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2003/05/08 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 内閣委員会 第7号
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2003/05/08 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 内閣委員会 第7号

#1
第156回国会 内閣委員会 第7号
平成十五年五月八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月六日
    辞任         補欠選任
     岩佐 恵美君     筆坂 秀世君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         小川 敏夫君
    理 事
                阿部 正俊君
                森下 博之君
                長谷川 清君
                吉川 春子君
    委 員
                阿南 一成君
                竹山  裕君
                西銘順志郎君
                野沢 太三君
                山崎 正昭君
                岡崎トミ子君
                川橋 幸子君
                松井 孝治君
                白浜 一良君
                山口那津男君
                筆坂 秀世君
                島袋 宗康君
                黒岩 宇洋君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鴫谷  潤君
   参考人
       財団法人日本生
       物科学研究所理
       事        山内 一也君
       株式会社イトー
       ヨーカ堂取締役  大森  勉君
       日本生活協同組
       合連合会専務理
       事        品川 尚志君
       元大阪大学講師  藤原 邦達君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○食品安全基本法案(内閣提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
    ─────────────
#2
○委員長(小川敏夫君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る六日、山下栄一君及び岩佐恵美さんが委員を辞任され、その補欠として白浜一良君及び筆坂秀世君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(小川敏夫君) 食品安全基本法案を議題とし、参考人の方々から意見を聴取いたします。
 参考人を御紹介いたします。
 財団法人日本生物科学研究所理事山内一也君、株式会社イトーヨーカ堂取締役大森勉君、日本生活協同組合連合会専務理事品川尚志君及び元大阪大学講師藤原邦達君、以上四名の方でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところを当委員会に御出席いただき、誠にありがとうございます。
 本法案につきまして、皆様から忌憚のない御意見をいただき、審査の参考にしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方について申し上げます。
 まず、参考人の皆様から、山内参考人、大森参考人、品川参考人、藤原参考人の順に、お一人十五分以内で順次御意見をお述べいただき、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず山内参考人からお願いいたします。山内参考人。
#4
○参考人(山内一也君) 山内でございます。
 本日は、発言する機会をお与えいただきましてありがとうございます。私は、これまでウイルス学の専門家としてウイルスによるいろんなリスクの問題、それからウイルスの延長線としてのBSEにおけるリスクの問題等にかかわってまいりましたが、一人の科学者としての見解を今日お話しさせていただきたいと思います。
 私自身はBSE問題調査委員会に参画いたしまして、そこで報告書をまとめたわけですが、その中で食品の安全確保組織としてリスク分析の手法を取り入れ、リスク評価組織を独立させることを提案いたしました。その委員の一人として、今回提出されております食品安全基本法の内容は私たちの報告書の提案に沿ったものと考えております。
 私は、これまで科学者の一人として農林水産省、厚生労働省の審議会などでリスク評価に関する様々な問題にかかわってきました。これらの委員会は行政からの諮問に答える場であって、科学者の側から問題を拾い上げ提言する場としての機能は不十分であったと考えております。逆に、科学者の側でも委嘱された問題に答えるだけでした。今回の食品安全委員会の設置は、科学者にこれまでにない重要な責任を与えるものと受け止めております。
 リスクは危害要素により起こり得る危険の確率を推定するものです。危険という用語では表現し切れない内容と言えます。リスク評価を行うに当たっては、食品の安全性にかかわる問題とそれを取り巻く状況、これはリスクプロファイルと呼ばれるものですが、この面での検討を行った上で評価すべき問題を選び出して、科学的な面からのリスク評価を行わなければなりません。
 食品における最大の危害要素は細菌、ウイルス、寄生虫などの微生物です。そのほかに食品添加物、アレルギー物質など様々な要素があります。
 米国政府の発表では、アメリカ人の五千人が毎年食中毒で死亡していると推定されています。日本での実態は不明ですが、日本独自の生食文化に加えてグルメブームで寄生虫感染は年々増加しています。ウイルスによる胃腸炎は欧米で大発生を起こしております。日本でも増加の傾向が見られます。
 現在世界的な広がりを起こしております、示しております重症急性呼吸器症候群、SARSは、これはエマージング感染症、厚生労働省は新興感染症と訳しておりますが、これの典型なものでして、これ自体が食品流通にもいろいろな問題を提起しておりますし、また食品の安全性にかかわるものと考えられます。また、直接食品の安全性にかかわるようなこういった新しいウイルス若しくは微生物が出現することも考えなければいけないと思います。現実にBSEはその代表例と言えます。
 また、遺伝子組換え植物に由来する組換え食品が問題になっていますが、一方で動物バイオテクノロジーは現在進展しておりますが、これは組換え家畜の開発の面で非常に進んでおりまして、いずれ組換え食肉の問題も出てくることを考えなければならないと思います。
 こういったことはすべてリスクプロファイリングにかかわる問題と考えております。
 一方、リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションの三要素に基づくリスク分析の手法は、BSE発生が契機で七年ほど前に国際機関により提唱されてきたものです。まだ十分に確立したものではなく、この手法をより発展させていくことも食品安全委員会に課せられた課題になると思います。
 食品におけるリスクの科学的評価には不確実性の存在することも指摘しておきたいと思います。リスクコミュニケーションはその不確実性を消費者に理解してもらう重要な手段と考えます。これには委員会での議論の内容の公開が重要な役割を果たすと考えております。
 本法案に関連した具体的問題として、以下についての私見も述べたいと思います。
 食品安全基本法案の第二十六条に、参考人、報告書作成依頼など、第二十六条、必要な調査委託の範囲、独立行政法人、民法第三十四条の規定による設立された法人、事業者その他の民間の団体、都道府県の試験研究機関又は学識経験を有する者に対し必要な調査を委託することができるとされていますが、リスク評価に当たっては海外の科学者の参加の必要が予想されます。BSEの例を挙げれば、これまでの国際的対策も日本での対策も、ほとんどはEUの科学運営委員会の見解に基づいて立てられてきております。海外の科学者を参考人に委嘱したり又は報告書の作成を依頼する必要性が出てくると思いますが、この法文の学識経験者を是非海外にまで広げて解釈できるようにしていただきたいと願っております。
 一方、第二十四条で、食品関連法律の改正に「委員会の意見を聴かなければならない。」と明記されている点は高く評価できます。
 これまで私は、例えば家畜伝染病予防法の目的が「家畜の伝染性疾病の発生を予防し、及びまん延を防止することにより、畜産の振興を図ることを目的とする。」となっている点が大きな問題とみなしてきました。要するに家畜の衛生ということが目的であって、人の安全というところは目的に入っていなかったわけです。食中毒の大きな原因である例えば大腸菌、腸管出血性大腸菌O157、これは牛が最大の感染源ですが、牛に病気を起こさないために家畜伝染病予防法の対象にはなっていません。一方、OIE、国際獣疫事務局の国際動物衛生規約の前文には、動物又は人に病原性を示す病原体の移動を阻止するためとなっています。これからは、食品関連のいろいろな法律、これがその目的の中に人の健康保持という内容を加えていただけることを期待しております。
 一方、一九九六年の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病出現を契機に、欧米で食の安全確保の組織が作られてきました。今回、配付されております法案資料四に、欧米での畜産・食品行政に係る組織再編についての現状が整理されています。しかし、BSEが最初に出現した英国でのBSEリスク評価組織、そしてEU全体でのBSEリスク評価組織と食品安全評価組織が述べられていませんので、レジュメに添付した表について簡単に御説明させていただきたいと思います。
 最後のページでございますが、EUには科学委員会があります。これはすべて科学者から成り立っております。そして科学委員会、そしてその中に九つの部会がありまして、第一が科学運営委員会、これはBSEのリスク評価を行っているところです。最も活発に活動しております。委員長はノーベル賞を受賞したクリスチャン・ドドユーブ教授、ベルギーの方ですが、委員十六名は、これはすべてEUの中から公募で、五十一名の中から公募で選抜された世界的クラスの科学者八名から成っております。そのほかに八名は、科学委員会のほかのセクション、下にずっと書いてありますが、八つのセクションの委員長が兼任しております。例えば、この公募で選ばれた八名の委員のうちの副委員長、これはウイルス学者でして、現在SARSの対策の最前線で一番最も活躍している方でもあります。
 一方、食品に関するリスク評価の組織として、二番に書いてあります食品に関する科学委員会、これはBSE以外の食品リスク評価を行っています。医学、栄養学、毒性学、生物学、化学などの専門家十九名ということです。そのほかいろいろな委員会がございます。
 そして、こういったEU全体としてのリスク評価が行われて、更にそれぞれの国におけるリスク評価組織、管理組織が作られているわけでありまして、例えば英国では、BSEリスク評価を海綿状脳症諮問委員会が行い、管理を食品基準庁が行うと。フランスの場合には、これは一九九九年に作られたわけですが、食品衛生安全庁、これは元々国立農業研究所が母体になっておりまして、そこがリスク評価を行っています。しかし、ここの職員自体がもう一方でEUの科学委員会の食品に関する科学委員会のメンバーとしてやはり参画しております。
 したがって、二重構造の中でこういうEUにおける食品リスク評価といったようなことが行われておりまして、日本の場合にはすべて自分のところでやるわけですから、それをどういうふうに持っていくかといった点についてこれから御検討いただきたいというふうに思います。
 以上で私の説明を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#5
○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。
 次に、大森参考人にお願いいたします。大森参考人。
#6
○参考人(大森勉君) ただいま御紹介いただきましたイトーヨーカ堂の大森でございます。このような場で意見を述べさせていただくという機会をいただきまして、大変光栄に思っております。
 このたび、食品の安全ということに関しまして、行政が的確に対応すべく政策を取りまとめられて、なおかつ新体制を発足させるべく行為を起こされ、推進されておりますということに感謝申し上げます。
 食品安全基本法案というのを高く評価する者の一人として、食品関連事業者であります小売業、その中で消費者との接点に立つ者として、現場の立場で申し上げさせていただきます。
 まず最初に、その販売者責任を問われる小売業ということなんですが、おととしの九月に、食品の仕入れ責任者を私務めていたわけなんですが、最初のBSEの問題が起きました。その後、産地の改ざんであり、添加物の問題、農薬の問題、様々な問題が一気に吹き出たというのが現実でございました。
 私ども小売業では、それまでの安全管理という点では、生産者、メーカーとの信頼関係というのが大きなきずなでありました。小売業、販売している商品に対してすべて完璧なチェックはできない、各メーカー、生産者がきちんとした対応をしていただければ、我々はそれに基づいて販売をしていこうというスタンスでおりましたため、小売業の立場で力を入れておりましたのは、仕入れ担当者にきちんと教育をしていこうと。要は、都度変化していくそれぞれの基本であったり知識というものが、安全、表示に関する変更が起きるたびに全店を統一して動かなければいけないという点で、担当者への教育という点を重視してまいりました。
 それから、各商品の表示義務、これもメーカー様々ある中で、最低限のことから、ここまで表示するというメーカーまである商品がございますので、イトーヨーカ堂として、お客様の視点でどこまで漏れをなくきちんと表示義務を守れるかということに重視してまいりました。
 なおかつ、商品の保存検査という点では、各メーカー、生産者から保存期間というものが出てくるわけなんですが、お客様の、消費者の保存というものも考えた、私どもで販売する期間を独自に設定をしながら販売に努めてきたわけです。社内にあります、QCと書いてありますが、クオリティーコントロール、商品管理室ですね、こちらを通しまして、店頭に並ぶ商品については全メーカー、全商品何らかの確認をすべて取るという体制を過去から実施してきた次第です。
 ただし、おととしの九月以降、今まで信頼していた商品というのがすべて疑って掛からなければいけないという状況に陥ったわけです。本当に正しい表示なのか、表示以外のものが使われていることはないのかという疑いから商品をもう一度見直さなければいけない。それから、違法と指摘されたというものが本当に使用されていないかと。様々な問題が吹き出たわけですので、新聞紙上に載ってから各メーカーの問い合わせをするという事態も頻繁に起きてきた次第です。なおかつ産地の表示というものも加わってまいりまして、本当に産地に偽りがないのかと。細かいことでも、本当に原産国なり現地の証明書はあるのかという確認をそれぞれのメーカー、それぞれの商品にすべて取るという体制をしいたわけです。その中で、たとえ証明書があっても、本当に安全かどうかと。要は、自主的に再度確認しなければお客様への、消費者への安心というものが提供できないという商品も出てきた次第でございます。
 各メーカーも非常に混乱をしまして、問い合わせにすぐ答えるという体制がすべてしかれていたわけではございません。各担当、各商品の担当が、それぞれ書類がファイルされているとか、今までは考えなかったというような問題も出てきた次第であります。今まで販売していたものが突然回収ということになり、それが相次いで廃棄処分という形も行ってまいりました。メーカーを信頼、信用していたということが失墜いたしました。そして、すべての商品をもう一度消費者サイドで見直していこうという動きを取った次第です。
 メーカーは回収であったり、生産者は廃棄ということで大変だという認識はその当時あったわけなんですけれども、問題が発生する都度、商品の回収の指示、それから各店へそれを徹底させて販売を中止を確実にやらなければいけない、なおかつ消費者、お客様への説明ですね、既に食べてしまったけれどもとか、どんな影響があるのかと、これに対して的確な答えを来店されます消費者の皆様にすべて話せる体制を取らなければいけないということで、最大の混乱は、各メーカーはそれぞれの商品なんですが、すべてを販売しております小売業が一番混乱をしたんではないかと私は思っております。
 その後、自主的に当社としてスタートさせましたのは、業界で最初かと思うんですが、表示改善のプロジェクトを社内で立ち上げさせてもらいました。本当に分かりやすい表示になっているのか、表示をするということから安心、安全がどう消費者に伝えられるのかという視点で、表示をすべて見直しました。
 なおかつ自主基準も設けなければいけないという事態も生じてまいりまして、特選とか特級とか、大とか特大とかいう表現、何を基準にしてその表示をしているのかということで、公の基準がないものについてはすべて、大とか特大というような紛らわしい表現はすべてやめようというようなことを決めながら動いてきた次第です。
 なおかつ販売員がパート、アルバイトに頼っているという部分もございますので、人的ミスをなくすということで、本部で配信できるものについてはIT化、システム化を進め、投資をし、少しでも人的ミスを防いでいこうという対応も取ってきた次第でございます。
 もう一点は、情報の開示でございます。牛肉のトレーサビリティーの問題から、パソコンで履歴をきちんと確認ができるようにしようという動きから、その他生鮮食材に関しても、顔の見える野菜、既に六十店舗ほど立ち上がっているんですが、生産履歴の開示をしていこうという動きも取ってまいりました。
 これは私どもの動きなんですが、個々の企業の取組というのも、安全について消費者の視点で見直しが私は進んできたというふうにとらえております。
 食品安全行政というのも個別の法で行われ、それぞれが行われてきたわけなんですけれども、我々の方も企業ごとの動きというのを取ってきたわけなんですが、この食品安全基本法案というのが包括的な法律としてできるという点では大きな期待と高い評価をしている次第でございます。
 今後、一つ一つの基準が作られてくると思いますが、幾つか申し上げさせていただきたいというふうに思います。
 一つは、小売業の立場では、日本の基準というものに対して世界の基準というものがあるという点でございます。
 科学的な見地から日本としての基準を持つという形になるわけなんですが、海外から様々な商品が日々入ってくるという中で、日本としての基準を示し、消費者の安全を求める声にこたえる体制というのを望んでおります。日本の基準というのが本当に海外の生産者であり、加工業者、それから検査機関というところに至るまで理解され、海外各国との差を明確にした中で動かなければ、国内搬入後にまた大きな混乱を生じるんではないか、要因になり得るというふうに思っております。
 二つ目は、既存の基準値というものをもう一度ゼロから見直さなければいけないなというふうにお願いしたいと思います。
 一例ですが、ホウレンソウの農薬でクロルピリホスの問題が出ました。そのときの基準値が、ホウレンソウは〇・〇一ppmです。コマツナにつきましては二ppmということで、同じ葉物でありながら二百倍の基準差があるという点も数値上は出てまいりました。
 科学的な見地という点でも様々な問題が出てくるというふうに考えられますけれども、現行の見直しにとどまらず基準作りを進めていただきたい、それに基づいて私どももきちんと販売をしたいというふうにとらえております。
 私どもも、その基準値についてなんですが、許容量に甘んじるということではなくて、各商品に対して減らす努力、若しくは使わない努力というのは日々実施していくことが食品関連業者の仕事ということになってくるかというふうに考えております。
 三つ目は、検査体制の問題でございます。
 全量、全商品検査するということになりますと、食品の場合、売るものなくなっちゃいますので抜取りでの検査という形になっていくわけなんですが、全量検査でない以上は、私どももそれぞれ小売業の立場で自主検査というものを行っていかざるを得ないというふうにとらえております。
 一例ですけれども、農産物の農薬検査というのも、商品によっては五十種類を超える農薬の検査をしているという商品もございます。生産者、ロット、畑ごとというような形になりますと、本当にどこまで検査ができるのかということが問題になってくる部分もございます。
 公的な機関に検査を依頼し、ピーク時は二週間以上結果が出るまで五十数種類の農薬の検査には掛かっておりましたが、今は一週間を掛からないという状況にはなってきております。その日に食べてしまう食品でございますので、特に生鮮食品につきましては、その場で結果をというのは当然無理な話なんですが、今後、検査期間、検査が短縮され、しかもコストも抑えられ、結果データが信頼できるデータになるというような検査機器の開発の支援等も含め、今後とも御尽力をいただきたいなというふうにとらえております。
 当社としても、食品安全義務なり通知義務というのはもう守って当たり前と認識しておりますが、安心して販売できる商品というためには、生産者段階での法理遵守とともに進めていく所存でございます。
 この食品安全基本法、是非制定していただきたくお願いし、終わらせていただきます。ありがとうございました。
#7
○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。
 次に、品川参考人にお願いいたします。品川参考人。
#8
○参考人(品川尚志君) 御紹介いただきました日本生協連の品川と申します。このような場で私どもの意見陳述の機会を与えていただきまして、大変感謝いたしております。
 全国の生活協同組合では、長年、食品の添加物ですとか残留問題などを始めといたしまして、食品の安全性を確保しようということで自らの事業上の努力、あるいは社会的ないろんなシステムについての提言、発言等をしてきておりますけれども、特に九〇年代に入り、その中ごろから、O157とか遺伝子組換え食品とか、あるいはダイオキシン、環境ホルモン、BSEというような、それ以前にはなかった新しい食品安全問題というのが、これも日本国だけではなくて世界同時多発というふうな形で発生してくるということになってきまして、改めて食品安全行政の抜本的充実強化が必要だろうということでいろんな運動を進めてきております。
 私ども自体も、ヨーロッパにこのころにも調査団を派遣したりいろいろ情報収集等を行いながら、一九九八年にはリスク分析というシステムがこれはどうしてもこういう時代には必要だろうということで日本生協連としての見解としてまとめて、消費者の中での学習活動を進めたり、あるいは私どもも、生協の事業上の運営についてもこうしたリスク分析の考え方を取り入れようとか、それから社会的な制度としてもそうしたものが必要だろうということで意見表明するとか、そんなことをしてきたわけでございます。
 ただ、事業上の努力をしようというふうなことをこの時点でもリスク分析の考え方を取り入れてというふうに考えましたが、昨年来の食品の偽装表示問題というふうなことでは私どもの生協の商品自体でもそういう問題が発生してしまっておりまして、そういう点では改めて私どもも事業者としての品質管理の責任、メーカー管理の責任等を痛感しているところでございます。
 そんなことをたどりながら、特に西暦の二〇〇〇年、二〇〇一年には、当面具体的にはということで、食品衛生法の抜本的改正をお願いしようということで国会請願署名なども行いました。全国で一千三百七十三万人の署名を得ることができました。衆参両院合わせて五百四十二人の国会議員の方々の御賛同もいただいて、国会請願としては最終的には採択いただいたと、そんな経過をたどってまいりました。
 そういうお願いを、あるいは要請をいろいろしてまいりました生協ということでいいますと、今回の法案は十分完全というふうなことは言えないまでも、私たちの求めに大筋で沿った内容であるというふうに思いますし、我が国の食品安全を確保する法制度ということでいいますと抜本的な改革であるというふうに考えております。
 例えば、国民の健康のために食品の安全を確保することが国の責務だということがこの法案では明記されております。現行の日本の法律には、例えば食品衛生法には公衆衛生の維持向上のために業者を取り締まる国の権限、国の裁量権というふうなことは決まっていますが、食品の安全のための国の責務というふうなことが決まっている法律は全く存在していないのが現行の法律でございます。あるいは、新しいリスク分析手法の採用なり食品安全委員会の設置というふうなことが決められるわけですし、あるいは例えば国民の意見反映、リスクコミュニケーションというふうなことが国の義務、国の責任ということで、これも法文上明記されることになります。
 国民の意見反映を国の責任とするというふうな、そんな法律も現行法には全く存在していないわけでありまして、ごく一例を述べましたけれども、そんなような点を見ても、もしこの法律が成立しなければ、結局現行の法律、国の責任が明示されている文言は何もない法体系のまま残されるということでありますので、是非ともこの法案が今国会で成立するということを期待申し上げたいというふうに思います。
 ただ、法律の条文だけで食品の安全と安心が確保されるのか。そんなことはあり得ないということでありまして、法律の目的、第一条なりあるいは基本認識というふうな条項が第三条に起こされておりますけれども、そういう内容が現実の運用の中で実効性を発揮できるか否か、それが安全と安心が確保されるか否かを決めるということであろうというふうに思います。
 その実効性を確保するかどうかという点も多々あると思いますけれども、とりわけ重要なポイントは二つあるというふうに私どもとしては考えております。
 そのうちの一つ目は、新たに設置されます食品安全委員会が、条文第三条にも書かれていますように、「国民の健康の保護が最も重要であるという基本認識」、つまりこの最も重要だという最もの意味が、これは私の理解もあるのですけれども、とりわけこの法案が作られてくる経過で問題になりましたBSE問題への対応等が、関係各省がその国民の健康ということよりも産業振興なり事業者優先なり、そういうことに傾きがちであったというふうなことが強く批判もされて、そういう関係の中で国民の健康が最も重要と、こういう条文が起こされてきているのではないかというふうに私は理解しておりまして、そんな意味では、この食品安全委員会が、そういう基本認識の下に第二十一条では総理大臣に対して基本的事項にかかわる意見を述べることができるように記載されるわけですし、あるいは関係各大臣に対していろいろな勧告がこの委員会としてできる関係になりますので、そういう勧告権なり意見提出権を有効に発揮をして、いわゆる縦割り行政の壁を少しでも穴を空けていくというふうなことがどれだけできるかということであろうというふうに思います。
 それを現実のものにしていくためには、七人で構成されます食品安全委員会のこの委員メンバーの人選がどれだけ消費者のことへの理解もいただける、そういうメンバーの人選になるかということが一つございますし、それからこの食品安全委員会の下に専門調査会等の委員会等が持たれますので、そうした場への消費者参加、あるいはそうしたものの情報公開等がどれだけきちんと行われるか。
 それから三つ目に、特にこの食品安全委員会の下に事務局が編成されるわけですけれども、この事務局は、当面は農水省なり厚生労働省なり、あるいはその他から人が出てスタートをするということに現実的にはならざるを得ないと思いますけれども、早期にそうした関係省庁からの独立性をきちんと確保して、そうした関係省庁にも物の言える体制が事務局体制としてもきちんと確立されるということが必要だろうというふうに思います。
 それから、様々なリスク評価を行うためには情報収集なりデータ検討等が必要になるわけですけれども、当面、そうした各種の研究機関、専門機関がこの食品安全委員会には直結しておりませんで、農水省の下であったり厚労省の下に各種研究所があって、そうした研究所の情報がこの食品安全委員会に集まるということになるわけですけれども、それがやはりここで壁が立てられるのではなくて、きちんと情報の一元的な集約ということがこの委員会にできるかどうか、そんなこともポイントの一つとして大きいのではなかろうかというふうに思っております。
 それから、海外における情報ということですけれども、特に海外情報ということでいいますと、政府の集まりでありますコーデックス委員会という国際機関がそうした情報が一番集約される場であるわけですけれども、現状では、日本国ではこのコーデックス委員会の対応というのを文部科学省がコンタクトポイントになって関係省庁の担当の方々と御一緒に対応するというふうな関係になっているわけですけれども、できるだけ早いうちにこのコーデックス委員会へのコンタクトポイントなどもこの食品安全委員会の下に置かれて運用されるということが必要ではなかろうかというふうに思う次第です。
 あるいは、コーデックス委員会なども各国政府に対してもう何年も前から、各国の中に国内コーデックス委員会というのを作って消費者あるいは事業者等の関係者との意見交換をしながら国際対応をするようにという、そういう勧告などをしているわけですけれども、日本の国内ではこの国内コーデックス委員会というのが今もってきちんと編成されるというふうになってございませんので、そんな点がこの食品安全委員会の下にもきちんと作られるというふうなことも、独立性をきちんと確保し、関係省庁、リスク管理機関に対して物の言える食品安全委員会になっていく上で必要な点ではないか、運用上そんなことがいろいろなされる必要があるのではなかろうかというふうに考える点でございます。
 それから、運用上かぎを握る点の二つ目は、リスクコミュニケーションが実効性あるものとして運用されるかどうかという点が、これも非常に大きい点ではなかろうかというふうに思います。
 一つは、この食品安全委員会の下でリスクコミュニケーションについても委員会が作られ、そのありようについて検討するというふうに理解しておりますけれども、それについて、この食品安全委員会の場で行うということだけでなしに、それぞれのリスク管理機関においてもこうしたリスクコミュニケーションがきちんと制度化されて情報が公開され関係者との意見交換が行われる、そういう条件がきちんと整備されるということが必要だと思います。
 それから、特にこのリスクコミュニケーションというのは、まず行政、国が説明責任を果たすんだという姿勢で、分かりやすく説明する努力ということが必要だろうと思います。例えば、情報公開といいますと、かなり長大な文章がホームページに載せられて、これをもって情報公開をした、すべて終わりというふうな理解のされ方が時としてないわけではないというようなことでありまして、もちろんホームページを活用するということは大切なことではございますけれども、より分かりやすく説明をする努力、あるいは分かりやすく説明するにはそうした能力が必要だというふうに思うわけでありまして、そうしたことがきちんと作られていく、育っていく、そんなことが必要かというふうにも思うわけです。
 それから同時に、リスクコミュニケーションというのは、関係者、消費者ももちろんですし、事業者もその他科学者もメディアも、そういう関係者がすべて意見交換をしながら理解を深めつつ進めていこうということが基本だと思いますけれども、そんな点では、それぞれの関係者も、このリスク評価の問題なりあるいはリスク管理の在り方なりということについて冷静に科学的に評価をし、とらえ、リスクコミュニケーションに参加をしていく、そういう力をそれぞれに付けていく、高めていく、そのこともまた必要なことだというふうに感じておりまして、そんなことを含めたリスクコミュニケーションの運用力というのが、必ずしも法律ができてすぐにでき上がるというふうには思いませんけれども、早期に高められていくというふうなことが必要ではなかろうかというふうに思っている次第です。
 そんなふうなことが運用上大切な点で、かぎはその辺にあろうかというふうに思っております。そんなことを含めて、十分な御審議をされ、是非成立させていただければ有り難いというふうに考えている次第です。
 どうもありがとうございました。
#9
○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。
 次に、藤原参考人にお願いいたします。藤原参考人。
#10
○参考人(藤原邦達君) このたびは非常に貴重な場でこういう発言の機会を与えられたことを本当に感謝いたします。
 私は、長年にわたって食品衛生化学の研究に従事してまいりました。定年後は技術顧問という肩書で消費者団体の身近にいることを許されて今日に至っています。
 この機会に私は、この非常に重要な法案及び安全委員会の設置に関して若干の意見を申し上げたいと思います。
 最初に、私が本日の陳述の参考資料として幾つかの資料を、参考資料を持参しております。その一つは本日の陳述の要旨であり、二つ目は私自身の政府案に対する対案でございます。三つ目は政府案と私の案の相違点に関したもの、四つ目は私が提案したい安全委員会の組織図です。五つ目は諸外国の参考事例を若干付加させていただきました。
 今日申し上げたいのは二点ございまして、第一点は、政府原案の作成のプロセスについて、私はもっと時間を掛けて慎重を期すべきではなかったかということを申し上げます。これは、仮にいったんこの法案が成立したとしても、その後についても大変重要なことかと思っています。第二点は、この時点で法案ができるとすれば、せめて最低限政府原案に修正を加える、あるいは追加する部分が必要だという点についてでございます。
 この陳述の時間は非常に限られてございますので、最初はまず第一点の作成プロセスの在り方について申し上げることにいたします。第二点につきましては、以下の質疑の中で触れることができればと期待しております。
 ちなみに、私が主張したい修正あるいは追加の部分でございますが、一点は、消費者の権利の明文化ということです。二点は、ハードウエアに当たる行政の体制の整備についての明文化でございます。第三点は、いわゆる予防原則の明文化でございます。第四点は、食品安全委員会の組織体制の確立についてでございます。
 さて、第一点の政府原案の作成プロセスに関しての私の意見でございますが、御存じのように、EUでは二〇〇〇年一月に安全白書を発表しました。二〇〇二年の二月になって規則ができ、食品安全委員会等々が具体的に動き出すという形になっております。もっとも、九〇年代の後半を掛けて慎重な議論が行われてこういったことになってきたということでございますが、我が国の場合は、BSE委員会で、今日私申しますが、BSE委員会での議論の中で、これは本来BSE問題について行われた委員会であったわけですが、その第V部のところにリスクアセスメント方式の問題が登場する、もちろん、それ以前からの意見等々あったわけですけれども。この中で六か月以内に成案提出ということがうたわれておりまして、実際に六か月後に政府原案ができ上がったと。つまり、非常に短期間に作られたということはやっぱり否定できないんではないか。諸外国では現在に至るまで世界の各国での取組が行われている中で日本が非常に早くこういう取組をした。これを高く評価すべきなのか、いやもっと慎重であるべきであったのかという二つの見方が可能ではないかと思います。
 御存じのように、EUではGLP、GMPの制度があり、またHACCPという考え方が定着し、その前提の中でリスクアナリシス方式というものが生み出されている。これは歴史的な経過です。あるいは歴史的な背景であると言ってもいいと思うんですが、その中で慎重論、慎重論の形として予防原則というような考え方も盛り込まれている、こういう経過がある。第二点は、EUと日本とはこの被害の体験を異にしている。第三点は、食風土とか食環境も全く違う。特に、輸入大国としての特徴を持っている。第四点は、国民性ももちろん違う。民族性と申しますか、農耕民族と狩猟民族というような違いもあるのではないか。第五点は、法体系も全く異なっているわけですね。そういう意味では極めて慎重に日本独特の法案を作る、あるいはシステムを作るということが必要であったというふうに私は思います。
 実際に一例があるわけですけれども、HACCPの場合ですが、私は衆議院の雪印の特別委員会での参考人の中でも申し上げたわけですけれども、慎重にHACCPのシステムを日本に定着させていく必要があるんではないか。この雪印事件の現場であった大阪の雪印の大阪工場でございますが、代表的なHACCPの指定、承認工場であった、この承認工場が大食中毒事件を起こしまして、ふたを開けてみると極めて乱脈であった。これは、監視とか指導の行政側の体制が問題を一つ持っていた、それからHACCPのシステムを規定する法律の在り方が不完全であった、あるいは企業のモラル、これにかかわる罰則等々も極めてルーズであった、そういったことがあったから、せっかくHACCPというものを持ち込んでも大失敗をしてしまった。つまり、HACCPを定着させるためにも一定の慎重論、根固めの期間が必要ではなかったか、議論をきちっとしていくことが大切ではなかったか、私はそんなふうに思っております。
 拙速ということ、これはやっぱりあらゆる場合に気を付けなければならないことだと思うんです。今回のリスクアナリシスの方式について、私はもちろん賛成の立場でございますし、この方式にのっとった様々な取組をしていらしたことを高く評価するわけですけれども、これを実際の法律としてあるいは行政の制度として我が国に定着させるために幾つか是非ともすべきことがあったんではないか。それは、この取組にかかわる関係者の見解をよく聞くことであったと思います。
 一つは、リスクアセスメントを行う当事者は科学者でございますが、研究者でございますが、本当に研究者の意見を正確に聞き取ったんだろうか。リスクアナリシスあるいは特にリスクアセスメントの難しさ、限界性、そのときの歯止め、様々な問題が残ってくるわけですけれども、本当にこの短い期間に聞くことができたか、これが第一点でございます。
 第二点は、リスクアセスメントの受け手であるリスクマネジメントの当事者、例えば行政のスペシャリストたちの意見を本当に聞いたんだろうか。食品衛生監視員あるいは検査員あるいは検疫所の職員の皆さん、保健所の関係者あるいは中央、地方の本庁の行政の先端にいらっしゃるスペシャリスト、そういう方々の御意見、受け手としての御意見をよく聞くべきであった。分離すればいいというのではありません。どうつなぐかということが重要でもあるわけですね。ですから、私は是非ともそういう方々の意見も十分聞くべきであったと思う。
 第三点は、実際に被害が起こる現場は地方公共団体、地方自治体でございます。地方自治体には地方の衛生研究所、保健所あるいは食品衛生部とかそういうセクションがある、その当事者の意見を本当に聞いたんだろうか。聞かねばならなかったと私は思います。
 第四点は、食品被害者の体験を聞くべきであった。あのときこうしていただいたらこういう被害は起こらなかったという体験がたくさん今日までに残されている、そういう中で予防原則というものを位置付けよという意見も出てくるわけですが、そういう意見を本当に聞いたんだろうか。
 第五点は、消費者の組織の見解を聞くということです。消費者の組織にも様々な意見がございます。日生協以外にもたくさんの消費者団体があるわけですが、その意見を本当に聞くことができたか、公聴会をやったか、本当にそういう点、満足な取組ができたんだろうか。
 第七点は、法曹関係者、つまり日本のPL法とか、あるいは消費者保護基本法とか、様々な法律との整合性という観点からいいますと、法律の専門家の意見ももっと聞くべきではなかったか。
 そして最後に、これは政府原案ができた後六か月という短期間に、本当に野党の皆さん方の御意見も反映できたんだろうか、率直に私は疑問を持っております。
 いずれにしろ、諸外国ではこのシステムあるいは行政の具体的な組織作りというのは今始まったばかりです。英、独、仏あるいはEU含めて二〇〇〇年前後から始まった。試行錯誤の段階にある。たくさんの情報を我々は期待せねばならない。日本独自の在り方を検討する、そのための大事な時間、これが本当に充実したものであったかどうか、私はその点を特に主張しておきたいと思うんです。そうした取組であるための、あるいは抽象的な、概念的な取組でないための在り方ということが大変注意しなければならない点だと思います。
 それから、リスクアナリシスというものが本当にいいものとして、誤りのないものとして、問題のないものとして取り扱われることも警戒しないといけないと思うんですね。リスクアナリシス自体についての検討の必要性も大いにあったんではないか。理論的に、実際的にリスクアナリシスの到達点はどうなのか。御存じのように、環境アセスメント自体についても様々な議論があるんです。食品のアセスメントについても様々な問題が残されている。そういう問題点の把握についての在り方がこれで十分なのか、私は疑問を持っています。
 例えば、今はやりのSARSでございますけれども、データがほとんどないような初期の状態でどのようにアセスするか、このことが問われてくるわけですね。それほど簡単なものではない。私は資料三の中に、私の経験したたくさんの食品被害事例を挙げておきました。PCB、GMO、これは遺伝子組換え食品です。環境ホルモン、あるいは食品添加物、農薬、あるいは様々なO157等々の食中毒、初期の段階にはアセスメントは不可能の状況が生まれてくるわけですね。そういう段階ではどう対応するか、こういうことも問われてくる。これは現実問題であるということです。こういう現場に立ち会った研究者の意見ももっと聞かれるべきではなかったでしょうか。
 第二点は、リスクアセスメントの結論に至る論理形成のプロセスをどうするか。これは慎重な論理形成が必要であると思います。相手によって、ウイルス、細菌、非生物の様々な化学物質等々についてそれぞれの論理形成のプロセスが必要である。
 第三は、対立意見の処理の在り方です。現在の法案では多数決で決めるというふうにございますけれども、科学的な議論について多数決という原則が適用できるんだろうか。一名でも異議のある場合の処理というものが必要ではないんだろうか。
 第四点は、保留措置ですね。科学的な根拠が不完全ではあるけれども、もしそれがあり得たとすれば大変なことになる。ここで予防原則の考え方というものがどうしても登場せざるを得ない。EUではこれを明文化しているんですが、今回の法律では明文化していない。
 第五点は、専門家の養成です。聞くところによれば、日本ではリスクアナリシスの専門家はいないなんてことのようでございますけれども、専門家の養成にも一定の時間が必要であろうと思います。
 それから第六点は、テーマのリクエスト主体はだれなのか、どうするのか。テーマの設定あるいはその取り上げる順序をどうするのか。こういう手続問題があります。
 それから第七点は、勧告された側の、つまり指示された側のマネジメントを行う受容体である行政側の準備態勢はこれで十分なのか。実効性を上げようと思ったらそこのところが非常に重要な意味を持つわけですね。
 最後に申し上げたい八点は、国民的なコンセンサスの構成のためにどのような取組があるのかということです。あるいはあったのかということでございます。
 私は、以上のように申し上げますと、これはまだまだやるべきことがたくさん残されていた、いたずらに早かったからいいというような考え方をしてはならない。もっとそういう根締めをしっかりやった上で、本当に国民の命と暮らしを預けるに足るような食品安全基本法とし、あるいはそのための安全委員会を作るというふうな慎重な考え方が大事ではなかったか、そのようなことを申し上げておきたいと思います。
#11
○委員長(小川敏夫君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、質疑時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○阿部正俊君 それじゃ、参考人の方々に少し質問させていただきたいと思います。
 自由民主党の阿部正俊でございます。
 本日はどうも御苦労さんでございます。私どもの方からお声を掛けさせていただいた方等もおられますし、日ごろいろんな意味で御縁のある方が多いので今更という感じもしないでもないんですけれども、わざわざ御出席いただきまして恐れ入ります。ありがとうございます。
 端的にお聞きしたいと思います。
 大方の方々から今回の食品安全基本法案につきまして、それなりの大きな方向転換であり新しいスタートではないか、評価したいと、こんなふうな基本的な視点が多く語られたわけでございますけれども、私はあえて少し皮肉っぽくといいましょうか、視点からお聞きさせていただきますので、あえてですね、どうかひとつ余り誤解しないでお答えいただきたいと思います。
 まず山内参考人にお聞きしたいのでございますが、非常に科学者に対する質問として大変失礼な質問かもしれませんけれども、非科学的な質問でございますが、BSEの問題につきまして、よく牛骨粉につきまして、牛が牛を食べるということは神の摂理に反することであり、そのことが一番の、何というかな、原因といいましょうか、なんではないか、行き着くところまで来たというものがこれじゃないか、その辺から改めなきゃいかぬのじゃないかと、こういう指摘があるように思うんですけれども、この辺について端的にどう考えますか。
#13
○参考人(山内一也君) 確かに、草食動物の牛に牛の肉骨粉を与えるのは神の自然の摂理に反するという意見がありますが、これは科学的によく考えますと、牛の、牛は反すう動物でありまして、その反すう胃の中、第一番目と第二番目の胃、この中では草を食べているんですが、バクテリアも一緒に繁殖し、それから同時に原生動物という小さな動物がたくさん増えるんです。そういった動物が実は消化されて第三、三つ目の胃である、これは人間の食道に当たりますが、そこを通って四番目の胃、これが人間の胃に当たるんです。そこでちゃんといろいろな動物性たんぱくが吸収されています。したがって、自然界で牛は動物性たんぱくでもって確かに栄養を取っているという事実があります。
 ですから、単純に自然摂理に反しているというのではなくて、これはやはり近代畜産がリサイクルという概念を持ち込んで、そこで病気が広がったということであります。
 でも、同じことは、例えば人の場合でしたらば、血液製剤によってエイズが広がっているわけです。構図は同じなんです。経口ではなくて、注射とか、そういったことでいっているわけですから、科学的には同じことと言っていいと思います。ですから、近代社会の抱えているいろいろな問題であるというふうにとらえるべきだと思います。
#14
○阿部正俊君 分かりました。ありがとうございます。
 次に、第一線で消費者と向き合い、かつ食品の流通過程の第一線におられる大森さんと品川さんにお聞きしたいと思うんでございますが、先ほどからいろんな意味で、例えば品川さんは国の責務というのをきちっとうたったことは評価できるということでございますが、それはそれで私は大事だと思いますが。
 非常に皮肉っぽい言い方ですけれども、日本、我が国はよく安全、安心という言葉が好きなんですね、正直申しまして。そうすると、黙って座っていても何かやってくれる、国の権力なりあるいは事業者が責任を持ってやってくれて、私たちはいつも与えられたものを、ちゃんとしたものを与えられるべきであるというふうな発想で消費者というのは意外と、自主的な判断というよりもそういう受け身の形で物を見ている面がないかなというふうにむしろ皮肉かもしれませんけれども思います、あえて申し上げますと。
 ということからすると、もっと賢い消費者といいましょうか、というものをどう作り上げていくのかという共同作業をするのが、私は第一線の生協さんなりスーパーさんなりの一番の仕事なのかなと。それが、国のリスクコミュニケーションもありますけれども、それぞれの事業者でのリスクコミュニケーションもあると思いますし、そこが一番の事業者としてのリスクコミュニケーションの取り組んでもらいたい課題ではないだろうかなという気がいたします。
 私も地元で女房と一緒に買物によく行くんですけれども、えてしてやはり消費者というのは、いつも王様で、すべてセットされていて与えられていてというようなことを、どうしても慣れ切ってしまっている面が自分で自覚するのでございますが、もう一点、食というのは、自分が取り、かつある種のリスクというのを常に自分も負うという中での選択、自主決定というのがあるのでございまして、それを、何というのかな、自覚を消すようなことはしないで、むしろそういう賢い消費者としての自覚を高めていくようなことでの情報提供なりリードというのを是非事業者としておやりいただきたいものだなと、こんなふうな非常に抽象的な言い方ですけれども、思うんですけれども、そういったふうな考え方について、どうでしょうか、えてしてやはり国が、だれかが、第三者がしてくれるというふうな発想で物を見るんじゃなくて、もっと常にコミュニケーション取りながら、より賢い消費者というのを考えていただきたいなと思うんですけれども、何か方策なり御意見がありましたらお聞かせいただきたいと、お二人からお聞かせいただきたいと思います。
#15
○参考人(大森勉君) おっしゃるとおりだと思いますが、私も小売業でいながら仕事を離れますと消費者でございますので、先ほど表示問題でも話を一部触れましたけれども、本当に納得のいく論議がどこで消費者と我々小売業ができるんだろうかと、その原点になるのは何らかの物差しが必要だと。
 この基準というものが公にされ、基準を理解されることによって論議が起きてくるんではないかというふうにとらえておりますし、安心、安全当たり前だと言いながらも、それが表示として公開されて伝わって論議になっていくというふうにとらえておりますので、もう一度、この安全基本法案の中にも、表示という問題が我々としては具体的にどう消費者との接点で動いていくのかというのが大きな課題になっていくというふうにとらえておりますので、開示できることは開示していくという原則でこれからも動いていきたいというふうにとらえております。
 以上でございます。
#16
○参考人(品川尚志君) リスク分析という手法が行政の仕組みの中に取り入れられるわけですけれども、ある意味では、消費者の側もこのリスク分析というものの考え方といいましょうか、それについての理解を深めていくことが必要だと思います。
 リスク分析の考え方の基本というのは、いろんな化学物質にも、人の健康に悪い影響を及ぼす確率リスクですね、そういう確率と、それから一方でもって今その化学物質の有効性、有用性、リスクと有用性のバランスを的確に判断をして上手にコントロールしていこうというのがリスク分析の考え方でして、そんな意味では、例えば環境ホルモンなんというのが大変問題になり、心配でもあるわけですけれども、環境ホルモンが心配だからといって、それじゃすべて化学物質を今の世の中からなくしてしまえば済むかという問題ではなくて、化学物質が持っている様々な生活に有用な面があるわけですから、その有用な面とリスクの程度、その点についてきちんと評価をしコントロールしていく、そういうことが必要なわけでありまして、環境ホルモンが心配だからどうというふうな形で、そのことだけで右往左往するということでない判断のできる消費者ということになっていく必要があるだろうというふうに思っております。
 そんな点では、生活協同組合の中でいいますと、従来からも、例えば食品の添加物などにしても全くそういうものを使わないで済むということはないわけでありますので、こうした添加物の程度というのはどれぐらいでどういうものだと、この範囲で使えばそれはこういうことなんだということを十分組合員の中でも情報公開しながらやってきているわけでありまして、そうしたことがますます必要になるということだろうというふうに思っております。
#17
○阿部正俊君 ありがとうございます。
 それじゃ次に、これも大森さんと品川さんに共通にお尋ねすることになると思うんですが、少し食品安全というのに触発されたようなことになりますが、言わば食品といいますのは、まあ安全といいましょうか、何か健康にとってマイナスがないという意味での安全ですね、ということに加えまして、本来やはり、非常に広く言えば食文化といいましょうか、というものの素材でございまして、素材というよりもそれ自体が一つの文化なのかなという気もするわけでございまして、そうすると、食品というものについての、例えばうまみとか、それから見場とか、それから新鮮さとかいうふうな部分というのが、どうしても安全、安心ばかり考えるとだんだんだんだん消されていって、無味乾燥なものになってしまいはせぬかなという別な意味での心配もあるわけです。
 まあ変な話ですけれども、元々の食品といったって完全無菌状態のものというのはないわけでございますので、我々は雑菌の海に住んでいるわけでございますので、雑菌のものを食して生きているわけですね。それを、正にその輪廻の中に生きているわけでございますので、そういう、何というのかな、非常に大ざっぱな感覚というのを失いたくないものだなという、もう一回思い出したいなという気もするんです。
 だから、ある種のリスクかもしれませんし、またそうしたふうな対抗力を持った中で人間というのは生きておるし、それが力になってくるんじゃないかという気がするわけなんで、さる製薬会社の作っている何か人工食品みたいなのを食えれば朝何とか足りるよみたいなことじゃ、私はどうも寂しいなという気がするわけですよね。
 もっとやはり旬のものは旬のものとして、まあそれは土が付いているかもしらぬけれども、取ってきて自分で料理するとか、あるいはお魚でも、最近なくなりましたけれども、尾頭付きのお魚ってほとんど見たことないですよね。魚というのはいつも首なくてやっているのをお魚みたいに思っているんですけれども、そういう意味での、何というかな、本来の食品というものの提供の仕方ということについての、安全ということの意味合いに加えた一つの許容限界の中でのできるだけの食品の本来の姿というのを提示していくという努力というのを私は消費の第一線でございます大森さんなり品川さんなりのサイドで是非御工夫いただきたいし、そこに新しい食品としての食文化の個性をそこに打ち出していくというのも皆さん方の大事なお願いであり、お役目ではないかなという気がするんですけれども、その辺について、お二人のお考えを伺わせていただければ有り難いと思います。
#18
○参考人(大森勉君) 今の御質問なんですが、私ども小売で生鮮物等を中心に扱っていますと、いつも基本にしていますのが鮮度と味と価格というこの三つを主力に考えているわけです。
 今おっしゃられました鮮度について、お魚にしろ野菜にしろ、生きが良ければおいしいんだという解釈の下に販売してきた。これが日本の農業なり水産業の中で自給自足できなくなってきたわけですから、海外からいろんなものが入ってくる。ここに、今までは冷凍でしか入ってこなかった、これが冷蔵でも流通するようになった、何らかの添加物を使って常温でも食べられる。
 要は、様々な分野で、素材から半調理でちょっと手を掛けるだけ、又は最終製品になった総菜として販売をされる、いろんな消費者のニーズにこたえようということから様々な商品が生まれてきているわけなんですけれども、ある面で、ここまでであればこういう添加物は抑えられるとか、こういうふうにするんならこういうふうにして食べていただきたいとか、こんなときに便利だという特殊な商品群として位置付けるとか、それから健康という要素をうたう商品としてはどんな形で提供できるんだろうかという、その言葉の定義も含めて、今特定保健の認定の商品もあるようなんですけれども、それぞれの商品が、ただ食すということの文化から少し外れるかも分かりませんが、その用途なり機能によって消費者に判定を求めていく、選択を求めているという現実もございますので、もう一度、この基本法案が整備されていく中で、それぞれの目的、若しくは歩むべき道というものが見付けられて動ければというふうに解釈しております。
#19
○阿部正俊君 じゃ、品川さん。
#20
○参考人(品川尚志君) おっしゃるとおり、食品である以上、味なり、それから食生活自体が楽しいものであります、ある必要がございますし、食文化という言葉もございますし、そうしたものを大切にしなければならないということと、それから安全であるということが大前提、そのバランスが重要だという点についてはおっしゃる、御指摘のとおりというふうに思っております。
 特に、ただ今日の食生活ということでございますし、それから消費者の側も大変多様性、好みが多様に広がっているというふうなことでありまして、そんな点では様々な選択ができる条件提示をしていくというのが事業者の側の必要なことでもあって、そんな点ではそういう事業努力が必要だというふうに一つは思いますし、そんなことを含めた様々な技術上の努力といいましょうかね、というようなことが必要だというふうに感じているところでございます。
#21
○阿部正俊君 それじゃ、時間もあれですので、具体的な例を大森さんにちょっとお尋ねをしますが、いただいたペーパーの中に、表示の問題で、表示を販売者サイドから消費者サイドへの切替えをしたと、こういうふうに表現されていますが、具体的に言うとどういうこと、例えばの例でございますが、挙げていただくと大変有り難いと思いますが。
#22
○参考人(大森勉君) 先ほども、具体的にはお話ししなかったんですけれども、商品に、例えばですけれども、アジの開き大と、アジの開き特大と、朝食にアジの干物を食べたいというふうにお客さんがお思いになったときに、その大は何を基準にして大で、特大って何ですかと言われたときに、そのお店自体が標準のものを置いていれば、それに比較して大ですよということが言えるかも分かりませんが、私どものお店の規模が、大きいお店から小さいお店までありますと、あるお店は大だけしか置いていなかったと。標準店以上はすべて中の標準のものを置いていたから大ということが認知されたとしても、いきなり大だけあるお店であれば、中ってどんなサイズなのという形になるわけです。
 なおかつ、アジの開き、干物がそれぞれの加工業者さんが銚子であったり沼津であったり、それぞれ個々の加工業者さんが開き、加工して、市場であり直接であり流通しているアジの開きが何を中と言うのかと、何を大と言うのかという言葉がない中で、ある隣のスーパーは私どもが中と言っているものを大で売っているとか、そういうことも、もっと小さいものを扱えば大中小という表現は何らかの基準がない限り変わってくると。
 そうすると、大きい小さいという言葉は消費者が判断することであって、私どもはその商品が幾らなのかということをきちんと明記して売る、又は何グラムであるという大きさを表現をしていく、これが大事なんじゃないかということで、一つ一つの商品見直していきますと、内部で、プライベートブランドで作るもの辺りは統一できるんですけれども、ある商品にいって、田舎の方の名産品になってきますと特選とか、そういう言葉がどの商品にも付いて、特選だらけであるというような例もありますので、やはり一つの基準、物差しというのは、食品の中ではハム辺りは生鮮でも特級とかきちんと言葉の定義がなされている、これは消費者に混乱も与えませんからいいかと思うんですけれども。
 そんなことで競争するんではなくて、きちんとした商品を提供できるようにしようよということで、表示は、一時的に売上げが落ちるという声もあったんですけれども、目先のことではなくて、きちんと伝わる表現をしていこうというふうに動いた次第でございます。
#23
○阿部正俊君 ありがとうございました。
 今言われたように、特選とかというの、あるいは消費者を誘うような表現が時々ありますよね。要らざる表示というのはやっぱり要らないんだというふうなことも一つの、徹底してほしいものだというふうに私は思います。
 そういう意味で、やっぱり表示というのは、必ずしも数多ければいいという、詳しければいいというものではないという。要らないものは要らない。これは腐っているものか腐っていないものかは消費者が判断するし、それが自己責任であり、我々の主権なんじゃないかなという気もするわけで、そういう意味ではやはり、何かこう、全部書いてあればすべていいんだというんじゃなくて、どうかそういう意味での商品、食品というものをもう一度、別な意味でも安全という、安全、安心というだけではないとはちょっと言いかねますけれども、それに加えて、もう一度、我々の消費者としての主権みたいなのをどう取り戻すのか、我々の好みというのをどう取り戻すのかということも、皆さん方が、消費者、第一線の消費の場面にいる方々のいろんな誘導といいましょうか、あるいは今言ったような、下手に紛らわせることのないような表示の仕方をしてもらうとかですね。これは何も、法律上で決めてあるからないからじゃなくて、やはり一つの物の、商品としての在り方というのについて、一定の倫理といいましょうか節度といいましょうか、というふうなものを是非誘導できるような在り方をお願いしたいなということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#24
○川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子と申します。
 今日は、四人の参考人の方々から貴重な御意見を伺いまして、大変ありがとうございます。
 まず、今日の参考人の方々の御意見を伺っていましたら、山内先生と藤原先生、ちょうど右と左にお座りになっていらっしゃるお二人の科学者の方々がかなり正反対の御意見を言ってくださったのかなと私は受け止めたのでございます。藤原先生の方からは、拙速ではなかったかと、野党の意見をよく聞いたかって大変うれしい御発言をちょうだいいたしましたけれども、科学者同士でお考えになられた場合、まず山内先生、藤原参考人に対して山内参考人の方は、今回のこの法案作成のプロセスなり内容なりについてはいかがでございますでしょうか。藤原参考人に対してもし反論があったら、この場で反論をお伺いさせていただきたいと思います。
#25
○参考人(山内一也君) 別に全く反対の意見というのではありません。
 まず、藤原参考人が、リスク分析の手法というのは、それが完全にちゃんとできたものではなくて、まだまだいろいろとやって、作り上げていかなければいけないものだと、これは私も全く同じ意見でして、そういうふうに申し上げたつもりです。
 もうあくまでもやはり試行錯誤でどんどん作っていく。私も申し上げましたが、これは七年ぐらい前からやっとリスク分析の手法というのが取り入れられてきて、各国、模索をしているわけです。私もずっと、BSEを始めいろいろなもののリスク評価にかかわってきていますが、やはりそういったプロセスを経てだんだん分かってきて、これが確立したものになっているとは思いません。したがって、今回の食品安全委員会若しくはそれに関連したいろいろな活動では、やはりリスク分析の手法は作り上げていかなければいけないだろうと。
 じゃ、こういった組織をすぐに、もっとじっくり検討してやっていくべきなのか、それともすぐにやっていかなければいけないのかということに関しましては、私はやっぱり、現在の食品の安全にかかわる問題、これはいつまでも待っていられる状況ではないと。もう実際にBSEの場合でも、BSE問題が起きてから私たち大変追い掛けられたわけです。そして、それに対する一つの回答として、六か月以内に何とかこういった組織まで作ってほしいというのを報告書の中で提言したわけです。
 そういう意味では、私は、拙速であってもとにかく動き出すことによってよりいいものになっていく。問題は、骨格がどれだけ今しっかりしているのかということだろうと思います。そして、実際にいろいろなほかの国の例を見ましても、これは私も、外国のEUの例なんかもちょっと今日資料をお配りしましたが、みんなそれぞれ苦労して方向を考えているわけです。そういったふうに私としては考えているところです。
#26
○川橋幸子君 それでは、藤原先生の方にお伺いさせていただきます。
 野党の力不足もあったかも分かりませんけれども、多少衆議院の段階では修正に応じてくれまして、私どもも、ないよりはあった方がいいのではないかと、ないよりはあった方がいいというのはちょっと表現が適当でないかも分かりませんけれども、やはり山内先生がおっしゃったように、これはかなり試行錯誤を積み重ねていくことであると。そうすると、この法案の運用状況で、まず運用の面で何か歯止めといいましょうか、運用の面で強く要望しながら、また一定の時期が来たら見直すと、そういう方向もあっていいのではないかと思うのですけれども、いかがでございましょうか。
#27
○参考人(藤原邦達君) とにかく出発しよう、それから骨格を作っておこうという御意見、私もそれはよく理解できます。
 ただ、はっきりしていることは、まだ完璧なものではなくて試行錯誤の途中であるということですね。その意味においては、しっかりした歯止めを具体的に作るという点が重要だと思うんですね。例えば、非常に議論を重ねたヨーロッパ、EUの場合でも予防原則というのを明確に規定していますね。例えば予防原則をどのように位置付けるかということとか、あるいは組織の、つまり科学委員会の、食品安全委員会の組織形成、この組織の在り方をもっといいものにしていく必要があるんではないかとか、あるいは行政の現場、つまりリスクアセスメントの結果を受けて動く、例えば地方自治体とかあるいは中央の省庁の出先の機関の充実とか、そういう面に遺漏を来さないという歯止めをきちっとした上で、その上で試行錯誤の途中にあるこの仕組みを発展させていくということが重要ではないかと、私はそんなふうに思っていますが。
#28
○川橋幸子君 今のようなお話の文脈からしますと、生協連の中で長年運動を続けてこられた、こういう本をちょうだいいたしまして、大変敬意を表したいと思います。
 品川参考人の方は、この法案は十分とは言えないけれども、まあ大筋評価したいということを言ってくださっているわけでございますけれども、実は一昨日のこの本委員会の中では、予防原則の話、それから私の隣に座っていらっしゃる岡崎委員は、むしろ行動計画を作って、タイムテーブルを作って食の安全を進めていく、そういう行政の必要、パラレルにやっていく必要があるんではないかと、そのほかにも御当人が質問なさるともっと的確な表現かも分かりませんが、そのようなことを言いつつ議論を重ねてきたところなのでございます。
 そういう意味で、このレジュメの二のところにいろいろ注文付けは書いて、先生のおっしゃる、品川さんのおっしゃることはこちらも理解するわけでございますが、もう一つ何か大きなその予防原則なり国の食の安全に対する行政の姿勢なりという点では参考人の方からは何か御注文はないのでしょうか。
#29
○参考人(品川尚志君) 法律ということでいえば、先ほどどなたかもおっしゃいましたけれども、消費者の権利というふうなことがもっと明確に法文上も明示をされた方がより望ましいというふうに例えば考えております。
 ただ、現実問題としていうと、日本の法律の中で消費者の権利ということを明示した法律というのは存在してございませんし、消費者保護基本法ですら消費者の権利という言葉が存在しないという現状でございますので、この食品安全法のところでまずそれをというふうなことを言ってもまあ当座、現実的には無理があろう。そういう点では、やはり早いうちに現状の食品安全行政について改革を進めていくということでいうと、法律的にいえば、この法案で進めていっていただくというふうなことが重要だろうというふうに思っているというのが例えば権利ということとの関係での認識ですし、それから予防原則というふうな考え方についても、これも法文上はきちんとさせていければそれが望ましいことだというふうに思います。
 ただ、その予防原則というのはいかなる内容であるのかということについてはヨーロッパ各国でもまだいろんな見解があるように思っておりますし、それじゃ実際に日本で予防原則というのを決める場合には、具体的にどういう決め方にするかということ自体がやっぱり相当いろんな検討が必要にならざるを得ないだろうと思っておりまして、そんな意味では、いったんこの食品安全基本法としてはスタートをしていただいた上で、今後のいろんな検討の中で更にしかるべきときに改める必要があるならば改める、そんな進め方が必要ではなかろうかというふうに思っております。
#30
○川橋幸子君 ではもう一度山内参考人に伺いたいのですが、大変私はいい御提言だったんじゃないかと思いますが、科学者を参加させる、しかも海外で様々経験の多い科学者の参加を求めるとか、それから公募で委員を募集するとか、私、大賛成だと思いますし、その運用面ではこれから国会の中で内閣府、内閣官房の方に要求していかなければいけないと思いますが、ただ、現実考えますと、やっぱり科学者の中にも厚生行政系とかあるいは農水系とか縦割りの学問分野になっていて、そこの分野のところのだれかボスに推薦依頼をすると何人か上がってこられると、これが今の様々な委員会の、日本の委員会の構成の合意形成の仕方でございます。これを打ち破るというのはかなり大変なことだと思いますが、むしろ科学者の側からそういう意見書を総理あてにもお出しになるとか、そういう意見表明をはっきり公的な場でお出しいただくということはできないものでしょうか。
#31
○参考人(山内一也君) ちょっと私の説明が誤解を招いたかもしれませんが、一つ提言したことは、海外の科学者の参画をお願いしたいということ。それから公募というのは、ただEUではこうやっていますということだけであって、日本でこうした方がいいという提言ではございません。要するに実情をお話ししただけです。
 そして、海外の科学者の見解を聞くということは、これは例えば現在BSEの問題で、私、いろいろかかわっていますが、常にやはり英国だとかいろいろな人からの意見を実際に聞いております。そういったことを参考にしてやっております。それから、一つの例を挙げますと、アルゼンチンは一九九〇年にBSE問題にまともに取り組んで、英国とかアメリカとかそういったところの専門家をみんな集めてアドバイザリーボード、諮問委員会を作って自分の国は安全であるというところまでやってきたんです。
 やはり科学に国境はありませんし、日本でカバーし切れない問題一杯あると思いますので、どういう形でもいいんですが、やはり海外の科学者が参画できるようなリスク評価組織でないといけないというふうに思っています。
#32
○川橋幸子君 今回の法案、せんだっての委員会の質疑の中でも、谷垣大臣は言葉の上では意欲的なことをおっしゃっておられまして、省庁の縦割りを是非これで何とか打ち破っていきたいという心構えをおっしゃいますが、どうも法律の立て方、あるいは事務局組織の置き方、あるいは予算の付け方を考えると、根っこはやっぱり農水省と厚生労働省にあって、その上にまあ何とかBSEであれだけ手痛い目に遭ったので少しは改善しようかというぐらいな、ちょっと辛口なことを言わせていただくとそのような感じでしか見えないのでございます。
 そういう点で、品川参考人の方は事務局人事、当面は関係省庁からの出向でしようがない、手弁当でしようがないというようなお話だったんですが、私、実はこの辺りこそこうした問題に取り組んでこられた生協連辺りから事務局も公募してみろというぐらいの御意見があってよかったんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#33
○参考人(品川尚志君) 一つは、リスク分析だということですけれども、現実に現在の行政の中で、きちんと明確に区分けはされていませんけれども厚生労働省でリスク評価というようなことをやっている機能は存在しているわけですよね。それから農水省にも一定そういう機能があったりしているわけでありまして、こうした専門的な事務局を編成しようというときに、既存の行政組織の中で一定に蓄積されてきているそうした知見なり何なりがここに集約をされてそこでスタートを切るというふうにはこれはならざるを得ないだろうというふうに思っているわけです。それがスタートから出向なのか、それとももう籍も移して元の省庁に戻ることはないという人事編成になるのかというのは、ちょっと私としてはどうこう言いかねますので、スタートの編成としてはそんな形にならざるを得ないだろうというふうな意味合いで先ほど申し上げました。
 それから、公募の仕組みというのは、山内先生もおっしゃったようにヨーロッパで取っているところもあるようでございます。ただ、日本でそうした公募というふうな仕組みがなじむかどうかというのはちょっと私も分かりませんものですから、そこまでは言いかねるというのが率直なところでございます。
#34
○川橋幸子君 私も日本の現状をよく知っておりますので一遍にそうはできないということも分かっておりますし、品川参考人が、それなら今蓄積されているノウハウなり人材なりを活用した方がいいと、まあ常識的なところだろうなと思いながらも、何か新しいことをやるときにどこか突破口になってほしいという、そんな気持ちもございまして、科学に国境はない、食品はグローバルと、こういう時代にひとつ新しい仕掛けを作るときには思い切った提言をいただけると野党も頑張れるなということを思ったということをお伝えさせていただきます。
 さて、コーデックス委員会というのは私不勉強でよく知らなかったんですが、これは国連の中の組織なのでしょうか。どういう国際組織であって、それの日本のコンタクトポイントといいますか、窓口組織が文部科学省だとすれば、今回のこの法律の立て方からいって、当然、食の安全に関してはこの食品安全基本法に基づいて内閣に持ってくるということは筋としては要求できると思うのですけれども、その辺りもう少し詳しい情報を伺いたいと思います。
#35
○参考人(品川尚志君) コーデックス委員会は、国連の下ではございませんけれども、国際的な政府の機関として食品にかかわる国際基準を作る場ということでございまして、品質だとか安全性だけでなくて品質問題等についての食品の基準を作る、そうした場であります。
 日本では主として農水省や厚労省などの仕事に直結するわけでありまして、そうした行政からそれぞれ担当の方々がそこに出席されて、それぞれ多数の部会等が持たれて基準作りを常時やっているわけですけれども、対応されているということです。
 ただ、その厚労省なり農水省なりがコーデックス委員会に対応するときのつなぎ役として文部科学省、科学技術庁というところで、このコンタクトポイントというのをコーデックス委員会事務局との関係ではそこにまず置いて、国内での関係方面に連絡を取る、そんな関係だというふうに理解しております。
#36
○川橋幸子君 なおこちらもよく勉強いたしまして、この部分は是非内閣に持ってくる、それで調整、総合調整機能、内閣の調整機能も何か頼りないものですから、せめてフォーカルポイントになったというその役割でも強化できるのではないかなと、これは私の個人的な今伺った感想です。そうすることによって一元的に情報を集約させる、そういう役割を持てるんだよというようなことで、事務方というよりもあるいは食品安全委員会、委員会の機能として持つということになるのか、これは検討しなければ分かりませんけれども、そういう方向に努力してみたいなと思っております。
 品川参考人のところで非常に具体的な提言をいただいているものですから、引き続き品川参考人に伺いますが、三点目にリスクコミュニケーション、これはもう本当に大事なポイントなんだなということを私も素人ながらに思うわけでございますが、これ、言うべくして非常に難しい。分かりやすく説明する能力なんというのはこれは役人に期待するだけ無理で、役人が何を言っているのか、翻訳して国民が聞いた方がまだ早いぐらいな感じもございますし、それから事業者も消費者、メディアも冷静に考える力、なかなかここも日本の場合は過去の例を見ますと、別に食の話に限りませんが、ピンポイントでパニクるということがあるわけでございますね。具体的にはこれはどうやったら、どのようにしてこうした能力を高めていけるものとお考えでしょうか。
#37
○参考人(品川尚志君) 大変難しいことだと思います。一朝一夕にいくことではなくて、やっぱりそういう能力を積み重ねていくということが全体として必要だということだろうと思っておりまして、学校教育ももちろん必要ですし、それから生涯教育というような面でもこうした食品の安全問題について広く勉強する、知識を得ていくというふうな機会なり条件をいろいろ整備していくということが必要だろうと思いますが、やっぱり大前提はきちんと情報が公開されていること、透明性が確保されていることというふうなことがまず大前提だと思います。
 何といいますか、BSE問題が発生をして、特に最初の時期、大混乱をしたというのも、いろんな制度の整備ができていなかったということもあるわけですけれども、なかなか情報の公開がされていないということが疑心暗鬼を増大、増幅させるということがございました。
 あるいはそれよりもう少し、もう数年前に、遺伝子組換え食品なんていうのが一つ大きな問題になって、それも、消費者の団体は遺伝子組換え食品について表示を義務化するというふうなことを求めたわけですけれども、実際にはそれを義務化するということが決まるまでに二年から足掛け三年ぐらい掛からないと表示の義務化というのが進まない。
 表示が義務化されないということが余計これまた疑心暗鬼を呼んで、遺伝子組換え食品というのについての不安感を醸成させてしまうというようなことがあるわけでありまして、そんな点では、まず最初、出発点は、情報をきちんと公開することと透明性を確保すること、そのことの中でいろんな経験を積み重ねていくということかというふうに思います。
#38
○川橋幸子君 時間配分が悪くて、もう一方、大森参考人にお伺いする時間がなくなりまして済みませんでした。
 今日は四人の先生方、ありがとうございました。
#39
○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
 四人の参考人の皆様には、極めて貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。
 まず初めに、山内参考人と藤原参考人にお伺いしたいと思います。
 SARSについて、これは感染経路とか詳しい原因とかというのが必ずしも分かっておりません。BSE問題の教訓に照らしますと、あらざる風評で混乱を招くよりも、やはり確実な事前の対策というものが必要だろうと思います。
 その点で、今は人に、人を通じての感染ということにばかり注目されているわけですが、これが食品を通じて感染をするという可能性が全くないのかどうか。これが杞憂にすぎないということを祈るんでありますけれども、しかしその可能性があるのかないのかということと、可能性を排除できないとすればこれをどのような手だてを講じて防止すべきかという点について御意見をお伺いしたいと思います。
 まず、山内参考人から。
#40
○参考人(山内一也君) SARSは本当に非常に大変な問題であろうと思います。私自身、ウイルスの専門家として、これまで特に動物から人に急に移動してきていろいろ大きな社会問題を起こしたウイルスにずっとかかわってきているわけです。その中で、SARSウイルスは初めて人から人に容易にうつるものであるという、これがグローバリゼーションというこの背景の中で世界的に大きな問題になってしまったと。
 このウイルス自体は実際には飛沫で感染をしていきますが、ただし、このSARSウイルスと同じグループのコロナウイルス、これはもう動物の世界でたくさん今まで例ありまして、どういうふうに広がっているかも分かっておりますが、かなり外界でも生き延びる可能性はあります。実際にSARSウイルスでも外界で付着した状態でも生存していると。そうしますと、それが例えば食品のところで付いてきて感染源になるかならないかといったようなことが実際に今、食品流通の人たちからも私のところへ問い合わせも来ております。
 実際問題としては、そういったものに付いたウイルスがいつまでも生きていて、また、しかもそれが経口、食べることによって感染を起こす可能性はもうこれは極めて低いと思います。ですから、私がお答えしているのは、むしろ、流行地域からもしも食品などを入れる場合に、結局はHACCPの考え方で、結局どういう流通経路、それぞれの流通の経路でどれだけ安全対策が守られているか、そういったことで対応することになるだろうと思います。
#41
○山口那津男君 じゃ、藤原参考人、お願いいたします。
#42
○参考人(藤原邦達君) 私はウイルスの専門家でございませんので余り言うことはないんですが。
 ただ、最近の情報ですと、つり革に付いた状態で一日ぐらいもつとか、あるいは二日ぐらいは人の体以外に出た場合でも生きているとか、そういうことがWHO関係の情報から入ってきています。
 そんなふうに考えますと、これが今度は逆に人間の体にどういうふうに移行するかという部分がはっきりしませんが、例えばつり革ですと、握った手を鼻に当てるとか口に当てるとか、そういったことも起こり得るわけで、食品の場合に、非常に原則的なことですが、加熱した食べ方というものが一番望ましいという程度の常識的なことは言えるのではないか。それから、輸入検疫の段階で、感染のしょうけつ地域というんでしょうか、そういうところから入ってくるものについては、これは何日ぐらいその経過、輸入プロセスに掛かっているかとか、そういう調査をした段階で少なくともWHOの情報で言う二日以上を経過しているということであればまず心配はないというふうなことは一般的に言えるのではないでしょうか。ただ、私は専門ではございません。あるいは、そういったものにかかわる、体の中に入ってくる、生きている、そういう実験というんでしょうか、そういうことは非常に大事なことだろうと思います。
#43
○山口那津男君 次に、大森参考人と品川参考人にお伺いいたします。
 事業者として、食品の供給行程の重要な担い手であって、御苦労も多かろうかと思います。また一方で、リスクコミュニケーションの担い手としての面もあろうかと思います。今回の法律の中ではリスク分析あるいは評価をすることができるのは行政機関に限られておりまして、消費者や事業者からこれを求める権利というものははっきりとは書かれておりません。しかし、事業者のお立場からそういう評価を求める、そういう場合があるのか、そういうニーズが果たして高いと考えられるのかどうか、もしそういうことがあるとしたらどのようにそれを求めていかれるのか、この点についてのお考えをそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
 まず大森参考人からお願いします。
#44
○参考人(大森勉君) 今のお話なんですが、リスク評価、科学的知見で数値化をしたものが今すぐどこまで完璧にできるのか、本当にその数字が安全と言えるのかという論議が今後ずっと続いてくるかというふうに思います。
 私ども、事業者の中の小売業としては、商品の設定された数値がすべてそこまで許容されたという認識は持っておりません。ある商品についてはもうその基準値の半分以下でもできるだろう、若しくはなくてもできるだろうという商品もございますし、今、日本に流通しているものが果たしてそれに適合して供給されているのか、若しくはこれから流通させられるのか、お客様、消費者の手元に行ったときに本当にその商品が保証できるのかというような点になりますと、基準値ができても本当にその意味を再度伺いたい。若しくは、その基準値が海外でもどういうような状況になっているのかというような点については個々の商品群で、総論ではなくて各商品できちんと確認を取らせていただきたいですし、また具申も申し上げながら、その実情を消費者にきちんと伝える役目もしていかなきゃいけないというふうに改めて思っております。
 以上でございます。
#45
○参考人(品川尚志君) リスク評価なりリスクコミュニケーションということについては、行政の仕組みとしては当然行政機関の機能ということで今回の法律で定まるということですけれども、私ども生活協同組合の事業の中でいいますと、生協自身の自主的な事業運営の仕組みの中にある意味でこのような考え方の仕組みは取り入れておりまして、様々な専門家、学者の方々にお集まりいただくリスクを評価する委員会等を私どもの内部に持っておりまして、そこの評価の委員会で、諸外国を含む集められる範囲の情報等は集めながら、例えば食品添加物の基準等についても、生協としての独自基準をそこの場で御検討いただく、最初の評価をお願いをするというふうな場を持っております。
 それから、消費者の方々、生協でいいますと組合員という言い方になるわけですけれども、そういう方々の代表にお集まりいただいた意見交換の場みたいなものも持っておりまして、そういう場で御意見も交換しながら、それでは生協の商品としてのこの添加物についての取扱いの仕方、基準についてはいかがなものかと、そんな意見交換をしながら運用しているというふうなことでございまして、私ども自身の事業についての自主的なリスク分析のような手法ですね、のような手法というのは既に取り入れて運用しているということでございます。
 それから、国の制度として今度こういう形が実際にスタートしていきますと、例えば今度の法律でいえば、情報や意見交換の促進ということが国の責務として関係者、関係者というのは消費者や事業者ですけれども、との情報や意見の交換の促進を図るために必要な措置は講じなければならないということで、国がそういう措置を講じなければいけなくなるわけですね。
 そういう点では、具体的な場面がどうなるかというのは今後によりますけれども、事業者としての立場でもあるいは消費者としての立場でも、いろいろ国のいろんな施策についての意見はより今までよりもはっきりと言いやすくなるといいましょうか、申し上げやすくなる条件にはなるだろうというふうに考えているというところです。
#46
○山口那津男君 なかなか個々の消費者の権利を法律で決めるということが難しい面もありますので、いろんな場を通じて消費者の意見が反映される、こういう努力が各々の立場で必要だろうと思うわけですね。事業者のお立場としては、自らの供給側のお考えもあるでしょうけれども、また消費者と接するという立場で個々の消費者の意見、考え方、これを言わば束にして、集約してそれを発信していくと、こういう役目というものも非常に期待されるところだろうと思います。
 是非ともこの法律の様々な仕組みを生かしていただいて頑張っていただきたいなと思います。
 次に、山内参考人にお伺いいたします。
 この食品供給行程、生産の場においても食品の安全を確保するという要請が初めてうたわれていると思います。法律の二十四条一項九号というところに、農用地の利用につきまして、言わば食品の農畜産物に有害な物質が入らないようなそういう手だてが講じられるわけですが、そこに委員会がいろいろ意見を言えると、こういう仕組みが盛られたわけですね。
 しかし、農用地に限らず、水産物を考えた場合には、これは海洋というものも言わば生産の場になりまして、そこに食品の安全性に影響を与える物質があるとすれば、そこのコントロールということも考えていかなければならないと思います。現状におきましては、水質汚濁防止法とか海洋汚染防止法とかという法律がありまして、これは農水省の所管ではないわけでありますけれども、しかし、この二つの制度、海洋における制度というのは必ずしも食品の安全性に着目した制度にはなっていないだろうと思うんですね。しかも、海洋となりますと、我が国の主権の及ぶ沿岸部もありますが、公海というものもありまして、なかなかそのコントロールの仕方が難しいという点もございます。しかし、この法律の精神に照らせば、この海洋における食品の安全性に影響を及ぼす物質管理、こういうことにもこれからは考えを及ぼしていかなければならないと思います。
 この点についてのお考え、御意見をまずお聞かせいただきたいと思います。
#47
○参考人(山内一也君) 大変貴重な御意見だと思います。実は私たち、私は微生物の専門ですが、我々微生物をやっている人間は、これまでほとんど陸生、陸に存在する微生物しか考えていなかった。ところが、海の中には非常に多くの微生物がいます。ウイルスもいます。バクテリアもいます。バクテリアに関しては、陸に存在するのが多分三十万から百万ぐらいだと。その何十倍も海の中でもいます。そして、現実に一番よく知られているのはカキなどからのウイルス感染、これはもう現在ヨーロッパなどでも大型客船がウイルス感染で航行できなくなるという事態が幾つも起こっているわけです。でも、それはほんの氷山の一角なんです。
 海の中にどれくらいウイルスがいるのか、バクテリアがどれくらいいるのか、それが人に対してどれだけ害を、いろいろな健康被害を与えているか。また、そのバクテリアの産物である毒素がまた食中毒の原因にもなっている、そういう事例がかなり出てきているんですが、実は余り実態が分かっていない。
 そういう意味で、私は最初にリスクプロファイルということを申し上げましたが、リスクプロファイルの中には海洋、海のことも十分に考えなければいけないだろうというふうに考えております。
#48
○山口那津男君 特にその水産物を大量に消費する我が国のことでありまして、こういう点についての言わばイニシアチブを取れるのもまた日本の役目であろうと思います。化学物質も含めてこれからこういう点についての検討をやっていかなきゃならないと思っておりますので、是非また御指導いただきたいと思います。
 次に、山内参考人と藤原参考人、両名にお伺いしたいと思います。
 今回はリスク評価・管理とそれから産業振興、これが混然一体となっているところに問題が生じたという反省から、これらを分離していくという思想に基づいて制度が作られたわけであります。しかし、ヨーロッパのEUの例を見ても分かりますように、リスク評価とリスク管理というのは分離はしているわけでありますが、しかしイギリスなどでは産業振興ともまた分離した組織ということになっているようであります。しかし、フランスにおきましては産業振興とリスク管理というものが一つの省庁の中で行われているという面も見られるようであります。
 こういう分離と言わば総合性というものを考えた場合にどちらが、食品の安全という政策効果を発揮するためにどういうシステムの方が優れているのかという点をお伺いしたいと思うんですね。まず山内参考人、お願いいたします。
#49
○参考人(山内一也君) 私、管理の組織といったようなことについてはもうほとんどはっきりした意見は出せませんが、少なくとも科学的な評価をする立場からいいますと、これは独立したものでなければ評価すること自体できない。やはり科学者としての評価をするのは、完全に管理組織とかそういったものと離れたところで自由な意見を述べる、そういったことが必要だろうというふうに思っております。
#50
○参考人(藤原邦達君) 分離か結合か、この問題は非常に難しくて、諸外国でも具体的にはいろんな事例があることはおっしゃったとおりです。
 例えば、具体的に有用性とか必要性にかかわる部分については、現場のいわゆる省庁の関係者が一番よく事情を知っているわけですね。その中で安全性についての問題をチェックする必要があるというリクエストというのは、これは結合というか、離しておくというよりも近付けておく方がより有効であるという考え方もあるというふうに思います。
 ただ、山内先生がおっしゃったように、リスクアセスメントということに関しては、純粋にこれは科学的な営為であって、科学者が担当すべきものであって、したがって結論的に言えることは、この食品安全委員会の組織構成というものをどのように具体的にいいものにしていくか。つまり、安全委員会というものは独立した存在であるけれども、省庁とか地方自治体とのつなぎの形としては、つなぎやすい形態というものはいかにあるべきかということが具体的にクローズアップしてくると思うんですね。
 私が提供しました資料の四番目、ちょっとごらんいただきましょうか。具体的に食品安全委員会の組織、業務の形を私の試案として示しております。
 科学委員会というのは、これは純粋に科学者だけで構成する極めて独立した組織として位置付ける。そのほかに運営委員会というものを位置付けて、これを省庁と非常に近い関係に置く、機能を持たせる。そのほかに事務局というものが機能している。この科学委員会の代表者三名と運営委員会代表者三名が食品安全委員会という統括機能を持った組織にする、その上に食品安全委員長が置かれると、こういう形にしてはどうかと。
 衆議院の内閣委員会の質疑をいろいろ私資料で拝見しましたが、科学委員会という、現在は食品安全委員会そのものに消費者を入れるべきか入れざるべきかというような議論があったわけですけれども、科学委員会はやはり科学者が独立して徹底した議論をする、そこからレベルの高い勧告とか指示が生まれるというものにするべきであって、消費者の皆さん方はこの運営委員会に参加する、あるいは行政の関係者もスペシャリストとして参加する。そういう形態を取りながら、科学委員会の提起した問題と、運営委員会が例えばこれは是非とも先に審議するべきだとか、そういうリクエストをこの食品安全委員会で討議するというような形にしていけば、これは分離かあるいは結合かということについての非常に原則的な悩みも多少は解決するんではないか、そういうふうに思っております。
#51
○山口那津男君 分かりました。
 最後に、藤原参考人にお伺いいたします。
 予防原則という条項を追加する必要があると、こういう御主張でありました。確かにその予防的な措置を実施できるような条項を加えて、これを実現するということも一つの方法であろうかと思います。しかしまた、例えば事業の停止というような措置も考えたときには、非常に強い効果であるがためにその発動というものはなかなか難しいと、手続やあるいはその要件といったものも非常に難しい面もあろうかと思います。
 今回の法律では、例えば勧告、必要な措置、そしてそれを報告する、そういう制度も作られているわけであります。この今回の法律の制度を予防原則の考え方を生かして運用することができるのかどうか、それともそれでは極めて不十分であるからやはり追加的な条項を取らなければ駄目だと、こういうお考えであられるかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
#52
○参考人(藤原邦達君) この予防原則については、皆さん御存じのように、EUでは白書にもきちっとした明文があり、あるいは規則の中にも明文がございます。これはEUがリスクアナリシス問題に到達するプロセスの中でどうしても予防原則的な考え方を双璧として一方で生かしておかねばならないという、そのような歴史的体験から生まれたことであるというふうに思うんですね。
 私は、予防原則というのは、これはリスクアナリシスというのは完璧なものではなくて、保留的に何らかの歯止めをしておく必要があるというふうな場面に突き当たることは多々あろうと思います。科学者以外の方はそれほど考えておられないと思うんですが、実際にリスク評価をいたす立場からしますと、これは様々な過程を入れながら一定の結論に至るという事例が間々ございます。
 例えば、食品添加物の規制のための安全量、安全量を決めていく、動物実験のデータを評価する、こういう場合には、例えば食品添加物の場合をいいますと、一日摂取許容量、ADIというものを決める過程で、幾つかの過程をどうしても設けざるを得ない。例えば実験条件によってもデータが違ってくる、あるいは安全率の取り方でも最終的な数値が狂ってくる、そういう中で予防原則的な考え方で安全性というものについての一定の歯止めをするということは、私はリスク評価の科学委員会、科学者の組織の中でも必要なことであろうかと思っているんですね。ヨーロッパの事例を見ましても、遺伝子組換えの問題とか様々なところでこの予防原則の考え方を生かすというふうな配慮が行われている。ですから私は、日本の法律の場合でも予防原則の条項を作り、作った上でただいまおっしゃいましたような具体的な措置というものを決めていくという非常に周到な考え方を採用していくということが正しいんではないかというふうに思います。
 なぜ日本の法律に、今回の基本安全法の中に、安全基本法の中に予防原則という柱を打ち立てないのか。それは非常に、なぜ困難なのか、私個人としては大変理解し難いところでございます。
#53
○山口那津男君 ありがとうございました。終わります。
#54
○吉川春子君 日本共産党の吉川です。四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず最初に、山内、藤原両参考人にお伺いいたします。
 BSE問題に関する調査検討委員会の報告を読ませていただきました。そのU部に、農林水産省の政策決定に最も大きな影響を与えているのは国会議員であると、生産者優先の政策、影響を与えているのが、優先政策を求めてきたことは否めないとして大変厳しい御指摘がありまして、同感する部分が私もあります。国会議員も裁判で立法不作為の責任などを問われたりする場合もありますし、非常に貴重な御指摘だと思うんですけれども、食品安全行政について国会議員の役割、いろいろあると思うんですけれども、端的に具体的に所見をお伺いできればと思います。
#55
○参考人(山内一也君) 大変難しい御質問で、ちょっと抽象的になってしまいますが、そうですね、BSE問題のときに私が感じましたのは、BSEに対しての日本の対応、それは行政だけの問題ではなくてやはり政治の問題が一杯あっただろうと、あったと思います。それは、BSEに限らず、例えば口蹄疫といったような場合にも、やはり国会議員の介入とかいろいろな形のものがあったというふうに理解しておりましたものですから、そういうことで、何といいますか率直な意見がなかなか出せない状況があったというふうに、例えば科学者としても率直な意見は述べられる状況ではなかったんです。それが、今度のBSEを契機としてこの食品安全委員会とかこういった形のものができてくれば、独立した形で意見が述べられる状況になってきたという意味でむしろ非常に前進であるというふうに考えている次第です。
#56
○参考人(藤原邦達君) ただいまの御質問は、国民の側から見ても非常に大事な御質問であろうと思うんですね。確かに、BSE報告書では、もっと原案では厳しい言葉が使われていました。族議員というような、そういう表現もあって後に訂正されているわけですが、これはやっぱり国の政治にかかわる議員の皆さん方のお仕事は非常に重要であって、この事件をきっかけに行政の側でもこういう新しい組織形態、法律の作成、行われたわけですが、議員さんの側でもこの反省というものを生かしてどうあるべきかということをお考えいただく一つのきっかけになればというふうに思います。
 やはり、議員さんに率直に何を求めるかということでございますから遠慮なく申しますが、いわゆる国民、消費者の心情というものですね、いわゆる食不安とかあるいは食不信とかあるいは食不満というもののゆえんするところですね、なぜそうなるのかという点を本当にしっかりお考えいただくことですね。
 それから、関連して科学者の意見もよく聞いていただきたい。
 それから、担当行政には行政の悩みがあり、引き継いでいる伝統というものがありますからそういうものの実態、非常に苦慮している部分についても是非聞いていただきたいというふうに思います。
 その上で政策に反映をしていただく、野党は野党の、あるいは与党は与党の政策反映を正確にしていただく、そういう一つのプロセス、積上げが実はBSE問題では全くできていなかった。一方を向いていたのではないかというふうに率直に私は感じているんですね。これは、カネミ油症事件にしろO157事件にしろ、いわゆる食品被害と言われるもの全般に共通に言えることではないか。ですから、行政も法律もこう変わっていくんですが、議員さんの政治の担当者の側でも非常にお考えいただくいい機会であろうかというふうに存じております。
#57
○吉川春子君 ありがとうございました。
 品川参考人にお伺いいたします。
 国民の健康が最も重要であるとの基本認識が必要だと、それが今まで欠けていたんだという御指摘がありました。なぜそれが食品安全行政の基本に座らなかったとお考えでしょうか。お伺いします。
#58
○参考人(品川尚志君) いろいろあると思いますけれども、一つは従来の食品安全にかかわる中心的な法律というのは食品衛生法というのが中心の役割を果たしていたと思います。ただ、その食品衛生法自体が昭和二十二年ですか、戦後直後にできた法律で、法律の目的自体が公衆衛生の維持向上、食品の衛生、それを確保するというのが目的だという目的の立て方になっておりまして、その後いわゆる食品の安全問題というのは大きく変化して、食品の衛生という概念だけではない、食品添加物というような問題が起こったり、農薬の残留が起こったり、それから特に今日のようなBSEであったり、遺伝子組換えであったりという、そういうふうに問題自体が大きく変化しているんですけれども、そこのところが相変わらず昭和二十二年にできた法律を基本として食品の安全を管理するというふうな、そういうことであったがために、広い意味で起こってくる安全問題についてトータルに食品の安全を大切にという体系にならないということが一つあったと思います。
 それからもう一つは、これは先ほどの話にもありますけれども、それぞれの行政が食品にかかわる行政ということでいいますと中心が農林水産省や厚生労働省ということになると思いますけれども、農林水産省の場合にはやはり農業者あるいは生産者、それから食品産業というふうなところに一方の軸足をこれは間違いなく置いていらっしゃるし、そのことが間違っているとは思いませんけれども、置いていらっしゃる行政だと。それから、厚生労働省の場合も、公衆衛生ということを機能としてお持ちだけれども、一方で厚生労働行政の中には薬品業界だとか食品添加物業界だとか、そういう業界についてもかかわりを持ち、責任を持たれる行政として存在している。そういう行政があること自体また必要なことなんですけれども、そういうところで公衆衛生ということにしか銘打っていない法律の食品衛生法という法律の下で行われていたというのが、いろんな面で日本の食品の安全行政の後れ、不備をもたらしている要因として大きかったと思っておりますので、そういう点では国民の健康の保護、そのことに国民の健康と食品の安全、そのことを最大の価値を置こうということが法律に明示されるということは、実は意味としては非常に大きいのではないかと思っておるところです。
#59
○吉川春子君 今、お三方の御意見に共通して私受け止めたんですけれども、やっぱり生産者優先とか業界優先とかということが、結局国民の健康とかあるいはその業界、生産者自身の利益も大いに損なうような事態にBSE問題などなってしまったということで、大変痛切な犠牲を払った教訓だったと思いまして、私もこの問題はずっと関心持ってきたわけで、本当に参考人の御意見、ありがとうございました。
 それで、次に大森、藤原両参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど大森参考人が添加物とか農薬などの基準の見直しが必要なんだということを御指摘になりました。
 私は、昔は子供を育てておりまして、食品添加物が全然ないような食べ物を探して特定のお店から買ったりとか、おむつを洗う石けんも洗剤を使わないできたとか、いろいろ消費者運動にも携わってきたし、我が子かわいさでそういう危険な洗剤、危険な食物からなるべく離れたところに自分たちは身を置きたいということで、本を読んだりいろいろ運動にも参加してきたという経過があるんですけれども。
 やっぱり、そういう従来の基準の見直しというのは非常に科学的な知見に基づいてどうしてもやっぱり行ってほしいというふうにもう切望しているわけですね。私もそうですけれども、多くの消費者は。
 その体制なんですけれども、実は、食品安全委員会の体制、七人で行われて、そして専門調査委員会というのもあって、これは延べ二百人と言っていますけれども、これもよく聞いてみると、審議会形式で、何か常勤の人がいるわけではなくて、全部言ってみれば非常勤、パート。そして、しかもそれも委員会を立ち上げたり壊したり、立ち上げたり壊したりという形で、安定した形であるのは事務局体制だけと。しかも、その事務局体制も、EUやあるいはドイツ、フランス、イギリスなどに比べるともうけたが違うくらい人数が少ない。そういう体制であることが分かってきまして、やっぱり、基準値の見直し、リスク評価ということも含めてどういう体制でやっていったらいいのかということを非常に疑問に思うんですけれども、必要性とその体制の問題について御意見があれば伺いたいと思うのですが。
#60
○参考人(大森勉君) 今お話ありましたリスク評価の点につきましては、私、いろいろな意見が噴き出てから、そこから問題点なり評価が新たに出てくることだというふうには認識しているんですが、意見が多発した段階でそれが整理されないということになりますと、当然基準は出てこないという形になっていくかと思います。
 我々、本当、小売の立場で考えていますと、先ほどおっしゃられました生産者優先ということではないんですが、供給過多のとき品物が流れていくということから、今、それぞれにこだわりのある商品を消費者が求めているという点で、無添加であったり、それから商品に対する特徴というものがない商品というのはなかなか販売しづらくなったという時代にもなってきたわけです。
 生産者重視ということではないんですが、実際に商品をトレースしていこうという段階になりますと、一例ですけれども、東京にあるお店が千葉と埼玉と神奈川のキュウリを扱った、近郊の近在の非常にいいキュウリだと。ところが、私どもの売場に行きますと、現実問題は、神奈川産キュウリを売り切ったら次は千葉産キュウリを出さなきゃいけない、千葉産キュウリと神奈川産キュウリが一緒になっちゃいけない、産地表示をきちんとやるんだということになっていくわけです。そのキュウリが市場から入っていますと、だれが生産者かということを問いただすためには、市場もまた農協に問い合わせなきゃいけない、産地まで入り込まなきゃいけない。
 こういうこだわりとか特徴とか言っていますと、本当に大多数のものと一部分の商品、それが今後どう育つか分からないんですけれども、商品の格差を設けて、私どもも、コストが掛かったり、又は販売というものに対するポイントを明確にしながら消費者に伝えていかなきゃいけないんじゃないか。
 すべての商品がこうあるべきだというふうにすぐになり切っていないのが食品ではないかという点も私は思っておりますので、その大多数の商品、それがより安全であるためには、いろんな意見を聞きながらも、基準値というのは、先ほどの品川参考人のお話にもありましたけれども、独自の基準値を自社として設けて厳しく管理をしていくということは運営できます。ただ、日本全国のそれぞれの販売者がそれができるのかということになりますと、やはり何らかの議論を尽くす中で基準値というものは設けていかなければいけないんじゃないかと。
 それが消費者にいかに認めてもらえるのか、理解を求めていかなきゃいけない点と、要望という点では、またここでは意見が噴き出ることになるかも分かりませんけれども、二百名がいいのか三百名がいいのかという点ではちょっと分かりませんが、論議はしていかなきゃいけない段階じゃないかというふうに思っております。
 以上です。
#61
○参考人(藤原邦達君) 私は、生産者優先ではいけないという言葉、ちょっとこれ慎重に考えないといけないんですが、食品が安全であるためには土作りから環境保全から、そういう部分が非常に重要でして、いわゆるフロム・ファーム・ツー・テーブルということですね。その意味で、優先という考え方でなくて、生産者の立場も大事にしていく、生産者の在り方も本当に真剣に考えていくというような構えというものは今後とも非常に重要である。まず最初に、そういうことを申し上げておきたいと思うんです。
 それから、許容量とか基準値を決める作業、さっきも申しましたが、これは本当に大変です。私もそういった委員会などにも関係してきた経験があるんですけれども、科学者がこういったものに携わるという場合には、まず人選をしっかりしていただきたい。
 それから、分野が、国が言っているものだけでも十三専門分野があるそうですが、できれば、問題ごとに委員が替わるんではなくて、提起した委員が専門委員として参加できるような仕組みを作っておいていただければというふうに思います。持ち越しのテーマが非常にたくさんあるということですね。GMO、ダイオキシン、環境ホルモン、六十七種類ありますが、あるいは農薬の中でも疑問が持たれたままになっているものもあるんです。その持ち越し処理ということだけでもすぐにもこういうしっかりした評価が動き出さねばならないというのが現状です。それ以外に新しく出てくる問題がたくさんあるわけで、そういう委員会の組織をしっかり作るということが重要ではないか。
 それから、おっしゃいましたように、非常に主婦の皆さん方、国民の皆さん方、消費者一般には安全についての思いが非常に深うございまして、私はそういう経験をたくさんしてきたんですけれども、できればゼロのリスクでありたいという思い、これは自然の願いであろうかと思いますね。これはやはり大切にしないといけない。ゼロリスクはないということは冷たい科学的な一つの考え方でございますけれども、安心、安全という意味ではゼロリスクを求めるのが消費者、国民の心情である。この心情を理解した具体的な措置というものを行政側が提供するという作業こそが重要ではないか。
 私は、かねてから申しておりますが、リスク・ミニマム・ベクトルの重要性ということ、つまりリスクミニマムにするための方向性ですね、こういうものを大切にするような行政の在り方というものが望ましいというふうに思います。
 例えば、化学評価というところの委員会から一つの勧告が出る、一日摂取許容量はこれ以内にとどめる、それ以内ならいいという企業側の取組ではない、行政側の取組ではなくて、それを以下にしていく、できる限りミニマムにしていくような方向性でもって具体的な行政の在り方とかあるいは企業の在り方が決まってくる。つまり、本当に必要なんだろうか、本当に有用なんだろうか、代替品はどういうものがあるんだろうか、消費者が選ぶ場合でもそれを使わなくとも別の方法があるのではないかと、そういうことを大事にしていくような行政の在り方、あるいは政治の在り方、あるいは企業の対応ということ、これが望ましいんではないか。
 冷たい一つの勧告値が出た、許容量が出た、それ以内ならいいんだというような考え方は望ましくない、私はそんなふうに考えております。
#62
○吉川春子君 ありがとうございました。
 生産者を大事にしていないと私すごく思っていまして、やっぱり生産者が大事にされていないから食料の自給率も下がっていく面もあるし、本当に御苦労なさって生産者が食料を生産しているということはまた別のテーマのときに十分触れさせていただきたいと思います。
 今日は貴重な御意見を本当にありがとうございました。終わります。
#63
○島袋宗康君 私、国会改革連絡会の島袋宗康でございます。本日は、四名の方々、本当に御苦労さまで、貴重な御意見を賜り本当にありがとうございます。
 最初に、山内先生にお伺いいたします。
 食品における危害要素は、細菌、ウイルス、寄生虫などの微生物や食品添加物、アレルギー物質など様々な要素があるとのことであります。そして、その中にはSARSのように突然出現するウイルスによるエマージング、新興感染症があり、BSEはその代表のことでありますが、一方では、ウイルスによる胃腸炎のように、欧米で大発生を起こし日本でもじわじわと増加する傾向にある感染症もあるとのことであります。
 突然出現するものに対する対策は難しい面があると思いますが、例えば増加傾向にあるウイルスによる胃腸炎や遺伝子組換え食品の安全性に対する問題のような予見可能性のあるものに対する対策は迅速確実に取られる必要があると思いますけれども、これらは食品安全委員会の勧告になじむとお考えになりますかどうか、お伺いします。
#64
○参考人(山内一也君) まず、どういうリスクがあるのかと、それは、今言われましたように、微生物から食品添加物、アレルギー物質とかその他いろいろなもの、一体日本ではどういうふうな現状なのか、実は実態、全体像をなかなか理解、把握できないでいるんです。断片的に報道されることや何かでは分かるわけですが、総合的に、日本における、例えば感染症の話で、食中毒、寄生虫による感染の話一つ取ってみましてもほとんど分かっていない。現実には、日本というのは御承知のように生食文化で、おすしを始めとして生食文化で、それからさらにグルメ志向でもう今寄生虫の感染は昔より増えてきているんです、どんどん。ところが、そういう実態は知られていない。ですから、そういった実態はともかくすべてまずは把握するべきであろうと。それから、もちろん予測ということ、これは今回のSARSの例にも見られますように、やはりそれなりの対応をしていかなければいけないということは十分あると思います。
 実際に、SARSの場合ですと、日本としての対応はともかくとして、国際的には情報監視ネットワークというのがもう一九九四年から動いておりまして、そこが二月の十日にはもう、中国で新しい肺炎が出ているらしいということがそのネットワークに出て、翌日、WHOも中国の専門家にいろいろ、中国政府に問い合わせをして、それから今の事態になっている。ですから、そういう体制はそれなりにはできてきていると思うんです。ただ、それだけできていても、なおかつそういう、そこで考えられたシナリオをはるかに超えた事態も起こり得るのが現代だと思います。
 したがって、すべて、もちろん食品安全委員会というのは大変大きな問題抱えるわけですが、できるところからとにかくやっていくべきであろうというふうに考えます。
#65
○島袋宗康君 次に、大森参考人にお伺いいたします。
 食品表示には、表示を義務付け、もし違反していた場合には制裁を与えることによって企業にきちんと法律にのっとった行動をさせ、企業活動を外部に申告させるという役割があるということであります。
 そこで、食品安全確保の政策においてもこのような表示の持つ積極的役割をもっと活用すべきであるとの意見でありますけれども、この点についてどのようにお考えになっておられますか、お伺いいたします。
#66
○参考人(大森勉君) 昨今のいろいろ起きた問題について、社告であったり自主的に回収するという動きはもう当たり前のように今起きております。ある方がおっしゃっていましたけれども、百から一つのリスク、一つの問題を引いたら九十九になるんじゃなくて、ゼロ若しくはマイナスになるんだと。企業にとってもその一つが生命線になるという行為は私は起きているというふうに思っています。
 ですから、九十九ができているからではなくて、やはり問題となり得る一というものをどうつかむか。その一というものが起きた段階でいかに開示を早くし、問題を大きくすることを防ぐといいますか、起きた以上はいかに小さく止めるのか。そのためには、様々な行政の指導を待つまでもなく、商品の回収であったり、それからその情報の開示であったりという動きはだんだん事例も蓄積されてきておりますので、悪い事例の中でここまでは最低限やらなきゃいけないというスタンスは私はみんなもうできてきているんじゃないかと。隠し通すというような気持ちはもう毛頭ないという状況に今食品業界はなっているというふうに信じております。以上でございます。
#67
○島袋宗康君 ありがとうございます。
 次に、品川参考人にお伺いいたします。
 欧州の食品安全行政に関する日本生協連調査団報告の中で、団長を務められた一橋大学の松本恒雄先生は、科学的判断と勧告はレベルの異なる問題であり、後者の方がより政策的な要素が多くなるので我が国でも食品安全委員会として行うべきであると思われる、その場合は、科学者だけではなく消費者の立場の意見を表明できる者等の多様なステークホルダー、利害関係者が食品安全委員会委員に加わっている方がよいというふうなことをおっしゃられております。
 しかし、消費者代表は予定されていないようでありますので、その点に関してどのように思っていらっしゃるのか、そして、消費者代表としては今回創設される食品安全委員会にはどのようにかかわっていけばいいのか、その辺について御見解を承りたいと思います。
#68
○参考人(品川尚志君) 消費者代表が食品安全委員会のメンバーにも入っていくというふうな方向が望ましいというふうに私どもも考えますが、現状、日本でのこの食品安全委員会というのが七人という限られた人数の構成です。イギリスやフランスの例などを見ると、もう少し大人数のこうした場が作られて、そういうところに消費者代表であるとか、それから事業者の声を代表するとか、そういう声が含められて全体が構成されるというふうになっておりますけれども、七人という限られた中で果たして消費者代表ということまで現実には可能かというようなこともあり、そんなことで言うと、現状を伺っているので言いますと、その七人の中に専門家、いわゆる科学者、自然科学者だけでなくて消費者問題等に詳しい専門家、消費者問題という言い方ではありませんけれども、というふうな方々も入れるというようなことになっているようでありますので、そうなると、どういうそれじゃ最終的に人選がなされるのか、それによるのではなかろうかというふうに一つは思います。
 それからもう一つは、食品安全委員会の下に専門調査会でありますとか、この食品安全委員会自体がどういう仕事をするのかという企画を検討する小委員会とか、それからリスクコミュニケーションの在り方を検討する小委員会とかいうふうなものがこの委員会の下に持たれるというふうにも伺っておりますので、こうした場には消費者の代表というふうな人たちがいろんな形で入っていくということは可能なはずでありますし、是非そうした運用をしていただきたいというふうに思っております。
 それから、そのほかにいろんな形で国民の意見を述べる機会というのは今までの食品安全行政に比べれば格段に増えていくことは確かでありますので、そうした場合の積極的な意見提示というふうな参加の仕方があるのではなかろうかというふうに思います。
#69
○島袋宗康君 ありがとうございました。
 藤原参考人にお伺いいたします。
 科学者の警告を行政が無視、軽視してきたという我が国の過去の状況からは、リスク評価機関の強い勧告権が必要であり、リスク管理機関による、懈怠を抑止するために勧告の実施状況についてレビュー権限も持たせるべきであるとの御意見であります。この意見に対して、藤原参考人は今回の法案との関係でどのように御意見を持たれているのか、お伺いいたします。
#70
○参考人(藤原邦達君) この食品安全委員会が非常に客観的で科学的な勧告、結論というものを出す、その結論を受けて行政の担当者が動く、仕組みはそういうことでございますが、先ほど申し上げました私の組織の試案、考え方からしますと、科学委員会という科学者の七人、今予定されている組織でございますけれども、この七人の組織の中にあと何人か消費者の代表が参加した上で、実際に行政に手渡すような勧告文を作るということは事実上非常に難しいんではないか。つまり、科学委員会の七人でも私は不足していると思うんですね。非常に多分野である、専門も分かれている、それが七人の何がしかの専門を持った委員で議論をする、それだけでも非常に私は危なっかしいという感じがするんですが、その中に更に科学者を何人か減らして消費者の代表が入っていってということは難しい。
   〔委員長退席、理事長谷川清君着席〕
 むしろ、私が先ほど申し上げましたように、科学委員会とは別に、消費者が自由に参加して、具体的には、例えば勧告の在り方とか勧告の順序を決めるとか、そういう議論、企画的、リクエスト的な機能を担うそういう委員会というものを別に作った上で、科学委員会から出てきた勧告の処理についてはこの科学委員会とそれから運営委員会の委員が更に合議をするようなシステム、こういうものを作ったらいかがかなというふうに思っているわけなんですね。
 例えば、科学委員会七人の議論の結果、何がしかの勧告値が出る、実はそのことについても、学界というのは大きな研究者の組織の側からもいろんな意見があるだろうと思いますし、あるいは特別な意見を持った研究者もあると思うので、やっぱり科学委員会の独立性、そこで徹底した議論をするという部分は大切にする。それでも、具体的に行政側に手渡す部分についてのあれこれについての消費者側の意見、こういうものを、あるいは企画にかかわるような意見を取り扱うような組織を片っ方でしっかり作っていくということが必要ではないか。
   〔理事長谷川清君退席、委員長着席〕
 実はこの仕組みというのは、フランスでは大体これに似た仕組みで運用しているわけですね。あるいはイギリスとかEU自体にしても、上部の委員会というところで、運営の段階で消費者代表が参加する。科学委員会あるいは科学諮問委員会というものは純粋に学問的な議論ができるような場にしていく、こういうことでいいんではないか。おっしゃるようなことは、そういう仕組みがあれば多分うまくいくんではないかなというふうに思っておりますが。
#71
○島袋宗康君 平成十四年四月二日のBSE問題に関する調査検討委員会報告は、第V部で、「今後の食品安全行政のあり方」の中で、「食品の安全に係わる危害情報や新しい科学的知見や技術などの迅速な情報入手をはかるため、国際機関・主要国などからの情報収集体制の特段の強化が必要である。」との観点から、「海外情報収集と国内への情報提供を一元的に担う機能を、リスク評価を実施する機関に配置することが必要である。」というふうにしておりますけれども、本法案においてはその要請に十分にこたえていると言えるのかどうか。これは最初に言うべきだったんですけれども、山内先生と藤原先生に、御両名の方にお答え願いたいと思います。
#72
○参考人(山内一也君) 私は、実際のところ法案を読んだだけで、その中にどれだけの機能が入っているのかということはちょっと私には理解できないですが、個人的な考えでいけば、食品安全委員会の中には当然情報収集機能、特に国際的な情報収集機能というのは含まれているというふうに理解しております。
#73
○参考人(藤原邦達君) 一定のリスク評価をしようと思いますと、まずデータの収集ということは基本的な作業ですね。データ収集の中に情報の収集というものも含まれてくる。例えば、具体的な例えば参考事例としてどういうものがあるか、各国でどういうような対応をしているか、そういう情報もろもろあって、それらを踏まえた上で一定の解析が行われるわけです。その解析作業のことを一般にはリスク評価というわけですが、前提としての情報の収集ということは、リスク評価機関に固有の私は機能であるべきだと思うんですね。
 例えば事務局でそれをやって、それを科学委員会に持ち込んで、こういうことではいけないんであって、やっぱり、例えば生物系の調査グループ、あるいは非生物系の調査グループ、あるいは新食品のグループ、今度はそういったものが作られるようですけれども、そのグループの作業の中に情報収集、データ収集というようなことができるような機能を持たせる、そのデータや情報に基づいた解析作業を七人の科学委員会、これが判断をしていく、その前の調査委員会での調査チームでの評価結果を更に判断をしていく、そういう形であるべきではないか、そういうふうに思っております。
#74
○島袋宗康君 大変貴重な御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 これで終わりたいと思います。
#75
○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。
 本日は、本当に四名の参考人の先生方、貴重な御意見ありがとうございます。
 まずは、大森参考人にお聞きいたします。
 イトーヨーカ堂のトレーサビリティーとか説明責任のこの取組、大変すばらしいものとお聞きしましたけれども、ちょっとお聞きしたいんですが、やはり非常にコストも掛かるでしょうし、能力的にも、私、このイトーヨーカ堂の取組というのは大変なものだと思うんですが、いわゆる本当に小さな小売店、こういったところで果たしてここまでのことというのはできるんでしょうか、それをお聞かせください。
#76
○参考人(大森勉君) 先ほど、近郊のキュウリという話をしておりましたけれども、私どもで一店舗に、埼玉も千葉も神奈川も、東京のお店にキュウリが入ってくる可能性があるわけですね。そのキュウリについて分類をして産地表示をしながら売る。そのキュウリの農薬なり何かを問い合わせようと思えばどこに問い合わせるかといいますと、今まで、価格形成機能であったり集荷機能がある中央市場から仕入れておりますと、市場に問い合わせるしかない。その市場はまたどこかに問い合わせなきゃいけない。最終的には、各農家の人がどの箱にどう詰めたかということが分からない限り農家の人に使っていないということは言い切れない。なおかつ、それがデータとしてあるのか、証明書があるのかということになっていきますと、一つの商品でも非常に難しくなってくる。今までいろいろな流通の中で消費を支えていた品物が、改めて表示一つを取ってみても、すぐ食される中で本当に安全なのかということを追求していこうと思ったら膨大なコストが掛かる。
 先ほども農産の例をお話ししましたけれども、農薬の調査をしようと思えば、延べで考えますと百以上の商品になるわけなんですけれども、実際一つの商品でも五十幾つかの農薬を調べる。じゃ、これが本当に調べ切れるのかということになりますと、それが生産者との信頼関係であったり、又はある基準値に基づいて、流通段階よりも生産者段階からそのことが追われる体制というものを作るためには、やはり基準というものがないと運営できませんし、コストは膨大に掛かる。
 ですから、顔の見える野菜でもやっているんですけれども、だれだれさんが育てたキュウリということになりますと、もうそれが信頼関係になっていくし、それが店頭に並ぶということでの生産者の方の安心感というものは、逆に販売者の安心よりも生産者の方の安心というものも生じてきますので、お互いの流通段階、生産者から消費者の手に渡るまで、これが一貫できる体制を取っていかなきゃいけないんじゃないかというふうに改めて思っています。
#77
○黒岩宇洋君 そうしましたら、次の質問は大森参考人と品川参考人にお答えいただきたいと思います。
 今、大森参考人おっしゃったように、非常にこの食品安全基本法というものを貫徹していく、すなわち食品の安全を確保していくにはコストが掛かる。それがやはり私は生産業者、そして流通業者に膨大な負担になっていくのではないかと懸念しております。それで、私は、本来は食の安全についてのコストは消費者も、ないしは消費者が負担していければと思っております。
 私の消費行動を考えますと、私は料理もしますので、よく買物行きます。例えばブロッコリーとかアスパラ、これは輸入のものだと九十八円で売っています、国産だと大体二百九十八円と。私は国産をこれ買うんですね。理由は味がもう格段に違うからと。逆に、ネギ、シイタケ、これも百円と三百円ぐらいの差がありますね、輸入と国産物で。シイタケなんかですと百円と五百円ぐらいの差があるんですが、私これは輸入のものを買うんですね。というのは、味の差がそんなに分からないんです。これ、生産業者に言ったら、おまえが味が分からないからだと怒られましたけれども。ともすると、中国産のものなんかですと、無登録農薬ということで大変危険性が高い。にもかかわらず、私は、安全に対して余りコストを払う意識が私はないんですね、恐縮なんですが。なくはないんですけれども。
 それで、私、聞きたいのは、大森参考人や品川参考人のように本当に消費者と触れていく中で、今の消費者の消費行動というのが本当に安全に対して今どのくらいの認識を持って、要は安全に対するコストをどのくらい負担する意識に今なってきているのか。今後、私はこの法律が本当に徹底されていくと、より一層コスト負担になっていく中で、要するに小売業者として、流通業者としてどういう動向になっていくか。そして、それに対してどういう対応をしていくのか。ちょっと瑣末になりましたけれども、それをお二人からお聞かせください。
 まず、大森参考人、お願いできますか。
#78
○参考人(大森勉君) 今、安全、安心というお話あったんですけれども、安全というものの定義があって安心という心が生まれてくるのかなとも思っているわけです。ですから、安心と言われる商品群をすべて作り上げていくというためには、是非この法案なり、我々の努力というのは当然必要になってくるわけなんですけれども。
 中国からいろんな商品が入った。これはどの国でも結構なんですけれども、我々の要求するものについてはすべて開示をしてくれたり、又は検査結果も出てきて、それがコンテナに詰められ国内に入ってくるという形になるんですが、冒頭申しましたとおり、全量が確認し切れない。突発的に事故も起きてくる。又は我々が輸入をしようとしたときには問題視されなかったものが、輸入後にその商品の問題が、農薬であり何なりが出てくると。要は政策が後手になった中でもう品物自体は国内にある、日本にある、我が社として販売をしていたということが今、現状起きて大混乱をしているわけです。
 ですから、これが海外にも理解され、またその商品に対する最低限度、これだけは守らなきゃいけないというものが私は徹底されることによって、輸入のそれぞれの農水産物、それから加工品、これに至るまで私は安全というものが提供できるように必ずやなると。その中でまた変化は起きてくるでしょうけれども、それに対応していくしかないというふうにとらえております。
#79
○参考人(品川尚志君) 安全を確保するのにコストが掛かるというのはそのことはそうだと思いますが、この商品は安全性に十分気を配っているから高いのだということでそういう商品を求める消費者がいるかというと、それはいないと思った方がいいというふうに思います。それ、そういう意味では、が一つと。
 それから、安全でないということがはっきりする問題が起こると、起こったときのコストというのは大変膨大なコストが行政にも掛かり、それから事業者にも大変膨大なコストが掛かるというのがもう一方のこれは事実だと思います。
 そういうことでして、そういう意味では、BSEのとき、問題一つ取っても、あの問題がああいうふうに発生したがゆえに行政も事業者も大変大きな負担を強いられた、生産者、酪農家の方も負担を強いられたということだと思いまして、そういう点でいうと、やはりそういうふうな事態が起こらないような仕組みを、これは行政も負担することは多々あると思いますし、それから事業者自体も負担するものは負担をして、安全の確保に努力をするということが必要なんだろうというふうに御質問の点については思っております。
#80
○黒岩宇洋君 じゃ、引き続き、品川参考人にお聞きいたします。
 私は生協の皆さんと食品安全基本法についての勉強会とか開いたり、そういう意味ではいろいろと御指導いただいているんですけれども、一点、リスクコミュニケーションについて品川参考人触れているんですが、元々、この七人の委員に消費者の代表を入れたいという、これは生協の皆さんの願いでした。特に、情報交流の専門家、ここは聞くところによるとマスコミのOBの専門家をなんという話が出ているんですが、そうではなくやはり受け手側、私はこれ、受け手側というのは大変なキーワードだと思うんですね。やはり、送り手側の理屈が通らないと。特に今回は生産者に対する消費者の信頼が大きく失墜しているわけですから、やはり消費者側が理解でき、そして安心できるんだという、私、これがなければ、リスクコミュニケーションの意味がないと思っています。
 そういう意味で、今回、附帯決議で専門調査会の、リスクコミュニケーションの調査会には消費者の意見を代表する方を入れるとありましたけれども、これで果たして十分なのかどうか、品川参考人の御意見をお聞かせください。
#81
○参考人(品川尚志君) なかなか、このリスクコミュニケーションが十分にできるというのは容易ではないだろうというふうに思っております。
 そういう点でいいますと、冒頭の意見陳述のところでも述べさせていただきましたけれども、やはり、リスクコミュニケーションの一番深層のところというのは、それぞれ関係者双方に理解が進む、そういう状態が前進するというところにあると思うんです。
 そういう点でいえば、行政の側も、それから事業者も科学者も、消費者にも分かりやすい説明をすること。消費者の方も、いろいろ意見を述べたら、それについて返答を受けられることというふうなことがどれだけ実態としてできるかということによるというふうに思っておりまして、そんな点ではリスクコミュニケーションの委員会等が作られたときに、そこに消費者の代表が入っていくということはもちろん前提条件として必要なんだと思いますが、そういうメンバーに入っていく中で、今申しましたような状態作りに、それぞれ関係方面のそれぞれの努力によってどう近づいていくかということがかぎではなかろうかというふうに思っております。
#82
○黒岩宇洋君 次に、藤原参考人と山内参考人に御質問いたします。
 藤原参考人が大変示唆に富んだ批判及び提言をされているんですけれども、一番これ根本的な今回導入されるリスク分析手法、リスクアナリシス手法、方式ですね。これについて、要はグローバルスタンダードなんかではないんだと藤原参考人はおっしゃっています。要は、英、独、仏を除くヨーロッパやアメリカはこのことにすら非常に慎重に検討中なんだという表現がされています。
 これ、私、非常に今回の、スタートですから、リスク分析手法からこれすべてが今始まっているんですが、これに対して、藤原参考人のお考え、そして、なぜ各国が今慎重になっているか、その理由も併せてお聞きして、その後に山内参考人に、その批判についてまた御意見をお聞かせください。
#83
○参考人(藤原邦達君) BSE委員会の報告書の中に、今やグローバルスタンダードになったリスク分析云々という表現がございます。しかし、グローバルスタンダードという言わば非常に上段に構えた表現がふさわしいのかどうか、私は疑問を持っているわけです。
 政府の調査あるいは日生協その他の調査の中で具体的に分かってきているのはEUの一部の国家の状況であって、アメリカという超大国のFDAとかUSDAとか、そういうものの今後のリスクアナリシス方式での再編というようなことは今後の作業だろうというふうに私は思うんですね。
 まして、世界の大多数の途上国あるいは日本に輸入関係で関係の深い中国、東南アジア、そういうものが果たしてこのリスク分析手法をどのように定着させるか。恐らく各国とも今非常に鋭意努力中、検討中ではないか。当然そのことは言ってもいいことではないか。グローバルスタンダードで、だから日本は後れてはいけませんよみたいな言い方は少し言い過ぎではないかというふうに率直に感じています。
 BSEの委員会のメンバーの先生方を拝見しましたところ、このリスク分析について、どういう方がどういうお仕事をしていらっしゃったのか私は存じませんけれども、少なくとも議論が十分尽くされた、八回ほどあった会合の中で、この第V部のリスク分析のところでどれくらい議論が尽くされたか。私は、そういう点からしましても、グローバルスタンダードと言い切るようなことが本当に正しかったかどうか疑問を持っているわけなんですね。
 やっぱり、これは各国がどうであろうと、特にグローバルスタンダード云々は抜きにして、EUのように予防原則というものを必ず位置付けた上でのリスクアナリシスというようなところを日本は学ぶべきである、もっと慎重であるべきである、そういうことを先ほど申し上げたわけでございます。
#84
○参考人(山内一也君) リスク分析がグローバルスタンダード、これ、食品に関するリスク分析ということに限る必要は私はないと思うんですが、現実に、ヨーロッパだけではなくアメリカにおいても、リスク分析がはっきりとした文言として出ているかどうかはともかくとして、ずっと行われてきております。
 例えば医薬品とか、それから、私はウイルス感染に関しての国際委員会なんかに入ってずっとかかわってきているんですが、科学者によるリスク評価、そしてそこで今度はリスクコミュニケーション、アメリカの例を取りますと、一つの案ができてくると、ちゃんとパブリックコメントを求めるためのワークショップから始まって、何年間か掛かって意見まで聴取するというようなリスクコミュニケーション、そして管理というのが現実には行われているんです。ですから、概念としては、こういったものは欧米では今までやられてきている。ただ、それを食品の領域として文章としてまとめていくというプロセスですと、それはスタンダードになっているとは思いません。
 あくまでもやはり、リスク評価であれ、それからリスクコミュニケーション、これも簡単に一言で言っても、そんな簡単な話ではないわけです。そして、リスク管理の問題と。ですから、そういう三つの要素から成り立って、今後そのリスクに対応していくという概念そのものはもう既に確立したものとしてずっとこれまでも取られてきているというふうに思います。
#85
○黒岩宇洋君 次の質問は、藤原参考人だけお聞きします。
 藤原参考人の先ほどのお話の中で、本当どきっとしたところがあったんですけれども、要は科学について過半数で決するのはいかがなものかという。これ三十五条では、委員会の議事というのは過半数で決するとあります。我々もつい政治の場にいますと過半数ということに慣れちゃっているんですけれども、科学の専門家、そして科学の現場にいられた藤原参考人にお聞きしたいんですが、科学の現場では一人でも疑義あった場合、どういうふうに対処して、そしてどうやって決しているのか。今回、法案では過半数ということになっているんですが、科学の現場でのやり取り、やり方を今後この安全委員会では生かすことができるのか。生かすならばどういう手法があるのか。それをちょっとお聞かせください。
#86
○参考人(藤原邦達君) 実は、私、個人的なことでございますが、日生協の食品添加物の安全性を決めるための研究者の委員会の委員をしていたことがあるわけです。十数年その仕事をしました。例えば一つの添加物を、例えば国が許しているものであったとしても丹念に洗い直すような組織であったわけですね。その中で、各委員の意見というものが必ずしも一致する場合というものは余りなかったんですね。
 これは、多数決の原則というものが科学の現場に適用できるかどうか、厳密に言えば、私は適用するということは問題がある。一名でも疑義がある場合、疑問を呈する場合、その疑問の部分についての徹底的な論議をする必要があるというふうに思うんです。決定までの時間は掛かるかもしれませんけれども、そこで多数決によって一部の保留意見を無視した場合の結果として被害が発生した場合、だれが責任を取るのか。これはやっぱり一名でも異議がある場合には、科学の場では徹底した議論を続ける。全員が同意するというところまで徹底した議論を続ける。仮に七人の委員で一定の議論の結果ある一定の意見が固まったとしても、外部の研究者からの異論ということも出得るのが現実なんであって、その意味では委員会での決定というものは、科学委員会に関しては一名でも異議ある場合には徹底して審議を続けていくべきであろうか。
 ただし、これは行政の現場の問題でもございますから促進する必要もあるわけで、委員長はその場合に促進することを命じることができるとか、何らかの担保措置を講じた上でのやり方が必要ではないか、そう思っています。
#87
○黒岩宇洋君 最後に、山内参考人に御質問いたします。
 私、このBSE問題検討委員会報告書、本当にすばらしいでき栄えだと思って読まさせていただきました。これを端に発して、今回、国民の食の安全を守るんだという、この目的を達成する法案が出てきたわけです。法案については不備があるところもあるんですが、私もまあ評価しております。
 ただ、今回、安全委員会について言うと、予算が年二十億であるとか、ないしはその専門調査会も延べ二百人もほとんど兼務兼務というような、こういう状況です。リスク評価機関、リスク管理機関の、これも兼務になって、分離もなかなか図られていないという。この現状で、山内参考人が副委員長として今までこのBSE問題についていろいろと検討してきた流れから、本当に今、今回の制度で一億二千万の国民の食の安全が確保できるというそういう御実感があるかどうか、最後にお聞かせください。
#88
○参考人(山内一也君) これまで、私も科学者の一人としていろんな審議や何かにも、リスク評価にかかわる審議にもかかわったこともあります。しかしながら、実際に科学者、日本の科学者の中でどれだけこれに全部対応していけるのか、それだけの人材プールがちゃんと得られるのか、私にはまだよく実感としては分かりません。ですから、総論としては大変すばらしい法案として計画がこう出てきていますが、それを支える人がどれだけいるのか、その点について私として余りはっきりした、何といいますか、ことを申し上げられるような、そういう実感がございません。
#89
○黒岩宇洋君 ありがとうございます。
 終わります。
#90
○委員長(小川敏夫君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、一言御礼を申し上げます。
 参考人の皆様におかれましては、大変御多忙な中、貴重な御意見をお述べいただきまして誠にありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#91
○委員長(小川敏夫君) 連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 食品安全基本法案について、厚生労働委員会及び農林水産委員会からの連合審査会開会の申入れを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#92
○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#93
○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
    ─────────────
#94
○委員長(小川敏夫君) 次に、連合審査会における政府参考人の出席要求に関する件及び参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本連合審査会における政府参考人及び参考人の出席要求の取扱いにつきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#95
○委員長(小川敏夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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