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2003/07/15 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 財政金融委員会 第20号
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2003/07/15 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 財政金融委員会 第20号

#1
第156回国会 財政金融委員会 第20号
平成十五年七月十五日(火曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 七月十日
    辞任         補欠選任
     白浜 一良君     山本  保君
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     池口 修次君     勝木 健司君
     山本  保君     遠山 清彦君
 七月十五日
    辞任         補欠選任
     西田 吉宏君     森元 恒雄君
     若林 正俊君     野上浩太郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         柳田  稔君
    理 事
                入澤  肇君
                清水 達雄君
                林  芳正君
                円 より子君
                浜田卓二郎君
    委 員
                上杉 光弘君
                尾辻 秀久君
                佐藤 泰三君
                田村耕太郎君
                中島 啓雄君
                野上浩太郎君
                溝手 顕正君
                森元 恒雄君
                森山  裕君
                大塚 耕平君
                櫻井  充君
                峰崎 直樹君
                遠山 清彦君
                池田 幹幸君
                大門実紀史君
                平野 達男君
                大渕 絹子君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小泉純一郎君
       国務大臣
       (金融担当大臣) 竹中 平蔵君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  上野 公成君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊藤 達也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       金融庁長官    高木 祥吉君
       金融庁総務企画
       局長       藤原  隆君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○保険業法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)(閣法第一一九号)

    ─────────────
#2
○委員長(柳田稔君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、白浜一良君が委員を辞任され、その補欠として山本保君が選任されました。
 また、去る十一日、池口修次君及び山本保君が委員を辞任され、その補欠として勝木健司君及び遠山清彦君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(柳田稔君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 保険業法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として金融庁長官高木祥吉君外一名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(柳田稔君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(柳田稔君) 前回に引き続き、保険業法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○大塚耕平君 民主党の大塚でございます。おはようございます。
 それでは、前回、竹中大臣に御答弁いただいた内容について、何点か追加の質問を提示させていただきましたので、それについての御回答を冒頭お伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(竹中平蔵君) 去る七月八日の当委員会において、私が大塚耕平委員の質疑に対する答弁として報告した調査・検討結果に加え、追加的に検討を要するとされた論点について、コンプライアンス対応室の専門家の先生方の御意見もちょうだいしながら改めて調査、検討を行いました。その結果は以下のとおりでございます。
 第一に、行政手続法二条の不利益処分に関連する諸規定に照らした問題点いかんという点ですが、調査の結果、金融庁高木監督局長(当時、以下同じ)は、東京海上火災保険株式会社(以下「同社」と言う)に対し、同社の行為が極端な風評リスクの発生により市場に重大な影響を及ぼす可能性があること、その場合には、同社に対する保険業法第百三十二条、百三十三条に基づく不利益処分の適用の可能性があることを検討していること等についての監督官庁としての認識を示し、同社の森副社長(当時、以下同じ)と議論したものと認められます。かかる高木局長の行為は、不利益処分そのもの、あるいは実際に不利益処分を行う過程における行為ではなく、その前段階における行政指導であったものと評価するのが妥当であり、将来の不利益処分の可能性を示しながら行政指導することは、行政法の一般原則である比例原則との関係で合理的な場合もあるというのが一般的理解であるところ、本件はこれに該当すると思料されます。
 したがって、不利益処分そのものを行っているわけではない以上、高木局長が、本件行為を行うに当たり、行政手続法第三章不利益処分に定める聴聞等の手続を取らなかったことは、行政手続法に違反するものではありません。
 第二に、不利益処分に関する基準が明定、公開されていなかった中での当該行為の適法性いかんという点ですが、高木局長の本件行為は、ただいま申し上げたとおり行政手続法二条の不利益処分に該当しないので、同法十二条の処分基準との関係は問題になりません。
 第三に、同社の商品認可に絡めた不当な行政行為の有無との点についてですが、去る七月十日の当委員会において大塚耕平委員から御指摘があった商品「超保険」は、同社から平成十三年四月五日に申請がなされ、同年七月十三日に認可がなされております。他方、同委員御指摘の報道は、本件商品認可後約六か月経過した平成十四年一月のものであるので、販売延期を発表したときよりかなり以前に遅滞なく認可手続を終了しています。商品認可後は、金融庁が個別商品の販売時期等について指導する立場にはなく、本件においてもそのような事実は認められませんでした。
 したがって、本件の遅延販売は、ひとえに会社の経営戦略により決せられたものであって、そこに不当な行政行為の介入は認定されませんでした。
 第四に、国家公務員法の観点から見た問題点いかんという点ですが、大塚耕平委員から御指摘のあった国家公務員法九十九条の信用失墜行為の禁止及び同法百条の守秘義務との関係について検討いたしました。
 まず、同法九十九条の信用失墜行為の禁止との関係ですが、信用失墜行為とは、法令違反となる行為のほか、職務執行中の暴言などがこれに当たると解されております。高木局長の行為には行政手続法に抵触するような違法性は認められないことは既に報告しているとおりです。また、ヒアリングの結果、高木局長と同社の森副社長の会談において、高木局長による暴言の事実はなく、両者間で淡々と議論が交わされていたことが認められ、森副社長も恫喝、強要を受けているといった認識は受けなかったとしております。かかる事実関係を前提とすれば、高木局長の行為は同法九十九条の信用失墜行為には当たらないと思料されます。
 次に、国家公務員法百条の守秘義務との関係についてですが、同条は、国家公務員は、国家公務員の地位にあるがゆえに職務上知り得た秘密を漏らしてはならない旨規定しています。ここで言う「秘密」とは、一般に知られていない事実であって、それを漏らすことにより特定の法益を侵害するものと解されております。
 本件メモは、当日のやり取りが必ずしも正確に表現されたものではなく、本件会談において、高木局長が森副社長に対し、個別の会社名にまで言及したかについては十分に確認が取れたわけではありませんが、仮に、高木局長が本件メモに記載されているような発言があったとして、これが秘密を漏らした行為と言えるかにつき検討いたしました。本件メモの記載を見る限り、高木局長が個別の会社の財務状況等に関する資料等を森副社長に提示して述べた事実は認められず、ヒアリングにおいても、高木局長は、保険業法に基づく法律論を議論する中で、当時の新聞報道等による周知の事実を踏まえつつ、同社の行為の結果、極端な風評リスクが発生した場合の仮定的な推論の結果を示したにすぎず、高木局長の発言は秘密の漏洩には該当しないと思料されます。
 したがって、本件メモ記載の高木局長の発言は、同条の守秘義務に違反するものではありません。
 第五に、国家公務員が個別企業の名前、業績等に関する発言を行う場合の証券取引法上の問題点いかんという点ですが、高木局長による本件行為について、証券取引法上問題となり得るとすれば、百五十八条の風説の流布に該当し得るかという点であり、同条は、有価証券の募集、(中略)のため、又は有価証券の相場の変動を図る目的をもって、風説を流布してはならないと規定するが、高木局長は、有価証券の募集等や有価証券の相場の変動を図る目的をもって本件行為をしたものではないことは明らかであることから、同条の要件を充足しないと思料されます。
 したがって、高木局長の本件行為に証券取引法上問題となるところはありません。
 第六に、民商法上の企業の責任、株主に対する責任等と行政の裁量権、業法上の権限との限界点いかんという点ですが、仮に、経営統合の合意を短期間のうちに撤回するという同社の一連の行為が市場に重大な影響を及ぼすこととなり、かかる行為が同社における調査の不十分性に起因しているとすれば、同社の行為が保険業法百三十三条に規定する「公益を害する行為」に該当すると認定し得ることは既に御報告したとおりです。
 そして、同社の本件行為が「公益を害する行為」に該当する可能性があると判断される場合、金融庁として、同社に対し、そのような事態を招致しないよう行政指導を行うことは是認されるところ、仮に同社が当該行政指導を行い、同社が当該行政指導を行い、統合撤回を思いとどまった結果、同社の株主等に損害を与えたとしても、それは同社の判断の誤りに起因するものであって、このことについて経営者が責めを負うのは当然のことであり、この場合に、金融庁としては、経営者に対する責任追及の可能性を勘案して行政指導の是非を判断する必要はなく、また、すべきではないと思料されます。
 したがって、高木局長の本件行為に、第六の論点の観点から、法令に照らして問題となるところはありません。
 最後に、第七の行政官僚の国会答弁の適法性いかん、虚偽答弁の適否という点ですが、去る七月十日の当委員会において大塚耕平委員より御指摘のあった平成十四年二月二十六日の衆議院予算委員会において、金融庁森長官(当時、以下同じ)は、私自身、東京海上の社長等を呼んで本件について話したことは一切ございません。それは経営判断の問題でございますので、それに対し我々が異を唱えるということはございませんと答弁しておりますが、森長官自身が東京海上の社長等を金融庁に呼んで応対した事実はなく、また、金融庁は、同社の個別の生命保険会社との統合の問題に関して、最終的に同社の任意の経営判断を尊重するという点では一貫していたことから、上記森長官の国会答弁には虚偽があるものとは認められません。
 ただいま申し述べましたとおり、追加的に検討を要するとされた論点について再度検討いたしましたが、当時の高木局長及び森長官の行為に法令に抵触するような事実は認められませんでした。
 以上でございます。
#8
○大塚耕平君 前回の御答弁、そして今日の御答弁と大変重要な内容を一杯含んでおりまして、もうこれは今日限られた時間でもちろん討議し尽くせるものではないと思いますので、今国会中あるいは次の国会にもまたがって恐らく様々な場面で議論をさせていただく必要があると思っております。これはもう行政法あるいは行政手続法の学界関係者やあるいは実務関係者にとっては、今回の御答弁、そして前回の御答弁、これをこのまま、はい、そうですかというふうに受け入れてしまうと大変な問題が起きますので、是非今後も議論を尽くさせていただきたいと思っておりますが、大臣、今回御回答いただくに当たって、これ法制局には御相談されましたですか。
#9
○国務大臣(竹中平蔵君) 今回の問題、今日の先ほど読み上げさせていただきました報告書に関しては、特にその必要性を感じておりませんので法制局には問い合わせはしておりません。
#10
○大塚耕平君 いずれ法制局の見解も問わなければならないと思います。
 今日御回答いただいた中で、第一点の段落の中で述べられております、中ほどにありますけれども、「前段階における行政指導」とは、具体的にその当時何を想定していたんでしょうか。これは高木長官にお伺いしたいと思います。
#11
○政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。
 これは前も御説明申し上げて大変恐縮でございますが、保険業法の議論をしていたわけでございまして、その保険業法の百三十二条とか百三十三条に照らして問題となる可能性があり得るということで、法律に基づいた議論でございますね、それをいろいろしていたということでございます。もちろん事実関係を一番よく承知しておりますのは金融機関でございますから、当該金融機関と事実関係とか法令解釈等についていろいろ議論したということでございます。
#12
○大塚耕平君 具体的に、百三十二、百三十三を根拠に、つまり、合併を予定どおりしたらどうですか、統合を予定どおりしたらどうですかというような、つまり行政指導をされようと思ったわけですよね。
#13
○政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。
 今も申し上げましたように、これはこの前も申し上げたんですが、前回、十三年十一月に一定の公表があるわけです。それと、その次にまた新たな決定がなされようという議論があったわけです。そういう意思決定について、前回の調査報告書もございますけれども、大臣の御報告書にもございますけれども、そういう調査が十分であったかどうか、保険のプロとしてですね、そういうことを含めて議論をしていた。それは、法律上、百三十二、百三十三条に該当する可能性があるとして議論をしていたということでございます。
#14
○大塚耕平君 時間が短いので、是非、これは本当に金融機関のみならず、役所の監督下にある様々な業界の皆さんがもう本当に耳目を集めて長官の答弁を聞いていますので端的にお答えいただきたいんですが、統合を発表して統合を撤回するかもしれないという事態になったので行政指導をお考えになられたわけですから、予定どおり統合したらどうかということが念頭にあったわけですよね。イエスかノーかでお答えください。
#15
○政府参考人(高木祥吉君) 大変恐縮でございますが、今申し上げたように、法律に基づく議論をしたと。それで、大臣の御調査では、コンプライアンスの専門家を入れた御議論では、それが事前の行政指導に当たるという御認定をいただいているというふうに思います。
#16
○大塚耕平君 大変法律にたけた官僚の皆さんでありますので、なぜお答えになれないかというと、私なりにおもんぱかると、行政手続法の第三十三条、第三十四条には行政指導の具体的内容が限定列挙されているんですね。行政指導というのは、申請の取下げ又は内容の変更を求める行政指導、あるいは許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関が、その許認可等、求められた許認可等に対して行政指導をすることしか書いていないんですよ、法律に。
 つまり、合併認可を申請する気がない企業に対して、合併認可を申請しなさいという行政指導はやっていいとは法律にはどこにも書いていないんですよ。法律違反じゃないですか。
 すぐ答えられないんだったら、時計止めてください。
#17
○政府参考人(高木祥吉君) ちょっと正確なお答えになっていないかも分かりませんけれども、ここで議論になっておりますのは、その意思決定が、一連の東京海上が意思決定をしているわけですが、その意思決定の仕方がしっかりしたコンプライアンスの下で、法律に基づいたきちっとした法令遵守等の下で行われているかどうかという議論をしたわけでございます。
#18
○大塚耕平君 先日は私、百歩譲って、不利益処分を要求、やるというふうにはっきり言ったわけではない、しかもやらなかった、その前段階の行政指導だから云々かんぬんという議論を、百歩譲って受け入れて質疑をさせていただいたわけですよ。
 しかし、行政指導とはいかなるものかというのは三十三条と三十四条に書いてあるじゃないですか。それは、申請や認可をしてきたことに対して、その内容を変更することを行政指導していいよと書いてあるんですけれども、合併認可をする気がない金融機関に対して、合併しなさい、認可を申請しなさいという行政指導をしていいとはどこにも書いていないですよ。ちゃんと答えてください。
#19
○政府参考人(高木祥吉君) 繰り返しになって恐縮でございますが、合併をしなさいとか申請をしなさいという議論をしたわけではないと思っております。
#20
○大塚耕平君 私は、論理的に今法律論を展開しているつもりでありますので、今の長官の御答弁では、なるほどというふうには思えませんので、あの答弁では納得できませんから、ちょっと理事の皆さんも、私、法律論をしているわけですから、三十三条、三十四条に書いていないことを行政指導だと前回も言い張ったわけで、今日もそう言い張っておられるわけですけれども、変ですよね。
 ちょっと、時計を止めて理事の皆さんで審議してくださいよ。
#21
○国務大臣(竹中平蔵君) 法律論ということで、ちょっと法律の専門家でもございませんけれども、私の理解では、その報告書を書かせていただいたときの理解では、今、委員が言われた三十三条というのは、申請に関連する行政指導についてはこうだというふうに書いていると。行政指導そのものについては第二条の方にむしろ広範な規定がありまして、「行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に該当しないものをいう。」。その意味では、確かに委員言われたような、申請に関してはそのとおりなんでありますが、行政指導そのものはもう少し広い範囲を含むというのが、これが一般的な解釈であると認識をしております。
#22
○大塚耕平君 いや、大臣、経済の専門家ですけれども法律の専門家じゃないんだから、一般的理解だなんてここで簡単に言っちゃ駄目ですよ。ここで言う二条の作為というのは、申請したりあるいは認可を求めた、その内容を行政指導に基づいて変更するという作為のことを言っているんですよ。法制局に聞いてきてくださいよ、じゃ。この場で大臣が答弁する問題でもないような気もしますし、間違った答弁をしたら大変ですよ、これは。
 ちょっと、時計止めてください。どんどんどんどん進んじゃっていて。
 いや、私は今日、理不尽に止める気は全然ないです。しかし、法律論として、三十三条、三十四条に書いてあることと高木長官が言っておられること、やろうとしたこととは大きな矛盾があるから、今の答弁ではちょっと納得できないので、いったん止めていただけませんか。
 ちゃんと私はこの後、時間を消化します。消化しますけれども、ちょっと今の答弁では納得できません。次の質問できません。
#23
○委員長(柳田稔君) 再度、高木長官、答弁をしてください。
#24
○政府参考人(高木祥吉君) 三十四条でございますけれども、これは許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を有する行政機関がする行政指導でございますから、私は三十四条の関係に問題はないと思いますが。
#25
○大塚耕平君 いや、何だか分かりませんね。つまり、行政指導というのは、もう一回言いますよ、監督下にある企業や国民が申請や許認可をしてきたことに対してその取下げや内容の変更を求めることであって、認可申請する気のない企業に対して合併しなさいという行為を求めていいというふうにはこの二条からは読めないですよ、私は。
 だから、ここで、行政府のトップである長官がバックベンチと相談をしなきゃいけないような状況にあって、これほど大事な問題を、ちょっとこのまますうすうと審議するわけにはいきませんね。次の質問できません。
#26
○委員長(柳田稔君) 大臣、答弁ありますか。答弁ありますか。
#27
○国務大臣(竹中平蔵君) 法律の専門家じゃないという御指摘ですが、それはもうそのとおりなんでございますけれども、これは我々も、コンプライアンス室の専門家、これは正に専門家でいらっしゃいます、に確認して報告書を作成させていただいているのでありますが、そのときの専門家の認識といたしましても、これは第二条にその行政指導については書かれている。一定の作為、一定の不作為、一定の作為不作為については、それが何であるかということはこの前後の条文を見ていただいてもそれは書いておりません。
 その中で特に、行政指導というのはそういうものだということを決めて、その中で特に申請にかかわるもの、許認可にかかわるものというのが後々に書かれているわけでありますので、これは法律構成としては、繰り返しますが、法律の専門家ではございませんけれども、法律の構成及びコンプライアンス室の専門家に検討していただいたときの認識を踏まえて先ほど答弁させていただいておりますが、第二条において広範にそこは定義されているものというふうに認識をしております。
#28
○大塚耕平君 いや大臣、二条でそんな広範なことを認めるというのは、大臣がここ十年来あらゆる場で言い続けておられた御主張と一致しますか。えらいことですよ、この二条でそんな広範な作為を認めてしまったら。何でもありですか、行政は。
 質問できません。ちゃんと、私も法律の専門家じゃないかもしれませんから、ちゃんと法制局に見解を聞いていただかないと。統一見解出していただけますか、じゃ。
#29
○委員長(柳田稔君) ちょっと速記止めてください。
   〔速記中止〕
#30
○委員長(柳田稔君) 速記を起こしてください。
 大塚委員の申出につきましては、理事会で預からしていただきますので、質問を続けていただきたいと思います。
#31
○大塚耕平君 もう時間もありませんので、大きな問題点だけあと幾つか申し上げますけれども。
 行政手続法の三十二条の二項は、仮に、高木長官がやろうとした、合併したらどうですかという行為が行政指導に当たるとして、私は当たらないと思いますけれども、「行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」と書いてあるんですよ。
 この間の一連の答弁や今日の大臣の御答弁の中では、結局ロジックというのは、不利益処分を実際にしたわけではないから問題ないということなんですけれども、したわけではないから問題ないんじゃなくて、行政指導に従わなかったときに不利益処分をしてはならないんですから、してはならないことをできるかのように語ったわけですよね、長官は。そういう理解でいいですか。
#32
○政府参考人(高木祥吉君) 不利益処分の可能性について議論して、現実に、何というんですか、行政指導に従わなかったから何らかの不利益な取扱いをしたということは全くないわけです。
#33
○大塚耕平君 したかどうかなんて聞いてないですよ。そもそも、三十二条二項で、行政指導に従わなかったからといって不利益処分をしてはならないと書いてあるわけですから。
 ところが、長官がおっしゃったことは、従わなかったときには不利益処分をするかもしれませんという、法律にはやってはいけないということを、やるかのような発言をしたわけですよ。しかし、実際には不利益処分をしなかったから問題ではなかったんではないかというのは、これは拡大解釈に過ぎます。こんなことを許して、行政手続法二条で広範な作為を認めてしまったら、何でもありですよ、これは。
 もうあと二分ですから、もう一個聞きます。
 守秘義務違反ついては、随分いろいろ議論になりましたけれども、個社名をいろいろおっしゃったわけですよね。個別には、具体的には思い出せないかもしれませんけれども、おっしゃったわけですね。イエスかノーかで。
#34
○政府参考人(高木祥吉君) 前申し上げましたように、記憶が必ずしも定かではないということでございます。
#35
○大塚耕平君 これも問題点指摘しておきますけれども、大臣、新聞等に載った一般的情報に基づいて発言しただけだ、だから問題ないというふうに御答弁、今日もしておられますけれども、監督局長、当時、ともあろう者が、新聞等の情報に基づいて行政指導しようとしたんですか。
#36
○政府参考人(高木祥吉君) お答え申し上げます。
 本件は、多分、百三十三条の公益を害する行為について議論していたんだと思います。その中で、それは個別の財務内容等についてリスクを議論していたわけではなくて、風評によるリスクを広く議論していたわけであります。そういう中で、報道等を踏まえながら議論もなされたんではないかというふうに考えております。
#37
○大塚耕平君 いやもう全く議論にならないと思います。
 私はもうこれで質問やめますけれども、監督下の企業を恫喝したかと思われるような行為があり、そして金融庁の後輩の皆さんに長官は多大な多くの課題を背負わせ、そして国会がこのように多少混乱めいた状況になっていることに思いをはせていただいて、私は、潔く身を引くべきだというふうに思います。
 身を引く意思がおありなのかどうか、これをお伺いして質問を終わらしていただきます。
#38
○政府参考人(高木祥吉君) 人事のことに私からお答えするのは、恐縮でございますが、差し控えさせていただきたいと思います。
#39
○大塚耕平君 終わります。
#40
○委員長(柳田稔君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#41
○委員長(柳田稔君) 速記を起こしてください。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#42
○円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。
 今日は二十五分という時間で総理にお話を、質問させていただきますが、余り細かいことはしないようにと思っております。
 一つは、今、生命保険というのは、日本ではもう九割以上の世帯の方が生命保険に入っていらっしゃいまして、日本の生命保険というのは大変人々の信頼を得ていたわけですね。それで老後の生活設計に大変な大きな影響を与えるもので、まさかその生命保険会社がつぶれたり、それから予定利率の引下げ、これは一体何のことかしらと思う方が多いんですが、言ってみれば、一生懸命保険金を払ってきたけれども、その受け取る保険金がカットされてしまうという、こういうような契約条件の変更があり得るなんということはほとんどの方が思っていらっしゃらなかったわけです。
 そういうところで、生保と銀行が株の持ち合いをやっていますから、株が大変下がってしまえば当然保険会社の経営も悪くなる、それから資産デフレも起きる、いろんなことが起きて、金融の状況、取り巻く状況というのは大変悪い。そういう中で、生保がもしつぶれれば銀行も駄目だというようなこともありますから、当然、政府としては、金融の状況を悪化させないために、金融破綻がならないためにこういう法律も必要だということでお作りになったんだと思うんですが、ただ、先ほど申しましたように、九割以上の方が生保に入って、老後の設計が狂うということに関して、大変な怒り、それから生保への信頼をなくす、不信だけではなくて、株がこんなに下がってしまった、そうした責任、政治への責任というものに対する追及や不信というものもとても大きくなっていると思うんですね。怒りだったら割合国民が元気になると思うんですが、私の周りでは絶望感を持っている方が大変増えています。
 総理は多分タクシーとかもお乗りにならないでしょうし、余り──そうですか、今もお乗りになりますか。ちまたの声が聞こえないんじゃないかと私は思うんですが、私は二十数年来、たまたま一人親家庭のネットワークを持って、ずっとその支援を国会議員になってからもしてまいりましたので、この数年間のデフレ不況の影響というのは本当に激しくて、離婚して、四年制大学を出ていても大体年齢制限で仕事が女の人はありません。もちろん、パートとかアルバイトとか様々な仕事に就いて、そんなにより好みしている状況ではないんですが、五年前に清掃の仕事、銀行の清掃の仕事一日八時間あった人が、今どんなに仕事をしたくても、銀行も悪くなっていますから、清掃の仕事が一日四時間に減ってしまって、五年前は時給千円だったのが今は八百円になっているわけですね。うちの娘なんかは高校生のときにファストフードの店で働いていましたが、高校生の時給の方が三十代、四十代の離婚した女性よりも高いというような状況なんですね。
 そうしますと、それで子供を育てるというのは大変で、ちょっとお話ししたいんですが、昭和五十七年に一般世帯の世帯人員一人当たりの平均収入というのは百三十万円でした。それが二十五年たって平成九年は二百二十三万円と一・七二倍になっているんですね。高齢者世帯も、日本の高齢者に対する施策が大変良かったせいで、昭和五十七年は一人当たり百四十二万でした。それが、平成九年、二十五年たって二百七万円に上がっております。一・四六倍です。ところが、母子世帯は六十三万円だったのが七十三万、一年間に一人七十三万の年収しかないというような状況なんですね。
 このお母さんたちが、例えば離婚して子育てをしている間にそうやって、先ほど言ったようにより好みしないで仕事をやっていますから、物すごく体を酷使して朝から晩まで働き、また週末も働いてやっています。体を物すごく壊します。そうすると、入院しなきゃいけないような状況になってもできない。日当、日給月給ですから、休めばそれだけもっと収入がなくなる。そういう中で、もし自分が亡くなったときに子供を残していったらどうなるのかと思うときに、必ず皆さん、離婚した後、生命保険に入るんですね、それまで入っていなかった人が。私も、娘が五歳のときに胃潰瘍になりまして、そのとき、がんかもしれないと言われて、やっぱり大変、五歳の子を一人置いて死ねないなと思って、私もそのとき生命保険入りましたけれども。
 ほとんどの人がそういう状況で、そして、何とか子育てを終えて、五十、六十になってまたますます仕事がなくなる。そのときに、今まで必死で安いお給料の中から掛けていた生命保険がカットされるなんてなりますと、もう怒りとか政治に対する不信よりも、様々な問題が起きてアパートも出なきゃいけないとか仕事はなくなるとか、そこにまた生保のこの追い打ちを掛けると、もう絶望感に打ちひしがれてという状況で、何かもう生きる気力がなくなるという人が多いんですね。
 そうしますと、金融不安を何とか起こさないためということも大事なんですが、国民に痛みを押し付けて、絶望感ばかりを押し付けてしまっていては、今、やはり日本の人々がしっかり子育てをしていく、そういう人たちがまた子育てが終わった後で何とか、ぜいたくはしないけれどもまともな老後を働きながらやっていきたい、最後の最後まで皆さん働くと、アンケートを取ると言っていらっしゃるんです、私の周りは。
 そういう人たちにきちんと仕事を与え、そして、せめて生命保険ぐらいまともに掛けてきたものがいくような、そういう社会を作らないと私は政治家の責任はやっぱりないと思うんですけれども、そういうことの痛みを与えるこの法案について、本当にこれが契約者保護になると総理はお思いなんでしょうか。
#43
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今回の法案は、解約された場合、破綻生保が今の厳しい経済状況に耐えられず破綻した場合と、その破綻を未然に防いで予定利率を下げることがいいかという一つの選択肢の問題だと思うんですね。
 もちろん、この法案が適用されないような状況の方が望ましいと思うんですが、今の厳しい状況によっては、このままで維持できないという会社も出てくる可能性なきにしもあらずという状況を考えますと、一つの選択肢を生保会社にも、また保険契約者にも与えるということの方がいいのではないかと。
 もちろん、破綻して、それでも困らないと、プラスになる契約者も中にはあると思います。しかし、そうでない人もいると。だから、保険会社も、こういう予定利率を下げるという状態に陥るということは、他の保険会社もあるわけですから非常に危険な面もあるんですね。契約者との信頼関係を失うと。言わばどちらがいいかというのは、保険契約者にとっても大きな危険を伴う。また、保険契約者の場合にとっても、反対の場合は、一定の数があればそれを認めないということもできるわけでありますが、いずれにしても、選択肢を与えると。この選択肢というのは望ましい選択肢ではありませんけれども、全体のことを考えるとそういう選択肢があってもいいのかなと。
 非常に保険会社にとっても契約者にとっても悩ましい問題でありますが、こういう法案を準備して一つの歯止めを設けておくということに私は意義があるものと思っております。
#44
○円より子君 選択肢とおっしゃいましたけれども、例えば、確かに、もし生保が予定利率の引下げを行おうとして申請しますと、総理が三か月の解約停止をすぐなさいますよね。その後で、例えば、今おっしゃったとおり異議申立てもできるわけです。
 その異議申立てに十分の一以上の異議申立てがあれば、せっかく申請しても予定利率の引下げは行われないということになりますが、選択肢、選択肢とおっしゃいますが、人々が選択をするというときには必ず十分な判断材料がないと駄目ですよね。その十分の一の異議申立てのときにも、あなた、これは、うちがわざわざ予定利率の引下げを申請したということは、破綻よりも破綻前の予定利率引下げの方が必ず契約者保護になりますから申請しておりますというふうなことになるわけで、そういうふうにもし余り十分な情報がなくて言われた場合は、当然、十分の一以上も異議申立てするなんということはあり得なくなってしまうということも考えられます。
 そのときに、じゃ、だれがそういう判断の基準を示すのかというときに、それが生保の人だったりとかということになったり、いろいろ新聞情報、週刊誌情報もあるかもしれませんけれども、三利源の公表とかそれから将来収支の公表とか、こういうことを一切やっていなくて、今おっしゃったように、こっちの会社がいいかな、あの会社がいいかなというのは、これから新規契約する方はかなり今いろんな情報があって御存じでしょうけれども、もう既に契約してしまっていて、例えばある生命保険のはもう全部保険金を払ってしまったと、そういう人だっているわけですよ。それを、そこのがカットされるかもしれない。そして、もう六十とかになっていれば、解約をしてほかの生保に行ったってもう契約もできないという人たちだってたくさんいて、選択肢の幅というのは物すごく狭められているわけですね。だから、選択肢があるあると総理がおっしゃると、逆に大変な誤解を与えてしまう。
 それよりは、生保に対してきちんと、三利源の公表もしなさい、将来収支の公表もしなさい、そしてリストラをこれだけやりました、持っている資産の売却もこれだけやりました、経営者責任もこれだけやっています、もう全部そういうことをやらないでやっぱりやるというのは契約者だけに負担を強いる行為であって、私はおかしいと思うんですね。
 ですから、衆議院の質疑のときにも国民にしっかり説明をしなきゃいけないと総理はおっしゃっていますけれども、全然そういうしっかりした説明が、その情報が行くように私はなっていないと思うんです。このことが一つ。
 それからもう一つ、じゃ、人々は選択肢があると言われるけれども、元々、そんな株が下がってこんなことにならなかったら、もっと経営ちゃんとやっていてくれたら、私が入っていた生保がこんなカットされるようなことにならなかったはずだという、そういう思いがあって、破綻か予定利率の引下げかという前の状況をちゃんとやってほしいと思う人が圧倒的に多いわけで、じゃ、なぜ今ごろになって契約内容を変更しなきゃいけないのか、その理由も分からないとおっしゃる方が多いんですよ。
 契約内容を変えていいと言えるだけの事情の変更があったんでしょうか。生保は別に危機ではないと、ずっと皆さん言い続けられたんですよ。危機じゃないんだったら、わざわざ今契約者だけに負担を求めるようなこんな法律は、私は、使わないで済む、よく総理がおっしゃる備えあれば憂いなしとかという、それだと思うんですけれども、備えさえしておけばこれは使わないで済む、いざというときのためなんだとおっしゃると思うんですが、でも、そのことと、人々に逆に大きな不安を与えることと、どちらがリーダーにとって大事かということだってお考えにならなきゃいけないと思うんですね。
 今そんなに、私は、人々に物すごい不安感と絶望感を与えてまでこの契約条件の変更をして備えをするほどの必要性は私はないと思います。
#45
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) そういう御意見も私は理解できます。
 先ほど申し上げましたように、望ましい選択肢ではないと。予定どおり行われれば、これ一番いいことだと思うんであります。しかし、これが破綻していいのかどうかと。破綻よりは予定利率下げた方がいいという人もいるし、いや、中には破綻して結構だという人もいると、先ほど申し上げたとおりであります。
 生保会社にしても、当然必要な情報というものを契約者には分かりやすい形で示す必要がありますし、さらに、経営努力といいますか、経費の問題についても見直す必要がある場合が多いと思います。いかにコスト削減を図るか、さらには、こういう厳しい状況におきましても、魅力ある商品をどう開発したらいいかという努力もしていかなきゃならないでしょう。あるいは、このような契約を変更する、変更せざるを得ないような状況に陥った場合に、今の会社やっていけるのか、ほかの生保会社と協力して、契約予定利率を変更しないでほかの会社の協力を求めながらやっていく場合ということも生保会社としては考えるかもしれない。
 いずれにしても、これは契約者のみならず会社にとっても、こういうことを、予定利率を引き下げざるを得ないという場合には、自らの会社の信頼性にかかわる問題ですから、非常に苦渋の決断だと思うんですね。
 その中で、契約者の理解と協力を得るためにどのような経営政策上の配慮が必要かということは、その生保会社独自の判断にも大きくかかわってくると思います。契約者の信頼を得れるように事前に十分な情報提供を与えるのは、私はこれは必要だと思います。
#46
○円より子君 総理の一番最初に、予定どおり行われれば一番いいと思うと、それは何が予定どおり行われればということだったんでしょうか。
#47
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 契約した予定ですね、契約どおり履行されれば、これは一番いいということでございます。
#48
○円より子君 それでは、今のお答えの中でおっしゃっていた経営者の独自の、生保の会社の独自の判断でということがありましたけれども、私は、こういう予定利率の引下げの申請を仮にする会社があって、そして解約停止があってということがあっても、その後、解約が殺到してとか、そして新規の契約者もなくなって、またそれが破綻するかもしれませんよね。とにかくかなりの大騒ぎになってしまうかもしれないというような、こういう大騒ぎになりかねないようなことを個別生保の判断にゆだねるということは結構無理があると思うんですね。国民に安心感を与えるのが、先ほどから言っておりますけれども、政治の責任でもあり、そしてまたこの免許を与える行政の仕事だと思うんですが、その辺についてはいかがですか。
#49
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、経営者の判断に大きくゆだねる、ゆだねられる面が多いいんですが、政治全体としては、経済情勢をいかに好転さしていくか、あるいは社会保障制度等において将来持続可能な、不安ない制度にしていくか、そして現在の金融に対する不安状況を全体としていかに解消していくかと、そういう点について政治としては十分配慮しなきゃならないと思っております。
 また、円委員御指摘のように、もし一生保会社がこのような予定利率を引き下げようという挙に出ようとした場合、ほかの生保会社もあるわけですから、予定利率を引き下げる必要ないという会社もあると思います。当然、激しい生存競争も生保会社の間の中で行われているわけですから、相手が、相手といいますか、同じ同業者がそのような状況に陥った場合、自らの健全性あるいは有利性をより多くの国民に分かるような対策をして、新たな新規契約者の獲得に努める生保会社も出てくると思いますね。
 ですから、これは、もしある保険会社がこの予定利率を引き下げようとした場合には非常な危険が、会社にとってですよ、その引き下げようという会社にとっても、これはまずいなと。結局、破綻に近いような状況に陥るのではないかという危険を覚悟してこの予定利率引下げを知らせなきゃならない。
 ですから、これは、できたら使わないで済むような状況になれば、私はその方が望ましいと。その前に、もしそういう余儀なく、予定利率引下げを余儀なくされるような場合にはいろんな、その生保会社は、他の会社との協力とか、ほかの方の協力を得ようとして必死の努力をすると思うんですよ。結局この法律を使わないで済むという状況になれば、それはそれで私はいいことではないかなと思います。
#50
○円より子君 この法律がなくても各生保会社はそういう経営努力を当然するべきだと思いますし、それから、まず、総理がおっしゃったように、もし申請などしたら、逆に破綻するかもしれないという、そういう危険もありますから、まずほとんど使われないだろうと公聴会でも参考人質疑でも言われているわけですね。そうしたら、先ほど言いましたように、人々に不信感や不安感や絶望感や老後設計がどうなるのかというような思いをさせるよりも、作らない方が私はずっといいんじゃないかというふうに思うわけです。
 それで、先ほど質問しました、契約内容の変えていいと言えるだけの事情の変更があったのかという御質問にちょっと答えていただけていない。つまり、経済有事なのかと、今ですね。もう一度、なぜこれが必要なのかという経済状況について、金融状況についてお話しいただけますか。
#51
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、高度経済成長の時代と違って、常に物価は上がる、土地は上がる、金利は上がると、経済成長は必ずプラスになるという状況と様変わりになってまいりました。
 私も狂乱物価の時代に初めて当選してきた議員であります。物価を下げるということが主要な政治・経済課題でした。物価が下がる時代、土地が下がる時代、ましてこのようなデフレの時代が来るとは私は想像していませんでした。がしかし、現実にこういうデフレの状況が来ている。物価が下がればいいなと思っていた人も、土地が下がればいいなと思っていた人も、今、物価を上げろ、土地を上げろと、これが政治の大きな課題だと、経済の一番大事なことはデフレ克服だと、物価を上昇させることだという時代になっているわけですから、正に様変わりです。
 こういう状況になるということは、今これだけ世界経済、各国との距離が狭まって、一国の事情だけで政治、経済が論じられないほど世界全体の中で日本も動いているんだなと。それは各国も同然であります。労働力にしても賃金にしても、一国だけで成り立つような状況じゃない。そういう中で、生保会社もこの現実の経済状況を判断して、いかに変化に対応するかというのがそれぞれの会社に求められると思うんであります。
 今の金利の低下も、これまで金利が低下するとは思っていなかったからこそ、かなり高い金利の前提の下に保険契約していたわけですから、そういう状況というのは、非常に難しいというのは事実でありますが、政治として今の状況を少しでも好転できるように改革を進めていくのが私どもの責任だと思います。
#52
○円より子君 どうもこの保険業法の予定利率引下げをわざわざ出すほどの生保の危機というのは、ないないとおっしゃっていますが、本当はあるのかもしれませんが、ちょっと今のでは、全体のお話は分かりましたが、感じられなかったんですね。
 一つは、いつも物価が上がっていたのが、上がっているときは下げろと言い、下がったら上げろと言いと、総理はこの前の予算委員会の私の質問のときにもおっしゃいましたが、もちろん、自分のお金で買った人がそれがただ下がるんだったらいいんですけれども、銀行から借りて、そして土地を買ったりビルを買ったりというときに下がったときに物すごい問題が今起きているのであって、単純な、上げたのが下がったらいいとか、そういう問題ではちょっとないと思うんですね。
 このお話していると時間がなくなるので、一つだけ最後に。
 逆ざやの問題でこれが起きていますけれども、現実には、利差損、もちろん利差益出ていませんけれども、利差損も減っておりますし、死差益は逆に利差損よりもずっと多くて、年々増額しているわけですね。それは全体の生保のでは出ていますが、各生保のが全くそういったものが出ておりません。
 先ほど言いましたように、人々が情報をきちんと持って判断して、選択していく上に大変重要なことです。この三利源の各生保ごとの公表というものを是非お約束していただきたいんですが、いかがでしょう。最後にそれで終わります。
#53
○国務大臣(竹中平蔵君) ちょっと細かい話ですので。
 情報の公開は重要だと思っております。御承知のように、契約者の理解を得なければこの予定利率の引下げはできないわけで、そうした中で経営者の方でいろんな判断をなされるものであるというふうに思っております。
#54
○円より子君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#55
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸です。
 予定利率の引下げ、それをする法案なんですけれども、これについては一昨年の金融審議会でも随分問題にされました。そこで、座長報告としてまとめられたところを見ましても、もうともかく、契約条件変更という、いわゆる契約の一般原則、その一般原則から認められないことをやるんだから、これはもう十分に国民の理解を得られるものでなければいけないと、納得してもらわなければいけないということになったんですね。そこで、パブリックコメントを掛けてやったところが、圧倒的多数反対だったから、これはもう実施するのをやめようということで、一昨年はこれはもうお蔵入りになった。これは審議の中でも明らかにされてきました。それが今度はまた、またぞろ予定利率の変更というこの法案が出されてきたわけです。ですから、国民の納得を得られなければいけないという点では大方のコンセンサスを得られているんですね。
 衆議院の論議を見ましても、与党の議員、自民党の議員からそのことを総理に対して質問されています。私、それをちょっと読ませていただいたんですけれども、衆議院の財務金融委員会で自民党の上川議員が総理に、国民の理解を得られたのかと、得られているのかと、こういうふうに質問しておられますね。それに対して総理はこう答えておられるんですね。「いろいろ予期せぬ出来事に対して対応しなきゃならないのも、国も企業も準備しておかなきゃならないと思います。」と。「そういう意味において、今回、このような法案を提出したわけでございますが、それぞれ予定のとおりいけば、これは問題ないわけでありますが、予期し得ない変動が起こった場合にどう対応するかという法案でありますので、この点はよく御理解いただけるように、今後も努力する必要があると思っております。」と答えておられるんですね。
 ここでおっしゃっている「いろいろ予期せぬ出来事」、「予期し得ない変動」、これは総理、一体どういうことを考えておられるんでしょうか。
#56
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 予期せぬことを予期しろというのはなかなか難しい問題だと思いますが、予期し得ない状況というのは、生保会社にとってみればいろいろあると思います。というのは、変なうわさが立ってどんどん解約が出てくると、あるいは自らの経営努力の足りなさといいますか、怠慢によって予定していた経費の削減もできない、あるいは契約者を獲得するような信頼もかち得られないと、新たな商品を展開したけれどもなかなか魅力的だと思って受け取ってくれないと、いろんな予期せぬ状況は起こり得ると思います。
 それだけに、経営者の判断というのはこういう厳しい状況におきましては大変重要だと思うんですが、そういう予期せぬ事情によって自らの会社が危なくなってきたと、あるいはなかなかうまくいかなくなってきたという状況において、やはり今までの予定利率を下げない限りは破綻しかねないと、そのときにどう判断するかだと思うんであります。
 そういう際に、多分多くの国民からは理解を得られないでしょう。何で今まで決めた契約どおり履行できないのか。しかし、仮に予定利率を下げることによって破綻を免れると、そして契約者にも理解を得られるという判断をされた場合には、そういう会社も出てくる可能性はあると。その場合に、また、これまた予期せぬ出来事でそういう予定利率を下げた場合に、予期以上に不信を買って立ち行かなくなる可能性がないかといえば、今の段階で私はそんなことはないとは言えない。それは経済情勢、経営者自身の信頼、会社における信頼にもかかわってきますから、これはなかなか予期せぬことを予期しろというのは難しい状況でありますが、いずれにしても、これは望ましい選択肢ではありませんが、こういうことができるという法案である。あと、するかどうかというのは、契約者と保険会社との関係が非常に重視されるということだと私は思います。
#57
○池田幹幸君 私、トータルで十五分しかありませんので、できるだけ短くお答えいただきたいんですが、予期せぬ出来事とか、予期しない変動というふうにおっしゃっているものですから、その経営者の経営がまずかったというふうなことじゃないと思うんですね、考えておられることは。
 それで、それは何ですか、いわゆる天災、天変地異とか、株が暴落したとか、そういったことも予測しておられるんですか。そういったことも考えておられるんですか。
#58
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 株価の変動も当然あると思います。生保会社によっては、株の収益によって経営を維持していこう、あるいは予定した利率を確保していこうという会社も多々ありますし、株価にどの程度依存しているかによっても違うと思います。そういう点から、株価のみならず、金利という面もこれは変動要因として考えなきゃならない。同時に、世界経済、今のように世界各国との相互依存体制が非常に強まっている時代におきましては、一国経済のみならず他国の経済状況によっても左右される面が非常に大きいと。
 やっぱりいろいろ変動要因はあると思います。そういう変動要因を予期しなきゃならないというのは、政治でもそうですが、経営者にとってもそうだと思います。時代を読むといいますか、変化に対応する。
 予定利率を引き下げる会社が出たとしても、下げないでいいという会社も当然たくさんあるわけですから、これは現在の生保会社の優劣にも影響してくると思います。これは、いかなる厳しい状況においても業績を上げ得る企業はある、あるいは上げ得ない企業もあるというのと似ておりまして、それはすべて同じというわけには私はいかないと思います。
#59
○池田幹幸君 どうも総理、この法案を出された意味が、委員会でずっと審議してきた話と今の総理の答弁とは違うんですね。
 というのは、株の暴落とかあるいは天災とか、そういったものは予期し得ぬこと、その予期し得ぬことを考えるから保険というのがあるわけですよ。ですから、今おっしゃった予期し得ぬことに備えてというのは、元々ソルベンシーマージンというものでカバーをしてやっているわけでしょう。
 今度の法案というのは、そうではなしに、五年以内に通常の予測を超えるようなことが起こっても経営は大丈夫だ、そんなことはもうちゃんとソルベンシーマージンとして計算して織り込んでおると。問題は、逆ざやによって長期に見て破綻する蓋然性が高い生命保険会社、これが対象になるわけでしょう。五年以内に倒産するようなところは対象じゃないんですよ。五年以内に倒産するおそれがあるというようなところについて対象にしているんじゃなしに、今、大丈夫だとおっしゃった、ソルベンシーマージン大丈夫だと。しかし、もう長期に見て逆ざやになって破綻の蓋然性が高い、そのために予定利率を引き下げてよろしいよという法律出すわけですから、今まで長く審議をしてきた、金融庁が主張してきたことと今総理のおっしゃったことと全く違うんですよ。
 もし総理がおっしゃったような法律だということであるならば、この法律はおかしいとなるわけです。どっちが正しいんだと。──いやいや、もういいですよ。総理。
#60
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、予期せぬ出来事はあり得るということを申したわけでありまして、金融庁の今のこの法案と決して矛盾するものではないと思っております。予期しないことに対応しないことがあるのかというお尋ねでしたから、それはなかなか難しいことでしょうと、今までの状況から考えてみても、予期しない出来事はいろいろ起こり得るという一般論を申し上げたわけでございます。
#61
○池田幹幸君 全く違うじゃないですか。
 五年以上先、十年先、十五年先見て、要するに予定利率引き下げなければほかのいろいろなことをやっても破綻の蓋然性が高い、そこに対して予定利率の引下げを認めるというんですよ。長期にわたって予期をして、予期した上で破綻の蓋然性があるというところに対して予定利率の引下げを認めようというものですから、全く違うんですよ。
 予期しない事態が起きるんじゃなしに、予期しない事態というのはもう今の保険でソルベンシーマージンだ何だやっているんですよ。一定程度のものについては責任準備金という制度があるわけです。それを超えたやつについてはソルベンシーマージンやっているわけでしょう。予期し得ないことじゃなしに、この法律は十分、十年先、十五年先を見通して、予期することができるものについてのみ予定利率引下げを認めようというわけじゃないですか。全く違うじゃないですか。
#62
○国務大臣(竹中平蔵君) 総理御答弁されたとおり、矛盾はないと思っております。
 基本的に、ちょっと細かいことかもしれませんけれども、まず五年以内というふうにおっしゃいましたけれども、これは五年、十年というふうに期限で決めているわけではありません。これは御承知のように、これはほかの代替的手段があるかどうかというところで判断をしているということになります。
 我々はそういった意味での破綻の蓋然性があるかどうかということをもちろんチェックするわけでありますけれども、しかしその場合に、そういったものが構造問題、逆ざやという構造問題によって非常にいろんなショックに対して脆弱にというか、そういう体質になっていくというところに問題があるわけで、総理は、様々なショックがあり得るから、そういったことに備えてしっかりとした基盤を作らなければいけないということを総理、指摘しておられるわけでありますから、これは我々が今まで主張してきた、それ以外に選択肢がない場合にはやはりやむを得ずやるんだということとこれは矛盾はしていないというふうに思っております。
#63
○池田幹幸君 全く矛盾しているじゃないですか。
 予期し得ないことが起きた場合には、元々は保険というのはそういうものなんですよ。予期し得ないことが起こるからこそ保険業というものが成り立っているわけです。それに備えてわざわざ保険金を払ってやっているわけです、国民は。それに対してはきちんと法律を作って、責任準備金とかソルベンシーマージンということで対応しなさいよとなっているわけだ。
 それが、十分対応しているそういう生命保険会社が、五年先には十分大丈夫ですよ、しかし十年先、十五年先は、これはもう予定利率引き下げなければやっていけないという、そういう蓋然性があるところについてのみこれ認めるというんじゃありませんか。予期し得ないことじゃないんだよ。だから、全く法律分かっていないということになりますよ、総理は。
#64
○国務大臣(竹中平蔵君) それはちょっと違うと思いますよ。
 これは、様々なショックというものが常にあって、そのショックに耐えるような財務基盤を常に持っていかなければいけないということになるわけですね。これはショックはいろんな場合にあり得ます。今の時点で、その支払能力に関してはソルベンシーマージンの比率で我々は早期是正の措置を講ずるわけでありますけれども、我々が持っているそのショックに対する対応力が将来にわたってどうなっていくかというところに問題があるわけです。
 それに対して、このショックに対する対応力が弱くなっていくということは、これは正に将来に対して破綻の蓋然性が高くなっていくということでありますから、そうした問題に対して我々は、将来収益まで見通した上で、今回の、必要な場合には措置を取るということを申し上げているわけで、それは総理がおっしゃった様々なことがあり得る、ショックがあり得ると、これは全くそのとおりであって、そうしたことを勘案しながら我々はこの法案を御審議をいただいてきたということでございます。
#65
○池田幹幸君 違うんですよ、それは。全く違う。
 いろいろなショックに対しては十分対応できるんだ、予定利率さえ引き下げれば経営はちゃんとなっていくということ、だから予定利率引き下げようというんでしょう。いろいろなショックへの対応ができるわけですよ。そういうことをやっても、やっても予定利率を引き下げなければやっていけないから引き下げるというんでしょう。
 あなた言っているの全く違うじゃない。今まで説明してきたことと全く違うんだな。そうでしょう。予期せぬ出来事じゃないんですよ。十分予期した上で、十分予期した上で、いろんなことも全部予期した上で、予定利率だけ引き下げなけりゃもう駄目だ、そういう蓋然性があるんだということを口酸っぱくしてあなた言ってきたじゃないですか。全くそんなのおかしいですよ、今の。
#66
○国務大臣(竹中平蔵君) 繰り返し申し上げますが、それはちょっとおかしくないと思いますよ。
 つまり、いろんなショックが起こり得ます。そのショックを吸収できるような力を常に持っていなければいけないわけですよ。そういったショックを吸収できるような力を常に持っているかどうかということを現時点ではなくて将来にわたって展望して蓋然性を判断するというのが今回の法律の趣旨です。これは我々が一貫して申し上げていること。
 総理は、このショックについて、このショックはいろんなことがあり得る、だからそれについてしっかりとした基盤を持っていかなければいけないということで今総理おっしゃっているわけでありますから、これはこの法案の趣旨と全く矛盾していないのではないでしょうか。
#67
○池田幹幸君 時間がなくなりました。ほかのことをやろうと思っていたのができなくなってしまったんですが、大体、その予定利率を引き下げなければほかいろいろなことをやっても駄目なんだという、そういう蓋然性を判断するんでしょうが。蓋然性、その可能性が高いということで判断して予定利率引き下げてよろしいということをやるわけですよね。ほかのことについてはいろいろやれば対応できるんですと、できるんですという判断をするわけですよ。予定利率を引き下げなければ、これさえやればもう十分やっていけるんですということじゃないですか。
 だから、もしあなたがそんなこと言うんだとすれば、もし本当にそこをやろうとすれば、ソルベンシーマージン比率が実態に合っていないからそれを引き上げようとか、責任準備金についてはもっと高くしようとか、そういうところに移っていかざるを得ないじゃないですか。言っておられることは全く違うということを私指摘して、もう時間なくなりましたのでやめます。
    ─────────────
#68
○委員長(柳田稔君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、西田吉宏君及び若林正俊君が委員を辞任され、その補欠として森元恒雄君及び野上浩太郎君が選任されました。
    ─────────────
#69
○平野達男君 国会改革連絡会の平野でございます。
 今日は、総理、財政金融委員会にお越しいただきましてありがとうございます。感謝を申し上げながらこういう質問をするのはなんですが、なぜ保険業法の一部改正という特定の法案に限ってこの財政金融委員会に御出席いただいたのか、これについて最初ちょっと御質問したいと思います。
 この法律が非常にいい法律で、この法律がないと竹中財政運営、経済運営、金融運営に致命的な問題が生じる、だから是非これを通してもらわなくちゃ困るという、そういう決意で来られたのか、そういうこの法律に対する評価で来られたのか。しかし、どうも先ほどの御答弁聞いていますと、いろいろこの法律の矛盾点を、問題点を的確に指摘されているような気がします。そこから推察しますと、どうも竹中大臣と金融庁がどうしようもない法律を出したと、出して今、野党にごんごんたたかれていると。だけれども、出したけれども取り下げるわけにいかない、何とか、私が来たから、私の顔に免じてこの法律を通してもらいたいと、そういう人身御供のようなつもりでこの財政金融委員会に出席されたのか。
 平たく言えばこの法律に対する評価なんですが、まず冒頭、ちょっとそのことについて総理の御見解をお伺いしておきたいと思います。
#70
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 率直に申し上げますと、私、衆議院で最初に呼ばれたときに、竹中大臣が出席しているのに何で私、出なきゃならないんだという気持ちはありましたよ。しかし、国会の指示に従うのが私の責任でありますので、委員会から総理出席しろという指示が出た限りは、それに欣然としてという状況ではありませんが、整然と従います。
 この法案は必要でありますので、出席して御理解を得ようということで、指示に従い出席したわけでありまして、御理解を、御協力いただければ大変有り難いと思います。
#71
○平野達男君 私も総理に来ていただくことを要望した立場ですから、さっきの質問はちょっと意外に思われたかもしれませんが、しかしやっぱり今回の法律は、決して胸を張ってこれがなければ絶対日本の経済がおかしくなるというような法律ではないんじゃないかというふうに思っていますので、今のような質問をさせていただきました。
 それで、先ほどの池田委員の質問を聞いていてちょっと思ったんですが、ちょっと関連して質問しますが、池田委員の発言を踏まえますと、総理も予期しないことがたくさんあると、先ほどのいろんな答弁の中でも、こんなデフレの状態になることはなかなか想像していなかったというふうにおっしゃいました。つまり、経済の状況を見通すというのは非常に難しいということをおっしゃったんだろうと思います。
 ところが、この法律は、現時点では保険業の継続が困難である蓋然性ということからスタートしているわけです。その脈絡でいきますと、先ほど五年とか十年とかといろいろ池田委員はおっしゃいましたけれども、ある程度中長期的な見通しに立っての会社の存続性を判断するわけです。その判断する段階で、株価の動向でありますとか利子率の話とかあと契約率とか、いろんな状況を勘案しながら判断すると言っておるんです。そうしますと、先ほどの総理の答弁からしますと、実は蓋然性自体を判断することが実に非常に難しいことではないか、そこにこの法律のそもそもの矛盾があるんじゃないかということを多分、池田委員もおっしゃりたかったかと思うんです。どうも議論がかみ合わなかったと思うんですが。
 実は、私もこの蓋然性という言葉に完全に取りつかれてしまいまして、この委員会で蓋然性って何だ何だということでずっと聞いてきたんですが、いまだにしっくりとした答弁をいただいておりません。
 私の聞きたいことは、そういった、正に総理が認められている中長期的な経済の見通しなんか分からない、予期し得ないことがたくさんありますという前提で何で蓋然性が分かるんだ、判断できるんだという根本的な御質問をちょっとしたいと思うんですが、どうでしょうか。
#72
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、蓋然性判断するというのは非常に難しいと思います。このような低金利を予測し得たら、予定利率なんか下げる必要ないんですから。しかし、想像し得なかった公定金利が続いているから今、利率を下げなきゃならない状況に陥るかもしれないという状況が出てきたんだと思います。
 これも、考えてみれば、予期し得ないような状況が生まれてきたなということだと思いますので、その蓋然性の理論を広げていきますと、それはもう可能性ですから、一%の可能性と九九%の可能性、一%の可能性というのは、ほとんど起こり得ない。九九%の可能性というのは、まず確実に起こる。その中で間の五〇%前後に境しての判断は実に難しいと思います。
#73
○平野達男君 答弁自体は大変苦しい答弁にならざるを得ないと思いますね。とにかく蓋然性の判断なんか多分だれも正確にできないんだろうと思うんです。ただ、この法律の最大の問題は、そういう可能性というはっきりしないものに対して予定利率の引下げだけは下げるという事実を固定してしまうんですね。負担だけは取ってしまうという。で、それに対してチェックする仕組みがまだできていないという。この以降の話になりますと法律の具体的な中身に入ってしまいますから総理に対する質問にはしませんが、そういう問題、大きな問題があると思います。
 それで、ついでに、ちょっとこれは通告申し上げませんでしたけれども、これ、契約者保護と言っています、このスキームがですね。総理、本当にこれ契約者を保護する今回スキームだと思いますか。御答弁、簡単でいいですから。
#74
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、破綻した場合と予定利率を引き下げた場合、どっちが有利か不利かという問題になってまいりますから、その選択肢の面において契約者の一定の水準の反対があったらできない状況でありますので、私は契約者保護と言っていいのではないかと思います。
#75
○平野達男君 今、理由と結論の間がちょっと離れていたような気がするんですが。
 いずれ、今回のスキームは、契約者が自ら予定利率を下げて破綻を防ぐための負担をするんですね。だから、負担することによって破綻の危機を回避するわけです。そうしますと、一義的には契約者保護じゃないんですね。契約者の負担による会社保護なんですよ。その結果として契約者の保険金が破綻したときよりは損害を免れるという、こういうスキームなんですね。その間をかっ飛ばして、何かあたかも要するにこのスキームが全部保険契約者に対して有利なような、そういう大きな言葉のすり違えをここでしているんじゃないかというふうに思うんです。
 これは、一義的に言えば、先ほど言ったように契約者が負担をしていますから、負担をすることによって何が起こるかということからすれば、会社そのものの存続ということにおいては、これはもう会社保護というのが一義的な目的になってくるんじゃないかと思うんですが、竹中大臣、簡単でいいですから、コメント、ちょっとお願いします。
#76
○国務大臣(竹中平蔵君) 御指摘のように、清算してしまわないで、清算する状況に持っていかないで、ゴーイングコンサーン、継続企業としてやることによって結果的に契約者の利益になるはずだと、そのような考え方に立っております。その過程において、会社を存続させるんだから会社の保護だと言うのは、むしろこれは逆に、会社を保護するためにこの法律を作っているわけではありませんで、会社を保護することによって、会社を継続させることによって契約者を保護するという我々の明確な意図がありますので、その辺は我々もきちんと説明をしてきたつもりでございます。
#77
○平野達男君 そういう説明をしてきたかどうかは別として、法律の条項の中に契約者保護という言葉があるんですね。そうしますと、恐らく普通の契約者あるいは一般国民は、その言葉だけで、今まで預金者保護とかなんとかということで使ってきました、その類推で今回のスキームを推察するかもしれないんです。
 ところが、繰り返しますけれども、きちっとした負担を求めていますから、これは、会社を保護する、そして自らの保険金を自分の力で守るという、ある意味では自助の制度なんですね。これは総理の好きな言葉だと思うんですが。だけれども、単なる自助じゃなくて、これをしなければ会社が破綻するという脅迫を掛けられていますから、これは脅迫下における自助制度というふうに私は勝手に言っておるんですが、そういう制度ではないかと思います。
 まだまだたくさん言いたいことがございますけれども、これ、自治制度という言葉を使っていますけれども、全然その自治制度とも実態離れています。今回のやつは、契約者保護とかそういった言葉遣い、それから自治といって実態と懸け離れている、そういった言葉の言い違いが、すれ違いを入れながら実態を隠そうとしているんじゃないかという、ちょっとこれは言い過ぎかもしれませんが、若干の悪意さえ感じます。いずれ、そういった問題の法律であるということを強く申し上げたいと思います。
 さらに、小泉総理に最後にもう一つお願いがございますけれども、また引き続き、こちらでお願いした場合には、先ほどのような質問はしませんから、財政金融委員会から来てくださいという御要望があった場合は快く来てくださるようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#78
○大渕絹子君 御苦労さまでございます。大渕絹子でございます。
 総理、私たちが法律を作る、あるいは内閣総理大臣として法律を提案をするときに、だれの利益を願って出しておられるんでしょうか。
#79
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 国民全体の利益、これが一番重要な視点だと思います。
#80
○大渕絹子君 私もそう思います。法律は国民全体の利益を一番優先をして作るべきだという主張の下で作るのが原則だとすると、今回の法案は非常にそこが分かりづらいところになっているというふうに思います。
 保険会社と国民との間の民と民との契約を法律によって、契約不履行をしてもいいという法律を今私たちは作ろうとしているわけですよね。本当に国民全体の利益を守るための法律なのかどうかというところ、本当に疑問です。
 ずうっと長い間、この場所で審議をしてきましたし、その様子も見てまいりましたし、今日、総理のほかの同僚議員との質疑を見ておりましても、そこのところが私はすとんとは落ちないのですけれども、この法律によって更に日本の生保産業そのものの信頼が失墜をし、それでなくても、もう今年の三月期では外資の生命保険会社が契約保有高トップに躍り出ているという状況が起こってきて、日本の国民の契約の主体というのは変わってきていますよね。求めるところが違ってきている。
 そういう状況の中で、生保産業全体の信頼を失墜をさせていくような法律を私たちの手で作ることによって、生保産業そのものが外資の手に渡っていくというような懸念は、総理は持たないのでしょうか。私はそれを非常に懸念をします。生保産業をこれからもしっかりと育成をし、日本の国民がそちらを選ぶような状況を作って、日本の産業育成とか、あるいは経済をきちっと立て直していくとかというために作られるのが法律の本質だと思うのですけれども、そこからも離れていくように思えてならないのですけれども、いかがでございますか。
#81
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私は、外資がこの生保の分野に入ってくるのも、警戒するよりも歓迎すべきだと思うんですね。私は外資警戒論を取りません。むしろ、日本の企業にない新しい経営感覚、刺激を与えていると。
 外資が伸びているということは、それまで日本企業も努力が足りなかったという面も言えるんじゃないでしょうか。なぜ外資にいろんな契約者が入っていくのかというと、日本企業にない魅力があると思うんですね。あるいは、新しい商品、日本企業が扱っていない商品を展開しているかもしれない、あるいは経営者に対する信頼性もあるし、どこか日本の企業にはない一つの経営姿勢が好感を持って迎えられている要素もあると思います。
 いずれにしても、私は、生保の分野においても外資が入ってくるということについては、警戒よりもこれを刺激と受け止めて、この外資に負けないような魅力ある商品を開発しようとか、あるいは信頼を得ようとかいう姿勢を日本の生保会社も持ってほしいと思います。
 そして、この法案は、確かに、今まで予定した利率の下で契約していたのがそうでないという状況については、おかしいと契約者が憤慨するのも無理からぬことでありますが、それでは、破綻した場合と予定利率を引き下げた場合と、望ましい選択ではありませんが、一つの選択肢を与えるということについて、契約者保護ということが言えるのだと私は思います。もちろん、破綻して全然困らないという契約者も中にはいるでしょう。しかし、全体を考えると、破綻させるよりは予定利率を下げた方が将来を考えてプラスになる契約者もいるわけです。
 だから、望ましい選択肢ではないんですが、こういう一つの状況に備えて法案を整備しておくということについても私は意義があることだと思っております。
#82
○大渕絹子君 私が申し上げたのは、こういう法律の存在そのものが日本の市場の信頼を失墜をさせるのではないかという視点なんですよ。そこはちょっと答えていただけなかったと思うんですけれども。
 それでは、この問題から少し離れて、私は国会議員になるときに何を目指して国会議員になったかと申しますと、地域とかあるいは住んでいる状況によって生活格差というのが歴然として日本の社会にはあるんですよね。私は、底辺で暮らしてきているところから出てきていますので、その生活格差を何とか政治の場所で是正をしていきたい、そのためにここの場所に立っています。
 総理は国会議員になられたときに何をしたいと思ってなられたんですか。
#83
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは、時代が変われば制度も変えていかなきゃならない、日本が引き続き平和のうちに発展、成長、繁栄できるように自分の力を役立てたいと思って政治家になる決心をして今日に至っているわけであります。その考えに今も変わりはありません。
#84
○大渕絹子君 私は、その生活格差を是正するために最も必要なものというのは何だというふうに考えてきましたけれども、やっぱり税制の在り方、富の再分配を税制によって上手にやっていくことが政治の本来の姿であるというふうに思っているんですよ。その富の再分配をより有効にするための税制の確立ということをこの間もずっと考えてきましたけれども、実際の日本の政治の状況というのはそれとは違う方向に今流れてきていて、消費税を始めとする間接税が非常に大きな幅を占めるようになってきている。そのことは、私が求めてきた、いわゆる貧富の差ですよね、富める人と貧しい人たちの格差を是正をしていくということからすると、離れていってしまうというふうに思っていて、非常に危惧をしているんです。
 それに、あわせて、総理は自分の在任期間中は消費税は上げないという、こういうことを発言をしていますけれども、その発言の真意は一体どこにあるのですか。
#85
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現在の状況は、いかに税金の無駄遣いをなくすか、政府の役割というものを少なくして民間の活力をいかに発揮させるか、地方の魅力を引き出すかということが現在の小泉内閣の大きな課題でもあります。
 そういうことを考えますと、財源が足りないから消費税を上げようということになりますと、今の行財政改革の手綱が緩むと思うんです。少なくとも三年間ぐらいは消費税率を上げないで、徹底した行政改革、財政改革を行うことによってその行財政改革が更に進むんだと私は考えております。そういう観点から、私は、在任中は消費税率を上げない。ただ、政治家として、後の内閣のことまで縛ることはできませんから、これは次の内閣の判断であると。
 そして、私は別に消費税率がどこが適当だとかいうことを申し上げる必要はありませんが、消費税が悪だとも思っておりません。それは、ヨーロッパの諸国を見ても、日本ほど消費税を導入して低い税率を持っている国はないんですから。じゃ、日本よりも高い二けた以上の消費税率を持っている国が悪い国かというと、そうでもないですね。日本はむしろ消費税率を導入したヨーロッパの諸国の制度を見習いながら、ヨーロッパはいいけれども日本は駄目だということで国会でも盛んに議論が行われました。
 でありますから、私は、そういう消費税なり所得税なり法人税なりというのは単に税制だけで見るんじゃないと。税があれば財政で配分することが可能でありますから、これは税制だけで見るんじゃない、財政も考えなきゃならない。歳出だけで見るんじゃない、歳入も考えなきゃならない。両方見ないと、弱者切捨てだとか高額所得者優遇だとは言えないと思うんであります。税が高ければ、高額者に対して税が高ければ経済が発展するのか、あるいは弱者切捨てと言えるのか。そうでもない。やっぱり経済全体の活力を生かしていくことによって税収も上がっていきますから、そうすると配分の点を見なきゃいかぬ、税だけで見るんじゃなくて配分の点も見なきゃいけない、財政も見なきゃいかぬ、総合的な私は見方が必要だと思っております。
 そういう点において、私の今の内閣の方針におきましては、増税を考えるよりも徹底した行財政改革を考えるのが私の内閣の大きな責任だということから、私の在任中は消費税率を引き上げないということを言明しているわけであります。
#86
○大渕絹子君 私の希望したこととはちょっと違うというふうに思うんですね。生活格差を是正するためにどう税制があるべきかという観点から総理には考えていただきたいというふうに思っていたんです。
 総理が今、消費税は私の任期中は上げないと言っているのは、国民が消費税を上げることに対して非常に警戒をしている、そこを逆なでするように、私の任期中は上げないと言っておきさえすれば、自分の任期がずっと続いていくんじゃないですか。そこは本当にもう国民は見抜いていますから、そんなことはもうこそくな手段というふうに言わざるを得ないわけですけれども、消費税を上げることなどは考えていただかないで、是非是非国民の生活が安定で平和のうちに暮らせるように、総理が初心に返って政治家として対応していただけることを望みまして、終わります。
 ありがとうございました。
#87
○委員長(柳田稔君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
#88
○委員長(柳田稔君) 速記を起こしてください。
 暫時休憩いたします。
   午前十一時四分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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