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2003/02/12 第156回国会 参議院 参議院会議録情報 第156回国会 共生社会に関する調査会 第2号
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2003/02/12 第156回国会 参議院

参議院会議録情報 第156回国会 共生社会に関する調査会 第2号

#1
第156回国会 共生社会に関する調査会 第2号
平成十五年二月十二日(水曜日)
   午後一時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月五日
    辞任         補欠選任
     神本美恵子君     郡司  彰君
     川橋 幸子君     千葉 景子君
 二月十日
    辞任         補欠選任
     岡崎トミ子君     辻  泰弘君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         小野 清子君
    理 事
                有馬 朗人君
                清水嘉与子君
                羽田雄一郎君
                山本 香苗君
                吉川 春子君
                高橋紀世子君
    委 員
                有村 治子君
                大野つや子君
                小泉 顕雄君
                段本 幸男君
                南野知惠子君
                山下 英利君
                郡司  彰君
                小宮山洋子君
                鈴木  寛君
                千葉 景子君
                辻  泰弘君
                弘友 和夫君
                林  紀子君
                福島 瑞穂君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   参考人
       東京都立大学大
       学院都市科学研
       究科教授     秋山 哲男君
       株式会社ユーデ
       ィット代表取締
       役社長      関根 千佳君
       一級建築士事務
       所アクセスプロ
       ジェクト代表   川内 美彦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○共生社会に関する調査
 (「共生社会の構築に向けて」のうち障害者の
 自立と社会参加に関する件(バリアフリー社会
 の実現))
    ─────────────
#2
○会長(小野清子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五日、神本美恵子君及び川橋幸子君が委員を辞任され、その補欠として郡司彰君及び千葉景子君が選任されました。
 また、去る十日、岡崎トミ子君が委員を辞任され、その補欠として辻泰弘君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(小野清子君) 共生社会に関する調査のうち、「共生社会の構築に向けて」を議題といたします。
 この際、御報告いたします。
 去る五日の調査会における林君、岡崎君、神本君及び山本君の質疑に対する答弁につきましては、後日文書をもってお答えいただくことになっておりました。これらの答弁につきましては、本日までに関係各省より文書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じます。
    ─────────────
#4
○会長(小野清子君) 本日は、障害者の自立と社会参加に関する件のうち、バリアフリー社会の実現について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、東京都立大学大学院都市科学研究科教授秋山哲男君、株式会社ユーディット代表取締役社長関根千佳君及び一級建築士事務所アクセスプロジェクト代表川内美彦君に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、大変御多忙のところを本調査会に御出席をいただきまして誠にありがとうございました。
 参考人の方々から、障害者の自立と社会参加に関する件のうち、バリアフリー社会の実現について忌憚のない御意見をお述べをいただきまして、調査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いをいたします。
 議事の進め方でございますが、まず、参考人からそれぞれ十五分程度御意見をお述べをいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えをいただく方法で進めさせていただきたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、秋山参考人からお願いいたします。秋山参考人。
#5
○参考人(秋山哲男君) ただいま御紹介にあずかりました東京都立大学の秋山と申します。
 私の専門は、都市交通計画あるいは障害者、高齢者を中心とする都市基盤整備だとか交通システム全般を手掛けております。今日は、その観点から二つのことについてお話をさせていただきます。
 一つは、交通バリアフリー法の駅及びその周辺の整備をどうするかというお話、これが一点目です。二つ目がバス以下の交通、特に障害者、高齢者を専用で送迎するスペシャル・トランスポート・サービスと呼んでいますけれども、別名移送サービスと呼んでいますが、これをかなり頑張って日本ではやらなくちゃいけない時期であるというこの二つについてお話をしたいと思います。
 最初に、交通バリアフリー法についてお話をしたいと思います。
 このプリント、皆様方に二枚ほどのプリントが参っていると思いますが、二〇〇〇年、二〇〇三年と書くところを二〇〇〇年と書いてしまったんですが、二月十二日と書いてございますけれども、このプリントです。
 ここの「交通バリアフリー法について」、(1)計画についてということなんですが、私自身、今、東京を含め全国のおよそ十か所ぐらいの交通バリアフリー法の基本構想に携わっていて、かなり大きな問題があるなと感じている点を何点か申し上げたいと思いますが。
 一つは、計画が、基本構想を立てるんですけれども、その後すぐ実施計画をしなくちゃいけないという。一般的には、計画というのは基本計画、実施計画と、順番に構想、基本計画、実施計画という手順がございますが、基本構想からいきなり事業というのが交通バリアフリー法の実態でございます。そのために、まずいきなりそんなところに行けないだろうと、これが一つです。
 それから二つ目は、予算がないために計画が十分立てられない、これが二つ目の大きな問題です。
 その他細かい問題はたくさんございますけれども、住民参加でやらなくちゃいけないということで、住民参加の方法を分からなくて右往左往する自治体だとか、様々問題が出ております。
 二つ目の大きな問題ということで実態というふうに書いてございますが、計画の予算がなかなか地方自治体が組みにくかったり、組めたとしてもほんのわずかで、計画をちゃんと作れるような状況にないというのが、これが一つですね。
 それから二つ目が、実施の予算が交通バリアフリー法として取られていないために、既存の補助の枠を使うのみというふうになっています。したがって、計画を立ててもこれをいついつまで完成させるとか、そういった見通しを自治体がほとんど立てられないでいる、こういう現状がございます。
 対策として、財源を交通バリアフリー法の計画から実施にもっと向けるべきであるということが言えるわけです。財源措置として、交通バリアフリー法事業費として予算措置をやはり国として取るべきだろうと。確かに、道路局とか鉄道局とか個々にばらばらにあるんですが、既存の予算の枠なんですね。どれが交通バリアフリー法なのかは、かなりプロ的にやらないと分からないというのが現状でございます。それから、基本構想を立てた自治体に特区と同じように自由に使えるお金をもうちょっとちゃんと手当てしたらどうか。例えば、一か所につき五億とか十億とかそういうお金がないと、とてもでないけれども町は良くならない。これが財源にかかわることです。
 三つ目は、交通バリアフリー法に附帯決議というのがございます。STサービスとタクシーを二〇〇五年に、これから検討するということになりますが、これについては、やはりバス以下の交通というのは大混乱をこれからしますので、STサービスの基本構想を立てることを国は義務付けることが多分必要になるだろうというふうに読んでおります。
 これに関連して、次の二番目、STサービスと書いてございますが、高齢者、障害者の専用の交通手段について述べたいと思います。
 なぜSTサービスについて述べるかといいますと、交通バリアフリー法の多くは、鉄道がバリアフリーになったり、バスがバリアフリーになったりしているんですが、鉄道やバスが使えないような地方の都市とか郊外の地域は全く恩恵を受けられないんですね。したがって、人口低密度のところだとか地方都市だとか、そういったところの人たちが恩恵を被るように、STサービス、バス以下の交通をかなり強化しないといけない、これが二点目の議論です。
 そのために、ここの調査会のテーマである自立と社会参加という問題がございますけれども、そこで、ゼロ番目に、高齢者、障害者のモビリティーというのは、様々な活動、社会参加するための基礎の基礎ですね。ですから、外出ができなければ何も活動ができないわけですから、そういった意味で外出の基本を支えるということをまずやるべきだろうと思います。そして、そういう意味ではモビリティーを生存権ないしは生活権に近い形で考えるべきだろうと思います。確かに憲法二十五条では基本的人権が保障されていますけれども、あくまでも表明するにとどまっていて、それを、具体的にモビリティーを、例えばイギリスですと、一日バス四便はミニマムとしようということがイギリスでは言われているんですけれども、日本ではそういう言い方が具体的にされないんですね。そのことによってモビリティー、外出が失われているというのが現状でございます。したがって、モビリティーをもうちょっと明確に法的にうたったらどうか、これが(0)のところです。
 (1)に、STSについてということで、ほんのわずかですけれども、高齢者、障害者の外出支援が不足しているということについて英国とか米国の事例を少しお話ししたいと思います。
 英国、米国、カナダとも、運輸系と福祉・保健・医療系で別々のシステムが存在しております。日本はその体系がないということ。ボランティアや厚生労働あるいは文部科学、養護学校ですね、運輸系で福祉タクシーの認可が多少存在するけれども、英国のロンドンのあるシステムと比較すると恐らく十分の一から百分の一程度でしょうと。東京辺りは十分の一から百分の一の間かもしれませんが、地方都市は百分の一以下かもしれません。これはもうかなりの大きなゆゆしき問題と私は認識しております。
 それで、先進国の中で最も後れているバリアフリーの領域がこのSTSのところです。アメリカあるいはスウェーデン、イギリス、カナダ、とっても彼らの国から見たら日本に住むのが損したと思うくらい悲惨な状況だという認識をしておいていただけたらと思います。
 それから、次のページに、様々な施策を展開するということで、一つ目に事例を書きました。STSの財源確保、例えば百億円程度から、国からちょっと出してみたらどうかと。STSの人口というのは、全人口の一%が重度の障害者、高齢者に相当して、STSの市場だと私は考えております。つまり、日本の百万人が年二回外出できる、その費用がやっと百億円なんですね。東京都では今、ボランティアベースで二十万トリップ、外出ができるようになっています。これがちょうど年二回外出できる程度です。東京都で相当頑張ってやっていても、たった年に二回なんですね。まずは地方が東京都レベルまで追い付くことが必要でしょう。そういう意味で百億円は最低限必要でしょうということです。
 それから二つ目に、計画策定の義務化、バス以下のSTSを中心に交通計画を自治体に義務付けるということ。なぜこういうことを申し上げるかというと、バスの規制緩和がされているんですけれども、バスは、規制緩和をされるのは、大都市みたいなところではいいんですが、地方都市だと次々にやめていっちゃう。バスはもうかるものだと昔は考えられていたんですが、今はもうからないのでできるだけ撤退したいというのがバス会社の意向です。自治体が補助をしなければ動かないというのがバスです。したがって、バスは公共が責任を持つ時代であるにもかかわらず、日本は計画として責任をちゃんと持っていないのが現在です。先進国の中でこんなことをやっているのは日本ぐらいです。全くばかげた国かななんと思うぐらいバスについては悲惨です。
 それで、三つ目ですけれども、じゃ、調査に基づいた計画をやっぱりちゃんとやるべきじゃないかというのが提案の一つです。
 日本は、まずニーズをとらえていない。その中で、移動困難者というのは、人口の一%というのは重度なんですけれども、中軽度も含めると十年前に調査した結果では二五%います。EUでヒアリングに行ったら四〇%を超えておりました。こういうことを考えると、英国のNTSは、ナショナル・トラベル・サーベイです、日本の国勢調査みたいなものです、ここで障害を持つ人がどの程度存在するかをきちっととらえております。つまり、ニーズがないと思われている。ニーズをちゃんととらえろというのがまず第一点目です。
 二つ目に、地域条件に応じた計画を立てるということが必要です。多摩ニュータウンが、今、最近人口が日本で一番いなくなっているんですが、その理由の一つに、坂道なんですね。坂道があるかないかで全然人々は移動が違ってきます。こういうことを地域条件として考えましょうと。
 それから三つ目に、運行システムの設計、どんな運行システムが必要かということですが、今、日本にあるのは、バスがあって、コミュニティーバスはバスみたいなものですけれども、あとタクシーがあって、その間がないんです。バスとタクシーの間が壊滅的な状況が日本です。そこで、実験等をやって今新しいシステムを開発しているんですが、フレックスバスなんという、高齢者、障害者に特化して、多少は歩けるけれども自宅の近くまで迎えに行く、こういうバスの実験を鷹巣でやりましたけれども、好評を得ております。こういうものも新しいシステムとして参入できる可能性があります。
 それから四つ目が、供給システムの組織づくりがどうしても必要であろう。五つ目が評価です。例えばコミュニティーバスというのは、日本では自治体が先導してやった非常にいいシステムなんですが、残念ながら大きな赤字のところとそうでないところもあります。そういう意味で、評価をちゃんとして改善していくという、そういった仕組みも必要です。
 四点目ですけれども、技術的検討ですが、STSのコンピューター支援システムの構築ですが、これはアメリカ、カナダはもう二十年ぐらい前からこの辺りのシステムが少しずつ動き始めて、今ではもう行政の人はみんなこれを使ってやっております。英国もスウェーデンも、もちろんそうです。
 それから二つ目に、STSの組合せの検討。民間のボランティア団体がやっている部分だとかタクシー会社がやる部分だとか、いろいろございます。こういう組合せも必要です。
 とにかく、STサービスのお金が、普通ですとバスは一銭もお金を東京では出さない、自治体では出さない可能性がありますけれども、STSは八から九割のお金を支出する必要性があります。それから、バスとタクシーの間の中間モードと呼ばれているのは、乗り合いにしますから七割ぐらいお金を自治体が出すようなことになります。つまり、モビリティーにはお金が掛かるのでお金の掛かることを前提として作らないともう無理でしょうと。お金が掛かるからやめようと言うと、モビリティーの保障をやめようと言うのと同じになります。
 それから、(2)に新しい交通システムの検討で、DRT、需要応答型交通システムというのは、電話で予約をして、三十分後に行きますけれどもどこで待ったらいいですかと、そうすると目的地まで行けるシステムです。これはスウェーデンあるいはフィンランド、アメリカにも各地にあります。
 それから、フィージビリティースタディー、一回やってみないとどういう経験があるか分からないのでやりましょうと。財源、運行システムも、これからは税金からすべて出すんではなくて公私の協働体制を作るべきだろうと。公私のある意味での協働体制を作ることが二十一世紀としてはかなり重要な課題となっております。
 それ以降、(3)、今日は割愛しますけれども、人口低密度地域の居住者の外出支援、これは過疎地域のバス問題なんですが、詳しくは私が書いた本の中に「バスはよみがえる」という本がございますので、それをお読みいただくとかしていただければ分かると思います。
 それから、(4)、これは、都市を高齢者、障害者が動きやすい、生活しやすい町に変える。その一つで、都市そのものを自動車型でできるだけつくるのを避けるという、なぜ避けるかというと、環境負荷が大き過ぎるというのと、都市を自動車型にしますと隣の家に行くのに遠くなったり、様々なトリップが遠くなります。そうすると公共交通が成り立たなくなりますので、できるだけ集住して住むという形を取った方がよろしいでしょう。国の責任として、環境負荷の軽減とモビリティー確保の責任を持った都市を進めると。
 アメリカのある論文の中にはトランジットビレッジというのがありまして、トランジットビレッジというのは、トランジットというのは交通なんですが、例えばほんの小さなところで商店とかパーマ屋さんだとかいいレストランだとかが比較的歩いて行ける、あるいは自転車で行ける距離のところに土地、建物を配置すると自動車の利用が少なくなって、徒歩とそれから自転車の利用が多くなる。こういうようなことを図で表した人もいます。そういう都市をつくっていくということが今後重要でしょうということです。つまり、移動が少なくて済むコンパクトな都市づくり、これが追加的に高齢社会には必要なものだと思います。
 以上で御説明を終わりにいたします。
#6
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 次に、関根参考人にお願いいたします。関根参考人。
#7
○参考人(関根千佳君) 株式会社ユーディット、情報のユニバーサルデザイン研究所の関根と申します。よろしくお願いいたします。
 パワーポイントを使って説明をさせていただきます。ちょっと暗くなって申し訳ございません。(スライド映写)
 私どもの会社はどのような会社かと申しますと、IT機器やウエブサイト、ホームページですね、こういったものを高齢者や障害者に使いやすくするにはどうすればいいかということをコンサルティングする会社でございます。
 私、日本IBMという会社で障害者、高齢者の使いやすいパソコンのハード、ソフトを開発しておりましたが、この仕事をほかの日本のメーカーさんとも一緒にやらなくては日本が滅びてしまうと思いましてこういった会社を自分で設立して、今、五年目に至っております。現在、社員が五名、そしてコントラクターと呼ばれる登録社員が百三十人ほどおりますが、このメンバーは全員家で仕事をする完全なSOHOカンパニーなんですね。社員はすべて、北海道、沖縄、フィンランド、ベトナムといった世界じゅうに広がっている状況です。このメンバーのうち、約半分が障害を持っていたり高齢者です。年齢も十七歳の高校生から八十歳の方まで非常に多岐にわたります。そして、年功序列ではなく成果に報酬を支払うという、いわゆる能力に報酬を支払うという、そういった仕事の仕方をしています。
 社員をちょっと御紹介したいと思います。
 この一人目は弊社の濱田と申しまして、「五体不満足」で有名になった乙武君よりももうちょっと障害は軽いんですけれども、いわゆる両手両足がないタイプなんですね。で、手の骨の部分でキーボードを打ったりマウスを使ったりしますけれども、彼は高齢者や障害者に使いやすいホームページを作るという意味では日本の第一人者です。で、今は、経済産業省のウエブアクセシビリティ委員会という国のITの根幹を決めていくような会があるんですけれども、そこで主査を務めさせていただいております。余り学歴の高くない、彼のような両手両足のないような重い障害の人がこのような会のリーダーを務めるというのは、多分日本の歴史始まって以来ではないかと思います。
 次に、竹田ですけれども、彼もいわゆる神経難病を持っておりまして、このときは車いすに乗っておりましたが、翌日は松葉づえかもしれない、歩ける日もあるし、全く寝たきりになる日もあるというふうに、日によって状況が全く変わります。こういう状況ですので、在宅の勤務ということを選んでいるわけですね。ただ、彼はソフトウエアやいわゆるiモードとかiアプリ、ああいったパソコン及び携帯電話のアプリケーションを作る専門家でございまして、たくさん技術書も書いております。こういったメンバーがネットの中で仕事をしているわけです。
 そしてこの次に、三人目に御紹介したいのが日高という社員ですけれども、彼は鹿児島の南九州病院に入院して、既に二十年以上ここで寝たきりの生活を送っております。人工呼吸器を付けておりまして、今体の中で動く部位というのは指先が二ミリだけという状況なんですね。ただ、この二ミリだけの指先で、ここに出しておりますように非常に美しいコンピューターグラフィックスで絵をかきます。今日、私、本をお持ちしましたが、実はこの表紙の絵が日高がかいたものなんですね。これをじかに見ていただきたくて今回これをお持ちいたしました。
 一枚の絵をかくのに約一月掛かりますけれども、彼は様々なコンピューターグラフィックスのコンテストでグランプリを取ったりしております。もちろん、彼が障害者だからではなく、この絵が非常にすばらしいということで評価されているという、そういう人間です。
 また、武者という人間もおりまして、彼は目が見えなくてかつ呼吸器に障害があるため、ふだん酸素ボンベをしょって歩いている。そして、骨形成不全のために身長が百二十センチしかありません。これ写真で、隣に座っている人は実は車いすなんですね。この人よりも背が低いということがお分かりいただけるかと思います。ただ、彼はバイリンガルのデータベースリサーチャーで、海外のウエブサイトからこういうデータを取ってきてくれないと頼むと、非常に的確なファイルを選んできてくれる人なんですね。そういった意味でもとても優秀です。
 目が見えない人はパソコンを音で聞いて仕事をするんですけれども、この速度ももう我々見えるメンバーの四倍ぐらいの速度でだあっと聞いていくんですね。ですから、つくづくITがあれば障害者というものは全く違う形になっていくというそのサンプルではないかと思います。
 ここで、我々の考えているバリアフリーとユニバーサルデザインについてちょっと簡単にお伝えしたいと思います。
 バリアフリーは、健康な成人男子向けに作られてきた町や物に対して、女性や子どもやベビーカーや高齢者や障害者、その人たちが使いにくいというバリアを除去していくことであるというふうに私たちのところでは考えています。ユニバーサルデザインというのは、これに対しまして今申し上げたような人々が最初から使えるように町や物、情報やサービス、こういったものを作っていく考え方というふうに考えていただければよろしいかと思います。
 バリアフリーも当然ながらこれまでできたものに対してはそれを適用することは必要です。ただ、我々がやっているようなIT産業のようにゼロから作っていくことができるものに関しては、又は建物でも新しく造る場合にはこのユニバーサルデザインという考え方を適用することが大事だと思っております。
 次へ参ります。
 このユニバーサルデザインという考え方はロン・メイスとおっしゃるノースカロライナ大学で、御自身もポリオにかかっていらしたために車いすをお使いであった大学教授が提唱された概念です。これにつきましては、私のこの本の中の百八ページにユニバーサルデザインの細かい定義とかも含めて出ておりますので、もしよろしかったらちょっとこれを後で読んでいただければと思います。細かい説明はちょっと割愛させていただきます。
 なぜこのようなことが必要かというところなんですけれども、それは、我々日本という国が、今世界最高の高齢国家になっているという事実からでございます。二〇〇五年には成人人口の五〇%が五十代を超えます。有権者、納税者、消費者の約半分が五十代を超えるという世界の人類の歴史の中でも本当に初めてという事態に直面しているわけですね。
 しかし、この層は必ずしもこれまで考えられていたように要介護、寝たきりの高齢者のイメージでは全くありません。最もお金と時間と向学心のある層です。ところが、日本の産業界はこの人たちを顧客として扱ってはきませんでした。そして、この層は実は軽度重複障害者です。少しずつ、目も耳も指先の巧緻性もちょっとずつ落ちていく。もちろん御本人はそんなことおっしゃいませんけれども、でも、こういう状況であることに変わりはない。ニーズは障害者と限りなく近くなっていきます。
 しかし、物を作っているのは生活実感の少ない都会の若いデザイナーです。ですから、IT機器も家電製品もいろいろなものが残念ながら使い手と作り手のイメージ、考え方というものがどんどん乖離しているというのが今の日本の産業界の現状ではないかと思います。これを埋めるためにユニバーサルデザインの考え方が必要なんですね。
 これは情報通信白書の十三年の二月なので少しデータが古いんですが、これを見ても、この年齢によるIT利用の差というのがはっきりとします。十代、二十代では大体インターネットを使うのがこの時期でさえ七割から八割でございました。しかし、六十代、七十代を見てみますと一〇%程度なんですね。これが日本の人口比率から考えるといかにいびつな状況であるかというのがお分かりいただけると思います。産業界としてもこの膨大なポテンシャル、潜在顧客層を全く見逃してきたと言うしかありません。
 そしてまた、障害を持つ方への支援技術、これが実は我々の生活を様々な点で規定してきた、大きな産業革命を起こしてきたという点でたくさんございます。
 電話はグラハム・ベルが聴覚障害者に音を届けるために開発したものでございます。タイプライターもある意味では全盲の方が字を書くための道具として非常に有効なものとして考え出されました。ライターは片手しかなくなってしまった兵士がたばこに火をつけるのにマッチでは不便ということででき上がったという経緯もございます。また、音声認識も世界最初に出されて製品化されたものは、ビアボイスという前に、実はボイスタイプという製品名だったんですね。これはIBMで出されたときに実は頸髄損傷の方のワープロ、声で入力するワープロとして考え出されたものなんです。それが一般の方にも使いやすいということで世の中に広まっていったんですね。
 このように、加齢とか障害というのはアイデアの宝庫ですので、実は障害を持たれた方のニーズが様々な人にも使いやすいというケースはたくさんあるわけです。実際、企業は今いろんなところで、全く障害者然とはしないけれども、でも高齢者にも障害者にも使いやすいというものをだんだん製品化しようとしています。
 これはIBMの例ですね。これは例えば全盲の方にも、それから口に棒をくわえてパソコンを使うような方にも使いやすいような工夫がたくさん埋め込まれております。
 また、これはNTTドコモさんの新しい携帯電話ですけれども、これも例えば、視覚障害の方に音声でメールを聞ける機能が入っていたり、またシニアの方に見やすいようにボタンも画面も分かりやすくなっております。
 このような商品を出しますと、これ、前のバージョンでは実は百万台行くのに一年半近く掛かっているんですけれども、今のこの新しいものが出てきましてからは百万台行くのに一・五か月しか掛からなかったらしいんですね。いかにニーズというものが大きくて、そしてそれに対して対応ができていなかったかということの例ではないかと思います。
 ただ、このようなユニバーサルデザインの商品を作ろうと幾ら企業が頑張ろうとしても、残念ながらこのユニバーサルデザインを理解している人材が日本には少な過ぎるという問題があります。
 まあ法律としては、アメリカではリハビリテーション法の五〇四条ですとか、ADAというものがありますが、こういったものは日本にはございません。特に、高等教育や就労における障害者差別というものが残念ながら全くカバーされていないという状況に日本はございます。
 リハビリテーション法五〇八条というのもございまして、これが日本の産業界にも実は大きな影響を与えております。これは、二〇〇一年の六月二十一日以降、アメリカの連邦政府が購入するIT機器、電話、コピー、ファクス、すべてなんですけれども、こういったもの、それとウエブサイト、これが障害者に使えるものでなければ買ってはいけないという法律なんです。
 連邦政府は、御存じのとおり世界最大のIT調達機関でございます。この法律が出たために、アメリカの企業はこぞって、このアクセシブルなIT機器の作製、アクセシブルなウエブサイトの作り方というものに対して研究をいたしております。これは違反した場合に訴えられるという、提訴されるということもございますので、メーカーさんの側としてはもう必死で作っているという状況なんですね。
 ところが、日本では同じような法律ございませんので、日本の企業はダブルスタンダードで進まなくてはならず、非常に苦しい状態に立たされております。まあ私に言わせると、これは見えざる非関税障壁だと思っております。
 そしてまた、教育の点でも日本とアメリカではかなり差がございます。
 これは普通の小学校の普通の状況なんですけれども、このように障害の重い子どもが電動車いすを使い、周りの子どもたちとIT機器を使いながらコミュニケーションをしているというのはかなり普通に見られる状況になってきております。大切なのは、この周りの子どもたちです。この周りの子どもたちは、この真ん中の坊やがもしかするとホーキング博士のように賢いかもしれないということを知って大きくなります。これが二十五年以上たって、今アメリカの政治や経済や産業界を動かしている原動力になってきているわけですね。七五年からこういった法律ができてきているわけです。
 大学も同じです。これはスタンフォード大学でウエブマスターをしていたJ・B・ギャランという人で、頸髄損傷のために首から下が全く動かないんですね。この人は、この後バークレーでMBAを取って、今ではサピエントという世界的な会社で仕事をしています。
 彼のように大学で高等教育を受けられる障害者の率なんですけれども、英米では大体七%なんですね。これを一〇%にしようという動きがございます。ところが、残念なことに日本ではこれがまだ〇・〇九なんですね。
 アジアではどうなのかということになりますと、韓国で、これまで後れていたんですが、二年前にデジタルデバイド法というものができて、金大中さんの方がこのエリアを何とか必死で進めようということで動いています。新設の国立大学で統合教育が開始されまして、三百五十人の学生のうち半分が障害者という、非常に進んだ状況になってきているんですね。ここは学長も実は障害者自身です。片手がございませんでした。寮とか、もう全部アクセシブルになっておりまして、彼らが本当に問題なく高等教育を受けられる、そのような環境になっています。
 この辺りに関しましては、済みません、度々申し訳ない、私の本の七十九ページから非常に細かいデータも含めて出ておりますので、もしよろしかったらこれも後から読んでいただければと思います。
 日本も手をこまねいているわけではなくて、例えば東大などでは随分変わりつつあります。今、東京大学に盲聾の助教授が任官しています。彼は目が見えなくて耳も聞こえない、で、先生をしているんですね。このような人たちがどんどん教鞭を執る状況になることによって大学の中での感覚も変わってきつつあります。
 ただ、ここにございますように、今、四年制大学における障害学生の割合は、何と五十九万人中五百三十人という、本当に〇・〇九という状況で、先ほどの七%に比べると百分の一であるということがお分かりいただけると思います。
 といいましても、ここに肢体不自由の小児科の先生も出ていますし、残念ながら彼はアメリカで教育を受けたらしいんですけれども、こういう人たちがどんどん活躍できるような場を是非日本でも実現していただきたいというふうに強くお願いするところでございます。
 そしてまた、このような高齢者、障害者がテクノロジーを使って社会参加するということに関しましては、例えばロサンゼルスで毎年会議が行われております。
 この写真、ちょっと分かりにくいんですけれども、実は電動車いすだけが四台写っているんですね。この四千人近く集まる障害者とテクノロジー会議というものの中で、半数以上が障害者なんですけれども、特に重度障害者なんですけれども、盲導犬と電動車いすだらけです。そして、ここに来ている障害者たちはお客さんではありません。彼らは、会議で研究を発表したり製品をデモしたり、かつ商談をする、本当に自立したエンジニアとして動いていたりするんですね。大企業のエンジニアであったり、そしてベンチャー企業の社長であったり、さらに、時々は政府の高官、金色のワシのマークのエンボッサーの名刺をもらってびっくりします。おお、ホワイトハウスの人だわということが分かったりするんですね。ですから、こういう人たちが五〇八条の主役として、自分たちが使えるIT機器をどんどん作ってくれと言っていることが分かるわけです。
 今後、そうですね、皆様たち、立法府の皆様に望みたいことがございます。
 次については多分川内さんの方でお話しになると思うんですけれども、JDA、いわゆる人権法の、ヒューマン・ライツ・アクトに関する、この制定というものがまず必要ではないかと思われます。そして、先ほどのように、情報保障を受けることによってどんどん情報を得ることができる。視覚や聴覚障害の人たちに対して、例えば、著作物の点字と同じように音声テープを作ることを認めるといったような著作権法の改正が必要になってくると思われます。
 また、日本には残念ながら存在しない統合教育を支援するための教育法の改正というものが必要ではないかと思われます。これによって我々はこの高齢化社会に対応する人材を育てることができるわけですね。
 さらに、文部科学省の中に高等教育における障害学生受入れの担当というもの、そのものがございません。この環境を何とか私は変えていただきたいと思います。そうしないと、先ほどの五〇八条のようなことも含めて、日本の産業界自身が、アクセシビリティーを大切にしようとしているアメリカやヨーロッパの産業界と全く太刀打ちできない状態になっておりますし、日本の高齢者そのものも、これからITを使えないというとてもミゼラブルな環境になっていくのではないかというふうに思うからでございます。
 また次に、公共調達におけるアクセシビリティーの徹底ということに関しましては、五〇八条と同じなんですね。まず隗から始めよということで、是非皆様のところから、お使いいただける調達機器、これを高齢者や障害者に使いやすいものしか買わないという徹底した態度を取っていただきたいと思っております。それによって、企業側としてもこの研究開発に対する一部分でもメリットが得られるというふうに考えることができると思います。
 そして、これ自身、私はいろんな省庁の委員をさせていただいている関係から思うんですけれども、様々な省庁がこの高齢者、障害者のIT利用については幾らかの助成をしていただいております。この件は各部分同じだと思うんですけれども、それが余りにもばらばらになっているために、残念ながら有効に活用されているとはとても言い難い環境にございます。この辺りも海外では、この大学はここの部分の専攻、この部分はここの大学と研究機関でというふうに決めて非常に効率的に動いているんですね。是非この研究助成の一元化というところも考えていただければと思っております。
 そして、このユニバーサルデザインという考え方、最初からバリアを作らない、できれば初めから様々な人のことを考えて物を、町、情報、サービスを作っていくという考え方、これを是非御理解いただきたいと思いますし、是非実践もお願いしたいと思います。
 そして、このITを使うことによって高齢者や障害者が自分たちの意見をどんどん発言できるという意味でも、このITをもっとお使いいただくことを期待したいと思っております。
 ということで、今回は、済みません、私の方でこの御本を出させていただきましたけれども、この五〇八条に関しましても百四十ページのところに状況を詳しく載せております。今回、ちょっとコピーするところが余りにも多岐になってしまうかと思いまして、本を一冊持ってまいりました。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#8
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 次に、川内参考人にお願いいたします。川内参考人。
#9
○参考人(川内美彦君) 一級建築士事務所アクセスプロジェクトの川内と申します。
 まず、お話を始める前におわびをしなくてはいけないかと思いますが、事務局の方から、私が上着を着ていないということで、上着を着るのが慣例であるというふうに言われました。私は、上着の格好そのものが車いすを自分でこぐのに全く適していないので、普段、どこに行くときにも着ないんですけれども、それが皆様に非常に不快な思いを抱かせて、この調査会の審議に邪魔になるようでしたらばおわびしたいと思います。
 ただ、せっかく来させていただきましたので、お話だけはさせていただきたいと思います。
 お手元に私の資料が行っていると思いますけれども、一つは、公共交通に関する、雑誌からの抜き刷りが行っていると思いますが、公共交通に関する裁判が最近あったものを、二つばかりその裁判事例というのをお出ししています。それから、関根さんが先ほどお話しになりましたけれども、ユニバーサルデザインというものについて説明したものが少し入っています。その辺りは、お忙しいとは思いますが、後ほどでも少し目を通していただければと思います。
 バリアフリーというものが日本で本格的に始まったのは実は九〇年代になってからで、十年ちょっとぐらいしか歴史はないんですね。その前にも実はあったんですけれども、本格的に始まった、国全体に広まり始めたのは九〇年代になってから。それの一番大きなきっかけというのは、一九九〇年にアメリカでADAという法律ができたというのがきっかけです。これは、障害のあるアメリカ人に関する法律とかいろいろな訳され方がしていますが。それと、このADAというのは障害のある方に対する法律だったわけですけれども、日本でのバリアフリーの大きなきっかけというのは、やはり高齢社会がどんどんやってきているということに対するおそれというか、社会的な準備をしなくちゃいけないということがきっかけだったと思います。
 九〇年代の初めごろから、都道府県レベルで福祉のまちづくり条例というものが非常に速いスピードで作られ始めました。現在は、全国の、一つの県を除いてすべての都道府県でこの福祉のまちづくり条例というのが制定されています。
 この福祉のまちづくり条例というのは、主に四本柱と呼ばれるものがありまして、これは、建築物と公共交通と道路、主に歩道のことですけれども、それと公園、この四つが軸になって作られています。この中で、地方自治体が割と自由度が高くやれるというのは建築物が中心なわけです。ですから、福祉のまちづくり条例というのは主に建築物を中心にして展開されてきたわけですけれども、残念ながら、例えば、建築主は整備するように努めることというふうな努力義務というもので基本的に構成されているものです。
 国としても、その地方の動きを受けて、九四年にハートビル法と呼ばれる法律を作りました。これも建築物、一定規模以上の特定建築物と呼ばれる建築物、一般に公に開かれている建築物がほとんど含まれているわけですけれども、これに対しては、整備をすることを努めることという、これも努力義務だったわけです。
 ただし、建築主がもうちょっとレベルの高い整備をしたいというふうに自発的に申し出ると、それは認定建築物ということになって、いったん認定建築物をやりますというふうに建築主が言いますと、多少のインセンティブもありますけれども、ある種の強制力というか、その約束したことはきっちりやってくださいよということが出てくるという仕組みだったわけです。
 公共交通に関しましては、二〇〇〇年に交通バリアフリー法というのができました。これは、駅舎なんか、交通関係の施設を新しく造ったり、あるいは大改修する場合には義務として整備しなさいよというふうなことになってきました。先ほど秋山さんがおっしゃいましたように、それと同じ交通バリアフリー法の中に、駅及びその周辺という考え方が入りまして、駅とその周辺の歩いていける範囲を総合的に整備しようというふうな考え方が入ってきたわけです。
 それで、九四年にハートビル法ができたと申しましたが、昨年、二〇〇二年にハートビル法は改正されました。それで、二千平方メートル以上の特定建築物の中に特別特定建築物という枠を設けまして、これについては義務化ということになりました。この特別特定建築物というのはかなり広い範囲を含んでいますので、今後は二千平方メートル以上の公に開かれた建築物についてはかなりの整備が進んでいくのではないかと思います。
 それから、九四年のハートビル法では入っていなかった学校、共同住宅、事務所などというものが枠組みの中に入ってきました。だけど、これはまだ努力義務というレベルになっています。
 このように、この十何年を費やしてバリアフリーというものが少しずつ着実に進んできているように見えるんですけれども、日本の場合は何のためにバリアフリーを行うのかという議論が行われてこなかったように思えます。バリアフリーってスロープを造ることだというふうなことなわけに理解されているわけですけれども、皆さんのお手元の図をごらんいただくと分かると思いますが、例えば、日本の考え方というのは、いろいろなまちづくり条例なんかの前文にも高齢社会の進展だとか障害のある方の社会参加と自立とかという言葉があって、それで、次のページからスロープはこうやって造りましょうというふうなことが技術規定として出てくるわけです。
 それに比べて、例えばアメリカのADAという法律はどう言っているかというと、まず、障害のある方に建物や乗り物が使えないのは差別であるということを言っています。障害を理由にした差別を禁止するんだということを言っています。ADAの第二条というのは、延々とアメリカ政府はこれまで障害のある方をどれだけ差別したかというのをざんげしている非常に面白い条文が並んでいるんですけれども、そうやって障害を理由にした差別を禁止すると。その差別を禁止するためにスロープを造るんだというふうな構成になっています。
 日本でもアメリカでもスロープはできるんですけれども、どう違うかというと、日本では建物に物理的に入れるようにはなるけれども、だけども入れてはもらえないという状況が起こるわけです。あなたは盲導犬を連れていますね、じゃ入ってもらってはほかの人に迷惑ですから帰ってください、あるいは車いすを使っていますね、場所を広く取るので帰ってくださいと。たとえ建物が整備されても、そこの持ち主の意向で障害のある方の参加が左右される。持ち主が善意の人ならば参加できるけれども、善意の人でなかったら参加できないという状況がいまだにあるわけです。
 ということは、スロープを造ろうという前に、障害のある方が社会参加をするために必要なんだということを定めなくてはいけないだろうというふうに思います。現行のハートビル法や交通バリアフリー法にはそのことがないので、現実問題として、交通バリアフリー法ができた後でも、現在、今の段階でですが、JR東日本では三輪スクーターを利用する人を全面的に利用の拒否をしております。これは国土交通省なんかが、根拠の条文がないわけですから、国土交通省としても手の打ちようがなくて、今、委員会を作って三輪スクーター受入れのルールをみんなで作ろうじゃないかというふうなことをやっています。
 もちろん、交通バリアフリー法で駅とか車両を整備しましょうということは言っているけれども、だけども、利用の拒否をしてはいけない、あるいは利用を促進するために作るんだというふうな基本的な概念が入れ込められていないためにこういうことが起こるわけですね。
 昨年話題になったというか、今でもまだ実はくすぶり続けているんですけれども、沖縄で精神障害の方が飛行機に乗ろうとしたら拒否に遭った。沖縄に行く方は乗れたけれども、帰る方で乗せてもらえなかったというので、家族が沖縄まで迎えに行った。その方は非常にもう精神状態は安定していて何にも問題はないわけですけれども、そういうふうなことも現在起こっています。
 先ほど盲導犬を連れた方には拒否が起こっていたんだというふうなことを申し上げましたが、御存じのように、身体障害者補助犬法というのができて補助犬を使う方々に対する拒否というのは防げるようになったわけですけれども、だけど、この法律をお作りになったときにもう少し想像力を働かせていただいて、拒否を受けているのは犬を連れている方々だけではないということをお考えいただければ、せめて身体障害者補助犬法というのをもう少し適用範囲を広げた形で作っていただければ、あんた車いすだからうちに入っちゃいけませんよというふうなことが防げるようになったのではないかというのを非常に残念で、これから補助犬法というのを改正する折には、是非もう少し適用範囲を広げていただけるようにということをお願いしたいと思います。
 それから、補助犬法そのものも拒否に対して罰則があるわけではないし、それから職場とか住宅の中で補助犬を使うということについては、事業主とか家主が受け入れるように努めなさいという努力義務に終わっているわけですね。ですから、実は生活の基盤である住宅を借りようといったときに、あんた犬連れているから貸してやらないというふうに家主さんが言われた場合は住む家がないというふうな状況。あるいは、仕事に、勤めようと思ったけれども、犬を連れてくるなら雇わないよと言われたらそれでアウトというふうなことは現実にまだ火種として残っているというか、補助犬法ではカバーされていないわけです。
 さらに、住宅については、公営住宅法で障害に基づく入居制限というのがありまして、障害のある方の多くは、私のレベルでも実は東京で賃貸住宅を借りようとすると、私自身も住宅あっせん業者というか、そういうところを何十軒も回るわけですね。もう何か月も費やして自分が住めそうな家をやっと見付けられるか見付けられないかというふうなことをみんな、全国で障害のある方、特に車いすを使う方などはそういうことを強いられているわけですけれども、公営住宅法、後の頼みは公営住宅なわけですけれども、公営住宅は障害に基づく入居制限というのを、最近は随分緩くはなってきましたけれども、そういう制限がいまだにあると。そうすると、公営住宅からもはじき出されると住むところは本当に施設に行くしかないということで、これは国としても地域で暮らすんだということを方針出されているわけですから、それとは矛盾した形になっているのではないかというふうに思います。
 それから、今度改正されたハートビル法では共同住宅というのが特定建築物に入りましたが、先ほど申し上げたように努力義務であると。しかも、共用部分については定められるとしても、玄関を入った扉の向こう側については何の定めもないわけですね。
 こういう居住型の建物の居住部分に対する定めというのは実はこれまでのハートビル法にもなくて、例えば、これまでのハートビル法でもホテルというのは特定建築物の中に入っていたわけですね。ですから、ホテルのカウンターとかエレベーターというのは整備されるわけですけれども、そのホテルに障害のある方が泊まれるような部屋を設けなさいという規定はどこにもないわけです。ですから、入口を入ってエレベーター通って廊下までは行けたけれども、部屋の中には入れませんよというふうなホテルがハートビル法の適合マークが受けられるわけですね。
 ですから、九四年にハートビル法ができて、二〇〇二年、三年、八年ぐらいたちましたけれども、いまだに二つの県の県庁所在地では車いすで泊まれるホテルが一つもありません。一部屋もありません。一部屋しかないという県庁所在地も五つ六つあります。しかも、それを支えているのは民間のホテルではなくて、かんぽの宿とか郵貯関係、メルパルクとかそういうふうなところが支えてくれているというのが多くて、しかもそういうのは、特にかんぽの宿はリゾートに多いですから。ですから、私なんかいろんなところに行ってお話をしたりする機会があるんですけれども、町の中心部でお話をして、夜はどこに泊まりましょうと言ったら、車で二時間ほど行きましょうとか、そういうことが現実に起こるわけですね。
 そのような中で、ハートビル法というのがいかに生活の実態を見ずに形式的な規定で来ているかということを非常に強く感じるわけです。
 高齢の人については、高齢者の居住の安定確保に関する法律、いわゆる高齢者住宅確保法というのが定められて、民間の賃貸住宅の、高齢の人の住宅を確保していこうという方向が作られたわけですけれども、これにも残念ながら障害のある人は含まれていない。ですから、せめて高齢者等の居住の安定確保に関するとかというふうに少し対象範囲を広げてお考えいただければ状況は変わる可能性があるのではないかと思っているんですけれども、残念ながら、法律ができたときには高齢の方に限るという形での法律で、やっぱり障害のある方はここでも除かれてしまったということだと思います。
 例えば、就職をしたいと思って車いすを使う方が、試験も通った、問題はないということだったとしても、会社の方が、うちの会社の入口に階段があって、あなたが来るときに社員がみんなで担ぐわけにはいかないからということになると、その人の就職は駄目になるわけですね。ほかの要件は全く問題ないとしても、入口の階段のために就職ができないということになります。もちろん、この建物の持ち主は法律に違反しているわけではないので自分が悪いことをしているとは全く思わないし、それは法律的には悪いことではないわけですね。
 障害のある人に関する差別というのは、障害のある人間がよく差別だ差別だと言うと言われますけれども、実は何にもしないことによって起こる差別というのが非常に大きくて、こいつを世の中からはじき出してやろうとだれも思わなくても、何にもしないと自動的にはじき出されてしまうという問題が非常に大きいわけです。
 例えば、肌の黒い人を来させないよという差別は、その建物の持ち主があしたから肌の黒い人を受け入れますよと言ってしまえばそれでオーケーというところがありますが、車いすを使う方を、あしたからオーケーですよと言ったって入口に階段があったら入れないということなんですね。ですから、何もしないことの差別ということを考えに入れながら、それを何かしていくんだ、解消する、差別状況を解消するには社会が何かしていかなくてはいけないんだというふうな積極的な態度を取らないと、なかなか障害のある方の差別というのはなくならないということですね。
 二〇〇〇年の十月にワシントンで差別禁止法に関する国際会議というのが開かれまして、私が代表をしている団体から、日本からはこの二名だけだったんですけれども、二名参加させました。そうしたら、そこで出てきたのが、世界の四十か国以上で既に障害に基づく差別を禁止する法律はできているんだと。日本は障害者基本法というのがありますけれども、それは国際的な基準からすると差別を禁止する法律ではないということで、日本はそういう四十何か国の中には含まれていません。その情報がもたらされて、日本で差別禁止法を作ろうというふうな動きが非常に顕在化してきたわけですね。この動きというのは世界に後れているから作ろうというふうな感じでスタートしたわけですけれども、もちろん、世界に後れていることが問題なのではなくて、積極的に差別をなくすんだという価値観が社会に形成されているかどうか、形成していくんだということが重要なんではないかというふうに思います。
 障害者基本法か差別禁止法かどっちにするんだというふうな議論もありますが、それは余り意味のないことであって、障害者基本法というのは、御存じのように国と地方公共団体の役割分担を基本的に定めた法律です。ですから、これも必要なんですね。これも必要ですけれども、その上の大きな傘として基本概念を定めたものが必要で、それが多分差別禁止法だとか障害のある方の権利を確立する法律とか、そういうものになるのではないか。そして、その下に具体的な技術法としてハートビル法だとか交通バリアフリー法だとか障害者基本法が入っていくとか、そういうふうな形を考えなくてはいけないのではないか。
 例えば、ADAというのは建築とか公共交通という技術的な側面を持っていますけれども、決して運輸省の管轄ではなくて、人権の問題であるということなので司法省の管轄になっているという。そういう大きな傘が要るのではないかというふうに思います。
 ユニバーサルデザインについてお話ししようと思いましたが、時間が来ましたので、これでやめさせていただきます。
 ありがとうございました。
#10
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わらせていただきます。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後三時三十分をめどとさせていただきます。
 なお、質疑者及び各参考人にお願い申し上げます。質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただきますようお願いをいたします。
 また、多くの方が御発言できますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきたいと思います。
 質疑のある方は挙手を願います。
#11
○山本香苗君 本日はどうもありがとうございました。
 最後に川内参考人の方からお話ありました関係でちょっと御質問一点させていただきたいんですが、世界で四十か国以上の国で障害者の差別を禁止する法律があると。それで今、技術法でどっちがどっちという話がありましたけれども、川内参考人の方は、差別禁止法という大きな枠があって、その中に細かいのがあればいいといったお話だったと思うんですけれども、あとのお二人の先生方のお考えとしては、どういったお考え、同じお考えなのか、それともまた異なったお考えがあるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#12
○参考人(秋山哲男君) 差別禁止法は、当然として、この分野ではなくてはならないものだと考えております。以上です。
#13
○参考人(関根千佳君) 私も同じです。
 基本的には、今もう例えばJIS化ですとかいろんなことをやっておりますけれども、基本的な部分で、それはあくまでメーカーや業者さん、いろんなところの努力義務でしかないと。それは、何か違うものを出してきたとしても、障害者側は、これは私が使えないからといって何らかの形で訴えるすべを全く持っていないんですね。ですから私は基本的には、この差別禁止法のようなものが先にあって、その中の枠組みとして一つずつの法律ができ上がっていくのが、これが正しいパターンだと思っております。川内さんとほとんど同じです。
#14
○福島瑞穂君 ちょっとががっと下世話になって済みませんが、会社を経営されていて百五十人の方を雇っているということで、実はその多くのハンディキャップある人の雇用主でもいらっしゃるわけですよね。差し支えない範囲で、こういう点で苦労しているとか、こういう点はやりがいだとか、もしあったらちょっと教えてください。
#15
○参考人(関根千佳君) 正社員はフルタイムですので、本当に毎月お幾らという形でかなりの額を払っていますが、残りの百五十人は、仕事が一回あったら、これで例えば一月五十万稼ぐ人もいるし、一年間コントラクターやっていても全然お金にならないという方もいらっしゃるんですね。ですからそれは、仕事の結果によってお金を払うという形です。
 実際、百三十五人いるわけですよね。このうち半分ぐらいが障害者という場合に、一番大変なのは、やはり障害を持たれた方のスキルアップをどうしていくか。これが例えばe―ラーニングなどでちゃんとしたものが存在しないために、技術者として最高の教育を受けてもらいたいと思っても、その学校に行ってもちゃんと勉強することができないわけですよね。ですから、本当はe―ラーニングのようなIT系でいろんな仕事を勉強してほしいのに、それもないし学校もちゃんと行けないという、このジレンマが一番多いですね。スキルアップができない。さらに、高等教育を受けてきていないために、いろいろなところで発言をしてもらおうと思っても、どうしても発言力が弱くなってしまうという問題はまだ残ります。
 ですから、これも教育に最終的にはかかわってくるのではないかと思いますし、社会性の問題というのもございますよね。社会の中で企業の中でもまれてきたことが少ないために、どうかしたときに自分はやっぱり駄目だからと弱気になってしまう。大丈夫よ、自信持ってやりなさいよと後ろからどんと背中をたたくのがインターネットのメールだけではとても足りないときがあって、どうしてもそこまで行って背中をたたきたいということがあるものですので、そういった点でちょっと苦労しているといえば苦労しております。
 以上です。
#16
○福島瑞穂君 ありがとうございます。
#17
○林紀子君 今のことと関連してなんですが、先ほど具体的に御紹介いただいた社員の皆さんたちがいますね。そういう方たちはお話し聞いただけでもすばらしい能力、技術を持っていらっしゃるなと思うんですけれども、こういうものはどうやってこの方たちは身に付けたのかと。今の裏返しですけれども、お聞きできたらと思います。
#18
○参考人(関根千佳君) 基本的には独学です。彼らが自分たちで本を読んで、人から聞いて、そして知っている人に教えてもらいながら、その中で自分の技術を磨いてここまでやってきたというのが正しいんですね。
 ですから、本当に日本のパイオニアがたくさんそろっていると思ってもよろしいかと思います。
#19
○段本幸男君 関根参考人と秋山参考人に一つずつお聞かせ願いたいんですが。
 関根参考人の話で、障害者の方を教育にどんどん入れていくことによって、むしろ健常者自身がいろいろと学ぶ面があるというんですかね、社会全体が非常に強くなる、また、そういう人たちがいろんな物づくりに参加することによって、そういう目線で見ることによって、それが新しいマーケットを発掘していく、恐らくそんなことじゃないかと思うんですが、非常に勉強になりました。
 ただ、そういうようなものにするために、例えば、ちょっと私事で恐縮なんですけれども、自分の女房が点字を一生懸命やっていたときに、東大に目の不自由な方が新たに入られた。やらにゃいかぬのだけれども、全然、女房の方は頭、整っていかないから、そういうサポートシステムがなかなか今できていないんじゃないかと思うんですね。そういう障害者の方が高等教育にかかわる以前にサポートしていく社会のシステムをどういうふうにやっていけばいいのか、お考えあれば教えていただきたい。
 もう一点、秋山参考人にお伺いしたいんですが、低密度地域のバリアフリーについておっしゃったですね。今回、たしか構造改革特区の中に特別地方公務員制度みたいなのを提案していて、そこでは農業をやりながら、かつそこに高齢者あるいは障害者なんかがおって、病院へ行きたいとかいろんなお手伝いをする、そのために、農業の手習いと兼ねて五年間なら五年間、月五万とか月十万払って地域全体をサポートしていこう、こんなふうなたしか、どこかの村かどこかの県か忘れましたが、提案あったと思うんですが、その辺に対する評価をどんなふうに考えられるか、今の感触だけで結構ですが、お聞かせ願えればと思います。
 以上、二点お願いします。
#20
○参考人(関根千佳君) サポートのシステムについては非常に必要だと思っております。これも、それぞれの方々のニーズに応じて、その人が必要な支援をその場でサポートしていくような仕組みになると思います。
 例えば、これも高等教育の話になりますが、障害を持たれた方へのサポートというのは、全部の大学に、場合によっては障害を持った方御本人がサポートする役割として大学の中に何人も配置されているんですね。この人たちは、例えば入学する前の高校生の時点から、大学に入るためにはどういうノウハウが必要で、どんなふうにすれば全盲でも車いすでも聴覚障害を持っていてもちゃんと教育を受けられるかということも全部インターネットの中で情報を提供して、その中で、入ってきた後も支援をするといった仕組みができ上がっております。残念ながら日本にはこれが全くありません。それは、障害を持つ人が周りの人と同じだけの教育を受けるということが権利として確立していないからです。
 ですから、基本的にはまず、川内さんがおっしゃったような差別禁止法が先にあって、その上で、教育を受けるとか、そのためのサポートシステムはもうすべて義務であるというふうな感覚というものが必要になるのではないかと思います。
 そういった意味では、私、先ほど一覧表の中にハートビル法の改正というのを入れなかったんですけれども、これも、ハートビル法が今学校が努力義務にしかなっていないんですけれども、これも是非義務化の方向で進めていただけるとうれしいと思います。
 済みません、追加でお話ししてしまいました。失礼します。
#21
○参考人(秋山哲男君) 秋山です。
 ちょっと、先ほど憲法二十五条と申し上げましたけれども、基本的人権と、確かに我々守られているんですけれども、これはあくまでも表明しただけなんですよね。それを具体的なレベルでモビリティーを保障しようというところが今一番困っているところでして、ここをどうするか。今、特区でやられているのは、もう既にあちこち掃いて捨てるほど事例があるような、国際的にもあるようなことを政策的にやっていることは非常にいいことだと思います。
 東京でもそういうレベルのボランティアの人たちがもう二十年も積み重ねてずっとやってきているわけですよ。そういう人たちに対してどうやって手を差し伸べられるかということの方も見ていただきたいというところです。
 以上です。
#22
○南野知惠子君 ありがとうございます。
 関根参考人の方からは先ほどユニバーサルデザインということをちょっとお触れになられたんですが、川内参考人がお時間がなくてお触れになれなかったというので、同じような内容なのかどうか、一つはございますが、お訴えになりたかった内容がございましたら、お伝えくださいませ。
#23
○参考人(川内美彦君) ありがとうございます。
 バリアフリーというのをやって世の中に車いすマークがたくさん増えてきたわけですけれども、これはどういうことかというと、裏を返すと、車いすマークのあるところしか使えないということなんですね。だから、使える場所が非常に少ないので、車いすマークはこちらですよというふうなサインを付けて誘導しなくてはいけないということですね。そのようなことをやったために、あれは障害のある人の特別なもので、ほかの人は使わないものだというふうなイメージが広がってきたわけです。
 それの典型が車いすマークの付いたトイレでして、よく女子トイレは長い行列ができるわけですけれども、これは建築の設計が悪いので建築設計の人間としては申し訳ないと思っていますが、その隣に例えば車いすマークの付いたトイレがあったとしても、なかなか行列を崩してそちらのトイレを使うということは起こらないわけですね。いろいろ聞いてみると、あれは自分たちの使うものではないと思っているとか、そのようなことがあって、どうしても障害のある方、特別なあの人たち、それから大多数の私たちというものの線引きというのがなくなってこなかった。それで、車いすマークがあることによって逆にその線引きを強めてきたのではないかというふうな形が少しずつバリアフリーをやってきた中で見えてきたわけですね。
 なぜ限られた場所しか使えなくて、それを表示しなくてはいけないということが起こるのか。何か継ぎはぎ継ぎはぎで、継ぎはぎの上に更に継ぎはぎを重ねているというふうなやり方のように思えてくるわけですね。それよりは、元々布地に空いた穴をなくしておいた方がいいではないかということで、車いすマークを世の中に満ちあふれさせるのではなくて、たとえ車いすマークがなくたって、みんなが好きなように使えるような社会が作れないだろうかというのがユニバーサルデザインを最初に考え始めたスタートの考え方ですね。
 いろいろな技術的なことというのは、このユニバーサルデザインが語られ始めて二十何年たってきた中で作られてきましたけれども、基本的にはそういうふうに特別扱いのない環境の中で、だれもが使い手としてその一つの環境を使い切ることができないだろうかという、環境を作れないだろうかというのが基本的な考え方です。
#24
○高橋紀世子君 高橋紀世子でございます。
 今もお話しありましたように、ユニバーサルデザインの考え方は私はやはり本当に感激しました。この論文にも出ていましたけれども、私自身が常に心掛けていかなければならない姿勢であると思っています。
 昨晩、皆さんの書かれた論文を読みながら、ユニバーサルデザインの考え方を国会議員として私も職務に当てはめて考えなければいけないと思いました。私の職場、国会においても、国会議員が作っている法律はどれも複雑な内容で、それぞれの分野の専門家でなければ分からないような内容のものが多いと思うんですけれども、そこを作っている私がその内容をすべて理解していないと、いないかと問われると、恥ずかしいやら、答えはノーなんです。立法者が、私が分からない内容のものを、それに賛否を付けるということは、分かったような顔をしてバリアフリーについて意見を述べる、もっともな理由を付けて、そんな姿勢に飽き飽きしていることも正直な話でたくさんございます。
 けれども、ユニバーサルデザインの考え方は、私に訴える、素人の私で分かる法律を作ることの、議員としての本当の仕事なんだと。なぜなら、法律とは万人の人にかかわるものですから、それを普遍的なものに考えるゆえ、すべての人の理解ができ、自由に活用できるものでなければならないユニバーサルデザインの考え方を知ったとき、私が目指すものは、法律のプロになることではなくて、素人の視点を法の中に特に入れ込むということが私の持論を後押しするものになっているとしてうれしかったんです。私は、人の差別をなくすためではなく、人々の差別を超える社会に生きるために法律のユニバーサルデザインを目指したいと思います。
 そこで、皆さんに質問させていただきます。
 この共生社会の調査会においても、今後、立法のプロジェクトが具体化していくと思われますが、本文を読んだだけでだれにもその内容が分かる、そんな法律作りをしていきたいと私自身考えていますが、もし皆さんの中で法案作りは、ユニバーサルデザインについて何かコメントをしていただけるようなことがあればお話を聞かせていただきたいと思います。
#25
○参考人(秋山哲男君) 私は、研究の立場からちょっと申し上げたいと思います。
 一つの例なんですが、今、センター・オブ・エクセレンスという、文部科学省から世界的に優秀な研究をやりなさいという研究申請が行われていますけれども、障害者、高齢者の問題を扱う研究者としてはチームがほとんど組めないんですね。つまり、全国に障害者、高齢者を研究している人はほんのわずかなんです。その人たちはすべてCOEから、自分たちのテーマがなかなかうまく上がっていかないということがございます。
 こういうところで、やはりもう少し大学を超えた、かなり広域的なCOEといいますか、障害者、高齢者を中心とする生活をきちっと守るような、そういう研究をするような場がやっぱり必要なのかなと思っております。これがある意味でのユニバーサルデザインのかなりの進歩に役に立つはずです。これを一つ御提案いたします。
#26
○参考人(関根千佳君) 基本的には、私はできれば当事者が立法府の中にもっと入っていただいて、自分の立場で意見を言っていただくのが一番いいとは思います。ただ、この二十五年間の海外との後れを考えると、一朝一夕にはいかないでしょう。
 ということで、現在考えられるものとしては、もちろんおっしゃっていらっしゃるように条文の分かりやすさとともに、そして解説文のところにも、きちんとユニバーサルデザインの観点から分かりやすく内容を説明することが必要だと思います。海外の条文を見ていると、私でも分かるように言葉が易しいんですね。辞書を引かずに理解できるような法律がすごく多い。これは私はとても大事だと思っています。
 そして、その法律を作る段階でもパブリックコメントは当然ちゃんと分かる形で入れていただきたいと思いますし、場合によってはパブリックインボルブメント、PIを進めることによって、このように生活に密着した法律に関しては住民とともに作っていくという考え方、これももっと取り入れていただいてもよろしいのではないかという気がいたしております。
 以上です。
#27
○参考人(川内美彦君) ユニバーサルデザインの基本として、利用者に聞きなさいということがあります。ですから、それは先ほど関根さんがおっしゃったように、作成の作業の中に利用者の参画が必要であるとか、あるいはある程度できたときにパブリックコメントでその声を反映するということが必要だろうと思います。
 それで、具体的にユニバーサルデザインを語るときに、二通りのことを考えなくてはいけない。一つはその内容そのものが多くの方を考慮して作られているかということと、それから、それに対して多くの方が障壁なくアクセスできるかどうか、その情報を得ることができるかということが重要です。
 ですから、一つはその内容について、多様な人がいるんだという視点で内容を作っていくということ。それからもう一つは、情報提供をいかにきっちりするか。目で読む人、耳で読む人、指先で読む人、いろんな読み方をする人がいらっしゃるわけですね。そして、それより更にその前に、そういう法律なり情報があるんだとか、どこに行けばそれが手に入るんだとか、そういうことも分からないと駄目なわけですね。
 よく政府関係の情報をインターネットで検索しようとすると、本当にあっちへ行ってこっちへ行って、ぐるぐる回ってよく分からないというのが起こるわけですけれども、そういうアプローチのしやすさというふうなことも含めて、せっかく努力をして作られるものですから、国民に広く読んでいただけるような形にした方がいいに決まっているわけですから、そういう幅広いやり方でアプローチできるということももう一つお考えいただきたいと思います。
#28
○郡司彰君 今日はありがとうございます。
 それで、ちょっと誤解を招くかもしれませんけれども、ちょっと品性の少ない質問になるかもしれないんですが、実は今の皆さん方のお話を聞くと、だれもがそうだろうなというふうに思うんだろうと思うんですね。
 ところが、現実はなかなか遅々として進んでこないというようなことがございまして、例えば、こういうような皆さん方がやっている基本法、それから具体的なその技術に当たるまでのものを作る、そういう社会ができるということに対しては必ず予算が付かなければいけない。その予算が付くということに関して、先ほどお話を聞いていても若干私もそういうものも感じたんですけれども、こういうことの社会を作れば、例えば今までの土木とか建築だけに限らない公共事業という枠の中でもこんなにいろんな効果があるんですよ、それは経済的な問題も出てくるかもしれない、しかし経済的じゃなくても違う意味で価値がある社会とか人間の関係とかというものができてくるんであって、そういうところをもう少しくお話しいただいて、そういうところで皆さん、多くの人が、だからやっぱりお金使うんだよというようなことの話をもうちょっと聞かせていただければなという感じがいたします。
#29
○参考人(秋山哲男君) ただいまおっしゃった部分ですけれども、現在、日本では土木費用が五%ぐらい行っていますし、海外だと三%とか二%とかかなり低いですよね。やっぱり土建国家というところから、そろそろソフト的な方に転換する時代にようやく差し掛かったのかなというふうに思っています。特に、障害を持つ人あるいは高齢者が移動できるようになりますとアクティビティーが生じますから、障害を持つ人が福祉年金をもらうよりは払う側にどれだけ回っていただくか、これがまず一点ですね。
 高齢者については、リタイアした人にとってはやはりアクティビティーがあって安心して生活できる社会だと自分のお金を散財できる可能性を持っています。つまり、安心できない社会ほどため込んでしまいますので、本当に安心して生活できる都市空間を作ることがやはりもう一方で必要なんじゃないだろうかと思います。その一つにユニバーサルデザインとかバリアフリーデザインがやはりあるんだろうと思います。
 以上です。
#30
○参考人(関根千佳君) 二年ほど前にNHKスペシャルで、私、ADAに関する番組を作ったことがあるんですけれども、そこの中でも非常に明確でした。障害者がITを使って働けるようになるということは、彼らを納税者にするということです。そして、その結果として、例えばうちの社員たちでももう既に障害者手当は受け取っておりません。彼らが保護よりも技術を得て自立をしていくという道を選ぶ方が本人にとっても幸せなことが多いですし、当然国にとってもそちらの方がいいと思うんですね。
 これは高齢者がちゃんとITを使えることも同じです。彼らがその何十年か得てきた経験、経営やマネジメントのノウハウを今度は地域でコミュニティービジネスとして地域社会に貢献していく、還元していくということが可能になってくるわけですね。ですから、それは非常に大きな目で見ると、このような形でユニバーサルデザインやITアクセシビリティーを進めるということは国家にとって物すごく大きなメリットがあるというふうに私は感じております。
 以上です。
#31
○参考人(川内美彦君) 町や公共交通が整備されないために、例えば高齢になって多少動くのが難しくなったときに外に出られない、そうすると在宅ケアが必要である、人手をかりてお買物もお願いしなくてはいけない。その方々と、それから少し配慮されて一人で出られるようになってお買物も自分で済ませて生き生きと生きていける社会というのは、社会的なコストの面でも、それから本人の生活の質という点でも全く比べ物にならないのではないかと思います。
 それから、今日、永田町の駅を使って来たわけですけれども、永田町の駅にはエレベーターがあるし、一部の通路を、エレベーターを付けられないところには車いす専用のリフトがあります。エレベーターは設置されてから、私が乗り込むのも大変なぐらい大人気で、いつもたくさんの人が乗っていらっしゃいます。それだけ必要だったということだろうと思うんですね。一方で、車いす専用リフトは私が行ったときしか動かない。同じ何千万のお金を掛けてもこれだけコストの効果というものが全然違うわけですよね。ですから、いかにして多様な人が使えるような形で施設を展開していくかということが非常に重要なのではないかというふうに思います。
 九八年だったかに鉄道会社各社がベビーカーのそのままで電車に乗るというのを許し始めました。親の自己責任ではあるけれども乗ってもいいよと。それから各駅に二〇〇〇年辺りからエレベーターがどおんと付き始めました。今、見えてくるのは、ベビーカーを押して電車に乗る人が非常に多くなった。この間、ベビーカーで駆け込み乗車をして引っ掛かったとかいうふうな問題も起きるぐらいにベビーカーでの利用が増えてきているんですね。それは、今までベビーカーを押してお母さんたちが出てこなかったのが鉄道を利用するようになったわけですよね。そういうふうに利用者が増えるということは明らかになっているだろうというふうに思っています。
#32
○参考人(秋山哲男君) もう一つ、言い忘れました。
 クロスセクターベネフィットという概念があるんですが、これは、お医者さんが往診するのと、障害を持つ人あるいは高齢者が実際に治療院に行くのとどちらがいいかと。このときに、イギリスのクランフィールド大学で計算した結果なんですけれども、かなり公共交通をアクセシブルにすると国自体も助かると。それで、障害を持つ人も直接、あるいは高齢者も直接病院に行ける、お医者さんが往診しなくてもよいというような結論が出ました。これについては、福祉予算よりは交通予算を投入して、できるだけ福祉医療を抑えるというような、そういった考え方になります。
 以上です。
#33
○参考人(関根千佳君) 済みません。
 私もこの本の中に「車椅子マークのない日本へ」というのを書いているページもあるんですけれども、もう一つ私が大きなメリットがあると思えるのは、実は観光です。私はよく海外からのお客様をたくさんお迎えするんですが、みんな巨大な荷物を持ってやってくるんですね。とってもトランクを持って日本の国内を動くのが大変だとおっしゃることが多い。これが例えば、京都だとちょっとまだ苦しいかなと思うんですけれども、高山のように町の中がきっちりユニバーサルデザイン化されていると、とても外国の方が喜んで来ていただけるようになるわけですね。
 ですから、今後日本が観光立国をしていこうと思う上では、町の中が海外と同じようにアクセシブルでないとトランクもとても持っていけないぞという、こういうことに対応できると思いますし、例えば各地域のホームページもちゃんとアクセシブルになっていないと外国の方から情報を受け取ることもできないわけですよね。ですから、様々な行政の分野でこのユニバーサルデザインの考え方がそれぞれに浸透していくということは日本にとってとても大事なことだと思っています。
 済みません、追加しました。ありがとうございます。
#34
○林紀子君 秋山先生と川内先生にお聞きしたいんですけれども、鉄道の問題なんですね。
 私が今、地元で非常に迫られているというか、問題になっていることは、過疎の町を走っている可部線という線があるんですけれども、半分は広島の非常に過密なところを走っている、そこは生かすけれども、過疎を走っている半分の四十六・二キロはなくしてしまうと言っているんですね。四十六・二キロといいますとかなりの距離ですから、やはり鉄道がどうしても必要だと思うんですね。
 第三セクターにするか、周辺の市町村、全部残してくれという大運動をやったんですけれども、去年の秋にもうそれは申請をされてしまったんです。一年たったらもうそれはなくしてしまうということになっていまして、そういうことでは一番困るのがお年寄り、障害者、それから高校生、いわゆる交通弱者なんですね。
 そういうことではやはり、せっかくある鉄道というのをなくしてしまうというのは、進んでいく方と逆行しているんじゃないかなとどうしても思ってしまうんですね。これはやはり民間になってしまったというところが非常に大きいと思うんですけれども、そこのところはどうしたらいいのか。やはり私なんかは、国鉄であったらそういうことというのはなかったんじゃないかなというふうに思うわけですけれども。
 それと、それから、先ほど秋山先生は人口低密度地域の居住者の外出支援というところを、時間がないから飛ばしますということでお話しいただけなかったんですが、そこと密接に関係があると思いますので、バスというのもなかなか採算が合わないから走らせないということも言っているんですね。そうすると全く動きが取れないんじゃないかというふうに思っているんですが、その辺はどういうふうにお考えになるかというのをお聞かせいただけたらと思います。
#35
○参考人(秋山哲男君) これを話し始めると一時間も二時間も掛かると思うんですけれども、単刀直入に申し上げると、何点か議論の論点があると思います。鉄道が欲しいのかモビリティーが欲しいのか、これがまず第一点です。
 鉄道が欲しいという場合には、もう第三セクターしかない、でもそれは予算に制限があったら難しいでしょうと。これはかつての三十七路線、手切れ金をいただいてやったところが一様に苦しんでいます。恐らくここの可部線も、手切れ金を受けて例えば経営したとしても苦しむのはもう目に見えております。つまり、鉄道経営というのはそう簡単じゃない。だから、もうちょっとランクを落としたものにすべきだという議論になっていくんでしょうね。
 そうすると、鉄道の代わりにバスなんじゃないか、バスの運行の仕方をうまくやったらいいと。ただ、バスは朝夕運行して昼間ないと困っちゃうねと言ったら、マイカーというのがありますよね、自動車、あれを私たちの車にしたらどうでしょうか、アワーカーという。そして、ほんのちょっとお金を出して、自分たちも運営に参加するよと。モビリティーを保障する点だったらば頑張れると思います。
 ただし、鉄道を残そうということとモビリティーを保障しようとすることは同じではないということを肝に銘じて考えていただきたい。モビリティーを確保だったらいかようにでもやりようがあるけれども、鉄道を残せといったらやりようがないということです。ですから、モビリティー確保でしたら多様なやり方がありますので、それについては幾らでもアドバイスできると思います。そして、やり方はいかようにでもあると思います。
 以上です。
#36
○参考人(川内美彦君) せっかく御指名いただいたんですけれども、秋山さんがおっしゃったのと基本的には同じですね。それは、秋山さんが御指摘されたように、鉄道を残したいのかモビリティーを残したいのかというのは本当に考えるべき問題だと思います。
 それから、同じバスというのも、従来のバスの形態でいいのかということももう少し考えなくてはいけない。逆に、自家用車の勝っているのはドアからドアへの輸送ができると。だけれども、過疎地では運転手がだんだんいなくなると。そうすると、現実に病院に行くにもタクシーを使わなくちゃいけない。そうすると、行政にタクシー券を出してくれとか、そうしたら福祉の予算が必要になってくるとか。
 お金というのはどこかで多分要るだろうと思いますけれども、それをみんなが使える形で、例えば過疎地のバスシステムを、もっと小ぶりなバスをドアからドアへのサービスで提供できますよというふうにしたら多分利用者はもっと増えるだろうと思いますし、そのように今までとは違う形態でモビリティーを確保できないかということを考える必要があるだろうと思うし、それは秋山さんが一杯引き出しがおありになるだろうというふうに思っています。
#37
○有村治子君 今日は貴重なお話をありがとうございます。三人の先生方に二つ質問をさせていただきたいと思います。
 今日のお話を伺って、私も障害者あるいは高齢者と別個のものと考えて、感覚的に考えていたんですが、実は両方とももう一押し、ちょっとしたアシスタントがあれば元気に社会に本当にノーマルに入っていただく、グループとしては余り区分しないでもいいのかもしれないななんという気付きが出てきたんですけれども、是非一点目お伺いしたいのが、じゃ、私たちが共生社会をもう少しその重要性とかその価値ということを訴えていくためには、どのくらいの人たちが直接このプロジェクトには、あるいは理念には直接かかわってくるんだよという、ある程度定数的な主張もしていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思いました。
 ですから、教えていただきたいのは、だれを障害者あるいは一般的にチャレンジを持っている方々というふうに考えていらっしゃるのか。日本に住むどのくらいの割合の人をこのテーマの直接的な対象者として認識していらっしゃるのか、是非教えていただきたいと思います。
 今日のお話を伺っていて、やっぱり妊婦さんとか、あるいはほかの都道府県から引っ越してきた人がその社会で外国人と同じように、さあ、どうやってこの町でサバイバルしていくかというときに、やはりユニバーサルデザインのスピリットというのは大変生きてくるなというふうにも思いました。
 二点目お伺いしたいことは、特に関根先生の本をばっと今見ていて思ったんですが、世界の先進国の中でも類を見ないスピードで突入していく超少子高齢社会の中で、やはり日本が実験台になる。しかも過酷な実験台になっていく中で、日本の国力が疲弊するというんではなくて、どうせ実験台になるなら、そのノウハウをパッケージとしてやっぱり蓄えていってそれを輸出する、あるいは海外からも、これから高齢社会に突入していく国に対してコンサルテーションというような形で製品や技術やあるいはチャンスというものを競争力を付けて売り出すだけの力があるのかどうか。そのもちろん正解答というのはないんですが、御意見を教えていただければと思います。
 以上です。
#38
○参考人(秋山哲男君) ターゲットグループがどのくらいの人数かということですけれども、僕は一〇〇%だとまずは申し上げておきたい。ただし、一〇〇%の中で重点の掛け方が違うでしょうと。その状況というのは、例えば私たちが階段上るにも移動抵抗があったり、乗換えにも移動抵抗があったり、そういうものを作れば作るほど大変になるわけで、移動抵抗とか、あと一時的障害を持つとか、そういうことを含めると現在の高齢人口だったら五割が何らかの移動困難を伴う人というふうに考えてよろしいでしょうと。高齢人口七%のときに二五%でしたから、一四%だったらその倍ぐらいは楽にあるでしょう。
 そういうことで、人口は、共生社会の中のターゲットグループは、ネットのところはどのくらい、定義によっても異なりますけれども、移動抵抗となったら五割近いし、更に移動困難となったら五%で、重度の移動困難になったら一%。これはスペシャルトランスポート。それぞれ定義によって違ってきます。だから、多様な定義がありますので一〇〇%から徐々に下がっていくというふうに考えております。
 以上です。
#39
○参考人(関根千佳君) この中で子どものころ子どもだった方、手を挙げていただきたいですけれども。──はい。好むと好まざるとにかかわらず、いつかは年を取っていくと思っていらっしゃる方、手を挙げてください。──はい。いいですね。一度もこれまでけがも病気もしたことがない人、手を挙げてください。──いらっしゃいませんよね。
 私は、ユニバーサルデザインの対象者は私たち全員だと思っています。ですから、ここにいらっしゃる皆さんも当然その中の一人です。けがをすることもあれば、具合の悪い日もある。インフルエンザで熱を出すときもある。
 そして、高齢者のニーズと妊産婦のニーズはとても似通ってくるときもありますし、ベビーカーのニーズと車いすのニーズもとても似通っています。ディスコで大音響の中で踊っている人は聴覚障害者と全く同じニーズを持っているということもあります。それを考えれば、すべての高齢者は我々の先輩です。そして、高齢者は軽度重複障害になるんですから、すべての障害者は我々の先輩なんですね。私は一〇〇%だと思っています。
 そしてさらに、このユニバーサルデザイン、二つ目の御質問にお答えしますが、これは確かに壮大な実験だと思っています。成人人口の五〇%が五十代を超えるというこの状況というのは、この人たちのことを考えないで物や町や行政や法律を作るということがいかに意味がないかということなんですね。この参議院の建物に男子トイレがないことを考えてみてください。あり得ないですよね。新しい温泉旅館を造るのに女性用のおふろがない、それと同じぐらいに意味がないことになってしまうんですね。
 このノウハウは、今後高齢化が進んでいくほかの国全体に対して有効なノウハウになると思っています。韓国も今後我々の後を追います。さらに、一人っ子政策を続けていた中国が今後膨大な量の高齢者を持っていくわけですね。今はいろんな製造業が中国に移っていっていますけれども、彼らにはまだこのエリアのノウハウはありません。ということは、我々こんなにたくさんの高齢者を日本の中に持っている、国内に持っているということは、物すごく膨大な宝を持っていることと同じだと思うんですね。このノウハウを基にして様々な社会のシステムや製品を作って、それを是非韓国や中国、今後高齢化が進む国に私たちは輸出していけるというふうに思っています。
 以上です。
#40
○参考人(川内美彦君) 私も対象はすべてだと思います。ただし、それはいつかその恩恵を受けるから対象はすべてなのだと、それはもうもちろん事実なんですけれども、もう一つの側面で考えたいのは、それは私は人権だからすべての人が対象なんだというふうに考えたいと思います。日本国民すべての人に保障されたものだからやらなくてはいけないんだということですね。
 多数派であればいいというのであれば、一億二千万の中のたった百人が教育が受けられない、社会に出られない、外に出たいと思っても寝たきりで暮らさなくてはいけないというふうな状況が起きても、まあ百人だからいいやということになる可能性があります。だけど、それは日本国民として国家が保障すべき生活の質を保障できていないんだということになれば、この百人の方もちゃんと国家が生活の質を上げる方策を提供しなくてはいけないということになると思うんですね。
 ですから、硬いことばかり申し上げて申し訳ないですけれども、人権だからどんな批判があっても国としては国民を守るためにやるんだという宣言を付けた、そういうメッセージを付けた形で施策を展開していただけないのだろうかというふうに思います。
#41
○清水嘉与子君 関根参考人に伺いたいと思います。
 お年寄り、これから非常に高齢者が増えてくるわけですけれども、お金もあり時間もあり、そして向学心もあると、こういう人たちなんですけれども、一番やはり、この方々が自由に、モビリティーが余り十分でなくて動けないということもあって、このITをもっと使えれば本当にいいと思うんですけれども、まだまだ距離があって、いつもこの会のときに伺うんですけれども、役所の方々がもうかなりいいものが、今研究していますという話にはなっているんだけれども、実際問題としてかなりまだ距離がありますわね。
 だけれども、本当にそういう方々が、じゃ、どこにいるかというと、家庭にいる方もあるかもしれないけれども、かなり施設の中で時間を持て余して、それこそいらっしゃる方がたくさんいるわけですよね、福祉施設、あるいは医療施設などに、長いことそこにいらっしゃる方が。つまり、家庭と隔離されているような方々がたくさんいるわけですね。そういう方々にもっと本当にこういう機器が活用できれば、お金ももちろんあるし時間もあるしというようなことで、非常に良くなると思うんですけれども。
 これ、本当にいつごろ、若い人たちはもう今でもどんどんIT機器使っていますのでこれからのお年寄りは大丈夫だと思うんですけれども、今既にお年寄りになっている方々にどうやって普及していったらいいのか、是非お考えを教えていただきたいと思います。関根さん。
#42
○参考人(関根千佳君) ありがとうございます。とても大事なお話だと思います。
 これも、シニアの方々も障害者の方々も割と近い解決策をお持ちなんですね。それは当事者同士が教え合うということなんです。熊本や仙台のようなシニアネットで一日三十人ずつぐらい今参加者が増えていっていたりするんですけれども、それは何がいいのかというと、六十代は六十代に教える、七十代は七十代に教える、そういったパターンで、同じような年代の方が同じような人に教えるというやり方でどんどん仲間内が増えていっているんですね。
 彼らは、やはり若い人向けのパソコン講習会などですと、速度が速過ぎて追いついていけない、昨日聞いたことをもう一回聞くのが恥ずかしいという状況になったりなさいます。これについては、やはり同じ年代の方であれば同じことを何回聞いても怒らないし、どうして相手が分からないのかがよく分かるので教えやすいということも起きるんですね。
 これは障害者同士でも同じです。やはり、口に棒をくわえて、それでパソコンを打っていらっしゃるような方であれば、同じようなニーズをお持ちの方にはどのようにすれば自由にパソコンが使いこなせるようになるかということを教えることができますよね。ですから、このように、ピアカウンセリングとも言われるんですけれども、こういうやり方でそれぞれが教わっていくということがございます。
 ただ、ここに一つ問題がございまして、この場合、例えばこういう特殊な装置を使えばもっと楽になるんだよとか、こんなソフトがあればもっと便利なんだけどというような、アシスティブテクノロジーと言われる部分を組み合わせると彼らにとってはとてもパソコンが使いやすくなるんですね。ところが、これをこの人に合わせて、フィッティングと呼ぶんですけれども、それをやってくれるような職業的な方が日本の場合には極端に不足しております。
 これは、海外ではリハビリテーションエンジニアと呼ばれまして、独立した職種になっているんですね。各自治体の中に、例えば病院やそれから福祉施設の中に、OT、オペレーショナルセラピストやPTさんと同じように、リハビリテーションエンジニアが付いている場合が多い。こういう人たちがいないために、その人たちのコミニュケーションをサポートする人々が日本の中ではもう払底してしまっているという現状がございます。
 ですから、私としては、このリハビリテーションエンジニアというものが各自治体に何らかの形でいるということ、そして、更にそれを支える地元のコミュニティーサービスとしてのパソコンボランティアの仕組みというものがきちんと成立していくというのが、今後、日本の中ではそういった人たちがもっともっとパソコンを使う上で必要になるのではないかというふうに思っております。
 以上です。
#43
○福島瑞穂君 二巡目で済みません。
 障害者差別禁止法か基本法かという議論で、ここは立法機関ですから、やれることを本当にやりたいと思っているのですが、一つは、条約を見据えながら作る方がいいものが作れるというふうにも思ったり、あるいは障害者基本法が一九九三年にできていますが、これの改正という形を取った方がいいのか、あるいはこれとは別に障害者基本法をもう少し根本的に作り直すのか、差別禁止法を作った方がいいのか、法律の何かイメージというものについて、お三方の中で御意見ある方がいらっしゃれば御教示ください。
#44
○参考人(川内美彦君) 私は、これは個人的な意見ですけれども、先ほど申しましたように、まず、基本法か差別禁止法かという考えは私は基本的には取らない。
 その基本法の、例えば差別禁止法があったって、具体的にその政策を進めていこうとすると、国とか地方自治体の役割分担とか、国はこんなことをしなくちゃいけないとかという定めなくちゃいけないことはあるわけですよね。ですから、それは、現在の障害者基本法の中で定められていることというか、改正はしなくてはいけないでしょうけれども、その役割というのは絶対にあるわけですね。
 ただ、先ほどのハートビル法や交通バリアフリー法で御説明したとおり、何のためにそれをするんだという議論が日本の中では今まで欠けてきて、ただ目先のスロープを造りましょうということだけをやってきた、あるいは、社会制度を作りましょうということだけをやってきたというのを強く感じています。ですから、何のためにするんだ、なぜこれが必要なんだということを説明した大きな傘としての差別禁止法というのが必要であろうというふうに思います。
 それから、条約を見据えてというのがありますね。それで、六月に国連の方でもアドホック委員会が開かれる予定になっていますけれども、このアドホック委員会の行方というのもまだ余り明らかではない。それから、更に審議が継続されるのかどうかということも明らかではない。しかも、いつまでに審議が完結するのかということも明らかではないというふうな形の中で、条約を待っているという形が私はそれほど重要なことではないのではないかというふうに思います。
 むしろ、それは条約ができた段階で改正で対応するという考え方も十分ありますし、既に世界で四十何か国、多分二年前の報告ですから現在は五十か国を超えていると思いますが、そういうところで既にそういう差別禁止法という形ができているわけですから、その国々も条約を待って作ったわけではないわけですよね。ですから、私は、実務的な考え方からすると、条約を待つという、横目で見ておく必要はありますけれども、それを待って、じゃ、日本で作りましょうということの必要性はそれほど感じていません。もう一つは、私もだんだん年を取ってきているので、余り長く待てないというのもありますけれども。
 以上です。
#45
○参考人(関根千佳君) 私も、基本的には、イギリスの障害者差別禁止法も昨年、教育を含むようになりましたし、各地でいろいろなケースがございますので、できれば基本法の改正という、AのものをBと言いくるめてしまうような形よりは、きちんと障害者差別禁止法という形で本当は作っていただきたいと思っております。そうしないと、これまでとの違いが明確にならない上に、その下に各法の規定があるという形式付けといいますか、内容をストラテジックに考えるということはできなくなると思うんですね。ですから、できればそちらの方を私としてはイメージしております。
 以上です。
#46
○参考人(秋山哲男君) 私も作った方がよろしいと思っていますけれども、ただ、アメリカは一九五四年に公民権法、セパレート・ノット・イコールをちゃんと表明したわけですね。セパレート・バット・イコールだと。
 例えば、黒人が同じバスに乗ってもそれは平等だというのがアメリカの主張だったんですが、それじゃないよということになったというのが多分最初の流れだと思います。それが一九五四年にやって六四年に公民権法ができた。その後、七三年に、公共交通、連邦が補助する交通機関に対して、障害を持つ人を差別してはならないと規定したんですね。これが五〇四項という、これが、リハビリテーション法が一九九〇年のADAに移っていった。こういう流れからすると、二十年ぐらいのインターバルの中でアメリカは徐々に力を蓄えていったという事実がございます。
 日本の場合は、決めたときに、どっちが先に出すかというところで何か違うやり取りの中で決まっていった。本当の議論がなされずに決まったというところがございますので、もうちょっとちゃんと議論してほしいねというのが私の要望でございます。
 以上です。
#47
○山下英利君 本日は、参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 私は、ちょっと一点お聞きしたいのは、これは、あるいはちょっと何というか、現実的というか品格の問題になるとおっしゃられるかもしれないと思うんですけれども、例えばユニバーサルデザインという考え方がございますよね。それで、やはりこのバリアフリーの社会を作っていくときに、いわゆる障害のある方とそうでない方、その間の溝をどうやって埋めて、要するに、このユニバーサルデザインの中でも、公平で自由でと、同じ基準で、要するに、差別ということを意識しない、全く同じ基準でということが一つの前提で考えていくのかなという。今、関根参考人、首かしげておられますけれども。
 要すれば、例えば、今、バリアフリーであると。例えば、駅なんかでもエレベーターを付けましょうと、こういう、具体的にちょこっと言いますと、それで、そういった障害のある方も同じ基準で仕事もしていただけるというか、考え方で前へ進んでいただけるというようなことを目指すのであれば、要するに官民の協力ということがやっぱり一つあるのかなというような気もしているんですけれども。
 と申しますのも、民間の場合に、例えば、じゃ、障害のある方に仕事をしていただくといったときに、先ほど関根参考人の資料なんか拝見していますと、いろんな障害の方がそれぞれの持ち場で仕事をされているという紹介もいただいたんですけれども。じゃ、適材適所であるということを埋めていくために、もちろん障害を克服するための技術的な開発、これを民間がやっていきますよということと、今度逆に、障害のある方も同じ条件で、じゃ、民間の会社で仕事をしていきましょうと。そういったときには、要するに、このユニバーサルデザインに基づいた形ができれば、適材適所で、かつ評価も全く公平に行われるということが一つの理想といえば理想だというふうに考えていいんでしょうか。
 というのも、障害の程度によって、だからそのさっきの適材適所、やはり自分でやれる仕事とやれない仕事があるわけですよね、それは技術的な開発の度合いもありますし。そういったときに、本人が本当はやりたいけれどもできないという仕事に対して、これはあなたは今の段階ではできませんからといって、あなたができる仕事はこれしかありませんということは、このユニバーサルデザインという考え方からすると、それは現実的にはそれでしようがないというふうに考えてよろしいんでしょうか。あくまでもやはり同じ基準まで持っていくことを前提とした考え方を取っていくのか。
 私の質問の意味は、現実的に言うと、例えば民間の企業なんかで障害を持っていらっしゃる方の程度に合わせて職種というものもやってもらわなければいけない。もちろん、それを引き上げて、引き上げてというか、克服してもらうために技術的な開発、これも行ってもらう必要があるけれども、そこは官民協力で、官が要するにそこは応援していくけれども、現実問題としては、やはりあなたはここしかできないよということが、最終的にそれが差別という形につながっていくとすると、やはりそこをどう考えるのかという質問なんですけれども。
 関根さん、よろしくお願いします。
#48
○参考人(関根千佳君) 済みません。最初、御質問の意図がよく分からなかったんです。ごめんなさいね。
 うちの社員たちは、確かにいろんな点で障害があるゆえにできないこともたくさんあります。全盲のメンバーでホームページをばりばり書いていますが、最終的にこの色でいいかとかいうのは、自分たちはコードカラーの番号だけで出しますので、本当にこれできれいかどうかまでは分からないんですね。これは、例えば車いすや聴覚のメンバーとペアで仕事をすればいいんですよ。できない部分はできる人が一緒にやればいい。でも、障害者二人でそれを、すごくきれいなホームページを作ったりするわけですね。できない部分ももちろん障害者にはたくさんありますが、我々健常者よりはるかにできる点も彼らは持っている。それを私は使うだけです。
 だから、そこはユニバーサルデザインについてよく誤解があるんですけれども、すべての人を同じにすることが意味があるわけではない。だから、彼らができる部分を一〇〇%出してもらいたいし、それで技術的に足りない部分はいろんな新技術を使ったりしながらそれを補うことはもちろんやります。でも、一つの基準に人を当てはめるというだけではないんです。これも私の本の中にユニバーサルデザイン七つの誤解というのを書いているので、是非読んでいただければと思うんですけれども。
#49
○山下英利君 済みません、ちょっと続きで。
 いや、そこを拝見したものですから、あえてお聞きしたんです。
 それで、結局、そうだとすると、じゃ、例えば企業で、お互いに従業員、障害のある方が助け合ってやっていくといった場合の評価ですよね、企業としての評価。健常者の人が、例えば、一人だったら十できます、障害者の方は二人で合わせて十ですといったときに、その場合の評価は、一人に対して五、五であるという評価の仕方というのが民間の会社で行えるかどうかということなんです。
#50
○参考人(関根千佳君) うちの場合は、その場合は五、五ではありません。十、十なんですよ。障害者の方が健常者よりはるかに仕事ができます。うちの場合は、障害が重ければ重いほど、高齢であればあるほど喜ばれる。なぜかというと、高齢者や障害者のニーズを分かっていて、それを企業にコンサルできる人というのは一般の企業には存在しないからです。教育が二十年後れてくれたおかげで、こういう人たちは日本の企業や行政や立法府にもいません。
 おかげさまで、うちはダブルという言い方をします。いいですか、彼らは技術的にすごくノウハウを持っている上に、更にいいことに障害があるんですよ。例えば目が見えなかったり、例えば車いすだったりするわけですね。例えば、うちの濱田が、両手両足がない状態で五十年生きてきている。彼のノウハウは、私は、今、両手両足がなくなっても、逆立ちしてもあの人のノウハウにたどり着くことができない。この人たちが日本の企業にとって物すごく大きなノウハウを持っているわけですよね。同じことなんですよ。
 本当は、日本の企業でも、ソニーさんでも松下さんでも、今やっと障害者をそういうふうにダブルで価値がある人間として見ようと思い始めている。まだまだ少ないのはよく分かっています。でも、このユニバーサルデザインの物づくりをする上でこの人たちのノウハウは、私たち、障害を持っていないとしたら、一生掛かっても手に入れることができないノウハウなんですよね。だからダブルで価値がある。
 だから、ちゃんと我々は彼らにフルプライス、十の評価をしようと思っています。その代わり、そのためにずっと勉強してもらわなきゃいけない。そして、そういうふうに法律や物づくりや建築のノウハウを持っている当事者をもっともっと教育して世の中に出していくという、その必要があると思っています。
 お答えになっていたかどうか分かりませんけれども。続けてください。
#51
○小宮山洋子君 ちょっと出入りがありまして大変申し訳ありませんでした。
 もう既にどなたかおっしゃっていたかもしれませんけれども、川内参考人にはこの委員会がバリアフリーになっていないということを表すような対応があったようで、最初に非常にそれを申し訳ないと思って、私たちもそういう仕組みを変えていかなきゃいけないのではないかということを一言申し上げさせていただきたいと思います。
 私自身も、もう百八十センチもある父を車いすに乗せて歩いていると、いかにユニバーサルデザインになっていないのか、断片的にどこかを対応しても駄目だということは実感として持っています。
 その中で、先ほどからお話が出ているように、差別禁止法というか哲学というか、日本をどういうふうにつくっていくかという基本になる法律を必ず作らなければいけないと思っているんですが、現実には省庁が、秋山参考人もほかの場面でおっしゃったように、縦割りになっています。それから、川内参考人は先ほど人権の問題だからADAは司法省が管轄しているというふうにおっしゃいましたが、今の日本の省庁の中でその辺りを束ねられるのはやはり内閣府なのかなとも思っていますけれども、私どもが立法をしていくときに、その辺りの仕組み方ですね、どうしたら本当に日本の国として取り組む姿勢を表すような仕組みになり得るのか、それを三人の参考人にアドバイスをいただければというふうに思っております。
#52
○参考人(関根千佳君) 済みません。何か私ばっかりしゃべっていますが、さっきから。
 アメリカでは、これに関してはアクセスボードというものが存在します。全部の省庁からそれぞれ担当者を出して、かつては建築や交通についてのこういった法律についてガイダンスをずっと出していました。今は、このアクセスボードは、私のやっているITのエリアで物すごく熱心にやっています。五〇八条とかもそういう意味ではこのアクセスボードがベースで動いていると思っていただいていいと思うんですね。これはたしか大統領の下の直轄機関のような形になっておりまして、全省庁が出ることが義務付けられている。ですから、縦割りの弊害というものはかなり消えているというふうに伺っております。
 もしかすると、この件はお二人の方が詳しいかもしれません。
 以上です。
#53
○参考人(秋山哲男君) やり方が国によって幾つか違うと思いますので、例えばカナダの場合に、障害を持つ人に対して差別をしたとなったら、CTAという監督庁みたいなところがあるんですね。そこは運輸省と直結していますけれども、そこに訴えることができるということが明確にあるわけです。ただし、カナダはADAという法律はございません。ただ、最近できたのは、オンタリオ州では二年ほど前にできておりますけれども。
 それからもう一つは、イギリスのやり方は割と上手だなと思っているのが、DPTACという障害者輸送諮問委員会というのを作っておりまして、ここで政府の役人も入り、かつ障害者も入っています。
 例えば、政府でレポートが出てきたものを全部そこでチェックを掛ける。かなり専門的なチェックが掛けられますので、日本でやっている今のパブリックコメントよりはもっとレベルの高いチェックができる。なぜ、日本はパブリックコメントばっかりやっていて、DPTACみたいなかなり精選できるようなチェックをしないんだろうかというのが前から疑問を感じています。
 そういう意味で、チェックの方法がいろいろあると思いますので、様々な方法、裁判に訴える、あるいはレポートをきちっと読んで方向性をきちっと示すとか、そんなようなことを考えられたらよろしいと思います。
 以上です。
#54
○参考人(川内美彦君) 先ほど、例えば住宅とその周りの環境が整備されていないために社会的な生活が送れなくなる、それによって在宅ケアのお金が必要になってくるというふうなお話をしました。つまり、建築の不備、建築や土木関係の不備によって福祉関係のお金が要るという形ですね。
 ですから、もう現状は、実は縦割りを超えた現象が起きているわけですね。それに対して、縦割りがあるから難しいんだというのは、誠に申し訳ないですけれども、この国をだれが動かしているのかというところになるのではないかと。
 皆様に動かしていただきたいから、私どもは一票を投じてお願いをしているわけですね。それで、一票を投じなくて国を動かしている方々も、一票の洗礼を受けなくて国を動かしている方々の力が非常に強いという問題があるのかもしれないけれども、だけれども、私としては一票を投じているというのは、その方々よりも皆様に大きな委任をしているわけですから、縦割りを壊すんだとお考えならばそれでやっていただかなくてはいけないだろうと。
 私の申し上げたいのはそれだけですね。
#55
○会長(小野清子君) ありがとうございました。
 他に御発言もないようであれば、以上で参考人に対する質疑は終了いたします。
 参考人の方々には、長時間にわたりまして貴重で有意義な御意見をお述べをいただきまして、誠にありがとうございました。ただいまお述べをいただきました御発言につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
    ─────────────
#56
○会長(小野清子君) この際、御報告いたします。
 前期の調査会において起草、提出し、平成十三年四月に成立をいたしました配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律においては、法施行後三年をめどにその施行状況等を勘案し、検討することになっております。
 この件につきましては、理事会で協議を行いました結果、お手元に配付をいたしましたとおり、本調査会理事会の下に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の見直しに関するプロジェクトチーム」を設置することといたしました。
 プロジェクトチームの発足に当たり、委員各位の御理解、御協力をお願い申し上げます。
 次回は来る二月二十六日午後一時から開会することといたしまして、本日はこれにて散会をさせていただきます。
   午後三時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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