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2003/03/26 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 内閣委員会 第4号
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2003/03/26 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 内閣委員会 第4号

#1
第156回国会 内閣委員会 第4号
平成十五年三月二十六日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         小川 敏夫君
    理 事
                阿部 正俊君
                亀井 郁夫君
                森下 博之君
                長谷川 清君
                吉川 春子君
    委 員
                阿南 一成君
                上野 公成君
                竹山  裕君
                西銘順志郎君
                野沢 太三君
                山崎 正昭君
                岡崎トミ子君
                川橋 幸子君
                松井 孝治君
                白浜 一良君
                山口那津男君
                島袋 宗康君
                黒岩 宇洋君
                田嶋 陽子君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣官房長官)
       (男女共同参画
       担当大臣)    福田 康夫君
       国務大臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (産業再生機構
       (仮称)担当大
       臣)       谷垣 禎一君
       国務大臣
       (経済財政政策
       担当大臣)    竹中 平蔵君
       国務大臣
       (規制改革担当
       大臣)      石原 伸晃君
       国務大臣     鴻池 祥肇君
   副大臣
       厚生労働副大臣  木村 義雄君
        ─────
       会計検査院長   杉浦  力君
        ─────
   事務局側
       事務総長     川村 良典君
       常任委員会専門
       員        鴫谷  潤君
   衆議院事務局側
       事務総長     谷  福丸君
   裁判官弾劾裁判所事務局側
       事務局長     天野英太郎君
   裁判官訴追委員会事務局側
       事務局長     高田 健一君
   国立国会図書館側
       館長       黒澤 隆雄君
   政府参考人
       行政改革推進事
       務局公務員制度
       等改革推進室長  春田  謙君
       人事官      佐藤 壮郎君
       人事院事務総局
       総務局長     平山 英三君
       人事院事務総局
       人材局長     石橋伊都男君
       人事院事務総局
       勤務条件局長   大村 厚至君
       国家公務員倫理
       審査会事務局長  平野由美子君
       内閣府政策統括
       官        山本信一郎君
       内閣府賞勲局長  佐藤 正紀君
       内閣府男女共同
       参画局長     坂東眞理子君
       原子力安全委員
       会事務局長    小中 元秀君
       警察庁刑事局長  栗本 英雄君
       総務省人事・恩
       給局長      久山 慎一君
       総務省行政管理
       局長       松田 隆利君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       外務大臣官房参
       事官       齋木 昭隆君
       外務省中東アフ
       リカ局長     安藤 裕康君
       文部科学大臣官
       房総括審議官   玉井日出夫君
       厚生労働省職業
       安定局次長    三沢  孝君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院審議官   薦田 康久君
   説明員
       会計検査院事務
       総局第四局長   重松 博之君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十五年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十五年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十五年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (皇室費、国会所管、会計検査院所管、内閣所
 管(人事院を除く)及び内閣府所管(内閣本府
 (沖縄関係経費を除く)、国際平和協力本部、
 宮内庁、警察庁))

    ─────────────
#2
○委員長(小川敏夫君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 この際、御報告いたします。
 去る二十日、予算委員会から、三月二十六日の一日間、平成十五年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費、国会所管、会計検査院所管、人事院を除く内閣所管及び内閣府所管のうち沖縄関係経費を除く内閣本府、国際平和協力本部、宮内庁、警察庁について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
    ─────────────
#3
○委員長(小川敏夫君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件審査のため、本日の委員会に政府参考人として、理事会協議のとおり、行政改革推進事務局公務員制度等改革推進室長春田謙君外十八名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(小川敏夫君) この際、国会所管及び会計検査院所管の予算の説明を聴取いたします。
 まず、国会所管のうち衆議院関係予算の説明を求めます。谷衆議院事務総長。
#6
○衆議院事務総長(谷福丸君) 平成十五年度の衆議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十五年度の国会所管衆議院関係の歳出予算要求額は六百八十三億七千六百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、六億三千二百万円余の減額となっております。
 次に、その概要を御説明申し上げますと、第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、六百五十五億二千二百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の事務を処理するために必要な経費であります。
 増加した主なものは、新議員会館建設に係る民間資金等活用事業調査経費及び民間資金等を活用した赤坂議員宿舎整備等事業費等でございます。
 一方、減少した主なものは、議員歳費、議員秘書手当及び職員の人件費でございます。
 なお、永年在職表彰議員特別交通費は、支給制度廃止により、計上いたしておりません。
 第二は、本院の施設整備に必要な経費でありまして、二十七億九千八百万円余を計上いたしております。
 この主なものは、本館変電施設、機械設備の中央監視装置、セキュリティー施設及び本館等庁舎の整備等に要する経費でございます。
 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度より四千八百万円増の五千五百万円を計上いたしております。
 以上、簡単ではありますが、衆議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#7
○委員長(小川敏夫君) 次に、参議院関係予算の説明を求めます。川村参議院事務総長。
#8
○事務総長(川村良典君) 平成十五年度参議院関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十五年度国会所管参議院関係の歳出予算額は四百二十億五千万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五億九千七百万円余の減額となっております。
 次に、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、国会の運営に必要な経費でありまして、三百九十六億四千五百万円余を計上いたしております。
 この経費は、議員関係の諸経費、職員の人件費並びに事務局及び法制局の所掌事務を処理するために必要な経費であります。前年度に比較し、五億三千五百万円余の減額となっておりますが、これは主として、人事院勧告に伴う人件費所要額の減等によるものであります。
 第二は、参議院施設整備に必要な経費でありまして、二十三億九千九百万円余を計上いたしております。これは、傍聴参観テレビ中継施設本体工事、本館変電施設改修、麹町議員宿舎電気施設改修及び本館その他庁舎等の施設整備に必要な経費でございます。
 第三は、国会予備金に必要な経費でありまして、前年度同額の五百万円を計上いたしております。
 以上、平成十五年度参議院関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#9
○委員長(小川敏夫君) 次に、国立国会図書館関係予算の説明を求めます。黒澤国立国会図書館長。
#10
○国立国会図書館長(黒澤隆雄君) 平成十五年度国立国会図書館関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十五年度国立国会図書館関係の歳出予算要求額は二百三十八億七千五百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二十三億九千二百万円余の減額となっております。
 次に、その概要を御説明申し上げます。
 第一は、管理運営に必要な経費であります。その総額は二百六億四千三百万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、五億六千六百万円余の減額となっております。
 これは主として、前年度に東京本館から関西館への資料移転が終了したこと等に伴い生じた減額によるものであります。
 第二は、科学技術関係資料の収集整備に必要な経費でありまして、九億七百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、一億円余の増額となっております。
 これは、科学技術分野の主な外国雑誌の電子ジャーナルを拡充するための経費の増額であります。
 第三は、施設整備に必要な経費でありまして、二十三億二千四百万円余を計上いたしております。これを前年度予算額と比較いたしますと、十九億二千五百万円余の減額となっております。
 これは主として、関西館の新営工事が前年度に終了したことに伴い生じた減額によるものであります。
 以上、平成十五年度国立国会図書館関係の歳出予算について御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#11
○委員長(小川敏夫君) 次に、裁判官弾劾裁判所関係予算の説明を求めます。天野裁判官弾劾裁判所事務局長。
#12
○裁判官弾劾裁判所参事(天野英太郎君) 平成十五年度裁判官弾劾裁判所関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十五年度国会所管裁判官弾劾裁判所関係の歳出予算要求額は一億一千九百七十六万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、二百七十六万円余の減少となっております。
 この要求額は、裁判官弾劾裁判所における裁判長の職務雑費、委員旅費及び事務局職員の給与に関する経費、その他の事務処理費並びに裁判官弾劾法に基づく裁判官の弾劾裁判に直接必要な旅費及び庁費であります。
 以上、簡単でありますが、裁判官弾劾裁判所関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#13
○委員長(小川敏夫君) 次に、裁判官訴追委員会関係予算の説明を求めます。高田裁判官訴追委員会事務局長。
#14
○裁判官訴追委員会参事(高田健一君) 平成十五年度裁判官訴追委員会関係歳出予算について御説明申し上げます。
 平成十五年度国会所管裁判官訴追委員会関係の歳出予算要求額は一億三千四百六十五万円余でありまして、これを前年度予算額と比較いたしますと、四百八十一万円余の減額となっております。
 この要求額は、裁判官訴追委員会における委員長の職務雑費及び事務局職員の給与に関する経費並びに訴追事案の審査に要する旅費その他の事務費であります。
 以上、簡単でありますが、裁判官訴追委員会関係歳出予算の概要を御説明申し上げました。
 よろしく御審議のほどお願いいたします。
#15
○委員長(小川敏夫君) 次に、会計検査院所管予算の説明を求めます。杉浦会計検査院長。
#16
○会計検査院長(杉浦力君) 平成十五年度会計検査院所管の歳出予算について御説明いたします。
 会計検査院の平成十五年度予定経費要求額は百九十六億二千五百三十四万余円でありまして、これは日本国憲法第九十条及び会計検査院法の規定に基づく本院の検査業務及び一般事務処理を行うために必要な経費であります。
 この要求額の内容について申し上げますと、人件費として百三十七億四千九百万余円、中央合同庁舎第七号館の整備に伴う本院の移転等の経費として二十六億六千九百万余円、その他の経費として三十二億六百万余円を計上いたしました。
 これらには、会計検査機能を充実強化するため、行財政改革の動向に適切かつ機動的に対応した検査を遂行するための、検査要員の増強等、有効性検査、情報通信技術を活用した検査及び海外検査等の充実を図るための検査活動充実強化経費、検査活動に資する研究及び検査能力の向上のための研修の充実を図るための研究・研修経費が含まれております。
 以上、簡単でありますが、会計検査院の平成十五年度予定経費要求額の概要の説明を終わります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#17
○委員長(小川敏夫君) 以上で予算の説明聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#18
○阿部正俊君 自民党の阿部正俊でございます。今日は委嘱審査ということで、来年度の予算案につきまして、当委員会関係のいろんな事項について質疑をさせていただきたいと存じます。
 今日は、時間も私の持ち時間四十五分と限られておりますものですから、テーマを絞りまして公務員制度の改革につきまして、しかも詳細については触れられませんので、基本原則といったようなものにつきまして、石原大臣、大変御苦労でございますけれども、ひとつ御協力いただきまして、少し言わば素人論議かもしれませんけれども、これからの公務員制度の大きな改革ということに当たりましての方向付けのようなものをある程度明確に示していただければ有り難いし、自分なりにそんなつもりで努力してみたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 最初に、行政改革と言われて久しいわけでございますけれども、公務員制度というものについてきっちり真正面から手を付けてきたのは、あるいはこれを行こうとするのは今回が初めてではないのかという感じがいたします。
 様々な公務員をめぐる、言わば何というかな、いろんなかつては大規模なストライキがあったり、あるいは公務員というものが様々な不祥事件あったりとか、あるいは最近では毎年のごとく出てくるのがいわゆる天下りの問題だとかというふうなことがありますし、一方で、公務員のある意味での使命といいましょうか、やる気といいましょうか、いうものが少し最近落ちてきたんではないかというふうなある意味での心配やら、私も持ちますし、そんなふうなことが言われている中での新しい公務員像を求めての大きな転換点に今あるのかなと、こんなふうに思うわけでございます。
 そういう中で、石原大臣が中心といたしまして公務員制度の改革というものが喫緊の課題として取り組まれておりますし、できるだけ早期に法律案の改正までこぎ着けまして実現したい、こんなふうに御準備いただいているというふうに聞いておりますが、どうも公務員制度といいますのは、一番基本のところがもう一つ、何をどう改正するのかというような改革の道筋といいましょうか、基本理念といいましょうか、いうようなものを是非国民に向かっても、私らにもお示しいただきたいものだなという。
 正直、私も三十年間、旧厚生省で仕事をしてまいりましたので、私なりの世界、狭い世界でございますけれども、公務員の世界はそれなりに承知しているつもりです。同時に、それだけにまた従来の公務員の染み付いたものがあるのかなと自分で思いながら、だれもまだこれだというような、ないものを目指して新しい公務員像を構築しましょうということですので、どうかひとつ、まず最初に基本理念のようなものがないと、正直言いまして今までの公務員制度というのは、国家公務員法なり人事院なりなんなり様々ありますけれども、どうも実態と実質はかなり、実態といいましょうか建前、法律に書いてあることと職務の内容なりいろんな取扱いなりについては相当ずれておったんじゃないかなという感じがしますし、国民全体の奉仕者と言われながら、一方で、果たしてそうなのかなというようなところもあったのじゃないかという気もしますし、言わば包み隠さず、新しいこれからの日本を目指した改革のための基本理念というようなものを最初に大臣から、できましたら簡潔に、言わば小泉さんお得意の、何というかな、ワンフレーズじゃございませんけれども、できるならワンフレーズがやっぱり意味があると思うんですね。これとこれとこれだというようなことをお示しいただくのがまず非常に大事な意味を持つんじゃないかなという、そのメッセージを一つお示しいただければ有り難いなと思います。
#19
○国務大臣(石原伸晃君) 阿部委員が三十年間の公務員の生活経験を持たれてのこの御質問だと思います。
 もう委員が御指摘された中に若干入っていたと思うんですけれども、国民の最大の関心事は、実は、このまた批判のあるところはやはりこの天下りの問題だと思っています。この天下りの問題に対して厳正な処置を施していくというのが一つあると思います。
 それと、委員が厚生省でお働きになったというお話がありましたように、各府省が、今では厚労省でございますけれども、権限と責任を持って主体的に業務の効率的な執行を行えるような体制を整備していく、そういうものが若干欠けていたんではないかと思っています。こんなことがございます。
 さらには、今回の改革の中で一つの目玉になっておりますけれども、もう民間の社会では十年以上前から導入されておりますけれども、公務の世界に実力、能力に見合った体制というものを導入する。そしてもう一つは、これもこれまではどちらかというとネガティブに受け止められていました官と民の交流はこれからは進めていこうと、こんなものがあるんだと思っております。
 そして、今、委員が御指摘されましたように、国民全体の奉仕者と真に言えるような公務員の皆さん方の意識、行動原理を変革することを通じまして、この行政の在り方自体を改革して、今、委員が言われたような公務員像を目指すものとお考えいただきたいと思っております。
#20
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 それで、具体的に近々法律案も提案されるというふうに聞いておりますけれども、その提案だけじゃなくて、実態も、そのために相当準備期間と実施のための様々な積み上げていく手続が要ると思うんですけれども、大まかな意味でのこれから先のスケジュールというのをちょっとお聞かせいただければ有り難いと思いますが。
#21
○国務大臣(石原伸晃君) これは、平成十三年の十二月に閣議決定をされました公務員制度改革大綱の中でスケジュールをうたっておりまして、そのスケジュールにのっとって現在鋭意準備をしているところでございます。
 すなわち、制度全体の基礎となります国家公務員法の改正案については、現在内閣官房にございます行革推進事務局が中心となって、本年中、この平成十五年中を目標に国会に提出をさせていただきたいと考えております。また、これに付随いたしまして、下位法令というんでしょうか、政令とか省令というものは平成十七年度末までに計画的に行ってまいりたい。すなわち、集中改革期間の間に行ってまいりたい。そして、平成十八年度を目途に新たな制度に移行するというような形で現在検討させていただいているわけでございます。
#22
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 じゃ、余り時間もないし、できるだけ早く法案が、基本法が出、かつ実際の実行が十八年度辺りから動き出していくということを是非希望したい、期待したい、こんなふうに思います。
 それで、基本理念ともかかわることなんですが、私、三十年間働きましたけれども、余り国家公務員法とかあるいは人事院規則とか実は拝見したこと余りなくて、どうも仕事が、目の前の仕事を片付けるのが精一杯だったみたいなことでやってきたのでございますが、改めて国家公務員法を読み、かつ人事院規則その他を眺めてみますと、私どうも気になる言葉が一つありまして、実は余りこだわるといかぬなというふうに御注意も受けたのでございますが、実は身分法というか、国家公務員という身分という表現があるんですね。
 御存じだと思いますが、国家公務員法の七十五条、例えば。これは見出しがまず「身分保障」となっていまして、身分だそうです。仕事をするための条件じゃなくて身分だそうでございまして、身分保障。中身は、読んでみますと七十五条「職員は、法律又は人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して、降任され、休職され、又は免職されることはない。」と、言ってみれば不利益処分をしませんというふうなことを身分保障と言っているわけですね。
 何かこう身分といいますと、非常に私は何か感覚がずれているのかもしれませんけれども、もう一つしっくりこない感じがするんです。
 ある意味じゃ、身分というのはよく使われているんですね、国家公務員法にも。「身分を示す証明書を携帯し、」だとか、あるいは「休職者は、職員としての身分を保有するが、職務に従事しない。」。当たり前みたいな話ですけれども、「身分を保有する」というのは何なのかということですよね。だから、多分民間流に言えば、雇用契約は継続するけれども職務に従事しないというのが休職だという、こういう表現になるのかなと思いますけれども、あえて「身分を保有する」というような意味は何なのかということですね。
 同時に、例えばこの国家公務員法におきまして、人事院規則の上でも人事院規則一一―四、「職員の身分保障」という人事院規則が決められているわけでございます。これは今言った、要するに、休職の場合の取扱いだとか、その他、言わば職務と昇給の、支給その他の関係を決めているものでございまして、言わば、民間流に言えば、雇用契約の上でのそういう職務と給与等の条件ということが書いてあるんではないかと。特に不利益処分を中心にどうするかということが書いてあると、こういうことだと思うんですけれども。
 何か、私はあえてこだわるつもりもありませんが、どうも従来、天皇の官吏とか官僚だとかいう特定の何か集団を、入るのが身分ということなのかな、それが国家公務員なのかなという感覚がどこか基本のところにあるような気がしてしようがないんです。国民の受け止めもどうもそういう面があるんではないかと。
 そういうことが、少しこれからの改革、新しい公務員像とマッチするのかしないのか。新しい公務員像にはそこを私は突き破っていかなきゃいかぬのじゃないかなという気がするんですけれども、そうだとするならば、今言った身分という言葉はできればやめてもらいたいと思うし、少なくとも身分保障というふうな表現というのは、どうも誤解といいましょうか、新しい公務員像にふさわしくないんじゃないかなという気がしますけれども。
 あえて聞きますと、したがって国家公務員というのは特別な地位のある人の集団をいうのか、それとも公的な業務、いろいろあると思うんですが、多種多様です、それを担当する者、普通の会社でいえば職員ですよね、それが公務という職務だということでございまして、そういう者を公務員というのかということ。そのどちらなのかというようなことをできればお聞きしたいし、昔のように官僚だとか官吏といったような表現ありますけれども、どうも今まで、身分というふうなことに何かふさわしいというか、そういう感覚で見てこられてきたような面があるんじゃないかなと思いますけれども、この辺につきまして、行革担当石原大臣、どんなお考え方なのか、お聞かせいただければ有り難いと思います。
#23
○国務大臣(石原伸晃君) ただいま委員が、戦前の官吏とか官僚とかいう言葉と身分というものが象徴しているようなこの公務員像が突き破るべき改革でなければならないという御意見であったと拝聴させていただいていたわけでございますけれども、私も、あくまでやはり国家公務員の皆さんというものは国民のために必要な業務をする者であって、官吏、官僚といったような特別な地位、すなわち身分であってはならないと考えております。
 国家公務員を天皇の官吏から、先ほど来委員が、憲法十五条に規定されております、「全体の奉仕者」ですか、というふうに転換すべく国家公務員法というものが制定されたと私は考えているんですけれども、そんな中で職階制というものが導入されるとなっておりましたけれども、現在では、この職階制というものを私も調べてみたんですけれども、なぜか実現、機能しておりませんで、採用試験区分や、T種、U種、V種といったようなものや、採用年次、君は何年入省と、おれは一年上だと、そういうことで、過度に重視した、硬直的といいますか年功序列というんでしょうか、そういう給与、処遇が見られてきてかなりスティックしてしまったんじゃないかなと思っております。
 今回は、先ほど来の委員の御指摘のとおり、こういう身分的なものを突き破るべく、職階制というものは、機能していないんですけれども、廃止して、新たに能力等級制を導入いたしますと。これによって官職の内容、その求める能力と職員の職務を遂行する能力を常に的確に把握する。
 今までは、どちらかというと、阿部委員はこれだけの能力があるからこの役職だみたいな形でなってきたわけですけれども、適材適所の人事配置というものを行えるように、より客観的に行えるようにしていって、国家公務員の皆様方の人事管理というんですか、こういうものを明確にして実現をしていきたいと、こういう考えにのっとって取り組ませていただいているところでございます。
#24
○阿部正俊君 簡単に、今の石原大臣と同じような趣旨で、人事院の方、どんなふうな御感想でございましょうか。
#25
○政府参考人(佐藤壮郎君) 私も、身分というのは何となく特権的なニュアンスがあるものですから、何かいい言葉があれば変えた方がいいんではないかと思っておりますけれども、身分保障といったときの身分は、公務員のある一定の地位というふうにお考えになったらいいと思います。
 例えば、本省局長級の地位とか本省の課長級の地位、それを国家公務員法ではそういう地位を保障するというのが身分保障の意味なんですが、何に対して保障するかというのが実は非常に重要なことなんですが、これは基本的には公務員の人事管理は成績順位に基づいていなければならないという基本的な理念に立っているわけでございまして、例えば恣意的な情実人事が行われるようなことがあると困る、あるいは一部の政治的な思惑によって人事が乱されるのも困る、そういうことに対して、今言ったようなそういう地位を保障しましょうというのが身分保障の意味でございます。
 したがいまして、これは必ずしも国家公務員、特別のあれではないと思いますけれども、やはり国民全体に対する奉仕者として、特に成績主義というのは非常に重要であるということを申し上げたいと思います。
#26
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 要するに、そうしますと、公務員制度というのは、何か何となく年次が来るとそれなりの、総合的な判断だと思いますが、決して間違ってはいないと思いますけれども、ポストというものに就けるというような発想、すぐ出てくるんですね、何々局長さんとか何課長さんというのが。
 その人が何をし、どういうふうな能力を要求されるのかというふうなその職務の中身というものは、先ほど石原大臣がおっしゃったように、職階制というのはそういう前提がないと駄目なんですね。職務の中身というもの、それから求められる能力というものをはっきりしなければ職階制も何もないわけなんで、それを能力等級ということに言い換えても同じではないかなというふうに思うんです。
 今、例えば何とか局長さん、何とか課長さんというのがどういう仕事をして、どういうふうなことを今求められているのかということについて、はっきり決められていないし自覚もしていないというのと、何となく体験的にこなしていくんだというような感じで職務に当たっていると思うんですけれども、その辺のことについて、むしろそのポストというふうな単なる職名と、何々局長だ、何々課長というふうなことではなくて、その個別の職務内容、それから当面する課題といいましょうか、いうようなものをきちっと明らかにして、それで、だからこういう人を持っていこうじゃないかと、こうなるわけなんで、その職務の中身というのをもう少しはっきりさせるという考え方をもう少し明確に示していただくのが、能力等級ですか、石原大臣言われたのはそういうことではないかと思うんですけれども、その辺について御確認いただければと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#27
○国務大臣(石原伸晃君) 阿部委員がおっしゃられたとおり、今まではどちらかといいますと職名で、体験的に何とか局長さんであればこんな仕事をするというような形の部分があったと思います。
 やはりこれからは、そのポスト、その何とか局長さんというポストの仕事に必要とされる能力といったものはどういうものなのか、その職員が仕事で発揮する能力を、先ほど来申しておりますが、常に的確に把握する仕組みを考え、先生の御指摘のとおり、個別の職務内容をはっきりとさせて、そこにふさわしい方をその局長さんにするというような考え方に立ったものに改めていくという方向で現在検討させていただいているところでございます。
#28
○阿部正俊君 そうしたときに、詳細な技術論はともかくといたしまして、どうも現在、人事院がお決めになっておると言われております、いわゆる級別定数というんですか、局長級とか課長級というものの総合の各省庁別のトータルの数のようなものをお決めになっているんじゃないかなと思いますが、これは何かこのポストをあくまでも前提にしてその数の範囲、枠を決めているということになりますと、もう少し即応的な職務というものの変化に対応をしていくためには、どうも率直に言って阻害していることになりはせぬかなという気がしますけれども、職務をもう少しはっきりさせてむしろやっていくべきなんで、クラス別の数というのを何か決めていくというふうなことではどうも時代の変化に合わなくなっているんじゃないかなという気がしますけれども、人事院にお聞きしますとどうなのかなという気がしますけれども、率直に人事院の方にお聞きしたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
#29
○政府参考人(佐藤壮郎君) 先生も御存じのように、公務員の全体の定員というのは総定員法で決められているわけで、それから各省庁は政令によって定員が決められているわけですね。
 ただ、各省庁の定員をどういう給料の等級に割り振るかというのがいわゆる級別定数でございまして、これは人事院が担当することになっているわけでございます。先生も御存じと思いますけれども、例えば行政(一)の給料表ですと十一級の級がある。それから、更にその上に指定職があるわけですね。ですから、そのそれぞれにどういう人数を割り振るかということを人事院が言わば管理する形になっているわけでございます。
 今の御質問にありました、それはポストで固定しているんではないかということなんですけれども、私ども必ずしもそう思っておりませんで、ごく大ざっぱなポストの割り振りというのは級ごとにあるんですけれども、私どもが各省庁から御要望をいただいて定数を決める場合には、かなり柔軟に、いわゆるポストとそれからその級別の数というのは柔軟に考えているつもりでございます。
 そういう意味で、確かに省庁の担当者からは非常に窮屈だというお話を伺うことはありますけれども、やはり一つは、級別定数というのは職員の昇級のときの枠を決めることにもなりますので、勤務条件にも関係するということで私どもが担当させていただいているわけでございます。
#30
○阿部正俊君 今のようなことについて、行革担当大臣、一言でいいんですが、どんな感想をお持ちでございましょうか。
#31
○国務大臣(石原伸晃君) 人事院の方は柔軟に考えているけれども、各省庁の方が窮屈に考えている、何でなんだろうな、こんな話を私も各省の方から聞いております。
 というのは、今度はこの人間、これだけの能力があるんでこういう仕事が、具体的に言いますと、例えば外交なんかで、その分野が忙しくなったらこの人間を持っていきたいけれども、その級は低いもので下がってしまうと。だから、なかなかそこのところにいい人材を持ってこれなくて、一年間掛かって人事院の方に頼んでそこの級を変えてもらうとその仕事は忙しくなくなってしまうと、こんな話を聞いたことがございます。
#32
○阿部正俊君 その辺、一つの実際的な面での新しい公務員制度の弾力的な能力発揮ということについて見ますと、少し、少しというよりかなり論議していただかなきゃならぬ点ではないのかなという感想を持っております。
 そもそも、大上段に振りかぶって恐縮でございますけれども、人事院というのは内閣の外にあるものなのか、それとも内にあるものなのか。国家公務員法読みますと、「内閣の所轄の下に」と書いてあります。これはどういうことを意味するのか。
 外なのか内なのかというのは言い方変ですけれども、別な意味からすると、先ほど石原大臣が言われました十三年の十二月二十五日の公務員制度改革大綱という閣議決定がございますが、閣議決定というのは大変重いものですよね。国の基本方針であり、私は、常識で言いますと、三権分立の部分はともかくといたしまして、国会はそれに縛られるというのはないんだと思いますけれども、人事院というのはそれに拘束されるものなのか、されないものなのか。それぞれ簡潔に人事院の方と行革担当大臣、両方にお聞きしたいと思います。
#33
○政府参考人(佐藤壮郎君) 所轄というのは確かにちょっと聞き慣れない言葉なんですが、例えば広辞苑を引いてみますと、人事院のような独立性の高い機関を内閣のような通常の行政機関の下に形式的に置くというふうになっております。私ども、そのように理解しております。
 ほかの行政官庁は、国家行政組織法の下で内閣の統括の下に置くということでございます。
 したがいまして、両者を考え併せますと、必ずしも内閣の指揮命令系統の下に直接置かれているというふうには解釈できないんではないかというふうに思っております。
 それから、閣議決定の件ですが、これも後でもし来年度の試験を二・五倍に据え置いたことについて御質問があればそのときにお答えしようと思いますけれども、閣議決定は私どもは大変重く考えております。
#34
○阿部正俊君 同じような意味で、石原大臣、どうでしょう。
#35
○国務大臣(石原伸晃君) 私も、この所轄というので初めて面食らって、内なのか外なのか、余りにも人事院の考え方と私の考え方が違うものでいつも面食らっておるのでございますが、やっぱり人事院というのは内閣に属するんだと思います。しかし、一定の独立性というものが担保されている。
 閣議決定についてなんですけれども、閣議決定するのはどこかということが私は重要だと思うんですね。それは、国民によって選ばれて国民を代表する国会に対して連帯した責任を持つ内閣が決定するものですから、これは当然重いと。そして、今人事院の方が大変重く考えていると言ったとおり、やはり十分にこれを尊重すべきものだと考えております。
#36
○阿部正俊君 少し神学論争みたいなことにもなりかねないんですけれども、何かやはり人事院制度というのがそれなりの役目を果たしてきたということだし、私自身も厚生省という中で余りそういったふうな外の声を気にしないで仕事をやれたのも人事院というのが背景にあったのかなという気もします。意識はしていませんでしたけれども。
 でも、これから先の、いろんな意味で、先ほど大臣ありました新しい公務員像を求めてのかなり大胆な改革というものが今求められたときに、人事院制度も含めてそのままでいいんだという前提で物を考えるということではないだろうという気がしますので、どうかひとつ大胆に、要するに国民向けにどうするかということなんですね。閣議決定もそれはもちろんですけれども。ということで、一つの意思の決定のためにやはり御協力をいただきたいというふうに思います。
 その具体例として、ちょっとおかしな例がありましたので、今先ほど事前に触れられましたけれども、それは国家公務員のT種試験の合格者数の数というものについて、閣議決定で具体的に、採用試験の見直しの一環としてT種試験の合格者を従来おおむね二倍程度だったものを当面二・五倍に増加させると。それで、平成十五年度の試験から合格者数を採用予定数のおおむね四倍程度を目途に増加させるとともに、各省庁が合格発表後に採用面接を十分に行い得るよう試験のスケジュールを見直すと、こうなっていますね。少なくとも数字として四倍にしますと、こう決めてあるわけですよ。
 何か知らぬけれども、この間、新聞その他を見ましたら、相変わらず人事院が実施された公務員試験は二・五倍の合格者になっているんですね。これは明らかに私はこの閣議決定とは違う行為をされたというふうに思われます。
 これはどういうことなのか。あるいは、それを、閣議決定に沿えなければ、閣議決定を直すべき義務というのは人事院もあるのではないかと。行革大臣を通してかどうか、ちょっと分かりませんけれどもね。そこの点、何かどういう連絡をされたのか、どういう働き掛けをしたのか分かりませんけれども、ともかく二・五倍に従来どおりしちゃったと。話を聞きますと、何かあぶれる人が多いからとかいう話なんですね。そんなものは元々分かっている話でございまして、四倍にして多様な人たちの中から、より取り見取りじゃないけれども、できるだけ優秀な方を特定の大学に偏らずに採りましょうということですから、逆に言いますと、残念ながら採用されなかった人が多くなるということは当然最初から分かっていたことでございますので、何でこれ、そうされたのかなと。私は理解できないんですけれども、何か人事院の方、ございましょうか。
 あと、また、それに対して石原大臣のところに何か御相談やら、事前に何か連絡なりなんなりあったんでございましょうか。その二点についてお聞きしたいと思います。
#37
○政府参考人(佐藤壮郎君) 先ほど申し上げましたように、私ども閣議決定の重みというのは十分感じております。
 来年度、平成十五年度の合格者の倍率が四倍にするとの閣議決定があったわけですけれども、十四年度に前年度の一・九倍から二・五倍にしたわけですけれども、それをいろいろ分析してみました。その結果、これから理由を申し上げますけれども、やっぱり急に平成十五年度から四倍にするにはどうしても無理があるんじゃないかということで、閣議決定の重みを感じながらも、言わば苦渋の決断でそういうことにさせていただいたわけです。
 まず、理由でございますけれども……
#38
○阿部正俊君 理由はいいよ。どうしてそうなのか、何かやったのかということを、内閣に何か連絡したのかどうか。
#39
○政府参考人(佐藤壮郎君) もちろん内閣には御連絡を申し上げました。
#40
○委員長(小川敏夫君) 答弁終わりですか。
#41
○政府参考人(春田謙君) お答え申し上げますが、私ども公務員制度改革大綱で、先ほど御指摘いただきましたような形で十五年度の採用者の規模について閣議決定をさせていただいたところでございます。
 人事院さんとの関係では、平成十四年度の試験の結果につきまして、採用の評価につきまして見解が必ずしも一致をしていないという面があるわけでございますが、私ども、正に先ほどもちょっと地方の大学のこともおっしゃられましたけれども、それなりに実は地方の大学出身者の方の採用というのが増えていることだとか、あるいは各省も十四年度に従前二倍だったものが二・五倍ということで増やしていただいた関係でそれなりにやっぱり多様な人材が確保できることにつながったという評価もございまして、私ども、そういう意味ではそれらを踏まえた形で十五年度の御決断というか決定がなされるものというふうに考えておりました。
 ただ、この経過の関係では、私ども、いわゆる二・五倍に引き続き設定をするということに関してましては、事前に人事院さんの方と十分そういう意味では御相談ができるとよかったというふうに思うんですが、結果的にはお決めになる直前にこういうことでいきたいということで通告をいただいたというのが事実でございます。
#42
○阿部正俊君 理由はともかく、何というかな、閣議決定ということをどう考えるのかという、かなり高度な私は人事院の在り方とかかわる問題ではないかなという気がするわけです。二・五倍いいのか三倍がいいのか四倍がいいのか、それは両方で話を、もし御理由があるならば事前に閣議決定のときに申し上げるべき話なんで、後でこうだから守る必要ないねということで連絡だけなのかどうか詳しく知りませんけれども、どうも閣議決定というのは、人事院にとっては少し離れたところでやっているということになるのかなという気がしますけれども。
 あえて大臣には聞きませんけれども、この辺につきまして私はもう一回閣議決定と人事院との関係といいましょうか、内閣と人事院との関係ということにつきまして再検討されるべきじゃないかな、こんなふうに思いますし、あと時間がありませんので言いっ放しになりますが、やはり人事院というのは基本的には、よく言われるとおり、いわゆる労働三権の制約がある、その代償措置として人事院というのがあるということでございますので、そこは何なのかということを、どっちかといいますと私は、今官から民へという時代ですから、むしろそこは、労働三権の制約というのはどうしても必要ならする、しかし、それに対する代償措置としても言わば最小限にするというのが本来ではないかということだと思うんです。
 できるだけ、労働自主権あるいは勤務の自主権、あるいは一方での、企業じゃありませんけれども、公務というものの流動性なり民との交流なんかも盛んにするわけですから、そういうものがやりやすいようにできるだけ制約を少なくしていくというのが、私は、人事院の存在し得る、しかも正当なる仕事をこれからも当然のことにしていくということの、言わばレーゾンデートルといいましょうか、存在意義としての人事院ということになるんではないかと、こんなふうな気がします。
 従来どおりの、何か言わば、失礼でございますけれども、閣議決定も守らなくていいんだみたいな超然としたような形で人事院が存在するというのは、私は必ずしも、国民全体の奉仕者たる国家公務員の在り方としては、労働三権を制約し、それの代償措置の人事院というのはどうなんだろうなという率直な感想を持っていますので、これにつきましてはどうか、どっちかといいますと最小限の措置といいましょうか、というもので考えていただきたいなということを御要望にさせていただきたいと思います。
 次に、官民交流といいましょうか、というふうな点についてお伺いいたします。
 国家公務員法百三条、ここに持ってまいりましたが、そこではこう書いてあるんです。要するに、公務員というのは特別なものであると。しかも、法百三条見出しとして、国家公務員についての「私企業からの隔離」と書いてあるんですね、隔離。これは何だろうかなと。昔、嫌な言葉ですけれども、小さいころに隔離病舎というのがありました。いわゆる伝染性疾患の罹患をした方の隔離して伝染の防ぐための病舎ということで、何か極めてそこは子供心に近寄ってはならないところだといいましょうか、いうふうな発想で、何か汚れたところといいましょうか、ようなことを印象を持ったんですが。
 書いてあるのは何かといいますと、「職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。」と。それから、離職後二年間は承諾しないと就職できないと、こういうことを書いてあるんですね。
 これはもう私企業からの隔離ということなのかと、私、大変疑問に思います。規定そのものの中身も再検討しなきゃならぬ点が多いと思うのでございますが、どうも先ほど、私、身分ということをちょっとこだわりましたけれども、そういう発想と似たようなのがそこに流れているんじゃないかなと思えてなりません。
 これからの公務員像、先ほど大臣が官民交流と申されましたけれども、交流というよりも、私はもう一歩進めて、むしろ何というのかな、職務があって、その職務を遂行するにおいては国家公務員という一定の権利とか義務があるけれども、あるいは倫理も別なんだけれども、それを去ったら、そこに別な人が、仮に公務員試験やら何やらとは別な人が来てやれるならやってもいいということが、むしろ官民相互の交流というよりも異動が常時可能だというふうなことを、大多数は多分、私は七、八割はいわゆる公務員がなるんだと思いますけれども、そういったことも可能な方式をやはり目指していくのがこれからの方向なのかなと考えますと、こうしたふうな条文の、見出しがどうだと私言うわけじゃありませんけれども、これは後で編集者が付けた見出しじゃないんですね、ちょっと役人的なことを言いますと、最初から、当初からの見出し付きの法律の見出しなんだ。これはやっぱり思想を表しているんじゃないかなという気がしますけれども、この辺につきましてちょっとお聞きしたいと思いますが。
 こうなりますと、まずこれについて、何か隔離という、私企業というのは物すごく汚い世界だと、そこから距離を置くのが本来の公務員の在り方だというようなことが、何か汚い世界、我々は高潔で向こうは汚いんだというような発想で物を考えていなかったかなという気がしますけれども、これについて行革担当大臣、どうでしょうか。どんなふうにお考えでしょうか。
 できれば、私は、これからこの条文も含めて、見出しも含めて、見出しは少なくともなしにしてもらいたいというようなことですが、将来大改正を、廃止を含めて大改正ということになるのかなと思いますけれども、大臣のちょっとお考えをお聞きしておきたいと思います。
#43
○国務大臣(石原伸晃君) この点もただいま阿部委員が御指摘されたように、やはりこれまでの考え方の基本は官と民は交わっちゃいけないと。今、委員は汚い考え方、汚いあれですか、というような言い方をされましたけれども、官の側から民を見ると一段下で、どろどろしていて金もうけばかりで汚いと、こういう考え方がやっぱり根底にあるからこういう見出しが付いているんだと思います。
 しかし、やはりこれからの世の中、私いつも言うんですけれども、公務員の最大のクライアントは国民であると。そういう意味と、どれだけ良質な行政サービスをいかに効率的に国民に提供するのか、そういう考えをこれから公務員の皆さん方、なる方々も含めて、現在いる方も意識を変えていただきたい。そのための制度改革でありまして、そうなりますと当然、委員が御指摘されましたように、これまでは交わることがままならぬというようなものから一歩進めて、一歩進めたぐらいでは、官民交流では委員は十分じゃない、私もやはり将来的には異動の自由な方向というものを目指すところまで行くことによってこの官の世界が変わることができるんじゃないかと。また、やはり自分たちで自分たちの世界を、身分のお話、前段で委員がされたように、プロテクトしていきますとやはり殻を破ることができない、そんな印象を持っております。
#44
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 大臣も御理解いただいているようでございますので、期待したいと思います。
 やはり、基本的にはどんな職、特定の集団ではなくて職務がむしろ大事なんで、それについては官民のむしろ異動が基本的には常時可能だというふうなことを何か組み立てられないだろうかということを方向として持っていただきたいなと、こんなふうに思います。
 これは私の意見でございますが、答弁要りませんけれども、そうしたことを考えますと、将来、官民交流と既に言われていますし、あるいは任期付任用とか様々な意味で工夫がされていますけれども、まだ部分的なんで、もっと基本的に正に異動可能なようにしてもらいたいとなりますと、私は、年金共済組合、国家公務員共済組合というのは、年金については全く別建てになっております。基礎年金について財政調整的なことをしておりますけれども、国家公務員は従来の年金の適用者をほとんど引き継いだままで現在の国家公務員共済組合というのはできています。
 でも、私は、これは公務員という在り方から見ても、人事交流などと同様に、横断というか、行われる時代ですので、私は厚生年金、厚生年金というか何年金というか知りませんけれども、少なくとも被用者年金としては一元化するのが方向ではないかと、こんなふうに思います。そうでないと必ずこれ障害になってまいりますし、国家公務員というのは、何かそうなりますと、いかにも民間から見れば何かうまいことやっているんじゃないかとも思われますし、実態は厚生年金と余り変わらないんです。
 それならどうせ、しかも、正直申しまして、一番危ないのは次は国家公務員なんです、年金は。この間JRの改革やりましたし、農林共済も統合いたしましたけれども、悪くなったから入れてくれというのは僕はこれから駄目だと思います。年金というのは、正にみんなで世代間の連帯をしましょうということですから、公務員だけ別枠よということじゃ、やはり国民の共感は得られないというふうに思いますし、公務員の在り方あるいは年金の在り方、両方から見て、私はそういう方向になるのじゃないかなと思うことを一言申し上げておきたいと思います。
 具体的な話としてよく言いますのは、時間がありませんので一つの例として申し上げますが、今日、文部省の方来ておられますか。今度、独立行政法人化になりますと非公務員型になるはずでございますけれども、そのときに、いわゆるみなし公務員で贈収賄罪なりなんなりがどうなるのかということと、あわせて、例えば具体的な例でございますが、私は厚生省で体験、散見いたしましたもので、いわゆる製薬会社からの治験の依頼というのは大学医学部なんかはよくあるんでございます。そのときに、一定の報酬を支払ってやるわけでございますけれども、変な話ですけれども、例えて言いますと、私立大学と製薬会社の場合には何の問題もなく行われる。一方で、国立大学の医学部と製薬会社がやりますと、うっかりすると贈収賄になると、こういう話がよくあったんです。
 これじゃ、やっぱり本来おかしいんで、この辺、大学、今度、非公務員型の独立行政法人化になりますが、今私申し上げたような理由、事例についてどんなふうになるのか、ひとつお答えいただければと思います。
#45
○政府参考人(玉井日出夫君) 国立大学の法人化、今国会に関連六法案を御提出をしているところでございます。大学の自律性を高め、そして各大学が産学連携あるいは地域社会への貢献等に積極的に携わっていただくと、こういうねらいの法案でございます。
 したがいまして、そのときにその教職員につきましては非公務員型を考えているわけでございまして、同法案の中にそういうことを盛り込んでおるわけで、したがいまして、従来、国家公務員という形でございます教職員の兼業につきましては、それぞれ各大学法人自らがそれぞれの理念や目標というものを明確にし、また実態に応じてルールとして就業規則などで定めるという形になってくるわけでございます。その際、やっぱり一般的には、その職務の公正中立とかあるいは職務の遂行あるいは法人の信用ということも当然念頭に置きながら各大学がルールとして決めていくということになろうかと思っております。
 そして、具体の御指摘の治験でございますけれども、これも各大学法人が就業規則等で定めることになりますけれども、そのときに、事前に各大学、それぞれの関係者でいろいろこういった面についても御議論がなされておりますけれども、そのときに各大学言われていることは、各大学法人の判断で、受託契約で大学が得た収入の一部を職務として治験を行った教員の研究費等に充当する取扱いなどが可能になるんではないかということが議論をされているわけでございます。
 なお、この法人化に伴いまして、みなし公務員、いわゆる刑法の適用でございますが、これは今回みなし公務員の適用がございます。これはやはりその国の事業を、国立大学という法人でございますけれども、行いますし、多くの公費も投入されているわけでございまして、したがいまして、他の既に先行独立行政法人もございますけれども、そこに行っておられる人をみなし公務員という形で、そこはきちんとやっぱり疑惑のないように適正なルールは必要だろうと、かように考えているわけでございます。
#46
○阿部正俊君 時間が参りまして終わりますが、今の話、どうかひとつ実態に即して公明正大にやれるように工夫をしてください。
 うっかりしますと、知らないこともありますけれども、うっかりすると手がこうなるみたいなことでみんなシュリンクしちゃう面がありますので、世の中に役に立つことが国立大学の使命ですから、治験も役に立つ仕事の一つでございますので是非お願いします。
 あと、石原大臣、是非、先ほど公務員のやる気という話がありましたけれども、私が見るところ、最近、いわゆる倫理規程なんかありまして、大変皆さんシュリンクしているんじゃないかなという気がするんですよ。もっと誇りを持って仕事をして、外からの情報をたくさんいつも取れるような状況というのを作れるように、もし私どもが作った倫理法なりなんなりが問題があれば、私は直していってしかるべきだろうという気がしますので、この辺、公明正大さというのとやる気というのと全然別なので、何とかたかずへもひらずというような言葉がありますけれども、そんな公務員じゃ困るわけなんで、この辺について、是非、大臣の御工夫をお願いしたいなということを申し上げまして、終わりにしたいと思います。
 ありがとうございました。
#47
○松井孝治君 民主党の松井孝治でございます。
 昨日の一般質疑で、石原大臣にもずっと御臨席をいただきながら質問ができなかった公益法人改革についてまず質問をし、これは通告をしておりませんでしたが、今日は予算案の委嘱審査の日でもございますので、公益法人改革に関しての竹中大臣の見解も伺いますが、同時に、通告外ではございますが、予算編成に経済財政政策担当大臣として約二年間御在任の中で携われてきての御感想、あるいは今後の予算編成プロセスの改革も含めて、これは後ほど竹中大臣にも御質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、公益法人の改革、今、石原大臣が精力的に取り組んでいただいておると思います。基本的なことでございますが、昨日の委員会でも若干触れさせていただきましたが、公益法人の改革の一応視野として内閣官房で議論をしておられた範囲というのは、一義的には従来の民法三十四条法人、いわゆる公益法人、それからNPO、それから中間法人というものを視野に置いておられたんではないかというふうに認識しておりますが、そのときに、じゃ公益というのは何なのかということについて、必ずしも定義が明らかになっていないんではないか。
 NPOの方とお話をしますと、公益法人の公益というものにちょっと引っ掛かりを持たれている方もおいでのようでございます。私たちはいわゆる公益法人ではないんですというふうに認識をしておられる方もいらっしゃるようですが、そもそも公益というのは何なのか。あるいは、中間法人では共通する利益ということで共益という言葉を一般的に使っていますが、共益というのは何であって、公益というのは何なのか。これは公益法人等改革の等というのはどこまでなのかという議論にもつながる話ですが、石原大臣、この公益あるいは共益という言葉の、石原大臣の御理解ではどういう定義と考えておられるのか、まず御答弁いただきたいと思います。
#48
○国務大臣(石原伸晃君) ただいまの松井委員の御質問に百人が百人そうだという答えを出せますと、一挙にこの改革はゴールが見えてくる、そのぐらいのテーマではないかと思っております。
 言葉を換えますと、この公益という言葉の聞こえの良さ、こういうこともこの民法三十四条法人が明治二十九年の民法制定以来、もう百有余年たっているわけですけれども、だれも触れてこなかった、そこに大きな問題があるのではないかと考えております。
 この公益という言葉に代わりまして、時代の変遷に対して、社会に対してどれだけ貢献、社会のためにどれだけ役立っているのか、いわゆる社会貢献性という言葉が使われて久しいわけでございますけれども、この社会貢献性という言葉に公益を振り替えたとしても、その時代の社会の要求というものは時代とともに変化するわけでございますので、そのときの社会に対する貢献性、公益というものは、事象として列挙することはできましても普遍的に公益性とは何かということを定義することはなかなか難しいと、こんなふうに考えております。
 その一方で、共益という言葉は、中間法人を制度として作る際に出てきた言葉でございますけれども、仲間がともに利益を得る、例でよく出されますのは同窓会等々が出されるわけでありますけれども、それでは一体この仲間の範囲はどこまでなのか、そしてどこまでが本当の仲間なのか。これは、社団や財団でのメンバーのときにも同じ議論があるわけですけれども、それによってもまた大きく変わるものではないかと思っております。
 一方で、時代の変遷とともに、このような非営利、民間の非営利活動というものの果たす役割というものは大きくなってきているわけであります。公益法人は、実は今言いましたような非営利の活動を担う代表的な主体としてこれまで機能してきたわけでございますけれども、やはりその一方で、この言葉のサウンドするところ、耳障りのいいところによって大きく切り込むということができなくて様々な不祥事も起こしている。こういうものを改めていくということが今回の改革の方向でございます。
 是非、公益とは何か、今の時代の公益とは何か、少なくとも二十一世紀のこれから十年間の公益はこうであるというものを早くしっかりと、今は非常に概念的なお話しかできておりませんので、ロジカルに組み立ててまいりたいと考えております。
#49
○松井孝治君 ありがとうございます。
 NPO法を見ますと、特定非営利活動の定義でこういう定義がありまして、「別表に掲げる活動に該当する活動であって、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするもの」という定義があります。
 民法上の公益の定義はおっしゃるようにないんですけれども、これは「公益法人の設立許可及び指導監督基準」という文書が、閣議決定文書で平成八年の文書があるんですが、それを見ますと、「公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とする」というふうに、これは政府の恐らく公式の解釈で、公益というものはどう考えているのかということを憶測することはできるわけであります。これを見ますと、NPO法は「不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的」と書いてあって、「公益法人は、積極的に不特定多数の者の利益の実現を目的とする」と。ほとんど実は同じ、有意な区別は私はこれは見いだせないと思います。
 そういう意味で、今回、内閣官房での御議論の中で、大臣が懇談会も開催されて、NPOも含めて公益法人、それからNPO制度含めて、ある程度それをどういうふうにくくろうとされていたのかは私はつまびらかには承知しませんが、ある程度共通の非営利法人という制度があり、その上にNPO、公益法人、それぞれの特殊性というのは若干残るかもしれない。だけれども、その共通の土台、今、石原大臣が非営利法人という言い方をされましたが、そういう土台でくくろうとしておられたのは私は率直に言って理解できるわけですし、また逆に言うと、これだけ定義的にも近いし、NPOと公益法人、いろんなものがありますから一概には言えませんけれども、相当程度はやっぱり、導入された時代背景は違いますけれども、社会貢献、多数の者の利益の増進という意味では共通概念があると思うわけですね。やはりこれをばらばらに議論するというのは論理的には非常に難しい要素がある。
 他方で、NPOの方々から見れば、いろんな問題、社会的に不祥事を起こしている公益法人がどうしても目立つわけで、二万六千ある中でそういうものは相対的には少数だと思いますけれども、そういう若干長い歴史と手あかというものにNPOの方々から見れば染まったような制度と一緒にされたくないという率直な思いを持っておられる方々もいらっしゃる。これをどういうふうに折り合いを付けて、本来であれば、ある程度統合的な枠組みの中でそれぞれの制度的な特色を生かして、土台、場合によっては二階建てみたいなものにして、非営利法人というくくりがあり、その上でやはりそれぞれの特殊性を生かしたような制度設計をするかというところは難しいと思うんですけれども、そんな議論の中で、今、特に与党サイドの方からNPOを今回の公益法人等改革から切り離すべきではないかという議論が沸き起こっているというふうに伺っております。
 これについて、やはり今、私の理解では、やはり受け皿としては一つの大きな制度ができ上がり、その中でNPO、従来のNPOあるいは従来の公益法人をどういうふうに区分して扱うかということを議論すべきではないかと思うんですけれども、大臣はその辺りの与党の声、あるいはNPO関係者の声も含めて、そこら辺の制度についてどういうふうに今後議論をしていこうとしておられるのか。今の段階で可能な範囲の答弁で結構ですので、教えていただけますでしょうか。
#50
○国務大臣(石原伸晃君) 今、委員がいわゆる民間非営利活動と、そこの上の二階建て部分という議論もあるし、それはまた難しい、方向としてはあるけれども現時点では難しいというようなお話もございましたように、私もやはり民間非営利活動の社会的なニーズというものは高まってきているという一つの側面があると思います。その一方で、公益法人制度という、先ほどの公益論の議論ではございませんけれども、明治二十九年の法の制定以来、大きな改革をしないで膨らんでしまった社会がある。これをどういうふうに位置付けて一つの改革として成就していくのかということで現在検討をしているところでございます。
 委員が今質問の御開陳の中でお話しされましたように、NPO法人が非営利かつその活動領域、不特定かつ多数の利益の増進という点に着目すれば、公益法人として一緒にあるべき姿として、まあ一階建てか二階建てかという議論はおいておいても、考えていくという方向はやはり私もあると思うんです。
 しかし、その一方で、さっき言いましたように、こちらに明治二十九年以来の公益法人グループがあり、平成十年にできたばっかりで、さらに昨年の臨時国会でNPO法の改正をして、さらには十五年度の税制改正でこの認定NPOを増やしていこうと。増やしていこうというか、いいものは認めていこうという形で税制改正が行われる、行われつつあるというんですか、正確に言えば。そういう個別の事情を踏まえますと、NPO法人は今回の改革の中で、与党の皆さん方が、また私も思っておりますけれども、ひとまずもう少し見守って、このNPOの中でも選別をしっかりしていくという考え方もあり得ると思っております。
 そういうものを、各方面の御意見、また当委員会でも、また予算委員会でも同趣旨の御質問をいただくというように、多くの方々が関心を持ち、これからこの民間非営利活動を育てていこう、民間非営利活動としてカテゴリーを作って育てていこうということでは、反対の意見の方はこの委員会の中では私は遭遇しておりませんので、そういう皆様方のコンセンサスがある以上、各方面の意見を聞きながら、いじってこなかった公益法人制度改革というものの方向性を示していきたいと、こんなふうに考えております。
#51
○松井孝治君 分かりました。
 ちょっとその話と関連はするんですが、話題は違いますけれども、公益法人の公益性というものは、当然、時代によってそれが公益性を持つか持たないかというのは変わってくると思うんですね。
 先ほど、同窓会というのを中間法人の例で出されましたけれども、もう御承知のように、同窓会、公益法人でたくさんありますね。それはゴルフ場だって自動車の教習所だって公益法人でありますね。その設立許可の時点では恐らく公益性があったというふうに判断されたのかもしれないと私は思っているんです。
 ところが、その公益性は今において本当にあるかというと、必ずしもそれはなくなっているものもあるんじゃないかと、公益性がですね。今まで、これは端的にお答えいただけば結構なんですが、公益性がこれはもう社会的に消失したということでその設立許可が取り消されたような事例はありますか、ありませんか。別の理由での解散は別として、その主務大臣の許可が、公益性が失われたということで許可の取消しになられたものがありますでしょうか。これは主務官庁ベースの、都道府県知事許可ベースではなくて、中央官庁の許可ベースのもので結構です。
#52
○国務大臣(石原伸晃君) その点につきましては、私もどのぐらいあるのかなと日ごろから関心を持っていた点でございます。
 公益性が失われたのであるならば、主務官庁は本来であるならばその法人格を取り消してもしかるべきだと思うんでございますが、調べた限りでは、平成十三年ですけれども、主管官庁による設立許可を取り消された法人は十二法人。取消処分は各主務官庁の責任において行われまして、残念ながら、探してみたんですけれども、その理由は必ずしも明確には提示されておりませんでした。
 そもそもと言っては恐縮なんですが、公益法人の設立許可の取消し事由については民法第七十一条、もうこれ委員御承知のことだと思いますけれども、七十一条に規定されておりますけれども、またその取消し基準というものも素人が読んだだけでは必ずしも明確ではない。ある意味では、その適用についても主務官庁の裁量にゆだねられているため、先ほど来、私も疑問に思っている、法人がその時代の変遷とともに公益性というものを失った場合であっても、だれもが一般はそうであろうと思っても、速やかに取消しを行うことが困難である事例というものは不祥事のたびに私は出ているんだと思っております。
#53
○松井孝治君 おっしゃるように、そういうものが恐らくほとんどない。それは、公益性の認定というものを少なくとも今の公益法人制度は主務大臣がする、あるいは都道府県知事がするという形になっているわけですが、それと法人格の存続というものが切り離せない。これも一つの弊害だと思うんですね。
 だからこそ、先ほど大臣もおっしゃったような二階建ての議論があるのかないのかという議論が懇談会の中でも恐らく提起されているんだと思います。ですから、そこは公益性の認定と、団体としての存続とか設立手続というのを少し切り離して考えなければいけないのではないかなと、これは私自身は思っているところであります。
 そうしてきますと、議論として若干混乱がしていると思うので、大臣、石原大臣、よければ答弁いただきたいんですが、政府税制調査会の非営利法人のワーキンググループがあって、そこで、原則今は、これは課税、非課税は国税庁の解釈と世間一般で通用している概念が違うかもしれませんが、世間一般では、いわゆるNPOというのは本来業務をしている限りにおいてこれ非課税だと。収益事業、三十三事業でしたかね、法人税法に規定されている収益事業以外は原則は非課税だというふうに理解されています。国税庁は国税庁のもうちょっと違う解釈はあるかもしれません。
 これについて、政府税調の中で原則課税にするんだという議論が出ているというふうに報道されていますね。NPOは今までは原則非課税だったと、収益事業以外は非課税だったのを原則課税にするんだと。それが、公益法人改革の中でそういう議論が出てきているということで、NPO関係者には非常に動揺が広がっていますが、これは正しい理解としてはどういう議論が出てきていたというふうに承知しておられますか。
#54
○国務大臣(石原伸晃君) ただいまの松井委員のお話は二つの点に分かれているんだと思うんです。
 すなわち、先ほど言った二階建て論の根拠となる法人格の取得と、その法人、公益性の判断というものをどう考えるのか。これはやはり委員が個人的なお考えと言われたように、私も、この設立が許可制であり、いったん法人格を取得してしまった後は時代の変化に対応することがほとんどできなくて、先ほど二万六千の十二という話をさせていただきましたけれども、公益が存続してしまうと。
 そういうことを考えますと、やはりこれからの改革は、だれでもすぐに、主務官庁の裁量によることなく法人を設立することはでき、公益性という、その法人が公益性を持つのか持たないのかという判断を切り離してこの法人制度を組み立てていくということは、これからの時代に私はマッチしているんだと思います。
 そこで、後段の、それならばだれでもが、官庁あるいは都道府県の裁量ではなく、だれでもが法人格だけを取得できるようになるとしたならば、それが現行の公益法人、民法三十四法人と同じように原則非課税で、今、委員が御指摘の三十三事業についてのみ課税とするものが税の理屈で成り立つのかというと、税の理屈からいえば、だれでも法人格を取得できる以上は株式会社と同じわけですから、原則課税である。
 ということになりますと、NPOの側の方も、そのいわゆる一階建て部分に、準則でだれでも法人格が取得できるところにNPOが入ってしまうと、原則課税でありますので、これまでせっかく税制改正をやって、認定NPOをもう少し世間で多く認められるように制度設計をするのに、全部それもなくなってしまうんじゃないか、原則課税になってしまうんではないかというような、私は誤解だと思うんですが、そういうことは絶対あっちゃいけないことを前提に制度を仕組んでいるわけですから、そういう混乱があって、今回、私は予算委員会でも、それは誤解ですと、そういうことはない、NPOの法の精神は尊重していくんですというふうに今度の改革ではやっていくということを再三言っているんですが、現場ではそういう誤解があったことも事実だと思います。
 そこで、これは私の守備範囲の外ですので、税務当局から詳しく聞いていただきたいと思うんですけれども、いわゆる公益事業以外の営利活動というものをNPOも行っておりますし、公益法人も行っております。そして、三十三業種、これは時代の変遷とともに限定列挙で種目を増やしているんですね。例えばお寺さんとか──お寺さん、適正な例じゃないですけれども、ある公益法人が駐車場を、建て替える前に、建物を建て替える前にやってそこで収益を上げたら、それが非課税だったらおかしいから、じゃ、駐車場業務を入れましょう。理髪店をやっている。じゃ、理髪店も入れましょうといって三十三に今なっておりますけれども、この一九九五年以降のネット社会でのパソコンの例えば教室は、収益事業に入っていないから入れられなくて、なっていると。しかし、それは、パソコンを教えるということが本当に公益性なのかという議論は、先ほどの元の議論に戻りますけれども、税の世界から言うと非常に、それを民間がやっているんであるならば、同じ条件で競争させなきゃいけないという理屈が出てくるわけであります。
 こういうふうに、ですから、限定列挙でその収益事業を書いていく方式の限界というものもあるところで来ている。そんな中で、税制調査会の中で議論が行われているんだと考えております。
#55
○松井孝治君 今おっしゃったことで、ある程度議論をフォローしている人間は論点が明らかになると思うんですが、なかなか国民や一般のNPOの方々からいうと分かりにくい議論かなと。
 その一つの理由は、大臣がおっしゃったように二階建てで、仮に一階建ての部分はそうでないにしても、NPOならNPOというのは二階建ての制度があるんだと、それは守るんだと。あるいは公益法人なら公益法人、これを制度を改革していかなければいけないでしょうが、これも二階建ての部分はあるんだし、そこについて全部原則課税ということではないんだということがきちんと御説明されていれば今のような動揺は起こらなかったんだと思うんですが、そこは是非、大臣の方も、懇談会は私的なものですから全部公開というわけにいかないのかもしれませんが、是非、特に三月末の目途としている取りまとめというのはどうも延びそうだというふうに世間で言われていますから、そうなると皆さんいろいろ疑心暗鬼が出てきますので、しっかりと御説明をしていただきたいと思います。
 公益法人改革の話にはちょっとけじめを付けさせていただきますが、今やはり大臣のお話を伺っていて、これは大臣の責任ではなくて、気に掛かったのは、税制の議論になりますと、やはりどうも聖域といいますか、今回の混乱も一つは、税制の議論は政府税調で議論しますと。それは、公益法人改革の中で、実は公益法人改革の一番中核にあるのは、こういう公益性を、あるいは広い意味での社会貢献性をどう認めて、それを社会としてどうサポートするのか、税制の面での特例をどういうふうに認めていくかであるにもかかわらず、税制の議論になった瞬間にそれは政府税調の専権事項というふうになってしまうというのは、やはり私、今回の混乱の一つの大きな要因だと思うんですね。そういう意味で、この税制の世界は特別で、これは税調でないと、これは政府税調であれ党税調であれ、税調でないと扱わせないというこの発想は、もういい加減終わりにした方がいいんじゃないかと。
 特に、竹中大臣お見えでございますが、経済財政担当大臣ということで、これは税制についても経済財政諮問会議は竹中大臣のリーダーシップの下で切り込まれたわけですが、これはもう是非、私は税制の議論というのを聖域にして、それをまた、竹中大臣のお立場では言えないでしょうけれども、政府、与党が二元的に存在して、政府の意思決定を事実上別のところで与党の税制調査会が決めているというやり方は、私は本当に改めていかなければいけないと考えております。この問題は御答弁を求めません。
 今日は、せっかくですから、予算の委嘱審査でございます、竹中大臣、最初に冒頭の質問で申し上げましたが、約二年間を大臣としてお務め、もう二年近いですね、お務めになられて、竹中大臣、東京財団の理事長、それこそ公益法人ですが、東京財団の理事長をやっておられてこういう「日本再生プラン」、私もこれは関係者の方にいただいたんですが、以前に、まとめておられました。
 この二年間の経験を振り返って、この本の中に今、大臣のスタッフである大田弘子審議官なんかも、やはり財政改革ということで、予算編成の在り方なんかについても一石を投じておられますが、二年間経験されて、予算編成のやり方、これ従来の予算編成のやり方で続けていっていいと思われますか。
#56
○国務大臣(竹中平蔵君) 諮問会議のシステムそのものが始まって約二年、二年強でありますけれども、その中で、私は予算編成のプロセスそのものも実は気が付いてみるとかなり変わっているというふうに思います。しかし、まだこれは始まったばかりでありますので、これをしっかりとより良い方向にしていかなければいけないというのが現状であろうかと思います。
 また、象徴的な事例としてよく申し上げるんですけれども、予算編成の時期というのは霞が関が大変にぎやかになる、地方からも陳情の方々等がいらっしゃって。ところが、実はこの二年間、年末のその陳情の皆さんの数というのは、私はがたっと減っているのではないかというふうに思います。それはどういうところから来ているのかなというふうに考えると、やはりこれは、実は予算のプロセスがかなり変わったからだと思うんですね。
 これはどういうことかといいますと、実はどのような政策をやっていくかということを、骨太の方針という形で六月末にこの二年間まとめております。実は、その骨太の方針のところでかなりの予算につながる政策の枠組みというのは決まっているわけですね。したがって、むしろ実は政策論としては、この六月末が一番、何といいますか、その山になるというような状況に私はなりつつあるのだと思います。これが、この点一点においても実はその予算の編成のプロセスがこう変わっているというふうに是非見ていただければなと思うんですが。
 それはなぜかということになると、これは松井委員は大変御造詣が深いと思いますが、九〇年代を通して諸外国の例を見ると、財政改革に成功した国というのはほとんど共通の同じことをやっていたということに気が付きます。三つやっていたと。三つやっていたと。
 その第一点は、政策をやるに当たってはその政策の目標、それを成果で、お金を幾ら取るというのではなくて、例えば住宅をこのようにするとか成果目標を立てているというのが第一点です。
 第二点は、その成果目標に基づいて、それが各省庁、各大臣に非常に大きな自由度を与えて大胆にやらせているというのが第二点です。その大胆にやらせるということの中に、これは単年度だけではなくても複数年度でもいろいろやらせる必要があるのではないだろうかというようなことも入ってくるし、使い残したお金があればそれは別の目的に使ってもらってもいいじゃないだろうかというようなその大胆、柔軟さというのが、これが二点。
 第三点は、重要な点は、その目標を立てさせるというふうに言いましたけれども、評価をきっちりするということなんだと思っております。この成果目標、それと大胆な実行、それと評価、この三つをどこもやっていたというふうに、これニュージーランド、北欧、イギリス等々が典型だということに気が付きます。
 申し上げたいのは、実は骨太の方針とか「改革と展望」というのは、この成果目標を、まだまだ不十分ではありますけれども、どういうことをやるんだという目標を立てるという方向に、実は世界の方向に実は合致したものになっている。大臣に自由にやっていただくというのは、諮問会議に各大臣に来ていただいて、総理の前でどういうことをやるんだということを説明していただく例の大臣イニシアチブ、それはその柔軟な実行の一端になっている。
 まだ評価の方が始まったばかりで不十分なんでありますが、どうもやはり気が付いてみるとなんですけれども、世界じゅうが向かっている方向、これ正にニューパブリックマネジメントでありますが、小泉内閣もまだまだ緒に就いたばかりではありますが、その方向に今足を踏み入れつつある、これを強化やはりしていく必要があるのではないかというふうに思っております。
#57
○松井孝治君 おっしゃったとおり、私は率直に言って大分変わりつつあると思います。しかし、まだまだ不十分であると思います。
 やはり、そこで一つ最後に、恐らくもう質問になってしまうんですが、今の政策評価をきちっと次の予算編成に反映させる、しかもその予算編成を財務省の主計局と各省というところのゲームに終わらせない。むしろ大枠をハイレベルで設定して、しかもそれは大衆討議ではなくて、言わばインナーのような集団を作って、首相官邸のイニシアチブの下で大枠を作って、それの大枠を決めて具体的に各省に作業させるという方針に予算編成プロセスを変えていかなければいけないし、そのときにはやっぱり目標と評価というのがセットになるべき議論だと思います。
 それを具体的に行うために、例えばもっと思い切って経済財政諮問会議の事務局に予算の大枠を作る権限とかそのスタッフを集めていく。そういう財務省と経済財政諮問会議の関係も含めて、今後予算編成プロセスの中で変えていこうというおつもりがあるのかないのか、その点をお伺いして、私の答弁を、失礼、質問を終わりたいと思います。
#58
○国務大臣(竹中平蔵君) 恐らく松井委員はもう答弁お持ちなのではないかというふうに思いますが、これは非常に大きな制度改革でありますから、諮問会議としては世界の例なんかもきちっときちっと議論しながら、どういうことが必要かということを予断を持たずに議論を是非していきたいというふうに思っております。
 御承知のように、例えば三重県等々は大幅に変わっておりますし、割と近いところでは、実は足立区が財政課を廃止したそうでございます。つまり、主計局を廃止したということに等しくて、むしろ事前に予算を割り当てるための評価よりは事後の評価をきっちりとして予算の枠に結び付けていく。そのような形で申し上げますと、やはり日本も非常に変わりつつあると思いますので、そういうような例も参考にしながら、これは予断を持たずに忌憚なく大胆な議論をしていきたいというふうに思っております。
#59
○松井孝治君 ありがとうございました。
 今、足立区の財政課廃止ですか、言わば主計局廃止にも値するというようなことを、竹中大臣が例示とはいえおっしゃったということを非常に重く受け止めさせていただいて、これから恐らく竹中大臣が財政制度改革あるいは予算編成改革に思う存分力を発揮していただくことを期待申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#60
○川橋幸子君 引き続きまして、民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。
 まず最初に、竹中大臣に雇用対策を中心にしてお伺いさせていただきます。
 このパネルは、少し前ですけれども、予算委員会のときにお示ししたパネルでございまして、今日は再利用でございますけれども。(図表掲示)高卒の求人が十年間で七分の一に減ったと。もう本当にグラフにしますと一目瞭然。九二年のピーク時が百六十七万人でございますけれども、去年、二〇〇二年は二十四万人、今春の卒業生はもっと求人難といいますか求職難ということになるのではないかと思います。
 もう印象的なものですので、ごらんいただきまして、お手元に資料も配らしていただいておりまして、一枚目の資料の下の方にそのグラフが出ております。
 昨年、玄田有史さんとおっしゃる方、これは三十八歳の東大の助教授の方でいらっしゃいますが、「仕事のなかの曖昧な不安」というこういう著書を出されまして、サントリー学芸賞、日経・経済関係の図書の文化賞をもらいになったと。非常に注目を浴びた書でございます。若者の職を奪っているのが中高年ではないかと。失業といいますと中高年の話ばっかりでございましたけれども、この若年失業の深刻さを強く訴えたのがこの方でございます。この方以外にも何人かいらっしゃるようでございますが、代表的にはこういう方がいらっしゃるわけでございます。
 今のようなパネル、資料あるいは評論などを大臣はどのように受け止められるでしょうか。若年失業について大臣の御認識を伺いたいと思います。
#61
○国務大臣(竹中平蔵君) 私も最初に書いた本でサントリー学芸賞をいただいたことがございまして。
 今の御指摘の点も踏まえて、雇用というのは、やはり全体としての労働需要をしっかりと確保していくようにしたいということと、その労働需要が一部を優遇することによって相対的に見るとその他を冷遇することになってしまうという非常に難しい問題を抱えているというふうに思っております。
 特に日本の場合には、今までは正に新卒、高卒にしても大卒にしても新卒。真っ白な、将来伸びる可能性のある人材を自分のところで採って、自分のところで教育投資をして、それで会社にとって非常に有用な人材に育て上げていくという長期雇用の中での新卒の位置付けがあったわけですが、そこが実は大幅に変わっている。即戦力が欲しい、かつ長期の投資、長期の雇用を前提とした投資なんかもしにくい状況になっているということの中で、特に、実は若年の雇用年齢の労働需要というのが大変急速に低下しているというような状況になっていると思っております。
 若年の労働者の雇用問題に関しては、諮問会議等々でも、折に触れて坂口大臣をお招きして議論をしているところでございまして、重大な関心を持って今議論をしております。
#62
○川橋幸子君 こうした需要減を背景にいたしまして、若年の失業率といいますのは、これも資料をごらんいただきますと、労働力調査をお手元にお配りしておりますが、若年失業率は大体壮年の二倍ということでございます。特に、九〇年代に入りましてから若年失業率が高くなりまして、この十年間でまた若年失業率が倍増していると、こういう状況にあるわけでございます。
 経済財政諮問会議の中でも御議論していただいているということでございますが、何が問題なのか。雇用の量が増えない中では公平にシェアすることが必要だと、今、大臣はお答えになられましたが、結果としてどんな影響を生むだろうかという日本の経済あるいは社会に対する影響について、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#63
○国務大臣(竹中平蔵君) 若年の失業者の高さにはいろんな要因があるのだと思います。先ほど申し上げましたように、企業が即戦力を求めるというような状況になってきたということに加えて、実は若年の離職者が多いというのも一つの大きな要因になっている。就職はしたんだけれども、やはりいろいろ自分に合わないということが分かって、どんどん離れていく。昔と違いまして、いったん就いた職に、職に就いて、その後、それを離れるということに対する価値観といいますか評価も、これはもう若い人と話していても、かなりやはり私たちのころと違うなというふうに感じます。
 ただ、いずれにしても、その影響というのは私はやっぱり大変大きいと思います。それは、非常に若くて吸収力のある時期に、自分が今後ずっと続けていくであろう仕事、非常な重要な労働資源としての蓄積をしなきゃいけないときにその蓄積の機会を逃すということに結果的にはなるわけでありますから、もちろんこれは資源としてだけ見ているわけではございませんけれども、その意味では、この方々がやはり自分のやりたい仕事をしっかりと見付けて、しっかりとした訓練の機会を得て、自己実現をしながら社会の中に貢献をしていくというような形に持っていくことが大変重要であろうと思っております。
 その意味では、改革加速プログラム等々でも、カウンセリング等々の能力開発支援、その体制整備について大変関心を持っていろいろ議論をしたところでございます。
#64
○川橋幸子君 私は、日本の経済社会にとって非常に大きな問題を持つ、三点ぐらいではないかと私は思っております。
 まず一点は、今、大臣もおっしゃったように、人間形成といいましょうか、職業上の技能が身に付かないと、職業というのは自己実現のための大変重要な機会でございますので、本人にとっては非常に人間形成上ハンディを持つ、機会がないという意味ではハンディを持つと。それから、マクロ経済では、もちろん次世代の労働力、しっかりとした労働力が育たないという日本経済にとって大きな不安を持つ。
 それと、何といいましても、年金、医療の支え手がいなくなるということで、制度が危うくなるということでございますね。今でも、人口構成の逆転現象から、年金、医療といった社会保障制度の将来像が危うい、持続可能な制度にするにはどうすればいいかということが問題になるわけでございますが、その若年失業というのは、そういうもろに支え手の問題として大きな問題がある。
 あともう一つは、日本の若者はおとなしいとは言われますけれども、やっぱり若者の若年失業というのがどこの国でも犯罪増加などの社会不安を引き起こすと、こういう問題が大きいのではないかと私見では思っているところでございます。
 経済財政諮問会議の中でも御議論なさっていると再三再四おっしゃっていただいたんですが、改革加速のための総合対応策でございますが、この「セーフティ・ネットの拡充」というところで「雇用対策の推進」という項目がございますけれども、中年、中高年、高年という言葉は随所に出てまいりますが、若者という言葉は一言も出てこないのですね。この辺はいかがだったのでしょうか。
#65
○国務大臣(竹中平蔵君) 改革加速のための総合対応策というのは、あの時点で、現在進めている政策について特に今の時点で補強するものというものを掲げた政策になっております。
 それをさらにその後、予算措置を含めて更にそれを補強、強化するものとして改革加速プログラムというのが組み直されているわけでありますが、その中では、実は「雇用環境が特に厳しい層のための就職支援の強化」という項目を立てております。
 その中にしたがって吸収されているというふうに是非御理解をいただきたいんですが、その中で、若年層をめぐる厳しい雇用情勢に対応するため、未内定者に対するきめ細かい就職支援、学卒早期離職者やフリーターに対するセミナーやカウンセリング等の能力開発支援、若年者向けの適職選択支援のための体制整備等を行うと、先ほどちょっと申し上げさせていただいたようなことについて取りまとめを行った次第でございます。
#66
○川橋幸子君 緊急性を要する層に入っていると言われればそれまででございますけれども、やはり芽出しがないと、その重要性について、深刻性についての御認識が足りないのではないかと私なんかは思ってしまいます。
 さて、若年失業の問題は、先進国の中ではもういち早くヨーロッパ諸国は経験しているわけでございまして、日本もそうした先進国病の中に入ったということなのかも分かりませんが、OECD諸国におきましては、若年雇用対策について予算支出をもって手当てをすると、そういうまた若年雇用対策のポリシーを持つ、EUではガイドラインも持つようでございますけれども、国境が接しているせいでございましょうか、そういうガイドラインを持って若年雇用対策にも臨んでいるということでございます。
 厚生労働省、見えておられますか。
 OECDの調査によりますと、OECD諸国における若年雇用対策への公費支出はGDPの平均して〇・一一%と、こういう数字が出ております。各国によりまして対策の中身が違うから細かい数字の話で比較することは避けるにいたしましても、大きくどれだけの国家の財源、資源を割いているかということは大きな指標になるのではないかと思いますが、日本はいかがでございましょうか。GDPの、少し十五年度予算では増えたようでございますけれども、GDP比何%というような数値が出るものでしょうか、お尋ねします。
#67
○政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。
 OECD諸国は、若年者の失業率が従来から非常に高かったと、こういうこともありまして、若年者問題、これについて積極的に取り組んできているのではないかと思っています。
 OECD加盟諸国におけるそういう状況を反映してGDP比の雇用対策と、こういうものも考えられてきたのではないかと思います。例えばフランスにおきますと、完全失業率、十五歳から二十四歳層では一八・七%ということでございます。日本が九・七%でございますからその倍以上と、こういうことでございます。
 ただ、先ほど来先生御指摘のように、若年者の雇用失業問題、非常に最近クローズアップしてきております。そういうことも踏まえまして、私ども厚生労働省としても、中高年齢者の対策と同様に、次世代を担う若者の雇用対策、これも真剣にやっていかなければならないということで、十五年度の予算では二百五十億円余を計上しております。これ、平成十四年度が二百億円弱でございましたので、伸び率として二五%、五十億円増と、こういうことでございます。額的にはいろいろとお考えあるかもしれませんけれども、私どもとしては鋭意取り組んでいるところでございます。
#68
○川橋幸子君 熱心に取り組んでなったと、そういう姿勢で見られたことは結構かと思いますが、まだまだこれからという、そんな感じを私はするわけでございます。
 若年対策の中には、若者そのものに対する対策、それから雇用する側の事業所に対する対策、両方あるかと思いますけれども、例えば若者に対する対策というのは、よくウエルフェア・ツー・ワークと、何というんでしょうか、社会保障に甘んじないで職場へという、そういう言葉が言われますが、若者対策の場合はフロム・スクール・ツー・ワークという、こういう言葉がOECD諸国ではよく言われるということでございます。
 高卒求人があれだけ激減して非常に大きな問題にはなっておりますけれども、それほど社会不安までにはならないのは、多分日本の場合は、親がすねをかじらせて大学へやると大学が失業対策の役割をかなり持つんではないかと、冗談ではなくてそういう部分があるかと思いますが。
 今まで雇用対策というと、経済産業省と厚生労働省と、このような連携が言われたわけでございます。文部科学省との連携といいますと、求職協定ぐらい、就職協定ぐらいでございます。もっと学校と職場との間のこの連携を密にする、そうした対策が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#69
○政府参考人(三沢孝君) 私ども、この若年者の失業問題、厚生労働省だけで解決できるような生易しい問題であるとは思っておりません。そういう意味で、私どもとしてもほかの関係各省と積極的に協力をしていかなければならないと思っています。
 具体的には、例えば文部科学省のお話ございましたけれども、確かに今までは学卒の就職問題、こういうことでございましたけれども、私ども、文部省との関係につきましては、学卒の就職問題という範囲を超えて、学校での学校教育、つまり学校教育の中でいかにしてその職業観といいますか勤労観といいますか、そういうものを形成していただくかと、そういうことも非常に重要だと、こう思っておりますので、こういう面で文部科学省といろいろ連携をしていきたいなと思っているところでございます。
 それからまた、先ほど能力開発の問題がございました。
 能力開発につきましても、先般、人材育成会議というものを中央に設けまして、これは文部科学省、それからオブザーバーとして経済産業省の方にも参加していただいておりますけれども、高校、大学あるいは労使の方、NPOの方、そういう方も幅広く取り入れた形で若年者のキャリア形成の問題について議論していこうと、こう思っているところでございます。
#70
○川橋幸子君 ヨーロッパの場合は、そうした学校と職場との双方向の移動というんでしょうか、そういう場合にはやはり学校の中での訓練というものが資格に結び付く。日本の場合は職種概念、職務概念が非常にあいまいなので、資格というものの、市場を横断できるようなそういうアイデンティフィケーションがないことが問題だと言われていますけれども、今こそ、今の時期こそそうした文部科学省と労働省との間に、私は教育基本法を改正して、倫理観や伝統的というよりも、むしろ今の若者には実学、職場の中で通用する実学、あるいは一時休職をする、教育休暇を取る場合のリフレッシュのための実学、そういうものを文部科学省、もちろん能力開発の施設も厚生労働省が直に持っているとは思いますけれども、もっともっと幅広くそこをやるべきだし、そういう部分は私は、経済財政諮問会議の中で音頭を取っていただきまして、長岡藩の米百俵と言うんなら今こそ小泉改革の精神にもマッチする、若者への投資、未来投資、ここをしっかりしていただきたいと思うわけでございます。
 ここで一言、それじゃ大臣に御感想を伺いたいと思います。
#71
○国務大臣(竹中平蔵君) 委員御指摘のような問題意識、我々も強く持っているつもりでございます。若者への人材、未来への投資というふうにおっしゃいました。
 もう一つは、恐らくこれまで若者に対する教育というのと、それと一度職に就いた、社会に出た人に対する再訓練、職業訓練というのが、実はこれは厚生労働省と文部省という省庁の問題もありますが、やはりつながっていなかった。そこはやはりシームレスでなければいけないのだと思います。教育と職業訓練がシームレスになる。そのしかし一環、芽は私は出ていると思っておりまして、例えばアメリカではコーポレートユニバーシティーという制度があります。これは、例えばIBM等、企業が大学を作ってそこで職業訓練を行っていると。
 今回、教育についていろんな形での参入が可能になるということでありますから、そういうようなものを通して、私は、このシームレス化が少しずつであるけれども進行していくものであると、そのような努力を引き続き諮問会議でもしたいと思います。
#72
○川橋幸子君 では、その努力をお続けいただきたいと要望しまして、資料の二ページ目をごらんいただきたいと思います。
 若者の場合はフリーター二百万という、こういうことが言われておりますけれども、一体今の日本の経済の中で正規従業員と非正規従業員の置き換えがどのようなテンポで進んでいるかというものが上のBの資料でございます。非正規従業員が雇用者の三割を超え、実数で言えば千五百万を超えると、こういう問題でございます。
 大臣のところには、官房長官のところも私ども伺わせていただきましたが、女性の議員だけではございませんが、中心になりまして、パート議連というパートタイムの均等処遇を実現する議連というものを作りました。そして、今、この労働市場の中で非正規社員がこれだけ増えていくときには、公正な処遇が必要ではないかと。派遣の期間延長ですとか、あるいは有期雇用の期間延長ですとか、様々な規制改革の緩和がこの改革促進の加速のプログラムの中に入っているわけでございますけれども、もう一つ足りないのが、そこの労働条件を適正にバランスを取ると、これがないからむしろ労働移動がスムーズにいかない。
 小泉総理はよく、あんなに新聞に求人広告が出ているんですよ、需要はあるんですよと、まるで、私の印象では、そういう職場に、職業に就きたがらない方に問題があるというようなそういう印象の答弁が多いわけですが、そこは需給ギャップが大きいから就けない、あるいは採用しないと、こういう問題なわけでございますね。
 昨日もそのパート議連の私ども会合を持ちましたけれども、未組織の女性が中心でございますが、本当に小さな部屋を選んだら、わっとお見えになりまして、未組織の方々でございますので受皿が労働組合にもない、それから、政府に対して物を言う場合にも意見表明の場がないということで、意外なほどの熱意を感じて、こういうところが個人の誇りを担保する場所なんだなと。自助努力を言うならば、自立できるようにするならば、自分が誇りが持てるようなそうした職業を得る、これが大事なのではないかと。それから、社会保障も適用がある、社会保障の適用の機会均等というものが要るんじゃないかと。このようなことを思いまして、これは官房長官にも竹中大臣にも、去年の暮れ、申し上げさせていただいたわけでございます。
 いかがでございましょうか。改革加速の展望は規制改革、そうしたことがずっと書かれるわけでございますが、均等処遇というのは実は企業ごとの雇用慣行が規制になっていると。その規制を、日本型の雇用というのがある種の規制になっていて、既得権の擁護につながる層がある代わりに新しい職を得たい人に対するチャンスがない。そういう規制改革についてもしっかりやっていただきたいと思うのですが、均等処遇という言葉は使わなくても結構でございますけれども、労働条件面での公正な処遇というものを一言しっかりこの改革プログラムの中に入れていただきたいというのが私の要望でございます。
#73
○国務大臣(竹中平蔵君) 政策の大きな方向については、毎年六月に骨太の方針で議論をしていくという形が定着しつつあるわけでございますけれども、その中でこれまでも再三再四、いわゆる多様な働き方を実現するんだということについては強調してきたつもりでございます。
 これは正に短く働きたい人もいれば長く働きたい人もいる、そうした人たちの働き方、多様な働き方を可能にするためには、そのための制度整備が必要でしょう。パートの方でも、究極的には例えば年金や失業保険についてどういうふうな対応をするかということをきっちりと議論をしていかなければいけない。こういう問題は、我々もこれは年金の問題等々、雇用の問題等々で引き続き議論をしております。
 特に条件ですね、その条件、例えば派遣従業員等々についての条件が大変厳しいというような実態もあろうかと思います。これについては、厚生労働省の労働政策審議会による建議が十二月に出されているというふうに聞いておりますし、そうしたこと、これは個別の待遇については厚生労働省の方でいろいろと御検討をいただいていると思いますが、我々としては制度、先ほど言いましたような多様な働き方を可能にできる制度について引き続き議論を重ねて骨太の方針等々に反映させていくつもりでございます。
#74
○川橋幸子君 お配りしました資料の最後でございますけれども、これは派遣労働者の調査でございます。
 「登録型派遣」と書いてあるのと、「常用労働者」と書いてあるのは常用型派遣労働者ということの資料だと思いますけれども、見ますと、「収入が不安定」というよりも、これもかなり高いですけれども、隣の「雇用が不安定」、ここの数字が高く出てくる。さらにその下の「将来の見通しがたたない」というのが非常に高く出ている。
 今の就業形態の多様化というのは、そういう意味で、自立して自分で誇りを持って仕事をしながらキャリア形成して生涯プランを立てると、若者に夢を持たせるという、そういう形には全然なっていないということを強く御認識いただきまして、多様な働き方、ならば多様な働き方のための条件整備、社会の中でのこれだけのシェアを占める雇用機会の質をしっかりと、これはマクロ経済の面から是非竹中大臣の強い発言力でもって進めていただきたいということを要望さしていただきます。
 それじゃ、官房長官お見えでございますので、やはり官房長官のお顔を見ますとイラク攻撃の問題は聞かないわけに、お伺いするときっと不機嫌になられるかも分かりませんけれども、やはり聞かないわけにいかないということで伺わせていただきます。
 昨日今日の戦況が随分変わってきているようでございますけれども、特に、テレビを見ていましたら、ブッシュ大統領は、我々は法の支配を知らない者たちを相手に戦っているというようなそんな言葉が出てまいります。こちらから見ますと、法の支配というよりも、ブッシュ大統領の方は力の支配ではないかなと思いますが、そういう法の支配という言葉を使われまして、特に独裁政治からイラク国民を解放するんだと、これが米国の正当理由、大きな理由になっている。そのように繰り返しブッシュ大統領も述べている。
 こういう、国民を解放するんだ、民主主義国家にしてあげるんだと、こういう主張というのは日本は支持することができるのでしょうか。
#75
○国務大臣(福田康夫君) 今回の米軍等によります武力行使、これはイラクが関連安保理決議上の義務の重大な違反を継続的に犯していると、こういうことを受けまして、国連憲章に基づく安保理決議に従ってイラクの武装解除等の義務の実施を担保し、そしてこの地域の平和と安全を回復するために必要な措置の一つとして行われたものであるという理解をいたしております。
 フセイン政権は何度も平和的解決のための機会を与えられてきました。にもかかわらず、十二年間にもわたって国連の安保理決議違反を繰り返した上に、決議一四四一によって与えられた最後の機会も生かそうとしなかった。
 そこで、フセイン独裁体制の下で政権が協力しない限り、大量破壊兵器の廃棄及びそのための査察に対して国民が自由に協力することは困難であるという状況から見ると、フセイン政権が抜本的に協力体制をと申しますか、協力の姿勢を改めようとしない以上、同政権が存続することが実際上イラクの武装解除を妨げていると、こういうふうに断ぜざるを得ない、こういう考え方であります。
 こういうように、今回の武力行使はイラクの武装解除を目的としておりまして、その目的を実効的に達成するというために必要な行動を取っているものと理解をいたしております。
 アメリカの政府関係者によりますと、体制変更への言及はブッシュ大統領が十七日の演説で、フセインが権力の座にいる限りイラクは武装解除しないと述べているとおりでございます。こういうような考えによるものであるというような理解を我々はいたしております。
#76
○川橋幸子君 私も大体大臣の御答弁、暗記できるぐらい何回か伺ったような気がいたします。もうこれはきっと水掛け論でございますので伺っても仕方がないと思いますが、法の支配というのは、悪法も法なりという、そういう言葉をよく思い出しますけれども、そうではない。むしろ、立憲主義にのっとって正しい方向に、法に従うと、これが法の支配でありまして、釈迦に説法でございますけれども、今回の戦争の正当理由にしても、戦争の原因の理由にしても、あるいは戦争の手続の面にしても正当性は私は認められない、法の支配に従わないのはむしろアメリカではないかということを私は思っているところでございます。
 ここのところはもう水掛け論でございますので次に進むといたしまして、日本はかつて湾岸戦争以前には、石油確保の日本の国益もございましてイラクにかなりのODAを供与しておったわけでございます。そのODAの中には、インフラ整備もあるかもしれませんし、様々、化学工場というようなものの施設への有償資金もあったかも分かりませんけれども、病院等へのODAも供与しているわけでございますね。
 湾岸戦争以降は軍事政権にはODAは出さないということになったのかも分かりませんが、国民の非常に素朴な感情からいえば、税金を使っての人道的な支援、それこそ力の支配に、あるいは圧制の中であえいでいる方々への人道支援、貧困支援であったとすると、そういうものまで、今回アメリカが攻撃対象としないまでも、市街戦に入った場合には大きな被害が出てくるわけでございます。
 そうした問題について、今日は外務省はお見えですか。じゃ、まず外務省から一言、国民感情からいえば、せめてアメリカにはそうしたODA、人道支援でやった部分には攻撃しないでほしいと、このぐらいのことぐらい言ってほしいと。後に戦費のツケは来ないと言っておられますが、復興支援が来るんなら、壊す前に壊さないでほしいと、この程度のことは言ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。それから、官房長官にも伺います。
#77
○政府参考人(安藤裕康君) 委員御指摘のとおり、湾岸戦争の前に我が国のODAを使いましてイラクの病院関係の計画に我が国が協力した例はあるわけでございます。ただ、一般的に申し上げまして、武力紛争に際して病院等の民用物を攻撃対象としてはならないということは国際人道法上の義務となっております。我が国としては、米軍等はその行動に際しましてこういう国際人道法を遵守するものというふうに理解しております。
 他方、尊い命が失われるということは極めて残念でございます。我が国としては、戦闘が一刻も早くできるだけ犠牲を少ない形で終結することを望んでおりまして、これは累次明らかにしているところでございます。
 二十一日の日に日米首脳の電話会談がございましたが、この際にも小泉総理からこういう趣旨をブッシュ大統領にお伝えいただいたわけでございます。また、ブッシュ大統領を始めアメリカ政府の関係者は、いろいろな機会に今般の軍事作戦によって無辜の市民に危害が及ばないようにあらゆる努力を払うということを強調しておりますし、また、今申し上げました首脳会談においても先方からそのような発言があった次第でございます。
#78
○川橋幸子君 それじゃ、まとめて官房長官に伺いたいと思いますので、次の問いも併せて御検討の上で答弁していただきたいと思います。
 今日の朝日新聞のトップでございますが、米国ベーカー駐日大使が自衛隊派遣を要請したと、与党三党の幹事長に治安維持の目的で要望したと、この記事が載っておりますが、これは確かでしょうか。あるいは、日本政府は今どのような検討をしているのでしょうか。
#79
○国務大臣(福田康夫君) 先ほどの質問からお答えいたしますが、例えば病院のようなものに対する攻撃をするかどうかといったようなことでございます。これは、今、局長から答弁したとおり、国際人道法上の義務ということもございますし、正にそういうことを踏まえて、小泉総理からブッシュ大統領に直接お話をして申入れもしていると、こういうことでございます。
 ただ、これはいろいろな情報があるんですけれども、イラクは例えば大学だとかそれから研究機関とかそういうところに大量破壊兵器を隠匿している可能性があると、こんなふうなこともありますので、非常にそこのところは微妙な問題になってくるんだろうと思います。ただ、いずれにしましても、そういうことはいずれ明らかになってくることでありますので、そういうただいま申し上げましたような基本的な考え方で対応すべきだというように考えております。
 それから次の、ベーカー大使からそういう要請があったかどうか。これは党の幹部の方がお会いになったときにお話をどうもされたようなんで、そのことが新聞に掲載されておったということは承知しておりますけれども、政府にそのような話はございません。
#80
○川橋幸子君 大学等施設あるいは市民向けの施設の中に大量破壊兵器を隠匿している危惧が非常に大きいと、そこで官房長官の答弁は止まっているわけでございますけれども、だからといって、それを爆撃した場合の一般市民に対する非常に大きな被害、私はやっぱりこの問題を見ると、東京空襲であれは十万人ぐらいですか、広島が二十万人ぐらいですか、あの惨状をつくづく思います。むしろそうなら、査察継続をなぜしなかったのかという方に私の気持ちは動きます。
 それから、与党三党に話があっただけで政府にはなかったということでございますが、いずれそうするとそのお話があるとすると、どのような対応を政府は取られますでしょうか。新法が必要になるということでしょうか。
#81
○国務大臣(福田康夫君) 復興支援と申しましても、どういう段階の復興支援かと、こういうことになるわけでございます。完全に停戦したと、いわゆる紛争地域でないということが確認される、またPKOが国連でもって発動されるというようなことになれば、これは我が国としてPKO法で対応できるということになりますが、それ以前につきましては、これはその状況によって法的な、新しい法的な枠組みが必要になるということに一般的にはなるんだろうというふうに思います。状況いかんであります。
 それから、そういうような要請に基づいてやるかどうかと。それは、必要のないところでやる必要はないのでありまして、国連から若しくは国際社会としての要請がある、そういうものを踏まえて我が国が自主的にどういうふうに判断するかと、このことが一番大事なわけでございまして、これは状況の推移を見ながらこれから判断をしていく問題であると考えております。
#82
○川橋幸子君 国連からそういう決議でもありまして要請があれば対応しなければならないであろう、何となくきな臭い感じが、私は受け止めてしまいますけれども、もう菅代表に上げるまでもなく民主党は新法反対と、この結論になるだろうと思います。
 さて、大分お待たせしました。坂東局長の方の男女共同参画の話に入ってまいりたいと思います。
 去年の今ごろ、一年前はアフガン攻撃がございました。そのときに、アフガン女性への支援策というものを官房長官のイニシアチブで男女共同参画会議でまとめられたわけでございます。今回もこのようなことをお考えになられますか。国連のミレニアム目標では女性のエンパワーメントを図るというのは非常に大きなテーマになっておりまして、私は前回、アフガン支援策についての官房長官イニシアチブを評価した人間でございます。
 同じイスラムの世界でありますと、国によって状況は違うかとは思いますけれども、やはり女性は男性の従属物と、誤ったイスラム宗教観だそうです。そういうものがあるということを考えますと、イラク復興支援についてもジェンダーの視点を生かすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#83
○国務大臣(福田康夫君) 先ほど申しました復興支援のプロセスの中で、この女性への支援策というものもこれも考えるべきでないかということでございますけれども、もとより、我が国としてはイラク及びイラクの周辺地域の平和と安定の回復がこれは我が国にとっても重要であると、こういう認識に立ちまして、イラクが一日も早く再建されて、人々が自由で豊かな社会の中で暮らしていけるよう様々な支援を講じていかなければいけないだろうと思っております。
 これは今後の事態の推移ということでございますが、国際社会と協調してできる限りの措置を検討する、そういう中で女性支援ということであります。アフガンで女性支援策を講じて、それは幾つか実行に移されております。そのことはアフガンの民生の向上、女性の立場を守るという意味においても大変役に立っているというように考えておりますが、そういう中にそのジェンダー問題といったようなことも含めて考えよということでありますが、このことも大いに参考にさせて進めさせていただきたいと思っております。
#84
○川橋幸子君 是非そうお願いしたいと思います。
 用意した質問が少々多うございまして、時間がなくなってしまいました。男女共同参画についてはもう一点伺いたいと思います。
 女性のチャレンジ支援策というものが今回の男女共同参画の方の非常に大きな施策になっているようでございますが、拝見しますと、今までの公職参加の推進ですとか、あるいは厚生労働省がやっておりましたポジティブアクションの推進とか、何か寄せ集め、後追いという感じがいたします。
 やはり今回、男女共同参画会議が設けられて坂東局長があそこに座られたということは、もっと内閣イニシアチブでもってそこを引っ張っていかれると、こういうことではなかったかと思うのでございますが、苦情処理、人権救済の充実なんかについても、現在大きな問題になっております人権委員会の在り方等なんかについては提言されたってよかったんじゃないかと思うのですが、要は、言いたいのは、行政の後追い、各省の行政の後追いでそれをホチキスに留めているだけではないか、ちょっと辛口で言いますと、そんな感じがいたします。内閣のイニシアチブを発揮していただきたいという、そういう要望を含めて質問をいたします。
#85
○委員長(小川敏夫君) これはどちらに、大臣ですか。
#86
○川橋幸子君 もう、じゃ大臣に、官房長官にお願いします。
#87
○国務大臣(福田康夫君) 内閣がイニシアチブを発揮していないのではないかと、こういうお話でございますけれども、せっかくこういうふうな体制を作ったものですから、それを活用して、そして大いにその機能を発揮するということで今やらせていただいているところでございます。決してホチキスじゃございません。
 御指摘の女性のチャレンジ支援策は、これは小泉総理からの指示を受けまして、男女共同参画会議の基本問題専門調査会において一年間審議してまいりました。これも議論は最終段階でございますので、その結果が本年四月の男女共同参画会議に報告される、そういう予定になっております。
 これは、この審議では、政策全般にわたって積極的、能動的、戦略的な企画立案、総合調整を行うという内閣府の機能を活用して、現下の最重要課題であります構造改革に女性のチャレンジが不可欠である、こういうことで、企業や研究財団等の組織活性化のかぎでもございますということなどの必要性、緊急性をまず明らかにいたしております。
 具体的な支援策についても、雇用、企業、NPO、農業、研究、各種財団、それから地域など、全分野に共通して有用な数値目標の設定、ポジティブアクションの活用、各府省の支援施策に関する情報を結合させる女性のチャレンジのためのネットワーク環境整備などの提言を検討しております。
 そういう一つの分野申し上げましたけれども、これはもうかなりこれから幅広くその施策の実行が展開されていくものだというふうに私は思っておりますので、この機能は、内閣の調整機能というものも併せて、大いに期待をしていただいていいんじゃないかと思っております。
#88
○川橋幸子君 それでは大いに期待させていただきまして、残り一分ぐらいしかないのですけれども、やはり、会計検査院長にお見えいただいております。
 決算の重視の参議院ということで、検査報告の早期提出が言われておりますけれども、先ほど伺った予算の説明では、何か増額になっている部分は仮庁舎への移転費用というようなそういう御説明でございまして、決算の早期審査に堪えられるような決算体制の充実強化というのが図られているのかどうか、これを伺って、私の質問を終わらせていただきます。
#89
○会計検査院長(杉浦力君) 御質問の中身でございますが、会計検査院といたしましては、人員、予算の急激な膨大というのは、私どもが国家機関の一つでございまして、努力はいたしておりますが、おのずから限度があるというのが現状でございます。しかし、私どもは、その限られた予算、人員の中で職員の研修とか、あるいはコンピューターを使った検査の効率化とか、いろいろなことを考えまして、より一層検査効率を上げたい、そして検査を早く行いたいと思っております。検査結果を早期に提出いたしまして、予算の審議に、あるいは予算の編成に利用していただきたいというのは、私ども本当に心から願っていることでございまして、従来から同じような考えで動いております。
 経緯を申し上げますと、昔は十二月の中旬にお出しいたしておったものでございますが、最近は十一月中に検査報告を出しておるというような現状がございます。そしてさらに、特に参議院等では更に早く何とかならないかということをいただいておりますので、私ども、こういった決算の在り方、検査のサイクル等を考えながら、どうするかというのを検討させていただきたいと思っております。
 何分、私どもも努力をいたしているところでございますが、解決しなきゃいかぬことがたくさんございます。例えば、余りに早く検査結果を出すためには、早くから検査をしなきゃいかぬということでございます。したがって、余り早く出しますと新しいものができない、新しい分が決算できないということがございまして、そういった点も検討させていただきますので、いましばらく私どもの努力を御支持いただければと思っております。
#90
○川橋幸子君 終わります。
#91
○委員長(小川敏夫君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時十分開会
#92
○委員長(小川敏夫君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、平成十五年度総予算の委嘱審査を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#93
○白浜一良君 谷垣大臣、御苦労さまでございます。
 まず、犯罪被害者給付金制度につきまして一点だけ御質問したいと思います。
 これ、平成十三年に改正されまして、そのときに私、改正案の質疑したんですけれども、やっぱり大変複雑な社会になっております。いろんな犯罪があるわけで、そういう面でやっぱり被害者の方、大切にするというんですかね、そういういたわりのある社会を作っていかなきゃいかぬ、そういう意味では大事な制度だという観点から質疑をいたしまして、法は改正されたんですが、やっぱり具体的な運用面でいろんなケースがあるわけですね、事案が。だから、そういう個別的ケースでやっぱり十分被害者の立場に立ったそういう救済制度というか措置をするべきだというような質疑をやったわけでございます。
 それで、少し具体的な最近起こっている事案を通して確認したいと思うんですが、当然この法律は三親等以内の親族の犯罪というのは除外されているわけでございますが、しかし一方で特例事項があるわけですね。社会通念上要するに認められるケース、そういうような特例が認められているわけでございます。
 それで、そういう面でいいますと、ここはどう判断するかということは大変難しゅうございまして、神奈川であった具体的なケースを見ますと、ドメスティック・バイオレンスというのが今大変多いわけですね。神奈川の例を少し話しますと、大変暴力的な主人で、奥さんとお子さんが一人いらっしゃって大変困っていらっしゃったわけですね。それで、ドメスティック・バイオレンスの規制法が平成十三年十月に施行されていますから、そういう趣旨からもいって警察に相談もされたらしいんですが、別居はされておりますが離婚はされていないんですね、法的には離婚が調っていないわけです。それで、しまいに別居状態で奥さんの親元に子供を一人連れて別居されていたわけです。その暴力的な主人が両親二人と子供を殺しちゃったんですね。大変な事件があったわけでございます。
 このケース、ドメスティック・バイオレンスというのはこのケースだけじゃございません、あっちこっちございますので、なかなかこの給付金制度の対象者にならないんですね。それで、どうですか、こういう夫婦間のトラブルにおける被害が起こった場合、救済する制度の適用を十分考えるべきじゃないかというように思うわけでございますが、どうでしょうか。
#94
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、白浜議員おっしゃいましたように、犯罪被害給付制度、これをどう具体的に適用していくかというと、なかなか難しい場合があるんだろうと思います。法の仕組みは被害者には救済する、しかし三親等内の親族等始め例外でそれはやらないと、しかしそれも特段の事情があれば認める場合があると、こういうふうになっているわけですが、そこでDVもいろんな形態がありますので、ドメスティック・バイオレンスもいろんな形態がございます。
 一般的に申しますと、犯罪被害給付制度というのは通り魔とかいわれもなく不慮の死を遂げたというような場合の犯罪行為による被害に対しまして連帯、共済といいますか、共助といいますか、そういう精神に基づいて社会全体として一定の配慮を示す必要があるじゃないかと、こういうことに根拠があるわけですね。
 そこで、親族間の犯罪について除いているというのは、家族間には相互扶助の義務というものが元々あるはずだと。それから、親族間の犯罪について給付金を支給していくということになると、結果として加害者を利するようなおそれもなしとしない、こういうことを考慮して原則として給付金を支給しないということになっているわけですね。
 そこで、御質問の点に関しては平成十三年度の改正のときに、衆参の内閣委員会における附帯決議がこれはございますので、それを踏まえながら深刻化するドメスティック・バイオレンスの現状、それからこれに対する世論の動向を見ながら、その支給制限の在り方について今後も慎重に検討していくことが必要だろうと思います。
 それから、先ほど申しました親族間の犯罪であっても例外があれば、社会通念上支払わないのが適切でないというような特段の事情があるときは支給を認めることができるというこの特段の事情でありますけれども、これはあくまで個別的な事情で判断するわけですが、例えば親族間の犯罪で被害者と加害者が事実上全く他人と同様の関係にあると認められる事情があるような場合には、今申しました特段の事情に該当することがあり得るというふうに考えております。
#95
○白浜一良君 そこが大事なので、これは多分法的に離婚されていたら、そういう意趣返しで殺したと、こういうことになれば当然この法律の解釈の範囲からいってもそういう対象者になりやすいと思うんですね。ただ、法的にはそういう協議もできない、相手が相手なので。そういう段階で法的には離婚していないというだけの話なので、そこが弾力的運用、具体的な運用面で私は個別的ケースとして十分考えるべきじゃないかということを私は言いたいわけですよ。これ、法的に離婚していたら当然対象者として十分認定される可能性が強いわけでございます。ただ、そういう別居して非常に険悪な関係でありますが、法的には離婚の手続されていないというだけでこういう被害者になられているわけで、じゃ、法的に離婚した、離婚していないというそのことだけがそんな基準になっていいのかと。
 実態こそ大事だと私は思うわけで、例えば、具体的にそういう夫婦間の関係がそういうドメスティック・バイオレンスとして認定されるような実態があれば十分運用面で対象に考えていいんじゃないかと。例えば、警察にそれの相談されているとか、そういう弁護士に相談されているとか、これは何かやっぱり客観的な基準というのが要るのは私も分かりますけれども、そこの運用をもう少し柔軟に考えるべきじゃないかと、このように思うわけでございます。いかがでございますか。
#96
○国務大臣(谷垣禎一君) 個々の事情ごとにやっぱり考えなきゃいかぬと思うんです。ただ、先ほど私申しましたのは、たとえ夫婦、まだ離婚が調っていないというような状況であっても、被害者と加害者が事実上もう他人と同様の関係だということがありますと、例外というか、特段の事情が認められ得る場合があるだろうというふうに申し上げましたので、要するにケース・バイ・ケースでございますけれども、いろんな事情を勘案しながら判断していくということだろうと思います。
#97
○白浜一良君 それで、やっぱり各県警というんですかね、各県の警察本部で考えますと、なかなかそういう柔軟な対応というのは難しいんです、実際は。だから、警察庁の方である程度、そういう事実上破綻している関係と大臣おっしゃられましたけれども、そういうふうなのはこういう基準が考えられますよと。例えば別居をして何年なるとか、それから弁護士が間に入っているとか、警察に相談されているとか、こういう客観的事実というものが何かやっぱりあると思うんですよ。そういうものを十分考慮して判断するようにというような、少しやっぱり警察庁の方から考え方を示唆してあげてほしいと思うんですけれども、現場の県警本部にそういうことを考えろといっても、なかなか一杯事案もありますし、このケースこのケース、法律に即して考えるとなかなか適用しにくいとかそういうこともいろいろございますので、ある程度ちょっと柔軟な個別ケースの基準というものを、このドメスティック・バイオレンスに関して言えばですよ、そういう基準を幾つか示されて、こういう範囲ならば十分対応を考えてあげるべきだというような、そういう示唆をされた方が私はいいと思うんですが、いかがですか。
#98
○国務大臣(谷垣禎一君) 今まで、こういう特段の事情を判断した事例が必ずしも委員のおっしゃるように多くないことも事実です。したがって、十分今のように類型化して示せるような蓄積が必ずしもないということも実態はあると思うんです。私、ちょっとまだその辺まで細かくは現場の実情を聞けていないんですが、ちょっとその辺りの今までの運用ももう一回私も勉強させていただきまして、どういうようなことができるか、少し勉強させていただきたいと思います。
#99
○白浜一良君 私、ちょっと担当者を呼んで聞きましたら、いろいろ検討しているみたいなので、大臣の方からも督促をよろしくお願いしたいと思います。
 それで次に、産業再生機構、本院で審議が始まっております。当然、経済産業委員会で十分審議をしていただきたいと思いますが、私も何点かちょっと基本的なことを確認をさせていただきたいと思います。
 まず、いわゆる債権の買取りなんですけれども、適正な価格ということになっていますね、適正な時価ですか。これは大変幅広い概念なんで、時価というんじゃ安過ぎる、簿価というんじゃ高過ぎると、こういうふうにもなりやすいので、どうなんでしょう、端的に言いまして、上限というのはいわゆる実質簿価と言われているような内容で、下限というのが時価だと、この間だというふうに考えていいんでしょうかね。
#100
○国務大臣(谷垣禎一君) 必ずしも、今、白浜委員のおっしゃったようにぴたっと言えるかどうか。
 と申しますのは、いろいろな概念がありまして、実質簿価だとかいろんな言い方をされます。必ずしも厳格な定義がなくて使われている場合も多いように思うんですね。それと、もう一つは、市場等が十分に発達しているわけではありませんので、はかりに掛けたときのように何グラムでございますというようなぴたっとした値が実は出てこないということがあるように思います。
 ただ、この基本的な考え方は、適正な時価を上回ってはならないと、こういうことでありますけれども、これは基本的にやはり出口を見据えて、再生計画ができたときにどのぐらいのやはり企業価値をそこが持ち得るかということを前提として割引率等を考えて判断するということでございますので、いわゆる実質簿価と言われているものよりは安い価格になるということは、これは安い価格になる場合が多いということは、そう言えるだろうと思います。
#101
○白浜一良君 私は、なぜそう言うかといいますと、本来、そういう企業の再生とかそういうことは民間でやるべきことなんですよね。それがちょっとはかどらないのでちょっと政府がこういう誘導する制度、システムを作ってやろうということなんで、ですからこそ、そういういわゆる買取り価格というのは透明性と中立性がなければならないと、これは当たり前の話なんで、だからどのぐらいの価格で買い取られるかというのは非常に大事な話なんですね。だから確認したわけでございますが。
 もう一点、いずれその買取り価格というのが公表されると思うんですが、いい加減な時期にするとそれはもうかえって混乱招きますので、そういう過程においてはなかなか公表できないというのは分かりますが、少なくともいわゆる債権譲渡等の処分が決まったとき、その段階で公表されるおつもりはございますか。
#102
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、公表の時期につきましては、委員がおっしゃったように、やはりある意味でこれ公が関与するものですから、透明性を確保するということは大事だろうと思います。ですから、機構の買取り決定を行った場合に、支援をして買取りをするということを決めた場合には、決定の概要については公表をするということにしております。
 ただ、買取り決定の際に公表をするということになりますと、買取り決定の際に一体個々の債権債務を幾らで買ったかということを公表するということになりますと、今度はこれを機構としてはどなたかに売らなきゃならないわけですから、おまえ幾らで買ったものをこんな値段で売り付けるのかというようなことになってはなかなか売却もスムーズに、言わば手のうちを明かすことになりますので、その段階ではなかなか難しいだろうと。ただ、ある例えばAならAという企業についての債権をすべて処分した、機構がすべて無事売却することができた場合の扱いをどうするかという点に関しましては、御指摘の点も踏まえて検討したいと考えております。
 これは、いずれにせよ、債権の買取りについての具体的な公表内容とか方法などは、今後、公表によって個別企業の権利とか競争上の地位とかそういったものを害することのないような配慮も必要でございますが、なるべく積極的にその辺は明らかにしていくような方向で検討を進めたいと思っております。
#103
○白浜一良君 買取りを決めたときじゃないんです、私言っているのは。産業再生委員会で債権の譲渡その他の処分を決めたときと、こういう段階はどうですかということを私申し上げたわけです。
#104
○国務大臣(谷垣禎一君) まだ全部そこを詰めて検討していないんですが、要するに、処分を決めましたときに、例えばこの債権は幾らで買い取ったという、そして幾らで売りましたということを個別に明らかにしますと、もう一つ考えておかなきゃならないことは、今度は、お売りした、買っていただいた方の今度はその処分にどういう影響が出てくるかという問題があるかと思います。したがいまして、その辺りをどう調整しながら公開していけるかという問題になってくると思うんです。まだ完全に詰め切ってはいないんですが、その辺り、委員の問題にされている点も十分考えながら検討を進めていきたいと思っております。
#105
○白浜一良君 よろしくお願いしたいと思います。
 それから、要するに、産業再生機構の職員の機密保持の問題なんです。
 当然、機密漏えいに関しましては罰則規定が設けられておりますね。それはそれでいいんですが、民間から集まって産業再生機構が、体制ができると思うんですが、いわゆる債権と関係する、関連する方がこの社員というか職員になる可能性もございますね。
 機密漏えいの罰則規定はあるんですが、再生機構としてのいわゆる情報管理上の何か考えていらっしゃること、制度として何かございますか。
#106
○国務大臣(谷垣禎一君) まず、今おっしゃいましたけれども、この法案には特別秘密漏泄盗用罪、あるいは特別賄賂罪というのを設けまして、一般の株式会社にはない規定で、刑罰でもって保秘といいますか、守秘を担保しているということがございます。
 しかし、それだけで必ずしもうまくいくわけでないので、我々もいろいろ今研究しているんですが、一般の民間企業でもかなりその辺は気を遣っておられて、例えばインサイダー取引に問われないようにとか、いろんなことを考えておられますが、勉強してみますと、これは一般論ですから全部がそうとは言えませんが、メーカーなどより例えば証券などがそういう市場を考えて、証券会社なんかはメーカーなんかよりは更に厳しい中での管理基準を定めていると。
 しかし、それより更に厳しい、何というんでしょうか、コンプライアンス体制、守秘体制を定めているのは、事業再生ファンドみたいなところ、あるいは事業再生をやっておられる企業、こういうところは、我々もここまで厳しく守秘義務を定めてやるのかと。いろんな、チャイナ・ウオールというんでしょうか何でしょうか、遮断をしてやっておられまして、我々も今その辺を研究しておりますけれども、厳格な社内規定等を作りまして内部情報を管理して、ここで集めた機微の情報が無用な市場の混乱やらあるいは当事者の利益を無用に侵害することのないように、きちっとやりたいと思っております。
#107
○白浜一良君 よろしくお願いしたいと思います。
 それから、いわゆる財政健全化の基準、一応設けていらっしゃって、例えば三年以内にキャッシュフロー対有利子負債が十倍以内と、こういうふうなのございますね。これは一つの考え方であることには違いないんですが、特にリース会社なんかは業種によって違いますよね、キャッシュフローの考え方も。リース会社なんかはもっと大きい、健全な会社でももっと大きいわけでございます。
 だから、この財政健全化の基準でございますが、少しそういう業種ごとに何かお定めになるようなことはございますか。
#108
○国務大臣(谷垣禎一君) 支援基準は、今おっしゃった産業再生法上の生産性向上それから財務健全化基準を満たすことを一つの要件としておりますが、これもやはり業種ごとにキャッシュフローの何倍以上というようなことも随分違いがございまして、だからこれは業種特性を勘案して合理的と認められる特段の事情があると委員会できちっと認定できる場合には、それは硬直的にやったらこれはうまくいかないと思うんですね。
 事業分野ごとの基準というのは、建設業につきましては去年の十二月に国土交通省で建設業の再生に向けた基本指針を作っていただいておりまして、この基準が支援基準に盛り込まれることになるわけですが、こういうものが、事業分野ごとでこういうのが定められていない場合もほかに全部定められるとは、必ずしもそこまでできるかどうか分かりませんので、いずれにせよ、業種特性を見ながら弾力的な運用というのも考えていかなければならないと思います。
#109
○白浜一良君 今のと関連するんですが、債務が過重債務の企業の再生というのは、これは一つの考え方、これはこれで分かります。
 もう一つ、いわゆる過剰供給構造にある企業の再生というのもあるんですよね、それを再生しようという。産業再編ということなんだろうと思いますが、その場合個別分野の、今ちょっとおっしゃった建設業は昨年十二月に出ておりますが、過剰供給構造にある産業、事業というのは、建設業は分かりますが、そのほか何か特段今念頭に置いていられるそういう事業はございます。
#110
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、経済産業省の方と十分、経済産業省に限りませんが、十分それぞれの分野と御相談しながらいかなきゃいけないと思いまして、余り簡単にここは過剰供給だとかいうのをできるだけ私は慎重に発言したいなと思っておりますが、よく言われるところというのは、やっぱり一般的に例えばゼネコンであるとかあるいは流通であるとかいうようなことはよく言われているということは承知しております。
#111
○白浜一良君 ですから、よく言われている、一般的によく言われている流通とかサービスとかですね、産業経済省に絡むものといたしましては。
 ということは、そういう国土交通省が建設業に関する指針を出したように、もしそういう供給過剰の構造にある産業ということで通産省が決められたら、そのいわゆる事業、業種の指針というかそういうものは当然出される、また出すことを大臣の方からも通産省にお求めになるというふうに考えていいわけですね。
#112
○国務大臣(谷垣禎一君) これはまだ必ずしもここができる、あそこができるというところまで十分詰め切ってはいないんですけれども、なかなかその基準を作るのが実態的には難しいところもあるのかなとは思っておりまして、そういうものがこれから続々とでき上がっていくという感じではないと思っております。
#113
○白浜一良君 お答えになりにくいんで、経済産業省が決めることであろうかとは思いますが、別にちまたに言われているそういう業種を私は固定して考えているわけじゃないんですが、いずれにしても、やっぱり供給過剰構造にある産業というふうにこれは規定されているわけですから、何らの形でやっぱりそれはきちっと認識して、産業再生という観点から、私は谷垣大臣が経済産業省にきちっと督促されるというか、そうされるべきものだと、またしてほしいと、待っていたらどうなるか分かりませんから。そういう意味で、前向きに取り組んでほしいという意味で私は確認しているわけです。その点だけ。
#114
○国務大臣(谷垣禎一君) 大変答えにくい球を投げてこられるように思いますが、白浜委員の問題意識は私よく分かります。
 それで、そういうようなことも私の頭の中から去らないわけでございますけれども、しかしこの機構の組立て方自体は、多分委員は、やはりある分野についてはこういうふうに再生していくというようなやっぱり地図を持って、そして少し言外に、踏み込んでいくぐらいのことをやれという言外の意味も込められての御意見だと思うんですが、この機構の立て方自体は、やはりその当該企業と金融機関で大体こういうふうに持っていこうということで持ってきていただいたのを我々がどう御相談に応ずるかという仕組みにでき上がっておりますので、あらかじめ、じゃ、この事業分野はこうするという絵を描いて、そこでどんどん手を突っ込んでいくというような仕組みにはでき上がっていないわけですね。
 ただ、過剰供給構造、そのほかの事業者が属するその事業分野は、やっぱり我々この再生計画が妥当かどうかと考える場合には当然十分考慮しなければならないというふうに、法上もそうなっているわけですし、それから我々が支援をしていく個別事業者がその事業を選択と集中と言っておりますけれども、そういうことを含めた大胆な事業再構築を行っていくということができれば、事業部門の交換というようなことを通じて同一業種内でのそのほかの企業との間で再編が進むことが期待されますし、それから機構が買い取った債権をどこに売却していくか、スポンサー探しということになると思いますが、そういうスポンサーを、売却先を決めるに当たっては、単に価格ということだけではなくて、今のような過剰供給というようなことも念頭に置いた場合どう産業再生に資することができるか、この視点も債権の売却先を見付けるには私非常に大事なポイントだと思います。そういうことを意識しながら運用するということが必要ではないかなというふうに考えております。
#115
○白浜一良君 余り活用されないんじゃないかという悲観的に、いわゆるこの制度が、そういう御意見をおっしゃる方もいらっしゃいますので、そうじゃなしに、担当大臣としてしっかり前向きに取り組んでほしいということで私いろいろ申し上げたわけでございます。もう大臣、結構でございます。
 では、ちょっと原子力につきまして、今日は来ていただいておりますので、ちょっと確認したいと思いますが、今日の日経新聞朝刊見ますと、新潟県の平山知事が東京電力の柏崎刈羽原発の再開問題で住民に国による説明が不十分だという認識を示されたということ、これ御存じでございますか。
#116
○政府参考人(薦田康久君) ただいまの件でございますけれども、新聞で拝見をしたところでございます。
#117
○白浜一良君 何や、それだけかいな。
 要するに、まあ何というかな、何が安全かというのが国民が分からぬと。それで、そういう原子力に対して、やっぱり一般国民の意識というのは、不安がある、基本的に不安があると。だから、安心してもらうということが住民に大事なわけで、そういう面で、もう個々のいろんな事例は申し上げませんけれども、大事なことは、どういう安全基準を持っているかということを、これが安全なんです、これが、基準は安全なんですと。これ基準があるということと、もう一つは、そういう企業内の検査にしろ外部からの検査にしろ、検査のレベルが十分だ、検査能力が十分あると、この二つがやっぱり大事なんで、それに対する、何というか安心感がないというのが、この一連の、シュラウドにひびがあるとかないとか、それで超音波で測ったよりも実測した方がたくさんあるとか、そういうたぐいの、何というかもう不安だけが広がっていくような情報ばっかり流れているわけでね。
 それで、ひとつ維持基準、これは日本機械学会規格が使われるんですか。これは今年十月からですか、いつごろ具体的になるんですか。
#118
○政府参考人(薦田康久君) お答えいたします。
 実は機械学会基準そのものを使うわけではございませんで、この十月から実は電事法の改正がございまして、電力会社等の事業者は自ら点検をいたしまして、その際にひびなんかがあった場合には健全性の評価を行うということになっておりますが、この基準にいわゆる維持基準というのが入ってくるわけでありまして、この際に、今なるべくその民間基準を使うということにしておりまして、その際の候補として、この正に今、先生がおっしゃった機械学会基準というのがあるわけでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、現在、資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会の小委員会におきまして、これをそのまま使っていいのか、あるいは規制としてはもう少し何かを追加した方がいいのか、その辺りを今現在検討しておるところでございまして、この十月の法改正実施に間に合うように急いでやっていきたいと考えているところでございます。
#119
○白浜一良君 十月から運用されるということは、もっと早いこと決まらぬと、その十月直前には、十月から運用が始まるわけですから、これは直前に決められたって、それでは関連の会社だって困るわね。いつごろできますか。
#120
○政府参考人(薦田康久君) お答えいたします。
 現在、検討しているところでございますので確たることは言えませんけれども、確かに先生おっしゃるように、十分な余裕を持って事業者が使用できるようにしなければならないと考えておりまして、この夏ぐらいを目途に検討を急いでいるというところでございます。
#121
○白浜一良君 だから、それを先言うたらええのや。皆さんの答弁は慎重過ぎるのや、小委員会でやっていますとか言うて。夏ごろまでには決めますと、そう言うたら簡単な話やのに、ごじゃごじゃごじゃと。まあ答弁しづらいんやろけど。
 もう一つは、先ほど検査の問題で、日本の検査レベルは低いと聞いておるのやけど、これはいかがなものでしょう。
#122
○政府参考人(薦田康久君) 検査員の資質の問題でございますけれども、実は現在でも、社団法人でございますが、日本非破壊検査協会の認定制度というのがございまして、そこで資格を有する検査員が実際の検査に当たっているわけでございます。これの実は検査レベルというのはそれなりに高いものでございますが、ただ、今度、維持基準というもの、いわゆる維持基準をやろうと思いますと、傷がどの程度の深さなのかということをしなきゃいけないんですが、実は現在のこの認定の際には、長さはあるんですけれども深さはないということがございまして、ここのところについては、おっしゃるように欠けているではないかということであればそういうことであろうと思っております。
 したがいまして、今後、当然深さというのが必要になりますので、このために、どういうタイミングでどのように検査を、何といいますか、検査員を訓練しというようなことを現在、大急ぎで検討しているというところでございます。
#123
○白浜一良君 もう時間がないので言いませんけれども、やっぱりちゃんと教育システム、研修システムを作らはった方がええと思うね。
 それから、もう最後に一点だけ。
 安全管理審査がございます。これはいろいろな調査結果を、審査されるんですが、これは基本的に公表される、されない。この点だけを。
#124
○政府参考人(小中元秀君) お答え申し上げます。
 四半期に一回、この種の検査結果につきましては安全委員会に報告されます。安全委員会といいますのは、基本的にはオープン、公開の場で審議しているということでございますので、保安院の方でやられるそういう検査につきましては、そういう形で公表されるということでございます。
#125
○白浜一良君 終わります。
#126
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
 昨日に続きまして、公務員制度改革について伺います。
 石原大臣、昨日、人事院が公務員制度改革のプロセスに人事院の関与が必要だという答弁をいたしましたが、これに対して石原大臣は、人事院から十八人の職員を派遣していただいて一体として進めていると答弁されました。この派遣された職員というのは内閣の指揮命令の下で働いているのであって、人事院を代表しているものではないと思います。
 それで伺いますが、人事院に対して正式な見解を求め、労使双方に中立公正な立場で主体的に意見を述べる、そういう場を人事院に保障されますか。
#127
○政府参考人(春田謙君) お答え申し上げます。
 人事院の方とは、私ども、公務員制度改革を進めていく中で節目節目での御意見をいただいたりしてきておるところでございますけれども、ちょっと具体的に申し上げますと、私ども最近も、いわゆる人事制度の中で、例えば能力等級制の導入でございますとか、あるいは採用制度、あるいは中央人事行政機関の所掌する事務の考え方とか、そういうような問題につきましても、私どもの方から考え方を逐次お出しをいたしまして、人事院の方からも御意見をいただき、また私どもの方からそれに対してお尋ねしたり確認したり、また御意見を申し上げることをやっております。
 そういうような形でできるだけ、いわゆる法制化作業を進めていく中で、先ほど組合の関係もちょっと触れられたかと思いますが、人事院を含めまして、関係のところと十分に意見交換を行いまして検討作業を進めてまいりたいと考えております。
#128
○吉川春子君 もう端的に答えてください。
 意見交換するとかどうとかということは今答弁ありましたので、人事院に対して正式な見解を求め、労使双方に中立公正な立場で主体的に意見を述べる場を与えると。今の答弁はそのように理解していいわけですね。
#129
○政府参考人(春田謙君) 正に私ども……
#130
○吉川春子君 イエスかノーで。
#131
○政府参考人(春田謙君) はい。
 そのように、私ども、必要な情報も提供しながら意見を交換をするという形で進めてまいりたいというふうに考えております。
#132
○吉川春子君 ちょっともう時間がないので。私の確認した点でいいんですね。今の、いいんですね、私の確認でいいんですね。
#133
○政府参考人(春田謙君) 私ども、人事院さんの方には人事院さんとしての所掌されておられる事務を持たれているということで、私ども、意見をお聞きしているわけでございます。
#134
○吉川春子君 大臣、端的にお答えください。
 公務員制度改革を進めていく過程において、だから私、政府参考人要らないんですよ、そういう答弁されるなら。
 大臣、進めていく過程で、今言ったような私のような立場で人事院にちゃんと見解を表明する場を与えるということを確認していただきたいんですが、いいですか。
#135
○国務大臣(石原伸晃君) これまでやってきたと思います。
#136
○吉川春子君 これからもやっていくということですね。
#137
○国務大臣(石原伸晃君) 必要があればやっていきます。
#138
○吉川春子君 人事院に伺います。
 三権制約の代償措置のほかにも、人事院は各省庁からの中立機関としての役割があります。しかし、天下りの判断を人事院から各大臣に政府は移したりしまして、国民から批判が強い天下りのチェックがこれではしにくいと私は思っております。また、人事院はいわゆる政治的任用を防ぐ機能も期待されてきましたけれども、今進められている公務員制度改革の中でこうした中立機関としての人事院の機能が制約されるおそれはありませんか。
#139
○政府参考人(佐藤壮郎君) 確かに、今御指摘のように、人事院は労働基本権制約の代償機関ということとは別に、やはり公務員の人事行政の公正中立性というものを担保する機関でもあるわけでございます。
 今の御質問、今度の改革でその機能が減るんではないかということでございますけれども、私どもも多少そういう危惧は持っておりますけれども、まだ制度の設計の詳しいところは私どもも承知しておりませんので、どの程度そういうおそれがあるのかということは、ちょっとまだお答えできないというふうに思います。
#140
○吉川春子君 石原大臣、昨日、公務員制度改革について全体像を示し、そこで議論ができるというふうに言われました。これは、公務員制度の全体像というのは、言ってみれば使用者としての内閣の案ですね。それに対して、労使双方の意見を聞いて主体的に意見を述べるということが人事院に保障されなければならないと思うんですけれども、先ほど大臣が言われた必要があればというのはそういう、こういう場合を正に指していると受け止めてよろしいですか。
#141
○国務大臣(石原伸晃君) 必要とあらばお話を聞かせていただきます。
#142
○吉川春子君 必要とあらばというその判断は内閣の判断だと思うんですけれども、今は制度としてそういう人事院の関与が必要であるというシステムになっておりますので、その点、内閣としてはやっぱり人事院のその機能を制約するようなそういう公務員制度改革を進めるべきではないということを指摘して、非常勤の問題に移りたいと思います。
 政府が、自らの労働条件、労働者が自らの労働条件について交渉権を持たないとどういう結果になるのか。大変な結果になると思います。
 公務員、国家公務員の中でとりわけ弱い立場にある定員外職員について聞きます。定員外職員である非常勤職員であっても労働基本権は制約されていますか。
#143
○政府参考人(春田謙君) お答え申し上げます。
 現在の国家公務員法におきましては、労働基本権の制約につきまして、常勤の職員と非常勤の職員につきまして特に区別をした取扱いとはなっておりません。そういう意味で、非常勤職員の労働基本権の取扱いにつきましては、常勤職員と同一の扱いとなっておるところでございます。
#144
○吉川春子君 労働三権の制約はあると。その代償機関は、これは人事院ですか。三権制約の代償機関としては人事院があると、こういう理解でいいですね。
#145
○政府参考人(春田謙君) 法律的にはそういう制度的な整理になっているというふうに理解しております。
#146
○吉川春子君 総務省にお伺いいたしますけれども、非常勤職員、定員外職員の労働条件の実態、それからその職員の数、これはどうなっていますか。
#147
○政府参考人(久山慎一君) お答え申し上げます。
 各府省に勤務いたしております一般職の非現業の国家公務員のうち、非常勤職員の給与につきましては、一般職の職員の給与に関する法律の規定に基づきまして、各府省の長が常勤職員との、常勤職員の給与との権衡を考慮しながら予算の範囲内で支給することとされているところでございます。
 また、これらの非常勤職員には、事務補助職員のほか、統計調査職員、審議会等の委員、顧問、参与等の職員、医療職員、保護司等、実に様々、多種多様の職務内容あるいは勤務形態の職員が含まれているところでございます。私どもの数字では、これは昨年七月一日の数字でございますが、こうした非常勤職員の方々の全体の数は二十一万三千四百六十七人という結果になっております。
 私どもとしましては、このために、給与を始めとする処遇の実態について統一的に調査し、把握することは困難であることから、従来より調査を行っていないところでございます。
#148
○吉川春子君 政府が調査を行っていないので、労働組合の数字を使いたいと思います。国公労連の非常勤職員についての調査、昨年末の時点での状況を九単産でアンケート調査したものですが、調査対象の単産での職員数は二万二千二百九十名、そして、中には時給で六百六円という職員もいます。これは、公務員の行政職(一)、行(一)の月額、一番低いところですね、一の二、月額十三万五千百円。これ、時給に換算しますと七百七十九円になるんですが、それから東京特別区は八百七十二円と比較しても大きな差がありまして、最賃ぎりぎりあるいはそれ以下かなという状態です。社会保険も六割の非常勤職員しか加入していません。
 こういう賃金実態は、さっき御指摘がありました、常勤職員との権衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給するというこの条文に照らして、給与法第二十二条二項に照らして適切と判断するんでしょうか。
 これはどちらに聞いたらいいですか。人事院ですか、総務省ですか。
#149
○政府参考人(大村厚至君) 非常勤職員の処遇につきましては、まずその従事する職務内容それから勤務態様、これは例えば八時間働いている方とか六時間とか、もっと短い方もいらっしゃいます。こういう区々ございまして、画一的な規制になじまないということから、給与につきましては、各庁の長が個々の非常勤職員の雇用それから勤務の実態、そういうものを勘案した上で、常勤職員との権衡を考慮して予算の範囲内で決定するという仕組みになっております。
#150
○吉川春子君 それは分かっているんです。今の国公労連の調査についてどう思います。例えば、労働時間が八時間とか六時間とかいろいろあるんだけれども、今、だから私が言ったのは、時給幾らで計算して言ったんですよね。この格差についてどう思うかということを聞いたんです。どうですか。
#151
○政府参考人(大村厚至君) 公務員の常勤の場合には、行政職(一)とか行政職(二)とか、いろいろ俸給表がございます。それぞれの職務において異なっておるわけでございますので、実際に、どういう職員がどういう仕事をされ、どれだけ働いているかということがはっきりしないと何とも申し上げられないというふうに思います。
#152
○吉川春子君 そうすると、ちょっとそこに座っていてくださいますか、時給六百六円でも差し支えない、これは法律の、給与法の定める権衡の範囲内だと、こういう御答弁と受け止めていいですか。
#153
○政府参考人(大村厚至君) そのように各省で取り扱っているだろうというふうに考えております。
#154
○吉川春子君 各省にこのように取り扱っているということは、給与法に違反していないというふうに言いますか。言えないでしょう、こんな、時給六百六円ですよ。これは余り好ましいことじゃないんじゃありません。
#155
○政府参考人(大村厚至君) 単に金額だけでそれが適当でないと言うわけにはなかなかいかないというふうに考えております。
#156
○吉川春子君 国家公務員は、いろいろな給与表がありますけれども、行(一)、行(二)とか、その他ありますけれども、いろんな職種はあるんだけれども、やっぱり統一した給料表で払っているわけですね、賃金を。ところが、非常勤の場合は全くそういう統一したものがないし、調査もしたことがないということです。
 人事院は二〇〇二年に非常勤職員に対して、報告ですかね、勧告ではなくて報告を出していますね。どういう内容でしょうか。
#157
○政府参考人(大村厚至君) 昨年の人事院勧告の際に報告を出しておりますが、その際、「非常勤職員に関しては、現在まで十分な制度的整備がなされておらず、非常勤職員が、常勤職員とほぼ同様の勤務実態を有しながら、定員等の都合で非常勤として採用されるといった運用がみられるところである。こうした現状を是正するため、非常勤職員の範囲の明確化や給与、勤務時間・休暇等の処遇や身分保障等について、関係府省が十分連携し、制度的な整備を検討する必要がある。」と、こういう報告を行っております。
#158
○吉川春子君 ですから、人事院もこれが今の状態でいいとは思っていないわけですよ。だからこういう報告を初めてですけれども出されたわけですね。
 大臣にお伺いいたしますが、石原大臣、公務員制度改革を進めるという中で、やっぱり国家機構、権力機構の一部を支える非常勤公務員の実態、処遇が非常に劣悪で問題があるわけなんですが、それを人事院はよくつかんでいないと、このように言っておりますが、まず非常勤公務員の実態を政府としてはつかむ必要があるのではないでしょうか。
#159
○国務大臣(石原伸晃君) これは私は、公務員制度改革のあるべき姿を今内閣官房の事務局を中心に検討しておりますので、非常勤職員の実態等々は、これは各府省庁でどのような実態になっているのか、ただいま吉川委員が御指摘されたような著しい劣悪と判断されても致し方ないようなことが本当にあるのかないのかを各省庁が私は調査をし明らかにすべき問題であると考えております。
#160
○吉川春子君 私は、各省庁が当然自分のところで働いている職員の実態をつかむ必要があると、大臣がおっしゃるとおりだと思います。同時に、国家権力の一部なんですよね。この方たちがいないと行政というものは成り立たないというところまで深く入っているわけです。
 人事院に伺いますけれども、こういう実態をきちっと統一的に把握するということこそが人事院の役割じゃないですか。その点、どうですか。
#161
○政府参考人(大村厚至君) 今、大臣から御答弁ございましたように、まず各省において実態をきちっと把握して対応していくべきものであるというふうに考えております。
 また、公務員制度の中で、私どもこの問題意識を申し上げましたのは、やはり非常勤問題というのが、これからのいろいろな働き方の観点から、どうしても一つ重要な公務員の働き方のファクターになってきますので、そういうものをも含めて検討していくべきではないだろうかというふうに考えておるところでございます。
#162
○吉川春子君 要するに三権は制約されたままなんですね。だからストライキはもちろんできないわけです。そして、いかに安い賃金、あるいはその他の待遇の面でも問題があっても、そういう効果的な行動ができないというところに特に非常勤職員は立たされているわけでありまして、石原大臣、臨時職員についても、やっぱりこういう自分たちの劣悪と思われるようなそういう条件を改善するために、政府と具体的に話し合い、要求を主張するその労働三権の制約というのはあってはならないんじゃないでしょうか。その点についてどうお考えですか。
#163
○国務大臣(石原伸晃君) 中長期の課題としては委員御指摘のような問題を検討するということはあるかもしれませんが、現在、政府といたしましては、今国会に国家公務員法の改正案など国家公務員制度改革関連の法案を提出すべく、これまで御議論をさせていただいてまいりましたように、鋭意法制化作業を進めているところでございます。まず、やはり能力等級制度の導入など、一般職の公務員にかかわる人事制度の一般的な仕組みを確立したいと考えているところでございます。
#164
○吉川春子君 労働三権の制約というのは一般の公務員にとってももちろん大問題で、これを外すということで初めて内閣官房が公務員制度改革の案を出せると私は思っておりますが、特にその非常勤職員の実態を考えたときに、これを放置して公務員制度改革というものが本当にうまく進まないと私は思うわけです。やっぱり行政の一翼を担っている大変重要な仕事をそれぞれの場でしている、こういう非常勤職員の実態を各省においてきちっとつかむように、そして統一的にも政府はつかむように、そのことを抜きに公務員制度改革というのはやっぱりあり得ないんじゃないかということを指摘して、この問題は取りあえず終わります。
 次に、警察の取調べの可視化問題についてお伺いいたします。
 まず、大臣に確認いたしますけれども、憲法は刑事事件において被疑者、被告人の権利を保障する詳細な規定、すなわち三十一条の適正手続、三十四条の拘禁、勾留に関する規定、第三十八条の自白の補強証拠、こういう規定を置いております。
 で、違法に集められた証拠は無効とされますね。なぜならば、刑事訴訟の根本というのは、基本的人権を保障しながらいかに実体的真実に迫るかと、これが基礎でございます。手段を選ばずに事実への接近を優先させるということは憲法が否定しているところだと。イロハなんですけれども、最初にこの問題について大臣に確認していただきたいと思います。
#165
○国務大臣(谷垣禎一君) 委員が今おっしゃった憲法の原則は刑事訴訟法にもきちっと規定がございまして、それにのっとって行わるべきものと思います。
#166
○吉川春子君 九七年の十一月八日午前二時五十分ごろ、神奈川県戸部警察署の取調べ室内において、取調べ中に証拠品のけん銃から実弾が発射されて被疑者が死亡するという事件が発生しました。警察は自殺として処理しましたが、遺族はそれを不服として、民事裁判なんですけれども起こしていますが、一審判決は事実についてどのように認定しましたか。
#167
○政府参考人(栗本英雄君) 今お尋ねの国賠の第一審判決でございますが、結果的には神奈川県側が敗訴いたしておりますが、その中で、被疑者は自殺ではなくて、被疑者がけん銃の引き金を引いたと認められないか若しくはその可能性は極めて低いと、まずこういう下に、けん銃の引き金を引いたのは被疑者でなく取調べ官であったと推認するのが相当であると、このような認定がございます。
#168
○吉川春子君 銃刀法違反、殺人未遂で逮捕されている被疑者に対してけん銃を裸で取らせるということはあり得ないのではないでしょうか。取調べ室でけん銃が被疑者の手に渡るという事態、これは常識では想像しにくいわけです。
 警察の発表によれば、取調べ官が証拠品であるけん銃と銃弾を一緒に被疑者の手が届くようなところに置いたと、これは重大な失態ですね。けん銃と銃弾が被疑者に渡れば、自殺どころか取調べ官が撃たれる、人質に取られる、こういう危険性もあるわけですね。
 取調べを行うに当たって、当然のこととして被疑者の自殺その他の事故を防止しなければならないわけですけれども、捜査規範ではどうなっていますか。簡単で結構ですけれども。
#169
○政府参考人(栗本英雄君) お尋ねの犯罪捜査規範の百六十七条におきまして、被疑者の逃亡及び自殺その他の事故を防止するよう注意しなければならないなどの規定がございます。
#170
○吉川春子君 この横浜地裁判決は、またこのように言っていますね。被告は、事故直後から、被告というのは神奈川県のことなんですけれども、現場及び証拠品について事故の痕跡を消し去り、証拠品に手を加え、不公正、不公平な偏った捜査を行ったものであって、総合的に判断すれば、けん銃の引き金を引いたのは被疑者でなく取調べに当たっていた巡査部長であったと推認するのが相当である。このように断じています。
 警察が事故の痕跡を消し証拠品に手を加えるなど、これはおよそ真実の発見のためにも逆行するのではありませんか。警察としてどう思いますか。
#171
○政府参考人(栗本英雄君) もとより、犯罪等が行われた場合にその証拠隠滅をやるなどとは考えられないことでありますが、本件につきましてはただいま委員御指摘のような一審の判決がございますが、神奈川県又は神奈川県警察といたしましては、本件につきましては事案の発生の当初から的確な捜査をしてございます。関係者の取調べあるいは実況見分あるいは死亡者の司法解剖などもやった上で、その上でこの捜査の結果といたしましては、今回の第一審判決につきましてはいろいろ事実認定の誤りがあるという判断の下におきまして、一審判決後に控訴し、現在訴訟係属中でございます。
#172
○吉川春子君 控訴、私が言っているのは、私が認定しているんではなくて裁判所の判決で言っているんですよね。民事訴訟ではあっても、事実認定をいたしませんと損害賠償を命ずることができませんから、裁判所はそれぞれ証拠に基づいてこのような認定をしているわけですよね。そして損害賠償も命じているわけですけれども、こういうことはやっぱりあってはならないことと、このように警察はお考えなのですね。そこをちょっと明確に御答弁をしてください。
#173
○政府参考人(栗本英雄君) 取調べの中におきまして、具体的な証拠品の提示方法、先ほど調べ室内において押収いたしましたけん銃とか実包とか、こういうようなものの提示の方法等につきまして不適切な問題があった。また、取調べ室内においてその押収したけん銃が使われて亡くなられるという事態に至ったということにつきましては私ども大変重大視をいたしまして、関係者を処分しているところでございますが、今具体的に、先ほど申し上げましたように、本件につきましては委員御指摘のようなあるいは一審の認定がございますが、私どもはそこはあくまでも被疑者側の行為による死亡事案であると判断をいたし、現在控訴し争っているところでございます。
#174
○吉川春子君 大阪弁護士会の会報の中で、可視化についての座談会が行われております。それによりますと、取調べにおいて被疑者を殴るけるということが日常的に行われているというような発言もあるわけです。私、そのまま、そっくりそのまま受け取っているわけではありませんが、専門家の法律実務家がこのようにおっしゃっておられます。非常にショッキングな話ですけれども、密室での取調べが冤罪などを生んできたという例は枚挙にいとまがないと申し上げても過言ではないと思います。
 それで、取調べを可視化する、つまり透明性を持たせるといいますか、密室ということではなくて外からも計り知れるような、可視化という問題が今論議されているわけですけれども、冤罪を防ぎ被疑者の人権を守るためにも、是非これは必要なことだと思います。
 それで、司法制度改革審議会の意見は、不十分ではあるんですけれども、被疑者の取調べ過程・状況について、取調べの都度、書面による記録を義務付ける制度を導入すべきだと。制度導入に当たっては、記録の正確性、客観性を担保するために、必要な措置を講じなければならない、このように述べています。
 今年の半ばまでに結論を得ることになっていますけれども、法務省、警察庁、それぞれどこまで具体化されているのか、まず具体化されているのかということを伺います。
 それから、取調べの状況を把握する上で、少なくとも一問一答の形式の記録を取るべきではないかと思いますが、この点についてどうでしょうか。
#175
○政府参考人(樋渡利秋君) 法務省におきましては、平成十四年三月十九日に閣議決定されました司法制度改革推進計画におきまして、「被疑者の取調べの適正を確保するため、」、「取調べの都度、書面による記録を義務付ける制度を導入することとし、平成十五年半ばごろまでに、所要の措置を講ずる。」とされておりますことから、これに基づきまして、その時期までに取調べ過程・状況の書面による記録制度を導入するための措置を講ずべく、現在、技術的、実務的な見地から鋭意検討を行っているところでございます。
 しかし、この点に関しましては、法務省のほか、捜査機関を所管する多数の関係省庁にもかかわりますことから、その対応の統一を図るため、取調べ過程・状況の記録制度に関する関係省庁連絡会議が設置されておりまして、法務当局としましては、今後とも関係省庁間で緊密に連携しながら、取調べ過程・状況の記録制度を具体的なものとしていきたいと考えております。
 なお、現在、鋭意検討中でございますが、まだ発表するほどの、発表するまでには煮詰まっておりませんということでございます。
#176
○政府参考人(栗本英雄君) 警察庁といたしましても、ただいま法務省の刑事局長からお話がございましたように、昨年の三月に閣議決定されました司法制度改革推進計画に基づきまして、本年の半ばごろまでにこの取調べの記録化につきまして現在検討しているところでありますし、また、法務省など他の関係捜査機関とも緊密な連携を取りながら所要の措置を取っておるところでございます。
#177
○吉川春子君 検討中なことは私も知っているわけですけれども、その物の考え方として、一問一答の形式の記録とすべきではないかと思います。この点について、それぞれお答えいただきたいと思います。
#178
○政府参考人(樋渡利秋君) 司法制度改革審議会の意見におきましても、要は被疑者、刑事手続全体における被疑者の取調べの機能、役割という観点からの答申になっておりまして、一問一答という形を要求されているというふうには考えておりません。
 しかし、いろいろな側面からどのような記録制度にすべきか、現在、詰めの作業を行っているところでございます。
#179
○政府参考人(栗本英雄君) 被疑者の取調べの適正化を図るという観点からこのような制度導入が義務付けられておるわけでございます。しかし、その内容につきましては、今法務省の刑事局長からも答弁ございましたように、今後いろいろな観点から更に詰めていきたいと考えておるところでございます。
#180
○吉川春子君 検討をしているわけですが、一問一答にできない理由、一問一答にすれば難しいと、こういう理由は何かありますか。法務省、どうですか。
#181
○政府参考人(樋渡利秋君) 今現在検討中でございますので、しばらく御猶予をいただきますれば、今後その検討結果に対しまして、関係各省庁とも意見を交換していきながら、できるだけその御説明をしたいというふうに思っています。
#182
○吉川春子君 もう何を聞いてもさっきから同じ答弁しか返ってこないわけですよ、検討中と。だから、検討しているから、私としては一問一答にしてはどうですかと提案しているんですよ。それが難しい何か理由がありますかと。一問一答にすることも含めて検討しているんでしょう。一問一答にするには物すごく難しいな、ここまでリアルに取られちゃ警察も密室の中で何もできなくなるよと、こういう意味ですか。警察、どうですか。
#183
○政府参考人(栗本英雄君) 今現在は取調べの記録化の問題でございまして、もちろん、例えば調書などにおいて一問一答で取ることはございますけれども、あくまでも取調べの機能、役割を十分果たすということと、被疑者の適正な人権保障等含めた権利が保障されるということの調整の下においてこの問題は検討なされていかなければいけないと考えておるところでございます。
#184
○吉川春子君 法務省、一問一答にする方が取調べ室の状況がより的確に把握できると思いますが、これをやるについて、じゃ、何かデメリットはあるんですか。
#185
○政府参考人(樋渡利秋君) 要は、取調べといいますのは、先ほど委員の方も最初に御指摘になりましたように、被疑者の権利保障と真相の解明というときには相対立する要請の調和を図りながらやっておるところでございまして、その取調べというのは、要は真摯にお互い疑問を出しながら聴いていく過程でございます。そこで、相手に対する心理的な影響ということも考えられるのでありまして、そういうところを踏まえながら、現在、どういう取調べ過程の記録を作るかどうかということを、関係省庁間とも協力しながら、協議しながら、検討しているというところでございます。
#186
○吉川春子君 大臣にお伺いいたします。
 可視化の問題というのはもちろん非常に重要なんですけれども、じゃ、具体的に効果があるような可視化が行われなければならないと思うんですが、今の一問一答の記録ということも含めて是非検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。
#187
○国務大臣(谷垣禎一君) 私は、取調べの現場というようなことは、正直申し上げまして、もう何十年か前に司法修習生のときに修習生の研修の課程としてやったぐらいの経験しかございませんので、今、委員の御質問に的確にお答えできるかどうか分かりませんが。
 一問一答ということになりますと、捜査当局の側の負担というだけではなくて被疑者の方の負担も私は膨大なものになるのではないかなと、それを全部逐一紙の上に再現していくとなると。というような、今、政府委員との、先生とのやり取りを聞きながら、実はそんな気持ちでお聞きをしていたわけでございます。
 ただ、今も法務省の刑事局長からも御答弁がございましたように、司法制度改革審議会の意見の中に記録化というようなことが出ておりますので、それをどういうふうにしていったらいいかということはこれからきちっと詰めていただく必要があるなと、また詰めていく必要があると思っております。
#188
○吉川春子君 一問一答の記録を取るということがそんなに大変だと言うならば、外国でやっておりますように、テープとか画像とか、そういうものに記録するという方法もあるわけで、その点は大臣、いかがですか。
#189
○国務大臣(谷垣禎一君) これも、私も余り生兵法で申し上げるのは余り本意ではございませんが、外国と申しましても、そう広く一般にビデオ化のようなことが行われるというふうには理解いたしておりません。
 それと、これは単に取締りの記録可視化という視点だけから答えが出るものではないんだろうと思います。つまり、刑事訴訟法の全体の立て方、あるいは犯罪の構成要件を定めます刑法等の構成要件がどういうような仕組みになっているのか、こういうようなことを全部挙げて恐らく判断をしないと、ビデオ化のようなことは結論が出ないのではないかなというふうに私は思います。
#190
○吉川春子君 要するに、捜査が密室で行われていて、そこで、拷問はもう恐らくしていないと思うんですけれども、いろいろ激しい取調べが行われていて、任意の自白が得られないという状況はもう繰り返しあるわけです。拷問のことはちょっと取り消しますが、それはもう憲法で禁止されていますから、そういうことはしてはならないわけです。
 それで、そういう中で、やっぱり本当に客観的に、後で何かあったときには、その捜査の状況が分かるということは人権保障の上からどうしても必要なんですね。捜査当局の必要性からいうと、それは困るということなのかもしれませんが。さっき人権保障の面も挙げておっしゃられましたけれども、やっぱり人権を守りながら実体的真実の発見に迫るという刑事訴訟の原則として、やはりその捜査の取調べの可視化というのは根本問題なわけです。
 諸外国といいましても、日本は憲法上も非常に具体的な被疑者・被告人保護の規定を持つ国としてやっぱり諸外国の先進を行く必要があるわけですね。それぐらいしてもいいと思うんですね。
 だから、私は、司法制度改革の中でこの捜査の取調べの可視化ということを強く要求をいたしまして、時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。
#191
○島袋宗康君 国会改革連絡会の島袋宗康です。
 最初に、独立行政法人移行後の決算等の表示についてお尋ねしたいと思います。
 今国会の冒頭に提出されました平成十三年度決算検査報告には、昨年三月末に独立法人化されて初めて決算期を迎えた国立特殊教育総合研究所など二十六の独立法人について会計検査院法第三十四条によって処置要求がなされたことが記載されております。この点について、会計検査院より簡潔に御説明いただきたいと思います。
#192
○説明員(重松博之君) お答え申し上げます。
 会計検査院は、院法第二十二条の規定によりまして、国が資本金の二分の一以上を出資しております法人の会計を必要的検査対象として検査を行っておりまして、委員御指摘の独立行政法人につきましてもその対象として検査をしているところでございます。
 そして、今お話のございました、十三年度決算検査報告において処置を要求いたしました二十六の独立行政法人は、十四年三月三十一日に最初の決算期を迎えたものでございまして、国から承継した権利及び義務が財務諸表等において適正に計上されているか、期中における会計経理は会計基準等に準拠して適正に経理され、財務諸表等に正確に表示されているかなどに着目して検査をしたわけでございます。
 その結果、まず一つは、国から承継した物品、ソフトウエア等が財務諸表等に計上されていないという事態、それから、国が設置した共同利用施設を利用しながらその維持、運営に要する費用を負担しておりませんで、また財務諸表にも計上していない事態がございました。さらに、各独立行政法人で機関管理しております科学研究費補助金を各月の合計残高試算表等に計上していない事態などが見受けられたわけでございまして、独立行政法人により作成されます財務報告はその利用者であります国民その他の利害関係者に対して利用目的に適合した有用な内容を提供するというものでなければならないということになっておりますことから、各独立行政法人において第二期の財務諸表等の作成に向けて、承継した資産を適正に財務諸表に計上すること、それから、国が負担している費用を財務諸表に表示することなど、資産及び費用等の認識、計上処理を適切に行うなどの処置を講ずる要がある旨、是正改善の処置を要求したところでございます。
#193
○島袋宗康君 会計検査院の指摘は個々の法人に対してなされたものでありますが、これほど多くの法人が指摘を受けたということは、独立法人への移行に当たっての会計処理について、政府全体の考え方があいまいであったのではないでしょうか。悪く言えば資産隠しを行っていたということであり、独立法人にはなったけれども、従来の感覚のまま行政コスト意識に欠けていたということではないでしょうか。
 今回の会計検査院の指摘を受けて政府はどのような措置を取られるか、御所見を承りたいと思います。
#194
○政府参考人(松田隆利君) お答え申し上げます。
 先生御案内のとおり、独立行政法人制度は、公共的な業務の質の向上あるいは効率化のために、中期的な目標管理という考え方の下で法人に一定の自律性、自主性を付与しまして、一方、第三者機関による業績評価ですとか、あるいは組織等の定期的見直しですとか、ディスクロージャーの徹底等を制度化したものでございます。
 今、関連の監査につきましても極めて重視しておりまして、国の出資又は財政援助を受ける場合に会計検査院、先ほどの検査院の検査が行われるわけでありますが、それにとどまらず、まず内部監査に当たります監事を複数置きまして、そのうち一名以上は外部の者を起用すると。それから、会計は原則として企業会計原則によるものとしておりまして、会計専門家等による検討の上作成されました独立行政法人会計基準に準拠して処理をすると。それから三点目に、小規模な法人を除きまして、民間の大会社並みの会計監査、外部監査でございますが、会計監査人による監査でございますが、それを義務付けております。既に独立行政法人になっております五十九法人中、三十二法人はこの外部監査が義務付けられているというところでございます。さらに、財務諸表は主務大臣による承認後遅滞なく公表するということで監査の徹底を期しておるわけでございまして、独立行政法人におきましては、こうした仕組みを通じて会計処理が適切に行われるべきものと考えておるわけでございます。
 一方、初年度ということで、先ほど会計検査院の方から御説明ございましたような指摘を受けたわけでございますが、今後、関係省庁におきまして検査院の指摘を真摯に受け止めまして適切な措置が講じられていくものと考えております。
#195
○島袋宗康君 今後はそういった会計検査院からの指摘を受けないように、是非御努力願いたいというふうに要望しておきます。
 次に、栄典制度の改革と予算措置についての問題についてお尋ねいたします。
 昨年八月に閣議決定された栄典制度の改革が本年秋の叙勲から実施に移されますが、そのポイントを簡潔に御説明いただきたい。また、新たな勲章の授与基準を閣議決定し公表するということであるが、それはいつごろを目途にしてなされるのか、お尋ねいたします。
#196
○国務大臣(福田康夫君) 我が国の栄典制度、これは国家、公共に対する功労を顕彰する重要な制度として定着をして、明治以来定着しているわけでございますが、二十一世紀を迎えまして社会経済情勢が随分変化をしておるわけであります。そういう変化に対応するため、平成十三年十月の栄典制度の改革の在り方に関する懇談会の報告書の趣旨を踏まえまして、昨年八月に改革の内容を閣議決定を行いました。この改革は本年秋の叙勲から実施する予定でございまして、新しい授与基準につきましては五月の下旬ごろに閣議決定をしようということで、今検討を進めております。
 その改革のポイントですけれども、二、三御説明申し上げますけれども、まず勲一等とか二等とかいう数字による表示、これは人に序列を付けているような誤解を生むおそれがあるということでございますので、これは、一等、二等というそういうものは排除するというか、なくすということですね。そして、その下にあります旭日大綬章とか旭日重光章という、こういう各勲章の固有の名称で表示するということになります。
 それからもう一つ、勲章のランクでございますが、現在は旭日章と瑞宝章というものがございまして、これはもうすべてランクが違うんです。現在十二段階ということになっておりますが、これは煩雑で、かつ細分化され過ぎていると、こういうようなことで、簡素化をしようということになりました。六段階になりました。
 そして、その六段階を瑞宝章とそれから旭日章に分けております。瑞宝章は長年にわたる功労に対する顕彰、それから旭日章は、簡単に申し上げれば功績の内容に着目した顕彰と、こういうようなことで分けました。ですから、例えば瑞宝章には、例えば長年にわたる功労ということで、お役人とかそういうような方に差し上げる。そして旭日章というのは、功績の中身、例えば民間のいろいろな功績のあられた方、そしてまた国会議員もそういうことになるんだろうというふうに思います。
 次に、瑞宝章のみならず、旭日章も男女に共通して授与すると、こういうことで、従来は旭日章は男性のみに授与されておりますが、国家、公共への功労に関する栄典の授与は性に対しても中立であるべきであるということで、功績の質的相違に応じて旭日章を女性にも授与するということにしております。
 もう一つ御紹介しますが、自己を犠牲にして社会に貢献した者への配慮ということで、具体的には、人目には付きにくい分野で地道に功労を重ねている人への授与を増やすと、こういうことも考えております。
 また、警察官、自衛官というような著しく危険性の高い分野で精勤した者への叙勲を、これは春秋叙勲とは別に行うようにしたいと思っておりまして、これらの分野での受章者数を増やすということも考えております。
 これ、大体大きなポイントだけを申し上げました。
#197
○島袋宗康君 今御説明のように、警察官や自衛隊の高級幹部に、ひょっとすると高級幹部だけにその叙勲をなさるのではないかというような懸念があります。私たちは、そういった問題については反対したいと思います。特に、災害救助や町の防犯などに献身的な地道な努力をした職員にこそ日を当てるべきじゃないかというふうに思っておりますし、また閣議決定の文章からは消防官が落ちておるというふうに認識しております。そういった消防官は著しく危険性の高い業務の最たるものではないかというふうに思います。
 そこで、消防官についてのきちっとした、きちっと対応すべきではないかというふうに考えますけれども、御答弁をいただきたい。
#198
○政府参考人(佐藤正紀君) 今、先生の御指摘のありました非常に現場で苦労されているような方々、このような方々につきましては優先的に叙勲をするような形で対応してまいりたいと思っておりますが、特に警察官、自衛官ということで例示として挙げてございますが、危険性の高い業務として私たち今考えておりますのは、警察官、自衛官、消防吏員、入国警備官、海上保安官など、第一線で危険な業務をこなしている方々を全部含めて考えておるつもりでございます。
 それから、人目に付きにくいところの方々を積極的に取り上げるということからいきますと、役所の方からだけではなかなか候補者が拾い切れないということもございますので、今回からは一般からこういう方がいるということを賞勲局の方に申し出られるような制度を作ろうということで、今検討しておるというところでございます。
#199
○島袋宗康君 栄典制度の改革が実施に移される初年度の十五年度予算では、改革に伴う予算措置はどのようになっているのか。また、今年四月から造幣局が独立法人化されるが、賞勲局の予算には今後何か影響があるのかどうか、お尋ねします。
#200
○政府参考人(佐藤正紀君) 平成十五年度の予算におきましては、賞勲局に関する予算といたしまして総額で三十億七千九百万円が計上されておりますが、このうち危険な業務に従事する方々の受章者を増加するための経費といたしましては、約六億円を見込んでおります。
 それから、造幣局が独立行政法人になりますが、現在のところ、質の高い勲章をあれだけまとめた数で製造する能力のあるところが造幣局以外にないということもございますので、引き続き造幣局を使ってまいりたいと思っております。
#201
○島袋宗康君 沖縄県の名護市数久田の被弾事件についてお尋ねいたします。
 沖縄県名護市数久田の被弾事件について、本年三月十二日、高橋清孝沖縄県警察本部長が、沖縄県議会予算特別委員会で、昨年七月に実施した名護市数久田の被弾事件で、米軍が、県警が捜査し原因を特定すべきであるというふうな認識を示しておることについて、米軍はもっと捜査に努力すべきだと批判をしております。米軍の対応に不快感を示している答弁をなされておりますけれども、その内容について警察庁は御存じでしょうか。
#202
○政府参考人(栗本英雄君) そのような報道あるいは議会での発言があったということは承知しております。ただ、お尋ねの件につきましては、これまでもこの事案につきまして、沖縄県警察とまた米軍当局が緊密な連携を取りまして、捜査、調査を進めてきているところでございます。
 そのような状況の中で、本部長といたしましては、今回、県議会の一連の質疑の中で、米軍当局との協力関係を一層強化すると、そういう観点に立って発言がなされたものと承知しておるところでございます。
#203
○島袋宗康君 この件について米側に、もっときちっとした捜査を米軍独自でやるべきであると私たちは思うんですよ。それを県警に、何か県警が捜査すべきであるというふうな一つの、何というんですか、自分で事故を起こしながら、あるいは事件を起こしながら、県警に捜査をすべきであるというふうな、何か非常に押し付けがましい内容になっているんじゃないかと思うんですよ。
 その辺についてどうなんですか。これはきっちりと米軍側でちゃんと捜査をして、むしろ県警にそれを報告してやるべき筋合いのものではないんですか。どうなんです、これ。
#204
○政府参考人(栗本英雄君) 先ほど申し上げましたように、これまでも沖縄県警察とまた米軍当局の捜査機関が大変緊密な連携を取りまして、この事案の全容解明のために努めてきておるところでございます。
 これまでにも県警としては、米軍側の了解の下に基地内での実況見分とか、あるいは試射弾の提供をいただいたというような、米軍当局の協力を得ながら捜査を進め、現在、全容の解明に努めておるところでございまして、米側の捜査についての姿勢、今、ただいま御指摘があったようなことが県警から強いものとして問題になっているというような話は聞いてございません。
#205
○島袋宗康君 この問題についてはまだ解明されていないわけですよ。だからこそ私たちは問題にしているわけです。だから、こういったふうな米軍の認識の下では、これは非常に真相究明というのがあいまいになっていくんじゃないかと。これはもう永久に恐らくその事件解明というものが出てこないんじゃないかと思うんですよ。
 したがって、今の一連の私が申し上げましたようなことが、私は、やっぱり米軍と県警というものがぎくしゃくしたものがあるんじゃないか、それによってこういった発言が出てくるんじゃないかと思うんですよ。だから、もっとやっぱり政府は米側に対して、この問題に対してきちっとやるべきだというふうなことを申し入れるべきであると思いますよ。
 これは真相究明まだなされていないんですよ。それは米軍がやるべきであって、私は、県警がそこで見ているわけじゃないですから、県警がこれやろうとしても、米軍の、さっきおっしゃっていたように協力がないとできないと、当たり前なんですね。しかし、主体は米軍にあるべきだというふうに考えますけれども、その件についてもっと真相究明をやって明らかにすべきであるということは申し入れる必要があると思いますけれども、その点、どうお考えですか。
#206
○政府参考人(栗本英雄君) この事案につきまして、少しでも早く事案の解明をすべきだと考えておりますし、先ほど来御答弁申し上げておりますように、そういう観点からの県警察と米軍当局、捜査機関がより一層緊密な連携を取って今後の事案解明に努めていくべきだと思っております。
 そういうことを前提にした上で、現在、相互の協力あるいは連携が図られているとの県警からの報告がございますので、それを踏まえた上で今後の捜査の推移を見守ってまいりたいと考えておるところでございます。
#207
○島袋宗康君 いや、だから、米軍にもっと強く申し入れるお考えがあるのかどうかということをはっきりおっしゃってください。そうじゃないと、これは答弁にならぬじゃないですか。
#208
○政府参考人(栗本英雄君) 現時点におきましては沖縄県警察におきまして捜査を行っておりますので、そういう観点からの、県警側から米軍当局に対するより緊密な連携、また協力が図れるように申入れがなされるよう指導してまいりたいと考えております。
#209
○島袋宗康君 私はついでに申し上げておきますけれども、いわゆるレンジ10のキャンプ・シュワブにおけるところの演習、これが、被弾事故によってこの10を廃止すべきであるというふうな県議会での全会一致の決議をされているわけですよ。その問題についても、米軍はそれを否定して現在演習を行っている、そういうふうな実態が、まだあの事故が起こる可能性が十分にあるような演習実態があると。余り認識されていないようでありますけれども、何かしら沖縄県民が、非常にこういった問題について政府にもっともっと口酸っぱく申し上げていかなけりゃならないというふうな観点から申し上げているわけですよ。
 そのレンジ10の被弾事件についていわゆる県議会で決議文をして、米軍にこれを、こういう決議を手交しようとしたら受け取らないというふうなことまで、もう米軍は非常に横柄なんです。自分で起こした事件、事故を、県議会でこういう決議して要請に行ったら、我々関係ありませんと。こんな米軍のやり方というのは県民をばかにしているんじゃないですか。
 そういったことをきちっとしてもらわないと、この問題だって真相究明というのはなかなかできないというふうに思うんですよ。もっとその辺を、しっかりしたやっぱり政府の態度というものを明確にしていただかないと県民は納得しないと思うんですけれども、どうなんですか。
#210
○政府参考人(栗本英雄君) ただいま委員から御指摘のありましたこの事案等に対する県民の皆様方の一刻も早い真相解明ということにつきまして、沖縄県警察、また私どもも、本部長を含めて、そのようなものを旨にしながら、引き続き米軍当局と緊密な連携を取りながら解明してまいりたいと考えております。また、そのような観点から指導してまいりたいと思っております。
#211
○島袋宗康君 この県警本部長は、日本でできる限りのすべてのいわゆる科学的鑑定はやったと、ところがやっぱり真相究明には至っていないというふうな報告なんですね。だから、やっぱり米軍にもっと科学的ないわゆる鑑定を要求すべきであるというふうに思いますけれども、再度御答弁願えませんか。
#212
○政府参考人(栗本英雄君) 捜査機関においてそのような緊密な連携が図れますように更に努めていくべきだと考えております。
#213
○島袋宗康君 そういった一連の事件、事故によって沖縄県民が非常に、米軍基地があるために非常に生活不安を感じているということは私がここで指摘しないまでもありません。
 イラクの問題についても、やはりこの沖縄県の米軍基地があるがために、またこれから機動隊が三百人も派遣されるということが新聞に載っておりますけれども、私はむしろ、三百人の機動隊が行く、警備に行くという自体が、むしろ沖縄の非常に危険性を感じる。そういった意味で、むしろこれは機動隊を送るよりは黙っていた方がいいと。沖縄県民が米軍基地に突っ込んでいくというふうな、テロを起こすような県民性はないです。
 そこで、何で三百名の機動隊を沖縄に派遣するのか、私は理解できません。御承知のように、九・一一のあの同時多発テロによって沖縄県民が、観光産業は全くダメージを受けました。今回のこのイラク攻撃についても、やはり県警をむしろ送ることによって、ああ沖縄はむしろ危ないんだと、機動隊が行って警護するぐらいだから、これは危険だというふうな認識をやはり旅行観光客に与えかねない。その辺は慎重に私は機動隊の派遣についてはやるべきだと、むしろ派遣しない方がいいというふうな感じを持っております。
 その辺は今日の質問には通告はされておりませんけれども、私はそう考えますので、是非その機動隊を送らないように皆さんで再度検討していただきたいというふうに思います。
#214
○政府参考人(栗本英雄君) ただいまの御質問にお答えできるような立場でございませんが、当委員会におきまして委員のようなお尋ねがあったということを関係部局に伝えてまいりたいと考えております。
#215
○島袋宗康君 終わります。
#216
○田嶋陽子君 無所属の田嶋陽子です。
 昨日、齋木参事官に質問しましたけれどもお答えをいただいていなかったので、再度同じ質問をいたします。
 日本政府の政府関係資料の中で初めて慰安婦という言葉が使われたのはいつでしょうか。そして、どの文書にどのような形で使われていたのか教えてください。
#217
○政府参考人(齋木昭隆君) お答えいたします。
 昨日の段階では質問通告いただいてなかったものですから、昨日の夕方……
#218
○田嶋陽子君 しました。
#219
○政府参考人(齋木昭隆君) いえ、いただいておりません。
 いずれにいたしましても、この話は九一年の十二月に──政府、一九九一年の十二月に政府が調査いたしまして、そのときに、膨大な資料の中からいろいろな事実関係探していったんでございますけれども、慰安婦という言葉を示唆する表現というのは、いろんな表現の中で最も古い資料ということで私どもが把握しておりますのは、昭和七年、いわゆる上海事変が勃発いたしましたそのころに、この上海の辺りの軍の駐屯部隊のために慰安所というのが設置されたという、そういう資料があることを把握しております。
#220
○田嶋陽子君 私は、よくEメールとか電話とか、罵倒する言葉をもらいます。おまえのやっていることはでたらめだと、慰安婦問題はでっち上げだと、そんなことはしていないと。今でも質疑の後、それから私が物をしゃべった後にそういうEメールが来ます。
 それってすごく私はその方たちはお気の毒だと思います。日本の教科書にもきちんと載っていないし、それから日本の政府もそういうことをきちんと国民に表明していないということで、自分の国に関することで大変無知だということですね。その人たちは私を批判することでうっぷんを晴らしているんでしょうけれども、私はやっぱりこういう事実、私もこの昭和七年ということを私なりに調べて知っております。
 ですけれども、外務省も、こういう事実があったなら、私は、何らかの形を通してきちんとやっぱり国民に伝えること、情報公開することが役目だと思いますが、そのことに関してはいかがでしょうか、齋木参事官。
#221
○政府参考人(齋木昭隆君) ただいま申し上げました調査の結果は、九三年の八月に調査結果ということで発表、公表いたしてございます。
 それで、結構膨大な資料なものですから、ごらんになる方々がどのくらい、全部通してごらんになる方がどれぐらいいらっしゃるか分かりませんけれども、それをまとめたものというのが本になって出ておりまして、その中で、今私が申し上げたように、その昭和七年の駐屯地、駐屯部隊のための慰安所設置というくだりが実は書いてあるんでございます。
#222
○田嶋陽子君 ありがとうございます。
 それではまた、これからも折に触れて、膨大な本で出ていても普通の人の目には触れないわけですよね。ですから、折に触れてやはりそういうことは積極的に表に出していっていただきたいと思います。
 それから、昨日に引き続きまして、上海韓国婦女共済会の名簿について質問いたします。
 昨年、岡崎議員がこの名簿のことで質疑をなさいました。そのとき、その日本政府は名簿を手に入れたいと、そして韓国政府関係機関に申し出たというところを、昨日の参事官のお話ではプライバシーの問題もあるということで拒絶されたというお答えでした。
 それについてですが、日本政府の申入れを断ったのに、私は今年その名簿を手に入れてきました。韓国政府から拒否されたのか、なぜ拒否されたのか、そのことに関して参事官はどのようにお考えでしょうか。
#223
○政府参考人(齋木昭隆君) 昨日もちょっとお答え申し上げましたけれども、昨年のたしかこれ国会で取り上げられて、それで報道もたしかございましたけれども、私どもとしてもすぐに調査いたしまして、外交ルートで韓国の政府関係機関に名簿の入手ができるかどうかということを問い合わせいたしまして、また今回こういう御質問をいただくということもあったものでございますから、最近またこの件についてどうであるかということを改めて外交ルートで問い合わせをいたしたわけでございます。
 結果的には、昨日もちょっと申し上げましたけれども、やはり個々人の方々のプライバシー等の問題があるので、韓国の政府としてはこの名簿の写しを外に出すことについてはこれはできないということを明確に私どもに対して言ってまいったわけでございます。
 私どもとしましては、この種の問い合わせをやる相手としては、やはり外交関係持っておる国につきましては、窓口としては、先方に対して外交ルートでこれは照会せざるを得ないという立場でございますので、重ねての私どもからの問い合わせに対してそういう先方政府からのお答えがあったということは、私どもとしては、これは受け止めざるを得ないというふうに考えております。
#224
○田嶋陽子君 でも、私は一介の代議士、代議士じゃなくて、何ですか、国会議員です。それに対して、のこのこ独立記念館に行ってお願いしたら、くれたわけですよね。というのは、政府よりも私の方が信頼されたということです。──何ですか、その笑顔は。でも、それっておかしくありませんか。どう思われますか。
#225
○政府参考人(齋木昭隆君) 恐縮でございますけれども、田嶋先生、大変に信頼が厚いんだと思いますが、私どもは、あくまでもこれは相手国の政府の機関の中での仕切りなものでございますから、一義的には、窓口としては、向こうのそういう言わば外交通商部を通じていろいろとお願いをせざるを得ないということでございます。
 また、これやっぱりプライバシーに本当にかかわっている話だということを、向こうは大変にそこの部分については神経質になっているものでございますから、私どもは、そういうことで、昨日先生がお持ちになっていらっしゃったその名簿の写しも、先方はそういう扱いを恐らく望んでおるんだろうというふうに思っております。
#226
○田嶋陽子君 しつこく言うつもりはありませんが、私は、やはりそれは韓国の人たちも韓国の政府も日本の外務省を信頼してないんだと思うんですよね。やっぱりそれは今までの外務省や政府の態度と無関係ではないと思います。ですから、日本政府が真摯に調査を重ねて、被害者や被害国に対して誠実な責任を取ろうとしてきたんだったら、私はやはり喜んで提供してくれたと思うんですね。私に渡した方がプライバシーの侵害は大きいと思います。ですけれども、そういうことをしてくれたということは、私はそのためにも頑張らなければいけないと思っているんですけれども。
 そのときに韓国の国会議員たちは決議案を出してくれると約束してくれまして、何と、一か月もたたないうちにこの促進法案を通してほしいという決議案を、決議文を出して、送ってくれました。
 ですから、やっぱり相手国が必死になってやろうとしていることに対して、日本政府は少し誠実さが私はやっぱりないと思います。国対国のことですので、どうかこれから真摯にこの問題に取り組んでいただきたいと思うんですが、そのことに関していかがでしょうか、参事官、お約束いただけますでしょうか。もしお約束いただけるんなら、私は、独立記念館との間のクッションになって、この名簿を渡してもいいかどうか話を付けて名簿をお渡ししますが、その辺りはいかがでしょうか。
#227
○政府参考人(齋木昭隆君) 先生のお言葉は重く受け止めさせていただきました。
 引き続き、私ども真摯にこの問題については取り組んでまいるつもりでございます。
#228
○田嶋陽子君 名簿は要りませんか。
#229
○政府参考人(齋木昭隆君) ここは韓国政府との関係もございますので、私どもはそこの外交関係に対する配慮というのをちょっとしないといかぬかなという感じは持っております。
#230
○田嶋陽子君 それではよろしくお願いします。
 次に、男女共同参画社会のことについてお話しいたします。
 福田官房長官は、今日はお忙しくてお出にならないということでしたが、いらしてくださってありがとうございます。それとも途中からいなくなるんですか。そんなことはないですね。
#231
○国務大臣(福田康夫君) しばらくいます。
#232
○田嶋陽子君 ああ、そうですか。それでは一生懸命頑張ります。
 男女共同参画基本法が公布施行されました。一九九九年ですね。それからもうすぐ四年になります。昨年十一月の質疑で私は、女性省を作ってくださいと申し上げました。そこで総合的な政策を進めてほしいと提案しました。その際、坂東局長の方から、政府の中央に近いところ、局でやっていく方がいろいろ参画、男女共同参画の視点を反映させやすいし効果的だというようなお返事をいただきました。そのときに局長は、努力はしているけれども十分であるかと言われればまだまだなすべきことが多いという答弁もいただきました。
 そこで、福田官房長官にお尋ねします。
 今日は、まず初めに、その後の進捗状況について、局として何がどう進んだのかを具体的にお聞かせ願いたいと思います。
 前回から四か月しかたっていませんが、政府としては、所信のところでも本当に力をやっているんだということをおっしゃっていました。ですから、全体の統括責任者として、男女共同参画担当大臣の福田官房長官にお聞きします。
#233
○国務大臣(福田康夫君) 昨年十一月ですから、四か月かそこらですね。それ以降どういうことをしたかということになりますが、例えば女性のライフスタイルに中立的な制度ということがありまして、これは影響調査専門調査会ですね、ここでもって昨年の四月に税制を中心に取りまとめを行いました。これは、昨年の十二月に社会保障制度を中心とする提言として取りまとめまして、税制改革に間に合わすことができたわけですね。御案内のとおりでございます。
 また、意欲と能力のある女性が社会で十分活躍できるようにするための女性のチャレンジ支援ということについても、基本問題専門調査会において約一年間検討を進めてまいりました議論も、これもうそろそろ結論を出す段階に至りまして、その結果が本年四月の男女共同参画会議に報告される予定でございます。
 いろいろなことをやっておりますけれども、みんな一瞬にしてできるという話じゃないものばかりでございまして、問題は、こういう施策を作りました、それを後どういうふうに定着させるかと、日本国内全部に、そのことが大変大事でございまして、そういうことについても鋭意努力をしておるところでございます。
#234
○田嶋陽子君 税制のことも頑張ってくださって、特別配偶者控除はなくなることになりました。これに関しては、それを増税にしないで今おっしゃたような分野に振り分けて使っていただきたいと思います。それに続いて、やはり配偶者控除の点でも続けて努力していただきたいと願っております。
 一つお伺いしたいんですが、そのいろんな施策をおやりになった場合、チェックといいますか、おかしなところで今バックラッシュというものが起きていることは御存じだと思いますが、その件に関して、坂東局長は今どんなふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
#235
○政府参考人(坂東眞理子君) 二点御質問をいただいたと思いますが、まず一つ、その男女共同参画に関する施策がどのように進んでいるかということがチェックされているかという御質問に対しましては、私どもの男女共同参画会議に苦情処理・監視専門調査会というのがございます。ここがその政府関係の施策、男女共同参画推進関係の施策が十分に推進されているかどうかについて監視、モニタリングをしていただいております。言わば第三者といいますか、外部評価を政府の施策についてやっていただいているというふうに受け止めております。現に、例えば女性の国家公務員の登用について、女性の審議会委員の登用について、そしてまた仕事と子育ての両立支援について監視をしていただき、意見をいただいております。
 それからまた、バックラッシュというふうにお尋ねがございましたが、地方の方で今、四十一の都道府県、百三の市町村で条例作りが進んでおります。それぞれの議会でそれぞれの地域の実情に応じた条例を制定していただいているわけですが、その過程でいろいろな御議論がなされているということについては十分承知しております。
#236
○田嶋陽子君 その過程で、早いところでは、私は去年、質疑した中で言及したんですけれども、例えば宇部市なんかでは、女性の生涯にわたる健康、生殖のことをちゃんとやろうという、そういうものが入っていたのに途中からなくなっちゃったり、それから、例えば専業主婦に配慮しようとか、全く違う言葉が入ってきたりとか、いろいろ反動的なものも出てきたりするわけですよね。
 その場合、どんなふうに政府はかかわっていらっしゃるんですか。それはそのまま地方自治体の自治ということに任しておしまいになるんですか。それとも、基本法にのっとってきちんと言うべきことは言うシステムがあるのでしょうか。
#237
○政府参考人(坂東眞理子君) 地方公共団体の施策につきましては、特に男女共同参画関係行政はいわゆる法定事務ではございませんで、自治事務ということで、一応政府としては技術的な助言をするということでございますけれども、地方公共団体の取組を支援するために内閣府では、基本法の趣旨について都道府県・政令指定都市男女共同参画主管課長会議、あるいは基礎研修あるいは政策研修など各種の研修を行いまして情報提供を行っております。
 また、男女共同参画社会形成の目的や理念について十分誤解なく理解していただくために、広報誌共同参画21という雑誌を創刊いたしましたり、あるいはホームページ等でいろいろな専門調査会会議の議事、報告書すべて公開をする等、様々な機会をとらえて広報啓発に努めておりますし、また国会における関連質疑を取りまとめた資料を都道府県に昨年十二月に送付しております。こうした形で情報提供、広報等を行う。
 そしてまた、二十一世紀の我が国社会にとって、どうしてこれが重要なのかということについて十分啓発広報に努めまして、いやしくも誤解されることがないように最善の努力を尽くしていきたいと思っております。
#238
○田嶋陽子君 それでは、広い意味で教育を通して、情報を通してということですよね。よろしくお願いいたします。
 ただ、じゃ、国会内の議員に対するそういう教育はどのようになっておりますでしょうか。
#239
○政府参考人(坂東眞理子君) 国会議員の方たちは、皆さん大変高い見識をお持ちで国民から選ばれた方たちばかりでございますので、もう啓発ということは必要ないと思いますけれども、十分な情報を提供するように努めております。
#240
○田嶋陽子君 皆さんに選ばれた方で偉い方だとは思いますが、私は、やっぱりこの男女共同参画に関しては偏見を持っていらっしゃる方が非常に多いように思います。それから、やっぱり世代というものがありまして、これが非常に問題になっているように思うんですね。私は、単にこの国会の議員たちには情報公開という、情報を十分に出してとかいうのは効果ないと思います。皆さん大変お忙しいですし、首根っこつかまえてきて、一人ずつやっぱりお話しなさるとか、やっぱり委員会作るとか何か工夫をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
 というのは、やっぱり国の政策を決める人たちが一番先端に行っていてほしいと思うわけですよね。でも、ここがもしかしたら一番古いかもしれないという、率直に申し上げますと、私はじくじたる思いがするんですけれども、いかがでしょうか。
#241
○国務大臣(福田康夫君) 議員のことですから私からお答えしますけれども、いろいろこの問題については見解の相違というものがあるんだろうと思います。私も正直申しまして、この仕事を始めて、これを担当しまして、それで、ああこういうものかというように気が付いた部分がたくさんあります。本当、正直言って。
 ですから、今はいろいろな意見言っておられる方も、田嶋先生の意に反するようなことを言っておられる方も、田嶋先生に怖い顔してにらみ付けられれば、それでもって自分の考えがどういうものかということが恐らく分かるんだろうというように思います。決して焦ってはいけない。これは焦らないで、やっぱり意識の変革を、変化を見ていかなければいけない、そう思っています。
 そういう意味においては、かなり効果は上げているんじゃないかと思いますよ。だんだんだんだん変なこと言う人は減ってくるという、そういうように私は思っておりますので、私は希望を持っております。
#242
○田嶋陽子君 福田官房長官でさえもお変わりになられたというんですから、そばにいらっしゃる坂東局長の力は大変なものだろうと思います。やっぱり変わられた官房長官は大変に偉いと、私は尊敬いたします。ですけれども、現実はやっぱりとても政策の足を引っ張るようなことが多いし、やっぱり多勢に無勢で女は負けがちなところもあると思うんですね、悔しいんですけれども。
 例えば、ここはその後、どうなったんでしょうか。十一月十二日、内閣委員会の亀井議員の質疑ですね。ここで亀井議員は、ジェンダーフリーという言葉はない、アメリカでは使われていないと。確かに坂東局長も、その用語はアメリカでは使われていないと。日本の男女共同参画社会基本法、その中の法令においても使用されていないと。そのときに、亀井議員は大変調べていらして、ジェンダーイクオリティーとかジェンダーフェアネスとかいう言葉を紹介なさってくださいました。
 それ以後、私はその坂東局長の答え方がもしかしたらバックラッシュの引き金を引いたんじゃないかと、済みませんね、一生懸命頑張っていらっしゃるのに、でもそんなふうに思うときがあります。(「日本語で」と呼ぶ者あり)バックラッシュですか、反動的な動きです。例えば、亀井議員が男らしさ女らしさを否定しちゃいけないと言うと、そうだそうだといって産経新聞なんかでも言いますよね。それから、男女差別を助長するような言葉遣いをしちゃいけないとか、そういうふうに言うと、それは表現の自由を損なうものだとかまた新聞で言いますよね、亀井議員の影響力は大きいですから。反動的な新聞はみんなそういうのを取り上げて喜んじゃいますね。Eメールとかなんかでも今すごいですね。そういうことです。
 それで、私がお聞きしたいのは、そのとき坂東局長は、男らしさ女らしさは否定するものではないというようなことをおっしゃって、その後亀井議員が否定なさったジェンダーフリーという言葉、それに代わるものとしてじゃ現在今何を使われておられるのか、それもはっきりしない。それから、男らしさ女らしさというのはこれは生来的なものでなくて、生まれ付きのものではなくて、ジェンダーというのは文化、社会的に作られたものですから、それが男女性差別を作る役割をしているわけですね。それに対して、坂東局長が必ずしもそれを否定するものではないというふうにおっしゃられると、これは大変国民に混乱を引き起こすわけですよね。
 その意味で、その二つの点において、坂東局長はそれ以後どんなふうにお考えになっていらっしゃるのか。
#243
○政府参考人(坂東眞理子君) 申し訳ございません、二つの点ということで、私の理解が十分でなかったらまた御訂正いただきたいと思いますけれども。
 そのジェンダーフリーという言葉を男性と女性の区別を認めない画一的という意味では、男女共同参画という言葉、我々の言葉で目指していないということ、そしてまたジェンダーフリーというのは公的な文書で使っておりませんし、我々としては、こうである、ああであるということを解釈する権限がないというふうにまずお答えしたかというように思います。
 それから、いわゆるその男らしさ女らしさに代わってどういうような言葉を作っているのかというふうなお尋ねに関しましては、基本法に書いてございますように、性別にかかわりなくすべての人、男性も女性もすべての人が個性、能力、適性を発揮できるような社会を目指していくということを行政の使命というふうに理解して取り組んでおります。恐らく人々の心の中でいろいろなことを思われることにつきましては、行政としては直接申し上げる立場にはないかなと思います。
#244
○田嶋陽子君 でも、そのジェンダーフリーという言葉は世間で皆さん使っていらっしゃいますよね。その言葉が普通英語としては使われないといったときに、坂東局長はやっぱり長としてそこにいらっしゃるわけですから、それでも日本はいろいろ英語をも変わった形で使う国ですからそのまま使いますよとか、じゃ、ジェンダーフリーってとても簡素な便利な言葉ですから、その代わりにこういう言葉を使おうとか、提案はおありですか、その後していらっしゃいますか。というのは、ジェンダーフリーという言葉は余りにもある意味では九四年以降定着していますね、ここずっと十年、それを否定されたわけですから。
#245
○政府参考人(坂東眞理子君) 否定をしたというよりは、ジェンダーフリーという言葉でいろいろな解釈が人によって異なっていると。特に例えば一部にはそのジェンダーフリーという言葉は男性と女性の区別をなくするんだ、画一的に扱おうとするんだという意味でお使いになっていらっしゃる方がいると。だから、そういう意味では使っていただきたくない。もし、それこそ我々は公的文書では使っておりませんけれども、いろいろな場でお使いになるときは差別や抑圧から解放するという意味できちんと定義をなさってお使いいただければというふうに思っております。
#246
○田嶋陽子君 普通、ジェンダーフリーといったら性別役割分業反対、その性別役割分業を形容詞で言うと男らしさ女らしさという、そういう男には男らしく、女には女らしくという、こういう一人の人間の在り方を政策で決めることは、それは人権侵害なんだよって、その人はその人なりでいいんだよという意味でジェンダーフリー、男らしさ、いわゆる括弧付きの男らしさ女らしさというのは抑圧になるからよそうよ、生きたい人はそう生きればいいけれど、政策の中でそんな言葉を使うのは良くないし、人にああせいこうせいって男らしくしろとか女らしくしろとか、子供をそう教育するのもそれも性差別を助長することになるし人権侵害になるからよそうよって、そういう意味だと思ってみんなはそういうふうに理解していると思います。それをたまたまそんなふうに理解しない人たちがその言葉に対して異議を唱えていらっしゃると思うんですね。
 問題は、じゃアメリカで使われていないからって亀井議員がせっかく二つの選択肢を出してくださったわけですが、そのジェンダーイクオリティーとフェアネスをお使いになりますか。それとも、解釈さえ正しければ今までどおりジェンダーフリーを使っていってオーケーですか。局長でいらっしゃるわけですから、それを使っていませんで終わられると困るわけですね。
#247
○政府参考人(坂東眞理子君) 先ほども申しましたように、我々は公式の文書では使っていないということを申し上げただけでございまして、それぞれの場でどういう定義でお使いになるかという分について、私たちは干渉する権限はございません。
 それからまた、ちなみにジェンダーイクオリティーについては私どもの方の英文の文書等でいろいろ使わせていただいております。
#248
○委員長(小川敏夫君) 田嶋さん、そろそろまとめてください。
#249
○田嶋陽子君 まとめる、まとまります。まだあるんですけれども、済みません、時間がうまくいかなくて。でも、ありがとうございました。じゃそういうことで終わります。(「一言ないの、最後に」と呼ぶ者あり)一言ですか。
 いろいろお世話になりました。ありがとうございました。(拍手)
#250
○黒岩宇洋君 何か田嶋さんの御自分の議員生活を総括するようなすばらしい質問の後でやりづらいんですけれども、まず構造改革特区について昨日の、ちょっとこうぶつ切りになって寸断された形で恐縮なんですけれども、鴻池大臣そして厚労省木村副大臣に御質問いたします。
 私は、昨日の質疑の中でもどうもこの各省庁が不承不承の態度でいる限りなかなかこの規制改革は進まない、特区構想というものは進まないという、このことについて疑念を生じていると申し上げました。
 実はこの厚労省、特に株式会社の医療参入という象徴的なことを私取り上げさせてもらいますけれども、三月十八日のいわゆる閣議で改正案の閣議決定をしたこの日に出てきました、これからの医業経営の在り方等に関する検討委員会という最終報告書がタイミングいいことに同じ日に出てきました。六月に要は医療参入の具体的なものを検討するということがその時点では閣議で決定されていましたけれども、まるでこれに反するような報告内容です。これ明らかに矛盾するんですよね。
 かいつまみますけれども、要は株式会社が積極的に参入することを認めるべきとの論拠は、論証を認識するに至らずと、確認するに至らずと、認めるべきではないという意見がほとんどであったと。試行を行うべき意見というのも一部であったということを間に挟みながら、また再度株式会社参入を認めるべきとの結論には至らないと。その後に、要は医療法人制度の改善の中で対応すると。これすなわち株式会社参入しないということですよね。
 こういうタイミングで厚労省の検討会からこういう報告書が出ていると、このことについて木村副大臣としての御見解をお聞かせください。
#251
○副大臣(木村義雄君) 黒岩議員にはいつも熱心に御指名いただき誠にありがとうございます。
 今お話のありましたこれからの医業経営の在り方に関する検討会、これ文字どおり検討会でございまして、局長の招集する懇談会みたいなもので法律的に位置付けられた審議会とはこれは違う話でございます。
 そこでは、医療法人を中心とする医業経営の近代化、効率化の方策について、会計や経営の専門家やマスコミの関係者を含めて、幅広い有識者の参加でもって検討をやっているんです。
 もう相当やっていまして、昨日に最終報告を、ごめんなさい、今日午前中に最終報告が出たところでございますけれども、この検討会では、株式会社による病院経営参入の是非につきましては賛否両論があり、参入を認めるべきとの結論に至らなかったと、こういうことなんですが。その一方で、株式会社参入にかかわる議論の中で提起された資金調達手段の多様化、つまりどうやってこれから病院がお金を調達するか、いろんな検討がされたわけでございまして、そういうような効率的な経営などの観点から、医療法人制度を中心とする医業経営の改善を積極的に図るべきと、こういうことで委員の意見が一致をしたところでございまして、御指摘の最終報告はこうした意見の一致に沿って医業経営の改善方策を取りまとめる内容となっており、先般の、限定的に株式会社参入を認めるべきとの特区推進本部決定と特段矛盾するものではないと、このように考えているところでございまして、いずれにいたしましても、その最終報告を踏まえまして、今後とも医業経営の近代化、効率化に向けた改革を着実に進めてまいりたいと。
 どういうことかというと、簡単に言うとですな、簡単に言うと資金調達には多様な手段がある、株式だけじゃなくていろんなのがあるじゃないかと、そういうようなのもこの結論に含まれていると、こういうことがメーンであります。
#252
○黒岩宇洋君 よく分かりました。私が最初になぞったとおりのことを、木村副大臣、おっしゃっていただいたんですよ。ですから、特段の矛盾が生じているんですね、明らかに。そうですよ。だって、株式会社は認めないと言っているんですから、今。
 じゃ、それは、こういう検討会がよく作られているのも知っています。私、以前、財団法人にいまして、検討会やってきたこともあります。当局寄りの報告書出しました。
   〔委員長退席、理事長谷川清君着席〕
 それはさておき、いいですか、確認しますけれども、要はこの特例措置で認められるというところで、これ九百十番、これ今読みませんけれども、総理が文言どおりやってくださいというのがあるんですよね。確かに限定的です。自由診療の分野云々ですけれども、これ六月中にとにかく株式会社を参入させるんだということが文章で書かれているわけですから、このことについて、副大臣、副大臣としてはどうお考えか。
 もう一つ、やはり、私は、副大臣は二月二十七日の特区推進本部等のやり取りを私が伺っても、明らかに株式会社参入に対して難色を示していると、そう思っております。昨日の議論の中でも、自由診療という限定的なものに加えて、この委員会の場で、高度先端医療を前提とするという言葉を、副大臣、お使いになりましたよね。これは、私は、総理のおっしゃる言葉どおりではないと思っているんです。
 この点について、この六月の具体的な厚労省の出す形というのはどうなるのか、そのことについてお答えください。
#253
○副大臣(木村義雄君) 黒岩先生が今お話しいただきましたように、構造改革特区における株式会社の医療参入についてはいろんな御意見があるんですね、いろんな御意見があると。それで、やっぱりその中で、例えば今どんどんどんどん医療費を抑えているとかフリーアクセスの問題とか、いろんな問題点があるんですが、そういう中で、やっぱり厚生労働としてはやはり慎重に検討する必要があると考えているところでございます。
 それで、二月二十七日の構造改革特別区域推進本部におきまして、このような問題があることを踏まえました上で、総理の御判断により、公的医療とは、医療保険とは関係ない自由診療の分野で、私が申し上げたのは、かつ高度先端医療の分野等を前提として、特区における株式会社の医療参入ということで決まったところでございまして、いずれにせよ、株式会社の参入につきましては様々な意見がある、あなたのような様々な意見がありますことから、今後これらに十分に耳を傾けさせていただきながら六月中に成案を作成をすることにしておりまして、慎重に検討を進めてまいりたいと、このように思っております。
#254
○黒岩宇洋君 様々な議論って、もう大分やっているんですよね。
 例えば、済みません、じゃ一つ出しますと、資金調達の件でも、例えば配当を出さなきゃいけないと。ですけれども、これはいわゆる直接金融ですよね。間接金融だったら金利払うんだと。じゃ、同じじゃないかという。こういう議論出て、一個一個つぶしているんですよ、もう。
   〔理事長谷川清君退席、委員長着席〕
 ですから、株式会社についていえば、もう大方、認めてもいいんじゃないかというところまで世論も来つつあるわけです。まあそれはおいておいてですね。
 これもちょっと昨日議論になったんでなぞるようなんですけれども、今回医療特区については、外国人医師による外国人に対する医療の充実というところで、これは、例えば相互主義だとか、そのほか、要はこれも保険適用できない、自由診療と言っていますよね。ここで、私、非常に大きな矛盾が生じています。というのは、自由診療ということは、多くは高度先端医療に限る可能性が高いわけですよ。
 いいですか。人手が足りないから医者にしてやるよと、外国人。そうじゃないんですよ。むしろ本当に技術のある欧米のお医者さんとか、アジアでも先端的な方をお招きして高度な医療してくださいといっているときに、日本の試験、国家試験、すなわち二十四歳の日本人の医学部出た人間が受けるやつを英語で受けろと。これは、高度な先生方に対して侮辱以外の何物でもないんですよ。こういう制度矛盾をはらんでいることが特区として認められている。
 私、言いたいのは、これは、私から言うと大変恐縮ですけれども、もうやったふりですね。やったふり特例なんですよ。で、やったふり特例では特区は、私、手挙げるところはないと思うんです。ということは、やったふり特区はできないんですよ。
 この後、鴻池大臣にお聞きします。私は今のこの特区の議論の中で、やったふりを認めて何かアリバイ作りを勧めていくような、こんなことを私は大臣は望んでいるわけはないし、小泉総理も決して望んでいないと思っています。
 この点について、よもやそうはならないという大臣の御所見をお聞かせください。
#255
○国務大臣(鴻池祥肇君) 先ほど木村副大臣と黒岩委員の質疑の中で、時間がないから読まなかったけれどもと、こうおっしゃったのを私持っているんです。これは二月二十七日の構造改革特区の推進本部における決定事項でございます。
 これには、時に厚生労働大臣は国会の都合で御出席になられませんでしたけれども、木村副大臣が代わっておられました。しかし、このメンバーは閣僚全部、厚生労働大臣も当然メンバーとしてお入りになっていらっしゃる最終の会議であります。
 そこで、株式会社の先ほど九一〇とおっしゃいました。正に九一〇号でありますが、株式会社の医療への参入、医療法第七条第五項、株式会社の医療への参入については、自由診療の分野という前提で、地方公共団体等からの意見を聞き、六月中に成案を得て、十五年度中に必要な措置を講ずるものとすると、明確に書かれております。その他の文言は入っておりません。
 ですから、この、何委員会、検討委員会ですか、厚生労働大臣の下にある検討委員会がごじゃらごじゃら言っても、これは余り意味、効果のない話だと私は理解をいたしているところでございます。
 何度も申し上げますが、厚生労働大臣もメンバーでいらっしゃると、そしてこれの結論が出ているということであります。ただ、その外国人医師の問題にしましても、こういった問題にいたしましても、できることを何とかしようじゃないかという意思、哲学というもの、小泉内閣の哲学、官から民へ、あるいは中央から地方へというこの哲学を、できるものを何とかしないでおこうという、そういう風潮がまた蔓延し出していることに極めて不愉快なものを感じるところであります。
#256
○黒岩宇洋君 鴻池大臣、ありがとうございました。木村副大臣、よろしくお願いします。じゃ、構造特区の質問はこれで終わらせていただきますんで、御退席されてください。御退出──いや、いらっしゃりたければ、どうぞいてください、大臣。
 では次に、谷垣国家公安委員長にお聞きいたします。
 去る三月六日、最高裁がいわゆるロス襲撃事件での検察側の上告を棄却するという、こういう判断を示しました。被告人の無罪が確定したんですけれども、この決定に対して、捜査当局の責任者として、この決定自体をどうお受け止めになっておられるか、お聞かせください。
#257
○国務大臣(谷垣禎一君) お尋ねのいわゆるロス襲撃事件は、当時、劇場型犯罪などと言われて大変マスメディアにおいても大きく取り上げられた事件でございまして、今日、私が国家公安委員長としてこういう判決、無罪判決が出ましたこと、そのときに国家公安委員長としてこの判決を受けましたことを大変、何と申しましょうか、感無量というか、いろんな思いがございます。
 ただ、この事件につきましては、犯罪行為が外国において行われる大変厳しい捜査環境の中であったわけですが、警察当局はアメリカ捜査当局の大変な御協力をいただいて、当時、全力を尽くして捜査を行ったものというふうに承知しております。こういう判決の結果を警察当局におきましては、当時の捜査にどういう問題があったのかなかったのか、その辺りをこれから十分検討して今後の捜査に生かしていくもの、またいくべきものというふうに思っております。
#258
○黒岩宇洋君 私もミスのない捜査はないと思います。冤罪というのも一〇〇%なければそれは望ましいですが、そうもいかないと思います。ただ、私非常に残念なのは、この判決の出た翌日に捜査一課長のコメントで、捜査は適正に行ったところであり、上告が棄却されたことは誠に遺憾であると、こういうコメントが出ています。そのほか、銃撃事件の捜査が入った当時の捜査一課長も、全力を尽くした、捜査を悔いることはない、挙げ句に、裁判上の真実は現実とは違うということだと。これね、行政サービスであるその実務をやっている警察に対する司法の、最高裁の判断なんですよね。
 私は、この官僚的な答えではなく、やはり谷垣大臣は政治家として、非は非なら認める、そして国民に対して納得を得られる、私はそういう言葉を再度お聞きしたいので、どうか谷垣大臣、御自分の御見解をお聞かせください。捜査当局の責任という意味においてです。
#259
○国務大臣(谷垣禎一君) やはり、捜査をして、我々警察、我々って、警察でいえば、検察に一件を送致して、そして検察で起訴されるわけでありますが、当然、その捜査当局としては遺漏のない捜査をして、そして起訴、起訴をしたからにはやはりきちっと有罪という判決が出るだけの捜査を遂げるということが私は基本だろうと思います。そういう意味で、そういう意味合いにおきまして、無罪判決をいただいたということはいろいろ反省点があったことだろうと、こういうふうに思います。
 どういうところが反省する材料であったかということは今後きちっと検証しなければならないわけですが、今の段階で申し上げられることは、外国において行われた犯罪行為、これを捜査を遂げなければならないということは、グローバル化が進みますと今後もしばしばあることだろうと思います。この事件は大変アメリカの協力をいただいた、捜査当局の協力をいただいたわけですが、実際上、こういう外国に行われた事件で捜査を遂げるほとんど最初の経験であって、そういう国際的な捜査協力に十分なものがあったのかどうかというのは一つの反省点だろうと思います。これは今後も十分生かさなければならないことだろうと思います。
 それからもう一つは、実はこれは、警察なり捜査当局がこういう案件があって捜査に入ろうという独自の言わば捜査の端緒を、手掛かりを得て捜査に入った案件ではありません。いわゆる週刊誌等が報告をして、事件があってから二年半ぐらいたちましてから、そういう報道を得て捜査に取り組んだわけでありまして、要は初動捜査といいますか、早く、早期に問題に取り組んでいくという点においてその二年半たったということはやはり問題があった。これは外国であった場合に全部起こったことを探知できるかどうかという問題があるわけですが、要するに、このような国際化をしてまいりますと、捜査当局の間での、外国との捜査当局との間の情報交換や連携というものに意を用いなければならないと、こういうことではないかと思います。
#260
○黒岩宇洋君 時間がないんで、最後ちょっとお願いしてなんですが、確かに海外ということもあるでしょう。そして、おっしゃられた、本当に劇場型犯罪ということもあります。ただ、私、改めてこれ、あえてこれ取り上げたのは、本当に多分ここにいらっしゃる方々皆さんが衝撃的に覚えている事件だと思うんですよ。こういう事件を契機に、この最高裁判決というものを契機に、やはり警察行政というものも良好にいっていきたいという、私はむしろその端緒にしていただきたいと思っているんです。
 明らかにやはり我が国は自白調書を中心に置いているわけです。今回自白もないわけですから、結局はいわゆる状況証拠の積み重ねというウルトラCを使ってしまったわけですよね。ですから、こういった捜査機関や裁判所が何を中心に置いているかという、こういったことも含めて私は改める点というのはもう浮き彫りにされていると思います。
 ですから、谷垣大臣が国家公安委員長になられたわけですから、これを機にどうか改善すべき点を改善していっていただきたいとお願いして、大臣への質問を終わらせていただきます。
 急ぎ足で、次、済みません、福田官房長官。昨日、最後残しておりました大変重要な障害者施策なんですが──谷垣大臣、結構でございます。
 やはり、障害者施策施策といっても、何といっても一番重要なのは、障害者の自立にとっては雇用です。雇用なくして自立はないという観点でお聞きしますけれども、今回、この障害者プランにいわゆる法定雇用率の達成というものが出されておりません、数値目標として。法定雇用率は一・八%ですが、現実には今、実雇用率一・四七と、一年前に比べても〇・〇二ポイント下がっていると。こういう状況で、私は、なぜ実雇用率の数値目標が入っていないかということをお聞きしたいんですが、それと加えて、今のこの、法定雇用率法定雇用率といいますけれども、現実にはこの率自体は障害者雇用促進施行令で示されていますが、この促進法自体も、要は厚生労働省令で定めるところによって障害者の雇用についての計画の作成を命ずることができる、その作成したものが不適当な場合は勧告を命じる、勧告に従わない場合はその旨を公表することができるという程度で、現実には過去に公表された例は平成三年のたった四社だけ、このような状況ですよね。この中で本当に障害者雇用というものをどういう形で高めていくことができるのか、厚労省、お答えください。
#261
○政府参考人(三沢孝君) お答え申し上げます。
 まず最初に、障害者プランに法定雇用率といいますか実雇用率の達成目標が導入されていない理由でございますけれども、この障害者の雇用率、これは法律で定められておりまして、各事業主が法的に雇用しなければならない障害者の数の算定の基準となる数字でございまして、その性格は、奨励的あるいは望ましいと、そういう値ではなくて、義務付けの値なわけでございます。したがいまして、仮に法定雇用率を下回る数値を目標水準として定めることとした場合には、この義務付けられた値に満たない状態、その満たない状態を一時的とはいえ容認するといいますか認めるといいますか、そういうことだと一般に受け取られかねないというふうなことになりまして、私どもとしては、この法定雇用率、義務付けの雇用率を定めた趣旨にそぐわないんではないかと、こう考えて掲げていないわけでございます。
 ただ、委員御指摘の点、障害者雇用促進という点は、私ども十分に生かしており、考えていかなければならないと、こういうことでございまして、こういうふうな事情も考慮しまして、障害者雇用についての数値目標といたしまして、この障害者プランにおきましては平成十九年度までにハローワークの年間障害者就職件数、これを三万人にすると。現在、平成十三年度を見ますと二万三千人でございますので、その一割アップを図ると。あるいは平成二十年度の障害者雇用実態調査におきます障害者雇用数を六十万人にすると。
#262
○黒岩宇洋君 簡潔にお願いします。
#263
○政府参考人(三沢孝君) これは十年前と比べて十万人の増と、こういうことを目指しているところでございます。
 次に、法定雇用率を達成させていくための手段でございますけれども、先ほどお話がございましたように、計画の作成、適正勧告、適正実施の勧告、あるいはそれに基づく指導にも従わない場合には公表ということで、いわゆる強制的な手段を講じていると。ただ、議員御指摘のように、確かに四件ほどしかございませんけれども、私どもとしては、これまで例えば適正実施の勧告については、法施行以降五百七十七件の勧告を行っておりますので、今後このような勧告を踏まえて企業名の公表をやっていきたいと思っております。
#264
○黒岩宇洋君 今聞いていて、もうおっしゃっている意味、御自分で分かりますか、本当に。プランに入れないのは法定で義務付けているから、入れちゃうと義務が何かしていないようにと言って、私、今言ったでしょう、法定なんという言葉を使うのが恥ずかしいぐらい骨抜きにされている法律なんですよ、現実には。そうじゃありませんか。
 しかも、公表基準については局長通達で、また出てきたんですよ局長通達で、もう実雇用率の平均を達成しているとか、また幾つか出てきて、結果的には百五十何社、計画を作成させておいて、過去十何年間の、十何年前に四社だけ、だから何にも守る必要ない。結局は、いわゆる罰金に当たる、あれ何金でしたかね、五万円、納付金を納めるだけで済んでいるわけですよ。そんなことをやっているから、あくまでも障害者は経済的なコストだと、お荷物だという、こういう感覚を与えるわけですよ。簡単に言えば、五万円年間払っていれば障害者を雇わなくていいという、こういう企業理念に反映してしまっているわけですよ。
 本当にそういった意味で、局長のおっしゃっていることは何の理念もないわけです。障害者プラン、計画、理念のないプランや計画なんというものは私は何の意味がないと思っております。そこら辺を、私は厚労省としても真剣に考えていただきたいと思っております。
 時間がないので、あと一つ。
 私、昨年の一般質疑の中でも、これは官房長官にお聞きしたんです。要は、この障害者差別禁止法、これについてどうかと。そのときには、人権擁護法案で対応とおっしゃっていただいたんですが、私も人権擁護法案きっちりと読ませていただきました。驚くことに障害者という単語は一か所しか出てきません、文言は。四十二条ですか。どういうことかというと、結局、人種等ということで差別がくくられているんですね。この人種等というのは、人種、民族、信条、性別、社会的身分、門地、障害、疾病又は性的偏向、指向と書いてありますけれども、これ一くくりにしていますけれども、障害と疾病以外のものはいわゆる偏見による差別です。障害と疾病に関して言えば、偏見に加えてやはり身体的な意味も含めてハンディキャップを負っているという、要するに能力的な差別を受けているわけです。
 ですから、私は、これ一くくりで今の本当に差別を受けている障害者の生活というものが改善されるとは思えないんです。今ある障害者基本法、これは全二十九条の中には差別という文言は一つもありません。このような法体系の中で、本当に障害者の差別というものがなくなる、ないしは改善していくのかどうか、その対応策について、長官お答えください。
#265
○国務大臣(福田康夫君) 今、障害者問題についてお話を伺っておりまして、いろいろ問題があるようでございます。しかし、政府としてこの問題をなおざりにしているというつもりは全くないんで、それが、その意思が本当に実行されないと意味がないという意味においては、これは今後十分に監視をしながら、そして実効あらしめるような方策を考えていかなければいけない。
 そういう中でも、先ほどの話も、やっぱり社会の、特に企業の場合には事業主の理解、こういうものも必要なんで、このことについてはやはりそういう考え方を変えるというか、考え方を持ってもらうための努力、政府の努力、これも必要なんだろうと思います。あらゆる施策を動員しなければいかぬだろうと思いますので、関係する政府機関でもって連携して、先ほどの法定雇用率の達成、こういうことも目指さなければいけないし、また障害者の権利の尊重、それから社会経済活動への参加機会の確保というような様々な制度の見直しもこれも絶えず進めていかなければいけないと思います。
 しかし、政府もやっておりますことは、例えば障害者の欠格事由の見直し、これはもう六十三制度のうち六十二制度見直しを終わりました。今残りの一制度についてもこの国会に関連法案を提出済みであると、こういう状況でございますので、進んでいるところもあるんですよ。ですから、あと御不満な点については私も分かりましたので、その点についてまたよく関係省庁と相談をしてみたいと、こう思っております。
#266
○黒岩宇洋君 政府の努力という表現がありました。本当にこれは内閣官房に障害者の政策に対する総合調整機能が移ってきているわけですから、どうか本当に長官のリーダーシップで、関係各省、特に厚労省に対して、障害者の暮らしの改善をするように迫ってください。お願いいたします。
#267
○委員長(小川敏夫君) 以上をもちまして、平成十五年度総予算の本委員会における委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#268
○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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