資格証明書の人たちというのが少しは変化があるのではないかというふうに思うんですけれども、やはり増えてきているというところに、皆さん方のこの特別な事情を逸脱するような基準を設けたという、そこのところというのが伝わっていないのではないかというふうに思うんですね。でなければ、何しろ絞り込みなさいということで、資格証明書をもらう人が増えてきているということになっているのではないかなというふうに思っています。
 それで、市町村の現場での取上げの実態というのは、厚生省がもう本当に心配しておられることと全く逆の事態ではないかと思うほどの事態が出ております。
 私は、今日はたくさんの時間も持っておりませんので、寄せられたたくさんの資料を一つ一つ紹介することができないんですけれども、全国商工団体連合会の婦人部協議会の調査の中から幾つか紹介したいと思います。この間、保険証の取上げがまともな納付相談もないままに行われている実態というのがここで明らかになっているわけなんです。
 広島県のある自治体では、国保料が遅れがちになり窓口に行ったら、納付相談もないまま、幾らなら支払うのかとまず聞かれ、そして、難病指定を受けているので本来なら特別な事情に当たるはずなのに保険証を取り上げられてしまったということなんです。これはやはり特別な事情が配慮されていないんだというふうに思うんです。
 福岡県では、食堂を二十年やってきたが、こんなに不景気が続くのは初めて、競争も激しくなり、客単位も減り、そして預金を取り崩して保険料を払っていたが、ついに資金繰りで手一杯となり、国保料を滞納するようになると市役所から資格証明書が送られてきたということで、これもなぜ特別な事情ではないのだろうかというふうに思います。
 京都では、昨年末に短期保険証が、これは三か月期限ですが、期限切れとなり、納付相談に来てくださいという通知のみで保険証が未交付となっています。明らかに特別な事情がある場合を除くという政令に違反する行為だとこれは思うんです。
 それで、厚生労働省は、こういった自治体の資格証明書の発行の仕方について、やはりきちんと実情を把握していただきたいというふうに思うんですけれども、その辺の把握についてはどのようになっておりますでしょうか。参考人の御答弁をお願いします。
#116
○政府参考人(真野章君) 国保の実際の運用に当たります現場の状況につきましては、私ども、事あるごとにいろんなチャンスを通じましてお聞きをいたしておりますし、また部長会議、課長会議におきましてもそういうお話をお伺いをいたす機会を設けております。
 今年の二月の都道府県の国保の担当者会議におきましても、先生御指摘の資格証明書の交付に当たります留意事項につきまして、納付期限から一年間滞納していることをもって機械的に資格証明書を交付するのではなくて、保険者である市町村におきまして事前に十分な納付相談、納付指導を行う、そういう個々の事例に応じた対応をお願いしたいと。先ほども申し上げましたように、言わば短期証の発行とか資格証の発行が目的ではございませんで、納付につながるということがこの制度の趣旨でありますので、言わば納付相談、納付指導とその機会の確保ということでございますので、そういう法の趣旨にのっとった運用をしていただきますよう個別に指導をしているわけでございますし、いろんなケースの場合には個別に指導もしたいというふうに考えております。
#117
○井上美代君 私は、大臣にお聞きしたいんですけれども、国保証の取上げが義務付けられた下で、多くの自治体では取立てを焦る余りにこの特別な事情を無視して暴走をしているんじゃないかというふうに思います。この暴走を抑えるのが厚生労働省の務めだというふうに私は思いますけれども、事実はその逆で、先ほどの全国の担当者会議での指示についても、やはり取立てをあおるような、そういうものがあったのではないかなということを大変心配しているんです。
 ある県では、県下の市町村に対して、資格証明書の交付に関しては、先ほどの特別な事情のある世帯に対し、役所の中のほかの福祉関係部門とも連携を図るなどして判断することが必要なんだとし、そして、交付に当たっては、特別な事情はどの適用除外事由が生じた場合の届出についての適切な指導も必要であり、こういった点について十分配慮してほしいという通知を出している県があるんですね。そこではだから非常にうまくいっているわけなんです。
 それで、私は、今私がずっと質問しているように、大変な事態が、現状がありますので、厚労省として特別な事情を考慮せずに保険証を取り上げることがないように、やはり自治体に対して指導を強めていく、通知を出すなど対処をしていかなければいけないんじゃないかなというふうに考えております。
 特別な事情というのが五項目あるわけなんです。だから、これを本当に柔軟に活用していけば現場というのは少しは違ってくるわけだというふうに思いますので、絶対に違反がないように徹底すべきだという点からも、やはり通知などを出して厚生労働省が言おうとしているところを伝えていくということが大事ではないかと思いますので、大臣の御答弁をお願いいたします。
#118
○国務大臣(坂口力君) 無理に取り上げるつもりはございませんけれども、しかし、できる限りこれは払っていただくのが最優先だと私は思います。それぞれ大変な御家庭もございましょう。しかし、これは健康にかかわることでありますから、何をさておいても最優先でやはりここはお支払いをいただくのが私は常道ではないかというふうに思っております。
 しかし、全く財政的に行き詰まった、あるいは生活のできない人に無理に取り上げようというわけでは決してございません。そこは十分に配慮しなければなりませんけれども、しかし、ここは皆の助け合いでありますから、出すのが務めだという気持ちはすべての人が持っていただかないと、この健康保険あるいはまた年金といったものは成立をしないのも事実でございます。そこはよくよく御理解をいただきたいと思います。
#119
○井上美代君 私は、今事例を挙げましたように、払うことができる人たちというのはいらっしゃらないんです、払えない人たちの例を今挙げているんです。だから、もちろん支払うのが当然ではありますけれども、払えない人たちにやはりそこでよく事情も聞いて話し合って、そしてどういうふうにできるのかというのもちゃんと言いながら、特別の事情というのは五項目あるわけですから、それに触れるものについてはやはり保険証を取り上げてはならないというふうに思いますので、今の大臣の御答弁については私は全く分からないです。そういう、言われる大臣のお心がよく伝わらないです。私はやはり、払うのが当然だと言われましたけれども、現場では払うことができないんですね、そしてそれは五項目に触れるものなんだから、やはり逸脱してはいけないというふうに思います。
 次にもう行きます。時間も過ぎておりますので次に行きますけれども、私はもう一つ質問したいのは、国保に傷病手当、業者の婦人たちのことですけれども、国保にやはり傷病手当、出産手当の制度がないという問題を取り上げたいんです。
 これは、二〇〇〇年に決定されました男女共同参画基本計画には、女性の起業家そして家族従業者に対する支援という柱があります。この方針を受けて中小企業庁は昨年の三月、自営中小企業の家族の労働と健康に関する調査研究委員会報告という報告書が発表されました。この調査というのは二十二年ぶりに出されている調査なんですね。非常に画期的な調査です。
 先ごろ男女共同参画局が発表されました最新の男女共同参画白書がありますけれども、これでは、この中小企業庁の調査を引用して、女性、家族従業者は出産・育児休業取得が難しい状況にあると、このように述べておられて、そして女性の家族従業者は産前産後休業について、取れないが一七・二%、それから法定日数以下が一四・一%と大変多く、そして育児休業については取れないという方が一八・三%という、こういう数字が並んでいるんです。
 女性に限りませんけれども、現在増えている起業家、これは事業を起こすという意味での起業家ですけれども、こういう方々を支援していくということは、これは国際的にも今奨励されていることで、政府の経済活性化策の一つとしても柱になっている課題なんですね。そういった方々の生活支援のためにも、また男女共同参画の見地からも、国民健康保険に傷病手当、そして出産手当が創設をされることが今求められる時代になってきていると私は思っております。法律上は任意給付ということで自治体の負担で実施できるわけですが、残念ながら実施している自治体というのは今のところはありません。
 国として財政的措置を含めて実施することが今切実に求められているわけで、まず内閣府の男女共同参画局長に今日はおいでいただきまして御答弁いただきたいんですけれども、男女共同参画基本計画に基づく中小企業庁の調査によって、女性家族従業者は出産・育児の休業に基づく取得が難しい状態にあるというふうに書いてあるんですけれども、そこのところをどのようにとらえ、そしてやはりこれは非常に運動の中でも求められていることなんですけれども、今後どのように考えていくかという、その見解を述べていただきたいんですが。
#120
○政府参考人(坂東眞理子君) 御指摘いただきましたとおり、今年度の男女共同参画白書で、そういった女性の家族従業者の方々が、大変家業の重要な担い手、経営に果たしている割合が大きいにもかかわらず、そうした出産・育児休業取得が難しい状況にあるということを紹介させていただいております。
 男女共同参画の観点からも、この「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」という基本計画の箇所で規定しておりますように、女性が家族従業者として果たしている役割の重要性が正当に評価されるように、また自営業における経営と家計の分離等、関係者の理解が得られるよう努めていくことが男女共同参画の観点からも大変重要ではないかと思っております。
#121
○井上美代君 今の点について、やはりそれを実施していくところは厚生労働省ですので、大臣に御答弁をお願いしたいんですけれども、よろしくお願いします。
#122
○委員長(金田勝年君) 時間が参りましたので、簡潔によろしくお願いいたします。
#123
○国務大臣(坂口力君) 自営業者の女性たちが休暇を取りにくい状況にあると、それは多分私もそうだろうと思うんですね。そこは理解ができる。
 ただ、問題は、無職者の人たちがかなりおみえになって、元々所得のない人たちがおみえになって、元々所得のない人たちは出産だから何だからといいましてもそれはもうそれ以下には下がらないわけでありますから、その無職者の人たちとの間の均衡をどう取るかというところが非常に難しいところではあるというふうに思います。
 そうしたことがありますから、これはおっしゃることも理解はできますので、そうしたことも念頭に置いて、今後どうしていくか、これは考えていかなきゃいけないというふうに思います。
#124
○井上美代君 終わります。
#125
○森ゆうこ君 どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、通告しておりました質問をさせていただく前に、本日、この委員会の冒頭に委員長より報告のありました日本精神病協会会長の本委員会への出席について一言申し上げたいと思います。
 いわゆる触法精神障害者に対する医療法の関係で、その審議の過程でこの日本精神病協会の関連する問題が浮上し、この件に関して度々この厚生労働委員会への出席を求めてきたわけでございましたが、実現に至りませんでした。これについては大変残念に思います。
 そして、本日、委員長から説明がございましたけれども、この経緯につきまして、実は厚生労働委員会理事懇談会におきまして、与党理事より、厚生労働委員会の権威に懸けて出席させる、厚生労働委員長の権威に懸けて必ず今国会中に会長の出席をさせるというお約束があったわけでございます。
 私は、そのような、この厚生労働委員会、国会の権威ということについて、それに懸けて出席させるという御発言があったにもかかわらず、今日、会議録の最後に付されますあのような報告書をもって出席ができないというふうな返事があったということについては大変遺憾に思っております。
 権威ということがこんなにもおろそかにされるものなのか。国民と交わした公約について、約束を守らなくたって大したことはないと、そんなふうに簡単におっしゃる内閣総理大臣の下で運営されている政府だから言葉がどんどん軽くなるんでしょうか。私は大変これはいけないことだと思います。私たちは、それぞれの自戒も含め、きちんと国会での議論について大切にしていくべきだ、襟を正すべきだというふうにまず冒頭申し上げたいと思います。
 この委員会への会長の出席については、今後も会長自身が大切にする、大切に考えているというふうにお答えですので、次の国会での出席が必ずあるものというふうに思っております。
 それでは、通告しておりました問題について質問させていただきます。
 触法精神障害者についての法案のときにも問題になりました平成十五年度の精神障害者社会復帰施設の施設整備費についてまずお尋ねいたします。
 この補助金につきましては、都道府県からの補助要望に基づいて厚生労働省がその適否を判断することとされておりまして、昨年までこの補助金の採択率はほぼ一〇〇%でございましたが、本年度は都道府県から百六十一件の新規要望が行われ、そのうち採択されたのは三十五件と実に八割が不採択となっております。
 本件については新聞紙上でも大きく取り上げられておりますし、私の地元である新潟市からも、市長、そして議会代表、担当者、それぞれから、大変失望し、また困惑していると。もうすぐ、今月からでも施設の着工に当たる予定であったにもかかわらず、いろいろな関係者からの理解を得てようやくそこまでたどり着いたのに大変困惑しているという声をいただいております。
 他方、厚生労働省は、いわゆる社会的入院を今後十年間で解消するとしていますけれども、こうした状況では約七万二千人の社会的入院の重要な受皿となる社会復帰施設を十分に確保していけるのか、ひいては、今後十年間に約七万二千人の社会的入院を退院、社会復帰させることなど到底できないのではないかと思います。
 このような事態となった原因と、そして今後どのように対処するおつもりなのか、明快な御答弁をここでいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
#126
○国務大臣(坂口力君) これは少しお断りを申し上げなければならないというふうに思っております。
 今まで、これ余り好ましいことではないという山本議員からのお話もございましたが、補正予算でいつも組んできたということがございまして、昨年の補正予算で余り組むことができなかったということが今日響いてきているということでございます。
 補正予算で組むということはいいことではございませんけれども、しかしこういう事態になりましたので、もし補正予算があれば最優先をして組みたいというふうに思っております。
#127
○森ゆうこ君 昨日の読売新聞の記事ですけれども、これは静岡県の場合ですが、知的障害者と精神障害者の通所授産施設を合築する全国的にも珍しい施設を計画していたと。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 それで、知的障害者の方の補助金は認められた、しかし精神障害者の方については今、ただいま申し上げたようなことで、知的障害者施設の補助金を返上すると今後再採択の保証がないということで、数百万円を掛けて知的障害者の部分だけ着工しようかというような考えを持たれているようです。大きな無駄を強いられる、同じ厚生労働省の補助金なのに整合性がないという指摘がございます。
 この点について、なかなか、予算のいろいろ付け替えというのも難しいことも承知しておりますけれども、ただいま大臣から補正予算を最優先にするという御答弁いただいたわけですけれども、その補正予算もいつになるか分からないわけでございまして、ほかに何か対処方針がないのか、もう一言お願いします。
#128
○国務大臣(坂口力君) 将来のやりくりといいましても、もうがんじがらめの中のやりくりでありますから、そんなに多くが出るわけはございません。しかし、できる限りのことはしたいというふうに思っておる次第でございます。
#129
○森ゆうこ君 先回の委員会でも申し上げましたけれども、基本的には実際の施策をやるのは地方です。こういうことの施策について国がすべてを握っていて、財源、税源すべて握っていて、それぞれ縦割りで配分していくと、こういうやり方を根本的に改めない限り、こういう問題はもうパイが少ないわけですから、次々に生まれてくるのではないかと思います。
 そこで、次の質問に移りたいんですが、皆様のお手元に資料の配付がありますでしょうか。
 地方公共団体の計画策定ということについて伺います。
 国の指針に基づいて地方公共団体が計画を策定しなければならないものがたくさんございます。先般ここで可決されました次世代育成支援対策推進法、これにつきましても行動計画というものの策定が義務付けられているわけですが、取りあえず厚生労働省の所管分を抜き出していただきましたが、大小ありますけれども、約十七件ということで、ほかの省庁のものもございます。これ大変、地方自治体にとっての、計画を策定することは大切なんですけれども、大きな負担になっているということがございます。こうした計画策定に当たっては、特に小規模の自治体に何かの配慮が必要ではないかというふうに考えますが、大臣の見解を伺います。
#130
○国務大臣(坂口力君) 確かにいろいろの問題がこう並んでおりまして、本当に多いなと私も思うわけですが、しかしすべてをこれから地方にゆだねていくということになってまいりますと、こうしたことをやはりこなしていただかざるを得ないわけですね。今、財政面でそれが伴っていくかどうかということでいろいろもめているわけでございますが、三位一体ということで、仕事が地方にいけば財政もそれに付いて伴うということになってくれば、それは地方でお願いをする以外にないわけでありまして、そのときには、ずらっと並んでおりますけれども、こうしたこともやはりおやりをいただかなければならなくなるということは当然だというふうに思います。
 したがいまして、今、市町村合併等も進んでおりますけれども、それぞれやはり実力を付けていただいて、すべての問題をこなしていただけるようになっていただきたいというふうに思いますし、しかしそれには財源が付いて、同じに付いて回らなきゃいけないわけでありますから、財源も地方にゆだねるというふうに早く変わるようにしなければいけないというふうに私も思っております。
#131
○森ゆうこ君 私もそのように思いますし、特に厚生労働省の場合にはこのように所管数もたくさんあるわけでございますので、厚生労働省から率先して地方にゆだねていくという何か方策をするべきだというふうに重ねて申し上げたいと思います。すべて問題はここに戻ってくるというふうに私は思っております。
 時間がございませんので次の質問に移らせていただきますが、児童養護施設について伺います。
 昨年の臨時国会でも質問いたしました。母子家庭の法案の母子寡婦福祉法の改正に伴いまして、自立支援ということで児童養護施設に例えばトワイライト事業等を委託するということで、児童養護施設の実態についてここの場でお話しさせていただいたわけですが、今児童虐待が増えていると、そして入所をする子供たちも被虐待児が多いということで、児童養護施設の職員の配置基準の充実など、児童虐待の虐待児へのケア、そしてその児童虐待の防止に資するべく人員体制の拡充を早急に進めるべきであると考えますが、予算の制約等で直ちに困難としても、雇用創出の見地も含め、何らかの工夫の余地がないかどうか、見解を伺います。
#132
○国務大臣(坂口力君) 確かに虐待を受けるお子さんが増えてまいっておりまして、誠に残念なことだというふうに思います。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 職員の方も少しずつは増やしておりまして、平成十三年度から定員五十名以上の施設に虐待を受けますお子さんに対する応援職員を配置をしているところでございますが、全国的な規模で見れば、それは一握りということになるんだろうと思います。
 それで、一つは、この虐待が次々とどうしてこう起こってくるのかというところにもメスを入れなければいけないと思いますし、そしてそれを、今度はどのようにそれに対応するかということにつきましても、もちろんこの施設の職員もこれは充実をできるだけしなきゃいけませんけれども、これは地域挙げてやはりそうした虐待児に対する取組ということを取り組んでいくということも大事でございまして、そうした助け合いと申しますか、皆さん方のお力もかりてどのように対応していくかということを考えないといけないというふうに思います。
 もちろん、施設及び職員の質、量、これ関係するわけでございますから、そのことにもできる限りの配慮をしていきたいというふうに思っております。
#133
○森ゆうこ君 もちろん、この児童養護施設への職員の配置基準の充実などは割と対症療法という部分もあると思うんです。大臣がおっしゃいましたように、根本的に虐待が起こらないようにするということの対策ももちろん根本的な問題ですけれども、実際にそういう児童が増えているということで、昨年、岩田局長ともお話をいたしましたけれども、事は緊急を要しますので、何らかの工夫をしていただいて是非充実を図っていただきたいので、一言だけ、もう一言、大臣に御答弁を追加でお願いいたします。
#134
○国務大臣(坂口力君) もう一言になるかどうか分かりませんけれども、できるだけ頑張ります。
#135
○森ゆうこ君 まだ幾つか残しておりますので、次の質問に移らせていただきます。
 薬価差の解消についての質問は少し飛ばさせていただいて、その次の質問に移りますが、医薬品に関連した医療事故についての質問をさせていただきます。
 厚生労働省では平成十三年十月より医療機関からの情報収集を行っているようですけれども、この中で、医薬品の販売名が類似しているために医療従事者が薬を取り間違えたといった事例が報告されております。薬は、医師等の専門家による診断の下、正しく使用されて初めて患者にとって有益なものとなります。医療関係者の話によりますと、販売名が似ているものについては、院内で置く位置を離したり、棚に表示している文字を大きくして見分けが付きやすいように工夫していると聞いておりますが、しかし、それにも限界がございます。
 厚生労働省では平成十四年四月に医療安全推進総合対策をまとめており、その中にも、医薬品の販売名、外観の類似性に関する客観的評価のための基盤整備、製品のバーコードチェックの普及等が提言されており、国によるデータベースの整備と関連企業によるバーコード表示の普及についても触れられております。この提言などを受けて、政府として予算措置も含め積極的に防止策に取り組むべきと考えますが、政府参考人に見解を伺います。
#136
○政府参考人(小島比登志君) ただいま先生御指摘ございましたように、平成十四年四月の医療安全対策検討会議におきまして医療安全推進総合対策というものが決定されました。
 その中の提言に二つございまして、一つが医薬品の名前や外観の類似性についてのデータベースの整備ということでございます。そのデータベースを整備することによりまして、医薬品を開発する企業がそれを参考として余り近寄った名前を選ばないようにする等々の利便がございますし、また、医療機関においてもそのデータベースでいろんな似通った医薬品の名前を検索できるというものでございますが、これにつきましては、私どもといたしまして、厚生労働科学研究費におきまして可能なデータベースのプロトタイプを作成したところでございまして、現在その実用化に向けまして関係業界と協議を行っているところでございます。
 また、バーコード表示による突合につきましては医薬品の取り違い等による医療事故の防止に非常に有用だと考えておりまして、今後、バーコードの標準化や整理、あるいは医療機関におけるIT化の推進等々、私どもバックアップしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#137
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 最後の質問に移りたいと思います。
 今国会におきましては、多様な働き方にかかわる労働基準法や労働派遣法の改正が行われたところでございます。こうした非正規の働き方は、自己のライフスタイルに合わせて選択することができるという積極的な評価がある一方で、雇用が不安定であるなどの不安の声も多いわけです。
 こうした現状を踏まえ、今後、多様な働き方を労働者が安心して選択できる環境を推進していくためにどのような施策を進めていかれるのか、大臣に基本的な考え方について伺います。
#138
○国務大臣(坂口力君) 多様な価値観になってまいりまして、働く人も非常に多様化されてまいりましたし、それを受け入れる社会の方も多様化されてまいりました。その中でそれぞれが選択をしながら、その中で様々な組合せが起こってくるということでございますから、どういう働き方であったといたしましても、やはり一番基本となりますところ、例えば社会保障なら社会保障に対するもの、そうしたものは、どういう働き方であっても同じようにできるだけそれを享受することができ得る、そういうやはり社会をつくり上げていかなければいけないんだろうというふうに思っております。そうしたことを念頭に置きながら、新しいこの時代に対応していきたいと考えております。
#139
○森ゆうこ君 ありがとうございました。
 本日発表されます厚生労働省の女性の育児休業取得率等に関する調査の結果でございますけれども、前回に比べますと上昇していると、女性の育児休業取得率は上昇していると。そして、育児休業制度の規定のある事業所の割合も前回調査より七・九ポイント上昇しているということでございます。
 度々、厚生労働省の施策が不十分というふうにいろいろ言ってきたわけですけれども、やはりいろいろなことを講じることによってだんだん進んでいくというふうに評価させていただきたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#140
○大脇雅子君 深刻な雇用失業情勢の下の働き方について、先回、国民生活白書は若者のフリーターの実態を特集いたしました。そのための施策が必要不可欠だと考えます。
 第一に、現在、フリーターとして働いている若年世代に対する様々な適性判断の機会の保障と能力開発のための職業教育というものを充実させること、第二に、公的機関を含めて雇用する側、とりわけ企業がフリーターとして現に働いている労働者を正規雇用へ転換していくという積極的な道筋を確立すること、第三に、フリーターとして職業生活を一つのキャリアとして評価する対応策を進めることなど必要だと思いますが、この点についてお尋ねをします。
#141
○政府参考人(坂本由紀子君) 若年者本人のキャリア形成を進め、安定した職業に就くためには、先生御指摘のように、幾つかの取組をしなくてはならないと思っております。
 現在、一つは、ハローワークでありますとかヤングジョブスポット等におきまして、適性検査でありますとか細かな職業相談等を行っております。
 また、あわせて、フリーターや学卒早期離職者の方などを対象にいたしまして、社会人の基礎的なマナー等についての講習や企業実習等を盛り込んだ実践的な能力開発のための取組も行っておるところでございます。
 また、若年者のトライアル雇用を活用いたしまして若年者の常用就職を進めておりますほか、フリーターを多数雇用している企業において正規雇用のルートの確保でありますとかキャリア形成支援への取組の在り方について現在検討を進めておりますので、この結果を基に必要な企業への要請等を行ってまいりたいと考えております。
 また、現在、技能検定等によりまして一部若年者の能力評価を行っておりますが、今後、若者の能力評価を行うための制度を充実させていく必要があると考えております。
#142
○大脇雅子君 先回、次世代育成支援対策についてお尋ねをいたしまして、今回、行動計画策定指針の骨子のイメージというのが発表されております。これを見ますと、事業主の行動計画の内容については、働き方の見直しで職場優先の企業風土や性別固定的役割分担意識の是正のための取組という具体的な文言が見えるわけですけれども、市町村行動計画及び都道府県行動計画の内容に関する事項では、男性を含めた働き方の見直しと多様な働き方の実現、仕事と子育ての両立の推進と、漠としているわけであります。
 やはり、様々な自立した生き方と多様な家族とその家族的責任、とりわけ性別役割分担の問題等重要だと思いますが、この点少し不徹底のような感がいたしますが、いかがでしょうか。
#143
○政府参考人(岩田喜美枝君) 働き方の見直しですとか、特に子育てをしている労働者の育児と仕事の両立支援の問題は主として企業の行動計画に盛り込んでいただくということで考えておりますけれども、あわせて、その働き方についての産業界全般について、あるいは地域の住民全般についての考え方をどういう形で変えていくかという、意識啓発の部分だと思いますけれども、それらについては自治体の役割もあるというふうに考えておりますので、自治体の行動計画の中でも働き方、特に仕事と子育ての両立の分野について取り上げていただきたいと、そのために指針でもそのことを盛り込みたいというふうに考えております。委員の御意見も踏まえまして、具体的な指針の書きぶりについて検討したいと考えております。
#144
○大脇雅子君 家族的責任と両立する働き方の見直し、あるいはその推進について、大臣のお考えをお尋ねいたします。
#145
○国務大臣(坂口力君) 先ほどの御意見にもございましたとおり、非常に社会が多様化をいたしてきておりますが、そうした中で次の担い手をどのように育てていくかということは大変大事なことでございます。
 したがいまして、フリーター等、若い人たちに対する自立を支援をするということを一つ大きな柱にしてそれをやっていく。もう一つは、また、男女共同参画社会という言葉がございますが、女性の皆さん方も男性と同じように働ける、すなわち男性も含めた働き方の変えていくような社会をどう構築していくかと、この二点がキーポイントだというふうに思っておりまして、こうした点を中心にしながら改革を進めていきたいと思っているところでございます。
#146
○大脇雅子君 このところ、過労死が最多、百六十件という記事が見られます。労働紛争の増大、そしてストレスの増大と長期間の疲労の蓄積等、その背景にあると思います。
 労災認定の在り方を考えますと、様々な労災認定に関して労働基準監督署長の判断が出るまでにもかなり長い日数が掛かる。そして、労災と認められなかった場合の再審査の請求もこれまたかなりの日数が掛かると。そして、さらに行政処分に対する取消し訴訟となると十年を超えるという過酷な状況になります。
 七月八日、初めて高等裁判所としていわゆる過労死の自殺を労災認定をしたケースがございます。未来を嘱託されたトヨタマンであった被災者が、昭和六十三年八月二十六日、自宅のマンションから飛び降りて自殺をした、三十五歳。非常にその経歴や職歴も、上司からも優等生的で職場にとっては申し分ない人物だと言っていたわけですが、トヨタには付いていけない、仕事をやる時間がない、トヨタを辞めたいと言って、その当時生まれて二か月もたっていない子供の末っ子を残して自殺をし、この事件などは申請に対して、平成三年に豊田労働基準監督署に労災申請をし、不支給が下されたのが平成六年、そして再審査を出して平成九年で、平成十三年に審査請求から六年半たって、さらに判決が今回、六月十八日、一審の判決と、そして十五年の七月八日に控訴審の判決、まあ実に十五年の経過をしたと。
 現在、この判決読みますと、かなり労災の因果関係等、詳細に認定しておりまして、今、控訴期間であるかと思いますが、上告を検討していると聞きますけれども、上告されると更に結論は先送りになり、被災者の遺族の苦しみは続くと。そして、本来ならば労災の救済というものはその直後の遺族の経済的、精神的負担をカバーするものであるというにもかかわらず、そうなっていないということを考えますと、これはもう上告しないで確定させるべきだ、そして遺族の救済を図るべきだと考えますが、大臣の率直なお考えを伺いたいと思います。
#147
○国務大臣(坂口力君) これは、労働過重によってうつ病が発生し、そして自殺に至った方のケースでございます。第一審の判決が出ました二年前にもこのことに、この件につきましては省内でも大変ないろいろの角度から議論をしたケースでございました。
 原告の方のお立場というものもよく理解をしながら、しかし、その一審の判決におきましては、ストレスに対しまして最も弱い、脆弱な人を基準にすべきだと、こういう判決だったわけです。しかし、厚生労働省の基準は平均的な人を基準にしているわけでありまして、その一審の判決でいきますと、うつ病等で自殺をしたような人はすべてそれじゃこの労災判定をしなきゃならないということになってしまう。最も脆弱な人を基準にするということはどうしてもやはり受け入れることができないということで控訴させていただいたわけでございます。
 しかし、今回の判決をずっと読ませていただきますと、その辺のところはよく整理をされまして、そして厚生労働省の基本的な考え方を尊重しながら、しかし、その上でなおかつ、これは関連したものと、この過重労働と関連したものと、こういう判断であったというふうに思います。
 したがいまして、今まで一審のときにこだわってまいりました点はなくなったわけでございますので、高裁の判決に従いたい、こういうふうに思っております。
#148
○大脇雅子君 遺族も喜ぶと思います。御率直なお考えをありがとうございました。
 こうした厳しい不況の下では、ノルマや業績主義の働き方が求められて、そして精神障害の認定も四割アップというような状況の中で、深夜業規制に関する労使の積極的な取組というものはどうなっているのでしょうかと。時間外労働は少ないが深夜業務が多いなどの事例で、不当に業務外とされているケースなどあり、深夜業規制に対する法規制というものは非常に重要だと思いますが、実情はどのようになっているでしょうか。
#149
○政府参考人(大石明君) 過度の深夜業を抑制していくと、こういうことのために厚生労働省といたしましては、業種別にその深夜業に関する自主的なガイドラインを作成していただきたいと、そうした形というのが非常に実効が上がるのではないかということで、平成十一年度から関係の業種別の使用者団体と労働組合が話し合う場というものを設定してまいったところでございます。この結果、化学工業を始め七業種において、現在、自主的なガイドラインが策定されたところでございます。
 現在、これに基づきまして、各業界とも、労使を挙げてリーフレットを作成し、そして労使それぞれのいろいろな会議の場等でこれを周知し、各個別の企業で具体的な話合いが行われるように、そうした形での周知活動が進められているものというふうに現在理解しているところでございまして、私どもとしてもそれを引き続き応援してまいりたいと、こんなふうに思っております。
#150
○大脇雅子君 七業種というのはどういう職種ですか、お尋ねをしたいと思います。
 そして、七業種を更に一般、深夜業一般に拡大をしていくという方向性というものはいかがでございましょうか。
#151
○政府参考人(大石明君) 七業種と申しますのは、化学工業、鉄鋼業、それから自動車及びその附属製品製造業、そして電機・電子・情報関連産業、紡績業、商業、そして最後に食料品製造業の七業種でございます。
 私どもといたしましては、繰り返しになりますけれども、こうした業種での状況というものも、まだ一番最初のガイドラインができて二年余というところでございますので、そうしたところでのガイドラインに基づくところの深夜業の抑制というものがますます浸透していくように、そうした形を見守ってまいりたいと思いますし、そうしたことを受けて今後の在り方というものを更に検討させていただきたいというふうに思っております。
#152
○大脇雅子君 是非、深夜業一般へ拡大をして、健康の維持ということが労働基準法の中の法規制となるということを望みたいと思います。サービス残業やサービス深夜労働というものが法規制以上に実態的には蔓延をしている現状、これに対する根絶に対する大臣の御決意をお願いしたいと思います。
#153
○国務大臣(坂口力君) 五月の二十三日でございましたけれども、賃金不払残業総合対策要綱を策定いたしまして発表させていただきましたし、これに従いまして賃金不払残業解消対策指針を策定したところでございます。
 その指針の内容は、労使に求められる役割、労働時間適正把握基準の遵守、職場風土の改革、適正に労働時間の管理を行うためのシステムの整備、労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化とチェック体制の整備、これらの五つの点を盛り込んでいるところでございます。
#154
○大脇雅子君 最後に、ホームレス支援策についてお尋ねいたします。
 ホームレス対策の一環として、大阪市や全国各地で近隣住民の不安だとか危害等を理由に警察官のパトロール強化や物件の撤去が図られている実情があります。確かに、様々な理由でホームレス生活を余儀なくされている人々の近隣の人たちのそうした感情も理解できるわけですけれども、ただ、自立した生活を送るために居住施設の確保等、積極的な支援をまず講じて、そして就業機会の確保等、そうしたホームレス自立支援に対する温かい支援も同時に講じなければいけないと考えますが、その点、どのような状況でございましょうか。
#155
○政府参考人(小神正志君) 今、先生も御指摘いただきましたように、自立できるような状態になられた、自立支援センターに入られたりいたしまして自立できるようなホームレスの方々につきまして安定した居住の場所を確保するということは重要な課題だというふうに私どもの方も認識をいたしております。
 このため、ホームレス法の施行を受けまして、公営住宅につきましては、地域の住宅の事情ですとかストックの状況、こういったものを踏まえながら、公営住宅の事業主体でございます地方公共団体におきまして単身入居あるいは優先入居といった制度の活用を配慮してほしいということを昨年の九月に各公共団体にお願いをしてあります。
 また、民間の賃貸住宅にも入ることができますけれども、これも自立支援センターなどにおきまして、地域におきまして比較的家賃の安い民間賃貸住宅でございますとか、入りますときに単身にもなりますので保証人が確保できないということもありますので、民間の保証会社、こういった情報提供も関係団体に行うように通知をいたしております。
 また、家主等に対するこの法律の趣旨の徹底、こういったものも行うようにということで関係団体に昨年の八月に通知をいたしまして、今後とも、こういった施策を通じまして今問題になっております解決に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#156
○大脇雅子君 終わります。
#157
○西川きよし君 短い時間ですが、よろしくお願いいたします。
 先日は当委員会で、視察で医療刑務所そしてまた精神科の方、いろいろと勉強させていただきました。その折、皆さんがおっしゃるのには、やはり最終的には人の力であったりお金の力であったりということをお伺いいたしまして、特に私は、子供の、これからの児童の精神、精神科、最前線でお仕事をしていらっしゃる皆さん方にいろいろ御意見もお伺いしてまいりましたが、そういった意味も含めまして、今回、幼児誘拐殺人事件で補導されました少年に対する今後の対応の在り方についてまずお伺いをしたいと思います。
 今回、加害者が十二歳の中学一年生ということでございまして、これは子供あるいは親だけの責任に押し付けるのではなく、学校、福祉を始めとする社会全体でやっぱり考え、見詰め直さなければいけないことだというふうに思います。
 いろいろ最近ではテレビなどでもそういった討論という場面にも遭遇するわけですけれども、今朝も皆さん方、この問題で討論をしておられました、あるテレビ局ですけれども。結果的には、最終的にはお答えは出ていないような気がいたしました。
 これから夏休みを迎えますし、各地の学校等々においても子供たちの非行や犯罪を防ぐための対応も図られるように思いますけれども、厚生労働省といたしましても、保健、医療の分野において、こうした子供、そしてまた親に対しまして、特に思春期に当たる子供たちの心の問題あるいは性の問題、学校との連携の中でどういうふうに取り組んでいけばよいのか、これまでの施策の見直しだとか強化だとか、対応策の検討も必要ではないかなというふうに思うわけですけれども、まず大臣にお伺いしたいと思います。
 この件につきまして、関係省庁による検討会が設置されたということですけれども、まず御答弁をいただきたいと思います。
#158
○国務大臣(坂口力君) 今回の事件は非常に多くの人々に衝撃を与えたというふうに私も思います。小さいお子さんをお持ちの御家庭は、うちの子供は大丈夫だろうかというふうに思われますし、中学校、高校生ぐらいの大きいお子さんをお持ちの御家庭は、うちの子は大丈夫かという心配をお持ちになる。双方ともに御心配になっているというふうに思います。
 これは特殊なケースなのか、それともこれはこうしたことが起こり得ることなのか、その辺のところもよく検討して分析をしながら対策を立てなければならないというふうに思っております。
 とりわけ、現在伝えられておるところによりますと、性の問題と関係しているのではないかというような御意見もあるわけでございますが、やはり性の問題につきましては、よくその年齢に応じた対応をしていくということが大事でございますし、ただ事実を教えるというだけではこれは性教育にはならない。やはりそこには相手の気持ちを思う、あるいはまた社会的責任が付きまとうということ、付くものだということをしっかりと教えていかないといけない課題だというふうに思う次第でございます。
 この問題につきましては、厚生労働省の中におきましても労働科学研究におきまして、親子の心の問題に対応しますための小児科医への研究用のハンドブックの作成でありますとか、あるいは思春期に特有の心身の問題に対する思春期外来の機能の充実でありますとか、あるいはまた子供の発育、発達に応じた性に関する指導、援助を行うための研究や、地方公共団体が実施する先駆的事業の助成でありますとか、こうした問題、厚生労働省としても取り組んでいるところでございます。
 そうしたことだけでなく、やっぱり文部科学省とよく相談させていただいて、これからの取組どうしていくか、特に厚生労働省としましては、心身の健康面からどういうふうに助言をし、一緒にやっていけるのか、取り組んでいかなければならない課題と思っております。
#159
○西川きよし君 それにしても、本当に最近こういった子供たちの事件が多過ぎますし、また、昨日ですか、小学校六年生の女の子が四人いなくなったということで、渋谷へ出ていくということで、本当に良かったんですが、お昼のニュースでは赤坂で見付かったということでございまして、そういうふうに報道されておりまして、私自身もほっといたしましたが。
 正しく大臣がおっしゃるように、子育ては本当に人生最大の事業であると。予算委員会で小泉総理に御質問をさせていただいたときには、総理は、子供はそっと抱き締めて、抱き締めてそっと下ろして歩かせるというふうに、そんな気持ちで育てなければというふうにおっしゃっておられましたけれども。
 今回の中学生につきましても、今後の家庭裁判所の審判によりましては児童自立支援センターの入所ということになるわけですけれども、大いにこの可能性もあるわけですが、その受入れ後の対応について心配するわけですけれども、せんだって、ある施設長さんがテレビのインタビューで答えておられました。このように答えておられました。本来、親の虐待や家庭問題から非行に走った子供たちに、その欠けていた家庭的な要素を補うという対応が一般的な状況の中で、今回のように家庭内には虐待だとかそういった問題がないとすれば、それはそれで対応が非常に難しいのではないかなと。分かるような気がいたします。
 あるいは、報道によると、幼児を裸にするなど性的行動に問題があるようにも言われておりますが、そうした問題への言わば治療行為を必要とする場合の対応が果たして可能なのかどうなのか、この点についての現状と、仮に入所となった場合ですけれども、処遇の方針、これ引き続き大臣にお伺いしてもよろしゅうございましょうか。
#160
○国務大臣(坂口力君) 具体的なこの施設の問題等は局長の方から答弁をさせますが、やはり子供たちを孤立させないということが大事だと思うんですね。孤立させてしまいますと、やはりそういう思春期の時代でございますから、いろいろのことを考え、悩む。そして、どうしていいか分からなくなってしまうと。
 そういうふうな意味で、私たち学童保育の問題等もやっておりますけれどもそこまでなかなか考えずにやっておりますが、そうした意味では学童保育なども、おうちに帰って一人にしない、やはりそういうお子さんを同じにみんなお預かりをして、これはもう勉強だけをするんではなくて一緒に遊んだりして、そしてお互いにいろいろのことを話合いをさせるという、そういう場として大変大事な場だと。ですから、低学年だけをいたしておりますけれども、あるいはもう少し高学年の皆さんもお受けをしていかなければならないこともあり得るのかなと、そんなふうにも私、今思っているわけでございます。
 この児童自立支援施設のことでございますが、ここは、後でまた詳しく話をしてもらうといたしまして、やはりここにおきましても、この施設は造ったが、その中で本当に孤立をさせて、愛情不足の塊みたいにしてしまったのでは何にもならないというふうに思う次第でございます。
#161
○政府参考人(岩田喜美枝君) 児童自立支援施設の中での子供の処遇でございますが、それは個々の子供の状況ごとに自立支援の計画を立てまして、それに基づいて生活指導、学習指導、作業指導などを行います。
 生活指導と申しますのは、例えば国立の児童自立支援施設の場合ですけれども、小舎制といいまして、小さい、シャというのは校舎の舎ですけれども、小舎制といいまして、夫婦である二人の職員が子供たち、十人前後ですけれども、子供たちとずっと生活をともにし、言わば疑似家族を作って、その中で子供との信頼関係、愛着形成というのをやり直すといいましょうか、しっかりやるということでございます。
 それから、作業指導というのもやっておりますけれども、例えば植物を種から成長させる、あるいは動物を世話するといったような過程を通じて生命の大事さなどについてしっかり教えるといったようなこと。あるいは、何というんでしょうか、根気が要る仕事、あるいはグループで作業してその達成感が味わえるような仕事、そういうものを通じて自立の支援をしていっているところでございます。
 また、性的行動に問題を抱えているなど、精神医学的なケアが必要であるという子供の場合については、先ほども答弁さしていただいたんですが、自立支援施設の中に精神科医が国立の場合には配置されております。そうじゃないところも嘱託医を委嘱しておりますので、その先生が中心になってカウンセリングや心理的な治療をしていくということになりますし、またさらに、外部の医療機関との連携が必要であるということであれば、それはそういうふうに対応するというケースもございます。
#162
○西川きよし君 ありがとうございました。
 いろいろ細やかにやっていただいていることはよく理解するんですが、今おっしゃいましたように、そういう疑似家庭、家族といいますか、私も現場を訪れましたら、それぞれにお母さんの役の方がいらっしゃって、隣の建物とは違う。今まででしたら一緒に、カレーライスならカレーライス、一緒にみんなが食べていたわけですけれども、お隣はカレーライスですけれども、こちらはサンマを焼いて食べたり、向かいはハンバーグであったりとかというふうに、大変そういう意味では子供が自立するためにはいいことだというふうに、いろいろなところで勉強もさしていただいておるわけですけれども。
 この児童自立支援施設については、平成九年の児童福祉法の改正で、それまでの不良行為をなした子あるいはそのおそれのある子供と、それから新たに家庭環境その他の環境の理由により生活指導等を要する児童というのが加わったわけですけれども、この現在入所している児童の入所の理由、そしてまたこの施設の充足率、当時と現状ではどうなっているのか、引き続き、その要因と申しましょうか、続けてお答えいただければと思います。
#163
○政府参考人(岩田喜美枝君) おっしゃるとおり、平成九年に児童福祉法の改正がありまして、それまでは児童自立支援施設は教護院という名前でございましたけれども、教護院にはいわゆる非行児童が入所するということになっておりました。九年の改正で、家庭の養育機能の低下などを背景といたしまして、生活指導を要する児童も非行児童に限らず対象としたところでございます。
 その後の状況でございますが、まず入所率については、例えば平成九年度と十三年度を比較しますと、平成九年度は三九・九%、十三年度は四二・六%ということで若干入所率は上がっております。
 入所理由についてですけれども、引き続き圧倒的な比率の子供は非行児童でございまして、非行児童ではない、生活指導を要する子供については、入所の例はございますけれども、その数は非常に少なく、増えているというようなことはございません。
 非行児童の入所事由について見ますと、多い順番から、一番目が窃盗、二番目が浮浪・家出、三番目が乱暴・反抗など、四番目が性非行などとなっております。この理由については、九年度と十三年度を比較いたしまして余り大きな変化は見られないというところでございます。
 非行児童ではない、生活指導等を要する児童について入所が進んでおりませんけれども、その最大の理由は、統計的な情報はございませんが、幾つかの児童自立支援施設のお話を聞いてみますと、やはり保護者が、自立支援施設は非行の子供が行くところだからということで、なかなか保護者の方が嫌がるといいましょうか同意しないというようなことが背景にあるようでございます。
 引き続き、保護者の理解を求めながら児童自立支援施設の活用も進めてまいりたいというふうに考えております。
#164
○西川きよし君 ありがとうございました。
 それと、人数のバランスと申しましょうか、そういうところもひとつよろしくお願いを申し上げます。多いところと少ないところと極端なような気もいたしますし。
 ちょっと今日は時間が少ないものですから、次は、こういう入所率が高ければいいというようなことではないんだろうと思うわけですけれども、ただ現在の、現状のニーズとのミスマッチによることで利用されない、利用できないということでありますと、それでありますと、公的資金が導入されている施設であるわけですから、それが問題なしということにはならないと思うわけですけれども、この施設の在り方もそうですが、他方、乳児院、児童養護施設の再編等々、今後専門委員会を設置する中で見直しの検討を進めていくということでございますので、より良い方向へ進めていただきたいと思います。
 大臣にこれは答弁をいただこうと思いましたが、時間の都合でお休みしていただきたいと思いますので、より良い方向へお願いします。
 次に、どうしても聞いておきたいことがありますので、心身障害者扶養保険制度について是非お伺いをしたいと思います。
 この制度は平成二年度から七年度まで終始赤字が続いたことですから、財政が危機的状況に陥ったわけですね。そして、平成八年に掛金の引上げと国などの財政支援によりまして一応この安定化が図られたわけですけれども、ただそれでも将来的には危機的状況は避けられないと、こういう指摘もあるわけですけれども、現在の財政状況と将来の見通し、平成十年度、十一年度の厚生科学研究の、先ほど出ました厚生科学研究のこちらの方の事業の中でこの制度の在り方について研究をいただいておるわけですけれども、その結果、研究結果について是非政府参考人にお伺いしたいと思います。
#165
○政府参考人(上田茂君) お尋ねの心身障害者扶養保険制度は、障害者の保護者が生存中に掛金を納入することにより、保護者の死亡後、残された障害者に年金を支給し、障害者の生活の安定に資することなどを目的とした任意加入の制度でございます。
 この制度につきましては、ただいま御指摘ございましたように、平成七年度におきまして制度の安定化を図るために掛金の改定や財政支援等を行ったところでございます。
 この制度の財政状況でございますが、平成十年度と十一年度に実施しました厚生科学研究において、障害者の平均余命の延びや、運用利回りの低迷などから、年金財政については将来厳しい事態が想定されると、このように研究報告で指摘されているところでございまして、今後とも経済情勢の推移等も踏まえながら注視していく必要があるというふうに考えているところでございます。
#166
○西川きよし君 ありがとうございました。
 この制度につきましては、障害を持つ子供のお父さんやお母さん、大変心配だと思います。小渕総理のときですが、娘より三日長生きしたいというお父様の御本をいただいたことがありますが、正しく障害を持つお父様でございまして、親亡き後の子供たちの生活を心配する思いから、一九六九年にこれは神戸市で始まったわけですけれども、その後、障害年金制度が確立をされまして、また障害者基本法の中では、父母の亡き後、障害者の生活に懸念することがないように特に配慮されなければならないと、このようにもございますし、そういった意味で一つの意見といたしまして、もう制度そのものの廃止の検討をすべきではないかと、また、あるいは、あくまでも私的な保険制度として抜本的な見直しを行うべきではないか、そうした現実的な意見があることも事実ですし、またある一方では、制度維持のために新たな公的資金を導入するというような考え方もあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、そうした親御さんに対して、急に保険料の引上げを求めたり、あるいは給付を下げるというようなことがないように、また前回のような不安になるわけですから、そういう不安を与えることのないように、制度の見直し作業に着手をする必要があると、あるのではないかというふうに私は思います。
 最後は大臣の御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
#167
○国務大臣(坂口力君) 私もこの制度の存在を聞きまして、非常にいい制度だなというふうに一瞬思ったわけでございますが、しかし考えてみれば、障害者の皆さん方全体に国全体でこれはバックアップをしていくという制度がやはり何と申しましても基準ではないか、そこを充実をしなければならないのだろうというふうに思います。
 そして、お父さんやお母さんの立場として、それはそれとしながらも、自分たちでできることをというので、プラスアルファという意味でこういう制度が必要であるのかどうかということも検討しなきゃならぬというふうに思いますが、今後やはりこれはこれとして存続をしていく必要があるということであるならば、これもまたバックアップをしていくということにしないといけないと、だんだんしりつぼみになっていくのではよくないと私も思っております。
#168
○委員長(金田勝年君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。
   午後三時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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