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2003/05/27 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 財政金融委員会 第12号
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2003/05/27 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 財政金融委員会 第12号

#1
第156回国会 財政金融委員会 第12号
平成十五年五月二十七日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     辻  泰弘君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳田  稔君
    理 事
                入澤  肇君
                清水 達雄君
                林  芳正君
                円 より子君
                浜田卓二郎君
    委 員
                上杉 光弘君
                尾辻 秀久君
                佐藤 泰三君
                田村耕太郎君
                中島 啓雄君
                西田 吉宏君
                溝手 顕正君
                森山  裕君
                若林 正俊君
                大塚 耕平君
                櫻井  充君
                辻  泰弘君
                峰崎 直樹君
                山本  保君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                大渕 絹子君
                椎名 素夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   参考人
       日本公認会計士
       協会会長     奥山 章雄君
       新日本製鐵株式
       会社取締役    関  哲夫君
       青山学院大学経
       営学部教授    八田 進二君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○公認会計士法の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、勝木健司君が委員を辞任され、その補欠として辻泰弘君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(柳田稔君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 公認会計士法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本公認会計士協会会長奥山章雄君、新日本製鐵株式会社取締役関哲夫君及び青山学院大学経営学部教授八田進二君の出席を求め、その御意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(柳田稔君) 公認会計士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席をいただきまして、本当にどうもありがとうございます。
 参考人の方々からは忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。まず、奥山参考人、関参考人、八田参考人の順序で、お一人十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきお願いいたします。
 なお、参考人及び質疑者ともに発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず奥山参考人からお願いいたします。奥山参考人。
#6
○参考人(奥山章雄君) 日本公認会計士協会会長の奥山でございます。それでは座って失礼いたします。
 本日は、公認会計士法の一部を改正する法律案の御審議に当たりまして、このように意見を述べる機会を設けていただき、誠に有り難く、まずは厚く御礼申し上げる次第であります。
 まず、総括的なお話をさせていただきます。
 我が国の経済社会の現状をかんがみますと、ディスクロージャー制度の充実強化を図り、もって証券市場の信頼性を確保することが今ほど急務である時期はないものと考えます。日本公認会計士協会としては、現在の経済環境あるいは監査環境を十分に認識し、公認会計士監査に対する社会からの負託にこたえるべく懸命に努力をしております。
 このたびの公認会計士監査及び公認会計士試験制度に関する改正については、一部確認を要する点はありますが、基本的には我々公認会計士の制度を充実させるものであり、賛成であります。
 それでは、改正法案の個々の項目につき、若干意見を述べさせていただきます。
 まず、公認会計士の使命、職責、これは公認会計士法第一条及び第一条の二に新たに設けられることとなりました。公認会計士は広く会計に関する知識を中核とした会計専門家であり、さらに特化した業務として監査証明業務が位置付けられているものと認識しております。
 今回設けられた使命に関する規定は、公認会計士は、監査及び会計の専門家として、財務情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動を図り、また、投資者及び債権者の保護等を図るとされ、公認会計士監査が有する批判機能あるいは指導機能とも相まって、幅広い視野に立った公認会計士にふさわしい使命であると、このように理解をしております。
 次に、監査業務にかかわる規制強化について意見を述べさせていただきたいと思います。
 我が国の公認会計士監査が経済社会の重要なインフラとして今後も充実発展していくためには、社会的に影響の大きい企業等の監査業務には、ある程度の規制強化も、その趨勢としては致し方ないものと考えるところでございます。
 まず、監査人の独立性強化に関してですが、公認会計士監査がその社会的意義を有するためには、監査を行う公認会計士がその監査対象から精神的にも外観的にも独立していることが必要であると考えております。監査人が被監査会社等に対し、経営の判断に関与する業務や、その監査する財務書類を自ら調製する業務を提供することは、監査人が、経営者的機能を兼務すること、自己の行った業務を自ら監査することになり、外部監査制度の社会的意義を否定することになると考えております。
 このような観点から、監査人が被監査会社等からの独立性を確保するため、これらの非監査証明業務を監査証明業務と同時に提供することを法律で規制することはやむを得ないことと理解しております。
 ただし、過度の規制にならないよう配慮することは当然のことと考えております。監査人は、監査業務に付随して、公認会計士監査が持つ指導機能を監査の様々な場面で発揮しております。この指導機能は、会社においても求めていることであり、そのような業務まで規制することは、逆に監査の有効性、効率性を妨げることになります。また、アメリカの会計事務所と日本の監査法人とは成り立ちが違います。したがって、アメリカと同じような規制を掛ける必要はないのではないかというふうにも思っております。
 したがって、内閣府令で定めることとされている同時提供が禁止される非監査証明業務の範囲は、我が国の監査法人等が行う業務の実態をかんがみながら限定的に規定すべきではないかと、このように考えております。
 次に、関与社員等の交代制ですが、効率的な監査、質の高い監査を実施するためには、本来、監査を行う企業の経営実態、企業を取り巻く環境等を熟知している監査人が継続的に関与することが望ましいとも考えられます。しかしながら、一方で、監査人が長期間同一の企業等に関与していることは、なれ合いや癒着など、監査人の独立性を外観的に損なう要因ともなるわけでございまして、監査報告書に署名する監査担当者について、ある一定期間で交代させる必要はあると考えております。
 交代の期間については、我が国の企業経営者の在り方、複雑化した企業組織の理解などを考慮し、少なくとも社会的影響の大きい会社等の監査を担当している関与社員の継続期間は七年が適当と考えております。継続期間七年については、平成十三年から協会の自主ルールとして運用してきており、現時点で、その実効性に問題があるという、そのような事実は起きておりません。また、監査人の独立性を外観的に損なうおそれを解消するといった観点から、インターバルの期間は二年程度設ければ十分と考えております。
 なお、関与社員等の交代制をすべての監査人に適用した場合、実質的に個人の公認会計士を監査市場から排除することとなりかねないことから、個人の公認会計士については、このいわゆる交代制についての適用除外とする措置を講ずるようお願いするものであります。
 次に、公認会計士監査にかかわる監視監督機能の強化の一環として、内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、監査証明業務に関し、公認会計士、監査法人等の事務所に立入検査できる規定が設けられております。この立入検査については、行政による事後的監視という基本的な観点から、具体的な発動は要件の厳格な解釈の下で限定的に行われるべきであります。私どもとしては、このようなことが発生しないよう自主規制を更に強化してまいりたいと、このように考えております。
 次に、公認会計士試験制度の見直しですが、今回の試験制度改革は、試験合格者の資質を確保しつつ受験者層の大幅な増加を図るとの観点から、従来の三段階五回の試験制度を、短答式と論文式から構成される一段階二回の試験制度とする試験体系の簡素化、試験の一部免除の拡大などの見直しが盛り込まれております。日本公認会計士協会としては、試験制度改革の趣旨と変更内容に賛同するものであり、このような方向で、今後、監査と会計の専門家としてふさわしい一定水準の能力を有する者が多数合格されることを期待するものであります。
 一方、試験の一部免除の拡大につきましては、試験合格者の質の低下を招かないよう、一定の実務経験者、一定の教育課程修了者については、具体的にどのような要件の下で試験の一部免除を認めるか、政令を定めるに当たり、協会の意見も十分踏まえていただくようお願いするものであります。
 今回の試験制度改革では、公認会計士試験に合格した後、業務補助等及び実務補習の修了という実務経験要件を行政が確認した上で初めて公認会計士となる資格が付与され、公認会計士登録を行うことができるとされております。この実務経験の修了確認は、正に職業専門家としての実務的専門能力を確認するものでありますから、公認会計士の質を維持するという観点からも大変重要であります。私ども公認会計士協会としては、実務経験の能力を確認すべく、実務経験修了者に対して統一的な考査を実施し、その考査を経なければ公認会計士としての登録を認めないと、このような方法を構築すべきと考えております。この点につきましては、是非先生方の御支援をお願い申し上げる次第です。
 次に、研修の受講ですが、公認会計士は、内閣府令に定めるところにより、日本公認会計士協会が行う資質の向上を図るための研修を受けるものとする旨の規定が新たに設けられましたが、これまでにも私ども公認会計士協会では、継続的専門研修、そういう制度を設置いたしまして実施してきております。また、職業専門家である以上、自己を磨き、その専門性を高めていくための研修は自らが率先して行うものであると認識しております。協会が実施している継続的専門研修は、昨年四月から自主ルールとして既に義務化をしており、今回の法案はこれを法制面からもサポートする趣旨であると理解しているところでございます。
 次に、監査法人社員の損害賠償責任についてですが、改正法案では、指定社員制度が導入され、会社等との間の契約者責任については、指定社員以外の社員について一部限定されることとなりました。しかし、依然、監査法人は合名会社に準じた組織形態のままであり、株主等第三者からの損害賠償請求に対しては、指定社員はもとより、すべての監査法人社員、言わばその会社に関係ない社員まで無限連帯責任を負う、このような制度となっております。社員の人数が数百人規模となっている現在の監査法人の実態を踏まえ、今後の民事法制等の審議において、いわゆるリミテッドパートナーシップ制度の導入が図られ、監査法人組織にもこれに対応した措置が講じられるよう、なるべく早くの対応をお願いする次第であります。この点につきましても、先生方に是非御支援をお願い申し上げる次第でございます。
 以上、公認会計士法改正法案に関して、私ども日本公認会計士協会の意見を述べさせていただきました。
 どうもありがとうございました。
#7
○委員長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、関参考人、お願いいたします。関参考人。
#8
○参考人(関哲夫君) 新日本製鐵の関でございます。
 今日は、こういった機会で意見を述べさせていただくこと、大変有り難く思っております。それでは、座らせていただきます。
 私は、民間企業の経営を担っている人間から見て、今回の公認会計士法の改正をどう考えるかということについて申し上げたいと思います。
 御案内のとおりでありますが、経済取引が大変複雑化、多様化してございます。会計制度も、もうこれ先生方には釈迦に説法ですが、いわゆる税効果会計であるとか時価会計であるとかあるいは減損会計であるとか、いわゆる将来の見積り的な要素が随分増えてきて、つまり判断が介入する余地が非常に大きくなってきているということが一つの特徴であるわけですね。
 それからもう一つは、金融理論的側面というか、どちらかというと、新しい金融商品がどんどん出てくる、デリバティブ等も出てくるという中で、会計も非常に複雑になってきているということであります。したがって、監査におきましても、いわゆる事前監査というものを重視するリスクアプローチということが最も監査の手法としては重要になってきているということでありまして、そういう意味で、こういう経済環境の高度化に対応して監査の質をいかに向上させるかということ、それは制度的な面もございますし、公認会計士の皆さんの資質とか量とかの問題も出てきている。
 こういうことでありまして、今回、そういう財務諸表のいわゆる我々のような作成者とそれから監査を担う人双方が、いわゆる公認会計士の資格というものを通じて、企業会計や監査技術に関する専門性と高い倫理観、使命感をベースに、事業実態に対する深い理解に基づくリスク把握・管理能力を有しながら監査プロセスにかかわっていくと、こういうことが望ましいわけでありまして、そうした意味で、今回の改正は大変時宜を得たものとして評価できるのではないかというふうに考えております。
 四つぐらいの点で申し上げたいと思いますが、一つは、今回、公認会計士の使命、職責が明確化されたと、こういうことであります。
 今申し上げたように、投資家及び債権者の保護はもとよりでありますが、リスクアプローチに基づく内部統制の構築状況の評価等を通じて、公正な会社の事業活動を図る役割ということもはっきり明示されておりまして、そういうことが財務情報の信頼性を確保するという観点から妥当だというふうに思っております。
 第二点目は、公認会計士の独立性の確保であります。
 先ほども奥山参考人の方からお話しございましたけれども、私どもも、監査を行う公認会計士ないし監査法人の業務の公益的な性格というものを踏まえますと、本来、監査ないしレビュー等の疑似監査の範囲にその業務は限定すべきだと。基本的には営利を目的とするサービス業である非監査業務、これ、コンサルタント業務等ですけれども、を含めるべきではないと、こう基本的には考えております。具体的にどういう業務で線引きするかということに結局なるわけですが、これは日本の実態、今までやってきた実態も無視できないわけで、よく関係者間で十分に議論してもらいたいと、こういうふうに思っております。
 それから三点目は、監査法人等に対する監視監督体制の強化ということであります。
 既に御案内のとおりでありますが、今回、監査法人の内部管理や審査体制について日本公認会計士協会の指導や監督、これは品質管理レビューという形でやっているわけですが、それを行政、公認会計士・監査審査会によるモニターをやろうと、こういうことでありますし、監査法人等の業務運営の適正性の監視のための立入検査権の導入というような、これは懲戒事由を前提としない立入検査権の導入ということでありますが、そういう公認会計士協会の役割、それから行政の役割、それぞれ強化して、制度全体を強化していくという方向性に私どもとしても賛成であります。
 四点目は、公認会計士試験制度の見直しであります。
 私どもは、この公認会計士制度の見直しは、今回、公認会計士法の改正の中で非常に重要な、しかも日本の経済構造改革に資す公認会計士法の改正ではないかと、こんなふうに思っております。先ほど冒頭にも申し上げましたけれども、公認会計士の使命というものを見直すことによりまして、その活躍するフィールドを、会計監査中心から、財務諸表の作成者、我々の立場、それからその利用者、投資家とか債権者の立場にも拡大させるべきであると考えております。そうした意味では、監査業務の所要見合いの現行の人数に加えて、企業において財務諸表の作成や内部監査に従事し、あるいは機関投資家の側から財務諸表を評価する立場に立つ公認会計士の数を大幅に増加させることが非常に重要である、こういうふうに考えております。
 そういう皆さんが多数存在することになれば、企業側における企業会計や監査に対する認識もより一層向上するということでございますし、監査法人と企業との間で人材の流動化が進展し、個々の公認会計士が多様な経験を積む機会が増加することによって、より事業実態に精通した質の高い公認会計士が多数生み出される土壌が整うということでございます。そうすることで、また、公認会計士の能力、資質に対する多方面からの評価が行われやすくなるため、個々の公認会計士の能力向上、自己研さんに対するインセンティブも今以上に高まるのではないか。結果として、公認会計士の皆さんでいえば、社会的ステータスや報酬の向上にもつながるものと考えています。
 また、国際会計基準委員会、これはグローバルスタンダードということで随分議論がされて、日本からも委員が参加しておるわけでありますが、我が国の経済活動の立場から、より強い発信をすることも可能になってくるんではないかというふうに考えておりまして、大変時宜を得たものだと思っております。
 そういう意味で、試験の体系を簡素化するわけですが、単なるいわゆる大学における受験勉強ということだけではなくて、企業で実務経験を積んだ人材が合格できるような試験制度にすることが重要でありまして、その意味で、試験科目の一部免除の要件についても、社会人の登用につなげる観点から検討していただけるものと確信をしております。
 最後に、民間企業としてのこうした問題に対する取組についても申し述べておきたいと思います。
 二つ大事なことがあるわけで、一つは、何度もこれいろんなところで御指摘されているわけですが、透明にして公正な財務諸表を開示していく、ディスクロージャーを徹底的に充実させるということが一点であります。それから二点目は、内部統制の仕組みを一層充実拡充するということでありまして、この点は極めて重要であると認識しておりまして、こういった二つの点に今後も積極的に鋭意取り組んでいく所存であります。
 また、今回の公認会計士の試験制度の改革を機に多くの優秀な方が公認会計士試験に合格するということでございますので、公認会計士の質と厚みが増すことを機会に、民間企業としても、経理部門、内部監査部門等のこういった皆さんに多く参画してもらうことにより、経理部門、内部監査部門等の機能強化を図っていきたい、こんなふうに民間企業として考えておる、こういうことであります。
 以上でございます。ありがとうございました。
#9
○委員長(柳田稔君) ありがとうございました。
 次に、八田参考人にお願いいたします。八田参考人。
#10
○参考人(八田進二君) 青山学院大学の八田でございます。よろしくお願いいたします。
 今日、私、大学では会計学の中でも特に公認会計士監査論を専攻し、授業科目も監査論という科目を持っております関係上、今回のこの公認会計士法の改正に関しましては早い段階から非常に関心を持っており、一、二、論文の中でもこの改正に関しての検討をさせていただきました。そういう関係がありまして、今日こういった貴重な時間をいただきましてお話しさせていただきますこと光栄に存じております。
 日ごろ思っておりますことを幾つかお話し申し上げたいのですが、時間的にも限りがありますので、私の研究者及び学者としての立場で三点ほどに限ってまずお話をさせていただきたいと思います。
 冒頭、お話し申し上げる前に、今回のこの一連の議論の中で、公認会計士法の改正がなされるということは、我々監査論の関係者から見るならば、昨年一月に十年ぶりに監査人の行動のルールである監査基準が大改定されたということ、そしてそれを踏まえまして、その適用がこの平成十五年の三月期以降、今、正に決算報告がなされようとしているこの監査時点で新しい監査基準の適用になった監査結果が世に発信されるということを考えますと、五十年を超える我が国の公認会計士監査制度の中でも、やはり今年は非常に重い意味を持つ年ではないのかと。逆に申し上げるならば、私は、これをもって我が国の公認会計士制度の本来の姿、真骨頂が問われる監査元年ではないかということを何度も申し上げております。したがいまして、今回のこの改正は時宜にかなったものとして高く評価させていただきます。
 ただ、後ほど申し上げますが、監査だけが一つ頑張っても、我が国の証券・資本市場は良くならないのであります。まず、やはりその主体である企業あるいは経済主体が健全な仕組みを構えているということ、恐らくこれをもってコーポレートガバナンスと言うのかもしれません、そして厳格な透明性の高い会計のルールが用意されているということ、つまり会計制度が秩序立って維持されているということ、そしてそれを側面から支援し、かつ公共の利益に資するために、やはり一国の、ある特定の経済主体や企業に利するのではなく、社会の人々の利益を願って行われる監査、この三点セットが機能しなければ、我が国の証券、資本、金融市場は健全かつ国際的に見てもとらないものとは言えないというふうに考えております。
 ただ、そういうふうに考えますと、会計、ガバナンス、それから監査というのは、正しく経済活動を後追いする形で機能するわけでありますから、経済活動の変遷に伴って、先ほど関委員の方からもありましたように、この多様化、国際化、複雑化する企業社会の環境に伴って常に見直しが必要であるということですから、今回、このように三十七年ぶりの仮に大改正がなされたとしても、その適用になったそのときから直ちに継続的な見直しがなされなければならないというふうに考えております。
 それから、正しくこの会計監査の世界は国境はないと言われております。後ほども申し上げるかもしれませんが、一つ会計のルールに関しましては、二〇〇五年というのは、統一化の方向に向かって世界が大きく動き出しております。監査のルールも国際監査基準という形で大きく統一化の方向に向かいつつあります。ということで、我が国のこの改革の動きは直ちに国際社会に発信されなければならない。恐らく、これは英語で表記されるわけですが、そのときに英語に置き直されたときに国際社会から失笑を買わないような規定条項でなければならないのではないかというふうに考えております。
 それから、今回のこの改正に際しまして、やはり一番大きな、途中、たまたまなのかもしれませんが、インパクトを与えたのは、御案内のように二〇〇一年十二月にアメリカで起きましたエンロンといういわゆる会社不正の事案がきっかけで、翌二〇〇二年七月三十日に非常に短期間の間に制定されましたサーベインズ・オックスリー法、我が国ではこれを俗称企業改革法と言っておりますが、この中での改革案件、これがやはり我が国の制度改革に関しては一応参考にしておかなければならない事案であろうと思います。
 ちなみに御紹介申し上げますと、この企業改革法は、正に会計、監査、コーポレートガバナンス、このすべての全面見直しが盛られた十一章から成る大部な条文であります。そして、これが部分的には域外適用ということで、米国の証券市場で恩恵を受けている人たちにはすべて法の網を掛けるということで今日に至っておりますが、たまたま、企業の問題に関しましては、例えば監査制度の問題に関しましては若干免除規定も盛られるようでありまして、その辺が今正に動いているところであります。
 そこで、我が国のこの公認会計士制度の原点を振り返りますと、実は、御案内のように、アメリカの一九三三年の証券法、三四年の証券取引所法、この二法を基に、我が国が戦後、一九四八年、昭和二十三年に証券取引法として制定され、その年に公認会計士法が制定され、翌々の昭和二十五年、証券取引法の一部改正がなされて、第百九十三条の二という規定の中で我が国の公認会計士監査制度が始まったのであります。
 ここで見落としてならないことがまず第一点あります。アメリカの場合、一九三〇年代に同様に証券取引法の中で、証券二法の中で公認会計士制度が導入されるのですが、既にその段階でアメリカにおきましては、いわゆる会計専門職、公認会計士と申し上げるべきか、あるいは会計プロフェッションと呼ぶべきか分かりませんが、会計専門職の歴史はもう既に半世紀、五十年あったという事実であります。そして、そのときに、今後、公開会社に対して第三者としての監査業務をだれに担わせるかというときに若干の議論がありまして、たまたま、歴史的な選択の中において、公認会計士に監査人としての役割を担わせると、こういう方向に来たのであります。そして、それを監督官庁であるSEC、証券取引委員会が背後から常に監視の目を光らせてきて、アメリカ公認会計士協会の自主性を尊重しながら今日に至っているということでありまして、言うならば、SECはアメリカ公認会計士ないしは公認会計士協会を背中からガンを突き付けていつも見守っているんだと、こういう関係にあって、アメリカは、先進国、会計監査先進国として世界に冠たるものを誇っているというふうに言えるわけであります。
 残念ながらといいますか、歴史的な状況もありまして、我が国の場合には、昭和二十三年に生み落とされました我が国の公認会計士制度、あるいは昭和二十五年から始まりました公認会計士監査制度は、監査人イコール公認会計士という筋書で始まったのです。したがいまして、今回のこの第一条の規定にも必ず、あるいは日本公認会計士協会の倫理規則にもあるんですが、使命などを考える場合に、監査及び会計の専門家という文言がございます。これは私から見ますと逆でありまして、会計という大きな枠組みの職能の中に監査という職能が入るのであります。つまり、会計というのは、もっと申し上げますと、税務も入り、あるいは会計関連の助言業務、コンサル、こういったものも全部総括して会計というふうに考えるべきと思っております。
 したがいまして、今回は監査制度の強化あるいは監査人に対する見方が中心になっておりますので、その辺を議論されることは一向に構わないわけでありますが、公認会計士という名の下に議論されるならば、すなわち公認監査人という法律ではないわけでありますから、会計とは一体何かという議論をもう一回本来は考えるべきではないのかと思っております。
 そして、我が国の公認会計士協会を中心とした会員の方々は、恐らく、個人的には、試験制度の中で培われた知識と継続的な研修の中において、まず会計の専門家であり、そして、その中で監査業務に特化する方々は恐らく監査法人に御勤務になって監査業務をされているというわけでありますから、これは実態的にはそのとおり合っているというわけでありまして、文章上の言葉が少し問題かなという気がしております。
 それから、会計プロフェッションに対して、なぜアメリカが当時、監査人としての、いわゆる公共の利益を守るべき社会の代表、国民の代表として役割を担わせたかということの論点が二つございます。
 それは、一つは、彼らの質が均一であるということであります。つまり、同じ資質を持った人たちの集団であるということ、そして、彼らが専門職ということで自分たちの規律を作って、自分たちの中で自主規制を働かすことが可能であろうという強い期待と信念があったからにほかならないと思います。残念ながら、サーベインズ・オックスリー法はこの自主規制という問題が若干後退しております。したがって、規制強化の方向に回ったと見られるわけですが、我が国の場合には、逆にこれまで、昭和四十一年に大改正がありました公認会計士法の中で公認会計士協会とあるいは監査法人制度ができましたが、基本的には非常に規制が強い中での監査制度が構築されてきたということで、自主性をそいでいたのではないかと。
 したがいまして、今回一部改正になって、その自主性を尊重するような方向、これは逆にアメリカには逆行するという見方があるかもしれませんが、我が国においては、今こそ、ここで自立する公認会計士あるいは公認会計士協会を期待すべきというふうに思っておりますから、私は、何も恥ずることではなくて、堂々と我が国の公認会計士制度を世界に発信すべきではないかと思っております。
 それから、先ほど申し上げましたように、監査人としての役割は、これは公認会計士に与えられた独占的、排他的業務であります。したがいまして、その背後には、特定の企業集団とか特定の企業とかあるいは株主のみとか、こういった議論ではなくて、広く言うならばステークホルダー全般あるいは投資者集団全般、さらには、公共の人々といいますか、英語ではザ・パブリックと言いまして、必ず公認会計士あるいは会計プロフェッションの職能を語る場合には、彼らは、英語圏の人たちは、もう例外なく使う言葉は、我々はパブリックインタレストを守っているんだと、こういう議論をいたします。残念ながら、我が国の今回のを拝見いたしますと、一条にはその公共の利益という言葉がないようであります。国民の、投資者の保護とかこういう言葉はあるかもしれませんが、もう少し、抽象的な言葉かもしれませんが、やはり国際的に共通の地盤で議論をすべきではないかというふうに思っております。
 それから、二つ目でありますが、先ほど来から申し上げていますように、この自主規制の問題、特に例えば合格後あるいは実務に就いてから、このように激しく変革する時代の中におきましては、やはり昔取ったきねづかというので、昔の陳腐化した知識、昔の陳腐化した経験では対応できない。したがって、専門職たるものは必ずやアップデートするような環境ということで、CPE、継続専門研修と我々訳しますが、これが実際に移されていなければいけないということもありまして、公認会計士協会の場合には、昨年からでしょうか、会員の会則の中においてこれを義務付けてきたということは、これは高く評価すべきであり、アメリカにおきましても、この制度が始まったのは一九八八年からであります。したがいまして、それは非常にいい方向に行っているというふうに考えられます。ただ、それを逆に国家的視点から監視するならば、その規定の一文ぐらいは法案の中に織り込むことはやぶさかではないのかなという気がいたしております。
 それから、試験制度の問題でありますが、やはり先ほど来からありますように、我が国の場合、公認会計士並びに会計士補を合わせましても一万九千名ちょっとであります。アメリカではよく三十数万人と言います。恐らく、これはアメリカ公認会計士協会に登録している会計士の数が三十数万人でありまして、私が試算する限り、既に五十万人程度の合格者数はいるわけであります。
 アメリカの場合には、いわゆる開業と登録と、免許登録とちょっと違った扱いをしています。日本の場合には、登録即イコール開業登録でありますのでほぼ全容が把握できるわけでありますが、アメリカの場合には、言うならば有資格者という形で何人かいるわけであります。それは何も会計事務所で公認会計士たる能力を発揮するのではなくて、社会のあらゆるところで、例えば教育機関、研究機関、政府機関、こういったところで会計を中核とした知識を持って幅広く活躍している、これがやはりアメリカという国の経済社会を支えている一つの大きな根源ではないのかと。
 残念ながら、日本の場合には、先ほども申し上げましたように、公認会計士イコール監査人、そして公認会計士試験に受かりますとイコール監査法人に勤務すると、このような非常に短絡的な図式が行われているために、どうも会計というものが社会のインフラであるという理解がなかなかなされていない。幸いにも、最近やはり政治の場においても会計が議論されたということは、正しく会計が経済社会秩序のインフラ、基盤を成しているということがよく分かった事案でありまして、是非こういった理解もしていただきたいと思うわけであります。
 もう一点、試験制度の問題でありますが、どういう形で進めるかというのは、いろんな方法があると思いますが、アメリカにおいて、従来ありましたいわゆる自主的な会計士業務から、証券取引法の適用を受けた公共の利益に役立つような監査にかかわるような公認会計士に移行するときに彼らが言った言葉が、テクニシャンからプロフェッショナルへ、つまり技術専門職からいわゆる専門職業人へと、こういった高度な倫理観を持ったものへ移行すべきであって、単なる、失礼ではありますが、いわゆる見習いの大工さんがずっとくぎの打ち方、かんなの掛け方を覚えても、それはプロフェッションではないんだと。
 やはり正式の高等教育プロセスをちゃんと経たこと、そしてその中における倫理観とかあるいは道徳性、こういったものをちゃんと植え付けたものとして資格が得られるならば、それが正しくプロフェッションであるということで、このプロフェッションという言葉そのものの淵源をたどりますと、中世ヨーロッパにおけるいわゆる高等教育機関の教育プロセスとリンクした形で今日に至っているわけですから、今日、日本であるところの高等教育機関とうまくリンクした形でこれを活性化するように、そして更に会計専門職の母体を増やしていただきたいというふうに考えております。
 それから、監査法人に対する責任問題でありますが、余り従来どおり監査法人の無限責任制度を導入しておきますと、これは国際的な視点から見ると国際競争力に負けるのではないか。つまり、聞くところによりますと、東京証券取引所管内、このバブルがはじけた十年間の間に外国人投資家はちょうど三倍になったそうであります。個人投資家の確かに全体率はまだ低いわけでありますが、少なくとも証券市場は国境がございません。
 となると、訴訟社会アメリカと言われるように、いわゆる会計監査結果に対して訴訟が投げ掛ける場面は多分に想定できるわけでありますが、その場合に、かのアーサーアンダーセンという事務所がエンロン事件をきっかけに八十九年の幕を閉じてしまったあの苦い経験を思い起こすならば、日本ではそういったことはあってはならないわけですから、しかるべきやはり対応をしていただく必要があるのではないかと思っております。
 まだ申し上げたいことはありますが、一応この辺にさせていただきます。
#11
○委員長(柳田稔君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○中島啓雄君 自由民主党・保守党の中島啓雄でございます。
 本日は、三人の参考人の先生方から貴重な御意見を聞かせていただきまして、大変ありがとうございました。
 まず、三人の先生方に質問をさせていただきたいんですが、監査業務と非監査業務の同時提供禁止の問題と、それに関連して、第一条の「使命」の「公正な事業活動」ということについて質問をさせていただきます。
 大会社等に対する監査業務と非監査業務の同時提供を禁止すると、これは二十四条の二に書かれたわけでございますが、これは、エンロン事件などにかんがみて、会計士の独立性を保つ、それから癒着による不適切な会計処理を防止するということで適切なものであると、こう考えておりますが、上場企業といえども、新日鐵さんのような超大会社は別としても、最近の会計基準等を十分に理解をして適正な会計処理ができるというスタッフがそろっているというところはそんなに多くないと思いますし、経営陣も会計基準について深い理解を持っているとは限らないと思いますので、監査人の職務としては、でき上がった財務諸表を単に監査すると、こういうことではなくて、当然、奥山先生もおっしゃいましたが、あ、関先生がおっしゃいましたか、事前に監査活動を通じて適正な会計処理とかあるいは財務諸表の作成を求めていく、そのために指導をするということも当然必要なんだということをおっしゃいましたが、私もそのとおりだと思いますし、これは同時提供禁止の規定とは抵触するものでないと思いますが、その辺の御意見。
 それからもう一つ、これに関連して、第一条の「使命」で「会社等の公正な事業活動」というのを、八田先生おっしゃいませんでしたが、レジュメの中では、どうも誤解を招くもので削除することが望ましいのではないかと、こういうようなことでございまして、これは文理解釈として、会社等の立場に立つような役割を担うのではないかと、こういう御心配からかと思いますが、第一条の全体の文脈を読んでみれば、まさしく会社の事業活動の公正性を中立的な立場で確保すると、こういうことなんで、御心配はちょっと御無用なのではないかなと。むしろ、削除するよりはこれはあった方がいいのではないかと、こう思いますが、その辺の三人の先生方の御意見を聞かせていただければと思います。
#13
○参考人(奥山章雄君) 今、先生の御指摘の点につきましては、私は全く同感であります。
 アメリカでいわゆる監査とコンサルティング業務の併用で問題になりましたのは、言わば大変な金額が元にありまして、聞くところによりますと、監査報酬を二十数億円もらって、同時にコンサルティング料を二十数億円もらったという、大変巨額な金額を同時にもらったということであります。日本では現実には、監査業務が仮に、アメリカと比較するのも恥ずかしいんですけれども、一千万円と仮定しますと、少なくともコンサルティング業務がそれに付随して一千万というふうなケースはほとんどありません。
 しかも、日本で行うコンサルティング業務といいますのは、先ほど指導業務ということと若干関係がありますけれども、ほとんど、内部統制がどうあるべきかとか、あるいは原価計算のシステムがどうあるべきかとか、言わば会社の会計制度がきちっとなされるような方向でのコンサルが多いものですから、それは言わば監査に対して資するためのコンサルであると、このように言えようかと思います。
 そして、具体的には、指導業務と申しますのは、私どもも監査が批判機能と併せて必要だということを申し上げましたけれども、その指導業務は、あくまでも財務諸表が適正に作成されるための促す役割ということで、これは当然否定されるべきではないと思います。
 したがって、今回の非監査業務の同時提供の禁止と言っていますのは、あくまでそのような指導的な業務ではなくて、大掛かりな監査と匹敵するようなコンサルティング業務、そういうことはやはり利害関係からしてすべきでないだろうと、このように解釈しておりまして、その意味では、公正な事業活動ということを言い換えれば、健全な企業の発展ということにつながるという意味で理解していい、理解すればよいのではないかということで、そのためには私どもとしても監査を通して、また監査の周辺業務を通して貢献していきたいと、このように考えているところでございます。
#14
○参考人(関哲夫君) まず最初の問題ですけれども、基本的にはやはり、監査業務と非監査業務というか、いわゆる営利を目的としたコンサルタント業務、こういうものはやっぱり論理的にはこれ利益相反すると思うんですね。
 ただ、内容が問題でありまして、やはり内容が問題でありまして、今の私が申し上げたのは原則的な考え方でありまして、具体的にはやっぱり内容が問題になるので、今、奥山参考人がおっしゃったわけですが、MアンドAであるとか企業の分割再編であるとか、そういった仕事、これは一緒にやるということには私はならないと思うんですね。しかしながら、さっき先生おっしゃったように、きちっとスタッフがそろっているところはいいけれども、監査業務をやる上でいろいろアドバイスを受けるという、言わば監査の延長線上にある、あるいはその周辺にあるようなものについては、これもう要するに何もかも駄目だということになるのかどうか、その辺はよくやっぱり業務実態等を見て個別に具体的に判断すべきだと、こういうふうに私は思っております。
 それから第二番目の、目的で、公正な事業活動に資するということをどう考えるかということでありますが、私はそれは当然のことでありまして、今でも監査というのは、企業側の内部統制の仕組みの在り方であるとか、そういうものについていろいろ、それこそ監査が行われるわけですよね。
 ですから、そういう適正な企業の財務諸表の開示であるとか内部監査の構築であるとかいうことを、やはり第一次的には企業経営者が責任持っているわけですが、そういうことを担保するというかサポートするというか、そういう機能はこれ当然あるわけでありまして、これはなれ合いでやっていこうということとはおよそ違う話でありまして、公正なそういう企業活動を担保していくと、事業活動を、という機能というのは当然公認会計士の私は使命の重要な一つではないかということで、余り、何というんですか、狭く厳密に議論しなくて、これはこれで、そのことで何か独立性が阻害されるということとは僕は本質的に違う話ではないかと思っておりまして、これで結構であったんではないかと、こんなふうに思っております。
#15
○参考人(八田進二君) この御質問にお答えする前に若干一つだけお話し申し上げますが、アメリカの監査制度の発展の歴史を振り返りますと、一つは監査の失敗であります。それに対してどういうふうに克服してきたかということと、もう一つは、社会の人々が監査人あるいは監査結果に対する期待、これと実際に行われている現場の監査との間のギャップがあったために、そのギャップをいかに埋めていくかということで、制度的にも、特に自主的に公認会計士協会などが行ってきた、それが進展結果になって来ていると思います。
 私がこの今日お配りさせていただいております「税経通信」という会計関連雑誌の五月号に、「「公認会計士法」改正法律案の検討」の中で特に課題として挙げましたのが、今、中島先生御指摘のように、この一条の使命規定の文の中の、特に今御指摘の「会社等の公正な事業活動」の文言の内容であります。
 まず最初に、これを自然に、当然この法律の第一条、ミッションであります、使命でありますから、社会の人々がこれを素直に読み切ることが必要であろうと。つまり、誤解を持ってもらっちゃ困ると。それをすると期待のギャップが生じます。当然、それは場合によっては訴訟という形で問われる場合がある。
 そこで私は、実験的に、この四月、この法案が公開された直後に、私の大学での授業生約二百名に、何の予見も与えないで、この条文はどういうふうに読み取るか聞きました。全員、これはほとんど全員、まず保護に掛かるというふうに読んでおります、図るではなくて。そして、私の私的な研究会、十数名の会計監査論学者、若手がいますが、彼らにも同じような質問をいたしました。これは八割ぐらいでしょうか、保護に掛かる、二割ぐらいが図るかなと。まず、読み方として、図るというふうに私は読めないわけであります。これが第一点、ちょっと疑問に思っている点であります。
 それから、「公正な事業活動」の「公正」って一体何かと。これは、恐らく英語で訳しますと、私の知る限りフェアという言葉なのかなというふうにもし理解するならば、実は、監査論上フェアというのは、これは生命線でありまして、監査人が行う意見表明の適正な意見を述べるという適正というのは、実はフェアという言葉であります。そうすると、会社のフェアを適正なフェアということで、私にとっては非常に混乱する言葉であるということがまずつたない質問であった、疑問であったわけです。
 そして、更に申し上げますと、実は、もしも逆のケースとして、公正な事業活動がなされていないということが後日分かったときに、これはだれの責任になるんだろうか。私が一番危惧いたしますのは、本来これは公認会計士の役割、負うべき役割ではないというふうに考えているところに、非常に危惧するところがあるという論文なのであります。
 つまり、もう先ほど来から両参考人の方からもお話ありましたように、この主語はあくまでも企業体あるいは経済主体ではないかと思っております。彼らが健全かつ適切な企業経営を行っていくこと、これがまず本旨にあって、それを側面からアドバイスしたり、あるいは提言をすることは、それはあるかもしれませんが、主語の「公認会計士は、」というふうに読み取るならば、これはちょっと違うのではないかなという気がしてこういう論文をしたためたわけであります。
 ただ、問題は一点ありまして、実は、先ほど来から公認会計士の職能として批判性と指導性という言葉があります。これは、私のつたない監査論知識で言うならば、こういう議論がなされているのは世界広しといえども日本だけなのであります。
 実は、指導性という用語はアメリカではどこにも出てきません。つまり、アメリカではあくまでも、外部の立場で批判的に業務を行うこと、これが監査人の職能であります。
 じゃ、なぜ日本で出たのかというと、これは、昭和二十五年に初めて監査基準ができたときに、前文の中において、監査とはこういうものだという日本での監査の定着を図るために、当時の有識者あるいは学者などが日本的にアレンジして導入したわけであって、そしてこれがすべての日本の教科書の中に書いてあるわけでありまして、これは私は否定いたしません。
 したがいまして、日本でもしも監査人に対してこのような、この一条の案件のような、条文のようなことが一般的に受け入れられるならば、私は、それをもって、公認会計士協会も含め、我が国の公認会計士がそれを重く受け止めて業務とすればよろしいのであって、私はそこまでのちょっと自信がないといいますか、これから監査社会は非常に厳しくなる、したがって、やはりシンプルな形で本来の監査に特化する、そういった責任だけにまず限定していただいた方がよろしいのではないかということで、危惧する側面で申し上げているわけであります。
#16
○中島啓雄君 ありがとうございました。
#17
○峰崎直樹君 民主党・新緑風会の峰崎でございますが、今日は三人の参考人の方、ありがとうございました。
 余り時間もありませんので、ずばりお聞きしたいと思います。今、起きている問題です。りそなの問題ですが、りそなの会計の問題というのは、私は、今、中島委員がおっしゃった一条に関連して、非常に重大な問題があるのではないかと思っていますが。
 まず、奥山参考人にお聞きしますが、りそな銀行の頭取さんが、これは監査人に対して、五月の時点で例の監査の結果、見られて、これは背信だとこうおっしゃったわけですね。その背信だというのはどういう意味で言われたのかなと。奥山参考人、いろいろ新聞で記者会見等に応じられているんですが、このりそなの今回の監査に当たって、監査人の取った態度というのはどのように評価をされているのかな、まずお聞きしたいと思います。
#18
○参考人(奥山章雄君) その頭取さんが背信行為と言ったこと自体は、私は大変遺憾だと思っていますけれども、監査の原点に立てば、財務諸表の作成者は企業の経営者であり、それを適正担保として監査を行うのが監査人ということで、これは二重責任の原則ということで、幅広い原則として世界共通の原則だと思っています。
 背信行為と言われたのは、まずは自分が企業の経営者としてりそな銀行の決算を作成する責任者であるということについて、どういうふうに理解していたのかなということについてかなり疑問を私は持ちました。やはりこれは作成する責任はあくまでも経営者でありますから、当然、繰延税金資産等についても、どういうふうに考えるべきか、これをかなり深く考え、また保守的に考え、そういうことを十分検討した結果として決算を作成するというのは、これは当たり前のことだというふうに思います。
 したがって、監査人が、いろいろな状況判断から、やはりこれではうまくないということで、銀行の経営者側に決算の修正を申し入れたというふうに聞いておりますけれども、この申し入れたということは、監査人としてはある意味で当たり前の行為ではないかということで、何をもって背信行為ということをおっしゃられたのか、私はよく理解できないと、こう思っています。
#19
○峰崎直樹君 関参考人にお聞きしますが、今の奥山参考人もよく理解できないとおっしゃったんですが、この間、日本のいわゆる企業と会計監査との間にはどうもやはり癒着関係といいますか、非常にある意味ではなあなあの関係といいますか、そういうものがあったんではないかということがかねがね指摘されてまいりました。今のお話を聞いていて、私も実は背信だというふうにまでは、従来のなれ合いのというか、ある意味ではよく分かってくれているはずだという、ある意味では今までの企業社会の中にあったそういう今までの不十分性みたいなものが、どうも今回の監査に関して背信だというふうにおっしゃったことは、これは、新日本製鐵というところに、民間の巨大な企業におられる立場から見て、先ほど奥山参考人がおっしゃられた背信だということについてよく理解できないと、それはやはり企業の責任者としてそういう言葉は理解できないとおっしゃったんですが、関参考人はどのように理解されておりますか。
#20
○参考人(関哲夫君) どういう状況があったのかということについて、私はつぶさに知らないわけでありますが、私の感想みたいなことをあえて申し上げさせていただければ、どうしてそういうような背信行為だとかいうようなことに、というような言葉が出てくるのか、あるいは、そういうことに立ち至った、至ることになったのかということでありまして、監査、これは企業経営者が財務諸表を責任持って作成するというのは、こんなことはもうごく当然でありまして、作成の過程で、これは内部監査のグループ、これは公認会計士の場合、外部監査でありますが、内部監査の考え方、それから外部監査の考え方、これは癒着するということではなくて、よくやはり考え方を伺うと、そして自分たちがどうしてそういう、例えば繰延資産なら繰延資産について計上するのかというようなことについても十分に根拠を持ってやっぱり話をするという、そういうプロセスが、決算が済んでから突然というようなことではなくて、不断にそういう日常的な、何といいますか、監査との対話というか対決というか、そういうものが行われているわけですよね。そしてまた、そういうことをしないと、本当に経営含めてきちっと透明なものを開示していくという責任が経営サイドとしても果たせないと、こういう関係にあるわけでありまして、通常では、ある日突然背信行為があったとか、そういうような私は表現にはならないものだというふうに思っております。
 したがって、何か特殊なことがあるのかないのか、この辺は全く分かりませんが、通常は起こり得ない話ではないかというふうに思っております。
#21
○峰崎直樹君 それを信じたいわけでありますが、やはり監査を受ける企業、これをやっぱり、監査法人は当然ながらそこからフィーをいただいているわけですね。そうすると、どうしてもやはりその優越的地位といいますか、いわゆるお金を払っている側なんだという、そういうものに対して実はこの第一条の中の、先ほどの中島委員はこれはやはりこれでいいんだとおっしゃったけれども、我々は到底、この会社等の公正な事業活動の問題をやっぱり外すべきではないかという先ほどの八田参考人の意見に我々は賛成なんです。つまり、私はやはり、これ意見を言う場ではないんであれなんですが、明らかに背信だとおっしゃった言葉が、今のいわゆる監査人と被監査人の今日的な状況を見事に表している言葉じゃないかと思っているんです。
 さて、そこで八田参考人にお伺いします。八田参考人の意見は分かりましたが、もう一つ実はりそなで、朝日監査法人というのが四月の三十日に、これを監査法人から辞退されたんです。これは八田参考人、監査という観点からはどのように判断、評価をされますでしょうか。
#22
○参考人(八田進二君) 今日の我が国の場合には、監査契約は自由契約でありますが、当事者同士の任意の契約によって行われるわけですから、依頼する側も受ける側も、当然に紳士協定の中において受けることができるかできないかと考えますと、朝日の場合、私は新聞でしか拝見しておりませんが、やはり十分な監査が遂行できないというふうに考えたことが一点あるのかなという気がいたします。
 それともう一つは、このりそなという銀行、合併で第一期を迎えておりますので、本来であればもっと前に共同であれ対応がなされていたはずであったものが、かなり、言うならば年度末といいますか、そういうふうになったことによって、やはり法人としては十分な責任が履行できないというふうにお考えになったんではないでしょうか。
 これは、したがって法定監査でありますから、必ずどなたかがしなければまた法に触れてしまうわけですが、ここにやはり若干法律上の盲点があるのかなと。つまり、法定監査でだれも引き受けない、監査人がだれも引き受けない状況もなきにしもあらずということが今後起きるかもしれないということであります。
#23
○峰崎直樹君 八田参考人に重ねてお聞きしますが、先ほど来強調されておられた公共の利益といいますか、パブリックインタレストですね、その観点に立てば、その朝日監査法人は、この中途段階で、例えば繰延税金資産がもう三年間赤字だと、これはもうとても認められないと、ゼロだと、事実上これは債務超過だと私は思いますが、その実態になったときに、それを、公共の利益という観点であれば、これは監査人から降りるんではなくて、監査人としてそれを言い続けていくということが本来的なこの第一条の中に規定されるべき使命ではなかったかと思うんですが、そういう観点からは、八田参考人、どう考えられますか。
#24
○参考人(八田進二君) これは大変非常に難しい問題でありまして、今日の上場継続要件の中に、監査人から不適正な意見を述べられる、あるいは意見差し控えが出た場合には、これは株券上場廃止処分になります。つまり、これがまた法律上の盲点でありまして、そういった毅然たる態度をもって監査人ができないという場面が実は用意されていまして、それに対してやはり苦渋の選択が迫られるというのがあると思います。と同時に、逆に、拒絶したということは一つのメッセージとして公共の利益に問い掛けをしたのかもしれないというふうに我々は受け止めております。
#25
○峰崎直樹君 次に、エンロンの事件以降、アメリカで大きな改革がなされております。その際に、アメリカで、いわゆる監査人の継続の問題で、五年・五年ルールというのが出ております。今回これは政令にゆだねるというふうになっているんでしょうか、方向性として七年・二年ルールというふうになっておりますが、これは、七年・二年ルールについて、八田参考人はどのように評価をされますでしょうか。
#26
○参考人(八田進二君) この継続監査に関しましては、従来SECは七年ということでやってまいりました。で、日本でも、やはり長いのは癒着とか外観的に独立性をそいでいるということがあって、自主規制の中で、公認会計士協会の方で七年というルールを出したようであります。
 ただ、そもそも七年という根拠は、私が知る限り何にもないのであります。じゃ、五年が根拠があるかというと、これもありません。六年ではなくて四年でもないと。単に短い方がいいのではないかという議論であります。
 実は、これはもうアメリカでは三十年来の長い議論がありまして、交代させない方がいいというベネフィット、コスト・ベネフィットを考えて、交代させなくても特に問題がないという報告書も出ております。例えば、両院議会の調査機関でありますGAO、会計検査院は、一九九六年に出しました報告書の中で、やはりその七年前でありますが、その段階でもやはり、ローテーションは現に行われつつあるけれども、必ずしもそれはいいものとは考えていないという結論を出しているんです。今回やはり、若干ヒステリックに、サーベンス・オクスレー法の中では、この七年をしいておいたけれども、やはり社会から、癒着があったんではないかという、このアンダーセンの事案を取り上げて言っているわけでありまして、我が国にはそういった状況はありません。
 ちなみに、ちょっと紹介だけさせていただきますと、この外観的な独立性、見た目の独立性という問題に関して実証研究が日本では一つだけあります。そこでは、このローテーションが行われているか行われていないかということで独立性がそがれているという有意の回答は得られておりません。ただ、確かに長過ぎるなという、何となく心情的な理解を持っている場面はあると思いますが、データ的にはそういうふうには出ておりません。
#27
○峰崎直樹君 監査人、いわゆるアメリカのエンロンを受けて、SO、サーベンス・オクスレー法で五年・五年が入りましたけれども、これは実は過去にさかのぼって五年というふうになっているんですが、今度の改正で、実は、これから適用は先に延ばしてそれから七年先と、こういうふうに延びているんですけれども、これは奥山参考人にお聞きしますが、もっとこれは早く、七年・二年がいい悪いは別にして、これは五年・五年でも構わないんですが、もう言ってみればアメリカのその改革は、いわゆる五年前からさかのぼって継続しているという事実を出発にするんですね。ところが日本の場合は、これから先、施行日があって、平成十六年ですか、それからまた七年先からということになっておると、事実上これはしり抜けになっちゃっているんじゃないかというふうに思えるんですが、そういう点について奥山参考人はどのように考えておられますか。
#28
○参考人(奥山章雄君) 法的には確かにそういうことがありますけれども、会計士協会ではもう既に自主的に七年交代という規制を導入しております。それで、監査法人においても現実に七年で全部取っ替えるということは不可能ですから、もう段階的にパートナーを交代させようということで、既にそれをプログラムに組んで、今年はこれだけ今年はこれだけということでもう走ってきていると思います。
 ですから、実効性はもう既に上がってきておりますので、法が施行されてから七年後ということにはならないというふうに私は思っております。
#29
○峰崎直樹君 もう時間もありません。最後にお三方に。
 日本の会計、いわゆる会計の有価証券報告書総覧ですか、それには、何というんでしょうか、レジェンドというんですか、要するにこれは日本の会計法だけに適用されるんだよという何かただし書が付くんだとおっしゃっていますが、今度の改正を通じて、そういうことを付けなくても済むような改正になったと思われるかどうか。お三方、一人ずつよろしくお願いいたします。
#30
○参考人(奥山章雄君) あくまでも、レジェンドを付けますのは、私どもが付けるわけじゃなくて、向こうの要求から応じざるを得ないという背景があるわけですけれども、今度の公認会計士の改正、それから監査基準の実行、それから新しい会計基準を次々と実行している中では、私は、これは自然解消できるようになると思いますし、またそのように努力していきたいと思っております。
#31
○参考人(関哲夫君) 奥山参考人と基本的には同じであります。こういった改正の積み重ね、それから会計基準の適正な運用、それから、随分いろんな誤解もあるんですが、我々の日本の考え方を要するに国際的にきちっと発信していくというようなことを通じて恐らくレジェンド問題は解決できると、こういうふうに思っております。
#32
○参考人(八田進二君) レジェンドについて一点だけ申し上げさせていただきますが、確かに九九年三月期から国際向けの英文財務諸表にそういったレジェンドが付いて、マスコミではこれを警句とか警告文と訳しておりますが、これは正しくありません。これは挿入文とか添え文と訳した方がいいわけでありまして、例えばアメリカのルールと日本が何が違うのかというその違いを書くことがこのレジェンドであります。したがいまして、このレジェンドは今ヨーロッパ諸国においてもかなりのところで発信されており、これとこれが違うんですよと。
 ただ、付けられたときの日本の九九年環境が、日本が非常に悪かったために、悪い意味で浸透いたしましたが、ただ、今回御質問の、なくなるかという、これははっきり申し上げられませんが、恐らく今国際会議で問題になっているのは、会計のルールも監査の基準も一応遜色ないと。問題はガバナンスであると。会社の仕組みがよく見えてこないと。これがしっかりしないとレジェンドは外れないと思います。
#33
○峰崎直樹君 ありがとうございます。
#34
○浜田卓二郎君 参考人の皆様、御苦労さまでございます。
 最初に奥山参考人にお伺いいたしますけれども、りそなの件の後にいろいろなマスコミで記者会見に応じていらっしゃいますけれども、その中で無税償却制度について言及をしておられるわけでありますが、本来の引当金の処理について、奥山参考人は、無税償却という形の税法上の処理の方がいいと、あるいはまた企業の本来の会計の在り方から見てその方がいいとお考えになっているとしたら、その理由をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#35
○参考人(奥山章雄君) 正しく先生がおっしゃるように私は思っているわけですけれども、今の銀行の償却・引き当てといいますのは、銀行が独自に査定をしてそれで終わりということではなくて、公認会計士の監査が入る、それからその後追いで金融庁の検査が入るということで、言わば二重のチェックがされているんではないかと思います。そして、引き当ての無税化といいますのは、その客観性が必ずしもない、主観的な形だけで行われているんではないかということで、言わば無税をするということについては非常にちゅうちょするものがあるという観点からではなかったかと考えますと、十分銀行の償却・引き当てについては無税化する根拠はあるのではないかと、こう考えます。
 一方で、償却・引き当てを銀行としては圧倒的に迫られているわけで、この迫られた中で引き当てをしていきますと、この無税がないと、どうしてもその対応勘定として繰延税金資産が積み上がってきます。今はその積み上がってきた繰延税金資産だけが自己資本に対して脆弱性をもたらしているのではないかと、このような批判があるわけですけれども、この繰延税金資産自体が小さくなればそのような問題はかなり遠のくということで、そういう意味では、その基となる償却・引き当ての無税化ということをもっと図られてもいいのではないかということから税法の問題を考えられたらいかがかなと、こういうことで申し上げております。
#36
○浜田卓二郎君 重ねて今の点ですけれども、要するに引き当てたものが経費というか損金で落とせるということは、引き当ての対象になった債権がどの程度減価するという見通し、そういうまた別の見通しが入ってきますよね。つまり、もしかしたら、これ全く、そのときは引き当てたけれども、引き当て過剰であったりあるいは引き当てが必要じゃなかったりというようなことも出てくるわけですが、どっちが不確かかということの比較の話になるんだろうと思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
#37
○参考人(奥山章雄君) 債権の分類にもよると思いますけれども、私は、いわゆる正常先、要注意先までの引き当てについては、個別に検討しているわけではないので、それは無税化というのは無理だろうと思いますが、要管理先債権については、特に大口についてはDCF法的手法ということを今やっているわけで、これはかなり個別の企業の将来計画を見通して相当厳密にチェックをするという中であくまで最終的に引当額が決まるわけですね。ですから、これは個別認定をするということとほとんど同じような状況になっているのではないかと、そういう意味で無税化が図られるのではないかと申し上げているわけです。
#38
○浜田卓二郎君 関参考人にも、先ほどのお話の中で、将来の予測など判断的要素が現在の会計処理の中では大きくなっているという言及がありましたけれども、今の点に関してどういうふうにお考えですか。つまり、金融機関だけじゃなくて、引き当てということは、関連会社も含めていろいろ取引を持っていらっしゃれば、新日鐵でもおありだろうと思うんですね。その場合の引き当ての処理について、今、奥山参考人に伺った点についてはどういうふうにお感じになっていらっしゃいますか。
#39
○参考人(関哲夫君) 引き当てたものをできるだけ税上も損金にしてもらいたいと。してもらいたいというのは、一般的な私は企業サイドの要望であると思いますし、できるだけそういう形でしてもらいたいと思っております。
 ただ、これも問題は、先生が正におっしゃっているように、税で手当てするということは、やはりよほどそこのところの客観性というか、というものが担保されないと、こんな、要するに、ちょっと危ないぞと思ったらどおっと引き当てるって、それはもう必ずやるに違いないと徴税側からは思うわけでありまして、これだんだん非常に難しくなってくるんですけれども、税と会計がどんどん乖離してきているわけですね。
 私は、確定決算主義というのは、実は非常に大事な主義で、税と会計が離れていないと。つまり、税が会計を担保しているがゆえに、日本ではエンロンだとかそういうとんでもない不祥事が起こらないというのは、私はそこに一つの歯止めがあるんだと思っておって、会計が行き過ぎているというのも、行き過ぎるのもいかがなものかなと。
 御案内のとおり、減損なんかでも、減損会計が入ってきたのは、アメリカはむしろ、どおんと一遍に落としてしまって、V字回復を図るために物すごい減損するわけですね。これは要するに歯止めを掛けにゃいかぬということから減損会計というのは実は入ってきているわけでありまして、日本とは全く事情が違うんですが、どこまでを認めてどこまでを認めないかというその客観性を、税でも堪えられるような客観性を、今、奥山先生おっしゃったのは一つの、銀行の不良債権からの一つの私は見識だと思いますが、そこのところのやっぱり実務的な設計をきちっとやらないと、一般論ではなかなか私は、財務省主税局は相手にしてくれませんし、恐らく皆さんの間でも通らないなと、こう思っております。ですから、その辺をもう少し理論武装をして、少なくともここの部分までは、それは要するにはっきりしているんだから、こういうことで。
 DCF法でやってというのは私は無理だと思いますよ。DCF法というのは物すごい変わりますからね。DCF法で勝手におまえたちがやったやつ全部損金経理しろというのはもうとんでもない話じゃないかと、必ずこうなるわけでありまして、そこは一つの、どういうのがいいのか我々も研究しますけれども、しかし考え方としては、そうやって落とすものは税上損金の処理をしてもらうと、そしてできるだけ会計と税が離れないようにするというのが私は基本だと思っております。
#40
○浜田卓二郎君 八田参考人、今のお二人の御議論、それぞれ監査という立場と実務という立場の御議論だと思いますけれども、学者として論理的な面、論理的というか、どういうことがお感じか、お話しいただきたいと思います。
#41
○参考人(八田進二君) 多分、先生の御指摘の質問は二面的にとらえることができると思うんです。一つは、要するに将来的な見積判断の客観性をだれが担保できるのかということだと思います。それからもう一つが、あとは政策の問題でありまして、それを損金算入するかしないかと。もしも安易にしますと、やはりこれはモラルハザードが起きまして、損金算入できるなら一気にやっちゃおうというような動きがなきにしもあらず。
 そこで考えられるのは、今これ監査の問題を別に考えますと、やはり公認会計士の監査というのは、先ほど来から申し上げていますように、監査だけをしているわけではなくて、会計という広い中で税務上の処理も全部適正であるかどうかを見ているわけであります。したがいまして、それを踏まえた上で適正な意見が表明される決算を作成している企業にあっては、それはやはり客観的な判断がなされたということで政策上の手を打つことは十分に可能ではないかと。
 ただ、これは会計の宿命でありますが、将来的見積予測、これは多分にあります。どこまでこれを認めるかという議論があるのですが、実は昨年制定されました、改定になりました新しい監査基準では、より実態に立ち入った判断を公認会計士、監査人に求めている。これをもって実質判断を要請するという非常に、会計士の先生方にとっては非常に厳しい要求が与えられていますので、私はこれは非常に厳しいものというふうに受け止めるわけですが、それを一応踏まえた上で考えるならば、やはり奥山先生が言われたように、公認会計士監査が満了し、適正である旨の意見が出たところに関しては、やはり損金算入的な、過渡的な時限立法でもいいですから、そういった処理を入れることもやぶさかではないのかなという気がしております。
#42
○浜田卓二郎君 不確かな予測の要素というのがあればあるほど、もちろん企業の会計の責任者も大変でしょうし、それを監査する方も大変ですね。特に、会計士が一万人しかいないというお話でありましたけれども、一つの大銀行の命運を一監査法人が担わされるというのは、結果的にですね、そういう予測の要素というのが多ければ多いほど迷いも多いし、責任も非常に大きくなる。
 そこで、できるだけ、これは立法政策とか行政の方針の問題として、できるだけそういう予測の面というのを縮小していくという努力が必要なんだと思うんですね。今、私も答えを持っているわけではありませんけれども、今回のことでそこは非常に強く感じたわけでありますが、どうかひとつ、今度の公認会計士法の改正だけじゃなくて、そういう面をどういうふうに合理化してやっていくかという、これはお互いに検討を深める必要があるなということを感想として感じております。
 それで、八田さんにもう一つ伺いますが、論文も幾つか読ませていただきましたけれども、その中でも国際社会から失笑を買わないという表現を使っていらっしゃるわけです。これは普通の常識で言うとかなり激しい表現になりまして、それじゃどうも日本の会計士法の中には失笑を買いかねない部分があるというふうにお感じになっていらっしゃるのか。今回の法改正、私も一応説明を受け、読ませていただいた範囲では、そういうことを考えなければいけないのかどうかというのはちょっと分からないんですけれども、どうでしょうか。その意味するところとか、あるいはもっと具体的にどういうことを想定しておっしゃっていらっしゃるのか、聞かせていただきたいと思います。
#43
○参考人(八田進二君) 私が考えているポイントは二点ありまして、一点は、先ほどの一条のところの事業活動の項目であります。これ、私も調べた限り、諸外国におきましても、あるいは国際会計士連盟という百十か国を超える国際社会の公認会計士業界の団体のそのミッションを見ましても、すべて公共の利益に資するという一点で絞られているわけであります。なぜ日本だけがこういった付加条項が必要なのかなということ、これをどういうふうに英訳するかは別でありますが、その辺が一つ危惧しているところであります。
 もう一つが、やはり自主規制というものに対しての網を掛けようとしている。これはアメリカはアメリカの事情がございまして、日本も何もそれに追随する必要はない。もしも自主規制をそのように規制をするならば何かあったのかと、つまり、従来のシステムでは、日本公認会計士協会を中心としたこの公認会計士監査制度に何か、海外に言えないような何かがあったから法で網を掛けようとしているのかというような受け取られ方がするのではないかという危惧であります。
 それともう一つは、冒頭のプレゼンテーションでお話しできませんでしたが、この国際会計士連盟は、いわゆる職業専門職、彼らの知識水準、教育水準、実務水準を一定のものに保持しようということで教育基準の統一化を図った動きがあるわけであります。これとの規定内容とやはりすり合わせる形の試験制度も導入しておかなければいけないということで、ちょっと先走った言葉でありますが、今何かあるというわけではなくて、まだ決まっているわけではありませんので、その辺を危惧して使った言葉であります。
#44
○浜田卓二郎君 ありがとうございました。
 終わります。
#45
○大門実紀史君 今日はどうも御苦労さまでございます。
 りそながこういう事態になりましたので、ちょっとりそなの関係で奥山参考人に幾つか先に伺いたいと思うんですけれども、この委員会でも議論がありましたが、竹中大臣は、五月の七日の日に金融庁の事務方に対して、りそなと監査法人のことに構うな、介入するなということを発言されたようなんですけれども、それ、はっきり言われておりますが、奥山参考人は、新聞報道ですけれども、金融庁とりそなと監査法人でこういう見解を一致するための協議をしてほしかった、あるいはすべきだったというふうにおっしゃっていますが、その辺の真意はどういうことなんでしょうか。
#46
○参考人(奥山章雄君) 今の金融庁の銀行行政は、事前指導、行政指導ということから事後チェック、監督型行政ということへ数年前に変わったというのは私は承知しております。したがって、銀行の決算問題につきましても、事前にいろいろと銀行と相談してチェックしてそれを決めるということではなくて、あくまでも銀行の自主的な動きに任せ、そしてそれを監査人がチェックをしてオーソライズされたものとして、それを決算が終わってから事後的に繰延税金資産の妥当性とかそういうことをチェックしていく、検査でチェックしていくと、このような仕組みになっていると思います。
 私はそれは重々承知しておりまして、それは今回もそのように私は動いたと思いますけれども、その中でりそな銀行が四%を割って公的資本を注入するというふうな事態に至ったというときに、監査人がその社会的な影響ということを全く考慮しないで監査意見を述べるということは、これは実際問題としてあり得ないと思います。やはりそれの監査意見を出すときの重さというものは重々承知して、それを言わば大変苦悩しながら検討した結果として、しかしやはりここで適正な意見を出すということが最も重要だという公認会計士の監査の社会性に対して言わば忠実だったというふうに思うわけですね。
 それは結果としてすぐそこで資本注入だと、こういう関係になっちゃうわけですけれども、ここは今後、やはり監査人の意見についてそれなりの、もっと多くの方々が理解してもらう、そういう時間があってもいいのではないかと。そういう意味で、必ずしも監査人の意見を変えるという意味ではなく、金融庁と一致させるという意味ではなくて、金融庁は金融庁サイドのもし見方があればそれはある、監査人は監査人として当然あると。そういうことがうまく何らかの形で理解、相互理解を生んでいけば、これは監査人の意見というのは大変なものだということの中で、言わば公的資本の投入等の仕組みがもっと多くの方に知られる中で動いていくのではないかと。そういう意味で、ある日突然にというふうな言い方ではなくなるのではないかということで申し上げたわけです。
#47
○大門実紀史君 ありがとうございます。
 そうすると、竹中大臣はこの委員会でも、判断は監査法人がやったと、金融庁はその結果を受けて公的資金の判断をしただけだと、ですから判断のところには全く加わっていないと、だという言い方を今されておりますけれども、今後これから、昨日も決算出ましたけれども、幾つまた自己資本不足というのがないとは言えないような状況ですが、そういうときに同じように金融庁が、監査法人が出した結果で、その後の対応をやっているだけだということには、やっぱりこれから協会としては不満をお持ちだということになりますか。
#48
○参考人(奥山章雄君) 不満を持っているというよりも、今の仕組みでいけば、今の経済環境がそのまま推移すれば、繰延税金資産の重みというのは変わらないわけです。この繰延税金資産が妥当かどうかということについては、相変わらず監査人側の方に判断を迫られることもあるだろう。これはやはり大変、この中間期、来年の三月期、重い判断だというふうに思います。重い判断を監査人がしろと言うならば私どもは当然役割ですから受けて立ちますし、そういう意味で、変わらなければ頑張ります。
 しかし、言わば多くの方が、最近聞くところによると、監査人が判断する、しかもそれは幅があるじゃないかと。その中で直ちに銀行がおかしくなるというふうな仕組みがいいのかどうかということについて、もうちょっと何らかの、監査人の一法人の判断だけではなくて、社会的に認知できるような仕組みがあってもいいのではないかということを若干聞いております。そこについては、したがって、やはりもしそういうことであるならば検討することを考えてもいいのではないかということで申し上げているわけです。
#49
○大門実紀史君 もう一点、奥山参考人にお聞きしたいんですけれども、会長が二月二十四日に、会長通牒というんですか、通知ですね、出されました。私が金融庁に聞いたところによりますと、去年の十月の末にいわゆる金融再生プログラム、竹中プランが出て、十一月の十二日に協会に対して、あのプランに基づいて厳正な適用をやってほしいという依頼をしたというのを聞いておるんですけれども、その依頼を受けてあの会長通知を出されたという関係というふうに理解してよろしいんですか。
#50
○参考人(奥山章雄君) 二つあると思います。
 一つは、今お話しのように十月に金融再生プログラムができまして、その中で外部監査人に対しての要請も幾つか入っているということがありまして、それは当然、金融システム安定化という大前提を考えていく中で迫られている要件だというふうに思います。それは公認会計士監査の立場としてももとよりやらなきゃいけないことでありますのでそれは受けたということと、それから、その後に、十月以降にやはり経済環境がますます悪くなっているということは否めないと思います。それで、繰延税金資産等の、あるいは不良債権の償却・引き当てもそうなんですけれども、経済環境が悪くなっていけばいくほど非常にその内容についての判断が厳しくなっていくという性格のものなんですね。
 したがって、元々私どもが出している監査委員会報告六十六号という、繰延税金資産の取扱いについて定めているものなんですけれども、それはそういうことを想定したわけじゃないんですけれども、厳しくなったときには厳しくしろというところが随所にあるわけですね。それを、やはりそういう金融再生プログラムのことと、それから経済環境が悪くなったということを受けて、これは監査人にこの際厳しく改めて見直してもらおうじゃないかということを私考えまして、協会の役員会を通して会長通牒ということを出して、改めて監査人の対応を促したものだというふうに思います。
#51
○大門実紀史君 そうしたら、時間少なくなりましたけれども、法案関係でお三方にお聞きしたいんですけれども、今回の法改正が中小の監査法人に与える影響について、一言ずつ御感想あればお聞きしたいと思います。
#52
○参考人(奥山章雄君) このたびは、特に監査人の交代ルールですね、これについて大変影響が、与えるものが多く掛かって、大変、中小監査法人にとってはこのことは受け入れることが大変厳しいと思います。
 しかし、私どもは、厳しいといってもやはり監査法人ですから、最低五人以上の公認会計士がいるわけですから、何とかそこは乗り切って、交代ルールを受け入れるべきじゃないかという本来の目的に沿って私どもは踏み切りました。大変厳しいと思います。
#53
○参考人(関哲夫君) 率直に言って、中小の監査法人にどういう影響があるのか、私の見識からはちょっと分かりません、率直に言って。
#54
○参考人(八田進二君) そもそも昭和四十一年の公認会計士法の改正で導入されたこの組織的監査を支援するための制度としての監査法人制度、これは当初五人の公認会計士を踏まえて組織するということで、合名会社、組合のような形の無限連帯責任で作ったわけですが、今日のようにビッグフォーといいますか、巨大、四つないし五つぐらいの監査法人に集約されて、ほとんどそこで法定監査業務が行われているという実態を見ますと、やはり法の趣旨と大分違ってきたんではないかということがあります。これが第一点あると思います。今回もやはりその辺を突っ込んで、我が国の公認会計士制度の在り方の中で監査法人はどうあるべきかという、本来は時間を詰めた議論が必要ではなかろうかと思います。
 それと、どういう影響かといいますと、やはりこのりそなの例を見ましても、もしもこれが中小の事務所でされていたならばどうであっただろうか。つまり、来年度から断ち切られる監査報酬、事務所に占める監査報酬の割合が多分大きいような中小の監査法人にとっては非常に厳しいものがあるということで、次第次第に制度的に大監査法人に集中していく方向を国が進めているのではないかという気がしています。
#55
○大門実紀史君 そうしたら、関参考人にだけお伺いしますけれども、今の国際会計基準ということで、先ほどお話もございましたが、減損会計とかいろいろなことが進んでおりますけれども、それを何か早く日本も適用しないと、何か保護主義だとか乗り遅れるだとか、グローバル化の波に乗り遅れるとか、すぐそういう短絡な議論が私、出がちだというふうに思うんです。
 例えば、それじゃアメリカのスタンダードをほかの、アメリカ以外の国がみんなそのままやっているかといったら実はそうではなくて、いろんな、言ってみれば都合のいいような、取り入れ方も含めていろいろやっているわけですよね。そういう点でいくと、日本もそのグローバルスタンダードを見ながらも、独自の頭で、日本に合ったような適用の仕方といいますか、受入れ方をすべきだと思いますが、関参考人の御意見ございましたら。
#56
○参考人(関哲夫君) 私は、日本の今の会計基準は、相当程度国際化が進んでおって、それほど、一部言われているような後れた状況であるとは思っておりません。これは、国際水準から見て、ほとんど遜色のない会計基準まで来ていると、こういうことだと思います。したがって、そういう認識をきちっとすべきであると。
 それから、その次に、新しく国際会計基準の場で議論しなきゃいけない問題が幾つも出てきているわけですね。これについては、やはり先生おっしゃるように、本当にこれからの議論ですから、日本の経済実態あるいは企業経営の実態に即して本当にどう考えなきゃいけないのかということを十分踏まえて発信していく必要があるわけで、そこのところで、とにかく彼らの言うことを聞かないとどうにもならないんだと、いや、そういう側面が全くないわけじゃ現実問題としてはないわけですけれども、やはりよくそこは議論をして、日本としてこういうふうに考えるということを発信していくということが私は大変重要な、そういう局面に来ているんじゃないかと思っております。
 特に、もう少し具体的に言えば、これからのこれは問題なんですが、どうしても証券資本主義的な考え方が非常に強くて、いわゆる企業会計というものをストックを中心に、言わば会社の清算価値ですね、そういうものを中心に考えて、会社の商品としての評価、これにウエートを置いていこうという会計が我々にとって本当にいいのかどうか。我が国というのは、やっぱり額に汗して一つのいろんな生産要素を調達して新しい付加価値を生んでいくという、そういうフローといいますか、そういう生産活動そのものに我々は価値を置いて仕事を今までしてきて、そしてそれが日本を強くしてきているわけですね。
 ですから、会計といえども、必ずそういう経済システムというのは背景にあるわけでありまして、その辺を踏まえて、よくやっぱり議論していくということが非常に大事じゃないか。そのことが、そして先ほど八田先生もおっしゃいましたけれども、必ずしも国際的に孤立するということではないわけでありまして、よく理論武装した上で、十分、要するに話をしていくということで、最終的に結論が違っても、そこで信頼を得られるということは私は十分あると思っておりまして、そういう努力を、これを関係する皆さんはこれからしていかなきゃいけないと、こういうふうに私は思っております。
#57
○大門実紀史君 貴重な御意見ありがとうございました。もう大賛成です。
 これで終わります。
#58
○大渕絹子君 三人の参考人の皆さん、本当に今日はありがとうございました。それぞれ専門家の立場から貴重な御意見をお聞きをいたしました。本当にありがとうございました。
 それで、三人の方たちが今回の法改正に対して非常に時宜を得たものであるという評価をなさっております。ただ、私自身、第一条の解釈について、奥山参考人、関参考人はほぼ同じ解釈、その中で八田参考人だけが少し、少しでない、かなり違った解釈ですよね、なさっておられるというふうに思っていますが、私自身も、この法案をすんなりと読んだときに、八田参考人の言われることもうなずけるなというふうに思うんですけれども。
 この第一条の最も大事なところに、公認会計士の使命というところで解釈がこうやって違うものが生まれてくるということは、非常に私は、法案を改正する大事な時期に、こうした解釈の疑問が生まれてくるような案文でない方がいいというふうに思ったわけでございます、率直に。そして、公認会計士のくくりの中に、財務諸表を作る分野と、それから経営コンサルタントを請け負う業務と、監査を請け負う業務というのが混在をすることに問題があるのではないかというふうに、率直に今お聞きをしてそう思ったわけなんですけれども。
 この公認会計士制度のくくりといいますか、その職責を分けるというようなことは考えられないのでしょうか。そこらについて三人の参考人の皆さん方の考え方を聞かせていただきたいなというふうに思うんですけれども。
#59
○参考人(奥山章雄君) お答えちょっとしづらいんですけれども、私どもは元々は、この第一条については違う提案をしていたんです。それは、一条を二つに分けまして、公認会計士の使命として、一つは、会計の専門家として幅広く世の中に対して貢献することがあると、こういう立場からのことと、それからもう一つが、監査の専門家として監査の使命を全うするということがあると、この二つのことを実は提案していたんですね。ただ、公認会計士の使命目的規定というのが、ほかの士業とずっと比較したときに、そんなに二つも長く掲げている事例はないというふうなお話もありまして、それで、いろいろと議論の結果がこういうふうになったんだろうというふうに思います。
 ただ、やはり私は、公認会計士の本来の使命としては、監査だけではなくて、その基となる幅広い会計の専門家としての役割というのは絶対に欠かしては困ると思っておりますので、そういう意味では、今回、若干そこのところは、この使命の中でどういうふうに読み取ればいいのかということについて明確ではないんですけれども、一応、監査及び会計の専門家という言葉に入りましたので、それでよしとするというふうに思っております。
 ただ、先生御指摘の公正なる事業活動のところにつきましては、これは幅広く、監査の効用として、やはり監査が何も会社をつぶすばかりが能じゃないと、会社が健全な発展をしていくことがこの資本主義社会の中でやはり重要な役割を果たすことだという大前提があると思っていますので、これを言わば財務情報の適正性の担保ということを通して十分その役割を担えるなということで賛同しているわけであります。
#60
○参考人(関哲夫君) 私は、先ほども申し上げましたとおり、やっぱり公認会計士の使命というのは、会社の企業活動を適正なものにしていくと、公正な事業活動をやらせるという、それは、やる人は、本当に責任を持ってやる人は経営者であることは、それは間違いないんですよ。しかし、そういうことを監査というようなことを通じて本当に公正な事業活動を担保するということは非常に大事な機能であって、何も投資家や債権者のサイドに立ってチェックするんだということでは私は決してないと、それは当たり前のことだと私は思っております。
 ですから、問題は、ここで議論になっている公認会計士の資質と能力の問題にかかわるわけでありまして、本当にそういう会社というものの財務内容をしっかり見て、経営者と対話して、我々はこう思うんだと、例えば社長や副社長と本当にその会社の公認会計士がきちっと対決して話ができると、むしろそういうことの方が大事でありまして、ですからそれは、その立場というのは、やはり事業活動というものを公正なものにしていくと。奥山参考人は遠慮されてつぶすことだけじゃなくてという話ありましたけれども、つぶすことも含めてそういうことを担っていくということが非常に重要な機能なんじゃないでしょうか。そう思います。
#61
○参考人(八田進二君) 先ほど冒頭でも申し上げましたし、途中でも申し上げましたが、まず、条文として素直に読んだときに非常に読みづらいということがまず一つ、よく分からないという、これが非常に多くの声であるということ。それが一条にスタートで始まってきますと、やはり誤解を招く可能性がある。
 アメリカにおきましても、先ほど監査に対するあるいは監査人に対するギャップといいますか、期待のギャップでいろんな争い事が出ている。逆に、どういうふうに理解するかによって様々な解釈が生まれ落ちたときに、やはり公認会計士側としては非常に大きな責任を負わざるを得ないということが一つ。
 それからもう一つは、これは先ほど来から関参考人の方からも言われていますように、主人公はあくまでも企業であるという理解を私はしております。つまり、公正な事業活動を行う者は。逆に、何か企業破綻が起きたり経営者不正が発覚したときには、公正な事業活動が遂行されていなかったというふうにもしも解釈したときに、それは公認会計士、監査人の責任ですかと、こういう問われ方をしかねないということで、私は非常に危険性を感じているということで、この条文は不要ではないか、なくても全然自然に読めますし。
 それから、基本的に言うならば、先ほど奥山参考人が言われていましたように、私は、二つに分けて、まず会計のプロフェッションであるということ、そしてこのプロフェッションが監査人の排他的、独占的権限を請け負っているんだと、こういう二段階方式の規定が最もすばらしいといいますか、よく理解できるものだと思っております。
#62
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 それでは、この監査法人の適正規模について、奥山参考人、どのようにお考えでしょうか。
 日本では千人規模以上の会社が四社ですか存在をして、あとは中小の監査法人ということで存在をしているわけですけれども、事業内容を見てみますと、監査にかかわるところにおおむね七割ぐらいの仕事が集中をしていて、あと、会計とかコンサルタント業務の方は三割ぐらいというような統計も出ているわけなんですけれども、そういう中で、監査法人の適正な規模というのはどのくらいなんだろうか、大規模化していけばいいというものなのかどうかというところをお聞かせいただきたいと思います。
#63
○参考人(奥山章雄君) これは国際的にも、日本でもそうなんですけれども、監査法人の合併の歴史なんですね。日本では昭和四十二年ですか、新しい監査法人制度が導入されて始まりましたけれども、そのときは五人の会計士が集まれば監査法人ができたんです。この規定は今でも変わりませんけれども、現実には、そうやってできた監査法人が合併に合併を重ねて今のような四大法人になってきました。
 これは恐らく、企業が国際化するにつれて監査法人も国際化しなければいけない、企業がITをどんどんどんどん導入するにつれて監査法人もITに対して強くならなきゃいけない、そういう意味での国際化投資とかIT化投資がどんどん増えてきますと、やはり小さな事務所では間に合わないということが背景にあって、合併になってこのような今日の姿になったと思うんです。
 ですからこれ、企業がまた再編されて更に世界に羽ばたくビッグな企業になっていくと、やはり監査法人はそれに対抗するためにまた何らかの知識なりいろんな道具の蓄積をしていかなきゃいけないということになりますと、今でとどまるかどうかは正直言って分かりません。ただ、日本でも今はもう四大法人と言われるぐらいに三千人規模の監査法人になりましたから、現段階ではこの四法人の柱がやはり監査を支えていく上で今は必要かなと、そういう時期であると思いますので、今直ちにこれから更に大きくなるような監査法人ができるというふうにはないと思います。
#64
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 それでは最後ですが、三人の皆さんに。今回、りそなの問題で公的資金を二兆円を超える額が投入をされて救済をするというような方向が見いだされているわけなんですけれども、率直に参考人の皆さん方はこうしたことに対してどんなふうに考えていられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
#65
○参考人(奥山章雄君) 今の経済環境の状況からいくと、やっと四%を超えるような、達するだけの資本注入ですと、またすぐ、脆弱な資本だということで、また四%を割るというようなことが考えられなくはない。そういう意味では、公的資本の注入というのはやはりある意味で思い切ったことをやるということの必要性はあるのではないかという意味で、私は、二兆が正しいかどうかは分かりませんけれども、少なくともやっと四%を超えるようなというレベルでの資本注入では問題ではないかと、こういう認識でございます。
#66
○参考人(関哲夫君) 私は、今回、四%を割るということで、二・二、三%になっちゃうわけですね。放置すると金融危機が起こりかねないということから、直ちに公的資金を入れるということで対応をされたのは大変良かったんじゃないかというふうに私は思っております。
 ただ、問題は、入れたことで本当にエグジットというか、りそな銀行が立派な銀行として再生するというか、りそな銀行の青写真というか、いうものを本当にどういうことで描いて、本当にそれがどうなるのかということは非常に重要でありまして、その辺は必ずしも明快じゃないわけですが、入れた限りは再生する、あるいは多少いろいろ切り分けがあってもそういうやっぱり出口をきちっとはっきりさせておくということが非常に重要だというふうに思っております。
#67
○参考人(八田進二君) 私は公的資金の注入の当否に関してお答えすべき情報を持っておりませんので差し控えさせていただきますが、ただ、りそな銀行の前身の大和銀行という事件に関しましては、実は、一九九五年、これはもう有名でありますが、ニューヨークで起きました一嘱託行員による使い込みといいますか、誤った意思決定によって、当時一千二百億円の損失を被っております。仄聞する限り、そのときの責任者は、実は当行も被害者の一人であると、こういう発言をされたようであります。つまり、これだけ社会あるいは株主、投資家、周りの人たちにそれなりの負担を負わせておきながら、やはりガバナンスが利いていないといいますか、経営者姿勢に非常に問題があったんではないかと。
 したがって、先ほどの、私が答えるべきテーマではありませんが、背信だという言葉、本意は私は分かりませんが、少なくともやはりこの社会的な大きな責任を負っている金融機関であるという部分に関しての問題点があったのかなという気がしておりますので、当然、注入するならばそれに見合った適切な事後的な監視、これを厳しくしなければならないと思っております。
#68
○大渕絹子君 ありがとうございます。
 終わります。
#69
○椎名素夫君 今日は、お三人の参考人の方、おいでいただきましてありがとうございました。
 いろいろと勉強させていただきました。私自身の勉強は余りしておりませんので、余り、的を外れた質問になるかもしれませんが。
 最初にお聞きしたいのは、戦前には公認会計士というものはなかったわけですね。戦後になって導入をされたと。言葉で言うと公認会計士、日本の公認会計士、アメリカの公認会計士、あるいは諸国ありますが、この公認というのはだれが公認しているんでしょうか。
 ちょっと付け加えさせていただきますと、先ほどの八田先生のお話で、アメリカの場合に、いろんなことが起こって、一九二〇年代、三〇年代、そして、こういうことはしっかり、この監査というようなこと、あるいは会計全般でしょうか、やっていかなきゃいけない、だれにやらせるかというときに、いわゆる公認会計士の一群というプロフェッションの人たちがいたと。この人たちに任せようと。自主的な、自主性についても、まあまあ信用できるしというようなことで、これは、日本の官と民というようなことよりも、私の感じでは、一種の条約を結んで、公認会計士という一群のグループとSECの条約ないし契約で一緒に働くと。その条約の中に、こういう場合には言わば監督指導という、日本でいえば、いうようなこともあり得るよというような、そういう関係じゃないかと思うんですね。それがサーティフィケートということ。
 イギリスの場合にはサーティファイド・パブリック・アカウンタント、これは日本語で言うと、よく、本当にいい訳かどうかは知りませんが、勅許。というのは、要するに王様か女王様からサーティファイズされているという意味なんでしょうね。
 日本の場合は、これ一体どうなんだろうな。つまり、よくある日本の官と民とのような関係でできちまったために、何ですか、今問題になりました第一条の職責あるいは任務というようなことが今更書かなきゃいけなくて、それもまだこれでみんなすっきりしたなという条文にもならないというところが、そこに由来しているんじゃないか。由来するということからいえば、先ほどのレジェンドの問題もそうでありますし、すべてそういうところから出てきているんじゃないかと実は思うんです。
 ですから、これをこの機会に、そういう辺りから来ているおりみたいなものを全部片付けないと、またいろんなことが起こるんじゃないかというふうに感じているものですから今のような質問を申し上げたんですが、前置きが長くて申し訳ありませんけれども、教えていただければと、お三人から、思います。
#70
○参考人(奥山章雄君) 私の理解しているところでは、日本に公認会計士という名前で入ってきたのは、やはり戦後の言わば証券の民主化ということで、証券市場を日本に育成するという中に、アメリカの公認会計士制度、アメリカの証券取引制度を導入したというふうに思います。ですから、それ以前、確かになかったわけで、そのサーティファイド・パブリック・アカウンタントというのは、アメリカのそのままの言葉を日本に持ってきて、それを訳したときに公認という会計士ということだったと思うんですね。
 イギリスは、おっしゃいましたけれども、イギリスはチャータード・アカウンタントで、正しく女王様から与えられたという意味だと思いますので。
 日本は、やはり戦後のアメリカの制度を随分導入しましたけれども、その導入した一環としてこの制度もできたわけで、そういう意味では輸入された制度だというふうに思いますけれども、しかしそれが戦後五十数年たって、あかがたまっていたかどうかは私は必ずしもそうではなくて、それなりに努力しながら、悪いものは捨てて、いいものはいいという形で発展してきたのではないかと思いまして、それを更に今回発展させていこうというふうに思っておりますので、それなりに評価できるものだというふうに思っております。
#71
○委員長(柳田稔君) 椎名先生、お三人。
#72
○椎名素夫君 はい。
#73
○委員長(柳田稔君) では、関参考人。
#74
○参考人(関哲夫君) 公認会計士の沿革だとかその発展の経緯については、私は特段の見識を持ち合わせていないわけですが、私どもが特に感じておりますのは、やはり今日の経済は資本市場というものを非常に重要視して、資本市場の健全な発展なくしては考えられないと、こういうことになってきておりますし、これからもだんだんそうなっていくと思うんですね。
 そういう意味じゃ、やはり公認会計士がその財務の、財務情報の信頼性というものをきちっと確立するということにあずかって力があって、そのことを通じて資本市場が発達していくと。先ほどありましたように、企業も投資家も債権者も、そういうものをベースに物事を考えていくと、その基礎になるのが財務諸表の信頼性ですから、これを担保する重要な役割を担ってきたんではないか。そういう意味で公認と、そういう公から与えられた使命を持った会計士が非常に重要な役割として存在する意義があると、こういうふうに思っております。
#75
○参考人(八田進二君) 今、先生の御質問は実は原点の問題でありまして、アメリカの場合も実はアメリカ公認会計士協会という民間の団体がございます。さらに、アメリカの場合の試験は、いわゆるアメリカ公認会計士協会が全米統一で行っている民間の資格試験であります。日本の国家試験とはちょっと性格が異なります。
 ただ、業務の内容として、いわゆる昔からプライベートアカウンティングとパブリックアカウンティングと、つまり外向きの証券市場に向けての財務情報の発信、これがパブリックアカウンティングと、それにかかわっている人を指してパブリックアカウンタントと呼んでいたようであります。そして、彼ら、公認会計士協会が自分のところで免許状を与え開業許可を出すということで、我々が認定しましたというところからサーティファイドという言葉が付きました。
 したがいまして、アメリカ公認会計士協会はもう既に百十年の歴史を持っておりますが、アメリカ公認会計士協会という名前になったのは一九五七年、昭和三十二年であります。それまでの五十年間近くはAIA、アメリカン・インスティテュート・オブ・アカウンタンツ、ただ会計士協会と呼んでいただけなんです。
 それに対して、日本の場合は実は生まれ落ちたときから、公認会計士法というのが昭和二十三年にできまして、何の疑問もなく公認会計士というふうに始まりまして、昭和二十四年から国家試験が始まったということで、お国が決めた資格制度だということで、多分この場合のサーティファイドパブリックはお国だというふうに考えるのがいいのかもしれません。
 ただ、今はもうそういった歴史的な背景は別にしまして、同じ水準、同じ業務の質を維持しながら連携をしているということですから、社会に貢献する業務を行っている専門職業人をもってサーティファイド・パブリック・アカウンタントと一般に呼んでおりますが、国によっては、王国の場合には勅許会計士協会、あるいはドイツの場合には経済監査士のような、若干名前が違っておりますが、役割はほとんど同じものを遂行しているわけであります。
#76
○椎名素夫君 それで、先ほど八田先生からお話がございましたけれども、これ、要するにプロフェッショナルであると。だから、プロフェッションであるということは非常に重要であって、その一つのキーワードは公共の利益、パブリックインタレストだと。
 経済活動に非常に密接にこの公認会計士の方々の活動というのは結び付いているわけですが、今、直接その御責任があるのないのというわけじゃございませんけれども、日本の国、見ると、結局、いろんなことをやって、個人のインカムもそうですし、会社の利益もそうですけれども、そこからずっといくと税金という問題が出てきますね。国というのはやっぱり徴税力というのがなくなると非常に衰えてしまうんだろうと思うんです。
 日本の今の一番大きな問題は、やはり現象としてもうはっきりしていることは、要するに税金が足りない。税金が足りないからもっと取ろうかというけれども、余り取っちゃうとみんな元気がなくなるし、しかし取らないと赤字がたまって将来に向けてどうのこうの。こういうことについての関心というのはそもそも、パブリックアカウンタントというのは持つべき人種の方々なんでしょうか。それともあるいは、それはそんな大きな話は総理大臣に聞けという話になるのか。だれかがこういうことをやっぱり細かく考えないと、世の中おかしくなるんじゃないかと思うんですが、そこら辺り、先生方にお考え聞かせていただければと思います。
#77
○参考人(奥山章雄君) 今、私どもとしては、企業会計ということで、これが中心になってやっておりますけれども、公会計ということについてもかなりいろいろなことがやるようになってきています。これは、直接国の会計あるいは地方公共団体の会計をダイレクトにタッチしていろいろと意見を述べていくという仕組みにはまだなっておりませんけれども、元々国や地方公共団体がバランスシートがないとか、あるいは損益の対照がないとか、こういうことについて会計制度の仕組みを考えていくべきではないかということで、いろいろなそういうことを検討する委員会に公認会計士を送っております。
 そういうことから始まって、本来、その収入に対する支出、支出に対する収入、これが見合っていないというふうな話も出てくるのではないかという意味で、これからだんだんだんだんその公会計の仕組みがきちんとなされていくことによって、私どもも関与する度合いが増えてくるんではないかという思いでありまして、今直接的に税収の確保をどうチェックするんだというふうなことにはないというふうに思っておりますが、今後、今言ったようなことで努力し、また貢献できるところは貢献していきたいと、このように考えております。
#78
○参考人(関哲夫君) 公会計に公認会計士の、公会計の体系をきっちりして、そして公認会計士の監査に堪えるようなものにしていくということは大変重要な仕事だと思います。これは先生、皆さんの御努力で進めていただきたいと、こういうふうに私は思っております。
 それから、公認会計士の皆さんの大事な仕事は、やっぱり税制をどう考えるかということについて、これはどんな税制を設計するにしても、公認会計士の皆さんの参画と知恵がないとこれはできないわけであります。ですから、先般来導入された連結納税制度であるとか、企業分割・再編税制であるとかというのは、具体的な設計に当たっては当然公認会計士の皆さんの知恵だとかいうのが全部反映されておりまして、そういうかかわり合いを持った一つの存在だということは確認しておく必要があると私は思います。
 以上です。
#79
○参考人(八田進二君) 今御指摘のように、私は、先生御提議の、例えば租税政策の場面に会計専門職がいかにかかわるかということもあるかと思いますが、いかんせん我が国は会計人口が少な過ぎるのでございます。あるいは会計プロフェッションの人数が少ないということで、本来はもっとすそ野を広くあらゆるところに存在しなければならないと。少なくとも、経済活動あるところ会計あり、そして会計あるところ監査あり、これはもう鉄則であります。
 したがって、今御指摘のように、例えば政策立案に関しても専門職が当然大きな声を上げて、そしてその背後にパブリックインタレスト、国益と言ってもいいですが、そういった役割を担いながら意見を述べるという場面、これは当然必要だと思います、単に一企業、一個人の利益代表ではなくて。そういったことで、やはり今回の公認会計士法の改正ですそ野を広げるということは時宜にかなっているというふうに考えております。
#80
○椎名素夫君 ありがとうございます。
#81
○委員長(柳田稔君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言御礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見を賜りまして、本当にどうもありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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