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2003/05/13 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 文教科学委員会 第11号
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2003/05/13 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 文教科学委員会 第11号

#1
第156回国会 文教科学委員会 第11号
平成十五年五月十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大野つや子君
    理 事
                仲道 俊哉君
                橋本 聖子君
                佐藤 泰介君
                山本 香苗君
                林  紀子君
    委 員
                有馬 朗人君
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                後藤 博子君
                中曽根弘文君
                岩本  司君
                江本 孟紀君
                神本美恵子君
                山根 隆治君
                草川 昭三君
                畑野 君枝君
                西岡 武夫君
                山本 正和君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   参考人
       新たな学生支援
       機関の設立構想
       に関する検討会
       議座長
       早稲田大学学事
       顧問       奥島 孝康君
       日本育英会評議
       員
       法政大学総長   清成 忠男君
       全国都道府県教
       育長協議会会長
       東京都教育委員
       会教育長     横山 洋吉君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○独立行政法人日本学生支援機構法案(内閣提出
 )
○独立行政法人海洋研究開発機構法案(内閣提出
 )

    ─────────────
#2
○委員長(大野つや子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 独立行政法人日本学生支援機構法案及び独立行政法人海洋研究開発機構法案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 本日は、両案の審査のため、参考人として新たな学生支援機関の設立構想に関する検討会議座長・早稲田大学学事顧問奥島孝康君、日本育英会評議員・法政大学総長清成忠男君及び全国都道府県教育長協議会会長・東京都教育委員会教育長横山洋吉君の三名の方に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様から忌憚のない御意見をお述べいただきまして、両案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず奥島参考人、清成参考人、横山参考人の順でそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただいた後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、まず奥島参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。奥島参考人。
#3
○参考人(奥島孝康君) おはようございます。
 ただいま大野委員長から御紹介がございましたように、新たな学生支援機関の在り方についての検討会議の座長を務めた関係で、学生支援に関するこの法案の概括的な説明を私の方からさせていただこうというふうに思っております。
 最初に、新たな学生支援機構の設立構想に関する検討会議での審議経過について述べておきたいと思います。
 この検討会議は、平成十三年十二月の「特殊法人等整理合理化計画について」及び平成十四年三月の「公益法人に対する行政の関与の在り方の改革実施計画」、いずれも閣議決定でありますけれども、それを受けまして、日本人学生のみならず、留学生も含めた学生への支援業務を総合的に実施する新たな独立行政法人を設立するに当たり、その構想等を検討するために平成十四年五月に文部科学省事務次官決定により設置されました会議でございます。
 この会議におきましては、以来七回の会議を重ねまして、新たな学生支援機関の役割や主な業務の在り方等について、教育や経済など各界の有識者であります十五人の委員各位に積極的に御審議いただき、平成十四年十月に中間報告を公表し、これに対する各界からの御意見を参考にしつつ、同年十二月に最終報告を取りまとめ、公表したという点については御高承のとおりであります。それがこの「新たな学生支援機関の在り方について」というパンフであります。本日審議されます日本学生支援機構法案は、この最終報告に沿ってまとめられたものであります。
 そこで、この最終報告の内容につきまして、その基幹部分について、若干私の方で御説明をさしていただきます。
 まず、日本学生支援機構設立の意義でありますけれども、既にこれにつきましては皆様方も十分御承知のことだと思いますけれども、我が国が果敢に新しい時代に挑戦し、国際社会の中で発展していくためには、国際的な視野を持ち、世界に貢献する人材育成や諸外国の人材育成への貢献が一層重要になってきているという認識の下にこの支援機構の設立が考えられました。
 このためには、日本人学生と留学生に対する質の高い支援業務をそれぞれの特性に配慮しながらも、総合的に実施できる体制を構築し、日本人学生の国際理解を増進するとともに、留学生の日本理解を深めるなどの取組を一層充実させていくことが必要であるというふうに考えられます。
 新たな学生支援機構につきましては、このような観点から、日本育英会や留学生関係公益法人、国など現在は実施主体が複数に分かれている学生支援業務を、統一的な理念の下で、総合的かつ効果的、効率的に実施する機関として設置することが適切であるという結論に達しました。
 新たな学生支援機構の設立は、一連の行政改革の一環としての側面ももとより持っておりますけれども、今申し上げましたように、新しい時代を見通した理念に基づくものとして構想されているものであります。
 では、その学生支援業務の内容というのは一体どうかということでありますけれども、大学等においては、学生支援は教育の一環として位置付けられる必要がある、特色ある大学作りを進めていく観点から、学生に対する個別的な対応とその充実は各大学において行うことが基本でありますけれども、各大学において一層充実した対応をするために、各大学に共通した共同実施が効率的、効果的な業務につきましては、新たな学生支援機関で実施することが適当であるというふうに考えられます。
 そこで、学生支援業務について、具体的には、まず第一に、奨学金の貸与などの経済的支援。第二に、留学生宿舎を含む国際交流拠点の整備、学生交流の支援、日本語予備教育の充実、留学情報の提供などの交流基盤整備、交流活動支援という点が第二の具体的な業務の内容であります。それから第三に、大学が行う就職やインターンシップ関係の業務に対する支援などのキャリア形成支援、これもこの業務に含めることができます。
 検討会議の最終報告ではこれらの実施の在り方について提言しておりまして、とりわけ奨学金事業については、憲法や教育基本法に基づき、教育の機会均等の確保や次代を担う優れた人材を育成することを目的に実施されてきたところでありまして、日本学生支援機構においても、予算規模が最も大きく、一つの中心的な柱になるものと考えられます。
 その奨学金事業でありますけれども、奨学金事業では、まず第一に、現在日本育英会で実施している無利子、有利子の奨学金を更に充実させるとともに、第二に、外部委託の推進による返還請求業務の合理化、効率化、第三に、特に優れた業績を上げた大学院学生を対象とした新たな返還免除制度の導入、それから第四に、学生の自立を支援する機関保証制度の導入などを提言さしていただいております。
 まず、そのうちの奨学金事業の充実でありますけれども、昭和十九年に日本育英会が設立されて以来、今日まで六百四十万人を超える奨学生に対して奨学金が貸与されてきておりますが、これらの人材は、社会の各分野で活躍しており、我が国の発展を支える人材として、社会の発展に多大の貢献をしているものと我々は認識いたしております。
 日本学生支援機構に移行後においても、教育の機会均等の確保の観点からも、意欲と能力のある学生の支援のために、無利子、有利子奨学金とともに、貸与月額、貸与人数の一層の充実を引き続き図ることがこれから重要ではないかと考えております。
 また、昨今、我が国は厳しい経済状況下にありますけれども、こうした中でも意欲と能力のある学生が勉学を断念することのないように奨学金の充実を図ることが大切でありまして、この点、平成十一年度から緊急採用奨学金制度を創設されておりますけれども、引き続きこの制度の適切な実施を図るとともに、今後とも新たな学生ニーズに適切にこたえていくことが望まれるのであります。
 返還請求業務の合理的実施、あるいは特に優れた業績を上げた大学院学生に対する卒業時の返還免除制度、それから機関保証制度の導入等といった優れた新しいテクニック、手口を導入すると同時に、この奨学金制度の一層の充実を図り、そして留学生支援業務につきましても、現在、中曽根計画に基づく十万人計画がほぼ達成された時点で量の拡大から質の拡大への方向転換が必要となってきており、この拠点が国際学生交流拠点機能を持つことになることを我々は期待しているわけであります。
 以上が最終報告の内容であります。
 そして、これの運営上のまだ課題が若干残っておりますので付け加えさせていただきますと、今後はこの日本学生支援機構が我が国における学生支援の中核機関として使命を十分に理解し、理事長のリーダーシップの下で役職員が一丸となってこれを進めていただくことを考えておりますが、これは独立行政法人として設置されますことを踏まえまして、業務の質の向上や経営の効率化等定量的な目標を中期目標として示し、評価を行う等の適切な対応をしていくことが今後必要になってくると思われます。
 さらに、各大学等においては、学生を中心に据えた個性に輝く大学作りを進めるためにも日本学生支援機構を積極的に活用していくことが望まれると考えております。
 以上です。
#4
○委員長(大野つや子君) ありがとうございました。
 次に、清成参考人にお願いいたします。清成参考人。
#5
○参考人(清成忠男君) 法政大学の清成でございます。
 先ほども御指摘のございました検討会議におきます最終報告につきましては、日本育英会の評議員会でも十分に検討したところでございます。今回の日本学生支援機構は、日本育英会の奨学事業をより良い、より発展的な形で継承するという点で大変評価すべきであるというように思っております。
 日本育英会の奨学事業は、今後ますますその重要性を増すのではないかというように期待しているところでございます。と申しますのは、この不況の中で、サラリーマン世帯といいましょうか、勤務者世帯の年収が若干減少傾向をたどっておりますけれども、しかし教育費の負担というのは依然として重いと。大体年収の三三%ぐらい、三分の一ぐらいということになっているわけでございますし、また高校から大学に進学するということになりますと、トータルで少なくとも一千万円は掛かるという、こういう状況にあるわけでございます。
 さて、日本育英会におきます奨学金事業は、能力と意欲がありながら経済的理由によって進学が阻害されることのないように、経済的援助を行い、広く教育の機会均等の実現を図るということ等を目的としまして実施されているものでございまして、平成十一年度にはきぼう21プランとして有利子の奨学金を大幅に増やすということ等含めまして、年々その充実が進んでいるところでございます。
 また、保護者の死亡でありますとか、あるいは不況下のリストラ等によって家計が急変しても子供が勉学を断念することがないよう、年間を通じて随時無利子で貸与を行う緊急採用奨学金制度を平成十一年度に創設しておりまして、しかも希望者全員が採用されているということなどによりまして、日本育英会の奨学金は社会のセーフティーネットとしての役割を担っているところでございます。
 このように、奨学金事業は意欲と能力のある学生の支援のために大きな役割を果たしているところでございまして、日本学生支援機構移行後においても引き続きこれらの事業の推進を図るということと同時に、高度専門職業人の養成など、新しいニーズを踏まえた適切な奨学金事業の実施が期待されるところでございます。
 他方、従来の事業実施の在り方を顧みますと、返還請求業務など、必ずしも効率的ではない面もございました。電話による請求業務の外部委託でありますとか債権管理システムの導入等によって近年改善が進んでいるところでございますけれども、これが独立行政法人化により更に業務運営の改善、合理化を進めることが必要であるというようにも思うわけでございます。
 こうした点から、独立行政法人化することによって、中期計画の期間全体を見通して奨学金事業の実情に即した合理的、効率的で機動的な事業の遂行が可能となるとともに、企業会計原則の採用や、外部の有識者が定期的に評価、勧告を行う事後チェックの仕組みを取り入れることで法人運営の透明性の一層の向上と責任の明確化が図られるということになると評価できるわけでございます。
 このように、機動的で透明性の高い法人運営が図られることによって奨学金業務の事務処理全体について一層の改善が図られるものと考えられ、このたびの独立行政法人化は奨学金事業の充実を図る上でも大変重要な意義を持っているというように評価するところでございます。
 私としましては、日本学生支援機構において引き続き奨学金事業の質的、量的な充実を図りつつ、業務実施の在り方については、独立行政法人制度のメリットを最大限に活用して効率化を徹底し、国民や時代のニーズにこたえる機関として発展を遂げることを期待しているわけでございます。
 最後に、こうした奨学金事業以外に、今回、安心して勉学に取り組める基盤の整備、キャリア形成支援ということが今度の機構の重要な業務の一つということになっておりますけれども、昨今、学生の進路選択が非常に困難になっているわけでございます。キャリア形成、自主的な主体的なキャリア形成ということが非常に重要になっているわけでございますけれども、こうした基盤が整備されていない。したがって、個々の大学においてもキャリア形成を支援する仕組みを作っておりますけれども、やはりこうした大学を超えた基盤整備という点でも大変この機構の業務は重要ではないかというように判断する次第でございます。
 以上でございます。
#6
○委員長(大野つや子君) ありがとうございました。
 次に、横山参考人にお願いいたします。横山参考人。
#7
○参考人(横山洋吉君) 全国都道府県教育長協議会の会長を務めております東京都教育長の横山でございます。
 本日は、独立行政法人日本学生支援機構法案の審議に関連しまして、奨学金事業、特に高等学校奨学金事業の地方移管につきまして私どもの意見を述べさせていただく機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。
 そこで、最初に、奨学金制度についての私どもの基本的な認識について述べさせていただきます。
 育英奨学事業につきましては、優れた学生生徒であって経済的理由により修学が困難である者に対して、奨学金の貸与を行うことによって次代を担う有為な人材を育成しますとともに、教育の機会均等に寄与することを目的としました重要な事業として実施されておりまして、正に憲法、教育基本法上の要請に基づくものであると認識をいたしております。
 このため、国及び地方公共団体は、次代を担う学生生徒が経済的に自立をし、安心して学べるようにするために、ともに育英奨学事業の充実に努めていく必要がございます。こうした観点から、今回提案されております日本育英会の高校奨学金事業の地方への移管が行われた以後におきましても、国においてその十分な実施を確保する役割の一端を担うべきものであると考えております。
 日本育英会の奨学金事業につきましては、先ほど奥島参考人から話がありましたように、昭和十九年の制度発足以来、今日までに奨学金の貸与を受けた者は六百四十万人を超えると聞いておりますが、これらの人材は、社会の各分野で活躍をし、国や地方を支える人材として、社会の発展に多大の貢献をしているものと思われます。
 さらに、昨今の厳しい経済状況下におきまして、この奨学金事業は社会安定のセーフティーネットの一つとして重要な役割を果たしております。とりわけ、保護者の死亡やリストラ等によって家計が急変しても子供が勉学を断念することのないように、緊急採用奨学金制度が平成十一年度に創設されるなど、時宜にかなった事業が充実し、展開されてまいりました。
 このように、奨学金事業につきましては、その実施主体いかんにかかわらず、有為な人材の育成及び教育の機会均等への寄与を目的とするというその重要性はいささかも変わるものではございません。一層充実をさせていくことが必要であることをこの機会に地方の立場から申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、高等学校奨学金の都道府県への移管について意見を申し上げさせていただきます。
 日本育英会高校奨学金事業の都道府県への移管につきましては、昭和五十八年六月の育英奨学事業に関する調査研究会報告におきまして、日本育英会が実施している高等学校の生徒を対象とする育英奨学事業については、各都道府県の育英奨学事業の整備充実の動向をも勘案して、将来、都道府県の事業とするよう検討する必要があると提言されて以来、今日まで長年にわたって議論が行われてまいりました。そして、平成七年の閣議決定におきまして、今後の各都道府県における高等学校奨学金事務の動向を踏まえ、高等学校に対する育英奨学金事業の在り方を検討することとされまして、これを受けまして、平成十三年の閣議決定において、高校生を対象とした資金は、平成七年の閣議決定の趣旨に即し、関係省庁との連携の下に早急に条件を整備して都道府県に移管することとされ、今回の具体化に至ったものと承知をいたしております。
 こうした経過の中で、都道府県教育長協議会としましては、従前は高等学校奨学事業は日本育英会で継続して実施をし、より一層の改善、充実を望む、そうした趣旨の意見を表明してきたところでございます。しかし、この課題がその後の地方分権改革という流れの中で国と地方の役割分担という視点から整理をされまして、今回の都道府県への事業移管の理由として高等学校行政を都道府県が担っていることが掲げられております。
 確かに、高等学校につきましては、その設置主体の大部分は都道府県でございまして、私学につきましても都道府県が所管庁であるなど、高等学校行政が一般的に都道府県によって実施されていることにかんがみまして、国と地方の役割分担や、地域の実情や住民のニーズにきめ細かく対応する観点から、都道府県に高校奨学金事業を移管するというその趣旨については理解できるところでございます。
 しかしながら、都道府県への移管に当たりましては、高等学校が中学校卒業者のほとんどが進学をする教育機関となっておりますことから、教育の機会均等の理念や、現下の厳しい経済情勢の中でますます重要性を増しております高校奨学金制度のセーフティーネットとしての役割、機能にかんがみまして、現在の日本育英会における貸与水準が維持をされ、奨学生を始めとする国民の利便性を損なうことのないよう各都道府県に対して必要な財源措置をするなど、国において適切な措置を講ずる必要があると考えております。
 都道府県といたしましては、高等学校奨学金事業が地方に移管された後におきましては、高等学校行政の実施主体として、地域の実情に応じた事業運営を期し、事業の充実に努めることはもちろんでございますが、移管の結果として、生徒の修学機会を損なうような制度的低下があってはならないとの思いから、昨年十一月二十六日に文部科学大臣あて本件に関する要望を行ったところでございます。
 その要点は、一つとしまして、現行の日本育英会高等学校奨学金の実施内容が都道府県移管後においても低下することのないよう国の責務として十分な財源を措置されたいこと、また、奨学事業の実施状況等は都道府県それぞれに事情が異なることを踏まえまして、地域の実情に適応した弾力的な制度展開が可能となるよう配慮されたいこと。二つとしまして、日本育英会の廃止、高等学校奨学金事業の移管に伴い生ずることが予想される事項につきまして、都道府県に単なる負担転嫁することのないよう配慮されたいこと、この二点でございます。
 その結果、奨学金貸与財源や事務費等に対する財源措置、都道府県の実情に応じた弾力的な運用、また大学奨学金の予約事務について新法人において処理されること等につきましては、都道府県の意見を踏まえた基本的方針が示されたところでございます。
 しかしながら、なお幾つかの点で問題点や不明確な点がございますので、このたびの法案の審議並びに今後の制度設計に当たりまして、以下の点に十分御留意をお願いしたいと存じます。
 一点目としましては、移管に伴う財源措置についてでございます。具体的には、現行の日本育英会高等学校奨学金事業の内容が都道府県移管後におきましても低下することのないよう、奨学金事業を長期安定的に運営するための十分な財源を措置されるようお願いしたいと存じます。
 都道府県移管に係る財政措置につきましては、従来の貸与水準を維持する観点から、一定期間にわたって交付金を交付すること、また、奨学事業の実施方法等は各都道府県の自主性を尊重するといった基本的枠組みに関する説明を受けておりますので、これが確実に実行されるよう強く望むところでございます。特に、事業の円滑な立ち上げのためには、奨学金の貸付原資のみならず、事業開始の事務費、人件費等の十分な手当てが必要でございます。こうした点への配慮も併せてよろしくお願いしたいと存じます。
 次に、二点目としまして、これは細かな点になりますが、日本育英会の廃止に伴い生じることが予想されます事項につきまして、都道府県に負担を転嫁することのないよう措置をお願いしたいということでございます。
 具体的には、日本育英会支部職員につきましては、各都道府県が行財政改革に努める中、職員定数につきましても削減を含めた定数管理を行っておりまして、当該業務の地方移管を理由に都道府県等の常勤職員に身分を移管し処遇することは困難でございますので、是非国において処遇されるようお願いしたいと思います。
 また、日本育英会の廃止に伴いまして、平成十六年度入学生の場合、予約事務は日本育英会、本契約は新法人が行うこととなります。また、平成十五年度以前に入学した生徒につきましては、在学中に貸与先が日本育英会から新法人に切り替えられることになります。これを受けまして、予約申請をする生徒、貸与を受けている生徒はもとより、中学校、高等学校の予約採用等の事務においても混乱の発生することが予想されます。こうした点についても、生徒や学校現場に対してこのたびの制度改正について十分に周知することはもとより、奨学金制度についてすべての生徒、保護者に周知できるよう情報提供や相談体制の構築をする必要があると考えております。
 以上、細かい点も含めまして何点か意見を述べてまいりましたが、いずれにしましても、高等学校が中学校卒業者のほとんどが進学する教育機関となっている今日、国として教育機会の均等を図る観点から、現行の日本育英会高等学校奨学金事業の内容が都道府県移管後においても低下することのないよう、また、制度の変更が奨学生はもとより実施主体となる都道府県にとって円滑に対応できるよう、所要の措置を図っていただきますようお願いしたいと存じます。
 今後、各都道府県の創意工夫に基づく奨学金事業を展開するため、財源措置のより具体的内容を含んだ移管に関する計画をできるだけ早急に示していただきますようお願いをしているところでございます。
 以上、都道府県教育長協議会として意見を述べさせていただきました。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
#8
○委員長(大野つや子君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、各参考人にお願い申し上げます。
 御答弁の際は、委員長の指名を受けてから御発言いただくようお願い申し上げます。
 また、時間が限られておりますので、できるだけ簡潔におまとめください。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○有村治子君 委員長の指示どおり、座ったままで発言させていただきます。
 自由民主党の有村治子です。
 今日は非常に有意義なお話をありがとうございます。また、三参考人の今までの教育に対する御貢献に心からの敬意を申し上げます。
 そこで、まず初め、私がいただいている時間が十五分でございますので、奥島参考人と清成参考人に大学生あるいは大学院生についての支援、奨学支援についてお伺いさせていただきたいと思います。
 この委員会で随分と議論があったところで、まだ私自身も納得していない、納得し切れていないところなんですが、今回の制度の見直しの一環で、大学院生における返還、奨学資金の返還免除職制度を廃止して、特に大学院在学中に優れた業績を上げた大学院生を対象として、卒業時にその返還免除制度を導入というふうにあるんですが、ここで、私たちの委員会で議論になったのが、じゃどうやって、何を基準にして優秀な生徒を測るのかというところで、本当に説得力のある、また皆さんが納得のできる優秀な大学院生の測り方あるいはふるいの掛け方というものはどういうものがあるとお考えでしょうか。お二人にお伺いしたいと思います。
#10
○参考人(奥島孝康君) 適切なお答えができるというふうには思っておりません。つまり、これは比較対照の問題であります。優秀であるかないかということについては、絶対的なその基準というものを提示するということはなかなか難しい。例えば在学中にノーベル賞を受けるようなことがあればそれは問題ないでしょうけれども、そういうふうな極端な功績がある学生というのは少ないというふうに考えられます。
 しかし、一番問題なのは、むしろその逆の方向にあって、つまりこの免除職というものがあるということが非常に問題であったわけです、今までは。なぜならば、恵まれているわけです。最も恵まれている者に最も優遇措置が取られるというのは、これはやはり考え方として不公平感が余りにも大きいのではないか。むしろそれよりも、優秀な者に対してこの免除の特別な措置を与えるという、それの方が要するに考え方としては抵抗感がないし不公平感がない。
 で、その場合の優秀なという基準というのはどういうふうに見るかということでありますけれども、これは今後検討されましてある程度の客観的な基準というものを出されますけれども、しかし優秀であるかないかというのは、私が教員の立場として見るからには、この者には見込みがあるとかこの者は優秀だというふうに思うのは、極めてある意味の主観的な判断でありまして、それを一般的に非常に客観化していくということは困難でありますけれども、しかしできるだけその努力が今後されるということでもって、一応、はっきり言いまして、同級生、同年、同学年生からこれはまあその程度は、彼にはそういうふうな免除という特権が与えられても妥当であるというふうに思われる程度の要するに基準というものを作るということはさして困難ではないというふうに思っております。
 以上です。
#11
○参考人(清成忠男君) 大学院生の多様化という現象が今進んでおります。従来型の研究者養成というものだけではなくて、文系、理系大分違いますけれども、理系等では例えば修士課程まで進むというのはもう職業上必要な課程になっているということがあるわけでございます。そのほかに最近では高度職業人教育、専門職大学院というものもスタートしているというわけでありまして、大変内容が多様化しているということがございます。したがって、類型によってその何らかの統一的な、つまり個別の大学を超えた統一的な何らかの基準を作るということが必要であろうかと思います。
 しかし、そうは申しましても、実際に個別に判断しますのは各大学であるということになってまいります。そうなりますと、やはり絶対的な基準で評価というのもなかなか難しい。したがって、やはり相対的評価というんでしょうか、先ほども御指摘になったような、同級生の中での相対的な優劣という点から判断をしていくと、例えば上位何%といったような、そういうことは十分に可能であろうというふうに思うわけでございます。
 結論的には、非常に大学院生が様々な類型に分かれておりますので、各類型に合ったような基準をどう考えていくかということであろうというふうに思います。
#12
○有村治子君 ありがとうございます。
 私も大学で少し教えていたときを考えると、やっぱり大学の成績ってかなり相対的にしか評価できないなというふうに思っているので、やはり個別の大学で選別されるということを御指摘いただいたら、やっぱり客観的に測れないものなんだけれども、なるだけ多くの人が納得できるような、この物差しでいくんだというのもある程度明確になっていくと有り難いなというふうに思ったりいたします。
 次に、清成参考人にお伺いします。
 キャリア形成についてお伺いしましたけれども、具体的に学生は今まで各大学ごとの就職支援、キャリア形成ということの支援、最近なされてきていますが、この新機構になって、日本学生支援機構と各大学の学生というのはどのような形でキャリア形成について携わることになるのでしょうか。もう少し具体的なイメージをお聞かせいただければ有り難いと存じます。
#13
○参考人(清成忠男君) 今のところ各大学で学生に対するキャリア支援、キャリア形成の支援というのはほとんど進められていないという状況であろうと思います。しかし、エクステンション部門でありますとか、そういうところで試みが始まっているということでございます。
 実は、私どもではこの四月からキャリアデザイン学部というのをスタートさせたわけです。これは学生のキャリア支援に当たるプロを育成しようというものでございます。なかなか学部のコンセプトが分かりにくい、特に高校生には非常に分かりにくいだろうという心配をしておりましたけれども、実は一般入試でこの倍率が二十三倍という大変高い倍率になって、実際には教員と職員が約百校の高校回りをしてきちんと説明に回ったわけです。そうしますと高校生の反応、高校の先生の反応が非常に強かったということが二十三倍ということになったわけでございます。しかし、こうした試みというのは非常に、自分で言うのもなんですけれども、進んだ場合、非常に先進的なケースにすぎないわけでございまして、一般的にはなかなかそこまでいかないというわけでございます。したがって、学生のキャリア支援について、キャリア形成の支援についてのプロをこうした機構の中に配置をしておいて各大学に派遣するとかいったような、そこから始める必要があるのではないかという感じがするわけでございます。
 で、この場合に、やはり今、日本の産業社会、大きく転換しつつございますから、既存のキャリア等が一挙に崩れてしまうというようなことがあるわけですね。このキャリアチェンジといったことも非常に重要になってまいります。そうなりますと、実は学部だけではなくて大学院でも対応しなきゃならないと。例えば、ビジネススクール等で対応しなきゃならないという面もございます。
 この辺は、まだ全くどこの大学でも未開拓の状況であるということから、こういう機構が少し投資的な支援の考え方をまず出して、どういう仕組みを各大学あるいは大学院でスタートをさせたらいいかという、言ってみればコンサルティングみたいなことをやる必要があるのではないかというふうに思っております。
#14
○有村治子君 時間が限られておりますので、次に横山参考人にお伺いしたいと思います。
 教育長としての御経験から、地方とそれから国の教育の在り方、特に奨学支援の在り方についてお伺いしたんですが、ちょっとお伺いしているうちに思ったのは、地方の実情に応じた弾力的な運用というふうにおっしゃいました。それとともに、その弾力的な運用というのは、例えばどういうものが考えられるのかもう少し言及していただきたいというのと、それから、実際に国による財源措置をということをかなりおっしゃっていらっしゃいましたけれども、将来的には、都道府県の自治体の体力とか各自治体が見ている優先順位によって奨学事業についてばらつきが出てくると予測でき得るのかどうか、あるいはそういうことはないなというような感触を持っていらっしゃるのか、その辺の実際のところを教えていただきたいと思います。
#15
○参考人(横山洋吉君) 都道府県における高校生を対象とした奨学金事業につきましては、既に四十七都道府県中四十四都道府県で実施をされております、実績的には。ただ、実際に行われている中身というのは非常に様々でございまして、一番大きな要素といいますのは、まずその貸付けの要件として学業成績を要件としているのかしていないのか、あるいは貸付対象者の家族の年収をどう見ているのか、そういったいろんな要件がございまして、そういう中で様々の形態があるという意味でございます。
 それから、将来的な話ですが、実は、当然奨学金の貸付事業というのは、当初貸付財源が措置をされた場合に、それが返還をされてそれが新たな貸付財源になると、こういう循環になっているわけです。返還金につきましては、これは特定財源ですから、その時々の財政状況によってそれほど左右されるものではない。今回の育英会の奨学事業につきましても、当初国の方から貸付財源の措置がなされればそれが返還金で回っていきまして、将来的に、確かに滞納をどう見るかというのはございますが、先生が御心配のようなことにはならぬだろうと思っております。
#16
○有村治子君 最もお伺いしたかった質問、最後の質問になると思います。三参考人の中で御意見がおありになる方に御発言いただきたいと思います。
 今回の趣旨で、やはり社会の、清成参考人もおっしゃったように、社会のセーフティーネットとしての、経済的な理由から進学が困難な、能力と意欲を持ちながら大変な経済的理由に直面した学生を支援するというセーフティーネットの役割も大事だと思うんですが、それとともに、日本の教育の国際競争力を上げていくためには、その本人とか保護者の経済力いかんにかかわらず、付加価値を生み出す学生をどう見付けて、これをどんどん支援して日本全体を、あるいは日本の教育界を引っ張ってもらうような起爆剤になるような学生を全国で探していって支援していかなきゃいけないというふうに思っているんですが、その付加価値を生み出してくれるような学生を支援するという観点と、それから奨学金の関係のあるべき姿ということについて教えていただきたいと思います。
#17
○参考人(清成忠男君) 今の御指摘は、奨学というコンセプトと、それから育英という、つまり英才教育というのでしょうか、に寄与するというこの二つの面が御質問の中に含まれていたように思います。
 特に日本が国際的に競争力を持つような人材育成をするということは、これは育英事業だと、狭い意味の、というふうに思っておりますし、これが非常に重要なことであると。特に、日本育英会だけでありませんで、個別の各大学がやはり育英という視点、非常に強調するようになっております。
 総じて奨学金は、育英会だけではなくて、あるいは国民生活金融公庫等による教育ローンでありますとか、地方自治体、労働金庫、それから様々な財団、企業等、今非常に増えております。そういう意味で、奨学という点は相当に需要が満たされるような状況になっているんではないか。こうなりますと、やはり各大学で主体的に取り組もうということになりますと、どうしても育英というところ、自分の大学でいい学生を育成するということにだんだんシフトしていくのではないかというように思っております。
 したがって、私どもの大学でも一昨年、百二十周年を迎えたんですが、そのときの募金ですね、記念募金をいたしまして、その中から奨学金のファンドを作りまして、そこはどちらかといいますと育英というところに集中させていくというふうにしているわけでございます。
 したがって、様々な制度の組合せの中で、やはり育英というのを日本全体として一定のきちんとした位置付けをして充実をしていくということが必要ではなかろうかというふうに思っております。
#18
○参考人(奥島孝康君) この問題につきましては、今、清成先生の言われた側面については全く同感でありますが、私はもう少しこの育英の問題というのを、制度の問題と関連させてそれを考えておりますけれども。
 といいますのは、これから日本が人材大国であるとかあるいは科学技術創造立国であるとかというところになるためには、キャリアアップのシステムを制度として充実していかなければいけないということで、例えば専門職大学院制度というようなものを創設したわけであります。私は、これからは大学院を中心として、学生たちが正に科学技術創造立国をつくり上げていくような、それを支えていくような意欲も能力もある学生たちを多数育てていくということがこれからの大事な問題でありまして、育英の問題は、その制度全体を育英の制度であるというふうにむしろとらえて、そこに何といいますか、国が教育財源というのをもっと多く投入していく必要があるのではないかというふうに思っております。
 つまり、大学院において更に自分たちの持っている能力というものを高めていくという、そういうインセンティブを大学院の制度が持たなければいけない。ところが今、大学院の制度は専門職大学院になればなるほど授業料が高くなっていくという、そういうふうに非常に難しい状況にあります。私たちは、そういうところにもっと国の公的な資金をたくさん投入して、そして多くの優秀な大学院生たちを育てていく、それがこれから国の大きな意味での育英事業になっていくのではないかというふうに考えております。
 以上です。
#19
○有村治子君 以上です。
 ありがとうございます。
#20
○山根隆治君 奥島先生におかれましては、検討会議の座長をなされておられたということで、全体を俯瞰されるお立場であったかと思います。そういうお立場からお伺いをさせていただきたいと思いますが、留学生について先ほど御発言がございまして、十万人計画がほぼ達成されたということでございますけれども、しかし一方では、東南アジアの学生、留学生は伸び悩んでいる、あるいは減少している、そういう傾向にあるわけでございまして、全体としても、ここのところ数年増える傾向というのは顕著なものがないというふうに私は認識をいたしているわけですけれども、これらの要因についてはどのようにお考えになられるか、お尋ねをいたします。
 つまり、日本国全体の魅力あるいは経済力の低迷ということに原因があるのか、あるいはまた、宿舎等の施設等での問題というところに要因があるのか、その辺どのような御認識をお持ちなのか、お伺いいたしたいと思います。
#21
○参考人(奥島孝康君) 今の御質問については、私はこのように考えております。つまり、日本の留学生に対する待遇が主たる原因ではなくて、日本の学問的なレベルが主たる原因であるというふうに考えております。
 今、私たちが考えなければいけないのは、留学生に対する経済的な支援というもの、十分だというふうに私が思っているわけではありませんが、しかし、だからといって他の国と比べてこの奨学金制度というものが低いというふうには私は認識いたしておりません。そしてまた、いろんな問題がありますけれども、つまり国内においてアジアの若者たちに対して日本人の対応というものが十分温かいものであるかどうか、こういう点について、反省しなければいけない点は多々あるかと思います。
 しかし、決定的な問題というのはやはり日本の学問的なレベルでありまして、日本に彼らがやはり学問に来て、そして得るものがあるか。例えば、日本に来て博士学位というのが取れるかというようなことを考えてみますと、いまだ日本のレベルは彼らにとって魅力的な学問レベルにはなっていないし、またシステムとしても、彼らに十分学位を与えるための指導と、それから短い期間で学位を与えるという、そういうふうな、何といいますか、方向性というのが見えていない、そこに一番大きな問題があるのではないかと私は思っております。
#22
○山根隆治君 次に、清成先生にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 欧米などでは、大学生あるいは院生含めまして、非常に社会経験のある学生が相当数、日本に比べて多い。つまり、ある国では半数を超えるような学校もあるというふうに聞いているわけでございますが、我が国におきましても社会人の就学が非常に高等教育の中で増えてきているということは非常に歓迎すべきことかと思います。
 奨学金制度にかかわりまして、これらの社会人学生の評価、そしてこれからの展望を持つ中での課題についてどのようなものがあると認識されているか、お尋ねをいたしたいと思います。
#23
○参考人(清成忠男君) 学部のレベルよりも、どちらかといいますと大学院のレベルで社会人学生が増えているわけでございます。この主要な目的というのはやはりキャリアチェンジということでございまして、そのキャリアアップに対して投資をすると。したがって、自分で自分に投資をするという教育投資という考え方ですね。
 これまで日本の場合に、大学に入る、それはどこそこの大学を卒業すると就職に有利になるといったようなことで、学力を付けるという意味ではなくて大学を卒業するということが目的となっていた投資なんですね。しかし、社会人の場合には自分で自分に投資をするということになっていますから、本格的に教育投資という考え方が日本に出てきたというように思うわけでございます。
 先ほどもちょっと御指摘ございましたけれども、専門職大学院等、授業料がどんどん高くなっているわけですね。例えばアメリカのビジネススクールですね、ハーバードでもスタンフォードでも、大体二万六千ドルから二万八千ドルぐらい、三百万を超えるわけですね。これは、いったん大学を出て社会人となって、もう一回ビジネススクールに入るという場合、日本円に換算しますと三百万を超えるような授業料を負担するわけでございますけれども、しかし、ビジネススクールによっては年間六百万円とか、一番高いデューク大学などは二千万円ぐらいの授業料を取るということになるんですね。これは、授業内容が非常に高度化すると。一般的に、例えば金融工学等を含めて経営資源も非常に高度化していくということになってきますから、少人数教育でいい教員を付けるということになってきますと、どうしても授業料が高くなるというわけですね。
 したがって、そういう場合にどう対応するかということになってきますと、これはごく最近の現象ですけれども、投資機関が実は登場するというわけですね。投資家からファンドを集めまして、そしてその学生に対して投資をする審査をするというようなことですね。これまでのキャリアがどういうものであったのか、それからこれから入る大学院というのはどういうところであるのか、それから将来の目標は何か、それから将来発展すべき能力を持っているかどうか、それを見極めて投資をするわけですね。これはローンではないわけで、一種の育英投資というような形ですね。したがって、返還もその大学院を卒業してから、社会人となって十年間の年収の何%ということで回収するということになってくるわけですね。したがって、審査の目が鈍っていて無能な人に投資をした場合には大損をするし、その反対の場合には非常に利益が上がるといったような、こういう全く新しい投資という考え方が出てきているということなんですね。したがって、従来の奨学ということをベースにしたような奨学金と制度がだんだん変わってくるということですね。
 それからもう一つ、したがってこういう状況下ですと、留学生にしてもセレクトして入れるということになるんですね。例えば、テキサスのライス大学というのは一流の研究型大学として、小さい大学ですけれども有名なところなんですね。そこの大学院生、実は四十数%が中国人ですね。そのほとんどが北京大学と清華大学の出身で、だから中国の天才たちを集める。それから、二番目の国が実はインドなんですね。これも七、八%になるわけですけれども。そういう天才たちをセレクトして集めて、そこにまた集中的に奨学金を出すということですね。実は、こういう人たちが卒業してから活躍しますと大学に寄附をする、その大学の基本財産、エンダウメントというのは非常に増えてくると、こういう循環になるわけですね。
 したがって、やはり日本の研究水準が高ければ、日本の大学の研究水準が高ければ非常にいい留学生は集まるはずなんですね。しかし、今のところそこまではまだまだいっていないということで、差し当たりは日本の社会人がキャリアチェンジということを目標にしてやってくるということで、恐らくその次の段階で相当に高水準のビジネススクール等ができていって、優秀な留学生を選択して集めるというような順にやはりなっていくんだろうというふうに思います。
#24
○山根隆治君 非常に刮目される御意見をお聞かせいただきましてありがとうございました。
 横山先生にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 高校生の奨学金制度についてでございますけれども、これはその時々の教育長であるとか、あるいは都道府県知事の考え方によって、思想によってかなり私は左右されてくる面もあるのではないかということからすると、都道府県で既にもう行われているということでありますけれども、その辺のミニマム的なコンセンサスというものが果たして奨学金ということについて取り得るのかどうか、その辺の不安定感はないのかどうか、東京都知事のお考えはよく承知しておりますけれども、全体を見て、各都道府県を見てどのようにお感じになられましょうか。
#25
○参考人(横山洋吉君) 先ほど言いましたように、既に大方の都道府県で独自の奨学金制度を運用しておりますが、また実際そのエリアエリアで考えますと、日本育英会の育英奨学事業が一番シェアとしては大きいわけです。それが各都道府県に移管をされると。現在は三つの県で全く単独的な奨学事業やっておりませんが、多分ここでも今の状況を考えますとやらざるを得ない。当然やっていく方向に行くだろう。ただ、実際に今度は都道府県事業として実施をするわけですから、当然のことながら、都道府県の個々の実情に応じた制度設計というのが前提になっていく。
 ただ、今、先生が知事の意向云々と言いましたが、じゃ、地方自治体は当然議会も関与する話で、そういったそれぞれのエリアの、地区の子供たちのあるいは経済的な状況、それから進学する学校の授業料等の状況、これらを勘案しまして必要な奨学金の額というのは当然算出されますでしょうし、それぞれの貸付要件につきましても、それぞれの団体の実態に応じた審議がされ決定をされていくと、私はやっぱり合理的な決定がされていくと考えています。
#26
○山根隆治君 最後に、三人の先生方にそれぞれ経験的なお話で聞かせていただきたいんですが、いわゆる遅咲きの子供たち、生徒、学生を発見でき得るすべというのは経験的にどんなものがございましょうか。
#27
○参考人(奥島孝康君) 大変難しい問題でありますけれども、私は、人間の発達段階というのは非常に個体ごとに違うというふうに考えておりまして、今の一律の学校制度で、同一年齢は同一でもって進んでいくというそのシステムが余り過度に使われるということは、遅咲きの子供たちをつぶしていくことになるというふうな感じを持っているわけです。
 つまり、一人一人の発達の過程が違うわけでありますから、したがって、ある子供は要するに小学校の課程を何も十二歳で終わらなくても構わないんだというアメリカのような社会の在り方というのは、それぞれの個体に着目した、その成熟度を十分考慮したシステムになっているというふうに思います。その方がはるかに私は人間に優しい社会をつくり上げている。
 そしてまた、現在、御存じのように、社会はどんどんと生涯学習社会へ移行しております。特に我が国は少子高齢化が激しいわけでありますから、そういう意味においてこの生涯学習を進めていかなければいけない。つまり、要するに、今までのようにハッピーリタイアを求めるのではなくて、ハッピーエージングといいますか、生涯現役の人の社会をつくっていくことによって日本の活路を開かなければいけないというような、そういう時代的な中でこの問題を考えていけば、生涯学習の社会であるにもかかわらず、なぜみんなが護送船団のように、みんなで渡れば怖くないみたいな、そういった形の画一的な制度というのを過度に厳格に守る必要があるのかと。
 私は、ある意味で、何といいますか、画一性も必要だというふうには思っておりますけれども、しかし、子供の一人一人のその能力を伸ばし、一人一人の幸せを考えるのであれば、その年齢という点にのみこだわったこの教育のシステムというのは問題が多いというふうに考えております。
 以上です。
#28
○参考人(清成忠男君) 今の御意見に全面的に賛成なんですが、もう一つちょっと違った点、視点から見ますと、今、若者が適性、自分が一体何に向いているのか、何をやりたいのか、これがよく分からないと。したがって、目的のないまま大学を選択する、学部を選択する、それに実はなじめないということで、したがって開花しないということが非常に一般的なんではないかという感じがするわけであります。
 したがって、例えば高校から大学に入ってくると、そこの段階で、君はどうして今この大学のここに座っているのかというような質問をした場合、多分はっきり答えられないだろうと。じっと考えてみたら、子供のころから、いいところに就職するためにはいい大学にということで、それがずっと順に来て、小学校のときからそういう動機付けはされていると。しかし、何をやりたいか、何を勉強したいかというのは分からないままに来てしまうと。したがって、適性が分からないから、結局はなかなか自分の力を発揮できないということになるのではないか。したがって、私は、もう高校生の段階あるいは中学生の段階からキャリア形成についてきちんと動機付けを行うということが必要なんではないかというように思うんです。
 私が文部科学省の大学設置・学校法人審議会の委員をやっておりますので、完成年度、つまり新しい大学ができて四年目にそういう大学を訪問するわけですね。学生の面接があるわけです。そうしますと、恐らくどこの大学でもできのいい学生を用意しておくと思うんですね。そうしますと、地方の短大から四大化した全く名もない新興の大学、入学の難易度が非常に低いというようなところでも非常にいい学生がいるんですね。結局、動機付けがあいまいのまま、自分の地域に新しい大学ができたから入ってきたと。その中に、やっぱりすばらしい素質を持っている学生がいるんですね。東京のいわゆる一流大学の学生と素質の面から見たら全く変わらないような子がやっぱり一群いるということもあるんですね。
 したがって、今の受験制度でありますとか、あるいはもっと言えば家庭教育から始まるその仕組みの中にやはり問題があるというように思うんですね。したがって、やはり家庭教育、学校教育でできるだけ、中等教育あるいは場合によっては初等教育から、将来のキャリア形成について動機付けをしていくということが非常に重要ではないかというふうに思っております。
#29
○参考人(横山洋吉君) 私は、都道府県という立場で、初等中等教育を所管するという立場で申し上げますが、我が国が義務教育制度を小中において取っている以上、ある種社会教育システムとして画一化にやっぱりならざるを得ないだろうという思いは持っております。
 ただ、そうした中で、じゃ、個々の日常的な授業形態といいますか、子供たちと相対するについての形態をどうするかという問題がございます。現在、そういった、先生がおっしゃるとおり、習熟度が相当違うというのは現実でございます。今かなりの都道府県でも小中学校において習熟度別授業といいますか、教科指導の面においてはこれが一応趨勢になっておりますし、現在の文部科学省の定数配置等につきましてもそういった方向に行っております。
 ただ、問題は高等学校につきましてです。私は、高等学校は、従来のような学年制の、一、二、三年制を取る学校と同時に、現在、総合学科・単位制高校といいますか、学年制を取らない、いわゆる三年で卒業することを前提にしない単位制高校というのは相当増えております。
 そうした中で、義務教育とこれは違いますから、かなり多様な高等学校を用意をしている。それはなぜかといいますと、子供たち自体が非常に価値観が多様化していますので、従来のようないい学校、いい会社というような、それほど子供たちには強いインパクトがないと。そういった意味では、多様な高等学校修学の機会を設けることによってそれをカバーできるんではないかと思っております。
#30
○山本香苗君 公明党の山本香苗と申します。
 本日は、三人の先生方、貴重な御意見どうもありがとうございます。
 まず最初に、奨学金事業につきまして、今回、十八歳以上自立型社会の確立を目指して、自分の力で、自分が借りて自分の力で働いて返していくんだという視点が盛り込まれたわけでございますが、ちょっと先ほどの清成先生のお話にもありましたように、何をしていいか分からないような学生たちがこうした自立した意識を持ってそういった社会をつくっていく、非常に学生に根付くことが難しいんではないかなという点が懸念されるわけでございますが、この点につきまして奥島先生と清成先生に御意見ちょうだいできればと思います。
#31
○参考人(奥島孝康君) 確かに、自立型社会に私たちは基礎とした奨学制度を考えました。といいますのは、この社会全体が、今、市場経済をその社会のベースに置いているわけでありまして、また市場経済ということであるからこそ、今、様々な形でもって規制緩和が行われている。そういう社会に適応するような教育システムと、それから奨学金制度というのを考えていく必要があるだろうというふうに思うわけであります。
 この社会は、したがって、私たちはやはり自立型といいますか、あるいは自己責任型の社会でありますので、それに応じた奨学金システムということになりますと、基本的には給付ではなくて貸付けという形を取る必要があるし、またその方が公平である。なぜならば、高い教育を受けた者はそれに応じた、要するに社会的な収入というものが約束されるということが一つの今の社会のシステムでありますので、そうであれば、要するに教育というものは、簡単に言いますと、先ほど清成先生が御指摘になりましたように自己投資であります。つまり、自己投資でありますから、したがって投資というのは、やはり自分の責任で自分が担っていかなければいけないというのが基本であろうというふうに考えておりますし、それが現在の社会に生きる者に対する教育的な効果を持つことになるだろうというふうに思うわけであります。
 そういうことで、私どもとしましては、この奨学金制度というのは、基本的に社会のシステムに適合的なシステムとして構築する必要があるということでもってこのような提案をさしていただいていると、こういうことであります。
 以上です。
#32
○参考人(清成忠男君) 全く今の御意見と同じでございますけれども、もう一つ付け加えますと、今、日本の社会が大きな転換期にあると。特に、これまでは目標があってキャッチアップするということでありますから、したがって目標がはっきりしておりますから組織依存でよかったんですね。したがって、例えば大企業に入ると。この大企業がそれぞれもうターゲット決まっておりますから、そうすると、みんなで力を合わせるというようなことで年功序列とか終身雇用とか日本的経営というのが成り立っていたし、それはそれでメリットがあったように思うんですね。したがって、個人は組織に依存していればよかったという時代ですね。
 ところが、フロントランナーになってきてしまう、それから知識社会に移行していく、もう知識が最重要の経済資源になってくるということになりますと、知識を取得するのは個人ということになり、やはり個人間の競争あるいは自己責任というようなことがどうしても強くなってくるということになるわけですね。そうなりますと、どうしても自分で考え判断し意思決定するという自立型人材でないとこれからやっていけなくなることはもう明白であるし、また組織の側も、そういう自立型人材を雇用していくということがその組織の発展につながっていくというように見るわけですね。したがって、個人と組織の関係がもうこれから一定の緊張関係を持っていくような社会になっていかざるを得ないということであろうというふうに思います。
 そういう視点から見ますと、私どもの大学でも、学生が入学以来、口を酸っぱくして言っておりますのは、自立型人材を志向しなさいと。これは、実は何らかの専門能力を持たないと自立もできませんし、したがって自己責任も全うできないということになってまいります。したがって、我々はキャリア形成ということを、学生のうちからキャリア形成で何らかの専門能力を将来持ってほしい、そのためにインターンシップとかあるいはボランティア活動のような社会の現場における就労体験も非常に重要になるという、従来型とは少し違った教育理念を掲げているところでございます。
 したがって、自立型人材の形成というのは、言うはやすく実は非常に難しい課題であるというふうに思っております。
#33
○山本香苗君 ありがとうございます。
 学生が自立して、またいろんな多様な道を選んでいく、それを支えていくのがまた奨学金でもあると思うんですね。いろんなニーズが、専門職大学院ができてきてとか、いろんなニーズが出てきておりますが、もう一つのニーズといたしまして、今、日本の大学だけではなくて海外で学ぼうという日本人学生も増えているわけなんですが、これにつきまして奨学金というものは貸与されていないわけなんですけれども、先日、遠山大臣に質問したときに、これからこの検討会議の報告を踏まえて真剣に検討していくと、そういったお話がございました。
 この海外留学する日本人学生に対しましての支援の在り方というものをどのようにお考えになられますか。済みません、お二人の先生に、簡単にお願いいたします。
#34
○参考人(奥島孝康君) その点、私もかねてからこの問題を考えておりまして、かねてからこの問題について私なりの発言をしております。
 現在、日本人の留学生が外国に行く場合に、日本政府から出る奨学金というのは五百人足らずであります。アジアには十七人ということであります。というふうに非常に少ない。それに対して、海外からの留学生に対しては一万人を超えるということになっているわけであります。ですから、基本的な考え方としては、確かに日本も留学生にたくさん奨学金を出しているんだから、行った先の要するに国がまた日本から行った学生たちに対して奨学金を出してくれればいいではないかという相互主義の考え方が基本にあるだろうと思います。
 ただ、私は、今非常に危惧しておりますのは、今、日本人の学生たちが、アジアにいながら、そして自分がアジアの日本に住んでいるということについての明快な意識は持っているとしても、アジア人としての意識を持っておりませんし、またアジアの中でどのような自分たちが役割を果たせるかということについて、今の学生たちには明確なその意識が育っていないのではないかということを大変心配いたしております。つまり、日本の未来は私はアジアにしかないというふうに考えているからであります。
 それはともかくとしましても、この学生たちにもっと、アメリカやヨーロッパに語学研修に行くだけではなくて、それからアジアには単に観光で出掛けるだけではなくて、もっとアジアの大学生たちと同じかまの飯を食らい、それから同じ屋根の下で住んで、同じ目線で語り合ってアジアの将来を一緒につくっていこうというような、そういう共生、ともに生き、そしてともにつくるという共創の社会をつくっていこうというようなことを考えるきっかけを積極的に我々が与えていかなければいけない、そういうふうな動機付けをしていかなければいけないのではないか。
 そのためには、私は、例えばアジアの大学でもって暮らそうとすれば、授業料はわずかなものでありまして、生活費は年にせいぜい五十万あればいい、三十万あれば十分ではないかというふうに思っておりますけれども。簡単に言いますと、田舎から来るんだったら、その四年間の何といいますか学資という、失礼しました、一年間の学資の中のわずかな部分でもって向こうで過ごしていける。四年間を向こうにおりますと、日本の一年分の学資も掛からない、そういうところでアジアの学生たち、若者たちと積極的に交わって積極的に新しいアジアをつくっていこうという、そういうふうなきっかけを若者たちに与える、そういう意味のインセンティブとして、もっと日本人学生が、例えばアジア地域であるとかアフリカ地域であるとか南米地域であるとかいうところに留学していくような者に対しては奨学金を作るべきではないか、出すべきではないか。
 アメリカとかヨーロッパは、出さなくてももう十分みんな行きますのでそれは必要ありませんけれども、むしろそういう地域によって日本の言わば戦略的な、何といいますか、安全保障を考えた、そういった奨学金制度というものを考える必要があるのではないかということを私はかねてから考えております。
 以上です。
#35
○参考人(清成忠男君) 財政資金による日本からの外国に行く留学生、それに対する財政的支援が非常に限界があるということは残念だと思っておりますけれども、しかしこれは放置するわけにもいかないということでございますので、例えば私どもの大学では奨学金留学生という制度を作りまして、学生に奨学金を与えて一年間留学させる、それによって向こうの大学で取得した単位、それを認定するというような制度をもう二十数年前から作っておりまして、年々その数も増やしているわけでございます。
 しかし、こうした方法ですとどうしても限界があるということで、実は四年前に国際文化学部というのを作りまして、この学部は外国語学部ではないと。国際社会人、国際教養人をつくろうという発想でございますので、半年間、全員に留学を義務付けたわけでございます。この留学の際に大学として奨学金を出すということですね。
 これは、アメリカ、ヨーロッパそれからアジアを含めて今は十一大学に派遣しておりますけれども、半年といえども大変な効果があるということと、これが半年ということでなくて期間延長とか、あるいは卒業してから向こうの大学の提携校の大学院に入るとかいうふうな、こういうことになっておりまして、国際文化学部という学部でそれを始めますと、今度はほかの既存のすべての学部がみんな今実験的に試みているわけであります。
 そういう意味では、これまでどうしても、学生は観光では外国に行く、しかしグローバルイシューでどこにどんな深刻な問題があるかということはどうしても無関心でありますので、大学としてきちんと教育の一環として派遣をするというような格好でやっているわけでございます。
 それから、恐らくこれから留学の在り方そのものが根本から変わってくるだろうというふうに思っております。といいますのは、バーチャルの遠隔教育が活用できるということになるわけであります。
 例えば、私どもの大学ではプレMBAコースと称して、日本の大学を卒業するのは三月、しかしアメリカの大学院に入るというのは十月になりますので半年間あると。その間、英語でありますとかビジネスの特訓をして、そして半年間アメリカの大学から遠隔で講義をしてもらうという、そして日本で単位を取得すると、それがもう向こうのビジネススクール、大学院の単位に認定もしてもらえると。したがって、半年たって向こうに入学すると今度は一年で卒業できるということにもなるわけですね。そういうやり方をやっておりますし、それからこの四月からは、スタンフォード大学とそれから私どもの大学と韓国の科学技術大学と三大学で組んで、文理、文系でも理系でも受講できるような、福祉とか介護問題で、これも遠隔教育で双方向で実はやっているわけでございます。
 こういうことが留学の在り方にこれから相当に影響を与えていくだろうと。したがって、年間一か月か二か月のスクーリングでオンキャンパスで向こうに行く、そのほかは日本にいて勉強できるというような、こういう時代に多分なってくるだろうというわけでございまして、そういう意味では留学ということのコンセプトをやはり今後根本から考え直すような時期が到来しているというふうに思っている次第でございます。
#36
○山本香苗君 済みません、横山先生にちょっとだけお伺いしたいんですが、先ほど来いろんな御質問、地方移管につきまして、高校奨学金の地方移管につきまして御質問ありましたが、きちっと財源確保してほしいということだったわけなんですけれども、国といろんな話をしていく中で、特に加味してほしい、考慮してほしい点ということ、財源の配分につきまして、各都道府県に配分するときに加味してほしいと思われる点、また高校奨学金補助事業というのは当面併存、二本立てでいくわけでございますけれども、当面というところをどういうふうにとらえていらっしゃるか、この二点につきまして最後にお伺いいたします。
#37
○参考人(横山洋吉君) 第一点目ですが、私ども、今、話聞いているところでは、一定の期間、約総額で二千億円の貸付財源の交付金を出すと。ただ、問題は、その二千億円の交付金をじゃ個々の地方団体に割り振りをどうするのか、是非ともこれは育英会事業の実績に応じた配分を是非お願いをしたいと、この点をお願いをしているわけでございます。
 それからもう一点、補助事業との関係ですが、現段階では併存をするという方向に行っております。ただ、育英会事業が移管された場合に、現在の育英会事業そのままが、例えば貸付要件を含めましてそのまま行くということは多分ないだろうと。なぜならば、現にもう四十三の団体が、あるいは単独事業で三十幾つですか、団体がやっておりますので、当然、事務の効率的な執行からいえば、はるかに個々の団体でやっている方が要件が緩和されているわけですから、そこへの一本化をして実施をしていくという方向に多分行くんだろうと。
 これは個々の団体が今後考える話でございますが、そういうときに、現在、補助事業の意味付けというのは、あくまでも学業要件がないということですね。現在、個々の団体で行っております単独事業についても、多くは学業要件を既に設けておりません。勉学意欲だけで要件としては課している。そういうことから考えますと、奨学生あるいはそれぞれのエリアの住民の方々の要望からすれば、実態からすればやっぱりそういう方向に行くんだろうと。そういう意味で当面なのかなという気がしていますが。
#38
○山本香苗君 どうもありがとうございました。
#39
○林紀子君 今日は三人の参考人の皆様、ありがとうございます。日本共産党の林紀子でございます。
 私は、まず奥島参考人、清成参考人、お二人に伺いたいと思うんですけれども、それは、十八歳以上自立型社会ということはこの検討会議の報告にも随分強調されているわけですけれども、私は今まで、十八歳になりましたら諸外国の学生といいますのは親から独立して、そして自分で学校に通うんだというような話を聞いておりました。日本ではどうしてそういうふうになかなかならないのかなというふうに思っていたわけですが、今回のこの法案を論議するに当たりまして、いろいろ調べてみたり聞いてみたりということの中で、やはり日本では奨学金や授業料など、学生支援の水準というのが諸外国と比較して劣っているんじゃないかというふうに思うわけですね。
 まず、非常に学費が高いと。また、奨学金につきましても、これは大学審などで給費制の導入という検討が言われてきたにもかかわらず貸与制であると。そして、これは無利子が根幹だということはさきのここの審議の中でも文部科学省は言っていたわけですけれども、しかし有利子の方がどんどん増えていると。こういうことになりますと、やはり親から独立して自分で生活をしながら学校に通うというのは到底無理なんじゃないかというふうに思うわけですね。
 ですから、このように学費の問題でも奨学金の問題でもやはりもっと支援を強めていく、こういう方向になってこそ初めて十八歳以上自立型社会というのが生まれるんじゃないかと思いますが、その辺につきましてはどのようにお考えでしょうか。
#40
○参考人(奥島孝康君) 基本的にお考えに私は反対ということではございません。おっしゃることはよく分かりますし、またほとんどの部分は賛成でありますが、ただ、私たちが考えております十八歳以上自立型社会というのは、奨学金の実態をよく見た上で私たちとしてはそれを考えているわけであります。例えばの話でありますけれども、今、大学へ進みたいという意欲と能力のある者にとって大学に進むことが困難であるというのは、経済事情によって困難であるということはほとんどあり得ないと私は考えております。
 というぐらいに今は、例えばの話でありますけれども、この奨学金と、それからもう一つの国民生活金融公庫等の貸付け等を利用してやっていこうということであれば、例えば、私が田舎から出てきまして家から全く仕送りなしに東京で巣立った、大学を出た昭和三十四年から昭和三十八年の時代から考えてみれば、比べてみれば、比較の問題でありますけれども、私は全く仕送りなしで大学を、しかも昼間部を早稲田で出たわけでありますから、そのことを考えてみれば、今の奨学金の支給状況、あるいは何といいますか、審査状況を見ますと、まず意欲と能力がある者にとってはこれが取れないということはほとんどないというのが現実であります。
 そういう中で、学生たちは給付であるとかあるいは無利子であるとかいうもののみを望んでおりまして、有利子の方には手を出そうとしないというのが非常に、何というか、顕著な傾向になってきているのが現実であります。
 例えばの話でありますけれども、今、奨学金というのは、何も日本育英会の奨学金、これはもう圧倒的に、八十七万人に五千八百億円を出しているわけでありますから大変なことでありますけれども、しかしそれだけではなくて、各大学でも、清成先生が先ほど言われましたように、それぞれの大学で独自の奨学金というものを設けておりますし、また様々な外部の民間の団体が、あるいはロータリー等がいろんな形でもって奨学金を出しております。
 そういう形でもって、今、意欲と能力のある者が経済的な事情によって大学へ本当に進めないのかということを尋ねてみると、私は、これはほとんどの者は工夫さえすれば私は大学に十分進んでいくことができるような今、世の中になってきているんだというふうに考えているわけであります。
 そういう中で、今の奨学金でありますけれども、それが諸外国と比べて高いか安いかということになってきますと、奨学金が高いか安いかということなのか、あるいは、何といいますか、日本の教育投資というものが全体として多いのか少ないのかという方からむしろ考えていくべきではないかと。奨学金よりも公的な教育投資というものが、御存じのようにアメリカが日本と比べますと大方三倍近い教育投資を行っている。それは、GDP、つまり国内総生産高に対する比率でいいますと、アメリカが一・四、それから独仏が一・〇、それからイギリスが〇・八、日本が〇・五、パーセントでありますけれども、いずれも。つまり、独仏に比べても日本は公的な教育投資というものが半分であるという現実があります。
 私は、そういう側面において、日本の教育投資というものが非常に低いために日本の科学技術創造立国への道というものが容易ならざる問題をはらんでいるというふうに考えておりますけれども、奨学制度の問題について申し上げますと、今そういった学校の教育制度というものが十分に整っているというふうには思われませんし、また、御存じのように、日本の高等教育は大方八割近くを私学が担っているということで、したがってその授業料が高いということにも結果としてはなるわけでありますけれども、そういう条件を全部考えてみて、外国と比べて日本が恵まれているというふうには決して考えてはおりません。
 ただ、今の日本の現状の下において、学費が、例えば大学レベルにおいても、アメリカの恐らく二分の一、私学、私立大学でありますが、私立大学が高いといいながらアメリカの二分の一ぐらいであろう。それからまた、奨学金は貸与制でありますけれども、しかし御存じのように、この貸与の利率というのは、現在〇・四、三%でしたか、〇・三%、ちょっと、国民生活金融公庫の貸与、教育ローンというのが一・六%でありますが、奨学金の方は恐らく〇・五%以下でありまして、確かに有利子ではありますけれども、非常に低いところに抑えられておりまして、そういう意味では私は、今の学生たちは、奨学金をほとんどの者が意欲と能力があれば利用することができる状況を作り出しているというふうに思っております。
 以上です。
#41
○参考人(清成忠男君) 奨学金に関する事実認識という点では、今の御意見と全く同様でございます。
 現実を見ておりましても、育英というよりも奨学という視点から、成績を問わず貸してもらえるならば国民生活金融公庫のローンの方がいいという選択も当然あり得るわけでありますし、有利子であっても低利でございますので、実際にはそんなに負担でもなかろうと。むしろ、日本の現在の財政事情ということを考えますと、財政資金の効率的運用ということからしますと、貸与制度というのを採用せざるを得ないのではないかというふうに思いますし、それから日本育英会の場合、やはり借りた側からしますと大変返しやすい制度である、返すに当たっての抵抗感というのは私はほとんどないように思います。
 これは自分自身の体験から言っているわけでございますけれども、借りたときは大変有り難い、しかし返済は非常に容易だという、こういう状況にあるんですね。したがって、財政資金の効率的な活用という点では、現状で私は十分ではないかというように思っている次第でございます。
 以上です。
#42
○林紀子君 今お話しの中で、公的教育投資というのがアメリカは日本の三倍であるというお話も聞きまして、ここのところがもっと大きくなっていきましたら、学費の無償につきましても、それから奨学金の原資につきましても増えるのかなというふうに思った次第です。
 次に、横山参考人にお伺いしたいのですが、先ほどの最初のお話の中で、私の認識といいますか、違っていたところがあるんですが、それは、育英会支部が廃止をされると、高校は都道府県に任されるので。今まで文部科学省の方からお話を事前にこの法案に当たって伺いましたら、そのときには、育英会の支部の職員というのはそこに根付いてずっとその仕事をしていてそこの状況もよく知っているわけだから、是非、都道府県のこれからそういう仕事をするところに、何というんでしょうか、就職というんでしょうか、もう一度そこの仕事を続けられるようにということで各都道府県に十分にお話をしておりますというふうに聞いていたわけですね。ですから、そのまま横滑りといいますか、そういう形になるのかなと思っておりましたけれども、実情は常勤は非常に困難だというお話を聞きました。
 そうしますと、それはどうなるのかなと、どういう形であればその今までの経験も生かしながら横滑りができるのかどうかということが一つですね。
 それから、それとも関連をするわけですが、交付金の貸付け二千億円、最初は、当初は二千億円で、何年かたったら、それが回収されたら順繰りに回っていくから、そこで一つの単位になって大丈夫なんだ、きちんと奨学金も回っていくようになるんだというお話も伺っていたんですけれども、それにはやはり返還というのがきちんとされないと回っていかなくなるわけですね。
 その返還といいますのは、今でも、この前の委員会でも私質問させていただいたんですが、今、育英会の返還の割合が九八%まで行っているというお話で、それはすごい返還の割合なんだなと思ったんですが、現在の各都道府県、全部はお分かりにならないかもしれませんが、返還というのがどのくらいの割合になっていて、各都道府県ごとにその返還の業務というのをやっていくとなると、またそれはかなり大変な仕事量ではないかというふうに思うわけですね。その辺はどういうふうにしていったらいいとお考えなのかという、その二つの点について伺いたいと思います。
#43
○参考人(横山洋吉君) まず、第一点目の育英会支部職員の件ですが、私どもはそのまま都道府県の職員に、常勤職員に雇用するつもりは全くございません、正直申し上げて。それはなぜかといいますと、ただ、四十七都道府県のうち、現在奨学金事業を全くやっていない団体が三団体ございます。ここははっきり申し上げてノウハウがないわけで、そうした団体がどういうふうに処遇するかは別です。ただ、教育長協議会として意見集約した段階では今申し上げたような方向性を確認しておりますので。
 それで、実際、例えば東京都の例を言いますと、現実に奨学金事業というのをやっておりまして、したがって、貸付けから返還に至る、あるいは滞納整理に至るノウハウというのはあるわけでございます。そこへ、毎年のように定数削減といいますか行財政の改革をやっておりますので、とても、個々の団体の事情によりますが、現在の支部職員をそのまま常勤職員にするというのは非常に困難であるというのが実態でございます。
 それから、業務量の増加ですが、実は、先ほど言った、例えば東京都の例で言いますと、東京都が独自に実施をしております単独事業の貸付対象の約五倍が育英会事業の貸付対象、したがって約五倍の貸付対象になるということで、したがってそれだけ業務量が確かに増えることは増えます。それから、返還につきましても、育英会の方が多分滞納率は高かったかと思います、滞納率ですね。したがって、その滞納の圧縮というのは、今後貸付業務を円滑にするためには必須の条件でございまして、そういった意味では、今回の育英会事業の都道府県移管に伴いまして相当の業務量の増は見込まれますし、それへの対応につきましても、文部科学省の方では財源措置としては交付税措置をしていただけるという話は伺っております。
#44
○林紀子君 ありがとうございました。
#45
○委員長(大野つや子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしましてお礼を申し上げます。
 ありがとうございました。
 次回は来る十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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