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2003/03/26 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 財政金融委員会 第5号
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2003/03/26 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 財政金融委員会 第5号

#1
第156回国会 財政金融委員会 第5号
平成十五年三月二十六日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十五日
    辞任         補欠選任
     山本  保君     風間  昶君
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     風間  昶君     山本  保君
     渡辺 秀央君     平野 達男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳田  稔君
    理 事
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                林  芳正君
                円 より子君
                浜田卓二郎君
    委 員
                上杉 光弘君
                佐藤 泰三君
                清水 達雄君
                田村耕太郎君
                中島 啓雄君
                溝手 顕正君
                森山  裕君
                若林 正俊君
                大塚 耕平君
                勝木 健司君
                櫻井  充君
                峰崎 直樹君
                風間  昶君
                山本  保君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                平野 達男君
                大渕 絹子君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       財務大臣     塩川正十郎君
       国務大臣
       (金融担当大臣)
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊藤 達也君
       財務副大臣    小林 興起君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  新藤 義孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       金融庁検査局長  佐藤 隆文君
       金融庁監督局長  五味 廣文君
       外務大臣官房長  北島 信一君
       外務大臣官房領
       事移住部長    小野 正昭君
       外務省アジア大
       洋州局長     薮中三十二君
       財務省主計局次
       長        杉本 和行君
       財務省主税局長  大武健一郎君
       財務省理財局長  寺澤 辰麿君
       財務省国際局長  渡辺 博史君
       厚生労働省雇用
       均等・児童家庭
       局長       岩田喜美枝君
       厚生労働省政策
       統括官      水田 邦雄君
       経済産業省商務
       情報政策局消費
       経済部長     小川 秀樹君
       中小企業庁次長  青木 宏道君
   参考人
       国民生活金融公
       庫総裁      薄井 信明君
       国際協力銀行総
       裁        篠沢 恭助君
       日本政策投資銀
       行総裁      小村  武君
       日本銀行総裁   福井 俊彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平成十五年度における公債の発行の特例に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○平成十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十五年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十五年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (内閣府所管(金融庁)、財務省所管、国民生
 活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀
 行)

    ─────────────
#2
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十五日、山本保君が委員を辞任され、その補欠として風間昶君が選任されました。
 また、本日、渡辺秀央君が委員を辞任され、その補欠として平野達男君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(柳田稔君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として外務大臣官房長北島信一君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(柳田稔君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(柳田稔君) 昨日に引き続き、平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○櫻井充君 おはようございます。民主党・新緑風会の櫻井でございます。
 竹中大臣が内閣委員会との関係で十時四十分までしかおられないということで、法案の審査の前にリレーションシップバンキング等についてちょっとお伺いさせていただきたいと思います。
 二月の二十六日に懇談会が仙台で開かれました。そこの中で、私の知り合いの方も出席されておられまして、議事録を読ませていただいたんですが、本当に今回はこういう会合にしては珍しく忌憚のない意見が出たんじゃないだろうかと。つまり、従来、私がよく地元の方々から聞いているお話のとおりされていたという点では極めてオープンな会ではなかったのかなと、そう思っています。
 そこの中で、ある中小企業の社長の方が、我々、銀行に期待するのは、企業を見てほしいんですけれども、極端な言い方を言いますと、どうも全部金融庁の方だけ見ているのではないか、そして企業を見ないで金融庁の検査とか、こういう発言をされています。そしてまた、この方が望んでいらっしゃることは、金融機関と企業とが協力し合ってお互いに共生して地域を良くするんだと、そういう原理原則というか、そういう視点を持つともっともっと良くなるんじゃないかなと、そこに横やりが入ってくるのが金融庁だろうと、そう思っていますと、こういう発言をされています。
 私がお伺いしている範囲では、やはり皆さんが御不満持たれているのは、自分たちだけで努力すればなかなか良くなっていくということではないと思っているんですね。自分たちも努力はするけれども、これだけ景気が悪ければ、中小企業としてはかなり厳しい経営状況にあるんだとか、それから、それに輪を掛けて、このような金融庁の方針のために貸し渋りや貸しはがしが起こっているんではないだろうかと、そういうことをおっしゃる方々が多いわけなんですが。
 改めて、現在の金融行政の中で、自己資本規制というものの在り方を竹中大臣はどうお考えなのか。つまり、今の自己資本規制によって貸し渋りや貸しはがしが進んでいるとお考えではないのか、その点について御答弁いただきたいと思います。
#9
○国務大臣(竹中平蔵君) 金融庁の役割、いろいろあろうかと思います。しかしながら、我々としては、銀行にお金を預けている預金者の立場がある、銀行からお金を借りている借り手企業の立場がある、それぞれについてやはり金融が円滑に機能するようなシステムを作っていく、それを監督していくということなのではないかと思っております。
 リレーションシップバンキングというのは、その意味では、通常はなかなか情報の非対称性がありますから、本当に長いお付き合いをしている間柄の金融機関でないと分からないような情報を活用して、その活用、特に定性的な活用、人物の評価まで含めた定性的な活用、両方活用してしっかりとそこに融資をしていけるような、そういう間柄のバンキングであるというふうに理解をしております。
 その際に、我々としては、しかし一方で、先ほど申し上げましたように、善良な預金者がいると、その預金者に被害が及ばないように、金融機関の健全性については一定の基準の下にそこは監督をしていかなければいけないということなのではないかと思っております。
 直接その自己資本に対して、自己資本比率でそれを見るのが良いか悪いか、これはいろんな御意見があろうかと思いますが、この点はBISを中心に国際的に様々な観点から議論をされて出てきた一つの我々の社会の知恵なのであろうかと思っています。それに対しては、しかし御承知のように、国際業務を行わない銀行に関しては、その比率についても実は日本は、これはかなり日本固有の状況であるというふうに認識をしておりますが、八%でなくて四%という形で考慮をして今日のシステムができ上がっている。
 申し上げましたように、預金者、貸手企業、借り手企業、様々な関係者にとって良い金融システムを作るために、この自己資本比率による規制というのはその結果出てきた一つの仕組みであって、ここはやはり守っていかなければいけない仕組みの一つであろうかというふうに思っております。
#10
○櫻井充君 竹中大臣、日銀が金融緩和政策を取っているというのは、結局は銀行から企業に対しての融資が減っているからということも大きな原因の一つですよね。そこの部分を改善しなければいけないというところがあるんだろうと思うんですね。
 そうしてきてみたときに、日銀が幾ら金融緩和政策を取ったところで流通しているマネーというのが増えていないというのは、これはもう現実です、後でまた議論させていただきますけれども。そうすると、その点で一体どこに問題があるのかということになってくるんだろうと思うんです。
 一方、ちょっと話は飛びますが、平成十年の金融危機のときに特別信用保証制度というのを設けました、政府で。政府で特別信用保証制度を設けて、我々は相当、審査も余り十分にしないで貸し出しているので、モラルハザードを引き起すんじゃないだろうか、相当なデフォルトが起こるんじゃないだろうかというふうに思っていたんですが、決してそういう状況ではないんですね。
 まず、ちょっとこの数字に関して経済産業省の方から御説明いただけますでしょうか。
#11
○政府参考人(青木宏道君) ただいま櫻井委員より中小企業金融安定化特別保証制度についての実績のお尋ねがございました。
 御案内のとおり、この制度は、平成十年の当時、未曾有の金融システムの不安が発生し、金融機関が一斉に貸し渋りを行うといったような緊急事態に対応した臨時異例の措置でございました。平成十年の十月に発足し、平成十三年の三月に終了いたしております。
 実績でございますが、この間、実に百七十二万件御利用いただいておりまして、保証金額で申し上げますと二十八兆九千四百億円でございます。
 また、その後の進捗でございますけれども、私どもが把握しております本年二月末の状況でございますが、保証実績二十九兆円のうち約六九%に当たります十九兆八千九百億円、これが返済なされてございます。
 一方、不幸にして中小企業の方が返済不能に陥り、これを各地の保証協会が代位弁済をするといういわゆる保険事故も発生しております。この金額が一兆六千二百億円、率にいたしますと五・六%弱でございます。
#12
○櫻井充君 大体三分の二ぐらい返却されていて、その中で五・六%、これは約三十兆円に対しての比率ですからこのぐらいの数字ですよね。これがもしこのまま推移していくとすると、大体何%ぐらいになりますか。
#13
○政府参考人(青木宏道君) この制度それ自体は、一応一〇%までの保険事故を許容するよう制度設計をいたしてございます。
 現状は、先ほど申し上げましたとおり、五・六%弱でございますが、しかしながら他方におきまして、まだ残債が七兆四千億円ございます。さらに、その中には、いわゆる当初の約定どおり返済ができないということで、条件変更しつつ返済をしているといったような中小企業も累積で約十八万ほどございます。こうしたものが最終的にどのような保険事故に至るかというのを現時点で的確に見通すのは大変困難でございます。また、景気一般にも大きく依存をいたします。
 しかしながら、私どもとしては景気を含めましてこの代位弁済の状況についてしっかり注視をしてまいりたいと考えております。
#14
○櫻井充君 現時点で五・六%ですから、あと三分の一とすると、単純に足し算すると二・八%ぐらい増えるのかな。それでもとにかく一〇%まで行かないだろうと思うんですね。我々の認識では、多分、そういう貸し方をしたときに一〇%を超えるんじゃないだろうか、そう思っておりました、正直なところは。これからの景気の動向というのはまさしく大事なところでして、ただ、少なくともあの当時よりも今の時点で景気がどうなのかという議論をしてくると、景気は少なくともあの時点より悪くなってきていると思っております、今の方が。
 そう考えてきてみると、あの当時でも実を言うと金融機関はお金を貸すことは可能だったんではないのだろうか。つまり、こういう特別保証の枠があったからもちろん安心してお金を貸せたこともあったんですけれども、この程度の事故率であったとすると、もう少し積極的にお金を融資することができたんじゃないだろうか。その融資を妨げるものは一体何なのかという議論をきちんとしていかなきゃいけないんじゃないのかなと私は思うんですけれども、今の数字を聞いて竹中大臣はどうお考えでしょうか。
#15
○国務大臣(竹中平蔵君) 信用保証制度、あの状況の下で、九八年から九九年に掛けての厳しい状況の下で大変大きな役割を果たしたというふうに私は思っております。
 これがもし信用保証なかりせばどうなっていたかというようなことも一つ考えなければいけない要因であろうかと思います。
 その意味では、銀行が非常に萎縮、投資マインドが萎縮している中でリスクを軽減するような措置を、国がリスクを肩代わりするというような措置を取ったということでありますから、その意味で大きな役割があったということなのだと思うわけです。
 しかし一方で、これは、融資は個々にいろんなケースがありますけれども、その結果として今、代位弁済の率の御報告ありましたけれども、これがどのようになっていくかということに関しては、これはもう少しやはりきちっと見ていかなければいけない要因があろうかと思います。
 委員のお尋ねは、銀行がリスクを取れなくなっているから、恐らくそれによってこういったことが起こっているのではないのだろうか。私もそのように思います。
 銀行がリスクを取れるようにするためにはどうしたらよいのだろうか。まあこれはいろいろ要因があります。マクロの経済環境を、我々、経済、財政の面できちっとしていくということもあろうかと思いますが、もう一つは、やはりリスクテークの能力をきちっと銀行が持っていくということにこれはなるのではないかと思います。それは不良債権を減らすことであり、さらには自己資本を充実することであり、収益力を高めることである。
 金融再生プログラムの目指しているその三点というのは、正に今私が申し上げたような状況の中で、それを目指して銀行により強い金融システムを担っていっていただきたいというふうに思っているからでございます。
#16
○櫻井充君 リスクテークというお話がございましたけれども、このときは確かにリスクがなかったから貸し出せたということになるのかもしれません。
 しかし、もう一度考え直さなきゃいけないのは、貸し出したとしてもそれほど破綻していないという現実があるということです。
 つまり、今銀行側が企業にお金を貸し出せないのは、貸し出すと不良債権になってしまうから貸せないのかどうかというところが最大のポイントだと思うんですよ。その点でいってくると、少なくともある程度の審査さえすればもっともっと貸し出せる企業があることを私はこのことが物語っていると思うんですね。
 もう一度是非考えていただきたいんですが、例えば、済みません、いつも医学的な話をして申し訳ないんですけれども、コレステロールという動脈硬化を引き起こしてくる危険因子の一つがございます。コレステロールの正常値は以前は二百四十でした。それを引き下げた方が動脈硬化が抑えられるんじゃないかということで、今二百二十まで来ています。このことによってある一部の製薬メーカーはもうかって、多大な利益を得ているわけですが、一方でどうなってくるかというと、がんの発生率は増えているんですよ。
 つまり、コレステロールを下げれば動脈硬化を抑えられるかもしれないけれども、ある一方、今度はがんが増えてくるという、そういう副作用が出てくるわけです。
 今、私が申し上げたいのは、BIS規制というものを設けること自体に対して反対しているわけではありません。しかし、その規制というのはこれは国際業務をやるところは国際ルールにのっとってやらなければいけないというのは、これは決められています。しかし、国内でしかその取引をしていないところに関してはその限りではないということをうたっているわけですから、このルールを決めることができるのは金融庁なわけですよ。その金融庁のルールによって貸し渋りや貸しはがしが起こっていないかどうかということを私は心配しているわけです。政策的に悪いんだ、政策的に問題があるんだというふうに皆さんがおっしゃっているのはどうもそこの辺りにあるんじゃないかなと、そういう気がしているわけです。
 ですから、何回もこの場でそのBIS規制を見直していただけませんかと言っているんです。これは国際ルールとか、何回も言いますが、国際ルールとかじゃないですよ。ここで逃げないでいただきたい。これを決定するのは金融庁の役割です。
 ですから、なぜ銀行が貸し出せなくなってくるかといえば、毎回言っていますが、ペイオフの解禁のために平成十三年の十月から平成十四年の三月までの間に四十五の金融機関がつぶされているわけです。このことがあったら、この自己資本比率を守らなきゃいけないという方向に走るのは当然のことなんですよ、何回も申し上げていますけれども。ですから、その部分を緩めてくださらないと、このまま貸し渋り、貸しはがしは続いていくんじゃないですか。そして、そのことによって地域の経済は冷え込んでいくんじゃないですか。私はそう思っているんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
#17
○国務大臣(竹中平蔵君) コレステロールの例をお出しくださいましたが、我々も政策というのは一つの目的を持ってやるわけですけれども、打ち出の小づちのような政策というのはどこにもなくて、一つのことをやれば必ずその副作用のようなものはあるというふうに思っております。
 例えば、自己資本比率は高ければ高い方がいいと、しかし自己資本比率の規制を一〇〇%にしたら一体どういうことになるか。これはもう目に見えて明らかなわけですから、そこはやはり経験的な、ないしは一般に認められるような水準で規制をしなければいけないということなのだと思っております。
 国際的な業務を行う銀行に関しては、これはやはり金融が世界のネットワークでつながっていて、お互いが安心感を持ってその取引に参加していかなければいけないということで、八%という水準が出てきた。これは一つの取決めでありますから、これは国際的に守っていかなければいけない。
 問題は国内の場合、国内銀行に関しては、これはアメリカ等々では八%を準用しているわけですが、日本はそうはしていないということです。日本については、委員御指摘のような点も踏まえて四%という基準にしている。これを更に引き下げて、例えば二%でいいじゃないか、一%でいいじゃないかというのは、私は議論としてはあり得ると思いますが、一方で非常に不安定な経営をしてきた財務基盤の弱い銀行が存在することによって、日本の預金者が非常に大きな不安を持ってきたという事実もこれは間違いなくあったのだと思っております。
 私は、ここは八%に対して国内銀行四%と決めた基準は基準としてやっぱりしっかりと守っていただいて、財務基盤をやはり強くしていただく必要はあるかと思います。
 しかしながら、地域の金融に関しては、私はもう大臣になったその日から、地域の金融については違う基準が必要だということで、リレーションシップバンキングに関する検討の委員会を金融審の中に立ち上げて、その中で先ほど言いましたように、間柄、リレーションシップに基づいていろいろそこの情報を活用して融資を進めていくような分野についてどのような問題があるか、どのようにしたらこれがもっと強い機能を果たせるようになるかということを今集中して議論をしていただいております。
 私は、まずその議論の中で、これは地域の金融は地域の金融で一方でコストを負担しなければいけない面もありますから、それに関してどのような仕組み作りが可能かということを我々なりに一生懸命検討しているところでございます。
 それに基づいて、繰り返しますが、やはりこれは守らなければいけない財務基盤の強化の基準というのは基準として大切にしながら、リレーションシップバンキングの機能を強化する道を探りたいというふうに思っているところでございます。
#18
○櫻井充君 健全度を求めてこなければいけないというのは、これはもう至極当然のことなんだと思うんです。ですが、今アメリカの例を出されましたけれども、例えばアメリカの場合は、住宅ローンなら住宅ローンに関して言えばモーゲージローンというものがありますから、結局のところリスクアセットの部分というのは証券化してみんな減らせるわけですよね、結局のところは。
 そうなってくると、元々、自己資本比率というものを大きくするつもりがあればと言ったらおかしいんですけれども、これは前にもお話ししたことですけれども、そうやって証券化してしまえばリスクアセットの部分は小さくできる国とできない国というのは元々違うんだと思うんですよ。ですから、大臣は証券市場を活性化しなきゃいけないというお話をされていますけれども、それは当然のことなんですよ。
 ただし、それは、だけれども、アメリカでじゃモーゲージローンが始まって、それから、今は五〇%を超えたかと思いますけれども、それまでに何年掛かっているかというと、三十年掛かっているんです。あのアメリカで三十年も掛かっていて、日本で、さあ、あしたからやれるかといったら、それはやれないわけですから、そうなってくると、それまでの間どうやって担保するかとか、そこのところというのは必要なんだと思うんですよ。中長期的な部分と短期的なところでは全く違っているんじゃないだろうかと。
 ですから、結局のところはまた政府の信用保証みたいな、特別信用保証みたいなものをもう一回復活させてくれという声が出てくるわけです。いや、それはそれでもいいのかもしれませんよ。でも、そうすると今度は何になるかというと、銀行側はおっしゃるとおりリスクテークをしなくなるでしょう、何にも関係がなくなりますから。ですから、そういうことを起こさないためには、今の本当に規制の在り方でいいのかどうかというのを再検討しなきゃいけないと思っているんです。
 預金者のことをお話しされています。預金者の方々の不安はどこにあるかというと、はっきり分からないからなんですよ。安全だと言われているような銀行でもいつの間にかつぶれてしまうとか、安全だと言われていた生命保険会社がつぶれてしまうとか、そういうようなことがあるからみんな不安になっていて、どの情報が正しいか正しくないか分からないから不安になっているだけじゃないでしょうか。
 そしてもう一点、いつも申し上げていることですけれども、銀行の健全性だけを要求するから偏った融資行動に出ているというのもあるんじゃないですか。また病院で、またこれも話をしたかもしれませんが、いい病院というのは健全な病院でしょうか。この病院は経営が良かったらいい病院でしょうか、本当に。そうじゃなくて、ここの医者はどういうことが専門で、例えば内視鏡は物すごく得意だとか、手術の成功率は何%なんだとか、看護婦さんの態度はいいとか悪いとか、そういうことを全部含めていい病院か悪い病院かというそういう判断をされるはずなんですよ、皆さんは。経営が良かったらいい病院じゃないんですよ。それと同じだと思うんです。銀行は健全だったらいい銀行じゃないんです。そうじゃなくて、この方がおっしゃっているとおり、お互いに共生して地域を良くしていくんだというそういうマインドを持ってもらえるかどうかということなんだと思うんです。今の金融庁の物差しは健全性という物差しだけですよ。これは皆さんおっしゃっていることですから。
 そして、私が地元の金融機関の方々と話をすると、金融庁の方々が入ってくるたびに現場は竹中大臣の意図とは全く別の方向に動いています。例えば、不良債権が四百億あったら、四百億からカウントして一億でも積み増ししたらいい、何というか、役人になるんでしょうか、検査官だったという。そういう、とにかく不良債権さえ増やしてくればいいみたいなそういう感覚でやられている、そうおっしゃっていますよ、現場の人たちは。
 そこは大臣、大臣の認識と、大臣の思いと私の思いは一緒なのかもしれない。だけれども、現場は違っているんですよ。その辺のところを是正していただかなければ地域はますます悪くなると思います。この点についてどうお考えですか。
#19
○国務大臣(竹中平蔵君) 金融の現場が必ずしも今の時点で私たちが目指しているような状況になっていないという御指摘は、私はやはりそれは事実なのだろうと思っております。
 特に、例えば検査マニュアル一つを取りましても、検査マニュアルに書かれていることのその意図しているところと違うような形でそれが利用されているというような、そういうような情報も我々はたくさん入手しております。
 しかし、それに対してはやはりそれなりの対応策を取っていくしか私はもうないのだろうと思っております。そのマニュアルに関して言うならば、現場にそのマニュアルの趣旨を徹底させるための、周知、広報のための私は、仕組みを我々は今一生懸命取っておりますけれども、そういうことを通して、そういう地道な努力を通してしか今の制度を現実に定着させていくということはできないのであろうというふうに思っております。
 委員御指摘の評価の基準というのは、これは決して、信用のリスクに関して一つの八%ないしは四%という基準を我々は持っているのであって、それに基づいて監督はいたしますけれども、その評価そのものは、これはマーケットにおいてないしは社会において多様にやはりなされていくものだと思っています。
 リレーションシップバンキングに関しては、これは地域貢献に関する情報についてやはりしっかりした開示をしていくべきだというような議論が今ワーキンググループでなされているというふうに聞いておりますし、例えば地域の金融の一つの特徴としては、長期の運転資金をずっとロールオーバーで貸していくと、それが実はなかなか維持できなくなって貸し渋り、貸しはがしというような問題が起こるわけでありますが、これは実質は、融資といいながら実は出資と同じような効果を持っているのではないんだろうか。そうすると、例えばこれは一つの方法ですけれども、こういった融資については、むしろ出資と同じようにデット・エクイティー・スワップのようなものこそをそのリレーションシップバンキングに当てはめるべきではないだろうか。
 そうすることによって、今、委員がおっしゃっていた現実に対して、私は、しかしやっぱり四%の自己資本の基準、これは健全性の基準として一度決めたことに関してはしっかりと守りながら、今私が申し上げたような知恵でしっかりと仕組みを作っていくというのが我々の取るべき道なのではないかなというふうに思っているところでございます。
 このリレーションシップバンキングについては、これは櫻井委員の地元での会議などでも非常にいい御意見をいただいたというふうに聞いておりますので、それを今生かして、もう今月中というのは正に今週中でございますけれども、一つの報告として取りまとめたいというふうに思っているところであります。
#20
○櫻井充君 大臣、正しくそのことなんだと思うんですよ。私も、別に四%を二%にしてくれとか、そういうことじゃないんです。そこの中身の問題なんですよ。
 前にもお話ししたとおり、例えば条件緩和債権に関して、大臣は原則はそれは要管理先になりませんとおっしゃいますが、地域の金融機関の方々にお伺いすると、原則これはもう要管理債権になってしまうんですということなんです。そうすると、産業再生機構を作ってもしようがないんですよ、はっきり言えば、僕はそう思っているんですが。なぜかというと、産業再生機構みたいなお上がやるようなことではなくて、そこの銀行のところで企業を再生させてくれればこういうものは必要なくなるわけなんです。地域で一番よく分かっている人たちが、その地域の中でこの企業は生かさなきゃいけない企業なんだ、そう考えてきたときに条件緩和なりなんなりさせてあげられるようなシステムを作っていった方がよっぽどいいと思うんですよ。
 ところが、大臣は、条件緩和債権は原則は不良債権に格下げになりませんとおっしゃいますが、地場の方々と話をすると、原則これはもう要管理債権になってしまいます、引当金を積み増ししなきゃいけないんですよと言われるんですよ、おっしゃっています。これは金融庁の方々に対してそういう話が言えないんだそうです。もう言うと、その後仕打ちが何があるか怖いから、これは本当の話ですよ、そういうふうに言われているんですから。ですから、そういうところを徹底させていただくだけでも全然違うわけですよ。
 ですから、大臣、何回も言いますが、大臣がここで御答弁されているのと現場は違います。現場は違うからみんな苦しんでいるんですよ。そういった自己資本の在り方というか、そこの規制の在り方を、ここはお願いしておきたいんですが、是非、条件緩和債権は原則はもうこれは不良債権扱いするなと。これどのぐらいになっているのか、じゃ出させてみてくださいよ、数字を、ピックアップして、どこかの金融機関、検査官がどういう扱いをしているか。その上で、私が地場の金融機関から聞いている話と違っているのであれば、それはもうこの場で謝罪させていただきます。ですが、私が聞いている人たちはそうではないとおっしゃっているので、その点について調査して、そしてこの委員会でまた御報告いただけますでしょうか。
#21
○国務大臣(竹中平蔵君) これは、例えば貸し渋り、貸しはがし等々については、貸し渋り、貸しはがしのホットラインを設けて、それについて情報を集めて、今その情報を生かして、それをどのように検査に生かしていくかというような仕組み作りを行っております。
 これは櫻井委員から何度も御指摘をいただいておりますけれども、例えばマニュアルがどのように現場で運用されているのかというようなことも含めて、確かにこれは我々としては現場での周知徹底ということを繰り返し申しておりますけれども、その実がどのぐらい上がっているのかということに関しては、これは検査という手法になるのか、また別の手法になるのか、これは少し考えてみないといけませんが、更に我々なりに工夫をしてみなければいけないというふうには日ごろから感じております。
 この今の委員おっしゃった個々の扱いについて、それを一つ一つの取引をピックアップして調査するというのは、これはちょっと大変難しいことだというふうには思いますが、いずれにしましても、櫻井委員が御指摘の点、システムが現場ではそのように機能していないのではないかと、そのような点について、先ほどのホットラインに基づく検査というのが一つの方法であろうかとは思いますが、どのようなことができるかということについては、これは日ごろから考えてはいるつもりではありますが、更に様々な御指摘を踏まえて我々なりに工夫をしてみたいというふうに思います。
#22
○櫻井充君 よろしくお願いします。別に一件一件やってくれと言っているんじゃなくて、条件緩和したらその債権が要注意先から要管理債権になったのかどうか、その比率だけ見てもらったって簡単なことだと思うんですよ。
 それともう一点、不良債権処理というと、小泉政権の不良債権処理はもう駄目な企業は淘汰しなさいという話なんだと思うんですよ。そうじゃなくて、茨城のある銀行なんかは破綻懸念先企業を再生して、そしてそれを要注意先に引き上げた、七十件ぐらいだったと思いますけれども。そうやって、不良債権だったものを企業再生して、不良債権でなくしているわけです。本来の不良債権処理というのはこういうやり方なんだと思うんですよ。
 ですが、この処理をやると物すごい手間暇掛かるんです。でも、その手間暇が掛かったその金融機関が評価されるかというと、決して評価されないシステムなんです。なぜかというと、その企業を再建したとしても、また今の御時世の中で新たな不良債権が出てきてしまうものですから、トータルとして見ると不良債権の額は増えているんですね。
 ですが、とにかくそういう手間暇を掛けて企業を再生していっているということに対して、何らかの評価をするシステムというのは僕は必要なんじゃないんだろうかと。励みになると思うんですよ、そういうことをやっていくということが。その辺のことを、まあ我々は金融アセスメント法案というのを提唱させていただいていますが、そこの中の指標の一つとして、地域に対しての貢献度という点で、企業を再生していった、そういう金融機関を高く評価しましょうと、そういうシステムを作って入れているわけなんですよ。
 ですから、別に我々が思っている金融アセスメント法案じゃなくても結構ですが、何回も言いますが、健全性だけを主張するのではなくて、そういう金融機関の努力が報われるような評価システムというのを是非導入していただきたいと思います。いかがでしょう。
#23
○国務大臣(竹中平蔵君) いや、櫻井委員がおっしゃったようなことを正に各銀行は積極的に取り組もうとしているのではないでしょうか。
 冒頭で悪い会社をつぶすというような御表現があったと思いますが、これは決して、もちろんそういうことではなくて、不良なままで塩漬けにしていては何にもならないでしょうと、だからそこは再建できるものをしっかり選び出して、そこをしっかりと再建させましょうというのが金融再生プログラムが非常に強く主張しているところです。だからこそ再生機構もできましたし、RCCの中の再生の機能も強化しているわけであります。
 私はやはり、しかし、この社会においてそういうふうにしっかりと再生されたところというのは、それはそれで市場で私はやっぱり評価されていくと思います。例えば、これはあえて実名を出しますけれども、トヨタはですね、トヨタは非常に昭和三十年代の苦しい時期にあった、そのときに助けていただいた銀行とですね、やっぱり取引をずっと大切にしてきた。それによってその再生を成した銀行は、これはむしろ、これは市場を通して非常に高い利益を得たというような形になっていく。そのようなシステムは、私はこの社会ではしっかりと働いているのではないかと思います。
 一方で、委員御指摘のように多様な評価基準が必要だろうというのは、私はそれはそのとおりだと思います。しかし、ここはあえて言うと、その評価を金融庁が行うのかマーケットが行うのか、それか、ないしは地域社会というコミュニティーが行うのか、そこの問題はいろいろあろうかと思います。そうした点も含めていろんな地域への貢献等々の情報については開示するような仕組みを作っていくということで、これは先ほど言いましたように、リレーションシップバンキングの委員会の中では議論をされているというふうに聞いております。
 そのようなものが形になっていくように、そのような答申が出ることを期待しておりますし、それに向けて、我々としては仕組み作り、政策の実現に努力をしたいと思っております。
#24
○櫻井充君 最後におっしゃったところは極めて大事なところでして、要するにマーケットが評価するんだというお話ですけれども、評価するためには情報がないと評価できないわけなんです。
 今、銀行でディスクロージャー誌というのがありますけれども、これは銀行のディスクロージャー誌を見ていただければ分かりますけれども、極めて自分勝手なというか、自分のところで都合のいい情報だけが提供されてきていることは、これは事実です。ですから、我々はその金融アセスメント法案で言っているのは、その情報公開する項目を我々は決めてきているだけであって、その項目をある数字以上のところに実現しなさいなんということは一言も言っていないんですよ。
 アメリカは違いますよね。アメリカは、地域再投資法という法律は、格付をして、銀行として不適格だという格付になってしまったら支店を出すことすらできなくなる、そういう罰則規定があります。アメリカは、アメリカはですよ、市場原理だ市場原理だと言いますけれども、これは行政側がちゃんとそういうCRA委員会というのを作って格付をして、罰則規定まで設けているわけです。
 それは何かというと、例えば仙台支店なら仙台支店があったとしても、仙台支店で十分地域に貢献していないということになれば、どこか、福島なら福島支店を作りたいといったときには、あなたは地域に貢献していない金融機関なんだから、別な地域に銀行を作ったとしても地域が駄目になるでしょうと。しかも、その支店を出すときに、地域の人たちと話合いをして、こういう貢献をしますという約束までさせられるんですよ。
 つまり、あの市場原理市場原理と言っているアメリカでさえそういう規制をきちんと掛けている。規制だけではなくて、まあ規制という言葉がいいかどうか分かりませんが、少なくともいろんな評価をされているわけです。そういうことも全部あるわけなんですよ。
 だから、私は極めて不思議なのは、健全度だけは金融庁が必死になってやって、健全度健全度とやります。あと残りの部分に関して言うと、あとは市場ですとおっしゃるわけです。そこが違うんじゃないかと言っているんです。公的役割があるから、銀行に公共性がうたわれているから公的資金を注入します、税金を投入する根拠になったはずです。だったとすると、そのために責任者に責任を取らせろとかいう議論だけじゃなくて、もう一つは、公共性があるんだとすれば、その公共性を担保する法律が必要なんじゃないですかということを再三申し上げているわけです。
 そのことに対して、我々の法律は格付しましょうなんということは一つも言っておりませんし、罰則規定も何もないんです、情報公開だけしましょうと。そして、その情報公開した上で、その情報を受けて、そこから市場原理が働くでしょうというのが我々の提案なんですよ。どうも柳澤大臣も竹中大臣も内容を十分御理解いただけてないというか、元々金融庁が十分御理解いただけてないからいつも規制だ規制だと、ある指標のものに沿って銀行をそういう方向に押し付けるのはおかしいという御発言をされますが、そうではないんですよ。ですから、是非改めてそのアメリカの地域再投資法というものの在り方というものを調べていただきたいと思います。
 FRBの方々と話をした際に、向こうでも言っているのは、やっぱり地域金融に関して、あれはアメリカの民主党の極めて大きな柱でしたから、共和党政権になってどうなるんでしょうねという話をしたときに、共和党政権になったとしても地域金融においては極めて重要な法案なので、これはこのままアメリカの法律として定着していくんですとおっしゃっていましたし、ある銀行の会長は、この法律があることによってスモールビジネスに対しての融資も進んでいったし、ただし、銀行は利益は上がっていませんよ。利益は上がっていないけれども、融資行動は進んでいったし、それからアメリカの国民の多くが住宅を持てるようになったというのもこの法律があったおかげだと思うということをその銀行の会長はおっしゃっているわけです。その方が言っているのは、健全性は当たり前だと、その上で公共性をどう我々は維持するのか、そのことをきちんと担っている、担ってやっていかなきゃいけないんだというお話をされている。
 ですから、是非もう一度その地域再投資法なり我々のその法律案を検討していただきたい。そして、その上でもう一度御答弁いただければなと思っているんですけれども、いかがでございましょう。
#25
○国務大臣(竹中平蔵君) アメリカのシステムそのものについては、私も以前から大変興味を持って見ております。恐らく、これはもう釈迦に説法でしょうが、アメリカの場合は、そもそも州際業務が認められていない中で、銀行というのが非常に本来地域のものであるというところから出発した国、そういうシステムと日本とはやっぱりいささか歴史、成り立ちにおいても違うところはあるのだろうなというふうには思います。
 しかし、それにしても、地域への貢献、地域への貢献のみならず、いわゆる社会的な貢献、銀行活動に対する評価の基準を社会的な面も含めて多面的なものにしていかなければいけないという思いは、これは全く同じでございます。であるからこそリレーションシップバンキング、櫻井委員が御指摘のような情報の開示というのは、その辺り、非常に重要なポイントになってくるであろうというふうに私も考えております。
 いずれにしても、これ、櫻井委員が中心になられたその民主党の案というのは、当然リレーションシップバンキングの議論に参加された諸先生方も十分に頭に入っておられると、その上で、今週にももう結論を出そうとしているわけでございますので、そうした点も踏まえてしっかりとした結論がリレーションシップバンキングのワーキンググループにおいてなされるというふうに思っております。
#26
○櫻井充君 済みません、あと、時間なのでもう結構でございますが、やはり是非考えていただきたいんです。その金融行政一つで、銀行も地域も生かすも殺すも金融庁の権限だと僕は思っているんですね。どうもその在り方がおかしいから地域がなかなか生かされてこないんじゃないのかなと、そういう感じがいたしますので、是非御検討いただきたいと思います。
 済みません、ありがとうございました。
 今の話を、済みません、踏まえてなんですけれども、福井総裁にお伺いしたいんですが、私は、日銀がこれ以上金融緩和政策を取っていったとしても、今の、大きく言うと、金融庁の金融機関に対する態度と、それからもう一つは、将来が見えないといいますか、この国が将来どういう方向になっていこうとしているのかとか、それから社会保障制度がどうあるのかとか、そこら辺のこの国の骨格というものが見えない限り、幾ら日銀が金融緩和を行っていったとしても、この国の経済というのは残念ながら立ち直っていかないんじゃないだろうかと、そういう気がしているんですけれども、まず福井総裁の御意見をお伺いさせていただきたいと思います。
#27
○参考人(福井俊彦君) ただいまの討議を聞いておりまして、最初にそのことに関して私の感じておりますところを申し上げますと、金融機関の健全性の回復というのは日本経済の将来にとって非常に重要な課題だと、これは櫻井先生もお認めいただけるんじゃないかと思いますが、その際に、自己資本比率規制にしても、あるいは不良債権の査定基準の厳格化にしても、極端な場合に公的資本を金融機関に投入すると、いずれも健全化のために必要な措置でございますが、これはもろ刃のやいばの面があると。どういう意味かと申しますと、金融機関の経営の自主性ということとの両立でございます。
 資産査定の基準の厳格化というのは、本来は金融機関が客観情勢の変化とか自分の財務内容の変化を見ながら、自らスタンダードを厳しくすべきところ、そのことと金融行政にプッシュされてやるということとのこの調和がいつも考えられていなければならない。金融庁は当然考えておられる。日本銀行もいつもそこは真剣に考える。
 自己資本比率規制にしても、当初から矛盾をはらんだもろ刃のやいばの面があるというふうに認識されていることでございます。自己資本というものは、金融機関というのはおっしゃるとおりリスクを取っていくのが商売でございますので、自分がどれぐらいリスクを取っているかということをはっきり認識して、必要な資本をいつも蓄積しながら経営をしています。これは自己完結的な自主経営になるわけですけれども、しかし、その自己資本充実という自主的な努力を背後から支援するために、自己資本比率規制というものが後押しの措置として入ってくる。しかもそれが、国際的な舞台で活躍する金融機関については、いわゆるレベル・プレーイング・フィールド、共通のルールで後押しをしましょうと、こういうふうになっているんですけれども。
 ところが、局面が非常に難しくなって、非常に多くの金融機関の財務内容が悪くなると、自己資本が予想以上に毀損されるというふうな状況になりますと、自己資本比率規制というものがやや自己目的化しちゃうと。自己資本比率規制を満たすためにということに比重が置かれ過ぎますと、本来は資本というのはリスクを取るためにあるわけですが、逆にリスクを取らないでおこうとすると、こういう方向に変わっていくと思います。
 企業体としても大きな組織でございますから、経営者は必ずしもそういうふうに思っていなくても、やっぱり金融機関の末端の現場まで行きますと、リスクテークをしないという方向に極端に営業の姿勢が硬直化するという、そういう矛盾をはらんでいることは事実だと思います。金融庁も十分そこは注意してなさっておられること、私はよく承知しておりますし、日本銀行もそこは十分注意しなければいけない。
 私自身、今、日本銀行に職を得まして、これからこの仕事にも真っ正面から取り組んでいかなきゃいけないと思っておりますが、金融機関の経営の健全性の努力は更に強力に推し進めると同時に、やっぱり金融機関を早く金融市場に招き入れると、この努力も非常に大事だというふうに思っています。
 櫻井先生おっしゃったとおり、今、世界も日本も、従来とはがらっと変わって、新しい価値観を追求して、それをいかに実現していくかと。それは企業も個人もコミュニティーもそうですし、あらゆる努力をしていく場合に金融機関はそれをきちんとファイナンスでサポートしていかなきゃいけない。従来的な意味で高い企業収益を上げるビジネス活動だけではなくて、地域は地域として新しい価値を求めた行動も出ていくわけで、その場合は、やっぱり金融機関は従来的な意味の、狭い意味のバンキングという意識を超えて、やはり金融サービス業として、社会の一員として価値観の実現というものに十分加担していく努力も今もう求められているわけで、一方で健全化の努力、これも大変厳しい努力、この矛盾した両方の努力をいかに調和してやっていくかということに今、日本の課題は懸かっているというふうに思います。私、日本銀行でこれから仕事をさせていただきますが、どこまでそれができるか、金融機関の経営者とよく話しながら始めたいと。
 特に、民間の金融機関は、最近、民間の市場で大型の増資をやりました。大型の増資をしたということは民間から資本を集めたということですので、資本を提供した方は決して金融機関に不良債権の処理だけやってくれということを期待しているわけではない。このお金を活用して金融サービス業を展開してくれということでありますので、重要なモーメンタムが金融機関には今与えられたというふうに思っています。ここを上手にやはり金融当局と金融機関とが呼吸を合わせてやっていかなきゃいけない、こういうふうに認識しております。
#28
○櫻井充君 本当におっしゃるとおりだと思うんですね。
 先ほど自己目的化というお話がありましたけれども、とにかくそこだけを中心にやられてきていることだと思いますし、それから、そのアメリカの私がお会いした会長、この方はアメリカでこの十年で十倍利益が上がっているんだそうですけれども、その方なんかの話だと、日本は金融機関がサービス業であるという原点を忘れてしまっているんじゃないだろうか、そこが一番大きな問題なんじゃないかなという話をされていました。
 しかし、そこの中で、何回も言うんですけれども、サービス業として忘れてしまうような、自己目的化してしまうというようなところは、金融行政の僕は在り方だったと思うんですね。金融行政が過度に、確かに金融システムが崩壊するかもしれないと言われた九八年に、あれは金融機関自体に問題があったからなんでしょう。ですから、その金融機関自体に健全性を求めるということはよく分かるんですよ。ですが、現時点は金融機関だけの問題ではもうなくなっているんじゃないかなと、そういう気がしてならないんです。
 ですから、ちょっとまた話はずれますが、日銀が幾ら金融緩和政策を取っていったとしても、随分やられていると思いますよ、しかし市場にはお金は回ってこないんです。これは資料をいただきましたけれども、結局、二年前と、日銀が当座預金を積み増そうが、金利をほぼゼロにしようが、公定歩合を引き下げようが、マネタリーベースは上がっているけれどもマネーサプライはほとんど増えていなくて、そういうことからして見てくると、日銀が幾らやっていったとしても、今の金融行政の在り方では私は難しいんじゃないのかなと、そういう気がしているだけなんです。
 ですから、何回もそこのところの問題は自己資本規制じゃないのかなと思って話をさせていただいているのと、もう一つは、企業が設備投資をできないというのは、この先どういう社会になっていくのか分からないということと、もう一点は、金融機関、話をしてみると、優良企業が金融機関を信用してないんですね。これは、大企業は別に株を発行して市場から直接調達できるでしょうけれども、基本的にはこの国は、中小企業というのは間接金融の国ですから、その間接金融の国が銀行を信用できなくなってしまったら経済活動が停止してしまうというのはもう当然のことなんだと思うんです。その意味で、金融機関のやはり在り方を変えていかないと、幾ら日銀が努力されても私は無理なんじゃないのかなと、そう思っています。
 そこで、こういう声もあるんですよ。このリレーションシップバンキングの懇談会の中で、もう金融庁は検査をしばらくやめてしまって、日銀考査だけでいいじゃないかと、そういう声もあるんです。お二人の方が日銀考査だけでいいんじゃないかというお話があるんです。これはなかなか答弁しづらいとは思うんですけれども、福井総裁として、こういう声をどうお考えでしょうか。
#29
○参考人(福井俊彦君) 私は、率直に言いまして、それは日銀が評価されているというふうにはとても受け止められません。日銀に対する過大評価だと率直に申し上げます。
 検査と考査は、従来からも重複感あるいは事務の負担感というものを金融機関に与え過ぎているという御批判をいただいています。したがって、事務負担は金融庁も日銀もなるべく先方に掛けないようにと努力はしていると思いますし、機能の面でも重複感をなるべく避けたいという努力はしているわけなんですが、しかしなお不十分な面があるかもしれない。そこは少なくとも日銀のサイドではよく点検したいと思いますが、やはり資産の査定といいますか、健全性のチェックという面ではある程度ダブらざるを得ない。
 しかし、そのほかの面ではかなり機能が違っていまして、日銀の場合には、おっしゃいましたとおり、金融政策の効果浸透を、実際にこの効果を運んでくれるのは金融機関でございます。金融機関の機能がしっかりしてなきゃいけない。それから、皆様方がいろいろ取引をなさって、最終的にお金の決済をするネットワークを組んでいるのも金融機関でして、金融機関の一つでもその決済を事務のそごで欠落いたしますと日本全国の決済が瞬間に止まるというふうな重要な役割を担っているものですから、日銀の立場から見ますと、金融政策の重要な運び屋としての担い手、それから決済システムの担い手としての金融機関のノウハウが上がると、そこにグッドアドバイスを常にしなきゃいけないという役割がございます。
 そういう面は金融庁とは全く違った仕事でございまして、その面にかなりウエートを置きながらこの仕事をしていきたい。ただし、健全性のチェックという点ではやはりある程度仕事がダブるということはやむを得ないし、特に現下のように健全性を進めなければ機能の向上も望めないと。両者は矛盾する面はあるけれども、これは両方やっていかなきゃいけないという大事な時期でございますので、そうやるべきではないかというふうに考えています。
#30
○櫻井充君 総裁、債権の査定というのがございました、今のお話の中で。大企業を見る目と中小企業を判断する目というのは随分違うんだろうと思うんですね。財務諸表を見れば、大企業はある程度今後どうなのかということを予見することができるんだろうと思うんですけれども、中小企業というのはそれすら、財務諸表すら、今あるのかどうか分かりませんけれども、零細企業になってきたらそういうものが当てになるはずがないわけでして、と言ったら言い過ぎかもしれません。むしろ、景気動向の方に大きく影響を受けるわけですから、そういう意味において中小企業の債権というものの査定というのがすごく難しいんだと思うんですね。
 今、健全性健全性という中で、取りあえずはまず何から始まるかというと、その査定から始まることになりますから、そこの査定自体が違っていれば健全性の指標は、そこにあと入力していくだけですから、健全性の数字というのは全然違ったものになってきてしまうんだと思うんですよ。
 もう本当に釈迦に説法なんですけれども、要するに、大企業は資本金というのは市場から直接調達できますよね。だけれども、中小企業というのは資本金すら金融機関から依存しているという、これがほとんどですよ、これが実態ですよ。そういう意味で、全く形態が違うものだと思うんですよ。その形態が違っているものを、今は大分変わりつつあるのかもしれませんけれども、基本的に一律に見てしまおうと思ったところに大きな問題があったんじゃないのかなと、その査定の在り方自体が。私はここら辺、全くの金融のことは素人ですからよく分かりません。
 ただ、皆さんからお伺いすると、我々は仕事が一発当たればいつでも良くなるんだと、だけれども、この景気の状況だからなかなか良くならないだけなんだけどねという声が圧倒的に多くて、それを一律に、今は違っているかもしれませんが、二期連続赤字だともう不良債権扱いとか、そういう形で査定し続けられたところに大きな問題があるんじゃないのかなと、そう思っているんです。その辺についていかがでしょうか。
#31
○参考人(福井俊彦君) 日本の大企業のかなり多くは即グローバル化企業、そういう大きな企業につきましては、当然、格付会社、投資家、いろんな方々が既に金融庁、日銀が見る前に目を通している。しかも、それが国内の投資家、格付会社、マーケットというだけではなくて、世界各地の投資家、格付会社、マーケットが見ているということですので、金融当局が目を通す前に、縦軸、横軸、斜め軸、既に相当企業の評価が進んでいる。したがいまして、金融庁、日銀が見ます場合にもかなり共通のスタンダードで、言わば横ぐし的に見ることが容易であり、またそれが正当性を得る度合いが高いケースだと思います。
 しかし、中小企業の場合には、何といいますか、中小企業を見る目というのはもっと範囲が狭いわけです。したがって、同じスタンダードで横ぐしを通すということはやっぱり実態に合わない面がかなりあるということだと思います。しかし、中小企業もやっぱりグローバル化の波、市場化の波から全く無縁ではなくて、なるべく市場の中で客観的な評価を得ながら信用供与あるいはマーケットからお金が取れるようにしていった方が、これからの世の中に中小企業が生きていくためにも非常に大事なことだ。したがいまして、日本銀行も中小企業の売上債権の市場を作ろう、これからまたいろいろ日本銀行のオペレーションの対象にも工夫を加えて入れていこうと、こういうふうにしております。
 この流れの中で申し上げますと、中小企業も財務指標というものをなるべく客観的に作って、それをデータベース等蓄積して、これをみんなで共用しながら、ある程度共通のスタンダードで企業の判定ができるようにしていった方がいいと。今、IT時代でございますので、中小企業の財務指標のデータベース化というのも相当進んできております。これらを利用しながら、従来よりは近代的な中小企業の信用査定というのはこれからできるようになってくると思います。マーケット作りをするための前提でもございます。
 しかし、それにもまだ掛からない中小零細企業というのは、日本の経済を支えているという部分が非常に多いわけでして、これは金融機関と、個々の金融機関と中小企業の経営者とがやっぱり将来を見据えて、そのビジネスの将来にわたる盛衰ということに対して真剣な話合いをして、最終的にはやっぱり、経営者が信用できるかどうかというレベルまで突き進みながら、正確な企業診断が要ると。それぐらい中小企業の世界は広がりのある世界だというふうに思っております。
#32
○櫻井充君 ありがとうございました。
 それでは、日銀のもう一つインフレターゲティングについてお伺いをさせていただきたいんですが、インフレターゲティングという言葉よりも金融緩和政策と言った方が正しいのかもしれないので、そのことについて質問させていただきたいんですが、その前に、経済は医学の分野と違って社会実験ができませんから、これまでの政策が良かったのか悪かったのかという評価をきちんとしていかないと、この政策が妥当性があるかどうか、有効なのかどうかというのを判断しかねると思うんですね。
 後で別なことで今回の租税特別措置法についてもお伺いしますけれども、要するに、こういう政策を打ちました、こういう政策を打った結果、社会がどう変わったから有効だったか、余り効果がなかったのか、そこら辺のところの判断というのをしていかないと、次の政策を打つときにやはり間違ってきてしまうんじゃないのかなと、そういう気がしております。
 まず、なかなかお答えにくいのかもしれませんが、この激動の五年間、平成十年の金融危機から以降、この五年間の日銀の政策判断、そして打ってきた政策内容について、どのように総裁は総括されているのか、まずその点についてお話しいただけますでしょうか。
#33
○参考人(福井俊彦君) 現在も非常に厳しい状況ですし、この先もその厳しい状況を覚悟して対処せざるを得ない状況だと思いますが、過去五年間、つまり速水総裁がリーダーシップを発揮されました過去五年間も非常に厳しい、ひとときも恐らく息をつく暇もないぐらい厳しい状況の連続であったろうというふうに考えています。
 特に、経済情勢が非常に悪い状況のまま推移している、金融システムが未曾有の不安感に包まれる、アジア危機が起こるというふうに、内外激動の中でございましたので、日本銀行として、やはり金融政策の面でも信用秩序維持の面でも歴史上ないような領域にまで踏み込まれた。ゼロ金利政策とか量的ターゲットへの切替えとか、銀行からの株式買入れ措置等がその代表でございますが、そこまで踏み込んでやられて全く成果がなかったかというと、やはり私は成果のある面、及ばなかった面と、そこを正確に見分けながら、私が引き継いでこれから仕事を果たしていかなければいけない。
 成果のあった面というのは、やはり金融市場の安定化維持という点では相当な効果があったと思います。様々なショックを、やはり多く流動性が供給されているために、金融資本市場がうまくこれを吸収したと。少なくとも市場の中で不安感が更に拡大するというふうなことは防げたということが一つあると思いますし、実体経済の面でも、デフレが非常に長く続いて厳しい状況だということは事実なんですけれども、物価下落率が際限もなく大きくなる、そして経済を巻き込んでスパイラル的に経済が落ち込んでいくという状況を、そこまでは行かないところに経済をとどめていると。一言で言えば、デフレスパイラルをぎりぎり食い止められる均衡を保持するだけの効果はあったかなというふうに思っております。
 これから先はそれでは満足できないということでありまして、本当に経済に活力をもたらすような方向に行かなきゃいけない。その中間段階として、やっぱり今よりはマネーサプライが増えるような方向に効果を出していかなきゃいけない。そこを私の宿題として、宿題と申しますか、もう直面している課題として預かって今仕事を始めさせていただいたと、こういうふうに思っております。
#34
○櫻井充君 今、まずその前に、デフレスパイラルの前で止まっているとおっしゃいました。本当にそうなんでしょうか。
 つまり、まず物価は下落しています。企業の収益も落ちていると思います。ですよね、法人税が減っているわけですから、恐らく企業全体としての収益は落ちていると思います。それから、所得税自体も減っているわけですから、これは個人所得も落ちていると思います。問題は消費なんですが、消費はほぼ横ばいぐらいかと思いますが、貯蓄率はたしか下がっていると思うんですね。つまり、中でためていたお金を少しずつ使い始めるしかないということになってきているのかなと、そんな感じがしています。
 ですから、スパイラルの前に止まっているという認識は、私は若干違っているんじゃないだろうかと。もちろん企業によって違うかもしれません。ですが、この国内全体で見てきたときには、何回も申しますが、法人税が減収になっている、そして所得税が減収になっているということを考えてくると、もうスパイラルに入っているんじゃないだろうかと。それは劇的なものではない、緩やかなものかもしれませんが、スパイラルの状態に入っているんではないんでしょうか。
#35
○参考人(福井俊彦君) 判定が非常に難しいということは率直に申し上げます。しかし、日本経済はやはり持てるイノベーションの力が非常に強いと。しかし同時に、過去の過剰投資による今後生かすことができない不良な設備ストックも大きいと。イノベーションの力は大きいんですけれども、企業としてみれば過去に抱えた過剰投資の荷物も重い。この両方のバランスが、ともすれば荷物の方に引き寄せられがちな状況と。経済全体についてもそのことが言えるという意味では、デフレスパイラルに陥っていないといってもぎりぎりの均衡とあえて言わざるを得ないと思います。それぐらいの微妙な状況を今ぎりぎり維持しているということですので、これから先の対応が物すごく重要だと。
 ただ、企業もそのこと自身は非常によく気が付いておられて、苦しいけれどもやはり新しいイノベーションの芽をしっかりつかんで、これを収益モデルに築き上げるという努力を今懸命にしていることは事実でございます。そういうところに政府の政策の効果、それから日本銀行の金融緩和の効果がきちんとお届けできるようにしなければいけないと。これは理論の世界を超えて、現実の世界としてそこを丹念に運び屋の仕事をしなきゃいけないということじゃないかと思っています。
#36
○櫻井充君 若干認識が違うような気がするんですが。
 もう一点、マネーサプライの──マネーサプライの前に、私、日銀がこれまで五年間取ってこられた政策の中で良かった点は、国民なり企業なりに痛みを最小限にとどめたという点、これはすごく良かったと思うんです。ですが、逆に言うと、痛みを最小限にしてしまったことが国民全体の危機感を持たせなくなってしまった、これはまた一つ大きな問題なんだと思うんですよ。
 また医者の話で申し訳ないんですが、自覚症状のない患者さんに、あなた、がんですから手術してください、受けてください、更なる検査を受けてくださいと言うのは一番難しいんですよ。どこか痛いって来ると、じゃ、その痛みの原因を調べましょうと言って検査すること自体は楽なんですけれども、このままほうっておくともう危ないですよと、我々は分かるけれども、一般の患者さんたちに分からないような場合に、それを説得するというのは極めて難しいことなんですね。
 ですから、その意味において、日銀が取ってこられた政策の中で、痛みをなるだけ少なくした、これはある部分評価されることだとは思うんですけれども、ですが、実を言うと、そのことが日本経済の立ち直りを遅くしてきているかもしれないとも思っています。
 それからもう一点、危機の問題で言ってくると、この三月、生命保険会社がどうなっていくのか分かりません。生命保険会社の予定利率の引下げを行うかどうかということを昨年か一昨年の夏、審議会で検討会が行われているんです。そこの中で、このままゼロ金利政策が続いていけば、あと数年後、ほとんどの生命保険会社が破綻に陥るだろうってある方が述べているんです、これは本当にはっきりと。そうなってくると、生命保険会社なら生命保険会社の危機を招いてきている可能性もないとは言えないと思っていますし、それからもう一つは、よく言われていることですけれども、預金者にとって決してプラスではないだろうと。ですから、そういう大きなマイナスを持ちながら実際その政策を打たれている、そういうことですよね。
 ですから、改めてもう一度お伺いしたいんですけれども、その辺も含めて、この五年間の政策で言うところの良かった点と、つまり、良かったというよりも、この目標に向かって実は日銀はゼロ金利政策を打ちましたと、その効果は自分らが政策目的としたものに関しては達成できたのかできなかったのか、そして、それのために痛みを伴っていますから、その痛みの部分は一体何なのか、もう少し具体的に御答弁いただけないですか。
#37
○参考人(福井俊彦君) ただいまの御質問は、企業の努力と政府の努力、そして日本銀行の政策、これを等しく並べて吟味しませんと、どの企業あるいは民間セクターに対して甘過ぎたのか辛過ぎたのかという判定は非常に難しいと思います。
 金融政策だけ取れば、ゼロ金利にしないで、金利は低いけれどもプラスの金利で、ぎりぎりもうゼロに近い低いところに仮にとどめていたとすれば、現状との比較で言えば明らかに、何といいますか、民間部門の新陳代謝が早く進むと。おっしゃるとおり、苦痛がより増すと。苦痛がより増すけれども、それを処理すれば次の局面により早く行けると、ロジックとしてはそういうことになると思います。中前さんという方がいつも主張しておられるのは、そういう主張でございます。
 しかし、ゼロ金利ないしは量的ターゲットに切り替えたがゆえに金利負担がゼロになったということはかなり痛みを和らげていると。お医者さんのあれでいきますと、何といいますか、鎮痛剤を打って、民間の努力、自分で努力してくださることを期待しているという部分にゆだねているということは事実だと思いますが、それは他の政府の政策との組合せの中で、日本銀行はそこまで行く必要がなかったのかどうなのか、あるいは民間自身の自主的な努力を促すという点で、それでは日本銀行の緩和、行き過ぎたのかどうなのか、この三方向からきちんと吟味をしないと何とも言えない。
 恐らくこれまでの日本銀行は、そんなに日本銀行だけが緩和を突出してやろうというふうに恐らく判断されたわけじゃないと思いますが、世の中の不安感を必要以上には増幅されない、ぎりぎりのところをねらいながら緩和を進められたんじゃないかと推察をいたしております。
#38
○櫻井充君 おっしゃるとおりですね。要するに、痛み止めを打っている間に手術をすればよかったんだと思うんです。それができなかったから、こういう形になってきてしまったのかなと、そう思います。
 その上で、今、国債を一兆二千億円引き受けているわけですよ、毎月毎月、引受けというんですか買い切りというんですか、オペを実行されていますけれども、それを増額されるという意思はおありなんですか。つまり、増額することによって、どの点においてプラスだと、現状ですね。現状で、政策を日銀が一つ変えることになったとすれば、日銀が一つ変えることになったとすると、どういう効果があると判断されているのか、効果がないと判断されているのか、その点についてお答えいただけますか。
#39
○参考人(福井俊彦君) 今は金利を操作することができませんので、日本銀行の金融政策として、本来一番重要な道具立てである金利が使えないということで、流動性を多く供給するということを主眼にやっております。そして、流動性が本当は企業、金融機関の末端にまできちんと行き届けば経済の活性化につながると、こういうシナリオでやっているわけです。
 取りあえず、入り口のところの流動性の供給というのは、やはり日本経済にどういうショックが及んでくるか、日本経済の状況はどうかと常に診断をしながら、日本経済の体温を見ながら必要な流動性を供給していく。流動性を供給する手段としては、日銀貸出しもありますけれども、今は基本的にはマーケットから様々な債券を買って供給していく。この場合に日本銀行としては短期の債券、長期の債券のバランスの取り方、そして長期の債券については国債がその場合は中心になると、こういう組合せでやっております。
 したがいまして、今後とも国債は買いオペの重要な柱としてやっていく。その基本は、国債を買うために買っているんではなくて、必要な流動性を供給するためにやっていかなきゃいけない。
 しかし、もう一方の仕事は、供給した流動性がちゃんと前向きの仕事をなさる企業のお手元に届いているかどうかと、ここが非常に大事な点でございまして、この作業をこれからしっかりやっていきたいと。大変難しいんですけれども、どこまでやれるか、やりたいと。またお知恵を拝借したいと思っています。
#40
○櫻井充君 ありがとうございます。そこなんだと思うんですね。
 例えば、今の中で言うと、財政なら財政についてはもう今度は逆に言うと締め付けますという話になったりとか、それから自己資本規制なら自己資本規制でかなり、私の認識ですけれども、貸出ししにくいような条件になってきたりとか、どうもアクセルを踏んでいるところとブレーキを踏んでいるところがあってなかなかうまくいかないんじゃないのかなと、そういう感じがします。
 さて、法案の方に入りたいんですが、まず小泉総理は三十兆円枠というものを定めて財政再建を行おうとした。今も財政再建を行おうとされているんだろうと思います。そこで、平成九年の財政構造改革というのは、あれは失敗と言っていいのかどうか分かりませんが、少なくともあれでとんざしてしまったんだと思うんですね。
 その意味において、今回の小泉政権でも、財政構造改革をやっていきます、財政再建をやりますと高らかに宣言されました。三十兆円枠を固持するとおっしゃったけれども、目標だったんでしょう、その目標を外されました。財政再建は現時点で小泉総理が就任された当初と比べたときにこれはうまくいっていると、順調なのか、それともとんざしているとお考えなのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
#41
○副大臣(小林興起君) 財政再建の中で最初にうたいました三十兆円枠、これは安易に国債を発行しないというその精神を数字で、この発言を、歯止めを掛けたということでございます。
 そういう中で、予算のいろんな意味での厳しい見直し、そうした中での構造改革というのが進められているわけでございまして、そういう意味では、その路線は総理が自ら申しておられるとおり守られているわけでございますから、財政再建の考え方は進んでいるというふうには思っているところでございます。
#42
○櫻井充君 そうすると、財政再建は今のところは進んでいるわけですね、順調に。
#43
○副大臣(小林興起君) 順調というのが、これはちょっと客観的に順調かどうかというのはまた難しいわけでございますが、総理のお気持ちとしては順調に進んでいると。総理のお気持ちとしては順調に進んでいると思いますが、我々として見ても、方向としては正しい方向に向かっているということでございます。
#44
○櫻井充君 総理の気持ちは順調。財務省の気持ちはどうなんですか。
#45
○副大臣(小林興起君) 総理と同じでございます。
#46
○櫻井充君 そうすると、まず、じゃこの国の今の財政状況から見てみると、これ企業で見たときに不良債権扱いになる国なんでしょうか。つまり、今の財務状況でこれだけ多くの借金を抱えてきている、なおかつまた借金の額がどんどん増えてきているというような状況ですと、これ企業で見るとどの程度の企業、格付ありますよね、今ね。正常先ではないと思いますが、これ要注意先ですか、それとも破綻懸念先ですか。
#47
○副大臣(小林興起君) 一口に借金借金と、こう言われるわけでございますが、御承知のとおり、諸外国であればこういう赤字に転じているような、財政の赤字が非常に大きい企業の場合には、国債なんかにしても外国で調達する。日本なんか、要するに買ってやっていることが多いわけですけれども、そういうような国が多い中で、日本は国内でほとんど消化しているわけでありまして、つまり国の富、日本国というものを見たときに、非常にお金が国内できちっと回る、むしろ外国には貸し付けている。そういう底力を見ますと、日本の経済は今なお心配するには及ばないということだと思うところでございます。
#48
○櫻井充君 そうしますと、一般企業も借金さえでき続ければ底力がある企業だということになるわけですね。そういう判断ですか、伊藤副大臣。金融検査で入られるときに、借金さえ、これだけ多額の借金を抱えている国がまだ更に借金ができるから、その借金は国内で全部整理できるから、だからこの国はまだ底力があって大丈夫なんだと。
 こういう企業に対して、今金融庁として査定するとどの程度の格付で査定されているんですか。
#49
○副大臣(伊藤達也君) 国債の議論と企業の問題はちょっと次元が違いますので。
 ただ、国債というのはある意味では今まで最も信頼の高いものだという認識があって、その中でいろいろな議論が私はあるんではないかというふうに思います。企業の場合には、これは個々いろいろな経営の内容によってその健全性や財務内容を判断していかなければいけないわけでありますから、そのことを一概に同じ次元で議論をして私どもの考え方ということを述べるのは非常に難しいと思いますので、その点は御理解いただきたいと思います。
#50
○櫻井充君 本当は同じで判断してもらわないといけないことがあるんですよ。なぜかといいますと、この間、予算委員会で質問いたしましたけれども、医療費の、国家公務員にはこういう制度がございます。是非皆さん聞いていただきたいことがあるんですが。
 ある程度一定以上の医療費が掛かってくると、国家公務員の場合には還付制度があって全部戻ってくるんです。月額二万円以上掛かるとそのものは全額戻ってくる制度がございます。その戻してくる制度が政管健保にもございます。中小企業の方々が加入しているそういう政管健保にもあるんです。ところが、政管健保の方々の事業者の経営状況が極めて悪いこと、保険料を納入しているサラリーマンの皆さんたちの保険料が少ないことで、その還付制度はあるけれども実質は行われていないんです。ところが、国家公務員にはこの還付制度があるんです、いまだに。
 この還付制度の財源はどこかというと、事業主は国ですから、国から年間三十億程度だと思います、そのお金が拠出されてきている。そして、もちろん国家公務員の方々のお給料が高いですから、その方々の保険料も高いんでしょう。そのお金があるからいまだに還付制度が実現している。ですから、私はこういうことをお伺いしているんであって、民間企業はそれだけの余力がないから仕方がないんです。
 しかし、政管健保に本来は税金が全体として、保険の全体として一六・四%から二〇%入れなきゃいけないというのを、特例措置で附則のところに一三%と書いているんですよ。つまり、国税を本来入れなきゃいけない額を入れないで、そして事業者に負担させて、企業が悪くなっているからそういう還付制度もありません。一方で、国は多額の借金を抱えています。しかし、今事業主として余裕があるからと、この間の御答弁です、予算委員会。余裕があるからできるんですという御答弁でした、これ。だから今日は聞いているんです。余裕なんかないはずなんですよ。なぜこの赤字企業が、多額の赤字企業が事業主負担ができて、できるのかどうか、そこが極めて不思議なんです。ただ、私は、だからといって、国家公務員のこの制度やめろと言っているわけじゃないんですよ。
 大事なのは、社会保障に関してもっと金使った方がいいと思っていますから、三割負担にするんであったら、そういう還付制度ができるような形にしてあげないと、政管健保に加入されている方々も、そうじゃないとサラリーマンの人たちは大変なんですから。今回の税制のことでもそうなんですけれども、とにかく中小企業で働いているサラリーマンに対してほとんどの恩典がございません、今回の税制の改正の中で。ですから、国はどの程度、企業として比較した際にどの程度悪いのかということ、いいのかということを出していただかなければ、この間の予算委員会の答弁との整合性が取れないんですよ。いかがですか。
#51
○委員長(柳田稔君) だれに答弁を求めますか。
#52
○櫻井充君 副大臣。
#53
○副大臣(小林興起君) 現在の日本の財政の状況に問題があるのかないかということであれば、問題があるからこそ、小泉総理は財政再建ということもうたっているわけでございまして、先ほど順調と申し上げましたのは、そういう構造改革、今直さなければいけないところがあるということの中に、直そうという方向に向かっているときに、それでは今取っている方策がやがてきちっとした形で財政の再建もなし上げる方向で動いているのか、それとも絶望的な方向で動いているのかということの中に、二〇一〇年にプライマリーバランスも回復するという目標を掲げながら、きちっきちっと順調に改革が行われているというふうに申し上げたところでございます。
#54
○櫻井充君 現時点がどうなのかで判断されるんじゃないんでしょうか。だったとすると、企業もそういう判断してもらいたいんですよ。企業も再建計画を立てたら、じゃそれを見ていきましょうと、そういう判断してもらいたいのに、企業に対しては極めて厳しいわけです。そして、自分たちが運営しているところには極めて甘いんだと思うんですよ。これ、やっていけるかどうか、これから分かりませんよ。
 じゃ、もう一点、つまらない話なのかもしれませんけれども、外務省の在外公館の職員の配偶者手当というのがございます。これ、丸々その在外公館の職員の二〇%、配偶者にいまだに手当が出ているんですね。この点について、なぜこうやって二〇%出さなきゃいけないのか教えていただけないですか。
#55
○政府参考人(北島信一君) お答え申し上げたいと思います。
 在外公館に勤務する外務公務員に支給される配偶者手当でございますけれども、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の規定に基づき配偶者を伴う在外職員に支給されるものですが、考え方でございますが、これは在外職員が在外公館において勤務する際に配偶者を伴うことによって追加的に必要となる経費に充当するため、このために支給されるということでございます。
#56
○櫻井充君 この御時世に、見直す御予定というのはないんでしょうか。
#57
○政府参考人(北島信一君) 委員から現在の状況というお話がございましたけれども、外務省としても、現在の厳しい国内の財政事情、賃金・雇用情勢等を重く受け止めまして、在外職員に対して一層の経費節減を求めるということで、平成十五年度の予算案におきまして、在勤基本手当の水準を、すべての在外職員平均で対前年度比おおむね一割削減するということといたしました。この結果、在勤基本手当に連動する配偶者手当につきましても、すべての在外職員平均で対前年度比約一割減ということになります。
 今後とも、配偶者手当を含む在勤諸手当の内容、それから水準については必要な見直しを行っていきたいというふうに思っております。
#58
○櫻井充君 本来、幾ら掛かったから、それに対して必要経費として請求されるんなら分かるんですよ。どんぶり勘定と言うんですね、こういうのをね。いまだにそういうどんぶり勘定が行われているわけですよ。いや、多分これ調べるときっといろんなことが出てくるんだろうなと思うんです。
 そうやって、申し訳ないけれども国民の皆さんにはいろんな負担を強いておいて、自分たちはいまだに、自分たちのところだけはきちんと守られているというのは、皆さん理解されないと思いますよ、本当に。ですから、そのことによって十分な国益が得られているというのであれば、これは皆さん納得されると思うんですね。このことによってどういうものが、どういう利益があったのか、そのことについてきちんと説明できますか。
#59
○政府参考人(北島信一君) なぜ二割なのかという御質問だろうと思いますけれども、配偶者を伴うことによって、海外での勤務生活を始めるに当たり新たに購入を要する物品等に掛かる費用、それから外交行事への出席等の外交活動に要する経費などがおおむね二割程度追加的に生じるという考え方でございますけれども、当然のことながらこれは外交活動に要する経費ということでございますので、私どもその種の活動を一生懸命やっていきたいというふうに思っております。
#60
○櫻井充君 だから、それはそれに見合っただけの効果があるのかどうかということをお尋ねしているんです。その実績をお話しできますか。
 もう一点言っておきますと、これはどうせ答弁できないでしょうから結構ですが、要するに在外公館の役割というのは邦人保護だと思うんですよ、一番は。
 それで、在外公館の方々、お医者さん連れていかれていますよね。一般の方々がそこに行って治療を受けられるかというと、治療を受けられないんですね。職員は受けられるんです。これは医者によるらしいんですけれども、規定は、基本的な規定は、在外公館職員の医療の面倒だけ見ればいいということになっているんだそうです。一般の方々でも、言葉通じなくて大変だったりして、ここ来ると断られるんだそうです。実際、私の友人、断られていますからね。
 ですから、そういうこと一つ取ったって、本当に真っ当なことやられているのかどうか分からないわけですよ。こういうことを分かったらみんな怒りますよ。今だって外交の在り方、本当にそうなのかと。
 私は諸謝金というのを調べさせてもらったけれども、あれだって使い方いい加減でしたよね、今までは。諸謝金の使い方マニュアルの中に何て書いてあったかというと、これはあなたの手当ではありません、これからは事務経費として処理してくださいと書いてあったでしょう、平成十二年版だったか何か忘れましたけれども。かなりいい加減に使われていますよね。ですから、ちゃんとこういうものに関してだって、こういうこと、このお金によってこれだけの実績が上がりましたということがなければ、見直してくるのが当然なんだと思うんです。御答弁はもう結構でございますが。
 とにかく私が申し上げたいのは、国民の皆さん方には負担は強いてくる。しかし、自分たちの既得権益だけはきっちり守っているということではなかなか理解は得られないのではないのかな、そういう気がします。
 そこの中で、また国はどんどんどんどん借金を重ねていって、財政が大変だから、いずれ増税という話になるのでしょう。もう私は昨日の浜田先生と同じで、増税必要だと思っています。しなきゃいけないんだと思っているんですよ。
 そこで、もう一つお伺いしたいのは、税収中立という言葉が今全面的に出ています。多年度中立だというお話になっています。多年度中立ということは、どこかがゼロであって、そこからプラスになるかマイナスになるか。つまり、現時点がふさわしい税率だという考え方に立てば、多年度税収中立というのは成り立たってくるんだろうと思うんですよ。その意味で、税収中立という概念ではなくて、国民負担率という点で考えたときに、今我が国の国民負担率はどうなのか。どうなのかというのは、適正なのか、どう判断されるのかということなんです。
 今、日本は税負担と租税負担とそれから社会保障負担で大体所得の三六%ぐらいでしょうか。アメリカとほぼ同じぐらいだと思います。イギリス、ドイツ、フランスが五〇%から六〇%ぐらいの間で、スウェーデンが七三%ぐらいですよね。そのことから見てみると、国民負担率というのは極めて低い国なんです。
 それで、税収中立とかそういう考え方ではなくて、現時点において租税負担の割合というのは適切だとお考えなのか、社会保障負担というのは適切だとお考えなのか。後者については厚生労働省の方から御答弁願いたいと思います。
#61
○副大臣(小林興起君) 国民負担率、国民に御負担をいただくわけでございますから、やはり納税者から見れば自分のお金が何に使われるのかということの国民の感覚、バランスの中に決まってくるだろうと思うわけでございます。
 したがって、今のところ、現在いただいている税でもって自分たち国家が、国民がどれだけサービスを受けているかというようなことの中に今現在が決まっていると思うわけでございますが、それは大体諸外国に比べて、実は日本は税の負担率が低いと。その分しかしサービスが随分あるというのであれば、その差額は何かというと、正にそれが借金財政、国債を発行して、その借金でもって実はサービスをたくさんしているわけです。
 ですから、国民負担率といいましても、先生がおっしゃった三六・一という数字は、これは実際税金あるいは社会保険で払っているものでございますから、私はやっぱり借金の財政の部分も上乗せして考えるべきだと思うわけでございまして、それが受けているサービスですから。
 そうなりますと、日本はやっぱり五〇。逆に言うと、五〇を超さないようにというふうに国で決めておりますから五〇にまだ達しないですけれども、しかし達しつつあるという現状において、いや、これをずっと借金財政で行くのか、正直に、ここは皆さんにサービスしているんだから税で本来補うべきだということになりますと、財政の赤字の解消にもなるわけですから、そういうことをこれから議論していかなきゃならないわけでありますが、さはさりながら、今日の不況の状況で、今、租税負担率、税金を上げるということはなかなか言い出しにくいという状況も多分あると思うんですね。
 そういう中で、当面、税収については、減税してもすぐ増税、増収にするということで、このところについては議論は今止めているということではないかと思われるわけでございます。
#62
○政府参考人(水田邦雄君) 先生御指摘のとおりでございまして、我が国の社会保険料あるいは税負担の水準は、ヨーロッパの諸国と比較をいたしますと、人口の高齢化あるいは年金制度の成熟化の違いによりまして、相対的に低い水準にございます。
 しかしながら、御承知のとおり、我が国におきましては、少子高齢化が諸外国よりも急速に進行しておりますので、こうした中で今後社会保障の給付は急速に増大するものと見込まれております。これに伴いましてある程度の負担の増大は避けられないと認識しておりますが、経済社会の活力が損なわれないように、また将来世代への負担が過重なものとならないように、給付の見直しと効率化を図り、負担の上昇を極力抑制する必要がある、こういった認識でございます。
#63
○櫻井充君 重税感はやっぱり皆さん持たれているんですよね、これだけ負担率が低くても。それは何かというと、使われ方がやっぱりおかしいからなんだと思うんですよ。
 そこで、アメリカは公益寄附という制度があって、例えば一般の方ですと、例えば一千万なら一千万の所得があると、五百万まで寄附をすると結局のところは税額控除というか、所得から控除されて、そして所得控除の対象になってくると。その公益寄附で今どのぐらいかというと、一千七百五十億ドル、ちょっとこの数字、正しいかどうか分かりませんが、大体そのぐらいだと言われていて、アメリカの税収全体で七千五百億ドルぐらいですから、大体二〇%ぐらいがその公益寄附なんだそうなんです。
 その公益寄附というのはどこに寄附していいかというと、全部じゃありませんで、それは例えばアメリカで言うNPOです。アメリカで言うNPOというのは日本で言う医療法人も含みますし、社会福祉法人も全部含んでNPO法人です。NPO法人で働いている人たちが全体の一〇%ぐらいいらっしゃるという状況になっております。
 そうしてくると、日本ももう少しこういった公益寄附というようなものを進めていく制度を作っていくと、申し訳ないけれども、財務省が自分たちで税金を集めて使うお金以外のところの財源が出てくると、社会は大きく変わっていくんじゃないかなと、そう思うんです。
 例えば、医療の問題でいいますと、今、社会保障でこれから負担がどんどん増えてくる、だれが負担するのかという話になります。今、病院で、僕は最大の問題になっているのは、基本的には医療保険からしか収入を病院が得ることができないという、そのために差別化を図っています、患者さんの。この患者さんを診た方が、例えば胃カメラなら胃カメラをやった方が短時間で収入が上がります。私は心療内科やって、今、引きこもりの方とか拒食症の方の治療、まだやっていますが、一時間診てもせいぜい三千円とかその程度しか病院に収入入らないんですよ。そうすると、そういう人たちを診ようという気にならないから、日本の心身医学の発達も遅れているんですね。
 これから増えていく中で、じゃ、どうやったら収入を増やすことができるのか。そのことを考えてくると、アメリカのような公益寄附という制度を導入してくること、つまりは、今までは納税者がだれなのかという話、だれに負担してもらうのかという話だけで来ましたけれども、これからはその個人、どなたに、ある種、税だと思いますけれども、税の使い道の決定権があるのかという、そういう議論がなされていってもいいんじゃないかな、そういう思いがあるんですけれども、この点についてどうお考えでしょうか。
#64
○副大臣(小林興起君) 確かに、アメリカに行きますと、これはだれが寄附した、これはだれが寄附した、そういうものがたくさん目に付くわけでございます。そして税制の方でも、今、先生が言われましたとおり、日本は自分の所得の四分の一は寄附した場合に所得控除されるわけでありますけれども、税で面倒見てもらうわけでありますけれども、アメリカであれば多いところでは五〇%に達することもあるということでございまして、それに高額所得者がはるかにアメリカの方が多いということもありまして、そういうものが目に付くわけでございますが、これは自分のお金を出すわけですから、やはり所得も相当多くないと出てこない。そういう高額の所得を取るような仕組み、社会になっているかどうか。例えば、しょっちゅう新聞、テレビでも、何かアメリカのプロスポーツ選手の金額が、年間二十億円とか三十億、四十億、これ年間の所得ですからね、それはもうたまげるような所得を取る仕組みにアメリカはなっている。
 そんなにもらえば少しは寄附するだろうというふうに考える人もいるかもしれませんけれども、そういう社会や文化の仕組みも違うということもあるわけでございますが、しかし、善意のいずれにしても寄附を社会がどう受け入れていくかということに関しまして、日本としてもNPO法人への寄附につきまして、今回は相当税制も改正いたしまして認めるようにしていくというようなことで徐々に進みつつあるので、方向としては先生がおっしゃる方向に日本の社会も向かっているということでございます。
#65
○櫻井充君 私が聞いた話ですけれども、道頓堀というのは、あれは寄附で造られたという話ですよ。ですから、昔はそういう制度があった。文化とおっしゃいますけれども、そうではなくて、明治以降の中央集権社会で官僚の方々が今こういうシステムを作っただけの話であって、寄附するという、そういう精神がないわけでも文化がないわけでもないんじゃないですか。
 私は、いろんな方々とこの話をすると、所得の低い方々も何とおっしゃるかというと、こういう形で自分たちがある種、税を使う決定権があるんであれば増税されても構いませんよという話もされるんです。ここは、これは大事なことなんですけれども。とにかく皆さんが思っているのは使われ方がおかしいということですから、今のような文化の違いだとかいう、その認識は私は違っていると思いますけれども、いかがですか。
#66
○副大臣(小林興起君) 文化というのは現在の文化を申し上げたわけでございまして、現在はとてもとてもアメリカのそういう土壌と、今の、土壌と言う方がいいんでしょうけれども、土壌が違うなということを、実は私、非常に寄附ということ、個人的には賛成でございまして、私学なんかについても私はどんどん寄附させてやればいいと思うんですけれども、しかし問題は、そういうときに、例えば、じゃ寄附をしたら孫の代まで入学はもう面倒見るというふうに日本はならないですよ。入学の方は試験になっちゃうんですから。だから、普通の人は試験だけれども、ある人についてはどんと寄附したら三代までは無料だとやったら随分寄付者も増えると思うんです。そういう大胆な制度なんというのは、この国では入学は全部試験だというんですから、行われないわけですよ。
 これは私の私見で、ちょっとあっち行っちゃいましたけれども、そういうようないろんなことを含めてやっぱり考えていかなければいけないんだと思っているわけであります。
#67
○櫻井充君 現在の文化とおっしゃいましたけれども、現在の文化じゃなくて、現在の制度を作られたのは皆さんじゃないですか。そこがまず一点と、それから、ちょっと分かりませんが、じゃ入学は、アメリカは入学は簡単じゃないですか、卒業は難しいでしょう。卒業もできるんですか、寄附すれば。違うでしょう、それは認識全く違いますよ。日本みたいに入学するハードルが高くて、入ってしまえば何だかんだで卒業できる国と違うんですから。そこも直してやるんだったらそれは賛成ですけれども、ちょっとそこも認識、私、違うんじゃないかなと、そう思います。
 もう一つちょっと提案があるんですが、今回の租税特別措置というか、この税制見ていったときに、確かに大企業に対して、研究開発をやって、その後、利益を上げるような、これはいい制度だと思うんですよ。一方で、じゃ中小企業で働いているサラリーマンの方々が何か恩典があるかというと、ないんですよ、ほとんど。
 例えば、例えばの話です、減税するんであったとすれば、消費税を三%に下げるというんじゃなくて、食べ物だけもう掛けないとか、そういう減税の仕方というのもあるんだと思うんですよ。所得の低い方々からしてみれば、これはエンゲル係数が高いわけですから、それだけで相当な減税の効果というのはあると思うんですね。消費税をいずれ五%じゃなくて上げなきゃいけない社会になるわけですから、その準備段階としてやるとすれば、一応、まず一時、日常生活品には掛かりませんと、そういう減税の仕方をしておいて増税していくというのも私は一つの手だてではないのかなと、そう考えているんです。
 いずれ増税することになったら、そのようなことを実施されるんでしょうか。そういう形にすると、もう一つは増税するときにも増税しやすくなるんじゃないだろうかなと、そう思っているんですけれども、いかがでございましょうか。
#68
○副大臣(小林興起君) おっしゃるとおり、消費税につきまして、例えばヨーロッパ等では一五%掛かっているような国にあって、一般には一五%だけれども食料品には五%だというように軽減税率を適用している国もあるわけでございます。
 今、この国は三から五になった。五%ということでございますので、広く、薄く、皆さんに負担していただくという精神で一律五%の税率が適用していますけれども、この消費税がやがて一〇、一五ともし、分かりませんけれども、上がっていかなければならない段階において、じゃ、すべてのものについて、食料品等についても上げていくのかということについては、先生がおっしゃるとおり、諸外国の例にもそうなっているわけでございますから、物によってもう五%のままに据え置くというような議論というのは十分に出てくると思われるわけでございまして、私は別に、私に報告ありませんけれども、有能な主税局にあっては、そういうときにどうしたら可能かというようなことを黙々と事務的に勉強していてもおかしくないというふうに思っているところでございます。
#69
○櫻井充君 とにかく将来の構想があるんだとしたら、将来の構想を実現しやすいような道筋を付けていかないといけないんだと思うんです。それがその先行減税を行って、その後、税収中立というんですか、税収なんだそうですけれども、中立、どこかで増税すると。だけれども、もう一点考えなきゃいけないのは、ある方は減税を受けられる、ある方々は増税にしかならないということになってしまうと税収中立と本当に言えるのかどうか分からないと思うんですよ。
 ですから、その意味で、今回は、別にこの租税特別措置法が全部悪いと言っているわけじゃなくて、特にその研究開発・投資減税というのは、これはいいと思いますよ、企業に対してはすごくいい制度ですから。ほかの方々も恩典が受けられるような、もう一つは、例えば、これは企業の競争力を増すためだというお話でしょう。しかし一方で、個人消費が十分伸びていかないというところにも問題があるわけですから、その個人消費ということにターゲットを当てていけばもうちょっと違う租税特別措置というのもあってもよかったんじゃないのかなと、そう思うんです。
 それは、医療費の自己負担が、窓口負担が三割になるだけじゃなくて保険料も増加します。それから介護保険も保険料がまた引き上げられると。負担ばっかりなんですよ、ある方々は。だから、その方々に対しての何か恩典ということがないとバランスが取れないんじゃないのかなと、そういう気がしています。
 そこで、もう一つ、その研究開発・投資減税についてですが、これの効果はどの程度あると、そうお考えなんでしょうか。
#70
○政府参考人(大武健一郎君) 技術的な点もありますのでお答えさせていただきます。
 研究開発と設備投資減税、先生が言われましたように、企業の競争力を強化する、それがひいては日本の雇用の場なりを確保していくことにも役立っていくだろうというような思いからお願いをしているわけです。
 特に研究開発減税の方は、基本的には恒久減税、租税特別措置といっても時限を切らない措置を中心に置かせていただいているわけです。これは、やはり研究開発自体に、これは計算上出すのは非常に難しいんですが、外部経済効果が多分ある。日本の企業が研究開発で成果を上げれば、それによって効果があるだろうというようなこともあって、恒久的な減税措置をやらさせていただいているということであります。
 今回の研究開発及び設備投資減税を取ったことによりましてどのぐらいの効果かというのにつきましては、実はどういう数字を取るかというのは非常に難しいわけですが、一応、関連する総務省の科学技術研究調査報告書というようなものですとか、要望省庁、いわゆる経済産業省、総務省からのヒアリングというのによりまして、一応減税の対象となる研究開発費とかITの投資額の見込みを立てさせていただいていまして、一応、研究開発費は十二兆七千億円ぐらい、それから、IT投資については七兆三千億円ぐらいというのを見込ませていただいています。
 じゃ、これが今回の減税でどのぐらいの効果があるかというのは、具体的な数字というのは、この言わば要望を出すに当たっては、こういう減税をしますよということは、実は今回の改正とほとんど同じ言わば提案を経産省がされて、それでヒアリングをしておりますから、これを織り込んだところの今の数字に多分なっているんだと思うんです。
 ただ現実に、それによってどのぐらいの企業行動に左右されるかというのが非常に難しいものですから、一概に言えないんですけれども、大胆に言いますと、例えば研究開発だと六千億円ぐらいの減税に対して、アメリカの実証研究による弾性値では一・七という弾性値取られていますので約一兆円ぐらいの増加と。それから、あるいはIT投資ですと、これは実は以前、平成十年、十一年のころにパソコン減税というのをやらせていただきました。これが実は弾性値として、これは言わば百万円ぐらいの話、オフコン、パソコンと、こういうようなものなんですが、これの弾性値が約二・〇八ぐらいであったというようなものを換算すると約一兆四千億円ぐらいと、こういうようなところを前提に一応試算を出させていただいているということであります。
#71
○櫻井充君 政策分析というんですか、コストだけじゃなくて。少なくとも、今回、五千億か六千億かの減税になるわけであって、その痛みを伴って政策を打っていらっしゃるわけですよね。そうすると、それなりのプラスがなければ国の財政を悪化させるだけでしかないということです。
 ですから、大事なことは、目標が、どのぐらいだという目標がまずあって、それで、これは振り返るのは相当後になると思うんですよ。投資すればそれでプラスになるかというと、必ずしもそうではありませんから。そのことによって研究開発がどれだけ進んでいったのか、五年先、十年先を見てこなきゃいけないことになると思うんですけれども。ですが、今の自分たちが政策を打ったものに対してどのぐらいの経済の活性化につながるのかという、そういうものを持っていないと、いつまでたっても同じことの繰り返しになるんだろうと思うんですね、これは去年もお話しさせていただいたんですが。
 それでは、ここ数年間で有効であった租特と無効であった租特と、ちょっと代表例を挙げていただけますか。
#72
○政府参考人(大武健一郎君) いろいろあるかと思うんですが、無効であったということで実は廃止させていただいたもの、例えば海洋油田・ガス田の廃鉱準備金というようなものにつきましては、実は十年度に実績一件あったきりで、過去からずっと作ってきた制度ですが、もう意味がないということでこれは廃止させていただいていますし、あるいは、これは十一年度の話で、渇水準備金、これは、実はダムが時期によってかれたり、雨量によって違うものですから、電力会社が専ら利用していた制度なんですが、そのための準備金制度というのもありましたけれども、これも、創設当時の水力発電の意義も変化したということで、これは廃止させていただいているとか。
 それから、あるいは実は、特定拠点地区における産業業務施設の特別償却、これは、いわゆる地方のビジネスを作るということだったんでございますが、これも実は十一年度以降適用実績がないと。もう実際は、残念ながら地方にそういう拠点を作るというニーズがなくなってきてしまって、そういう意味では、効果がないということから十四年度に廃止をさせていただいた。
 それから、あるいは逆の意味で、有効だという意味で今回延長させていただいている例で言えば、十年の総合経済対策で創設されました中小企業投資促進税制というのがございます。これなどは、いわゆるこの適用をやりましたことによりまして相当実は投資が進んだと。
 先生が言われますように、政策評価という観点から、税制改正要望を出されるときには、これまでの政策効果あるいは政策の達成目標度というのを十三年から取るようになっておりまして、それの例で申し上げますと、例えば中小企業のいわゆる投資促進税制の場合ですと、制度を作ったところからかなり大幅に特別償却対象の機械装置の投資額は増えておりまして、例えば、平成九年まで、この対象で言えば、根っこの数字は非常にでかいので、十五兆ぐらい投資それでされているんですが、それが一挙に二十兆台に増えるというような形になっているというようなものもございます。
 ですから、それぞれ最近は、そういう効果をできるだけ、これ、数字が非常に難しい部分もあるんですが、取らせていただきながら進めたいと思っているところであります。
#73
○副大臣(小林興起君) 是非議事録に載せておいていただきたいものですからあえて発言をさせていただくわけでございますが、この研究開発投資減税というのは、先ほど言いました数字がどうだこうだという、もちろん効果がなきゃ意味ないわけですから、それも大事でございますが、この税制を導入する背景には、日本はかつてアメリカに追い付け追い越せということの中にいろいろな税制も考えてきた。そして、研究開発については、研究開発をどんどん増やしていきなさいということで、増額するものについて実は税制の優遇措置を増加試験研究費に出したんですね。
 ところが、やがて、日本がどんどん成長していくのを見て、アメリカは逆に日本から学んだと思うんですけれども、日本はあんなことをやっているのか、じゃ、うちはもっと大掛かりにやってやろうということで、アメリカは実は根っこから試験研究開発費について減税措置を設けたわけでございます。
 日本は、高度経済成長のころはいつも増加がありましたけれども、今はもう、去年も今年も試験研究費が同じなんですね、大きい会社でも。そうしますと、新しく増分が出てこない、すると、財政上の優遇措置がなくなったわけですよ。
 ですから、大企業に対して何か恩恵を与えるのはおかしいじゃないかというような議論もありますけれども、しかし、大きいところも実は外国と競争しているわけでございますから、外国との競争の中、日本がもう試験研究費に対する恩恵措置がなくなってきているという危機感を持って、今回、日本も根っこからやったというその思想的な大きな背景があることを是非御承知おきいただきたいと思います。
#74
○櫻井充君 それは十分承知しております。
 私が申し上げたいのは、税だけによって可能なのかどうかということを将来分析しなきゃいけなくなるんだろうと思っているんです。つまり、こういう減税措置を取ったものの中でも、例えば先行きが見えないからやはりなかなか研究開発ができないとか、この次の社会がどういう社会になりますよというところが見えないと何の研究していいか分からないというところってあると思うんですよね。
 例えば、医療の分野で言ったって、医療費をこれから削減しますと、削減というか、なるだけ抑制しますと言われてしまえば、アメリカは医療費があれだけ膨らんできているのは、実は高度先進医療を導入してきているからです。ところが日本が、今GDPで七・数%です。アメリカは一二・何%ですよね。全く規模が、経済の規模で測ったときに違うわけですよ。しかし、そういう形で医療費全体をGDPの、ヨーロッパ並みでもいいです、フランス、ドイツだと一〇%ぐらいですから、そこまで広げていますよということを言われれば、それと合わせて研究開発だと言われれば、それやると思うんですよ。ところが、何だかよく分からないけれども、医療費はこれから削減しますと言いながら、雇用は、医療の分野で五十万人の雇用創出だって竹中さんおっしゃっているんです。
 そういうところで、税制だけでは私は不十分かもしれないという思いがあったので、それで税として見たときにはどのぐらいのことを考えていらっしゃるのか、まずそこだけお伺いしたかったんです。それと併せてやっていかないとなかなか難しいんじゃないのかな、社会が動いていかないんじゃないのかなと、そう思っているからです。
 もう一点、先ほど要望があったからというお話がありましたが、中小企業の方々から一番多い要望は事業承継税制なわけですよ。農家の方々にとっては優遇税制があるわけですけれども、そういった税制がないので、そのような税制をしいてくれないと、今でも企業の経営が苦しくて、じゃこれを息子に継がせようかと思ってもなかなか息子に継承することができないという問題点があるので、そこら辺を、少なくとも今みたいな景気の悪いようなこの時期だけでも何とか考えてくれないかなと、そういう要望もあるんですが、この点についてはいかがお考えですか。
#75
○政府参考人(大武健一郎君) その要望もかねてから中小企業庁等からも伺っておりますし、実はかねてから、農地に相続税の納税猶予制度があるのに何で中小企業にはないのかというお話もあります。
 ただこれは、先生御存じのとおり、農地の場合には、それこそ経営と所有の不可分という制約の下に、かつ農業以外に転用することを原則として禁止するという背景の中で、言わば事業革新みたいなものがある意味では制約された世界の中で、一子相伝というんでしょうか、形で作っています。ですから、これをもし中小企業に当てはめますと、他業種への転換とかそういうことが難しくなるという意味では非常に難しい制度だろうと思います。
 特に農地の場合には、御存じのとおり、二十年間の営農が義務付けられているだけじゃなくて、例えば市街化区域内で農地をやる場合には死ぬまで農業を続けなきゃいけないというような制度に今は厳しくさせていただくことで、他との公平を取らせていただいているところでございます。
 それに対して、先生の御要望のみならず、広くこの中小企業の事業承継ということに配慮する必要があろうということで、かねてから種々の政策は取らせていただいています。
 特に、はっきり言いますと、個人といわゆる会社形態の株式とのバランスというのが非常に気になるところではあります。と申すのは、個人の場合は純資産でしか評価しようがないんですけれども、株になると評価を、中小企業の場合、零細企業の場合では五割減額するとか、幾つかの措置を入れさせていただくことで何とか事業承継がうまくできるように、それから個人の場合には、例の四百平米までは八割減額とか、そういう土地の評価で下げたり、いろんな工夫をさせていただいてきているわけです。
 実は今回、相続税につきまして、相続税、贈与税の一体化措置というのを設けさせていただいたのは、実は間接的になんですが、かなり事業承継の方には有効な施策だと思っているわけです。というのは、死亡というのはそれこそ突然やってこられるわけです。言い換えれば、例えばバブル期に亡くなられた方というのは非常に高い地価と株価で相続を実施しなければならなかった。ところが、贈与という形を取りますと、自分で親子間で選べるという意味では、言わば一種の生前相続というようなものになるわけでございますから、そのタイミングをかなり調整できるというメリットが大変大きくあるんだろうと思います。
 そういう点では、例えば今、先生が言われた、こういう不景気で株価も安い、そういうときに少しでも移転をするというようなことができるとすれば、それはそれなりで効果があるんだろうと思います。特に今回の相続、贈与の一体化は、お金でも土地でも何でも自由に、そこは二千五百万円まで非課税で、しかしそれを超えたら二割だけ払っていただくというような仕組みで一応生前贈与を認めるという形になっておるものですから、かなり貢献するのかなと思っています。
 さらに、御存じのとおり、中小同族株式の贈与を受けた場合には、例の中小同族相続の場合の課税価格の減額措置というのがあるんですが、これも、相続時の精算に際して課税価格を減額できるような措置を併せて今回取らせていただいているところであります。
#76
○櫻井充君 分かりました。
 あとは、この税制について中小企業の方々からもう一度、こういう税制があるけれどもどうなんだろうというのは聞いてみたいと思います。
 ただ、一方で、先ほどほかのところに転業できなくなるとか、いろんな制約を課さなきゃいけないという話がありました。全部の人に対してそうする必要性は全くないわけであって、ある方にとってみたら、そういうほかの業種に、例えば十年なら十年とか、二十年なら──二十年じゃ長いかな、十年転業できませんよと。ですが、こういう優遇税制がありますよという制度を作ること自体は問題ないんじゃないのかなと。それを選択できるようにしてあげる。一律に全員に課すという必要性は私はないんじゃないのかなと、そういう気がしますけれども、その点についていかがですか。
#77
○政府参考人(大武健一郎君) 事業用資産だけそういうようなことになりますと、例えば居住用資産の方にその措置がないという問題も当然あります。そうなると、相続税そのものの意義が実は問われることになる。それだとすれば、むしろ相続税の課税最低限なりあるいは非課税枠をどう設定するかというような御議論の方に行かなければ、多分公平というのは取れないんじゃないかなというふうに思う次第です。
#78
○櫻井充君 分かりました。
 とにかく、やはり最初に申しましたとおり、なかなか事業を継がせることが難しくなってきているという、そういうお話がございますので、是非その点を検討していただきたいと、そう思います。
 それからもう一つ、配偶者控除についてお伺いしたいんですが、働く女性にとってはいいことなのかもしれません。しかし、例えばゼロ歳児を抱えているお母さんの九十数%は専業主婦なんですよね。一歳児抱えている方々、九〇%ぐらいでしょうか、専業主婦なんですよ。こういう方々は一体どうなるのかなと。
 この国、これからの子育ての在り方だと思うんですね。ゼロ歳児保育というのを進めていくということもいいのかもしれません。これは今日はあえて言わせていただきますが、少なくともアメリカではもうこういう数字が出てきています。親と離して育てた場合に、言語の発達は早いけれどもある種問題行動も多いという、そういう数字ももう出てきています。そうなってくると、子供というのはどう育てられたらいいのか、だれが育てるべきなのか、だれに育てられるべきなのかという議論をこれからしていかないと、社会でいろんな問題が起こってくる可能性があるんだと思うんですね。その意味において、私は専業主婦の役割はすごく大きいと思っています。
 そうすると、あなたは古い人間で、男は外、女は内なんですねと必ず言われますが、男と女の役割というのは僕は絶対あると思っていて、これを国会の場で言うと袋だたきに遭うことはもう覚悟の上で今日は発言させていただいております。
 その意味において、その配偶者ということの位置付けというんでしょうか、これからどう考えていって、この制度を、特別控除というのを打ち切られることにしたのか、その点について教えていただけますか。
#79
○副大臣(小林興起君) 配偶者控除を廃止と言うとき、よく世間で誤解が流れるのは、なくなっちゃうんじゃないかということでございますけれども、これは、今、二階建てになっている部分の二階を外そうって、根っこの一階はあるわけでございますから、配偶者控除がなくなるわけではないということを御理解いただいて、その上の方に積み重ねたものについては、そういうどんどん積み重ねていきますと、実際上、所得税が空洞化していくので、そこは元へ戻しましょうというふうに私は考えるのが素直ではないかと思っております。
#80
○櫻井充君 ただ、今回のその制度にしてみても、結局サラリーマンの方々にまた負担が掛かるようなシステムになっているわけですよ。全部そうなんです、今回の制度設計は。だから、一遍にやられるのがそうするとおかしいんじゃないだろうか。社会保障負担も増やします、それから税の優遇措置も今度は減らしますということであったとすると、不公平だと思うんですよ、今回の税の在り方が、もう一点申し上げますと。ですから、そこら辺でちょっと考えていただけないのかなと。
 それからもう一点、これは厚生労働省にお伺いしたいんですが、北欧なんかはどうしているかというと、社会復帰ができるからゼロ歳児保育というのはほとんどないんだそうですね。日本ぐらいこうやってゼロ歳児保育、ゼロ歳児保育と言っている国は極めて珍しいそうなんですよ。
 今後、厚生労働省として、ゼロ歳児の子育てと言った方がいいんでしょうか、育児と言った方がいいんでしょうか、そのことについてどうお考えなんでしょうか。
#81
○政府参考人(岩田喜美枝君) 子育ての一時期に子育てに専念するのか、あるいは子育てと仕事を両立させる形で生きていくのかということについては、基本的には個人あるいは個々の御家庭がそれぞれの人生観、職業観で判断をされることではないかというふうに思っております。
 ゼロ歳児に対する保育需要も大変増大いたしておりまして、そういうことで待機児童も多いわけですけれども、ゼロ歳児、一歳児、二歳児という低年齢児については、新エンゼルプランなどに基づきまして今整備を図っているところでございます。
 子育ても大事だけれども、仕事のために早く復帰をしたいというふうに考える方、あるいは経済的な事情で出産の後、早期に働かざるを得ない方が現におりますので、そういったゼロ歳児保育のニーズが強い中で、国が認可保育所としてきちっと整備しなければ、それはベビーホテルなどのような形で受皿が出ていくわけでございまして、それは正に子供の育ちのためには大変問題であるというふうに思っております。
 また、一方では、多くの方々は子供が産まれた後、例えば一年程度は育児休業を取ってしっかり御自分で育てたいというふうに思っておられる方が多いわけでございます。育児休業法でそのことの保障もございますので、取りたい方が職場に遠慮するというようなことなく、しっかり育児休業を取れるような雇用環境を整備するというのも大事なことだというふうに思っておりますので、厚生労働省としては、実際の育児休業の取得率、女性については八〇%、男性についても一〇%というふうに決めているんですが、取りたい人は必ず取れるような、そういう雇用環境を作るということも併せて努力してまいりたいというふうに考えております。
#82
○櫻井充君 予算委員会で、岩手県立大学の鈴木先生が見えて、専業主婦という方々に対しての、何というんでしょうか、政策が余りないと。つまり、ある特別な方々に対して手厚くなっているけれども、必ずしもそうではないんじゃないだろうかというお話がございました。是非、そこら辺も併せて御検討いただきたいことと、私、夜当直をやっていると、小児の方々がよく来られるんですけれども、二時間泣きやまないから連れてきましたと言うんですが、服を全部着替えさせて汗をふいて、おむつまで替えて、車で、お母さんが抱っこして車で揺られてくるともう泣きやんでいるんですね。きちんとそういうことをやられていると、小児の救急だって多分減るんだろうと思うんです。
 ですから、その意味で、もうちょっと専業主婦にも手厚いような政策があっていいのかなと思います。
 あと、最後に済みません。予算委員会で我々の山下議員の質問に対して、塩川財務大臣が、あれは何でしたっけ、公聴会じゃなくてタウンミーティング、タウンミーティングでちょっと何か数字が間違っていたというお話がございましたので、事務局の方から御説明いただけますか。
#83
○政府参考人(大武健一郎君) 今回の答申をいただくに際して、政府税制調査会で税についての対話集会というのを十一か所でやらさせていただきました。実は、同時に一月十八日に内閣府主催のタウンミーティングでやはり税の議論がなされたわけですが、それとがちょっと混じりまして、タウンミーティングの方は四百名を超える大人数でございました。税の対話集会の方は、面積の制約、会場の都合もあったものですから、百六名から二百三十五名ぐらいという数字でございまして、この点だけ修正させていただきます。
#84
○櫻井充君 終わります。
#85
○委員長(柳田稔君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#86
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案及び所得税法等の一部を改正する法律案、両案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#87
○平野達男君 国会改革連絡会(自由党・無所属の会)の平野達男です。
 今日は福井総裁、ありがとうございます。早速ですけれども、まず総裁から質問をさせていただきたいと思います。
 銀行の保有株の買入れを二兆から三兆に枠を拡大したということで、その趣旨につきましては昨日、大塚委員の方から質問がありまして、ちょっと私、昨日ここに来れなかったんですが、テレビでよく拝見しましたので一応理解したつもりです。
 その一方で、株式保有機構というのがありまして、これは二年前の臨時国会で政府提案で成立した機構です。これは、出資金をまず銀行から百億でしたか、出してもらって、特別勘定を使って、株式を売る場合には百分の八の拠出金を出すということで、これは見方を変えますと、株式の変動リスクを一定部分は銀行でしょいますよという仕組みになっているわけです。日銀は、その一定の部分を、リスクをしょうという部分をしょわないで全部これを買い取っているというスキームを、これは前の速水総裁のときに作ったスキームなんですが。
 まず、日銀が従来、リスク資産は余り買わないんですよと、今回の株式もトリプルBマイナス以上だというような、一応一定の制約が付いているようですが、その一方で、株式保有が全額リスクを取らないと言っている部分のやつを日銀が全部取ったということは、かなり相当の、これからいろんな資産の買入れに当たって、リスクを取るというようなことに一歩大きく足を踏み入れたのかなというふうにも取れるんですが、そこをどのようにお考えでしょうか。
#88
○参考人(福井俊彦君) お答え申し上げます。
 伝統的な中央銀行の考え方から比較いたしますと、確かにリスクの多い領域に一歩踏み込んでいるということは委員御承知のとおりでございます。
 なぜそういうことが必要であったかといいますと、政府の保有機構の方も私どもの方も同じでございますけれども、株価変動のリスクが大きく顕現化して脆弱な日本経済の基盤を突き破ると、これはやはり今のような厳しい状況の下においては可能な限り防ぎながら新しい局面を切り開いていくということが必要だと、そういう共通の判断に立っておりますけれども、日本銀行の場合は、特に株価の変動が銀行経営を直撃すると、一番弱い金融システムに大きなダメージを与えると、そこを日本銀行としては金融政策、一方で信用秩序維持政策をやっている立場から身を挺してでも防ぎたいと、こういう決意の下にやったと。
 したがいまして、政府の機構、日本銀行の買取り措置は、大きく言えば同じようなところをねらっておりますが、日本銀行の方はもっとこの金融システムへのダメージというところに強く的を絞っているということでございます。ただ、リスクの多い領域に足を踏み入れたといっても、リスクに対して全く我々は防御の姿勢なしに踏み込んでいるかというと、そこはそうではございませんで、将来の売却損回避のための工夫も講じているということでございます。
 したがいまして、買入れ銘柄はある一定の格付以上のもの、そして市場において活発に取引されている、つまり流動性が確保されていて将来売りやすいというもの、それから銘柄も分散して買うとかというふうな工夫を加えておりますし、将来、日本銀行が市場に売り戻す場合にも、当面五年間は据え置きますが、その後十年間という長い期間を取って売り戻していくというふうに、リスク対応のこともある程度工夫を凝らしながらやっているというところでございます。
#89
○平野達男君 これはずっと前の財政金融委員会でもちょっと申し述べたことですけれども、少なくとも政府の方は、あるいは国会の方では、その株価変動のリスクは国は全部は取りませんということを決めている一方で、日銀がそれを取ったということは一歩も二歩も出ているということだと思うんです。
 そこで、財務大臣に、前回と同じような質問になりますけれども、二兆から三兆というふうに今度は膨らんでいきますけれども、これを財務大臣の判断一つで日銀納付金を減らすことに、結果的に日銀の納付金が減るリスクに結び付くわけですけれども、それを財務大臣の判断でやっていいものでしょうか。
#90
○国務大臣(塩川正十郎君) 手続上は、法律上の手続上は財務大臣の認可になっておりますから、申請ございまして、私どもは認可いたしました。
 だから、これで手続上はいいと思いますし、また、こういう政策の選択はやはり日銀の独立性でおやりになるのが一番いいと思って、こういうのには我々が干渉しない方がいいと。その意味におきまして、この法令の納付金に関する条項の改正等は一切行わないという方針でございます。
#91
○平野達男君 私は、この株式保有機構の設立の目的と、先ほど福井総裁、あるいは昨日言われた今回の買入れの目的というのはほとんど違わないんじゃないかというふうに思っています。これが、それにもかかわらず政府と日銀で対応が違う。これは、日銀の独立性であるというのはそれは理屈として分かりますが、それでは、しからばなぜ、株式保有機構というのは先行しているわけですから、株式保有機構の活用、若しくは何か問題があるとすればその変更みたいなものを金融庁で全然考えませんでしたか。逆に日銀で、今回の二兆から三兆の枠を膨らませるときに株式保有機構の活用というのは考えませんでしたか。先にまず金融、竹中大臣から。
#92
○国務大臣(竹中平蔵君) 株式の買取り、取得の機構と日銀の仕組みというのは類似の行為ではありますけれども、やはりその目的等々が少し違っているんだろうというふうに認識をしております。我々の方は、その保有制限に併せて出てくる一つのセーフティーネットとして出している。日銀の方は、保有リスクの軽減を通じて金融システムの安定強化という、より深いところに根があるという点。ここは我々はそのように認識をしているわけでございます。
 お尋ねの保有、買取り機構の、株式取得機構の強化ということでございますけれども、御承知のように、金額から見ると五分の一ぐらいしか累積でまだ買っていないわけでありますので、そこについては、その積極的な活用を金融機関に対しては引き続き要請をしているところでございます。また、これについてはいろんな御議論、御承知のようにこれは議員立法で改正等々いただいておりますけれども、これについて与党の方でもいろいろの議論があるというふうに認識をしておりますので、そういった点を注視しているところであります。
#93
○平野達男君 総裁、どうでしょうか。
#94
○参考人(福井俊彦君) 政府の株式保有機構の目的としておられるところは、日本銀行の買取り措置よりも幅が広いと思います。経済全体に対するセーフティーネットという意味では、政府の機構の持っておられる目的がより大きいわけでございますので、私どもの立場から申し上げれば、この機構の利用が大いに促進されるということは望ましいし、かつそれを期待したいというふうに思っています。
 政府、それから与党におかれましては、この機構の機能強化のため、いろいろ今御検討中というふうに承知しておりまして、願わくば早く具体案を得られて実行に移していただきたいというふうに希望をいたしております。
#95
○平野達男君 これは昨日の大塚議員の議論の中にもありましたけれども、政府、日銀の一体ということをずっと言ってきて、どうもこの間のバランスがよく、連携がよく取れていないんじゃないかなという感じが強くします。
 それで、実際の株式保有機構の購入実績見ますと非常に低いんですよね。これで見ますと、どうも例のティア1を超える範囲の株式の売却に当たっては、市場に対する、市場の混乱を防ぐ、あるいは金融システムのいろんな構築をするという役割は金融庁から日銀に移っているという感じするんですけれども、そういうような理解でよろしいですか。
#96
○国務大臣(竹中平蔵君) この株式取得機構についても、御指摘のように、今までの買取り累積額は日銀の、先ほど言いましたけれども、五分の一ぐらいの水準でしかございませんですけれども、株式取得機構としての役割は是非きっちりと果たしていってもらいたいというふうに思っております。
 先ほどから平野委員は、その変動リスク、株価の変動リスクをだれが負うかという御指摘をして、正にそのとおりだと思います。
 そのリスクをどのようにとらえるかによって、これを利用する、二つのものを利用できるという、銀行の側から見ると、その時々によって使い勝手の良いといいますか、ところで売却をしていく、ないしは手放していくという形になっているのではないかと思います。これはマクロのリスク、それと個別銘柄に関するリスク、それぞれあろうと。これも金融機関の経営判断の中で今事態が進んでいるというふうに認識をしております。
#97
○平野達男君 私が言っているのは、そうはいっても実態から見ると、平成十四年の五月十七日から十一月一日まで百九十五億の買取りぐらいしかやっていない。その間、日銀は恐らく数千億の買取りをやっているわけですね。いや、日にちが今ちょっと正確じゃないかもしれませんが、かなりの買取り額、後でちょっと後れて出てきていますから、やっているわけです。だから、その機能自体はもう全部日銀に行っちゃっているわけですよ。
 金融庁は、今回のティア1ということに対しての、ティア1以上の制限、保有の制限を掛けていますね。これに対して、じゃ、一体どういう役割を果たすのかということがもう見えにくくなっていると思うんですね。
 だから、ここの、今回、日銀が二兆円の買取り額を決めたときに、株式保有機構というのは一体何なのかと。金融庁はどういうふうに判断して、むしろ日銀に二兆円ということを、認めるか認めないかという権限はないみたいですけれども、政府内でどのように議論したのか、これをちょっと御説明願えますか。
#98
○国務大臣(竹中平蔵君) 昨年、日本銀行がこの株式の買取りの枠組みを作ったときに、取得機構との関係をどうするか、これは我々も議論しましたし、この場でも随分と議論をしていただいたというふうに思っております。結論から言いますと、現時点において、そのときの議論の枠組みを超えるような状況にはなっていないというふうに思っております。
 最近の足元の状況に照らして、日本銀行が果敢にその枠の拡大を行った。この点は我々としては大変有り難いことであるというふうに思っておりますし、我々としては、これはしかし、買取り、取得機構と日銀と両輪でやっていくのであるから、取得機構に関しても引き続きこの活用を要請しながら、また与党の議論も注視しながら、我々の役割を引き続き果たしていきたいというふうに思っているところでございます。
#99
○平野達男君 私は、今回の二兆円のときにもっとはっきり言えば良かったんですけれども、やっぱり日銀若しくは政府の中では、この保有株式取得機構で何が問題なんだということをまずぎっちり議論すべきだったと思いますよね。
 だけれども、突然、日銀さんが、二兆円という話がぽんと出てきたわけです。私は、これに対して非常に懐疑的というか、非常に悪い見方をしていまして、日銀はいろんなことを要求されるものだから、何かやらなきゃいかぬという中でこの保有機構の方の株式のやつを、二兆円というのを買うのをちょっと出して、それでもう言い訳に使ったんじゃないかと。それから、政府は政府で、何かいろんな問題になっているから、その中で日銀がいてくれたから、じゃ、これでいいわと。もっとも、その事前のいろんな裏で根回しあったかもしれません。
 今回の、何を言いたいかといいますと、だれが主でやっているのか、政府でどういうふうにやったのかというのがよく見えないんですよ。こういうときに、今、景気が非常に悪いときに、危機管理というのは一体どこがやっているんですかというときの、要するに我が党がよく言うんですけれども、一本筋がよく見えない、場当たり的にやっているんじゃないかという感じが非常にしますよ、これ。
 塩川財務大臣、私の言っていることに対してコメントがあれば何か一言いただきたいと思いますが。
#100
○国務大臣(塩川正十郎君) 日銀は、自分の政策の一環として、先ほど総裁がお答えになりましたように、ティア1に該当する分については全部責任を持って日銀でやっていきたいという、そういうお考えの下でおやりになっておるということでございますので、これは、政策目的はきっちりとしてお決めになった。私は、そういう政策は自分でどんどんお立てになって、いろんなことを日銀がおやりになっていただいたら結構だと、私はそういう趣旨で申し上げております。
#101
○平野達男君 ちょっとまた議論がかみ合わないんですけれども、そういうふうな、その趣旨は分かるんですが、先行する保有機構との関係をどうするんですかと、そこをきっちり整理を付けた上で二兆円を出して、今回の三兆円の積み増しというのもやっぱり整理すべきじゃないかということを言いたいわけです。
 そこで、株式保有機構、与党でどうのこうのとかと今検討しているという話ですけれども、金融庁としてはどういうふうにするつもりですか。
#102
○国務大臣(竹中平蔵君) 我々としては、繰り返しこの株式保有機構の積極的な活用を銀行に対して呼び掛けております。
 これは、先ほどから申し上げましたように、その時々のリスクの評価、これはマクロの評価、それと自分が持っている保有株のそれの個別銘柄に関するリスクの評価に関して、どちらが使い勝手が良いかという判断は当然のことながら異なってくると思います。
 その意味では、その状況によって、この株式取得機構の活用というのは、私は状況によってはそれなりにまた進んでいく面があると思っておりますし、そういった状況を見守りながら積極活用を呼び掛けたい。基本的には金融庁としてはそのように考えているところであります。
#103
○平野達男君 今の答弁を聞いていても、結局、後付けの話だと思うんですよね。まず日銀さんが二兆円とやらを決めてしまいました、保有機構残りました、残ったから、要するに、じゃ、あとは市場関係者に、ありますから使ってくださいと言うだけだと、こういう答弁ですよね。これは政策のあれとしてはちょっとおかしいと思いますよ。
 それから、じゃ今のところ、株式保有機構については、大きな抜本的な改正は金融庁としては今考えていないということでよろしいですか。
#104
○国務大臣(竹中平蔵君) これは、事業会社が持っている株式についてもこの一月末から買取りが行われるようになった。その新しい、これはもちろん国会で御議論をいただいてそのような結果になったわけでありますが、それの活用も定着もしっかりと図っていきたいと。今はそのような段階であるというふうに思っております。
 その上で、先ほどから言っていますように、与党等々でまた様々な議論があるということは承知しておりますので、その議論は議論として注視をしていきたい。
 しかし、我々としては、まだ一月三十一日、始まったばかりでございますので、この制度の活用も含めて、しっかりと定着をさせていきたいというふうに思っているところです。
#105
○平野達男君 今の議論の中でも、要するに事法の法人株というのは銀行の保有株を買った範囲内で買うという話ですから、銀行の保有株の要するに引取りが進まなければ事法の持ち株の売却も進まないと。これはセットですよね。
 だから、検討する云々という話じゃなくて、要するに母体の方の話がどうなるかということですから、この問題については、この保有株については、株式保有機構についてはちょっと非常に宙ぶらりんな状況にあるんじゃないかというふうな感じが強くします。
 じゃ、次のテーマにちょっと移らせていただきますけれども、福井総裁にお伺いしますが、ETFの購入が非常に今いろいろ話題になっていますが、これに日銀が今ちゅうちょするのはリスクが高いからなのか、それとも制度上の制約があるからなのか。参考までにちょっとお聞きしたいんですが、どちらでしょうか。
#106
○参考人(福井俊彦君) ETFについて取り上げをちゅうちょしているという今御指摘でございますけれども、ETFに限っていろいろ利害得失を今検討しているというわけではございません。
 私の立場からもっと広く申し上げますと、日本銀行としては、もうありとあらゆる市場が今後大きく発展していくということが非常に望ましいと思っているわけです。日本銀行が直接金融調節の舞台として使える本来の市場のほかに、そういう株式市場であれ不動産の市場であれ、あるいは今後は環境問題に発して排出権取引の市場とか、そういう市場というものは、外縁を広げるといいますか、大きく広がりを持った市場ができて初めて中核となる金融市場、資本市場も活性化する。そうしますと、金融政策の舞台がそれだけしっかりしたものになる。こういう理解をしております。
 したがいまして、私どもはETFの市場、REITの市場、あるいはその他新しく開発されつつある市場がすべて発展することを願っています。したがいまして、日本銀行は個々の市場について、これは駄目だとかいうふうな烙印は今後とも一切押さないつもりでございます。
 ただ、日本銀行が、主たる金融政策の場であるマネーマーケットとか、あるいはより広い国債の市場であるとかいう領域を更に踏み越えて、それ以外の市場をどれぐらい活用できるかということになりますとまた別の物差しが必要でございます。そのときには日本銀行が、今ですと流動性の供給、過去ですと金利の変更ですが、今は流動性の追加供給をしたときに、それがいろいろな市場を伝わって、最終的に企業に最も早く良質のお金が届くかという面を点検する。それがREITの市場であるか、ETFの市場であるか、その他の市場であるか。
 その次に、その市場に入ったときに、その市場から資産を日本銀行が買い上げたときに、日本銀行がどれぐらいリスクをかぶるかという計算をしなければなりません。こちらの市場の場合はこう、こちらの市場の場合はこうと。効果の有効性の違いはこうと。リスクが大きい場合には日本銀行の持っている自己資本の割当てをしなければいけない。そうでなければ結論が出ませんので、非常に広範囲なマーケットについてきちんとした点検をしたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
#107
○平野達男君 マネーサプライ、要するに貨幣の供給のために有効な手段かというのを、まずそれを検討した上で、その次の話としてリスクの話が入ってくるということですから、そうしますと、制度上の問題と、そういう話ではないですね。
#108
○参考人(福井俊彦君) はい。
#109
○平野達男君 分かりました。よく分かりました。
 そうしたら、次の質問に入りますけれども、今、金融政策をめぐって、どうも二つの、二つか、私のとらえ方でいくと大きく二つあるんじゃないかと。
 一つは、いわゆるマネーサプライをどんどんどんどん増やしていけばそれに伴ってデフレが克服されるという、要するに貨幣数量論ですか、単純に貨幣数量論と言い切っていいかどうか分かりませんが、要するにまずサプライ、マネーサプライがどんどんどんどん進んでいけば、貨幣供給がどんどんどんどん進んでいけばそれに従って後で物価が付いてきますよという見方と、それからもう一つは、これは前の速水総裁がよく言っておられたと思うんですが、もう既に十分資金は供給はしたんだと、要は、後はこういうふうにたまっているところの、例えれば、いい例えかどうか分かりませんが、栓を引っ張ればいつでも出てくるんだと。ところが、うまく栓引っ張る人がいないし、栓がよく回らないという、つまり実体経済の引っ張る力がないんだという、その二つがありまして、これはどちらのスタンスに福井総裁は立っておられるでしょうか。
#110
○参考人(福井俊彦君) ただいま委員いみじくも御指摘のとおり、お金はどうやったら増えるかと。つまり、日本銀行の供給する流動性のその先の企業が実際に使うお金、マネーサプライと言われている方のお金ですね、これがどうやったら増えるかというのは、二つ問題があると思います。
 一つは、やっぱりそういうお金を使う人たちの取引が活発になること、つまり実物取引とかあるいは資産の取引、これが活発になって取引量が増えれば確実にお金が増える。そのときに日本銀行が引締めをしていない限り、お金が増えるということになると思います。今はその活動が鈍っているからなかなかお金が増えにくいという状況にある。それは、だから日本銀行の政策だけではなくて、政府の政策、規制緩和、いろいろなことが企業の活動を活発にしようとしている、その効果が十分及べばそういうことになる。
 しかしもう一方、今でも非常に限られた範囲で資金需要が結構あるんだろうと私は思っておりますけれども、これに対しては金融システムがかなり傷んでおりまして、金融機関がリスクテーク能力が落ちていると。言葉が適当でありませんけれども、貸し渋りとか貸しはがしとか言われている現象がそれだと思います。今ある資金需要に対しても、金融機関が十分手をそこに伸ばしていく力が衰えているという面はあるかもしれないと。これに対してもやっぱり金融機関をもっとリスクテークの場に引き戻してこなければならないと。
 こういうふうな両面のアプローチが要るんだろうというふうに考えています。
#111
○平野達男君 そうすると、両面というのは、要するに資金供給ももっともっとやっていきますよということと併せて、実体経済の方の要するに資金需要を増やすという、それが必要だということだったでしょうか。後半の方はよく分かったんですが、前半の方がちょっとよく分からなかったもので。
#112
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行としては、まず出口といいますか、最初の出口である流動性をたくさん供給し続ける、これが第一でございます。
 その流動性がきちんと企業の手元に行き届くようにするためにまた二つあります。それは、政府と日本銀行とのいわゆるデフレ対策が平仄が合って企業が元気になる要素を作り出していくということが一つです。もう一つは、せっかくある資金需要に金融機関が今リスクテーク能力が落ちているから手が届かないという部分に対しては、金融機関の健全性を早く促して手が伸びるようにすると、こういう二つのアプローチという意味であります。
#113
○平野達男君 今のお話の流れでいくと、前段のそのデフレ対策を一体的にやるということだったんですが、それに関してはもっと、はっきりお聞きしますと、今以上の資金供給が必要だということでしょうか。
#114
○参考人(福井俊彦君) 日本銀行の狭い意味のといいますか、入口としての流動性の供給は金融市場では相当、俗な言葉で言えばあふれんばかりに流動性が今供給されていると。私は金融市場で空回りしているというちょっと余り品の良くない言葉を使っておりますけれども、そういう状況でありますので、流動性の供給が今の状況の下で不十分だとは思っておりません。
 しかし、今後またどういうショックが日本経済とか日本の市場に及んでくるか分かりませんし、日本の経済の状況も、これ以上悪くなってもらいたくはないですけれども、更に悪くなる可能性ということも政策当局としては頭に置いておかなきゃいけない。そういう状況になれば、引き続き流動性の供給を増やさなければいけないというふうに思います。
 しかし、現状のようにたくさん流動性を既に供給しているという前提に立てば、しばらくの間はいかにそのお金をもっと先まで運ぶかという点に重点を置いた方がいいんではないか、そういう感じを持っております。
#115
○平野達男君 分かりました。
 竹中大臣にお聞きしたいんですけれども、今日はちょっと竹中大臣に聞きませんので。
 今の説明よく分かりました。それで、ちょっと質問の観点変えますけれども、よく名目金利か実質金利かというふうに言われますけれども、経営者は要するに名目金利じゃなくて実質金利を見て投資するんだということと、いや、実質金利なんか分からない、やっぱり名目金利だけだという二つの意見があります。
 私も聞いていて、実質金利というのは数字の中で実際に金利があって、インフレ率が何%出てくるかで、それで出てくるんですが、どうもここで言っている実質金利というのは、後でちょっと出てくる期待インフレ率とか何かという、ちょっと訳の分からぬまた概念が出てくるんですけれども、どうも私にはこの実質金利というのがよく分からない。
 総裁はこの実質金利か名目金利かということをどのようにお考えになりますか。
#116
○参考人(福井俊彦君) 委員御指摘のとおり、私も学者でありませんし理論家でもありませんので、実質金利というのは非常に難しい、分かりにくいというふうにやっぱり思っています。
 だけれども、金融政策をやっていく立場で、やっぱり実質金利という概念が非常に重要で、なるべく自分でこれを正確に分かりたいという努力をしているわけですが、私、自分を分かりやすく理解させるためにいつも思っていますのは、これは企業が投資をして物を作って売っていくと、この過程を考えたときに、まず最初にやっぱり頭に置くのは名目金利だろうと。つまり、名目金利の水準が高いと、借金したときにまず最初のコストが高いわけですから、投資にちゅうちょすると。名目金利が低ければ、投資をしてみようかという気になる。
 だから、最初に着目するのは名目金利であることは間違いないと思うんですが、しかし、賢明なる事業家は、物を作る、それを、お金を投じて物を作るのに一定の時間が掛かる、作って問屋さんに流して実際に売れるまで更に時間が掛かる、そのころ一体物価がどうなっているだろうと、やっぱり賢明なる事業家はそう考えると思います。
 そのときに、今よりも値段が上がっていそうだというふうに思えば、値段が上がっていない状況に比べれば、言ってみれば売上高が増える、値上がり分だけですね。で、収益も増えるということですから、結局、今の金利は割安だと感じて投資をしていくということになると思います。ところが、先々考えると値下がりしそうだということになりますと、同じ借金をして同じ金額の投資をしても、先行きの売上高が低くなる、収益も低くなる。そうすると、今の名目金利は割高だということになってしまいますね。これは、知らない間に、つまり事業者が今の名目金利と将来の物価の状況を二つ頭に置いた途端に、この人は実質金利を意識しているんだということになると思います。多分そうだと思います。
 間違っているかもしらぬが、私はそういう理解をしていまして、だから、名目金利と実質金利はどっちが重要かと言われても、もう将来にわたって物価が上下一文も動かないという前提でいけば実質金利は問題にならないんですけれども、通常は物価が安定するといってもある程度上がる、ある程度下がるということですから、名目と実質の金利というのはあらゆる経済活動をする人にとって二本の重要な尺度ということになると思います。
 それを初めから、実質金利は幾らだと、こう考えると非常に難しい概念になり過ぎるので、常識的に将来の物価を予想しながら行動するんだと考えれば、自然に実質金利を意識しているんだというふうに思います。
#117
○平野達男君 よく分かったような気がします。よく分かります。
 一般的な考え方でちょっと総裁にお考え方お聞きしたいんですけれども、貨幣供給量の、何というんですか、物価の変化率というのは、貨幣の供給量の変化率と、いわゆる流通速度の変化率と、あと何でしたっけ、実質経済成長率ですね、この三つの、関数というわけじゃないですけれども、考え方とすればそういう考えになっていると。
 今のこれを、先ほどのマネーサプライの議論に当てはめますと、今、実はもう一つの考えなくちゃならないのは、貨幣の取得、流通速度、これ、何か逆数をマーシャルのkとかなんとか言うんですけれども、どんどんどんどん供給していても市場に出ていかないというのは、流通速度がどんどんどんどん落ちているという、こういう理解でよろしいかと思うんですが、そういうことですね。
#118
○参考人(福井俊彦君) おっしゃるとおり、貨幣の回転速度が非常に落ちているということだと思います。
#119
○平野達男君 さらに、じゃ先ほどの、今度は期待インフレ率の話に戻りますけれども、よく貨幣供給をしたことによって物価が上昇すると、失礼しました、実質金利が下がるんだということの理屈として、名目金利は実質金利と期待インフレ率で決まってくるということで、期待インフレ率が上がれば、仮に名目金利が一定若しくは一定の形で抑えておけばその分だけ実質金利は下がりますよと、だから投資に結び付くよという話なんですが。
 これは一瞬分かるような気がするんですが、この期待インフレ率というのはどういう形で出てくるんでしょうか。つまり、先ほど言った貨幣をどんどんどんどん供給して物価が上昇するというときに、局面を見て期待インフレ率というのが出てくるのか。それとも、日銀さんが国債をばんばんばんばん買って、買ったという行為を見て期待インフレ率が出てくるのか。
 どうも金利がゼロ以下になったときのキーワードというのは、期待インフレ率とか期待成長率とか、どうもマインドに訴える、投資家に訴える期待ということが非常にキーワードになっているような気がするんですよね。しからば、この期待インフレ率というのはどういう経路で出てくるんだろうかというのは、総裁、どのようにお考えになりますか。
#120
○参考人(福井俊彦君) 期待インフレ率という言葉自身も経済学の世界で学者がよくお使いになる言葉ですので、私自身も余りぴんとこないところもあるんですが、俗に言えば、非常に多くの人々が先行き物価が上がるという感覚ないしは認識を持つと、そのことを表しているというふうに思います。
 だとすれば、非常に多くの人々が将来物価が上がるよという感覚はどうやったら持つかという質問で、これはそのときの社会的な雰囲気とか風潮とかいろんなことにも大きく左右されますので、恐らく一義的には言えないんだろうと。それが証拠に、学問的といいますか、理論的にも経験的にも、これをきちんと検証をした業績というのは今までございません。
 しかし、これまた常識的に、ごく分かりやすく言いますと、一番分かりやすいケースは、経済が強くなる、景気が良くなる、その過程でだんだん物やサービスの需給の引き締まり感というのが伝わってくると。そういうときには、やっぱり物価が上がるよという感覚はごく常識的に見て多くの人が持つと。これはもう過去の経験則にもぴたっと当たっているということだと思います。
 しかし、もっと極端なケースもあって、これは例えば戦争直後と。製造、物の製造能力がもう壊滅的にダメージを受けた、一方、戦後復興需要で需要はぐっと伸びるというふうなときに、需要と供給のギャップが非常に大きくなって、つまり供給が追い付かなくなってハイパーインフレが起こると。これはもう需給の均衡が破れたときにインフレが起こるし、そのときはもう人々が一層インフレ心理を強く抱くと。
 これは一つ典型的なケースですし、もう一つは、例が悪いんですけれども、海外の例を言うと、かつてのラテンアメリカ諸国のように、やっぱり中央銀行、政府の政策姿勢の基本のところが規律が欠けているということで、つまり、人々が政府とか中央銀行に対して信任を置かなくなったとき、これはやっぱり非常に物価が上がっています。しかも、上がるだろうと人々が共通してそういう予想をするようになると。
 こういったケースが過去にはあるということで、これら全部まとめて、どうなれば期待インフレ率が上がるかということはなかなか難しいと思いますけれども、日本の今の現状におきましては、やっぱり政府及び中央銀行に対する信任を引き続ききちんと保ちながら、しかし政策は政府も日銀も新しい領域にきちんとチャレンジしてやっていく。
 そうしなければ、日本経済をこれから引っ張っていく最先端の人々というのは古い経済価値にしがみついている人ではないわけで、やっぱりこれから先端を切り開いていく人々は新しい価値を求めて新しい事業にリスクを取って挑戦していく人々です。その人たちの行動を後ろからきちんとバックアップしてあげるような政策、そこにきちんとお金を届けるということでなければいけませんので、規律はしっかりしているけれども、政策行動としては大胆だというふうなことが政府、日銀共通していなければならぬというふうに思います。
#121
○平野達男君 ちょっとお聞きしたかったのは、今のようなゼロ金利下のときの本当に期待インフレ率がどのように形成されるかという、そこの一点についてお聞きしたかったんですが、結論からいくと、なかなか難しいということなんでしょうね。
#122
○参考人(福井俊彦君) この点も、学者の方々と我々中央銀行の政策マンと申しますか、実務的な立場にある者との差はかなりあるのかなと思いますけれども、少なくとも、中央銀行で政策、企画、立案をしている立場から申し上げますと、期待インフレ率というのは、刺激はすることが場合によってできても、これはマネージャブルではないと。期待インフレ率を一定の水準にコントロールしようということはほとんど不可能ではないかというふうに考えています。
#123
○平野達男君 総裁の考え方、よく分かりました。
 竹中大臣、やっぱり最後、今までのいろんなお話聞いて、コメントがございますれば、ちょっと一言。
#124
○国務大臣(竹中平蔵君) 平野委員の御指摘と、それと福井総裁の答弁、非常に明快であったというふうに思います。
 私も、その基本的なマネーに対する考え方、期待に対する考え方、全く同感であるというふうに基本的に申し上げておきたいと思います。
 ただ、期待というのは、分からないんだけれども、やっぱりそこは政策上はしっかりと議論しなければいけないと、これはやっぱり一点だけ申し上げておきたいというふうに思います。
 それは、例えば企業は投資するときに何に基づいて投資するか。これはもう間違いなく期待に基づいて投資するわけです、将来どうなるかと。それは皆さん、我々は別に期待がどうだということを明示的に個人として思っているわけではありませんけれども、将来自分の給与はどうなって、それでローンは返済できるかどうか、これすべてやっぱり期待でありますから、その期待に対し、期待というものをやはり大事にした政策運営をしなければいけないということだと思います。
#125
○平野達男君 期待ということに関して言いますと、先ほど総裁の言われた日銀若しくは政府がきちっとした信任があるかどうか、これが私も本当に重要だと思います。今の政府が本当に信任があるかどうか、これは与党と野党によってちょっと解釈違うと思いますけれども、将来に対するやっぱりきちっとした成長見通し感、これが出るためにはやっぱり政府がしっかりしなくちゃならないということだと思います。
 私は、日銀総裁と竹中大臣に対しては質問、以上です。
 じゃ次に、昨日の日経の新聞に国債の危機管理について何か協議をするんだというような記事が出ていましたけれども、これは何を議論したんでしょうか。多分、危機管理というんですから、まさか買うための議論じゃなくて、売りが相当出てきたときにどうするかという議論ではなかったかと思うんですが、どうでしょうか。
#126
○政府参考人(寺澤辰麿君) お答えいたします。
 昨日、国債市場懇談会を開催をいたしまして、国債市場の危機管理策、それから個人向け国債の募集、販売について議論をしたところでございます。
 国債市場懇談会と申しますのは、申し上げるまでもなく、国債の消化を一層確実かつ円滑なものとするとともに、国債市場の整備を進めていくために、市場関係者、有識者から直接かつ継続的に意見を聴いている、そういう場でございます。
 国債市場の危機管理策についてでございますが、現在の国債市場をめぐります環境は、金利が非常に低水準でかつ安定的に推移している、また、イラク情勢も国債市場に大きな影響を与えている状況にはございませんという意味で、目下良好な状況にはございます。
 ただ、国債市場の危機管理という観点から、今後、例えば有事の発生、また災害等によって国債市場に大きなショックが生じた際の対応というものについて議論をしておく必要があるということで、昨日そういうテーマについて議論をしたものでございます。
 どういう議論があったかにつきましては、詳しくは今朝ホームページにもう掲載しておりますので、それを読んでいただければと思いますが、主なものだけちょっと御紹介させていただきますと、国債市場の危機管理の中で一番考えられることは、国債の入札の中止をするとか、延期をするとか、発行額を縮減するとか、そういう対応を取るということが一つあるわけですが、これにつきましては、入札の延期等はかえって市場を混乱させるので、有事等の場合も、原則として入札は予定どおり実施するべきであると。その結果、未達等が生じても市場は受け入れることができるという意見があった一方で、国債市場に大きなショックが生じた場合には、入札の中止、延期もやむを得ないんじゃないかという意見もございまして、二つの意見があったということでございます。
 なお、入札の中止、延期もやむを得ないという意見の中にも、マーケットの変動が経済活動に起因したものである限りは通常どおり入札を行うことが望ましい、ただ、有事、震災等の場合には、十分な数の参加者が確保できるのか、円滑な資金決済が行われるのかといったようなことを見極めながら当局が入札を実施するか否かを判断すればいいという意見もあったところでございます。
 それから、昨日の議論のもう一つは、危機管理の観点から、発行当局と市場関係者の緊急連絡手段の整備が必要だという意見や、発行当局、日銀、市場参加者を含めた網羅的な危機管理策の整備が重要であるといった意見も出されたところでございます。
#127
○平野達男君 国債が物すごい売りに出されたというときの、そういった想定の話はなかったということですね。
#128
○政府参考人(寺澤辰麿君) 国債が急に売り出されたという状況がどういうことを原因として売り出されたかということによるんだろうと思いますけれども、それには、先ほど申し上げましたような経済的要因による場合と、震災とか有事の原因による場合がある、それぞれについてどう考えるべきかということを議論したということでございます。
#129
○平野達男君 分かりました。
 ちょっと時間がなくなってまいりましたので、税制改正の方についてちょっと質問させていただきます。
 大分議論が出尽くした感じがありまして、多分二番せんじになるかもしれませんけれども、まず一番目に、先行減税ということに対する考え方なんですが、これはやっぱり、どうも市場から見た場合に物すごいインパクト低いんじゃないかということで、どうしてもこう取られがちなんですが、ここはどのように説明されますか。
#130
○副大臣(小林興起君) 正に先行減税になっておりまして、平成十五年度、国、地方合わせて一・八兆円の規模の減税をいたすわけでございますから、従来の税率であれば取られていたものが今回は取られないということによって、その部分については大きなインセンティブが働く可能性があるわけであり、しかもそれが経済波及効果の大きいと想定される技術開発だとか、あるいは今持っております国民の、高齢者の資産を若い人に譲っていくという贈与、相続一体の減税措置でございますので、かなり大きな経済効果があると、そんなふうに考えております。
#131
○平野達男君 当然のことながら、減税ですから、それによって景気刺激しますよ、場合によってはデフレ脱却まで目指しますよと、こういうことだと思います。
 しからば、増税のタイミングなんですけれども、一応ある程度日切れ、日を設定しているものとそうでないものがちょっとあったと思うんですが、仮にこの減税先行して効果が出なかった場合、どうしますか。
#132
○副大臣(小林興起君) この減税というのは、御承知のとおり、もう民間経済の活力を促すようなものでございますので、必ずこれはある程度今までの経験値からいいましても、こういう減税については、また世界の例を見ても効果があるというふうに考えているわけでございます。
 その後のいわゆる減税を補う分、税金が減収になる分を補う増収としては、ほかの部分の税制が動いて、配偶者控除の特別枠を廃止するとかいう形で上がってくるわけでございますので、これとこれとが直接相殺されるということにはならないと思います。
#133
○平野達男君 ただ、傾向として税収はどんどん落ちていますよと。今回、減税をしましたと。これは本当に最後の切り札みたいな形で出したんでしょう。しかし、結果としてその効果が出ませんでしたと。そのときに増税できますか。
#134
○副大臣(小林興起君) 今の、特に税を予想したとき、御承知のとおり、税が上がってこないというものは法人税について非常に大きく今出てきているわけでございますから、民間経済の活力といっても、特に法人、企業等に効果のあるような減税措置が実行されているということで、必ず民間経済の再生という面で大きな効果があると我々は考えております。
#135
○平野達男君 まあ想定の話はできないという御答弁なんだろうと思いますけれども。
 いずれにせよ、減税やって、要するに増税をしますよということをはっきり言っているわけですよ、今回はですね。そのときに、これだけのスキーム言っていますから、じゃ、要するに一・八兆円やって、まだ景気は、デフレはなかなか脱却できませんでした、景気もできません、不良債権もどんどん出ていますと、こういった場合の措置というのは、これはもう一切無視をするということなんですか。
#136
○副大臣(小林興起君) この増減税一体、多年度にわたっておりますので、今回のこの税制改正案を出しているこの案のスキームとして、今、平成十五年度は税が上がってこなくなりますけれども、それは後年度には税が上がってくる形になっていますよということをお示ししての今年の減税案なんですね。
 しかし、これが二年か三年たってきたときに、もっともっと景気刺激策が必要じゃないかというときにまた考えるということは、毎年減税はできるわけですから、そこはそこでまた考えて、後でまた上げるということも考えられるわけでありまして、セットでこう上がっていくと、こういうことでございます。
#137
○平野達男君 多分そういう答弁になるはずなんですよ。
 そうしますと、今から何も増税なんか、こんなひけらかさなくたっていいじゃないですか。
#138
○副大臣(小林興起君) これは御承知のとおり、この財政規律、特に今言いました財政の再建等をにらんで大幅な赤字財政は解消していくという方向を打ち出している政府として、いかに景気対策といっても、瞬間、税が減収になるわけでございますから、その分だけ赤字、国債発行している部分が増えてくるわけでありますから、そういうことを考えますと、この減税措置そのものにも後でちゃんと増収ということで考えて、財政規律もかなうようにやっておりますという私はやっぱり説明が必要だということの中に、多年度にわたって税収、税の減額と増額というのが一致しているというふうに思っております。
#139
○平野達男君 私は、本当に今回の減税のものについて、減税措置をやることによって景気がちゃんと上がりますと、上がったことによって税収の増収が図れますよという、そういうストーリーを私どもは聞きたかったですね。(「理想的だよ」と呼ぶ者あり)理想的なのかも分からない。いつも塩川財務大臣に理想理想と言われますけれどもね。ただ、もっとも、そうしないと、せっかくの減税のインパクトがもう本当に弱まっていると思いますよ。
 それで、次のちょっと質問に行きますけれども、今回の、今回というか、今の景気を支えているのは個人消費と言われているわけですね。設備投資がぐんと落ちている。今回の税制改正というのは個人消費にどのような影響を与えるというふうに評価していますか。
#140
○副大臣(小林興起君) 直接的に、個人消費の問題については、御承知のとおり、増収に特に、税を増やすところにつきましてはすぐに実行するようになっていないということで、平成十五年度はもう先行減税、減税のみでございますから、したがってこれが、むしろ民間経済が活発化して消費を促すことがあっても、消費を抑えるような形にはなっていないわけでございます。
 将来についてだんだんと税が重くなってくる中で、さあ個人消費はどうなるかということについては、これが増えてまいります十六年、十七年と、先については改めて見通さなければならないところかと思いますが、またそれについてはその年度の始めにやはりいろいろ考えて出すということになろうかと思います。
#141
○平野達男君 何かちょっと分かったような分からないような御答弁だったと思うんですが。これは午前中の櫻井議員の中にもあったと思うんですが、今やっぱり、先ほど言ったように個人消費というのは物すごい重要だと思うんですよ。
 それで、今回の税制改正というものが個人消費に対してどういう刺激を与えますかという、まず説明をしてもらいたい。
 それからもう一つは、今回のいろんな税制改正をやるときに、国民負担率という話がありました。これは櫻井議員が言ったとおりです。今回、医療費の二割から三割負担の増、それから年金の仕組み、年金あるいは介護保険料もありましたか、失業、ごめんなさい、失業保険料ですね、そういったものの負担がどんどん増えている、こういう中で、個人消費に対して今回の税制改正でどういった仕組みを用意しましたかということを説明してもらいたいんです。
#142
○副大臣(小林興起君) 申し上げましたように、平成十五年度というこの年度については先行減税というものが、特に個人消費を直撃する形で、促す形ではなされていないかと思いますけれども、しかし、企業減税の面が大きいわけでございますから、それによって民間経済が活性化して、やがて雇用が増える、そして何か世の中明るくなるというような心理的な効果で個人消費が増える可能性はあると思いますが、いずれにしても、これは抑える形になっていないと。抑えないわけですから、現状維持か増えるという形で、増える方向にもあるでしょうし。
 それと、贈与税、相続税の一体化というのは、もうすぐに、お年寄りから若い人に資産が動いていくということの中に、若い人としてはその分だけ資産も増えてくるわけでございますから、住宅を建てる努力をしながら生活が豊かになる、この気持ちの中に個人消費を増やす要因には私はなってくると思います。
#143
○平野達男君 だから、相続税と贈与税というのは確かにあります。だけれども、今のお話聞いていますと、個人消費そのものに対するインセンティブというのは何もないじゃないですか。
 確かに、研究投資とかといろいろありますよ。一応用意しています。だけれども、一番最初の家庭にいる人たちが今回の税制改正でどのような判断をされるでしょうかということなんですよ。それに対して、要するに、こういう措置をしましたから安心して投資できますよという説明できなかったら駄目じゃないですか。
 繰り返しになりますけれども、もう一回言いますけれども、個人消費というのは今物すごい大事ですよ。今落ち掛かっている、いろんな要素で。そして今回、税制改正が出てきた。ここに対してのインパクトのある説明してもらわないと、今みたいな説明だったら、要するに個人消費は、いや、端的に言えば、要するに今回の措置は相続税、贈与税のみですということなんですよ。多分、実態はそうなんですけどね。そうだから、そういうふうな説明しかできないと思いますから。そうだからこそ、そういう説明しかできないと思うんですけれども、そうしたら今回の税制改正というのは大きな柱がやっぱり抜けていると思いますよ。
#144
○政府参考人(大武健一郎君) 補足さしていただきます。
 今回の税制改正自体は、やはりあるべき税制に向けて一つ一つ改正をさしていただいているわけです。正に、副大臣が申されましたとおり、一つはやっぱり資産に着目して、個人の資産を有効に活用していただくというようなことに着目をさしていただいています。それは相続、贈与もそうですし、証券税制という形で、何もお金持ちの方ではない、一般の方が直接金融へ言わば誘導さしていただきたいと、そういうことによって資産を少しでも有効に活用していただくというようなことも目指しております。
 それからさらに、実は余り御議論になっていないんですが、十一年度に実施させていただいた例の恒久的減税というのをなお継続しておるわけでございます。ですから、よく我々の税金は八割の方が一割の所得税で済んでいるという御議論になるんですが、今、一割じゃないんで、八%になっているわけであります。そういう意味では、なおこの恒久的減税も続けているということも御評価にいただきたいと思います。
 ただ、この恒久的減税をやった後の評価といいますか、議論をしますと、これは十二年の経済白書に出ていることでございますが、むしろ、四・六兆円程度の恒久的減税が行われて、家計調査を見ると。減税は勤労世帯の可処分所得を下支えしていると、これ十二年度でございます。ただ、定期収入が低迷していることに加えて、もう九九年度から可処分所得は減ったと、こうなっているわけで、こういうような減税政策というのが、果たして本当に消費に有効に役立っているのかどうかというようなことも本当は御議論いただかなきゃならない。
 そういう点では、法人税の減税ということでいろいろ御議論になりましたけれども、研究開発投資とか設備投資とか、実質有効需要に結び付く政策をやっていただくことにより経済全体が活性化する中で、むしろ所得その他消費も高まっていくということの効果もまた一方ではあるんではないだろうかと思う次第であります。
#145
○平野達男君 だけれども、私は、先ほど言いましたように、今の実態を見ますと設備投資その他が非常に落ち込んでいるよと。それに対する税制の刺激を与えるのはいいんですけれども、辛うじて、今、要するにデフレスパイラルという状況に陥るのを防いでいるのは個人消費であると。確かに、恒久減税というのは前にやって、多分これは相当の効果があると思います。だけれども、今回新たな減税措置を出して、追加措置みたいなものを、すぱっと追加措置みたいなものを出してこないと落ち込むんではないかということを心配して言っているわけです。
 もし、何かあればまた。
#146
○副大臣(小林興起君) 日本の高度経済成長時代をさかのぼってみれば分かりますけれども、何がどんどん経済が上がってきたかと。それは、まず企業がたくさんできて、新しい産業が起こって、そして雇用の場が広がり、会社がもうかりますから当然賃金も増えると。所得が増えれば当然消費も増えるという形で、この企業社会の中に日本経済の発展があったわけですから、じゃ、今何が問題かといいますと、明日は日本の時代だなんてアメリカに言われた、そのアメリカに、研究開発についてだって向こうの方が税制措置も良くなっている。つまり、企業に対する助成を、もうほうっておいてもいいだろうという手を抜いた結果、アメリカの方が経済が発展してしまったと。
 そういうことを踏まえて、もう一度日本の経済のすそ野を広く支えてきた企業というものに着目して、これを元気を出させるということで、これがぐっと上がってまいりますれば、もう自分の勤めている職場は安心だと。じゃ、この職場が駄目でもよそに転業ができる、転職ができるという、個人に明るさがみなぎってくるわけでありますから、結果として消費も増える。
 あるいはまた、今度は住宅については、思い切った増減税一体、さらに住宅については特別減税しておりますから、大きなうちを造ろう、今造ろうと。内側に入りますと、中に、テレビも各部屋に設けると。新しい消費がそこで起こりますから、その消費に直結する住宅産業が育成されることによって起きるという非常に明るい絵を、この一・八兆円の減税の中にすべて込められているということでございます。
#147
○平野達男君 試験研究費の話も、別にこれ悪いと言っていませんし、これは評価しているわけです。
 そうはいっても、今やっぱり企業投資というのは、これをやったとしてすぐに向かうかというと、やっぱりさっきのお話にありましたけれども、期待成長率、その他がぼんと膨らむかというと、そうでもないと思うんです。だけれども、さっき有効需要のお話ありましたけれども、有効需要として今一番機能しているというのは個人消費だと。そこの個人消費につきまして今回の税制改正でやっぱりきちっとしたものを、もっときちっとしたものをやっていただきたかったという、こういう考えです。
 それから先ほど、次の質問に移りますけれども、証券税制の話がありました。配当も、いわゆるキャピタルゲインに掛かる部分も同じ割合で確か税率を下げていると思うんですけれども、そろそろ、これは塩川財務大臣にかつて、株はキャピタルゲインの方が主なんでしょうか、配当が主なんでしょうかという御質問したら、両方ですというお答えが返ってきましたけれども、私はやっぱり配当という方向をもっと重視した方がいいんじゃないかと思うんですが、どのようにお考え、小林副大臣。
#148
○副大臣(小林興起君) 株を買う人の中にいろいろとあって、とにかく経済欄を見ながら上がったらすぐ売って、売り抜けたときの利益を得たいという人については、これは譲与税ですね、売ったときの税金が下がるというのがいいでしょう。これについても一〇%下げていくわけでございますが、しかし、お年寄りで、とにかく貯金するよりはいい会社に株を買っておいて、来れば配当がちゃんと来ると。それについては、配当について課税が減税されていくのが喜びだと思うわけでございますが、それを、今回は配当もやります、譲与もやりますと、両方一遍に、一気に行くわけでございますから、まあとにかく株持って損ではないという機運がみなぎっていくんじゃないかなと、そんなふうに思っております。
#149
○平野達男君 副大臣の熱意だけはよく伝わってきますけれども、いずれにせよ配当の方が、要するに企業のいろんな収益が行き渡る範囲がずっと広くなると思うんですよ。キャピタルゲインは、それはもう一種の、もうける人はどっともうけるかもしれませんし、損する人はぐっと損する、まあそうなんでしょう。一種のギャンブル性と言ったら言葉は悪いですけれども、強いですよね。だけれども、やっぱりこの配当を思い切って課税をゼロぐらいにして、要するに長期保有するという方向をやっぱり誘導すべきじゃないかと思うんですが。
#150
○政府参考人(大武健一郎君) 補足さしていただきます。
 実は、今回の改正、御存じのとおり去年の改正によりまして、一昨年から去年に掛けまして譲渡益課税の非課税百万円控除ですとか、いろんな制度がありましたのをこの際見直さしていただいて、正に配当一割、譲渡益一割、しかも証券会社で、ある意味では特定口座でやっていただけば源泉徴収で終わってしまうという形で、簡素性を重視した改正にさしていただいています。そういう意味では、簡素ということが何よりもいろんなアンケート調査でも重要であるということなものですから、多くの投資家の方々に参画していただきたいという意味で、正に先生が言われたような方向も考えてやらさしていただきました。
 ただ、配当を例えばアメリカがゼロにするという御議論が一方で出ていますが、実はこれ、産業界でも反対が出ております。例えば優良企業、具体名言っていいかどうか分かりませんが、マイクロソフトというのは一切配当しておりません。むしろ株価を上げる政策で内部留保を上げているわけです。そういうふうなことになりますと、果たして持っておられる方も、むしろストックオプション、そういうような政策もあるんでしょう。あるいは株価を上げるという政策、それによって売ってもうけるという。それは長期保有の方でも最後はどこかで売るということがあるわけですから、そういう意味では、むしろ我々の考え方は配当も譲渡益もニュートラルに一割にさせていただいたと、こういうことでありまして、アメリカの配当だけゼロにするという政策は、産業界からも同意が必ずしも得られてないというふうに聞いております。
#151
○平野達男君 時間ですから、最後に一問、塩川財務大臣に。ちょっと通告してませんでしたが、簡単な質問なんですけれども。
 今回の税制改正も項目が物すごいたくさんで、とても私どもは理解できないのが一杯あるんです。それで、恐らく一般の方が見てもよく分からないし、これ会計士が、公認会計士も、今回の改正は非常に数が多いし、前の連結納税制度も仕組みが複雑でよくわからぬと。やっぱりこれ、税制が本当に複雑過ぎますので、やっぱり簡素化をもっともっとやらないかぬなという感じが強くします。それに対する最後の、ちょっとコメントをいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
#152
○国務大臣(塩川正十郎君) もちろんこれは簡素化しなきゃならぬと思うんです。
 しかし、やはり世の中でわずか何%、一%のずるい人がおる、これを防止しなきゃならぬ、そこで公平を保たなきゃならぬというのが細かい規定になってくると思いまして、私たちも非常に残念ですけれども、もっと簡素化すべきだと思うんですけれども、そのときには抜け道を使って悪が働くことをすると。それをどの程度許容していくかということが、このアナウンス、どの程度取るかということが大事な判断だと思いますけれども、そういう意味において複雑になってきたということです。
#153
○平野達男君 終わります。
    ─────────────
#154
○委員長(柳田稔君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、風間昶君が委員を辞任され、その補欠として山本保君が選任されました。
    ─────────────
#155
○委員長(柳田稔君) ほかに御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 所得税法等の一部を改正する法律案の修正について、峰崎君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。峰崎君。
#156
○峰崎直樹君 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由を説明いたします。
 政府提案の税制改正案は、現下の経済情勢を無視し、将来に対するビジョンや理念を欠いた内容となっています。特に極めて厳しい国民生活の中で酒、たばこなどの大衆増税を強行し、平成十六年からの所得税など増税を現段階で決めてしまえば、国民の将来に対する不安を高め、消費の低迷を通じて、一層景気を悪化させることは必至であると考えます。
 民主党は、国民生活の破局を回避するため、四点の修正を求めます。
 以下、修正案の概要を申し上げます。
 第一は、消費税の総額表示の義務規定の削除です。税制改正の議論の中で唐突に浮上した本改正は十分な議論を経ておらず、一方で国民生活に多大なる影響を与えるものです。義務付けの明確な理由も政府からは示されておらず、本規定の削除を求めます。
 第二は、酒税の増税に関する規制の削除です。酒類間の税負担格差の縮小という大義名分を掲げていますが、実態は異なり、いたずらに民間企業の努力を踏みにじり、また国民に増税を押し付けるものであります。
 第三は、たばこ税の増税に関する規定の削除です。本改正は、国民の健康増進などの理念を全く欠き、正に取りやすいところから取るという政府の姿勢を示したものであり、許されるものではありません。
 第四は、連結付加税の廃止です。民主党は、昨年の通常国会においても同様の修正を求めましたが、実際に導入された結果を見れば、私たちの主張が正しかったことは明らかであります。連結納税導入の趣旨に反し、単なる増税策となっている連結付加税は即刻廃止すべきであります。
 大衆増税によって国民生活を破滅に追い込もうとする小泉政権、自民党に代わって、民主党は、国民を守るために以上の修正を求めます。その内容は、今からでも容易に見直しが可能な観点に絞っています。
 委員各位におかれましては、私たちの主張の真意を御理解いただき、何とぞ御賛同いただけますようお願い申し上げまして、趣旨の説明を終わります。
#157
○委員長(柳田稔君) ただいまの峰崎君提出の修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。塩川財務大臣。
#158
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいまの所得税法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府としては反対であります。
#159
○委員長(柳田稔君) これより両案及び修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#160
○勝木健司君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました二法律案に反対し、我が党提出の所得税法等改正案に対する修正案に賛成する立場から討論を行います。
 まず、特例公債法案に反対する理由を申し述べます。
 小泉内閣の標榜する財政構造改革は、今や風前のともしびとなっております。税収割合がわずか五一%にすぎない一般会計にあって、公債発行金額は三十六兆四千億円を超え、当初予算にして最悪の四四・六%という公債依存度になっております。こうした現状からは財政健全化への道筋が全く見えておりません。
 にもかかわらず、国債三十兆円枠の公約破りに始まり、二〇一〇年代初頭のプライマリーバランスの黒字化など、その実現性を疑問視せざるを得ない将来像を語り、かえって国民の将来不安をかき立てる無責任極まりない財政運営が小泉内閣による財政構造改革の本質であります。
 特例公債法案は、こうした小泉内閣の無責任体質を如実に示すものであり、到底私どもは認めることができません。
 次に、所得税法等改正案について反対する理由を申し述べます。
 まず第一の理由は、抜本的税制改革と言いながら、あるべき税制の姿を国民に具体的に示すことなく、経済活性化と財政規律の両立、多年度税収中立の名の下に、経済失政のツケを国民に増税という形で押し付けようとしている点であります。経済活性化と言いながら、酒、たばこといった大衆増税を実施し、我が国経済の主人公であるべき中小企業や消費者にその負担を押し付ける、これではだれも納得できません。
 反対する第二の理由は、消費税の内税化、いわゆる総額表示の義務付けを強行しようとしている点であります。従来から消費税の価格表示の在り方に関しては、その負担、転嫁関係を明らかにするため、税額を明確にすることに主眼が置かれてまいりました。にもかかわらず、十分な検討を経ることなく、総額表示を義務化すれば、価格表示の変更に伴うコスト増を引き起こすばかりでなく、中小企業者等における消費税の価格転嫁を困難にし、その経営基盤を脅かしかねないと言わねばなりません。唐突な総額表示方式の強制は、国民生活にも多大な影響を及ぼすものであり、反対であります。
 反対する第三の理由は、我が国の経済社会の変化に対応した税制の整備が不十分な点であります。NPO支援税制についても、政府案によるみなし寄附金制度の導入や認定NPOの認定要件の部分的緩和などでは全く不十分と言わざるを得ません。今や一万を超えるNPOが誕生している中で、NPOに期待される社会的役割にふさわしい抜本的な支援税制の構築が求められております。また、連結付加税につきましても、企業活動の国際化等を踏まえ、企業経営の実態に即した課税を行うためのものであるという連結納税制度の趣旨を無視し、単なる財源手段として導入されたものであって、即刻廃止すべきであります。
 これに対し、民主党提出の修正案は、単なる財源のつじつま合わせにすぎない酒税、たばこ税の引上げ規定の削除、連結付加税の廃止を盛り込み、国民生活に極めて影響の大きい消費税の総額表示の義務規定を削除するものであり、小泉内閣の失政のツケを国民に回すことのないよう、実行可能な最小限の措置を講じようとするものであり、国民生活を守っていく観点から必要不可欠なものであります。
 委員各位にこの修正案に御賛同いただくことを求めて、私の討論を終わります。
#161
○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、二〇〇三年度公債特例法案、所得税法等一部改正案及び民主党提出の修正案の三案に対する反対討論を行います。
 最初に、公債特例法案について反対の理由を述べます。
 来年度の赤字国債発行額は、当初予算としては過去最高の三十兆二百五十億円となり、国債依存度は四四・六%に達し戦後最悪となるなど、記録ずくめの異常な国債発行となります。小泉内閣が約二年間進めてきた構造改革は、失業率、勤労者所得、あらゆる経済指標を悪化させ、税収不足を招きました。その穴埋めのための巨額国債発行には断じて賛成できません。これが反対する第一の理由であります。
 第二の理由は、小泉内閣が自らの失政を省みず、財政危機を国民への負担増で糊塗する路線を暴走している下で、不況の深刻化、税収不足、国債増発の悪循環を加速させ、財政再建を一層困難なものにするからです。
 次に、所得税法等一部改正案についてであります。
 反対する第一の理由は、本法案が深刻な経済危機の下で苦しむ国民や中小企業に対し、戦後初の本格的な所得税増税となる配偶者特別控除の上乗せ部分廃止、発泡酒、たばこの増税、消費税の免税点引下げや簡易課税上限の引下げ等によって、地方税も合わせて一・七兆円もの負担増を押し付ける許し難いものであり、社会保障改悪による負担増と相まって、冷え込んだ家計消費に追い打ちを掛け、景気を一層悪化させるからです。
 第二の理由は、先行減税、多年度税収中立という本法案のキーワードが大企業・資産家優遇、国民いじめにほかならないからです。法人税の研究開発・整備投資費減税、株式譲渡益・配当課税や相続税・贈与税減税など、減税となるのは専ら大企業を中心とした勝ち組企業、資産家です。そして、多年度税収中立は、七年間で庶民から八兆円以上を奪い取り、先行減税の穴埋めと恒常的な増税を図るもので、国民に更なる痛みを押し付ける許し難いものです。
 第三に、本法律案が小泉内閣が進める国民いじめの抜本的税制改正の第一弾と位置付けられていることであります。配偶者特別控除の上乗せ部分廃止は、所得税の課税最低限引下げの第一歩であり、消費税の中小企業特例措置の縮小などは、消費税率引上げに向けた条件作りであります。戦後に築かれた直接税中心、総合・累進課税、生活費非課税など税制の民主的原則を根本から破壊する小泉税制改革のあるべき税制は、断じて認められません。
 また、今回の改正案には、NPO支援税制の一定の改善や住宅ローン減税の再適用制度の創設など、賛成できる項目も含まれていますが、以上の理由から全体として反対するものであります。
 なお、民主党提出の修正案については、酒・たばこ増税や消費税の内税方式の削除など、それ自体に限れば賛成し得る側面もありますが、政府案の重大な改悪部分を修正するものでなく、全体としては賛成できません。
 以上、三案に対する反対討論を終わります。
#162
○平野達男君 私は、国会改革連絡会を代表して、平成十五年度公債発行特例法案、所得税法の一部を改正する法律案、民主党提出の修正案の各案に反対の討論を行います。
 国債発行三十兆円枠堅持、抜本的な税制改革と小泉総理は言ってきましたが、それから一年たち、出てきたものは、経済運営の失敗による史上最大額の国債発行特例法案と大きな方針の見えない改正項目羅列税制の見直し案であります。
 以下、両案に反対する理由を申し述べます。
 第一に、小泉内閣の経済財政運営の方向性が不明確であるために、日本の経済社会への財政効果も明確にならないまま赤字国債を積み増しするだけにすぎないことです。
 国債発行三十兆円枠を設定した小泉内閣の経済財政運営は、結果として予想を大きく超える税収不足をもたらしています。特に、来年度予算案では、当初予算案としては最悪の三十六兆四千億円の国債を発行しようとしています。これは、小泉内閣の経済運営の失敗のツケを借金積み増しでお茶を濁すことにほかなりません。また、来年度予算案が、デフレ対策、景気対策、構造改革、いずれにも配慮せず中途半端であり、何も資することがないまま、国債発行で財政は悪化するという経済財政悪化のスパイラルに陥ってしまう可能性があります。
 第二に、来年度税制改正のキャッチフレーズである多年度税収中立は、時限的な減税と恒久的な増税の組合せにすぎないということです。
 本来、減税をするならば恒久減税であり、その財源は行政改革によって捻出すべきです。それができずに、結局増税によって財源を確保することは、歳出構造の見直しを放棄して、安易な増税に終始することを宣言したようなものです。また、増税項目は恒久的であることから、年数がたてばたつほどトータルとして増税になります。減税が時限措置なら増税も時限措置にすべきですが、そうでないところに、景気に配慮したといいながら、ちゃっかり確実な税収確保を盛り込ませる政府のこそくな意図を感じます。
 第三に、来年度税制改正はその内容も日本経済の実態に全く合わないことです。
 法案では投資促進減税を行うとしていますが、そもそも企業が投資を行わないのは先行き不安や過去の過剰債務返済のためであり、税制を優遇したとしても、先行き不安の解消、実体経済を下支えすることを行わない限り、企業の投資意欲がわくことはなく、税制改正の効果は限定的です。一方で、そうした効果の薄い法人税減税のために、消費にマイナス圧力を掛ける所得課税の増税や、一部の企業に対して赤字でも納税させる外形標準課税をこの時期に導入するなどというのは、どういう理念で税制改正を行うのか、支離滅裂であります。
 また、一時的な減税規模についても、健康保険の本人負担引上げ、介護保険料の引上げ、年金物価スライド復活による年金給付引下げなどを勘案すれば、減税効果は相殺されるばかりか、年を追うごとの加速的負担増によるマイナス圧力が膨らむばかりです。この点においても景気への効果は乏しく、税収落ち込み、財政悪化という悪循環を断ち切ることはできません。
 最後に、民主党提案の修正案については、賛成できる部分もあるものの、原案を完全に修正することに至っていないため、反対することを申し上げ、討論を終わります。
#163
○委員長(柳田稔君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、平成十五年度における公債の発行の特例に関する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#164
○委員長(柳田稔君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、所得税法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 まず、峰崎君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#165
○委員長(柳田稔君) 少数と認めます。よって、峰崎君提出の修正案は否決されました。
 それでは次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#166
○委員長(柳田稔君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、峰崎君から発言を求められておりますので、これを許します。峰崎直樹君。
#167
○峰崎直樹君 私は、ただいま可決されました所得税法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会、公明党及び国会改革連絡会(自由党・無所属の会)並びに各派に属しない議員大渕絹子君及び椎名素夫君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    所得税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 中長期的な財政構造健全化と経済社会の活性化の必要性が一層増大していることにかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、歳出の重点化・選別化に努めるとともに、税制に対する国民の理解と信頼、税負担の公平性を確保する観点から、課税の在り方についての抜本的見直しを行い、社会経済構造の変化に対応しつつ持続的な経済社会の活性化を実現するための税制の構築に努めること。
 一 特定非営利活動法人に対する寄附金税制については、社会的に重要性を増している非営利活動を促進するという趣旨等にかんがみ、今後の検討に当たっても、その実態等を十分踏まえること。
 一 租税特別措置については、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性、利用の実態等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理化を推進すること。
 一 急速に進展する経済取引の国際化・複雑化及び電子化等に見られる納税環境の変化、更には滞納整理事務等を始めとする事務量の増大にかんがみ、今後とも国税職員の処遇の改善、定員の確保を行うとともに、機構の充実、職場環境の整備及び事務に関する一層の機械化促進に特段の努力を払うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#168
○委員長(柳田稔君) ただいま峰崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#169
○委員長(柳田稔君) 全会一致と認めます。よって、峰崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、塩川財務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。塩川財務大臣。
#170
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#171
○委員長(柳田稔君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#172
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#173
○委員長(柳田稔君) 関税定率法等の一部を改正する法律案及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案、両案を一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。塩川財務大臣。
#174
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいま議題となりました二法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、特恵関税制度等について所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、本法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一は、特恵関税制度の改正であります。後発開発途上国への一層の支援を図るための特恵対象品目の追加等を行うこととしております。
 第二は、暫定税率の適用期限の延長等であります。平成十五年三月三十一日に期限到来がいたします暫定税率の適用期限の延長等を行うこととしております。
 第三は、知的財産権侵害物品に係る水際措置の強化であります。植物の品種登録により発生する育成者権を侵害する物品の輸入禁制品への追加、輸入差止め申立て制度の拡充等を行うこととしております。
 第四は、通関の一層の効率化のための対応であります。納税申告前の貨物の引取りを可能にする簡易申告制度に係る担保提供額の見直し等を行うこととしております。
 次に、国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について、御説明申し上げます。
 国際開発協会は、世界銀行グループの中核機関として、所得水準が一定以下の開発途上国に対して、長期かつ無利子の融資を行うことを主たる業務とする機関であります。先般、同協会の二〇〇三事業年度から三年間における財源を確保するため、第十三次の増資を行うことが合意されました。
 政府といたしましては、国際社会の一員として開発途上国の経済発展と貧困削減に貢献するとの見地から、この第十三次増資に係る追加出資を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 本法律案の内容は、政府が国際開発協会に対し、二千四百七十八億四千四百四十万円の追加出資を行うよう、所要の措置を講ずるものであります。なお、今回の追加出資額につきましては、我が国の現下の経済力や財政状況、昨今のODAをめぐる国内の議論を踏まえ、前回増資時より減額をしております。
 以上が、二法案の提出の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
#175
○委員長(柳田稔君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は明日に譲ることといたします。
    ─────────────
#176
○委員長(柳田稔君) 去る二十日、予算委員会から、本日一日間、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀行について審査の委嘱がありました。
    ─────────────
#177
○委員長(柳田稔君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁検査局長佐藤隆文君外六名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#178
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#179
○委員長(柳田稔君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、参考人として国民生活金融公庫総裁薄井信明君外二名の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#180
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#181
○委員長(柳田稔君) 平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀行を議題といたします。
 それでは、委嘱されました予算について順次政府から説明を聴取いたします。塩川財務大臣。
#182
○国務大臣(塩川正十郎君) 平成十五年度一般会計歳入予算並びに財務省所管の一般会計歳出予算、各特別会計歳入歳出予算及び各政府関係機関収入支出について御説明申し上げます。
 まず、一般会計歳入予算額は八十一兆七千八百九十億円余となっております。
 その内訳につきまして申し上げますと、租税及び印紙収入は四十一兆七千八百六十億円、その他収入は三兆五千五百八十億円余、公債金は三十六兆四千四百五十億円となっております。
 次に、当省所管一般会計歳出予算額は十八兆六千百二十七億円余となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、産業投資特別会計への繰入れは一千六百三十六億円余で、国債費は十六兆七千九百八十億円余で、政府出資は二千三百八十三億円、予備費は三千五百億円となっております。
 次に、当省所管の各特別会計の歳入歳出予算について申し上げます。
 国債整理基金特別会計におきましては、歳入百六十七兆一千四百十八億円余、歳出百五十八兆一千四百十八億円余となっております。
 このほか、財政融資資金等の各特別会計の歳入歳出予算につきましては、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 最後に、当省関係の各政府関係機関の収入歳出予算について申し上げます。
 国民生活金融公庫におきましては、収入二千二百八十七億円余、支出一千九百二十九億円余となっております。
 このほか、日本政策投資銀行等の各政府関係機関の収入支出予算につきましても、予算書等をごらんいただきたいと存じます。
 以上、財務省関係の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。
 なお、時間の関係もございまして、既に配付しております印刷物をもちまして詳細な説明に代えさせていただきますので、記録にとどめていただきますようお願い申し上げます。
 よろしく御審議のほど心からお願い申し上げます。ありがとうございました。
#183
○委員長(柳田稔君) 次に、竹中金融担当大臣。
#184
○国務大臣(竹中平蔵君) 平成十五年度における内閣府所管の金融庁の歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。
 金融庁の平成十五年度における歳出予算要求額は百五十五億九千九百万円となっております。
 このうち主な事項について申し上げますと、金融庁の一般行政に必要な経費としまして百二十億円、金融機関等の監督等に必要な経費としまして十四億九千四百万円、証券取引等監視委員会に必要な経費としまして五億八千三百万円を計上しております。
 以上をもちまして、平成十五年度内閣府所管の金融庁の歳出予算要求額の概要の説明を終わらせていただきます。
 よろしく御審議くださいますようお願いをいたします。
#185
○委員長(柳田稔君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 なお、財務省所管の予算の説明については、お手元に配付しております詳細な説明書を本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#186
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#187
○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。
 今日は、財務省、金融庁の予算の委嘱審査ということでございますが、財務省におかれましては、財務省自身の予算もさることながら、他省庁の予算を審査、監督するお立場にあるわけでありまして、本委員会でも過去に何度か、いかに他省庁の予算が適切に使われているかどうかを塩川大臣にも聞いていただいたことがあろうかと思います。今回も若干他省庁の話から入らせていただきまして、ひとつ大臣の御参考にしていただければと思います。
 まず、外務省においでいただいていると思うんですが、十三年度の二次補正予算の審議のときにもお伺いしたんですが、査証WAN、ビザですね、海外に行くときの。査証ワイド・エリア・ネットワークというシステム、これが平成十三年度の二次補正で二十九億円の予算が付いていて、このことについて本席でお伺いしたことがあるんですが、このシステム、その後の開発状況あるいは十五年度のこの当初予算にそのシステムにかかわる予算がどのぐらい計上されているか等々について、まず外務省から御説明をいただきたいと思います。
#188
○政府参考人(小野正昭君) お答えいたします。
 先生御指摘の在外公館への査証WANの導入でございますが、これは御案内のように、近年、査証発給件数というものが急増してきているものに対して、査証事務の効率化あるいは偽変造防止等の観点からオンライン化を進めるということでございます。
 平成七年度から、実は、大量発給公館、査証を大量に発給している公館を対象に、まずシステムの立ち上げということを行ったわけでございまして、その効果、つまり審査の効率化及び偽変造防止策等について効果が上がったという、そういう効果を更に拡大すべく、近年、新たにIT技術の革新を踏まえまして、最新の偽変造防止対策を施すということを目的として、査証WAN、いわゆる広域ネットワークというものを開発を進めてきたわけでございます。
 査証WANというものは、全在外公館と本省及び関係省庁を結ぶ査証の情報ネットワークシステムというものと、それから機械読み取り査証、従来はスタンプを押して査証を発給していたわけですけれども、機械で読み取れる形の査証システムというものを構成いたしまして、昨年五月にはこの機械読み取り査証作成機を全在外公館に配備したわけでございます。
 また、ネットワークシステムといたしましては、昨年の十二月より実際の運用を開始いたしまして、現在までに約六十公館で運用をしております。順次拡大を図りながら、本年末までに全在外公館で運用を完結するということを目指しているわけでございます。
 予算でございますが、平成十五年度予算政府案におきましては、主にシステムの維持管理に係る経費として約九億円を計上しているところでございます。その内訳といたしましては、機器の設置、保守等に係る査証事務機械化関係経費が約五億三千万円、査証シール等の消耗品に係る査証事務庁費が約三億四千万円、査証WANの運用につき世界各地域の拠点公館で指導を行う必要があるわけですが、この査証WAN指導旅費が約七百二十万円ということになっております。
 以上でございます。
#189
○大塚耕平君 ありがとうございます。
 今お話にありましたとおり、確かに一昨年教えていただいたときも、平成七年度からこのプロジェクトはスタートしているという話でありましたが、この十五年度の当初予算に計上されている維持管理の九億円を除いて、これまでに総額幾ら投入されましたでしょうか。
#190
○政府参考人(小野正昭君) まず、平成七年度から十二年度の間の予算額は約三十六億円をいただいております。それから、その後、十三年度から今日まで総額四十五億円でございまして、合計八十一億円を予算化していただいているということでございます。
#191
○大塚耕平君 合計八十一億円ということですが、これは今、平成十二年と十三年のところで区切りを入れていただきましたが、十二年までで三十六億円、これは私の記憶によれば、一昨年の御説明では、この期間はコンサルティング期間なんですね。その試験機を作ったりとかということもあったかもしれませんが、コンサルティングに三十六億円、そしてそれ以降も含めて八十一億円。
 これは小林副大臣、大体これはハードウエアでいうと、エンドユーザーの端末が約二百台、外務省の建物の中にサーバーが恐らく一台か二台。公衆回線はもちろん使えますので、ネットワークの費用、掛かりますけれども、その規模のシステムにこれまでに八十一億円投入されているわけですが、これは高いと思われますか、安いと思われますか。
#192
○副大臣(小林興起君) こういうものはこれからずっと使っていくんでしょうから、長期的に見てどうかというような観点で見なければ、今年中の、今の成果だけでは十分な査定ができないということだと思います。
#193
○大塚耕平君 いや、小林副大臣、違うんです。これはずっと使っていくものじゃないんですよ。大体四年間ぐらいで償却期間が来て、ハードも変わっていきますし、システムの技術も変わっていきますから、ひょっとしたら新しく作り替えなければいけないと思っています。
 いよいよ完成間近に控えておられるわけですから、けちを付けるつもりはありませんけれども、そもそもこの手のシステムを平成七年から八年間も掛けてようやくカットオーバーにこぎ着けているということ自体が、現代のこのシステムの常識からいうと、余りにも理解不能のプロジェクトであると。
 おまけに、これも一昨年申し上げましたけれども、なぜ今回、このビザシステムの全面的な構築が必要になったかといいますと、確かに偽造とかいろいろ治安上の問題もあって新しくしていく必要があるということもあるんですが、実はそれまでの間、物理的なスタンピングマシンを使ってビザを作っておられた。ただし、その機械というのはアメリカの特定のメーカーしか作っていなくて、そのメーカーが作るのをやめたと言えばもう交換する部品すらないと。どうしても部品がないときには特注でその部品を作ってもらって、法外な値段を払ってやってもらっていたんですが、いよいよ平成七年ぐらいにその製品を作るのをやめるということになって慌てて作り始めたという、こういう代物であります。
 そのときに、外務省には申し上げたんですが、大体こういう契約というのは、そうすると、以前使っていた物理的なスタンピングマシン、ビザを作る機械についても、何か故障が起きたり製品の部品がなくなったらそれはメーカー側の責任ですよという、この委員会でよく飛び交う瑕疵担保責任というのを契約書の中に盛って、相手側に責任を付加して契約をしてこそ初めてその後もコストが掛からないわけです。
 今回また十五年度に保守費用に九億円と言っていますが、これ毎年九億円掛かっていくわけですよ。今回はこのハードの発注は日本のメーカー二社に依頼をしているというふうに聞いていますけれども、契約書の条項の中に瑕疵担保条項は入っておられますでしょうか。
#194
○政府参考人(小野正昭君) 入っております。
#195
○大塚耕平君 昨日私の部屋に来ていただいた方の御説明では必ずしもそれは確かではありませんでしたので、一度委員会の後で結構ですから、後日そこはしっかり説明をしてください。
 別にこのシステムが悪いと申し上げているわけではなくて、確かに去年ハノイとかマニラの大使館で現物も見せていただきましたので、なかなか立派なシステムで結構なことだと思いますが、八十一億円掛けて、しかしそのうちの三十六億円はコンサルティングですから、実際は四十数億円掛けて作ったシステムにこれから毎年九億円。これが経年劣化していくと保守費用というのはもっと上がっていくと思います。だから、実は作ってしまったら長い間使うから、それは後になってみないと良かったかどうか分からないという、そういう発想では作らないんですよ、システムは。
 大臣、そこは、だから査定のときに、一体このシステムはシステムが生きている間にどのぐらいの保守費用も掛かるかと、それから作ったベンダー側に、何か責任があった場合にベンダー側にどれだけそのコスト負担をしてもらえるかということを契約書にきちっと盛っているかどうかということを一々チェックしていただかないと、もう本当に、システムの予算というのは何となく分からないから、財務省の主計官の方も、あ、システムか、よしオーケーだという感じになっているような気がしますので、引き続きしっかり見ていただきたいなと思います。
 それから、外務省にもう一つお伺いしたいんですが、先生方も海外行かれたときは在外公館にお世話になると、在外公館の職員の方が空港まで迎えに来てくださったり、いろいろ本当に至れり尽くせりしていただけるわけですけれども、有り難いと思っていますが、大体そういうロジ周りをやってくださる方は正規の職員ではなくて派遣員とかあるいは専門調査員と言われる方々なんですね。
 まず、外務省にお伺いしたいんですが、派遣員、専門調査員の現時点の人数と、派遣員、調査員の採用基準ですね、それについて御説明をいただきたいんですが。
#196
○大臣政務官(新藤義孝君) お答えをさせていただきます。
 在外公館の派遣員数、これは平成十四年度二百五十二名から、今年度の政府予算案で二名増の二百五十四名お願いをしております。そして、予算におけるこの各目明細書の額の合計ですね、予算の合計は約二十一億九千五百万ということで、派遣員は前年度五千万円のマイナス、二%のマイナスということで、二人増やしていただいて、そして二%の予算マイナスの中でお願いをしているということです。
 それから、在外公館の専門調査員の方は、これは十四年度は二百二十二名からまた二人増員をお願いをしているということでございまして、この予算が二十六億四百万ということで、前年度からマイナス〇・四%、一千万の減になりますが、そういったことです。
 そして、選考の基準ということでございますが、これは専門の調査員は外務省と個人的な契約を結ぶと。そして、民間の若手専門家、主に調査研究を中心とする業務を委嘱すると。そして、特定の在外公館に派遣をされ、公館の在外収集、分析面での機能強化を図ると。こういったことで昭和五十七年度からこの制度が導入されております。それから、派遣員の方でございますが、これは今度は社団法人の国際交流サービス協会という、ここと委託契約をいたしまして、この国際交流サービス協会の方から在外公館に派遣をされるということです。
 それで、任務は、最初の派遣員の方が、そうですね、派遣員の方が二年間です。特別な事情があれば一年以内の延長があるということですし、それから専門調査員の場合は二年間で、場合によっては一年の延長が可能になるということでございます。そういったことでございます。
#197
○大塚耕平君 一人当たりの単価ですと、十五年度予算だと、一人当たりの単価ですね、今の合計の派遣員と専門調査員の合計金額を人数で割ってください。幾らぐらいになりますか。
#198
○大臣政務官(新藤義孝君) 今ちょっと計算いたしますから、お待ちください。
#199
○大塚耕平君 まあざっとですね、まあいいです。正確な数字はまた後で御確認いただきたいんですが、一千百万ぐらいになるんですね。
 これは、私、これが高いとか安いとか言っているんじゃないんですよ。今、採用基準は二年限定で一年だけ延長可能ということがお話がありましたが、実はこれ年齢制限があるんですね。若い方ばっかりなんですよ。
 派遣員の方というのは、大体多くの方が大学卒業するとすぐ海外で働いてみたい、大使館で仕事ができるというと喜んでみんな派遣員になって、本当によくやってくれます。そういう方々が、一人当たりの単価が、一千百万が高いか安いかというと、私は、私自身がサポートしていただいた方々の御苦労を見ると、現地の物価にもよりますけれども、いいんじゃないかなという気もしなくはないんですが。
 問題は、この方々は外務省の定員には入っているんですか、入っていないんですか。
#200
○大臣政務官(新藤義孝君) これは入っておりません。
 それから、失礼をいたしました、専門調査員が三十五歳までと、それから派遣員が二十六歳までと、こういう規定になっております。
#201
○大塚耕平君 入っていないわけですよね。約五百名いらっしゃる。塩川大臣、ここなんですよ。
 大使館に行くと、もう本当に、ちょっと言葉が悪いですけれども、地べたをはってロジ周りをやって、現地の文化や経済や現地の事情に本当に通じているのはこの派遣員とか専門調査員の人たちなんですよ。この人たちは二年間だけ外務省の定員の枠外で、言葉は悪いですけれども、二年たったらどんどん新しい人にすげ替えていって、学生さんですから、いきなり採用されて、大使とか書記官の前に行くと何かもうすごい偉い人たちに見えて、何を言われてもはいはいと言うことを聞いて、大変過酷な勤務状況の中で働いている人が多いようです。どうも実際にサポートしていただいた方々以外にも随分話を聞きましたところ。
 一方、外務省の正規の職員、もちろん正規の職員の皆さんにもしっかりやっておられる方もいると思いますけれども、そうじゃない方も結構いて、大使館に勤めていても現地の事情に全然通じていなかったり、あるいは外務省改革の中でどういう議論がされているか一度お伺いしたいんですけれども、キャリアで入られた方が留学して、留学先からいきなり在外公館の政務担当に就くわけですよ、政務担当。つまり、相手国の政府や公的機関と交渉したりする政務担当のポストに就いたりすると。表現が的確でないと怒られるかもしれませんが、社会人として名刺交換の仕方も知らない人がいきなり在外公館の政務担当に就いて情報を集められるかといったら、集められないんですよ。その結果、かなり多くの情報は、本当に我々が必要とするような現地に根を張った情報というのは、今申し上げた派遣員とか専門調査員の皆さんが一生懸命集めていると。
 こういう実態があるわけですが、この点について外務省は、派遣員、専門調査員の皆さんの役割と、それからその人たちの上に乗っかって、言ってみれば、いきなり留学先から在外公館に来て、もう何か言えば何でも言うことを聞く派遣員、調査員の人が下にいるわけですから、全然現地に根を張って調査をしたり情報収集しようとしないプロパーの職員の皆さんとのこの関係について、どういうふうに考えておられて、どう改善していくおつもりなのか、ちょっと聞かせていただけますか。
#202
○大臣政務官(新藤義孝君) これは、まず外務省の定員が、今度の十五年度でお願いしておりますのが三千二百五十六人です。これに加えて二百五十四人の派遣員と専門調査員の二百二十四人と、こういうことになりまして、トータル三千七百三十四人体制で十五年度は外交をやらせていただきたいと、こういうことになっているわけでございます。そして、比率といたしましては、派遣員が六・八%、それから専門調査員が六%弱と、こういうことになるわけなんでございます。
 これそれぞれ、派遣員の方は昭和四十八年から、専門調査員が五十七年度からということでございまして、これは私はこの制度の意味するところ、更に外交の充実をさせようと。そういう中で、一方でやはり公務員の定数管理という問題があると。ましてや、このところの行政の改革で、行政改革全体で政府の定数、職員を、公務員一〇%削減すると、こういう中で、やはり外交需要にこたえるためにはどう工夫をしていくかというところだと思っております。
 それから、私も何度も外国に出て、特に私はむしろ紛争地域とかそういう難民が発生しているところとか、そういう厳しいところによく行くものですから、そこで大使館の人たちと一緒に仕事をします。現地において、少なくとも専門調査員だからと、それから派遣員だからと、こっちは一般館員だからと、こういう分け隔ての中で、今御指摘をいただいたような、あぐらをかいて苦しいところはやらないでというようなことは、ほかでどこかあるのかもしれませんが、私が知る限りにおいては、これは極めてどこの館も厳しい状況で、どっちにしても人数足りないですから、そういう中でやっていただいているということでは、私は非常にいいチームワークの館の方が見ている回数は多いなというふうに思っております。
 それから、この派遣員に関しましては、たしかこれ定かでないんですが、一つの館で二年から三年なんですね。ですから、別の公館に、例えば中東関係なら中東関係で、同じ地域に館を変えておやりになっていただいている方もいらっしゃる。それから、本当に熱心にやっていただく方は、そこから現地の採用ということで、要するに職員として採用される道もあるわけなんです。
 ですから、また学生も二年なんですが、一生懸命頑張って、今度は外務省に採用されるようにとか、そういうふうな向学心に燃える人たちというのはやっぱりたくさんいて、私は性善説に立てば、非常にこの制度というのは、むしろ試験でもって最初に分けちゃって、試験さえ通らなけりゃ入ってこれないよではなくて、現地の熱心に外交をやりたい、若しくは現地事情に通じている人間を、門戸を開くという意味ではこれは一つのチャンスになっているんではないかなというふうに思っております。
 そしてこういうものも、やはりいろいろなキャリアポストを設けて、単純に入ったからもう職種で決まっちゃうんじゃなくて、能力、適性に応じて順次、こういう方でも本当に第一線で活躍できるんならば、外交の現場はもっといろんな役を持ってもらおうじゃないかと、こういう精神は、これ先生とこれは共有したいなと、こういうふうに思っております。
#203
○大塚耕平君 もちろん、今おっしゃった御意見も一理ありますし、私も、そういううまく回っている在外公館もあると思いますので、全面的に否定するつもりはありません。ただ、政務官が回られた中で、みんなうまくいっていたというんでしたら、じゃもっと見てください。うまくいっていないところがありますから、一杯。
 それで、四十八年とか五十七年ぐらいからこの制度ができたというのは、一つは確かに、何といいますか外交に関心を持つ人たちを増やしていくとか、その底辺を広げるという目的ももちろんあったと思いますが、これは中の人たちの意見の一つとして、やっぱりロジ周りとか面倒くさい仕事は自分たちではやりたくないから、そういう若い人たちを在外公館に張り付けてやってもらおうじゃないかというようなことが、最初あったかどうかは別にして、今ではそういう雰囲気もあると言っている人たちもいます。
 そして、その在外公館へ行っちゃうと、先ほども申し上げましたように、学生からなった人たちなんというのはなかなか大使に文句を言ったりできませんから、言ってみれば、若い女性が、へき地と言うと怒られますけれども、非常に遠隔地の小さな在外公館に行くと、言ってみればセクハラまがいの被害に遭われて、しかし二年間だから我慢しようとか、泣き寝入りしているような話も派遣員の間同士ではいろいろ飛び交っているというようなこともありますので、是非この派遣員、専門調査員の皆様方の処遇の在り方については、是非御検討いただきたいと思うのと同時に、私は、外務省改革を本当にやるんだったら、そういう仕事をプロパーの職員の皆さんが地べたをはって三年、四年やらないと、現地の情報なんか集まりませんよ。
 だから、それを外務省改革の中でどういうふうにそこを派遣員、専門調査員の皆さんとプロパーの職員の間をクロスオーバーさせようとしているのか、もう一回だけ御意見をお伺いしたいんですが。
#204
○大臣政務官(新藤義孝君) これは、結局制度の問題もよく見なきゃいけないと。あわせて、これ公務員の場合はもうすべて制度、組織プラス人なんですよね。だから、やっぱりそこの意識をどうやってきちんと外交的なスピリットを持ってもらうか。それから、もちろん館内でみんなで一緒に仕事をするんだというチームのそういう意識を持たせるかというのは、これは研修といいますか、人の部分というのも非常に大きくなってくると思います。ですからこれは、ただ、だからどうにもならないということではありませんから、これはやっていかなきゃいけないことなんだというふうに思うんです。
 それで、特に今御指摘いただきましたロジ周りの話というのは、これ派遣員の方がそういう仕事を主にやることはこれは間々あることだというふうに思いますし、また外交機密にはこれいずれも、両者とも触れられないことになっております。触れさせておりません。ですから、やはりそういうバックアップの、バックオフィスの部分をやるというのは、これ派遣員というのは元々そういうことがあると思うんです。
 一方で、専門調査員の方は、これはもう現地、本当の本省職員顔負けのいろんなネットワークやそれから知識、教養を、その地域におけるですよ、特定の、これは正に専門、だから専門調査員なんでございまして、そういう大いに役立てている部分もございます。
 ですから、これを本当にいろんな人間が入ってくることで、しかも私が聞いた話では、昔の、三十年ぐらい前ですと、もう現地でもって何かやってやろうというのでいた人間が、たまたまそこのところで大使館開かれることになったから、ちょっと手伝ってくれよと言われて、職員でもないのに頼まれて手伝って、そこからそれじゃ一緒にやりましょうというので職員になって今領事になっている方とか、そういう方もいるんです。もちろん、とんでもない、けしからぬと、いわゆる御批判いただいたような外交官の貴族的な意識の下で何かこういう御苦心いただくような、こういったことがあるのも事実だと思います。
 だから、これはもうそんな、しかしそれはどんどんどんどんそういうことは、悪いことを探すというよりも、いいことを増やしていけば悪いことはなくなっていくと、私はそういうふうに思っているんです。ですから、明るく元気に、今外務省は何かというともうすぼまっちゃっていますから、それじゃいい仕事もできなくなると。だから、明るく元気に、そして厳密に仕事しようと、私政務官になってからそういうふうにいつも職員には言っているんです。
 そして、外務省改革の中で、これは例えば一級の、要するにキャリアの職員でも領事部もやらしたらどうだと。それから、現実には人数が少ないもんですから、外交官で行っているんだけれども領事の仕事もやらざるを得ないと、そういう館もあるんです。また、そういう仕事をした人間は、本省へ帰ってきても本当に人の気持ちが分かるいい外交官になる可能性が高いんです。
 だから、やっぱり外へ出たらきちっといろんな仕事、汗かかせるという意味では、これは先生もう本当に、ここは我々きちっと、政治がやっぱりきちっと決めてあげないと駄目なんじゃないかなと、こう思うところもありまして、励ましと受け止めて頑張っていきたいと、このように思います。
#205
○大塚耕平君 私も別に、この派遣員、専門調査員制度を否定するつもりはありませんので、是非いい方向に発展させていただきたいんですが。
 財務省におかれては、外務省の予算を査定するときにこの派遣員、専門調査員の人数、それからその人たちの実態ですね。その人たちが活躍すればするほど、本当はプロパーの職員の皆さんはそれ以外のところできちっとしたアウトプットを出さなきゃいけないんですが、アウトプットが出てこないと。現地のプロパーの大使館員に聞いても、大した情報も知らないみたいな、そんなことにならないように、しっかり査定の過程で見ていっていただきたいなというふうに思います。外務省はもうこれで結構でございますので。
 次に、厚生労働省関係についてちょっとお伺いをしたいんですが、今日は厚生労働省にはおいでいただいていないんですが、塩川大臣、もうやはり一昨年から行政監視委員会とか、それから去年は厚生労働委員会にもちょっと出張させていただいて、医療費、医療費の特に医療保険の点数の決め方とか、それから医療費の積み上げ計算、この平成十四年度は二十九兆一千億円ということになっておりますが、これが本当にきちっと積み上げた結果として計算されて、その一部が予算として要求されているのかどうかということを随分議論してきたつもりでありまして、医療材料のときには行政監視委員会で、たしか塩川大臣に坂口大臣の横に座っていただいて、あのときは副大臣でしたかね、厚生省の副大臣に座っていただいて、塩川大臣にも横で聞いていただいた記憶があるんですが、結論的に申し上げると、今お手元に配らせていただきました私の拙稿でございますが、去年のこれは秋ですか、秋に書かせていただいた原稿に詳細は書いておりますので、またお暇なときにもし読んでいただける気があれば読んでいただければと思いますが。結論的に言うと、はっきりと積み上げて医療費が二十九兆一千億になるなんということは計算していないんですね、厚生省は。それは私もできないと思うんですよ。ところが、この議論の過程で、できないことを、いや、やっているやっていると言い張っていたものだから平行線だったわけですが、とうとう、じゃ、やっているんだったらちゃんと証拠を見せてくださいということで、極論までいくと、いや、証拠はありませんのでこれから計算しますということに、エビデンスをお作りしますということになったんですけれどもね。
 これは昨日の福井総裁が来たときの成長通貨の話と似ていて、日銀の資金供給は、国債の買いオペというのは成長通貨の供給のためにやっているんだけれども、現状はそれを超えてしまっているという事実は事実として厳然とそこにあるわけですから、まず事実を認めるというところから議論を始めていただかないと物事は何も改善していかないと私は思っております。
 そういう意味で、僕は厚生労働省が積み上げ計算をやっていなかったのが悪いと言っているわけじゃないんです。そんな膨大な何千項目もあるような、薬とかそれから医療材料とかあるいは処置ですね、そういうものについての点数を一個一個積み上げて、点数が変わることによって量も変わってくるわけですから、トータルの積み上げ計算ができないなんというのは分かるわけですよ。ところが、それをやっているということを言い張って審議をしているものですから、なかなか建設的な議論になっていかない。結局出てきた話としては、じゃ、新しい点数を決めたときにその点数に見合ってどれだけのボリュームが消化されるのかというのはどうやって量っているかというと、一年のうち一か月だけ支払報酬基金がサンプルとして取ったデータを基にそこから推計しているというだけの話で、二十九兆一千億なんというのは言ってみればどんぶり勘定の数字なんですね。ただ、私はそれはしようがないと思うんです。
 そこで、今日は財務省の厚生労働省の査定の御担当の方もおいでいただいているかと思うんですけれども、一体厚生労働省が医療費関係の予算を要求してきたときにどういう査定の仕方をしているのかということをちょっとお伺いしたいんですが。
#206
○政府参考人(杉本和行君) 医療費の国庫負担をどういうふうに計上しているかでございますが、医療費の国庫負担は法律に基づきまして、制度上、実際に使われた医療費の一定割合を負担するという制度でございます。先生御指摘のように、これから高齢化社会がどんどん進展していく中で医療費の増加が見込まれますので、それをどうやって制度を見直し、効率化を図っていくかというのが予算上の大きな課題でございます。
 例えば十四年度予算編成におきましては、概算要求時点で医療費の国庫負担の自然増が五千五百億円というふうに見込まれておりました。これに予算編成過程でいろいろ議論をさせていただきまして、政府・与党の枠組み等でも議論させていただきまして、診療報酬をマイナス改定する、診療報酬技術料部分が一・三%、それから薬剤費の部分が一・四%、このマイナス二・七%という診療報酬の改定によりまして千八百億円、それから高齢者の自己負担の見直し等いわゆる制度改善によりまして一千億円、合計二千八百億円の削減を図りまして、予算計上額を対前年度比二千七百億円ということに計算させていただきまして、七兆四千三百億円余を計上したところでございます。十五年度予算案におきましても、こうした十四年度の改革の効果を千六百億円程度織り込みまして七兆七千五百億円余の計上をさせていただいております。
 そんな形で計上させていただいておりますが、具体的な積算につきましては、今申し上げましたように医療保険の医療費七兆七千五百億円余でございますが、国民健康保険、政府管掌健康保険、老人保健制度、それぞれ制度がございますので、その制度ごとに被保険者の一人当たりの給付費、これは患者一人当たりの単価に受診率や給付費を掛けたものでございますが、この被保険者の数等につきまして、最近の動向や制度改正の影響、それから執行の適正化の効果、こういうものを織り込んだ見通しを作りまして、これを用いまして医療費の給付額の見込額を計算いたしまして、それに国費がどれだけ要るのかということを計算させて、予算額を計上させていただいております。
 概要、そんな感じで査定させていただいております。
#207
○大塚耕平君 主計局が査定の過程で今おっしゃったような作業にならざるを得ないというのはそれはよく分かるんですけれども、もう少し厚生省のやっていることにしっかりメスを入れていただきたいということです。
 塩川大臣に行政監視委員会においでいただいたときに聞いていただいた話だと思いますけれども、その厚生労働省が予算要求のときに持ってくる資料は、そういう今おっしゃったような数字を整理した、大分上澄みの部分だけなんですね。その水面下で何が起きているかというと、例えば、行政監視委員会で一個サンプルとして挙げた例では、ある日突然、それまで点数上は千三百円ぐらいだったものが、点数が変わりましたといって八千三百円に変わったりしているわけですよ。そういうものの積み上げ計算としてちゃんと二十九兆一千が出てきているならいいですけれども、積み上げも実はやっていなくて、要は政治的圧力とかあるいは何らかの圧力が掛かった点数だけが急にぽんと飛び跳ねたものになって点数改定が行われて、その結果医療費が上がるとか下がるかとかといって、非常に大ざっぱな数字を主計局に持ってきているというのが実態だと思います。
 私は実際、厚生労働省、医療課の現場も入らせていただいて、どういう書類でやっているかというのも見せていただきましたけれども、さっきの外務省の派遣員の人と一緒で現場の人は大変です。それはもう医療費改定のたびに一人ぐらい倒れるなんというお話もお伺いましたけれども、現場の人は大変ですが、現場の人は現実にはこれだけしかできないという前提があるにもかかわらず、しかし、何か完璧に仕事をやっているかのような方便を使って委員会答弁をする、国会答弁をするということがどんどん実態を見えなくしていっているわけですから、是非、厚生労働省担当の主計官ないしはそのラインの皆さんには、厚生省の予算については、特に医療費関係はもう少ししっかり見ていっていただきたいなというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
 さて、今、外務省と厚生省を例に取って予算を査定する方をしっかりやってほしいということをお願いしたわけですが、今日は財務省と金融庁の御自身の予算の委嘱審査でもあるわけですが、金融庁にひとつお伺いしたいんですけれども、十四年度の補正のときに中小企業金融等に関するモニタリング体制の整備ということで八億七千九百万円という予算が付いているんですが、これは中小企業等に対する資金供給の担い手である金融機関の健全性の確保のため、情報をタイムリーに収集するため、システムを機能拡張するというふうに書いてあるんですが、これをやったことによってどういう成果が出たかということについてちょっと聞かせていただきたいんですけれども。
#208
○政府参考人(五味廣文君) 今おっしゃいましたとおりの、金融機関の収益性、流動性の状況を一層タイムリーに把握するということで、補正で八億七千九百万円をいただいております。
 この中で、特にモニタリングシステムの機能の拡張という大きな柱がございまして、これによりまして、各金融機関の財務会計情報それからリスク情報、これは管理会計上のものですが、これを統合的に把握するということでデータベースの見直しが行われました。この結果としてモニタリングシステムの効率化ということが図られますので、一層的確な金融機関の収益性等の把握ができるようになると、こういうことであります。
#209
○大塚耕平君 私も、前の職業柄、金融機関のモニタリングのためには相当データベースの整備とかシステム的な対応が必要だというのはよく分かるんですけれども、金融庁のそういうインフラ整備は今の予算措置で十分だというふうにお感じになっておられますか、率直なところを述べていただきたいんですけれども。
#210
○政府参考人(五味廣文君) 金融監督は、御承知のようにオフサイトモニタリングとオンサイトモニタリング、この両方が車の両輪になって行われますが、オフサイトモニタリングでは、特に従来から取っております決算等の財務情報だけでなくてリスク情報、市場リスク、流動性リスク、信用リスク、こうしたものを適時に把握をして分析をするということが非常に重要でございます。
 そうした点から、オフサイトモニタリングの中でこのコンピューターシステムを活用するということを重点を置いておりますが、おかげさまで、平成十一年度からこのシステムを使った市場リスク、流動性リスク、信用リスクの状況を把握しておりますが、十一年度は対象金融機関が銀行と協同組織金融機関の中央機関、これに限られておったんですが、順次拡充を進めることができまして、十四年度においてはすべての預金取扱金融機関そして保険会社、証券会社、これをカバーすることができるようになりました。
 十分かといいますか、こういう話というのは切りのない話ではありますが、システムで分析をするということは非常に有力な武器になりますし、金融機関側にとりましても、こうしたリスク情報というのを当局が分析をして還元をしてくれるということが彼らのリスク管理にも大いに役に立つ話でございますので、当面要求をしながら、財政の制約の中で予算をいただいております。まだまだ拡充しなければならない、あるいは機能を充実しなければならないという状況にあることは事実だと思っております。
#211
○大塚耕平君 先ほどの外務省の八十一億なんかに比べると、私は、金融庁はもっともっとインフラ整備にお金を掛けていいと思いますよ。相当、金融庁の皆さんは、ここ数年のいろんな世の中の流れの中でそれこそ萎縮しておられて、要員を増やすこと一つにしても随分遠慮をしておられるような気がしますが、外務省なんかはさっきのように大変な仕事は五百人も若い人を採用してやらせていたりするわけですから、遠慮せず金融庁は塩川さんに、金融庁のモニタリングのための、システム整備のための予算は、必要なものはどんどん要求していただいてやっていただきたいと思います。
 ただ、午前中に櫻井さんの方から日銀考査と金融庁検査の話が出ていましたけれども、日銀もデータベースをしっかり持っていますので、もう政府、日銀一体となってやるとおっしゃっているわけですから、データベースを共有化したり、あるいは検査、考査部門を一体化するという話は前から何度も話題に出ていますけれども、是非一回よく御検討いただきたいなというふうに思います。
 私ももう辞めてしばらくたつので分かりませんけれども、現状は、たしか日銀は考査先から公衆回線で暗号化を、データの暗号化をした上で考査先でもデータベースにアクセスして使えるようになっていると思いますので、そんなことも共有できるんであったら是非共有していただきたいですし、ちゃんと予算を付けると同時に無駄なくきちっと協調してやっていただきたいなと思いますので、大臣、そこをよろしくお願いします。どちらでも結構ですが、一言だけコメントを。
#212
○副大臣(伊藤達也君) 今、大変力強いお話もいただきまして、私どもとしましては、やはりシステムの開発というのは今後の検査・監督において極めて大きなことであります。そういう意味では、もう限られた予算でありますけれども、その予算を効率的にやはり使って、限られた人員の中で本当に国民の信頼にこたえられるような金融行政を展開するために、このシステム開発の問題についてもしっかり対応していきたいというふうに思っているところでございます。
 今、日銀のデータベースの問題がございました。私どもとしましては、その重複する部分についての効率化については意識を持っておかなければいけませんし、そういう意味で日本銀行とは様々な意見交換をしていかなければいけないというふうに感じております。しかし、日本銀行とそれから金融庁ではやっぱりその目的や対象とする金融機関の範囲が違うところもありますので、そういう意味では両機関のシステムはおのずとやはり違ってこざるを得ない面もあることも御理解をいただきたいというふうに思っております。
 委員から大変温かいお言葉をいただいたことを肝に銘じて、私どもとしてもこれからしっかりやっていきたいというふうに思いますし、是非、財務大臣よろしくお願いいたします。
#213
○大塚耕平君 財務大臣、よろしくお願いします。
 さて、それで今度は財務省にお伺いをしたいんですけれども、昨日も質疑の中で、国債をどんどん発行して無駄なものには使えないので無駄遣いは抑制するとか、これはかねてこういう発言は時々聞いておるわけでありますが、大臣、どうでしょう。今、財務大臣として財務省御自身はきちっと節約、効率化ができているというふうに自信を持って断言できますでしょうか。
#214
○国務大臣(塩川正十郎君) いや、細かいことは知りませんが、なかなかやっぱり古い習慣がございまして、無駄が多いだろうと思いますね。各役所とも無駄が非常に多いんじゃないかと思いますね。そういうことを一々これをためていくったって、一人の政治家がキャーキャーキーキー言うてもどうにもなりませんし、ですから起こってくるたびごとにこれをディスクローズしてやっぱり世間の批判を仰ぐということが一番大事ですよ、これ。
#215
○大塚耕平君 非常に前向きな御発言をいただいたと思いますが。
 大臣、この間、G7にパリに行かれたと思いますが、これは航空便はどこの便で行かれましたですか。
#216
○国務大臣(塩川正十郎君) 二月のやつですね。JALの特別機で行きました。
#217
○大塚耕平君 ここから先は一々大臣じゃなくても事務方の方でも結構ですが、お答えは。特別便とおっしゃいましたけれども、チャーター便ですね、JALの。パリの私の友人のマスコミの人が、日本は金があるなと電話してきたんですよ、チャーター便で来たと、ジャンボジェットだと。何人で搭乗されましたですか。
#218
○国務大臣(塩川正十郎君) たしか二十四人かな、二十六人だったかと思いますね。
#219
○大塚耕平君 いや、それは違う、違うと思いますよ。まあ、いいです。
#220
○国務大臣(塩川正十郎君) 乗った人数でしょう。
#221
○政府参考人(渡辺博史君) 今の御質問の本年の二月に行われましたG7の会合のチャーター便の利用者ですが、行きの便においては大臣を含めまして十一名、帰りの便は大臣を含めまして十七名でございます。
#222
○大塚耕平君 行きは十一名ですね。行き帰り、往復で幾らですか。
#223
○政府参考人(渡辺博史君) 日本銀行の方も搭乗されましたので、うち財務省から支払いました金額は五千三百六十五万九千八百六十円であります。
#224
○大塚耕平君 大臣、ジャンボジェットというのは十一人で乗るとどうやって座るんですか。どういうふうに座られましたか。
#225
○国務大臣(塩川正十郎君) 十一人じゃなかった。私、たしか二十人近くおったと思いますよ。いや、私、ずっと後ろを見たんですから。何かがらがらでした。こんなばかなことをしたら駄目ですよ。これは国会なんですよ。私は、この際に弁明するんじゃなしにむしろ言います。私は覚えていますが、二十一日なんですよね、出発しました、金曜日。前の日にチャーター便が出るのか出ないかはっきりしてくれないと航空会社は困ると、こういうことだったんです。なぜチャーター便なんだと私聞いたら、時間間に合わないんです。じゃ、代理で副大臣でも駄目なのかと言ったら駄目だと、財務大臣本人でないと駄目だと。ヨーロッパの会合は全部そうですよ。あなた方、出られた方は分かると思うんです。そうすると出席できなくなっちゃうんだ。金曜日、国会の要請。これで私は委員長ともいろいろ聞いた、質問者の方に聞いてみた。そのときに名古屋の刑務所のあの革手錠なんですよ。私は関係ないから勘弁してくれぬかと言ったんですがね、聞かなかった。絶対駄目だと、予算委員会は私、財務大臣が主管だと。こういうことで、それで座っておったんですよ。そこで、それじゃ金曜日、もうじっとしておられぬなと思ったんですけれども、もうやっぱり出席せんならぬし、するもんだから、チャーター便の方を手配してくれというのを前の日にちゃんと手配してもらったんです。それで乗っていったんですよ。
 ですから、これもし、じゃ金曜日の昼ごろね、昼ごろ行ってこいとおっしゃって許可していただいたら、もう堂々と定期便で行けるんですよ。これ、後の定期便じゃ間に合わないんですよ。そういうことだったんです。
#226
○大塚耕平君 大臣、別に今日は大臣のまた血圧を上げるためにやっているわけじゃないですから、さっき大臣、冒頭おっしゃったように、いろいろ古い因習があって、悪いものは全部ディスクローズして正すべきは正していけばいいわけですから、別に大臣を責めているつもりはないですよ、僕は。
 ただ、事実関係を申し上げますと、結局チャーター便に乗るために途中退席をされたというふうに聞いていますけれども、確かに国会の運営上の問題もありますから、しかしそういう重要な国際会議であれば、それは国対マターで、別に私がここで決めるわけではなくて、国対マターですから国対で今後ルールを決めればいい話ですが、それは所管の大臣は早く退席していただいて行くというのを与野党間で決めればいい話です、これは。
#227
○国務大臣(塩川正十郎君) 参議院、それでお願いします。
#228
○大塚耕平君 ええ、おっしゃるとおりです。
 ただ、当日はチャーター便は午後五時四十五分に羽田を立ちましたが、しかしその後、成田午後九時五十五分発のエールフランスがあるんですよ。あるんですよ。それから、今、前の日にチャーター便を頼んだとか頼まないとかおっしゃっていますけれども、チャーター便というのは機体の繰り回しで随分前からスケジュールを調整していって一機浮かせるという形でチャーター便を作るんです。したがって、最終的にチャーター便を使うか使わないか、つまりキャンセルするのかどうかはっきりしてくれということは前の日だったかもしれませんけれども、チャーター便をオファーしたのはそんな前の日であるはずがないですよ。チャーター便をオファーしたのはいつですか。
#229
○政府参考人(渡辺博史君) 後段から申し上げますと、チャーター便は約一月前に一応手配ということをしております。今、大臣がおっしゃったのは、最終的にもうチャーター便で行こうという決断を大臣がされたのが前日であったということでございます。
 それから、今の御指摘の中ですが、二十一時五十五分に東京を立ちましてパリに行く飛行機があることは事実でございます。しかしながら、パリに着く時間が朝の四時三十五分、順当に空港を出られましたとして、五時前に空港を離れて、早朝でありますから三十分前後でパリの市内に着くかと思いますが、一応前の日に大臣の代理で会合をやっております者から前日の会合の模様を聞き、そして翌日朝の八時から日米の財務大臣会合をやっているわけでありますから、全く睡眠を取らないで、飛行機の中で取れれば別ですが、全く睡眠を取らないでそういう会議に臨むのがいいかどうかというのは委員の御判断だと思いますが、我々としては、前日の報告を聞いて翌日の大臣会合に備えるためにはある程度の時間の余裕がないといけないということで、今回の手配をしたわけであります。
#230
○大塚耕平君 それは、事前に休めればそれにこしたことはないですけれども、別に偉い人に限らず、民間も含めて国際会議というのはそういうものですよ、時差があるんだから。眠いのを我慢して会議に出るというのは、それはしようがないですよね。
 今、そういう御説明だったですけれども、現地のメディアの方が、さっき申し上げましたように、日本は財政が苦しいと言いながら随分金があるなと、十一人でジャンボジェットに乗ってきたと、エールフランスもあるのにどうしてなんだと言って一行のうちの一人に聞いたら、こういう説明をされたそうです。日本では、午前二時を超えて到着すると、その晩の宿泊費が旅費の規程上出ないと。エールフランスだと午前四時に着いてしまうと。チャーター機は午前零時に着くと。したがって、その日の宿泊費が出せるようにするために午前零時に着くようなチャーター機を調達したと。──ちょっと待ってください。それは伝聞情報ですからね、私は断定をする気はありません。
 しかし、もしそういうことをおっしゃった方がいるんだとしたら、それは本末転倒も甚だしくて、午前四時に着いて休むところがないというんだったら、それはちゃんとお金を掛けて休憩する場所を御用意すればいいわけですよね、大臣。
 何か御発言になりたいんでしたら、短くお願いします。まだ続きがありますから。
#231
○政府参考人(渡辺博史君) 今、議員が伝聞としておっしゃったことは全く事実に反しておりまして、何時に着いても実際にホテルに宿泊した場合には代金は払いますし、十一時前あるいは夜の十時に着いた場合にもホテルに泊まらなかった場合には代金を支払わないという規程になっておりますので、それは全くの誤りであります。
#232
○大塚耕平君 分かりました。
 それでは、私に連絡をしてきてくれたパリのジャーナリストも非常にしっかりした方ですので、ということはその一行の中にいたどなたかがそういう規程をしっかり御理解していないということですから、よく教育しておいてください。
 それで、過去に、私が調べた限りでは過去に五回チャーター機飛ばしています。二〇〇二年六月のハリファクス、二〇〇二年二月のオタワ、二〇〇一年二月のパレルモ、九九年六月のフランクフルト、九九年二月のボン。大体、いずれも今回と同じような人数で、ジャンボジェットをチャーターしておられますが、例えばトリプルセブンだとその半額ぐらいで借りられるんですよ。あるいは、よくビジネスマンとか高名なスポーツ選手がビジネス便使いますね、飛行機、商用ジェット。ああいうやつであれば、ちょうど二十人とか三十人で乗れるようなのがありますから、なぜそういうのを借りようとしないんですか。
#233
○政府参考人(渡辺博史君) 委員御指摘のとおりでございます。
 特段、財務省の方としてジャンボでなければいけないということでお願いしているわけではありません。トリプルセブンであっても、航続距離が長く、到着するものであればそれは構わないわけでありますから、それは多分に向こうの側の、会社の側の機体の回しの状況であるというふうに認識しております。
 それから、小さいジェット機の使用について、ノンストップで東京から例えばニューヨーク、ロンドン、あるいはパリというものが可能であれば、それはそれでまた考えていきたいと思いますけれども、現状においてはそういう形でのオファーは我々としては受けていないので、ちょっと検討させていただきます。
#234
○大塚耕平君 直行じゃなくても、途中で一回ぐらい給油したっていいわけですから、是非工夫していただきたいですが、例えばこの平成十五年度にはチャーター機を借りる可能性を想定して各目明細の中に予算が計上されていますよね。それはどこに幾ら計上されていますか。
#235
○政府参考人(渡辺博史君) チャーター機の使用料につきましては、二つの会計にございますが、一般会計の甲、財務本省の庁費というところ、及び外国為替資金特別会計の甲、事務取扱費の庁費、この二か所においてそれぞれ積算をしております。
#236
○大塚耕平君 これは、毎年大体計上しておられるんですか。
#237
○政府参考人(渡辺博史君) はい。
#238
○大塚耕平君 はい、いいです、いいです。はいとおっしゃいましたんで。
 で、何回分ぐらいチャーターすることを念頭に置いて計上しておられますか。
#239
○政府参考人(渡辺博史君) 年によって違いますが、大体一、二回ということで計上しております。
#240
○大塚耕平君 よその省庁でも、チャーター機をよその省庁の大臣が使うことを念頭に置いて計上しておられますか。
#241
○政府参考人(渡辺博史君) ちょっと各省の予算の計上までは、私、存じ上げませんが、多分外務大臣については同様の状況で手当てはしてあるというふうに思っております。それ以外の省については、ちょっと私は即答する能力はございません。
#242
○大塚耕平君 政府専用機はどうして使わないんですか。
#243
○政府参考人(渡辺博史君) これは、あるいは官邸の方の運用方針になるかもしれませんけれども、基本的には皇族及び総理がお使いになるという前提で運用されているというふうに認識しております。
#244
○大塚耕平君 いや、それは官邸がそういう御方針かもしれないですけれども、防衛庁から事前にいただいた資料によると、過去何回も大蔵大臣、外務大臣、乗っていますよ、一杯。使っていますよ。いや、後でこれ資料をお見せしてもいいですけれども、例えば大蔵大臣、米国訪問、羽田―サンフランシスコ―羽田。大蔵大臣、IMF総会。これ、一杯乗っていますよ、一杯。
#245
○政府参考人(渡辺博史君) 運用方針の関係でございますけれども、一応、内閣総理大臣及びそれに準ずる者ということになっておりまして、副総理格の大蔵大臣、財務大臣のときに乗られていたことはあると思っております。
#246
○大塚耕平君 もうすぐ時間が来るので、一応問題点だけ申し上げておきますけれども、まず、十一人でジャンボジェットをチャーターしていくというようなことがこういう経済状況の中で国民感情に合致しているかどうかというのが第一の問題であります。
 そして、仮に国会審議が制約で云々かんぬんとおっしゃるならば、それは我々野党も含めて、そんなことにお金を使うために、大臣がすごい答弁してくれるならともかく、のらりくらり答弁されることが多いわけですから、それでしたら早めに言っていただいてお休みいただいた方がいいですから、これは国対として考えていけばいい話であります。
 そして、もし商業便がないというんだったら、政府専用機を使えば、政府専用機の稼働率が上がればそれだけ固定費は落ちるわけですから使えばいいはずです。そして、それでも政府専用機もバッティングしていてチャーターしなきゃいけないというんだったら、小型機をチャーターすればいいです。それから、小型機もなくてジャンボ機しか空いていないというんだったら、今度は、燃料費の交渉しましたか。十一人でパリまで飛ばしたということは相当燃料費は安く済んでいますよ。燃料費の交渉しましたか。
#247
○政府参考人(渡辺博史君) 燃料費の個別の交渉をしていることはございません。
 ただ、逆に申し上げますと、大臣御一行が着くということが必要なわけでありますので、大臣及び秘書官及び警護官だけのフライトであれば本来いいわけでありますが、逆に言いますと、前日に向こうに行って用意をして大臣をお迎えするべき者も、節約するために大臣の飛行機に乗せて十一人になっているという場合もあるわけでありますので、多分燃料代ぐらいについてはその程度の節約をやっていると思います。
#248
○大塚耕平君 いや、だから、大臣が最初にいいことをおっしゃったじゃないですか。いろいろ過去の因習をディスクローズして、悪いものは正していくということを国会でやればいいわけですから、何も、それこそ厚生労働省の答弁とかいろんな答弁のように完璧を装わなくてもいいですよ。もう事実としてこういうことが明らかになったんだったら、これ直せばいい話ですから。
 大臣、もう最後です。時間がありませんので、最後に、このチャーター便の調達を前提にした予算計上、本当はこれ十五年度予算から落としてほしいですけれども、必要になれば後で追加すればいいだけの話ですから。どうするおつもりかということと、今後、平成十六年度以降どういう方針で臨まれるかということについて、現時点でお感じになっていることをお伺いして、最後にしたいと思います。
#249
○国務大臣(塩川正十郎君) 私、実はハリファクスへ行くとき、初めて秘書官から聞いたんです。何だ、お客さん全然乗っていないやないかと言ったら、これチャーター便ですよ。へえ、これが行くのかということで、事実です。これはこうなっていると言うんです。国会が承知してくれないと言う。
 ですから、これですね、私、是非ひとつお願いしたいと思います。せめて前の日ぐらい、到着できるぐらいの余裕は持って解放してもらって、副大臣もおるんですからね。しかも、名古屋の刑務所のこれなんですね。私は水ばっかり飲んでいて、答弁一回もないんですよ。一人でもおらなきゃ駄目だということが国会で言われておるものだから、ですから、前もって、そういう事前にやっていたんですよ。ですから、参議院はそんなことのないようにひとつお願いしたいと思います。
 そこで、私はもうこんなばかなことに金使うなと言っておるんです。本当に言っておるんです。ですから、それだったら、出席できるようにやっぱり国会の方も計らってもらうということが大事なので、これは国会で言っておいてくださいよ、それは。
#250
○大塚耕平君 ちなみにアメリカは原則商用便、どうしてもチャーターが必要な場合は軍用機で来ています。それから、フランスは全部エアフランスで、商用機で来ています。
 大臣、じゃ、宣言してください、最後に。原則としてチャーター機の調達を前提としないと宣言してください、ここで。
#251
○国務大臣(塩川正十郎君) チャーター便使わないって宣言して、またどんなことになるか分かりませんけれども、私は任期中は、ほかの大臣はそれ使ったんですからね、使ったんですから。だから、それが習慣で来ておるものだから、ずっと、局長なんかでもずっと申し送りで来ておったんですよ、あれ。ですから、こういうことになっておるんですから。私はもうこの際は使いません。
#252
○大門実紀史君 今の話、もう少し聞きたかったところあるんですけれども、私は予算委員会の理事をやっておりますので一言申し上げたいんですが、今の話は国会審議とは余り関係ないようにお聞きしました。それと、余り国会の審議のせいに最初からされるというのはどうも違うんではないかと思いますし、どんな大臣でも大臣は大臣ですから、出てもらわなきゃいけない場合もあるわけですから、余り簡単に国会審議ということにはならないと、私はそういうふうに思いますので、特別な場合、どうしてもこういう場合ということで提案はあると思いますけれども、いてもいなくてもということが簡単に口から出るというのはいかがかということを御指摘しておきます。
 もう一つ、今日の私の質問に入る前に、昨日、私、質問いたしまして、最後の質問ですが、政策投資銀行が民間企業への出資、この半分は国民の税金が入っておりますので、少なくともその出資については情報公開あるいは説明責任の努力をすべきじゃないかというのを、ちょうどもう時間切れの間近なところで質問いたしまして、小村総裁からよく分からない、意味不明の答弁がありましたので、改めて御答弁をいただけますか。
#253
○参考人(小村武君) 昨日の大門先生の御質問に対する私の答弁につきましては、御質問の趣旨に沿って十分行き届いた説明ができなかったことを申し訳なく思っております。
 御案内のように、我が国の事業再生ファンドにつきましてはいまだ揺籃期にありまして、私どもの基本的考え方にお示しをしましたガイドラインも必ずしも十分なものではありません。今後、各種の事業再建を通じましてそうした経験を深めていく中で、先生御指摘の説明責任、透明性の確保等につきましても基本的考え方を適時適切に見直すなど、工夫を凝らしてまいりたいと考えております。
#254
○大門実紀史君 はい、よく分かりました。引き続き中小企業の再生のために御努力をいただきたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました、わざわざこのために。
 それでは本題に入りたいと思いますが、今日は二つお伺いしたいと思いますが、一つは中小企業問題、もう一つはテナントの問題です。
 竹中大臣のこの「あしたの経済学」を自腹で買いまして読ましていただきました。じっくり読ましてもらって、大変感動いたしました、一点だけですけれども。この中の二ページだけですが、二百十四ページから二百十六ページに、中小企業の倒産が悲惨なのはなぜかと。その最大の問題は個人保証にあると。この部分、私も非常に同感です。全部読み上げてもいいんですけれども、この趣旨をできれば大臣から説明をお願いします。
#255
○国務大臣(竹中平蔵君) 経済の運営をする中で、倒産とか失業とか、もちろんこれはもうない、ゼロにこしたことはないわけでありますが、残念ながらどの国、どの社会、どの時代にも失業、倒産というようなケースがやはり出てくると。しかし、そうした中で特に日本の状況、特に今日の状況が大変やはり国民にとって苦しいのは、その倒産とか失業とかが決して単なる経済的な出来事ではなくて、自分の人生を懸けた出来事になってしまっているという現実があるからであるというふうに思っております。
 その要因は幾つかあります。これは、失業の場合は、年功序列、終身雇用の雇用システムの中でそういうところから外れてしまうということがあるわけですが、倒産の場合は、特に中小企業の場合、銀行から借入れをしていて、その借入れの際に個人保証を取らされる。今、個人のお店でも有限会社とかにしているところ多いわけですから、本来、有限会社、株式会社というのは、これは正に有限責任であるはずだと。しかしながら、個人保証をしたその瞬間に、有限責任であるはずのシステムが無限責任を負わされたことになってしまって、ここはやはりその制度、会社法や商法に規定されている制度と全く違ったシステムになっているということだと思います。
 この点をやはりしっかりと、これは経済問題であると同時に、むしろ非常に重要な社会的な側面を持っているというふうに思うわけでございます。ここはもう、私自身、父親が中小企業で保証させられて大変いつもおびえていたことを小さいころから思い出しますし、そこのシステムそのものを、経済問題と同時に、その社会のシステム、法体系、法風土そのものを変えていかなければいけないと、強い思いを持っております。
#256
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 警察庁の調べですと自殺者がずっと三万人を超えておりますけれども、経済的理由の自殺というのが三割と、自営業者の自殺が四千百四十九人になっているんですね。
 そういう点で、その中身としてこの個人保証の問題があると思うんですが、朝日新聞に有名な経営コンサルタントの岩井義照さんが書いておられますけれども、ニューヨーク・タイムズの記者から質問を受けたと。そうしたら、日本の経営者の自殺が多いのはなぜか、会社が倒産したからといってなぜ死んでしまうんだという質問を受けて、それは倒産だけで普通は死なないんだと、日本には個人保証があるために、会社だけでなく自分の周囲も財産も失うからだというようなことをこの岩井さんは答えておられまして、そのニューヨーク・タイムズの記者が、現代の日本でそんな野蛮な制度がまだ存在するのかと大変驚いたと。政府はなぜそんな銀行の横暴をすぐやめさせないのかと首をかしげたと。同時に、アメリカでは一部の州で禁止されて以来、この個人保証ですね、事実上なくなってきていると。ほかの先進国でも多くが法律で禁じていると。だから、法律でこの個人保証を禁止するというようなことをやるべきじゃないかというのをこの朝日の「私の視点」というのに書かれておりますし、ちょうど日本商工会議所も、平成十五年度の中小企業・小規模事業対策の拡充強化に関する要望という中で、多くの中小企業経営者は金融機関から融資を受ける際に個人保証を行っているため、倒産時に基本的な生活権すら侵されるケースも見受けられることから、個人保証の在り方を見直し、一定の個人財産が確保され、再度事業に挑戦できる仕組みへ改善を図るべきであるというふうに、かなりこれも問題が社会的に意識化されていると思うんですけれども、大臣としては具体的にどうやっていけばというふうにお考えか、考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#257
○国務大臣(竹中平蔵君) 今、大門委員から一部海外の事例の御紹介がございましたが、私たちも一生懸命海外の事例を今勉強を更にしております。ただ、いろいろ今の時点で我々が調べたところでは、どうもやはりアメリカにも個人保証はあると。これは、融資をするときはやはりそれを一種の、特に中小企業の場合、その経営をしっかりしてもらうという経営責任、経営保証という意味で取るというのが原則であると。ただ、第三者保証のようなものは、これはアメリカのような場合は少ない、そのように認識をしております。日本の場合、やはり銀行貸付けのウエートが非常に高いから、その分個人保証が社会全体として大きな問題になっているという面があろうかと思います。
 これを解消するための方策としては、やはり二つのことを考えていかなければいけないと思います。
 個人保証というのは、これは今も申し上げましたようにアメリカ等でも現実にはあるわけでございますけれども、できるだけ金融機関等に対しては個人保証に過度に依存しないで相手の与信、与信をする場合の相手の経営力とかそういうものを判断して、それに応じた、正にいつもこれはよく申し上げて大門委員から御反対を受けますが、リスクとリターンをきちっと評価して、そういうふうな担保や保証人に頼らない事業の評価を、正に金融機関の目利きをしっかりとした融資、そういった制度を作ってもらう。これは、一部ではありますけれども、そういう方向には銀行は銀行で努力するように我々要請しておりますし、そういうような保証制度も少しではあるけれども生まれ始めているというのも事実だと思います。
 もう一つは、これは融資、金融の話ではなくて、やはりこれは正に法律の枠組みだと思います。万が一にも破産、倒産した場合でもある程度自分の生活が支えられるような資源は確保してくださいよ、これは破産法等々の問題になります。日本の場合、よくこれはちまたで言われるのは、日本では破産すると仏壇と布団しか残してもらえないと。やっぱりそれではやはり困るのだと思います。これに関しては、我々経済財政諮問会議でもそういう議論をしました。それで、今法務省の方でそうした問題についてしっかりと検討していただきたいというその根本的なところのお願いはしているところであります。
#258
○大門実紀史君 私もこの間ちょっとアメリカの方を調べてみたんですが、州によって少し違うようなんですが、個人保証はあることはあるんですけれども、例えば住居だとか家財道具、衣類、その他個人使用のものとか、生命保険だとか車だとか、こういうものは保全されるといいますか、取られないで済むと。金額に限度を設けている州も、フロリダだとかアイオワ、カンザス、サウスダコタ、テキサスでもありますけれども、個々で言えば、自宅に関しては幾らの自宅であろうと取らないと。だから、豪華な豪邸であっても最初に取られないということまで定めている州もあります。いずれにせよ、先ほどおっしゃいましたけれども、今法務省マターで検討されている日本とは本当雲泥の差でしてですね。
 日本の場合は、破産法で一切取るというのがまず決められておりまして、その上で、民事執行法の方で取っちゃいけない物として衣類とか寝具ですね、布団だとか枕、家具、台所用品、畳とか、あと二か月間の食料、二十一万円の一か月間の生活費、あと実印取っちゃいけない、仏像、位牌は取っちゃいけない、義手、義足、当たり前ですけれども、こんな物は取っちゃいけないと。そんなレベルですよね。本当にもう水準が低いといいますか、遅れているといいますか、だと思います。
 もう一つは、ちょっと気になって、竹中大臣に是非お伺いしたいと思ったのは、今、中間試案ということで検討されている中で、最低生活費二十一万円を引き上げようという程度の議論しかされていないんです。自由財産とかいろいろありますけれども、焦点はそこのようなんですが、これでさえ、これでさえ、経済産業省の方はこの二十一万というのは余りにもひどいと。一か月だけの生活費やって、あとはもう全部取っちゃうというのは余りにもひどいということで、経済産業省の方はこの引上げを要望しているようですけれども、金融機関がこれに反対をしているということなんですね。
 ですから、本当にアメリカに比べて相当遅れているにもかかわらず、わずかこの生活、最低生活費さえ引上げに金融機関の反対の声が多いというところをいかが思われるかということと、できれば、金融庁ですから、そういういろんな懇談会とかありましたら改善の方向に持っていくような指導をしてもらいたいというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
#259
○国務大臣(竹中平蔵君) 法律の審議の経過について詳細は私必ずしも十分承知をしておりませんが、もう一つ、金融機関が反対しているかどうかについても私ちょっと、いろんな金融機関があるのかもしれません。
 ただ、これはやはり一般社会の常識の感覚として二十一万とかそういうレベルの話では全くないと、これは私は考えております。よくこれは、こういう議論に必ず出てくるのは、やっぱり借りたものは返すんだと、借りたものを返すのが金融のモラルであるという、規律であるという議論がよく出てきます。私はこれはこれで正しいと思います。しかし、返ってこないような貸付けを行った側にも責任はあるわけでありますから、それをやはりそういう人たちにも責任を負ってもらうというのが、これは一面の金融のモラルであろうかと私は思います。
 ここは正に社会の合意の問題でありますけれども、恐らく今言っているような二十一万円とかそういうところではない。私としては、やはり法務省の方でしっかりとこれは多くの国民が納得できるような結論を出していただきたいというふうに思いますし、引き続き諮問会議等々でもそういう議論を深めたいと思います。
#260
○大門実紀史君 是非、先進国並みの基準に引き上げられるように努力をお願いしたいということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つは、これも中小企業問題ですけれども、大手流通破綻に伴う中小のテナント問題について、私、この委員会で二、三度取り上げてまいりました。長崎屋問題、寿屋、マイカル問題ですけれども。
 要するに、大手の今申し上げたようなスーパーが破綻して、そこに入っている中小テナントの皆さんが、もう店閉めるから出ていけと。ところが、預けた敷金、保証金を返してもらえないと。この金額は相当大きいんですね。数百万から四、五千万になる場合もあると。店は出ていけ、金は返してもらえないで、みんな倒産、廃業あるいは自殺の例も出たりしている話なんですけれども、全国で、特にマイカルの場合は全国で数千店ありましたから、テナントが入っていましたので、社会的な問題になっておりまして、今その方々が全国連絡会作られて、私も一緒に今、これはもう何党関係なく頑張らなきゃと思ってやっているところです。平沼経済産業大臣にも何度かお話をしまして、かなり御努力をいただいて、取りあえずセーフティーネットの適用では中小企業庁の事務方の方が物すごい努力をされて、私、本当に敬意を表していますけれども、頑張っていただいているところです。
 これは今後の大問題になってきているというところなんですけれども、経済産業省で昨年からこの問題の根本的な解決のためにいろんな御努力をされておりまして、研究会を作って検討されてこられました。それは、ちょうど今年の一月に中間報告が出たと思います。私、最初に結論を言うとなんですけれども、大変いい報告だ、よく頑張ってもらったというふうに思います。
 時間の関係で簡潔で結構なんですけれども、経過と問題意識と趣旨、ちょっと簡潔に述べてもらえればと思います。
#261
○政府参考人(小川秀樹君) お答え申し上げます。
 委員御指摘のテナント保証金の問題でございますけれども、御指摘のとおり、そもそもテナントの負担が重くて財務体質悪化の要因になるということがあるわけでございますけれども、特に昨今、流通業の、以前と違いまして、破綻リスクが高くなっているという状況下では、ディベロッパーが破綻した場合に保証金が返還されないという事態が生じているということでございます。
 こういう問題の認識の下に、当省としては、昨年七月から、専門の方々によりますテナント保証金問題研究会を設置いたしまして、一月まで六回の御審議をいただきました。本年一月に中間報告書を取りまとめていただいております。
 内容のポイントでございますけれども、将来の方向性としては、基本的にテナント保証金は廃止をして、もっとすっきりした敷金に一本化すべきであるということでございます。ただ、現時点におきましては、一部ディベロッパーサイド、またテナントサイドにも保証金のニーズがある場合もありまして、そういう場合には当事者間の合意により保証金を残す場合もあるわけですけれども、こういう場合にあっても、問題をできる限り改善するため業界ガイドラインを設定いたしまして、これに沿った内容とすべきであるというのが内容の骨子でございます。
#262
○大門実紀史君 ついでに、そのガイドラインに盛り込むべき内容についても簡潔にひとつ説明してくれますか。
#263
○政府参考人(小川秀樹君) 御質問の業界ガイドラインの内容でございますけれども、まず基本といたしまして、テナント契約はディベロッパーとテナントとが対等の立場において締結する。双方の義務を契約事項として明確に書くということでございます。
 それから、その際の保証金契約を締結する場合の、具体的にこういうふうにしていった方がいいということでございますけれども、一つには、金銭消費貸借としての性格を持つことを明確に位置付ける。また、契約期間が現在ですと二十年ぐらいにわたるとか、非常に長いわけですけれども、契約期間の短期化、金額の低額化に努める。それから、片務的に、情報開示が十分じゃないということで、ディベロッパーとテナントは相互に経営情報を開示する。それから、可能であれば、保証金の返済を確実にするために担保連帯保証人を設定する。それから、中途解約時に、なかなか返済規定が明確じゃないので、十分返還が受けられないという場合もありますので、そういう場合の返還規定を明確にする。そういった内容がガイドラインの骨格になっております。
#264
○大門実紀史君 そういうことが今既に決められていれば随分たくさんの方が助かったと思います。急いでそういう方向を実現してもらいたいと思いますけれども。
 今既に破綻して、私、申し上げましたマイカル三千三百店が今いつどうなるかといって不安な毎日を送っておられますけれども、今現在破綻しているところについてはどういうふうに対応されていくのか、教えてもらえますか。
#265
○政府参考人(小川秀樹君) この研究会でございますけれども、基本的には今後のテナント契約における保証金の在り方を中心に御議論をいただいて報告書をまとめていただいたわけでございますけれども、御指摘のように、現在既に法的に破綻している企業についても一定の手当てをするべきじゃないかという御意見もあったわけでございまして、そういったことを踏まえて、報告書におきましては、「経済産業省は、本報告書を踏まえた問題意識を、裁判所、管財人等に伝え、破綻処理におけるテナント保証金の扱いに関して考慮を要請すべきである。」というようなことが明記をされております。
#266
○大門実紀史君 既にマイカルの管財人等には、何らかのアクションをといいますか、働き掛けされているというふうに聞きましたけれども、もし、述べられる範囲で結構ですけれども、教えてもらえればと思います。
#267
○政府参考人(小川秀樹君) 御指摘のマイカルにつきましては、正に現在更生手続中でございまして、既に閉鎖した店舗、閉鎖予定の店舗、存続店舗、ございますけれども、いずれもテナントの問題があるわけでございまして、当省といたしましては、この研究会の報告書を踏まえまして、マイカルの事業管財人であるイオン等に対しまして、この報告書に述べられました問題意識をお伝えすると同時に、こういうテナントの方々が非常に厳しい状況に置かれておるということを十分配慮をしてその更生計画、更生手続を進められることを累次要請をしておるところでございます。
#268
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 そういう努力でかなり現場の方では動きがあるようですので、引き続きお願いしたいと思います。
 急いでお願いしたいのは、そのマイカルの中で、もう敷金、保証金、返ってこないと、そうすると借金も払えないということでもう夜逃げをされた例が二件出ておりますので、そういう方向で経済産業省が努力しているということが伝わるだけでも皆さんの希望になりますので、急いでマイカルについては特にお願いしたいと思います。
 先ほど言われたガイドラインですけれども、いつごろ具体的にまとまって業界に普及するというふうになるのか、めどが分かれば教えてもらいたいと思います。
#269
○政府参考人(小川秀樹君) このガイドラインでございますけれども、中間報告書の趣旨に沿いまして、具体的には、関係団体でございます社団法人日本ショッピングセンター協会と社団法人日本専門店協会の両団体が共同で今鋭意作業中でございますけれども、できるだけ近いうち、できれば四月中ごろまでには取りまとめるべく作業中であるというふうに伺っております。
#270
○大門実紀史君 いい御答弁が多いんで、質問がなくなりましたので、これで終わります。
#271
○平野達男君 今日は委嘱審査ですけれども、不良債権のことについて竹中大臣にお伺いしたいと思います。
 お手元に資料が行っておるでしょうか。ちょっと急なことだったので行っていないと思うんですが。
   〔資料配付〕
 「金融再生法開示債権の増減要因」ということで、平成十四年三月期、平成十四年九月期ということで、これ並べてみました。ちょっとこれは表の作り方が、ちょっとこういうふうに並べるのは必ずしも正確な作り方ではないと思うんですが、一応並べてみました。
 ちなみに、平成十四年三月期の増減というのは一年間の増減です。それから、平成十四年九月期というのは、これは半期の増減ですので、これをちょっと注釈しておきたいと思います。
 そこで、話を簡単にするために、全国銀行というよりは主要行についてちょっと限ってお話を進めさせていただきますけれども、この要管理債権の増減要因の中に、貸出し条件緩和債権の判定基準の厳格化あるいは債務者の業務悪化等というようなものもありますし、それから、あと危険債権、破綻更生等債権、いわゆる破綻懸念先と言われるやつですね、これには特別検査の影響等、債務者の業務悪化等あるいはオフバランス化等、こういう影響があると。
 そこで、今までの竹中大臣との議論の中で、いわゆる結果的に積み残しの部分と景気の悪化に伴って新規発生する部分の二つの不良債権があるんだという議論をしてきましたけれども、前に平成十四年三月期の状況を聞いてみたら、いわゆる積み残しというか、根雪というんですかね、根雪の部分が大体七割、あるいは新雪の部分が大体三割だというようなお話されていましたけれども、これはバックとなるものなんですが、その七、三というのは、貸出し条件緩和債権の判定基準の厳格化の四・七兆と特別検査の影響等のこれは五・一兆、これと足したやつと、債務者の業務悪化等の三・九兆、これを比較したやつだと思うんですが、これでよろしいでしょうか。
#272
○国務大臣(竹中平蔵君) そのとおりでございます。ネットでなくてグロスで見て、そのように申し上げました。
#273
○平野達男君 ここでちょっと疑問が出てくるのは、特別検査の影響等で五・一兆が、これが何で根雪の部分なのかと、全部。この特別検査はリアルタイムでやっていますから、これを根雪と見るのはちょっと違うんじゃないかと思いますが。
 基本的に、ここの部分の特別検査というのは、そのときの債権として、結果的に危険債権、破綻更生等債権というふうなのに位置付けられたわけですけれども、銀行の検査と特別検査というのはセットでやっているわけですよね。だから、これは概念的には更に二つに分かれませんか、これ。
#274
○国務大臣(竹中平蔵君) これは特別検査、言うまでもありませんですけれども、特に大口等々の債権で、要管理の中で特に市場のシグナルがあるものについて行いました。それで、どのぐらいは業況悪化ですか、どのぐらいは特別検査ですかというのは、これはアンケートに基づいてそれぞれに答えていただいていると、そういう性格のものであります。
 その中身をどのように解釈するかというのはいろいろあろうかと思いますが、出てきた数字そのものは今申し上げたように非常にシンプルな形で、アンケート調査に基づいてその銀行に対して判断をしていただいているということです。
#275
○平野達男君 私、この特別検査というのは、この間担当の方から聞いたときには、特別検査の影響ということで項目そのものを起こしたんですかと言ったら、そのとおりだと。じゃ、特別検査というのは、例えばこれは貸出債権の判定基準の厳格化と業務等の悪化、結果的にもっと分析すれば分析できるんじゃないだろうかというような疑問をちょっと差し挟んだんです。
 この特別検査の影響等というのは、そのときに債権、不良債権というのは、これは分類として結果で出てくるんですけれどもね。私は、これはさらに貸出条件債権緩和の判定基準の厳格化なのか、債務者の業務等の悪化なのかという二つに分かれませんかね。これはあくまでも一つですか。
#276
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員のお尋ねは、特別検査を行った対象について、ひょっとしたら、これ対象の中で悪化した分全部この中に入っているんじゃないか、しかしその対象の中にも業況が悪化したものがあるのではないかというお尋ねかと思います。
 この辺は、実は、繰り返しますが、アンケート調査ですので、その辺をすべてトータルで判断をしていただいて向こうに答えていただいているという、数字、結果の数字はそういう性格のものでございます。
#277
○平野達男君 私は、ここは、今度もしというか、今度出てくるとすれば十五年三月期ですかね。もうちょっとこれを分けて議論してみてアンケート調査を取った方がいいと思います。ちなみに、平成十四年九月期になりますと、貸出条件緩和債の判定基準の厳格化というのがコンマ二、四・七からコンマ二と、どんと減るんですね。
 それから、銀行の特別検査というのはこれからやるようですが、これはまずないということで、債務者の業務悪化等はプラス二で、これは半期の部分なんですが、これだけ見ますと、いわゆる根雪の部分は相当なくなっているなと、このアンケートを信じる限りは。そうすると、もう新雪の部分だけに入ってきたなというような印象を強く受けますけれども、大臣、どうですか、これは。
#278
○国務大臣(竹中平蔵君) まさしく、その十四年九月期は特別検査の影響等というのはもちろん当然のことながらここには出てきていないわけでありますけれども、御指摘のように、ある意味で、根雪という言葉を使われましたけれども、たまっていたものがぽんと出てきて、いわゆる経済に合わせて、経済の状況に合わせて出てきた業況悪化分というのが当然のことながら今後のその中心的なものになっていくのだろうというふうに思います。ただし、今回、十五年三月期の決算につきましては、一部ディスカウント・キャッシュ・フローの導入とか、そういうようなものがございますので、それによるものというのはこれは少し出てくる可能性があると思っております。
 いずれにしても、御趣旨のとおり、基本的には業況悪化の分等々がどのぐらい出てくるのかというのがメーンになりますし、それに対してオフバランス化を進めていって、どのぐらい全体として不良債権が減ってくるのかということをしっかりと見ていかなければいけない段階であると思っております。
#279
○平野達男君 そうしますと、これは骨太の方針作られましたよね。あの一番最初に出てくるのは不良債権処理なんです。あのイメージは、今まで先送りされてきたものがたくさんあります、これを早期にきっちり資産査定して、オフバランス化するものはオフバランス化しますということで骨太の方針というのは作られたと思うんです。
 今回、このデータを読む限りは、少なくともその骨太の方針のところの先送りされてきたところの、多分あれが中心になっていたと思うんですけれども、それはなくなってきましたと。ということであれば、ここで一つ疑問が出てくるのは、あの骨太の方針の中では、不良債権の処理をやることで、きちっとやることで、いわゆる資源の効率化、不効率なものからいいところに回ってきますよ、だからこれで経済上がっていくんですよというストーリーだったんです。
 ところが、経済が今こんな状態だということで、不良債権処理の数、処理というのが果たして骨太の方針どおりだったんだろうかと。いや、そうじゃなくて、そうなんだと、もう少し、効果が出てくるのがもう少し後なのかなという説明の仕方もあるかもしれません。ただ、少なくとも、今のところ骨太の方針の考えたような結果にはちょっとなっていないんじゃないかと。
 ただ、一つは不良債権処理、進みましたよ。進みましたけれども、その結果としての効果がいわゆる先送りされてきたもの、あるいは今、さっきの根雪と言いましたけれども、そういったものが進んだ結果がまだ出てきていないというような感じがしますが、ここは竹中大臣、どのように考えられますか。
#280
○国務大臣(竹中平蔵君) 不良債権処理の問題の解決に向けては、やはり幾つかのことをやらなきゃいけないということだと思います。
 その意味では、正に資産査定を厳格化して、それを洗い出すというところに関してはかなりのことができつつあるというふうに思っております。しかし、これまだオフバランスしておりませんから、その意味ではバランスシートの中にリスクを抱えたままになっています。つまり、これ損益、収益、確定しないわけですから、そういう意味ではリスクを抱えておりますから、そのオフバランスをするまではその意味ではまだ銀行はリスクを抱えていますねという状況が続く。だから、ルールに従ってこれはしっかりとオフバランス化をしていきたいというふうに思うわけです。
 同時に、引き続き、しかし、ある程度の不良債権、これは業況の悪化等々によって出てくるわけですから、それを十分に支えるだけの収益力を確保してもらわなければいけない。コーポレートガバナンスを強化して収益力を高めてもらうと。これは正に、今正にそれが始まって、始まりつつあるわけですし、自己資本の増強についてもそれが始まりつつあることであると。
 その意味では、正にあの一番最初の骨太に書いたイメージを金融再生プログラムでよりはっきりとさせて、それが今進行しつつある状況であるというふうに思っております。
#281
○平野達男君 としますと、いろんな見方ができると思いますけれども、少なくとも不良債権処理というのはやっぱり新しい局面に入ったんだということは、これははっきり言うべきじゃないでしょうか。
#282
○国務大臣(竹中平蔵君) 私としては、資産査定の厳格化、その洗い出しの部分に関しては、今回の十五年三月期の決算においてかなりの程度のものが進むであろうというふうに思っております。
 繰り返しますが、それは新しいDCFのような手法を導入するし、再建計画を持っているところについては再建計画のそのもののチェックをきちっとすると、そういう段階を終えたら、つまり十五年三月期の決算が出て、それをきちっとした段階で私は新しい段階に入ると、これは申し上げてよいのではないかと思っております。
#283
○平野達男君 そうしますと、先ほど大臣も言われましたけれども、新しい段階に入ってくると、不良債権というのは要するに景気の悪化に伴うもの、もう少し正確に言いますと、銀行はリスク取ってやっていますから、どうしても常に不良債権が出てくる可能性はありますので、これはまず話はおいておいて。
 そうすると、そのリスクテークの問題は別として、景気の、要するにどうやって不良債権処理を、不良債権の発生を抑えるかというところに入ってきて、要するに不良債権処理の意味合いというのが随分大きく変わってくると思うんです。
 これは、こういう形でよろしいでしょうか。
#284
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員の御指摘が、その根雪の部分出されて、今度は経済全体がどのようになるか、そこから業況悪化によって、伴って出てくるかもしれない新しい不良債権とのバトルになるというような意味では私はそのとおりであろうかと思っております。
 それに対しては、私たちは経済を正に活性化することであると、経済活性化のためには何が必要かということに関して、構造改革全体の中で私たちなりにしっかりと位置付けているつもりでございます。
#285
○平野達男君 私、もう一つだけ言わせていただきますと、骨太の方針の中で一番最初に出てきた不良債権処理、それはもう大きなもう山場をやっぱり今の話だと越しつつある。じゃ、その一体効果は本当にどうやって、どこで出てくるんだろうか。あの骨太の方針、まだ一回目の骨太の方針を、一回目って、骨太の方針は一回しか出ていないんですが、再度、もう一回読み直しましたけれども、不良債権処理がとにかくこれが非常にキーポイントだというふうな位置付けで書いてあるわけです。しかし、それだけの効果が出てきていないんじゃないかという意味において、あの骨太の方針の考え方が果たして正しかったかどうかという大きな疑問なんです。
 これは、私、前にも言いましたけれども、あの骨太の方針はもう骨粗鬆症にかかっていると、今やぼろぼろじゃないかというようなことで一回表現させていただきましたけれども、コメントがあればどうぞ言ってください。
#286
○国務大臣(竹中平蔵君) 是非とも御理解いただきたいのは、まだバランスシートの中にそういったものを抱えているわけですから、そのオフバランス化はまだこれから二年ぐらい掛けてきちっとやっていかなければいけないわけです。
 ですから、その意味では、今までの洗い出しをしたという意味では新しい段階に入っておりますけれども、不良債権処理は正に中核の段階にこれから二年ぐらい入っていくと、中心に入っていくと。それが終わった段階で不良債権処理、つまりこれは、この場合は本当にオフバランスがある程度進んで、バランスシートの中から、銀行のバランスシートの中からリスクが消えている状況でありますから、その状況のような状況の下では経済のシーンはかなり違ってくるであろうというふうに思っております。「改革と展望」のマクロのシナリオというのは正にそういうシナリオになっているわけです。
#287
○平野達男君 いずれ新しい段階に入りつつあるということでありますから、それはそれで良しとしたいと思います。
 それから、全然話が変わりますけれども、竹中大臣、今、大臣兼務されておりますね。経済財政大臣と金融担当大臣。これ兼務されて、ちょっと話全然通告申し上げなくてあれなんですが、どうですか。
#288
○国務大臣(竹中平蔵君) 大変厳しいと思っております。これは当然責任が非常に広がったということでございますし、物理的に申し上げますれば、二つの委員会で出させていただいて時間的な調整、これは私よりもむしろ秘書官が、同じビルの五階と九階にオフィスがございますが、それぞれの事務説明の調整等々も大変苦労をしておりますし、なかなかしんどい仕事であると思います。
 しかし、これはやり遂げなければいけない仕事であると思っておりますので、総理や塩川大臣の御指導をいただきながら頑張っているつもりでございます。
#289
○平野達男君 いや、もう私も本当に大変だと思います。それで、竹中大臣は一生懸命やっておると思います。
 やっていると思うんですけれども、経済がこんなに大変なときに経済財政担当大臣と金融担当大臣を兼務している、それは竹中大臣は物すごい優秀だと思うんですけれども、その二つをやることで何かが欠けるようなことはないですか。これは竹中大臣が自らやられて、要するに二つをきっちりこなすというのは当然求められているわけですけれども、元々要するに大臣というのを分けているわけですから、これをずっと続けるということに対しては、これ竹中大臣、本音の部分としてなかなか言えないと思いますけれども、これどう思われますか。
 実は、これ本当は私は小泉総理に聞きたかったんですけれども、なかなかそういう時間がなくて。これだけの金融危機抱えているときに何で一人で二つも兼務させるんですかと。与党の議員なんか一杯いるじゃないですかと。そんな与党議員ね、あ、ごめんなさい、頼りにならないんですかと。(「いいのがいないのよ」と呼ぶ者あり)ああいうふうにはっきり言われますとちょっと、なかなかちょっと次の言葉がないんですけれども。でも、これはその結果として一生懸命やっているんですけれども、どこかの、力の配分がどこかで不足しているかもしれないんですね。
 それは竹中大臣が、いや、大丈夫ですと胸を張って、私は経済財政大臣もやれます、金融大臣もやれますと、当然これは言わにゃいかぬでしょう。だけれども、その結果物すごい激務で本来やるべき部分がどこかで結果として欠けるようなことがありますと、これ内閣として本当に問題なんですよね。だけれども、それは竹中大臣が判断するのじゃなくて、ひょっとしたら塩川財務大臣はそばで一番見て、そばで常に見ておられるし、基本的には総理が判断する話だと思うんですが、こんなに激務のときにいつまでやっておるんだろうかと。逆に言ったら、ひょっとして大臣なんというのは二つも、元々二人も要らなくて一人でいいのかというようなことにも勘ぐりが出てくるんですよ。
 でも、私は一人でいいということにはならないと思うんですね。前は柳澤大臣と竹中大臣で二人でやっておられた。金融の状況というのはますます悪くなっている。何で一人でこのままいるんだろうかということを、竹中大臣の身を案じつつ、かつ内閣の本当に仕事が本当にそれでできるのかという日本の国全体のことを考えて言っておるつもりなんですが、竹中大臣、どうですか。
#290
○国務大臣(竹中平蔵君) 物理的には二十四時間しかございませんし、体一つしかありませんので、委員御懸念のようなどこかが抜け落ちているんではないかと、そういうことがないように万全の努力をしているつもりでございます。
 また、そうした状況をよく理解して、金融庁、内閣府それぞれのスタッフは本当によくやってくださっていると思います。
 また、先ほど申し上げましたように、総理、塩川大臣始め閣僚の皆さん方、与党の皆さん方もしっかりとその辺を支えてくれているというふうに思っております。
 しかし、これやっぱり今は非常にある意味で特別な状況下にあると思っております。それは経済と金融のその相互関係が、経済が悪いから金融が悪くなる、金融が悪いから経済が悪くなると、そこら辺の関係が従来にはなかったような、ある意味で非常な特別な時期であろうかというふうに思います。
 であるからこそ、総理は金融、経済を一体と見れるようにということで兼務を命じられた。そういった点を踏まえて、経済、金融、しっかりと整合的にかつ強力に進められるように努力をしているつもりでございます。
#291
○平野達男君 竹中大臣からはなかなか本音の言葉、多分それは本音かもしれませんけれども、聞けないと思うんですが。
 塩川大臣、よろしいでしょうか。私は、本当にこんな危機のときに何で一人に任せておくんですか、内閣として。
 それで、確かに今、竹中大臣言われるように、金融と要するにマクロ経済というのはセットですよというのは分かりますけれども、こんなのは前から分かっている話で、ましてや、繰り返しになりますけれども、こんな危機のときに何で一人に任せておくのかと。これができるということは、もう後の大臣は何も二人要らないと、一人でいいということになりますよ。
 それは、まず、ためにする議論ですからこちらに置いておいて、塩川財務大臣、そばで見ていてどうですか、小泉総理に言ったらどうですか、本当にこんな危機のときに何を考えておるんですかといって。人材はそんなにいないわけじゃなくて、日本全国まだまだいるわけで、一億人いるわけですから、国会議員だってまだまだたくさんいますし。
 私は、さっき言ったように、危機管理という面からいったら、とてもこれは、リスク、リスクと言っていますけれども物すごいリスク凝縮していると思いますよ、一人でやっておるんですから、しかも業務は大変だと。そういったところの配置を是非、塩川財務大臣、総理大臣に言ってくださいよ。これはそうしないと竹中大臣、本当にここで倒れちゃったらどうするんですか、ここで。ということもあると思いますよ。
 塩川財務大臣に一言コメントをいただいて、私の質問を終わります。
#292
○国務大臣(塩川正十郎君) 貴重な意見、総理に伝えておきます。
 しかし、竹中さん非常に有能ですから、一人に集中してやらした方がかえって能率的で整合性取れていいんです。ぱらぱらやって烏合の衆が集まったってしようがないです、それは。だからやっぱり、それでやっておる方がいいんですよ。
#293
○平野達男君 ちょっと時間ですからあれですけれども、時間があったら一言二言言いたかったんですが、まずこれで終わります。
#294
○大渕絹子君 ちょっと、今、塩川財務大臣、すごい答弁をされたなというふうに思いますね。
 私は、ODA予算の扱い方についてちょっと質疑をしていきたいというふうに思います。
 平成十五年度の政府全体の一般会計のODA予算は八千五百七十八億円と、前年度比五・八%減ということで、ここもう五年ほどずっと減少傾向をたどっているわけですけれども、政府もODA大綱の見直しというようなことを基本方針を進めておるということですけれども、どうした背景があってこの見直しに踏み込んでいったかを答えていただきたいと思います。
#295
○政府参考人(薮中三十二君) ODA大綱でございますけれども、閣議決定されて以来、十年間、国際社会での様々な動き、グローバル化の進展等を契機とした開発問題の一層の重視、あるいは人間の安全保障そしてまた平和構築への対応等、開発課題の変化が大変大きくなってきております。また、我が国国内では厳しい経済財政事情の下ODA予算が大幅に削減されると。そうした中で、ODAの参加主体の多様化ということもございます。
 こうしたODAをめぐる情勢が大きく変化しているということを踏まえまして、政府としてはODA大綱を見直すこととし、十四日に対外経済協力関係閣僚会議を開催し見直しの基本方針を審議したわけでございます。
#296
○大渕絹子君 対中国のODAの削減についても話合いがなされて、二年連続で円借款削減という方向が出されていますけれども、この中国のODA削減の背景について答えてください。
#297
○政府参考人(薮中三十二君) 中国に対するODAの在り方については、日本国内でも大変いろんな議論があったところでございます。
 そうした中で、やはり効率的なODAの一番効果的な使い方は何かということで考え、中国に対しては、環境あるいはそうした人道的なもの等々、いわゆるインフラ的なものでない経済協力の在り方というのが妥当であろうということでございまして、そうした中で全体の金額も縮小し、しかし効率的に環境分野等々でこれを使っていくと、こういうことで対応しておるわけでございます。
#298
○大渕絹子君 私は、中国は既に国際の金融機関等々のドナー国として登録されている国なんですよね。例えばIMF、国際通貨基金などでは八番目の拠出国、それから国際復興開発銀行ではもう六番目のドナー国として登録をされているような国に成長しているわけなんですよ。それに対して、中国に対していまだに日本のODAの一割以上が中国に使われるというような現状というのは、私は極めて不自然だというふうに思うのですね。
 ですから、この際、思い切って、中国のODAの在り方というのは本当に抜本的に見直していく方向というのは私は支持をいたしますし、削っていっていいと思います。むしろ、もう要らないのではないかとさえ思う状況にございます。
 その反面、それではほかのアジアの国々、東南アジアの国々にはどんなことをやっているのかというと、非常に援助としては微々たるものではないかというふうに強く思うわけなんですね。
 今日は、ODAの在り方そのものを見直すという、大綱そのものを見直すというこの時期ですので、日本のODAの在り方というのをもう一度基本に返って考えていただきたいと思って取り上げました。
 実は、私は公共事業をチェックをする会というのの幹事をやっているわけなんですけれども、そこに今般、日本のODAが行っているアジアのダム建設について非常に迷惑をしているという現地の民間団体の人が大挙して押し寄せました。
 例えば、インドネシアのコトパンジャン・ダム、それからフィリピンのサンロケ多目的ダム事業、それからタイのラムタコン揚水式水力発電、揚水式水力発電というのは、これどういうのかちょっと分かりませんけれども、揚水式水力発電。あるいは中国のダム、それからフィリピンのメトロマニラ洪水制御事業、マレーシアのケラウ・ダム等々、これらの国々の人たちが大挙して押し寄せてまいりまして、日本のODAによって自分の国の環境破壊が起こり、そしてそこに住む地域の人たちが非常に迷惑を被っているというようなことで、ODAの在り方を根本から見直してもらいたいということで陳情を受けたわけでございます。
 中国のODAの在り方とかこうしたインフラ整備、いわゆる日本のゼネコンが現地に赴いてODA予算をそっくりかっさらって日本の国に持ち帰ってくるようなODAの在り方については、現地側でも余り好感をされていないわけなんですよね。
 その反面、私は一月、ミャンマーの国に行かしていただきました。昨年はラオスを訪ねさしていただきましたけれども。
 一日一ドルも使えない。年間三万円なんですね、ミャンマーの場合は。GDPというんですか、総生産というんでしょうか、一人当たり三万円しかない。一日当たりで計算すると八十五円というような状況に暮らしている。その中でエンゲル係数は七〇%。一人当たりの国際収支はたった一ドル。総人口が五千六十三万人。七五%が地方に住んで農業に従事をしているという状況。しかし、人口の増加率は二・〇九%。平均余命は男が五十四歳、女が五十九歳。本当に短命なんですよね。これは、妊産婦の死亡率とかあるいは乳幼児の死亡率が非常に高いために、平均するとこういう低い数字になってしまうということなんですよね。避妊の普及率も少なくて、HIVの感染も非常に進んでおるんですよ。妊婦でHIVに感染しているのが二・二%ということで、母子感染も更に広がっている状況。しかし、国際社会からの支援もなくて、NGOも非常に限られた範囲でしか仕事ができない状況にあって、この国の実情は正に聞くよりも悲惨な状況であるというふうに私は見てまいりました。
 日本がミャンマーに対してODAをどんな形で実施をしているのかということについて調べさしてもらいましたけれども、一九八六年まではほかの国とそう大差のないような支援が行われていたというふうに思うのですけれども、この八七年、八八年を境にしながら、ODAというのが、軍事政権が成立をしたということを踏まえてばったりと切られていくわけなんですけれども、その間のODAを切っていくというところの条件としてどういうことが出されてきていたんでしょうか。詳しく説明してください。
#299
○政府参考人(薮中三十二君) 委員御指摘のとおり、一九八八年に現在の現政権ができてございます。そして、現政権は発足当初から複数政党制の民主主義導入ということでやってまいりましたけれども、その結果としての、一九九〇年、御承知のとおり総選挙がございまして、その結果としてNLD、アウン・サン・スー・チーさん率いるNLDが勝利を収めたわけでございますけれども、その選挙結果は結果的に尊重されないと、そういう形で現在に至っているわけでございます。そして、民主化が達成されていないということでございます。
 私どもといたしましては、やはり、ODAを拠出する際ということでいいますと、ODA大綱の原則がございます。そうした国の現状を見ながらどういう対処が一番いいのかということでやってきているということでございまして、やはり民主化が更に推進すると、総選挙の結果がやはり尊重されなければいけないということが一方の思いにあるわけでございます。
 他方、今、委員御指摘のとおり、それじゃ何もやらなくていいのか、欧米諸国のように何もやらなくていいのかということからいいますと、日本はそうした中でも、今、委員御指摘のとおり、例えば母子保健サービス等々の改善計画、こうしたものには二〇〇二年も六億円の、額としては小そうございますけれども、無償資金協力を行っていると。
 そうしたことを含めて、少しでもそうした面での協力をしながら、かつ民主化の推進に前向きな対応を促していきたいと、こういうふうに考えております。
#300
○大渕絹子君 私は現地の大使館員の皆さん方ともお話をしてまいりましたけれども、ミャンマーに対しての支援をもう少し強めてもらいたいという大使館の職員の皆さんの率直な意見もございました。
 そして、私自身がミャンマーの国を、くまなくとは言いませんけれども、回れるところだけ、一週間ぐらいの日程でしたので見れるところは限られましたけれども、地方とそれからヤンゴンの首都を見さしていただきましたけれども、軍事政権下というふうに言いますけれども、本当に軍事政権下なんだろうかと思われるほどのどかで、非常に平和で安定をした暮らしをしているというふうに見えました。
 そういう中で、アウン・サン・ス・チーさんにもお会いをいたしまして、そのスー・チーさんの考え方等も聞かしていただきました。彼女は、ODAが入ってくることによって軍事政権を更に強め軍事統制が更に長引くので、日本からのODAも拒否をする、観光客も入ってきてほしくないというふうに言っているんですけれども、それでは、あなたはどういうふうにしてこのミャンマーの国民を助けるのですかという問い掛けには、具体的には何も答えられないんですよ。農村の貧困、子供たちが置かれているあの貧しさを本当にあなたは分かっているんですかと私は問い掛けましたけれども、そういうことが分かっておられるとは思うのですけれども、そのことに対して具体的に動こうとしないということであるならば、そのアウン・サン・スー・チーさんに民主化を要求をしていってもこれは難しいというふうに思うのですよ。
 そうしますと、日本とかあるいはアメリカとか中国とか、ミャンマーに対して大きな影響力を持つ国が積極的に働き掛けをして、軍事政権から憲法を制定させて民主国家に育て上げていくということを外側からやらなければ私は駄目だというふうに思うんですよね。そういうところにODAの切り札があるというふうに思っておりまして、是非、ミャンマーの軍事政権を解いていくためにも、日本の外務省は大きな力を発揮しなきゃ駄目だというふうに思いますよ。
 私は、ミャンマーの保健大臣、それから経済開発大臣ですか、このお二人の大臣にも会いました。もちろん軍人さんでいらっしゃいますから、私らはもう少し何というか、厳しい態度でお会いしなきゃいけないのかと思いましたけれども、非常に柔和で柔らかくて、私たちの言い分もちゃんと御理解をいただいたように思いますし、非常にいい討論ができたというふうに思います。
 軍事政権側とそれからアウン・サン・スー・チーさん側とと、両方の話を聞いて、日本のODAの在り方というのはもっと変わっていい、もっと出してあげたい。貧しい人たち、特に女性、HIVの感染に侵されてしまうような状況にあるような女性たちにもう少し大量な援助があっていいと思いますし、今、学びやでノートと鉛筆を持っている子は幸せな方なんですよ。ノートも紙も持てないで、ただ先生の口元だけをじっと見て学んでいる子供たちは一杯いるんですよね。洋服は穴だらけですし、暑い国だと思っていたんですけれども、やっぱり高原の方に行きますと非常に寒い、朝晩は非常に寒いんですね。それなのに穴だらけのセーターしか着ていなくて、鉛筆もノートもなくて勉強している、そんな子供たちがたくさんいられるんですよ。そして、親御さんは子供が育てられなくなると孤児院の前に子供、赤ん坊を捨てていってしまうんですね。そういう状況があって、孤児院の経営者の皆さん方とも話をしてきましたけれども、本当にもっともっと助けられるんじゃないかというふうに思っているんですよ。
 だから、ミャンマーに対するODAの在り方というのは、軍事政権だから制裁的にストップをしたということであるならば、もう一度、その軍事政権下が、じゃ軍事政権になる以前の国とどう違うのかという検証をしていただきたいと思います。国民の、ミャンマーの人たちは、その軍事政権以前の政府よりもずっと今の政府の方が安心して暮らせる平和な国家になったと言っているんですよね。それは、軍事政権下が、少数民族が百三十から百七十ぐらいあると言われていますけれども、そのうちのもうほとんど九割ぐらいを平和的な契約によって掌握をしていると。だから、もう暴動が起きないような状況になっていて、軍事政権といっても、もう軍事で統制をする必要がなくなっているというような状況なんですね。
 保健大臣も、私たちは早くその軍服を脱いで憲法を制定しなさいということを強く主張したんですけれども、そのお二人の大臣も口をそろえて、私たちもいつまでも軍服を着ているつもりはないんだ、しかし今の国の状況だと、今の状況からもう少し時間が欲しいというようなことを言っていました。憲法制定においても、アウン・サン・スー・チーさんが率いる政党が憲法制定委員会から脱却をしてしまったために今できない状況にあると言われました。スー・チーさんの側は、そうではなく、私たちが参加できないような状況を作って追い出したんだと、こう言って、二人の意見は対立をするわけですけれども、そこらにやっぱり日本とか外からの力で憲法制定の方向に持っていくことも可能ではないかというふうに思っています。
 内政干渉にならない程度に、きちっと圧力を掛けていく必要があるというふうに思いますので、是非ミャンマーのODAについてもう少し金額を増やしてあげてくださいますようにお願いを申し上げます。
#301
○政府参考人(薮中三十二君) 委員、正にミャンマーの実情をごらんいただいて、それは大変有り難いと思っております。
 日本政府として、やはり手をこまねいているというわけではないということで、これはアジアの国、大変重要な国でございますので、去年の八月にも川口大臣がミャンマーに出掛けて、それで両方の側と十分な意見を交換してくると。そして、またこの二月には国連が主催する会議がございますけれども、これを東京で行うといった形で、様々な形でこの民主化を進め、あるいはやはり国づくりも進めなきゃいけないんじゃないかということで、いろんな形でサポートすることで今の政権、軍事政権がより民主的なステップを取るように、措置を取るようにということでの働き掛けはやっております。
 もちろん大使館とは常に、私もミャンマー大使とは常に緊密に連絡を取りながら、どうやって日本がやっていくのが一番いいのかと。最近では、過去一年半やってまいりましたけれども、経済構造調整ということで、これをミャンマー政府と日本、これは有識者の方が入っていただいてでございますけれども、ミャンマーがどういう形で経済調整をするのがいいのかと、このようやく報告書が出てまいりました。これも四月に向こうに提示することにしております。
 いろんな形でやはりその政権の在り方を変えていく、やはり民主化ということは非常に重要でございますから、そういう中で日本としてもやはりここは欧米諸国とはかなり違う立場を取っております。欧米諸国はそこは一切やらない、あるいは経済制裁をするということでございますけれども、日本はそうではなくて、日本としての働き掛けをやっていく。そうした中でODAにつきましても先ほど申し上げましたように年間で二十億円強でございますけれども、無償援助もやっている。やはり母子の状況であるとかそういうことについては大いに心掛けていきたいというふうに思っております。
#302
○大渕絹子君 最後に大臣、日本のODAの在り方なんですけれども、さっき言いましたように、ダムを造るとか高速道路に資金を出すとかというようなハード面よりも、もう少し人対人、アジアの人たちに対して人道的な視点で大きなお金が使われていくような方向に大転換をすべきときだと思いますので、夏のODA大綱見直しのときにはそのことを十分に踏まえて内容を作り上げていただきたいと思いますが、一言お願いを申し上げます。
#303
○国務大臣(塩川正十郎君) このたび変えました大綱、あれにはっきり言っておりますのは、従来は要請主義で、何といいましょうか、その国、それぞれの国がやいやい言うてきたらそれを取り上げてやっているという、窓口になっているのは大抵民間の会社なんですね。それがやっぱりしかも自分でやっているというのは大体僕らは分かっていますよ、それ。そういうのはもうやめて、もっと外務省が中心となって戦略的に、戦略的にODAを使おうと、こういうことしました。
 私もずっとよく知っているんですよ、ミャンマーのあの実情も。ASEANの、十か国になりましたね、前の五か国は日本の援助で物すごい良くなっていますよ。後から加盟した五か国が非常に気の毒な状況。ここらを戦略的にやっていくべきでしょうね。そこら外務省の方も一生懸命勉強していると思うので、一遍に良うならぬけどやね、ぼちぼちいきますよ、それは。だから、そういう声をやっぱりあなた方が上げていかれることが大事だと思っています。
#304
○大渕絹子君 終わります。
#305
○委員長(柳田稔君) 以上をもちまして、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、内閣府所管のうち金融庁、財務省所管、国民生活金融公庫、日本政策投資銀行及び国際協力銀行についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#306
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回は明二十七日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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