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2003/07/24 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 文教科学委員会 第23号
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2003/07/24 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 文教科学委員会 第23号

#1
第156回国会 文教科学委員会 第23号
平成十五年七月二十四日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月八日
    辞任         補欠選任
     和田ひろ子君     江本 孟紀君
 七月九日
    辞任         補欠選任
     椎名 一保君     北岡 秀二君
     森元 恒雄君     扇  千景君
     畑野 君枝君     吉岡 吉典君
 七月十日
    辞任         補欠選任
     後藤 博子君     吉田 博美君
     吉岡 吉典君     畑野 君枝君
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     吉田 博美君     後藤 博子君
 七月十四日
    辞任         補欠選任
     畑野 君枝君     市田 忠義君
 七月十六日
    辞任         補欠選任
     岩本  司君     円 より子君
     市田 忠義君     吉岡 吉典君
 七月十七日
    辞任         補欠選任
     大仁田 厚君     青木 幹雄君
     後藤 博子君     河本 英典君
     円 より子君     岩本  司君
     林  紀子君     富樫 練三君
     吉岡 吉典君     畑野 君枝君
 七月十八日
    辞任         補欠選任
     青木 幹雄君     大仁田 厚君
     河本 英典君     後藤 博子君
     富樫 練三君     林  紀子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大野つや子君
    理 事
                仲道 俊哉君
                橋本 聖子君
                佐藤 泰介君
                山本 香苗君
                林  紀子君
    委 員
                有馬 朗人君
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                北岡 秀二君
                後藤 博子君
                中曽根弘文君
                岩本  司君
                江本 孟紀君
                神本美恵子君
                山根 隆治君
                草川 昭三君
                畑野 君枝君
                西岡 武夫君
                山本 正和君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       文部科学副大臣  河村 建夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房総括審議官   玉井日出夫君
       文部科学省生涯
       学習政策局長   近藤 信司君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     遠藤純一郎君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        田中壮一郎君
       文部科学省国際
       統括官      永野  博君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関
 する調査
 (ゆとり教育の成果及び反省点に関する件)
 (児童虐待問題への学校の取組に関する件)
 (広島県尾道市の教育行政に関する件)
 (義務教育費国庫負担制度の堅持に関する件)
○すべての子供たちに行き届いた教育を進め、心
 の通う学校をつくることに関する請願(第一四
 二号外二件)
○すべての子供たちに対し行き届いた教育を進め
 、心の通う学校をつくることに関する請願(第
 一六二号)
○日本育英会奨学金制度の廃止反対に関する請願
 (第一六三号)
○すべての子供たちに行き届いた教育を実現し、
 心の通う学校をつくることに関する請願(第二
 三〇号)
○三十人学級と私学助成拡充に関する請願(第四
 〇一号)
○豊かな私学教育の実現を求める私学助成に関す
 る請願(第四〇二号)
○小・中・高三十人学級の実現、私学助成の抜本
 的改善、障害児教育の充実に関する請願(第六
 一〇号)
○すべての子供に対し行き届いた教育を進め、心
 通う学校をつくることに関する請願(第六六七
 号外八件)
○すべての子供への行き届いた教育を進め、心の
 通う学校をつくることに関する請願(第六七六
 号外三件)
○すべての子供たちに行き届いた教育を進め、心
 の通い合う学校をつくることに関する請願(第
 六八〇号外一件)
○すべての子供たちへ行き届いた教育を進め、心
 の通う学校をつくることに関する請願(第六八
 二号外一件)
○すべての子供たちに対する行き届いた教育の実
 現、心通う学校に関する請願(第六八四号)
○義務教育費国庫負担法及び公立養護学校整備特
 別措置法の一部を改正する法律案の廃案等に関
 する請願(第九〇四号外二一件)
○私立専修学校の教育・研究条件の改善と父母負
 担の軽減に関する請願(第一〇四五号外一件)
○私立幼稚園教育の充実と発展に関する請願(第
 一六六三号外一件)
○日本育英会の奨学金制度の拡充に関する請願(
 第一六八二号外一九件)
○日本育英会の存続と奨学金制度の充実に関する
 請願(第一八四六号)
○国立大学を独立行政法人化しないことに関する
 請願(第一九四八号外三件)
○教育基本法改正反対に関する請願(第一九四九
 号)
○国立大学病院薬剤部の組織体制の充実・強化に
 関する請願(第二四四七号外二件)
○国立大学法人化法案の廃案と大学教育の充実に
 関する請願(第三三〇六号外一件)
○教育基本法に関する請願(第三三三一号外六件
 )
○子供が安心して学べるための学校改修予算の大
 幅増額に関する請願(第三四三八号外二件)
○父母・学生の負担軽減と私立大学の充実に関す
 る請願(第三五九一号)
○父母・学生の負担軽減及び私立大学の充実に関
 する請願(第三五九二号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(大野つや子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る八日、和田ひろ子君が委員を辞任され、その補欠として江本孟紀君が選任されました。
 また、去る九日、椎名一保君及び森元恒雄君が委員を辞任され、その補欠として北岡秀二君及び扇千景君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(大野つや子君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に林紀子君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(大野つや子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に文部科学大臣官房総括審議官玉井日出夫君、文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君、文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君、文部科学省スポーツ・青少年局長田中壮一郎君及び文部科学省国際統括官永野博君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(大野つや子君) 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○山根隆治君 ゆとり教育の問題についてまずお尋ねをさせていただきたいと思います。
 国会はちょっとゆとりがないんですけれども、教育の問題ということで御理解をいただきたいと思います。
 一九七七年の学習指導要領がゆとり教育の始まりでございました。その後、さらに二〇〇二年に全面改訂をされた新学習指導要領でゆとり教育が更に進められたというふうに理解をいたしております。その結果、この二十五年間で学習内容というものは四割から五割程度削減を量的にされてきたということになっておろうかと思います。こうしたゆとり教育の大転換をされてきたいろいろな経過もあったわけでございます。
 当時のマスコミ、識者等、もろ手を挙げて賛成する、そういう風潮の中でこうしたかじ切りが行われたわけでございますけれども、ここに来て、このゆとり教育の成果というものあるいは反省すべき点、状況についてお尋ねをいたします。
#9
○国務大臣(遠山敦子君) 子供たちが時間的あるいは精神的な余裕を持って伸び伸びと勉強するということは大変大事なことだとは思います。しかし、余りにそのゆとりというものを強調し過ぎますと緩みにつながるということも懸念されるわけでございます。
 今、委員御指摘のように、ゆとりといいます観念といいますか、あるいはゆとりを持ってというような言葉が、二十世紀の終わり辺りにメディア、有識者、経済界、あらゆる人がもろ手を挙げてゆとりゆとりということを言っていたわけでございます。それは、日本が経済的に世界のトップに立って将来を見通したときに、より創造的にできるような、そういう子供たちが欲しい、あるいは受験勉強に明け暮れないようにというふうなことも背後にあったかと思います。
 しかしながら、子供にとって本当に大事なのは、私は、確かな学力を身に付けてくれることと豊かな心を身に付ける、この二つが教育の重要な車の両輪だというふうに考えております。
 そのようなことから、新しい学習指導要領の下に昨年度からそれぞれ授業が行われつつあるわけでございますが、授業時間数、諸外国と比べましてもやや減り過ぎているなと私も思わないでもないわけでございますし、何より大事なのは、本当に確かな学力を身に付けるためには、基礎・基本をしっかり身に付けた上で自ら考え、自ら行動し得る、そういった本当の意味の力、それは学ぶ意欲とか学ぶ習慣と、そういうことも大変大事なわけでございまして、そういった本当の意味の力を持てない子供たちが将来、この困難が予想される二十一世紀をしっかり生き抜いていくとは思えないわけでございます。
 そのようなことから、昨年の一月に「学びのすすめ」というのを出しまして、各学校の実態に合わせて、必要があれば補助授業でありますとか、あるいはいろんな工夫をしてやってよろしいということで、各全国の教育委員会を通じて学校に対しても私どもの考え方を示したわけでございます。
 新学習指導要領の中には、今申しましたような確かな学力というものについての定義はございますが、ゆとりという言葉は一言も出てまいりません。私は、そのことを考えますと、今の時点で大事なことは、本当の意味での確かな学力というものを身に付けさしてやる、そして同時に豊かな心を持たせてやる、このことをいかに実現していくかということではないかと思っております。
 そのようなことから、現在、中央教育審議会におきましてもいろんな御議論が進められております。指導要領といいますものが国の示す最低基準ということで、各学校、先生、そして教育委員会、それぞれが実態に応じてしっかりとやっていただくように、そのような大きな転換期を今迎えていると思っているところでございます。
#10
○山根隆治君 今、大臣からは、確かな学力、それから豊かな心という二つのキーワードがあったように思います。私自身も子供二人、二十二と今十九歳になる娘がいるわけでございますけれども、学校のせいにするわけじゃないんですけれども、豊かな心は持った子供に育ったような気がするんですが、確かな学力に欠けているかなと思っておりますが、これは学校のせいにするつもりなくて、家庭内教育の問題だったというふうに思っているんですけれども、やはり国の大きな方針とか親の教育方針というものが子供に決定的な影響を与えるというふうには思っております。
 そこで、今、お言葉にはありませんでしたけれども、不登校であるとか暴力行為、それから対教師への暴力ということも後を絶たない、むしろ増えている傾向に歯止めが掛からないというのが実態だろうというふうに私は思います。
 私もアメリカに何度か行ったことがございますけれども、当時のアメリカ、かなり学校教育の中で非常に悩んでいたところ、時代でありましたし、中学校でもかなりひどいような状態だったということをよく記憶しているんですけれども、アメリカは一九八三年に「危機に立つ国家」という報告書も出しました。むしろ日本の教育にこれを学ぶべきだということで、当時のレーガン大統領が、児童中心の教育から、これからは教師主導型の教育ということに重点を大きく移しました。
 同じくイギリスでも、当時、サッチャー首相がこの教育ということについて非常に力を注ぎまして、日独米との経済競争に勝つためにも教育改革に取り組まなくてはいけないという宣言の中で、いわゆる、今思うと、日本が当時国内の教育論議の中で少し教育過剰というか、厳し過ぎる受験競争、受験地獄というところで意識していたとき、むしろそれを目指すというか奨励するような、そういうかじ切りを期せずしてアメリカとイギリスが行ったということでございます。それを契機として、子供の学力が非常に目に見えて向上してきた。
 あるいはまた、そうした国の大方針の中で、当時のニューヨークの市長も、ニューヨークの犯罪について、これを犯罪都市から大変貌させて、安定した安心のできる都市というものにニューヨークを変えていったということが実はありました。
 そういうことをちょっと今考えてみますと、果たして、ゆとり教育という言葉は使われていないということでございますけれども、当時のそうした社会、日本社会の中での論議というものに大きく影響されて、ゆとりある教育ということで、そのカリキュラムの中でかなり時間的なゆとりを持たせるようにということをされてきて、土曜日の休み、週五日というところにも踏み切ってこられたかと思います。
 そういうことを考えてみると、欧米ということでくくることはできませんけれども、少なくともアメリカやイギリスの道と我が国はちょうど逆になっていたようなふうにも私自身は思うわけでございます。やはり忍耐であるとか努力であるとか、そういう力というものを子供にも持たせなくてはいけない。鉄は熱いうちに打てということもありますけれども、ゆとり教育という言葉の中でどうもその辺が勘違い、誤解があって、子供というもののしつけ、そして強制というものの中で子供が実は忍耐とか努力とかそういうものを学んでいくわけでございまして、ここがおろそかになったような気がしてならないわけでございますけれども、この点についてどのようにお考えになりますか。
#11
○副大臣(河村建夫君) 今、山根委員の御指摘、私も伺いながら、確かに御指摘のような点が今の日本に指摘をされていることを承知をいたしておるわけでございますが、現に、今御指摘がありましたように、アメリカの教育、あるいはイギリス等々の先進国が教育の方針を変えてきたと、むしろ日本に見習って変えてきたと。日本はまた、かつてアメリカやイギリスが失敗した後の方へかじを切ろうとしているのではないかという御懸念もありやというふうにも思ったわけでございますが、日本の今目指しておるゆとり教育と言われるそういうものは、大臣からも御答弁あって、お話があったとおりでございまして、決して緩みがあってはなりませんし、かといって、かつてのような過剰なといいますか、上から押し付け、画一的であり、かつ偏差値で輪切りをするような教育、これに対する反省から、もっと時間的なゆとりとか心のゆとりとか、そういうものが必要ではないかと。単なる学力だけが人間ではないと、人間の価値を決めるものではないと。
 むしろ日本は、ライシャワー元大使辺りは、日本は十八歳で人生が決まってしまう、どこの大学に入ったかというだけで決まってしまうような傾向がある、少しおかしいのではないかというふうな指摘もあったりして、そういう反省もあって、本当の意味での人間力のある、学力のある、そして豊かな心を持った人間をつくろうという方向へ、確かにその方向へ、画一的な教育から個性のある教育というふうに学習指導要領等の改訂も行ってきたところでございます。
 したがいまして、かつてのアメリカが非常に自由に、あるいは地方主権といいますか、州にほとんどの権限を移譲したところが、各州で非常な学力の差が付いて、これを修正するのに大変苦労したというようなこともあるわけでございます。
 そういう意味で、今回の日本が正に改訂をしながら通ってきた姿というものは、アメリカが、あるいはイギリスがかつて踏んだようなものと違って、やっぱり日本は日本のやり方で、正に人間力、豊かな心、そして確かな学力を持った教育への方向を目指しておるということで御理解をいただきたいと思います。
#12
○山根隆治君 事前に御質問、御通告させていただいているところでございますけれども、人間と性教育研究協議会というのはどんな団体だか御存じでしょうか。
#13
○政府参考人(田中壮一郎君) ただいま先生のお話のありました団体につきましては、直接私ども、任意団体であって、その具体的な内容に関しましては把握をしておらないところでございます。
#14
○山根隆治君 お立場からそれはお話がなかなかできないだろうと思いますけれども、高崎経済大学の助教授の八木先生が新聞に投稿されていた問題が実はございました。この人間と性教育研究協議会が非常に大きな影響を与えているということの中で、御自分の子供さん、小学校になる、四年生になる子供さんの授業を見たときに、もうびっくりしたということで、母親が、奥様が授業参観されて御主人に話された、御主人とは八木先生でございますけれども。
 そこの中で言われているのは、保健の時間に子供たちがセックスセックスと言って、連呼を先生からさせられているということがございました。それから、女性用の生理用品が男子にも配付されて、色水を含ませる実験をした挙げ句に、生理用品を家に帰ってお父さんに上げなさい、そういう指導をされた。教師は黒板に男女が裸で抱き合った絵を張り、恥ずかしがって目を伏せる子供たちに、顔を上げろ、上げて見ろということで強要をする。そして、セックスは気持ちがいいというふうに教えられている。さらには、男と女の組合せ以外にも男と男、女と女の組合せがある、そういう説明、授業があったということで驚愕をしておられる。そんな投稿記事を私読んだわけでございますけれども、こうした例というのは枚挙にいとまがないものなんでしょうか。情報として承知されているかどうかお尋ねします。
#15
○政府参考人(田中壮一郎君) 今、委員御指摘いただきましたように、学校における性教育につきまして、最近、国会あるいは報道機関等において、不適切な性教育が実施されている学校があるのではないかということで、いろいろ具体的な御指摘がなされておるところでございます。
 文部科学省といたしましては、これらを踏まえまして、現在、これまで指摘されているような学校を中心に、当該都道府県教育委員会に対しましてその実態の調査を依頼しておるところでございまして、その実態調査を踏まえまして適切に対応したいと考えておるところでございます。
#16
○山根隆治君 いつごろまでにということですか。
#17
○政府参考人(田中壮一郎君) 現在、まず東京都の教育委員会におきましては自ら実態調査に乗り出されておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、夏休みが明ける前までぐらいには何らかの報告をいただければということで依頼をしておるところでございます。
#18
○山根隆治君 そして、その実態調査に基づいて検討されると思うんですけれども、想定としては年度内にいろいろな、政策的にまとめていく、対応策をまとめる、こういうことでよろしいんですか。
#19
○政府参考人(田中壮一郎君) 先生御指摘のように、学校におきます性教育につきましては、学習指導要領にのっとりまして、児童生徒の発達段階あるいはその受容能力を考慮いたしまして、また保護者の理解を得ながら行うことが大切であろうというふうに我々考えておるわけでございまして、今後様々な機会を通じまして各都道府県あるいは市町村の教育委員会に対しまして、それぞれの教育委員会が設置する学校におきましてどのような性教育がなされているのか、それを十分に踏まえて適切な性教育が行われるように必要な指導、助言を行っていただくように、文部省としてはまずそういう指導の徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#20
○山根隆治君 先ほど、私、触れさせていただきましたこの協議会の影響というのは非常に大きいということでございますけれども、これはそれぞれいろいろな情報が飛び交っておりますけれども、結婚制度とか一夫一婦制さえ否定をするような活動があるところもございますし、非常に根源的な問題、教育の根源にかかわるような問題でございますので、これはもう早急に手を染めていただかなくては、着けていただかなくては実は大変なことになるというふうに思いますので、この点についてはしっかりと対応策を御協議をいただきたいということを要望をいたしておきたいと思います。
 次に、これも新聞報道でございましたけれども、既に副大臣が国会でも御答弁をされておられるようでございますけれども、いわゆる北朝鮮による拉致事件、これを学校で取り上げるということの問題について、衆議院の方でいろいろと御議論があったようでございますけれども、この拉致事件、人権の問題として教科書にも取り上げる、あるいは取り上げるところがあれば、それについてはこれを是認していく、容認していくというふうなお考えというふうに理解していいんでしょうか。
 この問題について、副大臣が国会で答弁されていますので、見解を改めて聞かせてください。
#21
○副大臣(河村建夫君) この拉致の問題、やっぱり重大な人権侵害であるという認識でこの問題を取り上げていく。これは真相解明の途上であることもありますので、そういう配慮というのはやっぱり必要であろうと、こう思います。
 そして、これを学校教育の場でどのように取り上げていくか否かというような問題。取り上げる場合には、これを人権教育の一環として位置付けるかどうかについても、各教育委員会、さらに学校が児童生徒の発達段階とか、発達段階や学校、地域の実情に配慮をして適切に判断して対応すべきものであろうと、このように考えております。さらに、この問題については、教職員研修の内容についても教育委員会等が主体的かつ適切に判断しなければならないと考えております。こういう点を十分留意した上で、拉致被害者の問題を一つの人権課題として取り上げて学校での指導や教職員研修を行うことはあり得るものであると考えております。既に一部の学校では拉致被害者による講演を行う、また拉致問題に対する学習、そういうものの取組がなされておるというふうに、現実にそういうふうに取り組まれておることも承知をいたしております。
 そういうことで、学校において、この社会的事象の取扱い、こういう一般のニュースとかそういうものの取扱いについては、やはり児童生徒等の発達段階に応じて適切な指導をするということが非常に重要でございますし、さらに事実を客観的にかつ隔たりなく正確に伝えるということが非常に大事であろうと、こう思っておりますので、拉致問題については各学校において、生徒の発達段階あるいは学校の実態、それから児童生徒が公正な判断ができるような、このような指導をしていただきたいと、そのことが非常に大事であろうと、こう思っておるところでございまして、適切なお取組を願いたいと、このように思っております。
#22
○山根隆治君 私は、際物といいますか、いつも今日的な問題から教育というものの素材にしていくということが、子供の教育への関心の度合いというか、非常に高まっていくものだろうと思います。そういう意味では、非常に今微妙な段階であって取上げ方難しいかとは思いますけれども、これだけマスコミに大きく報道されている問題でございますから、非常に子供もこういうものを学んでいきたいというふうな思いもあろうかと思いますので、是非私は積極的に取り上げていくべきではないかというふうに思っております。
 しかも、これは日本の人権ということだけじゃなくて人権一般を考える上でも、あるいは国のありようということを考える上でも幅広いテーマになってくるわけでございまして、一つの事象というものを上から見たり横から見たり下から見たり、様々な見方を是非子供に覚えさせるということに、生きた教材に私は十分なり得ると思いますので、是非積極的にこの問題を取り上げていただきたいと思います。
 北朝鮮も、どこの国でもそうですけれども、光と影がある。影の部分も教える必要があるだろうし、そしてまた悲惨な国民の状況ということも教えてそこから何がしかのものも感じ取らせる、そういうバランスの良い私は教育テーマというものを考えていくべきだろうというふうに思いますので、拉致の問題についてはしっかりと取り上げていくべく、私は提言を改めてさせていただきたいと思います。
 次に、フリーセル保育というのは御存じでございましょうか。
#23
○政府参考人(近藤信司君) 一般にフリーセル保育をどういう概念、定義であれしているかということにつきまして私ども必ずしも承知はしていないわけでございますけれども、例えば松戸市などでは、子供と大人の自立並びに地域の連帯を主目標にした松戸市こども育成計画と、こういったものを平成十年三月に策定をし、その目標の下にいろんな保育方法を実践をしていると。
 フリーセルというのは、自由、フリーダムと、安心、リリーフ、そして自信、セルフコンフィデンス、ちょっと発音が悪くて恐縮でございますが、それを合わせた造語であるというように承知をいたしております。
#24
○山根隆治君 私は事前に調査を徹底して質問したんじゃないんで、今初めて伺って、ああそうなのかということで実は理解したような次第でございますけれども、これも平成国際大学の学長の中村勝範先生が産経新聞の「正論」に投稿されている中で紹介されておりました。子供も大人と対等であるというふうな物の考え方の中から、おやつや食事の時間にも選択の自由を幼稚園児に認めたり、言葉遣いやあいさつ、はしの持ち方などへの指導というものもないがしろにしたということで問題が指摘を中村先生もされていたということでございます。
 保育園、幼稚園、それぞれ、厚生労働省、文部省の所管の違いというもの、いろいろと論議もございますけれども、そういう中では、私はこのフリーセル保育ということについても決して無関心であってはいけないというふうに思っているわけでございますけれども、今後こうした幼稚園等における教育というものについてはどのように容喙をどの程度されていくおつもりなのか、聞かせてください。
#25
○政府参考人(近藤信司君) 今、先生が御指摘になりました産経新聞の「正論」の記事でございますが、若干正確でないという部分もあるんだろうと思っております。
 私ども、必ずしもこの千葉県松戸市の保育園におきます保育方針、これは厚生労働省の所管でもございますし、十分承知をしていない部分がございます。また、直接にはその是非についてお答えをする立場にはないんでありますけれども、この新聞、この記事を見ますと、文部科学省が委嘱をした財団が作ったパンフレットの記事が紹介をされておるわけでございます。
 その観点で少し申し上げますならば、確かに、この財団法人日本女性学習財団、これは文部省所管の、文部科学省所管の法人でございますが、「新子育て支援 未来を育てる基本のき」と、この中で千葉県松戸市のそういったフリーセル保育について一つの例として紹介をしておるわけでございます。
 ただ、このパンフレットそのものにつきましては、昨年来、誤解を招く記述があり、行き過ぎがあるんではないかと、こんなような御指摘もいただいております。この作成した趣旨と必ずしもこの記述がうまくマッチングしていない部分も確かにあるんだろうと思っておりまして、私どもは、そういった御指摘も踏まえまして、都道府県教育委員会等に対しましては、こういった資料が正しく理解されないおそれがあると判断される場合には利用を差し控えるなど、地域の実情に応じて適切に対応するよう周知をしているところでもありますし、当財団からも、資料配付をした教育委員会等に対しまして、決してこの資料は特定の考え方を押し付ける趣旨で作成したものではないということ等につきました、説明した文書を送付をして理解に努めているところでございます。
 いずれにいたしましても、私ども、そういった趣旨で今後とも適切な対応をしてまいりたいと考えております。
#26
○山根隆治君 教育のありようということをいろいろと模索を文科省もされておりますし、識者もしていますし、当委員会でもいろいろな御議論ございます。
 私がやはり根本的に考えているところは、語源的に知恵というのは、平等相、平等な部分、共通したもの、人間だれしもが持つ人間の個人の尊厳、そしてもう一つは差別相というか違い、相違ですね、その二つをやはり見詰めていくということが大事であると思います。ですから、その人間だれしも共通した個人の尊厳ということだけを余りに押し広げ過ぎると、子供の本当の教育というものがおざなりになって、校内暴力であるとか、いろいろな問題を私も惹起しているんだと思います。
 ですからこれからは、やはり鉄は熱いうちに打てというか、子供のときにしっかりとした家庭教育も学校教育もある意味では厳しいものであってしかるべきであろう、そうして社会的な常識というか、そういうものを、人間としてのありようというものを身に付けさせた上で、そして後は個人の人格の自由な発展というものを促すというところに進めていくべきであろうと思います。そこのところを取り違えると大変なことになってしまうし、今またそれがなりつつあるというふうに私自身は考える次第でありますけれども、最後に遠山大臣の、そうした私の物の見方、考え方について反論があればお聞かせをいただきたいと思います。
 もう一度申し上げますと、人間の平等性、そして相違、違い、それを履き違えてはいけない。違いは違いとして認めていく。能力とか個性とか、そういうものはみんな個々によって違うわけですから、個人の人格を徹底して尊厳を認めるということと同時に、違いというものを認めて教育というものに取り組むべきだと、こういうふうな考え方です。
#27
○国務大臣(遠山敦子君) 私は、山根委員がいつも本当に教育についての信念を吐露していただくことに敬意を表したいと思いますが、今のお話も本当に同意する気持ちが強いわけでございまして、これまでの日本の教育、非常に優れた面もあったわけでございますが、余りにも画一的あるいは平等、結果的な平等ということを重視してきたことの問題点というのは幾つか出てまいっております。
 それぞれの子供たちがいろんな天性を持って生まれてまいっております。伸びる子はどんどん伸ばし、理解の遅い子にはしっかりと手を掛けて自信を持って学んでもらう、そのように一人一人の個性、能力というものに応じた教育をやっていくというのが新しい教育の在り方ではないかと思います。
 その意味で、今進めておりますのが教育の構造改革ということで、パンフレットにもまとめさせていただきましたのでまた追ってお届けしたいと思いますけれども、画一と受け身から自立と創造へということで大きく歩を進めていくべきだと思っております。
 そのためのいろんな取組も行っているところでございまして、一人一人が本当に輝く、そのような存在であるために、学校あるいは教員、そしていろんな行政の仕組み等もしっかりとその方向に向けて力を注いでいく場面であろうかと、そんなふうに考えております。
#28
○山根隆治君 厳しい教育ですね。
#29
○国務大臣(遠山敦子君) そうですね。その意味では、しつけるべきことについてはしっかりとしつける。最近のいろんな事件ございますけれども、多くの問題は私は大人、親、特に親でございますけれども、あと先生も含めて、しっかりとしつけるべきことはしつけていく、そのようなことが大事だというふうに思います。
#30
○神本美恵子君 私は、今日は主に児童虐待、それからDVにかかわって、それと教育といいますか、学校教育にかかわって幾つか御質問させていただきたいと思います。
 最近、機会がありまして、民主党の男女共同参画委員会として都内の児童養護施設を視察してまいりました。
 そこでは、たまたま行ったところの施設長さんが全国養護施設の協議会の会長さんでありまして、全体的なことも御存じの方で、お話を聞かせていただいたんですけれども、今、養護施設に入所してくる子供さんたちは約半数近くが児童虐待を受けた子供さんだというお話でございました。全国に約五百五十か所の児童養護施設があるけれども、定員が約三万名で、その中の今入所率が九割、その半数が児童虐待というような状況だということでございます。
 虐待で入所してくる子供たちは非常に大きな心の傷を負っているので、その後遺症で様々な問題行動といいますか、そういう行動を呈していると。特に人間形成、人間関係を形成することが、一番信頼されるべきというか、愛情を注がれるべき親から虐待を受けるわけですから、人間の大脳皮質といいますか、その脳の一番大事なところが傷付いているんではないかというような、そういう後遺症で施設の中で生活をしているということですから、自分以外はみんな敵だというような行動になったり、それから感情のコントロールが利かずに自分自身、自傷行為をしたり他人に攻撃的に当たったりする。そういう自分がされたことを再現する、再現現象というらしいんですけれども、そういう再現現象で、自分がされたことを他人にして傷付けたり暴言を吐いたりする、そういう子供たちを目の前にして施設の中で大変な御苦労をしながらやっていらっしゃるというお話を聞かせていただいたんですが。
 この児童虐待の問題は主に家庭内で起きるということで、厚生労働省マターといいますか、なかなか文科省、こちらで議論の素材に、私がここに来ましてからは起こっていなかったんですけれども、先日、たまたま知人からメールをいただきまして、知人の紹介で、ある校長先生、小学校の校長先生からメールをいただきました。
 自分の学校は校区内に児童養護施設を抱えていて、そこから、八百人ぐらいの学校なんですが、二十八人の養護施設からの通学してくる子供さんがいるということで、学校全体として本当に教職員一丸となって取り組んでいるけれども、教職員の情熱や使命感だけではとても限界があることをつくづく感じていますと。校長として先生方の体も心配だし、先ほどの施設長さんもおっしゃったんですけれども、本当に施設の職員の方が一生懸命やって、でもやればやるほどその効果がなかなか返ってこないというんで、燃え尽き症候群といいますか、それで若年退職される職員の方も多いと聞いたばっかりでしたので、この校長先生のメールも大変心に響きまして、是非一度見ていただきたいというふうなメールでございました。
 それで、伺ったんですが、そこの学校では、二十八人の子供さんが来ていて、一生懸命やっているし、そのための加配もいただいている、それからカウンセラーも来ていただいているけれども、それでも課題が一杯ですということで、二時間も校長室で、私は子供さんの様子を早く見せていただきたいなと思って行ったんですが、校長先生はもう次から次と二時間以上お話をされるような状況でございました。
 そこで、詳しく申し上げる機会があればいいんですが、その中でお聞きして私が感じましたのは、そういう学区内に養護施設を持っている学校が、先ほど言いましたように、五百五十か所施設があれば五百五十校、小学校でもあると思いますし、また中学校は同じ数だけあるんではないかと思いますけれども、文科省として、そういう学校の現状や、あるいはそこへの必要な施策についてどのようなことを取られているのか、ちょっとまずお伺いしたいと思います。
#31
○政府参考人(矢野重典君) 委員がお尋ねの児童養護施設でございますが、これは乳児を除いて、保護者のいない児童、また、先ほど御紹介ございましたように、虐待されている児童その他環境上養護を要する子供を入所させて、これを養護し併せてその自立を支援することを目的とする施設でございまして、施設に入っている子供は地域の学校へ通学して教育を受けると、そういうことになっているわけでございます。
 これらの施設に入所している子供が通学しております学校におきましては、施設との連絡、協議を行いながら補充指導や個別指導を実施するなど、きめ細かな指導を行うことが求められているというふうに思うわけでございまして、このために関係の教育委員会におきましては、これらの学校に対しまして教員を加配したり、あるいはスクールカウンセラーを配置するなどの支援を行っている場合があるわけでございます。
 そこで、文部科学省としてでございますが、文部科学省といたしましては、児童養護施設を校区に有する学校につきましては、そうした学校支援のための国の制度や事業があるわけでございます。例えば、先ほど御紹介ございましたけれども、教員の配置につきましては、教育上特別の配慮が必要である学校について、そのための教員の配置ができるよう、加配ができるような、そういう加配制度もあるわけでございます。そうした制度とか、あるいはスクールカウンセラー配置の事業があるわけでございますので、そうした国の制度や事業を適切に活用しながら、それぞれの学校の実情に応じて教員加配あるいはスクールカウンセラーの配置など、必要な支援をそれぞれの教育委員会がきちんとやっていただけるように各教育委員会の主体的な取組を私どもとしても促してまいりたいと思っております。
#32
○神本美恵子君 定数として加配、そういう教育上困難を抱えている学校に対する加配やカウンセラー配置というようなことをその学校も行われていて、それを、そういう加配を目一杯活用しながらその子たちへの、何とか学校には来ても、それまで虐待で、収容されるまでの間、学校に全然行かなかったとか、ネグレクトされて、学習も非常に、年齢は四年生になっていても、ずっと学校に行かずに、施設に入って初めて学校に行き始めたというと、もう学習も遅れがあって、学習以前の課題を抱えているという、そういう子供に対しては、もちろん人員加配、もっと欲しいというのもありますけれども、もっとノウハウといいますか、そういう子供たちに対してはどう接したらいいのかとか、そういうことも含めて、もう少しきめ細かなそういう学校に対する支援策が必要ではないかなということを私もお話聞きながら思ったので、是非ともこれは要望といいますか、そういう学校の現状を聞くことと、先ほど、養護施設の方は、施設全国協議会というのがあって、そこで交流をされたりしているようですので、学校の方も何かそういう、そこに、校区内に施設を持つ学校同士の交流をするとか、その中から課題を見付けたり実践交流をしたりというようなことが必要なのではないかと思いますが、その前にまず調査を、そういう施設を持つ学校ということに着目をして調査をして、必要な施策ということをこれから是非考えていく必要があるのではないかと。
 児童虐待は、法律ができてから三年目になって今見直し作業に衆議院の方で入っているようですけれども、是非、学校としてもそういう取組が必要ではないかなと思いますが、強い要望を持ちながら御質問させていただきたいと思います。
#33
○政府参考人(矢野重典君) 児童虐待問題への学校の取組の充実を図る上で、教育行政の立場として児童養護施設を校区に有する学校の状況について、それを適切に把握することは必要なことであるというふうに私どもも考えております。
 個々の学校の実態につきましては、まずは教育委員会の責任においてきめ細かな把握を行う必要があるわけでございますが、児童虐待問題への対応の重要性にかんがみまして、文部科学省といたしましても、今後、児童養護施設を校区に有するそうした学校の状況に関しまして、その把握に努めてまいりたいと考えております。
#34
○神本美恵子君 ありがとうございました。是非とも各教育委員会の主体的な取組と併せて、文科省としてやっていただくことによってもっと大きな取組が可能になってくると思いますので、是非前進させていただきたいと思います。
 児童虐待についてですが、法律ができまして三年たって、法律の中にも、学校の教職員の早期発見ということが義務付けられているわけですけれども、このことについては文科省として、法施行後、具体的に学校に対してはどのような取組がされているのでしょうか。
#35
○政府参考人(矢野重典君) 御指摘のように、児童虐待防止法第五条におきまして、学校の教職員は、児童福祉施設の職員、医師とともに児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならないと、そういうことが明記されているわけでございまして、こうした法律の趣旨を踏まえまして、それぞれの学校におきましては、児童虐待の早期発見、早期対応に努めることは極めて重要であると考えております。
 文部科学省では、平成十二年十一月の児童虐待の防止等に関する法律の施行に伴いまして、各都道府県教育委員会に通知を発出して、学校の教職員の児童虐待の早期発見及び通告の責務などにつきまして、法の趣旨について周知を図ったところでございます。
 また、各種会議等の場におきましても、都道府県担当者に対しまして同様、法の趣旨について周知を図っているところでございます。
 さらに、各都道府県教育委員会におきましても、知事部局と連携をして、教員向けの指導資料の作成配付でございますとか研修会の開催等を通じまして、各学校に対して法の趣旨や児童虐待に関する啓発が行われているところでございまして、こうした取組を受けまして、それぞれの学校におきましては、児童虐待の早期発見に努めますとともに、必要に応じて児童相談所への通告、相談を行っておりまして、学校等から児童相談所に対する相談件数を、平成十三年度を見ますると、三千二十五件、これは対前年度比二七%増といったような状況になっているところでございまして、今後とも、文部科学省といたしましては、関係機関と十分連携を図りながら児童虐待防止法の趣旨について引き続き周知を図るなどの指導を行ってまいりたいと考えております。
#36
○神本美恵子君 通知を出して早期発見と通告ができるようにという取組がなされているということですが、これも最近、多分これ著者の方だと思いますが、私の部屋に、コミック誌の、何というかゲラといいますか、九月に発刊される予定ですといって持ってこられたのが児童虐待を書いたものだったんですね。「凍りついた瞳」という、何か若い女性向けの「YOU」という、あなたという、「YOU」というコミック誌に連載されたものがすごい反響があったのでということで単行本、文庫化されているんですけれども。
 その中で、読んでみますと、私も初めて知ることが多くて大変な衝撃を受けたんですが、その中で幾つも、親に虐待を受けて、そのまま翌日学校に行って、教科書が親にずたずたに破られて、そのままの教科書を学校に持っていっている。担任の先生は、当然それを見ているんだけれども、教科書は大切に扱いなさいと言うだけで、どうしたのと聞いてくれないとか、それから、おふろにも入れてもらえず、食べ物も与えてもらえずに学校に行って、汚い、臭い格好をして行っていると友達からからかわれ、先生も、ちゃんとおふろに入るのよと言うだけで終わりというような、もっと学校の、私も教員でしたから、そういうことを知らないうちに言っていたのかなと本当に反省をしたんですけれども。
 学校でもっと適切な対応なり、その子の側に立って見ていれば、違った見え方がして早期発見につながって、傷が浅くて済むんではないかというようなことをすごく強く感じましたので、是非とも教職員に対する児童虐待防止法の早期発見ということをいかにやるかということも含めて力を入れてやっていただきたいなと。これ、この後ちょっと質問する事件とも少しかかわるんですけれども、そういうことを要望しておきたいと思います。
 次に、DV法に関してですけれども、今、DV法の見直しも、来年が三年後の見直しということになっていますので、参議院の共生社会調査会でプロジェクトチームを組んで、私もそのメンバーに入れていただいて検討しているところです。
 このDV法で、DV被害者であるということがはっきりして保護命令が出た場合、そのDV被害者が子供さんを連れて家を出る場合が非常に多いわけですね。その子供さんを、家を出るわけですから、施設があるところとか、そこから学校に通わせるわけですけれども、転校をする。転校の手続については、文部科学省としては十分な配慮をして、元いた学校と今転校した学校との間で十分な秘密保持をして、加害夫といいますか、加害父親に新しい住所が知られないような配慮をされているというのは、プロジェクトチームの中でも聞かせていただいて安心しているんですけれども、もう一つ今度は、それでもどこからか子供の通っている学校を突き止めて、その父親が親権を盾に、父親であるということで子供に会わせろというふうに学校に言ってくる例がよくあるということを聞きます。
 これも当該の学校や、学校だけでなく教育委員会もそういう対応を迫られる場合があると聞くんですけれども、こういう場合に、何といっても被害者の安全とその子供自身の安全も含めてですけれども、確保のためには守秘義務というのを徹底すべきだと思うんですが、その点についてはどのように指導されているのかということと、もしDV防止法に法律的な不備があれば、その不備の点についても是非お聞かせいただきたいと思います。
#37
○政府参考人(矢野重典君) DV被害者の子供の転校先等に関する情報につきましては、これは当該子女が適切に教育を受けられるように、DV法に基づく裁判所からの保護命令の有無、あるいは被害者からの情報等を管理しながら、それぞれの学校が教育委員会と連携をして関連する情報を適切に管理することが重要であるわけでございまして、またそうした方向で私どもも指導いたしているところでございます。
 ただ、委員が御指摘のように、親権を盾に強硬な姿勢で学校に迫られたときに、制度的あるいは法律的にそれを拒否するのはなかなか難しいわけでございまして、そこでいろんなトラブルみたいなものも生ずるというようなこともございますから、その辺のところを、学校としてもそういう姿勢で臨んでいるわけでございますけれども、その辺のところを円滑に対応できるような仕組みなり配慮なりとかが私どもとしても必要ではないかというふうに考えております。
#38
○神本美恵子君 今、共生調査会のプロジェクトチームでもそこが議論になっているんですけれども、私は子供も保護命令の対象にすれば親権とぶつかり合わずに保護命令が生きてくるのではないかというふうに思っているんですが、是非そこは文科省としても、学校としては子供が適切な教育を受けるために安全を確保しなければいけないという学校としての役割があるわけですから、そういう立場から是非このDV法の見直しに関しても、子供も保護命令の対象に入れないと教育も、子供の教育権も守れないんだというような立場から是非御検討いただいて、応援をお願いしたいと思います。
 その点についてはいかがでしょうか。
#39
○政府参考人(矢野重典君) 今、私が申し上げたような形で現場では、学校の現場ではいろいろ苦慮するというようなケースもあるわけでございますから、そうした状態、実態を踏まえながら、今御指摘のようなケースについては私どもとしても検討してまいりたいと思っております。
#40
○神本美恵子君 是非よろしくお願いします。
 それから最後に、これはもう今日はどうしようかなと思ったんですが、やはりこの間様々な少年事件が相次いでおりまして、このことについては大臣もコメントをなさっているのを私もテレビで聞かせていただいたんですけれども、正に子供の命を守って、健やかな成長を祈りながらはぐくむ責務を持っている私ら教育関係者にとっては、幼い命が奪われたということに対しては本当に悲痛な思いなんですけれども、その命を奪ったのがまた同じ私たちが慈しみ、はぐくまなければいけない子供であったということで、沖縄の事件にしろ長崎の事件にしろ、本当に何とももう言いようのない二重の衝撃を受けるわけですが、これについては事件の全容がまだ明らかになっておりませんので、もちろん軽々には言えませんし、今出ている情報だけで何が問題だったというような結論めいたことを申し上げるつもりはないんですけれども、私が知り得た情報なりこれまでの自分の経験の中から考えて、先ほどから言っています、もしかしたら児童虐待があったのではないかとか、家庭の中でのそういう問題があったのではないかとか、学校の中で何かの信号があったのを学校で見逃したのではないかとか、地域の中で子供が、長崎の場合でいいますと、服を脱がせたりしていることを見掛けた人がいたというようなのも報道されておりますし、そういうものを見逃してしまったのではないかという、様々なことを考えさせられるわけです。
 そういう意味では、ただ親の育て方がどうのとか、学校の教育、しつけがどうのとかいう問題だけではなくて、それももちろん皆無とは言いませんけれども、だけではなくて、大人たちが今生きているこの社会、大人自身がつくっている社会の問題というものにも目を向けなければいけないんではないかということを私は感じています。
 それで、ただ、これもまたメールで恐縮なんですが、ある大学の先生、東北大学の先生からメールをいただいて、この方はDVや児童虐待についてずっと研究をなさっている方だということなんですけれども、断片的なマスコミ報道からの推測ですが、長崎事件の犯人とされる少年は恐らく深刻な虐待の被害者です、それがどのような虐待なのかは不明ですが、幼児の、それも男の子の衣服を脱がせる行動は、自分自身が幼少時に同様の性的虐待を受けていた可能性が高いことを強く示唆するものですというようなこととか、あと、ずっと母親に対する父親の暴力を目撃していた可能性も高いと考えられますという、これはもちろん推測ですけれども、そういった見方も一つあるということで、この事件の解明、これから進んでいくと思いますけれども、この先生が指摘なさっているのは、新聞報道とか、それから政府も今、鴻池大臣を中心とした青少年健全育成の会合が作られておりますけれども、一つ欠けている視点として、原因究明に専門家チームによる原因究明の委員会を作ったらどうかというような一つ提案をしていらっしゃいますので、これについては私ももう少し研究をしてどこかで御提案できたらと思っております。
 質問したいのは、そういう家庭の中で起きている、子供を取り巻く健全な成長を阻む要因だけではなくて、子供自身が、特に思春期にこういう問題が起きている、共通点としてはそれがあるのではないかと思いますが、この思春期の問題について文部科学省としてどのようにこれまで研究されて、具体的にどのような取組をなされているのかということをひとつお聞きしたいと思います。
#41
○政府参考人(矢野重典君) 特に思春期におきましては、これは児童生徒が身体の変化に向かい合い、親離れをし、将来を見据えるなど、様々な葛藤を経験する時期であるわけでありますが、その指導に当たりましては、これは学校、家庭、地域社会を通じて、善悪の判断などの規範意識や倫理観、命の大切さや他人を思いやる心などをしっかりと身に付けさせることが極めて重要であるわけでございますし、また問題行動に際しては、社会で許されない行為は子供であっても許されない、そういう考え方に立って毅然とした指導を行い、法や決まりを守る意識を培うことが大切であるといったことを踏まえて、そうしたことに配慮して指導を行う必要があるというふうに考えておるわけでございまして、これらのことに配慮して、学校教育におきましては、例えば心に響く道徳教育の推進でございますとか、あるいは自然体験活動などの様々な体験活動の推進、さらには、これはそうした子供たちへの相談・指導体制の整備、そしてまた、個々の児童生徒に対する関係機関から成るサポートチームを作るなどの支援体制の整備といったようなことの施策の充実に努めてきているところでございまして、今後とも、思春期の児童生徒の問題行動への対応に当たりましては、これらの発達段階に応じたきめ細かい指導を行いますとともに、特に関係機関との密接な連携を図りながら施策の一層の推進に努める必要があろうかと考えております。
#42
○神本美恵子君 心に響く教育というふうにおっしゃって、私も本当に子供の心に、本当に心の中に届く教育が必要ではないかと。特に、思春期の心身の発達がアンバランスで非常に揺れ動く子供たちは、一人一人違うわけですから、そこを十分に考えた教育の手法なりを推進していくことが大事ではないかというふうに思います。
 先ほど山根委員からも性教育について御指摘がありましたけれども、私は、教えている内容がどうのというよりも、それが一律に発達段階が様々にある子供にやっていくことが問題であって、私は、もっと性に関する赤裸々なことも発達段階に応じてきちんと教えていかないと、またこれは渋谷の事件にも絡んでくるんですけれども、こういう社会の中での様々な性情報のあふれる中で子供たちは生きているわけですから、発達段階に応じた、一人一人に応じた、思春期を考える子供の心にすとんと届くような性教育が是非必要ではないかというふうに私は思っております。
 ただ、そのときに是非とも、毅然として教えるということはもちろんですが、それだけではなくて、子供に対する監視を強めるということだけではなくて、私は大人社会に対してももっと毅然と、大人がやっていることはどうなんだということも併せて、これは子供の側に立つ文部科学省として発信を是非していただきたいということを申し上げまして、大臣に一言、私、児童虐待とかDV法とか、学校の中でも子供が一番傷付けられている部分にいる子供に焦点を当てて今日はお話、御質問をさせていただいたわけですけれども、御感想なり一言お伺いして、終わりたいと思います。
#43
○国務大臣(遠山敦子君) 今日は、神本委員のお話、すっかり聞かせていただきました。
 本当に少年をめぐるいろんな問題が起きております。余りにもいろんな問題が毎日起きておりまして、それぞれの問題の背景あるいは対処の仕方というのは違うようではございますが、私は人間を、子供たちを立派な人間に育て上げるという教育の角度から見ますと、家庭も学校も地域社会も、それから教育にかかわるあらゆるもの、そして大人自体ももっとやるべきことが一杯あるのではないかなとつくづく思います。
 特に家庭では、十分な愛情を掛けながらも、しかるべきところはしっかりとしつけると、そこのところが欠けてい過ぎるのではないかと思います。学校におきましても、抽象的な心の豊かさとか命の大切さということは言葉には出ても、子供の心の中に、先生もおっしゃった、すとんと落ちる、あなたがそのような目に遭ったらどうなのかと、人を傷付けてはいけない、そこのところをどうしてもっとはっきりと教えてくれないのかなと思うわけですね。そういったこと、あるいは地域社会も子供たちがいろんな危ない状況にいてもみんな見知らぬふりをしてしまう、そのような社会にどうしてなったのでしょうか。また、大人自身も余りにも残虐な行為を次々に見せ続けておりますね、メディアを通してのいろんな映像もそうでございますが。
 私は、日本は、かつて心の豊かさでありますとかあるいは礼儀正しさ、そして社会の、社会人としてのルールを守る、その点において非常に優れた伝統を持った国であったと思います。それを決して失ってはいけないし、特に心ある一定年齢層以上の人たちが自分の子供、そして孫たちに本当に伝えていってほしいと思います。
 私も、政府部内におきまして、閣僚懇談会などのときにいち早く申し上げましたのは、学校でも一生懸命やってもらうと、だけれども学校だけでは限界がありますと。そのことについて、例えばいろんな罪を犯した際に、どうしてそうなったかということについてしっかりした専門家による解明をしてもらって、そのことから学ぶ、そして次にそういうことが起きないようにしていく、そのようなことについてもしっかりやってもらいたいということを法務大臣にもお話をしたり、いろんな角度で私もできるだけのことはやっております。
 そして、委員おっしゃいますように、いろんな人たちが本気になって日本の将来を考えて、子供たちの将来のために存分にそれぞれが力を発揮する、人のせいにしないで、そういうことが非常に大事じゃないかなと、つくづく自分への自戒も含めて考えている昨今でございます。
#44
○神本美恵子君 終わります。
#45
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 私は、今日は広島県尾道市の教育関係者の自殺の問題についてお伺いしたいと思います。
 三月の九日には尾道市の小学校の慶徳校長が、また今月の四日には尾道市教育委員会の山岡教育次長が自殺をするという痛ましい事件が起こりました。私は心から哀悼の意を表したいと思いますが、広島県の教育、尾道市の教育には大きな問題点があるのではないか、このようにマスコミも一斉に報じているところです。そして、これとは別に、昨年の十一月には、やはり尾道市で中学校の先生が修学旅行の説明をしていたその場で倒れまして、一人急死をなさいました。一年間に何と三人もの教育関係者が尾道市では亡くなっているということになるわけです。
 この校長自殺につきましては、県や市の教育委員会が調査報告書を出しております。また、広島県の教職員組合も報告書を出しております。しかし、同じ事実を見ているのに、この両者は大きく見解が分かれているというふうに私は両方を読ませていただいて思ったわけです。
 文部科学省としては、この深刻な事態に対してどのようにお考えになっているのか、またどのように対処をしてきたのか、大臣の方から伺わせていただけたらと思います。
#46
○国務大臣(遠山敦子君) 本当に広島県における不幸な事件につきましては心の痛むところでございます。
 この問題も、やはり教育行政の立場からは冷静に事柄を把握をしていかなくてはいけないと思っております。しかも、これは広島県教育委員会あるいは尾道市教育委員会、それぞれしっかりした教育委員会がこの調査については責任を持ってやってくれているわけでございます。
 広島県教育委員会の調査によりますと、慶徳元校長が自殺された件につきましては、その要因、背景としては、一つは、亡くなられた校長先生の思いと学校運営あるいは校長職の現実との間にずれがあったこと、そして二つ目には、元校長の学校運営に対する市や県の教育委員会の支援が十分でなかったということもあるけれども、もう一つ、その高須小学校に学校運営上の課題があった、特に是正指導の指摘事項の問題解決が十分でなかったというふうなことが挙げられているわけでございます。
 尾道市のケースにつきましては、山岡次長へ託されたわけでございますが、遺書もないのでその原因は明らかになっておりませんけれども、その高須小学校長の自殺の原因の調査あるいは市民団体や報道等への対応というようなものを担当して厳しい状況の中、大変な御心労があったと思われるわけでございます。
 文部科学省としましては、県の教育委員会に対しまして、一つは、民間人校長の採用に当たっての配慮すべきこと、そしてまた支援の在り方について、さらには県内のすべての学校教職員において、是正内容の定着と更なる充実が図られるように是正指導の徹底を図るようにということで指導をしているところでございます。
#47
○林紀子君 これは新聞報道で拝見したんですが、河村大臣は民間人校長とこのすぐ後、懇談をなさったということを聞いておりますが、そのとき民間人校長からはどんな意見が出されたのかお聞かせいただけたらと思いますが、ちょっと事前に申し上げていなかったので御準備がありませんでしょうか。
#48
○副大臣(河村建夫君) 民間人校長先生方とお話合いをいたしました。ただその際に、先ほど委員が御指摘のような慶徳先生の例とか、そういう例を問題にしたということではなくて、一般校長として教育の現場に入られてどのような御苦労があり、どのような点に留意をされて今取り組んでおられますかというようなお話をお聞きしたわけでございまして、それぞれの学校のお取組をお聞かせをいただいたということで、十分な時間もなかったわけでございますが、やはり一般と教育の世界というのが、いわゆる会社、大抵の先生方がいわゆるサラリーマン経験といいますか、そういう組織の中でおられたと。
 やっぱり教育の現場というのは先生方が一人一人、いわゆる組織下とちょっと違う面があって、そういうお取組の御苦労のお話とか、あるいは教育委員会の在り方についてかなり厳しい御指摘もあったり、そのようなお話でございましたが、皆非常に意欲を持って、そしてやっぱり教育を変えていこう、また子供たちの立場に立ってやるんだというお気持ちというものを私も感じまして、今後とも民間の学校の校長先生の採用については、各教育委員会の判断にもよるわけでございますが、私としては、現場の刺激にもなるでありましょうし、許容の範囲においてお進めいただいたらどうだろうかと、このような思いを抱いたところでございます。
#49
○林紀子君 民間校長というのは、文部科学省が方針として打ち出したわけですよね。全国に五十六人いたということですけれども、広島県には全国でも一番多い六人いらしたわけですけれども、五人になってしまったということになっているわけです。
 そして今、河村副大臣からも御紹介ありましたが、これも私、新聞で拝見したんですけれども、民間人校長を導入すれば教育改革が進むという考えはやめてほしいとか、それから、急激な成果を求める姿勢はあってはならない、長い目で見てもらいたい、こういう厳しい意見が出たということが報じられておりましたし、緊急のアンケートというのもなされたそうですけれども、教頭の複数配置や能力のある教頭の配置をというような意見も随分あったというふうに聞いております。
 こういう意見と慶徳校長の今までのどういう状況で死に至ったかという報告、私も三つの報告を読ませていただいたわけですけれども、そうしますと、正に慶徳校長が願っていたことを今この民間人校長の皆さんが河村副大臣とのお話合いの中で出されたんじゃないかなというふうに思ったわけですけれども、その辺はいかがでしょうか。
#50
○副大臣(河村建夫君) 正に慶徳校長先生の場合には、教頭先生が続いてお二人とも病にお倒れになったということを、これはやっぱり大きな一つの心労、校長先生に非常に心労が掛かった点ではないかと、こう思いますし、また山岡教育次長についても時の教育長がやっぱり御病気だったというような、こういうことがやっぱりあったということでありまして、確かにそういう面もございますが、そういう意味ではやっぱり教頭先生といいますか、正に校長先生の相談相手といいますか、きちっとそれに対応できる能力のある教頭の配置というのは非常に重要なことだなと、こう思いました。
 今、御案内のように、学校では評議員制度を設けて、それの活用もお願いをしておるところでございますが、そういう点も十分にひとつ活用をしていただいて、正にやっぱり校長がいろいろな判断をする上での大きな支えになる、また相談相手が要るということは間違いない御指摘であったというふうに思っております。
#51
○林紀子君 そして、このとき出された意見の中で私もなるほどと思ったのは、教育行政を考える人たちは本当に現場を知っているのかというお声もあったということですね。私も本当にそのとおりだというふうに思うんですよね。
 今までこの委員会でも何度も私は教育現場の状況、先生の状況がどんなに忙しくなっているかというようなことを始め、お示しをしてきたわけですけれども、現場の先生たちの苦労とか苦しみとか、そして何よりも子供たちの実情、これをきちんと把握して、それに沿っての教育行政というのを行うのは正に当然だと思うんですが、確認をするまでもないかと思いますが、いかがでしょうか。
#52
○副大臣(河村建夫君) 委員、私も御指摘、大事な視点だと思います。教育委員会のスタッフの皆さんはできるだけ、いわゆる役所や何かのずっと公務員でやってきた人だけというよりも、むしろ教育現場で苦労された方々を、教育委員会に入っていただいて、正にその苦労が分かった上で先生方との連携といいますか、あるいは指導も必要でございましょう、そういうことが取り組める方が必要だと、こう思っております。
 ただ一方では、せっかく優秀な先生が育ったと思ったらすぐ教育委員会に引っ張られていくという指摘も実は一方でもありまして、なかなか教育人事というのは難しいものだと私も感じておるわけでございますが、視点としては、やっぱり教育現場でしっかり経験をして苦労した人たちが教育委員会で教育行政をやるということは一つの方向としては大事なことだと、こう思います。
#53
○林紀子君 教育委員会だけではなくて、文部科学省そのものもというふうに私は申し上げたいということがあるわけです。
 そして、こういうことを考えますと、教育の現場にぴったり一致しないような、そういうような問題が次々と現場に持ち込まれているんじゃないか、そういう心配が今回の事件を通しても私は感じたところです。
 今回の問題は、文部科学省が広島県に対して行ってきた、先ほど是正指導というお話がありましたが、この是正指導、どうも現場と合わない、間違っている、ずれている、こういうところに一つ大きな原因があったんじゃないかなと思わざるを得ないわけですね。
 この三十年来、尾道市の教育の最大の問題といいますのは、解放教育というものの横行だったというふうに思うわけです。特定団体の教育介入というのが常態化していた。この問題は私もこの委員会で何回も取り上げて問題を提起してきたことがあるわけですけれども、同和行政が終わって解放教育路線というのも急速になくなっていった。しかし、ここで得た教訓ですね、学校教育への強権的な介入というのはどんなところであってもしてはならない、このことが本当に生かされているのかどうか、そこが今一番の問題だと思うわけですね。
 この是正指導というのは、現場に合っていない。正に文部行政として強権的に文部科学省から県の教育委員会へ、そして市の教育委員会へ、そして現場へというような形で持ち込まれているんじゃないかというふうに本当に思っているわけです。
 例えば、この是正指導と関連しまして、広島県では膨大な書類作成というのが校長先生にも一般の先生にも押し付けられています。その数は、一つの学校で一年間に千八百六十四件にも上るような書類の作成だというふうに、これは情報公開で示されているわけですけれども。
 民間から採用された慶徳校長は、先ほどのお話にもありましたように、教頭先生二人の方が次々と病に倒れて、教育委員会の支援もほとんどない中でこの書類作成に本当に四苦八苦していた。教頭がそもそも倒れたのもこの膨大な書類作成、この山、書類の山、こういうところが大きな負担になっていたのではないかというふうに言われているわけですね。そして、うつ病が発症しているのにもかかわらず休みも退職も認められないで、民間校長として成果を上げろということを教育委員会からは迫られた。先ほどの、長い目で見てほしい、正に慶徳校長もそういうふうに思ったんじゃないかというふうに思うわけですね。こういう苦しみは県教委が作りました報告書の中にも触れられているわけですから、皆さんも御存じのことだと思います。
 こうしたやり方が校長先生を自殺に追い込んでいった一番の根本的な要因ではないかというふうに考えるわけですが、どうでしょうか。
#54
○政府参考人(矢野重典君) 改めて申し上げますと、広島県におきましては、これまで学校における指導上や管理上の多くの課題が存在しておりまして、平成十年の六月、当時の文部省におきまして、広島県教育委員会に対してそうした問題や課題の是正を図るように指導したところでございます。
 これを受けまして広島県教育委員会では、これまで全力を挙げてそうした是正指導を受けた事項の課題解決に取り組んでまいりまして、その結果、例えば全公立学校において卒業式、入学式における国旗掲揚、国歌斉唱の実施、あるいは不適切な勤務時間中の組合活動の是正といったようなことで、全体としては大幅な改善が図られてきたというふうに私どもは受け止めているところでございます。
 しかしながら、今回の高須小学校校長の事件にも見られますように、いまだ一部の地域や学校においては是正指導が学校現場や教職員一人一人に十分浸透していない、そういう実態があるというふうに思っているわけでございまして、今回の事件に関する広島県教育委員会の調査におきましても、慶徳元校長の自殺の要因、背景の一つとして高須小学校に学校運営上の課題があったこと、すなわち是正指導の指摘事項の課題解決が十分でなかったということが調査報告に挙げられているところでございまして、文部科学省といたしましては、広島県教育委員会に対しまして改めて是正指導の徹底を図るように指導してまいりたいと思っております。
#55
○林紀子君 そこのところは大きく見方が違うわけですけれども、しかし特定団体の強権的な教育介入というのはきっぱりと断ち切る、そういうところについては私たちも是正ということは非常に必要なことだというふうに思ったわけですね。しかし、その是正にとどまらず、本当に強権的なやり方で、日の丸・君が代にしてもそうです、そういうやり方で押し付ける。今度はだれが押し付けるのかといったら、それは文部行政として押し付ける、そこに私は問題があるんだと思うわけですね。是正指導が浸透していないと言うけれども、じゃ、それが本当に浸透していったら子供たちはどうなるかということがあるわけですね。
 今、校長先生の千八百六十四件にも上るような書類の山、そういうものとの格闘のお話をいたしましたけれども、これは校長先生だけじゃないんですね。この是正指導ということで、例えば現場の先生は一年間の授業計画を立てるシラバスというものを作らなくちゃいけない。私は大学ではシラバスということは聞いたことあるんですけれども、小学校や中学校でもシラバスを作りなさい、さらに毎週毎週、校長、教頭、教務主任の三つの判こを必ずもらわなくちゃいけない、こういうような文書作成、これに追われて夜十時ぐらいまで掛かるというんですね。そして、私が以前お示しいたしました、週五日制になって先生の非常に授業というのも大変になって忙しい、それが全部重なってきている。
 ですから、先生たちがこうした書類書類、文書作成に追われるということでパソコンとにらめっこしなくちゃいけないというんですね。聞いた話によりますと、遠足に子供たちを連れていっても、先生たちはパソコン持っていって、その現場でパソコンを一生懸命打たなくちゃいけない、そんな状況だということさえ聞いているわけですね。一番大切な、子供たちときちんと向き合って、子供たちと話し合う。先ほど、児童虐待のお話でも出てきましたけれども、その一人一人の子供たちの状態がどうなのか、そういうことをきちんと見定める、そういう暇さえなくなっているんです。
 子供たちも、ですから、先生と話したいという気がなくなっちゃった。ヒステリックに怒るから先生は嫌だ、行事になるとますます先生のそのヒステリックがひどくなる。父母の間からも、最近は先生は子供の悩みを本気でこたえてくれる状況になっていない、こういう声が上がっているわけです。本当に忙しさに追われた、是正指導によって忙しさに追われた先生の姿というのが浮かび上がってくるわけですよね。正に本末転倒ではないかと思うんです。
 教育の場にあっては、まず子供たち、ここにきちんと向き合うということが大切なんじゃないでしょうか。この行き過ぎた是正指導、これはやっぱり間違っているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#56
○政府参考人(矢野重典君) 委員は行き過ぎた是正指導あるいは押し付けといったようなお言葉をお使いになりますけれども、要は、これまでの状態を改めて、法令に基づいた適切な教育指導が行われることが必要であるわけでございまして、そのために教職員が懸命の努力をしていただくことも当然のことながら必要であると思うわけでございます。
#57
○林紀子君 ですから、その是正指導というのが是正指導の名をかりて行き過ぎている、本当に大事な子供たちと向き合うその時間を奪っている、そういうことを私は申し上げているわけです。
 それに加えて、尾道市では、トップレベルの教育を目指すということを看板に教育プラン21というのを計画して、教育活動のあらゆる分野を点数化して、例えば具体的にお聞きいたしましたら、忘れ物は子供たちの何%になっているか、忘れ物をなくすためにそれを点数化して、忘れ物をしないようにさせる。あいさつは何人の子供ができて、何人の子供ができないか。そして、ひどいのは、給食の残量などというのも先生がみんなノートに付けるというんですね。学校同士、先生同士、子供同士競い合わせる、これを至上命題として押し付けられているんです。
 人事評価についても、校長は、慶徳校長は、素人の私が、新人からベテランまでの教師を評価する、できませんよ、困った、困った、何度もPTAの会長にこの苦悩を漏らしていたということです。そしてまた、私も早く実績を出せと言われているんだと、評価をされる身であるということも嘆いていた、こういうお話を聞いております。
 昨年の夏に全教の教師が集まって広島の教育について調査をいたしました。その結果、文科省や県の教育委員会の管理統制により管理職の人格をゆがめ、子供観や教育観をゆがめている、最大の犠牲者は子供たちだ、こういう報告書を書いているわけですけれども、この人格的にゆがめられる管理職になり切れなかった慶徳校長は死を選ぶしかなかったということではないかと思うんですね。
 でも、この県の教育委員会の報告書それから尾道市の教育委員会の報告書というのは、今おっしゃったように、是正指導を更に強化するんだ、教育改革を更に進めるんだ、今後の取組ということでこういうふうにうたっているわけですけれども、今までのずうっと状況を見てきましたら、これではもっと大変なことになっていく、いい方向には向かっていかない、そういうことになるという心配を本当に私は心から持っているわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#58
○国務大臣(遠山敦子君) 今話題のところがもし普通の日本の他の地域における学校と同じように健全な指導が行われ、先生もあるべき適切な指導をしており、そして地域の人たちもそれを支えるという状況になっていれば、そういう是正指導そのものが要らないわけです。そういう状況でないからこそ是正指導がなされ、そして本来あるべき教育の姿を取り戻してほしいということで、市及び県の教育委員会も真剣に取り組んでくれているものと私は考えます。
#59
○林紀子君 ですから、私は、是正指導をするその根本になったところというのは断ち切っていく、強権的な教育への介入というのは断ち切っていくというところは認めるということを申し上げているわけですね。
 しかし、それが行き過ぎてしまって先生たちを苦しめている、校長先生も苦しめている。山岡教育委員会の次長さんの死については、まだきちんとした報告というのも出ておりませんから、それは今ここで断言することはできませんけれども、やはり教育委員会でも一番良心的な、あんないい人はいなかったということはどなたも認めるようなそういう方だったわけですけれども、そういう人が本当に苦しんで、また、これまた亡くなっていった、そのことは本当に重く、教育行政の問題として重く受け止めていただかなければいけないんじゃないかというふうに思うわけですね。
 そして、私は、この尾道市の教育の場で子供を中心にした教育をどうやって作り上げていくのか、校長先生も子供の輝く笑顔というのを願っていらっしゃったということですから、この慶徳校長の死を本当にきちんと受け止めて、二度とこういうことを繰り返させないために、第三者機関の検討委員会といいますか、真相究明の委員会というものを作っていったらどうかというふうに思うわけです。
 最初に申し上げましたように、県の教育委員会、市の教育委員会、そして教員組合とは、出されてきた報告書が全く懸け離れているわけですから、それじゃもう一体となって本当に子供たちのための教育を作り上げていくのはどうするのかというのはもっと、今、私がここで申し上げたようなことも含めまして、広い視野で、教育学の専門家であるとか、有識者であるとか、そして地域の住民らとも一体となった、こういう第三者機関というようなものを作って徹底的に真相究明をしていって今後の尾道市の教育に生かしていく、そういうものが必要ではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#60
○政府参考人(矢野重典君) 民間人校長及び次長が亡くなられた原因等の調査については、これは任命権者である教育委員会において、教育委員会が責任を持って私は対応すべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
 そういう意味で、広島県は民間人校長等についての人事権を持っているわけでございます、人事権について責任を持っているものでございまして、その県が、その広島県がこの問題について市の教育委員会の関係者あるいは学校の教職員、これはすべての教職員でございますが、すべての教職員からヒアリングを行うなど、詳細かつ綿密な調査を行って、それについて責任を持って先ほど御紹介したような調査結果を取りまとめたものであるわけでございますので、私どもとしては広島県の調査結果をそういうものとして受け止め、また、それを踏まえて私どもとしての今後対応を進めてまいりたいと思っております。
#61
○林紀子君 繰り返しになってしまいますけれども、やはり子供たちの立場に立って、そして父母の立場に立って、是正指導これでいいんだというふうなお立場もあるわけですけれども、やっぱりその是正指導が行き過ぎているんじゃないかという声もあるわけですから、本当に子供たち、父母の立場に立ったそういう第三者機関というのを作って、それを教育に生かしていっていただきたい。それこそが父母に、市民に、子供たちに責任を持った教育というのができていくのではないかと。
 そして、文部科学省といたしましては、最初に申し上げましたように、民間人校長というのはそもそも文部科学省の方針で始まったところですから、ここにもきちんと責任を感じていただかなくちゃいけないわけですから、やはり、こういう機関を設けるようにということも私は強く求めまして、今日の質問は終わらせていただきます。
#62
○西岡武夫君 私は、本日は二点について質問を申し上げます。
 一つは、義務教育国庫負担の問題です。もう一点は、既に残念ながら成立をしてしまったわけでございますけれども、国立大学法人化をめぐっての問題につきまして、懸念される点がございますので、これにつきまして若干質問をさせていただきます。
 まず初めに、もう既にこの委員会におきましては何回となく義務教育国庫負担につきまして、これを何としても守っていかなければいけないという趣旨の各委員からの質疑が行われたと思いますけれども、どうもその後いろいろと報道を拝見しておりますと、この小泉政権の下においては、こんな大きな問題の政策の決定のプロセスというものが私が自民党におりましたときとは相当変化しているようでございまして、義務教育国庫負担について、これを死守することが本当にできるのかどうか危ぶまれているのではないかと、こう感じるんですけれども、大臣でも副大臣、いずれでも結構でございますが、現状を御説明いただきたいと思います。
#63
○国務大臣(遠山敦子君) 義務教育費国庫負担制度につきましては、私どもは、本委員会での御議論もございまして、その根幹はしっかり堅持をしていく、そのことは憲法の要請でもあり、また日本の未来を担う子供たちを知的にも、あるいは知育、徳育、体育の調和の取れた人格を形成していく、しかもそれはすべての児童生徒が一定水準の教育を受けると、それを担保するのが最終的には国の責任であるということは明確でございます。そのようなことから、義務教育費国庫負担制度の根幹は守るということを私もこの委員会において明確にお約束をいたしております。
 今のどういうふうになっているのかということでございますけれども、報道ではいろいろな報道がなされておりますけれども、私はその大きな方向性において何ら揺らぎはないというふうに考えております。
 国の財政状況の問題あるいは地方分権といったいろんな政府を挙げての要請もあるわけでございます。したがいまして、地方分権改革推進会議から出る意見でありますとか、あるいは経済財政諮問会議でもこのことが話題に取り上げられて、また三位一体論というふうなこともいろいろ取り上げられております。
 しかし、そうした中で、私どもの省といたしましてはこの問題についてはしっかりと守り切るつもりでおりますし、またいろんな議論もその形で進んでいるところでございます。
 昨年の夏にその問題についてかなり議論が起きましたときから問題が発生したわけでございますが、昨年末に三大臣合意ということで、大蔵大臣、総務大臣、文部科学大臣の間で合意がなされました。その線に沿って、私どもとしては、見直しても根幹には差し障りがないと思った部分だけ、手当の部分について先般こちらで御審議もいただいて法律を通させていただいたわけでございます。
 その後今年になっても、もう一度、三位一体論という中で、義務教育費国庫負担金に相当する予算額も含めたような形で地方への一般財源化というふうなことが取り上げられたように報道されております。
 しかし、経済財政諮問会議において認められた骨太二〇〇三の確定した文書をお読みいただければ分かると思いますが、昨年末の三大臣合意の線から一度も、いや、全く退いておりませんで、むしろ、教育改革の一環としてというところを更に書き込みまして、中央教育審議会における検討というものも明示させていただきました。ということは、この義務教育費国庫負担制度の在り方について財源論の立場から論じてはならないということで、教育論の角度からしっかりとこれは論じて、我が省が責任を持ってその方向性というものを決めていくということが明確に経済財政諮問会議で認められた骨太方針の二〇〇三にも書かれているところでございます。平成十八年までの間に検討するということになってございます。
 しかしながら、私といたしましては、先ほど申しましたような、国の本来責任を持って守るべきものについてこれは堅持をしていくというのは、私は将来の国民に対する責任そのものであろうかと思います。また、諸外国の情勢を見ましても、義務教育というものをそれぞれの国がしっかり守っていくという点においては、むしろ日本を見習って各国は制度改正をしているわけでもございます。
 また、三位一体論ということでございまして、できるだけの補助金、負担金というものは地方に一般財源化しようということでございますが、私は、義務教育費国庫負担金というものは、地方財源といいますか、地方への一般財源化に全くなじまないものだと思っております。
 一つは、このお金といいますものは教育の基本のものでございまして、仮に、万々が一、地方の財源に一般財源化したとしても、各地方はそれを自由に使うわけにいかないんですね、教員の給与費に使わざるを得ない。それは憲法上、一定水準の教育というものを国家として守っていかなきゃならないわけでございますから、自由に使えるお金ではありませんので地方分権にはなじまない。また、国民にとっても何らこれはメリットにならないわけですね。自分たちの子供が世話になっている学校の先生の給与がどこから出ようと、国民にとっては何らその納税負担が減るわけでもございません。むしろ、マイナス面としては、全国一律に国が最低保障している今の制度が揺らぐわけでございますから、マイナス面は大いに出てくるということでございます。
 そのようなことを考えますと、私はその義務教育費国庫負担制度の根幹は守り続けていくということが当然だと思っております。
 そして、地方分権という角度からいいますと、むしろ教員配置についての学級編制のもう少し弾力化をしていく、あるいは定数配置についても各地域の自主性を考えたような配置もできるようにしていくと。さらには、給与費についての個別の額についてもう少し弾力化していく必要があるかもしれません。そういったことは地方分権になじむと思うわけでございますが、制度の根幹というものを地方分権という角度から軽々に財源論という視点で論じるには当たらない、そういう制度であるというふうに確信をいたしております。
#64
○西岡武夫君 ただいま大臣から憲法の精神にも反するというお話があったんですけれども、しかし、どうも財源論というものを振りかざして何でもかんでも変えてしまえばいいんだという風潮が小泉政権の下であるようでして、大臣、これは私、個人的なことを申し上げて恐縮なんですけれども、私はかつて政務次官のときに三回辞表を大臣に出したことがございます。その内容は申しませんが、この問題は、今、大臣お答えでしたけれども、どうも私が推測するところ、どんどん一般財源化するという方向に行きそうな気がするんですね。
 これは職を賭して守る、副大臣も守ると、そうお答えいただけますか。
#65
○国務大臣(遠山敦子君) このぎりぎりの経済財政諮問会議におきまして、今年の会議において臨時委員として出席いたしましたときに、私は事態の推移においてはそういうこともあり得べしと思ってやったわけでございます。しかし、幸か不幸か、むしろ前進をして、教育論の角度から中央教育審議会の検討を経てという角度で議論が取りまとめられたわけでございまして、そういう場面には至らなかったわけでございますけれども、仮にそのようなことになれば、私は文部科学大臣の職というものは非常に重いものがあろうというふうに想定をいたしております。
#66
○西岡武夫君 私は、前の委員会でも申し上げたように、本来なら教職員の義務教育についての給与は全額国庫負担にすべきであるというのが持論でございますけれども、百歩譲って、現状を是非今おっしゃった決意で、御決意で死守していただきたいと、御期待を申し上げます。
 次に、残念ながら国立大学法人化法案は成立してしまったわけでございますけれども、私はこの法案が審議されております過程の中で、大学の皆様方にいろいろと、こんなことでいいのかというような形で、かつて私も自民党の文教部会長をやっているときに使われていた言葉ですけれども、あおり行為は一切いたしませんでした。あおり行為は一切いたしませんでした。
 ところが、法律が成立をしてしまいました後から、私の地元の長崎大学の職員団体の皆さん方が抗議声明のような形で、この法人化、国立大学の法人化について声明を発表しております。法律が通ってしまってから随分遅いなというふうに思うんですけれども、実は、私がこの前の委員会でも質問申し上げましたように、仮に、特に職員の皆さん方が自分は国家公務員を辞める考えはないというふうにおっしゃった場合に、文部科学省としてはどう対応されるんですか。
#67
○政府参考人(玉井日出夫君) お答えを申し上げます。
 国立大学法人法の御審議の中で繰り返し御説明をしてまいりましたけれども、この国立大学法人法におきましては、法人成立の際、現に国立大学の職員である者は、別に辞令を発せられない限り、特別な発令行為なく成立した国立大学法人の職員となるという規定を定めているわけでございまして、したがって国立大学の職員は国立大学法人の職員として承継される、法律をもって承継されるという仕組みになっているわけでございます。
 したがって、このような国立大学法人制度の趣旨を踏まえまして、国立大学法人の職員となることを望まないというような方がいらっしゃる場合には、国立大学職員に対しては、法人化後も国立大学法人における教育研究の公共性が変わることはない、あるいは医療保険、年金などについては法人化後も引き続き国家公務員共済組合の適用対象となる、あるいは退職手当については在職期間の通算等の措置を図っていくことなどについて十分な説明を行ってまいりたいと考えておりますけれども、基本的には、先ほども申し上げました国立大学法人法にのっとって、これは国立大学職員が国立大学法人の職員として身分を切り替えていただく、こういうことになるわけでございます。
#68
○西岡武夫君 私も玉井審議官に余りしつこく質問するのは好むところではないんでございますけれども、この前の委員会からその答弁で一貫しておられるんですけれども、私がお尋ねしているのは、国家公務員の身分を剥奪されて法人の職員になるのは自分は好まない、国家公務員でありたいという要望があったときはどうするかということをお聞きしているんです。
#69
○政府参考人(玉井日出夫君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、この制度というものは、法律をもってその身分を切り替えるという仕組みになっているわけでございまして、そして、今回こういう形になることについての十分な意義なりあるいはその趣旨なりというものは十分御説明をしていきたいと、かように思っております。
 が、これはあくまでも、本人の同意あるなしにかかわらず、あるいは希望するしないにかかわらず、基本的にはこの法律をもって身分を切り替えるという仕組みになっているわけでございますので、その趣旨について十分御説明してまいりたいと、かように考えております。
#70
○西岡武夫君 法律は通ってしまったわけですけれども、法律の審議の過程の中で私がくどく申し上げたのは、この法律では不備があるのではないかと。身分を、国家公務員の身分をそういう法律の形でなくする、替えるということは、法律の体系上非常な無理があるのではないかということを再三にわたって指摘を申し上げたところです。
 今の御答弁では私の質問の答えになっていないので、法律でそうなっているからそうなんだと。しかし、国家公務員でなくなることは間違いないわけですから、本人が自分は国家公務員として採用された、国家公務員の試験を受けて国家公務員として採用された、その身分をなくすることは自分は嫌だという異議の申立てをした場合はどうなるかという意味を質問しているんです。
#71
○政府参考人(玉井日出夫君) 先ほど来のお答えをちょっと繰り返すというふうになって恐縮でございますけれども、十分な御説明をしてまいりますし、そして、この制度は法律をもって身分を切り替える、それを可能にしているわけでございます。したがって、そのことを十分御説明申し上げますし、そもそも人事について、この制度で申し上げますと、本人が納得するしない、あるいは希望するしないによって左右するという仕組みではないわけでございますので、したがって基本的にはこの法律にのっとって身分を切り替えていただきたい、またそういうことになるということでございます。
#72
○西岡武夫君 私の記憶では、個々のそういう申出があれば個々に御相談することもあるというような、そういう質疑が、質疑の中でそういう御答弁はなかったんですか。
#73
○政府参考人(玉井日出夫君) この国立大学法人法におきましては、先ほど御説明いたしましたが、別に辞令を発せられない限りという規定がございます。したがって、別に辞令を発するということになりますと、制度上は、任命権者が特別な辞令を発することもこの制度上はあり得るという形になっております。そのことは申し上げました。
 しかし、制度論、制度上は同条の規定自体が本人の同意を得ることなく適用されるものでございますので、別な辞令を発する場合においても、職員個人の希望等を反映する、そういう趣旨のものではないわけでございます。
#74
○西岡武夫君 非常に極端なことを申し上げますが、十三万人になんなんとする大学の国家公務員の職員の方々が全員、自分たちは法人化に非公務員として移行することは好まないということを一斉に申出があった場合にはどうされるんですか。
#75
○政府参考人(玉井日出夫君) 私どもとしては、いずれにせよ、法人法成立後、この趣旨についての周知に努め、また理解を得るよう努めてまいる所存でございまして、これからもその努力をさせていただきます。
 ただ、制度上と申しますか、この仕組みの上では、やはり本人の同意があるなし、あるいは納得するしないとか、あるいは御希望がということではない形での身分の切替えになっておりますので、そこを十分御説明をさせていただきたいと、かように思っているわけでございます。
#76
○西岡武夫君 国家公務員法の規定の中には、今、総括審議官からの御答弁の部分は一切規定されていませんね。今度の法案、成立した法案によって今お答えになっているわけで。国家公務員の身分というものはそんなに簡単なものなんですか。
#77
○政府参考人(玉井日出夫君) 国家公務員の身分が国家公務員法によってきちんとうたっていることは、もう委員、西岡先生、本当に御案内のとおりでございます。
 が、今度の仕組みは、この国立大学法人法だけではなくてほかの独立行政法人法の場合も同じでございますけれども、要するに、国の機関から、法人格を取得するによって国の機関から離れる、それはもう国家公務員という身分から離れるということがまずは法律上出てくるわけでございまして、改めてそこに国家公務員としての身分を付与するかどうかはそれぞれのまた別の、個々の個別法によって決まってくるわけでございまして、したがって、こういう国立大学法人法によってその国家公務員法から離れて、この世界から離れて国立大学法人法の世界の身分になっていただくということを法律をもって決めたと、そしてそれが可能にしているという仕組みでございますので、そこは御理解を賜りたいと思うわけであります。
#78
○西岡武夫君 それは私の質問の答えにはなっていませんね。私がくどくど申し上げているのは、それは文部科学省が提出した法案の理屈であって、国家公務員の身分を剥奪し得るとは私は思わないんです。だから質問しているんです。
 仮に、どうしても自分は国家公務員の身分は捨てたくないという方がたくさん出られた場合にはどう、説明されるといっても、現に法案成立後も、そういうことについて自分たちは反対であるという声明等が出ているわけですから、どうも御答弁では私、納得できないんです。むしろ心配をして申し上げているんです。
#79
○政府参考人(玉井日出夫君) 若干踏み込んでの、詳しく御説明を若干させていただきますと、確かに、国家公務員法によって国家公務員の身分というものは規定され、また保障もされるわけでございますが、その保障の仕方というのは、個々の処分に当たって特段の根拠もなく処分をしてはならないということが国家公務員法の中でそれぞれ規定をされているわけでございます。
 つまり、それぞれの任命権者の処分をするときに、ちゃんとした理由、それぞれの法律に基づく理由がなければならないというような規定がそれぞれあるわけでございますが、今回はそれぞれの任命権者の処分ということではなくて、それによることなく法律をもって身分を切り替えるという法的仕組みを取ったわけでございまして、それは、既に他の独立行政法人の場合も基本的にはそれは全く同じ仕組みを取って、法律をもって可能にしているわけでございます。
 したがって、国家公務員法の中における任命権者の個々の処分によって身分を左右するという仕組みとは違う、法律をもって身分を切り替えるという仕組みを取ったわけでございます。そして、それはこれまでも既に可能になっているわけでございます。
#80
○西岡武夫君 この議論をしておりますと、だんだん禅問答みたいな、何かよく分からない議論になってしまうんですけれども、それでは私はどうも納得できない。
 具体的に、先ほどちょっと極端な例を申し上げたんですけれども、自分たちは国家公務員である、国立大学法人化の職員にはならないと、仮にですよ、仮にそういう申出が、十三万人とは言いませんけれども、一つの大学で起こった場合にどうされますか。
#81
○政府参考人(玉井日出夫君) そもそもが、今、国立大学でお働きいただいている方々でございますので、その方々が基本的には同じ国立大学の職場で継続して働いていただくという形になるわけでございます。もちろん身分が、これが切り替わりますけれども、職場としては同じでございますし、そして、よりいろんな活動がしやすくなる、むしろメリットがあるというふうに私どもは考えているわけでございまして、したがってそういうところを十分御説明をしてまいりたいと、かように思っておりますし、ただ、最終的にではどうするんだと、こういう御指摘でございますが、最終的には、これはもちろんいろんな御説明をしてまいりますけれども、この制度に照らしますと、基本的にはこの制度にのっとって身分を切り替えていただくことになると考えているわけでございます。
#82
○西岡武夫君 そうすると、仮に、ある大学で職員団体の皆さん方が、自分たちは国家公務員の身分を捨てる気は全くないということで法人の方には行かないという行動に出た場合に、これは罷免することになるんですか。
#83
○政府参考人(玉井日出夫君) 仮定のお話でございますのでなかなか個々具体にどうこうとまだ申し上げる話ではないと思いますし、まずは今、この仕組みというものが法律としてお認めいただきましたので、したがってこのことについて十分な御説明をしてまいりたいと思いますし、また仕組みとして、法律をもって身分を切り替えていただく、そして、そういう職場としては基本的には同じわけでございますので、理解はかなりしていただけるものではないか、またそういう努力をしてまいりたいと、かように考えておりますけれども。
 身分を切り替えるわけでございますけれども、そこの職場に行かないとなると、それは一体、果たしてその方は一体どこにじゃ職場があるのかということになってしまうわけでございますので、やはりそういうことにならないように私どもとしては十分な御説明をしてまいりたい。
 ただし、ただし、それは法律をもって身分を切り替えるという仕組みであるということはひとつ御理解を賜りたいと思うわけであります。
#84
○西岡武夫君 法律で身分をということは、国家公務員法はいじらないで、しかも、大臣は首をかしげられて、この間からの質問で、委員会で何回か申し上げたんですけれども、しっぽで犬を振るということもやらないで、すなわち、今度の法律の中で国家公務員法は一行も改正していない、そして身分は切り替えると。ですから、しっぽもなくて犬を振っちゃうというむちゃな法律体系だと私は指摘しているわけです。そして、混乱が起きなければいいがなと非常に心配して私は申し上げているわけでございます。
 以上、終わります。
#85
○委員長(大野つや子君) 本日の調査はこの程度といたします。
    ─────────────
#86
○委員長(大野つや子君) これより請願の審査を行います。
 第一四二号すべての子供たちに行き届いた教育を進め、心の通う学校をつくることに関する請願外九十五件を議題といたします。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第四〇二号豊かな私学教育の実現を求める私学助成に関する請願は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一四二号すべての子供たちに行き届いた教育を進め、心の通う学校をつくることに関する請願外九十四件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#87
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#88
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#89
○委員長(大野つや子君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、スポーツ、学術及び科学技術に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#90
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#91
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#92
○委員長(大野つや子君) 委員派遣に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中の委員派遣につきましては、その取扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#94
○委員長(大野つや子君) 委員長といたしまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 本委員会におきましては、今期国会に付託されました種々の案件につきまして、委員各位の活発な議論の下にそれぞれ濃密な御審議をいただくことができました。参議院の委員会として、あるべき参議院の役割を果たせたのではないかと考えます。これはひとえに各会派理事の皆様を始め委員の先生方の御熱意と御協力のおかげと、委員長といたしまして心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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